2014年05月31日

5/31東京・神保町 その後の小宮山書店

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『神保町交差点』から東に100mの古本屋ビル「小宮山書店」(2010/05/06参照)の変貌を、昨日に引き続き調査する。ビルのガラス張り二階上に張り巡らされた、極太明朝看板文字に目を細め、店脇の100均文庫箱列を流しつつ、まずは通り奥の、地下の『ぶらじる』から珈琲の薫りが濃厚に漂う「ガレージセール」(2013/07/12参照)に突入。中公文庫「海野十三敗戦日記」を100円で購入して、早々と脱出。表通りに戻って入口左右の安売り本棚を眺めつつ、全六フロアに渡る“古本死亡遊戯”への心構えをビシッと決める。自動ドアから一階に進むと、まずは写真集フロア。高い右壁棚に大判の内外写真集が揃い、フロア中央には荒木経惟・森山大道・篠山紀信など大物が集合。左はプレミア写真集が立体的に重なり並ぶ、大きなガラスケースとなっている。帳場前を通り、奥の古い赤い階段を上がると、そこは額装されたオリジナルプリントのトンネルで、そのまま二階のアートフロアへ。左右の壁は本棚で、奥が長めの帳場になっている。そしてフロアには棚とガラスケースが置かれている。左の壁棚は建築・デザイン・国内美術・横尾忠則・美術図録が並び、向かいには日本美術が揃っている。裏側のファッション関連や、ごちゃついた中に透かし見える石版画などをガラスケースに見出して、右壁にズラッとアート作品集。最上段に存在感を放って整列しているのが、多種多数の『武井武雄刊行箱』と言う名の瀟洒な木箱たちである。リトグラフや肉筆画の中をM二階に向かうと、今度はファッション雑誌のフロア。左壁にファッション洋雑誌・モンロー特集・ファッション和書を揃え、右壁沿いにはビンテージファッション雑誌・ファッションブランドノベルティと、何故かキン肉マンフィギュアを多く並べたガラスケースが据えられている。狭くはなったが、まだ赤い階段で三階に着くと、文学・文化・歴史のフロア。プレミア文学本のガラスケースから始まり、左壁に岩波文庫・ちくま文庫・講談社文芸&学術文庫・中公文庫・春陽文庫・時代劇文庫・新書を揃え、奥にサイン本の多い日本文学と探偵怪奇小説を並べる。膝元平台の文庫列には時たま面白い発見あり。奥壁は日本文学・詩集・澁澤龍彦・唐十郎・中井英夫・種村季弘・幻想文学・文化人類学が続く。右壁は世界史で重々しく埋まり、フロアには三島由紀夫島や映画・芸能・竹中労・平岡正明・海外文学棚が置かれている。中公文庫「南洋通信/中島敦」を300円で購入。次のM三階は恐らく以前と変わっていない様子なのだが、通路に大量の本が積み上がり、ちょっと倉庫のようになっている。左側通路には古代史・中世史・近世史・明治維新・大東亜戦争・古典文学・沖縄・民俗・風俗・考古学。右側通路は仏教・神道・暦などが集まり、函入り硬めな景色を構成しているが、明るい窓から見下ろせる『書泉グランデ』脇の通りは、心をホッと和ませてくれる。最後にもはや屋根裏的な、四階ショールームに達すると、巨大なスターウォーズフィギュアと額装されたオリジナルプリント&超プレミア写真集が絡み合う、シュールな光景…いったい何処を目指しているのだろうか…。奥半分が作業場と化し、全体的に雑然として通路も狭いのだが、三島初版本群も含め、美術館級の物品が蔵されている。以前は一・M二階を文学が占めていたが、いつしか写真やアート関連がジワジワと領土を拡大し、階も目につき易い下へ下へと移動して、お店の顔となっていた。ビル全体の額装品の多さがそれを如実に証明している。各フロアで働く男女の店員さんは、皆若々しくお洒落である。値段は安め〜高め。フロアの様相は変わっても、ここが間違いなく神保町を支える古本屋ビルの、ひとつであることに変わりはない。これからもガレージで血眼になって安売り掘り出し本を探し、何処かにあるかもしれない隙を求めて、あるいは時にプレミア本を正々堂々と手に入れるために、階段を上がり続けることとなるのだろう。

帰りに「アムールショップ」(2011/08/12参照)店頭で掘り出し本が見つからなかった腹いせに、片岡千恵蔵主演の多羅尾伴内シリーズ第一作「七つの顔」のDVDを390円で購入してしまう。
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2014年05月30日

5/30東京・神保町 三中堂

今日は、以前調査した時からすっかり各階の様子が変わってしまった「小宮山書店」(2010/05/06参照)を再ツアーしようと、午前十一時過ぎにはすでに戦場と化している「ガレージセール」(2013/07/12参照)に飛び込み、続けて各階を攻略して行く。ところが正午になるとM階のフロアが昼休みのために封鎖されてしまった。三階でツアーはストップしてしまう…仕方ない、今日はこれから別のお店に行き、後日上階を調査して、フランケンのように今日の調査分と継ぎ合わせることにしよう。

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と言うわけで『靖国通り』から『錦華通り』に入って北へ進み、『猿楽通り』に分岐する対岸のビルの前。一階の暗がりには「とかち書房」(2010/04/20参照)が潜んでいるが、通りに面した外階段をクルクル三階まで上がると、ドアを開け放った韓国書籍専門の書店が待ってくれていた。小さなエレベーターホールを素通りして中に入ると、ちょっと煤けた感じの割と広めな店舗。入口右横に棚と本と韓国民具の並ぶ帳場があり、左はハングル語が踊るVHSが並ぶビデオゾーン。壁際はぐるっと本棚で、フロアには手前左側に斜めに置かれた背中合わせの棚が一本と、右奥に向かって本を満載した平台が二つ続く。右奥の帳場横は棚で封鎖された倉庫スペースである。入口横の韓国芸能・社会・文化・小説を見てから左奥に進むと、映画・食(「美味しんぼ」のキムチ巻も網羅)・文化・地理。背中合わせの棚には音楽CDが大量に並ぶと共に、韓国&朝鮮に関わる文庫・ノベルスが小説・ノンフィクションに関わらず集められている。広い奥壁棚には、日韓・在日・差別・迫害・抗日・労働・歴史・北朝鮮・朝鮮半島・ガイド・新書・日本人&在日作家による日本文学・日本韓文学・翻訳韓文学・詩集と大量に並ぶ。平台にはハングル語コミック&児童文学・韓国作家コミックが並び、奥の平台には壁棚と共にハングル語と韓国&朝鮮語関連が揃っている。お店の蔵書は八割方が和書で、そのうち二〜三割が古本である(新刊にはスリップが挟まり、古本には値札が貼られている)。しかし微に入り細に入り、あらゆるジャンルの韓国&朝鮮関連本が集まっているのは、凄絶な光景である。時代により日韓の仲は危うくうつろうが、これだけの書籍が出ているのを目撃すると、切っても切れない長く深い関係を持つ隣人であることが良く理解出来る。新刊書には絶版多し。値段は普通〜ちょい高。津原泰水によるキム・ギドクのノベライズ「悪い男」にも惹かれたが、飯尾憲士の見たこともないエッセイ集、蝸牛社「怨望/飯尾憲士」を発見し、しかも新刊扱いなのにすでに献呈署名入りなのに喜び驚きつつ購入する。すると店主が唐突に「明日でこのお店閉店なんです」と衝撃の告白!「えっえええ?」「いや〜、もうここで営業するのは無理でね〜。千葉・佐倉の『民族歴史博物館』の近くに移転するんですよ」…会った瞬間にお別れとは、本当にびっくりである。「移ったら、まぁネット中心にはなると思うけど、お店は広くなるんで、そこでイベント開いたり、サロン的に開放したり、今まで出来なかったことを色々やってみようかとね」と、何だか夢がいっぱいでとにかく明るい店主さんなのである。それにしても、ギリギリ滑り込みセーフのツアーになるとは、思ってもみなかった。やけに閉店の多かった五月の終りに、またも“古本屋レクイエム”か…いや、でもこのお店は移転なのだ。いつか訪ねてみなければ。
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2014年05月29日

5/29東京・入谷 サンカンオー

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狭い『4番出口』から地上に顔を出すと、『昭和通り』の大きな交差点。ちょっと方向感覚を喪失しつつも、通りを渡って東に続く『金美館通り』に入って行く。目を惹く古い小さな商店と小さなビルが並び建ち、独特の下町感を滲ませた、時の淀む商店街である。テクテクテクと歩き続け『入谷二丁目交差点』を過ぎると、商店街に屋根が架かる。そこをそのまま突破して、激流のような『国際通り』に接近すると、左手に上野(2009/05/21参照)から移転して来たお店が姿を現した。以前は縦長な店舗だったが、今度は横長になったのだな。しかし、ビル一階のウィンドウの向こうに見える棚は、本を横積みにして収めている…これは…。店頭には安売りのコミックが並ぶ小さな棚が二本あり、雑誌ラックは空っぽとなっている。入口から中に入ると、ここはゲームソフトやコミックが、ちゃんと縦に棚に収まっている。通路には本がドバドバと積み上がり、お店の奥の帳場の方まで途切れることなく続いて行く。入口際左右の棚に、かろうじて文庫や単行本も並んでいる。文庫はどうやら一人の蔵書らしく、書皮が掛かったままで、そこに筆ペンで同じ筆跡で本のタイトルが書き込まれているのだ。同種の本は、床にも多く積み重なっている。また左側に通路が二本あり、さらに奥にはアダルトスペースもあるようだが、本は横積みでほとんど倉庫のような有り様。帳場横や右奥通路には単行本の姿が多いが、ほぼネット販売用の倉庫状態で、あまり手を出せる雰囲気ではない。仕方なく値段の付いていない一冊を手に、誰もいない帳場奥に向かって声を掛ける。すると出て来たのは、金髪長髪で腕にドッシリタトゥーの入った阿曽山大噴火風店主。本を渡すとパソコンで値を調べ、「500円ですけどいいですか」と元気にニコヤカ。青土社「ユリイカ 7/1987 特集『新青年』とその作家たち」を購入する。

商店街を南側の歩道をテクテク歩いて戻り、ずいぶんとご無沙汰の「地球堂書店」(2010/11/11/参照)へ。時が停まっているようで、実は停まっていない絶妙な空間に身を浸し、トウスポ・ブックス「プロレス血闘録/東京スポーツ新聞社編」を500円で購入。

お次は日比谷線に乗り、地下からすでに歌舞伎座化している東銀座駅で降りて「新生堂奥村書店」(2014/05/13参照)に、恐らく最後となるであろう挨拶に赴く。棚の所々にブランクが生まれているが、補充本はまだ常備されている。ワニブックス「PLUS」新書「アニメと生命と放浪と/杉井ギサブロー」晶文社「死体を無事に消すまで 都筑道夫ミステリー論集」を計620円で購入。お店はいよいよ五月三十一日土曜日に閉店を迎える…。
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2014年05月27日

5/27東京・淡路町 手と花

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『A2』から五月なのに蒸し暑い地上に出ると、大きな『淡路町交差点』の前。『外堀通り』を、昭和四十年代なビル群に見下ろされながら南へ。200m強歩いて『司町二丁目交差点』で東に曲がり込むと、飲食店のチラホラ並ぶ『一八通り』。途中、八つ手が店頭に緑の葉を広げる天婦羅屋さん、その名も『八ッ手屋』の古い佇まいに驚いたら、その先の店頭がお洒落に雑多なカフェ・ギャラリー・バーに到着する。通りから、古家をリノベーションした、薄暗く奥行きのある店内の様子を窺うと、見た目はカフェで幾つかのテーブル席が連なり、白い左壁面がギャラリーとして機能している。右奥にはカウンターがあり、何かをジャカジャカ炒める音と匂いが流れ、手前の右壁に古本の並ぶ壁棚がっ!スススと静かに忍び込み、テーブルと長椅子の間に身を押し込み、本の背に注目して行く。天井までの割と大きな棚には、写真・建築・アート・シュルレアリスムなどの図録・洋書・作品集・単行本・雑誌が、思い思いの大きさで角々しく並んでいる。良く見ると、入口上の渡し棚にもそれは続き、下にはアートコミックの横山裕一も揃えている。洒落た空間に合った、知的なアート棚が良質で尖っている。値段はしっかり目。早々と一冊選び出し、カウンターの向こうの超フレンドリーなお姉さんに精算をお願いする。新潮社「安井仲治 モダニズムを駆けぬけた天才写真家」を購入。後でお店で貰ったチラシを見ると、古本は「AZTECA BOOKS」(2010/04/29&2012/05/03参照)のものであることが判明。そしてさらにそこには、かつて訪れた「辺慈花」(2012/03/06参照・現在は閉店)の名も…と言うことはあのお姉さんは、「辺慈花」の、お店がお休みなのに招き入れてくれた、親切なあの人だったのかと、思わず膝を打つ。神田の裏町に、古本がひっそりと並んでいることを、これからもしっかと覚えておこう。
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2014年05月26日

5/26東京・神保町 北沢書店

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雨になる前に事を済ませてしまおうと神保町に姿を現し、『専大前交差点』から『靖国通り』を東へ50m。そこには、二本の柱でギリシャ建築風ファサードを実現した、立派なビルが建っている。一階は子供たちのための新刊絵本屋さんだが、二階は打って変わって荘厳な洋書古本屋さんなのである。大きなエントランスから一階のお店に入ると、そこは吹き抜けになっており、右側で瀟洒な外灯を備えた螺旋階段が待ち構えている。滑らかな大理石のステップから、く〜るりと造蔦の絡まる階段を、何気ない風を装い上がって行く。壁面には触れることの出来ぬ、ダミー洋書の並ぶ壁棚があり、二階入口踊り場右横には予想外の達筆で書かれた「北沢書店」の額が掛かる。左横には安売り本が寄せ集められ、十冊ほどシェイクスピアと海外文学の和書も混ざり込んでいる。カーペットが敷き詰められた広い店内に進むと、天井が高く、立派な木製壁棚と本棚で四本の通路が造られている。奥は本に囲まれた帳場やガラスケースや本の山が、静かで薄暗い中に浮かび上がり、通路奥に進んでその領域に近付くと、何処かの洋館にでも迷い混んでしまったような錯覚に襲われる。入口左横のウィンドウ前には、ペーパーバック・ペンギンブックス・英語学習本などが大量に集まり、ここだけは軽く明るい雰囲気に包まれている。さて、メインの本棚に収まっているのは革装本や大判のハードカバーばかりで、右端の第一通路には英米文学作品と研究・英文学評論・アンソロジー・ゴシック小説・個人全集が集まり、棚下の平台にはキャッチーにホームズ本が多く置かれている。ちなみにこのお店は、天井近くと棚脇にしっかりと日本語で分類が表示されているので、棚の把握が容易となっている。第二通路はシェイクスピア・演劇・アイルランド・言語学・古英語など。第三通路はバラエティ豊かで、西洋史・英国史・フォークロア・思想・文明・探検など。左端の通路には、日本に関する洋書がドッサリと集められている。メインフロアは格調高い図書館のようだが、奥は洋館的な闇を備え、英文学と英吉利全般に長けている。しかし私は相も変わらず進歩無く、洋書に怖じ気づき、棚に手を掛けることも無く、申し訳なく退散する…かつて「北沢書店」は、支店を『神保町交差点』近くに持ち、そこでは国文学や英文学の和書を扱っていたそうである…そっちに入ってみたかった…。

まるで潜水を終えて水面に浮かび上がったように、通りに吹き荒れる強い風を大きく吸い込みながら、いつの間にやら『白山通り』。「アムール」(2011/08/12参照)の店頭棚が入替のために空っぽなのにがっかりし、そのままその先の「神田書房」(2012/02/16参照)の店頭ワゴンに突撃。こちらでは新潮文庫「気まぐれ美術館」「帰りたい風景」共に洲之内徹を計100円で掘り出し、今日も神保町の片隅で、小さな歓喜を心の中にジワリ。
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2014年05月25日

5/25群馬・高崎で違った意味の新しさ二店!

ちょっと早起きをして、久しぶりの軽めの遠出で、久しぶりの高崎へ…。

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●高崎「suiran」
西口に出て空中歩廊から北側に下り、線路沿いを心掛けて北に進み、ビルの間を歩いて行く。二つめの交差点で西に進路を採り、ひとつ大きな通りを越すと、街は日常的に古びて来る。『田町交差点』を越え『鞘町交差点』に至ると、もはや時代と街から取り残された巨大アーケード商店街『中央ぎんざ』が、異空間となって大きな口をパッカリと開いている。道幅は広いが人影は疎らで、開いているお店も半分以下の心ざわめく光景が、北に長く長く続いて行く。キョロキョロしながら『中央銀座3番街』〜『2番街』と順調に遡って行くと、アーケードの切れ目手前左手に、長らく高崎の街に教養と娯楽を提供して来たと思われる、古色を帯びた新刊書店『天華堂書店』を発見。岩波文庫&新書を多く取り揃えた真っ当な街の本屋さんであるが、目的はここの二階にあり、そのお店の木の立看板が表にしっかりと出されている。「suiran」は、北関東エリアの雑貨店やファッション店で、そのお店に合った古本を揃えて委託販売を行っているのだが、一月からこの書店の二階を間借りし、倉庫兼事務所兼店舗を開設したのである。つまりは、新刊書店二階の古本屋さん!左側の入口から入り、左壁に張り付いた古いががっしりした階段で二階へ。踊り場で右に折れ、広いフロアにたどり着くと、空いた造り付けの本棚と白布が目立っている。以前は売場だったのだろうが、今は半ば倉庫のような空間。しかし表から見て左奥角に、しっかりと壁棚に本を揃え、白木の長いテーブルを赤いリノリウム床に置いたスペースがあり、そこが目指す「suiran」であった。座ってパソコンに向かっていた加瀬亮タイプの青年店主が「いらっしゃいませ」と白い歯をこぼす。「ここが古本屋さんなんですか?」と問うと、さらに笑顔を輝かせ「はい、そうです!」。実は「suiran」さんとは、以前東川口の委託販売店のひとつを訪れた時(2012/10/07参照)に、メールをいただいたことがあったので、早々と名乗りを上げることにする。すると彼はおもむろに立ち上がり、後ずさり、口を押さえ、驚愕!そのリアクションに、恐縮です!壁棚には、ちょっと古めのセレクト文庫・新書・児童文学・美術・音楽・旅・紀行・冒険・山岳&登山・日本文学・海外文学が、緩やかに混ざり合って並ぶ。テーブルでは、大判美術本や絵本がフレームラックに挿さっている。水準のラインは設定されているが、在庫と委託販売から戻って来た本が融合している模様。時に古書と変な本あり。実業之日本社「マッチ棒クイズ/栗田常雄」を購入しつつ、高崎と言う街での古本屋稼業について、ちょっとお話し。この地で若い人たちに、ブックオフとはまた違った価値観で、古本に触れる喜びを知ってもらいたいこと。この間借りしている書店も含め、本をコミュニケーションツールとして、群馬の人々とつながって行くことなど…。焦らず、ゆっくり、地道にと、笑顔を絶やさずそんな志を、うらぶれた書店の二階で、蛍光灯の光の下で聞き入る。長く楽しく活動を続けられることを願い、再訪を誓って辞去。階段を下り、一階の書店で交通新聞社新書「思い出の省線電車/沢柳健一」を購入し、微力ながら大家さんにも小さなエールを送る。

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●高崎「文京堂」
ここまで来たからには、当然他の古本屋さんも巡るつもりでアーケードから脱出し、明るく新しい商店街を南へ歩く。確かこの辺りの横道に一軒…おや?新しい古本屋さんが…違う!「文京堂」(2009/02/07参照)がお店を建て替えたんだ!と大いに驚く。新建材の住宅兼店舗で、一階のピロティガレージ奥に、以前よりだいぶ小さくなったお店が、ちんまりと存在している。店頭には雑誌ラックがあり、中央に小さな100均文庫&ノベルスの箱が二つ置かれている。店内は整頓されてはいるが、本が溢れ気味な楽しい状態。左右は造り付けの壁棚で、腰高の薄い平台付き。真ん中には背中合わせの棚が一本置かれ、こちらも平台が付属している。左右の通路は、奥の帳場前でも入口側でもちゃんと行き来が可能になっている。そして帳場では、動かぬ老店主がご健在!相変わらず座禅瞑想中の如き、俗世間から離脱した佇まいを見せている。左壁は戦争・実用・映画・日本文学・みやま文庫・高崎&前橋&群馬郷土本が並び、奥の帳場脇には本の山によって手の届かぬ官能文庫&エロ棚が見えている。平台には未整理本や様々な単行本が混在し、その下には大判本がズラズラと収まっている。向いはミステリ&エンタメ・ノベルス・日本文学・時代劇文庫を揃え、反対側に一般文庫・新書・岩波文庫、それに平台にアダルト雑誌を備える。右壁はコミック・宗教・歴史・自然が並んでいる。古い本はほとんどないが、雑本的で安値なので、大いに探す楽しみあり。あっという間に四冊の単行本を抱え込むと、老店主は大玉のそろばんで計算し、八曜社「明日に向かって走れ/吉田拓郎」偕成社「黒猫/原作ポー 大林清」ポピュラーブックス「白妖鬼/高木彬光」大陸書房「林与一の霊運をつかむ術」(霊界と時代劇界を絡めた素っ頓狂な本!)を計750円で購入する。ご店主、いつまでもお元気で、古本屋稼業を続けて下さい!

「みやま書店」(2009/02/07参照)にも行ってみるが、残念ながら今日はお休み。それにしても、古い書店の二階に出来た新しい古本屋さんと、新しく店舗を建て替えた古い古本屋さん…古い皮袋に新しい酒が入り、新しい皮袋に古い酒が入ったと言うわけか…。様々なカタチで、今日も愛しい古本屋さんは、生き延びているのである!
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2014年05月23日

5/23東京・水道橋 水平書館

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むっ?路上に古い函入り本の束が打ち捨てられている!何の本だろう?と慌てて近付くと、真四角に近い棚の天板を縛った物であった…そんな己を笑いながら、水道橋駅から『白山通り』を南下し、『三崎町交差点』から二つ目の交差点を過ぎ、ビルの間を東へ延びる二番目の小道へ曲がり込むと…やった!遠目からでも、ここ最近開かずの古本屋さんだったお店が、ドアを開けているのが分かるぞ!一階の「みはる書房」(2014/04/17参照)をチラ見してから、左端の小さなビルの内部への入口前に立つ。そこには三段の安売り本棚が置かれ、陽に輝いている。中へ進むと待っていたのは、白く細く長い通路で、奥に階段が見えているが、すでに立派な古本屋さんとして機能し始めていた!左壁に長い四段の壁棚が設えられ、文学・社会科学・思想・宗教・政治などが、古書を多く含んでズラ〜リ。右壁には絵葉書などが下がり、奥に戦争・社会運動・闘争の古書が集まっている。階段にも棚は張り巡らされ、プレミア社会運動本・戦争・満州・地下活動・共産関連の古書が続く。棚下には肉筆原稿の値札短冊が、ナイアガラの瀧のように並んでいる。くうっ、いいぞ!これは空間として、物凄く高揚してしまうぞ!くるくる二階に達すると、そこは事務所になっており、何故か壁には矢沢永吉やジョニー大倉のレコードなどCAROL関連が異質に飾られ、販売もされている。三階への階段を見ると、赤塚不二夫キャラのお面で封鎖されており、『三階は専門書 見たい時は声を掛けてください』と書かれている。なので、水平社・松本治一郎のポスターが貼られた事務所に声を掛けてみると、柔和な竹中労風店主が元気良く姿を見せた。三階を見たい旨告げると、「上は専門書ですよ。何かお探しですか?」と切り返される。「すみません、特に何か探してるわけではなくて、ちょっと見てみたいなと…」「そうですか。いいですよ」とお面の封鎖棒を動かしニッコリ。ありがとうございます!三階への階段は、古い雑誌類と戦中風俗の看板類。それに沖縄の飾り物が姿を現す。階段室には朝鮮関連の棚が設えられ、古い婦人雑誌の広告暖簾を潜ると、右に北海道左に沖縄が集められた、日本の北端南端の対決+日本からもはやはみ出す滲んだ異国!アイヌ・樺太・歴史・文学・民話・民族&民俗・言語・芸能・文化・自然・風俗・南国と並んだ小部屋なのである。ビルの中に、ジワリジワリと蔓草のように大量の古本がはびこる、意表を突く店舗である。社会運動・アイヌ・沖縄を中心に硬めな並びを見せるが、古書が多く時に面白い本もアバウトに紛れ込む。値段は安め〜高めと幅広く様々。二階にくるくる戻ってお礼を言い、早川書房「街の博物誌/河野典生」水平書館「柳瀬正夢百画集」(復刻新刊)を購入。古本通路を抜けて、表の小道に出てしみじみ思う。入れて良かった。そして、こんな所もあったのか、世界一の本の街め!
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2014年05月22日

5/22東京・神保町 その後の@ワンダー二階

豪雨の阿佐ヶ谷から御茶ノ水に着くと、違う種類の雨が通り過ぎた痕。傘を開くことなく神保町に入り、「三茶書房」(2010/10/26参照)の300均台から創元文庫「剃刀日記/石川桂郎」を見付け出して、ぐんと士気を高める。いつもより人影が少ないせいで、歩道が『靖国通り』に向かって傾斜しているのをやけに感じながら、西へ。

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今日は以前のツアー時から、ずいぶんと姿を変えてしまったお店の調査へと向かう。「@ワンダー」(2009/01/21参照)は一・二階に渡る古本屋さんで、一階はミステリ・SF・映画が集まり不動のマニアックさを見せているが、二階はもう何度も細かいリニューアルを繰り返している。エントランスに入って入口から中に進むと、正面に『SF・ミステリ文庫は一階』と書かれた階段が見えている。そんな一階からの蠱惑的な古本秋波を強引に振り切って二階へ。南北に長く、南側はスチール棚で出来た三本の通路と奥に帳場、北側はスチール棚にぐるっと囲まれてガラスケースと背中合わせの棚が一本あり奥に帳場。この構成自体は以前とそれほど変わらないのだが、棚の中身が頻繁に変化しまくっているのである。南側の第一通路は、絶版の海外文学文庫・絶版日本文学文庫・落語・落語文庫・食関連文庫がまずは並び、そして古めかしい改造文庫・春陽堂文庫・新潮文庫・音楽文庫・市民文庫・近代文庫・博文館文庫・理科文庫・春陽堂少年文庫などが奥に固まっている。第二通路は絶版プレミア文庫・角川文庫・詩集文庫・講談社学術&文芸文庫・ちくま文庫・福武文庫・旺文社文庫・河出文庫・教養文庫・山&自然文庫・岩波文庫(緑)・中公文庫・カラーブックス・岡山文庫が揃う。最奥の通路は岩波文庫(赤&青)の強固な壁で出来ている。北側のスペースは、手前の壁棚に文庫クセジュ・別役実・種村季弘・澁澤龍彦・稲垣足穂・中井英夫・SF・ブラッドベリ・マシスン・怪奇ホラー・国書刊行会・児童文学・児童文学文庫が並び、奥に安売り本のラックが一台置かれている。ガラスケースにはプレミア雑誌・児童書・玩具が飾られ、棚には美術系作品集・ビジュアルムック・プレミア古書・古雑誌が収まる。奥の壁棚には、100均アテネ文庫・216均面白文庫・216均面白新書が多く並び、残りのブランクが目立つ棚には全集がポツリポツリと置かれている。絶版文庫を多く揃えた、小型本のユートピアである。時代の指の隙間から、サラサラこぼれ落ちた文庫の背文字を読んでいるだけで、ドキドキしてくる。値段は普通〜プレミア値だが、稀にスキあり。216均棚から河出文庫「男の旅行カバン/くろすとしゆき」中公新書「映画館と観客の文化史/加藤幹郎」を購入する。
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2014年05月21日

5/21神奈川・センター北 ノースポート古書市

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地下の日吉駅でさらに地下へと潜り、四両編成の横浜市営地下鉄グリーンラインで、赤土の下を移動する。暗闇から地上に出たと思ったら、そこがすでに目的駅。改札を抜けて『出口2』から外に出ると、大型の箱型建築が集まって出来た無菌室的に清潔な街で、もはや固有の土地性は消え去ってしまっている。東に向かって歩き、ビルの中を通り抜け、空中歩廊を渡って、巨大豪華客船みたいな複合商業施設『ノースポート・モール』に突入する。そこは二階だと思ったら一階で、北エスカレータを探し当てると、その上がり口に古書市の立看板が置かれていた。三階に上がるようなつもりで二階に上がると、横の吹き抜けの『センターコート』でお目当ての古書市が開かれていた。八台のワゴンで造られた島が三つ、六台のワゴンで造られた島が二つの、中小規模な市である。新しめの一般文庫・時代劇文庫・歴史・民俗学・江戸東京・絵本・雑貨の多い、ちょっと毛色の違った構成。千葉&茨城から「古書カンカン」(2010/08/29参照)「山本書店」(2010/06/29参照)「佐藤書店」(2011/01/19参照)、東京からは「岡島書店」(2010/02/02参照)「坪井書店」(2010/01/09参照)「新日本書籍」「がらんどう」(2011/02/25参照)などが参加している。カーペットをトストス踏んで、通路をくまなく行き来して、結局一冊だけ。雄山閣「忍者の生活/山口正之」を、ギチギチの函から取り出すのにレジのお姉さんと大苦戦した挙げ句購入。尚六階では中古レコード・CD市も開かれており、その中に「がらんどう」さんの古本島がひとつだけ紛れ込んでいる。場所といいレコードやCD市もあることといい、『浦和PARCO』の古本市(2012/05/10参照)と似ている気が…。市は5/31まで。
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2014年05月20日

5/20東京・神保町 臥遊堂

午前中に「古ツアフェア@盛林堂」に補充し、一旦家に戻って昼食を摂ってから、キャリーカートをリュックで背負って、総武線でガタゴト水道橋駅。裏路地の、何度行ってもまだ開いていたことのないお店を訪ねるが、やはり今日も開いていない…こいつは意外に難物だぞ。そう肝に命じておきながら、次なる一手を打つために『神保町交差点』へ。

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交差点北東の細い裏路地に回り、連なる雑居ビルのベージュ色の背面に注目して歩く。一棟のビル二階に目的店の名を発見し、軽いサッシドアを開けて階段を忍び足で上がって行く。するとエレベーター横の簡素な鉄扉に、小さな看板が付けられていた…ぐ…これは、果たして店舗なのだろうか?ここは以前は古書会館の近くにあった、和本漢籍書画のお店で、「古本屋名簿 古通手帖2011」によると『座っておくつろぎ下さい。煙草も吸えます』とあり、とってもフレンドリーそうなのだが、いつの間にやら神保町交差点際に引っ越したため、今や店舗なのか事務所なのか、外見からは分からぬ状態となっているのだ。ならば、恐いが確かめねばならない!『うぁ〜!』と心の中で絶叫してから、冷たく閉ざされた鉄扉をノックする。すると奥から「は〜い」とくぐもった返事が聞こえて来る。失礼してガチャリと扉を開けて首を差し入れ、奥から近付いて来た店主に「あの〜、こちらはお店でしょうか?それとも事務所でしょうか?」と聞くと「どう言ったご用件で?」と切り返される。「あ、お店だったら、見せていただけないかと思いまして…」店主は困ったように背後に目をやり「う〜ん、どんなご用ですか?」…あぁ、これは明らかに警戒されてしまっている…「以前向こうにあった時は、お店だったじゃないですか。だからこちらもお店だったら、ちょっと見たいなと…思いまして…」「何かお探しのものでもあるんですか?」「いや…特に、そのそこまで書に興味があるわけではないのですが…ちょっと見てみたいなと…」…あぁ、我ながら苦しく怪しい、あやふやな理由。店主は苦笑いしながら「じゃあ、結構なんじゃないですか」。うっ、断られてしまったか。と言うことで、お礼を言い即座に撤退。どうやらほぼ事務所店で、常連となるか、しっかりアポイントを取り、明確な目的を持って訪ねるのが正解のようです。大変失礼いたしました。

すっかり冷や汗をかき、心に苦味を抱えながら、足取り重く『靖国通り』をトボトボ…おっ!「波多野書店」(2011/06/02参照)の直置き店頭箱に、やけに仙花紙本が詰まってるじゃないかとしゃがみ込み、昭星社「僕の自叙傳/林二九太」櫻井書店「布袋とヴィーナス/長與善郎」を計420円で購入し、苦味の除去に成功する。
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帰りに早稲田に立ち寄り、「古書現世」(2009/04/04参照)で預けておいた日曜の本の売れ残りを回収する。そして向井氏と、しばらく面白い話くだらない話に花を咲かせ、さらに苦味の除去に成功する。
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2014年05月19日

5/19「赤い鰊」は五月に泳ぎ去る!

昨日は「第25回みちくさ市」に参戦。出店場所は午後には日陰になったが、隣りの「ドジブックス」さんと往来に立ち尽くし販売し、犬のようにハアハア。夕方からの仕事のために、午後三時に撤収せねばならなかったが、古本をお買い上げのみなさま、声を掛けていただいたみなさま、差し入れなどして気遣っていただいたみなさま、ありがとうございました!そして同時に、予想以上のタレコミが、様々なカタチをとり、耳に飛び込んで来た一日となった。販売時のささやき、そっと掌中に押し込まれる紙片、手渡される未知のお店のチラシ、ナゾの古本屋レシート…陽の当たる通りに、さりげなく古本屋情報が暗躍していることに、嬉しい戦慄を覚える!今日はそんなタレコミの中のひとつを確認するため、地下迷宮の渋谷駅から東横線各駅停車に乗車する…。
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※途中撤収だったので、今回はダンボール箱簡易仕様のお店であった。

祐天寺駅で下車し、東口『祐天寺駅通り』を早足で抜けて『駒沢通り』。交差点南側の、小さなミステリと映画に強い古本屋さん「古書 赤い鰊」(2008/12/28参照)に目をやると、すでに店頭に文庫が小さなタワーを築き、営業中の模様。いそいそと接近すると、ドアガラスに『閉店セールALL30%OFF』、そしてウィンドウに『閉店セール全品3割引』の赤い文字が貼り出されているのに気付いてしまう…やはり閉店してしまうのか…今月はショックの多い、心臓に悪い月だ…。いつものように薄暗い店内は、いつものようにパラフィンの掛かった古本を棚に収め、いつものように軽い緊張感を漂わせ、いつものようにダンディなやせぎすの店主が帳場の本&パンフに囲まれている。流れるカンニング竹山のラジオを耳にしながら、ギチギチ鳴る床を踏み締め、しゃがんで膝関節を鳴らしてしまい、普段と変わらぬまだたっぷりと良書の並ぶ棚に顔を近付ける。小さな店内だが、目に引っ掛かる本が多く、引き出してはパラパラと眺め、値段を見てハイエナの如く三割引の皮算用。なのに、何故だか本命的な本には、妙な気後れがして手が出ずに、ちょっとおかしな本ばかりを選んでしまう。そんな風にゆっくり二周して、計四冊を「すみません」と差し出すと、店主はガンダムのように立ち上がって元気に「ハイ、いらっしゃい」。ここで表には書かれていなかった営業終了日を聞いてみると、「取りあえず五月いっぱいはやってます」とのことであった。あぁ、この大人なミステリの古本屋さんが。後十日足らずで、何処かに泳ぎ去ってしまうなんて……我々は何処までタフにならなければいけないのか!廣済堂「ひらがな人生/川谷拓三」出版芸術社「まぼろし綺譚/今日泊亜蘭」ゆまに書房「黄金孔雀/島田一男」ちくま文庫「トリックものがたり/松田道弘」を計2520円で購入する。
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2014年05月17日

5/17東京・蒲田 石狩書房

一件のメールタレコミから行動をスタートさせる。しかし寄せられた情報は、店名と大まかな地名しか分からぬ、ひっそりアナーキーなお店らしい。果たして探し出すことが出来るのだろうか?とまずはネットで検索してみると、見事に住所がヒット。良し、これならばと、初夏の街に自信を持って飛び出して行く。

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ホーム南端の『南改札』に出て、ビル内から階段を下りて東急線の駅舎南側に脱出。高架であるホーム屋根を見上げると、スケールは格段に落ちるが、どことなく今は亡き旧東急渋谷駅のホーム大屋根に似た雰囲気がある。そんな東急線沿いに、西へ真っ直ぐ歩き始める。中学を過ぎ公園を過ぎ、500mも来た三つ目の踏切で南へ。行く手の『環八通り』には、青い歩道橋の架かる『新蒲田一丁目交差点』。そこを越え、古くだらけた商店街の『道塚本通り』を長々と南下して行く。またもや500mも進み、左手の京浜東北線の電車が整列し、架線を支える鉄骨が連続する『JR蒲田電車区』の端に道が触れたら、信号のある小さな交差点を西へ。さらに50mほどで、右手住宅街の中の一軒の住宅敷地内に、ログハウス風古本屋さんの建つ奇妙な光景…自宅そのものが古本屋さんの「あきら書房」(2010/03/06参照)や、同じく自宅敷地内にプレハブ店舗を持つ「グリーンブックス」(2010/02/05参照)と同族の匂いがする…。ログハウスは開いていないが、外壁際に二本の小さな100均棚があり、奥の古びた住宅玄関横にも一本の100均棚が立っている。その玄関は開け放たれ、廊下に積み上がった本の山が見えている。ログハウスにも玄関付近にも、人の気配は無いが…人気は無くとも本棚はあるんだと、まずは蒼ざめた均一本にしっかりと視線を走らせて行く。一冊手にして、さらに玄関横に向かったところで、住宅内から養老孟司似の店主が、サンダルを突っかけながら姿を現し「いらっしゃいませ」。思わず「あの〜古本屋さんは〜」と口にすると、ログハウスの扉をガバッと開けて「はい、こちらです」とニヤリ。『我が城へようこそ!』と言った感じが最高です!一応玄関横も確認してから、靴を脱ぎスリッパを履いて店内に上がり込む。そこは六畳ほどの空間で、右奥と奥壁に高い壁棚が張り付き、入口左横からは背の低い本棚が壁沿いに続いて行く。フロアには椅子が二脚置かれ、左奥に本棚と横積み本タワーに囲まれた帳場がある。そのアナーキーなロケーション&外観とは裏腹に、整頓がしっかり行き届き、現役感満点の真っ当な古本屋さんである。右壁は宮澤賢治から始まり、日本文学・映画(硬軟充実)・特撮・音楽。奥壁はカルトコミック・文化・江戸・海外文学・幻想文学・美術・写真・歴史・民俗学・哲学・思想・戦争がきっちりと収まり、最後に北海道・アイヌが店名に相応しく多く集まる。帳場周りには文庫タワーやビジュアルムックが揃っている。入口左横には、新書・探偵小説文庫・ちくま文庫・岩波文庫・講談社学術文庫が並び、奥に古書・プレミア幻想文学&映画関連の棚がある。蔵書量は多くはないが、最新刊から重要な本までがしっかり抑えられた、良質な棚が展開する。恐らく店主の読書遍歴が、色濃く反映しているものと思われる。とにかく、住宅街の中の前庭のお店と言う意外性が痛快。そしてこの人間サイズな空間の手頃さにも乾杯!値段は安め〜普通。フィルムアート社「特撮と怪獣/成田亨」(どひゃっほう!)集英社文庫「めぐり逢い/後藤明生」春陽文庫「赤外線男/海野十三」を購入。おぉ!東京の片隅に、まだこんなお店が、ポツリと力強く存在していたとは…とてつもなく幸せだ!
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2014年05月16日

5/16特典ペーパーは『古本屋レクイエム2』!

今日は終日家にこもって色々作業をする。そして18日の日曜に参戦する「第25回みちくさ市」で配布する特典ペーパーも、勢いづいて作成!名付けて『古本屋レクイエム2』!一昨年の「第二回古本ゲリラ」(2012/11/10参照)において配った、閉店古本屋への鎮魂歌文の第二弾である。最近も次々と閉店するお店に哀悼の意を示し、その活動の痕跡をかろうじて残しておきたいとの思いから、印象深い九店について書き綴る。古本をお買い上げの方に差し上げますので、どうか共にレクエイムを、心の中で歌ってください!さぁ、ペーパーを作ってスッキリしたので、本の準備も始めるとしようか…。
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2014年05月15日

5/15東京・神保町 原書房

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今日も執拗に神保町へ。小雨が降ったり止んだりの天候に、古本屋さんの店先はしおらしく雨降りモード。細かい雨粒に眼鏡のレンズを濡らしながら、『神保町交差点』から『靖国通り』を西に七十メートル弱歩き、『神保町古書センタービル』の隣にある、三店の古本屋さんを内蔵するレンガタイルビルの前。左側の店舗前には、500円・1000円の本がぎっちり詰まる銀ワゴン二台と、200均の単行本を収めた木箱が八つ乱舞している。そこに詰まるのは、占い!オカルト!予言!不思議!漢詩!中国!ここは易学&運命学など、東洋の占術を核に据えた、オリエント・マジックなお店なのである。中で本を選ぶと苦しむことになりそうなので、200均箱から二冊を手にして、明るく整頓の行き届いた店内に進む。入ってすぐ右には、浮世絵専門店でもある二階『版画部』への階段がある。店内は右奥に膨らむ逆さ逆“L”字型で、高い壁棚にぐるりと囲まれて、手前と右奥に背中合わせの棚が一本ずつ置かれている。奥には帳場前にガラスケースがあり、その帳場と作業場はカウンター状に並列している。ユニフォームエプロンを着けた数人の店員さんが、和気藹々とそれぞれの仕事に向き合っている。入口左横には姓名判断と、下部には親しみ易い新書ノベルスタイプの占い本が集中。雑駁で割と見ていて楽しい。左壁は函入りの漢詩本から始まり、易学・人相・手相・家相・暦学・四柱推命などが続く。良く見ると『古本』の分類札が棚から飛び出しており、このお店では古本と新刊本が混在していることを示している。向かいは漢詩関連でまとめられ、その裏にはタロット・西洋占星術・薬学・東洋心理学。ここは新刊が多いが、奥の背中合わせの棚は占いや信仰の新刊のみで埋まっている。右壁には、オカルト・健康法・霊界・神霊など(ここにも『古本』の分類札あり)。むむぅ、見事なまでの占い尽くし。ガラスケースにも羅盤・八卦・賽子・筮竹など、東洋系マジックアイテムが堂々飾られている。このお店にある物すべては、運命や未来や異界を覗き込むための鍵!オルタナティブなテクノロジーの結晶!だからしっかり値の高めな値付なのだが、店頭で自身に合いそうな鍵を探すのも、また良しなのである。集英社文庫「異都発掘/荒俣宏」勁草書房中国新書「上海にて/堀田善衛」を購入。

返す刀で二階への階段に足をかける。そこには浮世絵美術雑誌・写楽単行本・浮世絵展図録などが並び積み重なる。二階は一階とガラリと変わって高級感漂うフロアーとなり、右壁に高い棚と左に木製マップケースの備えた小部屋と、通り側に向かって通路のような展示スペースが延びる構造。小部屋には浮世絵作品集(豪華版・一般本・ビジュアルムックなど多種)・浮世絵研究の古本が揃う。展示スペースには麗しい浮世絵と共に、ガラスケースに大量に並ぶ画譜・図譜・図絵・絵図・画帳などの和本がズラリ。もはやちょっとした浮世絵美術館となっている。まだいつか、お金持ちになれる日が来るのならば、その時に改めて、買いに来ることにしよう…。
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2014年05月14日

5/14東京・神保町 田村書店2階

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こんな夏のような五月は、海でも爽やかに見に行きたいところだが、正午前にはすでに本の海に飛び込んでいた。「田村書店」(2010/12/21参照)店頭木製ワゴンで本を漁っていると、両手をメガホンにした古本神・森英俊氏に声を掛けられ、日曜の「みちくさ市」での再会を約す。そして本の雑誌社「探書記/横田順彌」トランスアート「福田繁雄」を見出して、一階通路奥で作業中の店員さんに声を掛け、計500円で購入する。よし、準備完了!私は店頭から立ち去ることなく、全集本の壁と黄色い短冊に守られた、左手に見える二階への暗い階段を見やる。上がり口の壁には『営業中』の札が下げられている………突入!店員さんの目を盗み、足音を忍ばせ、階段に身を滑り込ませる。左側は全集の塊が縦に横に組み合わさり、美しく雑然とした高い壁となって、階段を大きく狭めている。ソロソロと上がって行くと、二階踊り場に人影が…何やらつぶやきながら、壮年男性が本を積み上げ整理している…マズいな。しかし向こうは、幸いこちらには気付いていない。退くか、進むか…いや、進もう。なけなしの勇気を胸に、階段を一段一段踏み締め階上へ。彼が木枠ガラス戸の横に積み上げていたのは、どうやら安売り均一本で、壁に貼られたフランス語の文句を自己流に解読してみたところ『均一本のモン・サン・ミッシェル!二冊で100円』となっているらしい。ド緊張する老舗店二階に、少しだけ親しみを感じた瞬間であった。そして彼はあろうことか、私に気付いた瞬間ドアを開け、「いらっしゃいませ」と招き入れてくれたのだった。大変恐れ入ります。遠慮なく中へ進むと、カーペット敷きの、一階と同じく細長い空間で、すべて壁棚に覆われ、窓際にも本棚が立っている。通路には所々に本が積み上がり、窓際側には縦並びの二つの作業場が設けられている。棚に並んでいるのは洋書である。新旧・革装・ハードカバー・フランス装…全体的には古書が多く、重厚な光景である。また本以外にも、地球儀・大使の古文書・ゾラの直筆・ナポレオン像(二体!)・シェイクスピア胸像などが大いに紛れ込んでいる。左壁には百科事典の如き文学全集がドッシリ並び、奥壁棚や右壁棚奥には独英哲学・英文学・独文学。そしてメインはフランス文学・フランス哲学・フランス言語学・フランスパリ史・フランス美術が大量に集まる。言語学と美術には、和書が少しだけ入り込む。窓際に並ぶ古書は貴重らしく、触れることを禁止されている。フランス文学原書で出来た、濃密な空間である。なので意味も分からず、本に触れもせず、冷や汗をかきながら佇むのみ…。宅急便が飛び込んで来たのに乗じて、ソッと階段に出て表に逃げ下りる。

緊張を解きながら『靖国通り』を歩くと、「三茶書房」(2010/10/26参照)店頭の300均台で、春陽堂日本小説文庫「半七捕物帳(4)」「續半七捕物帳(三)」共に岡本綺堂を発見して、即購入する。このシリーズ、「半七捕物帳」は十一巻まであるのだが、「續半七〜」なんてのが続いていたのか…。
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2014年05月13日

5/13「新生堂 奥村書店」閉店セール中!

岡崎武志氏よりの緊急タレコミを受け、『銀座通り』から『松屋銀座』を回り込むようにして、大きな葉を持つ並木が生い茂る『マロニエ通り』を突っ切る。銀座の通りに溢れるのは、銀ブラ客と外国人観光客と華やかな勤め人ばかりである。幅広な『昭和通り』を渡っても、マロニエの並木は続いている。そしてその交差点近くにある古本屋さん「新生堂 奥村書店」(2010/03/16参照)は、いつものように白い立看板を歩道に出し、ひっそりと営業中…いや、違う!壁と大きなウィンドウに『閉店SALE』『半額』『50%OFF』の扇情的なポスターが貼り出され、店内は多くの人で賑わっている!…やはり閉店してしまうのか…。OLさんやカルチャー婦人の間を擦り抜け、サラリーマンの背後から棚をチェックして行く。並びは普段と変わりはないが、所々にすでにブランクが発生していたりする。しかし店内の各所に、補充用の本が準備されているようなので、これからも激しくガラガラになることはなさそうである。帳場ではクールビズで決めた紳士店主と、今日は奥様の姿も。二人の連携プレイで、次々と訪れるお客さんを丁寧に捌いて行く。中には半額セールに驚いたり、ただのセールだと思っているお客さんも。私はジリジリジリジリと二周して、ちくま文庫「新トラック野郎風雲録/鈴木則文」「素湯のような話/岩本素白」「リテラシー・ゴシック・イン・ジャパン/高原英理編」計820円で購入。店主に閉店日を訪ねると「今月いっぱいになっております」「そうですか。あの、今まで良い本買わさせていただきました」「そうですか。それは、どうも」と笑顔で慇懃に頭を下げられる。ここは、安値で時たま良書を掘り出せる、大事なお店であった。…あぁ、戦後銀座の夜店からスタートした、古本屋さんの系譜が、今、ひとつ終焉を迎えようとしている。この地代の高額な銀座で、美術・歌舞伎関連を置いていたとは言え、通常の街の古本屋さん的機能も、夜店時代から継承してくれていたことに、改めて驚きつつも、大いなる感謝を捧げたい。銀座に来て、気負わず一般的な古本を買えたことがあったのを忘れぬために、『銀ブラ+夜店+古本』への憧れを名残惜しく感じ取るために、今度は日の暮れかけた時間に来てみることにしよう…。
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2014年05月12日

5/12東京・亀戸水神 古本屋JON

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強い風に背中を押されるようにして亀戸駅。北口コンコースを通って、総武線の緑ののり面とビルの間に潜む東武亀戸駅から亀戸線に乗って、北に大きく曲がり込み、人家が密集する地帯を一分ほど進む。ひとつ目の小さな駅でホームに早々と降り立ち、構内の踏切を渡って、改札から駅の外へ。再び踏切を渡って、フラフラ西に歩いて行けば、ほどなくして左手にメールタレコミで知った古本屋さんが現れた…地元民かここを通る人しか知らぬ、決して広範囲に知れ渡らぬお店である。前方に見えている、『亀戸天神』に比べると知名度も低く小さな社の『亀戸水神』は後でお参りすることにして、角地の古本屋さんと相対する。看板や店名は無く、ただ『古本屋』とだけ貼紙がされている(店名は線路際の町内地図で確認した)。大きな引戸を開けて中に入ると、左奥の斜めに設置された帳場に座る、レッドアリーマー(by魔界村)風おやじさんが、プレイ中の携帯ゲームから目を離さずに「やっしゃいやせ」と独自に省略した挨拶。右の窓際に最近刊本棚と、100均廉価ワゴンと100均文庫ワゴン。120円〜コミックが並ぶ右壁棚前からは、横向きの歴史小説・ミステリ&エンタメ・時代劇文庫・一般文庫&単行本の収まる棚が伸び、奥には行き止まり通路を造り出すコミック・ノベルス・ゲーム攻略本・ビジネスの棚が並列している。奥壁には美術・女性・実用・雑本が並び、奥は小さなアダルト空間となっている。また入口左横には立ち読み可の漫画雑誌ラックがあり、左壁にはコミックと雑誌が収まっている。ここ最近の本が中心の、安値で見事なまでの大衆的街の古本屋さんである。だが、何となく空間が古本屋さんに染まっていないのが、いかにも面妖で楽しい。集英社文庫「地べたから物申す/柴田錬三郎」集英社新書「謎解広重「江戸百」/原信田実」を購入。
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2014年05月11日

5/11東京・吉祥寺 ラスト・バウス古本市

ちょっと早起きして午前十時の菊名駅。去年も来た「港北図書館 古本市」(2013/05/19参照)へと突入する。敵はご近所のおじちゃんおばちゃんばかりであるが、油断は禁物である。屋外の前庭の片隅で開かれている古本市は、本が強く直射日光を反射しており、長く眺めていると雪目になりそうなくらい目映い。今日はいやにSFの文庫が多い…きっと特定の一人が手放した蔵書なのであろう…気になった本をスパスパ抱え込んで行く。単行本は一冊100円、文庫新書は二冊100円となっている。角川文庫「人外魔境/小栗虫太郎」教養文庫「ソロモンの桃/香山滋」ソノラマ文庫「怪傑G・ライヤー登場/石川英輔」秋元文庫「その列車を止めろ!/光瀬龍」ちくま文庫「アメリカほら話/井上一夫編訳」新潮文庫「洋酒天国1・2・3/開高健監修」文藝春秋「午後の愉しみ 開高健対談集」を計500円で購入。

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十五分ほどで離脱し、続いて東横線と井の頭線を乗り継ぎ吉祥寺へ。北口から人だらけの『サンロード商店街』を真っ直ぐ突っ切り、6/10に閉館してしまう『吉祥寺バウスシアター』へ(ちなみに私は、通路のような試写室のような場末のポルノ映画館のような『バウス2』が、奇異に思いながらも好きであった…)。現在最後の盛大な打ち上げ花火である企画『THE LAST BAUS』が行われているのだが、その一環として一階の『Lido Cafe』でも、「ラスト・バウス古本市」が今日からスタート!商店街通路に出されたカフェの立看板には『古本市開催中』とあり、引き込まれてエントランスの奥へ進む。すると、二階の映画館への左右階段に挟まれるようにして、一階に海を思わせるカフェがあり、その店先にいつもは無い安売り古本棚が出現していた。各店が、映画・芸能・文庫の安売り本を並べた混合棚である。奥が広くなるシンプルな店内には、右壁沿いにおよそ三段の棚が十二本ほど連続し、奥に古本市用のカウンター帳場もある。並ぶのは洗練された映画本とその周辺、それに音楽・アート・演劇・絶版VHSなど。奥の左側にも棚が設えられ、講談社文芸&学術文庫・映画・音楽・人文が並ぶ。参加店は「水中書店」(2014/01/18参照)「コンコ堂」(2011/06/20参照)「BASARA BOOKS」(2008/06/12参照)「瀧堂」(2014/05/01参照)「百年」(2008/09/25参照)と、気鋭の若手パワー漲る新鮮な古本市となっている…しかしこれは、最初で最後の開催と言うことになるのか…。値段は安め〜普通で、「水中書店」の思い切りの良さは一見の価値あり。しなの出版「伴淳放浪記/伴淳三郎」新潮社「さらば気まぐれ美術館/洲之内徹」を購入すると、当番制の店番はその「水中書店」さんであった。市は17日の土曜日まで。

※お知らせふたつ
1. 来る5/18(日)の「第25回 鬼子母神通り みちくさ市」に出店いたします。全国から集まってしまったおかしな本や変な本や面白い本を販売。何か配布物を作成するかどうかは検討中。参加時間は都合により11:00〜14:30となる予定です。ぜひ、古本を買いに雑司が谷へ!
2. 『東京藝術学舎』の夏期公開講座『続・いつか自分だけの本屋を持つのもいい』に、講師として登壇いたします。7/15〜9/9まで行われる全五回の有料講座で、8/26(火)の第四回を担当。他の講師が、幅允孝氏・内沼晋太郎氏・宇田智子氏(市場の古本屋ウララ)・佐々木嘉弘氏(つちうら古書倶楽部)・高橋和也氏(SUNNY BOY BOOKS)と、豪華にスマートなメンツの中で、ひとり怪しげにおかしな講座となること請け合い。今から震えて眠れぬ夜を過ごしておりますので、ご興味と勇気のある方はぜひ。受付は5/12 AM10:00からスタートです。
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2014年05月10日

5/10「古書 猫額洞」にお別れを言い、猫の額が広かったことを知る

お昼過ぎに西荻窪に向かい、楽しく愉快に精一杯継続中の「古ツアフェア@盛林堂」に補充する。今回は書肆ユリイカの本などを混ぜ込んでおりますので、ぜひお手に取ってご覧いただければ!

荻窪から丸の内線に乗って中野新橋へ。昭和な『川島商店街』の片隅にある「古書 猫額洞」(2008/10/20参照)が、本日をもって閉店してしまうのである。この地上から、古本屋さんがひとつ減ってしまうのを切なく思いながら、緩やかに稲妻型の坂道を上がって行く。途中、おばあさんのやっているリサイクル洋品屋の前を通りかかると、店先に置かれたガラクタ100均衣装ケースの中に、タグ付きの袋入りでブルマァク製の『シャプレー星人』ソフビが放り出されているのを発見してしまう。2013年の復刻版だが、状態良く100円とは!その体を鷲掴みにして、即家に来てもらうことにする。
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…イカン、こんな物を買っている場合ではないのだ!我に返って、全高25cmのソフビ人形をカバンに押し込み、初夏のような強い光に照らし出された『川島商店街』に分け入って行く。「猫額洞」はいつもと変わりなく、ひっそりと慎ましくお店を開けている。閉店などのアナウンスは何処にもなく、オレンジ色の日除けが強い風に、ハタハタとはためいている。重い引戸を開けて中に入ると、白黒チェックの床の上。パリっとしたパラフィンの掛かる本が多く、いつも通り。下には未整理本の入った袋が、いくつも置かれたりしている。このお店には足繁く通ったわけではなく、自転車で仕事先がある幡ヶ谷に行った帰りに、時々立ち寄った程度である。しかしそれでも、お店がいつもとそう変わらないのを肌で感じ取る。だからこそ、それが今日潰えてしまうということが、いまいち信じられないのだ。そんな風な思いを抱いて棚を眺め始めると、帳場に座るアイボリーショートヘアーのご婦人がこちらに駆け寄り、声を掛けてくれた。正体がすっかりバレていたのである。遅ればせながらこちらも挨拶をすると、帳場背後の緞帳が開かれているのに気付き、いつもは気配しか感じ取れなかったご亭主が、にこやかにパイプをくゆらせながら座っていた。なるほど、奥はこうなっていたのかと思いつつ、二人にロックン・ローラーの風格を認めつつ、やはり本日閉店してしまうこと、止むに止まれず古本屋は廃業すること、お店の始まりはご近所の「伊呂波文庫」(2008/07/11参照)通いがきっかけだったこと、先日の「猫ノフルホン市」(2014/04/11参照)でのまさかのエロチック品揃えのこと、ご近所にある日突然出現した「プリシラ古書店」(2012/02/14参照)のことなどを楽しくお話し。初めて言葉を交わさせていただいたのに、恐縮です。その間にも、お店には静かにお客さんが出入りし、別れを惜しみに来ているようである。まだまだ良書の揃う棚をじっくり眺め、悩んだ末に最近ハマり気味の橘外男の桃源社「橘外男傑作集 青白き裸女群像・他」を3000円で購入する。この本が、このお店での最後の買物となる。今まで庶民派商店街の中で、楽しい古本をありがとうございました。そしてお疲れさまでした。店の名には『猫額』つまり『猫の額』とあり、その名の通り小さく不思議な形のお店であったが、棚は深く広かった。『猫の額』は確かに見た目は狭いが、決して狭くはなかったのだ!本物の『猫の額』のあの小さな面積にだって、何千本の柔毛が生え、その中の小さな頭脳だって、時にいじらしいほど回転するのだ!だから、この商店街から猫の額が欠落してしまうのは、大いなる喪失なのである。……あぁ、「猫額洞」よ、さようなら。
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2014年05月09日

5/9東京・神保町 中国図書 内山書店

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御茶ノ水駅から早足で神保町に下り入り、まずは「小宮山書店ガレージセール」(2013/07/12参照)にダイヴして、文藝春秋新社「ニッポン警視廳/樫原一郎」話の特集「ロマンチック街道/虫明亜呂無」玄光社「ちょんまげ八百八町/ペリー荻野」を計500円で購入して景気をつけてから、裏の『すずらん通り』に向かう。『白山通り』からおよそ東に100m地点の南側に建つ『内山ビル』。見上げると四・五階部分には巨大な袖看板があり、その一階店舗は中国関連本の新刊書店として、通りに胸襟を開いている。入口横に貼られた店舗案内を見ると、二階も書店となっているが、三階には『古書』とあり『ビル左入口エレベーターでどうぞ』とある。指示に従い、ビルの狭いエントランスに入り、エレベーターで古書売場を目指す。ガチャンと扉が開くと、左に開け放たれた鉄扉があり、予想外に明るく予想外に古本屋さんな室内がもう見えている。ビル内のお店なので入り難さを覚悟はしていたが、お店を見た途端に安心してしまい、気軽に店内へ。しかし、気分の針は即座に緊張側に振り切られてしまう!入口を中心に、右側は古本屋さんなのだが、入口左横の帳場を境に、左側は五・六人のスーツ姿の男女が黙々と仕事中の、完全なる会社事務所なのである!ほとんど直につながるお店と事務所は、緊張が漂う静寂に支配されており、ただ社員の身じろぎ、椅子の軋み、嘆息などが聞こえて来る…何か、何かすいません!心中で謝罪を繰り返しながら、お店の方に集中する。右壁棚と奥壁棚に囲まれ、フロアには本棚とワゴンで三本の通路が造られている。左奥は立入禁止の事務所通路になっており、帳場横にはかろうじての感のある仕切り棚。基本事項として、並んでいるのはすべて中国・アジアに関する本となっている…。右壁棚は毛沢東・政治・社会・文学、そして膝元の平台には古めの本が雑本ぽく並び、ルポ・ノンフィクション・紀行・評論などがひしめく。中には何処かの研究室から出た物なのか、分類ラベルが貼り付いたままの本も。向かいは中国文学・中国語・新書・文庫が集まり、脇には辞書やガイド本が置かれている。ここはすべて親しみ易い和書である。翻って真ん中通路と奥壁棚と仕切り棚は、すべて中文書で埋まっている。左端通路は再び和書に戻り、韓国・北朝鮮・タイ・フィリピン・インドネシア・ベトナム・インド・アジア全般で固められている。中国図書の看板に偽りなしで、中国・アジアに関わる本が、割と縦横無尽に並んでいるのが、ちょっとだけ楽しい。値段は普通〜ちょい高。創元社「満州紀行/島木健作」(裸本)を購入する。
posted by tokusan at 14:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする