2010年06月30日

6/30東京・八坂 古書・ゲーム ドラゴン2


dragon2.jpg今日は何だかドタバタしており、どうにか近場でツアーをしたい。そこで行き残してはいたが、今まであまり気乗りしなかったお店に向かうことにした。理由は『名前からして街のリサイクル古書店なのだろう。さほど面白いお店でもあるまい…』と言う思い込み…。駅から出ると目の前には『府中街道』。分厚いコンクリで固められた線路の下を潜り、南へ。するとすぐに『八坂交差点』が現れる。ちょっと複雑な七叉路であるが、手前信号から真西に延びて行く道路を選択。どうやら『江戸街道』と言う立派な名があるらしい。狭い歩道をズンズカ進む。国分寺線踏切を越え、シャッターの閉まった店が多く連なる『南台商店会』を、さらに道なりに西へ進む。『東村山一中入口交差点』を越えると、周りが団地ゾーンとなる。およそ一キロほど進んだあたりで歩道橋が現れる。そこを潜りさらにちょっと歩くと、右手にようやくお店が見えて来た。最初に目に入るのは、壁から突き出した店名看板。『古書 ゲーム』の下にやんちゃな書体で、ピンク・青・赤・黄・緑が色褪せた文字色の店名…『やはり』と思いながらお店に近付く。軒には角地に合わせた、横にも続くオレンジの日除け、その下には店頭箱が…ご、ご自由にお持ち下さい!?…古びたコミックが入っているが、嬉しいサービスである。店内に入ると、奥の帳場に座ったメイクバッチリの老マダムが「いらっしゃいませ」と元気な声。…予想してたお店と全然違うなぁ…。壁はぐるりと木製棚、真ん中に背中合わせの同素材棚が一本。奥壁と左壁前にはカウンター状の低い棚が続き、さほど広くない店内に面白い変化を与えている。ほとんどはコミックだが、ゲームなどは見当たらず、古本屋然としたお店なのである。奥の帳場前に、ハットを被ったお洒落な若者がひとり。店員さんでもないようで、缶コーヒーを飲みながらマダムと雑談に花を咲かせている…常連客なのだろうか?何だか珍しい光景である。マダムは「『イキガミ』って、生きてる神様の漫画なの?」などと聞いたりしている…。右壁棚は驚きの100円コミックがズラリ。それが奥壁まで続いている。左壁棚は絶版&古めのコミックがズラリ。帳場の背後にはプレミア絶版漫画が飾られている。カウンター棚にもコミックがビッシリ。真ん中の通路棚、右側に日本文学文庫・雑学文庫・官能文庫。ちょっと古い本も混ざり、こちらも全品100円均一となっている。棚下通路には、新書箱・赤川次郎箱・内田康夫&西村京太郎箱などもあり(赤川・内田・西村は全品50円)。左側には、ゲーム攻略本・アイドル系写真集・海外文学文庫・時代劇文庫。単行本少々と言ったところ。リサイクル古書店と言うより、コミックと文庫に特化した“街の古本屋”さんである。棚造りや並ぶ本に“スゴイ!”と言うことはないが、お店の雰囲気がとにかく素敵なのである。何だか貸本屋さんのようで、人間のサイズにピッタリなところがグッとくるっ!想像とのギャップがあったせいか、店内に惚れてしまいました…。地元の女の子たちが三人飛び込んで来て、目をキラキラさせながら立読みを開始。またもや雨でも降りそうな、西東京のある場所の午後の一コマ…。NHKライブラリー「知の自由人たち/山口昌男」を購入。
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2010年06月29日

6/29千葉・京成八幡 山本書店


yamamoto_shoten.jpg改札を出て、どうやら三階の南口から階段を下りて行くと、すでに閉店した廃墟のような『京成百貨店』(小ぶり)の胎内めぐり。一階に出て東側に抜ける。背後の駅ビルを見上げると、意外にデコラティブでお城を思わせる寂れた姿…いいなぁ。視線を正面に戻すとすぐに踏切。その真ん前右手に、すでにお店の裏側と側面が見えている。JR本八幡からも北口を出て、真っ直ぐ北に京成線踏切を目指せば、すぐにたどり着く。古い三階建ビルの一階で、側壁には電車から見えるように巨大な広告看板があり、小さな電光掲示板も取り付けられている。正面に回ると狭い歩道と、踏切のために車が詰まり気味な道路に面している。壁には行灯に『本』の文字が書かれた店名看板、軒にはピンと張った新しい青い日除け。その日除けの右上と左下に、またもや電光掲示板。全集の並んだウィンドウと出入口周囲には、雑誌箱・横積み本・漫画雑誌ラック・絵本箱・安売り単行本棚・100均ノベルス&文庫棚がひしめいている。中に入ると“これぞ古本屋”と言ってもいい雑然とした店内。壁はぐるっと本棚で、真ん中に背中合わせの棚が三本(左二本はスチール、右端は背の高い木製棚である)、通路隅の所々に横積み本溜まり。出入口右横に、何となく低く感じる帳場があり、中年の店主が帽子を被った老人客と楽しそうにお話し中…何か詩や澁澤について話しているようだ…そしていつの間にか伊達得夫の話になり、伝説の詩書出版社『書肆ユリイカ』について、物凄く盛り上がり始めた。ほとんど、店主が嬉しそうに敬意を込めて質問を発し、ご老人が気さくに答えている形。ご老人はどうやら伊達得夫と深い親交があった方のようで、当時の詩人界の面白そうな話を披露されている。ついつい棚を見ながらも、耳がダンボになりっ放しで、中々集中出来ない。“田中さん”と呼ばれているが、誰なのだろうか…まぁ考えても思い付かないので答えが出るはずも無い。切り替えてツアーを開始する。入口左横は、大型ビジュアル本・落語・芸能・江戸・東京が収まり、細い角棚にビジュアルガイド。左壁はジャンルが入り混じるカオス棚の顔を覗かせており、お茶・陶芸・幻想文学・文化・世界・映画・文学・科学・山岳・植物・教育・医学などが、滲んで並んでいる。向かいも一部似たような状況で、頭を揃い本に押さえられながら、ノンフィクション・時代劇小説・探偵・推理、そして大量の将棋本がズラリ。奥壁には音楽・美術・建築が収まる。古い本が多い。左から二番目の通路は、左に時代劇文庫・東洋文庫・選書・新書、右に時代劇文庫・雑学&教養系文庫・日本純文学文庫・海外文学文庫・ちくま文庫・講談社文芸文庫・岩波文庫と収まっている。三番目の通路は、左に日本文学文庫・海外SF&ミステリ文庫、右に日本語・民俗学・文学評論&評伝・永井荷風関連・宗教。左は新しめで、右は見事に古い本ばかりである。右端通路は、壁棚に千葉&市川関連郷土本・写真集・中国・満州、奥の角棚に中国美術やシルクロード関連。左の通路棚にアダルト・歴史や日記などの箱入り資料本・哲学・思想が並ぶ。薫り高く、時代の幅が広い棚を持つお店である。音楽・建築・文学評論が、古めの本ばかりで充実しているのが不可思議。でも面白い。値段は普通〜ちょい高で、いい本はしっかり値が付いている。店主は書肆ユリイカの、美しい造本&装丁の秘密に触れようと、様々な角度から老人に質問中。私もまだまだ聞いていたいのだが、そうもいかないので帳場に行き本を差し出す。するとそれを汐に会話が途切れ、「では」とご老人が帰られてしまった。あぁ、すみません…。平凡社新書「肉声の昭和写真家/岡井耀毅」新潮文庫「若い詩人の肖像/伊藤整」を購入。
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2010年06月27日

6/27東京・日暮里 古書 信天翁


ahoudori.jpg目的地に向かう前にまずは早稲田に。向かうは「古書現世」である。ブログ「古書現世店番日記」を見ていると、6/25の入荷本に小山清の本が!これは欲しい。…?あっ!野呂邦暢の署名本までっ!これは買えないにしてもぜひ見てみたい…。気もそぞろに午後にお店に向かい、棚をじっくり眺めて行く…1000円以下の棚にはさすがに無いか…おっ、反対の棚でまずは小山清を発見。よかった、売れてないぞ。値段を確認して小脇に抱える。続いてあまり期待せずに野呂邦暢を探す………あっ、あったぞ!ちょっと緊張しながら本の見返しを開くと、『一本のダーツを市街地図に投げた』の文字…ふわぁ〜〜、「海辺の広い庭」の書き出しだぁ(微妙に本文とは違っているが)。マジックのしっかりした筆跡に感動した後、恐る恐る値段を見てみると、三千円!こ、これは安い!だが持ってる本だし、買うのはどうなんだ?安いと言ってもそれなりの値段だぞ!本当に必要なのか?お前がこれ持っててどうすんだ?などと、もう一人の私としばし葛藤するが、欲望には抗えずあっけなく購入を決断。うぉぉぉぉっ!大事にします。審美社「二人の友/小山清」文藝春秋「海辺の広い庭/野呂邦暢」を購入…あぁ、こんなことでいいのだろうか…。

と言うわけでようやく本日の本題である。先週は一箱古本市で知ったお店を何軒かツアーしてきた。ならばいっその事、同じく市で宣伝していた、谷中『夕やけだんだん』の丘の上に新規開店したお店へも向かうことに。駅の北改札口を出て西口へ。そのまま『日暮里駅西口商店会』に突入し、西へと進む。進むほどに緩く下る坂道となり、視界が開けて『夕やけだんだん』の上。幅広の階段が眼下の『谷中ぎんざ』へと続いて行く。多くの人が楽しげに行き交い、すっかり下町の観光地となっている。その階段上で視線を左に移すと、三階建の焦げ茶パネルのビル。前面中央部分がガクガクと窪み、上への階段が見えている。その足元に近付くと、古書店の看板を発見。アホウドリの線画に営業時間と『2FへGO!!』と書かれたダンボールの吹き出し。右手の二階窓を見ると、麗しき紙たちの姿がチラリ。折り返しながら上がる階段の踊り場に、100均箱が二箱置かれている。物色した後、二階右手の開きが軽いドアを開けて中へ。聞こえて来たのは矢野顕子の高い歌声。お店は右に広がる、逆さ“L”字型である。通路的な入口近くには、手前の壁棚に海外文学とペーパーバック。通路を挟んで低い棚が置かれ、和・洋の絵本と児童文学が収まる。その後ろに広めの帳場兼作業場がある。右奥に進む。帳場前から開放感のある窓際に向かって、余裕のある配置が展開。左の帳場前の壁際にはコミックが集まっているが、その前に大量のダンボールが積み上がり、2/3ほどしか見ることが出来ない。青年&カルトコミック中心である。その前に背中合わせの棚が一本置かれ、表側は少な目の300均単行本と、後の二面は100均単行本。裏側はすべて新書で埋められている。窓際奥に進むと入口側の壁棚に、落語・役者・演劇・映画・巨大文学全集などが並んでいる。窓際には大量のクリアファイルが置かれ、映画チラシとパンフが新旧交えドッサリと収まっている。その横には手作りの何やら黒い不気味な物体…これは…馬の首?しかも被り物になっているようだ。マフィアの警告でもあるまいに、仮装かお芝居用なのであろう。奥の壁際は大きく採られたダイナミックなボックス状の棚で、美術・作品集・図録・写真・写真集が並んでいる。フロアには低めの棚があり、上には美術系雑誌を乗せて、詩歌・美術・農業・公害・文学など。ここは道灌山下の「古書ほうろう」(2009/05/10参照)から旅立ち開店したお店なのだが、すでに古本屋として大地にしっかり足を着けている。落語・演劇・映画・美術が充実。立地条件もまた来たくなる素晴らしさである。文庫が無いのは珍しいなぁ…。しかしどうしても「ほうろう」を引き摺ってしまうので(まぁ私が勝手になのだが)、少し物足りなさも感じてしまう。果たしてこれから、持ち味の武器を鋭く強化するのか、それとも新たな装備を纏い防御力をアップするのか…新しく作る道を、迷わずどんどん力強く進んでいただきたい!…「ほうろう」も改めて見に行かねば…。二店の進む道は、今後も注目である!この後、「カヤバ珈琲」で谷中ジンジャーを飲んでいると、森まゆみさんを目撃。ミーハーにも谷中で彼女を目撃した状況に、ちょっと喜びを覚えてしまう。いや、楽しい一日でした。フィルムアート社「マスターズオブライト/デニス・シェファー+ラリー・サルヴァート」を購入。
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2010年06月26日

6/26東京・中野 Antiqueスピカ


antique_spica.jpg『中野ブロードウェイ』を抜けると、目の前に『早稲田通り』。信号を渡って東へ向かうと、参道でもある石畳敷きの『薬師あいロード』と言う商店街が現れる。ここを北にズンズン進むと、以前ツアーした「To-Be」(2009/06/17参照)があるのだが、今日はその手前にあるはずのお店が目的なのである。5/2の一箱古本市で、ちょっと突き抜けた箱を出していたので、実店舗があることを知り、ぜひとも訪ねてみようと思っていたのだ。しかし中々決心が着かなかった…。何故ならHPを参照すると、店舗は二階で看板などが皆無。一階の別のお店に入ってから、二階が営業中かどうか尋ね、奥で靴を脱ぎ二階に上がらせてもらう…このようなハードルの高い入店システムが設定されているのだ!ドラマに出てくるお店の裏稼業のようで、ちょっと格好良いが…。で、私は今、一階のナゾのお店「橘」の前に立っている。古着や雑貨など、懐かしい女子アイテムが並ぶ、少し不可思議なお店である。おっ、古本箱らしきものを店頭の台の下に発見。少量の単行本と本田宗一郎の文庫。古い理容業界パンフなどが入っている。よし、ここから一冊抜き取って中に突撃すれば、事はスムーズに運ぶじゃないか。本を手に細長い店舗の奥へ。外壁は新しかったが、中は完全なる木造店舗なんだな…建物が包まれてるのだろうか?奥に進むと懐かしいようなワンピースを着た女性と、上がり框にドッカリと腰を下ろした男性が一人。「すいません」と声を掛けると、女性がカウンターの内側に回り込み、「いらっしゃいませ。100円になります」…よしっ!今だ!「あの〜二階のお店は開いてますでしょうか?」とおかしな丁寧さで質問。「ハイ、開いてますよ」と笑顔と言葉が現れた瞬間、座っていた男性が立ち上がり、ドスドスと二階へ…彼が店主だったのか…。「ちょっとお待ち下さい。今準備しますので」。取りあえず本のお金を支払い、待つことに。後ろを見ると、一本の本棚があることに気付く。保育社のカラーブックスや日本文学文庫が並び、下には雑誌箱もあり。そして一階女性店主が上に向かって「大丈夫ですかぁー?」と声を掛けた後、おもむろにスリッパを差し出してくれた。「そこを入って左に行くと、二階への階段がありますので」「ありがとうございます。お邪魔します」とスリッパを履いて木の廊下を進む。すると二階への古い木造階段。上の部屋から煌びやかな光が漏れている。さっきから緊張しているが、さらに緊張しながら上へ。絨毯の敷かれた八畳ほどの部屋に入ると、先ほどの男性が右奥ショウケースの奥に腰掛け「いらっしゃいませ」…若返った川勝正幸のようなイメージである。部屋内には様々な形状の古い棚があり、時計・ラジオ・財布・バック・ネクタイピン・カフス・キーホルダー・航空会社ノベルティ・万博関連・照明器具・石鹸・視力検査眼鏡・カメラ…などなど、さらに様々な古雑貨で埋め尽くされている。目指す本棚は入口左側にあり、思ったよりしっかりとした棚となっている。エロ・性愛・暮らしの手帖関連・セレクトエッセイ・デザイン図案集・図鑑・映画8ミリフィルムなどが並んでいる。真ん中のケース下にも、絵本・洋雑誌などのラックあり。一階二階としっかり見れば、量が少ないなりにも独特な並びの棚を楽しめるだろう。うん、これはがんばって入店に成功して良かった、と絵本を物色していると「本がお好きなんですか?」と後ろから声が掛かる。まぁ雑貨類を一切見てないもんな…「ハイ」と答えて振り向きつつ、一箱古本市経由でお店に来たことを告げると、驚き&喜びの表情。「ネットとお店以外での売り方を考えてて、面白そうだと思って参加したんですよ」「周りとはちょっと違う変わった物売ってましたよね」「それでも買ってくれる方がいましたからね」などとしばし歓談する。ちょっと開けっ広げな愉快な人である。古物の特殊な仕入れルートのお話など、興味惹かれる話題が続出。ついついちょこまかと色々質問してしまう。古本は在庫はたくさんあるのだが、メインの商品ではないので、そこまで本腰を入れていないそうである。徐々に、ゆっくりでいいので、腰を入れていただければ嬉しい限り。そしてお酒を飲むのがとにかく楽しいとのこと。店に来たお客さんと飲みに出たこともあるとか。このお店にお立ち寄りの際は、ぜひ周辺のオイシイ飲み屋に案内してもらうべし!「橘」にて幻冬舎「前田建設ファンタジー営業部/前田建設工業株式会社」を、「スピカ」にてミセス編集部刊「おかあさんとこども/H.A.レイ」を購入。
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2010年06月25日

6/25神奈川・南太田 久保田書店


kubota_shoten.jpg横浜駅から京浜急行各駅で四駅。高架駅から地上に下り、改札を抜けて北側に出ると、駅舎とコンクリ高架とお店に囲まれた小さな広場。ヨーロッパの小村にあるような広場に見えなくもない、落ち着いた良い空間である。よく見ると、北東隅のパン屋と中華屋の間から小道が始まっている。車止めをかわしてその道を進む。人が擦れ違うのがやっとの、塀に挟まれた裏道なのである。落ちているペットボトルやハエタタキが、うらぶれ感を促進させる。やがて広い道に抜けると、アスファルトに白と青の石が混ぜ込まれた道路。それをたどるように北東を目標に進んで行く。やがてこの道が『ドンドン商店街』の支流であることを知り、そこを抜けると視界が開け、商店街メインストリートと合流。坂の下には『DONDON』と大きく書かれたゲートが建っている。目の前には歪な形の交差点、ここから坂道を上がるように北西に進むと、目指すお店なのだが…おぅ、やっぱりほとんど閉まってる。あんまり営業してないのだろうか…様子を伺いながらしばらく近辺をウロウロ。電気屋の犬が顔を上げ、警戒の視線を私に向け始めている。くそぅ、仕方ない、他のお店に行くとするか。来た道を駅へと戻る。関内にでも…などと考えていると、例の裏道の入口にある一本の電柱に目が吸い寄せられた。そこに『書籍一般・本買入れ 久保田書店 この手前』と言う広告看板!こ、これは古本屋さんではないのか?しかし手前にそんなお店は無かったが…。今現在、確実に溺れ始めている私は、ワラをがっしりと握り締め、回れ右をして再び『ドンドン商店街』へと足を向ける。すると途中の商店街支流にも同様の電柱看板を発見。こちらには『この先100m』と書かれている。信じて先へ進み、またもや本流との交差点に立つ。ここから本流沿いに坂上と坂下を探索するが、お店は見当たらず。しばし途方に暮れるが、『セブンイレブン』より坂上の、中華料理屋横の道へ入り込み北へ進む。アスファルトから白と青の小石が消えた所で左の道を見ると、普通の民家のような店舗の前に安売り箱を発見した。おぉ!本当にあった!何の予備知識も無しに、電柱の広告から知らない古本屋さんにたどり着けるとはっ!小さな古本屋スペクタルに幸せを覚えながら店前へ。軒にはオレンジの日除け、一対のサッシ扉には薄過ぎるテープで書かれた店名と、買取の貼紙、それにミシン修理の案内。扉の横にはコミック・廉価コミック箱と、文庫・ノベルス・漫画雑誌の平台がある。サッシをカラリと開けて中に入ると、狭い正方形な店内。姿は見えないが、奥からすぐに「いらっしゃいませ〜」と声が飛んで来た。壁際は本棚で、真ん中に背中合わせの棚が一本、そして右側通路にはスーパーカブがドデンと置かれている…めんどくさくて出してないのだろう。右壁は薄いビジネス・エッセイ・ノンフィクションの棚から始まり、少量の新書・ミステリ&エンタメ文庫・時代劇文庫が続き、下には単行本や雑誌類・大型本など。この、棚と壁の隙間に挟まれ位置をキープしている色紙は一体?向かいにはノベルスとアダルト、左側通路はすべてコミックとなっている。店奥壁は一面文庫で、こちらはちょっと古め(と言っても70年代止まり)の日本文学文庫も並んでいる。値段は100〜250円。値段は裏表紙に鉛筆で書かれている。コート紙で書き難かろうが、お構いなしなのである。街の小さな小さな古本屋さんで、庶民の娯楽を安い値段で販売している。一冊選んで奥に回り込もうとすると、奥から出て来たご婦人とバッタリ。「まあまぁありがとうございます」と値段を告げつつ、突然の10円引き!ありがとうございます。「時々開いてなかったりするんですけど、また来て下さいね」と、アバウトな営業日を伝えると共に、アバウトな営業トークを繰り出すのであった。講談社文庫「虚構地獄 寺山修司/長尾三郎」を購入。
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2010年06月24日

6/24埼玉・浦和 金木書店


kanaki_shoten.jpg西口のロータリーに出ると、参院選の鞘当の真っ最中。もはや兵器のような強い日射しの中を、ロータリーから西へ。『浦和駅西口』のスクランブル交差点を北に進み、熱で揺らめく『旧中山道』をペタペタと歩く。ワンブロック進み、『仲町交差点』を越えて200mほどで右手にお店が出現。しかしこれだけ暑いと、古本屋への目的意識が蒸発してしまいそうになる…私はここに何をしに来たのだろうか…。お店はアースカラーなビルの、一階から一部迫り出したカタチ。軒には力強く間隔が絶妙な看板文字、その下には黄土色と白の日除け、左の側壁には同様なアースカラー的配色の看板もあり。路上際に一部破損の立看板が置かれ、車庫のような店頭部分には、左右の壁棚と床には大量の横積み本の山。壁棚には文学を中心とした安売り単行本。左側はビニール梱包本が並び、キレイでちょっと新しめ。文庫箱やノベルス箱も混在している。全集や大判本の間を通り、奥の自動ドアへ。ウィ〜ンと開くと身体が涼風にソッと抱かれる…す、涼しい…。店内はキレイだが、腰から下がちょっと雑然とした感じ。壁際は本棚、真ん中に背中合わせの棚が一本、奥の帳場にはご婦人がビシッと背筋を伸ばして座っている。通路は元々は広めなのだが、足元の横積み本や斜め上を向いた文庫ミニ棚たちが、その幅を1.2人分ほどに狭めてしまっている。右壁は大量の全集横積み島の向こうに、法律・政治・社会が見え、戦争・哲学・数学・物理学・歴史・民俗学、そして帳場後ろまで埼玉関連の資料&学術本が続く。棚の上部にはジャンル分けのプレートあり。向かいは大量の全集に頭を押さえられ、日本文学・幻想文学・文学評論・海外文学・官能文庫・雑誌・少量アダルトが並ぶ。左側通路、入口横棚に児童文学や絵本、壁棚に絶版漫画・ハーレクイン・医学・新書・世界・アジア・辞書・郷土日本各地・山岳・趣味・自然・動植物・音楽・美術・作品集。向かいは時代劇文庫・日本文学文庫・雑学文庫・日本純文学文庫・岩波・講談社学術・ちくま・中公と収まっている。硬めの学術からアダルトまでを取り揃えた、質の良い街の古本屋さんである。棚造りは地味目だが丁寧で、気張らずに楽しめる。値段は安め。ご婦人は伸びた背筋のように、礼儀正しく気配りの応対。気持ち良く外に出るが、途端に街路で灼熱地獄に急転直下。慌てて近くの『常盤公園』に避難し、木陰にて一休み…あぁ、動きたくない…体力の消耗が激しいなぁ…。光文社文庫「太宰治傑作選 奇想と微笑/森見登美彦編」を購入。
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2010年06月23日

6/23東京・下北沢 古書 赤いドリル


akai_doril.jpg赤羽橋での打ち合わせを終え、次は下北沢にて缶詰仕事…ならば行かねばならない!下北沢に新規開店した古本屋さんに!5/2に谷中で開かれた『一箱古本市』において、『六月に下北沢にお店を開店』と書かれた栞を貰ってから、指折り数えて心待ちにしていたのだ。南口を出たならば『下北沢南口商店街』が目の前に。ゲートを潜り、蛇行する川のような緩い坂道を下って行く。「幻游社」もしっかり営業中。商店街を抜けると少し視界が開け、四方から道が集まってくる場所に出る。馬鹿みたいに大人気の「餃子の王将」を右手に見ながら、右隅に進むと、小さなY字路が出現。右は崖下へ、左は崖上に続いている。右を選択して奥へ…入口付近にはちょっとお店があるが、進むほどに崖下の細道となってくる。すると左手緑生い茂る崖の向こうに、比較的新しめなマンションが見えて来た。上は黄土色のレンガタイルで覆われ、足元は打ちっ放しのコンクリート…その右側に目指すお店があった。本来はガレージになりそうな場所である。右のコンクリ壁に店名看板、入口周りの壁はパイプと、不規則に打ち付けられた真っ赤な板で飾られている。右下に開店祝いのお花、左には黒と赤の小さな棚があり、安売り文庫や単行本が並んでいる。その足元の蚊取り線香から、一筋の煙がユラリ。中に入ると「いらっしゃいませ」の声が優しく掛かる。青年が三人、ちょっと蒸し暑い店内でそれぞれの仕事を進めている。お店は縦長で、手前が古本屋さん、奥にはバーカウンターが併設されており、背後の棚を見るとお酒も楽しめるようだ。右壁には黄色と黒で構成された棚が続き、間の黒い木の柱には、古めかしい傘電灯が取り付けられている。フロアには工事現場のパイプ・ジョイント、それに側溝のコンクリ蓋で組み上げられた、無骨極まる重量感抜群のディスプレイ棚。カウンター前には赤いラインと黒板で造られた、天球儀のような不思議な台。そして入口側左壁にも二本の本棚が設置されている。八割方お店として機能しているが、まだまだ整理中の部分も。右壁には、在日作家・北朝鮮・韓国・中国・戦争・敗戦・ドヤ街・犯罪・事件・古本・世相・マイノリティ・被差別部落・宗教・炭鉱・共産党・日本赤軍・学生運動・革命・東京・カムイ伝・小沢昭一・平岡正明・松下竜一などの本がウラウラとひしめき、小説・ルポ・ノンフィクション・評伝・自伝・告発本・歴史などのあらゆるカタチを取り、ウ〜ウ〜と唸りを上げている。け、気圧されてます…。左端には日本ミステリーと海外暗黒ミステリー。フロアには、荒木経惟写真集・写真集・夢野京太郎や革命関連おススメ本が。左壁には特殊詩歌や犯罪・セレクト日本文学文庫・セレクト海外文学文庫が並んでいる。ぐむむぅ〜、血と汗と泪と歓喜の結晶とも言える偏った棚である。ここまで偏るには相当の胆力が必要であろう。しかしこのクオリティを保ち続ける道は、さらに魂を削って本棚にする、荊の道!そんな道を歩き始めたお店に、深く深く頭を垂れる…。そして硬派・骨太などとは簡単に言えない独特な棚造り…これはもはや生暖かい時代の内臓!街路のような内装のお店に、内臓の如き棚!…お、恐ろしいお店が下北沢に出現してしまった…。値段は普通〜高め。カウンターに本を持って行くと、丁寧に包装してくれながら、「そのうち片付けますのでまた来て下さい」とはにかみ笑顔。後の二人も挨拶は欠かしません。フフフ、接客慣れしておらず、ひたすら礼儀正しいのが三人とも初々しい。『赤い〜』と付くもので、大映の「赤い〜」シリーズ・「赤い彗星」・「赤い旅団」・古本屋「赤い鰊」ぐらいしか思いつかなかった私だが、今日その中に、「赤いドリル」がギュルギュルと食い込んだのだった。棚が落ち着いたらまた行きます!文化出版局「鬼の宿帖/羽根田武夫」大和出版「火を掘る日日/上野英信」を購入。
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2010年06月21日

6/21東京・不動前→武蔵小山→西小山へ

東急目黒線三駅を、古本屋頼りに徒歩にて移動。何度も訪れた地であるが、時が経つと新たなる発見が。小さな芽吹きもあれば、ついに枯れ果てた樹木あり…。


trend_navi.jpg●不動前「ナビトレンド」
一つしかない改札を抜けたら、北側にある小さな商店街『不動前駅通り商店街』を鍵の手に進む。すると『かむろ坂通り』と言う名の、桜並木の坂道に出るので、南西に坂を上がって行く。強い日射しが、枝を広げた桜に遮られているので、中々快適な道行きである。300mほど進み交差点を北へ。目黒不動尊へと到る道を下って行くと、参道の古い商店街に入り込む。仁王門が見えて来た所で十字路を西へ。すると右手のマンション一階に、『本お売りください』の幟が翻っている。ここは古本屋さんと言うより、古本を買取るお店なのである。ほぼ事務所のような中をチラリと見ると、デスクに着いた女性が作業中…。しかし古本はしっかりと売られている。入口両脇に二台のワゴンが並び、100均の単行本・文庫本・音楽CDが詰まっている。少し古めのものばかりである。キレイな本の買取りを基本としているので、その基準から外れた本がこの台に並ぶ運命となるのだろう。欲しい本は見つからず、そのままスゥ〜ッと路上に退散…。


nanashi_musasikoyama.jpg●武蔵小山「店名不明」
そのまま道を西に進むと、『林試の森公園』脇を通る『石古坂』となり、やがて元の『かむろ坂通り』に出る。そのまま途切れた所もある通りを武蔵小山方面へ。すると『武蔵小山西口商店街』の出口と合流する部分に、古着屋さんのようなお店を発見。雑貨も売っているママ&女子向けのお店のようだが…むっ、中に本棚がある!…でも入り難いなぁ…と窓越しに店内を覗いて見ると、なんとか棚の確認が出来る…冷静に考えれば、中に入って見るより遥かに怪しい行為…。一生懸命覗き見るも、文庫・小説・エッセイ・実用などの中に、欲しい本は見つからず。そっと窓辺を離れて次へ。


ishigami.jpg●西小山「石神書店」
またもや一駅分歩き、駅周辺のいつ来ても閉まっているお店たちを探索。ところがその内の一軒「石神書店」に重大なる変化が。駅南側の『すずらん通り』にあり、いつ来てもパイプのシャッターが閉まっていた。しかし店内にも、シャッターの間から手を伸ばせば届きそうな店頭壁棚にも、いつでも本はギッシリ並んでいた。しっかり本の並ぶ店頭棚は、お店が開くことを期待させたが、結局いつでも閉まったまま…。そんなお店を訪ねてみると、本はすべて消え去り、パイプシャッターにはテナント募集の札が掛かっていた。まったくもって残念な光景である。長い間お疲れさまでした。

帰りに武蔵小山まで戻り、「九曜書房」に立ち寄る。相変わらずいい棚造りに感心。乾元社「焦土に立ちて/岸田日出刀」を購入して家路に着く。
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2010年06月20日

6/20埼玉・東岩槻 コスモ書店


daihi.jpg久喜から東武伊勢崎線に乗り換え、群馬県・館林へ向かう。シートが緑で、その色が車窓の水田に連続するようにつながっている。乗客も少なく、気だるい空気が車内を支配している。駅に着き北東へ向かう。古い商家や住宅を愛でながら、目的のお店「大葩堂書店」に到着。街道に近いとは言え、完全なる田舎の住宅街…しかもしっかり開いている。はち切れんばかりの期待を胸にお店に近付くが、何か様子がおかしい。ガラス越しに見えるスチール棚はすべて空っぽ!怪盗に根こそぎ奪われたお店の姿なのである。閉店…?さらに近付くと閉店のお知らせではなく、『古い本古いもの買います』の前向きな貼紙がペタペタ…超品薄状態!?謎は深まるもお店には入らず、駅に戻って上り電車で茂林寺前に移動。駅から西方向の中学校に隣接する路地…この辺りなのだが…。しばらくウロウロするもお店は見つからず、あきらめて引き返そうとすると、一本のポールの上に小さな「文生書院」の看板。その看板に導かれるように左を見ると…そこには倉庫…しかも書かれている住所は文京区本郷。あぁ、私は東京から東京の古本屋の倉庫を、遥々見に来てしまったのか。何と言う愚かな…。駅へズルズルと引き返し、さらに先へ進むか、戻りつつお店を探そうか、しばし逡巡。下り電車の接続の悪さを確認したところで、羽生に向けて戦略的撤退を決定!『田舎教師もなか』なるものに惹かれつつお店を訪ねると、どう見ても新刊書店。がっくりと肩を落とし、次は東武動物公園へ。川を越えて駅の北東へ小走りで向かう。たどり着いた先にはシャッターを降ろした「きよじ屋書店」の残念な姿…や、休みかっ!慌てて来た道を引き返し、一駅先の姫宮へ。今度こそ開いていることを祈りつつホームに降りると、建物の隙間から駅の目の前にある「ブックス市川」がチラリ…閉まってるぞ!即座に降りたばかりの電車に飛び乗ると、プシューっと扉が閉まる…危なかった。時間を無駄にせず済んだな、とホッと胸を撫で下ろしながら、春日部で東武野田線に乗り換え八木崎へ…うわっ、閉まってる。これで六店目…空振りし過ぎて身体が軋み、もはや力無く薄ら笑いを浮かべるしかない私。半ばやけになりながら街道沿いを彷徨い、隣駅の豊春まで徒歩移動してしまう…完全に血迷い始めています。次が駄目だったらもう帰ろう。そしてビールでもグビグビ飲み続けよう…。(※写真は大葩堂書店)


cosmo_shoten.jpg前置きが長くなりました。北口を出ると本日七度目のロータリー。その左上から道なりに大通りを北西に進む。道は大きく緩やかに西へ向かってカーブして行く。西友を過ぎると、信号付きの交差点が出現。そこを北へ進むと、左手についに営業中の古本屋さんの姿がっ!エネルギーが尽きかけた身体に喝を入れ、古本魂を振り絞って店前に立つ。道路際には外灯に取り付けられた店名看板、お店の側壁に『本』の文字、軒には店名と『FAXサービス』、その下には丸々とした黄色い日除けが張り出している。店頭には右に50均文庫棚(古い本ちょいちょい)、左に新刊雑誌と10円コミックのラックが展開。ただの古本屋さんではなさそうだな…。出入口横の、新刊学年誌ラックと巨大な複合コピー機脇を通り過ぎて店内へ。その第一印象は、街の小さな新刊書店そのもの。壁はぐるりと造り付けの本棚、フロアには右に雑誌ラックが一本、左に背中合わせの棚が一本置かれている。本の並びのキレイさが、さらに新刊書店を思わせる。入口左横に帳場があり、初老の店主がパソコンを覗き込むように作業中。右壁は新刊のガイドブックなどから始まり、後は古本のコミックが店奥壁までズラッと続く。雑誌ラックの手前には平台があり、200均の単行本がドッサリ。ここが一番古本屋さんらしい。ラック右には全集端本と200均「太陽」、左は新刊アダルトが占領している。背中合わせの棚右側は日本文学・随筆・ノンフィクション・日本文学文庫・ノベルス・海外文学文庫・雑学文庫、左に日本文学文庫・海外文学文庫・絶版岩波新書・岩波文庫・講談社学術文庫が並ぶ。左壁にはハヤカワ文庫・全集・ビジュアル大判本・辞書・旺文社文庫が収まっている。帳場横の、絵本と文学全集が同居する回転ラックが、ちょっとアンバランスで不気味である。古本だけではなく新刊雑誌も売られ、絶版岩波新書と海外文学文庫が充実。値段は安め〜普通。絶版岩波新書はプレミア値が付けられたものも。おぉ、「コスモ書店」よありがとう。開いていてくれてありがとう。私は、この空間に包まれたいがために、今日一日東武線沿いを彷徨いまくっていたのです。今日も古本を売ってくれていて、ありがとう!岩波新書「芝居入門/小山内薫」を購入。
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2010年06月19日

6/19埼玉・蕨 春日書店


kasuga_warabi.jpg東口を出て地上のロータリーへ。回り込まずにそのまま交番脇から線路沿いを北に進むと、大きな『蕨陸橋』が行く先に横たわっている。下を潜ると目の前に『芝本町通り商店会』が出現。後はこの緩く間延びした商店街を、グリーンの歩道ラインを踏み付け歩き続ける。暑く粘った空気の中を800mほど進むと『芝樋の爪』と言う名の、“隠し剣”みたいな名を持つ交差点にたどり着く。そこを北に渡った右手に『古書買入』の看板を発見。近付くと三階建住宅の一階がお店となっている。路上際に小さく店名の入った看板が立ち、ちょっと奥まった建物には、出入口を間に挟み壁棚が設置されている。右に文庫・ハーレクイン・レディコミ、左は単行本がほぼ100均でズラリ。ほほぅ「マンハント」が外棚に並んでいるとは…あっ!あれは探していた「ソングライン」!100円!やったっ!と棚から抜き出し小脇に素早く抱える。すでに一仕事終えた気分で、サッシを開けて薄暗いが涼しい店内へ。すぐに入口右横棚脇の、子供が書いたお店の案内が目に入る。週末の営業日と共に『本にはいろいろなねだんがあります。ねだんがわからないときはきいてください』『ここはおべんきょうがいっぱいあります』…泣かせるなぁ。まるで宮澤賢治の童話の一節のようではないか。左の帳場では、ご婦人とおばあさんがマシンガントーク中。私の入店により一瞬静かになったが、すぐに二人でマシンガンを掃射再開。どうやら弾倉は無限のようである。壁際は四方すべて本棚、真ん中に背中合わせの棚が三本、入口左横に帳場があり、ガラスケースと本棚と本の山で守られている。通路には無造作にいくつもの脚立が置かれているが、別に通路を封鎖しているわけではなく、ひたすらただ置かれているだけなのである。入口右横には車・鉄道の雑誌や本が集まり、そのまま右壁にアニメ・アニメ資料・雑誌・兵器雑誌・社会・世相・機械技術・各種業界・ヤクザ・犯罪・スポーツ・武道と続く。向かいはちょっと棚が空き気味だが、コミック・児童文学・「ムー」・釣り・山岳・囲碁・将棋・麻雀・音楽が並んでいる。真ん中通路右側は映画・テレビ・芸能・落語・役者・特撮、左側はアダルト・自然・動植物・昆虫・食となっている。奥の壁には特撮雑誌・建築・写真・技術・写真集・美術・美術図録・美術雑誌・陶芸。左端通路は、壁棚に言語・辞書・探偵&推理・幻想文学・SF・日本文学・海外文学・詩集・文学評論・宗教・オカルト・UFO・催眠術・心理学・哲学・教育・ジャーナリズム・政治・思想・運動が細かくズラリ。向かいの通路棚は一般文庫・絶版文庫・新書・選書・戦争・郷土・歴史・古代史と並んでいる。ガラスケースにはプレミア本&プレミア雑誌、背後の棚には絶版漫画が収まっている。棚は細かく分かれているが、それぞれに深度があり見応えあり。本はほとんどがセロファンで密封され、中を見ることは出来ない。値段は普通でいい本はしっかり値だが、手頃な印象が残る。本を手に帳場に声を掛けると、奥のご婦人が立ち上がり「いらっしゃいませ」。と同時におばあさんも立ち上がり「じゃあアタシはこれで」とマシンガントークを終わらせ帰って行った。突然静寂に包まれる店内。ちょっと寂しいが、こちらが本来の姿であろう。本を受け取り外へ出て、壁棚の空いた部分を眺めつつ、収穫の喜びを噛み締める。ココハオベンキョウガイッパイアリマス!めるくまーる「ソングライン/ブルース・チャトウィン」カッパ・ブックス「ビデオ自由自在/羽仁進」を購入。
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2010年06月18日

6/18東京・神保町 喇嘛舎


ramasha.jpg突然空気が冷え始め、冷たい風がサーッ…雨が降り始めてしまった。自転車で出かけようと思っていたが、突然変わった天気のように気分も変えて、行き先までも変更し神保町へ。御茶ノ水駅で水が黒く重たい神田川を眺めてから、谷の上の西側モダニズム駅舎から外へ。『明大通り』を南下し、明治大学リバティタワーを過ぎた所で、片側並木の横道を西へ入り込む。右に見えるのは図書館らしく、本の詰まった書架が窓越しにチラリと見えたりする。そのまま道なりに進んで行くと、十字路の右手ビル入口に、目指すお店の立看板。二階の窓を見ると店名がしっかり掲げられている。このお店を訪ねるのは初めてで、知っているのは以前三軒茶屋にあったと言うことくらいである。小さなビルの階段を折り返しながら上がって行く。壁には展覧会や神保町シアターのポスターがペタペタ。開け放たれた扉から中に入ると、ビルのワンフロアを占める中々広い空間。入口付近は短い通路状で、右にフロアが展開している。入口横のミニ最近刊&若松孝二ビデオ棚や左奥の特殊文化棚、壁に貼られた様々な紙物(あっ!「傷だらけの天使」のシングル!)を眺めて右へ。左壁に本棚と帳場、後の三方の壁&窓際も本棚で覆われ、真ん中には横向きにガラスケース・背中合わせの本棚・雑誌&レコードカゴの島が設置されている。帳場には壮年の店主がどっかり腰を下ろし、同業の訪問者と親しく言葉を交わしている。入口前の左壁棚は、探偵・捕物・人情・怪奇・推理・SFを中心に、濃い目の大衆小説からスタート。日本文学・詩歌・幻想文学・三島由紀夫・寺山修司と、さらに濃度を上げて棚が続く。帳場を挟んで奥に、海外文学・海外文学文庫・美術・アバンギャルド・赤瀬川原平・南伸坊と並ぶ。入口側の手前壁棚は写真関連が集まっており、評論・評伝・エッセイ・理論・写真集が貴重なものを交えてズラリ。後半にはエロ系写真集が現れ、そのまま右窓側にエロ・性愛・少量の日本文学文庫・絶版漫画・漫画評論・絶版劇画・カルタと並んで行く。手前のガラスケースには、プレミア幻想文学・生原稿・写真集・附録類などが、上に中にドサドサ。次の背中合わせの棚にはサブカルがズラッと並び、風俗・ファッション・ムック・人物・都市・鈴木いづみなど、多岐に渡り集合。他には児童文学・ドキュメント・ノンフィクション・ルポ・オカルト・スポーツ技術・雑誌などなど。奥の壁には、窓際に思想・全共闘・闘争・竹中労が並び、音楽・映画・テレビ・芸能・伝統芸能・役者・スポーツ・動植物・大宅壮一・徳川夢声・文化人・プロレスと収まっている。店内各所には、色紙・映画ポスター・グラビア・チラシなど、貴重な紙物が貼り付けられている。余裕を感じる濃いお店である。何か悠然とした感じが漂っているのだ。福岡の「バンドワゴン」と棚の傾向に共通点。“サブカル”と言うよりは“カウンターカルチャー”の血液が、各棚でドクドクと脈打っているようだ。血管は過ぎ去りし60〜70年代の静脈…。値段はもちろん隙無しの達人値付けとなっている。早川義夫の「ラブ・ゼネレーション」欲しいなぁ…。帳場で精算をすると、高いタワーになっている冊子を一冊抜き取り「これ当店の目録です。よろしかったらお持ちになって下さい」。よろしいに決まってるじゃないですか!ありがたく受け取り外へ。いつの間にか激しくなった南国的な雨。本には危険な季節の到来である。講談社「詩的紀行 日本の廃墟/伊藤信吉」を購入。
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2010年06月17日

6/17東京・渋谷 SHIBUYA BOOKSELLERS


shibuya_book_sellers2.jpg2008/11/13に訪れたお店である。新刊と古本を交え、ジャンルごとではなく年代順に本を並べると言う、珍しい棚造りが行われていたのだが、そのアイデアを惜し気も無く変えてしまったらしい。どのように変わったのか確かめるべく、仕事のついでに渋谷の奥へと向かう。店構えは以前と変わらずシンプル&オシャレ!判り難い入口脇に置かれた黒板も相変わらずである。ウィ〜ンと開いたガラスから中に入り、早速棚を眺めて行く。変わった棚の形状は前と同じようだが、並びが…ジャンル別になっている!右壁にノンフィクション・思想・日本文学・幻想文学・海外文学、店長の書斎が擬似再現されたギャラリー(文学文庫・ビジュアル洋書・カルチャー雑誌を中心とした古本販売)を挟み、奥に映画・音楽・コミック。左壁には芸術・写真・ファッション・デザイン・建築・ライフスタイル・児童文学・山・食となっている。平台には、新刊の思想・文学・カルチャー・芸術・雑誌が並び、ワールドカップに合わせたサッカーコーナーもあり。さらに奥の平台には、手描きPOPの添えられたおススメ本がズラリ。窓際にはバーゲンブックス箱が三箱置かれている。むむむ、何だか普通のジャンル別セレクト本屋さんになってしまった。もちろん棚造りは細やかだが、以前が斬新だっただけに、スタンダードに方向転換したのが残念に思えてしまう。まぁでも、あの時代別棚は古い時代のものほど、風を入れるには苦労しそうだもんなぁ…。古本も以前より少なくなったなぁ…。古本屋さん目線で見渡せば、何だか後退してしまった感が否めない。しかし本屋さんとして見るならば、相変わらず充分楽しめるお店と言える。……でも、古本もう少し増やして下さいっ!新刊で集英社文庫「全ての装備を知恵に置き換えること/石川直樹」を購入。
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2010年06月16日

6/16東京・本郷三丁目 井上書店


inoue_shoten.jpg空気中の水分が目視出来るような、温い粘液の中を歩くような、不快指数の高い街。御茶ノ水の谷が東南アジアの何処かに見え、すっかり日本が水の季節に入ったことを教えてくれる。『本郷通り』をヌラヌラと北へ。目指すはその『本郷通り』沿いの、東大正門前にあるお店である。数少ない本郷古本屋街の、入りやすいお店をツアーしてしまった私は、もはやこの街では門外漢として専門店に突入して行くしかない身の上…恐ろしいことになってしまった…。お店はビルの一階で、その上は街路の銀杏と競うように上に伸びている。壁には大きな縦長店名看板があり、最上部の銀杏の葉と開いた本をモチーフにしたマークが素敵である。タイル張りのビル一階のお店のファサードは、銅色のスチールや柱で構成され、軒には三角の店名看板(マークあり)、そこから伸びる二本の柱、奥まった中に真ちゅうの曲線把手が美しい扉、両脇に重厚な箱入り本が並ぶウィンドウ…まるで簡素なローマ神殿のようである。ウィンドウ右には動植物、左には歴史・文化が並んでいる。真ちゅうの把手をグッと掴み、意を決して入店!そこは静かな静かな古本の世界で、時折マウスをクリックする音が聞こえるのみ。高い天井、寄木板の床、壁には木製の本棚が設置され、真ん中にも重厚な木製背中合わせの棚が二本、脇にも棚が置かれている。左奥にカウンター付きの乱雑な帳場があるが、そこには誰もいない。代わりに右壁際の棚の間と入口側左奥に、パソコンをひたすら操作する男性が二名。こちらに視線を寄越すことも無く、ただただ作業に没頭している。通路には横積みされた本が溢れ、棚の下半分を隠している所が多い。大学の研究室にでも迷い込んでしまったように緊張するが、店員さんの無関心さに少しだけ気持ちが楽になる。しかしざっと見ても、そのほとんどが箱入り本…。右壁は漢方や東洋医学、そして店員さんを挟み、奥に科学・気象が並ぶ。科学には子供用の入門書も混ざり込む。向かいの通路棚は、博物学・生物学・剥製・動物・昆虫・魚類・家畜・岩石・鉱物・化石。そして棚脇手前には植物、奥には昆虫が収まっている。帳場の右横には洋書と科学者関連。真ん中の通路、右側に植物・微生物・森林、左側に社会制度や文化諸々の様々な歴史本が並んでいる。棚脇には一般的な生物・昆虫・地学などのガイドブック。左端通路の壁際は、民俗学・食・東洋美術・美術図録が並び、向かいには地方史・評伝・宗教・アジア・中国……渦巻くほどの茶色い専門書の嵐である。抗うことなど叶わず、あっちへフラフラこっちへフラフラ…おぉ、己の無知さが身に沁みる…。値段は基本四ケタの専門書値段。探している本か専門的知識が無いと、知の炎に火傷するのは必至。その熱さに耐えながら本を抜き出し、作業中の店員さんに声を掛ける。左奥の帳場を示され、共に移動して精算。「ありがとうございました」の声に送られ、無事に表へ。そしてまたもやヌラヌラと帰路に着く。御茶ノ水橋の上でふと左を見ると、聖橋と水面に映った橋の姿が美しい円を描いている。おぉ、まるで茅の輪のようではないか。あれを潜ったならば、さぞかしいいことが起こりそうな予感…。
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2010年06月15日

6/15神奈川・久々平塚で西と北に二店!

平塚はずいぶんと久しぶりである。三年前に平塚美術館で、三沢厚彦の「ANIMALS+」を見た時以来ではないだろうか…。あれは確か古本屋ツアーを開始する直前のGW……うぅっ、月日が経つのがちょっと早過ぎないでしょうか?


manyodo_hiratsuka.jpg●平塚「古書 萬葉堂書店」
ホームの西端、遠くにゴハンを山盛りにしたような山が見える西口へ向かい、南の『八重咲町方面』へ出る。長い階段を下りて路上に出ると、おお左前方に古本屋さん!駅から徒歩0分と言っても異論は出ないはずである。もはや維持されるだけの、美しさが翳った二軒長屋の看板建築。店舗は左側で、壁には四角い『古本買入』看板、軒には余白の多い店名看板、その下にグレーと白のだんだら日除け、シャッターは左側半分が下ろされている。開け放たれた扉から店内に入ると、薄暗く少し熱がこもっている。壁はぐるりと木製の棚、真ん中入口側に背中合わせの棚が一本、奥にガラスケースと小さな棚があり、右奥の奥まった帳場では壮年店主が横顔を見せながら、国会中継をジッと見守っている。入口右横には新書が並び、続いて右壁に文学評論(詩関連多し)・短歌・川柳・俳句がズラリ、下に大判のビジュアル本が収まっている。向かいには、日本文学・自然・工芸・文化・風俗・日本文学文庫が並び、棚脇に海外文学文庫と古典文学文庫コーナーあり。左入口側の行き止まり通路に進むと、まず目を惹くのは水色の布張り装丁小型本。坪内逍遥訳の「シェイクスピア全集」がドッサリ…可愛いなぁ。奥には和本や歴史本が収まり、左壁は歴史・神奈川・平塚資料・民俗学・芸能・江戸・古典文学・書と続く。奥の壁棚には美術と美術図録が収まり、帳場の上には「高浜虚子全集」。ガラスケースには紙物や、歌を書き付けた短冊などが飾られている。俳句・短歌・古典文学に秀でた、店名通りのお店である。古い本も普通に並ぶ。仙台の「萬葉堂」とは無関係であろう。雑本はほとんど見当たらず、硬めな空間となっているが、値段は意外にも安め〜普通。お店から出るとすぐに駅の階段。その横の金網に、手描きの町内地図が数枚取り付けられているのだが、お店の名はすべて「万葉堂〜」と書かれている。めんどくさがられてるなぁ…。平凡社「生きものの建築学/長谷川堯」を購入。


reborn.jpg●平塚「リ・ボン館」
跨線橋を渡って駅の北側へ出る。東に進んで大きなロータリーにたどり着き、右奥の通りを東へ進む。ワンブロック進んだところで、左手角地のビル一階にお店を発見。どこから見てもリサイクル古書店である。しかし店頭100均文庫台に近寄ると、中公文庫がやけに多め…ちょっとおかしいな、と思いつつ店内に入る。中はキレイだが棚が立て込む密集陳列。入口左横にはまたもや100均文庫棚と100均単行本、それに女性実用と児童文学。大量のコミック棚と共に、右奥の帳場前に最近刊本・雑学文庫・ビジュアルムック・新書・実用の横長な棚。帳場横に日本文学文庫棚…とここまでは通常のリサイクル古書店。そこからさらに右奥に踏み込んで行くと、まずは文庫棚の脇に古い文庫が並ぶ棚を発見。岩波や角川を中心に、茶色いパラフィンがパリパリに劣化した本がズラズラ並ぶ。そのさらに奥に、壁棚に囲まれた小空間があり、真ん中には二本の背中合わせの棚。海外文学・経済・エッセイ・新書・紀行・日本文学・歴史・時代劇・ノベルス・ミステリ&エンタメ・戦争などが揃っているが、ここにはやけに古い本が集められており、特に日本文学箱入り本がズラズラ並んでいるのに驚く。完全にリサイクル古書店の枠を逸脱中!植草甚一(ジャズ本)や澁澤龍彦が並んでいるのも嬉しい。うぉっ!と思うような本があるわけではないが、こう言うお店に古い本がズラズラ並んでいると、心なしか興奮気味になってしまう。毎日定点観測していれば、『ああぁっ!』と思える本に出合えるかも。そんなことを夢想させてくれた、お店の一角であった。アルメディア「物語のある本屋/胡正則+長岡善幸」を購入。

東海道線近駅の、茅ヶ崎・辻堂・藤沢には、質の高そうなお店が目白押し!湘南新宿ラインを利用して、ちょくちょく訪ねることが多くなりそうな夏…私にとっての“湘南”は、“古本屋さん”ということになりそうである。
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2010年06月14日

6/14東京・六本木 BIBLIOPHILE


bibliophile.jpg雨の『六本木交差点』から、『外苑東通り』を東へ。南側の道幅の割には狭過ぎる歩道をテクテク歩き続けると、先に『飯倉片町交差点』が見えて来る。この辺で右を見ると、白いタイルのAXISビル。地下一階にあるお店を目指し、ビルの横っ腹から奥に入り込む。吹き抜けの中庭のような空間に、上階への階段を中心として洒落たお店がぐるり。早々に地下への階段を見つけて駆け下りる。お店はすべて大きなガラスの向こう…右側奥のキラキラした空間に、本棚の影がチラリ…ここか。むぅ、ちょっと離れていてもさすがは六本木、シンプルだが人を跳ね返すようなファッショナブルなお店である。緊張しながらもお店の様子を頑張って伺う…店員は一人…お客はゼロ…奥の壁棚にまずは目立たぬよう向かおう…。背筋を伸ばしながらも、視線は前方のみに据え、コソコソとインテリアの間を進む。左壁が一面の本棚となっており、上部にはお店のロゴ。並ぶのは手の切れそうな洋書の新刊ばかりである。料理・インテリアデザイン・グラフィックデザイン・芸術・写真・工芸など。棚の前と右奥のカウンターバーのようなレジ前に、大きな平台が置かれ、カラフルな同種の本を平積みで並べている。こちらもどれも新刊…柱近くのブルーノ・ムナーリ、壁際の自動車本・窓際の照明本や建築本も同様。むっ?フロア中央に、見逃していたガラスの平台…おっ!古本だ。端に置かれた説明書きを見ると『古書となっているので、状態を確認してからご購入ください』の注意書き。本たちは適度な距離を保ち、表紙を上に贅沢に飾られている。プロダクトデザイン・工芸・ロゴデザイン・建築などのちょっと古い洋書がメインである。「森岡書店」(2008/12/12参照)を一瞬想起させるが、如何せん10冊ほどでは数が少な過ぎる…。インテリア(特に照明)と洋書を融合させたお店である。値段は輸入の洋書ばかりなので、普通の本の感覚からすると、高い印象である。残念ながら欲しい本は見つからず、新刊のみすず書房「ファンタジア/ブルーノ・ムナーリ」を購入し、スゴスゴと退散。急いで『六本木交差点』まで駆け戻り、渇を癒すために「かじ川書店誠志堂」(2008/12/16参照)に飛び込む。おぉ〜、これぞ古本の薫り…通路のような店内にしばらく腰を据え、六本木と言う街から逃避を図る。ほぅ、相変わらず大沢在昌の「六本木聖者伝説」がしっかりと…。岩波新書「東京の美学/芦原義信」を購入し、心をプルンと潤わせて帰路に着く。
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2010年06月13日

6/13山梨・上野原 夜行書房


yakou_shobo.jpg6/9の夜に訪れ(2010/06/10参照)、閉まっていたお店である。家にしか見えないお店の壁に掛かっていた、『しばらくの間、日曜の午前10時〜12時営業』を信じて再び山梨へ!昼間に着くと、夜には計り知れなかった美しい風景が、駅周辺に広がっていた。下には水量豊かな相模川、緑の山々に囲まれた土地、そして北口のロータリーに立つと、目の前はやはり山だった。そこに先日は気付かなかった、ロータリーの左奥から山上へ続く階段があるのを発見!なるほど、これが無ければあの峠道は不便過ぎるな…と考えつつ、山肌に張り付いた152段の階段通路を上へ上へ。峠道に出て、そのまま道なりに坂道を上る。『上野原インター入口』の信号を通過し、『中央道』に架かる陸橋を渡り、『上野原市消防署南交差点』を過ぎ、ちょっとした商店街のような直線の通りを北へ。すると行き当たるのは、小さく源流のようになった『甲州街道』。そこを東へ50mほど進むと、左手に砂利敷きの小さな駐車場が現れる。その奥の壁に、大きな周辺の手描きの案内図…左上を見ると、一本裏の小道に目指すお店の名が記されている。「夜行書房」…おぉ、夜を行く古本屋…素晴らしい店名だ。何故『夜行』と言う言葉にこれほど魅力を感じてしまうのか…『夜行列車』『夜行塗料』『夜行怪人』…そんなものたちが、遥か昔の記憶の底から浮かび上がって来てしまう。それにしてもちゃんと開いているのだろうか?一抹どころか、大いなる古本屋さんに対する慣例的な不安を抱え、すぐ横の小道をズカズカ北へ進む。明るい陽の下で見ると、お店などあるはずもないような、田舎の住宅地なのである。そして最初に現れる横道を西へ。次の右手角地に建つ平屋がお店なのであるが…む、窓が開いている。そして人の気配…正面に回ると、開いた窓に本棚が見えている。しっかりと古本屋さんのようだ。そして玄関が全開になっており、そこからも本棚が見えている!これはちゃんと営業中だ!普通のことなのだが、遠出してきたこともあり、営業時間の正確さに深く感心する…それにしても入り難いなぁ…改めて見ても思いっ切り民家ではないか。ええぃ、この開け放ちぶりを信じ、ちょっと高い敷居を跨いで玄関に踏み込む。すると中からぴょんぴょんと飛び出して来た二人の女の子と擦れ違う。「こんにちは」と挨拶すると、警戒しながら私を見上げている。構わず中に入り込むと、部屋にはそのまま土足で入り込むカタチとなっている。中は完全に古本屋さんの店舗となっているので、外見とのギャップにほぅ〜っとため息。女の子たちは出たり入ったりしながら、私と言う闖入者を非常に気にしている。恐らくお店の娘さんなのだろうが、まぁ見たことも無いオッサンが現れたのである。致し方ない。奥の作業スペースにいたご主人が振り向き、私を視界に捉える。しかしその目に浮かんだ色は、幼女と同じ戸惑いの色。気の小さい私は頭をしっかりと下げ、害意の無いことを示した後、店内をゆっくりと見回してみる。玄関付近・玄関右横・右側奥の三ブロックに、大小様々な棚が並んでいる。しかしそのほとんどはコミックで、他にはゲーム類・おもちゃ・CDなどが見受けられる。玄関前の棚にラノベを発見し、続いて右側一本目の通路奥に小さな文庫棚を発見。ここを一生懸命物色し、一冊を抜き取る。二本目通路の奥には、アイドル系写真集や美少女コミックなども。ちなみにこちらは古びた木の床で、並ぶのがコミックでなければ、かなりいい雰囲気である。完全なる地元民の子供+一部大人のためのお店である。営業時間は短いのだが、棚はキレイでしっかりとお店を維持している。地元民ではないのに、失礼いたしました。時計を見ると、何と午前中でツアーが終了してしまった。珍事である。また駅までテクテク戻り、せっかくなので南口から河原まで下りてみることに。下から駅舎を見ると、駅自体が山の中腹にあることが良く判る。人家の壁に『鮎漁解禁』のお知らせが貼られ、頭上ではトンビが風切り羽が見える近さで旋回、足元を見るとゾゾゾと百足が横切って行く。思わず『ウォッ!』と叫んでしまい、後ずさり…久々に見た!と思いつつ、大自然の小さな牙に恐怖する。ハヤカワ文庫「夢みる宝石/シオドア・スタージョン」を購入。
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2010年06月12日

6/12千葉・上総牛久 古本キングコング


kingkong.jpg内房線・五井駅から、一両きりのローカル線・小湊鉄道に乗り換え。車内は老若男女で、意外なほどの混雑を見せている。走り始めてから、女性乗務員より切符を購入。恐ろしく高い…ローカル線維持のためには仕方のないことか…。ディーゼル車特有の低い音を立てながら、鷺のいる水田の間をうねりながら進んで行く。もっと山の中に分け入るのかと思っていたら、山と山の間の広い長閑な平地を進むイメージである。三十分ほどで房総半島の奥に至る。ホームは対面式であるが、見事な田舎の小駅である。小さな可愛らしい木造駅舎を出ると、強い陽に炙られて微睡ろむ、人気の無いロータリー。そちらではなく、隣接する駐車場を突っ切り、線路沿いに東へ向かう。踏み切りを渡ってすぐの北の国道へ。交通量の多いその道を、西へ200mほど進むと、右手に楽しみにしていたお店が見えて来た。国道を挟んで、ほぼ駅の真裏といったところ。ドライブイン的な駐車場の向こうに、素っ気無い大きな店舗。青空をバックに店舗を見ると、『ここはメキシコ!』と言ってもおかしくない風情である。正面ののっぺりした上部には、短冊のような『まんが本買取 小説買取』の文字があり、その下に置時計のような形の看板日除け、その下は一面のガラス窓となっている。店の周りには、半ば廃棄されたような半壊した立看板が、いくつか置かれている。ガラスには劣化した店名シールと、『全品10%引きサービス』の貼紙。やった!出入口は開け放たれており、ちょっと強めだが爽やかな風が吹き抜けている。そして店内に足を踏み入れた瞬間、『こ、これは手強い…やはり広い!』と予想はしていたが、心が一瞬怯んでしまう。真ん中辺にある帳場の右奥に、倉庫のような広い空間があるのを見てしまった…。上を見ると、赤錆びた鉄骨が剥き出しの高い天井で、ここが真に倉庫であることを、さらに認識させてくれる。まずは入口右横に50円均一文庫棚が並び、ウィンドウ裏に細い通路を形成している。真ん中の50円単行本棚&コミック文庫棚通路を抜けると帳場前。右に進むと、ラノベ・ティーンズ文庫・BLノベルス・児童文学・絵本・児童入門書・アニメ&コミックムック・コミックのゾーン。左に進むと、コミック・官能文庫・写真集・アダルトのゾーン。この2ゾーンは、お店のほんの前哨戦に過ぎないのである。右奥に進むと、やはり広く濃密な空間。フロアには前後に四本ずつの恐ろしく長い背中合わせの棚が置かれ、右壁際と奥壁には、大量の棚が壁に横向きに設置されている。特に右側の文庫ゾーンは、小部屋的スペースも含め凄まじいことになっており、総数105本の棚が空気の淀んだ空間を造り出している。左奥の倉庫&階段前にも小部屋的スペースがある。文庫ゾーンは主要作家別に大別され、一人の作家が二本の棚を占有することも珍しくない。奥には海外文学文庫・出版社別教養&雑学文庫が並んでいる。フロア棚は多くのコミックを交えながら、右から古書・スポーツ・金融・経済・政治・社会・趣味・山岳・占い・宇宙・宗教・ミステリ&エンタメ・海外文学・歴史小説・時代劇文庫・ノベルスなどが並んでいる。奥の壁際には、句集・タレント・芸能・パソコン・戦記・歴史・生物など。左奥の小部屋には『一般』と称し、様々なジャンルの本(ノンフィクション・文学・エッセイ・実用・サブカル…)・新書・実用・雑誌・辞書が収まっている。もはや“一人古本市”状態である。音の割れたラジオが店内に空ろに響き、奥のゾーンにいるのは、もう一時間ほど私一人のみ…このまま行方不明になっても、誰も気付かないであろう。そんな風に思えるほど、孤独な倉庫の中なのである…何だろう、手放しで喜んでいい状況なのに、心にわだかまるこの孤独感は…。文庫の作家棚は中々見応えがあるが、弾かれた本たちが飛び飛びに並ぶので、見難くもある。他の棚も非常に雑本的で、古い本はあまり無い。70年代〜現代が中心となっている。『目を皿モード』にして、通路を微速全身!がこのお店の正しいうろつき方であろう。値段は安めで、10%引きでさらにお安く!帳場で精算を済ませ外に出ると、強い陽光に目を射られる。先ほどのルートを逆戻りし、駅舎にて電車待ち…次は三十分後か。地元の人たちに紛れ込み、高い切符を購入して、木製ベンチに腰を下ろす。目の前に広がるのは、二時間前の到着時と、寸分変わらぬロータリーの光景。影の濃い、梅雨入り前の千葉の一日であった。新潮文庫「素足の娘/佐多稲子」集英社文庫「いきもの抄/石和鷹」ちくま文庫「都市という廃墟/松山巖」「偽史冒険世界/長山靖生」を購入。
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2010年06月11日

6/11埼玉・宮原 古本ブックロード


book_road.jpg大宮から高崎線に乗り換えて一駅。西口に出て地上に下り、真ん中に緑の生い茂るロータリーを左から回り込み、『駅前通り』を西へ。もうそこは、空の広い地方の風景なのである。曇り空の下を温い風が吹き抜ける。右側の歩道を150mほど進むと、茶色いビルが現れる。その右端一階にお店の姿。軒にはポツンとした存在感のある『古本』の看板文字。庇の下には細長いオレンジと黄色の店名看板。ガラス張りの店前には、自販機・AV関連幟・色褪せた90年代単行本乱雑ラック・100均文庫&単行本棚・立看板がある。文庫は日本純文学と海外文学(どちらも新潮文庫)が多い。ガンダムとベルセルクのポスターに見送られ、左の奥まった入口から店内へ。中はこじんまりとしているが複雑で、ひとりのご婦人がポニーテールを上下させながら棚の整理をしている。正面左側に帳場とCD棚、それに地図&ガイドの回転ラックがある。右奥にはちょっと仕切られたアダルトスペースがチラリ。右側のメインフロアは、壁際は天井までの本棚、窓際にはラック、真ん中に背中合わせの棚が二本ある。目に入る棚はすべてコミック…どうやら古本は右端の通路にしかないようだ。窓際に時代小説と時代劇文庫。右壁に文庫揃い・日本文学文庫・ミステリ・エンタメ・エッセイ。向かいの通路棚に、雑学文庫・講談社文庫・海外文学文庫・実用ノベルス・ノベルス・新書と並んでいる。90年代〜の本が中心で、量は少なめである。値段は普通。この奥の通路で棚を眺めていると、ご婦人が非常に気さくに話し掛けてきた。「風が出て来たみたいね。外は涼しくなってる?」そのストレートな会話の始まりに多少面食らいながら「そうでもないですよ。ちょっと蒸し暑いです」「そう、また雨が降るのかしら。それにしてもいきなり夏になったわよね。春は一体どこ行ったのかしら?」「その前に多分梅雨がありますよ」「あ〜もう、本当コロコロ変わる天気よね。四月には雪まで降ったし…。本はどんなの読むの?」そ。そんなこといきなり聞かれても…「いや、何でも手当たり次第…ってとこでしょうか」「手当たり次第…ハハ!ほら、横山秀夫の新しいのが三冊入ったわよ!」棚の前に本をドサッ。「よ、横山秀夫は初期は読んでたんですが、今はもう…」「そうね〜最近は今野敏が人気よ!」…あのぉ〜別におススメ本を聞きたいわけでは…「あっ、龍馬伝の1が入ったばかりよ!」…う、む…こんな時は何と答えるべきなのか…「うわぁ、早いですね〜」…。帳場で精算を済ませると、またもや天気の話がスタート。「雨降るのかなぁ〜。昨日の雨も突然だったわね」「また今年もゲリラ豪雨とかあるんじゃないですか」「やっぱりどっかおかしいのよねぇ〜」。と言うわけで、このお店には天気の話が大好きで、多少強引なところもある古本ソムリエさんがいらっしゃるのです。ハルキ文庫「壊色/町田康」を購入。
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2010年06月10日

6/10東京・南青山 古書 日月堂

昨日のことである。ちょっと遅めにツアーへ出発。18時30分に、ダイヤの乱れまくったスシ詰め中央線に乗り込み西へ。高尾に着き、さらに先への中央本線に乗り換えると、車窓はもはやトンネルなのか闇なのか判別の着かない状態…著しく不安を覚える…。20時過ぎに山梨県某駅に到着。目指すお店は夜にしか開店していないと言うのだが…。駅を出ると気温が低く、目の前にはほぼ山!この山に張り付く道路をたどってトボトボ…外灯はあまり無く、時折通過する車が勇気と恐怖を同時に与えてくれる。それほど寂しい。それほどコワイ…ほとんど「頭文字D」の峠道なのである。足元の見えなさに泣きそうになりながらも、何とか上の街へ。そして裏路地を歩き回り、ほとんど家にしか見えないお店をようやく発見…が、ここまでの苦労を全く意に介さず、営業していない。ふぅ〜、やっぱりか…とため息をつきながら、闇の中で郵便受の店名を確認し、右に下がった札を見てみる。そこには『しばらくの間、営業は日曜の10時〜12時とさせていただきます』…なにぃーっ!?なんてこったぁ!よし、ではまた日曜に来ようじゃないか。開いてることを心の底から願いながら、また来てみせるっ!と暗闇の小道で誓いをたてて、すぐさま駅へと引き返す。こんな夜に、完全に自分のテリトリー外の山梨にいるのは、とてつもなく寂しい…心細さ、ここに極まれりっ!とダッシュと早足を繰り返しながら、再び山道をヒタヒタ…と言うわけで、日曜に再チャレンジしてきます。


nichigetsudo_new.jpgそして今日である。ここは2009/08/01にツアーしたお店。しかし同じマンションの別室に移転したので、またもや訪れることとなった。道のりは以前と変わらず、何の問題も無く目指すマンションにたどり着く。通りに面した、表と裏の意匠がまったく異なるマンションを見上げると、二階のベランダからお店の旗が突き出している。よし、やってるぞ!とマンションの扉を潜って二階へ進む。すると、廊下左手すぐの部屋の入口周辺が赤い…ほぼ橙な赤である。ひょいと覗き込むと、そこはやっぱり目指すお店で、華奢なガラスの扉があり、店名が浮き上がっている。『カチャリ』と中に入ると、開け放しのベランダから入った風が『ブワッ』ト吹き抜けて行く。本の整理をしていた女性店主がペコリと頭を下げる。こちらも礼を失せぬようガクリと頭を下げる。ちょっとした廊下のような通路があり、左側に絵葉書や栞など紙物が並び、みな古い物ばかりである。そこを過ぎると店内は右に広がり、狭い通路を抜けた後のちょっとした開放感がある。左壁は本棚、その前のベランダ近くに帳場兼事務机、通路終わり右側に目隠しのような背中合わせの棚、窓際には低いボックス状の棚、手前の壁際はボックス状のディスプレイ棚、フロアの真ん中には棚と同色の赤橙な大きなマップケースが二台置かれている。以前と比べると、棚が増えたと言うよりは、余裕を持って鑑賞出来るお店へと変化したようである。左壁棚には、写真集・幻想文学・シュルレアリスム・中公文庫・ちくま文庫・セレクト文庫・写真・美術・デザイン・広告・建築・映画・演劇・ファッション・哲学・文化・社会・書物・海外文学などが、肌理細やかに収まっている。通路終わりの棚には、洋書・ポケット本・1920〜40年代都市&風俗・ダダなどが並ぶ。店の奥に入り込み棚の裏を見ると、すべてが古い戦前本。芸術・文学・ロシア・建築・図案…板垣鷹穂・今和次郎・柳瀬正夢などの名が、パラフィンを掛けた背に浮き出している。手前壁棚は19の箱に分かれ、半分以上がディスプレイ棚。ここも古い本がメインで、コルビュジエ・堀口捨巳・未来派など、刺激的な宝のような本がズラズラ…何かちょっと貴重なアンティークのようで、手を伸ばし難い…。壁は切り抜きやポストカードなどがペタペタ。マップケースの上には、古い大判の図案集や紙物が飾られている。窓際には美術図録や洋書の作品集が並ぶび、棚の上のジョン・ケージのサイン入り写真や、オリベッティのタイプライターが印象に残る。緊張を強いられる非日常な空間だが、棚はひたすらにセレクトされ、ずぶずぶと深く心地良い。過去への跳躍が素敵なのである。値段は普通〜高め。古い良い物には宝のような値段が。窓際で精算を済ませ、マップケースの最下段から取り出した、鮮やかなオレンジの袋にて梱包。ドアをゆっくりと閉めていると、ガラスの向こうでお辞儀をする店主の姿。おじゃましました。みすず書房「シュルレアリスムという伝説/飯島耕一」を購入。
posted by tokusan at 20:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月08日

6/8東京・大久保 修文書房


syubun_shobo.jpg総武線から降りてホームに立つと、焼魚の匂いと連なり重なる屋根に浮かぶ視点に、しばしボーっと呆けてしまう。北口から『大久保通り』に出て西へ。この辺りは、猥雑の終わりもしくは始まりな街。すぐに『北新宿一丁目交差点』にぶつかるので、横断歩道を渡って『小滝橋通り』を南へ。おや?この辺りに昔の『新宿LOFT』があったような…などと思いながら、次の信号でビルとビルの間の小道を西へ。すると、あぁっ!こんな所に古本屋さんがあったなんてっ!一体いつ出来たのだろうか…?雑居ビル一階の店舗で、まだまだ新しい雰囲気。横のビル看板に店名があり、軒には赤い日除け、その下に安売り文庫棚と単行本棚、路上ギリギリにデカ過ぎる『古本』の立看板…。白っぽい店内に入ると、ラジオが流れ意外に広い。壁際は本棚、フロアに背中合わせの棚が二本、その入口側棚脇に雑誌ラックが一台。右奥に凹んだ小スペースがあり、壁際は本棚で、真ん中に低めの背中合わせの棚が一本。奥に帳場があり、しっかりした押井守の如き店主が、静かに静かに座っている。左壁棚は様々なサイズの本が並び、横にジャンルが続く形である。実用・ビジネス・写真・紀行・ガイド・囲碁・将棋・趣味・鉄道・時代劇文庫・海外文学文庫・児童文学。柱を挟み後半は低めの棚に変化して、落語・音楽・映画・TV・演劇と並ぶ。ここは質的に、中々凝った棚造りがされている。向かいは日本文学文庫がズラリと並び、時折単行本もグイッと混ざり込んでいる。下の平台には文庫揃いがズラズラ。二番目の通路左側は、雑学文庫・中公文庫・ちくま文庫・岩波文庫・海外文学文庫・日本純文学文庫・探偵小説文庫・幻想文学文庫・絶版文庫と、奥に進むほど濃密に。下にも古い本や小説新書などが並んでいる。右側は新書・辞書から始まるが、残りはジャンルの掴み難いカオス並びとなっている。しかしここの本はすべてビニール梱包され、しっかりしたセレクト感が漂う。心理学・現代史・文化・ノンフィクション・幻想文学・戯曲・映画・漫画評論などなど。入口右横には廉価コミック・サブカル・自然などの小さめな棚が二本。第三の通路左側は、端に少量の歴史本が並んだ後は、絶版・復刻を交え体系的に並べられた漫画たち。細やかな仕事である。右奥スペースのフロア棚は、最近刊コミックの裏に官能文庫が収まる。壁棚には、大判ビジュアル本・東京・美術・ビジネス・雑本・文化・日本文学・宗教・科学と続き、後は帳場横までアイドル系写真集やアダルトとなっている。パッと見は新しめの街の古本屋さんに見えるが、映画・音楽・探偵文庫・漫画体系棚が、確実に逸脱した濃密な香りを放っている。隠された爪が鋭いお店なのである。値段は普通〜ちょい高。しっかり値付けではあるが、買い易くもある。静かなる精算を済ませて外へ出て、ビルの谷間で心の中で『このお店、全然知らなかった〜〜〜〜ぁ』と仮絶叫。池田書店「阪妻の世界/佐藤重臣」角川ホラー文庫「粘膜蜥蜴/飴村行」を購入。
posted by tokusan at 17:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする