すでに昨日のことである。気温八度の午前七時に、自宅近くで盛林堂・イレギュラーズとなり、目の前に停まった小野氏の操る盛林堂号に乗り込む。西荻窪の店舗を経由して、関東某所の日下三蔵氏邸書庫片付けお手伝いに出発するが、この日の都内渋滞は甚だしく、都内を抜けてもまだしばらく快調には走れぬ状況が続いた。だが結局普段より二十分程度の遅れで現地に到着する。玄関に現れた日下氏と、たまたまそこに姿を見せた日下氏の家族と、お正月のような丁寧な挨拶を交わし、仕事部屋に入って本日の作業ブリーフィング。まず午前中はマンション書庫に移動し、新たなカラーボックスを組み立て、それらを配置。午後は臨時アパート書庫に移動し仕分け整理、という流れに決まる。と言うわけで早速マンション書庫に移動し、まずは現状を検分。前回カラーボックスを大増設したことで、床が見えている面積が増え、今もそれはキープされている。そして何処にどんなものがあるか、かなり的確に把握出来る状態である…それにしても和室に積み上げた仕分け後コミックの物量がすごいことになっている。まるで取次業者の倉庫のような光景…。

そして小野氏がいつものようにカラーボックスを組み立てるので、まずは私が奥のCD部屋から、材料八本分をリビングに運び込む。するとたちまち棚の谷間に、木工作業所のような光景が出現…色々な面を見せてくれるマンション書庫なのである。

小野氏がCB組み立てマシーンと化している間、私と日下氏はリビング右奥の棚前の文庫山&コミック山を移動させ、台所際のスペースに移動させたり、棚に収めたりして行く。

その間に組み立て完了したボックスを中央棚の上段隙間から受け取り、台所やボックス上部に設置して行く。およそ二時間弱で作業完了。これでだいたいの場所にカラーボックスが設置され、最終形態に近付いたことになる。後は設置出来るのは、廊下の雑誌崖を退かした所と、洗面所の一部くらいであろうか。駅前に出て毎度お楽しみの美味しい寿司昼食を摂り、午後は予定通りにアパート書庫へ。こちらもだいぶ片付いてきているのだが、最後の難関と思える単行本山の切り崩しに取りかかる。「ここはだいぶ良いものが入ってるはずですよ」の日下さんの言葉に、ダブり本を追い求める小野氏の目がギラギラと輝き始める。

と言うわけで小野氏が山を切り崩しつつそれらを大まかに仕分けし、それを私が台所に控える日下氏の前に積み上げ、氏が本低行き・マンション書庫行き・処分本とさらに仕分けて行く…だが、元々が書庫にキープするものとしてまとめてあったためか、百冊仕分けても処分本は二〜三冊ペースでしか出て来ない…まぁ日下氏の選球眼がブレていない証拠であるが、もう少し捻出しないとこの量はさすがに……なんてことを思いながらも作業は粛々と進む。途中、講談社「青春推理 ライダーは闇に消えた/皆川博子」がダブりで出てきたが「それ、本邸にも完全にあります」ということなのでトリプりが決定的に。こちらに一冊回って来るのも決定的になったので、心の中でニンやりとほくそ笑む。

そんな風に午後四時過ぎまで作業し、そろそろ引き上げようかと、最後の現状チェックを日下氏がしていたところ「ん?このダンボールはなんでしょうな?」と今まで小野氏が仕分けの台として使っていた謎の箱に目を留める。それを徐に開いてみると、出てきた出てきた。大藪春彦「火制地帯」楠田匡介「地獄の同伴者」謎の探偵小説仙花紙本などなど、カロリー高めな古本が詰められていたのだった…最後の最後にやってくれるな、日下三蔵。中でも永瀬三吾譯の「女の一生/モーパッサン」には「こんな本がっ!」と一同苦笑する。

続いて本邸に戻り、ダブリ本の同定作業に入る。階段に背を上にしてズラリと並べ。書庫に同じ本があるかどうか、あったらカバー周りや奥付を丁寧に確認。その過程で生じた、トリプり本をじわじわ拝受される。

やはり嬉しいのは「ライダーは闇に消えた」と、存在さえ知らなかったブロンズ社の真崎守選集13「環妖の系譜」。「目次を見てください」と言われたところ、『炎の軌跡(原作・横溝正史』『巡礼萬華鏡(原作・江戸川乱歩)』『初夏のカルテ(原作・山田風太郎)』が収録されているのを知る。

本日も大変お疲れさまでした。まだ後一回今年中に作業に訪れる予定だが、いよいよアパート撤収のカウントダウンが開始される予定。次回もがんばります!
posted by tokusan at 08:46|
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関東
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