2017年12月16日

12/16「巽堂書店」店主が誰に似ているのか最後の最後に思い至る。

今日は早い時間に経堂に流れ着いたので、まずは北側の「遠藤書店」(2008/10/17参照)で新人物往来社「異国漂流奇譚集/石井研堂編」を200円で買い、南側の「大河堂書店」(2009/03/26参照)で鳩の森文庫「三四六/村野守美」を105円で購入する。そして今日・十二月十六日は「巽堂書店」最後の営業日(2017/11/27参照)ということは起きたときから分かっていたので、急ぎ渋谷に駆け付けることにする。途中下北沢での乗り換え時に、小田急線ホームで強風に帽子を飛ばされてしまう。一瞬見失った帽子を慌てて探すと、あぁっ!さらに風に煽られ、今まさに上りホームの線路際に向かって、スルスル進んでいるではないか。ホームに落としてはなるまじと、駆け寄りダイブして飛びつき(電車が来ないのは確認済み)、ホーム際で帽子を押さえつけるのに成功する。脳内セルフイメージでは、川に落ちようとする小犬を華麗に身を呈してキャッチし、際でピタリと止まる感じとなっていたが、端から見たらただのオッサンが無様に飛ばした帽子を無様に倒れ込み掴んだだけなのである…お騒がせしました。そんなことをして渋谷にたどり着き、たくさんの人を掻き分けるようにして『宮益坂』を上がり、「中村書店」(2008/07/24参照)前を通過して「巽堂書店」に到着する。わぁ!店内がお客さんでいっぱいだ!どうやら私と同じように、皆お店と店主にお別れを告げに来ているらしい。店頭の100均棚には、結構ブランクが生まれてしまっている。素早く目を凝らして一冊抜き取り、今日も変わらずバロック音楽の流れている店内に進む。そこでは、学生やご婦人や壮年の男性が、懸命に本を選んでいる真っ最中であった。店主は、いつもと変わらぬ落ち着いたスタンスで帳場に静かに腰掛けている…ひとつ違うところと言えば、本の整理や値付をしていないことだろうか。いつもはそんな場面に出くわすと、何か怒っているんじゃないかと思うほどダガンダガンと豪快な音を立て、本の整理をしていたものであった。お客さんは精算時に、丁寧に店主に言葉をかけて行く。対する店主ははにかみながら「いや、どうも」「ありがとうございます」と言葉を返して行く。常連のお客さんはたくさん本を買いつつ「これ、日持ちするやつだから」とお菓子など渡したりしている。皆が愛するお店に感謝の念を伝えているので、店内には様々な人の様々な万感の思いが満ち満ちてしまっているようだ…長時間いたら泣いてしまいそうだな。店内でも一冊選び、ゆっくりぐるりと一周すると、キリスト教や歴史関連の硬く重厚な本たちの、強い光に目を射られ、やはり私は店頭の客であり続けていたことを自覚する。春陽文庫「ただひとりの人/北条誠」法政大学出版局「思い出の作家たち/横関愛造」を帳場に差し出すと、春陽文庫はサービスしていただいたので、500円で購入する。そしてこの時、マジマジと店主の顔を眺めながら「ありがとうございます」と言いつつ、ピンと閃いてしまう。ずっと前から店主が誰かに似ているような気がしていたのだが、まったく思い当たることが出来ていなかった。だが、最後の最後に分かった!永世七冠・羽生善治に似てるんだ(もちろんおじいちゃんになった羽生善治である。そしてこれはあくまでも個人的感想である)!なんだか物凄くスッキリしたぞ!と表に出て、都会のビル街の古本屋さんの最後の姿を、うっとりと目に焼き付ける。さようなら、『宮益坂』の上の古本屋さん!
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2017年12月15日

12/15変な古書命!

もはや病み上がったのかどうか分からない状態で、今日は夜の武蔵境に疲労を引き摺って流れ着く。南側から、ダイヤが乱れまくった中央線の高架を潜り、北側の「浩仁堂」(2011/02/15参照)に癒しを求める。…決して贅沢は言わぬ。何か、何か面白い変な古書が買えれば、それでとりあえず満足なのだ…しかも安値で買えれば尚更だ…。と、店内の灯りを頼りに店頭の箱やラックを眺めるが、アンテナに引っ掛かるような本は見つからず。続いて店内に進み、本棚にじっくり目を凝らす。すると裸本だが、昭和十九年刊の彰考書院「首狩種族の生活/A・C・ハッドン」なる面白そうな変な本を見つけたので、二百円で購入する。十九世紀後半にイギリスの動物学者が、ニューギニア&ボルネオの特殊な原住民を調査した本なのである。良かった、望み通りに、変な古書を買うことが出来た。夜の「浩仁堂」に感謝!
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かなり明るいお店の巨大電飾看板前で記念撮影。
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2017年12月14日

12/14古本屋ツアー・イン・新保博久邸【プレリュード】

「盛林堂書房」(2012/01/06参照)のお手伝いで、ミステリ評論家&乱歩研究の権威・新保博久氏(通称:新保教授)のお宅の片付けに同行する。実は寂しいことに、教授が来年早いうちに京都に帰京することになっているので、そこに照準を合わせた、超迅速な片付けを行わねばならないのである。もちろん「盛林堂」さんの最終的な目的は本の買取にあるのだが、そこに至るまでには、本が一杯のマンション四部屋の整理と、本がいっぱいの同マンショントランクルーム(四部屋+通路)の整理と、ご近所のトランクルーム大小二部屋の整理を行い、本を処分するものとしないものに選別し、縛り上げるスペースを作り出さないと、にっちもさっちも進まないのである。そこで今日のミッションは、マンション奥二部屋の整理を行い、作業スペースを作り出すこととなる。都内某所のマンション四階に上がり、教授に邸内に招き入れられる。うぉぅ、本が棚やティッシュ箱や本ケースに詰められそこかしこに積み上がり、これでもかと合理的に適確に組み合わされている。なので通路は激細で、本があらゆる角度で視界に入って来ても、それほどの圧を感じないのが、なんだか不思議なところである。…いや、決して整理されているわけではないので、独自の積上げ論法がそう擬態させているだけなのかもしれない…。午前十時五十分から作業を開始し、盛林堂・小野氏が切り込み隊長を務めて積み上がるものを掘り起こし、そこから出たものたちを私が新たに積上げつつ出たゴミをひたすら袋詰めして行く。本当にこれをただただ六時間余マシンのように繰り返し(途中、とんかつ昼食の休憩を挟み、戻ってから教授にノンアルコールビールを振る舞われたりする)、大量の献呈本&雑誌・書類・ゲラ・プルーフ・原稿・プラケース・ティッシュケース・本ケース・新聞・パンフレット・書簡・シュレッダー・i-pod shuffle・パソコン・洗濯ばさみ・3Dメガネ・コート・靴下・VHSビデオ・ウェストバッグ(何か入っていると思ったら、中にはもうひとつのウェストバッグが詰められていた!)・財布・手帳などと格闘する。小野氏はもはや掘削ドリルのようである。本は書評用の九十年代以降のものがほとんどだったが、途中古本地層から発掘されたアンティーク棚脇の乱歩評論本ゾーンには、『さすが教授!』と大いに感動する。まぁ本日の私は、本と言うより紙ゴミばかりに触れていたので、本格的な教授邸ツアー(トランクルーム含む)は次回訪問以降に行えればと思っている。そして夜になり、ダンボール十二箱を携え、ご近所のトランクルームへ移動。そこに箱を運び込んで積上げ、さらに次回以降の作業効率を考え、トランク内の整理にも手をつける。
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トランクルーム通路で作戦を練る教授と小野氏。実は整理用に新たにもう一部屋を借り、合計三部屋が教授のテリトリーとなっている。

結局色々終わったのは午後七時過ぎ。だがこれで、一応全貌の確認が終るとともに、作業スペースが確保出来たことになる。教授がちゃんと、二十ほどのゴミ袋を指定日に出してくれていればの話だが…。それにしても片付け作業していると、古本より資料関係の方に物凄いものが含まれており、時々手を止めてしまう。資料としての滅多に見られぬ生原稿コピー類や、有名人からの書簡、ミステリ関連本の企画やイベント企画など、現在進行形の生な資料がわんさかわんさか出て来るのだ。う〜んスゴイスゴイ。そして今日の作業の記念にと、かつて吉祥寺にあったミステリ書専門店「TRICK+TRAP」の書皮と、復刻版の「少年探偵団B・D・バッジ」「少年探偵手帳」をいただく。ちなみに、すべて古本山の中からの発掘品である。
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「TRICK+TRAP」の書皮は連続したシャーロック・ホームズのプロファイルがモチーフになっている!

そんな風に疲れ果てて家に帰ると、癒してくれるように嬉しいヤフオク落札本箱が届いていた。3100円で落とした、小栗虫太郎の戦後仙花紙本群である。だがその中には一冊、昭和十三年刊の裸本だが、不盡書院「爆撃鑑査寫眞七號」が含まれていたのだ!ぬぐぅ〜嬉しい!これだけがとにかく欲しかったのだ!このオリジナル本で、『爆撃鑑査寫眞七號』『金字塔四角に飛ぶ』『皇后の影法師』『破獄囚「禿げ鬘」』『屍體七十五歩にて死す』が読める日が来るなんて…うひょぉ〜〜〜〜うっ!
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2017年12月13日

12/13一月の古本市

今日は明日に控える難事業のために、なるべく身体を休めて風邪からの回復を図りたいのだが、その前に家を出てまずは荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)でお買物。CBS・ソニー出版「暗色コメディ/連城三紀彦」角川新書「スター見本市/十返肇」(文藝評論家による文壇を舞台にした小説集である)を計432円で購入する。そしてフラフラしながら西荻窪に赴き、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で先週土曜の古本市の後始末を行いつつ、「フォニャルフ」にドバッと補充する。さらには持って来た「三等列車中の唄」(2017/11/24参照)にパラフィンを掛けてもらい、裏表紙と背がない無惨な姿の「百万の目撃者」(2017/10/07参照)の修理を、店主・小野氏にお願いする。講談社「黒い白鳥/鮎川哲也」(函ナシ)を100円で購入し、古本市で余った本をバッグに詰めて、会話もそこそこに早々と家路に着く。白昼の西荻窪をバッグを提げて歩いていると、その側面ポケットに何か紙が入っていることに気付く。抜き出してみると、それは先週の『西荻ブックマーク』後に、「古書ますく堂」(2017/07/26参照)さんから渡された、古本市のチラシであった。いつの間にか間近に迫ってしまった新年早々、「ますく堂」に神戸「トンカ書店」です!!」(「古本屋ツアー・イン・京阪神」 p170参照)と大阪「本は人生のおやつです!!」(同「京阪神」 p72参照)から大量の本が届き、店内『二人古本市』が開催されるのである。そう言えば、移転した「ますく堂」にはまだ行っていないし、あの個性が迸り過ぎている二店の古本が東京で見られるなんて、一石三鳥じゃないか!と今から大いに楽しみにする。だが…このすさまじく破壊的に稚拙なチラシはいったいなんだ!もはやアウトサイダーアート…いや、小学校低学年の教室の壁に貼られた、児童の作成した標語ポスターのようではないか…絵心・文字心・配色心がすべてゼロの三拍子!いい意味で言えばピュア過ぎる!そんな寒々しい紙面を見つめていると、「ますく堂」さんのガハハ笑いが頭の中に勝手に谺する…これを人々に臆面もなく配りまくるとは、やはり何かしらの大物なのだな、「ますく堂」。
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2017年12月12日

12/12/未だ病み上がり足りえず。

未だ病み上がり切らないうちに、世田谷の下馬に流れ着いてしまう。すでに暗闇を迎えた見知らぬ住宅街の中で、身体と心が鉛のように重くなって行く…は、早く帰って布団に潜り込まなければ…だ、だが、その前に古本を買いに行こう。そう固く決心して、足を三宿方面に向ける。住宅街の屋根の向こうに高く輝く『キャロットタワー』を目印にして、歩みを進める。やがて『三宿通り』に抜け出て、交差点脇の「江口書店」(2010/03/29参照)にようやっとたどり着くが、火曜日は定休日であった…。だがめげることなく足を引き摺り『玉川通り』を越え、緩い弧を描く坂道を下って行くと、ふぅ「山陽書店」(2014/04/09参照)は暖かい光を放ち、営業中であった…良かった。
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店内に入り、パラフィンに包まれた本や文庫を軽い視線で流しつつ、中央通路の本命ゾーン『一列古書棚』に意識を集中する。以前見た時とさほど変わっていないようだが…と思いつつも、そこから東京文化新報社「最新版 流行歌手になる法/川口忠」を1000円で購入する。奥付が何故かないので正確な出版年は分からないが、『年内順によるヒット・レコード』が昭和37年で終わっているので、恐らく昭和三十八年に出されたのではないだろうか。『マス・コミと流行歌』『あなたも流行歌手になれる』『私はこうして流行歌手になった』『地方の歌手志望者へ』『歌手として世に出る方法』『コンクール合格必携十ヶ条』『声をよくする方法』『人気歌手声の秘訣』などなど…。調べてみるとこの著者は「映画俳優になる法」も同じ出版社から出している。

そんな本を車中で読み耽りながら阿佐ヶ谷に帰着。フラフラ家路をたどっていると、火曜定休のはずの「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)が、クリアな照明に照らし出されている。またもや何かの撮影ロケに使われているようだ。今や日本で一番ドラマや映画に、『古本屋』という撮影舞台を提供しているお店かもしれない。
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店内奥をガラス越しに覗くと、奥の壁にセットの一部として掛軸が何本か掛けられているので、ちょっと古めかしいお店の雰囲気を作り出しているのだろうか。横の駐車場には美味しそうなケータリングまで用意されているので、撮影は恐らく深夜にまで及ぶのだろう。さぁ、こちらはサッサと帰って、早く寝ることにするか。…我、未だ病み上がり足りえず…。
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2017年12月11日

12/11師走の風邪

連日の無理が祟ったのか、無様にも風邪を引いてしまい、日曜から臥せって過ごす。だがしかし、迫り来る仕事は進めねばならぬので、机と布団の中を行き来して様々に作業し、やり取りをする。布団の中では、読書とうたた寝を繰り返している。薬を飲んでいるので、活字を追っていると、すぐに睡魔が襲い掛かって来るのだ。だがそれにはあまり逆らわずに、スウッと寝て、しばらくしたら起きて再び本の中の世界へ。すでに「黒バラの怪人」と「文壇底流記」を読了し、今は飛鳥高「疑惑の夜」とミルン「プー横丁にたつた家」(昭和十七年初版)と浅原六朗「都会の点描派」に、取っ替え引っ替え取りかかっているところである。幸いにも枕元周辺には、読みたい本が積み重なっているので、読書には全く事欠かないのである…あぁ、もうこれから、ず〜っとこうやって過ごせれば、楽しいのだが…それにしても、この本の山をいつになったら読了出来るのであろうか…などと熱にうかされながら少し思う。
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そして午後夕方近くになって、どうしても済ませなければいけない用事のため、着膨れして足をふらつかせながら外出する。樹冠に光の当たった長い欅並木が、大振りの落葉をハラハラパラパラと落とす下を歩いて、駅前着。ふぅ、まるで厳しい旅をしているようだ。今更ながら健康な日々を眩しく思い、用事をこなす。そして習慣のように「千章堂書店」(2009/12/29参照)に立ち寄り、新潮文庫「松本清張傑作選 時刻表を殺意が走る 原武史オリジナルセレクション」を250円で購入し、またもや厳しい旅路を乗り越え、どうにか家に帰り着く。こんな情けない状態でも、古本を買いに行けたことを幸せに思い、すっかり冷たくなった布団の中に潜り込む。古本屋ツアーにも行けず、掘出し物も見つからないが、読書に耽溺出来る、病気に臥せった静かな一日である。

◆もうひとつお知らせ
本の雑誌増刊「おすすめ文庫王国2018」の『キャラ別攻略 目録読書のススメ』にチラリと登場し、大好きな「初期創元推理文庫 書影&作品目録」についてチョッピリ語っております。書店でお見かけの際は、お手にしていただければ幸いです!
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2017年12月09日

12/9宮澤賢治の戦中文庫!

待ちに待った岡崎武志氏との年末恒例古本市の日を無事に迎える。午前十時過ぎに冷え込む西荻窪『銀盛会館』ガレージ会場に入り、入念な準備を進めた後、午前十一時に開店。すると、例年より多い気がした古本修羅の波と古本神の愛の鉄槌は、会場の古本をたちまち薙ぎ払って行った…みなさま、お買い上げありがとうございました。そして売れた古本たちよ、どうか嫁ぎ先で幸せに暮らすのだぞ。
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写真は開店前のシャッターから覗く、今にも飛び込んで来そうな気配の足!足!足!足ぃ!

途中、岡崎氏と恐ろしい品揃えと安値の盛林堂ゾーンをチェックして、講談社「疑惑の夜/飛鳥高」フィルムアート社「魔術師メリエス/マドレーヌ・マルテット=メリエス」を計3500円でチャッカリ購入しつつ、岡崎氏と欲しさがかち合ってしまった、横山エンタツ著「漫才読本」(カバーなしだが500円!)を懸けてジャンケン勝負!一発勝負で、私はパー、岡崎氏はチョキを出し、残念ながら軍配は岡崎氏に!「いやぁ〜当然やろ。この本はオレにこそ相応しい本や。来るべきとこに来たんや」と敗者を完膚なきまで叩きのめす勝利宣言をされてしまう。キィ〜、くやしぃ〜!
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憎らしい勝利のVサインと、垂涎の「漫才読本」。

そして午後六時の市終了後には、同じ西荻窪で開催されていた『第100回西荻ブックマーク』の記念講演に駆け付け、束の間飛び入り参加して、登壇した思い出などを語る。記念に発刊された小冊子「西荻ブックマーク 100th anniversary booklet 本と西荻窪」にも寄稿しているので、ご興味ある方は「古書音羽館」(2009/06/04参照)でお求めを。

役目を果たしてブックマークを途中で抜け出して、市会場に戻って撤収作業を手伝う。ところがその途中目に入ったのが、見たこともなかった一冊の文庫本。すでに結束されていたのだが、盛林堂・小野氏に頼んで抜き出してもらう。大日本青年館 青少年文庫9「農民とともに/宮澤賢治」である。昭和十五年初版の同十八年再版本である…よもや戦中に宮澤賢治の文庫本が出ていたなんて…。中身は農民指導に関係深い詩・四十六編を集めたものであるが、すでに敵性語である外国語が意譯漢字に改められてしまっているのだ(その代わりもとの外国語はルビとして振られている)。これが100均に出されていたなんて、まったく気付かなかった!オレの愚か者!と鼻息荒く興奮していると、小野氏があまりにもあっさりと譲渡してくれた。うぉぉぉ、ありがとうございます!…とそんな風に一日を古本塗れで過ごし、売れ残りの本の一部をヒイコラ抱えて、家路に着く。
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巻末の広告を見ると、文庫シリーズ15冊目として「宮澤賢治童話集」も出ているらしい…ほ、欲しい!

◆お知らせ
そろそろ発売になる本の雑誌社「本の雑誌」新年一月号から、連載が開始されます。名付けて『毎日でも通いたい古本屋さん』。一ページですが、毎日でも通うのに値する、ウハウハ定点観測し続けている古本屋さんを、そこで買った本とともに紹介して行きますので、どうかご継続してご笑覧していただければ、もっけの幸いであります!
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2017年12月08日

12/8東京・下高井戸 SOLID DESIGN

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大変に冷える一日ではあったが、どうにか雨には降られずに、世田谷の赤堤に流れ着く。そして偶然にも、雑貨屋のようなお店の店先で、映画パンフレットが売られているのを目にしてしまう。駅からは南口に出て、踏切から『プラザ通り』→『日大通り』と変化する商店街を、南西に歩いて行く。ズンズン進んで、『松原高』が右手に現れる交差点で左手を見ると、マンション一階の牛乳屋さんの隣りに、そのお店はスタイリッシュに存在している。店頭には古着や雑貨やアンティーク類が並び、左端に件のパンフ木箱が置かれている。『古い映画パンフ』の札があり、一律500円となっている。だがこういう『古い』という文句は、すぐには鵜呑みには出来ない。確かに古いは古いが、八十年代のものだったりすると、思わずがっくりしてしまう。いや、八十年代ももはや三十〜四十年前…充分に古いのではあるが、それが価値を持つ古さであるかどうかは、また別問題なのである。そんなことをうっすら考えながら、五十冊ほど薄手のパンフが収まった箱に手を伸ばす。むむむむ、でもこれは本当に古いものが多い。ロマンス映画・ヤコペッティの残酷映画・SF映画、それに『バンビ』や『白雪姫』や『ジャングルブック』など、ディズニー映画の数々…映画会社の出していた冊子・「映画の友」・グレムリンのアメコミ・ロスのガイド一式・アメリカのマイナーアトラクション施設のお土産本一式・バレエ&演劇関連のパンフレット…どれも魅力的な品々である。だが値段は500円なので、ポンポンと買うわけにはいかない…などと思いながら冊子を繰っていると、ぬぉう!スゴいのが出てきた!1970年、東宝チャンピオンまつり『モスラ対ゴジラ』のパンフレットだ!やったぁ!こんな偶然流れ着いたところで、こんなエクセレントなパンフレットが、俺を待ってくれていたとは!さらに藤城清治の木馬座ファミリー劇場・プログラム「カエルのぼうけん」(有名キャラ・ケロヨンの舞台パンフである)を見つけて喜びを重ね、アクセサリー中心の厳かな店内で、計1000円で購入する。
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このパンフを入手出来たのは劇的に嬉しい。本来の『モスラ対ゴジラ』は1964年に製作上映されたものであるが、この1970年の『東宝チャンピオンまつり』で上映されたのは、その短縮編集版である。同時上映は『柔の星』『アタックNo.1 涙の世界選手権』『昆虫物語 みなしごハッチ』。なので中身はすっかりお子様仕様なのである。モスゴジ『ものがたり』の、「ゴジラはついにモスラの卵をみつけました。「これは、おいしそうなごちそうだ、ひさしぶりに卵やきでもたべよう」ゴジラは、ほうしゃのうを卵にはきかけました。」「ゴジラとモスラおやこのだいけっせんは、いつまでもつづきました。ゴジラがんばれ!モスラまけるな!さあ、どっちが勝つでしょう」などが、大いに泣かせてくれます。
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2017年12月06日

12/6一足先に準備完了!

起床してからすぐに、古本市の準備を開始する。値付はすべて終わっているが、まだなんだか本が足りない気がするので、ガサゴソとあちこちから掻き集める。そんな新顔たちを値付してから、午後に結束作業を始める。文庫本は四十冊前後、単行本は二十冊強をメドに、紐でグルグル縛って行くのだ。椅子の上に本を積み重ね、縛った紐で本を傷付けぬよう新聞紙を上面と下面に当て、椅子から半分山をずらして崩れぬようグッと押さえ込み、縦に一気にグルグルと紐を巻いて行く。不器用な私にとっては、これがなかなか重労働なのである。だがしっかりやらないと、いつかのように運搬中に本が無様に崩れてしまうのだ(2017/02/18参照)。ハアフウ不慣れな作業に汗を流し、どうにか二十三本ほどの古本束を作り出したところで作業終了。終わったは終わったのだが、果たしてこれで足りるのだろうか…。夕方五時過ぎになって、盛林堂号に迎えに来てもらい、本をエッチラオッチラ後部に積み込んで、いざ西荻窪へ。なんとか渋滞には巻込まれずに、ほどなくして夜の『西荻南中央通り』にひっそりと佇む『銀盛会館』に到着する。またもやエッチラオッチラ古本を下ろし、後は一人棚入れ作業に腐心する。足下のコンクリ床から迫り来る冷気と闘いながら、すとんすとんと古本を並べて行く。…………おぉぉ!足りた!全部の棚に本が入った!スゴい!こんなの初めてだ!完璧だ!と、取りあえず古本市のカタチになったことに、ホッと一安心する。後はここに、続いて岡崎氏の本と盛林堂の本が入れば、完全に準備万端となる。みなさま、心の準備は良いですか?古本を買う準備は良いですか?身を斬る思いで、結構良い本放出しております。かつて『どひゃっほう!』と叫んだ本も並べております。12/9土曜日にお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします!
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【オカタケ&古ツアガレージ古本市】
◆日時:2017年12月9日(土)11時〜18時
◆会場:西荻窪 銀盛会館1階 JR西荻窪駅南口徒歩5分(杉並区西荻南2-18-4)
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2017年12月05日

12/5改めて浅原六朗に心酔する。

今日は永福町の北側に流れ着いたので、バスに乗って高円寺駅南口まで移動し、高架下の「藍書店」(2014/01/14参照)外壁棚に食らいつく。映画関連の本が多いことを感じつつ、三冊を掴む。角川新書「アメリカの暗黒/中川五郎」筑摩書房「アメリカ西部開拓史/中屋健一」通信合同社「映画経営ハンドブック 付:日本映画戦後十五年史」(1960年出版の非売品。映画に関する知識やデータがどっさりと収められている。巻末に映画俳優・監督・製作者の芳名サイン集あり)を計300円で購入する。そこから『庚申通り』を北上して「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)へ。店頭に1960〜70年代のSF&アクション映画のパンフレットが100円で放出されている。しゃがみ込んで一冊ずつ繰り、ユナイト映画「007ゴールドフィンガー」廿世紀フォックス「恐竜100万年」「エイリアン」集英社文庫「お笑いショート・ショート集 ヤング寄席/武田武彦篇」を計350円で購入する。さらにそこから住宅街を遥か西に抜けて阿佐ヶ谷にたどり着く。あの古本も扱う雑貨屋が、昨日は開店していたと言うので見に行ってみたのだが…ぐひゃぁ、閉まってる…いったいいつになったら入れるのだろうか。もう三ヶ月以上じらされている気が…。だが家に帰ると、生殺し的状況を吹き飛ばすような、ヤフオク落札品が届いていた。中央公論社「都会の点描派/浅原六朗」!昭和四年の、大量の小品とエッセイで編まれたモダニズム作品集である。扉を開き、『序』に目を落とした瞬間、柔らかい魂を、昭和初期的スタイリッシュに飾り立てられた言葉に、乱打される。うぅぅぅぅ、痺れる!かなり競ってしまったのだが、やはり必死に落札して良かった。これでまた生きる楽しみが出来たと言うものだ。ちなみにこの本は、『中間物選集』という意味を判じかねるシリーズの一冊なのだが、その巻末広告コピーがとても奮っている。『ジヤズとキネマとダンスのモダーンライフ! 自動車と高層建築とスポーツの都會交響樂! 感覺的な機智に富んだモダーンナンセンス! そしてマルキシズムとアメリカニズムの街頭行進曲! この近代的カクテルを召上がれ!』。巻末には一九二九年十一月(今から八十八年前だ!)に冷たい夜の本屋でこの本を買った、『放浪賛美者』とサインのある男の熱い思いが認められている…。
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さて、この本を読み耽りたいのはやまやまだが、いよいよ今週土曜日に迫ってしまった古本市の準備を進めなければいけない。すでに100・500円本の値付は終了したので、今宵は300円本と、キモとなる本の値付を進める予定である。
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これはキモとなる古本群の写真。見難いですが、こんなの並べます!
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2017年12月03日

12/3ピカピカの新鋭文學叢書!

晴天の日曜日に、武蔵関に流れ着く。気付けば足下には、雀が電線に止まったままのポーズで転がっているではないか。残念ながら、すでに昇天されているようだ。近くに土の大地は見当たらないが、幸いにも深いプランター的植え込みがあるので、そこに埋めてやろうと手を伸ばすが、もしや!鳥インフルエンザ!?と言う神経症的不安が頭を掠めてしまう。だがそのプランターに、シャベルが刺さっていたのを幸いとして、雀をそれで掬い、素早く穴を掘って埋葬する。やすらかにお眠り…。そんなことをしていたら、ふいに「ポラン書房」(2009/05/08参照)が見たくなり、バスに飛び乗り北へ向かい、「大泉学園南口」で下車する。北口に出て無事に『古本買います』の黄色い幟が翻るお店に到着。児童文学棚・文庫棚・日本文学棚をのんびり楽しみ、レジ周りに積み上がる未整理児童文学の山にも神経を尖らせてしまう。しかし一番心ときめいたのは、物凄くキレイな新刊的とも言える、改造社の『新鋭文學叢書』の一冊!とても昭和五年の本とは思えぬ、紙の裁断痕も鋭い一冊なのである。買うべきかどうかしばし悩むが、この状態で二千円は絶対にお買い得だろ!と自分に厳しく言い聞かせ、仕方なく店頭でつかんだ文庫本とともに帳場へと差し出す。中公文庫「やぶにらみの時計/都筑道夫」改造社 新鋭文學叢書「浮動する地價/黒島傳治」を計2050円で購入する。
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表紙のインクが、印刷したてのように、艶かしい輝きを保っている。うっとり。

ここまで来たなら、隣駅『保谷』の「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)店頭を久しぶりに見ておかなければ!と勢いづき、電車に飛び乗り一駅移動。南口に出て、狭い道路で車に脅かされながら店前に到着すると、やはり古書たっぷりの100均棚前には、まるで古書のような老人がしゃがみ込み、恐ろしいほどのスロー・マイペースで古本を眺め続けていた。ちょっと待っても立ち退く気配はないので、仕方なく老人の丸まった身体越しに手を伸ばし、気になる古書をチェックしまくる…すみません。小壺天書房「愛情詩集/菊田一夫」(カバーナシ)改造社「世界ユーモア全集 獨逸篇/秦豊吉譯」理論社「樹海/宇留野元一」魚菜学園「アフタヌーンショー 1000万人の田村魚菜料理教室テキスト集」を計432円で購入する。やはりここの店頭は、侮れぬ輝きを秘めているな…。
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2017年12月02日

12/2高架を伝い古本屋さんを巡る。

午後二時過ぎに、吉祥寺と西荻窪の間に流れ着く。空気は冷たいが陽の光は暖かなので、ちょっと歩いて古本屋を巡ることにする。まずは『井の頭通り』を西に戻って「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。お店の入っているビルが窓拭き掃除の真最中なので、店頭に並ぶ安売棚の前に、真っ白なロープがブラブラり。作業の邪魔にならぬよう、気をつかって本に目を走らせ、鱒書房「恐怖の街 欧米犯罪捜査手帖/保篠龍緒」毎日新聞社「アジア犯罪基地 こうして日本をむしばむ/稲野治兵衛」を新書棚から見つけ出し、計200円で購入する。お店を出て北に向かい、JRの高架に突き当たったところで、それを伝うようにして東に歩き始め、まずは隣駅の西荻窪を目指す。
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高架下は、歩けたり歩けなかったりするので、なるべく離れぬことを心がけ、慕うようにして歩き続ける。ダラダラ歩いても、およそ二十分で西荻窪に突入。北側に出て「古書音羽館」(2009/06/04参照)にユラッと迷い込み、学研M文庫「私の絵日記/藤原マキ」を300円で静かに購入する。続いて南側に向かい「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。店頭箱から現代社「ヨコハマ/戸川幸夫」創元社 百花文庫「換魂綺譚/テオフィル・ゴーチェ」を引っ張り出し、計200円で購入する。風邪っ引きの店主・小野氏と年末の色々なことについて打ち合わせる。そして入口近くで、岡崎武志氏イラストの12/9の古本市チラシを手に入れておく。何たって今回のイラストは市川崑監督「犬神家の一族」のパロディ。岡崎氏が金田一耕助で、私が古館弁護士(小沢栄太郎)となっているのだ。ちょっと嬉しい。そしてまたもや高架に寄り添い、さっきより長く歩いた感じで荻窪の「ささま書店」(2008/08/23参照)へ。店頭も店内も人の森みたいになっている…。角川文庫「死の診断 ビアス怪奇短篇集/A・ビアス」を108円で購入する(「ささま」の消費税が8%になった!)。夕闇迫り、ビル街の上に大きな月が出ている。それを見ながらさらにダラダラ歩いて阿佐ヶ谷へ。結局二時間弱歩き、六冊の古本を手にして家に帰り着く。
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今日の嬉しい収穫はこの二冊。「恐怖の街」は保篠手掛けるイギリス・フランス・アメリカの捕物実話。警視庁広報関係の仕事を手伝う縁から手に入れた犯罪資料を駆使して書き上げたそうである。戸川幸夫の「ヨコハマ」は昭和三十年代の暗黒の犯罪港・横浜を舞台にした長編小説。元セロファンがちょっと縮んで少しひしゃげているが、これが100円なんて全く持って信じられん!サンキュー盛林堂!
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2017年12月01日

12/1「山口書店」仮店舗と辰野九紫とオルメス!

午前中に阿佐ヶ谷駅頭で受け渡しを済ませ、そのまま混み合う中央線で御茶ノ水へ出る。冷たい空気を切り裂いて、駿河台下から神保町パトロールを始めると、珍しく「慶文堂書店」(2012/01/14参照)店頭箱に引っ掛かり、弘學社「カムチャッカ探検記/ステン・ベルグマン」を900円で購入する。『神保町交差点』まで出て『白山通り』に入り「アムール」(2011/08/12参照)店頭…あっ!歩道に沿った右の壁際が、DVD棚ではなく二本のスチール棚になり、文庫・新書・雑誌が並んでいるではないか!
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新書の量は変わらずだが、これで店頭文庫本の量は、今までの二倍くらいになっているはずだ。棚を増やしたということは、「アムール」にとって、とても重要な収入源なのだな。などと勝手に推測して、創元推理文庫「創元推理文庫解説目録 付・座談会〈海外ミステリ・ベスト12〉」角川文庫「城塞(ザ・キープ)上下/F・ポール・ウィルソン」を計200円で購入する。そのまま北上を続けていると、すっかり解体されて更地になった「山口書店」跡地に(2017/10/07参照)、オレンジ色の派手な幟が立てられている。そこには『仮店舗営業中』と大書され、地図も描かれていた。敷地真裏の裏路地で営業しているようなので、小さなブロックをグルッと回り込んで見に行くと、まるで以前からあったような仮店舗が存在していた。表と同じ幟が立ち、『やってます』と書かれた小さな立て札も置かれている。
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中を通りから覗き込むと、入口近くに棚が密集し、赤本・参考書・問題集がピカピカの背を並べている。とにかく廃業ではなくて、よかったよかった。いずれ表通りにお店を新築し、改めてそこに収まるのであろう。当然何も買えずにお店を離れ、再び『靖国通り』へと戻って西進して行くと、しんがりの「山本書店」(2012/04/25参照)前で塩山芳明氏に遭遇。同じ場所で狩りをする者としての情報交換を、一瞬の交錯で交わす。

その後は九段下まで歩き、東西線に乗り込み早稲田まで移動。西に坂を上がって下って、一本裏の『地蔵通り』に入って「古書現世」(2009/04/04参照)へ。以前私好みの黒い本が入ったと聞かされていたので、ようやく拝見に参上した次第である。通路状店内の壁棚にワクワクしながら視線を投げ掛けて行くと、あるある!本当だ!水島爾保布・石黒敬七・徳川夢声・大町桂月・江見水蔭・柳家金語樓・榎本健一・松崎天民…あぁ。いいなぁいいなぁ〜…ややっ!そこに並ぶは大好物の辰野九紫じゃないか!しかも三冊!胸躍らせて手に取ると、どれも昭和十五年前後の出版だが、比較的安値なので思い切って三冊一気に引き受けることにする。その勢いを借りるようにして、近くに並んでいた薄いオルメスも手にしてしまう!あぁ、散財だ。奥の帳場で向井氏に、先月の「みちくさ市」打ち上げで勃発した血の惨劇について聞かされたり、来年の「みちくさ市」のあれこれを教えてもらったりしながら、長隆舎書店「ひとり愉し」代々木書房「万引一代女」大白書房「かみなり教育」以上すべて辰野九紫、芸術社 推理選書3「名探偵オルメス/カミ」を計7000円で購入する。う〜む、たくさん買ったのに、まだ欲しい本がたくさん棚に並んでいるのは、とても狂おしい状況である…う〜ん…。
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2017年11月30日

11/30今日も古本を買い、古本を準備する。

午後までどうにか保った、小春日和の暖かさに助けられるようにして、幡ヶ谷の南に広がる西原に流れ着く。そのままズルズル南に坂道を下ると、いつの間にか谷底の代々木上原にたどり着いてしまう。駅方面にフラフラと向かうと、丸い滑り止めがある急坂の底にある「Los Papelotes」(2008/07/14参照)がもはや目の前。
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結局開くことのなかった傘を入口脇に立てかけ、久々の店内へ進む。おっ、お店のマスコットである小型洋犬は、レジ横の専用ベッドで毛布に包まりうたた寝中である。上のフロアを一回りして半地下フロアに下ろうとすると、階段壁面では北園克衛ミニ特集が開催されているではないか!とても買えはしないのだが、詩誌「VOU」や神経がピンと張り詰めた詩集を手にして、紙面に並ぶ言葉や装幀から、プラスチックとレモンの匂いを幻嗅する。階下で木製床を踏み締め、端正でマニアックな棚にため息をつく。ここも値段に隙無しなので、おいそれと手は出ないのだが、それにしても各ジャンルにキモの本が清々しいほど収まっている。あぁ!インディアン関連の棚に、ちゃんとトム・ブラウン・ジュニアのトラッカー本が二冊も並んでいるなんて!と喜び嘆き、結局上階の棚にひっそりと並んでいた、霞ケ関書房「回想の永井荷風/荷風先生を偲ぶ会編著」を500円で購入する。

家に帰ってからは、些事を片付けつつ、少しずつ古本市の準備を進める。今日は居間の左側方面を掘り起こし、古本の地層を首を横にして眺めながら、『結局こんな風に積み重ねて死蔵してるんだったら、思い切って出しちゃえ!出しちゃえ!』と己にハッパをかけて、質の良い束を一本作り出す。いや、みなさんに喜んで買っていただけるのなら、決して後悔はいたしません!しないはずだ!するもんか!
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掘り起こし中の写真。左手前に見えるのは、四年前に「Mitte」(2013/06/18参照)で購入した、砂男(サンドマン)の人形である。ちなみに腹に内蔵されたボタンを押すと、『砂男のテーマ』を歌ってくれるのだが、あまりにも歌わせ過ぎて、今はウンともスンとも言わなくなってしまった…スマン、砂男。
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2017年11月29日

11/29「文壇底流記」

コメントタレコミのあった未知のお店へ出かけることにして、昼食を摂ってから外出。新宿駅でJRを乗り捨て、西口改札を抜けて都営新宿線のホームに向かっていると、円形のイベントコーナーでは神奈川のお店を中心とした「新宿西口古本まつり」(2008/11/28参照)の真っ最中であった。そうか、市は明日30日までか。時間がないので流しながら見る感じで、ちょっとだけ覗いて行こう。そんな風に多数のワゴンが作り出す通路に入り込み、いつもより速い三倍くらいのスピードで、本の背に目玉を忙しなく走らせて行く…が、気になる本が所々に見つかり始めると、たちまちその速度は低下していまい、結局じっくりと棚を隅から隅まで見ている自分がそこにいた…。途中「雲雀洞」さん「文雅新泉堂」さん「一角文庫」さんに発見され、声を掛けていただく。会場全部を見て気に入ったのは、今回はその「雲雀洞」さんであった。ジャンルが幅広く柔らかで、あまり見かけぬ古書が時折安値で混ざり込んでいるのが、何とも言えない。結局愚かにも一時間ほど滞留してしまい、未知のお店に向かうのはすっかり諦めて、那南タイムス社「文壇底流記/杉山幸一」読売新聞社「週刊読売 昭和五十年八月九日号 特別企画:推理小説」を計824円で購入する。
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「週刊読売」の特集は、探偵グラビアページや『東西推理小説ベスト20』『座談会【三億円事件、メグレ警部にやらせてみたい】佐野洋×中島河太郎×田中小実昌』『クリスティ礼賛』『世界名探偵紳士録』『推理小説への招待』『雑学事典』などで構成されている。しかしそれより何より「文壇底流記」は拾い物であった。大正終りから第二次大戦前にかけて、文壇の裏街道を這いずり回った男の、短い回想録である。元々文学を志していたが、その日暮らしの日雇い仕事に疲れる日々を送っているので作品を書くこともままならず、結局一面識もない菊池寛にたかって露店の古本屋を始め(この出来事は菊池自身も『自賛』という小説に仕上げている)、その菊池の紹介により芥川龍之介や久米正雄からも古本をせしめて糊口を凌ごうとする。だがそんなことが長続きするはずもなく、結局菊池からは即座に見限られてしまい、著者は作品を書くことなく文壇周辺をウロウロしながら、様々な底辺の職業を転々として行く。だがいつしかその豊富な職業体験が幸いし、下村千秋や加藤武雄にネタ提供したりするのを経て、実話物や大衆小説の胡散臭い書き手として三流雑誌などで活躍を始めるのだ。そんな興味ある話や自作の小説を掲載したこの文庫サイズの粗末な本は、戦後に自身で故郷の栃木で立ち上げた出版社から出されているようだ。値段表示は何処にもなく、扉には献呈署名が入っている。恐らく知人に配布した少部数の非売品なのであろう。嗚呼!今まさにこの時が、時代の底に流れ落ちた知られざる作家が、古本を媒介として、ふいっと現代に奇跡的に浮かび上がった瞬間なのである!こんな他愛無い喜びに突然出くわすのも、古本探しの大きな醍醐味と言えよう。
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2017年11月28日

11/28古本市に向けて微速前進中。

まだ日が落ちぬ前に久我山に流れ着いたので、そのまま北上して西荻窪へ向かう。途中の、滅多に寄ることのない「ねこの手書店」(2010/07/27参照)の店頭安売ワゴンをたまたま覗き込むと、文庫は表示価格からさらに半額とある。その恩恵に早速あずかり、宝島社文庫「夜よ鼠たちのために/連城三紀彦」を215円で購入する。そのまま阿佐ヶ谷へと帰り、駅前の「千章堂書店」(2009/12/29参照)店内文庫棚を見ていると、先ほど買った文庫とシリーズらしい一冊を見つける。『復刊希望!幻の名作ベストテン』のマークも入り、あちらは1位でこちらは2位…何だか勢いでこちらも買うことにする。宝島社文庫「血の季節/小泉喜美子」を280円で購入する。家に帰ってからは、ジワジワジリジリと地味に古本市の準備を進める。今日は居間の隅にある古本山脈の、壁際三列を掘削。
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二十分ほどで一メートル弱の古本穴を作り出し、結果三十冊ほどを選り分ける…これで大体1.5本分ってとこか…。市の主催者である盛林堂・小野氏からは、「三十本はないとダメだよ。でないと、面陳でごまかす羽目になるよ」とキツく厳命されているのだ(相変わらずスパルタ式なのである)。まだまだ三十本までの道のりは遥か先だが、くじけずに準備しなければ。この一本が明日への一本とつながり、これを愚直に継続すればやがて目標に達するはずである。すべては当日お越しのみなさんに、楽しく古本を買っていただくためなのである。よし、続いてもう一本分、頑張るか!
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2017年11月27日

11/27 83年の歴史に幕が下りる

まだ午前十時四十分の、ビルの影に覆われた冷えた『宮益坂』を、早足で上がって行く。頂上に着き、横断歩道を渡ると、「中村書店」(2008/07/24参照)はまだ開店していない。足を停めずにその前を通り過ぎ、「巽堂書店」(2008/07/24参照)に到着する。午前十時半が開店時間なのに、どうやらシャッターを開けたばかりで、表には何も出ていない。老店主が薄暗い店内の奥で、ゆっくりと開店準備を進めている。そしてドアや店頭のビル壁には、コメントタレコミ通りに『閉店のお知らせ』が何枚も貼り出されていた。『先代が開店した昭和3年から83年に渡り、お引立ていただきました巽堂書店を、平成29年12月16日をもち、閉店することとなりました』と書かれている。誠に寂しい限りである。だが、まだ今はお店が目の前にあるから良いが、閉店してしばらくしてこの前を通りかかったりすると、何気なく足を停めて店頭の古本を楽しんだことを思い出し、その寂しさはより一層深いものとなるのであろう。ここでは店頭で妙な本をちょくちょく買わせてもらっていたが、一番の思い出を挙げるならば、写真家・澤田知子の「ID400」が100均に並んでいたのに、買い逃してしまったこと…今でも時間を巻き戻して買いに行きたい、痛恨の大失敗である…。陽の当たる白タイルの店頭に立ち、そんなことなどを思い出していたが、まだまだお店は開きそうにない。そこで50mほど離れたガードレールにお尻を乗せて、文庫本を読みながら開店を待つことにする。およそ十五分後の午前十一時になって、ようやく店頭に均一棚が立ち始めた。本を閉じてお店に近づくと、老店主が三本目四本目の棚を、きっちりぴったりとセッティングしている真っ最中で、店内にはすでに先客の姿もあった。立ったりしゃがんだりを繰り返して、店頭棚に隅から隅まで目を通し、三冊をつかんで店内に進む。BGMはいつもと変わらず柔らかで雄大なバロック音楽である。閉店まで後二十日余りあるので、こちら方面に出たときは、なるべく立ち寄るよう心がけよう。朝日新聞社「国鉄監修 続・日本の鉄道」(カバーナシ)春陽文庫「花の季節/北條誠」人文書院「アンドレ・ブルトン集成1」を計500円で購入する。
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店頭にて持参した「野呂邦暢古本屋写真集」を開き、旧店舗が載ったページとともに記念撮影。

帰りは荻窪まで出て、月曜日の「ささま書店」(2008/08/23参照)詣で。白馬出版「銀座 わが街/銀芽会編」春陽堂文庫「診察簿餘白/正木不如丘」牧神社「恐怖小説史/エディス・バークヘッド」を計1050円で購入する。家に帰ってからは、仕事をしながら12/9の古本市の準備を、まずは大雑把に細々と進めて行く。
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2017年11月25日

11/25『物故探偵作家慰霊祭』に涙する。

午後の早い時間に吉祥寺の北に流れ着いたところで、『成蹊大学』が近くにあることにはたと気付く。ならば、大学図書館で開催されている『小栗虫太郎〜PANDEMONIUMの扉を開く〜』を見に行かない手はない!調べてみると、通常は月〜金の公開だが、本日25日はギャラリートークがあるため、偶々公開しているようだ。黄金色の枯れ葉が舞い散るケヤキ並木を抜けて正門から構内に入り、警備室に図書館の場所を聞くと、すぐ左手に見えるガラス張りの矩形の建物と教えられる。階段を上がって入館用紙に記入を済ませ、入館証を首から下げてゲートを通過する。するとすぐ正面に円形の明るい吹き抜けがあり、そこに沿うようにして展示物を収めたガラスケースが並んでいた。ぐわぉ!『完全犯罪』の生原稿!力強く勢いのある文字だが、非常に読みやすい。こ、こ、『黒死館殺人事件』の書き損じ原稿に創作メモ!もはや米文字並に細かい『白蟻』原稿!推敲が激し過ぎて何が何だかわからない『成層圏魔城』原稿!おっ、先日いただいた「ぷろふいる昭和十一年七月号」に掲載されていた『愛嬢、愛息を左右に、カメラに入った小栗虫太郎氏』の生写真までも!などと思う存分偉大な探偵小説家の遺物を堪能する。中でも虚を突かれたのは、昭和二十二年十月二十一日に行われた『物故探偵作家慰霊祭』のモノクロスナップである。壇上端に乱歩が立ち、慰霊の立花が並ぶその上に、小酒井不木・渡邉温・平林初之輔・牧逸馬・濱尾四郎・夢野久作・松本泰・蘭郁二郎・甲賀三郎・井上良夫・田中早苗・大坂圭吉・小栗虫太郎の名が貼り出されている。敬称はすべて“君”が用いられている。まるで、質の高いアンソロジーの目次を見ているような豪華さが、切なさと虚しさに拍車を掛ける…。この展示は12/1(金)まで。
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その後吉祥寺まで出て、『吉祥寺パルコ』一階の『吉祥寺通』に面した、小さなガレージのような『ポップアップスペース』を覗き込むと、小さな古本イベント「TOKYO BOOK PARK KICHIJOJI」が開催中であった。
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「rythm_and_books」(2011/08/10参照)「一角文庫」「ハチマクラ」(2012/10/04参照)「東京くりから堂」(2009/10/29参照)が参加しているようだ。簀子のようであるが、お洒落なの木製のパレットを積み重ねて会場を形成しており、絵本・洋絵本・ビンテージ広告・お洒落紙物・駄玩具・サブカル・アート・アングラ・文学などが、統一感のあるディスプレイでキュートな小宇宙を作り出している。それらに魅せられ、さんざめく女子たちの間を縫い、「rythm_and_books」の棚からプレイガイドジャーナル社「ピープルズクロニクル」を購入する。この催しは12/3(日)までとなっている。
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2017年11月24日

11/24予想以上に景気づいてしまう。

ある取材のために午前のうちに家を出る。だが直接向かうのも何だか面白くないので、景気づけに今日から始まった「五反田遊古会」(2013/01/19参照)に寄り、古本を買って行くことにする。午前十時前に『南部古書会館』に到着すると、一階ガレージはすでに開放され古本修羅が鈴なりになっているが、二階はまだ開場前で、階段下からズラリと長い行列が伸びている。まずは路上に出ている低い平台を漁ってからガレージに突入し、左側から順繰りに棚と台に苦心して視線を走らせて行く。安いのでたくさん買いたいところだが、まぁ無理に買ってもしょうがない。ここは欲しい本が出て来るまで、あきらめずに目玉を動かして行こう。背文字の読めない本も、とにかく根気よく引き出しタイトルを確かめて行く…。すると右辺通路棚の左側で見つけた本に、大ヒットの予感…背は茶色に変色して全く読めないのだが、引き出してみると表紙は赤と黒の鮮やかな二色刷りで、アールデコ調の機関車が描かれている。タイトルの上には『尖端獵奇集』の文字が。ページを繙くと、昭和五年当時の、ケレン味たっぷりのジャズ的リズムを持つ飛ばし過ぎた文章が、随筆や小説やコントや翻訳として展開しているではないか。やった!これは好みにどストライクな怪しい本だ!と興奮して大事に抱え込む。まるで天下を取ったような気分になりながら、「古書 赤いドリル」さんや「青聲社」さん(2011/10/17参照)に挨拶する。漫談社「シークレツトライブラリー第三巻 尖端獵奇集 三等列車中の唄/高橋邦太郎」新評社「小林信彦の世界」を計700円で購入し、荷物を預けて二階に進む。あれだけ並んでいた人がほとんど下りて来ないんだから、大変な混雑である。だが満足行く獲物をすでに手に入れているので、慌てず騒がず控え目に行動し、ゆっくりと本に丁寧に視線を注いで行く。じっくり巡って、もはや最終コーナーの左奥。ほとんどキリスト教関連で埋め尽くされているのだが、時々古い文学本が気まぐれのように混ざり込んでいるので、油断ならない。それにしてもキリスト教には、何故こんなにも文庫サイズの小型本が多いのだろうか…と改めて思いながら、めげずに馬鹿丁寧に眺めて行く、するとその時、奇蹟が起こった!茶色い文庫サイズ本が連続する中に『スミルノ』の文字を見出したのである。もしや!と引っ張り出してみると、おぉ!いつ何時でも垂涎の博文館文庫の一冊、「スミルノ博士の日記」じゃないか!しかも100円っっっっ!古本心は、一気にクライマックスを迎えてしまう!「古書一路」さん(2013/03/08参照)と「月の輪書林」さん(2012/03/29参照)に挨拶しつつ、博文館文庫「スミルノ博士の日記/S・A・ドゥーゼ 小酒井不木譯」東京堂「一聲一笑 新粧之佳人/須藤南翠」出版協同社「写真 日本航空50年史」(カバーナシ)を計1600円で購入する。う〜ん、ちょっと景気をつけようと思ったら、大変な景気がついてしまった。だが嬉しい!「五反田遊古会」は明日25日も開かれる。
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2017年11月23日

11/23カミとちか

夕方に外仕事から帰着し、返す刀で古本を携え西荻窪に向かう。しばらく「フォニャルフ」棚を放置していたので、是が非でも本日補充しなければならないのだ!と言うわけで夕暮れの中の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)。店頭に日活映画『抜き射ちの竜』シリーズ原作の一冊が出ていたので、迷わずつかみ出して店内へ進む。通路に跪いて補充を手早く済ませ、すっきりして帳場ににこやかに向かう。そこで手渡されたのは、カバーデザインを担当した盛林堂ミステリアス文庫「ルーフォック・オルメスの事件簿」と、東都我刊我書房「左川ちか資料集成」!オルメスは楢喜八氏のイラストが決まっているので、文庫本としてとにかく可愛く出来た出来た!そして左川ちかの方は、前書「前奏曲」からの流れをイメージし、月をモチーフにしてシックにダークに仕上がった仕上がった!それにしてもこの「左川ちか資料集成」は、編者の執念が封じ込められた末恐ろしい本である。左川ちかによる、詩・散文・翻訳の、雑誌&単行本初出バリエーションを、可能な限り同ページ&見開きに収録しているのだ。別宇宙のように分かれていた各誌面の文章パラレルワールドが、視覚的に認識出来るよう同一宇宙に強引にまとめられてしまっている…素晴らしいが、なんと恐ろしい…。二〜三年は、モダニズム詩に溺れていられそうな濃密さなのである。帳場脇で本を開き、しばし唸りながら時を忘れる。青樹社 抜き射ち・シリーズ「鉄腕東京無宿/城戸禮」河出書房「シナリオ文學全集2 日本シナリオ傑作集」を計900円で購入し、カミの北原尚彦氏による解説を読んだり、複写されて滲んだ活字文字さえもが美しい資料集成にうっとりしながら、帰宅する。
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posted by tokusan at 20:02| Comment(2) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする