2014年11月30日

11/30埼玉・上福岡 SUNDAY GARAGE

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色々予定が詰まっているので素早く行動を起こし、正午前には川越一歩手前の東口駅頭に立つ。ロータリーから『サンロード』を北東に抜け、スクランブル交差点から北北東に進路を採り、巨大団地群や普請中の市役所、新日本無線と大日本印刷の広大な敷地をやり過ごすと、どうにか『川崎交差点』。東に進んで趣きのある新河岸川を渡り、道なりに東南へと歩き続ける。橋を渡ったら地方都市の光景がくるりと変わり、農地と新しい住宅とヤードが点在する広々とした世界。そんな風にして駅から2.5kmも歩いて来れば、『渋井交差点』にたどり着く。広い道路を渡ってさらに東へちょっと進むと、右手に正面が木材で化粧され、何本もの梯子や壷や棚や木の車輪などを表に置いた、大きな倉庫建築が見えて来た。基本日曜日営業の、巨大ジャンク&アンティーク屋さんである。だが、おぉ!すでに開いたシャッターからは、古本の並ぶ棚が見えているじゃないか!興奮を気取られぬよう、古本修羅の気配を悟られぬよう、粗いレンガを踏み締めて入口を潜り、ピンク色の大きな棚に近寄る…これは幼稚園か小学校の木製ロッカーが転用されているのだろうか?五×五の棚の半分ほどに、鳥・魚・昆虫・植物・自然・南洋・地球・鉱物・猫・絵本・ほんの少しの文庫が並ぶ。図鑑や児童書が目立ち、値段は安めである。その中から殊更古い二冊を抜き出して、古道具&アンティークで造り出された迷路の中を探索し続けると、つづらに入った雑誌附録類・漆塗りの盆に盛られた観光案内や地図・ケースに入ったマッチ箱・トランクに詰まったアンティーク絵葉書&紙物類を発見する。店内は絶妙にジャンク品とアンティーク品が混ざり、楽しく見易い気配りが為されている。奥の誰もいないキャッシャーで「すいませ〜ん」と声を上げると、頭上の中二階から「ハイ」と返事があり、ギシギシミシミシキュウキュウカンカンと、様々な所を通って来る音がした後に、スキンヘッドの日ハム・中田翔風青年が登場する。保育社のえばなしぶんこ「アラジンのふしぎなランプ/平井房人・文画」金蘭社「おもしろい科學の話 第一編 空の巻 地球の巻/松平道夫」(函ナシ)を購入する。

ツラツラと駅へ戻って行くと、『川崎交差点』脇にある平屋の「ブックオフ埼玉上福岡店」が気になって、フラリ入り込む。
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奥の100均単行本壁棚に拾い物があり、天井近くに張り巡らされた大量の全集端本&函入り本コーナーが首の痛みと共に見応えあり。初山滋装幀の「日本の住居のうつりかわり/國立博物館編」が300円で買えたのも良かった。何故こんな仙花紙本がブックオフで売られていたのか…そんなことを考えて表に出ようとすると、入口近くの辞書棚の前に、背中合わせのフレーム棚があることに気付く。一応見ておくかと近付くと、これが何だかいい感じの、古本古書・探偵ミステリ・怪談・70年代文学・カウンター&サブカルチャーの棚だったので、少し狼狽えてしまう。しかも文庫は210円、単行本は310円の値段設定!何故こんな所に隔離されているのか?一体誰が棚造りをしているのか?何故安いのか?とたちまち五冊も手にしてしまう。角川ホラー文庫「幽霊狩人カーナッギ/W・H・ホジスン」中公文庫「日本橋檜物町/小村雪岱」講談社江戸川乱歩文庫「鬼の言葉」青弓社「古本泣き笑い日記/山本善行」集英社「二十世紀のパリ/ジュール・ベルヌ」を再びレジに並んで購入する。ここはちょっと、不思議でおかしなブックオフである。
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2014年11月29日

11/29東京・上北台 BOOKBOOK 東大和店

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突然の雨が上がり、薄日が射し始めてから外出し、西武新宿線&拝島線で玉川上水駅。一旦駅舎から離れ、近くの「清水書店」(2009/06/04参照)をまずは見に行く。ガラスの奥に人影はあるが、灯りは点いておらず、丹精に倉庫然とした佇まいと、店舗としての営業感のなさにすっかり怖じ気づき、『まぁ今日はいいか』と負け犬同然にターンして、そそくさとモノレールで北上する。二つ先の終点で降りると、空中で途切れたコンクリのレールと、そこから四方に広がる階段が、なかなかスペイシーな姿を見せている。そんな背後を振り返りながら、『芋窪街道』から『新青梅街道』に入って東へ進む。道路の上には青い『新宿29km』の表示板が現れ、大根畑の横には豪壮な白亜の化粧品会社ビルが時空をねじ曲げるようにそびえ立つ。『芝中団地入口交差点』を越えると、右手に掠れた『古本』の大きな看板が見えて来た。『BOOKBOOK』支店のひとつである。意外に大きく整った姿である。中に入るとフロアは二分されており、左半分がアダルトで、右半分がコミックとアイドルで占められている。そして右側のウィンドウ前に、ちょっと長めの古本棚が置かれている。ウィンドウに面した本はかなり蒼ざめており、出版社別文庫・海外文學文庫・ラノベ・BL文庫が耐えるように並ぶ。裏側には丁寧だが平凡なラインナップの出版社別文庫がズラッと続き、お尻に新書・雑学文庫・雑本・ノベルスが固まる。さらに100均文庫ワゴンと三冊100円文庫ワゴンもあり。値段は安め。興奮することなくフラットな気持ちですべてを見終える。光文社文庫「夜よりほかに聴くものもなし/山田風太郎」を購入。

帰りは拝島経由で東中神途中下車。動向の気になる「中神書林」(2014/09/24参照)を訪ねる。すると右側店頭棚の横に小さな貼紙があり、12月27日で閉店すると書かれていた…あぁ、ついに。やがて来るであろうお別れを、今はググッと飲み込み押し込めて、店内を精細にウロウロ。床に屈んで好みの映画パンフ三冊を見つけるが、値段が何処にも見当たらなないので、ある程度覚悟して店主に差し出す。すると「300円」と拍子抜けの嬉しい値段。また来ます。文芸地下劇場「岡本喜八監督ワンマンショー」(間に大井武蔵野館のチラシあり)シネセゾン「ドグラ・マグラ」エキプ・ド・シネマ「衣笠貞之助監督2大作品 狂った一頁/十字路」(新感覚派の目の眩む輝き!二作品共にシナリオを掲載!)を購入。
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11/28取材と神保町パトロール

トマソン社「BOOK5」連載の取材で神保町入り。取材を順調にこなしつつ、当然様々なお店をギロギロと観察して回る。「アムールショップ」(2011/08/12参照)で二見書房「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ/ハリー・グレイ リー・ヘイズ」を100円で。「日本書房」(2011/08/24参照)で早川書房「新青年の頃/乾信一郎」を300円で。「愛書館中川書房」(2014/07/30参照)で講談社「日本SF・原点への招待」を100円で。そして本日最大の収穫は、「文省堂書店」(2010/09/17参照)店頭棚で見つけた旅窓新書「世界珍談奇話事典/リプレー著 庄司浅水訳編」の庄司センセイ献呈署名入り本!100円!
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ウハウハと足取り軽くさらに街をうろついていると、「澤口書店」の新店がすでに開店していることを知り(今度ちゃんとツアーしよう)、「古書センター」の六階がしっかりした『近日開店予定』の札が出されていることに気付く(とは言ってもまだどんなお店が出来るのか情報はゼロ)。そして我が愛しの「古本屋ツアー・イン・神保町」が、「東京堂書店」週間ベスト10で返り咲きの9位に。「三省堂書店 神保町店」では10位に留まりふんばっていることを確認。わが子のあまりのけなげさに、裏通りでハラハラと落涙する。そんな風に神保町に感謝しながら久しぶりの「マニタ書房」(2012/10/27参照)を訪ねると、店内のクレイジーなマニアックさが一段とアップしており、何だか『中野ブロードウェイ』的雰囲気に満ち溢れている。店主とみさわ氏とガハガハと楽しくお話しし、来年にはまた「古本ゲリラ」をとか、共に地方に遠征する「ブックオフ+古本屋+中古レコード」ツアーをしましょうなどと、小さな夢を広げる約束を交わしつつ、学研「幻のツチノコを捕獲せよ!!/山口直樹」秋元文庫「あまい死の匂い/加納一朗」を計1500円で購入する。そして午後五時過ぎ、本の雑誌社編集M氏と田中栞氏と、喫茶店で「古本屋ツアー・イン・神保町」の軽いお疲れさま会に突入する。しかしここから五時間、延々古本屋&古本&豆本&製本&造本の話に終始し、田中氏が完全に太刀打ち出来ぬ古本神であることを思い知り、完膚なきまで叩きのめされる。気が付けば午後十時半過ぎの神保町。まだまだ頑張らねばと、古本街の暗い夜空にさらなる精進を誓う。
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2014年11月28日

11/28 月の輪書林古書目録十七 特集・ぼくの青山光二

古本屋界の目録大巨人「月の輪書林」さん(2012/03/29参照)より、待ちに待った最新目録「特集・ぼくの青山光二」をいただく。思えば二年と八ヶ月前、「古書 赤いドリル」さん(2013/08/13参照)と共に、蓮沼の下町にある事務所店を訪ねたとき、所内にはまだ前号目録・太宰治特集との格闘の痕跡が、濃厚に立ち込めていた。しかし、少しごちゃついたメインデスクに座る月の輪さんは、緊張してかしこまる我々を前にして、こう宣言したのである。「次の目録は青山光二なんだ。君たちが今日ここに来たことを記念して、今日から書き始めるよ」。そうして、一枚のA4の紙に書かれた、すでに組み上げられた目録のアウトラインを見せてくれたのであった。青山光二っ?正直大きく意表を突かれた感じがしたが、そこは、人跡未踏の原野に道を切り開くが如き、もしくは七千メートル級の峻険な山々に誰も実現したことのない登攀ルートを刻み込むように、さらには今まで誰も見向きもしなかった無人島に突然町を作り始めるように、物凄く予想外でワクワクと読み込める目録を作り続けて来た月の輪さんのことである。きっとまた見たこともない目録を作り上げるのだろう。そう期待して、それからの毎日を、完成を楽しみにして過ごして来たのである。しかし、待てど暮らせど、目録が出来たという話は聞こえて来なかった。ドリルさんとは顔を合わせる度に「青山光二、進んでるんですかね?」と、合言葉のように囁き合う日々……しかし、ついについにそれが完成したのである!おぉ、例えあのときの『君たちが来たことを記念して書き始めるよ』という言葉が、単に月の輪さんの気まぐれであったとしても、いざ現物を手にしたら、特別に感慨深いものとして、心の中に深く食い込んでくるのである!何だかまるで映画の台本のようなB5版の300ページの世界に入って行くと、そこには、すでに青山光二の意志を大きく越えた、あるいは踏み外した、調査と想像の翼を力の限り羽ばたかせた、月の輪さんの情念の世界が大きく深く執拗に広がっていた。う〜む、読める読めるぞ。読み続けられるぞ!と、浴びるように小さな文字を追い続けてしまう。文学と日本映画界が巧みに絡み合いこんがらがるところに、ドヤやヤクザが一種の清涼さを覚えるほどちょっかいを出して来る。ワハハハ、月の輪書林目録十二号寺島珠雄特集まで並んでいるじゃないか。…一体この、途絶えぬ知の荒波のような目録を読み終えるのに、どれほどの時間がかかるのだろうか。もはや、これは本を注文するためのものであるという本義を無視してしまっているのだが、しかし必ず読み終えることを覚悟して、空をバックに写真を撮ってみる。表紙に空色で刷られた『宙ぶらりんが好きだ』の文字が、まるで空の色そのもののように、写り込む。そこに月の輪さんの言葉が、耳の奥に甦る「俺はやるよ!記録するよ!」。その心意気の最新の一端が、今まさにこの手の中に!
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2014年11月26日

11/26荻窪の象は生きていた

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冷たい雨降りの、濡れた落ち葉がアスファルトに貼り付いた水曜日。今日も閉じこもってゴソゴソと作業する。しかし古本に触れずに一日を過ごすわけにはいかぬので、お昼過ぎにちょっとだけのつもりで外に出て、傘をさしながら『日大二高通り』を荻窪までシトシト歩く。『青梅街道』にぶつかった所で左手前方の対岸を見ると、一月で閉店したはずの「象のあし」(2013/12/23参照)が元気に営業中なのである。近付いても、お店は何事も無かったような快活さを見せている。店内を一周しても特に変わったことはなく、ではあの去年の十二月の狂騒は何だったのか、と軽く思ってしまう。まぁこちらは半額で古本が変えたので良かったのだが。それにどんな事情であれ、閉店せずに生き残り、あれから一年を営業してくれていたのなら、嬉しい限りなのである。だからすべてを忘れてにこやかに、星海社新書「僕たちのゲーム史/さやわか」を460円で購入する。

そのまま『環八通り』沿いに、雨と車の音が混ざり合う中央線下を潜り「竹陽書房」(2008/08/23参照)のすっかり暖房が効いた店内に潜り込む。創元推理文庫「幽霊紳士/異常物語 柴田錬三郎ミステリ集」岩波文庫「夫婦善哉 正続/織田作之助」を計700円で購入。電車で阿佐ヶ谷へと戻り「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)で中公文庫「コンスタンチノープル/橘外男」を250円で購入しつつ、「2人古本市」のチラシとポスターを渡し、鉄面皮に宣伝活動への協力を切にお願いする。シトシトと雨のように歩いて家へと戻る。
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2014年11月25日

11/25古本屋ツアー・イン・寝床の横

今日は冬眠する熊のように閉じこもり、家から一歩も出ずに様々な作業。そのうちのひとつがとても難事で、寝床の横の存在感を増し過ぎた古本山脈を切り崩すのに、大変な労力と時間と神経を使ってしまう。おっ、この本はこんなところに埋もれてたのか…あの本がこの辺にあるはずなのに見当たらないな…こんな本持ってたんだ…何故この本を買ったんだろう…これ今度読もう…そんな風に基本的には楽しく、四時間ほど休み休み作業して、ようやく全体の幅を十センチほど減らすのに成功する。やった、寝床が少し広くなったぞ!しかしそのため、部屋の隅々に新たな古本山が、地殻変動したかのように出現してしまった…寝床の横はちょっとしか減っていないのに、新しく出来た山は何でこんなに大きいんだ。おかしい、理に合わないぞ。こ、これは、マズいな。改めてマズいな。こんなことを繰り返していたら、いずれこの家は、古本に埋もれる運命に…。と言うわけで、その中から「2人古本市」で販売する本を、徐々に掘り出し選び出して行くことにする。今回の選ばれし本は以下の写真。
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これからさらに切り崩した山を再吟味したり、ことあるごとに家内探索を継続し、いずれ仕事部屋の古本絶壁にも挑戦したいと考えている。いや、しなければいけないのだ!何故なら、恐らく以前出させていただいた、わめぞの「外市」(2012/06/10参照)よりも多く、本は用意しないと形にならないからである。さらに改めて“売る”という視点の眼で、己の古本の山をじっくり眺め、来ていただく方に喜んでもらえるよう、身を切る思いで本を選んで行きたい。そんな風に「2人古本市」まで後およそ二十五日、家の外では古本を買い、内では販売古本吟味を重ね、しばらくは古本と激しく格闘して、暮らして行くことになりそうである。年の瀬に古本と長期間がっぷり四つ!
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2014年11月24日

11/24未だに入れない古本屋さんと古書モール竜ヶ崎

これだけ毎日古本屋さんを巡っていても、未だに入れないお店は存在する。常磐線佐貫駅西方一キロ強地点の、ゴーストタウンの如き商店街にある「藤代書房」もそんな頑固で悩ましい一店である。私は何度この寂しい土地を駆け抜けて、毎回『ダメだろう』と思いながらもそのくせ期待し、商店街を覗き込んだことだろうか。実際『ここはもう開かないのだろう』…そう思ったこともあった。しかしコメントタレコミにより、お店が営業していることを教えられ、再び足を向けるようになったのである。残念ながら、今日もシャッターは閉まっていた。しかしこのシャッターの現役感はどうだ!掠れていない店名も、下に置かれたブロックの新しさも、お店が営業していることを告げている。ここまで来たなら、閉め出され続けるか入れるかという、古本屋ツーリストとお店の闘いである!いつか必ずシャッターを堂々と潜り、古本を買ってやる!そう心とお店に誓って、バカみたいに駅にすぐさま引き返す。
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この後の行動は、判で捺したように決まっている。関東鉄道竜ヶ崎線に乗り、「古書モール 竜ヶ崎」に向かうのである!ここが近くにあるからこそ、「藤代書房」に何度打ちのめされても、懲りずに立ち向かえるのである!『Ribra』の入口にいつもいる野良猫に挨拶して、まずは一階の古本ゾーンに挑む。恐らくこれが今年最後の古書モールアタックとなるはずなので、殊更丁寧に棚を眺めて行く。樺太叢書「サガレン紀行抄/アントン・チェーホフ」(樺太廳発行の樺太啓蒙書!)双葉社「ヨコジュンの銀河パトロール報告/横田順彌」朝日ソノラマ「続・ぼくらの探偵大学 クイズ特集/山村正夫」を、駄菓子売場のマイルドヤンキー風おねえちゃんに精算してもらい計900円で購入。よし、調子はいいぞ!とエスカレータで二階へ。…やはり以前より通路が一本増えている気がする。より雑駁に大物感が増した売場に、決死の覚悟でこちらも丁寧に挑んで行く。丁寧にていねいに、一冊も見逃さぬように…。そんな風に心がけたら、すべてを見るのに一時間半かかってしまった。集英社日本文学全集52「上林暁・木山捷平集」秋田書店怪奇サスペンス全集4「世界の七不思議/庄司浅水」早川書房「新・進化した猿たち/星新一」東方新書「山の手の子/獅子文六」、そして向日書館「魚河岸の石松/宮本幹也」小説朝日社「糞坊主/北村小松」が並んで置かれているのを発見し、古本ハイになる。やはりここは足を運べば何かが見つかる、スゴい所だな。帳場に記事を書かせていただいた洋泉社ムック「本屋はおもしろい!!」と該当ページのPDFプリントが置いてあるのに気付き、密かに赤面しながら計1300円で購入する。空きテナントに設えられた休憩スペースで、収穫を並べて写真を一枚。やはり一番の収穫は山村正夫の「続・探偵大学」であろう!
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※お知らせ
来る12月21日に、岡崎武志氏とタッグを組み、小規模ながら古本市を開催いたします。普段から古本にたんとお世話になっているので、その恩を古本でお返ししようと決めました!力の限り面白い本を並べるつもりなので、どうかこの日は西荻窪に、古本を買いにお越し下さい!
■岡崎武志&小山力也『2人古本市』
■12月21日(日)11:00〜17:00
■西荻窪 銀盛会館(杉並区2-18-4)

そして古本市終了後の18時から、同会場の二階で『西荻ブックマーク』として、またしても岡崎氏の胸を借り、今年一年の古本まみれの越し方を振り返るトークショーをも開催いたします!古本をたっぷり買って、そのまま二階で古本話に耳を傾けていただければ!これは間違いなく、徹頭徹尾古本に侵された一日となることでしょう!
■オカタケ・古ツアの古本忘年会〜今年の古本・古本屋回顧〜
■12月21日(日)17:30開場/18:00開演
■西荻窪 銀盛会館二階
■料金:1500円(1ドリンク付)
■定員25名(要予約/予約は西荻ブックマークまで)
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2014年11月23日

11/23東京・武蔵関 えほんのがっこう

昼過ぎに西荻窪に向かい「古ツアフェア@盛林堂再び!」に補充。その後もしばし西荻窪で活動を継続。北にストスト向かい、「かんばら書房」(2014/09/26参照)店頭100均箱群から新潮社「人類の進歩につくした人々/吉田甲子太郎編」創樹社「浅草コレクション/関根弘」を計200円で購入してから、上石神井行きのバスに飛び乗る。それから西武新宿線で隣りの武蔵関へ。情報屋「やまがら文庫」より、絵本の古本屋さんがこの地に出来るとのタレコミがあり、昨日確かにオープンしたはずなのである。

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駅北口の階段を下り、すぐに東へ。そして二十歩も歩くと、右手三階建てビルの二階窓に、大きく店名と、二人の子供が仲良く絵本を覗き込むマークが貼り出されていた。超駅近である。早速緑の階段を上がると、二階部分に木の扉。そっと指先で押すと、それは室内に向かってスウッと軽く開いた。通りに向かって縦長な空間で、奇麗な歯医者の待合室のよう。右にカウンター帳場があり、歌のお兄さんのような爽やかな青年が、「いらっしゃいませ」と満面の笑みを浮かべて立ち上がる。左の通り側がお店のメインスペースで、左壁際に八×四のホワイトボックス棚、窓際にはソファーや椅子、そして右の壁にはディスプレイ棚が設置され、下には子供の背に合わせて作られたであろう、低いカウンター席がある。八×四の棚には、出版社別に和洋取り混ぜ、薄くカラフルな絵本がピッシリ大量に並んでいる。右端には洋書絵本と児童文学も少々あり。値段は定価の半額前後であろうか。開店祝のポストカードをいただき、miki HOUSE「火うち石でおまたせワン!/佐々木マキ・絵」を購入する。絵本一辺倒で、西武新宿線沿線から古本界の荒波に漕ぎ出した爽やか店!こどもたちよ、武蔵関に集え!と檄を飛ばしたところで、南側の相変わらず看板文字がヒーロー的に格好良過ぎる「古本工房セイレーン」(2008/10/18参照)へ。
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創元推理文庫「大坪砂男全集4 零人」「とむらい機関車」「銀座幽霊」共に大阪圭吉、ちくま文庫「うれしい悲鳴をあげてくれ/いしわたり淳治」を計1460円で購入。さらに思い付いて、いつでも観測していたい「ブックマート 都立家政店」(2011/12/13参照)まで電車移動。すると勘が当たったのか、ごちゃついた店頭100均棚で、文化書院「玩具箱 尾崎一雄随筆集」を発見してしまい、フゴフゴと激しく興奮!本当に油断のならないお店だな、ここは。
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2014年11月22日

11/22東京・駒場東大前 第65回駒場祭古本市

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「古書ますく堂」(2014/07/20参照)からタレコミの、東京大学での古本市である。本郷キャンパス『五月祭』の古本市(2012/05/19参照)はツアー済みだが、駒場キャンパス『駒場祭』はノーマークであった。崖上のホームから東の橋上駅舎に上がると、改札の向こうには人待ち顔の女子がズラ〜リ。『東大口』から外に出ると、目前には大量の人と、厳めしい正門と、城砦の如き時計塔。無料パンフを受け取り、挟み込まれた構内地図で、古本市が開かれる『生協食堂』の位置を確認する。ごった返す屋外ステージ脇や模擬店(何故みなこれほどまでに食物を売りたがるのだろうか…)の間を擦り抜け、東側にある博物館裏の軽やかなガラス建築風食堂に到達する。しかし周辺にもガラスの向こうにも、市が開かれている気配はない。食堂の外周を北側からたどるようにして、東側の芝生庭に面したテラスまで行くと、そこで“L”字に組んだ長テーブルと三本の本棚で、慎ましやかな古本市が行われていた。テーブル上には二十四の小さなダンボール箱が並び、1/3が教科書・参考書・専門書。さらに1/3が哲学・文芸・社会学、残りが実用・山岳・辞書・洋書という割合。本棚には少しだらしなくコミック・文庫・新書が並ぶ。やはり教科書や専門書がメインで、それほど燃えぬ古本市。値段は100円〜しっかり値までと幅広い。お客が主に抱え込むのは専門書が多いようだ。RANDOME HOUSE「THE Aristocats」岩波文庫「ギッシング短篇集」「中江兆民 三酔人経綸問答」ちくま文庫「エロマンガ・スタディーズ/永山薫」を計550円で購入する。市は文化祭期間の24日まで。

結構気合いを入れて来たのに、あっけなく高速で見終わってしまったので、早々にキャンパスから離脱して、駅南側の「河野書店」(2008/09/08参照)に向かう。午前十時半なのに頼もしく開店しているが、店頭にはアカデミックなお店に似合わぬ大量の玩具が!
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何があったんだ?と、緑地社「文學東京案内/槌田満文編著」ちくま文庫「三文役者のニッポンひとり旅/殿山泰司」を計1000円で購入する。
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2014年11月21日

11/21さらば猫企画!こんにちは猫企画!

白楽『六角橋商店街』の「猫企画」(2010/12/17参照)が移転することになった。明日22日をもって彼の地での営業を終了するらしい。闇市的商店街の、おかしなおかしな古本屋さんは、夜の闇にバカみたいに温かく輝いていた。その輝きを眼底に刻むべく、午後二時過ぎに店頭に到着すると、シャッターはガッチリと下りてしまっている…まだ開店時間じゃないのか…ではその隙に『古本屋ツアー・イン・白楽』と洒落込めば、時間は矢のように過ぎ、シャッターもいつしか上がるだろうと。周辺の四軒の古本屋さんを次々急襲する。おっ、柴錬の偕成社ホームズがカバー無しで300円!講談社の福島正美ホームズが500円!角川文庫の小山清が300円!どひゃっほう!教養文庫の橘外男が300円!…などとやっていたら、たちまち一時間が経過してしまった。しかしお店に戻ってもシャッターは上がっておらず、仕方なく看板の写真を一枚撮って、お別れする…グスン。
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そのまま横浜に出て、湘南新宿ラインで小田原に急行する。「猫企画」の移転先…それは新装成った小田原駅東口の地下街『HaRuNe小田原』だというのである。黄金町の元チョンの間→白楽の闇市的商店街と来て、ついにはお洒落な地下ショッピングモールに進出…実に波瀾万丈な店生だ。東口の大階段を下ると、地上に地下街への入口が爽やかに輝いている。エスカレーターでさらに地下に下り、左に歩いて行くと『メトロ マルタ』というわりと大きめな服飾と雑貨のピカピカお洒落店にたどり着く。その真ん中辺りの柱に目を凝らすと、よっ!そこには小さな「猫企画」の看板と共に古本の姿が!
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中央通路から近付くと、柱の二面に木製台と柱棚が設置され、サブカル・アート・写真・へんなオカルト・アングラ・映画・音楽が、一筋縄では行かぬ妙な視点で並び、少しだけお洒落さも装っている。台の上には「STUDIO VOICE」層あり。ふ〜むと、二面を行ったり来たりして一冊抜き取り、通りかかったプリティーな店員さんに精算をお願いする。すると「本はこれから増えて行きますので、また見に来てくださいね」とニッコリ。うぉぉ、「猫企画」はこの空間に、さらに領土を拡張するつもりなのか!どんどん過激に、空間とズレて行くことを期待しておきながら、また見に来ることにしよう。ジャブラン出版「やばいダウンタウングッズ/ボブ・加藤」を500円で購入する。
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2014年11月20日

11/20千葉・松戸新田 つなん書房

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松戸駅で新京成線に乗り換え、郊外の少し起伏のある果てしない住宅街を、盛土された路線で切り抜けて行く。乗車時間わずか四分の二駅目で下車すると、車窓と変わらぬ住宅街。いつの間にか降り始めた冷たい雨に眉をひそめ、北口から踏切を渡り、駅前のメインストリート的坂道を南西へ下る。100mも進むと信号があるので、脇道を東南へ。何処かとの抜け道になっているのか、こちらに向かってひっきりなしに車が坂道を下って来る。そして行く手右手に『古書買入』とある店名袖看板を、ちょっと遠目に確認する。住宅兼店舗らしく、軒には青瓦が雨に濡れて鮮やかに輝き、赤い日除けは弛んで薄汚れてボロボロ。その下のサッシ四枚の向こうに見える店内は、少し荒れ気味だが蛍光灯を輝かせて、しっかりと営業中である。ぬぅぅ、私鉄小駅住宅街の忘れ去られたような個人店…古本魂がメラメラ燃え上がり、拳をギュッと握り締める。中に入ると、電子チャイムがピロンピロン鳴り響き、すぐに奥からカーテンを捲って、小さなショートカットのおばあちゃんが現れた。そのまま奥の帳場に腰を下ろすが、埋もれるように見えなくなってしまった…。本棚はすべて武骨実直なスチール棚で、両壁に高く張り付き、真ん中に分厚く背中合わせの棚が二本。また帳場下や背後にも本棚が置かれている。右端はコミック通路で、ほとんどの本がビニール梱包され、活発な気配を漂わせている。だが、真ん中通路に移ると途端に淀んだ空気がまとわりつき始め、時間の停まった古本屋さんの光景。右側に雑本単行本・海外文学・ミステリ&エンタメ、それに上段に取り残されたような全集端本類と古めの本、足元は低い本タワーが連なっている。埃まみれで動いていない棚が、ドキドキを加速させる。左側は時代劇文庫(ここは動きの気配あり)・日本文学文庫・歴史となり、最下段は文庫ストックで埋まっている。帳場下の廉価コミック・ノベルス・新書を眺めて左端通路。右側は女流作家文庫・カラーブックス・出版社別文庫・雑学文庫・日本文学文庫・官能小説が収まり、下段は何処も文庫の墓場となっている。左側は、ビジネス・ガイドブック・実用・タレント・ハウトゥノベルス・新書ノベルス(オカルト系多し)・ノベルス・辞書・アダルトとなっており、足元には本タワー、最上段は単行本の墓場となっている。コミックとノベルスと時代劇文庫以外は、完全に時が停まってしまっている。棚にはブランクもあるが、本棚の奥・本の墓場・本タワーの中に何か素晴らしいものが潜んでいる気配を勝手に感じ取る。埃との格闘を厭わぬ方には、ぜひとも挑んでいただきたい。本には値段が付いていないのもあるが、おばあちゃんにその場で吟味してもらうのだろう。帳場に向かい三冊を差し出す。「ありがとうございます」と立ち上がった彼女の後ろには、巨大な柱時計が!…これは、おばあちゃんよりデカイのでは…そんな風に度肝を抜かれていると「400円です」と激安値をあっさり告げられる。東方社「英語屋さん/源氏鶏太」(ひゃっほう!)ベップ出版「悪友記/吉行淳之介(著者代表)」ちくま文庫「死体と戦争/下川耿史」を購入。あぁ、こんな住宅街に、今まで潜んでくれていて、ありがとう!

帰りに阿佐ヶ谷「銀星舎」(2008/10/19参照)に久しぶりに顔を出して雨宿り。奥様と古本と古本屋と猫の話をアレコレ。創元推理文庫「イシャーの武器店/ヴァン・ヴォークト」スポーツ新書「サンボ入門/ボルヴィンスキー セニコ」を計700円で購入する。
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2014年11月19日

11/19東京・浅草 第1回 浅草エキミセ古本市

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銀座線で浅草に入り、猥雑な『浅草地下街』から表現派的階段を上がると、背後に白く美しく復元化粧直しされた『松屋』の鼻先がそびえ立つ…しかしその名は、いつの間にか『浅草EKIMISE』と変わっていた…。横断歩道を渡って建物内に進み、天井が低く白い梁が重々しいフロアを、エスカレーターで駆け上がって行く。七階から、昭和初期そのままの階段を上がれば、青空が間近な『浅草ハレテラス』という名の屋上に出る。日射しは強いが、冷たい風が吹き荒れる屋上に、幟が勇壮にはためき、古本のワゴンが堂々と広がっている!何と愉快な、それでいて清々しい光景!ここには青空と、古本しかないのだ!それに恐ろしいことに、平日の午前十時だというのに、すでに会場には油断のならぬお客さんたちが、古本に熱視線を注いでいるのだ。負けじとこちらも目を光らせ、端からワゴン島に取り憑いて行く。四つのワゴンを組み合わせ、棚や木箱を搭載した古本島が十二。左端のクリスマスの飾り付けが施された藤棚の下に、二台のワゴンで出来た古本島が六つ、それに帳場が置かれている。眺めて行くと、意外にも早稲田チームの出店が多いのに気付く。すると「立石書店」さん(2009/12/11参照)から声を掛けられ、松屋時代の古本市(2010/01/03参照)が縁で、今回の開催に漕ぎ着けたことを教えていただく。歴史・近代史・文学・美術・工芸・文化文明・文庫・絶版漫画・ビジュアルムック・紙物・古雑誌などが並び、少し硬めな傾向である。ミステリー関連では「文省堂書店」(2010/09/17参照)がひとり気を吐いている。私は「虹書店」(2010/08/24参照)の安めの古書がちょいちょい混ざる島に惹き付けられ、文久社「夜の京阪/秋田貢四編」(函ナシ)大日本雄弁會講談社「諸國の民藝/式場隆三郎」大東亞社「無敵潜水艦/黒崎貞治郎」を計二千円で掘り出し、大いに気を良くする。他に立石書店で春陽堂「湖畔亭事件/江戸川乱歩」(復刻版)を購入する。市は来週25日火曜日まで。

屋上に別れを告げて、階段で石の手すりの柔らかなフォルムを楽しみ伝い、階下へ。ビルの横っ腹から表に出て、観光客でごった返すアーケード商店街に入る。途端に頭上から、小林旭の『ギターを持った渡り鳥』が降り注ぎ、魂が共鳴。『マルベル堂』店頭に多数飾られた、高倉健のプロマイドは、まるで遺影のようである。浅草の古本屋さんは、まだ午前中のためか何処も開いておらず、「TOTOとLULU 浅草店」(2013/10/16参照)に至っては、もぬけの殻のテナント募集になってしまっていた…。
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『神谷バー』の前を通りかかると、そこには開店を待つ飲んべえたちの長い行列。脇の売店で、電氣ブランの小瓶を衝動買いして、賑わう正午の浅草を後にする。
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2014年11月18日

11/18東京・武蔵小金井 イナズマ娘。(休店中)

正午に西荻窪入りし、「古ツアフェア@盛林堂再び!」に補充し、新たに届いた補充の「古本屋ツアー・イン・神保町」に捺印識語署名。新識語もひねり出していますので、引き続き古本と共に新刊を、よろしくお願いいたします!

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中央線で西へ移動して武蔵小金井駅で下車。北口に出ると立ちはだかるビルの方から、冷たく強い風が吹き付けて来る。上着に沁み通る冷気に耐えながら、『ドン・キホーテ』西脇の道に入ると、そこは『Musako1番街』…“Musako”って何だ?…ハッ!“ムサシコガネイ”だから“ムサコ”なのか、と瞬時に答えに行き着きながら、北へグングン進んで行く。300mほどで坂道になり、郵便局際の交差点から『北大通り』を西へ。魔女の森的フォルムの裸のユリノキが並木となって連続している。テクテク500mは歩いて、『貫井北町二丁目交差点』で西北に延びる道に入ると、左手にまだ新しい、街の小さなリサイクル古書店が現れる。それにしても店名が“イナズマ娘。”…領収書の宛名や電話の応対が、ことさら大きなお世話に気になってしまう、奇妙な名前である。本・DVD・CD・ゲームのアイコンが掲げられているが、果たして本は本当に…そんな風に半信半疑にお店のドアに近寄ると、くぅ、準備中の札が下がっている。だがその下に、さらに白い貼紙がある。お昼ごはんにでも出ているのだろうか。そんな風に思いながら視線を走らせると、そこに書かれていたのは、驚くべき悲愴な決意の文章であった。以下引用。『休店のお知らせ 先日、癌告知をうけました。入院して手術して、元気になり、開店して皆様の笑顔を見られるように努力します。それまで少しの間、さよならです。』…あぁ、なんてことだ。お店は今にも開店しそうなほど、現役感満点である。ドアガラスに顔を近付け、中を覗き込むと、コミックの並ぶ棚が主に見えるが、左端の棚脇に日本純文学文庫の50均棚があり、左端通路も単行本や文庫が集められているようだ。これならば、ぜひともツアーしてみたい!……おぉ、かくも古本屋さんには、それぞれの人生がある!カムバック!イナズマ娘。!

テクテクそのまま『新小金井街道』まで出て、さらに北に進んで、久しぶりの「古本はてな倶楽部」(2013/12/18参照)。おっ、表に大きな100均台が出来ている。フフフ、どんどんしたたかにたくましくなって行くのだな。ちくま文庫「ファビュラス・バーカー・ボーイズの地獄のアメリカ観光/町山智浩 柳下毅一郎」アテネ文庫「科學人名辭典/田村松平」を計350円で購入する。
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2014年11月16日

11/16「ドミトリーともきんす」コンボと橘外男と仁木悦子

ここ数日の激しい活動で、すっかりグロッキー気味だが、今日は神田の街に調査に行かねばならぬ!と軋む身体に鞭打って、秋葉原〜内神田辺をうろつき回る。最初に、何処からか見ているかもしれない公安の目を勝手に気にしながら、秋葉原の例の古本屋さんも行ってみたが、シャッターも扉も閉ざされ、あらゆる貼紙が無くなっている状態…う〜む、このままフェイドアウトしてしまうのだろうか?その行く末を心配しながら、結局最後は日曜日の神保町に流れ着く。休日でも開いているお店を流しながら、「文省堂書店」(2010/09/17参照)店内100均棚で、みすず書房「鏡のなかの世界/朝永振一郎」北隆館「學生版 牧野日本植物圖鑑/牧野富太郎」を発見し、これは高野文子の「ドミトリーともきんす」コンボ!とひとり喜び興奮する。これで中谷宇吉郎と湯川秀樹があればと、都合の良い妄想を湧き上げ、三一書房「映像の発見/松本俊夫」と共に計300円で購入する。

他にも結構買い込んで、ヨボヨボしながら西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。平井功の随筆集に続いて表紙デザインを担当させてもらった、盛林堂書房ミステリアス文庫「怪奇冒険小説 死の谷を越えて/橘外男」をいただきに参上したのである。これが、これが!読み始めると止まらないっ!今ここで、私は高らかに宣言しよう!橘外男センセイの造り出す世界が、大好きだっ!もう、橘外男無しには生きて行けないのだっ!人外の美しさと残虐さに、無抵抗に目をキラキラと輝かせることしか出来ないのだっ!と異常なまでに息づかい荒く、興奮する。そのテンションをキープしたまま、ついついかねてから読みたかった、東都書房の少年少女小説「消えたおじさん/仁木悦子」(再版)を3000円で購入してしまう。装幀と挿絵が『ザッツ・児童文学』で、手にして眺めているだけでワクワクドキドキ心がざわつく、物質としても魅力的な本である。よし、橘外男と同時に読み進めるぞ!…まだまだこの世界には、読まなければいけない、古本屋さんで探さなければいけない、知られざる物語が、多数埋もれていることを、改めて認識する。
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帰りに、十二月の岡崎武志氏との二人古本市で、盛林堂と共にご迷惑をおかけすることに決まった「音羽館」(2009/06/04参照)広瀬氏に会いに行く。店頭100均文庫棚に間違って出ていた学研M文庫「黒蜥蜴/三島由紀夫」を帳場に返しながら(それでももしかしたら「外に出ていたらしょうがない。百円でお売りしましょう」と、なることを密かに期待してしまったが、やはり世の中はそう甘くなかった…)、奥で本に埋もれて拘束されてるような広瀬氏にご挨拶。詳細は追ってお知らせいたします。

※取りあえずのお知らせ
1. 盛林堂で行われている「古ツアフェア@盛林堂再び!」ですが、現在識語署名落款入りの「古本屋ツアー・イン・神保町」が品切れになっております。しかし火曜には再び入荷予定ですので、引き続きフェアと共にお楽しみください。本の補充も随時継続中。また識語署名落款入り本は、西荻窪「音羽館」阿佐ヶ谷「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)要町「古書ますく堂」(2014/07/20参照)でも販売中です。さらにフェア棚に並ぶちくま文庫の岡崎武志氏著作ですが、勝手にサインが入れられていることが判明しました。お値段据え置きで置いてありますので、どうかお早めに!
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2. 11/15発売の「ビッグイシュー日本版 vol.251」の特集『古本パワーと遊ぶ』に、1ページ強のインタビュー記事が掲載されています。ニヤけたバカ面を晒していますので、ご興味のある奇特な方はぜひ、駅近くに立つホームレス販売員の方々からお買い上げ下さい!
posted by tokusan at 18:59| Comment(6) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月14日

11/14北海道・札幌 サッポロ堂書店

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火急の用事で雪の札幌に日帰り往復。忙しない時間の中でも、古本屋さんは絶対に見て帰らねば!と、残り少ない滞在時間を工面して、札幌駅北口にて雪まみれ。『西4丁目線』を北上し、『北8西4信号』を過ぎ、さらに次の信号を過ぎると、左手の小建築が連続する中に、古本屋さんの袖看板を見出す。直下のお店の入口を見ると間口は狭く、ドアのガラスには各種貼紙がペタペタ貼られているので、何だか事務所店に見えなくもない。おまけに通路には横積み本タワーが蔓延っているようだ。しかし表でいつまでも雪に吹き付けられているわけにもいかぬ。勇気を持ってドアをスライドさせ、二重入口の中に入り込む。右にはウィンドウ内のように見える古本の山。店内にコソリと進むと、細長く奥深く、左右の壁には棚が張り付き、真ん中には背中合わせの棚が一本。壁際は先述した通りに本タワーが連続しているので、棚の下部は見ることが出来ず、真ん中棚の下部は本が横積みで収まっており、本が見えなかったり見え難かったりする状況。奥に煙突のあるストーブと、倉庫棚通路を背後に抱えた帳場があり、小さなヒグマのような壮年男性と、マスクをした女性店員の姿が、雑然とした古書の中に溶け込んでいる。会釈をして身体を横にして右側通路。右壁は北海道に相応しく、アイヌ関連から堂々始まる。言語・暮らし・住居・道具・習慣・祭祀・歌・研究・などから、童話・民話・石森延男・「カムイの剣」!そして金田一京助棚もあり、納得と充実の並びを見せる。向かいには北海道開拓関連が、一般書・地方出版・研究書・論文などでバリエーション豊かに揃う。ガニガニと横歩きで引き返して左側通路。通路棚には東北・蝦夷・鰊・炭坑・満州・山岳関連が収まり、新刊らしき本もチラホラ。壁棚には北海道の市史や町史類・自然・動植物、そして奥に彼方の地、樺太やシベリアが地図を北上するように続いて行く。『オール・ザッツ・北海道』のお店である。基本は学術系であるが、『北海道』に関わる本を執拗に網羅する傾向にあるので、本タワーの中に面白そうな本が紛れ込んでいる。値段は普通〜ちょい高。北海道新聞社「さっぽろ文庫23 北海道の建物」を購入すると、袋にお店のスタンプをペタリと捺しながら、「建築の本なら良く入るんで、また見に来て下さい」と柔和なヒグマの微笑み。

この後は、時間の無さにさらなるツアーはあきらめ、駅に一番近い2フロアの正統派古本屋さん「南陽堂書店」に本を買うためにだけ滑り込む。
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だがあまりにも焦りまくっていたので、入口近くの児童本棚から、集英社「エミールと三人のふたご/ケストナー」「怪盗ルパン/ルブラン」を勢いで掴んで購入。同時に帳場に置かれた「2014年版 さっぽろの古本屋ガイドMaP」を手に入れられたので、ひとまずはうれしやうれしや。本格ツアーは、またいつの日か!
posted by tokusan at 21:17| Comment(4) | TrackBack(0) | 北海道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月12日

11/12東京・若林 十二月文庫無事発見!

池ノ上にあった「十二月文庫」(2009/05/22参照)が移転し、若林で十一月から営業を再開するとの噂あり。しかしいくら調べても、何処に移転し何時から営業再開するのか、まったく情報が浮かび上がらない。かくなる上は、まず旧店舗の様子を見に行ってみようか。もしかしたら、移転先の貼紙なんかがあるかもしれない、と池ノ上。北口の商店街を鍵の手に抜けると、もぬけの殻の元店舗があり、残念ながら手掛かりはナシ。おまけに向かいの「山の手文庫」(2009/05/22参照)までもが、看板を下ろしてしまっており、すこぶる寂しい光景になってしまっている。
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※左が「山の手文庫」、右が「十二月文庫」の旧店舗。

仕方ない、当てはないが、とにかく若林に行ってみるかと、京王線の線路を越えて、住宅街の中を南西目指して歩き続ける。テクテクテクテク一キロ強。『環七通り』に出て南下し、若林の細く弧を描く商店街に、お尻から入り込んで行く。ちょっと歩くとお店や事務所がチラホラ現れ、そこにあっけなく新「十二月文庫」を発見してしまう。
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駅からは、踏切から北に『若林中央商店会』を100mも進めば、左手に現れる。店頭には木板の看板と、100均単行本列と文庫箱、それに20円雑誌箱にレコード箱が広がる。ガラスウィンドウの向こうには、シックでアンティークな雰囲気の店内が、薄暗く待ち構えている。狭い通路で軽工作作業をしていた、ベレー帽の藤子・F・不二雄風オヤジさんが、にこやかに「いらっしゃいませ。ちょっとゴチャゴチャしてますが、奥にも文庫がありますので、遠慮せずに見て行ってください」と言いながら、奥の帳場スペースに収まった。そう広くはなく、棚が入り組む店内である。右のウィンドウ裏は行き止まりの通路で、窓側の低い棚と奥側の高い棚で出来ており、古い岩波文庫・教養系文庫・文学・オカルト・山岳・自然・カルチャー・思想・古い児童文学と絵本・アート・ファッション・窓際ラックディスプレイ文庫・新書・A5版雑誌が集まる。入口左横も本棚で、海外ミステリ&SF文庫とビジュアルムックが並ぶ。レコード棚を挟んで短い背中合わせの棚が一本あり、入口側に写真集、奥側に映画と音楽。入口近くの棚脇には縦長のガラスケースがあり、文学プレミア本がディスプレイ中。帳場を右に見ながら奥の行き止まり通路に到達する。奥壁棚には哲学・海外文学・フランス文学・日本文学がパラフィンに包まれて、整然と収まっている。左奥の壁際にスッと高く細い棚があり、海外文学文庫と日本文学文庫とが純文寄りで並んでいる。棚の流れは華麗で西洋の薫りが色濃く漂う。古めの本が多いのも魅力的。値段はちょい安〜普通。奥の文庫棚下方から、600円と安過ぎる春陽堂文庫「鐵の舌/大下宇陀児」を発見して精算すると、『若林にオープン記念 2割引sale!!』で480円に。どひゃっほう!そして移転開店おめでとうございます!
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2014年11月11日

11/11ランキングと複製原稿用紙

薄暗い曇り空の下、雨仕様の神保町を打ち合わせ前にパトロールする。古本屋をチェックしながら『三省堂書店神保町店』に立ち寄ると、おぉっ!文芸週間ランキングで、「古本屋ツアー・イン・神保町」が今週も四位だ!順位キープだっ!とディスプレイの前でワナワナ震える。『東京堂書店』ではウィンドウの週間ベストセラーでは三位、店内の週間ベスト【総合】では五位であった。ランキング入りは、大変に大変に嬉しいことであるが、願わくば長く神保町で売れる本になって欲しい。そう切に願いながら舞い上がって『すずらん通り』を東進していると、大正九年築のビルディングが厳めしい文房具屋『文房堂』の前に、見慣れぬ立看板がひとつ…新発売『復刻原稿用紙シリーズ第三弾』…げえっ!横溝正史「鬼火」だとっ!?と慌てふためき店内に突入してしまう。気付いたら、B4サイズの復刻原稿用紙を手にして、レジの前に立っていた…別に原稿を書くわけでもないのに…。復刻原稿用紙400字詰めが二十枚綴りで、表紙に「鬼火」直筆原稿の一枚目が写真製版されている。杉本一文の複製原画付き。素晴らしい物を復刻してくれたと思いつつ、パトロールを継続する。雨の日は低調な傾向にあるが、こんな時こそ何か見逃されたモノがあるはずだ!と「アムールショップ」(2011/08/12参照)店頭の新書棚に齧り付いていると、最下段の一番端に春陽堂の日本小説文庫を一冊発見!白井喬二「沈鐘と佳人」だ!ひゃっほう!と店内で百円玉を手渡す。横溝正史と白井喬二を携え、『千代田図書館』で来月12/6のトーク「図書館コンシェルジュと巡る神保町ツアー 2014冬『古本屋ツアー・イン・神保町』編」の打ち合わせをする。こちら残り一名になっているということなので、予約はお早めに!
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夜はこれから西荻窪に向かい、「古ツアフェア@盛林堂再び!」に補充した後、さらに打ち合わせをひとつ。十二月も古本まみれの月にするために様々に巻込み企み中。鬼が出るか蛇が出るか古本が出るか、どうぞご期待ください!
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2014年11月10日

11/10打ち合わせの日々

仕事の打ち合わせを二つ終えてから、さらなる打ち合わせをするために板橋区の住宅街に潜入。およそ九ヶ月ぶりの、古本神・池谷伊佐夫氏の書斎(2014/02/05参照)に招き入れられる。しかし仕事の話はちょっとだけで、あとはひたすら古本棚に三方を囲まれての、ディープな古本四方山話。本棚の裏側に隠された、ポプラ社の旧版少年探偵小説類が、以前より充実しているのに瞠目したりもする。お土産にダブり本で裸本の光文社「少年探偵 怪人二十面相」「少年探偵 サーカスの怪人」共に江戸川乱歩の、カラーコピーカバー付きをいただく。やれ、うれしやうれしや。「怪人二十面相」の『はしがき』冒頭は、何度読んでも肌が泡立ち魂が震える名文だと思う。
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垂涎の少年探偵群!

長居した池谷邸を辞去し、大山の「銀装堂」(2014/07/09参照)に立ち寄る。充実の文庫棚から、春陽文庫「珠はくだけず/川口松太郎」ハヤカワ文庫「最終戦争/今日泊亜蘭」を計1020円で購入。

いつもなら「ぶっくめいと」(2009/08/05参照)に寄るのだが、何だか駅の反対側に出るのが億劫(古本修羅にあるまじき怠惰!でもこんな時もあるのだ)で、そのまま駅から下り電車に乗ってしまう。下赤塚で降りて結構気になる「司書房」(2009/06/07参照)。店内奥の文庫棚前にしゃがみ込み、棚からはみだした本を掘り起こしていると、キレイな春陽堂日本小説文庫「島原美少年録/木村毅」を500円で発見する。ここでは二冊目となる木村毅の日本小説文庫(2013/06/17参照)である。
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本日の収穫!
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2014年11月09日

11/9宮澤賢治に古本魂を焚き付けられ千葉の名店を訪ねる

京成線で千葉県奥地の八千代緑が丘駅。駅前からバスに乗り、巨大パチンコ店と工場と倉庫と畑と農家を車窓に流し、二十分ほどで陸の孤島のような『秀明大学』に到着する。昨日今日と、大学の文化祭に合わせて、新発見のスナップやハガキや古書を集めた『宮沢賢治展』が開かれているのである。勝手の分からぬちょっと小さめなキャンパスをウロウロし、一号館二階の二教室が展示室に充てられているのを、どうにか発見する。文化祭的ノリの装飾が蔓延し、スーツ姿の学生のスタッフっぷりが過剰なのに不安を覚えながら、第一展示室へ。学生による賢治の詩の朗読や、妙なるBGMが大きく流れてしまっている空間に、長いガラスケースが二列置かれている。中を覗き込めば、そこには新発見の賢治のハガキ多種や、自筆の謄写版印刷名刺(岩石や鉱物の分類カードとして使われており、バラバラと床に散らばっていたとのこと…ほ、欲しい!)が、目を射るように輝いていた。くぅぅとケースにへばりつき、その筆蹟を一筆一筆執拗に追尾する。賢治も写り込む学校内の様々なスナップ写真は、ライティングもポージングも完璧で微笑ましい。興奮しながら第二展示室に進むと、こちらも長いガラスケースが二列並んでいるが、壁際の長テーブルには戦中〜昭和三十年代の賢治著作本が多数置かれ、これはすべて手に取れるようになっている。ずいぶんと貴重な本も多いが、太っ腹なことをするなと感心し、ここぞとばかりに気になる本を手にして行く…あぁっ、全部持って帰りたい!そしてガラスケースに恐る恐る近付くと、うわぁ〜、「春と修羅」の極美本が六冊…こ、これはクレイジーな光景だ…その内の一冊は新発見の、ブロンズの粉で背文字を賢治自ら塗り潰したもの!さらに隣には「注文の多い料理店」と、表紙は取れているが賢治署名入りの料理店が!文圃堂の「宮澤賢治全集」も!と、心を賢治の息吹と本の刃で貫かれまくる!くやしいが幸せだっ!さらに反対側に回ると、同時代の詩人たちの本がズラッと飾られており、石川啄木・萩原朔太郎・室生犀星・高村光太郎・草野心平・中原中也…何と恐ろしいことにすべてが署名入りなのであった…なんだ、この大学は。古本大学なのかっ!激しい超高額の古本嵐に翻弄され、己の古本魂が不必要なほど熱く燃え上がってしまう!
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無料のスクールバスで勝田台駅にたどり着き、興奮を持続させながら八千代台の「雄気堂」(2009/05/30参照)へ。うわ、臨時休業なのか、閉まってる。それでもめげずに、続いて京成大久保に向かい、商店街をタッタカ走ってご無沙汰の「キー・ラーゴ」(2009/11/25参照)。
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店頭棚で店内で、やはりここは狂い無しの名店だ!と唸りながら、あかね書房少年文庫「猿飛佐助/古川洋三」(裸本)ちくま文庫「二笑亭綺譚/式場隆三郎・赤瀬川原平・藤森照信」「料理王国/北大路魯山人」講談社文庫「日本探偵作家論/権田萬治」河出文庫「くるみわり人形とねずみの王様/E・T・A・ホフマン」国書刊行会「夢の遠近法 山尾悠子初期作品選」を計1700円で購入。先ほどのガラスケース内に比べるべくもないが、来てよかったと思える収穫がとにかく嬉しい。

さらに津田沼から新京成電鉄に乗って高根公団。狭い階段と線路際を通り、こちらもずいぶんご無沙汰な「鷹山堂」(2009/05/17参照)。
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雨仕様で店外棚が通路に置かれた中に入って、店主・沖田氏に背を向けて絶版漫画&児童文学棚から見始めると、「あれ?」と声が掛かり、見事なまでに正体を見破られる。五年ぶりなのに…おみそれいたしました!それからは棚を見ながら、ひたすら楽しい古本屋話(主に千葉県)に終始。帳場に戻ったところで、貴重な戦前の古本屋資料を多数見せていただき、興奮。ちょっと弟子入りしたくなるほどの、微に入り細に入る全国各地古本屋史データベースっぷりなのである。さらに研究を進められることをお願いしておく。垂水書房「芳兵衛物語/尾崎一雄」を900円で購入して表に出ると、すでに下りてしまっていた夜の帳。小さな踏切の赤色ランプが慌ただしく明滅し、電車が来ることを告げている。おぉ、まるでそれは、京成線の銀河鉄道の夜。
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2014年11月08日

11/8神奈川・妙蓮寺 MAMEBOOKS

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先日の「タナカホンヤ」(2012/05/29参照)で見つけた一枚のシンプルなチラシ…妙蓮寺に古本を売る週末限定のお店があるだと!と色めき立ってから二日目。笹塚での仕事を終え、京王線→東横線と乗り継ぎ、四十五分後には急行の停まらぬ駅に降り立っていた。改札を抜けて、傾斜地に建つ妙蓮寺とは反対の駅前商店街に出る。北にちょっと歩き、写真屋とおでん種屋の間の小道に入ると、西に向かってうねりながら下る、小さな坂道の地元商店街。書店前を過ぎて短い坂を早くも下り切ると、北側にマンション一階を貫通した、小さなアーケーケード商店街が現れる。そこをちょっとワクワクして抜けると、目の前にはシーズンオフの屋外プールが侘し気な『菊名池公園』。公園の周囲を取り巻く弧の道を、西側にトボトボ回り込み、サンクス裏の細道を通り抜ける。そこで南側の坂を見ると、奇妙に高いモルタル三階家の一階に、チラシと同名のお店が建物を支えるようにしてはまり込んでいた。しかし暖かな色味に満ちた店内には、たくさんのお客さんがおり、どう見ても入れる余地がない。何かの会合であろうか?彼らの後ろにチラと見えている本棚を、うらめしく盗み見て、一旦お店から離れることにする。ちょっとブラブラすれば、入れるようになるかもしれない…。散策気分のゆったりとした足取りで、菊名池公園を円く一周する。そうして再びお店の前に立つと、お客さんはいるにはいるがその数が減り、どうにか入店出来そうな気配。善は急げと、妙なドアノブを掴んで押し、ウッディですべてが押し寄せてくるような小空間へ闖入する。左にカウンター席があり、右壁に沿って椅子が置かれている。右壁棚には菓子類が並び、奥に本が上下に二列分並んでいる。そして奥壁の一面がざっくりとした棚になっており、割と多めに並ぶ古本の背が見えている。ホワホワした雰囲気の洒落たカップルがお店を切り盛りしており、カウンターの向こうの青年に「本を見てもいいですか?」と聞くと、フロアの女性と共に「どうぞどうぞ」と柔らかに迎え入れてくれた。奥の棚の前には、生物の毒への慣れと耐性について熱く語り、耳を傾ける人たちが三人ほど。その間に「すいません」と割り込み、本に素早く視線を走らせる。文学多めでなんとなく緩めな縛りの文庫と単行本が右壁奥に。奥壁に自然・ネイチャー・暮らし・写真集・ビジュアルブック・詩集・ことば・宮澤賢治・音楽・児童文学などが並ぶ。文庫は安めだが、単行本はしっかり値。素早く見終わり、素早く一冊抜き取り、コーヒーを入れているカウンターで講談社文芸文庫「詩人のノート/田村隆一」を購入し、ドアをよっこら開けて表に出たその瞬間、店主のひとりである女性が追いかけて来た。そして、実はお店は今週末が最後であることを告げ、一枚の感謝クッキーを手渡される…そうか、たくさんのお客は、みんなお店にお別れに来ていたのか…。しかし母体である移動式古書店スタイルはこれからも続け、またいずれは店舗も、とさらに教えていただく。最後の最後に滑り込めたのは良かったが、お店がなくなるのは悲しいことであり、何か複雑な感慨が湧き上がる。だが、古本を売り続けてくれる限り、また何処かで会うことになりましょう。その時まで、どうかお元気で!
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posted by tokusan at 20:25| Comment(4) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする