2014年10月30日

10/30サインと詩集と赤色館

午前中から神保町入りし、本の雑誌社を目指す。しかし途中には「神田古本まつり」という名の巨大な障壁が立ち塞がっていたので、クリアするのに時間がかかり、社会人としてあるまじき十二分遅れで社に到着する。それからは、嬉しいことに“おじさん三人組”に囲まれ、「古本屋ツアー・イン・神保町」三十冊にひたすらサインする。識語と田中栞氏作成の落款付き。11/1〜3のブックフェスティバル、本の雑誌社ブースで発売されますので、雨が降ろうが槍が降ろうがどうか駆け付けて、お買い求めください!

編集M氏と昼食を共にした後、ちょっとだけ見るつもりで『靖国通り』に居並ぶ古本露店をチェックして行く。しているうちに当然止まらなくなり、哀れまつりの虜となる…ワッショイ!ワッショイ!古本ワッショイ!どんどん手にする袋が増殖して行く。ふと気付くと、背後に見たことのない「澤口書店」が出来ていた…こ、これは一体?
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中に入ると奥が細い変形の店内に、十四のワゴンを並べ、人文系単行本・学術系文庫・全集・辞書・図録・絶版漫画・CDなどを並べている。文庫を一冊買いつつ、店員さんにこのお店の経緯について聞いてみると、どうやらまつりに合わせた臨時出店らしい。しかしまつり後に一旦閉め、内装をしっかりしてから支店としてデビューするとのことであった。恐るべし「澤口書店」!まるで『中野ブロードウェイ』内に「まんだらけ」が続々増殖するように、神保町にお店がどんどん増えて行く!お店が出来たらツアーしに来ようと思いつつ、再びまつりの喧噪の中へ。そしてその中で、浜本茂編集長、彩古氏、トマソン社社主、塩山芳明氏、悪い奴ほどよくWる氏らと袖擦り合い、まつり感を深めて行く…あぁ、こんなにがっつり見る予定じゃなかったのに…。そうしてカバンはいつの間にか閉まらなくなるほどパンパンになっていた。嬉しい収穫ベストは、「おどりば文庫」で見つけた大塔書店「青蜥蜴の夢/土方久功」。彫刻家の、戦前〜戦中にかけての南洋を舞台にした詩集だが、独特な響きの外国語を取り入れた作風は、脳の使っていない部分をピキピキ刺激されるよう。これが200円とは、さすがおまつり!もう一冊、柳香書院「世界探偵小説名作全集3 赤色館の秘密/A・A・ミルン」(函ナシ)は一度何となく見かけて、ちょっと悩んだがスルーして、ず〜っと先に進んで「古書たなごころ」(2014/04/30参照)の濃厚探偵ワゴンで同じ函ナシ本を見つけ、気になったので値段を確認すると8000円!なにぃ〜!と驚き泡を食い、トロトロ歩いて来た道をダッシュで戻りながら、何処のワゴンだったっけ?と高速で覗き込んで行く。この短い間に売れていたらどうしようっ?不幸な結末にならぬことを願いながら、『神保町交差点』も越えて行くと、「みはる書房」のワゴンの隅に、その本はさっきとは断然違う輝きを放ち、売れないで残っていてくれた!焦って引き出してみると、表紙が補修してあるが、値段は1000円。さすがおまつり!と喜んで買うことにする。
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写真は見返しのほのぼのとした館見取り図。まるで児童文学のような可愛らしさである。
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2014年10月29日

10/29東京・表参道 HADEN BOOKS

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ポカポカ陽気の午後、原宿駅からすべての人がオシャレをしている通りを例外として歩き抜き、『表参道交差点』に到達。そのまま交差点を突っ切り、東南へ向かう。地下鉄駅からは『A4出口』を駆け上がって、通りを『根津美術館』方面へ。テロテロと500mほど歩き、『根津美術館交差点』を渡って、地下の千代田線を伝うように通りを北東へ。すぐに一本目の小道を東南に入り、さらにすぐに北東に入ると、閑静な裏通りのビル二階に、ガラス張りのブックカフェがひっそり存在していた。黒い石板の階段をテンテン上がると、左に細長いテラス席があり、正面に重厚なガラス扉。力を入れて開き中に入ると、目の前には壁棚と戸棚に挟まれた、シックな行き止まり通路。壁棚には大判の写真集が主に並び、アート・建築・文学・絵本・児童書を従えている。新刊と古本が混合し、新刊にはスリップが挟まり、古本には表4に値段シールが貼られている。ここはどうも新刊率が高いようだ。向かいの戸棚上段海外セレクト文学、そして脇にはファッション関連単行本…こちらは古本が幅を利かせている。下にも未整理の古本が横積みされており、なかなか良い景色を生み出している。左のメインフロアに進むと、窓際の通路のようなスペースにテーブル席がまずあり、ステップを何段か下ったフロアにテーブル席のある大きな空間が広がっていた。天井が高く気持ちが良い上に、立体的な空間構成に心をやんわりと鷲掴みにされる。ここには通路席との仕切りのように、三段×二列の本棚があり、海外文学・食・幻想文学・思想・カルチャー・エッセイ・沢木耕太郎・開高健・吉行淳之介・角田光代・文学文庫が収まっている。気持ち良くすべて古本で、文庫は安め〜普通だが、単行本は普通〜ちょい高。棚は洗練されているが、何かが潜む気配があり、ただのお洒落な棚でないところに好感を抱く。途中颯爽と現れ、お店の構成と出自を猛スピードだが分かり易く語ってくれた、爽やかな長身青年店主。なんと以前は「Rainy Day Bookstore & Cafe」(2011/09/09参照)の店長をされていたとのこと。ここは、以前ギャラリーだったのをほぼ居抜きで借り、手を加えたのはテラスと棚とカウンターだけであることに大いに驚く。あんまり緊張しなかったので、今度はゆっくりお茶かお酒を飲みに来よう。深夜叢書社「蘭の季節/川崎賢子」葉文館出版「プラネタリウムにて/本多正一」を購入する。

先ほど『日本の古本屋』で書籍を検索していると、仙台の幻の古本屋さん「ぼおぶら屋古書店」(2011/07/15参照)が店売りから撤退し、無店舗古本屋になったことを知る。…一度でも入れて、本当に良かった。そして、ありったけの情熱をぶつけられたお店を、ありがとうございました!
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2014年10月28日

10/28東京・新橋 チャリティ古本市2014

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脳天先輩からタレコミの、以前も訪れたことのある、企業とNPO法人が主催するチャリティ古本市(2011/09/05参照)。しかし開催時期や場所が、以前とは大きく異なるようなので、偵察がてら素早く見に行くことにする。いや、それより何より、ただ古本が欲しいのである。電車を乗り継ぎ『烏森口』。『ニュー新橋ビル』の、いつまでも昭和斬新な壁面の下を歩いて『烏森通り』を西へ。『柳通り』に出る手前南側に、ビルとビルの間に延びる『桜田公園』へのエントランス。そこに入り込むと、ビルの谷間のトラック運動場真ん中に、ちょっと所在なさげな小〜中規模の古本市会場が設営されていた。以前に比べるとだいぶ小さくなってしまったが、人影は予想以上に多い。テントが二つ並び、その下に長テーブル連結の古本島が、300円単行本三つ、コミック一つ、100円文庫&新書三つ、それに足下に200円児童書箱・50円雑誌箱、さらに文庫と単行本の箱がそれぞれの島下に広がっている。まだ開始五分前だが、すでに多くの人がテント内に入り込み、獲物の確保に勤しんでいる。自然とこちらもなし崩しに雪崩れ込み、一冊二冊と手にして行く。単行本には理工系とビジネス書が多く、ちょっと特殊な雰囲気。しかしみなガンガン小脇に抱え込んでいる。文庫は新し目のものが多いが、テーブルの下の箱に絶版アリと見て、目をチカチカ光らせる。二十分ほど回遊して、春陽文庫「人形佐七捕物帖 雪女郎/横溝正史」集英社文庫「2095年の少年」「宇宙のファイアマン」共に横田順彌、ソノラマ文庫「夕焼けの少年/加納一朗」ちくま文庫「ねぼけ人生/水木しげる」河出文庫「推理教室/江戸川乱歩編」小学館文庫「戦中派復興日記/山田風太郎」中公文庫「珍品堂主人/井伏鱒二」文春文庫「ぶらぶらヂンヂン古書の旅/北尾トロ」文春ジブリ文庫「作画汗まみれ/大塚康生」講談社「ゲバゲバ70年!/大橋巨泉」を計1300円で購入する。新橋ではあるが、『SL広場』ではなく運動場の真ん中で古本を買うのは、刺激的な体験。市は今日一日限りだが、午後七時まで開かれている。
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10/28「古本屋ツアー・イン・神保町」見本出来!

ここ最近で一番待ち望んでいた「古本屋ツアー・イン・神保町」の見本が出来たとの知らせを受ける。それを一刻も早く受け取りに、風の強い夜の街を走って、駅に向かう。足元にはけやきの落ち葉が舞い散り、それを巻き上げ、早く本が見たくて、駅にひた走る。すれ違う、家路を急ぐ人々。昼間より気温がだいぶ下がった寒さに、頬を冷たくして駅の改札前。まるで、恋人でも待つように、改札を抜けて来る群集の中に、編集M氏の姿を探す。ドヤドヤと二つの波が過ぎたところで、無事にM氏と落ち合い、待望の出来立てホヤホヤの単行本を受け取る。おぉ。五年間+ここ一年の神保町狂いの結果が、こんな本の形になっているなんて!四六判の小ささが新鮮だが、分厚い背幅に頼もしさを感じる。実は奥付に大変にお茶目な事態が発生してしまっているが、これも含めて私の本らしいと、早速無条件に愛おしむ(お茶目な部分は決して剥がさないでください!)。うぁぁぁぁぁと、嬉しさをガジガジ噛み締めながら、夜道を帰る。顔はニヤつき、本が出来た喜びがだらしなくにじみ出る。外灯の下で立ち止まり、家に帰るまで我慢出来ずに、袋の中から本を取り出し、ためつすがめつためつすがめつ…ふぅ、古本屋さんがあったおかげで、こんな楽しい思いが出来ているんだなぁ…。

というわけで本屋さんでの発売は11/5くらいからとなりますが、みなさまどうかこの可愛い二冊目を、よろしくお願いいたします!また、11/1(土)〜3(月)『神保町ブックフェスティバル』の本の雑誌社ブースで、先行販売がある模様なので、一刻も早く読みたい方は、この三日間に神保町に馳せ参じていただければ!
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2014年10月26日

10/26長野・上田で幻燈と幻想

色々ひとまず片付いたので、久しぶりに遠くに行きたくなって、ちょっとだけ遠出といった感の、秋の上田へ。空気は澄み、山々は色づき、空は青く高いが、日射しは強烈。真田幸村・六文銭の意匠に覆われた街を進んで、まずは定期的に見に行きたいお店のひとつ、ようやく三度目の「斉藤書店」(2010/04/24参照)へ。
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店頭で均一箱に挑んでいると、横合いからすべての速度が早めな古本修羅が「失礼します」と顔を突き出し、高速でチェックして行く。うぉぉ、この一点だけが、まるで古本市会場になったかのよう。こちらも素早く本を見て、静かで気怠い大きな店内の、整然とした本棚の林に踏み込んで行く。先ほどの修羅も早々に店内に滑り込み、精算をしながら「いい本が出ていますね。私、全国の古本屋を巡ってるんですよ」と自己紹介している…何!密かにライヴァルではないか!心に古本の炎を上げ、負けてなるかと棚に取り憑く…そうすると、あっという間に一時間近くが経過し、いつの間にか店内にいるのは私ひとりになっていた…。春陽文庫「麗しきオールド・ミス/源氏鶏太」「蔦のぼんくら松/山手樹一郎」新潮文庫「のら犬のボケ・シッポのはえた天使たち/鴨居羊子」ちくま文庫「宇宙の操り人形/P・K・ディック」二見書房「ナマ録入門/宮部真也」ベストセラーシリーズ「猛獣もし戦わば/小原秀雄」は格安値ばかりで計360円。一番高かった買物は、500円の新潮社「幻燈 佐藤春夫短篇集」である。一般小説類の間に、慎ましく挟まっていたのを発見。函ナシではあるが、大正十年初版で、背の金文字は未だ輝きを失ってはいない。童話や「美しき町」が「夢を築く人人」の題名で収録されている…。早速良い本に出会えたとどひゃっほう!斉藤書店に感謝である。
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フラフラと古本熱にうかされたようになり、近くの「ことば屋」(2012/04/30参照)にも立ち寄る。すると、店頭100均ワゴンで手にした新潮社「雪沼とその周辺/堀江敏幸」は、ものの見事に署名本であった。さらに古本熱を上げ、しばらく見ないうちに充実した店内を徘徊。奥の古本&本関連棚に、原書房「古本屋ツアー・イン・ジャパン」を見つけ、心臓がドギンと跳ね上がってしまう。古本屋さんで自分の本と出会い、それを買うのがひとつの夢であったのに、実際に遭遇すると激しく気後れしてしまい、値段を見ることも出来ぬ体たらく…あぁ情けない。しかしそれでも収穫は大きかったと、100円を支払って表に出る。今日は、1921年と2003年と、八十二年の開きがあるが、共に新潮社の本に喜ばされていることにふと気付く。
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いい気分を持続させ、いよいよ本日のメインイベントである「ほその書店」(2012/04/30参照)に急行する。今までの行程は単なる肩ならしであったが、この調子なら何かさらに楽しいことが起こりそうだと、早足気味に駅から南東にニキロ弱。しかし久々に目にした巨大個人店は、古道具類をお店の周囲に晒し巡らせながらも、入口の鍵はガッチリ閉まっていたのであった。
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…う、うぅ…さすがに今回は入りたい。心の堰を決壊させ、意を決してお店に電話をかけてみる。しかしこれも、呼び出し音が虚しくループするだけで、もはや打つ手はゼロ。お店に入る楽しい幻想は粉々に打ち砕かれ、スゴスゴ駅に戻って上田にサヨナラをする。…いつの日かまた…。だが、このまま何となく帰りたくはなくて、夕暮れの高崎駅に降り立ち、「文京堂」(2014/05/25参照)のおじいさんの姿を見に行くことにする。彼と共に静かな時間と空間を共有し、春秋社「柳宗悦選集 第四巻 朝鮮とその芸術」を400円で購入し、今日の古本行脚に幕を下ろす。
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2014年10月25日

10/25神奈川・横浜 喫茶へそまがり

火曜日にも補充したが少量だったので、またもや少量の本を携えて西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい「フォニャルフ」に補充。表紙デザインを担当した、盛林堂ミステリアス文庫「爐辺子随筆抄/平井功」を受け取る。たまたまお店に来ていた「ぶっくめいと」(2009/08/05参照)さんにパワフルに話し掛けられ、昨今の古本屋さん話アレコレ。濃密でタメになるひと時…。

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お店を離れたら電車を乗り継ぎ神奈川県入り。喧噪の地下駅から喧噪の西口構内に出て、デパートの商店街モールを西に抜けて『みなみ西口』から外へ。目の前の、一直線に川を越して西に延びて行く『パルナードst』は、昭和を感じさせる横浜の狭い裏通りである。真っ直ぐ真っ直ぐ進んで行くと、やがて大きな『岡野交差点』にたどり着く。そこをナナメにスクランブルに渡り、さらに西へ進んで一本目の脇道を北へ入り込む。歩くほどに繁華街が遠退く住宅街の裏通りとなり、行く手の新田間川護岸階段の手前に、住宅を改造した喫茶店がひっそりと営業していた。壁に手書きの看板があり、道路にはバス停を模した看板も置かれている。玄関に足を掛け軽い網戸サラッと開けると、そこは民家の玄関だが、左に早速二本の古本棚が光り、奥には二階への階段と二間続く漫画棚空間…良く見ると、漫画の中に溶け込むようにして、人懐っこい笑顔を浮かべた大柄な青年が立っていた。靴を脱ぎ、古本棚に後ろ髪を引かれながら漫画部屋に進むと、「似てますね。小田ひで次に似てますね」「だ、誰ですかそれは?」「この漫画を描いている人です」と棚の一角を占める漫画群を指し示す。漫画家だと分かっても特に実感は湧かず、逆に『アナタはスカパラの沖さんに似てますよ』と心の中でつぶやいたりする。それからお店のシステム説明を受け、喫茶店かそれともフリースペースとして使用するのか選択を迫られる。古本を見に来ただけなので、喫茶店利用を申告し、野菜ジュースを注文する。ドロッとした健康な液体で喉を潤してから、おもむろに立ち上がって玄関へ。二本の棚にアートブック・文学系文庫・おっぱい&エロ関連・本&古本関連・タレント・カルチャー・100均コミックが並んでいる。一箱古本市でお馴染みの「ドジブックス」「TweedBooks」などこだわりの列に加え、「古書米」「ミラーボール回らズ」などの個性的な店名とそれに負けない棚造りが続く。フムフムと愉快に眺め、サイエンス・アイ新書「身近な雑草のふしぎ/森昭彦」朝日文庫「読書の整理学/紀田順一郎」ちくま文庫「日本エロ写真史/下川耿史」ちくま学芸文庫「少女古写真館/飯沢耕太郎」を購入する。しばし友達の家に来たような時間を味わい、優しく見送られ、明るい都会の川縁に出る。そしてブラブラと近くにあったはずの「尚古堂」(2009/05/31参照)を探し求めるが、影も形も無くなっていることを知る…さびしいなぁ…。

追伸。昨日の夜、素晴らしいものを受け取りました。今回の新単行本「古本屋ツアー・イン・神保町」の校正は、実は「古本屋の女房」「書肆ユリイカの本」の田中栞さんに畏れ多くも見ていただいたのです。それだけでも充分嬉しかったのですが、その奇縁が元で、何と『古本屋ツアー・イン・ジャパン』の消しゴム落款を作っていただいてしまいました!出来上がったものを見て、これはスゴい!どひゃっほうと大興奮。こうなったら、本が出来たら、捺して捺して捺しまくります!そして肌身離さず持ち歩きますので、私を見かけて捺印をご希望の際は、ぜひとも声をかけてください。何処かで手に入るかもしれない、さりげない古本者のダブルネームをお楽しみに!
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2014年10月23日

10/23東京・根津 古書カフェ 狐白堂

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雨が止んだのを見極めて、曇り空の下を中央線から千代田線。『根津交差点方面改札』から強い風に逆らい地上に出て、交差点から『言問通り』を西南に向かうと、すぐにおんもりとした坂を上がることになる。東京大学工学部の石垣を左に見ながら上がり切ると、『弥生坂』が坂の名であることを知る。さらに緩やかになった坂を進み続けると、『弥生二丁目バス停』手前の、古い青タイルのマンション一階に、新しい古書カフェが開店していた。狐ロゴマークの袖看板、カフェメニューの立看板、そして通りからはナナメになった店内が見通せるガラスウィンドウ。ガラス扉を押して中に進むと、長細い奥がカフェスペースのようで、手前の通り側が古書店スペースとなっている。右に美しい壁棚、中央に大きなテーブル。左壁沿いには、小さな棚と華奢な飾り棚が連続して行く。中ほどにレジカウンターと厨房があり、笑顔の女性がひょこっと顔を覗かせて「いらっしゃいませ」。本の数はそれほど多くなく、新しめの本が中心のようだ。右壁には三本×七列に文庫本がビッシリと収まるが、ファンタジー・伝奇・SF・ホラー・幻想文学・童話・民話・怪談・ラノベが作家五十音順に続く、奇景!日常から、スライドしたり飛翔したり落下したりする、フィクションノベルのオンパレードなのである。これで同ジャンルの古い本もガシガシ混ざれば、一段と深みと凄みが増すと思うのだが…。中央のテーブルには今市子のコミックスが飾られ、左壁沿いには、波津彬子コミック・指輪物語・ル=グイン・宮澤賢治・ファンタジー系児童文学・海外ファンタジー・古事記・遠野物語・ファンタジーから接近した民俗学・オカルト・霊関連(ここには古い本あり)・怪談など。値段は普通〜ちょい高。棚にはまだ空いている所もあるが、ぜひとも揺るがず慌てずこのジャンルに固執して、古本を増やして行って欲しい。そうすればいつの日か、稀有な古書カフェとして熟成し、近くにある『弥生式土器発掘ゆかりの地』や鳥獣剥製屋と共に、この坂道のランドマークとなるのではないだろうか。潮文社「四次元の不思議/小田秀人」集英社新書「江戸の妖怪事件簿/田中聡」を購入する。

お店を出たらブラブラと坂上に出て、久しぶりの『本郷古本屋街』を探索開始する。「第一書房」(2011/08/16参照)ではちくま学芸文庫「百貨店の誕生/初田亨」(おぉ!初田先生の献呈署名入りだ!)学研M文庫「妖怪草紙/荒俣宏vs小松和彦」を計200円で購入し、「ヴァリエテ本六」(2010/01/22参照)では入口上最上段の端っこに浪速書房「白い獣/笹沢佐保」を見つけ、踏み台を借りて手を伸ばし、500円で購入。さらに道を南にガンガン進んで「大学堂書店」(2009/01/06参照)で、ちくま文庫「唄えば天国ジャズソング/色川武大」ゆまに書房「物質の弾道/岡田三郎」(復刻版)を計700円で購入する。今日は何だか、本郷古本屋街に優しく包まれた感覚で、なかなかの収穫。足を運ぶと、こんなことも起こるのだ。まだまだこの古本街には、しぶとくがんばってもらわにゃあ!
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2014年10月22日

10/22弾丸ライナーとお知らせ

突然の寒さに小さく震え、モタモタノロノロと動き遅く、午後に新宿へ向かう。JR駅から東口の地下道に潜り、雨に脅かされずに『新宿伊勢丹』地下フロアにたどり着く。久々に足を踏み入れたので、突き詰め過ぎた感のあるシックな高級感におののきながら、エスカレーターを折れ上がって五階へ。家具やリビング用品(当然高級)が集まるフロアだが、その一角で『東京女子部屋』という、プロフィールのある女子が住む部屋を想定した展示販売が行われ、そこで神保町「magnif zinebocho」(2012/07/24参照)が古雑誌を並べているとのことなのである。エスカレーター横にあるそのブースには、文字通り様々な世代の女子がひしめいており、古本を求めるオッサンの悲しい姿を際立たせる状態となっている。心細く、それでも何気ない風を装いながら、ブースをどうにか回遊…しかし、雑誌や古本は何処にも見当たらない…一冊の本もないのである。どうやら前期と後期で展示が入れ替わったようで、今は後期のフードコーディネーターの部屋。こちらの展示は本を必要としないコンセプトらしい…。ただ私は、高級デパートの中の女子の花園に、紛れ込みに来ただけとなってしまった…。

空しく伊勢丹から離脱し、雨の強くなった『新宿通り』を西へ敗走する。そうしてたどり着いたのは、『女子部屋』とは真逆な街の古本屋さん「昭友社書店」(2008/07/10参照)の、雨に濡れたやるせない姿であった。
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ホッと心を和ませながら、外壁均一棚で古い新潮文庫を二冊つかみ、開け放しの扉から店内へ。おぉ、いつかの雨漏りは、すっかり修繕されているようだ。よかったよかった。そして奥の棚の片隅に、函をパラフィンで包んだ一冊の気になる本を発見する。博友社「弾丸ライナー/大和球士」昭和二十六年発行の、川上哲治を主人公とする野球小説である。函はクイーン「Zの悲劇」の古い帯で補修されているが、中身はきれいで2000円。しばらく店内をウロウロして熟考した末に、脇に抱え込む。あまり見たことのない本だし、何よりこのお店で古書と出会ったことが重要だと、帳場に持ち込み精算してもらう。新潮文庫「仇討浄瑠璃坂 上下/直木三十五」と共に計2200円で購入する。
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※家に戻ってからこの本について色々調べてみたが、復刊本については情報があるのだが、オリジナル本についてはほとんど何も出てこない。あるサイトでは川上哲治サイン入りという本が二万円で売られているのだが…。

続いてさらにうらぶれたく、新宿駅方面に地下道を伝って戻り、新宿鮫のようにサブナードを通り抜け、西武新宿線に乗車して新井薬師前で下車。ところが頼みの綱の駅前古本屋さん「文林堂書店」(2008/08/04参照)はシャッターを冷たく下ろしていた。…もう、今日はこれで帰ります…。

上記のように寂しく情けなくツアーが終わってしまったので、補填としてお知らせをいくつか。
1. 10/24(金)PM10:00より放送の『宮崎美子のすずらん本屋堂』【日本古本散歩】にスタジオコメンテーターのひとりとして出演します。果たしてたどたどしく喋った私のシーンは残されているのか?とても恥ずかしいのでぐでんぐでんに酔っぱらって見ようと思っています。
2. 10/28(火)に洋泉社より発売されるムック「本屋はおもしろい!!」に、特選30店の古本屋記事を寄稿しました。古本屋の楽しみ方も加え、全18ページを担当していますので、書店でお見かけの際はぜひとも手にとってご覧ください。基本的に新刊書店メインのムックですが、古本屋パートも必死にがんばっております!御協力の古本屋のみなさま、誠にありがとうございました。11月上旬発売の単行本第二弾、本の雑誌社「古本屋ツアー・イン・神保町」と共によろしくお願いいたします!
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2014年10月20日

10/20コンコ堂にくろす・としゆき資料を売りに行く

話は二ヶ月前の夏の暑い日に遡る。青春18きっぷで千葉県安房鴨川まで行き、「あんちっく具里夢」(2014/08/13参照)のコンテナの中で掘り出したB4サイズケント紙の紙束は、アイビー&トラッドファッション界の重鎮である、くろす・としゆき氏の、1960〜80年代のファッション広告の資料スクラップであった。これは貴重なものだと購入し、重い思いをしてどうにか東京に持ち帰った。しかしこの大量の紙束は、家に持ち込むと恐ろしいまでの存在感を発揮し、大量の古本と共に私をニジニジ苦しめるのであった。貴重なのは分かっているのだが…さて、どうしたものだろうか?しかし事態は意外に早く動いてくれた。天の配剤か、二つのルートから興味を示されたのである。ひとつはファッションに特化した古本屋を作ろうとしている若者から。もうひとつは、フラフラと酔っ払って夜道を帰っていると、通りかかった「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)の前で店主・天野氏に声をかけられ、くろす氏スクラップが見たいことを告げられた。共にファッションには造詣が深いので、あの資料の落ち着き先としてはベストではあるまいか。そう考え、資料をうまく二分して両方に引き取っていただくことにする(もちろん自分の分は数枚確保してのこと)。とにかく私が抱え込んで宝の持ち腐れとするよりは、遥かにマシであると言えよう。とそんな風に決めたのだが、それから何となく時間はダラダラと過ぎて行った…。しかし先日、NHKBSで放送された「石津謙介氏の物語」冒頭で、いきなり登場した御歳80のくろす・としゆき氏の元気な姿を見て、早くコンコ堂に持って行かなければ!と気付き、本日またもや重い紙束を抱え、ようやくお店を訪問したのである。しかし店内に入ると、天野氏は取材か何かの応対中で、持ち込むタイミングがつかめない。しばらくすると終わるかもと思い、店内の棚を眺めてウロウロする。だが十分ほど経っても状況に変化はないので、出直すにしても声をかけておこうと帳場に向かう。「今大丈夫ですか?」と聞くと「大丈夫ですよ」と即座に応対してくれた…もっと早く声をかけていればよかった…。くろす資料をドサッと手渡し、早速天野氏が査定に入る。しかしその大量さと、普段はあまり扱わぬ『紙物』ということで、何やら戸惑い悩んでいる模様。袋から取り出し、ペラペラと捲り、袋から取り出し、ペラペラ捲る。そして「うぅ〜ん、幾らくらいがいいですか?」と困った笑顔。「言い値でいいですよ」と答えになっていない答え。「欲しがる人はいると思うんだけどなぁ…」「額装すれば高く売れそうですよね」「貴重だなぁ」「だからここに持って来たんですよ」などとお互いに張り付いたような笑顔で腹を探り合う。値段が決まっていないものの値を決めるということは、大変に難しい。結局は、買値よりも高く交通費もペイ出来て、プラス一日の労働対価くらいの金額で交渉成立。こういう時は「もう一声!」とか、ガツガツ行った方がいいのだろうか。まぁそんなことは性格上不可能であるわけなのだが…。とにかくよりこの資料を必要とする人の手に渡るのならば、御の字だろう。コンコ堂さん、ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。お店を出ると、いつの間にか雨が降り出していた。天野氏にそれを告げると、外に素早く飛び出して来て、店頭を雨仕様にテキパキ変えて行く。身軽になって、資料の行く末をちょっとだけ妄想して、雨粒に打たれながら家路を急ぐ。
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レジカウンターで査定を進める天野氏である。
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2014年10月19日

10/19群馬・桐生 桐生市市立図書館 第17回古本市

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宇都宮線で小山駅にたどり着き、世界の果てのように寂しいホームから両毛線に乗り込み、麗らかな北関東を東から西へ撫で斬りにして行く。一時間で桐生駅に到着し、手動ドアをガラリと開けて列車を降り、午前九時半過ぎの駅南口。暑いほどの陽光が降り注ぐ、閑散としたロータリーを縦断し、大通りを南へ下って行く。300mほど歩いてたどり着くのは、大きな公園の横に建つ白い図書館で、昭和なフォルムと所々傷んだ姿が妙にいじらしい。講談社の創立者『雑誌王』野間清治の碑の向こうの正面入口前に、タイル敷き広場が広がり、そこで市民古本市が後二十分で始まろうとしていた。文庫は50円単行本は100円で、地面に置かれた薄いダンボール箱の中に古本を詰め、色とりどりなシートを掛けられた状態で、午前十時のスタートを待っている。ダンボールは、実用書・コミック・児童書・新書・文芸・文庫・全集に分けられ、図書館前を取り巻くように配置されている。箱は120近くあるだろうか。中規模だが見応えは充分ありそう。いつの間にか周囲に増えつつある古本ハンターたちの姿。しかし殺気立ったところは無く、秋の朝を実感してしまうほどに、何だか全体的に長閑な雰囲気が漂っている。そうこうしているうちに、開会の挨拶と共に午前十時を迎え、シートがザババッと取り払われ、待望の古本市がスタートする。立ったまま足元をひたすら眺めるようにして、本の背文字をカシャカシャ読み取って行く。新書→文芸→文庫と流れるうちに、腕の中には当然本タワーが誕生。全集ゾーンを見てからひとまず精算して、ちょっと離れた実用書と児童書を見て回る。うひぃ〜、愉快だなぁ。楽しいなぁ。血湧き目玉が踊る!と三十分ほど集中し、結果十八冊で950円也。ちくま文庫率高し!

古本の詰まった袋を肩に担ぎ、無事に獲物を分捕った山賊気分で駅に引き上げると、次の電車まで時間があるので、北口に出て「雄文堂」(2010/10/09参照)を覗きに行く。なまこ壁のお店は、静かに上品に硬く営業中。中公新書「タイトルの魔力/佐々木健一」を300円で購入し、駅に戻って両毛線に再び乗り込む。

足利駅で下車し、見た目は凄まじいが、実は名店なんじゃないかと思い始めている「秀文堂書店」(2009/06/14参照)へ。
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店頭三冊100円棚で、山梨シルクセンター出版部「詩集 愛の歌 一・三・四/やなせ・たかし」と小学館入門百科シリーズ32「妖怪なんでも入門/水木しげる」を見つけ、さらにやっぱり名店なんじゃないかと思い続ける。一度店内文庫棚の下の方を思いっきり発掘してみたいものだ…。ここでは計七冊を700円で買い、二十六冊の古本を北関東から家まで運ぶこととなる。おぉ!古本にまみれた読書の秋の日曜日!
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これが本日の収穫である。西條八十「夕月乙女」は表紙を剥ぎ取られた貸本仕様だが300円。が、しかし!最後のページが落丁している!あぁぁ、一体どんな風に終わっているんだ…。
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2014年10月17日

10/17収録と神保町にもう一度

本日は午前中の早い時間から御茶ノ水入りし、来週金曜10/24に放送予定のBS11『宮崎美子のすずらん本屋堂』の収録に挑む。何と大胆にも『魅惑の古本スペシャル』という稀有な企画が実現し、泡沫な私にもお呼びがかかった次第。古本コーナーレギュラーの北原尚彦氏と浜本茂氏に加え、岡崎武志氏と浅生ハルミン嬢の強力布陣が頼もしい。詳しくは番組をご覧戴くとして、私としては北原氏の岡山「南天荘書店」(2009/01/19参照)での収穫が、ハンカチを食いしばって引っ張りたいほど妬ましく羨ましかった。古本屋はやはり行ったもの勝ちなのである…。詳しい放送予定は、また後日お知らせいたします。
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楽屋で本番前に寛ぐ一同。

二時間半ですべてを出し切り、慣れない環境にすっかり消耗してスタジオを後にする。新たなエネルギーは、古本で補給しなければならない。そう信じてそのまま神保町に雪崩れ込み、店頭から次々と古本を百円玉を代価にかっさらって行く。一時間ほど東奔西走し二十冊弱を買いまくるが、今日の神保町は何か良い感じだった。特に「水平書館」(2014/05/23参照)の一階極狭通路店壁棚端で見つけた聚英閣「藏の中/宇野浩二」は、裸本だが大正八年の初版でコンディションもなかなか。表紙と背のエンボス文字がエクセレント!これが800円とはっ!と精算前なのに白い通路で頭上に思わず掲げてしまう。さらに『すずらん通り』裏の「文省堂書店」(2010/09/17参照)の店内100均棚で、まずは浪速書房「秘境の女1 シルクロードの美姫/M.タイクマン夫人著 清水正二郎訳」(カバーセロテープ補修あり)を見つけ、さらに写真家・名取洋之助監修の慶友社『フォト・ライブラリー』シリーズが挟まっているのを発見する。第一巻は「写真の常識/木村伊兵衛・伊奈信男著」で、これはどひゃっほうであるなと引き抜いて、ニンマリして精算。ところが悲劇は家に帰った時に起こってしまった。何とこの本、カバーは「写真の常識」なのだが、中身は第四巻の「増感現像」だったのである。本を手にしたままクラリ…。しかし、私は見ていたのだ!同じ列に「写真の常識」の裸本があったのを!カバー付きと裸本、どっちを買いますか?それはもちろんカバー付きです。と選択した結果がこれなのであった。しかしあきらめてはいけない。裸本があるということは、それを手に入れれば一冊の完本が出来上がるわけではないか!そう思い付くと、いてもたってもいられなくなってしまう。いや、また明日の午後にでも買いに行けばいいじゃないか…いや!誰かに買われてしまったら、古本修羅として取り返しのつかぬ傷を心に負うことになってしまう!…そう気付いたら、私は表に飛び出していた。駅にダッシュで向かい、神保町に急行し、ビデオを早回しするように街を駆け抜け、本日二回目の「文省堂書店」店内へ。あった!売れてなかった!と薄い裸本を抱え込み、さらにもう一冊のシリーズ「写真と心理/森進」も購入する。表に出て、急いで路上でカバーを付け替え、ホッと一安心。落ち着いたところで、このシリーズの名取洋之助が書いた「新しい写真術」と「組写真の作り方」もいつの日か手に入れるぞと、すでに逢魔ヶ時の神保町で気持ちを新たにする。このように、古本&古本屋との闘いは、果てしなく続いて行くのだ…。
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そして!本の雑誌社「古本屋ツアー・イン・神保町」の書影が出ました!
■四六判ソフトカバー ■336ページ ■定価2160円(税込) ■11/4搬入予定
神保町に集まる古本の買えるお店140店余の私的レポートに加え、書き下ろしの『神保町24時』『神保町に潜むものたち』『古本屋レクイエム・イン・神保町』などなど企画ページも盛りだくさんです。この秋は、どうかみなさん神保町に溺れてください!
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2014年10月16日

10/16埼玉・明覚 刀剣.しのぎ

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飯能から東飯能まで歩いて八高線。高麗川で一度乗り換え、三十分ほどでワンマンカーを降りると、低山に囲まれた、農地と住宅地が長閑に緩やかにミックスした、田舎町であった。駅前から西に歩いて行くと、道路はキレイに整備されているが、ランドマーク的なものは何処にも見当たらず、ただ足元には、カマキリ(緑・茶)・トノサマバッタ・キリギリス・轢かれたヘビなど、小さな生き物の魂が煌めき流れて行く。目的のお店にたどり着くには、右の視界に長々と寝そべる小山を越えねばならぬのだが、峠道の入口がまったく見つからない。結局一キロ強歩いて、車通りの多い大きな道で、小さな峠を北に向かってエッチラオッチラ越える。麓に下ると、そこは『五明交差点』…これは目的地を完全に通り越してしまっている。ぐるっと回り込んで来た八高線沿いの県道を、東に一キロほど戻る。すると左手に、古いドライブインのような刀剣屋さんがようやく姿を現した。喫茶店や刀剣美術館を併設した、日本刀のお店である。普通に暮らしていれば用のない所であるが、残念ながらここでは古本が売られているのである!しかも日本刀関連のものばかりが!…ハードル高く、太刀打ち出来ないのも分かり切っているが、もしかしたら間違って面白い本が端っこにでも…。そんな薄く淡い期待を胸に、営業しているのか定かではない、民芸調店舗に近付きドアに力を込めると…開いた。そして電子音と共に、奥から意外な素早さで長身痩躯の飛松元刑事風老店主が現れる。薄暗く、重厚な古めかしいガラスケースが取り巻く店内には、日本刀の林が妖しくギラついている。そして正面帳場の横には、目的の二本の古本ガラス戸棚が立っていた。素早く視線を走らせると、大判本や函入り本が多く、すべて日本刀関連でまとめられている。それに付随する、鍔・刀匠・剣術・居合いなども混ざっているが、特殊専門な棚造りは揺るがない。「何かお探しですか?」と聞かれたので「あの…刀匠について知りたくてですね…」などと適当に口にしてしまう。「それは現代刀の?それても新刀の?」「いや、そんな、何も詳しくなく明確じゃなくてですね、非常に行き当たりばったりで…少し勉強したいなと思いまして…」「そうですか」と店主は棚に歩み寄り、「これは現代刀。つまり現代の刀匠のデータが載っています。4300円。これが一番安いかな」…う、高い…。「あの、まぁ何も知らないので、何か取っ掛かりになる本でもあれば…」「そうですね。初心者だったら、こちらはどうでしょうか。名刀について色々分かり易く書かれています。1000円。これは安い」。うぉぉぉ、突破口はここにしかないと、心中で焦り叫び、その秋田書店「日本名刀一〇〇選/佐藤寒山」を購入する。すると店主はニコリともせずに「せっかくなので、簡単に日本刀についてお教えしましょう」と嬉しい提案をしてくれた。二人で奥の日本刀に囲まれた応接セットに腰を下ろし、時代ごとの刀の名称や種類、刀の部位名と刀の作り方、またその五大産地などについて、無垢な生徒となって即席レクチャーを受ける。しかしこの中で一番心に響いたのは『刀を知りたいなら、刀を、鉄を、毎日見ることだ』である。木の古い新しいは見分けられるのに、鉄ではそれが難しくなる。我々が日常的に木を見ているように、鉄を目にして行けば、いずれは鉄の新古が分かるようになるはずだ。それが刀を楽しみ鑑定する目となるとのことである。一朝一夕で出来るものではなく、毎日の積み重ねということか…あぁ、すべての道に通じる言葉である。それにしても、古本を求めていたら、相も変わらず奇妙な隘路に迷い込んでしまったようだ…ビバ、古本!

そして帰り道、八高線を乗り捨て、東飯能から飯能まで歩き始めると、閉店したはずの「西村書店」がシャッターを全開し、しかも帳場にオヤジさんが座っている!すわ!と色めき立って戸に手を掛けると、ガチン…開かない。オヤジさんが音に気付いて振り向き、笑顔を見せながら顔の前で手をヒラヒラ。そして「やってないよ」のトドメの一言。あぁあぁ!こんなに近くに古本が見えているのにっ!
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今後の古本の行方が非常に気になる光景である…。
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2014年10月14日

10/14高円寺・あづま通りで寂寥を覚えながら古本を買う

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十一月初旬発売を目指し「古本屋ツアー・イン・神保町」編集作業が、いよいよ入稿迫り大詰めである。しかしpdfデータで三度目のゲラを読むのに、情けなくも疲れ果てしまったので、風の強い表に出て、目の疲れを癒すことにする。テクテク向かったのは高円寺で、北口東側の意外に古本屋さんが連なる『あづま通り』に身を滑り込ませる。まず初っ端の「中央書籍」(2011/11/15参照)はシャッターが下りていて、「Amleteron」(2013/06/10参照)は無闇に緊張してしまいそうなので素通りさせていただく。奥に進んでまずは「十五時の犬」(2011/11/22参照)に飛び込み、普段はあまり目を配らない天井近くの棚を見上げたりして、いつもとちょっと違う視点を楽しんだりする。リブロポート「ぼくの伯父さんの休暇/ジャン=クロード・カリエール」を500円で購入する。次は斜向いの「越後家書店」(2009/05/16参照)へ。店頭50均文庫棚から春陽堂文庫「其面影/二葉亭四迷」とちくま文庫「無頼の点鬼簿/竹中労」を掴み出し、壁棚を注視するために家と家の隙間に入る。じっと視線を巡らさせていると、背後に何かが立ち止まった気配…散歩中の犬が、こちらをジッと見ている。「ホラ、行くよ」の飼い主の声も無視し、口を半開きにして鼻をひくつかせている…隙間にしゃがむ人間が、どうにも気になってしまうらしい。壁棚を見終わって文庫二冊を買い、道の先のかなり久々の「サンダル文庫」(2010/08/18参照)で、講談社文庫「夜の三部作/福永武彦」大陸書房「ポルノ監督奮戦記/山本晋也」を計850円で購入すると、店員さんに知り合いと勘違いされる。人違いであることを告げると、ひたすら恐縮されてしまう。表に出ると、薄闇の帳が下り始め、風が一層強くなり、寂しい秋の気配に包まれる。うぅ、こんな季節のこんな時間に、古本を求めてウロウロしている己が、愚かしく寂しく思えてしまい、ふと心の中に寂寥が忍び込んで来る…くっ…負けてなるものか。ならばその寂寥を、古本で吹き飛ばしてやる!と『あづま通り』から北に飛び出し、見覚えのあるようなないような住宅街をウロウロクルクル長い時間歩き、都立家政の「ブックマート」(2011/12/13参照)に到達する。奥の古書コーナーにスタスタ直行すると、やややや!酣燈社「田舎がたり/尾崎一雄」が500円で!喜び勇んで入手し、寂寥感は跡形もなく消え去った次第である。
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2014年10月13日

10/13東京・吉祥寺 青と夜ノ空

昨晩の二時間半に渡る対談トークは、古本屋さんの秘密に無造作に触れたり触れなかったりしながら、よみた屋・澄田氏が「私、バカな話ばっかりしてないかな?大丈夫かな?」としきりに心配するほど、硬軟取り混ぜた展開。すみません、バカの方に誘導した犯人は、私です…。その澄田氏と音羽館・広瀬氏、聴きに来ていただいたみなさんにとにもかくにも大感謝!その後の打ち上げは、古本屋・古本屋店員・古本屋志望・セドラー・古本屋ツーリスト・編集者・作家・ミュージシャンが入り乱れ、終電まで続いた西荻窪の夜!

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明けて本日午後、新しくなった吉祥寺駅の北口に立っている。雨風はまだそれほど強くはない。傘を差して高架沿いに東に歩き始める。発端は昨日のトーク中にもたらされた、澄田氏からの公開タレコミである。とにかく東に進み続け、元「りぶるりべろ」(2008/06/12参照)前も通過して道が細くなると、やがて『五日市街道』に抜け出る。高架を潜って北側歩道に渡り、ここからは東南へテクテク。300m弱進んで、一つ目の信号と、鉄塔に渡された高圧電線下を通り過ぎると、二つ目の信号手前にガラスウィンドウの洒落たお店が現れた。シンプルな明朝体看板文字下の扉を押し開け、通りから丸見えの店内に進む。木床白壁の、ギャラリーとしても機能する小さな空間である。奥から暖簾を掻き分け、ボーイッシュでアグレッシブな女性が現れ、「いらっしゃいませ。これ、ショップカードです。栞にもなります。主に衣食住の本を扱っていまして、新刊と古本が混ざっています。古本は最後のところに値段札がありますので」…と、畳み掛けるように、すべてを説明していただいてしまった。右壁沿いには食関連のリトルプレスを並べた下に、絵本の入ったカゴが置かれている。帳場カウンターの脇には、児童文学と絵本の棚あり。中央のテーブルには、面陳ディスプレイとブックエンドで立てられた列が交錯し、料理・食関連を飾り並べている。ウィンドウ際には二段のボックス棚に、表と店内に向けて新刊や絵本が飾られている。左の壁際には小さな棚と台が連なり、リトルプレス各種・本関連・地方地域・ものづくり(陶芸・工芸・手芸・デザイン・アート)・植物・建築・その他が並んで行く。奥の壁際は机の上に家族をテーマにして、写真集や夏葉社本などが展開。小出版社や薄手の本が目につき、少し独特な感じである。古本は1/3〜半分くらいか。冊数は多くないが、『衣食住』の周辺(意外に広いところに好感が持てる)から、削ぎ落とすようにセレクトした並びに、魂がキラリ。値段はちょい高。かなり駅や商業圏から離れているが、専門性の深化が未来を照らす光となるかもしれない。INAX「カフェーと喫茶店/初田亨」を購入する。

『五日市街道』をテクテク戻って「すうさい堂」(2009/05/02参照)へ。右側にも棚が増え、カルト&絶版漫画率がアップしている。幻冬舎アウトロー文庫「脱獄王/斎藤充功」朝日ソノラマ「水木しげる貸本漫画傑作集 墓場鬼太郎(1)」を計400円で購入。さらにアーケード街の「外口書店」(2010/02/22参照)で、このお店にしては珍しい古く茶色い本、白揚社「話術/徳川夢聲」を300円で購入する。さて、台風が来る前に、家に帰るとしよう。
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2014年10月12日

10/12東京・早稲田 independent bookstore's BOOK FES 2014

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この三連休は、様々な本に関するイベントが、各地で開かれている。そのうちのひとつを見に行こうと、東西線でガタゴト東へ。休日の午前中でも人通りの多い道を、早稲田大学正門方面へ歩いて行くと、いつしか旅のブックカフェ「CAT'S CRADLE」(2011/12/05参照)の前。お店の出で立ちはいつも通りだが、今日と明日の限りはカフェがなりを潜め、古本や新刊やお菓子や飲み物を販売するフェス会場となっており、すでに店内には多くのお客さんが入り込んでいる。まずは店頭の「水中書店」(2014/01/18参照)100均棚を覗き込んでから、入口の「ブックエンド」と「古本ユニットricca」棚前にしゃがみ込み、店内フェス会場へ。テーブルや椅子やソファは片付けられ、壁際に出店が展開して行く。「ricca」は女子ラインに渋いカルチャーを含ませ、「ブックエンド」は文化・サブカル・音楽を軸に目を惹く本が連続し、「水中書店」は文学・詩・映画などの硬めな並びを見せ、みな値段は安め〜ちょい高で、良い本にはしっかり値の傾向。嬉しいお手頃本ももちろん並ぶ。そしてさらに奥に進むと、左に「アニマル洋子」(2012/10/15参照)が登場し、少女小説から70'sエロ本までを揃え、お店の雰囲気から激しく逸脱中…。向かいにはここに棚を持つ「TIGER BOOKS」(2011/12/05参照)が陣取り、アングラ・片岡義男・田中康夫・洋雑誌・洋パンフ・ビジュアルブックなどを洒落た感じで並べている。カウンター前を通過した奥の部屋にも出店は続くが、やはりとにかく「アニマル洋子に」カンパイ!この空間にエロ本が持ち込まれたのは、初めてのことではないだろうか…下品で知的な反骨精神を愉快に頼もしく思う。「TIGER BOOKS」で新潮社「ぼうふら漂遊記/色川武大」を、「古本ユニットricca」で学研中学生ワールド文庫・SF小説「なぞの転校生/眉村卓」を購入する(本文から印象的な文章を抜粋した栞付き!)。精算は基本的に各店舗で行う。うぅむ、富山の「ブックエンド」は、早く見に行かなければイカンなぁ。品揃えが良かったなぁ…などと思いつつも、夕方からの『西荻ブックマーク』に備え、戦闘準備に入る。それではみなさま、西荻窪で会いましょう。
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2014年10月11日

10/11東京・西荻窪 ハルミン古書祭り

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一つ二つと大きな山を乗り越え、疲れ果てた身体で古本を携え、西荻窪へ。すでに午後四時を回り、「西荻一箱古本市」の第一日目が終わろうとしている時に、遅ればせながら「フォニャルフ」に大量補充。パズルのように二段分の本を入替え詰め替え、古本をドッサリと収める。そして盛林堂・小野氏と話し込んでいるうちに、あっという間に時間が過ぎ去ってしまい、もはや午後五時。イカン!一箱古本市も「モンガ堂出張所」も本日の営業は終了してしまっている。それでもせっかく西荻窪に来ているのだから、何処かツアーをして行きたいと、お店を辞去して「にわとり文庫」(2009/07/25参照)にトボトボ向かう。にわとりさん開店十周年を記念して、昨日から19日までの間、浅生ハルミン嬢の古書祭りが開かれているのである。薄暮れのお店にたどり着くと、目の前を白黒猫が優雅によぎって行く。店内天井には古書祭りの三角旗が渡され、入口左横の壁ラックにハルミン嬢の古本が並べられていた。余裕のある面陳ディスプレイが主で、少女・乙女・女を主題に、私には読み切れぬ流れで棚が造られている。やはり古書の海は、まだまだ広く果てしなく、何処か知らないに続いているのだな。そんなことを思いながら、祭りでは何も買えずに店内を回遊。ロマンブックス「都会の白鳥/藤澤桓夫」1500円を発見し、ニンマリしながら帳場に差し出す。すると500円以上お買い上げの場合は、三角クジを引けるとのこと。無心でサッと一枚取り出すと、「FALL」(2012/03/21参照)で使用出来る100円券が当たった。店主と共に小さく喜ぶ。小さなクジを無くさぬようにしまって、荻窪方面に向かって歩き出す。

段々と深まる夜の中をテクテク東に歩いて、「竹陽書房」(2008/08/23参照)に吸い込まれ、みすず書房「清陰星雨/中井久夫」講談社文芸文庫「コシャマイン記・ベロニカ物語/鶴田和也」を計450円で購入。そのまま荻窪駅前を通過して「ささま書店」(2008/08/23参照)。店頭100均棚でほるぷ出版「海底軍艦/押川春浪」と共に掴んだのは一冊の時代小説。桃源社「人間屏風/陣出達朗」は全然高値の本でもなんでもない。しかしこの本は、見返しに万年筆で識語署名が書かれていたのだ!『さくもさくら 散るもさくら』と共にシャシャッと名が書かれている。う〜ん、これを喜んでしまうのは、ちょっとマニアック過ぎるだろうか。春陽文庫で並んでいても買わないし、正直読んだこともないのだが、微妙には嬉しいのだ。…いや、これも何かの運命だ。ウチに来ていただいて、大事にすることにしよう。
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2014年10月10日

10/10飯田橋から市ヶ谷を経由して四谷で空振りす。

飯田橋で所用を済ませ、涼しい風の吹く外濠端を、市ヶ谷方面に向かって歩いて行く。こつ然と新築な姿を現した『東京理科大学』の校舎に驚いていると、付属施設の『近代科学資料館』で古い科學雑誌の特集展示が行われることを知る。これは面白そうだと心にメモして先を急ぎ、麗しの麗文堂書店(2012/09/06参照)に飛び込む。ビルの奥の曇りガラスが嵌った『管理室』前に立ち、心細いにもほどがある、ドア枠に貼付けられた小さな小さな『こちらからお入り下さい』『商い中』を信じて、室内にドアを押し込む。
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そこは本当に殺風景なただの管理室なのだが、奥のドアから本棚をギュッと並べた部屋が見えており、ホッと一安心する。相変わらずクールでアナーキーなお店の在り方だ…。極細通路に滑り込み、背伸びしたり床にしゃがみ込んだりして、顔に至近な古本の背をひたすら追い続ける。左側の背の低い棚で、何気なくさほど珍しくはない中井英夫の文庫を手にすると、ぬぉっ!署名入りで千円!これは買いだっ!と管理室店舗に感謝しながら握り込む。他にも一冊床から拾い上げ、帳場のおやっさんに手渡すと、「これ、署名入り。あんまりうまくない字だよね〜」とほくそ笑みつつ、友人が中井家を訪れた時の面白エピソードを披露してくれる。そして値段の付いていないもう一冊をパラパラめくり「三十円!」と駄菓子的値付けで喜ばせてくれた。今日この瞬間に、このお店に飛び込んで良かったと思いつつ、講談社文庫「悪夢の骨牌/中井英夫」創元推理文庫「あるスパイへの墓碑銘/エリック・アンブラー」(初版元パラ白帯付)を計1030円で購入する。二年ぶりに来たというのに、ありがとうございます!

この後は市ヶ谷への橋を渡って、番町辺りに足を踏み入れ、岡崎武志氏よりファックスタレコミのあった美術系洋書均一ワゴン棚を目指すが、目的のカフェに到着すると、ウィンドウに洋書は並んでいるのだが、今日はワゴンは出ていない模様。まぁ、こういうことは良くあること…また見に来ようと思いつつ、決して落胆はしない。何故なら今日の私の懐には、中井英夫のか細く震えた署名が、収まっているのだから!古い講談社文庫の、シダの葉のような図版に郷愁を覚えつつ、恐ろしく赤い夕焼け空の下で、幻想文学作家の筆跡を愛おしく思う…。
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2014年10月09日

10/9東京・東京 八重洲ブックセンター アウトレットブックコーナー

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新宿での打ち合わせを終え、駅に戻りながら路上古本販売(2011/10/19参照)で光文社古典新訳文庫「黄金の壷/マドモワゼル・ド・スキュデリ」を150円で購入し、中央線で夜になりかけの東京駅へ。『八重洲口南口』から地上に出て、道路対岸のビル書店『八重洲ブックセンター』に吸い込まれる。古臭いエスカレーターをカクカク乗り継ぎ、四階で『上層階専用エレベーター』に乗り込み、ゆっくりと八階着。扉が開くと、正面通路の奥に、白い本棚にピンク色が目立つ「アウトレットブックコーナー」が見えていた。古本ではなく、出版社により再販指定が解かれた新刊本が安値で並んでいるのだ。古本にちょっと近しいモノと認識し、本棚にジリジリ近付く。三メートルほどの壁棚の一部と、その前に置かれた背中合わせの本棚+足元平台がその範囲で、わりと規模は大きい。本を手に取ると、バーコード部分にシールが貼られ、定価の半額前後(本によってまちまちである)の数字が輝いている。正面にはビジュアルムック類と附録付きの週刊ビジュアル本が、多数飾られ並べられている。裏側には選書・文庫・復刻地図・映画・音楽・古典芸能・美術・デザインなど。壁棚にはサブカル・工作舎・国書刊行会・沖積舎・小説・本関連・歴史・スポーツ・ビジネス・実用・自然・囲碁・食・ガイド・旅・鉄道が並ぶ。質量共に満足一歩手前という感じだが、売れ残りを売っているようなやるせなさはなく、良い本もチラリホラリ。以前ツアーした八王子の「有隣堂セレオ八王子店 アウトレット本」(2014/03/25参照)より上質である。柏艪舎「坂口安吾盗難事件by東直巳&坂口安吾探偵小説集by坂口安吾」を、八階のレジが休止中だったので四階のレジにて精算する。
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2014年10月07日

10/7西荻窪で音羽館とよみた屋の前に座る!

台風は去っても、「古本屋ツアー・イン・神保町」ゲラの嵐は吹き続けている…本当に読み終わるのか、これ?と一日中家に閉じこもって、自分の書いた幻影の神保町をさまよい続ける。夜に、ようやく初めて表に出て西荻窪へ。北口『今野書店』店内にて、「音羽館」(2009/06/04参照)広瀬氏と「よみた屋」(2014/08/29参照)澄田氏と落ち合い、喫茶店で10/12(日)トークの打ち合わせに入る。澄田氏と言葉を交わすのは初めてで、目の前に吉祥寺・よみた屋の頭脳が!それに西荻窪・音羽館の頭脳が!と、大いに緊張してしまう。しかしお話しし始めると、これがとても愉快で気持ち良い。おそらくこちらに合わせてくれているのだろうが、クレバーな古本屋理論ばかりかと思いきや、あちらこちらにエピソードが飛び散り、会話を交わすのが非常に楽しくなってしまう。古本屋さんについて、今これほど白熱考察しているのは、この喫茶店の片隅だけではないだろうか?そんな風に思ってしまうほど、話題が尽きないのである。イカン…すでにトーク分話してしまった気がする。しかし、これだけお話し出来るなら、どうやら当日は楽しい時間を過ごせそうだ。しかも古本屋になる云々だけでは済まない二時間半となりそうな予感。古本屋として生きる者×古本屋を観察する者の対決や如何に!…それにしても、毎日古本屋について書いたり読んだりしていると思っていたら、次は喋る時が近づいて来るとは…。俺は今、古本屋に人生を支配されかけている!
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※左が広瀬氏、右が澄田氏。西荻窪と吉祥寺の貴重なツーショットである。

■第81回西荻ブックマーク
『古本屋になろう!』 アフターアワーズ 〜「古ツア」さんと共に語る〜
日時:10月12日(日)17:00〜19:30 (開場16:30)
場所:ビリヤード山崎2F 杉並区西荻北3-19-6
料金:1500円 定員40名
※10月11日(土)の第80回西荻ブックマークからの連続参加で割引料金に!! 3000円→2000円
出演:澄田喜広、小山力也
posted by tokusan at 23:44| Comment(4) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月06日

10/6神保町打ち合わせ経由三鷹行

巨大な台風が急接近しているが、11/1に行われる『ビブリオバトルin神田古本まつり』の打ち合わせで九段下に行かねばならぬ。少し余裕を持って東西線で出かけるが、さほどひどい目にも遭わず『千代田図書館』(2014/03/12参照)に、午前十一時前に無事に到着する。ここで喜国雅彦氏・北原尚彦氏・玉川重機氏と顔を合わせ、一時間ほど様々なブリーフィングを受ける。そして不安になる…五分間も一冊の本について、話せるのだろうか…それに、まったく適う気がしない。しかしバトル当日の会場が「東京古書会館」(2010/03/10参照)なのは嬉しい。しかも出演者の控室は役員室だと!古本屋ツアーもついにここまで来たかっ!などと妄想が少し暴走。それにしてもこの濃い顔ぶれは、何かが起こりそうな予感がヒシヒシ。早いところ紹介する本を決めて、作戦を練らなければ…あぁっ!

打ち合わせ後に、みなさんとお別れして表に出ると嘘のような台風一過で、日まで差し始めている。そのまま神保町に足を向けると、台風対策のためにシャッターを下ろしているお店や、頑丈にビニールで梱包されたお店が目立ち、『靖国通り』の歩道も、まるで休日のような寂しさである。
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何も買えずに神保町を横断して、御茶ノ水から中央線に乗車。通勤快速で一気に三鷹を目指す。

駅に着くとすでに真夏のような暑さに襲われる。南口に出てバスに乗り、「ブックセンターいとう 東八野崎店」(2012/08/28参照)へ。メールタレコミで10/19の閉店を知り、偵察に来たのである。
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派手派手しく閉店が宣伝されている入り口を潜り、相変わらずごちゃごちゃな店内の右奥に進んで、30%オフの単行本や文庫本を眺めていく。爆音一歩手前の店内BGMの合間に『十二年間ありがとうございました』と閉店アナウンスがガンガン挿入され、棚を見る気持ちを感謝されてるんだか妨害されてるんだか分らぬ、ひたすら我慢の古本探しである。規模は中くらいなので古書は見当たらず、新しめの本が中心である。住まいの図書館出版局「建築人物群像/土崎紀子・沢良子編」ちくま文庫「妖精詩集/W.デ・ラ・メア」を計1225円で購入する。

バスで駅まで戻り、北口に抜けてビルの隙間から日射しの当たっている「水中書店」(2014/01/18参照)へ。
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開店日以来の、九か月ぶりの訪問である。まだ棚の下段に空きが見られるところもあるが、本の並びには食らいつくべき個所が多く、開店当初からの質の高さをしっかり堅持していることに感心する。立風書房「地下を旅して/中井英夫」光文社文庫「少年探偵王/鮎川哲也監修・芦辺拓編」パンドラ社「映画と風船/東陽一」を計900円で購入する。
posted by tokusan at 18:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする