2019年03月18日

3/18特集・棒!

昨日は「みちくさ市」に参加し、午後三時半までに四十一冊を売り上げる。市は本来は午後四時までなのだが、突然パラリと雨が降り始めたので、本を急いで濡れぬよう収納すると、自然と帰り支度になってしまったのである。何はともあれ、本を買っていただいた方、足を停めて下さった方、本について様々に教えてくれる方、蔵書について熱く語られる方、本棚について示唆してくれる方、そして楽しく愉快なご常連のみなさまにわめぞのみなさま、今回もありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします!などと言いつつも、早くも今週土曜日には『本の雑誌商店街』で、またもや素敵な古本売りに変身せねばならぬのである…ち、力と古本のある限り頑張ります!

本日は午後に遅めの定点観測に出発。午後二時なので、最初に「竹陽書房」(2008/08/23参照)に足を運ぶ。そう言えば、よく「みちくさ市」でご一緒する「ママ猫の古本や」さんが、先日初めてこの「竹陽書房」に入り、掘り出し甲斐があり、蔵書量が短い時間でも見られるヒューマンスケールの量だったので、とても楽しかったと報告してくれた。「竹陽」のファンが新たに誕生したのを喜びつつ、そのヒューマンスケールな棚にギロギロと目玉をぶつける。三栄書房「石ノ森章太郎の物語/石ノ森章太郎」(石ノ森が折々に描いて来た、漫画家ライフについての漫画を集めたアンソロジー。こんな本がいつの間に!)を300円で購入する。「藍書店」(2018/12/24参照)では弘學館書店「四十七士/大町桂月」を300円で購入。「ささま書店」(2018/08/20参照)では、本田文庫「小説 本田技研 第一話〜第五話/制作:電通」童心社「〈詩集〉こころのうた/八木重吉他 初山滋装画」まつり同好会「まつり 1973 No.22」を計324円で購入した後、表に出ると、精算の合間に補充された棚に目が吸い付けられ、宝文館「遠野のザシキワラシとオシラサマ/佐々木喜善」を見つけてしまったので、照れるがもう一度店内に引き返し、「これもください」と108円で購入する。ところで店頭でギョッとしたのが「まつり」である。日本各地の“まつり”や“民俗芸能”の研究誌なのだが、なんとこの号の特集が“棒”な
のである。背に『特集 棒』とあるのを見て、ついつい笑ってしまった。前代未聞の特集タイトルじゃないか。とは言っても中身は大真面目で、祭事に使われる棒の種類や『棒踊り』『棒つかい』『棒打ち』、果ては武術の『棒術』までに、話は棒尽くしで及んでいる。う〜む、世界はやはり広大だな…。
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これが面食らってしまった、背の特集タイトル!棒!
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2019年03月16日

3/16あたふたと準備完了!

色々片付けまくった後に、ようやく夕方四時過ぎから、明日の仕上げの値付けに入る。もはや疲弊しているので、景気づけにビールを喉に流し込みながら、札に古本の値段を書き込んでいく。おかげで思い切りが良くなり、だいぶ出血大サービスの傾向に…。というわけで、愉快な本や奇怪な本を用意して、明日はみなさまのお越しを、雑司ケ谷でお待ちしております!午後はもしかしたら雨が降ることもありそうなので、なるべく早くお出かけいただき、早い者勝ちの掘り出し物を探していただければ幸いです!あぁ、それにしても疲れた。箱に詰めたりするのは、明日の朝にやることにしよう。よし、そうと決めたら、古本でも読んで、ダラダラするか。
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■「第46回 鬼子母神通り みちくさ市」
■3月17日(日)11:00〜16:00 雨天中止(当日午前八時に天候による開催の有無を決定)
■東京都豊島区雑司が谷二丁目・鬼子母神通り周辺
https://kmstreet.exblog.jp/
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2019年03月15日

3/15都丸の店内に入って正解だった。

午前のうちに少量の古本を携え西荻窪へ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で「フォニャルフ」にささやかに補充した後、すっかり本が入れ替わった「ひとたな書房」に涎を垂らす。ぬぉぉ、東光出版社の「幽靈鐡假面/横溝正史」が、背が補修してあるからかなりの安値にィ〜…仙花紙本の「丹那殺人事件」がぁ〜などと探偵小説身悶えを行いながら、店主の小野氏と仕事の打ち合わせを少し。お店を出ると正午過ぎだったので、駅反対側の「古書 音羽館」(2009/06/04参照)へ足を向ける。開店準備真っ最中のところにお邪魔して、河出文庫「消えたダイヤ/森下雨村」廣済堂「漢字の玩具箱/都筑道夫」教養文庫「未解決事件19の謎/ジョン・カニング編」を計550円で購入する。家に戻って昼飯を摂った後は、選定が終わった古本をドバッと積み重ね、日曜「みちくさ市」の準備に専念する。だが夕方近くなり、身体がビキビキと固まり始め、作業にも飽きてしまった。こういう時は古本を買いに行くに限る!と立ち上がり、気分転換に高円寺へ向かうことにする。「都丸書店」(2010/09/21参照)の『中通り』側の店頭棚を眺めていると、何故だか、今日は何だか店内の棚をちゃんと見たくなってしまう。店頭では何も手にせず、店内へ。思えばここは通路が広く、壁棚以外は目線くらいまでの低い棚なので、その余裕と居並ぶ本の硬さが混ざり合い、少しだけ外国の古本屋さんに迷い込んだような印象を抱いてしまう。そんな益体もないことを考えながら、硬い本でも気になる古書を引き出しては、ちゃんと確認して行く。すると日本の社会・風俗・民俗学などの棚に異質な一冊を発見する。博文館「科學より観たる 犯罪と探偵/小酒井不木」である。大正十二年の出版なのに恐ろしくキレイな本だ。赤い表紙絵の、髑髏を前にして深く考察する男の姿が素晴らしい。値段を見ると1500円なので、迷わず購入することに決める。今日は、店内の棚をちゃんと見て正解だったんだなぁ。そうしみじみ嬉しく思い、お店を出てから立ち止まり、袋から本を取り出し、パラパラと眺める。すると後見返しの値段札が取られた後には、赤い古書店ラベルが現れているではないか。神保町にあった「巖南堂書店」(2017/10/02参照)のものであった。
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そして家に戻ると、ポストに一冊の厚い本が届いていた。今度本の雑誌社から出る荻原魚雷氏の新刊「古書古書話」であった。カバー写真は魚雷氏の根城でもある高円寺の「コクテイル書房」(2016/04/10参照)。古本関連の新刊が出るとは、誠に目出度いっ!と早速ページを捲ると、冒頭のエッセイが高円寺にかつてあったおかしなサブカル古本屋「ZQ」(2008/12/25参照)から始まり、そこで買った横井庄一のジャングルサバイバル隠棲名著「無事がいちばん」から話がコロコロ転がって行くのである。フフフ、楽しいな。大事に読み進めて行こう。
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2019年03月14日

3/14鏡花・弟の探偵小説撰集!

夕方に『井の頭公園』東端に流れ着いたので、半島のように住宅街に食い込んでいる園内をたどり、西へ向かう。『井の頭公園駅』を過ぎると現れる、低い井の頭線高架と、公園と、源流然とした神田川が交錯する場所は、ここが都会であることを忘れさせてくれる、稀有なパワーを秘めている。
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高架下の蛍光灯が、その感じに拍車を掛けるのだが、下を通らず公園から離脱して、緩い坂を上がって『井の頭通り』に出て、「よみた屋」(2014/08/29参照)を偵察する。店頭で百均一冊、店内入口横50円文庫棚で二冊。目黒書店「小學校の遊戯/佐々木等・中島海・齋藤薫雄・廣瀬清・宮川菊芳」(大正十三年再版。函ナシ。西洋陸上競技の紹介とともに、『猫と鼠』『西洋鬼』『鮫鬼』『捕鯨競争』『子殖鬼』などなどなど未知の遊びが盛りだくさん!)創元推理文庫「帽子蒐集教狂事件/ディクスン・カー」(3版帯ナシ)尚文堂「童謡作法問答/野口雨情」(函ナシ。背イタミ)を計200円で購入し、続いて「古本センター」(2017/03/06参照)で管を巻いていると、一本の電話がかかって来た。常に埋もれた探偵小説・少年探偵小説・モダニズム文学を探しまくっている善渡爾宗衛からで、表紙デザインを担ったクレイジーな探偵小説集が出来上がったので、献本したいとのことであった。手にしていた復刻版の「海底軍艦」をすぐさま安売棚に戻し、電車に乗って阿佐ヶ谷に駆け付ける。そして受け取ったA5判の本は、想定通りに、Oh!クレイジーな仕上がり!東都 我刊我書房「泉斜汀探偵小説撰集 人買船」である。泉鏡花実弟の講談探偵小説を集めた誌面復刻の前代未聞の一冊!硯友社にも属していた鏡花の弟が探偵小説を書いていることなど、露ほども知らなかったのだが、「倉田啓明よりヒドいですよ」「挿絵の高畠華宵の絵もヒドい。美女の目が完全にイっちゃってるんです」「鏡花より先に「天守物語」の元ネタから小説を書いています」などと、編者と解説者から聞かされており、挙げ句の果てに装丁を依頼された折りには「アメージング・ストーリーズ」みたいにしてくれ!と懇願されたので、こんなド派手な一昔前のエロ劇画のような、インチキで素晴らしい表紙になったのである。試しに冒頭の『文字金殺し』を読んでみると、江戸情緒の中にグラン・ギニョル的ビジュアル表現が横溢する、THE・ケレン味たっぷりな作品であった。うぅ、これは楽しい。ご興味持たれ方は、ちと値は張りますが、土曜日辺りから「盛林堂書房」(2012/01/06参照)でお買い求めいただけると思うので、食指をグキグキ蠢かしながらアプローチすることをお勧めいたします。
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2019年03月13日

3/13もはや春の何てことはない昨日と今日。

昨日は午後二時過ぎに西荻窪の北に流れ着く。フラフラとそのまま高架の北側を歩き、荻窪方面へ。坂を下りて善福寺川を越え、再び坂を上がって午後二時半の「絵本タイム猫タイム」(2016/02/19参照)にたどり着く。だが、もう短過ぎる営業時間に突入しているはずなのに、扉は固く閉まり、何の気配も感じられない…窓際に飾られた、ロンドンにUFOが現れるらしいSFチックなキティちゃんの絵本がとても気になるのだが…またいつか見に来ればいいかと諦め、そのまま家へ足を向ける。途中、久しぶりの「古本ブック流通センター」(2008/08/09参照)に入り、時の停まった店内を満喫し、春陽文庫「霧に溶ける/笹沢佐保」中公文庫「幻象機械/山田正紀」を計200円で購入。帰り際、初めて奥さま店主に「またどうぞ」と言われる。
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そして本日は朝から冷や汗をかきながらも、確定申告の書類をまとめることに成功し、午前のうちに提出してしまおうと税務署へ。大行列から抜け出せたのはお昼前で、困難を乗り越えた清々しさを胸一杯に広げ、「あきら書房」(2019/01/30参照)の様子を見に行くことにする。だがやはり、開いていない。あまつさえ、店舗部分のシャッター前に椅子や傘立てが置かれてしまっている…くそぅ、あきらめるもんか。ここもまた改めて見に来ることにしよう。トボトボと家路をたどり、白昼の白けた飲屋街で猫に声をかけられたので撫でまくったりした後、開店準備中の「銀星舎」(2008/10/09参照)の旦那さん店主に「早いですね」と見つけられ、挨拶を交わす。店頭棚を見ながら確定申告の話や花粉症の話など。角川文庫「SF大辞典/横田順彌」集英社文庫「ホワイトハウスに棲む幽霊/マイケル・ノーマン&ベス・スコット」中公文庫「舌鼓ところどころ/吉田健一」を計500円で購入する。家に戻ってからは、色々片付けながら日曜「みちくさ市」の準備もジリジリ進める。
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ちょっと撫でると、鳴きながらお尻を上げっぱなしに…春ですなぁ。

そして先日購入した板垣直子の「文藝ノート」(頑張って読み進めているが、文藝批評の斬れ味が鋭過ぎて、大丈夫なのかと読んでるこっちが恐ろしくなってくる)だが、婦人雑誌「火の鳥」に寄稿した原稿が多く含まれている。「火の鳥」と言えば、片山廣子が関わり尾崎翠も寄稿していた雑誌である。それに尾崎の「第七官界彷徨」は「文藝ノート」と同じ版元・啓松堂から出されているのだ。2004年に出版された筑摩書店「迷へる魂/尾崎翠」の編者・稲垣眞美の『おぼえがき』を読むと、板垣鷹穂・直子夫妻は上落合の尾崎翠の近所に住み、「文藝ノート」で「第七官界彷徨」を評論しただけでなく、啓松堂から「第七官界彷徨」が刊行されるよう計らったと書かれているではないか!ちょっと先走って、先のページを見ていくと、あっ、本当だ。『女流文壇』という評論の中に、尾崎翠が登場している!知らない古本から始まり、色々な情報がピシピシつながって行く知的快感を味わうのは、本当に愉快だ。この本、買ってよかったぁ〜。
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2019年03月11日

3/11三軒目まで足を延ばせば…

目覚めると激しい雨と風の音。窓にパラパラ叩き付けられる雨粒の音を聞きながら、仕事や再びの古本掘りをひとくさり片付ける。春の陽気に満ちあふれた午後に外出し、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に古本を持ち込む。店主・天野氏と中央線新古本屋事情について少々語り合ってから、荻窪へ定点観測に向かう。いつもより一時間半遅れの午後一時である。「ささま書店」(2018/08/20参照)では岩波書店「遊MOREデザイン館/福田繁雄」を108円で購入。「藍書店」(2018/12/24参照)では第一文藝社「シナリオ研究 第三冊」(1937年秋刊)を300円で購入。萩原朔太郎のシネ・ポエム『貸家札』掲載が嬉しい。だが、到底こんな具合では満足いかないので、西に足を延ばして「竹陽書房」(2008/08/23参照)を覗くことにする。この時間なら、もう開いているはずだ。線路に面したお店にたどり着くと、やはり開店している。店頭台で、アメリカのテレビ番組『セサミストリート』三十周年を記念して、富士ゼロックスがカラーコピー機で出力したものを製本したプレゼント用冊子を見つけて、まずは小さく喜ぶ。続いて店内では、右側通路で映画監督五所平之助の献呈署名本を発見し、嬉しく抱え込む。左側通路では、その古さが気になり何はともあれ買うことにして、一冊を抜き取る。富士ゼロックス「SESAME STREET 30th ANNIVERSARY」永田書房「わが青春/五所平之助」啓松堂「文藝ノート/板垣直子」を計1100円で購入する。「文藝ノート」は昭和八年に出版された女流評論家の文藝評論集である。序文に、中村武羅夫・楢崎勤・谷川徹三・岡田三郎などの名が挙がっているが、『自分の書いたものが印刷されると、多くの場合、酷評をして』と書かれている板垣鷹穂にも謝意を示している。意味ありげな一文に、ハッ!とボンヤリの私も気付いて調べてみると、やはり板垣直子は板垣鷹穂の妻であることが判明する。うむ、足を延ばしたおかげで、面白い買物が出来た。良く見ると、この本も献呈署名本で、パラパラと、アンカットを切り離したページを繰ってみると、浅原六朗や久野豊彦などの『新社會派』が手ひどくやっつけられている。あぁ、女給文学論の中で、永井荷風もメッタ斬りにされている…これは愉快愉快。早速頑張って読み始めることにしよう。
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2019年03月10日

3/10「ネオ書房」最期の日(一応)。

午後になって、昨日春一番が吹いた後の街に出て、今日が最後の営業日の「ネオ書房」(2019/01/06参照)前。まだオヤジさんが、左側店頭棚のブルーシートを畳んでいる真っ最中である。その、貸本屋と古本屋で世間を渡って来た後姿に、こっそり『ありがとうございました』と感謝の念を捧げる。開店準備が整ったので、早速店頭棚に近付き目を凝らす。すると通りを歩いていた人たちも、たちまち近寄り本を吟味し始める。そこでオヤジさんが顔を出し、にこやかに「今日が最後の営業日です。本は全部半額です。だからたくさん買って行ってね」と開店宣言。それを聞き、一番乗りで通い慣れた店内に滑り込む。閉店セールが始まってからの二ヶ月間、たっぷりと楽しませていただきました。そんな風にくどいほど感謝しながら感慨深く、店内を他のお客さんと通路を譲り合い、一周する。最後の買物は、ひばりコミックス三冊!ひばり書房「杉戸光史怪談シリーズ 亡霊の里/杉戸光史」「ひばりの怪談シリーズ 赤子葬送曲/池川伸一」「GOGO赤ヘル軍団/杉戸光史」(広島カープメインの漫画と思いきや、その広島カープを親子二代で愛し支えた、早川鯉平・通称カープさん激動の物語。こんな漫画が存在していたなんて…)のを計1500円で購入する。ひとまず今日でこのお店とはひとまずお別れである。選挙事務所が一段落した後、再開してくれれば本当に嬉しいのだが。何はともあれ、楽しい古本をたくさんありがとうございました!
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※お知らせ三つ
1. 月曜日辺りから発売になる「本の雑誌 三色団子くるくる号 No.430」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、高円寺の「古書サンカクヤマ」をレポート。店頭で北原案件を発見し、当の北原尚彦氏に報告するが、その顛末や如何に。そして今号の特集は、何と嬉しい『昭和ミステリー秘宝館』。ミステリ界の重鎮たる、お歴々に混ざり、五十二才なのに若輩ながら私も原稿を書かせていただいております!名付けて『昭和ミステリーの装丁コレクション』。これまで古本屋さんについてばかり、マシーンのように書いて来ましたが、ついにこのような原稿を書ける日がやって参りました!本の雑誌社さんに誠心誠意大感謝です。どうか書店で手に取っていただければ幸いです。
2. 3/17(日)のみちくさ市に、掘り出した古本をたくさん携え参加いたします。春になった三月の雑司が谷に、どうかみなさま古本を買いに来ていただければ。面白い本、奇怪な本、古い本、取り揃えておきますので!
■「第46回 鬼子母神通り みちくさ市」
■3月17日(日)11:00〜16:00 雨天中止(当日午前八時に天候による開催の有無を決定)
■東京都豊島区雑司が谷二丁目・鬼子母神通り周辺
https://kmstreet.exblog.jp/
3, そして連続で、3/23(土)の『本のフェス』の『本の雑誌商店街』にも参加します。対応できるほどの本を家で掘り出せたので、どうにか大丈夫なはずです!場所が去年と変わりますが、参加者のみなさんが相変わらずゴージャスなので、ぜひとも遊びに来ていただければ幸いです。ついでに古本も買っていただければ、もっともっと幸いです!
■2019年3月23日(土)10:00〜19:00(私はこの日だけの参加となります)
■2019年3月24日(日)10:00〜17:00
■会場:DNP市谷左内町ビル (東京都新宿区市谷左内町31-2) (本の雑誌商店街)
■参加者:140B/岡崎武志/荻原魚雷/カンゼン/北原尚彦(3月23日のみ)/キリンストア/国書刊行会/古書いろどり/古書ますく堂/コトノハ/小山力也(3月23日のみ)/酒とつまみ社/星羊社/盛林堂書房/旅と思索社/八画文化会館/ホシガラス山岳の会/本の雑貨社/本の雑誌社/森英俊/山と渓谷社(店名五十音順)突発的にまだまだ増えるかもしれません。
posted by tokusan at 15:47| Comment(2) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月09日

3/9東京・西荻窪 benchtime books一階部分

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午後二時前に『善福寺公園』辺りに流れ着いたのを幸いとして、テクテク歩いて「モンガ堂」さんよりコメントタレコミのあったお店に、ブラブラと向かってみる。場所は西荻窪駅北口から『西荻北銀座』を北にグングン進み、歩道亜アーケードを抜け、坂を下り、善福寺川を渡り、再び坂を上がって、「中野書店」(2015/03/14参照)前も通過し、『青梅街道』手前のセブンイレブンのある交差点を西へ。しばらく歩くと北側歩道沿いの店舗兼住宅長屋の右側に、青い日除けテントを丸く張り出したお店が見えて来る。本当だ。これは間違いなく古本屋さんだ。店頭には100〜300円の安売本が上品に出され、小さな黒板に店名や営業時間や定休日が書かれている。中に入ると、窓から飛び込んだ光を柔らかにたたえる、小さな正方形の空間である。奥には薄暗いが同サイズの低めの中二階があり、木の踏み台に飾られた絵本や、奥の棚の上にドガッと積まれた古本や、シックなショウケースに収まった正宗白鳥や太宰治などが見え、そのケースの向こうに帳場があり、ジブリ映画『耳をすませば』のバイオリン職人を目指す男の子が大きくなったような青年が「いらっしゃいませ」と声をかけてくれた。什器はすべてシンプルなアンティーク調に統一されている。入口付近には、木版ブックカバーやオリジナル木版詩集などが飾られている。左壁際には、セレクト文庫と児童文学や絵本が並び、中央の机には珈琲・パリ・食・博文館ポケット日記(激カワ!)などがディスプレイ。右壁際には、海外文学・「暮らしの手帖」関連・植草甚一・美術・民芸・工芸・茂田井武・洋写真集が集まる。ここには額縁を改造したケースが置かれ、そこに本がすっぽり収まる洒落た光景が展開している。そして奥の階段横に置かれた骨董関連のミニ棚を見て、奥のショウケースに熱い視線を向けていると、奥に座る青年が「まだ開けて一週間なんですよ。二階も本当はちゃんとしたかったんですが、一階の準備を手間ひまかけてやって、さらにブックカバーの制作や詩集の製本をしていたら、とても間に合わなくて…」というわけで、まだプレオープン状態らしいのだ。なので蔵書量はまだそれほど多くないが、棚造りにはしっかりとしたビジョンがあり、しかも深めなのが充分伝わって来る。古書にもかまけているのが、大いに好ましい。二階は四月には完成させるとのことなので、その時が今から楽しみである。本を選んで中二階に上がると、帳場と言うよりはほとんど職人の作業場である。むぅ、壁棚には古い文庫がたくさん並んでいるじゃないか。ますます二階の出来上がりに期待してしまう。世界文化社「山椒魚戦争/カレル・チャペック」を購入する。

一旦家に戻った後、再び忙しなく外出し、再び西荻窪へ。よく「みちくさ市」などでご一緒した、一箱系豆本作家の「暢気文庫」さんが、故郷に戻ることになったので、そのお別れパーティーが開かれているのである。今までお世話になりましたと挨拶し、ビールをグビグビ。物凄くたくさんの人が別れを惜しんでいる中、何故か坂崎重盛氏が飛び入り参加しており、面食らう。そして芳名帳への記名が「手抜きだ!」とお叱りを受けてしまったので、苦し紛れに猫の絵を描き足すと、打って変わって「うまいじゃないか!まるで生きているようだ!」と頬が赤くなるほど大絶賛される。すると突然「そのペンを貸せ!俺もそこに猫の絵を描く!」と言うことになり、写真のようなものが出来上がってしまいました。
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最下部の絵が坂崎氏の猫の絵である。

いやぁ、楽しいひと時でした。暢気さん、どうか、西へ行ってもお元気で。「暢気文庫」さんと言えば、思い出すのはこの豆本。「兵隊の死/渡辺温」(平成24年4月刊)である。18W×6Lで全8ページ。掌中に収まる渡辺温とは、なんとロマンチックな代物であろうか。
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posted by tokusan at 19:09| Comment(2) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月08日

3/7古本屋ツアー・イン・松坂健氏書庫!

昨日夜のことである。この三月に、ミステリ評論家の新保博久教授が、無事にすべての本とダンボール箱を東京から京都に運び出すことに成功し、一年以上の長きに渡り苦闘した、十万冊との闘いに終止符を打った(だが新たに、京都にて十万冊との闘いが始まるのだが…)。それを祝し、運び出しに貢献した「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏と、“盛林堂・イレギュラーズ”たる私を招待し、一席設けたいとの申し出があったのである。その場所が大変奮っている。教授が上京する度に宿泊している、ミステリ研究家・松坂健氏の事務所兼書庫兼稽古場(演劇の)で、中華のケータリングをつまみつつ酒杯を傾けようとのことなのである。「当然書庫、見たいでしょう?」と教授が大いに水を向けてくれたので、酒宴に連なりつつツアーもお願いしてしまおうという魂胆で、小野氏とともに東京の東端辺りへワクワクしながら向かう。たどりついた巨大集合住宅の扉を開けると、出迎えてくれたのは松坂氏ではなく、笑顔で寛ぎジャージ姿の新保教授。そして我々を出迎えるように、『ようこそ古強様ご一行』と書かれた紙看板が置かれていた。
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玄関には早速本棚やドラえもんの渦やレアな創元推理文庫が並ぶ棚が!と興奮しつつ、まずは大きなリビングルームに足を運ぶ。主人の松坂氏が、これまたにこやかに迎えてくれたが、やはりここの壁一面も美しく本棚に覆われているのであった。整頓された空間が広くしっかりと確保されているので、いわゆる“魔窟感”などはゼロである。ここには、映画・演劇関連・ミステリリファレンス・みすず出版本・DVD・自著などが、和書&洋書含め収まっている。まぁまずは古本より、酒と中華である。教授の話と古本の話と、途中参加の松坂氏奥さまの演劇話などを肴に、楽しくビールとワインに酔い痴れる。古本関係の話で何かある度に、教授が席を立ち、それに関する本を書庫から持ち出して来るのが面白い。すっかりこの松坂書庫を、我が物のように知悉しているのだ。もうすでに仕事用のパソコンも常備されてしまっているのが恐ろしい。今にここは、漫画「魔太郎がくる」の“やどかり一家”みたいに、教授が乗っ取ってしまうのではないだろうか…。そして一時間ほど経ち、全員すっかり酔っ払ったところで、教授がえびす顔で「そろそろ書庫がみたいんじゃないですか?」と嬉しいささやき。では!と腰を上げると、松坂氏と小野氏も腰を上げ、書庫前に全員集合する。
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すると「ハイ、これ着けてね」とヘッドランプを手渡される。どうやら明かりが点かぬので、これを頭に着けて本を探すのである。本を見るのにヘッドランプ…ミステリ書庫あるあるであろうか。
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中は七本のしっかりしたスチール製の統一棚が立ち、まるで図書館のようである。通路ごとに、ペーパーバック・文庫・単行本・作家ごと・評論・研究・周辺と精緻に分類され、研究者に相応しいミステリの壮大な地層を見せている。松坂氏が先に立ち、まさにツアーよろしく、棚の有り様と意義とピンポイントの本をレクチャーしてくれる。う〜む、スゴい。これはスゴい。だがその翻訳系の深さとマニアックさに私の知識が追いつかず、何がスゴいのかよく分からぬ場面が頻出するのだが、小野氏は眼を輝かせ、自由奔放に楽しんでいる。「これ、珍しいよ」「これ、キキメだよ」「これ、帯あったんだ」「あっ、異装版」。その後に都筑道夫棚や乱歩棚などで、ようやく素直に興奮。ホームズ棚では、日本に三セットしかないと噂の「THE BAKER STREET JOURNAL」(結婚当時、新婚旅行代を犠牲にして購入したそうである…)も見せていただき、目が蕩けそうになる。
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さらにリビングに戻り、全集&雑誌書庫に入ると、「新青年」棚の列にちんまりと収まっていた小冊子が気になったのか、小野氏が引き出してみると、なんと新潮社新作探偵小説全集の付録「探偵クラブ」であった。ぬぉぉぉ!酔いと興奮の度合いを高めると「それ、揃い持ってるよ」と再び奥の書庫に引き返した松坂氏が、すぐに姿を現わし、小冊子の束を手渡してくれた。小野氏がすかさず全冊を床に並べ、揃いかどうか確認する。すると十冊ちゃんとあるのだが、番号が飛んでいる部分がある。「足りないのか?欠番なのか?」と議論が始まってしまったので、奥さまと話し込んでいた教授を呼び、裁定してもらうことにする。すると、「なんですかぁ」と現れた教授は、床に並んだ「探偵クラブ」の上を優しく踏み付け、話に参加し始めてしまう。「うわぁ、教授、踏んでる踏んでる踏んでる踏んでる!」…すでに全員かなり酔っ払っています。幸い本に被害はなく、恐らく欠番だろうということで決着する。
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すると、「そうだ、こんなのもあるんだよ」と松坂氏が三たび書庫に舞い戻り、一冊の緑色の本を手渡してくれた。ギョギョエ〜ッ!奇蹟の「探偵趣味」合本である!
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なんだ、これ!平凡社江戸川乱歩全集」の稀少過ぎる付録を、幻の「犯罪図鑑」まで合わせ、一冊に美しく製本されているのだ!状態が新品同様なのが恐ろしい!
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竹中英太郎の妖美な表紙絵に見惚れながら、後見返しを見てみると、『古書一般 協立書店 浅草東映側』の古書店ラベルが貼られていた(1976年の「古書店地図帖」を見ると、浅草六区の先、国際劇場向かい辺りにあったお店であることが確認できる。得意分野は、趣味の本・風俗雑誌・新刊書。松坂氏の日本の古いミステリは、ほぼここで買い求めたそうである)。このお店は以前から松坂氏に「良い本安く買えたんだよ。「新青年」とか買い集めたよ」と自慢されていたお店である…ほ、本当だったんだ…。「あの、ちなみにこれ幾らくらいで買ったんですか?」「う〜ん、確か千円くらいだったかな」…ギャォ〜ゥ、羨まし過ぎる!妬ましいほど羨まし過ぎる!などと大騒ぎ。
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最後には玄関の棚にこまごまと収まった、日本ミステリ研究の源流とも言えそうな、様々な大量の同人誌を見せていただき、もはや出来ることは唸るばかりになってしまった。恐ろしい、恐ろしいところだ。ここにあるのは間違いなく、全国五指に入るミステリ蔵書であろう。何たって、全ての本にしっかりとアクセス出来、直ぐに探している本が出て来るのが素晴らしい。一通り見終わったところで、再び酒宴に突入する。そしてその場で、せっかくツアーに来たので、何か手に入れたいものだと野心を膨らませ、恥を忍んでツアーの恥はかき捨てだ!と、ダブりの古本で良いから何か安値で譲っていただけまいかと、図々しく松坂氏に申し出る。その瞬間、何故か全員大爆笑。いや、いいんだこれで。これが私のやり方なのだ。だが松坂氏は徐に立ち上がり、悩みながら色々と探索してくれた。そして「これを差し上げましょう」と二冊の雑誌を手渡してくれた。
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久保書店「世界的ハードボイルド・ミステリィ雑誌 マンハント」1961年11月号12月号である。あれ?知ってる中綴じA5判じゃない。平綴じでB5判じゃないか。こんなサイズの時代もあったのか、と驚く。ありがとうございます!などとやっていたら、気付いたらホストの教授は全集部屋の床で、寝袋に包まり高いびきなのであった。
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2019年03月06日

3/6古本を掘り返した午前中。

朝から家に閉じこもり、古本市&大阪販売用の古本を粘り強く発掘して行く。昨日は仕事部屋の椅子下と寝床の上部を掘り返したので、今日は仕事部屋の古本軍艦と台所のプラ箱の中と寝床の側面と押入れを掘り返す。やはり、古本との格闘は重労働である。そう再認識しながらも、結構な量の本をガシガシ掘り出し、ストックゾーンに積み上げて行く…ふぅ、これなら何とかなるだろう。
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発掘後の仕事部屋の古本軍艦の様子。上部がだいぶコンパクトになり、部屋が広くなった気がする。なんだか少々清々しいぞ。

そう安心したところで、もう読まない「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)用に分けておいた古本四十冊ほどをバッグに詰め込み、お店に向かう。天野氏が不在だったので奥さまに預け、一旦帰宅。夕方にお店を再訪し、本代を受け取る。また何か出たら売りに来ます。お店を出た足でそのまま駅方面にちょっと戻って「ネオ書房」(2019/01/06参照)を覗く。すると昨日はなかった棚の横積みゾーン下部に、光文社「日本三代の映像1 明治の開幕/大宅壮一・著 影山光洋・写真」を見つける。それほど珍しい本ではないが、引き出してみると、見返しに写真家・影山の献呈サインが入っていた。どうやら写真資料提供者へ送ったものらしい。迷わずスパッと、小学館週刊少女コミック1989年10月号 手塚治虫氏追悼特別ふろく「虹のプレリュード/手塚治虫」とともに計1550円で購入する。閉店まで後四日か。
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ところで、先日入手した「中村春吉自轉車 世界無銭旅行」を大切に読み始めているのだが、想像以上に面白いので、早く読み進めたいが読み終わりたくない!という訳の分からぬジレンマに落込み、楽しく苦しんでしまっている。押川春浪が中村春吉に初めて対面した時、「君のような冒險旅行をやるには、最も精巧な武器が必要でしょう」と問うと、春吉は「人間は武器に依頼するようでは駄目です」と答えつつ、「僕には天然の武器があります。之です。此の拳骨です」と言う。もはや漫画刃牙シリーズの地上最強の生物“範馬勇次郎”と同レベルの解答である。春浪が突き出された栄螺のような拳骨を見て「これで殴られたら眼球が飛び出すだろう」と想像していると、春吉が試しに噛み付いてみろと勧める。そこで春浪は遠慮なく噛み付くのだが、歯はまったく通らずに逆に折れて仕舞いそうになる始末…あぁ、この人たちはいったい何をやってるんだ!そしてこの先どうなってしまうんだ!楽しみ過ぎる!
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2019年03月05日

3/5「ネオ書房」がいきなり『3月10日マデ』に!

本日は正午にいつか来た北府中に流れ着くが、この辺りはもうすっかり古本屋砂漠となっているので、武蔵野線で素早く離脱し、中央線に乗り換えて武蔵境で途中下車。「浩仁堂」(2011/02/15参照)に立ち寄り、従業員のみなさんがお昼ご飯中で和やかな賑やかさを湛える店内にしばらく居座り、新潮社「メモリーズ・オブ・アメリカン・ドリーム」角川選書「地球観光旅行 博物学の世紀/荒俣宏」講談社「わたしのえほん/いわさきちひろ」を計400円で購入する。一旦家に戻り、午後三時過ぎに再び外出して阿佐ヶ谷「ネオ書房」(2019/01/06参照)の様子を見に行く。すると驚くことに、サッシ扉に貼られた『閉店半額セール』横断紙の上に、『3月10日マデ』の貼紙が出現しているではないか!扉から店内に身を滑り込ませると、棚を整理中のオヤジさんとバッタリ。思わず「お店、三月十日までなんですか?もっと続けると思ってましたよ」と声を掛けると「いや、私も続けるつもりだったんだけどね。実は区議さんに、ここを選挙事務所として貸してくれ、って言われちゃってね。急遽こうなっちゃったんだよ」「ほ、本はどうするんですか?」「通路は空けるけど、棚の本は取りあえずこのままかな」「じゃあ、選挙が終わったら、またやるんですか?」「う〜ん、やるかもしれないし、やらないかもしれないなぁ。もう九十一才と七ヶ月なんで、その時の体調次第だよ」「お元気でいて、どうにか再開してください!」と言うようなやり取りをする。なんてこった。突然閉店日が決まってしまった。あと五日しかないじゃないか。こんなに毎日楽しく通っていた場所が、無くなってしまうことを考えると、とても恐ろしくなってくるじゃないか!…などとカウントダウンの恐怖に震えつつも、棚に動きがあるようなので、眼は血眼。おかげで素晴らしい一冊を発見する。実業之日本社JNコミックス1『名探偵ホームズシリーズ 4人のサイン/コナン=ドイル原作 アレンジャー・望月三起也 プレイヤー・たなべ節雄』である。ヒゲで垂れ目のホームズと、ワトスンの甥・ビギンスが活躍する推理快作コミックである。ウヒョウヒョと250円で購入し、「また来ます!」「待ってますよ」とやり取りする。やはりここはまだまだ何か出て来るお店なのだ。
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2019年03月04日

3/4イソギンチャクのスタンプ!

朝からクレイジーな本のカバー見本を一つ作り上げ、ホッと一息ついてから外出。昨日の朝から降り続けの雨の中を、ビニール傘を差しかけ、濡れたアスファルトにボンヤリ映る自分の影に視線を落としながら、ピチャピチャ歩いて荻窪へ。「ささま書店」(2018/08/20参照)店頭は当然雨仕様になっており、単行本棚二本がビルの日除けの下に出ているだけとなっている。誰もいないかと思ったら、強者がひとりカゴ一杯に古本を詰めている…す、すさまじい。いつもの如くじっくりと眺め、百均棚から二冊、三百均棚から一冊を抜き、計540円で購入する。仮面社「ヴァニラとマニラ/稲垣足穂」(奥付の検印紙が足穂のイソギンチャクスタンプである!こんな風にも使っていたとは)早川書房「ブラック・ユーモア選集 怪船マジック・クリスチャン号/テリイ・サザーン」東洋経済新報社「古書の見方・買い方/松本謙治」(第一章が『ある愛書家詩人の死』と題され、夭逝した立原道造の旧蔵書を、全集出版の資金調達のために販売するところから始まる。『故立原道造蔵書陳列会』。「萱草に寄す」も三冊販売されている…い、行ってみたかった…)を計540円で購入する。
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麗しのイソギンチャクスタンプが捺された検印紙。何故か逆さに貼られている。

強くなった雨と風に負けじと、晴天の時の如く「藍書店」(2018/12/24参照)へ。店頭にはさすがに何も出ていない。箱やラックは左側通路や奥の帳場周りに置かれているようだ。棚は一見するとそれほど動いていないように見えるが、じっくり腰を据えて見て行くと、徐々に動きのあった部分が浮かび上がって来る。というわけで、泰流社「香具師の旅/田中小実昌」(第2刷)を200円で購入する。家に帰り着いて遅い昼食を摂った後は、今月後半に重なる古本市の準備や、大阪へ送る本の準備を少しずつ少しずつ進める。
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2019年03月03日

3/3悲願の中村春吉を!

昨日は砧に流れ着いたので、円谷&ウルトラの気配を濃厚に感じ取りながら、北へ遡上。テクテク歩いて祖師ケ谷大蔵駅を通過して、『ウルトラマン商店街』をさらに北へ。すると途中の「ドラマ祖師谷Part2店」の店頭ワゴンに、マガジンハウス オリーブの本「のんちゃんジャーナル/仲世朝子」が放り出されているのを発見したので、108円で購入する。デザインは原田治だったのか…などと確認しながらさらに北に進み「祖師谷書房」(2009/03/05参照)へ。プロ卓球を鑑賞中のオヤジさんを尻目に、狭い店内をジリジリウロウロ。散々悩んだ末に、講談社「猫が知っている/仁木悦子」(残念ながら四版)を400円で購入し、ここまで来てしまったんなら、いっそのこと京王線まで歩くかと、さらに北へ。暗くなってから芦花公園に到達し、ようやく電車に乗り込む。

本日は雨の国立に流れ着いてしまう。その時に見たのは、雨の『たまらん坂』。
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別に忌野清志郎にそれほどの思い入れはないのだが、そんな私でも『たまらん坂』のことは知っている。つまりはそれほど清志郎は偉大だということである。坂の麓に建つ標柱には、一説として一橋大学の学生が『たまらんたまらん』と言いながらこの坂を上がったから、この名が付いたと書かれている。ハハハと薄く笑いながら、坂に足も掛けずに、駅に足を向ける。冷たい雨に体力を奪われ、疲労がどっしりと背に覆い被さっているのか、珍しく何処の古本屋さんにも寄らずに、あっさりと帰宅してしまう。だが、この眼はギラギラと輝いている。冷たくなっていた頬は、喜びで暖かみを取り戻して行く。すべては、一冊の古本が家で待ってくれていたからである。博文館「中村春吉自轉車 世界無銭旅行/押川春浪編述」(明治四十二年再版)!
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夢にまで見た、欲しくて読みたくてたまらなかった、私にとっての至高の一冊!さる人の好意により、ようやくようやく入手出来たのである!バンザ〜イ!バンザ〜イ!バンザ〜イ!バンザ〜イ!バンザ〜イ!と、我を忘れて万歳五唱してしまうほど、天にも昇る気持ちなのである!長身鐡身の蠻カラ・中村春吉が自転車に跨がり、五チンを工夫を凝らして征服しながら(五チンとは『汽車賃』『船賃』『家賃』『宿賃』『地賃』のこと、聞き慣れぬ『地賃』は、税関の通過税みたいなものということである)世界一周する、もはやファンタジーの域に到達しそうな冒険譚である。この本の存在を知ってから二十年…どんなに読みたかったことか!だが、実物が身近に現れることなど一切なく、およそ十九年が過ぎ去ってしまった。ところが去年、ヤフオクに元本の「無銭冒險自轉車世界一周」が出ているのを発見し、大興奮しながら果敢に入札してみたのだが、あっという間に天文学的数字(私にとっての)に書き換えられて、サヨウナラ〜。第一次接近遭遇は、無惨にも花と散る。第二次接近遭遇は、「古書現世」で店主の向井氏と話していたら、つい最近一万円ほどで中村春吉本を売った話を聞かされ、帳場前で頭を抱えてしまった時(2018/11/09参照)。非常に惜しかったのだが、結果から見ると影すら踏めずに、ただ地団駄を踏んだだけで終わったのである。だがついに、そんな苦難を乗り越え、手に入れたのだ。読み始めるのが本当に惜しいのだが、ただ素晴らしい表紙を眺めているだけではとても治まらないので、ドキドキしながら読み始めると、想像していた通りにこれがやっぱり面白い!押川春浪が、中村春吉に会う度に、どんどん野蠻になっていくと感じる描写に、ププププと早速吹き出してしまう。嗚呼、今から百十年前の文章が、こんなにも生き生きと飛び跳ねているなんて!おかげでここしばらくは、この本の虜となって、日々を暮すことになるのだろう。とにもかくにも幸せである。そうだ!2017/09/11のブログ「勝手にそろい踏んでもらう」の夢も実行しなえれば!
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それがこの写真。本という形での、大好きな冒険者たちのそろい踏みである。手前左が橘瑞超、右が蜂須賀正氏。奥左からアルセニエフ、中村春吉、伊東忠太である。夢が叶ったところで、もう一度バンザ〜イ!
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2019年03月01日

3/1清宮質文の地図

昼過ぎの中野で野暮用のついでに「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)を覗く。通路棚奥の安売棚は、最奥が大判コーナーとなっている。そこにジ〜ッと視線を走らせていると、薄く古い小冊子が所々にグループで固まっている。そこを手間ひま惜しまずに、一冊一冊確認して行くと、おっ、福音館書店「かがくのとも てかげえ/中川正文ぶん 赤穴宏え」だ。買っておこう。同じく福音館の、こちらは「こどものとも とぶ/谷川俊太郎・作 和田誠・絵だ。これも逃す手はないな。さらに見慣れぬ横開きの絵本雑誌、東雲堂「トーウンドー こどもクラブ 創刊号」を開いてみると、冒頭が佐藤春夫と武井武雄の『ジャックと豆の木』だったので喜んでいると、目次には他にも目を疑う名前が書かれていた。『どっちがちかいか え 清宮質文』!大好きな木版画家である。慌てて後のページを繰ると、物凄く可愛くグラフィック化された、街の地図が彼の名で描かれていた。
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こんな仕事もしていたことがあるんだ!と、小さな発見に興奮する。版ズレや網点すらプリティーなので、これ、額に入れて飾っとこうかな。さらに二葉書店「西條八十主宰 蝋人形 昭和二十二年三月号」鶴書房「新奇術100種/千田松緑」も抱え込み、計540円で購入する。さらにご近所の「古本案内処」(2015/02/06参照)では新潮文庫「ビロードの爪/ガードナー」「夜来の花/芥川龍之介」を計216円で購入し、帰宅する。

段々寒くなって来た夕方に再び外出し、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内「フォニャルフ」に軽快に補充する。すると店主・小野氏が疲れた様子で買取から戻って来たかと思うや否や、新刊のハヤカワ文庫「快絶壮遊 天狗倶楽部 明治バンカラ交遊録/横田順彌」を売りつけられる。いや、元々ちゃんと買うつもりだったんですよ…まさか盛林堂で売っているとは…。その後は、帳場横で、先日の大市の成果をたくさん見せてもらい、目玉が溶けてしまいそうなほどの、目の保養をする。…あぁぁぁ、世の中にはまだまだ知らない本がある。読みたい本が、次々と現れる!と帳場横に、時間を忘れて一時間強立ち尽くし、小さな叫び声を何度も上げ、ため息もつきまくり(とても買えなくて切ないので)、古本を手にしながら脳内麻薬を分泌させ続けてしまう。なんでこんなに本を見てるだけで、幸せになれるんだろう。しかも自分の本ではないのに。全く持って、不思議な習性を身に付けてしまったものだ。とにかく今の「盛林堂書房」は、探偵小説好きなら見ておいて損はない状態に、なっているのである。
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2019年02月28日

2/28「ネオ書房」の会員証と「きょむへのくもつ」のビデオテープ!

予想外にしっかり降り続けた雨にいじめられ、濡れ鼠になって夕方の西荻窪に漂着する。ブルブル震えながらも古本は買って行こうと、暖かい灯りを湛たえている「TIMELESS」(2012/06/30参照)に飛び込む。百均ポケミスに目を付けて、具象表紙絵の二冊を選ぶ。ハヤカワポケミス「120 矢の家/A・E・メースン」「130 悪魔のような女/ポアロー ナルスジャック」を計200円で購入する。レジの女性は紙包装を二重にしてくれて「雨なのにありがとうございます」とマスク越しににっこり。心が暖まるなぁ。阿佐ヶ谷に帰り着いたら「ネオ書房」(2019/01/06参照)を当然覗く。雨降りなので、右側の店頭棚はブルーシートに覆われ、左側の店頭棚は店内左側通路に引き入れられてしまっている。一見入ってはいけないように見えるが、入っても全然大丈夫なのである。というわけで右側通路から帳場前を通過して左側通路までいつものように細かく検分する。新宿区観光協会「新宿・世界の繁華街」を200円で購入すると、突然オヤジさんが「お客さん、これいかがですか」と元気良く言い、帳場上に置いてあった一枚のカードを差し出した。「貸本屋時代の会員証。こんなのを使ってたんだよ」。おぉ!これが「ネオ書房」の会員証か。表面には『高円寺店』『阿佐ヶ谷店』とあり、裏面には『御注意』という名の規約が書かれている。これは良い物をいただいたぞ!
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ところで先日購入した湘南探偵倶楽部の「深夜の鐘/楠田匡介」を読了したのだが、何と「都会の怪獣」の続編とも言える作品だったので、意表を突かれてしまった。話はかなり怪奇に壊れ気味にぶっ飛び破綻もあり、埋もれても仕方のない作品と言ってしまえばそれまでなのだが、貴重な昭和三十年代の東京が活写されているのは、大きな魅力である。中でもアクションの舞台として、京成本線の『博物館動物園駅』が出て来たのには感動した。京成上野〜日暮里間にあった地下駅だが、2004年にその役目を終え、長らく閉鎖されていた後、今はアート空間として開放されている。開放と再活用には大いに賛成するが、アートを展示するギャラリー的なものになると、どうも作品の方のイメージが強くなり、元の駅としての雰囲気が遠退いてしまうのが、残念なところである。そんなことを考えていると、その昔、確か8ミリビデオで現役時の駅を撮っていたはずだなと思い出し、どうしてもそれが観たくなってしまう。簡単に観られるよう、VHSにダビングしておいたはずだが…とめぼしい場所を探してみるが、結局どうにも見つからずじまい。その代わりに背のラベルに平仮名で『きょむへのくもつ』と書かれたビデオを見つける。
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気になりデッキに放り込んでみると、九十年代後半に、様々なテレビ番組を録画したテープであったが(鴨居玲の『日曜美術館』、ロンドンブーツの『ガサ入れ』、コーネリアスの『バイノーラル録音実験番組』、映画監督ウォン・カーウァイのインタビュー、矢沢永吉出演の『HEY!HEY!HEY!』などなどメチャメチャ…)、冒頭に録画されていたのが、NHKドラマ『薔薇の殺意 虚無への供物』の最終回であった。中井英夫の「虚無への供物」を全六回でドラマ化したものである。確か出来が良かった記憶があるが…となんとなく観始めてしまうと、たちまち粗い画像の中に惹き込まれてしまう。小説とは、やはり一味異なる世界観だが、とても上手く感じをつかみ、ひとつの在り方を提示している。仲村トオル演じる氷沼蒼司の血の通い方も素晴らしいし、深津絵里演じる奈々村久生の絶望した菩薩のような表情も絶品である。ついつい時を忘れ、最後まで楽しく鑑賞してしまった。分かっていても衝撃を受ける巨大なメタ・トリックに、改めて感銘し、糾弾される側として少々落ち込んでしまう。そしてエンディングクレジットで、脚本が奥寺佐渡子、監督が平山秀行だったのを知り、目を瞠る。全然気付いてなかったけど、良い仕事してたんだなぁ。
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2019年02月27日

2/27ささやかな収穫を得る。

朝から真面目に原稿書きした後、昼食後に下北沢へ外出する。駅の工事が進み、使っていた新しい北口が消失しており、仕方なく踏切際の北口から外に出ると、なんだか変なところに顔を出してしまった…。多少迷いながら街を彷徨い、用事を一つこなした後に古本屋さんへ。うっ、「古書明日」(2017/01/31参照)は残念ながら臨時休業か。で、「ほん吉」(2008/06/01参照)へ足を向ける。楽しい楽しい店頭部分と対峙し、木星社書院「生命の藝術/萩原守衛」(函ナシ)主婦と生活社「世界ののりもの 船ふね/柳原良平」詩學社「現代英米詩選」を計600円で購入する。柳原良平の絵本も嬉しいが、北園克衛の譯詩が12P載っている昭和二十六年刊の「現代英米詩選」が殊更嬉しい。編集人は稲並昌幸、つまり城昌幸である。
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表紙は雑誌「りべらる」の表紙絵や挿絵で有名な中尾進。仙花紙探偵小説本の表紙絵も多く手掛けている。

そんなささやかな収穫たちを胸に阿佐ヶ谷に戻り、「ネオ書房」(2019/01/06参照)。いつものように店内を見回していると、左側通路の漫画束の上に、付録箱が出されているのに気付く。詰められた小冊子たちを繰ってみると、ほとんどが八十年代以降の付録漫画・付録ゲーム攻略本であった。講談社平成元年テレビマガジン五月号ふろく「仮面ライダーBLACK RX 大事典」小学館1981年小学三年生5月号ふろく「小三人気者まんが大行進」を計250円で購入する。またもやささやかな収穫である。
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2019年02月26日

2/26東京・西調布 喫茶 侘介

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本日は西調布駅北側の住宅街に流れ着くと、何の変哲もない運動場と遊具のある公園が、『鬼太郎公園』と名付けられているのを知る。公園自体に鬼太郎らしさは一切ないが、看板に水木しげるが書いた公園名とともに(大きく“水木しげる”のサインも)、鬼太郎が描かれている。少しだけ感動しながら駅に向かい、以前訪れたことのある古本も扱うリサイクルショップ「不思議屋」(2018/10/18参照)前を通りかかるが、残念ながらシャッターが下りたままである。お休みであろうか…せっかく安い古本を買う気満々でいたのに…。仕方なくそのまま駅方面に向かい、白けたように小綺麗な北口駅前の西側に隠れている、鄙びたお店が建て込む『西調布一番街』に進入する。だが、頼みの綱の「foklora」(2018/03/09参照)も、呆気なく定休日であった…くぅぅ、このままスゴスゴと帰るしかないのか…。気分を沈ませながら踵を返すと、その瞬間、奇跡のように古本が目に飛び込んで来た!うひょう!こんなことが起こるとは、俺は何たる幸せ者だ!と、古本に飢えていたので大げさに感激し、その感激の大きさの割には少なめの古本カゴに走り寄る。激シブな、スナックのような喫茶店の前に出された、古本カゴである。良く見ると、そのほとんどが「幽々白書」と「月刊ムー」なのであるが、傾向の掴めぬ単行本も十冊弱あり、カゴの縁には小さく『一さつ50円』と貼り出されている。それほど悩まずに、中央公論社「怪奇な話/吉田健一」せりか書房「路上のエスノグラフィ ちんどん屋からグラフィティまで/吉見俊哉・北田曉大編」を選び、木戸をガラリと引き開けると、優しい魔女のようなおばあさまが笑顔を出し、「あら、買ってくれるの。ありがとうございます。袋は?いいの?」と応対してくれた。二冊を計100円で購入する。とにかく古本に出会え、とにかく古本が買えたのは、とても目出度いことだ。買ったばかりの「路上のエスノグラフィ」を読みながら、京王線とすぎ丸を乗り継ぎ阿佐ヶ谷に帰り着く。そして「ネオ書房」(2019/01/06参照)に立ち寄り、箱ナシの小学館入門百科シリーズ10「まんが入門/赤塚不二夫監修」を300円で購入する。
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2019年02月25日

2/25カバーを剥いだら花森安治。

雨が降らねばよいのだが…と空模様を気にかけつつ、月曜日の定点観測に出かける。ぶらぶら荻窪に向かって歩いて行くと、一向に雨の降る気配は感じられず、薄日が射し込みちょっとだけ麗らかな陽気に変化して行く。これなら店頭が雨仕様になっていることはないだろう。そう確信して「ささま書店」(2018/08/20参照)店頭に立つ。百均棚から一冊、三百均棚から一冊、店内文庫棚から一冊を選び抜く。新潮社「日本再発見-芸術風土記-/岡本太郎」春陽堂「版画礼賛/稀書複製會編」(函ナシ)角川文庫「マンハッタン自殺未遂常習犯/草間彌生」を計684円で購入する。あまり見かけぬ「マンハッタン自殺未遂常習犯」が200円なのはラッキーであった。続いて「藍書店」(2018/12/24参照)に向かうと、珍しく先客がおひとり。譲り合うようにして狭い通路で本の背を眺めて行く。おきなわ社「琉球芸能全集1 琉球の民謡と舞踊1/島袋盛敏」(カバーナシ)浪速書房「天狗の面/土屋隆夫」ロッテ出版社「隨筆百話 からむ妖美/佐藤垢石」を計900円で購入する。本をぶら下げ表に出ると、店頭棚&箱に二人のお客さんが惹き付けられている。ここも段々荻窪の古本屋さんとして、認知されて来ているんだな、と偉そうに感じ入る。まぁ嬉しいことである。さて、買った本の中で驚いたのが、聞いたことのない出版社・ロッテ出版社の「からむ妖美」である。垢石の本が三冊ほど並んでいたのだが、まったく興味を持っていないはずなのに、何故かその中のシンプルな装幀の一冊に手を伸ばしてしまう。パラリと本を開いてみると、扉に描かれたカッパの絵が良さげだったので、目次裏にある装幀者の名を確認すると、そこには“花森安治”と記されていた。その途端に頭の上に?マークが浮かんでしまう。何故ならカバーは、シンプルな書き文字だけで構成されており、華がまったくない極めて素っ気ない状態なのだ。そこでグレーの薄い粗悪な紙のカバーをペラリと剥いでみると、途端に色鮮やかな河童と花をモチーフにしたアラベスクのようなイラストが姿を現した。おぅ、なんだこりゃ!まるでハンディ・ボンペイの遺跡ではないか!しかもカバーのタイトルは『からむ〜』なのに、本体は『絡む〜』となっている。カバーは単なる汚れ防止という位置づけなのかもしれない…。色々謎の多い本だが、美しく、興味が湧き上がってしまうことは、確かである。
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左がカバーが掛かった状態。右がカバーを剥いだら現れる表紙である。
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2019年02月24日

2/24華族の電報頼信紙!

せっかくの日曜なのに、色々制約があり、行動範囲は極狭。ならば思いっきり至近で何か買えればと、古道具屋の「J-house」(2015/12/26参照)に向かう。すると久しぶりに店頭に本らしきものが出されている。物色すると、そのほとんどが小さな和本で、歌やお茶関連である…だが、一番下に変なのがある!と引っ張り出してみると、とても古びた國誉(うわぁ、これ、文房具メーカーの『コクヨ』ってことだ。漢字で書くとこんなに厳めしいとは!)の「複寫式電報頼信紙」という代物であった。こ、これが電報を出す時に書いて使う紙なのか!初めて見たぞ!と驚き喜び、淡交新社淡交テキスト・ブック「小堀遠州」とともに計216円で購入する。いそいそと家に戻り、「電報頼信紙」を詳しく見て行くと、表紙には『大正拾二年九月一日午前十一時五拾八分大震災●●より使用 京都にて求む』と書かれている。そんな衝撃の日時に度肝を抜かれながら、縦長の冊子を捲ってみると、複寫式のため、元の文章や発信先発信元などの情報がちゃんと残されている。その紙は、薄い半透明の和紙で、文字はすべて鉛筆で書かれている。差出人はほぼ同一人で、個人が携え使用していたものらしい。大地震の一ヶ月後に東京から京都に赴き、俵屋旅館や瑞雲院に滞在し、各方面に電報を打ちまくっている。どうやらよほどのお金持ちらしく、発信先に『アリマハクシャクケ(有馬伯爵家)』『アリマダンシャクケ(有馬男爵家)』『キクテイコウシャクケ(菊亭侯爵家)』などがあり、驚きを禁じえない。これは調べたら面白いことになりそうだと、発信元をちょっと検索してみると、なんと三井男爵家のお偉いさんであったことが判明する。噫、いきなり大正時代の風俗だけでなく、無造作に華族や財閥の一端に触れてしまった驚きと喜びに、ブルリと大きく震えてしまう。これは、かなり貴重なものなのではないだろうか?一体どうしたらいいんだろう?俺が持っていてよいものなのだろうか…などと、嬉しいのに、何だかソワソワ持て余し始めてしまう…。それにしても、相変わらず不意打ちのように興味深い物が買えるな、「J-house」!
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2019年02月23日

2/23十三は青葉に乗艦していた。

今日はお昼過ぎに東府中に流れ着いたので、一駅だけ都心から離れるように府中に移動し、およそ九年ぶりの「夢の絵本堂」(2010/03/14参照)を目指すことにする。果たして営業しているだろうか?とドキドキしながら、旋風吹き荒れる『甲州街道』を経由して、まだまだ冬木の桜並木を通って、ちゃんとお店に到着する。おぉ、昔と寸分変わらぬ姿で営業中ではないか!店主が表に出て均一台の整理をしていたので、ペコリとお辞儀してから、百均絵本ラックやその下の単行本を眺め始める。二冊を手にして、風に背中を押されるようにして店内に進む。本がピシッと棚に収まる、整理整頓の行き届いた空間である。その中に『As Time Goes By』がエンドレスで流れ続けている。う〜ん、良いお店だなぁ〜と改めてひとしきり感心しながら入口入って直ぐの雑多雑誌棚や中央棚の古書&児童文学ゾーンに魂をグイグイ引っ張られる。4回目の『As Time Goes By』を聴きながら、全日本家庭教育研究会「子そだてゆうれい/平林英子文 木村円香絵」ワニブックス「またまたあぶない刑事シナリオ写真集」ナイトスポット社「ナイト・スポット 昭和四十四年SUMMER」(大人のための夜遊びガイド雑誌。富永一朗の横浜穴場めぐりや吉行淳之介のコールガールエッセイとか、キャバレーやナイトクラブや連れ込み宿の広告がイカしてる!)誠文堂新光社「人形劇・影絵芝居/藤城清治・町田仁・田中清之助編」(地味に探していた本なので嬉しい。人形劇&影絵芝居をするためのハウツー本なのだが、藤城の人形造りや人形劇に対する姿勢が厳し過ぎ、一切の手抜きを許さないスパルタ文章が連続して行く)を計2250円で購入する。ここはこれからも来ることにしよう。
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そして家に帰ると、久々のヤフオク落札品が到着していた。誠文堂新光社「僕らの科學文庫 僕らのラジオ/佐野昌一」である。昭和十七年初版のカバーナシで1900円であった。海野十三のもうひとつの顔(というか本名)が著した、ラジオの仕組みや電波や真空管についてやラジオの作り方などの、少年用ハウツー本である。センセイがラジオについて軽妙に講釈しながら、話が脱線するとどこからかハガキが届きそれを戒め、本線に戻すという奇怪なビートで各章が展開して行く。粗末な二色刷りのラジオ受信機グラビアの裏面には、ポツリと佐野昌一(海野十三)の海軍報道員服を着た姿が、ボンヤリと掲載されている。そうか、海野は確か南方に巡洋艦の青葉に乗って作家として従軍したんだよな…あれ?『青葉』……そうか、映画『この世界の片隅に』で、主人公すずさんの幼なじみ・水原哲が乗っていたのが『青葉』だったはず。じゃあもしかしたら、甲板に洗濯物を干しているシーンとかで、何処かに海野が登場しているかも!と思いつき(何故かと言うと、戦後の広島で、子供時代のアニメーター大塚康生らしき男の子が、一心不乱にジープをスケッチしていている嬉しいシーンがあったりするので、もしや!と思ってしまったのだった…)、録画してある映画をちょっと観てみるが、該当するような人物は見当たらなかった…フフフ、どうやら妄想が過ぎたようだ。
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これが妄想を加速させた、折込グラビア裏の、何だか映画『悪魔の手鞠唄』の小道具的な、ぼんやりとした海野の写真。
posted by tokusan at 17:59| Comment(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする