2020年01月20日

1/20裸本だが作次郎!

昨日の「みちくさ市」は寒さのためかゆるやかな感じで、結果どうにか三十二冊を売り上げる。絶好調時の半分くらいか。お寄りいただいたみなさま、話しかけて下さったみなさま、差し入れを下さったみなさま、古本を買って下さったみなさま(映画『DUNE砂の惑星』出演時のほぼ全裸のスティングが表紙の古い「STARLOG」を買ってくれた若い娘さん、あなたは素晴らしい!)、そして寒い中色々奔走するわめぞのみなさま、本当にありがとうございました。これからも一層精進して参りますので、この哀れな俄古本売りを、引き続きよろしくお願いいたします!途中、もはや「みちくさ市」出店の常連になりつつある杉江松恋氏にも立ち寄っていただいたので、杉江氏を狙い撃つために入手していた講談関連の古本を、「これ、お持ちじゃなかったらお譲りしますよ」と手渡す。すると手にした氏は「これは…持ってないですねぇ。いや、これは…」と、ちょっと目の色がぐるんと変わる。「見たことないです。いいですね。ちゃんとした値で買わさせて下さい」「いや、もう、杉江さんの言い値でいいですよ。何処かのお店で見かけて、すげぇ安く買えてラッキー!みたいな値段で大丈夫です」などとあやふやなやり取りをし、無事に交渉成立する。いや、狙い通りに、しかるべき古本が、必要としている方の手に無事に収まる瞬間は、何度見ても嬉しいものである。また何か何処かで見つけたら、買っておくことにしよう。そして今回の出店場所はいつもと異なり、本部の真ん前で、隣りは「甘夏書店」さん(2014/11/02参照)であった。絵本を多く並べ、ご婦人や子供連れに大人気。少し人の途絶えた時に、「甘夏さん、新しい絵本って、ちゃんと追いかけてるんですか?今の時代でも、名作って生まれてるんでしょうか?」と素朴に質問する。「いや、とても全部は追いかけられないですよ。だから、お客さんに色々教えられることが多いんです。名作も、その時代時代に、ちゃんと生まれているみたいです。若いお母さんの子供のときの名作もあるし、そのお母さんが自分の子供の新世代の絵本に接して、新たに生まれる名作とか…」…そうか、それは素晴らしい未知の領域だ。絵本の世界も、広大で奥深く、子供のために常に進化を続けているのだな。帰りに阿佐ヶ谷で「千章堂書店」(2009/12/29参照)の百均単行本ワゴンに目を向けると、冬樹社「そして天使は歌う」「人生は楽しき集い」ともに久保田二郎が転がっていたので、即座に二百円で購入する。

そして本日は経堂に流れ着いたので、まずは「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ。偕成社「海の義賊/原作ベルネード 柴田錬三郎」(カバーナシ貸本仕様)トムズボックス「動物園/真鍋博」を計635円で購入する。さらにその後は下北沢に移動し、愛しの「ほん吉」(2008/06/01参照)に突入。改造社「動物と暮して四十年/黒川義太郎」(裸本)新潮社「世の中へ/加能作次郎」(函ナシ)を計1210円で購入する。少し傷んで函ナシとは言え、大正八年の加能作次郎がやっぱり嬉しい。じっくりゆっくり読み耽り、明治の京都の街をウロウロと、泣きっ放しの迷兒のように彷徨うことにしよう。
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2020年01月18日

1/18年の始めの「みちくさ市」!

色々あって、ようやくたった今、明日の記念すべき第50回「みちくさ市」の精鋭古本の準備を終える。選びました、身を切りました!写真以外にも隠し球あり!なので、実際の並びは現地でお確かめ下されば幸いです。ブルブル震えながらお待ちしていますので、話しかけてください!古本見て下さい!古本買って下さい!それでは明日、一月の雑司が谷でお会いいたしましょう!
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■「第50回 鬼子母神通り みちくさ市」
■1月19日(日)11:00〜16:00 雨天中止(当日午前八時に天候による開催の有無を決定)
■東京都豊島区雑司が谷二丁目・鬼子母神通り周辺
https://kmstreet.exblog.jp/
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2020年01月17日

1/17古本市〜護身術〜梶龍雄〜月光的ダダ!

朝からキビキビお仕事して、満員電車で午前十時過ぎの調布駅に駆け付ける。本日から31日まで、駅前のパルコ五階催事場で「第5回 調布の古本市」(2016/02/24参照)が開かれているのである。駅側の入口から入り、左のエレベーターホールに向かうと、三基とも上に向かったばかり。仕方ないのでエスカレーターでカクカク五階まで。中規模の催事場には古本を立体的に展示したワゴンが並び、すでに古本をもとめて集まった古本修羅たちを魅了している。そそくさと会場に近付き、すぐに私も魅了される…「にわとり文庫」(2009/07/25参照)の三千均赤本探偵漫画が魅力的だが…おぉ、「うさぎ書林」(2009/07/07参照)の大量安売絵本コーナーが、六十〜七十年代の本も交えているので、大変に魅力的だ…と、たちまち四冊を選び取ってしまう。「トマソン社」(2016/11/27参照)の変な新書も魅力的だ…と一冊を抜き取り、奥の帳場へ。そこですっかりインフルエンザから復活した「にわとり」さんと挨拶を交わす。「もう大丈夫ですか?」「いや、もうほんっとに大変だったんですよ…」。いや、そうでしょうそうでしょう。文化出版局「はろるど まほうの くにへ/クロケット・ジョンソン作 岸田衿子訳」日本パブリッシング「ゆき ゆき ゆき/作・画マッキー・イーストマン 文・岸田衿子」ポプラ社 ちびくろ絵本4「ちびくろ・かーしゃ/さくヘレン・バンナーマン ぶん・すずきてつろう え・むらかみつとむ」(カバーナシ)至光社「あおくんときいろちゃん/レオ・レオーニ」河出書房 河出新書写真篇19「護身術」を計2090円で購入する。絵本は、岸田衿子訳にレオ・レオーニ、そして『ちびくろ絵本』と、本当に豊作であった。そして「護身術」が面白い。多彩な分解写真で『道ですべったとき』『尾行されたとき』『強盗に入られたら』『暴漢におそわれたら』『凶器をつきつけられたとき』『自転車を避けるとき』などが紹介されているのだが、リアルにやり過ぎて後半が恐ろしいことになっている。この『ヒモ状のもので後から締められた場合』なんて、もう…。
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ちょちょちょちょ、ちょっと!と叫びたくなるページである。

帰りに阿佐ヶ谷「銀星舎」(2008/10/19参照)の前を通りかかると、旦那さん店主が開店準備中だったのでご挨拶。旦那さん、前日急逝された坪内祐三氏の愛読者だったようで、大変に残念がっている。家に帰ってからは、日曜「みちくさ市」の準備をジワリと進める。夕方に再び外出し、まずは通り道の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、双葉社「かわいい目撃者/佐野洋」講談社現代新書「コピーライターの発想/土屋耕一」を計220円で購入しつつ、店主・天野氏に新年の挨拶をする。続いて通りをタッタカ進んで長めにナナメに渡り「ネオ書房」(2019/08/11参照)へ。今回も付録本狙いで所定の位置にたどり着くと、やはり新たな二冊が入荷している。小学館「きみに挑戦……!推理探偵上級クイズ」(六年 昭和50年4月号)「推理たんていクイズ」(五年 昭和49年4月号)おぉ、一冊は構成が梶龍雄じゃないか!と喜び計600円で購入し、切通氏より新しく出来たポイントカードを受け取る。その後はさらに西荻窪に移動し、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。店頭でバッタリ岡崎武志氏と出会い、新年の挨拶を交わす。話題はやはり坪内祐三氏のことと、パソコンを新しくしたことと、自宅古本お片づけのお話。師よ、今年も色々古本屋を楽しみ、何かやりましょう!店内では打ち合わせを一つする。そして届いたばかりの出来立てホヤホヤの、カバーデザインを担当した東都我刊我書房新刊「月光的ダダ 石野重道拾遺集」を受け取る。大正モダニズムの幽的詩人作家・石野重道の、二十一世紀四冊目の本である!今回は前衛文藝雑誌「薔薇魔術学説」や「G・G・P・G」(ゲエ・ギムギガム・プルルル・ギムゲム)から見つけ出して来た、奇怪で歪で機械的な光を放つ詩や散文を収録。月光を浴びるように読んでやる!と夜空を見上げ、厚い雲に阻まれ、全く窺えない月を思う。明日あたりから「盛林堂」店頭&通販や「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)で購入出来るはずである。「彩色ある夢」「不思議な宝石」「ネクタイピン物語」と果敢に蒐集している方は、さらに果敢に目指せコンプリート!
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2020年01月16日

1/16デカイ古本を買う。

昨日は雨上がりの吉祥寺に流れ着いたので、いつものように古本屋さんを巡っていると、「バサラブックス」(2015/03/18参照)の店頭三百均木箱に、一瞬目を疑う分厚い二冊が冗談のように並んでいるのを発見する。河出書房新社「都筑道夫ドラマ・ランド[完全版]上・下」である。これが一冊三百円…つまり二冊で六百円…帯もちゃんとついている…何かの間違いではないだろうか…でもカバーにはしっかりと三百円の値札が…と俄に信じられない気分に陥りながらも、フィッシュマンズが流れる店内で、値札通りの計600円で購入する。編者の日下三蔵さん、古本で買ってしまい、すみません!でも、この本がこの値段だったら、迷うわず買うっしょ!そして本日は明大前に流れ着いたので、フラフラ歩いて「七月堂古書部」(2018/01/13参照)へ。與田準一の古書がまとまって並んでいる…詩集の古書も素敵な景色だな…などと落ち着いて古本を楽しみつつ、白水社「黒き舞楽/泡坂妻夫」を百円で購入すると、奥からしづしづと七月堂さんが現れたので、挨拶を交わす。「いつも変な本ばかり買ってすみません」と謝りつつ、一葉のリーフレットを受け取る。『丸善 京都本店』で開かれている、出版社としての七月堂さんのフェア「はじめての詩集。ふたたびの一冊。」。1973年の創立から作り続けている本を、詩集以外のジャンルも交え、展示販売しているそうだ。このために七月堂さんは、しばらく東京と京都を行き来しているとのことである。…冬の京都か、いいなぁ…。その後は東松原までテクテク歩いて、駅近くの「瀧堂」(2014/05/01参照)へ。店頭棚前に蟠っていると、文庫棚に鮎川哲也がたくさん出ているのに気付き、まずは光文社文庫「硝子の家/鮎川哲也編」を手にする。次に気になったのは珍しく大判本で、前衛社という聞き慣れない出版社が出している「山本美智代・印刷画集/銀鍍」という、わりと豪華な画集である。函から取り出しページを開くと、デカルコマニーやコラージュのような抽象的で色鮮やかな絵に対応して、様々な著名人33人の文章が収められている。高橋睦郎・坂崎乙郎・吉行理絵・塚本邦雄・須永朝彦・白石かずこ・富岡多恵子・田中小実昌・萩原洋子・笠井叡・種村季弘・稲垣足穂…好ましいラインナップだ。値段を見ると五百円なので、ひとまず買っておくことにする。先ほどの文庫と合わせて計610円。それにしてもこの画集、デカイ。
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2020年01月15日

1/15古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第六章】

昨日はどうにか復調した身体を酷使するため、盛林堂・イレギュラーズとして、ここ二ヶ月ほどで急ピッチで進んでいる日下三蔵氏邸書庫の整理に、ボスの・小野氏とともに急行する。いつものように「盛林堂書房」(2012/01/06参照)前で待ち合わせ、午前七時二十分に東京を出発。渋滞を乗り越え、高速をひた走り、途中でアニメの話に夢中になり過ぎて分岐ルートを間違えたりしながら、どうにか予定通りに神奈川県の某所に到着。駐車場で朝四時まで原稿を書いていた日下三蔵氏と落ち合い、まずはマンション書庫へと向かう。今日の作業は、残っている八本のカラーボックスの設置と、本邸和室の片付け&そこから出た本をマンション書庫に運び込むと言うもの。テキパキ進めれば、とてもスムーズに進む気がする、無理のない作業プランである。早速一時的に本を入れてしまった中央に置かれたカラーボックス群から、本を抜き出し台所方面へ逃す作業が始まる。これは小野氏と日下氏が連携して進める。
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私はと言えば、和室入口横の壁際に、まずは四つのボックスを設置することになったので、その部分を覆う本の移動と余裕のある作業スペースの確保を担う…つまりは本の山の移動である。ただただ本をひたすら同一室内で動かしまくる…まるでこれは古本不変の法則=ここの古本はほとんど減ることがない、ダブりやトリプり、クァドラりが見つからぬ限りは…などと考えながら、一心不乱に上手くスペースを作りつつ、本を後へ右へ…懸命に四十分ほど働き続けたなら、当然の如く壁が見えて来た…後、この壁のような本タワーを四列……よし、開いた。それではカラーボックスを設置してみよう。おぉ、ちょっと奥の翻訳本棚が一部見難くなるが、ぴったりじゃないか。やがてあちらの作業を終えた日下&小野コンビがこちらに移動し、続いて自著を組んだばかりの棚に入れ始めた。
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と言うわけで、本の山の中から日下氏の自著を探し出し、せっせかせっせか渡して行く…ふぅ。ある程度入ったところで、次の行程に取りかかることに。今度は車で本邸に移動し、和室の整理に着手する。前回(2019/12/11参照)それなりに整理や運び出しを行ったので、スペースも充分空き、見通しが明るい。シャッターを開けて窓から入った日下氏が、本をある程度選別し、窓際まで運び出して来る。
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それを受け取り玄関ポーチを伝ってガレージに降り立ち、バックドアを全開にした盛林堂号後部で本を結束する小野氏に、次々と渡して行く。これを何十往復も繰り返すのである…その途中、フト窓際に積み上がる本の山に目を移したら、あぁっ!「宇宙からきたひる」がいつの間にか二冊に増殖してる!
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ダブってる!…ヒ〜ェイ。こんな本がダブるなんて…やはりここは確実に何かが歪んでいる…。そして日下氏がつぶやく。「この辺に古い探偵小説があるはずなんですよ。もうそろそろ近付いている予感がします」。だが、まだ指差されたそこにあるのは、分厚いコミックの山なのである。そんな風に作業を一時間ほど進めて行くと、たちまち盛林堂号のトランクが一杯になって行く。ひとまず運び出すのはこのくらいにしようということになり、全員が気になって仕方ない探偵小説層を、整理を進めながら発掘に取りかかる。こうなると、俄然エンジンのギアを上げるのは小野氏である。古本パワーショベルのように山を突き崩し、古本ブルドーザーのように移動させて別な場所に積み上げて行く。次第に発掘部分は奥へ奥へ…すると「木のサイドボードが出て来ました。何か民芸品がたくさん飾ってあります」と報告。日下氏が「ではその横辺りにあるはずです」。と言うことで横に少し発掘部分を移動させる。すると本当にその横から、黒い古書の積み上がる探偵小説層が、ついに出現したのであった。
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「うわぁ、出た。本当にあった!」と歓喜の声が上がる。「お、俺にも見せて下さい見せて下さい」と慌てて近付くと、そこには素晴らしくカロリーの高い眺めが!しかも想像していたのより多い気がする!永瀬三吾「白眼鬼」が本当にダブってる!「これ、鮎川哲也「ペトロフ事件」の異装版。すごく珍しいんだよ」と小野氏。「國枝史郎の「恐怖街」がある…持ってたんだ。スゲェ〜」と日下氏。城昌幸の「美貌術師」が…あわわわ。などと大興奮する。こんな風にひとまず初期の目的は達したので、次は搬出した本をマンション書庫に運び込んだ後、昼食を摂ることにする。本で重くなった車でブロロロロと移動して、バケツリレー方式でエイコラヤイコラ大量の本を必死に搬入する。すると、あれだけスペースの出来ていたマンション書庫リビング部分も、さすがに以前のように本が溢れ始めて来た。うぅむ、凄まじい状態になりつつある。とここで作業第一部が終了。三人ともすっかりエネルギーを使い切ってしまったので、駅方面に出て美味しい美味しいお寿司で栄養補給する。この昼のお寿司は、もはや日下邸整理訪問の楽しみのひとつとなりつつある。すっかり満腹してマンション書庫に戻ると、玄関の洞窟具合を解消し、スムーズな動線を確保した小野氏が、そこの片付けを提案する。そして承諾した日下氏とともに、棚の入れ替え&奥へ運ぶ物の選別、それにもっと効率的な本と物の積み上げに取り組み始めた。
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それならばこちらは、リビング台所間の本の山を移動させ、後四本のカラーボックス設置ゾーンを作っておこうと、またも大量の本の山の移動に、ひとり取りかかることにする。モクモクモクモク作業し、およそ一時間弱で場所を開け、ボックスを仮設置。
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だが、おかげでリビングの大部分は、整然としてはいるが、大量の本に埋め尽くされることになってしまった…まぁこれは後は、日下氏が棚に本を入れ、さらに有用無用を選別し、次回の作業時に運び出せるように、ジリジリと地道に作業を進めて行くしかないだろう。
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いつしか夕闇が迫り、あっという間に午後五時前。玄関の整理も終わり、以前より格段に出入りがし易くなって来た。これで廊下にも整理の手を伸ばせば、奥へのアクセスがスムーズになり、様々な作業のスピードアップが図れるだろう。というわけで、ここで本日の重労働は終了。ここからはお楽しみのダブり本タイムである。本を棚に入れ、色々見えるようになって来たからこそ、発見し易くなった恐怖のダブり本たち。今回新たに本邸和室から発見された本も持ち寄ると、恐ろしいことに十八種の本が完全にダブっていた(もちろん奥付やアナザーブックについてはしっかり入念にチェック済みなのである)。
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大河内常平「夜に罪あり」が、「白眼鬼」が二冊並んでいる光景は狂った新刊書店のようだ…フレデリック・ダール「絶体絶命」は四冊も…。今回のダブりは高カロリーだなぁ。これはもちろん盛林堂の買取となるのだが、その中から嬉しいハードワークの報酬お土産を分けていただく。裸本や傷んでいる本を主にこちらに回してもらうが、それでも裸本の改造社「就眠儀式/木々高太郎」と新潮社「海・陸・空のなぞ/渡辺啓助」は疲れが吹っ飛ぶほどの嬉しいお土産であった。ありがとう、日下さん!
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後は焼肉で晩餐を摂り、再び栄養補給し、帰りに日下号の助手席に鎮座していたコミック百冊をマンション古書に運び入れ、作業終了。お疲れさまでした。午後八時半には現場を離れることが出来たので、珍しく午後十時前には西荻窪に帰り着く。
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2020年01月12日

1/12諦めずに落穂拾いする。

体調が相変わらず低空飛行なのに、南阿佐ヶ谷に疲弊して流れ着いてしまう。一刻も家に帰って布団の中に飛び込みたいところだが、今日はどうにか古本を買うことにしよう。そう言えば先ほど裏路地で、歌人の枡野浩一氏が営む書店兼事務所「枡野書店」を発見する。今日はお休みだったが、確か古本も扱っているはずなので、今度改めて見に行こう。そんなことを考えながら、足は自然と荻窪方面に向かう。たどり着いたのは、第一段階雨仕様の「ささま書店」(2018/08/20参照)。果たして何か買えるかな…と均一台に秋波を送る。すると二本目で目についたのが、のら書店「へんなかくれんぼ/岸田衿子詩・織茂恭子絵」。おぉ、こんなところで岸田衿子!と、マニアとして小さく喜び、110円で購入する。
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時刻はすでに午後三時二十分である…大遅刻だが、やはり諦めずに行ってみるか…そう決めて電車に乗り込み一駅移動する。南口に出ると、細かな雨がポツポツ落ち始めて来た。…結局一周遅れで開催の「ニワトリブンコ100均大会」にも、盛大に遅刻してしまったのである。もぅ、ボロい押川春浪本など望むべくもないのだが、それでも何か買えるだろうと、楽観的に「にわとり文庫」の前に立つ。店頭に古書を多く収めた木箱棚が、三方に展開している。やはり真面目な文学関連や古典文学や資料系冊子などが多く残っている。うむむむむむむと唸りながら落ち穂拾いに集中する。中央社「カメラマン物語 うつしある記/野尻鷹雄」新潮文庫「フレンチ警部最大の事件」「マギル卿最後の旅」共にクロフツを計300円で購入する。来年こそは遅刻しないよう気をつけよう。
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2020年01月10日

1/10一月のお知らせ二つ。

何だか体調が低調である。神保町にて所用を済ませるが、パトロールはそこそこにしてサッサと引き上げるか。そう決めて足早に馴染みの店先を素早く覗き込んで行く。「アムール」(2011/08/12参照)では岩波文庫「シャーロック・ホームズの歸還/コナン・ドイル作 菊池武一譯」教養文庫「フェアリーのおくりもの 世界妖精民話集/トマス・カイトリー」を計100円で購入する。「田村書店」(2010/12/21参照)にたどり着くと、店頭ワゴンには古い本が山積み。世界童話大系刊行會「世界童話大系 第一巻 希臘・羅馬・伊太利篇」を300円で購入する。そのまま『駿河台下交差点』までたどり着いてしまうが、やはり何か物足りない。するっと裏路地に入って「山吹書房」(2018/09/28参照)を見に行くが、残念なことにまだ開いていない。ちょっと戻って「羊頭書房」(2014/05/02参照)に入る。素敵な本たちで目の保養をしながら、最終的に帳場に張り付く低層棚前に、小さくなってしゃがみ込む。すると新書サイズ本の群れの中の、緑色の背のショボイ付録本が目に留まる。取り出しみると、小学館「ボーイズライフ昭和三十八年6月号」の付録「ボーイズサスペンスライブラリー 黒いパラシュート/E・S・アーロンズ 福島正実訳」であった。値段が1200円とお手頃なのでスパッと購入し、サッサか今年最初の本の街から引き上げる。
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バタ臭い表紙絵の「黒いパラシュート」と昭和十五年第四刷の「シャーロック・ホームズの歸還」。トールサイズの岩波文庫で、タイトルや作家名・出版社名は右書きである。

さて、お知らせを二つ。
1. そろそろ発売になる「本の雑誌 ねんねこ豆まき号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、吉祥寺の「よみた屋」を楽しく取材。ここ最近通い詰めているせいか、店頭で面白い本がよく買えるのです。そして本のお尻の方に載っている執筆者の近況報告『今月書いた人』が、自分でも今月は殊の外お気に入り。2020年は漫画『AKIRA』の舞台だと良く語られるが、実は他にもこの年を舞台にした作品があるのです。永遠のウルトラファンで、すみません…。
2. 冬の「みちくさ市」に今年も勇躍参加いたします。何と今回で50回を迎える記念すべき回!販売古本のベースは時間をかけて作ってあるのですが、これからそこに色々な古本をプラスし、いつものようにおかしなラインナップにするつもり。ぜひお散歩がてら覗きに来て下さい。皆さまにお会い出来るのを、お話し出来るのを、古本を買っていただけるのを、楽しみにしております!
■「第50回 鬼子母神通り みちくさ市」
■1月19日(日)11:00〜16:00 雨天中止(当日午前八時に天候による開催の有無を決定)
■東京都豊島区雑司が谷二丁目・鬼子母神通り周辺
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2020年01月09日

1/9トーコー出版ガイド

昨日来るはずだった暖かさが遅刻して来たような本日、西荻窪と吉祥寺の間に流れ着く。三日連続で西荻窪と言うのも能がないので、テクテク足を戻すように吉祥寺へ向かう。風の強い『井の頭通り』を伝い、まずは「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。日本板硝子株式会社「SPACE MODULAR 54」を110円で購入する。ガラス会社が出していた、建築関連を多く取り上げる贅沢な造りの企業誌である。この号は福岡市の近代建築を特集している。九州大学医学部の校舎も詳しく掲載され、セセッション様式の『眼科学教室』がとにかく華麗である。これで木造とは…美しい…もとより精神病棟の写真ではないのだが、やはり夢野久作「ドグラ・マグラ」を勝手にイメージてしまう…。続いて駅南口を通り過ぎ、雑居ビルの中に吸い込まれて、奥の「古本センター」(2017/03/06参照)へ。帳場前の通路棚下に細かいものが積み重なっているので、ちょっと興味を抱いて吟味してみると、桜井文庫「戦後の貸本文化/梶井純」があったので、1100円で購入する。このなかなかの安値も嬉しいのだが、さらに喜んだのは中に挟まれていた紙物。「トーコー出版ガイド」という名の、文庫サイズ見開きペラ一枚一色刷りの、簡素な三種の出版目録である。二種は水木しげる復刻の目録で、一種は辰巳ヨシヒロと佐藤まさあきの目録である。東考社は、漫画家を引退した桜井昌一が始めた出版社だが、こんなの初めて見たなぁ。
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そして家に帰り、四十冊ほどのセレクト古本を詰め込んだ重いダンボール箱を抱え込み、エッチラオッチラ運んで郵便局から発送する。これで近日中に「梅田蔦屋書店」の古ツア棚に、新入荷本が並び始めることだろう。西の皆さま、今年もこの素敵な新刊書店の中に咲く、奇怪な古本棚を、何とぞよろしくお願いいたします。
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2020年01月08日

1/8今日はお年玉をいただく。

予報とは裏腹に、全く上がらぬ気温に激怒しながら西荻窪の片隅に流れ着く。フラフラと「古書音羽館」(2009/06/04参照)に立ち寄り、古本で暖をとる。三省堂「東京は、秋/荒木経惟」白夜書房「京都スーベニイル手帖 冬春編/沼田元氣」を計800円で購入し、先輩店員さんと新年の挨拶を交わす。すると奥に帳場の本の壁の奥に潜む店主・広瀬氏から何かを渡され、「広瀬からです。お年玉です。買えるのは新刊ですけど」とさらに一枚のカードを手渡される。おぉ!『本のお年玉』という名の図書カード。裏には音羽館のハンコと、直筆で『今年もどうぞよろしくお願いいたします』と書かれている。こちらこそ、よろしくお願いいたします!古本屋さんで、昨日は福袋をいただき、今日はお年玉をいただいてしまった…これからも身を粉にして、古本屋さんで古本を買って行くことにしよう。「東京は、秋」は筑摩書房の横長本が定番であるが、その前に三省堂の『都市のジャーナリズム』シリーズで出ていたとは知らなかった。三省堂版は一九八四年刊で筑摩版は一九九二年刊。サイズは同じ四六判だが、掲載の写真は三省堂版の方が大きくて見易い。ただし写真がノドにかかっているので、その辺りを解消したかったのかもしれない。また、後のカバー見返しの広告を見ると、同シリーズの近刊ラインナップが載っているのだが、藤森照信の「建築探偵学入門」なんてのが予告されている。この本は恐らく出版されず、代わりに一九八八年に「看板建築」が出されている。似た書名の文春文庫「建築探偵術入門」は一九八六年出版なので、企画はこちらで実現したのかもしれない。
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夜、日本映画専門チャンネルで、待ちに待った新東宝の怪奇因縁エログロアクション映画「九十九本目の生娘」を二十五年ぶりくらいに観る。当時は何とも思わなかった、『原作:大河内常平「九十九本目の妖刀」探偵実話所載 講談社版』のテロップを確認し、感動する。山奥に隠れ棲む、舞草一族の非道な作刀の物語は、改めて見ると、一族の一人“おババ”と一族の長が主役の映画であった。おババは実際に敏捷に急斜面の山野を駆け巡り、八面六臂の大活躍。警察に一旦捕まり撮られた手配写真が爆笑。長はセリフの“ひ”が全部“し”になってしまい、江戸っ子丸出し。深山幽谷(本当にスゴい山奥でのロケ)に展開する捜索&アクションがとにかく見物。あぁ面白かった。昔買ったビデオ(「上野古書のまち(2008/12/09参照)の前身、『松竹ビデオハウス』で購入。この2008年の記事にも、ちゃんと「九十九本目の生娘」のビデオについて書いてある。偉いぞ、俺!)が、人に貸したまま返って来なかったので、とにかく観たくてしかたなかったのだ。録画もちゃんとしたし、どうやらこれで憑物が落ちたようだ。
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2020年01月07日

1/7嬉しい古本福袋!

朝から部屋の中をコマネズミのように忙しく動き回り、大阪に送る本の小山を作る。およそ四十冊ほど。先月おかげさまで多く売れたので、その分をしっかりと補充せねばならぬのだ。西のみなさま、今しばらく新入荷の到着をお待ち下さい。午後雨が降り出す前に西荻窪へ…と思ったら、もう雨がポツポツ落ち始めて来てしまった。目的の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に到着すると、お店もすっかり店頭にビニールカーテンを巡らせ、雨仕様である。そのカーテンと店頭台の隙間に入り、先客と譲り合いながら本を眺める。木箱の中から光風社「白い壁の記憶/鈴木俊平」(ちょっとミステリ純文学っぽい短篇集なのである)を引っ張り出して、暖かな店内へ。最近入荷の稀少ミステリ本を棚に補充している店主の小野氏に百円玉を渡す。すると「来ちゃったんだ」とニヤリ。早速色々な話をしながら帳場横の定位置に収まると、小野氏が「いやぁ、本当にオークションに参加出来なかった古ツアさん、見てられなかったよ」と言いながら、奥から三冊の古そうな本を持って来てくれた。これが件の『古本福袋』なのである(2020/01/06参照)。袋に入っているかと思えば、裸なのであった。みなお店のダブり本で、印があったり破けていたりと、ちょっと状態は悪いのだが、惜しみなく慰めの為に福袋にしてくれた心意気に、まずは感謝を捧げる。これからも盛林堂ミステリアス文庫の仕事、がんばります!盛林堂・イレギュラーズの仕事、がんばります!と軽薄に誓いを立てて、ウホウホと本を受け取る。昭和初期の少女雑誌付録や明治時代の冒険小説続編(冒頭に前編の慷概が載っているので安心だ)などとともに、唾を飲み込む一冊に釘付けになる。實業之日本社「怪洞の奇蹟/瀧澤素水」である。印アリ裏表紙に穴アキという代物だが、そんな瑕疵はどうでもいい!瀧澤素水!雑誌「日本少年」の主筆で、近代少年少女小説の雄である!パラパラとページを繰ると、これも紛う事なき明治の少年冒險小説&少女悲劇小説なのである。も、もしやオークションに参加しない方が良かったのでは…と思うほどの怪我の功名と言えよう。だが、その後に小野氏からオークションの話を改めて聞くと、やはりスゴい本が飛び交っており、またもや悔しさで歯噛みしてしまうのであった…いいやい!そのおかげで、俺にはもう、瀧澤素水があるんだい!と帳場脇で己に言い聞かせて、心をどうにか宥めすかす。いや、私は実際、果報者であります。この手にしている素水も、明治四十五年の本。色々なカタチで、色々な本が手元に集まって来るが、それは本が生き続ける長い時間の一瞬なので、読んで大事にして、上手く次世代へ引き継いで行かなければならないのだ。そう思い感謝しながら、最近入荷の稀少本をたくさん見せてもらったりする。これも勉強勉強。ここで目にして手にしていれば、いつかポロッと何処かの店先でそれらの本が視界に入った時に、ビビビとちゃんと引っ掛かってくれるのだ。うっかり紛れ込んでしまっている本を救い出すのもまた、いつかは未来への架け橋となる、大切な仕事となるかもしれない。だから今日も明日もこれからも、古本屋をさすらって、生きて行くことにしよう……まぁつまりは、いつも通りと言うことか。
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これが慰めの瀧澤素水「怪洞の奇蹟」。表紙絵の素晴らしさにうっとり。
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2020年01月06日

1/6今度は正真正銘大遅刻する。

昨日はミステリ研究家の松坂健氏書庫(2019/03/08参照)で開かれた『湘南探偵団出張新年会』に光栄にも招かれる(正確には『湘南探偵倶楽部』であるが、以降の文章は会合名に準じて『探偵団』で進める)。会のスタートは午後一時からで、それぞれがとっておきの古本を持ち寄り、オークションも開かれると言う。オークションもワクワクだが、湘南探偵団の団長にお会い出来るのも楽しみだ!…と意気込んでいたのだが、やれどもやれども仕事が終わらず、結局書庫にたどり着いたのは午後七時前…焦りながら玄関ベルを押すと、ドアを開けてくれたのは「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏で、開口一番「オークション終わっちゃったよ。団長ももう帰っちゃったよ」。ぎゃうぁぁあ〜!楽しみにしていたことが、二つともおじゃんに!いや、大遅刻して来た己が悪いのだが、悪いのだが、悪いのだが…あぁ、なんてこった。取りあえずはまだ居残っている、ミステリマニアのお歴々に挨拶をし、持参したビールをグイグイ呷る…はぁ、古書オークション…聞けばスゴいミステリや貸本小説や古本屋目録などがビュンビュン安値で飛び交っていたそうである。チラッと部屋の端を横目で見ると、良さげなそれぞれの落札本が、たくさん積み上がっている!…ぐわぁ、すげぇ、いいなぁ。目の毒過ぎる………だぁ〜〜〜〜っ、一生の不覚!「また何処かの機会でオークションやるから。それにしても盛り上がったよ。楽しかったよ〜」と、松坂氏に大いに慰められつつ嬲られる。まぁこの松坂書庫が観られるだけでも、だいぶ幸せなんだ。と己に言い聞かせ、余り物のサラダをバクバク食べつつ、ビールの次はハイボールを呷り、急速に酔いを深めて行く。そんな不様で浅ましい物欲に囚われた荒れ方を、哀れみの目で見つめていた小野氏が、笑いながら「もぅ、何だか可哀想だから、特別に古本福袋作っておいて上げるよ。今度取りおいで」と、泣き疲れた子供あやすように、しょうがなさそうに、素晴らしい提案をしてくれた。マ、マジっすか!行きます行きます、もう火曜日にすぐ行きます!と即座に現金に機嫌を直し、後はミステリ話や古本話にひたすら打ち興じる。古本好きが持つべき友は、古本屋さんである!

本日は朝から昨日の仕事の続きと、地道に原稿書き。午後になって一段落着いてから、月曜日の定点観測に出かける。昨日オークションに参加出来なかったことが尾を引きまくっているせいか、古本を買う気満々なのである。まずは荻窪「ささま書店」(2018/08/20参照)。日本郵便出版「前島密生誕150周年記念出版 行き路のしるし/橋本輝夫監修」を110円で購入する。次は勇んで「藍書店」(2018/12/29参照)へ赴き、工作舎「蜃気楼文明/ヘルムート・トリブッチ」を330円で購入。さらにこの時間ならもう開いている「竹陽書房」(2008/08/23参照)に飛び込む。NHK出版新書「「絶筆」で人間を読む/中野京子」白水社「現代イギリス幻想小説/由良君美編」を計900円で購入する。生真面目な装幀の「現代イギリス幻想小説」が、恐らくこの日一番の収穫だろう。だがまだ古本を買う気で、電車で一気に高円寺へ移動し、「アニマル洋子」(2014/03/14参照)で鹿島出版会「建築夢幻学 透光不透視の世界/長谷川尭・黒川哲郎」を100円で購入する。そして最後は『庚申通り』の「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に流れ着き、早川書房「虚無の孔/M・K・ジョーゼフ」「終りなき戦い/ジョー・ボールドマン」「オグの第二惑星/ベーテル・レンジェル」を計300円で購入する。
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ふぅ、ご近所で古本を、買った買った。
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2020年01月04日

1/4大遅刻かと思ったら!?

時間を動かせぬ所用をどうにかこなし終わったら、すでに午後一時過ぎ…泡を食いながら、なかば意気消沈しながら、西荻窪「にわとり文庫」(2009/07/25参照)の「100円均一大会」(2017/01/03参照)目指してひた走る…あぁ、もう良いものは売れちゃったんだろうなぁ…兵どもが夢の跡なんだろうなぁ…でも、でも、何か少しは残ってるかもしれないなぁ…たくさん補充されているといいなぁ…などと激しく古本的に心乱しながら、『平和通り』を進んで、大遅刻でお店にたどり着く。ありゃ?閉まってるぞ?もう本は売り切ってしまったので、店仕舞いしたのだろうか?…だが、店内には本の詰まった木箱が積み上がっている。そして、ウィンドウに何やら貼紙がしてある…何何、『店主、店員共にインフルエンザ発症のため、4日5日開催予定の100円均一大会は中止とさせていただきます』とあるじゃないか!
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げげぇっ、中止。ということは、俺は遅刻じゃなかったんだ……よ、よかっ…いや、よくないよくない。にわとりさんの速やかな快癒を、心からお祈りしております。大会は日程を改めて開かれるそうなので、今度は遅刻せぬよう、スケジュールを上手く調整しよう。というわけで、遅刻してもどっかり買うつもりだった気持ちのやり場を作らねばならない。足は自然と今日から営業始めの「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向いてしまう。店頭で本を選んでいると、店主・小野氏が盛林堂ミステリアス文庫スタッフのひとり、PICOROCOさんと一緒に姿を現し、店頭に散らばるホームズ&ドイル関連本を掻き集めては、巧妙に押し付けている。すごい売り方だが、それをニコニコ喜んでいるPICOROCOさんもまたクレイジーで素敵だ。お二人に年始の挨拶をし、店内へ。店頭本だけではどうも気持ちが治まらないので、棚に熱い視線を向ける。右側通路奥の壁棚サンリオ文庫ゾーン前にしゃがみ込み、そうだ。日下三蔵氏邸で文庫島を整理中に見かけたあの本があればよいのだが…あぁ、あったあった。サンリオSF文庫「馬的思考/アルフレッド・ジャリ」である。過日、不覚にもこんな文庫が出ているのを知らず、興味を惹かれて作業の手を止め、ちょっとページを開いたら、中はシュルレアリスム的ショートショートに満ちあふれていたので、即座に読みたくて仕方なくなった一冊なのである。文春ビジュアル文庫「スーパーガイド 建築探偵術入門/東京建築探偵団」講談社「ミステリーの書き方/アメリカ探偵作家クラブ」とともに計2200円で購入する。ホッ。ひとまず気持ちが治まった。
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2020年01月03日

1/3「ささま書店」初め!

昨日は実家に帰省。いつものように大いに酔っ払いつつ、天袋などを漁り、何冊かの本を持ち帰る。講談社「機動戦士ガンダム ストーリーブック1〜4」(安彦良和と大河原邦男が交互に表紙絵を担当する構成がイキですな)集英社「メンズノンノ創刊号」ツルモトルームのスティングの表紙が笑いを誘う「スターログ」などなど。売れるかどうかわからぬが、今度の「みちくさ市」で安値で放出することにしよう。
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本日は荻窪にテクテク向かい、定点観測と言うよりは「ささま書店」(2018/08/20参照)初めに挑む。午前十一時半が過ぎたばかりだが、もう店頭にも店内にも人影があり、それぞれに古本を求めている。井上ひさしが目立つな…と感じつつ、国民文庫「子どもと遊び/かこさとし」三笠書房「映画の歴史 映画講座第1巻/双葉十三郎編」(植草甚一の記事が三編あり)を選び出す。続いて店内もウロウロし、珍しく奥の方にまで足を延ばす。青弓社「謎の探検家 菅野力夫」を選び、先述の本と合わせて計1100円で購入する。今年もたくさん通いますので、良い本をよろしくお願いいたします。
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「謎の探検家 菅野力夫」は、大正〜昭和初期に活躍した世界探検家についての一冊である。この探検家、世界各国の珍しい奇景の前で、ビシッとポーズを決めている絵葉書はたくさん残っているのだが、その詳しい経歴は長らく顧みられていなかった。著者の写真家が、古書店で絵葉書を見つけたことから、その謎を探り始め、ついには菅野が晩年を過ごした家に残された資料にたどり着き、その生涯を追いかけて行く…。まさか二〇一〇年にこんな本が出されていたとは。フムフムフムフム、頭山満の書生で、世界無銭旅行家・矢島保次郎の後輩にあたるのか…。
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2020年01月01日

1/1ムズムズ古本を買いに行く。

昨晩は予告通りに、大晦日に賭けで購った「血耶肉耶」を読みながら過ごす。その賭けは、勝ちか負けかと問えば、一気に午後十時には読了してしまったので、まぁ読みやすかったとは言え、勝ちの部類に入ると言えよう。露西亜を舞台に、ロマノフ王朝を倒そうとする“虚無黨”(別名・赤心臓倶楽部)の、破壊活動・暗殺・破獄・間諜戦・警察との闘いを、大仰な冒険小説的筆致で描いた娯楽作品であった。しかし、こんなものを読んで年を越すのか…などと言うまともな思いも頭の隅にあり、逃げるようにテレビのリモコンに手を伸ばす。ところが分かってはいたのだが、何処に回してみても、長尺の目出度気な年越し番組ばかりである。結局たどりついたのは、CSでやっていた名作アニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城』。冒頭の強盗シーンが始まったところだったが、何度も何度も観ているのに、その素晴らしい神業と面白さとある種の恥ずかしさに一瞬で心を絡め取られ、結局最後まで観続けてしまう…阿呆か、俺は。そう言えば最後のシーンで出て来る銭形のセリフ『あなたの心です』は、故・吾妻ひでおが漫画内の不条理ギャグに取り込んでいて、最高に面白かった。名台詞ではあるが、『ルパン三世』を子供っぽい作品に変質させてしまった罪でもあることを、敏感に感じ取っている、嗜虐的な笑いなのである。TVアニメ『新ルパン三世』をファンタジックで荒唐無稽なナンセンスコメディにしてしまった大和屋竺の罪も大きいが、その後のルパンの在り方(もはや泥棒ではなく正義の味方)を決定付けてしまった宮崎駿の罪もまた大きい。だが、その二つの“罪”が、『ルパン三世』を長生きさせ、国民的なアニメに成長させたのは、紛れもない事実である。“罪”などと書いてしまうのは、私が『旧ルパン三世』原理主義者だからなのだが、だがそれでも、『カリオストロの城』には、無条件降伏してしまうような面白さと素晴らしさが、見事に封じ込められているのだ…などと観る度に考えてしまう。映画終了後、NHK Eテレの『2355-0655年越しSP』に滑り込むと、そのまさに年を越えようと言う部分で、東京の夜景を空撮しながら、名作アニメ映画『AKIRA』の名曲“KANEDA”を流す演出に、シビビビと痺れてしまう…阿呆か、俺は。夜中、近所の鷺ノ宮八幡宮に初詣に行く。

本日は午前七時前に起床し、ベランダからかろうじて初日の出を拝む。午前十時を過ぎた辺りで、早速ムズムズと古本が買いたくなって来てしまったので、素早く身支度をし、静かな外に出て、あそこならこの時間でももう開いているだろうと、『早稲田通り』を伝って高円寺に向かう。突然切られてしまい、無惨な切り口を晒しているプラタナス並木を悲しく眺めながら歩き続け、『庚申通り』に進入する。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)は、四日は午後四時からの営業で、五日から通常営業か。そしてその先の「DORAMA高円寺庚申通り店」へ。看板の電飾がビカビカと輝き、やはりすでに営業を開始している。ここの店頭安売ワゴンは、結構質の良い本を並べることが多いので、最近注目しているのである。工作舎「形の文化誌[5]形を遊ぶ」講談社文庫「にっぽんほら話/和田誠」を計220円で購入する。「にっぽんほら話」は、和田誠が作ったショートストーリーに、当代人気のイラストレーターたちが挿絵を提供しているカタチ。こういう本は、再刊する時、許諾を得るのが結構大変になることが多い。と、このように“古本初め”を目論見通りに済ませ、トボトボと帰宅する。本年もよろしくお願いいたします!
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2019年12月31日

12/31大晦日は賭けで買った古本を読み耽ろう!

いつの間にやら大晦日である。古本屋と古本に塗れた二〇一九年が、もはや暮れようとしている…。午前のうちに大掛かりな風呂掃除などを済ませ、すっかり体力を使い果たしてしまう。だが、早めのオヤツを食べて気力を取り戻した後、部屋内から古本を掻き集めて外出。とても暖かで穏やかな陽気である。向かった先は西荻窪で、もちろん足を向けるのは「盛林堂書房」(2012/01/06参照)である。まずは店頭棚を眺め、朝日新聞社「バンビ・ブック 鉄道・自動車なんでも号」六月社「ヨーロッパ三等旅行/戸塚文子」を掴み出すと、店内から店主・小野氏が姿を現し、ニコニコと来年早々の盛林堂・イレギュラーズの活動を依頼される。一も二もなく承知し、店内へ進み「フォニャルフ」棚に補充する。裸本の「白蝋の鬼/高木彬光」や「僕らのラジオ/佐野昌一」など並べてありますので、年明けにでも冷やかしていただければ幸いであります。先ほどの二冊を200円で購入しながら、「アメージング・ストーリーズ1」(2019/12/11参照)のカバーコピーを受け取ったり、イレギュラーズ&デザインの打ち合わせや、今年を高速で振り返る思い出話などをひとしきり。いつの間にか外では風が強くなり始めている。恐らく気温も下がり始めているのだろう。そしてここ盛林堂が、今年の古本屋さん納めとなるのだ。均一だけではなく、何かちゃんと買って行こうと氏に相談すると、本郷書院「鬼哭神 血耶肉耶/内藤昌樹」という明治の小型本を差し出される。押川春浪が序を記した、世界探検家の露西亜を舞台とした政治暗闘冒険小説らしい…「面白いかどうか分からないけど、まぁこういう本は、ある種の賭けだよね」と小野氏。面白い!いただきましょう!その賭けに勝つか負けるか、大晦日はこれを読み耽り、早速決着を着けることにしよう!と、この手の本としては格安の二千円で購入する。
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当ブログをお読みの皆さま、今年も色々お世話になりました。また来年も古本屋さんに赴き古本を駆使し、毎日を遊び渡って行きますので、引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします。それではよいお年を!
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2019年12月30日

12/30店猫は年末年始も店の中。

午後にフラフラと動き出し、珍しくバスで中野に乗り込んで、『中野ブロードウェイ』四階の「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)へ。東京創元社「本格一筋六十年 想い出の鮎川哲也/山前譲編」を1100円で購入すると、情報ラベルの備考欄に『書店ラベル貼付』の文字あり。新井薬師前駅から西武新宿線に乗り込んで本を取り出してみると、最終ページ右上隅に貼付けられたのは、見覚えのある、お馴染み「盛林堂書房」(2012/01/06参照)のラベルであった…。そのまま高田馬場に出て、まずは坂を下って「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)へ。奥の古書棚を入念に見回すと、龜鳴屋「したむきな人々 近代小説の落伍者たち」が860円から330円に値下げされているのを発見したので、迷うことなく購入する。その後は谷を越え丘を越え、「古書現世」(2009/04/04参照)へ。今年最後の挨拶をするつもりだったのだが、何とシャッターが下りてしまっている…ガ〜ン。もう閉めてしまったのだろうか…と途方に暮れながら歩き始めると、自転車で現れた店主・向井氏に行き合う。偶々郵便局に行っていたとのこと。「会えて良かったぁ〜」とシャッター上げ、招き入れてもらう。岩波文庫「竹久夢二画集/石井桂子編」を500円で購入しつつ、今年を振り返ったり、本の雑誌スッキリ隊について話したり、高田馬場駅前の変貌と新刊書店の行方について憂えたりしていると、いつものように店猫・コトがニャオニャオ鳴き始め、姿を見せてくれた。普段は店奥の事務所ゾーンだけで移動を完結するのだが、珍しく店舗側通路にもスタスタと進み出てくれた。あぁ、すげぇ可愛い!だが上半身を出しただけで素早く向井氏の脇に陣取り、気持ちよさそうに撫でられている気配のみが、こちらに微かに伝わって来るのであった。コトは年末年始もお店の中で過ごすとのこと(エサやトイレの世話を向井氏とお母様が折りを見てしに来るのである)。まさに店猫!
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バックヤード移動するコトを素早く激写。

とここで、夜用にハイボールを買っていたことを思い出し、バッグから取り出し向井氏に差し入れる。どうせもう誰もお店には来ないだろうと、二人でプシュッと開缶して、飲みながら先ほどの話しの続きに打ち興じる。…あぁ、古本屋さんでお酒が楽しく飲めるなんて、なんて幸せな年の瀬なんだ。「古書現世」よ、今年も色々ありがとう!と感謝しながら、古本に囲まれて顔を赤くし、ゲハゲハと楽しく笑う。そして心に一つの誓いを立てる。よし、来年はあの古本を、買いに来ることとしよう。
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2019年12月29日

12/29今日も古本と戯れる。

昨晩は昼間に持込買取をお願いしていた「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に赴き、買取金を受け取りつつ店主・天野氏と少しお話し。昼間も買取で、営業終了後も夜間買取が一件入っているとのこと。大忙しである。「銀行がもう閉まっているのに、お金が…」と笑いながら一抹の不安を感じているよう。29日の2019年の最終営業日を、何とか乗り切るんだコンコ堂!今年も一年古本を介して大変お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。

本日は、今年特にお世話になった感のある三鷹「りんてん舎」(2019/03/30参照)が、今年の営業最終日なので、挨拶に行くことにする…とは言っても、ただ古本を買うだけなのであるが…。昨日より少し暖かであることを感じ、ふいに反射して襲いかかって来る冬の陽を眩しく思いながら、スパッとお店に到着する。腰を少し落とし、両膝に両掌を添えながら、店頭木箱を覗き込む。まずは浪漫「東光毒舌経 おれも浮世がいやになったよ/今東光」を取り出し、続いて入口横の均一棚を座り込んで眺めながら鹿島出版会「インテリア・ウォッチング/押野見邦英」を。最後にいつもはあまり見ない、離れ小島のような入口ステップした大判本木箱も覗き込む。すると、みすず書房「現代美術5 エルンスト」が妙に気になったので、取り出しページを開いてみる。
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フフフフフ、やはり滝口修造がテキストを担当しているじゃないか。朝から「books moblo」(2019/06/30参照)で最後に買ったアトリエ社「ダリ/瀧口修造」を読んでいたのが功を奏したのだろうか。古本屋さんで偶然に読んでいた古本と何かがつながる感じは、嬉しくたまらないものがあるな。勝手に大いなる運命みたいなものを感じてしまうのだ。そんな大仰なことを考えながら、店内で他にも欲しい本を多数見つけるが、ひとまずぐっと我慢して計330円で購入する。また来年も買いに来ますので、引き続きよろしくお願いいたします。その後はトコトコ歩いて吉祥寺に出て「バサラブックス」(2015/03/18参照)。店内文庫棚で安めの600円のサンリオSF文庫「枯草熱/スタニスワフ・レム」を見つけたので、迷わず購入する。いよいよ年が押し迫っていますが、こんな風にまだまだ、古本と戯れているのです。
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2019年12月28日

12/28来年早々「九十九本目の生娘」が放映される!

昨晩、『日本映画専門チャンネル』で、樹下太郎原作のモノクロ映画「散歩する霊柩車」を観る。ミステリーと言うよりは、被害者と加害者がクルクル入れ替わる、巧妙でアンモラルなサスペンス・スリラー映画であった。不安を煽るための、小刻みに揺れたり斜めになったりするカメラワークが、過剰で最高。西村晃がベッドの上で格闘したり、やたらとポンと飛び込んだりする、奇妙でプリティなベッド・アクション。渥美清の震えるほどの名演。西村晃が自ら作曲し歌う、奇怪な主題歌。ヒチコック的演出も多分に登場し、一時間四十分をたっぷりと楽しむ。ふぅ〜っと堪能のため息をつき、未知の世界を垣間見られた幸福感にどっぷり浸っていると、次回のこの時間の予告が始まる。そこで思わず「うぎゃ〜っ」と叫び声を上げてしまった。次回の放映予定は、新東宝カルト映画の名作『九十九本目の生娘』だと言うのである。あの観ようとも観られない珍作が、ついに久方ぶりに日の目を浴びる時が訪れたのだ!原作は大河内常平の「九十九本の妖刀」である。その昔『大井武蔵野館』で観た時に、その素っ頓狂なストーリーとセリフに、館内は何度爆笑の渦に包まれたことか!うひひひひ、これは来年一月の放映が物凄く楽しみでしょうがない!
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これは櫂書房「甦る名優たち 戦後映画史 新東宝編」に載ってる『九十九本目の生娘』の紹介ページ。主演は一応若かりし頃の菅原文太なのである。

そして本日は早朝から仕事に一つ取りかかる。胸に温めていたイメージを素早く形にし、メールで先方に送るとたちまちOKが。年を跨ぐと思っていた仕事が、あっという間に片付きスッキリ。というわけで、午前九時半に家を出て、高円寺「西部古書会館」の「好書会」を覗く。たくさんの人が押し寄せている。みな買い納めに来たのだろうか。入口で久しぶりに会う「古書 赤いドリル」さんと挨拶を交わす。お元気そうで何よりである。押し合いへし合う通路をジリジリ進みながら古本の背を懸命に追って行く。その過程で、「なごみ堂」さん(2010/02/12参照。すでに面白そうな本がカゴいっぱいに!)やミステリ研究家・松坂健さんらとお会いし、挨拶を交わす。鹿島出版会「アジアの都市と建築/加藤祐三編」新潮社「イカロスの墜落/パブロ・ピカソ 岡本太郎訳」博文館「歐米漫遊雑記/鎌田榮吉」を計450円で購入する。この市は明日29日まで。午後は突然来たタレコミを基に連載の取材に出かける。なかなか素敵な本が手に入ったので、ウホウホと喜ぶ。
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2019年12月27日

12/27昭和十四年と三十四年の古書目録。

昨日はまたもや国分寺の端に流れ着いたので、ブラブラ歩いて「古本 雲波」(2017/02/03参照)へ。ところがお店はシャッターが下ろされ、そこには一枚の貼紙が。
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冬休みか…まるで冬眠みたいだな。来年改めて訪れることにしよう。というわけで脇道をス〜ッと抜けて「七七舎」(2019/05/06参照)へ。早川書房「ペイパーバックの本棚から/小鷹信光」を100円で購入する。ペイパーバックの歴史や概要と言った話ばかりではなく、学生時代から古本屋を回り、安値で買い集める楽しさや苦労や、そこで出会う人たちの話などが載っていて、古本屋好きにとっても興味深い一冊である。そして西荻窪で下車して、トコトコ『青梅街道』を伝う。『八丁交差点』近くの本屋さん「Title」では、第四回目の「2階の古本市」(2016/12/27参照)が開かれているのだ。狭い急階段をギチギチ上がると、平日午後なのに多くのお客さんが、狭い空間で譲り合い、時に独占しながら犇めいている。本のセレクトは回を増す事に女子度も増し、より先鋭化している感じである。その中で、「一角文庫」さんが田中小実昌をドバドバッと並べているのが大変見物である。筑摩書房「未来生活風景/ジョルジュ・デュアメル」福音館書店「年少版こどものとも いろいろないぬ/石井桃子」を計550円で購入する。市は2020年1/7まで。夜、水谷準の「瓢庵先生捕物帖」を読み進めていると、“北原案件”(シャーロック・ホームズに関するイラストや小説などの二次創作物のこと。イラストは、ディアストーカー・インバネス・天眼鏡・パイプなどを基本ラインとして判定される)っぽい一編が載っていたので、ホームズ研究家の北原尚彦氏に注進しておくことにする…果たして判定は?

そして本日は午前九時半に家を出て、まだ早朝の部類の神保町へ。今年最後のパトロールと洒落込んだわけであるが、御茶ノ水駅からアプローチして「三茶書房」(2010/10/26参照)の店頭ワゴンにへばりつくと、左から二番目の300均ワゴンに、文学全集のパンフレットがまとめられていた。丁寧に薄手のリーフレットを繰って行くと、風変わりな二冊を発見する。昭和十四年の渋谷「玄誠堂書店」の目録「玄誠堂新蒐書目 明治大正詩歌俳書文學絶版特殊本」と、昭和三十四年の上落合「文学堂書店」(2016/01/27参照)の目録「明治大正昭和文学書及各雜誌目録」である。
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喜び勇んで計600円で購入し、お店のオヤジさんに包装紙で丁寧に梱包していただく。「玄誠堂新蒐書目」の表紙には、『澁谷區道玄坂』の文字がある。この時代は、宮益坂の上ではなく、道玄坂にあったのか。戦火をどうにか潜り抜け生き抜き、戦後に宮益坂に移ったのだろうか。それにしても昭和十四年と言ったら、軍靴の音がダッカンダッカン響き、のっぴきならぬ状況。あぁそれなのに、稀少詩歌書の売り買いがされていたなんて。啄木の献呈宛名入りの「あこがれ」が二十円!そして「明治大正昭和文学書及各雜誌目録」に目を落とすと、「文学堂書店」がどのようなお店だったのか、ようやく輪郭が朧げに見えて来た。しっかりした、文学稀少古書も扱うお店だったのか。作家五十音順に丁寧に並ぶ、本棚のような文字列を追いかけて行くと、見慣れぬ本がたくさん含まれている。ソログーブ「小悪魔」とか「捧腹絶倒 富村邸のクリスマス」、「家庭小説 小さなハート」、「全世界探検 爆裂艦隊」…「ヴェニスの商人」が「人肉質入裁判」という身も蓋もないタイトルに。明治の探偵小説も多数掲載。「ですぺら」はカバーなのか…。そんなものを見ていたら無性に古書が買いたくなって来たので、再び表に飛び出し、風の強さに逆らって逆らって、保谷の「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)へ。店内に引き込まれた均一棚に蟹歩きで接しながら、文寿堂「未明童話 赤い魚と子供そのほか」青磁社「舊詩帖/ポオル・ヴアレリイ」実業之世界社「縮刷解説 宇宙/三宅雄二郎著 青柳有美解説」を計330円で購入する。「宇宙」は明治時代の全知識と思考を駆使し、この世界を解明して行く壮大な書。思考は他の星の生物(つまり宇宙人や宇宙生物!)にも及び、さらに地球の“超人”や他星の“超人”にまで飛躍して行く。くぅ、刺激的。
posted by tokusan at 17:01| Comment(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月25日

12/25柳原良平と真鍋博。

朝から上がらぬ低い気温にブルブル震えながら、正午前に吉祥寺に流れ着く。暖をとる前に、まずは古本だ。そう決めて「よみた屋」(2014/08/29参照)の店頭棚とにらめっこする。そして隙間から引き出した二冊…小学館 昭和47年「幼稚園12月号ふろく ちえあそびブック」文化出版局「たこのオクト/エブリン西に・ショー文 ラルフ・カーペンティア絵」を計220円で購入する。そこからツラツラ歩いて、井の頭線と中央総武線高架下を潜って「一日」(2017/08/11参照)へ。安売ガレージに並んだ本を眺めて行くと、柳原良平装幀装画本が相変わらず幅を利かせているが、そこに何だか真鍋博装幀装画本が多く混ざり始めている…恐らく同じ人の蔵書だったのだろうが、徹底的に執拗に、二人のイラストレーターが関わった本を蒐集する情熱に、思わず感心してしまう。柳原良平本からは、以前は見かけなかった白陵社「休婚旅行世界一周/芦沢倶子」(帯文も柳原良平で挿絵もたくさん入っている!)を選ぶ。真鍋博は何を買おうかな…東都ミステリー「隠密社員」…ハヤカワポケSF「東海道戦争」…ウホッ!あかね書房 少年少女世界推理文学全集NO.20《アシモフ》《ベリヤーエフ》「暗黒星雲 生きている首/福島正美訳」なんてのがあるじゃないか!第15刷だが、それほど傷んではおらず、箱もちゃ〜んとある。よし、これだ、これしかない!と二冊を計660円で購入する。帰り着いた阿佐ヶ谷では、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の店頭棚を眺めつつ、店内で本束を移動させている店主・天野氏と挨拶を交わす。子ども文庫の会 母親文庫「ウォルト・ディズニーの功罪/F・C・セイヤーズ」「ジェニー・ミラーさまあての木 トマスとモンスター」の二冊を購入する。文庫サイズ中綴じの30ページほどの本。「ウォルト・ディズニーの功罪」は、ディズニーを偉大な教育者として讃えるのではなく、「子どもの伝承文学の卑俗化と創作作品の不運な改ざん」した責任を問う骨太な一冊。元は岩波書店の雑誌「世界」に掲載された記事らしい。
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最近の「一日」ガレージのヒットは、目を瞠るものがある。自分にメリー・クリスマス!
posted by tokusan at 13:53| Comment(4) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする