2016年12月09日

12/9色々フライングした後にみなさまのお越しを心よりお待ちしております。

明日の古本市のために大量に作った古本束を、盛林堂・小野氏に引き取りに来てもらい、台車に山と積んで百メートルほど移動の後に車にドサドサ放り込み、西荻窪『銀盛会館』に搬入する。すでに岡崎氏と盛林堂の分は準備万端整っている。なので私も早く荷を下ろして棚にガンガン並べて行かなければいけないのだが、身体が言うことを聞かずに、涎をジュルリと垂らしそうになりながら、フライング品定め。うううう〜ん、欲しい本がたくさんある…盛林堂さんは思ったより文学寄りだが、恐ろしい本が恐ろしい安値で…あっ、でも奥にスゴいミステリ本たちが…それにしても、棚の上にズラッと並んだ岡崎氏の描き下ろし原画イラストが壮観!大瀧詠一が欲しいぞ!などと役得ずくで、最初に思いっきり楽しんでしまう。だが途中でさすがに心を入れ替え、古本束の紐をジョキリジョキリと切り離し、棚に家から離脱して来た古本をダカンダカンと並べて行く。…ふむ、なかなか悪くないんじゃないかと、心の中で自画自賛。そして奥の上段に署名本をコーナーを作り、やった、完成!…と言いたいところだが、やっぱりちょっとだけ本が足りないじゃないか!かなり大量に用意したつもりだったのに、結局こうなってしまったか。明日少し補充することにして、後は再び二人の本を見続ける。すると嬉しいことに小野氏が、「欲しい本があったら、場合によっては先に売ってもいいよ。たいていはダブってる本だから、また補充すればいい」と宣う。いよっ!さすが在庫豊富な古本屋っ!と大喜びして即座に二冊を選ぶと「両方ともダブり本だから大丈夫」とのフライング買いお墨付きをいただく。再びの役得である。筑摩書房「小さな町/小山清」(カバー痛みで蔵印アリ)今日の問題社「天明大捕物/國枝史郎」(函ナシ)を計2000円で購入する。そして岡崎氏とともに会場に所用で顔を出した原書房の編集者さんから、岡崎氏の新刊「気がついたらいつも本ばかり読んでいた」を献本していただいたので(実は拙著「古本屋ツアー・イン・ジャパン&それから」と同じ担当編集者さんなのである)、すかさず氏に署名をお願いしてしまう。本は何処から読んでも良い感じで、そしてどのページにも確実に、真面目な・C調な・哲学的な・怒り心頭な・ニヒルな・素敵な・詩的な・大人な・子供な・精神的貴族な・低俗な・高尚な・茶目な・短気な・暢気な・愉快な・愚かな・立派な岡崎氏が顔を出しているので、まさにこれはバラエティブックの面目躍如!というわけでみなさま、明日は色々ひっくるめて楽しむ心持ちで、ぜひとも西荻窪にお出でください。よろしくお願いいたします!
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2016年12月08日

12/8今年最後の「たけうま会」!

大好きな古本屋さんと、ただお酒をのんべんだらりと呑む会「たけうま会」(2016/10/18&07/22&05/10参照)に参加するため、横浜に急行する。今日のメインゲストは、下北沢「ほん吉」(2008/06/01参照)修業時代を経て、ひょんなことから「なぎさ書房」(2016/01/10参照)の跡地を引き継ぐことになった、神奈川のホープ「馬燈書房」さん(2016/04/23参照)。開店当日にツアーした時より、だいぶお店の様子が変わっているはずなので、ちょっと早めに現地入りして、古本屋さんをたどりつつ、会合前に偵察しておこうと、まずはすでに夜の帳に包まれた『馬車道駅』地上に顔を出す。そして『県立歴史博物館』横の「誠文堂書店」(2010年02月28日参照)の階段を上がり、二階外棚を反応の良過ぎる自動ドアがひたすら開閉してしまうのに閉口しながら、一冊選んで帳場へ向かう。角川文庫「狂熱のデュエット/河野典生」を100円で購入すると、なんと店番をしていたのは、超ド級のミステリ本コレクター・石井女王様(喜国雅彦氏の本棚探偵シリーズ参照)であった。待ち合わせ時間までそれほどないので、早くお店を出なければ行けないのだが、ついつい古本屋話やミステリ本話に盛大に花を咲かせてしまう。そんな今日の女王様の名言は「このお店はミステリ本がないから、物欲が湧かないので、心穏やかにのんびり働ける」でした。意外な出会いを喜びつつも、最後に女王様の口から出た「「活刻堂」(2009年10月12日参照)が最近開いてないんだけど、もしかして…」の言葉に驚き、早速『馬車道』を駆け抜けて『イセザキモール』に突入し、暗い小道に入り込んで「活刻堂」前。ふぅ、良かった。ちゃんと営業中じゃないか。そのまま店内古書棚に耽溺してしまい、皇國青年教育協會「あすのすまゐ/山田守」(モダニズム建築の大家による戦時中の住宅研究本。個人的にどひゃっほうである)私家版「放火団/ハロルド・ディアデン」(1930年前後にイングランドで暗躍した放火団事件の自費出版的訳本。元本は1934年イギリスで出版)を計1500円で購入したところで、「馬燈書房」まで足を延ばしたら遅刻が必至となることが判明したので、そのまま待ち合わせ場所の『日ノ出町駅』に向かう。改札前に集まったのは、たけうまさん、雲雀洞さん、そして馬燈さんである。すぐさま近くの焼き鳥屋に腰を据え、楽しく愉快だがドロドロもしている、古本屋業界話に耳を傾ける。それにしてもやはりスゴいのは、いきなり伊勢佐木町の二十坪のお店を、二十代の若さで引き継いだ馬燈さんである。最初は新宿、もしくは町田辺りにお店を開こうと考えていたらしいのだが、ある日組合で働いていると、「なぎさ書房」さんがお店を閉めることになり、棚も全部壊して原状復帰してしまうという話を聞き付け、すぐさま休みを貰ってお店に駆け付け(なぎささんにはそれまで、一度も行ったことはなかったそうである)、そこで商売を始めることを電光石火で決心したのである。それからすでに八ヶ月が経過。実はただ闇雲に借りたわけではなく、お店を始めると決めた時から、あの程度の広さは必要だったと考えるほどの、堅実経営派。市では本を買いまくり、街や人と濃密に交わる実店舗営業の酸いも甘いも早々に味わいつつも、商売はまずは順調とのこと。非常に喜ばしいことである。そんな話を聞くと、やはり改めて開店時より進化した、お店を見に行かなければという思いに駆られてしまう。よし、年内にどうにかして再ツアーしに行きますと約束し、濃いめのハイボールにしたたか酔っ払って、京浜急行各駅停車で帰路に着く。
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左から雲雀洞さん、たけうまさん、馬燈さん。今年、たくさんの古本屋さんとお話しする機会をあたえてくれたたけうまさんに多謝!来年も良き「たけうま会」をよろしくお願いいたします。
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2016年12月07日

12/7部屋に古本屋の光景が出現する。

今日は古本屋にも行かずに、仕事をしながら、昨日からの古本市用準備の続き。午後にギリギリギリギリ本を縛り上げて二〜三十冊の束を十本ほど作り上げ、他に署名本や薄手の本を詰め込んだ大型バッグをひとつ。さらにはトークでの抽選プレゼント用ささやか物品を三つ…これで搬出準備が完了したわけであるが、実際に会場に運び込むのは明後日なのである。さて、それまでこれらの大物を何処に置いておくべきか…。結局部屋に薄くグイグイ積上げると、まるで古本屋さんの通路の如き光景が、我が家の中に出現してしまった。横積み本タワーとは違う緊縛な趣きが、きっとそう感じさせているのだろう。それにしてもこの束々が、かなりの量と重量なのは明白であるが、各部屋から古本が減った気配がまったく感じられないのは、いったいどうしたことであろうか。自分では、まだまだそこまで多くはないと常に思っているのが、やはり間違いの元で、各所の本の山を日常の景色とし、恐ろしいほどの量の本を、屋内に内臓していることから目を逸らしている結果が招く、だらしない悪魔のような重大な錯覚に、常に騙されているに違いない。もうこうなったら、毎月一回くらい、同規模の古本市を開いてみるか。そうすれば少しは目に見えて、古本山が削れて行くのでは……いや、そうなったらそうなったで、毎日恐ろしい量の古本を買い込むことになりそうな予感が…あぁっ!俺はいったいどうすればっ!懊悩していたその時、「だから本棚買いなよ」という北原尚彦氏の突っ込みが、耳の奥に微かに聞こえて来た…。
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2016年12月06日

12/6師走の一日を費やして古本市の準備に着手する。

今週土曜日の古本市&トークに備え、家中で静かに横積みされて眠っている、精鋭古本を選り抜き集める。毎年会場に搬入すると「あぁっ!足りない!明日また補充分を持って来なければ!」と愚かに失敗しているので、それに懲りて多めに、自分が思っている以上に量を多くして、まずは初の試みとなる署名本コーナー作りに腐心(集めてみたら十八冊。並びは見てのお楽しみ!)。続いて全体の、本のクリーニング→値段札作成→値付け→札挟み込みと作業を進めて行く。だが、背を上にして床を埋め尽くす、古本量の多さに自ら辟易し、文庫の値付を終えたところで、気晴らしに外に逃走してしまう。強い風が吹き荒れる、まだわりと暖かな午後。ケヤキ並木の道を歩いて行くと、落葉が舞い散るのではなく、すでに地面に積もった落葉がカラカラと舞い上がり、砕けた草の匂いを振りまいている。踝まである落葉の吹き溜まりに沈み込みながら、あの家の床で待ちぼうけを食らっている古本群に、新たな彩りを加えるため、古本屋さんをちょっと回って来ようと考える。
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※これが家で主の帰りを待つ値付け前の古本群…。
まずは都合良く期待しながら「ネオ書房」(2010/02/09参照)に足を向けるが、さすがに今日は出物はナシ。そのまま高架下を伝って高円寺まで出張り、「藍書店」(2014/01/14参照)外壁棚から宝石社「別冊宝石78号 久生十蘭・夢野久作読本」徳間書店「毒舌文壇史/今東光」を計500円で購入する。続いて『あづま通り』の「越後家書店」(2009/05/16参照)を見に行くと、店頭文庫台に光る二冊の集英社コバルト文庫「海外ミステリー傑作選」「メランコリックな犯罪」共に武田武彦編が並んでいたので、計100円で購入する。今日は火曜日で、たいがいのお店が休みだからこんなもんかなと思い『庚申通り』まで出ると「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)が営業している…そうか、定休は水曜日だったな。すかさず店頭店内に目を光らし、キリンレモン文庫「ミッキーマウスのグリーンライフブック」映画「ディア・ハンター」パンフ、新潮社「アメリカ青春小説特集」学研M文庫伝奇ノ匣4「村山槐多耽美怪奇全集」を計1800円で購入する。おぉ、なんだか意外に良い釣果であった。と喜び家に戻って再び値付け作業に戻るが、まだまだ全然終わりそうな気配が、生まれないのである……。

というわけで、土曜の西荻窪で、昼も夜もみなさまとお会い出来るのを楽しみにしております!当日は岡崎武志氏の文筆業集大成とも言える新刊、原書房「気がついたらいつも本ばかり読んでいた」も会場で販売。そして発売からすでに二ヶ月弱になろうとする拙著「古本屋ツアー・イン・京阪神」も、恥ずかしながら並ぶ予定であります!
■「オカタケ&古ツア ガレージ古本市&トークイベント」
今年も性懲りもなく開催させていただきます。年末の古本的棹尾を華麗に飾ります。ただひたすら能天気に楽しい古本市&トークイベントとなっておりますので、みなさま頭を空っぽにして、師走の一日をごゆるりとお過ごしください!
■12月10日(土)11:00〜17:00
■西荻窪 銀盛会館1階(JR西荻窪駅南口徒歩五分 杉並区西荻南2-18-4)
そして夜はトークイベント
■「2016年古本・古本屋総決算」
■同日18:00〜20:00
■西荻窪 銀盛会館2階
■1000円 定員25名
■予約・お問い合わせは西荻ブックマーク http://nishiogi-bookmark.org/
■古本市のお問い合わせは盛林堂書房 seirindou_syobou-1949@yahoo.co.jp 03-3333-6582
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2016年12月05日

12/5東京・福生 ブックスタマ福生店

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以前は新刊書店である同店に同居していた「ブックセンターいとう」(2009/12/06参照。つまりちょうど七年前の探訪…)が撤退したのに、ここではまだまだ古本が販売されているらしい。なのでポカポカした冬の日に、青梅線で見学に行くことにする。西口を出て、完全に郊外な駅前通りを進み、『新奥多摩街道』を北へ。左手の深い谷底の多摩川の向こうに、紅葉した段丘と薄靄のかかった連山を臨みながら、やがて『福生消防署北交差点』にある、ロードサイドの大型新刊書店前。「いとう」の痕跡はすでに皆無だが、その代わりに堂々たる『古本』の看板が立てられている。階段を上がってだだっ広い店内に進み、右側に目をやると、古本ゾーンは通路天井から多数垂れ下がる『中古』の紙札により、明確に示されていた。ちょっと長めな四本の通路と右の壁棚に、新しめの古本が集められている。右半分強がコミックに占められ、その他に写真集・DVD・雑誌・文庫本・実用・児童文学・ビジネス・新書・ノベルス・ミステリ&エンタメ・エッセイ・社会・カルチャーなどが並び、所々に108均棚が頻出している(恐らくは半分は108均なのでは…)。値段は定価の半額前後で、オーソドックスなリサイクル古書店スタイルである。奥の柱に貼られた『古本を買うと作者に著作権料(印税ではなくこう書かれている)が入らないので、ファンの作家の本は新刊で買うのがお薦めです』というようなことが書かれた大きな紙が、新刊書店が古本屋を内包するジレンマを、見事なほど浮き彫りにしてしまっている。文春ネスコ「映画主義者深作欣二/立松和平」河出書房新社「ゆみに町ガイドブック/西崎憲」を購入する。

そして時間は遡り、まだ電車に乗る前の阿佐ヶ谷「ネオ書房」(2010/02/09参照)前。仁木悦子蔵書本発見以来(2016/07/20参照)強迫観念のように棚をチェックする癖がついているので、今日も当然足を留め、店頭左側の100均棚に目を流す……む、む、む、む、…ここしばらくまったく動きはなかったのだが、久しぶりに上段に見慣れない仁木悦子の本を発見。単行本二作目の講談社「林の中の家」で、切れてはいるが乱歩推薦文の載った帯もちゃんと付いている。そして下の段にも、いつもの不動のラインナップからはみ出たような、見慣れぬ仁木本、毎日新聞社「青じろい季節」を発見して手に取ってみる。見返しに書評スクラップのコピーが挟まっているのに早速気づき、ドキリと他の本との違いを感じてしまう。次に扉ページを見ると、そこには『二日市蔵書』のハンコが、赤くペタリと捺されているではないか!おぉぉぉっ!こりゃぁ、仁木悦子の本名(結婚後、二日市三重子に)の蔵書印だ!あ、でももしかしたら、旦那さんの蔵書と言うこともあり得るのか。ん?最終の広告ページには、鉛筆で妙な書き込みがある。四種ほどの漢字と数字……あ!これもしかしたらページ数か。ちょっとそれぞれのページを繰って目を凝らしてみると、その数字のページには、書かれた漢字が含まれている…でも誤植とかそういうわけではなさそうだ。なんだろう?まぁとにかく、作家所縁の本が手に入ったのは、とても目出度いことである。それにしてもまたこんな本が100均で見つかるなんて、まだまだ何か出てくるかもしれない。そんな卑しい気持ちを新たにしたので、諦めずに性懲りもなく、このお店はチェックし続けることにしていこう。
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2016年12月04日

12/4大きな二つの市で古本を追い求める

早起き出来たのをいいことに、午前九時前には家を出る。そして有楽町で電車を降りて、『国際フォーラム』横の、谷間のように日影で寒い三日月型中庭で開かれている『大江戸骨董市in国際フォーラム』に突入する。二百店近いアンティークショップ・骨董店・古道具屋・古着屋・古布屋などが縦横に通路を造って並び、すでに多くの人でにぎわっている。
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目的は古本一点張りなので、視線を地べたの物品に落としつつ、奥まった店の中も鋭く精査しながら、日影の冷気に首を竦ませ早足で市を切り裂いて行く。洋絵本や革装洋書、それに洋紙物などはあるのだが…う〜む、ようやく本に出会えたと思ったら、和本だけか…ここは美術系の本ばかり…絵葉書も多いなぁ。などとなかなか古本には出会えずに北側に伸して行くと、おっ!シート一面に古本を面陳しているお店を発見。店主の名札を盗み見ると「古書・道具 イタガキ」とある。骨董市ではマイノリティな古本だが、こんな風に並び、物質としての存在感を発揮している姿は、古本修羅の心に安らぎと興奮を充分にもたらしてくれる。しかも値段はなかなか安め。中央公論社婦人公論昭和八年新年號附録「讀んで面白い名曲物語」(挿画カット執筆陣が小村雪岱・佐野繁次郎・山六郎ととても豪華!)を400円で購入する。良し、この調子だ!と気を良くして次々にお店を渡り歩くが、今日はなんだかなかなか古本には出会えない…まぁ、こんな日もあるか。四十分ほど彷徨い、最後に北端の昭和紙物屋で、文部省「動物は人の役にたっているか」ABC商会INSTRUCTION MANUAL「DIGI-COMP1」を計千円で購入し、会場を離脱する。

近くにある、かつての『一丁倫敦』を少しだけ復元したような『三菱一号館美術館』を、色づいた銀杏並木越しにポォッと眺め、地下鉄有楽町線で次の目的地所沢へ向かう。車中で「探偵小説通」を読みながらおよそ五十分。駅東口に出てロータリー向かいの『くすのきホール』に足を向けると、擦れ違う家族連れのお父さんが「また古本市やってるんだな」とつぶやいている。今年最後の「彩の国所沢古本まつり」(2010/06/02参照。市は12/6までで、来年は三月開催とのこと)のことである。日曜日とあってか、ビル外の50円ワゴンに早速人が群がり、一階エントランスもかなり賑わっている。だがここでは何も買えないまま、展望エレベーターで八階のメイン会場へ運ばれる。
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相変わらず人間の限界を超えた、広過ぎる会場だ…だが、決して心を折らずに、古本を見るのは楽しいのだが、連なるワゴンの多さにすでにうんざりしながら、矛盾を抱えて義務を果たすかの如く丁寧に本の背に視線を走らせて行く……………一時間半で、すべてに目を通し(あくまでもつもり)いつものようにすっかり古本に精気を奪われて、恒文社「悪魔のようなすてきな奴/松浦健郎」河出書房新社「妖怪仙術物語/駒田信二編」(函ナシ)潮文閣「ハルピン夜話/奥野他見男」(函ナシ)を計1620円で購入する。…分かってはいたが、大きな市を二ついっぺんに見ると、当然の如く疲れてしまった。たくさん歩く+集中する時間が長い+様々な古い物品にエネルギーを吸い取られる(想像)ということであろうか…ふぅ。

そんなでっぷりした疲労を抱えつつ嬉しかった本日の収穫は、珍品とも言える「DIGI-COMP1」の取扱説明書!サブタイトルに『first real operating digital computer in plastic』と書かれた、1960年代にアメリカで販売された、プラスチック製機械式手動コンピューターの邦訳マニュアルである。冒頭の『はしがき』には、「あなたはいまコンピュータを持っています!」「このデジ・コン1型は巨大な「電子頭脳」のようには大きくないことははっきりしています。でも電子計算機と理論的には同じなのです。あなたはこのデジ・コン1型で大型のデイジタル・コンピュータにやらせるようにしてゲーム遊び、謎解きや数学の計算を行うことができます」「デジ・コン1型は機械式ですから、電子式のコンピュータにくらべて非常にスピードが遅く、形も大きくなる」…つまりは「バベッジエンジン」のプラスチック製超小型版ということではないか。うひょう!格好いい!説明書後半には、プログラムの実践編として『自動エレベータ』『金庫の組合わせ数字式錠』『宇宙船の発射前点検』『宇宙船カプセルの再突入』などがあり(すべて絶対に恐ろしいほど単純なのだが、その単純さを補うために想像力を孤独にフル回転させると、未知のデジタル世界への扉を開けてくれたのが、初期コンピュータゲームの素晴らしさ&楽しさでもあるのだ)、初期パソコンゲームのさらに前のポケコンゲームのさらに前時代の息吹が伝わり、2進法機械の話などチンプンカンプンなのだが、結構楽しく読み込んでしまう。後で調べてみるとこのコンピュータ、紙パーツで復刻されていることが判明する。ちょっと欲しいが、果たして使いこなせるだろうか…。
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2016年12月03日

12/3西より早めのクリスマスプレゼント!

昨夜は神保町「@ワンダー」(2009/01/21&2014/05/22参照)二階の「ブックカフェ二十世紀」で古本屋さんについてたっぷりとトーク。新刊「古本屋ツアー・イン・京阪神」と古本屋バイト話から、お店の魅力や楽しさについて語り、おかしなところや社会から逸脱しているところについてもさらに語り、果ては万引についてまで…ピンポイント&マニアック過ぎる話を辛抱強くご静聴のみなさま、本当にありがとうございました。聞き手を越えてもはや完全に語り手となっていた「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏と、稀少な場を提供していただいた「@ワンダー」鈴木氏にも多謝。そしてこの日一番驚いたのは、三河島の映画書専門店「稲垣書店」(2009/10/26参照)の中山信行氏が奥さんとともに、フラッと会場に現れたことである。始終苦虫を噛み潰したような表情で後席にいるのが目に入り、内心ブルブルと震えてしまう。だがトーク終了後に、打ち上げにも参加していただき、私の活動や文章について、こき下ろしながらも褒められてしまったので、目を白黒させながら大いに恐縮する。また、お店にうかがわせていただきます!

明けて本日、ブラブラ古本屋をたどって古本を買いながら西荻窪に至り「フォニャルフ」に補充。目立った収穫は、「ささま書店」(2008/08/23参照)のソノラマ文庫「盗まれた表札/藤村正太」315円と、「竹陽書房」(2008/08/23参照)の広済堂ブルーブックス「獄門島/横溝正史」100円であろうか。色々打ち合わせてから家に戻ると、おぉぉぉっ!ポストに待望の「古書 善行堂」(2012/01/16参照)からの郵便物が投げ込まれているではないか。ワクワクソワソワしながら家に駆け込み、ペリペリと封を切る。中から出て来たのは、表紙の色も鮮やかな四六書院 通叢書「探偵小説通/松本泰」(蔵印と、後半に探偵小説既読リストの古い書き込みあり)である。
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…話は二十日前の京都でのイベント「古本屋ツアー・イン・善行堂」(2016/11/13参照)に遡る。その日、開店と同時にお店に入るや否や、挨拶もそこそこに店内の棚にいやらしいほど素早く目を走らせる…目的は、その十日余り前に善行氏がブログ『古本ソムリエの日記』に書いていた「探偵小説通」であった。買取で手に入れ、パラパラと読んでみたら面白い、というような記述が目を惹いたのだ。長らくこの本を探し求めていたので、それをきっちり脳髄に刻み込んで、必死にその書影を追い求めたのである。だが、何処の棚にも見当たらない。一応もう一度チェックしてみるが、残念なことに見つからない。やがて混み合う店内で、善行氏の対面に座ってサインや歓談をしながら、思い切って聞いてみる。「善行さん、前ブログに書いていた「探偵小説通」はありますか?、もし売れてなかったら、ほ、欲しいんです!買います!」と言うと、「あぁ、まだ棚に出してないよ。何処かこの机の周りの山の中にあるはずや。見つけたら、今日のバイト代として、あげるよ」「ほほほほ、本当ですか!」と驚き喜び、イベントに集中しながらも、合間の時間に動き回って必死に探索する。…だが、見つからない。次第に探索範囲を広げ、「そこにはないで」と言われながらも諦め切れずに、時間切れまで探し続けるが、ついに見つけることは出来なかった。氏も「おかしいなぁ。確かにここら辺にあるはずやけど…何処行ったんやろ。まぁ見つけたら送らせてもらうわ」…というようなことがあったのである。だがあの様子からして、今年中に見つけるのは難しいかな、と諦めモードに入っていたところ、善行氏から「見つかった!箱に入れてしまってました。それも奥の一番下でしたので、よく見つけたと褒めてください」というメールが三日前に届き、さらに首を長くして待っていた本日、我が手の中にかなり早いクリスマスプレゼントとして「探偵小説通」が無事に収まることとなったわけである。翻訳家&探偵小説家の松本泰が、探偵小説の歴史・考察・探偵列伝・探偵小説と動物・日本探偵文壇などについて書き連ねている。最初はモノクログラビアページで、一番最初に現れるのが、肩を並べたポーと涙香の肖像!その次が俳優が演じる完璧に近いホームズ像!し、しびれる!
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いや、もう一生「善行堂」に足を向けて寝られません。みなさま年末年始に京都に帰省&旅行に行く際は、ぜひ「古本屋ツアー・イン・京阪神」を携えて「善行堂」へ!そして西のみなさま、「善行堂」では「京阪神」とともに「神保町」と「首都圏沿線」も販売されていますので、引き続き愚かな古本屋本たちを、よろしくお願いいたします。

それにしても「京阪神」を出したからこそ、追い求めていた「探偵小説通」を手に入れられたという奇縁。そんな大切な自著に感謝しながら、実はその本の一部がすでに過去のものになりつつあることも実感するここ最近である。十二月末の「駒鳥文庫」(京阪神p86)閉店、「古書さろん 天地」(p120)閉店、進む神戸『モトコー商店街』(p184〜185)再開発、来年の「阪急古書のまち」移転、「本は人生のおやつです!!」(p72)に故「青空書房」(p108)の棚や立看板が引き継がれていること、古本好きの口に悔しいほど必ず上がった六月オープンなのに見逃した大阪の「古書からたち」…あぁ、悔しい。だが、閉まってしまうお店については、本の中にある日の姿を封じ込められたことに、満足している自分がいたりもするのだ。そう言えば、制作作業中にも、閉店してしまったお店が二軒あった。すでに原稿は書いていたのでお蔵入りになってしまったのだが、もったいないので、ちょっとお蔵出しいたします。

元町「ポレポレ書舗」
南京町の南側の裏通り、古いビルの四階にある。海岸通り近くのこの一帯は、ファッション関連のお店が多く、ビル内もそんなお店ばかりである。大きな音と揺れのエレベーターで上がり、青いドアのお店に入ると、そこもまたお洒落なお店であった。ところが大きな壁棚に並ぶのは、少年少女コミックばかりで、特に「ボンボン」や「コロコロ」系の少年コミックに力が入っている。一般文庫も少々あり。店舗の半分ではアクセサリーや写真作品なども販売している。

なんば「天牛堺書店 ekimoなんば店」
大阪府内に十五店舗を持つチェーンの一店。地下商店街なんばウォークとクロスする、御堂筋線なんば駅構内ekimo northにある。見た目は完全に新刊書店だが、右奥に約七本の古本棚がある。訪れた時は『古本均一1700円』という、奇妙で見たことも聞いたこともないセールが行われており、人文&学術本・大判本を硬めに並べていた。
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2016年12月01日

12/1いつの間にか新!たなべ書店 駅前店

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地下ホームから動作音のうるさいエスカレーターを経由して、『2a出口』から地上へ。目の前に広がる『南砂三丁目公園』を北に向かって、散歩するように歩き始める。園内中央の遊歩道をたどり、奥まった野球グラウンド脇も通り抜けると、公園から抜け出した街の裏通り。左手に目をやると、そこには新しくなった「たなべ書店 駅前店」(2009/12/24参照)が、古本棚を表に出して輝いていた…いつの間に新築されたのだろうか。古い商店建築は明るく現代的な小ビルとなり、壁面には緑と赤の店名看板文字が日の出のように架けられている。その下にはキッチリとした安売壁棚があり、端の隙間も木製オリジナル本棚でピッタリ埋められている。そしてその手前には、常設不動の両面文庫棚が四本…これには薄いプラ製屋根が、ボロボロになりながら何層にも積み重なり、剥落した部分が火山灰のように微かに路面に積もっている…まるで時の流れが創り出した、現代美術の作品のようでもあるな。そんなキッチリ棚にキッチリギュッと収まる文庫を二冊抜き取り店内へ。旧店舗とは異なる、見通しの良いちょっと横長の空間である。左には広い帳場&作業スペースがあり、今は赤木春恵風おばさまが店番中である。また、入口の向こう正面には『元八幡通り』に抜ける出入口があり、そちらに棚は出ていないが『古本』電飾看板がベカベカと昼間なのに輝いている。店内の、背が高く薄く、まるで『京王プラザホテル』の如き棚は、文庫本をピッタリサイズで気持ち良く収めるオリジナルで、高いところでは十二段を数える。実はこの特徴ある本棚は、岡山「万歩書店」(2015/01/09参照)に端を発するもので(同店もオリジナル木製本棚で構成されている)、以前「万歩書店」を取材した時に、棚について色々聞いていると「東京のたなべ書店はウチの出身なんですよ。だから棚も似てるでしょ」と教えていただいたのである。その薄い棚で、店内には六本の通路が縦に整然と造られている。右端は壁にBL文庫・ラノベ・CDが並び、向かいの低めの棚には新書がズラズラ続いて行く。第二通路は、右に新書・実用・全集が並び、向かいの途端に高くなる本棚にはちくま文庫・中公文庫・教養文庫・コミック文庫・官能文庫が収まる。第三通路は、左奥の日本文学文庫以外に、出版社別文庫・海外SF&ミステリ文庫、それに文庫サイズに近い多ジャンルの小型本が四段分集められている。残りの三本の通路は、左端通路の通路棚から始まる大量の作家50音順日本文学文庫にひたすら占領されて行く。左壁棚には、実用・ハーレクイン・囲碁将棋・講談社学術文庫・河出文庫・岩波文庫が続き、帳場脇壁棚には新しめのミステリ&エンタメ単行本が集められている。ほぼ文庫専門店で、七十年代〜現代のものが中心。値段は定価の半額である。角川文庫「芸人たちの芸能史/永六輔」春陽文庫「超人鬚野博士/夢野久作」河出文庫「捕物帳傑作選 夏の巻」を計490円で購入する。

そしてここまで来たならと、大河のような道路を渡り、「たなべ書店 本店」(2011/02/25参照)に接近する。ヒヤァ〜ッッ!何だ、この恐ろしく悪夢のように長い壁棚は!
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側壁のシャッターが開いているところを初めて目撃したわけであるが、八王子「まつおか書房」(2010/01/05&2016/08/29参照)壁棚を遥かに凌ぐ偉容である!上部に売り物の額絵が連続して掛かり、それが奇妙な収まりの良さを演出しているのが、どうにもおかしくてたまらない。トクマノベルス「世阿弥殺人事件」「忠臣蔵殺人事件」共に皆川博子を計210円で購入する。
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2016年11月30日

11/30閉店に遅刻して、腹いせに古本屋さんをハシゴする。

下北沢の「July Books」(2011/11/28)が十一月一杯で実店舗を閉店するので、その様子を最後に駆け付けるようにして見に行く。…だが、緩やかでお洒落な商店街の坂を上がってたどり着いたお店は、すでに閉店してしまった後の祭であった…大大大遅刻か。それでもお店のエントランスにまだ残っていた、丸い手作り感溢れる『本』の看板を見られたことに、ひとまず心和ませる。
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最後に本を買えなかったことを、多少負い目に感じながらも、その後は近辺の古本屋さんを、巡り&歩き倒して行こうと、自らの両足にハッパを掛けて、闇雲に歩を進める。「古書ビビビ」(2009/10/15参照)では朝日ソノラマ「責任鑑定-霊の実体に迫る!心霊写真/ルネ・ヴァンダール編」を200円で購入し、「ほん吉」(2008/06/01参照)では新潮文庫「フレップ・トリップ/北原白秋」を400円で購入する。下北沢を離脱して三宿方面にテクリテクリ向かい、「山陽書店」(2014/02/18参照)では平凡新書「書店の近代/小田光雄」ともだち文庫「アルハンブラ宮殿の秘密/アーヴィング」東光出版社「花物語/西條八十」を計2000円で購入。そして最後は夕闇の中の渋谷に出て、人波に揉まれながら宮益坂を懸命に上がって、「中村書店」(2008/07/24参照)で潮出版社「さみしいネコ/早川良一郎」(献呈署名入り)を100円で購入し、その先の「巽堂書店」(2008/07/04参照)では筑摩書房「いまやアクションあるのみ!/赤瀬川原平」(献呈署名入り。どひゃっほう!)角川ホラー文庫「うろこの家/皆川博子」を計300円で購入。あ〜、買った買った。
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写真は本日の嬉しい収穫。プチ古本屋ツアーの最後に畳み掛けるように登場した、署名本を手に入れたことで、ひとつのアイデアが頭の中にピコンと閃く。来る12/10の古本市には、棚一列くらいの、自然に手元に集まった署名本を並べ、販売したいと思います!よ〜し、家中から、署名本を掻き集めてやる!

夜は「盛林堂書房」小野氏と、金曜日のトークについて、酔っぱらいながらじっくりと打ち合わせる。どうやらお互いの古本屋観を派手にぶつけ合うことになりそうな予感…12/2(金)は、どうか神保町の古本屋さんにディープな古本屋さん話を聞きに来て下さい!お席はまだ余っているらしいので、当日飛び入り参加も可能だと思われます。
■12月2日(金)
■ブックカフェ二十世紀(@ワンダー2階) 東京都千代田区神田神保町2-5-4
■19:00〜20:30
■会費:1,500円(1ドリンク付) 懇親会1,500円(軽飲食20:30〜21:30 ※自由参加です)
■予約申込はブックカフェ二十世紀(jimbo20seiki@gmail.com)までメールにてお願い致します。お名前と参加人数をお知らせください。詳細はブックカフェ二十世紀サイト「EVENT」よりご確認いただけます。→http://jimbo20seiki.wix.com/jimbocho20c
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2016年11月29日

11/29海老名で空振りして小田急下り方面を彷徨う

早くから動き始め、ラッシュアワーの中央線を経由して、小田急線で神奈川県入りする。海老名駅で下車し、すでに午前九時から営業し始めているはずの、移転した(とは言っても元のお店の対面である)「えびな平和書房」(2010/08/06参照)へと向かう。たまにはバスで行ってみるかと、東口ロータリーで幅を利かせている相鉄バスに勇躍乗り込む。駅前を離れた途端に急坂をぐんぐん上がり、広大な広場の相模国分寺跡や間近に迫る丹沢山系を車窓に眺め、丘の上の住宅街を下って、目的の『国分寺台ショッピングロード』に到着し、お店をすぐに探り当てる…だが無情にも、お店はぴしゃんと閉じていたのである…もう正午過ぎなのに。定休日でもないのに…。しばし現役感に満ち、社会闘士としてパワーアップした店頭をボンヤリ眺め、バスで来た道を徒歩でトボトボ引き返して行く。途中「さがみ国分辻書房」(2015/12/09参照)前を通りかかるも、こちらもまだお店は開いていなかった。こうなったら、近くのご無沙汰しているお店をハシゴしていくかと、駅に戻ってまずは相武台駅へ。

北口の商店街から少し離れたところにある「青木書店」(2009/12/12参照)は、小公園前でしっかりと営業中…あの紫色の日除けを見るのも、本当に久しぶりだ。こんな永谷園『ごはんですよ』的色合いの古本屋さんは、もしかしたら唯一無二…。
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よく滑るサッシ扉から店内に入り、大衆+文化+技術書+人文+戦争の空間に目を凝らして行く。高知発行の涙香資料本には盛大に心惹かれるが、四千円だったのであっさりと諦める。その代わりに映画棚で、あまり見かけぬ本を発見。新書サイズのケイブンシャ「決定版キング・コング/ゴードナー ターナー ウォーレス クーパー」は、ケイブンシャにしては珍しくそれほど粗い作りではなく、1933年版映画「キング・コング」のメイキングエピソード集と翻訳小説で構成されている。写真もスチールやメイキングやイメージボードが盛りだくさんなのが嬉しい。これが400円だったので迷わず購入する。

続いて小田急相模原に移動し、まずは「ツヅキ堂書店相模原ビデオ店」(2011/03/09参照)の様子を見に行くと、閉店のタレコミ通りに、看板はまだそのままだが、やはりシャッターがガッチリ下ろされてしまっている。
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合掌してすぐさま「二の橋書店」(2015/08/30参照)に足を向けると、ありゃりゃ、定休日でもないのにお休みか。潔く諦めて駅に引き返し、最後は町田駅で下車。北口から出て、そのまま『まほろ通り』を伝って古本ビル「高原書店」(2009/05/03参照)に到着すると、ほほぅ!いつの間にか、階段を上がった所から横に広がる小さな前庭に、古本が並ぶようになっているじゃないか。100均文庫棚・100均単行本棚・線引きアリ100均単行本棚(五所平之助の本、惜しいなぁ。本当に物凄く青のボールペンで、線引きが…)、それに長テーブルに展開された学術系全集群である。
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そしてビル内に進むと、床置きされた横積み本タワーの、各通路&各部屋の侵食具合がじわっと過激で、だいぶ倉庫感が増した状況に驚くと同時にニヤリ。全方位に注意を奪われながら、主だった部屋を観察して行く。やはりここに入ると、自然と…いや強制的に長居することになるなぁ。というわけでのめり込むとたくさん買ってしまいそうなので、古本心にセーブを掛けに掛けて、大同書房 犯罪實話新年號附録「世界犯罪隠語大辭典/西山光・黒沼健編」文藝春秋「壺中庵異聞/富岡多恵子」を計1188円で購入する。
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2016年11月27日

11/27東京・吉祥寺・西荻窪・上石神井 古本・古書 松田書店

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次号で終刊となるリトルプレス『BOOK5』を出していたトマソン社の社主・松田友泉氏が、小さいながらもついに古本屋をオープンさせたことを知る。出版社でありながら、同名で無店舗古本屋さんとしても活動し、催事や貸し棚で古本を販売していたが、これでついに一国一城の主になったわけか…。一刻も早く冷やかし祝うために駆け付けようと住所を確認すると、何だか鉄道路線から隔絶したような、都市の孤島のような場所である。上石神井駅・吉祥寺駅・西荻窪駅のちょうど中間…あれ?これ、家からは『早稲田通り』をまっすぐ西に歩いて行けば、距離はなかなかあるがたどり着けるのかも…と言うわけで酔狂にも、『阿佐谷北六丁目交差点』から西にテクテク歩き始める。環八を越えると、見知った風景から次第に離れて行き、武蔵野のしっとりとした面影が散見され始める。だが、都市の住宅街的色合いも、決して色褪せずに連続しているので、奥まり落ち着いた空間として仲良く融合し、人の生活を支えているかのようである。かなり歩き詰め、銀杏並木が美しく色づいた『青梅街道』に到達。道路の向かい側には、『井草八幡宮』の鎮守の杜が、樹冠の高い偉容を見せている。道路を渡り、水気の多い社の塀沿いに、まだまだ西へ歩いて行く。やがて道がぐんと谷底に落ち込むと、そこは『善福寺公園』の『上の池』と『下の池』を分つ、くびれの部分。そこから抜け出すように坂を上がって歩き続けると、『立野境バス停』手前の、一階が化粧レンガで覆われた建物右側に、小さな古本屋さんがひっそりとオープンしていた。店名看板は見当たらないが、壁には『古本』の文字があり、室外機の上にも小さな『古本』立看板が置かれている。ガラスウィンドウには、『本、買取します。』や、邦画チラシやイベントポスターが貼り出されている。中に入ると、本棚が押し迫る小さな空間。正面には小さな帳場があり、セット本を包みながらプリティーな女子店員さんが「いらっしゃいませ」と微笑む。すると奥から、マスク姿の松田友泉氏と切貼豆子嬢がいそいそと登場。帳場でギュウギュウになる彼らと挨拶を交わす。カーテンで仕切られた奥は、本棚の並ぶバックヤードのようだ。店舗部分は、五本の本棚で構成されており、右に大判ビジュアル本・映画・演劇・テレビ・カルチャーの並ぶ二本があり、左に最近刊文庫・児童文学・劇画・最近刊コミック・料理・サブカル・植草甚一・日本文学文庫・永島慎二・セレクトコミック・日本文学が並ぶ三本の棚がある。棚上にはコミックセットがドカドカ並んでいる。帳場前には自社出版物の「名画座手帳」などがディスプレイ。足元には永島慎二のイラスト集やCD箱・雑誌箱・機関車トーマスグッズ、それに開店祝いの振る舞い蜜柑カゴなども置かれている。このお店の型式は、倉庫&バックヤード部分がメインを占め、その一部を店舗とした「水たま書店」(2016/05/26参照)や「大村書店」(2013/02/04参照)と同じである。当然店舗部分の蔵書量はそう多くはなく、昭和的な漫画や映画や文学や癖のある本が特徴的に潜んでいるが、わりと雑本的な構成を採っている。値段はちょい安〜普通。二人とお話ししながら棚を見ていると、「暢気文庫」さんがお嬢さんとともに自転車で颯爽とご来店。途端に店内の密度が大幅に上昇したと思ったら、そこにさらに一人のお客さんが躊躇いながら入って来た。これはイカン。大人三人+小人一人で、たちまち店舗は飽和状態を迎え、みな本棚を見ることもままならなくなりそうだ。慌てて工作舎「稲垣足穂さん/松岡正剛」を購入し、蜜柑をひとついただいて辞去する。いやぁ、愉快なところに古本屋さんが誕生したものだ。さすがに帰りはバスに乗るつもりだったが、テクテク東に歩き始めると、上手く帰り着ける路線のバスに巡り会うことが出来ず、結局バカみたいに延々と歩き続けてしまう…往復合計九キロほどの、小さな、武蔵野の旅であった。お店は不定期営業なので、twitterなどで開店情報を確認しての来店が望ましい。

そして12/2(金)のトークに引き続き、12/10(土)の岡崎武志氏とのタッグによる、古本市&夜のトークも、何とぞよろしくお願いいたします!西荻ブックマークでの告知と予約がスタートしましたので、どうか、十二月はみなさんに、古本まみれになっていただきたいのです!

■「オカタケ&古ツア ガレージ古本市&トークイベント」
今年も性懲りもなく開催させていただきます。年末の古本的棹尾を華麗に飾ります。こちらはただひたすら能天気に楽しい古本市&トークイベントとなっておりますので、みなさま頭を空っぽにして、師走の一日をごゆるりとお過ごしください!
■12月10日(土)11:00〜17:00
■西荻窪 銀盛会館1階(JR西荻窪駅南口徒歩五分 杉並区西荻南2-18-4)
そして夜はトークイベント
■「2016年古本・古本屋総決算」
■同日18:00〜20:00
■西荻窪 銀盛会館2階
■1000円 定員25名
■予約・お問い合わせは西荻ブックマーク http://nishiogi-bookmark.org/
■古本市のお問い合わせは盛林堂書房 seirindou_syobou-1949@yahoo.co.jp 03-3333-6582
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2016年11月26日

11/26「小宮山書店」の包装紙

急な仕事で身動きが取れなくなり、予定をちゃぶ台返しにして家に閉じこもる。だが近所で古本を買うのは良いだろうと、己自身に甘く許可を下し、タッタカ急ぎ足で高円寺へ向かう。午前十時半の「西部古書会館」(2008/07/27参照)に息を切らして到着し、「中央線古書展」(2014/01/25参照)に突入する。ガレージ部分がいつもと異なり、右側にスチール棚で作られた二本の通路があるのだが、結構狭いので大混雑中!…これはやはり長机平台型式の方が見易いなぁ…。カバンを預けて中へ進むと、いつもより混み合う雰囲気に圧倒される。そして棚には、ガレージ部分から引き続き、外国文学&語学関連が多い模様。心が家に戻りたくないのか、今日は何だか細かく小冊子や紙物にまでチェックを入れてしまう。途中、左奥の「かぴぱら堂」棚に熱中していると、いつの間にか隣りにいたのは北原尚彦氏。挨拶を交わし、氏が私の手元を見た途端「あ、その本、さっき見た時に、小山さん向きだなぁって思ってたんですよ」とにっかり笑う。春陽堂少年文庫「ロビンソン漂流記 後編/デフォー」…いや、後編だけなんですけど、いつの日かまたこんな風に安値で、前編を手に入れられたらと思って…。結局一時間近く粘ってしまい、他には小学館「女学生の友」昭和38年1月号付録「長編小説 白いあざみ/三木澄子」東成社「へのへのもへじ/林二九太」新潮社「ジャングル放浪記《アフリカの幽鬼と幻想》/A・デュテュオーラ」日本評論社「満洲國読本」三一書房「竜二・ちょうちん/金子正次」日本精神醫學會「惑溺と禁慾/寺田精一」(函ナシ。大正十年刊。人間のあらゆる行動や反応を、精神科学で独善的に解き明かして行く妙な本。その対象は、宗教・恋愛・性・カニバリズム・空腹・排泄・犯罪・祭・銭湯・刺青・幽霊・綽名などなど多岐に渡る)「小宮山書店」包装紙を計1650円で購入する。みな300円以下のものばかりであった。

本日のささやかな収穫は、中央通路の地べたに置かれた「秋桜書店」の紙物箱から掘り出した、古い「小宮山書店」(2014/05/31参照)の包装紙(100円でした)。電話番号の市内局番が二桁なので、恐らく1960年以前のものであろう。現在のアート&写真に力を入れたお店とは異なる、銅鏡をモチーフにした古代史的デザインが、アカデミックな趣きを見せている。だがこういう包装紙は、継承して現在でも使っているかも…と思い、家に戻って自家製古本屋関連ファイルを調べてみると、あっ!100円文庫を数冊買った時に巻いてもらったのり巻き包装紙が、同じモチーフではないか。だがこちらは白色で、鏡と店名文字をピッタリ重ね合わそうとしても、結構大きなズレが生まれてしまう。市内局番が三桁そして四桁と変わった時に、刷り直している可能性はあるので、その時に多少の変更を施したのかもしれない。
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写真は白と茶の包装紙を重ね合わせたところ。驚いたのは、紙の横幅がピッタリ同じなのである。両方とも片側がザクザクと粗く切られているので、長き時を経てお店で受け継がれている裁断サイズがあるのではと、勝手に妄想してしまう。
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2016年11月25日

11/25「ふるほん横丁」はひっそりと五階に

中央線の人となり、まだ雪を被る屋根並を眩しく眺めながら新宿へ向かい、午前八時と、驚異的に早い時間からスタートする「第二十九回 新宿西口古本まつり」(2008/11/28参照)の初日に駆け付ける。地下改札を抜けると、日影の寒さが服をなんなく通り抜け、沁み入って来る始末。会場であるドーナツ形の『東京都交通広場』は、所々にガラスウィンドウと柱があるとは言え、ほぼ吹き曝しの通路状態である。広場前を足早に歩き去る多くの勤め人の向こうには、多数の古本ワゴンとそこに早速取り憑いている、頼もしき古本修羅の姿がチラホラ…たった数メートルの距離なのに、あちらとこちらでは完全に、次元と時間の流れが異なっているようだ。
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早速私も人の流れから抜け出し、古本の世界に身を投じる。このまつりは会場が円形なので、本に夢中になり過ぎ、ワゴンからワゴンへ懸命に飛び移って行くと、確実に自分の位置を見失い、ぐるぐると永遠に回り続ける『古本轆轤地獄』に陥ることが稀にある。なので私はそれを防ぐために、円を分かり易く四つのゾーンに分け、一辺ずつクリアして行くのを常としている。二重に並ぶワゴンを、外側から片面ずつ攻略して行く。途中、出勤前の工作舎I氏と、超久しぶりの「中島古書店」さん(2015/04/05参照)に声をかけられる(両方とも無様にしゃがみ込み、ワゴン下を必死に覗いている時であった…)。そんな風にして、寒さに震えながら一辺を見終わり、良し、では底辺の方へと向かうと、あれ?途中から厳然と仕切られ、バッグ売場に変貌…中途半端な長さの辺を見終わり、反対の天辺方面に駆け付けると、そちらも途中からバッグ売場になっているではないか。ということは、まつりは以前の円形ではなく、半分の半円になってしまっているのか。現在地を見失わなくなったことに、少しだけホッとしつつも、古本の量が減ってしまったのは、やはり何だか寂しいものである。國際文献刊行會 世界奇書異聞類聚第十一巻「女天下/エドアルド・フックス 村山知義譯」(鉄鋲付の函に入っており、本文は削除された部分に改めて原文が貼り込まれている…)少年少女講談社文庫「トンネル脱走作戦/ウィリアムズ」アルス「危險信號/大木惇夫」(函ナシ)を計1944円で購入する。このまつりは30日まで。

再び人波に飲み込まれ、山手線に乗って高田馬場へ。実はこの二三日、当ブログの検索ワードに『ふるほん横丁閉店』『ふるほん横丁撤退』などの不穏な語句が紛れ込んでいたため、気になって見に来たのである。東口駅前の雑居ビルにある『芳林堂書店』四階には、早稲田の古本屋さんを中心として古本を並べた「ふるほん横丁」(2010/04/14参照)が居候しているはずなのである。雑居ビルのエスカレーターを上がり、二階からは階段で上へ…むっ?四階が大幅な改装を施されており、書店スペースが半分になってしまっているではないか。確かに横丁は、影も形も見当たらない…。情報は正しかったのか?だが念のため五階のコミック売場にも足を運んでみる。すると華やかな明るい色味の世界の中で、入ってすぐの右奥の方に目をやると、煤けた古本を並べたコーナーが、ちんまりと存在しているではないか!おぉ!「ふるほん横丁」は、五階に移転し縮小しながらも健在だった!
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一応閉店のお知らせなどを探してみるが、何処にも見当たらない。あるのは「ふるほん横丁」は外税であることを訴える貼紙ばかりである。現横丁は、短い三本の通路が、四十本の棚と二台のワゴンで作られている。以前と違うのは、「藤井書店」(2009/07/23参照)の古書、「アート文庫」のミステリ&児童文学、「畸人堂」(2012/09/14参照)のミステリ関連が増えているところだろうか。何はともあれ、古本売場がちゃんとあったのは、嬉しいことである。「虹書店」(2010/08/24参照)の棚から琉球文庫「琉球の平等所 捕物控/石川文一」を540円で購入する。この本、舞台の脚本をノベライズしたものらしいのだが、中を見ると『双生児奇談』『巫女(ユタ)の殺人予言』『空手殺人事件』などのタイトルが、探偵小説的興味をグラグラと湧き上げてくれる!

そしていよいよ一週間後に迫ってしまった、「盛林堂書房」小野氏と古本屋と言う不思議な職業について語り合う、神保町「@ワンダー」でのトークイベント。お席がまだまだございますので、楽しい古本屋世界への入口を、どうか覗きに来ていただければ!
『連続講座 古本屋的!!』第4回「古本屋の光と影」
七月の同講座のトークに引き続き、その時の立場を逆転し、盛林堂・小野氏が聞き役を務め、大好きな古本屋さんについて、様々に縦横無尽に語り尽くします。ほぼ、何処が終点か分からないフリートークとなりそうですが、意外に真面目に話すことの方が、多いかもしれません。およそ半月後に迫っていますが、スケジュールをやりくりしていただき、ぜひともお越しいただければ。もちろん「古本屋ツアー・イン・京阪神」の苦労話なども!
■12月2日(金)
■ブックカフェ二十世紀(@ワンダー2階) 東京都千代田区神田神保町2-5-4
■19:00〜20:30
■会費:1,500円(1ドリンク付) 懇親会1,500円(軽飲食20:30〜21:30 ※自由参加です)
■予約申込はブックカフェ二十世紀(jimbo20seiki@gmail.com)までメールにてお願い致します。お名前と参加人数をお知らせください。詳細はブックカフェ二十世紀サイト「EVENT」よりご確認いただけます。→http://jimbo20seiki.wix.com/jimbocho20c
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2016年11月24日

11/24店主からレア本を示唆されどひゃっほうと成す。

雪の中を、傘を開いてテクテク出かけ、開いていれば新規開店のお店に行こうかと企んでいると、途上で今日は開店しないことを知り、がっかりする。仕方なく手をかじかませながら、『いつもお世話になってます』の「ささま書店」(2008/08/23参照)に到達…もはや五日と空けずに訪れている気が…。この寒さと雪のためか、珍しい誰もいない店頭の景色である。そこではまるで復刻版のように新品同様で、手の切れそうなほど紙がピンとした昭和二十年代の時刻表を見つけ、表紙絵の愛らしさやグラビアページの『つばめ号』のスチームさに惹かれ、門外漢なのだが抱え込んでしまう。さらに店内に引き込まれた文庫&新書店頭棚から一冊選び取り、静かなレジで精算する。日本交通公社「主要驛 時刻表 第23巻 第六號」「日本國有鉄道編集 時刻表 第二十六巻 第十號 大改正號」徳間書店「アニーメジュ」昭和56年11月号ふろく「スタジオぬえのデザイン・ノート」を計315円で購入する。お店を出た後は、寒さに敗れて電車に一駅乗って、西荻窪で降りて「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にたどり着き「フォニャルフ」に補充する。ちょうど「黒死館殺人事件」徹底研究家の素天堂氏が納本に見えており、早速新刊の黒死館附属幻稚園「生者の埋葬/フランツ・ハルトマン」を購入する。生き埋め…というよりは、埋葬前後(もしくは火葬寸前)に生命活動を終えているはずの死者が、現世に生者として蘇生する事象を多数蒐集し、紹介研究(科学的&オカルト的に)している楽しい本である。…ここで話は飛ぶが、明治期の探偵小説を読んでいると、良く人が簡単に死ぬ。そして驚くほどすぐに生き返るので、大いに面食らうことが多い(本当に嫌になるほど多い)。例えば、頭を鉄棒で絶息するほど殴られ昏倒し、以降『息も絶えしに』『死骸』と表現されるのだが、活を入れると、さもそれが当然と言わんばかりに息を吹き返すのである。恐らく死んだのではなく、『気絶』もしくは『仮死』状態ということなのだろうか、それにしても…。

その後は高架下を北に抜けて「音羽館」(2009/06/04参照)へ。ちくま文庫「大東亞科學綺譚/荒俣宏」創元社科學の泉10「磁石/三橋鐵太郎」を計200円で購入し、店主・広瀬氏と四方山古本屋話。その最中に、氏が帳場前に立つ私の背後に注意を促す。振り返ってみるが、知り合いがいるわけでもない。「えっ?」と訝し気に問い返すと、もう一度「ほら後に本が…」と言われる。振り返ると、本の山の上に一冊の本が立て掛けられていた。ユニコンブックス「推理 名探偵40人に挑戦/加納一朗」(カバーに補修、本体に記名あり)…私向きの本と喝破し、思いっきり示唆してくれていたのだ。インチキ臭い名探偵風外国人の写真が、パチ物感を呼び起こす一冊である。加納一朗は多くのミステリ系児童入門書を手掛けてはいるが、これは見たのは初めて。千円と比較的安値だったので、迷わず購入を決める。お土産に高知の蜜柑をいただき、家へとスゴスゴ舞い戻る。早速蜜柑を食べながら「名探偵40人に挑戦」について調べてみると、これが予想以上のレア本らしく、思わずどひゃっほうとつぶやいてしまう。音羽館に感謝を捧げながらページを繰り、五十前のオッサンが児童書の名探偵推理に挑戦開始!
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と言うわけで本日の収穫二冊です。
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2016年11月23日

11/23話を聞く古本屋、話しをする古本屋。

午後に古本を買いに東へ。久々に行きたくなった大好きな二店を、コンボ急襲するつもりなのである。今日が祝日なので、多少開いているかどうかの不安はあるのだが、構わず東へグングン進み、やがて千葉県へ。まずは京成大久保駅で下車して、本来は装飾であるはずの地面タイルの割れが、もはや荒廃した状態にしか見えない商店街『ゆうろーど』を北に突き進んで行く。道沿いにあったブックオフは、建物老朽化のために閉店してしまった。だが、道の遥か先の「キー・ラーゴ」(2009/11/25参照)は、営業中の勇姿をしっかりと商店街に晒していた…実に九ヶ月ぶりの再会か。
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今日はいったいどんなめくるめく古本世界を見せてくれるのだろうか。抑えられれぬ笑みを顔に浮かべながら、先客のある100均店頭棚に取り憑くと、くっ!早速新装版2刷の「光車よまわれ!」を見つけてしまい、やはりここは素晴らしいお店だったと、恒例行事のように認識する。他にも一冊抜き取り店内に進むと、前室ゾーンに、以前は奥にあったミステリ&ポケミス・吸血鬼・黒澤明・美術四面棚が移動して来ている。すべての棚をチェックしつつ、左壁手前棚の古書ゾーンに神経を集中する。それにしても、先客のオヤジさんが白髪の武満徹風店主を相手に、際限なく喋り続けているようだ。声高にする“俺は大物”話を、店主は柳に風と聞き流し、時々「ふぅん」と綿埃のような相槌を打っている。奥の映画ゾーンに入ると、こちらもその話を間近で強制的に聞かされながら、本を見ることとなる…やはり古本屋さんは、色んな人を惹き付けて止まない、謎のパワーを秘めているのだな…。大物のため常に警察にマークされている話を聞きながら、古い邦画パンフやプレス類の入った箱を静かに漁る。筑摩書房「光車よまわれ!/天沢退二郎」講談社「美徳のよろめき/三島由紀夫」東方社「浅草のマノン/菊田一夫」春陽堂復刻版「屋根裏の散歩者/江戸川乱歩」大映ヂャーナル社「大映ヂャーナル No.14」を計2200円で購入する。精算から袋入れまでの間、ここだけはオヤジさんは静かに口を閉じていた…。
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これが粗悪な紙に刷られた「大映ヂャーナル」(昭和二十二年十二月発行)。横溝正史原作の映画、「三本指の男(原作「本陣殺人事件」)」「蝶々失踪事件(原作「蝶々殺人事件)」が掲載されていたので、思わず購入してしまった。

続いて八千代台駅で下車し、最近は午後三時あたりに開店すると言う、千葉の名店「雄気堂」(2009/05/30参照)へ。ワハハハハ、硝子ウィンドウに『定休日 水曜日』とあるのに、思いっきり開いてるじゃないか。こいつは嬉しい誤算である。早速店内通路に跪き、棚の下までじっくり観察。先客の奥さまが店主と話しているのを漏れ聞くと、どうやらこの夏にはちょっと体調を崩されていたらしい…そして、さらに女性のお客さんが飛び込んで来て、赤ちゃんの写真を見せ始めた…おぉ!このお店にも、ちゃんと女性ファンがいるなんて!驚き面食らいながら、実に一年六ヶ月ぶりの挨拶を店主と交わし、春陽文庫「人生の阿呆/木々高太郎」桃源社「歌手の視力/戸板康二」を計1300円で購入しながら、果てしのない話をいつものように拝聴し始める。古本屋の嘆きと矜持、若手古本屋へのエールと苦言、出版文化への敬愛と意見、デジタル機器の即時性と弊害、伝統文化の継承と形骸化、憲法改正への大いなる怒りなどなどなどなど、パイプから良い香りの紫煙を上げながら、四方山話は留まるところを知らず、走り続ける…取りあえずは、文化的怪気炎を上げる元気そうな様子に安心し、キリの良い所で辞去して表に出れば、いつの間にか真っ暗で、厳しい寒さが服の隙間から忍び入ってくる始末。さて、そろそろ重い古本を抱えて帰るとしようか。
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2016年11月21日

11/21思い直して古本を買いに行く。

今日はゆっくり目に過ごそうと思っていたのだが、朝から雑事をこなしているとエンジンがかかってしまい、郵便物を出しに行くついでに、正午前の荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)に足を延ばしてしまう。雨は降っていないが雨仕様の店頭で、早速古本修羅の群れに混じって三冊を抜き出し、そのままヌラリと店内へ。ちょと店頭文庫棚に妙な文庫が紛れていたので、店内の文庫棚にも変化がありそうと予測して、入口近くの壁棚を、作家五十音順の終りから注視して行く。あまり変化がないようだが…ちょっと気負い過ぎたか…むっ?なんだこの古い文庫は?と、乱歩のゾーンで一冊の古く煤けた文庫本が目に引っ掛かり、ソッと抜き出してみる。河出書房市民文庫の「心理試験」である。さして珍しいものではないが、何かがおかしい…こんな装幀だったか…?市民文庫は確か、表紙が黄色と白のツートンカラーが普通だが、これは利休鼠色の地に菊の花がパターンのように連続プリントされ、小豆色の文字でタイトルや作家名が刷られている。そして裏表紙を見ると、そこには『学生サーヴィス版 定価¥40』とあるではないか。
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あ、これ、袖は糊付されているが、カバー装なんだ。カバーをちょっと捲ると、下にはお馴染みの黄色と白のツートン表紙が隠れていた。どうやら通常版に、特別の安売用カバーを掛けて、販売していたものらしい。最終ページには『宣傳特売売上カード』というものが貼り付いており、『定価と特売価を較べて下さい。驚くほど安くなっております』『特賣価四拾円』と書かれている。奥付の定価は『定價九十圓』となっている…なんと半額以下の安さ!それにしても本当にこれは、学生だけが買える文庫だったのだろうか…う〜む、面白いものを見つけたぞ。桃蹊書房「をさない記憶/徳永直」筑摩叢書「聴耳草紙/佐々木喜善」早川書房「来訪者/ロアルド・ダール」と共に計840円で購入する。

家に戻って色々済ませた後に、二週間前から気になっていた本を、やはり買いに行くことにする。南北線で本郷台地下を疾走して、本駒込駅下車。地上に出ると、ちょうど雨が降り始めたところだが、構わず坂を駆け下りて、白山下の「誠文堂書店」(2011/08/19参照)に飛び込む。そして脇目も振らずに奥の壁棚に向かい、目的の本を探し求める。………あった!日本出版協同株式会社の異色探偵小説選集10「青列車殺人事件/アガサ・クリスチイ 松本恵子訳」(セロハン・帯ナシ)である。値段は1100円。あの時は迷ったが、今回は躊躇なくレジに差し出し購入する。何故こんなに必死になってこの本を買いに来たかと言うと、実は訳者・松本恵子の献呈署名入りなのである(良く見ると「あとがき」の誤植に、署名と同じブルーブラックのインクで、直しが入れてある。もしかしたら筆蹟が似ているので、訳者本人が入れたものかもしれない…)
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何故前回これを買わなかったのか、自分でもよく分からないのだが(情けないことに手元不如意だったかも…)、とにかく本がまだ残っており、結局は手に入ったので、めでたしめでたしとする。松本恵子は探偵小説家&翻訳家・松本泰の妻であり、また自身も同一の肩書きを持っている。心に棘のように刺さっていた獲物を首尾良く手に入れて、とんぼがえりで帰宅する。夜は大市のために上京して来た「舒文堂河島書店」さん(2008/12/22参照)を囲む会に参加するため、夜の雨の高円寺へ歩いて向かう。
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2016年11月20日

11/20「第35回 鬼子母神通り みちくさ市」に便乗した態になる。

走り続けて色んなカタチで古本屋さんに関わって来た、十一月半ばの一週間の最後の締めは、ポカポカ陽気の雑司が谷にて「みちくさ市」に参戦。朝から重い本を引き摺り、すでに体力が限界を迎える中、会場の活気漲る『鬼子母神商店街』に到着。出店場所に案内されると、そこは都電の踏切北側の、通りより少し離れた場所…こ、これはお客さんが来るのだろうか?振り向いてくれるのだろうか?あまりにも離れ小島感があるので、まるで「みちくさ市」に便乗して、勝手に古本を並べて売っているオッサンに見えなくもない恐れが…。そして確かに目の前に人通りはあるのだが、五メートルの距離が無関心さとめんどくささを引き起こし、もしや売り上げナシなんてことに…。こんなに不安と怯えに包まれながらスタートした「みちくさ市」は初めて。だが眦を“キッ”と音がするほど決し、素早くシャッターの閉まった店舗前の二段のステップに、古本をディスプレイして行く。
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(右の古本市幟は、売り上げを心配した退屈男君が途中立ててくれたもの)
最初は順調に顔見知りの方や古本仲間が訪れ、ホットな古本屋バイト話に花を咲かせたりしていたが、やはり一般のお客さんはこちらまで寄って来ない。昼食時の凪ぎタイムを経た後、このままではジリ貧だ!と覚悟を決めて、ついに通りを歩く人々の列に向かって、声を出すことにする。「いらっしゃいませ〜。古本売ってまぁ〜す」。都電が五分に一本訪れ、踏切音がその声を無惨にもかき消す。だが、遮断器が上がり、新たな人の流れが生まれる瞬間に、めげずに声を投げ掛け続ける。すると、少しは効果があるのか、時々前を見て歩いていた人が、ふいと顔をこちらに向けて近付いて来てくれることがあるのだ。もちろん来てくれた人が必ず本を買ってくれるわけではないのだが、それでもなにもしないで手をこまねいているよりは百倍マシだ!と声を出し続ける。途中、古本神・塩山芳明氏の実家にあるエロ本蔵(仕事で作ったり献本されたエロ本をたっぷりと溜め込んでいるのだ)の話に笑い、ずっと岡崎武志氏の話をする方と丁々発止のやり取りで岡崎氏に関する蘊蓄をぶつけ合い、駄々猫舎さんからはつい最近神戸に出来た古本と駄菓子のお店についてタレ込まれ、何故か「推理・名探偵クイズ」を「こっちの方が難しそうだ」と真剣に悩みながら買ってくれたうら若き女性に胸を打たれ、その後に一足違いでそのクイズ本を買いそびれたテストが間近に迫る古本中学生ケンタロウ君を慰めたりして、五時間の時は過ぎて行った。結果、声を涸らした甲斐があったのか、四十八冊を売り、「古本屋ツアー・イン・京阪神」も無事に三冊を旅立たせるのに成功する。本を買って下さったみなさま、声をかけて下さったみなさま、そして“わめぞ”のみなさま、楽しい時間をありがとうございました。達成感はあるのだが、さすがにかなり消耗してしまったので、打ち上げはパスして、売れ残った本を引き摺って、夕闇迫る目白台地から撤収する。ゼエゼエ帰り着いた、すっかり暗くなった地元阿佐ヶ谷では、ついつい「銀星舎」(2008/10/19参照)に立ち寄り、河出文庫「黄夫人の手/大泉黒石」(この文庫のプロフィールで、大泉滉が黒石の息子であることを初めて知る。顔が、顔がそっくりだ!)筑摩書房「グリコのおまけ」を計400円で購入し、ここでも古本屋バイト話に花が咲く。それにしても古本屋さんたちは、この古本屋バイト話をことのほか喜んでくれる。だからそれだけでも、やっぱりやって良かったと、切に感じ入る。よし、受け入れてくれる所があれば、また何処かのお店で働いてみようか。これはもしかしたら、新しい別角度の古本屋ツアーとなって行くのかもしれないという予感が、少しだけピリッと背中を走る。
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2016年11月19日

11/19古本屋バイト・イン・J町 最終日

いよいよ今日がバイト最終日。ところがJ町は、シトシト雨に降られている。なので店頭が雨仕様となり、入口下にワゴンをひとつと、表に看板とシートを被せた店頭棚を一本出しただけで、営業スタート。土曜日は、どうやら一番賑わう曜日らしいのだが、寒い雨のためか、客足は鈍目である。というわけでレジ対応をしながら、外の雨の様子をチェックしつつ、昨日の続きのややこし過ぎる横溝文庫整理に従事する。さらに値段札貼りや棚チェック、それに本のクリーニング+ビニカバ掛け…四日間で覚えて来たすべてをなぞるように吐き出すように、手を一生懸命動かして行く。そんな中で自分でも驚いたのが、初めてなのに箱にキレイにビニールを掛けられたこと。
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この不器用な俺が、こんなにも物質感を上昇させる保護&飾りを、古本に施せるなんて!と大げさに感動しながら、先輩店員に値付をしてもらい、ソッと売場の棚に収めておく。午後からは雨も上がり、お店は次第に混雑を極めるようになる。特に二階で行われた読書会前後は、すべての通路に人が立ち、ちょっとしたラッシュ状態に…店内が人いきれに満ちている!と驚いていると、笑顔の古本神・北原尚彦氏にふいに声をかけられる。何と本日の二階の読書会はホームズ本なので、参加しに来たとのことであった…やっぱりすげぇな、この人は。今日は他にも二三のお客さんに声をかけていただき、しっかり古本屋バイトをしているところをチラ見していただく。そのままずっと走り続けて手を動かし続けて、気づけば午後六時半となり、最終日にここから仕事を抱えると、終わらずに明日も出勤することになりそうなので、残り三十分をレジ待機だけに専念する。…ふぅ、このお店に働きに来て、勤務時間中に、初めてノンビリと過ごしている気がする。いや、五日間で合計37時間30分、基本的な仕事ばかりだったが、古本屋さんの基礎の部分って、本当に地味で大変で終りがないと痛感する。でもこの無限基礎仕事が、店に来るお客さんが棚から抜き出す、喜びの古本獲得体験へと化学変化して行くのである。本当に古本屋ツーリストとして、貴重な体験をさせてもらいました。バイトしたお店は、神保町の「@ワンダー」(2009/01/21&2014/05/22参照。ただし二階は紆余曲折を経て、半分は移転して来た「ブックカフェ二十世紀」に)。突然「古本屋バイト体験させてください!」のリクエストを快く受け入れてくれた店主の鈴木氏、それに『靖国通り』側の1レジで、忙しいのにこのポンコツオヤジを何くれなく面倒を見ていただき、間断なく仕事を作り出して与えてくれた、先輩店員の藤田氏と伊藤氏には、とにもかくにも大感謝である。奥の2レジの皆さんと、二階のレジ&カフェの皆さんにも、本当にお世話になりました。最後にこのバイトの思い出に、思い切って古本を一冊購入する。初日から1レジの左前方で存在感デカく目立っており、ずっと売れ残っていた東光出版社「最新探偵小説全集10 笑う肉仮面/山田風太郎・江戸川乱歩監修」(函ナシ)を五千円で購入する。途端にレジの周りに集まっていた先輩たちから「函が…」「函があればねぇ〜」と声が上がる。…あぁこんな風にして、いつの間にか裸本が増えて行くのである…本意ではないのだが、私はいつのまにか裸本コレクターと化しているのではないだろうか…。
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今回のバイト体験は、12/2のトークイベントに充分反映させるつもりなので、みなさま12/2(金)開催『古本屋の光と影』(詳しくは2016/11/16参照)を、よろしくお願いいたします。そして古本屋雑用レベル1くらいには達していると思うので、ぜひウチでバイトしてくれと言う奇特な古本屋さんがあれば、ご連絡ください。地球の裏側からでも駆け付けて働きます!

先週土日の大阪&京都行脚からノンストップで動き続けてきて、明日は今年最後の「みちくさ市」に参戦。相変わらず妙な古本たちとともに、己の人生と魂を分譲した新刊「古本屋ツアー・イン・京阪神」携えて行きますので、首をニョロニョロニョロニョロ長くして、午前十一時から午後四時まで、秋の雑司が谷でお待ちしております!
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2016年11月18日

11/18古本屋バイト・イン・J町 その4

ちょっと早めにJ町に入るが、意気込んでいたわりには何も買えずにお店にたどり着いてしまい、そのまま古本屋バイトを開始する。レジ近辺にシンナー臭が漂っているのだが、昨日強力なシール剥がし液が飛び散る大惨事が発生してしまったとのこと。刺激的な匂いを始終嗅ぎながら、今日はただひたすら催事用古本作成に邁進する。もちろんその間にレジ打ちをこなすのだが、金曜日はなんだかお客さんが多く、時々てんてこ舞いになってしまう。『砂の惑星デューン』の日本語版を探しに来たフランス人カップルが、先輩店員が取り出したアメコミの『デューン』に大感動し、「ワァオ!」を連発。二人で表紙を見つめてずっとうっとりしながら、ハヤカワ文庫セットとともに購入する一幕も。そしてちょっとレジ打ちに慣れて来たのが、逆に心の油断を生んだのか、ちょこちょこ打ち間違いや誤動作を引き起こしてしまい、凹みがちになる…。昼休みに『白山通り』の和本と書のお店「誠信堂書店」(2008/07/25参照)前を通りかかると、奥の上がり框に犬がスックと立っており、お店をロケに使った映画『珈琲時光』そのままの風景が展開されていた。おかげで心が少し暖かくなる。
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「原書房」(2014/05/15参照)にて、國民書院「まじない秘密奥伝傳/石邑雲齊」(非常にインチキ臭いおまじない&薬のオンパレード!)靈響山房「んざん抄 心霊と人生雜想/宇佐美景堂編著」(分厚い文庫サイズの心霊&超能力体験や奇蹟・奇病などの体験談を集めたもの)を計700円で購入する。お店に戻って引き続き値段札貼り、貼り、貼り!結局催事用文庫を、夕暮れまでにダンボール四箱分作り出す。その後は棚出しするための本を準備するため、まずは新入荷本が棚とダブっていないか確認。大量の横溝文庫が大きな壁となって立ちはだかる。装幀・表紙絵違い、帯ありorなし…ややこしいこと甚だしい…いかん、「幽霊座」と「幽霊男」を同一視してしまいそうに…。こうして四日目は、一日中文庫本との格闘に終始したのである。

閑話休題。今読んでいるのは、相変わらず敗北気味のヤフオクにて何故か比較的安値で手に入れられた、春陽堂「探偵小説四集 五人の生命」。明治二十六年刊のA5版の100ページ強の本で、当時の定価は一冊七銭。活字も大きく、船・汽車・馬車内で暇つぶしに読まれることを想定し(だから表3&4は時刻表になっている)、尚且つ読了したなら家に持ち帰らずに、捨てることを勧めている。同シリーズに泉鏡花の探偵小説「活人形」があるはずだが、当時はやはり読み捨てられていたのだろうか…も、もったいない…。いやそんなことより、読み進めていると、あまりに驚愕のシーンにぶち当たってしまったので、ここで少し紹介しておきたい。全体的な話は端折るが、注目のシーンは、腕力知力変装力に長けた名探偵・瀬尾が、敵側の情勢を探るために老婆の物売りに変装して、アジトを偵察するところ。敵方の小娘と面談中に、今まで心安く話していたのが突然「お前は何者なんだえ?」と詰問して来たので、探偵はとぼけようとするのだが、「隠し立てしたってだめだよ」と手鏡を突きつけられる。するとなんと、探偵の変装カツラが、ずれてしまっていたのだ…「こはこは如何に…頭につけし鬘の工合の惡しかりけん、小鬢のあたりの黒髪が手拭の下より見え透くに、こはしなしたりしくじったり…」。こんな愉快な探偵小説、ありなのか?この文章を読むや否や、本当にプフッと吹き出してしまった。探偵、絶対にすれてちゃダメじゃん!
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2016年11月17日

11/17準備でせっかくの休日を台無しにする

今日はバイトはお休み。たった三日勤めただけで、疲労を極度に溜めまくった身体には、やすらぎの二十四時間…だが、そうは言ってられないのである。土曜のバイト勤め終了後の日曜は、「みちくさ市」に参戦することが決まっているのだ。古本を、古本を準備しなければ!と朝から結局バイトと酷似した作業に奔走する…俺はいったい何をやっているんだ…古本と戯れるにも、ほどがあり過ぎ、秋の日々…。新ネタを家中の山からガサゴソ掻き集め、全体の構成を微調整した後、本のクリーニングに入る。
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そして昼食後、BSプレミアム放送の映画『悪魔の手鞠唄』に集中力を奪われながら値付に入る。だが途中で息抜きに外出。テクテク歩いて「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に入り、徳間書店「みなとまち・異人館/原田伴彦監修」ハタリ「座頭市映画手帖」文藝春秋「斉藤栄のミステリー作法/斉藤栄」を計721円で購入し、そのままカウンターでECD闘病応援のためにカンパし、『ガーンECD』ステッカーを一枚いただく。お店を出たらいつもの通り道をたどり、いつもの荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)。春陽文庫「東京暗黒街/島田一男」(昭和三十七年四刷)新潮文庫「終編金色夜叉/小栗風葉」三省堂「新版SFの世界/福島正美」桃源社「地獄横丁/渡辺啓助」を計840円で購入する。続いていつもとルートを変えて吉祥寺に電車で向かい、久々の「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。すると店頭棚から、岩谷書店が出していたB6サイズの『天狗文庫』という本分三段組みの仙花紙本を見つけ出し、こんなの見たことなかったぞ!と喜び頭上に掲げる。岩谷書店天狗文庫「胡堂捕物傑作選/野村胡堂」講談社「単線の駅/尾崎一雄」を計400円で購入する。その後は西荻窪までトボトボ歩き、「盛林堂書店」(2012/01/06参照)で「フォニャルフ」棚にちょちょいと補充しつつ、店主・小野氏と意外に近くに迫っている、十二月の二つのトークイベントについて軽く打ち合わせる。そして古本屋バイトを大いに冷やかされてしまう。

家に帰って再び準備作業に取りかかり、夕食前には無事完了。よし、これで日曜の準備は万端だ。ふぅ、と背筋を伸ばして、今日の嬉しい収穫二冊を愛玩する。
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天狗文庫の最終ページと表3は岩谷書店の広告で、かたや『岩谷選書』十九冊の広告、かたや「獄門島」「眼中の惡魔」「木乃伊の戀」となっている。選書の広告では「赤痣の女/大坪砂男」「眞福寺事件/久生十蘭」「鬼火/横溝正史」「緑衣の女/高木彬光」「J・ハリス/幻妖夢」「文學少女/木々高太郎」「人形佐七捕物傑作集」などもラインナップされているが、タイトルが変更になったり出版されなかったり…。
posted by tokusan at 21:17| Comment(8) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする