2018年04月25日

4/25「もだん・でかめろん」表紙草案

強い雨が止んだのを見極め、新宿に用足しに向かう。だがその前に古本を買っておこうと、地下の『東口改札』を抜けてさらに地下の『メトロ通路』に入り、さらに地下の『サブナード商店街』へ。お店が居並ぶ通路を抜けて『サブナード2丁目広場』に足を踏み入れると、北側の隅で、十五のワゴンと数種の什器、それに十五本の本棚による古本市「古本浪漫洲part5」(2010/03/04参照)が開かれていた。漫画『ドラゴンボール』のスーパーサイヤ人のように目まぐるしく変化する催事である。Part5である最後の三日間は、300円均一市!ちゃんと良い本が安値で掴めるので、かなり重宝する印象を持っている。早速彌生書房「山之口獏詩集/金子光晴編」を手にしたら、同じワゴンから続けて、読みたかった文藝春秋NESCO「窓の下に裕次郎がいた……映画のコツ 人生のコツ/井上梅次」を見つける。うむ、やはり重宝するなぁ。さらに本棚ゾーンでは、暮しの手帖社「家のある風景/清水一」東京国立近代美術館「古賀春江 創作のプロセス」を抜き出し、端の帳場で「金井書店」(2016/08/10参照)オリジナルの『本買取ります』簡易団扇二種を見下ろしながら、計1200円で購入する。この市は明日26日(木)まで。
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「窓の下に裕次郎がいた」は、超絶器用な名職人監督・井上梅次が、石原裕次郎・鶴田浩・田宮二郎・香港映画・TVドラマ(土曜ワイド劇場の『江戸川乱歩美女シリーズ』誕生秘話&苦労話も!)などを触媒として、映画創作の楽しさや自作についてまとめた作品。読み始めるとたちまち引き込まれ、滅法面白し!「家のある風景」は装本が花森安治で、上品な耳付きカバーがその物質感を、本以上の物に仕立て上げている。

そして「古賀春江 創作の秘密」には、モノクロだが改造社「もだん・でかめろん/谷譲次」表紙の下絵が掲載されている!家に帰って現物と比べてみると、なんだ、全然違ってるじゃないか。共通のモチーフは、右上に浮かぶ円模様のみ…うひぃ〜、こういう発見は楽しいな。いったい、何があったんだろう?自分で構想を一から変えたのか、それとも谷譲次か出版社にボツを食らったのか…?
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2018年04月24日

4/24とにかく記念の一冊目を手に入れる。

昨日はお昼過ぎに荻窪近くの桃井に流れ着いたので、『四面道』から『青梅街道』を伝い、陰惨な地下通路で線路下を潜って「ささま書店」(2008/08/23参照)へ。店頭文庫棚にSF&幻想関連が多く入荷しているのを認め、角川ホラー文庫「妖怪博士ジョン・サイレンス/A・ブラックウッド」ハヤカワ文庫「魔法使いの弟子/ロード・ダンセイニ」教養文庫「探偵小説の謎/江戸川乱歩」講談社文庫「それでも飲まずにいられない/開高健編」を計432円で購入する。

そして今日は“盛林堂イレギュラーズ”として買取仕事に従事するため、お昼前には西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。ちょっと「フォニャルフ」に補充してから、店主・小野氏の運転する盛林堂号で買取先へ向かう。およそ四時間弱で、八十本ほどの本束を、雨が降り始める前にと、十四階から一階に下ろしまくる。いつもなら、このぐらいなら軽やかににこやかにこなせるのだが、今日は何だか二人とも、始終疲れ気味であった…それほど古本的にときめかぬ、大量の雑誌が重かったからだろうか?午後五時半に西荻窪に帰着して、本日の渋く鈍い活躍を労い合った後に家へと帰る。すると家には、両手の指に残る、古本による腫れと重みを癒すかのように、ヤフオクの落札品が届いていた。黎明社の廉価版「少年探偵団 宇宙怪人の巻/原作・江戸川乱歩 わか★としろう」である。おぉ!ついに我が手に来たか、憧れの少年探偵団漫画本!カバーナシで、表紙はメンディングテープで留められ、破れているページもあるのだが、これは紛う事なき大乱歩の『少年探偵団シリーズ』を、漫画化したものなのである!古本屋さんでついぞ見かけることは全くなく、初めて見ることが出来たのは、幸か不幸か取材時の『乱歩の蔵』の階段下に並ぶ奇跡のように揃ったシリーズ…。とにかく現在では読むことの叶わぬ漫画なので、乱歩好きとしてはいつ何時でも心の中に『欲しい!』『読みたい!』の気持ちが、常に強く虚しく反射しまくっていたのである。ヤフオクで時たま出品を見かけるようになっても、どんなボロい本でもたちまち万を越える高値に突入してしまうので、結局とても手の届かぬ高嶺の花であり続けていたのである。それが数日前に、一斉に「黄金の塔の巻」「青銅の魔人の巻」「虎の牙の巻」「怪奇四十面総の巻」「宇宙怪人の巻」の五冊が出ているのを見つけたので、いつものように『どうせ落札はできないだろう』と半ば諦めつつも、入札することにした。一番欲しいのは、私の乱歩ファーストコンタクトでもある「青銅の魔人の巻」だが、すでに値段はヒートアップし始めている、…これは諦めよう…では、どれにするか。せっかく気張って買うのだから(諦めムードでも、入札するからには基本買えるつもりでいる…愚かだ…)、自分の中で馴染みの薄い「黄金の塔の巻」と「虎の牙の巻」はナシだ。では、「怪奇四十面相の巻」か「宇宙怪人の巻」ということか。心の中で、朧げに思い出す二つの話を対決させる…すると、強く浮かび上がって来たのは、恐いほど赤い夕焼け空の中を飛んで来る、空飛ぶ円盤の編隊!…あぁ、この鮮烈な場面を漫画で見てみたいっ!…というわけで、多少SF要素もあるとは言えるかもしれない「宇宙怪人の巻」に決定する。すでに入札者は二人で、5250円…これがお店で売っているとして、お前なら幾らまでなら買うんだ?と激しく自問自答し、頑張りに頑張って6250円で入札(もはや己に課していた、『ヤフオク入札金額は5000円まで』は有名無実に成り下がってしまった…)。すると最終日までライバルは現れず、あっけなく6000円で落札することとなり(他の本も「青銅の魔人の巻」以外は、軒並み6000円くらいで終了していた。他のも入札すれば良かったなぁ…)、多少拍子抜けしながらも、憧れの本を入手出来たことに、古本心は容易く天界へと舞い上がったのである!この知らぬ憧れるだけだった世界を、ついに垣間見える喜びは、古本買いの重要な醍醐味のひとつである。例えそれが期待と違う結果に終わっても、それが分かっただけでも、古本心に束の間だが安寧の瞬間が訪れるのである…さぁ、とにかくこれが記念のシリーズ入手一冊目。いざ軽いハードカバーの本を開き、未知の世界をたっぷりと味わうことにしよう。おぉ、早速目を射る、この版ズレカラーの、毒々しく独特で、稚拙にノスタルジックな扉絵よ!
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2018年04月22日

4/22引き合いに出されるホームズについてちょっと考える。

古本神・森英俊氏より、「池袋西口公園古本まつり」(2011/10/25参照)で学芸大学の「飯島書店」(2009/04/10参照)が、昭和三十〜四十年代の古本文庫を出しているとのタレコミあり。ただし『春陽文庫もすべて初版だったので、とりあえず目についたものは買いました』との追記もあり、この分では良いものは大方、神に浚われている模様である…だが、何があるか分からないのが古本探索の世界!タレコミより日は開いてしまったが、暑い日曜日に池袋へダラダラと向かう。その前に道すがらの「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、PARCO出版「魔術的リアリズム/種村季弘」平凡社「稲垣足穂 飛行機の黄昏」を計924円で購入する。

池袋への車中で読んでいるのは、ネズミにちょっと齧られた「オルチイ集」。『隅の老人』シリーズ以外にも、『危機一髪君』という何とも締まらないあだ名を持つ弁護士が活躍するシリーズも併載されている。その最初の話には、様々な探偵小説を読んでいると、頻繁に出現する下りが登場する。『パトリック・マリガン氏のやる事はシヤーロック・ホームズのような探偵のやる仕事であって…』…そう、登場する主人公である名探偵を、シャーロック・ホームズを引き合いに出し、劣らぬ名探偵であることを簡単に認知承認させる文章である。今まで、こんな下りを、幾人の探偵小説で読んで来たことであろうか…。今試しに手近な別の本を繙いてみると、S・A・ドウーゼ「スミルノ博士の日記」には『自分には彼が第二のシヤーロツク・ホームズを気取つて居るように思はれた』とあり、またオースチン・フリーマン「青い甲蟲」では序文で訳者の妹尾韶夫が『ドイルはシャーロック・ホームズを活躍させて、その友人ウォトスンに記述さしてるが、フリイマンはソーンダイクを活躍させ、友人ジャービスに記述させている。物に動ぜぬ沈痛なホームズとソーンダイクの性格が似ているのも面白い』と記され、はたまたビガースの少年少女探偵小説「魔の宝石ぶくろ」では、これも訳者の加藤喬が『世界の探偵小説の中に登場する名探偵のうちには、その探偵をつくりあげた作者よりも、もっとゆうめいになってしまう、ほんとうに世の中の人に愛される探偵が、いく人かいます。イギリスの小説家コナン・ドイルの生み出した私立探偵シャーロック・ホームズなどは、その代表的なものです』などが容易にバンバン発見出来る。改めて思うと、これはやはり大変なことである。もはや呪縛と言って良いほどの、『世界最高峰の名探偵=ホームズ』の公式が、古くから今に至るまで、ミステリ小説界に敷衍しているのである。これからも探偵小説を読み続ける限り、必ず何処かにホームズの名が出現して来るのであろう。この『引き合いに出されるホームズ』について、古今東西の小説から見つけ出し研究すると、もしかしたら面白いのではないだろうか…いや、私は面倒く さくて決してしないのだが…ここはやはり北原尚彦氏に…などとボンヤリ考えている間に池袋着。強い日射しの攻撃を受けてはいるが、わりと賑わう円形公園に集まる古本テントの下を、ひとつずつ攻略して行く。目的の「飯島書店」では、確かに古めの文庫を確認するが、やはり神の手が浚った跡が歴然と残る状態…だが、パラフィンに包まれた角川文庫を一冊一冊確認していると、ふおっ!「母子像・鈴木主水/久生十蘭」を発見し、血がグワッと滾ってしまう。今まで見たことのない文庫だったのに、一旦手に入れたとなると(2018/03/15参照)、こういう風に出会ってしまうものなのか…しかも100円。だがこれだけでも、足を運んだ甲斐が充分あったわけである。他に偕成社「パリの怪盗/原作マッカレー 朝島靖之助」松要書店 新説講談文庫「怪猫佐賀夜櫻/田邊越龍」をつかんで計900円で購入する。
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意外に嬉しかったのが昭和二十六年の出版とはとても思えない怪談本「怪猫佐賀夜櫻」。

あまりにも暑いので早々に会場を離脱し、ちょっと北に出てビル一階の文庫本専門店「大地屋書店」に立ち寄り、誰も客のおらぬ緊張感溢れる店内を彷徨い、買い逃していた河出文庫「いつ殺される/楠田匡介」を購入。そのままの足で二月末に閉店した「八勝堂書店」(2013/07/31参照)前に行ってみると、パイプシャッター前に『DIY等にどうぞ』と、大量の本棚の棚板が無料で放出されているのであった…。
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2018年04月21日

4/21ありがたいことにコーナーが!

大阪の「梅田蔦屋書店」(2016/11/14参照)に、識語署名入り「古本屋探検術」が並び始めております。おまけに古書コンシェルジュさんが、その周りを手持ちの古本関連本で固めてくれて、ちょっとした渋いコーナーが出現!ありがたや、ありがたや。どうぞ古本好きの皆様、梅田の『ルクア イーレ』9Fにご足労いただき、「古本屋探検術」を手に取っていただければ。好評なようでしたら、追加補充も辞さない覚悟です!
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西でそんな動きがありながら、東に留まるこちらはダラダラと古本を買う毎日。昨日は武蔵境に流れ着いたので「浩仁堂」(2011/02/15参照)に立ち寄り、平凡社「路地裏の大英帝国/角山榮・川北稔編」偕成社「少年たんていブラウン1/ドナルド=ソボル」原生林「私の寄港地/今江祥智」あかね書房「しゅっぱつ しんこう/渡辺茂男作・堀内誠一絵」(箱ナシ)を計900円で購入する。「しゅっぱつ しんこう」は鉄道の物語と思いきや、実は夢のように移動図書館が進化しまくる子供図書館童話なのである。都電を再利用した図書館、バスを利用した移動図書館、長距離バスを利用した移動図書館、全国を旅する図書館列車などなど、ぜひ実現して欲しいアイデアが満載で、その詳細なイメージ図をいちいち丁寧に堀内誠一が描いているのが、何とも可愛らしく頼もしい一冊。
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そして本日は南荻窪に流れ着くが、季節外れの夏日にすっかり体力を奪われ、荻窪駅を目指しながら「竹陽書房」(2017/02/19参照)に寄るのが精一杯。都市出版社「家畜人ヤプー/沼正三」七月堂「《文学青年の誕生》評伝・中西梅花/大井田義彰」を計1000円で購入する。
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2018年04月19日

4/19西武池袋線小ツアー

先日古書会館で追加受け取りして来た「古本屋探検術」に、朝からせっせせっせと識語署名をして行く。これら三十部は今日中に大阪に送り出 すので、「梅田蔦屋書店」(2016/11/14参照)の壁面古書売場のある『4thラウンジ』入口付近に、近日中にひっそりと置かれる予定である。表4の識語は全種異なり、お一人様一部のみの早い者勝ち(それほど早く無くなるとも思えませんが…)。なお無料配布物なの で、お店への取り置き願いやお問い合わせは、ご遠慮願えると助かります。
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たくさんの古本屋バカな識語を書き終えて、郵便局に寄ってから古本屋さんへ。最初に中村橋「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)の様子を見に行くと、強い日射しの中、元気に開店中であった。ほほぅ、アルバイトを募集しているのか…などと主に安売棚に張り付き、西東社「魚拓/佐藤魚水」弘文堂フロンティアブックス「わが子よ テレビ小説 原爆の子の青春/佐々木守」を計216円で購入する。そのまま西武池袋線に乗ってしまい、大泉学園で下車して「ポラン書房」(2009/05/08参照)へ。静かな店内でグルグル蠢き、ダヴィッド社「精神病覚え書/坂口安吾」を1050円で購入する。さらに一駅移動して保谷下車。南口の「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)店頭に向かうと、すでに二人の先客が店頭棚をマークしている。ここは、いつでも誰かが張り付いているなと感じつつ、第三の客として古書多めの百均棚に熱い視線を照射する。まずは背が傷んでいるが、博文館の記者から三越百貨店店員に転職した男の百貨店隨筆「百貨店一夕話/濱田四郎」を見つける。続いて、しゃがんで渋い人文書を丁寧に吟味する老婦人の頭越しに、下村千秋の名を発見したので、慌ててスパッと抜き出すと、翼賛國書刊行會「村の調査報告 梅澤村と沖部落の更生記-青森縣北津軽郡-/下村千秋」という全118ページの昭和十七年の本であった。
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ふむむ、下村千秋が戦時中に、国からの命令でこんな農村ルポを書き上げていたとは。外地に作家か赴き色々書いていたのは知っているが、内地に残った作家も、同じようなことをしていたのか…などと感心していると、「スイマセン」と後から声がかかる。外国人女性が、椅子の上に重なる洋書を吟味したそうにしていた。素早く場を譲り、人一人しか通れない店内通路に入り込む。そこで壁面の百均棚を見ていると、再び同じイントネーションで「スイマセン」と声がかかる。奥の帳場に精算に向かいたいのを、私が塞き止めてしまっていたのだ。申し訳無さそうな様子の彼女に笑顔を見せて、素早く蟹移動して中央付近の棚の隙間に身を隠し、彼女をやり過ごす。そして続いて、さきほどの二冊を計216円で精算し、西武池袋線の小さなツアーを締めくくる。「クマゴロウ」一店が出来ただけなのに、なんだか池袋線の古本屋表情が、途端に豊かになった感じがする。
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2018年04月18日

4/18 2種類の『爐邊叢書』

チラチラと、昨日いただいた「古本乙女の日々是口実」と「股旅堂 古書目録18」を見ながら仕事をダラダラと進める。一段落ついたところで、昨日の収穫の一冊である、大正九年刊の玄文社「おとら狐の話/柳田國男・早川孝太郎共著」を修理する。表4が離脱し、それがメンディングテープでノペ〜ッと補修されていたので、値札剥がし液で丁寧に剥がし、乾かした後にボンドで補修。ふむ、不器用ながらも、上手くいったぞ。この本は『爐邊叢書第二編』となっており、『日本古典SF研究会』に属する妖怪スキスキ・ナカネ君によると、民俗学&怪談好きにとってはマストのシリーズとのことなのである。だが、これは、以前手に入れた大正十五年刊の『爐邊叢書』とは、出版社も違うし版型も異なっている。その上巻末広告に「おとら狐の話」は載っていないではないか。少し調べてみると、この玄文社版『爐邊叢書』は大正九年に四冊だけ出されたプロトタイプらしく(「赤子塚の話」「おとら狐の話」「奥州のザシキワラシの話」「神を助けた話」)、これが後の郷土研究社版『爐邊叢書』へと発展したらしい。
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左が郷土研究社の『爐邊叢書』。右の「おとら狐の話」は2.8cm幅が短く、可愛らしいポケットサイズとなっている。表紙左下隅にある人魂のようなマークも大いに気になる(尚且つ奥付に貼られた検印紙のイラストが、熊のぬいぐるみを抱えた猩猩のイラストとなかなか不気味なのも、激しく気になる…)。内容は所謂妖怪としての狐や狐憑きやクダ狐や犬神などについて。このプロトタイプ『爐邊叢書』の序文が余りに素晴らしいので、長いのだがここに引用しておく。『此叢書の一つの價値は、寸分の作り話も無いことです。敢て有益とは言ひませぬ。面白ければそれで結構です。何となれば、現實にして且面白ければ、これほど結構な人世は無いからです。爐邊と有りますが、爐の無い家では火鉢の側でもよろしい。又炬燵の上でも宜しい。夏は涼しい處で讀んで下さい。みんなの中で、一番やさしい、聲の佳い人に讀んでもらって下さい。但し「あかり」だけは、蠟燭見たような昔風のものではいけませぬ。新しい光で讀んでもらひたいのです。』…おぉ!鎖のようにつなが
る因習や迷信に、正当なる智の光を当てる試みよ!

午後二時過ぎに家を出て、雨上がりの街をスタスタ歩いて荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)へ。未だ雨仕様の店頭棚から、双葉文庫「推理小説戦後史V/山村正夫」筑摩書房「高等遊民 天明愛吉/黒川鐘信」新日本出版社「議事堂の石/工藤晃・牛来正夫・中井均」メタローグ「私の「本」整理術/安原顕編」を計432円で購入し、スタスタ阿佐ヶ谷に舞い戻り、『ラピュタ阿佐ヶ谷』での特集『ミステリ劇場へようこそ』ラストスパートの一本である、東宝映画・福田潤監督『100発100中』を観賞する。都筑道夫&岡本喜八脚本の、ひたすら奇妙なアクションアイデアと小ネタがスケール小さく、だが小気味よく、決して一時間半飽きさせる事なく、これでもかこれでもかストーリーを超越して出されまくるアクション映画。平田昭彦の格好良さにシートから腰を浮かせ、途中から何故かゲーリー・オールドマンに見えて来た有島一郎の主役級アクション&コメディ演技に、ニヤニヤが止まらなくなる。また、ギャングのアジトとして登場する、鶴見にあった『オラガビール工場』の、1965年にすでに廃墟然としている勇姿が、とても印象的であった。
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4/17九州からの古本乙女を歓待する

起床してから大阪に送り出す古本をまとめ、午後に発送する。というわけで、近々大阪の『梅田蔦屋書店』の古ツアコーナーに新入荷本が並ぶはずですので、西の皆様引き続きよろしくお願いいたします!

続いて午後四時過ぎに神保町へ向かう。最終的な目的は、最新の古本関係新刊となる皓星社「古本乙女の日々是口実」の作者であるカラサキ・ アユミさんが九州から上京されるので、「とんぼ書林」さんに誘われ、出版祝い懇親会に参加することである。だがその前に、恒例の神保町パトロールを!水道橋駅に着いた途端に雨が本格的に降り始めたので、いつもの成果は望めないなとがっくりしつつ、「日本書房」(2011/08/24参照)のワゴンを探る。すると、北隆館「発光生物の話/羽根田弥太」改造社新鋭文學叢書「鐵の規律/明石鐵也」玄文社「おとら狐の話/柳田國男・早川孝太郎共著」などを見つけてしまい、大喜びで計900円で購入する。やぁやぁ、良い買物が出来たなと、袋詰めされた古本を大事に抱えつつお店を後にしようとすると、アンティーク書棚の最下段の引き出しに入った小冊子が目に留まってしまう。思わずしゃがんで手を伸ばすと、小学館「女学生の友」昭和四十四年10月号付録「帰り道はない/宮敏彦」(推理小説である!)であった。間髪入れずに追加購入を決心し、1500円を支払ってしまう。
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あぁ、これだけでパトロールに大満足し、後は余裕綽々と『書泉グランデ』に飛び込み、買い逃していた集英社「妖怪ハンター 稗田の生徒たち(1)夢見村にて/諸星大二郎」を購入し、「東京古書会館」で「とんぼ書林」さんと待ち合わせして、皓星社へと向かう。懇親会の参加者は、カラサキ・アユミさんを筆頭に、皓星社社長さん・担当編集さん・解説を書いた書物蔵さんとその盟友さん・「とんぼ書林」さん・「股旅堂」さんとなり、ひたすら本と古本と古本屋の話に終始する、古本者にとっては幸せな飲み会となる。
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古本買いと古本屋愛に満ちた「古本乙女の日々是口実」には古本的仕掛けがたくさん施されている。古本屋値札を模した縦帯は特に愉快。そこに書かれた筆文字は、カラサキさんの祖母の手によるものとのこと。何はともあれ出版おめでとうございます!
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2018年04月16日

4/16あの『五寸釘寅吉』なのだろうか?

今日は昼過ぎに下連雀の果てに流れ着き、平日でも賑わう『ジブリ美術館』を横目で見ながら、吉祥寺駅方面に帰還する。スタスタと「よみた屋」(2014/08/29参照)チェックに向かうと、店頭棚にたくさんの昭和五十年代の『キンダーブック』が出されていた。丁寧に一冊ずつ繰り、立原えりか・安泰・武井武雄・和田誠などを選り出す。なかなか持ち重りのする中綴じ絵本を手にして店内へ進むと、帳場斜め前の通路棚小型古書本コーナーに魂を小突き回されてしまう。そこで目に留まったのが、セロファン袋に包まれた、キング出版社千代田文庫31「探偵実話 五寸釘寅吉」である。表紙は手拭で覆面をした盗人のイラスト…完全に時代物的のパッケージとなっているのだが、この「五寸釘寅吉」はやはり明治に“脱獄魔”として名を馳せた寅吉の物語なのだろうか?…怪しい…とても気になる…二千円なので、思い切って買ってみることにする。フレーベル館 キンダーおはなしえほん「まちでさいごのようせいをみたおまわりさん/文・立原えりか 絵・太田大八」「ベナレスのたか/文・花岡大学 絵・安泰」「きりたおされたき/文・宮脇紀雄 絵・武井武雄」「あめだまをたべたライオン/文・今江祥智 絵・和田誠」とともに計2400円で購入する。そして表に出るや否や、袋からいかがわしい小型本を取り出し、ペラペラと捲る…やった!ちゃんと「五寸釘寅吉」の物語だ!脱獄の話も、五寸釘を踏み抜いたのに逃げ続けるエピソードも、ちゃんと出て来る。しかも実話どころか、だいぶ潤色されているようで、寅吉が東京で大暴れしていたり、アメリカの盗賊と出会ったりと、ピカレスクロマンとしてだいぶ愉快な展開になっているようだ。これは面白いものが買えたぞ。この千代田文庫、表4のシリーズ広告を見ると、他は『女賊』『忍術』『盗賊』『豪傑』『侠客』『任侠』などの時代物ばかりで、『探偵実話』はこれだけなのである。
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さらに帰り道の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に入ると、棚の様子が少し変わっているのに気付く。左端通路棚手前の日本文学オルタナティブが縮小し、古本&本関連が充実度を増した並びを見せている。そして中央通路左側手前が幻想文学・SF文学・ミステリ・海外文学を拡張していた。フムフムと新たな景色を楽しんで、角川ホラー文庫「あやかしの鼓/夢野久作」新評社「別冊新評 稲垣足穂の世界」を計412円で購入する。
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2018年04月15日

4/15埼玉・岩槻 さつき書店岩槻店

メールタレコミに基づき、大宮駅で東武アーバンパークラインに乗り換え、北関東の景色の中を十分ほど走る。東口に降り立てば、そこは雨上がりの『人形の街』。五月人形攻勢をかける人形屋が並び建ち、早くも鯉のぼりをヒラヒラはためかせている。ロータリーから南東に、『駅前通り』を真っ直ぐ歩いて行く。途中「古本・ビデオのドリーム」という看板の架かるお店を見つけ、『ぬぉっ!これは知られざるお店を見つけてしまったのか!』と一瞬興奮するが、正面に回るとそれは、意気消沈の古本屋遺跡であった…看板、架け替えましょうよ…。
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そんなことがありながら駅から一キロ強歩くと、『国道17号』と合流する『東町二丁目交差点』手前に、そのお店は存在していた。“本”の大きな文字看板があり、店頭はメタリックなパネルで覆われ、いかがわしい幟が林立し、ウィンドウには美女たちのポスターがズラ〜っ…何処からどう見ても完全無欠のアダルト店である。
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だが、邪な心をもたげずに、ただひたすらに清く正しい古本を望んで自動ドアを潜れば、すぐに右手には予想外の光景が展開し始めるのだ。左手は美少女コミックゾーン、正面には横向きのレジカウンターの奥に、ピンク色のアダルト空間が悩ましく広がっている。そして右手の結構広いフロアが、古着を並べた奥の壁棚に、アダルト空間にそぐわぬ古本を並べているのだ。…なんだこれは…。近付くと、セレクト文庫・美術系写真集(中山岩太までも)・性風俗・都市風俗・日本文学・海外文学・幻想文学・映画・カルト&モンド映画・食・サブカルチャー・アンダーグラウンド&カウンターカルチャー・思想・カルトコミック・漫画評論・田中小実昌・平岡正明・竹中労・松下竜一・水木しげる・杉浦茂・町田康・杉浦日向子・VHSビデオ…濃いなぁ、癖が強いなぁ…何と山田風太郎箱まであるじゃないか。お店とのギャップに魂消つつ、気になる本を手にしてみるが、良書や珍書にはしっかりとプレミア値が付けられている。他にも入口正面には、「ガロ」・漫画研究・音楽・野球・格闘技の集まるラック台が置かれているのだが、果たしてここを訪れる人の何割が、これらのゾーンに興味を示しているのだろうか。しかしこの感じとラインナップ、南与野にある「アワーズ」(2015/02/24参照)に酷似しているではないか。何か密接な関係でもあるのだろうかと頭を捻りながら、北宋社「幽霊の森」を購入する。

帰りに大宮で途中下車し、「橋本書店」に立ち寄る。旺文社文庫「掌の小説/川端康成」太田出版「伝言ダイヤル殺人事件/そのまんま東」読売新聞社「欽ちゃん つんのめり/萩本欽一」を計380円で購入する。
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2018年04月14日

4/14靖文堂でオルチイ夫人を。

風が段々と強く冷たくなる夕方、の赤堤に流れ着く。フラフラと世田谷線の線路伝いに豪徳寺まで出て、今日はご婦人が店番の「靖文堂書店」(2011/09/06参照)をリラックスして楽しむ。中央通路棚の入口側と奥側棚脇に、新たな新書&文庫棚が設置され、店内がこの期に及んで微妙に進化していることを知る。色々掴みながら奥のボックス文庫棚とにらめっこしていると、ひょぉう!博文館 世界探偵小説全集21「オルチイ集/上塚貞雄譯」が三百円で売られているのを発見。大事に掌中に包み込み、帳場にて精算する。講談社「街の赤ずきんたち/大石真 絵・鈴木義治」教養文庫「日本の宿/宮本常一」とともに計700円で購入。
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ちょいとネズミに表紙を齧られているが、1930年のオルチイ夫人が読めるのなら、全然全然気にならない!『隅の老人』もしっかり収録されている。

世田谷線に乗って下高井戸に向かおうと、山下駅のホームに立っていると、何だか見たことあるようなカードが落ちている。腰を屈めて注視してみると、あっ!ついこの間ツアーしたばかりの、吉祥寺の写真集専門古書店「book obscura」(2018/01/12参照)のショップカードじゃないか。誰かが落としたんだなと当然思いつつ、こんな所でこんな風に古書店のカードに出会えたことに、少々ニンマリする。
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我慢出来ずについつい写真を撮ると、電車待ちの人々が『コイツはいったい何してるんだ?』と鋭い視線を投げ掛けて来る…。

ガタゴト下高井戸まで出て、長い長い踏切待ちを経た後、「豊川堂」(2016/07/04参照)に乗り込む。店内左側ゾーンの床に直積み本の山が少し整理されていることに気付きつつ、河原書店「茶庭/重森三玲」を500円で購入する。
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2018年04月13日

4/13『雨の日文庫』って良い名前。

夕暮れ前に西荻窪に流れ着き、アンティークと古本の街をしばらくブラブラ。途中、一軒のアンティークショップの店先で、『西荻窪 古本とアンティークマップ』という三つ折りA3の地図を入手する。だが、「忘日舎」(2015/09/28参照)「にわとり文庫」(2009/07/25参照)「TIMELESS」(2012/06/30参照)「ねこの手書店」(2010/07/27参照)「待晨堂」(2009/11/28参照)は掲載されていない…何かと事情があるのだろうが、地図としてはおかしいではないか!と思いながら、未掲載店である駅北口の「TIMELESS」に向かう。新潮文庫「犯罪発明者/甲賀三郎」は未だ売れずに残っているのか…そろそろ迎え入れるべきかと一瞬思うが、背の下が剥がれているのと、やはり三千円の値に二の足を踏んでしまう。すると対岸の左壁棚に『雨の日文庫』が二箱並んでいるのを発見する。しかも箱売りではなく、バラ売り一冊200円だ。慌てて第2集の箱を手にして、中の薄手のの小冊子群を確認して行く…くぅ、カミの「ホルメス探偵」はないか。残念無念。だが二冊選んで、帳場にて精算する。麥書房 新編雨の日文庫「第2集16 ゆうれい船/マッコルラン」「第2集12 からだ国たんけん記/平井信義」晶文社「星にスイングすれば/高平哲郎」を計900円で購入する。
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お店のドアマットをバックに『雨の日文庫』を激写。雨降りで校庭で遊べないがっかりした気持ちを、そっとぶつけるためにあるようなネーミングの、A5サイズ・三十ページの本である。水谷準訳のカミとともに、どこかの集に含まれているはずの、牧野信一もいつかは欲しいものだ。
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2018年04月12日

4/12買った古本を浅薄に掘り下げる。

妙に暖かいせいか、気怠さが全身を被い、ダラダラとだらしなく午後まで過ごしてしまう。これはイカン!と生活者としての気持ちを奮い立たせ、古本を買いに行くことにする。そう言えば、すでに本川越で「ペペ古本まつり」が開かれているはずだな。前回行った時は、確か豪雨で中止になってたんだっけ(2017/04/11参照)。一年越しのそんな恨みを晴らすべく、鷺ノ宮から西武新宿線急行に五十分ほど乗車し、駅前の『ぺぺ広場』に飛び出す。やってるやってる。青と白のダンダラテントワゴンが、古本をたっぷりと携え、強い日射しの中にうずくまっている。人影は少なく、のったりとした時間が流れる中、各テントを厳しくチェックして行く。昨日の強風のためか、ほとんどの本がジャリジャリしており、皆本を見た後に手をパンパンとはたいている。今回一番気に入ったのは「古書肆 唯書館」。群馬県中之条(2011/07/29参照)から埼玉県北本市に本拠を移し、尚且つ気仙沼のお店(2012/02/25参照)は分店となった模様。ワゴン上に積み上がる木箱の数は他店より少なく、反対側が見えてしまっているが、だいたい300円と安めの古書たちが、とにかく魅力的なのである。至文堂「[国文学解釈と鑑賞]別冊 江戸川乱歩と大衆の二十世紀」日本出版社「動物渡来物語/高島春雄」北原出版株式會社「大東亞戦争詩集第二編 雲と椰子/大木惇夫」角川書店 昭和文学全集付録「松本清張アルバム」「上林曉・外村繁アルバム」を計1836円で購入する。この市は15日(日)まで。

「松本清張アルバム」は、何と巻末に綴じ込みモノクロ清張ブロマイド付き!こんなもの誰が欲しがるんだ!…いや、俺は嬉しかったのだが…。
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右がブロマイド。そして左下には小倉時代の書斎の写真が。後の本棚はまともだが、押入れにはずいぶんと本を溜め込んでしまっている。手前は乱雑で、奥には横積みタワー…このままでは魔窟化必至!

そして「上林曉・外村繁」アルバムは、懐かしい阿佐ヶ谷付近の風景が多くて嬉しい。その中には、上林が荻窪の古本市で立ち読みする姿も含まれている。
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この会場が、もしや「荻窪会館」!これがそうなのか。岡崎武志氏との共編著「中央線古本屋合算地図」38ページを見ると、道具屋なども使っていた古物会館で、昭和三十八年くらいまであったと書かれている。…あぁ、この写真の中にダイブしたい…。

「雲と椰子」は昭和二十年二月に刊行された大木惇夫の戦意高揚詩集であるが、その中身より奥付を見て驚いてしまう。出版社は北原白秋の弟・鐵雄の主宰であるが、それよりも何よりも、印刷者名に驚いた。そこには“松岡虎王麿”の名が刷られていたのだ。大正時代の白山にあった、あの伝説の、前衛詩人やアナーキストの溜り場「南天堂書房」のオーナーである。尾羽打ち枯らした後に、印刷会社に勤めたことは知っていたが、古本にその名を発見出来るなんて!などと喜んでしまう。
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それにしても社長でもないのに、何故?

ターミナル駅のホームで、まだ帰りの電車にも乗らぬのに、三冊の古本で、早速こんなにも楽しんでしまった…。
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2018年04月11日

4/11国分寺古本屋小逍遥

強い風に脅かされ続け、分倍河原に流れ着く。ちぎれ飛び薄く伸ばされる雲の下を、時に風に押され、時に遮られ、懸命に歩き続けて北府中。『府中街道』から『府中刑務所』沿いに進んで『国分寺街道』に出る。ほぉ、横笛を練習するオヤジさんのいる時の停まった新刊書店「メリル」(2011/08/04参照)はしっかり営業中だが、「BOOK-1」(2011/08/04参照)は残念ながらシャッターが下りてしまっている。ここで古本に接せられなかったことを悔しがりながら、昔の旅人のように、車通りの多いアスファルトの街道を、トボトボ歩き続ける。やがて坂の下の三角地帯に現れる「ブックセンターいとう国分寺店」(2010/03/09参照)は、最近撤退の多いチェーンの波には浚われず、頼もしく健在であった。だが、リサイクル的に特化した店内では何も買えずに、粘ってはみたのだが敗走する。さらに街道を進んで行くと、バス亭前の旧「まどそら堂」(2013/05/13参照)が、看板類もそのままに、今にも開きそうな様子で残っているではないか。今日は「雲波」(2017/02/03参照)は恐らくお休みなので、線路の下を潜らずに西に曲がり込み、現在の「まどそら堂」(2015/06/08参照)に潜り込むことにする。やはりマンション半地下の『アンティークアベニュー』に古本屋さんがあるロケーションは魅力的だな。
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そう思いつつ、店内に静かに入り、息を詰めながら隙無しの構えの棚と火花を散らしまくる。松本かつぢの表紙絵が可愛過ぎるので、企画社「グリム童話集/水谷まさる訳」を1200円で購入し、小さな街道の旅をささやかに終える。
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粗悪な仙花紙本で、所々版ズレもおこし、網点も粗めである。だがこの少年少女の表情!素敵な黒髪ヘアスタイル!絵の柔らかさとは裏腹な鋭い輪郭線!絵が巧いって、本当に羨ましい!
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2018年04月10日

4/10昨日と今日のいろいろこまごま

昨日と今日のこまごましたことを。昨日は原稿を無事に書き終わったので、解放されて高円寺をブラブラ。「藍書店」(2014/01/14参照)で大和書房「テレビ・アニメ最前線 私説・アニメ17年史/石黒昇・小原乃梨子」(アニメディレクターと人気声優が交互に綴る、裏方から見たアニメ史。読み進めてみると、正史に振り落とされた細かな証言が嬉しい好書である!)を200円で購入。そのまま長い高架下を阿佐ヶ谷までユラユラ戻り、途中で高架下から離脱して「穂高書房」(2009/02/15参照)に立ち寄る。すると、あまり動かぬ店頭台に動きあり!黄土社書店「東京案内記/木村毅編」ベース・ボールマガジン社「私の相撲自傳」を計1100円で購入する。「東京案内記」は、東京の街・盛場・観光地・店舗などを微に入り細に入り、イラストや写真を交えて、わりと軽妙な文章で構成した昭和二十四年の本。こういうものを山岳書専門店で買えるのは、奇妙な喜びをもたらしてくれる。いつものようにお店脇の鉄扉前で精算する。
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そして本日は“盛林堂イレギュラーズ”として買取バイトに午後から従事。その前に「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内「フォニャルフ」に補充し、新たな署名識語入りの「古本屋探検術」を十部ほど置いておく。前回と同じく早い者勝ちですが、無料配布物のため、お店へのお問い合わせや取り置きには応じることが出来ません。悪しからず!

さらにそして、そろそろ発売になる今月号の「本の雑誌 柏餅てんてこ舞い号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、いつでも愛が止まらない武蔵小山の「九曜書房」(2009/03/26参照)に突撃。だが、大好きな大好きなお店なのに、なかなか買う物が見つからぬ由々しき事態に。果たしてそんな危機を無事に乗り越えられるのか!どうか誌面でご確認下さい!
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2018年04月08日

4/8さらば「五一書房」、そしてどひゃっほう。

原稿を書かねばならぬのだが、今日で金町の「五一書房」(2009/04/06参照)が閉店してしまうというので、我慢し切れず午後に外出する。750円の都区内パスで、一時間強をかけて低層高架のホームに降り立ち、駅頭の雑踏に紛れ込む。すると北口の駅前商店街にある古本屋さんは、大きな閉店セールの模造紙を貼り出し、店内も驚くほど混み合っていた。
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あっ、閉店日が本日八日から十日の火曜日に修正されている…。本はすべて半額となっており、狭い通路を譲り合いながら本棚に意識を集中して行く。中央通路には絶版漫画類が惜しげもなく放出されている。奥の帳場横には、古書コーナー&古書箱もあり、ちょっと高値の本たちが詰め込まれている。下町の小さな古本空間を地元客たちと存分に惜しみ楽しみ、尚文堂「抒情小詩 静かなる眉/西條八十」(函ナシ)西北書房「名人全集 松の操美人の生理/三遊亭圓朝演」東考社「声なき目撃者/辰巳ヨシヒロ」スポーツニッポン新聞社出版局「軟派昭和史」を計3750円で購入する。長い間おつかれさまでした。まだ四〜五年前にはたくさんの古本屋さんがあった金町だが、これで残るは南側の「書肆久遠」(2009/12/04参照)だけになってしまった…。

というわけで高架下を潜って「書肆久遠」へ。店前に立つと、看板は出ているがカーテンがほとんど閉じられているの。『お休みか?』と焦るが、ドア一枚分だけカーテンが開けられており、そこから中を透かし見ると蛍光灯が点いているので一安心。ちょっと重めのサッシを引いて店内へ。棚は整然だが、通路には本が箱入りや低層で積み上がっている。上下に視線を振りまきながら、相変わらず質の良い並びを満喫して行く。むぅ〜、児童SF類が安いなぁ…幻想文学も充実安値…文学も良いなぁ…児童文学もわりかし古いのが…はぅん!積み重なった本の中に、東都書房「白鳥座61番星/瀬川昌男」が混ざり込んでいるじゃないか!少し箱が経年汚れだが、中はキレイで二刷。値段は…はぅぅん!300円!あぁ、原稿を放り出して金町に来て、本当に良かった。最大級の喜びを体中に秘かに溢れさせながら、森脇文庫「人蟻/高木彬光」ハヤカワ文庫「機械探偵クリク・ロボット/カミ」とともにオヤジさんに差し出すと、「白鳥座61番星」を箱から取り出したところで手が止まる。あぁ!もしや『この値段じゃないんです』って言われるのでは!と一瞬絶望の淵に立つが、「これはその奥にあったヤツだよね。じゃあ100円だ」と何とプライスダウン!もう本当に何と言えばよいのやら!後ろめたさを感じるほどの、どひゃっほうであります。というわけで本来ならば、オヤジさんとは久しぶりの再会なのでちゃんと挨拶するべきなのだが、予想外の大物を引き当ててしまった小心物らしく、計700円を支払いコソコソとそのまま引き上げる。オヤジさん、不義理ですみません!そして本当にありがとうございます!
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うわぁ〜い、憧れの本が、また一冊手に入った!
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2018年04月07日

4/7荻窪周辺古本屋MAP

今日は午後四時前に吉祥寺の南に流れ着いたので、大変な賑わいのもはや祝祭的空間である『井の頭公園』を、缶ビールを傾けながらダラダラと通り抜け、「バサラブックス」(2015/03/28参照)の店頭棚前にしゃがみ込む。ふぅむ、『古い本古い本…』と呪文のように唱えていると、創元社「野火/大岡昇平」の帯付き初版とともに光文社「長編小説 迷子の天使/石井桃子」を呪い通りに発見したので、200円で購入する。続いて「よみた屋」(2014/08/29参照)では講談社「地下室からのふしぎな旅/柏葉幸子」エルム「ムーミン ほしのこのなみだ/原作 トーベ・ヤンソン」(ソノシートナシ)東宝映画「病院坂の首縊りの家」パンフを計400円で購入する。昨日に比べれば、安くて軽い軽い。

その昨日と連続する一昨日の京都では、実はこの地に居を移した、ミステリ評論家&乱歩研究家の新保博久教授と再会を果たす。その嬉しさついでに河野成光館 世界探偵傑作叢書18「廢人團/ヴアル・ジールガツド」を強奪するとともに、ある一枚の地図をいただく。「荻窪周辺古本屋MAP」という名の、A3のオレンジ色の紙に荻窪・西荻窪・井荻・下井草・鷺ノ宮駅周辺の二十店の古本屋地図が刷られた、『東京古書籍商業協同組合荻窪班』の作成物である。2000年創業の「音羽館」(2009/06/04参照)がまだ存在せず、その場所にあるのは「よみた屋」だったり、ランドマークとして1992年〜2001年営業の『さくら銀行』が描かれているので、恐らく1990年代のものであろう。鷺ノ宮・下井草・井荻・荻窪北側・西荻窪北側の十一店はすでに亡い。またお店によっては、特徴を表すキャッチコピーが掲げられているのだが、「盛林堂書房」は『頑固な親父のいる店』、「よみた屋」は『読書人の悦楽の園』、「大村書店」(2011/02/27参照)は『女性でも気軽に入れる店』などとなっており、「ささま書店」(2008/08/23参照)はこの時からすでに『広くて楽しい古本屋』を標榜している。見ているだけでとっても楽しい。教授、結構なものを、ありがとうございました!
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2018年04月06日

4/6京都・出町柳 El camino

昨日から次々号の「本の雑誌」の特集記事取材のため京都入り。無事にミッションを完遂したので、本日は夕方まで晴れて自由行動となる。雨雲が午前から垂れ込める古都の中で、まずは二月に新しく出来た古本屋をツアーした後、古本屋を巡りまくって古本を買いまくることにする…。

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『5番出口』から地上に出て、西に河合橋を渡り、『目玉の松ちゃん』胸像のある『糺の森』の尻尾を掠め、南に『鴨川デルタ』を眺めながら『出町橋』をさらに渡り、地下駐車場への入口をやり過ごしてから、横断歩道を渡って、懐かしい雰囲気の充満する『出町枡形商店街』のちょっと薄暗いアーケードに突入する。ひとつ目の小さな十字路を過ぎると、南西角に『出町座』という小さな映画館が誕生しており、さらにその隣りに目標とする新たな古本屋さんがしっとりと存在していた。店頭に看板などは掲げられていないが、頭上を見上げると、商店街共通の小さな電灯吊るし看板に、『USED BOOK』の言葉と共に店名が刻まれている。店頭には水色のプラケースが二十四ほどドバドバ置かれ、100〜300円の文庫・児童文学・単行本・地図・大型本・絵本などが詰め込まれている。少し段差の高い店内に進むと、左に小さな時代劇文庫棚、右に児童文学椅子が置かれ、左は一面の壁棚となっており、下部に美術図録を豊富に集め、他に児童文学・料理・人生・文学・文化・旅・暮らし・ビジネス・韓国&中国文学・自然などを並べている。中央に細長い平台を備えた棚がデンと据えられ、下に映画パンフ箱が置かれたりしながら、ビジュル本・映画雑誌・洋書・DVD・漫画アニメ評論&研究を揃えている。奥の帳場周りには、古めの児童文学・文学文庫が固まり、右側通路はレコード箱が中央に数多く置かれ、右壁にカルチャー&美術棚と、大型ビジュアル本ラック張り付いている。激安値の雑本が中心だが、美術図録や作品集や映画特撮アニメ関連には、しっかり値の良い本が多く混ざり込んでいる。京都の古本チェーン「コミックショック」が開いた新店で、タイミングが良ければ雑本の中に煌めく本を見出せる可能性がありそうだ。だが今回はその機会に恵まれず、ポプラ社「少年探偵41 一寸法師/江戸川乱歩」を100円で購入するに留まる。

続いてすぐさまその先の「上海ラヂオ」(2016/04/19参照)に飛び込み、奥の古書棚にぴったりと取り憑く。すると期待していた通りに、素晴らしい本を発見!薔薇十字社「アップルパイの午後(新装版)/尾崎翠」が二千円!そして河出書房「燈台鬼/南條範夫」の初版が五百円で並んでるぅぅ〜!と店内で気付かれぬよう小躍りしながら購入する。
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合わせ技どひゃっほうです。

さらに或るお店に早めの連載取材に向かった後、雨に祟られながら「富山房書店」(「古本屋ツアー・イン・京阪神」p44参照)に逃げ込み、偕成社「のらねこたいしょうブー/神宮輝夫さく 池田龍雄え」を500円で購入すると、帳場カウンターの上に堂々たるオッドアイの白猫が横たわっているのに遭遇。あまりのプリティーさに我を失いそうになるが、猫がひたすら驚いた表情を披露しているので、指先の匂いを嗅いでもらう光栄に浴すだけで我慢する。次は京都市役所付近に出没し、『村上開新堂』でロシアケーキなどのお土産を買った後、「尚学堂書店」(2009/09/05参照)で表紙絵が脱力の日本書房「アメリカ民話 ジャングルのターザン/中正夫・文 花山信吉・画」(えっ?民話じゃないよね…)を700円で購入し、
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「アスタルテ書房」(2015/12/25参照)では裸本の創元社「掘り出しもの/井伏鱒二」を1200円で購入。最後に「大学堂書店」(「古本屋ツアー・イン・京阪神」p24参照)の店頭台から改造文庫「風俗/石坂洋次郎」を300円で購入し、束の間の久々の京都古本屋ツアー終了する。玉石混淆買いまくった半日。あぁ、本当に楽しかった。
posted by tokusan at 22:27| Comment(6) | 近畿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月04日

4/4今日はあの蔵書に呼ばれてしまう。

初夏のような暑さに体力を奪われて、立川の南に流れ着く。駅にあえぎあえぎたどり着き、そのまま帰ればよいものを、勢いで反対方向の電車に乗り込んでしまう。美しい川を二本越えて、八王子駅で下車。北口の雑踏に紛れ込み「佐藤書房」(2009/08/26参照)に入り込む、体力の回復は図れぬが、古本心に栄養は行き渡るはずだ!そう信じて各通路を楽しく徘徊する。そして右端通路のガラスウィンドウを、唾を飲み込みながら覗き込んでいると、とても気になる一冊を発見してしまう。大和出版「甦える疑惑/飛鳥高」である。帯はないが、函はキレイで何故だか値段は四千円…安い!安過ぎるではないか!値付を間違えているのだろうか?それとも何か重大な瑕疵があるのだろうか?…だが、探偵&推理小説好きとしては、こんなチャンスを、ウカウカと逃すわけには行かないはずだ!と心中で雄叫びを上げ、番台脇で作業していた大柄な男性に「すみません、この飛鳥高をいただきたいんですが…」と言うと、「あぁ、これね」と鍵を開けて本を取り出し、「向こうで見てみて下さい」と番台のオヤジさんに本を渡した。横を擦り抜け番台前に立つと「中を確認された方が良いですよ」とオヤジさん。こちらはいつもの癖で「あぁ、特に見なくとも大丈夫ですよ」と返すと「いえ、見た方が良いですよ。はい」と本を手渡される。「ありがとうございます」と受け取り、素早く通り一遍見てからすぐ買ってしまおうと、函から取り出す。状態の良い本である。後見返しに古書ラベルの剥がし痕…続いて本扉を見る。ほぉ、写真が配置されているのか…と、白黒の画像から昭和三十年代の薫りが立ちのぼった瞬間、上に捺された紫色のスタンプ印に気付いてしまう…あぁ、そうか、“T蔵書”なのか。ミステリマニア泣かせの、書物破壊症とも言える有名なコレクターの元蔵書本である(2014/01/29参照)。本扉・目次・最終余ページ・天・地・小口にスタンプ印が捺され、奥付は残っているが検印紙は剥ぎ取られており、そこにわざわざ同様のスタンプが捺されている。「これ…有名な“T蔵書”じゃないですか」「そう、この人は、本に色々した人でね。こんな風じゃなかったら、値段もこの倍は付けていいんだけど。これじゃあね…」…なるほど、本の確認を慎重に薦めた訳である。やはり一瞬がっかりしてしまうが、奥付ページが残っていることに希望を見出し、『貸本屋の本だって、同じくらいハンコが捺してあるけど、喜んで買うじゃないか。そう考えれば、わりとキレイな本だし、何よりオリジナルで読めるのが大事なことだ』と考えた末に、「いただきます」と口をついてしまう。あえてババ抜きのババを引くような心境だが、まぁ今日は、この本に呼ばれてしまったんだろう。オヤジさんは「そうですか。ありがとうございます。すいません」と代金を受け取り本を袋に入れ、再び申し訳なさそうに「ありがとうございます。すいません」と渡してくれた。実はこれが、三冊目の“T蔵書”だったり、するのです…。
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2018年04月03日

4/3愚かにも心残りを買いに行く。

午後にブラッと西荻窪に赴き、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内「フォニャルフ」に補充する。ほほぅ、署名識語入「古本屋探検術」二十五部が、無事に全部捌けているではないか。西荻窪まで足を運び、お手にしていただいた皆様、ありがとうございました。と自分の棚から目を上げて、本棚探偵の「ひとたな書房」に目玉を泳がせると、あぁっ!シムノンの「自由酒場」が函ナシだが、キラキラピカピカ並んでいるじゃないか!素早くキレイでしっかりした本を手にして、昔の活字に目を走らせながら、後見返しに挟まれた値段を確認する…六千円…パタンと閉じて一旦棚に戻す。しかしバカみたいにすぐに取り出し、帳場へ一直線。アドア社「探偵小説 自由酒場/ジョルジユ・シメノン著 伊東鋭太郎訳」(函ナシ)を六千円で購入する…あぁ、もはや月に一冊、「ひとたな書房」から古本を購入している気が…俺はもうこの棚の呪縛から、逃れることが出来ないのか…。
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この昭和の洋菓子屋の包装紙のような装幀が、たまりません!

その後新宿まで出て小田急線に乗り込み、昨日訪れたばかりの祖師ケ谷大蔵に降り立つ。実は『これは買わなくてもいいか…』と諦めた本が、やはり愚かにもどうしても欲しくなり、二十二時間後の再訪を実現させてしまったのである。ところがお店の前に着くと、横溝正史風オヤジさんが戸締まりをし、自転車で颯爽と出かける場面に出くわしてしまう。…どうしよう…だが、店内内側の白いカーテンが閉められていないので、これはすぐに帰って来るはずと判断し、近くの団地横のベンチに座って三十分弱ボ〜ッと過ごしてから、お店を再々訪する。…ホッ、開いている。すぐに店内に身を捻入れ、左壁の文学棚に対峙する。よかった、売れてない!二日連続で本を買いに来た奇妙な恥ずかしさをぶっ飛ばし、新潮社長編文庫「惱める太陽/佐々木味津三」を二千円で購入する。
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巻末の広告を見て、この『新潮社長編文庫』シリーズの二冊をすでに所持していることに初めて気付く。というわけで家に戻ってからまとめて記念撮影。「黄金草/岡田三郎」(岩田専太郎装畫)「霧の夜の客間/浅原六朗」(佐野繁次郎装畫)。ちなみに「惱める太陽」は山六郎装畫である。作家も装畫も当時の豪華なラインナップ。他には「しかも彼等は行く/下村千秋」「電話を掛ける女/甲賀三郎」「水晶の座/牧逸馬」「曉の鐘は西北より/國枝史郎」が装畫も含め、とてもとても気になるところ…。
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2018年04月02日

4/2おぉ、トラゴロウ!

昨晩NHK『ダーウィンが来た!』で放映された、モンゴルに生息する“マヌルネコ”の可愛さに思考の半分を支配されながら、今日は夕暮れのは祖師ケ谷大蔵に流れ着く。フラフラと商店街に向かい、愛する「祖師谷書房」(2009/03/05参照)に到着。右のサッシ扉から入り、児童文学の山に懸命に目を凝らして行くと、やった!理論社・童話プレゼント「目をさませトラゴロウ/小沢正・作 井上洋介・え」が、1967年の第五刷だが、ちゃんとカバー付きで置かれているではないか!後の見返しを見ても値段は書かれていないが、何はともあれ買うことにする。極狭通路を、左右の棚に丁寧に視線を振り分けながらジリジリ移動して、左側通路でさらに二冊を手にする。「お願いします」と極狭帳場のオヤジさんに差し出すと、なんと「目をさませトラゴロウ」は百円にしてくれた。ありがとう、オヤジさん!文武書院「漫画漫遊 世界一周/岡本一平」暮しの手帖社「暮しのなかで考える/浦松佐美太郎」(カバーナシだが300円!)とともに計1400円で購入する。
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可愛く格好良い斬新なトリミングの装幀!ちなみにトラゴロウは猫ではなく、立派な虎なのです…。
posted by tokusan at 19:23| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする