2014年12月31日

12/31 2014年の古本納め

午前のうちに、大晦日の社会通念から逸脱するように、青春18きっぷを使って電車移動。もちろん目指すは古本屋さんである。思い返せば今年の古本屋ツーリストとしての活動は、神保町の完全踏破と、ツアー済みのお店を再訪して、その魅力を再発見することにあったような気がする。というわけで一年の締めは、いつも頭の片隅に引っ掛かっている、そう頻繁には行けない遠くのお店を再訪することに。電車を東にガタゴト乗り継ぎ三時間。太平洋に面した千葉・飯倉の「クルクル」(2011/01/10参照)は、いつも何かあるのではないかと思わせてくれる、広く大きなリサイクル店の皮を被った古本屋狼である。だが、今日は年が押し迫った大晦日である。お店は開いてないかもしれない。いや、それでもいいのだ。多分今日は、お店が健在かどうか確認するだけでも、それだけで満足出来るだろう。そんな風に殊勝な心がけで坂を上ってお店の前…案の定閉まっていた。いや、いいんだ。ゆっくり休んで、よい夢を見て下さい。来年の営業は一月三日からと、人気のない暗い店内を閉め切るガラス扉に、そう書かれていた。

駅に戻り、総武本線→東金線→外房線と南に移動。夕暮れ迫る茂原駅で下車して「ブックセンターあずま 茂原店」(2010/03/21参照)に古本を求める。ここなら大晦日でも開いているだろうと確信しての訪問である。ものの見事に営業しており、これで今年の古本納めが出来るぞと、ホッとしてお店の中へ。巨大旧型暖房の強風をもろに浴びて肌を乾燥させながら、浴びるように古本を真剣に眺め探し続ける。むぅ、相変わらず安いな。たちまちドサドサと両腕の間に本が積み上がり、五本の長い通路を一時間強かけてうろつき、結局十冊をレジに持ち込む。教養文庫「紙上殺人現場/大井廣介」(1960年代の推理探偵小説の辛口評論。存在をまったく知らなかったが、読み始めるとこれが面白い!今は消え去り、古本だけが高値になっている作家がドシドシ登場し、興奮!)角川文庫「荒野からの銃火 大藪春彦マインド」講談社ノベルス「津和野からの殺人者/中町信」カッパノベルス「過去からの狙撃者/鷲尾三郎」北栄社「モダンホラーとUSA」鶴書房「女ひとり/ミヤコ蝶々」山王書房「恐竜の世界/小原秀雄」小学館入門百科シリーズ「科学マジック入門」岩波書店「東京物語考/古井由吉」筑摩書房「昭和前期の青春/山田風太郎」を計1450円で購入する。ここのお兄ちゃんは、値を確認しながら所々値引きしてくれるのがいつも嬉しい。ありがとうございます!
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楽しく古本が買えたなと思いつつ、俺はいつまでこんなことを続けるのかとも思いつつ、家から遠く離れた馴染みの無い街の寂しい高架下で、古本を抱えて2014年が暮れて行く。
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2014年12月29日

12/29新潟・新津 英進堂ふるほん座

…ひとつ下の記事より続く…

西口を出ると、ロータリーの向こうには、低層の静かな住宅街が、大きく広がっている。冷たい空気を吸い込みながら、駅前通りを西に300mほど。信号で南に折れて、小さな完全に護岸された川沿いに歩いて行くと、500mほどで『山谷交差点』。ガスタンクや工場を見ながらさらに道なりに進むと、巨大過ぎる『秋葉区役所』が現れる。その先の、車が次々と吸い込まれ吐き出される、二つの郊外型ショッピングタウンに挟まれた通りを西に入り、次の信号で再び南へ。やがて右手に現れた『タウン403』の一角に、巨大な箱型の『本の店 英進堂』が建っていた。流れ込む車と共に敷地内に入ると、奥には「ブックオフ」もある、こちらもショッピングタウン。お店の正面に回り込むと、大きなガラス窓に取扱品目やメッセージが大きく書かれているのだが、『絵本』『鉄道』など共に、同列で大きく『高野文子』とあるのに度肝を抜かれる。
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そうか、ここは彼女の出身地なのか。いや、それにしてもスゲェ!クレージーだ!思わずワハハと笑ってしまう。そして入口空間に進むと、中古レコード群と共に、100均の漫画雑誌箱が置かれている。新刊書店なのにアナーキーだな。恐ろしくだだっ広い店内を見回し、新刊の海に潜む古本の影を探す。するとレジの左横に『古書あります』の看板が掲げられた200均文庫巨大ラックがあり、さらに横にはラノベやコミックのセットも置かれている。文庫は旅や遠藤周作・小沢昭一・井上靖・吉行淳之介などが目立っている…まさかこれだけなのか?取りあえず一冊掴んで店内をさらに徘徊する。すると左奥の壁際に中古レコード島があるので、その辺りが怪しいと睨み、最奥の通路へ近付く。奥にたどりついて通路を覗き込むと、レジ側の本棚一島と、さらに隣りの端っこの一本が古本で埋め尽くされていた。
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これは壮観ではないか!多少興奮しながら本を手にして行くと、棚を造っているのは大形の「ブックス・バザール」(2013/04/21参照)であることが判明する。道理で妙に古い本が多いわけだ。そして期待出来るぞ!講談社文芸文庫・岩波文庫・絶版文庫・田中小実昌・日本文学・映画・美術・歴史・思想などが、意味ありげに煽るように並んで行く。少しずつ本を確保して行くが、通路を挟んだ日本近代文学・純文学・文芸評論・近代思想・海外近代文学・探偵小説の茶色い古書棚にたどり着き、あたふたしてしまう。どれも背文字が読み難いので、丁寧に引き出し一冊残らず確認して行く。値段はしっかりめだが、相場より安いものや、隙も大いに見られるので、見ていてワクワクと楽しい。レジ横の文庫一冊と合わせ、ここでは安値の三冊を選んでレジにて精算。集英社文庫「孤高の棋士/岡本嗣郎」文化出版局「また一日/田中小実昌」光風社「下町立志伝/竹森一男」、そして本日一番嬉しかったのは春陽堂「山手暮色/里見ク」(函ナシ、裏の見返し切れ)は小村雪岱装釘本で800円!
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小鳥と朝顔に彩られた表紙布!見返しの紙の色ではなく白い紙に塗られた赤色の鮮やかさ!扉絵の震えるような瀟酒さ!そして見返しには下北沢「白樺書院」(2008/06/01参照)の古い古書店シール!新潟に苦労してたどり着いた果てに、我が手に小鳥のような雪岱本が飛び込んで来るとは!あのまま帰らなくて本当に良かった。しかし浮かれている場合ではないのだ。表ではすでに夜がグングン迫って来ている。これから心は急いていても、電車はゆっくりガタゴト、山を越えて帰らなければ…。
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12/29長岡後に新潟で大敗

午前六時前に家を出て、今日は青春18きっぷで初乗りの区間に怖々向かう。色々乗り継ぎ、午前九時半の水上駅は、もう先に進むことが不安で一杯の、上越線未知の領域なのである。線路の先には高い絶壁しか見えず、車内は意外にも混み合っており、車内検札で18きっぷを出す鉄道ファンが多いのに目を丸くする。辺りはすでに雪景色で、つららも下がる峻険な山肌の底を、列車が走り抜けて行く。小さな集落をつなぐように、“積もる”というより“乗っている”という感じの重そうな雪の中を、力強く疾走する。やがて山間を抜けて平野部に脱出すると、積雪は次第に薄く斑になり、濡れた灰色の街が剥き出しになって行く。水上から三時間弱で長岡駅着。次の電車まで五十分の空白があるので、街に飛び出し古本屋さんに向かってみる。小雨の中を早足で移動し、今にも開きそうだが店内は暗いままの「雑本堂古書店」(2012/05/11参照)に肩を落とす。続いてタッタカ踏切際まで移動し、「有楽堂」(2010/10/29参照)。
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石油ファンヒーターの暖かさが身にしみる、小さな店内を時間に追われながら探索。文藝春秋「草のつるぎ/野呂邦暢」報知新聞社「颯爽/樹下太郎」博文館講談雑誌新年號附録「戀と劔・讀切傑作小説集」(恋模様と剣劇が絡み合うお話集かと思ったら、チャンバラ小説と現代恋愛小説が交互に登場する変な本)を計800円で購入し、余裕を持って駅に戻る。さらに上越線で残り一時間強を走破して、怒濤の八時間をかけて新潟駅にたどり着いた。スゴいぞ!普通列車ばかりでも、日本海側に出られるんだ!と妙に浮かれて、ちょっと強くなった雨の中を歩き出す。しかし歩き詰めて探し当てた、素晴らしいロケーションのお店は、何と『12月〜1月』は通常の定休日に月曜日がプラスされてしまっていた…ギャーッ!要再訪&調査!結局濡れ鼠になって、這々の体で駅まで戻り、駅前の「古本小屋」(2013/11/23参照)が消滅していることも知り、打ちひしがれて駅頭に立ち尽くす。『もう、このまま帰ってしまおうか。一応古本も買ってることだし』…そんな弱い自分が頭をもたげてくるのだが、せっかく八時間もかけて来たのだから、やはりお店はどうにかしてツアーして行きたい…とここで、夏葉社「本屋図鑑」に載っていた、古本も売っている新刊書店があったことを思い出す。よし、時間はかなりギリギリいっぱいだが、チャレンジする価値はあるぞ。そう決心して、上越線上りに、ドキドキしながら飛び乗った。
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2014年12月28日

12/28板橋の異変を目の当たりにし「有尾人」を。

昨晩はわめぞの忘年会に呼んでいただき、主に塩山芳明氏とガハガハ話していたのだが、そんな喧噪の会場内で雅な古本修羅から、囁くようなタレコミを受け取る。「板橋の木本書店、なくなっちゃいましたよ…」。それは聞き捨てならぬと、本日板橋駅ホーム北端から東口に出ると、ロータリーには多数の提灯が円形に飾られ、すっかり新年を迎える準備が完了している。まずは通りを南に下って、久しぶりの「ブックス橘屋」(2010/10/21参照)へ。むっ?…様子が明らかにおかしいぞ?まるで自転車置場ではないか。本来なら、店頭には数本の100均棚が広がっているはずなのだが、何と今はたくさんの中古自転車が置かれ販売されているのだ。
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どうやら何かあって、自転車の修理と販売も始めたらしい。これは大岡山の「ふるほん現代屋」(2013/09/24参照)とまったく同じ轍である。中に進めば、入口両脇に100均の単行本棚と文庫棚が置かれ、左端通路奥の帳場横が自転車修理作業場にあてられている。世間は常にダイナミックに動いているのだ!とお店に教えられ、ちくま文庫 怪奇探偵小説名作選8「日影丈吉集 かむなぎうた」を780円で購入する。そのまま通りを北上し、踏切近くにあるはずの「木本書店」(2009/06/15参照)前。建物はそのままだが、木切れが壁一面を覆った、肉居酒屋に成り果てていた…おぉ、古い古本屋が、ひとつ消えてしまった。このお店で覚えていることは、演劇関係が充実していたのと、「ローリングサンダー航海日誌」といがらしみきお「ネ暗トピア」を買ったことか…。そんな感慨にふけりながら、通りを東に進んで「坂本書店」(2012/10/26参照)が営業してるのを、遠目に確認する。対策もあるし入っても良いのだが、万が一怒られたりしたら、非常に悲しい年の瀬を過ごすことになってしまう…今日はやめておこう。すっかり日和った心持ちで『きつね塚通り』を北に進む。そしてたどり着いたのは、こちらはしっかり現存している「木本書店」(2010/05/10参照)。この寒いのに、ドアを開け放し、暖房なども一切点けずに営業中。裏側から入り、久しぶりの店内をジグザグに見て行く。目を引いたのは第二通路の棚の上部にあった茶色い探偵小説数冊。気になって引き出してみると、そのうちの一冊のいかがわしい表紙絵に魅入られてしまう…か、買わなければ。日本正學館「探検小説 有尾人/小栗虫太郎」を3240円で魔に魅入られたまま購入。
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その後は「板橋書店」(2009/07/18参照)にも足を延ばすが、残念ながら日曜定休であった。

今も、この日本の何処かで、古本地図がジワジワと、書き換わっているのだろう。ウカウカしていると、それに気付かずに過ごしてしまうことを恐れ、薄い仙花紙本を大事に抱えて一旦家へと帰る。夜には「古ツアフェア@盛林堂」に献呈署名捺印本&古本を補充した後、来年の行く末を占うような、勝負の打ち合わせ飲みが待っているのだ!
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2014年12月27日

12/27さらば、中神書林!

サンドイッチでお腹を満たしてから、歩いて高円寺へ向かう。ガード下の「都丸書店」(2010/09/21参照)外棚で、先日から気になってしょうがない昭和初期の史蹟天然記念物の資料本を物色…よし、今日は岩手縣「昭和四年 史蹟名勝天然紀念物」を買って行こう。そしてついでに隣にあった、朝倉書店「小鳥/岡田利兵衛・鷹司信輔・高野鷹藏」も手にする。小鳥好きのおっさん三人組が、戦時中に抑圧されたその心(戦争中には小鳥の研究なんて出来なかったのだ!)を迸らせるように『洋鳥の飼い方』『インコ』『ローラーカナリヤ』について書いた昭和二十七年の本である。序文にある『鳥好きが鳥好きに送る心の叫びでもある』の一文が大いに泣かせてくれる。合計600円で購入。そして青梅線直通に乗って東中神へ向かう。

ホームから数段のステップを降りて改札を抜けると、古く高い集合住宅に囲まれたロータリー。目の前の周辺案内板地図に近付くと、これから向かう『くじらロード』も詳細に書かれており、そこには今日でお店を畳んでしまう「中神書林」(2009/02/27参照)の名もしっかりと刻まれている。
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東中神…この不思議な名の土地にも、古本屋さんが無くなったら、もう来ることもないのかもしれない…。まるで古本屋と共に、東中神にもお別れするように、西に歩いて行く。商店街の始まりにある、商店街の案内地図にも目を凝らすと、そこにも「中神書林」の名を発見する。
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これももうすぐ『古本屋遺跡』になってしまうのかと、次第に大きくなる寂しさを抱えてお店の前。店頭棚には、何だか映画の本が多く出されている。寂しさは抱えつつも、古本は鷲掴みにして、棚の奥までしっかりとチェックして行く。そして裸電球が規則正しく垂れ下がる店内は、妙にスッキリしてしまっている。すでに閉店に向かって着々と片付けが進行しており、在庫がスリム化され、非常に端正で整理され切った状態なっているのだ。店主はシャッシャカシャッシャカ箒掛けをしている。床を見ると、チリはほとんど落ちていない。そこに飛び込んで来た郵便屋さんが「何だかキレイになりましたね。スゴいじゃないですか」「今日で店を閉めるんでね」「あっ、そうなんですか。来年もまたよろしくお願いします」「いや、今日で店は終りなんですよ。閉めちゃうんですよ」「…えっ!」。最初は大掃除でもして、今日で今年の営業を終えると勘違いした郵便屋さんが、絶句。しかしその驚きとは裏腹に、店主はとてもサバサバしており、何か吹っ切れたような明るい表情を見せている。そんなことが起こったりする店内を、ゆっくりジリジリ移動して、いつものように、いつものコースで各棚をチェックして行く。本が少なくなったので、普段はあまり見られなかった、二重収納の奥が見られるようになっている。奥のエロ&アダルトコーナーにも足を踏み入れ、朝日新聞社「対談・写真この五十年/木村伊兵衛」光文社「湯島詣/泉鏡花」同興社「随徳寺縁起/沙羅双樹」(状態悪)を計400円で購入する。「ありがとうございます」と最後に店主と笑顔を交わし、いつものようにお店を出る。さらば、中神書林。今までやり場のない古本心を支えてくれてありがとう。ここは、本当に良いお店だったと、自信を持って確信しながら『くじらロード』をトボトボ歩く。
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2014年12月26日

12/26愛知・神宮前 名文堂

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濃尾平野上空に群浮する雲が、地上に昏い影を斑に落としている。青春18きっぷを使い七時間かけてやって来た、およそ一年ぶりの熱田である。人影の少ない駅から離れるようにして西口を出ると、すぐに熱田神宮の東側に沿う『大津通』に出る。もはや北側に見えている「伏見屋書店」(2014/01/03参照)は後で絶対に寄ることにして、南に昭和の澱を溜め込むようにして煤けた、小商店がゴチャリと連続する『神宮前商店街』のアーケードを駆け抜ける。300mほどで、大きな名鉄『神宮前駅』のロータリーにたどり着く。その前をさらに南に進むと、『神宮東門バス停』前にある小さな古本屋さんが視界に入った。店頭には二十ほどのダンボール箱が流れ出している。そしてその間に、キャップを冠ったジャンパー姿のオヤジさんが、ポケットに両手を突っ込み、身を傲然と反り返し、鼻歌を歌いながら、寒さに抗うようにして立ち尽くしている。立ち居振る舞いは高倉健そのものだが、ルックスは平沢勝栄風である。店頭に近付くと「古本です。見て行って下さい」とボソリ。会釈して居並ぶ箱に視線を落とす。そこに詰まっているのは、99円の雑誌・コミック・廉価コミック・単行本・ビジュアルムック・大判本などで、入口横には三冊100円の文庫台もある。小さいがわりと天井の高い店内に進むと、左奥に帳場があり、三方の壁は造り付けの頑丈な木棚で覆われた、昔ながらの小書店スタイル。中央には平台付きの木製棚が据えられ、両脇にも本棚が置かれている。店頭に店主と顔見知りのご婦人が現れると「バスまだ来ないから中に入ってな」と言い、一緒に中に入って来た。左側は入口横から、鬼平&ゴルゴ廉価コミック・100均日本純文学文庫・雑学系文庫、そして壁際のコミック・自然・絶版漫画と流れる。棚下には児童絵本&文学・絵本が積み重なる。向かいにはコミックと児童文学。入口正面の棚脇には、100均300均500均の単行本が収まっている。右側には壁際に実用(ペット・美術・健康・生活・スポーツ・料理など)・エロス・アダルト・官能小説が並び、向かいに定価半額の文庫が揃っている。奥壁棚には仏教・詩歌句・日本文学・日本史・時代小説がそれなりに揃っている。値段は安く、果てしなく雑本的で、何だか好感の持てるひたすらに街の人のための古本屋さんである。ゴチャゴチャした店内に潜り込む楽しみあり。本は大体70〜80年代以降が中心。春陽文庫「麗しきオールド・ミス/源氏鶏太」を買い、味覚糖・純露のハチミツ味をひとついただく。

気持ち良くお店を離れるが、気が急いて駆け足になり、ずーっと来たかった「伏見屋書店」前。
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外棚で50円文庫と100円本の成果を上げてから、店内の長い古本通路に分け入って行く…。あまり時間はかけられないので、二十分ほどですべての棚に目を通したつもりで、東方社「青い火花/黒岩重吾」(真鍋博の装幀が青く美しい一冊。帰りの電車で読み切ったのだが、所収の『病葉の踊り』は傑作ではないだろうか。富ノ澤麟太郎や萩原朔太郎、乱歩の『踊る一寸法師』、初期谷崎潤一郎に始まり、京極夏彦・京極堂シリーズの関口君や、津原泰水・幽明志怪シリーズの猿渡君へと続く、病的文学&病的キャラへの進化系統中間にピタリと当てはまる気が…)ポプラ社「銀蛇の窟(海の巻)/高垣眸」集英社文庫「洲崎パラダイス/芝木好子」学研1971年「5年の学習・科学読み物特集号」(須知徳平のユーモア冒険小説、福島正美のSF、大石真の座談会、F・ディクソンのジュニアミステリあり)を計2150円で購入する。よっしゃ!帰ろう。
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2014年12月25日

12/25東京・神保町 ブックカフェ『二十世紀』年末古書蔵出しフェア

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御茶ノ水駅から寒風を切り裂き颯爽と『明大通り』を下り、『靖国通り』北側歩道を西に突き進む。ほどなくして「BOOK CAFE 二十世紀」(2014/06/18参照)の前…あれ?本日午前十一時から蔵出しのブックフェアがあるのだが、行列が出来ていると思いきや、普通に営業している状態である。違っているのは店頭右側に二台の銀フレーム棚が出ていること。早速そこに取り憑きながら『もう古本修羅たちは店内に突入してしまったのだな』と考える。棚には、裸本の探偵小説・少年探偵小説、それに翻訳本・人文・美術などが古書を中心に並んでいる。値段は安い。読みたい二冊を掴み取って店内に進むと、そこもいつもの景色が展開している。どうやら棚に静かにお蔵出しの本が、所々挿さっている状態らしい。それにしても、いつの間にか入口側右壁とカウンターの上に本棚が出現しており、古本屋度がアップしている。窓際にはプレミア本を収めたショウケースの姿も。フムフムフムと奥に進み、二階への階段をぐるりと上がると、そこもまったく静かなもので、中にいたのは長身を折り曲げて棚の下段をチェックしている古本神・森英俊氏のみであった。一通り見終わり、下のカウンターで精算すると、マスター的男性に「おっ!これはいいところを。いや、さすがです」と何故か褒めちぎられる。なので大いに照れながら精算。偕成社「カナリヤ娘/鹿島孝二」同光社「幽霊沼の黄金/三上於菟吉」(共に裸本)を計1728円で購入する。そしてやはりたくさん古本を買った森氏の、サービスコーヒーの御相伴に預かり、二階で様々に情報交換。大阪遠征の成果や、羨まし過ぎる最近の大当たり本を見せてもらったり、次回の事務所店ツアーの話などをボソリボソリ。その後は氏と別れ、神保町をパトロール…のはずが、通りで何度も森氏と再会する羽目に陥る。これはまるで『銀ブラ』(その昔、銀座の通りは社交場の役割も果たしており、グルグルと歩道を行ったり来たりしながら、様々な人と会い挨拶&交流をして楽しんでいた)ならぬ『神ブラ』ではないか!おぉ、この街ではいにしえの風習が未だに成立するのか!そんな風に考えながら色々買い込み、最後は水道橋から街を離脱する。

帰りにふと高円寺で途中下車。「都丸書店」のガード下安売り壁棚を覗き込むと、下段の資料的古書の固まる一角が妙に引っ掛かる。一冊一冊取り出してみると、昭和初期の県ごとの史蹟調査報告書である。そのうちの一冊、山梨縣「史蹟天然記念物調査報告 第四編 天然記念物之部」がスゴかった。全ページ風穴や氷穴や洞穴や溶岩樹型の調査報告で、洞窟内の見取り図や写真も豊富で、洞窟好きにはたまらない作りとなっている。これが300円!喜び勇んで購入する。…と書いて本を眺めているうちに、買わなかった他の本が段々と気になって来てしまう…今からもう一度高円寺に行き、ドバッと買ってしまおうか…どうしようか…う〜む、う〜む…。
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2014年12月24日

12/24冬の青春18きっぷ始動!

青春18きっぷを握り締めて旅立ったのに、早々に新宿で途中下車し、今年限りで閉館してしまう『新宿ミラノ座』に「男たちの挽歌」をまずは観に行く。長年お世話になった映画館ではあるが(特に地下の方)、閉館云々より、この映画を再び大スクリーンで観ることが(しかも500円!)重要だったのである。しかし映画上映直前、巨大緞帳の下がったスクリーン脇に支配人が登場し、挨拶と映画についての説明を始めた瞬間、映画を映画館の暗闇に観に行くという行為が、かつては強く感じていたハレの日の特別なイベントとして、心の中にスックと立ち上がってしまった。支配人の言葉と映画に降り注ぐ万雷の拍手に、柄にもなく感動してしまう。
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写真はミラノ座の巨大緞帳である。

一時間半を映画鑑賞に酔い痴れ、再び18きっぷで新宿駅構内に入り込み、湘南新宿ラインで高崎駅。午後三時の高崎は冷たい気温で、すでに陽がだいぶ傾いてしまっている。西口で無料のレンタサイクルを借り、日没までには駅に戻って来たいと切望し、ペダルを力強く踏み締め『渋川街道』を北上して行く。そうして三十分ほど走り詰めてたどりついた「煥乎堂 群馬町店」は、本店同様に(2011/10/08参照)古本を取り扱っているとの情報を得ていたのだが、だだっ広い店内をウロウロしても、何処にも古本の影は認められない。泣きそうになりながら目を凝らしても、並んでいるのは新刊ばかりであった。青春18きっぷ一回目にして、華麗なる空振り!くそぅ、くそぅ!と高崎市街に取って返し、「男たちの挽歌」でチョウ・ユンファ演じるマークのように、どん底から巻き返すことを固く二回目の18きっぷに誓うのであった。

それでも古本は買いたしと、まずはお馴染みの「文京堂」(2014/05/25参照)に突入し、暖房の効き過ぎた店内で動かぬ老店主に挨拶し、波書房「北方領土開拓史/推理史話会」双葉文庫「われ巷にて殺されん/紀田順一郎」を計400円で購入する。
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さらにもはやだいぶ暗くなって来た街を魔の如く疾走し、五年十ヶ月ぶりの「みやま書店」(2009/02/08参照)と再会する。お店の様子はおよそすべてが変わっておらず、硬派寄りな品揃えは北関東西部の文化教養をしっかりと支えている模様。ハヤカワ文庫「夢の棲む街/山尾悠子」偕成社世界のこどもノンフィクション6「ぼくらがまもった金塊/マクスィーガン」(ノンフィクションとある通り実話を元にした本なのだが、ナチの目を欺いてノルウェーの少年たちが活躍し、金塊を橇で運ぶ話という時点でサスペンスジュブナイル度が高く、依光隆の表紙絵と梶鮎太の挿絵がそんな印象をより強くすしている。早く読んでみよう)を計1100円で購入する。
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古本を買って気を落ち着けて阿佐ヶ谷に帰り着き、道すがらの「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄る。先日の「2人古本市」のポスター掲出のお礼を言いがてら、講談社大衆文学館「明智小五郎全集/江戸川乱歩」国書刊行会「日東の冒険王/南洋一郎」を360円で購入する。…今日もまた古本を買う日々…。
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2014年12月23日

12/23立つ鳥跡を濁さずしてとにかく行きたい古本屋さんに行ってみる

お昼過ぎに西荻窪に行き、楽しかった「2人古本市」の最終的な片付けをする。会場だった『銀盛会館』と「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の間を、台車をガラゴロ転がし行き来する。台車の振動で、縛っていない本の山が何度も崩れてしまうので、小さな苦労をしながらの古本移動。残った本のほとんどは盛林堂さんに買取してもらうのだが、一部の良い本たちはそのまま「古ツアフェア」の棚に移動させる。というわけで補充入替を行いましたので、市に来られなかった方は、ぜひとも店内のフェア棚を覗きに来て下さい!

すべてを終えてお店を出て、駅前で立食い蕎麦をすすり込みながら考える。さて、これからどうしようか?遠くに行くには、もうちょっと遅い時間だ。…そうだな。こういう時はシンプルに、今年のうちに見ておきたい気になっているお店を、純粋に訪ねることにしよう。そう決めて、頭の中で古本屋データのスロットドラムをグルグルと回す。出て来た答えは、蕨の「古書なごみ堂」(2010/02/12参照)。恐らく一年半ぶりの訪問になろうかと移動を開始し、京浜東北線で車窓から営業中なのを確認して、西日の当たる静かな店内に突入する。
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そして執拗に、いつも以上に様々な部分をドキドキしながら眺めて行く。棚の隙間にギッチリ詰められた、横積みの本もしっかり確認して行く。やはりここの棚造りと品揃えは強力だと感じ、欲しい本はたくさん見つかり興奮するが、いまいち懐具合と折り合いがつかず、なかなか手が出ない状況に陥る。結局満州関連棚にあった桃源社「大陸秘境横断/島田一男」を一割引の720円で購入するに留まる。

そしてポカンと空の広い極寒の線路際で考える。楽しかったが、古本購買意欲が不完全燃焼気味なので、さらなるお店を目指すことにしよう。再び頭の中でドラムを回すと、答えはすぐに出た。蒲生の「プラハ書房」(2014/08/05参照)へ向かえと!即座に南浦和から武蔵野線と東武スカイツリーラインと乗り継ぎ、自動車教習所前のもはや陽の落ちかけた、四ヶ月ぶりのお店の前。
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店内に入り込むと、何だか以前より本が増えた印象を覚える。そしていつ来てもほぼひとりきりの店内なのに、今日は奥の通路に誰か人がいる!くぅ、色々買われてしまう!と、まだ見ぬライバルの存在を勝手に気にしながら、文庫棚とノベルス棚を眺め、素敵な一冊を手にしたところで奥の通路に到達。そこで仮想ライバルと偶然顔を合わせると、お互いに『おっ!』と声を上げてしまう。それは中央線沿線古本屋さんで良く出会う、古本サンタのようなI氏であった。蒲生で、プラハでまさか出会ってしまうとは。そんな風に驚き照れながら挨拶し、後はお互い自由行動の古本修羅不文律を、暗黙のうちに堅持。先に会計を済ませてお店を後にするI氏と再び挨拶を交わしながら(何を買ったのか非常に気になる…)、棚にズブズブと入り込んで行く。新潮社 日の出昭和八年九月號附録「空襲下の日本」(160ページの小冊子だが海野十三の防空小説「空ゆかば」西條八十の詩「空を護れ」がっ!)中央公論社「悪魔のいる天国/星新一」(真鍋博装幀挿画の完璧なる一冊!)光文社「風の又三郎/宮沢賢治」(脇田和の装幀挿絵がキュートな昭和三十年刊の三刷)音楽之友社「シンセサイザーここがポイント/古山俊一」(1982年、市民権を得たシンセサイザーを楽しむための本)講談社「ショートショートの広場'85/星新一編」を計2000円で購入。最初の四冊で合わせ技どひゃっほう!である。プラハ書房、やはりやってくれたか!そう大いに感銘を受けながら、すっかり暗くなった街を、早足でスタスタ歩いて行く。
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※お知らせ
1. そろそろ発売のトマソン社『BOOK5 vol.15』連載の「古本屋ツアー・イン・ドリーム」。今回訪ねる古本屋さんは、紀田順一郎の古本屋探偵が経営する神保町の「書肆・蔵書一代」です。何を書いているのかもはや伝わらない恐れがありますが、どうかページを紐解きご覧いただければ嬉しいです!
2. 老舗のリトルプレス(?)『かんだ 冬217号』に『日曜日の神田裏通りを歩く』というエッセイルポを寄稿しています。かんだ会加盟店などで入手出来ると思いますので、こちらもどうかページを紐解き、ひとときの不思議な裏通り探検をお楽しみ下さい!
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2014年12月22日

12/22長野・信州中野 ブックス柳沢

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午前中に『みどりの窓口』で青春18きっぷを購うが、今日は使用せずに大宮から贅沢に新幹線に乗る。わたくしは、皆様が古本を買ってくれたので、遠くまで行けるわけなのである。長野駅から西口地下のローカル線・長野電鉄に乗り込む。三両編成の銀色の電車は、数日前の雪を冠った白い街を走り、山の方へとシュンシュンバタバタと接近して行き、やがて複雑な形の山裾に沿うように走ることとなる。乗車時間四十七分で降り立った駅は、駅前ロータリーもまだ雪に包まれている。除雪はしてあるが、踏み固まり板のようになった雪をさらに踏み締め、南東に歩き始める。『中野駅東交差点』を過ぎ、なだらかな坂を下って行くと、左手に市役所が現れ、周囲の側溝にドウドウと雪解け水を流している。駅から400mほどの『市役所南交差点』で、北へ鋭角に折れ曲がると、高校グラウンドの向かいの小さなビル一階に、小さな古本屋が息づいていた。ここは以前にも訪れたことがあり(2013/06/05参照)その時は閉まっていたのだが、その現役感と営業感の低さに、もはや営業はしていないのだろうとほぼ決め込んでいたら、ある日『営業してましたよ』のコメントタレコミが舞い込み、ならば是が非でも再チャレンジしなければと誓ったお店なのである。恐る恐る停まった車の裏に回り込み、店内の様子をうかがう。本当だ!電気が点いている!本当だ!人が中にいる!と、雑な店名と『古本』の文字が残る戸をスライドさせて、荒んだ店内に入り込む。すると奥の帳場に座る花沢徳衛風店主と、その前に座ったお客さんが視線をこちらに投げ掛ける。ペコッと頭を下げると、「いらっしゃい」と相好を崩してくれた。二人は何事もなかったかのように話に戻り、次々と店を畳んでしまう行きつけの飲み屋について盛り上がっている。壁際にはスチール棚が張り付き、真ん中に背中合わせのスチール棚とシンプルな店内であるが、棚前や窓際には膝上〜腰高まで乱雑に本が積み上がり、これが荒みを生み出す一因となっている。その上には帆船模型や額絵なども放置中。棚脇の蒼ざめた長野信州信濃棚に目を通してから、まずは右側通路に進むと、通れるようになってはいるが、かなりの間放置されている印象。右側には70〜90年代の色褪せた埃まみれのコミックが並び、マイナーな絶版物が多く目につく。左側も乱雑で、実用・コミック・小説・文庫・学術・児童文学などがカオスに80年代で時を停め、二重置きの部分もあったりするので、ある意味古本修羅にとっては掘り出し甲斐のある状況と化している。本の状態は良くないものが多く、値段も付いていたりいなかったりする。左側通路には、入口左横に古雑誌や紙物や和本が無造作に置かれたガラスケースがあり、辞書・田村泰次郎・句集・郷土史函入と続いて行く。向かいには文庫とノベルスが収まり、上には大判本がドカドカ置かれていたり、掛軸が山を成していたりする。こちらの本の状態は、わりと良好である。長野郷土本が充実しているが、タイムカプセル状態の雑本とコミックも充実してしまったお店である。果たして値段はどのくらいなのだろうか?右側通路で発掘した五冊を、失礼してお客さん越しに店主に手渡す。すると本をパンパンパンパンと見て「500円」。安い!と即座に支払うと、「ハイ」と本を剥き出しのまま返してくれた。報知新聞社「さよならギッチョ やったるで!20年/金田正一」講談社「灯らない窓/仁木悦子」日本文芸社カラー版・ルパン全集「八点鐘/モーリス・ルブラン」ポプラ社文庫「赤い館殺人事件/A・A・ミルン」ソノラマ文庫「邪神惑星一九九七年/風見潤」を購入する。
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12/21 2人古本市開催!

午前九時半に、補充分の本を満載したカートをゴロゴロ引き摺り、さらに背中のリュックにも古本を詰めて、息も絶え絶えに西荻窪『銀盛会館』に到着すると、午前五時に目覚めてしまったという岡崎武志氏と、会場の準備に慌ただしく飛び回る盛林堂若夫婦の姿があった。「おはようございます!」と馬鹿に元気よく挨拶してスイッチを入れ、こちらも荷物を紐解き光速で棚の準備をする。結局、長テーブル二本の上にビニール紐で結束連結された木箱十九のうちの、十六を埋めるに留まったが、やはり己の集めた本が売り物としてこれだけ並ぶのを見るのは初めてのことなので、無闇にテンションが上がって来る。
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真ん中には先日はなかった長テーブルの島が出現しており、ここは「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の領域。本の数は我々より少ないが、探偵小説・貸本小説・ジュニアミステリを多く並べ、一部の古本修羅を狙い撃ちにする考えがジュワジュワとにじんでいる(開店と同時にその思惑は的中する…)。対面の「岡崎武志堂」は上部においでおいでをする岡崎氏直筆のイラスト看板を掲げ、長テーブル二本の上に三×六の結束連結された木箱棚。
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テーブル上には洋書絵本・絵本・ビジュアルブック・古雑誌を並べ、奥に文庫をドスドスと詰めている。上部は面陳ありの単行本類が並んで行き、棚造りは上質なのだが、その並びは無秩序で、背後の人の趣味や嗜好を感じさせない、無闇に広く深い不思議な棚となっている。様々な氷山の一角がピョコピョコと棚面に顔を出している状態なのである…この棚を見ただけで想像出来ることは『本好き』という一点だけではないだろうか…。値段は500円以下が多く、安めな傾向である。ちょっとフライングして、探していた角川文庫「蟲のいろいろ/尾崎一雄」を300円で購入。

やがて待望の午前十一時を迎え、ウィ〜ンとシャッターを巻き上げて市がスタートする。と同時に会場に雪崩れ込む、見慣れた愛すべき古本修羅たちの姿…おぉ!古本神の神々しい姿も紛れ込んでいるではないか!と、その眩しさに目を細めながら、後はひたすら岡崎氏と共に会計と袋詰めと『特製古本おみくじ』を勧めるマシーンとなる。会場に人が途絶えることはなく、この商店街の奥の方まで足を運んでくれることを純粋に喜ぶ。そして、心強い顔見知りの方、去年のヨコハマ古本屋ツアーに参加してくれた方、話題沸騰の古本小学生(手書きのクリスマスカードまでいただく)、わざわざ新刊を買って下さる方、「コボちゃん」を100均で見付け大喜びの仙人的おじいさん、プードル犬を抱えた本の雑誌編集長、畏れ多過ぎる新たなる未知の古本神、私の古本足長おじさんらと共に、大量に古本を買ってくれる人々と次々邂逅していると、時間は矢のように過ぎ去って行った。それにしても皆が皆、焦って古本を買わずに、ガレージ内を何周もして古本を吟味選択して行く姿が、とても印象的であった。その姿と真剣な横顔は、明るい道路をバックにしてシルエット気味となり、老若男女誰も彼もが、格好良く浅ましく美しかったのである。一箱古本市出店とはまた違う、大きな箱を借りての模擬古本屋さんは、そんな風にして午後五時までをどうにか走り切った。これを毎日続ければ、古本屋さんとしてやっていけるのではないか…などと甘い夢も一瞬抱いてしまうが、それはまた完全に別の話なのである。しかし年に一度は、このような市を頑張って開くことを岡崎氏と誓い合い、続いて二階にドスドス上がり、『第83回西荻ブックマーク』のトークへと雪崩れ込むのであった…。売れた本は149冊!

親愛なる古本を買って下さった皆様、発泡酒に瞬時に酔って赤鬼のような顔でするトークを聞いて下さった皆様、スタッフの皆様、長い一日を共に走っていただいた岡崎武志氏、そしてなにより「2人古本市」の開催に奮闘してくれた盛林堂若夫婦に多大なる感謝を捧げます。ありがとうございました!
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2014年12月19日

12/19東京・渋谷 JACK SPADE

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『ハチ公改札』から駅前広場の雑踏に吐き出されたら、スクランブル交差点を渡って『公園通り』を北に進む。雑踏の中を真っ直ぐ進み、区役所方面にも向かわずにただ直進する。『神南郵便局前交差点』で西への坂道を上がり、一本目の脇道を北に入ると、坂はさらに角度を増す。道なりに西に曲がり込んで、二本目の脇道を再び北へ進むと、お洒落ファッションショップが続いているのに、古本棚を店頭に出した奇跡のようなお店が現れた。そのお店自体もファッションや高級文房具のお店なのだが、もはや古本の魔力には抗えない。小さな三段の青い本棚は、一段目に洋書、二段目に和書、三段目に洋書ビジュルブックを並べている…が、何だか妙にボロい。それは古本的なボロさを通り越し、放置されたボロさなのである。二段目の和書に注目する。…日焼けし色褪せ、埃っぽく、ムレた感じも…。文学・美術・庄野潤三・コルビュジエ・バルトなどである。ウームと本棚に覆い被さるように覗き込み、ブローディガンを手にしてみる…しかし値段は何処にもない…100均なのだろうか?まぁ店員さんに聞いてみればすぐに分かることだ、と店内へ。高級感漲る大人の男のためのファッションや雑貨が揃っている。そして左壁一面が大きな本棚になっており、ペーパーバッックや洋書が、これでもかと詰め込まれ並べられているので、なかなかの壮観。しかしすべて私には用がないと即座に見切りをつけ、入口横のレジカウンターに向かう。中にいるのはイタリア的なイケメン店員さん。「すみません、これは幾らなんでしょうか?」と声を掛けると、途端に狼狽の色を顔に浮かべ、本を受け取りページを繰る。そして「あ、あの…これは売り物ではないんです」「えっ、表にあった本なんですけど、買えないんですか?」「いえ、買えないというわけではなくてですね、売ってる本もあるんです。例えば…」と階段下まで小走りし、壁に飾ってあったペーパーバックを手に取り「これは値段が書いてるじゃないですか。これは売り物なんです」「じゃあ値段のないものは売り物じゃないんですね」と言うと、彼は困ったように微笑み「そういうことなんです。すみません…」と丁寧に頭を下げた。つまりは表の本は値段が書かれていないので、ただのディスプレイなのである。…うぅ、完全なる古本棚だと思ったのに。しかしそれなら、もっと奇麗な本を並べておいた方が良いのではと、放置されまくったような本たちをいぶかしく思いながら、お礼を言って何も買わずに表に出る。何だかいたたまれなくなってしまったので、坂を下って坂を上って宮益坂の上まで出て、「中村書店」「巽堂書店」(共に2008/07/23参照)の100均台&棚で文庫を買い漁り、心のバランスを保つことに腐心する。

落ち着いたら渋谷駅まで戻り、田園都市線で三軒屋駅下車。キャロットタワーの三階で開かれている『モッズスーツと洋服の並木展』を見に行く。
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オーダーメイドのモッズスーツを作り続ける梅が丘の名店『洋服の並木』の、小規模な展覧会である。いつかはここでスーツを一着作りたいと思い続けて幾星霜…もうすっかり適齢期は過ぎてしまった気がするのだが、それでもまだ、いつかは…。壁面展示の『並木を着る』のトップバッターが、“サンドイッチマン・伊達みきお”なのに意表をドスドス突かれまくる。…こ、これは何かの間違いでは!並木さん!

展示を楽しんだ後は世田谷線で豪徳寺、小田急線で祖師ケ谷大蔵と巡り、古本屋を回り続ける。色々買い込むが、今日の小収穫は「靖文堂書店」(2011/09/06参照)で300円で買った、若草書房「赤い死の舞踏會/エドガア・アラン・ポオ 吉田健一訳」である。昭和二十三年刊の物資的には粗末な本なのに、装幀や奥付がシンプルだが凝っていて、ちょっと風格のある佇まいが嬉しい。
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2014年12月18日

12/18取りあえず古本を会場に搬入してみる

いよいよ迫り来る『2人古本市』の準備が、取りあえず終わった。古本のドッサリ詰まったゆうパックの特大・大・中一箱ずつに、60cmほどの高さの不器用に括られた古本タワーが七本…なかなか凶悪な量なので、良く準備した!とまずは己を褒めそやす。そして盛林堂号に迎えに来てもらい、ちょっと早めの搬入をしてしまおうと、西荻窪の『銀盛会館』へと急行する。車通りの多い商店街の会館前に到着し、シャッターがウィ〜ンと上がると、ガレージのような会場には、両壁にすでに長テーブルと木箱で造られた本棚が燦然と輝いていた。おぉ、古本市の会場っぽいぞ!と小野氏の活躍を褒めそやし、荷物を次々と紐解き、棚に早速ダカダカと本を詰めて行く。順調に詰めて行く。気持ち良く楽しく詰めて行く…だがしかし!途中で本が足りなくなってしまった。をおおぉお!あんなにたくさん準備したはずなのに、なんということだ!これは、補充分を用意しないとどうにもならんな。と、己の読みの甘さと不甲斐なさに少しだけしょげながらも、セレクトした古本たちが大量に棚に並んでいる姿に、「古本ゲリラ」「みちくさ市」「古本ナイアガラ」での少数精鋭な宇宙とは違った、好みの連続となる大宇宙が、気持ちをボコボコと高揚させる!こんなことは、初めての経験だ!
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こうなると尚更棚を埋めたくなり、作業を終えて帰宅するや否や、早速補充本の選択のため、家の中を飛び回る。結果、ゆうパック特大分の古本を集めることに成功し、これは当日搬入する予定。色々掘り返していたら、カバー無しで背の一部がちょっと欠けた「孤島ひとりぼっち」が出て来たので、補充分の目玉として紛れ込ませることにする。
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おぉ!緊張が次第に高まり、いてもたってもいられなくなり、21日がますます楽しみになって来た!普段は人様のお店をツアーばかりしている私ですが、この日ばかりは、どうぞ私の恥ずかしい棚を、みなさまツアーしに来て下さい!『古本修羅十戒』と共にお待ちしております!
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2014年12月17日

12/17東京・神保町 澤口書店 東京古書店

午前中からの用事をこなして、総武線水道橋駅経由で、ちょっと久しぶりの神保町入り。銀杏の落ち葉で鮮やかな黄色のペーブメントと化した『白山通り』を南下して行くと、「日本書房」(2011/08/24参照)店頭台で300円の幸運に恵まれる。昭森社「永瀬清子詩集」(裸本…というより函ナシだろうか?)が嬉しい署名入りだったのである。
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足取り軽く落ち葉を舞い上げて『神保町交差点』。『靖国通り』南側歩道を東に歩んで行くと、元auの店舗に、「澤口書店」の新店舗が出現していた。
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…くくぅ、おかげで「古本屋ツアー・イン・神保町」が、ちょっと古くなってしまったじゃないか…。二軒隣りの「巌松堂ビル店」(2014/04/12参照)と双子のような店頭である。右翼は300均単行本ワゴンを中心に、大判本や全集が広がり、左翼には500均単行本が集まっている。店内はとてもスッキリしているが、スッキリし過ぎてちょっと「ブックオフ」的ともいえる。手前は広く奥は狭めの空間で、壁沿いに本棚が巡らされ、手前に背中合わせの棚が一本置かれている。左側中ほどに二階への階段があり、その脇にプレミア写真集ラックを背負った帳場が設置されている。少し広い通路を持て余すようにして棚に近付くと、手前左側には映画・演劇・音楽が並び、中央の棚には本関連・江戸東京・女性本・児童文学・絵本・食&映画&写真&落語の文庫・辞書類・落語が収まる。右壁は棚板の深さに合わない美術関連文庫とカラーブックスから始まり、大判の美術本がズラリ。棚は壁にカクカクと寄り添いながら、建築・鉄道・写真・理工系・哲学・みすず出版・中公文庫・旺文社文庫と続く。左壁際は帳場の奥から、日本文学・村上春樹・日本史・宗教・民俗学・宗教・戦争と並び、奥壁には岩波文庫と講談社学術文庫が肩を並べる。ジャンルがはっきり整理されている分、本は丁寧に多く集められているが、わりと広く浅めで平均的。やはりここは「巌松堂ビル店」と併せて一店と考え、楽しむべきか。値段は普通〜ちょい高で、良い本はしっかり値が多い。旺文社文庫「わが町、新宿/田辺茂一」を購入すると、二階のくつろぎスペース(二階には社会系の本あり)で使える『ドリンク一杯無料券』(要500円以上買上)をいただく。帳場でコーヒーのカプセルを貰い、二階で淹れるシステムである。この嬉しいカフェサービス、もしかしたら通りの向かいにある「BOOK CAFE 二十世紀」(2014/06/18参照)を意識したものであろうか?それにしても、神保町での「澤口書店」の快進撃は、ちょっと目を離せぬスピードとパワーを誇っている。この、本の街に打たれた一本の楔は、何か新しい変化を巻き起こすのであろうか。
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2014年12月16日

12/16古本修羅十戒

家に閉じこもって、ひとつ大きな仕事に目鼻をつける。一段落したその後は、ここのところ日課となっている「2人古本市」の準備を地道に前進させて行く。こちらもそろそろ大詰めで、ようやく値付態勢に入ってひたすら短冊に数字を書き込んで行く…ええぃ!もうこの値段でいいや!と書き飛ばして行く。それにしてもおかしなラインナップで、古雑誌に古書と文学、それに児童文学や野球関連がなかなか目立っている。大丈夫か?何だか偏り過ぎじゃないか?と自問自答しながら、ここまで進めてしまったからには、もうジタバタしてもしょうがない。それでも会場に搬入したら、どんな景色になるのか、非常に楽しみなのである。四時間ほどぶっ通しで作業しこちらも一段落着いたところで、気分転換に別の作業に取りかかる。市の強力な相棒・岡崎武志氏が、いつもの一箱古本市出店時のように『特製古本おみくじ』出すのだが、そのアタリの景品を用意しなければならないのである。色々悩んだ末に、手書きコピーハンコ捺印のA5モノクロ一枚『古本修羅十戒』を作ることにする。古本が大好きでしょうがない古本修羅(自分含む)が、人の世と社会からちょっとはみ出すことになる、十の切なく厳しい戒律!それは、一般人としての資格を、大好きな古本と交換するように失いつつある人生!…自分で書いたのに、読んでいて泣きそうになる始末…。それにしても、何だか小学生が必死に作った賞状みたいになってしまった。おみくじでアタリを引いた方は、どうか一読していただき、十戒を守ることなく、人間界への道を引き返して下さい!…とこんな風に、近付いて来る市が楽しみで楽しみでしょうがないのだが、その反面そろそろ無性に遠くの古本屋さんに挑みたい己がここにいる…色々終わったら、何処か行ったことの無い場所へ、旅立つことにしよう!
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2014年12月15日

12/15ボロ市で静かなる古本バトルを

わりと早起きをして、無形民俗文化財の「世田谷ボロ市」(2011/12/16 & 2013/01/15参照)に向かう。開始時間の午前九時を少し回ったところだが、会場である通りは、すでに老齢の人波に埋め尽くされていた。ターゲットはもちろんこの市ではマイノリティな“古本”一本槍なのだが、お店の出店場所はほぼ固定されている上、どのお店が古本を扱っているか大体は把握しているので、スピーディーに古本の影を求めて歩く。和本と教科書のお店は、今年は棚が一段だけになってしまっている。最下段の色々コーナーから、家の光第35巻第5号付録「こども家の光」を300円でまずは購入する。これで取りあえず空振りは免れたと一安心し、立派な古本屋露店である「林書店」で講談社文庫「透明な季節/梶龍雄」を100円で購入。さらに半分が古雑貨、半分がレコードのお店で、500均の楽譜本の山に挑戦してみる。フォークやロックが多いが、一冊だけ昭和四十年前後のコマソン集を見つける。浜口庫之介と小林亜星といずみたくとサンアドと電通と博報堂が火花を散らす、楽しい本である。ドレミ楽譜株式会社「コマーシャル・ソング No.1」を500円で購入。人波を縫って縫って縫って西に抜け、少し離れた会場へ。50均文庫ワゴン二台と100均単行本ワゴン一台があるガレージでは、ちくま文庫「私説東京繁盛記/小林信彦・荒木経惟」を購入。そして市の尻尾の方にいつもお店を出している、日本兵兵隊服のアンちゃんのお店を楽しみに近付くと、おぉ今年は飛行兵服なのかとまずはそちらに眼を奪われてしまう。そして露店の手前を見ると、小さな古本箱がしっかりと置かれている…と思ったその瞬間、一本の腕が横合いからニュッと伸び、箱から二冊の分厚い本を掴み取った。恐らく復刻であろうが、それは講談社の函入漫画本。カップルがためつすがめつ吟味している…くぅ、やられた!他の商品を見るフリをしながら、神経は二人の挙動に集中。だが、吟味しつつも、どうやらかなり迷っているようだ。…買うな〜箱に戻せ〜…と邪悪な念を送る。だが、二冊を掲げ「すみません、この本幾らですか?」とアンちゃんに問い掛ける。「二冊で千五百円!」…安いじゃないか…これはダメだな。そんな風にあきらめた瞬間、二人は箱に本を戻してしまった。ウォォ、ラッキー!と即座に二冊を鷲掴む。浅ましいが、これでいいのだ!そうして改めて本を手にして値段を問うと、同じ千五百円。「いただきます」と二冊を袋に入れてもらう。講談社「蛸の八ちゃん/田川水包」「コグマノコロスケ/吉本三平」共に復刻初版を購入。やっぱり古本は、ずっしりと手応えのある方がいい。とても買った気になる、と足早にボロ市会場を駆け巡った一時間強であった。市は明日16日と、来年一月の15・16日にも開かれる。
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2014年12月14日

12/14後一週間に迫った『2人古本市』の準備に苦心する

腰を据えて朝から、自宅各所に広がる古本山脈に果敢にアタックし、峻険な山々から危険を冒して古本を抜き出して行く。三時間ほど埃にまみれ熱中して、ようやく疲労を覚え始めると、畳の上には存在感あり過ぎの古本の山が出現していた。…だが、おかしい?これだけの本を抜き出し集めて来たのに、各所の古本山脈はびくともせずに泰然と、誇らし気にそびえ続けているのだ!…いったいどれほどの本を抜き出せば、そのカタチを変えてくれるのか…せめては強めの圧迫感を減少させてくれるのか…。そんな風に怯えしょげ返りながら、『いや、日下三蔵氏の書庫を思えば、ウチなんかまだまだ可愛いものじゃないか』と、自分を間違った考えで慰めてから、古本市に出す本をまとめにかかる。パッと見、非常にカオスなラインナップになってしまったが、恐らく岡崎武志氏が文学的王道&真っ当な古本を出品されると勝手に予想し、これはこれで会場ではバランスが取れるのではないかと、今は考えておくことにする。
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夕方になって外に出る。まずは駅前の新刊書店で楽しみにしていた双葉文庫「怪談と名刀/本堂平四郎著 東雅夫編」を購入する。昭和十年に出版された、名刀や妖刀の怪談集の復刊なのである!主役は“日本刀”なのである!東郷隆の名作「にっかり 名刀奇談」は、長い年月を経たこの本の子孫なのだと勝手に理解して西荻窪。「古ツアフェア@盛林堂」に補充した後、荻窪まで歩いて向かう。おかげですっかり体を冷やしてしまい、「竹陽書房」(2008/08/23参照)で「燃えつきた青春群像/高階哲郎」(出版社名も価格も明記されていないので、自費出版なのだろう。夭折の画家(松本竣介・谷中安規・青木繁・ロートレック・ゴッホなど)の評伝的美術論集)を300円で購入。そのままトトトトと「ささま書店」(2008/08/23参照)に足を向け、春陽文庫「殺人迷路・悪霊物語」「女妖」共に江戸川乱歩他、KK・ロングセラーズ「秘密のカメラ術/ビッグ錠」を計945円で購入してから自宅に戻る。そこに待ち構えていたのは、己で生み出した絶望的なほどの古本の山…さらに準備を続けます!

■岡崎武志&小山力也『2人古本市』
■12月21日(日)11:00〜17:00
■西荻窪 銀盛会館(杉並区2-18-4)

■オカタケ・古ツアの古本忘年会〜今年の古本・古本屋回顧〜
■12月21日(日)17:30開場/18:00開演
■西荻窪 銀盛会館二階
■料金:1500円(1ドリンク付)
■定員25名(要予約/予約は西荻ブックマークまで)
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2014年12月13日

12/13武蔵野で変化中の古本屋偵察二軒!

武蔵境駅で中央線を降り、まずは南側の懸案の「境南堂書店」(2009/02/11参照)を横目で見るが、やはり営業していない…もはやこれまでなのか。しかし、もう一度くらい、何かのついでに見に来ても良いのではないかと、悲しい結論を先伸ばしにして、そのまま常緑樹並木の通りを南にダラダラ下る。やがてぶつかった通りを西に歩いて行くと、ビルの一階には以前ツアーした「プリシアター・ポストシアター」(2011/05/08参照)があるのだが、店頭は以前と様子をすっかり変えている。三台のワゴンが無くなった代わりに、横道側の店頭に100均棚が出現しているのだ。お店は以前は事務所店営業で、晴天の週末のみ店頭ワゴンセールを行っていたのだが、この度目でたく事務所店営業を実店舗営業へと切り換えたのである。というわけで大喜びで再ツアーと洒落込み、店頭棚&箱に眼を光らせている。何かありそうな予感をさせる、良い景色だ!そうたっぷり楽しんでから店内に滑り込み、すでに顔見知りである店主と挨拶を交わす。その素晴らしい笑顔を見て、つい思ってしまう。やはり下條正巳に似ていると!そして店内はすっきりとした完全なる店舗状態となっている。だが店主から「あぁ〜、奥の通路がまだ整理出来てないんですよ。出来たらメールしようと思ってたんですが」と告げられる。奥を見れば三本目の通路にはダンボールが積まれ、犬の置物が通せんぼをしている。いつごろ開通予定なのか聞いてみると「12月の終りには…だから新年の二日から店を開けるんで、その時には」とのこと。では来年もう一度足を運んで、完全体となったお店を、改めてツアーすることにしよう。今日は大泉書店「インスタント・マジック/引田天功」河出書房新社「エモーション・ピクチャーズ/ヴィム・ヴェンダース」を計1026円で購入する。新しいお店の姿も再ツアーの時に載せることにして、今日は店頭100円箱で見つけた、ちょっとレアな初代引田天功本の書影を。
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色味がビビッドでいかがわしくサイケなデザイン。タネあかしページは開封されているが、とじこみのマジック・カードが付いているのが嬉しい一品である。

続いて吉祥寺に足を運び、十二月にリニューアルオープン予定の「BASARA BOOKS」(2008/06/12参照)を偵察する。新築のビルにはまだ工事用のネットが掛けられたままだが、ビルはもう完成しているようだ。
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しかし店内はまだまだ手つかずの気配…う〜む、十月オープン予定だったのが十二月に延び、その十二月に至っても、まだまだ開店にはほど遠い感じがする…一体オープンはいつになるのか…。大いなる謎でも抱え込んだように、深刻に考え考え、「古本センター」(2013/07/01参照)にひと時の安寧を求めて飛び込み、彩流社「川崎物語 漫画家の明治大正昭和/森比呂司」を500円で購入し、大混雑の駅ビル内を突破して家路に着く。
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2014年12月12日

12/12閉店セールを見て猫国を見て沼田を見る

コメントタレコミで、「ブックステーション駒込店」(2010/01/13参照)が閉店することを知る。色々些事を片付けてから家を出て駒込駅。東口に下り、線路下から『駒込さつき通り』を北に歩いて行くと、すでに閉店していた「平和堂書店 駒込店」(2009/02/25)はラーメン屋さんに。さらに先の目的店にたどり着くと、店頭には『閉店』『SALE』『50%OFF』のビラが乱舞していた。
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そうか、やっぱりそうなのか、と認識しつつ店内へ進む。左に斜める空間は以前のままで、棚には本がちゃんと並んでおり、ブランクも閉店感もそれほど感じない。細い通路をカクカク行ったり来たりして、講談社「週刊少年マガジン 1968 45号」「週刊少年マガジン 1969 22号」(やっぱり大伴昌司の記事はビリビリシビレれる!)夏目書房「古本術。/秋山正美」創元推理文庫「盲目の理髪師/ディクスン・カー」中公文庫「暮しの眼鏡/花森安治」文春文庫「阿佐田哲也麻雀小説自選集/阿佐田哲也」を値札から半額の計816円で購入する。必死になればまだまだ買えそうで、三上寛も友部正人も未だ居残り中。レジの男子店員さんにいつ閉店するのか聞いてみると「いやぁ〜、私たちもちょっとよく分からないんですよ、でも後一週間のうちだと思います」とのこと。…駒込が、古本的にちょっと寂しくなってしまう…。

山手線と都電荒川線を乗り継ぎ、鬼子母神駅で下車。テクテク歩いて八ヶ月ぶりの「旅猫雑貨店」(2008/07/19参照)にたどり着き、店頭に出ていた店主の旅猫さんと挨拶を交わす。ビニールカーテンをめくって中に滑り込み、フロア真ん中の飾り台と右壁棚に、熱く蕩けた視線を投げ掛ける。昨日から一度見てみたかった『元祖ふとねこ堂個展 猫国雑貨屋in旅猫雑貨店』が開かれているのだ。ふとねこ堂さんは、ファンシーさやデフォルメした猫絵からはかけ離れた、リアルでいてちょっと浮世絵的な猫を面白おかしく描く、凄腕の絵師なのである。手掛けた歌留多・行灯・掛軸・手ぬぐい・屏風などが猫に彩られ、物欲ボタンを大いにプッシュしてくれる。旅猫さんが「今あまり古本を並べてないんですよ。すみません」と言うので、ふとねこさんの個展を見に来たことを告げると、「元我堂」(2012/07/23参照)時代にたまたまふとねこさんの作品を近所で見かけ、以来十年ほどその名を一ファンとして記憶に留めており、つい最近twitterでつながったのを機に、この個展に到ったという壮大なストーリーを教えていただく。すごい!いい話だ!と喜びながら、乙女のように猫国雑貨の何を買おうか迷いまくり、結局手ぬぐい・『招福招猫』の宝船の絵・「猫の大福屋」簡易絵本を購入する。改めて絵を眺めると、各猫の面構えが憎らしいほど可愛いことに気付いてしまう。

絶大に満足しながら古い民家が郷愁をかき立てる裏通りを伝っていると、物凄くご無沙汰の「沼田書店」(2008/08/21参照)前にいつの間にか到着。おぉ、ちゃんと営業されている!と驚き喜んで、店内に吸い込まれてしまう。電子チャイムの響きに姿を見せたおばちゃんからノートを買いつつ、同時に時間の凍り付いた古本棚を見せてもらう。相変わらず奥の通路には入り込めないが、今日は大胆に入口近くの棚下を掘り出したり、最上段のさらに上に積み重なる本に手を伸ばしたりして、偕成社怪盗ルパン選集11「怪紳士の告白/モーリス=ルブラン」東京文藝社「この日美わし/大林清」(カバーがビリビリで残念)…を計200円で購入する。「また買いに来て下さいね」と言われたので、では今度は奥の通路を見せて下さいね、とお願いしておく。う〜ん、夢を見過ぎかもしれないけれど、やっぱり何かありそうなんだよな…。
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2014年12月11日

12/11神奈川・白楽 Tweed Books

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西側の地上改札からダイレクトに街に流れ出て、大きな広い坂道の『六角橋商店街』を南西へ下る。坂の途中で「たけうま書房」さん(2013/03/29参照)とバッタリして、慌ててご挨拶。今日は惜しまれつつ当地での店舗を畳んだ「猫企画」(2014/11/21参照)の跡地に、半年の期間限定ではあるが、スマートに尖った古本屋さんが高らかに産声を上げたのである。坂の途中の『六角橋仲見世入口』の角にある、そのお店に近付くと、当然「猫企画」と寸分変わらぬ佇まいなのだが、自由奔放なイラスト看板は塗り潰され、通りに面したウィンドウも洒落た雑誌類が飾られ、アート系古書店的雰囲気を醸し出している。横丁から店内に入ると、立ちはだかったのは予想だにしなかった岡崎武志氏だったので、ご挨拶…まさか六角橋でお会いする日が来るなんて…。右隅の小さな帳場から立ち上がった、ツイードスーツに蝶ネクタイにハンチングという古本屋にあるまじきトラッドスタイルの、すでに顔見知りの店主とも挨拶を交わす。あぁ、本当に古本屋さんになったとは。何と思い切り、何と頼もしいことか!床の丸タイルの感触と色彩を楽しみ、小さな空間の壁際に巡らされた棚を見る。左の窓側にはセレクトされた日本文学・探偵小説・幻想文学・シブサワ&タネムラ・古本関連・海外文学・これらに準ずる文庫・ジャズ・音楽と並び、奥の階段下の新刊リトルプレスやCD類までつながって行く。白い正面壁棚には、ファッション・服飾風俗が登場し、右側のトラッド・アイビー・ファッションビジュアル・ファッション雑誌へと連鎖する。最下段には店主の私物であろう高そうな、本革のウィングチップシューズが飾られている。帳場前にはアート関連の棚があり、フロア中央には小さな100均文庫棚と小さな安売りワゴンが置かれている。限定店舗+特急開店準備ということで、冊数はそこまで多くなく、本は古くて1960年代。意外なのは店主が人生を賭けるファッション系一辺倒ではなしに、文学やミステリにも棚を割くところに、将来正式開店した店舗の様子が、薄ぼんやりと頭に浮かぶ。値段は安めのものもあれば、しっかり値のものも。三省堂「田村隆一ミステリの料理事典」朝日文芸文庫「十字街/久生十蘭」桃源社「怪異あさひの鎧/国枝史郎」ハヤカワ・ライブラリ「狂乱の1920年代/大原寿人」を購入する。ヨコハマに、新たな暖かい古本屋の灯りが、ポツリと点る。ひとまず開店おめでとうございます!

この後は、もはや古本屋開店指導員のように、様々に役立つアドバイスをする岡崎武志氏と肩を並べて、坂の先の「鐵塔書院」(2008/08/15参照)に突入。春陽文庫「パノラマ島奇談(改訂版)/江戸川乱歩」(裸本)を500円でついつい購入してしまう。さらに氏と極狭アーケードの喫茶店に腰を落ち着け、古本屋情報交換+段々と死刑執行のように迫って来る21日の2人古本市とトークショーについて、対策を協議する。

そして夜、地元駅の改札越しに、編集M氏より「古本屋ツアー・イン・神保町」二刷の献本を受け取る。じいんと胸に嬉しさが込み上げる、一足も二足も早いクリスマスプレゼント!
posted by tokusan at 18:03| Comment(4) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする