2014年01月31日

1/31東京・武蔵小金井 シャトー2F

吉祥寺で買物ついでに、逃れられぬ性として「古本センター」(2013/07/01参照)にフラリと入店。極狭通路の文庫棚で、見慣れぬ『神田書店 名作文庫』なるものを250円で発見する。世界各地をモチーフにした装画が素敵だ。巻末広告の王道なラインナップにも胸が躍る。
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神田書店 名作文庫5「鐵仮面/ボアゴベー 正木一夫」を購入。

そしてふと思い付いて武蔵小金井へ移動。南口に出て、すっかり新しくなって風情ゼロになってしまった『小金井街道』を下り、『前原坂上交差点』で西へ。ひとつ目の信号を越えると、右手に巨大な高層集合住宅の靴先のように道路側に飛び出した、二階建ての格好良く古びたショッピング街『シャトーアーケード小金井』前に到着する。小規模ながら、うらぶれた二本のプロムナードを有し、昭和五十年代的意匠がただひたすらに懐かしい。通り側に面したピロティのようなプロムナードに入り、カフェ&ギャラリーの「シャトー2F」に向かう。ここでは古本も販売されているらしいのだ。ガラス張りの店内を透かし見ると、そこにお店は無く、壁伝いに二階への階段がある。入り込んで上がり込んで折り返して二階に着くと、そこは光溢れるカフェであった…テーブル席のママさんたちが、一斉にこちらにニラミを利かせる…す、すいません。階段柵脇とカウンター下にしっかりした本棚を発見するが、手に取るとこれらに値段は付けられていない。すべて閲覧用の蔵書のようだ。しかしその代わりに、階段を上がった所に机が置かれ、その上の小さな棚にネット書店の「カヌー犬ブックス」が古本を並べていた…しかしそれらはすべて食や料理に関わるもの。
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うぅん、手が出ねぇ…。だがその時、棚上に一冊だけ置かれた「たまら・び」(新刊)が目に入った。おっ、多磨地区の古本屋さんを特集した号じゃないか!とこれを買うことにする。けやき出版「たまら・び No.82」を購入。

阿佐ヶ谷に戻って、「千章堂書店」(2009/12/29参照)店頭で、朝に日本映画専門チャンネルで繰り返し放送されている「ツィゴイネルワイゼン」の悪影響か、平凡社「太陽 特集・大正時代」を100円で購入。そのまま「銀星舎」(2008/10/19参照)にニュルッと流れて、色々お話ししながらサンリオSF文庫「妖精物語からSFへ/ロジェ・カイヨワ」を700円で購入する。
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2014年01月30日

1/30東京・芦花公園 古書 一角獣 @世田谷文学館

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曇り空の午後、笹塚での仕事を済ませ、そのまま京王線下りに乗り込んで『世田谷文学館』を目指す。現在、クラフト・エヴィング商會のおかしな展覧会『星を賣る店』が開催されているのだが、その中の展示に古本屋さんがある、との聞き捨てならぬ情報を入手したからである。たとえそれが本当の古本屋さんでなくとも、展覧会が終わったら消えてしまうものであろうとも、ツアーしに行かねばならぬだろう。2012/02/01「寅さんの稼業(雑誌)」以来の、展示物ツアーなのである。降り始めた雨を振り切るようにして、駅から徒歩五分の文学館に飛び込み、700円を払って、いつもとは違う特別仕様の真四角なチケットを手に入れる。企画展示を目指して二階への階段をソスソス上がると、平日なのに結構多い観覧者の姿が目に入る。丁寧に展示を見て行きたいところだが、『今日はツアーなんだ』と心に言い聞かせ、無礼に展示物の間を直進する。そして第二展示室的な暗がりに素早く入り込む。入口には古い昭和な病院の看板が立ち、ふと横丁の薄暗がりに迷い込んだような錯覚に陥る。左に二軒続きの木造モルタル商店があり、右が工作室には入れる『クラフト・エヴィング商會』、そして左に『古書 一角獣』なるお店がっ!見に来て良かった!と瞬時に思ってしまった。上部に一角獣のイラストを含む大きな店名看板、左に板ガラスの嵌った古い木製ドアがあり、右には三段の棚を備えたガラスウィンドウがある。薄暗闇に光を放つドアガラスには、金文字で店名が書かれているが、中は白いカーテンで閉ざされているのが非常に残念である。果たしてこれからお店を開けるのか、それとも閉店したところなのか…真鍮のドアノブに一応手を掛けてみるが、びくともしない。そしてガラスウィンドウに吸い寄せられ、本当に古本屋のウィンドウを夜に覗き込んでいるような感覚で、並ぶ古本に熱い視線を走らせる。ガラスの四隅は汚しのテクニックで曇らされており、作りものとリアリティの妙な狭間で、思わず息を詰めてしまう。単行本をメインにして、112冊の本。谷譲次「踊る地平線」・イナガキタルホ「星を賣る店」・大量の文庫本で変遷を見せる『カフカの変身の変身』・釋超空・寺田寅彦・平山蘆江・岩本素白・小村雪岱・矢川澄子・井上圓了・唐十郎・寺山修司・安藤鶴夫・「ビーストン傑作集」・謎の古書目録・謎の薬などなど…。簡単に言えば、上品でセンスの良いラインナップだが、舞台装置と相まって、その世界観は完璧を誇っているのだ。お店の前に立ち、ウィンドウの光を浴びてへばりつく私は、文学館にいるのではない。イナガキタルホや鳩山郁子やたむらしげるの世界に、紛れ込んでしまっているのだ!古本の背を追いかけ、小さな世界に耽溺しているだけなのに、そこはかとなく漂う都市と迷宮の匂い…。これではまるで“古本屋アトラクション”ではないか!紛いもののお店に気持ちよく騙され、異次元にズルズル滑り落ちて行くのだ。あぁ、この店内は、一体どんな風になっているのだろうか?恐らくそう広くはなく、二面の壁棚と小さな平台、それにプレミア本を飾る縦長のガラスケースが、帳場の横にあるくらいだろう。店主は店名から想像すると、やはり一角獣に守護されるような、乙女なのであろうか…。やくたいもない、愚かな妄念に耽りながら一階へと戻る。記念に『昼と夜のライス・チョコ』を購い、雨が強くなっていた表に飛び出す。この展覧会は3/30まで。

傘も差さずに『千歳通り』を南にグングン下り、祖師ケ谷大蔵の「祖師谷書房」(2009/03/05参照)を目指す。とにかく古本が買いたくて、どうしようもないのだ。すでにびしょ濡れになっているのだが、私の心は「一角獣」のある暗い横丁を、まだ彷徨い続けている…。そして苦労してたどり着いたお店は、さながら「一角獣」の如く、同じように白いカーテンを下ろしていた…残念無念。なので駅の南側まで出て「文成堂書店」(2012/09/11参照)。未整理本が壁のようにそそり立つ中を窮屈に前進し、朝日文庫「平賀源内捕物帳/久生十蘭」を200円で購入する。

※写真はライス・チョコと、壁新聞『ムーン・シャイナー』に載った「古書 一角獣」の広告である。
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2014年01月29日

1/29三店空振りの末に『T蔵書』に行き着く

今日はどうしても未踏の古本屋に行きたくて、常磐線で四十分。佐貫駅からテクテクテクテク西北に歩いて、今は休耕中の田園地帯の中に浮かび上がった街にある「藤代書房」を目指す!以前一度来た時にはシャッターを冷たく閉ざしており、お店の様子と言うより、うらぶれた街の様子を見て、ここは営業していないのだろう…勝手にそう思っていたお店なのだが、最近貴重なコメントにより、実はしっかり営業中であることを知った次第。しかし表通りからシャッター店が並ぶ横丁に曲がり込み、お店の前に立つと…あぁ、シャッターは無情にも下ろされていた…。しかしここは確実に営業しているので、これからもめげずに再チャレンジして行くつもりである。

駅までテクテクテクテク戻り、さらに取手駅まで引き返し、関東鉄道常総線に乗り換える。いつの間にか日が落ちてしまい、車窓には、すぐ横を走る国道のテールランプの波、青くまだ光っている広い空、その下で濃さを増して行く屋根と電柱のシルエットが、流れている。知らない街で夜を迎えるのは、とても寂しいことだ。ゆめみ野駅で下車し、国道をしばらく自動車と共にひた走ると、まるで悪夢の城のようにちょっと非現実的な、リサイクル系の古本屋さん「丸猫堂」が黄昏れた空をバックに、静かに佇んでいた…閉まってるじゃないか…。『高値で買うよ〜ん☆』の文字が無闇にハジけているが、もはや営業している気配は無い…。
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またもや駅まで引き返し、取手まで逆戻りし、常磐線に飛び乗り少しだけ上って、柏駅で新たなお店にチャレンジすることにする。いや、閉まっているのは分かっているのだ。決して開くことがないのも、分かっているのだ。しかしもしかしたら………やはり「靄靄書房」はいつもの如く閉まっていた。
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こうなったら!お店の裏側に入り込み、「太平書林」(2010/06/03参照)に助けを求めるしかないっ!と、暗い海原に浮かんだ船のように輝く、柏の名店を目にして涙がこぼれ落ちそうになる。
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店頭と店内を、飢え切ったケダモノとなり、背伸びししゃがみ込みし、一冊も見逃さぬつもりで棚にへばりつく。そしてレジ前の古い文庫&新書棚で、岩谷選書の「本陣殺人事件」を下の端っこから見つけ出す。値段を見ると200円だ!これはやったぞ!と握り締め、他の本と共にレジに差し出す。ライトな車だん吉風店主が、本を開き値段をチェックして行く。そして「本陣殺人事件」を見始めた時、何度も見直し「あぁ…」と呟き始めた。うわぃ!もしかしたら『この値段は間違いでした』と言われるのでは、と覚悟する。しかし彼が発した言葉は、意外なものであった…。「これ、“T蔵書”って言うんですよ。その世界では有名でね。ほら、ハンコがペタペタたくさん捺してあるでしょ」…あっ、そう言えば!値段が安いのに興奮して、全然チェックしていなかった…。“T蔵書”とは、ミステリマニアの間では有名な、個人名(フルネーム&名字+蔵書の二種)の蔵書印が、本扉・目次・最終ページ・天・小口・地と捺され、奥付が切り取られ、無惨な姿となった多数の貴重な本たちを、そのハンコの蔵書名から採って、そう呼んでいるのである。喜国雅彦氏の双葉文庫「本棚探偵の冒険」P.71〜に詳しく紹介されており、私はこの文章によってその蔵書の存在を知ったのだが、実物を見たのはこれが初めてである。「もうね、ここまでやってるとね、安く付けるしかないんだよ。本の山の中から見つけた時は、入ってたか!って思っちゃう。でもこの蔵書、逆に有名だから、高い値段付けてもいいかとも思ったりしてね」「え?それって売れるんですか?」「いやぁ〜、売れないだろうね〜。でも俺、この人知っててね」「ど、どんな方だったんですか?何かこう…普通じゃない凄みが出てたりして…」「いや、普通の人だったよ。市で会ったりしたら、時々話してたんだけどね。物凄いコレクターだったんだけど、結局最後は古本屋始めたりしてたよ」「えっ…そのお店の棚に並んでる本って、まさかハンコがこうペタペタと…」「あぁ、それはないない。ちゃんと蔵書と分けてたらしいよ。でも結局そんなに長続きしなくてね」…むむぅ、それは一度行ってみたかった…。それにしても今日は、シャッターに弾き飛ばされ続けた上に、最後がこれとは…何と言う一日か!しかしこの“T蔵書”の一冊を手にしてしまったことで、何か後戻りの出来ない、深いミステリマニアの世界の扉を、ギギィと開いてしまったと感じるのは、単なる気の迷いなのだろうか…。岩谷選書4「本陣殺人事件/横溝正史」(ただし奥付ナシ、印アリのT蔵書)改造文庫「牧羊神/上田敏」ちくま文庫「妖怪・妖精譚 小泉八雲コレクション」日本古書通信社「全国古本屋地図 改訂新版」を計1350円で購入する。
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※これがT蔵書の一冊。やはり何かちょっと寒気がするのだが、喜国氏の著作を読んでいたことや、店主の話を聞いたことで、それほどの抵抗感は生まれていない。だがしかし、あえて買おうとも集めようとも思えないのも、また事実…。
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2014年01月28日

1/28古本屋サインツアー・イン・ジャパン2!

2013/12/15の続きである、単行本サインツアーを敢行。古本屋に行けるのはとにかく嬉しいのだが、やはりいつもと勝手が違うので、微妙に気恥ずかしいツアーなのである…。まずは西荻窪「古書 西荻モンガ堂」(2012/09/15参照)に赴き、十冊にサイン。「モンガ堂」さんにはさらに張り切っていただきたいので、特別ペーパー『古本屋ツアー・イン・モンガ堂』付きとなっております。そして古本屋に入って何も買わぬのは沽券に関わるので、甲鳥書林「牧野信一遺作集 南風譜」(裸本)を800円で購入する。

続いては版元の原書房に赴き、「古書ますく堂」(2011/10/15参照)用に十冊にサイン。十冊すべて識語違い…これで計二十五冊に「ますく堂」に特化した言葉を書き連ねたことになる…ネタ切れ間近だが、まだふんばれば何か出て来そうな予感…。

最後は夕暮れの千駄木に向かい、「古書ほうろう」(2009/05/10参照)で地元的識語を入れて五冊にサイン。まったくありがたいことでございます。もう本当に、色んな方向に足を向けて眠れなくなって来ている気がするので、今度から田村隆一『立棺』に倣って、立って寝ることを真剣に考えてみます…。筑摩書房「光車よまわれ!/天沢退二郎」春陽堂日本探偵小説全集「ソロモンの桃/香山滋」(裸本)を計1200円で購入。と言うわけで外に出っ放しの割と忙しかった一日…明日はちゃんと未踏の古本屋に行くつもりです!
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※写真は「古書ほうろう」にて、最奥の机で大量の買い入れ本に隠れてサインするの図。

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2014年01月27日

1/27東京・神保町 書肆 高山本店

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水道橋駅から、寒い午前中の『白山通り』を南下して行く。通りのお店の店頭を覗き込んで行くが、収穫はナシ。日当りの良い『神保町交差点』を渡って西側の日影に入り込み、「神田古書センター」一階表の「みわ書房 出入口古本販売」(2013/01/18参照)に、なし崩しに挑みかかる。冷たい古本をガツガツ掘り起こして、岩波文庫「浮城物語/矢野龍渓」徳間文庫「トップ屋戦士の記録/梶山季之」筑摩書房「星屑の海/実相寺昭雄」を計1150円で購入し、エンジンに火を入れてから、一階のエレベーターシャフトを中心とする半回廊に進む。そして階段に上がらず、エレベーターにも乗り込まず、古臭いゴージャスな電灯の光を浴びて、ショウウィンドウの前に立つ。巻物・和本・武術極意書・貸本漫画…明治八年創業の老舗店である。この見事なまでの神保町的古本屋さんには、数えるほどしか入ったことはない。店名の“本店”は何処かに支店があるからなのか、それとも単純明快に“本”を売る店と言うことなのか…?出入口は表側に二ヶ所、反対側のビル裏に通じるものが一ヶ所。店頭に並んでいるのは特価本ばかりである。左側から店内に入ると、天井は高く床は廊下と同じ赤いタイル張り。横幅のある空間は、左右に壁棚、左側と中央に背中合わせのフロア棚が二本、右端には長いガラスケースが設置されている。通路はゆったりとして整頓が行き届き、左奥にしっかりした帳場、右奥に裏出入口と作業スペース。左壁には料理・菓子・酒・剣道・柔道・中国武術がドバドバと収まり、新しめの本やビジュアル本を中心としながら、DVDやビデオも含んでいる。向かいからは単行本を中心にして、料理・喫茶・刀剣・甲冑・剣道・空手・合気道・忍術。上部には大型本が並ぶ。真ん中通路は、左にサブカル(文学少々含む)・国史・古典文学・落語・俳句・川柳、右に美術・ファッション・茶道・中世〜戦国歴史・地方・江戸風俗となっている。右端ゾーンはちょっとショッキングで、通路棚には能狂言・謡曲・邦楽・浄瑠璃・藝能がビシッと揃い、足元には和本が美しく波のように積み上がる。ガラスケースには和本・扇・能面など、普通の古本屋ではあまりお目にかかれない、能の小道具が詰まっている。壁棚には大型本がドシドシ並び、下には地図などと共に、能面の型紙までもが売られている…これを元に、彫るのだろうか…。能狂言・料理・武道など、様々な“道”や技能に特化したお店である。『調べるために買う』と言うより、『達人になるために買う』と考えると、何やら興奮して来てしまう。値段は安いものも稀にはあるが、基本は高値である。ただしさすが老舗、珍しい本が目立っているのである。檀一雄や司馬遼太郎の色紙、それに歴代店主の肖像画と肖像写真に見下ろされながら、マダム的ご婦人に精算していただく。有隣堂「横浜三街物語/山口辰男」を購入。そしてその数分後、「田村書店」(2010/12/21参照)店頭100均箱で、叢文閣「昆蟲記第一巻/アンリ・ファブル 大杉榮訳」を掘り当て大喜びする。函もちゃんと付いてキレイな本なのに…信じられん!

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2014年01月26日

1/26神奈川・横須賀中央 Books2106

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コメントタレコミによって知った、元『ブックアイランド』にて新開店したお店である。西口のスロープを下ると、そこは山に張り付いた急坂『平坂』のふもと。その急角度に臆せず、ハイキングにでも来た面持ちで、坂道に足を踏み出す。ズンズン上がると、歩道に屋根の架かる『平坂通り商店街』に差し掛かる。坂道の急角度に対応した古い商店群を、楽しみながらそこを抜ける。すると道は急角度を保ったままカーブし、行く手には鋭い階段が山上に切れ上がる、またもや歩道屋根が始まる『上町銀座商店街』が現れる。ここになって、ようやく緩くなって来た坂道にホッとしながら歩き続けると、一目でリサイクル系と分かるお店に到着する(しかし対岸からお店を見ると、二階部分は風情ある出桁造りの意匠を留めているのがよく分かる)。坂道から中に飛び込むと、こじんまりとした横長の店舗である。右側と中央の大半がコミック・ゲーム・トレカで占められており、古本は左端に集められている。『ヴァンガード』のデュエル方法を、エンドレスでBGMのように流しているのにクラクラしてしまう。壁際に時代劇文庫、フロア手前に大きめの背中合わせの日本文学文庫棚。奥にミステリ&エンタメ・エッセイ棚が一本、実用・ビジネス・タレント・海外文学&ハーレクイン棚が一本ある。値段は定価の半額がメインで、棚造りはあくまで一般的となっている。双葉文庫「銀幕おもいで話/高岩淡」「本棚探偵の冒険/喜国雅彦」を購入。食指がそれほど動かぬリサイクル系ではあるが、一度消えた灯を再点灯してくれたことに、大いなる喜びを感じたい。

お店を出たら坂道を踏破し、標高24mの山上に出て「沙羅書店」(2009/06/02参照)へ。横長で奥行き無く乱雑なお店の、見られる部分を存分に覗き込んで、カッパ・ブックス「酒の詩集/富士正晴編著」広論社「悪魔祈祷書/夢野久作」を計700円で購入する。坂をドドドと下って駅方面に戻り、『若松飲食街』の「市川書店」(2009/08/08参照)と、一駅歩いて県立大学駅の「港文堂書店」(2010/05/08参照)に足を運ぶが、運悪くどちらもお休み。がっかりしながら横須賀中央に踵を返し、『横須賀ベーカリー』でウマい菓子パンをしこたま買って行こう!と企んでいたら、お店は跡形も無くなっており、新築工事の真っ最中…営業再開は夏ですか…。喰いそびれた“ロックケーキ”をモシャモシャ咀嚼する妄想に囚われながら、トボトボと家路に着く。
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2014年01月25日

1/25修羅の群れに身を投じる

布団の中で突然思い立ち、身支度をして高円寺に走って向かう。自転車が無いのは全く持って不便である。およそ十五分で「西部古書会館」(2008/07/27参照)に接近する。今日明日とこの場で『中央線古書展』が開かれるのだが、午前十時開展時の熱気を、一度この身で味わってみたいと、突然思ったのである。デパートなどの大きな古本市とはまた違うだろうが、それに近いエネルギーの爆発を間近に見ることが出来るに違いない。おや?会館の前には行列があるものとばかり思っていたが、すでに門は開け放たれ、100均本の並ぶガレージには、厚着をした古本修羅の群れが解き放たれていた!
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こ、これはもう始まっているのか?時刻はまだ午前九時五十分…だが会館自体のサッシ扉はぴったりと閉じられ、良く見ると100均本に食らいつくグループと、サッシに詰め寄りじっと佇むグループに分かれているのに気付く。ホッ。どうやらまだ始まっていないようだ。その静かなる奇妙な雑踏を一枚写真に撮り、100均本に目を走らせ始める。まずは左端の通路に入り込んで、隙間を見つけてはそこに潜り込んで行く戦法。しかしあまり本は見られず、特に何も見つけられずにスルリスルリと奥へ進むと、いつの間にか佇むグループに合流してしまう。気付いたときにはすでに遅く、もはや通路を引き返すのもままならぬ状態。仕方なくそのまま、佇むグループの一員となることにする。しかしここでようやく、落ち着いて身の周りの本を見ることが出来、最初の一冊を手にする。そして開展五分前、サッシが開いてひとりの古本屋さんが顔を出し、お客のバッグ類を受け取り、番号札を渡し始めた…なるほど。会館にはバッグ類を持ち込めぬので、扉が開くと同時に全員が平等に突入出来るように、先に手続きするのだな。主催者側の配慮か!そう解釈した私は、自分のバッグを腕を伸ばして差し出し、『12番』の札を受け取った。準備完了。一段上のサッシ扉に、全員の神経が集中しているのが、ビリビリと伝わって来る…。そして午前十時、扉がガララと開かれると同時に、堰を切ったように、黒い古本修羅の群れが、ドヤドヤと流れ込んで行く。無言で、速やかに、いつまでも続く特殊部隊の突入のように、流れ込んで行く。入口が少し狭いので、肉体と肉体がぶつかり合う。流れに乗り遅れぬよう、弾き飛ばされぬよう、眦を決して我が肉体をフロアに運ぶ。そして、焦る。どうしたらいいのだ?何も作戦を決めずに突入してしまった。いつものように悠長に棚を見ていたら、たちまち良い本はかっさらわれ続けてしまう。すでに修羅は四方に散り、また後から後から雪崩れ込んで来る…。良し、茶色い古い本と探偵推理、それに文庫に狙いを定め、大雑把に棚を見て行こう。アンテナに引っ掛かる本が並んでいたら立ち止まり、超スピードで精査して行こう。そんな風に簡単に一瞬に思考し、すでに塞がった棚は打ち捨てて、比較的人影の少ない奥の棚から食らいついて行く。穴だらけの作戦ながら気になる本が見つかると、皆安値なので、買うべき本が見事なほど順調に増えていってしまう。いつの間にかすべての通路が埋まり、ぶつかり合うタンパク質の肉体が、植物繊維で造られた古本を、ただただ求めている恐るべき光景。誰も言葉を発さずに、ドヤドヤした人の蠢く気配と、帳場の古本屋さんの声だけが、フロアに響いている。……死闘三十分。岩谷書店「江戸川亂歩愛誦探偵小説集 下巻」(山名文夫の装幀に震える!)駿河台書房「現代ユーモア文学全集13 北村小松集」(函無し)朝日新聞社「奇術五十年/石田天海」東都書房「三重露出/都筑道夫」鮎書房「詩集 戦闘機/藏原伸二郎」春陽堂文庫「くらがり廿年/徳川夢声」(「新青年」に連載された半自伝!)筑摩書房「督乗丸の漂流/川合彦充」光文社文庫「少年探偵王」ちくま文庫「岡本綺堂集」講談社文庫「自殺クラブ/スティーヴンスン」創元推理文庫「時間の種/ジョン・ウィンダム」、そして今日この場に来た運命を勝手に感じた本は講談社「のらくろ喫茶店/田河水泡」!帯付きで500円なんて、どひゃっほう以外の何ものでもないっ!これで『幸せ三部作』を無事にコンプリート!…人生の目標をひとつ、嬉しく失った瞬間である。と感激しながら、計3400円で購入…ううぅ、土曜日の午前中に、古本をたくさん買ってしまった…。帰り道、古本神のひとり「古書いろどり」(2012/12/22参照)彩古氏と同道し、ちょっとだけ収穫を見せてもらい、思わず天を仰いでしまう。…やはり私は、まだまだ修行が足りない…。
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※そして本日土曜発売の「日刊ゲンダイ第11196号」の8面『ザッツエンターテインメント 本屋さんは面白い!編』で単行本「古本屋ツアー・イン・ジャパン」が紹介されています(すみません、金曜発売ではありませんでした)。扇情的に大きく扱われているのが、恥ずかしくも嬉しかったりします。

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2014年01月23日

1/23埼玉・新狭山 狭山書店

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店名には何だか地方性の趣きがあり、郊外の片隅でひっそりと生き残り営まれているお店のようである。しかし足を運んでみると、予想を見事に覆す、大型箱型アダルト店が待っていた…。駅北口に出て、ロータリーから延びる80年代的商店街+飲食店街の『すかいロード』を突き進む。とは言ってもお店は微妙に疎らで、埼玉の広い空に外灯スピーカーから流れる、新旧アメリカンミュージックが吸い込まれて行く、奇妙な大通り。「文珍文庫」(2008/11/18参照)はすでに無い…。通りを400m近く直進すると『新狭山駅入口交差点』。ここにたどり着けば、もう左手前方に『本 DVD』の巨大な文字が視界に入る。交差点を渡り、広い駐車場に踏み入り、赤く巨大なお店に接近する。三角屋根擬きの架かる入口から中に入ると、J-POPが高音質で流れる広い空間。正面中央に大きなレジカウンターがあり、右の隠れたアダルト空間、左のゲーム&スロットコーナー&コミック空間に二分している。お客さんはスロットのボタンをリズム良く叩き続けている老人のみである。さて、普通の本もあって欲しいものだが…レジ左脇であるコミック空間の右端通路に入る。おっ!ここに古本が並んでいてくれたか。右壁にラノベ棚と共に、一本の海外文学文庫棚と四本の日本文学文庫棚。その向かいにミステリ&エンタメ・新書・タレント・エッセイ・ビジネスが収まっている。二階を含めたお店の広さからすると、その蔵書量は少ない。90年代〜現代の本で造られており、特価本らしきものも複数冊並ぶ。値付は大体100〜500円が中心で、人気作以外とちょっと古い本は徹底的に100円となっている。講談社学術文庫「昭和金融恐慌史/高橋亀吉 森垣淑」「世界漫遊記/加藤周一」ポプラ社百年文庫「黒/ホーソーン 夢野久作 サド」を購入。

帰りは東村山で途中下車し、「なごやか文庫」(2012/01/10参照)の棚卸しセール(単行本30円文庫本10円!)に立ち寄る。すでに文庫棚はガタガタ状態ながら、講談社ノベルス「下北の殺人者/中町信」講談社「ニューヨークの次郎長/篠原有司男」「霧のむこうのふしぎな町/柏葉幸子」サンポウ・ブックス「世界の怪動物99の謎/実吉達郎」を計80円で購入する。そしてようやく鷺ノ宮に帰り着くと、うぎゃあ!停めてた自転車が撤去されちまってる!
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2014年01月22日

1/22学芸大学にも閉店の風が少し吹いている

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コメントタレコミを基にして、今日も寂しい探索に出かける。渋谷から東横線各駅停車に乗っても七分で着く、学芸大学の街の上に浮かぶ高架駅。ホームから改札に下って東口に出る。即座に建物がごちゃつく駅前から、雑踏の『東口商店街』を歩き始める。途中に現れる「飯島書店」(2009/04/10参照)は後で絶対寄るとして、ひとまず通り過ぎて、小さな『鷹番児童遊園』も通り過ぎる。そろそろかなと脇道を南に入ると、大きな熊のぬいぐるみが出迎えてくれる「e-Books」(2009/04/10参照)にたどり着く。ああ、看板には『閉店』の紙がベタリと貼付けられている。そして全品50%オフセールは、1/11からスタートしていた模様。自動ドアには、閉店セール情報をtwitterやfacebookで拡散して欲しい旨が書かれている。最後にどうにかして、大量の在庫を売り抜きたいのだろう。ならば死肉を喰らう“古本ハイエナ”として、店内をグルグルうろつこうではないか!と中へ進む。明るく陳列がキュッと締まった空間には、ほとんど荒れた感じも荒らされた感じも見られない。新しい一般的な本や文庫が中心だが、人文系の硬めな本や古い絶版漫画も目立っている。しかし私は結局文庫三冊のみをレジに差し出し、何処にも書かれていない閉店日を聞き出すことにする。すると小・鹿島茂風オヤジさんは「二月の十日までかな…」と硬い表情で答えてくれた。安値の古本が欲しい方は、迷わず学芸大学に駆け付けるべし!ちくま文庫「短篇小説日和/西崎憲編訳」河出文庫「第七官界彷徨/尾崎翠」講談社文芸文庫「腕一本 巴里の横顔/藤田嗣治」を計730円で購入する。ありがとうございます。

そしていそいそと「飯島書店」に戻り、鱒書房「世界怪奇船物語/志摩達夫」(カバー無し)を52円で掘り出し、古本掘出欲をなだめるのに成功する。さらに「SUNNY BOY BOOKS」(2013/06/13参照)にも足を延ばし、ビニールカーテンを潜って、棚造りが独自な味に醸成して来た小空間を楽しみ、春秋社「チェスタートンの現代用語事典」河出文庫「上陸/田中小実昌」を計500円で購入。すると店主が「おまんじゅうをどうぞ」と、キャンディのように包まれたたまご饅頭を手渡してくれた。「おぉっ!」とついつい喜んでしまう。
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2014年01月21日

1/21東京・水道橋 闘道館再びっ!

昨日、集中していたデスクワークから抜け出して、夜のコンビニ。『日刊ゲンダイ11191号』を買う。ミステリー作家の二階堂黎人氏が『週刊読書日記』と言うコーナーで、「古本屋ツアー・イン・ジャパン」単行本について、何やら書いていただいたらしいのだ。外に出て、家に帰り着くのももどかしく、外灯下の路上でガサガサと新聞を開く。すると13面左下に、「新年最初に読もうと決めていた古本屋巡りの本」とあるタイトルが、二階堂氏の写真と共に目にドゴンと飛び込んで来た!精神が混線し、いてもたってもいられなくなったので、自宅へドドドと引き返し、部屋の中をバタバタ通り抜けてベランダに飛び出し、「マジですかっ!二階堂センセイっ!」と夜空に向かって咆哮する。ちなみに日刊ゲンダイは今週金曜発売のエンタメ面でも、当単行本を取り上げていただけるとのこと…もう本当にありがとうございます!

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そんな風にして緩んでしまった顔と心を引き締め、総武線で水道橋へ。先日ボ〜ッと北側の車窓を見ていたら、駅至近のビルに格闘技関連専門店の「闘道館」(2009/10/22参照)の、派手な窓看板が突然目の前を流れて行ったのである。移転したのは知っていたが、より後楽園ホールに近付いていたとは…。ホームの西端から西口に下って北側に出る。すると目の前には、すぐに雑居ビルが横並びで立ちはだかっている。上を見るとお店の入ったビルの真下にいることが即座に判明する。派手な立看板を見付け、右側の入口から昭和なビルに入り込むと、エレベーター横の壁には大きな看板パネル。エレベータ内のボタン横にも店名があり、四階で降りるとプロレス&格闘技のポスターが多数貼り出されたド派手な入口…あぁ、人の顔と肉体と、情報量が多過ぎる…。すでにちょっとクラクラしながら中に入ると、カーペット敷きの横長なワンフロアである。左半分は覆面マスク・プロレスグッズ・Tシャツ・フィギュア、それに初売りの福袋が目出度く並んでいる。入口右横に大きなカウンター帳場があり、その前に棚が林立している。通路は六本。一番手前にプロレスムックや写真集・プロレス全般、それにアントニオ猪木本が並んでいる。棚のメインはDVD・ビデオ・雑誌であるが、三本目の通路に五十音順プロレスラー本・年代ごとプロレス本。四本目に女子プロ・ボクシング・トレーニング・U系・相撲・大山倍達・植芝盛平などが並び、小説やコミックも多く含んでいる。奥壁には大判の試合パンフがズラリと揃う。以前より棚にブランクが多い気もするが、その専門充実度は相変わらず。古い本まで揃っているがとても良い。値段は普通〜ちょい高。帳場前の古い技術書やサイン本を覗いてから、精算をお願いする。すると、以前は段位の上がるスタンプカードだったのが、バーコード式のポイントカードになっていたことを知る。段位の消滅を残念に思いながら、秀英出版「大山倍達を信じよ/平岡正明」を1575円で購入する。

帰りに何となく思い付き、駅の南側にあった古本屋さん「冨田書店」の遺跡っぷりを見に行くことにする。あの乱雑な細い通路の古本屋さん。閉店してもその店舗はいつまでも残っていたが、今は果たして…と脇道に入り込む。建物に挟まれた二階建ての古いモルタル建築はそのままで、二階には錆びたブリキの看板も残っている…しかし、何かがおかしい…良く見ると、店舗は黒く塗り潰されており、一階には新しい看板が出現している。そこには堂々と「冨田書店」とあり、明かりも点いている。ええっ!お店が復活しているのかっ?泡を食ってお店に駆け寄ると、さらにどうも様子がおかしい…軒看板には『FIRE HOUSE』、そして立看板には『炭火焼の家』…こ、これは何と、かつての古本屋の名をそのままに、炭火焼のお店として生まれ変わっていたのである!こ、こんなことがあって良いのか。何故本屋の名をそのまま引き継いだのであろうか。大きなガラス窓の向こうは、完全なる飲食店で、古本屋の名残は微塵も見出せない。どうやらまったく新しいタイプの『古本屋遺跡』を発見してしまったようだ。遺跡であることを逆手に取ったパターン…いや、とにかく謎である。もはや喜んで良いのか悲しんで良いのか、ただただ混乱しながら薄ら笑いを浮かべて、駅にフラフラ足を向ける。
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2014年01月19日

1/19春陽文庫ふるさとに帰る!

春陽文庫は怪しい。それ故、他の文庫に無い魅力を、抜群に内包している。昭和初期〜現代まで、様々に姿形を変えてその刊行は続いているが、特に昭和初期〜四十年代までが殊更魅力的である。探偵小説や明朗小説が、その全貌を掴めぬほどにスパークし、古本好きの心を囚えて離さず、惑わせているのだ…。

今日は悔しいが古本屋に行く事無く、午後に日本橋での仕事に向かう。あまりに悔しいので、一冊の古い文庫本をを懐にして、まずは東京駅へ。八重洲地下街から寒い地上に出て、ビルの谷間を歩いて行くつもりなのだ。重いガラス戸を開けて石の階段を上がると、とても大きな『八重洲通り』に出る。北側歩道を東に進んで、交番前の現代的に九階まで伸び上がるビルの前で立ち止まる。ビル入口の側壁に、“S”の飾り文字が浮かぶガラスがはめ込まれている…そして入口上部の金属枠に、これまたメタリックで立体的な看板文字が取り付けられている。『春陽堂ビル』と!そう、ここが、マニアックな古本者を翻弄し続ける、カバー無しの、あるいは白カバーの文庫を出し続けて来た総本山なのである!ちなみに住所は遥か昔から変わらぬので、数々の名作&迷作たちも、ここで生み出されて来たのである!入口ガラスからビルの案内板を透かし見ると、おっ!一階に『春陽堂ビル眼科クリニック』が!と、たまたまこのビルに入り、同じ名が付いているだけで、もはや感動してしまう。二〜八階はテナントで、ぬぉぉぉ!九階に『春陽堂書店』があるぞ!感動と興奮を深めながら、一冊の文庫をサッと取り出す。私が所持している春陽文庫(日本小説文庫・春陽堂文庫・春陽堂少年文庫・世界名作文庫含む…あぁややこしい…)の中で一番古い、昭和六年十二月発行の「星旗楼秘聞/木村毅」である。つまり、八十二年ぶりにこの文庫は、ふるさとに帰って来たのである!お帰りなさい!と記念写真をパチリ。
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ところがふと後ろを振り向くと、交番前に立つ二人の警官が、こちらに鋭い視線を放っているではないか。イカン、職質寸前の気配がする…。慌ててその場を離れ、いそいそと仕事場に向かって歩き始める。そして日本橋を渡りながら、つらつらと考える。ビルを訪ねたら、何だかより一層、春陽堂に愛着が湧いてしまった。そう言えば、以前市ヶ谷の「麗文堂書店」(2012/09/06参照)で見かけた、春陽堂の歴史を書いた「春陽堂物語」…確か五千円くらいしてたので買わなかったのだが、今更ながら猛烈に読みたくなって来てしまった。いつか必ず手に入れて、春陽堂への造詣を、深めることにしよう。あぁ、それにしても私は、今日も仕事前にいったい何をしているのか…。

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2014年01月18日

1/18東京・三鷹 水中書店

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“中央線古本屋銀河”に、本日新星がピカッと誕生するので、自転車を漕いで見に行くことにする。中央線沿い北側を、高架に付かず離れずしながら西に四十五分。三鷹駅北口からは、ロータリ東端から銀杏並木の大通りに入って東に進み、北側の信号もある三本目の脇道の広めな通りを北へ。陽の当たらぬマンションの谷間に震えていると、右手前方の金網に囲まれた砂利敷きの広場の前に、新しめの茶色のマンションがあり、通りから東に入った脇道沿いに、ピカピカ光る真新しい古本屋さんの姿が!まだ正午開店前なので、扉が開くのを待つ古本修羅の姿がすでに…おぉ、店頭箱&棚には、もう手が伸ばされてしまっている…。鮮やかな青緑の日除けには、デザイン文字の店名が白くプリントされ、レンガタイルに覆われた店頭には、お祝いの立花、単行本100均箱が八箱、雑誌箱がひとつ、それに小さな文庫棚が一本置かれている。やがて正午を迎えたところで、店内のロールカーテンが巻き上がり、ココリコ田中+妻夫木聡÷2風の長身青年店主が入口に登場。「これより、水中書店開店いたします」の挨拶と共に、待望の営業がスタートした。入口からほんの少しだけ高くなる店内に入ると、床・什器はすべて木材で設えられており、優しく落ち着いた雰囲気を醸し出している。左右は背高な壁棚で、左奥からは中央帳場の脇まで、壁棚に囲まれたミニスペースを造りながら続いている(帳場脇には夏葉社新刊がズラリ)。フロアには目線までの高さの三本の棚が縦に並び、店内に見通しの良さを生み出している。入口左横には店内100均棚、右横にはビジュアルムックラックが置かれている。棚には、まだ上部下部に空いているところや、未整理本が横積みされた部分が目立つ。開店直後故のブランクなので、今後どんな本が並んで行くのか楽しみにしておこう。左端通路は、壁棚に絵本・旅・山・暮らし・白州正子・女性エッセイ・文明・民俗学・世相・風俗・田中小実昌などが並び、向かいはセレクトコミックですべて埋まっている。第二通路は、左に最近刊日本文学・日本文学文庫・ちくま&ちくま学芸文庫、右に新書・講談社文芸&学術文庫・河出文庫・岩波文庫。第三通路は、左にセレクト日本純文学・北村太郎・山田稔・天野忠・詩集、右に海外文学・哲学・文学評論。右端通路は、通路棚に本&古本・幻想文学・音楽(ECD充実)・落語・将棋、壁棚に建築・デザイン・映画・写真・美術と並ぶ。キレイな本がほとんどで、中央線文化をスマートに若い目線で体現したお店である。コミック・詩集・音楽・映画・美術が今は突出している。先述した通り、棚に比べて本が少なめなので、店主の思考&嗜好の原液がそのまま並ぶ感じなのだが、この原液をそのまま増量させるのか、それとも何かで薄めつつ化学反応を起こして行くのか、今後の動きが非常に楽しみである。値段はちょい安〜普通。ちなみに店内に“水中”らしさは見られない。なのでいつの日か、『金沢21世紀美術館』にある作品『レアンドロのプール』のようなお店にして下さい!世界初の水底の古本屋さん!開店おめでとうございます。国書刊行会「夢の遠近法 山尾悠子初期作品選」荒地出版社「スパイ入門/グレアム・グリーン兄弟編」ちくま文庫「マジメとフマジメの間/岡本喜八」中公文庫「川上澄生全詩集」旺文社文庫「つげ義春旅日記/つげ義春」を購入。

再び自転車に跨がってエッチラオッチラ引き返し、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にて小休止しつつ、「古ツアフェア@盛林堂」でサイン本作成の続きに勤しむ。残り三冊となったところで、盛林堂にピッタリの識語が突如閃き、その三冊だけ変更してフィニッシュ。フェアも後半戦ですが、引き続きよろしくお願いいたします。
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2014年01月17日

1/17東京・恵比寿 LIBRAIRIE6/シス書店 古書市

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仕事から抜け出して、恵比寿駅西口ロータリーから、左奥の坂を南にグングン上がって行く。坂が角度を増すと、両側の建物が突然古くなる。左側の建物は、足元に城壁のように大谷石が組み上がり、その上にはフラット的な上屋が乗っかっている。蔦が絡まり、三つのパートが少しずつ奥まるような姿は、小さめの城館に見えなくもない…恵比寿の坂道にこんな建物があったとは…。さらに坂を上がった、奥の階段から建物に取り付くと、上がり口には『古書市開催中!』のダンボール看板が出されていた。今日から始まった、アートとアンティークギャラリーの古書市を偵察に来たのである。それにしても店名の片割れである『シス書店』が妙に引っ掛かる…はて、“シス”…どこかで聞き覚えが…何だったっけ……と一生懸命考えると、『スターウォーズ エピソード3/シスの復讐』であることに思い当たってしまう。見当違いの記憶検索に顔を赤らめながら階段を上がると、まずは二階ゾーン。さらに危なっかしく、細く急になる外階段をそのまま上がると、そこが三階。緑の階段から緑の廊下を右奥に入り込む。白い扉を開け放った302号室前で立ち止まると、奥にはさらにもうひとつの華奢な扉がある。開けて中に入ると、そこは明るく小さな縦長のギャラリー。壁に絵画や美術作品が飾られる中、左右の壁際下、それに真ん中のベンチ下に本が並んでいる。中井英夫・稲垣足穂・澁澤龍彦・四谷シモン・種村季弘・合田佐和子・デュシャン・ブルトン・アポリネール・ベルメール・金井美恵子・ダンセイニ・ブラックウッドなどで固められた、幻想文学・シュルレアリスム・フランス関連の古書市模様。おぅ、「古書ドリス」さん(2012/12/03参照)も出品しているのか。本は幻想〜アートの偏向性に満ちているが、バラエティに富んでいる。だからこそ、博覧強記のシブサワの黒い翼が、小さなギャラリーの中で、窮屈そうに羽ばたこうとしているかのように見えて来る。値段はちょい高〜高め。淡交社「ウジェーヌ・アジェ回顧」を手に取り、中原淳一描く「それいゆ」表紙の女性のようなギャラリー主に精算していただく。市は今月26日まで。

帰りに一本西側の大通りに出て、坂の途中の「トップ書房」(2010/07/02参照)に向かう。中に入る前に、店頭の100均棚に大いに捕まってしまい、100円とは思えぬ五冊を瞬時に掘り出し、それだけで満足してしまう。集英社「ピカルディの薔薇/津原泰水」洋泉社「映画秘宝ex 爆裂!アナーキー日本映画史1980-2011」晶文社「猫座の女の生活と意見/浅生ハルミン」河出書房新社「@DOMMUNE/宇川直宏」辰巳出版「人喰い映画祭/とみさわ昭仁」を購入。
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2014年01月15日

1/15東京・高円寺 ガレージSale

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朝から忙しく過ごし、時間にあまりスキが生まれない。どうにか色々カタをつけた夕方近くの午後に、自転車で冷気を切り裂いて、昨日も行った高円寺へ向かう。実は昨日帰る時に見かけた、気になる光景を確認しに行くためなのである。高円寺駅北口から、高架線沿いを西西北に延びる『中通り』。その通りが尽き、『馬橋通り』とぶつかる手前の八百屋さんの隣に、見慣れぬお店が出現していたのである。お店とは言っても、モルタル住宅兼店舗の開け放たれた一階部分。虚ろのような薄暗いスペースに、細々と色々並べて売っており、その中に古本の姿を認めたのである。近付いてみると、『ガレージSale』の小さな札があり、古着・ゲーム機・靴などと共に、箱と椅子と脚立と赤い棚とに古本が並べられている。そこには、カルチャー雑誌・アート・SF文庫・音楽本がズラリ。その向こうでは、研ぎ澄まされた登山家のような青年が、暖かそうなアノラックを着込んで店番中。駄本を売っているわけではない。自分が読み終えた本を並べているのだろう。独特な呼吸を、無用となった本の並びから微かに感じ取れるのだ。さて、寒い中、せっかく跪いたのだ。ちゃんと何か買って行こうと、棚の中を覗き込んで行く。すると、その中に心臓を鷲掴みにする一冊が紛れ込んでいた。「海炭市叙景」!佐藤泰志の単行本だっ!早速それだけを素早く抜き出し、慌てて値段を調べてみる。…しかし何処にも値は書かれていなかった。うぅん、まぁガレージセールだ。そう高くはないことを願おう。そう心を決めて、慌てず騒がず文庫本と共に精算をお願いした。すると青年は本を受け取り「ああ…これは…」と何か動揺した素振りを見せた。ああっ、もしかしたら高値なのか!と怯えながらも半ば覚悟を決めると、『単行本は700円 文庫本は500円です』とのこと。やった!買います!どひゃっほう!と心の中で大喜び。すると青年は、「佐藤泰志いいですよね。私はこの話が一番好きなんですよ」とはにかんだ。そんな方から、この本を安値で買うのはとても申し訳ない気持ちが一瞬芽生えたが、所詮私は古本屋ツーリストであり、古本修羅であり、ハイエナ・ブックハンターでもあるのだ。遠慮なく買わさせていただきます!
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集英社「海炭市叙景/佐藤泰志」講談社文芸文庫「腐敗性物質/田村隆一」を購入。

夜は西荻窪に赴き、「古ツアフェア@盛林堂」に補充しつつ、嬉しいことに重版の決まった「古本屋ツアー・イン・ジャパン」にまたもやサイン。重版本は、少し変わったところあり。近日中に「古書ますく堂」にもサイン本入荷予定あり。それぞれ識語が違うので、店頭で見かけた場合はチェックよろしくお願いします。
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2014年01月14日

1/14東京・高円寺 藍書店

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昼食を摂ってから、中央線の冷たい高架下を、自転車で一直線に駆け抜けて高円寺へ。昨日から「都丸書店 支店」(2010/09/21参照)改め、「藍書店」としてスタートした、新たな古本屋さんの様子を探るためである。おぉ、角の柱上の看板が新しくなっている!青い文字で縦に「藍書店」とあり、「INDIGO BOOKS」の文字とクロスしている。東側の五本の大壁棚は健在で、100・300・500円値付けも変わらず。ちょっと選書や新しい本が多いなと思いつつ、早速一冊を手にする。北側の赤枠五本壁棚は、人文系の専門書と洋書が硬く並んでいる。お祝いの花が飾られ、古本屋らしからぬ華やかな入口から店内へ。むむ、壁棚を背にした左の帳場兼作業場には、いつもの今はついに店主となった男性の姿と共に、女性アルバイトが座っている。お二人とも物凄く忙しそうである。先客たちは各通路で、本棚に熱い視線を注いでいる…。パッと見たところ、支店時代と大きく変わった感じではない。奥の通路が久々に開通しているのは嬉しい。什器も頼もしい鉄板床もそのままなのである。壁棚には、入口右横から五十音順哲学・心理学、右壁に神道・仏教・キリスト教・民俗学、ナナメ壁の白棚はポッカリと空いており、奥壁に映画・歌舞伎・建築・語学・辞典と、帳場横まで続いて行く。三本の通路棚には、手前から岩波文庫・新書・ちくま&中公&講談社文芸&学術を中心とした文庫・東洋文庫、日本文学・古典文学・俳句、フランス文学・詩歌・中国文学、英米文学・ロシア&ギリシャその他文学、音楽・趣味・囲碁・写真、そして美術と並んでいる。並びも大勢は変わらずだが、これは嬉しいことである。意外な安値の古い本も相変わらず多く、かつての支店のクオリティを保ち続けていただけるのなら、こちらも通い続けることになるのは必定!そして今後どんなところに、今までと違った雰囲気が現れるのかも楽しみにして、通い続けることとなるのだろう。これからも偉大なる壁棚をよろしくお願いいたします。店内日本文学棚で、裸本だが真善美社の「死靈」を見つけて、こ、これが!と手にする。…二千円か…少し安い気がするが、どうしようか…粗悪な紙のページをパラパラとめくっていると、あっ!付録の『死霊への言葉』(あらすじ付)と『人物紹介カード』がちゃんと挟まっている!ひゃっほう!あぁ、これはもう買わなければなるまい!と抱え込む。真善美社「死靈/埴谷雄高」同時代ライブラリー「追われゆく坑夫たち/上野英信」を購入する。
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こうして手に入った「死靈」の見返しに貼られた古本屋ラベルは「都丸書店」のままだったが、その上には古めかしい「金子書店」のラベルも貼られたままだった。住所は明記されておらず、電話番号のみが書かれている。それを手づるとして、古い古書店地図帖を引っ張り出して調べてみると、かつて阿佐ヶ谷駅前にあったお店であることが判明。「死靈」よ、わが街・阿佐ヶ谷にお帰りなさい。
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2014年01月13日

1/13浅ましく閉店セールをハシゴする

『三連休乗車券』三日目は、さすがに何だか疲れが溜まってしまったので、日和ってまずは横浜へ。距離のある連絡通路を歩いて相鉄線に乗り込み、三駅目で下車する。北口から東寄りの大通りに出て、『八王子街道』を目指して北上して行くと、交差点の手前左側に、本日閉店する「ぽんぽん船 天王町店」があった。
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ウィンドウには大きく『1月13日閉店 さようなら ありがとうございました』とある。そしてそのガラスの向こうに、たくさんの人影を認めてしまったので、慌てて店内に突入する。おぉ、老若男女で賑わっている!それに、所々ブランクや空き棚は生まれているが、まだまだ本は並んでいる。四人の主婦的店員さん(ぽんぽん船の店員さんは主婦的な方がほとんどである)が『全品半額です』と声を上げ、店内のあちこちで棚のチェック&整理を常に行っている。そんな店員さんにお客さんたちは親しげに話し掛け、「もう今日なんですね〜。残念だわ〜」「ホント、何かあっという間だったね」「寂しくなるわぁ〜」「今日は何時までやってるの。後でまた来るわ」「たくさん買っちゃってまぁす」「ごくろうさまでした」などと盛り上がっている。な、なんだ、この店中に漂う、学園祭の最終日のような、幸福で寂しい“蛍の光”感は!このお店は、そんなにも地元に愛されていたのか!と少なからずショックを受けながら、目欲しい本のハイエナ・ハンティングに入る。主に文庫を手にし、『ありがとうございました』と大きく張り出されたレジにて精算する。講談社文芸文庫「湖畔 ハムレット/久生十蘭」岩波文庫「被差別部落一千年史/高橋貞樹」廣済堂文庫「銀座通・道頓堀通/坪内祐三監修」角川ホラー文庫「首吊少女亭」講談社文庫「死美人辻馬車」共に北原尚彦、ちくま文庫「色川武大・阿佐田哲也エッセイズ2 芸能」毎日新聞社「ワニの涙/立松和平」を計1350円で購入する。閉店の挨拶には「港南台店」(2013/11/22参照)「藤沢店」は営業を継続することが書かれていた。実はこのお店、ツアーの初期に来たことがあるのだが、当時はリサイクル店に目を向けていなかったので、記事にはしなかった思い出がある。しかし文章は書かなかったが、店内見取り図は残っているので、せめてもの罪滅ぼしにここに掲載しておく。
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横浜駅に戻って次は新宿御苑に向かう。数少ない新宿の正統派古本屋さん「國島書店」(2008/07/10参照)も、残念ながら閉店してしまうのである。しかしその時期は『整理がつき次第閉店』と言うアバウトなもの。だからこそウカウカしていられないので、早めに様子を見に来たわけである。
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店頭から踊りまくっている『全品半額』の文字。マンション入口にも本が置かれ、しつこいほどに『半額』の札が貼付けられている。もちろん店内も半額なので、またもやハイエナ・ハンティングモードにチェンジし、いつもよりじっくりすべての棚を眺めて行く…こんなに懸命にこのお店の棚を眺めるのは、初ツアー以来ではないだろうか…。棚に本は、いつも通りたっぷりと挿さっているが、奥の帳場では、着々と本の仕分けと梱包が始まっているようだ。痛いほど目に力を込め、三十分弱通路を行き来し四冊を手にする。ちくま文庫「父親としての森鴎外/森於菟」学研ポケットムー「怪奇人間」野球殺人事件刊行連盟「野球殺人事件/田島莉茉子」(買おうかどうか迷った大物。さらに「黒いハンカチ/小沼丹」の裸本とどちらを買うか迷った大物。未読なのと、元値は4500円だが半値なら良し、と考え結局購入)創芸社近代文庫「アンナ・カレーニナ戯曲/ウォルコフ脚色」(扉を開けると、訳者の袋一平から、土方与志への謹呈署名が!)を計2700円で購入。
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閉店セール中のお店を浅ましく漁り、古本欲を満たす。寂しく後ろめたいが、満足…ううう…。そして今回のネタ元は、ふたつともコメントタレコミであった。多謝!
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2014年01月12日

1/12岩手・釜石で古本を求めて二店+1!

『三連休乗車券』二日目は、またも早起きして北へ移動して、まずは新花巻駅で下車。雪の積もった単線ホームの駅から、“銀河ドリームライン”釜石線に乗って、東の太平洋を目指す。この路線は元をたどれば、宮沢賢治の愛した岩手軽便鉄道が走っており、様々な作品のモチーフとしても使われていた。そのため現代のJR路線も『銀河鉄道の夜』になぞらえられ、駅の表示板には一駅ごとに異なるイラストとエスペラント語が踊り、逆にひたすら賢治の背中を追いかけて、ロマンチックに運行している。しかしその実体は、ジワジワと時間を遡る集落と谷間を、ディーゼル音と警笛をを響かせ走り続けるローカル線…。雪に塗れながら、美し過ぎるアーチ型鉄道橋を渡り、山をひとつ越える。一時間でたどり着く遠野の田園地帯は、どこまで雪を被り、灰色の空と共に明るく輝いている。さらに進んでもうひとつ山を越え、鉱山の遺構などを目にしながら谷間を下って行くと、いつの間にか雪の姿は掻き消え、計二時間で釜石駅に到着した。

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●釜石「古本小屋」
地下道で線路の下を潜ってから駅の改札を抜けると、綺麗に新しく整備されたロータリーの向こうには、白い煙をモクモクと吐き出す『新日本製鐵釜石製鉄所』の有無を言わさぬ巨大な姿が、山のように立ちはだかっていた。その工業的姿態にとにかく圧倒されてしまう…さすがは『鉄と魚とラグビーの街』!まずは南の『国道283号』に出て、西にスタスタ歩き始める。製鉄所を左に眺め続けて、市街から遠ざかるようにして西へ。やがて行く手に巨大な緑のガスタンク二基が見え、その脇をアリのように小さく通り過ぎ、水の澄んだ甲子川を渡る。その橋を渡っている途中で、目指すべき古本屋さんが目に入り、嬉しい開店中であることを視認する。慌てて橋を渡り切り、川沿いに北へ折れ込んで、二本目の住宅街の脇道に入り込む。すると目の前に三階建ての住宅兼店舗が現れ、一階には三宿「山陽書店」(2008/11/17参照)に比肩する黄色い巨大な日除けが張り出している。『マンガ本買います』の幟がはためき、シャッターの上がった引き戸部分には、取扱漫画がペタペタと貼り出されている。そのガガララと大きな音を出す戸を開けて中に入ると、コンクリ土間の倉庫のような空間で、スチール棚で出来た四本の通路が縦に延び、ブロックの如きコミック揃いの群れを、並べ、収め、積み上げている。右奥に藤田弓子風ご婦人のいる帳場があり、その横にはアダルト通路もあるようだ。しかしコミックばかりではなく、右から二番目の通路右側に二本のミステリ&アクション文庫棚、三番目の通路左側三本に時代劇文庫の姿を見出し、ひとまず胸を撫で下ろす。並んでいるものは90年代以降の新しめが中心だが、必死にガルガル喰らいつき、文春文庫「落城記/野呂邦暢」集英社文庫「ハサウェイ殺人事件/平岩弓枝」ちくま文庫「ぼくらは下町探検隊/なぎら健壱」を購入。文庫は安めだが、コミックは割と普通な値段。しかし絶版の揃いもしっかり多く、レジ横のプレミア絶版も要注目であろう。

釜石での任務を無事に果たしたので、帰りの電車まで一時間ほど余裕があるのをいいことに、駅前に引き返して東にテクテク向かい、釜石市街に突入して行く。一度でいいから入ってみたかった『釜石橋上市場』(今は取り壊され、駅前の『サン・フィッシュ釜石』と言う味気ない施設に移転している)を幻視しながら、鮭の死骸が多数沈んだ川を渡ると、ツギハギな未だ復興継続中の街。数々の東日本太平洋沿いの街で目にして来た光景と同じで、新しい街路・公共物・家々・更地・廃ビルなどが混ざり合っている。そんな空間にズカズカ入り込んで行くと、二つ目の交差点で古本を扱う真新しいお店を発見してしまう。

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●釜石「松坂屋 とれぱに店」
ほぼトレーディングカードのお店なのだが、右側にコミック棚が並び、その最奥に一般文庫・ノベルス・時代劇文庫・ラノベ・ティーンズ文庫・BL文庫が棚に箱に集められている。あまりに一般的なので、残念ながら手が出ず…すみません、古本販売していることに感謝の念をこっそり捧げ、素早くお店を後にする。

最後は『青葉通り』まで出て山裾の『青葉公園』に向かい、仮設のプレハブ二階建て商店街『青葉公園商店街』に入り込む。三年前の震災時に、店舗も在庫すべても津波に流されてしまったのに、泥の中から顧客名簿を掘り出して、即座に配達販売をタフにスタートさせた『桑畑書店』で本を買うためである。サッシ扉を開けるとまずは廊下があり、左端に店舗としても復活を果たした小さな新刊書店があった。
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小学館文庫「戦中派動乱日記/山田風太郎」を購入し、お店の名の入った書皮を掛けていただく。そこにはこの公園とは違う住所が印刷されている。やはりそれは、元のお店の住所…いつかそこに戻ると言う意志を勝手に読み取り、本を大事に受け取る。

気仙沼・宮古・いわき・銚子・石巻・相馬、そして釜石。津波で甚大な被害を受けた街を、長い時間をかけて訪ね回り、どうにか気になっていたお店の消息を調べることが出来た。そして最後に残ったのは、青森県の八戸。いずれここにも足を向け、古本屋事情を調査して来なければなるまい。昔ながらのお店は姿を消し、リサイクル系のお店しか残っていないそうだが、実は古本を売る喫茶店があるとかないとか…。と言うわけで、八戸の地元古本屋についてご存知の方、首を長くしてヨダレを垂らし、タレコミお待ちしております!
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2014年01月11日

1/11秋田・能代 市民プラザ

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昨日、JR東日本の『三連休乗車券』を手に入れ、晴れて北海道の尻尾まで普通列車の乗り降りが、この三日間だけ自由となる。遠くへ、遥か遠方へ…と心の中で呪文のように唱えながら、特急券を買ってまずは秋田に急行する。もはや凍ったように真っ白な秋田駅からは、奥羽線に乗り換えてさらに北へ。軽い雪を巻き上げ、白い集落と荒野と凍った川を過ぎ、時に秋田杉の鉄道林に守られ、日本最大の干拓地・八郎潟の横をゴグンゴドンとひた走る。終点の東能代駅で五能線に乗り換えて五分。七時間かかって、雪の吹き荒ぶ目的駅に到着する…所々で列車が遅れたため、現地での活動時間が絶望的に少なくなってしまった…。しかし雪の吹き込むホームには、小さなバスケットコートとリングが設置されていた!ここ能代は、高校バスケ強豪校『能代工業』のあるバスケットの街なのである!さらにホームに飾られた、ユニフォーム・優勝盾・使用ボールなどに心ざわめくも、目的はあくまで古本にあることは変わらないので、気を引き締めて改札を抜け、密閉された駅舎から外に出て、風雪の攻撃をこの身に受ける。積雪は五センチほどだが、とにかく寒い。西口の駅ロータリーは緩やかな斜面に広がっており、人影は無くとても荒涼としている。ロータリーを右から、決して雪に足を滑らせぬよう小走りに回り込んで、ちょっと西にある低層のビルに囲まれた『駅前交差点』。道沿いには隙間無く四角い建物が凸凹と並び、まるで映画のセット的な、不思議な景観を造り出している。交差点の西側北寄りにある、『Canon』の看板文字と『大栄百貨店』と、二つの看板のある年季の入った横長ビルに注目する。面取りされた角の一階には、「市民センター」の入口がある…元駅前地元百貨店の建物を再利用した、市のサービス施設なのであろう。しかしここでは、安値で古本が販売されているらしいのだ!とにかく時間が無いので『ままよ!』と飛び込んでみると、当然の如く市民の憩いの場なのである。まず右に軽食やドリンクも販売するレジがあり、目の前のテーブル席ではご婦人たちがワークショップを開催中。さらに最奥のテーブルでは、中学生が団子のように固まり、間断なく歓声を上げながらゲームに熱中している。ズンズンと色々なことには構わず、その奥に進んで行くと、ひょう!右奥に結構広く、しっかりした古本ゾーンが姿を見せてくれた。またも激しくざわつく心。このゾーンは少し右側に奥まっており、手前壁・右壁・奥壁に本棚が張り付き、フロアには10均カバー無し文庫ワゴン、背中合わせの本棚が横向きに三本と斜めに二本重なっている。奥にはアップライトピアノも本棚のように並んでいる。さぁ、急いですべてに目を通さなければ…。手前壁には児童文学・児童書・絵本。右壁には料理・スポーツ・趣味・実用・参考書・辞典・自然科学・アイドル写真集(捌けてるなぁ…)・大量の文学全集。奥壁は文学全集の続きと、日本文学・コミックが収まる。フロア棚は横向き三本に、作家五十音順日本文学文庫と最上段にノベルスの列。斜めの棚は、海外文学文庫・海外文学・社会・日本文学文庫続き・雑学文庫・新書・詩歌句・郷土・宗教・オカルトと続いている。市民からの寄贈本で成り立っている、図書館的ビジュアルのお店だが、品揃えと棚造りが意外にしっかりとしている。ちょっと古い文庫も多いのでちょっと血眼になってしまうが、一番の魅力は値段が定価の九割引と言う安さであろう。正進社名作文庫「オッペルと象/宮沢賢治」「ガリヴァー旅行記/スウィフト」講談社文庫「夜の三部作/福永武彦」ソノラマ文庫「死者の学園祭/赤川次郎」光風社ノベルス「殺人魔術/梶龍雄」理論社「5000匹のホタル/松下竜一」を購入する。これだけ買って330円…。さぁ、七時間かけて来た東北の地で、三十分で330円分の古本を買ったので、もう東京に戻らなければならない…あぁ、私の頭のネジは、かなり緩んでしまっているのだろうか。電車は目まぐるしく晴れ間と吹雪が入れ替わる中を、またもゴグンゴドンと、重々しく走り抜けて行く。

posted by tokusan at 22:20| Comment(6) | TrackBack(0) | 東北 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月10日

1/10東京・神保町 白山通りでちょっと古本を売っているお店二店

飯田橋で打ち合わせの後、水道橋まで移動して、たくさんの学生と共に『白山通り』を南下する。今日は時間がほとんど無いので、この通りの小さな古本販売をツアーする。

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●神保町「文化堂」
『神保町交差点』から北に300mほど。昼時には物凄い行列を造り出す『神保町食肉センター』と『いもや』を過ぎると現れる、「誠心堂書店」(2008/07/25参照)の隣にある映像ショップ。映像とは言っても、その主力はアダルトなのだが、通りに面した店頭棚ではDVDに混ざって四段分の文庫本が売られている。いつか何か良い本が…と思っているのだが、今はまだ一般的な新しめの文庫が並び続けている。値段は主に100〜300円で、単行本や定価が高めの文庫は普通の値付けがされている。精算はアダルト迷路の奥の奥のレジで行う。筑摩書房「ちくま日本文学 泉鏡花」を購入。

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●神保町「東西堂書店」
『白山通り』を北に50m弱の特価本&新刊書店だが、店内は『18禁』のアダルト店。しかしそれでも!店頭二台のバーゲン本ワゴンの脇、衣装ケースの上に時たま古本が放出されるのである。多いのは雑誌やムックだが、時々ミステリー評論本などが出ることもある。値段は普通。今日は何も買える物ナシ。ウィンドウに目をやると、「古書の買い入れいたします」「祝創業八十周年」の貼紙が。

後ろ髪を引かれながら、早々に神保町を離脱する。最近何故かアダルト系なお店が連続してしまったが、明日こそは「古ツアフェア@盛林堂」の前期の売り上げを握り締め、果てしない遠くの正統派な古本販売を求めて、旅立とうと心に誓う。と言ってはみたが、はてさて何処に行くべきか…。
posted by tokusan at 14:39| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月09日

1/9静岡・新富士 太陽書店 富士店

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たった十日間で青春18きっぷすべてを消化するのは、なかなかに難儀である(今回購入したのは去年の12/30であった)。せめて後一回、ちょっとでも遠くへ行こうと、中途半端に降り立ったのは東海道線の富士駅。2013/10/06に駅北側の「中村書店」をツアーした場所だが、今回は南側を目指す。正確に言うと最寄り駅はここではなく、東海道新幹線の新富士駅がそうなのである。なのでヒイコラ一キロほど東に向かい、『富士見大通り』を南下する。そうすれば、いずれは新富士駅の下を潜ることになるのだ。白煙を広い空にたなびかせる、製紙工場の煙突を仰ぎ見ながら300mも進めば、『国道1号線』に到達。ここで東を見ると、国道沿いに相応しい、アダルトを得意とする毒々しい大型チェーン店!行くべきお店が無く、本当に困ったとき以外は入らずとも良い種類のお店である。側壁には『Men's collection』とまで大きく書かれている。しかしここは、訝しがりながらも自動ドアの向こうに踏み込んでみよう。そこは、奥の広大なアダルトスペースを隠すための前室となっている。縦に長い通路が三本。それを造り出している棚には、蒼ざめた90年代のコミック…蒼ざめ過ぎて、のっぺらぼうになった90年代コミックの葬列…そして所々に出現する、ティーンズ文庫・ラノベ・恋愛系文庫・SF文庫・自己啓発・新興宗教・タレント・実用本たち…それらも蒼ざめ、傾ぎ、だらしなく棚に収まっている…そう、ここは営業中の店内にも関わらず、もはや打ち捨てられた古本の墓場なのである!蛍光灯は灯っているが、本に埃は積もり、店員の手が入った気配もすでに無い。お客さえも、ここは素通りしてしまうのだろう。ただ、蛍光灯が、今も本の背をジリジリと焼き続けているのだ。生きているようにしか見えぬ、本の上の大きな蛾の死骸さえも、蒼ざめているようだ。だからこそ『これはもしや掘り出し物が!』と軽く色めき立ち、必死で読み難い本の背文字を追いかけるも、成果は見事にゼロ!まさしくここは“古本の墓場”だったのである。むしろコミックは絶版だらけなので、ちゃんと探せばこちらの方が見込みあるのではないだろうか。と言うわけで苦労して、バンブーコミックス「ネ暗トピア1・2/いがらしみきお」を発掘し、豪奢なアダルトゾーンと共通のレジで精算してもらう。告げられたのは200円だったので、“古本墓場”の古本は100円均一と思われます。

この後は『国道1号線』をテクテク西に歩いて、小学校近くの古本屋さんまで行ってみるも、残念ながらお休み中。しかし入口扉から薄暗い店内を透かし見ると、コミックがメインのようだが現役感は満点。奥の通路には文庫が隠されているかもしれないので、また見に来ることにしよう。
posted by tokusan at 18:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 中部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする