2013年04月30日

4/30二店で未購入を申し訳なく思っていたら足下にパノラマ島が!

初動遅くどうにか近場でツアーしようと思い、取りあえず祐天寺へ…。

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●祐天寺「リサイクル大朝日」
駅東口の『祐天寺商店街・本通り』を東に突き進めば『目黒税務署前交差点』に出て、『駒沢通り』を南に下ればすぐに「赤い鰊」(2008/12/28参照)。しかし今日はここではなく、向かいに見えるマンション一階にあるリサイクルショップに突撃する。建物はキレイだが、店頭には古着・皿・額装絵画・ランプ・箱類など様々な物がドチャッと置かれている。店内は古道具類やリサイクル品が、ほどほどにバランスを保ち並べられている。その物品の間を、ひとりの千鳥格子のおばあさんが忙しく動き回っている。時折こちらを伺っている気配が、ヒシヒシと伝わって来る。そして左奥に二本カラーボックスがあり、そこに古本の影が少しある。コミック・目黒区本・柳美里・「ボールペン大事典」・陶器関連本、それにビデオなど…う〜ん、これはどうにもならないなぁ〜と、垂れ下がるベルトやバッグの下を腰を屈めて潜り、右翼の部屋へ。こちらは服飾品類中心で本の影など…おや、あった。棚の向こうに本棚があって、そこに本が飾られている。近付いて奥を覗き見ると、古いアニメの児童書や絶版漫画が多く並んでいる。下段にも何やら本の列を確認する。何だろう、ここは?どうやら中央の帳場横からしか入れないようだ。そして仕切りになっている衣装ケースの蓋には『絶版優良優識本読書室』と書かれている。とにかく真相を確かめなければ。再びベルトの下を潜って、左翼にある帳場へ向かう。座っていたおばあさんに、「あの〜奥の本は見られるんですか?」と聞くと、「あすこはね、読書室なの」…で終了。質問に対する返答が妙である。そしておばあさんの表情は少し険しい…どうやら中に入れてもらえないようだ。「そうですか、どうも」とあっさり退散する。表でガラス戸に貼られた紙に目を通すと、『読書室1時間500円』『絶版優良優識本等の高価買取販売致しております』とあった。有料制だったのか…果たして一時間もあのスペースにいられるのだろうか?そして販売もありなのだろうか?興味と勇気のある方は、ぜひチャレンジを!

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●祐天寺「TOSS DICE」
こちらは『本通り』中ほどにある、女子&ママのためのファッション雑貨店である。先ほど通りかかった時に、フロア中央の仕切り棚とテーブル下に、洋書古本が並んでいるのを見つけてしまったのだ。しかしそのすべては絵本と児童書で、割と最近のものが多くなっている。値段は100〜500円。店員さんの優しい戸惑いの笑顔に耐え切れず、すぐに外へ逃げ出してしまう…ここでも何も買えずに、すみません…。

そのままフラフラと学芸大学へ。「流浪堂」(2009/01/16参照)向かいの『マッターホーン』で、バームクーヘンでも買って元気を出そうと思っていたのに、お店は定休日。「流浪堂」店内を流浪して、ここでも何も買わずに駅東口の「飯島書店」(2009/04/10参照)。ウラウラと棚を眺めて行くと、ほぼレジ前の通路棚の下に何気なく積まれた茶色い文庫ミニタワーが目に止まる。そこだけが明るいお店の中で、やけに古くて目立っていたのだ。腰を屈めて手を伸ばす。改造文庫・古い新潮文庫…おっ、春陽堂日本小説文庫が出て来たぞ。ウハウハして次々と本を抜き取りながら、さらに下部へと向かって行くと、ドキッと心臓が跳ね上がり、クワッと目を見開いてしまう。こ、これは!「パノラマ島奇談」昭和二十六年の初版が出て来たぁ!裏表紙には驚愕の105円ラベルの値札がペッタリ!こんなことが、こんなことが都内の古本屋さんで起こるなんて…古本屋さんて、なんて面白過ぎる空間なんだ!と喜びに打ち震えながら立ち上がり、一旦興奮を鎮めるためにレジ横の詩集棚に視点を合わせてみたりする。そこにまた、ひとつの輝きがピカリ!書肆ユリイカの本が、しれっと挿さっているじゃないか。コピーライター朝倉勇の詩集で、装幀挿絵は和田誠。ぬぬぬ、献呈署名が入ってるじゃないか…一体幾らなんだ?…ご、ごひゃくにじゅうご…525円!買います!全く持って信じられん!古本の神とお店に多大な感謝を捧げながら、ドサッと帳場に本を差し出す。春陽文庫「パノラマ島奇談/江戸川亂歩」春陽堂日本小説文庫「半七捕物帳(4)/岡本綺堂」「喬二捕物集3/白井喬二」春陽堂文庫「桂月紀行文集/大町桂月」改造文庫「おらが春・一茶文集/一茶」書肆ユリイカ「掟/朝倉勇」を計1785円で購入する。どひゃっほう!
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2013年04月29日

4/29福島・船引 BOOK・JOY

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お得な切符が何も無いので、徒手空拳の普通列車で郡山。ここからいわきへと通じる磐越東線に乗り換えると、二両編成のディーゼルカー。阿武隈川を渡り、低山地帯谷間の川沿いを、車体を左右に傾けながらブリブリと進んで行く。汽笛と石積みトンネルと里山の二十分が過ぎれば、ホームの端で大きな魔除け人形『お人形様』が、ゼンマイのような両手を広げて待ち構える駅に到着。駅舎と駅前は新しく整備されているが、そこから一歩離れると人影の無い微睡んだ田舎町。駅前通りを道なりに南に下って行けば、500mほどで『国道288号』とぶつかる交差点。迷わず進路を西に採ると、右手にすぐ地元過ぎる大型ショッピングセンター『ふねひきパーク』が現れ、その向かいに水色のラインが引かれた二階建ての『ブックオフ』的配色なリサイクル系店舗が建っていた。ゲームとコミックの匂いが漂っているが、こう言う所は入ってみるまで結果は判らぬものなのだ!…入った途端にきゃりーぱみゅぱみゅの歌に全身を包まれる。すぐ右に雑誌やビジュアル本のコーナー、それにラノベ棚を備えたレジがあるが、見渡す限りはコミックとゲームと、左にあるCD&DVDフロアへの階段である。しかし、通路の奥にチラッと見えた奥壁棚に、どうにか古本の影を認める。ツカツカとそこまで進んでみると、左壁一面に張り付く九本の棚が文庫で埋まっているのにもようやく気付く。そして通路棚の奥側棚脇にも古本コーナーが設置されていた。左壁には日本文学文庫をメインに、雑学文庫と海外文学文庫。足下には文庫揃いが並び、品切れ&絶版もしっかり混ざる構成である。奥壁は、左から新書・ノベルス・ミステリ&エンタメ・海外文学・実用・ビジネス・スポーツ・女性実用・サブカル・タレントが並び、下には『人に読ませたい100冊』の特別コーナーがある。ここいらは通常のリサイクル店。しかし棚脇には、全集コーナーと共に『レトロ本コーナー』が造られていた!古めの70年代の本を中心に、単行本・文庫・ノベルス・絶版漫画が集められている。『値段の高いものも〜』と但し書きがあるが、大抵は安値に設定されている。他の棚脇には、児童文学と絵本が収まっている。文庫とレトロコーナーに面白みあり。値段は安め。案の定、主にレトロコーナーから抜き出す結果となり、カッパブックス「アイラブユー事典/浜口庫之助」芳賀書店「エロチックSF 宇宙のエロス/福島正美編」双葉社「スケバン/前原大輔」ケイブンシャ「仮面ライダー大百科」ハヤカワ文庫「メグレ罠を張る/ジョルジュ・シムノン」理論社「なぞなぞライオン/佐々木マキ」を購入。おぉ、1000円未満に収まるとは!

駅で電車を四十分待った後、連載取材のために郡山で途中下車。そこでついひと月前にツアーしたばかりの「古書ふみくら 郡山店」(2013/03/22参照)が移転してしまったことを知る。以降はインターネット・オークション・探求書販売を営業形態とするそうである。須賀川店は変わらず元気に営業継続中。…よもやあの日の訪問が、ギリギリ滑り込みセーフであったとは…。
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また、シートに座りっ放しの帰り道。まだ苗の植わらぬ、水をとっぷりと張った水田の照り返しを、やけに美しく暖かく感じながら、電車にひたすら揺られ続ける。
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2013年04月28日

4/28東京・駒場東大前 明日香美術 駒場店

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古本神のひとり森英俊氏よりのタレコミである。今や「やまがら文庫」に次ぐA級の情報屋であるが、今回のネタはかなりホットである。何せ、昭和三十年代の探偵小説を大量に保有する骨董屋があると言う、夢のような話なのだ…。ホーム西端の西口から出て、低い線路の下を潜り広大な東大の敷地に沿うようにして、西の坂をゆるゆる上がってから、北へ一直線の高級住宅街の道を行く。道が尽きたら東に向かい、『東大北門』を過ぎれば、民芸調な構えの高級そうな骨董店…本当にここに探偵小説が?彩色鮮やかな大皿や、様々な陶器に怖じ気づきながら、格子戸をララッと開ける。店内は“L”字型で、ガラスケースが鈍く光る空間。奥から「いらっしゃいませ」と女性の声が届いて来るが、人の姿は何処にも無い。古本の姿を、いや探偵小説の姿を求めて奥に進んで行くと、最奥に大机があり、古いアルバムのようなものが積み上がっている。右奥は座敷になっており、ここに人の気配が。そして大机の前に大量のダンボール箱。蓋が開いた箱を覗き込むと、そこに待望の探偵小説の姿を発見!古いハヤカワポケミス・雄鶏社・黒白書房・異色探偵小説選集など、状態の良い翻訳探偵小説が詰まっているようだ。誰かが一括して手放した蔵書であろうか?ドキドキしつつも、勝手に箱の中を漁るのはマズいので、座敷に声をかけてみることにする。「すいません、この箱の中の本を見せてもらっても良いですか?」すると、パソコンに向かっていた女性が向きを変え、立て膝でこちらにいざり寄って来る。眉根に不穏な険しい縦じわを刻みながら…「ああ〜、え〜っと、あのそれはネットオークションで売る本なんですよ。お店では、古本は売らないんですよ…」「えっ?じゃあ見せていただくのも、買うのもムリだと…」「そうゆうことですね…申し訳ないんですが…」何と言うことだ。お店のシステムがそうなっているならしょうがないのだが、目の前の客よりネットオークションか…寂しい話だ。森氏は一体、どんな剛腕でこの難関を突破したのだろうか?あぁ、やはり古本神の立っている場は、遥かな高みにあるようだ。女性にお礼を言い、剛腕など持ち合わせぬ気の小さい私は、宝の山を後にしてムザムザ表へ。もはや空振りと言うよりは、守備妨害でアウト!な敗北感にガッチリ鷲掴まれる。

トボトボ歩いて渋谷に出て、電車に乗って目黒へ。同じ「明日香美術」の目黒店も念のため覗いてみるが、こちらは陶器ひしめく完全なる骨董店。敗北感がさらに深まってしまったので、メソメソしながら武蔵小山の「九曜書房」(2009/03/26参照)へテクテク向かう。おぉ!書肆ユリイカ「今日の詩人双書 吉岡實詩集」が、表紙が少し色褪せているが3000円ですと!今日初めての幸福を決して逃がさぬよう我が物とし、さらに芸生新書「特撮のタネ本/円谷一」をこれも安めな1500円で。このお店が無かったら、今日一日を廢人として過ごすところであった…。
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外で収穫本の写真を撮ったら、鳩も偶然写り込んで祝福!
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2013年04月27日

4/27東京・春日 双子のライオン堂

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水道橋方面から駅に着くと、一旦地下に潜って反対側のホームに向かい、その突端から『A6出口』へ。地上は風が強く、大きな『白山通り』である。青々とした葉を出し始めている銀杏並木の歩道を、北へズンズン歩いて行く。信号を二つ過ぎた、丁度『クィーンズシェフ』の向かい辺りに、北東へ分かれる道が現れる。そちらに進路を採ると、途端に街並が古く庶民的になり、右手には上り坂の街が展開して行く。見事な唐破風と溶岩の塀を持つ銭湯『富士見湯』を過ぎると、小さく目立たぬ本日開店のお店が、お客の来るのを待ち構えていた。モルタル二階家の一階が、水色に塗られた店舗になっており、入口の左足下に小さな看板が置かれている。スッと店内に足を踏み入れると、真っ白い空間で、左に七本の壁棚があり、右に飾り棚とテーブル、それに壁には液晶モニターが設置されている。右奥に帳場があり、白いワイシャツの野球部主将的青年が「いらっしゃいませ」と、多少緊張の面持ち。なのでこちらも緊張しつつ、先客の男性と共に棚を眺めて行く。右側の台には料理関連が集まっている。壁棚はミステリ系文庫の売り上げ寄付棚から始まり、後は時に緩やかに本が並ぶ選書棚が続いて行く。『キャリアを考える人へ』・『大学生が読む50冊』・海猫沢めろん(小説の作り方本)&辻原登&今城むつみの選んだ本が自著とともに並び、奥に荒蝦夷などの東北&震災関連の本が集まる。店主の説明によると、新刊・古本・バーゲンブックスを扱っており、棚を様々な人に造ってもらうことにより、普通の本屋では出来ないような本との出会いを提供するお店にして行きたいとのこと。つまりこの棚は常に表情を変える、知的流動体なのである。現在は、現代思想・社会・日本純文学・ビジネス自己啓発・柳田國男・太宰治・「失われた時を求めて」・小林秀雄などが目立っている、古本には緑のスリップが挟まっており、値段は定価の半額前後である。途中、ご近所の知り合いらしき男性がフラリと現れ、店主とお店のこれからについて熱く語り始めた…何処かで見たことあるような…?外にまで出て続いた長い話が終わって、その方が帰られたところで精算をお願いする。すると、私が手渡した一冊の本、幻冬舎文庫「全滅脳フューチャー!!!/海猫沢めろん」を見て、「あっ、これは!今の方が海猫沢めろん先生ですよ」と教えられる。「えっ?あっ?海猫沢めろん?」…不可思議な名が一瞬のうちに飛び交うが、記憶と先ほどの場面と名前がガシーンと合致する!そうか、そうだったのかぁ。こう言うのは、とても嬉しいことであるな。かなりうろたえ、感激しながら精算。もう一冊、光文社新書「検証 東日本大震災の流言・デマ/萩上キチ」、共に新刊での購入である。坂の街の下に生まれた、作家とも擦れ違える小さなお店の船出に、乾杯!様々な出会いを仕掛けまくることを期待しています!

さらに「大亞堂書店」(2009/01/24参照)にも久々に向かい、スクラッチタイル張りの姿を堪能した後に、昭和四十年代で時の停まっている店内で、大日本雄弁會講談社「第三紀層の上で/賀川豊彦」を500円で購入。お店の老婦人が「古い本ね〜。こんなのがたくさんお店の中に隠れてるのよ。どんどん上に積み重ねちゃってるから、もう何があるのか判らなくなっちゃって」「じゃあ凄い本が埋まってるかもしれませんね」「そうなのよ〜。でも本は重くって、もうとても無理。どうしようかしら?」とコケティッシュな仕草で笑う。果たしてどのような本が、このお店の下層に、冷凍マンモスの如く眠り続けているのだろうか…。
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2013年04月26日

4/26東京・荻窪 赤字堂

お昼に「フォニャルフ」の補充に向かう。カバヤ児童文庫などをぎゅうっと詰め込んでから、「にわとり文庫」(2009/07/25参照)へ。凶悪なほどの貸本小説やジュブナイルに釘付けになりつつ、SURE「ブックデザインの構想/平野甲賀・黒川創」を1000円で購入。しかし今日は古本を買うのは二の次!本来の目的は配布中の『ニシオギ古本マップandにわとり文庫ご近所マップ』を手に入れることなのである!A4四つ折りで表裏二色刷り。デザインも手触りもプリティーである。
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尚、『古本マップ』のみのバージョンも「盛林堂書房」(2012/01/07参照)で配布中。

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風に抗いながら自転車を漕いで荻窪駅北口。ロータリーを抜け出て、『青梅街道』沿いに東に延びる『荻窪駅前商店街』のエロDVDショップに、100均棚が出現しているとのタレコミが「やまがら文庫」よりもたらされたのである。場所は商店街の東端近く、行列の出来る『春木屋』のお隣である。赤と黄色とセクシー女優のポスターがひしめく小さな店頭。その左側に、確かに真っ赤な七段の文庫棚が出現していた。雑学文庫とミステリ&エンタメ文庫が出版社別にキレイに並んでいる。最下段にはノベルスと新書も少々。上段から下段までスパッと見て、百円玉と祥伝社黄金文庫「地図から消えた東京遺産/田中聡」を握って店内へ。暖簾を潜ってアダルト世界に潜入し、通路にいた店員さんにお金を払う。当然の如く古本魂がくすぶってしまったので、線路下のトンネルを伝って南側に顔を出し「ささま書店」(2008/08/23参照)へ。創樹社「小熊秀雄全集 第一巻」を315円で購入。

帰路、緊急呼び出しで幡ヶ谷にて仕事をする羽目に陥る。昨日同様手早く済ませ、久々に店名ロゴの可愛い「小林書店」(2008/07/09参照)を覗き込んでみる。すると帳場横の壁に掛かっていた「ショック氏〈拳銃図鑑〉/境田昭造」(裸本)がとても気になってしまったので購入することに。400円。拳銃の解説と殺し屋を主人公にしたブラックユーモア4コマ漫画で構成された、不思議な味わいの本…。後でネットで調べてみると、中々高い値付けの本であることが判明する。小さな冒険ではあるが、時にはヒラメキで古本を買ってみるのも良いものだ。
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2013年04月25日

4/25代々木八幡〜代々木上原古本屋ラインをたどる

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幡ヶ谷で一仕事して、自転車で整備が進んで走り易くなった『山手通り』を南へ。あっという間に小田急線の陸橋を越え、代々木公園下にある「rhythm_and_books」(2011/08/10参照)。去年「古書赤いドリル」で飲んだくれていた時に(2012/12/16参照)、たまたま来店された店主さんに「前とはずいぶん変わりましたよ」と言われていたのである。確かめに行かなければ…そう思いつつ放置してしまい、五ヶ月がすでに経過。申し訳ない気持ちを胸に溢れさせながらペダルを踏んで、ようやく駆け付けたわけである。交差点の角からビル一階の細長い通路に入る。ずいぶんと上に増殖した100均棚の前には立ち読みの人影。その背後から棚に視線を巡らしてから、さらに奥の店内へ。壁はぐるりと白い本棚が覆い、真ん中に背中合わせの本棚とラック平台…構造は以前と変わりないのだが、棚の濃度と深度がかなり異なっている模様。以前は男子的古本屋+女子的古本屋と言う感じだったのだが、共にマニアック度を激しく増して古本道を突き進み、そのため正反対のジャンルが陸続きになったような光景を生み出している。私は中でもタレント本・児童書・70〜80年代サブカル&カウンターカルチャーなどの、役に立たない本の波に心を掴まれる…相変わらず素敵な方向性だ!ブレが無い!しかし欲しい本は基本的にしっかり値だったので、今回はグッと我慢して講談社大衆文学館「深夜の市長」春陽文庫「赤外線男」共に海野十三を計700円で購入し、引き上げる。

そして以前のお店探訪時に提唱した『代々木八幡〜代々木上原古本屋ライン』をたどることにしてみる。

次は『山手通り』陸橋脇の「SO BOOKS」(2010/10/06参照)。大判の喉から手が出る写真集たちが、この場所に集まっていることを不思議に感じながら、店主がオシャレなピース又吉風に変貌しているのに驚く。懐が寂しいので、何も買わずに表へ…すみません。

踏切を渡って線路西側の、長くうねる商店街を上原方面へ。途中の「みみをすます書店」(2010/08/11参照)は、母体のお店が一軒だけになっており、しかも古本の影は無し…古本販売はここではもうしていないのだろうか?

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代々木上原駅坂下の「Los Papelotes」(2008/07/14参照)。店頭に、スフィンクス座りをしていたマスコット犬が、スケーターにキャンキャン吠えかかるのを横目に、100均棚から早川書房「HAYAKAWA'S ミステリ・マガジン 1966/3」を抜き出す。大伴昌司の辛口な映画評やインタビュー記事、それにカミのルーホック・オルメスものが一話掲載に大いに喜ぶ。店内では、殿山泰司の「バカな役者め!!」に佐藤慶への献呈署名が入っているのに度肝を抜かれるが、さすがに4200円には手が出せずに終わる。結局徳間文庫「コピーライターの世界/糸井重里編著」を選んで精算。合計630円であった。

そのまま長い急坂を、命を懸けて足を着けずに上り切り「マコト書房」(2008/09/08参照)。だが、シャッター1/3開きのお休み状態であった。息を盛大に切らして、代々木上原の坂上に、古本と共にがっくり沈む。
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2013年04月24日

4/24東京・四谷三丁目 だあしゑんか

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段々と昏くなる午後六時に家を出て、四谷三丁目駅の『2番出口』から地上に出ると、そこは『四谷消防博物館』。『四谷三丁目交差点』から『外苑東通り』を北に歩いて行く。すぐに通りが少し折れ曲がる所に『四谷三丁目北信号』。その向こうのビル二階に、青い縦長の看板がまばゆく水底みたいに発光している。ビルの狭い通路と狭い階段を上がると、開かれた青い扉が待ち構えており、さらに木枠のガラス扉が控えている。緊張して中に入ると、カウンター席とテーブル席が三席、それにL字型の壁棚を備えた小さなお店であった。ここはチェコ料理と共にチェコの絵本が楽しめるブックバーなのである。その上古本も買えるとのことなのだが…。小柄な中田英寿風店主に出迎えられ、窓際の席に腰を落ち着ける。窓外の通りを流れ続ける、赤いテールランプの河を眺めながら、チェコビールと見知らぬチェコ料理をオーダー。店内に流れるBGMは、どうやらチェコのラジオ放送…全く持ってチンプンカンプン…。何はともあれ、緊張をアルコールで緩和しつつ、いざ壁棚へ!と意気込んでいると、女子客二人がキャッキャと笑い声を上げながら来店し、棚前のテーブル席に陣取ってしまった…こ、これは完全に棚を見ることが出来ないじゃないか…。仕方無く、手の届く本を手元に引き寄せてみる。ほとんどはチェコの絵本で、他にはチェコ&東欧関連の和書・ミュシャ・ダーシェンカ&チャペック関連の単行本も置かれている。しかし壁棚本にはお店の蔵書印がしっかりと捺されており、これらはどうやら閲覧専用となっている模様。では販売用古本は何処に?改めて店内に注意を向けてみると、入口付近の壁際に飾り戸棚が一棹置かれているのにようやく気付く。ソロソロと近付いてみると、『どうぶつしょうぎ』・バックギャモン関連・ビアコースター・リトルプレスなどと共に、「CEDOK」(2013/01/20参照)提供のチェコ絵本が一段分ほど並んでいた。表4に値札の付けられたヴィンテージ絵本たちは、相変わらず独特な絵柄で異文化なパワーを放っている。値段はお店での飲食代に匹敵するものがほとんど。しばらくパラパラと眺めてから、席に戻って美味しいビールと料理に集中し、酔い痴れる。中でもデザートのイチゴの団子煮には感心!テレビで時々見る『イチゴ炊き込みご飯』の美味しさを、少しだけ悟る。産業編集センター「チェコへ、絵本を探しに」(新刊。チェコの古本屋さんがたくさん掲載されている!)を購入。ちなみに旧字の店名は、日本に初訳されたチャペックの「だあしゑんか」から名付けたそうである。
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2013年04月23日

4/23東京・神保町『神田古書センター』七階で精神的に挟まれる。

一週間も降り止まなかった小雨のような仕事がようやく手を離れ、晴々とした気分で神保町へ。ウロウロと気の向くままに裏路地を歩き回っていると、「映吉書店」(2010/08/10参照)が『貸室』札の掛かるもぬけの殻となっているのに行き当たる。移転か閉店か…これでこの通りは二店の古本屋さんが店売りを辞めたことになり、なんとも寂しくなったものである。さらに表通りではなく、細い道を楽しみながら歩き続け、いつの間にか最近はご無沙汰の『神田古書センター』に到達。ビル内螺旋階段を六回転して初めて七階に足を踏み入れると、そこにはピンク色な空間が広がっていた!

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●神保町「文献書院」
店名の堅さとは裏腹な、アイドル&アダルト一色の男子のためのお店である。『神田古書センター』の『靖国通り』側のフロアは左右に部屋が振り分けられ、別店舗として使用しているパターンが多いのだが、ここは左を倉庫、右を店舗として一店で使っている。百万ドルの笑顔を惜しみなく見せるアイドル雑誌表紙に囲まれた入口部分。右には棚とガラスケースに挟まれた帳場があり、ワイルド系店主が遠方のお客さんと談笑している。三方は壁棚で真ん中に背中合わせの棚が二本。奥のフロアに抜ける廊下にも、本棚は続いて行く。左端通路は、壁棚にアイドル写真集、通路棚にグラビア雑誌がズラリと並ぶ。真ん中通路は、左にちょっと古めのエロ雑誌・川上宗薫・宇野鴻一郎・団鬼六・A5版アダルト雑誌、右には手前に単行本が集まり、アイドル・エロノベルス・アクション写真術・ピンク映画・山本晋也・性風俗・幻想文学(少々)・エロ文学・猟奇などが並ぶ。筋がビシッと通った力強い棚である。奥には週刊誌類。右端通路はアイドル誌・写真週刊誌・エロ雑誌・官能文庫が集まり、奥壁にはどうしたわけか女性ファッション誌とティーンズ誌が網羅されている…女の子が載っているなら何処までも…と言うわけか。値段は門外漢なのでよく判らないのだが、単行本だけで判断すると普通〜ちょい高か。案の定何も買えずに申し訳なく裏に抜けると、奥には今までとは別世界の医学書の専門店が!

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●神保町「いざわ書林」
廊下には棚と安売り箱が並び、『医書 一般書』とある立看板が立っている。それなら何とかなるかもしれない…と100〜300均の箱を覗き込んで行く。むむむむ…一般書など一冊も紛れ込んでいない!すべて見事に医学絡みの本ばかりである。パッと見は新書っぽい本も、良く見ると『痔』『胃がん』などの文字が目白押し…何処にも爪を引っかけられずに、なし崩しに店内へ。壁棚と通路棚のある横長の空間だが、棚を支配するのは、青っぽく大判か分厚い医学書の嵐である!もはや私はオドオドしたただの冷やかし客として、ただ店内を一周するのに必死!もちろん何も買えずに、素早く無様に廊下へ脱出する。

アイドルと医学…まるで暖流と寒流がぶつかっているようなフロアである…結局どちらにも手を出せず、一敗地にまみれて二つの流れのぶつかりに弄ばれる。そのまま階下に流し落とされ、あれ?六階の「藝林荘」(2012/07/09参照)が影も形も無くなっている!これで六階は完全なる空きテナントになってしまった…悲しみと共に五階に下り「みわ書房」(2010/08/03参照)に流れ込む。児童文学に紛れ込んでいた、理論社「忍びの者/村山知義」サイン入りが1050円だ!
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2013年04月21日

4/21新潟・大形 ブックス・バザール

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新潟駅から下越方面に白新線で二駅。こちらではまだ、咲き残った桜が雨に濡れている。温室のように華奢で小さな駅舎を潜って駅北側に出ると、笑ってしまうほどの一面の水田。その中を一直線に北に延びる道を、先に延びて行く電線と共に歩んで行く。アスファルトが雨に濡れて白く光り、両側には水の張られた水田…まるで水面を歩いている錯覚に囚われながら、とにかく真っ直ぐ北へ。ようやく水田を突っ切ると、出て来た駅舎が豆粒のような大きさに。すると目の前には『国道7号線』の土手が横たわる。東にちょっと歩いて、インター陸橋下の複雑な交差点を渡り、『県道3号線』を西へ。すぐ横のガソリンスタンドの、巨大過ぎる雪除け屋根の美しい半円フォルムに目を瞠ると、『県立大学前信号』の向こうに『本』の看板と青い建物が見えていた。信号を渡って近付くと、広い駐車場を持った横長な平屋造りで、上部のボロい看板を見ると、右がCD・VIDEOの『ベスト』、左がBOOKSの「バザール」(“ル”は脱落している…)となっている。三角屋根を持つ左側の入口から中に入ると、何だ、中はつながっていたのか。広く奥深く横長で、雑然としている店内。見通しはあまり利かぬが、割と賑わっている気配が漂う。外観から『アダルトの多いリサイクル店っぽいな』と判断したが、それは中に一歩入った瞬間に嬉しく裏切られた。入口右側に、CD・VIDEO(今はDVDがメイン)ゾーンと古本ゾーンを分つように大きなレジスペースがあるのだが、その前のラック下の平台に、古い文庫が集まっているのが目に入った。そして平台の奥を覗き込むと、さらに古書の列があるのを発見!…これは何かあるに違いない。そう確信し、身を屈めてラックの周りをグルグルと回る…古い科学雑誌や「こども家の光」や絵本もあるが、ぬぉっ!裸本だが大下宇陀児の「蛭川博士」が安値!すぐに胸に掻き抱く。…初っ端からこれだ。この先一瞬たりとも油断出来ぬぞ!結局入って二分でレジ前だけで三冊の本を抱えてしまうが、さらに古本を求めて奥へ入り込んで行く。通路を虱潰しに巡回して行くと、左奥以外は大量のコミック棚に紛れるように古本が点在していることが判明する。まずは入口左横に山岳&登山のワゴン。そして正面奥に映画・スポーツ・特撮雑誌の通路棚が一面。その左側に近現代史&戦争ワゴンと、ガイドブック・趣味・女性実用の通路棚が一面。またレジ周りには、多数の絶版漫画が無造作に置かれている。一通り見て回ったら、いよいよ左奥の古本ゾーンへ。五本の通路棚と壁棚の一部で形成されており、海外文学文庫・雑学文庫・時代劇文庫・日本文学文庫・官能文庫・ノベルス・100均単行本・300均単行本・歴史ワゴン・歴史・探偵小説文庫・寺山修司・幻想文学・アウトロー・美術・音楽・社会・日本文学・日本近代文学・文学評論・辞書などが並んでいる。通路には古本の入ったダンボールが積み上がり、すべて覗き込んでみたい欲望に駆られること頻り。それにしても、面白いほど古い本が目立っている。大抵はビニールに包まれ、棚にソッと挿されているのだが、その存在感がとにかく大きく目を惹き付けるのである。だから自然と期待に胸が高まって行く。ぐむむぅ、欲しい本が結構見つかったな。一旦抱え込み過ぎた本を、心のストッパーで改めて吟味し、店内を動き回って棚に戻して行く。値段はちょい安。良い本にはプレミア値が付いてはいるが、そのほとんどは地球と古本修羅に優しいお値段なのである。「蛭川博士/大下宇陀児」(裸本)「ぐうたら守衛/乾信一郎」共に東方社(そしてこの二冊は、共に越後線・巻駅「太陽堂」の貸本屋ハンコが捺されている)、子供の國「僕は原子である/原田三夫」講談社「お菓子の家の魔女/宇野鴻一郎」中公文庫「帰郷者/萩原朔太郎」秋元文庫「テレビアニメ全集2/杉山卓」春陽文庫「坊ちゃん重役/中野実」「若さま侍捕物手帳 幽霊駕籠/城昌幸」を購入。古本屋さんがジワジワ減りつつある新潟ではあるが、その余波はこう言うお店に古い本が流れ込む一因を作っているのかしれない。いや、たっぷりと楽しい夢を見させてもらった。またいつか来ることにしよう。

この後は『BOOK5』次号連載の取材で、ちょっと西へ。そして今の私の身では、どう逆立ちしても入れない古本屋さんを内包する、ある新刊書店を訪れる。あぁ、私が後十七歳若ければ…待て、次号!
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2013年04月20日

4/20神奈川・茅ヶ崎 古本大學 茅ヶ崎店

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曇天の下の茅ヶ崎。南口に出て古びたロータリーを突っ切り、歩道が無いに等しく交通量の激しい『雄三通り』を南へ…加山雄三だろうな…。西側の脇道を二本やり過ごし、三本目の赤い道にクイッと曲がり込むと、ほほぅ!行く手にすぐ『古本』の看板を出している、真新しい住宅兼店舗が見えて来た。ここは、池袋・経堂・明大前(2008/07/31参照)のお店が姿を消したため、最後に残った『古本大學』なのである。詰まるところが、ここがもはや本店なのである。入口の両脇に展開する壁棚…そこに並ぶ100均本は、日に焼けて酷く蒼ざめ、蒼白になっているものさえ見受けられる。サッシをスライドさせて中に入ると、入口左横にある帳場からすぐさま「いらっしゃ〜い」と野太い声が。チラ見すると、金壷眼の島木譲二風店主が赤銅色に煌めいていた。店内構造は、入口から奥に向かって行き止まりの通路が二本延びるシンプルな形。右側通路は箱に入った本やレコードが置かれ、少し足下が雑然としている。入口右横からミステリ&エンタメ&時代劇文庫が始まり、右壁にも続いて行く。以降は、自然・宗教・思想・ノンフィクション・実用・日本近代文学・山岳と並ぶ。奥壁に文学復刻本・歴史・アジアが収まり、通路棚にはノベルス・日本純文学文庫・雑学文庫・ちくま文庫・中公文庫・日本文学・幻想文学・辞書・新書。左側通路は壁棚に、美術工芸ビジュアル本・江戸風俗・アダルト・官能小説・美少女コミック・性愛&エロ(小充実)。通路棚には絶版漫画・時代小説・詩句・海外文学・新書・ポケミスが並ぶ。文庫とアダルトには多くの新しい血が流れ込んでいるようだが、それ以外は微妙に動きが止まっている感がある。しかし本棚としてはまだまだ魅力あり。値段はちょい安〜普通。しっかり値のものもあるが、嬉しい隙もちょこちょこ発見出来る。そんな本を小さな店内で探し求め、青土社「シモーヌ・ヴェイユ詩集」葦書房「夢野久作の場所/山下巌」中公文庫「モダン都市東京/海野弘」を購入。オヤジさん、50円引きにしてくれました。ありがとうございます!

帰りに大船駅で途中下車。構内をうろつき回り、駅弁屋を探す。しばらくして改札横にあった、目的の『大船軒』を発見する…。先日読んだ盛林堂ミステリアス文庫「大阪圭吉作品集成」収録の、少女探偵小説『香水紳士』の主人公クルミさんが、ある事件に巻き込まれたために買いそびれた『大船のサンドウイッチ』がここで売られているのだ!芥川龍之介や内田百けんも、横須賀に通っていた折りには、舌鼓を打ったサンドウイッチ!500円で最後のひとつを購う。クルミさんに成り代わり、おいしくいただくことにしよう。
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2013年04月19日

4/19品川区と大田区でひっそりと咲く古本屋を

仕事の関係上、動きの取り難い日。ならば近場でツアーを工夫しなければと、まずは何度も行きたくなる古本屋さん「九曜書房」(2009/03/26参照)に行き、己の欲望を満たす!それから街の片隅に、隠花植物のようにひっそりと咲く小さな古本屋さんを巡り、昨日から心に刺さりっ放しの、小さなトゲを抜くことにしよう。

意気揚々と武蔵小山「九曜書房」。高校の塀にもたれる蜂の巣のような安売りボックスから、上林暁を見つけ出したりして店内へ。わぁ!来るのがちょっと久々だと、大分棚の中が入れ替わり、欲しい本がひらひらと目の前を舞って行く…うわー!「二日酔よこんにちは」が500円で売られている!目を疑いながら『今夜は祝杯だ!』と力強く鷲掴み、優しいグリーンの真鍋博装丁にウットリとする。幸先良く、荒地出版社「二日酔よこんにちは/ハッソルト・デイヴィス 田村隆一編訳」筑摩書房「極楽寺門前/上林暁」扶桑社「僕らのスーパーヒーロー伝説/堤哲哉」誠文堂新社「ファンシー商品ショック図典/高橋忠男&IT'S編」を計900円で購入し、もうこのまま帰っても良いと感じてしまう。
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しかしすでに旅は始まっているので、目黒線と大井町線を乗り継いで、次は下神明駅へ。閑散としているが、とても長い商店街の奥地へと進み「星野書店」(2009/06/11参照)にたどり着く。中に入ると時間が停まり、ただただ埃と古本が降り積もって行くのみ…棚下平台のノベルス低山を掘り起こし(まだまだ何か埋まっていそう…)、コスモノベルズ「ふたりの乱歩/松村喜雄」を100円で購入。お店の外に出て再び時間が動き出したら、大井町線のガード下に連なる飲み屋や古い商店を横目にテクテク歩いて大井町駅へ。京浜東北線に乗って一駅南の大森を目指す。歩道屋根の架かる長〜い地元商店街を歩き詰め、気を抜くと見落としてしまう間口が輝く「松村書店」(2009/09/25参照)。店主のおばさんは、今日も元気に古本を捌いていらっしゃる。狭いが落ち着く店内で、安値の本に挟まれているのも嬉しいが、おばさんの自然な優しさがとにかく胸に沁み入るのだ!新潮社「満州の見學/長與善郎」東書選書「天文まんげ鏡/石田五郎」サンデー新書「駅名旅行/佐藤常治」を計600円で購入する。
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一応開かずの古本屋さん「アート文庫」が、やはり開いていないのを確認してから、京急バスでゆっくりと蒲田を目指す。車内はいつの間にか満員となり、JR駅の東口にズルズルと滑り込む。降りたら京急駅方面に踵を返し、「明石堂書店」(2009/12/21参照)に向かうが、駅前の様子が何かおかしい…一部の区域が再開発のため、次々と移転してしてしまっている!これはまずいんじゃないのか?焦りながらお店のあるアーケードの枝道に入ると、途中から通路がフェンスで封鎖状態!そしてその封鎖区域に、まんまと明石堂が含まれていたのであった。あぁぁ、さらば、おつかれさまでした。エロ雑誌を押し付けようとするおばさんがいたお店「明石堂書店」よ…。
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2013年04月18日

4/18東京・湯島 STORE FRONT

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『1番出口』から地上に出たら、日射しはは何だか初夏の色。北に向かい、不忍池をなぞる『不忍通り』に入って、西側の池端を北に歩いて行く。『不忍池西信号』を通過して、和風な『横山大観記念館』前を歩いて、やがて右側はボート池が終わろうとし、行く手は道が二つに分かれ、左手にはレンガタイルのマンションが建つ。その、住人しか入らぬであろう薄暗いエントランスに進入し、一階内部を奥へ奥へ進んで行く。すると奥の裏口に向かう通路に、一軒のギャラリーが面しているのを発見する。おや?何か慌ただしい様子だが…。開け放たれた入口の中に立看板が置かれ、右が小さなブックショップ、左がギャラリーとなっており、個展準備の真っ最中の気配…と言うことは今日はお休みなのだろうか?しかし一メートル前方にある本棚を目にしてしまったら、もはやオメオメと引き上げるわけにはゆかぬ!勇気を持って一歩を踏み出し、壁に掛ける額の位置を正確に決めている二人の男性に声をかける。「…すみません、本を見せてもらっても良いでしょうか?」すると応対してくれたのは大柄な早川義夫風男性で、どうやらギャラリーの主のようである。「あぁ、ちょっとご覧の通りバタバタしてるんですが、構いませんよ。4/20からはちゃんとしてるんですが」おぉ!紳士的で懐の深い応対である。「恐れ入ります」と多少腰が引けながら、右側の小空間へ。左・奥・手前の三方が背の高いボックス棚になっており、右側には今は何も入っていないガラスケースが置かれている。個展準備のため、こちらにも様々な物が積み上がっている。「少し片付けますので」整理を始める主。「本はここだけじゃなくて、奥にも写真集があるんですよ」とのこと。本は大判の図録や作品集をメインにし、単行本は1/4ほど。アメリカ現代美術・クリスト・デュシャン・前衛美術・瀧口修造・杉本博司・飛行機・日本モダニズム・マヴォ・ダダ・シュールレアリスム・表現主義・未来派・古本関連など。狭めなのに豊かな棚である。本には値段の付いていないものも多く、これらは聞けば教えてくれるとのこと。美術関連本なので、値段はしっかりめである。また、主が現代美術家・クリスト研究の第一人者であるのに驚きながら、4/20から始まるブックイベント『不忍ブックストリート』のマップを手渡され、このお店もイベントに参加することを教えられる。世界思想社「日本のシュールレアリスム」を購入。お休みなのにありがとうございました。

裏口から外に出たら、そこは東京大学『池之端門』の真ん前。表通りに戻って不忍池の畔をツラツラ歩き、御徒町方面へ向かう。「文行堂」(2010/12/27参照)の店頭台を覗き込むが、収穫ナシ。続いて『アメヤ横丁』を横切って「一芳堂書店」(2011/04/05参照)へ。ところが狭く暗い店内で棚を見ていると、老店主が「なーんですかー?」「いや、何か面白いものでもないかなと…」「じゃあ出てって。ウチは卸だから」と冷たい視線を放ち、追い出しを食らう。しまった!このお店のルール『小売りは前の方だけで店の中には入らないで下さい。何か入用か聞かれたら返事をしなさい』にいつの間にか抵触してしまったようだ…前回は大丈夫だったのに…。心に一本のトゲを刺し、しょんぼりとして帰宅する。


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2013年04月17日

4/17東京・三鷹 無人古本屋

昨日は「フォニャルフ」に少し文庫を補充し、大家の「盛林堂書房」(2012/01/07参照)で待望の「大阪圭吉作品集成」を購入する。さらに帳場の足下に無造作に積み上がった、春陽堂文庫の探偵小説ミニタワーを発見し、頭蓋が瞬時に沸騰!一冊一冊愛おしく眺めさせてもらい、もはや『スゴい』だけしか言えなくなってしまう。あげくその中の一冊「冗談に殺す/夢野久作」を、手心を加えてくれた値段で譲ってもらう。どひゃっほうである。感謝である。そして頭蓋を古本熱で沸騰させたまま、店主にひとつのお願いをする。文筆家&ホームズ研究家の北原尚彦氏が、無人古本屋さんを発見報告しているとのタレコミが入ったのだが、お店の場所が皆目判らないのである。そこでつながりを持つ店主に、お店の場所の聞き込みをお願いしたのであった。しかし!その報告を待たずして、私はその無人古本屋さんへたどり着けることとなった。きっかけは情報屋「やまがら文庫」より届いた、当該お店の写真である。住所は相変わらず判らぬままだが、その写真を映画『ブレードランナー』のデッカード捜査官のように解析することにより、ネット上でお店のあるであろう場所の発見に、ついに成功したのである。

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北口に出てロータリーを突っ切り、『中央通り』を400m北へ。『井の頭通り』にぶつかったら西北に向かい、直ぐ北側に二股の道として現れる商店街、『三谷通り』にぐんぐん入り込んで行く。ぐんぐん歩き続け『いなげや』を越えると、左手に住宅兼店舗の連なりが現れ、その奥角に白く棚の見えるお店の発見に到る。よっしゃ!サッシ扉にはしっかり『OPEN』の札が出されている。では、と遠慮無く無人の店内に入り込む。六畳ほどの小さな空間で、右奥と奥壁に計八本の本棚、左壁には本の買い方がイラストで描かれた灯台写真パネルが掛かり、入口横には二段のガチャガチャが置かれている。料金の支払いは、100円玉をこの機械に投入することにより成立する。上段が300円で下段が500円。つまり本の値段は必然的に、300円・500円・300円+500円などとなる。出て来たカプセルにはコンビニ袋が入っており、それに本を入れて売買成立と言うことであろうか。…システムがしっかりした無人店…何かアンバランスなお店だ。本は五段分にブックエンドを使い緩やかに並ぶ。ビジネス・自己啓発・ノンフィクションを中心に、街ガイド・旅・暮らし・科学(虫関連多し)・アート・思想・などが入り込む。新しい単行本がほとんどで、新書や文庫は少ない。本棚にはサボテンや『念のためカメラが回っています』の注意書きが。山海堂「東京おさぼりマップ」を購入。道行く老夫婦が、本を選ぶ私の姿を店内に発見し「おっ、ここ開いてるのか。それにしても店の人がいねえじゃねえか」「きっと奥にいるのよ」「いねぇよ。それに奥なんてねぇよ。どうやって金払うんだ?」と疑問を声高に口に出しながら歩き去って行った。
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2013年04月15日

4/15古本は見つけた時に買え!

昨日の「西武本川越ぺぺ古本まつり」で見かけ、手には取ったがしばらく悩み、『まぁ…いいか』と諦めたはずの古本が、どうにも気になって仕方無かったので、午前中に家を飛び出し西武新宿線に飛び乗って、二日連続の本川越へ。『どうか、売れていないでくれ!』そう切実に願いながら改札を抜け、目的の本があるはずの覚えのある台に忍者のように近付く…あった、売れてなかった。それは、おどろおどろしいまでの時の流れと人の手を経て来た、扶桑堂「死美人 初編/涙香小史」。
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今日見てもやはり購買意欲の湧かぬ姿…明治廿八年の四版を、手製の表紙で綴じたものである。黒岩涙香の明治本が、体裁を少し改造されているとは言え1050円は安い。だがこの凄絶なルックスを目にしてしまうと、どうにも家に持ち帰る気が起こらず、昨日はワゴンにそっと戻してしまったのである。しかし!腐っても涙香!その引力は強大で、何となく心に引っ掛かり続けていたところに、涙香について書かれた横溝正史の一文を思い出してしまう。講談社横溝正史全集「探偵小説昔話」に収録されている『黒岩涙香を読む』である。涙香本コレクターでもある正史が、今集めた本も、中学時代に神戸の貸本屋で借りた本も、『薄気味悪いことこのうえなしで、たくさんの人の手垢にまみれ、ページも隅のほうがまくれあがって、反っくりかえっている』と書いているのだ!そうか、涙香本は、あの状態が普通なのか。あの本も恐らく貸本上がりなのであろう。ならば、あれを手に入れれば、横溝正史と同じ気分が味わえるではないか!と変態的欲望を煌めかせてしまい、今日も本川越に足を運ぶ愚かな行動と相成ったわけである。まったく交通費がもったいない…古本は見つけた時に買いましょう!他にも昨日は見逃していた、新潮社新日本少年少女文庫「世界探検物語/豊島与志雄」(函無しで、挿絵に松野一夫や宮本三郎が)を発見し、こちらは1000円で購入する。

さて、せっかくここまで愚かに出張って来たのだ。帰りつつも『もう一度行きたくなる古本屋さんについて考えてみる』掲載を記念して、久々に行きたかった古本屋さんに行ってみるとしよう。と言うわけで狭山市駅で途中下車し、戦闘機が着陸態勢に入る下を歩き、入間川を清々しく越えて「恵比寿屋」(2009/09/28参照)に到着。
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相変わらずうらぶれた看板を持つ大きなお店である。自動ドアを潜って中に入ると、ほとんど人影の無い月曜昼下がりの、社会人には後ろめたい空間である。そして本棚は、雑然と豊穣!何か紛れ込んでいないか、何か隠れているのではないか?一冊一冊丁寧に目を凝らし、時間をかけてジリジリ巡って行く。ニューサイエンス社「冬虫夏草/清水大典」中公文庫「評伝 山中峯太郎/尾崎秀樹」岩波文庫「岡本綺堂随筆集」角川ホラー文庫「幻影城」を計1530円で購入する。探す楽しみをたっぷりと味わい、そこそこ満足。近くにあれば週一で通いたいお店なのである。
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2013年04月14日

4/14埼玉・本川越 古本カフェAgosto

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川越に古本カフェがオープンする。「雄文堂」「希林堂書店」「たかはし書房」「坂井ぎやまん堂古書店」(無念過ぎるほどすべて未踏だ!)が寂しくその灯を消して以来、リサイクル系以外で新たな光を放つお店の誕生なのである!終点の駅舎を出て駅前広場に差し掛かると、あっ!「西武本川越ぺぺ古本まつり」(2012/04/05参照)が丁度開催中だ。後で寄ることにしよう。と、今は会場をそのまま後にして北へ。スクランブル交差点を渡り、拡張工事が進む『中央通り』を北にさらに進んで行く。やがて『連雀町交差点』を過ぎれば、街道の景色は風情溢れる古い商店街に変化して、遠くには街並がさらに古くなる『蔵の町』が見え始める。左に名刹『蓮馨寺』がある信号で立ち止まれば、右に小さな白い新しいお店が開店しているのが目に入る。歩道がとても狭いので、ドアをスライドさせて早速中に入ると、天井が低くシンプルオシャレな空間。右に大きな逆“L”字のカウンターがあり、奥壁・左壁の壁棚が適度に連なっている。真ん中にテーブルがあり、開店祝いのお花がたくさん飾られている。通り側窓際の席に腰を下ろし、今日は飲み物しか出せないとの説明に耳を傾ける。しかし元々何も食べるつもりはなかったので、地産の『COEDOビール 漆黒』を注文。お店は姉御肌の店長さんと、接客が初々しい若い女性の二人が切り盛りしている。では本を見させていただくかと立ち上がると、初々しい女性が近付いて来て「す、すみません。漆黒だけが冷えてなくて…他のは全部冷えてるんです!」と言う。まぁ別にこだわりはないので、お薦めの『伽羅』を注文することに。開店初日だ、色々あって当然さ。棚は緩やかに余裕を持って本が並べられている。そのほとんどは、女性・女子・ママ向けとなっており、古い婦人雑誌・「暮しの手帖」・「婦人倶楽部」・婦人雑誌付録・婦人系古本(折り紙・裁縫などなど)・ファッション・暮らし・料理・雑貨・生き方・書店・オシャレ・海外・「サザエさん」・女性向け文庫&コミック文庫など。残念ながら、オッサンの私とは相容れない世界が構築されている。どの本にも値段が付けられていないので、一応販売しているのか聞いてみると、特別な本以外はちゃんと販売しているとのこと。ビールをぐいっと飲み干して、精算と共に一冊購入してみると、定価の半額を提示された。この賑わう観光地・川越に新たな古本の灯がピカリ!開店おめでとうございます!洋泉社「わたしの小さな古本屋/田中美穂」を購入。

真っ昼間からほろ酔いで、電線の無い川越の通りをブラブラしてから、駅前に戻って古本市へ。今回は「佐藤藝古堂」さんにグイグイと惹き付けられる。そして突風に、その「佐藤藝古堂」さんの紙物(切符や絵葉書)がバラバラと路上に吹き飛ばされる、もったいない光景が!しかしすぐさま親切な通行人の方々の手により拾い集められ、事無きを得る。文園社「凱歌/牧野吉晴」家の光協会「こども家の光 S.33 7月号」近代社「うわばみ行脚/福田蘭堂」ハヤカワポケミス「ソロ対吸血鬼/D・マクダニエル」を計1600円で購入する。

※お知らせ ほぼ古本屋さんによる古本屋さんのための雑誌「日本古書通信 2013年4月号」に『もう一度行きたくなる古本屋さんについて考えてみる』と言う文章を寄稿させていただきました。見開き2ページに、あくまでも買う者の視点で書いた、古本屋さんへの偏愛的な持論を展開。古本屋さんでお見かけの際は、ぜひとも手に取っていただければ嬉しい限りです!明日15日から発売されます。
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2013年04月13日

4/13三重に弾かれ名古屋を彷徨い三店!

まだ受け取っていない今月の「フォニャルフ」の売り上げをあてにして、おおよそこのぐらいだろうと妄想計算し、ならばこの辺りまで行けるだろうと、三重県の古本屋探索へ出発!最初は紀伊半島のとば口・桑名で、予想通り(その手は桑名の焼きハマグリ!)街に溢れるハマグリに喜びながら空振り。ならばと、仙台「萬葉堂書店」や岡山「万歩書店」に匹敵すると言われる巨大古書店「万代書店」の偵察に行くことにする。

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●近鉄富田「万代書店 四日市店」
改札を抜けたら、『駅前通り』→『富田中央通り』と一キロほど南東に下り、『国道一号』を南西下する。大きな陸橋を越えたなら、左手に『古着』『古本』の巨大看板を持つ、軍事施設のようなカマボコ型の建物。広い駐車場を突っ切って中に入ると、古着・ゲーム・カード・おもちゃ・駄菓子・楽器・CD・DVD・アダルトの迷路!古本は、古本はと隅々まで目を凝らし、幽鬼のように広い店内を彷徨うが、あったのは小さなコミック売場だけ…何とこのお店には古本売場が無いのである。表の巨大過ぎる『古本』の文字に完全に裏切られ、お店から呆然と脱出…すべての「万代書店」がこうでないことを願いつつも、これ以上南に下るのは危険と判断し、すぐさま名古屋に舞い戻る。

名古屋では、駅近くの『国鉄会館』にあるはずの、アート系の古本屋さんを訪ねてみたが、何処にもそんなお店は見当たらない。何故だ!と頭を抱えつつも、すぐさま気持ちを切り換えて、五年前の「名古屋古本屋ロード」(2008/06/15参照)の続きを、ようやく実行に移すことにする。

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●上前津「海星堂書店 北店」
名城線『10番出口』の階段を駆け上がれば、大きな『上前津交差点』。その北東際、交差点に向かってカーブを描く白いマンション一階で、古本屋さんが陽を浴びていた。緑の日除けの下に大きく展開する壁棚は、文庫本と単行本が主。単行本には戦争関連が多く見られる。足下には文庫・コミックの詰まった箱が並んでいる。入口右横の小さな新書棚から一冊掴み、万引き防止ゲートを擦り抜けて薄暗い店内へ。中は天井までの棚が立ち、少し鬱蒼としているが、通路は充分に確保されている。壁際ははすべて本棚で、真ん中に背中合わせの棚が二本。フロアは奥が少し狭まっている。入口左横に帳場があり、男性二人が頭だけを見せ忙しく働いている。おぉっ!入口右横に、中日ドラゴンズ選手サイン色紙やカード類を発見!…ここが名古屋であることを直に感じ取れた瞬間であった。壁際は一般文庫・時代劇文庫と新しめな本が並び、多めの絶版漫画、そして奥に雑誌と美術が収まっている。向かいはかなりマニアックな並びで、探偵小説・ジュブナイル・幻想文学・海外ミステリ・絶版文庫・ちくま文庫・プロレス・野球・格闘技・性愛・エロ・オカルト・映画・テレビ・タレントなど。棚下にはたくさんのダンボールが並び、雑誌付録・VHS・コミック・雑誌などが入れられている。真ん中の通路手前側にDVDが集まり、奥右側に歴史・文学評論・文明・哲学・社会学、左側には戦争関連が大集合。奥壁は雑誌が並び、左端は完全なるアダルト通路となっている。一般雑本・マニアック本・アダルトで成り立っており、マニアック部門とその周辺では珍しい本たちが目を楽しませてくれる。古めな本が多いのもまた楽しい。一般的な本の値はちょい安〜普通だが、プレミア本はしっかり高値が付けられている。しかし東京より、安い設定のプレミア本もチラホラ。作品社「ギャグ狂殺人事件/ビートたけし」創元推理文庫「危険な乗客/トマス・ウォルシュ」を購入。

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●上前津「海星堂書店 南店」
続いて交差点を南に下れば、東側歩道にすぐ同名の古本屋さんを発見することになる。こちらは小さなビルの一・二階が店舗となっており、一階入口部分にはしっかりした安売り本スペースが造られている。壁棚には単行本と雑誌類が並び、背中合わせのラックには文庫・単行本・ノベルス・コミックが並ぶ。値段は100〜500円で、目を皿にすると良い本が多く紛れ込んでいるのが目について来る。中々秀逸な店頭棚だ…むっ、ビッケ本発見!などと結局四冊も引っ掴んで奥の店内へ進む。入口は左右二ヶ所あり、構造は“U”字型なので、左右通路の行き来は店外かレジ前でしか出来ない。ちなみに左側はアイドル・グラビア誌・アダルトの桃色通路となっている。右側通路は、壁棚が将棋・風俗・社会など多ジャンルが集まる細い棚から始まり、ハヤカワ文庫・創元推理&SF文庫・ちくま文庫・ポケミス・探偵小説・幻想文学・アングラ・博物学・音楽・美術・写真・犯罪・アウトロー・鉄道・性愛・人文・歴史と続く。奥はその周囲を細い回廊にした帳場があり、男性が前後に収まっている。ぬぬっ!背後の壁には『ポケミス揃い 100万円』なんて恐ろしい品物が!通路棚には、絶版漫画・児童書・スポーツ(相撲充実)・東海郷土・芸能・竹中労・平岡正明・テレビ・オカルト・タレント・アイドルなど。足下の雑誌箱は、とてもプロレス雑誌に偏重している気がする。こちらもまたマニアックで良い本が多く見られる。値段はやはりしっかり。それでもこれなら安めなはず!と店内でも一冊ギュッと掴み、評論社「ビッケと空とぶバイキング船/ルーネル・ヨンソン」暮しの手帖社「「暮しの手帖」とわたし/大橋鎮子」ソノラマ文庫「透明少年/加納一朗」講談社X文庫「死霊のえじき/ジョージ・A・ロメロ」ちくま文庫「怪奇探偵小説名作選 香山滋集 魔境原人」を購入…こんなに買うはずじゃなかったのに…。二階の階段を上がると、映画パンフの積み上がった瓦のような山に驚き、店内にもまだまだ映画パンフ、そして映画本・ポスター・映画雑誌・VHS・DVDだらけ。単行本は主に右側通路に集中している。また左壁棚は映画とは関係無く、兵器関連の雑誌で埋まっている。

荷物を重くして東京に戻りながら、五年を経てつながった「名古屋古本屋ロード」について考える。まだ「飯島書店」をツアーしてないし、「亜希書房」の消息も確かめなければ…あぁ、名古屋の古本道。それはようやく始まる、新たな長い旅のスタートであろうか。
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2013年04月12日

4/12東京・金町 古書とレコード 金町一草洞

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ダメだったら我孫子にでも足を延ばせばいいか。そんな軽い気持ちで、久しぶりに“幻の古本屋”(2011/02/08 & 2011/03/05 & 2011/03/13参照)を偵察に行く。中二階のような高さのホームから北口に出て、夕陽が琥珀色な北口ロータリー。右側に回り込んで、ビルの谷間の商店街を東に進む。直線道が行き着くのは五叉路の交差点で、東北に延びて行く赤いアスファルトの『昌明通り商店街』を選択して入り込んで行く。そんなすでに勝手知ったる道を100m進むと、左手に和菓子屋さんが見え、その隣りにいつも通りシャッターを下ろしたお店が…あん?お店の前に何か出ているようだが、和菓子屋さんが何か置いているのか?…ち、違う!シャッターが下りていない!古本屋さんが開いてるんだ!幻のお店が、開いてるんだっ!思わず道の真ん中に立ち尽くし、息を飲む口を手で押さえ込みながら、感動する。たっぷりと困惑しつつ感動したら、ゆっくりと噛み締めるようにお店に近付く。素っ気ない三枚のサッシ扉には、これまた素っ気ない『OPEN!』(いつも開いてないくせに!)『古書探求致します!』(いつも開いてないくせに!)などの貼紙と共に、小さな店名看板が右下に出されている。椅子の上に置かれた、岩波文庫と新書を詰めた箱には目もくれず、夢が覚める前にと、とにかく店内へ!狭く、本とレコードが足下にひしめく空間に、ジャズの爆音!左奥の小さな帳場に収まる、帽子を被った老店主と目がバッチリ合い、丁寧にお辞儀する。和製ミッキー・カーチス風店主は、珈琲ではなく紅茶を優雅なティーカップで飲みながら、ジャズを一身に浴びている。右側&奥にはほとんどレコードが並んでおり、時折ジャズ本・寺山修司・革装本・ジャズプレイヤー色紙などが顔を見せている。目指す古本は左側に集まり、パラフィンの掛かった本タワーが四本ほど腰高まで立ち上がり、壁際には低めの本棚が二本、上には真空管の列、帳場横に小さな本棚が一本。また、帳場の壁に一段の壁棚が続く。本タワーは、日本近代文学・東京風俗・ジャズ・鳥類で造られている。本棚には、音楽・詩集(70年代中心)・美術・ジャズ・平岡正明・殿山泰司・鳥類・植物・映画・幻想文学・東京・巴里など。小さな本棚には情熱のタンゴ関連が並んでいる。とことん厳選された小銀河の集合体的お店で、売れる売れないを超越したかのような、店主の愛するもののみで構成されている気配を感じる。値段はしっかり値で、隙は見当たらない。途中「うるさいですか?」とレコードの音量について聞かれるが、「いえ、全然!」とニヤつきながら全力で答えてしまう。お店に入れたことが嬉しくて、この状況を存分に楽しんでいたからである。北海道文学館「『北緯五十度』の詩人たち〜更科源蔵と豊かな交流圏」リブロポート「やさしいうた 木島始訳詩集/イラストレイション堀内誠一」を購入。二年越しの夢の実現に歓喜しながら、お店を後にする。夕陽の照らす金町を、陶酔してテクテク…今日はもう他のお店に寄るのは止めて、素晴らしい余韻に浸りまくっていよう。しかしこの、本当に難物だった幻店。次に入れる機会は、果たして巡って来るのだろうか?最低でももう一回くらいは、巡り会いたいものである。

※webマガジン『ゴーイングマガジン』で場違いに連載中の『古本屋ツアー・イン・ジャパンの『均一台三段目の三番目の古本』』の第十三冊目が更新されました。今回は愛知・川名の文庫専門店で手に入れた、あのシルバーヘアード・デビルの文庫。恐る恐る読んでみたら、これがまた面白かったのである!

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2013年04月11日

4/11東京・高円寺 えほんやるすばんばんするかいしゃリニューアル!

忙しくて中々果たせなかった「古本ナイアガラ」(2011/12/10参照)入れ替えをして、一日を始める。今月のテーマは『児童小中ジュブナイル』。全国を訪ね回るうちに、いつしか集まった児童文学や絵本を並べてみたものである。ミステリ&SFエッセンスが強いが、果たしてこれは売れるのであろうか?
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午後三時過ぎ。一仕事終え、意外に冷たい空気の中を自転車を走らせて高円寺へ。つい最近リニューアルを終えた「えほんやるすばんばんするかいしゃ」(2008/11/06参照)を見に行くためである。立看板が表に出ていることにより営業中なのを確認し、階段下の安売り棚をしっかりチェックしてから、壁のエアコンにダスッとぶつかったりして真っ赤な急階段を上がる。階段上では、100〜500円棚とまずは対面し、右側の小さなフロアへ。ふむむむ、基本レイアウトは変わっていないが、今までだらしなく座っていたのが居住まいを正したようで、お店の世界観と空間がキュッと引き締まっている。古いモルタル建築二階の、秘密性と密閉性が増した感じが好ましい。入って直ぐの左壁は、「せかいのおはなし」で括られた児童文学と絵本。これはフロア中央に立つ本棚も連携している。右側手前の通路は「にほんのおはなし」となり、日本作家の児童文学・絵本と共に、ミステリ&SFジュブナイルの姿も。壁にはポストカードラックが出現している。中央の平台には、「こどものとも」や豆本・外国のピンバッチが置かれている。奥壁は洋書絵本で埋まっており、右壁は大きなラック飾り棚となり、おススメ絵本やグラフィック本が並んでいる。相変わらず70年代周辺の児童文学が多く、とても懐かしい。よし、リニューアル祝いだ!と評論社「ビッケと木馬の大戦車/ルーネル・ヨンソン」(函無しで2000円)をセレクト。階段直上の帳場に持って行くと、店主が「これ、復刊出てますよ」とわざわざパソコンで検索して見せてくれた。お心遣い、ありがとうございます。しかし私は、このお店で見付けたこの本が欲しいのです!と初志貫徹して購入。それにしても、子供の時からまったく変わらぬ、この児童文学本から受ける、頼もしく誇らしい物質感は、果たして何なのだろうか?あぁ、今から読むのがとても楽しみだ。

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2013年04月09日

4/9岐阜・大垣 笠浪書店

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難物な仕事を済ませて渡したら、遠くの未踏の地にやたら行きたくなってしまった。まるで蒸発でもするかのように、そのまま東京をフラッと離れてしまう。名古屋駅から東海道線の新快速に乗り込み、駅を“黙殺”どころか“なで斬り”にして行く。木曽川・長良川・揖斐川を越えて三十分。南口に出ると、見通しが悪く全貌の掴み難いロータリー。どうにか右側から回り込んで、ほとんど廃墟の素敵な駅前ビルをなぞるようにして南に向かい、すぐの『高屋町交差点』を西へ入る。後はひたすら真っ直ぐ500mも進めば、『室本町交差点』北東際に建つ、細長い肌色の古本屋さんにたどり着く。横の駐車場奥には、シャッターを開け放った古本倉庫が見えている…は、は入りたい。このお店は、かつては『本店』と『北店』に分かれていたようだが、現在確認出来るのはこのお店だけである(ちなみにここは元北店)。縦にも奥にも細長い小ビル一階に入ると、店舗は通路のような奥深さ。左右の壁は造り付けの本棚で、真ん中には背中合わせの棚が一本。奥は机がひとつの簡素な帳場で、おばあさんが一人で作業中である。彼女は店内を移動する時、「ヨイショ、ヨイショ」と一歩ごとに口ずさみ、時折合間に「足が、痛い、足が、痛い」をリズム良く挿入する。何かありそうな予感を抱かせる、ちょっと古い本+古い本が混ざる棚を眺めて行く。右壁は歴史小説・日本文学・中国・ミステリ&エンタメ・詩歌句・古代史・被差別部落・和本・岐阜郷土本と、帳場背後まで続いて行く。向かいは、全集・新書・時代劇文庫・辞書・雑誌・大判本が並ぶ。入口左横には美術系&自然系写真集やビジュアルムックが並び、左壁に実用・自然・児童文学・兵器・近現代史・文学・歴史・工芸・幻想文学・宗教・芸能・江戸・山岳・アダルトと続く。向かいは新書・山岳・飛行機・『人と思想』シリーズ・囲碁・将棋・戦争文庫・一般文庫・ノベルス・官能文庫となっている。昔ながらの古本屋さんで、歴史&郷土と一般本がルーズに混ざり合う。古い風俗本や函無し本に意外な面白さあり。値段は安め〜普通。すでに二冊の本を手にしているが、何だか諦め切れずに見て来た棚を再度眺めて行くと、そこに衝撃の一冊を発見する!角川文庫白背「八つ墓村/横溝正史」の初版である!ちょっとくたびれているが100円だ!心の中には『ユリイカ!』の叫声!やりましたよおッ母さん!カバー絵が不気味ですよ!と静かに熱く大興奮する。
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…連日のプチ“古本ゴールドラッシュ”に驚きを禁じえないのだが、何か良くないことでも身に降り掛かる前兆なのだろうか?…いや、何故意味も無く弱気になるのだ。これは懸命に、そしてバカみたいに古本屋さんを訪ね回っている結果なのだ!喜んで享受しようではないか!21世紀ブックス「地理面白事典/都筑道夫編」講談社現代新書「東京の原像/加太こうじ」と共に購入すると、おばあさんは100円引きにしてくれた。感謝です。

蒸発するように東京から飛んで来た甲斐がありまくりだなと、大垣の街をフラフラ遊歩。もう一軒のお店、『大垣公園』近くの「趣味之友社」を昭和な裏通りに探してみるが、お店があるべき場所は駐車場に…ただ看板地図に、その名を留めるばかりであった。
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2013年04月08日

4/8埼玉・今羽 夢屋書房 大宮店

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大宮駅からタイヤで走る交通システム『ニューシャトル』に乗り込む。小さなアルミニュームの車体に揺られ、コバンザメのように東北新幹線高架に張り付いた軌道を、グイグイ進んで行く。四駅目で下車して、殺風景な高架下から抜け出て『県道35号』を南東へ。真っ直ぐ歩き続けて、歩道橋のある交差点を通過する。やがて右手に『GEO』が見え、左手に交番と古本屋さん!看板や取扱品目、それに『買取センター』などが黄色く毒々しく目立っている。…よもや買取専門と言うことはあるまいなと、恐る恐る自動ドアを潜ってみる。ほっ、本棚がちゃんと並ぶ立派なお店だ。それにしてもこの店名…沼田の「夢屋書房」(2012/03/11参照)とは何か関係があるのだろうか?店内は横長で、奥に暖簾に隠されたアダルトゾーン、右奥に帳場。手前のメインフロアは壁棚に囲まれ、横置きの通路棚が二本並んでいる。入口右横には棚とラックで造られた縦通路が二本…棚のほとんどはコミックが占めているが、左側第一通路の通路棚に100均文庫棚(二本)・雑学文庫・海外文学文庫・実用ノベルス・タレント・児童文学・ビジネス・サブカル・ミステリ&エンタメが並ぶ。また壁棚側に、文庫揃い・ガイド・北杜夫の細長い棚あり。さらに右側一本目の通路に、日本文学文庫とノベルスの姿が。リサイクル店的な並びであるが、ちょこちょこ古く光る本が混ざり込んでいる。値段は安め〜普通。良い本にはプレミア値のものも。芳賀書店「ミュージカル映画/柳生すみまろ」を購入。

帰りに赤羽駅で途中下車し、楽しい使命の古本屋パトロール。まずは街の片隅の古いアーケード内にある「紅谷書店」(2009/01/29参照)。あっ、講談社「のらくろ放浪記/田河水泡」だ!「のらくろ捕物帳」「のらくろ喫茶店」と共に、高値高値な一冊である。最近三冊とも復刊されたが、古書にそれほどの値下がりは見られないようだ。どれどれと手に取ってみると、ふわ!2000円!安いので買います!幸せです!
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※カラーの色具合が懐かしい記憶を呼び覚ます。のらくろ、本屋の前を通ってる!
※車内でこれを読んでいたら、向かいのベビーカーの赤ちゃんが函絵をガン見しているのに気付く。函を動かすと視線もそれを追いかけて来る…ブル元連隊長とモール元中隊長の笑顔は、何やら計り知れない訴求力を秘めているようだ。

嬉しい勢いのまま、駅西側の「平岩書店」(2009/05/11参照)。こちらは店頭100均壁棚から、PHP ESSAY BOOKS「5Bの鉛筆で書いた/片岡義男」を購入する。
posted by tokusan at 20:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする