2012年12月31日

12/31神奈川・横須賀中央 さいか屋 横須賀 歳末古本まつり

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ついに大晦日となってしまった。空気は冷たくキリキリしている。車内の温度も低い京浜急行に乗って、三浦半島方面へ。進行方向に正対する補助席に座って、右に左に傾きを感じながら、雲の切れ間から光が射し始めるのを目撃する。西口に出て、空中広場の『Yデッキ』を通り過ぎ、北に騒がしく延びて行く『若松商店街』へ下りる。目指すは横須賀地区の高級百貨店『さいか屋』である。幼少期をこの辺りで過ごした私にとって、このマイナーデパートの名は特別な意味を持っている。『都会に行く』と感じるのは横須賀中央であり、そこにある『さいか屋』は、“おもちゃ”と“プリンアラモード”と言う、幼児にとっての快楽に直結していたからである。そんな過去の刷り込みに心浮かれながら、四つの信号を過ぎて東に折れると、すっかり現代風に化粧された白い大きなお店が姿を見せた。新館の六階にある美術画廊を目指してエスカレーターで上がって行くと、降りた途端に六台の古本ワゴン島が登場。文庫・横須賀郷土本・松本清張・風俗・書関連。奥のギャラリー飾り棚にも、古本や錦絵などが並べられている。画廊入口の映画本ワゴンを見てから中に進むと、十六のワゴンで三つの島+壁際離れ小島二台+壁際ギャラリー棚(一段)に展開する、小規模な市があった。最終日が大晦日と言うことに古本修羅として感謝しつつ、ちょっと薄暗い会場で本の背に視線を落として行く。映画・タレント・芸能・横須賀・郷土資料・歴史.美術・近代史・児童書・絵本・日本近代文学・日本文学・映画ポスター・地図・古雑誌・版画・アルバム類・豪華美術本・絵葉書など。一台きりのガラスケースには、プレミア絵葉書や未開封の『仮面ライダーかるた』が飾られている…これを買えば殊更楽しいお正月を迎えられそうな気が…。二冊を手にして画廊から抜け出、もう一度横須賀ワゴン(あっ、何か格好良い呼び名になったぞ)を物色していると、スーツ姿の男性が駆け寄り話し掛けていただく。おっ、「古書一路」(2010/08/10参照)さん!『さいか屋』で、そして大晦日まで古本を売ってくれたことにお礼を言い、来年の事務所店ツアーをお願いしておく。誠文堂新光社「デザイン快想録/福田繁雄」シンコーミュージック「クイーン詩集」を購入する。

駅方面に戻り、『若松飲食店街』へ。ぁぁっ…ついに「堀川書店」(2009/08/08 & 2012/05/18 & 2012/06/27参照)の看板が取り去られ、シャッターには『貸店舗』の貼紙。説明にある『元は古書店です』の文字が、心の痛みを呼び起こす。
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吹っ切るために、大晦日も元気で営業中の「市川書店」(2009/08/08参照)へ。だが先客が二人おり、ここに私が入ったら身動き出来なくなるのは確実!まるで飲み屋の席が空くのを待つように、しばらく歳末の賑わいを見せる横須賀の街を、ひとりブラブラ。一回りして来るとお客が一人になっていたので、すかさず入店。マガジンハウス文庫「編集者の時代/マガジンハウス編」無明舎「日本達人紀行/北川広二」を計490円で購入。

東京に舞い戻り、今年最後の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)参り。「フォニャルフ」に補充の数冊をはめ込んで、店主としばしお話し。楽しみにしていた黒死館附属幻稚園「DUKDUK 2 特集・探偵の科学」を手に入れる。むぅぅぅっぅ…目次を見て唸る。今すぐ読み出したくてたまらない!しかしこの本に耽溺してしまったら、何もかもが停滞してしまう!あぁ、私はどうしたら…と幸せに悩みつつ、2012年が暮れて行く…。
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2012年12月30日

12/30東京・国立でありがとう、ゆず虎嘯

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年の瀬が本当に押し迫っているが、今日は千葉で今年最後の外仕事…どうにか色々終えてから、急いで国立へ向かう!午後九時過ぎに国立駅南口に降り立つと、雨に濡れたイルミネーションがキラキラ。暗い『旭通り』をズンズン進むと、外灯にひらめく子供たちの書初め…以前来た時もこれに目を奪われたな…相変わらず『起死回生』とかおかしなのがあるが、一番は『背水の陣』だな。一体何を覚悟したって言うんだ、子供よ!と、くだらない思考を頭の中に垂れ流しながら、本日閉店してしまう、週末の夜だけの二階の古本屋さん「ゆず虎嘯」(2010/02/14参照)へ。しっかりと出ている均一箱を眺めてから、二階に上がりドアを開けると、おぉ、皮肉にも盛況!何だか、ほのぼのとした空気が満ち溢れている…。あっ、A級情報屋「やまがら文庫」さんの姿も。深呼吸をひとつして、白い壁ボックス棚に目を向けて、空間と共に本を楽しんで行く。最初に集英社「きょうりゅうの世界/ドイル」中公文庫「すてきな絵本 たのしい童話/向井元子」を選んで精算。カウンターの向こうのお二人に挨拶しつつ、長年気になっていたことを不躾ながら聞いてみる。「この棚は最初からこうだったんですか?」…と、とにかく聞きたくなるほどの見事な一面の壁棚なのである。実は元はレンタルボックス屋さんが入っていたらしく、その後に英会話教室が入り、さらに週末夜に「ゆず虎嘯」さんが借り受けることになったとのこと。さらに不躾に「この本は週末が終わると片付けていたんですか?」と第二の質問。すると「このままです」と即答…置きっ放しだったそうである。時々英会話教室の生徒が勝手に購入し、代金がそっと置かれていたこともあったと言う。それにしてもこのレンタルスペースを使った営業形態は、本当にいいアイデアだったと思う。閉店してしまうのは残念でならないが、お二人にはまた新たなるアイデアと行動力と工夫で、古本界にほんわかとした風を巻き起こしていただきたい!取りあえずはお疲れさまでした!などと挨拶していると、見たことの無い石坂浩二の本を発見し、素早くカウンターに差し出してしまう。主婦の友社「天晴れカレーパン/石坂浩二」と先ほどの二冊を合わせ、950円で購入する。最後の記録にと、お願いして店内の写真を撮らさせてもらう。ありがとう、ゆず虎嘯。

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2012年12月29日

12/29東京・浅草 浅草古書のまち

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今年一年お世話になった「やまがら文庫」からのタレコミである。隅田川の向こうに、アサヒビールの金色に輝く“ビールグラス・ビル”が見え、さらに此岸では昭和初期の姿を取り戻した『松屋 浅草店』が輝かしく迫る、観光客の集う『吾妻橋交差点』。そこから大通りを南東にほんの20mほど下れば、右手ビル一階にチェーンラーメン店のような黄色に赤文字の看板が出現する。本日、国際的観光都市・浅草に、新たな常設古本市が誕生したのである。時期や場所、そして『古書のまち』を名乗ることから察するに、九月に惜しまれながら閉店した「上野古書のまち」(2012/09/09参照)のスライド店舗であると推察する。喧噪の歩道から抜け出し、薄暗く細長いエントランスに踏み込む。奥に店内の様子が見える自動ドアがあり、その手前左側に100均単行本&文庫&ノベルスの並ぶ二段ワゴンが二台置かれている。中はカーペットが敷き詰められた縦長の空間。広さは上野の1/4くらいだろうか。左壁に十二本の壁棚、右に手前壁も合わせて十三本の壁棚。真ん中には奥に背中合わせの棚が連続し、手前は銀フレームのワゴン棚となっている。奥のどん詰まりに帳場があり、出店している店主さんたちがワイワイ話し込んでいる…聞き耳を立てていると、やはり上野から浅草へ、と言うことらしいな。合同出店なので、ジャンルが重複する箇所もあるが、左壁は時代小説・ミステリ&エンタメ・日本文学・江戸・東京・浅草・風俗・永井荷風・美術・大衆芸能・小林信彦・戦争・宗教・映画・思想・歴史が並ぶ。向かいはワゴンに「銀花」・豪華美術本・額装紙物類・少量文庫本…ここでアクシデント発生!棚下の本を覗こうとしたら、上に置かれた額のフックに髪をクッと引っ掛け、絡ませてしまった!すべての行動が停止する。中腰のまま、しゃがみ込むことも顔を上げることも出来なくなってしまったのだ。恥ずかしさと焦りが心のうちに湧き上がるが、ここはひとまず冷静になろう。手を伸ばして引っ掛かっている部分を手探り…やけに小ちゃいフックだが…頭を下げた時にこうなったんだから、これをこう…取れない!イカン、オレはこのまま正月を迎えるのか!と焦りに拍車を掛けながら苦闘していると、突然フッと外れてくれた。ハァ〜っ。自由になった身体を移動させ、美術図録・ビジュアルムック・大判本・ビジネス&実用などを眺めて行く。右側通路は、壁棚に西村京太郎ノベルス・新書・ミステリ&エンタメ文庫・岩波文庫・時代劇文庫・詩歌句・歴史・民俗学・東京・浅草・官能文庫・アダルトが陣取り、向かいには人文・官能文庫・アダルトなど。キレイめな本が中心だが、間にしっかりと古い本が顔を出し続ける。上野が大幅にシェイプ&クリーンアップされ、再出発した感じと言えよう。浅草・風俗・歴史が突出。お値段はお店によってまちまちである。白川書院「三文役者のニッポンひとり旅/殿山泰司」を「白鳳書院」で、講談社文庫「青眉抄/上村松園」を「金沢書店」で購入する。お店は新しくキレイでピカピカだが、あっという間に古本屋色に染まって行くのだろうな、と勝手に予想してニヤリ。開店おめでとうございます!
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2012年12月28日

12/28 2012年早稲田古本街納め!

今年は「外市」(2012/06/10参照)や「みちくさ市」(2012/07/23参照)で、“わめぞ”のみなさんにはだいぶお世話になってしまった。その感謝を勝手に込めて、“わ”の『早稲田古本街』に自転車で向かう。実は早稲田は2012/10/17に、事務所店以外はツアーし切ってしまった。しかし古本修羅としては定点観測を怠るわけにはいかないので、時々は出向いて店頭を、店内を、漁らねばならぬのだ!そんなことを思いながら、ペダルをガチガチ踏み込んで、冷たい風を切って走り続ける…雨が降らねばよいのだが…。

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『馬場口交差点』から、まずは『早稲田通り』南岸歩道を進み「古書現世」(2009/04/03参照)へ。向井氏に会うつもりだったのだが、しまった!父君の時間だったか。仕方無くあきらめて棚に集中した途端、足下の箱内に敬愛する野田宇太郎先生の豆本を発見する。値段もロクに見ずに即座に購入を決定する。古通豆本・51「雑書遍歴 上・下/野田宇太郎」を1400円で。とても古本を買ったとは思えないほどの小さな包みを掌中に収め、さらに南岸を東へ。坂の途中の三店を覗き込みながら、「飯島書店」(2010/04/14参照)の100均台で、文治堂新書「ねこ詩集/佐伯義郎」を。折り返し地点、穴八幡近くの「立石書店」(2009/12/11参照)で店主にご挨拶。ちなみにツアー時の記事には『ひねり揚げとお茶で一服する店主と若い衆』とあるが、これは大いなる勘違いで、実は若い衆が店主で、お年を召された男性がバイトだったのである…。そして様々な場所に連れて行っていただいた「古ツア100均文庫箱」の稼ぎを受け取る…ありがたや。ちなみに箱は今「青聲社」(2011/10/17参照)さんが保管されているとのこと…ありがたや。岩波文庫「シカゴ詩集/サンドバーグ」朝日選書「幻の大発見/アービング・M・クロック」を計550円で購入。あぁ!ついに雨が降り出してしまったか…。めげずに北岸歩道に渡り、今度は西に引き返して行く。「畸人堂 W大学西門前店」(2012/09/14参照)で中公文庫「辻邦生全短篇1」を400円で。ビニールシートで保護され始めた店頭台と格闘しつつ、久しぶりの「五十嵐書店」(2009/07/13参照)まで到達。絶版文庫がこんなに安かったけ?と意外な発見に驚き喜びながら、教養文庫「武蔵野/上林暁」河出文庫「フランス怪談集/日影丈吉編」中公文庫「毛皮コートの死体/梶龍雄」を計600円で購入。最後は二階の古本屋さん「丸三文庫」(2010/05/31参照)で店主とカタコト言葉を交わし、新潮社「目撃者なし/樹下太郎」を600円で購入。ふぅ、どうやら2012年の早稲田を納めたぞ。強くはならないが、止む気配もなく降り続ける雨を浴びて、早稲田を離れる。雨はとても冷たく、中野辺りでついには白いみぞれまじりに…。
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2012年12月27日

12/27静岡・静岡 あべの古書店

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昨晩飲んだお酒のためか、朝五時半に目覚めてしまい、そのまま眠れなくなる。ならばと、もう起きてしまって仕事に取りかかる。ひとつやっつけて、もうひとつは目鼻の付くところまで。いつの間にか陽が昇り、午前十時を回っていた。よし、ちょっと遠い所に行ってしまおう。早くも三回目の使用となる、青春18きっぷをポケットに忍ばせて、今年最後の遠征ツアーへ!東海道線をちょこまかと乗り継いで、三時間半で静岡駅に到着。北口に出て地下道に入り、『御幸通り』に出てグングン北西へ向かう。近代建築県庁&区役所の間を早足で過ぎ、一キロ弱で巨大な赤い鳥居の立つ、久しぶりの『静岡浅間通り』。2012/04/09に訪れて、放置店頭台しか見ることの叶わなかった「あべの古書店」を目指す。商店街を200mほどタッタカ進むと、左手にたくさんの黄色いプラケースを積み上げたお店が!そして以前は閉じていたシャッターが、ぽっかりと口を開けている。車道ギリギリに、ラックが一本・雑誌&ムックケース・ベビーベッドのような100均単行本ワゴンが二台・コミックケースが二つ並んでいる。店頭右側には和本や古い教則本などの入った箱・古い雑誌箱・安売り単行本棚が一本。熟成された古本屋の雰囲気を漂わせるコンクリ土間のお店は、古めかしく奥深く、左右の壁は天井まで本棚で、真ん中には背中合わせの長い本棚が一本。これは入口側は全面棚だが、奥側半分は膝上に箱型平台が設置されている。奥の棚脇にはガラスケース、入口側には大映の妖怪映画VHS三本が寂しく並んでいる。また左壁棚裏には、狭く短めの行き止まり通路が一本隠されている。棚下には所々に本タワーや箱が置かれ、整然と雑然が同居中。右側から店内に入り、壁棚に熱い視線を注いで行く…。最初は結構細かくジャンル分けされた文庫棚で、日本純文学文庫・海外文学文庫・岩波文庫と続き、棚下にも横積み文庫タワーが立っている。さらに民俗学・江戸・風俗・探検・旅・自然・科学・地震・映画・演劇・落語・海外文学・幻想文学・吸血鬼・魔術・性愛・マイノリティー・ペヨトル工房本が並んで行く。古い本が多く、自然と真剣に見入って行くこととなる…。向かいは児童文学・絵本・児童文学研究・実用・食・ちくま文庫・探偵&推理小説・日本70年代近辺文学・本関連・日本近代文学・文学評論・古典文学・日本文学…こちらもやはり古い本が多く見られ、ついつい本を取り出す回数が多くなって行く。左側通路は、壁棚にSF文庫・探偵&推理&ミステリ系文庫・官能文庫・時代劇文庫・戦争・京都・美術と並ぶ。向かいには、絶版漫画・古いノベルス少々・美術図録・古い少年漫画雑誌・女流作家文庫・新書・時代小説・東洋文庫・歴史・詩歌句・宗教・オカルトが収まる。プレミア物が積み重なるガラスケースと、その上に並ぶ思想&社会科学系の古い本を見てから、頭より上の高さを誇る本の山脈の横を擦り抜けて左端の通路へ。ここももちろん本棚や木箱に囲まれており、文明・法律・社会科学・学生運動・アダルト・建築・思想・心理学・静岡・富士山・東海道・映画&音楽の文庫&新書が詰め込まれている。ここは芳醇で、楽しく棚にのめり込めるお店である。古い本や見かけない本も多く、並びに深みあり!値段は安め〜普通で、良い本にはプレミア値が付けられているが、余裕のスキありな本も多いので、あっちがダメならこっちがあるさ!とめげずにアグレッシブに攻め続けることが出来るのである!六冊を抱えて、奥の番台帳場にたどり着くと、帳場正面の土間にポツンとサンダルが脱ぎ捨てられている…あぁ、店主はここから机を乗り越えて出入りするのだな…。座っているのはニット帽を被り、マスクを着けた鈴木慶一風男性。まとめた金色の長髪が肩にパラリと掛かっており、この古いお店の店主とは思えない風貌なのである。丁寧に優しく精算していただく。福武文庫「スティーヴンソン怪奇短篇集」ハヤカワ文庫「ロンドンの恐怖/仁賀克雄」アニメージュ文庫「ホルスの映像表現/解説・高畑勲」集英社文庫「挟み撃ち/後藤明生」白地社「ボン書店の幻/内堀弘」。そして恐らく今年最後の“どひゃっほう”に値する本が、理論社「てのひら島はどこにある/佐藤暁・作 池田仙三郎・絵」である!これは童話作家『佐藤さとる』の漢字名表記時代の本(奥付を見ると、他に他社の五冊の本が確認出来る。また気持ちを新たに探さねば)!長らく探していた一冊なのである。カバーは無く二刷だが、そんなこと構うもんかっ(ちなみに帰りの車中で読了したら、思わず胸が熱くなってしまった…オッサンなのに…)!あぁ、今日奮い立って、ここまで来た甲斐が本当にあった…青春18きっぷよ、ありがとう!そうこうしていたら、時刻はいつの間にか午後四時になろうとしている。もう、戻らなければ……また来ます、静岡。
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2012年12月26日

12/26東京・高円寺 大塚商店

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タレコミいただいた高円寺のレコード屋に自転車で向かうと、外出中で人の気配が全く無い。…もう年末だ。さもありなん…と自分を納得させて『庚申通り』に出て北上する。『早稲田通り』手前100mほどの右手にある、以前からその雑然さが気になっていた、ある日突然現れた古道具屋さん…もののついでだ。一度しっかりと見てみるか。自転車を店頭に停めて、古本の気配を探って行く。多種多様な古道具や雑貨類が、店頭の棚に、店内に、店脇にまでも流れ出している。左側にあるレコード山に少し手を出したりしながら右側に移ると、棚の上段右端に少量の文庫と共に『ガラクタ屋』の自伝本が二冊…店主の書いた本なのだろうか?左側ショウウィンドウの、全高120cmに及ぶ店頭販促用人形、ウルトラマンとウルトラセブンの勇姿が、古本を一時忘却の彼方へ吹き飛ばす。開け放しの店内に進むと、棚・ガラスケース・古道具の山で構成され、中央通路と右側の扉に延びる通路が形作られている。まずは左の古道具の山の中に、古めの「週刊プロレス」を二十冊ほど視認。そして右側通路棚脇に、カラーブックス・『サンダーバード』と『スーパージェッター』のピクチャーブック・秋田書店児童書・「太陽」・「近代映画」・「ロッキンオン」・「女子高生制服図鑑」など。それほど多くはないが、古本がしっかり紛れ込んでいた結果に満足する。入ってみて良かった…が、私には買える本が何も無い…ゴメンナサイと心中で謝りつつ、再び自転車に跨がり住宅街を横断して東の『あづま通り』へ。そして何の気無しに「越後屋書店」(2009/05/16参照)の、家と家の隙間にある100均壁棚を眺めてみると、おっ!第一書房の本が紛れてるじゃないか!「近代劇全集 第九巻 独逸篇」(キレイで月報入り)。それほど高い本ではないが、これが100円で買えるなら言うことは無い。本文中には村山知義と吉田兼吉の『舞臺装置挿繪』が十七枚も入っているのがとにかく嬉しくてたまらない。
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2012年12月25日

12/25神奈川・藤沢で大いに遅刻してしまったので2012年の聖智文庫納めを!

昨日まで目一杯関わっていた仕事から一時解放され、未踏の古本屋さんを一軒残していた藤沢へ。往きは経費節約を心掛け、小田急に乗ってガタゴト向かう。北口から北西に進んで、白い『銀座通り』をさらに進む。そして通りが終りとなる交差点近く、左手マンション一階に「祥書房」が…れれれ?シャッターが下りて『テナント募集中』の看板が…これは、お店を閉めてしまったのか(後で調べてみると、店売りを辞めて催事・ネット販売に移行とのことであった…)。
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ついこの間、開いているのを見たばかりなのに…大きな取り返しのつかない遅刻をしてしまった…。ウカウカしていた自分を恨めしく思い、それにしても残ったボロボロの日除けに「太虚堂書店」とあったのはどう言うわけであろうかと考えながら駅方面へと戻って行く。おぉ「光書房」(2012/04/22参照)。
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中に入って陽の差し込む細長い店内をウロウロし、有隣新書「港都横浜の誕生/石井孝」を350円で購入する。『銀座通り』を再び進み、おぉ「ブックサーカス 藤沢店」(2011/11/03参照)。
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ごちゃついた狭い通路に入り込み、ギロギロと目を血走らせて古本を漁っていると、「あっ、いらっしゃいませ!」と社長(“店主”よりこちらの肩書きの方がしっくりくる)・西嶋氏に発見される。10/27の古本屋入門講座で邂逅済みではあったが、やはり驚く。「良く覚えてらっしゃいましたね」「一度見たら忘れませんよ」と言うことで、途端に急き立てられてお茶を飲みに行くことに。慌てて文春文庫「たまさか人形堂物語/津原泰水」を200円で購入すると、レジにいたのはその入門講座でお世話になった女性。清算後、スチャッと軟派な敬礼で送り出してくれた…実に斬新な見送り方である。そして近くの喫茶店に入り、古本屋・組合・業界全体・催事などについて、様々にお話しを承る。まるで自分が古本屋であるかのように錯覚する。それほど西嶋氏の話は専門的で、しかもデータ&理論派なので、己の言説に揺るぎがない。色々嘆かれながらも、「オレは古本屋を辞めないよ」の頼もしい言葉を聞き、一安心。最後に古本屋でもないのに、またもや組合への加入を勧められる。一時間弱でお別れし、再び駅へトボトボ向かうと、おぉ「太虚堂書店 藤沢駅北口店」(2011/07/22参照)。
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ナナメに棚が置かれた三角形店内を一回りして、中公文庫「群集の中の芸術家/阿部良雄」を300円で購入する。駅ロータリー上の空中広場を通って北東方面へ。あっ!「葉山古本店」(2011/02/06参照)がシャッターを下ろしてるぞ!
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一年あまりの『閉店セール』を終えて、ついに閉店してしまったのだろうか…。踵を返して通りを渡り、今年はたくさん楽しませてもらった「聖智文庫」(2011/02/06参照)へ。
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店頭棚に近付くと、中から出て来た店主・有馬氏とバッタリ。挨拶を交わして共に店内に入ると、先客がおられ、聞けばヘビーなミステリコレクターの方とのこと。宝の山のような、ミステリ・探偵小説・文庫の詰まった箱を前に『人生ヲ賭ケテ古本購買懊悩之図』を展開している!何と美しく胸のすく光景!こんなに人に悩ましい時間を提供するこのお店は、やはり『悪魔の古本屋さん』…。最初は他人事のようにしてウフウフとそれを見ていたが、すぐさま有馬氏にショウウィンドウの中から吸引力のある本を出され、たちまち虜となってしまう。しばらく何度漁っても飽きないショウウィンドウと格闘した後、ついについに念願の伊坂芳太良署名入りの、みゆき書房「タウンゼント館/伊坂芳太良」の購入を決意してしまう!ついでに日本板硝子株式会社「SPACE MODULATOR 50」(企画編集が長谷川堯だ!)をも購入!…あぁ、やってしまった。とても嬉しいが、懐に激しいスキマ風が…果たして私は無事に年を越せるのだろうか?そこに有馬氏が優しく語りかけ、様々なお土産をくれたりする。「全然悪魔の古本屋じゃないだろう?天使の古本屋だよ」と言いながら(フリーペーパー『東海道古本屋さん六次』で『古本阿片窟』と書いてしまったことは、もはや言えない…)。毎度のように私はすっかり術中にハマり、学研こども音楽館「ヘンゼルとグレーテル/文・岸田衿子 絵・伊坂芳太良」に感激し『どひゃっほう!』と心の中で叫ぶ始末。あぁ、今度はここに何を買いに来ようかな…そんな購買計画をもう立てながら、楽しい楽しい時間が過ぎて行く…。気付けば、外は夕闇。表に出た瞬間、店内との時間の流れの違いを認識し、数時間前は持っていなかった、ずっしりと重い紙袋を携え、家路に着くのであった。
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2012年12月23日

12/23長野・善光寺下で気付いたらおとぎの国へ二店!

冬の青春18きっぷツアー第二回。夜明け前に家を出るが、雲が厚いせいか、空は中々明るさをみせない。早朝の接触事故でダイヤの乱れた中央線に乗り、西に、やがて北西に、そして北に大きく弧を描きながら六時間。二年ぶりの長野駅に到着する。薄暗い長野電鉄駅の、おいしい立食い蕎麦を啜ってから、電鉄に乗って三駅先へ…。

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●善光寺下「遊歴書房」
暗く煤けた地下駅から地下通路を通って、『善光寺方面』とある出口へ。地上に出ると『長野大通り』の『善光寺下駅交差点』。ここから『善光寺』に向かって西に進路を採り、古い街並が残る坂道を上がって行く。…この坂道の途中に、一軒古本屋さんがあるはずだが…案の定古い商店建築の古本屋さんにたどり着き、その良さげな佇まいに小躍りしそうになるが、カーテンが閉まってるじゃないか…残念無念。しばらくお店の前に立ち尽くすが、営業時間や定休日は何処にも書かれていないので、あきらめてさらに坂を上がる。すると『善光寺仁王門』へと続く交差点が見えて来る。その一本手前の脇道を南に下り、“長野のえびすさん”とある『西宮神社』前で再び西へ。さらに次の脇道坂道を南に下ると、坂の途中左手に大きな蔵のような建物が出現し、小さな古本屋さんの看板とガラス戸に店名を確認する…なんだ、『ラバーソウル』って言うカフェと一緒になってるのか?戸をスラリと開けて中に入ると、メインがカフェスペースで、左壁に高い天井までの壁棚が設置されている。おお!と何も注文せずにそのまま壁棚に接近し、並ぶ本に目を凝らす。建築の本がメインである。本を手に取ってみると、値段は何処にも書かれておらず、代わりに裏表紙に建築事務所のスタンプがペタッと捺されている…ここは本当に古本屋さんなのか?かなりの不安に襲われたので、カフェの店員さんに「ここは古本屋さんですよね?」と聞いてみると、「古本屋は奥です」とカフェの奥を冷ややかに指し示される。なにぃ〜!と驚きつつ顔を赤らめ、カフェを即座に突き抜けて、大きなガラス戸を開けて奥に進む。するとそこは作業場と廊下が合体したようなコンクリ土間で、左側に待望の古本屋さんの扉が、渋く鈍く輝いていた。ガラス窓の向こうに覗く本棚に瞠目しつつ、ドアをカチャリ。天井の大きなアールデコ意匠の照明から柔らかな光が降り注ぐ、“知のキューブ”と形容するに相応しい空間である。輝く木の床を踏み締めて四方を見渡すと、そこはすべて壁棚!十段の高さを誇る美しい造り付けの本棚が、左右は五列、手前と奥は六列のほぼ正方形的構成となっている。左に瀟洒な木造のレジがあり、ライダースジャケットを着た演劇青年的若者が美声を発し、年配のお客さんと文化的交流の真っ最中である。まずは入口左横にある安売り台と、レジ下の雑誌棚に視線を走らせ、ドア上の壁棚を見上げてみる。そこには全集類と共に、これも全集である「手塚治虫漫画全集」がビッシリ。入口右横にはセレクトコミック(つげ義春・諸星大二郎・水木しげる段あり)・幻想文学・探偵&推理小説が文庫も交えて上からドーンと並ぶ。右壁は、旅・食・みうらじゅん・小林信彦・山口瞳・映画・美術・日本近代文学・日本文学・三島由紀夫・丸山健二・本&書店&古本関連・「岡崎武志堂」が何故ここにっ?・文学評論・埴谷雄高・思想・科学・歴史・長野・郷土・民俗学…天井近くの棚はとにかく高く、まるで星空を見上げているように、首に負担がかかって来る…。奥壁は、近現代史・戦争・満州(充実!)・アジア〜オセアニア・中東・ロシア・ドイツ・東欧・ヨーロッパと多彩に並び、アジア以降はそれぞれに歴史・文学・文化・文明などを備えている。左壁はフランス(思想多し)・イギリス(文学&音楽が充実し、ホームズ・ビートルズ・ストーンズ・U2が突出)・アメリカ(ハードボイルド・ジャズ、それに政治&世界情勢が充実)と並んで行く。単行本・文庫・新書が平等に肩を並べ、何もかもが整然と美しく、小さな空間に詰まった知識のつながりを、浴びるように眺めることが出来る。本は70年代以降のものが多いが、タテとヨコに広がる古本のマトリックスに、とにかく圧倒されてしまう。よくぞこんな空間を!値段は普通〜高めでしっかりな傾向だが、全体に納得の魔法が掛けられているのがとにかくお見事なのである。講談社文庫「満鉄特急あじあ物語/林青梧」岩波新書「明治大正の民衆娯楽/倉田喜弘」を購入し、千円以上お買上げとのことで、通り抜けたカフェの100円割引券をいただく。

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●善光寺下「絵本・古本・雑貨 はなちょうちん」
すっかりお店の在り方に満足して「遊歴書房」を離れ、再び先ほどの坂の途中の古本屋さんを見に行くが、やはり閉まったまま…あまり時間は無いし、どうしようか?取りあえず坂をグイグイ上がって西へ進むと、交差点の手前で私は不思議なお店に出会ってしまった!元は何かの商店だったのだろうか?幅広い四枚のサッシ扉の上部には『たのしい絵本』の文字があり、右端の扉だけが開け放たれている。そこに見えたのは『古本・雑貨』と彫られた木の看板!全く知らないお店だ…最近出来た、若者が小さな夢を実現したお店っぽいな…思い切って中に入ると、そこはほとんどガレージのような空間で、真ん中にテーブルが置かれ、左壁際に大きな棚、右壁際に小さな本棚が三本。そして入った瞬間に「あら〜いらっしゃいませ〜!」と満面の笑みで迎え入れてくれたのは、モコモコと厚着をした二人のおばあちゃんであった!これは、予想外の展開!今までに出会ったことのないスタイルの、古本屋さんだ!「ゆっくり見て行ってくださいね〜」の声を背に、まずは左側へ。こちらは新しめの絵本が飾られており、クリスマス特集が組まれていたり、こけし・絵本グッズ(ハンカチや人形)も並んでいる。むっ、右下部分に、コミック・文庫・児童文学が少々…そこから一冊抜き出して、次は右壁棚を見に行くと、何だかいやに古い本が並んでいるぞ…。「こっちも見ていいですか?」と近付くと、その前に陣取っていた二人が「ああああ、ごめんね〜。ここにいたら見れないもんね〜」と中央テーブルに素早く移動してくれた。冊数は三十冊ほどだが、大正〜昭和三十年代の本ばかりである。日本文学・翻訳小説・森田草平・徳田秋声・「中央公論」・「太陽」など。棚を真剣に見ていると、ニット帽のおばあちゃんが楽しそうに色々話し掛けて来る。「ウチは冷やかしOKよ。だから買わなくても大丈夫。絵本は読んだヤツを売ってるの。古い本は蔵から出て来たヤツで、埃をはたいて並べてるのよ〜」ほぉぉ!何と胸騒ぐ古本エピソード!豪の者なら『その蔵をぜひ見せて下さいっ!』と大絶叫してもおかしくない話である。そしておばあちゃんのトドメの言葉は「古本好きなの?古本は今、キてるよねぇ〜!」でした。結局三冊を選んで「お幾らでしょう?」と聞いてみると、メガネのおばあちゃんが本を査定。とてつもなく古い大きい計算機を持ち出して計算開始!…結局一冊500円で精算することに決定。あぁ、何もかもが素敵です。ちょっと、おとぎの国に迷い込んでしまったような錯覚に…。早川書房ジュニアミステリ「黒い犬の秘密/エラリイ・クイーン」(訳は西脇順三郎で解説は都筑道夫!)中央公論社「二つの繪/小穴隆一」(こんな本があったなんて。きれいでビニカバ付き!)文藝春秋「小説のタネ/子母澤寛」を購入。

帰りの電車内でこれを書き留めているわけだが、ここまで書いた所でようやく松本にたどり着いた。まだ五時間弱かかるのか…。遠くに無理して足を延ばすのは本当に楽しいが、帰りがちょっと寂しくなって大変なのは、何度繰り返しても中々慣れない…。よし、いつものように読書して、居眠りするか。まだ明るい車窓をふと見ると、いつの間にか細かい雪がヒラヒラ…。
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2012年12月22日

12/22東京・神保町 古書いろどり

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雨の上がった神保町。本日はいつもと趣向を変えて事務所店のツアーを決意する!緊張しながら電話連絡をし、在所を確認した後、ドキドキしながら訪問するのだ!目指すは本の雑誌別冊「古本の雑誌」の座談会でお世話になった、彩古氏の事務所である!実はその座談会終了後に、そのまま皆で開いたばかりの事務所を訪れており、その時は早川書房「恐怖のメロディ/ポール・J・ジレット」講談社文庫「エッフェル塔の潜水夫/カミ」を購入している。そして「ぜひいつかツアーさせて下さい」と厚かましく頼み込み、「一・二ヶ月後ならいいかな…」と言う答えをいただいたのであった。私は機が熟するのを待った…そしてついにその時は来た!『A5出口』を出て、そのまま『靖国通り』を東へ。最初に現れた『山田書店ビル』と洋菓子の『柏水堂』の間にスルッと入り込み、そのまま北へ。右側ブロックの奥にある、昭和四十年代なビルの入口らしくない鉄扉を静かに開けて、暗い階段を上がると蛍光灯が照らし出す二階廊下。キュキュッと廊下を鳴らし、明るい光が磨りガラスから漏れるドアをノックすると、彩古氏とスタッフの女性が迎え入れてくれた。三ヶ月前より、床に積み上がる古本山が増殖している!事務所はほぼ正方形で広く、奥1/3が事務所スペース、手前2/3が本置場となっている。手前の壁際と左壁に大きなスチール本棚が張り付き、「古書いろどり」のメイン什器となっている。ニコニコ笑顔を絶やさぬ彩古氏が「まぁ自由に見て下さい。棚に並んでいるのはちゃんと売ることが出来ますが、床に積んであるのは未整理なので、欲しいのがあったら要相談ですね」と説明を受ける。「あと…」と手前壁棚の右端上二段を指し示して、「ここは“オレ本”なので、ここだけは売れないんです。あ、見るのは自由ですよ」。聞けば大事な本や、これから読む本や、いただきものの本を並べているそうである。その中から、ジム・トンプソンの研究本を見せていただき、欲しくてしょうがなくなってしまう…。下には古く茶色い日本文学・時代小説・実用本が詰まっている。そしてしばらく自由行動。静かな事務所内を、棚に取り憑き、古本山の地層を観察し、素早くこちらも静かに探索して行く。しかし事務所は、やはり通常のお店とは大きく異なる。値段も付いていないし、棚造りのルールも独特だし、より人の家の本棚度が高い気がする。なのでちょっと店主さんと気心が知れていないと、探索も少し遠慮がちになってしまうのだ。と言うわけで、あまり浅ましくならずに、二重の本棚もそれほど掘り起こさず、非常に紳士的に眺め続ける。それでも欲しい本には、しっかりとチェックを入れながら…。探偵小説やミステリは、思ったほど多くない。目立つのは歌集・映画パンフ・コミック・見たこともないノベルスなどで、他に時代小説・推理小説・劇画・コミック・ミステリノベルス(梶龍雄と皆川博子が高くなって来ているとの話に、大いに驚く)探偵小説雑誌・「譚海」・ペーパーバック・ジュブナイル小説・文学本・SF文庫・サンリオ文庫・ミステリ系文庫。歌集が多いのはスタッフの方の得意分野だからとのこと(近々「いろどり」も出店している「古書モール」(2011/07/20参照)に棚を持つそうである)。途中、未知の領域過ぎる、最近気になってしょうがない貸本小説についてレクチャーを受けたりしながら、楽しい時間を過ごしてしまう。そして悩みに悩んだ末に、棚からではなく床に積まれた山から一冊を取り出し、「これは幾らでしょうか?」と質問。「あ〜これはサンリオでも出てるんだけど、この最後の『実験』が収録されてないんだよね。う〜ん、どうしようかなぁ〜」と彩古氏は決して笑顔を絶やさず悩みまくる。…私は、ただじっと答えを待つ…五千円以下だったら、買ってしまおう…。結果、サービス適価で売ってもらえることに。ありがとうございます!しかしその後に「それだけでいいの?」と悪魔の囁きが…。言われたままにその気になって、気になっていた二冊のポケミスを追加してしまう。イカン…これは完全に彩古氏のペースだ!敗色濃厚になりながら、ここで白旗を上げて精算する。大光社「ソビエトS・F選集1 怪獣17P/ナターリヤ・ソコローワ リンマ・カザコーワ」(装幀&挿画が真鍋博!)ハヤカワポケミス「学校殺人事件/ジェームス・ヒルトン」(これが300円とは!本日彩古氏から唯一取れたアドバンテージではないだろうか…いや、結局手のひらで踊らされているのかも…)「雪は汚れていた/ジョルジュ・シメノン」を購入。そして「一月に一回ぐらい来るといいですよ」と、嬉しい“いろどりパスポート”をいただけることに。無理言ってツアーさせていただき、感謝です!

大満足して家に帰ると、倉敷からゆうパックが届いていた。おぉ、これは!「長山書店」(2012/11/24参照)で大ボケして買い忘れた潮出版社「必殺男の切れ味/藤田まこと」!何と当ブログを読んだ後、発見&救出してくれた方がいたのである。本の間にはさらに嬉しい「蟲文庫」(2012/11/24参照)さんの栞までもが!大変嬉しいクリスマスプレゼントである。大事にします!
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2012年12月21日

12/21福島・磐城棚倉 BOOKランド 棚倉店

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冬の青春18きっぷツアー第一回目。まだ陽は出ていないが、朝焼けのオレンジと夜空のグラデーションが劇的な早朝の街を後にして、総武線→山手線→常磐線と乗り継いで水戸駅に到着。ここからは初乗車の水郡線で、陸地内をグングン北に進んで行くのだ!三両編成の新型ディーゼルカーが、警笛を間歇的に鳴らしながら、郊外→田園地帯→農村地帯→山村地帯と走り抜けて行く。冷え冷えとした暗緑色の清流が、ずっと車窓を並走してくれている。凍った水田、枯葉色の大地…そして求めるは古本…青春は何処にも見当たらない気がする…。二時間も電車に揺られて福島県に突入すると、駅の周辺が少し開けて来る。しかし目的駅に到着し、グラウンドのようなロータリーに出たら、不安がドドッと押し寄せて来た。『やってるのか?やってなければ即座にツアーは終了だぞ』…何たってここ以外に、周囲に古本屋さんは皆無!ダメだったら、ここからさらに一時間北に向かい、郡山に出るしかないのだ!そんな悲愴な決意を固めて、ロータリーを離れて西南へ歩き始める。すぐにこの街のメインストリートとぶつかる交差点。南東に下ると、寂しい商店街に三軒もパン屋さんがあったりするが、古本は逆方向の北西に進む。すると右手前方に、大きな色褪せた古本屋さんの看板を無事発見!ドキドキしながら接近すると、店内の蛍光灯が点いているので、どうやら営業中のようである。ここは以前須賀川でツアーしたことのある「BOOKランド 須賀川店」(2011/05/21参照)の系列店なのである。看板同様色褪せた外観のお店に入ると、中は広く明るく、須賀川店より健康的である。所々に貼られている、『余震が起きたら危険なため立ち読み禁止』の貼紙が、この地も東日本大震災の被災地であることを知らせてくれている。フロア中央はコミックとゲーム(レトロゲーム&ゲーム攻略本含む)に占められており、古本は外周の一部と奥にまとめられている気配がする…。入口左横から左壁前半にかけて、児童文学・児童書・絵本・辞書・ビジュアルムック・ふくしま文庫「亜欧堂田善」複数冊・競馬・アニメムック・アイドル写真集が並んでいる。児童文学を二冊引っ掴んで奥へ進む。最奥に少し凹んだスペースがあり、壁棚に囲まれて通路棚が並べられている。古本は左半分と右壁の一部に集まっているようだ。左壁はノベルスのみで、奥壁が105均文庫と雑学系文庫。通路棚は左から、海外文学文庫&実用系文庫、105均日本文学文庫、210円から日本文学文庫二面、女流作家文庫&ロマンス系文庫、新書&純文学系文庫と並ぶ。絶版品切れもあるにはあるが、雑本的な展開が大部分を占める。右壁角の105均海外単行本を見てから、アダルトゾーンを通り抜け、右端通路の入口側方面へ。すると右壁に大判本・郷土本・全集・時代劇文庫・戦争文庫・歴史小説が現れ、向かいに105均単行本・ミステリ&エンタメ・詩集・戦争・タレントが続く。値段は安いが全体的に雑本ムードに支配されたお店である。狙い目は80年代前後の中途半端に古い本であろうか。気付けばそんな本ばかりを手にして、意気揚々とレジへ。講談社「私立探偵スベントン おばけ屋敷と四つの怪事件/ホルムベリイ作・眉村卓文」学研まんが「テレビ特撮のひみつ」講談社「妖都/津原泰水」創元推理文庫「日本探偵小説全集8 久生十蘭集」河出文庫「佐川君からの手紙/唐十郎」講談社文庫「解体屋外伝/いとうせいこう」を合計840円で購入。判ってはいたが安い!そして本が入った袋に目をやると、須賀川店・棚倉店の他に『二本松店』の文字が…これはいつか確認しなければいかんな…。駅に取って返し、またまた五時間かけて家に帰り着くと、疲れた身体を迎えてくれた街はすでに暗闇。暗い街を出発し、暗い街に帰り着く。侘しい一日が、もう終わってしまう…。
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2012年12月19日

12/19千葉・松尾 サティスファクション

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夜は缶詰仕事なので、窮屈な思いをする前に古本の羽根をバタつかせたくて、、早起きして千葉方面へ。低山とミルクティー色になった水田の中を走る総武本線は、期末試験真っ最中の学生たちに占領されている…。着いた駅は、一時間ほど見続けた景色そのままの田舎町。女子高生とタクシーの運転手が親しげに話し込むロータリーを離れ、寂れた駅前商店街を北西に向かえば、やがてダンプの通り道みたいな『国道126号』。後はこの国道を、側溝蓋で出来た歩道をゴンデンと踏み鳴らし、南西に1.5キロほど進むだけである…。左手に現れる大きな敷地に、この町で初めて見るコンビニが建ち、地続きのような隣りの敷地にもお店が並んでいるのが目に入る。奥の白く横長な建物に接近する…『ドラゴンボール』亀仙人の住む『KAME HOUSE』に似たリサイクルショップである。手作り感に覆われた外観を眺めながら右側の入口に近付くと、店頭ワゴンがまずはあり雑貨類が並べられている。おっ!ドアの向こうには、早速本が見えているじゃないか!ガチャリと入って本の前に屈み込む。カラーボックスに雑本が二段、箱の中に絵本・児童文学・児童書があり、CD棚最下段に雑誌…冊数はあまり無く、肩を落とす。入口横のVHS棚と安売り箱を覗き込むが、ここも成果無し。懐かしいEPレコードがたくさん貼られた入口部分を抜けて中に入ると、店内は横に広く幾つかの部屋で出来ている。古道具・雑貨・家具・古着・家電などが陳列されているが、もう古本は見当たらない。感じが近いのは、奥にある額装地図や額装アイドル写真であろうか。入口からすぐの場所には、LP・EPを集めたレコード棚が二本置かれている。その横に、帳場のある一段高くなった小部屋…ここに入ると、釣具・ギター・おもちゃ・古いプラモ・ライターなどの他に、日露戦争本・古い教科書・児童学習本・雑誌付録・ブロマイドなどを見つけることが出来る。多彩な商品を並べるリサイクルショップである。レコードには力が入っているが、古本はそれほどでもない。ただし値段は安めである。店内をしばらくうろついた後、結局壁に掛かっていたコロムビアレコード「えほんレコード 妖怪人間ベム」(レコード無し&ページくっつき。それ故安値)を購入してしまう。

道の先にもう一軒のリサイクル骨董店があるようなので、足を延ばしてみる。古道具がお店の外に流れ出している、とても素敵な光景。古本が何処かにあることを願いつつ、古道具の山の中に分け入ると、奥からおじいさんが出て来て、今は昼休みだと告げられる。滞在時間極短く、さらに成果無く、悄然として駅まで引き返す。しかし!私には起死回生の策がある!下りの電車に乗って二駅先まで行き、「クルクル」(2011/01/10参照)で憂さを晴らすのだっ!と言うわけで、駅舎で震えながら一時間電車を待って、久しぶりの「クルクル」にたどり着く。
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帰りの電車も一時間に一本なので、パパッと見て素早く引き返そうと心に決めていたのだが、棚を見始めたら簡単に虜になってしまい、結局一時間半後の電車にすることに…。やっぱりここは中々楽しいお店であることを再確認し、サンケイドラマブックス「蒼き龍たち/五社英雄」広済堂「実践!劇画原作/牛次郎」すばる書房「月刊絵本45号 茂田井武の世界」創元推理文庫「夜鳥/モーリス・ルヴェル」を計1500円で購入。

そして東京に戻って、『みどりの窓口』で冬の青春18きっぷを購入する。1/10までに、果たして何処まで行けるかな…。
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2012年12月18日

12/18埼玉・蒲生で2012年のプラハ書房納めを

もう十二月の折り返し地点も過ぎ、忙しさが無闇に増して来ているので、出来ることから納めて行くことにする。ならば最初は!と舌なめずりして向かったのは、黄金の古本屋さん「プラハ書房」(2010/12/22参照)!今年も良い本をありがとうございました!と感謝しつつ、遠くに見えて来たお店の看板が近付かないのがどうにももどかしく、逸る気持ちを垂れ流して、自動車教習所横の寂しい直線道をダッシュする。すでに辺りは暗闇で、その中に明るく浮かび上がった扉が、暖かに出迎えてくれた。
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中に入って店主と会釈を交わし、棚の間にすぐさま身を沈める…およそ三十分間、静かに沈め続ける…。ハァハァ、やはりここは、決して目を離してはならぬお店だ。出来れば油断無く毎日張り込んで、棚の動きをチェックしたいくらいである!五月書房「縄/岩下俊作」(初版!)21世紀ブックス「おもちゃの作り方/石川球太」(300円!ひゃっほう!)春陽文庫「旗本退屈男(前篇)/佐々木味津三」(帯付・初版・極美・500円!)「学生社長/中野実」(春陽堂書店調査係行ハガキ付き)旺文社中一文庫「世界三大傑作推理小説集」(文は山名正夫)徳間書店「殺人百科/佐木隆三」(勝新太郎の斬新過ぎるTVドラマ『警視-K』第三話の原作が読みたくて…)を選び、合計2500円で購入する。納めるつもりで来たのだが、まだまだ欲しい本があり、逆に気持ちが治まらぬ状態に!…近々もう一度、納めに来るかな…。
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おまけ。
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これが前述した春陽堂書店のハガキである。ジャンルも作家も、昭和三十九年の一部をを伝えてくれている。
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2012年12月17日

12/17東京・調布 古本 海ねこ

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起きた時はアルコールが抜け切らずに、二日酔い気味だったのが、時間の経過と共に徐々に回復。冷たい雨が止みかけて来た午後二時半に外出する。目指すのは、事務所にて期間限定店舗(15〜18日まで。事務所営業なので普段は予約制)を開いている「海ねこ」さんである。過去に二度、出張店舗や「2階の古本市」(2009/08/01 & 2012/02/03参照)を訪ねたことはあるが、本丸に突撃するのは初めて。顔を合わせる度に「伺います!」と言っているのだが、「いや〜来ないで〜コワい〜」と毎回怯えられている…。駅北口の地上に出たら、パルコの足下を通って線路沿いに西へ。踏切から延びる次の道を北に入り、『旧甲州街道』まで突き進む。繰り返すように西に進み、次の脇道を北へ。またもや奥まで行き着いたら再び西に向かい、次の車通りの多い道を北へ。要は駅からあみだくじのように、西→北→西→北→西→北と歩いて来れば良いのである。そうすれば右手に白いタイルと打ちっ放しコンクリビルが現れ、階段を上がった一階部分に絵本や目録をラックに飾ったガラスウィンドウ…ここのようだ。ラックの上に水色の看板があり、『ふるい絵本』と大きく書かれている。階段を上がって、中の様子が判らない銀色のドアを開けると、細長い今は店舗の事務所兼倉庫。しかしパッと見は立派なお店である。通り側のウィンドウに囲まれたスペースには、『岩波文庫』と文字が掘られた本棚や奥深い木の棚が三方を囲み、洋書絵本が多数飾られ『ベルンさんちの絵本バザール』が開かれている。動物の絵本が多く、詳しいことは良く判らないのだが、古い印刷とその可愛さに身を震わせる。飛び出す絵本もあるのか。棚には200均岩波少年文庫(初版以外)や児童文学もあり。足下では小さなクリスマス特集も開かれている。奥を見ると、左右の木製棚と一本の通路棚で造り出された狭い通路の向こうに、薄暗いバックヤードを背にして海ねこさんが立っていた。おぉ、にっこりと笑顔で迎えてくれた…怯えられないで、よかった…。右側手前には古いブリキの回転ラックが一台あり、そこには絵本と共に、新書や文学本も安値で挿さっている。横に続く棚には、猫の絵本が大量に集まり、幻想文学・谷川俊太郎・少女小説・竹久夢二・雑誌・児童文学研究などが続く。通路棚脇には古い児童文学の詰まった500均箱があり、棚右側にはドイツ絵本・北原白秋・古い日本児童文学・壷井栄・坪田譲治・少年少女児童文学…奥は古い本が多く茶色の壁をたっぷりと楽しめる。左側には翻訳絵本&児童文学・ロシア絵本。左壁は英語絵本・チェコ&東欧絵本。棚は二重になっており、奥にも本が並んでいるが、これは元々が倉庫のためである。また棚の最下段も倉庫時そのままの状態らしく、古く値段のついてない児童文学が並んでいる。児童科学本などもチラホラ。値段の付いてないものは、聞くと調べて教えてもらえる。見たことも無い、古い外国の絵本がたくさん並んでいる。よく、戦前〜戦後辺りの古い絵本や児童文学が、これだけキレイに集まっているものだ。本を実際に穴が空くほど熱心に読み込み、乱暴に扱う子供たちの手を経て、よくぞこの時代まで生き延びてくれた!と称えたいような本ばかりが並んでいる。もはやアンティークの域に入っている絵本も多く、値段はプレミアも含め、しっかりと付けられている。だが、手頃な値段の可愛い絵本や児童文学もちゃんとあるので、まずは背伸びせず、その辺りから楽しんで行くのが気楽であろう。もちろん買えなくとも、貴重で美しい印刷の絵本を見ているだけで充分に楽しめる。「やだ〜、目がコワい〜。緊張する〜」などとやはり軽く怯えられながらも、私は手頃な値の欲しい本をセレクトし、バックヤードとお店の境目にある帳場で精算していただく。あかね書房「ポー名作集/中野好夫編」(挿絵は松野一夫!)あかね書房「赤いろうそくと人魚/小川未明著 堀内誠一画」福音館書店「セロひきのゴーシュ/宮沢賢治作 茂田井武画」を購入する。そしてこの「セロひきのゴーシュ」の元版と言える、貴重な「こどものとも2号」を見せてくれたところから、ナゾの『茂田井武祭』がスタート!さらなる絵本や様々な挿絵の載った児童文学・児童雑誌・文芸誌・昔のエロ本・装幀本(小栗虫太郎の「地中海」がっ!)などを次々と楽しませていただき、とにかく動物の絵のプリティーさに、私は年甲斐も無く『カワイイ!』を連発!そして最後に装幀作の東成社「人間芝居/乾信一郎」を手にしたのだが、これが元貸本らしく本文ページ十九ヶ所にお店のスタンプ『競輪場通り 井上書店』と言うのがペタペタと捺されまくっているのだ!
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貸本だったとしても、非常に理解に苦しむ破壊的行動である。一体何故?…決して解けない疑問に頭を悩ませつつ、表紙の猫がとてつもなく可愛いのでその魅力にあえなく屈し、非常に安値で譲っていただくことに。ありがとうございます!ついでにドーナツまでいただき、外の階段下まで丁寧に見送られる。ガラスウィンドウが夜に輝く海ねこの棲家を、楽しさをたっぷりと心に蓄えて、後にする。
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12/16選挙に行って、一日赤いドリルで管を巻く!

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昨日の朝、ダッシュで選挙に行き、素早く投票。ダッシュで帰って一息ついてから、重い本をゴロゴロと引きずり、下北沢へ。午前十一時過ぎのファッションと音楽の街は、早起きの若者たちですでに賑わいを見せており、あまりこの時間にこの街に来たことがなかったので、大いに驚きながら、彼らを追い抜いて商店街を下る。人気の無い脇道にに入り、何度も来ているのに『本当にこの先に古本屋が?』という思いが頭を掠めてしまう「古書赤いドリル」に到着。店頭で、市から戻って来た本の整理をする店主・那須氏にご挨拶。本の整理と店頭棚設営を手伝いつつ、長い一日をスタートさせる。正午過ぎから店奥のカウンターに座り込み、早速ビールをグビリグビリ。那須氏と他愛も無い楽しい話をペラペラ…しかし、お客さんは中々姿を現さない。のんびり行こうと決めていたのだが、チリチリと焦燥感が心の中に広がって行く。「中々来ませんねぇ〜」「まぁ、いいじゃないですか忘年会と言うことで…」と那須氏に何故か慰められつつ、古本屋さんの中で静かな時間が流れて行く…。午後一時を過ぎて、那須家手製の煮込みを注文。そのタイミングで、よし!それならば私が最初のお客になってやろうじゃないか!とほろ酔いで、カウンターを抜け出して本棚をいつも以上にじっくりと眺めまくる。角川文庫「西成山王ホテル/黒岩重吾」大和書房「夜ごとの円盤/実相寺昭雄」緑風出版「全国監獄実態/監獄法改悪とたたかう獄中者の会」を計1000円で購入。カウンターで、しばらく黒岩重吾と西成についてのレクチャーを受け、読むのが楽しみになるのと、西成シリーズの収集を敢然と決意する。壁の時計を見ると、いつの間にか午後一時四十五分!えっ?もうそんなに時間が経っている?と思って時計を凝視すると、秒針が『9』の手前でピクリピクリと一秒ごとに痙攣を繰り返している…どうやら止まっているわけではないのだが、秒針を先に進める力が無いようだ…。そしてビール二本目をやっつけている時に、初めてのお客さんがご来店!良かった、とホッと胸を撫で下ろす。それからは様々な方が微妙な時間差で次々と来店され、途切れそうで途切れずに、皆カウンターに腰を下ろし、古本を買って、ドリンクを注文し、長っ尻で管を巻いてくれた!全然イベントに関係なく半年ぶりにドリルに現れビール二本を空けていったシャイなおじさん。おぉ、北松戸の「万葉書房」(2010/10/27参照)さん。いつも私の所に古本を買いに来ていただき特典ペーパーをことの外楽しみにしてくれている常連さん二名(本当にありがとうございます!)。私を訪ねて来てくれた聖蹟桜ヶ丘の若者。下北沢・池ノ上古本マップ作成者の「つぐみ文庫」さん。近代詩伝道師のPippo氏。いつもお世話になりっ放しの編集者夫妻。お店が随分変化したらしいので再ツアーしなければと思わされた代々木八幡「rhythm_and_books」(2011/08/10参照)さん。その他にも、風のようにお店に飛び込んで来て、本を買って風のように去って行った方々(皆同じように「こんな所に古本屋さんがあったんだ〜」と呟きながら棚を見て行く)。緊張しながらもたくさん話し、ビールを飲み干し、気が付けばもう午後八時!終わってみれば、八時間があっという間の楽しい受動的イベントでありました。那須氏と互いに、今日と言う日を労いつつ、第二回目もノンビリまた、と約束する。イベント特典のフリーペーパー『あらかじめ〈触れ合い〉を失われた「ぶらり途中下車の〈古本〉旅」』&『ドリルと私』は、残部がまだドリルに置いてありますので、興味のある方はお店にダッシュしていただければ!

さして重量の変わらぬ重い本を引きずり、次は高円寺へ。先日「わたしのブックストア」が発売になった、北條一浩氏の祝賀パーティー(居酒屋)に駆け付ける。ここでも酔っぱらい続け、ひたすらみなさんとお話し。帰りに荷物を出してもらうと、店員さんに「重いですね。古本ですか?」と問われる。プラケースで少し中身が透けているとは言え、何故『古本』だと見破ったのか?そのあまりの重さに驚きつつ『本ですか?』が普通だと思うのだが…天晴な慧眼に驚き、忙しかった一日を締めくくる。


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2012年12月15日

12/15神奈川・黄金町 たけうま書房

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京浜急行で、雨で白く煙った横浜方面へ。島式の高架ホームに降り立つと、学生があふれ返っており、地上の改札が以前とは逆方向に移動されていた。ガード下に出て大通りを南に進む。大岡川を渡って『太田橋信号』を過ぎつつワンブロック進むと、右に巨大な矩形の、上階が『末吉町4丁目公団住宅』で静かに聳え、一・二階に飲食店や商店が賑々しくひしめいた建物が現れる。…何処からこの建物に入れば良いのか少し戸惑うが、通りをそのまま進んで、横浜市営バス『阪東橋バス停』前に立つ。ここで建物方向に身体を向けると、雑然さにカムフラージュされたような、ビル内部への扉があるのを発見出来る。扉を押して中に進むと、そこは飲食店のあるミニモール的な廊下…うぉっ!真っ黒い巨大な犬が、荷物を山積みした自転車に繋がれたまま眠っている!可愛いが何とアナーキーな飼い方なんだ…犬を起こさないようにそおっと通ると、右手に現れた階段下に、本日開店した古本屋さんの看板が!ドキドキしながら階段を上がると、上は吹き抜け状で、踊り場を経由して右に広々とした二階が展開する!昔の映画館のような、心躍るアプローチである。階段を上がり切ると、目の前に広く白く開けっぴろげなお店が、ピカピカと輝いていた。「一箱古本市」で勇名を馳せている「たけうま書房」さんが、ついにビル内の巨大な箱にお店を開いたのである!広い通路と室内は素通しのボックス棚で仕切られ、通路側の所々に100均単行本が並べられている。店内に入ってその裏側を見ると、細野晴臣・赤瀬川原平・音楽・ギター・写真・サブカル・ビートニクス・アート・映画・「宝島」などが並び、さらに「ちのり文庫」、「mondobooks」の棚が造られている…おぉ、早速棚貸しもしているのか。フロア中央にはアンティークな机が置かれ、アート・絵本などのビジュアル本が飾られているが、今はオープニングパーティーの軽食置き場となっている。右奥にあるポツンとした帳場で、たけうま夫妻に「来たっ!」などと言われつつもご挨拶。ご両親も駆け付けており、ホンワカと家族愛が漂っているのが微笑ましい。今思えば、たけうまさんと初めて言葉を交わしたのは、同じ黄金町の「試聴室」(2012/02/26参照)であった。そんな薄い関連をも嬉しく思いつつ、左壁に長〜く張り付く本棚をじっくり見て行く。棚は小さく細かく分かれ、風俗・アングラ・日本文学セレクト文庫・新書・「現代思想」・テレビ・ゲーム・詩集・日本文学・70年代文学・幻想文学・小林信彦・川本三郎・田中小実昌・小沢昭一・大衆芸能・美術・映画・ジャズ・音楽・絵本・暮し・ファッションなどがドバドバと。こちらも合間に棚貸し部分があり、「文庫善哉」、またもやの「mondobooks」、そして情報屋「やまがら文庫」が個性的な並びを展開している。現状ではこの左壁面がメインで、まだまだプレオープンな感じは否めない。しかし棚構成には、すでにこだわりの刃がギラリと込められている。映画と音楽が一歩リードしているが、棚が増えたらまだまだ何か出て来そうな気配が…。値段は安め〜普通。帳場で精算をお願いすると、開店祝いのお赤飯と日本酒(ワインもあり)を振る舞われる。美味しくいただきながら、お店に来ていた「やまがら文庫」さんも交え、しばし立ち話。話しながらも、お赤飯をモッキュモッキュと噛み締める。今日をスタートとして、段々と充実して行かれるそうなので、古本屋さんがどのような道のりで進化成長して行くのか気になる方には、要定点観測なお店であると言えよう。私も観測して行きます!開店おめでとうございますっ!旺文社文庫「コミさんの二日酔いノート/田中小実昌」学研M文庫「偽書作家列伝/種村季弘」キネマ旬報社「神を放った男/田中文雄」を購入。
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黒犬に挨拶をしてビルの外に出る。ちょっとひどくなった雨の中を、関内方面に移動しながら、古本屋さんを渡り歩いて行く。ちょこちょこ買いながら根岸線の高架を潜って、最後は「中島古書店」(2012/08/14参照)へ。すえもりブックス「大きな時計/舟越保武」岩波文庫「久生十蘭短篇集」を1050円で買いながら、ここでも色々お話しし、いつの間にか店内に鎮座していた第一書房の詩集二冊に感動しながらも、頭では違うことを思い付いていた。…『関内〜黄金町古本屋ライン』の中に、二階の古本屋さんが四店もあるんだなと。「たけうま書房」「中島古書店」、そして「田辺書店」(2011/01/14参照)と「誠文堂書店」(2010/02/28参照)である。この辺りに来たら二階を見上げてみよう!そうすればそこには古本屋さんが!

そしていよいよ明日、『選挙に行って、一日赤いドリルで管を巻く!』開催!
投票を済ませてすっきりしてからの、みなさんのお越しをお待ちしております!
下北沢古本屋巡りのついでに、ぜひとも裏路地の古本屋さんへおいで下さい。

12/16(日)12:00〜19:00(終了時間はナリユキ…)
『選挙に行って、一日赤いドリルで管を巻く!』
●下北沢「古書赤いドリル」にて
●私が一日中ドリルのカウンターに座ってビールをあおり、持参の古本を売ったり、口べたながらもお客さんとコミュニケーションしたりする、受動的な催しです。飲み物はビールの他に焼酎・珈琲もあり。※飲み物は有料です。
●特典ペーパー配布。『あらかじめ〈触れ合い〉を失われた「ぶらり途中下車の〈古本〉旅」』『ドリルと私』。さらにご希望の方には『古本屋レクイエム』と『こ・ら・ぼんvol.4』も。
●この日のドリルでは「当ブログを見て来ました」と声掛けてくれた方は、お会計から100円引き!



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2012年12月14日

12/14東京・西八王子 散田書房

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仕事に早々に区切りをつけて、昨日の嬉しいコメントタレコミに基づき西へ。久しぶりの西八王子で南口に出ると、ロータリー真ん中のツリーの如き姿形の杉の木が、美しく透き通った茶褐色に枯れている。ロータリーをぐるっと回り込んで南に進み、『南多摩病院交差点』から『万葉けやき通り』に入って、あとはただただ西へ。直線道を切れ切れのガードレールに守られながら進み、信号を一つ二つ三つ…四つ目の『散田四丁目信号』を過ぎて、駅からおよそ600mほどで、右手に十一月に開店したばかりの古本屋さんが現れた。「散田書房」か…『サンダ』…駄目だ!どうしても映画『サンダ対ガイラ』を思い浮かべてしまう…。茶色い日除けには、店名と『古書・法学・人文学.思想史』と書かれており、その下に並ぶ四枚のサッシ扉の向こうには、真っ白な真新しい店内が見えている。気持ちを引き締めてカラッと中へ。左右にぴったりと白い壁棚が張り付き、真ん中に同じく白い背中合わせの棚が一本の、シンプルな構成。奥に帳場があり、ジャンパー姿のつまみ枝豆の未来の姿的老店主が、こちらには一度も視線を寄越さずに、寡黙に本たちと格闘中。身じろぎすると、その音が聞こえてしまうほどの静かな店内で、まずは右壁棚を見る。そこは箱入本の茶色い嵐で、岩波書店・未来社・東大出版会などの文明・歴史・考古学・哲学・思想がガチガチにズラリ…まるで隙間無く積まれたお城の石垣を見ているようだ…。ただし右下に西村京太郎ゾーン、帳場近くに昔の東京・「ジュリエスト」・新書・岩波文庫も並んでいる。…これは、難物だな…と後ろの通路棚に目をやると、そこは嬉しいノベルス&文庫ゾーン!戦記ノベルス・ミステリ&アクションノベルス・日本文学文庫・時代劇文庫・海外文学文庫(少々)・歴史系文庫・趣味系文庫…むぅぅ、絶版が多く紛れ込み、激安っ!あっという間に四冊を抜き出してから、左側の通路へ移動。入口側には200均コミック・400均単行本ラックが置かれている。壁棚は、ここもガチガチの箱入法律本だらけ…う〜む、ともっともらしく頷いてから通路棚を。ここも硬めではあるが、ちゃんと興味が持てそうだ。みすず出版本・図書館・書店・古本屋・古本・出版(本関連がとても充実し、ここは硬軟幅広く集まっている)・法律が並んでいる。とても硬くアカデミックなお店で、単行本の値段は高め…しかし!文庫には品切れ・絶版が多く、とても安いのがとにかく嬉しい。何と言う素晴らしいギャップ!ジャンルの極端さに敬意を表しつつ、単行本も一冊。帳場に本をぐっと差し出し、精算していただく。店主の声は小さく、精算もレジ打ちもすべてがぎこちなく初々しい状態!そして本に書皮(お店オリジナルだ!)を掛けてくれたのだが、すべてが大雑把でダイナミック!ちょっと笑いを噛み殺すのに苦労をする。さらに本と共に袋に何か入れてくれたようだが…おっ!開店ご挨拶のタオルじゃないか!古本屋マニアとしては、とても嬉しい一品である。開店おめでとうございます!筑摩書房「われらの図書館/前川恒雄」文春文庫「草のつるぎ/野呂邦暢」河出文庫「せどり男爵数奇譚/梶山季之」角川文庫「おお、痛快無比!!/中島河太郎編」ちくま文庫「完本 美空ひばり/竹中労」なにわ塾叢書「われらが古本大学/天牛新一郎」を購入。
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駅方面まで戻り、「桐壷屋」(2009/11/23参照)さんの前まで行ってみる…あぁ、やっぱり無くなってるのか…残念。
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2012年12月13日

12/13東京・西調布 Book Cafe DEN

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届け物をして、そのまま京王線の人となって西へ運ばれる…。南口に出て、陽光に晒された疎らな商店街を南へ。大きな『品川通り』に出たら、そのまま横断歩道を渡って南側の歩道を西へテクテク。『上石原二丁目信号』の手前に大きな茶色い家があり、その一階の一部がカフェに改装されている…苦手なブックカフェである。古本が売っているかどうか、見極めるのが難しいブックカフェなのである。決して克服出来ぬ苦手意識を、心にわだかまらせたまま、人の家の玄関のようなアプローチを通って店内へ潜入する。ドアベルをけたたましく鳴らして中に入ると、木材を基調とした落ち着いた雰囲気で、ちょっと外国の農家のような内装である。入ってすぐ右に壁棚があり、左に空間が延びて行く。そこを進むと、左に四本の壁棚、右に厨房カウンターと一本の壁棚がある空間。お客は誰もいないので、悠々と座席を確保して紅茶を注文する。そして天井近くから床近くまで続く七段の本棚に、素早く視線を注いで行く。夢野久作・筒井康隆・洲之内徹・美術・自然・美術図録&作品集・骨董・民藝・ヨーロッパ・絵本・日本文学・建築・写真・映画・ジャズ・哲学・思想・現代思想・禅・海外文学・詩集…目を惹く本がたくさん並び、個人的な思考と趣味の流れと幅広さをヒシヒシと感じる…紅茶が来た。聞いてみた。「ここに並ぶ本はみんな閲覧用なんですか?」「ええそうなんです」「あ、売ってないんですね」…やはりそうだったか…「でも、こっちに持ち帰り自由の本があるんですよ」と、店員さんが入口横の棚最下段に並ぶ本に近付き、そこの本だけが読み終えた本と交換形式で、自由に本を持ち帰れることを教えてくれた。…生憎と読みかけの本一冊しか持っていない…その棚を見に行くと、建築・ビジネス・SF文庫・カルチャーなど。もはや手も足も出ないので、野田英夫評伝や『気まぐれ美術館展』のいいとこ取りにもほどがある図録を傍らに、紅茶をズルズル啜る…やはりブックカフェは、本を買えるかどうかの見極めが難しいなぁ…。

思わぬ優雅な午後のひと時を過ごしてしまい、すっかり調子を狂わせてしまう。色々取り戻すために、京王線各駅停車で下高井戸駅へ。続いて世田谷線に乗り換えて山下駅で下車。大好きな「靖文堂書店」(2011/09/06参照)に駆け付けて、暗い照明の中に身を沈め、茶色い本棚に身を任せる。飛鳥新社「ギークス/ジョン・カッツ」世界名作文庫「白夜/ドストィエーフスキイ」河出新書「大阪歴史散歩/宮元又次編」角川文庫「黄色い犬/ジョルジュ・シムノン」を計600円で購入し、何となく調子を戻す。
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2012年12月12日

12/12追憶、上野文庫!

様々なことに追い立てられ、終日机に齧り付き労働する。そしてもはや夜、切らしてしまったCD-Rを買いにコンビニに走り、その帰りに「銀星舎」(2008/10/19参照)の店頭棚にフッと吸い寄せられる。束の間の儚く楽しい現実逃避…そして私は迷っている。数日前からそこに並んでいる、二冊の滝田ゆうの本を、買うべきか買わざるべきか…。気付いていて放置しているということは、気持ちは『買わざるべき』なのであるが、気になり続けているのもまた事実!売れてしまえば恐らくそれまでで、『あぁ』と思う程度なのだろうが、しかし売れる気配が無いのである。一冊は300円、もう一冊は500円なのに!そして本日、古本と古本屋さんに飢えている私は、急ぐ足をピタッと停めて、その内の一冊に手を伸ばしてしまったのだ!。『趣味ではないが楽しい本だ』とパラパラページを繰りつつ、裏の見返しに到達する…するとその見返し右上に、小さな一枚の青い古書店シールが輝いているっ!おぅぅっ!「上野文庫」じゃないか!
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上野の公園下、広小路近くの『うさぎや』の隣りにかつてあった古本屋さんである。戦前風俗や芸能に強いお店で、私はたった一度だけ、十八年前に訪れている。しかし店主の急逝でお店は閉店し、現在その場所はラーメン屋さんとなってしまっているのだ…。最初で最後の買い物は、新潮社「現代猟奇尖端図鑑」で、髯&眼鏡のヒッピー的湊谷夢吉似の店主にガラスケースから取り出してもらい、緊張しながら清水の舞台から飛び降りたつもりで購入したことを、今でも鮮明に覚えている。その本だけを狙って訪れたので、棚を見る目はただただ目標を求めるのみで、まともに棚と対峙しなかったのだ…はぁ、そのことを今でも後悔し続けている。一瞬だけ眺めた棚たちは、記憶の中で肥大し、二度と見ぬことが叶わぬのをスパイスとして、頭脳内で伝説と化してしまっているのだ。だから「上野文庫」で本を買った経験は、私にとって誇りに近い感情までをも、抱かせているのである。しかし残念なことにこの本には、お店を懐かしむための古書店シールが、何処にも貼られていないのだ。確かあの時目録もいただいたはずなのだが、一体何処にあることやら…。そんな私の前に、突如現れた「上野文庫」の棚に並んでいた古本!しかもメインの風俗関連だ!これを買わずして何とする!新潮社「昭和夢草紙」PHP「昭和ベエゴマ奇譚」共に滝田ゆうを購入!早速家に持ち帰り、本を楽しむと言うよりは、何度もその見返しを眺め、古書店シールに熱い視線を注ぐ。そして強く思うのだ。ツアーがしたかったと。池谷伊佐夫氏の「東京古書店グラフィティ」には、確かお店のレポートが載っているはずだ。しかし自分の眼で見て、しっかりとお店を楽しみたかった…。さらに店主・中川道弘氏の著書、弓立社「古書まみれ」(古本こばなし・古本川柳・古本格言・古本映画・古本国憲法…題名通り古本まみれで、読めば読むほどばからしくなって行く…)には、最終ページに在りし日のお店の広告が掲載されている。そこにはオリジナルの店内見取り図が…私はその見取り図の中を、棚に並んでいる本を想像しながら、淡い記憶を妄想補強して行くのだ。小脇に「現代猟奇尖端図鑑」と、買ったばかりの「昭和夢草紙」を携えて…。
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2012年12月11日

12/11東京・日比谷 酒井好古堂

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最初から負けを覚悟して、地下鉄の階段を上がって行く…猪木に聞かれたら確実に頬を張られてしまいそうだが、私の敗北決定は動かし難い事実なのである。日比谷線の『A4出口』から出て、東に見える汚らしく素敵な煉瓦高架に沿って南に進んで行く。小さな飲食店が両側に連なる、昭和を滲ませた印象的な通りである。ずんずん進んで行くと、右手に『帝国ホテル』のハイソな姿が見えて来る。そちらに奪われた視線を早々に取り返し、ホテルの向かいにある黒いビルを見る。その一階に近付くと、二階への階段とビル内に入り込む通路に挟まれた、小さな一軒のお店に気付くこととなる。ここは浮世絵専門の古書店である。元々浮世絵を買う気は無い…と言うか、買う覚悟も甲斐性も無いのである…。しかしもしかしたら、古本も少しは売っているかもしれない…あの上野広小路「文行堂」(2010/12/27参照)の例だってあるのだから…。そう祈っての、負けを覚悟のツアーなのである。お店は通路のような細さでガラス張り。角の丸い部分がショウウィンドウになっており、竹久夢二の『港屋』の版画と、可愛い大津絵が飾られている。ドア上の光る看板文字の下を潜って、店内にそっと滑り込む。…あぁ、やっぱり、本当に浮世絵しかないや…古本は何処にも…。左側のガラス際には、105円の浮世絵絵葉書ラックが二台置かれ、その奥に大量の浮世絵を収納した横長のラックが置かれている。入口側は大体2100円のお土産用複製印刷浮世絵で、奥側が大体10500円の複製木版浮世絵となっている。中央には台があり、浮世絵をじっくり吟味する時に活躍しそうな大きさである。下はマップケースのような引き出しがたくさん並んでいる。奥が少し広くなる手前の壁には、様々な浮世絵グッズやカタログ類が並ぶ。右壁沿いにも大きなラックがあり、ここには高値の本物の浮世絵が美しく古さを発揮し、艶然と収まっている。壁には藤田嗣治や熊谷守一もあり。…やはりちゃんと覚悟が無いと買える代物ではない。早々に完敗である。しかし何も買わないのはちょっと寂しいので、入口近くにしゃがみ込み、広重・国芳・雪岱の絵葉書を買うことにする。奥の事務所スペースに座る禿頭の老紳士に恐る恐る声を掛けると、優しい笑顔が爆発し、とてもフレンドリーに応対!しっかりと一人のお客として扱ってくれたことに、痛く感動する。そして彼の声が、スリムクラブ・真栄田に激似なことにも!何か非常に得した気分になり、清々しくお店を後にする。しかしそれでもいつものように古本には接したいので、銀座までテクテク歩いて「奥村書店」(2010/03/16参照)へ。洋泉社歴史新書「真説・柳生一族/渡辺誠」を購入する。

いよいよ五日後の12/16に迫った受動的イベント『選挙に行って、一日赤いドリルで管を巻く!』で配布する特典ペーパーが完成!B4サイズで文字がギュウギュウ!「古書赤いドリル」那須氏が『あらかじめ〈触れ合い〉を失われた「ぶらり途中下車の〈古本〉旅」』を、私が『ドリルと私』を脱稿。内容は、オッサン二人がお互いを褒めちぎり合う、素敵なものになっております!当日手に取っていただき、ぐっと読み込んでいただければ嬉しい限りです。さらに当日は、残っている『古本屋レクイエム』や、つい最近家の中で10部ほど発掘した『高円寺全古書店巡り』の半分の記事を担当したフリーペーパー『こ・ら・ぼんvol.4』も持って行きます。ご希望の方は酔っぱらっている私にお申し出ください!
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さらに明日、岡崎武志氏と私の対談を掲載した、北條一浩著「わたしのブックストア/アスペクト」が発売になります。こちらもどうぞよろしくお願いいたします!
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2012年12月09日

12/9愛知・犬山で城下町の二店!

一夜明けて目覚めればまだ大阪。今日は単独行動で帰還することにして、年初の約束(2012/01/07参照)で今年訪れなければいけない古本屋さんの最後の一店、「五っ葉文庫」を目指すのだ!節約のため普通列車を乗り継いで犬山まで行くつもりなのだが、大阪駅に着くとJR京都線が人身事故で停まっており(大阪〜京都間)、出端をガッキリ挫かれる。こりゃ一体どうしたらいいんだ?と散々慌てた後に、阪急電車で京都へと向かうことに。そしてようやく乗れたJR京都線で米原へ。次にJR東海道線で岐阜に到着。痛いほどの冷風と降り始めた雪に出迎えられ、ここからは名鉄各務原線・犬山線に乗り換える…これで最後だな…。二両編成の、小さな駅が連続する路線を楽しみ四時間半をかけて、やっと犬山に到着する…。

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●犬山「五っ葉文庫」
犬山は古い城下の面影を所々に留めている、意外に大きな郊外の街である。西口に出てロータリーから脱出し、すぐの『犬山駅西口交差点』を南へ。400mほど歩いたらGS『エッソ』横の細い脇道に入り込んで西へ。居並ぶ古い屋敷や、年季の入り過ぎた木造家屋に引き込まれながら奥まで進んで、そこを再び南へ。冷た過ぎる風に早くも凍えながら前進すると、左手に黄色と白の縞模様にペイントされた小屋が現れ、そこに『キマワリ荘』の看板が出ている。横に広がる敷地には、横長の、これも年季の入った木造モルタル長屋が建っており、ブロック塀の横にセーラー服女の立看板と「五っ葉文庫」の小さな看板を発見する。『このおく』の指示通りに、小石をジャギジャギ踏み付けて、ブロック塀と建物の間の細い道を、これでもか!と奥に入り込んで行く。不法侵入してるんじゃないか?と思うくらい、プライベートな敷地に入り込んで行く。ひと際狭い部分を通り抜けると、外に小さな簀子の置かれたガラス戸の玄関があり、どうやらこれが『キマワリ荘』の入口。がたつく戸を開けて靴を脱ぎ、中に上がり込むと廊下があり、左前方に早速「五っ葉文庫」の入口が。アパートの一室を店舗として使用している感が丸出しで、ナイスなお店となっている。隣りの部屋から聞こえて来る話し声から察するに、店主の古沢氏はそこにいるようだ。まずは入口左横の廊下に出された、二本の100均棚を覗き込む。一本はコミック、もう一本は単行本を上に乗せた文庫棚である。その時古沢氏が後から出て来て「いらっしゃいませ。どうぞゆっくり見てって下さい」とニコヤカに甲高く声を掛けてくれた…これはどうやら気付かれていない!よし、そうと判れば、このまま普通のお客さんとして振る舞おう!文庫を抜き取って中に入ると、店内は白い空間で、まずは細い通路で始まっている。左側だけが本棚になっており、作家50音順にカルト系コミックがドッと並ぶ。間に美少女コミックや大物作家も貪欲に挟み込んでいる。正面壁には、右から水木しげる・児童コミック・怪奇少女漫画棚、隣りにゲーム・プラモ・児童絵本(キャラクター物)・アニメムックの棚が続き、次はこのお店のキモとも言える“痕跡本”陳列棚が登場!天板には自著を飾り、ガラスの向こうに一見普通の本と変わりない十五冊ほどの本が、“痕跡”の説明付きで、美術作品のように静かに美しく飾られている。左端にはリトルプレスや新刊棚がある。ここまで来ると、すでに白い小部屋の内部となり、右壁にカウンターカルチャー・アングラ・新興宗教・麻原彰晃・八切止夫・サブカル・根本敬・みうらじゅん・現代思想&文化・ホームレス・非行・革命・海外文学&日本文学文庫・ちくま文庫・幻冬舎アウトロー文庫・日本文学・海外幻想文学・映画・音楽・建築・写真・オカルト・ファンタジー画集・フェティッシュ・写真集・ホモ関連となっている。内装も見た目も爽やかでお洒落だが、中身はドロドロデロデロ…。奥壁には絶版漫画(宮谷一彦が結構揃っている!「ブラックジャック4巻」『植物人間』が載ってる初版が!)・児童入門書・性愛・エロ・エロ劇画・絶版少女漫画・70年代少女関連。左のラックには今までの流れを踏まえた、洋書絵本・アート絵本・児童文学・コミックが飾られている。噂に違わぬ特殊な濃厚さを持っている。中野「タコシェ」(2008/06/18参照)や神保町「マニタ書房」(2012/10/27参照)と同族の匂いを発しているが、見せるセンスと負のセンスが絶妙なバランスを築いており、すべてを素晴らしいものとする魔法が、端から端までしっかりと掛けられている!値段はちょい安〜ちょい高。プレミア値付けの本も多い。本を手にして一旦廊下に出て、隣りの部屋にいる古沢氏に声を掛けて精算していただく。「寒いのにありがとうございます。今、上のギャラリーで作品展を開いている作家さんたちが来ていて、もてなしているところなんですよ。よろしかったら、一緒にお茶でもいかがですか?」と誘われるが、これ以上の接触は確実に正体が露見してしまうので、涙を飲んで辞去する。ベップ出版「少年児雷也/杉浦茂」幻冬舎アウトロー文庫「仁義なき戦い/笠原和夫」集英社文庫「モンマルトル日記/辻邦夫」春陽文庫「花の真実/小林のぶ」を購入。よし、今度来る時は取って置きの“痕跡本”を持ち出して、買い取ってもらうとするか。

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●犬山「椙山書店」
『キマワリ荘』の敷地を出て、古い街並の中を北に向かい大通りまで出る。ここは駅西口から真っ直ぐ西に400mほど来た地点。さらに西に進んで、謎の『忍術道場』前を興味津々通り過ぎて『本町交差点』。ここから南に向かうと、道の両側に歩道屋根の架かる商店街…しかしそのほとんどはシャッターを固く閉ざしており、プラスチックの飾り花だけが寂しく風に揺らめいている。東側の歩道を進み、一旦屋根が途切れて再び屋根が復活すると、まるで洞窟のような古本屋さんが姿を現した!ここ、これはっ!道路際に出された『古本』の看板に気付かぬほどの、入口の向こうに薄暗く長く延びる、妖気を発する古本通路が見えているのだ!逸る気持ちをぐっと抑えて、まずは二本の50均店頭文庫棚に目を凝らす。うっ、本が二重に並んでいる…時間が無いので表側を見るだけに留めておく。その周囲には、すべて50均のノベルス・雑誌・BLノベルスの箱など。良しっ、本番だ!勇んで中に飛び込むと、右に十一本の高い天井まで届く日本文学文庫棚が並び、表の棚同様ここも二重に本を並べている。品切れや絶版が多く目につき、自然と心臓の鼓動が早くなる…。左の壁棚はポケミスから始まり、海外ミステリ&SF文庫・海外文学文庫・100均単行本・実用・オカルトノベルス・趣味・タレント・文化・辞書類・日本文学・歴史小説・プレミア文学&郷土本・斎藤茂吉・詩集、そして後は少女漫画ゾーンとなり、最奥の部分は大量のLPレコードと音楽CDが並んでいる…ポケミスが安いぞ!天井近くの棚が見えない!気になるところは時間の許す限り奥もチェックだ!などと次第に深みにはまり、時間がどんどん過ぎて行ってしまう…。文庫棚の裏には、二本の長く歪な古本通路が存在し、真ん中は少年&青年コミックだらけ、右端は美術・鉄道・雑誌各種・映画パンフ・アイドル系写真集が集まっている。正面奥(本当に遠い)帳場前には、音楽CDと共に絶版漫画・貸本漫画が並ぶ棚があり、コミック文庫棚の裏にはしっかりとアダルト空間が隠されていた。部屋のようなカウンター帳場では、壮年夫婦が斜め上のテレビを見上げ、楽しそうに笑いながら番組に突っ込みを入れている。だがその周囲には、ビニールに入れられた高額絶版漫画や映画パンフが、無数に飾られているのだ。プレミア絶版漫画やプレミア映画パンフ以外はみんな安く、古めの本も多くドキドキワクワク楽しめる。単行本は数が少ないが、文庫に見果てぬ夢あり!それにポケミス棚が中々魅力的だ…。結局ハヤカワポケミス「気ちがい〔サイコ〕/ロバート・ブロック」「O・S・S・117号 ガラスの眼/ジャン・ブリュース」、田中小実昌訳の「笑ってくたばる奴もいる」「カラスは数をかぞえない」共にA・A・フェア、さらに河出新書「若き日の旅/井伏鱒二編」春陽文庫「裂けた背景/山村正夫」を購入。…あぁ、文庫棚の奥側を、すべてじっくり見てみたい…。

犬山、楽しかった!こっそり約束も果たせたので、言うことなしの遠征になった。ここには後一軒古本屋さんがあるようなので、次回ツアーで訪れたときは、“痕跡本”を買い取ってもらいつつ、文庫棚の奥も漁りつつ楽しむことにしよう。さて、もう帰らなければ…ここからは、どうやって帰れば良いのだろうか?大阪から来たので、ここがどの辺にあるかもいまいち理解してなかったりするのだ…。

※webマガジン『ゴーイングマガジン』で連載中の『均一台三段目の三番目の古本』第九冊目が更新になりました。上記の長い文章でお疲れでなければ、さらにこちらもどうぞ!「やはり蘇じゃのう〜」にご注目を!

posted by tokusan at 21:40| Comment(4) | TrackBack(0) | 中部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする