2013年12月31日

12/31利一と麟太郎

もはや心がダラリと弛緩した大晦日。部屋の古本をダラダラと掻き集め、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に自転車でガチャガチャ向かい、単行本発売記念の「古ツアフェア@盛林堂」の棚三段に、タスタスと補充する。来年の一月いっぱいまで続くので、ぜひ足を運んで好みの古本を、その手にお掴み下さい!偶然、創元社「SF奇書コレクション」のサインに駆け付けた北原尚彦氏と挨拶を交わしたりしながら、JESFTV新書「空飛ぶ円盤のあけぼの/北村小松」(新刊)角川文庫「汚れた七人/リチャード・スターク」を計2000円で購入し、今年の古本納めとする。最後に店主・小野氏と色々お話しながら店内を巡回し、欲しい本を棚から引き出したりして、メモリーにそのビジュアルと感触を刷り込んでおく。

今年一年を、危なっかしくもどうにか駆け抜けられたことに、驚きつつ安堵する。『古本屋ツアー』一色に染まりつつある人生に戦慄しながら、もはや止まることが出来ないことを、改めて認識した2013年。来年もそのスピードを落とさぬように、失速せぬように、前のめりにツアーして行くつもりである。新たな推進力は、ようやく発売出来た単行本「古本屋ツアー・イン・ジャパン 全国古書店めぐり 珍奇で愉快な一五〇のお店」である!みなさまにもお正月はこれをコタツで読み進んでいただき、古本屋に行きたくていてもたってもいられなくなり、新春早々開いている古本屋に駆け付けられることを、心から願っております!どこかの古本屋さんで、擦れ違い、棚を並び見、古本を奪い合いましょう!

そんな暮れ行く2013年に見続けていたい古本は、改造社「春は馬車に乗って/横光利一」(昭和二年)沙羅書店「富ノ澤麟太郎集/横光利一編纂」(昭和十一年)の二冊である。横光の今でも鋭く突き刺さる言葉遣いがどうにも恨めしい初期著作集と、その横光が親友の死後に編んだ富ノ澤にとっては初の単行本となった遺作集。この二冊が、遥かな時を越えて、同じ空間に存在しているのを眺めているだけで、幸せな気持ちになってしまう。部屋を移動する時も、この二冊を携え、常に視界に捉えながら、愛でている状態である。およそ百年前の学年試験中の休み時間に、ノートなどに目を落とさず、ただ窓の外を眺めてバットを燻らす富ノ澤の姿をまじまじと横光は眺め、心躍らせながら落涙した。…こんな、伝説的エピソードを少しでも垣間見るために、この二冊は、今この手にある。古本でこそ手に出来る、妄想の醍醐味。来年も、同様な思いを探し求めて、古本屋に通い詰めて行きたい。今年一年、ありがとうございました!
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2013年12月30日

12/30栃木・宇都宮 analog books

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所用は済ませたが、年末年始を迎える準備などはまったく手つかずの状態で、駅の小さな『みどりの窓口』で青春18きっぷを衝動的に買ってしまい、一時間三十分ほど北へ旅立つ。「かぴぱら堂」さんからのタレコミにより、日光にあった店舗休業中の「analog books」(2010/10/24参照)が、意外な形でひとまず復活を遂げたことを知ったためである。いつものように寒く凍える冬の湘南新宿ラインを降りて、駅東口へ向かう。空港のような跨線橋を渡り切れば、閑散とした再開発駅前に銅鑼の音が鳴り響く『餃子ひろば』。香ばしいニンニクの匂いを嗅ぎ取りながらそこを突っ切り、東に真っ直ぐ延びて行く『鬼怒通り』を進む…なんて恐ろしい名の通りなんだ…。こちらの駅前は、広い空と駐車場と、ホテルに飲食店に風俗店などで出来ている。二つ目の交差点『東宿郷』で北に折れれば、右手に『TSUTAYA 宇都宮駅東口店』が見えた。横長で軽やかな新建材で造られた、二階建ての大きなお店である。黒々とした真新しいアスファルトの駐車場を横切り、建物横っ腹の中央入口から店内へ。木目調のシックな本棚が林立する、しっかりした新刊書店が目の前に広がっている。その中の異物である古本を求めて、細かく通路を探って行く。レジ前を通って西側からスタートし、だんだんと東側へ移動して行く…すると古本が並んでいたのは、最後の最後である店舗右奥の壁際であった…。その壁際に巡らした四段の、木板の飾り棚の一部に「analog books」の小さな看板を掲げたゾーンがある。最上段にはアート本・絵本・写真集が面陳され、下三段に美術・建築・古本ビジュアルブック・児童文学・絵本・デザイン・音楽・パリ・ロシア本・工芸・アート・お洒落カルチャー・古い裸本などが、練り込まれ綾なすように整列している。並んだ本の天が造り出す、巧妙な“ブックストリームライン”が憎らしいほど心地良い。値段はちょい高〜高め。何はともあれ、お帰りなさい!最上段の片隅から取り出した裸本の洋書、TEMPLE PRESS「THE AERO MANUAL」を1300円で購入…この本、飛行機黎明期の歴史や技術をまとめた本で、グライダー・飛行船・飛行機、その他にも飛べないような飛行機たちのイラストと写真が150点(50年後の飛行機発達世界の口絵も素敵!)も収められており、大いに興奮する。掲載されている広告(すべて飛行機とその部品やエンジンに関するもの)も、非常に古めかしく、いったいいつの本なのかと、ページの隅々まで目を走らせると、驚くことに1909年にイギリスで出版された物!つまり明治42年!…ライト兄弟のエンジン付き飛行機初飛行が1903年であることを考えると、飛行テクノロジーが爆発的に進歩している、真っただ中の本なのである!…裸本である以外は、とても状態が良い。…もしかしたらもしかすると、イナガキタルホも、これを読んだことがあるのではないだろうか。そんな他愛もないことを妄想して余計に興奮してしまうが、気付けば今年も、いつの間にか後一日…。
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2013年12月29日

12/29古本屋遺跡納め「あんなにはっきりと!」

トマソン社『BOOK5』連載の取材を、今年のうちにどうにか済ませておこうと、夕暮れの南千住駅。しかしまずは、確かめておかねばならぶことがあるのだ!西口に出て、奇怪に複雑な歩道橋で線路の上を越えて、『泪橋交差点』に向かうように南へ。ひとつ目の信号を東に曲がり、二股の直線道の南寄りを選択し、さらに真東へ…しばらく寂しく歩けば、左手にモルタル造りの、アパートのような小さな工場のような倉庫のような、奥行きの深い二階建てが見えて来る、これは、2010年におよそ四十四年の歴史に幕を下ろし、閉館してしまった元「東部古書会館」である!…建物がそのまま残っている。そして一階軒上には、看板文字の痕跡さえも、しっかりと浮かび上がっているではないか!『東・部・古・書・会・館』。
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今はもう、どこかの会社が作業場か何かとして使っているようだが、かつてはこの中で、様々な古本が店や人の手に渡って行ったかと思うと、誠に感慨深いものがある。近年には『泪橋古書展』と言う良い名の古書市が開かれていたようだが、残念なことに私はその存在すら知らず、一度もここに足を運ぶことはなかった…。かようにこの会館には縁の薄い私が、何故生意気にも感慨を深くしてしまったのかと言うと、それはひとえに、東京古書籍商業協同組合東部支部「東部支部二十周年記念誌 下町古本屋の生活と歴史」を熟読していたおかげなのである!台東・荒川・足立・葛飾・墨田・江戸川・江東の古本屋さんが書いた、会館にまつわる話と越し方の話や、素敵な支部員アンケートを読み込むことにより、妄想と幻視を可能としたのである!…でも、でも、やっぱりここで一度は、古本を買ってみたかった…。
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取材をどうにか終えて駅に戻る途中に「大島書房」(2009/03/18参照)に立ち寄り、青心社「映画人烈伝/関本郁夫」を1500円で購入する。すると女性店主に「映画の面白いところをた仕入れておきますので、またお立ち寄りください」とニッコリ。自信溢れるPRがとても清々しい一瞬。
posted by tokusan at 19:08| Comment(4) | TrackBack(0) | 古本屋遺跡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月28日

12/28キノコノクニヤ閉店セール!そして早稲田に挨拶を。

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またもコメントタレコミにより「キノコノクニヤ書店」(2008/10/16参照)が閉店セール中と知り、自転車で高田馬場に駆け付ける。ここはいつでも、それなりに混雑していた印象があるのだが、今日もそれなりに混雑している。自転車を向かいに停め、ごちゃついた店頭に貼り出された『閉店セール』のビラの中を通る。セールは『50%オフ』なのだが、先日の「象のあし」(2013/12/23参照)と同じく『1000円以上の買物』に限られている。細長い店舗を、通路を譲り合いながら奥へ奥へ…本はちゃんと残っているが、心があまり燃え上がらない…しかし右奥の美術コーナーで一冊引っ掴み、レジで精算。イガグリ頭の店員さんに閉店日を尋ねてみると「はっきり決まってるわけじゃないんですけど…う〜ん、一月いっぱいは確実に営業しています。二月にちょっとどうなるか分からなくて…」とのこと。諏訪通り沿いにあった「バーバー書店」(2008/10/16参照)もすでに無き今、このチェーンは高田馬場から完全撤退予定…。青弓社「伝奇・伊藤晴雨/斎藤夜居」を780円で購入。

自転車でヒイコラ丘を越えて、シャーッと早稲田古本街の谷に滑り降りて、「古書現世」(2009/04/04参照)へ。今年も色々お世話になった向井氏に挨拶するも、本棚に、欲しくて読みたくてたまらなかった本…いや、読まなければならぬ本を発見してしまう…しかし!この本は割と高いのだ!…いや、値付けは相場より安めなのだが、それでも高いのだ!ぐわぁぁ…ど、どうしよう。………『買え!欲しい本なら、買えないことないなら、財布を開いて買えるだけの金があるなら、今ここで買っちまえ!そうしないと、二度と手に入らないぞ!他の誰かに買われちまうぞ!』と、脳内に巣食っている古本魂がささやいている気がするので、心を決めて買うことにする。あぁ、例年通りに、愚かに年が暮れて行く…。プレイガイドジャーナル社「釜ヶ崎 旅の宿りの長いまち/寺島珠雄」(嬉しいなぁ。表紙写真がグッと来るなぁ。へぇ、日下潤一の写真なんだ…)講談社文芸文庫「小さな手袋/小沼丹」を計4000円で購入。
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続いて二階の古本屋「丸三文庫」(2010/05/31参照)にも飛び込むと、帳場に座っていたのはトマソン社専務の切貼豆子嬢!『BOOK5』の連載がんばりますので、来年もよろしくお願いいたします。そして店内右側が、歴史関連でとても硬さを増しているのに驚き、左側では探偵小説のマニアック化に衝撃を受ける。何だか着々と、早稲田では珍しいタイプのお店になっている模様。講談社江戸川乱歩文庫「幻影城」「幻影城通信」「うつし世は夢」を計750円で購入。

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2013年12月27日

12/27東京・高島平 リブックス

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車で通りかかった刹那に、店頭を見逃さなかった方からのタレコミである。東口の改札を抜けて『北側方面』に出ると、数段下の地上に、ビルの間を北へ真っ直ぐ延びる小さな商店街。真っ直ぐズンズン突き進み、『市場通り』を東へ折れる。すると集合住宅一階の店舗群の左端に、ほほぅ、確かにこじんまりとした古本屋さんがあるではないか。ガラスウィンドウに小さく看板があり、店頭では左右対称に100均コミック・100均単行本棚が展開している。それらに抱き込まれるようにして中に入ると、縦長な店舗は三つに分けて使用されている。右端は奥のレジ前からしか入れぬアダルト通路、左端はコミック通路、そして中央通路に古本が集まっている。入ってすぐ左横に二重の単行本棚、右横には小さな実用ムックラックがあり、右側通路棚に新品同様な一般文庫・時代劇文庫、そして100均文庫棚が四本続く。向かいは廉価コミックと雑誌とDVDである。地元のための、小さなリサイクル古書店である。値段はちょい安。100均棚から、ちくま文庫「カレル・チャペック旅行記コレクション チェコスロバキアめぐり」を購入。

駅への帰り際、商店街の「DORAMA高島平店」に引っ掛かる。
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純然たる大きなレンタル店なのだが、店頭にだけ古本が溢れており、ちょっと見たところ古い本も混ざり、誰にも見向きもされていない。と言うわけで、五台の100均ワゴンを掘り進めてしまう…。ソノラマ文庫「からくり儀右衛門/横田弘行」中公文庫「暮しの眼鏡/花森安治」愛育社「グッド・ウィル・ハンティング/マット・デイモン+ベン・アフレック」偕成社ジュニア版日本文学名作選「末っ子物語/尾崎一雄」(これ、何か嬉しいぞ!)を購入する。
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2013年12月26日

12/26兵庫・武庫川 街の草書店

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「青空書房」を離れて梅田に戻り、阪神電車に乗り込んで、十五分ほど高架線から街並を見下ろして西へ。幾つもの川を越えて武庫川駅に着くと、大きな武庫川の上に、木造屋根のホームが跨がっていた。…あぁ、そしてここはもはや大阪ではなく、兵庫県なのか…。改札を出ると、線路沿いに坂になって、東に向かって寂しげな商店街が下って行く(古本屋もあるが開いていない)。その坂をダラダラッと歩いて200mほど。駅前の踏切道から数えて五本目の脇道を南に折れると、昭和な八百屋さんの先には、道路に架かって闇を生み出している、年代物のトタンアーケード。そこを潜り抜けて東に入ると、右手に本の塊を露出させ、大きな緑のだんだら日除けを張り出した古本屋さん!ここが噂の「街の草」か…聞きしに勝るハードなお店だ…。寂れた商店街の裏通りにある、住宅兼店舗の二件長屋の左側で、店頭にはブルーシートを被せた未整理本の山が連続している。その間々に、謎の大量の未使用紙袋・雑誌ラック・100均廉価コミック&絵本&ノベルス箱が散らばっている。大きく開けっ放しの入口から中に入ると、それほど広くはない店内に、腰高・胸高に本が積み上がっている。しかし通路は一応確保され、胸上の見通しは良い感じである。左右の壁には造り付けの棚があり、入口両脇には小さな本棚、そして真ん中に本と厚い合板で出来た大きな島があり、奥の帳場周りの本の山とドッキングしている。本の影では、たくましい富山敬のような店主が、立ったままで色々作業中である。通路には紐で括られた未整理本の山脈が築かれている。そして、鋭く軋む木板の床が、部屋の中央に向かってたわんでいる気がするのだが、気のせいだろうか…。入口右横には高橋輝次氏の新刊と共に、近刊単行本やビジュアルムックが収まる。右壁に新しめの文庫が並び、下部にちくま文庫と岩波文庫、そして時代劇文庫が広く続き、女性実用・海外文化&文学・写真・美術(今和次郎の商店スケッチ集がぁ!)・思想と流れて行く。中央の島では未整理本・コミックと共に、100均箱をいくつか確認する。入口左横近くはコミックで固められ、自然・児童文学・絵本・辞書・ミステリ・幻想文学・上質日本文学・海外文学・詩集棚と続いて行く。…恐らくこれでは、お店の表面しか見ていないことになるだろう。何故なら、奥側や通路の本タワーは、そのほとんどが古い文学や詩関連で構成されているようなので、強者はここに挑みかかると思われる。私にそんな蛮勇はとうてい湧き上がらず、優等生のように棚を眺め、タワーの上部を盗み見ることしか出来なかった。と言うわけで、手前側は大衆ゾーン、奥側が文学ゾーンに分かれたお店である。文学や詩の棚造りは、何かジェントリーで胸をワクワクさせてくれる。そのワクワクに気を大きくし、ちょっと高めな、欲しかった一冊を手にしてしまう。値段はちょい安〜普通。良い本にはプレミア値が付いているが、相場よりサービスされている印象。学陽文庫「古本探偵の冒険/横田順彌」小沢書店「文圃堂こぼれ話/野々上慶一」小山書店「新風土記叢書6 明石/稲垣足穂」(お手頃とは言えないが、それでも割安なので喜ぶ)を購入すると、店主がにこやかに優しく「遠くから来られたんですか?」「びっくりしたやろ。この店、グチャグチャやろ」「兵庫のお店、回って行かんのか?」「わざわざありがとうな。また来てな」などと話し掛けていただいた。言われなくとも、また来ますよ!今度は勇気を奮って、タワーを漁りに。ついでに兵庫県古書組合「兵庫の古本屋 平成25年版」のリーフレットを手に入れる。

帰りに駅前の立食い蕎麦屋で、蕎麦らしからぬ名を付けられた『スタミナそば』360円を注文すると、オバちゃんに「じゃあニイちゃん、36万」と言われる…360万じゃないとこが、逆にイヤです…。
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12/26大阪・天神橋筋六丁目 青空書房

地下鉄谷町線から、地上の喧しい交差点脇に出ると、大阪は冷たい雨が降り始めていた。コンビニでビニール傘を買い、ヒョコヒョコ通りを歩いて行く。十二月いっぱいでお店を閉める、「青空書房」(2008/12/31参照)にお別れを言いに行くのである。もちろんすることと言えば、いつものようにお店に入り、客として古本を買うだけなのだが。ちょうど四年前の大晦日に、このお店にはツアーのピンチを救ってもらった、大恩があるのだ。その恩店最後の日々を目にするために、今年最後の無闇で無茶な古本屋ツアー…。傘を閉じて『天五中崎通商店街』の、アーケードの下を進む。そして、お久しぶりの「青空書房」の前。だが、お店は閉まっていた。あぁ、何と言うことだ。シャッターに名物の手書きポスターが、灰色のアーケードの中、白く光っている。まぁしかし、閉まっていなければ見ることの出来ないポスターを見られたのは、ポジティブシンキングでごまかせば、ラッキーと言えるのかもしれない…。店脇の扉には『ご挨拶』の二枚の紙が貼り出され、閉店の経緯と、今後自宅で営むブックカフェについてと、案内地図が書き出されていた。戦後六十七年の古本屋営業を、心の中の万雷の拍手で賞賛し、シャッターの上の看板文字を眺め、お店にお別れを告げる。ひとまずおつかれさまでした。
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2013年12月25日

12/25東京・神保町 中野書店 二階時代

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クリスマスの午前中に神保町。午後はゴタゴタが続く見込みなので、先手を打ってツアーに来たわけである。向かうはおなじみ『神田古書センター』二階の「中野書店」。三階時代(2008/11/15参照)はツアー済みなのだが、先日の「鳥海書房」(2013/11/20参照)ツアー時に、店内を通り抜けざるをえなくなり、その変貌っぷりを目の当たりにしたため、再ツアーの必要性を切に感じてしまったのである。すでにお正月の飾り付けがされ、早くも今年を納める勢いの古書センター一階正面。右側の階段をカクカク上がり、二階自動ドア前の壁に張り付いた鉄扉に、以前と変わらぬ「中野書店 漫画部」と奥のカレー屋『ボンティ』の文字。中に進むと、まずはエレベーター前の小さなスペース。プレミア本を飾ったガラスケースと共に、100均・300均・500均の単行本箱&カゴが立体的に集合している。どうやら島崎藤村を放出中の模様。奥に足を向けると、右が漫画の部屋、左が古書の部屋となっている。漫画部屋は手前側に、輝くプレミア漫画を飾ったガラスケースと帳場があり、三方は壁棚、真ん中に背中合わせの棚が一本で構成されている。店員さんは二人。左壁には付録漫画・貸本漫画・復刻漫画・漫画評論&研究・漫画アニメ児童書&絵本。向かいにはセレクト作家別漫画が並び、奥壁には「COM」や「ガロ」などの専門漫画誌や、作家別連載漫画合冊本などの姿も。右側通路は古い少年漫画誌が懐かしく雄々しく並び続けており、奥に一本の手塚治虫棚が鎮座している。雑誌・レアコミック・評論・付録を集め、かつての少年の小宇宙を出現させている。値段はもちろんしっかり目。しかし様々な宝を目にしても、私の心はすでに古書部に飛んでしまっている…。奥側の通路から左側へ。両壁は本棚で、通路の足下には壁棚ジャンルに対応した新入荷箱が置かれている。真ん中には天を尖らせた縦長ガラスケースと、二台の横長ガラスケースと正方形ガラスケースを密着させて、島が形成されている。こちらも店員さんは二人で、入口側にコックピットのように誂えられたコンパクトな作業場があり、奥側にはガラスケースの置かれた横長な帳場がある。まずは真ん中のガラスケースに釘付け…半分では『日本SF史』の展示が行われ、明治〜大正のSF小説・貴重なゴジラ本・特撮・特撮洋画などの、ド級なレア本が飾られている。奥側には、半分に文学和本類、そして半分が恐るべき探偵小説の連なり…やり場のない欲望が、心の中にムクムクと湧き上がって来てしまう…あぁ、人は何故これほどに“モノ”を所有したがるのだろうか…。興奮しながら右壁棚を見ると、何やら明るく能天気に企画分けされており、手前が『女子棚』、奥が『男棚』とされている。女子が、詩歌・対談本・美術・服飾・暮らし・少女小説・食・山ガール・女子鉄など…これだけを字面で見ると、現代的な棚が思い浮かぶのであろうが、実際はそんなに華やかではなく、半分以上は大正〜戦後の古書で埋められている!何とも珍妙な新しいスタイルの棚造りなのである。奥の男子も同様で、映画・演劇・オカルト・犯罪・性風俗となっている。左壁棚は、『新青年』やユーモア全集の下に日本SFが集まり、隣りの企画棚は『1/2計画』と銘打ち、現在は西脇順三郎・丹羽文雄・井伏鱒二が半額で売られている。続いて日本文学・芥川&直木賞・文学評論・時代小説・探偵小説・少年少女文学…探偵小説からは、しれっと超プレミア本が並び飾られているので、もちろん手にとっても良いのだが、おいそれと手には取れぬ状況…み、南澤十七…。また空いた壁には、付録小説・色紙・肉筆画・漫画原稿・地図などが飾られ、何処からも目を離せぬ環境が作り出されている。貴重な古書の厳めしさとは噛み合ぬ、明るい企画力が頬を緩ませてくれるが、棚を構成するのは大正〜戦後の本。なので、全く持って油断のならぬ異空間となっている。値段はもちろんしっかり目。現代ユウモア全集10「大泉黒石集 當世浮世大學」(装幀挿画は前川千帆だ!)を購入すると、「今日本を買って下さった方に、プレゼントしています」と、小袋に入ったチョコを渡される。嬉しくないようだが、実は嬉しいぞ!古本屋さんで、メリークリスマス!
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2013年12月23日

12/23ヨコハマツアーとサヨナラ「象のあし」!

昨日は午後から、単行本発売記念の横浜古本屋ツアー『古本屋ツアー・イン・ジャパン・ツアー・イン・ヨコハマ』を敢行。師走のクリスマス前の休日に、馳せ参じた20代〜50代の古本男たちに感謝しつつ、岡崎武志氏+編集関係者二人を伴い、総勢十人で関内の裏通りに足を踏み出す。これは、他に比類無き古本修羅の列。家族や恋人にクリスマスプレゼントを買うためではなく、己のために古本を求めて歩く、因果な者たちの行進!と、陽の当たらぬ歓楽街の裏通りを、ゾゾゾゾゾと進む。スタートは詩と文学をグングン充実させている「中島古書店」(2012/08/14参照)。ドヤドヤと薄暗い二階に入り込むと、あっという間にお店は満員状態に。おぉ、これはまた古本屋さんらしからぬ、活気のある光景が出現してしまった。全員ここに来たのは初めてらしく、予想外の場所にあるお店と古本屋度の高さに驚きつつ、しっかりと個の世界に潜水し棚を見詰めて本を選んでいる。…あぁ、この人たちは本当に古本を買い漁るつもりなのだな…好みの収穫を手にし、すぐに帳場に列を為すその姿を見て、もはや私はただの古本屋案内人であることを自覚する。
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続いて日射しがポカポカと暖かい大岡川沿いを移動して、日ノ出町駅近く高架下の「アートブックバザール」(2011/05/25参照)へ。道端に置かれた古本木箱の列に、敏感に反応する一同!多くは東京のお店が出品している、温室のような店内も概ね好評で、ここでもみな次々と古本を手にして行く。連続のレジ打ちで、小銭がどんどん少なくなって行くのが分かる…大丈夫か、「アートバザール」!
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大岡川を渡り、『イセザキ・モール』へ向かう。入り込んだ辺りは、もうだいぶ西側の『伊勢佐木町ブルース』の碑がある所。どんどんアップする地元度を尻目に、古本修羅の列は「なぎさ書房」(2010/04/21参照)へと到達する。あっという間に、店頭・店内にバラバラと散り、それぞれの見方やペースで古本屋を楽しんでいる。とここで、大人数でのお店の回り方が何となく分かって来る。それは、即座に欲しいジャンルのある所に直行すること。店頭台も何もかも無視(店頭台がそのジャンルなら話は別だが)して、皆と違う所を最初に見るのが一番である。探しているものが例え違っても、いつ何時生き馬の目を抜かれるか分からないのだから!…それが恐るべき古本修羅の世界…。
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さらに「川崎書店」(2012/01/17参照)と喫茶店休憩を挟んで「バイアップ」(2011/10/05参照…あぁ、狭い店内の左端通路に古本修羅がひしめいてしまっている!)に張り付き、早くも最終目的の「たけうま書房」(2013/03/29参照)の入ったビル前に到達する。全員古本屋の立地条件としては特殊な環境に、大いに感動している模様。開店一周年記念のお店は、一割引セールを行っており、それが皆の購買意欲に拍車を掛ける!帳場前に出来る列を、たけうまさんはマイペースに、そして丁寧に捌いて行く。
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全員が古本を買い終わり、たけうまさんに少しお話を聞いて、本日の横浜ツアーは終了。ハード過ぎず、しかし濃厚で、和やかだがしっかりとみんな収穫を手に出来た、およそ四時間の旅。解散後は、有馬記念の中継が賑やかな中華料理屋の二階にて、懇親会。それぞれの獲物を評しつつ、古本話と古本屋話に楽しく終始する。皆それぞれに、年齢も生き方も興味も考え方も違えど、ただ『古本』の一点でつながれるのが興味深い。とにかくよく古本を買い、古本話を肴にしよく飲んだ、イレギュラー・ツアーであった。この日の私の獲物は、講談社文芸文庫「絶望の書・ですぺら/辻潤」青木文庫「装甲列車No.14,69/フセェウォロド・イワノフ」(500円でこれが一番の掘り出し物か)「観音崎灯台絵葉書」(これは取り出した瞬間に「いいな〜」と言葉を発した、灯台にはまっている岡崎武志氏に贈呈)文藝春秋社「オーナードライバー/北村小松」ハヤカワ文庫「たまご猫/皆川博子」経済地図社「横浜の坂/小寺篤」を計3540円で購入する。参加して下さったみなさん、とても楽しい時間をありがとうございました。一日横浜で付き合っていただいた、岡崎武志氏にも感謝!今日のことは「日本古書通信」連載の『昨日も今日も古本さんぽ』に書いていただけるとのことである。

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そして今日、曇り空の冷たい空気の中、自転車を走らせて荻窪へ向かう。コメントタレコミで『閉店セール中』なのを知った「象のあし」(2008/09/03参照)の様子を窺うためである。2013/03/24にも半額セールが行われていたので、閉店するのかと店員さんに聞いてみたところ『ただのセール』と言われホッとしていたのだが、九ヶ月後にはこう言うことに…。店頭は前回のセール時と変わらぬ展開だが、新たに『閉店セール』の文字が踊っている。12月15日からスタートしており、50%オフは1000円以上の買物が対象となっている…それにしてもどこにも閉店日が書かれていない…。店内に入ると、ここもいつもの通常営業時と変わらぬ状況。まぁ無理に千円以上買わずとも、良い文庫でもあれば手に入れておくか。そんな軽い心づもりで店内を動き回る。しかし!右壁棚の最上段に、久生十蘭の「ファントマ」を見つけてしまった。しっかり帯付きで元値は3150円。脳内の、歯車が軋む機械式計算機が必死に二で割る…これは買うしかないでしょう!と即座に大物を抱え込んでしまう…愚かだ…。結局この一冊をレジに差し出し、半値の1575円を支払う。そして店員さんに閉店日がいつか聞いてみると、人差し指をピッと立て、ささやくような声で「一月までとなっております」とのこと。よし、次回はレジ横の絶版本あたりを探りに来よう。コーベブックス「ファントマ/スーヴェストル・アラン共作 久生十蘭訳」を購入。
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2013年12月21日

12/21茨城・佐貫 コスモ堂龍ヶ崎店

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コメントタレコミに基づき、常磐線にガタゴト揺られて四十三分。佐貫駅は、いつもは「古書モール 竜ヶ崎」(2009/12/26参照)へ行く時の中継地点に過ぎないのだが、今日はここで完全下車する。東口を出て、ロータリーから東に延びる『龍宮通り』をズンズン歩いて行く。龍宮らしさなど何処にもない、ただの郊外の大通りである。駅から少し離れると、だだっ広い光景が広がるようになり、駅から600mほどの歩道橋の下を潜ったら、『竜ヶ崎ニュータウン』と標識のある東北方向へ歩を進める。野原の中の道は、緩やかに丘の上の林に向かって上がって行き、木の実を踏み付けながら段々東へカーブすると、道は『けやき通り』と名付けられ、新興住宅地の中へ進入して行く。一キロ弱も来れば、やがて右手に小さな都市国家の如き『イトーヨーカドー』が現れるので、その前の『松葉1丁目交差点』を北へ。建て売りの一軒家が建ち並ぶ、良く整備された見知らぬ街を、古本屋を求めて歩き続ける。小学校の前を過ぎ、道が大きくカーブしながら下り始めると、商店などが低い街並に混ざり始める。その中の一軒、歩道中央の植木に隠れるようにして、そのお店はあった。赤い大きな屋根の下は、古本屋としての存在感がまったく感じられない店頭…まるで薬局か何かのようである。それに良く見ると、扱うのは古本だけではないようで、『古書・骨董・美術品』とある。ドアからチラッと覗き込むと、店内にひしめくのは骨董古道具類…でも左側に古本の姿を発見!吸い寄せられるように中に入ると、左の煙草も販売する帳場に座る、永島慎二の漫画キャラみたいな小市民的オヤジさんが、気弱に微笑み「いらっしゃいませ」と頭を下げる。お店の右側は、骨董・彫像・テディベア・陶器・古道具・和服古着などが置かれ、真ん中には雑貨の集まる平台が二つ。そして左壁沿いに五段の古本棚が設置されているが、本はそれほど多くない。歴史&美術雑誌・カセットテープ・古書目録・歌本・辞書類・充実の筑林文庫とふるさと文庫(但し絶版なので定価販売)・美術大判本(美本の「現代猟奇尖端圖鑑」が6000円は安い!)・古い映画雑誌・文芸誌・週刊誌などが並ぶ。『デザイン』としてまとめられているのは、デッサン用の女性裸体本ばかりで、洋書の古い本が目を惹き付ける。ふと天井を見上げると、そこには昭和三十〜四十年代の雑誌広告旗が、レトロにカラフルにダラリと無数に垂れ下がっていた。また、奥の階段を数段上がった部屋には、右奥に映画チラシや紙物の集まる平台があり、さらにその横の棚には、二段に雑誌付録の漫画がたくさん集められている。値段は600〜1000円と手頃だが、楳図かずおの付録には9000円の値が付けられていた。本の数は少ないが、美術・雑誌・紙物・付録に古い物が目立ち、大いに楽しむことが出来る。ふるさと文庫・茨城「横瀬夜雨/横瀬隆雄」石神井書林「石神井書林古書目録48號 1999年7月」「少年」四月号ふろく「ロボット一家/前田惟光」を購入すると、オヤジさんがレジ台に置かれたお店の広告チラシを指し示し「これを見て来たんですか?」「いえ、人から新しいお店が出来たと聞きまして…」「そうですか…いや〜、全然お客さんが来なくてねぇ〜。もうどうしたらいいんだか。ハハハ」と難問な嘆きを口にした。が、がんばってください!

再び駅まで歩いて戻り、ここまで来たら行かねばならぬ!と、関東鉄道に乗り込んで十分。「古書モール 竜ヶ崎」に二時間弱の長丁場な闘いを挑んでしまう。ただひたすらに古本の背を追い続け、それほどの収穫もないまま、ただいたずらに体力を消耗し続けてしまう。このまますべててが徒労に終わるかと思ったその時、奥の奥の最下段の棚で、ギクッとする背文字が疲れ果てた目に飛び込んで来た!「辻馬車時代/藤澤桓夫」!そんなバカなっ!と掴み出すと、これが紛うこと無き昭和五年の『新鋭文學叢書』の一冊。表紙が剥がれ、背文字は手書きで状態は悪いが…と思ったら、良く観察すると、表紙に薄い和紙が貼付けられており、そこに文字が書かれており、表紙部分はその和紙が剥がれているだけであった。なので本自体はキレイで色刷りも鮮やか。貸本屋『犀香荘文庫』のハンコが捺されている。値段を見ると…ひゃ、百円っ!…クラクラしてしまった。あぁ、ここはやはり探せば何かが掘り出せる、素晴らしきモールであったのだ。『今回は無理か…』と、ちょっと疑ってしまって、ゴメンナサイ!また必ず来ます。そして、これが今年最後の『どひゃっほう』となるのだろうか?…今年残すところ、後十日!改造社「辻馬車時代/藤沢桓夫」真善美社「絵ハ誰デモ描ケル/赤松俊子」(実はこれも密かにどひゃっほう)河出書房新社「推理小説 落ちる/多岐川恭」高文社「空飛ぶ円盤騒ぎの発端/高梨純一」を計1100円で購入する。
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掘り出し記念に、偉大なる古書モールをバックにして写真を一枚。

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2013年12月20日

12/20東京・椎名町 トキワ荘関連古書販売

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薄暗さと冷たさに覆われ、雨に降られ続けている東京の片隅の、陸橋下の駅南口。傘を開いて『山手通り』を、強風に煽られながら南へ。自転車ゾーンと歩行者ゾーンにきっちり分けられた歩道を、歩き続ける。『南長崎一丁目交差点』で『目白通り』を西に入り、暗く冷たく反射するアスファルトに視線を落としながら300m。道は二又に分かれ、庶民的な商店街が西北へ延び上がって行く。そちらに入り込めば、すぐに『トキワ荘通りお休み処』にたどり着く。古い米屋の二階家を改装した、漫画家の聖地『トキワ荘』のあった街を楽しむための、休憩・案内施設である。12/15にオープンしたばかりで、それを記念してトキワ荘関連の古本を販売しているはずなのだが…しかし、新しい木の香が漂う中に入ると、本を販売している気配はナシ。左壁上部に、閲覧用の漫画&資料類が並ぶのみである。これは二階の展示場か?と、その昔トキワ荘に出入りしていたと言うご婦人に案内されて二階に急ぐが、ここにも古本の影はナシ。「あの〜古本が売られていると聞いたのですが…」と聞いてみると、何と数軒先の洋品店で販売しているとのこと。貴重な説明を拝聴するのもそこそこに、お礼を言って表に飛び出す…本当だ。『オカモト』洋品店が、『トキワ荘通りお休み処オープン企画 期間限定ショップ』となっていた。ウィンドウには、トキワ荘オリジナルTシャツを着せられ、頭部が不釣り合いに小さな鉄腕アトムの下半身丸出しマネキンが、シュールに飾られている。店内は斜めに奥に延びており、右奥にはオリジナルグッズや雑貨が固まっているが、他は古本漫画が意外に多く並ぶ、予想以上に古本屋さんな光景。左右の壁沿いには長テーブルとちょっとした本棚が置かれ、手塚治虫・石森章太郎・藤子不二雄を中心とした漫画が並ぶ。他には赤塚不二夫やつのだじろうが少々。また、揃い物が多いのが特徴でもある。作品掲載の学年誌や「COM」なども。オバQに目がない私は、入口右横に大きく貼り出された「オバQ双六」にノックアウトされる…手の出ない値なのが、果てしなく悔しい!真ん中にはガラスケースが連なり、さらに手の出ないプレミア本や直筆色紙などが飾られている。本を出品しているのは、「銀装堂」(2011/04/10参照)「にわとり文庫」(2009/07/25参照)「八勝堂書店」(2008/07/05参照)「徳尾書店」「不二書房」「長島書店」(2011/09/01参照)など、強力なメンバー。散々迷った末に、どうしても読みたくなってしまった、「少年」1968.3月号ふろく「地下鉄サム物語/永島慎二」を購入。マッカレー「地下鉄サム」の大胆な翻案で、舞台は東京・新宿!スリのサムが仕事をするのは丸ノ内線!結果としてほろ苦い人情話!永島センセイっ!この古本販売は来年一月いっぱいまで。

この後は駅まで戻って北口に出て、本当に久しぶりの「春近書店」(2009/02/24参照)。古本の匂いに陶然としながら、講談社大衆文学館「成吉思汗の後宮/小栗虫太郎」光文社文庫「幻の名探偵/ミステリ文学資料館編」を計650円で購入。
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2013年12月19日

12/19東京・神保町 かわほり堂に首から上だけ入る

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少しずつ冷たい雨が強くなる午後の神保町。『靖国通り』から『錦華通り』に入って、北に歩き続ける。アミダくじの横棒のような細道に注意を払いながらトボトボ進む。ある程度の見当をつけて、工事現場とお茶屋の間の細道に、猫のようにスルリと入り込む。裏路地の小ぎれいだが、決して新しくはない雑居ビルの前に立ちすくむ。距離は近くとも、もはや古書街からは離別したような静かな所…こんな所にも、入れる古本屋さんは存在している。こんな所にも…。ビル一階のサッシ扉の向こうには、狭い廊下と階段が見えており、さらに廊下の奥に『日本の古本屋』のポスターを貼った曇りガラスのサッシ扉…どうやらお店はあそこらしい。ぐぐんと高いハードルが、目の前に立ちはだかっているようだ…ガラスの向こうでは、オレンジ色の人影がぼんやりと蠢いている。物音をたてぬようビル内に息を殺して入り、静かに傘を処理し、足音を忍ばせて廊下をゆっくり前進…このままいきなり入っても良いものだろうか?『営業中』の札は掛かっていないし、ここは礼儀正しくノックすべきだ!コンコン…すると「ハイ」と返事があったので、ドアノブを掴んで扉を内側に開き、首をスッと差し入れる。「あの〜、こちらはお店なんですよね?」と聞いてみると、ガタイのいい明るいアウトドアスタイルのおニイちゃんが、笑みを浮かべて多少慌てふためきながら「あ、半分はお店なんですけど、今ちょうど荷物が戻って来たところで…」と周りを見回した。右に事務所的作業場があり、左には縦横に頑丈そうなスチール棚が置かれ、何本かの通路を造り出している。一番広そうなのは、この今不作法に覗き込んでいる所なのだが、確かに本が棚から迫り来る状況。それにしても、瀟洒な装幀の本が多いようだ。「じゃあ見ることは出来ない…ですよね」「え〜っと、何かお探しの本があるんですか?」「いえ、特に何かを探しに来たわけでは……判りました。また今度来ますんで、その時はよろしくお願いします」と素直に引き下がることにする。「本当にすみません。いつもはもうちょっと片付いてるんですよ。あっ、良かったらこれを」と、嬉しいことに目録をいただく。ちなみにこの会話の間中、二人の顔には笑いが張り付いており、とても和やかにコミュニケーション。「では」と扉を閉めようとすると、彼は扉を全開にし、「すいませんでした」と仁王立ちで見送ってくれた。…見送っている…いつまでも見送っている…しゃ、写真が撮れない。仕方ないので表に出てから、ガラスと廊下越しにお店を遠影する。いつの日か、必ず舞い戻ります!「かわほり堂【古書目録 第五号】」を入手。

雨の中をペチャペチャ歩いて、「小宮山書店」(2010/05/06参照)の人影の少ない、12/28まで連続開催される「歳末ガレージセール」に飛び込む。
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現代書館「FOR BEGGINNERS 大杉栄/竹中労」綺譚社「南伸坊イラスト集 かきあつめ」平凡社「署名のない風景/野見山暁治」を計500円で購入する。
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2013年12月18日

12/18東京・武蔵小金井 古本はてな倶楽部

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懲りずに今日も武蔵小金井。ネタ元は、先日の『西荻ブックマーク』でお会いした、もうすぐ古本屋になると言う希望の若者である。駅北口の高架際の空は広いが、今にも冷たい雨を落として来そう。目の前の『行幸通り』を西にグングン進んで行く。京王のバス溜まりを過ぎ、続いて編まれた籠のような『JA』を過ぎれば、『貫井北一丁目交差点』に到着。ここから冬仕様の黒々とした桜並木の『新小金井街道』を北に歩き始める。百人ほどの制服姿の小学生がバス停に列を為す奇景に驚き、左手に展開する、まるで王国の如き『東京学芸大学』の敷地をなぞるように進み続ける。一旦、街の賑わいからは遠ざかるが、大学の敷地が尽きると同時に、道は緩やかな坂となり、商店や飲食店が再び姿を現し始める。その坂を上がり切り、遠くに『五日市街道』を認めた所で、左手に本当に新しく出来ていた古本屋さんがっ!箱のように小さな二階建ての住宅兼店舗が建ち、壁面の色鮮やかな陶タイルに覆われた、古臭いスタイル。しかし店舗である一階部分は、木材を上手に使った今時なスタイルである。右側窓下窓横に造り付けの壁棚が広がり、『そとにある本 100えん〜 たくさん本をよみましょう』と書かれている。ウィンドウにはクリスマスな飾り付けの絵本類。現代的なフォントの看板文字が立体的な洋風扁額の下、引き戸をスライドさせて中に入ると、表同様に暗い色調の木材で化粧された、暖かみのあるまとまった空間。左壁・奥壁・右壁・窓下はすべて造り付けの棚となっており、フロアには左に背中合わせの棚と、右に三面の棚が置かれている。右奥に帳場があり、ちょっとハスキーボイスな女性が本の手入れ中。木床を踏み締め、左壁に取り付く。自然科学系の児童書・絵本・図鑑から始まり、タレント・カルチャー・音楽・映画・漫画・漫画評論・古い漫画雑誌・山岳・登山・丸山健二と続いて行く…何故か大胆に登山靴までもが飾られているが…。奥壁には写真集・美術・料理・食、それにちょっと不気味な『ドールボールペン』などの雑貨類も置かれている。左のフロア棚は、左面に文学復刻本・江戸・歴史・旅・アジア・文学・民俗学、右面は上段に児童文学下段に絵本のスタイルである。右の三面棚は、絵本・洋書絵本・児童文学がディスプレイされている。入口右横窓下棚は、文庫・新書・選書・社会が並び、窓横に宮脇俊三と種村直樹を核とした鉄道棚。そして右壁のほとんどに充実の建築関連が揃い、端にデザインが集まっている。一見洒落たセレクトショップのようだが、棚造りは意外性がチラホラし、古い本もチラホラ。旅・登山・建築を中心とする大人な棚が、絵本&児童文学の子供な棚を包み込んでいるのだ。ばっちりプレミア値の付く本もあるが、基本は安めな値付け。帳場ではそれほど汚れていない本なのに、丁寧に丁寧に本を拭いていただいた。ありがとうございます!有隣堂「文学神奈川地図」ポプラ社「人間豹/江戸川乱歩」を購入。

※今晩夜十時からの『不忍ブックストリーム』に呼んでいただきました。鍋を囲んで本について色々語る夜になりそうです。お暇な方は一献傾けつつご覧いただければ嬉しい限り。今年の一冊は、あのバカだが尊敬に値する本を…。


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2013年12月17日

12/17古ツアフェア&思わぬお店に別れを告げられ…

正午過ぎ、文化放送の『くにまるジャパン』に出演の近代詩伝道師Pippo嬢に、単行本「古本屋ツアー・イン・ジャパン」の紹介をしていただく。色々規格外な本を前にして、妙に笑いが生まれ易い空気が流れている模様。第二部のタイトル『もはや止まることは許されない』が連呼されている…。ついでにPippo嬢が「訪ねる古本屋が無くて困っているので、古本屋情報をぜひお知らせください」と、古本屋の全国公開捜査に踏み切る一幕もあり、とにもかくにも大感謝である。

そして午後二時過ぎ、盛林堂小野氏に自宅近くまで車で来ていただき、フェア用の古本を西荻窪へ運ぶ。棚に収めたらちょうど三段ぴったりの、ジャストな収まりを見せてくれた。と言うわけで、本日から「古ツアフェア@盛林堂」スタート!古本もサイン本も随時補充して行きますので、ちょくちょく足を運んでいただければ幸いです!
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色々済ませて、今日こそは未知の古本屋さんに赴き、本来の自分を取り戻すぞ!と武藏小金井へ向かう。しかし目的の場所ををうろ覚えで来たため、たどり着けずに時間が流れて行く状況に、大いに焦る黄昏時。…いつまでもこんなことをしていてはいけない…仕方なく目標を切り替え、必ず入れるであろう古本を売っているギャラリーを目指せば、悲しいことに準備中…こ、こんなことでは古本屋ツーリスト失格ではないか…。無情にも次の打ち合わせ時間が近付いて来る…己の不確実さと情けなさを心中で罵倒しながら、駅まで戻る。どんなに自身が愚かでも古本には触れておきたいので、北口駅前『小金井街道』沿いの緑の古本屋さん「伊東書房」(2009/01/04&2013/07/29参照)にて、古書ワゴンに顔と手を突っ込んで行こうと、お店の前に立つ。?シャッターが閉まっており、そこに一枚の貼紙…『当店は12月1日をもちまして通販専門の古書店となりますので店頭販売は停止いたします…』…「うわぁ」と思わず叫んでしまい、ジリリと思わず後ずさりしてしまう。せめて、せめてもう一度、あのボロい宝が詰まっているワゴンをこの目にしておきたかった。寒い十二月の逢魔ヶ時、古本屋の灯を吹き消して回っている魔と、擦れ違う…。
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※昨日募集を始めた『古本屋ツアー・イン・ジャパン・ツアー・イン・ヨコハマ』ですが、午後八時半過ぎに定員に達しましたので、応募を締め切らせていただきます。散策終了後の懇親会はまだ参加可能となっております。
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2013年12月16日

12/16古ツアフェア、準備完了!&お知らせひとつ

宣言通り朝から自宅内の古本と格闘し、夜までかかって『古ツアフェア@盛林堂』の準備を終える…ど、どうにか明日から開けそうだ…。単行本をお持ちのみなさん、おかげで仕事部屋の文庫の壁が、写真よりほんのちょっぴり低くなりましたよ! 新刊の拙著と共に、一ヶ月半の年越しを挟みながらの短い間、何とぞよろしくお願いいたします。
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そしてお知らせをひとつ。昨日の『西荻ブックマーク』でもお伝えしたのですが、私と岡崎武志氏が引率し、横浜の古本屋をブラブラ巡る『古本屋ツアー・イン・ジャパン・ツアー・イン・ヨコハマ』という名のライトなイベントを、12/22(日)に開催することが決まりました。詳細は以下。

12/22(日)
根岸線JR関内駅近く
●ドトールコーヒーショップ 関内桜通店に午後一時集合。
三〜四時間の探索後、軽い懇親打ち上げあり。
(打ち上げのみの参加も可能です)
●参加ご希望の方は、お名前、電話番号、メールアドレスを明記してこちらのアドレスまでお申し込みください。参加費無料(実費負担あり)。なお、当日は百円硬貨や千円札など小銭のご用意もお忘れなく。なお古本屋さんを訪ね回るので、少人数の先着6名様とさせていただきます。
hyakumachik●gmail.com(●を@に代えてお送りください)
●定員に達しましたので、散策の応募は締め切らせていただきます。尚、懇親打ち上げは、まだ参加可能となっております。

単行本を出したら、様々に不慣れなことが襲い掛かって来ていますが、どうにか軽快に乗り切って行きたいと思います。…あぁ、古本屋に行きたい…。それではご応募、お待ちしております。
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12/16第75回西荻ブックマーク

昨日は、西荻窪ビリヤード場二階での、私にとっては二度目の『西荻ブックマーク』。本を出して、ようやく帰って来られた感を強めながら、緊張の二時間。またもや岡崎武志氏に大いに助けられながら、拙く単行本の編集過程や様々な古本屋事情、ツアーあれこれ、心の掘り出し物本紹介、古本屋小ネタスライド、古本屋・スライドツアー・イン・ジャパンなどをどうにかこなす。こんな古本屋狂いの男のために、寒い中お集りいただき、ありがとうございました!東日本大震災直後に行った第50回のブックマーク同様、一生忘れられぬ夜となりました!このご恩は、これからのツアーでみなさんにお返しして行くつもりです。そして終了後は、常連さんや懐かしい方々、頼もしいタレコミ情報屋たちと言葉を交わす、これまた嬉しいひと時。そんな中、大事な心の地図でもある光文社文庫「ミステリーファンのための古書店ガイド」の作者・野村宏平氏にお目にかかり大いに感動!早速使い古してボロボロになった文庫にサインをねだる。また、古本神のひとり・森英俊氏には、お祝いにと東方社「出張社員/鳴山草平」(バリバリの貸本!)をいただき、さらに盛林堂さんには、限定一点の「古本屋ツアー・イン・ジャパン」特製函をプレゼントされる。
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その「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で、明日12/17(火)より、『古ツアフェア@盛林堂』と銘打ち、すでに販売中のサイン本と共に、本棚三段分の百冊以上のコセコセ集めた古本を販売いたします!期間はおよそ来年一月いっぱいくらいまで。今から必死こいて、本だらけの部屋を飛び回り、本タワーを崩し闘い準備しますので、西荻にお立ち寄りの際は、ぜひともこのフェアをお見逃し無く………あぁ、それにしても、古本屋に行きたい。古本屋に行かぬと、この身がどうかなってしまいそうだ。遠い遠い古本屋に行きたい…。
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2013年12月15日

12/15古本屋サインツアー・イン・ジャパン!

昨日は朝から古本屋に赴き、ひたすら単行本にサインの日。まずは西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で二時間かけて四十冊にサインする。識語は巡るそれぞれのお店に合わせようと決めており、盛林堂さんの場合は「探偵小説盛林堂」。探偵小説好きは、ぜひともここで拙著を手に入れて下さい。ちくま文庫「日本幻想文学事典/東雅夫著」(献呈署名入り)盛林堂ミステリアス文庫「ナイト・スケッチ 横田順彌ショートショート(共に新刊)を購入して、第一の任務を完了する。
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続いて駅北側に移動し、『西荻ブックマーク』と「音羽館」(2009/06/04参照)用にサインする。お店では作業出来ないので、近くの喫茶店に移動し、三種の識語を入れまくる。所用時間は一時間強で四十冊。こちらの詳細は、『西荻ブックマーク』会場か、「音羽館」で本を手に取りご覧いただければ!
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※写真は今回のブックマーク用に描き下ろされた、岡崎武志氏のイラスト。本当にいつか、こう言うことをやってくれそうなので、今から申し訳なく思っている…が、それでも楽しませてもらうつもり。これはポストカードとして会場でも配られる。

最後は池袋に移動し、愛しのカオス古本屋「古書ますく堂」(2011/10/15参照)へ。最初にがっつり棚を眺め、良書を掘り出させてもらってから、カウンターで拙著と対峙する。ここでは「ますく堂」に絡めた、一冊一冊違う識語を懸命に書きましたので、ご興味をもたれた方は、池袋に直行お願いします。出帆社「ルーフォック、オルメスの冒険/カミ」(900円。ひゃっほう!)ソノラマ文庫「からくり儀右衛門/横田弘行」を購入。
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※ちょっとどうかしてる、表の道(と言っても、それでもまだ裏通り)に出ている誘導幟と譜面台を使った立看板。

どうにか慣れない微妙に照れてしまう大役を果たし、右手がゲシュタルト崩壊(by北原尚彦氏)を起こした後、夜はわめぞの忘年会に混ぜていただく。相変わらずざっくざっくばらんばらんな場に、すっかり一日の疲れを癒してもらう。
と言うわけで、もう本日の講演、精一杯務めさせていただきます!
※そして主だった書店では、すでに単行本「古本屋ツアー・イン・ジャパン 全国古書店めぐり 珍奇で愉快な一五〇のお店」が発売されていますので、古本修羅のみなさま、何とぞよろしくお願いいたします!



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2013年12月13日

12/13息抜きに冬の中杉通りを行ったり来たり

仕事をしながら、日曜日の『西荻ブックマーク』に向けての準備を、着々と進める。古い写真データを引っ張り出し、紹介店舗を厳選…前回のお店紹介はベストテン方式だったので、今回は趣きを変え、旅の情緒を少しでも味わえるようにしてみよう…などと企みつつ、他にもいくつかのアイテムをガサゴソ探し出す。そして、疲れる。そして、終わらない。ちょっと息抜きしようと家から飛び出し、けやきの葉がすっかり落ちてしまった阿佐ヶ谷『中杉通り』をトボトボ歩く。息抜きと言っても、もちろん向かう所は古本屋さんで、気軽に文庫を買い巡ることに決める。

まずは「銀星舎」(2008/10/19参照)にブラッと入り、店番の奥様とダダダダと立ち話。『古本旅』『古本屋』『セドリ』『美術展』そして『猫』の話など。中公文庫「ジゴマ/レオン・サジイ」を500円で購入する。
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駅の方までテクテク進み、北口アーケードに入って「千章堂書店」(2009/12/29参照)へ。角川文庫「どうして僕はこんなところに/ブルース・チャトウィン」を350円で購入。通路から抜け出る時に上をふと見上げたら、壁と天井の年季に目が釘付けになる。
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『旧中杉通り』を北に歩いて「古書コンコ堂」(2011/06/21参照)へ。開店当初から一糸乱れぬ店内の様子に改めて感心しつつ、早く読みたかった風媒社「なごや古本屋案内/鈴木創編著」(新刊)と中公文庫「妖花/橘外男」を計2075円で購入。店主と拙著についてあれこれ。
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最後は『中杉通り』に戻って「ゆたか書房。」(2008/10/19参照)。一時期店内の通路に本が溢れまくっていたが、どうやら落ち着いて来た模様。あっ、でも左端の通路にまだ本の山が…。中公文庫「風眼抄/山田風太郎」を300円で購入。
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中公文庫ばかりを買ってしまった、緩やかな息抜きツアーであった。そして明日は、一応は古本屋さん巡りではあるのだが、その目的は古本を買うことではないので(でもついでに古本は買うつもり)、今から緊張してガクガクと震え中…あぁぁぁ。右腕が、ピシィッと砕けてしまうかも…。



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2013年12月12日

12/12神奈川・中野島 ブックセンターいとう 中野島店

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南武線に乗って、流れる車窓で「ブックスーパーいとう 矢野口本店」(2012/04/20参照)の閉店を確認しながら、初めて聞く名の駅に降り立つ。狭いホームから跨線橋を渡り、南側の改札を抜ける。冬の光に輝く駅前通りは、空が低く、整備が行き届いた商店街。光に目を細めながら、南にひたすら歩き続ける。駅から一キロ近く来た所で小さな川を越えると、『土渕交差点』。ここから西に曲がり込むと、すぐに目指して来た『いとう』に行き着くこととなる。相変わらず派手な外観であるが、驚くことに敷地内の左端には、トタン屋根の古い地蔵堂があるのだ。子供たちの安寧と、ついでに古本の安寧も守ってくれているのか…。看板には『いとうグループ関東40店舗』とあるが、近年の閉店続きで、もはや半数近くに減っているはずである。入るとすぐ目の前に階段があり、一階の古本は左の女性実用コーナーと、右の児童文学&絵本小部屋のみ。右だけぐるっとチェックして、二階へ早くもドカドカ上がる。するとそこには、あぁ。たくさん造られた本だらけの通路群…外観からは分からなかったが、ここは割と大きな『いとう』であったか…。まずは店内把握のために、通路を歩き回り、計九本の古本通路を確認する。左から88均ジャンル別単行本&文庫通路が二本、オススメ本・ラノベ・BLノベルス・ティーンズ文庫通路、日本文学文庫通路二本、日本文学文庫・岩波文庫・出版社別文庫・雑学文庫・ノベルス・88均新書・ミステリ&エンタメ・社会・技術・建築通路、参考書・赤本・辞書・コンピュータ・趣味・テレビ・漫画評論・世界史・文明・文学評論・本関連・オカルト・クトゥルー神話・海外文学・音楽・映画・タレント通路、政治・日本史・哲学・心理学・宗教・自然科学・雑誌通路があり、右最奥の茶色いボロ目の本の集まる古書・全集・ペーパーバック・ポケミス・写真集・美術図録・お茶の通路にホッとする。88均本が多いのがまずは楽しい。通常の値段は定価の半額より少し下で、文庫には絶版もボツボツ混ざっている。所々にマニアック気味なミニコーナーもあり。弥生書房「村山槐多詩集」ウェッジ文庫「平山蘆江怪談集」學藝社「甲武信ヶ嶽傳記/野村胡堂」梧桐書院「推理クイズものしり百科/天地まもる」を購入。おっ、千円以内に収まったぞ!

これからまた外出して、日曜の『西荻ブックマーク』の打ち合わせ。クリスマスなんか、師走なんか、お正月なんか、古本と古本屋でぶっ飛ばせ!と言う気概で臨むつもりですので、迷っている方もいい加減覚悟を決めて、ぜひともお越し下さい!渾身の単行本も、会場で販売されますので。

■西荻ブックマーク
《「古ツア」さんが、再びやって来た!! 》
〜『古本屋ツアー・イン・ジャパン』(原書房)刊行記念〜
日時:2013年12月15日(日)
16:30開場/17:00開演
会場:ビリヤード山崎2階(西荻窪駅前、徒歩1分)
料金:1500円
定員:50名(要予約。予約は上記の『西荻ブックマーク』からどうぞ)
出演:
小山力也(「古本屋ツアー・イン・ジャパン」管理人)
岡崎武志(書評家、古本ライター)



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2013年12月11日

12/11山形・蔵王 舘岡商店

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どうにも遠くに行きたくなってしまった旅心を抑え切れずに、背徳の山形新幹線。福島駅から車体を傾けて西に曲がり込み、低速で山間を進む。米沢駅で奥羽本線に乗り換えて、暖かいシートにお尻を乗っけて四十五分。枯草の田園地帯と列島のように現れる街と駅を重ねて行き、山形駅ひとつ手前の蔵王駅で下車すると、予想していたリゾート感は皆無で、生コン工場と、すでに冬眠しているような街が広がっていた。駅舎から出て、真っ直ぐ東に延びる道を歩いて行く。擦れ違う人影は無く、『蔵王駅前商店街』は壊滅の一歩手前…。そんな寂しい光景の先には、雪を被ったとても高い蔵王の山々が見えている。あの遠く高く白い山肌で、若い男女がレジャーに興じ、恋に落ちたりしているのだなと、まるで下界から天上界を見る思い。須川を渡り、車ばかりが賑やかな『国道13号』を越え、道は緩やかな上り坂になる。駅から一キロ強も東進して、『県道267号』を南の『蔵王温泉』方面にテクテク。雪はまだ山の上にしか見えないが、その山から吹き下ろして来る風は冷たい。まだまだ道は緩やかに山裾を上がって行く。一キロ弱も進むと、右手に『本 リサイクル自転車 ビデオ』とある看板が見えて来た…明らかにハイブリッド店である。大岡山「ふるほん現代屋」(2013/09/24参照)と同じく、中古自転車屋と融合してしまっている…それにしても、何と言う立ち姿!あぁ、トタン塀とトタンに包まれたバラック的建築が、倒錯的に甘美なのである!そんなお店の外観にのぼせ上がりながら、中古自転車の並ぶ店頭に、ジャリジャリと近付く。ガラス窓の向こうには、間違いなく乱雑に並ぶ、古本の後姿が!サッシを開けてほぼコンクリ土間の店内に入ると、『キャワワワキャワワワ!』と奥のサッシの向こうの住居部分から、チワワに激しく吠えつかれる。コタツがあり、おじいさんとご婦人が暖を取っている。鳴き止まぬチワワに苦笑しながら会釈すると、ご婦人がお店の電気を灯してくれた。自転車修理の作業場兼倉庫の壁に、木板で作られた本棚が巡らされている。右奥は自転車関連の小部屋になっているようで、全体的には“L”字型をしている。入口右横は通路状になっており、ミステリ系文庫とコミックが並んでいる。足下にはダンボールや車輪・サドルなどの部品類の他に、様々な生活ガラクタや未整理本が置かれている。右壁には一番充実している時代劇文庫と、二十冊ほどの山形資料本が棚上に集まる…チワワはおとなしく伏せているが、その大きな黒い目は、ギロギロと闖入者の一挙手一投足を凝視している…。左際には、入口近くにアダルト雑誌と共にUFO&オカルト系ノベルスが二段分。奥のちょっと見難い部分には、官能文庫・ノベルス・時代劇&ミステリ文庫がカオスに収まっている。乱雑で雑本的な、文庫中心の大衆店である。が、所々未整理本や棚上に、やけに古い学術系の本があるのが少し気になる。本に値段は付いていない。なので三冊を手にして「すいません」と声を掛けると、チワワが『キャワワン』と再びヒートアップ。今にも飛び出して来そうなので、細めに開けたサッシの隙間から本を差し入れる。すると値段はすべて100円。チワワは『キャゥ〜』と小さく唸りながら、グルグルグルグルその場で回転中…ご婦人と共に苦笑する。新潮文庫「キャリー/スティーブン・キング」(旧版・初版)河出文庫「悪魔礼拝/種村季弘」青樹社BIG BOOKS「殺人病棟の女/中町信」を購入。

この時点で時刻はまだ午後一時過ぎ。よし!山形まで出て、「香澄堂書店」(2010/11/06参照)と「紙月書房」(2012/09/02参照)で、“ミステリー古本黄金体験”をしに行こう!と決めて駅まで戻ると、何と電車は一時間十分後…ガラガラとすべての予定が瓦解して、即帰ることにする。しかし次の電車に乗ったとしても、二駅先で四十分待ちしなければならない…。待合室で、少し青ざめながら、ひとり寂しく座り込み、石油ストーブに当ることしか、出来ることはなかった…。
posted by tokusan at 20:25| Comment(6) | TrackBack(0) | 東北 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする