2023年12月02日

12/2式場隆三郎づいている。

午後二時過ぎに祖師ケ谷大蔵の住宅街に流れ着いたので、トボトボと南の駅に向かって『ウルトラマン商店街』をたどる。連続する商店街電灯に掲げられたフラッグは、ウルトラセブン55周年記念仕様である。
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それらを相変わらずウルトラ狂いの眼で見上げながら、駅に到達してまずは経堂に移動。「ゆうらん古書店」(2022/09/25参照)へフラフラと向かう。店頭棚から、創元推理文庫「処刑6日前/ジョナサン・ラティマー」時間社「しんかん 北川冬彦詩集」を計400円で購入する。「しんかん」には、何と見返しに式場隆三郎宛の北川冬彦の名刺が貼り付けられているではないか。先日購入したばかりの山下清&式場隆三郎連名署名本に続く、式場隆三郎関連本なのである。何故いきなり式場隆三郎づく羽目に……。
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さらに続いて代々木上原に移動し、「ロスパペロテス」(2008/07/14参照)へ。何だか本がだいぶ増している印象を受けながら、カップルと女子で大賑わいの店内を密かに潜行し、青土社「ユリイカ 特集『新青年』とその作家たち 異説日本文学史」を300円で購入する。さらに次々とお客が入って来るお店を脱出し、小田急線と総武線を乗り継いで阿佐ヶ谷に帰り着く。「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)店頭棚の天板の上に古めの雑誌が積み重なっていたので、丁寧に見て行くと、小学館「女学生の友 昭和二十七年7月号」を発見する。宮野叢子の連載推理小説『夢を招く手』や吉屋信子原作の絵物語「はまなでしこ」の松本かつぢの絵がエクセレント!と心の中で71年前の少女雑誌に喝采し、110円で購入して帰宅する。
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2023年12月01日

12/1 4巻を見つけなければ。

昨日は高井戸に流れ着くが、いつものように荻窪に向かうのもワンパターンなので、思い切って井の頭線で下北沢まで出る。「古書明日」(2017/01/31参照)で、ひかりのくにのテレビ絵本「一休さん その三」福音館書店 かがくのとも はじめてであう科学絵本13号「かげ/中川正文ぶん・堀内誠一え」《こどものとも162号》「かさもって おむかえ/柾屋清さく・長新太え」を計400円で購入する。さらに「CLARIS BOOKS」(2013/12/01参照)に至り、いつの間にかサンリオSF文庫が増殖しているのに惹き付けられ、「緑色遺伝子/ピーター・ディキンスン」「夢幻会社/J・G・バラード」「ブロントメク!/マイクル・ニコイ」をついつい計1900円で購入してしまう。最近CLARIS BOOKSで良く買物をしている気がする…。夜には、あるカバーの色校が届く。満足行く良い感じの仕上がりである。今から本になるのが楽しみ楽しみ。明けて本日は午後から連載の取材で東京の東へ。帰りに寄り道して森下の「古書 ほんの木」(2013/05/25参照)を『のらくろーど』に訪ねる。店内通路棚にSF棚が一本できているのに驚きつつ、横積み本の上に重なり置かれた絶版漫画セットブロックにも目を奪われる。そしてその中に、秋田書店 少年チャンピオン・コミックス「日本沈没 1〜3/小松左京(原作) さいとう・プロ(劇画)」を見つける。全4巻なので最終刊の4巻が欠けているわけだが、だから600円と安値である。実は昨日「古書ビビビ」(2009/10/15参照)の店頭で、水ヌレ跡のために百円で売られていた「日本沈没 2」を見つけ、買おうかどうか悩みまくった末に、結局そっと棚に戻していたのだ。二日続けて「日本沈没」に出会うとは、買っておくべきなのだろう。と600円で購入する。これは是が非でも4巻を見つけなければならんな。
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お店を出た後、「文雅堂書店」(2012/06/24参照)をあまり期待せずに見に行くと、やっぱりシャッターはガッチリ下ろされていた。ここ、どうにかしてまた入りたいなぁ……。
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2023年11月29日

11/29ダブル署名本!

午後二時過ぎに久我山に流れ着いたので、取りあえず西荻窪を目指して北に進む。いつものようにいつものお店たちを訪れるが、今日は良い出会いはナシ。こういう日もあるさと即座に気持ちを切り換え、今度は電車に乗って隣駅の荻窪へ。「竹中書店」(2009/01/23参照)店頭二百均台から、新書館「寺山修司青春作品集:6 愛さないの愛せないの」を手にしてから、握りの太いガラス引戸を丁寧に開けて店内へ。左側通路の文学壁棚に、熱心な視線を注いで行く。普段からあまり動かぬ棚構成ではあるが、だがそれでも時々面白いものが補充されるのである。…と言うわけで気になったのは、現代社「はだかの王様 山下清の絵と日記/式場隆三郎編」である。子供用に編まれた本で別に珍しくはなく、カバーも縁が傷んでいる。棚から取り出しパラパラと捲り、後見返しの値段を確認する…あれ?ない。値段は何処に……と本の色んな場所を見て行くと、何と値段札は表3ソデ裏に隠れていた。そして値段は二千円なのだが、気になる注意書きが赤字で書かれている…『連名サイン』。なにっ!何処にそんなのがあったのか!と見返しや本扉を確認すると、表見返し裏の本扉対向ページに、マジックによる山下清の朴訥なサインと、万年筆による式場隆三郎の流麗なサインが、仲良く肩を並べていたではないか。こ、これは買わなければ。放浪の画家と、彼を支えた精神科医(名著「二笑亭綺譚」の作者でもある)のサイン!と興奮して前述の本と合わせて計二千二百円で購入する。帳場のご婦人は後見返しを見て「あれ?値段がないわ?これ、表の本?」と聞かれたので店内の本であることを告げ、さらに値段札がある場所も教える。「あら、こんなところに。自分で見えないところに貼っちゃって、しょうがないわね」と恥じらいの笑み。お店の鳥獣戯画書皮を丁寧に掛けていただく。この本、後で調べてみると、山下清の署名本は存在するが、連名署名本は見当たらなかった。どうやらちょっと珍しいモノらしい。今日も面白い古本と出会えて、幸せ幸せ。
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2023年11月28日

11/28ポストの中に古本の気配。

デザインの直しをしたり、ゲラを戻したり、セイヤーズ「大學祭の夜」(ちょっと木々高太郎の繊細な文学的感触と似ている)を読んだりして午前中を過ごす。昼食後、さらに仕事と読書を進めつつ、急用で吉祥寺に外出。ちょっとだけ「外口書店」に寄って、短歌新聞社「歌集 右左口/山崎方代」を百円で購入して帰宅する。そんな風な、いつもと違ったとても穏やかな古本活動であったが、家に帰るとポストの中では、ヤフオク落札品がいつも通りの濃厚な古本の気配をとっぷりと充満させてくれていた。新潮文庫「奇蹟の扉/大下宇陀兒」と桃源社 新撰大衆小説全集第十三巻「江戸前むすめ/城昌幸」である。ともにライバルなしで、「奇蹟の扉」は550円、「江戸前むすめ」は千円にて落札す。「奇蹟の扉」は昭和十一年刊の初版。この作品は同じ新潮社の『新作探偵小説全集』として昭和七年に上梓されたものだから、この文庫はその直系と言えよう。「江戸前むすめ」はカバーがちゃんと付いているのだが、それでも函ナシなのである。だが本はすこぶる良い状態なので嬉しい。内容は巻末の自社広によると『おきゃん娘が謎をとく、興味津々の捕物秘帖』と、テンポの良いキャッチが弾んでいた。城昌幸には、現代が舞台の「婦人警官捕物帖」(物凄く読みたいのだが、あまり出て来ない本で、出て来たとしても恐ろしい値段が……)という作品があるが、その江戸時代版と言ったところだろうか。ちょっと読み始めると幼馴染みの二代目岡っ引き・八幡屋壮二(二十)と火消し頭の娘・おりく(十八)が仲良く口喧嘩をしながら、壮二の手に負えない事件の真相をおりくが見抜き、手柄を取らせるという萌える展開…あぁ、城お得意の軽読物で、スラスラと読み進む上に、止まらない……本を読むのは楽しいなぁ。
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2023年11月27日

11/27百円の「つきりょこう」を直す!

午後一時過ぎに恵比寿に流れ着き、何かが通過するらしいので物々しくなってきた警察の警備をクリアして、トボトボと渋谷に出る。『宮益坂』上の「中村書店」(2008/07/24参照)では、函の背が抜けている大鎧閣「妖怪學講義 第四巻/井上圓了」を500円で購入する。図版が多くて眺めているだけで楽しい。『西洋の物怪』の図がなかなか強烈ですな。
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続いて坂を下って、再び坂を上がって下って宇田川町に至り、「まんだらけ渋谷店」(2011/04/08参照)の地下階段に足を踏み入れる。途中の踊り場の百均ゾーンに目を凝らすと、大判本の中に小学館 オールカラー版世界の童話19「カロリーヌのつきりょこう/えとぶんピエール・プロブスト」があるではないか。完全に何かの間違いであろうと慌てて抜き出し函から出してみると、ページが一部外れている本なのであった…なるほど、だから百円か。だが、これは簡単にボンドで直すことが出来るぞ!そうすれば、函入りの「カロリーヌのつきりょこう」は、難なく俺の物になるのだ!と先走って喜び、審美社「異象の夜に/山下武」とともに計220円で購入する。山手線と中央線を乗り継いで阿佐ヶ谷に戻り、最後に「千章堂書店」(2009/12/29参照)の店頭を楽しむ。すると児童文学特集コーナーで、昭和34年1月刊の学研「よいこのくに」が目に留まる。表紙の端が少し欠けているが、付録の小冊子「母のくに」も挟まっており、北田卓史『めりさんのひつじ』や武井武雄『ながぐつをはいたねこ』が載っているので、喜んで購入する。そして家に帰ったら、まずは集中して「カロリーヌのつきりょこう」を、不器用なりに真剣に修理する。
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と言うわけで見事直りました。ブラボー―――――――!
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2023年11月26日

11/26気をつけます……。

昨晩、講談社ノベルス「鵼の碑/京極夏彦」をようやく読了する。この分厚いノベルスを読み切ったのだから、面白いことは確かであるが、何故か本を読み切った達成感&解放感の方が大きいのは。どう言う訳であろうか。次作予定の「幽谷響の家」は、もっと分厚くなるんだろうな…。そして本日は朝から真面目にデザイン仕事を幾つかこなし、午後に空模様をうかがいながら外出する。寒さに震えながら高円寺にたどり着き、「西部古書会館」(2008/07/27参照)の「中央線古書展」二日目へ。あまりの寒さのためか、入口のサッシはピッタリと閉じられている。ガララと開けて中に進み、古書が多めの棚を見て回る。中央公論社「ある小説家の思い出/橘外男」日本出版協同株式会社「ミッキー・スピレーン選集2 寂しい夜の出来事/高木眞太郎訳」を計600円で購入する。会館を出たら東にちょっと歩いて『あづま通り』に入り、「古書十五時の犬」(2011/11/22参照)へ。まだちょっと雨模様なので、複雑激狭通路の店内に店頭棚が引き込まれているため、一部棚に見えない場所が生まれている。いつものように、帳場横の創元推理文庫白帯ゾーンに手を伸ばしていると(棚との間にはレジの乗ったガラスケースがある)、本を引き出す際に、隙間に横積みされていた本をレジ上に転落させてしまった。す、すみません…これ、前回もやったんだよな…気をつけなければ…。そんなことがありながら、創元推理文庫「ねらった椅子/ジュリアン・シモンズ」を千円で購入する。初版の白帯版で、マークは小父さんなのだが、激レアの再版カバーからは猫マークに変更されている。解説は植草甚一。あっ!さっき買った「寂しい夜の出来事」も解説は植草甚一だ。朝鮮戦争の折り、神保町の古本屋にG・Iが飛行機に乗ってスピレーンを探しに来たエピソードがたまりませんな。
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2023年11月25日

11/25音楽の“図鑑”。

午後二時前に富士見ヶ丘と西荻窪の中間に流れ着いたので、今日こそは「にわとり文庫」(2009/07/25参照)に入るぞ!と決心して西荻方面にテクテク向かう。すると高架沿い『平和通り』の小さなお店は、元気に営業中であった。うむ、良かった。店内に滑り込み、右壁手前の児童文学ゾーンを眺めていると、かねて読みたかった講談社 世界の児童文学名作シリーズ「霧の中の悪魔/リアン=ガーフィールド作 飯島淳秀訳」並んでいたので、素早く二千円で購入する。店主に紙袋に入れてもらったのだが、そこには本の上に座る猫が鶏を銜えているという、なかなか自虐的でプリティなイラストがスタンプされていた…この猫は在りし日の“デコポン”だろうか……。続いて「古書音羽館」(2009/06/04参照)に足を向け、今は亡き築地市場の活況が描かれた絵本、福音館書店 月刊予約絵本《こどものとも》215号「うおがしのあさ/森下研さく 寺戸恒晴」(英題は『Akira goes to a fish market』)を百円で購入して帰宅する。
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そして新刊書店で小学館の図鑑NEO「音楽」を入手する。実はこの本、昔お仕事でお世話になりまくった旧知のミュージシャンで楽器蒐集家の神森徹也氏が構成を務めているのである。カメラマンとして参加していた、とあるファンクラブ会報の企画ページに、準レギュラーとして登場することが多く、お会いする度に様々な珍妙な楽器を常に携え(鼻笛とか…)、ヒリャヒリャポロンポロンと辺り構わず楽し気に妖精のように鳴らしている姿が、今でも目の裏にありありと浮かびます。また、突然北海道に飛び、ムックリの大会に参加して、並みいる本場の強豪たちを抑えて三位に入賞するなどの豪快なエピソードも、忘れられません。そんな音楽命の氏が、五年の歳月をかけて、目に見えない“音楽”の図鑑を作っていたとは!今までにも音楽の図鑑や児童学習本は存在していたが、それは西洋のクラシック音楽中心であった。この本のページを開くと、青空の下のキューバのバンドの見開き写真から始まり、世界中の音楽の歴史や、世界中の楽器が、奏法が、次々と咲き乱れて行くのである。これは他に類を見ない、画期的な図鑑ではないだろうか。ページを繰り続けると、何故人間はこんなにも音楽を必要とするのか、また愛するのか、などとついつい考え込んでしまうほどの、知識の饗宴&深淵なのである。書店でお見かけの際は、ぜひ手に取ってみてください。
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2023年11月24日

11/24『五反田遊古会』を掠める。

午前中に打ち合わせをひとつこなし、正午までには帰宅しなければならないのだが、寄り道しても多分大丈夫だろうと、「南部古書会館」で今日明日開催の『五反田遊古会』を掠めて行くことにする。時刻は午前十時四十五分…まずはすでに一波去った感のある安売ガレージを探索。すると何だか良い調子で、たちまちポピュラー・ブックス「浮気な死神〈大前田英策推理ノート〉/高木彬光」第二書房「人間の巣/下川儀太郎」(カバーナシ。ヘンテコ推理小説「魔の十三号室」の作者による、留置場群像劇。中に挟まっていたスリップには『富士の見える留置場物語!』のキャッチあり)小壺天書房「第三の死角/小島直記」(日活で映画化もされたスリラーアクション小説)が手の中に入る。かなり満足しながら奥の帳場に接近すると、担当が「月の輪書林」さんと「古書 赤いドリル」のゴールデンコンビであった。ご挨拶しながら計600円で購入する。
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続いて荷物を預けて二階に上がるが、こちらでは残念ながら出会いなし。だがすでにガレージの買物で満足していたので、あっさりと引き上げることにする。家に帰ったのは正午過ぎ。そこにタイミング良くヤフオク落札品第三弾が届いてくれた。泰平館書店「赤き死の假面/アラン・ポオ作 島村抱月序 谷崎精二譯」である。ライバルなしの千円で落札す。大正二年刊の四六判で、外装はナシ(元は函入りだろうか?)。『赤き死假面』『アッシャー館の滅落』『影』『早過ぎた埋葬』『物云ふ心臓』など幻想味の強い十三篇を収めた短篇集である。
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2023年11月23日

11/23茂田井武の金田一耕助。

午後一時前に浜田山に流れ着くが、すぎ丸に乗って一直線に阿佐ヶ谷には戻らず、吉祥寺に出て古本を買って行くことにする。祝日の人出を難なく潜り抜け、まずは「古本センター」(2013/07/01参照)へ。すると帳場前の中央通路脇に、セロファン袋入りの古書や雑誌が少量あったので、丁寧に袋から出して検分する。時事通信社のカストリ雑誌「讀物時事 昭和二十三年三月號」の目次を見てみると、横溝正史の『探偵小説 黒蘭姫』というのが掲載されている。550円とお買い得だし、これは買って行こう。そう決めて全40ページの薄い雑誌を、横溝正史の小説求め、パラパラと捲る。該当の33ページに、『黒蘭姫3』のタイトル文字とともに、独特な挿絵が……うわっ!茂田井武だ!しかもこれは、茂田井描くところの金田一耕助ではないか!これは非常にワンダフルである。茂田井武の挿絵初仕事は、横溝正史の『かいやぐら物語』であっったが、その後も戦後にこんな仕事をしていたのか。他にも二枚の挿絵が掲載されている。この連載は全三回なので(つまりこの号に載っているのが完結篇である)、他の二回分掲載号もぜひとも手に入れたい代物である。と言うわけで550円で購入する。
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その後は「バサラブックス」(2015/03/28参照)で蝸牛社「日本推理小説精選評論集 教養としての殺人/権田萬治編」を300円で購入し、さらに「古本のんき」(2021/03/31参照)で文化生活研究會「家庭科學大系(81)オペラと映畫/伊庭孝・森岩雄・牛原虚彦」(函ナシ)広済堂「鉄道模型入門 作るポイント楽しむコツ/水野良太郎」を計300円で購入して阿佐ヶ谷に戻る。すると家には新たなヤフオク落札品が到着していた。偕成社 少女小説シリーズ21「鈴をふる少女/宮敏彦」である。レアな少女推理小説を、ライバルなしの580円で落札する…とは言ってもカバーナシの図書館除籍本なのであるが、カバーが手に入らないのは仕方ないにしても、除籍本の証明である分類ラベル類はキレイに剥がすことに成功し、見事にただのカバーナシ本となる。やったね!
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2023年11月22日

11/22二十・二十一・二十二。

一昨日は午後二時半に駒沢大学と学芸大学の中間辺りに流れ着いたので、学芸大学駅に足を向け、「飯島書店」(2014/04/24参照)へ。創元推理文庫「赤後家の殺人_/カーター・ディクスン」を200円で購入して渋谷に移動する。地下四階のホームからようやっと地上に出たら、宮益坂の麓だったので、ケヤキ並木が散らした落葉をカサコソ踏み締めながら坂上に出て「中村書店」(2008/07/24参照)へ。だが無情にもシャッターが下ろされ、『19日20日は都合によりお休みします』の貼紙が。悄然として上がってきたばかりの坂を下り、家路をたどる。そして家に帰ったら、ここ最近固めて落札してしまったヤフオクの代金、三件をコンビニで支払う…全部今から届くのが大変楽しみである。そして昨日は午前八時半過ぎに西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に姿を現わし、盛林堂・イレギュラーズとなり、店主・小野氏とともにレンタカーのキャラバンに乗り込み、神奈川県から埼玉県への大量の本の引っ越し作業に従事する(実は本だけでなく本棚も…)。ダンボール24箱・プラケース10余・結束本20本弱・本棚一本・怪獣消しゴム箱をエッチラオッチラ車に運び込み、長い長い車移動……だがその途中の、神奈川県の生田附近で『浄水場通り』という名の、アップダウンの激しいうねった道を北に向かっていると、通りの名の由来の浄水場の広い敷地が左側にふいに現れたので、何気なく視線を送ると、そこには『空想特撮シリーズ ウルトラマン』の第二話『侵略者を撃て』で宇宙忍者・バルタン星人が巣食うモダンな建物『東京都長沢浄水場』(設計はモダニズム建築の大家・山田守)が目に入ったので、見境無く大興奮してしまう。思わずハンドルを握る小野氏に「うわっ!小野さん、大変だ!バルタン星人の浄水場だ!ほら、あの、フルハシ…じゃなくてアラシ隊員が冷凍光線で硬直させられて、イデ隊員が宇宙語でバルタンとコミュニケーションを……」などと激しくウルトラの血が騒いでしまい、大人げないほどはしゃいでしまう。これがこの日のクライマックスであった。ここはいつの日か、ちゃんと見に来ることにしよう。後は現地で荷物をヒイコラ下ろし、再び夜道をひた走って東京に戻り、レンタカーを返却して家に帰ったのは、午後七時であった。おつかれさまでした。そして本日も午前十一時過ぎから盛林堂・イレギュラーズとなり、小野氏の駆る軽ワゴン車で、都内某所からダンボールに詰め込まれた本を運ぶ労働に従事。軽ワゴンに結構積み込んで、現場とお店を二往復する(一回目、ダンボール28箱…荷台にギュウギュウに詰め込んだので、走っているとミチミチまるでオホーツク海の流氷のような音が…。二回目、結束本四十本)。午後五時半には西荻窪に帰り着き、無事に作業終了となる。二日間おつかれさまでした。軋む筋肉をかろうじて動かし阿佐ヶ谷に帰り着くと、ポストに嬉しいヤフオク落札品第一弾が届いていた。岩崎書店〈エスエフ〉世界の名作《6》「くるったロボット/アシモフ作 小尾芙佐訳・和田誠画」である。ライバルなしの三千円にて落札す。ちゃんと函付きで昭和42年刊の第2刷、目当てであるアーリー・和田誠の絵に無条件で魂がざわついてしまう。お話しごとの題字もたまりません!
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2023年11月19日

11/19盛林堂の店頭文庫台が鮎川哲也だらけだった…。

昨日は午後二時過ぎに高井戸に流れ着いたので、テクテクトボトボ『環八』を北に遡上して荻窪に出て、線路下を潜ったらちょうど午後二時半。この時間から営業開始の「絵本タイム猫タイム」(2016/02/19参照)がちゃんと開店している。早速中に入って、絵本と児童文学の麗しい薫りを存分に楽しむ。今日は店主さんは、毛糸玉を量産中。相変わらずのオーガニック・クリエイティブっぷりである。学研カラー絵ばなし「ふたりのにんじゅつつかい/前川康男ぶん 那須良輔え」を700円で購入する。お店を出たら再び線路下を潜り、線路沿いに東に向かい「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)へ。学研「中学二年コース12月号第4付録(昭和34年)エジプト王ののろい/ヴァン・ダイン(原作) 内田庶(文)」岩谷書店別冊宝石12号「世界探偵小説名作選 第3集 カア・クロフツ傑作特集」を計990円で購入する。本日は目覚めるや否やすぐに机に向かい、あるデザイン仕事の最後のピースを組み上げる。よし、決まった!これは早くみなさんにお見せしたい快心の出来である(発売は来年なのだ)。そんな風に大いに己を褒めそやしながら午前を過ごし、午後に精選古本を携えて外出する。西荻窪「盛林堂書房」(2012/01.06参照)に姿を現わし、店頭文庫台が鮎川哲也だらけになっているのを見て笑った後に(これはちょっと今までに見たことのないような愉快で異常な光景であった。仕入れすぎだぜ盛林堂!)、「フォニャルフ」を入替補充する。そして「アガサ・クリスティー・カントリー イングリッシュ・リビエラの太陽の下で」を百円で購入する。イギリスで印刷された、アガサ・クリスティーの生地&聖地を巡る八つ折りのパンフレットである。そんなものを買いながら店主・小野氏と今週の盛林堂・イレギュラーズについて打ち合わせつつ、氏が先日訪れた茨城の古書市場の土産話を拝聴する。古本屋好きとして、振り市は一度見てみたいものである。お店を出たら北にズンズン歩き続け、「古書西荻 モンガ堂」(2012/09/15参照)へ。ジャズの流れる店内で帳場のモンガさんに挨拶し、店内をウロウロ。角川文庫「不思議の国のアリス/ルイス・キャロル 福島正実訳」「推理小説 褐色の肌/エド・レイシー」白夜書房「男と女の間には写真機がある/荒木経惟」を計千円で購入する。年末までにもう一回くらい来ますよ、モンガさん!
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「褐色の肌」のカバーは写真と思いきや、実は生頼範義のイラストなの
である。デザインはブルーノート風。
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2023年11月17日

11/17路地裏の古本屋さんに一足早くお別れを。

昨夕、北原尚彦氏よりタレコミメールがあり、神保町裏路地の「富士鷹屋」(2009/09/12参照)が実店舗を閉店してしまうという。非組合系で、小さいがミステリの基本図書を充実させたお店である。確かにサイトで確認すると、十一月二十五日(土)で閉店とあった。うわはぁ…これはぜひとも見送るために駆け付けねばならぬのだが、今週末と来週はすでに予定がギュウギュウなのである。今日も大詰めのデザイン仕事で汲々としているのだが、この雨が上がったら思い切って神保町に行くことにしよう。そう決めて段々激しくなる雨音を聞きながら、手を動かし続ける。そして午後一時過ぎ、雨音は遠ざかり、代わりに鳥のさえずりが聞こえるようになり、ついに雨は上がった。急いで机の前から離れ、神保町に駆け付ける。それにしてもミステリ好きにとって、「富士鷹屋」がなくなるのは痛い。先日出た本の雑誌社「神保町 本の雑誌」のミステリ好きによる座談会二種、北原尚彦氏との『神保町の古本屋さんを楽しもう!』、北原尚彦氏×彩古氏×森英俊氏との『神保町古書店案内座談会』でも、「富士鷹屋」については言及されているほどなのである…。神保町には水道橋駅からアプローチし、『白山通り』を南下して、お店があるはずの横丁を探す。ここは何度来ても見落としてしまう可能性のある、似た横丁が連続しているのである。だが今日は一発で到達する。店頭棚&ワゴンが出ているので、しっかりと営業中である。閉店の案内などは何処にも出ていない。店頭で一冊掴み、サッシ扉を開けて中に進む。そこは相変わらずの静かな通路的空間で、ミステリ&SF&幻想怪奇文学の文庫本・単行本・ノベルスをスラリズラリと棚に収めている。フローリング風シートを敷き詰めた床を踏み締め、天井近くから足元まで、ゆっくり眺めながら次第に奥へと進んで行く…おそらくこのお店に来るのは、今日が最後になるだろう。この、店主がカウンター奥で静かに作業する気配を感じ取り、多少緊張しながら奥へ奥へと進んで行くのも最後なのである。そんなことを考えながら帳場前に到達し、しゃがみ込んで棚下までしっかりと見る。講談社文庫「考えろ丹太!/木島始」東都書房「おんな牢秘抄/山田風太郎」現代長編推理小説全集9「鮎川哲也集」ポプラ社文庫「死人のすむ街/緑文建」を計800円で購入し、一足早くお店との別れを済ませる。さらば、たくさんの殺人事件の物語を詰め込んだ、都会の路地裏の古本屋さんよ!
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2023年11月16日

11/16一瞬の音羽館に賭ける!

午後一時半に西荻南に流れ着いたので、久々に「古書西荻 モンガ堂」(2012/09/15参照)にでも足を運びたいところだが、急遽あるデザイン仕事の直しが入ってしまったので、もう家に戻らねばならない。急ぎ足で駅に向かいつつ、今日は「盛林堂書房」(2012/01/06参照)は臨時休業…まずは「にわとり文庫」(2009/07/25参照)に寄って行こう…ぐわ、閉まってる。ではひとまず駅をやり過ごし、「古書音羽館」(2009/06/04参照)に向かうことにするか…そうだ、音羽館であの欲しかった本を買えばいいじゃないか。よし、一瞬の音羽館に賭けよう!と急ぎ足でお店に到着。店頭をちゃんと眺め、店内も気になる所を眺め、やがて目的の右側スペースの幻想文学&ミステリ系ゾーンに接近する。さて、目的の本はまだ残っているだろうか………あったあった。東都書房「赤い痕/仁木悦子」である。仁木雄太郎&悦子の兄妹探偵、新聞記者の吉村、小宮山牧師&娘しのぶ&ジャガーの源吉、それぞれが活躍する短篇と、変格もの一編を収録した短篇集である。昭和36年初版元パラ帯付きで2500円は、なかなか嬉しいお手頃価格なのである。よっしゃ!と代金を素早く支払い、とっとと阿佐ヶ谷に帰還して、買ったばかりの「赤い痕」を愛でたい気持ちをぐっと抑え、まずはモニターに齧り付き、しっかりとお仕事を進めて行く。
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2023年11月15日

11/15阿佐ヶ谷から新刊書店がなくなる日。

歩いて高円寺に向かい、午前十一時から打ち合わせをひとつこなす。その後は古本を買いながら家に帰るかと、まずは荻窪に移動して「古書ワルツ荻窪店」【2020/07/30参照)へ、店内通路棚の文庫ゾーンに十数冊の古めの創元推理文庫や、奥のミステリ棚にポケミスが増殖しているのを確認する。創元推理文庫「愚かものの失楽園/パトリック・クエンティン」を550円で購入する。1967年初版で、カバーは共通パターンのひとつであるが(同じパトリック・クエンティンの「わが子は殺人者」再版が同パターンの色違いである)、後版とは背の猫マークと背文字の色が異なっているのである。
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続いてさらに吉祥寺に移動し、「よみた屋」(2014/08/29参照)で冬樹社「なぜなにキーワード図鑑/山崎浩一」を110円で購入し、次の「百年」(2008/09/25参照)ではカウンター内の百年さんに挨拶をし、扶桑社ミステリー「レヴィンソン&リンク劇場 皮肉な終幕/リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク」を400円で購入する。そんな風にしてようやく阿佐ヶ谷の戻り、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)店頭棚を眺めていると、中から出てきた店主・天野氏が悲嘆に暮れながら、阿佐ヶ谷駅南口の新刊書店「書楽」が来年一月八日に閉店するという、衝撃的な阿佐ヶ谷臨時ニュースを伝えてくれた。なんてこった…阿佐ヶ谷から…新刊書店がなくなってしまう………。夜にほろ酔い気分で通路の間をうろつき回ることも、出来なくなってしまうのだ。これは由々しき事態である。そう思いながら、晶文社「絵本 小京都の旅/小林泰彦」を千百円で購入して、精神の均衡をどうにか保つ。

※「日本古書通信 2023年11月号」のリレー連載『ミステリ懐旧三面鏡』は私の番。今回は、松本清張「点と線」についての思い出を、全四話のオムニバス形式でお届け。ノーマルなエピソードからアブノーマルなエピソードまで、お楽しみいただければ幸いです。
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11/15古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第三十三章】

すでに昨日のことである。気温八度の午前七時に、自宅近くで盛林堂・イレギュラーズとなり、目の前に停まった小野氏の操る盛林堂号に乗り込む。西荻窪の店舗を経由して、関東某所の日下三蔵氏邸書庫片付けお手伝いに出発するが、この日の都内渋滞は甚だしく、都内を抜けてもまだしばらく快調には走れぬ状況が続いた。だが結局普段より二十分程度の遅れで現地に到着する。玄関に現れた日下氏と、たまたまそこに姿を見せた日下氏の家族と、お正月のような丁寧な挨拶を交わし、仕事部屋に入って本日の作業ブリーフィング。まず午前中はマンション書庫に移動し、新たなカラーボックスを組み立て、それらを配置。午後は臨時アパート書庫に移動し仕分け整理、という流れに決まる。と言うわけで早速マンション書庫に移動し、まずは現状を検分。前回カラーボックスを大増設したことで、床が見えている面積が増え、今もそれはキープされている。そして何処にどんなものがあるか、かなり的確に把握出来る状態である…それにしても和室に積み上げた仕分け後コミックの物量がすごいことになっている。まるで取次業者の倉庫のような光景…。
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そして小野氏がいつものようにカラーボックスを組み立てるので、まずは私が奥のCD部屋から、材料八本分をリビングに運び込む。するとたちまち棚の谷間に、木工作業所のような光景が出現…色々な面を見せてくれるマンション書庫なのである。
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小野氏がCB組み立てマシーンと化している間、私と日下氏はリビング右奥の棚前の文庫山&コミック山を移動させ、台所際のスペースに移動させたり、棚に収めたりして行く。
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その間に組み立て完了したボックスを中央棚の上段隙間から受け取り、台所やボックス上部に設置して行く。およそ二時間弱で作業完了。これでだいたいの場所にカラーボックスが設置され、最終形態に近付いたことになる。後は設置出来るのは、廊下の雑誌崖を退かした所と、洗面所の一部くらいであろうか。駅前に出て毎度お楽しみの美味しい寿司昼食を摂り、午後は予定通りにアパート書庫へ。こちらもだいぶ片付いてきているのだが、最後の難関と思える単行本山の切り崩しに取りかかる。「ここはだいぶ良いものが入ってるはずですよ」の日下さんの言葉に、ダブり本を追い求める小野氏の目がギラギラと輝き始める。
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と言うわけで小野氏が山を切り崩しつつそれらを大まかに仕分けし、それを私が台所に控える日下氏の前に積み上げ、氏が本低行き・マンション書庫行き・処分本とさらに仕分けて行く…だが、元々が書庫にキープするものとしてまとめてあったためか、百冊仕分けても処分本は二〜三冊ペースでしか出て来ない…まぁ日下氏の選球眼がブレていない証拠であるが、もう少し捻出しないとこの量はさすがに……なんてことを思いながらも作業は粛々と進む。途中、講談社「青春推理 ライダーは闇に消えた/皆川博子」がダブりで出てきたが「それ、本邸にも完全にあります」ということなのでトリプりが決定的に。こちらに一冊回って来るのも決定的になったので、心の中でニンやりとほくそ笑む。
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そんな風に午後四時過ぎまで作業し、そろそろ引き上げようかと、最後の現状チェックを日下氏がしていたところ「ん?このダンボールはなんでしょうな?」と今まで小野氏が仕分けの台として使っていた謎の箱に目を留める。それを徐に開いてみると、出てきた出てきた。大藪春彦「火制地帯」楠田匡介「地獄の同伴者」謎の探偵小説仙花紙本などなど、カロリー高めな古本が詰められていたのだった…最後の最後にやってくれるな、日下三蔵。中でも永瀬三吾譯の「女の一生/モーパッサン」には「こんな本がっ!」と一同苦笑する。
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続いて本邸に戻り、ダブリ本の同定作業に入る。階段に背を上にしてズラリと並べ。書庫に同じ本があるかどうか、あったらカバー周りや奥付を丁寧に確認。その過程で生じた、トリプり本をじわじわ拝受される。
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やはり嬉しいのは「ライダーは闇に消えた」と、存在さえ知らなかったブロンズ社の真崎守選集13「環妖の系譜」。「目次を見てください」と言われたところ、『炎の軌跡(原作・横溝正史』『巡礼萬華鏡(原作・江戸川乱歩)』『初夏のカルテ(原作・山田風太郎)』が収録されているのを知る。
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本日も大変お疲れさまでした。まだ後一回今年中に作業に訪れる予定だが、いよいよアパート撤収のカウントダウンが開始される予定。次回もがんばります!
posted by tokusan at 08:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年11月13日

11/13西のみなさま、ありがとうございました!

今日も冬なんだなと思いつつ、午後二時半に経堂近くに流れ着く。と言うわけで当然の如く「ゆうらん古書店」(2022/09/25参照)へ足を向ける。すると店頭で色々面白いものや不思議なものと出会ってしまう。博文館「増補 千山萬水/大橋又太郎」山口屋書店「旅行小品 白雲悠々/藤嶋愛泉」株式會社東京築地活版製造所「三十六ポイント總數見本 全」を計300円で購入する。「千山萬水」と「白雲悠々」はそれぞれ明治&大正の国内旅行紀行本である。「白雲悠々」は鉄道旅行中心で、大正当時の新橋駅や東京の描写に、堪らないほどの見知らぬノスタルジーが横溢している。そして「三十六ポイント總數見本」は大正八年三月の活字見本帳なのだが、俄に信じられぬほどの新品デッドストック状態なので、恐らく何かの折りに出版された復刻版であろうと推察する。いや、でも良い本たちが買えました。
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一旦家に戻り、夜に再び外出して駅頭で編集者さんと落ち合う。そして表紙デザインをした新刊二冊を受け取る。綺想社「宇宙船殺人事件/エドモンド・ハミルトン」と「大地の咒縛/ドロシー・マカドール」である。今回は何と言っても「宇宙船殺人事件」が白眉であろう。パルプマガジンに掲載された奇想天外な複雑骨折SFミステリ『宇宙船殺人事件』!それをイメージして、昔購入していたNASA関連の写真素材(購入と同時に自由に使用出来る契約。これを使って大昔、ゲーム攻略本やCDをデザインしたものである)を加工して、懐かしい70〜80年代B級SF映画の雰囲気を醸し出してみました。見かけましたらよろしくお願いいたします!
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そして大阪「梅田蔦屋書店」の『帰ってきた古本屋ツアー・イン・ジャパン』の古本販売が昨日で終了となりました。お買い上げのみなさま、ブースに足を運んでくれたみなさま、チラとでも一瞥してくれたみなさま、本当にありがとうございました!またの機会がありましたら…いや、多分、絶対あるはずです!このおかしな古本販売を、何とぞ再びよろしくお願いいたします!
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2023年11月12日

11/12ちょっと悩んで良い出会い。

本当に突然冬になってしまった、寒い寒い日曜日。最近色々激しく活動していたので、いい加減疲労が蓄積されてしまっているのを実感しているので、今日ぐらいは身体をじっくり休めたいものである。だがそれでも、あるデザイン仕事の調整をし、さらに別のデザインを三点ほど手掛け、午前を過ごしてしまう。昼食後、さぁ午後は読書でもしてゆっくりと…とは思うのだが、まぁ宿命として古本は買いに行こうと、厚着して表に飛び出す。思った以上に冷たい空気を肺に吸い込み、昨日の強風で散りまくった枯れ葉をカサコソ踏み締め、まずは阿佐ヶ谷駅に向かう道すがらの「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で文藝春秋新社「新刑事物語/樫原一郎」を550円で購入する。そして駅からバスに乗り込み、歩いて来た道を引き返すようにして、一気に中村橋へ。「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)でじっくりと棚に目を凝らす。するとSF文庫棚に、背が淡墨桜色の創元推理文庫「ゾティーク幻妖怪異譚/クラーク・アシュトン・スミス」を見つける。それと同時にある記憶がシュワシュワと立ち上がってきた…それは先日の日下三蔵氏邸蔵書整理のお手伝いをしていた時のことである。創元推理文庫を床に背を上にズラッと並べて、ダブり本をチェックしつつ作家別に仕分けをしている時に(別名“文庫本神経衰弱”)、ちょっと手の空いた盛林堂・小野氏が姿を現わし、クラーク・アシュトン・スミスの文庫を見て「日下さん、ダブってないんですかぁ?」と意気込んで聞いたのである。その気合いの入れ方に尋常じゃない気配を感じ取り「え?なんでクラーク・アシュトン・スミスをそんなに?」と聞いてみると、今は品切れで、その上何か色々事情があり、恐らく今後も再刊はされないだろうとのことなので、以前から値段が上がっていると教えられる。「大体五千円かなぁ」「そんなにっ!」…なんてことがあったのである。そういうことを聞くと、俄然読みたくなり欲しくなるのが、飢えたる俺の卑しい古本心。セロハンでちゃんと梱包されているので、それだけでここでも高値が付けられていることがわかる。だが手にしてみると、値段はちょっとお手頃な三千円であった……むぅぅぅぅ〜、ちょっと悩むが、こういうのは迷わず買っておいた方が、後々後悔を引き摺らないだろう。そう思考して、三千円で購入する。太陽の力が弱まった終末世界・地球最後の大陸ゾディークの魔術妖術短篇集である。訳者解説が39Pあるのも凄まじい。うむ、良い出会いが出来た。とウキウキしながら再びバスに乗り、いよいよのんべんだらりとするぞ!と家に引き上げる。
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2023年11月11日

11/11八ヶ月ぶりの「雑本雑書 江口書店」は…。

突如迫り来る冬を理不尽に体感しながら、午後二時過ぎに松陰神社前に流れ着く。いつでもカーテンの閉まった「松島書店」のガラス扉を一瞬眺めてから、混み合う世田谷線に乗って三軒茶屋に出る。『キャロットタワー』の足元から這い出て、歩道も混み合う『玉川通り』を渋谷方面にズンズン進む…今日は土曜日。ならば「雑本雑書 江口書店」(2010/03/29参照)は午後三時から営業を始めているはずだ。久々に、入るぞ!と意気込みながら『三宿交差点』に到達すると、「江口書店」看板下のガラス扉の向こうに、本棚に犇めく古本たちが見えている…あぁ、およそ八ヶ月ぶりだ…そう感激しながら、店頭台をじっくり眺めて店内へ。やはりこの昭和過ぎる古本屋空間は、時空間を歪めるほどに、強烈であるな。帳場に潜む店主の老婦人もお元気そうで何よりである。そんな感慨に耽りながらも、しっかり様々な箇所の古本タワーをガサゴソ掘り返し、今日は何を買おうか、楽しく愉快に真剣に品定めして行く、結果、新潮社「丹下氏邸/井伏鱒二」(昭和二十年刊の臨時出版)美術出版社「長沢節と風景たち」を計1100円で購入し、本を丁寧にカマボコで有名な小田原『鈴廣』の紙袋に入れていただく。長沢節のヨーロッパ水彩風景画が満載の「長沢節と風景たち」はラッキーな拾い物である。やっぱり良いねぇ、「江口書店」は。
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そして阿佐ヶ谷に戻り、「千章堂書店」(2009/12/29参照)の店頭児童文学&絵本箱から、実業之日本社「幼年絵童話 うみのしろうま/山下明生=作 長新太=絵」(昭和47年初版)をセレクトして、200円で購入してから帰宅する。
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2023年11月10日

11/10二日目の「BOOK&A」にて。

腕と足に筋肉痛を抱えながら、午前十時前に外出。雨が降り出す前に、買物や古本買いを済ませてしまおうと、阿佐ヶ谷駅前経由で高架下を伝って高円寺に出る。「西部古書会館」(2008/07/27参照)ではすでに二日目の「BOOK&A」が始まっていた。文庫&単行本&雑貨のガレージを進み、会館に上がり込むと、すぐに「藤井書店」(2009/07/23参照)のゾーンが始まり、ちょっと古めの絵本類が固めて出されている。その中に福音館書店の初期の特製版絵本が混ざっているのを発見し、箔押しの背文字に目を光らせ、「ぐるんぱのようちえん/西内みなみ・さく 堀内誠一・え」を抜きだす。1965年の初版で、初期の特製版は背の周囲がクロス装になっているのが特徴である。そして会場内を巡って行くと、絶版コミックやアニメ関連やサブカル系が楽しく幅を利かす催事であることを認識する。ポケミスも大量にあるのがいいですな。そんなことを思いながら中央通路の「えるく書店」の文庫プラ箱から、ふいに素晴らしい一冊を釣り上げてしまう。春陽堂日本小説文庫「幽靈騎手(探偵小説篇)/横溝正史」である。昭和十一年刊の中短篇集が、万々歳の500円なのである。くぉぉぉ、二日目なのに、良く残ってくれていたもんだ。と喜び筋肉痛も忘れるほど古本血流を早めながら、さらに日本文芸社「推理への挑戦! トリック・ゲーム あなたの探偵能力をテストする/山村正夫」ハヤカワ・SF・シリーズ「イシュタルの船/エイヴラム・メリット」ロマン・ブックス「拳銃を磨く男/島田一男」などを手にし、計1450円で購入する。すると外は収穫の喜びとは裏腹に、いつの間にかの雨模様であった。古本たちを濡らさぬよう、上着の中にたくし込み、ヒタヒタと家路を急ぐ。この市は11/12日曜日まで。
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2023年11月09日

11/9い、いちまんさつ……。

昼前に西荻窪に姿を現わし、まずは盛林堂・イレギュラーズに変身し、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)店内で店主・小野氏と合流し、直ちに盛林堂号に飛び乗り、東京東部の本日の買取先に急行する。午後一時に現着し、間髪入れず活動を開始する。マンション五階の一世帯分に大量に溜められた本を、ひたすら台車とエレベーター駆使して一階エントランスに運び下ろし、チャーターした運送会社さんの四トントラックに積み込んでいただくというミッションである。小野氏は一昨日当地に前乗りし、八割がたの本を結束していたのだが、本を運び出さないことにはどうにもアクセス出来ぬ場所があったので、取りあえず室内にプールしていた本を運び出し、さらなる結束を進めて行くことになる。というわけで私は、ひたすら部屋内から本を運び出し、それを台車に積み上げエレベーターで運び下ろし、本の重みで身体がちぎれそうになりながら(大判本や、菊判本の重いこと重いこと)運送会社さんに渡して行く作業を鬼のように繰り返す。結局作業時間は四時間、本の冊数にしておよそ一万冊強を階下に移動させ、疲労困憊の極みに至る。…やれどもやれども終わらない作業だと痛感していたが、限界をとっくに乗り越えたところで、とにかく終わった……。その後はそのおよそ一万冊、カーゴにすれば九台分の本を古書会館に運び込み、予定時間より一時間オーバーで作業終了を迎える。
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いやぁぁぁぁ、お疲れさまでした。筋肉を駆使し過ぎた代償の震えが止まりません…。午後六時過ぎに西荻窪に帰還し、出来上がったばかりの「Re-ClaM Vol.11 特集:ダブルデイ・クライムクラブとその歴史」(表紙、リニューアルしました!)「Re-ClaM eX Vol.5」を受け取りつつ、さらに古本ボーナスとして、萩原星文館「紙魚殺人事件」の函(ちなみに色々な箇所が外れ、展開図になりかけていたので。家に帰ってからボンドで補修。なので見事に復活!)に入った、背が欠落している同じ萩原星文館「猟奇探偵 ABC殺人事件/アガサ・クリステイ」を拝受される。ありがたき幸せ!いつの日か「紙魚殺人事件」の本体と「ABC殺人事件」の函を入手したいものである。
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そんな一日の労働を終えた後は、先日の『青空掘り出し古本市』の打ち上げとして、美味しいお魚のお店でアルコールに酔い痴れながら、新鮮な魚たちに舌鼓を打ちまくる。
posted by tokusan at 21:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする