2019年08月22日

8/22細々と買い込む。

全般的に曇り空の空の下、午後に関町北に流れ着いたので、すぐさま西武新宿線に飛び乗り、「井草ワニ園」(2019/01/05参照)を目指すことにする…隣駅の上石神井で下車…あれ?なんか駅前の風景が全然違うぞ。ガンダム像も見当たらないし…ハッ!「井草ワニ園」は下井草だった!と、ボケた頭に喝を入れながら再び電車に飛び乗り隣駅へ。おぉ、ここだここだ。南口駅前通りをテクテク東に歩けば、すぐに緑に彩られたお店が見えて来た。中に入り、早速絵本児童書コーナーに食らいつく。一冊目はカバーナシの金の星社「まいごのきょうりゅうマイゴン/小暮正夫作・永島慎二絵」。永島慎二がこんな絵本の絵を担当していたとは。原始人の家族と恐竜の子供の交流の物語だが、お母さんが胸丸出しなので、子供にとってはちょっと刺激的。やるな、永島慎二である。二冊目は福音館書店のペーパーバック絵本「あかずきん/グリム兄弟編・大塚勇三やく・堀内誠一え」。あかずきんちゃんのタッチが、ちょっと宇野亜喜良っぽいのが珍しい。三冊目は同じく福音館書店「ばけくらべ/松谷みよ子さく・瀬川康男え」。英題は『How the badger bewitched the fox』…『狸が狐を魔法にかける方法』と言った感じだろうか。四冊目はおまけの日本文芸社「仮面ライダーカード/堤哲也編」を選び、合計で1050円のお買い物。安い!と喜び、笑みを浮かべて帰路に着く。
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四冊を扇のように開いて写真を撮ると、さすがに指がエグエグしてしまう。だが古本を、決して落とすわけにはいかないのだ!
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2019年08月21日

8/21茂田井武装画。

昨日は雨がドシャバシャ降り始めた夕方の井の頭公園にたどり着いたので、雨粒で煙る池を眺めながら公園内を突っ切り、雨仕様の「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。ちょっとの雨ではあまりたじろがぬ大きな庇の下の店頭棚も、この激しい雨の前にはやはりビニールを掛けざるを得ないようだ。ビニール越しの、多少歪んで滲んだ本の背を眺め、端の大クリップを外し、月曜書房「目で見る世界の名作映画/岩崎昶・瓜生忠夫」をそっと取り出して100円で購入する。今日はバタバタと過ごしている中、一瞬だけ西荻窪に外出し、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内の「フォニャルフ」棚に、誠心誠意補充する。そして早くもビニールカーテンに包まれた店頭棚から、春秋社「猫は猫同士 動物小説集1/乾信一郎」を100円で購入する。箱ナシだが、装画とカットを茂田井武が務めているので、決して見逃す訳には行かなかった。茂田井は私の中では、安泰と並ぶ動物絵の上手い画家である。安泰は動物そのものの可愛らしさをリアルから少し逸らした感じで表現するのが巧みだが、茂田井は円空や仙崖のように単純な線でモデルを崩しながらも獣感を決して損なわずに可愛く仕上げることに長けている…あぁ、やっぱり可愛い。その可愛さに引き摺られ、茂田井の装幀本はいつでも気になっているのだが、いつか手に入れたい本としては、小栗虫太郎の「地中海」「魔童子」「航續海底二万哩」「二十世紀鉄仮面」などが直ぐ頭の中に浮かんで、ぐるぐる回り始めてしまう。だが、それらを弾き出すほどさらに欲しいのが、新太陽社「魔都/久生十蘭」である。カバーと表紙に描かれた、事件の舞台となる夢のような銀座の街頭風景!軽妙洒脱で絢爛豪華で博覧強記な探偵小説と見事ににゅるりと絡み合い、一級品のオブジェと化してしまっているのだ…こんな素敵な物が存在してしまうから、人間の欲望は尽きることを知らないのだ…あぁ、欲しくなって来た。あの本で「魔都」が読みたい読みたい…。
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2019年08月19日

8/19「糸の乱」!

昨日は西荻窪に流れ着き、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にて涼みながら、預け物をひとつして、筑摩書房「光車よ、まわれ!/天沢退二郎」(新装版第一刷)を100円で購入する。本日は蒸し暑くあるが、涼風に助けられながら荻窪に定点観測に赴く。「ささま書店」(2018/08/20参照)では、日本工業新聞社「世界のロケット/五代富文」福音館書店「かがくのとも202号 ふゆめがっしょうだん/冨成忠夫・茂木透=写真 長新太=文」を計216円で購入する。「ふゆめがっしょうだん」は写真絵本で、“人面”に似ている冬芽のクローズアップ写真を集めた、楽しい驚異の一冊である。人は何故こんなにも、人の顔に見える物が好きなのか…。「藍書店」(2018/12/29参照)では窓際の安売棚から、背が補修された謎の本、講談社「糸の乱(いとのみだれ)/前田曙山」を500円で購入する。大正十一年刊の、幕末〜明治の戊辰戦争を舞台に、美男の小姓・吉彌とお玉が池の美女お貞が活躍する大衆小説らしいのだが、イラストを高畠華宵が担当している。
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美しく息づいているような線だ…。カラー口絵の他に、本文にも別紙で五枚の絵が挟み込まれている。惡獸の狼を拳銃で眉間を撃ち抜き蹴散らすお貞!とか、なかなかたまらない展開を見せている。
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家に帰ってからどんな本なのか調べてみるが、情報がほとんど見当たらない…。古本屋さんと言うところは、忘れ去られた未知の世界に、ふいと橋渡ししてくれる、相変わらず刺激的な空間である。
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2019年08月17日

8/17東京・国分寺 一二三書店

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灼熱の午後に干涸びる寸前で、武蔵小金井と国分寺の間の、南の坂下にある『貫井南町』に流れ着く。すでに体力は赤信号だが、どうにか「雲波」(2017/02/03参照)にでも寄って、古本を手にして行くか…と、ズルズル足を引き摺り歩いていると、目の前に『本』の看板があり、小さな町の新刊書店があることに気付く。こんな何処の駅からも遠く離れているのに、よくぞまぁ生き残っているものだ…などと大いに感心した瞬間、驚くべき文字が目の中に飛び込み、眼底で像を結んだ!『古書 古書 有ります 1冊100円から』の貼紙が窓にあったのだ!うぉぉぉぉぉっ!こんなところで古本が売っている!駅からは南口に出て『東経大通り』をひたすら道なりに東へ歩む。『東経大南交差点』を通過し、道が細くなり始めても、さらに道なりに東へ。そして『貫井南町四丁目交差点』で、『西の久保通り』を南南西に進む。長らく歩けば『貫井南町五丁目交差点』。そこからちょっとさらに南南西に進み『いなげや』を越えると、『本』と青い文字で書かれた四角い看板がすぐ左手に見えて来るはずである…ハァハァ。戸を引き開けると、すぐ右にレジがあり、お客の来ることをまったく想定していなかった、ノースリーブシャツに短パンの浅井慎平風オヤジさんが、ほぼ椅子に横臥していた体勢から起き上がり、読み耽っていた本から目を離して「いらっしゃいませ」と慌てる。こちらは堂々と落ち着いて店内を見渡すと、三本の通路が縦に延びる、棚のしっかり生きている新刊書店である。これは、町の人が必要としているからこその、生きた棚なのであろう。そして目指す古本は…と、この時は慌てて棚を検分して行くと、右端通路の壁棚二本に、面陳と背並び合わさった古本の姿が見出された。七十年代の思想・文学・柴田翔・カウンターカルチャー・ニューアカ・岩波文庫が中心である。文庫本は100円で、単行本が300円〜500円。おそらく慎平風店主が青春時代に熟読した本たちなのであろうか…。晶文社「あたしのビートルズ 佐藤信作品集」筑摩書店「終末から 特集■破滅学入門 創刊号」を計600円で購入する。意外な場所での古本との出会いは、激しく心がときめいてしまうものだ。

「終末から」は1973年創刊の豪華な文芸誌。赤瀬川原平の『櫻画報』、東松照明の沖縄エッセイ、開高健の雑文、中井英夫の連載『蒼白者の行進』、井上ひさし『吉里吉里人』(佐々木マキのイラストが描き文字含め超プリティ!などが掲載、口絵の横尾忠則が手掛けた『豪華絢爛長尺絵巻 千年王国』も七つ折りで尖っているが、やはり無駄に長〜い!
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2019年08月16日

8/16横田氏の文庫から北原案件が出現する。

今日もダラダラだらしなく過ごすはずだったのが、古本の山の片付けに早朝から着手してしまい、様々な不要本が手元に積み上がる。風はまだ強いが、気温が上がり始めた午後に、古本をバッグに詰めてカートに括り付け、ゴロゴロと「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)へ向かう。帳場にスックと立つ天野氏に、バッグ二つ分の買取査定をお願いし、しばし店内で結果を待つ。十五分ほど古本棚を楽しく眺めて過ごし(映画棚に欲しい本一冊あり。今度買おう)、「お待たせしました」と声がかかり交渉成立。いつもありがとうございます。外に出て空のカート引き摺り始めると、これじゃあ遠くには行けないなと、すぐ近くの「ネオ書房」(2019/08/11参照)に飛び込んでしまう。棚の様子はこの一週間弱でだいぶ変わり、本が入れ替わって詰まり、工夫したディスプレイも増え始めている。それに値付がだいぶ進んでいるようだ。気になる本を次々手にしながら、結局今日は文庫本を二冊選ぶ。新潮文庫「SF映画の冒険/石上三登志」集英社文庫「日本SFこてん古典〔1〕宇宙への夢/横田順彌」を計1350円で購入する。いつもいただいていた、お店のマスコット犬が描かれた栞は枚数限定だったようで、今回は店名ハンコが捺された名刺大の紙片を本に挟み込んでいただく。そしてこの横田順彌氏の文庫「日本SFこてん古典」であるが、中にオリジナルの集英社文庫の栞が挟み残されており、何とそれがホームズ姿の都筑道夫を描いた、立派な北原案件(ホームズ研究家である北原尚彦氏が、日々追い求めるシャーロック・ホームズに関する創作物。イラストに関して認定されるには、ディアストーカー・拡大鏡・パイプ・インバネスの要素を二つ三つ満たすことが必要)だったのである。おぉ!北原氏のお師匠さんである横田順彌氏の文庫から案件が出現するとは(しかもモデルが都筑道夫!)!勇んでガラガラ家に戻り、北原氏に案件報告メールを送ると、『ああ、この絵は見覚えが……と思ったら、「日本SFこてん古典〔1〕」と同時発売の「名探偵が八人」の表紙だと思います』と返信があり、早速氏が書庫の、当時出ると同時に買った「日本SFこてん古典」を確認すると、栞は残念ながら挟まっていないことが判明。よって未所持の案件と認定され、この栞が氏の元に嫁ぐことに決まったのである。いやぁ、これは、めでたいめでたいと新発見を言祝ぎ、これからも“北原案件”に心を砕いて行こうと、ついつい硬く硬く誓ってしまうのであった。
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2019年08月14日

8/14東京・高円寺 ヨーロピアンパパ

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今日も今日とて、雨と晴れを繰り返す表をボ〜ッと眺めながらだらしなく過ごす。だが、雨が上がり何度目かの晴れの午後に、実家から持ち帰ったレコードを抱えて外出する。本当に必要なもの以外は、もう売ってしまうことにしたのだ。トボトボ歩いて、高円寺北口の『あづま通り』に入り込む。グングン北へ進んで、「十五時の犬」(2011/11/22参照)の前を通り、さらに「越後屋書店」(2009/05/16参照)を通過すれば、左手に緑と白のだんだら日除けを張り出し、その下に安売レコード箱・DVD・雑貨、そしてコミックセットや古本を並べた平台が置かれた、中古CD&レコードの小さなお店が現れる。そう言えばここは、確かに以前から古本をチラチラ販売していたな。レコードを買い取ってもらうとともに、何かを買ってツアーと洒落込もう。そう決めて、まずは店頭の古本に目を凝らす。松本零士・日野日出志・諸星大二郎の激安コミックに、河合奈保子や大場久美子の雑誌別冊特集本…う〜む、店内にも古本はあるのだろうか…。ビニールカーテンを潜り、狭い通路に上がり込む。左側には主にCD、右側行き止まり通路にレコードが並ぶ小さな空間である。まずは奥のレジに声をかけ、パーマをかけたO次郎のような青年にレコード買取をお願いする。「三十分ほど時間がかかります」とのことなので、まずは店内をウロウロ。レジ前の小さな棚に音楽関連本・バンドスコアなどがあり、その脇に古い映画パンフをまとめたビニールも置かれている。レコードゾーンに進むと、棚に面陳で洋書の音楽詩集が並んでいる。他には通路に安売の雑誌箱がひとつ。それだけ確認してから、しばらく高円寺の街を時間潰しにウロウロする。水曜日は高円寺の古本屋さんは定休日が多いんだよな…などと考えながら駅の方まで行くと、ガード下の壁にたくさんのカラフルな付箋が貼付けられている。近付いて見てみると、『香港加油!』と香港のデモを応援するたくさんのメッセージであった。そんなことをしていたらたちまち三十分が経ち、店に戻って買取のお金を受け取りつつ安売雑誌箱にはみ出して挿さっていた、値段の付いていない気になる一冊を抜き出す。ヒマワリ社「中原淳一 きものノ繪本」。贅沢やお洒落を楽しむことが抑え付けられていた戦中にも出していた、ある意味反骨とも言えるファッション本である。これは昭和二十一年の戦後版であるが、何故レコード屋にこんなものが!と驚きながら、早速「これお幾らですか?」と切り出してみる。すると青年は「これ、みなさん手にするんですが、二千円って言うと戻しちゃうんです。いつまでも置いとくと傷んじゃうんですよね。ちょっと安くしますんで、お幾らなら買いますか?」と言われてしまったので「じゃあ千五百円でどうですか?」と、たちまちこちらも交渉成立する。レコード屋さんでこんな素晴らしい本と出会えるとは、ラッキーでした!
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昭和二十一年という“戦後すぐ”を感じさせる、粗悪だがなるべく丈夫な紙に、なるべくカラフルにカラー印刷が施されている。だが全ページには、お洒落出来る喜びと解放感が中原淳一の筆で美麗に爆発しまくっているのだ。
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2019年08月13日

8/13今日もだらしなく過ごす。

今日もノンビリとだらしなく過ごしているので、午後になってゆっくりと「ネオ書房」(2019/08/11参照)を見に行く。「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)はお盆休み中である。店頭に新たに、百均籐籠に代わり、百均カラーボックス棚が二本出現している。一本は漫画雑誌棚となっている。店前に屈み込み、単行本棚を覗き込むと、ぐおっ!一番上に大伴昌司が構成したウルトラマン&ウルトラセブン絵本が挿さっているじゃないか!と色めき立ち取り出すが、ボール紙のページをパラパラめくると、だいぶ各ページの下部が乱暴に切り取られている代物であった…そうそううまい話は無いか…そっと棚に戻して店内へ。だいぶ本が売れたようで、だいぶ棚に変化が生じている。う〜む、すごいなぁ…と通路を一周。その後、棚下平台の面白さに気付き、掘り起こしながらジリジリ移動する。古い「宝島」や昆虫関係・映画パンフ・特撮関連…むぅ?なんだこの「東映まんがまつり」の絵本型パンフレットは。二冊あって、一冊は『仮面ライダー』もう一冊は『人造人間キカイダー』がメインになっている。これいいなぁ〜…と思ったので値段をたずねてみると、何と二冊とも店主・切通氏が子供時代に買った蔵書とのことである。だがこれは残念ながら値段の折り合いがつかず、購入を辞退する(いや、妥当な安値の値段だったのですが、情けなくも懐が寂しかったもので…)。続いて福音館書店 福音館の科学シリーズ4「ありとしろあり/グイン・ビーバーズぶん コリン・スレッソドコールえ 古川晴男やく」を差し出すと、最初に「1500円」「えっ、すみません、では止めときます…」「じゃあ1200円では?」「あっあ、うぅ〜ん」「じゃあ1000円切って980円では?」「わ、わ、わかりました。いただきます」と畳み掛けられ購入する。何だか不可思議な面白い古本屋さんとして歩み始めているなぁ。また来ようっと。「ありとしろあり」は秘かに集めようかと思っている『福音館の科学シリーズ』の一冊。すでに「ぴかっごろごろ」「くうきはどこにも」を手に入れているが、この「ありとしろあり」とは、サイズもデザインも大きく異なっている。
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「ありとしろあり」は1967年刊で、「くうきはどこにも」は1968年刊。この間に何かあったのだろうか。「くうきはどこにも」の帯袖には既刊の46冊の小さな広告が掲載されているが、ちゃんと「ありとしろあり」は四冊目にナンバリングされている。それにしても“あり”の絵が、夢に出て来そうなほどリアルでゾクゾクしてしまうが、どうしても目を離すことが出来ない。あれ?見返しに氏名のハンコが捺されているが、これも元は切通氏の蔵書ではないか。

おまけ:二枚目の実家から持ち帰ったレコード
1988年公開のオーストリア映画『ミュラー探偵事務所』のサントラレコードである。だからレコードもオーストリア製。ハードボイルドの探偵が活躍する、名作探偵映画のパロディ&ミュージカルで、そこにミックスされる独特な中欧の感覚にうまうまと乗せられ、劇場で笑い転げたのを覚えている。ミュージカル部分の出来がよかったからこそ、サントラを我慢出来ずに購入したのであろう。もう一度観たいのだが、調べてみるとなんと映画はDVD化されていないようだ。VHSが出されていたが、わりと高値になってしまっている。
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2019年08月12日

8/12実家から持ち帰ったLPレコード。

最近激しくたて込んでいたので、今日はノンビリ過ごすことに決める。だがそれでも、久しぶりの雨上がりの『早稲田通り』をフラフラと長めに彷徨い、『中野ブロードウェイ』の「古書うつつ」(2008/06/18参照)の百均棚に、以前は店内に並んでいた有馬頼義本が大量に放出されているのに気付き、野球推理小説の角川書店「黒いペナント」を100円で購入する。さらに高円寺の「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)では、カバーのちゃんと付いている平凡社「怪奇探偵ルパン全集第八巻 妖魔の呪/ルブラン原作 保篠龍緒譯」を見つけたので100円で購入する。さぁ、古本は買った。早く家に帰って「科學小説 四百年後」の気になる続きを読み耽ることにしよう。物語は、火星人を滅ぼした金星人と人類の闘いに突入する局面を迎えており、大正拾五年のスペースワイドな展開に、目を白黒させまくっているのだ。

そして古本とは関係ないのだが、先日実家に戻った時、家に残されていたレコードを『もう捨てる』と言われたので、恐らく聴くことはないのだろうが、捨てるに忍びない一部をセレクトして持ち帰って来てしまった。「劇場版 名探偵ホームズ オリジナルサウンドトラック」のLPも見つかり、中に入っていたカラーグラフに目を細めてしまう。宮崎駿と近藤喜文による初期イメージボードが掲載されており、宮崎駿の方のホームズは、ディア・ストーカーが赤と白のチェック柄で、ホームズは耳の垂れたバセット・ハウンド系になっている。さらに大瀧詠一プロデュースのヴォードヴィリアン・トニー谷のアルバム「ジス・イズ・ミスター・トニー谷」も救出。ジャケットデザインは平野甲賀。インナーの哀切漲る解説を小林信彦が書き、厚家羅漢(大瀧詠一)が曲解説を担当している。それにしてもこのLPサイズのジャケットは、やはり迫力があって見応えがある。中の音楽が伝わって来る騒々しく楽し気な良いデザインだなぁ。
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2019年08月11日

8/11東京・阿佐ヶ谷 ネオ書房

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駅北口を出てロータリーを北に渡り、ビルの下からつながっている『北口アーケード街』を突き抜ける。化粧レンガの敷き詰められた『旧中杉通り』を北にグングン進んで行くと、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の五十メートルほど手前右側に、三月に閉店してしまった元貸本屋の古本屋さん「ネオ書房」(2019/03/10参照)があった。お店を閉じた後は選挙事務所になり、選挙後は店主が本の無くなった店内で、ひたすら地道に片付けを進めていた…だが、急転直下!なんと作家の切通理作氏が縁あってお店を継ぐことになり、ついに昨日店名はそのままに再開店したのである!店構えは以前と変わらぬ、小さな古い古本屋さんである。店頭には三つの百均籐籠が置かれ、漫画や文庫本や雑誌を収めている…おや、何だか古い絶版コミックが混ざっている…以前の「ネオ書房」の気配が漂って来たぞ…店内に入るとお客さんがいっぱいの大賑わいである。中央には大きな駄菓子スペースが設けられ、親子連れが楽しそうに選んでいる。左右の壁は以前と同じく壁棚になっており、左壁手前から、音楽・フォーク・暴走族・学生運動・カウンターカルチャー・コミック・絶版コミック…やはりここには多くの旧「ネオ書房」の本が混ざっている。どうやら売り切らずに、まだストックが残っており、それをネオ「ネオ書房」が引き継いでいるようだ…現代社会&風俗・サブカル・映画など。奥の帳場近くになると、フィギュアやプラモデルなども混ざり始め、さらに奥に怪奇漫画類が集まっている。切通氏と女性の立つ帳場周辺にはマニアックな映画関連がディスプレイされ。右奥は切通氏の新刊著作が飾られている。その下には大百科系が一列カラフルに並び、右壁奥には、おぉっ!ウルトラ関連・怪獣・特撮が集まり、興奮必至の濃厚な小宇宙を形作っている。さらにそこから、フィギュア類を挟んで児童文学・アニメ関連・SF&ミステリ文庫・少女漫画と続いて行く。棚下には主に雑誌や同人誌類や漫画雑誌や特撮ムックが積み重なっている。旧「ネオ書房」の雰囲気を一部残しながらも、新しく明るくマニアックな楽しいお店となっている。ウルトラ好きは必見。値段はまだついていないものが多く、これは「おたずね下さい」とのことである。だが値段は帳場での値付を耳に挟むと、総じて安めなので、安心してたくさん本を抱えてたずねるべし。徳間文庫「都筑道夫ドラマ・ランド/都筑道夫」と、左棚の片隅で見つけた怪しい本・光林堂書店「科學小説 四百年後 地球滅亡の巻/古荘國雄」を選び、帳場で「すみません、両方とも値段がついていないです」と値付をしていただく。まずは文庫本を手にして「500円でどうですか?」「いいですよ」「ハハハハ、ありがとうございます」。続いて単行本「むっ、これは………………長考……………………千円でどうですか?」「いいですよ」「ハハハハハ、ありがとうございます」「でも、ここで粘るともしかしたら値段が下がるんですか?」と聞いてみると「ではこちらは800円にしましょう」と、何と即値下げしていただいた。そんなつもりじゃなかったのに、ありがとうございます!いやぁ、これは楽しいお店に生まれ変わったものだ。マニアックな本に加え、また旧「ネオ書房」の本を楽しめるのだ。また遊びに来ることにしよう。まずは開店おめでとうございます。そして「ネオ書房」を引き継いでいただき、本当にありがとうございます!

購入本の「科學小説 四百年後 地球滅亡の巻」は、大正拾五年刊の函ナシ本。何だかこのタイトルに引っ掛かるものがあったので、家に帰ってから記憶をたどり、盛林堂古書目録第3号「盛林堂の本棚 2016年10月」に当たってみると…ややや、16ページに載っている!函がちゃんとあると、恐ろしいほどの高値じゃないか!面白そうだと思って買った本ですが、目録を見て今、どひゃっほう!と遠慮なく叫ぶことにいたします。
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口絵は物語の冒頭、世界第一の都會『ロンヨーク』で暗殺され落下する、アングロサクソン大統領の圖。そして次々と暗殺されて行く世界の指導者たち…。
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2019年08月09日

8/9三冊目の石野重道!

今日も酷暑の辛酸を舐め尽くして家に戻ると、我刊我書房主宰の善渡爾宗衛氏から架電あり。例の本が出来上がって来たと言う。慌ててちょっと涼しくなった夕方の阿佐ヶ谷駅頭に駆け付けると、えびす顔の氏からピカピカの瀟酒な本を手渡される。東都 我刊我書房「重道庵夜話 壱阡壱秒譚 ネクタイピン物語/石野重道」である。何と、「彩色ある夢」「不思議な宝石」に続く(2019/06/21参照)、奇跡とも言える三冊目のモダニズム著作集が、現代の文学界に浮上したのである!今回も表紙デザインを担当し、タルホの「一千一秒物語」的コント集の『ネクタイピン物語』と、小品小説『老婆ひとり』を、外国の洋菓子を包装するように仕上げさせていただきました!もちろん基本スタンスは、自己流の表現主義であります。全52ページの短さではあるが、昭和初期の都会の裏路地の小さな洋酒バーで、様々なカクテルを飲み比べるような楽しさあり!西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)や中野「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)では、本日辺りから店頭販売が始まっている模様。また盛林堂通販でも、14日辺りから取り扱われるようなので、モダニズム成分が日頃から不足している方はぜひともお買い求め下さい!
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そう言えばそろそろ店頭に並び始める「本の雑誌 大根おろし奮発号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、その「まんだらけ海馬」を秘密取材。何故この有名店に抗えずに通ってしまうのか…その思いの一部を隠さずに吐露したあげく、高い本を買ってしまっている顛末を、お楽しみ下されば幸いです。ちなみに本号の特集は、私がこっそりイレギュラーズを務めている『本の雑誌スッキリ隊』となっております。
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2019年08月08日

8/8当然のように「りんてん舎」に足を向ける。

午後に三鷹に流れ着いたので、自然と足が六日前に訪れたばかりの「りんてん舎」(2019/03/30参照)に向いてしまう。探偵推理大衆小説棚の動きが気になるのと、もしかしたら別の「きりんの本」(すっかり読了。本当に面白く刺激的な本で会った)が店頭に出ていたり、もしくは詩の棚に並んでいるかもしれない、と目論んでの行動である。しばらく歩いて信号前のお店にたどり着き、店頭箱や棚の中を丁寧に覗いて行く…だが「きりんの本」はナシ。代わりに函&カバーナシだが、平凡社「新進傑作小説全集12 瀧井孝作集 牧野信一集」を見つける。店頭に牧野信一が転がっているのは放っておけないので、買って行くことにする。口絵写真の思い詰めたような顔が、たまらんです!店内に入り、まずは特設の探偵推理大衆小説棚を見る。最上段が一段分消えているが、それだけ動きがあったということだろうか。前は見なかった(もしくは興奮し過ぎて前回は目に入らなかったか?)ノベルス系が増えているように感じる。おぉ、鮎川哲也の「白の恐怖」は、ちゃんと月報入りじゃないか。などとやりながら、全体に目を通した後、右奥の詩歌棚を精査する…だが、残念ながら「きりんの本」は並んでいない…あれ一冊だったのか…。早々に諦めて探偵推理大衆小説棚に舞い戻り、お値段の優しい文藝春秋新社「死刑台へどうぞ/飛鳥高」を抜き取り、計1188円で購入する。まだ欲しい本が何冊もあるので、恐らくまた買いに来ることになるであろう…。
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2019年08月07日

8/7「續 細菌の國」!

午前九時半過ぎに家を出て、すでに灼熱の街を行く。水道橋駅に降り立ち、いつもより人影の少ない夏休みの『白山通り』を南へ進み、神保町パトロール。時刻は午前十時二十分。パトロールにはこのくらいの時間がちょうどいい。午前九時から開いているお店もあるのだが、このくらいに通りに姿を見せていれば、各店頭に一番乗りというわけにはいかないが、結構早い順位で目を通せるはずなのだ。午前十一時を過ぎてしまうと、早めのお昼休憩などで人が街路に流れ出し、競争率も高くなってしまうので、やはり店頭を回るにはこのくらいの時間がちょうどいいのだ。そんなことを思いつつ、銀杏並木の葉陰に守られたアスファルト歩道を歩き進む。だがそんな思惑に反し、なかなか食指の動く本には出会わない。いつもより行列が短い人気焼肉屋の前を通り過ぎ、やがて『靖国通り』に至る。最初は西に足を向け、東へ戻って行く。『神保町交差点』を渡り、「明倫館書店」(2012/04/04参照)前。店頭ワゴンは、まだほとんど手がつけられていない状態で、本が詰まった上に本が横積みでダカダカとだいぶ積み重なっている。一瞬、「一誠堂書店」(2010/03/27参照)前での、車椅子のお客さんに手を貸す番頭さんと店員さんの素早い行動に目を奪われるが、再びワゴンに視線を戻した時、その本は目に飛び込んで来た。おぉっ!時代社「續 細菌の國/福島伴次」!昭和十八年刊の科學童話の続編である!全174ページの仙花紙本で、細菌に対する正しい科学的知識を子供に植え付けるために、ミクロな世界の生態や威力や繁殖力や恐ろしさが、あらゆる例え話や科学寓話で展開して行くのである。後見返しを見ると破格の200円だったので、ここで会った百年目!と中に飛び込み百円玉二枚と交換する。ウフフフ、これだから早い時間のパトロールはやめられない。「細菌の國」も、いつかは同じような感じで手に入れてやる!
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夕方にまたもや外出して、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で「フォニャルフ」に入替補充。店内で岡崎武志氏と待ち合わせ、その後は打ち合わせ飲み。実は二人セットの嬉しい依頼が舞い込んで来たので、それについてニヤニヤしながら話し合うためである。特に岡崎氏はもう子供のようにはしゃいでいるので、見ているだけでおかしい。まるっきり遠足前夜の小学生なのである。これについての詳細はまた後日にお知らせいたします。打ち合わせを終えた後、ブラブラ夕涼みがてら歩き「古書音羽館」(2009/06/04参照)へ。ハヤカワポケSF「マラコット海淵/コナン・ドイル」を百円で買って表に出ると、お店横の通路では、店主の広瀬氏が壁一面に積み上がった買取本と、汗をかきながら大格闘中。嗚呼、古本と格闘する古本屋さんの姿は、厳しく、そして美しい…。
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2019年08月05日

8/5「武蔵野夫人」を少し読む。

朝からゴソゴソして、定期的なミニ蔵書整理の小さな古本の山をひとつ作った後、荻窪に向かい午前十一時半の「ささま書店」(2018/08/20参照)…と思ったら、午前十一時二十七分とちょっと早く着いたのでシャッターがまだ開いていない。踵を返して裏通りをぐるっと回り込んで、先に「藍書店」(2018/12/29参照)を見ることにする。しばらくこちらに足を向けていなかったので、店頭も店内も景色がかなり変わっている。講談社「武蔵野夫人/大岡昇平」を300円で購入する。続いて今度は開いている「ささま書店」へ。珍しく店頭では何も掴まず、店内文庫棚から新潮文庫「メイン・ディッシュはミステリー」「ミステリーは私の香水」ともに小泉喜美子を計400円で購入する。一旦家に戻り、古本の山を抱えて再外出。汗をかきながら古本を運んでいると、知り合いの野鳥&中西悟堂研究家(古本好き)と出会ったので、しばらくの間同道し会話する。「高く売れるといいですね〜」とにこやかなエールをいただき、そんな風にして運んだ古本を「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に持ち込むが、店主の天野氏が不在だったので、夜にもう一度訪ねることを約し、お店を後にする。またもや家に戻り、「武蔵野夫人」を少し読み進めるが、冒頭の武蔵野の描写が細かく興味深く、読むのを止めるに止められず、ぐいぐいアリ地獄のように意識を文章内に引きずり込まれてしまう。古い河岸段丘、野川、古代武藏原生林、関東ローム、砂礫層、湧水、はけ(武蔵野台地の崖地)…そんな自然の描写と土地の成り立ちから始まり、文章は至極なめらかにその地に住む人々に推移して行く…美しい流れの文章だなぁ。カバー絵は猪熊弦一郎の手によるもので、武蔵野の野川から眺められる雑木林を描いたものであろうか。細かく描き分けられた樹木の植生が楽しい。現在も、武蔵小金井から南に下り野川に至れば、似たような変わらぬ景色を見ることが出来る(2019/02/02参照)。
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夕食を摂り、涼みがてら夜の街に出て「古書コンコ堂」へ向かう。暗い裏路地では、夏らしくない「火のよ〜じん、空き巣用心、火のよ〜うじん」と拍子木を叩くボランティアパトロールに出会う。家路をたどるたくさんの人たちと擦れ違い、お店前。夜の古本屋さんは、昼間とは違う、何だか柔らかな表情を見せている。本の山の向こうに座る天野氏に挨拶し、買取のお金を受け取る。
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2019年08月04日

8/4下北沢で失敗する。

池の上の谷底にお昼過ぎに流れ着き、炎熱のために青色吐息。だがユラユラと西に進路を採り、「由縁堂」(2008/09/02参照)前に着けば店休日。めげずにさらに西の谷に下って下北沢『茶沢通り』へ。「古書ビビビ」(2009/10/05参照)の涼しく薄暗い店内に逃げ込み、ようやく生きた心地を取り戻す。そうだ、「マニタ書房」(2019/03/29参照)の棚は何処に…と店内を探索すると、帳場横の棚の最上段にマニタ棚を発見。棚の一段が『マニタ書房』と書かれたテープで縁取られ、いつかあのお店で見た本たちが、濃厚に特殊に肩を寄せ合っている。良く見ると『期間限定』とあるが『終了日は未定』ともある。何はともあれ、ここに「マニタ書房」の魂が一部移植されているのは良いことだ。そう思いつつ、店内中央辺りのコミック棚に、貸本漫画が大増殖しているのに引き込まれてしまう。そう言えば表の棚にも何冊か出ていたし、帳場下横にもダダッと並んでいる。最近たくさん仕入れたのだろうか。何か面白いものはないだろうか…と視線をせわしなく移動させていると、貸本漫画の隅っこに、ちょっと異質な一冊を見つける。薄手のハードカバーの講談社「なかよし」付録本である。「けっさく物語 まりのゆくえ なかよし十月号ふろく」…ビニール包装されているので中は見られないのだが、当然中身は少女漫画なのであろう。そしてタイトルが「まりのゆくえ」か…なんだかミステリーっぽいな…“まり”という名の女の子が行方不明になるのか、それとも大事な“鞠”が無くなってしまい探し出す話なのか…むぅ、どっちにしろ「まりのゆくえ」が気になってしかたない…というわけで思い切って千五百円で買うことにする。帰りの涼しい車中でビニールをひっちゃぶき、開いてみると『佐藤紅緑・原作』と大きく書かれていたので、この時点でミステリーではないことが分かってしまった。佐藤紅緑少女小説のコミカライズなのである。「まりのゆくえ」というのは、新しく学校に赴任して来た先生がする啓蒙話で、子供の時に妹と鞠遊びをしていると、ふとした瞬間に鞠が無くなってしまい、これがいくら探しても見つからない。そこに現れたおばあさんが、額に“鞠”という文字を三度書いて、三べん回って目を開けばすぐに見つかるよと実演し、たちまち鞠を見つけてしまう。つまりは『物を探すには足元からじっと気を落ち着けて探すものですよ。あなたたちは、焦ってせかせかしているから足元にある物も見えないのです』ということなのであった…ハイ、気をつけます…。
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ところで先日買った都筑道夫「燃えあがる人形」を読了したのだが、怪奇小説というよりは「幻魔大戦」や「エスパイ」のようなサイキック小説なので、意表を突かれてしまった。東京大空襲後の、関口・小日向・目白台・護国寺・大塚・江戸川橋などの狭い地域を舞台にしており、その描写がとにかく事細かく、思わず東京地図と首っ引きで楽しんでしまった。同じ日に買った「きりんの本 5・6ねん」(1959年刊)はまだ読んでいる最中だが、とにかく掲載作品の上手さと瑞々しさに舌を巻きっ放しである。日々の暮らしと生活に根付く、観察力と表現力がどれも半端なく上質で、いわゆる優等生的な作品や、掲載傾向を研究して書いた作品を超える文章が連続するのだ(当然そこには選者や編者の思いや干渉が存在しているのだが)。いやぁ、この素晴らしい詩や文章を書いた子供たち、今何をしているんだろう。とにかく読めば読むほど衝撃の連続なので、いつか『3・4ねん』と『1・2ねん』も読んでみたいものである。ちなみに本の元になった雑誌「きりん」は大阪の「尾崎書房」が発行していたので、掲載作品は関西弁でかかれているものが圧倒的に多い。だからなのか、作品の落ちが絶妙なツッコミで終わることが多く、それがとても新鮮で鮮烈な印象を齎している。まだ少しだけ「きりん」を齧っただけなのだが、すっかりぞっこんになってしまった。
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2019年08月02日

8/2「燃えあがる人形」!

「人間豹」にフハフハ興奮していると、古本神・森英俊氏より電子来信あり。なんと三鷹「りんてん舎」に、探偵小説・推理小説・大衆小説の特別棚が一本出現しているというのだ。タレコミに激しく感謝しつつ、それにしてもいつも情報が早いなと感心しつつ、本日炎熱など切り裂いて「りんてん舎」(2019/03/30参照)に泡を食って駆け付ける。その探偵&大衆徴候は、やはり店頭の棚にも顕現しているようだ。フムフムと楽しみながらも、結局は他ジャンルの本に嬉しいものを見つける。涼しい店内に進み、左端通路の通路棚を見て行くと、以前よりかなり充実して来ている。風俗関連や田中小実昌、喫茶喫煙趣味関連の古書…おぉ!確かに最奥の一本が、素晴らしい探偵推理大衆棚になっているじゃないか!喜ぶと同時にその質の高さにたちまち血が騒ぎ、上段から一冊一冊丁寧にチェックして行く、…確かに値段は安めでお手頃価格だ…うぅ、たくさん買ってしまいそう…それではイカンイカン。ここはしっかり自重して、安い本や本当に読みたい本を買うことにしよう…とかやってると、たちまい手の中に二冊が収まる。そしてしゃがみ込んで最下段を見ていると、うわぁ!都筑道夫のジュニア怪奇小説があるじゃないか!学校図書「パンドラの匣・創作選2 燃えあがる人形/都筑道夫」…新保博久教授の旧書庫で見かけてから、読みたくてしょうがなかった一冊である。値段を見ると800円なので、天にも舞い上がる気持ちで購入を決意する。他に理論社「きりんの本 5・6ねん/日本童詩研究会編」日本文芸社「催眠誘導法/小菅一男」(裸本)カッパノベルス「白いめまい」「白昼の曲がり角」ともに島内透、講談社「忍法月影抄/山田風太郎」を計1944円で購入する。りんてんさんは、やはり良いお店だ。そして我が古本メフィストフェレスにも大感謝。それにしてもまだまだ欲しい本読みたい本がたくさん…また買いに来ることとしよう。

家に帰り、大阪に三十冊弱の本を送り出す。早い者勝ちの良い本をポロポロ含ませていますので、数日後に「梅田蔦屋書店」古書コンシェルジュの手を経て、『4thラウンジ』の壁棚に並ぶのを、首を長くしてお待ち下さい。
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「燃えあがる人形」と、子どもの詩とつづり方の雑誌「きりん」から高学年の作品を収録した「きりんの本」。「きりんの本」の後見返しにはエンジ色の「中央書房」のラベルがあり、さらに『吉祥寺 大踏切横』とある。
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2019年08月01日

8/1幻の「人間豹」復刻!

というわけで忙しく過ごしていたら、あっという間に二日経ってしまった。お昼過ぎに流れ着いた極暑の吉祥寺から電車に飛び乗り、隣駅の西荻窪へ。そして身体が熱で蕩ける前に、つい先日来たばかりの「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に飛び込むと、待ちに待った本が大量に出来上がって来ていた。覆刻漫画で名を馳せる、アップルBOXクリエイトの新刊「怪奇探偵繪物語 人間豹/原作・江戸川乱歩 画/牛尾走兒」である(同じく牛尾走兒作の「冒険探偵繪物語 吼える百獣塔」も収録)!
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幻の作品とも言える、昭和二十四年刊の見たこともない「人間豹」っ!その表紙デザインを漫画「甲賀忍法帖」に続きお手伝いさせていただいたのである。大乱歩に関わる作品をデザインする喜びは、私にとって計り知れないほど大きい。漫画家うしおそうじが『牛尾走兒』として描いた表紙絵がとにかくインパクト大で、これぞまさに得体の知れぬ怪物“人間豹”を端的に表している!虎の背にしがみつき、尚且つ噛み付き、明らかに猛獣の虎を超越している人間豹…中の全ページに展開する牛尾の絵も、バタ臭くダークで震えが来るほど素晴らしいのだが、やはりこの表紙絵を使わぬ手はないと、敬意を表して派手に俗っぽく血みどろに仕上げることとなった。あぁ、手にした感じが物質感たっぷりでいいなぁ。ページを開けば、通俗エログロ乱歩の世界を牛尾が巧みに咀嚼し、己の筆で、いわゆる挿絵とも違う、漫画と劇画の中間のようなタッチで、臨場感たっぷりに、名探偵明智小五郎を振り回すほどの人間豹の活躍を描いて行くのだ。明智の妻・文代が攫われ、人間豹に熊の皮を着せられるシーンもその後の異常な展開も、遠慮呵責なく誌面に!…あぁ、これはいったい誰の為の“繪物語”だったのだろうか。繪物語は子供のものと相場が決まっているが、この悪魔的繪物語は、とにかく異常で刺激が強過ぎる。…みなさまもどうか、七十年を経て蘇ったこの繪物語を、新しい表紙とともに存分に楽しんでいただければ、嬉しい限りです。本日から「盛林堂」店頭や通販で販売開始されるはず。

早く「人間豹」を読みたくて、ウキウキ家へ戻る途中、阿佐ヶ谷で閉店した「ネオ書房」の前を通りかかると、新たな貼紙がサッシガラスに出現していた。
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ほぉ、ついに切通理作氏が継いだ新店ネオ「ネオ書房」(2019/03/10参照)が、8/10(土)に開店するようだ。いったいどんなお店に仕上がっているのか、今から楽しみ楽しみ…。
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2019年07月30日

7/30盛林堂で色々受け取る。

暑さのピークを怖れるように古本を抱えて家を飛び出し、午前十一時の西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。店頭に均一本を補充している店主の小野氏と挨拶を交わし、日光に首筋を焼かれながら本を眺めてから、店内で「フォニャルフ」棚に補充する。そして色々受け取ろうと、小野氏の戻った帳場に向かうと、まず嬉しそうに渡されたのは、「盛林堂」創業七十周年を記念して作られたトートバッグであった。片面に本棚探偵・喜国雅彦氏の古本オモシロ漫画がプリントされている!
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ギャハハハハハハ、脱力するほど下らないが、本当に面白い!こんな漫画を描いてもらえるなんて、盛林堂さんは幸せ者だ。素晴らしき古本屋グッズをありがとうございます!と感謝を捧げつつ、続いて表紙デザインをお仕事させてもらった、盛林堂ミステリアス文庫「栗田信傑作集(上・下)」とRe-Clam別冊「死の隠れ鬼 J・T・ロジャース作品集」を受け取る。どちらもとても満足のゆく出来で、しかも二つともすでに売り切れてしまったとのこと(ただしコミケでの販売はアリ)…世界にはそんなにも栗田信を必要としている人たちが潜んでいたのか…。「栗田信傑作集」の上下巻分割装画は山下昇平氏の作品で、同書収録作で「醱醗人間」の続編『魔海の男』の一場面を描いたものである。ハグレSFの極みとも言える“醱醗人間”vs“発光人間”が、こんなにも凛々しく格好良くなるものか!と、思わずニヤニヤしてしまう。そして実はさらに楽しみに楽しみにしている表紙デザイン仕事の上がりが二日後に迫っているのだが、受け取り次第随喜の涙を流しながらご報告いたします。
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2019年07月28日

7/28東京・武蔵境 おへそ書房

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武蔵小金井の南にある、部活の女子中学生自転車軍団が「スゴい坂ぁ!」「坂だぁ〜」「キャァーッ!」「ギャワワワァ〜!」「帰りこれ登るのぉ〜?」「ヒィエ〜〜〜〜」「ブレーキーーーーーー」などと楽しい多種の叫び声を上げながら下って行く急坂に、お昼過ぎに流れ着く。ちょうど良い、武蔵境に行って、七月二十日にオープンしたお店を見に行くことにしよう…。というわけで『中央改札』から北口に出て、ちょっと左手に見えている、ビルの間を北に真っ直ぐ延びて行く『すきっぷ通り』に入り込む。飲食店が建ち並び、食物の匂いに支配された、賑わいのある駅前通りである。その商店街も尽きて、ひとつ目の交差点を過ぎると、途端に郊外的な新しい道に変化する。テクテク北に歩き続けると、大きな食料品スーパーが現れ、その先の左手に目指して来た古本屋さんらしいお店が見えている。近付くと真新しい緑のテント日除けの下に、安売古本棚&台が出されている。何とも珍妙で可愛らしい名前のお店である。軒下には木製の袖看板も設置されており、“おへそ”の文字で
顔を形作ったシンボルマークが彫り込まれている…なんとなく岡本太郎の『太陽の塔』の顔に似ている。店頭には百均文庫と単行本とムック類と、それに古めの絵本が多く出されている。うむむ、ちょっと良い雰囲気…中にも良い絵本がありそうだなと思わされ、店内に踏み込む。左右の両壁に頑丈な白木の棚が据え付けられ、中央にも低めの棚と高めの棚を組み合わせた背中合わせの通路棚が一本鎮座している。右壁棚には、アート・建築・デザイン・写真・郷土・自然・思想・哲学…最下段にはまだ何も並んでいない。奥には「話の特集」を大量に集めたゾーンあり。向かいには海外文学・ブローディガン・セレクト日本文学・北杜夫・詩集・本関連・言葉などが集まっている。左側通路に移動すると、壁棚には絵本が多数展開し、長新太や佐々木マキゾーンが俺の耳目を集める。さらに児童文学・暮らしなどが続き、向かいには文芸雑誌・日本文学文庫・海外文学文庫・セレクトコミックが収まっている。フレッシュな若めのセンスを貫き、優しく線香花火のように趣味がジリジリ炸裂する棚造りである。七十年代辺りの新文学・新思想・カウンター&サブカルチャーが源泉か。値段は普通で、良い本にはしっかりとした値が付けられている。…やはり買うなら絵本だろ!と手にしたのは、フレーベル館「キンダーおはなしえほん かくれんぼ/作・村山筹子 絵/村山知義」(昭和四十七年刊)である。こぐまとあひるのアナーキーな『かくれんぼ』と、だいこんとごぼうのシュールな共同生活の突然起こったいざこざを描く『ごぼうとだいこん』と、これらの二編よりさらにシュールな童謡『もしも あめの かわりに』を収録…村山筹子って、絶対に変だ…と思いつつ、フリーの青年登山家の様な店主から予想外の安値で購入する。…おぉ、これで武蔵境に来たら、「浩仁堂」(2011/02/15参照)とコンボで巡ることが出来るのだな。さらに南に足を延ばして、「尾花屋」(2017/06/15参照)と古本屋トライアングルを形作ることも可能なのだな。開店おめでとうございます!
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『かくれんぼ』がメインストーリーなのに、表2と扉は何故か『ごぼうとだいこん』が占領!
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2019年07月27日

7/27「廿面相」フィルムについて思いを巡らす。

昨日手に入れてから、ライオン・フィルム「怪人廿面相」について、ずっと思考を巡らせている。調べてみると『ライオン.フィルム』は戦前からある会社のようで、漫画映画のフィルムや映写機や幻灯機も自社製のものを販売していたらしい。だが今回発見したフィルムは、そのラインナップから見ると、明らかに戦後のものである。ここまで有名所を商品化しているのなら、ちゃんと著作権の許可は取っていたのであろう。
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※フィルムセット完品の写真。
そこで「怪人廿面相」である。タイトルや『おわり』の部分には、乱歩や漫画作家の名は入っていない。昨日も書いた通り、24コマ(フィルムだが、いわゆるアニメーションではなく、漫画のように一コマに絵とセリフが書かれている)の短いダイジェスト的ストーリー。狙われるのが、高い時計塔が有名な大鳥時計店の『金の塔』で、小林少年が女装変装するところなどから推察すると、どうやら大元は「少年探偵団」らしい。
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…とここで思い当たることが一つ出て来た。それはこの特徴ある絵柄である。戦後の漫画の絵柄にしては、高野文子のように妙に乾いてシンプルでプリティーなのである。確か昭和三十年代の乱歩漫画にも、こんなおかしな絵柄の作品があったはずだ…それを確かめるために引っ張り出したのは、「乱歩漫画コレクション/森英俊・野村宏平編」という全12ページのリーフレットである。…パラパラ…あったあった。黎明社「少年探偵団/作画せき・しろ」という昭和三十年刊の作品がそうである。カラーの表紙絵も同じタッチで、内容もまさに「少年探偵団」なのである。これはもしかしたら、漫画から絵柄を抜き出して、セリフや説明文字を書き入れ、フィルム化した可能性がデカイ。もしくは面倒にも描き下ろしたか…。恐らく現物の漫画に当たってみれば、その謎も容易く解決するのであろう。だがその現物の漫画「少年探偵団」に出会えるチャンスなんて、これからの人生にあるかないかの低い確率なのである。これは一度、絶対にその漫画を所蔵しているであろう古本神・森英俊氏にでも、確認作業をお願いしてみるか…。それにしても一本の古い玩具的フィルムから、こんなにも色々と推察出来るのは、全く持って楽しいものだ。
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2019年07月26日

7/26本の雑誌スッキリ隊・イレギュラーズ!

本日は「本の雑誌」次号に掲載の新企画『本の雑誌スッキリ隊がゆく!』(「本の雑誌」読者の蔵書を、古本屋+編集長&ひとり営業のチーム“本の雑誌スッキリ隊”が片付けに参上!)の一環として、すでに一度取材を行った某宅に、古本屋チームの手伝いとして赴くことになったのである。要は古本屋さんの下働きである“本の雑誌スッキリ隊・イレギュラーズ”ということである。古本屋チームは、「古書現世」(2009/04/04参照)向井氏・「立石書店」岡島兄氏・「古書英二」岡島弟氏の三人である。自宅前でハイエースの古書英二号(運転は岡島兄)にピックアップしてもらい、一路山梨県・勝沼を目指す。
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ところが都内の環状線が激しく渋滞、あまつさえ高速に乗っても朝なのに下りが渋滞しており、何となく躓いた気分になる。途中『談合坂SA』で借りて来た軽バンに乗った岡島弟と合流し、勝沼で高速を下りて、葡萄畑で出来た緑の迷路のような道をひた走り、どうにかおよそ三時間弱かかって目的宅に到着。矍鑠とした老依頼主と挨拶を交わし、早速作業に入る。前回すでに大量の本を運び出しているのだが、それでもまだ二階の部屋部屋には本がドッサリと残されているのだ。一部屋では壁の二面に大きな棚が張り付き、
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一部屋には二本の本棚、そしてVHSビデオ部屋を通過して入れる書斎には可動式の書庫が付属しており、都合壁棚も含め十本の本棚が犇めいている。
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向井氏と岡島弟は書斎で本の選別と結束に入り、岡島兄は壁大棚二本の部屋で選別と結束に入る。ここで面白かったのは、三店の古本屋さんの欲しい本があまり重ならぬところ。それぞれがそれぞれ得意の分野や、お店での本の並べ方や、催事での売り方などに合わせて、それぞれがすぐに売りに出せそうな本束を生み出していくのだ。函ナシの「断腸亭日乗」を「これは持って帰ろう。この方が安く買えて、素早く売れることがあるんです」と即座に縛り上げる岡島弟の独特な考え方に感心する。また床に胡座をかき、膝の上で本を縛り上げる奇妙なテクニックにも感心することしきり。巨躯の向井氏は、安楽椅子にドッシリ腰を落ち着けたまま、次々と本束を造り出して行く。岡島兄はスローペースだが、本の仕分けが物凄く丁寧。「普段はここまでしないんだけど、こうしといた方が後が楽」と楽しそうに作業している。イレギュラーズの私はと言えば、本格的な出番は結束本の運び出しにあるので、今は本束を空いている部屋や廊下に積み上げたりしながら、「欲しいのがあったら持って行っていいですよ」と言われているので、気になる本があったら遠慮なく抜き出して行く。なんたって、今日の作業の報酬は古本オンリーなのだ。力一杯働く代わりに、遠慮なくその代価として、素晴らしい逸品を手に入れなければ!と相変わらずの卑しい古本心を熱く燃やして、各部屋を行ったり来たりする。…窓の外に見える夏の葡萄畑が、何とも言えない美しさである…。
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三時間ほどかけて、ほとんどの本の結束を終え、運び出し作業に入る。向井氏が二階の上がり口に本を集め、私がそれを階段で受け取り、玄関まで下ろして積み上げると、岡島弟が玄関前に着けたハイエースにドシドシと積み込んで行く。岡島兄は残りのチェックや本以外に使えるものを集めて行く。およそ四十分ほどで、大小百本ほどの本束を、依頼主に「本は重いですなぁ。フォッフォッ」と言われ、汗みどろになって運び出し、体内のエネルギーをすべて使い切ってしまう。その報酬として十冊ほどの本をいただくが、一番のスゴい物は、本ではなく一本の短いフィルムなのであった。岡島兄が仕分けた中に、奇妙なボール箱が二つあり、ともに『引火しない面白くて為になるライオン.フィルム』とハンコが捺されている。蓋を開けると四角い小箱が十個収められており、その小箱の中にはさらにフィルムが巻かれて入っていた。幻灯機用の駄玩具着色フィルムらしいが、そのラインナップが大変に素晴らしい!『鉄人28号』『遊星王子』『鉄腕アトム』『鞍馬天狗』『月光仮面』『七色仮面』『丹下左膳』などであるが、その中の一本に『怪人廿面相』が含まれていたのだ!『ララミー牧場』と合巻になっているそのフィルムを丁寧に開き、ゴクリと唾を飲み込みながら電灯に翳して見る。
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内容は二十四コマあり、金の塔を狙う怪人廿面相と明智&小林コンビが知恵比べするというもの。だがストーリーは大雑把につながっているダイジェスト版的な感じなので、もしかしたら付属の脚本みたいなものを弁士よろしく読み上げながら、紙芝居のように上映するのかもしれない。こ、これは貴重で素晴らしい物だ!と一人大大大興奮してまう。
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で、で、で出来れば報酬にいただきたいのだが(欲望は既に丸出しで止まらない…)、これをいただいてしまうと、小箱がせっかく十個揃って完品なのが崩れてしまう…うぅ〜ん、諦めるか…あっ!そう言えばもうひとつ箱があったな!と思い出し、そちらも開けてみると、こちらのフィルムは何故かモノクロバージョン。そしてフィルムは小箱ではなくフィルムケースに入っている。あっ、こっちにもちゃんと「怪人廿面相」があるじゃないか、しかもこちらは完品じゃないので、思い切ってお願いしてみよう。と部屋に入って来た岡島兄に「岡島さん、このフィルム、完品じゃないしかもモノクロフィルムの方、一本だけいただいてもいいですか?」とお願いすると、至極あっさり「いいですよ」と答えていただく。うわぁい!と気持ちを抑え切れず小躍りすると「すげぇ真剣に言われるから、何かと思いましたよ」と笑われる。いや、この貴重な一本のフィルムが手に入っただけで、ここに来た甲斐がありまくりなのです!本の雑誌スッキリ隊、バンザイ!ととにかく無邪気に大興奮する。帰りは帰りでまたもや高速でヒド過ぎる渋滞に巻込まれたのだが、とにかく廿面相のフィルムが嬉しくて、始終ニヤニヤホクホクしていた次第。
posted by tokusan at 21:24| Comment(2) | 中部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする