2013年06月30日

6/30愛知・東岡崎 都築書店

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今日は何がなんでも行ったことの無い古本屋さんに行くのだ!遠出だワッショイ!とムダな勢いに任せて、まずは豊橋。そこから赤い名古屋鉄道の特急に乗れば二駅で三十分。半地下通路から北出口に出ると、駅ビルは『岡ビル百貨店』と言う名のボロいが好ましい三階建て。徳川家康の手形がある、これも古臭いロータリーから目の前の駅前通りを西に進んで行くと、300mほどで『電車通り』とぶつかる交差点。かつては市電がガタゴトとここを行き交っていたのである。今は車だけが走る味気ないアスファルトを眺めつつ、北へと向かう。すぐに水量豊かな『乙川』に行き当たるので、親柱の立派な『殿橋』で川を越える。この、駅近くの街中に自然豊かな川が横たわる感じは、盛岡や広島の景色を思い起こさせる。街自体は、新しさと古さがモザイク状に入り交じっている。さらに北に進み続けると、井桁型に武骨な歩道橋の架かる『康生南通交差点』。その手前右手に赤い小さなビルがあり、おぉ一階が古本屋さん!軒に黒々とした看板文字があり、だんだら日除けの下には、100均新書棚・安売り全集&単行本、そして大雑把な文庫入1000円ダンボール箱…逆に売れない気が…。店内は縦長だが、両壁は本棚、真ん中に背中合わせの棚、奥に島式帳場のオーソドックスなスタイル。ただし何処の棚下も帳場周りも、二重の本タワーに取り巻かれており、下半分を見ることが不可能となっている。通路はキレイに広めに確保されているので、乱雑さと不自由さを感じることはない。奥には車だん吉をちょっと思い起こさせる老店主と、娘さんとお孫さん。つまりは店内が物凄くプライベートな空間と化している真っ最中なのである。このプリティーな孫は、店内を「アワ〜ッ!」と一周し、その度に私の足にタックルをかましウへへと笑いかけて来る。店主が「これこれ、やめなさい。どうもすみません」と謝るのだが、その顔は孫が可愛くてたまらないえびす顔。私もすでにお孫さんに悩殺されておりますので、何の問題もありません!さて、古本に集中しなければ…右壁は科学・文明・思想から始まり、古代史・日本史・民俗学・古典文学・辞書など。ほとんどが箱入本で硬い印象だが、足下タワーは同ジャンルでも通常の単行本がメイン。向かいは尾張&名古屋&岐阜の郷土学術&資料本と宗教。棚脇には能や伝統芸能の本タワーもあり。入口左横は文庫棚で、岩波文庫・講談社学術&文芸文庫・ちくま文庫・福武文庫・文庫揃い。左壁は時代劇文庫・一般文庫少々(足下にも広がる)・中公文庫.新書・歴史小説・戦争・日本純文学・探偵小説復刻本&叢書&全集・幻想文学・古本関連・性愛・漫画評論・文学評論・日本近代文学と続く。通路棚には、趣味・自然・園芸・登山・映画・音楽・書・美術・工芸。帳場の背後には強固な郷土史の壁が控えている。歴史&郷土で堅固なお店であるが、文庫や本タワーに意外な本あり。しかも全体的に安値なのが嬉しいところ。ここは良い老舗店です。表の100均新書を見た時はどうなることかと思ったが、孫はプリティーだし店主はジェントリーだし、とニコニコしながらちくま文庫「遅読のすすめ/山村修」新潮文庫「気まぐれ美術館」「絵の中の散歩」共に洲之内徹、講談社現代新書「伊東静雄/小川知佑」れんが書房新社「幻の「スタヂオ通信」へ/伊藤俊也」を購入。

この後はさらに北にあるはずの古本屋さんを目指したが、そこにあったのは普通の集合住宅だったので、どうやら事務所店の模様。ツラツラと駅に戻りがてら、名前に惹かれて『伊賀八幡宮』にお参りしたり、街の片隅に小さな安倍晴明の社を発見したりして喜び、私は岡崎で何をしているんだか…。
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2013年06月29日

6/29千葉・裏切りの九十九里浜

休日おでかけパスを購い、千葉県東部を急襲。総武本線の干潟駅は、高い生垣に囲まれた平屋・水田・畑・玉蜀黍畑で出来た、ちょっと沖縄にも見える田舎町である。駅南東二キロほどの地点に、資源回収センターが経営する、古本も扱う駄菓子屋があるらしいのだが…。例え売っているのがコミックだけだとしても、本当に古本が並んでいるなら、それでいい!そんな風に願いながら、照り付ける太陽の下、誰も歩かぬ道を行進して行く。進むべき道は何処も見通しが良いので、いくら歩いても遠くの景色があまり近付いて来ず、それはまるで布をグルグルと巻き取る作業のようにじれったい。そして苦労してお店のあるべき場所にたどり着くと、そこに店らしき姿は皆無…あざ笑われている…うぅむ、無念だ。しかしそれでも先に進まねばならない。もうひとつの望み薄な古本屋さんを目指して、そのまま何事も無かったように東へ歩き続ける。
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目指すは隣りの旭駅駅前である。相変わらず人と擦れ違うことは無く、古い街道沿いの家々に飼われた犬たちに吠えまくられながらも、めげずにテクテク。結局五キロも歩き詰め、駅前の古びた街中に「アオイ古書旭店」の姿を探し求めてみる。結果、建物は現存していたが、古本屋の痕跡は何処にも残っていなかったのであった。…あぁ、炎天下に古本屋の影を求め、一時間半無言で歩き通す、楽しいはずの土曜日の午後。九十九里浜に裏切られた、虚しい土曜日の午後…。

しかし九十九里浜で行き詰まったのなら、その借りは九十九里浜に返してもらおう。何たって九十九里浜は広いのだ!駅から上り電車に乗り込み、苦労して歩き通した駅間をたった四分で走破し、さらに先へと進んで飯倉駅。今やすっかりお得意さんの「クルクル」(2011/01/10参照)店内をグルグルと歩き回り、徳間書店「やきもの随筆/加藤唐九郎」新人物往来社「真紅の法悦」晶文社「ぼくは本屋のおやじさん/早川義夫」を計600円で購入し、どうにか古本修羅としての矜持を復活させる。
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そして復活したからには、これではとても物足りん!と東金線→外房線とたどり、茂原駅。リサイクル系の激安店「ブックセンタ−あずま 茂原店」(2010/03/21参照)まで足を延ばし、狭い通路で壁のような本棚と一時間にらめっこ。集英社文庫「ソウルの位牌/飯尾憲士」コバルト文庫「Vマドンナ大戦争/野沢尚」「テレパス少女/中尾明」「逃げ姫/眉村卓」秋元文庫「SFロボット犬の反乱/草川隆」朝日文庫「江戸東京奇想徘徊日記/種村季弘」春陽文庫「桃太郎船長武勇伝/山田克郎」「社員武士道/竹森一男」白水Uブックス「日本幻想小説傑作集2/阿刀田高編」大和書房「十月の旅人/レイ・ブラッドベリ」を計1060円で購入。あまり考えずに愉快な本を次々と手にする、緩く幸せな時間であった。
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いつの間にか蓄積された疲労を抱え、東京への列車に腰を下ろす。明日こそは、明日こそはしっかりと正統なツアーをしなければ!と固く誓いつつも、古本を抱えながらいつの間にかウトウトZZZ…。

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2013年06月27日

6/27東京・池袋 Art Book Bazaar

名古屋の古本も扱う本屋さん「ON READING」が『リブロ池袋本店』でフェアをやっているらしい…ならば古本も必ず並んでいるはずだ!早速池袋へ急行する。南口の地下改札を出て、列柱と人ごみを必死に擦り抜け、東口の『西武池袋本店』へ。明るい地下通路を南に向かい、リブロの『別館』を通過して『書籍館』の二階。フェアは何処だ!とフロアをウロウロすると、レジカウンターの右隣りにそれらしき一面の棚を発見する。しかしそこには、ジン・新刊出版物・オリジナルグッズなどがたくさん並んでいるのみ…古本が、無いっ!頭をガッと抱え込もうとした瞬間、下りエスカレーター前のスペースが、ふと目に止まる。真ん中には木箱を乗せた平台の上にラック棚があり、脇にはガラスケース、そして左壁と奥壁がラック&棚として利用されている。
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不穏な気配に近寄ってみると、やはり並んでいたのは古本であった。これぞケガの功名!と、ペタペタ貼られたイベントチラシに目を凝らすと、「古本うさぎ書林」(2009/07/07参照)「古書玉椿」(2010/10/07参照)「九曜書房」(2009/03/26参照)「東塔堂」(2009/06/18参照)の四店が出品していることが判明する。真ん中のラックには、絵本・美術・建築・映画・海外文学・海外・刺繍などが集まり、ガラスケースにはプレミア写真関連が五桁の値で飾られている。左壁には映画・写真・古本・美術、奥壁は大判本ばかりで美術図録・作品集・雑誌などを大量に揃えている。他に絵葉書などの紙物もあり。思わず手の伸びる本が多く並んでいるが、値段はキュッとしっかりめ。トッパンの人形絵本「シンドバットのぼうけん」が、悪夢的でワンダフル!…それにしても「ON READING」は、勘違いとはいえ残念であった。いつか名古屋のお店に行かなければ…とショップカードを手に入れて、鹿島出版会「私と日本建築/A・レーモンド」を購入する。このバザールは6/30まで。

※お知らせ 7/15(月・祝日)の「みちくさ市(11:00〜16:00)」に出店いたします。場所は本部隣りの『名取ふとん店駐車場』。「嫌記箱」の塩山氏と隣り合うので、恐らくレクター博士に一晩中なじられるミグズのようになって(by羊たちの沈黙)、おかしな本や面白い本を販売していることでしょう。当日お買上げの方には、何かフリーペーパーを特典として用意するつもりです…まだ何も決まってないし書いてもいませんが…が、がんばります!
posted by tokusan at 18:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月26日

6/26新宿雨中古本屋ノ面影

雑事をどうにか済ませて、夕方に雨降りの外へ。早い時間から新宿での打ち合わせ飲みがあるので、漠然と思い立って、新宿の古本屋さんの面影をたどってみることにする。新宿駅近辺には、その昔いくつかの古本屋さんが点在していたのだが、そのほとんどが消え去ってしまい、今は東西「ブックオフ」・路上古本販売・CD屋古本販売などのお店が散らばるばかり。巨大ターミナル駅を擁する街としては、非常に寂しい古本屋事情と成り果てている。とは言っても、やはり何処かで古本は手に入れたい。そこで大久保駅に早々と降り立って、路地裏の「修文書房」(2010/06/08参照)へ足を向ける。
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雨音が響く誰もいない店内で、新潮文庫「根津権現裏/藤澤清造」を250円で購入し、短い束の間の旅をスタートさせる。

すでにびしょ濡れになりながら『小滝橋通り』を南下し、大ガード横を通過して『思い出横丁』を内蔵した、片屋根アーケードの架かる商店街に至る。商店街とは言っても、今やチケット屋ばかりが幅を利かせるかなり特殊な通りと化している。ここの北端から二・三軒目に、「天下堂書店」(掘出物特売専門)と言ういつもサラリーマンで混み合っていた、安値の雑本を売るお店があった。そこで本を買ったのは数回しかないのだが、気付いたらいつの間にか薬屋さんになってしまっており、現在はその薬屋さんも消え失せてしまっていた。もはや何処がそのお店だったのか判断出来ぬ情けない状況…。
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旧町名をその名に残す『角筈ガード』を潜って東口に出たら、南口の大階段下までテクテク。陸橋の下から北を見ると、左は東口駅前に続く道、右は裏通り的繁華街の先に『紀伊國屋書店』が待ち構えている道。その道に挟まれた所に、映画関係雑誌・文学書・風俗誌の「鈴平書店」。このお店に入ったことはない。その姿を目にしたこともない。しかし、青山光二の「われらが風狂の師」と言う、哲学者・土井虎賀寿をモデルにした小説の中で、主人公の哲学者が金に困り、自分に届いたハイデガーからの手紙を売り飛ばすお店として登場しているのだ。史実を元にしたお話なので、本当にショウウィンドウにハイデガーの手紙が飾られたことがあったのかもしれない…見てみたかった。
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また歌舞伎町のコマ劇場近くには、「一草堂書店」(明治物絶版書・稀書の蒐集)なるお店があったそうだ。あの大歓楽街の中の古本屋さん…何と素敵な夢のようなシチュエーションなのか。出来るなら時を巻き戻し、一度で良いから立ち寄ってみたいものである。

そんな叶わぬ夢たちを追いかけながら、元三越裏の『新宿中央通り』をトボトボ。そう言えばこの通り沿いのビル一階にも、かつて古本屋さんがあった覚えが…。

雨に体温を奪われながら、巨大な栄えた街を歩き続ける。短い旅の終りは、新宿御苑近くの「昭友社書店」(2008/07/10参照)へ。
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このお店だけが、昔ながらの新宿の古本屋さんの最後の砦!中に入ると、奥が雨漏りしていてビックリしたが、大滝秀治風のオヤジさんはいたって元気で、そんなアクシデントはどこ吹く風。少年倶楽部文庫「大宝窟/横溝正史」を500円で購入し、これにて決して届かぬ面影を追いかける旅はお開き。さて、飲みに行くとするか。
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2013年06月25日

6/25神奈川・津久井浜 うみべのえほんや ツバメ号

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横浜から快速で四十五分。谷戸にへばりついた立体的な街を貫通するようにして、京浜急行は三浦半島の先端を目指してひた走る。目的駅は、なだらかな畑と住宅と神社に挟まれ、小さく長閑であった。改札を出て、南東の海方面に進むと、すぐに商店の集まる丘の上の小さな十字路。そのまま南東に足を向け、丘の頂上から下り始めると、右手に水色と白の、海をイメージしたような小さなお店が現れた。ここは『絵本屋+Cafe』と言うことなのだが、嬉しいことに古書絵本も扱っているのである。それにしてもこの店名!ラーサー・アンサムの「ツバメ号とアマゾン号」から名付けたのは明らかだ。軒には波間を思わせる水色と白の曲線。店頭右側はカラフルなタイルの下にウィンドウがあり、絵本と絵本雑貨がセンス良く並べられている。瀟酒な水色のドアの横には、ヨットの描かれた看板や、ヨットのプランターが置かれ、店名を強く印象付けてくれる。何も考えずに気軽に中に入ると、右側のカフェゾーンでは、若いママさん四人が何やらワークショップの真っ最中。楽しげな会話がピタッと止まり、視線がこちらに突き刺さる。奥に見える厨房レジにいた、チャーミングな熟女店主が「いらっしゃいませ」とニッコリ笑ったところで、時が再び動き出す…闖入してすみません…。絵本は左壁一面のセレクトラック、正面左壁のジャンル&シリーズ物ボックス棚、そしてフロアに置かれた背中合わせのボックス棚に賑やかに収まっている。そのほとんどは選び抜かれた新刊だが、フロア棚の右側奥に古書絵本がしっかりと並んでいた。ママたちから離れた子供が近付き、不思議そうにこちらを見上げている。ぎこちなく笑いかけながら、欲しい本を探して行く。子供とママのためのお店と言っても過言ではない。そう言う視点で棚造りは為されている。闖入者である私は、古書絵本の存在に喜びつつも何処か落ち着かず、新刊のあかね書房「ジオジオのたんじょうび/岸田衿子作 中谷千代子絵」を、「プレゼントですか?」「いいえ、自宅用です」とやり取りし、さらに袋に本を入れてもらったところで「あっ、本が透けちゃいますね。大丈夫ですか?」「大丈夫です!」と購入する。表に出て緊張を解くと、駅方面には戻らずに、海方面に錆の浮いた商店群を見ながら下って行く。すると100mほどで、銀色の海が突然目の前にブワッと開けた!古本を見に来ただけで“海に出るつもりじゃなかった”のにと、バカみたいに『ツバメ号シリーズ』に、己の行動をなぞらえてみる。それほどお店から海へと流れる行動は、感動的なのであった。一直線の海の向こうには霞んだ房総半島。砂浜には打ち上げられたホンダワラと、人と犬と鳥の足跡…。

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2013年06月23日

6/23長野・松本 三洋堂書店

今日も週末パスを使って遠出し、中央線で久々の松本へ。当初の目標であった、駅北東1.2キロほどにあるお店をテクテクと目指す。しかしたどり着いてみると、お店は薄暗くドアに小さな貼紙が…。顔を近付けてみると『営業時間が不定期になっています。御用件がありましたら留守電に伝言して下さい。後日誠意をもって対応致します』と書いてある。“伝言”と言うことは、当日対応は出来ないと言うことか…。仕方ないので脳内古本屋地図にチェックを入れ、その場を後にする。

来た道を引き返しながら「秋櫻舎」(2010/10/11/参照)に立ち寄り、「昆虫少年の朝」と言うタイトルの見たことも無いSF童話を300円で発見。奥の店主に声をかけると、「あっ、これ買った時の値段がそのままに…すいません。本当はこっちなんです」とペラリと見返しを一枚捲ると、ご、五千円!…すみません、買えません。その時足下に猫がピャッと飛び出して来た。おぉ、お前は開店時に足にしがみついて来た、やんちゃな子猫じゃないか。すっかり大きくなって、と頭を撫でて何も買わずに辞去する。そのままズンズン「松信堂書店」(2010/10/11参照)に向かい、店内の本の山&断崖と対決!今日の問題社「大衆文藝戦時版7 仇討捕物短篇集/角田喜久雄」成光館書店「日本歓楽郷案内/酒井潔」(裸本で表紙は恐らく手製のものに…)を計1500円で購入。
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後で調べてみると、この二冊はなかなか貴重な本らしいと判り、ひとりいやらしくウフウフと微笑む…。そのまま『あがたの森通り』に流れ出て、次のお店へ。

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駅からは東口の『お城口』に出てロータリーを東に突っ切り、『あがたの森通り』を500m強東進。『深志三丁目交差点』東南際にそのお店はある。見た目は明らかに古本屋さんではなく、古めかしいノスタルジックな街の本屋さんである。優雅なラインを描くシマシマの日除け、毒々しい翼のように店頭に広がる雑誌ラック。小さなコンクリ土間の逆“U”字店内に入っても、まだまだ新刊書店の印象は変わらない…しかしここで撤退してはいけない。良く目ん玉をひん剥いてみると、入口上と左壁棚の左半分に、古本が並んでいるのを確認出来る。ちょっと古いミステリ&エンタメ・100均時代劇文庫・新書・山岳・テレビ・演劇などが並んでいる。また右側入口上には、日本近代文学や全集の姿が。この、街の本屋さんが本を売る雰囲気は、大阪・京橋「立志堂書店」(2011/11/21参照)福島「政文堂書店」(2012/08/08参照)と似通っている。雑本的ではあるが、値段は安め。戦国武将のように帳場を守る老店主に精算していただく。晩聲社「山谷・泪橋/宮下忠子」を購入。「どうもありがとうございます。またどうぞよろしく」の丁寧な言葉が、ぐっと胸に沁み入って来る。
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2013年06月22日

6/22宮城・名取 有隣堂

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予定通りに行動していかなければ、目的地到着時間が大幅に遅れてしまう!そんな危機感を抱き、昨日手に入れた週末パスを手にして、正確に午前六時に家を出る。普通列車を乗り継いで乗り継いで乗り継いで、七時間で宮城県…もはや疲れているのだが、段々この行程にも慣れて来た気がする。訓練を積み重ねて行けば、普通列車乗車航続距離を、もっと延ばせるようになるのだろうか?自身の伸びしろを信じたいところである…。東口の駅前は街路がキレイに整備されており、高い建物は見当たらず、郊外的な見通しの良さを誇っている。ロータリーから抜け出して東に歩いて行くと、頭上から突然轟く雷鳴。それを振り切るようにして『名取駅前交差点』で狭めな『国道4号』を南へ。気の抜けた商店街風街道を歩いて行く。Y字路を過ぎて500mほどの地点、左手にクリーム色の側壁を見せた古い商店建築が見えて来た…一階側壁は二年前と同じく、ブルーシートで応急処置されたままだが(2011/0715参照)、ヒビが入っていた部分は修復が施されている…何はともあれ営業を再開されていて、良かった良かった。通り側に張り出した緑の日除けは所々剥げ落ち、ワイルドなビジュアルと化している。埃に曇ったサッシ扉の前には、『古本・掛軸・古民芸品』とある黄色の立看板。『グワラララ』と豪快な音を出すサッシを引き開け中に入ると、そこは雑然と本が積み上がる古くカオスな空間。入ってすぐ左側に、ガラスケースと共に古道具&民芸品の高密度なスペース。左右の壁は本棚で、真ん中に背中合わせの棚が二本…しかし棚下には、微妙なバランスを保ち積み上がる本の山が胸高まで伸び、棚の1/2〜2/3を隠してしまっている。通路も人ひとり通るのがやっとの状態である。奥に小部屋を背後にした帳場があるのだが、真ん中に座る老高島忠夫風店主を中心として、古道具&古本が融合しつつ擂り鉢状に積み上がり、まるで物質化した後光のようである。右端通路は壁棚に、言葉・宗教・岩波新書・文庫少々・カラーブックス・歴史学術本・古い児童誌&学年誌・絶版漫画・雑誌付録。児童誌は棚下の山も形成しているので、上から下まですべて見てみたいものである。奥の横向きの棚には、俳句や郷土本など。向かいは東北・宮城・仙台・みちのく本で埋まっているようだ。棚脇棚には盆栽・民俗学・柳田國男・宮澤賢治など。真ん中通路に本の山を崩さぬよう、注意しながら身体を滑り込ませる。その時、雷鳴が店内にもゴロゴロゴロ…思わず古い天井をジッと見上げてしまう。この通路は見られる所がわずかで、日本文学・「アララギ」・刀・工芸・和本・文芸誌をどうにか確認。奥の棚脇には美術・江戸が集められている。奥からしか入れない左端通路は、掛軸と和本の聖地となっている。とにかく乱雑であるが、古い本が多く、興味津々で棚も山も眺め続けることが出来る。郷土本が充実し、山に紛れた古い映画雑誌&グラビア誌&児童雑誌が見所か。しかし本には値段が付いておらず、店主に聞いてみなければ判らぬ玉手箱方式。教文社「逸話秘話/田中貢太郎」をドキドキしながら購入する。

スコールのような大粒の雨にいじめられながら駅に戻って、最後の一ふんばりで仙台へ。西側にある『サンモール商店街』に急行し、今年も盛況の「Sendai Book Market」に滑り込む。各箱を覗き込んで本を買いつつ、わめぞ軍団・南陀楼綾繁氏・往来座瀬戸氏・荻原魚雷氏らに挨拶し、仙台で東京の人々と出会う不思議さと嬉しさを噛み締める。新潮社「松本竣介とその友人たち/村上善男」国書刊行会「Fiasko 大失敗/スタニスワフ・レム」中公文庫「私は鍵師/杉山章象」幻冬舎アウトロー文庫「仁義なき戦い/笠原和夫」角川文庫「自動巻時計の一日/田中小実昌」を計3750円で購入…意外に大物をガッツリ買ってしまったなと思いつつ、『文化☆横丁』の「鉄塔酒場」(2012/06/23参照)に飛び込み、ビールをぐいぐい呷る。…あぁ、もはや帰りたくなくなってきた…電車にも乗りたくなくなってきた…。
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2013年06月21日

6/21どうにも冴えない雨降りの一日

本があるのではないかと当たりを付けた、狭山ケ丘のリサイクルショップに行ってみると、残念ながら古本の気配を感じ取ることは出来なかった。駅に戻る途中で、雨がまた降り始める。そのまま下り電車に乗って、飯能の開かずの古本屋さんを目指すことにした。期待はしていなかったが、案の定お店はシャッターを閉ざしたまま…いつか見た、お店は閉まっていたが、ガラス戸の向こうに見えた本棚は、幻だったのであろうか…。傷心しながら、本で溢れた頼もしい姿を見せる「文祥堂」(2009/12/28参照)に飛び込む。
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右側通路を一回りして、本の山に埋もれた帳場前で四冊を発掘。鱒書房「まぼろし力弥/城昌幸」圖書新聞社「古書店地図帖/紀田順一郎編」教養文庫「死後の恋」「氷の涯」共に夢野久作を計850円で購入。店主は相変わらず気さくで親しみ深い紳士であった。少し勇気をいただいて、上り電車に乗って花小金井で下車。久々に行きたくて仕方なかった、立場の古本屋さん「藤本チェーン」(2009/07/09参照)を目指して北上。雨は段々と激しくなる午後五時。裏路地のお店にたどり着いてみると、アコーディオンカーテンは厳重に閉ざされていた。またも古本屋さんに傷心し、ここで力尽きる…全く持って冴えない一日…明日は是が非でも冴えさせなければならぬ!と言うわけで、意地でも遠出することを、ここに誓います!
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2013年06月20日

6/20東京・神保町 スーパー源氏 神保町店

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神楽坂で午前中の早い打ち合わせを終えたら、地下鉄で至近の神保町へ。雨がポツリポツリと落ち始め、古本屋街もすっかり対雨モードの姿となっている。『すずらん通り』に入って『三省堂書店』裏の判り難い『第二アネックスビル』へ。先日四階に、ネット通販サイトの雄『スーパー源氏』が古書モールをオープンさせたのである。本来ならすぐさま駆け付けねばならぬのだが、古書モールとの対決は少々エネルギーを必要としてしまうので、ちょっと戦き見て見ぬフリをしていたのだ。モザイクタイルの小広場をよぎり、奥のエレベーターに乗り込むと、五階の「古書かんたんむ」(2011/12/31参照)のポスターパネルに並び、同サイズの『GRAND OPEN』パネルが貼付けられている。四階に着いたら右に行き、閉まる時に『ガチャタン』と音を立てる白い扉を抜けると、そこはいつか見たことのある横長の空間…「古書かんたんむ4F」(2011/07/20参照)時代そのままに使っているのか…。とは言えこちらは乱雑さはゼロで、本はすべて棚と下部の平台上にビシッと収まっている。入って直ぐ左は帳場で、スーパー源氏Tシャツ(太宰治の顔がプリントされている…)着た女子がお店番中。フロアには背中合わせの棚が以前と寸分変わらず五本、奥壁は本棚で覆われ、左右の壁は一部が本棚で、右壁と帳場横にはガラスケースも置かれている。そこには作家の生原稿&色紙や、探偵小説のプレミア本(大阪圭吉の「死の快走船」が!)などが光り輝いていた。通路棚は一面が六本の棚で構成されているが、一面すべてを一店だけで占めている所もあれば、三〜四店で分割している所も。このモールは一列からでも貸し出しているのだが、今のところ皆棚単位で借りている模様。それぞれの店名は、出身都道府県入りの共通札が棚に挿されている。目まぐるしく変化する棚を一面ずつ見ながら、通路を行ったり来たりして左に進んで行く…出版社別文庫・全集・SF文庫・日本近代文学・演劇・探偵小説・歴史小説・楽譜・絵本・建築・オカルトなど、専門特化したお店が連続。しかもネット古本屋さんばかりではなく、実店舗を持つお店も多く名を連ねている。関西&西日本のお店(「善行堂」(2012/01/16参照)「駒鳥文庫」「矢野書房」「ジグソーハウス」「古書あやかしや」など)が多く見られるのは、非常に嬉しいことである。そんな中で一際怪しく尖っていたのは、絶版VHSと官能小説の異次元ツートップで切り込んでいる「三水」であろうか。勇気ある棚造りに乾杯だ!他には「ジグソーハウス」の、都築道夫で棚一本!に大いに笑わされる。リサイクル店で、赤川次郎や西村京太郎の一本棚は良く見かけるが、これは色んな意味で痛快である。重要なプレミア本も高値でしっかりと並んでいるが、果たしてその動きは如何に…。「ばおばぶ文庫」の、二棚なのにとにかく細かい分類も興味深い。値段はお店それぞれだが、あまり油断は見せていない模様。その代わり、棚下平台に安値の本を並べているお店ががあったりする。また、文庫は全体的に少し安めであろうか。何を買おうか迷いに迷うが、その前に「ジグソーハウス」の平台で、関西大学の学生が作った手描き古本マップ『天神橋筋・中崎町界隈文化マップ』を手に入れる(無料)。私にとっては未知の古本屋さんがたくさんプロットされており、これが何よりも嬉しい本日の収穫となる。古本は「古書あやかしや」で創元推理文庫「深夜の張り込み/トマス・ウォルシュ」を購入。

帰路、雨がひどくなったので「銀星舎」(2008/10/19参照)にて雨宿り。何だかいつもより店内が大量の本でざわついている…。早川書房「日本SF・幼年期の終り」宝島SUGOI文庫「名物「本屋さん」をゆく!/井上理津子」を、サービス値引きの計900円で購入し、感謝。突然雨が激しく表の日除けを打ち始め、小さなお店の居心地の良さを、古本の壁に囲まれ実感する一瞬。
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2013年06月18日

6/18東京・本郷三丁目 Mitte

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地下鉄から蒸し暑い地上に出て『本郷三丁目交差点』に立つと、横断歩道横に固まるたくさんの飲食店の立看板。その中でひとつ目立つのは、『ヨーロッパ 雑貨&絵本』の大きな文字。『UFJ銀行隣のビル』の指示に従い、湯島方面に横断歩道を渡り、『本郷通り』を南下する。UFJの大きなビルを過ぎると、鉄筋コンクリらしき外装を塗り重ねた古いビル。左端の狭く急な階段横に、立看板が二つ。こんな所にこんな古いビルが…そう思いつつ洞窟のような急階段を上へ上へ。木の手摺の助けを借りて四階。扉は開け放たれ、踊り場にはポスターとポストカードを収めた回転式ラックが置かれている。バウハウスのカードに目を吸い寄せられたりしながら、木床の店内へコトコト入り込む。女性店主が即座に「いらっしゃいませ」と挨拶し、すぐさま会話に移行しつつ「下の看板を見て来られたんですか?」「お好きな国はどこかありますか?」など様々に探られるが、楽しく愉快で不快な感じはゼロなのである。八畳ほどの小さな一室は、窓際のエアコンが時折激しく音を立てる。中央に平台があり、右奥に帳場、壁沿いには様々なタイプの棚やラックが置かれ、文房具・新刊絵本・テキスタイル・陶器・食器類・ムーミン雑貨、そしてロシア・チェコ・ポーランド・ドイツ・フランス・北欧の民俗人形・キャラ人形・玩具・雑貨・ポストカード・レコードなどなど。古本もしっかり点在しており、入口左横の足下の箱、左壁沿いの背の低い本棚、奥のラックに、洋書絵本を中心として中々の量。もちろん私の言語能力で解読出来るものは一冊も無い。それにしてもこの女性店主、話を聞いていると最初はフランス好きから出発して、今はドイツ(東ドイツ)&ロシア(ソ連)好きに到達。それも初期は可愛いものを追いかけていたのが、段々物足りなくなり、今は独特なアートセンスがもはやシュール&怪奇なもの、共産圏時代のデッドストック、キッチュ&チープな物に喜びを激しく見出す傾向にあり、お客さんにもそれらを大プッシュしてしまうらしい…実際現物を見せてもらいながらレクチャーされるのは、とても面白い。さて、そんな風に楽しく時間は過ぎて行くのだが、古本を買わねばならない。そう強く思いながらも、手にしてしまったのは古本ではなく、一体の人形であった…それは“砂男(ザンドマン)”の人形!あのホフマンの小説にも書かれた、子供の目に砂を振りかける“砂男”である。あぁ、確かにその手には砂袋が握られている。この子供にとっては恐怖をもたらす民間伝承のキャラが、こんな風にグッズ化されているとは、思いもよらなかった!聞けばこのプリティーにキャラ化された砂男は、五十年ほど前から旧東ドイツで人気だった、TV人形劇の主人公で、今も国民に愛され続けているとのことである。ちなみに旧西ドイツでも同じ砂男の番組があったのだが、こちらはかなりジジむさく不人気だったらしい。と言うことで、10ユーロ分を支払い、連れて帰ることにする。わわわわわ、家に砂男がやって来た!
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2013年06月17日

6/17古本屋さんについてのヨタ話アレコレ

1. 昼ご飯を食べながらケーブルテレビを見ていると、水谷豊の名作二時間ドラマ『浅見光彦ミステリー』(内田康夫原作で、80年代後半から90年代前半にかけて『火曜サスペンス劇場』で放送されたシリーズ。クオリティ高く面白く、まったく警察庁長官に見えない光彦の兄役・高橋悦史が素敵過ぎた)が始まった。タイトルは『備後路殺人事件』。広島県の尾道と三次を舞台にして殺人事件が展開して行くのだが、事件のカギとなるのが何と古本!なので自然と水谷扮する浅見は、尾道の古本屋に聞き込みに回ることとなる。最初は尾道風景の、山肌に張り付く細い階段路地に『古本・古地図』の看板を下げた「明林書房」。あの有名な風景の中に古本屋さんがっ!思わず手に汗握り、画面に向かって身を乗り出す。しかしお店自体は画面に映らず、このドラマの制作年1990年に近い、94年版の「全国古本屋地図」を調べてみても、お店の名を確認することは出来なかった…恐らく撮影用に作られた架空のお店なのだろう。そうでなければ今直ぐにでも駆け付けたいシチュエーションだ…。その他にも街の古本屋然とした、実際のお店を使用した聞き込みシーンもあり(店名確認出来ず)、最後には「譚海堂」と言ういかにもそれっぽい名のお店で、その古本の秘密に行き当たる。ここも本物のお店を使って撮影されているが、店主がこのシリーズのちょい役レギュラー片桐竜次。その役作りは冴えない中年男で、青い半纏を着込んで鼻の上にメガネを乗せたお決まりのスタイル…フフフフ。ちなみにこの話は、その後TBSやフジテレビでもリメイクされている。話のカギが古本である限り、それらにもしっかり古本屋さんが登場しているものと思われる。チャンスがあれば確認してみなければ…。

2. 元は埼玉県・志木にあった「東西書房」(2009/03/24参照)。店売りを辞めて今はネットと即売展で活躍中なのだが、ホームページを見ると、その片隅にこうあった。『在庫目録を兼ね、店内に陳列しているものもございますので、売り切れの場合は、ご勘弁下さい』と。これは、もしかしたら、お店があるんじゃないのか?…いや、判っている。本当はお店なんて、無いんだ…しかし、万が一がある…かもしれない!「わくい古書店」(2010/11/22参照)みたいな、素晴らしい例もあるんだ!その“一”に人生の一瞬を賭け、古本魂を鼓舞しながら、暑い日射しの住宅街を幽鬼のように突き進む…やっぱりお店なんてありませんでした…フフフフ。

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3. 上記の帰りに下赤塚の「司書房」(2009/06/07参照)へ立ち寄る。改めて来て思った。私はこのお店が好きだ!値段が安めで、玉石混淆っぷりに心が踊る!栄光社「仮面ライダーV3」ひかりのくにテレビ絵本「鋼鉄ジーグ2」角川文庫「人外魔境/小栗虫太郎」「巣の絵/水上勉」「新星座巡禮/野尻抱影」春陽堂日本小説文庫「星旗楼秘聞/加藤毅」を50円引きの計700円で購入。ところでこの最後の「星旗楼秘聞」だが、書き込みがビッシリ…しかし何かがおかしい。表紙には赤ボールペンで『訂正スミ』とあり、便せんに書かれた手書きの目次が挿入され、本文には全ページに渡り赤いボールペンと鉛筆で校正が為されているのだ。言い回しや削除指定、著者の住所も新住所に…これは恐らく著者が文庫本に校正を入れたものなんだ!昭和六年の初版なので、重版か戦後の復刊に備えたものでは?…だが赤ボールペンが使われていることから推理すると、ボールペンの普及は戦後のことなので、ずいぶん後の(1960〜70年頃?)復刊用と考えるのが正解であろう。…これが100円。やっぱり古本は、刺激的で予想外で面白い!
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2013年06月16日

6/16栃木・西那須野 初夏の古本市&古着市

雨が降り続ける肌寒い早朝にモソモソと起き出して、寒過ぎる湘南新宿ライナーと常識のある室温の東北本線で北に向かう。進むにつれて雨は上がって行き、目的地の高原はすでに明るく晴れ渡っていた。東口のキレイなロータリーに出て、ここからローカルバスに乗ればいいのだが…しかし停まっているのは大型バスばかりで、それらしきバスも停留所も見当たらない。こんな風に出端をくじかれると、気はやたらと焦り始め、調べるのが途端に面倒くさくなってしまう。そして『どうせ三キロくらいだ。歩いちゃうか』と考え始め、早々と足はロータリーから離れてしまった。場所も地図もうろ覚えだが、まあどうにかなるだろうと、大雑把に見当をつけて歩き続ける。案の定迷ったり、明らかに道を間違え引き返したり、目標物が何も無いことに不安を感じながら、駅から東北三キロにあるらしい『アジア学院』を探し求める。街路はすぐに後ろに消え去り、水田と農場と林の中の歩道の無い道を、爽やかな風に慰撫されながら歩く歩く…私は本当に古本に出会えるのだろうか?いや、果たして古本を買いにここに来たのだろうか?そんな風に思ってしまうほど、里山と自然の光景にがっちりと抱かれている自分がそこにいた。しかし私の嗅覚は中々に鋭かった。どうにか五十分ほどの早足で、『アジア学院』横にある『那須セミナーハウス』に無事到着。ふぅ、と肩で息をつき、昨日と今日の二日間だけ開かれている『古本市&古着市』会場である、白く大きいロッジ風の三階屋入口に近付く。そこに『古本市』の看板を発見し、勇気と気力を身体の奥底から湧き上げて、あっという間に古本修羅モードに!暗く長い玄関に入ると、ほぉ!早速右壁下半分の下駄箱を活用し、大胆に文庫本が並べられている。やけにSFが多いな…入って直ぐ虜になりながら、靴を脱いで奥へ進むと、広いロビーにレジテーブル・単行本テーブル・回転ラック・ディスプレイ台・文庫壁棚が待ち構えていた。仕切りに使われている黒板には『写真集300円/ハードカバー・文庫100円』とあった。安いじゃないか!本は思想や社会を中心に硬めなものが多く目につくが、質はとても良い。文庫は文学が中心である。一冊二冊と手にし、段々止まらなくなって来る。左奥のテラスルームに進むと、左壁に児童文学棚、それに三台のテーブルに単行本がびっしりと並べられている…ワハハハ、楽しいな!
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十冊近く手にしてロビーに戻ると、「地下もありますのでどうぞ」と薦められる。玄関横の階段を下ると、そこにも文庫・映画・音楽・橋本治など。地下の部屋はまるで書庫蔵で、床には赤絨毯が敷かれ、壁際は本棚と飾り棚で覆われ、真ん中に背中合わせの棚が二本。とは言っても一本はスチール製のミニロッカーが使われており、扉を開け放った中に文庫が詰め込まれているシュールな状況。
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文庫を中心に、自然・宗教・社会・美術・文学・ペーパーバックが集合。こちらも硬めだが、質は満足する上質さ。う〜む、良い古本市だ。たどり着くのに苦労したのが、グングン帳消しになって行く!リブロポート「水晶宮物語/松村昌家」福武書店「ないものの存在/田中小実昌」河出書房新社「消えたモダン東京/内田青蔵」「江戸川乱歩と少年探偵団」晶文社「ボマルツォのどんぐり/扉野良人」玄文社「無線電話/田村成義」河出文庫「香具師の旅/田中小実昌」「弥勒/稲垣足穂」「ジャズ・エッセイ 1・2/植草甚一」角川文庫「銃器店へ/中井英夫」「月下の殺人鬼 宝石傑作選集3」講談社文庫「人形たちの夜」「黒鳥譚・青髯公の城」共に中井英夫、少年倶楽部文庫「地底の都/野村胡堂」を計1500円で購入。ここはまた来年来たいな…。

一時間ほどで市を離脱し、重い紙袋を指に食い込ませ、再び大自然の中をテクテク歩む。道すがらの『乃木牧場』(乃木大将の別邸がすぐ近くにある)の、回転運動器具に繋がれた牛たちが、モウモウと鳴きながら、同じ所をグルグルグルグルと回っているのが目に入った。牛たちよ、何だかスマン!と目礼し、来た道を慎重に逆戻りして行く…。
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2013年06月15日

6/15月江寺で一年ぶりに“地図”と会う

取材のために大月から富士急行に乗り換え、四度目一年ぶりの山梨県月江寺。坂の街に流れ出したようにひしめく、古めかしい飲食店群と小路群は、夢に見る姿そのままに、相変わらず魂をざわつかせてくれる。スパッと取材を終わらせて、「不二御堂」(2012/06/02参照)にも行こうと思ったのだが、営業は午後三時からなので、街をアウトローを気取ってツラツラブラブラ。『ミリオン通り』入口の「PONI」(201106/29参照)を覗くと、いつの間にやらもぬけの殻に…さびしいじゃないか…。さらに通りを奥へと入り込み、一年前にスナック前でその劇的な柄にめまいを起こし、“地図”(その麗しくみすぼらしい姿は2012/06/02参照)と勝手に名付けた猫を探すが、こちらも残念ながら姿無し。落胆しながら通りを裏へ抜けると、おや?川縁に正座したように座っているおかしな柄の猫の姿が…あっ!地図だ!右腹にアフリカ大陸の柄がある猫は、間違いなく地図じゃないか!四つ足の小さな獣と感激の再会を果たし、少し警戒する地図に向けてカメラのシャッターを切りまくる。すると小さな橋の向こうから韓国人のスナックママさんが颯爽と現れ、ハスキーな酒焼けボイスで地図に、日本語と韓国語をチャンポンにして話し掛け始めた。地図は『ニャオ』とそれに応えて鳴きながら、地面に身体をこすりつける…くくぅ。これもまた、魂が揺さぶられる光景!ありがとう地図、ありがとうママさん!
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そんなことをしていたらやがて三時になり、『月江寺大門商店街』の「不二御堂」へと向かう。お店の建物はそのままだが、『石川表具』の看板文字は撤去され、ウィンドウ両翼には仁王門のように月光仮面と力道山の等身大パネルが登場している。そして、二階窓下には「PONI」とある小さな看板が新たに取り付けられていた。
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なるほど、古本屋さんの二階に引っ越して、文化的共同戦線を張っているのだな。重いガラス扉を引き開け店内に進むと、本棚やディスプレイにペタペタペタペタと短冊型の箴言が貼りまくられているので驚く。どうやらただ今『ことだま天国素転展』と言うイベントが開催されているためらしい。恐怖を感じるほど賑やかで『さらば箱舟』的だが、結果として本棚がとても見難くなってしまっている。朝日新聞社「大阪人」ブロンズ社「ドキュメントソング」を計1300円で購入。せっっかくなので新「PONI」も見学しようと靴を脱いで二階に上がり(古本屋店内を通らないとたどり着けない)、六畳の空間に展開する女子のためのアクセサリー&雑貨&古着の間をフラフラ。古本は以前より少なくなり、押入れ上段の一箱に収まっていた。まぁ階下が古本屋さんなのだから、仕方のないことか。

夕方四時に街から離脱。一度、夜にたくさんのお店が輝いているところを、見てみたいものだ。あの韓国人ママさんと地図は、果たしてどんな夜を細い小路で過ごしているのだろうか…。いつの日か、勇気を出して確認してみたいものである。
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2013年06月14日

6/14茨城・つくば PEOPLE

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最近とみに有益なコメントタレコミを基に、スピード狂的な“つくばエクスプレス”で北関東へ。『A2出口』を出たら『中央通り』を北東に向かい、700mほどでたどり着く『東大通り』を北西へひたすら歩き続ける。この街は、巨大な敷地を持つ大学・病院・学術公共施設を中心とし、その周縁に商店や宿舎が集まり、さらにその外側に住宅や農地が広がっている。なので街路が人間の間尺に合わず、何処へ行くにも長距離の移動となってしまう。車か自転車の移動手段を持たねば、この街で快適に暮らすのは不可能のようだ…。そんなことを思いながら、我慢して三キロ弱も歩き、『筑波大学』グラウンドゾーンが尽きる『天久保4丁目交差点』にゼエゼエと到着。交差点際には地味な商店長屋が建っているが、ここはついに未踏に終わった「筑波学園文庫」が入居していた所でもある。それがいつの間にか並びの四軒が、すべてお洒落なお店に変貌を遂げていた。本当にいつの間に!食堂・古道具屋・カフェ、そして古本屋さん!ガラスサッシの前には「太陽」の入った雑誌箱と雑誌台、そして『Everyday Books!』と書き殴られた黒い店名看板。ガラスには突き上げた拳のイラストと共に、『OF THE PEOPLE/BY THE PEOPLE/FOR THE PEOPLE』とあるポスター。店内はシンプルで薄くBGMが流れ、右壁沿いのベンチ台に腰掛けていた、丸坊主に髯のお洒落な青年店主が読んでいた本から顔を上げ「おっ、いらっしゃいませ」と慌てながら奥の帳場へ移動する…完全に油断していたのですね…。左壁沿いには木箱を積み上げたようなボックス棚が置かれ、フロア真ん中には縦に背の低い背中合わせの棚が二本。右壁は入口近くにボックス棚と、後はベンチ平台と奥に飾り壁棚。通路やディスプレイには余裕があり、本が見易い贅沢な空間となっている。左壁にはカルチャー雑誌・リトルプレス・エッセイ・植草甚一・カウンター&ポップカルチャー・世界・旅・パリ・ニューヨーク・本関連・音楽(ジャズ・ロック)・詩・海外文学・映画・東京・寺山修司・荒木経惟・片岡義男・沢木耕太郎・自然・都市・写真・漫画・暮らし。足下には300円単行本箱がズラズラと並んで行く。向かいは文学評論&随筆。それに落語や青春小説(新旧様々)。右壁には写真・イラストと共に『今日の学習コーナー』。後はベンチ上にグラビア誌や洋雑誌が並び、飾り棚にマイケル・ジョーダン&NBAと海外文学新刊の姿が。向かいには手品・食・ファッション・文庫。冊数がそれほど多いわけではないが、ここにジャンルを列記したイメージより、実際の棚は雄大で中々深い棚造りが為されている。ポイントポイントに70〜80年代の良い本が挿し込まれているのがとにかく楽しい。単行本棚同様、文庫棚も練れていると尚嬉しいのだが…。値段は安め。そしてこのお店は、間違いなくこの学園都市には今まで無かったタイプの、若者のためのお店なのである。今までこの地に点在していた古本屋さんは、どれも学生のためのお店だったのだ。だからつくばの学生たちよ、志と青春を求めて、このお店をブラリと目指してみるべし!宝島社「昭和遺産探訪/藤木TDC」ちくま文庫「東京恋慕帖/正岡容」を購入。

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2013年06月13日

6/13東京・神保町 篠村書店

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雨の神保町では、大きく張り出した日除けと店頭を覆うビニールやブルーシートが、弾いた水を歩道に流し落としている。水たまりに靴を濡らしながら、『神保町交差点』から『靖国通り』を西へ100mほど。そこはビルの一階に古本屋さんが並び続けるゾーンとなっており、三軒並びの真ん中の、青い店名看板&緑の日除けのお店にそそくさと入り込む。両翼に鉄道大判本と歴史本の本棚、真ん中に東洋文庫と歴史本ワゴンのある店頭は、すでに雨の圏外になっていた。二つあるサッシ入口の左側から店内へ。飾り気ゼロの本と本棚だけの空間で、まるで本郷古本屋街の硬いお店と兄弟のような雰囲気。左右の壁に本棚、真ん中に全集の崖と背中合わせの本棚が一本。各棚下には低く細長い平台がある。奥の帳場には白髪の笹野高志風店主がおり、目をギョロつかせながら本の手入れを続けている。左壁は、労働・下層社会・社会運動・近現代史・戦争…箱入本や専門書の多いゾーン。向かいには交通史・武器&兵器雑誌がズラリ。平台には古い戦争グラビア誌など。右側通路は、通路棚に欧米歴史と鉄道雑誌。そして右壁棚は奥の歴史棚と手前の「歴史読本」群以外は、すべて鉄道関連本で埋められている。世界の鉄道・電車・鉄道会社・蒸気機関車・路面電車・特急列車・時刻表・駅・宮脇俊三、そしてカラーブックスの鉄道本セレクト棚は誠にお見事!戦争と鉄道が左と右でせめぎ合う、少数精鋭ジャンルなお店である。値段はしっかりであるが、所々に値下げされた本や安値な本も混ざり込んでいるので、あきらめるべからず。帳場で精算してもらうと、店主は値段を確認しながら、かなり旧型なレジスターのボタンを押して行く…ところが背面の値段カウンターには何も表示されず、機械もウンともスンとも言ってない…?あっ、違う。レジのボタンを押していたんじゃない。ボタン群の上に卓上計算機が子亀のように接続され、それで計算していたんだ!つまりは動作しなくなったレジを、計算機の台にしてあくまでもレジ風に…斬新なマシーンだ…。コーキ出版「路面電車/宮松丈夫」伸光社「都電春秋/野尻泰彦」を購入。
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2013年06月12日

6/12東京・京成小岩 鬼灯堂

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コメントタレコミによる出動である。京成線で足立区→葛飾区→江戸川区を駆け抜けると、こちらは雨の降っていない薄曇り。古臭い橋上駅舎から幅の狭い階段を下って、小さな北口に出る。道を渡った対岸には、小さな駅前ビルと共に商店が建ち並んでいる。東側に視線を滑らせて行くと、『クリーニング』の文字がうっすらと残る濃紺日除けのお店の前に、均一台らしき姿を発見。あれだな、と駆け寄ると、軒下右と左に縦長の新しいプラ看板があり(立看板を分解したものだろうか?)、店名と共に取扱品目が列記されている。そして割と最近の開店だと言う店内がその向こうに…こ、これはどうしたわけだ?そこに見えたのは、店内はキレイに整頓されているのだが、あまりに昔ながらの古本屋さんな光景…この年季の入り具合は一体全体…とにかくすでに最初から“街の古本屋”さんなのである。これは見事だ。最近ではあまり見られないケースでもある。兜をあっさりと脱ぐ心持ちで、均一台を見てから古びた店内へ。左右の壁には本棚、真ん中に背中合わせの棚が二本、入口左横にEP&LPレコード台。左奥にカウンター帳場があり、Tシャツ姿の山田吾一風青年店主がパソコン画面とにらめっこ中。背後には壁棚があり、右奥の住居への入口からは、家族の心温まる諍いの声が…う〜む、正に“昭和”な古本屋さんだ。左端通路はコミックと奥にアダルト。真ん中通路は左にVHSと少女コミックが並び、右に1970〜80年代映画パンフ・児童文学・ゲーム・日本文学文庫・時代劇文庫。入口右横の辞典&詩集棚を見て、右端通路壁棚に食・実用・コンピュータ・音楽・映画・サブカル・警察・犯罪・オカルト・釣り・自然・写真・美術・将棋・宗教・政治・歴史・古書(実用・文学・児童文学・探偵小説・幻想文学)をさらに見る。向かいは雑誌・新書・雑学文庫・日本純文学文庫・ノベルス・ラノベ・ハヤカワポケミス・ハーレクイン・海外文学ミステリ&SF文庫・日本文学・海外文学となっている。棚は上下にブランクが少々あったりして、蔵書量は多いわけではないが、探せば何か見つかりそうな棚造りである。値段は安め〜普通。下町の新しいが古いお店をしっかり楽しみ、少年少女講談社文庫「海底五万マイル/アダモフ」ちくま少年文学館「青い宇宙の冒険/小松左京」を購入。
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2013年06月10日

6/10東京・高円寺 Amleteron

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「文庫善哉」さんからのタレコミにより、古本を並べた『読書と手紙』のお店がオープンしたことを知る。女子度高めで、男性にとっては入り難いらしいのだが、古本が並んでいるのなら、どんな難関でも突破せねばなるまい。悲愴な決意を胸に、『早稲田通り』を自転車で走り高円寺へ向かう。駅北口東寄りの『あづま通り』。ロータリー右上から東に抜けて、通りを50mも北上すると、左手に緑の多いお洒落な建物地帯が現れる。四軒並ぶ右端の白いお店が、本の形をした小さな看板を出していた…読みは“アムレテロン”で良いのだろうか…?お客さんは誰もいないようなので、自転車を停め電光石火の勢いでデッキに足を掛け、店内へ。小さく白く、アメリカの素朴な農家的空間。真ん中と入口右横にテーブルが置かれ、右壁にラック、左壁に棚が設置されている。奥に帳場があり、大人の松嶋尚美風女性が戸惑いながら「いらっしゃいませ」…驚かせてすみません。右壁には意匠様々な封筒便せん類、入口右横にはショップカードやチラシ、真ん中のテーブルには陶器小物、左壁や棚下平台にはブックカバーなど本関連のグッズやリトルプレス、そして古本が飾られている。二段分で七十冊前後、広瀬正・SF・詩・ポップカルチャー・稲垣足穂・四方田犬彦・ヒップホップミュージシャン本・シュルレアリスム・パリなど。値段はどれもしっかり目である。左には文字が書かれたもの、右には文字がかかれるべきもの。この空間には、文字の力がひっそりと隠れているようだ。読むのも書くのも自分次第。河出書房新社「星 アラベスク/野尻抱影」を購入し、当然の如く読む方を選択する。『あづま通り』に新たに古本を扱うお店が誕生!とても喜ばしいことである。

自転車で駅方面へ戻っていると、うあ!孤高のレンタルビデオ屋さん「Auviss」(2008/06/03参照)が閉店してしまっている!ガーン…これから大和屋竺の「裏切りの季節」や石井輝男の「恐怖畸形人間」やルネ・クレールの「幕間」を、私は何処で見れば良いのだろうか…。店頭に置かれた無料VHSワゴンが、悲しみを胸に広げて行く…。
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高架下の「都丸書店 支店」(2010/09/21参照)に向かい、龍門出版社「薔薇への供物/中井英夫」を500円で購入し、家へと戻る…ところがツアーはここで終わらなかった…。

家へ戻っても、都丸壁棚で見かけた一冊の古いノベルスがどうも気になって仕方ないので、少し調べてみることに…うっ、やっぱりレア本じゃないか!己の目の節穴っぷりを呪いながら、そのまま外へと飛び出し自転車に再乗車。腿がちぎれんばかりにペダルを踏み込んで、高円寺へと逆戻り!読みたいなら買うべきであった。気になるなら買うべきであった。レア本だと知り、慌てて買いに走る卑しい心!いや、しかし、安値で高値の本をハント出来るなら、それは極上の歓喜をもたらしてくれるのだ!やっぱりあの本が、欲しいんだ!私の薄汚れた魂を自転車の速力に変え、都丸着。やった、まだあるぞ!フルフル喜び、間を開けずに買いに来た恥ずかしさを吹っ飛ばし、サラ・ブックス「化石の城/山田正紀」を100円で購入する。
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2013年06月09日

6/9神奈川・鎌倉 ブックカーニバルinカマクラ2013

第一回目(2012/06/10参照)から、すっかり街に定着していたようなブックイベント。その内の一箱古本市が少し形態を変え、会場が二つに分かれたらしいので、観察しに行くことにする。少しダラッとゆっくり目な起動で、観光客でグツグツ煮詰まった昼過ぎの鎌倉へ。暑い薄日にジリジリと炙られながら、第一会場の『由比ガ浜公会堂』に到着。去年と変わらず、格好良い意匠が胸にグイッと突き刺さる。
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靴を脱いで二階に上がると(上がったところに鎌倉文庫の展示あり)、今年は各店が壁沿いに配置され、真ん中が広く開けられているので、非常に余裕のある空間となっている。それにしても、どのお店も店作りのクオリティがハイレベル。作ることと見せることの楽しさがキャッキャッと伝わって来る。雑貨度・女子度・リトルプレス度高し。しかし決して古本がおろそかにされているわけではない。華やかさにサンドウイッチされた、古本のみで参加の古武士たちの姿もチラホラ。またクオリティの高さ故か、値段がしっかりなお店が多いようだ。「古本T」さんや「mondobooks」さんと言葉を交わし、講談社「すっころび仙人の人生論/鈴木清順」millebooks「コーヒーテーブル・ブックス/堀部篤史」を購入する。

第二会場に移動するため『由比ガ浜通り』を西進して行くと、通り沿いのカフェや雑貨店でカーニバルに合わせたのか、店頭で古本を販売しているのに出くわす。街を巻き込んだお祭感に心が掻き立つ、ワンダフルな光景である。
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さらに西に進みながら『鎌倉文学館』への道も通り過ぎ、長谷の賑わいが段々と近付いて来た。地図を持っていなかったので少し迷いつつ、大仏目当ての観光客に揉まれたりしながら、どうにか会場のある路地奥の『甘縄神明宮』にたどり着く。鳥居にカーニバルの飾り付けを見つけてホッとしながら、階段を上がってちょっと和風な『長谷公会堂』の中へ。
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広さは第一会場と似たようなものだが、こちらはテーブルを出しその上にお店を開いている。各店の“マイワールド”作りのクオリティは変わらず高い。ジリジリと見て回りつつ、角川ホラー文庫「ラヴクラフト恐怖の宇宙史」を100円で買ったりしながらも、全神経は背中に集中してしまっている…何故ならフロア中央には、第一会場とは異なり大テーブルとそれを取り巻く箱が置かれているからだ。そしてそのゾーンの主は沼田元氣氏(本人はおらず、レジは入口の横の『コケーシカ』でしてくれる)!「ヌマ伯父茶ん文庫」と名付けられたこのお店は、1000円・500円・300円などとすっぱり均一値付けがされており、古く茶色い本が浮き上がるほど多いのだ。店主の趣味が反映されまくった、判り易く言えば“昭和レトロ”なラインナップは、会場の人々を悉く吸引しまくっている。図鑑・教科書・児童文学・風俗・ポエム・美術・近代文学・写真アルバム・紙物…良い本がありそうで無さそうで、無さそうでありそう…いや、あった!平凡社カラー新書「アメリカ型録/野坂昭如」甲鳥書林「学用色名辞典」トムズボックス「オートマチズム/合田佐和子」、そして本日最大の収穫は講談社「アフリカ猛獣境/ワルデック」!計1800円。ダッハッハッハと喜びながら、すっかり胸中はカーニバルに。会場を後にして鎌倉の古本屋さんを巡りつつ、最後に「ヒグラシ文庫」(2011/09/11参照)でビールでもと裏路地二階のお店を訪ねてみるが、まだ時間が早いためか閉まっていた…残念。駅に戻って、東口で『大船軒』のサンドウイッチを買い、飲み代に使うはずだったお金を湘南新宿ライナーグリーン車代に充て、車内販売のビールで乾杯。ちょっと優雅な気分で東京へと戻る。
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2013年06月08日

6/8静岡・藤枝 焼津書店 藤枝駅南店

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いまいちすっきりしない天気の中を、東海道線でただただ西へ。読書と睡眠を交互に繰り返し、銀色の水平線を時々目にしながら先へと進む。途中、熱海から乗り込んで来た鉄道ファン同士の声高な駅解説がひっきりなしに続くので、少し気分を滅入らせてしまう。そんなこんなの四時間で藤枝駅着。新しく広い空間性を持つ駅舎から南口に出ると、しっかり整備され足湯も備えた駅前ロータリー。足湯で寛ぐ人々を横目に、最初の大通りを西に進む。二本目の脇道を南に下ると、新たな大通りの交差点に至り、そのさらに先には『静岡武道館』の大きな屋根がチラリと見えている。信号待ちしながら西を見ると、大きな『古本』の文字と共に、横長で大きなお店の気配を感じ取る。『売るならココ』と大書する、焼津近辺マイナーチェーン「焼津書店」の一店である。2011/01/23に訪れた「焼津店」に続く二店目である。確かあの時は良い買い物が出来た思い出が…なので期待をムクムクと大きくしつつ、店内へと吸い込まれて行く。当然のことながら中も広い。入って直ぐ右横にレジカウンターがあり、女性店員がひとりで孤軍奮闘接客中。おっ?右奥にちょっと暗い異様な空間があり、骨董雑貨類が並べられているようだ。そしてお店の右側2/3はコミックゾーンとなっている。ただし奥壁は端から端まで雑誌棚となっており、間に映画・音楽・鉄道などを少々紛れ込ませつつ、真ん中にはアンティーク玩具や古い絵本を陳列中のショウウィンドウも設置されている。棚下平台にはレコード・映画パンフ・映画プレスシート・一律500円の古い児童学年誌などが置かれ、予想外のマニアックさが滲み出してしまっている。左側1/3の古本ゾーンは五本の通路と壁棚で成立しており、入口近くの第一通路はタレント・女性実用・絵本・児童文学・料理。第二はラノベ・ティーンズ文庫・BLノベルス・雑学文庫・新書・105均文庫。この辺りは入口左横の、人文単行本・岩波文庫・岩波新書・講談社文芸文庫・ハヤカワSF文庫・ポケミスと関連性あり。第三は官能文庫.時代劇文庫・日本文学文庫。第四はスポーツ・句集・本関連・宗教・オカルト・犯罪・ビジネス・105均単行本・ミステリ&エンタメ…とここまでは普通のリサイクル店と大差ない感じ。しかしここから「焼津書店」が牙を剥き始めるのだ!左端の第五通路は、壁棚の一部も含め“古書ゾーン”として渋い輝きを放っている!壁棚の105均古書&全集以降は、大判本・ビジュアル本・図録類・洋書の展開だが、向かいの通路棚はほぼ古めかしい本で埋められている。戦争・食・郷土・民俗学以降は特に時代を遡り、資料本・日本文学・実用本・古雑誌・児童文学など。棚下平台には古雑誌揃い・和本、はたまた「月の輪書林」方式とも言える箱詰めの古文書&紙物までも!あぁ、変に素敵に奥深い。通常古本は定価の半額前後だが、古書は何故かとても安値で、200〜300円が目白押しとなっている。なのでこの辺りに激しく惹き付けられ、ハイエナのように行ったり来たり…。世界社「探偵実話 第二巻第十號(大河内常平『蛙夫人』が読みたくて買ったら、香山滋も永瀬三吾も読み切り掲載ウッハウハで300円!)」学研「神秘と怪奇/コリン・ウィルソン」八興社「人形佐七捕物文庫/横溝正史」ワニブックスPLUS新書「ゴジラとわが映画人生/本多猪四郎」新潮文庫「日夏耿之介詩集」を購入…計1380円!「焼津書店」は駅南東にもう一店あるのだが、残念ながら今日は時間が無いので、夏の青春18きっぷで訪ねることにしよう。

※webマガジン『ゴーイングマガジン』でまだまだ連載中の『古本屋ツアー・イン・ジャパンの『均一台三段目の三番目の古本』』の第十五冊目が更新されました。今回は下北沢の中心部である「古書ビビビ」さんの店頭にて、お店にも私にも相応しくない本をセレクト…。

※今月の「フォニャルフ」は、『西荻街角ミニミニふるほん市』の状態そのままに、『古本屋ツアー・イン・ジャパン&フォニャルフ』で二段分の本を並べています。補充入替をこまめに行いますので、西荻窪にお出での際はぜひとも足をお運び下さい!

※おまけ その本の補充時に「盛林堂書房」で購入した春陽堂文庫「片手美人/黒岩涙香」。ウハウハと愛でていたら、巻末の広告でとんでもない誤植を発見して、思わず大爆笑。いつかは欲しい、夢野久作の才気爆発の「氷の涯」……あれ良く見ると何かおかしいぞ?
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こ、米!米ですよ!「米の涯」!一体どんな小説なんだ?…米を食って食って行き着くその果ては…?春陽堂よ、色んな意味でありがとう!




posted by tokusan at 20:23| Comment(8) | TrackBack(0) | 中部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月07日

6/7東京・表参道 Rag Mcregor

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『A2出口』から『表参道』に出ると、色とりどりの薄物で着飾る男女が蠢く、もはやステージ的な歩道。そんな彼らのサングラス度は極めて高い…。通りをコソコソと西北に向かい、『表参道ヒルズ』の舳先で北側の脇道に入る。そして一本目の小さな坂道を北に遡上し、裏通りに出たら再び西北へ。すると左手に、黒いアメリカ国旗を掲揚した、黒い下見板張りのお店の姿…決してここは古本屋さんではない。本屋さんでもない。…ここは原宿神宮前…その正体は、カジュアルシックな大人の洋服屋さんなのである。本来なら私の人生とはクロスしないお店なのであるが、調べたところによると、どうやら古本をこっそり販売しているらしいのだ…それならば、調べてみなければなるまいに!ファッション店独特の雰囲気に怯えながら、真っ黒い店頭から真っ黒い店内に目を凝らす。モノトーン系の洋服が多いようだが…むっ、奥の奥に本棚が見える!しかしそこはどうやらレジの背後にあたるらしい。果たして本を見ることは出来るのだろうか?…ええいっ!元々作戦なんてないんだ。当たって砕けてやる!と店内にズカズカ踏み込んで行く。入るとすぐに床が数段深くなり、左壁一面には額装された写真作品が飾られ、最奥にカウンターレジが設えられている。しかしその右横と背後にも洋服は飾られており、どうやら進入可能エリアとなっているようだ。そして奥壁には白い壁棚が張り付いており、左側に四段の本棚、右に四段の飾り棚、上部に横長の二段のガラスケース。ケース内には洋書写真集がキレイに飾られ、右の飾り棚にはディラン・ギンズバーグ・アラーキー・三島由紀夫が並び、左の本棚には三島由紀夫・音楽・革命&ゲリラ・社会運動・セレクト文庫・ファッション・写真・アラーキーなど。冊数はそれほど多くなく、百冊弱ほどだろうか。ふ〜むとカウンター横で本棚を見上げ見詰めていると、レジに座っていた極めてハンサムな金子ノブアキ風青年が爽やかな笑顔を見せ「ここは本や写真も売ってるんですよ。下の本は大体千円前後ですが、上の写真集はちょっと高いです。写真は壁に掛かってる以外にも、ラリー・クラークのサイン入りポスターがあるんですよ」と見本ファイルをパラリ。うぉお!スゴい!値段はもちろん八〜九万クラスと高値だが、三枚も売れてるじゃないか。「僕も欲しかったんですけどね〜。社員はダメだって言われちゃって…」。このハンサム店員さんは、人当たりが極めて自然で優しいので、とてもスムーズに会話が流れ、なんだかとても気持ち良い…う〜ん、こう言うのは才能なんだなぁ。とおかしなところに感じ入りながら、それでも古本を一冊。愛育社「絵本アイビーボーイ図鑑/穂積和夫」を購入。「写真と本は入れ替わるので、良かったらまた見に来て下さい」と外までお見送り。服には一瞥も与えず、古本棚に突進したおかしな男を、それでももてなしていただき、ありがとうございました!

帰りは渋谷まで歩きつつ、その途中の「巽堂書店」(2008/07/24参照)で冬至書房「屋上庭園(復刻版)」集英社文庫「州崎パラダイス/芝木好子」を計950円で。「中村書店」(2008/07/24参照)で古い詩集の海にガボガボと潜水しながら、東京都古書籍商業協同組合東部支部「下町古本屋の生活と歴史」ちくま文庫「私設東京繁盛記/小林信彦・荒木経惟」を計2300円で購入し、気持ち良かった古本たちとの出会いを噛み締め家路に着く。
posted by tokusan at 17:55| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする