2010年11月07日

11/7東京・ひばりヶ丘 近藤書店


kondoh_shoten.jpgすっかり早く訪れるようになった夜。西武池袋線で東京と埼玉の境目近くへ。北口の階段を出ると広場も何も無く、ダイレクトにごちゃついた路地のみの駅前。真ん中の雑居ビルの谷間の道に進み、鍵の手に曲がりながら『ひばりヶ丘北通り』に出る。そこをちょっとだけ北東に進み、パチンコ屋とお弁当屋の間の道を北へ。この商店街を真っ直ぐ進んで行けば、やがて『ひばり通り』につながるのだが、『モスバーガー』を過ぎた所で現れる渋い酒屋と和菓子屋の間の小道に入り込み、東南へ…商店街の明るさから一転して暗がりの中。それでも右手奥に、何本かの光を放つ看板が連続している。その一番手前に、名実共に光を放つ『古本』の文字!こ、こんな所にお店があったのかぁ〜と、その裏路地の存在に感動。自宅兼店舗のようだが、あの二階屋根から飛び出しているものは何なのだろうか?車道際に縦長の店名看板、ベランダ下にプラ製の日除け、下は真ん中に出入口があり、左右にムック&雑誌のラック、そしてその周囲を漫画雑誌タワーと100均横積み文庫箱が取り巻いている。下の本は上の本をどかさぬ限り、見ることは出来ない。中に入るとまず迎えてくれたのは、危うい本のタワーたち。1.5mほどの高さに横積みされた本たちが、支えあったり自立したりしながら、店内に立ちまくっている。そしてこいつらは本当に危うい!頂上の本に手を出すと、それだけでムーミンの『ニョロニョロ』のように、左右にフラフラと揺らめくのだ!なので本を抜き取る時は、細心の注意を払わねばならないっ!店内は割と広く壁際は本棚、真ん中に平台付きの背中合わせの棚が一本。そして古本ニョロニョロがたくさん生息しているのだが、意外に秩序だっているのが恐ろしいところである。奥に帳場があり、店内の微妙な均衡を保つ番人である店主がひとり…福本伸行の漫画に出て来そうな、味のあるオヤジさんである。入口右横はラノベやティーンズ文庫が並び、右壁前半はコミック、そこから奥に向かって文化・民俗学・新書・みすず本・江戸・風俗・学術書が収まって行く。下にはもちろん古本タワーとコミックタワー。向かいは入口前に最近刊本タワー、そして棚&タワー共に文学・文学評論・映画・思想・文化・民俗学・歴史など、教養度の高い本が集合している。棚上には全集類など箱入り本が横積みになっている。そして帳場横の重厚な辞書の壁は本当にスゴイ。レンガのように積み上げられ、帳場をガッチリとガード中…小口径の銃弾なら間違いなく防げるだろう。オヤジさんの前を緊張しながら左側通路へ。左壁の奥半分はアダルトゾーン、向かいは…オヤジさんが帳場から立ち上がり、右側通路へ姿を消した…気配から察するに、私の触ったタワーを修正しているようだ。小さな歪みは決して見逃さない!そんな気概を感じる行動である。左壁は入口に向かって、科学・動植物・精神科学・音楽・美術図録・ビジュアル本。入口左横には、教養&雑学文庫の棚が一本。向かいの通路棚は、時代劇文庫・官能文庫・日本文学文庫・海外文学文庫・ノベルス・最近刊本と並んでいる。棚の本は新しいものが中心だが、棚上に横積みされた文庫と見え難い平台の文庫は、少し古めとなっている。全体的に教養系の本が多く、特に映画関連が充実している。値段は安め〜高めと様々で、雑本だけではなく、いい本にも同様な振幅のある値付けがされている。隙などではなく、オヤジさんの趣味がそうさせるのだろうか?そして工夫はされているが、ニョロニョロのために棚が見えない部分も多い。とにかく来店の際は古本ニョロニョロにご注意を!私もリュックを引っ掛けて、崩しそうになりヒヤッ!六興出版「推理SFドラマの六〇年/上野友夫」講談社「ちゃんばらグラフィティー/マキノ雅裕監修・浦谷年良編著」を購入。
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2010年11月06日

11/6山形・山形 香澄堂書店


kasumido_shoten.jpg福島を出ると新幹線は一旦西に向かい、もはやそのポテンシャルを発揮することなく山間をゆっくり進んで行く。やがて山形盆地に突入し、ようやっと滑り込んだホームは、北端にしか出入口が無い板橋駅のような構造。在来線への連絡通路を抜け、東口から外へ。気温は東京とそう変わらないようだが、日が陰ると急激に冷え込むのが恐ろしい。ガラスに覆われた駅舎から空中歩廊を渡り、駅の東で南北に延びる『すずらん通り』へ出る。低層の商店ビルが連なる、整備された通りを北へ。大きな公園の『山形城跡』は駅の西側にあるので、こちら側は断片的なモニュメントを目にするのみ…。400mほど進むと大きな交差点がひとつ。そこもそのまま貫き、『公園通り』と名前の変わった通りをさらに北へ。左に『NHK山形』を眺め、『木の実町』と言う可愛い名の街の端をくすぐりながら、三つめの信号に至る。目に入るのは、表に噴水を備えた『最上義光歴史館』…そのまま視線を右に移すと、交差点横に建つ赤い四階建ビルの一階から、『古本』の二文字!遥々来た思いを喜びに変換し、スッキリとしている店頭に立つ。軒には麗雅宋体の店名看板、歩道に少し飛び出した同書体の『古本』の看板、店頭台は無く前面は暗緑色をフレームとしたガラス張り。左には大きなパリの市街図と観葉植物の緑、右は様々な催事ポスターと店内の様子がチラリ。真ん中の扉から中に入ると、まずは奥で横に座っている店主と視線がバチリ!…若い頃のおとなしめな宮崎駿と言った風情である。入口右にある明るいスペースは100均コーナーとなっており、右壁に向かって“U”字型に腰高の棚が組まれ、歴史ムック・山形本・単行本・文庫本・ハヤカワポケミス・新書・「マンハント」・「EQMM」などが並んでいる。絶版&品切れが多く見応えあり!私はすっかり夢中になって、床に這い蹲り棚をチェックしまくり。奥は薄暗く壁際は本棚、フロア右側には手前と奥に一本ずつ縦に棚が置かれ、左側は横向きに置かれた棚が奥に向かって五本連続している。右奥にテーブルに囲まれた広めな帳場。奥行きが意外にあるお店で、棚が林立しているためか多少迷宮的な様相を見せている。棚には整理整頓が行き届き、非常にビシッとした店内になっている。100均スペース横に時代劇文庫が一列並び、右壁には絶版漫画・探偵小説・鮎川哲也・岩波文庫・岩波現代文庫・同時代ライブラリー・東洋文庫・全集類・性愛・中国・近代史・資料本・探偵&推理小説・江戸川乱歩・推理アンソロジー・朝日ソノラマ文庫…むむ、濃いな。濃く偏っているな。向かいには講談社学術&文芸文庫・セレクト日本文学文庫(SF&推理多し。そして東郷隆の定吉七番シリーズまでも!)・福武文庫・春陽文庫・集英社文庫。その裏側も中公文庫・ちくま文庫・教養文庫など、出版社別文庫が続いて行く…一瞬たりとも気が抜けない緊迫した棚造りが連続!帳場下には教養文庫の探偵小説やロマン文庫など。左側ゾーンにいそいそと移動。まず入口横にはムックや図録の棚があり、手前から、第一通路棚表には山形関連文学本…うぉっ!ちゃんと阿部和重「シンセミア」が並んでる!こう言うのは嬉しいなぁ。裏はセレクト日本文学。第二通路表は引き続き日本文学(SF&幻想含有)、裏は日本語・編集・書物・古本・詩集となっている。第三通路棚表はテレビ・映画・音楽・芸能・美術・演劇・落語で、裏は食・科学。第四通路棚はすべて海外文学で、第五通路棚は、創元SF&推理文庫・海外ミステリ&SF文庫がズラッと詰まっている。左の壁際は様々な形の棚が続き、山形関連本・山形研究資料&論文類・歴史・民俗学・思想・ビジュアル本。そして左奥角周辺に集まる、ノベルス・新書・ハヤカワポケミス・ポケSF・サンリオ文庫・「面白半分」・ミステリ雑誌・SF雑誌・ハヤカワノヴェルス・ハヤカワ文庫…ここの眺めは大変素晴らしいことになってます!よくもまぁこんなに山形に集まっているものである!と言うわけで、ホントに遥々来た甲斐があったいいお店!各所に探偵・推理・SFの含有率が多く、「@ワンダー」「古書ワタナベ」「羊頭書房」「富士鷹屋」「山羊ブックス」と通じるものあり!しかしここは安めなのがさらに嬉しい!どの本を開いても『安いじゃないか!』と思えるグッドな値付けがされているのだ。私は一発でこのお店の虜となりました。ホクホクしながら帳場にて精算。うぁっ!横のテーブルに高城高のミニエッセイ集(新刊)を発見!これも買わなければっ、と慌てて計算に入れてもらう。そして目に付いた名刺もいただこうと「それ、いただいてもよろしですか?」と聞くと「あぁ、どうぞ…どちらからいらしたんですか?」「あ、東京から…」「東京!?ご旅行ですか?」「まぁ、ちょっと立ち寄る機会があったもので…(とてもこのお店だけを訪ねて山形に来ましたなんて言えません!)」「そうですかぁ。またもし来られることがあれば、ぜひお寄りください」「判りました…あの、いいお店ですね」「えっ、あっ、ありがとうございます…」…はにかむおっさんが二人…何とも不気味な光景ではあるが、楽しい山形の古本の煌きであった。さて、もう引き上げなければ。山形市内にはもう一軒古本屋さんがあるはずなので、またいずれ。文春ネスコ「日本プラモデル興亡史/井田博」ケイブンシャ「なんたってポテトリアン/竹内義和」文春文庫「異人館周辺/陳舜臣」講談社文庫「彼女の夕暮れの街/常盤新平」荒蝦夷「X橋付近から/高城高」を購入。
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2010年11月05日

11/5東京・中目黒 Graphio/buro-stil


buro-stile.jpg改札を抜けて『山手通り』。高架北西側すぐにある、あまり人が使わない歩道橋を駆け上がり、駅ホームと同じ視点を楽しむ。歩道橋の横にあった「文成堂書店」(2008/11/20参照)はすでに跡形も無い。そのまま目黒川沿いに出て、生臭い水の匂いを嗅ぎつつ、北西へひたすら進んで行く。夕暮れ+桜の樹陰で遊歩道はすでに薄暗い。川沿いに等間隔に設置された『電撃殺虫機』(恐ろしい名称だ…)が時折立てる、“ビチッ!”と言う音に首を竦ませながら、川を遡って行く。何軒ものカフェと美容院と洋服屋をやり過ごし、おぉ対岸に「COW BOOKS」(2008/08/24参照)の未来的勇姿。そしてさらに進んで行くと、カステラの『福砂屋』工場から流れ出る甘い香り。500mほど進んだところで『千歳橋』を越えると、左手の雑居ビル一階に今日の目標。シンプル&モノトーンの恐ろしい外観。ギャラリー的美術雑貨のお店らしく、古本も取り扱っているとのことなのである。表に出ている情報は直方体の店名看板と、入口窓に貼られた『モダン古美術雑貨店』の文字と、取扱品目・営業時間のみ…古本とは書かれていないが…。しかも窓から見えるのは廊下らしきスペースで、店内の様子は一向に不明…しかし私も力強くなったものだ!多少の怯えははあるが、引戸をガラッと開けて、とにかく中へ!こうなったらもはや進むしかないのだ。廊下には木製の自転車やポスター、熊の置物など…真っ直ぐ進んで右に曲がると、さらに短い廊下が続き、粟津潔のワンダフルなポスター。そして視界が開け、縦長の天井も高い倉庫のようなソーホー的空間。壁の上部には様々なポスターや美術作品が、額装されてグルリ。下には様々な洒落た棚が壁沿いに並び、美術作品・工芸作品・古美術雑貨・等身大ヌード写真集などが美しくディスプレイされている。うわっ、やっぱり緊張。右には赤い大きなテーブルがあり、平台と帳場を兼ねている。そこには美術品を中心に、数冊のビジュアル洋書(プロダクトデザイン・人形など)。おぉ!右奥隅に本棚がある!とここで、40代と思しき口ひげ店主が目前を横切りながら「いらっしゃいませ」。いきなり本棚に直行するのもなんなので、しばらく解らぬ美術作品たちを上の空で鑑賞することに。そして一回りして堂々と本棚の前に立つ。四×五のボックス状棚で、美術・グラフィックデザイン・プロダクトデザイン・民芸・建築・寺山修司・「家畜人ヤプー」・美術&グラフィック雑誌などが収まっている。大判本と洋書がほとんどだが、見たところどれも古本なのである。ボックスひとつひとつを検分し、立ったり座ったりしながら、買うべき本を物色。みな高めではあるが、あまり無理の無い値段をリサーチし、ちゃんと興味ある本を発見!これだっ!クルッと振り返り、背後に座っていた店主に「これを下さい」と差し出す。精算しながら、猿が蝸牛と戯れる文鎮を眺めて緊張感を緩和させたりしてみる。店主は本を手に、バックヤードでウロウロ…どうやら袋が見つからないようだ。「あっ、そのままでもいいですよ」と言ってみたが、「いや…」と言ったきり再び険しい顔で袋探しを続行…曲げられないのですね!そしてどうにか袋を見つけ出し、「ありがとうございます」と手渡しながらニッコリ。モダン古美術か。不思議な物体が多かったな…遠い未来のいつの日か、古本をしっかりと整理出来たなら、いずれ文鎮のひとつでも…。TUTTLE「THE IMPERIAL HOTEL/CARY JAMES」を購入。
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2010年11月04日

11/4東京・曳舟 TOTOとLULU

朝から手早く仕事を済ませ、返事待ちの間にツアーに行こうと午前中に出発。ヒット&アウェイなつもりで、素早く帰宅するつもりであった…しかし空振り続き…おかげで埼玉南西部を迷走する破目に陥る。まずは八潮にて、西南に中川を越えて、トラックが爆走する十字路に飲み屋が密集する素敵な街へ。しかしお店は見当たらず、スゴスゴと八潮へ引き返し、今度は駅から北上して草加方面へ。目指すは「宮本書店」である。駅からずい分離れた所にあるので、かなり疑りながら向かったのだが、意に反してお店はしっかりとあり、しかも現役感満点!しかし定休日!己の不幸を激しく呪いつつ、再訪を誓って草加駅へ。東武東上線で北上して東武動物公園駅へ…そろそろ家に戻らねば…などと考えつつも、そんな気持ちとは裏腹に、ますます遠方へとルートは延びて行く…。東口から街路に飛び出し「きよじ屋書店 本店」の前に駆け付ける。しかし無情にもシャッターは閉まったまま。以前来た時も同じ状況であった…もしかしたら閉店してしまったのだろうか…?結果、空振り三振!と言うことで、ここは勇気ある撤退を決断。いつまでもこんなことをしていたら、私は確実に社会からふるい落とされてしまう!焦りながら、北上して来たばかりの路線を、十分も経過しないうちに、狂ったように南下して行く…まぁ「宮本書店」の存在を確認出来ただけでも良しとするか……いや、やっぱり良しと出来んっ!昨日も一日中仕事でツアー出来ていないのだ!やはり今日は何としても…!そうだ!確か曳舟に変な名前のお店があったはずだ。よし、あそこに行こう!そして今日のツアーに終止符を打とう!


toto_to_lulu.jpgすでに西日が眩しい高架ホームから下りて西口。高架下のお店と自転車置場に挟まれた小道を北に進むと、小さな『曳舟児童遊園』を境に道が別れている。高架とは逆の北西への道に進むと、大通りの『水戸街道』。『東向島三丁目交差点』なのだが、北東方向の近い所に『東向島二丁目交差点』も見えている。おぉ、その信号近くのマンション一階に、狂ったように探し求めた『古本』の文字!信号が変わった途端に走り出し、前のめりに到着。歩道際には黒く縦長な店名看板…それにしても『キキとララ』みたいなおかしな名前だ…。軒にも同様の黒い看板があるのだが、何故だかかなり凹み気味。店頭台などは無く、前面がガラス張りのため、店内の様子はよく見える。そのガラスには『今月かぎりの大セール祭り』『コミック単品・小説・CDが全品半額!』『ゲーム・DVD・コミックセットがALL20%引き!』の貼紙。これはラッキー!と思いつつ自動ドアから店内へ。しかし店内を見回して行くと、私の心が警戒アラームを鳴らし始めてしまった。どこを見ても、コミック・CD・ゲーム・DVD・廉価コミックばかりなのだ。一列、二列、右壁、左壁…奥に見えているのは暖簾に隠れたアダルトゾーン。このままではいかん!三列目…あぁコミックばかりだ。どうしよう…心臓を汗が伝うような焦りが、徐々に敗北感を増殖させて行く…が、右奥隅に文庫の影!あった!少ないけどあるぞ!二本の棚の下半分に、下の平台も含め六列ほど古本が並んでおり、ミステリ&エンタメ・エッセイ・サブカル・新書・文庫・ラノベなどが、小さな小さな領土を等分に分け合っている。むろん新しめな本ばかりだが、値段は安め。少ない中から一冊選び、レジにて精算。おぉ、半額!そしてこれで何とかどうにかなった。それにしても古本屋の無い世界(ルート)は本当に恐ろしい…。想像するだけで絶望に震えてしまうので、古本屋のみなさん、これからもこの世界をどうぞよろしくお願いいたします!よし、急いで帰るぞ!竹書房「人生を逆転する名言2/福本伸行」を購入。
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2010年11月02日

11/2千葉・小金城址 わくい古書店


wakui_koshoten.jpg常磐線馬橋駅から流鉄流山線に乗り換え。ホームの出札口がかなり古い、上下動の激しいローカル線である。常磐線沿いから離れると、すぐに鋼鉄の電車に相応しい田舎な風景となる。二駅先で降りるとそこは廃墟のような駅舎で、階段から街に吐き出され後ろを振り返ると、白く古い集合住宅の下にある駅だった。風化した、駅舎+集合住宅の未来的風景を、しばし呆然と眺める。横では駐輪場案内板につながれた赤犬が、ギャワンギャワンと吠えている。踵を返し、駅前のうらぶれたメインストリートを北東に進む。200mほどで二つ目の十字路にたどり着くので、そこを北西へ。するとたちまち完全な住宅街となるが、構わずに歩き続ける。おぉ!左手に、信じてここまで来て良かった!と思わせるお店が現れた。向かいには掩体壕のような無人野菜販売所。お店は普通の二階建ての一軒家で、増築したサンルームのような二階の下にプラ製の日除けが大きく張り出し、下の駐車場スペースの奥に小さな店舗が見えている。お店はウェルカムな状態なので、躊躇することなく店内に足を踏み入れた。すると店内と連続している住居部分から、奥さんらしき人が「いらっしゃいませ」。店内は狭く少し横長で、壁に造り付けの本棚、真ん中に背中合わせの棚が一本、他にも各所に小さな棚が置かれたりしている。棚も店内も、古いながらも手入れが行き届き、清潔な印象である。ここで表のサッシがカラッと開き、「いらっしゃいませ」と私に声を掛けながら老店主がご帰還。白髪頭を角刈りにした、大工の棟梁のような方である。そのまま住居部分に上がり込み、ドッカリと腰を下ろして背後のフスマに身を預けている。左壁の上部は「ゴルゴ13」などのコミックが並び、その下に100円文庫&新書&ノベルス(源氏鶏太・阿川弘之あり)が収まる。腰高の平台にも100円単行本がズラリ…結構古い本も並んでるな…やった!探してた本発見!もうこれだけで、私にとってこのお店は良いお店となった。帳場横には文庫揃いとコミックが並び、通路棚はコミックとアダルトが収まる一般的な構成。続いて右側スペースへ。丁度テレビで『水戸黄門』が始まり、奥さんは夕餉の支度に取り掛かっている。帳場横には箱入り本が目に付き、民俗学や郷土&風俗関連で埋められ、下部に日本文学文庫が少量。右壁は上部に歴史・世相・文学の箱入り本が集まり、下に平台も含めて時代劇文庫がドッサリ。サッシ前に図録・ビジュアルムック・雑誌の棚があり、通路棚に歴史小説・戦争・風俗・郷土・図鑑などが並んでいる。歴史と郷土関連が充実したお店で、左が街の古本屋さんの役割をし、右が歴史風俗に強い古本屋さんとなっているのだ。なので値段は左は安めで、右は普通〜高めとなっている。「日本のミイラ」欲しかったなぁ…。店主は胡坐をかいたまま本を袋に入れ、「ありがとうね」と渡してくれた。ふぅ、素敵なお店であった。焼魚の匂いが流れるメインストリートを駅まで戻り、硬券の切符を手に流鉄を待つ。ホーム横の川のせせらぎ、空がオレンジに染まった夕暮れ…。「木下文太郎遺稿集」を購入。…そして帰宅して気付いたのだが、この本はまったく欲しい本ではなかった!“文太郎”と“遺稿集”で、勝手に『加藤文太郎遺稿集』と勘違いしていたのだ。中身もよく確かめず、うぅ恥ずかしい。…何だ、この北海道の先生で北教組の人の話は…。しかしそんな体たらくでも、あのお店での時間は決して揺らぐことはないのであった!
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2010年11月01日

11/1神奈川・小田急相模原 イーストウッド


eastwood.jpg最初に向かったのは橋本の奥地。早歩きとランニングを繰り返し、西日に照らされながら四キロほど進む。しかし、劇的なカーブを曲がった所に建つお店は、シャッター半開け状態…やってるかも!と思いつつ扉に手を掛けるが、ドアはピクリともせず中は真っ暗…残念である。しかし暗がりにキレイな棚が見えていたので、どうやら開店することもあるのだろう。帰りは女子高生満載の高周波が飛び交うバスに揺られ、駅へと戻る。次回は最初からバスで向かうことにしよう。そして第二の目的地を目指して、再び電車にて移動を開始…。到着したのは11ヶ月ぶりの小田急相模原。南口を出るとすでに薄闇のロータリー。楽しそうにダベるタクシー運転手の前を通り、南側の銀行とパチンコ屋の間に延びる『南口一番街』に滑り込む。その短い通りを抜けると大通りが横たわり、交差点の際で目指すお店が煌々と輝いていた。おぉ、本棚!白い二階建ての一階が店舗で、軒にはオレンジと緑の派手でちょっとファンシーな店名看板。『本と子供服のリサイクルショップ』のキャッチコピーが踊る。その下には汚れたオレンジの日除けが張り出し、店頭には花売りのようなメルヘンフレームワゴン(くたびれた文庫入り)・安売りワゴン・安売り棚が並び、真ん中の文庫ワゴンは三冊100円ゾーンと三冊200円ゾーンに分かれている(丁寧な説明図あり)。ちょっと状態の悪い本やカバー無しが目立つが、ちょっと古めの本が並んでいるので、期待に古本胸をトキメかせてしまう。中に入ると、活気は無く静かに空気が張り詰めた世界。入口側の帳場に座る壮年店主が、厳しいチェックを私に入れ始めている…鼓動を早めながらも素知らぬフリをして、店内を軽く見回す。何だか昔の新刊書店をそのまま流用している感じで、入口側を除く三方の壁は造り付けの本棚、フロアには低めの背中合わせの棚が二本、右端通路のみ奥が行き止まりとなっている。左壁は日本文学から始まり、新書・ガイドブックと並びつつ、奥に向かって日本文学・ノンフィクション・エッセイ・歴史・戦争・海外文学・文化などがカオスに並び、途中から岩波文庫・ちくま文庫・中公文庫・海外文学文庫と続く。下には実用ノベルスとカオスな文学本の並び。70年代の本多し。向かいは日本文学文庫と時代劇文庫で、品切れ&絶版も多く混ざっている。奥壁は今までに比べまとまっており、宗教・オカルト・脳・心・精神科学がズラリ。下には新旧ノベルスが一列に整列中。店主は静かに座りながらも、私の動きを注視し続けている。時折金属の何かを“ガチャリ”とテーブルに置き、定期的に陰鬱な音を響かせてくる…まるで看守に監視されてるみたいだな…。左の通路棚は日本文学文庫がズラッと並び、下には廉価コミックがビッシリ。向かいはカバー無し文庫と少量のコミック、詩集・絵本・児童文学が収まっている。右端の通路は手作り雑貨や洋服の寂しいディスプレイがメインで、右壁棚に実用・文学・復刻本が少量並ぶ。よし、見終わった!と入口方面に振り返ると、店主が帳場の端に立ち、この通路をグッと見据えているではないか!一瞬怯むが、負けてなるものかとズンズン歩み寄り、「これ下さい」と本を差し出す。すると「あぁ、はい」と後はもう普通の丁寧なやり取り。お店は明るめなリサイクル店的外観とは裏腹に、シブい街の古本屋さんとなっている。棚は雑本的で、70〜80年代の本が多く、探す楽しみあり。値段は安めなので、店主のプレッシャーを跳ね除けて、楽しい本をぜひ掘り出すべし!ちなみにお店に、クリント・イーストウッドを感じさせる物は皆無となっております。ぜひとも『荒野の用心棒』のポスターでも、貼っておいていただきたいものである。中公文庫「日翳の山 ひなたの山/上田哲農」徳間文庫「鳥と人間と植物たち/田村隆一」築地書館「化石採集の旅 関東編」を購入。
posted by tokusan at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする