2017年07月24日

7/24団地に対する妄想を祓いに行く。

朝から大量の古本を箱詰めして、無事に大阪に送り出す。ひとまず役目を果たして、ホッと一息。仕事も緊急の案件に素早く対処し、ホッと二息目。落ち着いたところで、ここ最近頭の中に渦巻いてしまっている妄想を、軽く検証して実地調査に当たることに決める。その妄想とは、練馬『光が丘』の古本屋事情である。超巨大団地地帯である光が丘には、今やリサイクル系の古本屋さんが二軒あるだけである。ならば、あの超立体的集合密集住宅内にある古本は、主に二店にドバドバと集まっているのではないだろうか。その中には当然古書も含まれているはずで、そうなるとお店では恐らく持て余し、廃棄か安値で販売している可能性があるではないか。もしかしたら通路の片隅に、安値の古書コーナーが設けられているかもしれない…。こんな馬鹿なことを考え始めたら、どうにも止まらなくなってしまい、もはやこの目で確かめるしか、妄想を止める手だてはなくなってしまったのである。と言うわけで鷺ノ宮駅から西武新宿線に乗り込み中井駅で下車。一旦地上に出て商店街を伝った後、名物書店「伊野尾書店」横の大江戸線への地下階段を深く下る。そこからおよそ十六分で、終点の光が丘へ。『A1』出口から蒸し暑い地上に出ると、街に張り巡らされた道路にはすべて街路樹が生い茂り、その緑越しに巨大で横にも長い団地群が胸から上を覗かせている。まるで大友克洋の超能力漫画「童夢」のような光景であるが、ブロックごとに団地のフォルムが異なるのは、統一感のない奇妙な印象を与える。東に向かい『東大通り』を北に進んで行くと、巨大な街の外周をなぞる形になる。道なりにグインと東に曲がり込み、交差点に到達すれば、対岸にもう第一のお店の姿が見えていた。

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●「古本市場 光が丘店」
マンション一階のワンフロアを占める店舗前には、物凄い数の自転車が停まっている。楽しい嬉しい夏休み中の子供たちだな…。中に入ると、倉庫のように広く明るい空間が広がり、華やかなゲームソフトコーナーや、左手前側奥にあるカードデュエルコーナーに、自転車の持ち主である子供たちのほとんどが群がっている。古本を目指し、人気のない左奥にズンズン入り込んで行く。背の高い棚で作られた五本の通路に古本は集められている。新刊のミステリ&エンタメと文庫を中心に、模範的なリサイクル店的並びを見せているが、量がとにかく多い。ちょっと「ブックセンターいとう」っぽい雰囲気である。最新入荷本がプラスチックカゴに詰め込まれて、棚に大量に並んでいるが、これを掘って見ろと言うのか…。そして驚いたのは、驚異の80円コーナーが存在すること。80均の単行本と文庫で、通路が一本成立してしまっているのだ。すでに妄想していた古書がないことは確認済みだが、この80均通路がこのお店の目玉だな、と勝手に決定し、目が痛くなるほど隅から隅まで眺めてしまう。ちくま文庫「七時間半/獅子文六」原書房「カニバルキラーズ/モイラ・マーティンゲイル」を計172円で購入する。

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●「BOOKOFF 練馬光が丘店」
まるで城のない城下町のような団地の外周を伝い、『東大通り』をそのまま下って、歩いて歩いて南端に出る。さらに団地沿いに西に向かい、『公園通り』を越えてからの信号で南の住宅街に入って行くと、なんだかゴルフ用品店のようなブックオフがこつ然と現れた。結果から言うと古書は皆無で、ちょっと大きめワンフロアのスタンダードなブックオフである。なのでじっくり棚を見た割には食指動かずに、何も買えずにお店を後にする。唯一琴線に引っ掛かったのは、通路の奥にあった古いスーファミソフトワゴンであった…。

とこのように現場に当たり、己の目で現状を把握すれば、酷く甘い妄想もあっけなく祓えるものなのである。ふぅ、スッキリした!
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2017年07月23日

7/23東京・吉祥寺 ホホホ座吉祥寺店 1日限定の本屋さん

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京都「ホホホ座」(「古本屋ツアー・イン・京阪神」P45参照)の山下賢二氏が上京し、本日だけの「ホホホ座吉祥寺店」を、ひとり出版社の『夏葉社』で開店するとのこと。古本も売られるらしいので、午後に様子を見に行くことにする。「ホホホ座」は緩くて奇妙なフランチャイズ展開を続け、現在西日本を中心に七店を数えているが、これがもしや東京進出の布石となるのだろうか…(ちなみに今年の二月には、新宿の『BEAMS JAPAN』で限定ショップを開いたことも(2017/02/05参照))。北口の雑踏を擦り抜け、『PARCO』前から『吉祥寺通り』をグングン北北東に進んで行く。雨がポツポツ落ち始めて来たが、本降りになりそうな気配はないので、構わず歩みを進める。『八幡宮』の白壁前に、スマホを操作しながら集まるたくさんの人を目撃し、「昆虫屋台やってま〜す」と呼び掛ける『昆虫食』イベントを開くギャラリー前を通過して、やがて『武蔵野第四小学校バス停』を過ぎると、マンション半地下の店舗ウィンドウに「ホホホ座吉祥寺店」と白い紙が貼り出されているのが目に飛び込んで来た。おぉ!駅前のワンルームマンション(以前の社の様子の一部は2013/08/29参照)から引っ越した夏葉社は路面店…いや、路面社になったのか!とその出世ぶりに感心し、しばし何処から入ったらいいのか逡巡した後、素直に左端の磨りガラス扉を恐る恐る開けてみる。するとそこに立っていたのは笑顔の夏葉社・島田氏で、お客さんが輪になった店内では、なんと世田谷ピンポンズさんがライブの真っ最中…うわ、失礼しました。慌てて右壁に寄り添うように逃げ出して、そのままピンポンズさんの熱唱に耳を傾けながら、壁棚を目力入れて注視する。社に備え付けられた壁棚の、最上段&最下段以外を使って、山下氏の古本が並べられている。文庫と単行本と雑誌が主で、ジャンルはカルチャー&サブカル・純文学・海外文学など、硬さと軟らかさがセンス良く交錯している。値段はかなり安めなので、とても嬉しい。フロア中央には雑誌類やリトルプレスや新刊が面陳され、左端には夏葉社の本も勢揃いしている。ライブ終了と同時に三冊をスパッと選び、奥の社長机で精算をお願いする。山下氏とは別府以来の挨拶を交わし(2011/11/27参照)、「ずいぶん頭が白く…」と言われる。あれからあっという間に六年…色々色々あったので、すっかりブラックジャックみたいな半分白になってしまいましたよ…。小学館入門百科シリーズ9「プロレス入門/監修■ジャイアント馬場」角川文庫「横溝正史読本/小林信彦編」旺文社文庫「アンクル・トリス交遊録/柳原良平」を計800円で購入する。島田氏とは最近の「大河堂書店」(2009/03/26参照)での功績の話をひとしきりしてから、新社屋の案内をしていただく。「前々から、ここで何かやりたいと思っていたんですよ」。確かにほとんどお店のような感じで、イベントを行う広さも充分にある。「ホホホ座吉祥寺店」で、イベント開催に先鞭を付けた夏葉社には、今後は出版物とともに、社屋の動きにも要注目である。
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2017年07月22日

7/22一冊の目録から八年前が甦る。

今日は午後三時過ぎに荻窪北側の天沼に流れ着く。熱風に包まれたまま、すっかり衰えてしまった最後の体力を振り絞り、荻窪駅の南側を目指す。線路際に到達すると、おぉ!遥か彼方に暑くてもお客が店頭に群がる「ささま書店」(2008/08/23参照)の姿が臨めるではないか。
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わりと深い線路下の地下道を潜り、店頭棚前着。学研「愉しき夫婦/小島信夫」光風社「悪魔の系図/島田一男」毎日新聞社「新戦後派 野坂昭如 寺山修司 永六輔 野末陳平」流行通信「Studio Voice vol.132 江戸川乱歩-ミステリアス・フリーク」を計630円で購入する。この1980年代丸出しの江戸川乱歩特集は、目次には男装の甲田益也子がモノクロで登場し、次を開くと見開きで車の中で張り込み中の少年探偵風の戸川純がドン!
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その時代でしか出来なかった乱歩の捉え方が、もはやノスタルジーの域に突入してしまっている。乱歩+八十年代の二重のノスタルジーは、偉大なノスタルジー+消費され失われた時代的ノスタルジーとも言え、素敵に軽薄なのだが、妙な相性の良さも紙面からふうわりと立ち上がって来る…。

そのまま勢いで阿佐ヶ谷まで歩き通し、夏の夕方の「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)。
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するとたちまち店頭左脇の雑誌&ビジュアル本箱の中に、「古本 海ねこ」(2012/12/17参照)の古書目録第一号を発見したので、すぐさま店内に飛び込み「今日はこれだけで」と103円を支払い購入する。2009年七月発行で、最初から図版多めで文字ビッシリの、絵本&児童文学に特化した全98ページの気合いの入った目録である。やはり古書絵本の図版は見ているだけでワクワクしてくる。ところが冒頭のこれまた細かい案内文を読んでいると、目録を出す同時期に、「絵本、そして、本にまつわる人形・雑貨たち 古本 海ねこ 6日間限定ショップ」を開くとあるではないか。その瞬間、熱を持ち鈍った脳髄の奥底で、古い記憶が生意気にもスパークする!…そうか、これは青山の「日月堂」さんの隣の、元「銀鈴堂」で限定ショップを開店した時の目録なのか!行った、これ確か最終日に行ったはずだ!(2009/08/01参照)と、ちょっと興奮してしまう。開催期間は7/21〜8/1の飛び飛びの六日間なのだが、ちょうど八年前のことなのである。奇妙な符号に驚きながらも、八年という月日の経つ早さに、しばし唖然としてしまう。
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2017年07月20日

7/20近所で大量の古本を見られるのは?

今日は仕事でほぼ一日中家の中に雪隠詰め…つまりは古本の山に閉じ込められ過ごしているわけだが、昼食後に一時間ほどの間隙を見出して屋外に脱走。そして近場で短時間にたくさんの古本が見られるのは、「本の楽市」(2010/07/18参照)が24日まで開催中の高円寺!そう決めてJR高架下に向かい、強い陽を避けながら直線に高円寺へと向かう。ガッツリ買うと言うよりは、気晴らしの『古本散歩』気分なのである。だがそれでも、買えるものは見つかった方が良いし、それも安く見つかるなら尚更だ。だからたくさんの古本に接する方が、願いが叶う確率は高くなるだろう。そんなことを考えて、まずは「藍書店」(2014/01/14参照)にたどり着く。外壁棚から、茶と珈琲社「寫眞で見るコーヒーの知識」(昭和三十一年発行の、コロンビアのコーヒーを紹介する小冊子。栽培・品種・運送方法・いれ方・最新式ミル&ロースターなどなど)を100円で購入する。続いて同高架下の「都丸書店」(2010/09/21参照)の外棚にも張り付くが、欲しい本&気になる本はみな500円だったので、今日のところはセコくパスする。そのまま駅前を通り越し『座・高円寺』へ向かう。エントランスホールに入ると、二列に縦列するお洒落な古本島のお馴染みの光景が、薄暗いエントランス内に浮かび上がっていた。たまたま補充に来ていた「古書 コンコ堂」天野氏(2011/06/20参照)と挨拶を交わす。今回は「一角文庫」さんも良いのだが、「rhythm_and_books」(2011/08/10参照)さんがだいぶ好み。古書に奇妙なサブカル本…というわけで駸々堂「冗談/滝大作」を500円で購入する。駅方面に引き返して『あづま通り』に入り込み、今日は開いてる「越後屋書店」(2009/05/16参照)へ。家と家との隙間通路壁棚を、隅から隅までじっくり眺め、博通「現代スパイ論/中薗英助」を見つけて、たたまた表に出て来たオヤジさんに100円を支払う。この本、装幀挿絵が中村宏なのでとても不気味。内容は、日本における国際スパイ小説の開拓者による、スパイを通した現代文明論である。これが今日一番のめっけものであろう。それにしても聞いたこともない出版社の『博通』が何だか気になる。まるで『博報堂』と『電通』を合わせたかのような名ではないか。
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2017年07月19日

7/19東京・国分寺 胡桃堂喫茶店

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コメントタレコミで知ったお店が、朝八時から営業していることを知り、まだそれほど気温が上がらぬ前に悠然と訪れてみることにする。ダイヤが乱れ気味の中央線で西へ向かい、巨大な駅コンコースから、これまた巨大な空地が目の前に広がる北口へ出る。北にそのまましばらく進んで、『本町二丁目交差点』で東へ曲がり込む。新しい街並の中を迷わず直線に進むと、やがて『国分寺街道』に合流する『本町一丁目交差点』にたどり着く。その北側角地に、炭色の壁を持つ開放的な喫茶店が出来ていた。右側は扉が大きく開け放たれ、路上と地続きのようなカフェ的雰囲気だが、左側は昭和アンティーク調な扉とウィンドウを備え、喫茶店然としている。そしてウィンドウの向こうには本棚が見えている…こういうお店で毎度困るのは、本を買うだけでも利用出来るのか、ということである。ここも店構えは完全に喫茶店なのであるが、取りあえずは様子を見るために突入して、本棚にまずは張り付いてみよう。喫茶利用が必須なら、いずれは声を掛けられるはずだ…。そう予想して、右側の開放的な入口から、左側の本棚を目指してナナメに店内に切り込んで行く。エプロンを着けた店員さんが「いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ」と迎えてくれるが、席には着かずに窓際の本棚前に立つ。ここは自社出版の本と新刊、それにテーマ別の新刊と古本が並べられている。さらに隠れるようにして左奥に進むと、壁際から二階への階段壁が本棚になっており、およそ二十ほどの棚段とボックスが連なっている。ここも新刊と古本が混ざり合い、民俗学・映画・絵本・児童文学・料理・天文・自然・博物学・詩集・出版・本&古本・東京・散歩などを細かく端正に並べている。古本は挟まれているデータスリップの飛び出し部分が、三角カットになっているので、わりと分かり易い。本の量はそれほど多くはないが、知性と教養を芯にしたセレクトがすべての棚に行き渡っている。値段はしっかりの高めが多い。一冊を選んでカウンターに差し出しながら「本買うだけでも大丈夫なんですか?」と聞くと「もちろんです。ここは書店でもありますから。水金土は、夜遅くまで書店としても営業していますので、またぜひいらして下さい」と教えてもらう。ふぅ、良かった。勁草出版サービスセンター「神戸の本棚/植村達男」を購入する。外に出ると通りがかりのおば様が、カウンターの店員さんに向かって話し掛け始めた。「突然ごめんなさいね。でも素敵なお店ね〜。後で絶対来ますわ〜」。

7/16にジョージ・A・ロメロが死んでしまった。映画監督であの現代的なゾンビ(死んだ時の姿の普段着で登場。動きはゆっくり。人の肉を求める。頭を吹き飛ばされると行動が停止。ゾンビに噛まれると潜伏期間を経てゾンビとなる。などなど…)を発明し、映画・ゲーム・漫画・ドラマ・小説の世界に、数多のエピゴーネンとリスペクトとパロディとパスティーシュが現在進行形で蔓延し続ける状況を作り出した、偉大なる人物である。そこで、家にあるロメロに直接関わる物を集めて追悼。LPレコード「ZOMBIE DAWN OF THE DEAD」はGoblinによる映画のサントラで、下北沢にある曽我部恵一経営のお店『CITY COUNTRY CITY』で購入。ABC出版「ゾンビ/ジョージ・A・ロメロ+スザンナ・スパロウ」は映画のノベライズ本。意外にレア本であり、安く手に入れようとすると、結構苦労すること必至。他にも講談社X文庫「死霊のえじき」があるはずなのだが、残念ながら文庫の山に埋もれて発見出来ず…。
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2017年07月17日

7/17夏の「あきら書房」

今日は早い時間に初台辺りに流れ着くが、古本屋さんを行動の基準とする私にとっては、どうにも動きの取り難い場所である…いや、いつの日からかそうなってしまったと言うべきか。ちょっと『甲州街道』に立ち尽くし、過ぎ行く車が巻起こす排ガス臭い風さえも涼しく感じながら、かつてはたどれた近辺のお店を思い出してみる。幡ヶ谷ではまずは『六号通り商店街』の「小林書店」(2008/07/09参照)。可愛い鳩的店名ロゴと、右側の隠し部屋的ゾーンが印象的であった。そして商店街を抜け、さらに『水道道路』も渡って坂を下ると「なつかし屋」(2008/09/28参照)。通路にうずたかく積み上がる本やプラモに苦心しながらも、勇気を胸に本の隙間を進む、そんなスリリングなお店であった。笹塚まで移動すれば、『甲州街道』沿いの「一新堂書店」(2008/06/24&2011/02/07参照)が、常に逸る古本心を優しく受け入れてくれたものだ。美術系に強かったが、私的には文庫でお世話になっていた…。この三店を巡るだけでも、だいぶ心は燃え上がるはずなのだが、今はもうそれも叶わない。現存する「BAKU」(2012/05/28参照)や「DORAMA」(2012/03/16参照)で代用しようにも、代用出来ない味が、なくなったお店には厳然と存在していたのである。右頬をツツッと流れたのは、汗かそれとも悲しみの涙か…。

いつまでも女々しく思い出に浸っていても仕方ないので、京王バスに乗り込んで阿佐ヶ谷方面へ戻り始める。だが終点の駅までたどり着くことなく、『青梅街道』沿いの『梅里中央公園入口』で途中下車し、北側の路地に入って、夏の「あきら書房」(2016/03/28参照)の様子を見に行くことにする。おぉ、この蒸し暑い中、草木の咲き誇る庭の向こうに、ちゃんと古本屋部屋が開放されているではないか。
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間髪入れず店内に入り込み、あまり動きの見られない手前ゾーンはササッと流して、右奥の床に置かれた本の山と本棚中段の古書ゾーンを集中的に漁る。その間に、俊敏な蚊にブスブス刺されてしまい、気がつけば右頬も刺されており、かゆみに悶絶してしまう。だが、牧神社「夢みる人 エドガー・アラン・ポーの生涯/マリー・N・スタナード」白鳳社「婦人職業戰線の展望/東京市役所編纂」(箱ナシで背は傷んでいるが、昭和七年発行の職業婦人についての資料集。巻頭のグラビア『婦人職業の尖端を往く女性』が最高!エアガール・ガソリンガール・マーリンガール・パラシュートガール・ニュースペーパーガール・マネキンガールなどなど)を見つけたので、計100円で購入することにする。奥のガラス障子前に立ち「すいませ〜ん」と何度か声を出すが、応答がまったくない。大丈夫だろうか…もしかしたらこの暑さで老婦人は…などと不吉なことを考えつつ、棚の横に大振りな鈴が下げられているのに気付く。そうか、呼ぶ時はこれを盛大に鳴らすのか。紐を引っ張りンガランガラ…するとすぐに障子が開いて、老婦人が元気な姿を見せてくれた。ホッとしながら百円玉を手渡し、「今日は暑いですね〜」「ええ、本当に」と他愛無い会話を交わし、庭に脱出する。家に帰ってからは、大阪へ再び送る古本の準備に手をつける。
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2017年07月16日

7/16暑さに挫けて大いに怠ける。

朝から仕事をこなした後、予定をしっかり立てて正午過ぎより外出行動を開始する。色々飛び回るつもりで、駅では『都区内パス』を750円で購入。まずは荻窪に向かい「ささま書店」(2008/08/23参照)で外棚に対峙。それにしても暑い。そして珍しく誰もいない…湿気の籠った暑さに舐られていると、体力とともに思考能力も行動力もグングン低下して行くようだ…。だが幸いにも、青木書店「どれい狩り 快速船・制服 安部公房創作激集」(カバーナシ)東峰書房「随想 鼠の王様/椿八郎」(中野・新井薬師の眼科医であり推理作家の随筆集。巻末に中島河太郎による作品目録アリ)を発見出来たので、ニヤニヤと計210円で購入する。暑さに足を重くし続いて西荻窪に向かい、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で「フォニャルフ」に補充しつつ、晶文社「幻の探偵作家を求めて/鮎川哲也」杉山書店「人形佐七捕物文庫 春色眉かくし/横溝正史」を計200円で購入しながら店主・小野氏と打ち合わせや無駄話などを進め、昨日買った「黄いろい楕圓」を化粧直ししてもらったりしながら冷房の効いた店内で、盛大に楽しくだらしなくだべってしまう。すると、これからの行動予定が涼しい店内から、すべて熱いアスファルトの上にドロリと流れ出てしまい、たちまち雲散霧消してしまった…古本もちゃんと買えたし、今日のところは、予定を返上してもう帰ることにするか。そんな風に怠け心に火を点けて、『都区内パス』が無駄になったことに多少心を痛めながらも、早々に帰宅してしまう…あぁ情けない。
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すると長野県上田市を訪れている南陀楼綾繁氏から、上田の古本屋ルポがメールで届いており、喜ぶとともに、己のだらしなさを大いに反省してしまう。…7/25には閉店してしまう「斉藤書店」(2010/04/24参照)には、どうにかして滑り込みたいものである…そして不定期営業の「ほその書店」(2012/04/30参照)に、たった一度のチャレンジで入れたとは!南陀楼氏はなんというラッキーボーイ!とモニターを前に羨ましがることしきり。やはり古本屋さんは、労を惜しまず足を運んでなんぼの空間なのであろう。
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2017年07月15日

7/15 KITKAT!!

本日は上祖師谷の奥地に漂着したので、住宅街から『祖師谷通り』に脱出して、当然のように「祖師谷書房」(2009/03/05参照)に駆け付ける。どうしたことか店内に迷い込んでいた勇気ある母子と交代するように、極狭の店内へ。そしてそのまま集中的に右側ゾーンの児童文学コーナーを攻め、牧神社「パタシュ星をとる/トリスタン・ドレーム」を300円で購入する。本文挿絵ともに青一色刷りの洒落た児童文学本である。「ありがとうございました」の甲高い聲に送られ表に出て、そのまま通りを下って行くと、「DORAMA祖師ケ谷店」のド派手な100均&五冊400円ワゴンに惹き付けられる。丁寧に各ワゴンに視線を走らせると、ぬっ!創元推理文庫「火葬国風景/海野十三」が紛れてしまっているではないか!と小さく喜ぶ。このようなリサイクル店では、分相応なこのような小さな喜びに巡り会えるものなのだ…と充分に満足して、他に買う本を見出せずにその一冊だけを108円で購入する。
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小田急線に乗り込み、疲労の溜まった身体をシートに落ち着け、ホッと一息。そのままのんべんだらりと新宿に運ばれるはずだったのだが、急に何かのテレパシーを感じ取り、気まぐれに経堂で途中下車してしまう。すると水飲み場に、一羽の鳩がジッと止まっているではないか…水が飲みたいのであろうか。この暑さである。まったく以てしょうがないと、ゆっくり近づいて蛇口を捻ると、鳩は逃げもせずに、流れ出た水に嘴を押し付け、一心不乱に水を吸い始めた。
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おうおう、存分に飲むが良い。その代わり。しっかりと私に渇きを癒した恩返しをするのだぞ。と呪いのような念を鳩に送り、ほどほどのところで蛇口を閉める。そして駅構外に出て、南の商店街の坂を下って「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ。店頭で美濃の蜜蜂養蜂業者の小型本を一冊掴んで、店内を徘徊。右から左へと巡り、いまいち色めきたつ本が発見出来なかったので、来たルートをなぞるようにして右側へと戻って行く。あの流氷の絵本でも買って行こうかと、微妙な諦めムードが流れていたところに、通路棚手前側最下段の詩集コーナーにも丁寧に屈みながら目を凝らすと、無造作に本の列の上に突っ込まれていた本に、『北園克衛』の名を見出す!これはっ!と興奮しながら取り出すと、宝文館「北園克衛詩論集 黄いろい楕圓」であった。値段を見ると驚愕の五百円!どひゃっほう、どひゃっほう!と心の中で連呼しながら、ありがたく購入させていただく。これはあの駅にいた鳩の恩返しなのか?いや、最近本当にスゴいぞ「大河堂書店」!!!!!!!そして憧れの垂涎のKITKAT(北園克衛)、どうかこのままお家へおいで下さいませ!
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2017年07月14日

7/14勝地涼のブロマイドが挟まっていた

涼しいうちから能率よく進めて行こうと、早起きして猛烈に仕事する。気温の上昇と競るようにして、どうにか午前十一時前には一段落。昼食後にノンビリした後、猛烈に仕事したご褒美にと古本を買いに外出する。目指すは本日が初日の「五反田遊古会」(2013/01/19参照)である。だが電車に乗っているとき以外は、強烈な日脚にけたぐり回されているような錯覚を覚え、体力をざっくり削り取られて『南部古書会館』に命からがらたどり着く。会館がすでに日影なのにホッとしていると、表の台で「黒死館殺人事件」研究の大家・素天堂氏に声をかけられる。抽選で本が当選したらしく、笑顔である。会場の人影は、すでに嵐が通り過ぎた午後なので、パラパラという感じ。こんなに落ち着いた雰囲気で本を見られるのは、『南部古書会館』では初めての経験である。それにしても今回は、何だかとても古雑誌が多い。安部公房スタジオ上演台本「改訂版 友達 黒い喜劇二幕/安部公房作・演出」を200円で購入し、「古書 赤いドリル」さんと「青聲社」さん(2011/10/17参照)に挨拶し、二階へ移動する。上も雑誌がよく目につく上に、全体的に硬さが漂っている。少し苦しみながらも、河出新書「太宰治の手紙/小山清編」新感線文庫「金田真一耕助之介の冒険」を計800円で購入する。ここでは「月の輪書林」さん(2012/03/29参照)と「古書一路」さん(2013/03/08参照)にご挨拶。

さて、「金田真一耕助之介の冒険」は公演『犬顔家の一族の陰謀』のパンフレット同梱品の、横溝パロディ文庫である。そのパロディレベルはかなり高い上に、執筆陣も戸梶圭太・大倉崇裕・ほしよりこ・笹公人・喜国雅彦など豪華。安く売られているのを見かけたら、ついつい買ってしまう癖がついているのだが、今回の本はいつもとちょっと違っていた。本を開くと、これもパロディ栞が挟まれており(小さく『おしりとしてお使いください』と書かれている…)、さらに古写真風の勝地涼(劇には犬顔家の居候役として出演)のブロマイドが挟み込まれていたのだ…これは今までに見たことのない代物だ。ブロマイドも同梱品なのかどうか不明だが、ちょっと得した気分である。いや、全く必要は無く、正直言って嬉しくはないのだが、ただ何となく得した気分なのである…栞とともに、ちゃんと本に挟んでおくことにしよう。
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2017年07月13日

7/13ラコステと岡田三郎!

本日は夕暮れを迎える前に武蔵境の南に流れ着いたので、これ幸いとまだ高い日に照らされ店頭の本が熱している「浩仁堂」(2011/02/15参照)へ足を運ぶ。その熱い店頭では珍しく何も手に出来ずに、涼しくホッとする店内へ。大好きな児童文学作家・大石真の「ぼくたちの緑の時間」の続編を見つけて喜び、さらに床の木箱からポロシャツで有名なラコステのビジュアルブックを見つけてニンマリ。偕成社「ミス3年2組のたんじょう会・大石真」大沢商会「LACOSTE」計300円で購入する。『LACOSTE』はその歴史と由来から、商品のイラストカタログ+商品用カラーチャートまでを掲載したプロモーションブックである(大沢商会が日本版ラコステを売り始める1986年辺りの出版。ちなみになぜラコステはワニをトレードマークにしているかと言うと、創始者のテニスプレーヤー、ルネ・ラコステがワニのように粘り強く頑固に戦っていたことに由来するそうである…ワニって、粘り強く頑固なのだろうか…。この本は充分楽しんだ後に「Tweed Books」さん(2015/07/10参照)に持ち込むのがベストだろうなぁ…)。疲れてはいるが興が乗って来たので、そのまま強い日射しの下をテクテクトボトボヒタヒタ歩き通し、三鷹の「水中書店」に喘ぎ喘ぎたどり着く。店頭で見つけた学生援護会「POST CARD/安西水丸」名著刊行会さみっと双書「新感覚派の文学世界/紅野敏郎編」を、クーラーの動作音が妙に心地良いリズムを刻んでいるのに気付きながら、計200円で購入する。「新感覚派の文学世界」は、もしや!と思って目次に視線を走らせると、追っかけている岡田三郎のコントについての論考を発見。三鷹でもニンマリ出来たことに満足して、ようやく電車に乗って帰宅する。
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2017年07月12日

7/12春浪の続きを一応探しに行ってみる

午後にひとつの取材を受けた後、そのまま外出継続。先日大阪に新たな古本を大量に送り出したばかりなのだが、まだまだ不足気味なので良さげな本を手配しなければならないのだ。…まったく、私自身が大阪に行きたいのに、本ばかりが大阪に出向いているこの状況…。そしてさらに、先日の「古本まつり」で手に入れた押川春浪「日歐競事 空中大飛行艇」(2017/07/07参照)が、楽しくあっという間に読み進めたことにより、続き物であることが判明してしまう。物語中盤まで、肝心の飛行艇は説明だけでなかなか完成に至らず、妙な痴話話を中心に展開して行くのに大いに戸惑いながら、最後に悪玉博士の飛行艇を追って、善玉の飛行艇が出発するところで、本は終わってしまったのである。巻末の広告を見ると、『世界怪奇譚』シリーズの六遍目に「續空中大飛行艇」があるではないか。これは是が非でも続きを読まなければ!…とは言っても、おいそれと手に入る本ではない。恐ろしいことにその巻末広告の説明文には、これからのストーリーが超短く要約されてネタバレも甚だしいのだが、物語の結末をあっさり知ってしまった今でも、この同じ明治の本で読み耽りたい気持ちは変わらないのである。というわけで、足はまつりで「空中大飛行艇」を出していた武蔵小山の「九曜書房」(2009/03/26参照)へと軽やかに向かっている。いや、片割れがないことは百も承知なのだが、万が一ということもあるかもしれない。見つけたならば、またATMに走って…。蒸されたような熱さの駅前は、珍しく人影が少なく白っぽい。そんな中でも元気に高校球児が練習するグラウンド脇の小道に入り込み、暑さにやられながらお店に到着する。表に出されている本も、かなり熱を帯びてしまっている。二冊掴んで店内に入り、まず麗しの500均棚の観察に入る。相変わらずグッと来る本をさり気なく並べてくれていて、期待を本当に裏切らないなぁ。そう言えば表のウィンドウに、恐らくお店オリジナルのイラストポスターが貼られているのだが、『心をくすぐる古書の店』のキャッチフレーズが書かれ、古書を取り出す白猫が、横から飛び出す三本の虎猫の足に『古書 古書 古書』とくすぐられているのだ。私にとっても、まさにここは『心をくすぐられるお店』であるな!と激しく同意して一冊本を掴み取る。そして左側通路に入って、押川春浪の幻を追いかけ始める。だが春浪本でみつかったのは、博文館文庫の二冊のみ…いや、分かっていたんだ、最初から無いのは。だが大いなる難関ではあるが、いつかは見つけなくちゃならない…しかも、いやどうしても安値で…。ちょっと周りがすっきりした帳場に向かい、講談社少年少女世界探偵小説全集15「ポッツ家の怪事件/クイーン」(カバーナシ)国書刊行会「私が選ぶ国書刊行会の三冊」美術公論社「キキ エコル・ド・パリ追想」を計900円で購入する。
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何だかすでに暑さにめげ始めているが、どうにか気力を振り絞ってもうちょっと古本を買いたいと、高円寺駅で途中下車。だがいつになったら私は、高円寺は水曜定休の古本屋さんが多いことを覚えるのか!と激怒したくなるほどお店のシャッターは下りまくっていた。最後に「あづま通り」に向かうと、午後五時に「古書十五時の犬」(2011/11/22参照)は開店準備を始めており、「越後屋書店」(2009/05/16参照)はなんと臨時休業。残念ながら気力尽き果て、「十五時の犬」の開店さえも待ち切れずに、暑い夕陽を正面から浴びてヒタヒタ帰宅する。
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2017年07月11日

7/11元古本屋さんの写真展を見に行く。

本日流れ着いたのは永福町駅の北側。この後どうしても高円寺に行きたいのだが、東京のへそ『大宮八幡宮』前から出ている京王バスが来るのは二十三分後…よし、歩こう!とテクテクテクテク午後七時の杉並の住宅街を、北に向かって切り裂いて行く。道の途中の松ノ木にて、古本も商うリサイクルショップ「AMANAYA AI2」(2009/06/12参照)に飛び込み、
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若木書房「隼/望月三起也」を200円で購入しつつ、レジ前に置かれた昭和四十年代のガメラのブロマイドが気になったので、店番を任されいたであろうご婦人に、値段について追求する。そのブロマイドには、千円と三百円の異なる値付がされていたのだ。「300円なら買います」と伝えるが、ご婦人はとても嬉しそうに「うわ、値段が二つ、なんでだろ」と笑顔を浮かべまくっている。結局謎は解明されず。店長さんの判断待ちというところに落ち着いたので、「また来てね、その時までに調べときます」と言われる。さらに北へ北へと歩き詰め、途中「アニマル洋子」や「大石書店」の閉店風景を目撃しつつ、駅前の『富士そば』で腹ごしらえをしてから、高架脇の『屋根裏酒場 ペリカン時代』の狭く急な階段を上がる。
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本日から7/29(土)まで、元西荻窪の古本屋さん「なずな屋」(2014/09/24参照)の石丸澄子さんが、『1990年 道東』という写真展を開いているのである。古本屋さんに関することなら、何処までも顔を突っ込んで行こうと酒場の扉を開けると、石丸澄子さんは当然のこと、暢気文庫さんや『三省堂書店 神保町店』のOさんがお出迎え。恐縮しながらみなさんにご挨拶し、壁に貼られた六十枚余のモノクロ写真を、ビールやキューバ・リブレを飲みながら、じっくりと堪能する。ホンダのベンリィに跨がり、北海道を旅した奇蹟である。写真の間間には、原稿用紙に書かれた朴訥な当時の思い出が出現。思えばこの写真を撮っている澄子さんは、まだ「興居島屋」(2008/09/12参照)も開いていない時代なのであるな。無意識なのか、乗物の写真が多い事に気付きつつ、三十分ほどで楽しい酒場を後にする。
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2017年07月10日

7/10本郷でレジスターの歴史を遡る

東大近くでひとつの用事をこなし、そのまま北から『本郷古本屋街』に突入する。灼熱の陽光を浴びる通りは、車の通行以外はいつもの静けさを保っている。うわっ!楽しみにしていた「第一書房」(2011/08/16参照)がお休みだ…。本郷に来て、ここの外棚を見られないのは、だいぶショックが大きい。だが開いてないものは仕方ない。手ぶらでそのまま南下を続けて「棚澤書店」(2009/10/08参照)にたどり着き、外に並んだ100均箱に希望を託す。
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小学館学習百科図鑑「化石と岩石・鉱物」晶文社「子どもたちを犯罪から守るまちづくり/中村攻」中公新書「ル・コルビュジエを見る/越後島研一」を計300円で購入する。今まで気付かなかったが、薄いエメラルドグリーンのレジは鉄製で、だいぶ古風である。精算はガシャコンとレバーで行い、前面に集まる数字ボタンが、まるで柱状節理のように段々に美しく密集しているのだ。珍しい木製バルコニーを備えるお店とともに、長い年月を働いて生き延びてきたのであろう。店内を吹き抜ける生温い風を浴びながら、そんなことを考える。外に出て、再び暑い街路を歩き始めるが、身体が早くも水分の補給を求めているようだ。『東大正門前』で脇道に曲がり込み、思い切って憧れの『万定フルーツパーラー』に飛び込んでしまう。
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店内には客は一人もなく、ただただ昭和の喫茶&食堂風景を凍り付かせたような空間が存在している。内装は焦げ茶の木材を基調にしており、茶と白の市松模様タイルの床上には、細い鉄脚を持ったテーブル席が窓際に広がる。そして何と言っても一番目を惹くのは、入って正面左にある、円形のカウンター席…あぁ、懐かしいという言葉だけではすまないこの感じ、秩父のカフェーの生きた化石『パリー』(2011/06/07参照)とまったく同種の味わいではないか!と大いに喜び、勧められた窓際の涼しい席に陣取り、レモンスカッシュを注文する。すると壁には写真家・高梨豊の、大きなオリジナルプリントが掛かっているではないか。写っているのはお店の巨大な木製レジスターで、もはやアンティークの域に突入してしまっている、とてつもなく素晴らしい物である。棚澤のレジも格好良かったが、こりゃあ格が違い過ぎるな…。そんなお店でたっぷりと昭和初期空間に浸かった後(メニューにあったカレースパゲッティとハヤシスパゲッティはいつか絶対食べに来よう…)、レモンで元気を得たのでさらに南を目指し「大学堂書店」(2009/01/06参照)へ。色々ゴソゴソと漁るが、奥の大型雑誌箱から探し出した一冊の俳句雑誌を購入することに決める。東炎山房「東炎 第九巻 第十一號」を350円で。俳句には縁遠い身なので、中身にはほとんど興味がないのだが、なんと表紙が織田一磨の自刻木版画なのである!『ランプ』とタイトルが付き、裏表紙にはそのランプに火を灯したであろうマッチも刷られている。表紙は印刷ではなく、その木版が直接刷られているようだ。さすがに織田一磨が刷ったわけはないだろうが、どんな形であれ、これは立派な織田一磨の版画作品と言えるだろう!中を見ると、谷中安規のカットも発見したので、即嬉しさ倍増となる。
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2017年07月08日

7/8閉店する無人店から追い出される

本日は広い広い世田谷区の僻地の如き『祖師谷公園』に流れ着く。生まれて初めて来た場所で、今年初めての蝉の鳴き声を耳にして夏を実感するが、公園の北側部分に、あの『世田谷一家殺人事件』の事件現場となった住宅が、緑色の防護シートに包まれて保存されているのに気付き、慄然としてしまう。しかし家屋に接する公園では、子どもたちが遊具で無邪気に遊ぶ光景が展開している…凄惨な未解決事件の記憶とほのぼのとした日常が混ざり合う奇妙な状態に戸惑いながらも、しばしの黙祷を捧げて、バスで京王線の千歳烏山駅へと向かう。

駅北側に出て、もう午後七時前だがまだやっているだろうか?と、無人で素敵にクレージーな古本屋「イカシェ天国」(2008/09/23参照)に足を向ける。まだ営業中だ!と喜び飛び込み、ほぼ動かぬ態の棚に視線を注ぎ始めると、渡辺竜王のようなネクタイ姿の男性が、表の小ワゴンを中に運び入れてきた。どうやら斜向いの本の料金を支払う不動産屋の方らしいのだが、この様子ではどうやらもう閉店らしい。「お店、終りですか?」と聞くと「ハイ、閉店です」ともはや本を買わせてくれぬ模様である。「そうですか、すみません」とそのまま表に出ると、竜王は音楽を止め、電気を消し、立看板を素早く取り込み、あっという間に閉店してしまった。古本を買えなかったのは残念であるが、無人古本屋で店員さんと接するレアケースに出会えたので、今日のところは良しとしておこう。
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その後阿佐ヶ谷に帰り、「千章堂書店」(2009/12/29参照)にて光文社知恵の森文庫「冒険手帳/谷口尚規著・石川球太画」を100円で購入する。
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2017年07月07日

7/7七夕に春浪と出会ってしまったのが運の尽き

そろそろ大阪の「梅田蔦屋書店」に追加の新入荷本が並び始める頃なのだが、再び三たびと大阪に古本を送るために、朝から部屋のあちこちを引っ掻き回している。それにしもよくもまぁ、相変わらずこれだけちゃんと本が出てくるもんだ…。改めてそんな風に己に呆れ返りながら、臨時のセレクト古本タワーをニョキニョキ生み出していく。この行動についての詳細は、また後日お知らせ予定。さて、そんな風に旅立つ古本を見ていると、やはり心の中には一抹の寂しさがが萌え出てきてしまうので、古本を買いに池袋で7/10(月)まで開催の「三省堂書店 池袋本店 古本まつり」(2016/02/09参照)に向かうことにする。湘南新宿ラインで池袋入りし、地下からエスカレーターで二階へ上がって、会場の見取り図を受け取り中へ進む。午前十時半前の場内は、ほどほどのお客さんが静かにジリジリ蠢いている状態。二十四のお店が造り出している古本通路を、何故かかなりの余裕を持って、散歩道をたどるように歩いて行く。もうすでにまつりが始まってから二日が経過しているのだ。物凄い本(この場合は安値の掘出し物くらいの意味である)など残っているわけがない。そんな風に高を括って歩を進めるが、。それでも「ハーフノートブックス」「かぴぱら堂」「ハナメガネ商会」(2014/04/26参照)「にわとり文庫」(2009/07/25参照)の棚造りには、たちまち古本の血が沸騰してしまう。特ににわとりさんの古書だらけっぷりは凄まじいな…。だが、欲しい本はたくさん見つかるが、腕には一冊も抱え込まずに、そのまま次のゾーン次のゾーンと進んで行く…まぁ最後まで回ってから、懐と相談しつつ吟味しよう。そうダラリと決めたところで「九曜書房」(2009/03/26参照)の台に差し掛かる。雑本的な並びの中にギラッと光る古書やおかしな本が紛れ込む、発見の喜びを得る確率が高い棚造りが為されている。だが、値段はわりとちょい安〜ジャストのしっかり目…う〜むと迷いながら裏側に回ったところで、台に並ぶ背の中にセロハン袋に入った背文字のない本が目に留まる。ズボッと抜き出してみると、げぇ!押川春浪の明治本!しかも八千円!これは、高いが安いじゃないか!と矛盾した結論に頭脳を白熱させながら(つまり古本としては高いが春浪本としては安値なのである)、瞬時にこの本の虜となってしまう。…ほ、欲しい…この本の形でこの話を読み耽りたい…でも八千円か…高いなぁ…財布の中には六千円しかないなぁ…でも『世界怪奇譚』だもんなぁ…普通に春浪本と出会うことってないもんなぁ…と他のワゴンを見ながらも、頭の中はすでに春浪でいっぱい。そのまま夢遊病者のようにフラフラと会場を抜け出て、灼熱の太陽光が降り注ぐ『明治通』をメタンガスの匂いを嗅ぎながら移動して、銀行のATMでお金を下ろして回れ右。だがもしかしたら、この会場を離れた隙に、もう売れてしまっているのかもしれない。何せ生き馬の目を抜くような古本修羅界の厳しさだ。そうなっていたら、スッパリ諦めることにしよう。そう考えつつフラリフラリと会場に戻ると、本は元の状態でそのままワゴンに収まっていた。よし、買うぞ!と意を決して抜き出し、奥の特設レジで精算する。大學館「日歐競事 空中大飛行艇/押川春浪」を税込の8640円で購入する。…あぁ買ってしまった。これで家に春浪本がやって来ることになってしまった。こんな高い買物をするはずじゃなかったのに。それにしてもこの表紙絵の可愛らしさはどうだ。口絵の飛行艇のクラシックなガジェット感はワンダフル!はしがきでは、全世界空中小説中最高の面白さであると春浪が自画自賛!明治の活字に巻末の広告に目を凝らす楽しさ!やっぱり思い切って買ってよかった!というわけでこれもまた、どひゃっほうなのである。
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2017年07月06日

7/6そして十二人目の太宰が登場する

「江戸川乱歩の本名って知ってる」「…乱歩?」「太郎って言うの」「…じゃぁ、江戸川太郎?」「ギャハハハ、ちげーよ!」などと、登校中の女子高生が交わす奇跡の会話を耳にした後、一日を過ごす。…それにしても、期末試験で乱歩の問題でも出るのであろうか…。そして本日流れ着いたのは上連雀…おぉっ!偶然にも目の前に「book&cafe Phosphorescence」(2008/08/01参照)が現れたではないか。何か買うというよりも、今日は珍しく何かを飲みたい気分である。外の壁沿いに点在する安売箱たちを覗き込んだ後、小さな店内に入り古本の背を追いかけて一回り。相変わらず非売品の太宰初版本棚がスゴいことになっている。ぬ?その棚の新しい住人として、先日取り壊されてしまった(大分県に移築される予定)、太宰が一時下宿した天沼の『碧雲荘』の欠片が仲間入りしているではないか!茶色の蜂の巣型タイルが何とも可愛らしい…俺も拾いに行けば良かったなぁと、棚前で羨みながら後悔する。そしてその棚裏の小さな机席に腰を下ろし、せっかくなので『太宰ラテ』なる飲み物を注文する。いったいどの辺りに太宰要素が入っているのであろうか?もしや玉川上水の水を蒸留して……。そんな想像を巡らしながら、ちょっと薄暗い棚の裏に視線を据える。そこには、太宰に関わる新聞や雑誌の記事が多数貼り出されており、たくさんの太宰の肖像写真や似顔絵が視界に入り込んで来る。壁の写真や肖像画も合わせると、総勢十一人の太宰が、主に頬に手を当て憂い顔を晒しているのだ。そんな記事群を読みながら待つこと十分。「お待たせしました」とカップが机に置かれる。「なるほど、こういうことだったんですね」「ウフフ、そうなんです」…カップの中にはラテアートで描かれた太宰の瓜実顔が、フワフワと浮かんでいたのである。正面を向いた太宰の顔に意表を突かれ、しばしにらめっこするが、いつまでもそうしているわけにはいかないので、砂糖を入れてスルスルっと啜り込む。あっという間に十二人目の太宰はお腹の中へと流れ落ち、疲れた身体を労り癒し始めてくれた。椅子に深く沈み込み、夕方の三鷹の古本カフェの本棚の裏で、気持ちよく弛緩する。何だか、珍しく古本を買わずとも、幸せになってしまった…。
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7/5東京・西荻窪 MAROGE

すでに昨日のことである。正午過ぎに家から出て、テクテク歩いて「ささま書店」(2008/08/23参照)。岡本綺堂「半七捕物帳」をベースに、昭和三十年代の刑法や捜査方法を紹介する警察系の新書、万歴書房「刑訴捕物帖 第一巻」を105円で購入。その後は西荻漥「盛林堂書房」(2012/0106参照)で「フォニャルフ」に補充した後(現在面陳中の麻耶&風太郎は署名本!)、ホームズ研究家&作家の北原尚彦氏と店内で落ち合い、店主の小野氏とともに三人で都内某所某宅の蔵書整理に向かう。三時間ほどのハードワークを熱中症に気をつけながらこなし、午後六時に西荻窪に帰還。店頭箱の中から新建築社「新建築 創刊號」(大正十四年の住宅研究雑誌。写真や図面やモダンな広告が豊富で、武田五一の寄稿が!)この後は小野氏がお店を閉めた後に労働の打ち上げを行う予定なのだが、ひとりひとまずお店を離脱して、駅の北側へと足を向ける。

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駅北口から東寄りの『北銀座街』に入り、東側歩道を北進する。ちょこちょこ歩いて、歩道アーケードを抜けて、緩やかな坂道を下り始める。二本の脇道をやり過ごせば、居並ぶ二階家うちの黒い建物二階階段口に、ヒラヒラと微風にさえも翻る婦人服が飾られているのが目に留まる。立看板に近づくと『古着・雑貨・本』の文字があり、店長は猫である旨が書かれている。A級情報屋の「やまがら文庫」からタレコミのあったお店だが、完全に女子向けのお店ではないか…。怖気を震わせながら赤いカーペット敷きの階段を上がると、こちらに開くサッシ扉が待ち構えている。狭い踊り場で身を引きながら扉を開け、ジャズの流れる店内に踏み込む。そこは階下同様、たくさんのヒラヒラした柔らかな洋服たちが集まっている。だが幸いにも、入って直ぐ左に小さな古本棚を発見する。なので洋服には目もくれずに棚前に屈み込む。セレクト海外文学を中心に、カルチャーを混ぜ込んである模様。一冊文庫を掴んで奥に進むと、押入れの如きディスプレイ棚があり、8ミリ撮影機などとともに、映画・テレビ・ジャズの本が飾られている。本の冊数はそれほど多くなく、お洒落寄りの少数精鋭主義である。値段はちょい安〜ちょい高と様々。本を見ている間に、古着の隙間をかいくぐるようにして、奥の帳場のロングヘアーの女性から「いらっしゃいませ」と声を掛けられていたので、精算をするためにそちらへ進む。本を差し出すと、値段を確認した後「900円ですがいいんですか?」とこの値段で文庫を買う私を気遣う発言。「本は別の者がやっているので」と笑顔で理由を教えてくれる。というわけで、サンリオSF文庫「ナボコフの一ダース/ウラジミール・ナボコフ」を900円で購入する。猫が店長さんのためか(この時は姿は見えず)営業日と営業時間がかなり変則的なので、来店時は注意が必要である。
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2017年07月03日

7/3俺にとっては開かずの「えびな平和書房」

午後に思い立ち、湿った熱い空気を掻き分けて、鮎川哲也「黒いトランク」を頭を懸命にフル回転させて読書しながら神奈川県・海老名に向かい、バスで丘に上がってそして下る途中の、移転後の「えびな平和書房」を見に行く。だが「今日こそは!」と期待度満点でたどりついたお店は、店頭のワゴンや棚にブルーシートが掛かったままで、『本日の営業は終了しました』の看板が立ちっ放しの状態なのであった。…うぅ、俺はいつになったらこのお店に入れるのだろうか。もう四回は見に来ているはずだが、毎回見事なまでに袖にされているのだ。くそぅ、だがいつか開いている時に巡り会わせて、しっかりと古本を買ってやる!と、丘の上の住宅街に圧し掛かるような雲の多い青空に、遠吠えする。そして潔く丁度来たバスに乗り込み、たちまち馬鹿みたいに駅へと引き返す。小田急線上りに乗り込むが、悶々とした気持ちを鎮めるために町田駅で途中下車し、ビル一杯の古本屋さん「高原書店」(2009/05/03参照)に急行する。
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ほほぅ、今は100均本を50均でサービス中なのか。というわけで店頭小庭&店内の100均棚&ワゴンを集中的に漁り、ますます古本の山でカオス化が進む室内&店内に好意を抱きながら、講談社「透明な季節/梶龍雄」面白半分12月号臨時増刊号「さて、田村隆一」を計108円で購入する。再び電車に乗り込み、あっさりそのまま帰るつもりだったのが、シートの上で段々とまだ何か買いたい気持ちが膨れ上がってしまい、衝動的に下北沢駅で下車。「ほん吉」(2008/06/01参照に一直線に向かい店頭にむしゃぶりつく。
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やっぱり良い本が挿し込んであるなぁ。得に今日は左の300均本にそれが多い。ここはやはり古本を求める気持ちをちゃんと受け止めてくれる…そんな風に感じて喜び二冊を手にする。講学館 日本の子ども文庫1「たぬき学校/今井誉次郎」(カバーナシ。そうてい・さしえが安泰なので、動物的プリティーさが大爆発!)東京・大阪朝日新聞社 アサヒカメラ臨時増刊「人物寫眞術」(表紙に丸窓があるデザインで昭和十二年刊。木村伊兵衛・中山岩太・野島康三・岡本東洋・堀野正雄の写真も掲載され、それぞれの技術記事もアリ)を計600円で購入する。途中下車で古本を購い、空振りした気持ちをどうにか鎮めた、三時間余の小田急線行であった。
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2017年07月02日

7/2いつの間にやら「石本書店」

重苦しく暑苦しい空気の中、仙川の南西にある若葉町に流れ着く。ここは意外に高低差のある土地で、谷底には緑陰濃く涼しい『武者小路実篤公園』があったりする。近くには実篤の記念館もあり、その案内版がふと目に留まる。下部に『桐朋学園』前にある書籍と文具の『神代書店』の広告があるのだが、そこに実篤から書店に送られた識語が書かれているのだ。『雨が降った それもいいだろう 本がよめる』…なんだか七十年代CMのコピー的だが、今の時期にピッタリなので見事に胸に沁み入ってしまう。もしかしたら、この言葉が書皮に印刷されているのではないかと思い、記念に文庫でも一冊買って行こうとお店を探し当てるが、残念ながら定休日であった。当てが外れながらも、そのまま「文紀堂書店」(2015/03/31参照)に向かい、チャイルド本社 おはなしチャイルド26号「まいごのロボット/作・大石真 絵/北田卓史」を500円で購入する。そのまま西にスライドするようにして、いつの間にか全滅してしまった「ツヅキ堂書店グループ」(2016/11/11参照)の最後の生き残りとも言える、裏路地の元「ツヅキ堂書店 仙川店」(2009/08/20参照)である「石本書店」を訪ねる(何だか文章がややこしくてすみません…)。店名の入っていた黄色いテント看板を見上げると、何もかも旧店のままであるが、元の店名だけは黒テープで消されている。
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そして自動ドアにのみ「石本書店」の名が掲げられている。店頭に立っていると、すぐさま店主の石本氏に発見され、挨拶を交わしてポツポツお話しさせていただく。「それにしてもお店が賑わってるじゃないですか」と見たままの感想を伝えると「今日は選挙だからたまたまですよ。いつもは閑古鳥が…」などと返される。いやいや、これだけの人が、この分かり難い裏路地に入り込んでくるんだから、地元に充分認知されている証拠ですよ。そのまま店内を回遊し、最奥の良書が紛れ込む充実雑本棚を楽しむが、値段になかなか隙が見つからぬので、何を買うか決め切れない。しかし美術棚にてようやく国文社「ダダ論考/山中散生」(帯&崩壊寸前の元セロ付)を900円で発見したので、よっしゃっ!と購入する。

家に帰ってしばらく身体を休めた後に、日が暮れ切る前に都議選の投票へ向かう。
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2017年07月01日

7/1あっ!「BASARA BOOKS」が開いている!

雨に湿った街を彷徨い、吉祥寺の北に流れ着く。バスには乗らずに『吉祥寺通り』を南下して駅方面を懸命に目指す。途中「午睡舎」(2009/09/10参照)前を通りかかるが、案の定シャッターが下りている。午睡どころか、もはや冷凍冬眠の域に突入している…恐らくもう、開くことはないのかもしれない。そう言えば「百年」(2008/09/25参照)が、今度新しいお店を開くんだっけ。もしかしたらお店周りに何か新店の情報が出ているかも知れない!と向かってみるが、一階の立看板にも二階の店内にも情報はナシ。店主も不在なので為す術無く、ただただ若者で賑わう店内を楽しみ、ちょっと表紙が傷んだ小峰書店少年少女のための世界文学選(5)「鍛冶屋と悪魔/ゴーゴリ」を1080円で購入して退散する。このままL字を象るように、古本屋さんを訪ねて行くか。そう決めて駅南口へ切り込んで行くバス通りに曲がり込むと、小さな打ちっ放しコンクリビルの前に人の気配が漂っている…おっ!久々に「BASARA BOOKS」(2015/03/28参照)が開いてるじゃないか!感激しながら近寄ると、店頭も店内も相変わらず三角形で小規模ながら、「百年」に負けず劣らず若者で賑わっている、扉横には『店内で本を一冊でも買った方には、店頭の均一本を一冊プレゼント』なんて貼紙も。そんな五ヶ月ぶりの再会を喜び、熱心なカップル客に割り込むようにして、店頭の箱や棚を覗き込む。すると棚の上段で、浪速書房「好色党奮迅録 紅雲の巻 緑雨の巻/宮本幹也」の二冊を発見。中巻の「紫山の巻」が見当たらないのは残念だが、ちゃんと箱付き(広告には『上製函入』とあるが、完全にホチキス留めのボール紙である)元セロ付きである。買取本が山と積まれた帳場にて計200円で購入。ここで充分満足してしまったので、早く家に帰って昨日の続きとばかり、百年前の巴里にファントマの暗躍を見物しに行くことにする。
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※追伸
先日大阪の「梅田蔦屋書店」に補充分の古本を送付。近日中に古書コンシェルジェの手により、棚がジワッとリフレッシュする予定なので、お近くの方や大阪に立ち寄る予定のある方は、ぜひとも巨大駅ビル『ルクア イーレ』九階をお訪ね下さい!
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