2023年09月29日

9/29今日は古本市ダブルヘッダー!

昨日の作業の成果である筋肉痛の疼きを上腕に覚えながら、午前十時前に家を出てヒタヒタ高円寺へ。そして「西部古書会館」(2008/07/27参照)で始まったばかりの「書心会」に飛び込む。じっくりと見る感じではなく、素早く爽やかに血気盛んな古本修羅の間を縫い、会場を二周する。旺文社文庫「源氏物語殺人事件/岡田鯱彦」春陽堂文庫「刺青 外六篇/谷崎潤一郎」實業之日本社「少女小説 黒板ロマンス/島本志津夫」(カバーナシ)を計600円で購入する。「少女小説 黒板ロマンス」は「少女の友」に連載された連作短篇をまとめた一冊である。昭和十七年の十三版。松野一夫の描く水彩口絵が、白き清純派で眩し過ぎる!この催事は10/1までの三日間開催である。
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一旦家に戻って昼食を摂った後、駅で便利な都区内パスを買って、東京の東に連載の取材に出かける。その帰り道、パスを利用して新橋で途中下車し、「新橋古本まつり」(2010/09/29参照)を楽しむ。ちょうど雲が切れて陽が照り始め、広場の気温が三十度に達してしまうが、新保強くひとうひとつのテントを見て回り(その最中、いつかの新橋での出来事を思い出す。「沙羅書店」(2009/06/02参照)のテントで確か『仮面ライダーV3』の絵本を見ていると、沙羅書店さんが徐にこちらに身を乗り出し「それお買い得だよ」と言うので値段を見ると3000円だったので、思わず何も考えずに「うわ、高いな」と言ってしまうと「何言ってんだよ!全然高くないよ!」と嗜められたことがあった。その沙羅書店さんも今はもういない……)、青土社「壺中天奇聞 種村季弘作家論」を550円で購入する。こちらの古本市は明日30日まで。
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2023年09月28日

9/28盛林堂・イレギュラーズ、ダブルヘッダー!

真夏が嫌がらせのように戻って来た木曜日の正午に、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に姿を現わし、ハヤカワポケミス「殺人鬼/浜尾四郎」を百円で購入してから盛林堂・イレギュラーズと化し、店主・小野氏が操るレンタカーの軽ワゴン・everyに乗り込み、買取仕事に出かける。何と今日はダブルヘッダーで、最初に訪れた東京北部の家は、先日も買い取りにきた場所である(2023/08/31参照)。と言うわけで十箱の大きめの古本ダンボールや、結束古本二十本ほどを、台車に載せて、マンション入口のスロープを、前回同様力一杯『1842年王立委員会報告 石
炭を運ぶ婦人と子供』みたいになりながら押し上げ、軽ワゴンに積み込んで行く。
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ハァハァ。何で今日はこんなに暑いんだ…。この作業はおよそ一時間強で終了。続いてわりとご近所の二ヶ所目に向かうと、何とそれは古本神・森英俊氏のお家(2016/10/11参照)であった。最初の話では、ダブった大衆系雑誌百冊ほどを結束して運び出すだけのはずだったが、素晴らしき古本がそこにもあそこにも積み上がる、目の毒過ぎる部屋に招かれると、与えられたのは、とある作家の雑誌掲載作品を調査する仕事であった…と言うわけで森氏からの指示が書かれたペーパーを受け取り、ひたすらレアな古本の森の中で、昭和三十年代の雑誌の目次を注視し、当該作家の作品を発見する作業に従事する(ちなみに森氏の盟友、野村宏平氏も作業をお手伝いされていた)…一見簡単な軽作業に思われるだろうが、とにかく雑誌が大量に存在し、しかもそれらの雑誌が本の山の下や階段下部などに恐るべき量が集められているので、おいそれと進まないのである…うぅっ、これだけの大衆雑誌を買った森英俊氏、恐るべし!
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そんな買取以外の作業を手伝ったおかげか、森氏からお土産と称し、十冊ほどの古本をいただく。際立って嬉しかったのは、昭和五年刊の萬里閣書房「半男半女物語/伊藤松雄」(函ナシだが猟奇的エピソード連続の断然好み!)と光風社「罠をかけろ/柴田錬三郎」(短篇推理小説集。貸本仕様)であった。いや、こんな愉快な古本たちが報酬なら、いくらでも作業のお手伝いを!と決心したが、レンタカーの返却時間が迫っているので、午後五時前に買取本を積み込み、森氏邸を辞去。月末で混み合う都内をどうにか突破して、午後六時半に西荻窪に到着し、お店に荷物をドカドカ運び下ろす。あぁ、本日もおつかれさまでした。そして実はここから、怒濤の盛林堂・イレギュラーズ強化月間がスタートするのです。さぁ、十月は古本屋さんで働くぞぉ!
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2023年09月27日

9/27そう言えば「ゆうらん古書店」は開店一周年!

午後二時に桜上水に流れ着いたので、辛抱強く細かな住宅街を南下して、経堂まで出て「ゆうらん古書店」(2022/09/25参照)へ。あっという間に開店一周年、おめでとうございます!結構こまめに来て楽しませてもらっているうえに、これからも経堂に古本屋さんの灯がともり続けるのは、実にめでたいことである。講談社「こころの日記/吉永小百合」新潮社「この金色の不定形な液体/田村隆一・編」筑摩書房 世界ユーモア文学選「エッフェル塔の潜水夫/カミ」を計300円で購入する。拾い物は第四版だが昭和四十四年刊の「こころの日記」。1963〜65年の、吉永小百合十八〜二十歳の日記である。序文は石坂洋次郎なのだが、日記に『石坂先生、好き!好き!好き!』と書いてあるかもしれない…などと書かれている。石坂洋次郎、このとき御歳六十九歳……やるな。この後は下北沢に移動し、「古書ビビビ」(2009/10/15参照)で朝日新聞社「ヴォワ・アナール 山田稔エッセー集」を500円で購入し、さらに「古書明日」(2017/01/31参照)で福音館書店 かがくのとも166号「もうどうけんドリーナ/土田ヒロミさく・日紫均三監修・なかのまさたかAD」を百円で購入する。写真家・土田ヒロミがこんな仕事をしていたとは…。阿佐ヶ谷に帰れば夕暮れで、九月も終りと言うのに夏のような蒸し暑さだが、高い高い青空にはいつの間にか秋の雲が出現していた。あぁ、早くもっともっと涼しくなって欲しいのだが。
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今日のめぼしい収穫はやはりこの二冊か。「こころの日記」の題字は川端康成である。
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2023年09月26日

9/26プチ・新書サイズ本祭り!

デザイン仕事に一つカタをつけ、次はゲラ読みを……だが、昨日買った京極夏彦の最新作「鵼の碑」が面白過ぎて、止められない止まらない(前作「邪魅の雫」から十七年(!?)経っているので、あの精緻に交錯し組み合わされた人間関係を(実は登場人物ですら)すっかり忘れてしまっているので楽しめないのでは?と思っていたが、読み始めたらそんなことはもはや関係なく、たちまち物語の中に落とし込まれてしまったのだ)。だがこの規格外に分厚い本に耽溺していたら、いつの間にか日が暮れてしまうのは確実である。そう気付いて本を机上に置き、買いものついでに古本を買いに行くことにする。と言うわけで、いつの間にかいつもの吉祥寺である。「バサラブックス」(2015/03/28参照)で、小学館「サライ」2020年5月号別冊付録「地底国の怪人/手塚治虫」中央公論社 ともだち文庫「ビルマの竪琴/竹山道雄」を計200円で購入する。レジでは新バイトなのか、パンクな女性が店長さんからレジのレクチャーを受けていた。続いて「よみた屋」(2014/08/29参照)に向かうと、入口脇の300〜500円安売棚がいつの間にか古めの百均新書&新書サイズ本に入れ替わっていた。主に思想&運動関係であるが、下層労働者や売春関連も含まれており、グイッと古本心を惹き付ける部分がギラリと輝いている。一番最初に手にしたのは、光文社カッパブックス「日本女地図 自然は、肉体にどんな影響を与えるか/殿山泰司」である。さらに東洋書館「東京のサラリーガール ご存知ないのはあなただけ/藤原審爾」(昭和31年刊の、“サラリーガール”所謂働く女性の生活と生態と意見を調査した一冊)現文社「無籍者/池田みち子」(山谷労働者小説)青木書店「売春 この実態をどうしたらいいか/神崎清」講談社ロマン・ブックス「危険な関係/新章文子」を抜き取り、計550円で購入する。やはり「日本女地図」と「東京のサラリーガール」が出色の獲物である。「よみた屋」さんには、毎度の如く感謝である。さぁ、帰って「鵼の碑」の続きを……いや、ゲラだ。ゲラを読むんだ。
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2023年09月25日

9/25古本屋さんの不覚!

昨日は午後に古本を抱えて西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)を訪れ、「フォニャルフ」棚にたっぷり補充する。大阪ばかりにかまけているわけにはいかない。こちらもしっかりと新風を吹き込んでおかねばならぬのだ!と大仰に心に誓いつつ、講談社 児童文学創作シリーズ「ロザンドの木馬/瀬尾七重・作 司修・絵」「風太郎不戦日記2・3/漫画・勝田文 原作・山田風太郎」を300円で購入する。「ロサンドの木馬」は昭和43年刊で、佐藤暁の「だれも知らない小さな国」「豆つぶほどの小さな犬」「星からおちた小さな人」などと同シリーズのファンタジー作品。装幀から挿絵(一部コラージュあり)まで、司修の仕事がキリッと美しい。函と本体の色味を見ているだけで、この物質を手にしている幸福感が、ヒタヒタと胸に押し寄せて来る。
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本扉に某脚本家への献呈署名が入っている拾い物である。帳場では店主・小野氏に赤を入れた大量のゲラを渡しつつ、十月の盛林堂・イレギュラーズについて打ち合わせる。どうやら来月は、驚くべき出動回数を誇ることになりそうだ…こうなったら本当に、もはや盛林堂の店員と言われても過言ではない……力仕事&暗算地獄…、がんばりやす。そして本日は午後三時前に恵比寿の丘の上に流れ着いたので、速やかに『明治通』で渋谷に向かい、宮益坂上の「中村書店」(2008/07/24参照)へ。アニメージュ文庫「ユーリー・ノルシュテイン監督作品 話の話 映像詩の世界/解説・高畑勲」を400円で購入する。続いて坂を下って『宮下公園』下を潜り、『PARCO』脇で上下して、「まんだらけ渋谷店」(2011/04/08参照)へ。階段途中の荒れ気味百均棚から、ポプラ社 少年探偵33「黒い魔女/江戸川乱歩」(前からちょっとだけプレミア値の付く本であったが、今調べるとその時よりも結構な高値になっている。何故だ?)少年少女講談社文庫「猛獣いけどり作戦/バック 白木茂訳」を計220円で購入する。深い地下から地上に出て、外国人がカメラやスマホで掲げ撮るスクランブル交差点を渡り、阿佐ヶ谷に戻る。その道すがら、当然のように「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)店頭棚を定点観測していると、なななんと!出たばかりの新刊で京極堂シリーズの最新作、講談社ノベルス「鵼の碑/京極夏彦」が新書ゾーンに分厚く並んでいるではないか!素早く手に取り店内に進み、帳場に座る店主・天野氏に「これなんで110円で出てるんですか?」と疑問をぶつけると、本を手にした天野氏は、がっくりとカウンターに突っ伏し「しまったぁ〜、これ新刊かぁ〜〜〜」と不覚と後悔の呟きが口から漏れ出した。…あぁ、間違えたのだな。それは大いなる落胆ぶりを見れば、一目瞭然である。まぁ毎度恒例のブロックのような分厚さだし、似たようなタイトルだし、むべなるかな。だがその落胆ぶりが甚だしかったので、「あの、いいですよ。これは戻しますよ。改めて値段を付けて売って下さい」と申し出ると「いや、一回出したものだから、いいですよ」と言ってくれる。「いやでも、本当に今回はいいですよ」と押し返すと、「うぅ〜〜ん、じゃあ500円でいかがですか」と折衷案を提案される。うむむむむ、これは一体何のやり取りが始まったんだ!?と混乱しつつ面白がりつつ、「じゃあ五百円なら買います」と、なかなか複雑なプロセスを経て落手する。いや、それでも五百円なら、今なら激安値である。コンコ堂さん、ありがとうございました!
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2023年09月23日

9/23付録本がだいぶ減っていた。

午後二時半に雨は上がっているが、今にも降り出しそうな荻窪に流れ着いたので、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)の付録本ゾーンを見に行くことにする。うわわ、もうだいぶ売れちゃっているのに吃驚。まぁ、安めだもんなぁ…。と言うわけで次来たら買おうと思っていた一冊はすでに売れてしまっていたので、学研昭和41年「中学二年コース8月号第3付録 怪奇小説 パリのオオカミ男/ガイ・エンドア(原作)内田庶(文)」を660円で購入する。さらに「竹中書店」(2009/01/23参照)にて光文社「司馬遼太郎と城を歩く」を200円で購入し、総武線に乗って高円寺まで移動し、「西部古書会館」(2008/07/27参照)の「中央線古書展」を覗く。もはや午後三時なのに、会場は大賑わいである。『兵どもが夢の跡』で、棚には数多くブランクが生まれているが、それでもまだまだ面白い本が残っている。講談社X文庫「悪霊とよばないで/小野不由美」出版協同社「翼よあれがパリの灯だ 大西洋横断飛行の回想/C.A.リンドバーグ」春陽文庫「奇蹟の扉/大下宇陀児」偕成社SF名作シリーズ8「姿なき宇宙人/クレメント・作 野田開作・訳」虫プロ商事株式会社 COM臨時増刊「性蝕記/宮谷和彦 マッチ売りの少女/野坂昭如・文 米倉斉加年・絵」を計1600円で購入する。嬉しいのはCOM臨時増刊の「性蝕記」。収録作品は虫プロGrand comics3として出された単行本「性蝕記」と『性蝕記』『性葬者』『日蝕』『輪舞』『黄金死篇』『摩訶曼陀羅華曼珠沙華』がダブっているが、こちらには初期の名作で単行本未収録の『太陽への狙撃』と、とことんシュールな『現代狂人語り(げんだいうすらばかかたり)絶景!富士山麓に鸚鵡鳴く』が掲載されている。さらに巻頭には、宮谷自身とその恋人のヌードグラビアと言う、衝撃の信じ難いカラーページアリ!いや、時代を蜂の巣にする、尖りまくった一冊なのです。
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2023年09月22日

9/22四年ぶりの南部とあるお知らせ。

今日も朝から至極真面目に二つのデザイン仕事に取り組む。ひとつを形にし、ひとつの土台を組み立てたところで外出し、久々に五反田の「南部古書会館」に向かうことにする。「南部古書会館」に行くのは、恐らく四年ぶりくらいである。コロナ禍以降に、完全に足が遠退いていたということか……。午前十時半に五反田駅に到着し、東口に出て歩道橋を渡り、雑居ビル(with無料案内所)の迷宮をうろ覚えのルートで抜ければ、会館に到着である。今日明日開催されているのは「本の散歩展」。まずは一階ガレージで安売古本を眺めていると、「小山さん?」と声を掛けられる。おぉ!扇子片手の古本神・北原尚彦氏であった。南部で会うとはお珍しい、と二人で同時に感心する。さらに二階への階段付近に積み上げられた古雑誌山の前には、古本神・塩山芳明氏の姿も。すでに大量の週刊誌を確保しつつ、「望星」古本屋特集号の話など。ちなみに古本神は二人とも、この後神保町の古書展を見に行かれるそうである…さ、さすがです。荷物を預けて二階に上がり、フロアをじっくりとウロウロ。ビッグバードノベルス「法廷ミステリー傑作選 処刑者消失/日影丈吉編」岩谷書店「天狗 昭和二十四年三月號」を計700円で購入する。「天狗」は「宝石」を出していた岩谷書店の時代読物大衆雑誌である。この号には城昌幸・高木彬光・大坪砂男・子母沢寛・納言恭平などが寄稿している。『天狗参り』という各地の天狗像を取材したグラビアページが妙におかしい。ちなみに表4の自社広告は、横溝正史「獄門島」、山田風太郎「眼中の悪魔」、香山滋「木乃伊の恋」のそろい踏みである。そんな収穫を抱えて家に戻り、デザイン仕事の続きをする。
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※お知らせ
先日から某所に大量に精選古本を送り込んでいましたが、実はその場所は大阪「梅田蔦屋書店」。10/2(月)〜11/12(日)まで開かれる秋の全館フェア『偏愛』に合わせ、エスカレーター正面の平台にて『帰ってきた「古本屋ツアー・イン・ジャパン」小山力也のお蔵出し!!』を開催いたします。まさか、こんなに早く大阪に帰れる日が来るとは、思ってもみませんでした。大好きなミステリ探偵小説から始まり、良書・珍本・クズ本・面白本を集めまくって送り出しましたので、その変わった様相はぜひとも書店でご覧下さい。お値段安めなのでバンバン買っていただければ幸いです。売れ行きによっては補充も行うつもりです。それでは西の皆様、およそ一週間と三日後にお会いいたしましょう!
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2023年09月21日

9/21付録本にトキメキを。

明日までにラフをあげればよかった細かなデザイン仕事が、突然今日の18時までにあげてくれと言うことになり、モニターの前で目を白黒させながら必死に手を動かし続ける。そして午後一時過ぎに、どうにか提出できるところまで仕上げる…に、人間、や、やればできるもんだ……。そんな風にすっかり疲弊してしまったので、気分直しに風の強い表に出て古本を買いに行くことにする。この街に吹き荒れる強風のためか、早くもアスファルトに落ち踏み砕かれた銀杏の匂いに秋を微かに感じながら、やがて荻窪着。「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に入ると、やややややっ!新書サイズ棚の一部を、五十冊弱の学習雑誌付録本が占めているではないか!これはなかなかの奇観!年季の入った色褪せ気味の色とりどりの小型本の薄い背の行列に興奮とトキメキを覚えながら、一冊一冊丁寧に吟味する。そのほとんどが推理小説で、値段は220円〜1100円と言ったところ。ガバッと全部買ってしまいたいのだが、現実的に無理なので、選びに選んで三冊に決める。学研 昭和38年中学一年コース9月特大号第4付録「幽霊殺人事件/ロースン・原作 福島正美・文」(「棺のない死体/クレイトン・ロースン」の短縮翻案。作者名が何故かすべて(福島正美による〈かいせつ〉も)『ワレイトン・ロースン』になっている)昭和37年中学二年コース5月号第4付録「手術室の殺人/Q・パトリック(原作) 内田庶(文)」昭和40年中学一年コース11月号第3付録「ゴーストタウンの秘密/フランク・グルーバー(原作) 福島正美(文)」とともに講談社「吉行淳之介軽薄対談」を計1760円で購入する。「幽霊殺人事件」が1100円と一番高値であったが、いやいやこれは買わずばなるまいて。
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2023年09月20日

9/20レオポンから阿呆へ。

午後一時過ぎに八幡山に流れ着き、所用をこなすために、京王線から井の頭線に順調に乗り継ぎ、吉祥寺入りする。目的を果たした後は、当然古本屋巡りに邁進する。「よみた屋」(2014/08/29参照)では秋田書店 新入門百科「剣道に強くなる/小沢丘」を110円で購入する。「剣道に強くなる」同系統のシリーズに「柔道に強くなる」「野球に強くなる」がある。続いての「古本センター」(2017/03/06参照)では、お店に入るや否や、処分品棚に講談社ブルーバックスの珍本「レオポン誕生 猛獣の種間雑種をつくる/赤木一成」が50円で挿さっていたので、胸をときめかせながら直ぐさま五十円玉一枚と交換する。レオポンは昭和三十年代に『阪神パーク動物園』でつくり出された、豹とライオンの世界初国産人工猛獣である(現在は生存せず、剥製しか残っていない)。そのレオポンについて、単なる『レオポン物語』にならぬよう、『人工的な一代雑種として生物学的な見方に重点を置いて』書かれたのが本書である。とは言え、著者がレオポンに入れ込み過ぎて、本屋で“ナポレオン”の文字を見かける度に『ドキッ』としてしまうなどの面白エピソードがチラホラ。
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そして最後に「バサラブックス」(2015/03/28参照)で平凡社 現代大衆文學全集15「松本泰集」を300円で購入し、ちょっと雨に降られながら帰宅する。するとポストにはレターパックの『郵便物等ご不在連絡票』が届いていたので、早速再配達を手配する。……街が白く煙るほどの土砂降り雨が通り過ぎた午後七時前に、嬉しいヤフオク落札品が到着した。版画荘「人生の阿呆/木々高太郎」(函ナシ)である。ライバルアリの2450円にて落札す。「人生の阿呆」は昭和十一年の雑誌「新青年」に連載された『読者への挑戦』付き探偵小説で、第四回直木賞受賞作品である。ぬぅおおぉ、ついにオリジナル本でこの探偵小説が読める日が到来!
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2023年09月18日

9/18「望星10月号」は古本屋特集!

午後三時前に西小山に流れ着いてしまったので、早速駅に向かい「ハイカラ横丁まるや」(2015/02/18参照)を訪れようと画策する。その道すがら、昔訪れて入れなかった古本屋さんが、その時のままに壁や日除けに蔦を這わせ、店前に草を繁茂させている光景を目撃する。
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「やま書店」、入ってみたかった…。そんな古本屋遺跡を目撃しながら駅前に着くと、ガ〜〜〜〜ン!「ハイカラ横丁まるや」はシャッターが下りていた…残念、お休みか。隣りの武蔵小山の「九曜書房」も確か月曜には定休日のはず……仕方ないので、まだまだ続きそうな残暑で火照った身体を、東急目黒線→山手線→総武線のシートに沈め、阿佐ヶ谷に帰り着く。そしてすぐさま「千章堂書店」(2009/12/29参照)の店頭児童文学箱をガサリゴソリ。今日は講談社の幼年創作童話1「オバケちゃんとむわむわむう/松谷みよ子・作 小薗江圭子・絵」(背焼け、第13刷帯付き)を百円で購入する。今日も良い児童文学が買えたと満足しながら『旧中杉通り』を北進していると、おっ、今日は「ネオ書房」(2019/08/11参照)が開いている。最近「@ワンダー」上階に出来た神保町店に力を入れていたらしく、営業が不定期になっていたのである。中に入ると、帳場にいるのは切通氏でもなく奥さまでもなく、見知らぬ男性である。久々の店内をつぶさに観察して行くと、『怪獣ブロマイド』なる手札サイズの分厚いクリアファイルが棚に挿さっているのを発見する。引き出してみて見ると、所謂5円&10円引きのブロマイドで、主に『ミラーマン』『帰ってきたウルトラマン』映画ゴジラシリーズのものであった。だが前の方にはしっかりと『ウルトラマン』『ウルトラセブン』もあったので、そこに意識を集中し、ヨレはあるがウルトラマンと三面怪人ダダが闘う一枚を300円で購入する。プリミティブアートを根元に成田亨がデザインしたダダが、迦楼羅が根元にあるウルトラマンが闘う側面図は、どぎつい着色が施され、もはやこのシーンがアートの域に突入していると言っても過言ではない。噫、瀧口修造あたりに、評していただきたい一枚である…。
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※【特集 ここ“も”愉しい古本屋さん】を岡崎武志氏が責任編集の、東海教育研究所「望星 2023年10月号」がついに完成!岡崎氏渾身のエッセイ『古本の門は誰にでも開かれている』、岡崎氏と私の対談『すべての“未知”は古本屋に続く』(ちなみに私のトーク中の写真が、まるで松本零士のキャラ“ヤッタラン”の横顔のようになっております。編集部は何故こんな面白い顔の写真を選んだのか…ちょっと面白いので敢てそのままにしておきました)「古書日月堂」さんの『古本屋ですけど、本棚はありません』、仙台「火星の庭」の『火星にはブックカフェがあります』、「盛林堂書房」さんの『店&出版で祖父を超えたい!』、岡崎氏が竹馬の友である京都「古書善行堂」に根掘り葉掘り聞く『店主とのおしゃべりも愉しい』(これは私が構成を担当)など、古本好きにも、古本初心者にも嬉しいためになる内容になっております。書店でお見かけの際は、迷わずレジへ。また見かけなかった場合は、こちらから注文をよろしくお願いいたします!
https://www.tokaiedu.co.jp/bosei/
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2023年09月17日

9/17速攻で古本欲は満たされた。

昨日は午後一時半に残暑厳しい吉祥寺に流れ着いたので、古本屋さんをぐうるりと巡って行くが、ついこの間来たばかりなので、有益な出会いなく駅を中心に、ただ半円の軌跡を描くだけで終わる。そして最後に「藤井書店」(2009/07/23参照)にたどり着き、久しぶりに帳場背後の二階への階段を左巻きに上がり、海外ミステリ&SF文庫の棚を眺める。福武文庫「魔女の丘/ウェルイン・W・カーツ」を200円で購入する。どうにか古本は買えたが、まだまだ買い足りないので、西荻窪まで『五日市街道』をテクテク東進して、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。中央公論社「モダン都市周遊/海野弘」リーダーズダイジェスト「夜の警邏自動車/マッキンレー・カンター」立風書房「じんじろげの詩/愛川欽也」科学創作クラブ「宇宙塵 NO.159 No.165 No.166」を計600円で購入する。店主・小野氏の姿が見えないので帳場のフミさんに「買取ですか?」と聞くと「祭りに行きました」と返答が。
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盛林堂はSFも主力商品の一つなので、「宇宙塵」は持て余すほど在庫があるのだろう。それ故の百円とは言え、やはり安い!あっ!NO.165の追加会員名簿に、目黒考二氏の名を発見!SFもしっかり守備範囲だったのか…。

そして今日は覚悟を決めて、朝からゲラ浸けに。あくまで他人のゲラであるが、古本屋のことばかりなので、文字を追っているだけで楽しく、街の情景や古本屋の様子や、棚の並びが、頭の中に鮮明に浮かび上がって来る…おかげで古本屋さんに行きたくなってしまった。古本が買いたくなってしまった!とゲラを振り捨て立ち上がり、一瞬だけ外に出る。午前十時からしっかり営業を初めている、阿佐ヶ谷駅前の「千章堂書店」(2009/12/29参照)へ。店頭百均ゾーンを見てから、明らかに追加されている児童文学箱を探索すると、ほどなくして理論社・童話プレゼント「かくれんぼ物語/今江祥智・作 長新太・絵」を掘り出す。1966年の初版でちゃんとカバー付きである。本文に長新太の鮮やかな二色イラスト満載のちょいレアな一冊である。今日もありがとう、千章堂さん!と感謝しながら900円で購入する。さぁ、古本欲は速攻で満たされた。家に帰って膨大なゲラの続きに取りかかろう。
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2023年09月15日

9/15古本神に導かれ…。

午後はお天気が悪くなりそうなので、午前のうちに古本を買ってしまおうと家を出る。中央線に乗り御茶ノ水駅下車。坂を長々と下って「東京古書会館」(2010/03/10参照)の『趣味の古書展』が開催されている。奥の「扶桑書房」の古書棚はすでにブランクが生まれているのに、人垣がスゴいことになってるなと思いつつ、やはり気になるので、厚い背中越しにチラリチラリ…しかしなかなか全部を確認出来ないので、ひとまず諦め他の棚を見て回ることにする。すると「畸人堂」が大量の古い「宝石」を並べていたので、昭和二十三年七月刊の岩谷書店「別冊宝石 第二號 尖端探偵小説號」を選び、改めて扶桑棚へ。すると確保していた人が戻したのか、先ほどは見かけなかった昭和十三年刊の新潮社「半七捕物帳 全/岡本綺堂」が出現していたので、すぐさま確保し、計1000円で購入する。この「半七捕物帳」は函かカバーのない裸本であるが、表紙には鈴木朱雀という人の、錦絵風イラストが散りばめられており、登場人物や作品の舞台&小道具が描かれていて楽しい。もちろん半七も粋に描かれている。
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「半七さん」と書かれている。

会館を出て神保町入りし、「三茶書房」(2010/10/26参照)店頭を眺めていると、「なごみ堂」(2010/02/12参照)さんが声をかけてくれた。今日はあまり収穫ナシとのこと。そして「ついこの間、この台に饅頭本がたくさんあったんですよ」と教えてもらう。残念ながら、今は影も形も見当たらないのだが…。その後さらに街を進んで行くと、今度は古本神・森英俊氏が颯爽と現れ声をかけてくれた。挨拶を交わしただけですぐさま別れたのだが、何故か踵を返してこちらに引き返して来た。そして「「@ワンダーJG」(2023/06/20参照)、少し変わったんですが行かれました?スゴいのが出たらしいですよ」「いや、行ってないです。な、なにが出たんですか?」「島久平です。買い逃してしまいました」「うひゃぁ〜〜〜〜」となる。そんなことを古本神に言われてしまったら、大変に気になるので、いつもとはコースを変えて『靖国通り』北側に渡る。お店に入り込むと、奥の北側の通路状スペースに新たな壁棚が増設され、そこに大衆小説や探偵小説類が集められている。なるほどなるほどと見て行くと、おおっ!カバーナシだが、東成社 ユーモア小説全集「地下鉄伸公/三木蒐一」があるではないか!これはずっとずっと読みたかった本。戦後の浅草を舞台にした(浅草の風景描写が事細かで、戦後の混沌とした街を存分に楽しめる)、元凄腕掏摸の、その芸術的テクニックを駆使した。人情物語である。550円なら謹んで買わせていただきます。古本神の導きで、憧れの本が買えました!
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※「日本古書通信2023年9月号」のリレー連載『ミステリ懐旧三面鏡』は北原尚彦氏の番。武蔵境のガレージ古本市で出会った、格安激安の「春浪快著集 全四巻」(函ナシ)の、文章を追うだけで古本ハンターの心が熱く燃え上がるお話です。
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2023年09月14日

9/14地元でまたもやレア本が買えて幸せだ。

昨日は午後二時半に上石神井に流れ着いたので、駅まで出て一駅東に移動し、上井草の「井草ワニ園」(2019/01/05参照)を訪れる。表でまずはメタローグ パサージュ叢書4「ペロー残酷童話集/シャルル・ペロー 澁澤龍彦」を手にして、店内へ。入口横のマンガの戸棚を開けて、河出書房新社「マンガのあなた*SFのわたし 萩尾望都対談集 1970年代編」(対談相手は手塚治虫・水野英子・石森章太郎・美内すずえ・寺山修司・小松左京・松本零士で、どれも“おもうさま”の魅力が爆発!漫画家話がとにかく愉快で、どの漫画家さんも線が綺麗で絵が激ウマ!)を抜き取る。そして直ぐ横の棚から平凡社ライブラリー「怪談入門 乱歩怪異小品集/江戸川乱歩 東雅夫編」を見付け、計1150円で購入する。うむ、良い買物が出来た。さすがは井草ワニ園である。そして今日もまたもや午後二時半に、武蔵境の遥か南の野崎と言う街に流れ着く。さすがに駅まで歩く元気はないので、『人見街道』に出て小田急バスに乗ることにする。三鷹行きか吉祥寺行きか、どちらかが来るはずなので、来たバスに乗って終点の街の古本屋さんに行くことにしよう。そんな風に思っていたら、現れたのは吉祥寺行きであった。と言うわけで、『人見街道』を真っ直ぐ東に向かい、やがて『吉祥寺通り』に入って北に向かい、吉祥寺駅南口に到着する。乗降口から吐き出され、まずは「バサラブックス」(2015/03/28参照)へ。表で講談社書下し長編探偵小説全集4「光とその影/木々高太郎」を掴み、店内では文庫棚から創元推理文庫「死の第三ラウンド/ウィリアム・アイリッシュ 田中小実昌訳」(初版白帯)抜き出し、計600円で購入する。さらに「よみた屋」(2014/08/29参照)店頭新書サイズ本棚からゴマブックス「これがビッグドライブだ/藤原審爾」(“ビッグドライブ”とは、フルパワーの長距離ドライビングのこと。三日以上の長距離行程を組み、ひたすら走り、機会があれば一台でも抜き、一瞬の緩みもなく緊張して走るのだそうである。大変にクレイジーである)を110円で購入する。変な本が買えたと喜びつつ阿佐ヶ谷に戻ると、北口アーケードの「千章堂書店」(2009/12/29参照)店頭児童文学箱にまたもや蠢きを認める。長新太の「てつがくのライオン」が出されているでないか…さすがに値段は1500円か…おやおやおやおや。実業之日本社 創作幼年童話「奇跡クラブ/前川康男」があるじゃないか。SF童話のレア本である。後に偕成社文庫から再販されるのだが、その時の挿絵は谷内六郎が担当。そしてこのオリジナル本の挿絵は、堀内誠一なのである。これは絶対に買っておかなければ後悔する!と八百円で購入する。千章堂さん、ありがとうございます。これからも児童文学、ドシドシ補充しておいてください。お願いします!
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2023年09月12日

9/12浪漫洲三百均。

午前中はデザイン仕事にしっかりと取り組む。ひとつ考えて、それを一度バラバラにし、また新たなパターンを考える。それをさらにもう一回…などとやっていたら、たちまち午前十時半になってしまった。お米を研ぎ、電気釜にセットして、午前十一時過ぎに家を出る。中央線で新宿駅に向かい、東口地下に出てさらに『サブナード地下街』に流れ落ちる。『2丁目広場』で開かれている「古本浪漫洲」(2010/03/04参照)は、今日からpart5の三百円均一なのである。ここ最近、この三百均で良い本が掴めているので、秘かに楽しみにしていたのである。平日で、まだ開始して一時間半なのに、会場はすでに結構な人手である。カゴ一杯に三百円本を積み上げている猛者の姿もチラホラ…まぁ慌てず騒がず、ゆっくり見て行こう。そう決めて左奥の古本棚ゾーンに入り込むと、途端に北冬書房「私の絵日記/藤原マキ」(1982年初版。実はある仕事のためにちょっとこの本を読みたかったのだ。何たる偶然。それにしてもこの本は、何度読んでも面白い、不思議な魅力に満ち溢れている)が目に留まった。うむ、これを見つけただけで、もはやここに来た甲斐があったと断言出来る!そう来たばかりなのに満足を覚えながら、さらに古本に目を凝らし、北九州市立松本清張記念館「松本清張記念館」パシフィカ名探偵読本1「シャーロック・ホームズ」を選び、計900円で購入する。帰りは高円寺で途中下車し、「古書サンカクヤマ」に立ち寄る。潮出版社「いっぴきの虫/高峰秀子」を50円で購入する。そして家に帰り、炊きあがっていたご飯をよそって昼食。午後は先ほど固めたデザインを少し手直ししたり、あるゲラをパラパラ読んだりして過ごす。
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2023年09月11日

9/11ポップアップと署名本。

午後二時半に府中の白糸台に流れ着く。西武多摩川線の白糸台駅で電車を待っていると、駅に隣接して、小さな『白糸台車両基地』があるのに気付く。ちょうど電車が基地内に入庫し、プシュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッとエアーを抜く音を、こちらのホームまで響かせている…心落ち着く良い調べである。
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そんな駅から二駅北に移動し、新小金井駅で途中下車し、「尾花屋」(2017/06/15参照)を訪れる。NOVAS「ポップアップ絵本 ゴジラ伝説」「ポップアップ絵本 ゴジラ」共に作・斉藤幸一 画・渡辺正美、秋田書店ホラーコミックス「オカルト探偵団 死人形の墓場/日野日出志」を計1500円で購入する。「ポップアップ絵本 ゴジラ伝説」は1954年製作の初代ゴジラ映画を飛び出す絵本化したもので、「ポップアップ絵本 ゴジラ」は1984年の映画を飛び出す絵本化したものである。二冊ともポップアップに故障はなく、スコブル良い状態である。
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そんな獲物をたちを手にして阿佐ヶ谷の戻ると、「千章堂書店」(2009/12/29参照)店頭児童文学箱に少し補充が行われていた。大和書房 岸田今日子ファンタジー「ひとみしりな入江」を手に取ると、献呈署名入りだったので、スパッと購入してしまう。
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そして家に戻ると、ちくま文庫の新刊「見習い天使 完全版/佐野洋 日下三蔵編」が届いていた。ついにあの面白い佐野洋が現代に甦る!しかも意外過ぎる天野喜孝の装画によって!…いったいなんでこんなことになってるんだ?何はともあれありがとうございます。
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※そろそろ書店に並んでいる「本の雑誌 アジフライ着陸号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、別の仕事での京都行を利用して、寺町通りの大好きな「尚学堂書店」の突撃!見事探偵小説を射止めておりますので、ご覧いただければ幸いです。
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2023年09月10日

9/10他人のゲラが二冊目に。

さて、先日買った博文館英語世界叢書(二)「クリスマス奇譚 旅の耻」の巻末自社広に載っていた“北原案件”であるが、北原尚彦氏に報告すると、やはり既にお持ちであった…こんな明治時代の英語学習本を…いつもの如くお見それしました。ちなみにモノは同じ英語世界叢書(一)の「戀と戰」で『コナン、ドイルの外科手術外四篇』という代物なのであった。
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そして本日は夕方に精選古本を携え、神輿が多数練り歩く街中を抜け、昨日訪れたばかりの西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。「フォニャルフ」にボチボチ補充し、棚に新鮮な秋の風を吹き入れる。ここ最近、某フェアの古本準備にばかりに力を入れていたので、これで少しはひと安心。そして帳場で店主・小野氏と、九月後半から連続する盛林堂・イレギュラーズの活動について打ち合わせ、さらにある本のゲラをどっさり受け取る…また自分の物でないゲラが増えてしまった。上手くこなせるようにがんばらにゃイカンな。ドッサリのゲラを受け取った私を哀れに思ったのか、「今日はこんなのあるよ。どう?」と一冊の傷み気味の仙花紙本を出してくれた。啓徳社「傑作科学探偵小説集」という昭和十六年の本であるが、執筆陣に耶止説夫・蘭郁二郎・渡邊啓助・南澤十七・北町一郎などを含み、かなり魅力的なラインナップとなっている。「こんな本知らない!買う買う!」とすぐさま飛びつき、店員特別価格の千円で購入する。ありがたや。ゲラ読みもイレギュラーズも心を込めて奮闘します!
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2023年09月09日

9/9三冊が勝呂忠装幀だった。

午後二時前に、ようやく何処かに去ってくれた雨模様に別れを告げ、久我山の丘の上の住宅街に流れ着く。ブラブラと北へ進み、西荻窪を目指す。そしてこちらも店頭が雨から解放された「盛林堂書房」(2012/01/06参照)。その店頭には、午前の雨で鈍った出足のせいか、なかなか良い本が残っているので、この時ばかりは雨に感謝を捧げる。河出書房新社「氷柱/多岐川恭」「うつぼの筐舟/水上勉」現代社「夢の中での日常/島尾敏雄」同光社「長編時代小説 砂絵呪縛/土師清二」新潮社「神坂四郎の犯罪/石川達三」新潮少年文庫4「遠い岬の物語/伊藤桂一」を計600円で購入する。何と購入本の半分は勝呂忠の装幀であった。しかも「氷柱」と「夢の中での日常」は得意とする抽象絵画系だが(しかも似ている)、百円で嬉しい「うつぼの筐舟」は珍しい具象系イラストである。
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そんな本たちを抱えていると、帳場で某編集さんにバッタリ出会い、表紙デザインを担当した新刊二冊を受け取りに、編集さんの家まで向かうことにする。綺想社「悪夢の影/ドナルド・ワンドレイ」「死の函/ホフマンプライス」である。怪奇小説!怪奇小説!恐怖小説!恐怖小説!と叫びたくなる、1920〜30年代のウィアード・テールズ系短編小説群である。「悪夢の影」は群生するシダ植物(実は日下三蔵氏マンション書庫外階段中庭を撮ったものであります)をモチーフにしているのだが、楽しく加工し過ぎたら、シダは色も含めて影も形もなくなってしまった…だが、良い感じだ!この二冊は近々に「盛林堂書房」店頭&通販サイトと中野「まんだらけ海馬」で発売になるはずである。
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2023年09月08日

9/8雨の中でも古本箱を。

朝起きたら、天気予報通り台風による土砂降りである。外に出るのに躊躇いを覚えるほど街は白い飛沫を上げているが、よんどころない所用をこなすために午前十時に駅前に出る。そしてもう出てしまったからと、いつもより空いている中央線に飛び乗り、御茶ノ水駅へ直行。傘を差し掛け坂を下り、午前十時半の「東京古書会館」(2010/03/10参照)に到着する。正面入口脇には、お馴染みのどデカイ青色の『古本市』電気立看板が出ているので、この荒天でもちゃんと「書窓展」が開催されているようだ。地下への階段を下って荷物を預けると、多数の古本修羅が両手に本を抱え、棚に取り憑き、通路をジリジリと移動する光景が目前に広がる……台風直撃なんて、関係なし!しかしどの棚もわりと見やすく、本はまだまだたくさん残っている。じっくりと四冊を選び出す。金星堂 社会文藝叢書第五編「人形劇 誰が一番馬鹿だ?/ウイット・フォーゲル作 辻恒彦譯」博文館 英語世界叢書(二)「クリスマス奇譚 旅の耻/アントン・ツロロープ原作 佐川春水譯」(自社広ページに北原案件アリ。報告しなければ…)学風書院「クラブハウス 羅々須綾子」ウスヰ書房「詩集 終の栖 /城左門」を計1020円で購入する。
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帳場では『日本の古本屋』紙袋に入れてもらった上、プラ袋に入れてくれた。すべては雨対策である。およそ四十分ほどで会場を出て、外は一瞬雨風が弱くなっていたが、今日は神保町を巡らずに帰ることにする。その帰りの坂の途中で、エロマンガ編集者の古本神・塩山芳明氏と擦れ違う。声をかけ、傘に当たる雨粒の音に負けじと、しばらく古本屋について立ち話する。家に帰ると、自分のではないゲラがごっそりとポストに届いていた。まずは楽しく読まさせていただきます。そしてまだまだ降り続く雨の中、重い古本箱を持ち出し、郵便局から発送する。これでどうにかフェアの一翼は担えるだろう。某所に送った計六箱の古本箱の行方については、近々にお知らせする予定である。
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2023年09月07日

9/7昨日も今日も小型の探偵小説本を。

前日の疲労を身体に残しながら、昨日は午後に外出し、まずは歩いて荻窪へ。「竹中書店」(2009/01/23参照)で黒色戦線社「金子ふみ子獄中手記 何が私をかうさせたか」を200円で購入する。続いて吉祥寺に出て、「古本センター」(2017/03/06参照)で新潮社「ダーシェンカ/カレル・チャペック 伴田良輔監訳」を150円で購入。次は「バサラブックス」で講談社「日本SF・原点への招待 「宇宙塵」傑作選/星新一 光瀬龍 眉村卓 石川英輔ほか」を100円で購入。そして最後に「百年」(2008/09/25参照)にて、久しぶりにカウンター越しに百年さんと挨拶を交わしながら、春陽堂日本探偵小説全集「ソロモンの桃 他三篇」(ちなみにカバーの背は『他一篇』、カバー袖の『日本探偵小説全集(総内容)』では『他二篇』、本体は『他三篇』となっている。正解は『ソロモンの桃』以外に『怪異馬霊教』『半爬虫人』『北京原人』を収録しているので『他三篇』である)筑波書林「探偵雑誌LOCK 第24号」を計2750円で購入する。帰ったら、古本箱のさらなる準備を、ジリジリダラダラと進める。
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そして本日は午後六時前に西荻窪の北に流れ着いたので、いつの間にか陽が落ちるのが早くなり、暗くなる足元を見つめながら『青梅街道』に出て、黄昏の「古書西荻 モンガ堂」(2012/09/15参照)へ。「こんな時間に珍しいじゃないですか」と驚くモンガさんとほろほろ話しつつ、モンガさんお薦めの平凡社世界探偵小説全集3「シャーロック・ホームズの記憶/ドイル作 三上於菟吉譯」(函付き!)青樹社「ああ寝不足だ/田中小実昌」を計2200円で購入する。帰り際にモンガさんが「いやぁ、今日売り上げがあって良かった。さっきまで誰も来ないので、首を縊ろうかと思ってたんですよ」と冗談めかしながらも不吉なことを言うので「また古本買いに来るので、そんなの絶対にダメです。また買いに来ますからね!」と厳しく言い渡しておく。それにしても、昨日今日と、小型の探偵小説本を買ったことになるわけだなぁ。
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2023年09月06日

9/6古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第三十一章】

すでに昨日のことである。午前七時に近所の交差点で、盛林堂号を駆る「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏と待ち合わせし、店舗を経由して盛林堂・イレギュラーズに変身し、関東某所へと向かう。日下三蔵氏邸の書庫御用お片づけなのだが、実は日下氏が七月に急病で入院されため、実に二ヶ月弱ぶりの訪問になるわけである。片付けに向かうということは、日下氏は退院快癒しているわけだが、詳しい闘病の顛末については、今月発売の「本の雑誌」連載『断捨離血風録』をご覧いただければまるわかりである(ちなみに先月は病気のため休載となっていた)。都内の渋滞をどうにか潜り抜け、朝マックで休憩&栄養補給した後、午前九時半過ぎに現場到着。玄関からスポーティーなスタイルで現れた日下氏は、いたってお元気そうである。快癒祝いに山田風太郎『おんな牢秘抄』連載が載っている双葉社「週刊実話」を一冊プレゼントする。邸内に招かれると、整理は地道に進んでおり、仕事部屋も新たな仕事の資料で賑やかな状態である。だが快癒したとは言え、無理は禁物なので、なるべくスローにマイペースに作業は進めなければならない。そんな本日のミッションは、マンション書庫に移動し、すでに大量購入してあるカラーボックスを組み立て、それを壁際棚の上部に設置した後、そこに仕分け済みの同人誌を詰め込んで行くというものであった。と言うわけで、三人でマンション書庫に移動すると、廊下にCDを満載した金属フレーム棚が鎮座していたり、数個のカラーボックスが新たに設置さえていたり(これは妹さんが組み立てたとのこと)と、こちらも少しではあるが、整理前進を見せていた。
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そして作業は、小野氏がひたすらカラーボックスを電気ドライバーで組み立て、私は棚上の物を下ろし、そこにカラーボックスを上げ、さらに日下氏から手渡される同人誌を放り込んで行く、という布陣で進めて行くことになった。今日はほぼひたすらこの単純とも言える作業に徹し、お昼休憩を挟み、時に棚目前の本の山や物体を移動する小作業を挟みながら、午後五時まで継続。
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和室のまるで資材置き場のようなカラーボックスの部品の山…。

とにかく高所に重いものを上げ下ろしするのは、大変に体力を消耗するものだ。上に載っている本も箱も紙袋も重い、カラーボックスも重い、同人誌も重い…。
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下ろします…。

そしてその同人誌は、日下氏の指示により、なるべく量を詰めるために、まずは縦にして同人誌を積み重ね、それが同人誌横幅の高さに達したら、脇の開いている部分に背を下にして詰める。続いて横積みと背下の同人誌の上にさらに横積みし、開いた脇にこちらも背を下にして同人誌を詰め込む。そしてさらにカラーボックスの上にも天井まで同人誌を積んで行く…ぐぁぁぁぁ、疲れたぁ。
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ぎっしりみっしり…。

小野氏もカラーボックス十八基を、最後は集中力を欠きながらも組み立て終わり、奇妙な達成感に陶然としている。
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そんな小野氏は、買取品に物凄い本を出され大満足の態だが、日下氏は「今日は小山さんに渡すものがなんにもないなぁ…」と不安なことを呟いている。こういう時は、自分から提案作戦だ!と厚かましく意を決して、アパート臨時書庫にダブっているはずの、山田風太郎「道化の方舟」を所望する。「じゃあアパートに寄って、ピックアップしてから本邸に行きましょう」ということになり、午後六時に本邸に到着する。小野氏が買い取り本の査定を進めている間に、日下氏と本邸書庫の山田風太郎ゾーンで「道化の方舟」を確認する……だが、ないっ!なんと「道化の方舟」がないのだ!「おかしいなぁ。そんなhずないんだけどなぁ」と訝しがる日下氏に、マンション書庫に数冊の「道化の方舟」があるはずですと教えたので、労い焼肉を食べに行く前に、再びマンション書庫に舞い戻ることにする。だがそのマンション書庫では、すでに色々整理を進めていたあために、絶対にあるはずの「道化の方舟」が行方不明になっていたのであった…噫々。仕方ないので「道化の方舟」は次回見つかった時に…ということにして、代わりにCD部屋の奥に転がっている貸本仕様の本を何冊かいただくことにする。ムリヤリ函に仕立て上げられた光書房「犯罪の場/飛鳥高」他に大下宇陀児・柴田錬三郎・海野十三・角田喜久雄などの少年探偵小説を。ありがとうございます!
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ちなみに右端の講談社の少女漫画「マグノリアの天使/菅沼美子」は、なんと藤木靖子原作のミステリーなのである。

ところが労いの品も受け取ったので、晴れて焼肉屋に移動中の車内で、後部座席の日下氏が異様にダンマリを決め込んでいるのである。どうしたのだろう?と不審に思っていると、焼肉屋の駐車場に車が滑り込んだ時に、「よし、これで次回「道化の方舟」は小山さんのものですよ」と妙なことを口走った。「え?何言ってんですか?どうしたんですか」「今、注文しました。『日本の古本屋』で「道化の方舟」」「ええっ!?買ったんですか?だって絶対にマンションから出て来ますよ」「いや、いいんですよ。安いのを順に買いましたから。三冊」「ええええっ!?何してんですか?三冊も買う必要ないじゃないですか」「いや、風太郎研究家として、「道化の方舟」が一冊だけなんてありえません」「…も、もしや、見つからなかったのが悔しかったんですか?」「そうです。風太郎研究家としてありえないですよ。ハハハハハ」「…ク、クレイジー………。あぁ、今、日下さんの蔵書がなんであんなに増えて行くのか、その現場を目の当たりにしましたよ。クレイジーですよ、暴挙ですよ!」…というわけで、無事に次回「道化の方舟」が手に入ることになりました。ウフフフフ……。
posted by tokusan at 09:14| Comment(4) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする