2012年02月29日

2/29東京・中野 まんだらけ本店2

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雪なので日和ってあまり遠出せず、二駅だけ東へ。北口に出るとロータリーは大掛かりな工事現場と化しており、巨大な陸橋が左の高台から延びて来ている。工事ゾーンを回り込んで『中野サンモール』を北進。雪のためか、通常より人影は少なく、あっという間に『中野ブロードウェイ』に到着する。三階行きの長いエスカレーターに乗り込み、降りた所は西側の『ブロードウェイ通り』。北に進むと、すぐに右手に黄色ののショーケースを多数備えた、ブロードウェイの主『まんだらけ』の一店。天井の高い通路に巨大な看板が輝いている。ここはマイナー出版系少年漫画・青年コミック・大判コミック・成年コミックを集めたお店なのである。…今まで一度も入ったことが無かったが…果たして活字本は存在するのだろうか?中に入ると、右のレジに青い髪でメイド姿のお姉さんがお仕事中…漠然と戸惑いながら、コミックだらけの通路を探索して行く。するとほどなくして、左から二番目の通路にラノベが集まっているのを発見する。さらに左側棚中程に、ラノベ出身作家・ラノベ寄り作家の本が並んでいる。冲方丁・有川浩・上遠野浩平・桜庭一樹・奈須きのこ・西尾維新・舞城王太郎など。ここには通常の文庫やノベルスもあり。他にも本はないものか…?奥へと進み、奥壁の大判コミック・アメコミ・イラスト集・ムックの前を通過して右奥へ。おっ、右端にマンガ学・マンガ研究・作家評伝&自伝の棚を発見。そして右端通路、壁棚の各種コミック関連雑誌の向かいに、マンガ系サブカル本も集まっている。当然の如くそのほとんどがコミックだが、端々にラノベ&コミック寄りの活字古本ありの現代的なお店。値段は普通〜ちょい高。レジでは、先ほどの青髪お姉さんに精算していただく。徳間デュアル文庫「冬の巨人/古橋秀之」を購入。そのまま四階の店舗も流し、講談社「事件記者シリーズ 犯罪乱流/島田一男」雄鶏社「一握の玻璃/西條八十」を購入する。

帰りに高円寺で途中下車し、雪の影響は受けていないが、すっかり凍てついている都丸支店の壁棚に密着。平凡社「現代大衆文學全集35 新進作家集」を200円で購入。林不忘・大下宇陀児・久山秀子・角田喜久雄・城昌幸・水谷準ら総勢十人の短編集なのだが、何と中を見ると豪華な挿絵執筆陣がっ!おぉ、山名文夫が三枚!おぉ、高見澤路直(田河水泡)が五枚!おぉ、竹中英太郎が二枚!素敵だっ!高架下を通り家に帰り着くと、朝日新聞夕刊の一面下に、「いにしえ文庫」さん(2011/12/14参照)の笑顔がっ!これもまた素敵だっ!
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そして夜、『古本ナイアガラ』内古本屋擬き「フォニャルフ」次回テーマの準備に、ニヤニヤとほくそ笑みながら着手する。一月・二月は、きっちりしたテーマで棚を造ったので、春の三月は何となく緩く、それでいて“出血サービス”系に傾き、突き進もうかと考えている。棚の入替は恐らく来週辺りになるであろう。現在の『田村隆一と早川書房』、まだ未見の方はぜひともお早めに!

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2/28東京・曙橋 雄松堂書店

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行ってもどうにもならない、最初から敗北することの判っている、洋古書稀こう本のお店なのである…いや、ショールームを備えた大きな会社…店舗とは言えぬのかもしれない。私はある意味、完全なる冷やかしなのだが、行けばショールームぐらいは入れてもらえるかもしれない…淡く小さい希望を胸に、地下鉄駅の『A4出口』から地上へ。そこは、車の流れる谷底の街。緑の鉄骨橋脚が雄々しい『曙橋』を潜って、『靖国通り』を東へ。外壁のスリットラインが細かく連続する『中央大学』を左に見て、『合羽坂下交差点』を通過する。続く、高い電波塔を持つ威圧的な『防衛省』を左に見続けさらに東へ。『防衛省』の対岸は、ビルが通り沿いに城壁のように連なって行く…そして行く手に、正面右角の丸まった白いビルが現れ、八階の上に巨大な『YUSHODO』の看板文字…あれなのか!ビルに近付いて行くと、一階は豪華なウィンドウとなっており、何やら本棚の裏側と、所々に穿たれた飾り棚を通して、ショールームの内部が覗けるようになっている。おぉ!重厚な本が並ぶ、重厚な本棚がチラリ!中に人の姿は見当たらない。正面入口の自動ドア上には控えめな看板文字。入口周りに受付のようなものは確認出来ず、通りに面した自動ドアと、ショールームへの自動ドアに挟まれた小空間に、小さな内線電話の置かれたテーブルがあるのみ…これは!もしかしたら非常にウェルカムな状態なのでは!?しばし冷たい路上で逡巡したが、勇気を持って自動ドアから小空間へ。右には待合椅子が二脚、左に小テーブルがあり、内線電話・会社内部署案内・稀こう本フェアのチラシなどが置かれている。ふ〜む、貴重な古書を扱うだけではなく、出版事業など様々なことを行っているようだ。そして一階は古書部!よし!と気合いを入れて、話しかけられた場合の会話シミュレーションを頭の中で組み立てながら(日本橋の「ワールド・アンティーク・ブック・プラザ」(2011/12/28参照)で貴社を知り、たまたま通りかかったのでちょっと入ってみたんです…など)ショールームに入ろうとすると、あれ?自動ドアが開かない。ピクリともしない!何故!?…これはもしや、内線をしっかりと『古書部』にかけないと、ダメだと言うことなのかっ!?…そんな……冷やかしの私にとっては、ありえないほど高いハードル!はぁ、とため息をつき、ガラス越しに本棚を未練がましく眺めてから、情けなくただ打ちのめされ、敗走。肩を落としてトボトボと『靖国通り』をただただ西へ。しかし、とてもこのまま帰るわけにはいかないので、新宿御苑の裏通りにサササと逃げ込み、「國島書店」(2008/07/10参照)に転がり込む。古書ではなく、古本に囲まれてホッと一息。昭森社「本の手帖 1968 NO.72」青土社「ユリイカ 1973/5 特集・田村隆一」を購入。続けざまに「昭友社書店」(2008/07/10参照)に向かい、さらに気持ちを安堵させ、中公文庫「ペンギン・ブックス/J・E・モーバーゴ」を購入する。…あぁ、あの太刀打ち出来ない世界、まるで蟻が象に闘いを挑むような、世界観の差異…いつの日か、堂々とあのショールームに入れる時が、果たして訪れることはあるのだろうか…。

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2012年02月27日

2/27東京・大泉学園 古本喫茶店マルゼン46

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映画版『銀河鉄道999』のホームベルに送り出されて、南口の空中広場。左のスロープを丸く下って、階段から南に延びるバス通りへ下りる。そのまま狭い歩道をテクテク進む。途中には、「サンフレンズ」(2009/10/30参照)・自動車教習所・区民農園・小中学校…700mほど南に下ると『石神井三丁目交差点』。ここより進路を東に採り、変哲の無い住宅街に入り込んで行く。300mほどで、南側にこつ然と現れた『石泉ショッピング街』と言う名の、ザ・地元商店街。道の先は、公団の『パークサイド石神井』に続いているようだ。そちらに向かうように商店街を進んで行くと、右手にマンション一階にへばりついた、小屋のようなお店の姿…古本屋と喫茶店の融合店なのだが、どうやらこの入口小屋部分が、古本屋さんと言うことらしい。路上には矢吹丈のイラストがある小さな立看板があり、小屋上部のベニヤ板には『古本喫茶店』の白い文字。一段高くなった店内に入ると、左右は壁棚で、右寄りの入口通路を挟んで、左にラックと小さな棚とカゴ、右に箱棚・平台・雑誌箱。左の六段の壁棚にはほとんどコミックが並んでいるが、最上段にはガンプラ&グレートマジンガーのプラモ箱も飾られている。ラックには絵本と雑誌が並び、小棚にはコミックが詰まり、カゴには何やら雑貨類。右の壁棚には、上部二段にミステリ&エンタメ文庫と、二重部分の奥に海外文学文庫。そしてDVD一段・野球&プロレスで一段・またもやのコミックとなっている。箱棚は藤子不二雄漫画(店内にも藤子関連ありとのこと)、平台には絵本が面出しで並び、下には雑誌箱の姿が…。ほぼ新しめのコミックと絵本で造られている。値段は定価の半額よりちょい高め。私が必死に棚を探っていると、中から爽やか笑顔のポニーテール女性が顔を出し、「いらっしゃいませ。ご自由に、ごゆっくりご覧下さいね」と声を掛けてきた。「ありがとうございます」と答えつつ、どうにか一冊を選んで、引き戸を開けて喫茶店内へ。コーヒーの香りがぷんと漂っており、マンション一階とは思えない良い雰囲気である。入口右横とカウンター席の奥に本棚が見えているが、並んでいるのはコミックのようである。席には恐らく近所の方であろうご婦人が二人。先ほどの女性が「いらっしゃいませ」とまた笑顔。しかし私が席に着くと予想していたようで、一瞬だけ放置される。改めて「すいません、これを下さい」と文庫を掲げると、「あぁ、はい!」とこれも一瞬戸惑いを覗かせながら、こちらに近付いて来た…やはり古本を買うだけの客は、あまりいないのだろうか?文春文庫「私の男/桜庭一樹」を購入する。本を受け取り「ありがとうございます。またいらして下さい」の声を背に戸の外へ出ると、さらに「ありがとうございました」の声が追っかけて来る。そして路上に出て、元来た道を戻り始めると、改めて「ありがとうございました〜」の声。驚いて後を振り返ると、古本屋部分の店先で、ポニーテールを正に馬の尻尾のように揺らしながら、お辞儀をする彼女の姿…何と丁寧な見送りであることかっ!

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2012年02月26日

2/26神奈川・日ノ出から黄金へプラプラしながらセールと出会い!

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急いで行かなければ、遅刻の可能性大。大分前に閉店のタレコミをいただきながら、今日まで放置した自分を呪い、京浜急行で横浜方面へ。ホームがグインとカーブした日ノ出町駅で降りて、とにかく駅前の「文昇堂」(2010/05/27参照)へ。半ばあきらめながらスクランブル交差点を渡り切ると、おっ!お店の前に人影あり!どうやらまだ営業しているようだ。店頭にたどり着くと、その佇まいは以前と変わらないのだが、棚や扉にベタベタと緑&ピンクのビラが貼られ、二階のアダルト売場がすでに閉店したこと、閉店セール・特価セール中(文庫&コミック100円、単行本&コミックハード版は半額)であることが書かれている。店内もさほど変わらぬ印象だが、足下に箱入りのアダルト本が並んでいたり、紐で括られた文庫やコミックも多数。また左の壁際奥がかなり空いてしまっている。お店のご老人やご婦人は、相変わらず家庭的で明け透けで、店内に飛び交う親密な会話を聞いていると、強制的にこの家の茶の間に座らされている気分になる。地元のお客さんと共に、棚をじっくりと視線で焦がす。童話春秋社「少年文学史 明治編 下巻/木村小舟」表現社「ピッポの家/斎田喬」を300円で購入する。帳場のおばあさんにいつまで営業しているのか聞いてみると、三月中旬までとのこと。まだ、しばしの余裕あり。こうなってからでは、まさしく後の祭りなのだが、アダルトゾーンの二階へも入っておくべきだったな…。続いて、お店の裏手にあるもう一軒の「文昇堂」へ。
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こちらはアイドル専門店とのことだったので、あえてツアーはしていなかったのだが、この際だ。しっかり見ておこう。裏通りに面したビルの一角。路上には『アイドル 本』の立看板が出され、青い日除けの下には暗い店内…やはりこちらにも『閉店のため全品50% OFF』の貼紙があり、J-PHONEの藤原紀香等身大立看板が、無闇に明るい笑顔を投げ掛けている。中は薄暗く倉庫のような店内で、奥の帳場の卓上ライトが、周囲一帯を明るく照らし出している。そこには角刈りの壮年のおやじさんがひとり…。店内は両壁と真ん中のスチール棚で構成され、アイドル写真集とエロ雑誌と『世界の軍用機』で埋められている。通常営業時は、もっとアイドル関連で占められていたのだろうか…。見事に手も足も出ず、あっけなくお店の外へ。

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●黄金町「試聴室」
よし、ここまで来たのなら、あそこにも寄ってみるか。プラプラ歩きながら南に向かい、京浜急行の高架にたどり着き、黄金町方面へ。封鎖された高架下と、火の消えたような再興中の町並みに閉じ込められた寂しい通りを、時々猫たちに慰められながら歩む。目指しているのは、高架下にあるちょっと実態が判らないお店(一応“軽食・喫茶”と銘打たれている)で、片隅のワゴンで古本が販売されているとのことなのだが…。高架下には似たようなシンプルなスペースが連続し、どれがそうなのかよく判らない。一度黄金町駅の手前まで行ってしまい、慌てて元来た方へ引き返す。すると駅から100mほどの、大岡川側の高架下店が目指すお店だったことにようやく気付く。んん?何かイベントが行われているのか?…入れるのか?と言うより入り難い…と思いつつ、お店の外観をカメラに収めていると、中からひとりの若者が飛び出して来た。そしてこちらに近付き、おもむろに「あの、古本のブログ書いてる人ですよね?」突然の勢いに気圧されながら「あ、そうですが…」「去年、反町でのお話、聴いてました」「あっ、そうなんですか。ありがとうございます」「それでネットで古本屋を始めたんですけど、組合にも入りました!」な、何と!あの時の「古本屋開業講座(私は古本屋について好き勝手に話させていただいた)」が、若者のひとつの未来を、決定してしまったのか!…す、素晴らしいことじゃないか。「さっき見掛けた時に、そうかな?って思ったんですけど行っちゃったんで…でもそしたら戻って来たんで、声掛けたんです」「それはどうも」「今、中でイベントをやってて、本売ってるんですよ。よかったらどうぞ」おぉ!これぞ渡りに船!躊躇せず彼と一緒にお店の中へ。本棚やステージやDJブースがある店内は、『試聴室で会った人だろ2012』と言うDJ大会(一人一曲の選曲で、総勢三十人!…ああ、とてつもなく押しそうだ…)とフリーマーケットが開催されていた。若者は「中島古書店」として文学系の古本を並べている。思潮社「現代詩文庫 田村隆一詩集」を購入。そして同じく古本箱を出していた「たけうま書房」のお二人を紹介していただく。色々な場所で何度も擦れ違っているはずなのだが、お話しするのは今回が初めてである。楽しい黄金町と古本屋(「文昇堂」は駅前再開発のため閉店することを教えていただく)とDJと古本市の話。文春新書「天才 勝新太郎」を購入。そしてこのお店に来た目的でもある、常設の古本ワゴンを発見。音楽本やCDが中心の「小暮秀夫」でbasilico「殺しの時間/若島正」を購入する。ひょんなことから、様々な人と出会えた楽しい邂逅。こんなこともあるんだなと、ウキウキしながら辞去。ちなみに「中島古書店」は、いつになるかは判らないが、実店舗を開店したいとのこと。そのバイタリティがあれば、必ずや実現するはず!楽しみに、首を長くして待っております!
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2012年02月25日

2/25宮城・気仙沼 唯書館 気仙沼店

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東北に向かうと、雨が途中から雪に。一ノ関で、ワンマンディーゼル二両編成の大船渡線に乗り換える。車内は、何かの交流行事で気仙沼に向かう小学生で一杯。私が本を読んでいると、そのボックス席に着いた女子三人も読書を開始…外では雨のように雪が降っているのだが、ディーゼル車はものともせず、谷間をクネクネと進んで行く。およそ八十分後、列車は時刻通りに駅に滑り込んだ。降雪にも積雪にも揺るがない、タフさに感動。…気仙沼…果たして街はどのような状態なのか…ちょっと緊張しながら駅を出ると、燈台と鮫とカジキマグロが凍えている、田舎の小さなロータリー。十五センチほど積もった雪のために、視界は白。ここはまだ谷間の雰囲気が残っており、ゆっくりと二キロほど先の気仙沼湾に向かって落ち込んで行っている土地なのである。なので駅周囲では、津波の被害は見当たらない。ロータリーを抜けて、駅前の大通りを北西に進む。やや上り坂な上に、歩道にほとんど人の歩いた痕跡が無く、新雪をキュッキュッと踏み込み、開拓者のように進む。左手に半島のように横たわる小山があるので、それを北から回り込むようにして、雪の中を先へ。時々、電線から落ちて来た雪塊が、爆撃弾のように傘を直撃したり、足下が新雪で白過ぎるため、至近距離なのにホワイトアウトしたりする…そしていつの間にか雪で重くなる傘。フウフウと苦労しながら、300mほどで『一関』と『東新城』への分かれ道。左の『東新城』を選択し、下りながらヘアピンカーブして行く道を、滑らぬよう注意して進む。小山の突端を回り込み、二本の川を橋で越すと、道は南への直線道となる。橋からズボズボ100mほど進むと、左手に駐車場のある二階建ての大きなプレハブが、二棟連なる寂しい光景…ここは商店街なのである。その名を『東新城 つばめ通り』と言い、3/11の津波や地震で被災した商店が、今年の二月に場を移し、新たに仮店舗で再出発したのである。
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そしてその中の一店に、フェニックス古本屋「唯書館」もっ!一年の時を待たずして、被災したお店がついに気仙沼に戻って来たのである!去年の夏に避難先の群馬で再起し(「唯書館 中之条店」2011/07/29参照)、そして気仙沼への帰還!こんなスゴいことを、指を加えて放置するわけにはいくまいっ!しかも私自身『いつの日か、気仙沼に帰ったその時は、万難を排して、古本を買いに駆け付ける所存です』と誓っていた!と言うことで、張り切って雪の中を進んで来たわけなのである。
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目指すお店は奥の一棟の左端。二階窓下に『本お売りください』とある大きな看板、それに玄関灯と窓ガラスにも店名がある。傘をすぼめて近付くと、中からメガネ女子店員さんが姿を現す。「やってますか?」と聞くと「ええ。いらっしゃいませ」と傘立てを出してくれた。身体に付いた雪を払ってサッシの入口を潜ると、左側のレジ帳場からメガネ男子店員さんがにこやかに「いらっしゃいませ」。床はコンクリだがプレハブそのままな店内。右の壁際に本棚が七列。フロアには右に背中合わせの本棚、左に背中合わせの雑誌ラック。左の壁際には本棚が張り付いている。各棚はすべて胸辺りの高さまでで、店内を広く見通せる状態。右壁棚は、ビジネス・ノンフィクション・エッセイ・社会・日本文学・海外文学・歴史・サブカル・文化…新しい本を中心に、少しカオスな並びとなっている。向かいは出版社別文庫がズラッと並び、何故か集英社文庫に古めの本が多い。真ん中の通路は、右にガイド・村上春樹・ハーレクイン・新書・ノベルス・海外文学文庫・時代劇文庫・岩波文庫・ちくま文庫、左に女性誌&ムック・絵本・児童文学となっている。左端通路は、ラックにカルチャー雑誌&ムック・アニメ・同人誌、左にコミック・ラノベ…そして奥は両側共アダルトゾーンとなっている。おぉ、完全なる街の古本屋さんなのである。教養からアダルトまでを一気に引き受け、復活したのである!値段は定価の半額が基本だが、見返しに値段札のあるものはちょい安となっている。気仙沼への帰還&開店、純粋に祝わせていただきます。おめでとうございます。そしてお帰りなさい。創樹社「硝子障子のシルエット/島尾敏雄」双葉文庫「殺意という名の家畜/河野典生」コアマガジン「裏の大事典」を購入。しかしそんな風に感激しながらも、駅への道のりを考えると少し憂鬱になる…あの大回りさえなければ近いのだが…。帳場で精算しながら、駅への近道はないのか聞いてみたが、やはり来た道が一番近いとのこと…帰りも雪中行軍か…。

犬に吠えられたりしながら、どうにかヒーフー駅まで戻る。駅前食堂のカレー粉カレーライスで腹ごしらえした後、駅前の商店街を下り、港方面を目指してみる…しかし雪のため、400mほどで挫折する。…情けない。しょぼんと駅へ引き返して行くと、駅前のクリーニング屋「ママ号」が古本を扱っているのを発見する。何か買えるだろうか?…残念、湿ってざらついた本に手が出ず。これにて気仙沼行は幕を閉じ、14:26の大船渡線で帰路に着く。あれだけ降っていた雪が止み始め、相変わらずの曇り空だが、車窓の景色が、日が射し始めたかのように、明るくなり始めていた。
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2012年02月23日

2/23東京・沼袋 BOOK LIFE

午前中の冷たい雨の中を、西荻窪へ。「盛林堂書房」開店と同時に店内に飛び込み、昨日の「フォニャルフ」補充時に忘れてしまった、目録擬き増補版を無事に棚に収める。そして店主と古本四方山話…すごく楽しいのだが、午前中からこういう話に耽溺(私は趣味、店主はお仕事の一環…)しているのは、どうも何か後ろめたい気分が…。講談社文庫「探偵小説辞典/中島河太郎」を購入する。

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午後、雨が上がってから自転車で高円寺へ。「都丸書店 支店」壁棚で、岩波書店「サーカス物語/M・エンデ」青蛙堂「材料ぶくろ/長谷川伸」講談社「その後の仁義なき桃尻娘/橋本治」(ほぉ、署名入りが300円!)を購入。そこからペダルを踏み込んで、北東にチャリチャリ向かい、夕方の色に包まれた沼袋へ。駅北口の小広場を抜けて、商店街を北に遡上する。途中から坂道になるごちゃついた通りを300mほど進めば、左手にブックオフ的配色の、聞き慣れない店名の新しい看板…ここは元は「ブックマート」のはずであったが、いつの間にか独立店舗として再出発していたようである。が、拭い切れない「ブックマート」の名残は、自動ドアの青黄ラインや、100均台の貼紙、駐車禁止の貼紙にバッチリと…。中は白くキレイで、細長く奥深い。古本は、入口右横から右端の通路に整然と集まり、店舗の中盤まで長く続いて行く。入口正面の棚脇には、最近刊本やオススメ本。後の棚には新書と時代劇文庫が収まっている。入口右横には洋書と箱入り文学全集本が並び、右壁に歴史文学・日本文学・詩集.ミステリ&エンタメ・美術・映画・演劇・音楽・辞書・歴史・ビジネス・経済・政治・実用・自然・宗教・オカルト・ノンフィクション・乗り物・語学・タレント・100均単行本・100均新書・100均文庫と怒濤の並び。棚造りは丁寧で、しっかりと流れが確認出来る。向かいはオススメ文庫・作家50音順日本文学文庫・雑学&教養系文庫の長い棚。ここも並びは気配り目配りが行き届いている…うむ、「ブックマート」時代から、このようなしっかりした状態だったのだろうか…初めて入ったので判定出来ず。本は新しくキレイなものがほとんどで、値段はキッパリ定価の半額。ハヤカワ文庫「リリエンタールの末裔/上田早夕里」を購入する。
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2012年02月22日

2/22東京・千駄木 なかよし文庫(倉庫)

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さて、今日は様々な方からタレコミのあった、根津の貸本屋「なかよし文庫」(2010/01/01参照)一日倉庫開放の日。いっちょう午前中から出張ってみるか!と寝ぼけ眼で新聞を繰っていると、何とそこには「なかよし文庫」記事が掲載されていた!これはいかん!と泡を食って家を飛び出す。団子坂下の地下鉄出口から『不忍通り』を南へ100メートル。『汐見小前信号』で西の小道に入り、最初の小さな十字路を北へ。すると右手に、小料理屋のある小さなマンション。一階横のアプローチから奥を見ると、そこはもう無数の人が蠢く倉庫…うはぁ、メディアの力、恐るべしっ!空き箱の重なる通路から小さな倉庫に入ると、壁面は頑丈なスチール棚、床にはたくさんのダンボール箱、その隙間で本を漁るダウンジャケットを着た人々…年齢層がちょっと高めな男女混合集団である。奥の机の前では「不思議」(2012/02/07参照)の店主さんが、特徴ある声を発し、大わらわでお客の対応をしている。一応本の価値を判定し、その場で値付けをしているが、基本的には安値の投げ売り価格である。倉庫内をぐるぐる見ると、その視界に入るのは、判ってはいたがすべてコミック…60年代〜90年代がしっかり揃う、偽り無しな漫画たち。棚の上部はセット販売で、下部はバラ売りコミックが横積みになっている。床には作家の名が入ったダンボールが乱雑に積み上がり、手塚治虫・石森章太郎・永井豪・赤塚不二夫・水木しげる・藤子不二雄・松本零士・つのだじろう・ジョージ秋山・望月三起也・谷口ジロー・かわぐちかいじ・水島新司・日野日出志・石井隆・萩尾望都・立原あゆみ・竹宮恵子など…。もうかなり猛者たちが手を突っ込んでいるようだが、意外に在庫は残っている感じ。何だか頭に血が上ってしまったので、私もまだ見ぬ宝を求め、ダンボールの山に挑みかかって、箱の上げ下ろしに従事する。しばらくフウフウと肉体労働…が、しかし!私が探しているのは古本なんだぞ!と途中で気付き、どうにか活字で埋まった本を探す方向に路線変更。苦闘の末に、漫画の海の中から一冊を発見することに成功する!他にも、文学全集の箱、文芸誌や「朝日ジャーナル」の詰まった箱を発見するが、食指は動かず…。しかしこの一冊があれば、使命は果たしたも同然なので、再び漫画探しに路線変更…先ほど目を付けていた「マジンガーZ」の揃いを…ふぁぁ!無くなってる!…おぉ、この狭い倉庫内は厳しい弱肉強食空間!と嘆きながら、潮出版社「虫られっ話/手塚治虫」オハヨー出版(スゴい名前だ…)「無防備都市/関川夏央・谷口ジロー(全2巻)」ジャンプコミックス「ワースト/小室孝太郎(全4巻)」を購入。本は元々貸本だったので、多くの物にビニールカバーが装着されている。今日の倉庫開放は午後八時までで、予約制の見学&販売は今月末まで続くとのこと。

そして夕方に「盛林堂書房」に向かい、「フォニャルフ」棚に入替補充をする予定。田村隆一初期訳本・大藪春彦監修「世界拳銃百科」・中島河太郎「推理小説の読み方」などなど、ゆるやかに幅広く新たな並び。この追加本の目録擬きは、既存の目録擬き裏側にプリントすることで対応。二十部ほどを棚隅に挿しておくので、こちらもぜひ。二月後半も、『古本ナイアガラ』をよろしくお願いいたします。
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2012年02月21日

2/21静岡・袋井で“はた”と“タケ”の双子店!

遠くに行きたい衝動を抑え切れずに、東海道線でガタゴト…。乗り換えを幾度か重ね、いつの間にか三両になった銀色の列車が着いたのは、静岡県の左下、東海道のど真ん中である『袋井』と言う名の街だった…。

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●袋井「ブックスはた」
北口はキレイで白っぽいロータリー。左から回り込んで北に向かい、『袋井駅北交差点』を通過して、『袋井商店街』の『西通り(東通りもあるのだ)』をズンズン進んで行く。やがて前方に『原野谷川』が現れ、そこに架かる姿の良い橋の真ん中に立つと、四方に平坦な視界が開け、晴々とした気分になる。街に人影は少ないが、車が多く、開いているお店や事務所が連なり、何かしっかりと人のエネルギーが脈動しているのが伝わって来る。さらに北へ進み、小さな用水路と小さな『沖ノ川』を渡り切ると、左に『古本』の立看板が見えて来た。駅からはおよそ一キロ弱の距離である。側壁には店名と『お売り下さい』の大きな文字。軒にはオレンジ色のプラ日除けがあり、下は素っ気ない手書きの貼紙があるウィンドウとなっている。中に入るとラジオが鳴り響く、ちょっと狭苦しい店内。壁際は本棚で覆われ、フロアには縦に背中合わせの棚が二本置かれている。奥には横向きの棚が一本あり、その奥が秘されたアダルトゾーンとなっている。右側に壁と平行にカウンター帳場が張り出し、マスクをした実直そうな店主が、忙しそうに梱包作業に勤しんでいる。そして店内はそのほとんどがコミック!入口右横に写真集ゾーンと、正面棚脇にグラビア雑誌ゾーンがあるが…もしやこれだけなのか?…おっ、右端極狭通路の帳場前の棚が、一面の文庫棚になっていた!日本文学文庫・海外文学文庫・戦争文庫・ミステリ&エンタメ文庫・日本純文学文庫・105均文庫…純文と105均に絶版&品切れが多いが、血流が増加するような並びではない。ちなみにこの通路、本を見ていると、至近距離の背後に店主がいる形になるので、ちょっとスリリングな時が流れることとなる…。他に普通の古本は…と真ん中通路に進むと、おっ!一部が時代劇文庫・女流作家文庫・雑学文庫棚となっている。コミックとアダルトがメインのお店で、古本は文庫のみの潔さ。値段は安めである。非常に丁寧な応対で、集英社文庫「ポエム君とミラクルタウンの仲間たち/横田順彌」を購入する。

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●袋井「Book's TAKE」
お店を出て、来た道をさらに北へ。『永楽町交差点』を越え、いつの間にか郊外的店舗が建ち並ぶ、個性の消えた景色の中を歩いて行く。『国道一号』の陸橋下を潜り、ズンズン…。駅から二キロ強で、行く手に一直線に横たわる『東名高速道』が見えて来た。そこに近付いて行くと、道が二股に分岐し、高速道にピタリと張り付いたような、歩道の島に目が留まる。両脇にトンネルを従えたその島には、駐車場と共に二店のお店がポツリと建っている。ほぉ!右の青い店舗が古本屋さんだ!未だかつて、こんなにも高速道に寄り添った古本屋さんは、見たことがないぞっ!軒にはちょっと壊れかけた看板が架かり、擬人化された『買』の字と、スージィ甘金擬きのイラストが目立っている。あれ?そこに『火よう日定休』の文字…これはやってしまったのか?と少し焦るが、店内には電気が点いており、入口の向こうには車椅子のおばあさんの姿…?店内に入り、その光景の事情を察する。おばあさんは孫に連れられ散歩中らしく、その付き添いの孫は、入口横のカゴに詰まった同人誌を繰るのに、夢中になっているのだ。おばあさん放置!しかし彼女が『もう帰りたい』と訴え、孫は渋々同人誌を置き、お店から去って行った…。そして何だこのお店は!さっきのお店とほとんど同じ造りではないかっ!何故「ブックスはた」と構造が一緒なんだ!?いざと言う時のための…ト、トリック用…!?それとももしや姉妹店なのか?とコミックだらけの店内をウロウロしてみる。違っているのは、入口の両脇に同人誌とアニメ&コミックムック、帳場前はDVD・CD・105均VHS。そして奥に横向きの棚が一つ多く置かれ、その裏側が日本文学文庫・時代劇文庫・官能文庫の文庫棚となっており、帳場奥右壁に実用・サブカル・ノベルスの棚があったことである。それと帳場で働くのはご婦人でした。棚造りはあくまでも一般的だが、値段は安めとなっている。コミック揃いで城門と化しているカウンターにて精算。カッパノベルス「ギャングスターウォーカーズ/吉川良太郎」創元推理文庫「D坂の殺人事件/江戸川乱歩」を購入する。

非常に地道な調査を終えた気分で、道すがらの和菓子屋で『味噌まんじゅう』を買って駅に戻ると、改札の向こうに上りの東海道線が滑り込む光景!慌てて改札と跨線橋を鬼神のように駆け抜けて、滑り込みセーフ。ハァハァ…ふぅ〜。さあ、ゆっくりトロトロ帰りますか。
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2012年02月19日

2/19千葉・都賀 トルバ堂書店

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自動車古書店「いい日旅立ち」(2011/11/08参照)さんからの嬉しいタレコミである。
千葉駅を出ると、途端に都市は消え去り、窓外は郊外の風景。二駅目で下車すると、ホームの右上にはいつの間にか合流した、モノレールの背骨のようなフォルムの路線が、近未来的な存在感。改札から北口に出ると、小さく長閑で凪いだロータリーがあり、この場に立っているだけで、眠気が襲って来る…。ロータリーの左上からメインストリートらしき通りに入ると、すぐに道は西に大きく曲がり込んだ上に、坂道となって下って行く。道なりに進んで行くと、坂道がなだらかになり始めの右手角地に、古本屋さん!坂の途中の古本屋さん!黄色く大きい看板の店名ロゴが勇ましく、大きな窓にはズラズラ並ぶ取扱ジャンル。その下には絵本も並べられている。入口は、坂道側と脇道側の二ヶ所にあるようだ。中は広くキレイで、一見すると新刊書店のようである。窓際壁際はぐるっと本棚で覆われ、入口付近に105均新書&ハーレクイン&文庫の三台のワゴンがあり、入口右横にガラスケースと小さな棚で造られた帳場兼作業場がある。たくさんの柱時計がカチコチ鳴り響き、完全フォークスタイルの男性と、おっとりしたご婦人が働いている。フロアには、左端に長い雑誌ラック、真ん中と右端に直列二本の背中合わせの棚が置かれ、四本の通路を造り出している。店内にボヤボヤと流れるフォークミュージックに乗せて、通路をウロウロし始める…。左端通路は窓際に、廉価コミック・漫画雑誌・週刊誌・辞書・美術系ビジュアル本。雑誌ラックに、ペット・女性誌・暮らし・手芸・料理。二番目の通路は、雑誌ラック裏側に車雑誌・カルチャー雑誌・ガイド類が並び、向かいに音楽・映画・アニメ&フィギュア・戦争(この列は雑誌と単行本の混合体)。三番目の通路は、左側前半の絵本・児童文学・児童書以外はすべてコミックとなっている。右端通路は、カルトコミックと時代劇文庫が通路棚に収まり、壁棚にアダルト・官能文庫・日本ミステリ文庫(下の平台には宮部みゆき&東野圭吾特集)・乱歩&横溝&風太郎棚・日本文学文庫・ノンフィクション文庫・日本純文学文庫・歴史ムック・海外純文学文庫・105均文庫。棚下には日本史ムック&文庫がズラッと揃っている。奥壁は左から、実用・写真集・美術・建築・東京、そして『みすず書房』の本を中心に、日本文学・哲学・思想・文化・歴史の良識溢れる並びが続き、105均雑学文庫・講談社学術文庫・ちくま文庫・岩波文庫・海外ミステリ&SF文庫。下には文学復刻本やノンフィクションが並んで行く。帳場横には小さな新書棚があり、ガラスケースの上には手塚治虫の豆本全集、中にプレミア児童書・絶版漫画(「ブラックジャック」の封印話収録単行本あり)などが飾られている。古い本はそれほど無いが、棚造りとその流れが、教養高くスムーズなお店である。古本屋とリサイクル古書店の融合っぷりも見事。値段はちょい高〜高め。帳場で丁寧な応対で丁寧に書皮を巻いてもらう。ここに立っていると、柱時計の音が一層強くなり、頭の中にカチコチカチコチカチコチ入り込んで来る…。古い時計の音に刻まれまくる、不思議な一瞬。背後はキレイなお店だが、坂道との間だけは、別世界に入り込んでしまったよう…。河出文庫「シュルレアリスム/パトリック・ワルドベルグ」を購入する。
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2012年02月18日

2/18東京・目黒駅から七キロ流浪して「流浪堂」へ。

渋谷で正午からお仕事。その流れで目にしたバンド『レキシ』に心を盗まれる。こんなにも音楽を愚弄しながら愛し、楽しませてくれるバンドがかつてあっただろうか!?バンド名に因み、歴史用語を浅く歌詞に散りばめ、そのハードルの低さで会場と異様なほどの一体感を生み出すステージ…フロアに広がる、腕で表す稲穂。そして鼠を寄せ付けない高床式倉庫のポーズ…悪ノリではない、気持ちのよい悪ふざけが、とにかく楽しく新しいのであった…。

そんなこんなでどうにか仕事を終えて、山手線で目黒へ。『目黒通り』を西に向かいながら、フラッと「弘南堂書店」(2008/09/17参照)へ入り込む。すると狭い通路で「こんにちは」と声を掛けられる。あっ!中嶋大介氏(「アホアホ本エキスポ」「BOOK ONN」)だ!驚きドギマギしていると、来週から「金柑画廊」(2011/05/13参照)が半額セールをすると言う、耳寄りな情報を教えていただく。これは行かなければ。またあの黒い犬にも会いたいし。氏とはすぐに店内で別れ、私はしばらく棚を見続ける。結局何も買わずに外へ出て、再び『目黒通り』を西へテクテク。『大鳥神社』を通り過ぎ、中古家具屋の連なる坂道を上り切った所に、古い出桁造りのお店を改造した、家具&雑貨の「MEISTER」がある。
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ここで古本を取り扱っているはずなのだが…中に入るとお洒落青年が爽やかに「いらっしゃいませ」と迎えてくれる。私は古本を求めてオドオドキョトキョト…右奥のラックがそのようだと当たりをつけ、奥へ。う〜ん、置いてあるのはアメリカのインテリア雑誌(一冊1575円)・アート&家具本・柳宗理ムック…ちょっとみんな高値で、さすがに買えないなぁ。申し訳ないのだが、何も買わずに表へ。青年はそれでも「ありがとうございました」とあくまで爽やか。さて、これからどうするか。このままだと全く様にならないので、「赤い鰊」と「北上書房」に寄ってくか…それともさっきケータイで調べた、やってるかどうかも判らない、未知の古本屋「家根谷商店」を目指すか…祐天寺方面ならば楽に帰れるのだが…いやしかし、それで良いはずがないっ!と通りを闇雲に西進することに。冷たい空気を肺に送り込みながら、徒歩とダッシュを繰り返し、どうにか『環七通り』にたどり着く。その環七を南下し続けると、途中で何だか嫌な予感がジワリ…あれ?この方角と辺りの景色…もしや。名前は違うのだが、あのお店があの辺には…しかし見てみないと判らんぞ!と挫けずに先へ。しかしはぁっ!やっぱり「BOOK OPEN」(2011/07/01参照)だったのか。うぅ、“骨折り損のくたびれ儲け”を地で行ってしまった…。だがまぁせっかくなので、何か買って行こうと店内を一巡。ベースボール・マガジン新書「蔦文也と池田高校/畠山準・水野雄仁・江上光治」を購入して、再び環七をさすらう人となる。今度は北に進み、東横線を陸橋で越え、線路沿いに学芸大学方面へ。すでに『碑文谷公園』の池を楽しむ余裕も無く、シャッターを下ろした「ひらいし」(2009/11/01参照)の姿に愕然とする…お、お休みなのかな?やけに殺風景な感じが気になるのだが…。がっくりして、疲れた足を引き摺りながら「古本遊戯 流浪堂」(2009/01/16参照)に救いを求める。飛び込んだ店内で暖をとりながら、青土社「ユリイカ 特集・植草甚一氏の奇妙な情熱」メディアワークス文庫「ビブリア古書堂の事件簿/三上延」を購入する。満足してお店を出て、疲れた時は甘いものだ!と向かいの洋菓子店「マッターホーン」で、『古本ナイアガラ』プロデューサーのひとりに薦められたバームクーヘンを購入する。こ、これでようやく帰れるぞ…寒中に計七キロの徒歩移動は、さすがにこたえた土曜日であった。
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2012年02月17日

2/17東京・東小金井 ブックセンターいとう 小金井店

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ガラスと鉄骨の軽やかな駅舎から北口に出ると、区画整理が進行中の歯抜けの街。曇り空と寒さが骨身に沁みる、ちょっと荒涼とした風景である。小さなロータリーの左端から西に進み、『緑町一丁目交差点』から北へ。道路とその道沿いに並ぶ家やお店が、妙にしっくりしていないのを感じながら歩き続ける。『小金井三小角交差点』で『北大通り』に入り、再び西へ。300mほどで、道行く人に猛アピールしている『古本』の巨大看板にたどり着く。『いとう』グループの支店である。今年に入ってすでに三店目…すべての支店を巡るのに、どのくらいかかるのだろうか?そんなことを考えながら、オレンジと黄色の建物に吸い込まれて行く。だだっ広い空間に多数の什器置かれ、お店と言う場を形成している。『センター』なのにしっかりキレイだな…。入口側には、洋服・駄菓子・カード・ゲーム・CD・DVD、そして作業場兼レジがあり、奥側に本棚がズラズラ。中間地点右端には、ティーンズ文庫・BLノベルス・児童文学・絵本が集められている。ツカツカ奥に進むと、八列の長い本棚が縦に三本並ぶ奥深さ。右側がコミックで、左側が古本ゾーン。う〜ん、頭が痛くなるほど大量だ。このような時は、心が物量に負け、お店を楽しむ意識が何処かに飛び去ってしまうので、ひたすら本探しに没入した方が有意義に過ごせると言うものだ。早速ただただ本棚に張り付き、背文字をキョロキョロ確認して行くマシーンとなる。中央通路左側に、オススメ本・コミックノベライズ・ラノベ・日本文学文庫。左側第一通路に、海外文学文庫・時代劇文庫・日本文学文庫・出版社別雑学&ノンフィクション&教養系文庫。第二通路にミステリ&エンタメ・ノベルス・ハーレクイン・100均本・サブカル・女性向けムック・自然・科学・社会・選書(充実)。第三通路に、新書・日本文学・古い本(大抵は500円ほどだが、プレミア値のものもあり)・詩歌・全集・文学評論・心理学・思想・哲学・ガイド・旅・紀行・鉄道・オカルト・宗教・ノンフィクション・歴史。左端の通路に、タレント・音楽・映画・芸能・写真・スポーツ・自己啓発・ビジネス・各種雑誌。そして奥壁に兵器・美術・建築・アニメ&特撮&フィギュアムック類となっている。古い本もちょこちょこ浮かび上がり、茶色い古本のコーナーもあるが、とにかくこの量から何かを探し出すのは、中々しんどい作業である…ぜいたくな発言ではあるが、やはり人間にはキャパシティと言うものがあるのだ!…だがしかし、このクラスで弱音を吐いていたら、仙台「萬葉堂書店」や岡山「万歩書店」にはとても敵わないだろう!今からしっかり己を鍛えておかなければ…。値段は定価の半額が中心。NHKブックス「佐伯祐三 パリに燃えた青春/朝日晃」平凡社「太陽 1988/6 特集 横浜・神戸」を購入する。外に出ると、おや、今日も雪がハラハラ…。
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2012年02月16日

2/16東京・神保町 神田書房

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新宿での打ち合わせを終えると、小雪がハラハラ。そのまま神保町へ向かい、少し買い物。そして一緒にツアーを!と『神保町交差点』に立つ。『白山通り』西側歩道を北進して行くと、アダルト古本屋と食べ物屋と昔ながらの商店が混在する地帯。交差点から100メートルほどの場所に、この街に相応しい名前のお店が、そっと慎ましやかに佇んでいる。100円ショップとひとつの建物に同衾しており、白いプラ日除けの下には、二台の均一文庫ワゴンが据えられている。『1冊でも100円、2冊まで100円』の、何だか盛り上がらない貼紙あり。トートバッグを持った女の子が、先ほどからジ〜ッと眺めているが、決して台に手を伸ばそうとはしない…。日本文学・ミステリ・エッセイ・歴史・ノンフィクション・古い岩波文庫などが半ば無造作に詰め込まれ、積み上がっている。何かありそうで、中々見つからないこの感じ…交差点近くにある「アムールショップ」(2011/08/12参照)と似通っている。文庫を二冊選び出して中に入ると、そこは昔ながらの古本屋さんが、アダルト一色に染まった世界!…いや、外から見た感じで判ってはいたのだが、やはりそうだったか…。壁棚をぐるっと見回して、何故か斜めに置かれた通路棚にも視線を注ぐ。すると奥壁の下や通路棚脇にも、店内ではマイノリティな文庫のタワーを発見。店内は幾らなんだろう?値段を探してみるが、何処にも見当たらない。しかしちょっと欲しかった苔の本を見つけたので、勇気を持って店頭の二冊と共に、奥の帳場に持ち込むことにした。番台には、赤いチョッキを着た吉本隆明風店主。背筋をシャンと伸ばし、置いた文庫三冊を見て「二百円」です…と言うことは店内の文庫も100均なのか。店主は私を見ずに、入口に視線を据えたまま「四冊でも二百円です」と教えてくれた。「あ、でもこれだけで」と代金を支払い、通りに戻る。角川文庫「けんかえれじい1/鈴木隆」創元推理文庫「殉教カテリナ車輪.飛鳥部勝則」保育社カラー自然ガイド「こけの世界」を購入。街は寒過ぎるがそのままの勢いを利用して、「アムールショップ」の100均棚も眺め、春陽文庫「次男坊/佐々木邦」を購入する。さらに勢いを駆って「田村書店」(2010/12/21参照)の店頭台に突入。ライバル無しの独占状態で、表現主義&ダダ本を掘り返して行く…おっ!角川書店「青い箱と赤い骸骨/稲垣足穂」を発見!初期小説集だ。この値段なら、安過ぎる!と即購入。いつも良い本を、ありがとうございます!
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2012年02月15日

2/15東京・調布 手紙舎[調布PARCO店]暮しの古本市

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新宿から十五分で、舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』の舞台である街へ。改札から北口を選択し、すぐの西側階段を下ると、目の前に分厚い緞帳の襞のような『PARCO』がそびえ立っている。ここにいつの間にか『手紙舎』(2009/12/13参照)が支店を出しており、しかも今日から古本市が開かれていると言うのだ。恐る恐るパルコの足下に近付き、案内板を眺めてみるが、何処にも「手紙舎」の表示は無い…。代わりに、地下が普通のデパートのように、ちゃんと生鮮食品売場となっているところに驚いてしまう。…仕方ない、各階を虱潰しに探して行くか…。エスカレーターに乗り込み、各階で一旦降りてフロア地図を凝視。一階〜三階と成果無く上昇した後に、四階の降り口でようやく「手紙舎」の看板が出迎えてくれた。しかも「暮しの古本市」としっかり書かれている。矢印に従い右へ進むと、すぐに角地の良い場所に、生活的アンティークさを漂わせたお店が目に入る。ふむ、お店の前半分に様々な棚や平台を用いた古本市、奥が通常の文房具や雑貨のショップとなっているようだ。古本市は立体的な陳列方法が、見た目にも楽しく、市と言うよりはすでに常設で売られているかのように、お店にしっかりと馴染んでいる。前面に、星新一・串田孫一・絵本・「こどものとも」・森田たま・森茉莉・女流作家・随筆・文庫少々。左壁に「暮しの手帖」・「POPEYE」・「Olive」・「デザインの現場」。真ん中の平台に料理&食・出版・図案・巴里・カラーブックス。奥にビジュアル本や評伝単行本の箱が置かれている。冊数は少ないが、セレクトが美麗。かなり女子寄りなので、私はちょっと苦戦しました…。値段は100円〜ちょい高(100円って、もしかしたらこのパルコ内で一番安い値段かも…)。奥のレジで精算をしてショップカードを手に取ると、つつじヶ丘の「手紙舎」(今やこちらは“本店”なのである)は、現在漫画喫茶スタイルで営業中とのこと。女性店員さんのホンワカ説明によると「こっちは古本で、あっちは漫画がズラッと並んでますぅ〜」…驚きである。この市は2/26まで。こっちが終われば、本店は通常営業スタイルに戻るのであろう。筑摩書房「ネオンサインと月光仮面/佐々木守」を購入する。尚、今回のネタ元は、毎度の情報屋「やまがら文庫」さんである(しかもまだストックあり!)。

そしてここまで来たらやはり!とさらに西に向かい、「古書 玉椿」(2010/10/07参照)。すっかり風格溢れるお店を楽しませてもらい、講談社「新聞記者一代/高木健夫」学風書院「東京文学散歩の手帖 1955年版/野田宇太郎」を購入する。

国立までバスに乗って移動し、中央線に乗って西荻窪で途中下車。総入れ替えが終わった『古本ナイアガラ』に会いに行く。我が「フォニャルフ」の『田村隆一と早川書房』を、少し補充入れ替え。来週の二月折り返し地点では、新たな追加本の補充を、と考えているのだが、その分の目録擬きをどうしようか思案中。目録擬き初版未入手の方は、ぜひ西荻窪へ!そして大家さんで講談社「リスとアメリカ人/有馬頼義」を購入し、帰り道の「コンコ堂」でも文藝春秋「冬の幻/飯島耕一」西澤書店「望幻鏡/須永朝彦」を購入し、リュックを重くして帰宅する。
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2012年02月14日

2/14東京・新中野 プリシラ古書店

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『青梅街道』を西に向かうと、すぐに『杉山公園交差点』。そこから『中野通り』を南下して、ひとつ目の信号を西へ。住宅街の中をニュルニュルと抜けて行く道は、ポツポツと商店などが続き、最後は立派な商店街となって環七に突き抜ける。以前からここを疾走するたびに、古本屋さんの幻影を勝手に見たものだが、いつの間にかその幻影が、現実のものになっていたとはっ!?…とにかく道を西に進み、坂を下って二うねり。今度は坂を上って上に出ると、大体『中野通り』から400mの地点。周りは変哲のない住宅街なのだが、左のマンション一階にピカピカツヤツヤの古本屋さんの姿!『何故こんなところに?』と心に浮かんでしまうのは致し方ない。本当に古本屋さんが、住宅街に浮かび上がっている状況なのだ。だがしかし!この辺りには、女子美大や短大が点在しているので、恐らく女子学生をひとつのターゲットに見据えているのだろう。角部屋の店舗は、大きく二面の窓が採られており、脇道側に店名看板と入口が設けられている。…この店名から思い付くことは、昔のテレビアニメ『カリメロ』の主人公の恋人“プリシラ”のみ…己の不明を恥じるばかりである。店内に入ると、奥のカウンターレジから、ハンチングを目深に被った青年が「いらっしゃいませ」。店内はシンプルで清潔で、通路が広め。右壁から奥壁にかけて白い本棚、真ん中に背が低めの白い背中合わせの本棚、左壁は一面の白いボックス棚となっている。入口脇には、観葉植物と水色のフレームチェアが置かれている。フローリング床をゴトゴト踏み鳴らし、まずは右壁。インテリア・カフェ・アニメ・児童文学・絵本・セレクト日本文学・SF・サブカル・出版。奥壁に海外文学・女性・恋愛・TV&映画原作本・「暮しの手帖」関連・社会・現代思想。壁には江口寿史のカンバス絵が飾られている…本物?製品?フロア棚は、右側に絶版漫画(少年・青年・少女)・岡崎京子・セレクトコミック、左側に広告・アニメ・美術・写真・アイドル写真集の構成。棚脇のラックには、古めの「anan」や音楽雑誌が並べられている。左壁は雑誌がメインで、ファッション・カルチャー・音楽・映画・デザイン・コミック・グラビアと、尖ったものが集められている。女子本と男子本が拮抗する、若者文化なお店である。下北沢の「July Books」(2011/11/28参照)と棚造りの遺伝子構造が何だか似ているのだが、方や女子、方や男子がお店を造り、似た構造となっている結果は、興味深くとても面白いことである。古い本は絶版漫画と雑誌に多い。値段はちょい安〜ちょい高。奥で精算をしている間も、結局店主の顔はハンチングで良く判らず…“次元大介”並の目深っぷりなのである。とにかくこの通りに古本屋さんが出来たのは、喜ばしいことである。通りを行き来する、女子学生のピンク色の脳みそに、ぜひともビリビリ刺激を与え、隆盛していただきたい!思潮社「ジャンキー/ウィリアム・バロウズ」を購入する。ちなみにこのお店、東高円寺からも歩いて来られます。
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2012年02月13日

2/13東京・住吉 書店山北

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情報屋「やまがら文庫」が、またもや上質なネタをタレ込んでくれた…。かなり地下に広がっている駅から、『A2』出口を上がると、目の前には大きな『新大橋通り』。西の『住吉銀座商店街』を目指してスタスタ歩く。100mほどで、文房具屋・中華料理屋・ジーンズ屋・ラーメン屋などに紛れている、うらぶれた書店を発見。ふむぅ、下町的なクラシックスタイルである。店名は『書店』が上の倒置法。壁看板の下に青い汚れた日除けがあり、『新刊』『古書』の文字が入った本のイラストが描かれている。そしてその下には、都下では排除・駆除され、その姿を消しつつあるエロ本の自動販売機!昼間でも煌煌と輝いており、淫靡な内部を白昼に曝している。入口横には小銭の持ち合わせが無い人のために、とても旧式な両替機が備え付けられている…お金を入れるのを躊躇するほどの旧式さ加減…。そして店頭には、大きな二本のフレーム棚が据えられ、右では漫画雑誌、左では週刊誌・文庫本・ノベルス・コミックが安売りされている。みんな割とキレイな本…どうやら古本と言うよりは、特価本の匂いがフワリ。中に入るとすぐ左に帳場があり、たけしのようなセーターを着た名古屋章的店主が、不安げに私を見上げている。それには気がつかない振りをして、棚に逃げながら奥へ。店内は細長く奥深く、壁棚に迫られ、真ん中に二本の背中合わせの棚が直列し、通路が二本。何となく怪しい雰囲気が漂っているうえに、店主が何度も通路に姿を見せ、私が万引きしていないかどうか警戒してしまっている…手早く済ませて安心させてあげなければ!左側通路は写真集とアダルトなので、右通路のコミック・週刊誌・同人誌・美少女コミック・特価辞書などをやり過ごすと、奥の右壁に古本らしいゾーンが現れる。実用・文芸・藤沢周平全集・山本周五郎全集などが並んでいるが、しっかりスリップが挟まっており、別な値段表記は何処にも無い…定価で販売されているのかも…と思いさらに奥へ。ここは右角隅を中心にして、40%引き単行本&文庫本、5%引きミステリ&エンタメ、そして明らかに古本の100均文庫。奥壁には「性科学全集」の黒い土台に支えられた、特価実用本の棚。また通路棚脇には「GORO」などの古いグラビア誌が並ぶラックもある。新刊・特価本・古本の境界がとても曖昧なお店である。新しい本もちゃんとあるが、ちょっと古い本もあり。棚の風は生臭く生温い…。結局、表から選んだ文庫を帳場に出して精算。スリップを抜き取りバーコードリーダーにかざした後に、「ハイ」と手渡してくれた。本の管理は、表の本でさえもしっかりと行われているようである。集英社文庫「蘆屋家の崩壊/津原泰水」を購入する。そして当ブログをお読みのみなさま、このようにネットでは浮かび上がらない、街に潜んでいる古本屋を見つけたら、ぜひともこっそりタレ込んでいただきたい。すぐに駆け付けて、調査いたします。
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2012年02月12日

2/12東京・浅草 チケット・ビートル

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外装を昭和初期の状態に戻すために、普請中の『松屋』横の『江戸通り』を北へ。ビルを覆った工事用のパネルが、白亜の壁となってそそり立ち、うっすらと周りの景色を映し込んでいる。『松屋』を通り過ぎれば、その内部から延びて来た東武伊勢崎線の鉄橋が、頭上を右に美しくカーブして行く。弧を描く連続する鉄骨は、まるで恐竜の骨格標本のようである。この通りに、浅草らしい喧噪は希薄で、寂しくひとりでガードを潜る。すると左手に、大きく『テレカ』と、店名のように書かれた看板を持つお店が現れた。大元はチケット屋らしいのだが、ウィンドウを見てもあまりにも多くの物品を扱っているようなので、もはや何屋さんなのかは判然としない…おかげで古本も並べていただいてるのである!入口横の胸の高さの棚に、80円文庫・ノベルス・攻略本・コミック・廉価コミックが、実に端正に陳列されている…正直冊数は少なく、魅力的な本も見当たらない…ほぼ星新一と田辺聖子の二択!しかし、あの自動ドアの向こうに見える、ちょっと異様な整然とした空間に、是が非でも入ってみたいのだ!一冊の文庫を力無く掴み、店内へ。途端に高らかなチャイムが鳴り響き、「ハイ?」と怪訝さを顔に貼付けた店主が姿を見せた。取りあえず、チケットよりも様々な生活小物が美しく陳列された、左のガラスケース上で精算する。ここは本当に何屋さんなのだろうか?と言う思いを強くして、背後の右壁と対峙する!そこは、一面洋画VHSビデオが並んだ棚!レンタルビデオ屋のような光景だが、ちゃんと安値で販売されている。奥には大きなガラスケースがあり、そこにもぎっしりビデオが詰め込まれている。こちらは邦画・特撮&アニメ専門…レアな作品が多く、まるで二十年以上前の品揃えの良いレンタルビデオに、タイムスリップしたかのよう!ふむふむ、と感心して入口に向かおうとすると、洋画ビデオ棚に違和をビビッと感じ取る…何だろう?あ、中程の三段ほどが、よく見ると古本棚になっている!これは見事なカモフラージュで、危うく見逃すところであった。100均文庫を中心に、ミステリ&エンタメの単行本と実用書で構成されている。しかし改めて買う本は見つからず、再びチャイムを鳴り響かせて表に出る。新潮文庫「ひとにぎりの未来/星新一」を購入。

古本も売っていたし、買えることには買えたのだが、心は完全なる不完全燃焼に陥ってしまった。これを解決するには、あのお店に行くしかない!急いで『松屋』まで引き返し、お腹の中の二階駅から東武伊勢崎線に飛び乗って北へ!およそ三十分で蒲生着。今年初の「プラハ書房」(2010/12/22参照)詣でをする。店内で、棚を眺めるだけではなく、何度も何度も棚に手が伸びる四十分。早川書房「三幕の殺人」「予告殺人」共にアガサ・クリスティーと、春陽文庫「トップ屋事件簿/島田一男」を購入する。表に出ると、お店には黄金色の西日が当たり、もう日が沈もうとしている。どうやら私の心もあの太陽のように、無事に真っ赤に燃えてくれたようであった。
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2012年02月11日

2/11東京・下北沢から渋谷に流れて咆哮&彷徨

下北沢のとある地下のバーで、色々お仕事。三時間後に無事に終え、ビールで乾杯してから地上に出ると、午後四時半。そのまま「古書 赤いドリル」(2010/06/23参照)に直行し、久々に店主とお会いする。単純に嬉しい。店内では、本で埋まった左側通路の開通作業真っ最中だったのだが、図々しく奥のカウンターに座り込み、ビールを飲み始めてしまう…はぁ、楽しい。そして店主と積もる話に花を咲かせる。さらにお話ついでに、あることを思いついてお願いしてみる。かなり鉄面皮なお願いなのだが、実現したら新しいツアーの局面を切り開く、愉快なことになりそうなのである。果たして吉と出るか凶と出るか…。ビールをグッと飲み干して、角川文庫「人外魔境/小栗虫太郎」思潮社 現代詩文庫「田村隆一詩集」文藝春秋版「最後のコラム 鮎川信夫遺稿集103篇」を購入し、若者渦巻く下北沢を後にする。
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井の頭線で渋谷に移動すると、判ってはいたのだが、ここにも若者が渦巻いている。東口から『六本木通り』に入り、ヴィンテージ絵本のお店「Curio Books」を探してウロウロ…アバウトな見当で来たのがまずかったのか、目的のビルが中々見つからない。業を煮やして携帯で検索してみると、そこには『キュリオブックスは2011年11月に閉店いたしました』の無情な文字!ぬおおおおぉっ!思わず渋谷の暗い空に咆哮してしまう。…まぁ閉店してしまったのは仕方ない。そこから進路を北に採り、『青山通り』を目指してテクテク…とにかく古本に接したい一心で、渋谷の街を彷徨い始める。最初に着いてホッとしたのは、詩集に強い「中村書店」(2008/07/24参照)。トレードマークの店頭回転棚をくるくる回し、店内へ。うむ、古い本と古い詩集。荒地出版社「詩と詩論no.2」思潮社 新現代詩文庫「新選田村隆一詩集」思潮社 現代詩文庫「丸山薫詩集」を購入する。
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少し渋谷方面に戻り、『宮益坂上交差点』から北西に延びる坂道を下って行く。途中にある食べ物本専門店の『COOK COOP』にも勢いで立ち寄ってみたが、小さな店内の緩い弧を描く棚に並ぶのは、細かく分類された食と料理の新刊本たち…。かろうじて奥壁棚の上部に、「太陽」作家の食卓特集・「暮らしの手帖」などの古雑誌を発見するが、残念ながら購入には至らず、申し訳ない思いを抱えてお店から逃げ出し、暗い坂道さらに下って行く。もうこうなったら怖いもの無しだ!と途中のビル二階にあるオシャレ古本屋&バー&ギャラリー「SUNDAY ISSUE」(2010/12/05参照)にも転がり込む。いつもは開けるのもためっらてしまうドアを軽快に開け放ち、誰もいないバー・ギャラリーを通り過ぎ、本棚のあるゾーンへ進む。一人きりの開放感からか、書架の梯子に意味なく上がってみて、本を開いてみたりする。荒地出版社「スパイ入門/グレアム・グリーン兄弟編」を購入。
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あぁ、何だか最近、古本屋ツアーは放浪&彷徨編に突入気味…。どうやらひとつの節目を迎えているようなのですが、さらに精進してこれからも突き進みます!
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2/11東京・西荻窪 beco cafe

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昨日は『古本ナイアガラ』の会合で、フリーペーパー「古本ナイアガラ 旅のしおり」を作っていただいた、Tさんを労う会。たっぷりと三時間ほど語り合った幸せな冬の夜。そして解散した後に、「盛林堂書房」店主と駅北口側にあるカフェへと向かう。交番前から『西荻一番街女子大通り』を遡り、二本目の北に延びる小道に入り込む。角に行き着いて左を見たら、暗い路地に明るい光を投げかける一軒のお店。引き戸を開けて中に入ると、おぉっ!そこかしこに本棚が展開する縦長の店内!本がっ、夜に本がっ!入って右側カウンターやテーブルに、現代思想・本関連・岡崎京子を中心にセレクトコミック。左側の本棚に、海外文学・日本現代文学・夏葉社本・コミック・「本の雑誌」・洋書・「美術手帖」・中井英夫・「芸術新潮」。奥の座敷入口脇に、小さな笑いとノベルスの棚があり、座敷を取り囲んでいたのは日本文学全集・匿名の方たちが貸し出した右壁一面の文庫棚。奥壁の児童文学&ファンタジー棚は、かこさとしの“だるまちゃん”人形がプリティーに鎮座している。だがこれらの本はすべて閲覧用で、販売されていないのである。が、しかし!入店してすぐ右側の足下に視線を落とすと、そこに『本交換BOX』と言う棚があり、一冊の古本を持ってくれば、そこに並んでいる本一冊とトレード出来るのである。私がその時持っていたのは、岩波文庫「淫売婦・移動する村落/葉山嘉樹」。この文庫を片手に本棚を漁って行くと、最近久々に復刊されたハヤカワ文庫「マインド・イーター」の作者、同じくハヤカワ文庫の「夢魔のふる夜/水見稜」を発見し、ちょっとテンションを上げながら交換する。やった!と思って席に戻り、その本を盛林堂店主に見せてみると、何故か自虐的な笑みを浮かべ始めた。理由を聞いてみると、表4右上の『100』の鉛筆文字を指し示し、「これ、俺の字だよ」…何と!盛林堂の均一台から流れて来た本なのであった!中を見ると、しっかり盛林堂のオリジナル栞が挟まっているオマケ付き!…世の中はやはり広いようで狭いのだな、と感じた、思いがけぬ出会いの瞬間であった。さあ、ホットチョコレートで暖まったし、古本も手に入れたし、寒いが自転車に乗って帰るかな。
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2012年02月10日

2/10昨日も田村隆一。

一昨日より始まった、古本屋擬き「フォニャルフ」の二月のテーマ『田村隆一と早川書房(とその特異な仲間たち)』を自主的に祝し、昨日も田村隆一の痕跡を求めて、街へ出た。目指した場所はかつての三業地・大塚。田村の育った街である。山手線高架ホームから都電の線路を見下ろしてから、改札から吐き出されて、まずは天祖神社の界隈をウロウロ。かつてはここに小さな古本屋があり、田村も利用したとのことだが、今は影も形も見当たらない。緩い斜面に広がる商店街の露地をしばらくうろついてから、次に田村の行きつけだった酒場『江戸一』へ向かう。
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駅南口東側にあるそのお店は、古風な木造りの店構えで、ビルの一階にスッポリとはまり込んでいた。ちょっと一見さんを拒むような緊張感を、静かに漂わせている。両脇に灯りはあるのだが、磨りガラスの向こうと店先が薄暗い印象。ええい!俺ももう大人なんだ!となけなしの勇気を奮い起こし、ララッと軽快に滑る格子戸から店内へ。おおおぅ。薄暗い、木を基調にし、古びた落ち着いた空間に、“コ”の字のカウンターがあり、その周りを無数の黒い丸椅子が取り囲んでいる。カウンター内では数名の女性と女将が立ち働いている。美しく古風なシンメトリーに飲まれながら、正面の席に腰掛ける。カウンターの両脇は、すでに早い時間から飲み始めたお客さんで埋まっていた。目の前に、お盆に乗ったおちょこ・お通しの炒り豆・おしぼり・お箸が運ばれて来る。私は『白鷹』の燗と『厚揚げ』を注文。しばらくボォッと上気しながら店内を眺め回す。ハッ!あのカウンター左翼席の真ん中辺りは、「さて、田村隆一。」の表紙写真を高梨豊が撮った場所!やはりこの店がそうなのだな…と勝手無闇に感動しているうちに、やがて運ばれて来たお酒とおつまみ。樽の薫り高いぬる燗を楽しみながら、生姜と葱の乗った厚揚げを口に運ぶ…そうだ、せっかくここにいるのだから、とリュックの中から講談社文芸文庫「若い荒地/田村隆一」を取り出し、一章分を読み進めて行く。ジワジワと身体に広がる酔いと、妙な多幸感に包まれまくる、静かな静かな三十分。また、田村隆一の微かな一端に触れた思いで、千四十円を支払い、冷たい路上へ。そしてここまで来たのならと、都電荒川線に乗り込んで梶原駅へ。まずは早稲田行きホームに直結した「梶原書店」(2008/08/31参照)にほろ酔いでなだれ込む。
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外気温そのままの店内を、床の排水溝と共に楽しみながら、地人書館「流星にむかう/長沢工」を購入する。続いて『明治通り』に出て、かなり久しぶりの「古本 ろここ書店」(2008/08/31参照)へ。
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相変わらず雑然とした店内を彷徨い、天井からズンズン響き渡る謎の衝撃音を気にしつつ、真ん中のコミック通路を除いて、両端の通路をじっくりたっぷり。岩波現代文庫「荒野のロマネスク/今福龍太」ハヤカワ文庫「サイコ/ロバート・ブロック」早川書房「アガサ・クリスティー読本」を購入する。外に出ると、車がビュンビュン行き交う、朧月夜の北区にぽつんとひとり…。

posted by tokusan at 01:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月08日

2/8鎌倉追記

およそ二年前の2010/05/17に、苦し紛れに飛び込んだ「ブックオフ」で購入した、思潮社「自伝からはじまる70章/田村隆一」が、すべての始まりであった。そこから知った、酔いどれ詩人・田村の『早川書房』での労働の日々!詩人の意外な、海外ミステリへの貢献に、驚く。それから田村の著作や、彼に関わった人々の本を探し、目を通すようになる…読めば読むほど、芋づるのように様々なテキストがつながる快感!頭の中で、戦後のミステリの世界が、フワリと羽根のように広がって行った…。ならば古本を販売するようになった今、これで一棚(と言っても一列だが)造れるではないかと気付き、『古本ナイアガラ』最下段の古本屋擬き「フォニャルフ」の2012年2月のテーマを『田村隆一と早川書房(とその特異な仲間たち)』に決めたのである。

ならば!恐れ多くも本人に謁見し、報告しなければっ!と鎌倉ツアーのついでに、酔いどれ詩人の墓参りを決行する。駅から東に500mほどの、山中にある『妙本寺』へトボトボ向かう。ポケットの中には、もちろんウィスキーを忍ばせて。繁華街と観光客から離れると、鎌倉にこんなところがあったのかと思うほど、静かな古い街の世界。やがて森閑とした、崖に囲まれた山の中にたどり着く。本堂より上にある中腹の墓地を、自身がまるで幽鬼のように、墓を求めて彷徨い続ける。谷戸に集まる死者の寝床は、何だか良い具合に枯れ果て、山と一体化しており、不思議と怖さは微塵も無い。ウィスキーの音を聞きつけ、導かれると思っていたが、結局発見出来ずに、情けなくも社務所で聞き込み、ようやく墓前に立つこととなった。黄金の液体をグイッとあおり、詩人と酒を酌み交わしたつもり。冷たい風が、冬の谷戸を吹き抜けて行く…。
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尚、今回のテーマではB5一枚の目録擬きを作成した。初期出品する本のすべてと、田村との関係を簡単に説明したものである。棚の端に50部が置いてあるので、ぜひともこれを手にして、詩人とミステリの世界に分け入っていただきたい!また大家の「盛林堂書房」さんは、ミステリに造詣が深いので、色々尋ねてみたり、店内を鵜の目鷹の目で見て回ると、さらに世界が広がるはずである。追加本に関しては、ミニ目録を作るか、値札に明記して対応して行きたい。
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posted by tokusan at 14:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする