2017年05月25日

5/25文紀堂書店で月に懐かれる

本日は仙川の北の『白百合女子大学』がある緑ヶ丘に流れ着いたので、これ幸いと南側の「文紀堂書店」(2015/03/31参照)にそそくさ駆け付ける。最近森英俊氏から「棚に探偵小説が増えていますよ」と教えられていたのである。しかし直ぐ駆け付けても、古本神が通ったばかりなので惨憺たる有様だろうと想像し、三分の二ヶ月ばかり我慢しての、放置中だったのである。これくらい時間が経過すれば、色々変化が起こっているはずだ!そう信じてお店にたどり着くと、おぉ!店頭に100均文庫をタワーにして抱えているオジさんがいるではないか。これは負けておられんぞ!と横に並んで棚に視線を注ぐ。すると調子良くたちまち三冊を手にしてしまう。よし、店頭はこれくらいにしておこうと中に進み、左側通路の探偵&ミステリゾーン…ぬぅ、なんだか影も形もなくなっているぞ…では帳場右側の古書棚&古書箱を…あっ!杉山茂丸の「百魔 續編」が函ナシで二千円…装幀&古書の魔力に取り憑かれ、思わず買いそうになるが、『お前、これ本当に読むのか?』と心の声が聞こえて少し正気に返り、そっと棚に戻してしまう…何だか今日は腰が引けてるなぁ…。それに目的の探偵小説類は思ったより少ない…確かに棚に色々変化が起こったようだが、予想外の方向へ進んでしまったようだ…だが児童書棚に紛れ込んでいた黄色表紙バージョンの「フープ博士の月への旅」が五百円なのに喜び、ちくま文庫「ピスタチオ/梨木香歩」中公文庫「肌色の月/久生十蘭」岩崎書店エスエフ少年文庫5「うしなわれた世界/コナン・ドイル」青林社「フープ博士月への旅/たむらしげる」を計1000円で購入する。気付けば月に関わる本を二冊買い、表でお店の看板を見上げれば、そこにも三日月が輝いている。ほんの一瞬だが、なんだか月に懐かれたような時間であった。
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そんな一日を過ごしながらつらつら考えていたのは、昨日書いた左川ちかのこと。勝手にしっくり来る“二つ名
”をあれこれ思い悩んでいたのだが、ようやくたどり着いたのは、『絶対零度のモダニズムの幽霊』であった。ちょっと幼稚で俗っぽいが、あの熟れて病的な冷たさが昭和初期から突然立ち上がって来る感覚は、まさにそんな感じとしか、今の自分には言いようがないのである。
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2017年05月24日

5/24左川ちかをデザインする幸せ

早起きして仕事を終えて、ダラッとした心持ちで午後に外出。ストスト地元の道を歩いて「古書コンコ堂」(2011/06/20参照…あっ!あと一ヶ月弱で開店六周年じゃないか。今年は記念に何を作るのだろうか?楽しみである)店頭棚に視線を据える。国立民族学博物館「月刊みんぱく 2016 9月号 特集・見世物大博覧会」太田出版「BLOW UP」(1998年にサニーデイ・サービスと若松孝二がコラボした異色イベントの小冊子)を計206円で購入する。見慣れない小冊子類を店頭にサラッと出してくれるのに、毎度ながら感謝して、そのまま歩いて荻窪へ。今日は珍しく「ささま書店」(2008/08/23参照)で何も買わなかった代わりに、駅前の商店街をちょっと入り込んで「竹中書店」(2009/01/23参照)の300均店頭台から、草思社「世界変人型録/ジェイ・ロバート・ナッシュ」を購入し、しっかりとお店オリジナルの鳥獣戯画書皮を奥さまに掛けていただく。この後はさらに西に向かい、武蔵小金井で野暮用をこなした後に、三年半前にネット専門店に鞍替えした「伊東書房」(2009/01/04&2013/07/29参照)の緑の店舗前を通過して、かなり久々の「中央書房」(2009/03/11参照)へ。おぉ!ちゃんと営業しており、頼もしいことこの上ない。均一ではなく半安売と言ったところの、足の長い店頭ワゴンには新書ばかりが並んでいる。店頭にも店内通路にも結束本が蔓延っているのは相変わらず。
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結束本に紛れ込んでいる牧野吉晴が気になってしょうがないじゃないか…。結局岩波新書「ペスト大流行/村上陽一郎」を100円で買い、スゴスゴと通路から引き下がる。そして東に戻り西荻窪で下車し、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内「フォニャルフ」に、長い時間持ち歩いていた古本をテキパキ補充する。小野氏と打ち合わせたかったのだが、今日は真っ当な古本屋さんらしく、買取で不在とのことであった。

ところで、同店出版の『盛林堂ミステリアス文庫』の表紙周りデザインを手掛けているおかげで、同文庫のブレーンの一人でもある善渡爾宗衛氏主宰の『東都我刊我書房』から六月に出る「新編 左川ちか詩集 前奏曲」の表紙デザインを手掛けさせてもらった。ミステリアス文庫のデザインも、いつも憧れの作家ばかりを担当させていただき、毎月天にも昇る気持ちで仕事をこなしているのだが、この左川ちかの仕事もそれらに比肩する喜びに満ちあふれている!彼女の詩には、詩が個の極地であることを徹底的に思い知らされる。そして、小さな宇宙の心理が精密に織り込まれた、モダニズムの神の筆跡がそこに現れるのを、追跡することが出来る。それはまるで、絶対零度の孤高さを保っており、小動物たる人間の魂は、その表現にただ震え戦くのみなのである…。そんな才人の世界に、届かずとも必死に手を伸ばし、デザインさせていただきました。実は最初は、この後に出るはずの「左川ちか資料集成」(左川のすべての詩・散文・翻訳を初出紙面のとおりに収める予定)だけをデザインする予定だったのだが、急遽その前に詩集を緊急出版することになったのである。どうやらこの詩集の売り上げを、資料集成製作の予算の一部に当てるらしい、蛸が自分の足を食らう的目論み…。ガンバレ、零細出版社!資料集成も、姉妹の如く引き続きデザインしたいので、ご興味ある方は何とぞよろしくお願いいたします!本は盛林堂にて委託販売予定。
http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca4/317/p-r-s/
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2017年05月23日

5/23小林信彦の誤認

本日は五月にしては強い日射しに炙られた挙げ句、代田辺りに流れ着く。まだ土日の疲れが抜け切っていないが、下北沢まで伸して「ほん吉」(2008/06/01参照)で店頭に執着しようと思ったのだが、気付けば今日は定休日なのである。途端に背中に疲労が覆い被さって来たので、おとなしく満員電車に乗って阿佐ケ谷まで帰り、昔も今もほぼ寸分変わらぬ(「中央線古本屋合算地図」の『阿佐ヶ谷 千章堂書店のアルバムより』を参照)「千章堂書店」(2009/12/29参照)にフラリと入り、集英社新書「僕の叔父さん 網野善彦/中沢新一」を200円で購入して、古本屋好きのプライドをどうにか維持して帰宅する…。

だがこれだけでは余りにもそっけないので、古本屋話をひとつご披露。先日の買取バイトで手に入れたボーナス本「東京のドン・キホーテ」を、まだ「東京のロビンソン・クルーソー」も読了していないのに、パラパラとツマミ読みし始めてしまっているのだが、やはりこの時代の小林信彦は滅法面白い。サブカル&カウンターカルチャーが花開き始めた、同時代ならではの鋭い視線と感性が、様々なハードとソフトを、切っ先の鋭い活人剣で遠慮会釈なく膾斬りにして行く様が、とにかく痛快なのである。で「ドン・キホーテ」であるが、冒頭近くの『ヨコハマ・グラフィティ』は、小林信彦が昭和三十年代前半に一時期暮らしていた横浜を、進駐米軍文化を通じて語る思い出と論考である(この本を手にするまでは、私は表紙写真をアメリカの劇場の外観風景だと思っていた。ところが豈図らんや!これは横浜・本牧ベースにあった『ビル・チカリング劇場』ということを知り、唖然としてしまう。その本牧ベースは返還され、バブル期に『マイカル本牧』となった後に当てが外れて衰退し、今は『イオン本牧』と成り果ててしまって面影ゼロに…何ともったいない)。この中に、山手の奇跡の古本屋さん「一寒堂書店」(2011/10/29参照)の記述を見付け、大喜びしてしまう。このお店について書いているのを見付けたのは、植草甚一に次いで二人目である。麦田のトンネルを抜けた大和町電停近くにあった、貸本も扱う古本屋として紹介しており、米軍兵士から流れたハードカヴァ&ペーパーバック&雑誌を求めて、一日一回は立ち寄ったと書かれている。だが最後に『このお店も。今や、ない。(あるいは、ほかで営業しているのかも知れないが、元の場所にはない』と書かれてしまっている。だが今も「一寒堂書店」は、同じ場所で健在なのである。恐らくいつからか、夕方五時〜六時からの特殊な営業開始時間となったので、閉店もしくは移転してたと誤認してしまったのであろう(まぁ私も訪ねた当初は見つからず、お店は無くなったものとして判断したので、偉そうなことは言えませんが…)。自由気ままな古本屋さんの営業形態として、まま起こる出来事である。…あぁ、こんなことを書いていたら、「一寒堂書店」に、とても行きたくなって来てしまった…どうしよう…。
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写真は「東京のドン・キホーテ」の裏表紙で、『ビル・チカリンング劇場』の前に煙草をふかしながら立つ、物凄く格好良い小林信彦である。
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2017年05月22日

5/22これが一泊二日の買取バイトだ!

昨年の十一月、ひょんなことから神保町「@ワンダー」(2009/01/21&2014/05/22参照)で体験アルバイト(2016/11/14〜19参照)をさせてもらった時に、鈴木社長に「今度はぜひ買取にも連れて行って下さい」とお願いしていたのだが、これが本当に実現してしまう。古本屋さんに汲めども尽きぬ興味を持っている私としては、とても嬉しいことである。聞けば社長の地元である静岡の買取で、エレベーターのない三階書庫から大量の本を下ろすことがすでに決定しており、そのため一泊二日の行程を採る強行軍スケジュールを告げられるが、一も二もなく承諾してしまう…ちくしょう、かなり大変そうだが、楽しそうだな…。

■一日目
午前九時に神保町「@ワンダー」前に待機していると、銀色の幌を付けた1.5tの普通車トラックが、目の前にピタリと停まった。
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(写真は静岡の駐車場で撮った@ワンダー号である)
高めの運転席から飛び出して来たのは、鈴木社長と、ともに買取を手伝うバイト一号のご子息(通称・たっちゃん。大学院生で特殊ドローン研究開発中)である。挨拶を交わし、一事に力を合わせて従事する契りを即席に交わして、三人並んで車に乗り込み一路静岡へ。車中の会話は主に古本屋さんについてなのだが、社長とご子息が話し始めると、たちまち席内は家族的プライベート空間(二人はとても仲良しで、会話のテンポも入力と出力を繰り返すような独特さに満ちている)に変化するので、なんだかほのぼのとしてしまう。道はさほど混んでおらず、十二時過ぎには新清水出口から新東名を無事に下りるが、そこがランドマークも何もない蜜柑畑に囲まれた山の中なので、市街地にたどりつくのに大いに手間取ってしまう。『コメダ珈琲店』でメニューの写真より大振りなサンドイッチで昼食を摂った後、静岡鉄道の小駅に近い、三階建ての買取宅にたどり着く。

午後二時、家主と挨拶を交わし、目標の三階書庫を偵察する(社長はすでに下見済みなのだが、作戦のブリーフィングをするために必要不可欠なのである)。本の量は八畳間に壁一面の鉄製本棚、背の高い木製戸棚が一本、ポケミスぎっしり棚(二重)、ガラス戸棚、文庫&単行本軍艦島、文庫山テーブル、雑誌山多数と言ったところ。物凄い量である。棚が二重になっているところも散見されるので、見た目より遥かに多いことが予想される。他に二部屋に大きめの本棚が一本ずつ置かれている。ジャンルは、ミステリ(日本&海外)・冒険小説・野球(プロ野球&大リーグ)・歴史・戦記・平家物語・「ミステリマガジン」・「EQ」・歴史雑誌・野球雑誌などである。作戦としては、縛っているとキリがない量なので、取りあえずダンボール箱を大量に組み立てて、それに本をサイズを揃えて詰めまくり、後は階段に板を渡して滑り落として行くことに決める(階段は、三階〜二階は室内で折り返しは一回、二階〜一階は外階段で三回の折り返しがある)。
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トラックから必要なものを荷下ろしし、玄関前にスタンバイ。
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ダンボール・ベニヤ板・ロープ・ブルーシート・台車・プラ箱など。
と言うわけで三階の広い一室に籠り、まずはバカみたいに恐ろしい数の箱をガムテで留めて組み上げて行く。
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部屋はたちまち立体的にダンボールに覆われてしまうので、五十ほど作った時点で本を体裁よく詰め始め、下ろしやすいよう階段室に運んで積上げて行く。地道な箱内の隙間を埋めるマシーンと化し、作業を進めて行くが、幾ら詰めても本はその数を減らさず、徐々に身体と心が疲弊し始める。箱を運び出して部屋に戻ると、厳然たる大きな本の山…あぁ、本を溜め込むってこんなに恐ろしいことなんだ…と己を思いっきり棚に上げてため息をつく。だが掘り出し続けていると、この部屋のかつての主の読み筋が見えて来るのが、たまらなく面白くなって来てしまう…というか、それを楽しまなければ、この作業に長時間耐えられそうにないのだ。それにしても、ずっとミステリや冒険小説を老齢まで現役で読み続けていた方である。普通は年を取れば、読書の範囲は狭まって行くものだが、最近の若手の著作にまで触手を伸ばしているところがスゴい。しかも手当り次第という感じではなくて、確実に己の嗅覚を信じて選択し、棚を編み上げているのである。とか手を動かしながら考えていると、うぉっ!「東京のドン・キホーテ」が帯付きで出て来た!角川文庫リチャード・スターク「カジノ島壊滅作戦」も。
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そして棚の上の方から、古いモデルガンを三丁発見。一丁は古いマテル社のコルト・ピースメーカーで箱付きだ。ミステリや冒険小説を読みながら、ズシリと重い銃を手にして、時折見えない敵に狙いを定めたりして、主人公気分をスリリングに味わっていたのだろう…あぁ、素敵な人じゃないか。

午後三時半、私は箱詰め作業を継続しながら、二人は階段で箱を下ろし始め、一階階段下に接岸させたカーゴに積上げる作業に入る。一番長い三階〜二階の階段は、傾斜も強くそのまま下ろすと危険極まりないので、ロープを通してジリジリ滑らして行く。
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午後五時半まで汗水垂らして作業を続け、ダンボール詰めは七十パーセントが完了し、どうにか先が見えて来た。カーゴは二台分を積み込んだところで、今日の作業を終えることにする。
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これで明日はほぼ荷下ろし作業に専念することが出来るはずだ。そうなれば作業スピードは格段にアップすることになる(はず)。結局作業したのは四時間ほどだが、すでに疲労困憊。依頼主が「あら、もう帰っちゃうの?」と残念そうな口ぶりで引き止めるが、明日また早くに来ることを約束し、簡単な撤収作業を行った後、現場を離れる。

午後六時半、静岡城の北側にある、本日の宿泊場所である鈴木社長の実家に到着する。平屋の築八十二年の小ぶりな日本家屋で、緑濃い縁側に立った瞬間、身も心もバラッと解きほぐれてしまう。お風呂を頂いた後、近所のお蕎麦屋さんで晩ご飯。ビールがことの外美味しいのだが、すぐに酔いが回ってしまい、午後十時にはスヤスヤと就寝してしまう。

■二日目
皆早速痛む身体で起き出し、静岡おでんの朝食を頂いた後、勇躍トラックに乗り込み出発。午前九時半に現場に到着し、作業を開始する。今回選別箱詰めを社長が行い、バイト二人はひたすら箱を下ろす作業に従事する。およそ六十箱を、熱中症に気をつけながら計五回で一階へ運び出すことに成功する…滑り落ちて来る重い荷物を受け止めていると、なんだか港ででも働いていうような気分に…波止場の哲学者、エリック・ホッファーってすごいんだなぁ。もう俺なんか、何も考えられない…などと、疲労で頭のネジが緩んで来てぼんやり。最後にプラケース十箱弱を残したところで、午後十一時半に近所の『スシロー』で昼食。多少元気を回復して現場へ戻り、腹ごなしをしながら本の無くなった部屋を、感慨深く眺める。ゆ、床の絨毯には、積み上がった本の痕跡が、芸術的に柄のように残されているではないか。なんだか重森三玲が作庭したモダンな飛石に見えなくもない…。
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午後一時から最大の難事、重いプラ箱を三人掛かりで徐々に慎重に階下へと運んで行く。
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だが数はそれほど多くないので、午後二時には作業終了。と同時に撤収作業も素早く進行し、二日間の作業は任務完了となる。結局トラックの荷台はギチギチとなり、カーゴ七台分でダンボールおよそ九十箱、約三千冊の本が収まったことになった。
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そして特別ボーナスとして、晶文社「東京のドン・キホーテ/小林信彦」を役得でいただく。涙が出そうになるほど嬉しい。

午後二時半、支払いも済ませて一路東京へ出発する。トラックはやはりだいぶその身を重くしているが、これならわりと早く神保町にたどり着くだろうと、新東名高速に入ると、タイヤから突然バラバラバラバラと異音が響き、一同騒然となる。山の中の『新清水サービスエリア』に入り、後輪を確かめていると、泥よけがちぎれかけ、一本のゴムが盛大に剥がれてしまっていた。
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バースト一歩手前の危機一髪!これは古本の呪いなのか!まさかこのまま運転するわけにもいかないので、JAFに連絡し色々聞いてみると、その場で修理は出来ないが、修理出来る場所まで箱ぶ車を寄越してくれるとこのことであった。一同ひとまず安心しながらも、果たしてこの古本を満載したトラックを運べる車が存在するのだろうか?と心配が胸を掠めたりする。一時間ほどその到着を待ちかねていると、大きな大きな車載専用車が姿を見せる。運転手は一人で、さほどの苦労もなく、素晴らしいチェーンベルト機構のメカを駆使し、三人の杞憂を吹き飛ばすように、あっけなくトラックをその荷台に短時間で搭載してしまった…すげぇ。
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車高に注意しながらガソリンスタンドまで運んでもらい、一時間半ほどでタイヤ交換終了。大幅に遅れてしまったが、再び東京に向けて出発する。

午後七時、渋滞情報とパンクへの慎重さが相まり、わりとスムーズに流れる『国道一号』を疾走していたのだが、無謀にもそのまま国道で箱根越えに突入してしまう。ウネウネのたうつ国道を、重い荷物を枷に喘ぎながら、時速三十キロで@ワンダー号は天下の険に挑んで行く…いったい、なにをやっているのだ…。ただ、左の車窓に現れた、暮れなずむ芦ノ湖が、とても美しかったことだけは確かである…。

午後九時半、神保町に到着。トラックをそのまま倉庫に入れ、居酒屋にて晩飯。難事を無事に成し遂げたことを労い合い、無事に到着出来たことを喜ぶ。鈴木社長、たっちゃん、お疲れさまでした!また買取ありましたら、ぜひとも声掛けて下さい!
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2017年05月19日

5/19盤石の江口で和み、明日から出張古本屋バイト。

本日は三軒茶屋と学芸大学の中間である下馬に流れ着いたので、少しだけエネルギーの残る身体に鞭打って、三宿までヒタヒタどうにか歩き通す。…輝き過ぎてジワジワ体力を奪う太陽が、今はとても憎い…。そして交差点近くの「江口書店」(2010/03/29参照)に飛び込み、古書エネルギーたっぷりと乳酸の蓄積した身体に注入する。目玉を楽しく棚前で左右上下に動かして、三省堂「柳田國男編 全國昔話記録 阿波祖谷山昔話集/武田明」「軍事小説 戦塵 復刻版/尾上新兵衛〈久留島武彦〉著」(函ナシ)を計1100円で購入し表に出ると、通りかかった白髪&白髯の紳士がお店の佇まいに惹き付けられる瞬間を目撃。恐る恐る小さな店頭台に近づいた後は、左右のサッシ扉から店内の様子を窺いつつ、視線の届く棚の本を懸命にチェックしている。何も恐くないはずだから、もう入っちゃえばいいじゃん!と、心の中で先輩面して勝手にエールを送る。
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写真は少し傷んで落書きもされた書店のテント日除けである。
二日連続で、こんなあっさりした報告で申し訳ありません。しかし明日から日曜まで、謎の出張古本バイトに従事する予定なので、次こそは何らかの愉快な報告が出来るかもしれません。まずは真面目にバイトしてきます!
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2017年05月18日

5/18ポランでラレロを。

今日は流浪の果てに大泉学園に流れ着く。すぐさま北口に出て「ポラン書房」(2009/05/08参照)に一直線。店頭の55円「こどものとも」箱をまずは漁り、未知の一冊を抜き取る。店内に進めば、壮大なクラシック音楽に迎えられ、その心地良い空気の振動で疲れを解きほぐす。フワフワしながら全通路を踏破し、結局文庫本を一冊。ソノラマ文庫「怪盗ラレロ/加納一朗」福音館書店「こどものとも ぼくはへいたろう「稲生物怪録」より/小沢正・文 宇野亜喜良・絵」を計555円で購入する。「ポラン書房」で「怪盗ラレロ」…ポランでラレロ…いや、意味はそれほどないのだが、三文字&“ラ”を含む語感が疲れているせいか、ちょとだけ不可解なツボに…。存在を知らなかった1994年8月発行の「ぼくはへいたろう」はご存知『稲生物怪録』の翻案絵本である。宇野亜喜良描く妖怪が、とにかくモダンでポップで『不思議の国のアリス』的である。英題が「KAIDAN-HEITAROU MEETS MONSTERS」なのがまたニクい。
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北口空中広場のアニメキャラ像(矢吹丈・メーテル&鉄郎・鉄腕アトム)前を擦り抜けて帰路に着く。
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2017年05月17日

5/17千葉・みのり台 smokebooksみのり台店

昨日は夕方に「西荻 古書モンガ堂」(2012/09/15参照)に歩いて向かい、富山房「ワイルド童話集/平井呈一譯」(函コワレ)を1000円で買った後、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で「フォニャルフ」に手堅く補充。そして店内で岡崎武志氏と合流し、「中央線古本屋合算地図」の打ち上げに雪崩れ込む。意外に本らしい本を作ってしまったお互いを褒め合い労いつつ、反省会に加え次の四冊目のアイデアもぶつけ合う。非常に楽しく大切な時間である。だがしかし飲み過ぎて、二軒目のバーでビールグラスを握ったまま、あえなく熟睡してしまう…。

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明けて本日、中央線→山手線→常磐線と乗り継ぎ、さらに新京成線で三駅進む。ホーム東端の改札から街に出て、すぐの踏切をしばらく電車待ちしてから南に渡り切る。これまたすぐの車通りの多い県道を東に曲がり込むと、通り沿いのリサイクル店のシャッターに「沖愛堂古書店」なる文字を発見し、しばしその前に佇む。上には『家具処分』などとも書かれているが、開くことはあるのだろうか?だとしたら見てみたい…。そんな突然の出会いに心を多少掻き乱されながらさらに歩を進め、通りの両側に飲み屋が続く地帯を抜けると、線路がたちまち丸見えとなり、三本目の南への脇道に『みのり通り商店会』のゲートが現れる。そこに入り込んで行くと、中規模三階建てくらいの集合住宅で出来た、ちょっと奇妙で静かな街となる。大きな箱の間を歩くような気分で100mも進むと、左手に今度は巨大な昭和的マンションが姿を見せる。その一階ミニ商店街の左端に、下総中山(2011/01/25参照)から移転して来た、新たな「smokebooks」が開店していた。表には立看板に加えて、左に大判本・児童文学・絵本のラック棚&絵本箱、右に単行本箱&単行本棚と雑誌ラックが、安売値で置かれている。そしてちょっと薄暗く洒落た店内に進むと、広い!かなり広い!そのためか通路も広く採られた余裕のディスプレイが展開して行くが、本の量はざっと見ても楽しめそうなほど並んでいる。道路側の右スペースには、窓際にオススメ絵本類が飾られ、大テーブルの上には建築・デザイン・アート関連の新刊が面陳。壁際の小さな棚には、新刊の絵本や「こどものとも」などが並んでいる。左側には日本文学・日本近代文学・文藝雑誌・詩集がディスプレイされた棚があり、裏に回ると日本近代文学・詩集・セレクト海外文学が、古書含有率高く収まっている。とても感じの良い眺めである。壁際にはいやに角張った変わったフォルムの自転車が、レコード箱とともに置かれている。奥のアートブック&リーフレット・和洋ファッション台をクリアして奥に進むと、左壁には遠い奥まで大きな棚が続き、洋書のイラスト集・タモリ・植草甚一・高平哲郎・平岡正明・小林信彦&泰彦・徳川夢声・赤本漫画・「グロテスク」・音楽・映画・テレビ・カウンターカルチャー・和洋アート・写真・工芸・建築が雄大に肩を並べて行く。向かいには棚が二本縦列し、手前には世界・文化・思想・自然・満州・山岳、奥にはデザイン・ビンテージ雑誌&絵本・紙芝居が集められている。奥右側部分のフロアには、料理島(古書あり!)と来店した子どもが読書を楽しむスペースが設けられている。そして大きな壁棚には、児童文学新書・和洋絵本・洋書絵本・児童文学が、大量に豊かに収まっている。最奥のこれまた広いバックヤードを備えた帳場には、ハンチングに黒縁眼鏡のオードリー・若林風青年が立ち、その前面を文庫棚が覆っている。アート・ファッション・絵本・文学・料理が小気味よいお店である。古書が目立つのもその小気味よさに拍車を掛けている。値段はちょい安〜ちょい高と、手頃なものからしっかり値まで様々なので、そのバランス感覚もまたまた小気味よい。二見書房「カナシマ博士の月の庭園/ピエール・ブール」を購入する。

帰りにご近所の「永末書店」(2010/05/11参照)にも立ち寄り、みすず・ぶっくす「ロシアの神話/G・アレグザンスキー F・ギラン」を200円で購入する。
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2017年05月15日

5/15昨日と同じ経堂に来てしまう

二十二時間後に、同じ古本屋の中に、馬鹿みたいに立っていた……そこは昨日訪れたばかりの、経堂の「大河堂書店」(2009/03/26参照)である。何故こんなに早くお店に舞い戻って来たかというと、欲しい本があったからである。もちろん昨日買っていれば、こんな馬鹿みたいな二度手間を踏まなくとも済んだわけだが、残念ながら買うべきか買わざるべきか悩んでしまったのである。挙げ句、愚かにも棚に戻してしまったのである。結局昨日の帰宅中電車内から悩み始め、家に着く頃には買いに行こうと決め、本日打ち合わせを終えた後に、駆け付ける次第となったのである…みなさん、やはり欲しい本が見つかったら、懐の許す限り、その場で買いましょう!何故なら、どうせ買うことになるのだから。などと相変わらず懲りずに身に付かない重要な古本理論を反芻しながら、焦って目的の本棚の前に急行し、目指す本を探し求める…売れてませんように売れてませんように売れてませんように…あった!大正十五年刊の金星堂「モダンガール/清澤洌」である。函ナシだが、驚愕の800円の手書き値段帯が巻かれているのだ。これを買わないなんて、俺は本当に馬鹿だった。棚に置いてけぼりにしてゴメンよ…と詫びつつ、ついでに昨日は目につかなかった日本推理作家協会「推理小説研究11号 戦後推理小説総目録/中島河太郎」を見つけてしまったので、観念して一緒に帳場に差し出す。計2900円で購入し、『気まぐれプレゼント 謎の文庫本』(2017/03/17参照)をお土産にいただく(今回は新潮文庫「果心居士の幻術/司馬遼太郎」であった…)。「モダンガール」は「暗黒日記」で有名なジャーナリストが、様々な婦人問題と風俗を硬軟取り混ぜ扱った研究書である。そして巻末広告を見ると、おぉっ!イナガキ・タルホ「一千一秒物語」が載っているじゃないか!
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『童話の天文學者、セルロイドの美學者、ゼンマイ仕掛の機械學者、奇異な官能的レッテルの蒐集家。そしてアラビヤンナイトの荒唐無稽をまんまと一本の葉巻に封じこめたのがこれだ。』の惹句に、ビリビリ痺れてしまう。痺れたまま、目的を完遂した気分の良さを引き摺り、北口側の「遠藤書店」(2008/10/17参照)を久々に見に行く。
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すると、店頭長テーブル100均単行本台で、ちゃんと箱付きの東方社「狂った海/新章文子」と予想外の出会いを果たし、大喜びで購入する。さらに気分が良くなったところで、そうだ、さらに久しぶりに、住宅街のプレハブ古本屋「小野田書房」(2011/06/30参照)の様子も見に行ってみよう。ちゃんと営業しているのだろうか…いやそれより何より、お店はちゃんと残っているのだろうか…と心配しながら再び南口側に出て、うろ覚えの細道をしばらくたどり、見覚えのある中央緑地帯のある閑静な道路に出る。道路を小田急線高架方面に進んで行くと、あっ!営業している!しかも店頭に大判美術本棚が増えて、パワーアップしているじゃないか!
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その相変わらずの突飛さと小ささと、しっかり開店している誠実さとしぶとさに、大いに胸を打たれる。だが今日は、何も買わずにお店の無事だけを確認して駅へと戻る。ちょっと予想外の「戦後推理小説目録」を買ってしまったからな。だがこれが本当に面白いので、買わずにおられなかったのだ…へぇ、寺島珠雄もこんなに推理小説を書いていたのか。ぬぅ、竜胆寺雄も三編…よ、読みたい。下村千秋も!などとしばらくの間楽しめそうな予感が背中を走る…。
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2017年05月14日

5/14経堂から豪徳寺へ

今日は世田谷の『馬事公苑』近くに流れ着いたので、迷わず経堂方面へ足を向ける。賑やかな商店街である『農大通り』を北に進んで二ヶ月ぶりの「大河堂書店」(2009/03/26参照)。
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するとやはり、棚がジワジワ動いている良い気配。結構欲しい本が次々と見つかるが、素早く見回り素早く決心する。春陽文庫「虹男/角田喜久雄」妙義出版「白い血の獵人/扇屋亜夫」を計830円で購入する。お店を出たら駅にちょっと接近し、後は東にひょろひょろ続く商店街的生活道路をたどりながら、徒歩で豪徳寺を目指す。テクテク歩き詰めたら、あっという間に世田谷線の踏切に行き当たる。あっさりとした駅間にホッとして多少驚きながら、踏切を渡って豪徳寺駅方面へ。するとあっという間に「靖文堂書店」(2011/09/06参照)に到達。
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相変わらず薄暗い店内に進むと、以前と少し様子が変わっている。入口右横の児童文学棚が一本増え、右側通路壁棚下には100均文庫列が形成され、奥には新たな文庫&洋書&辞書棚が据えられている。そういえば表の貼紙に『Many English Foreign Books Here』とあったが、このことだったのか。そんな小さなお店の変化を楽しみつつ、結局100円文庫本を二冊買う。小峰書店 少年少女のための世界文學選「二都物語/ディケンズ」学習研究社 中学生名作文庫「めくらの音楽家/コロレンコ(原作)那須辰造(文)」を購入。
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写真は昭和三十二年の同性愛小説集(広告では『異色作品』『第三の性』などと表現されている)「白い血の獵人」。買った本は背に補修痕がある。それが古い包装紙を使っており、パリの裏町と言った感じの表紙絵とまったく相容れないのだが、長い時を経たことにより、逆に何だかいい感じに仕上がってしまっているのが面白い。昭和四十年代辺りを彷彿とさせる包装紙のデザインは、スプーンや急須などの日用品がデザイン性高く配置されたもの。また何でこんなのを貼付けたのだろうか。そしてどうしても補修したかったのだろうか。大事な本ならば、もうちょっとマシな補修をすると思うのだが…古本には時々、何だか理解出来ぬ謎が秘められている。
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2017年05月12日

5/12二つの古本市をハシゴしてどひゃっほう!

今日は二つの古本市をハシゴするつもりで、午前九時半に家を出る。高田馬場駅からトボトボ歩いて向かったのは、早稲田大学構内で開催中の「第23回青空古本掘出市」(2012/05/19参照)。その名の通り青空の下、校舎と緑陰濃い植樹の谷間に、白く大きく横長なテントが陽光をキラキラはね返している。
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テントからはみ出した文庫ワゴンを見ていると、照り返しが眩し過ぎて、“雪目”ならぬ“文庫目”になってしまいそう。その代わりテント下は涼しく、時折温い風が古本の中を走り抜けて行く。ジリジリと一周し、途中帳場に接近した折りには、「三楽書房」さん(2012/07/19参照)と「立石書店」さん(2016/12/24参照)と笑顔で挨拶を交わす。講談社「探偵小説五十年/横溝正史」(帯付き。見返しに蔵印アリ)を800円で購入し、函入り本を包装紙で包んでもらう。市は明日13日(土)まで。本を小脇に抱えてしばらくキャンパスを彷徨った後、開き始めた『早稲田古本街』をたどりながら高田馬場駅へと戻る。そして新宿から京王線特急に乗り込み、二駅目で調布に到着する。地上に上がって駅前の『調布パルコ』に乗り込み、五階の「第2回 調布の古本市」(2016/02/24参照)会場へ。う〜む、段々この市の古書率が上昇している気がするのだが…。特に「にわとり文庫」(2009/07/25参照)「かぴぱら堂」「リズムアンドブックス」(2011/08/10参照)「ハナメガネ商会」(2014/04/26参照)は、そういう意味で先鋭的なラインナップである。だが市も今日で三日目なので、少し落ち着いた棚になっているんだろうと、あきらめムードを胸に湛えながらも、古書の列にそれでも何か残っていないかと、古本眼を血走らせる。そして気になる本は片っ端から手に取って確認して行く。すると「ハナメガネ商会」の上段木箱に、薄汚れた薄手の新書を見出したので、引き出してみる。ひゃあっ!付録本の乱歩「幽霊塔」じゃないか!なんでこんなスゴいのが残っているんだ!と目を疑い慌てふためき値段を見てみると、300円!表紙には『探偵小説』と言う文字、裏表紙には住所、そして扉には陸上自衛隊所属部隊名が記入されているのだが、そんなことはこの際どうでもいい!欲しくて読みたかったジュニア探偵小説乱歩付録本が、破格の300円なのだ。「ハナメガネ商会」さん、本当にありがとう!間違いなくどひゃっほうです!と、小学館「中学生の友」昭和三十一年四月号 中学生新書3「探偵小説 幽霊塔/江戸川乱歩」を購入する。この市は5/23(火)まで。いつ何時でも、諦めずに来てみるものだなぁ。
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パルコ一階入口前の、古本市看板の前で記念撮影。建物に吸い込まれて行く人が、コイツいったい何をしてるんだ?と訝し気な顔をして通り過ぎまくるが、嬉し過ぎて全然気にならないもんね!
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2017年05月11日

5/11新中野のブックオフは5/21まで!

今日は笹塚の北に位置する南台辺りに流れ着く。京王線に戻るにしても、場所が何とも中途半端なので、思い切って北に進めばたどり着くはずの丸ノ内線まで歩くことに決める。『中野通り』を、まだ強い日射しに炙られながら、ヒタヒタ密やかに北上して行く。一旦谷に下りて涼し気な神田川を越え、結構角度のある坂を爪先で上がり、『青梅街道』に近付いて行く…ふと、右手に現れたビル一階の「ブックオフ新中野店」(2010/05/16参照)が目に入る。おやおやおや、閉店しちゃうのか…と貼紙に気付くと、いつ閉店するのかどこにも見当たらないのだが、どうやら70%オフセールであることだけは把握する。細長い店内に進み数段のステップを下りながら、棚の多くに空きが目立ち、レジ周りもありえないほどスッキリしていることに、ブックオフとはいえ、ちょっとした寂しさを感じてしまう。一般文庫や一般単行本はかなり圧縮されてしまっているが、100均文庫やコミックや安売本はまだまだ大量に残されている。思えば七年前にここで買った思潮社「自伝から始まる70章/田村隆一」がきっかけで、まだコンセプトを決めて棚を作っていた初期「フォニャルフ」で『田村隆一と早川書房(とその特異な仲間たち)』を開催したこともあったっけ(2012/02/08参照)。棚を作るんで、わざわざ勝手に、鎌倉の田村隆一に墓に参ったりも、したっけな。などと、数少ないお店との思い出に浸りながら店内を一周。350円の光文社文庫「神津恭介、密室に挑む/高木彬光」を70%オフの105円で購入する。お釣りやレシートともにクーポン券を渡されると、そこに5月21日(日)に閉店することが書かれていた。後十日か…。
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2017年05月10日

5/10今日も別のサイン本を作る

薫りの良い上等な酒に酔っ払い続けているかの如く、昨日の大物掘り出し体験の余韻に、まだ浸っている。だがそれも次第に薄まり、明日からはまた餓鬼のように古本を探し求めるのであろう。その奇妙な余裕が為させるワザなのか、珍しく古本を買わずにテクテク歩いて西荻窪へ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で『フォニャルフ』棚にビシッと補充を済ませる。南澤十七や日夏耿之介など並べましたので、ご興味ある方はぜひとも覗いてやって下さい。
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帳場脇には博覧強記の素天堂さんがいらしたのでご挨拶。そして店主・小野氏に、最近入荷したという明治大正の見たこともない冒険小説・怪奇小説・探偵小説・SF小説を次々と見せていただき、うわうわうわうわ言い続ける。あぁ、欲しい!読みたい!羨ましい!決して買わないと分かっているのに、本と作家の細かいデータやバックボーンに加え、最終的に大体の相場まで教えていただき、大いに楽しく涎を堪えながら勉強させてもらう。知らない本というのは、まだまだまだまだあるものだ。そんな風に馬鹿みたいに大量の古書を見せてもらいながら一時間ほど過ごしてしまった後、「中央線古本屋合算地図」五十冊ほどにサインを入れる。マニアックな一鉄道路線を基準にした古本屋本なのに、ちゃんと順調に売れてくれているようで、まずは一安心である。取扱店もジワジワ増えているようなので、オレンジ色の表紙を見かけたら、チャンスを逃さず手にしていただければ!と切に願います。
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2017年05月09日

5/9高円寺で大物を掘り当てる!

今日は早めに高円寺北側の大和町辺りに流れ着いたので、ブラブラ高円寺を目指して歩き、やっぱり古本屋をたどって行くことにする。まず『庚申通り』北端近くの「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)では、店内文庫棚からソノラマ文庫「謎の環状列石/藤村正太」「海底牢獄/香山滋」を計800円で購入し、幸先の良い成果にほくそ笑む。続いて駅に到達し、高架下商店街の「藍書店」(2014/01/14参照)では外壁棚から、旺文社中三時代昭和47年5月号第3付録「中三文庫 海外推理名作 ルビーは知っていた!(他1編)」読売新聞社「超能力探検/吉川美雄編」を計300円で購入。よもやここの壁棚で、こんな付録本が買える日が来るとは…と小さな満足に小さく打ち震える。この小さな喜びに満足して、もう家へ帰っても良かったのだが、飛石を軽やかにリズム良く飛んでいるような成果に、もうちょっと先も見て行こうと、『高円寺パル商店街』を南に下り、アーケードから抜けて遊歩道を越えたところで「大石書店」(2010/03/08参照)と出会う。可愛いテント屋根の付いた安売ワゴンに張り付くと、左側でA5版の薄い小冊子を発見する。気になりつまみ出してみると、うわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ!これ、一時期値段が超高騰して話題になった、1960年代終りの学生運動ドキュメント写真集じゃないかっ!今でも確か高値をキープしているはずだが、ひゃ、100円っ!本の表にも裏にも100円の値札っ!大どひゃっほう!興奮しながら路上でページを紐解くと、まるで「プロヴォーク」のような粗いアレブレボケのモノクロ写真(複数の撮影者がいるようだが、撮影者の名は一切掲載されていない)を中心にして、『御堂筋奪還デモ』『新宿騒乱』などの熱く激しい政治の季節の躍動が、次々と展開して行く。興奮する心を押し隠せずに店内に突入し、百円玉と写真集を交換する。「10・21とはなにか」を出版する会「10・21とはなにか」を購入。「大石書店」でこんなに盛り上がる日が来るとは、失礼ながら考えたこともなかった…きっと本棚の上にいる古本神は、予想以上に気まぐれで、それでいて平等なのだろう。
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やはり大物を掘り出したからには、お店の前で記念撮影。道行く人が本を掲げ持った私を見て『こいつ何してるんだ?』という顔で通り過ぎて行くが、全然気にならないもんね!

無闇矢鱈と妙な勢いがついたまま、坂を上がって「アニマル洋子」(2014/03/14参照)にも向かい。新潮社「階段のあがりはな/小島信夫」を100円で購入し、ここでエネルギーが切れ、ついに家に帰ることにする。いやでも、南側までフラフラ来て、本当に良かった。
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2017年05月08日

5/8神保町でサイン本を作る

正午過ぎに家を出て、神保町『本の雑誌社』での緊急サイン本作りに向かう。もちろんそのたどるべき行程は、神保町パトロールによりしっかりと彩られている。水道橋駅で下車し、『白山通り』を、幅広ゆっくりそぞろ歩きの学生たちとともに下って行く。「日本書房」(2011/08/24参照)ではいつもの古書ではなく、東信社「神田神保町とヘイ・オン・ワイ/大内田鶴子・熊田俊郎・小山謄・藤田弘夫」を100円で購入する。タイトル通り、神保町とヘイ・オン・ワイを『本の街』として様々な角度から比較検証する論文的な本である。続いてはちょっと時間と距離が空いて、「田村書店」(2010/12/21参照)の店頭ダンボールから旺文社文庫「四十歳のオブローモフ/後藤明生」ともだち文庫「おとのあさまざま/栗原嘉名芽」を計200円で購入し、『駿河台下交差点』までパトロールした後、ようやく『本の雑誌社』。ところが社にたどり着くと、担当のH嬢は「わ、忘れてました…」と素敵なGWボケ発言。うむ、黄金週間だったからなぁと、そんなアクシデントを笑い飛ばして、急遽セッティングされた白木の机に向かう。計五十冊の「古本屋ツアー・イン・神保町」「古本屋ツアー・イン・首都圏沿線」「古本屋ツアー・イン・京阪神」にスタンプを捺しまくり、八種の識語と署名を一心不乱に書きまくって行く。真面目に息を詰めて作業しまくったので、およそ二時間で作業は終了し、本は即座に箱詰めされて行った。解放された後は、再び神保町をパトロール。今度は夕方の長い光がまぶしい裏路地を中心にうろついていると、跪いた「アカシヤ書店」(2011/10/13参照)の100均外箱から、探していた真善美社「映画論入門/今村太平」を発見してニヤリ。別に珍しい本ではないが、探している本に出会う瞬間は、何度味わっても格別である。そのまま同様に裏路地にあるお店をたどりつつも何も買えず、往きに見た「有文堂書店」(2010/09/03参照)で朋文社「浅草紳士録/野一色幹夫」(カバーナシ)を300円で購入し、ようやく諦めをつけていい加減帰ることにする。
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というわけで作成したサイン本は、今月末に大阪で開かれるブックマーケットの『本の雑誌社』ブースで販売されますので、西のみなさま何とぞよろしくお願いいたします。そういえば「梅田蔦屋書店」では、古ツア棚で新入荷本が続々販売されているはずなので、こちらも引き続きよろしくお願いいたします。

『KITAGAYA FLEA & ASIA BOOK MARKET』
■日時:2017/05/27(sat)12:00-20:00・28(sun)11:00-20:00
■場所:CCO 1F・2F・3F(クリエイティブセンター大阪)大阪市住之江区北賀屋4-1-55 名村造船跡地
■入場料:500円
http://kitakagayaflea.jp/
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2017年05月07日

5/6酔眼で良書をつかむ。

すべては昨日のことである。テクテクとまずは朝の高円寺に向かい、開場三十分後の「西部古書会館 大均一祭」初日。混み合う館内を尻目に、まずはガレージのちょっと量の少ない雑誌類に目を落としていると、背後から「こーやーまーさん」と声をかけられる。振り返ると、宇宙海賊キャプテンハーロックのような立ち姿で、「風書房」さんがユラリと立っている。そしておもむろに「スゴいの見つけましたよ」と言うのだ。「スゴいの?スゴいのってなんですか?」と慌てふためき近寄り、二人で入口のステップに並んで腰を下ろす。ガサゴソと風書房さんが取り出したのは、ポプラ社ジュニア探偵小説「美しき魔人/久米元一」であった。ふぉぉぉぉぉぉ!これが200円!しかもちゃんとカバー付き!…あぁ、古本市にも、まだ夢は充分転がっているのだな…人の狩った獲物を物欲しげに手にしながら、改めてそう思った、羨みの瞬間であった。その後こちらも館内に突入し奮闘するも、あのジュニア探偵小説の鮮やかさが頭にこびり付き、何もかも色褪せて見えてしまう病に悩まされる。途中「マニタ書房」(2012/10/27参照)とみさわ氏と言葉を交わしたりしながら、それでも五冊を選んで帳場にて精算。「コクテイル書房」(2016/04/10参照)狩野氏に「中央線古本屋合算地図」ご協力のお礼を伝える。ブエナ・ビスタ映画「ジャングル・ブック」光文社「長編推理小説 夜を探がせ/石原慎太郎」青木文庫「装甲列車No.14,69/フセェウォロド・イワノフ」教養文庫「撮影所 映画のできるまで/川和孝」三省堂「原色甲蟲圖譜/神谷一男・安立綱光」を計1000円で購入する。「原色甲蟲圖譜」は函ナシで『慶応義塾幼稚舎』の蔵書である。廃棄本などのハンコは捺されていないので、誰かが返すことなく、いつの日か古書界に流れ出たものであろうか。昭和十二年刊の十二版で、図版はすべて実物標本の原色写真である。本体表紙の、図案化された兜虫の箔押しが美しい!
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一旦家に戻り、午後二時過ぎに外出。西荻窪「盛林堂書房」(2012/0106参照)に立ち寄り、芦辺拓氏への預け物を託す。その後は『こけし屋別館』に向かい、岡崎武志氏の還暦祝いである『第98回西荻ブックマーク』に参加する。多くの古本者が馳せ参じた会は大盛況で、始終爆笑&和やかムードで進行。氏の人柄を存分に感じさせる楽しいイベントとなる。最後のプレゼント大会が、抽選プレゼントながらも会場中の人にプレゼントが行き渡り、ほぼ配給と化していたのが愉快であった(ひたすら当選番号を読み上げる善行堂さんが、段々役所の人に見えて来る始末)。また独自な私小説的フォークソングを熱唱した世田谷ピンポンズさんの、普段使いのメガネが、黒ブチ眼鏡からガリ勉的スポーツタイプに変わっているのに気付き質問すると「いや、昔の羽生善治みたいなメガネが掛けたくて…」と非常に分かり易い答えが返って来た。歌もMCもライフスタイルも、独自のスタイルを貫く素敵なアーティストである。

打ち上げ参加後、午後九時半過ぎに阿佐ケ谷に帰り着く。おっ、夜道にはまだ「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)の看板が明るく輝いているではないか!と大喜びで飛び込む。ビールと日本酒で酔っ払った酔眼をカッと見開き、文学棚から一冊、ミステリ棚から一冊引き抜き精算する。店主・天野氏、「中央線古本合算地図」の『古本屋レクイエム』のページが懐かし過ぎるとのこと。どうやら古本屋になる前に、巡っていた思い出のあるお店が多数掲載されているらしい。作成した側としては、何とも嬉しい話である。カイガイ出版「地底に蠢く/草野唯雄」第一書房「事變下の文學/板垣直子」を計3090円で購入する。
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マニアックなちょっとレア本であるカイガイ・ノベルスも嬉しいが、昭和十六年刊の「事變下の〜」はさらに嬉しい。論考は『戦争文學』『農民文學』『大陸文學』『生産文學』『海洋文學』『癩文學』『植民地文學』『移民文學』『労務社会文學』『歴史文學』『都會文學』などに大別されている(さらに各章内では『開拓文學』『女給文學』『ルンペン文学』『市井事文學』など細かく分類されて行く…)。おっ、岡田三郎についても考察されてるじゃないか。これはいい、これはいいぞ〜と酔っ払いながら、後少しの帰り道をたどる。
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2017年05月05日

5/5おれがにくむよこの本を。

こどもの日に流れ着いたのは東小金井。「BOOK・ノーム」(2009/02/13参照)の新古書的並びに弾かれて、為す術なく阿佐ケ谷に帰り着いてしまう。フラフラ『旧中杉通り』を北に向かい、いつものように「ネオ書房」(2010/02/09参照)の店頭を精細にチェックする…ここのところ五ヶ月ほど動きはまったく見られないが、突然山が動く可能性があるので、恐らくもう一生このお店から目を離せないであろう…。そして100円の朝日新聞社「地震列島」を手にして、久しぶりに店内も一応流しておくかと入口部分でお店に正対すると、目の前の棚脇に置かれたラックが、必然的に視界に入ってしまった。その中に気になる一冊の少女漫画、若木書房「にくいあいつは二十面相/高上早苗」を発見する。に、二十面相だと!と即座に心がざわついてしまい、ビニール梱包された、表紙がちょっと陽に焼けたコミックスをつかみ上げる。先日の乱歩「吸血鬼の島」発売記念トーク時に、特典として配られたA5サイズ全12ページの「乱歩漫画コレクション」は、全く持って素晴らしいものであった。昭和五十年代後半〜最近までのコミカライズは除外してあるが、黎明社版(+廉価版)・あかしや書房版・別冊漫画付録に加え、恐らく乱歩未許可のパチ物の書影まで掲載された、魅惑の小冊子なのである。会場でそんな乱歩漫画について話を聞いている時に、確か細野不二彦も明智小五郎の娘が中年刑事になった小林少年と事件を解決する読切り作品を描いてたな(これは面白かった)などと突然思い出したりしていたのである。そんな流れがあり、いつもなら気にもとめないのだろうが、この未見の少女漫画がとても気になってしまう。値段は980円…微妙にプレミア値が付いているな…だがしかし、知られざる乱歩漫画なのかもしれない…。そう都合良く決めてかかり、二冊を計1080円で購入する。家に帰って読み始めると……………やっぱり、やっぱりただの少女漫画であった。簡単に要約すると、女子校に赴任することになったハンサム英語教師が、女生徒にナメられたりカモられたり(?)しないために、伊達メガネと付け鼻&眉毛で変装して超絶な野暮天を装い教壇に立つ…という他愛もないお話である。二十面相はまったく関係ありません。顔も本来の顔と合わせて二つだけの、つまりは二面相である。かろうじてそれらしきセリフが出て来る場面が、初めての変装を下宿で完了し「がっはっはっわかるかね明智くん!」と感極まって叫ぶところと、変装姿をたしなめる校長先生が「あのねきみ…二十面相じゃあるまいしふざけてるとしか」のところだけ。明らかにタイトルにつなげるための、取って付けたようなセリフである。あぁ、俺は何故五十にもなって、二十面相の名に釣られて、こんな漫画を買ってしまったのか。にくい!今更ながらこの漫画が憎くてたまらない!
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2017年05月04日

5/4東京・中野坂上 ブックパーク中野坂上店

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せっかくの連休なのに、世界中の疲労を抱えたような状態に陥り、中野坂上に流れ着く。集中力などはとっくのとうに霧散しているが、それでも古本屋ツアーはして行くべきだと、近所の古本屋さんを懸命に思い出してみるが、残念ながらこの辺りはずいぶん前から『古本屋無風地帯』と化している。う〜む、取りあえず新高円寺に向かい、商店街を北に遡ってみるか…などと考えながら『青梅街道』まで出ると、おやっ?あまり見慣れぬリサイクル系新古書店があるじゃないか。外観から察するに、恐らくアダルトメインのお店なのだろうが、もしかしたら何か売っているかもしれない。とノロい頭の回転で判断し、中にササッと踏み込んでみる。店内は案の定、明るく妖しく肌色が乱舞する空間である。だが、右側では普通の新刊コミックや車雑誌も売られ、左のアダルトコーナー入口前には懐かし系ムックのバーゲン本コーナーもある。ではこっちは?と右側通路入口側の行き止まり空間に入り込むと、そこには中古コミックやゲーム系バーゲン本に加え、角に細長いアクリルケースがあり、復刻版のジャガーバックッスシリーズとともに、アニメ雑誌「OUT」の創刊号が高値で飾られていた。おぉ、予想外にここだけ古本屋さんらしいぞ!と無邪気に喜ぶ。だが何を買おうかかなり悩んでしまい、何故か新刊でたくさん並んでいる、ガチャガチャ・おもちゃ・ファミコン・おまけなどの本の中から青幻舎「昭和ちびっこ怪奇画報/初見健一」を選んで購入する。文庫サイズだが、かつての「少年マガジン」グラビアページに掲載された、香山滋〈人見十吉シリーズ〉と小栗虫太郎〈折竹孫七シリーズ〉の秘境探検物が収録されているのが嬉しい。

「西荻モンガ堂」(2012/09/15参照)が出版した「モモイトリ 2017年春闌号」に『“極める”を放棄する。』という一文を寄稿しました。どこかでお見かけの際は、ぜひご一読していただければ幸いです。相も変わらずのめり込んでいる古本屋と古本屋ツアーの話でありますが…。
http://blog.livedoor.jp/mongabooks-mokuroku/archives/70635573.html
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2017年05月03日

5/3やはり島田一男先生を選んでしまう。

テクテク中野まで春の道を歩いて、にぎわう『中野サンプラザ』に潜入し、まんだらけ『大まん祭』会場へ。コスプレ娘が歌って踊り、稀少な物品とマニアが犇めく、私にはちょっと縁遠い感のあるオークション会場である。目的は乱歩・少年探偵団外伝とも言える、幻の読者への挑戦状小説を編纂した「吸血鬼の島/江戸川乱歩著 森英俊・野村宏平編」先行販売&トークである。販売ブースで本を購入し、特典の小冊子「「譚海」掲載 『犯人あて大懸賞』セレクション 出題・江戸川乱歩」と「乱歩漫画コレクション」も無事に手に入れる。トークは一時間強を乱歩&乱歩漫画で埋め尽くす、予想通り狂気の絶対乱歩タイム。だが一番面白かったのは、トークにも列席した「まんだらけ」店長・辻中氏と森氏の、貸本小説を巡る血の雨が降りそうなバトルの歴史であった。今は確執はないらしいが、笑顔で敗北のエピソードを次々語る辻中氏に、マニアの矜持と恐ろしさを、会場の後方から遠望する。

トーク後は会場にいた「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏とともに西荻窪に向かい。先月の「フォニャルフ」売り上げを受け取りつつ、刷り上がった岡崎武志氏還暦祝いの小冊子百冊を「古書 音羽館」(2009/06/04参照)に運ぶ仕事を仰せつかる。そんなことをしている間に、目の前で「中央線古本屋合算地図」が売れる瞬間を目撃し、ついつい幸福になる。取りあえずスタートダッシュはまずまずのようだ。みなみなさま、引き続きこのオレンジ色の本を可愛がってやって下さい!と心の中で大いにに念じつつ、「フォニャルフ」棚の動きをチェックするために左側通路入口側へ。ところが自分の棚を見る前に、本棚探偵「ひとたな書房」の並びに目が釘付けになってしまう。あぁあぁあっ!またなんて本を並べているんだ!そこにはポプラ社の海野十三・大下宇陀児・島田一男・高木彬光のジュニアミステリが、分厚くしれっと整列しているではないか。三冊はカバーがカラーコピーだが、それでも相変わらず安値なのである。ポケットの中の受け取ったばかりの売上金をギュッと握り締め、頭の中はたちまちどれを買おうか?ということで一杯になる…あぁ、たくさんの古本を売って得たお金が、たちまち一冊の古本にすり替わってしまうのか…などと多少は嘆息しつつも、一瞬の逡巡の後、やはりここは島田一男先生しかないだろうと、ポプラ社探偵冒險小説「青い魔術師/島田一男」(カバーカラーコピー)を五千円で購入してしまう。五千円の背徳感に襲われつつも、何たって島田先生の執筆に加え、挿絵は北田卓史なのだ!と結果的に喜び、本棚探偵に盛大に感謝を捧げてしまう。

多幸感に包まれながら「古書 音羽館」に移動し、新宿駅西口側にかつてあった「天下堂書店」のラベルが貼り付いた南北社「文学青春群像/小田嶽夫」(函ナシ)を100円で購入し、店主・広瀬氏に小冊子を引き渡して、5/6のイベントについて少し打ち合わせる。嬉しいことにこちらでも「中央線古本屋合算地図」の動きは順調とのことであった。
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本日の、少年探偵小説に重心を傾け過ぎた嬉しい収穫たちである。これらを買うお金で、何処か遠出でもすれば良かったのだが、すみません!やはり買わずにはおられなかったんです!欲しかったんです!仕方なかったんです!…うぅ…。
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2017年05月02日

5/2東京・南阿佐ヶ谷 店名不明

今日は夕方前に久我山の北に流れ着いたので、己の方向感覚を信じ、どこまで行っても似た景色が連なる住宅街をアイスモナカで涼を取りながら歩き、荻窪に到達して「竹陽書房」に安らぎを求める。だがじっくりと全棚を見るも、今日は食指が動かず、哀れ何も買わずに退散してしまう…このままではいかんな。そこでお茶を濁す小ネタ店を思い出し、地下鉄丸ノ内線で南阿佐ヶ谷まで移動する。地上に出たら『中杉通り』を200m強北上し、最初の信号で西の小道へ曲がり込む。最初は雑貨屋・飲み屋・食べ物屋などが続き、楽しい小道の雰囲気であるが、『商工会館』前を通過するとお店の数は自然と少なくなり、やがてただの住宅街となる。だがめげずにそのまま西へテクテク歩いて行くと、右手に突然雑然としたお店が姿を現す。店名は不明。
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店頭が古着で覆われ、足元には陶器や雑貨を詰め込んだ箱やカゴが置かれている。基本的には古着ショップのようであるが、店頭には古本箱も存在しているのだ。布製ボックスの中に、全品50円の文芸雑誌・ムック・新書・文庫が二十冊ほど詰め込まれている。スポーツ・歴史・エンタメ・推理・教養…まぁ安いのが取り柄であろう。一冊取り出して店内へ進むと、眼鏡姿のマダムが待ち構える洋服で作られた柔らかい空間。新潮文庫「阿部一族・舞姫/森鴎外」を購入する。

その帰りに「千章堂書店」の店頭で立ち止まると、店頭右側の映画パンフボックスの中に、角川映画「蔵の中/横溝正史原作 高林陽一監督」を発見したので400円で購入する。表4は『文庫5000万部突破記念(ご、ご、5000万部って…) 横溝正史フェアの広告』で、横溝正史についての解説は友成純一が担当。いわゆる角川の大作横溝映画とは一線を画す、低予算の実験的作品である。パラパラ捲っていると、表3の主演女優・松原留美子のファーストアルバム広告が目に留まる…タイトルは「ニューハーフ」…なんでまたこんなタイトルにと不審に思っていたら、松原は正真正銘のニューハーフなのであった。良く見ると、パンフにはその話題で多くのページが割かれているではないか。こういう映画だとは、まったく知らなかった。さすがは映画界の風雲児・角川春樹と言うべきか……色々あったんだろうなぁ。映画作りって、なんか大変なんだなぁ…。

家に帰ると岡崎武志氏より封書が届いている。土曜のトーク&ライブのための、紙焼き写真である。三十枚ほどをデータ化し、前座余興として公開しますので、お楽しみに!

★《緊急開催!》第98回西荻ブックマーク 山本善行presents 岡崎武志還暦記念トーク&ライブ 「風来坊 ふたたび」東京篇
■日時:2017年5月6日(土曜日)
■開場:15時30分
■開演:16時
■終演:18時30分 (予定)
★【ご注意ください!】予約者多数のため会場が変更となります。
× ビリヤード山崎 2階 (東京都杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
                ↓↓↓
〇こけし屋 別館2階 (東京都杉並区西荻南3-14-6、西荻駅南口徒歩2分、TEL03‐3334−5111)
  地図はコチラ 
*本館横のみずほ銀行の後ろにお回りください
■出演:岡崎武志 山本善行 荻原魚雷 小山力也 島田潤一郎
■特別ゲスト:世田谷ピンポンズ
■料金:2,000円 (おみやげ付き)
http://nishiogi-bookmark.org/2017/
☆ 緊急開催! 東京でもやります!!! ☆
西荻ブックマーク最多出演の岡崎武志還暦記念。
京都から山本善行さんを迎え、さらに古本者三人衆もお呼びいたします。
また特別ゲストに世田谷ピンポンズさんが参戦!
みなさまもこの機会にお祝いにいらっしゃいませんか?
すてきなお土産もご用意いたします。
posted by tokusan at 18:29| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月30日

4/30「東京のロビンソン・クルーソー」と「わんぱく天国」!

「第19回不忍ブックストリート一箱古本市」のプレゼンターを、今年も一箱王(南陀楼綾繁氏)より仰せつかったので、午後に外出。いつもなら、往復逆打ち・二往復・タイムトライアル・渦巻き回りなどの苦行を己に課すのだが、今日は両足が極度の筋肉痛に襲われており、日和って普通に見に行くことにする。そしてプレゼンターとしてではなく、色々なしがらみをかなぐり捨てて、純粋に古本を買って楽しもうと心に決める。ただし条件を三つ設定。1. ちゃんと本当に欲しい本を見つけること 2. たまには高い本を買ってみること 3. いつの間にか意外にも知り合いが多くなってしまったので気付かれぬよう隠密に活動すること…純粋に楽しむのなら、こんな条件はまったく必要ないのだが、残念ながらこんなことに容易く燃えてしまう性格が、そうさせるのである…。午後一時過ぎに根津駅に着き、まずは今年の地図を手に入れるために「タナカホンヤ」(2012/05/29参照)へと足を向ける。スタンプラリーのハンコ押印テーブルで無事に地図を入手し、およそ三時間をかけて十四ヶ所の六十八箱を見て回る。今年は谷である『不忍通り』を核にして箱が出店されている印象で、とてもスムーズで回りやすい。まずは三番目の条件については、その成功率は半々であった。なるべく人垣を利用して箱を盗み見たり、店主が視線を落としている時に気配を殺して素早く箱に接近して検分するなどしたのだが、本に夢中になると発見率が飛躍的にアップしてしまうのが難点だったのである…。二番目の条件については、特別擁護老人ホームに出店していた「文庫善哉」さんに晶文社「東京のロビンソン・クルーソー/小林信彦」が並んでいるのを発見し、一気に憧れが所有欲に移行してしまう。うぅんと会場内を一周して悩むフリをしながら、意を決して購入。かつてない、一箱古本市での最高値の買物となる(ただし6000円を5000円にしていただく。ありがとうございます!)。一番目の条件については、同じ会場の「RAINBOW BOOKS」箱で、ついこの間金沢八景で、佐藤さとるの展示ケースに『必ず手に入れてやる!』と誓ったばかりの(2017/04/24参照)講談社「わんぱく天国/佐藤さとる」を奇跡のように発見し、600円で購入する。まさか、まさか、こんなに早く手に入るなんて…古本の神様が、きっとにっかり微笑んでくれたんだ!と都合良く解釈し、途端にお客としてはチリチリ燃え尽きてしまう。だがその後も使命感に駆られてペースを落とさず回り、午後四時前にはすべての箱を見終える。坂の途中の池のある『須藤公園』の階段に腰を下ろし、ビールを飲みながら古ツア賞受賞者を決めつつ、木漏れ日の下で「東京のロビンソン・クルーソー」をツルツル読み進める。そして細かい文字群に飽きたら、「わんぱく天国」を箱から取り出し、横須賀の谷戸の小道を一緒に駆け回ったりしてしまう。そんな風に午後六時前まで過ごし、『谷中防災センター』での受賞式に臨む。今年の私の一位は「◯×文庫」さんで、昭和というすでに懐かしくなった時代を、古い本〜新しい本、それに絵本からガイドブックまでと、様々な角度から捉えた気持ち良さを、古本を買うお客として最大限に評価する(21世紀ブックス「おもちゃの作り方/石川球太」を300円で購入)。二位は探偵小説&ミステリのプロ的充実+恐るべき安さが毎年続く「幻影文庫」(光文社「少年探偵 少年探偵團/江戸川乱歩」を1000円で購入。傷んでいるところはあるが、カバーがちゃんとツヤツヤ!)、三位は一箱古本史上かつてないはずの殺人や連続殺人をテーマに据えた蛮勇の「幻想博物館」であった。一箱店主のみなさま、助っ人のみなさま、そして南陀楼氏を筆頭とする主催者のみなさま、今年も楽しい楽しい古本の飛び交う場をありがとうございました!

だがそれ以外にも、当地の古本屋「bango books」(2011年07月28日参照)に古本心を大いに切り刻まれてしまう。へび道端のお店では、圭文館「ダイヤル風流譚/穴吹義教」有終會「米國武官の見たる日米未来戦/海軍大佐 廣瀬彦太」(米軍スパイが横須賀海軍工廠に潜入する場面からスタート!)を計800円で購入した後も、丘の上の同店無人販売百均箱から大日本雄辯會「人肉の市/窪田十一」(カバー貼付)コンノ書房「大正会夜話」の二冊を計200円で購入してしまう。あぁ、色々まとめて、古本塗れな面白おかしい一日であった。幸せである。
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今日の嬉しい収穫トップ4。須藤公園の階段にて。
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こちらは木漏れ日の下で、「わんぱく天国」の見開き扉を開いたところ、ページから横須賀の匂いが、如実に流れ出し止まらない!
posted by tokusan at 23:09| Comment(7) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする