2019年10月22日

10/22昨日は大乱歩の誕生日。

雨降りの朝から仕事のための読書に埋没する。昼になって雨が上がり始め、皇居の方角から遠く響いて来る礼砲の音を耳にしてから、気晴らしに少し表に出る。ブラブラと、文字を詰め込んだ頭を冷やしながら、近所をウロウロ。高円寺「大石書店」(2010/03/08参照)でビニールシートを掛けられたダンダラ屋根の安売ワゴンに、先週に引き続き講談社のゴールド絵本が補充されているのを認める。シートを捲って手を入れ、「セロひきのゴーシュ/絵・黒崎義介 文・槇本ナナ子」を100円で購入する。帰りは高架下を伝い阿佐ヶ谷方面へ。潰れてしまってもぬけの殻の元『阿佐ヶ谷アニメストリート』を抜け、駅へ至る前に高架から離脱する。閉店した「穂高書房」(2019/09/17参照)の前を通りかかるが、まだ店内に本は、ギッシリ残されたままとなっている。…行方が気になるなぁ…。

そういえばボ〜ッとしていたが、昨日十月二十一日は、探偵小説界の巨人・江戸川乱歩の誕生日であった。もし生きていれば125歳か…いや、乱歩の探偵小説“魂”と探偵小説の“鬼”は、今でもそこかしこで、人の心の中に息づいているのだ。もちろんこの私の中にも。記念に何か珍しいものでもアップしておこうか…と思ったのだが、乱歩に関してはさして珍しいものなど持っていない。チープではあるが、河出市民文庫の学生サーヴィス版カバーが掛けられた「心理試験」(2016/11/21参照)くらいであろうか。そんな風に思いながら、机の前でふと目を上げると、そこには小さな乱歩の姿が…おぉ、そうか、これがあったか。壁に飾られているのは、随分前に思い切って購入した、人形作家で写真家・石塚公昭氏のオリジナルプリントである。仕事場の一角に雑然と収納された、乱歩人形・黒蜥蜴人形・二十面相人形・黄金仮面マスク、人間椅子、それに『三人書房』の模型看板などを写したものである。あぁ、これを疲れた時に見ると、乱歩世界がたちまち頭の中に立ち上がり、ニュルッと癒されるんだよなぁ。江戸川乱歩先生、125歳+一日の誕生日、おめでとうございます。
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2019年10月21日

10/21旅からたちまち日常へ。

昨日は荻窪の西にお昼過ぎに流れ着く。たちまち戻って来た日常を、旅を楽しんだこの身に味わいながら、テクテク歩いて西荻窪へ。あっ、古本も売っていたアイス屋さん「BOBOLI」(2012/03/07参照)が閉店している。表には不要品を並べ『ご自由にどうぞ』。古本も詰み上がっていたが、残念ながら雑誌やムック本ばかりであった。そこからゆるゆると緩い坂を下って「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ、店主・小野氏に「お帰り」と言われながら、出来上がったばかりの表紙周りを担当した「Re-Clam eX vol.1」を受け取る。うむ、ちゃんと格好良いぞ!そして続いて、こちらも出来立てホヤホヤの盛林堂ミステリアス文庫「大阪圭吉単行本未収録作品集3 沙漠の伏魔殿」を献本していただく。うひゃぁっ、大阪圭吉の本なのに、表紙絵がプリティーさマックス!「まるで「あらしの白ばと」じゃあないですか」というと「だって、『沙漠の伏魔殿』がそう言う話なんだもん」と小野氏。10/25(金)から、盛林堂店舗と『神田古本まつり』の盛林堂ブースで販売開始とのこと。首を長くして刊行を待っていた人は、万難を排してどちらかに駆け付けるべし!日本出版協同株式会社「深夜の告白(原題 倍額保険)/ジェームス・ケイン」と新刊の新紀元社「幻想と怪奇傑作選 特別収録同人誌「THE HORROR」全巻復刻/紀田順一郎・荒俣宏監修」を計2500円で購入する。帰りの道中で、ちょっと気を抜いて昼ビールを飲みながらテクテク。阿佐ヶ谷では「千章堂書店」(2009/12/29参照)を覗き、パロル舎「いやなことは後まわし/パトリック・モディアノ」を100円で購入する。続いて混雑している「ネオ書房」(2019/08/11参照)を覗くが、ぐるりと一渡り棚を見ただけで、何も買わずに出て来てしまう。すると後から帳場にいた切通氏の奥さまが素早く駆け寄り「あの…」と声を掛けて来た。一瞬勝手に『いや、万引などしていません』と妄想を膨らませて身構えてしまうが、「小山さんですよね」と言われ、正体がばれていたことにようやく気付く。色々勝手にお店を取り上げたことについて、身に余るお礼などを伝えられ、大変に恐縮してしまう。せっかくなので店内に再突入し、切通氏にも名乗りを上げてご挨拶する。突然の展開に、ビールと恥ずかしさで顔を鬼のように赤くしながら、少しお話しさせていただく。これからもちょくちょく寄らせていただきますので、引き続き面白い本を阿佐ヶ谷に供給、よろしくお願いいたします!そして本日は朝から仕事をバリバリ進めた後、午前十一時に家を出て、荻窪「ささま書店」(2018/08/20参照)を定点観測する。店頭で三冊掴み、店内の棚下平台ミステリゾーンに目を落とすと、おっ!講談社「黒い白鳥/鮎川哲也」の函の背が、ピカリと輝いている!抜き出し値段を確認してみたら、各安の千円だったので迷うことなく購入を決める。沖積社「夢野久作ワンダーランド」時事通信社「活字狂騒曲/倉阪鬼一郎」講談社現代新書「東京情報コレクション」とともに、嬉しい5%引きの計1360円で購入する。また、古本買いの日常が戻って来たことを、強く実感する。
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ほうほう、「黒い白鳥」の装幀は池田竜雄(龍雄)なのかぁ。
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2019年10月20日

10/20熊本〜島原〜博多・古本屋行 三日目

午前九時に隠れ家の宿をそっと抜け出る。本日は初っ端は所用のある岡崎氏とは別行動。曇りだが雨上がりの大通りを、大橋方面に向かって歩いて行く。午前九時十分、まだ静かに眠る「本々堂」に挨拶。
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背負ったリュックには、『鶴屋』の「本々堂」均一ワゴンから買った「虹男」が入っているのです。そんなことを思いつつ、テクテク歩き続けて行くと、妙に興が乗り始めてしまい、西鉄大牟田線に乗車することなく、午前十時半に天神までたどり着いてしまう…ゼイゼイ。やはり素直に電車に乗ればよかったか…。『警固神社』脇を通過しつつ、北の『親不孝通り』を目指し、トーク時にタレコミのあった『古本を売る立体駐車場』を探す。だが探し方が悪く、どうにもこれが見つからないので、泣く泣く諦め、急ぎ次の目的地を目指す。午前十一時、天神駅から地下鉄貝塚駅経由で、西鉄香椎駅を目指す。車中で「ゆがめられた昨日」を6ページだけ読み進む。黒人探偵、雇用主との距離感に四苦八苦している…事件以外にも、黒人故の境遇で業務でもなかな苦しむ探偵さんなのである。終点前に地下鉄が地上に出て、いつの間にか晴れつつある空から、明るい陽光が飛び込んで来る。乗り換えた西鉄貝塚線は、ヤクルト色に赤いラインの入った二両編成。貨物列車の通る博多臨港線としばし並走したりしながら、午前十時半に西鉄香椎駅着。そう、ここは、松本清張の名作推理小説「点と線」の舞台の一つとなる場所なのである!…あぁぁぁぁ、しまった。物語に沿うならば、本当はJRの香椎駅に行かねばならなかった事件の核となる怪しい二人連れのカップルは、国鉄香椎駅から西鉄香椎駅の方向に歩いて来るんだったぁ〜!思わぬ凡ミスを大いに嘆くが、もはや後の祭りである。仕方ない、ここはまず、事件の発端となる心中場所の海岸を見に行くことにしよう。そう決めて、駅から西へ西へと歩き始める。ところが、焦り過ぎて駅の地図などを確認して来なかったのがまずかった。行けども行けども集合住宅ばかりで、海も見えないし海の匂いもして来ない…これはまずい。こんなことで限りある時間を食っている場合ではないのだ…見知らぬ土地での手違いは、心に過剰なほど焦りを生み出していく…さっさと諦め駅方向に戻り、西鉄駅を通過してJR香椎駅へ…うぎゃぁ、な、なんだ、この巨大な駅は!
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もはや小説の面影など何処にもなく、『ずいぶんさびしい』と言われた駅前も、寂しさの欠片も見られない…あぁ、「点と線」の時代は、遠くになりにけり…。二人連れあ歩いたであろう駅からの通りも、ビルに挟まれた二車線の道路になっている。行く手の西鉄線路も、踏切ではなく高架に……砂を噛むように、虚しく香椎駅から西鉄線路に向かい、ゆっくり歩き、ただその距離感だけに小説の面影を追い求める…。
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鹿児島本線内で、昼食代わりのパンを齧りながら、博多に戻る。午後十二時二十分、地下鉄で六本松へ向かう。やることはやった。ここからは古本屋さんを目指して突き進むのみ。天神で七隈線に乗り換えようと、長過ぎる理不尽な連絡通路を(一キロくらいあるのではないか)歩いていると、岡崎氏から電話が入る。用事が無事に済んだので、合流できるとのこと。六本松駅で待ち合わせることにする。午後十二時五十分、六本松駅着。まだ氏が到着するまで間がありそうなので、目的店の裏路地にある「徘徊堂 六本松店」(赤坂の旧店については2008/06/29参照)を見に行ってみる。ところがこれが開いていない!うぎゃぁ!これはイカン。急ぎ岡崎氏にメールを送り、お店が閉まっていることを告げ、隣駅・別府(“べっぷ”ではなく“べふ”と読む)にある同じ「徘徊堂」の別府店で待ち合わせることにする。…ぐぅぅぅ、もういい加減古本禁断症状が発症し始めている…。地下鉄には乗らず歩き、別府団地沿いの小さな小さな商店ゾーンにあるお店前に到着する。うぎゃぁ、閉まっている!こりゃぁ、さらにイカンぞ…だが、入口のシャッターがちょっとだけ開いている。これはもうすぐ開くのかもしれない。ここは一旦駅に向かい、岡崎氏を出迎え、再びお店に舞い戻ることにしよう。その時にはもう開いているかもしれない。ということで岡崎氏と駅で落ち合い、氏に事情を説明して、ともにお店を目指す…だが、状況は変わらず、シャッターちょっと開き状態のまま。だが氏が「中にいるかもしれんよ」と、突然大きな身体を開いているシャッター部分に潜り込ませる。そして徐に入口木戸を開けたようで、何やら話し声が聞こえて来る。しばらくすると「いいで、入り」と氏の笑顔。
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同じくシャッター潜って中に入り込むと、店主と奥さまとプリティー過ぎる娘さんが、汗をかきかき、息を弾ません、店内溢れる古本の片付けに従事していた。実は岡崎氏と徘徊堂さんは以前からの顔見知り。そして明日に迫ったイベントのために片付けの真っ最中。うぅ、ありがとうございます。きっと一人じゃ、お店に入れませんでした。そして忙しいのに入れてくれてありがとうございます。とその場にいるみなさんに感謝する。店主や奥さまや、あまつさえ小さな娘さんとも話を弾ませるお世話になった岡崎氏をよそに、早速古本を見まくって行くことにする。店内は横長で、右に絵本や児童文学や暮らしが集まり、中央に文庫や新書、そして左に文学・美術・歴史・郷土(夢野久作あり!)・サブカルなどが集められている。ギロギロと飢えた視線を四方に放ち、久々の獲物を追い求める。その合間に、娘さんが蚊が帳場近くにいることを報告したり、奥さまが「音羽館」と「汽水社」の匂いは同じで石鹸と炭を調合した芳香剤らしい(そう言えば、「コンコ堂」も「水中書店」も似た匂いがする。あれを、芳香剤の匂いと思ったことは一度もなかった、ただ古本と本棚の匂いだと思っていた…と、奥さまの斬新な視点に感心する。もしかしたら「音羽館」広瀬氏が、店員さんがお店から独立する際、秘伝として伝えているのかもしれない…)、などの楽しい話が耳に飛び込んで来る。研究社「わたしのなかの童話 随想集」を500円で購入する。すると店主さんが「六本松の方も見てみますか?」と嬉しい申し出をしてくれた。もちろん一も二もなくお願いすると「もう一年は開けてないんですよ。でも、なにもないですよ」と謙遜。だが、古本修羅の常として、未知のお店に対する期待は、そんな謙遜の言葉では揺るがない。お店の自転車を総出で借りることになり、何故か娘さんも「アタシも行くぅ〜!」と同行することになり、都合四台の自転車が、六本松店に向かって疾走することに。まったく、人生は何が起こるか分からないなぁ〜、あぁ楽しい。
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ほどなくして十分ほどで、先ほどシャッターに弾かれたばかりのお店に到着する。その憎いシャッターがガラガラと上げられたので、遠慮なく店内に踏み込むと、おぉ、そこは本だらけの空間!
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足の踏み場がかろうじて残る、古本に満たされた空間!ここは店舗として入れるのは右側部分の四本ほどの通路で、帳場を境に後は広大なバックヤードとなっているのだが、そのほとんどの通路に古本が積み上がり、入れぬところがほとんどとなっている。現在店舗部分で見られるのは、入口付近と右端の通路二本のみ。だがそこも、かなり険しい状況になっている。まだ見られる棚部分を見て行くと、文庫本・児童文学・ジュブナイルミステリ・映画・サブカル・詩集・文学・ミステリなどなど…別府店よりマニアックドが深く、古書も多いのが嬉しい。しばらく手の届くところを可能な限り検分し、二冊を選ぶ。文藝市場社「ナポリの秘密博物館」(函ナシ)児童憲章の会「学習図鑑 宇宙旅行」を選ぶ。「宇宙旅行」の方は値段が付いていなかったので「お幾らですか?」と聞くと「うぅぅぅ〜〜〜〜〜ん、いいところを選びますねぇ。くぅ〜〜〜」と盛大に悩んだ挙げ句「千円でどうですか」「ではそれで!」と計1500円で購入する。ここは、福岡に来ることがあったら、また来よう。そして開いてなくても、どうにかして開けてもらおう!あぁ、最後の最後で、何だかいい思いが出来ました。ありがとうございました!お店の前で、可愛く小さな手を降る娘さんに見送られながら、駅方面へ。『シアトルコーヒー』でしばらく身体を安め、午後四時過ぎに空港へ向けて出発。賑わう空港では、羽田空港の混雑により出発の遅れた飛行機にようやく乗り込み、午後五時五十分に福岡を離陸する。飛行中も静岡上空で待機させられたりしながら、長くなるフライト時間を有効活用すべく、読書灯を点滅させ「ゆがめられた昨日」を読み続ける。はめられた黒人探偵は、身の証を証明出来るのか…クライマックス直前の午後七時三十五分に羽田着。リムジンバスで帰るという岡崎氏とはここで別れ、ひとり電車を乗り継ぎ阿佐ヶ谷を目指す。もちろん車内では読書の続きを。すると高円寺駅で読了。旅の終わりと物語の終わりがが見事に重なった、カタルシス溢れる瞬間をこの身に味わう。そして、ハヤカワポケミスは、その名の通りポケットにスッと入って、スッと取り出せるから、至極便利な形態だなと感じた、長旅でもあった。下の写真はこの旅の収穫である。
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10/20熊本〜島原〜博多・古本屋行 二日目

曇り、気温二十度。午前九時半に岡崎氏とロビーで落ち合い、まずはお世話になった「舒文堂河島書店」さんに挨拶に向かう。すると閉まったガラスアコーディオンシャッターの向こうには、ミーティング中の若旦那の姿が。しばし店頭で開店を待つ。
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やがて開店作業に取りかかった御大にも挨拶。先年の大地震で、土地が少し隆起し、シャッターが開き難くなったことや、店内後部の和本ゾーンは、昔の店舗を柱や梁をそのままに移築したことなどを教えられる。さらには若旦那の案内で、めったに見られぬ店奥の中庭に入れてもらい、柿の木を見上げた後、庭奥の昔から残る家屋など見せていただく。
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玄関に掛かる大昔のぼんぼり風看板が印象的であった…というか、これ、欲しい!
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お世話になったお店を離れた後は、まずは岡崎氏のリクエストで、小泉八雲旧居を見に行く。手製の詳細な説明パネルが迫り来る日本家屋を堪能。中でも『熊本善意銀行』から寄贈された、数種類の八雲全集を並べた古い本棚が素敵であった。
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午前十時二十六分、水道町から可愛い一つ目の路面電車・熊本電鉄に乗り込み、ガタガタチンチン熊本駅まで揺られる。分厚い木板の床が無性に懐かしい。
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午前十時五十分、熊本駅着。ここから岡崎氏がアグレッシブに活動し始め、熊本港から出ている島原行きのフェリーと連動している無料バスの席を、予約もしていないのにどうにか確保。駅構内の「ふく泉」で美味しい丸天うどんを啜ってから、そのバスに乗り込み熊本港へ向かう。市街を離れると、農地がただただ広がるだだっ広い南の大地である。三十分ほど走り、港に到着。バスの中でフェリー到着を待機し、長いスロープを上がり、三階ほどの高さから『九商フェリー』に乗船する。このフェリーは最上階の客席以下が車両の格納スペースになっており、遥かにそちらの方が利用客が多かった。午後十二時二十五分に出港。海の男たちのテキパキした正確で危険な出港作業を感心して眺めていると、古いフェリーは、どんよしりした粘土色の海に白く泡立つ軌跡を描いて、ズンズン進み始める。離れ始め、やがて霞んで行く熊本。フェリーには常に可愛過ぎるカモメたちが並走し、近距離で滑空しながらエサを強請り続けている。
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一時間ほどの航海で、島原港着。雲仙の山々が猛々しく聳え、その足元に町が広がる奇観に、しばし圧倒される。だが港町に人影は少なく、侘しく寂れている。二人で顔を見合わせ「スゴい所に遥々来たなぁ〜」と旅情を盛大に感じ取る。近くには案内版も何もないので、勘を頼りに島原鉄道の島原港駅まで歩いて移動する。踏切の向こうに現れたのはさらに鄙びた感を加速させる、単線ディーゼルカーの終着駅であった。
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ここから十分ほど鉄道に乗車し、島原駅で下車。待望の古本屋さん探しに取りかかる。駅舎は屋根の両側にしゃちほこも備える、本格的なお城スタイルである。その屋根の下を離れ、折り悪く雨が降り始めたここも寂しい町を行き、まずは「吉四六」というお店を目指す。だが、当該住所には、お店など影も形も見えなかった…。念のため島原城沿いも探索してみるが、猫がたくさん棲みつく古民家を見つけたくらいで、成果ナシ…。雨が酷いので一旦駅へ引き返し、もうひとつのちょっと駅から離れたお店「月光堂」に岡崎氏が電話を入れる、もし営業していれば、レンタサイクルを借り、駆け付けようと言う算段であった。だがお店は現在はネット中心で、本も見せられないということで、けんもほろろに断られてしまう。あぁ、これにて島原古本屋さん探索、あえなく終了…しばし駅横の瓦屋根の重厚な自転車置場を眺め、無聊を慰める。
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だが今は、ここで挫けている訳にはいかないのだ。今日の宿泊地は博多近辺なので、夜までには電車を乗り継ぎ、そこまで移動しなければならない。というわけで、早々に午後三時十四分の島原鉄道に乗り、博多へと向かうことにする。岡崎氏が手に入れた、ちょっと旅費が安くなる『二人きっぷ』を握り締め、有明海と古く鄙びた土地が連続する車窓を眺め、まずは終点の諫早へ。
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午後四時二十分に到着した諫早は、さっきまで居た寂し気な島原と比べると、恐ろしいほどの大都会である。ここでJRの特急かもめ30号に乗り換えつつ、一瞬だけ野呂邦暢の故郷に足を踏み入れたことに小さく感動する。自由席に席を確保し、ここから博多駅まで猛スピードで一直線。少しだけ「ゆがめられた昨日」の続きを13ページ読む。主人公の黒人探偵『トゥセント』は、地味な尾行をこなし、慣れない業界人パーティーに激しく戸惑っている…。午後六時十五分、博多駅着。乗物に乗っているだけで、すっかり疲れてしまった。だが宿は、中心街から離れた、井尻という駅近くにとっているのだ。夜の博多は、東京並みの帰宅ラッシュを見せている、人波を掻き分け掻き分け、慣れない電車を必死に乗り継ぎ、午後六時半に井尻駅着…乗物に乗りまくった一日であった…しかも古本屋さんには行けず終い…。そして大きな道路沿いにに探し当てた宿泊場所は、ワンルームマンションをありのままにホテルとしている、恐ろしく場末感が充満した建物であった。…こ、ここまでとは…ここを予約したのは私なので、岡崎氏に恐縮することしきり。だが氏は優しく「いや、こんあところに泊れるのは貴重やで。面白いなぁ〜」と面白がってくれた…うぅ、すいません。受付には誰もいなかったが、やがておば様が車で駆け付け、一階のワンルームフロントで受付を済ませる。その際おば様は、近所の激安食べ物屋を何軒も何軒も紹介してくれた…ホテルの説明そっちのけで…。階段を上がってお互いの部屋に向かい、住居そのままの古い鉄扉を開ける。なんだか、逃亡犯が身を隠すような宿なのである。旅情とは別の侘しさが、胸の内に込み上げて来る。荷物を整理してから、氏と近くの中華屋に晩ご飯を食べに行き、陽気過ぎる台湾娘の接客を受ける。黒チャーハンと生ビール。料理は美味であった。ホテルに引き返し、しばし岡崎氏とテレビを見ながら部屋飲みする。
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深夜、車の音、何故か定期的にユサっと揺れる建物…寝ながらも侘しさを深めて行く…。
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10/20熊本〜島原〜博多・古本屋行 一日目

午前八時過ぎに家を出て、地獄のような満員電車を乗り継ぎ、曇り空の羽田空港へ。『保安検査場』では、上着も脱いで調べられるようになったことを初めて知る。搭乗口ロビーで、三日間旅を共にする岡崎武志氏と合流。遠くからこちらの姿を見つけ、大きく手を振っている。口では「電車だけでもう疲れたわ。帰りたいわぁ〜」などと言っているが、その瞳は熊本行きの飛行機を見つめ、小さく燃え上がっている。フライトはおよそ一時間半。機内ではハヤカワポケミス「ゆがめられた昨日」を読み進める。田中小実昌の読みやすい訳文に引き込まれ、パラパラとページが捲れて行く。『簡易食堂』のルビが『キヤフテリア』とはイカしてるな。黒人の主人公が、私立探偵を続けるか、安定のために郵便配達夫になるか、悩みに悩んでいる58pまで。正午に“火の国”熊本に到着し、今回我々を東奔西走して呼んでくれた「舒文堂河島書店」(2008/12/21参照)の若旦那に出迎えられる。駐車場でしばし舒文堂号を見失う微笑ましいハプニングもあったが、無事に車は市内に向かって突き進み、午後一時に市内『上通り』に到着する。雨が落ち始めているが、まずはお店に向かいつつ「汽水社」さんに挨拶をする。その昔、よく「なごやか文庫」の古本市の開始待ちの列で、お会いしたものである。後でまた見に来ることを約束し、まずは昼食を摂る。近くのラーメン屋さん『こむらさき』で、あっさりクリーミーとんこつの『王様ラーメン』+餃子を美味しくいただく。さぁ、お腹が満ちたら古本屋さんだ!と、仕事に戻る若旦那と一時別れ、この『上通り』のアーケード無し部分に集まる三軒のお店に向かう。まずは新進気鋭の、先ほど挨拶を済ませた「汽水社」へ。
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縦長で奥深く天井が高く、洒落た空間である。各ジャンルは品揃え&棚造りしっかりで、マイペースな雰囲気と若めの傾向がこの街ではなかなか新鮮な印象を受ける。奥のカウンター前のレコード軍艦島が異彩を放つ。他にも張り子の人形や、アンティークなショウケースや、オバQの鉛筆削りや、崎陽軒の醤油入れ『ひょうちゃん』などが売られている。散々何を買おうか悩んだ挙げ句、初っ端なのに古本ではない、件の醤油入れを500円で購入する。だがこれは、スタンダードな横山隆一作ではなく、何と原田治の絵入りなのである。うぅむ、これは嬉しい。こんな奇妙な物が出ていたのか。ミスマッチも甚だしいところが、全く持って愉快愉快。続いて「天野屋」(2008/12/21参照)に向かい、雑然とした空間と、頻出する古書をウハウハ楽しむ。
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ボール紙表紙本、おぉっ!九鬼紫郎の時代物!渡辺啓助!などと目の保養を済ませてから、河出市民文庫「上林暁集/山本健吉編」を300円で購入する。熊本に所縁ある作家の本が早々に買えたのが嬉しく、ちょっとした役目を果たした気分になる。「ちょっと地元喫茶店に入って一休みしよう」と岡崎氏が提案。賑やかなアーケードの下に入り、地下の喫茶店『珈琲人』に腰を据える。金沢碧のようなご婦人が一人で優しく切り盛りしているお店である。心と身体を小休止させた後に、「舒文堂河島書店」へ。
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来るのは三度目だが、相変わらず豊かな古本屋さんである。店頭+店内前部+店内中央部+店内後部と、まるで四つの異なるお店が連結しているような豊潤さなのである。特に熊本の歴史郷土関連はピカ一。店内前部の棚から、戦前の子供雑誌「幼年倶楽部」などからセレクトした物語をハードカバー合本にした私家本を千円で購入する。その後は近くのホテルにチェックインし、またも一休み(ちなみにこの間、岡崎氏はビールを飲み、サンドイッチで腹ごしらえし、トークに備えていた…)。ベッドに寝転び「上林暁集」の『天草土産』を読む。おぉ、旅先で収穫の古本を読み耽る幸せよ…。午後五時半、ロビーで岡崎氏と落ち合い、アーケード街をそぞろ歩きで抜け、地元デパート『鶴屋』の本館6階で開催されている「第50回鶴屋古書籍販売会」に突入する。ダンス衣装売場と紳士服売場と分け合った場所に、40弱のワゴンを並べ、右と左で老舗と若手がせめぎ合う感じの中規模の古本市である。
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老舗の郷土本の強度も凄まじいが、若手のデパート古本市には珍しい均一ワゴンも魅力的。「本々堂」が出す200均のワゴンから、雄山閣出版「虹男/角田喜久雄」(箱ナシ)を220円で購入する。買物を無事に済ませ、連絡通路からトーク会場へ向かい、午後七時から岡崎氏と縦横無尽に古本屋さんについて話しまくる。いや、やくたいもない古本屋大好きオッサンたちのバカ話をご静聴いただいた、三十人弱の素敵なみなさま、本当にありがとうございました。
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打ち上げでは新鮮なお魚をたくさん食べつつ、「河島書店」御大&若旦那「エターナルブックス」さん「タケシマ文庫」さん「汽水社」さん「グエル書房」さん「古書ワルツ」妹さん(2010/09/18参照。実家が佐賀で帰省中だった)「西海洞」さんらとワイワイガヤガヤ。そしてなんと、北九州からわざわざ古本乙女・カラサキアユミさんも駆け付けていたので、場は更に無闇矢鱈と古本話で盛り上がる。カラサキさんからは、古本市でさっき買ったばかりの、昭和の地元商店広告の裏に丁寧に書かれ綴られた郷土士伝を見せてもらう。もちろん目的は郷土士伝ではなく、その裏の広告チラシたちなのである。相変わらず古本&紙物好きにメーターを振り切っていて、期待を裏切らぬ活躍っぷり。また「西海洞」さんからは、「紙物の山の中に入ってたんだけど…」と、突然古い平成八年の中学生の生徒手帳をプレゼントされる。中を開くと、名前がなんと“古本”さん。嬉しいけど、私はこれをいったいどうすりゃいいんですか!と苦笑しながらありがたく拝受する。
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2019年10月17日

10/17いざ熊本へ!

午前五時四十分起床。旅の準備をわちゃわちゃと進める。荷物は小さなリュック一つにまとめ、結局持って行く本は二冊にする。先述通りのハヤカワポケミス「ゆがめられた昨日/エド・レイシイ」と春陽堂文庫「メリメの手紙/平井呈一譯」。というわけで、これから一路羽田へ向かい、そこで岡崎武志氏と合流し、久しぶりに九州に上陸予定。それでは今晩の出張古本屋トーク、みなさまよろしくお願いいたします!
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■オカタケ&古ツアの古本屋を語り尽くす夜 in 熊本
■10月17日(木)19時より
■くまもと県民交流館パレア10階 第7会議室 熊本市中央区手取本町8-9
■入場無料・申し込不要
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2019年10月16日

10/16装幀:岸田衿子

日が短くなったのもあるが、朝から何だか薄暗い一日であった。夕方近くに国立近辺に流れ着くが、すぐに中央線に飛び乗り三鷹駅に向かってしまう。駅北口を出て北に進み、その道すがらビルの間の空を仰ぎ見ると、重そうな雲の所々に歪な穴が空き、青空がのぞいている…まるで忍野八海を地面の下から仰いでいるみたいだ…そんなことをぼんやり考えていたら、いつの間にか「りんてん舎」(2019/03/30参照)前。珍しく表では何も掴めずに、さらっと店内へ進む。各通路を楽しみながらゆっくり眺めていると、詩集の棚が凄みを増しており、ついつい真剣に一冊ずつ薄い背を追いかけてしまう。藤富保男の素敵なところが…古めの谷川俊太郎も…などとやりながら、さらに古い詩集ゾーンに差し掛かる。ユリイカ 双書 種まく人1「現代詩のイメージ/安藤次男」が献呈署名入りで三千円か…欲しいなぁ、読みたいなぁ…と目次を見ていると、あれ?この本、装幀が岸田衿子なの!?ぐわぁ、ますます欲しくなって来た…だが三千円はちょっと…あれ?端っこにもう一冊同じ本がある。急いで取り出してみると、こっちは献呈署名ナシで、カバーも痛み気味…だが、値段が千円!買います買います!というわけで1100円で購入する。
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思いっきりジャケ買いしてしまったが、最初の論考が志賀直哉の呪いから始まり、とっても面白そう!そんな風に思わぬ岸田衿子関連の一冊を入手し、足取り軽く「水中書店」(2014/01/18参照)へ。こちらでは店頭均一棚から抜き出した、自由国民社「一杯のむときの事典」を百円で購入する。
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表紙の清水崑の絵は何だかセクシー系だが、中身はすべてお酒に関する本。世界の酒場グラビアから始まり、各界通人百人がお酒に関するエッセイを寄稿(谷口千吉・佐野繁次郎・志村立美・北村小松・大下宇陀児・古川緑波・スタルヒン・村山知義・トニー谷・岡本太郎・三木鶏郎などなど、なかなかたまらないラインナップに加え、本文内のカットと漫画はすべて辻まことが手掛けている)と、興味津々読ませる内容。三鷹で途中下車して良かった!とニヤニヤしながら帰宅する。

ところで、ついこの間、岡崎武志氏と訪れたばかりの栃木の「吉本書店」(2010/12/25&2019/09/10参照)が、先日の台風十九号による水害に遭い、古本がかなり犠牲になってしまったとのこと。現在大変な片付けに追われているが、近場の古本屋仲間が力を合わせ、復旧に向けて奮闘の真っ最中である。だが実店舗は残念ながら、これを機に閉店されるらしい。ネットに上がった写真を見ると、もはや諦めざるを得ない、仕方のない惨状である。こんな閉店の仕方は決して本意ではないでしょうが、それでも長い間本当にお疲れさまでした。店番を続けてくれていた、ご高齢のお母さまにも感謝である。もちろん「吉本書店」自体は残り、ネット販売や催事は続けて行かれるので、今後ともバッタリ何処かでお見かけしたら、古本を購入していくつもりである。ファイト、吉本書店!
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2019年10月15日

10/15待ちながら古本と戯れた一日。

今日はデザイン仕事にかかりっきりになるつもりで、素材が到着したり連絡があったりを朝から待っているのだが、どこからも何の音沙汰もない…すべては俺の妄想なのか?と思うくらい未だに連絡がないのである。というわけでジリジリと家でじれまくっていても仕方ないので、野暮用を済ませがてら高円寺までテクり、古本屋さんを覗いて行く。「大石書店」(2010/03/08参照)では店頭ワゴンに講談社の絵本シリーズが出ていたので、何かあるかなと探ってみると、おっ!「ドリトル先生アフリカ行き/絵・矢車涼 文・土家由岐雄」が出て来たので、喜んで百円で購入する。ちょっとバタ臭いブタ鼻のドリトル先生だが、これはこれで人間臭くて味わい深い。あぁ、良い古本を安値で買えば、モヤモヤや杞憂が見事に霧散して行く。何という不可思議な精神安定剤か…そんなことを考えながら『庚申通り』を北へ進み、「DORAMA高円寺庚申通り店」では、朝日新聞社「村上朝日堂の逆襲/村上春樹・安西水丸」を110円で購入。何故か外国人客が店内ではしゃいでいる「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)では、白川書院「聞書アラカン一代 鞍馬天狗のおじさんは/嵐寛寿郎+竹中労」を200円で購入する。そんな風に古本を買って過ごし、気分よく家に戻っても、仕事関連は相変わらず何の音沙汰もなし。仕方ないので押入れをちょっと掘り返して、一体何冊持っているのかと思ってしまう、野呂邦暢「海辺の広い庭」を見つけたりして、瞬間楽しむ。それに飽きたら、いよいよ後二日に迫った熊本行きのために、機中&車中読書のために持って行く本を選ぼうと大いに悩む。…ううぅ〜ん、そうだ!ここはタイちゃん(殿山泰司)の顰に倣い、旅先でもフハフハとミステリを読むことにしよう…となると、ポケミス辺りが最適か。そう決めて、何冊かのペーパーバック本を古本の山の中から掘り出す。よし、田中小実昌訳の「ゆがめられた昨日/エド・レイシイ」に決めた!まぁ、旅行中に読了出来るかは分からないし、旅先では何冊の古本を買ってしまうか不明だが、この本を中心にして楽しんで行くことにしよう…などとしていても、結局連絡はひとつも来ない…こりゃぁいったいどうなってるんだ…。
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余談をひとつ。昨日から群馬県沼田の古本屋さん「レン太くん」(2013/02/10参照)の検索が急上昇している。不審に思って調べてみると、なんと14日に店内で殺人事件が発生したらしい。うひゃぁ、古本屋殺人事件…一日も早く真相が解明され、犯人が捕まることを、心の底から願うばかりである。
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2019年10月14日

10/14古本に温められる。

何だか週末の台風とつながっているような、雨降りの月曜日。突然の秋の寒さに震えながら、午後に南荻窪に流れ着く。早く家に帰って暖をとりたいのはやまやまだが、やはり古本は買って帰らねばなるまい。というわけで駅方面にピタピタと向かい、均一台にブルーシートを掛けた雨仕様の「竹陽書房」(2008/08/23参照)に立ち寄る。そのブルーシートを捲り、七十年代のスヌーピー雑誌を二冊抜き取り、暖かな店内に滑り込む。壁棚&通路棚をゆっくり何も見逃さぬよう落ち着いて見て行くと、すぐに購入候補本が何冊もリストアップされる。だが、左側通路の奥に達した時に、壁棚上段にちょっと古い本が少し並んでいるのが目に留まる…古本オーラが放たれている…と勝手に感じ取り、その中の深海のような濃紺革装釘の本を抜き出す。おっ、第一書房「ポオル・フオル詩抄/堀口大學譯」か。
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何と可愛らしく手に馴染む美しい本なのか。そう感心しながらページを開くと、うぎゃっ!扉の前の遊び紙に、堀口大学の墨書署名が入っているじゃないかっ!
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函はないが、これは何が何でも買わねばならぬ!と慌てて後見返しの値段を確認すると、これが奇跡の800円。先ほどのツル・コミック社「SNOOPY OCTOBER NOVEMBER」とともに計1000円で購入する。すると帳場の奥さまに「表の本、シートで塞いじゃってて、すみません。今日は雨がね…」と丁寧に言われるが、すでに大物を手に入れた私は、今や何を言われてもえびす顔なのである。そんな風に、お店と古本ですっかり温まり、どうにか阿佐ヶ谷に帰り着くと、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)店頭棚の雨除けビニールシート越しに、気になる少女漫画を見出してしまう。集英社りぼんマスコットコミックス「おじゃまさんリュリュ/大矢ちき」じゃないか。カバーが少し傷んでいるが、110円で大矢ちきが読めるのなら安いものだ。クリップを外してビニールシートを捲って、横合いから手を伸ばして本を取り出し、店内で今日はバイトさんが店番中のレジにて購入する。
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2019年10月13日

10/13一日早い定点観測+α!

台風が過ぎ去ったのに秋は来ず、十月の街は、まるで夏の海辺のような陽気である。昨日計画運休した電車網は、まだあまり復旧していない。強い日射しを浴びながら、両の足を頼りにまずは荻窪へと向かい、一日早い定点観測に取りかかる。「ささま書店」(2018/08/20参照)店頭の交通網の乱れに屈せぬ古本修羅たちの姿に驚きながら、「藍書店」(2018/12/29参照)で平河出版社「魔法修業/W・E・バトラー」を330円で購入する。これでいつものように家に引き返してしまうのは、何だかもったいない気がするので、駅北口へと向かい、動き始めたガラ空きの電車が走る線路下を潜って北口に向かい、石神井公園駅行きのバスに乗り込んでしまう。車中でハヤカワポケミス「野獣死すべし/ニコラス・ブレイク」を読了し、江戸川乱歩の巻末解説で、この名漢文調タイトル『野獣死すべし(原題:The Beast must Die)』が、乱歩譯であることを初めて知り、乱歩の偉大さを再確認する。およそ三十分弱で石神井公園駅着。裏路地の「きさらぎ文庫」(2009/01/21参照)をまずは覗き込み、創元推理文庫「吠える犬/E・S・ガードナー」(再版)を百円で購入する。そのまま繁華な商店街を突き進み「草思堂書店」(2008/07/28参照)へ。徳間文庫「真っ赤な犬/日影丈吉」をこれまた百円で購入する。そしてここまで来たのなら、やはり大好きな「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)をチェックして行かなければと、保谷まで移動。車に脅かされる駅前通りを伝って店頭に食らいつく。素早く視線を素晴らしいスピードで疾駆させ、たちまち手の中に四冊を収める。小沢書店「吉田一穂の世界/吉田美和子」八雲井書院「五代教祖の実像 霊友、佼成、PL、メシヤ、生長の内幕」成山堂書店「自衛官への道 防衛庁監修(昭和三十九年版)」北隆館出版部「日本動物圖鑑 日本植物圖鑑 内容見本」を計440円で購入する。「日本動物圖鑑 日本植物圖鑑 内容見本」は大正十五年刊の図鑑の内容見本小冊子。動物圖鑑の冒頭には蝶の美しいカラー口絵が付いているが、植物圖鑑の口絵は著者・牧野富太郎のポートレートが!これは嬉しや。
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概ね満足しながら中村橋に至り、最後に「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)を覗く。店内で棚を見ていると、突然背後で本が落ちる音が。私が落としたのではないのだが、取りあえず棚に戻しておこうと拾い上げると、レジの店主がそれを見て駆け寄り「お手が汚れてしまいます」と本を受け取る…いや、そんな大したもんじゃないですよと、何だか照れる。そして中央通路の食関連の棚で、企業PR誌の「洋酒天国」(十冊弱)「嗜好」(三十冊弱)「サッポロ」(二十冊弱)がぞろっと並んでいるのに出くわす。「洋酒天国」は800円均一。ミステリー特集が紛れ込んでいないか探してみるが、残念ながらナシ。「嗜好」も取り出しちょっと目次を確認してみるが、いまいちピンと来ない。そこで「サッポロ」の目次に目をやると、最初で上手く引き当てた形で、大坪砂男のコント的小説が載っているではないか!おぉ!と色めき立ち、残りの冊子の目次にも懸命に目を通す。すると城昌幸の小品スリラーも発見!日本麦酒株式会社「サッポロ6号」「サッポロ19号」を計600円で購入する。大坪の「ビヤホール風景」は、四ページに二編のコント小説が上下に分かれて掲載されている。読んでみると、タイトル通り同じビヤホールにいる人物たちの物語が、巧みにクロスし、そこはかとない感動を呼び起こす佳品であった。薔薇十字社「大坪砂男全集」には収録されていないが、創元推理文庫の「大坪砂男全集」に初収録されている模様。
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2019年10月12日

10/12和田誠についてちょっと考える。

巨大台風により、一日中家に雪隠詰めになることが決定しているので、当然古本屋さんには行くことが出来ない(臨時休業のお店も多い)。だから思う存分読書でもして過ごすつもりなのだが、昨日、偉大なイラストレーター・和田誠が天に召されてしまったので、勝手にその莫大な仕事の恩恵を浴び続けた者として、少し書き付けておくことにする。和田誠は、あらゆる形で常に身近に存在していた。一番大きな形はイラストレーターとしてであるが、その他にも文筆家として(「銀座界隈ドキドキの日々」は素晴らしい半自伝的作品。だが七十年代にライバルとも言えるデザイナーやイラストレーターやアーティストに自ら行ったインタビューをまとめた「デザイン街路図」が白眉であろうか)、映画監督として(私にとってのベストを挙げるとしたら、初々しく尖り映画好きとして力瘤の入りまくっている『麻雀放浪記』。折りに触れて何度か観て、最終的に好きになった)、デザイナーとして(水色と白抜き文字が鮮烈な煙草『ハイライト』のパッケージは永遠の名作である。あっ!そう言えば代々木上原の古本屋さん「ロスパぺロテス」(2008/07/14参照)の看板犬をモチーフにしたロゴは、和田誠のデザインであった)、装幀家として(自ら描くイラストとともに、『和田フォント』と言えるような独特の文字で描くタイトルは、秩序あるフリーハンドで作り上げられた、静かで穏やかな小宇宙である。余談になるが、映画『蒲田行進曲』を観ていると、ラストのメタ的展開を見せる大団円時に掲げられる『蒲田行進曲』のパネル文字を見る度に「あっ!和田誠の字だ!」と愚かにも喜んでしまうのだ)、作曲家として、活躍し続け作品を生み出していたのだから、当然のことである。作家性を大量の仕事で突き詰め過ぎ、もはや“和田誠”という職人の域に達していたかのようで、その結果獲得した多くの人たちが見知る、マンネリとは異なる安心感とも言えるような普遍性を思うと、何だか恐ろしくなって来る。そんなことを考えながら、身の回りを見てみると、私が持っている和田誠の作品は、児童文学や絵本が圧倒的に多い事が分かる。目に付いた本を手近に引き寄せてみると、「ぼくのおじさん」「よわむしおばけ」「しのはきょろきょろ」「このえほん」…前二作は北杜夫、後二作は谷川俊太郎とのコンビで生み出された作品である。
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どれも七十年代のもので、すでに現在の和田誠と変わらぬタッチとクオリティが展開されているのがまた恐ろしい。あ、この土屋耕一の文庫本「軽い機敏な仔猫何匹いるか」も装幀が和田誠か…とたちまち手元に積み上がって行く。とここで、脳内に何か引っ掛かる言葉が、淀んだ記憶の底の方から浮かび上がって来た…それは“アーリー和田誠”…………そうか、あれがあった!と児童文学ゾーンから、さらなる一冊の裸本を引き出す。理論社「ノコ星ノコくん/寺村輝夫・作 和田誠・絵」である(2017/10/26参照)。1965年刊のSF風物語で、その挿絵が、和田誠のイラストでありながら、ちょっとスヌーピーのシュルツ風であったり、レオ・レオーニ的構成であったりと、あまり見たことのないプリティーな感じなのである。1965年と言えば、和田はまだ独立しておらず、ライト・パブリシティに勤めている時代。グラフィックデザイナーとしての自分が、恐らく活動の中心であったはずである。これが私の持っている、一番古い和田誠の作品であることは間違いない。これからも、大事に愛でて行くことにしよう。
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こんな風にして、これからもこの世界には、和田誠の何かの作品が、色々な形で、長く普く存在し続けるのだろう。巨人は旅立ったが、彼の手から生まれた線は、生き生きと残っていくのだ…。外の風雨が段々と激しくなって来た。そろそろ読書に没頭しよう。まずは、「ノコ星ノコくん」でも、挿絵を楽しみながらもう一度読むことにするか。
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2019年10月11日

10/11台風が来る前に横田順彌追悼展を観に行く。

巨大台風接近に伴い、段々雲行きが怪しくなって来た、十月の金曜日の午前九時。神保町パトロールを兼ね、「東京古書会館2F情報コーナー」で今日からスタートする、『横田順彌・ヨコジュンのびっくりハウス 横田順彌追悼展』を観に行くことにする。新宿まではすし詰めの中央線に乗り、途中四ツ谷駅で総武線に乗り換え、水道橋駅に午前九時四十九分着。少し雨粒の落ちる『白山通り』を南へ歩いて行く。銀杏が白く踏み潰された歩道をさらに踏み締め、テクリテクリ。今のところ古本は買えていない…『靖国通り』に入る。「明倫館書店」(2012/04/04参照)は、珍しく店頭ワゴンがスカスカな光景を見せている。どうやらこれからドカドカと補充するようだ。結局「田村書店」(2010/12/21参照)店頭台に早くも行き着いてしまう。まだあまり人が手を付けていないようだ。その上人の気配もない…で、じっくりと見る。日本文学が多い…そう感じながら、薄手の詩集を一冊抜き出す。大正十五年刊の新潮社「情艶詩集/佐藤惣之助」である。背の金文字もピカピカで美しく、表紙の青赤の波模様もバタ臭く鮮烈である。中の数編に目を通すと、選ばれた言葉たちが、美しく尖りながら、都会の中を跳梁跋扈している。これは俺の求めていた佐藤惣之助だ!と即座に確信し、1200円で購入する。続いて「慶文堂書店」(2012/01/14参照)に立ち寄ると、端っこのワゴンに明治&大正の雑誌がちょっと放り出されていた。大正十一年刊の趣味の雑誌、土の鈴會「土の鈴 第十二輯(地蔵號)」を手に取る。文字通り“地蔵”を特集しており、表紙は地蔵の胸掛を再現した凝った仕様。その上カラー口絵があり、絵葉書が挟み込まれたり、折り込み図解があったりと、ただならぬ編集者の意気込みを感じながら目次に目を通すと、おぉぉぉっ!何と南方熊楠が寄稿しているではないか!良く見たら佐々木喜善も!と大喜びで300円で購入する。
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後は「東京古書会館」(2010/03/10参照)に一直線。二階への階段をカタコト上がると、受付には『日本古典SF研究會』会長の北原尚彦氏と会員の一人である「盛林堂書房」小野氏が座っており、にこやかに浅田飴を渡してくれた。横田氏の名駄洒落フレーズ『朝だ。雨だがふっている。朝だ雨だ。』に因む、株式会社浅田飴の粋な計らいである。さらに受付脇の長テーブルには、まるで書店のように横田氏の著作が山と積み上げられている。遺族からご好意で、一冊好きなものをいただけるとのこと。うむむ、こりゃスゴい(飴も本もなくなり次第終了)。そして展示もスゴいことになっている。ハチャハチャSF作家、古典SF研究家、押川春浪&天狗倶楽部研究家、SFファン、落語&野球ファンなど、様々な方角からの濃密な展示で、横田順彌という偉人を炙り出している。「宇宙塵」がぁ!「冒険世界」がぁ!天狗倶楽部の資料がぁ!「超革命的中学生集団」平井和正識語献呈署名本が泣ける…などと一渡り眺めたところで、北原氏に中央テーブルに置かれたスケッチブックに横田氏へのメッセージを書くよう促される。まだ誰も書いていないので、火付け役に任命されたようである。もにゃもにゃとどうにか書き付け、本はピラールプレスの「近代日本奇想小説史 入門編」をいただくことにする。さらに小野氏からは日本古典SF研究會「未来趣味 増刊 横田順彌追悼號」(ぶ、分厚い!盛林堂の店頭&通販サイトで発売中)をいただく。この展示は10/19(土)まで。そのまま地下の会館展に向かい、しゃがんで古書の棚を眺めていると、いつの間にかついさっきまで二階受付に座っていたはずの北原氏に、後を取られてしまっていた!どうやらというか当然というか、早く見に来たくてしょうがなかったらしい。「昼から小野さんが入札があるんで、今のうちに、ね…」。たちまち本を一冊二冊と抜き取って、奥の古本修羅ゴミに紛れて行った…。こちらもじっくりと棚を見て回るが、実は地上で買った佐藤惣之助と熊楠論文掲載の冊子で大いに満足してしまっているので、あまり古本心ががっつかないのだ。結局、宝文館「現代詩の実験」に北園克衛の論考が掲載されていたので、これを200円で購入し、地上へと帰還する。
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2019年10月10日

10/10つながる古本。

段々と空が曇り始めた午後に吉祥寺に流れ着いたので、古本屋さんを伝いながら駅へと向かう。まずは「バサラブックス」(2015/03/28参照)で角川書店「甦る「幻影城」?」を300円で購入し、最終的にいつもの如く「よみた屋」(2014/08/29参照)にたどり着く。おっ、早速面白い本発見!毎日新聞社「社会の窓/えのきどいちろう」は1990年に刊行された『サンデー毎日』連載のエッセイをまとめたもの。アーリー・えのきどいちろうな単行本である。本文の挿絵は、これもアーリーなナンシー関の消しゴム版画。こういう本は、手に入れようとすると、意外に苦労するんだよな。というわけで迷わず確保すると、続いて表紙の取れたカバーナシの本が目に留まる。朝日新聞社「ロンドンー東京 五万キロ 国産車ドライブ記/辻豊・土橋一」は朝日新聞社の記者とカメラマンがトヨペットに乗り込み、特派員としてロンドンから東京までを旅する旅行記である。実はこの旅行記、先日同じ吉祥寺の「一日」(2017/08/11参照)で掘り出した、「東京―パリ バイク無銭旅行」(2019/09/04参照)とリンクしているのだ。
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同じ昭和三十一年に、片や東京からバイクでパリを目指し、片やロンドンからトヨペットで東京を目指し、それぞれの道をひた走る、そして偶然にも、無銭旅行のバイク乗り兄弟と、国産車で東を目指す特派員記者&カメラマンは、トルコのホテルで偶然にもその旅路を交錯させていたのである。この出会いは、それぞれの単行本のトルコ国の項目に、ちゃんと記されているのだ。おぉ、六十年前の無謀な旅路の交錯が、現代の吉祥寺で偶然つながったのである。さらに続いて偕成社「雨の動物園 私の博物誌/舟崎克彦」を手にする。作者の子供時代〜青春時代を自然や動植物を核に描く随筆集であるが、これは完全に朝日新聞社「わたしの博物誌/串田孫一」へのリスペクト単行本ではないか。現物を手にして初めて感じ取れる確信である。解説は矢川澄子。と言うわけで以上の三冊を計330円で購入し、ニコニコと帰宅する。
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左が昭和三十八年刊の「わたしの博物誌」。装幀や挿絵は辻まことである。

さて、お知らせです。
1. そろそろ発売の「本の雑誌 ナス天にらめっこ号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、阿佐ヶ谷に見事復活した「ネオ書房」を早速取材。復活した途端にお店にハマってしまった顛末が描かれていますので、皆様もこれを読んで、どうか「ネオ書房」に向かって下さい!

2. そしていよいよついに、後一週間後となりました。まだ熊本に行くなんて実感がありませんが、一週間後には九州の大地に立っていることでしょう。よろしくお願いいたします!
■オカタケ&古ツアの古本屋を語り尽くす夜 in 熊本
■10月17日(木)19時より
■くまもと県民交流館パレア10階 第7会議室 熊本
市中央区手取本町8-9
■入場無料・申し込不要
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2019年10月08日

10/8十月の盛林堂・イレギュラーズ

朝から一仕事をテキパキ片付けて、午前十時半に外出。涼しいんだか暑いんだか分からぬ街を進み、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。今日は2019/09/24の続きの、盛林堂・イレギュラーズとしての任務遂行日なのである。店頭&店内を眺めていると、店前にレンタカーの白いワンボックスが滑り込んで来た。盛林堂号に代わり、古本をよりたくさん運んでくれる強力な助っ人である。いつものように店主・小野氏がハンドルを握り、午前十一時過ぎに千葉県某所に向けて出発。前回のような首都高渋滞地獄を避けるために、素早く行動し、素早く帰還しようという目論見なのである。早速そんな作戦が功を奏し、午後一時には現場に到着する。依頼主と二週間ぶりの挨拶を済ませたら、すぐさま作業に取りかかり、小野氏は残りの本の結束に集中し、私は通路奥に溜めていた本束や新しく出来上がる本束を、まずは書庫の入口にプールし、その後台所や直角に曲がる廊下を経由して、運び出しやすいように玄関に本束を積み上げて行く作業を進めて行く。動線の確保が難しいのだが、そこは上手く呼吸を合わせ、お互いの作業を邪魔せぬよう黙々と仕事する。午後三時にはスムーズにそれらの作業が終了し、およそ七千冊の本をドシドシと荷台に積み上げて行く。もう少し余裕があるかと思ったら、あっという間に上部を残して満杯に…やはり立派な書庫を持っている人の本の量は凄まじいものがある。棚に入っている時と、まったく物量としての規模が合わないのが、本という物体の不思議なところである。
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猛烈に重い本たちと闘ったので、身体の各所に乳酸を溜めながら、午後四時には現場を無事に離れる。渋滞に巻込まれぬことを祈りながら、早くも首都高に入ると、これが奇跡のように車が流れており、首都“高速”道路の名に恥じぬ、スピードが出せるスムーズさなのである。おかげで今回はそれほどバカ話に興じることなく、何と一時間弱で西荻窪着。倉庫に最後の力を発揮して、古本をドカドカと下ろしまくり、午後六時前に任務を終了する。ふぅ、お疲れさまでした。レンタカーを返し、「盛林堂書房」に向かうと、そこでは二冊の今日の作業を労うご褒美本が待ってくれていた。一冊はちょっと背が危うくてボロいが、大正二年刊の磯部甲陽堂「少年軍事探偵/三津木春影」である。ふぉぅ!三津木春影が我が手に!序文は押川春浪で、予備陸軍少尉と紅顔の中學生と海軍大佐の令嬢が、東京に潜む間諜團と横濱に空中に雪中高田に横須賀に北京にと、縦横無尽に活躍するお話らしい。うひょぅ、面白そう。早く読みたいっ!そしてもう一冊は、盛林堂ミステリアス文庫の新刊、ショートショート作家・高井信氏の単行本未収録作品集「見知らぬ他人」である(しかしこの本は、ショートショート集ではなく短篇集という意外な展開)。心の意表を突くような物語たちが並んでいるが、巻末に並ぶ解説者たちの名も意表を突いて来る。井上雅彦、江坂遊、草上仁…なんだ、この無闇に物凄い豪華さは!また、YOUCHAN氏が手掛けるカバーデザインが、イラスト含めどうにもコケティッシュで、一デザイナーとして畏れ多くも大いに嫉妬する。
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2019年10月07日

10/7三日間の古本小規模活動

ここ三日ばかりの小規模な古本活動をまとめてご報告。一昨日は花小金井からの帰りに、下車駅の鷺ノ宮で「うつぎ書房」(2008/08/06参照)を久々に覗いて行こうと思ったら、無情にもシャッターが下りている。夕方に閉まっているのは珍しいなと思いつつ、諦めてそのまま『早稲田通り』方面へ。関東バス阿佐ヶ谷営業所斜向いの「古本 ブック流通センター」(2008/08/09参照)を、これも随分久しぶりに訪れる。すると珍しいことに先客がおり、古本を買物している…私以外の人間がここで古本を買っているのを、初めて見た!と小さな感動を胸の内にこっそり湧き立てつつ、ちくま日本文学全集「尾崎翠」を200円で購入する。昨日は下井草からの帰りに、阿佐ヶ谷『中杉通り』沿いの「J-house」(2015/12/26参照)に立ち寄る。…今日は古本は出ていないか…と言うわけで気まぐれにレコード箱を漁ってみることにする。やけに聖飢魔Uのレコードが多いなと感じつつ、LPレコード束の下部に潜んでいたシングルレコードの塊を引っ張り出す。多くは八十年代アイドルのものであるが、その中に戸川純「レーダーマン」が混ざっていた。おぉ、懐かしきニューウェーブの密やかな女王!と喜び110円で購入する。
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そして本日は月曜恒例の定点観測で荻窪へ、長袖シャツでテクテク。「ささま書店」(2018/08/20参照)でダヴィッド社「シナリオ修業/新藤兼人」宝文館「武蔵野 日本の風土記/上林暁編」を選んで帳場に差し出すと、折しもお店は5%値引セール中。二冊を計210円で購入する。そのまま街の奥へトコトコ歩き「藍書店」(2018/12/29参照)へ。店頭のラインナップに変化があり、新鮮な気分。まずはカバーナシのポプラ社「櫻貝/吉屋信子」を選び、さらに目を光らせて行く。すると入口横ラック棚の最下段に、ワイズ出版「海のタッチ/鈴木翁二」を発見する。店頭で見かけるなんてラッキーだなと思いつつ早速手にする。さらに見返しを見ると、太いマジックで書かれたサイン入りであった。こりゃぁ更にラッキーだ!と計550円で購入する。
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2019年10月04日

10/4 1915年の秦テルヲ!

今日も朝から雨の音を聞き続けながら古本と格闘し、三十冊強をダンボール詰めにする。やがて雨が止み、強い風だけが残った日射しの強い午後に、そのダンボールをエイコラと抱え込み、郵便局へ向かう。窓口のお姉さんの手と力を煩わし、大阪に古本を送る。明日には到着するはずなので、しばらくしたら古書コンシェルジュさんの手を経て、棚に並び始めることでしょう。今回も良い本変な本面白い本詰め込みましたので、大阪「梅田蔦屋書店」の古ツア棚を引き続きよろしくお願いいたします。そのままの足で住宅街の中に分け入り、坂道を下り、空が強風で轟く音を耳にしながら、コンクリで護岸された妙正寺川を渡る。坂道を上がり、さらなる住宅街の中に分け入り、やがて『都立家政商店街』にたどり着く。そこを北に遡上し目指すのは「ブックマート都立家政店」(2011/12/13参照)である。今日は面白い出物が見つかるだろうか…そうワクワクしながら、古本と古着と雑貨とパネル漫画が混在するカオスな店頭に近付き、もはや聴き慣れた感のあるお店オリジナルのメタル曲を強制的に聴かされ続けながら、店頭棚に熱い視線を送る。すると棚最下段に、横積みになった古雑誌の小山があった。取り出してみると、古い俳句雑誌などだが…おぉ!明治時代の「文章世界」が出て来た!それに、表紙が何故か「文藝倶楽部」の「新小説」…やった「日本少年」までもが出て来た!と、予想通りの出物に大いに気を良くする。店内では青年が店員さんに「ここ、面白いお店ですねぇ〜」と嬉しそうに語りかけている。確かにここは、予想外の物が買えてしまう、面白いお店だ!とその意見に激しく同意しながら、博文館「文章世界」明治四十年十月號・大正四年九月號、実業之日本社「日本少年 大正六年一月號」春陽堂「新小説 明治四十年三月號」を計430円で購入する。
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「新小説」には鏡花の『吉原新話』が八十ページに渡り掲載。「日本少年」の『事實綺譚 三十萬円の金剛石』とか『冒険小説 怪頭號』とか『寫真小説 無線電信』もたまらない。そして「文章世界 九月號」の口絵は、なんとデカダン画家の秦テルヲの作品『女』がっ!絵には署名の横に『1915』とあるから、雑誌発行の大正四年と同じいうことで、網点の印刷物ではあるが、その時代を生きるテルヲの熱っぽい体温が伝わって来るようだ。うぅっ、430円でこんなに興奮出来るなんて、楽しいなぁ。
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そして本文ページを繰っていると、さらにモノクロの挿絵も掲載されていた。
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サーカス団の女玉乗り師の図!ステキ!
posted by tokusan at 16:09| Comment(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月03日

10/3熊本行まで二週間!

昨日は午後二時過ぎに東小金井の南に流れ着いたので、久々の「尾花屋」(2017/06/15参照)を楽しもうと新小金井に向かうと、シャッター半開きの刑…これは、ちょっと待っていたくらいでは開かないようだ。スパッと諦め、進路を東に採る。テクテクテクテク武蔵境まで歩いて、「プリシアター・ポストシアター」(2015/01/03参照)へ。やった、開いている。道路側の百均ワゴンに近付くと、そのほとんどがペーパバック。
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良く見ると、007やクリスティやフリーマンが混ざっているので、表紙を見ているだけでちょっと楽しい。その中に「ドゥリトル先生物語」と言う英和対訳本も含まれていたので取り出してみると、おぉ!やはり「ドリトル先生」ではないか。これはぜひ買っておこうと抱え込んで店内へ。店主さんに「おや、久しぶり」と笑顔で迎えられる。消費税が上がったので、打刻に戸惑うレジ操作で精算していただく。南雲堂不死鳥文庫「ドゥリトル先生物語/ロフティング・成田成寿訳」河出文庫「澁澤龍彦初期小説集」大日本図書「よるのねこ/ダーロフ・イプカー」を計575円で購入する。家に戻った後は即座に再び外出し、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に不要本を売りに行く。「もう単行本くらいは持てるようになりましたよ」と骨折からの回復ぶりを店主・天野氏に嬉しそうにアピールされ(もうすぐ全快。良かった!)、消費税の話や今まで悩まされて来た大量の一円玉の話などなど。そして本日は吉祥寺に午後二時に流れ着いたので、いつものように「よみた屋」(2014/08/29参照)へフラリ。灰谷健次郎がたくさん出されている店頭棚から、河出書房「ブラキストン線を越えて/森澤昌輝」(カバーナシ)のら書店「うみぼうやとうみぼうず/山下明生作 長新太絵」岩谷書店「宝石 昭和三十一年二月号」を選び、計330円で購入する。「宝石」の表2広告には、東映映画の「拳銃対拳銃」が載っている。『地獄の街角に佇む 仮面のギャング ウェスタンの秀!!』『妖艶・赤い服の女!抱擁のかげに光る復讐の眠!』などとB級感漂う胡散臭いキャッチが踊っているのだが、あれ!原作は山田風太郎&高木彬光「悪魔の群」(と広告にはあるが「悪霊の群」が正しいはず)なのか。…途端に無性に観たくなって来たぞ!
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いよいよ熊本行まで後二週間。みなさま、10/17(木)の夜は、古本屋の話ばかりのトークショーを、どうにかして聴きに来て下さい!よろしくお願いいたします!
■オカタケ&古ツアの古本屋を語り尽くす夜 in 熊本
■10月17日(木)19時より
■くまもと県民交流館パレア10階 第7会議室 熊本市中央区手取本町8-9
■入場無料・申し込不要
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posted by tokusan at 18:43| Comment(4) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月01日

10/1古本をあちこち移動させた一日。

昨日の宵の口のこと。表に出たついでに高円寺「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に立ち寄り、店頭で蚊と闘いながら二冊を選んで店内へ。21世紀ブックス「都市ゲリラ/小山内宏」(献呈署名入り)萬里閣「たたずまひ/佐多稲子」を計200円で購入すると、店主の粟生田さんに「本ばっかり買ってないで、たまにはタピオカ買った方がいいですよ」と言われる。「な、な、な、なんで唐突にタピオカなんですか」と聞くと。今高円寺に九店ものタピオカ店が乱立し、その闘いに知り合いも参戦しているとのこと。タピオカか…恥ずかしながら、一度も飲んだことないんだよな…多分これからも飲まないんだろうな…これから寒くなるし(そしたら「冬はホットタピオカです。アハハハハ」と粟生田さんに言われる)…「か、考えときます」とお店を後にする。

本日は家で原稿を書いたり、たっぷりと仕事のやり取りをして、午後四時過ぎに外出。西荻窪「盛林堂書房」82012/01/06参照)に飛び込み、パシフィカ「シャイニング上・下/スティーヴン・キング」(再版の映画スチール版カバー)を計200円で購入しつつ、「フォニャルフ」に景気よく補充する。新興藝術派叢書や城左門「近世無頼」など並べていますので、お近くにお寄りの際はお手に取ってご覧下さい!

そして家に戻り、大阪「梅田蔦屋書店」古書コンシェルジュさんからのメールにより、古ツア棚が『4thラウンジ』の壁ではなく、『ホビー・スポーツ』エリア横と『ガーデンラウンジ』内に移動したことを知る。以前と違い、常時閲覧出来る状態になったそうなので、いつでも立ち寄りお楽しみいただければ幸いです。というわけで、昨日戻って来た分や、先月売り上げた分を埋め合わせるべく、本の選定に取りかかり、我を忘れて『選ばなければ、選ばなければ、もっと面白い本を!』と奇妙に焦りながら小一時間ほど奮闘してしまったので、暗い部屋の通路隅に選定本を積み上げひと休み。これで二十冊強か。もうちょっと必要だな。ただし送り出す時に、あまり重くならぬよう気をつけなければ…。
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posted by tokusan at 19:59| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月30日

9/30出戻り本と定点観測。

朝から仕事していると、玄関のベルが鳴る。午前中に人が訪ねて来るのは珍しいなと思いつつ、ちょっとドキドキしながら扉を開ける。そこにいたのは、重そうなダンボール箱を抱えた、宅急便配達人。どうやら大阪から本が届いたようだ。「梅田蔦屋書店」(2016/11/14参照)の『4thラウンジ』というカフェの壁棚で、長らく古書を販売させてもらっているのだが、そこでかなり長い間売れずに残っていた本を、棚の新陳代謝のために送り返してもらったのである。その数、およそ三十冊ほど。つまりこの分だけ棚が開いたので、早々に三十冊余の新古本を、大阪に送らねばならぬのだ…が、頑張ります!ダンボールを開けると、何だか懐かしい本や、こんなの持ってたっけ?といういような本がギッシリ詰まっている。黒白書房「近世快人傳/夢野久作」(函ナシ)なんて、いつかの「みちくさ市」で激安値で売ったはずなのに、何故ここに?…二冊持っていたということか…まぁせっかく出戻って来たんだ、大事にしよう、と寝床脇の本タワーの上にソッと置く。これらの本は、しばらく寝かせたり、また別の本と組み合わせて販売すれば、動くこともあるだろう。ただ、また大阪に送ってしまわぬよう、気をつけて分けておこう。
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「近世快人傳」の本扉。探偵小説の装幀も多く手掛けた山下謙一のナイスなデザインワーク!

そんなことをしていたら、いつの間にか午前十一時。定点観測に向かう時間だ。慌てて身支度を済ませ、ビーサンを引っかけて夏のような表に飛び出す。ペタペタ歩いて荻窪「ささま書店」(2019/08/20参照)。七分で遅れているのに誰もいない。いつものように目玉に古本魂を集中させ、本をじっくり吟味して行く。角川文庫「黄色い犬」「男の首」ともにジョルジュ・シムノン、三月書房「聞きかじり 見かじり 読みかじり/坂東三津五郎」冨山房「天然記念物開設/三好學」を計648円で購入する。「聞きかじり見かじり 読みかじり」は参百部限定特装本の内、第番外十三番本の布装本(つまり参百番の中には含まれない別枠ってこと?ややこしい…)で、ちゃんと八代目三津五郎の署名入りである。大正十五年刊の「天然記念物解説」はその名の通り、当時の日本の天然記念物の實例を写真豊富に細かく解説する五百ページ余の大著である。写真を見ているだけでも楽しい。それにしても、無くなっているのも、多そうだな…。
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この厳めしさと金文字がまたワンダフル!

そして買った古本袋のなかには、一枚のちらしがソッと忍ばせてあった。取り出し広げてみると、十月の営業カレンダーとともに、『読書の秋 5%値引きSALE』のお知らせが!十月から非道にも10%に上がる消費税対策の一環であろうか。10/2(水)〜10/31(木)まで、ほぼ一ヶ月に渡り、店舗の商品が値引対象となるようだ。よ〜〜〜し、いつものように、買ってやる!
posted by tokusan at 13:44| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月28日

9/28Peroさんの挿絵!

正午過ぎの国立に流れ着いたので、裏路地の「飛葉堂」(2018/10/24参照)を見に行くことにする。すると開店はしているが、以前とちょっと様子が変わっている。表に百均ワゴンが出ていない。それに左側のガラス窓際の棚が姿を消し、ただのディスプレイ棚になっている。いったいどうしたのだろう…と心配しながら自動ドアを潜ると、目の前に百均ワゴンが現れたので、まずは抱いたばかりの心配をよそに、文庫の列に視線を落とす。するとたちまち、一冊二冊と掴み取る。これで古本心が多少落ち着いたので、今まで古本が並んでいた左側ゾーンに視線を移すと、フロア棚は無くなり、窓際の棚も消えている状況。ただ窓際下部には文庫を詰めた木箱が積み上げられている。そして以前フロア棚裏側にあった児童文学や絵本は、中央棚の文庫が並んでいた部分に移されていた…恐らく奥のカフェスペースが拡大されるのかもしれない。右奥の古本屋ゾーンは喜ばしいことに今までと変わらずである。変化しつつある現状を把握したので、中央右奥の古本屋事務所ゾーンに進み、二冊の精算をお願いする。すると、本の地に引かれた百均目印である鉛筆の線を確認した青年は、「これだけでも108円ですが、もう一冊加えても108円ですよ」とアドバイス。そうか、三冊108円であったか。と、そそくさワゴンに引き返し、もう一冊を加える。ハヤカワポケミス「ゆがめられた昨日/エド/レイシイ 田中小実昌訳」カッパノベルス「日本アパッチ族/小松左京」創元推理文庫「帽子蒐集狂事件」を計108円で購入する。
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「日本アパッチ族」は角川文庫で読了しているのだが、初版なのでついつい買ってしまった。だが帰りの車中でページを開くと、イラストレータ・伊坂芳太良(愛称“Pero)”のシュールでアーティスティックな懐かしくもある挿絵が載っていたので、嬉しい誤算にイヒヒヒと満足を覚える。開高健の、大阪の陸軍砲兵工廠跡地(通称“杉山鉱山”)に出没する屑鉄泥棒軍団、通称“アパッチ”が縦横無尽の活躍をする「日本三文オペラ」も最高だが、同様に“アパッチ”を題材にし、そこから“食鉄人種”が蔓延る日本を描いたSF「日本アパッチ族」もまた最高なのである。ちなみに東宝で、岡本喜八監督、クレージーキャッツ主演で映画化される予定だったが、撮影開始直前に頓挫してしまったそうである。…あぁ、そんな面白そうな映画、物凄く観てみたかった…。
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posted by tokusan at 16:23| Comment(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする