2016年09月25日

9/25氷川神社骨董市の古本屋さん

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今日も懲りずに骨董市へ向かう。バスに乗って石神井方面へ向かい、『石神井公園』東端の『定禅寺』で下車。久々の、夏の名残の強い日射しの中を、テクテク西へ歩き始める。家族連れで賑わう、なんだか幸福そうな『石神井図書館』前を抜け一本裏道に入り込むと、大谷石の塀が懐かしい住宅街の先には、土塁の雑木林が迫る、水気の多い鬱蒼とした暗い小道が延び続けていた。そこをヒタヒタと進んで行くと、やがて右手に骨董市の会場である『氷川神社』が見えて来た…が、境内に足を踏み入れると、盛況からはほど遠い閑散さで、五軒ほどのお店しか出ていない、とても寂しい状況である。…これは、マズいな…。離ればなれに開いたお店を、飛石を伝うように覗いてみるも、古本は和本くらいしか見当たらない…残念だが、石神井の古本屋さんでも見に行き、心を慰めるとするか…そう白旗を上げた瞬間、右目の視界におかしな光景が飛び込んで来た。飛び出た能舞台の横手裏手に、ぬぉっ!見事な量の古本だっ!慌てて泥土を踏み締め近寄ると、カクカクした能舞台脇を利用して、もはや古本屋と形容しても間違いないほどの古本が並び続けているのである。犬走り部分には平台が造られたり、シートが敷かれたりして、100均文庫・文庫セット・『はじめの一歩』箱。そして大きな平台に図録・古雑誌・エロカストリ雑誌・ビジュアルムック・写真集・絵本・単行本が面陳されている。裏に回り込むと、平台には絵本が並び、さらにコンビニコミック箱・絵本箱・女性実用箱・300均単行本箱が並び続ける。そして板壁や巡り廊下がラックとして利用されており、絵本・洋書絵本・女優写真集・雑誌・美術図録などがキレイに飾られている。雑本的古本屋さんで、値段は総じて安めである。しかし、出店数の少なさから来た期待外れ感を、ものの見事に挽回してくれた古本屋感に大感謝する。河出書房新社「童謡でてこい/阪田寛夫」リム出版「ウルトラマン1 封印解けし時」「ウルトラセブン1 古都に燃ゆ」「ウルトラマンタロウ 悲しき妖精少女」(1992年刊。これらはすべて監修:円谷プロで、テレビ番組の新作を作る代わりに、漫画で新しいウルトラをとスタートしたプロジェクトコミックである。全40巻を出版すると豪語したが、第一回配本の四冊(購入した以外に「帰ってきたウルトラマン1」あり)を出しただけで会社が無惨にも倒産、大量三十六冊を残し未完に終わる。漫画は八十年代劇画タッチ…)を、ミニバンの後部扉を全開にして値付中のオヤジさんに精算してもらい、計600円で購入する。一日限りの神社の境内の古本屋さんに救われて、心晴れやかに石神井城跡を眺めて帰る。気付けば日が陰ると、もはやそこかしこに秋の気配が忍び寄っている…。
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2016年09月24日

9/24埼玉・浦和 浦和宿ふるさと市

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午後からは雨模様というので、午前十時に家を出て、毎月第四土曜に開かれる骨董市に急行する。湘南新宿ラインを降りて西口に出て、会場の神社をうろ覚えで来たことに己を憎みながら、駅前交番の地図とにらめっこする。確か…漢字一文字の神社だったな……これか、『調神社(つきのみやじんじゃ)』。すぐに交番裏から隘路に分け入り、『旭通り』を南に進んで行く。大きな通りを渡ると『骨董市』の幟が翻り始めるので、それをたどるようにして住宅街をさらに南に進んで行く。やがて行く手に鬱蒼とした森が…右手は二抱えもあるような巨木が林立する『調神社』で、その横の『調公園』にテントを立てた臨時の骨董店&古道具店が多数出現していた…その光景は、まるで骨董テント村である。お店は公園のほぼ全域に行き渡り、およそ百店を数える。『うんどう遊園』『わんぱく広場』『こもれび広場』『陽だまり広場』『じゃぶじゃぶ広場』など、バラエティ富んだ空間にお店が並び、骨董&古道具が並んでいるので、空間自体がオープンな迷路と化しており、その中を歩くのはなかなか楽しい体験である。それにしても、所々でメダカを販売しているのは、いったいどういう訳なのだろうか…?目指す古本は、それほど見つからず、和本・浮世絵・絵葉書・観光案内&地図は良く見かけるのだが、古本はほとんど見かけない…読み終えた文庫などもあるにはあるが…ぬぅ、三島由紀夫の全集・豪華本・スクラップを売る特異なお店が…。仕方ないので有望そうな紙物箱を、懸命に掘ることに集中する。『わんぱく広場』の一軒では、浮世絵に物凄い執着を見せる外国人女性と隣り合い、絵葉書中心の紙物の山を掘り進める…すると下層から小版のリーフレット類が出現。面白そうなのがありそうだぞと、気になる物を選り分けて行く。途中、隣の女性が精算すると、なんだかひとまとめで安い値段を告げられていた。…これは、一山で安く売ってくれるかもしれない。そう目論んで東京の建物絵葉書・復興絵葉書セット・山勝ブロマイド・アイヌ絵葉書・カメラ説明書などを「お幾らですか?」と店主に差し出してみる。しばらく精査した後に「六千円だね」と告げられる。くわっ!安くならなかったか。仕方ないのでどうしても欲しい一点に絞って値段を聞くと、仏頂面で「500円」。「いただきます!」と帝國ホテル「ホテル乃栞」を購入する。恐らく大正〜昭和初期の『帝國ホテル』の宿泊客用の案内である。いわばホテルの取扱説明書で、サービスの説明はもちろん、エレベーターの乗降方法や外国人客に対するマナーなども書かれており、当時のライト設計ホテルの様子を良く伝えている。入口前には人力車と乗合自動車があったり、家族以外の男女宿泊はお断り(男ひとりもしくは女ひとりの部屋に別姓の者がひとりで訪ねる時は、扉を開け放しにしておかなければならないのだ!)だったり、地下一階〜地上四階の館内見取り図と、とにかく心震える一冊なのである。「ありがとうございます〜。楽しんで下さい〜」の声を背にして、続いて『こもれび広場』の一店に取り憑く。ここには紙物箱が二つ…お、ひかりのくに昭和出版 テレビ絵本「わんぱくフリッパー」が出て来たぞ!それに雑誌グラビアの切り抜き「ボクたちは子どもの人気ものです!現代っ子を魅惑する怪獣スター50匹登場」は、良く見ると大伴昌司が監修してるじゃないか!慌てて値段を聞いてみると、「絵本は500円。そっちは…えぇい、サービスだ。ちょっと切れてるし、100円とか言ってもしょうがねぇ」とサービスしていただく。ありがとうございます!この切り抜き、映画・テレビの『地上怪獣』『地底怪獣』『宇宙怪獣』『水底怪獣』に分類し(水底怪獣って…)紹介しているのだが、何故かネッシーとウルトラマンも含まれてしまっている。解説文に児童心理学者の意見が載っており「怪獣に夢中になるのは強い者への憧れで、一種のハシカみたいなものなのです。だから騒いだり心配しないで、怪獣は社交のためのすばらしい道具であることを、お母さんとしては理解してあげることですね」と書かれている。…すみません、どうやらハシカにかかりっ放しなんですが…。とこんな風に、計千円でなかなか面白い物を手に入れられたので、気分を良くして会場を後にすると、新宿駅に着いたところで、酷い雨が降り始める。紙物には大敵の、雨である。少し時間がずれていたら、今日手に出来た物も、買えなかったかもしれない…。
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2016年09月23日

9/23一日を目録から始め目録で素早く終える

昨日貰った『第122回 五反田遊古会』(2013/01/19参照)の目録をパラパラ捲っていると、「古書 赤いドリル」の見開きがある意味贅沢にぶっ飛ばしているため(なんたって12点しか載ってないのだ)、大いに触発されて『南部古書会館』に向かう。開始時間が午前十時からと思っていたら、なんと一階は午前九時半スタートだったのか…完全に出遅れた午前十時過ぎにその一階に突入すると、雨が一瞬上がったのを幸いに、外にちょっと古めの新書サイズ本を並べた平台二つと、雑誌だらけの平台が出されている。この雑誌だらけは、ガーレジフロアまでその触手を伸ばしているようだ。わりと緩やかな古本修羅の波に紛れ、おかしな新書サイズ本の波に揉まれつつ、久保書店「世界脱獄史/森川哲郎」日本教文社「尚武のこころ 三島由紀夫対談集」ベルブックス「ギャンブル風土記/大隈秀夫」を計600円で購入し、「赤いドリル」さんと「青聲社」さん(2011/10/17参照)にご挨拶。一旦表に出て横の階段から会館内に再突入し、荷物を預けて二階へくるっと上がる。おぉ、ここは各通路に修羅が溢れ、始まったばかりの熱気に満たされている。途中「古書一路」さん(2013/03/08参照)に挨拶し、遠目に首にタオルを下げた「月の輪書林」さん(2012/03/19参照)を見かけ、二階も妙な新書サイズ本が多いことに感心し、河出新書「當世怪談集/長谷健」冨山房百科文庫「世界童謡集/西條八十・水谷まさる共譯」報知新聞社「青い群島/藤島泰輔」久保書店「バケのかわ ふしぎ現象を解剖する/石川雅章」(これが今日一番の収穫か。魔術・手品・真剣白刃取り・ヨガ・心霊現象・テレパシー・占い・奇蹟、そしてさらには神にまで切り込み、怪し気なものを一刀両断暴露するノベルス本)を計1400円で購入する。何だか今日は新書ノベルスタイプの本ばかり買ってしまった。この大きさのソフトカバーの本には、まだまだまだまだ知らない見たことのない本ばかりで(しかもいかがわしくインチキ臭いものが多い)、心が盛大に萌えてしまう…。そしてとっとと家に戻ると、ポストに一冊の見慣れない目録が届いていた。これは、熊本の地元デパート『鶴屋百貨店』で開かれる「第四十七階 古書籍販売会」の目録か…ビニールを引き裂き、ページを紐解くと、その九割が「舒文堂河島書店」(2008/12/22参照)の出品物で占められていた。そうか、一度飲んだことのある「舒文堂」の若旦那が送ってくれたんだな。感謝しつつ、さらに目録を読み込んで行く。「月刊中京 推理小説特集」がものすごく気になる…地方出版社の雑誌だろうか?そして何が、誰が掲載されているんだろうか…?目録出品店は残りの一割が「天野屋書店」になっているが、最終ページの販売会参加店を見ると、二店に加え「ほると書房」「古本じざい屋」「エターナルブックス」の名が記されている。調べると「エターナルブックス」は実店舗があるみたいだ。どうにかしていつの日か見に行きたいものである。後は家でおとなしくお仕事に従事する…。
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2016年09月22日

9/22古本屋さんでちょっと仕事をする

雨の中、カメラを担いで西荻窪に出向き、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の「フォニャルフ」棚に多少補充してから、小野氏に帳場周りを片付けてもらい三十分ほど秘密の仕事に従事する。これはいつもの『盛林堂ミステリアス文庫』の仕事ではなく、盛林堂さん本来の姿である古本屋に関わることである。出来上がったら、とても貴重&資料性の高いものになりそうな予感がヒシヒシと走っているので、どうか刮目して盛林堂さんからの何らかの発表をお待ちいただきたい。

パパパパパパッと素早く仕事を済ませつつ、十月発売の新刊「古本屋ツアー・イン・京阪神」の取扱をお願いしてから、西荻窪を離脱し一駅移動して荻窪下車。すると地下の改札前で、本の雑誌社編集長の浜本氏とバッタリ。慌てふためきながら挨拶するも、「これから「ささま」ですか?」と行動を一発で見抜かれてしまう。と言うわけで雨仕様の「ささま書店」(2008/08/23参照)。珍しく表に一本も本棚が出ておらず、左側通路手前に、二本の単行本棚がくの字に置かれている…う、裏側が、み、見難い…。結局表の315均棚から、。せりか書房「カリガリからヒットラーまで/S・クラカワァー」を購入する。そのまま阿佐ヶ谷まで歩き通し、「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)にも立ち寄る。講談社「海の墓標/水上勉」河出文庫「悪魔礼拝/種村季弘」早川書房「鉄の夢/ノーマン・スピラッド 荒俣宏訳」を計324円で購入する。店主天野氏に「仕事は進んでますか?」と聞かれたのを幸いに、ここでも新刊の取扱をお願いしておく。

そしてお知らせです。新刊発売の二日後(恐らくですが…)に、練馬の『南田中図書館』で講演させていただきます。『古書の世界』と題し、今までに樽見博さんや「ポラン書房」さんが登壇されていますが、畏れ多いことに今年は私にお鉢が回って来ました。しかし喜んでお受けしたからには、拙くとも全力でその役目を果たすつもりです。古本屋の面白さとその楽しみ方に加え、全国の素敵愉快な古本屋さんや練馬の古本屋さんを紹介し、もちろん新刊についてもお話しします。みなさま、お誘い合わせの上、練馬の片隅の美しい図書館(ここは本や古書についてのイベントを良く行っており、『練馬ブックマップ』という、近隣の新刊書店・古書店・図書館・こども図書館&文庫・閲覧出来る本が置いてある所を網羅した地図も発行している)においで下さいませ!

『古書の世界』
■第5回 古本屋ツアー・イン・練馬
■日時:平成28年10月23日(日)14時から15時30分
■会場:南田中図書館会議室 定員:40名 参加無料
■申し込み法:お電話または南田中図書館カウンターにてお申し込みください。
練馬区立南田中図書館  TEL:5393-2411
〒177-0035 練馬区南田中5-15-22
http://www.lib.nerima.tokyo.jp/institution/28
■講師:小山力也 氏
『古本屋ツアー・イン・ジャパン』など古本屋巡りの 本を出版されている小山力也氏に、 西武池袋線沿線と
その周辺の古本屋さんを紹介していただきます。 今は亡きあの古本屋が登場するかも!
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2016年09月21日

9/21『LOFT9 BOOK FES』開催当日渋谷古本屋ルート

来る10/2(日)に『LOFT9 Shibuya』で開かれる「LOFT9 BOOK FES 2016」に参戦し、先日の大惨敗「一箱闇市」+雨天中止「みちくさ市」での負け犬気分を、どうにか挽回したいと強く切望している。そこでまずは大いに先走り、当日足を運んでくれるはずの皆さんへのお礼として、渋谷の古本屋ツアールートをここに紹介する。だが調べてみると、開催日となる日曜日は、何と定休日の多いことか!宮益坂上の「中村書店」と「巽堂書店」、西口ロータリー裏の「渋谷古書センター(古書サンエー)」と「Flying books」(ここまでずべて2008/07/24参照)、それに南側の坂の途中にある「東塔堂」(2009/06/18参照)と代々木八幡駅近くの「SO BOOKS」(2010/10/06参照)などが、ことごとくお休みなのである。古本屋さんらしい古本屋さんがほとんどお休みか…だが、まだどうにかなるはずだ!と信じて、実地に渋谷の街を歩き始める…。

最初をフェスのある丸山町から始めるならば、坂を下って東急本店前を東に出て、ビルの間に入り込んで『宇田川交番』方面へ。そこでまずは「ブックオフ渋谷センター街店」で新しめの安売本を探すのも一興であろう。
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もし興味がなければ、さっさと『井の頭通り』に出て、ちょうど北側に当たる「まんだらけ渋谷店」の長く暗い地下への階段をヒタヒタ下る。
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コスプレした店員がステージでカラオケを歌う中、奥の古本売場に照れずに到着し、真剣に古本と対峙すべし。この日は角川文庫「海辺の広い庭/野呂邦暢」を見つけて800円で購入する。地上に出て北西へ向かい、『東急本店』脇から今は“奥渋”と呼び倣わされる神山町&富ヶ谷方面に入り込んで行く。『神山町交差点』脇のミニシアター『アップリンク』のロビー横には、かつては結構大きめな古本売場があったはずだが、いつの間にか今は昔となり、なんだか新刊やグッズに追い立てられ、机の下の一箱&直置きに寂しい姿を晒している状態に。
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さらに道を進んで行けば左手にお洒落本屋の「SHIBUYA BOOKSELLERS」(2010/06/17参照)が現れる。かつては古本も多く扱っていたが、今はそのほとんどが新刊となり、古雑誌やプレミア本に名残を留めるのみ。だが扱う本や選書には、若やいだ独特のセンスが貫かれているので、眺めるだけでも楽しめるはず。
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後は通りを代々木八幡駅方面にズンズン進み、大きくなった『井の頭通り』を越えた所にある、ビル一階奥の開業五周年を迎えた「リズムアンドブックス」(2011/08/10参照)へ。おぉ!平日昼間なのに、次々と人が中に吸い込まれて行く。すごくちゃんと認知されているぞ!と勝手に喜びながら、今日初めてのしっかりしたサブカル的小宇宙古本屋さんを満喫する。
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もしこの時点でまだ物足りなければ、駅方面に向かい、踏切を越え代々木上原まで元気に足を延ばし、坂の下の「Los Papelotes」(2008/07/14参照)へ。帳場横で寝そべるマスコット犬に目を細めながら、半地下階をギシギシ彷徨い楽しめること請け合い。この日は学研M文庫「ゴシック名訳集成 暴威幻想譚/東雅夫編」を1000円で購入し、仮想ルート設定の旅に終止符を打つ。では10/2にBOOK FESとともに、渋谷辺りの古本屋も、お楽しみ下さい。

そして、あっという間に会期があと一週間となりました、大阪『梅田蔦屋書店』での「夏の古書市2016」も、引き続きよろしくお願いいたします!
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2016年09月20日

9/20東京・中野 まんだらけ こんぺいとう

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雨と風がまだ弱いうちにと、ベシャベシャ歩いて中野に向かうが、途中から風雨が強くなり始め、甘い目論見破れて半ずぶ濡れで『中野ブロードウェイ』に到着する。中央の階段で四階まで上がると、『エレベーター通り』側の目の前に、この間大行列で入れなかったお店が、ピカピカと人の気配無く輝いていた。ここに元々入っていた鉄道グッズ専門店「まんだらけ流線型事件」(2014/06/05参照)を心の中で弔いながら、ブラウン管白黒テレビを模した店頭に立つ。左にはガラスケースとともに下部には大きなチャンネルが設置され、右には全面ガラスケース。並んでいるのは、昭和三十〜四十年代のキャラ物ノート(この時代はみんな薄いなぁ)・バッジ・メンコ・カルタ(探偵もの多し)・景品のリモコン人形である。中に入ると、左にすぐにレジがあり、右にガラスケースに囲まれた細く短い行き止まりの通路…まるで新宿ゴールデン街の飲み屋のような狭さである…どうりで初日はなかなか行列が解消されなかったわけだ…。紙物は、ノート・シール・ワッペン・カルタ(人工衛星カルタがワンダフル!)・手帳類・絵合わせなどで、後は景品or賞品(ノベルティではなく、お菓子や商品を買って応募すると当たる景品である)・お菓子のオマケ(食玩ではなく、小さな小さなオマケである)が細々と粒々と、小人の国のように並んでいる。それにしても、みな恐ろしい値段が付いている。当時(昭和三十〜四十年代)の本体のお菓子などを含めた値段が10円〜100円くらいだとすると、そのおよそ100倍〜1000倍に高騰しているのだ。夢があると言うか、恐ろしいと言うか、なんともはや…だが、確かにとても魅力的ではあるな。思わずその魔力に魅入られ、ショウケースに並んでいた、千円と比較的安値の質の悪い「探偵カルタ」を買ってしまいそうになるが、抑制を利かせて思い留まり、何も買わずにお店を失礼する。『ブロードウェイ通り』に向かい、すぐに角を曲がり「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)の100均棚にペッタリと張り付く。通路にしゃがみ込み、最下段で見付けた仁誠堂書店「岡嶋狂花著作集」(昭和十三年刊函付き。解剖学者・岡嶋敬治が『岡嶋狂花』『葉山葉太郎』のペンネームで書いた小説や詩や戯曲を集めた遺稿集。なかなかの拾い物である)大協旅館「八丈島仙郷誌/大協繁吉」を計216円で購入し、早々にブロードウェイを後にする。
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2016年09月18日

9/18めげずに明日の準備を怠りなく進める

八冊…その悪魔の数字が、昨晩から頭の中をぐるぐる回り、柔い精神をキリキリ責め立てている。だがめげずに、手を動かして色々準備して、まずは西荻窪へテクテク向かう。途中、荻窪の雨対策モード「ささま書店」(2008/08/23参照)に立ち寄り、新人物往来社「怪奇・幻想・恐怖名作選 異端の文学T・U/中島河太郎編」(大御所&有名所に加えて、香住春吾・大坪砂男・氷川瓏・大河内常平・朝山蜻一・三橋一夫なども収録されている、素敵な仕事です、中島センセイ!)文化出版局「プーさんのお料理読本/ケーティ・スチュアート」八雲書店「小泉八雲選集 落穂/田部隆次譯」を計1260円で購入する。実は後もう一冊、店頭の均一本を買おうとしたのだが、それは元々三冊組で、バラバラになっていたうちの一冊を持って来てしまったらしい。店員さんに店頭棚を大捜索してもらうが、残念ながら後一冊しか見つからず、とりあえず購入をパスすることに。店主と店員さんの応対が物腰柔らかく誠に丁寧で、待たされながらも心和む瞬間であった。
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写真は「落穂」の中に挟まっていた、三角寛が開いた映画館『池袋(東口)人生坐』の上映予定ミニスケジュールチラシ。95mm×130mmで、映画リクエスト用紙付きの裏面は、九月第一週上映予定の『巨人ゴーレム』!

そして「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にて、「フォニャルフ」にタスタスと補充する。そのままおとなしく家に戻り、明日の「みちくさ市」の準備に取りかかる。空模様が非常に怪しく、どうなるか分からない状況だが、本だけは揃えておかなければならない。晴れなくとも良いから、雨よ、11時〜16時まで止んでいてくれ!尚当日開催決行かどうかは、午前八時過ぎに「みちくさ市」のHPで発表予定。
http://kmstreet.exblog.jp/
それでは明日、お会い出来たら雑司が谷にて、お会いいたしましょう。
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9/17悪夢の惨敗

すでに昨日のことになってしまったが、『中野ブロードウェイ』にオープンするオマケ&紙物の店「こんぺいとう」を開店時間の正午に見に行く。新たな店舗を求めて四階を彷徨っていると、以前は鉄道関連のお店「流線型事件」(2014/06/05参照)だったところが、どうやら「こんぺいとう」になっており、すでにその店頭には長蛇の列が出来ていた…う〜ん、スパッと入れるかもと思っていたが、甘かったか…。しばらく「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)や「古書うつつ」(2008/06/18参照)で買物をしたりして三十分後に再びお店の様子を見に行くが、残念ながら行列が解消される気配はゼロ。後日またツアーすることにして、仕方なく家へ戻ることにする。そして午後六時前に家を出て、神奈川の白楽に向かい『ヤミ市場 一箱古本市』に参戦。細く長い闇市的アーケード商店街で開かれる、ライブと食と酒と古本の、たった二時間の祭である。
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結果から言うと、もう引退を覚悟するほどの惨敗で、八冊しか売れずに、古本心がバキバキバキバキ折れまくる。唐揚げとビールを手にして通過する人々をひたすら眺めながら、ビールを飲みながら立ち尽くし、時間の経過とともに青ざめ、砂のような惨敗具合を切なく噛み締めまくった次第。だがそれでも、本を買ってくれた天使たちには感謝である(中でも親に全身全霊を懸けてねだり、「ウルトラ怪獣図鑑」を手に入れることに成功した小学生には大大大感謝。願わくば、すばらしきウルトラ社会人になるんだよ)。同じく出店していた「たけうま書房」さん「Tweed Books」さん「雲雀洞」さんにも慰められ(この三人については、2016/07/22参照)涙がちょちょ切れそうになる。ついでに次回の『たけうま会』についても打診され、生きる楽しみまで与えてもらう。それにしても、往きとほぼ同じ重さの古本を持ち帰るのは、体力的にも精神的にも、刑罰のような苦役である。まるで刑務所で、囚人が深い穴を掘らされ、それを再び埋めることを繰り返すような不毛さである。おまけに新宿地下道は23時閉鎖と来たか…。地上に出て、楽し気にさんざめく若者たちの雑踏の中を、重い古本を引き摺りながら考える。19日の「みちくさ市」で巻き返してやる!と。…それにしても、重い…ガラゴロ、ガラゴロ…時刻は夜中の十二時を過ぎてしまった…ガラゴロ、ガラゴロ…。
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2016年09月16日

9/16神保町の地下で、雨宿り古本探し

早起きして一仕事終わらせてから、午前十一時の神保町パトロール。雨は降りそうで降らない、微妙な均衡を保っている。だから店頭も、どちらにでも対応出来るよう、半雨仕様状態。そんな街に水道橋から入り込んで行くが、何も買えずに、ただ「誠心堂書店」(2008/07/25参照)の店奥の上がり框に、可愛い雑種犬がスックと立っているのを硝子越しに確認した収穫だけで、もう『神保町交差点』にたどり着いてしまう。ところが『神田古書センター』前の「みわ書房」(2013/01/18参照)出入口販売ワゴンの一台が、ほぼ仙花紙本で埋まっているのを発見し、即座に色めきたってしまう。硬い本と『銭形平次』が多いことを感じ取りつつ、新潮社海外文學新選第廿九編「小さな町/フイリップ作 小牧近江譯」新潮社「幻想詩劇 死の島の美女/福田正夫」(カバーナシ。偶然にも共に大正十四年の本である)を計630円で購入する。その後は「小宮山書店ガレージセール」(2013/07/12参照)でも、何も買わずに出ようとした瞬間、一冊の薄手で妙に古い本が気になり、手を伸ばしてしまう。非賣品の大正十年刊「妹 安藝子の附録」とある。緑色の表紙にすずらんの花が浮き彫りされた凝った意匠で、内容は帝國飛行協會副會長・長岡外史の令嬢が、不慮の交通事故で死亡した事件の記事を集めた物である。後半は日本国中から集まった香典&弔電リストになっており、パラパラと見ただけでも、岩崎小彌太・澁澤栄一・犬養毅・大隈重信・大倉喜七郎・横河民輔などのビッグネームが散見。これは買わなければ!と後二冊をどうにか選び、光風社出版「おもしろ砂絵/都筑道夫」新潮社「二都物語・鐵仮面/唐十郎」とともに計500円で購入する。パタパタと雨が落ちて来たところに、昨日の打ち合わせ中に「明日の「趣味展」はいいですよ」と言われたことを思い出し、雨宿りついでに、ついつい「東京古書会館」の地下多目的ホールに潜り込んでしまう。
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荷物を預け、古本修羅で賑わうホールに進むと、おぉ!何だか古い本が多いな。ぎょえっ!「冒險世界」と「武侠世界」が裏表紙がなかったりするが、300〜500円で大量に並んでいるぞ。ぐぅっ、武田麟太郎の「暴力」が二千円か…などと各棚前で古本購買選択呻吟。結局懐に優しさを心がけ、春陽堂「風に立つ/藤澤桓夫」淡路書院「怪建築十二段返し/白井喬二」木村書房「コンサイス科學叢書91 世界の人種 上」を計800円で購入する。一階に上がると、ビルの外はますます酷くなった雨。さぁ、帰って明日の「闇市一箱」の準備でもするか…。
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嬉しい今日の収穫三冊。真ん中が「妹 安藝子の附録」。これは調べてみると、タイトル通り「妹 安藝子」という本の附録らしい。右は昭和七年刊の、主にアメリカ・アフリカ・環太平洋の人種図鑑。およそ六十種の民族性豊かな人間のモノクロ写真が掲載されている。

というわけで、明日の夜は白楽へ!恐らくビールを飲みながら立ち尽くして、古本とともにお待ちしております!
■ヤミ市場 一箱古本市
■開催日:9/17(土)20:00〜22:00
■場所:六角橋商店街(横浜市 東横線白楽駅下車徒歩2分)
詳しくは→http://www.rokkakubashi.jp/html/dokkiri_yamiichiba.html
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2016年09月14日

9/14神奈川・日吉 古書 ふもすけ堂

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ゲラの海から顔を上げ、コメントタレコミで知った最近開店のお店に向かうことにする。改札を抜け、巨大な球体モニュメントに己の歪んだ姿を映しながら、西口の放射状街路商店街前。緑色のゲートが建つ『普通部通り』に入り、南西へ。シャッターの下りた「ダダ書房」(2009/05/18参照)を左の視界に捉えながら、二つ目のゲートを潜る。次の北への脇道に素早く曲がり込むと、行く手には『TSUTAYA』が見え、その手前左手に新たなピカピカの古本屋さんがオープンしていた。あれ?ここって「エルダーズ」(2010/07/29参照)があった場所だっけ?己のあやふやな記憶に確信の持てぬまま、店内に入り込む。路面に近い部分は細長く、奥にはさらにスペースが広がる…結構広いな。壁際はすべて本棚で埋められ、フロアには路面側に小さな平台があり、奥に本棚ともうひとつの平台がある。左奥の遠い所に帳場があり、青年が横向きにパソコン作業をしている。右壁棚は中央奥までコミックがズラリと続き、平台には暮し系ムック類。左壁は時代劇文庫から始まり、その後は丁寧な棚造りの日本文学文庫が連なって行く。棚は中央辺りで左に折れ曲がるので追跡し続けると、その奥に隠れた小空間があるのを発見。そこにはレディコミ・100均文庫・官能文庫・新書サイズ本が集まり、そのまま右壁の新書・出版社別文庫・ノベルス・海外文学文庫と続く。ここからは広い奥のスペースとなる。フロアには片面が文庫で片面が単行本の100均棚があり、平台にはカルチャーなバーゲン本が揃っている。改めて左壁に向かうと、文学全集・村上春樹・日本文学・海外文学・ビジネス・アート・サブカル・音楽・民俗学と続き、帳場前の袖には細いDVD棚。右壁は民俗学が少し並び、後は大量の教育関連専門書が、硬く健やかさを放ち大集合している。奥壁には、本・古本・古本屋・新刊書店・出版の本が質高く幅広く並んでいる…「首都圏沿線」も「古本屋ツアー・イン・ジャパン」もあるじゃないか…。路面側はコミックと文庫中心にちゃんと官能文庫(少量だが)も並べた街の古本屋さんで、奥は教育書と本関連に強みを見せる個性店となっている。新しい本が多いが、品揃えはしっかり。だがこれが完全に固まった理想の形でないことは、少し伝わって来る。値段はちょい安〜普通で、プレミア値もあり。婦人生活社「くもんの算数/公文公」(表紙から本文までイラストはやなせたかし)を購入し、ささやかに慎ましく開店を祝う。何事もなく表に出ると、背後から人の迫る気配…店主が店から飛び出し、建物伝いにこちらに駆け付け、正体が露見する。恐縮して改めて挨拶を交わし、「今後ともよろしくお願いします」と笑顔で言われながら、頭に閃いてしまったの店主の印象…聡明で柔和なプロゴルファー猿…あぁっ、すみません…。ちなみに店主に聞いたところ、ここは「エルダーズ」跡地ではないとのこと。そうか、ここは「茂野書店」(2009/05/18参照)があった通りなのか。

帰りに渋谷で途中下車し、ついに解体工事の始まった『宮益坂ビルディング』を寂しく眺め、坂上の「中村書店」(2008/07/24参照)に飛び込む。入口右横のラックに、東京都古書籍商業協同組合南部支部「Rewind◀◀1969◀◀2004▶ 東京古書組合南部支部 創立35周年記念写真帖」を見つけてしまったので、940円で迷わず購入する。「月の輪書林」さん(2012/03/29参照)と「古書サンエー(渋谷古書センター)」さん(2008/07/24参照)が編集した東京古書南部支部の写真集である。時節ごとの「南部古書会館」の姿や、歴代古書店主たちの姿も素晴らしいが、在りし日のお店の姿には思わず目が血走ってしまう。
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これは「江口書店」(2010/03/29参照)「一新堂書店」(2011/02/07参照)「遠藤書店」(2008/10/17参照)掲載のページ。麻布十番の「笹間書店」や、大森「山王書房」の姿にも心ブルブル震えてしまう。
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2016年09月13日

9/13ますく堂は優勝セール中!

雨が一時収まったので、バスと電車を乗り継いで椎名町へ。「古書ますく堂」(2014/07/20参照)が大胆にも、広島カープ優勝セールを行っているらしいのだが、本当なのだろうか?…いやその前に、お店はやっているのだろうか?失礼にも猜疑心を激しく昂らせながら店前に到着すると、うぉっ、幟がカープ色になっている。扉にもカープ関連の貼紙がペタペタ貼られ、ただでさえ小料理屋的店構えなのに、自ら古本屋から思いっきり遠ざかってしまっている…嗚呼…。さらにそこには『Vセール全品半額!!』の貼紙も。いやぁ、いくら嬉しくとも、普通だったら20%オフくらいに抑えるのではないだろうか。これではまるで、閉店セールのようじゃないかと、さらに失礼に不吉なことを考える。薄く開いた扉から中に入ると、暗闇の小上がりにはいつも通りの増田嬢の姿が、うっすら浮かび上がっていた。「広島カープ優勝おめでとうございます」と言うと間髪入れず満面の笑みで「ありがとうございます!」と力強く返して来た。あぁ、本当に喜んでいるんだなと、気持ちが真摯に伝わって来る。そしてここに来たのはおよそ十ヶ月ぶりだが、相変わらずの未整理+大雑把整理ぶりが、心を大いに和ませてくれる。低い明度の中、本を探しながら増田嬢とマシンガントーク。広島「アカデミイ書店」(2008/06/28参照)の支店が「文廬書店」(2008/06/28参照)跡地に入り、ちゃんとカープグッズを充実させているとの報告も受ける。それにしても、来年も優勝したらどうするのか?いやそれより、CS突破&日本シリーズで優勝したら、もう八割引とかやってしまうのだろうか?…リーグ優勝に浮かれる「ますく堂」の行く末を心配しながら、光文社「帽子と鉢巻/飯沢求v角川文庫「ぱなりぬすま幻想/大城立裕」自費出版「神戸昭和五十一年/写真・永田収」(これは去年、神戸「トンカ書店」で古本屋店主の写真展(これ、見たかった!)を開いた方の簡易写真集。昭和五十一年の三ノ宮駅を中心にして、高架下文化を活写したモノクロ写真が掲載されている。おぉ、モトコーまでも。素敵!)を計500円で購入する。この、もしかしたら東京で唯一、古本屋さんで唯一の優勝セールは、9/17まで開かれている。…あ、もしかしたら「アカデミイ」支店もやる可能性はゼロではないな…。
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只今必死にゲラ読み中ですが、次の単行本正式タイトルが決定。今月号の『本の雑誌』広告に出ていますが、「古本屋ツアー・イン・京阪神」となりました。広告通り十月下旬にみなさまの手に届きますよう、我武者らに作業を続けますので、どうか頭の片隅に、ひょいとこのタイトルを引っかけて、毎日をお過ごし下さい。よろしくお願いいたします!
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2016年09月12日

9/12東京・国分寺 七七舎2号店滑り込みオープン!

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昨日は、今年二月に「ら・ぶかにすと」(2008/08/17参照)跡に入った本店に続き、一本裏路地の今まで倉庫兼作業場として使っていた「ら・ぶかにすと2号店」跡地に、どうにか2号店をオープンさせた「七七舎」(2016/02/06参照)さんを祝うために駆け付け、岡崎武志氏とともに一日丁稚奉公する。徹夜続きでお店の準備をした店主・北村氏たちと入れ替わるようにして、簡単なレジ打ちをレクチャーされた後、持参したキッコーマンの前掛けをキリッと締め(岡崎氏も同じものを締めていたが、その場にいた人たちから「もう店主にしか見えない」と大絶賛が)、午後一時にお店が無事にオープン。と同時に多くのお客さんが、ゆっくりと静かに店内に攻め入ってくる。お店は取りあえずの形として、表に100〜300均単行本棚・同じく100〜300均図録&美術系大判本ワゴン、それに臨時の私による100均文庫&新書棚が置かれ、店内は左に美術図録&大判本&ビジュアル本の棚が張り付き(&臨時の「岡崎武志堂」)、右の入口近くにはお薦めビジュアル&豪華文学本を並べたラックがあり、右壁棚には文学・幻想文学・建築・歴史・郷土・哲学・自然科学・美術・工芸・社会・児童文学・古書がカオスに並び、なかなかの硬さを見せている。中央の木棚には同様の単行本類が、まだまだ空きを作りながら収まっている。値段はしっかりめだが、相場より安めが多いので手が出易い感じが漂う。そして本店同様、以前のゴチャリとした空間から離脱した、洒落た造りが全体に施されている。本当に、どうにか滑り込んでオープンさせた形なので、この棚造りはこれから煮詰めて変化して行く模様。ただし本店との違いを出すために、こちらに文庫や新書などは置かず、単行本や大判本を中心の展開を構想しているらしい。そしてその通りに、図録や大きな作品集がわりとコンスタントに出て行くことに、驚きを覚える。一応安売本もあるとは言え、少し普通の古本屋さんとは違う営業形態なのだが、本店に並べられなかったものが並ぶようになるのは、お店にとっては飛躍の一歩であろう。…う〜む、よく考えたら、そんな大事な一歩を踏み出した日に、店員さんのフォローが付いているとは言え、ド素人が店番してしまうとは…これはしっかりしないと!と、まだ闘ってもいないのだが、前掛けの紐をギュッと締め直す。そんな風に、とても緊張するレジ打ちに集中しながら、ご近所の方や常連さんが、ここが開店することを心待ちにしていたのを、ジワジワと知る。「どうしても最初のお客になりたかったの」「店長はいないのか!お祝いに来たのに!」「これを、お渡し下さい…」「こんな大きな本が100円なんてありえない」。帳場にいると、様々な人が流れ、たくさんの言葉も流れて行く。多くの人が本に熱い視線を注ぎ、買う人も買わない人も、ほんの一時だけ本に心を囚われた、無防備な姿を見せて行く。そのすべてが、何とも言えないこの場で働いている感触を、心にシュワシュワ発生させている。実務はレジ打ちと袋詰めと棚の整理しかしていないのだが、ほんのちょっぴりだけ、古本屋さんの扉を細めに開けた気分を味わう…。そしてあっという間に五時間が経過し、疲労の極地から復活した北村氏も戻って来て、店員が四人帳場にいるという、近年の古本屋さんにしてはあり得ない状況で、どうにか閉店時間を迎える。本の山を崩してしまってすみません。珈琲をこぼしてしまってすみません。レジの訂正がマスター出来ずにすみません。次回の丁稚奉公時には、もっと地味な裏方仕事にも従事したいと思いますので、さらにこき使っていただければ!とお願いし、嬉しいたった一日だけの給料袋を拝受する。

実はこの日はもうひとつ嬉しいプレゼントが。途中訪れたお店の内装を手掛けた中村氏(中央沿線の新しく出来る古本屋さんは、氏の仕事が多い)から、専用の木箱をいただいたのである。元々はお祝いとして「七七舎」さんのために作ったものであるが、岡崎氏と私が丁稚奉公していることを知り、急遽作成してくれたとのこと。岡崎氏の箱は側面にトンボと木に凭れて読書する氏の姿が、私のには日本地図と猫の姿が透かし彫りされていた。あまりに嬉しくて、打ち上げ後にしたたかに酔っぱらい、両手で抱えてエッチラオッチラ持ち帰ったら、すっかり腕が痺れてしまい、まだ乾き切らない塗料が洋服に…いや、それでもやっぱり嬉しいなぁ。マイ・木箱!
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2016年09月09日

9/9昭和二十四年に『推理小説』は定着し始めていた

すべての仕事が連絡待ちとなり、何だかにっちもさっちも行かぬ、ただ待つ身はツライ状況となる。そんなモヤモヤを吹き飛ばすために、午後遅くに西武新宿線に飛び乗り、所沢で9/13まで開催中の「第79回 彩の国所沢古本まつり」の本の海に飛び込むことにする。とは言ってもあまり時間を取られぬよう、素早く見ることを心がけ、少し流し気味に一階からワゴンに並ぶ本の背に、視線をビュンビュン走らせて行く。その一階では大日本雄辯會講談社「新語社会語新辞典/キング編集部編」秋元文庫「アニメ・ハンドブック/杉山卓」を計324円で購入し、箱の大きな展望エレベーターで八階の本会場へ。相変わらずの常識外れの巨大さに、喜びとうんざりをないまぜにして、とにかくスパスパワゴンをクリアすることに、しばしの間命を懸ける。その途中仕事の電話が入り、会場の片隅でコソコソ長話したり、スッと近付いて来た大きなカメラを持つ男に「◯◯テレビですが、コメントを撮らせていただけないでしょうか。何故古本市に来たのかとか、どんな本を探しているのかとか…」と言われるが、私の場合理由が複雑骨折気味なので、ちょっと考えて丁重にお断りしたりしながら、それでもやっぱり全部見るのにたっぷり一時間半かかってしまう。なのに買った本はたったの三冊。中央公論社「忍び草/川崎長太郎」せらび書房「外地探偵小説集 満州篇/藤田知浩編」ホーチキ出版「妖怪学入門/佐藤友之編」を計1836円で購入し、夕暮れの所沢をビルの上から見下ろし、疲労を抱えて家へと戻る。

「新語社会語新辞典」は昭和二十四年発行の、新しい外来語や社会に浸透し始めた言葉を辞典としてまとめたもの。何か面白い言葉はないものかとページを繰っていると、目に留まったのは『推理小説』。「探偵小説のことで、戦後推理小説と呼ぶようになった」とざっくり書かれている。戦後、探偵の“偵”の字が当用漢字から外され(その後復活する)、“探てい小説”と間抜けな綴りになってしまったところに、木々高太郎が提唱する“推理小説”が定着し始め、さらにその後、いわゆる“社会派推理小説”の松本清張ブームとともに一気に『推理小説』の名が一般に広がったのであるが、この書き方から見ると、もう昭和二十四年には“推理小説”という言葉は、すっかり市民権を得ていたらしい。“探偵小説”の一語は廃れつつも、それでも昭和三十年代まではかろうじて“推理小説”と共存していたが、その後哀れにも時代の谷底へドロドロと流れ落ちてしまうのであった…。
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夜、新単行本の初校が一部届く。

そして日曜の「七七舎2号店」でのイベント、『岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン一日古本屋丁稚奉公』を何とぞよろしくお願いいたします。お店は午後一時からオープン。当日は雨模様らしいですが、三鷹図書館での夏葉社・島田氏の講演後に、また国分寺古本屋巡りの終点に、どうぞ奮ってお越し下さい!首を激長にしてお待ちしております!
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2016年09月08日

9/8坂の上の古本屋は消えた

恵比寿の「トップ書房」(2015/04/27参照)が閉店しているという、寂しきコメントタレコミが舞い込む。熱帯低気圧に弄ばれた天候の中、山手線を乗り捨て恵比寿駅西口。ロータリーから線路脇の裏道に入ると、人影は消え、すぐに急な白い坂が目の前に現れる。すぐ横の電車の運行する音を聞きながら、丸い滑り止めを踏み付け、重力に逆らうようにして、高度を徐々に上げて行く。途中で死角になっていた、坂の上のお店が見え始める。小さな『本買います』の看板は残っているが、近付くとアコーディオン型のシャッターが閉められ、扉には『貸店舗』の貼紙。そして店内はもぬけの殻で、棚ひとつ残されていなかった…。ビル老朽化のため、カルピス本社前のお店からここに移って来たのが、一年と四ヶ月前。もしかしたらその時と同じような情熱を抱え、何処かに移転した可能性もあるわけだが、残念ながら移転のお知らせなどはまったく見当たらない。思えば六月に訪れた時に『1000円以上半額セール』が行われていたが、あれが閉店セールだったのかもしれない…。恵比寿から、そして山手線沿線から、ひとつの正統派古本屋さんが消えたことに傷心し、上がって来たばかりの、難物な急坂を切なく見下ろす。小さな駐車場の尖端に育った棕櫚越しに、大きな駅と繁華な恵比寿の街が見えている。こんなに広く立派なのに、もはやそこに古本屋の入る余地はないのであろうか。例え氷山の一角であろうとも、この街が大事な多様性のひとつを失ったのは、紛れもない事実である。…あぁ、今はまだ分からなくてもいい。「トップ書房」がもし何処かの隙間に、不死鳥の如く異空間と古本を滑り込ませてくれていたならば、それはとても嬉しいことなのだが…。
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情報通り古本屋が消えていたことと、古本を買えなかった思いをもやもや抱えたまま、坂道を駆け下りて駅に戻り、気持ちを取り戻すために武蔵小山の「九曜書房」(2009/03/26参照)に向かう。だがお店は残酷なことにお休みであった。ならばと目黒に引き返し、『権之助坂』の商店街にある「弘南堂書店」(2008/09/17参照)へ。坂の途中にあるお店ということで、何だか心の中に、消えたお店と勝手なつながりが出来てしまう。光文社文庫「乱歩邸土蔵伝奇/川田武」を350円で購入し、商店街になんとなく流れるメタンガスの匂いに鼻をくすぐられる。

そして今日あたりから、大阪「梅田蔦屋書店」で開かれている「夏の古書市2016」に、補充分の古書が並び始めています。「古本屋写真集」(大阪では「天牛書店周坊店」「山口書店」「青空書房」「末広書店」「中田書店」などの在りし日の姿を掲載)も入荷したそうなので、そちらもぜひお手に取ってご覧下さい。

さらに九月十二日あたりに発売になる『本の雑誌2016年10月 ついにきたぜ!の特大400号 No.400』に『古本屋ベスト10』を寄稿しました。良い本を安く買えるお店に絞った上に、なんとなく関東vs関西という構成をとっております。さらに同号の北原尚彦氏執筆の『魔窟のベスト10』には、末席ながら我が家がランキング入りする予定。ちなみにこの取材を受ける交換条件が、『潜入!北原尚彦氏邸変型五畳半書庫!』(2016/08/04参照)だったわけです。尋常ではない大魔窟を所有する魔人・怪人・古本神がひしめくランキングに、果たして本当に入っているのか。今から私もドキドキしながら楽しみにしている次第なのです。
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2016年09月07日

9/7俺のジゴマ!

雨が上がったのを見極め早い時間から動き出し、正午前の西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)。店頭から一冊掴み、店内左側通路にてガサゴソ持って来た古本たちを「フォニャルフ」に補充する。講談社「魔境千里/野村愛正」(裸本)を100円で購入しつつ、先日購入してまだ読んでいない(というかなかなかのボロい状態で、そんな感じでは、とても読む気になれないのであった…)「探偵小説ジゴマ」(2016/09/05参照)の修繕を、店主・小野氏に依頼する。依頼内容は、『取れた表紙と口絵をくっつけ、尚且つ補強して普通に読めるようにしてもらうこと』『そしてその修繕方法は問わず一任すること』である。だが小野氏はその本を手に取った瞬間「これ、ジゴマの表紙じゃないよ」と意外なことを言い出した。「でもジゴマの本って、異装があったり、かなりしっちゃかめっちゃかだったって言うから、こういうのもあったんじゃないの。中身は本物だし…」「いや、ジゴマはね、あのカバーがそのまま表紙になってるんですよ」と言うと徐に立ち上がり、奥の事務所スペースへ。しばらくガサゴソやって小さな紙袋を持ち出して来た。するとその中から出て来たのは、ぎゃぁっ〜っ!「ジゴマ」!有倫堂「ジゴマ」の八版で、しかも超美本!うわぁ〜。目がー目がー!と大慌てしてしまう。そしてなるほど、カバーを捲ると本体はペーパーバック状で、カバーと同じデザインが印刷されていたのである。ということは、私が買った物は、恐らく以前の所有者がカバーナシで表紙も裏表紙もない本を買い、その哀れな姿があまりにも忍びなかったので、緑の厚紙表紙を取付けたのであろう。そんなことが分かったところで小野氏が「どうせならちゃんと直そうか」とニヤリ。それからの行動は素早かった。オリジナル本のカバーと表紙のカラーコピーを取り、偽表紙を引き剥がし、二枚残っていた口絵を本体に接合し、厚紙で補強したカラーコピー表紙を接着。背はオリジナルだったので補強しつつそのまま生かし、最後にカラーコピーカバーを掛ける。ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっぉっ!あのボロボロの「ジゴマ」が、まるで本物のような端正さと、本としての物質感を獲得してしまった!中身は九版で表紙とカバーは八版だが、そんなことはもう関係ない。俺のジゴマは、素晴らしきオリジナル風の格式を纏い、大復活を果たしたのだ!これを800円で売っていた「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)に改めて感謝し、「盛林堂」に偶然美しい「ジゴマ」があったことに魂消つつ、午前中からジゴマ修繕に従事してもらった小野氏に大感謝する。よし、今日は大正の大衆労働者気分で、これを読み耽るぞ。
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本物なのだが、さらに本物っぽくなった我が「ジゴマ」。左は取り外した表紙の裏表。真ん中がコピー表紙を貼付けた本体。右はコピーカバーだが、何と「惡魔バトラ」の広告入りバージョンである。ちなみにこのような趣味的修繕は、やはりどこかに見ただけで修繕と分かる痕を、ちゃんと残すものらしい。

帰りに荻窪で途中下車して「ささま書店」(2008/08/23参照)参り。第一書房「戀の欧羅巴/ポオル・モオラン 堀口大學譯」小山書店「乗合馬車/中里恒子」(函付きで三版!嬉しい!)樺太叢書6「樺太史の栞/西鶴定嘉」(復刻版だがこれも嬉しい!)山田書店「山名の場合/梅崎春生」(裸本だがこれもまた嬉しい!)を計420円で購入する。
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2016年09月06日

9/6結果“あ”から始まるお店ばかりで古本を買う

一日のほとんどを仕事で家に閉じこもり過ごすが、午後二時過ぎに隙を見て外出し、近所の古本屋さんを急いで訪ね回ることにする。まずは南にタッタカ歩き、南阿佐ヶ谷の「あきら書房」(2016/03/28参照)へ五ヶ月ぶりにたどり着く。庭奥の店舗部分が開いているのを確かめ、庭を突破して店内に突入。一冊50円セールは現在も継続中である。棚の本はほとんど動いていないようだが、奥の床に積み上がる本タワーは、何処からが出現し補充されている模様。すぐに汗みどろになりながら棚の隅々まで目を凝らす。六冊を手にしてガラス障子の向こうに声をかけようとすると、庭から人の気配が伝わって来る。新手のお客かと思ったら、現店主の老婦人が草花の手入れを始めていた。庭に出て爽やかな風に身体を冷やされながら精算していただく。ほるぷ出版「日本漂流譚 一/石井研堂編著」サントリー博物館文庫「洋酒天国1 /開高健・監修」昭文社「新幹線ガイドマップ〈全国旅行〉」講談社ノベルス「知床岬殺人事件/皆川博子」カッパブックス「酒童伝/火野葦平」文化出版局「図解 戦後ファッションの移り変り」を計300円で購入する。一気にカバンを重くして、急ぎ足で高円寺に向かい「アニマル洋子」(2014/03/14参照)の店頭棚に首ったけ。福音館書店こどものとも「てがみのえほん/さく・え 堀内誠一」「三月 ひなのつき/石井桃子さく 朝倉摂え」河出文庫「吸血鬼幻想/種村季弘」を計300円で購入。最後に高架下の「藍書店」(2014/01/14参照)にたどり着き、かまくら春秋社「松竹大船撮影所覚え書/山内静夫」を300円で購入して、急ぎ自宅へ舞い戻る。何とも慌ただしい炎天下の古本屋ツアーであった。
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本日の収穫であるが、気が付けばすべて“あ”から始まるお店で、どこでも平等に300円の買物をした結果に終わる。この中でわりと嬉しいのは「三月 ひなのつき」で、全ページに展開する朝倉摂の色鉛筆とクレヨンで描かれたイラストがとにかくキュート。特に新宿街頭風景や、デパート内部の描写は、昭和世代の魂を鷲掴みにすること間違いなしのキリッとした上手さである。そしてちゃんと読んだらこれが、思わず目頭が熱くなるほどの素晴らしい佳品! この世界には、まだまだまだまだ上質な物語が潜んでいるのを、切に実感してしまう。
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2016年09月05日

9/5ジゴマが家にやって来た!

朝から家の古本山と小さく闘い、四十冊余りを真剣にセレクトした後、箱詰めして大阪に送り出す。現在「梅田蔦屋書店」で開催中の「夏の古書市2016」の追加補充である。明日本が到着し、優しい古書コンシェルジュが事務的作業を済ませてから、徐々に棚に並んで行くと思いますので、どうかこの古書市を引き続きよろしくお願いいたします!

その他にも色々済ませて、昼食を摂った午後に、少し長い散歩にフラッと出る。『早稲田通り』を闇雲に東に歩き、「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)店頭棚からペヨトル工房「WAVE19 サイバーシティ東京」「夜想21 天使」を計200円で購入する。街中には入り込まず、そのまま『早稲田通り』をさらに東へ。結局中野まで歩き通して「古本案内処」(2015/08/23参照)に入ると、何だか少し棚の様子が変わっている。手前左端の100均通路が文庫通路になり、何だか左右正反対になった感じ。奥の壁棚も戦争関連は変わらずだが、後は漫画&コミック関連と写真関連になっている。ふうむ、日々お店は試行錯誤を繰り返して変化し、成長して行くものなのだな、などと偉そうに結論付け光文社文庫「幻の名探偵/ミステリー文学資料館編」新潮新書「怪盗ジゴマと活動写真の時代/永嶺重敏」を計648円で購入する。いい加減通りを引き返し始めた途中で、無様に『中野ブロードウェイ』に吸い込まれ、長いエスカレーターと階段を使って四階の「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)へ。ここの右奥中央通路の探偵小説棚最下段で、ボロく妙な一冊の本を発見する。緑色の裸本の背にかろうじて残る、本のタイトルに目を凝らす…「探偵小説…ジゴ…マ」。あっ、これ、「ジゴマ」だ。下の半分消えた作者名は「佛國サージー…」とまでしか読み取れない。ビニールでパッキングされているので、一緒に封入されたデータ値段札を確認する。800円か。そして出版年などの記述は無く、ただ『落丁あり 現状品 ※要確認』とだけ書かれている。なに、大好きなジゴマ関連の本が、落丁ありとは言え800円で買えるんだ。何年の本かは分からぬが古そうだし、ここはひとまず買っておこう。そう決めてレジで精算する。帰りは駅から電車に乗って、たった六分間の道行き。その車内で「ジゴマ」をあたふた確認すると、有倫堂「探偵小説 ジゴマ/佛國サージー氏原作 桑野桃華氏譯」(大正元年の九版)であることが判明。台本と映画を基にしてわりと忠実にノベライズした、超初期のジゴマ本である(あのZの文字をバックにジゴマの顔がバンと大きく載ったやつである)。瞬間心がフワッと舞い上がるが、気になるのは落丁部分。だが後で丁寧に調べたところ、本文や奥付や目次や序文に落丁は見当たらない。これは嬉しい誤算だぞ。ちゃんと通して読めるのだから、買って大正解であった。ただ、どうやら本扉と口絵写真のほとんどが見当たらず、おまけに表紙と唯一残っていた『大團圓ジゴマの自滅』の口絵写真が取れてしまっている。よし、これはあの人に直してもらって、本の形に戻してもらおう。そうすれば、心置きなく憧れのジゴマを、家で寝っ転がりながら読めるんだ! そんな風に長い散歩の思わぬ成果を、大喜びする。
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※お知らせ
9/11(日)に国分寺の「七七舎」(2016/02/06参照)が、すぐ近くの一本東側の裏通りに2号店をオープン。それに合わせて大先輩の古本神・岡崎武志氏と『七七舎2号店オープン記念 岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン一日古本屋丁稚奉公』という店番イベントを開催します。分かり易く言うと、古本好きのオッサン二人がお店の迷惑を顧みず、午後一時〜午後六時まで店番をするというものです。もしかしたらあまりの無能さに、店長に物凄く叱られているかもしれません。裏でただひたすら、本を縛っているかもしれません。恐らく商売の大変さを噛み締める一日となるでしょうが、どうかお誘い合わせの上、国分寺古本屋巡りのついでに冷やかしに来て下さい。お待ちしております!ちなみに岡崎氏は色々何か企んでいるようなので、それについてはこちらをご参照ください。→http://d.hatena.ne.jp/okatake/20160905
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2016年09月04日

9/4「カストリ書房」はまだ古本を売っていなかった…

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『近代〜戦後の売春に関する貴重資料の発掘・復刻専門出版社』「カストリ出版」が、昨日吉原に専門書店をオープン。古書も扱っているとのことなので、意気揚々と駆け付けることにする。観光客で賑わう真夏の浅草を北に通り抜け、『馬道通り』から『土手通り』に入り、やがて『吉原大門交差点』にたどり着く。ガソリンスタンド前には、その昔に遊び帰りの客が後ろ髪引かれる思いで遊郭を振り返った場所と言う、『見返り柳』が熱風に揺られて立ち尽くしている。とは言ってもこの柳は、もはや数代を経ているもので、決してオリジナルではない。西を見ると、道は大きく江戸時代と同様にクランクし、異界への入口として機能しているようだ。ここから先の街中は、ソープランドと情報喫茶店が多くひしめいているのである。おずおずとその異界の中に入り込んで行く。道沿いには、『全日本特殊浴場協会連合会』の事務所があったり、ただの中華料理屋がわざわざ『ラーメンランド』という看板を掲げていたり、不思議な刺激にも溢れている。二度目のカーブで直線道になったところで、すぐさま南への裏道に入り込むと、鄙びたモルタル建築一階に開店の祝いの大きな花輪が置かれているのが目に入り、そこが新しく出来た書店兼出版社であることに気付かされる。質素なサッシ扉の前には『カ・ス・ト・リ』と入った純白の暖簾が提げられ、まるで昭和初期のミルクホールのような雰囲気を醸し出している。中に入ると、すでに何人かの好事家が先客としており、本を一生懸命に物色している。左に何も入っていない小さな棚と帳場があり、パーマでローデンストックフレームのメガネに白ワイシャツのカストリ感ゼロの青年がお客さんの応対に追われている。右には小さな特殊な畳で出来た上がり框があり、二十種ほどの自社出版物を面陳している…遊郭ガイド復刻・花街めぐり・カストリ雑誌記事復刻・エロ記事描き文字集・静岡遊郭本・吉原石鹸・特殊飲食店鑑札シール・同系のリトルプレス類…あっ!この復刻されている「白線の女/中村三郎」、オリジナル本を持ってるぞ!確か沼津の「十字堂書店」(2015/12/10参照)が閉店セールをやっていた時に駆け付け、安値で入手したはずだ…心のアンテナにただ引っ掛かった本であるが、そうか、復刻されるような貴重な本だったか、と改めてニヤリとする。だが、古本は何処にも並んでいないな…取りあえずカストリ出版「全く女性街ガイド/渡辺寛」「全國 遊郭案内/日本遊覧社編」「全國花街めぐり/松川二郎」の豆本を手にして帳場へ。精算しながら「これからもっと本棚を増やしたりするんですか?」と聞くと「う〜ん、そうですね…あんまり増やしても仕方ないんで、レジ前に一本小さい棚を置いて、古書でも並べようかと思っています」「そういえばまだ古本はないですね?」「いや、実はまだ古物取扱の鑑札を取ってないんですよ。エヘヘヘへ」…そうか、古本がこのお店に並ぶのは、まだちょっと先らしい。この調子だと、早くても年末くらいだろうか。その時に改めてツアーすることにしてお店を出る。それにしても、スゴい所に面白いお店が出来たものだ。表通りに出て、そのまま物珍し気に、真っ昼間の紅灯の街を闊歩。気になるお店たちをキョロキョロ見ながら西へ抜けて、さらに真夏の夢のように静かな入谷の街をトボトボ進んで、帰路に着く。
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写真は豆本三点と、家で本の山から引きずり出した東京ライフ社「白線の女」元セロファン付オリジナル本。450円で購入している…読まなければ…。
posted by tokusan at 17:42| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月03日

9/3神奈川・横須賀中央 AMIS

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トンネルを抜けた途端に駅のホームに滑り込み、階段を下って西口から出ると、改札横ではジャズのビッグバンドが演奏中。迫力ある生音を背に浴びながら、『平坂』に足を掛けグングンと山の上を目指して南に上がって行く。急角度の商店街を抜け、山上の『上町1丁目交番交差点』にハアハアと息を切らせながら到着する。このまま真っ直ぐ道なりに進めば薄型店舗の「沙羅書店」(2009/06/02参照)にたどり着くが、今日は帆船のモニュメントが入口に据えられた『中里通り商店街』を西へと進む。ここら辺りにはその昔、古本と貸本の「栄文堂」というお店があったそうだが、今は影も形もなくなっている。だが四本目の外灯を過ぎると、右手に前面を陶板タイルで飾った小さなビルが現れ、その一階に真新しいブックカフェが開店していたのである。サッシ扉にはジャック・タチの映画ポスターや外国市街地地図、それに本棚のある風景が描かれたイラストポスターが貼り出されており、その前に小さな洋書絵本の安売箱が置かれている。恐ろしく滑りの良い戸を引き開けて中に入ると、左に小通路とこじんまりとしたカフェスペースがあり、右にはちゃんとした古本屋スペースが広がっている。その右スペースに奥から顔を出すようにしてレジが設置され、すぐにカフェにも対応出来る造りになっている。座るのは頭にタオルを巻いた年配で面長の武満徹風男性である。カフェ入口前の小通路には二本の棚が置かれ、ペヨトル工房本・自然・山岳・サッカー・旅・海外などがキレイに収まっている。入口右横の洋書絵本や、レジ前の洋書ビジュアル本に軽く視線を流してから、壁棚と一本の通路棚で造られた二本の行き止まり通路に対峙する。奥の通路には、哲学・現代思想・政治・社会・海外文学・日本文学・時代劇文庫・詩・澁澤龍彦・日記・戦争などが集合し、文庫を中心として棚に二重にビッシリ収まっている。手前通路には雑貨類・暮らし(お母さんと一緒にいた子供が「あっ!「暮しの手帖」だ!商品テスト載ってるかなぁ〜」とすかさず手にしていた…朝ドラ『とと姉ちゃん』、恐るべし!)・落語・江戸・料理・児童文学・絵本が並び、棚脇に美術や写真の小さめ棚が置かれている。硬めの良書を揃え、文庫本を主力とし、値段ちょい安な、フレッシュなお店である。これは完全に横須賀方面では、かつて存在したことのないタイプのスタイル!その勇気と行動力と健闘を称えつつ、ちくま文庫「私の絵日記/藤原マキ」旺文社文庫「ウスバカ談義/梅崎春生」を購入する。どうかヨコスカが、この新しいタイプの古本屋さんを受け入れてくれますように!と願いつつ、そのままの足で交差点へと戻って「沙羅書房」へ。今日は奥の通路に帳場前からしか入れないのかと戸惑いつつ、光文社文庫「シャーロック・ホームズに再び愛をこめて/ミステリー文学館編」音楽之友社「ぼくらのライブハウス/岩永文夫」を計550円で購入する。

『平坂』を下って『若松マーケット』を通り抜け、『米が浜通り』を南東へ進む。海は見えぬが匂いで分かる強めの潮風が、重たいがそれでもこの暑さには心地良い。やがて右手に先日全焼してしまった海軍御用達料亭「小松」跡地が姿を現わし、板塀の節穴から寂しくなった亭内の様子をうかがってから、愛しの「港文堂書店」(2010/05/08参照)に到着。店頭で100均本を一冊掴み、店内に入るや否や、郵便配達人が帳場前で話し込んでいる不思議な状況。これ幸いと棚に視線を走らせるが、すぐに「あ〜っ!」と発見され、元気過ぎる母&クールでニヒルな娘さんの、炎と氷の母娘コンビに歓待していただく。呼び名がいつのまにか“力也さん”となっているのに面食らい、店内の古本を見る間もなく手作りの梅干しやジャムをお土産にいただく。嬉しや嬉しや。これでどうにか厳しい残暑を乗り切れる気が…。後は楽しいヨコスカ・ディープ話と世の中には何故面白人間がたくさんいるのかを真剣に話しつつ(まぁ大体は聞き役なのだが…)、隙をうかがい古本探し。ちくま文庫「明治探偵冒険小説集1 黒岩涙香集」カッパ・ブックス「合気道入門/植芝吉祥丸」ロマン・ブックス「黒い白鳥/鮎川哲也」文園社「名月捕物噺/久我荘多郎」宝文館「やもめ貴族/川崎長太郎」(カバーなし)を計1500円で購入する。すっかり一時間ほど話し込んでしまったので、段々と横須賀の故郷となりつつある老舗店を、後ろ髪引かれて後にする。
posted by tokusan at 19:04| Comment(10) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月01日

9/1大阪にて「夏の古書市」スタート!

大阪「梅田 蔦屋書店」にて「夏の古書市2016」スタートしております。同時に古本屋ツアーフェアも開いていただいてますので、西の古本屋好きのみなさま、どうか一度冷やかしに訪れて下さい。岡崎武志氏と共著の「古本屋写真集」も販売予定。古本補充も気合い入れていたします!
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かつてないくらいお洒落にディスプレイしていただき感謝!

そんな西の催しに思いを馳せながら、今日は夜の松陰神社前での打ち合わせ飲みに照準を合わせ、台風一過でちょっと秋らしくなって来た夕方に家を出る。まず向かったのは「江口書店」(2010/03/29参照)。色々真剣に漁ってしまい、製菓実験社「意匠と實用向 煎餅百種/上田政男」キング音楽出版「冒険ダン吉 百萬ドルのハーモニカ/島田啓三」(背が補修してありますが間違いなくどひゃっほうです!)岩波少年文庫「太陽の東 月の西/アスビョルンセン」春陽文庫「君と行く途/北條誠」徳間文庫「船図鑑」「船キチの記」共に柳原良平、雪華社「世界の怪談/庄司浅水」書肆ユリイカ「ゴリラ/山本太郎」(裸本)を計1600円で購入する。
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とにかく嬉しいこの二冊!左が500円の「冒険ダン吉」、右が表紙のインパクト大な300円の「ゴリラ」。

大満足して三軒茶屋までテクテク歩き、後は世田谷線の線路沿いにひたすら歩く。外灯が所々にしかないので、何だか昭和的な暗さが心地良い。若林で「十二月文庫」(2014/11/22参照)に立ち寄るも、残念ながらお休み。松陰神社前では、かなり久しぶりの「nostos books」(2013/08/10参照)へ。相変わらずデザイン的に尖った品揃えだな、と棚に集中していると、何だか熱い視線が身体を貫いているのに気付く。さり気なく店内を見回すと、裏の事務所との境になっているスィングドアの隙間から、黒い中型犬がじっとこちらを眺めている。つぶらな切ない黒い瞳が、何とも愛くるしいワンコである。その眼が「古本買ってね〜」と明らかに訴えかけているので、リブロポート「ペンギンのペンギン/デニス・トラウト」を300円で購入する。
posted by tokusan at 23:56| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする