すでに昨日のことである。午前七時に「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏の盛林堂号に自宅近くで拾ってもらい、西荻窪のお店を経由し、盛林堂・イレギュラーズとしてもはや十年単位のレギュラー仕事となりつつある、日下三蔵氏邸書庫の片付けに向かう。都内の渋滞甚だしく閉口しながらも、マック休憩を抜きにして日下邸に駆け付ければ、ほぼいつも通りの到着時間であった。ちょうどそこにほぼ同時に到着した、日下氏の妹さんに伴われて邸内へ。気配を察知した日下氏が二階階段から姿を現し「やあ。どうもどうも」と挨拶する。お仕事着手前に、氏が単独で整理を進めた結果生まれたダブり本棚をまずは見せていただく。

収められているのは棚三段分の新書サイズ本であるが、素早くチェックした小野氏は、小泉喜美子の「幻想マーマレード」に喜悦の表情を浮かべる。そこに廊下を通りかかったお母様が「今日もよろしくお願いします」と言葉をかけてくれた。お出かけになるところなのだが、日下氏が「いってら!」と声を挙げる…どうやら「いってらっしゃい」の短縮形で、日下家語のひとつらしい…。そして肝心の本日のミッションは、マンション書庫に移動し、まずは台所にプールされた不要本千冊を結束した後(こちらは盛林堂持ち帰り)、CD部屋・リビング・台所にあるコミックスを選別した後結束することである(こちらは日下氏が妹さんとともに後日専門店に持ち込む)。と言うわけで早速書庫に移動すると、そこには驚くべき変化が生まれていた。まずはリビング中央が広々と開放されている。これは日々の努力でスペースが生まれた結果と、電気屋さんが電燈の交換に来たので、そのために集中的に確保した片付けた結果とのこと。日下氏はその広さに満面の笑みである。小野氏が「バンザイして記念写真を撮りましょう」と提案。スペースの広さに浮かれた日下氏は、思わずその言葉に乗せられ、しっかりとバンザイポーズ…愉快な人たちだよ、まったく。

そして奇跡的な進歩がもうひとつ、何とトイレ前の文庫山が姿を消し、トイレが使用可能になっていたのである!これでわざわざコンビニのトイレを借りるために外に出なくて済む!と一同大喜び(実際三人ともトイレを使う度に「家にトイレがあるのはいいねぇ〜」と感動することしきり)。

そんなことがあり、いよいよミッション突入となるわけだが、簡単に書いてしまうと、午前十時から午後五時過ぎまで、三人はほぼ同一の作業に従事したのである。日下氏は本の選別、私は本の移動、小野氏は本の結束…ただこれだけをひたすらひたすら繰り返したのである。何とその冊数、四千冊強!日下氏は四千冊の本を選別し、私は四千冊の本を運び、小野氏は四千冊の本を結束したのである。これには三人とも作業終了時には、疲労極みに達してしまう。あの日下氏が午後三時半辺りに「ふぅ、もう疲れた…」と呟いたくらいである。私は本の山を両手に抱え、再び狭くなっていた廊下を行ったり来たり。

小野氏はおよそ700m分のビニール紐を使い切ったのであった。

だがその間にも、CD部屋でイヤーン・フラミンゴ(清水正二郎)の『ピンク07号』シリーズを大量発掘したら、小野氏がたちまち色めき立ち、結束作業を放り出してCD部屋の本の山に挑みかかったり一幕が発生(ちなみにピンク07号シリーズは本邸書庫で確認すると大幅にダブっていた…)。

ダブりだ!と思った島田一男原作の漫画は、実は一冊はリサイズされて売り出されたものだったのでガックリ。

さらに日下氏がコミック山の下層から「新青年」箱を発見し、私が次なるproject“V”のために「新青年」を必要としていることを覚えてくれていて、声をかけてくれた。

この箱の中身は、日下氏が三年以上前に蔵前の「御蔵前書房」(2008/11/08参照)の店頭に、一冊千円で出されているのを発見し、即座に出ていた十二冊をサービス価格の計一万円で購入したものである。調べてみると、おぉ!該当する号が四冊見つかった。すると日下氏が「それちょっと見せてください」と目次をチェックし「必要なのは載ってないし、ボロいから持って行っていいですよ」と譲ってくれた。やった!project“V”、微速前進!コピーと本物では、やはり得るものが微妙に異なることもあるので、これは嬉しい大収穫である。その後本邸に戻り、ダブり本のチェックをした後、小野氏は買取査定に入り、日下氏は新たに一軍書庫に加えるべき本を、後ろから見たらほぼ日下氏幅だった通路に座り込み、所定の位置に収めて行くのであった…本日も大変にお疲れさまでした。

すべてを終えて家に戻ったのは午後十一時。嬉しい四冊の「新青年」を軽く修復した後に写真撮影して就寝する。
posted by tokusan at 10:02|
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関東
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