2014年03月31日

3/31東京・早稲田 あんとれボックス

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ちょうど一週間前、突然ブリブリ排出されたファックス用紙を手にすると、それは岡崎武志氏からのタレコミで、先日の「みちくさ市」出店時に隣り合った青年が、早稲田で古本を売っていると書かれていた…。用紙を握り締めて『早稲田大学方面改札』の『3b出口』から地上に出ると、学生だらけの『早稲田通り』。『馬場下町交差点』にまずは向かい、そこから『早稲田南門通り』を、何だかフレッシュにキラキラしている若者たちに紛れながら北へ。緩やかに曲がる道を、緩やかに下る。150mほどで右手に、一階が油そば屋で二階が派手な不動産屋の、小さなビルを見付ける。どう見ても古本の入る余地が無いビルである。しかし、注意深く不動産屋の広告で埋め尽くされた外階段を観察すると、実は階段の上半分と二階柱に目指すお店の名前が、地味に騙し絵のように隠れているのだ。…これは分かり難い…そして入り難い…。ここは純粋な古本屋さんではなく、ビジネス書を400円均一で販売し、起業相談などを受け付ける、謎の事務所なのである。果たしてこれからどうなるのか?起業相談に来たと思われたらどうしよう?…いつもながらにドキドキしながら階段を上がると、ほぼ不動産屋のフロアなのだが、奥に狭く短い廊下が続き、そこに一枚のガラス扉が見えている。中の様子はよく分からぬので、ままよ!と飛び込むと、中央に大きなテーブルがあり、奥に青年の座るデスクのある、ほとんど事務所の店内。右壁に低いボックス棚が張り付いているが、そこに並ぶのはスリップの挟まった新刊類である。古本があるのは、奥の三本の棚のようだ。テーブルの横を擦り抜けて棚の前に立ち、本が二重に並んでいることに気付く。それにしても、本当に見事に、すべてがビジネス関連…独立起業・ネットショップ・副業・税金・起業&企業家評伝・仕事術・経済・株・二十代のビジネス・マーケティングセールスなどなど。ツルツルピカピカのソフトカバーの背の上を、目玉がツルツルと滑って行く。完全に普通の古本屋さんとはかけ離れた場所に立脚した本棚である。400円均一は安めと言えるだろう。そして晶文社「自分の仕事をつくる/西村佳哲」を購入。

この後は早稲田古本街をブラブラ。「いこい書房」(2012/02/02参照)にて近代社「虎娘 大陸の女スパイ/R・シュパング」を100円で見付けて喜び、隣りの「寅書房」が店仕舞い真っ最中の現場に遭遇し驚愕。開いたドアから、細い通路に張り付く空の均一棚が見え、奥に店舗らしき空間が…あぁ、ついに入ることは出来なかったか。
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悔しさを噛み締め、心の中で入ることのなかったお店を労い、続いて谷の下の「古書現世」(2009/04/04参照)へ。朝日ソノラマアニメ文庫「面白いシナリオ術/辻真先」中公文庫「肌色の月/久生十蘭」大衆文芸社「号令一下/竹森一男」を計1200円で購入し、さらには新しいピンク色の『早稲田古本街地図帖』を入手。向井氏と少しお話しする。
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2014年03月30日

3/30長野・駒ヶ根 トレジャーマウンテン

早朝の、徹夜明けの酔客がくずおれるゾンビ列車で高尾まで行き、さらに中央本線を乗り継いで、甲信地方に入り込んで行く。青春18きっぷを使い、東京から遠出するための普通列車の中で、この中央本線が一番好ましいルートである。ダイナミックな山々、河岸段丘や盆地に集まる人家、小淵沢の山賊蕎麦、眼下を流れる清浄な上流域の川の流れ、勾配を上がって行く列車。読書と居眠りを繰り返して車中を過ごし、岡谷駅で久しぶりの飯田線に乗り換える。雨が激しくなり、広い山間に連続する集落と水田はびしょ濡れになって、天竜川に注ぎ込む数々の支流は、水蒸気を上げる濁流となっていた。六時間の旅を終え、大きな無人駅に降り立つと、改札の向こうに昭和スタイルではあるが、割と大きな街が広がっていた。ロータリーから西に延びる、歩道屋根の架かる商店街『広小路』を歩いて行く。お店を開けているのは1/3ほどで、おっ、音楽教室と一体化した本屋さんもちゃんとあるではないか。『広小路仲町交差点』で『国道153号』に入り、まずは南の警察署近くにあるであろうお店の探索へ向かう。…しかし、お店が見当たらない、たどり着けない…探索にそんなに時間をかけるわけにはいかない(場所をうろ覚えで来たのも悪かった。要再調査)…これはイカンな。本日のメインとなるはずであろうお店をツアー出来ないとなると、一時間に一本の飯田線から逆算する時間配分が難しくなって来る…この街で二時間を過ごすわけにはいかない。どうしても十二時四十六分の列車に乗り込まねば!三十分のうちにもう一店のツアーをこなし、駅へと戻るのだ!と決意して、より激しくなった雨の中をバチャバチャと駆け出す。

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『広小路仲町交差点』から、国道を北に400m。『北町交差点』を地下道で潜り抜け、『県道75号』に入ると、すぐに右手に派手なオレンジの屋根を持つリサイクル感満点のお店が現れた。『DVD CD ゲーム コミック トレカ 金 プラチナ』とあるが、普通の本よ、どうか売っていてくれ!と軽く祈りながら、ちょっと分かり難い入口をようやく見つけ出し、有線放送ががなり立てているキラキラの店内に突入する。すぐ右にレジ&作業場があり、周囲にトレカ・ゲーム・CD・DVDのコーナー、。左に少年コミック、右に少女コミックが広がっている。むっ!少女コミック棚の奥の奥に文庫の影が!慌てて近寄ると、日本文学文庫と少量の海外文学文庫で造られた壁棚が二本。ミステリ&エンタメ・ノベルスで出来た壁棚が一本半。新しめの本で構成され、特筆すべきことはナシ。値段はすべてきっちりと定価の半額である。岩波文庫「死に至る病/キェルケゴール」を購入。

またもやバチャバチャと雨中に駆け出し、国道を突っ走る自動車に水を跳ねられながら、どうにか時間通りに駅へと戻り、岡谷行きの列車に飛び乗る。そしてやはり古い本には触れておきたいものだと、上諏訪駅で途中下車して「石の花」(2012/04/10参照)へワクワクと急行する。だが!看板をそっぽを向いており、門は固く閉ざされてしまっていた!あぁ、無情のシャッターアウトならぬ、非情の閉門!
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深いダメージを受けた心をすこしでも回復させようと、戯れに「お願いです。門をお開けください!父上っ!」と取りすがってみるが、響くのはさみしい雨音ばかり。駅方面に捨てられた子犬のように戻り、駅前の『スワプラザ』二階のリサイクルショップ『宝箱』に古本棚を見出すが、コミックとティーンズ文庫の特殊な並び。すべてを諦め、帰りの列車に身を沈め、宮脇俊三よろしくカップ酒を傾けながら、今日の辛い旅を締めくくる。
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2014年03月29日

3/29古本市で行列騒動の後に「THE CASK」を

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今日は楽しみにしていた『小平市中央図書館』の「第16回チャリティ古本市」。複雑な西武線を乗り継ぎ乗り継ぎ、およそ三十分前に会場に到着し列を作っていると、自称常連さんの一人が巻き起こした行列ルール騒動に、不本意ながら巻き込まれてしまう。スタッフとオッチャンのやり取りがヒートアップしそうなのを見兼ねて、折衷案を提示してどうにかその場を収める…しかしオッチャンだけは収まらず、私を相手にグダグダと話し続ける…うぅ、気分が落ち込み、この場にいるのが苦痛になって来てしまった…。それでも午前十時の開場と共に、ホール内に古本を求めて雪崩れ込む。最初に取り憑いたのは大きな文庫平台。前の人たちのほとんどが奥の単行本や全集&古書コーナーに殺到してしまったので、最初の数分間はスムーズに見ることが出来、早速何冊かの文庫も手にする。しかし、先ほどの騒動が微妙に尾を引き、どうも気分が乗って来ない…心のギアが完全にダウナーモードに入っているようだ。そんな風に、あぁ今日はダメかもしれないと、気分をさらに落ち込ませて行く。必死に文庫の背を追いかけてみるものの、何だかやっぱり上の空なのである。気付くと、隣にあのオッチャンが来ており、文庫に食らいつき始めた。なのでそれを避けるように身体を反転させ、海外文学文庫に視線を泳がせて行く。う〜むう〜むと心の中で唸りながら、真ん中辺りの列を見ていると、背と共に表紙がチラリと見えた厚い文庫で視線が止まる。背文字の細い明朝体と、表紙に連続するあのイラストは!とすでに頭に血を昇らせながら、そいつを引き出す!うわぁーーーーーーーーーーっ!創元推理文庫「樽/F・Wクロフツ」の、可愛い樽絵カバーバージョンだっ!私は今、夢を見ているのではないだろうか?あの、いつもの欲しい本を手に入れる、ぬか喜びのあの甘美な夢を!しかし現実に、貴重な一冊は、形も色も重さも変えずに、手の中に収まっている。やった、やったのだ、勝ったのだ!すべての憂さがこれで吹き飛んだ!と、ドバッと脳内古本麻薬が大量投与されたのを大いに実感し、酩酊する。う…もう、もう、今日はこれで、ここに来た目的は達せられたのだ…。そこから一気に、ギスギスした気持ちは霧散し、余裕のある心持ちで、本の背に優しい視線を投げ掛けて行くこととなる。気付けばいつの間にか会場は大混雑しており、人が人の間に身体をグリグリギュルギュル割り込ませて移動するような状況。結局その後も四十分ほど、優しい気持ちで人の間を回遊し、計十五冊を手にする。
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それらを激安の計490円で購入。特に嬉しかったのは先述の「樽」に加え、角川文庫「エレファントマン/マイカル・ハウエル+ピーター・フォード」講談社「でかでか人とちびちび人/立原えりか」(昭和三十六年初版)隣人之友社「百姓弥之助の話 第二冊 塾教育の巻/中里介山」(なんと毛筆の献呈署名入り!)である。無事に会場を脱出し、参戦していた岡崎武志氏と昼食を共にする。その際、上京中の大阪のネット古書店「固有の鼻歌」さんを紹介していただき、戦果を見せ合ったりしながら、お二人の大阪古本屋情報に耳を傾け楽しむ。
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介山先生っ!

帰りに西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に立ち寄り、盛林堂ミステリアス文庫「架空都市 ドノゴトンカ 城左門短篇集」(新刊)を購入。本日最大の収穫「樽」を店主に見ていただくと、このカバーは14版・15版が確認されているらしいのだが、この13版は珍しい本であることが判明する。なので今高らかに宣言しよう、どひゃっほうと!…それにしても、ジェットコースターのような午前中であった。あのすべての出来事が、古本に起因していると考えると、ちょっと恐ろしくなってしまう…どれだけ古本に振り回されているんだ…。
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これが、三十円のTHE CASKだ!
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2014年03月28日

3/28東京・神保町 ARATAMA&ポスターコレクション

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午前中に『靖国通り』に東側から入り込んで行くと、居並ぶ古本屋さんの前の歩道にワゴンが出され、「春の古本まつり」絶賛開催中。すでに鈴なりになった古本修羅の間に身を滑り込ませたいのだが、ちょっと我慢して『すずらん通り』に向かう。『駿河台下交差点』から西に100mほどの右手に、ビルの一・二階に入った古本屋さんがある。一階の名は「ARATAMA」、二階の名は「ポスターコレクション」…ここは通りの先にある「荒魂書店」(2011/03/31参照)の系列店なのである。店頭には多数の安売り雑誌箱が並ぶと共に、安売りアイドル写真集やムックワゴン、それに枯れた泉の如き文学本ワゴンが一台置かれている。ここは折り目正しいアイドル系のお店なので、私の生きる道は店頭にしかないはずだ!そう確信して枯れた泉で渇を癒そうとするが、どうにも何も見つからない。仕方なく足元のギュウギュウ文庫箱に視線を落とし、そこから一冊の古い文庫を掘り出して、ようやく店内へ。入口右に円形の帳場があるが、ハードカバーの写真集類が壁のように積み上がり、それがまた見事に円形を描いているので、ちょっと『三省堂書店』一階のディスプレイのようでもある。通路は広々としたものが二本あり、左奥にはアイドル等身大立看板に囲まれた、二階への螺旋階段が見えている。左側通路は、アイドル写真集が新旧取り混ぜドバッと揃っている。右奥では特撮&アニメ系の変わり種もしっかりと網羅。右側通路は、アイドルDVD&懐かしきVHSが大量に並び、奥に向かうほど過激さがアップするとの貼紙あり。それにしても本たちの並びが、資料的に整然としているので、店内の扇情さは最小限に抑えられている。各階精算なので帳場に声を掛けると、ピカピカの金指輪と高級腕時計のオールドスクール的中年男性が丁寧に応対。これもまた、ひとつの古本屋さんの姿であるのかと驚きつつ、岩波文庫「シベリヤの旅/チエーホフ」を購入。本を受け取り奥に向かい、四方から網点で構成されたアイドル達の疑似視線に晒されながら、螺旋階段をカンコングルグル。二階には四本の通路があり、左半分の雑誌スペースと右半分のポスタースペースに分かれている。左にはグラビア雑誌&週刊誌通路と、ファッション&アイドル&芸能&投稿雑誌の通路。右にはアイドルのA1&B2ポスターを中心に、テレカ・カレンダー・チラシ・団扇・サイン色紙・ノベルティグッズなどが、宝のように集められている。新旧アイドルの笑顔が、様々な形態とメディアでアーカイブされたお店である。門外漢の私は、もはや沈黙するしかない、輝ける世界なのである。

飢えて『靖国通り』に戻り、古本ワゴンに挑みかかっていると、古本神のひとり森英俊氏に発見され、お互いに古本から視線を外さぬまま、秘密工作員の接触のように会話する。さらにその先で、古本神のひとり塩山芳明氏に声を掛けられ、コーヒーをご馳走になる。古本界やエロ漫画界についてお話しし、鋭い舌鋒でなます斬りにされる。再び『靖国通り』に復帰すると、濃厚な探偵ミステリワゴンに遭遇。これは!と色めき立っていると、ワゴンの向こうでにこやかに微笑むのは、これも古本神のひとり彩古氏。ハッ!ここは「古書いろどり」(2012/12/22参照)の出店であったかと、旺文社文庫「落穂拾い・雪の宿/小山清」を400円で購入。さらにまつりをたっぷりと楽しみ終わり、『駿河台下交差点』を渡り切ろうとしたその瞬間、またまた古本神のひとり岡崎武志氏に声を掛けられる。あぁ、神保町でこんなに人に、いや神に会ったのは、初めてのことである。
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まつりでちょこちょこと色々買いましたが、先述の小山清よりさらに嬉しかったのは、「田村書店」(2010/12/21参照)の店頭台から見付けた深夜叢書「行け帰ることなく・未成年/春日井建」が800円でどひゃっほう!さらに「新日本書籍」(2013/11/07参照)のワゴンの絵本束の中から、堀内誠一・絵の日本通運株式会社「あしたもがっこう」(非売品)の発掘に成功する。

トマソン社『BOOK5 vol.12』が発売。連載中の『新刊屋ツアー・イン・ジャパン』は、東京最西端の本屋を訪問。その壮絶なビジュアルに心臓の鼓動をかなり早めて参りました。ぜひとも記事を読んで追体験した後に、奥多摩まで出向いて本体験して来ていただければ。
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2014年03月26日

3/26飲む前に買い、署名本を受け継いだ一日

朝から締め切りギリギリの仕事に追われまくるが、どうにかお昼過ぎにカタを着ける。そして、そのまま夕方の予定に合わせて逗子方面に遠出。その途中で、まずは大船駅で湘南新宿ラインを乗り捨て、四月に閉店してしまう「ひまわり堂書店」(2013/02/26参照)の様子を見に行く。しかしタイミング悪く、どうやら定休日。シャッターの横に貼られた、閉店のお知らせに悲しみの視線を注ぐと、閉店日は4/21、さらに小説類を「さっちゃんの家」と言う所に受け継ぐ旨が書かれている…「さっちゃんの家」…何らかのお店なのだろうか?これは確認しに行かなければ。そう心にメモして駅まで戻り、慌ただしく次は鎌倉駅で下車。「藝林荘」(2013/02/17参照)で、春陽堂文庫「熊野の兄弟/納言恭平」(100円でひゃっほう!)ちくま文庫「三文役者の待ち時間/殿山泰司」「清水町先生/小沼丹」を計520円で購入し、『小町通り』の「木犀堂」(2012/12/01参照)が早くも店仕舞いしているのに(まだ午後四時なのに…)肩を落としつつも、踏切際の「游古洞」(2012/01/28参照)へ。ガチャガチャと積み重なる陶器に細心の注意を払いながら、横積みになった文庫の山から今年三冊目の教養文庫「武蔵野/上林暁」を発見し300円で購入する。続いて気難し屋の古本屋「四季書林」(2011/08/14参照)を訪ねると、シャッターがガッチリ下りており、お店の看板も取り去られてしまっている。どうやら廃業した模様。店主と口論したことをもはや懐かしく思い出しながら、さらに続いて「公文堂書店」(2010/03/28参照)を急襲し、旅窓新書「真夏の巴里/畑市次郎」を840円で購入する。ここでタイムリミットを迎え、急いで逗子に移動。旧知の編集者さんと久しぶりに邂逅し、元旅館の飲み屋でお酒をガブガブと酌み交わす。そこで意外なものを託されることになり、戸惑いながらも大いに喜ぶ。それは幻影城ノベルス「11枚のとらんぷ」「湖底のまつり」共に泡坂妻夫、「火の樹液/宮田亜佐」のサイン本。作家さんから直にいただいた物らしいのだが、君が持っていた方が良いと託してくれたのである。こういう風な本の受け継ぎ方もあるのかと、己がたくさん持つ古本も、未来へ受け継ぐ過程でしかないことを、改めて実感する。帰りの湘南新宿ライン内で、古本と受け継いだ本の写真をパチリ。
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酔っ払ったまま阿佐ヶ谷に帰り着き、気が大きくなっているのをいいことに、駅前の本屋さん「書楽」を回遊。欲しかった大物二冊、洋泉社「映画の生体解剖/稲生平太郎+高橋洋」河出書房新社「戦前日本SF映画創世記/高槻真樹」が平台にあるのを見付け、矢も楯もたまらず購入してしまう。はぁ〜、楽しいが目まぐるしい一日であった。
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2014年03月25日

3/25東京・八王子 有隣堂セレオ八王子店 アウトレット本

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あまり身動きの取れぬ、窮屈で暖かな火曜日。待ちの時間に入った仕事から少しだけ抜け出すつもりで、先日行ったばかりの八王子に舞い戻る。改札を出たら巨大駅ビルの『CELEO北側』へ。通路の両側にきらびやかな入口があるが、東側に入ってエスカレーターで八階の『有隣堂』へ一直線。そう言えばこのビルは以前は『そごう』で、当時の『有隣堂八王子店』では古本市(2010/09/24参照)が開かれていたっけ…。円形棚の左側外周をなぞって奥に進み、さらに左奥の八本の、先日見かけて非常に気になっていた壁棚を目指して進む。そこに並ぶのは、ピカピカの新刊アウトレット本。棚上の看板ではアウトレット本のことを『出版社に在庫されていた未読の本をお買得価格で販売しています』と説明している。厳密には“古本”ではなく、ある意味出版社から見捨てられる一歩手前の本たちなのである。しかしここはとにかく量が多く、所々良さげな本が背を見せているので、ツアーの価値ありと踏んだわけである。児童書・辞書・料理・暮らし・女性関連・実用・文庫&新書(少量)・コミック(少量で日野日出志メイン)・雑学・文学・歴史・サイエンス・スポーツ・鉄道・ビジュアルムック・芸術・音楽・写真集・地図などが並ぶ。意外とメジャーな出版社のものも多く、良く目にするバーゲン本の薄い並びとは一線を画している。特に文学・歴史には何かありそう。値段は定価の半額以下が中心である。ちょっとセドリをして行きたくなるが、まぁそうまでして必死に買うほどでもないだろう。そんな風に我欲を鎮めて一冊選ぶ。レジに整列して平凡社「植草甚一コラージュ日記1 東京1976」を購入する。

八王子の地を踏むこと無くとんぼ返りし、阿佐ヶ谷「銀星舎」(2008/10/19参照)で古本と触れ合うことにする。店主夫婦と青森古本屋話で盛り上がり、集英社文庫「女流/小島信夫」を600円で購入する。
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2014年03月24日

ブログ引越し中

いつも「古本屋ツアー・イン・ジャパン」をご覧いただきありがとうございます。
当ブログは、『LOVELOG』の六月閉鎖に伴い、別のブログサービスへ移行することとなりました。
なのでこれからの閲覧やコメントは、下記にお願いいたします。

http://furuhonya-tour.seesaa.net/

ブックマークもこちらを。
現在は以前のアドレスでも引越し先に飛ぶようになっていますが、いずれは無効になると思われます。

それでは引き続き、全国の古本屋を疾風のように駆け巡るブログをよろしくお願いいたします!

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2014年03月23日

3/23一日弛緩してブラブラ古本を

今日は友人の陶磁器展を見に行かねばならぬので、遠出はナシ。緩やかに一日を過ごすつもりで起き抜けから弛緩しつつ、遠出しないのならば、もはや宝の持ち腐れとなった三連休パスを未練がましく使用して、移動を開始する。まずは昨日のうちに準備していた古本を携え、お昼に西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい、四ヶ月目に突入した「古ツアフェア@盛林堂」に補充する。「古本ナイアガラ」棚と合わせた三段に、フツフツと瘴気を撒き散らす本をストスト補充。長続きしている己を褒めそやし甘やかしつつ、講談社学術文庫「うわさの遠近法/松山巌」を300円で購入する。そして一旦家に戻る途中、阿佐ヶ谷「千章堂書店」(2009/12/29参照)に引き寄せられ、中公文庫「正弦曲線/堀江敏幸」を250円で購入。

夕方近くなってから中央線で西へゴトゴト。西八王子まで行き、久々の「散田書房」(2012/12/14参照)に向かってみるが、せっかく来たのに、おおぅ!日曜は定休日。傷心しつつ奥の裏道に入り込み、一度も入ること叶わず、未だ往時の姿を留めている古本屋「烏屋」の前に立つ。そのドアのガラスから見える本棚には、文庫がしっかりと並んでいる。通路は自転車や道具が置かれて物置と化しているのだが、今にもお店が開きそうな雰囲気が、たまらなくこちらの心を掻き乱すのだ。ふぅ、とため息をついて、恐らく二度と開かぬ扉から離れ、駅へ。
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続いて八王子駅で下車し、「佐藤書房」(2009/08/26参照)の店頭部分をガサゴソ漁る。中公文庫「大阪自叙伝/藤沢桓夫」「黒岳の魔神/角田喜久雄」光文社文庫「牧逸馬の世界怪奇実話/島田荘司編」を計1040円で購入。店内のレア本で目に栄養を与えた後、「まつおか書房」(2010/01/05参照)に移動して、ちくま文庫「猿飛佐助/杉浦茂」河出文庫「モンマルトルのメグレ/G・シムノン」創元推理文庫「怪奇クラブ/アーサー・マッケン」を計400円で購入し、同じ八王子で開かれている陶磁器展にようやく到達する。葉っぱのように薄い器を手に包んで楽しみつつも、買ったのは家の形をした焼物。重さも形も手触りも色も、大いに気に入る。気が付けば、いつの間にか自宅には、小さな家が三軒集まっていた。
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手前が本日購入した新宅で、右奥は月江寺(2011/11/30参照)で、左奥は三崎口(2012/11/03参照)で購入した物である。
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2014年03月22日

3/22青森・長苗代 古書 坐来

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実は昨日も使った『三連休乗車券』で、普段使う『週末パス』より航続距離を延ばし、さらに特急券も併用して、三時間半と言う恐るべきスピードで八戸着。念願の青森初ツアーであるが、久々に新幹線に乗ると、とてつもない贅沢をしている気が…そして分かってはいたのだが、街は雪景色なのである。立食い蕎麦でお腹を安上がりに満たし、JR八戸線に飛び乗る。街から離れると、雪原の真っただ中を進む列車内には、『津波警報が発令された場合のお願い』、線路各所に設けられている『八戸線避難口』、『車両からの降り方』などの、普通では見られない案内板が取り付けられている。網棚の上には、存在感の大きい緊急避難梯子が置かれている。そんなものたちを眺めていたら、雪原の端にある無人駅にあっという間に到着。簡素過ぎるホームから下り、自動車も走る跨線橋の階段を上がる。遠くに煙をモクモク吐き出している港湾地区が見えている。雪はある程度積もっており風は冷たいが、気温自体はそれほど低くない。まずは北の市街地を目指し、『国道104号』を歩いて行く。シャーベット状に残る歩道の雪に難儀しながら、大きな交差点をひとつ越えてさらに北に進み、歩道橋で『下長交差点』を乗り越えると、道は幅と歩道を狭くして『県道8号』となる。時折消滅する歩道にさらに難儀しながら、400mほど北にベシャベシャ歩き、道が大きく西にカーブする手前で、一本東寄りの住宅街の道に逃げ込む。豪壮な住宅の間をまだまだ北に進むと、視界が開けて行く手には団地と大きな通りが現れる。ホッとしながらその大通りに出てちょっと東に進むと、おぉぅ!『河原木団地南口バス停』前に、『本の骨董屋』とある大きな店名看板が見えていた。たどり着いたぞ!喜び勇んでベシャベシャと入口に近付き、風を避けて立っていたバス待ちのおばあさんに道を譲っていただき、重く新しい引戸から中へ。そこは二重の玄関なのだが、右にはすでにプレミア本の飾られたガラスケース…どうやら本格的な店舗の気配。さらに同型の引戸を開けて店内へ。ふぅ、暖かい。すると電子チャイムが鳴り響き、奥の部屋の帳場から、相撲部屋親方風店主が伸び上がり「いらっしゃいませ」と迎えてくれた。薄暗いが横長でまだ充分に新しいお店である。壁際には、右側に低い棚とラック、左側に高低の壁棚が混在。そしてガラスケースと背中合わせの本棚や柱棚が、計五本の通路を造り出している。ガラスケースの中の見たことも無い大正時代の「シャアロック・ホームズ」に気を取られながら、入口右横の科学数学棚をまずは見て、右奥の大衆小説棚に張り付いていると、奥から「何かお探しのものでもあるんですか?」と聞かれ、ここから店主との楽しい怒濤の会話がスタートしてしまった。古本屋経営・ネット販売・在りし日の古本屋巡り・青森古本屋事情・東京古書店との熱き闘い・紙物・骨董業界とのつながり・上階の立入禁止倉庫・蔵整理・本を集めること残すこと、etcetcetc!と、古本屋稼業&冒険譚のオンパレード。棚を見ながらも思わずグイグイ引き込まれ、通路の奥でお互いに姿も見えぬのに大声で会話を続ける始末。なので自然と棚への集中が、いや本への集中自体も疎かになってしまう…他には古い政治社会・思想・自然・本&古本・映画・山岳・青森関連・郷土・岩波文庫・新書・旅・スポーツ・ノンフィクション・宗教・文学評論・海外文学・日本文学。文庫はワゴンや通路に置かれた多数の箱に200均で詰め込まれている。だがこれで終りかと思ったら、「奥も見ていいからね」と帳場のあるスペースに招き入れられる。うぉっ!応接セットを中心に、壁棚と箱と飾り棚と低い本棚が置かれた、さっきより古い本の多い空間である。そしてさらに奥には、屋根のある能舞台のような座敷スペースがあり、さらにその周囲を重厚な壁棚が取り巻いている!そこに並ぶのは、さらさらに古い本たち!なんなんだ、この古本屋さんはっ!興奮しながらさらに会話しながら、本棚と箱の前を雀の如く忙しく飛び回る。真ん中スペースには、日本文学・辞書類・ジュブナイル少々・キリスト教・戦後文庫・定価半額セレクト文庫・古雑誌・海外文学・美術・雑誌付録・日本刀・旧日本軍関連・戦争時物・絵葉書・プレミア文学本・古観光地図など、戦中戦後を中心とした組み立てである。そして奥のスペースには、和本・地図・映画ポスター・双六・雑誌・全集・教科書類・戦争・日本文学・探偵小説・歴史・美術・郷土・社会・ガイド・戦前文庫と、戦前の古書がドバドバドバ。もはや私に正常な思考能力は無く、古書の海にただガボガボ幸せに溺れゆくのみ。古本大量!良い本と珍しい古い本が、奥に行けば行くほど現れる素敵なお店である。ただし店主によると、良い本や物はすべて倉庫にあるとのこと。値段はしっかりだが、店主が優しく色々サービスしてくれるのが嬉しい。改造文庫「胡桃割人形と鼠の王様/ホフマン」ハヤカワ文庫「地獄の家/リチャード・マシスン」講談社文庫「抱擁家族/小島信夫」河出文庫「あちゃらかぱい/色川武大」「ポロポロ」「かぶりつき人生」共に田中小実昌、ちくま文庫「JAMJAM日記/殿山泰司」を、改造文庫を500円引き、定価半額文庫を200均にしていただき購入。そして「じゃあ良いものをあげよう」と、「隔月刊 あおもり草子 特集・あおもり古書店歩き」を袋に同封。これは青森県で現在活躍する古書組合加入店を、ほぼ網羅特集!これは嬉しい!思わぬレア(古本屋狂の私にとって)な収穫を喜びながら、お店を辞去。すっかり話に夢中になり長居してしまったので、本八戸のお店も巡るつもりだったのが、予定の変更を余儀なくされる。と言うわけで、吹き曝しの雪原のホームの上で、八戸行の次の列車が来るのを、もう三十分以上待っているのだ…。
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「あおもり草子」。詳細な青森県内十二店の記事と、喜多村拓氏による『青森市古本屋小史』を掲載。

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2014年03月21日

3/21長野・松本 日米書院

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空は明るいのに、小雪が所々で舞う中央本線で、長野県入り。ドアが開いてホームに降り立つと聞こえる、「まつもと〜まつもと〜」の女性アナウンスは懐かしい空気を纏っているので、改めて旅情を掻き立ててくれる。『お城口(東口)』に出て、ロータリーから蜘蛛の巣のように広がる道の中から『公園通り』を選択し、東北東へ歩き始める。続いてパルコ手前の道を北に進み、『中央大手橋』で流れの清冽な女鳥羽川を渡る。通りは『西堀通り』となり、『西堀公園前交差点』で東に向かうや否や、一本目の細い観光地の裏通りを北に入り込む。板塀が沿い、木造家屋が続く、気持ちのスッとする通りである。しばらく歩くと左手に、一際古い木造の二階建て商店長屋が登場する。三軒続きの一番奥のお店だけが営業しており、店頭に生花や野菜を並べている。ここは去年、古本さんぽ&街歩きをしていた岡崎武志氏が偶然見付け、その陰鬱な店内に本棚があるのを確認するも、「どうも入れなかった」と言うお店なのである。「キミなら入れるはずだ」と、お鉢を回してくれたのを長らく放置していたので、本日ようやくおっとり刀で駆け付けた次第。確かに薄暗く天井の低いコンクリ土間の店内には、半ば放置されたかのような本棚が見えている…それにしても菓子類やパン粉やホットケーキミックスが陳列されているので、一見何屋か判然としない珍妙な店先が展開。その混然一体な不可思議な状況が、店内に入るのを躊躇わせている…。しかしその時!店内から一匹の茶トラ猫が舌をペロペロさせながら、悠然と登場した!「ア、アオ」と一声鳴いたので、こちらもしゃがんで挨拶する。そして決心。よし、入るぞ!トラ猫とすれ違うようにして中へ。途端に時間の質がくるっと変化してしまう。土間に置かれた縦長の平台に置かれたお菓子類以外は、停滞したような店内。奥には広い上がり框があり、そこに立つ短躯の村長さん的鼻髯老店主が、訝しがりながらも「いらっしゃい」とボソリ。「あの〜、この本は売ってるんでしょうか?」「はっ?えぇ。一応、売ってますよ」「そうですか。ではちょっと見させて下さい」…それにしても“一応”って何だ?左壁には様々なタイプの本棚が並び、宗教・心・全集・児童文学・絵本・料理・「銀花」・美術がカオスに並ぶ。1980〜2000年くらいが中心か。お店の古さに比べて割と新しめな印象ではある。棚の前には雑誌の山・CD・レコードなどが積み上がり、間には完全に忘れ去られた地形図を収めるマップケースが埋もれている。奥の古めかしい造り付けの本棚には、エッセイ・ノンフィクション・実用・文学などが並ぶ。それにしても、どの本もスリップが天から頭を覗かせているようだ。これはみんな新刊なのか?良く見ると、平台のお菓子の下には横積み文庫の列が隠れていた。右壁の重厚な造り付け本棚には、大判美術本・美術全集・豪華写真集・ガイドブック・文学・信濃郷土・山岳・実用などが二重にごちゃごちゃと並んでいる。店内の光景に圧倒されながらも、一冊を手にして「これを下さい」と差し出すと「古い本だけどいいの?じゃあ半額でいいよ」となった。お礼を言いつつ「ここは古本屋さんなんですか?」と畳み掛けると「ここはね、元は新刊書店だったの。松本ではかなりの老舗店。でも店を畳むことになっちゃって、それをそのまま俺が引き継いだの」「あぁ、そうだったんですか。棚は以前のお店、そのままなんですね」「前はもっと良い本があったんだけどね。古本屋さんがみんな持ってちゃった。俺も良い本隠してるし」「隠してるんですか!」「読みたいからね。倉庫にもまだまだあるんだよ」「うわ〜、見てみたいッス…。ところでお店の名前は何て言うんですか?」「日米書院。ほら、そこに看板があるでしょ。もう出せないけど。ガッハッハッハ」…確かに、雑誌やガラクタの中から、『日米』とだけ見える立看板が、頭を覗かせている…。と言うわけで、編集工房ノア「北園町四十三番地/山田稔」を購入。店主はニコニコしながら「もう来なくていいよ。来ちゃダメだよ。あまりここの空気を吸うと、病気になっちゃうよ。ガッハッハッハ」。来るなと言われると、逆に来たくなるのが人間の性。じゃあ次は、お菓子でも買いに来ることにしようか。
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これが店内に招いてくれた茶トラ猫!ペロペロ真っ最中!
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2014年03月20日

3/20埼玉・東松山 BOOKSあふたーゆ

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雨の東武東上線で、月曜に入れなかった東松山のお店に向かう。東口北側広場に出て『ぼたん通り』を北上。200mほど先の交差点で、けたたましく鳴り響く踏切を背にして、北東に向かう。その先には、カーブした道が四方から集まる『材木町交差点』があり、この街角は何だか開かれた飲屋街のようである。交差点を渡って東に進むと、ビルの一階に割りと大きいのだが、周囲の夜の匂いに埋没したような一軒の古本屋さん…素っ気ない外観である。入口上と大きなウィンドウ、それに黄色い立看板に店名が書かれている。古本以外にも雑貨を置き、出版も請け負うようだ。自動ドアから中に入ると、左壁が斜めの変則的な形だが、広々とした店内。様々な棚が多数集まり、お店を形作っている。入口右横から右壁まで棚は続き、奥ではバックヤードとの仕切り棚が一直線に壁から伸びている。入口左横から斜めの壁にも棚が連なり、最奥の仕切り棚の位置には帳場が設けられている…剥き出しの銀色の柱の存在感がスゴい…。フロアには、右側に背の低い背中合わせの棚が横向きに二本と、椅子と机。左には縦向きに低い背中合わせの棚が一本と、テーブル席と古い雑誌の乗った小さな平台が置かれている。…とその時、奥から高橋源一郎風店主がノソリと現れ「いらっしゃいませ…月曜は開いてなくて、すみませんでした」「えっ?」…あぁ、これは、こちらの正体がすっかり露見しているのだな。恥ずかしさと決まりの悪さに目を白黒させ、「バレてるんですね。すみません」と恐縮しながら、すぐさま本棚に緊急避難する。二本のフロア棚には、海外文学文庫・100均ノンフィクション・100均文学・ハヤカワ文庫・創元推理文庫・岩波文庫が収まっている。入口右横は、岩波写真文庫・辞書・100均推理小説文庫・児童文学・ビジュアルムック。右壁には岩波新書・100均日本純文学&近代文学文庫・詩集・日本文学・ちくま文庫・晶文社本が続く。奥の仕切り棚は、さらに詩集・文学評論・山・ノンフィクション・映画・美術・歴史・江戸・女性・芸能・戦争・オカルト・新着海外系がズラリ。左のフロア棚は新書・ノベルス・ハヤカワポケミス・選書・差別・教育を収めている。入口左横は、古本・本・本屋・出版・エッセイが充実し、左壁には音楽・自然・医療・暮らし・埼玉&秩父郷土本・小版雑誌(文芸・古本・評論・リトルプレス)が並び、途中に貸し棚と地元出版本と自主出版本を挟んで、音楽・女性・ノンフィクション・エッセイなどの文庫棚へとつながる。所々に、古いメンコ・裁縫雑誌・映画雑誌・教科書・レコードなども飾られている。棚の形は様々だが、整頓はしっかりと行き届き、各ジャンルの深度はだいぶ深い様子。これは嬉しい。全体的には硬め寄りで、値段は安めなのがさらに嬉しい。聞けば店主は、本好き&読書家道を突き詰めたら、古本屋の開店に行き着いてしまったらしい。本は安く売るが、好きな本しか並べずに、この眺めをとにかく楽しみ愛おしんでいると豪語…つまりはここは、店主の書斎なのである!それでいて大事な本を売ることにはそれほど頓着せず、逆に買取で入って来た意に沿わぬ本たちの扱いについて困っているそうである。この眺めを本でギチギチにしたくない。通路には積み上げたくない。でももっと本を並べたい。詩集棚をもっと増やしたい。入替もどんどんしたい。自動ドアを引戸にしたい。「ますく堂」(2011/10/15参照)のスナック居抜きは素晴らしい。粉ジュースをお客さんに振る舞いたい!…あぁ、この店主は、一体何処に向かおうとしているのか…しかしこの緩い古本屋思想には、大いに共感してしまったりする。これからも緩くアグレッシブに、焼き鳥の街の飲屋街の中の、古本屋稼業を継続してください。晶文社「オヨヨ城の冒険/小林信彦」ちくま学芸文庫「完本 八犬伝の世界/高田衛」祥伝社新書「小林多喜二名作集 近代日本の貧困」を購入。

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2014年03月18日

3/18東京・神保町 古書専門店Vintage

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春一番の吹き荒れる神保町では、店頭の古本がやはりざらついてしまっている。それでも暖かいせいか、通りも店内も多くの人が古本を求めて活動中。『A1出口』からそんな風景の古書街に出て、『靖国通り』を東に50m歩く。すると『神保町センタービル』と言う建物があり、その一・二階に雑誌を中心とした古本屋さんが入っているのである。ここは「富士鷹屋」(2009/09/11参照)などと同じく、街の公式マップ『JIMBOCHO古書店MAP』などには載らぬ、神保町内マイノリティー店!店頭入口周辺や二階への階段上がり口には、雑誌を積んだ台車・映画パンフ&古週刊誌台・ビジュアルムックラックが点在している。入口が少し奥まり雑然としているので、何だか怪しい雰囲気である。一階店内は細長く奥深く、人が擦れ違うのが困難な二本の細い通路で造られている。入口左には少量の単行本と思想系雑誌とデザイン誌。実はこの裏には激細通路が隠れているのだが、荷物が投げ込まれており今は入れない。右壁はカルチャー誌や街歩き系雑誌・アニメ・特撮・映画単行本・映画パンフと長々続いて行く。通路には脚本・同ジャンル単行本・映画スチールなどが積み上がる…やはりここの主役はあくまで雑誌のようだ…。向かいはただひたすらに新旧映画雑誌と映画パンフの王国となっている。映画ポスター特殊ラック前を通って左側通路へ。壁棚には美術雑誌・建築雑誌・演劇雑誌・映画雑誌。向かいでは相撲雑誌・野球雑誌・プロレス誌がそれに対抗している。通路には相変わらず棚から弾かれたような単行本の悲しい姿が。最奥には古い映画パンフに囲まれた帳場と共に、映画チラシファイルが分厚く揃う空間が存在している。…やはり雑誌は何か勝手が違う。そうぼんやり思いつつ、一旦外に出て二階への階段を上がると、外に追い出されたような音楽棚(雑誌・ムック・単行本)が出迎えてくれる。右の自動ドアから中へ進むと、一階同様細長いが一筆書きの“コ”の字型通路で出来た店内。左側にはファッション誌・音楽誌・FC会報・ジャニーズ系アイドル誌・バンドスコア・プレミア音楽グッズガラスケースが集まり、奥である右側にはグラビア雑誌・アダルト雑誌・アイドル&ミュージシャン&タレント写真集が壁のように揃う。雑誌!雑誌!雑誌!そして少量の単行本のお店である。雑誌と言う括りは大まかで見た目が判り易いが、ページを開くと小宇宙のように情報が細やかに散らばる…だからその世界の掴み方が、ちょっとよく分からなかったりするのだ…つまりは経験&知識不足。未知に近い雑誌古本の世界は奥深く、やはり少し異次元であった。値段は普通〜高め。二階では買うべき本が見つからなかったので、一階までコソコソ戻ってハヤカワ・ライブラリー「アンタッチャブル/エリオット・ネス」を購入する。
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2014年03月17日

3/17埼玉・東松山 BOOK BOOK 東松山店

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コメントタレコミのお店を求めて、本川越駅から徒歩移動して東武東上線に乗り換えて、住宅街と広野の混ざり合う北関東を突っ走る。快速で二十分弱の駅で降り、東口に出ると何だか新しい街。目の前の通りを北に向かって進んで行くと、ワンブロックで古い商店街の『ぼたん通り』が出現…なるほど、焼き鳥が土地の名物なのか。しかし午後一時現在、何処のお店もまだ開いてはいない。ひとつ目の信号を東に入り、期待を高めながら目的のお店にたどり着くと…ぬぅ、シャッターが閉まっている。定休日は火曜のはずなのだが。希望があっという間に絶望にすり替わるのを、冷静に意識しながらシャッターに近寄る。貼紙などは何処にもないが、薄っぺらな店名看板に『定休火曜』の後ろに小さく『(月曜不定休)』とあるのを見付けてしまう…これか、これに引っ掛かってしまったのか…仕方ない、ここは水曜以降にまた訪れるとしよう。そうと決まったら、慌ててさっきの『ぼたん通り』の信号に駆け戻る。交差点角のビル一階に『古本』の立看板を置いたお店がある。飯能でツアーしたことのある(2012/09/19参照)、埼玉県北西部に分布するマイナーリサイクルチェーンの一店である。もはや切り抜ける道はここにしかない!と、自動ドアから昭和懐メロの流れる店内へ。右に阿佐田哲也風オヤジさんのいる細長い帳場があり、小さなフロアの2/3を閉めるアダルトゾーンの他には通路が二本。一本がコミック&CD通路で、中央が十本の本棚で形作られた、雑本・ラノベ・ミステリ&エンタメ・時代劇文庫・日本文学文庫・ノベルス・新書・ハーレクイン・出版社別文庫・海外文学文庫の並ぶ通路である。安値だが本は微妙な古さである。幸いにも徳間文庫「若きウェルテルの悩み/梶龍雄」を見付けられたので、ここに入った選択は正しかったのだと信じることにする。すると帳場のオヤジさんがしばらくジッと文庫を眺めた後「200円だけど100円にしてあげるよ」とニッコリ。ありがとうございます!やはりここに入ったのは、正しかったのですね!

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2014年03月16日

3/16愛知・神戸 リサイクル・ブック・オフィス

昨日の「西荻一箱古本市」では、一日中陽が当たらず冷風が吹き抜ける場所に出店していたので、身も心も古本も凍り付く。しかしその低温の中、配給のカイロと訪れた人の暖かさに触れ、どうにか六時間を乗り切る。言葉を交わしたみなさま、本を買っていただいたみなさま、スタッフのみなさま、本当にありがとうございました。尚、特典ペーパー「古本屋さんとお話することについて考える」の残部を「盛林堂書房」さん(2012/01/06参照)に置かさせてもらっていますので、読みたい方は西荻窪へ!

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と言うわけで明けて本日は、全国の一箱古本市に出没する「駄々猫舎」さんのタレコミを基に、まだ昨日の冷たさを引き摺る早朝に出立し、三回目の青春18きっぷでいつもの東海道線。いつもの長時間行程で西へ進み、豊橋で東海道線を乗り捨てる。新豊橋駅までテクテク移動し、単線ローカルの豊橋鉄道渥美線に乗って、田舎町とキャベツ畑と菜の花畑の中を走り抜け、半島の奥へ奥へと三十分余。終点ひとつ手前の無人駅は電車が走り去ると、町中なのに恐ろしいほどの静寂に包まれてしまう。コンクリ板のような簡素なホームから出て、すぐ西にある踏切を北側へ渡り、大通りにぶつかったら即座に東へ。300mほど進んで『大坪交差点』で北に折れ曲がる…駅の名は『神戸(かんべ)』。そして行く手には『蔵王山』…私は今、神戸で蔵王山方向に向かっているのだ…字面だけだと、特定の土地性が消滅するどころか、時空がねじ曲がってしまっている…。砂州がきめ細やかな川を渡ると、左手に立派な箱型公共施設の集合体が現れる。手前の『田原市総合体育館』をやり過ごし、隣りの『田原文化会館』の薄暗いエントランスへ入って行く。廊下を進んだ先は、円形のターミナルゾーン。左の『総合体育館』方向を選択すると、左にすぐに、開放的に古本の並ぶ姿が目に入って来た。ここは図書館の除籍本や、市民からの寄贈本を棚に並べ、一律50円の激安値で販売しているのである。通路には小さく扇形に配置された三本の本棚があり、日本文学・ミステリ&エンタメ・地図・ガイドブック・料理・ビジネスなどを収めている…ほとんどがコーティングされて、分類ラベルが貼り付いたままの除籍本である。棚で隣りのフリールームと仕切られた室内には、左にイベントチラシを置いたテーブル、右にボランティア女性が座る会計テーブルがあり、壁際の本棚に囲まれている。左は文庫・新書・ラノベ&コミック(少量)・日本文学・海外文学・社会・ビジネス・旅。ここも除籍本ばかりだが、文庫新書にはまっさらな寄贈本が、十冊に一冊ほど紛れ込んでいる。奥の棚には日本文学・実用・雑誌、右側には実用・児童文学・教育など。除籍本がほとんどの、常設図書館リサイクル店である。ピカピカでツルツルの蒼ざめた本たちに目を光らせていると、よぉっ!河出書房新社「そこのみにて光輝く/佐藤泰志」を見出し、大いに気を良くする。青弓社「幻想書誌学序説/村上博美」と共に購入して、計100円也。除籍本でなければ、完全なるどひゃっほうなのだが…と贅沢なことを考えながら、会館を後にする。

帰りに静岡駅で途中下車し、昭和五十年代な在庫をコールドスリープさせた「一冊 萬字亭」(2013/03/01参照)に、一年ぶりに駆け付けてみる。営業中だが誰もおらず、以前より片付いた感のある店内を、ワサワサ物色。獲物を手にして大声で「すいませ〜ん!」と奥に何度も呼び掛け、「ごめんなさいね〜」と出て来たご婦人に精算していただく。東京文藝社「お小夜悲願 長篇自撰集9/角田喜久雄」ソノラマ文庫「北北東を警戒せよ/光瀬龍」「星が流れる」「盗まれた表札」共に藤村正太、春歩堂「安吾捕物帖/坂口安吾」ポピュラーブックス「死角の罠/中田耕治」サンケイ出版「電卓パズル&ゲーム/ウォーレス・ジャッド」創元推理文庫「赤毛のレドメイン家/イーデン・フィルボッツ」を20円オマケの計1300円で購入する。

さぁ、すっかり日も暮れてしまった。楽しかった日曜を引き摺って、いい加減家路に着くとしよう。
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2014年03月14日

3/14準備をしているはずが高円寺をパトロール

仕事をしながら、ちょいちょい明日の古本市の準備を進め(う〜ん、異様な本がせめぎ合ってしまっている…)、昼食後に花曇りの街へ出て釣り銭の確保に奔走する。千円札・五百円玉・百円玉でカバンを重くしたら、足が高円寺に向いてしまい、迷路のような住宅街を西から東へ…散歩がてら、先日叶わなかった高円寺の古本屋さんパトロールをして行こう。おぉ、途中見かけた「onakasuita」(2011/01/09参照)は中落合に移転したので、元の店舗はもぬけの殻…そろそろツアーに行かなければいかんな…。高円寺には南側からアプローチし、まずは銅葺き看板建築の「西村屋書店」(2010/04/11参照)に入ると、講談社ノベルス「目撃者/中町信」を200円で発見する。ニコニコしながら斜向いの「アニマル洋子」(2012/10/15参照)に向かうと、森英俊氏の情報通り店内の様子が変わってしまっている!
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作業場&バックヤード部分が大幅に迫り出し、中央の平台が無くなっている。そして通路は右側が完全100均通路となり、真ん中はDVD・ビデオ・コミック・学生運動・スポーツ・音楽・風俗・文学の通路。左端の通路は現在は封鎖中であるが、ここはいずれ整理が終わったらちゃんと開通するそうである。そうなったら、また改めてツアーをしに来ることにしよう…それにしても、見られる本が少なくなった分、少し薄味に…と思っていたら輝く一冊、角川書店「新宿 考現学/深作光貞」を500円で見つけ出す。1968年の新宿を若者の行動と文化からあぶり出す都市風俗研究本だが、あとがきの謝辞に『新宿通の推理小説作家の塔晶夫氏』とあり、本文写真の一部は深瀬昌久が!と、その時代の息吹をリアルに感じてまたもやニコニコ。他にも講談社文庫「ヤン/前川康男」新建築社「建築ガイドブック 東日本編」を計400円で購入する。さらに「大石書店」(2010/03/08参照)の店頭台では文藝春秋「こんなもんじゃ 山崎方代歌集」を100円で購い、ガード下「都丸書店」(2010/09/21参照)の『中通り』側の安売り棚が復活しているのを目撃してから、
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完全にガード下に潜って「藍書店」(2013/01/14参照)へ。文庫本はほぼ以前と変わらぬようだが、単行本は動きが激しく充実著しい。朝日新聞社「パリ二十区/高田美」光文社文庫「遠野物語/森山大道」を計600円で購入する。さぁ、家に帰って、まだまだ準備の続きをしなければ。明日はまだ何処に出店するかも分かっていないのですが、とにかく「西荻一箱古本市」でお会いいたしましょう!

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2014年03月13日

3/13西荻一箱古本市参戦!

正午近くに、週一ペースの『古ツアフェア@盛林堂』補充を行う。その足で経堂から西荻窪に移転して来た「URESICA」(2011/01/06&2012/04/26参照)を偵察に行くが、雑貨以外は新刊の絵本のみで古本の姿はナシ。またいつか古本市を開催してくれると良いのだが…。それでも思わず目に留まった新刊、書肆侃侃房「長崎迷宮旅暦/下妻みどり」を購入してしまう。

そして家に戻り色々片付け、今週末のスケジュールがようやく見えたので、土日に西荻窪で開かれる「西荻一箱古本市」にエントリーする。参戦するのは三月十五日(土)の一日のみ。全国からいつの間にか集まった変な古本を販売しますので、お時間ある方はぜひお越し下さい!と言うわけでいつものように、やっぱり何かフリーペーパーは配りたいなと考えて、頭と手をガシガシ動かし『古本屋さんとお話しすることについて考える』を完成させました。モノクロのA5ペラ一枚。内容は題名の通り、古本屋さんに行った時に、稀に交わすこととなる会話についてのユルい考察です……いや、こんなことより、古本の準備をしなければ…。
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2014年03月12日

3/12東京・神保町 古書 山猫屋

今回のツアーのハードルは、恐ろしく高い。一度お店の下まで行き、そのあまりの入り難さに怖じ気づいた過去があるのだ。…しかし、いつかは入らねばならぬ。それが、俺の使命なのだと、悲愴な決意をギュッと固めて、まずは九段下へ向かう。地下駅から九段坂下に顔を出し、日本橋川沿いにそびえ立つ『千代田区役所』九階の『千代田区立千代田図書館』を目指す。図書館が神田古書店連盟と組んで、『としょかんのこしょてん』と言う名の古書展示&販売を行っているのだが、現在開催中なのがそのハードルの激高なお店「山猫屋」なのである。先にここを見ておき、お店で何か聞かれたならば『図書館の展示を見て…』と口実を設ける戦法!それほどまでの準備をせねば、落とせないほどの難敵(あくまでもこちらの想像である)なのである。しかし、七つのプラケースに飾られた和本・洋書・プレミア古書を見ていると、不安がますますひろがるばかり…レ、レベルが高い…いや、ステージが違い過ぎる…そんな風にしてさらに気分を暗くしながら、手書きコピーの目録を手にして庁舎から脱出し、目録に目を落としながら『ここで買うべき本に目星をつけておけば、どうにか切り抜けられるのでは…』と考えるが、四桁五桁の数字に目を回す始末…。

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『靖国通り』から『錦華通り』に入り、ちょっとだけ北西上。最初の信号で北寄りの脇道に入り、夏目漱石『我輩は猫である〜』の碑を横目にカーブする寂しい通りを、道なりにぐんぐん進んで行く。右側には崖下の『明治大学』の校舎やグラウンドが連続する。それが途切れると、一階が喫茶店の古い一軒の雑居ビルが姿を現す。ビル横っ腹の三階窓を見上げると、そこには紙に筆で書かれた「古書 山猫堂」…街の喧噪から遠ざかり、古本屋街からも離れ、こんな所にお店が何故あるんだ!と歯噛みしながら、通りからビルの薄暗い入口へ。稲妻型の古い階段を上がると、二階はレモンイエローの扉で三階は水色の扉…廊下中央にその扉を持つのが、目指すお店であった。と言うか、これは本当にお店なのだろうか?当初から胸に渦巻く不安が、激しく肥大して行く。事務所にしか見えぬのだが…だが、ここまで来たら引き返すわけには行かないので、金属のドアノブにグッと手を掛けてしまう。あれ?扉には鍵が掛かってるじゃないか。しかし、大きなドアガラスの向こうで、こちらに気付いたスーツ姿のダンディな南原宏治風店主が、訝しげな表情を浮かべながらも、すぐに鍵を開けてくれた。「あの〜、こちらはお店ですよね?」「あぁ、そうですが、月に一人二人しか来ないので、事務所のようなものでもあります。何か?」「いえ、図書館で展示を見て、スゴい本が並んでいたので、どんなお店なのか見たくなってしまって…それで来てしまいました。地図にはお店と書いてあったので…」「そうですか、なるほど。まぁどうぞ、お入り下さい。どうぞ、こちらへお座り下さい」と招き入れてくれる。ぃよっしっ!入店成功だっ!雑然とした横長の店内は、店舗と言うよりはやはりほぼ倉庫兼事務所のようで、右に大きなデスクと裏路地店舗時代(当時も怖じ気づいてお店には入れなかった)で見覚えのある大きなスタンドがあり、壁際にガラス戸棚。左半分の壁際に白いボックス棚とフロア棚があり、横積みの和本・洋書・古書・掛軸類がドッサリ詰まっている。床にも本の山が積み上がるが、広い窓に下がったブラインドと、目の前に座るダンディ店主が同じ風景に溶け込んでいると、まるでハードボイルドな探偵事務所に調査の依頼に訪れたような錯覚を覚えてしまう…。「今は目録とネット販売が主なので、棚は見るようには作っていないんですよ。前はちゃんとしたお店だったんですけどね」などと、突然の闖入者を前にして落ち着いて話し始めると、会話はフルスロットルでディープに古本界隈の轍にはまり込んで行く。店主の膨大な読書遍歴、小説への興味の喪失、店売りの現状、和本、古文書、中世鎌倉、活字印刷、手書き目録、古本市場、古本屋稼業、値付美学、素人&玄人時代…と話題は目まぐるしく変化しつつも、とにかく読書の深淵と“本”と言うメディアの面白さの分析が、留まるところを知らずに展開!うぉぉぉ、これはやはりステージが違い過ぎる!古本を買いに来たら、どうして脳みそを煙が出るほどフル回転する羽目にっ!それでもお話は刺激的で面白く、瞬く間に四十分が経過してしまう。いつまでも聞いていると、頭が確実にショートしてしまうので、頃合いを見計らい、目録を盗み見ながら選んだ一冊を見てみたいと申し出る。そうして棚から探し出してくれた一冊、六合館「新聞廣告の研究/新田宇一郎」がちゃんと面白そうだったので、購入を決意する。さらに手書き目録のバックナンバーもいただき、お礼を言って長居したお店を辞去する。ふぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜っと、路上で緊張を吐息にしてから、ユラユラ『ミロンガ』にたどり着き、青島ビールで弛緩しまくる…とにかく、入れて良かった。
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2014年03月11日

3/11東京・小田急永山 はらっぱ

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久々の小田急永山には京王線でアプローチする。駅同士が隣り合っているので、タイムラグはほとんどない。南に出て『グリナード永山』脇の大階段を駆け上がると、広場の向こうに団地をせき止めるダムのような『ベルブ永山』が建っている。円形にくりぬかれた部分に近付き、エスカレーターで三階に上がる。すると左手のガラスドアの向こうに公民館のロビーが広がり、端にはいくつかのお店が並んでいる。その中のひとつに古本棚が紛れているのを目撃する。そのお店は、古本と手づくり雑貨「あしたやみどり」(2013/05/28参照)と自然食品と雑貨の店「あしたや」のサテライトショップなのである。何はともあれ、律儀に古本も取り扱ってくれていることに感謝する。店舗を二分する仕切り棚の先端に古本が集まる形式。まずは50均新書箱と50均絵本&雑誌箱が置かれ、100均文庫棚が一本と200均文庫棚が一本あり、両棚共に最下部の一段が100均ノベルス&ソフトカバーとなっている。並びは一般的リサイクル的で、新しい本がほとんど。瞬時に見終わり、朝日新聞社「私の見た人/吉屋信子」を購入する。

ここまで来たのなら当然の如く、隣接する公園を駆け抜け、徹底的な剪定のために見通しの良くなった団地内を疾走して「あしたやみどり」へ。反応が敏感過ぎる自動ドアを潜って本棚と対峙…前回は思わぬ大物を釣り上げたが…と、過去の栄光に心を濁らせながらも、手にする本の数が早くも増えて行く。むっ!テーブルには、以前は無かった500均の古書コーナーが出現している!食い入るように眺めていると、レジに座る開高健的オヤジさんが「そこにはね、時々スゴいのが出るよ〜。この団地はね、オレたちみたいに出来た時から、ず〜っと住んでる人がほとんどなんだよ。だから時々、昔の本がゴソッと手に入るの」う〜む、夢のような話だ。旧家の蔵などとはまた違う、昭和三十〜四十年代の古本鉱脈か!と理解しつつ、そこからも一冊抜き取る。集英社文庫「めぐり逢い/後藤明生」ちくま学芸文庫「重力と恩寵/シモーヌ・ヴェイユ」旺文社文庫「アンクル・トリス交遊録/柳原良平」JAF出版社「くるま昭和史物語/小磯勝直」岩谷書店「菱山修三詩集 夢の女」創文社「明治の山旅/武田久吉」(署名入)を計1250円で購入し、まぁまぁの収穫じゃないか…この時はそう思っていた…。

駅に戻ってからさらに北側にも出て、丘の上の“100円棚の城”「佐伯書店」(2009/06/20参照)へ。しかし100均本には手を出さず、一階のバーゲン本で小学館学習まんが人物館「円谷英二」を見付けて喜び、400円で購入する。

そして家で買って来た本をパラパラと眺めていると、うぉぉぉぉっ!「アンクル・トリス交遊録」の章扉に、献呈署名&アンクル・トリスの直筆イラストが入っているじゃないかっ!ど、どひゃっほうです!
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2014年03月10日

3/10東京・府中 木内書店仮設店舗

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駅南口前にあった、懐かしく古い街並のワンブロックが、まるごと再開発のために消えることに。なので現在、大きくフェンスで囲い込んだ中では、建物群の解体が急ピッチで進んでいる。駅のコンコースから、かつて「木内書店」(2010/01/08&2011/05/31参照)のあった細い路地を見下ろすと、道も建物もまだそのままで残っていた。しかし路地の出入口は封鎖され、行き交う人影も作業員のみとなっている。もうすぐ消滅する、かつて歩いた風景を、頭脳に陰影濃く念写してから、北口の空中広場に出る。階段を西に下りて、ビルとビルの間を西に抜けて、一車線一方通行の『けやき通り』を横断する。四階の高さを誇る京王線高架北側の脇道に入り、さらに西へ。しばらくすると高架下に、平屋で九軒の店舗が連続するプレハブ長屋が現れる。おぉ、その西端に『古書買入』の看板が掲げられていた。軒看板と脇道側にも黄色い袖看板があり、入口横の店名看板は、前店舗の看板を踏襲している。表側には低いタイプのラック棚があり、100均文庫と100均雑誌類が並ぶ。脇道側にある細長い棚は50均文庫で、足元に50均単行本箱も置かれている。サッシを開けて小さな店内に進む。左右壁棚と真ん中に背中合わせの棚が一本、そして奥に帳場の、シンプルスタンダード古本屋スタイル。店主たる奥様は、すっかり古本屋然として在庫に囲まれ座っている。右壁は美術・囲碁・歴史・社会・文化・思想・文学・江戸風俗・自然・教科書類・学術&資料・山岳などが、ある程度カオスに、そして安値で並んでいる。向かいには暮らし・実用・ビジネス・自己啓発・ノンフィクション・ミステリ&エンタメ・落語・海外文学・全集など。左側通路へ移動すると、壁棚に美術図録・ビジュアルブック・ミステリ&エンタメ文庫・ノンフィクション文庫・日本純文学文庫・戦争文庫・官能文庫・ちくま文庫・中公文庫・講談社学術文庫・岩波文庫。向かいは時代劇文庫・海外文学文庫・ハーレクイン・BLノベルス・ノベルス・新書となっている。新しめの本が中心だが、単行本には戦前&昭和、文庫には絶版が少々顔を出す。場所は変わっても、街の古本屋さんとしてブレずに営業を続けている。ちなみにこの場所は、脇道の外壁を見ると分かるのだが『高架下東仮設店舗』なのである…つまり期間が限定されているのだ。常連さんとの会話を小耳に挟んだところ、「ここにいられるのは三〜四年なの」とのこと。その後は果たして、元の場所に復帰するのであろうか?三年後に、またツアーに来ることにしよう。新潮文庫「横浜ストリートライフ/佐江衆一」講談社文庫「お噺の卵 武井武雄童話集」ケイブンシャ文庫「こんにちは、久米宏です/久米宏」洋泉社「街はクロスワード 虫の目都市図鑑」を計650円で購入する。

そしてシャッターが閉まっていて気になった、赤羽の「紅谷書店」(2009/01/29参照)だが、その後色々調べてみると、二月に閉店セールを行い、すでに閉店していることが判明した。…まったく気付かず、これは不覚以外の何ものでもない…くぅ。最後に「のらくろ放浪記」を掘り出したのを(2013/04/08参照)幸せな思い出とし、古く曲がった暗いアーケードと、そこにあった古本屋さんを、いつまでも忘れないでいることにしよう。
posted by tokusan at 18:44| Comment(6) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月09日

3/9純粋古本屋行動

今日は家に閉じこもり、朝から確定申告の書類と大格闘する。ヒィヒィうめきながら午後にどうにか書き上げると、もはや精も根も尽き果てた有り様。沈み始めた夕陽を目にして、とてもツアーには行けないが、それでも古本を買いに行こう!と家を飛び出す。足を向けたのは近所である「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)。しかも、ただ何となく『買える本があるかな…』と言う散歩気分ではなく、先日店内で見かけて買おうか買うまいかウジウジ悩んでいた、一冊の本を買いに行こうと決意した、純粋な古本屋行動なのである!いつものツアーとは違って、一冊の古本を求めてお店を訪ねる……何か誇らしく清々しい気分に満たされてしまう、自分が道を歩いていた…。店頭棚には目もくれず、店内に入るや否や入口右横の新入荷本棚に接近し、目的の一冊がまだ売っているのを確認すると共に、素早く抜き取る。そして回れ右をして帳場へ直行。本命の古本を買うだけの、ムダのない行動である。白樺書房「成城町271番地 ある映画作家のたわごと/市川崑・和田夏十」を5000円で購入する。…本としては高値だが、この古本としては安値なのである!割と珍しい本だと思うが(店主・天野氏も「音羽館で一度だけ見たことが…」と言っていた)、「コンコ堂」以外で見たことがあったのは、カバー無しが6000円、カバー付きでも10000円の高値であった。いつの日かもっと安く見つかれば…と考えて手を出さずに数年が経過。それが理想に近い形で眼前に現れたのなら、即決で買うべきだったのだが、しかしそれでも五日間悩んだ末に、ようやく買うことに決めたのである。思い切って買ったら、今更ながら何か吹っ切れた気がする。やはり、読みたいものは読んでおくことにしてゆこう。そうやって、生きてゆくことにしよう。ありがとう「コンコ堂」!と外に出て、欲しかった古本を手にしてニヤニヤしながら写真を一枚。その時、お店の前を通る女子中学生の集団…「あっ、古本屋だ。ほら、ビブリアっぽいお店だよ。ビブリアだよ!」と楽しそうに、コロコロ囁き合っている…これもまたある意味、とても純粋だなぁ…。
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posted by tokusan at 19:06| Comment(4) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする