2023年03月26日

3/26突然の休みと打ち上げ。

昨晩から引き続き降り始めた雨は、朝になっても降り続けている。盛林堂・イレギュラーズ・エキストラver.としてお手伝いするはずの「神保町さくらみちフェスティバル 春の古本まつり」三日目は風前の、いや雨前の灯火か…そんなことを考えつつ連絡を待ちながら、午前十時過ぎに高円寺に向かい、「西部古書会館」(2008/07/27参照)の「中央線古書展」二日目を覗く。雨のため落ち着いた人出で見やすい棚を素早く見て回り、岩崎書店「ゆびくん/五味太郎」(カバーナシ)中公文庫「開化の殺人 大正文豪ミステリ事始/中央公論新社編」を計400円で購入する。さらに帰り道の「ドラマ高円寺庚申通り店」のビニールの掛けられたワゴンもチェックし、PHP出版「東京ガール/如月小春」を二割引の88円で購入して帰宅すると、盛林堂ワゴンの三日目中止の連絡が届いていた。むぅ、残念。今日は昨日と違って、一瞬も止みそうにないものなぁ。雨に祟られながらの、苦労の多い助っ人稼業だったが、まつりへの参加はやはり楽しく、面倒な雨対策も含めて、貴重な体験であった。昼食を食べてゆっくりし、ボーナスの黒岩涙香譯「大盗賊」(原作はガボリオの『書類百十三号』)をパラパラと読み進める。
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旧仮名が多いので、読み方が非常にたどたどしくなり、いつもと違う頭の部分が読んでいる感じ。そして『鬼々しい』という恐ろしい表現を初めて知る…。写真は挿絵の中の一枚。囚人服姿を描いた挿絵が、キッチュでエキゾチックで明治感抜群である。

午後六時前に再び外出し、西荻窪で盛林堂チームと合流して(お店では和同出版社「原子病患者/高木彬光」(裸本)石川書店「秋田 奇聞抄/浅野泰助」雄山閣「講談落語今昔譚/關根點庵」を計300円で購入)、古本まつりの打ち上げ飲み。野外販売の雨対策について、熱心に真面目に話し合う。

※岡崎武志氏のYouTubeチャンネル『放課後の雑談』三回目が公開開始。今回は二人で古本屋さんのあれこれを、緩く楽しく話しておりますので、お時間ある時にご覧いただければ幸いです。
https://www.youtube.com/watch?v=KFLOcKoXxQk
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2023年03月25日

3/25ブルーシート地獄二日目。

朝から本降りの雨である。なので「神保町さくらみちフェスティバル 春の古本まつり」二日目であるのだが、本日の開催状況は不透明である。しかし午後には一旦雨が上がる予報が出ていたので、少しでも開けられたらと予報を信じ、その一瞬に賭け、盛林堂・イレギュラーズ・エキストラver.として神保町に午後三時に到着する。するとしつこい雨はようやく小康状態になり、他店のワゴンがチラホラと雨除けのブルーシートを剥がし始めている。『書泉グランデ』前の仕事場に到着すると、ちょうど盛林堂・フミさんも、ブルーシートに手を掛けているところであった。
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早速それを手伝い、まずは乾いた布でブルーシートの水滴を丁寧に拭き取り、決してガードしていた本に水を落とさぬよう細心の注意を払いながら、シートを剥がす。おぉ、本は無事だ。そして雨が止んだ…と思ったら、たちまちワゴンにお客さんが吸い寄せられ、昨日のように本が売れ始めた。今日も少しでもお店を開けられて良かった。そんな風にホッとしながらも、すぐに小さな雨粒を落とし始める不安定な天気に振り回されるようにして、ワゴンにシートを掛けたり外したり、また掛けたり外したりを地獄のように繰り返す…これは何だかブルーシート地獄…。だがお客さんも辛抱強くとなるはずの撤収作業を少しでも軽くすべく、木箱棚をワゴンから外して行く…見せられる本の量は減ってしまうが、これでシートの掛け外しがだいぶ楽になるのは事実である。他にも必要の無い備品類や、補充ストックの一部を撤収に備えてまとめ上げたりして行く。そんなことをしていたら、やがて時刻は午後五時を回り、重い曇り空と夕暮れが相まり、急激に神保町の明度を落とし始める。だが『書泉グランデ』の光が、ワゴンの本の背をうっすら照らしてくれているので、まだまだ販売は可能である。
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そして午後六時、あっという間に販売終了…実質三時間弱の営業となったが、無いよりはだいぶマシ!と喜んで良いほどの、嬉しい雨雲の隙間であった。その後、急遽レンタカー・キャラバンの都合をつけて駆け付けた盛林堂・小野氏と合流し、一部の荷物を運び出し、西荻窪に帰還する。倉庫にモロモロ運び込むと、色々な意味でハードだった一日目・二日目の労いボーナスとして、黒岩涙香の明治ボール紙表紙本、金櫻堂「銀行奇談 大盗賊 全/涙香小史譯述」を支給される。やったぁ〜〜〜〜!さて、まつり三日目の明日は一日中雨予報なので、中止の気配が濃厚である。なので、さすがに疲れたので、家で「大盗賊」でも読みながら、ゴロゴロだらしなく過ごすことにしようか。
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2023年03月24日

3/24暗算地獄一日目。

盛林堂・イレギュラーズ・エキストラver.の使命を全うすべく、午前八時過ぎの中央線に乗り込み、「神保町さくらみちフェスティバル 春の古本まつり」の開かれる神保町へと向かう。車内読書は小林信彦「虚栄の市」(これ、小林信彦レア角川文庫の中で一番面白い作品ではないか。プレ「夢の砦」と言ったところの、雑誌&テレビ業界露悪的暴露小説である)。午前九時前に盛林堂ワゴンのある『書泉グランデ』前に到着すると、すでに何人かの古本修羅が、鋭い目をして準備中のワゴン腕組みして凝視している…お、恐ろしい気迫…。ワゴンは全部で三台で、右が200均文庫&新書サイズ本、中央が300&500円文庫(木箱棚にレア文庫アリ)、左端が300・500・800円新書サイズ本(木箱棚にレア本アリ)の布陣である。店主・小野氏と奥さまが、配分を気に掛けながら本を並べて行くのを、結束本を運んだり、ゴミを片付けたり、アテに使っていた本をまとめたりと、静かにフォローする。そんな雑事をこなしていると、やがて開始時刻の午前十時が間近となり、古本殺気を放ちながらワゴンに迫る古本修羅の数は、二十名ほどに膨れ上がっていた。仮設番台に立つ小野氏が、ワゴンと木箱棚を押さえていてね、と指令を飛ばす。その瞬間午前十時になったので「それではスタートします。慌てずに押し合わずにお願いします」と声を出すと、四十本余りの手が、グワワッとワゴンと木箱棚に向かって伸びて来た…うぉぉぉぉ、まるで映画『ゾンビ』の、エレベーターが開いた瞬間のような光景…。押さえていても動くワゴン…恐るべきパワーである。
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そして、暗算地獄がスタートした。小野氏と交代で番台に立ち、十冊二十冊と持ち込まれる本を、値札を千切りながらひたすら暗算の繰り返し…くぅぅ、足し算だけとは言え、たちまち頭がショートしそうだ。そしてついには四十冊〜五十冊持ち込む猛者が現れるので、私は番台の後にそれらの本を積み上げ、ただひたすら値札を千切り読み取り、暗算を繰り返して行く…暗算結果が三万とか四万とかになる、常識を遥か飛び越えた買い方には、ただ舌をくるんと巻くしかなかった…。そして、ここのワゴンは、スゴい本たちを安い値段で売っている!欲しい読みたい買いたい本がたくさんある!それらが、羽が生えたように売れまくって行く!…嗚呼、欲しい本が買えずに、人手に渡って行くのを、指をくわえて見ているしかない、この悔しさよ……これは古本好きにとって、ある意味生き地獄…そして暗算地獄…どっちにしろ地獄なのか……。そんな地獄を潜り抜けながら、怪しい空模様を気にしつつ、いつの間にか午後一時となり、昼食休憩を取る。そしてお腹を満たした帰り道に、一瞬「小宮山書店ガレージセール」【2013/07/12参照)に立ち寄ると、古本の神様が己の地獄巡りを哀れに思ったのか、嬉しい掘出し物を授けてくれた。創元社「雪國/川端康成」(函ナシ。二十五刷)偕成社 幼年どうわ12「怪じゅうが町へやってきた/ストックトン作 久保田輝男訳」世界偉人伝37「北里柴三郎/林髞」を計500円で購入する。「雪國」と「怪じゅうが町へやってきた」が嬉しい。「怪じゅうが町にやってきた」は伝説の怪獣“グリフィン”が町に来襲し、交渉役のおぼうさんに懐いて色々お世話をし始める不思議なお話。全編にわたり、モーリス・センダックの挿絵が輝いているのが、また嬉しい。
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などとささやかな収穫を抱えてワゴンに戻り、またもや暗算地獄にズブズブ嵌る。開始から五時間経った午後三時、何とか保ってくれていた天気がいよいよ崩れ、雨が本格的に落ち始めた。こうなったら、紙で出来ている本は水に弱いのは明白なので、すぐさまガードしなければならなくなる。と言うわけで、ブルーシートを二重三重に掛け、それを丈夫なゴム紐で急速に緊縛して行く。
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その間にも雨は強くなって行き、たちまち土砂降りになってしまった…これにて、本日の古本まつりは終了となる。途中で終了するのは切ないが、まぁここまで良く保ってくれたものである。さて、初日からこんな調子なので、明日はどんなことになるのやら。取りあえずは今のところ午後には雨が上がる予報なので、午後イチぐらいから現地で待機して、雨が上がり次第シートを外し、古本販売を始める予定である。ひとまず本日はおつかれさまでした。

PS. そう言えばワゴンを訪れたイラストレーターのYOUCHANさんに、「疾走!日本尖端文學撰集」を褒めていただき、天にも昇る気持ちとなる。また古本神のひとりであるエロ漫画編集者・塩山芳明氏がブログ『塩山芳明の漫画屋BLOG』で同書の感想を書いていただいている。氏の収録作ベスト3は、福井一・石濱金作・窪川いね子とのこと。渋い!と嬉しく感心しつつ、窪川いね子に対する真っ当な評価に涙してしまう。
https://blog.goo.ne.jp/mangaya0022
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2023年03月22日

3/22週末の雨模様とZ9!

西荻北に午後一時半に流れ着いたので、「古書西荻モンガ堂」(2012/09/15参照)に行こうと思ったが、水曜は定休日であることに気付く。ならば流れは自然と「古書音羽館」(2009/06/04参照)に向かい、現代評論社「追放された野次馬 思想的変質者の十字路/赤瀬川原平」(函付き帯ナシ)を800円で購入する。続いて「盛林堂書房」(2011/06/20参照)に向かうと、店内でモンガさんとバッタリ。お店はお休みだが、店主に出会えて良かった良かった。學生社「海底の都市/N・C・フレミング」文藝春秋新社「橋づくし/三島由紀夫」を計200円で購入しつつ、店主・小野氏と週末の雨模様について協議する。実は去年必死に行った暗算の能力が認められ(2022/03/19参照)、“盛林堂・イレギュラーズ・エキストラver”として、3/24(金)〜26日(日)まで開かれる「神保町さくらみちフェスティバル 春の古本まつり」の盛林堂ワゴンの店番を三日間すべて務めることになっていたのだが、とにかく忌まわしき雨模様に振り回されるのは必至なので、その善後策を講じる必要に迫られていたのである。何とか昼間だけでも保って欲しいものだが…こればっかりは神頼みとなるのは致し方ない…てるてる坊主でも作ってみるか。と言うわけで色々細々話し合い、帰宅の途に着く。そして家に帰ると、ドキドキ待っていたヤフオク落札品がわりと素早く届いていた、カバーナシで貸本仕様だが(大阪市西淀川區野里町「中邨書房(なかむらしょぼう)」の印あり)、光文社少年文庫2「少年探偵Z9(ゼット・ナイン)/香山滋」である!ライバルなしの千円で落札す。香山滋のジュニアものが、ついに我が手に!瑕疵はあるが、誠に目出度い目出度い。早速読み始めることにしょう。
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写真は裸本だと味気ないので、中尾進による挿絵の一枚を。『月光をあびて仁王立ちの黒衣の怪人。ああッ!Z・9!』…“仁王立ち”と言うよりも、意外にも“ジョジョ立ち”ですな……。
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2023年03月21日

3/21「世界空想科学小説全集」コンプリート。

今日は家に閉じこもりお仕事に集中…悲しいが仕方ない。だがそんな雪隠詰めの私を慰めるように、祝日なのにヤフオク落札品が届いてくれた。室町書房 世界空想科学小説全集(A SCIENCE FICTION SERIES BOOK)101「遊星フロリナの悲劇/アイザック・アシモフ 平井イサク訳」である。ライバルありの1310円で落札す。二冊で頓挫した、新書サイズペーパーバックのSF全集で、すでにナンバー102「火星の砂/A・C・クラーク」は入手しているので(2022/07/18参照)、これにて目出度く全冊コンプリートとなったわけである。表4の解説は何と香山滋!そして巻末の近刊予告には、102には都筑道夫訳の「トリフィーヅ」があって興奮したが、こちらにはA・メリット「燃えろ、魔法使い!」がラインナップされている…つくづくその辺りまでは存続して欲しかった全集である。それにしても気になるのは、このハヤカワポケミスにそっくり過ぎる装幀と造本。ポケミスの創刊は昭和28年で、世界空想科学小説全集は昭和30年創刊だから、どちらが後追いかは自明の理である。文字の配置や欧文の使い方、シリーズナンバーが“101”からスタートしているところまで酷似しており、パッと見は(特に棚に紛れ込んでいると)なかなか違いを見分けるのは難しいほどなのだ。違いと言えば、表紙の黒字部分が焦げ茶色で、小口は赤に塗られているところや(ポケミスは黄色)、表紙絵の小口側が断ち切りになっていないところであろうか。だがそんなことは些細なことであり、尚且つこの二冊の装幀をポケミスもデザインしている永田力が手掛けているので、パチモン感というよりはほとんどポケミスと言って良いほど、類似してしまっているのである。恐らく『ハヤカワポケミスと同じにしてくれ』と無理に頼まれたのだろう(それか、装幀画のみを担当し、実際のデザインは編集部が担当したのかもしれない…)。昭和30年代は、まだまだ色々なことがおおらかで、アバウトだったというところだろうか。
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ところで、岡崎武志氏のYouTubeチャンネル『放課後の雑談』第二回目が公開されているようです。第一回に引き続きゲスト出演させてもらっているので(今回は「野呂邦暢古本屋写真集」など、二人のコンビで作った本の話をあれこれ)、ご覧いただければ幸いです。
https://www.youtube.com/watch?v=Pmo29oqBw_0
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2023年03月20日

3/20諦めの悪さと二匹目の泥鰌。

午後二時前に豪徳寺の線路沿いに流れ着いたので、世田谷線の踏切を渡り、小田急線に乗り込んでまずは下北沢へ向かう。当然の如く「ほん吉」(2008/06/01参照)に急行し、店頭棚を真剣に見詰める…だが、今日は買うべき本がなかなか見つからない…矢川澄子訳の「トンデモネズミ大活躍」…『霊南坂教会』の写真集…昭和初期の藝術写真指南書…なんか違うなぁ。そんな風に思い悩み、一旦店内へ引っ込むが、そこでも何も見つからず、再び店頭と諦め悪くにらめっこする。だがその諦めの悪さが、見事に功を奏したのである!右側棚の最上段右隅に、隠れるようにして潜んでいた一冊。それは新潮青春文學叢書「潮騒/三島由紀夫」であった。昭和30年刊の3刷であるが、これは粘った甲斐がある拾い物である。ウハウハと110円で購入する。やはり「ほん吉」は裏切らない古本屋さんだ…。
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そして実は昨日「竹中書店」(2009/01/23参照)で買物した際に、店主がダカダカと店内棚の整理を進めつつ、店頭ワゴンに出す本の吟味を進めていたのを目ざとく目撃していたので、今日も何か面白い本が出ているのではないかと、二匹目の泥鰌を狙うべく、井の頭線で高井戸まで出て、徒歩で『環八』を伝って荻窪に急行する。すると目論見は見事に当たり、たちまち昨日と同じ冊数の五冊を掴んでしまう。えひめブックス「華宵からの手紙/高畠麻子」平凡社「明治時代は謎だらけ/横田順彌」現代書館「明治の建築家・妻木頼黄の生涯/北原遼三郎」世田谷文学館「「青鞜」と「女人藝術」時代をつくった女性たち展」伸光社「画文集 下町の屋根/永井萌二・文 石丸弥平・画」(近藤富枝宛署名入り)を計千円で購入
する。「竹中書店」もまた、裏切らない古本屋さんである。
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2023年03月19日

3/19「竹中書店」で大判本を。

せっかくの日曜日なのに些事が多く、慌ただしく過ごしてしまう。そこで午後にいつものようにご近所に古本を買いに出かけ、一瞬息抜きすることにする。まずは「銀星舎」(2008/10/19参照)にたどり着き、鶴書房コンパクト・ブックス「新奇術/千田松緑」を百円で購入し、『中杉通り』を横断し、続いて「古書コンコ堂」。(2011/06/20参照)へ。店頭で、完全に今日の服装を間違えたと語る店主・天野氏と挨拶を交わす。店内を回遊しているとレジ斜め前文庫棚の増設に気付いたので、河出文庫「若冲/澁澤龍彦他」を370円で購入しながら訳を聞いてみると、奥に積み上げていた百均文庫だと思っていたのが、実は使える文庫本であることに気付き、早く捌くために増やしたとのこと。「めっちゃあるんですよ、文庫が」「じゃあ棚一本増やしたくらいじゃどうにもならないでしょ」「いや、回転率を上げて売りまくれば…」などと、コスパを追求するレストランみたいなことを言っておられます。さらに荻窪に移動し、「竹中書店」(2009/01/23参照)の店頭二百均木製ワゴンを覗き込むと、ほぉ!今日は何だか相性が良過ぎる並び!と喜びたちまち五冊を手にしてしまう。河出書房新社「岩田専太郎 挿絵画壇の鬼才/弥生美術館編」財団法人佐野美術館「幕末・明治の超絶技巧 世界を驚嘆させた金属工芸」東日本鉄道文化財団「鹿鳴館の建築家 ジョサイア・コンドル」地人書房「東京の近代建築/歴史・文化のまちづくり研究会編」金沢湯涌夢二館「竹久夢二」を計1000円で購入する。重めの図録が中心なので、帳場のご婦人は紙袋に入れながら「重いから切れちゃわないかしら。気をつけて抱えて帰ってね」とアドバイス。はい、そうします。
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「東京の近代建築」には先日三宿で偶然発見した「萩原家住宅」(2023/03/08参照)も掲載されており、気になっていた書斎の本棚の写真も載っていた。おぉ、造り付けの棚で、家の内外の意匠との統一感が、見事に取られているではないか。
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※林哲夫氏のブログ『daily sumus3』で、「疾走! 日本尖端文學撰集」を取り上げていただきました。詳細な解説に大感謝です。
https://sumus2018.exblog.jp/30273306/
それにしてもアンソロジーの隠し球のひとつである、福田一「ムウヴイ・フアン」をご存知だったとは…お、恐ろしい方だ……。
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2023年03月18日

3/18ようやく今年初の「江口書店」。

三月の冷たい雨がようやく止み始めた午後四時過ぎに、学芸大学西の野沢の住宅街に流れ着く。従来なら学芸大学駅に戻り、「飯島書店」(2009/04/10参照)を訪れるのが正しい所作であるが、ここはあえて住宅街の丘と谷を越えて三宿に出て、今年初めての「江口書店」(2010/03/29参照)を訪れるべきではないだろうか!そうひとりごちて、ヒタヒタ北に歩き始める。そしてようやくお洒落で繁華な『三宿通り』に出て、「江口書店」前に到着すると、しっかりと営業中であった。有り難いことである。
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サッシ扉をカラリと開けて中に入ると、温気がもわっと冷えた身体にまとわりつき、心がゆるゆる解けて行く。しばらく来ていなかったから、だいぶ品揃えにも変化が生まれているようだ。あちこち掘り返しながら、右側通路から左側通路へ。こちらは雨のため、店頭百均台が引き込まれているので、台をチェックしつつ、身を乗り出すようにして棚の本に目を通して行く。改造社「あらすか物語/祥瑞專一」暮しの手帖社「浦島太郎(復刻版)/中谷宇吉郎・文 藤城清治・影絵 松本政利・写真」東京大學館「美文散文 白砂青松」を選び、計1100円で購入する。ふぅ、楽しかった。300円で買った明治本「白砂青松」は拾い物。露伴・子規・鏡花・紅葉・水蔭・藤村・虚子・桂月などなどなど。
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そしていよいよ大阪「梅田蔦屋書店」での古書販売は明日が涙涙の最終日。古ツア棚は50%オフ、「ジグソーハウス」さんの棚は20%オフ。最後の最後まで、よろしくお願いいたします!
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2023年03月17日

3/17午前中の神保町。

空模様が何だか怪しく、気温もどんどん下がって来ているようなので、午前のうちに色々済ませてしまおうと、外に出て動き回る。すると思いの外早く用事が済んだので、その足で神保町に出て、「東京古書会館」(2010/03/10参照)地下ホールで今日明日開かれている『趣味の古書展』に飛び込んでみる。荷物を預けて会場に入ると、古本熱気が通路と古本修羅の頭の上に揺らめいている。そんな中に素早く溶け込み、入口から順繰りに棚を見て行くと、奥の「扶桑書房」の棚に行き当たる。面陳と棚差しが混在し、良い感じの手頃&安値の古書が、人垣越しに秋波をビシバシ送って来る…背中越しに必死に透かし見始めると、後から「小山さん」と密やかに声がかかった。振り返ると、デザイナー&小村雪岱研究家の真田幸治氏が、お馴染みのタータンチェックのズボンを履きこなし、垂れ下がる前髪の奥から、柔和な瞳を輝かせていた。「古本市にこんなに早く来るなんて、珍しいじゃないですか。声をかけようかどうか迷いましたよ」と言う彼の手にはカゴが下がり、すでに良さげな古書がドッサリ放り込まれていた…ぬぅ、さすがです。こちらはここでは300円の脚本集一冊を掴んだのみ。やはり朝一番にここに駆け付けた物の頭上に、栄冠は輝くのだな。そう確信しつつ、次から次へと棚に飛び移って行く。結果、新潮社 現代脚本叢書第十二編「牡丹燈籠/長田秀雄」教育社「人喰鮫/富沢有為男」平凡社 新進傑作小説全集第二巻「池谷信三郎集」新作社「半七捕物帳 第参輯」(函付き、十二版)「半七捕物帳 第五輯」(函ナシ、初版)を計1600円で購入する。やはり大正時代の「半七捕物帳」二冊が収穫である。同社の第壹輯はすでに持っているので、これで残りは貳輯と肆集となったわけだが、今回手に入れた参輯の表紙クロスが青いのはどういうわけだ?そんな新たな疑問を抱えながら、地下から神保町の街に飛び出し、「東京堂書店」で「疾走! 日本尖端文學撰集」の様子を確認しつつ、岩波文庫・青「堀口捨己建築論集/藤岡洋保」を購入した後に『靖国通り』へ。「田村書店」(2010/12/21参照)前を通りかかると、店頭の安売ワゴンに眞善美社「死靈 第一巻/埴谷雄高」が投げ出されているの発見する。カバーナシで背の上部が欠けているが、お値段は何と百円である。奥付を見ると初版だったので、再版本を持っている身としては、買わないと言う選択肢はゼロ!と言うことで百円玉一枚と交換していただく。おぉ、午前中の神保町よ、色々どうもありがとう。
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2023年03月16日

3/16「一日」と「百年」。

本日はまたもや浜田山に流れ着いてしまったので、またも折り返すようにして吉祥寺に出る。「一日」(2017/08/11参照)のガレージに立ち寄ると、1500円以上お買い上げは50%OFFセール中であった。まぁここでそんなに買うことはないだろうと高を括りつつ、ノンビリと本の背を眺めて行く。すると壁寄りに、大量の古めの「キネマ旬報」が並んでいるのに出くわす。一冊330円であるが、戦前物は1100円となっている。戦前物はわりと薄手の造本で、大正時代まで遡れるようだ…そん風に感心しつつ、気になる分厚めの二冊を抜き出す。1930年&1934年の新春特別號なのだが、その造りがおめでた過ぎるのに目を瞠る。中身は和洋新春公開映画の紹介ばかりなのだが、当時の映画ポスターをそのまま色刷りで収めたページ満載で、満艦飾感溢れる昭和初期のモダンデザインの宝庫となっているのである。これはスゴい!むっ、このキネ旬にもセールは適用されるのか…ならば一冊1100円だが、二冊だと2200円となり、セールで1100円となる…ということは一冊550円。よし買おう!と喜んで購入する。
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とにかくこんなページばかりで、造本がすこぶる贅沢なのである。映画が一級品の娯楽であった時代の副産物と言えようか。

続いて「百年」(2008/09/25参照)に移動し、文学棚を注視していると、一號館書房「日本探偵小説傑作集/江戸川亂歩編」が1650円で売られているのを発見したので、迷わず素早く購入する。吉祥寺で探偵小説の仙花紙本が買えるとは、嬉しい限りである。そして新たに作ってもらったスタンプカードが、一気に五つも貯まってしまった…。
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表紙は裸女と線画の砂時計という、ちょっとシュールな構成。横溝正史「面影双紙」濱尾四郎「彼が殺したか」小栗蟲太郎「完全犯罪」小酒井不木「戀愛曲線」を収録。

「日本古書通信」3月号のリレー連載『ミステリ懐旧三面鏡』は北原尚彦氏の番。四十年前の、お花見の席取りのついでに、神保町で友人にお金を借りて改造社「ドイル全集」を購入する、古本心温まるお話を綴っておられます。
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2023年03月15日

3/15取扱店を行脚する。

昨日の重労働で、軋む身体を引き摺り、午前八時半に税務署に赴き、確定申告を完了する…滑り込みセーフ…。そして夕方に外出して西荻窪に姿を現わし、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内「フォニャルフ」棚にドドッと補充する。下段の文庫&新書類がちょいと無くなっていたので、ビッチリと古本を植え込むカタチ。そして折よく届いた、表紙デザインを担当した盛林堂ミステリアス文庫新刊「アーカム・ハウスの本/三門優祐・小野純一編」を受け取る。アメリカの怪奇小説出版社の雄『アーカム・ハウス』の書誌である。アーカム・ハウスと言えばやはりクトゥルーと即座に連想し、吸盤付きの触手をデロデロあしらったら、編者から『もっとデロデロさせてくれ』とリクエストがあったので、こんないかがわしい感じに仕上がった次第。そんな分厚いデータ本は、3/24(金)から始まる「神田古本まつり」が初売りとのことである。
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ところで「盛林堂書房」では、編者署名入りのちくま文庫「疾走! 日本尖端文學撰集」はすでに売り切れ。お買い上げのみなさま、誠にありがとうございました。後はじっくりと本文をお楽しみいただければ幸いです。西荻窪「古書音羽館」阿佐ヶ谷「古書コンコ堂」京都「古書善行堂」にはまだ署名本残部ありますので、気になる方は何とぞよろしくお願いいたします!と言うわけで取り扱ってくれているお店を、感謝の意味を込めまくって訪れて行こうと(「善行堂」さんはまたいつの日か)、まずは「古書音羽館」(2009/06/04参照)へ。青樹社「爆破都市/斉藤栄」株式会社JRC「ジョン・カーペンター読本/山崎圭司・樋口泰人編」を計700円で購入する。阿佐ヶ谷に戻り「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)では、CBSソニーartback「ぼくの絵日記 遠いおかしな日々を…/矢吹申彦作」を2100円で購入する。以前飾り棚にディスプレイされており、いつか買おうと思っているうちに消えてしまったので、売れてしまったか…と諦めていたのだが、何と奥の美術棚に挿されているを発見したので、2100円で購入する。ビニカバが欠けているので、ちょいお安めなのである。
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3/15古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第二十七章】

すでに昨日のことである。午前七時に「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏の盛林堂号に自宅近くで拾ってもらい、西荻窪のお店を経由し、盛林堂・イレギュラーズとしてもはや十年単位のレギュラー仕事となりつつある、日下三蔵氏邸書庫の片付けに向かう。都内の渋滞甚だしく閉口しながらも、マック休憩を抜きにして日下邸に駆け付ければ、ほぼいつも通りの到着時間であった。ちょうどそこにほぼ同時に到着した、日下氏の妹さんに伴われて邸内へ。気配を察知した日下氏が二階階段から姿を現し「やあ。どうもどうも」と挨拶する。お仕事着手前に、氏が単独で整理を進めた結果生まれたダブり本棚をまずは見せていただく。
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収められているのは棚三段分の新書サイズ本であるが、素早くチェックした小野氏は、小泉喜美子の「幻想マーマレード」に喜悦の表情を浮かべる。そこに廊下を通りかかったお母様が「今日もよろしくお願いします」と言葉をかけてくれた。お出かけになるところなのだが、日下氏が「いってら!」と声を挙げる…どうやら「いってらっしゃい」の短縮形で、日下家語のひとつらしい…。そして肝心の本日のミッションは、マンション書庫に移動し、まずは台所にプールされた不要本千冊を結束した後(こちらは盛林堂持ち帰り)、CD部屋・リビング・台所にあるコミックスを選別した後結束することである(こちらは日下氏が妹さんとともに後日専門店に持ち込む)。と言うわけで早速書庫に移動すると、そこには驚くべき変化が生まれていた。まずはリビング中央が広々と開放されている。これは日々の努力でスペースが生まれた結果と、電気屋さんが電燈の交換に来たので、そのために集中的に確保した片付けた結果とのこと。日下氏はその広さに満面の笑みである。小野氏が「バンザイして記念写真を撮りましょう」と提案。スペースの広さに浮かれた日下氏は、思わずその言葉に乗せられ、しっかりとバンザイポーズ…愉快な人たちだよ、まったく。
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そして奇跡的な進歩がもうひとつ、何とトイレ前の文庫山が姿を消し、トイレが使用可能になっていたのである!これでわざわざコンビニのトイレを借りるために外に出なくて済む!と一同大喜び(実際三人ともトイレを使う度に「家にトイレがあるのはいいねぇ〜」と感動することしきり)。
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そんなことがあり、いよいよミッション突入となるわけだが、簡単に書いてしまうと、午前十時から午後五時過ぎまで、三人はほぼ同一の作業に従事したのである。日下氏は本の選別、私は本の移動、小野氏は本の結束…ただこれだけをひたすらひたすら繰り返したのである。何とその冊数、四千冊強!日下氏は四千冊の本を選別し、私は四千冊の本を運び、小野氏は四千冊の本を結束したのである。これには三人とも作業終了時には、疲労極みに達してしまう。あの日下氏が午後三時半辺りに「ふぅ、もう疲れた…」と呟いたくらいである。私は本の山を両手に抱え、再び狭くなっていた廊下を行ったり来たり。
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小野氏はおよそ700m分のビニール紐を使い切ったのであった。
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だがその間にも、CD部屋でイヤーン・フラミンゴ(清水正二郎)の『ピンク07号』シリーズを大量発掘したら、小野氏がたちまち色めき立ち、結束作業を放り出してCD部屋の本の山に挑みかかったり一幕が発生(ちなみにピンク07号シリーズは本邸書庫で確認すると大幅にダブっていた…)。
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ダブりだ!と思った島田一男原作の漫画は、実は一冊はリサイズされて売り出されたものだったのでガックリ。
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さらに日下氏がコミック山の下層から「新青年」箱を発見し、私が次なるproject“V”のために「新青年」を必要としていることを覚えてくれていて、声をかけてくれた。
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この箱の中身は、日下氏が三年以上前に蔵前の「御蔵前書房」(2008/11/08参照)の店頭に、一冊千円で出されているのを発見し、即座に出ていた十二冊をサービス価格の計一万円で購入したものである。調べてみると、おぉ!該当する号が四冊見つかった。すると日下氏が「それちょっと見せてください」と目次をチェックし「必要なのは載ってないし、ボロいから持って行っていいですよ」と譲ってくれた。やった!project“V”、微速前進!コピーと本物では、やはり得るものが微妙に異なることもあるので、これは嬉しい大収穫である。その後本邸に戻り、ダブり本のチェックをした後、小野氏は買取査定に入り、日下氏は新たに一軍書庫に加えるべき本を、後ろから見たらほぼ日下氏幅だった通路に座り込み、所定の位置に収めて行くのであった…本日も大変にお疲れさまでした。
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すべてを終えて家に戻ったのは午後十一時。嬉しい四冊の「新青年」を軽く修復した後に写真撮影して就寝する。
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2023年03月13日

3/13お祝いに古本を買いに行く。

家に閉じこもり夕方まで過ごすが、今日は記念すべき、ちくま文庫「疾走! 日本尖端文學撰集」の正式な発売日なので、お祝いにご近所に古本を買いに行くことにする。そうだ!「ネオ書房」(2019/08/11参照)のスタンプカードが貯まっていたんだっけ…というわけで、自然と足は『旧中杉通り』の「ネオ書房」へ。まずは右奥の特撮関連棚にGLO-BOOKS「キング・コング/エドガー・ウォーレス 氷川瓏訳」を見つけたので確保するが、値段は550円…満タンスタンプカードを使うと500円引きになるので50円…それでは何だか偲びないので、もう一冊…とキョロキョロして見つけたのが、フロア島の端の棚に入っていた美術出版社「金子國義 アリスの画廊」である。お値段は2100円。ビニカバが付いていないが、前からちょっと欲しかったし、500円引きならちょうど良いだろうと、合わせて計2150円で購入する。「いつの間にか貯まってたんですね」と切通夫人に感心されたので「また一から集めますよ」と一応宣言しておき、お土産に飴をひとついただく。
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そして皆様、渾身の初アンソロジー「疾走! 日本尖端文學撰集」をどうかひとつよろしくお願いいたします。手にして繙けば、たちまち日本文学の特異点が、ワッシャワッシャと騒ぎ回ります!ようこそ、ようこそおいで下さいました、昭和初期の新しき喧噪の中へ!
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2023年03月12日

3/12書類作りがめんどくさいので……。

早起きして楽しくデザイン仕事をひとつ…その楽しさが滲み出た、明るい仕上がりに満足を覚える。続いていよいよまとめなければいけない確定申告の書類作りに取りかかるが、何度やっても七めんどくさい作業なので、全く作業が捗らない。なので気晴らしに古本を買いに行くことにする。テクテク歩いて「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)へ。第一銀行「第一銀行五十年史」サンリオ出版「礼節/石原吉郎」日本文芸社「推理の実験室 犯人当てクイズ/富岡寿一」を計440円で購入する。「第一銀行五十年史」は大正十五年刊の非賣品本。本文に印刷した紙幣の写真が載っているのも素敵だが、巻頭の『國立銀行時代の本店』の写真がさらに素敵である。
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三代広重や小林清親の浮世絵に描かれた、豪華な塔楼を擁した(もはや戦艦の艦橋のようである)異様な擬洋風建築には、無条件で心が躍ってしまう。よし、面白い本が安く買えたぞ。そう満足して家に引き返すと、ポストに久々のヤフオク落札品が届いていた。大光社 ソビエトS・F選集=1「怪獣17P/ナターリヤ・ソコローワ リンマ・カザコーワ」である。ライバルちょいありの500円で落札。真鍋博の細かい挿絵がふんだんに入っているのがワンダフルな選集である。こんな素敵な古本が届くのだったら、書類作りを中断して古本を買いに行くことはなかったか……あぁ、だが、古本が手に入っても、やはり書類作りはめんどくさい…。
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そして本日午後五時から、岡崎武志氏のYou Tubeチャンネル『放課後の雑談』が公開になるようです。私は第四回辺りまで何だか眠そうな顔でゲスト出演していると思いますので、どうか探して観てみてください!
https://youtu.be/aBjq0OyEGiI
そしてさらに、大阪「梅田蔦屋書店」での古書販売終了まで一週間となってしまいました。50%OFFセール中ですので、心残りがないよう、根こそぎかっさらっていただければ嬉しい限りです!
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2023年03月11日

3/11売れてくれぃ!

昨日は午前のうちに高円寺を目指し、『西部古書会館』(2008/07/27参照)で日曜までの三日間開催される「第160回西部古書展」を覗く。それにしても160回とは立派な歴史ある回数である。適度に混み合う通路を慎重に棚中心主義で巡って行く。茶色い古書が多目で見難いのだが、何かありそうな感じが被虐的で嬉しい。四十分ほどで見切りをつけ、大日本雄辯會講談社「海洋冒險物語/南洋一郎」(カバーナシ、昭和十四年二十版)坂本書店「南方閑話/南方熊楠」(函ナシ)角川文庫「臨海樓綺譚/スティーヴンソン」「曉の女王と精靈の王の物語/ネルヴァル」を計1800円で購入する。まあまあな収穫は「海洋冒險物語」と「臨海樓綺譚」であろうか。
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夕方に再び外出し、駅頭で編集さんから移民系探偵小説のゲラを一束受け取る。未知の作家なので、表紙デザインのためにちょっと読み込むのが今から楽しみである。そして本日は浜田山に午後一時半に流れ着いたので、吉祥寺に折り返して古本屋さんを巡る。まずは「古本センター」(2017/03/06参照)で新しいバイトの女の子の爽やかな笑いが店内に響く中、深夜叢書 エクリチュール叢書1「谷川晃一ドローイング集」を80円で購入する。続いて「バサラブックス」(2015/03/28参照)にて、出たばかりのアシェット・コレクションズ・ジャパン 江戸川乱歩と名作ミステリーの世界「屋根裏の散歩者/江戸川乱歩」が300均箱に紛れ込んでいるのを見つけたので、素早く購入する。中に挟まっていたリーフレットを見ると、「ドグラ・マグラ/夢野久作」「不連続殺人事件/坂口安吾」「黒死館殺人事件/小栗虫太郎」は分冊で発売されるようだ…果たして無事に予定されている第30号までたどり着けるのであろうか…それにしてもこの表紙イラストの屋根裏、随分と丈夫で広々としている様子…。
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そして最後に「古本のんき」(2021/03/31参照)で青土社「ユリイカ 1980 11 特集シャーロック・ホームズ」を200円で購入し、帰宅する。

ところで、ちくま文庫「疾走! 日本尖端文學撰集 新感覚派+新興藝術派+α」の編者署名入り本が、「盛林堂書房」「古書コンコ堂」「古書善行堂」「古書音羽館」で先行発売が開始されている模様。何とぞ、何とぞよろしくお願いいたします!この本の売れ行きで、次のproject“V”の行く末が大きく左右されるのです。嗚呼、売れろぉ!売れてくれぃ!
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2023年03月09日

3/9フリースタイルなんてムリっす…。

午後一時半に下北沢の、いつもより比較的静かな街中に流れ着くが、衝撃的な出来事があった。道を歩いていたら、酔っ払った若者にフリースタイルラップで挑みかかられたのだ。リズムに乗って韻を踏みまくる言葉の応酬に、何も出来ずにポカ〜ン…スマン、俺には無理です…。瞬時に選び抜かれた言葉の連なりに頭が追いつかず(『フードを被った背脂』と言うのは聴き取れた…)、ただただ若者文化に圧倒される。まぁ例え返せたとしても、『ザ・シンプソンズ』のホーマーが繰り出すような、聴くだけでも恥ずかしい大人ラップになってしまうのは必然…受けなくて良かった。それにしても、その手慣れた感じから受けた印象は、これは彼らの武器であって、また文学なのであると言うことだった。常に繰り出す言葉を探り考えているなんて、なかなか出来るもんじゃない。だが、老婆心ながら忠告しておく。スタイルに拘ると、形式主義に堕する可能性があるのだ。若者たちよ、スタイルに拘らず、もっともっと自由に言葉を解放させるのだ!などと心中で思いながら&面食らいを継続しながら、「古書明日」(2017/01/31参照)へ。福音館書店「かがくのとも80号 てざわり/吉野公章」至光社「物語絵本こどものせかい おうさまときんのくつ/文と絵 センバ・太郎」を計200円で購入する。「おうさまときんのくつ」の裏表紙には、へのへのもへじの悪戯書きとともに、鉄腕アトムのシールがペタペタと貼られている。アトム・ウラン・お茶の水博士・ヒゲオヤジ…絵本よりこっちの方が貴重かもしれない。
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ヒゲオヤジ、またの名を伴俊作。

そして阿佐ヶ谷に戻り、今日も「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、河出文庫「世界怪談名作集 上・下/岡本綺堂編・訳」を220円で購入し、帰宅する。

そろそろ本屋に並び始めている「本の雑誌 菜の花汽笛号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、最近お気に入りの高円寺「十五時の犬」を楽しく取材。特にお店の右側が大好きなのであります!
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2023年03月08日

3/8「江口書店」は営業を再開しているようである。

午後三時前に三宿に流れ着いたのだが、その過程で住宅街の裏路地に素晴らしいものに出会ってしまう。建築家F・L・ライトの弟子、遠藤新(関東大震災発生時にライト設計の『帝国ホテル』におり、広間で大の字に寝転がり、敬愛する師匠の建築と運命を共にしようとした伝説アリ)が設計した住宅『萩原家住宅』である。
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大正十三年の木造建築(増築や復元補修工事あり)で、慎ましく美しい小住宅であるが、各所に軽やかに渡された臙脂色のラインが遠藤らしいモダンなデザインである。現在もちゃんと人が住んでおり、登録文化財の説明板を読むと、遠藤設計の本棚や家具も当時のままの姿で保存されているとのこと…ほ、本棚が見てみたい…。そして三宿と言えば「江口書店」(2010/03/29参照)であるが、今日は月曜日だから開店は午後五時である。まだ二時間もあるのだが、果たして三月から営業を再開しているかどうか気になるので(2023/02/18参照)、一応見に行くことにする。するとシャッターに新たな貼紙が…近付いてみると『本日休みます』と書かれていた。ということは営業再開しているわけか。よかったよかったと一安心して渋谷に出る。『渋谷ダンジョン』を彷徨いながらも東を目指し、見事『美竹通り』に顔を出して、坂を上がって「中村書店」(2008/07/24参照)へ。光文社文庫「少年探偵手帳 完全復刻版/串間努」を250円で購入し、阿佐ヶ谷に戻る。帰り道の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)では、アテネ文庫「百貨店/土屋好重」ハヤカワ文庫「ビバ!ドラゴン/チェスタートン他」TUTTLE「Japanese Tales of Mystery & Imagination/EDOGAWA RAMPO」を計330円で購入する。やはり乱歩のペーパーバックが興味深い。初版は1956年で、これは何と21版。訳者はジェームズ・B・ハリスで、『人間椅子』『心理試験』『芋虫』『断崖』『鏡地獄』『双生児』『赤い部屋』『二癈人』『押絵と旅する男』が収録されている。
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2023年03月07日

3/7サイン本と「初夏神経」。

昨日は新高円寺の梅里に正午過ぎに流れ着いたので、タッタカ阿佐ヶ谷まで戻り、「千章堂書店」(2009/12/29参照)にフラリ立ち寄り、ハヤカワ文庫「トマト・ゲーム/皆川博子」を250円で購入する。さらには「銀星堂」(2008/10/19参照)にも立ち寄り、旦那さん店主と東京での営業を終えた「藍書店」(2023/02/27参照)についてお話ししながら、ちくま文庫「昭和初期の青春/山田風太郎」を500円で購入する。気付けばどちらも日下三蔵氏が編者の文庫本であった…あぁ、掌で踊らされている感がハンパない…。そして本日は午後一時に蔵前の『筑摩書房』に姿を現わし、いよいよ発売まで後一週間を切った「疾走! 日本尖端文學撰集」の編者サイン本作成に勤しむ。あぁ!でも昨日新調したばかりのペンを忘れて来た!…なんと愚かな…そして慌てて借りたペンでサインをした後に、そのペンが油性ペンであったことに気付く…重ねて愚かな…というわけで多少裏写りしておりますが、味と思ってご勘弁を。署名印以外にも、『尖』『新』『感』の一字がどれかひとつ『里見八犬伝』のように入っていますので、お好きな字をお選びください。そんな風に精魂込めて造り上げた七十冊は、西荻窪「盛林堂書房」&「古書音羽館」、阿佐ヶ谷「古書コンコ堂」、京都「古書善行堂」で販売される予定なので、お早めにお買い上げのほど、よろしくお願いいたします!そしてお土産として、カバー写真スキャニングのために資料として古本屋さんから経費で購入した、国書刊行会 日本写真の至宝 飯沢耕太郎・金子隆一監修「初夏神経/小石清」をいただく。嬉し過ぎる役得であるが、ぬぉぉぉぉぉぉ、これはスゴい!レプリカなのに、とんでもなくクレージーで存在感の巨大な写真集だ。小石清、あんたは最高の写真家だよ!表紙のアルミ板の冷たさにうっとりしながら、サイン本の塊とともに記念撮影する。カバー写真に使った『オー太陽・光の搏動』については『逆光線の川面の原板の上に前者同様の手法にて、電熱線コイルを配して引伸す』との説明が為されている。
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2023年03月05日

3/5今日も今日とて風太郎を。

昼食後に外出し、トボトボ曇り空の下を高円寺まで歩き、「西部古書会館」で二日目の「第三回Vintage Book Lab」(2022/08/06参照)を覗く。人文&古雑誌・五百円均一・グラビア&エロ雑誌が各通路に展示された三色最中のような催事である。すでに熱狂は去った状態であるが、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の文学&ミステリ五百円均一は、すでに派手に3/5を失っており、恐ろしい争奪戦が行われたことを、容易に想像させてくれる。だが、それでもまだ、買える本が残っているとは恐ろしい…そう嬉しく戦きながら、桃源社「棺の中の悦楽/山田風太郎」日本公論社「賭博場殺人事件/S・S・ヴァンダイン 伴大矩譯」(カバーナシ)東京ライフ社 東京選書62「十代の顔役「暴力教室」日本版/宮崎清隆」(デッドストックと思しき十冊ほどが並んでおり、一冊も売れておらず苦笑)雄鶏社「サンフォリアンの首吊人/G・シムノン 水谷準訳」ジープ社「地獄の海 密輸密航奇譚/川島福太郎」を計1900円で購入する(購入時にレジで190000円と打たれてしまい、レジ担当がパニックになる一幕アリ)。さり気なく「棺の中の悦楽」が嬉しい、風太郎の探偵小説をオリジナル本で読める喜びは、もはや私にとって重要な嗜好となっているのだ(すべては『山田風太郎大学・日下三蔵ゼミのせいである)』。そして会場内で井伏鱒二を見つけて喜ぶ岡崎武志氏と合流し、「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)を経由して喫茶店に腰を落ち着ける。氏にスマホで音楽データを送る方法を指南し、無事に大役を果たす。
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2023年03月04日

3/4ロマン・ブックスに帯!

午後一時前に池尻の丘の上に流れ着く…もはや三月なので、二月は休業していた「江口書店」(2010/03/29参照)はすでに営業再開しているであろうか…だが、開店の午後三時までには、まだ後二時間もある…仕方なく諦めて、ざわめきの下北沢に出る。まずは「ほん吉」(2008/06/01参照)に寄ると、店頭木箱に昭和三十年代のロマン・ブックスが十冊ほど詰め込まれている。山田風太郎の「妖異金瓶梅」があったので抜き出してみると、ほぉ!背の部分が残念ながら欠けているが、帯が掛かっているではないか。これは家に持ち帰るべき一冊であるな。ということで、ダゲレオ出版「バトル・オブ・ブラジル/ジャック・マシューズ」とともに計220円で購入する。
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続いて「古書明日」(2017/01/31参照)ではトパーズプレス「BOOKMAN♯6◉おお探偵小説大全集 早川ミステリvs創元推理文庫」を300円で購入する。言わずと知れた瀬戸川猛資氏が編集人の『本の探検マガジン』である。さらに続いて「CLARIS BOOKS」(2013/12/01参照)への階段をソロソロ上がり、扶桑社「ポップ1280/ジム・トンプソン」河出文庫「吸血鬼幻想/種村季弘」ハヤカワポケミス「黒死館殺人事件/小栗虫太郎」(昭和49年再版)を計500円で購入する。ここからさらにもうひと頑張りして吉祥寺まで出て「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。ハヤカワポケミス「葬られた男/M・デイヴィス」を550円で購入する。この「葬られた男」の短評が、さっき買った「BOOKMAN」の『早川ミステリ・創元推理文庫 絶版本ベスト一〇〇/奥野秀尚・深野有(松坂健氏のペンネーム)』にたまたま載っていたのだが、『犯人に創意はあるが、作品としては今一つの感はぬぐえない』と評されている…表4の亂歩評では『現代作家の書いた新しい『月長石』として一読の価値がある』と書かれているのに…あぁっ!
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