2010年10月31日

10/31東京・神保町 玉英堂書店


gyokueido_shoten.jpg台風が通過して一応雨も上がったので、ぶらりと神保町。『第51回神田古本まつり』の、雨に祟られ本日に集中した熱気と人波に紛れ込み、通りをジリジリと歩く。思った方向には遅々として進めず、露店も微動だにしない人垣に阻まれ、うまく覗き込めない…う〜ん、気合をビシッと入れないと、中々波に乗れないなぁ。よし、ならばツアーで気合を入れようと、あるお店の前に仁王立ち。『駿河台下交差点』から『靖国通り』を『神保町交差点』に向かい、信号を通り過ぎると現れる、南側の脇道の横に建つお店である。私にとっては探偵小説・野呂邦暢・北園克衛などでお世話になったお店なのである。そして本来は日曜は定休日なのだが、さすがお祭り!しっかりと開店中!金属パネルに包まれた共同ビルの右端にあり、三階下にローマ字表記の二階案内、二階窓横に立方体の二階案内看板、軒に店名プレートがあり、その下には白い日除け、入口右横には店内の説明看板がある。一階は通常の古書店、二階には稀覯本が集められ、神保町に相応しいセレブリティな構造となっている。店頭には安売り箱と安売りワゴン。左右の出入口に挟まれたショウウィンドウには、いつも垂涎のプレミア本たちが恭しく飾られている。現在は寺山修司特集。右側から薄暗い店内へ。祭りのためか非常に混み合っており、古本屋さんにあるまじき光景となっている。天井は高く壁際は本棚、真ん中に背中合わせの棚が一本あり、棚脇にも薄目の棚が置かれている。奥に木製の帳場があり、そこにドッカリ座る老店主と、机の前の通路に立つ若者店員さんがひとり。彼の店内を巡る目は鋭く、身体を左右に移動させながら、左右通路を己の視界に納めている。なのでいつもは独特の緊張感が店内に漂っているのだが、今日だけは店に雪崩れ込んで来るお客のパワーが、それを打ち消してしまっているようだ。右奥にはガラスウィンドウを経由しての、厳粛な二階への階段がチラリと見えている。右壁棚は学術書が中心で、法律・経済・思想・中国・歴史・社会。向かいはため息が出る良質な棚で、ウィンドウ裏に海外推理小説、続いて探偵・推理・伝奇小説・日本文学&幻想文学がズッシリ並ぶ。平台と足元の箱にもその流れは継続して行く。ビシッと立つ若者店員を気にしながら、帳場前の棚脇棚を見る。詩集がメインで、下には表のウィンドウと同じく寺山修司がズラリ…こんなに著作があるなんて…。左側通路も何だかギュウギュウ。壁棚には、刀剣・辞書・物理学・数学・書・古典文学。通路棚は、植物・生物・地学・天文学とコチコチに硬い学術書並び。入口側端には『創価学会』で括られた本が集まっている…この括りは初めて見たな。日本文学・探偵小説・詩歌以外は、学術書が多いお店である。しかし文学系のセレクトはお見事で、濃厚な充実を見せつつ、尚且つ棚は動き続けていたりする。署名本も多い。値段はちょい高〜高め。しかし時折安めの本が並ぶことも。緊張しつつ本を帳場に差し出すと、若手社員と老店主が中と外で連携プレイで応対!おぉ、これは「一誠堂書店」の応対と同じではないか!素早く精算が終わったので、「二階に上がってもいいですか?」と聞いてみる。老店主が気軽な感じで「どうぞ」と返答。よかった。私としては関所をどうにか突破した気分。帳場横を奥に進むと、左に腰高のガラスケース…うはぁ、超プレミア探偵小説が四冊…小栗虫太郎「オフェリア殺し」最高!階段下の右壁と奥壁にもガラスケースが埋め込まれ、ここにもプレミア初版本たちがズラズラ。おぉ、源氏鶏太の「ホープさん」!ぬっ、細江英公&三島由紀夫「薔薇刑」!…スゴイ本たちにアテられながら、階段を二度折り返して上階へ。この階段の壁面も大変なことになっている!日本近代文学作家の、原稿・書簡・色紙・短冊などが額装され、壁をビッシリぐるりと覆っているのだ!ここは文学館なのか!?それそれ余裕で五ケタオーバーのプレミア値…この階段だけでお幾らになってしまうのか…?そんな判別出来ない達筆の渦に巻かれ、階数がよく判らなくなったところで、二階への入口。店内は絨毯が敷かれ、さらに文学館的。入口左横にスーツを着た老紳士がおり、私なぞにも「いらっしゃいませ」と声を掛けてくれる。壁際は本棚とディスプレイとガラスケースが融合したカタチで、肉筆原稿(澁澤龍彦!)・三島由紀夫関連・和本・日本近代文学初版本・限定本・豪華本・掛け軸などが、触れるのだがとても触れない状況でズラズラ。右奥の限定本ラックは、縦に面出しが出来るスケルトン棚で、かなり素敵である。真ん中にはソファーセットと共に、絵巻物が飾られたガラスケース。さらにプラ板に挿し込まれた大量の肉筆原稿が、箱にレコードのように収まっている。ぐううぅぅ…おそろしい世界だ。素晴らし過ぎるので目の保養にはなるが、とても手出し不可能!と、尻尾を丸めて早々に退散する私に「ありがとうございました」の優しい声。いつの日か何かをビシッと購入して、堂々とその言葉を背に受けお店を後にしたい…そんなことを妄想しながら、再び「古本まつり」の人ゴミの中。季節社「梶山季之のジャメー・コンタント」を購入。その後、まつり会場をうろつきつつ、『すずらん通り』の早川書房ワゴンでハヤカワ文庫「グランヴァカンス」「ラギッド・ガール」共に飛浩隆(新刊)を購入。驚いたことにワゴンに並ぶ本は、すべて署名入りとのこと!ワゴンに張り付きっぱなしのSF戦士たちのスキを突き、ワゴンの横脇に回り込みどうにか手にすることが出来た。他に厳松堂図書にてハヤカワ・ライブラリ「わが森の賢者たち/スターリング・ノース」を購入!ラスカル再び!さらに羊頭書房にて講談社文庫「三色の家/陳舜臣」を購入。すっかり疲れてしまったので、『ミロンガ』にて青島ビールで一息入れる。あぁ、どこも人でいっぱいであったが、楽しい古本まつりであった。おまつり自体は11/3まで続きます。
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2010年10月29日

10/29新潟・長岡 有楽堂


yurakudo.jpg週末にドデカイ台風が来るそうなので、遠征ツアーを本日決行することに。ところが微妙に寝坊したために、当初の目的地に着く時間が大幅に遅くなることが判明。私は大宮駅で立ち往生しながら沈思黙考…よし、ここはあっさり予定を変更して、新潟方面に向かおう!行き当たりばったりにしては長距離過ぎるが、まぁ何とかなるだろうと気軽に考え、再び車中の人となる…。移動中に携帯でお店を調べ、長岡駅にて下車。東京より少し寒いくらいであろうか。西側の『大手口』から外に出ると、巨大な二つのロータリーと、歩道に屋根の架かる街が出迎えてくれた。古い雑居ビルの連なる、カラー写真に定着した昭和五十年代のような景色が広がるが、新たな工事が行われている所も多く、駅前では隈研吾設計のホールも建設中。ロータリーの南端から、一番手前の『城内通り』に入って南へ。そしてひとつ目の交差点を東に入ると、街はさらに古くなり、二階建ての木造商店が続いて行く。この通りの歩道にも屋根が架かってはいるが、すべてそれぞれの商店が普請したもので、色も形も高さもバラバラなのが楽しい。ズンズンズンズン東に進むと、やがて踏切と巨大な新幹線の高架が迫って来る。そんな現代的構造物の脇に、おぉ!かよわき古本屋さん!感動的な店舗である!まさに風雪に耐えてきた建築である!軒から歩道に向かって、戦艦の艦橋のような歩道屋根兼日除けが張り出している。左側には通過する電車へのアピールか、『古書古本』の大きな文字。そして前面の店名部分は何やらツギハギだらけで、下にうっすら文字が浮かび上がっている…コ・ス・モ・ス・書・房…以前は別のお店だったのだろうか?それにしてはお店に年季が入ってるなぁ。扉は全開放されており、左に100均の壁棚がある。上は古めの単行本で、下は比較的新しめの文庫本。入口付近にはダンボールが多数置かれ、ムックや単行本が詰まっている。店内は古く狭く、壁は造り付けの本棚、真ん中に背中合わせの棚が一本。入口左横に小スペースがあるが、積み重なったダンボールとブランクのある壁棚のみ。奥に雑然としたカウンター式の帳場があるが、そこには誰もおらず、左通路隅におばあちゃんがポツンと座っている。まずは右壁棚に近寄ると、そこは古い本ばかり。日本近代文学・詩集(野口米次郎!)・短歌・俳句・民俗学・説話&民話・古い辞典類・日本語・歴史・考古学・現代史など。通路棚には100均の海外文学文庫・新書・大判作品集・新潟資料本。帳場下に辞書とまたもや新潟関連本が並ぶ。棚脇の美術系本(少量)を見ながら左通路へ。するとここでおばあちゃんが「いらっしゃいませ」私がペコっと頭を下げると「今日は雪ぁ降ってないのに寒いだねぇ」「そうですね、突然寒くなりましたね」と時候の挨拶を交わす。左壁は、日本文学・推理小説・思想・高橋和巳・山岳などがちょっとカオスに並び、入口側の政治・田中角栄関連が新潟を強く感じさせてくれる。向かいはビジュアル本と文庫本がズラリ。古い本の多いお店である。なので佇まいと合わさると、思いっきり古本魔法に掛かってしまう恐れアリ。チラチラと棚に顔を出す面白い本が、魔法の効き目をさらに強力に!しかし手にした本は蔵書印のあるものが多かった。値段は安め〜ちょい高。いい本にはしっかり値が付いているが、かなり隙も多い感触。ダンボールに詰まった「かがくのとも」の束と格闘し、値段が付いていないので「すみません、これ幾らでしょうか?」と聞いてみた。「あら、ちょっと見せて」といいながら二冊の絵本をじっくりチェック…何やらブツブツ言いながら、全ページに目を通して行く。「時間かけてすまねぇな」「いえいえ」…三分ほど後「二冊で300円だ」「ありがとうございます。あ、後これも下さい」と箱入り本を差し出す。「おっ、ありがとう。これは…」と外箱から本を抜き出し本を開く…「あぁ、これは書いてある。200円だ」「あ、それ2000円ですよ。ほら、ゼロが一個多いじゃないですか」「あら!ほんとだ!いやだぁ〜」。そして右手に本を、左手に外箱を手にし「あれ?これなんだ?これは?」と左手の箱を訝しげに眺める。「それはその中に本が入ってたんですよ」「え?何だこれ?」「ほら、こうして本が入ってたんですよ」「あぁ、そうかぁ〜。時間かけちゃってすまねぇな」「いえいえ。ハイお金です」「ん?何だ?」「この本とこの本とこの本で、2300円なんです」「あぁそうかぁ。2300円ね。ありがとうございます」「いえいえ」「袋はいるかい?」「じゃあいただけますか」「どっこいしょっと…あれ?お釣りまだ渡してねぇな」「あっ、ちょうどだったからいらないんですよ」「そうだったか。いやだぁ、私ったら。時間かけてすまねぇな」「いえいえ」…おばあちゃん!いつまでも現役でいてくださいね!この後『中央通り』沿いの二店を見て回るが、現在午後二時なのに開店する気配ナシ。一店は本が入った50均箱を店頭に放置…どうやら営業はしているようだな。もう一店は『午後よりPM7:00まで』の紙が貼られているが、シャッターは下がったまんま。むっ?その紙に『かおす書房内コスモス書房』の文字!これは、先ほどのお店の日除けに残っていた店名!一体何故!?「有楽堂」は店舗自体は古いが、もしや比較的新しいお店なのか?謎は深まるが、お店が開かなければ調べようもない…長岡は午後二時以降に要再訪!二見書房「単独行/加藤文太郎 風雪のビバーグ/松寿明」福音館書店「かがくのとも66号 まよいみち/安野光雅」福音館書店「かがくのとも70号 たこ/加古里子」を購入。
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2010年10月28日

10/28埼玉・戸田公園 ふるほんのくらの


furuhon_no_kurano.jpg雨降りの街に浮かび上がった駅の高架ホームから、二階を経て東口の小さな駅前広場へ。目の前の小さな通りを東へ進む。左に赤い丸ポストが立ち、右側には小さな畑…この先に古本屋さんがあるのか不安になる、いきなりの住宅街である。ひとつ目の十字路をそのまま進むと、右手に何やら不思議な建物が見えて来た。横から見ると、平屋に平屋を継ぎ足したような建物…しかし中には麗しき本棚の姿!軒はただ白く看板も無く、その下に三つの電球が輝き、ドラゴンボールのイラストを貼り付けた、頼りないサッシを照らし出している。出入口は左右に二つあり、左端に喫茶店のような『古本・CD』の看板。カラッとサッシを開けて一段高くなった店内に入ると、まるで昔の町の集会所のような、木材に囲まれた空間…ゴトゴトと靴音を響かせる木の床、わりと年季の入った木の本棚、通路の所々に屹立するか細い木の柱。懐かしい風合いに構成されたお店は意外にも広々としており、左奥にも広がっている。壁はぐるっと本棚、真ん中に背中合わせの棚が二本、左奥のスペースにも背中合わせの棚が二本。奥のスペースとの境に帳場があり、ゲームソフトと射撃の人型標的に守られた、昔の少女漫画家のようなご婦人が店番中。店内BGMのちょっと暗めな70年代歌謡曲に乗って、棚を眺めて行く。入口右横には児童文学とアニメムック。右壁はコミックが並び、向かいの通路棚と真ん中通路もすべてコミックとなっている。奥壁には渋い色合いの絶版漫画棚もアリ。左端通路に古本が姿を見せ、右の通路棚には時代劇文庫・日本文学文庫・海外文学文庫・ハーレクインが並び、下には古めのVHSビデオが置かれている。左壁棚は、雑誌・サブカル・TV&アニメ&特撮単行本・ノンフィクション・科学・実用・新書・実用ムックと収まっている。帳場前を通り、ゴトゴトと左スペースへ。ここはほとんどが音楽CDとゲームソフトの棚となっているが、良く見ると古本もチラホラ。まずは帳場横にコンピューターと音楽雑誌。そして左奥手前側隅に写真集とホビー雑誌・フィギュア関連など。さらに一番奥の通路棚は、すべてゲームソフト攻略本が詰まっており、ファミコン&スーファミ時代の本も大変充実。また棚下には箱入りのスーファミソフトが、レンガのように積み上がり圧巻。素敵な街の古本屋さんで、コミックとCDがメイン。古本はサブカルムックと攻略本が突出している。それにしてもこのお店、以前に戸田公園に来た時は、存在すら感知出来なかった…いつからあるのだろうか?最近出来て、作為無しにこの風合いを出しているとしたら、ワンダフルな手腕と言えよう!値段は安め〜普通。お店を出て、東口駅前にある中華様式の古本屋さん「一兆」(2009/05/13参照)を見に行く…が、無い!無くなってる!すっかり中華の香りを拭い去られ、無残なただのテナント物件と化している…中はアダルトメインであったが、あの外観には捨て難いものがあったのに…残念である。風塵社「仮面ライダー名人列伝/平山亨」を購入。
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2010年10月27日

10/27神奈川・戸塚 ブックショップすずらん


bookshop_suzuran.jpg夕方に家を出て一時間ほど電車に揺られた後、駅の東口に出ると、とっぷりの真っ暗な夜。『戸塚モディ』の脇を抜け、『東海道』に出て北を目指す。『戸塚駅東口入口』から、龍の背のようにうねる道をテクテク。長いスパンで二うねりすると『吉田大橋』。橋には広重の『戸塚宿』のレリーフが飾られ、左の川縁には各部屋の窓明かりで浮かび上がった、山塊のように連なる巨大団地群。橋を渡って左に一うねりすると『元町信号』。さらに進んで右に一うねりすると、低層マンションの一階で、明るく青く輝くお店にたどり着く。おぅ、開いているではないか!このお店の営業時間は、10:30〜13:00・17:00〜19:00と変則的なのである。以前に訪れた時は、思いっきり空白の時間帯だったので、かなり悔しい思いを味わったのであった。出入口は東海道側と脇道側にひとつずつあり、どちらかと言うと脇道側がメインのようである。三階の壁には店名看板(東海道を下る車のためだろうか…)、軒には青く大きな日除け、その下には三本の壁棚と出入口。棚は105円均一で、文庫・ティーンズ文庫・コミックが多く並ぶが、かなり日に焼けており状態はあまり良くない。店内を覗き込むと、ジャージ姿の女子中学生二人が立読みをして、通路を塞いでしまっている。なので東海道側に回り込んで、カチャリと入店。中は広く木製の棚が林立し、昔の本屋さんと言った風情を漂わせている。壁際は本棚、真ん中には右側に背中合わせの棚が二本、左端に前後に背中合わせの棚が一本ずつ、右奥に棚で造られた余裕のあるアダルト小部屋、中央奥壁際に帳場の構成。各通路足元にはミニ雑誌ラックが配されている。お店の中央部分はコミックで占められており、右端通路に実用・ノンフィクション・辞書・絵本・児童文学・図鑑・BLノベルス・ティーンズ文庫・ハーレクイン・官能文庫。そして左端通路に一般的な古本がズラズラ並び、左壁棚上に世界文学全集を収め、下に日本文学文庫・最近刊文庫&単行本・海外文学文庫・新書・雑学文庫・岩波文庫。下の平台には、赤川次郎・内田康夫・勝目梓・西村京太郎などの多作家の文庫がズラリ。帳場横には『ハードブック』と名付けられた、ミステリ&エンタメのハードカバーが収まっている。通路棚には、女流作家文庫・時代劇文庫・ノベルスが並ぶ。骨の髄まで街の古本屋さんである!整頓されているが古本屋然とした店内、木製の本棚、ユルッとした雰囲気と緊張感の無い棚…すべてが場末感と絡み合い、ガツガツさゼロの街のエアポケットとなっているのだ!…フフフ、楽しいなぁ。値段はもちろん安め。帳場のオヤジさんも、これまた完全なる街の古本屋店主のスタイル!戸塚近辺で東海道を利用する方は、ぜひ一度立ち寄ってみて下さい。心は決して洗われませんが、店内に滞在している時だけは、この世のしがらみから逃れられることを保証する次第です。講談社文庫「吉田自転車/吉田戦車」中公新書「動物の脳採集記/萬年甫」を購入。
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2010年10月26日

10/26東京・神保町 三茶書房


sancha_shobo.jpg先ほどまで降っていた雨は上がったが、代わりにびっくりするほどの冷たい風が吹き始めた。突然の気温変化による風邪に警戒しながら、御茶ノ水駅から『明大通り』を南へ下る。やがて『駿河台下交差点』。今日のツアー先は交差点際にあるお店である。『靖国通り』の対岸から、周りを囲むビルと共にお店を眺めると、そのビルがほとんど直角三角形をしており、角地のビルと三省堂のビルと、パズルのように組み合わさっていることがよく判る。壁には茶色の店名看板、軒には看板文字と大きく張り出した茶色い日除け。その下には、全集本を美しく階段状に積み上げたウィンドウと、左右二つの出入口(本来は三つ)。光を歩道に投げ掛ける窓からは、好ましい店内の様子が丸見えである。店頭には三台のワゴンが置かれ、左から500均・300均・100均となっている。岩波文庫が品切れも含めて多く並んでいる。また、値段が高いほど教養度がアップし、安いほど大衆性が強くなっている。右端の入口から店内へ。天井が高く一部吹き抜け風で、頭上を見上げると、棚の上部には大量の文学全集が横積みされており、その堅固さは二階を支えているかのようである。中はやはり三角形で、奥には二階への急階段。しかし今日はどうやら進入不可…。右壁とナナメ左壁には造り付けの本棚。フロアには、入口側サッシから二本の背中合わせの本棚が並んでいる。右奥階段下が帳場になっており、ヒゲを生やした松尾スズキ風男性が店番中。背後の棚も含め、変則的な土地の形状を上手に生かしたお店となっている。右の壁棚は、世界史・文明・文化・宗教・歴史・古代史・民俗学がドッシリ。大抵の本には値段を書いた帯が巻かれている。向かいは、俳句・古典文学・江戸文学の箱入り本。棚脇には額装された三好達治と土屋文明の色紙アリ。真ん中の通路は、右に短歌・詩集・詩論、左に海外文学となっている。裏のウィンドウ前は、エッセイ・カルチャー・映画・最近刊文学・ビジュアルムックなど、ちょっと一般的な並びとなっている。左のナナメ壁には、明治〜昭和の日本文学が重要作家を中心に並び、小説・評論・評伝・研究などを取り揃える。下には文芸ムックや、布が張られた「民藝」が平積みされている。棚の端には探偵・伝奇小説も揃い、後は階段上に向かって美術・作品集・額装された地図や書簡が続いて行く。ここには作家自身の本(古いものばかり)が並び、値段も含めてスゴイことになっている。二階は遥か昔に上がったことがあるが、ガラスケースと本棚があり、萩原朔太郎の「猫町」や安部公房の限定本などを見た覚えがボンヤリと…。日本文学がメインのちょっと硬めなお店である。古い本・見たことの無い本や全集類も豊富で、棚に漂う深みと重量がその向こうに広がる宇宙を感じさせてくれる。値段はちょい高〜高め。奥の帳場で精算していると、かなり気になる物…いや、欲しい物が目に飛び込んで来たっ!それは『古書買入』と書かれた黒い三角錐!あの『校長』とか『検事』とか書かれ、厳しく机上を飾る謎の物体である!素敵過ぎるっ!その上、書皮がベリープリティ!興奮を抱えながら表に出ると、歩道に溢れるブルーシートに包まれた平台。…明日から「神田古本まつり」が始まるのか…。夜の中に蠢く古本の束と、まだまだ働き続け、準備に余念のない神保町の人々。どうやら明日は寒く秋晴れ。盛大なおまつりとなりそうである。岩波新書「沙漠の征服/中谷宇吉郎」講談社「大正文士颯爽/小山文雄」を購入。

●お知らせ
明日10月27日発売の雑誌「男の隠れ家 本のある空間、本とある時間。」に寄稿させていただきました。私が白昼夢を見ていたり、予想外のアクシデントがなければ、『日本全国“超厳選”古本屋ツアー』と言う記事が掲載されているはずです。本屋にお寄りの際は、ついでに手に取っていただければ嬉しい限りです。当ブログの超セレクト(諸事情により泣く泣く掲載断念したお店アリ)&リミックスバージョンなのですが、文章は新たに起こし、未発表の写真も掲載してあります。その上、このブログの方向性そのままに構成されているので、ある意味雑誌内ではおかしな記事となっております。そんな記事を許していただき、また各店に連絡を取ってくれた編集K氏に感謝(“隠れ家のKです”と掛けてくる電話は斬新!)。そして掲載を承諾してくださった、各お店にもこの場を借りて、ありがとうございます!
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2010年10月25日

10/25東京・矢野口 ブックランド


book_land_yanokuchi.jpg宮前平の奥地で仕事。帰りに行きがけに目を付けていた、古本が売ってそうなお店を覗いてみたが、そこにはデュエルに熱中するする若者たちの姿…。サクッと見切りをつけ、次の目標である稲田堤駅に急行。「古書 青春堂」(2009/10/22参照)の健在を確認して本命のお店へと向かうが、もぬけの殻の大空振り。しかしこんなことで、もはや私はめげるわけにはいかない!素早く身体を反転させ、一駅先の矢野口駅へ移動する…。南口を出てまずは南の『川崎街道』へ。そして大きな道をひたすら西へ駆け始める。レンガ色の歩道を蹴って、降り始めた雨から逃れるように駆け続ける。途中左手に「ブックスーパーいとう」を発見。「矢野口本店」とあるが、こんな所に「いとう」の本拠地があったとは!…知らなかった。軽い衝撃を覚えつつも、あえなくタタタと素通りする。700mほど疾駆して息が上がってきたところで、『東長沼陸橋交差点』に到達。下に道路を通した交差点の南西側マンション一階部分に、煌々とした救いの明かりが輝いていた。ようやく今日のお店にたどり着いたことに、ホッと安堵。一階の角地にあるお店は、店名看板を交差点の中心に向け、軒を側壁まで輝く取扱品目が取り巻いている。店名の下には必要性の無い日除けと、明るい出入口。出入口の右側には、何に掛かっているのか不明な『ザ・古本』と書かれた駐車場の看板。左側壁のウィンドウでは、恐竜のイラストが『ザ・古本』の看板を持っていたりする。中に入ると縦長な店内で、入口右側に設置されたレジを境に、アダルトゾーンと通常ゾーンにがっつり二分割されている。通常ゾーンもメインの品はコミックで、古本は左端通路でがんばっている模様。入口付近のCD棚や絶版漫画の飾られたガラスケース、それに恐ろしくホコリを被った100均本が並ぶワゴンの間を擦り抜けて、奥へ。左壁は、サブカル・実用・異様に古い登山本から始まり、雑誌ラックを挟んで作家50音順日本文学文庫・幻冬舎文庫・角川ホラー文庫・中公文庫・戦記文庫・時代劇文庫・新書・雑学文庫・海外文学文庫と並ぶ。新しい本が中心で、古い本はほんの時折顔を見せるくらい。狭い通路を挟んだ向かいには、105円棚が四本並び、単行本・ノベルス・辞書・文庫・ラノベ・ティーンズ文庫などを収めている。ちょっと古い本がほとんどだが、食指の動く本はあまり見当たらない。その後にノベルスとミステリ&エンタメ、ラノベ・コミック文庫と続いて行く。まぁ通常のリサイクル古書店である。だから少数ではあるが、登山本の古さの突出に異様さを感じてしまう。値段は普通。しかしこの「ブックランド」と言う店名、色んなトコにある気がして、個人店なのかチェーン店なのか私には判別不能なのである。レシートを貰うと「稲城店」と入っていたので、やはりチェーン店なのだろうか?では本店は何処に…わりと近い西調布の「ブックランド」(2009/09/14参照)は果たして…?講談社文庫「無明の蝶/出久根達郎」中公文庫「ぼくが愛したゴウスト/打海文三」を購入。
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2010年10月24日

10/24栃木・下今市 analog books


analog_books.jpgここ最近、辛酸をなめさせられていた栃木。今日はその哀しい日々に復讐すべく、確実に開いているお店を目指して北へ!目指すのは日光市!電車は山間の土地を進み続けているので、標高が上がった感じはしない。しかし次第に耳が詰まり始め、駅に着いた時に欠伸によって開放される始末。幅の狭い跨線橋を渡って改札と待合室を抜けると、田舎の景色の広々としたロータリー。そこを右側から回り込み、南に向かって街に入り込んで行く。するとすぐに古い商店が建ち並ぶ『東町通り』に行き当たるので、スルッと流れるように南西へ向かう。音がまるで古い建物に吸い込まれたように、森閑とした街路。開いているお店でさえ音を立てることはなく、灰色の空の下に古びた灰色と茶色と緑色の景色が続いて行く。そして最初に現れた街の十字路を、西北に延びる路地に入り『報徳二宮神社』方面へ向かう。住宅と寂れた店舗が点在し、庭に薪が積み上げられたりしている。右手に立派な鳥居が出現して、道路がツギハギになると、左手前方の建物に挟まれた、中庭のような駐車場入口に黒い看板を発見。カフェや雑貨屋さんと並んで、そこには目指すお店の名前。縦長なナナメ停めの駐車場を奥へと向かう。その行き止まりにアパートのような建物があり、壁面にはそれぞれの看板が出されている。トタン屋根の張り出した、建物右脇の『玉藻小路』に入り込むと、右側がすぐお店となっている。大きく採られた窓には、電球の形のようなロゴマークが、オシャレにポツン。奥にサッシの出入口があり、窓には手描きの『禁煙』『撮影禁止』『ペット入店不可』のアイコン。横の壁に掛けられた、三店共通の営業日黒板が、実用的過ぎて何だか可笑しい。サッシを開けて中に入ると先客がすでに三人。一人は店主と何やら古本屋談義をしており、黒磯の「白線文庫」(2010/07/19参照)も話題に上がっていた(後ほど白線さんのショップカードが置かれているのを確認)。ハットにネクタイを締め、カフェの前掛けでビシッと決めた店主は、記述の通りお洒落な青年なのである。それに呼応するように、店内も当然シックにオシャレなのである…客が私一人だったら、よりムダに緊張しているところだった…。出入口の両脇にはガラスで仕切られた小カフェスペースがあり、奥が横長の店舗となっている。真ん中には、手前側が平台付きラック、奥側が平台付き棚の、背が低めで横長な什器が一本。奥は一面の壁棚で、右壁に簡単なラック、左側がレジ兼厨房となっている。フロア棚の手前は雑誌やビジュアルムックが多く並び、雑貨・暮し・デザイン・写真・絵本(さとうさとる+むらかみつとむ!)などなど。裏側には小型のムック・文庫・新書・単行本が収まり、「広告批評」・広告・マーケティング・セレクト海外文学・セレクト日本文学・アート・海外の街・ファッション・音楽・エッセイ・写真評論・雑貨・カフェ…。平台には暮し・アート・カメラなどの雑誌がズラズラと並んでいる。右壁には写真集やイラスト集が飾られ、奥壁には絵本・ビジュアル本・アート・音楽・デザイン・建築・「暮しの手帖」・松浦弥太郎・HIROMIX・本関連・カルチャー雑誌。この奥壁棚は真ん中下部が面白い構造になっており、雑誌を縦に数冊平積み収納しながら、表紙が見られるように少し階段状になっているのだ。そこには「流行通信」・「spoon」・「pen」・「BRUTUS」…。オシャレなセレクトを徹底して突き詰めたお店である。それ以外のものは皆無!本はすべて物理的にキレイで、内容もキラキラしたものばかり。文化系女子的な視点のお店と言えば簡単なのだが、どうも根底にはクールなものが漂っている感じがする。ここまでキラキラホワホワが収集されると、偏執っぷりが逆に格好良い…イカン!魔法にかかってしまったか、それともヤキが回ったか…!?値段は普通〜ちょい高。途中入店して来た男性が、「今度栃木駅前に古本も売るお店を出すんです。参考にさせていただこうと思い、今日は伺いました」と緊張の面持ちで店主に話し掛けている。むぅっ!これは耳よりな情報!素晴らしいことではないですか!早いとこ開店してください!と、棚を眺めながら心の中で秘かにエールを送る。停滞気味の栃木の古本屋地図が、徐々に書き変わり始めている予感。県内に遠く離れて存在するお店同士をつなげるネットワークも、これから充実して行くのでしょう。栃木の若い古本レジスタンスたちが、表舞台に駆け上がる日を待っています!そうすれば次回も、辛酸ではなく甘い蜜をペロリと舐められるはず…。暮しの手帖社「暮しの手帖 花森安治」を購入。
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2010年10月23日

10/23東京・永福町 株式会社ドエル書房


doeru.jpg昨夜参加した宴で手に入れた耳よりな情報…永福町に新しい古本屋さんが出現していると言うのだ!そして本日、二日酔いの身体を自転車に乗せ、南を目指す。通過した阿佐ヶ谷駅周辺は、すでに『阿佐ヶ谷ジャズストリート』の賑わい。ほほぅ『杉並区立郷土博物館』では、角川源義特集が…と和田堀公園を通過し、『方南通り』から『永福町北口商店街』に至る。自転車の速度を落とし、左右にキョロキョロ視線を飛ばしながら駅方面へ。居並ぶ店舗を、シャッターが下がったものも含めて確認して行く。どれだ?この道でいいのか?本当にあるのか?と、長い商店街を1/3ほど進んんだところに、左手にお寺と鉄塔…右に新しめなマンション…そこに本の違和感!これがお店?まるで工務店のようではないか。それに入口前に立っているこの電柱は何なんだ!エントランスの軒には、白く立体的な店名看板文字…株式会社がデカい!そしてこの店名!インパクト大な店構えである。横の柱には木材で造られた、まな板ほどの鑑札札!…何故!?路上には立看板が出され、『味わい深い古本を中心に雑貨・新刊本を扱っております』の文字。エントランスには人々が憩うためだろうか、多数のパイプ椅子が置かれ、ちょっとした式典のような様相。ちなみに永福町駅からは、北側『井の頭通り』に出て『永福町駅前交差点』から、『永福町北口商店街』に入る。後はひたすら北へ向かって進む。右手遠くにそびえ立つ鉄塔を目指して行けば、やがて左手にお店が見えて来る。店内は明るく白くキレイで、広々と横長である。入口右横にレジがあり、背筋正しく静かな佇まいの女性が店番中。左側にはコピー機がデン。壁はぐるっと本棚で、フロアは左にテーブルと背中合わせの棚が一本、真ん中には柱を中心に棚とテーブル、右に長めで低めの背中合わせの棚が一本、と言う構成。まずは左壁に張り付くと、最初は大活字本の棚で、これはどうやら新刊なのだが、探偵小説が異様に充実したりしている。次に日本文学の古本棚となり、単行本・新書・文庫などの形態と年代を越えた並びが続いて行く。作家50音順に、幅広くフォローされた棚である。最後の方に海外文学が顔を覗かせる。左側フロア棚は時代劇文庫と歴史小説が並び、裏側に文学評論・思想・哲学・古典文学・全集少々。テーブルは企画ジャンルとなっており、今は『食』をテーマにした本が飾られている。真ん中の柱周りには100均棚・『食』テーブル・「芸術新潮」「銀座100点」の雑誌棚。右側の棚は美術と絵本が集められている。奥の壁棚は、『サブカル』と言うジャンル名で、映画・漫画評論・タレントなどが固められ、『男子の美学』『女子のたしなみ』などのジャンルも。後は普通になり、食・生き物・音楽・風俗・江戸・茶・芸能・城・鉄道・兵器・戦争と続く。右壁は宗教・世界史・歴史・近現代史が収まる。レジの横にはチャップリン人形など、アンティークもしくは古道具の棚。幅広く細かな棚造りがされており、新刊書店のような見た目とは裏腹なお店である。そして全体的には、ブックディレクターの造った棚風なのである。値段は『おっ!』と思えるほど安め。途中、作業服のおじいさんが入って来て、「自転車が置いてあるんだけどさ、ドエル書房って書いてあんだよ」「社長のかしら…置いてっちゃたのかなぁ…?」…一体社長の自転車が何をしでかしたのか?そして精算時に、お店がいつ出来たのか訪ねてみると「出来て二ヶ月ほどなんです。またぜひお寄りください」とニッコリ。お言葉に甘えて、時々自転車で見に来ます!岩波新書「幕末の長崎/森永種夫」中公文庫「閑な老人/尾崎一雄」を購入。
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2010年10月22日

10/22東京・清澄白河 しまぶっく


shima_book.jpg半蔵門線で東へ。地下から細いエスカレーターを駆け上がり、『B2出口』から地上へ。目の前の『清洲橋通り』を西に向かうと、左手にすぐに『仲通り』なる侘しい商店街が現れる。か細いネオン管のゲートを潜って南へ。スクェアに道路が区画され、低層ビルと住宅しかない完全なる下町エリアである。色鮮やかなプラ製紅葉に見送られ、南端のネオンゲートを潜ると、『深川資料館通り』と言う不粋な名の付いた、いい感じの商店街に出る。おぉ!もう左手南側に水色の『本』の文字が見えている!ビルとビルに挟まれた平屋の商店で、外壁は白く塗られ、その下には薄いカーキ色の日除けが横長に張り出している。懐かしい木枠の引戸は全開にされ、中々開放的な雰囲気。歩道には縁台がいくつか出され、その上に200均が四箱、300均と100均が二箱ずつ置かれている。この箱たちは店内にも蔓延っているのだが、それぞれ箱ではなく“しま”と名付けられている!『¥100のしま』『¥300のしま』と言った具合なのだ。“しま”には文庫・単行本のキレイなものが詰まっている。店頭には洋絵本や玩具の入った“しま”もあり。焦げ茶の板が敷かれた店内に入り込む。横長で壁際は白い本棚。左奥に帳場があり、活動的スタイルのご婦人が読書しながら店番中。フロアには、右に低めの背中合わせの棚が一本、帳場前には柱状の四面棚が屹立している。ちなみに左壁棚は、すべて洋絵本や洋ビジュアル本の新刊が収まっているようだ。店内に流れるシャンソンに身を任せ、数人の女性客に紛れ込みながらツアースタート!入口右下には、まず“岩波新書のしま”がプカリ。右壁は少し低めな棚から始まり、島・熱帯・世界文明…むむむ、何だかただ事ではない感じ…海外文学・民俗学・海外民俗学・科学・思想・美術・日本・相撲・オカルト・幻想文学・澁澤龍彦・中国・陰陽道・古典文学。角棚には鳥獣戯画雑貨と職人関連本。奥壁には歴史&時代劇小説・「バカボンド」・江戸・東京・俳句・夏目漱石・日本近代文学・文学評論&評伝・最近刊セレクト文学本・山田稔・堀江敏幸・フランス文学・世界文学・古本関連・エッセイ&随筆…大胆で思い切ったセレクトの棚造り!一歩踏み出してる感じがたまりません!こりゃ一瞬たりとも気が抜けない!おっと、足元に“サッカーのしま”がプカリ。背中合わせの棚右側には、主に思想・精神科学関連。内田樹・甲野善紀・橋本治・中井久夫・神谷美恵子・河合隼雄・吉本隆明・鷲田清一・中島義道などなど。左側には、食・女性実用・テレビ・タレント・サブカル。続いて柱状の棚の前へ。右棚は足元に“猫のしま”を携えながら、犬・絵本・児童文学。手前棚は沖縄本&雑貨が集まり、足元にも“しま”あり。左棚は写真集・美術図録が収まり、足元には建築本の詰まった箱…名札が無いが、勝手に“建築のしま”と記憶する。奥棚には詩歌・映画・音楽。棚造りが非常にユニークで、各ジャンルはお店が選んだ中心的な人物の本が複数冊並び、それを核にして周辺の本が並ぶカタチとなっているのだ。潔いセレクトと言うか、心地良い偏りがたまらないっ!値段は普通〜ちょい高。…いつの間に下町にこんなお店が…。『清澄庭園』→『深川江戸資料館』と訪ね歩いた後、“しま”にブラリと立ち寄るのが、この街の新しい散歩コースに決定しました!ウエッジ文庫「彼もまた神の愛でし子か/大原富枝」みすず書房「記憶の肖像/中井久夫」を購入。
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2010年10月21日

10/21東京・板橋 ブックス橘屋 板橋店


books_tachibanaya_itabashi.jpgホーム北端から、線路下を潜って東口へ。噴水を中心に桜が植わったロータリーを右側から抜けて『滝野川桜通り』へ。名前の通り桜並木の緑の多い道を南へ。道はすぐに東へグインと曲がり始めている。ロータリーから二つ目の信号に至ると、右手のちょっと奥まったマンション一階にお店の姿。先日消え去った駒込店(未紹介です)の系列店なのである。歩道近くには電光掲示板が立ち、軒には店名看板。これは右側が真っ白になっているが、下のウィンドウを良く見ると、出入口が二つ確認出来るので(右側を封鎖中)、左右別店舗だったのをぶち抜いて使っていることが判る。それにしても左側出入口に書かれた店名が、“屋”だけになっているのは何故なのか…。店頭には五本の本棚が“コ”の字状に置かれ、右奥二本に100均文庫・100均単行本・100均新書…その並びには豆電球のようにチラリと瞬く、古本の輝きらしきものが見えている。ガチャガチャの前を通って店内へ。棚に似つかわしくない、ちょっとファンキーな音楽が流れている。さらに奥の帳場には、明らかに体育会系の古本屋には似つかわしくない若者店員。壁際は本棚で、真ん中に背中合わせの棚が二本、右端にアダルト空間あり。そして真ん中と右側は、すべてコミックとゲームになっている。ただし入口右横に、100〜200円の単行本棚が一本…むっ?パラフィンに包まれた80年代の本なども…何かありそうだな。古本は左端通路に集合・整列している。右側の通路棚は、ムック・時代劇文庫・作家50音順日本文学文庫が並び、絶版&品切れが時折挟み込まれるカタチ。そして左側の壁棚、ノベルス・新書・海外文学文庫と並び、突然旺文社文庫中心の絶版文庫が半列現れる。その後教養系文庫と雑学文庫が並び立ち、辞書・将棋・歴史小説・ミステリ&エンタメ・探偵&推理小説。そしてさらにここから古めの古本率が跳ね上がり、日本文学・俳句・映画・民藝・絶版文庫再び・世相・風俗・風俗関連ルポ・旅行記・実用・ガイド・澁澤龍彦・絶版漫画…むぅ〜思いっきり侮っていたので、完全に虚を衝かれてしまった。古本自体の冊数は少ないのだが、しっかりとした古本が並んでいる。しかもただやたら古い本を並べているのではなく、渋くセレクトされている節が…。このように古い本をちゃんと並べるリサイクル古書店&チェーン店が増えて来たような気がする(私が今まで気がつかなかっただけかも…)。もちろん専門店には適わないのだが、この多様性は歓迎したいところである。値段はちょい安〜普通。ガタイの凄い体育会店員さんは、その大きさとは裏腹に、丁寧で繊細な接客をしてくれました。ちくま新書「<狐>が選んだ入門書/山村修」朝日選書「自伝 空想旅行/小野十三郎」を購入。
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2010年10月19日

10/19東京・早稲田 金峯堂書店


kinhoudo.jpg新聞で見かけた小さな三行広告に『古本売ってください。早稲田』の文字…「安藤書店」か…これも何かの巡り合わせ!行ってみよう!例の如く高田馬場駅から『早稲田通り』を東に進む。『馬場口交差点』からさらに東に坂道を下る。北側の歩道を進み谷底に至る。さらに緩い上りを少し進むと、信号前に「安藤書店」…閉まってるかぁ〜。ここで巡り合わせの糸はプツンと途切れ、元気なのはシャッターに描かれた、永島慎二の“旅人くん”のみ。仕方なくそのまま坂上へ足を向ける。気持ちを新たにして、旅人くんのように軽やかに歩き始めると、その気持ちに応えてくれたかのように、左手にお店が出現…早稲田よ、ありがとう。打ちっ放しコンクリのペンシルビルで、二階からは大きな店名看板が突き出し、軒には小さめの金属看板文字と黄緑の日除け。特徴的なのは、左右の出入口脇に設置された細い壁棚で、可愛らしい屋根まで付いているのだ。閉店後は恐らく雨戸のようなものをはめ込み、そのまま一晩を明かすのであろう。右には100均新書、左には100均学術書が詰まっている。右側壁の上部には、ブリキ製の店名看板…これは昔のものを残しているのだろうか?その下には木製の平台が階段状に三台。ここは50均文庫の天国となっている。正面店頭には『五拾円』の札が輝く50均単行本台あり。右側から店内へ進むと、新しく白っぽくキレイな空間で、奥の帳場におられる老夫婦も何だか白っぽい。まるでソフトフォーカスのかかった天使のようである。左右の壁は天井までの本棚、真ん中に小さな低い平台付きの背中合わせの棚が一本あり、左右の行き来は帳場前で行う構造。右壁には上部に重々しい全集が集まり、映画・演劇・戯曲・伝統芸能・歌舞伎・舞踊・海外文学・澁澤龍彦・日本文学・文学評論・詩歌・日本近代文学・評伝・研究・古典文学と並ぶ。向かいは大半を哲学・思想・世界史・近現代が占め、下部と平台に岩波文庫・講談社文芸&学術文庫・新書が並ぶ。左側通路は学術書や教科書類が集まっており、壁際には法律関連が重々しく大量にズラ〜リ。通路棚は、経済・政治学・社会学・宗教・会社法など。硬めで生真面目なお店である。左側は専門的過ぎてチンプンカンプンだが、右壁は日本文学・映画で楽しめる。値段はちょい安〜ちょい高。丁寧に本を包んでいただき表に出ると、あぁっ!対岸の「浅川書店」(2010/07/24参照)旧店舗が取り壊されている!まぁ火事で大変なことになってたからしょうがないか。その代わり隣の新店舗は、店頭の賑やかさが増したようだ。創樹社「浅草コレクション/関根弘」新潮文庫「血の収穫/ダシール・ハメット」を購入。帰路、高田馬場駅前・芳林堂書店の「ふるほん横丁」にも立ち寄り、「西村文生堂」の北光書房「墨水十二夜/吉井勇」を購入。
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2010年10月18日

10/18東京・秋津 古本らんだむ


random.jpgホームの腹からちょっと上がって南口に出ると、そこはもう商店街。人々はJR新秋津駅に向かって流れて行く。私もその流れに乗って西へ。秩序無く様々なお店が、駅と駅の間に連なっている。真っ直ぐ進むと道は北(JR駅方面)と南(秋津中通り方面)に分かれる。南から再び西へカクッと曲がる道を採り、駅前へ。途中、駐車場の金網に『この先300m 古本・DVD』のミニ看板を発見。『古本・駄菓子・アダルト』と、相容れないもはや詩的とも思える取扱品目が羅列してある…。看板を信じて前進。右に新秋津駅を見ながら、『秋津中通り』で武蔵野線直上をナナメに通過し、そのまま新たな商店街に突入する。やがて右手に郵便局が現れたら、その先には『古本』の看板。お店の前に立つと、何と街道沿いの出桁造り商店建築風!…何故だ?まるで酒屋さんのようである。店頭には『古本・アダルト・駄菓子・コミック』の立看板、窓には買取値段表と共に、ドット風フォントの店名看板。緑色のタイルを踏み締めて中に入ると、縦長で天井の高い店内。左右の壁は本棚、左壁奥には棚で造られたアダルト小部屋。フロアには二本の背中合わせの棚が並び、右端と真ん中通路はすべてコミックで埋まっている。希望は入口左横と左端通路…見た目はリサイクル古書店であるが…。入口横には映画DVD・「淡交」・雑誌・児童文学。足元にはジャンクゲームソフトの箱。アダルト小部屋の壁裏棚には、ノベルスと新書が作家50音順に並べられている…珍しい並びだ。恐らく大きさが合うためにこうしたのだろうが、それでも分けるのが人情と言うものであろう…しかし!新書の方が少ないのだが、ちょっと光るセレクトがされていたりする。あ行のノベルスに挟まれ、網野善彦が三冊も!通路に入ると、左壁に最近刊文庫・作家50音順日本文学文庫・ホラー系文庫・雑学文庫・海外文学文庫、そしてアダルト入口を挟んでラノベ棚となっている。文庫は絶版本がほんの少しの新しめなラインナップだが、並び方&セレクトに趣味の良さがキラリ!…う〜ん、一体何だろう?私と波長が合うだけなのか…?向かいは日本文学を中心に、随筆・ノンフィクション・文化・美術・建築・思想なども織り込み、作家50音順。後に海外文学・辞書・占い・実用などが続く。ここにも一般的な本の間に、突然伊藤俊治やポルノ関連が現れるので、私の心は小さく小娘のように波立つのである。基本はあくまでリサイクル古書店なのだが、20冊の中に一冊は面白い本が顔を覗かせ気味…これは一体どのような意図なのだろうか?まるで出来レースの宝探しだが、それでもちょっと興奮してしまうのだ。外観と共に何だか不思議なお店なのである。値段は安め〜普通。帳場には駄菓子を前にした青年店主。駄菓子・コミック・アダルト・ささやかな宝がキラリの古本棚…やはりシュールで詩的です!フレーベル館「いつか虹をあおぎたい/松下竜一」岩波新書「日本縦断徒歩の旅/石川文洋」講談社文庫「沈底魚/曽根圭介」を購入。
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2010年10月17日

10/17静岡・南伊東 岩本書店


iwamoto.jpg熱海駅から伊東線に乗り換えると、『リゾート号』と言う名のロマンスカーのような電車で、車内は左右非対称の座席配置!山側は縦に座席が並び、海側はベンチシートが窓に向かって並んでいるのだ!何と不公平な列車なのか!…そんな違和感たっぷりの車両に飲み込まれ、南へ。伊東駅で乗客のほとんどが降車し、そこから路線も伊豆急行へと切り替わる。そしてたった一駅進んだだけで、リゾート地の面影は一掃され、山間の海も見えない田舎町となるのである。暗い構内を抜けて掃き出し口のような駅舎から外に出ると、寂れた通りが目の前に一本。高架沿いに北に向かって進んで行く。ひとつ目の十字路はそのまま直進し、次の『SUZUKEN』と言う会社の脇道を東へ入り込む。大通りを越えると、道の先には竹林の緑…その左手手前に、電柱に括られた『古書買入』の看板を発見。伊豆半島の古本屋さんにたどり着いたのである。自宅らしき大きな家の横に建てられた白い平屋の建物がお店で、腰回りがナマコ壁風に意匠されている。建物脇に外灯店名看板があり、庇のある出入口は少し奥まっている。玄関右には100均文庫壁棚、その脇にも100均海外文学文庫棚が置かれている。左にはガチャガチャも。壁棚は二重に本が並んでおり、70〜90年代が中心。開けっ放しの扉から中に入ると、明るく風通しの良いキレイな店内で、右の広い帳場では身だしなみのしっかりとした老婦人が店番中。左側に向かって展開する横長の店内は、奥の壁際に本棚とガラスケースが設置され、そこから手前に向かって横向きに、長い背中合わせの棚が一本、平台付き横長ラックが一本。手前窓際に雑誌ラックと本棚が並び、その他にも色んな隙間に小さな本棚がチョコチョコ。フロアの棚は左壁に接地しているので、通路はすべて袋小路となっている。ウィンドウから光が降り注ぐ手前通路には、100均単行本&新書がまず並び、大判ビジュアル本・ファッション&カルチャー雑誌・美術作品集・美術ムックが集まり、ちょっと新刊書店のようでもある。真ん中の通路には、アダルト雑誌・静岡地方出版新刊本・官能文庫・江戸・世相・歴史・骨董・京都・詩歌が収まる。帳場側の棚脇に背の低い新書棚あり。最奥の通路は、手前側に映画・選書・ミステリ&エンタメ・日本文学文庫・ノベルス・戦争・時代劇文庫・随筆&エッセイが並び、奥の左壁際にハーレクイン棚。奥壁棚にコミック・岩波文庫・岩波現代文庫・絶版文庫(少量)・現代史。ガラスケースには文学プレミア本や伊豆資料関連が飾られているが、何故だか「しばわんこカルタ」などの軽いモノも並列されている。帳場前には静岡関連新刊や歴史本の小さな棚。街の古本屋さんと地方出版本屋と教養的古本屋さんが、融合せずに店内で同居している感じである。ジャンルの不思議な配置と棚の乖離が、このお店を読み切れないモヤモヤした空間に仕立てあげているのだろうか。それでも、店頭のちょっと古めの文庫は全部見ないと気が済まないし、静岡本と岩波文庫の充実は嬉しい。ちなみにこのお店では、本の値段はページに挟まれたオリジナルスリップに記されている。値段はちょい安〜高めと様々。老婦人は計算機で一度計算してから、さらにレジを打ち精算…仕事が丁寧です。海の匂いを嗅ぎとることなく、歩道で踏み割れた銀杏の香りを吸い込みながら、山裾の駅へととんぼ返り。さらば、伊豆半島!ちくま文庫「にくいあんちくしょう/本橋信宏」静新新書「今は昔 しずおか懐かし鉄道/静岡新聞社編」を購入。
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2010年10月16日

10/16岐阜・岐阜 岐阜古書センター


gifu_kosho_center.jpg名古屋駅ホームで“きしめん”を立ち喰いし、四両編成の東海道本線に乗り換えて北へ。燃え上がる旅心と、未知の古本屋さんへの憧憬が融合し、もはや私は狂気の古本屋探訪マシーンと化しているのだ。潜水時間が段々と長くなるように、ジワリジワリと遠くへ足を延ばしてみる…引き換えは現地滞在時間。と言うことで、本日も非常に効率の悪い、遠征“一店突破”と心に決めている。電車は平面な住宅街と水田を直線に貫き続け、さらに木曽川を渡り、二十六分で駅に到着。岐阜には一度来たことがあるが、その時は仕事のみの滞在であった。改札を出て南側の『加納口』から表へ(ちなみに『中央北口』から出ると、金ピカの魔王・信長公像が出迎えてくれるぞ!)。目の前には光溢れる、キレイに整備された地方都市のロータリー。早速高架沿いに東へと向かう。『加納清水町5交差点』を直進し、名鉄の線路下を潜り、さらに東へ。『加納北広江町交差点』で南に入ると、途端に懐かしく古い街並みが展開。『御鮨街道』と言う名の通りをフラフラ進んで行くと、道幅が突然狭くなる。先ほど潜ったばかりの名鉄を今度は踏切で横切り、駅前から流れて来た清水川を渡ると、右手の遥か向こうに『古本買入』の大きな文字。あれか!あれが遥々目指して来たお店なのか!と、トトトと駆け寄る。こっちは裏側なのか?それにしても“センター”の名に相応しい、何やらおかしな建物…二階建てなのだが、上からちょこっと覗く風格ある瓦屋根から想像するに、古い建物をそのままアルミ板の外壁で、すっぽりと覆っているようだ。側面には『古本買取』の大きな看板と、窓に映る棚と本の影。建物の角はナナメに面取りされており、大通り側にサッシの出入口がある。何だか町の集会所のような店内に入ると、薄暗く色んなモノが淀んでいる雰囲気…これはいい、いいぞ!左横には乱雑な帳場があり、生命力をすべて押し隠したような静かな丸いオバチャンが、ユラリと一瞬こちらに視線を流す。ギシギシと悲鳴を上げる木の床の上には、背中合わせの棚二本とラック棚が一本置かれ、壁際窓際は造り付けの本棚やスチール棚で覆われている。そして何より目を瞠るのは、北面上部が吹き抜けになっており、その二階壁面に通路と壁棚が設置されているのだ!よし、後で必ず行こう!右端通路から続く、急勾配の階段を上がって!入口右横は、一本500円ビデオ棚や、絶版漫画箱(石森章太郎多し)からスタートし、壁棚に三冊200円の文庫・ノベルス・新書が続く。向かいも海外文学文庫を中心に、三冊200円文庫。第二通路右側に、三冊200円ソフトカバー単行本と三冊200円文学単行本&エッセイ&ノンフィクション…どうやらここは、よっぽどな本で無い限り『三冊200円』で括られているようだ(尚、組み合わせは自由である)。向かいはコミックがズラリ。奥壁に文学研究雑誌・教育・実用・全集類・児童文学・絵本が並ぶ。第三通路はコミックと雑誌で埋まり、足元にはプロレスムック箱などもあり。左端通路は、壁棚に全集類とコミック揃い、右に300円以上単行本・美術系ムック・アニメムックが収まる。帳場の左横には、300円以上のミステリ・歴史小説・復刻本・岐阜関連本が集まっている。さあ、いよいよ右端通路から奥の急階段を上がり、上階のバルコニー的通路へ!太い木の手摺りを頼りにギシミシ上がると、そこは面取りされた角部分で、表からは覆われて見えないが、窓がしっかりと残っていたりする。近付いた天井や壁の、白い美しい漆喰はホコリと煤に汚れているが、東京駅のドーム内部を下から見上げたような感動を私に与えてくれる。手摺りに手を掛け下を覗き込むと、乱雑に本が詰め込まれた、見苦しくも格好良いお店の俯瞰図。背後の棚を見ると、ここは古めかしく茶色い本が中心で、日本文学・随筆・翻訳推理小説全集・学術・全集・実用・科学などが収まっている。バルコニー通路は狭くなっているので、棚に正対し上部を見上げると、多少仰け反る感じになるので、転落の恐怖が一瞬心を掠めたりする…。本はホコリっぽく、全体的に雑本的である。床にも本が積み上げられているので、掘り出す心をボウッと燃焼させれば、自分にとって価値ある本を必ず見つけ出せるはずである。値段は安いです!どうにか三冊掘り出して、オバチャンの生気の無い精算を済ませて外へ。大通りから一本奥の道に建つ、もはや廃墟の『旧加納町役場(武田五一設計!)』にハラハラと落涙しながら、早くも岐阜に別れを告げる。あぁ、もっとゆっくりしてみたいものだ…この調子だと、いずれ泊りがけのツアーを敢行することになりそうだ。おぉ岐阜よ!次回は北口側を巡りに来たいです!集英社文庫「傷痕の街/生島治郎」新潮社「昭和東京私史/安田武」岩波新書「洞穴学ことはじめ/吉井良三」を購入。
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2010年10月15日

10/15東京・水道橋 西秋書店


nishiaki_shoten.jpg東口から出て『白山通り』を南へ。通りへ出て四つ目の信号、『名曲と珈琲 神田白十字』を過ぎた所を西に曲がる。右には休業してそのままの『エリカ』(お店自体は別店舗で営業中)。一方通行の道を、車たちと『専大通り』に向かって歩いて行く。すると右手前方二階位置に、古書店の小さな看板が出現。下を見ると、様々な形状の棚&箱が店頭に広がっていた。大通りからはちょっと離れ、古本屋街の至近なのに、ビル街にポツンと孤立しているお店である。ペンシルビルの二階に『国語 国文』と書かれた看板、茶色い日除けの下には化粧張りされたレンガと、二階への階段と一階お店の出入口。階段脇に『西秋』の表札があるので、名字がそのまま店名になったことが判る。それにしても珍しいお名前である。店頭には100均箱、200〜500円の箱入り単行本が並ぶ四本の本棚。日本文学評論・国文学研究・古典文学などの硬めなジャンルがズラズラリ。自然に眉根にもシワが寄る…。中に入ると、棚が両側から迫る細長い通路が奥まで続く、ウナギの寝床的形状!整頓が行き届き、すべては整然としている。通路では老店主が棚の整理をしているが、私を鋭く貫く視線を発射している…私は早速何かしでかしてしまったのだろうか?両壁は造り付けの壁棚で、真ん中に天井まで伸びる長〜い背中合わせの棚が一本、入口右横には縦長ガラスケースがあり、その前にはアンティーク調の低めな本棚、左側中央のちょっと奥に壁にめり込んだような帳場スペースが設置されている…やはり視線は定期的に私を貫き気味…潔白を証明するように両手を後ろで組み、胸を張って堂々と振舞い、店内の回遊を開始する。出入口左右には文庫棚があり、文学史・文壇・作家評伝などが並んでいる。左壁はそのまま、俳諧・「国文学」・ガチガチな硬さの日本語・言葉・文法などが帳場前まで続いて行く。帳場を越えた所には、国文同ジャンルのさらに古い本が集められている。入口右横のガラスケースには。貴重な児童文学関連本がギッシリ。前の棚には地方出版本や国文学本、裏には芥川龍之介の評論・評伝・研究本がズラリ。左側通路に真っ直ぐ進むと、通路棚には大量の児童文学評論(ここは海外児童文学も含む)・大衆小説評論・明治〜昭和日本文学史・明治〜昭和日本詩壇歴史、そして後は裏側も含め、50音順日本文学作家の評論・評伝・対談・自伝・研究などが濃密な並びで収まっている。目立つのは、石川啄木・太宰治・坂口安吾・島尾敏雄・島崎藤村・谷崎潤一郎・中上健次・永瀬清子・夏目漱石・萩原朔太郎&恭次郎・埴谷雄高・松本清張・三島由紀夫・宮澤賢治・村上春樹・森鴎外・横光利一などなどで、日本文学の本流&伏流がこの棚に詰まっているかのようである!奥壁には文学ムックや大判本、右壁には箱入りの江戸・上方・古典・古代・国文学の学術&資料本が壁のように並んでいる。この間も、店主は私が気になるのか、こちらの通路まで何やら確認しに来たりする…完全に動きをマークされてるな…何もしてないけどなぁ。不審人物なのかなぁ…。硬めな本はちょっとよく判らないが、文学評論・評伝・研究本の網羅力は物凄いものがある!見たことのない本や、気になる本がドッサリ!ふぅ〜む、素晴らしい。値段は普通〜高め。帳場では若者が店頭本を精算中なのだが、「いや、これがこんなに安く売ってるなんて。びっくりしました」「よく見つけましたね。しっかり勉強してください」と、和やかに羨ましい会話。この後私は、褒めてもらうことなく地道に精算。くそぅ、今度はマークされないよう、ちゃんとした人間に見られるよう来店してみせるっ!面白半分12月臨時増刊号「さて、田村隆一。」南北社「詩人と詩集/野田宇太郎」を購入。
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2010年10月14日

10/14千葉・江戸川台 ヤスイBOOK


yasui_book.jpgつくばエクスプレスを『流山おおたかの森駅』で、東武野田線に乗り換える。黄色く咲き誇るブタクサを揺らしながら二駅。東口を出ると、小さくキレイにまとまった箱庭的ロータリー。右側から回り込み、『江戸川台東口商店街』へ進んで東へ。ロータリーから脱け出ると、左には人の気配がしない廃墟同然の低層団地。『江戸川台東一丁目交差点』を越えると、通りは『あづま通り』となり、緩やかに見通しよく右にカーブして行く。小さな神社の向こうにそびえる、ペパーミントグリーンのガスタンク…平凡な郊外住宅街の中に、中々刺激的な風景が出現したりもする。200mほど進むと、右手に新開店したお店が見えて来た。軒や壁看板・立看板は、緑・赤・白・チーズ色で賑やかに構成されている。そして『新刊本・未使用本も安い!』『新本激安』などの、扇情的な言葉が踊っている。ウィンドウには『全国的に有名な新品、激安のお店です』『プライスに「特」が入っているのは、新刊本または未使用本です』の手書き文字…特価本販売の、特殊なお店だろうか?『「特」の入っていないのは中古本です』とも書かれているので、どうにか古本も売られているようだ。一段高くなった店内に入ると、派手な本や雑誌が目に飛び込んでくる。リサイクル古書店のようではあるが、しかしそれとも少し違う感じ…見慣れない雑誌類のせいなのか?壁際はスチール棚で、フロアには右からスチール棚・ラック・スチール棚の並び。奥は左が帳場で、右が遮蔽されたアダルトコーナーとなっている。そして!入口横右壁に存在感のドデカイ色紙!“鬼平”イラスト入りの、さいとう・たかをのサインである!さらに左壁にも“ゴルゴ”色紙と、“島耕作”イラスト入り弘兼憲史色紙を発見!奥には羽生善治色紙までも!…もうこれだけで興味深いお店である。色紙にはちゃんと店名も入っている…。日焼けして頭をキラリと光らせた店主は、忙しそうに各列の棚を補充している。右端第一通路には、絶版漫画・コミック・コミック文庫。第二通路はゲーム攻略本・名作映画DVD・コミック・新品大衆週刊誌。棚脇に車雑誌ラックあり。第三通路は雑誌類と、新品女性漫画雑誌。左端の通路に古本が集まり、ハーレクイン・ガイドブック・実用・新書・選書・歴史&時代劇文庫・日本文学文庫・ラノベ・ティーンズ文庫が並んでいる。冊数はそれほど多くないが、新しい本ばかりではなく、絶版・品切れも紛れ込んでいる。本はビニール梱包され、棚が二重になっているところも。値段は普通。新しい漫画雑誌が積み上がる帳場で精算すると、後ろにはさいとう・たかをのスナップ写真…仕入れシステムも中々気になるが、それより『さいとう・たかを』との関係がとにかく気になるお店なのである。秋山書店「柳田國男随行記/今野圓助」を購入。
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2010年10月13日

10/13東京・中目黒 たらの芽書店


taranome_shoten.jpg待ちの仕事が二件…ならば先手を取って動いてしまおうと、午前中から古本屋さんを目指してしまう。目的は「キノコノクニヤ」「猫の手」など、おかしな屋号ばかりのサブカル系&雑誌類に強いチェーン店である。改札を出て東側へ。「中目黒GTプラザ」の足元を抜けて『目黒銀座商店街』へ。昼時のためか、路上には食べ物の匂いと人が溢れている…中々にゴチャゴチャしたアジア的風景。南へと進み『二番街』のゲートを潜る。すると左手、コンビニの次に目指すお店が現れる。上部が黄色いビルの一階で、軒には青い日除け、その下の右側出入口の上部に赤白の店名看板、窓にはビッシリと雑誌の表紙、店頭には雑誌ラック三台。廉価コミック棚・児童絵本ラック・ミニ雑誌台、そして路上に三冊525円の雑学文庫・新書・ハーレクインワゴンが並んでいる。中に入ると店員さんは開店直後のためか、激しく忙しそうである。普通のお店よりは広めな店内だが、棚が密集して視界を悪くしている。ちょっとだけ縦長で、左側の奥半分に小部屋的スペースを確認。壁際は出入口や柱以外は本棚。フロアには、右から長く天井までの背中合わせの棚・背中合わせ雑誌ラックが手前と奥に一台ずつ・奥スペースに合わせた背中合わせの棚が一本・そしてスペースの中にももう一本置かれている。入ってすぐの左目の前には雑誌箱の島があり、出入口右横にレジスペースの構成。開店したばかりなのに、店内にはすでに棚を眺めるツワモノの姿…。入口左横には525円単行本と新刊単行本棚があり、下には廉価コミックがドッサリ。まずは右端の狭い通路に入り込む。右壁は、辞書・海外文学・古い日本文学本・文学評論・日本文学・欧州文化&風俗・哲学・思想・ノンフィクション・経済・アニメ&コミックムックとなっている。向かいの新書棚の後は、雑誌がズラズラズラと続いて行く。第二通路は、右側にサブカル・タレント・カルチャー雑誌・洋書美術・デザイン作品集・スポーツ・武道と収まり、奥壁には音楽雑誌がズラリ。向かいには趣味・ファッション雑誌・カルチャー雑誌がドッサリ。雑誌箱の島も「STUDIO VOICE」などの雑誌が詰まっている。第三通路は女性実用・ムック・女性雑誌・コミック。小部屋スペースの第四通路は、右側にコミック・美少女コミック、左に雑学文庫・日本文学文庫(絶版・品切れ混ざり)・教養系文庫・探偵小説文庫。手前壁棚には写真集。奥壁にはコミック。左端通路は、右側にミステリ&エンタメ・海外文学文庫、左の壁棚は写真文芸(おぉ!何だか新しい言葉!)・広告・美術・デザイン・映画・音楽・ノンフィクション文庫・時代劇文庫となっている。基本構成は他店とそう変わらず、やはり雑誌が大充実。違うところは、ちょっと狭めの圧縮陳列気味な構成と、ほんの少し隙が見つかったこと(野呂邦暢の文庫が300円!)。このイレギュラー感が、やはり古本屋さんの楽しさなのである。値段は普通で、プレミア値の本も多数。忙しさのため、肩で息をする店員さんに精算してもらう。レジにあったオリジナル栞を手に取り、支店リストを眺める。これで残っているのは後二店…祐天寺「あたた書店」と小岩「どですか書店」…あれ?中目黒にもう一店ある!?…「熊の木書店」…道のりはまだまだ長いなぁ。中公文庫「暮しの眼鏡/花森安治」集英社文庫「鳥たちの河口/野呂邦暢」を購入。
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2010年10月11日

10/11中央本線でナナメ北に五時間!長野・松本二店+未開店一店!

中央本線を乗り継いで五時間。数々の山に見下ろされ、車窓から差し込む陽の光が右に左に入れ替わり、車内に閉じ込められたトンボを逃がしながら、五時間…お尻が四つどころか六つに分かれそうなほど痛い。凝り固まった身を猫ののように伸ばし、古本屋を求めて松本盆地に潜り込む。


seikando.jpg●松本「青翰堂書店」
この街には多数の古本屋さんが散在している。全部をレポートするのは難しいので、今回は外周を巡るようにツアー。まずは城壁のようなビルたちに取り囲まれたロータリーから抜け出し、北に向かう。小さいが流れの急な女鳥羽川を越えて、『六九通り』の川沿いの商店街…第一目標だった「細田書店 六九支店」は何処にも見当たらない。時間が無いので深く追求することなく東へ。たくさんの人が行き交う『大名町通り』に出たら、黒いことで有名な松本城に向かって北に進む。すると!『松本城南交差点』手前の、左手ビルの谷間に、松本城っ!本家よりはだいぶ小さいが、天守閣の上にはしっかりと“しゃちほこ”も反り返り、大魔神的特撮スケール感が、感動と微笑を呼び起こす!何と言う古本屋さんなのかっ!そして、『そば祭り』なるイベントが開催されているためか、恐ろしく賑わっている!店頭も店内も、まるで『神田古本まつり』のような混雑!ここで興奮気味の私もハッと我に返り、負けじと人ゴミの中に突入する。まずは歩道に出されたテーブルとミニ棚の、100均本たちに目を落とす。メインは古い全集本で、所々に文庫や文学・歴史本…それほど目ぼしいものは見当たらない。ショウウィンドウには北杜夫・キノコ本・古い松本城写真・和本・「ガロ」・何故か「ゲゲゲの女房」のカバーのみなども飾られている。店内は古めかしく天井は高い。通路には本や紙物が溢れ返り、人がやっと擦れ違える状態。そこに観光客が次々と雪崩れ込み、店内を回遊して行く…しかし本を買う人はほとんどいないようだ。両壁は造り付けの天井までの本棚、真ん中に背中合わせの棚が一本あり、店内のすべてに年季が入っている。新しい本はほとんど…いや、無いようだ。またすべての棚がカオス気味になっているが、入って来る人はひたすらに『古い本が並ぶ古本屋』を、観光の延長として満喫している。右壁は箱入り資料本・学術書・美術・信濃の自然・山岳・動植物・旧鐵道省ガイド本・聖書・洋書・革装丁本などが、古色全開で並び続ける。向かいはさらに古めかしい和本棚で、下にも和本が積み上がり、垂れ下がり気味。奥の帳場前を通ると、眼鏡を大村昆のようにズリ下げた老店主が、後手に起立し店内を見守っている。その背後の棚には大量の北杜夫本が収まっている。左壁は入口側から、大衆小説全集・「のらくろ」・復刻本・海外文学・日本文学・山本有三・竹久夢二・島崎藤村・安曇野全集・信濃文学・民俗学・歴史・辞書類と並んで行く。向かいは浮世絵や絵葉書など紙物が棚下に置かれ、小判型全集・岩波文庫・改造文庫が茶色い姿を晒している。とにかく古い本ばかりで、信濃関連と地元所縁の作家本・和本が充実。値段は“一分のスキも無し”の高めとなっている。観光客を掻き分け、一冊の本を手に帳場の店主に声を掛ける。「すいません、これ値段付いてないんですけど…」と本を渡すと、ペラペラっとめくり「あ〜、これはね、二千円」…値段を聞いてついうっかり「うっ、高い!」と口に出してしまう。しかし購入決定。「この本は珍しいんですよ〜」と説明しながら袋に入れる。精算を済ませて、相変わらず人波が流れ続けている表に出る。振り返るとそこには古本・松本城…しかし私には気になることがひとつ!それは、このお城の裏側はどうなっているのか?と言う事だ。同様にお城の造作だったら拍手喝采なのだが…意地悪く、卑しくお店の裏手に回り込むと、そこにはミントブルーの壁を持つ民家の裏壁。当然の結果を、二階の窓まで伸びた朝顔の蔓を眺めて、そっと胸に仕舞いこむ。アロー出版社「欠陥銭を知る本/大高興」を購入。


syouyusya.jpg●松本「書肆 秋櫻舎」
続いて南の女鳥羽川まで戻り、西に延びるニセの江戸風景・『縄手通り商店街』に身を躍らせる。しかし目的の「秋櫻舎」は見つからず、深く追求しないことにして次を目指す。そのまま通りを東に向かい、『大橋通り』に出て川を渡って南へ…む?何だ?この本と本棚が並ぶお店は!どう見ても古本屋さんではないか。しかし事前の情報では、この場所に古本屋さんは無いはずだが。店頭を見回しても看板や店名は皆無…新しく出来たお店なのだろうか?よし、こうなったら当たって砕けるか!とサッシに手を掛けてみると、それは迎え入れるようにスムーズに開いてくれた。中は左右壁と右側に通路棚が一本設置されているが、床には本がドカドカと積み上がる乱雑な店内。「すみません!」と奥に向かって声を掛けると、湊谷夢吉の漫画の主人公のような、丸眼鏡の壮年店主が、店奥にあるモダンなガラスブースの向こうで立ち上がった。「あの〜、見せていただいてもよろしいでしょうか?」と言うと、多少慌てながらそしてハニカミながら「あっ、まだ開店してないんですけど、見るだけなら…いいですよ」と答えてくれた。「ありがとうございます」と言いつつも、『しまった!もしや開店前のお店なのか!』と気付く…あまりにがっついた自分を諌めながらも、『こんなことも面白い!』と流れに便乗して棚を見始める。その時、足に軽い衝撃!えっ?と思って足元を見ると、白黒の子猫が足の甲にチンマリと陣取り、足に前足を掛け始め、ジーパンをよじ登ろうとしている。この瞬間、棚は何処かに飛び去り、しばし子猫と軽く戦闘。二本足で立ち上がる子猫対私!…イカン!棚を見なければ。子猫を足元に引き連れながら、本を乗り越え棚を見て行く。開店準備中のためか、作業進行中な棚造りで、今後変わる可能性大なのである。音楽・映画・幻想文学が充実しているようだが…一冊棚から抜き取って、再びガラスブースに声を掛ける。そして「すいません、もしかしたら『これから開店する』って言うのは、営業時間のことじゃなくて、お店を開くってことなんですよね」「そうなんですよ」と苦笑い。「あぁ、すいません」と頭を下げる。「いや、今まで縄手通りでやってたんだけど、追い出されちゃってね。ホントはもう店を閉めようと思ってたんですよ」と何やら経緯を語り始めてくれた。「ネットだけでも大丈夫なんだけど、娘がやりたいって言ってね」「えっ!娘さんが継ぐんですか?スゴイじゃないですか」「今、東京の小宮山書店にいてね」「ええっ!」「俺もそれならまだがんばってみようかなって。やっぱりこう言う風にお客さんと話すの楽しいしね」…うぅっ、素晴らしい話じゃないですか!消えかけた古本屋さんの灯を、娘さんが絶やさず引き継ぐなんて!「あの〜お店の名前は何て言うんですか?」と聞くと、名刺を財布から出し「秋櫻舎と言います」…おぉ!私は探していたお店に、期せずしてたどり着いていたわけか。お店は今月中にオープンに漕ぎつけるとのこと。さらにお店を自由奔放に駆け回る子猫は、ネズミ対策のためとのこと!娘さんと猫ちゃん、力を合わせてがんばって下さい!ながらみ書房「前衛歌人と呼ばれるまで/岡井隆」を購入。


syoshindo.jpg●松本「古書 松信堂書店」
お店を出て、さらに『大橋通り』を南へ下る。すると『あがたの森通り』とぶつかる『市民芸術館西交差点』手前右に、壮絶な店頭のお店を発見。雨垂れで壁を汚してしまっている看板文字の下には、大量の横積み本の捻れたタワー!しかも見事にお店の敷地にピッタリ収まっている。まるでお店をガードしているかのようで、中々売り物とは思えない扱いである。しかし横長な店内に入ると、中は表に比べてスッキリとし、整頓が行き届いている。両壁は本棚で、真ん中に背中合わせの棚が二本、奥に本に囲まれた帳場…しかし通路には横積み本の壁が出来上がっており、ホコリだらけの棚の下部を見る時は、塀越しに庭を覗くような体勢を余儀なくされる。種村季弘風店主は、空海の肖像グラビアが手に入ったと常連さんに電話中。入口横の文庫棚と、棚に表側を押し付け見ることの出来ない文庫棚の背面を眺め、右壁に目を移す。美術・推理小説・文学評論・日本文学・信濃&松本関連が並んでいる。向かいには艶笑・性愛・エロ・風俗・古典文学・詩歌・山岳。真ん中通路、右側に考古学・古代史・戦争、左は文学新書・日本近代文学が収まる。左端通路の壁棚は、映画(映倫審査裏話の本!欲しいが高い!)・音楽・哲学・思想・動植物・京都・民俗学・辞書と続く。向かいには自然・歴史・社会など。ここも古い本ばかりで、ウハウハした時間を過ごせます。しかし棚には死角が多く、見えない部分に面白そうな本が並んでいそうでジリジリ…あぁ!値段は普通〜高めとなっている。筒抜けの電話からの情報によると、お店は午後から開くとのこと。角川写真文庫「明治の作家」を購入。

栃木に続き、松本も蔵の多い街…と言うか街が蔵で出来ているよう!観光もしてみたいのだが、どうも私にとっては優先順位が低いようだ…。帰り際『あがたの森通り』で「三洋堂書店」を見かけるが、今日は泣く泣くパス。と言うわけで、未踏のお店がまだまだ残っているので、またいずれこの盆地には来なければならない。新開店した「秋櫻舎」も見てみたいし…。
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2010年10月10日

10/10神奈川・桜木町 ブックカフェ風信


fushin.jpg二ヵ月半ぶりの桜木町。2010/07/22と同じコースを採り、まずは『野毛ちかみち』地下道、そのまま『野毛大通り』に出て南西へ。「古本ちかいち」の入った『ちぇるる野毛』を回り込み、『野毛坂』に足を掛ける。西に進んで『動物園通り』をやり過ごすと、おぉ!右手には「天保堂 苅部書店」(2009/07/20参照)の勇姿。相も変らぬ渋い店構えにトキメキが止まらないのだが、今日の目的はお店よりちょっと坂上の、野毛的横道にあるブックカフェなのである。「天保堂」を過ぎると、ネズミが本を読むシルエットが描かれた白い看板が歩道に現れ、右の横道へと誘導される。奥に階段が見える路地に入ると、床屋の青赤白回転灯と、その横に黒い立看板。ズイズイと奥に進む。すると右手に、塀と壁面を蔦草に覆われた白い建物。プラ日除けの下の入口前には、長いさらしのような暖簾が垂れ下がり、路上にはまたもや二つの立看板。暖簾をサラッと掻き分けて中に入ると、そこはある意味普通の玄関で、靴を脱いで中に入るのもそのままである。八畳ほどの店舗は木を基調ににした内装で、右手にカウンターがあり、どうやらそこに店主の気配…。そーっと足音を忍ばせつつ中央に進むと「いらっしゃいませ」の声。カウンターの中には、頭に手ぬぐいを被り、丸眼鏡でヒゲモジャの高田渡的店主…そして席を勧められる。これは本棚を見るだけと言うのは無理そうだな…と観念してテーブル席に着き、まずは中国茶を注文。では、と落ち着いて座ったまま堂々と店内を見回す。先述の通り右側はカウンターで、入口左横(二本)・左壁(六本)・奥壁(二本+ラック)に本棚が設置されている。フロアにはテーブルが二台。カウンター横と玄関横に、小さな文庫(品切れ・絶版含む)&新書棚あり。入口横はセレクト文庫に始まり、日本文学・フランス語・随筆・古本関連・海外文学・旅&紀行(世界各都市)が並ぶ。角に音楽CDやビデオを挟んで、左壁は美術・図録・民藝・建築・住居・歌舞伎・演劇・ビジュアル雑誌&ムック・山田風太郎・自然・植物・温泉(前川千帆の本がっ!)・山岳・釣り・昆虫・猫・動物・庭・食・漫画評論。奥壁には児童文学と絵本、それに絵本ラック、最後にトイレの前に東京・江戸・「東京人」で締め。野毛の横道ブックカフェは、教養豊かで珍しい本も散見。文学本と自然関連が充実!値段は最後ページに付箋で貼り付けられているが、無表記の本も多い…これは恐らく売り物ではないのかも…。値段はしっかりめで、普通〜高め。お茶代と一緒に本の精算をお願いするが、どうやらお釣りが手元にない模様。「ちょっとすいません」と照れ笑いを浮かべながら、表へと飛び出す。何処かにお釣りの調達に向かったのであろう…って、ついさっき十分前に、別のお客さんで同じ光景を見ております。常にお釣りは用意しておきましょうよう…。何とか精算を済ませ、靴を履いて夕闇の路地に出る。野毛山に向かい、階段を上がって猫を撫でる。目の前には、ズボッと落ち込んだ、ビルの林の谷間。帰り道は『紅葉坂』を選び、みなとみらいに向かって落ち込む坂道を、車のライトに照らされながらダラダラ…。中公新書「ナチュラリストの系譜/木村陽二郎」光文社新書「昆虫採集の魅惑/川村俊一」を購入。
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2010年10月09日

10/9栃木から群馬へ両毛線で二店!

最初に降り立ったのは栃木駅。古い街並みを抜けて、北西の住宅街のお店にたどり着くも、無情のシャッターダウン。再訪を誓いつつ、しつこく駅周辺をうろつくが、成果は古本屋遺跡一件のみ。さらなる移動のために駅まで戻るが、待っていたのは両毛線の恐るべき罠。上り・高崎方面は二十分後、下り・小山方面は四十五分後…ならば!毒を食らわば皿まで!さらに奥へ!桐生に行こう!…と言うわけで、待ち時間二十分+移動時間四十五分のおよそ一時間後、雨に煙る群馬県の駅頭に立っていた。


yubundo_kiryu.jpg●桐生「古書専門店 雄文堂」
北口に出ると、駐車場の向こうにロータリー。そのさらに向こうの山々が、ガスに覆われて幽玄な光景を見せている。ロータリーの右上隅から『末広通り』に入って東へ。ここは歩道に屋根の架かった商店街で、昭和の面影を色濃く残しながら、ゆっくりと寂れ続けている。600mほど進むと『本町五丁目交差点』。クロスする『本町通り』を北に進んで行く。微かな上り坂に面するお店には、中山秀征の『グンマの休日』なる群馬キャンペーンポスターが数多く貼られている。『本町四丁目交差点』を過ぎ、次の『本町三丁目交差点』が見えて来ると、私の身体はすでにお店の前に立っていた…古本屋さんとは気付かなかった…。上はモダンな現代建築風だが、下は蔵のようなファサードになっており、二階上部には瓦が葺かれ、一階の腰回りはナマコ壁となっている。軒には銅板の『雄』『文』…あれ?『堂』が無い。取り付けられた跡が残っているので、何かアクシデントがあったのだろう。その下には茶色い暖簾のような店名入りの日除け。入口脇にはみかん色の『古本』の立看板。中に入ると天井が高く、普通の古本屋さんとは違う、ちょっとだけ格式の高いイメージ。左右の壁は本棚、真ん中に背中合わせの棚が二本置かれている。奥の棚は入口側に付けられているので、左奥は行き止まり通路となっている。最奥が住居から続く番台のような帳場となっており、壮年のジャンパー姿の店主が、アクビを噛み殺しながら店番中。奥の左右の角にはナナメの鏡板が設置されており、通路の奥まで目が届くよう工夫されている。右壁棚は時代劇・ミステリ・新刊雑本から始まり、文学全集に挟まれるように新書・岩波文庫・講談社学術文庫・時代劇文庫が続き、最後に再び時代劇・歴史小説が登場する。奥の足元には大きな火鉢のような陶器が置かれ、中を悠々と大きな金魚が泳いでいる。向かいには大判のビジュアル本や全集がズラリ。棚脇手前に児童文学や「銀花」、奥には古道具の並ぶ棚がある。真ん中通路の右側は美術系の大判ビジュアル本&ムック&雑誌・図録、左は美術・実用・哲学・歴史・選書・日本文学・志賀直哉・井上靖が収まっている。こちらの棚脇にはラックが置かれ、「犯罪科学」「新青年」などレアな雑誌が、格好良すぎる表紙を見せて飾られている。左奥の行き止まり通路は、右に自然・山岳・全集・資料本・浮世絵・紙物。左も資料本や全集を中心とした並びで、帳場横に群馬関連本が『みやま文庫』を含め、集められている。とにかく様々な全集本が多いお店。文学・美術・歴史・社会科学・思想など、他店では場所を取り過ぎるために、嫌われがちな本が多く並んでいるのだ。大判の全集・ビジュアル本も多いため、ちょっと特価本のお店に見えなくもない。また資料本も所々に姿を見せ、とにかく不可解な古本屋さんとなっている。値段は安め〜普通。本を入れてくれた袋は、ベネチアの風景が描かれた、店名入りのしっかりしたものであった。洋泉社「マカロニ・マエストロ列伝/二階堂卓也」を購入。


nara_shoten.jpg●桐生「奈良書店」
『本町通り』を南に引き返し、『本町四丁目交差点』を西へ。真っ直ぐ進むと上毛電鉄の西桐生駅にたどり着く道だが、そこまで行く必要はなく、ちょっと進んだら右手集合住宅の一階に、お店の立看板を確認。二階壁面には店名と共に、小さく『ギャラリー奈良』の文字。店頭右には取扱品目の書かれた立看板、左にはイーゼルに桐生の市街図が飾られている。ベンチの脇に傘を置いて中に入ると、どうやら左壁がギャラリーのようで、数点の額入り絵画が飾られ、下には豪華な大判作品集が並んでいる。奥の帳場に立つ壮年のオールバック気味男性は、スーツにネクタイ姿で、古書店店主と言うよりは、画廊経営者のようである。そんな知的ダンディーさを崩さずに、「いらっしゃい」と気さくに声を掛けてくれた。店内は右壁が本棚になっており、帳場奥までズラッと続いて行く。真ん中には背中合わせの棚が一本置かれ、美術・作品集・図録・ビジュアルムックなどが並んでいる。右壁は、歴史全集・海外文学・日本文学(古めの本あり)・文学評論・歴史・古代史・江戸、そして奥まで群馬関連本がバラエティ豊かに並んで行く。文学・歴史・地理・自然・世相・美術・資料・みやま文庫・田中正造全集…。美術と群馬関連が充実したお店である。蔵書数はそれほど多くないが、地方出版の小説本署名入りなど、色んな意味で貴重&レアな本が並んでいます!値段は普通〜ちょい高。精算時に千円札二枚を渡すはずが、ボ〜ッとしており千円札+五千円札を差し出してしまうと、店主は「多いね」と言ってニヤリ。ミスも優しくダンディに指摘してくれたのでした。河出書房新社「描けなかった風景/司修」を購入…ハッ!司修は群馬県前橋生まれだったのか…。

雨の北関東をさまよって思ったことは、栃木と群馬の往還が、中々ままならぬと言うこと。特に両毛線!この辺りの探索は綿密にスケジュールを練っておかないと、一日をぶち壊しにしてしまう恐れが…とか考えても、また来る時は行き当たりばったりなんだろうなぁ〜。いつの間にか車窓を流れているのは、すっかり日の暮れた真っ暗闇の北関東なのであった。
posted by tokusan at 21:35| Comment(2) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする