2019年12月16日

12/16何だかノンビリ定点観測。

何だか久しぶりに朝からゆっくりノンビリと過ごし、午前十一時に家を出て月曜日恒例の定点観測を行う。今日も慎ましく勇ましく、百均狙いで行こう!荻窪「ささま書店」(2018/08/20参照)では、いつもより静かな店頭棚から三冊。講談社文庫「ホームズ贋作展覧会/各務三郎編」平凡社「シンボーの大学ノート/南伸坊」新潮社「写真師彦馬推理帖 坂本龍馬の写真/伴野朗」を計330円で購入する。「坂本龍馬の写真」は献呈署名入りであった。そのまま街の奥にちょっと入り込み、異様な店名の高級食パン屋の前を通って「藍書店」(2018/12/29参照)へ。こちらは店内の特売棚から、中公文庫「肌色の月/久生十蘭」思索社「鼻行類 新しく発見された哺乳類の構造と生活/ハラルト・シュテンブケ 日高敏隆・羽田節子訳」を計330円で購入する。とても嬉しい生物学論文パロディ「鼻行類」(昭和62年初版)は訳者の高名な画家への献呈署名入りであった。一旦家に戻り、色々済ませてから午後二時過ぎに再び外出し、高円寺へブラブラ。最近気に入っている「DORAMA高円寺庚申通り店」の均一ラックやワゴンを覗き込むと、思ったより本を掴み出してしまう。草思社「共感覚者の驚くべき日常/リチャード・E・シトーウィック」集英社「だからマンガが大好き!」(1982年刊。交流のある漫画家として狩撫麻礼の記事が!)群雄社出版「まんが雑学ゼミナール」ともにさくまあきら、アミューズエデュテインメント「物には心がある。/田中忠三郎」を計407円で購入する。「物には心がある。」は、消え行く生活に密着した民具蒐集に全人生を懸けた民俗学者の名著。こんなところで陽に晒しておくわけにはいかないのだ!と勢い込み、帰り道の『馬橋公園』の池の畔でしばし読み耽る。背びれが滑り止め代わりの鮭皮のブーツ、最高!
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というわけで嬉しい今日の収穫はもちろんこの二冊である。
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2019年12月15日

12/15東京・代田橋 プチニコラ

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所用で正午過ぎに代田橋駅北西にある『和泉仲通り商栄会』という、わりと長〜い地元商店街に足を踏み入れると、なにやら所々で小さなイベントが催されている…これはもしや、商店街のイベント日!そうか、今日は第三日曜なのか。実はかなり以前に、この商店街に古本と玩具のお店があることをタレ込まれたのだが、何時行っても開いておらず、終いにはガラス戸に携帯番号が書かれているだけになってしまったので、これはもう営業していないのでは…と諦めていると、嬉しいことに店主さんからメールをいただき、お店に二時間もいると飽きてしまう故の不定期営業や、メールをして予約すれば開けてくれることや、第三日曜日の商店街のイベント日には午前九時〜午後一時まで確実に開店していることなどを教えてもらっていたのである。タイミングが合わずに、なかなか駆け付けられなかったのだが、まさか今日が第三日曜とは!と所用を少しだけ脇に置くことにして、急ぎ足で商店街を遡上する。駅からは北口から『甲州街道』に出て、歩道橋を渡って西側二本目の道に入り、は北北西にひたすら商店街を500m近く進めば、左手に緑の日除けのお店が見えて来るはずである。…おぉ、店頭に何か出てる。ドアに『OPEN』の札か下げられている。やってるぞ!店頭には様々な物品とともにコミック安売箱が一つ置かれている。主に「進撃の巨人」が詰まっているようだ。ガラス窓から見えるアートブックの棚を一渡り眺め、一時も時間を無駄に出来ぬのですぐさま店内へ進む。すると、犇めく物品と棚のせいで小さな空間となっている店内に立つのは、髭もじゃの山小屋の主のようなオヤジさんで「いらっしゃい」とニコヤカに出迎えてくれた。左右の壁に本棚やラックが並んでいるのだが、その周りや上を覆い尽くすように、ソフビなどの懐かし系オモチャ、アンティーク系オモチャ&人形.フィギュア、その他に細々とした雑貨的物品が置かれたり詰め込まれたり乗っかったりしているのだ。オヤジさんがすかさず「見難くてすみませんね。ちょっと片付けなきゃいけないと思っているんですが…」と照れくさそうに苦笑い。いや、こういうのがまた楽しいんですよ。左は主に美術やアート古本で占められ、右は和洋の絵本&児童文学がズラッと並んでいるようだ。両方とも新しいものから古書までが無秩序に折り混ざり、ちゃんとじっくり掘り返せば、何か出て来るような予感がヒシヒシとこの身に食い込んで来る。だが今は時間がないので素早く焦りながら視線を走らせ、岩波書店「もくたんじどうしゃ もくべえ/渡辺茂男文 岡部冬彦絵」(初版函付き)フレーベル館「幼稚園お話集 上巻/日本幼稚園協会編」を選び出し、値段がないのでオヤジさんに値段を聞く。すると二冊で千五百円ということだったので、謹んで購入させていただく。次は時間のある時に訪れ、ゆっくりと棚も積み上がっている本も掘り出したところである。
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2019年12月14日

12/14「コンコ堂」店頭に黒い花が咲く。

昨日は早めの取材に行くつもりが、仕事の直しでテンヤワンヤ。色々諦め、家を中心に行動すると、行けた古本屋さんは「銀星舎」(2008/10/19参照)のみ。河出文庫「心霊殺人事件/坂口安吾」偕成社「絵本の絵本 魔法おしえます/奥田継夫・作 米倉斉加年」を計650円で購入し、旦那さん店主と少しお話し。すると驚くことに、つい先日お店に空き巣に入られたことを教えられる。幸い閉店後にはレジにお金を入れていなかったので、被害はなかったとのこと。古本は一冊も盗まれていなかったそうである。…うむむむ、不幸中の幸いだが、それにしても許せない!古本屋さんに盗みに入るなんてっ!

そして本日は調布に流れ着いたので、駅北口のビルの間にある「古書円居」(2009/03/02参照)へ。すると店内には何故だかお客さんがたくさんいて、「円居」の知られざる週末の姿を見せつけられる。感心しながら、岩波文庫「鏡花紀行文集/田中励儀編」を400円で購入する。まだまだ古本は買いたいので、京王線快速電車に乗って仙川まで移動。恐らく今年最後の訪問になるであろう「文紀堂書店」(2015/03/31参照)に向かい、戦後史研究会「小説 平事件/磐城四郎」日本旅行協会「旅 No.1 創刊50周年記念特別号付録」を計400円で購入し、その足で路地裏の「石本書店」(2017/07/02参照)へ。創元推理文庫「夜鳥/モーリス・ルヴェル」を100円で購入し、京王線とすぎ丸を乗り継いで阿佐ヶ谷に帰り着く。いつの間にかトワイライトな『旧中杉通り』を歩き、店頭110均棚が入れ替わっていた「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で立ち止まる。すぐさま目に留まったのは、月曜書房「黒い花/梅崎春生」である。昭和二十五年刊の、同名の松竹映画の原作本なので、カバーの写真は久我美子と鶴田浩二だ。これは通常逆立ちしても110円では買えないぜ!とお店にフルフルと感謝しながら喜ばしく購入する。良い古本を安値で買って、今日も日が暮れる…。
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2019年12月12日

12/12阿佐ヶ谷「ゆたか。書房」は来年一月末までお休みに。

昨日は西荻窪近くの松庵に流れ着いてしまったので、駅までヒョコヒョコ軽快に歩き、日曜の『西荻ブックマーク』でお世話になった「古書音羽館」(2009/06/04参照)へ。店頭右側の単行本棚上部で、まずは晩聲社「ぼくのジプシー・ローズ/原芳市」を掴み取るや否や、すぐその下に講談社「ギャグ&ギャグ/石上三登志+今村昭」を見つけたので、大切に抱え込む。“笑い”を引き起こす“ギャグ”という事象を、映画や漫画や小説やCMやテレビなどから集めまくり、考察分析する昭和六十年刊の好著である。店内に進み、帳場の本の壁の中に潜む先輩店員さん(2017/01/30参照)に挨拶しつつ、計600円で購入する。そして美しく黄色に染まった枯れ葉が舞い散る本日は、宮前に流れ着いたので、いつものように辛抱強く歩き続け荻窪に出る。「ささま書店」にブラリと立ち寄り、講談社 長編小説名作全集16「横溝正史」(カバーナシ)未来社「フィルムの裏側で/新藤兼人」を計220円で購入する。「横溝正史」には昭和三十四〜五年の『紀伊國屋書店』の原稿用紙の広告栞が挟まっていたのだが、これがかなり北園克衛っぽいクールなデザイン。
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いや、見れば見るほど北園なのである。北園は紀伊国屋の出していた文化的小冊子「机」の表紙やカットも担当していたし、可能性はかなり高いはずだ。これは大事に取っておこう。そんな楽しい想像に耽りながら阿佐ヶ谷に帰り着くと、おや?「ゆたか。書房」(2008/10/19参照)のシャッターが下ろされ、そこに貼紙が…『都合により一月三一日(金)までお休みします。』とあるではないか。二ヶ月弱の長期休店である。むぅ、いったい何があったんだ。とにかく来年の無事の営業再開を、切に願っております!
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2019年12月11日

12/11古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第五章】

昨日は盛林堂・イレギュラーズとなり、十一月に続き(2019/11/27参照)近々の日下三蔵邸書庫整理へと赴く。午前七時半に西荻窪に馳せ参じ、いつものように盛林堂・小野氏の操る盛林堂号で、およそ一時間半のドライブ。その車内で話のついでに、最近妙に気になってしょうがないフランス映画の『シティーハンター』について、超映画好きの小野氏に聞いてみると、原作への愛に溢れた面白い作品だと教えられる。とここからその話が呼び水となり、延々アニメやマンガの話に終始することとなる。『シティーハンター』『彼氏彼女の事情』『ザンボット3』『FATE』『化物語』『ガンダム』『イデオン』『巨神ゴーグ』『アリオン』『ロスト・ユニバース』『マジンガーZ対暗黒大将軍』『サイバーフォーミュラー』『マクロス』『エウレカセブン』『血界戦線』『キルラキル』『宇宙戦艦ヤマト』『幽々白書』などなど…まぁ九割は小野氏が話しているのだが、私は盛林堂・イレギュラーズなので、そのアニメへの熱い想いを存分に受け止めてあげねばイカンのである。というわけで、現地で無事に日下三蔵氏と合流し、まずは書庫マンションへと向かう。前回盛大に片付けたリビング書庫に入ると、おぉ!大量の文庫とノベルスがすでに仕分けられ右壁際が空き、おまけに大量の組立前カラーボックスが鎮座しているではないか!
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こういう素晴らしい状態だったので、午前中は小野氏がカラーボックスの組み立て、日下氏は仕分けた文庫&ノベルスの堅固な山造りと完成したボックスに本を分類収納ということに。私はと言えば、ほぼ日下氏の助手となり、分類した本を移動させたり、日下氏が棚に収め易いよう、さらに細かく出版社別やジャンル別に下分類する作業に従事する…これでは盛林堂・イレギュラーズというより、日下三蔵・イレギュラーズである…いや、なんでもいたしますよ!と懸命にコマネズミのように忙しく立ち回る。
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そうこうしているうちに、奥の和室の壁際には、物凄い物量の文庫&ノベルス建築が出来上がって行く…スゲェ。
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さらに出来上がり始めたボックスを、リビングの壁際に新たに設置し、そこに「探偵倶楽部」や「探偵実話」やポケミスなどを並べて行く。日下氏が「くそっ、全然ダブらないぞ」とおかしなことを呟いている。
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これはダブらないのが悔しいのではなく、ダブらないと本が減らせないから悔しがっているのである…複雑怪奇だなぁ。とは言ってもやはりダブりは見つかる。クライムクラブの「歯と爪」などは、箱帯付き・帯ナシ・箱ナシの奇怪な三種類のダブりが見つかった…後は箱ナシ帯付きがあれば完璧だな…。
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およそ四時間ぶっ続けで作業し、小野氏は組立と仕分けた本の結束を終わらせ、日下氏は仕分けた本の棚入れまで漕ぎ着けた。三人ともお腹がグゥグゥ鳴ってしまっているので、ひとまず昼食を摂りに街へ。いつものように美味しいお寿司でお腹を満たし、覚悟を決めて後半戦への作業に移る。向かう場所はマンション書庫ではなく、本邸和室書庫。ここに詰まっている本をドカドカと運び出し、だいぶスペースの開いているマンション書庫へ移し替え、本の掘り出しを進めるとともに、本邸の機能復帰の第一歩にするつもりなのである。作業工程はこうだ。まず日下氏が玄関横の駐車場側の窓を外から開け、外から室内に満載の本を掘り出し取り出して行く。それを私が受け取りエッチラオッチラ駐車場へ運び、小野氏が盛林堂号の荷台を利用して短期輸送用に軽めに本を結束するというもの。取りあえずは盛林堂号満載の量まで運び出すことに決める。
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作業を開始してみると、これがなかなかの難物。なにしろ和室に積み重なる本の量が尋常ではないのだ。いくら運び出しても、いくら結束しても、全然進んだ気がしない…ハァハァ、いったいこれはどうなるんだ。結局二時間半作業するが、目算でまだ六分の一くらいしか運び出せていないようだ。それにしても日下氏は「ここはコミックと雑誌しかないんですよ」と言っていたが、大阪圭吉「海底諜報局」(もちろんダブりである)の裸本が出て来るわ、松本零士が挿絵の「宇宙からきたひる」が飛び出すわ、宮敏彦の付録本がたんまり見つかるわ……あぁ恐ろしい。そして薄闇迫る中をマンション書庫に移動し、仕分け済み結束本を外に一旦プールして場所をあけた後、三人リレー方式で素早く運び出して来た本を書庫内に運び入れて行く。相変わらず玄関と廊下が蟻の門渡り状態なので大変だが、ここさえ突破すれば後はスムーズなのである。この作業をおよそ四十分。続いて仕分け済み本を車に積み込み、後はリビング書庫の新棚に、仕分けたノベルスを丁寧に作家五十音に収めて行く作業に突入する。
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その過程で、やはりと言うか当然と言うか、恐ろしいほどのダブり本が次々と発見される、特に東都ミステリー「光の塔」は十冊に迫る勢いである。香山滋の「地球喪失」も三冊…そして新たにまたもやの「歯と爪」がぁ…日下氏がとても嬉しそうなのは、気のせいであろうか。
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いつの間にやら時刻は午後六時半。この時点で三人とも疲弊し、昼間に摂取した寿司エネルギーも使い果たしているのだが、最後に本邸和室書庫に再び向かい、少し調整整理を施して、次回整理の端緒をつけておくことにする。現地作業終了は午後七時半。みなさまお疲れさまでした。夜はいつものように焼肉をジュウジュウ焼いて英気を養い、午後十時半に西荻窪に帰り着き、本を降ろしてようやく作業終了。そんな過酷な作業の本日の報酬は、色々ダブり本をいただいたのだが、一番嬉しかったのは誠文堂新光社「怪奇小説叢書 アメージング・ストーリーズ1」のカバーナシである。
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ちなみに1巻は三冊ダブっていました…。さらに日下氏激推しの創元推理文庫「あなたならどうしますか?/シャーロット・アームストロング」がとても気になる。「これ、スゴく面白いんです。面白いから、見つけると買っちゃうんです」と、とても不思議なことを言われるが、とにかくそんな理由で買われた本なのだから、まずは読んでみることにいたします。さぁ、段々と健全さを取り戻して行く日下三蔵氏の書庫!もう魔窟とは言わせない!作業は来年に続く。
posted by tokusan at 17:02| Comment(9) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月09日

12/9「モンガ堂」の展示と『世界怪奇叢書』。

晴れると思っていたのに、全然晴れなかった月曜日。午後一時に西荻窪北の桃井に流れ着く。それならば「古書西荻 モンガ堂」(2012/09/15参照)に寄らぬ手はない。静かにそっと店内に滑り込むと、企画展示ゾーン越しに座る、帳場のモンガさんが、顔を上げて「おほっ」と声を出す。ちょっとご無沙汰いたしました。店内窓際台と中央棚の一部で開かれている展示は、『個人名のついた『研究会誌』展』である。かわじ・もとたか氏が、長年に渡って古本市などでコツコツコツコツコツコツコツ集め歩いた、研究対象の人物の名が付けられた研究誌や同人誌を、展示販売する地味だが偉大な企画!上林暁・山口瞳・石川啄木・宮澤賢治・魯迅・尾形龜之助・坂口安吾・太宰治・夏目漱石・大塩平八郎・夢野久作・宮武外骨・織田作之助・若山牧水・高村光太郎・半村良、etcetcetc.............。薄く素っ気ない装幀の小冊子ばかりだが、物凄い量だ。
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日本文学関連だけではなく、海外文学や映画関連にも探索の手は及んでいる。おぉ、在野の知られざる英雄たちの手による、いぶし銀に輝く研究成果たち!大いに感心しながら、一瞬、夢野久作の研究誌「夢の久作のごとある」を買ってしまいそうになるが、『お前は研究会誌って柄じゃないだろ!』と脳内で己を叱咤し、我に返って店内を一周。さらに一瞬、戦前の「キンダーブック」復刻版に目を眩まされそうになるが、粘って粘ってかろうじて見破り、玄文社「世界怪奇叢書 聊齋志異/柴田天馬」私家版「講談研究/田邊南鶴」を計千円で購入し、事無きを得る。展示は12/22まで。モンガさん、今年もたくさん良い本をありがとうございました。ちょっと気が早いですが、来年もよろしくお願いいたします。
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大正十三年刊の「聊齋志異」に出会えたのは嬉しい。装幀は水島爾保布である。『世界怪奇叢書』…他にはいったいどんなラインナップが……。
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2019年12月08日

12/8トークと倉田啓明とお知らせ。

朝から夕方のトークの準備をゆっくり進め、基本的に珍しくノンビリと過ごし、午後二時二十分に外出。荻窪までスタスタ歩き、「ささま書店」(2018/08/20参照)で買物する。晶文社「黄色い部屋はいかに改装されたか/都筑道夫」出版芸術社「神津恭介の回想/高木彬光」学研「少年少女ベルヌ科学名作全集NO.9 砂ばくの秘密都市」を計1100円で購入する。そして西荻窪に降り立つと、まず「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に立ち寄り、ある物を受け取る。そして北口方面に向かい、本日の『西荻ブックマーク』会場である『ビリヤード山崎』に到着する。「音羽館」広瀬氏や、いつも頼もしい西荻ブックマークスタッフの姿が見えるが、会場のビリヤード場が開いていない…シャッターには名物店主が同窓会に参加している旨が貼り出されている…もしや、今日のイベントを忘れているのでは、とやきもきする一同。もはや時刻は午後四時に迫ろうとしている。このままではイベントの開催が危ぶまれてしまう!…だがそんなことにはならず、間一髪会場の開場にこぎつけ、大急ぎでセッティングに取りかかる。そんな波乱含みのスタートであったが、今年出来た新古本屋さんや、栃木&熊本古本屋行の物語を、これも頼りになる岡崎武志氏とペラペラベラベラ喋りまくり、あっという間に一時間半を駆け抜ける。あぁ、古本屋さんについてたくさん話せて、楽しかった。会場にお出での皆さま、盟友岡崎武さま、ブックマークの皆さま、本当にありがとうございました。また来年もよろしくお願いいたします!仕事があるので、第二部にも打ち上げにも参加せずに、早々に会場を離脱し、一人帰路に着く。そして家にほど近い路上で、そっと盛林堂で受け取ったブツを取り出す…カバーデザインを担当した、東都我刊我書房「倉田啓明探偵怪作撰 落ちていた青白い運命」である。以前、盛林堂ミステリアス文庫で出た「わが屍に化粧する」の続編とも言える変態探偵小説作品集である。デザインするにあたって、編纂者からの希望があり、それは春陽堂の「モダンTOKIO円舞曲」みたいにというものであった。おぉ、あのポップでモダンでワンダフルなデザインか。というわけで、文字色を明るめで書体も派手にし、地には古いアメリカの都会の写真を使い、収録作品とイメージを組み合わせて行ったら……やはり多少ダークな方面に傾き、なんだか萩原恭次郎の「死刑宣告」側に行ってしまった…だが、これはこれで格好良い!などと相成ったわけである。どうぞみなさま、この新たな可愛いわが子を、何とぞよろしくお願いいたします。いつものように「盛林堂」の店頭や通販や「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)で出会えるはずです。
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そしてお知らせを二つ。
1. そろそろ発売になる「本の雑誌 初夢二度寝号」連載の『毎日でも通いたい古本屋さん』では、高円寺のアナーキー古本屋「アニマル洋子」に突撃!意外な正統派な児童文学を購入しておりますので、楽しいお店の描写とともにお楽しみ下さい。
2. 12/10(火)発売の「週刊朝日」に『最後の読書』という選書エッセイを寄稿しました。とは言っても、ちょっと得体の知れぬものになっており、またそこに描写されたある行動も、なんだかわからないものに拍車を掛けている始末…いや、まったくの実話なのですが、みなさま、それを読んでも決して呆れずに、今までと変わらず『古本屋ツアー・イン・ジャパン』のご愛顧を、何とぞよろしくお願いいたします!
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2019年12月07日

12/7訳アリ「百怪」我ガ手二落チル。

過酷な寒さに震えながら高円寺北に流れ着いたので、古本に体温を回復してもらおうと「西部古書会館」に飛び込み「歳末・赤札市」(12/8まで)を覗く。古本と通路を回遊する古本修羅たちの温度を奪いながら、春陽堂文庫「宵待草/武田麟太郎」(帯・元パラ、扉に蔵印アリ)を200円で購入する。こんなものがまだ表の文庫台に転がっているとは…。ようやく温もりを取り戻した身体を再び冷気に晒し、『庚申通り』のちょっと最近楽しみになって来ている「ドラマ高円寺庚申通り店」の店頭100均古本ワゴン前で足を停める。雨除けビニールシート越しに歪んだ背文字を追い続け、朝日新聞社「あの季 この季/岸田今日子」を110円で購入する。そして最後にたどり着いたのは、毎度お馴染み「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)。店頭安売棚を慈しむように眺め、まずは岩崎書店「蟻の國探險記 ケンリー博物記/ジュリー・クロッソン・ケンリー」を取り出す。自然科学児童文学であるが、人間が蟻サイズになり、蟻の暮らしを追いかける、半SFスタイルな作風が面白い。さらに棚を見続ける…そして左端までたどり着き、下の大判本から次第に視線を上昇させ、50均文庫…最上段に乗るまたもやの大判本…と追いかける。その瞬間、心臓がドギンと跳ね上がり、己の眼を疑いまくる本が視界に入る。三一書房「百怪、我ガ腸ニ入ル 竹中英太郎作品譜」である。この本が店頭に並ぶ光景に驚愕し、脳内に“?”マークをポンポン浮かべながら慌てて手にする。裏表紙に貼られた値札ラベルを確認すると、500円。続いてパラパラと捲って行くと、後半ページに入るに従い、ページの下部の動きがゴワゴワとし始める…そうか、水濡れ本なのか。良く見ると表紙のトレペ素材も、下部がシワシワとなっている。だが、ページはツヤツヤのアート紙なのにくっ付いたりしていないし、そこまで甚大な被害を被っていない。ならばこれが500円は絶対に安い!迷う必要なんか、絶対にない!と早速小脇に抱えて店内に突入し、「蟻の國探險記」とともに計600円で購入する。あぁ、興奮した。おかげでさらに身体が温まった。いつも素敵な古本をありがとう、「古書サンカクヤマ」!
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2019年12月06日

12/6寄り道した「ブックオフ」が収穫だった。

ひとつの仕事が大詰めを迎えており、そのため午後三時の入稿までは、いつ何時どんなことが起きても対処できるよう、待機していなければならない……だが、いくら待っても連絡は来ない…ついに入稿時間を過ぎても、何の連絡も入らない…いったいどうなっているんだ!仕事が終わり次第、外に飛び出し、ある一つの所用を片付けねばならないのだが…というわけで、思い切って仕事相手に外出するメールを入れ、身支度をしてから寒い冷たい表に飛び出す。そして高田馬場で所用をこなし、こういう状況なのですぐに帰らなければならないのだが、坂の下に足が自然と向いてしまい、神田川を越えて「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に寄り道する。当然向かうは奥の奥の古書コーナー。ほっほぅ、現在は八十年代のサブカルチャー・ポップカルチャーとその周辺が充実しているようだ。傾向が似ているので、誰かの蔵書が流れ込んだ感じである。赤瀬川原平・嵐山光三郎・南伸坊・高平哲郎・日比野克彦・糸井重里・タモリ・草森伸一・坂本龍一・サディスティックミカバンド…もちろん良書や珍しい本にはしっかりとした値段が付けられているので、こちらは嘴で地面を掘り返すように、どうにか隙を探して行く。結果、計五冊が手の中に。架空社「スターコレクター/たむらしげる」秋元書房「いもうと/ハートウェル 田中小実昌訳」話の特集「怪人ジャガイモ男・トンカチおじさん/長新太」「サルサ天国/河村要助」美術出版社「イラストレーション」を計1810円で購入する。今年六月に』逝去したイラストレーター・河村要助の「サルサ天国」とまさか330円で出会えるとは!そして「スターコレクター」は16枚の絵葉書で出来た本なのだが、ちゃんと完品!寄り道した甲斐があったというものだ。さぁ、早く家に帰って、お仕事に復帰しよう。
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そしていよいよ二日後に迫った『西荻ブックマーク』ダブルヘッダー。まだまだ楽しい古本屋話と和田誠を追悼するお席が残っていますので、もういい加減覚悟を決めてご参加下さいませ!日曜日は古本屋巡りの後、『西荻ブックマーク』へどうぞ!

★第102回 西荻ブックマーク:《2019年・古本屋を語りつくそう!》
■出演 : 岡崎武志×小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■日時:2019年12月8日(日曜日)
■開場:16時30分
■開演:17時
■会場:ビリヤード山崎 2階(杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
■料金:1,000円 (要ご予約) 
☆☆【まとめておトク!】 第102回と103回、両方お申込なら⇒2500円が2000円となります。
■定員:40名
■イベントご案内 : お待たせいたしました! 久方ぶりの西荻ブックマーク102回目は、岡崎×古ツア・コンビ 恒例のイベントです。九州古本屋紀行や栃木の吉本書店来訪など、2人の珍道中を画像と共に振り返り、今年も古本屋を語りつくします。

★第103回 西荻ブックマーク:《ぼくたちの大好きだった和田誠さん》
■出演 : 土井章史 (トムズボックス)×野崎雅彦(ロスパペロテス)×岡崎武志(司会)
■日時:2019年12月8日(日曜日)
■開場:18 時45分
■開演:19時(終演21時予定)
■会場:ビリヤード山崎 2階(杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
■料金:1,500円 (要ご予約)
☆☆【まとめておトク!】 第102回と103回、両方お申込なら⇒2500円が2000円となります。
■定員:40名
■イベントご案内 :惜しくも10月7日に83歳で亡くなられた和田誠さん。生前、親交のあったお二人、トムズボックスの土井さんと、代々木上原の古書店、ロスパペロテス店主の野崎さんをお迎えし、和田さんと和田さんの遺した作品について大いに語っていただきます。司会は自他共に認める和田フリークの岡崎武志さんにお願いいたしました。

※お申し込みは西荻ブックマークHP(http://nishiogi-bookmark.org/)からどうぞ!
古書 音羽館TEL &FAX 03-5382-1587
167-0042 杉並区西荻北3-13-7
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2019年12月04日

12/4夜の「ネオ書房」で付録本を。

夕暮れ時に東小金井に流れ着いたので、まずは「尾花屋」(2017/06/15参照)に足を向ける。段々と明度が落ちる店頭で安売棚とにらめっこをし、報知新聞社「アナおもしろ記 マイク武者修行/越智正典」を200円で購入する。良く見ると店内には珍しくそこかしこに本束が積み上がっている。催事用だろうか…。続いて東小金井駅に向かいがてら、「BOOK・ノーム」(2009/02/13参照)の店内の灯りに照らし出された店頭台も覗き込む…台の端っこから六月社書房「仁鶴の鼻ちょうちん/笑福亭仁鶴」(修業時代に月亭可朝と桂文世と結成した『ザ・ルンペンズ』があまりにも本格派なビジュアルで壮絶。ドンゴロスを服の代わりにを着ているわ、ベルト代わりに荒縄を巻いているわ…)を引っ張り出し、相変わらずの丁寧な接客を受け100円で購入する。ガタゴト阿佐ヶ谷に戻ってからは、帰り道の夜の「ネオ書房」(2019/08/11参照)。立ち寄るのはちょっと久しぶり。…あぁ、科学絵本「恐竜の世界」…おっ、「オバケちゃん」が箱ナシで…二千円か……むぅ、付録本に新しいものが補充されているな。小学館 小学五年生 昭和五十年2月号ふろく「新難問 推理クイズブック」は構成が山村正夫だ。学研 5年の学習1971年7月 第2学習教材「5年生文庫シリーズ4 快盗セントの冒険/レスリー・チャータリス」は加納一朗訳だ。というわけでこの二冊を計875円で購入する。いつも良い付録本を安値でありがとう「ネオ書房」!
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そんな風にして家に帰り着くと、「股旅堂」さん(2018/10/01参照)から新しい目録が届いていた。今回の巻頭特集は『或る愛書家秘蔵の地下本一挙大放出!!』。四列の古本山写真やレアな書影とともに、“発行年不明”と言う文字が大量に並んでしまっているのが壮観である。…地下本だもんなぁ。
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2019年12月03日

12/3二冊目の中学生新書。

仕事が錯綜し、てんてこ舞いの日々である。ありがたいことだが、おかげであまり自由に動けない…それでも昨日は雨の中を荻窪「ささま書店」(2018/08/20参照)までいつものように歩き、彌生書房「野田英夫スケッチブック/漥島誠一郎」朝日新聞社「私は国宝修理者/岩崎友吉」を計220円で購入する。そして夕方に中野に出たついでに、「ブックオフ中野早稲田通店」で中央公論社「雨月荘殺人事件/和久俊峻三」を550円で購入する。この本、第四十二回日本推理作家協会賞受賞作なのだが、B5サイズの鬼気迫る造本が本当に痺れる。頑丈な箱の中に収まっているのは、『公判調書ミステリー』と銘打った二冊の本で、一冊は薄手の元裁判官による市民セミナーの講義をまとめたもので、もう一冊は分厚い正式の書式に則った裁判記録のテキストである。つまり市民セミナーに参加する形で講義の指示に従い、裁判記録を読み進める形で物語が進んで行く、とても風変わりな、ちょっとゲームブックっぽい推理小説なのである。…すげぇ…クレイジーだ…スゴ過ぎる…調書を読んでると眠くなって来そうだ…。
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本日は色々ひとまず片付けてから、新鮮な古本を抱えて一瞬西荻窪に逃避する。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の「フォニャルフ」棚を結構入れ替え、自己満足に浸る。そして先月の売り上げを受け取ると、なんだか無性にとびっきりの古本が買いたくなって来た!悩みに悩んで選んだのは、小学館 中学生の友昭和三十一年七月号付録「中学生の友新書4 探偵小説 夜光魔人/大下宇陀児」。本としては高いのだが、この類いの本にしてはお安めの3500円で購入する。うううううう、溜まった仕事の憂さがちょっぴり晴れた!この『中学生新書』、すでに乱歩の「幽霊塔」を所持しているが、揃えようとしたら他には黒沼健の「ラドンの誕生」や「遊星人現わる」などのド難関が立ち塞がる、恐ろしいシリーズである…いや、どこかで安いのを見つけぬ限り、俺には無理だな…。
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家に帰ってからは、大阪の古本の動きが活発なので、新たに三十冊ほど古本を送る。数日したら、大阪梅田ルクアイーレ9階の「梅田蔦屋書店」古書棚に並び始めることでしょう。いつものようにおかしな本を集めていますが、中でも谷口ジローの超初期作の学習児童漫画(谷口治郎名義)は見物ですよ!
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2019年12月01日

12/1仕事に追われながらちょっとだけ“古本軍艦”について考えると…。

昨日はいつもの如く三鷹に流れ着いてしまったので、まずはいつでも大好き「りんてん舎」(2019/03/30参照)に向かい、筑摩書店「いまやアクションあるのみ!/赤瀬川原平」ミリオン出版「満月変/吉田カツ」を計330円で購入する。続いて三鷹駅前のデカいビルの足元を縫って「水中書店」(2014/01/18参照)へ。双葉文庫「怪談と名刀/本堂平四郎」鹿島出版会「新しい都市づくり/今野博・北野道彦」新劇人会議「築地小劇場から六十年」を計450円で購入する。「新しい都市づくり」は昭和四十三年刊で、鹿島出版会が出していた『少年の科学』というシリーズ物の一冊。挟み込まれた広告を見ると全8巻で、他に「超高層ビルのあけぼの」「世界を結ぶ国際空港」「地下鉄とモノレール」「世紀の海底トンネル」「日本縦貫ハイウェイ」「世界一の新幹線」「アルプスにダムができる」などがあり、建築や土木や都市のインフラに特化した、かなりマニアックな少年科学シリーズであることが見て取れる。さすがは鹿島建設!

というわけでもはや年末である。いつのまにか師走に突入してしまっている。なので突然スケジュールが歪んで縮んだ仕事がいくつか舞い込み、テンヤワンヤとなる…おかげで今日は、古本屋さんには行けない、悲しい状況に陥ってしまう。それでも手を必死に動かしながら、時間をグイグイと押しつぶす仕事を必死に進めて行く。こんな時、基本的に脳内はしっかりと90%は仕事のことばかり考えているのだが、残りの10%はいつも古本に関することを考えてしまっている…もう、一生古本から逃れることは出来ないのだろうな…。そんな10%の中に、この間日下氏邸でとことん整理した、“古本軍艦”についてが含まれていた。よくもあの巨大で様々なモノから成っていた軍艦を、スッキリとあんなに片付けられたものだ。人間やれば出来るものなのだな…などと思いつつ、チラリと仕事部屋で右後に視線を送る、そこにあるのは、我が家の“古本ミニ軍艦”である。
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主に文庫本で構成されているのだが、下層や奥の部分には、遥か昔に買った本や、デザイン仕事で献本された本が固まっているはずだ。とは言っても、古本市などがある度に、何か面白い本は眠っていないだろうかと頻繁に掘り出しているので、面白そうな本はだいぶ少なくなり、残り滓のような島になりつつある。そこに今でも買い続けている古本を、選別した後ドカドカ載せているので、何だかただの大きな古本載せ台と化してしまっているかのようである。これは、そろそろいい加減片付けた方が良いのかもしれない…いや、かもしれないではなく、その方が良いに決まっている。だが、人の軍艦と言うか、仕事なら面倒くささも厭わずに、ガンガン軍艦と力任せに対峙することが出来るのだが、いざ自分の軍艦を片付けようとなると、ただ面倒くさいだけになってしまう。まず、作業をする場所を確保するのが難しい。ウチでは、仕事部屋が余りにも古本に侵食されているン度絵、軍艦を切り崩した後は、それらを台所まで移動させ、選別作業などを行わねばならぬのだ…あぁ、考えただけで面倒くさくなってくる。だが、仕事の手を休め、少し試しに切り崩してみるか。そんな風に気まぐれに決めて、ちょっといつもはあまり手を出さない、机近くの一部を切り崩して行く…ゼイゼイ息を荒げながら、下の下まで…ありゃ?何だ?この大きい函入り本は……ズルズルと引き出してみると、あぁぁぁぁぁっ、こんなところに隠れていたのかっ!学陽書房「考現學採集/今和次郎・吉田謙吉」の復刻版!ごめんよ、ごめんよ。こんな下に積んでおいて、忘れていたなんて。お詫びに今からちょっと、片付けも仕事もおっ放り出して、早速読むことにするよ。あぁ、嬉しいなぁ。まさかこんな本がまだ見つかるなんて…。
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さて、実は一週間後に迫ってしまった『西荻ブックマーク』。まだまだお席はありますので、どうか、奮ってご参加いただければ、嬉しい限りです。今年も色々なことがあった古本屋さんについて、古本神・岡崎武志氏と喋って喋って喋りまくります!

★第102回 西荻ブックマーク:《2019年・古本屋を語りつくそう!》
■出演 : 岡崎武志×小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■日時:2019年12月8日(日曜日)
■開場:16時30分
■開演:17時
■会場:ビリヤード山崎 2階(杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
■料金:1,000円 (要ご予約) 
☆☆【まとめておトク!】 第102回と103回、両方お申込なら⇒2500円が2000円となります。
■定員:40名
■イベントご案内 : お待たせいたしました! 久方ぶりの西荻ブックマーク102回目は、岡崎×古ツア・コンビ 恒例のイベントです。九州古本屋紀行や栃木の吉本書店来訪など、2人の珍道中を画像と共に振り返り、今年も古本屋を語りつくします。

★第103回 西荻ブックマーク:《ぼくたちの大好きだった和田誠さん》
■出演 : 土井章史 (トムズボックス)×野崎雅彦(ロスパペロテス)×岡崎武志(司会)
■日時:2019年12月8日(日曜日)
■開場:18 時45分
■開演:19時(終演21時予定)
■会場:ビリヤード山崎 2階(杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
■料金:1,500円 (要ご予約)
☆☆【まとめておトク!】 第102回と103回、両方お申込なら⇒2500円が2000円となります。
■定員:40名
■イベントご案内 :惜しくも10月7日に83歳で亡くなられた和田誠さん。生前、親交のあったお二人、トムズボックスの土井さんと、代々木上原の古書店、ロスパペロテス店主の野崎さんをお迎えし、和田さんと和田さんの遺した作品について大いに語っていただきます。司会は自他共に認める和田フリークの岡崎武志さんにお願いいたしました。

※お申し込みは西荻ブックマークHP(http://nishiogi-bookmark.org/)からどうぞ!
古書 音羽館TEL &FAX 03-5382-1587
167-0042 杉並区西荻北3-13-7
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2019年11月29日

11/29気晴らしに顎十郎を。

寒い寒い金曜日。朝からゲラを読んだり原稿の準備をしたりと、ゆるゆると冷血動物のように働く。午後、陽が照ってもまったく温まらない外に出て、気晴らしに高円寺へ向かう。「西部古書会館」では、12/1まで続く「西部展」が始まっていた。すでに午後なのでギュウギュウと言う感じではないが、それでもお客さんは多く、本棚の間に灰色の活気がモワモワと漲っている。今回の棚造りは、どこも茶色い古書が多めなので、個人的にとても好ましい。ついつい、古く手擦れた見難い背文字を読むのに、懸命になってしまう。ちょっと見て行くだけのつもりが、一時間弱かけて、隅から隅までズズイッと見る羽目に陥る。だが、そのかけた時間に反比例して手にした本は二冊だけ。牧羊社「戯曲 黒蜥蜴/三島由紀夫」(ついこの間も300円で買ったばかりだが(2019/09/13参照)、これも300円なら迷わず買うよ)岩谷書店「顎十郎捕物帳/久生十蘭」を計600円で購入する。「顎十郎捕物帳」は紙テープで補強が施されているが、これも300円なら文句ナシ!良い本が安く買えたので、束の間の気晴らしに見切りをつけて、そそくさと帰宅する。
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表紙絵の仙波阿古十郎は、まさにこれぞ顎十郎!見事なお仕事である。誰が描いたんだろう。
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2019年11月28日

11/28雨の二日間。

昨日も雨に祟られながら、世田谷の粕谷という街に流れ着く…ほぅ、『世田谷文学館』が近くにあるぞ。と行ってみると『小松左京「D計画」展』がやっていたので、フラフラとチケット買い、観覧してしまう。「日本沈没」を多角から見直した壮大な展示が核となっているが、様々な作品の構想やプロットもキラキラと光っている。中でも化学式が羅列されている「日本アパッチ族」の構想ノートが興味深く嬉しい。さらには歴代の飼い猫の写真を飾った小部屋に身悶えしてしまう。
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また一階の展示場では『「新青年」と世田谷ゆかりの作家たち』が開かれており、どちらかと言うと、こちらの方に全神経を傾けてしまう。横溝正史を中心として、小栗虫太郎&海野十三との友情がにじみ出る展示である。竹中英太郎の『鬼火』の挿絵は魂が無条件で震えるなぁ。横溝のトンビコートが!「黒死館殺人事件」の原稿&草稿&元本が!などと大興奮。全12ページのリーフレットも手に入れる。

本日も雨に祟られながら下連雀に流れ着いたので、そのまま吉祥寺に出る。そして「一日」(2017/08/11参照)へ。この間から、柳原良平の装幀した本やイラストを担当した本が大量に出されているのだが、その中から前回見かけなかった二冊を抜き取る。三笠書房「セクシー経済学/岡部寛之」文藝春秋社「はぐれ念佛/寺内大吉」を計660円で購入する。
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「はぐれ念佛」は実は柳原良平の装幀。再版だが帯付きで、見返しを見ると何と献呈署名入りであった!やりましたよ、おっかさん!
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また、店内の帳場前には大量の「洋酒天国」が並べられており、デッドストックのように同じ号が複数冊ズラズラズラリ!で550円均一!だが残念ながら探し求めている『SF特集』は含まれていなかった…。

そして家に帰ると、一冊の本が届けられていた。日本古書通信社「東北の古本屋/折付桂子」である。古書通信社の編集者・折付さんが、「古通」に不定期に掲載していた、東北の古本屋さんにスポットを当て、大型バイクで颯爽と駆け巡り取材しまくった記事を、一冊にまとめたものである。前半は詳細な岩手・宮城・山形・青森・秋田・福島の古本屋案内(ただし古書組合員のみ)で、後半は東日本大震災と古本屋の関わりを描いたルポである。これは本当に素晴らしい本。大事に読まさせていただきます!
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2019年11月27日

11/27古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第四章】

すでに昨日のことである。盛林堂・イレギュラーズとして、まだシャッターの上がっていない西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)店頭に、午前七時半に立つ。およそ一年ぶりの日下三蔵氏邸の片付けに、うんとこやっとこ駆り出されるのである。程なくして、今日のハードワークのために昨晩の飲みを控え目に抑えた盛林堂・小野氏が現れ、ともに備品を抱えて盛林堂号の待つ駐車場へ向かう。その途中、二人とも同じ衣料量販店の同色同タイプパーカーを着ていることが判明し、期せずしてペアルックであることを認識する…まぁ、今日これが盛林堂の仕事ユニフォームということで…お互いにそうムリヤリ納得し、盛林堂号に乗り込み、いざ神奈川県某所へ。時々降る小雨と、強い風の中を突っ切り、一般道路と自動車道路を疾走して、およそ一時間半で目的地着…予想以上にスムーズだったので、ちょっと早く着いてしまった…というわけでマックで少し休憩した後、頃合いを見計らい日下氏に連絡を入れる。すると今日は本邸には寄らずに、直接マンション書庫を目指すことに決まる。数十分後、コンビの駐車場で日下氏と合流。書庫と同道する。一年ぶりのご対面である。あの通路を開通し、奥の和室まで片付けた魔窟と書庫の中間のような空間は、いったいどうなっているのだろうか…。「さぁどうぞ〜」。日下氏が鉄扉を開き、資料が詰まった紙袋をドアストッパーにし、招き入れてくれる。玄関&廊下は相変わらずの本棚と古本と紙袋とCD類の怒濤のがぶり寄りで、峻嶮な激狭通路となっている。おまけに、古本を詰めた新しい紙袋が通路に置かれ、所々跨ぎ越さなければ先へ進めぬ箇所が頻発する。だがそこを抜ければ、通路はちゃんと開通したままで、奥の和室までたどり着ける状態を、しっかりとキープしていたのである。所々新たな不安定コミックタワー&古本タワーが建立されているが、これはスゴいですよ、日下さん。感心しながら、まずは和室に残っていたブラウン管テレビを搬出する。そして本日のメイン作業は、リビングルーム書庫の中央にドでかく横たわり積み上がっている、巨大古本軍艦島を整理し、新通路をもう一本開通させること。だが一見したところ、絶望的な乱雑さと高さが、困難な作業を予想させる。
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聞けばこの上に乗り過ぎた資料袋やコミック山の崩れを退ければ、下部は文庫やノベルスで埋め尽くされているとのこと。「だから大したものはありませんよ」…日下氏は宣う。いや、絶対にそんなことはない。きっとスゴい何かが、忘れ去られて埋もれているはずだ!小野氏とともにそう信じて、早速決死の作業に取りかかる。まずは私が上に乗ったものを、下ろしたり引きずり出したりして、それを日下氏と小野氏がある程度仕分けた後、和室に逃がすことに決まる。身体と腕を必死に伸ばしまくり、上部をズルズルと崩して行く…パンパンの紙袋がすべて重い…引っ張ろうとした途端にプツンと紙の持ち手が切れ、閉口すること頻り。くぬやろ、くぬやろととにかく引き摺り下ろし、島の高度を低くして行く…人間やれば出来るものである。小一時間ほどの奮闘で、外郭の高度は危うくキープされてしまっているが、とにかく中央付近はへこみ、次第に奥の廊下も見透しが利くようになってきた。…おぉ、ついに下層から文庫の山が出現し始めた。本当に文庫やノベルスが、。けっこうしっかり積み上がり、土台を成していたのだ。ここで小野氏とバトンタッチし、氏が版型を揃えて文庫やノベルスを詰み直し、島を掘り進んで行くことになる。何故か簀子も発掘される…。
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私の次のミッションは、文庫を和室に控える日下氏に運び続け、必要・不必要の仕分けをひたすら促して行く作業となる。というわけで、文庫束を島からひっぺがし、働き蟻のように日下氏に文庫をお届けして行く。日下氏は「むぅ」「これは」「あぁ」「こんなものが」「上下が揃った」「ダブってる!」などと様々な叫び声を上げ、文庫本と楽しく格闘している。その間に、掘削作業に従事する小野氏も、奇妙な叫び声を上げることが増えて来た。「やっぱりスゴいのあるじゃん」「大倉Y子の『踊る影絵』が!」「佐藤有文「骨なし村」ぁ〜〜〜〜」「あまとりあのエロチック・ミステリーが大変なことに。ほら」。
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うひゃぁ、こりゃあ“あまとりあロイヤル・ストレート・フラッシュ”じゃないか!…やっぱり物凄い本が続々と発掘される、古本の底無し沼、日下三蔵邸…。などとやっていると、小野氏が興奮して掘り進め過ぎ、島の外郭の一部が崩れて雪崩落ちて来た。すかさず奥から現れた日下氏が、積み上がっていた一冊のコミックを掴み、こちらに向かって突き出した。手塚治虫の「落盤」である。「ハハハハハ、ここにちょうどあったんですよ。アハハハハハ」…このように、楽しく作業は進んで行く。
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さらに二冊のダブりを含む「新青年」付録の久生十蘭訳本束が発掘される。「え〜、ダブってるんじゃないでしょ。もう一冊は付録じゃなくて博文館文庫でしょ」と日下氏、小野氏から受け取りよく見てみると、これが見事にすべて付録本。ダブりは「ルレタビーユ」と「第二フアントマ」である。「何でだろ、なんで買ってんだろ…しょうがない。ダブりだから今日のお礼に小山さんに差し上げます」と、あっさりと今日の報酬が決定する。やったぁ!こりゃ嬉しい。お土産本が決まったので、奮起して作業を継続する。いつの間にかかなり掘り進み、段々と整理整頓が行き届くようになって来た。
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結局三人とも四時間余りを、ぶっ続けで作業。午後二時に休憩を入れ、車で街に出て、美味しいお寿司で栄養補給する。午後三時過ぎに書庫に戻り、しばらく小野氏は文庫の結束作業に入る。その間に、島の再建築作業を進め、結束が終わったら、エッチラオッチラと玄関外に本を運び出したりする。またもや作業にひたすら没頭。ようやく通路が開通し、。人が完全に書庫内で行き違えるようなった。台所側からも、リブング側からも廊下に出られるぞ!大きな軍艦島は三つに分離され、右壁下と台所壁周りと、周囲の棚下に低層に固められることになった
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。おぉ、更にスッキリ!日下氏も疲弊しまくりながら仕分けを続け、およそ六百冊ほどの不要本を捻出する。…気がつけば午後六時過ぎ。すっきりしたリビングを日下氏に見てもらい、「もうパーティーが出来ますよ」「ここで寝られますよ。大の字になれますよ!」などと報告する。すると日下氏が本当に通路に笑顔で大の字になってくれた。「あはははっは。こりゃスゴい」と言いつつも、その光景は完全に『古本殺人事件』と呼ばれるような、とても不可思議な光景であった…。
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あぁ、それにしても疲れた。だがお土産に件の二冊をいただき、さらに日下氏が編集したハルキ文庫「敗北への凱旋/連城三紀彦」ちくま文庫「紙の罠/都筑道夫」(名作面白日活映画『危いことなら銭なる!』の原作だ!)もいただき、ちょっと元気になる。その後書庫を離れ、夜の焼肉屋で肉をたらふくご馳走になり、かなり元気を取り戻して午後十時半には帰京する。大変におつかれさまでした。…実はこの作業の続き、近々にも行われる予定なのである。次回はいったいどうなることやら…。
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posted by tokusan at 18:15| Comment(2) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月25日

11/25荻窪で荷物を重くする。

月曜恒例の定点観測を行ってから、神保町に出る心積もりで家を出る。まずはいつもと違って少し遅めの、午後一時前の「ささま書店」(2018/08/20参照)。一本の店頭棚の前に自転車が停められてしまっている。ヒドいことするなぁ、と思いながら、仕方なしに自転車越しに本をチェック。創元SF文庫「グリンプス/ルイス・シャイナー」河出書房新社「日本の名探偵/横溝正史編」を計220円で購入する。すると店内で善渡爾宗衛氏にバッタリ。すぐさま表に連れ出され、えでぃしおん うみのほし「新編 左川ちか詩集 幻の家/編纂 紫門あさを」を献本していただく。もはや品切れとなっている「前奏曲」を、新たなつくりで編んだもの。モダニズムの幽霊、再び!といったところである。氏と別れ「藍書店」(2018/12/29参照)に密やかに足を向けると、店頭棚に分厚い国書刊行会 ブラックマスクの世界「忘れられたヒーローたち」「異色作品集」ともに小鷹信光編が輝いていたので、ガバッとつかんで計660円で購入する…突然荷物が重たくなってしまった…。そうだ、この時間なら「竹陽書房」(2008/08/23参照)もすでに開店しているはずだ。定点観測して行こう。そう決めて線路沿いの西側まで足を延ばすと、ドアは開け放たれているが、まだ店頭台がセッティングされていないようだ。しばらく遠目にお店の様子をうかがっていると、まず店主がよっこらしょっと重い店頭台を狭い通路から引き出して店頭に据え付けた。その後は奥さまが細々と均一本を運び出し、台に並べて行く…頃合いを見計らって台に近付くと、もう奥さまは十往復近く店内と店頭を行ったり来たりしているのに、まだ並べ終わらない模様。またまた本を持って来た奥さまと台の前で鉢合わせ、「こんにちは〜」と優しく挨拶される。まだまだ本を出すようなので、店内に入り、奥さまの動線を邪魔せぬよう、棚にじっくり視線を注いで行く。そのうちに奥さまも帳場内に落ち着いた。パシフィカ「シャーロック・ホームズのライヴァルたち/中島河太郎+押川曠編」建設社「泰西玩具圖史/有坂興太郎編」(函ナシ)を計600円で購入する。この時、机に置かれた三冊ほどの本を指し示し「これ、表に出す本ですが、気になる本ありますか?」と聞かれる。笑ってその中にはめぼしい本が見当たらないことを告げる。あぁ、この時点で荷物がスゴく重くなってしまった…早々に神保町に出ることを諦め、季節外れの暖かな日射しに癒されながら、テクテク住宅街を歩いて帰宅する。
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「泰西玩具圖史」は昭和七年刊の、西洋の玩具(主に人形)を紀元前から十九世紀まで網羅した労作である。“圖史”と銘打っているだけあって、318枚のグラビア写真が掲載されている。おぉ!自動人形の玩具もあるぞ!あっ!巻末広告には、今和次郎・吉田謙吉「孝現學採集」が!
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posted by tokusan at 16:09| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月24日

11/24「恐怖島」がやって来た!

しつこい雨に祟られながら、すっかり暗くなった午後五時に柳沢に流れ着く。西武新宿線駅に向かおうと『新青梅街道』を歩いていると、毒々しく節操のないきらびやかな灯りが目に飛び込んで来た。
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そうか、「エーワンブック保谷店」か(2011/03/03参照)!実に八年八ヶ月ぶりの再会である。窓枠にはイルミネーションが鮮やかに輝き、『令和最初のBIG SALE』『令和キャンペーン開催中』などの威勢のよい文字が踊っている。店頭に今出ているのは雑誌ラックのみ。だが店内へ進むと、古本ゾーンがしっかり健在なのが見て取れる。通路にずいぶん本が横積みされているなぁ…と思いつつ、雑本&新本的棚を見回して行く。先客に文化系カップルがおり、濁声のオヤジさんと楽しそうに値段交渉などしている。上の棚より横積み本に目を凝らし、講談社現代新書「夜の画家たち 表現主義の芸術/坂崎乙郎」を百円で購入する。

そして家に帰ると、嬉しい嬉しい久しぶりのヤフオク落札本が待ってくれていた。東方社「怪奇探偵長編小説 恐怖島/香山滋」である。何故かライバル出現せず、自主的上限の五千円で落札する。最初見かけたときは、国書刊行会の復刻本では?と下衆の勘繰りをしてしまったのだが、つぶさに見て行くと、間違いなく東方社のオリジナル本なのであった。色々経年の傷みはあるようだが、それでも五千円は激安!このまま誰も入札するな!と願っていたら、その通りに無事に落札出来たのである。いやぁ、本を手にしていると、ついついニヤニヤしちゃうなぁ。物語は秘境探検家・人見十吉が活躍する香山作品人気のシリーズである。とは言っても、読み始めると、いきなり人見が囚われの身に!それなのに美女と相変わらずイチャイチャ!人見がアステカ族王朝の末裔だって!?恐怖島に棲みつく、五百万年前の水棲恐龍!その恐怖島は、アトランティスの遺跡島!などなど、早速生物学的に探検的にロマンティックに、香山の筆はフルスロットル!…あぁ、この本は昭和三十年刊だから、中野区大和町ではなく、晩年の住処、田無で書かれたものか。田無と言えばまさに先ほどまで居た場所なのである。勝手に様々な因縁を感じつつ、ビールを飲みながら怪奇探偵長編小説を楽しくワクワク読み耽る。
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posted by tokusan at 19:07| Comment(2) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月22日

11/22コミさん求めて雨の中。

昼食後、少しダラダラしながら、横浜方面に出向こうかと考えるが、本降りの雨とあまりの寒さに、なかなか腰が上がらない。ついつい芳賀書店「映画宝庫 oh!我らがB級映画」を楽しく読んで過ごしてしまう。グラビアも論考も対談も、とても作り込んである素敵なムックである。中でも田中小実昌の『ぼくのB級映画館地図』が抜群に面白く、強く感銘を受けてしまう。コミさんが通い詰める、1977年当時の東京周辺の二番館・三番館・名画座を、写真付きで、当時上映の映画とともに紹介しまくっているのだ。これは、場末の映画館から東京という都会に切り込む、立派なフィールドワークである。う〜む、面白い、面白い!と唸りながら、時に笑いながら、あっという間に十一ページを読み終えてしまう。途端に面白さの飢餓感に襲われる…コミさんの書いた場末の映画館について、もっと読みたい、もっと知りたい。…とその時、頭の中に何かモヤンとした引っ掛かりが漠然と立ち上がる…そう言えば、ついこの間「古書現世」(2009/04/04参照)で見かけたコミさんの本って、映画館の本じゃなかったっけ………こ、これは今直ぐ確かめに行かねば!ガバと跳ね起きて、横浜への思いを振り払い、高速で身支度を済ませ、寒い表に元気よく飛び出す。やはり予想以上の寒さで、開いた傘には硬い雨音が弾け続ける。だがそんなことには構わずに、歩いて電車に乗って早稲田に急行する。確かあの本、棚に面陳されていたはずだ。売れていなければよいのだが…そんな風に気を焦らせ、たちまち「古書現世」に到着。傘をすぼめて店内に滑り込み、素早く棚にバババと視線を走らせて行く…あ、あった。よかった。早川書房「コミマサ・シネマツアー/田中小実昌」である。ソフトカバーの本をパラパラと繙くと、やはり東京周辺や、浜松や京阪神や呉や小倉や海外の映画館をルポする内容であった(バスと飲み屋も絡みまくり)。おぉ、時代は九十年代だが、これであの『ぼくのB級映画地図』の続きが読めるということだ。本を手に意気込んで帳場に向かうと、店主の向井氏に「いったいどうしたんですか?」と驚かれる。「いや、今日はただこの本を買いに来ました」と900円で購入する。いつものように色々話し始めると、たちまち店猫のコトがニャオニャオ鳴き出し、向井氏に何事か訴え始める。「コイツ、また来たのかよ」とでも言われているよう。まったくお前はいつでも可愛いなぁ。
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「コミマサ・シネマツアー」は「ミステリマガジン」連載をまとめたもの。イラストはさすが早川書房といった感じの桜井一である。
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2019年11月21日

11/21箱入り児童文学本を二冊。

本日は武蔵小金井の北側に流れ着いたので、駅へ戻り二駅東に移動して、武蔵境駅下車。「浩仁堂」(2011/02/15参照)へ突撃する。表にバンが横付けされており、店頭ラックが変則的なパターンで置かれている。店内の児童文学&絵本棚が様変わりしているなぁ、と喜び、そこから福音館書店「ドオン!/山下洋輔文・長新太絵」偕成社「びりっかすの子ねこ/ディヤング作 中村妙子訳」を計200円で購入する。阿佐ヶ谷に舞い戻り、部屋の片隅に寄せ集めてあった古本の小山をバッグに詰め込み、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)へ。古本の買取をお願いしつつ、店内をウロウロ。おっ、香山滋「魔女のいる街」が入荷している…わはぁ〜〜〜、『T蔵書』じゃないか。後見返しの値段の下には『印多数アリ』と書かれている…だからとても安いです…。そしていつものように買取交渉成立の時に、先ほどお客さんが探していた「薔薇の名前」が500円棚にあることを店主・天野氏に告げる。すると氏は「あぁ〜、そうか。そこかぁ」と悔し気な模様。どうやら安売棚に移したことを、ぽかっと忘れていたらしい。まぁ、そういうこともありますよ。古本を売ったお金で、すぐさま理論社「マッチのバイオリン/鈴木隆作 丸木俊子絵」を515円で購入する。昭和三十年代の『日本の創作童話』シリーズがこの値段なのは、お得過ぎる!と、見た瞬間から購入を決意していたのである。そして、徐々に徐々に迫って来る『西荻ブックマーク』のチラシをお店に託し、存分に宣伝していただけるようお願いする。久しぶりのNBMとあって、順調に席が埋まりつつまりますが、それでもまだまだ参加者大募集中なのです。みなさま、お誘い合わせの上、いつの間にかの年の瀬、に古本屋の話と和田誠の話で盛り上がろうではありませんか!
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やっぱり箱入りの児童文学本は、心の古本琴線を、ビィンビィン弾きまくるなぁ(2016/12/16『箱入り児童文学本の幸福性について』参照)。

★第102回 西荻ブックマーク:《2019年・古本屋を語りつくそう!》
■出演 : 岡崎武志×小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■日時:2019年12月8日(日曜日)
■開場:16時30分
■開演:17時
■会場:ビリヤード山崎 2階(杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
■料金:1,000円 (要ご予約) 
☆☆【まとめておトク!】 第102回と103回、両方お申込なら⇒2500円が2000円となります。
■定員:40名
■イベントご案内 : お待たせいたしました! 久方ぶりの西荻ブックマーク102回目は、岡崎×古ツア・コンビ 恒例のイベントです。九州古本屋紀行や栃木の吉本書店来訪など、2人の珍道中を画像と共に振り返り、今年も古本屋を語りつくします。

★第103回 西荻ブックマーク:《ぼくたちの大好きだった和田誠さん》
■出演 : 土井章史 (トムズボックス)×野崎雅彦(ロスパペロテス)×岡崎武志(司会)
■日時:2019年12月8日(日曜日)
■開場:18 時45分
■開演:19時(終演21時予定)
■会場:ビリヤード山崎 2階(杉並区西荻北3-19-6、西荻窪駅北口徒歩1分)
■料金:1,500円 (要ご予約)
☆☆【まとめておトク!】 第102回と103回、両方お申込なら⇒2500円が2000円となります。
■定員:40名
■イベントご案内 :惜しくも10月7日に83歳で亡くなられた和田誠さん。生前、親交のあったお二人、トムズボックスの土井さんと、代々木上原の古書店、ロスパペロテス店主の野崎さんをお迎えし、和田さんと和田さんの遺した作品について大いに語っていただきます。司会は自他共に認める和田フリークの岡崎武志さんにお願いいたしました。

※お申し込みは西荻ブックマークHP(http://nishiogi-bookmark.org/)からどうぞ!
古書 音羽館
TEL &FAX 03-5382-1587
167-0042 杉並区西荻北3-13-7
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2019年11月20日

11/20ディランとブルーナ

木枯らし一号っぽい風が吹き荒れる正午に、下連雀に流れ着いてしまう。迷うことなくテクテク北に向かい、もはや定点観測気味の「りんてん舎」(2019/03/30参照)にたどり着く。店頭には物凄く棚に食らいついている女子が一人…負けじとせっせと本を腕の中に収めて行く。河出文庫「青いエチュード/鮎川哲也」早川書房「日本SFこてん古典〔1〕/横田順彌」新人物往来社「怪奇幻想の文学W 恐怖の探求」を計330円で購入する。こうなれば後はいつものお決まりのコースで、「水中書店」(2014/01/18参照)ではTOTO出版「東京都市学校2 バッド・シティの快楽学/榎本了壱監修」を100円で購入する。…重く分厚い古本ばかりを買ってしまった…そう思いながら吉祥寺まで軽やかに歩き、「一日」(2017/08/11参照)のガレージ安売ゾーンに立ち寄る。ほほぅ、本がかなり入れ替わっているな…種村季弘や詩集が多い…どれ、晶文社「植草甚一読本」を330円で買って行こうか。ビニールカーテンを潜って店内で購入し、再びビニールカーテンを潜ってガレージを経由して外へ…とこの時、何故か何気に振り返ってしまう。その途端視界を掠めたのは“サム・シェパード”の文字!あれ?と訝し気に、先ほどは気付かなかったその本に近付くと、サンリオ「ディランが街にやってきた ローリング・サンダー航海日誌/サム・シェパード」であった。1978年出版の、河出文庫版の元本である。うひゃぁ、これ、欲しかったんだ!探してたんだ!と喜び抜き出し、再び店内に舞い戻って、ウヒウヒとかなり安値の330円で購入する。これで今日は大満足!と「バサラブックス」(2015/03/18参照)前を通りかかると、店頭コミック箱の中に一冊のペーパーバックが放り込まれているのが目に留まる。おぉぅ。こりゃあ、ディック・ブルーナが表紙デザインの『OSS117号』シリーズじゃないか。ちゃんと表紙右上隅に“dick”のサインが印刷されており、中にも『omslag(オランダ語で表紙とかカバーの意)DICK BRUNA』とある。ペーパーバックのアイコン『黒クマ』もブルーナの手によるものだ。本文はオランダ語なので太刀打ち不可なのだが、デザインの抜群の可愛さに心を撃ち抜かれ、200円で購入する。
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「ディランが街にやってきた」は平野甲賀デザイン。

家に帰ると、身に覚えのない光文社からの献本が届いていた。封筒を開けてみると、光文社文庫「銀幕ミステリー倶楽部」という映画に関わる短編ミステリを集めたアンソロジーであった…何故これが私の元に……あぁっ!編者が新保博久教授ではないか!そして辰野九紫の短篇『死都の怪人』が収録されている。…そう言えば教授に「『死都の怪人』は単行本未収録ですか?」と聞かれたことがあったっけ。大してお役に立てなかったのだが、それでも律儀にご丁寧に献本を…教授、ありがとうございます!

posted by tokusan at 16:44| Comment(6) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする