2014年02月28日

2/28東京・吉祥寺の三階で古本を買う

二月最後の日に一日ドタバタし、様々な懸案に決着をつけてから、すっかり重くなった腰を上げ、異様に暖かな夜の街へと繰り出す…目指すは吉祥寺!

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●吉祥寺「クワランカ・カフェ」
帰宅する人々でごった返す『南改札口(公園口)』を抜け出て、そのまま南に突き抜けて『マルイ』の前。『井の頭通り』を西に向かい、眩しい『ドン・キホーテ』前の脇道を南へ入り込む。するとすぐに左手に、レンガタイル張りのビルが出現。通りをそのまま進み、様々な立看板が集合するビルの入口前にたどり着く…この時初めて、意外に昭和なビルであることに気付く。あの階段を三階まで上がれば、古本を売るカフェ&ギャラリーがあるはずなのだ。稲妻型に上がる古いタイプの階段を使って、苦手なカフェをとにかく目指す。敷居を跨いで廊下を右へ進むと、カフェとは思えぬ簡素なサッシ扉が出迎えてくれた。緊張を高めながらカチャリと開けると、剥き出しになった部屋と柔らかな木材が共存する、お洒落な空間。レジ&厨房前を通る時に、反対の壁際に並ぶCDや鉄瓶など共に、愛しい古本を視認する。ドギマギしながら席に着き、可憐な女性店主に夕食であるキーマカレーとビールを注文。一息ついてから壁際の棚に近付き、二列だけの古本に注目する。パリ・食・少女・女性・自然・猫・買物・文学…ノドにグキッと感触を残す強い炭酸のレモンスカッシュを何故か想起してしまう…つまりは芯の固い女子的ハードボイルドな世界…。そんな本に手を伸ばすと、あぁ!一箱古本市でお馴染みの「文庫善哉」さんの棚であったかと、意外な出会いに感動。値段はしっかり目である。おいしいキーマカレーをビールで流し込んでから、河出書房新社「アナイス・ニンの少女時代/矢川澄子」を購入する。

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●吉祥寺「Balanca」
再び夜の街に出て『井の頭通り』を西へ。『吉祥寺南交差点』で横断歩道を渡り、クロスする『吉祥寺通り』を南へ。今は頭の上にマンションを乗っけた『いせや』前を通過すると、道は大きく西にカーブし始める。すると、井の頭公園の入口向かいに、鋭く角を尖らせた白いビル。ここの三階のバーに古本が並び、そしてまたもや売られているのである!カクカクした螺旋外階段を上がって、シックな木の扉をギィッと開けると、ジャズの流れる渋く薄暗く、割と広さのある空間。窓際の席に緊張しながら腰を下ろし、タンカレーのロックを注文する。出て来たバカラの薄手のグラスに入ったジンを一口含んでから、入口左横の一本の小さな本棚に近付く。「本棚屋」の屋号があり、最上段に絵本が面陳され、四段の棚には海外文学文庫・SF文庫・片岡義男・安部公房・向田邦子・村上春樹・佐藤さとる・日本純文学・児童文学などが整然と収まる。折り目正しく真っ直ぐな棚構成である。値段はちょい安〜普通。ジンに早くも酔いながら、薄暗闇の中で一冊の文庫を抜き出す。中公文庫「銀座の柳/車谷弘」を購入。

吉祥寺の、奇しくも同じ三階で古本を買う、小さな夜の旅。アルコールと春のような暖かさに酔い痴れながら、地上の光をうっすら反射している、厚い雲を見上げながら帰宅する。
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2014年02月27日

2/27東京・神保町 六一書房

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仕事をほっぽり出して、午前中の神保町。雨の上がった古書街を忍び足で歩き、その仕事先である小さな出版社の入るビルの前を、コソコソと通過する…ごめんなさい…。『神保町交差点』から『白山通り』西側歩道を北にちょっと進み、最初の脇道である、立食い蕎麦屋とラーメン屋の間の広い裏道に入ると、古書街の面影は一気に遠のき、背広姿のサラリーマンが闊歩するオフィス街の裏通りとなる。西に100m弱歩くと、左手に本が恐いほど積み上がったガラスウィンドウの「通志堂書店」がまずは目に入る。ここに入るには相当な勇気を必要としそうだが、そのすぐ隣りの小さなビルにも、ハードルは高そうだが、まだ少しは入り易そうな古本屋さんがお店を構えているのである。観葉植物が大きなウィンドウの前に置かれ、右の柱に控え目な看板文字。そして扉には『61』と言う書名の本を読む優しげな埴輪のイラスト…いや、古代人そのものなのだろうか?…が貼付けられている。ここは歴史考古学専門のお店なのである。その堅い雰囲気と、窓の向こうに見える出版社営業部的風景が、気軽に入れぬ緊張感に拍車を掛けるが、ここは勇気を胸に入店しよう。すると奥の女性がまずは振り向き「いらっしゃいませ」。その向かいに座るキテレツ大百科・勉三さん似の男性も、パソコン画面から決して目を離さず「いらっしゃいませ」。おぉ、優しく迎え入れられた!と感動しつつ、手前側に二本の通路がある一階を見回すが、ここはどうやらピカピカの新刊売場で、自社出版物も多く混ざっているよう。すぐ左にある急階段に目をやると『古書』の貼紙があり、『ご自由にご覧下さい』とある。勇躍して二階へ!階段は一直線に三階に延びているが、途中に「六一書房」とある暖簾が下がり、さらに上への立ち入りを拒んでいる。階段壁棚には、特殊な考古学専門の簡素な大判誌がズラッと並び、頂点には同じく考古学や古代史に関わる新書、それにシリーズ叢書が置かれている。小さなフロアにはたくさんのダンボール箱が積み上がり、頑丈なスチール棚が狭い二本の通路を造り出している。A4・B5と特殊なサイズの本が多く、展覧会図録などのビジュアルムックに、日本全国地域別に分けられた考古学遺跡発掘研究調査の報告書論文、それに考古学・古代史・発掘・古墳・出土品&埋蔵品・古建築・博物館学・古代民俗&民族学などの単行本が加わる…この研究機関資料室的雰囲気は、「昆虫文献六本脚」(2011/05/27参照)と共通するものがある。とにかく清々しいほどの専門性を誇る考古学なお店である。なので普通に入れてとにかく良かった…。値段は普通〜高め。本を手にして階下に戻り、奥の事務所兼帳場で精算してもらう。奈良文化財研究所「遺跡をさぐり、しらべ、いかす」を購入。

ホッとしてお店を出て表通りに戻り「書泉グランデ」へ。ドキドキしながら首を長くして待ち焦がれた大物新刊、戎光祥出版 ミステリ珍本全集03「醗酵人間/栗田信」を購入。は、早くむさぼって読まなければっ!
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2014年02月25日

2/25東京・神保町 ロック オン キング

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御茶ノ水駅から南に下る坂道『明大前通り』沿いには、楽器屋が二十軒近く集まっている。通りにも響き渡るほどの爆音的BGMと、店員の必死の呼び込みは『駿河台下交差点』に近付くと、少なく疎らになって来る。だがこの音楽の道は、か細く消え入りそうになるけれども、どうにか古本街にも続いているのである。交差点を渡って『すずらん通り』を西にテクテク進む。70mほどで左手に、一階に「キントト文庫」(2009/11/28参照)、二階に「石田書房」(2010/01/15参照)の入る白い小さなビルがある。実は最上階の三階にも、音楽資料専門の古本屋さんが入っているのだ。つまりは立派な古本屋ビルなのである。右端の看板が密集する階段入口から、三階を見上げる。階段はほぼ一直線に三階まで延び、左に折れている。トントン上がって三階の領域に入ると、壁は和洋バンドのポスターでいっぱいになる。左に折れると数段残る階段の上に、開け放たれた合板扉とビニールカーテン。そっとそこを潜ると、静かな情熱のロックの空間。右に早速大きめな帳場があり、庄司智春風店主と年上のご婦人の姿…年齢からしてお母様なのだろうか?小さな店内は深いボックス棚で通路が造り出されており、帳場前から三つの行き止まり通路に分かれ、三本フォークのような形を成している。帳場前の左壁を見ると、端に固まるポスター群と共にびっしりとバンドスコアが並び、上部にはアーティスト&バンドのボックスCDやDVDが置かれている。左端通路に進むと、バンドスコアやコードブックに引き続き、新旧音楽雑誌が現れる。「音楽と人」「ロッキンオン」「BREATH」「月刊カドカワ」「宝島」「ARENA」「B−PASS」「PATI★PATI」「BEST HIT」「NEWS MAKER」「GB」と、バンドブーム〜シブヤ系〜J-ROCKの流れが体現されている棚である。棚上からはみ出すのは、音楽雑誌の揃いかと思いきや、数々のアーティストのファンクラブ会報!奥には細い棚が置かれ、J-ROCKアーティストの単行本が収まる。真ん中通路に進むと、ツアーパンフや豪華写真集類、それにフォーク系の古い音楽雑誌が並んでいる。通路奥にはキャロル・はっぴいえんどなどの日本のロック黎明期と共に、洋楽アーティスト本も。右端通路には、ツアーグッズ・豪華本・写真集・CD・レコードが集まり、奥にはニューミュージック&ポップス&歌謡曲の単行本。ちなみにミュージシャンは、ツアーのために様々なグッズを作り出す。Tシャツ・リストバンド・帽子・ピック・バッグ・アクセサリー・文房具・etcetc…それらが帳場回りに多く集まっているので、少し雑貨屋に見えなくもない…。とてもマニアックな日本のロック寄りなお店である。一般販売された本や雑誌ばかりでなく、特殊な環境でしか手に入らない会報やツアーパンフ類の充実が見ていて楽しい。値段はほぼ四桁スタートのプレミア値が中心。奇しくも二十年以上前に自分がデザインしていた雑誌を見付けたので、記念に買って行くかと引き出したところ、どれも二千円オーバー!ぬぉっ!と驚き購入をあっさり断念する。角川書店「月刊カドカワ 総力特集cornelius」を購入。

ブラブラ歩いて「小宮山書店」(2010/05/06参照)の100均文庫台で、春陽堂日本探偵小説全集「短篇集 山田風太郎 夢野久作」(カバー無し)文春文庫「東西ミステリーベスト100」岩波新書「パリ1930年代/ルネ・ドゥ・ベルヴァル」を購入。さらに『白山通り』の「日本書房」(2011/08/24参照)店頭台で、あまり見かけないぽるぷ出版名著復刻シリーズの「平戸廉吉詩集」「丸山薫詩集 帆・ランプ・鴎」を計800円で購入する。
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2014年02月24日

2/24埼玉・蕨 武蔵野書房 わらび店

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事故から復旧した京浜東北線で、蕨駅東口。北側からロータリーを回り込んで、シンプルに『飲食街』と大書され、飲み屋の古い看板広告をぶら下げたゲートを潜る。飲食店と風俗店が眠る、正午のビルの裏通り。真っ直ぐ北に抜ければ、陸橋の下り口が目の前に横たわる。その土台の横っ腹に空いた、小さなトンネルを首を竦めて通り抜けると、そこは『市役所通り』の北側である。すぐ東にある『蕨陸橋東交差点』で北の街中に入り込むと、50m弱で左手に集合住宅一階のお店を発見する。看板には『古本・DVD・グッズ・etc』とあるが、外観からすでにお分かりのように、アダルトを主力とするマイナーチェーン店(東川口2010/0412&「西浦和店」2010/07/28参照)である。しかしそれでも古本は売られているのだ!と駐車場を突っ切り、少女漫画ばかりが並ぶ100均棚を見やり、看板の隣りに取り付けられたお面のような南洋系の民具を見上げ、アインシュタインのポスターが貼られた扉を開く。まだお店を開けたばかりの静かな店内。そこは、奥の広大なアダルトゾーンをカモフラージュするための、前室的な小さな空間で、ここに普通の古本も並んでいる。右に顔を見られることなく精算出来る帳場があり、そこにはアダルト&アイドル系の本・DVD・ビデオが集まる。入口左横には美少女コミックの棚があり、左壁の一本が単行本と文庫本に割り当てられている。並びは新しめ&一般的で、値段は定価の半額。壁棚残りと奥壁はコミックが並び、狭いフロアには映画DVD棚・写真集ワゴン・100均文庫&コミック棚が置かれている。一瞬で見終わり、時代劇文庫の列からどうにか一冊を選び、事無きを得る。文春文庫「徳川慶喜家の食卓/徳川慶朝」を購入。

しかしこれでは当然の如く物足りなさ過ぎるので、西口にタッタカ抜け出て、久方ぶりの「旭書房」(2010/03/30参照)。店主がお客さんと激し過ぎる詰将棋バトルを展開しており、その会話を耳にしながら深みのある店内をゆっくり一巡。旺文社文庫「まぼろしの記/尾崎一雄」「憂い顔の騎士たち/小島信夫」を計600円で購入する。帰りの車中で、往きには閉まっていた「古書なごみ堂」(2010/02/12参照)に注目すると、あっ!オヤジさんが、今まさにシャッターを開けようとする一瞬が、車窓を左に流れて行った…ちぃ、一足違いであったか…。
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2014年02月22日

2/22愛知・豊橋 Shinnosuke.O

午前から始まるイベント『オカトーーク!』に出演するために神楽坂へ。司会の岡崎武志氏と共演者七人が力を合わせ、古本買いと蔵書の扱いと行方と本棚について話すと、一時間半は光のように過ぎ去って行った。朝早くから聴きに来ていただいたみなさま、ありがとうございました。

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その後、みんなで打ち上げご飯を食べながらも、今日のツアーをどうしよう?と言うことで頭がいっぱいになる。もちろんそんな問題は、神保町に足を向ければ瞬く間に解決するのだが、すでに明日はツアーに行けぬことが分かっているので、今日はどうしても面白い所に行きたいのである…と漠然と考えてムシャムシャ…。ハッ!気が付いたら私は、ひかり号に乗って西に向かっていたのである。午後三時五十八分に豊橋駅着。目標は午後三時から営業を始める『地ビールと古本』のお店である。東口に出て池のある空中広場から、路面電車の走る絶景の『駅前大通り』を見下ろす。いつまでもいつまでも路面電車が行き交うのを眺めていたいところだが、広場の右端から地上に下りて、大通りを東南へ進む。そして『駅前大通り交差点』で南に入り、古い問屋商店を楽しみながら歩いて行くと、道路なのに橋の欄干が設置された交差点。橋の両側には、古めかし同タイプの低層ビルが、アリの行列のように縦列している…これはどうやら用水路を暗渠にして、その上にビルを建てたのである。おぉ!列を成すビルの名は、どれも『水上ビル』となっている!それらに沿うようにして西に進んで行くと、一階は歩道屋根の架かる『大豊商店街』で、駄菓子・花火・玩具の問屋が多く並んでいる。さらに歩き続けると、ビルはC棟→B棟→A棟となり、そのA棟の真ん中辺りの、表にテーブル席を出しガラス窓に本の影を見せたお店に到着する…しかし外観は完全に飲食店なのである!古本を探し求めるだけの身としてはやはり入り難いのだが、もはや躊躇している場合ではないので、木枠ガラス扉の金ノブを回して中へ!右に斜めのカウンター席があり、左にはテーブル席。「いらっしゃいませ」とカウンターの中から、お洒落でハンサムなさかなクン的若者に声を掛けられる。「あの〜、本を見たいんですが…」と言うと、一瞬「えっ」と間が空いた後「大丈夫ですよ。本は全部売り物で、二階にもあります。値段は最終ページに書いてありますので」「ではまず本を見ます」と訳の分からぬ宣言をして、周囲をキョロキョロ。まずは入口両側の窓際に、サブカル・テレビ・東京文藝社の横溝正史など。コミックや風俗も紛れ込んでいる。カウンター上にもビールについての本や、ジャンプコミックス「シティーハンター」…。テーブル席の奥には腰高のボックス棚があり、旅・料理・名古屋・性愛・文学が並ぶ。階段脇には絵本・車雑誌・飛行機などが飾られたボックス棚。階段を上がって夕陽の飛び込んでいる二階へ。テーブル席・ソファ席が揃う中、左壁が一面の木棚になっており、面陳を基本として絵本・アート・コミック・性愛&エロ系写真集・日本文学文庫・写真集(自然・旅・風景)が収まる。古い本はなく、本の数もそれほど多くはないが、コンセプトはしっかりまとまっており、芯の強い棚造りが頼もしい。値段は安め〜普通。二階で実兄より探書依頼されていた、小学館少年サンデーコミックス「漂流教室/楳図かずお」全十一巻を発見したので、安値なのをこれ幸いとがっしり抱えて下に運ぶ。カウンターの上に置くと「購入ですか?」と少し驚いた様子。「ビールも飲まずに本だけですみません」と謝りながら精算する。

さぁ、すぐに東京に戻らねばならぬのだが、やはり豊橋に来たらと駅西口に抜け出して「東光堂」(2010/08/26参照)を急襲。先客とおばあちゃんの話す方言を心地良く耳にしながら、新潮社「気まぐれ美術館/洲之内徹」を760円で購入。こだま号に乗って東京に帰還する。…それにしても車中でつい読み始めた「漂流教室」。何度読んでもド級に面白い!物語が決して色褪せず、その力強さが半端じゃない!と小学生のようにグイグイ引き込まれてしまう…。
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2014年02月21日

2/21取材の帰りに昭島でどひゃっほう!

昼食を摂ってから、もはや締め切りギリギリの、トマソン社リトルプレス『BOOK5』連載『新刊屋ツアー・イン・ジャパン』の取材に出かける。当初は月初めに行った京都で、名店『三月書房』をツアーしようと思っていたのだが、店内でその素晴らしさに改めて目眩を起こし、うまくツアー出来る自信を無くしたあげく、「まぁこの有名店を今更俺が取り上げなくとも…」と怖じ気づいてしまったのである。そんな風にモタモタしていたら、締め切りがギュンギュン接近して来たので、頭を絞ってどうにかあるテーマを思い付き、ようやく今日の取材となったわけである。…そうして訪ねたお店は、私好みの大正解なのであった。壮絶に素晴らしく魂の震えるお店は、探せばまだあるものなんだな…。

手応えのあるお店をツアー出来たことに高揚しながら、帰り道に昭島の「さわやか文庫」(2009/08/29参照)に立ち寄ってみる。
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『古今東西の英知の缶詰』である。突然冷たくなった風に吹かれながら店頭壁棚を必死に眺め、すべてに目を通してから店内へ。下段が見難い文庫棚・単行本棚共に目を通し、一冊を手に掴む。ふと視線を足元に落とした時に、床に積み上がっていた文庫の山が妙に気になってしまう。屈んでゴソゴソ掘り起こすと、おっ1三冊のサンリオSF文庫が出て来た。しかも最終ページに鉛筆で書かれた値段を見ると、すべて50円なのである。さらに一冊を追加し、やった!とニコニコして帳場に向かい、土田世紀の漫画に出て来そうなおやっさんに計五冊を差し出す。しかし値段を確認すると「あぁ〜。これまだ値段付けてないやつなんだよ。整理の途中でね」と笑顔ですまなさそうに四冊の文庫を揃える。「うっ、あっ。そうなんですか。どうりで安いと思いました…。じゃあその四冊は外して下さい」「ごめんねぇ。じゃあ300円」と袋に本を入れる。お金を払おうとすると、店主はちょっと動きを止めて、四冊の文庫を揃えて背を見る。「う〜ん、じゃあこれ、200円200円200円200円の800円でどう?買う?」と突然値付をしてくれた。「あっ、買います。喜んで買わさせていただきます!」と予想外の交渉成立!嬉しいぞ!「いやぁ、いい文庫が入ったと思ってたんだよね」とおやっさんは終始ニコニコ。こちらも本をちゃんと買えたことに、激しくニコニコしてしまう。集英社文庫「文豪のミステリー小説/山前譲編」角川文庫「まぼろしの雪男/谷口正彦」サンリオSF文庫「楽園の崩壊/ジョージ・D・ヴィンジ」「ラプソディ・イン・ブラック/ブライアン・M・スティブルフォード」とここまでは普通だが、実は三冊のうちの一冊は「冬の子供たち/マイクル・ニコイ」(帯付き)だったのである!完全なる“どひゃっほう”です!さらに「ラプソディ〜」に1980年夏の「サンリオSF文庫目録」が挟まっていたのも“ひゃっほう”なのです。と言うわけで計1100円で購入。看板にある通りの『価値ある途中下車』を成し遂げたことに心の底から満足し、幸せになった古本魂を抱えて青梅線で帰路に着く。
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2014年02月20日

2/20東京・原宿 BOOKMARC 原宿

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お昼過ぎに「古ツアフェア@盛林堂」に補充を行う。一旦家に戻り、仕事をひとつやっつけてから、再び夕方に外出。着古して擦り切れた服と、履き潰す寸前の靴で、原宿の駅頭に立つ。おぉ、『神宮橋交差点』の歩道橋が、いつの間にか撤去されてしまっている。見晴らしが良くなり、スッキリした感じになっているが、もう歩道橋の上から一直線の『表参道』を臨むことは出来ないのか…。華やかな人々が行き交うその『表参道』を、東南にサッサと下る。『神宮前交差点』を通過し、歩道橋手前の『旧渋谷川緑道』で北東へ。建物脇のスロープを下り切れば、左岸にお洒落な三階建てのコンクリ建築。一階にファッションブランド『MARC JACOBS』が展開する本屋さんが入っている。ファッションデザイナーのアイデアの厳選を核にして構成した、特殊なお店なのである。期せずして『ブックマート』に名が似ていることはまだしも、同名のリサイクル店があることは、この際内緒にしておこう。もちろんここは新刊書店なのであるが、貴重な古書も並んでいるとの情報があり、慣れぬ原宿くんだりまで調査に来たのである。ドキドキビクビクしながら、大きなガラスウィンドウのお店に接近する…そして何処が入口なのかよく分からないのだが、巨大なガラスの一枚が自動ドアであることにハッ!と気付く。中は女子だらけで、三人の店員さんもまた女子なのである。壁面には大きなボックス棚が張り付き、フロアには平台と背中合わせの面陳棚が二本置かれている。並んでいる本は、ほとんどが大判洋書のビジュアルブックで、写真集・ポップアート・ファッション・ロック・建築・料理・旅・英国・都市風俗・ブローディガン・ケルアック・オーウェル・ブコウスキー・コールハウス・ボウイ…そして古本は、右奥の二本のガラス棚に恭しく飾られていた。「Cowboy Kate & Other Stories」「Rolling Stone誌」「Plexus」、それに逆輸入の篠山紀信や荒木経惟など、写真集や雑誌が中心である。手に取って見たい時はスタッフにお願いせねばならぬのだが、その声は決してノドを上がって来ない。店内を落ち着き無くウロウロして、新刊のトランジスター・プレス「ジャック・ケルアックと過ごした日々/イーディ・ケルアック」を購入。包装は紐の付いた紙袋と肉厚なプラ袋の二重包装。中に入っていた栞が、全長20センチと洋書用サイズなのが痛快である。

とにかく古本があって良かったとホッとしつつも、水の合わぬこと甚だしいので、慌てて池袋に急行し、今日が最終日の『リブロ池袋本店』の「春の古本まつり」に滑り込み、残りの一時間半をズブズブと首まで…いや、頭まで漬かる。途中「立石書店」さん(2009/12/11参照)に無垢な笑顔と共に手を振っていただき、レジで「古書一路」さん(2013/03/08参照)に「ちょっと来るのが遅過ぎやしませんか」と釘を刺される。す、すいません!春陽堂少年文庫「鐵の靴 後編/山村暮鳥」改造文庫「藏の中/宇野浩二」を計815円で購入。
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2014年02月19日

2/19東京・御茶ノ水 Jazz TOKYO BOOKS

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御茶ノ水駅改築工事の準備が、着々と進みつつある。谷底を線路と並行して流れる神田川上には、足場や通路や資材置場が広がり始めている。ホーム西端から有蓋階段を上がる。この鯨の体内のような、カマボコ型アーチが連続する天井は、どうなるのだろうか?『御茶ノ水橋口改札』を抜けて、人々の靴先で丸く擦り減った、石畳を見下ろす。これは、残されるのだろうか?そして後ろを振り返ると、白い矩形のコンクリが眩しい、インターナショナル様式の駅舎が、無機質な表情で昭和初期のモダンさを留めてくれている。これは、リノベーションされるのだろうか?どんな形でそれぞれが残されたとしても、この絶妙な風景はいずれ見られなくなるのだ。今のうちにせいぜい利用して、心と身体にこの空間を覚え込ませておこう…。そんな風に軽く決心し、目の前の交差点を斜めに渡る。『明大前通り』西側の歩道を、多くの学生たちと共にちょっと南へ。すると次の信号手前の白いビル一階に、黒い看板とガラス張りの白い空間が…ここはジャズ専門店『diskunion Jazz TOKYO』。つまりは『diskunion』の定例として、嬉しいことにここでも古本は売られているのである。自動ドアを入ると、ジャズを聴く書斎のような調度が誂えられた階段上がり口。階段を一・二・三回折り返すと、大量のCDとレコードが待ち構えた広大なフロアなのだが、すぐ目の前の左側柱四面棚と、右壁三本の本棚に本が並んでいるのが目に入って来る…入ってすぐとは、とても良い扱いだな。柱の方は二面分は新刊のみだが、後はジャズ雑誌、それに日本ジャズ&ジャズ評論には古本が混ざり始めている。新刊は天からスリップが顔を出しており、古本はビニール梱包もしくはビニールカバーかビニール帯が巻かれ、一緒に値札も貼付けられている。定価の1/3〜半額が基本のよう。右壁棚の一本は新刊で埋まっているが、残りのジャズプレーヤー評伝・ジャズ評論・歴史・ビートニクス・ソウル・ブルース・中南米文学・ブルーノートなどの1/3は見事に古本である。足下や棚脇には『中古書籍箱』もあり。時々思うのだが、『diskunion』全店の古本を掻き集めてお店を一軒作ったら、相当な音楽専門古本屋さんが完成してしまう気がする…。東京書籍「ジャズに生きる ナット・ヘントフ集」を購入。

※お知らせ
2013年12月17日の単行本発売以来、様々な所で拙著をご紹介いただいております。書いていただいたみなさん、それを目にしていただいたみなさんに大いなる感謝を捧げます。私に出来るお礼と言えば、古本屋ツアーを必死に続けて行くことのみ…これからも気を引き締めて邁進して行きますので、何とぞよろしくお願いいたします。そして明日発売の『週刊文春』の『文春図書館〈著者は語る〉』にもインタビュー記事が掲載されます。どんな風に書かれているのか、私もまだ知りません。もし「古本屋ツアー・イン・ジャパンは古本屋に行かずに書かれていた!」なんてスクープ記事だったらどうしよう、などと被害妄想な心配をしております。ぜひとも今週土曜に出演するイベント『オカトーーク』共々、ご覧いただければ嬉しい限りです!
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2014年02月18日

2/18閉店店舗と雪害にあった古本屋さん!

午後からゆるゆる出動して、下北沢から三軒茶屋まで。か細い古本販売のルートをたどろうと試みたら、見事に当てが外れて、寒空の下で途方に暮れる。仕方なしにトボトボ三軒茶屋まで歩いて、まずは「サムタイム」(2008/12/03参照)で岩波少年文庫「オタバリの少年探偵たち/セシル・デイ・ルイス」を300円で購入して景気を付ける。

その後は246号を西に下って行くと、建物自体の解体中で、すっかりもぬけの殻になった「三茶文庫」(2010/09/16参照)を目撃する。
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チェーンの「ブックマート」から、華麗なる独立店舗に転身を遂げたと思っていたら、去年の八月にすでに閉店していた模様。さらに道の先にある「時代や書店」(2009/03/17参照)を訪ねてみると、こちらもすっかり営業は終えている様子。
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ちょっと開いたシャッターから店内を覗き込むと、括られた本が疎らに積み上がっている寂しい光景。そんなすっかり衰えた三軒茶屋古本屋事情に落胆しながら、池尻大橋に移動し「古書いとう」(2008/11/17参照)に潜り込む。
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おっ!探し求めていた中公新書「求道の画家 松本竣介/宇佐美承」を見つけて喜びながら、さらに新潮文庫「頭文字/三島由紀夫」を抜き出し計825円で購入する。

続いては三宿方面に赴き、「山陽書店」(2008/11/17参照)にたどり着くと、あぁぁっ!このお店の名物である、巨大なオレンジ色の日除けが消失している!
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な、なんと先日の大雪で、雪の重みに耐えかねて崩落してしまったとのこと。古本屋さんが、そんな雪害に遭っていたのかと驚きつつ、新風舎文庫「最後の忍者 どろんろん/藤田西湖」を250円で購入。と言うわけで、様々な小ネタでどうにか一日を乗り切ったつもりになる。
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2014年02月17日

2/17東西線で小さな古本市をつないでみる

銀色ボディーで水色ラインの東西線に乗って、西から東へ。

最初は神楽坂駅で下車。『出口1』から坂の途中に出て、東に神楽坂を下って行く。結構歩いて『大久保通り』を越すと、今度は上り坂。しかし右手一本目の脇道をすぐに南に入ってしまう。割と栄えた坂道の裏通りで、ほどなくして右手に『ギャラリー・ショップ+カフェ temame』の白い立看板を発見する。現在『本の時間、お菓子の時間展』の中で、小さな古本市が開催中なのである。看板の矢印に従い、ビルの細いアプローチから、さらに崖下の狭い裏庭の如きスペースに入り込み、最深部へ。すると白い鉄扉と日陰のサンルームのようなお店にようやく到着。
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ガチャリと中へ上がり込むと、ギャラリーカフェと言うよりも、お洒落な雑貨屋さんの雰囲気が強い。入ってすぐの右壁下に九つの木箱が並び、そこに古本が並んでいる。出店者はプロアマ混合だが、どれも一箱古本界で名を馳せている方々である。食・料理・暮らし・歳時記・女流作家文学・詩集・海外文学などの文庫・単行本・ムックがメイン…と言うわけで、こりゃ畑違いの身としては厳しいかなと思っていたら、教養文庫「武蔵野/上林暁」を100円で見付けてしまう。やはりどんな所でも、足を運んでみるものだなと実感しつつ、余勢を駆って店内の棚も眺めて行くと、ワッフル造作のブックカバー・ペンケースなどに魅入られてしまう。仕方なく古本と共に、丸いコインケースを購入。市は22日の土曜まで。

坂を下り上りして駅へ戻り、再び東西線でさらに東に向かい、今度は東陽町駅で下車。西改札の『出口1』から地上に出て、巨大な『永代通り』を西に進み、交差点を超えて公園をやり過ごし、最初の脇道を北に入る。すると右手のマンション一階に、ガラス張りのスマートなレコード屋さんを発見。
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現在ここでは「下町ハイファイ古本市」が開催中なのである。市は定期的に開かれているが、今回は『追悼・大瀧詠一展』と同時開催なので、その方面の本が多く集まっていそうな予感。店内はシンプルで、抑制の効いたインテリアとディスプレイが緊張を強いる大人な空間である。古本は左側の帳場前に、木箱に入れられ固められている。現在ひとりの男性が、ジャズ喫茶のマスター的店主とお話しながら、音楽本をドシドシ補充している。他の九つの箱には、東京・歌謡・音楽・大瀧詠一&ナイアガラ・映画・落語・役者・小林信彦・青島幸男・都市文化&風俗など、それぞれが違う箱なのに、七十年代をキーワードにしてまとまりを見せている。こちらも一箱猛者とプロが出品中の模様。市は来月3/16まで。岩波書店「アンパンマンの遺書/やなせたかし」を購入する。

帰りも当然東西線で、路線名通りに東から西へ進んで行く。中野で暗闇から地上に飛び出すと、卵色の夕焼けが、車内を明るく照らし出す。ここが、東西線のクライマックス!
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2014年02月16日

2/16愛知・星ヶ丘 物々交換コレコーレ

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古ツアフェアの一月売り上げ遠征第二弾は、天気が荒れ模様の東北と信越方面は避け、早朝の東海道線で地味に西へ向かう。小田原を過ぎると雪はほとんど姿を消し、日射しが暖かで春の匂いを少しだけ感じさせてくれる。しかし浜松を過ぎたあたりで、次第に風が強くなり始め、ダイヤを乱れさすほどの強い風が吹き荒れて行く。結局七時間半で名古屋着…青春18きっぷでもないのに、普通列車を乗り継いでここまで来てしまった…我ながら愚かな行動だと思う。市営地下鉄東山線に乗り換え、二十分ほど名古屋の地下を疾走する。『5番出口』から地上に出ると、大きな二叉路の坂の途中で、東に大きくうねりながら上がって行く大通りに足を向ける。高く大きな建物が並ぶ、ニュータウン的風景が圧し掛かって来る。坂道を上がり切ると、道は同様にうねりながらの下りとなる。『名東本通』の一丁目〜四丁目を軽快に走破すると、一キロ強来た『名東本通五交差点』の右手に、街からちょっと浮かび上がった明るくジャンクなお店が姿を見せた。何でも取り扱うリサイクルショップなのだが、店頭には無料の物や5円の物が早々に並び、ちょっと普通では無い感を醸し出している。『事情があって大幅値引き』『何が起こるかわからない』などの惹句と共に、左端に『洋書ガレージ』『洋書・輸入雑貨どれでも200円』などの看板が…洋書か。しかし何はともあれ、古本が売られているのに変わりはない。そう自信を持って店内に突入する。一階・中二階・二階に、家具・インテリア・古道具・骨董品・雑貨・米軍放出品・古着・甲冑などが和洋に渡って溢れ返り、一言では形容出来ぬほどの迷路の如き通路が入り乱れている。そんな八幡の薮知らず的通路に、端から一本一本丹念に分け入り、上下左右を見回して古本のある風景を探し求める。すると最奥の隠れたような細い通路に、大量の200均ペーパーバックやレコードと共に、文庫棚を一本発見!30円均一で、中途半端に古い需要の無さそうな角川文庫が多く並んでいる。そこから苦しみながらどうにか一冊抜き取る。その他には、天井の低く薄暗いアメリカコーナーで、二段分の映画パンフレットと、見たことも無いアメリカ雑誌群に遭遇。続いてもはやそれほど期待せずに二階の調査へ(中二階は畳敷きの和コーナーである)。ほぼ古着ばかりのフロアだが、階段上がり口の裏側に、もはや古着に隠されてしまったような海外文学文庫棚と、新書・教育・文学(丸谷才一・五木寛之)の列も発見する。だが食指はやはり動かず…。古本はあることにはるが、どうにも燃え上がらぬ棚となっている。しかし値段だけは激安である。角川文庫「コブテン船長の冒険/矢野徹」を購入する。

お店を出て、坂道を上がりながら考える。せっかくここま来たのに、お店の実態は調査出来たが、古本心がとても不満足だ。せめて帰りつつも何処かに寄れたら、と考える。そうだ、覚王山には古本カフェがあったはず…しかし調べてみると一週間のお休み中…何たる不運。地下鉄に乗り込み、栄あたりで古本屋を探そうかと考えるが、そう言えば伏見に笠寺から移転して来た古本屋さんがあったはず!とそちらを目指すことにする。三十分後、当該住所に到着すると、お店の姿など影も形も…おかしい…焦りながら不審に思い、もう一度詳しく調べてみると、何と足下に広がる『伏見地下街』にあることが判明する。“地下街の古本屋さん”とは、燃えるシチュエーションだ!興奮しつつその地下街への入口を探すが、何故か何処も鉄柵が閉められている。ぐわっ!日曜・祝日は休みなのかっ!そんな地下街があるものなのかっ!階段途中の柵を両手で掴み、地下から吹き上がる生暖かい風を顔に浴びる。俺は、この地に、読むかどうかも分からない30円の文庫を、ただ買いに来たと言うのか…くそぅ、次の青春18きっぷで、この借りをこの地下街に必ず返してやるっ!
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2014年02月15日

2/15東京・中野 まんだらけ海馬

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朝から、外に積もった雪を見ながら仕事していると、外へ出かける気が、段々と失せて行く。いわゆる“雪の日”は、雪が降っている時に外出するのが、一番魂が燃える!見慣れた景色が、薄く白く変化する興奮!しかし雪が止んでしまえば、もう後は融ける一方で、いつもの景色が戻って来るばかりなのである…手を動かしながら、幼稚な雪への幻想に溺れていると、一通のメールが古本神・森英俊氏より届いた。本日、『中野ブロードウェイ』4Fの「まんだらけ大予言&記憶」(2008/08/28参照)がリニューアルし、「まんだらけ海馬」として生まれ変わったとのこと!“海馬”か…ついにその欲望のすべてを、頭蓋内にすっぽり仕舞い込んでしまったのだろうか…。たるんでいた気持ちを立て直して、ビシャビシャの雪を足裏全体で踏み締めて、中野へと急行する。人波を擦り抜けて前進し、ブロードウェイに到着し、エスカレーターと階段で4Fへ。古本神は『雪のせいでお客はまばら』と言っていたが、今は夕方の四時で、割といつもの人出となってしまっている。南側からお店にアプローチを開始する。右側三つのショウウィンドウは、以前とさほど変わらずプレミア・ジュブナイルの品揃え。ただし奥の本棚が、全集やシリーズ本揃いの棚になっている。左のプレミア写真集&作品集&絵本ゾーンは変化ナシ。その先の元「大予言」も店内はそのままだが、通路に面した長い壁棚に変化が認められる。新入荷本と日本文学文庫棚はキープされているが、新たに単行本と大判本の105〜525円棚が出現。105均文庫棚も拡張気味に見える。オープンサービスなのか、ちょっといい本も固まっている。そこから二冊スパッと抜き取り、背後である右側を振り返る。やや!従来の店舗スペースが、北側に二倍になっているのか!しかしお店はぶち抜かれているわけではなく、それぞれ三方を壁棚とガラスケースで覆い、フロアに横向きの背中合わせの棚を二本並べている状態。中野駅側から見て行くと、ガラスケースにはグラフィックやアート関連のプレミア本が飾られ、山名文夫の図案集に羨望の眼差しを送ってしまう。フロア棚にはタレント本と性関連。真ん中通路は音楽・絵本・児童文学が集まり、奥は写真関連本と写真集。右壁にはアート・ファッション・建築が収まる。奥のニュー店舗に移動しよう。ガラスケースには完全に目の毒な輝かしいジュブナイル、それに『伝奇ノ匣』シリーズやプレミア芥川&直木賞なども飾られている。向かいには毒々しいサブカルチャーが並び、真ん中通路はとにかくポプラ社!のジュブナイルと、探偵推理・怪奇幻想・SFの以前からの充実ゾーン。奥は春陽文庫・コバルト文庫・ソノラマ文庫・秋元文庫・ハヤカワミステリ&SF文庫・創元推理&SF文庫が集合。ガラスケースには暴走族写真集とキャロル関連がギラギラと飾られ、横の小さな本棚には寺山修司・澁澤龍彦・植草甚一・山口瞳・小林信彦.竹中労・田中小実昌が並ぶ。右壁には、大衆&純文学古書・海外文学・本&古本関連・日本文学・文学評論となっている。マニアック度は変わらず値段もしっかりだが、蔵書量がちょっと増えてより見易くなった感じで、何だか小物には嬉しいスキありがあったりする。とにかく何はともあれジュブナイル!探偵推理冒険SF!…それらをヨダレを垂らして眺めただけで、ソノラマ文庫「蜃気楼博士/都筑道夫」中公文庫「黒岳の魔人/角田喜久雄」角川ホラー文庫「人外魔境/小栗虫太郎」を購入。しかしこれで『中野ブロードウェイまんだらけ化計画』が、より一歩進んだことになるな…。
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2014年02月14日

2/14東村山の柳の下に二匹目の泥鰌はいるのか?

やはりもう一度行くべきだろう。昨日からその思考に囚われていたので、朝から降り続けている雪を幸いとして、再び東村山「なごやか文庫初売り大古本市」(2014/02/09参照)に向かう。初日の衝撃が忘れられず、そろそろ本も大きく入れ替わっている頃だし、この雪ならライバルも少ないだろうし…そうあやふやに確信して、ちょっと遅めの午前十時半に会場着。
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が、しかし!会場ではすでに数人の古本修羅が活発な活動を行っていた!…うぅ、甘かった。なんてスゴい人たちなんだ。しかしそうは言っても、さすがに少人数。気を取り直し、ゆっくりじっくりと、二匹目の泥鰌を求めて、棚と島を見て回る。だが今回ばかりは、現実が妄想を上回ることはなく、ほどほどの本たちを手にして行く。平凡社「江戸川乱歩全集 第七巻」(函無し)桃源社「山田風太郎奇想小説全集6 虚像淫楽」琉球文庫「琉球の伝説集/石川文一」(怪談率高し!)講談社現代新書「モスラの精神史/小野俊太郎」草思社「ビートルズ革命/ジョン・レノン」を計1760円で購入する。
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車窓の雪景色を眺めながら、西武国分寺線で南下し、国立駅に出る。もはや閉店してしまった「谷川書店」(2009/06/22参照)を弔いに行くためである。お店を最後に訪れたのは、特典ペーパー『禁断のトラウマ古本屋ツアー!!』作成時の2013年10月。その時に、『精算時に激しく咳き込んだフリをして、オヤジさんの執拗な仕入れ話を回避する』と言う新技を編み出したのであった。今やその技を使う場所は、この地上から消滅してしまったのである…。旧店舗前に到着すると、ガラスの向こうはがらんどうの立方体的空間。そのガラスに力強く残った店名が、本の並ぶ面影を少しだけ思い出させてくれる。長い間、おつかれさまでした。
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乱れ気味の中央線で東に移動し、西荻窪駅で下車。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にて、先日補修のために預けた龍膽寺雄「虹と兜蟲」を受け取る。おぉ!背が出来てる!函が堅牢に形を成している!パラフィンが掛かっている!本の出し入れもスムーズだ!と大いに喜ぶ。これで本が壊れるのを心配せずに、心置きなく読みふけることが出来るんだ!ついでに印刷所から届いたばかりの盛林堂ミステリアス文庫「船長ブラスバオンドの改宗/バアナアド・ショオ 松村みね子訳」(新刊)をフライングゲットする。
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※お知らせ
神楽坂で行われる本のお祭り『第3回神楽坂・レラドビブリオテック』でのトークイベント、『「オカトーーーク!蔵書の苦しみ芸人」』に、一日限りの芸人(?)として参加いたします。錚々たるメンバーが壇上に上がりますので、お話はそちらにお任せして、私は終始ニコニコしていようと思います。来週末は雪は降らないと思いますので、ぜひ神楽坂へおいで下さい!

●日時:2月22日(土)
●時間:11時受付 11時30分開始〜12時40分まで
●場所:日本出版クラブ会館 東京都新宿区袋町6
http://www.shuppan-club.jp/
●参加費:1500円
●参加メンバー:司会/岡崎武志 蔵書の苦しみ芸人/Mr.ミス古書(野村宏平)、ふぉっくす舎(根岸哲也)、散歩堂(水野喜之)、ミタカノホンダナ(北條一浩)、石英書房、白鬚亭(磯貝一)、古本屋ツアー・イン・ジャパン(小山力也)
書評家・古本ライターの岡崎武志さんを中心に、蔵書の苦しみ芸人が勢揃いする、ブックトーク・バラエティ「オカトーーーク!」2回目の開催となります。「蔵書は苦しみでもあり楽しみでもある」と言う、蔵書芸人の方々に登場していただき、苦しみっぷりをお話していただきます。新年本の福笑いということで、出演者と参加者一同で、笑って泣いて福を招きましょう!
●参加申し込み受付中!
リコシェまでメール送信お願いします
rico-info@ricochet-books.net

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2014年02月13日

2/13神奈川・上溝 博蝶堂書店 相模原3号店

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京王線で西へ向かい多摩地区に差し掛かると、先日の雪がまだだいぶ残る半銀世界。橋本駅から相模線に乗り換え、二駅南に下ると、その印象は増すばかりである。丘の中腹の単線ホームから東口に出て、四方八方に通路を延ばす複雑な歩道橋を駆け上がる。駅の北西にはこんもりとした森があり、丘の斜面に様々な競技施設が集まる『横山公園』となっている。そちらを目指して雪の残る歩道橋を渡り、雪の残る公園の周縁に到る。その公園の東側に沿って、カーブを描きながら続く坂道『横山公園通り』に入り、冷気を漂わせる公園に震えながら丘の上を目指す。坂道を上がり切ると、丘の上に住宅街の広がる『横山公園入口交差点』。直進せずに西に進み、『横山交差点』で賑やかな県道を北へ。丘の上に街が栄えているのを感じながら200m弱進めば、右手白い三階建て集合住宅一階端に『古本 DVD』の看板を発見した。東京・神奈川の多摩地区に、ひっそりと雑然とアナーキーに根を下ろす古本チェーン「博蝶堂書店」の一店である。一年前に発見した「相模原2号店」(2013/02/01参照)同様、まさか現存しているとは思わなかった…大変失礼いたしました!真っ赤な店名看板の下には、右にセクシー女優ポスターの貼られたサッシ扉、左に日に焼け過ぎて白骨のように白くなった50均文庫棚と、背の擦り切れた単行本の入ったワゴンが置かれている。白化した文庫を一冊手にしてから中へ。さほど大きくはないが奥に細長く、左側にアダルト通路を隠している。左側に海外文学文庫・コミック文庫・100均日本文学文庫&時代劇文庫。右壁はアイドル写真集から始まるコミック棚となっている。奥の帳場ゾーンに近付くと、左に一般文庫棚と単行本棚が並び、向かいの壁際にも単行本棚が二本。そしてレジ横に100均新書棚も一本置かれている。単行本は、文学・歴史小説・実用・カルチャー・ノベルス・全集がカオスに混ざり合い、古めの本もちょこちょこ出現する。値段が安めの、アダルトメインの雑本店である。しかし古本は意外としっかり集められ、棚も朽ちている感じはしない。丸めの渡辺竜王的店主に精算していただく。ちくま文庫「田中小実昌エッセイコレクション6 自伝」中公文庫「聞書抄/谷崎潤一郎」角川ホラー文庫「ホラーコミック傑作選 第1集 HOLY」を購入。帰りは『横山公園』を縦に突っ切って帰るつもりが中で迷いまくってしまい、途中寒空の下のベンチで将棋を指すオジさん軍団(四局同時進行)に度肝を抜かれる。駒を指す高く乾いた音が、冷気と共に鋭く耳に伝わって来る。
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2014年02月12日

2/12東京・西荻窪 西荻 イトチ

電車に乗って正午前の西荻窪。もはや週一ペースの『古ツアフェア@盛林堂』補充を行う。そして店主・小野氏に、東村山で手に入れた“どひゃっほう本”の補修&修復を相談。時間は掛かるが、どうにか直せそうとのことなので、そのまま本を預けることにする。果たしてどのような姿で甦るのか、今から楽しみで胸がはち切れそうになってしまう。

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お店を後にして、駅北口。ミニスクランブル交差点を渡り、高架を右側に意識しながら『西荻シルクロード』ゲートを潜り、ビルの谷間を東に歩んで行く。ダラダラと直線に300m強進むと、左には塀に囲まれ、高々と空に伸びる小さな鎮守の杜と小さなお社。高架側には似たような商店や事務所が並んでいるが、その始まりに小さいカフェのような、シックな紅茶屋さんが待ち構えていた…ここか。想像はしていたが、やはり入り難いな…。「mondobooks」(2013/06/01参照)ヨンネさんからの、難度の高いミッションとなるであろうタレコミなのである。ドア横の黒板には『ひなこけし展開催中』と書かれている。女子度の高さに、困惑する中年男が路上にひとり…。白枠のガラス扉から、見え難い店内の様子をどうにか探ろうと覗き込むと、ムーミンのミィのような女性店主と視線が合ってしまった。もはやこれまで、とそのまま軽い扉を開けて細長い店内に入る。まずは壁に紅茶葉が並ぶ細い通路と、右にガラス張りの厨房。ここでロシアンティー(ジンジャージャム)を注文して奥へ進む。右にこけしグッズ台、左には壁沿いに並ぶカウンター席。そして奥にテーブル席と木の本棚がひとつ置かれていた。本棚の横に陣取り、紅茶を待ちつつ並ぶ本に視線を注ぐ。出品しているのは京都「マヤルカ古書店」と益子「はなめがね本舗」(2012/04/14参照)…つまりは元同ユニットの二店なのである。四段の本棚に、こけし・紅茶・お菓子・英国の判り易くシンプルなジャンルが並ぶ。それにしても“こけし”はスゴい。ガイドブックはまだしも、「こけし時代」と言う冗談のような立派な雑誌や、こけし小説までが地味に輝いているのだ。冊数は少ないがウンウン感心して、白い壁に向かって唸りながら、ジンジャージャムをどっさり入れた紅茶を啜り、胃の腑と身体を熱くする。しかしそれにしても、あまりのジャンル違いにまったく手が出ない。紅茶を飲み干して、何も買わずにお店を出てしまう…すみません!

ジンジャーをエネルギー源として燃焼させ、スタスタ西へ足を向け『北銀座通り』を越えて、ご無沙汰していた「なずな屋」(2010/08/25参照)へ。國有鐵道札幌地方営業事務所「駅名の起源」創元推理文庫「綺譚集/津原泰水」を計1850円で購入する。「駅名の起源」は、いつになるかは分からぬが、次の北海道行に携えるべき一冊である。そして店主から楽しみにしているフリーペーパー『すだより 平成二十五年 遅呟号』を頂戴する。スローを超えた、手作りのスーパースロー古本屋ライフペーパーである。今回は平成二十五年の上半期について、柔らかに緩やかに書かれている…果たして下半期はいつ出るのであろうか?こちらも緩やかに待ち続けることにしよう。
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2014年02月10日

2/10東京・神保町 崇文荘書店

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『駿河台下交差点』から『靖国通り』南側歩道を東へ。この交差点を渡ると、『本の街』から『スポーツ用品の街』へと色が変わるが、それでもこちら側にも何店かの古本屋さんは存在している。東へ進むとすぐ現れるその内の一店は、雰囲気のある洋古書専門店である…いつまでも苦手意識を拭うことの出来ない、アルファベットだらけの、大きな本だらけのお店なのである。ビルに挟まれた三階建ての小さなお店で、軒には豪快な漢字看板文字が取り付けられているが、その脇には瀟洒な鉄製飾りから半立体の本が飛び出す『OLD RARE BOOK』の看板が下がっている…可愛いな。赤い日除けの下には格子のショウウィンドウがあり、重厚な全集やレア本を飾っている。しかしこの時点でちょっとだけホッとするのは、主だった本には手書きの日本語説明が付けられていることである。これがあれば、英語を解せぬ者としては、少しだけ洋書が見易くなる。とは言っても店内の本に手を出す気はさらさらナシ。店頭のスチール棚と青いプラ箱群に入った安売り洋書(500〜1000円ほど)から選び出し、店内へのパスポートとするつもりなのだ。分かり易いのはディズニーのビジュアル本だが、これはない。なるべく小さな版型の本が好ましいなと、大きな本と本の間に落ち込んだような本を次々手にしてみる。そして選んだのは、エリオットのエッセイ集。値は500円と安く、純粋な洋書ではなく、日本語が所々に混ざる、日本の出版社が出したものなのである。本の丸背を掌で包み込み、店内へドアチャイムを鳴らしながら堂々と進む。うわっ!入った途端に、二階への階段が視界に飛び込んで来た!…アウェイの上に、強敵じゃないか…。左に大判のビジュアル本が並び、右には全集の収まる巨大なガラス戸棚が。今は階段を黙殺して奥へ進むと、細長く天井が高く、棚も背高な空間。見上げると、棚の上段二段分には細い鎖がチャラリと渡されている。初めて見る状態だが、落下防止のためか、それとも未整理ゾーン区分のためか…?階段の裏には帳場があるが、人の姿は無く、代わりに奥の作業場に大学院生的風貌の男性がひとり。ペーパーバックなどライトな本は見当たらず、学術系の本が多いようだ。懸命に棚のジャンル札を読み取ってみると、歴史・政治・哲学・オカルト・キリスト・経済・言語・ギリシャ&ラテンなど。棚に一度も手を伸ばせずに、無様に通路を一周だけして早々に二階へ。狭い階段に足を掛けると、すぐに一階とは雰囲気が変わり、ビジュアル&文学&レアの薫りが漂い始める。階段を左に巻き上がりながら、額装された地図や楽譜や挿絵や金網の向こうの全集に戦き階上へ。細い廊下のような階段室の壁棚には、アート・ピクチャーブック・スポーツ・ホビーブック…と奥に引き込まれて行くと、突然時空が一変!私はいつの間に外国に来ていたのか!一階と同じく細長い空間だが、アンティークな本棚と調度類・ガラスケース・スーツ姿の老紳士!まるで館の中の書斎のような、西洋の古本屋さんが目の前に出現していた!するとそこに颯爽と現れた、ハンチングを被ったジェームズ・コバーンのような外国紳士。二人は英語と日本語を混ぜこぜにして、ブロークンに大雪にについて話し始めた。…い、イカン!ここは私がいるべき場所ではない!ガラスケースの古そうな豆本をチラと見てから、壁棚の山岳・書誌学・文学(コナン・ドイルの原書がたくさん)…奥のガラス扉の本棚には、大量に暗く豪華な本が並んでいるが、近付くことも出来なかった…。気配を殺して一階に下り、奥にいたお兄さんに精算をお願いする…ふぅ、寿命が縮まる思い…。研究社「ESSAYS BY T.S.ELIOTS」を購入。

雪掻きした雪の残る神保町をうろつき、森英俊氏にバッタリ会ったりしながら、魂を取り戻すように本を何冊か買う。「東京古書会館」(2010/03/10参照)の『第119回新宿古書展』も覗き、講談社文芸文庫「白と黒の造形/駒井哲郎」中公文庫「大阪自叙伝/藤沢桓夫」青磁社「仙境 丸山薫詩集」を購入。レジにいた「古書現世」(2009/04/03参照)向井氏に挨拶をし、神保町を離脱する。
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2014年02月09日

2/9初売り大古本市にて龍膽寺!新青年!写真帖!

まるで遠くに旅立つように早起きをして、融け始めた雪道をスタコラ歩き、まずは都知事選挙をスッキリ済ませる。再び雪道をスタコラ歩き、ちょっと遠い西武新宿線駅鷺ノ宮駅へ。そこから電車に揺られて二十分、東村山駅に早くも到着する。時刻は午前八時四十分。今日から一週間続く「なごやか文庫初売り大古本市」(2013/02/12参照)の初日を急襲するための素早い初動なのである!またも雪道をザクザクと会場へ急ぐと、おぉ一番乗り!…と言うか誰もいない…どうしたのか?…うわ!開始時刻は午前十時からであった…何故俺は、午前九時からだと勘違いしていたのだろうか?仕方なく一度駅へ引き返し、喫茶店で時間を潰すことにする。途中、右足後ろが冷たく濡れているのに気付く。見ると、ブーツの一部が裂けてしまっていた…朝これを履く時、無理矢理足を突っ込んだ時にした『バン!』の異音の原因はこれか…時間を間違え、ブーツが壊れていることを知り、少しへこみながら改札横のお店に籠る。昨日の続きである「白の恐怖」を読み続け、午前九時三十五分にお店を出て、再び同じ道をたどって会場へ…うわ!もう人が並んでるじゃないか。慌てて列の最高尾に着き、静かに会場の時を待つ。いつもの店舗は、児童文学・絵本・CD・ゲーム・コミックの売場となっており、奥の大ホールがメイン会場である。私の前に並んでいるのは十人ほど。良し、文庫や単行本は捨て、突入と同時に右側手前奥にある古書棚を攻めることにしよう。そう簡単且つ単純な作戦を決めて、視線を宙にさまよわせる。「開場は午前十時です。それより前に開けると、十時ちょうどに来た方々に叱られたりしますので。時報が鳴ると同時に開場します。決して慌てず、走らないでくださいね〜」とスタッフがアナウンスする。そして、ピッ・ピッ・ピッ・ピ〜ン!列が、木床のホールに吸い込まれて行く。入室すると同時に、右へ。幸いライバルはほとんどいない。ペーパーバック棚の前を過ぎ、奥の茶色い本ばかりが並ぶ二本の棚に、高速で視線を走らせる。すると一番最初に引っ掛かったのは龍膽寺雄!迷わず引き出し、とにかく第一の大きな収穫を手に入れられたことに安堵する。他にも一冊掴んで、隅の捨て置かれているような箱も覗き込んでみる。すると美術全集の下から「新青年」!第一次世界大戦の写真帖!と大物を手にして、激しく大興奮。古書コーナーを堪能した後は、ゆっくり背後の古本巨大島二つと、壁棚を見て回る。しかし最初の三冊で、もはや古本心は大満足していた模様。それでも高揚しながらしつこく色々見て回り、およそ三十分の戦闘を終え、精算に入る。古書は200円均一なのが激しく嬉しい。改造社「虹と兜蟲/龍膽寺雄」(函コワレ、背表紙ナシ…ひどい状態だが、修復をあの人に相談してみるか…)博文館「新青年 第十七巻 第二號 昭和十一年二月號」(海野十三『深夜の市長』連載第一回が!)興成館書店「世界大戦写真帖」相模書房「日本の民家/今和次郎」ダヴィッド社「芸術としてのデザイン/ブルーノ・ムナーリ」ランティエ叢書「スコッチと銭湯/田村隆一」青樹社「事件記者/島田一男」を計1360円で購入する。続いて児童文学コーナーにも突入し、小学館の保育絵本「きしゃでんしゃ」「のりもの うみ そら りく」を計120円で購入する。市は16日まで。入れ替わり本をチェックするために、もう一回くらい見に来ても良いのかも。
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帰りに花小金井駅で途中下車し、『GAS MUSEUM』で開かれている「安治の描く江戸東京」を見に行こうとするが、何と最寄りの場所まで行くバスが運休!重い古本を持ちながら、長時間雪道を歩くのはツライので、おとなしく引き上げることにする。あぁ。白い雪が、とても眩しい…。
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2014年02月08日

2/8日和って雪の阿佐ヶ谷をパトロールするに留まる

目覚めると予報通りに雪。外からは、積もった雪をベシャバキ踏みしだく、車の音だけが聞こえて来る。蓑虫のように布団に依存しながら、ゴロゴロゴロと午前中を過ごしてしまうが、午後に『せめて一冊は古本を買っておかなければ』と覚悟を決めて、たっぷり防寒を施し、ズボンの裾ををブーツの中にたくし込み、白銀の世界へと出動する。しかし向かったのは、去年の雪の日(2013/01/14参照)に向かったお店と同じ、阿佐ヶ谷「古本流通センター」(2008/08/09参照)へ雪中行軍。右足ブーツの先に小石の異物感を感じ取るが、雪の中で脱ぐわけにはいかないので、イライラしながら歩き続ける。すぐにたどり着いた店前は、一年前とまったく同じ、デジャブのような姿で雪にまみれていた。
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しかもちゃんと開いている!積雪のために、店内が少し低くなっているように感じながら、冷たく静かな店内へ。通路には自転車と店頭台が押し込まれ、しばらくするとご婦人が奥から姿を見せた。「あら、今日は半分開けてる状態なんですが…ご覧のように、色々入っちゃてるでしょ」「あ、見られる所だけで良いんで、見せていただければ」「ハイ。それでも良かったらどうぞ。あら、雪が大変!」…去年も同じような会話を交わした気がする…。今回の店内は、あまり棚が動いていない模様。もしかしたらこのお店で古本を買っているのは、私だけなのかもしれない…。そんな中でも三冊を選ぶと、「あら、古い本。読まれるんですか?」「いやだ、高い値段が付いてるわ。安くしなきゃ」と本を拭き拭き「じゃあ三百円で」「ありがとうございます!」と、新潮文庫「若きエルテルの悲み/ゲエテ」岩波文庫「ねぢの廻転/ヘンリ・ヂェイムズ」NIKKAN BOOKS「星野仙一のすばらしき野球野郎」を購入する。入口で見送ってもらいながら、「こんな雪の中来ていただいて。おまけに本まで買っていただいて。これで食べて行けます」……大げさです!

この後は、興に乗って、雪の中を散策。しかしやはり、古本屋さんは何処のお店も閉まっているようだ。そんな風にして街を南下していたら、いつの間にか北口の、アーケードがあっても細かい雪がビョウビョウ吹き込んでしまっている商店街の「千章堂書店」(2009/12/29参照)に到着。お店の両側をシートで守っているが、そこには雪が細かく吹き付け、砂糖菓子のようになってしまっている。
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営業を感謝しながら、右側通路左下片隅の海外文学文庫コーナーで角川文庫「マルドロールの歌/ロートレアモン」(しっかり帯付き)を200円で発見し、小喜び。これで引き返す決心が着く。よし、家に無事に帰り着いたら、昨日買って来たお酒『地球侵略』で身体を温めながら、鮎川哲也「白の恐怖」を読み進めることにしよう。雪の中の軽井沢で起きる連続殺人事件…大雪の日の読書に相応しい一冊ではなかろうか。
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2014年02月07日

2/7福島・須賀川で新生と閉店を見る

本当は土曜に行こうと思っていたのだが、明日は朝から大雪だと言うので、その予定をでんぐり返し、北へ!久々の福島県須賀川駅前に出ると、いつの間にか須賀川市が『M78星雲 光の国』と姉妹都市になっていた、衝撃の事実を知る!さすがは円谷英二を生んだ街(『須賀川追記』2011/06/04参照)!おまけに水晶の結晶群から空中に飛び出しかけた、やたらに筋肉質のウルトラマンモニュメントまで設置されていた。ぜひともこのまま、この市には突っ走って欲しいと願い、駅前を後にする。

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●須賀川「古書ふみくら」
2011/05/21に訪れた時のように、『駅前通り』を南に下って、釈迦堂川を越え、坂を上りながら須賀川の街へ入って行く。街並は三年前とは違って、軽やかな新建材ですっかり新しく装われていた。風が強く、広い空に細かに丸まるちぎれ雲が流れる様は、カネゴン誕生時の空の様。一キロ強南進し、見覚えのある交差点に差し掛かると、左手に大きなカステラのような直方体の、新しく生まれ変わった「古書ふみくら」が見えた。これはもう、すっかり新しく建て替えたのか…。側壁上部と正面左側に簡素な店名看板が架かり、正面には取扱品目と買取品目が細かく明記されている。早速中へ入ろうとするが、引戸が動かない…ヤバい!と少し慌てるが、取っ手の中のボタンを押し込んでから戸をスライドさせる、新式の引戸であった。店内は天井が高く、それに合わせてか棚も高く、かなり上にも本が並んでいる。棚は上部が細かな段で、下部1/3ほどが大きな段になっている。その棚で造られた通路が縦に四本。左奥にガラスケースと小さなガラス扉の付いた本棚。右奥に帳場があり、今やこのお店を引き継ぎ店主となったお嬢様が、パソコンと格闘中である。入口左横の100均文庫棚、それに右横の箱入大判豪華本を眺めてから、右端通路に入り込む。古書や和本、それに古い紙資料が多い。そして棚並びは、ジャンル分けのある所とあやふやな所があり、全体的に少々カオス気味である。ちなみに整頓は行き届いているので、ビジュアル的なカオスさはほとんどない。ここには戦争・文学・民俗学・児童文学・東北福島本・草野心平&天平・埴谷雄高・中山義秀・真船豊などの福島所縁の作家本・映画などが集まっている。第二通路は戦争・歴史・福島・関東大震災・全集・出版・短歌・建築・教育・性愛・キリストなど。第三通路は東洋文庫・風俗・性愛・工芸・西洋文化&文明・オカルト・署名本・キリスト・山岳・自由民権・ヒトラー・天皇・古い教科書・農業・戦争。左端通路は、東北福島郷土本・戦争・豆本・紙物など。古い本・郷土関連・戦争関連が非常に幅を利かせており、独特の硬さは以前とそう変わらぬ印象である。そして同ジャンルが繰り返し出現するのは、何かこのお店独特のルールでもあるのだろうか…。値段はしっかり隙無しであるが、時々良い物が安値で見つかることも。悩んで悩んで、あまりに状態が新刊のようにキレイで、表紙の印刷もカラフルな昭和四年の本、日本郵船「死都ポンペイを訪ふために/下位春吉」を1500円で購入。

表に出ると、いつの間にか雲が厚く大きくなって来ている。身体を切るような風がビュウ。街中を西にテクテク向かい、東北本線を跨ぎ、再び釈迦堂川を渡り、2/11に閉店してしまう「BOOKランド 須賀川店」(2011/05/21参照)を訪れる。うお!お店の駐車場にコミックの山が放り出されている、ちょっと無惨な光景が!
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恐る恐る近付くと、窓には閉店のお知らせと、2/5から始まった『売りつくし閉店セール』が貼り出されていた…なんだか最近毎度お馴染みになっているような『閉店50% OFF』である。広い雑然とした店内に入ると、たくさんのお客が店内をさすらっている。私も即座に感化され、特に左端の古書棚と、長い文庫通路を探索。目玉をぎゅるぎゅる動かしながらも、三年前に来た時には店内に『余震が続いているので立読みはご遠慮下さい』の貼紙があったことを思い出す。五冊を手にしてレジに赴き、おばさまに精算していただく。一冊一冊値段を読み取り、レジに打ち込んで行く。そして「2045円」ですと告げられた。えっ?高いじゃん。半額になってないんじゃ…と思考しながら面食らっていると、おばさまの後ろのお姉さんが「の、半額です」と付け加える。おばさまはハッと気付いて「半額ですから…1022円です」と改めて告げられる。スリリングなミニコントにハラハラし、鐵道技術社「死の装甲列車」朝日新聞出版「惡人/束芋」春陽文庫「五階の窓」「屍を 他6編」共に江戸川乱歩他、双葉文庫「本棚探偵の冒険/喜国雅彦」を購入する。尚「棚倉店」(2012/12/21参照)は今後も営業を続けるそうである。

そして帰りは郡山まで出て、ある日本酒を買いに走る。それは、人気酒造の『地球侵略』!箱側面の写真にあるように、メトロン星人とメフィラス星人とガッツ星人が造った、阿呆…いや、素敵なお酒である。福島の一部が、徐々に円谷に、ウルトラに染まって行く…。
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左が「死の装甲列車」右が「死都ポンペイを訪ふために」。そして中央が馬鹿…いや、愉快なお酒『地球侵略』である。

posted by tokusan at 22:22| Comment(6) | TrackBack(0) | 東北 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月06日

2/6東京・東陽町 写真屋さんホックス

午前中のうちに西荻窪に向かい、「古ツアフェア@盛林堂」にフレッシュな文庫&新書サイズ本を補充する。棚は一段減りましたが、サイン本&古本販売はしぶとく継続して行きますので、引き続きよろしくお願いいたします。一月分の売り上げを受け取り、遠征資金にする前に、店内を回遊してしまい宇宙船文庫「ノンマルトの使者 金城哲夫シナリオ傑作集」湘南探偵倶楽部「緯度殺人事件/ルーファス・キング」を計五千円で購入してしまう…。

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中央線から東西線に乗り換え、等間隔の蛍光灯が暗闇に浮かぶ東京の地下を走り抜けて、東陽町。近くにある団地内に古本を売る写真屋さんがあるとの、コメントタレコミをいただいたのである。“団地”“写真屋”“古本”…非常にときめいてしまう言葉の組み合わせである…。東改札を出て『4番出口』から地上へ。確信は無いのだが、駅近くにある『南砂住宅』を目指すことに決める。車と通行人で賑わう『永代通り』を200mほど東へ。すると歩道橋の左手に、巨大な高層住宅群が現れる。高層で奇麗に化粧されているが、隠し切れない古臭さが魅力的である。信号を渡り、団地敷地に沿って北へ進む。足下は、正方形のコンクリブロックが埋め込まれた、懐かしいペーブメント。途中『南砂住宅 商店街 スーパー 飲食店』のメタリックな案内標が目に入るので、矢印に従い先に進むと、右手に敷地外に向かって開かれた高層住宅足元の商店街が、奥の中庭へと通路を延ばしていた。赤く色付けされた地面を踏み付け、内部に進入して行く。養生中のスーパー・飲食店・リサイクルショップ・総菜屋・シャッターの閉まったお店…団地コミュニティ内の商店街…頭上の横に長い団地は、角度の浅い屏風のように折れ曲がり、商店街はその下を貫通している。そのピロティ状のゾーンに進むと、あっ!本当に古本が店先に並んでいる!しかもダンボール一箱くらいかと思っていたら、棚がしっかりとあるではないか。摺り足でムダ無く近付き、観察を開始する。奥の店舗は確かにDPEをメインとする写真屋さんで、店頭には子供の駄玩具がひしめき売られている。それらと共に、棚二段分の文庫と単行本、文庫箱がひとつ、単行本箱がふたつ、それに文庫とコミックが表裏に並ぶ棚が一本。店頭前の平台には、100均児童書箱が一箱、それに本来は台の上に置かれるはずの単行本箱・ペーパーバック箱・ラノベ箱・コミック箱が、台車に乗せられたまま放置されている。単行本は雑本的であるが、文庫には妙に筋の良いところが見受けられる。古いパラフィン付きの岩波文庫・角川文庫に特に目を惹かれる。うほっ!児童書箱で、古田足日のウェスタンジュブナイル発見!あぁ、無闇にワクワクゾワゾワしてしまう。超老舗店や古本神の書斎に感動して来たばかりだが、やはりこう言うお店が私には相応しいようだ。街の片隅の名も無きお店は、今日も実は輝いていた!そして値段は20〜100円!五冊を手にして店内に入り、現像液の酸っぱい匂いを嗅ぎながら、奥様に精算していただく。金の星社ウェスタン・ノベルズ13「荒野の三兄弟/古田足日」(カバー無し)秋田書店世界ミステリー全集2「世界の魔の海/庄司浅水」角川文庫「金田一耕助・明智小五郎推薦 どっきり大変装術/はざま武司」「月に吠える/萩原朔太郎」「眠れる森の美女/シャルル・ペロー」を購入。



posted by tokusan at 16:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする