2021年10月22日

10/22「幽霊男」に呼ばれた気がする。

古本三十冊ほどをダンボール箱に収め、雨のふる中外出。郵便局で大阪に発送する。相変わらずのミステリ多めで、珍しい本や下らない本のごった煮状態でありますが、お楽しみいただければ幸いです。古書コンシェルジュさんの懇切丁寧な作業を経て、数日後には「梅田蔦屋書店」の古書売場に並び始めることでしょう。そしてその後は家に帰らず、西武新宿線に乗車し、沼袋で用事をひとつ片付ける。せっかくなので「天野書店」(2008/11/14参照)を覗いて行こうと、商店街を遡上すると、残念ながらパイプシャッターがガッチリ下ろされてしまっている。最近開いているところに出会えないのが残念である。だがまた折りを見て寄ることにしよう。…さて、どうしようか…隣りの新井薬師前まで歩いて「文林堂書店」(2008/08/04参照)に羽を休めることにしよう。そう決めて、傘を冷たい霧雨に差しかけ、トボトボ寂しく線路際を東に歩いて行く。途中、『リサイクル展示室』に寄り道し、少し縮小され、ブランクの目立つ本棚を真剣に眺め、ハヤカワポケミス「鬼警部アイアンサイド/ジム・トンプスン」をいただくことにする。入口近くに屯するオヤジさんたちに本を示し、許可を得てから鞄の中に収める。さらに線路沿いを伝い、踏切を渡って、南口の駅前広場にたどり着くが「文林堂」も開いていないか…なんだかさびしいなぁ。二連敗のまま帰るのはどうにうもやるせないので、南にズンズカ進路を採り、結局『早稲田通り』まで出て「古本案内処」(2015/08/23参照)に飛び込む。雨で入口付近に仕舞い込まれた百均棚を飢えながら眺めていると、河出文庫特装版の「春琴抄/谷崎純一郎」を発見したので気分がパッと明るくなる。そのまま店内棚の検索に入ると、ギュンっと目に飛び込んで来たのは、昭和29年刊の講談社「幽霊男/横溝正史」であった。こんなところにこんな本が!ちゃんと東宝映画化の帯も付いている。そして値段は三千円………安い!と即座に購入を決める。「春琴抄」と合わせ、消費税がプラスされた計3410円をレジで支払う。今日は「幽霊男」に呼ばれて、ここまで引きずり回されて来た気がする…。
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ところで「幽霊男」の巻末の自社広に、城昌幸の「若さま侍捕物手帖」が載っているのだが、若さまの紹介がなかなかに斬新なのだ。『私設探偵旗本の次男坊「若さま」が…』…“私設探偵旗本”って初めて聞いたぞ!
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2021年10月20日

10/20ジャズストリートはなくともジャズ本は並ぶ。

朝からワチャワチャと過ごしながらも、ひと塊の古本を準備し、午後に外出する。風は強いが、日射しが暖かで気持ち良い。阿佐ヶ谷駅北口の「千章堂書店」さん(2009/12/29参照)は今日は定休日だが、シャッターとフェンス壁に貼紙がされている(隣りには『次の百年のために』ポスターも貼られている)。
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『22・23・24日(日)の3日間店頭にジャズの本を並べます。ジャズス二本ほどのインスタント棚が出現する『千章堂ジャズ本祭』は今年も開催されるのだ!心中でその心意気に拍手を送りながら、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。「フォニャルフ」にスパスパ補充しながら(今月は売れてるぞ。嬉しい!)、店主・小野氏と色々打ち合わせる。ヴィクトリア・ホルトの文庫を買おうかどうしようか大いに迷うが、まぁ急がなくともいいだろう、とひとまずパス。何も買わずにお店を後にする。そして帰路、荻窪で「竹陽書房」(2008/08/23参照)に立ち寄る。棚に建築本の気配を濃厚に感じつつ、TNプローブ/大林組「ヘルツォーク&ド・ムーロン展:知覚への覚醒」メタローグ「シュルレアリスムとは何か 超現実的講義/巖谷國士」を計800円で購入する。「シュルレアリスムとは何か」は献呈署名入り。署名の上に描かれた流れ星が落書きっぽく、シュルレアリスムとは裏腹に何ともプリティーである。
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2021年10月19日

10/19ブックオフをはしごする。

もはや冬のような寒さの夕方に、仕事で高田馬場まで出る。その帰りに、いつものように「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に吸い込まれ、最奥古書コーナーで寿満書店「カラー版 浮世絵怪異ものがたり/北園孝吉」を330円で購入する。妖怪や化物が登場する浮世絵から、その物語を読み解く楽しい一冊である。そして駅への坂を上がりながら考える。本来ならこのまま高田馬場駅から西武新宿線に乗って帰宅するところだが、今日は趣向を変え、『早稲田通り』をズンズカ西に進み、小滝橋を通過し、落合駅辺りをも通過して、坂の上で『山手通り』に出て駅方面に向かい、「ブックオフ東中野店」(2014/07/24参照)に足を延ばすことにしよう。そうと決めたら、すでに夜の帳が落ちている道路を。テクテク忠実に歩き続ける。およそ二十分強で、明るい光を通りに放つ、目的のお店前。中に入るといやに静かで、お客さんもほんとんどいない。すぐさま右手最奥の古書コーナーに向かい、集英社文庫「ダイナマイト円舞曲/小泉喜美子」角川文庫「さらば友よ/ダリル・ポニクサン」を計330円で購入する。ちょっと距離はあるが、この二店の古書コーナーを続けてみるのは、なかなか楽しいものである。

そしてかかり切りだった、ちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集」がついに岡崎武志氏と私の手を離れ、後は本が刷り上がって来るのを待つばかりとなる。やることがたくさんあったが、充実した楽しい作業であった。大げさかもしれないが、私はこの本を作るために生まれて来たのかもしれない…。発売の曉には、この文庫を鞄の中に忍ばせ、ぜひとも野呂の視線を追いかけてみてください。1970年代の景色と、現代の景色が重なるその瞬間、野呂さんの古本屋さんを愛する気持ちが、きっと心にスルッと滑り込んで来ることでしょう。発売まで後二十四日!
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盛林堂書房版とは異なり、今回のデザインでは、『広島・エイス書房店頭に立つ野呂邦暢』の写真は、横向きに使用。帯が掛かるので、こうするのが一番でした。と言うわけで、店頭では横向きの野呂さんが目印です!
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2021年10月17日

10/17函の中に何がある!?

せっかくの日曜日なのに午前を忙しなく過ごし(ただし昨日買った「浴室長期抗戦」を読んでクスクスゲハゲハと笑う時間もあり)、午後に突然の驚くべき寒さに備えて着込んで外出。中野で野暮用を済ませた後は、『中野ブロードウェイ』4Fの「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)に腰を据える。通路の百均赤棚と探偵小説ゾーンにしがみつき、邦文社「ロマンス生活新年號 東西性犯罪残虐ものがたりと性刑罰のうつりかわり」一光社 南洋一郎・冒険シリーズ「緑の無人島」(函ナシ)ポプラ社 少年探偵23「悪魔人形/江戸川乱歩」(西洋兜ver)芸術社 推理選書「競馬殺人事件/S・S・ヴァンダイン」を計990円で購入する。函に少し傷みはあるが「競馬殺人事件」が440円とはお買い得であった。ブロードウェイを抜け出た後は、『早稲田通り』を少し東に進んで「ブックオフ早稲田通店」(2012/11/15参照)へ。作品社「ことばの食卓/武田百合子・野中ユリ」を220円で購入するや否や、踵を返して『早稲田通り』を西へ西へと歩き続ける。そしてやがて高円寺に至り、『庚申通り』をちょっと入って「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)店頭棚を眺め始める。するとすぐさま目に飛び込んで来たのが、昭和二十五年刊の粗悪な造りの春陽堂現代大衆文学全集の一冊「夜歩く・本陣殺人事件・真珠郎 其他」であった。
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先客が立ち読みしてるその前に手を伸ばし、スパッと抜き取り百円で購入する。ところでこの本面白いのが、函の内側に裏映りとは思えぬほどの(函の紙は粗悪とは言え、それなりの厚さがあるボール紙なのだ)、逆版となったタイトルや模様が印刷されているのだ。いったいどういうわけで、こんな不可思議な仕様に…ちなみに装幀は恩地孝四郎で、収録作の『其他』は『黒猫亭事件』と『車井戸は何故軋る』のことである。
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これがその不可思議な函の裏側。まるで鏡の中の世界である。
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2021年10月16日

10/16残り物には福がある!

午後一時過ぎに高井戸東に流れ着いたので、本来なら荻窪まで歩き古本屋さんを巡るか、浜田山まで出てすぎ丸に乗って阿佐ヶ谷に帰るかするのだが、午後三時に西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)との約束があるので、ひとまず京王井の頭線で吉祥寺に出て、時間稼ぎに古本屋さんを見て回る。「古本センター」(2013/07/01参照)では海文堂「海難物語裁決集/滝川文雄」を80円で購入する。神戸の今は亡き名書店&出版社(出版事業は継続している)の「海文堂」が昭和35年に出した、さまさまな海難を取り上げ、それを分析研究して原因を探る一冊。ほほぅ、奥付の検印紙は燈台がモチーフになっているのか。
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続いて「よみた屋」(2014/08/29参照)に移動し、すでに厚手のビニールで覆われた店頭棚を丹念に観察し、ビニールを留めたクリップを丁寧に外し、婦人画報社「私の服飾研究/田中千代」(カバーナシ、背の上下傷み)をを取り出して110円で購入する。戦前に世界を旅して服飾の研究に腐心した、服飾デザイナーの昭和二十三年に出版したB5サイズの一冊。巻頭4色刷りの世界の民族衣装をまとめた『私の旅のフォルク・コスチューム』も素敵だが、巻中折り込みの『スカートの變遷圖』が長くてインパクト大である。
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そんな収穫を得て、トボトボ歩いて西荻窪にたどり着き、「盛林堂書房」のビニールカーテンに覆われた店頭にまずはしゃぶりつく。文藝春秋社「世界の裏街道を行く」「東欧の裏街道を行く」ともに大宅壮一と光風書店「乱歩幻想譜/斎藤栄」と日本旅行協會「東北温泉風土記/石坂洋次郎編」を掴んで、手指を巧みに消毒して店内に進み、通路に避難していた木箱をも眺める。うひゃっ!創元社「近代大阪 近畿景観第三編/北尾鐵之助」がちゃんと函付きで百円はありえないでしょう!と引っ掴む。ところがさらにどっひゃぁ!と歓喜すべき一冊を発見してしまう。函ナシだが、砂子屋書房「浴室長期抗戦/尾崎一雄」があるぅ!昭和十四年刊の、レアな一冊である。すべてを計770円で購入しながら、店主の小野氏に「なんでこんなの百均で出してるの!」と問い詰めると、「うわっ、何でまだこれ残ってるんだ。これが今日一番のサービス品だったのに!」とのことであった。これぞ、『残り物には福がある』を地で行く出来事。いやぁもう、嬉しくて仕事の話なんかどうでもいいやぁ。
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2021年10月15日

10/15秋のお知らせ二つ。

昨日の疲労を両肩に乗せながら(その原因については一つ前の記事を参照)、朝から一生懸命デザイン仕事に従事する。そして午後にプラリと外出。家の前から関東バスに飛び乗り、一直線に中村橋へ。「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)をじっくりと楽しみ(いつの間にか外の均一に小さな時代劇文庫棚が増えた)、新書棚でみたことないペーパーバックタイプの本を発見する。国際文化研究所 エンゼル・ブックス「赤い花辯/G・ブランデン」。昭和三十二年刊の、モスクワを舞台にして知識人・労働階級・スパイ・兵隊・共産主義者・庶民の活動と生活を克明に描く、スリルに富んだ小説とのことである。面白そうだ、買いましょうと七百円で購入する。そしてそのまま西武池袋線に乗車して保谷へ。極狭歩道を自動車と自転車に脅かされながら伝い「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)前。いつものように店頭棚を舐めるように見回すが、食指の動く本はナシ…まぁこういうこともあるさ。中の百均本プール山脈に期待しよう。サッシをガラッと開けて店内に入り、すぐに右を向いて古本の山と対峙する。一列一列丁寧に掘って行くと、やった!埴谷雄高『死靈』掲載の八雲書店「近代文學」が二冊出て来たぞ!表紙はそれぞれ向井潤吉と赤松俊子が担当している!と喜びキープする。その他にも二冊の冊子を掘り出した後、奥の方もガサゴソやると、おぉ、これは愉快な本が出て来たぞ。徳間書店 平和新書「ママのアフリカ欲ばり旅行/森繁杏子」である。
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名字からわかる通り、森繁久彌の奥さんの、一人アフリカ一周旅行記である。カバーデザインは松永真。うむ、良き収穫じゃと、「近代文學 No.7&9」ロゴス「好色文學批判」永晃社「女性開眼/川端康成」とともに計550円で購入する。

※お知らせふたつ。
「日本古書通信」2021年10月号から、『リレー連載「ミステリ懐旧三面鏡」』という1Pコラムがスタート。ミステリ界を突っ走る古本屋「盛林堂書房」店主・小野純一氏と、『古本屋ツアー・イン・ジャパン』たる私と、今や宝塚ファンにも人気のホームズ研究家&作家&翻訳家の北原尚彦氏の三人で、順繰りにミステリやSFやそれに近い話題について、書き連ねる愉快なコーナーであります。第一回目は小野氏の《角川文庫の横溝正史》。どうかみなさま、お読みいただければ幸いです。
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そしてもうひとつ。古本盟友で大先輩の岡崎武志氏が、個展『岡崎武志の絵画展』を、八王子のギャラリー『白い扉』にて開催されます。それに便乗して、氏と私が共編のちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集」発売を記念し、11/3(水・祝)に超久々のトークショーを敢行いたします!16時スタートの料金千円で先着十名様。詳しくは以下のギャラリーホームページをご覧下さい。感染予防対策を万全にして、お待ちしております!
https://www.shiroitobira.com/
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10/15古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第九章】

すでに昨日のことである。朝七時前に家の近くで、ハザードランプを焚いて待機していた盛林堂号に飛び込み、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)店主・小野氏と奥さまに挨拶しつつ盛林堂・イレギュラーズに変身。日下三蔵邸の期間限定古本移動大作戦に向かう。やけに車の多い環八や高速をどうにか突破し(ただし途中の高速ICで話に夢中になり過ぎて出口を間違うアクシデントあり)。午前十時前に現地に到着。すでに活動を開始していた日下氏と、一時倉庫のアパートにて合流する。先日の地震でも被害ナシと言うので中に入ると、おぉ!本当だ!全然本の山が崩れていない。壁などを上手く利用し、高く積まれた本の山脈は、揺るぎなく整然と聳えたっているのだった。もちろん多少の修正は施したそうだが、それでもこの成果は誠に素晴らしいものである。そんな風に各所を確認していると、何やら見慣れぬ本がいつの間にか棚の上に出現していた。光文社痛快文庫「冒險探偵 黒星團の秘密/大下宇陀兒」…しかもピンピンの新札のような美しさ…いつの間にこんな本が湧いて出たのだろうか?
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改めて日下邸書庫の深甚さを経験しつつアパートを後にし、本邸へと向かう。本日の重要ミッションは、本邸書庫の入口に長年立ちはだかる本の山を除去し、アクセスをスムーズにしつつ、各通路に入れるようにすることである。書庫入口スペースが多少広いのをいいことに、本を積み上げ始めたのが運の尽き。たちまちその山は高く厚く広がることになり、いつしか書庫への侵入を阻むまでに成長してしまったのである…まるで鍾乳石のようだ。「あそこにあんなに積むんじゃなかった。早めに棚を入れるべきだった…」と悔やむ日下氏を鼓舞し、早速作業に取りかかる。まずは日下氏がその山に取り憑き、本邸に残す本とアパート倉庫に運ぶ本とに仕分け、本邸本は仕事場に待機する私に手渡されて積み上げられ、アパート本は玄関廊下に待機する小野氏に手渡され積み上げられることに決まる。というわけで、渡された本を仕事部屋の中央に注意深く積み上げて行く。
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…何故注意深く行うのかというと、本がスゴい本ばかりなのだ!鷲尾三郎・三橋一夫・飛鳥高・香山滋・日影丈吉・水谷準・都筑道夫・高木彬光・九鬼紫郎・今日泊亜蘭…それらのレア本のオンパレードなのである。都筑訳(伊藤輝夫名義)の「銀のたばこケースの謎」が二冊も出て来たじゃないですか!うぎゃ〜〜〜〜ア!香山の「科学と冒険」が二冊っ!ななななななな、なんですか!この同シリーズの「ジャングルと砂漠」って!…う〜ん、気絶しそう。
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…などと大騒ぎしながら、およそ三時間、悪魔の古本の山と三人で格闘した結果、山が消え去り、奥の通路が見えるようになって来た。だが、通路には崩れた本などが未だ蔓延っているので、まだ足を踏み入れることはできない。そこで小野氏が切り込み隊長となり、足下の本を運び出しつつ仕分けしつつ、ブルドーザーのように通路を開拓して行く。
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途中、日下氏のお母様が挨拶に現れ玄関での紙ゴミを受け取る四人体制になる出来事も。そして一時間、ついにすべての通路に入れるようになったのである。「バンザ〜イ」と開通を喜ぶ四人。試しにズイズイ入り込んでみると、やはり棚はスゴいことになっていた。乱歩の「殺人万華鏡」!博文館文庫「人間豹」が二冊!あぁっ!ここにも「銀のたばこケースの謎」がある。しまも四冊!…悪夢だ…。岡田鯱彦が残存する本タワーの中に多数紛れ込んでいる!南澤十七「新奇嚴城」が計三冊!うひゃぁ、大河内常平タワーの後に、大量の水谷準が控えている!などともう大騒ぎ。
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だがいつまでも喜びに満ちあふれている訳にはいかない。玄関廊下にあふれ出した本を箱に詰め、アパートに運ばねばならぬのだ!と書庫に後ろ髪を引かれながら作業する。それにしてもよくまぁ、この大量の本たちがあの場所に収まっていたもんだ。素早く二十箱ほどのダンボール詰めを作成し、アパートに運んだ後、駅近くにてお寿司昼食。午後三時半、今度はマンション書庫に姿を現わす。玄関の棚の一部が地震で壊れたのか、傾きが酷くなっていたので応急処置を施し(ちなみにこちらも地震の被害はほとんど無かった…改めてスゴい!と感心する)、遅めの午後のミッションに入る。それはお風呂場にプールしてある大量のコミックスを、リビング中央の小スペースに運び出し、同じ作品をまとめて行くというもの…だが本の運び出しは単純作業で簡単なのだが、本を揃えるのがすぐさまとてつもない難行だということがわかり、千日手に入ってしまう。運び出すのは私の役目だが、揃えるのは日下氏と小野氏の二人がかり…「◯◯の一巻がありました。二巻はありませんか?」「五巻ならあります」「◯◯見ませんでしたか?」「こっちにはありません」「◯◯をそこで見たような気がするんですが」「××ならありますよ」……まるで数百種の札で神経衰弱をやっているようなものである。
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一時間ほど作業して、さすがにこれはこの短時間では無理だと悟り、作業は次回へ持ち越しとする。その後、玄関左側にあるCD部屋&書庫に突入し、必要とする本の発掘に入る。二人は奥の奥に入り込んでしまったので、私は入口付近で待機し、本とCDの混合山をほぇ〜と眺めることにする。「あっ、日下さん。柴田錬三郎の「狂気の白夜」がありましたよ」「白いヤツですか?黒いヤツですか?」「函が黒です」「やった!探していたヤツです。出しておいてください」…棚から牡丹餅の発見である。さらに山の下層に目を凝らしていると、まるで見慣れない裸本が一冊あるのに気付いてしまう。とても気になったので、慎重に山を切り崩し、手を伸ばしてみる。グランド社「現代探偵傑作集」…中を開いてみると、大正十三年刊の、田中早苗の翻訳短篇探偵小説集であった。聞くと小野氏も見たことのない本だと言う。ウ〜ム。読んでみたい。

そんな風に発掘を終え、アパートを経由して本邸に戻った頃はすでに真っ暗。だが、やはり開通した本邸書庫は、底無の魅力を持っていた。しばらく三人であちらこちら観察するが、当の日下氏が一番喜んでいる模様。「ここにあったのか」「こんなの持ってたのか」「げげげ」「ウハハハハハハハハ」ととにかくニコニコえびす顔なのである。いやぁ、まさに悲願の書庫開通なのである。よかったよかった。そして今日の作業のお礼にと、桃源社「幻の女/田中小実昌」東都書房「首/山田風太郎」ベストブック社「戦慄ミステリー傑作選 死体消滅/山村正夫編」をいただきつつ、さらに「何か他にないかな…」と探す日下氏に、「ロマン・ブックスの山風の「青春探偵団」がダブっているので、これをいただけませんか」と書庫棚から取り出してリクエストする。「あぁ、いいですよ、でもそこのは一番キレイなやつですから、こっちにしてください」と仕事部屋に引っ込んだ日下氏が抱えて出て来たのは、六冊の「青春探偵団」であった。
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ギャフン!ありがたく一冊を拝受する。風太郎学校・日下ゼミの生徒として、読み進めます(ちなみに先日いただいた「誰にもできる殺人」は読了し、日下氏に「山田風太郎版「めぞん一刻」ですね」と感想を伝え、苦笑いされる)!その後は焼肉食で書庫開通を盛大に祝い、古本屋話に楽しく打ち興じ、午後十時過ぎに西荻窪に帰り着く。
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2021年10月13日

10/13秋の雨の日

相変わらず続くバタバタを縫って外出し、荻窪「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に姿を現わす。雨のため人影の少ないワルツ。じっくりと店頭&店内で古本を掴む。岩波の子どもの本「スザンナのお人形・ビロードうさぎ フランスのおはなし/訳石井桃子」(表見返し左下に、小さく『装幀 原弘』とある)岩波書店「やまのたけちゃん/文・石井桃子 絵・深沢紅子」ぺりかんしんしょ・21「世界の一流品 銀座が選んだベスト100/吉田安伸」日本週報社「肉の砂漠/清水正二郎」(“月の砂漠”に掛けているのだろうか…?内容は大学生の清水が中央アジアを旅する記録小説である)日芸出版「春や春 カツドウヤ/山本嘉次郎」を計1100円で購入する。「春や春 カツドウヤ」が帯付きで440円とは!信じられん。お店を出たら「竹陽書房」(2008/08/23参照)に向かうが、珍しくシャッターが下りてお休み中。仕方ないのでビルの裏通りを通って「竹中書店」(2009/01/23参照)前に出て、朝日新聞社「山藤章二の似顔絵塾」を200円で購入し、トコトコ阿佐ヶ谷へと戻る。そして「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)前を通りかかったら、丁度店主の・天野氏が飛び出して来た。挨拶を交わしつつ、電飾看板に手を伸ばす氏を見て「えっ?もう店仕舞いですか?」と問うと「いえ、電気をつけるだけです」とコンセントをブスリ。ふぅ、良かった。工作舎「人間人形時代/稲垣足穂」を110円で購入し、トットと帰宅してバタバタを再開する。
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これが秋の雨の日のナイスな収穫である。
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2021年10月11日

10/11ちくま文庫から出ます!

昨日も今日もドタバタし過ぎて、古本屋さんに行けたのは一瞬で、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で婦人画報社 MEN'S CLUB BOOKS-S.E.「男の定番事典3(道具編)」を110円で買うのみに留まる。なぜこんなに忙しいかというと、そのひとつの原因が、11/12にちくま文庫から「野呂邦暢 古本屋写真集」を出すからなのである!二〇一五年に、奇跡的に残されていた野呂邦暢自身が撮りためていた古本屋写真を、岡崎武志氏とともに共編し、盛林堂書房より発売してからすでに六年。それが、令話の時代に、ちくま文庫として甦るのだ!というわけで、文庫化作業を進めたり(これが意外にやることが多いのである。それにしても、今まで飽きるほどこの写真集を眺めて過ごして来て、さらに文庫化作業でしつこく同じ写真群を眺めているのだが、まったく飽きないのはどういうわけなのだろうか…)、加筆訂正したり、古書エッセイが収録されたり、ほんのちょっぴり新たな写真を加えたり、岡崎氏と対談したりして、現在はゲラ作業の大詰め三校に差し掛かっているところ。まだ発売まで一ヶ月ありますが、どうかみなさま楽しみにしていてください!岡崎氏とともに引き続きがんばります!
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ドキドキワクワクする色校たち。今回素晴らしいことに、カバー&帯デザインも担当させてもらっている。オ、オレがちくま文庫のカバーデザインを!?……全く持って信じられん…。


そして本日辺りから発売になる「本の雑誌 千歳飴大当たり号」の連載『毎日でも行きたい古本屋さん』では、大山の「ぶっくめいと」で、箱入りの児童書二冊に散財す!しかも文中に出て来て取材時はパスした、カバーナシの文藝圖書出版社「恐怖王/江戸川乱歩」は、やっぱり欲しくなって後日わざわざ買いに行く始末…古本欲を果てしなく刺激し、財布の紐をひゅるんと緩める、良いお店なのであります。
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2021年10月09日

10/9色んな本が手元に集まる。

午後三時に吉祥寺の北に流れ着いたので、駅近くに出て、いつものように古本屋を巡ろうかと思っていたら、久々の絵本&児童文学古本屋「MAIN TENT」(2015/03/26参照)に出くわす。店頭で一部の在庫処分セールを行っており、それに通りがかりの子供たちが激しく食いつき、なんだか賑々しい。みなの夢の時間を邪魔せぬよう、身体を小さくし、気配を薄くして箱の中の百均児童文学をジッと眺める。理論社「カモメの家/山下明夫=作 宇野亜喜良=絵」は帯の表1側が破り取られているが、見返し裏に署名落款があるじゃないか!と喜び小脇に抱える。さらに講談社青い鳥文庫群の中に、「わんぱく天国 按針塚の少年たち/佐藤さとる 絵・村上勉」を発見する。「青い鳥文庫で出ていたのか。知らなかった…」とこれまた喜び、この二冊を手にして店内へ。さらに右側の児童文学棚に張り付き、欲しい本を何冊か見つけるが、それなりのお値段なので、今日はまぁいいだろうと我慢し、持ち込んだ二冊を計220円で購入する。
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その後は西荻窪に出て「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。學藝書林「幻想博物誌/日影丈吉」岩谷書店「幻影城/江戸川亂歩」(再版版の三版)を計220円で購入しつつ、或る仕事をテキパキと済ませ(その過程でたまたま日下三蔵氏より連絡アリ。なんと書庫の本はほとんど被害無く無事だったそうである…)、預かっておいてもらった新刊を受け取る。カバーデザインを担当した、東都我刊我書房「鷲尾三郎傑作撰参 影を持つ女」である。鷲尾の和製スピレーン風ハードボイルド中編がニ段組みで四作収まった、濃厚凝縮な一冊!今回のデザイン基盤に使った写真は、実は日本ではなく、九十年代の返還前の香港の雑居ビル風景。まさか昭和三十年代をインスパイアするのに、こんなにマッチするとは自分でも思いませんでした。何でも撮っておくものですね。只今「盛林堂」店頭&通販サイトと中野「まんだらけ海馬」で絶賛発売中であります。
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そして家に帰ると。ヤフオク落札品がお待ちかね!大都書房「宇宙線の情熱/大下宇陀兒」。ライバルありの2900円で落札す。背が傷んで奥付の検印紙が無いが、昭和十六年の宇陀兒がこの値段ならまぁ御の字か。
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2021年10月08日

10/8昭和三十三年の稲垣足穂!

昨晩の地震は、すっかり白河夜船状態の時に襲われたので、下からの激しい突き上げと同時に寝ぼけ眼で飛び起き、家の真ん中の柱に慌ててしがみつき、揺れが治まるのを待つと同時に、各所で本の山が崩壊するのを虚しく目撃。揺れが治まった後は、賽の河原の子供のように、半べそをかきながら、長い時間をかけて本の山を再び築いて行く…ちょっと頑丈にして。ところで、日下三蔵邸書庫の本は、大丈夫だったろうか?そして本日は一日中色々な仕事に追いまくられていたので、どこにも行くこと叶わず。だが、古本は欲しい!とちょっとだけ抜け出し、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に買物に行く。あんなにも本の山が崩れ行くのを目の当たりにしたので、本来なら本を買うのは控えるべきだろうが、なぁに、一冊ぐらいならたいして変わらんだろ。上手く積めばいいんだ。そう高を括ってお店の前。入口右側一般書古本棚から、金の星社「こわい話ふしぎな話7 フランス編 夜歩く手/モーパッサン原作」を抜き取って店内へ。左奥の詩書コーナーに直行し、先日の買取査定時間に目を付けておいた一冊を抜き取る。中外書房「青春と冒険 神戸の生んだモダニストたち/青木重雄」である、昭和三十四年刊の、サブタイトルにある通り、神戸生まれの文学系モダニスト三人を取り上げた、評伝&評論である。そしてその三人とは、小松清と竹中郁、ラストは何と稲垣足穂なのである。冒頭は著者が、昭和三十三年当時足穂が住んでいた宇治の古寺『恵心院』を訪ね、インタビューするところから始まる。うぉぉぉぉ、燃える!これは嬉しい足穂文献だぞ(描いていた未來派風絵画についても言及あり)!と二冊を計1690円で購入する。店主・天野氏と昨日の地震の話をひとくさり。本を携えすぐさま家に戻る。
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足穂パートの扉。見よ、このぶっ飛んだ教育ママのような前衛的眼鏡を!写真下にはダンセーニの言葉『わたしは世界の果てからネクタイを取り換えに來た』が引用されている。
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2021年10月07日

10/7百五十一刷!

からゆるゆる仕事をしながら、ワクチン接種の経過観察を己に行う…打たれた左腕上腕に筋肉痛のような痛みが生じ、身体が多少倦怠感のためかフワフワしている感じである。だが発熱などはないので、ちょっとホッとする。そんな感じなので、午後二時過ぎにちょっと外出し、フワフワ歩いて高円寺まで出る。「西部古書会館」(2008/07/27参照)で「BOOK&A」が10/07〜10と開かれているので、覗いて行こう。ガレージの古本を見て、手指消毒と検温をクリアし、会場内へ。するとはいったらすぐの棚が、古書が多めの「水平書館」(2014/05/23参照)!これは見事だ!と喜び、熱い視線を送る。そして早速一冊抜き取る。会場は平日のためか、各通路に十人弱が入り込んでいる見やすい状態である。先客が佇む棚も、ちょっと待てばすぐに見られてしまう。うむ、ストレスほぼなし!などと一周し、大日本雄辯會講談社「猛獸征服 吼える密林/南洋一郎」(カ
バーナシ。昭和十五年の百三十一刷!)を800円で購入する。戦前版だが、すぐそこまで戦争が近づきつつあるためか、表紙は布装ではなく紙装バージョン。その表紙はちょっと傷んで記名があるが(表紙に國民學校四年記名があるということは、カバーは早々に剥いで失くしてしまったのだろう…)中はいたってキレイである。「水平書館」よ、ありがとう!とフワフワ帰宅する途中、すぎやまこういちの死を知ったので、ドラクエの『ほこら』の音楽を歯笛で繰り返し吹き続けて、フワフワテクテクと歩き続ける。
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2021年10月06日

10/6ワクチンと古本。

今日はようやく初めてのワクチン接種。午前中に会場となっているマンションのモデルルームに赴き、スムーズに接種を受ける。…どうもこういう全体主義的な、有無を言わさぬ流れ作業に乗るのは苦手なのだが、みなさまご苦労さまです。およそ三十分で会場を後にして、そのまま荻窪へ向かって歩き始める。すると阿佐ヶ谷駅南口の飲屋街で、シャッターの閉まったお店の向かいに、マスコミがズラリ待機している光景に出くわす…なんだろう、何があったんだろう…。そしてやがて「古書ワルツ」(2020/07/30参照)へ。ともに函ナシの改造社「ツタンカーメンの生涯と時代 埃及發掘物語/埃及人ビシヤラ・ナハス」(大正十三年刊)コーベブックス「後方見聞録/加藤郁乎」を計220円で購入し、とっとと家に向かって引き返す。今のところ副反応はナシ。午後昼食を摂ってから「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に読了&不要本を持ち込む。店主・天野氏が市場に行って不在なので、奥さまに重いカバンを預け、夕方の再訪を約束する。すると家に戻ると、ポストに久々のヤフオク落札品が飛び込んでいた。昭和十七年刊の新正堂「江戸時代名作讀切集/城昌幸編」である。ライバルナシの850円で落札す。
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戦時中の仙花紙本で、十三の時代小説が収録されているのだが、作者名が何処にも書かれておらず、始まりの部分に二三行の梗概が付属しており、何だか物語り本編がダイジェスト的になっている気が…怪しい、なんて怪しい本なんだ!城昌幸は本当に編集しているのか!と喜ぶ。巻末に耶止説夫と國枝史郎の自社広告あり。『流麗な筆致を以て鳴る國枝史郎氏が精選に精選を重ねた傑作讀物の集粋!怪奇とスリルを胎んで讀者の心臓を奪ひ去らんとす。』とある。なかなかの名文だ。欲しい!
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そして一仕事終えて夕方午後五時半。「古書コンコ堂」を訪ねると、天野氏はまだ戻って来たばかり。「これから査定します」とのことなので、いつものように店内をウロウロ。あちこちガサゴソやっていると、ある一冊の本が目に留まる…これ、いつか買おうっと。そんなことをしていたら査定が終了し、すぐさま交渉成立する。そして持ち込んだ一冊、宝文館「黄色い楕円/北園克衛」を挟んでちょっとお話し。「この本、いいんですか?」「うん。もう読み終わったから」「えっ?ちゃんと読んでるんですか!?」「読んでますよ!……いや、もちろん全部じゃ、ないですけどね…」…よくある古本屋さんでのやり取りを展開する。そして今のところ嬉しいことに副反応はなし。まぁ色々終わったから、後はゆっくり静かに休むことにしよう。
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2021年10月05日

10/5夜のサンカクヤマにて。

大ゲラをたっぷり読み込んでから、夕方に仕事で高田馬場へ。当然「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に立ち寄り、徳間文庫「日本ミステリーベスト集成1《戦前篇》・3《山岳篇》/中島河太郎編」を計220円で購入し、高田馬場駅から、急行よりちょっと空いている西武新宿線各駅停車に飛び乗り、都立家政駅で下車する。おや?商店街の「ブックマート都立家政店」(2011/12/13参照)はシャッターを下ろしている…そのシャッターには『免疫増殖中』の貼紙が…テンチョーがワクチン接種でお休みにしたのだな。というわけで、いつもの騒々しさが嘘のように静かな店先を離れ、商店街を南下して行く。日が暮れて、もはや“マジックタイム”の中から見上げる空は、見事な茜色。だが、南下して行くほどに明度は下がり、次第に外灯の明るさが目立ち、建物の輪郭が際立って来る。そんなことを感じながら『早稲田通り』に出て、高円寺『庚申通り』に入り込み、店頭が夜となった「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に参上。すぐさま足元の木箱から、草思社「マザー・グースのうた1/谷川俊太郎訳・イラストレイション堀口誠一」サンリード「児童詩集 たいようのおなら/長新太・絵」福音館書店 普及版こどものとも「おいしかった おいしかった/岡本良雄さく 長新太え」を選んで掴んで店内へ。持ち込んだ本を脇に挟んで手指を消毒し、児童文学&絵本棚の前に直行する…店頭の様子から見て、何か面白いものが入荷していそうだ………おっ!案の定、金の星社の箱入りの少女・世界推理名作選集が二冊並んでいるじゃないか。4「旅行かばんの秘密/サットン原作」14「黒衣の花嫁/ウールリッチ原作」である。しかも「黒衣の花嫁」は『アメリカじゅうの少女達に愛読されているミステリー・シリーズの日本版!!』帯が付いており、二冊とも喜び値の500円なので、ガシッと掴み出してまとめて帳場に差し出す。計1250円で購入。そして店主の粟生田さんと、児童文学の値付とその不思議について色々楽しく話し込む。彼女の『高い本が、なんでその値段かちゃんと知りたい。だってお客さんに、なんでこの本が高いか、しっかり説明したいんだもん』という言葉に、ウンウンと頷く。お店作りも好ましいけど、こういう姿勢で商売をする粟生田さんも、とても素敵なのである。
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というわけでこの二冊が今日の嬉しい収穫。

この後さらに『庚申通り』を南下し、「ドラマ高円寺庚申通り店」の店頭ワゴンから飛鳥新社「人生は喜劇だ 知られざる作家の素顔/矢崎泰久」を110円で購入して帰宅する。
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2021年10月03日

10/3瓢箪から駒の「黒百合城」!

朝からゲラと存分に対峙し、一通り読み終わったお昼前に外出。西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にて、東都書房「飛騨忍法帖/山田風太郎」桃源社「怪異あさひの鎧/国枝史郎」光風社「冥土の顔役/島田一男」河出書房新社「虹が消える/多岐川恭」幻影城「別冊・幻影城No.10 黒岩涙香」を計500円で購入し、店主・小野氏とお仕事の話やら無駄話を幾つか。そしてふと思いつき、「フォニャルフ」棚にひっそりと格安で挿していた大正時代の翻訳探偵小説「怪教の秘密」がピクリとも動かないので、このままでは宝の持ち腐れだ!と悲しみ、小野氏に「買います?」と持ちかける。この本は、以前ヤフオクで落札し所蔵済みだったのだが、つい先日「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で、より状態の良い本を見つけたので、ダブりを承知で購入していたのである…そうだ。これもなかなかのレア本なので、売るのではなく見合う本と交換してもらうのはどうだろう?その方が面白そうだと、さらに思いつき小野氏に持ちかけてみると、間髪入れず「じゃあこれはどう?」と一冊の本を差し出される。大日本雄辯會講談社「黒百合城/大下宇陀兒」(カバーカラーコピー。昭和十六年四版のハードカバー風ソフトカバーの戦前版である!表見返しに『SEIBUNDO KAGIRAZAKA』の古書店ラベルあり)!いや、もう、間違いなく交渉成立ですよ。瓢箪から駒ですよ!とニヤニヤしながら受け取る。
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ウキウキしながらお店を出て、隣りの吉祥寺まで歩き通す。「バサラブックス」で角川文庫「城塞 ザ・キープ 上下/F・ポール・ウィルソン」を計200円で購入した後、駅北口でバスに飛び乗り、連載の取材へと向かう。移動中の読書は、先日日下三蔵氏よりいただいた「誰にも出来る殺人」である。日下氏の山田風太郎学科に入学してしまったので、まずはこれを読み終えなければ…それにしてもやはり面白いな。
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2021年10月02日

10/2左側通路であっという間に五冊。

午後二時前に、昨日の台風と寒さが嘘みたいな、日射しが強烈な残暑の経堂に流れ着く。経堂から古本屋さんが消えて、もうすぐ一年か…全く持って寂しい限りだが、実は秋から冬にかけて、松陰神社前の「nostos books」(2013/08/10参照)が祖師ケ谷大蔵に、明大前の「七月堂古書部」(2018/01/13参照)が豪徳寺にと、それぞれ移転予定なのである。経堂は古本屋的に沈黙したままであるが、その周囲が賑やかになるのは、古本屋巡りのし甲斐があるというものである。そんな楽し気な未来を想像しながら、シャッターを下ろしっ放しの大好きだった「大河堂書店」(2020/10/27参照)前を通過し、テクテクテクテク歩いて、世田谷線の踏切を渡って「靖文堂書店」(2011/09/06参照)に姿を現わす。おっ、入口入ったすぐのカラーボックス棚に、『次の百年にために』ポスターが貼られている。なかなかぞんざいですが、嬉しいです!
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店内には先客がいたので、狭い帳場前を通過して左側通路から見始める。すると、あっという間に五冊を棚から抜き出してしまう。イカンイカン、調子に乗り過ぎてはイカン。今日はこのくらいでいいだろう…と帳場に差し出す。岩谷書店「1955年版 探偵小説傑作選上/探偵作家クラブ編」(帰りの車中で最初に掲載されている朝山蜻一『僕はちんころ』を読むと、乱歩や谷崎の衣鉢を継ぐような、戦後の新しいマゾヒズム幻想小説なので、不意打ちを食らったように感銘を受ける)創元推理文庫「チャイナ橙の謎/エラリー・クイーン」(初版白帯)教養文庫「宇宙旅行の話/原田三夫」博文館文庫「東海に叫ぶ/富田常雄」(ネットで調べてもほとんど情報が浮かび上がって来ないなぁ…)新潮社 日本小國民文庫「世界の謎/石原純編」を計1300円で購入する。「世界の謎」は、自然界の謎や人間界の謎を科学的に読み解く、昭和十一年刊の児童本。なんと武井武雄の『漫畫 赤ノッポ青ノッポ(音樂部)』が四ページ載っていてビックリする。
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そして家に帰ると、ひとまとめのゲラが届いていた。よし、このお仕事、あと二息くらいだ!
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2021年09月30日

9/29古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第八章】

さて、今月初めから怒濤のように進める日下三蔵邸古本大移動の第二回目である(作業理由の詳細は2021?09/02参照)。午前七時前に家の近くで「盛林堂書房」店主・小野氏の運転する盛林堂号にピックアップしてもらい、盛林堂・イレギュラーズに身も心も変身しつつ、いつものようにおよそ一時間半で、神奈川県某所の日下邸に到着する。やあやあと日下氏が出迎えてくれ、美しさがキープされた廊下にまずは感心し、さらに整理収納の進んだ仕事部屋に感心し(仕事机として使用しているラックの上に、山田風太郎の文庫&新書が、屋根の上に一夜で降り積もった新雪のようにどっかりと積み重なる凄まじい光景などもあるが…)、さらに小野氏は禁断のメイン書庫に実を無理矢理滑り込ませ、レア本の嵐に大興奮したりする。そしてまず本日の第一ミッションは、空けるべき本邸和室の文庫・コミック・単行本を、半年限定倉庫のアパートに運び込むこと。この部屋も素晴らしく整理が進んでおり、すでに出入り自由となっているので、作業はいたってスムーズである。部屋内で日下氏が本の山を切り崩し、残す本を仕分けてから窓の外に待機している私に渡し、それを玄関ポーチで待つ小野氏にせっせと渡し、箱詰めして車に詰め込むという流れ作業の布陣を採る。もはや十月になろうとするのに、夏のような強力な日射しに耐えながら、大量の本の移動に腐心する。作業は単純で肉体労働であるが、やはり時々見つかるレア本たちに鼓舞され、気合いで乗り切る。
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これは宮敏彦付録推理小説本の麗しい山。

途中、日下氏が、「うわっ、ここにあったのか!やった!これで仕事が進む!…あぁ!「ガールフレンド」も出て来たぞ!」と小躍りせんばかりに喜んでいる。仕事に必要なため長らく探していた柴田錬三郎「盲目殺人事件」と、ここ十年ばかり『いったちどこにあるんだろう?』と見かけていなかった伊藤人譽「ガールフレンド」を発見したのである。
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まだ作業して二時間も経っていないのに「これが今日一番の収穫です」と満足げ。釣られてこちらも嬉しくなる。おかげで和室も畳が見えたりスペースがもっと空いたりと、ある程度スッキリ状態に。そして力を合わせて生まれた三十ほどのダンボール箱を、盛林堂号と日下号に積み込み、アパート倉庫に出発。到着するや否やすぐにリレー方式で、窓からバンバンダンボールを運び込む。うひゃぁ、アパートの中もだいぶ本で埋まって来ているぞ。
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午前中後半戦は持って来た箱を開いて仕分けし、分かり易いように各所にひたすら積み上げて行く…こんなことをしていたら、いつの間にか午後二時前。ここで駅近くに出て美味しいお寿司をご馳走になり、満腹後は近くのホームセンターでカラーボックスやプラケースを購入し、久々に訪問するマンション書庫の方に向かう。こちらにはもう一年以上盛林堂組は足を踏み入れていなかったので、いったいどんなカオスな状態に…と心配するが、中に入ると意外や意外、本は確実に増えているのだが、各部屋に向かう通路はまだしっかりと確保され、どうにか破綻を免れていたので、ホッと一息。さて、続いてこちらでのミッションは、中央のフローリング間にある本をある程度運び出し、その中に埋もれている二本のカラーボックスを救出することである。こちらでも本を日下氏が仕分けし、それを私が玄関まで運び、小野氏がダンボール詰めするという布陣で作業に臨む。細く危うい古本獣道を、本束を抱えて身を横に細くして、六十回ほど往復する……ぜぇぜぇ。
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その過程で、本邸仕事部屋に集めた岩谷選書のダブり具合を確認するため、マンション書庫で岩谷選書グループを見つけ出し、持ち帰ることにする…すでにすげぇダブってるんですけど…。そんなこんなで午後四時半過ぎに作業は終了し、ここで生まれたダンボールおよそ二十箱を、またまたアパート書庫に運び込む。今回は仕分けはせず、運び込むだけで作業終了。不要本となって引き取られる三百冊ほどを小野氏が結束し、それを車に運び込み、ここでの作業は終了。
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窓際で作業する日下氏。なんかつげ義春の漫画的な良い情景。

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こちらは作業過程で発見されたレア本推理小悦「水の鎧」。三冊あるなんてありえない!

そして続いて本邸に移動し、カラーボックスを仕事部屋に運び込み、本日のお仕事無事に終了となる。いやぁ〜〜〜〜、おつかれさまでした。ここで日下氏から、「キミはもっと山田風太郎を勉強するように」と厳命され、ダブり本の山田風太郎忍法全集「外道忍法帖」と山田風太郎妖異小説「首」を下賜される…ま、まずは前回いただいた「誰にも出来る殺人」を早く読まなければ…。そしてさらに労いとして、双葉社「生島治郎の誘導尋問 反逆の心を取り戻せ」(生島の対談集。野坂昭如・戸川昌子・田中小実昌.吉行淳之介・森村誠一・井上ひさし・佐野洋)を手渡される。その後は焼肉を焼きに焼きまくり、消耗し切ったエネルギーの回復に努める。すっかり満腹し、「ごちそうさまです!」とお礼を言い、さて駐車場で別れる段になって、日下氏が「ちょっとマンション書庫に戻りませんか?岩谷選書がまだ合える場所を思い出しました」と言うので、再びすっかり夜のマンション書庫へ。三人で本のミニ山を乗り越えて台所付近に当たると、確かに二冊の選書を発見…おぉ、やはり見事にダブってますなと満足し、再び山を乗り越える。だが、日下氏が山を乗り越えようとした時、「だめだ、崩れる」と一部の山を崩してしまい、足の下には風太郎の「韋駄天百里」が。「あぁ、これは申し訳ない」と慌てて拾い上げ、山の上に積み上げる。あれ?その下にあるのは東京文藝社「悪霊の群/山田風太郎・高木彬光」!すかさず「「悪霊の群」ダブってますよ。ほらここに」と手近にあったもう一冊の「悪霊の群」を手渡すと、その馬鹿らしさに大笑い。「ワハハ、本当だ。ではこちら差し上げますよ。これで、風太郎をさらに勉強してください」。やった!“棚から牡丹餅”ならぬ“足元に「悪霊の群」”!ありがたく頂戴いたします。
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というわけで嬉しい今日の労いトップ2。

その後、『環八』で酷い工事渋滞に巻き込まれながらも、午後十時前にどうにか西荻窪に帰還する。本日も大変にお疲れ様でした。そして十月もまた二回ほど、こんな過酷な作業の様子をお伝えする予定なのです。
posted by tokusan at 00:04| Comment(2) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月28日

9/28「梶原書店」に悔いを残す。

すでに日の落ち始めた夕方、青がどんどん深くなって行く秋の空を見上げながら、『学習院下』停留所から都電荒川線に乗り込む。都電のボディの中で、東京の特徴ある高低差を味わいながら向かうのは、三度目の、いや、これが最後のチャレンジとなる9/30でお店を閉じてしまう「梶原書店」(2008/08/31参照)である。三度目の正直でお店が開いていることを祈りながら、およそ三十分の乗車時間を創元推理文庫「月長石」を読み進めながら過ごし、すっかり暗くなった『梶原』停留所に到着する。三ノ輪橋行き方面行きのホームに降り立ち、踏切を渡って横断歩道を渡って、早稲田行き方面のホームを目指す…あぁ、暗いな。自動販売機の灯りが煌々と目立つばかりだな。そんな風にすでに失望しながら、停留所のスロープを上がると、やはり停留所に近接するお店は、暗く冷たくシャッターを下ろしていた。非常に残念だが、入れずじまいの、古本買えずじまいでお別れとなる。ここに最後に来たのは、とみさわ昭仁氏・柳下毅一郎氏・安田理央氏の「せんべろ古本ツアー」に同道した時となってしまった(2017/06/29参照)。東京にかろうじて残る貴重な都電網の名残である停留所に近接した、大変にロケーションのユニークな、昭和を引き摺りまくっていた大衆的な下町の古本屋さん。店内の足元に見えていた、排水溝を思い出しながら、さようなら。
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寂しく虚しく帰りの都電に乗り込み、『学習院下』で下車。高田馬場駅にトコトコ向かいつつ、それでもやっぱり古本は買いたしと「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に立ち寄る。すると、古本女神が哀れに思ったのか、嬉しい一冊を安値でこの手に掴ませてくれた。栄光出版社「愛よよみがえれ 大量後遺症 この悲劇に生きる妻の叫び/田原総一朗・清水邦夫」である。昭和42年刊のテレビドキュメンタリーから生まれた、三池炭坑の炭塵爆発に巻込まれ、CO中毒に冒され、記憶や人間としての生き方を失ってしまった、数百人の炭坑夫たちの物語である。これはなかなかお目にかかれない一冊で、すげぇ、帯が付いている。新潮社「雪のひとひら/ポール・ギャリコ 矢川澄子訳」とともに計440円で購入する。
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2021年09月27日

9/27ちょっとだけ「古書現世」に。

夕方に仕事で高田馬場へ。すでに時刻は午後五時二十分で、辺りは薄暗くなり始めているが、まだ間に合うはずだ!と「古書現世」(2009/04/04参照)へ急ぎ足で向かう。学生の波に逆らい、『早稲田松竹』前を通過し、『高田馬場口交差点』の丘から下ってお店に到着。店頭ワゴンに三木鮎郎の「ゴルフちょっといい話」が並んでいたので手を伸ばすが、残念ながら裸本…そっと元に戻し、手指を消毒して店内に進む。グリグリドロドロ棚を楽しみ、函ナシの交蘭社「詩壇人國記/澁谷榮一」を1300円で購入しつつ、二度のワクチン接種を無事に済ませたが、副反応が何も起こらなかったので不満げな(熱を出してお店を休みたかったらしい…)店主・向井氏とあれこれお話しさせていただく。まずは本の雑誌社から出た、久々の古本屋本「東京の古本屋/橋本倫史」からスタートし、そこから町田で開催される浅生ハルミンさんの展覧会に飛び、さらにハルミンさんと村崎百郎が同僚だったことを知り、さらにさらに村崎百郎が「みちくさ市」に来ていたことも教えられ、はたまた実はブルース・リーの映画を一度も観たことがなくて、最近一気に鑑賞したこと(「どうでした、初めてのブルース・リー?」「ブルース・リーは格好良いんだけど、話がね…古いよ…」とのこと。む、ムゴい!)と、デビッド・フィンチャー監督作品も一気観して、『ゾディアック』を早朝から観てしまってゲンナリしたり、やはり最高傑作は『セブン』だなと再認識したり……などなどいつものように楽しく話している間に、いつの間にか閉店時刻の午後六時を少々オーバー。「また来ます!」と挨拶してお店を後にする。購入した「詩壇人國記」は、昭和八年刊の、都道府県(+植民地)ごとに、活躍する出身詩人を詩作や風土とともに駆け足で紹介して行く一冊。昭和初期の時代性に溢れ、知らない詩人が盛りだくさんなのが面白い。また、新進詩人として宮澤賢治(文中では“宮澤健治”となっている)が紹介されており、『詩集「春と修羅」(文中では「春と羅漢」となっている)を出版して相黨の評判をとったがその後活躍していない』と書かれている。賢治は生前はほぼ無名であったと言われているが、このように書かれているということは、注目した人・注目された時期は多少なりともあったのだろう。また三重縣の項では、北園克衛が最初に紹介されているのだが、他に活躍する詩人として橋本健吉の名が挙げられている。だが橋本健吉は、北園克衛の本名…。こんなことに気づくのも、また楽しい。ちなみに後見返しには、京都「大學堂書店」(「古本屋ツアー・イン・京阪神」P24参照。古い店構えで、家庭で録画された相撲のVHSビデオが店頭に並んでいたのを思い出す)の古書ラベルアリ。
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2021年09月26日

9/26最下段から探偵小説カストリ雑誌を。

早朝から気合いを入れてデザイン仕事。机の前に座り続けて、懸命に手を動かし頭を働かせていると、どうにか満足のいくものが出来上がる。だがその代わり、すっかり消耗してしまったので、関係各位にラフを送付し、遅めの昼食後に所用で外出するとともに、吉祥寺で古本屋をウキウキ一巡する。その結果、「古本のんき」(2021/03/31参照)で左側壁棚二列目の最下段に、文芸雑誌とは別な週刊誌などの古雑誌が出現しているのが目に留まる。スッと床にしゃがみ込み、セロファン袋に入った、昭和二十年代辺りの薄手の雑誌を検分して行く。ほとんどが「週刊朝日」だが、端の方にカストリ雑誌もチラホラ……粗悪な神に刷られた、百ページにも満たないペラペラの雑誌である。丁寧に探っているうちに、喜ぶべき一冊に突き当たる。トップ社「探偵・犯罪・実話 トップ 第五號 昭和二十二年五月」である。小さなページ下の目次に目を通すと、『蔦のある家/角田喜久雄』『残された指紋/三谷祥介』『惡戯/甲賀三郎』『盗まれた糸巻/大倉Y子』『甲賀三郎の思ひ出/江戸川乱歩』『實話片々/大下宇陀兒』などなど、探偵小説好きの血が騒ぐ文字がザラ紙上に踊っている。このようなモロい雑誌のこの内容にしては千五百円とお手頃価格な上に状態も良いので、迷いなくスパッと購入する。ぬぅ、予告ページに『若き探偵小説愛読者に贈る思い出多き傑作探偵小説集』のコピーとともに『トップ探偵小説傑作特集號』なんてのが載っている。虫太郎・不木・甲賀・濱尾・久作の諸作とともに、それらの作家を懐古する探偵小説家の一文が付随する構成らしい…欲しい…読みたい……。そして編集後記にある一文、『前號は大へんな賣れゆきであった。用紙が自由になるものなら、第二版を出したいところだが、残念!』は、陰惨な戦禍からようやく抜け出した終戦後二年弱の、自由を謳歌しつつも、まだまだ連合軍占領下で、様々な統制があったことを示している。また、『現在、探偵小説を専門にあつかつている雑誌が十誌ほどある』とも書かれており、戦中に迫害され沈黙していた探偵小説が、終戦後に一気に世間に迸った、いかがわしくおどろおどろしくも、人気ジャンルであることを表している。
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