2014年04月30日

4/30東京・神保町 その後の古書 たなごころ

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雨が降っていることにより、瑞々しさを増した感のある水道橋駅からトボトボ歩いて、先日ツアーしたばかりの「みはる書房」(2014/04/17参照)の上階の古本屋さんにチャレンジを試みるが、階段扉の鍵がガッチリと閉まっている…。悄然として裏道から裏道へ渡り歩いて行くと、「古書 たなごころ」(2010/11/24参照)のある小十字路にたどり着く。このお店もツアーしてから、ずいぶんと日が経ったので、店内の様子がだいぶ変わってしまっている。これからはそんなお店も、再ツアーして行かなきゃなと、あくまで自主的な使命感に囚われ、ざっくり剪定され過ぎた植木を寂しく思い、サッシ扉のドアノブを回す。小さな小さな店内には本棚が以前より立て込み、古本屋さんとしてのカオス度が増した光景を展開している。女性店主の他にもうひとり女性がおり、二人で何やら本の選定と入力作業を進行させている…何をしているのだろう?左奥が少し出っ張る店内は、壁棚にぐるりと囲まれ、左壁沿いの帳場前から二本の背中合わせの棚が延びている。棚は帳場にぴったりとくっ付いているので、二本の極狭短通路は行き止まりとなっている。第一通路は、入口側にミステリノベルス・エッセイ文庫・「幻影城」・「EQMM」などが並び、奥側にミステリペーパーバックが厚ぼったくドッサリ。第二通路は入口側に創元推理文庫が収まり、奥側に日本探偵小説文庫と推理小説文庫が濃密な並びを見せている。その裏側も探偵小説が継続し、探偵小説評論や叢書類など。壁棚は入口右横から、鮎川哲也・世界ロマン全集・桃源社・春陽文庫伝奇&時代劇・ビジュアル本・シムノン&シメノン・乱歩文庫全集・SF・ペーパーバック・幻想文学・ホームズ関連・復刻新刊類がディスプレイ。左奥の小部屋的ゾーンに入り込むと、壁棚に日本SF・SFジュブナイル・SF文庫・ハヤカワ文庫・サンリオ文庫・創元推理文庫SFが並び、左壁に大量のポケミスと少しの白帯創元推理文庫。後は帳場背後の領域となり、プレミア海外探偵小説&日本探偵小説類が、欲望を肥大させる輝きを放っている。海外探偵小説とSFが左右の心房となって、小さな心臓の如きお店を形作り、マニアックに激しく鼓動している。値段は普通から始まるしっかり値で、スキはまず見当たらぬ強靭さを誇っている。しかしそれでも、装幀のあでやかな古い海外ミステリに出会えるのは、幸福である。肩幅もない狭い通路から精算をお願いすると、パソコン越しのにこやかな笑顔と共に、今現在目録を鋭意製作中であることを告げられ、参考にと平成24年12月発行の「古書目録 第2号」をいただく。3号はもうすぐ完成とのことなので、「出来る頃を見計らって、もらいに来ます!」と冴えない宣言をしてしまい、角川文庫「殺意という名の家畜/河野典生」を400円で購入。透明ビニールカバーを掛けてもらえるサービスが、ちょっと嬉しかったりする。
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2014年04月29日

4/29千葉・志津 日置書店

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西船橋駅から徒歩で京成西船駅に向かい、そこから京成本線のお世話になる。千葉の住宅街の中を奥へ奥へと入り込んで行き、降り立ったのは華やぎが希薄な郊外の駅のホーム。橋上駅舎に上がって北口に下りれば、ほとんど道路の横長な駅前。西に足を向けると、箱型の古びた商店建築が並び建ち、すぐの脇道を北に入る。するとその先は斜めの道に通じており、正面にはさらに古さを増し閉店してしまった商店群が現れる。三本の大木を背景にし、植物に侵食され、右から元文房具店・店種不明・元お菓子屋、そして木戸で塞がれた空地を挟み、大きな黄色いテント看板の古本屋さん!繁華な街から離れた急行が停まらぬ駅裏に、それは建っていた。極上のうらぶれたロケーションである!そして営業している!感極まりながら、サッシ扉の向こうへ飛び込む。コンクリ土間の縦長&質素な店内。スチール棚を連ねて四本の細い通路を生み出し、奥にはアダルト部屋がしっかりとある。左奥手前に本に軽く囲まれた帳場があり、おばあさんがスピーディーに仕事をこなしている。左半分はコミックで埋まり、右半分に日本文学文庫・ミステリ文庫・時代劇文庫・教養&雑学文庫・ラノベ・海外文学文庫・ノベルス・コミック文庫・一般単行本、それに最下段に埃まみれでちょっと古めの文庫が捨て置かれている。所々に乱雑な横積みゾーンが存在し、並びはあくまでも一般的。コミックとアダルトが主力商品なのであろう。文庫は一冊100円と書かれている棚があるが、150円のものや値段ナシのものも多い。単行本も値段が付けられていない…まあそれでも、そう高いことはないだろうと踏み、四冊を鷲掴んでおばあさんにグッと差し出す。すると小さな声で「…ごじゅうえん…」…?良く聞こえなかったな。450円かな?千円札をスタンバイし渡そうとすると「こまかいのないですかね?」と言われる。「え、お幾らでしょうか?」と確かめてみると、「五十円です」「ご…ごじゅうえん!一冊100円じゃないんですか?」「新しいのが一冊だけだから」…と言うことは、一冊十円で新しめの文庫だけ二十円と言うことか!絶句するほど鬼安!徳間文庫「奥只見温泉郷殺人事件」「天竜駒殺人事件」共に中町信、講談社文芸文庫「告別/福永武彦」草思社文庫「野宿入門/かとうちあき」を購入。

ミニマムな興奮に身を焦がしながら、再び京成線に乗って八千代台駅で途中下車。千葉県の至宝「雄気堂」(2009/05/30参照)を楽しみまくっていると、困るほど欲しい本が見つかってしまう…あぁ、こんなに欲望に身を委ねてしまっては、たちまち財布に危機が訪れてしまう!と煩悶しつつ、創元推理文庫「ひらけ胡麻!/マイケル・ギルバート」(元パラ帯付き初版が、に、250円!どひゃっほう!)「ローマ帽子の謎/エラリー・クイーン」(初めてお店で出会うことが出来た“厚着本”。三版で200円!)講談社文庫「工場日記/シモーヌ・ヴェイユ」教養文庫「妖蝶記/香山滋」民族教養新書「書齋の中の嗟嘆/日夏耿之介」東京文藝社「花太郎呪文/角田喜久雄」同光社「喧嘩獅子/岩崎栄」を計3000円で購入し、合わせ技どひゃっほう!やはりここは相変わらず名店なのであった。
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ここ最近連続する“どひゃっほう”に、多少の恐ろしさを感じないでもないが、それでも喜びが優先し、これらの文庫&新書もとにかく嬉しい。古本屋ツーリストとしてもブックハンターとしても、満足の行くツアーとなった。やはり街の古本屋さんに飛び出すと、楽しいことが待っているのだと、改めて確信した一日。

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2014年04月27日

4/27三文役者的に古本屋さんを巡る

仕事が疎らに分布する一日。その空き時間をうまく縫い、都内を古本散歩的に移動することを決める。つい最近読んだ、岩波現代文庫「三文役者の死 正伝 殿山泰司/新藤兼人」の、殿山泰司を偲んで銀座と浅草を歩き回る章に古本屋さんの記述が出て来るのをこれ幸いに、その跡をたどってみようと考えたのだ。時間がはみ出さぬよう、行動は素早く、コンパクトに…。

スタート地点はやはりあそこに行かねばならぬと、赤坂見附駅で下車。真昼のしらけた歓楽街である『一ツ木通り』を南に歩き、古い街並がちょっと残り、前方が恐ろしいほどの坂道になった『円通寺通り』を西南へ。その途中に、殿山泰司が暮らし続けた通称『赤坂のアパート』が建っているのだ。ここを詣でなければ、この小さな旅は始まらない…しかし!裏に小さなお稲荷様の祠があるそのアパートは、工事用の外壁にすっかり覆われてしまっていた。うわ、取り壊しの真っ最中なのか?慌てて脇の小道に入り祠の前まで行くと、フェンスが低くなり、取り壊し寸前のビルの背面が覗いていた。ここであの愉快な原稿たちが、鉛筆で量産されたのか…あの壁に立て掛けられた古い襖は、もしかしたらタイちゃんの部屋の…などと妄想をドライブさせ、かろうじてかつての住居を見られたことに喜びを覚える。あぁ、彼の暮らした部屋が、もうすぐこの地上から、消滅しようとしている…。
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続いて銀座駅で下車し、ほとんど迷路の天井の低い地下街を潜り抜け『銀座松屋』の裏手の『マロニエ通り』に至る。かつてここには二店の「奥村書店」があり、ビルの角にへばりついていたお店の方で、良くミステリの文庫を購入していたとのこと。しかしお店が無くてはどうしようもないので、文字通り移転して“新生”した「新生堂 奥村書店」(2010/03/16参照)を目指すことにする。あ!このまま通りを東南に下り、『昭和通り』を越えれば新生堂なのか。旧店舗と新店舗の位置関係に初めて気付いた瞬間、お店が日曜定休であることにも気付く。落胆しながら入口ガラスの貼紙に目を凝らすと、今や土曜も定休日になっていることを知る…土日祝は休み…今度から気をつけよう…。

最後に観光客と多国籍な外国人で賑わう浅草の街に飛び出し、人を掻き分けテクテクテクテク。まずは『ひさご通り』にあった『但馬屋』で塩豆を買って、タイちゃん同様食べながら歩きたいのだが、お店はすでに閉店している。なので気分だけでもと『言問通り』を越えて賑わいとおさらばし、『千束五差路交差点』近くにある同名の煎豆菓子屋『但馬屋太田垣商店』に飛び込み、塩豆200gと共に、きなこ豆と揚げもちも200gずつ量り売りしていただく。合計600gのお菓子を持ち、紙袋から早速塩豆をつまみ出し、ポリポリ齧りながら浅草の裏通りを歩き続ける。晩年の行きつけの居酒屋『かいば屋』もすでに閉店してしまっているが、お店はまだ昔の姿そのままに、ひっそりと残っていた。
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そしてその『かいば屋』に行く前に寄っていた「おもしろ文庫」(2010/04/04参照)にたどり着く。ザ・街の古本屋さんなL字型の店内をゆっくり吟味し、岩波文庫「ホフマン短篇集/池内了編訳」を400円で購入する。
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次の仕事まで多少時間が余ったので、塩豆を口に放り込みながら、目的無く浅草をブラブラする。この街で日常を暮らす人以外は、みなハレの顔をしている。一人の人はまずいない。そして酒を呑み、物を食べ、写真を撮り、笑顔と言葉が溢れ出している。私は塩豆をボリボリ齧り、孤独な群集の中のロビンソンとして、その中を通り過ぎて行く。ただ、殿山泰司を表面だけ気取り、頭蓋に、豆を砕く音が、響き続けている…それにしてもこの塩豆、本当においしいな!


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2014年04月26日

4/26栃木・益子 ハナメガネ商会

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湘南新宿ライン宇都宮線に乗ったら、人身事故によるダイヤの乱れに巻き込まれ、予定より二時間遅れで益子駅に到着。おかげで橘外男の「亡霊怪猫屋敷」を読み切ってしまった(橘センセイの残虐メーターが容赦無く振り切れるのは相変わらずだが、大怪猫が後ろに従えた五〜六匹の猫に指図をするくだりは、考えただけで可愛らしい)。白く強い午後の日射しを浴び、ロータリーから離脱して、寂れた決して変わらぬ駅前通りを東南に進んで『益子本通り』に合流し、そのまま東へ。今日は陶器市の初日のせいか、交通量が非常に激しく路上に人影も多い。通りをズンズン300mほど進み、『益子新町バス停』を過ぎると、左手通り沿いに『ヒジノワ』と言う民家を改造したお洒落な食堂が現れる。その建物脇に真っ赤な立看板が立ち、駐車場の奥の別なお店へと、人々を誘導している…本日、同じ益子の住宅地の中にあった「はなめがね本舗」(2012/04/14参照)が、「ハナメガネ商会」と名を変えて、店舗も表通り近くに移転し、堂々開店したのである。車の脇を擦り抜け、奥の花咲く庭に踏み込み、猫かトトロ的形状の植木の間を通り、お店の前に立つ…うぉぅ、これはインパクト大!シンプルな平屋の古民家を改造したお店は、右端にガラス看板があり、暖簾の下がる開け放たれた玄関、そして左に大きく庭に向かって解放された縁側の向こうに、多くの人で賑わう店内が見えていた。庭があるお店って素敵だ。コンクリ土間玄関に入ると、ちょっと高い上がり框の向こうがカウンター帳場になっている。靴を脱いでヤッと上がり、商会オリジナルスリッパに履き替えると、「お久しぶりです。来てくださるとは。まさか初日に…」とお会いするのは久々なのに、早速ハナメガネさんに気付かれてしまう。相変わらずの慧眼、お見それいたしましたと、恐縮しながらご挨拶。お店は、玄関も含めた縁側沿いのぶち抜かれた二間である。裸電球がいくつもぶら下がり、古い木材が優しげな、不思議に心落ち着く空間である。右に壁棚が連なり古本が並び、広間には、ハナメガネオリジナル手ぬぐい・文房具・雑貨・アンティーク食器・新作こけし・こけし本新刊・均一こけし・こけしをモチーフにしたこけしグッズが、小さな棚と二台のテーブルと大きな棚に並んでいる。棚脇には回転絵本ラックもあり。お客は女子が多く、こけし&こけしグッズに目を隈なく光らせている…こけしって、こんなにも求められている物だったのか…。古本は、暮らし・食・乙女・少女・ティーンズ・女流作家文学・旅・性愛・嗜好品・児童文学・少女漫画・児童書・郷土玩具などが並ぶ。乙女の視点から造られた棚は、聖も邪も含む堂々たる構成。値段は普通〜ちょい高だが、古い本や珍しい本も多いので、そうなることは必定か。何はともあれ、この店舗と古本と雑貨(主にこけし)を組み合わせた、世界観と空間性に打ちのめされる。何もかもが、目の前の縁側のように開かれている…そうか、この庭と縁側が、とにかく素晴らしいんだ!しかし今日はまだ初日。この開放的なお店が、これからどう進化して行くのか、またいずれ見に来ることにしよう。移転開店、おめでとうございます。レオ企画「わたしは痴監/山本晋也」(あぁ、こんな本が売っているなんて…)を購入。

庭を通り抜けて通りに出て、さらに東へ。「内町工場」(2011/07/24参照)も、古家具&アンティーク雑貨を求める人で賑わっている。店内各所に散らばる古本を見て行くと、相変わらず予想外な良い本が予想外な安値で紛れ込んでいる!と喜び浅ましく、次々と手にして行く。コダマプレス「マンガ考/草森紳一」東京スポーツ新聞社「ヘソの曲り角/岡本喜八」PLayBOOK「自分の中に毒を持て/岡本太郎」ちくま文庫「美食倶楽部/谷崎潤一郎」「田中小実昌エッセイコレクション2」新潮文庫「絵の中の散歩/洲之内徹」日本評論社「誰が殺したか?/葉山嘉樹」「血/岩藤雪夫」を計2150円で購入した後、若き店主に名乗りを上げて挨拶をする。本当にいつも良い本を、ありがとうございます!

益子駅に戻ると、何だかとても騒がしい。時刻表を見ると十分後に来る次の列車がSL機関車であることが判明し、それで皆浮き足立っているのである。しかしこのSLに乗車するには、乗車券以外に500円の整理券を買わなければならないのだ。次の普通列車は…一時間後か…止むに止まれず整理券を購入し、汽笛と共にホームに滑り込んで来た汽車に乗り込む。実は蒸気機関車に乗るのは、初めての体験である…古本屋を追い求めていたら、まさかSLに乗る日が来ようとは…。初めて嗅ぐ石炭の燃える匂いは、アスファルトの匂いに似ていた。そしてノロいな、SL!
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※せっかくなのでホームに滑り込むSLと共に古本の写真を撮ってみた。一番手前は本日最大の収穫、草森紳一の単行本デビュー作である。200円でどひゃっほう!
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2014年04月25日

4/25埼玉・新所沢 古本カフェ 午後の時間割

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ありがたいコメントタレコミに基づき、西武新宿線で埼玉県入り。ちょっと不思議な『PARCO』もある大きな西口に出ると、緑が鮮やかに繁茂したけやきが目を惹き、その緑に頭上を覆われながら西へ。『新所沢駅西入口交差点』で北に向かい、今は亡き「祥文堂書店 西口店」(2010/09/15参照)跡地を通り過ぎて『緑町4丁目交差点』。そのまま北に突き進んで、『デニーズ』を越えたすぐの脇道を西に曲がり込む。もはや住宅街の裏道であるが、後は道なりにズンズン進み、爽やかな低層団地群沿いにおよそ300m。右手に三店のお店が連なる商店長屋が現れ、その左端が本日開店したばかりの古本カフェであった。緑の日除けの下には、大きなガラス窓と化粧レンガ。立看板はあるが、100均台などは出ていない。開け放たれた扉から中に飛び込むと、おぉ!なんと立派な壁棚だ!お客さんはいないが、エプロンを着けたナイスミドルなご夫婦(想像)がおり、奥さんの方が「いらっしゃいませ」とニッコリ出迎えてくれた。まずはお茶を飲まねばならぬのだろうかと思いつつ「ここは古本屋さんなんですか?」と、さも通りかかって飛び込んで来たかのように、しらばっくれて聞いてみると「ええそうです。古本屋でカフェです。どうぞゆっくりご覧になってください」「ありがとうございます」…どうやら本を見るだけでも大丈夫なようだ。そして本はどれも販売されているとのことである。入った所は縦長の空間で、左に九段×十列の壁棚があり、右に胸から上の六列の壁棚とテーブル席があり、奥はカウンター兼帳場となっている。ほほぅ、奥に短い階段があって、中二階にも本棚が並んでいるのか。素敵な構造だ。粋なジャズのBGMに耳を傾け、入店の緊張を解いて行く。一階に並ぶのは新しくキレイな本が多く、右壁に海外文学文庫・日本文学文庫・講談社文芸文庫・ちくま文庫。左壁は六本分に圧巻の海外文学と大量の翻訳ノンフィクション・歴史・科学・文明・心理学・犯罪が並び、残りの四本にミステリ&エンタメ・日本純文学・自然・心理学などが並ぶ。翻訳本の充実っぷりは、巨大新刊書店に肉迫していると言っても過言ではない。しかしこの時点では、まだ一冊も手にしておらず、そのまま中二階への数段を上がる。建材の新しい匂いが強くなる。八畳ほどの空間をぐるっと壁棚が取り囲み、フロアには小さな棚が二つ置かれている。上がり口右横から、戦争文庫・松本清張文庫・日本文学文庫・ノンフィクション文庫・日本文学・時代劇文庫・エッセイ・ノンフィクション・海外文学・音楽・詩・海外文学文庫と左横まで続くが、ジャンル分けは明確ではなく、繰り返し同ジャンルが現れる構成になっている。フロア棚には海外文学文庫・文学復刻本・日本文学・海外文学・両文庫などが収まり、その周りには実用&美術ムックや絵本を詰めた箱も置かれている。こちらには所々に古い本が現れるので、ちょっとやっきになって棚に食らいついてしまう…。とてもしっかりした、古本屋寄りな古本カフェである。フィクション・ノンフィクション共に海外翻訳本が多いのも凄い光景だが、こう言う裏切りはとても嬉しい。値段は、新しい本や単行本は定価の半額だが、古めの本は100〜300円とお買い得。狙い目もそこにある!と、浅ましくそんな本ばかりをセレクト。ちくま文庫「三文役者の待ち時間/殿山泰司」「もっと、狐の書評/山村修」角川文庫「日本女地図/殿山泰司」(150円でひゃっほう!)春陽堂少年少女文庫「ほら男爵の冒険/ピュルガー」講談社文庫「陰画応報/フレーザー」網走新聞社「網走監獄」(1980年発行の80ページの小冊子だが、脱獄ルポの第一人者・山谷一郎の記事や対談が盛りだくさん!)を購入。開店祝いにと二枚のクッキーをいただく。いやぁ、割と長時間お邪魔いたしました。本日武蔵野台地に、新たな古本カフェが、華麗に古本を内蔵して誕生!
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2014年04月24日

4/24東京・神保町 飯島書店

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警官がウヨウヨ集まる地下の九段下駅から、急階段に爽やかに吹き込む風を受け流して地上へ。磁石に吸い寄せられる砂鉄のように神保町に向かい、『神保町交差点』から『靖国通り』を西に100m弱の、「原書房」と「ブンケン・ロック・サイド」(2012/09/01参照)と「南海堂書店」(2012/05/08参照)の三軒の古本屋さんが一階に並ぶビルの前。みなさんは、左側の二店の間に、別な古本屋さんへの入口である階段が存在するのを、ご存知であろうか。単なるビル上階への階段と思ったら大間違いで、入口上を見上げると、換気扇の吹き出し口的フォルムの日除けがあり、小さな洋風袖看板もぶら下がっている。階段に足を掛け、身を建物内に入れると、「イラッシャイマセ」と電子ボイスが降り注ぐ。不意打ちの如く早々と出迎えられてしまったので、昇降機付きのその階段を二階までコソコソ上がり切る。右側に、ビルを貫く細長い店舗が、通り側から奥に向かっていた…入口は二軒の古本屋さんに、そして店舗は「原書房 版画部」と喫茶店に、ギュウッと挟まれているわけだな…。頑丈さが取り柄のスチール壁棚に挟まれ、真ん中にガラスケースが二台縦列し、奥右側に帳場があり、そのさらに奥には広い事務所が広がっている。博物館、あるいは古い学校のような、質実な雰囲気の漂う空間である。ガラスケースには、硯・墨・封泥などが飾られ、通り側の右壁には和本や帙入り豪華本・書跡・印譜・拓本などが…恐ろしくて触れることも出来ない…。窓際には習字本などが積み上がり、長く続く左壁棚には東洋美術・墨絵・書道専門書&作品集・字に関する本・大量の薄手の書跡全集。向かいには掛軸や書関連の辞書事典…ぐぅっ、見事なまでの、人の手によって書かれ続けた異次元的別世界。冷や汗がジワリと滲み出る…まだ、書を魅力ある美術として理解出来ぬ、己の未熟さが恥ずかしい…なのでその揺るがぬ専門性に手が出せず、お店の名刺を一枚いただいただけで、忍び足で階段を下る。すると、通りに出ようとしたその瞬間「アリガトウゴザイマシタ」と、またも電子ボイスが降り注いだ。

いつもの風景に警官の姿が混ざる本の街を、スタスタ進み「文省堂書店」(2010/09/17参照)にたどり着く。最近ここの、いつの日からか現れた、店外&店内100均単行本棚が、何故だかとても気になっているのだ。角川文庫「ふしぎなカーニバル/石森延男」春陽文庫「伝七捕物帖1/陣出達郎」講談社「オクスフォード世界の民話と伝説 アフリカ編」を計200円で購入し、ニヤリ。
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2014年04月23日

4/23埼玉・所沢 BOOKBOOK 所沢店

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埼玉圏リサイクルマイナーチェーンの三店目である。すっかり新しくなった橋上駅舎から西口の地上に下りると、以前と変わらぬ複葉機のモニュメントのあるロータリー。駅舎沿いに南に進んで、空中歩廊の下を潜り、線路沿いに南に流れ落ちて行き、踏切のある通りを西に入る。すると行く手には、都市駅の至近にも関わらず、巨大敷地の西武の工場が広がっていた。通りを渡り、郵便局手前の小道に入って、南西へウネウネと歩き続ける。左に駐輪場、右にフェンス越しのフットサル場と、200m近い長さの屋根を架けた鉄道工場がある道は、体感時間のスピードを、少し緩やかにしてくれる。やがて信号のある大通りにぶつかり、右の建物の壁にある『本・CD・ビデオの激安店』の看板が目に入った。正面が屏風のようになった二階建てビルの、左側に大きくお店が広がる。初めて出会った「BOOKBOOK」の大型店舗である。陽の射し込む入口から中に入ると、五本の縦通路があり、右側四本に早速古本が集まっているの確認する。他には箱の展開図のように、左斜め後ろにCD&コミックゾーン&レジがつながり、さらにその奥にアダルトゾーンが続いている模様。ガチャガチャの脇を通り、誰一人お客のいない店内を気怠く歩み、まずは右端の通路へ。右壁は児童文学と絵本から始まり、途中からは雑誌とムックが並び続ける。通路棚は八本の連結された棚で、ミステリ&エンタメ・海外文学・ノンフィクション・ビジネス・財テク・実用・芸能・雑学など。第二通路は、右にゲーム攻略本・ムック・三冊100円文庫・歴史・みすずなどの人文単行本が並び、左に新書・官能文庫・日本文学文庫。第三通路は、右が日本文学文庫の続きで、それはさらに左にも続いて奥に岩波文庫を収める。第四通路は右のみが古本で、ラノベ・海外文学文庫・雑学文庫が並び、後の通路棚と壁棚はコミック(絶版棚もあり)で埋まっている。本の量はなかなか多く、古い本も時折登場。値段は全体に安めだが、新しい本や定価が高値の人文には定価の半額よりちょっと下めな値付けがされている…まぁそれでも安めではあるのだ。創元推理文庫「夜鳥/モーリス・ルヴェル」ブックマン社「月光仮面復刻版 恐怖の秘密兵器」「月光仮面復刻版 怪人ドクロ仮面」共に川内康範を購入。このお店、入口前にちょっと変わったものがある。最初はレンタルビデオなどの、返却用深夜ポストなのかと思ったのだが、良く考えるとここはレンタルなどやっていない。説明を読むと、買取不用の『DVD・ブルーレイ・CD・本・雑誌・等』をこちらのBOXにお捨てください!となっている。『手軽に捨てて手間いらず』か…おそらく始末に困ったアダルト関連を狙いとしているのではないだろうか。『ゴミをこちらに捨てないようお願いします』が物悲しい。負けるな「BOOKBOOK所沢店」!
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2014年04月22日

4/22東京・神保町 燎原書店

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筋肉痛からどうにか解放されつつ、東西線九段下駅で下車して、神保町の端っこにアプローチ。『専修大学前交差点』から『専大通り』を北へ。二十歩も歩けば左手に、モニュメントとして残された『専修學校』の門が現れ、奥には大きな『専修大学』が見えている。その前の広く見通しの良い脇道を西に進むと、大学対面のビル二階窓に、目指すお店の青く力強い文字が踊っていた。入り難いパターンのロケーションではあるが、『SALE』のビラが貼り出されているので、とにかく入って良いお店であるとの、安心感を手に入れる。暗い玄関アプローチに進入し、エレベーターで二階へ上がると、短過ぎる廊下と共に、明るく開け放たれたドアがひとつ…もはや逃げ場は無い…。観念して店内に進むと、カーペットタイルが敷き詰められ、頑丈なスチール棚が据えられ、所々に横積み本の山はあるが、広く通路の確保された店内…しかし誰もいない。入口左横の簡素な帳場にもいない。左のパーテーションの向こうには広い空間があり、人の気配がしているのだが…。二十畳ほどの店内フロアには、壁棚に囲まれた四本の通路が、縦に存在している。しかしそこに並ぶのは、中国の本ばかり!壁の一枚の貼紙を見て、『和書』に対する中国の本のことを、『中文書』と呼び倣わすことを初めて知る。何事も勉強である。本はB6判〜A4判の図録のような、簡易ソフトカバータイプのものが多い。その背文字には、見慣れた漢字と見たこともない漢字が混在している。分からないなりにも、棚の把握を試みて行く…最奥の右端通路には、隋・陶・清などの王朝とその時代に関するものが…スケールがデカく深過ぎるな…。第二通路には。明・科学・学林などと共に地域別の東洋医学。第三通路には、右に中国言語学が大量に集まり、左にちょっとホッとする和書の東洋医学(鍼治療多し)が並ぶ。左端の通路は中国関連和書と、自社と他社の新刊出版本が収まっている。東洋医学も含めた、神保町の端にある、小さな中華人民共和国である。こちらは中文書に対して、相変わらずの無知ではあるが、棚脇に自由に持ち帰って良い古本が積み上がっていたり、100均机があったりするのが、ちゃんとした古本屋さんの雰囲気を漂わせているのだ。いつもなら簡単に尻尾を巻いて逃げ出すところだが、100均机に、みずうみ書房「香港グラフィティ」「台湾グラフィティ」を見付け出し、忙しく事務所と店を出入りし始めたダンディなボリス・カーロフ風紳士に声を掛けると「あ、いらっしゃいませ。お〜い、◯◯くん」と事務所に呼び掛ける。するとジャケット姿にストールを巻き付けた、松山政路似男性が現れて対応していただく。皆物凄くお洒落なのだな…もしやこの古本屋さんには、何か勤務ドレスコードでも存在するのではなかろうか…。
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2014年04月20日

4/20千葉・四街道 懐古館ろびん

私は今、猛烈に疲弊している。かつてないほどに、筋肉が悲鳴どころか慟哭し、一刻も早い休息をと訴えている。しかし、今日の出来事を文章に綴らなければ、布団に入ることは許されない。…早く書いて、寝よう…。

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午前九時十七分、東京駅地下の横須賀線ホームにて、ミステリ評論家の森英俊氏と待ち合わせる。以前から話を聞いていた、四街道にかつてあった貸本を多く蒐集した古本喫茶を訪ねるためである。そこは、富山県の何軒かの貸本屋が閉店する時に、豪快にその貸本を買いまくって(一軒買いもあり!)凱旋した前店主が、最初は閲覧料ありで貴重な本が読める喫茶店としてスタートしたお店なのである。年を重ねるごとに、やがて古本販売も手掛けるようになり、一部の好事家に重宝されていたそうなのだが、いつしか喫茶営業は無くなり、お店もいつのまにか閉めてしまい、現在は二代目店主が管理する状態で、昔のパイプを持っている一部の方しかたどり着けないお店となっていたのである。なので私も、かつて何度か行ったことのある森氏のつてが無ければ、とうていたどり着くことは出来ない、幻の店舗なのである。移動中の車内で、すでにお店には多数の猛者の爪が掛けられていること、本を見るには重労働をしなければならないこと、それに貸本屋事情についてのレクチャーを森氏から受けていると、午前十時七分に四街道駅着。駅にはアーティスト・キンシオ似の二代目店主が車で出迎えてくれており、挨拶もそこそこにお店へと出発する。ほんとんど住宅街の裏道を走ること五分。駅から一キロほどの『四街道西中学校』のグラウンド前に、自宅兼店舗の現役感満点なお店が輝いていた。おぉ!ここが!と、ついにたどり着けたことに感動する。しかしドアの鍵を開けてもらい、中に招き入れられると、やはり唖然!そこはほとんど物置と化していたのである。大量の本類が詰まったダンボールの極悪な山と共に、日用雑貨が大量に紛れ込んでいるのだ。それをぐるっと見渡した森氏が「まず入口付近の物を運び出し、古本以外のダンボールを運び出し、作業場を確保しましょう」と宣言する。氏は今日、ある連載ページのために、ここにある古本すべてに目を通すつもりなのである。つまり私はその助手…と言うか手伝い…まぁ、入れないであろうお店に入れ、尚且つ古本も買えるのなら、それもやぶさかではないと思っているのだ。まずは協力して、自転車・洗濯機・帽子掛け・本棚の天板・カーペット・多数の額・巨大看板(激重)・レコード(激重)などを隣りのガレージに運び出し、ようやくダンボールに手を掛ける。お店は右に壁棚、奥にカウンター、入口左横にスチール棚が置かれ、その奥に百箱ほどのダンボール箱で出来た凶悪な山があり、手前にラック、左壁に本棚の構成である。その左奥には長い壁棚を備えた三角形のバックヤードがあり、そこにもダンボール箱が見上げるほど積み上がり、ギュウギュウに押し込まれている。古本以外のダンボールをガレージに運び出して行くと、やがて森氏は作業場を確保したことからダンボール内の検品態勢に入ってしまった…つまり、さらにダンボールを運び出すのは、もはや私一人なのである…。午前中からトップギアの肉体労働に従事しながら、それでもどうにか棚のチェックを進めて行く。右壁には充実の映画本と雑誌「シナリオ」、それに時代小説・海外文学・日本文学が収まっている。入口左横には、何故だか後向きになった芸能関係の単行本と共に、薄い文芸誌がビッシリと並ぶ。ダンボール山の奥のラックには、映画関係のビジュアルムックが多く並び、左壁には日本近代文学・時代小説・明朗小説・推理小説・実録もの・仙花紙本などがズラーリ。バックヤード入口には、岩波文庫・ビジュアルムック・古書目録・児童文学が集まり、バックヤードに入り込むと絵本・少年少女漫画雑誌・「相撲」・「アララギ」・映画雑誌・大衆小説と続いて行く。運びながら棚に目を光らせ、気に入った本がある場合は確保して行く。検品の終わったダンボールの中も、なるべくチェックして行く。中身は、箱ごとに時代小説・現代小説・ミステリ・漫画雑誌・グラビア雑誌・紙物・ポスター・和本・教科書などにしっかりと分類されている(これは以前森氏とその仲間たちの仕事とのこと)。そしてそのすべては、昭和二十〜四十年代のものであり、本はほとんどが使用感のある貸本仕様であった。なので状態はそれほど良くないのだが、それでも時たま読みたくなる珍しい本が見つかるのは、とても嬉しいことなのである。おかげで作業もはかどり、午後一時過ぎの時点で、ガレージに半分ほどの箱を運び出し、ダンボール山の攻略に成功する。この時点で、森氏はすでに百五十冊以上の本を積み上げている…ヒィィィィ…。一旦外に昼食に出て、帰ってからはバックヤードの探索を開始。しかし、バックヤードは余りにも狭いので、途中から森氏一人がドスンドタンとダンボールを掘り進め、恐ろしいほどの古本神っぷりを発揮。うずたかいダンボールの山を突き崩して行く…ダンボールの隙間から、チラチラ見えるその細身な長身は、まるで古本巨神兵さながらであった…。しかしさすがの氏も、1/3を残したところで、ダンボールに腰掛け力尽きてしまう。なのでバトンタッチして私が入り込み、小説本ダンボールをひたすら掘り出して行く…結果、四箱を発見。これで、ほぼこのお店の箱は見終わったことになる。時刻は午後三時過ぎ…森氏は研究者のように、仕分けた古本の吟味と梱包に取りかかり始めた…と言うことは、私は片付けを始めなければならないのか…。バックヤードから出したダンボールを元に戻し、ガレージに運んだダンボールを店内に運び込み、再び丈夫で高いダンボール山を築かねばならぬのだ!私がやらなければ誰がやる!そうしないと、今日中に家に帰ることもままならぬ!と、再び蟻のようにダンボールを店内に運び込んで行く。店とガレージを何十回と往復する。それは、孤独で忍耐のいる作業であった。森氏が九箱の梱包を終える頃、私の作業もどうにか形が見えて来た。いつのまにか現れた、店主のご母堂の指示に従いつつ、引越し業者のように指定の場所に物品を運び込んだりしながら、ヘトヘトになってゴールイン!時刻は午後五時…うぉぉぉ、およそ五時間以上、私はただダンボールを運ぶことに従事していたのか…こんなに疲れたツアーは、疲労の種類は違うが、北軽井沢の「kiji books」(2011/05/14参照)に行った時以来ではないだろうか…。妙な普段とは違う達成感を味わいながら、いつの間にか集めてしまった二十一冊を精算していただく。かなり傷んでいる物がほとんどなので、合計で五千円。いや、ありがとうございます。丸木砂土の「結婚広告」と「鶏小舎の花嫁」は最近集めているので嬉しく、田辺茂一の「すたこらさっさ」は後で気付いたら署名入りで小躍り。しかし本日の大収穫は、貸本上がりでない、新月書房「若さま侍捕物手帖 心中歌さばき/城昌幸」の表紙絵が志村立美であることと、鼎出版「灰神楽/江戸川乱歩」を発見出来たことに、どひゃっほうなのです!あぁ、来た甲斐が、頑張った甲斐がありました。お店を開けてくれた「懐古館」さんと、連れて来てくれた森氏に、とにかく感謝の、疲れ切ってしまった一日…と言うわけで、精も根も尽き果てました。もう寝ます。おやすみなさい…。
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2014年04月19日

4/19東京・西荻窪 本の楽市@西荻

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寝坊して腑抜けた目覚めを迎え、腑抜けたまま西荻窪へ向かう。南口に出て、駅前商店街を南にブラブラ歩いて、車で混み合う小さな交差点で南東へ。すぐに素敵な街のお肉屋さんと、先日亡霊を目撃した「信愛書店」(2014/04/16参照)があり、その向かいのシンプルでモダンなモルタル商店建築が、何やら地味に盛り上がっている。今日明日と、高円寺で良く開催されていた「本の楽市」(2010/07/18参照)が、西荻窪に小規模ながらやって来たのである。しかし古本に飛びつく前に、まずこの元美容院の建物に強烈に惹き付けられる。長いオレンジ日除けの下には、木枠の四連窓があり、下部には曇りガラスが嵌っている。さらに建物の裾や入口周りは、鉄平石で美しく化粧され、それは店内床の入口部分にも、ツヤッと半円形に広がっている。時間の降り積もった店内に美容院の面影は無いが、今は古本や雑貨が集まり、異なった深みのある光景となっている。本棚と木箱とトランクと平台で造られた会場。右壁下には手ぬぐい雑貨や暮らしの本が並び、鍵型に奥に続く部分にはビジュアルブック・海外絵本・児童文学・絵本・お洒落カルチャーが集まる。中央平台には、こけし・岩波文庫・「こどものとも」・70年代エッセイなど。左壁には児童文学・海外文学・ミステリ・探偵小説・日本文学。入口左横にはスーベニールやキーホルダー・雑誌など。濃厚で振れ幅激しく、一見バランスが悪そうに見えるが、これが案外悪くなく、かけ離れたジャンルが融合した市となっている。しかしそれでもやはり、探偵小説方面に大いに惹き付けられ、300円の教養文庫「推理小説ノート/中島河太郎」(二版だからこの恐るべき安さなのか…)と500円の博文館新社「聞書抄/湯浅篤・大山敏編」を購入。会場を出て『神明通り』を南東に下れば、駐車場と児童公園でフリマ+一箱古本市も開かれている。

道を引き返して「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に赴き、棚にちょっとだけ補充。そして取り置きしておいてもらった、双葉社「本棚探偵最後の挨拶/喜国雅彦」(サイン入り)を購入。堅い函から本を抜き出し、ページを開くともう止まらない!読みかけの本のことはすべて忘れ、心配事ややらねばならぬ事も心の中から追い出され、紙面に心を埋没し切って古本探偵の活躍に手に汗握り、ただただ読みふけるのみとなってしまう!
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2014年04月18日

4/18神奈川・上溝 ブックセンターいとう 星ヶ丘店

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断続的に降り続く小雨で、白く靄った東京を西に向かう。気温が低くまるで冬のようだが、車窓に流れる力強く萌え出た緑が、春であることを証明している。横浜線から相模線へと乗り継ぎ神奈川県北部。東口に出て歩道橋に上がり、北東を目指して歩き始める。歩道橋は階段を経ずにいつしか県道に着地し、苔むすコンクリ斜面に沿った坂道が、大きくカーブしながら丘の上へ上がって行く。途中北側の歩道に渡り、丘の頂上に到達すると、そこには「ブックセンターいとう」の一店が、いつもの倉庫建築とは違った、横長三階建ての本格的ビルの姿で建っていた。早速中に飛び込むと、そこはちょっと天井の低い、コミックやソフト類の迷路であった。多くの棚により死角だらけとなっているが、思ったより広い印象を受ける。古本は二階に集められているようなので、階段を探してみるが、これが中々見つからない…。中央部にあった児童文学と絵本ゾーンを一通り眺めてから、その裏に回ると、そこが二階への階段となっていた。ダスダス上がると、丁度そこは二階フロアの中央で、瞬時に広大な“古本ダンジョン”であることを悟ってしまう…そして心がポキリ…覚えられるわけがねぇ…。それでもフロアを、目の前の『前』、階段のある中央を『中』、その背後の『後』に分けて(通路はそれぞれ八〜九本である)、大雑把なジャンル把握に励んでみる。『前』の右半分は、少女漫画やBLノベルス。左半分はスポーツ・鉄道・趣味・紀行・実用・女性と分布。『中』は、左に特価本・新書・選書・自己啓発・ビジネス・資格・参考書・カルチャー全般が並び、階段周りを岩波文庫・中公文庫・ちくま文庫・教養&実用文庫が固めつつ100均文庫ワゴンやコピー機が置かれ、右側にはミステリ&エンタメ・海外文学文庫・ティーンズ文庫・ラノベが揃う。『後』の左側は、ノンフィクション・政治・社会・歴史・文学評論・日本文学・詩歌・建築・宗教・哲学・心理学が集まり、中央の時代劇文庫から、右側の大量の日本文学文庫・ノベルスと続いて行く。ここの壁棚には美術が揃い、途中から多種多様な雑誌が現れ、壁棚を長距離に埋めて行く。キレイ目な本が中心だが、文庫にはそこそこ絶版が集まり、文学には古書に近いものもあり。ただし古書コーナーは無い。値段は定価の半額前後である。平凡社モダン都市文学6「機械のメトロポリス/海野弘編」集英社「わが文学的自叙伝/源氏鶏太」講談社ノベルス「匣の中の失楽/竹本健治」を購入。

小雨に顔を優しく打たれながら、さらに奥の『星ヶ丘交差点』まで行き、北に曲がり込んで、ほぼ五年ぶりの「古書いきしちに」(2009/07/02参照)。しかしシャッターは陰鬱に閉ざされ、物置は半壊し、日除けはビリビリに…これではもう………おつかれさまでした。
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2014年04月17日

4/17東京・水道橋 みはる書房

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駅東口から『白山通り』に出て、ガード下の信号が青に変わるのを待ってから、南へ。すぐに丸みを帯びた水色の、足応えの軽い歩道橋に上がり、めったに渡らぬ東側の歩道へ向かう。日大の校舎ビル沿いに南下し、『三崎町交差点』を通過し、さらに二つの信号を通り過ぎる。そしてそこから慎重に、信号から二本目の脇道を見極め、ビルとビルの間を東へ進むと、こんな所にも古本屋さんがあったのか!と素直に驚ける建物に出会う。小さな小さな雑居ビルの一・二階に、別々な古本屋さんが入っており、軒上の看板を左右でキレイに分け合っている…どちらに入ろうか?一階ではサッシが開け放たれ、倉庫のように本がうずたかく積まれた店内が見えている。しかし端にある二階への扉は、閉じられ目隠しもされている…両方共かなり入り難いが、『邦楽 古典芸能』と書かれ、はるき悦巳タッチのオッチャンのイラストがある右側の看板を見上げ、トタン日除けの下に開いた、暗い一階入口に顔を突っ込んでみる。入口近くには謡曲や小唄・能などの全集本や和本・研究本がドカドカ積み上がり、テレビのブラウン管が光を放つ奥の帳場らしき場所まで、細い一本の古本獣道が延びている。実際小さく細長いお店である。左は壁棚が奥まで続き、右も基本壁棚続きだが、途中に飛び出した三方棚も確認。しかし棚のほとんどは、上部の一部が見えているだけの状態と成り果てている。ビビりながら市松模様の床を踏み締め、細い通路に身をねじ込ませ、奥に向かって声を掛けてみる。すると看板イラストそのままの店主が現れたので、「お店を見せていただいてもよろしいですか?」と聞いてみる。「何かお探しですか?」と当然聞かれてしまうのだが、探している本などあるわけも無いので、しどろもどろに通りかかったので是非とも見てみたくなった旨を告げると、「ガチャガチャしてて見難いけど…」とぶっきらぼうにオーケーしてくれた。やった!能・謡曲・舞台美術・浄瑠璃・人形・文楽・歌舞伎・新劇・講談・シナリオ・吉原・遊郭などの本を確認するが、良く見ると古い小説・講談物語・「講談倶楽部」、それに雑誌付録などもチラホラ…これは意外な突破口だ!とその辺に狙いを定めて静かに物色。本には値段の付いている物とそうでない物があり、皆四桁以上のしっかり値なので、不安を覚えながらも取りあえず値段無しの二冊をセレクト。奥に静々と向かい、値段を聞いてみる。「ヘイっ。ヘイヘイ。これは五千円、こっちは三千円」とビシッと即答。やはり甘くはなかったか…そう敗北しつつも、三千円の方だけは思い切って買って帰ることにする。店主は丁寧に、新聞折込広告で手作りした袋で包装。博文館 昭和十四年新少年新年號第二附録「探偵小説 魔境の寶庫」を購入する。この小説、著者名が無く、ただ扉に『新少年編集部編』とあるだけなのでネットで調べてみると、この附録を基に後に出た博文館文庫では『黒部渓一』となっていることが判明。まるっきり黒部渓谷から付けた名ではあるまいか…。
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2014年04月16日

4/16西荻窪で「ふるほん文庫や」さんの亡霊を目撃する

朝から仕事でサンプルロゴを作っていると、8パターン目で煮詰まってしまったので、一度頭をリセットするために、古本を持って表へ出る。西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ向かい「古ツアフェア@盛林堂」にボススッと補充。ウダウダと店内で油を売りつつ、河出文庫「日本三文オペラ/武田麟太郎」を1200円で購入する。

お店を出たら、ダラッと道を渡って交差点を曲がり、今年の夏にお店を閉じてしまうことを表明した「信愛書店」(2010/04/09参照)へ足を向ける。店頭には、一冊100円の岩波新書ワゴンが登場してしまっている。
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しかし店内は以前と変わらず、セレクトの行き渡ったしっかりとした新刊書店が健在である。文庫の最新刊平台を眺めていると、突然棚脇上方で面陳されていた、なぎら健壱の新刊が、バランスを崩してドササンと目の前に雪崩落ちて来たので、ちょっと驚き後ずさり。慌てて拾い集めて、元の通りに棚に収める。ふぅ。ところであの古本コーナーはどうなっているのだろうか?左端の通路を最奥へ進むと、まるで四年前と何も変わっていないような、三本の棚がそこに存在していた。そしてそのうちの一本を見て、ドキリ!とする。そこには、去年社長が失踪して潰れることになった「ふるほん文庫や」さん(広島県三原市)の棚が、そのまま残されていたのである!主に絶版文庫を中心としており、中にはしっかりと文庫やさんのスリップが挟まっている…。何十万冊の文庫本と、謎を残して消えた古本屋さんの亡霊を、遠い地の西荻窪で目撃することになるなんて…。河出文庫「暗黒怪奇短篇集/澁澤龍彦訳」(新刊)を購入する。

次に電車で荻窪に移動して「ささま書店」(2008/08/23参照)を覗き、春陽文庫探偵小説傑作選「完全犯罪/小栗虫太郎」と晶文社「ワンダー植草・甚一ランド」を計840円で購入する。後は家まで一駅分テクテク歩くと、グツグツ煮詰まっていた頭が、少しはリフレッシュされていた。さぁ、仕事を続けるとしよう。
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2014年04月15日

4/15東京・鷹の台 KIKI RECORD

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通い慣れてしまった駅のホームでは、今は八重桜の大振りな花びらが風に吹き流されている。改札を出て南へ向かうと、肉屋・交番・本屋・文房具屋・パン屋・赤ポストと、絵本の中のように商店が連なる懐かしい街並。地元型駅前スーパーの角を西に曲がり込むと、右手にすぐに、もはや三度目の訪問となるカフェ&レコード屋さんが現れた。さすがに今日は、開いています。白昼の通りより、遥かに薄暗い店内に輝く『COFFEE and MUSIC』の白いネオン管を見て、迷う暇無く店内へ。中央から左側にソファ席もあるお洒落なカフェスペースが広がり、奥にあるカウンター席の向こうに、セントジェームスのボーダーを着た女の子と、髭面の大泉洋的店主がおり、店内BGM用の小さなPA装置を調整中である。オイル引きの木箱棚に収まるレコードが、LPを主として右壁際にスラッと並んでいる。その上方、壁に設えられた一枚板の棚に一列並ぶ古本の姿に、気分をはしたなく高揚させる。レコード棚に食らいつき、シュトトシュトトと高速でチェックしながらスライド移動して来るレコード修羅に脅かされながら、70年代の性愛・艶笑・エロ研究ノベルスや、早川義夫・愛川欽也・徳川夢声・大田黒元雄などと共に60~70年代カルチャーエッセイ単行本、アングラ&これも70年代カルチャーエッセイ文庫、そして面陳で立木義浩写真集など。冊数は少ないが、60~70年代のアングラやエロカルチャーを背骨に、独特な品揃えを見せている。値段は一般書からするとちょい高だが、古めの本が多いので手頃な値段とも言える。「博多の昼と夜と山陰の旅/脇本善一」を購入。思えば今この瞬間、店内には三種のお客が存在している。コーヒーを飲んで寛ぐ者、レコードを求めて来た者、そして古本を買う者…開店から十日で、早くもお店の全能力が小規模ながら、いかんなく発揮されているのである。ブラボォ!
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2014年04月14日

4/14東京・秋葉原 星雲堂 秋葉PX

神保町で、今日は古本を買わずに打ち合わせをし、プラプラ歩いて秋葉原に向かう。日向は春の暖かさだが、ビルの影に入ると冷たい風がサッと吹き付け、体温をさらって行く。途中、いつかは入らねばならぬ古典籍の「臥遊堂」を、ビルの二階に見上げると、『テナント募集』の札が出され、入口は鎖で閉ざされてしまっている…閉店か移転か…調べてみなくては(ネットで調べてみると神保町交差点近くに転居したことが判明…や、やはり行かねばならぬのか…)。

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ビルの間を歩き続け、万世橋を渡って秋葉原に入る。頼れる情報屋「やまがら文庫」によると、四月にこの電気の街に、新しく古本屋さんが誕生したらしいのである。『電気街口』改札から南側に出て、そのまま真っ直ぐ南に下ると通りにぶつかり、その対岸である山手線高架下に、ネオン看板がギラギラ鮮やかな『ニュー秋葉原センター』がはまり込んでいる。電子部品や電子機器、電化製品を扱うお店が、狭い通路の両側に広がるマーケットである。近付くと、お店の隙間に通路が1・2・3とあり、一番広い右端の青と赤に塗られた『通路1』に入り込んで行く。通路に立つ店員さんは中東の人がほとんどで、電子部品の中で異国語が激しく飛び交い、ご丁寧に奥の食料品店から香辛料の強い匂いが流れ出しているので、日本と言う国は瞬時に何処かに遠ざかり、ジョージ・A・エフィンジャーのアラビア圏サイバーパンクがぐわんと立ち上がって来た!…これはとんでもなく格好良いぞ…。そんな通路を奥まで進むと、『デンキ街の古本屋さん』『古書』などの貼紙が多数現れ(中にはシリアとウィグル地区の警備員を募集する求人チラシも…ハードだ)、文庫・コミック・ノベルスを並べた50均棚の横顔にたどり着く。その右奥に薄暗い古本屋さんが見えており、通路からも階段室からも入れるようになっている。天井の高いがっしりした店内に進むと、手前側にレジとガラスケースを備えた帳場があり、青年がパソコンに向かっている。三方の壁はしっかりとした壁棚になっており、フロア中央に強固なスチール棚が二本置かれている。左壁にはコミック・ソノラマ文庫・ラノベ・SF文庫が並び、まずは秋葉原とリンクした棚造り。しかし奥壁は日本文学・医療・日本文学文庫・時代劇文庫・岩波新書となり、真っ当な古本屋さんの芳香を放ち始める。そして右壁は猛然と硬さを増し、精神科学・宗教・民俗学・東京・プロレタリア・歴史・日本・中国・ソ連が収まって行く。フロア棚には、コミック・伝説・料理・コンピュータ・囲碁・自然・動植物・物理・科学・資格・児童文学など。デジタルとアナログの奥に、超ローテクの古本が待ってくれている、クラクラしてしまうお店である。値段は安く、本も何が潜んでいるのか油断出来ない棚造りなので、毎日でもチェックしたいところである。本を三冊選び、精算のためにガラスケースに近付くと、飾られているのは補聴器の研究本と古い人体解剖図のみ…不気味だ。そして共に安い…。批評社「新版大東京案内/今和次郎編纂」(美本で800円。ひゃっほう!)春陽文庫「怪塔伝 上・下/角田喜久雄」を購入。ロボット並みに超丁寧な対応をしてくれる青年に、この場所に古本屋を開いてくれたことを、心の中でだけ激しく褒めそやす。いや、このお店の在り方に、惚れました!
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2014年04月13日

4/13神奈川・藤沢 ぽんぽん船 藤沢店

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小田急線でJRより安上がりに神奈川県を縦断し、多くの人が流れ込み蠢く藤沢駅。南口の一階から、東にビルの中を抜けると。中央で『ダイアモンドビル』と『フジサワ名店ビル』に分かれる、古い商業ビル前に出る。フェンスが続く線路際に目をやると、左側の『フジサワ名店ビル』一階左端に『リサイクル書店』の看板を見つける。先日「天王町店」(2014/01/13参照)が地元民に惜しまれながら閉店し、東京進出の一店でもあった「白金ブックセンター」(2010/02/08参照)も閉店し、「港南台店」(2013/11/22参照)と名実共にマイナーチェーン「ぽんぽん船」最後の砦となった一店である。看板の下にある自動ドアに近付くと、それは実はビル全体のドアであり、中に入るとすぐ左にお店が展開しているのだが、このフロアはオープンな小さなお店が集まって出来た、マーケットタイプであることをさらに理解する。ちょっと好みなお店の在り方である。通路に面して、100均単行本棚・雑誌&ビジュアルムックラック・100均文庫棚七本・雑誌ラックが仕切りのように並んでいる。薄く横に長いお店は、左に三方を棚で囲まれ一本のフロア棚を置いたコミックゾーン(ハーレクイン&BLノベルスあり)。右では仕切り棚と壁棚が二本のフロア棚をサンドイッチし、右奥に本棚を擁した帳場がある。店内で忙しく働くのは、マダム主婦的なご婦人がひとり。中央から中に入ると、奥の壁棚にミステリ&エンタメが並び、官能文庫・時代劇文庫と帳場横まで続き、向かいにも時代劇文庫が収まる。真ん中通路と手前通路のフロア棚には、日本文学文庫・ちくま文庫・女流作家文庫が並ぶと共に、棚脇に一冊五十円三冊百円の回転文庫棚も置かれている。一番手前の仕切り棚には、実用・100均ハードカバー・海外文学文庫など。また帳場前には最近刊本が並ぶが、横にある二重に文庫の詰まった棚はストックの恐れあり。小規模の、完全なる庶民のためのお店である。値段は文庫が200〜300円が中心の安めではあるが、税は外税となっている。ちくま文庫「コーヒーと恋愛/獅子文六」河出文庫「わすれなぐさ/吉屋信子」を購入する。

この後は、東海道線で上りながら、沿線の古本屋さんを訪ね歩いて行く。しかし驚かされたのが、保土ヶ谷の「ミノリ堂 水野書店」(2010/04/26参照)である。『東海道』沿いの古い商店街にある、古い街の古本屋さんであったのだが、たどり着いてみると古本屋の姿は影も形も無くなっている。代わりにそこにあったのは、美しくリフォームされた『健康カラオケクラブ ミノリ堂』なるお店…ミノリ堂?古本屋さんと同名じゃないかと、ガラス窓に貼られたポスターに目を凝らす。なになに…『この度、ミノリ堂水野書店は活字文化の提供から音の文化の提供に努力することになりました…』だと!その極端で華麗なる転身っぷりに呆然とし、余りの違いに『ハハッ』と笑ってしまう。しかし私は知っている。まだ、このお店の裏手である、線路に面した錆びたトタンに囲まれたガラス窓に、ガムテープで書かれた「水野書店」の文字が残っていることを…カラオケクラブの繁盛を、心よりお祈りいたします!
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2014年04月12日

4/12東京・神保町 澤口書店 巌松堂ビル店

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最近神保町に出没していたのは、平日ばかりだったので、土曜日の古書街の祭りのような賑わいに、大いに驚く。人出は平日の倍近くで、若い男女の姿も多く目につき、週末セールを敢行しているお店もあったりする。ブックハントの観点から見ると、それだけ敵が増えているので好ましくないわけだが、賑わいとして考えると古書街もまだまだ捨てたもんじゃないと、単純に喜ぶ。何店かの店頭に頭を突っ込み、何点かの均一本を購い、『神保町交差点』から南側の歩道を東へ七十メートル。そのビルの名は『巌松堂ビル』。元は「巌松堂図書」(2010/11/09参照)であり、今でも当時のお店のままに、入口の上に『GANSHODO』の看板文字が架かっている。閉店後に「澤口書店」(2008/08/14 & 2011/08/05参照)の三店目が開店し、もはやこの街並にしっかりと馴染んでいるのである。店頭には左右非対称なクワガタの顎のように、木棚が展開している。通りから見て右側の方が顎が大きく、料理本・カラーブックス・200&300均本の棚が複雑に組み合わさる。左には200〜500円大判本・500均単行本。店内は細長く奥深く、どの通路にもお客が入り込み、その出入りも目まぐるしいので、ここが人気店であることが良く分かる。一階は三つのゾーンに分けることが出来、手前は壁棚とフロアに背中合わせの棚が一本。真ん中は左側にプレミア本棚を背後にした帳場があり、その向かいには全集がレンガのように積み上がる二階への階段。そして奥には壁棚に囲まれた四本の通路が存在している。入ってすぐ右は文庫の壁になっており、岩波・旺文社・河出・ちくま・講談社文芸&学術・中公と階段手前まで並ぶ。通路棚には、右に本・地図・旅・囲碁・ビジュアルブック、左に食・料理が収まる。左壁は児童文学と絵本から始まり、美術と工芸や民藝が大量に帳場脇まで続く。帳場ゾーンを越えて奥の四本通路に分け入ると、左端の第一通路には、壁棚に山・自然・科学・中国・日本史、通路棚に西洋史と戦争が並ぶ。第二通路は、左に古典文学・日本文学(作家別)・文学評論・探偵小説、右に詩集・海外文学・海外文学文庫・探偵小説文庫・日本文学文庫が収まる。第三通路は、音楽・映画・演劇・落語と、哲学・心理学・みすず本・性愛が向かい合う。右端通路は、通路棚に宗教・民俗学が並び、壁棚には辞書と特価のセット本が集められている。奥壁は、大判本・日本刀・建築・写真・鉄道を収める。ちょっと硬めに傾く、しっかりとした古本屋さんだが、各ジャンルはその棚に文庫をも網羅し、オールマイティな品揃えを見せている。続いて二階に上がると、広さは一階の1/3ほどで、フロアに巨大な全集山が造り出され、その周囲を絶版漫画(少々)・100均文庫&新書・新書・政治・社会科学・農業・女性問題・教育・世界各国・経済が取り囲んでいる。値段は普通だが、絶版物や貴重な本には容赦無い神保町値段が付けられている。しかし!時々隙が垣間見られるので、そんな本を見つけ出すのが、ラッキーでスリリングなのである。創元推理文庫「真夜中の檻/平井呈一」を購入。
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2014年04月11日

4/11東京・雑司が谷 猫ノフルホン市@旅猫雑貨店

まだ午前中、熱い日射しと冷たい風に苦しみながら、松濤の高級住宅街を歩む。久々なのでちょっと迷いながらたどり着いた『松濤美術館』で、有閑なご婦人方に混ざり『ねこ・猫・ネコ展』を観覧する。猫をモチーフとした日本画・洋画・彫刻を集めた、非常に判り易い展覧会である。しかしその判り易さ故か、たちまち多種多様な人の手が生み出した猫たちに、次々惚れ込んでしまう。特にハートを鷲掴まれたのは、堀文子の『月と猫』。リアルとは違った、好みなデフォルメプリティーを大いに気に入る。

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そんな風に猫!猫!猫!で気合いを入れ、そのまま地下深くの副都心線で、雑司が谷駅へと乗り込む。今日から「旅猫雑貨店」(2008/07/19参照)で、“猫”の一字が屋号に入るお店と猫本を専門に扱うお店が、ニャアニャアと猫の集会のように三々五々集い、小さな古本市を開いているのである。渋谷から猫で頭を一杯にしながらお店にたどり着くと、黒猫がニカッと笑ういつもの立看板と共に、ドアに古本市のポスターが貼られ、その足元の黒板にも『猫ノフルホン市開催中』と、ポスターと同ポーズだが妙に可愛くなってしまった猫のイラスト。中に入ると、小さな人間サイズ店内の中央に、まずは猫絵本と猫本の集まった棚がある。“猫”の文字を多数頭に流し込みながら右壁を見る。そこがささやかな古本市の会場で、全国各地から集まった十一店が、壁棚に互い違いに段違いに古本を並べている。しかし驚くことに、猫の本は意外に少ない。それぞれのお店固有の特色を、惜しみなく放った感じである。そのため普段の「旅猫雑貨店」では、決して並ぶことの無い本が並んでしまっているのが、何ともおかしくてたまらない。同じ猫は猫でも、飼い猫・野良猫・地域猫、虎猫・三毛猫・白黒猫、日本猫・シャム猫・マンチカンと、様々な猫が勝手気ままに競演しているようである。その、それぞれのお店について、戸惑いながら笑いながら紹介してくれる旅猫さんも、非常に楽しそうである。「双猫屋」さんの棚から仙台文庫「ブックカフェのある街/前野久美子編・著」を、「旅猫雑貨店」で『国芳の浮世絵ふんわりてぬぐい』を、計1200円で購入する。

通りを奥に進んで、かなりご無沙汰していた「JUNGLE BOOKS」(2010/08/20参照)へ。しっかり営業していることに感謝しつつ、良い感じに古本屋さん的に緩く熟成して来た店内を楽しみ、光文社古典新訳文庫「白魔/マッケン」学研M文庫「後方見聞録/加藤郁乎」を計750円で購入。半地下のお店から通りに出て、駅へと戻って行くと、家と家の隙間から飛び出して来た、長毛の三毛猫とバッタリ。細い午後一時の瞳が、こちらを凝視する猫尽くしの一日。
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2014年04月10日

4/10東京・鷹の台 サトウ商会

駅のホームに降り立つと、目の前で風に吹かれる桜並木が、次々に花びらを落としホームで舞い散る。改札を抜けて、ついに最近オープンした古本も扱う中古レコード喫茶に足を向けると、ぎゃわっ!今日は定休日であったか…心の中の己に往復ビンタを喰らわしながら、道の先の「古本ゆめや」(2009/06/26参照)を訪ねて心を落ち着けることにする。以前とまったく変わらぬ、気怠い午後の空気に包まれたお店である。講談社文庫「お噺の卵 武井武雄童話集」を150円で購入する。

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お店を出ても、行くべきお店が思い浮かばず、強い風に飛ばされた八百屋の店先の値札回収を手伝ったりしながら、駅へと戻る…今日はツアーは諦めて、東村山に古本を買いに行くか…そんな風に考え始めたところ、駅改札前から西に70mほどの場所にある、古い小さなディスカウントショップが、何故かとても気になってしまう。店先にぶら下がるのは、安いリュックやバッグや中華鍋。ガラスケースに収まるのは、置き時計や腕時計、それにミルクパンなど…そんな店前で、何気なく膝を曲げ、下がったリュックの奥の店内を透かし見ると、何と古本が一列並んでいるではないか!これは、もうここに賭けるのだ!俺の今日のすべてを!と躊躇せずにコンクリ土間の狭い店内に進入する。右壁前の一枚板で造られた手づくり棚に、藤沢周平文庫が三十冊ほどと、数冊の文庫と数冊の新書、それに函入りの古い川端康成選集が並び、『一冊三十円』と書かれている。三秒で見終わり、二秒でスパッと一冊抜き出す。そして、テーブルに突っ伏すおばあさんが見えている奥に声を掛けると、おばあさんが身を起こすと同時に、さらに奥から岸田今日子似のご婦人が現れ「あら、ありがとうございます」と三十円を受け取る。そして「気に入ったのありましたか?」と聞かれたので、改めて本を見せると「あら、それ。まぁ〜良かった」と何故か少ししたり顔。この古いタイプのディスカウントショップに、実はひっそりと古本が売られていることを、街の幾人が、果たして知っているのだろうか…。新潮文庫「井伏鱒二対談集」を購入。

鷹の台を離れ、西武国分寺線で東村山に出て、「なごやか文庫」(2012/01/10参照)へ。午後四時を過ぎたので、無人販売の時間帯に突入している。文藝春秋「東京自転車小旅行/小林泰彦」岩波書店「カフカの迷宮/後藤明生」岩波文庫「ユートピアだより/ウィリアム・モリス」講談社文庫「絵合わせ/庄野潤三」を計350円で購入し、満足を得る。
posted by tokusan at 18:43| Comment(4) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月09日

4/9東京・池尻大橋 e-Books

麗らかな午後、紙袋二つに古本を詰め込み、「古ツアフェア@盛林堂」棚と、ほとんどフェアの墓場と化していた「フォニャルフ」棚の補充入替を行う。新たな古本の血をドバドバ輸血したので、どうかご笑覧を!

西荻窪から吉祥寺に出て、井の頭線で池ノ上へ。駅から南に下り、三宿までの道のりを歩いていると、二月の大雪で名物のオレンジ巨大日除けが破壊されてしまった「山陽書店」(2014/02/18参照)が、新たな日除けを新設しているではないか!
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しかしその大きさは、かつての1/3ほどに小さくなってしまっていた…。

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『三宿交差点』から東側の歩道を南に進み、まずは雑本雑書の「江口書店」(2010/03/29参照)前を通り過ぎる。そして最初の小さな脇道を東に入ると、そこは純然たる住宅街である。少々うねる小道は、微妙な傾斜を持っており、そこをジリジリ下って行くと、100mほどで右手にモルタル集合住宅一階に店舗物件が並ぶのを発見出来る。その中の開いている一軒が、何と古本屋さん!ここは、学芸大学で長らく営業して来たお店(2014/01/22参照)が、嬉しいことに三ヶ月の時を経てこの地に場所を移し、営業再開してくれたのである。しかしあの大きかったお店は、どうやらとても小さくなってしまったようだ…。軒上には豆腐屋さんと魚屋さんの看板が残り、店頭右側には大きな立看板と50均単行本棚がある。左にはぐりとぐらのぬいぐるみが飾られたウィンドウがあり、二台の室外機の上に50均雑誌カゴが置かれている。中に入るとそこは八畳ほどの空間で、右に二階への階段と見覚えのあるオヤジさんが座る帳場があり、それに入口右横にDVD棚が一本置かれている。窓際には雑誌が上下にキチッと並び、横向きに置かれたフロア棚には、右脇に辞書と新書、左脇に岩波文庫の棚を備え、正面に日本文学文庫、裏側にちくま&講談社学術などの教養系文庫と時代劇文庫を収め、足元には雑誌カゴを並べている。左壁と奥壁は一面の本棚で、料理・セレクトコミック・ミステリ&エンタメ・海外文学・児童文学・絵本・スピリチュアル・思想・みすず&青土社・歴史・宗教・ビジネス・映画・音楽・美術と並べて行く。新しい本を中心に、硬派な部分もしっかりと残した、以前のお店の超ミニチュア版となっている。値段はちょい安〜普通。講談社「カラマーゾフの妹/高野史緒」を購入。

三宿に四軒目の古本屋さんが出来たことを祝福しながら、坂を少し下ると、このお店の入った建物が、実はちょっと普通でないことに気付いてしまう。やけに横長だが、実は奥行きもしっかりあり、二階の端には妙な看板が架かっている…『ライフセンター』…そうか!この建物は昔良くあった、ミニアーケード商店街とも言える、商店市場だったんだ!端にあった雑貨屋さんを覗き込むと、一階中央を暗い通路が貫いており、良く見ると古本屋さんの裏には、看板にあった魚屋さんがしっかりと営業中であった。…都会の住宅街の中に潜んでいた、昭和な風景に痛く感激してしまい、古本屋さん訪問と共に幸福を感じてしまう…。
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posted by tokusan at 19:38| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする