2015年02月28日

2/28東京・下北沢 メンヨウブックス

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深い地下からようやく南口地上改札にたどり着いて、南へ。しかし繁華な商店街には入らずに、すぐ西に折れてさらにすぐさま南へ。その道をおしまいまで行くと、正面左手にエンジと黒のビルがあり、一階には開放されたカフェカウンターが見えている。ここなのか?と疑わし気に近付くと、ガラスドアの下側に、小さな小さな古本屋さんの看板が下がっていた。「つぐみ文庫」さんよりタレコミのあった、出来立てホヤホヤの古本屋さんである。しかしお店は何処に?なかなか捉えられないない古本屋さんの姿を求め、カウンター前を通過し、木材で化粧された奥の廊下に入り込んで行くと、そこは両側に小さな部屋の連続する『レインボー倉庫3』という空間。それぞれに入居者があり、それぞれに店舗・作業場・オフィスなどとして利用されている。それにしても、驚くほど各店は小さい。悪い言い方をすると、まるで明るい独房のようなのである。すると左手中ほどに、窓際に小西康陽の本を飾った小部屋を確認。しかし中には先客がおり、小さな古本屋さんがそれでもう一杯になってしまっている。しばらく廊下をゴトゴトと行き来するが、このままでは埒が開かないので、勇気を持って小部屋に身体を入れてみた。すると西洋の少年の如き女性店主が、眼鏡の向こうで目を丸くしながら「いらっしゃいませ。古本屋を始めたんです」と言いながら、お客さんと共に廊下に出て、本を見易くしてくれた。おぉ、これはまるで「いにしえ文庫」の店主は外方式(2013/09/04参照)!二メートル弱×二メートル弱の小空間には、正面壁際に手作りな小さな本棚があり、海外文学・花森安治・ブルボン小林・現代思想などが収まり、足下には食関連を詰めた箱が置かれている。右奥のダンボールとパソコンひとつの帳場の椅子の上では、店主の代わりに羊のぬいぐるみが眠り込んでいる。今のところ、このお店のメイン棚である窓際の下には、ビジネス・思想・装幀関連・小説少々・美術などが並び、なかなか硬派な棚造りとなっている。値段は定価の半額前後で、新しめの本中心。読書家店主の蔵書を販売するカタチであろう。ゆくゆくは壁棚をしっかりと巡らせたいそうなので、下北沢に週末訪れた時には、目ざとく観察して行くことにする。がんばれ、狭小古本屋さん!晶文社「複製技術時代の技術/W・ベンヤミン」を購入する。

お店を出たら、谷を下り坂を上がり、池ノ上京王線線路際の「文紀堂書店」(2008/09/02参照)へ。すると店先の小さな黒板に、三月十日で現店舗を閉め、その後は仙川駅近くの新店舗に移転すると書かれているではないか!大いにショックを受けながらも店内を精査していると、文庫棚から「野球界」昭和十四年十一月號附録「職業野球便覧」を200円で発見する。昭和九年に発足した『職業野球』黎明期の、選手写真名鑑・審判員陣容・チームカラー(当時は全九チーム)・ファン虎の巻・応援歌などを掲載。むぉっ!澤村榮治が應召・入榮リストに載ってしまっている!タイガースの応援歌作詞は佐藤惣之助で、巨人軍は西條八十なのか!と文庫サイズの紙面ににわかに没入しながら、完全なるどひゃっほうを噛み締める。講談社文庫「黒鳥譚・青髯公の城/中井英夫」と共に計500円で購入する。
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選手名鑑のトップバッターは、なんとタイガースなのである。
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2015年02月27日

2/27「野呂邦暢古本屋写真集」編集制作中!

この奇妙な記事タイトルは、決して嘘でも冗談でもありません。先日から精魂傾け色々作業していたのは、古本や古本屋に関する名エッセイを数多く残した芥川賞作家・野呂邦暢が撮影していた、一九七〇年代の古本屋の写真を集めた、ある意味ありえない写真集を制作するためでした。現在も、野呂と縁深い岡崎武志氏と共に、編集の真っ最中です。

すべては、岡崎氏が数年前に野呂の遺族から、彼の撮影した古本屋の写真を託されたことから始まりました。しばらくそれらは、氏の書庫の奥底に眠っていたのですが、ひょんなことから引っ張り出してみると、これが恐ろしく貴重な資料だということに改めて気付き、古本屋写真集の歯車は急激にギリギリ動き始めたのです。それらの写真を氏に見せていただいたときの衝撃は、今でも忘れられません。写っていたのは、懐かしい異次元。見知っているが微妙に違う古本屋さんや、今では消滅した古本屋さんの姿。何処のお店なのか全く分からぬ未知の古本屋。恐ろしいほどの情熱と憧憬を古本屋に抱く野呂の心の一端を、目撃したような錯覚に、瞬間陥りました。おそらくこれほど大量の七十年代の、つまりは四十年前の古本屋の写真が見つかることは、これからもないのではないでしょうか。しかも撮影者が野呂邦暢!

岡崎氏と編集を進め、盛林堂書房と制作を進める感じは、まるで倉庫の奥でスクラップと化し埃を被っていたクラッシックカー見つけ出し、レストアしているような感覚です。完成したら、これはすごいものが甦る!と。というわけで、野呂邦暢ファンも古本屋ファンも、首を長くしてご期待下さい。

■「野呂邦暢 古本屋写真集」
■夭折の芥川賞作家・野呂邦暢が、密かに撮りためていた古本屋写真が存在していた。
神保町・早稲田・渋谷・池袋と、拙く清冽で執拗なカメラアイが、七十年代の都市と古本屋を駆け巡っていた。
岡崎武志氏が遺族から託された、貴重なそれらの写真を一冊にまとめたのが『野呂邦暢 古本屋写真集』である。
■四月上旬に盛林堂書房より発売。
■予価2500円でB6版オールカラー並製全112ページ

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写真は手札サイズの写真が入っていた紙アルバムや写真袋。ちなみにネガは残っていない。アルバムには野呂の手書きと思われる万年筆で書かれた『一九七六・三〜四 東京』の文字が。写真袋の方には、イラストの上に鉛筆書きで『野呂さん』と書かれている。
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2015年02月26日

2/26東京・神楽坂 ここん

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飯田橋駅西口を出ると、流れ落ちるような牛込橋の上。北に下って『神楽坂下』。頭上を、雨空より白い鷺が、両足をぴっちり揃えて飛んでいる。そのまま『神楽坂通り』の坂に挑み、雨の日はより一層人の行き交いが難しくなる歩道を進み、坂の途中の『サークルK』手前で『神楽坂仲通り』に入る。すぐに階段と坂が融合した小道を北へ上がる。小さな飲食店や小粋な料理店が連なる、神楽坂らしい裏通りである。坂の頂点に達したところで、右手ビルの入口辺りにある、目指す和小物店の小さな看板に気付く。案内に導かれてビルの奥に進み、赤い外階段を二階に上がると、和風なお店の入口がそこにあった。早速ドアを開けようとすると、ガラスの向こうに何かが広がっている。トイレのドアが開いており、半身を入れた女性が手を洗っている。こちらに気付くと満面の笑みを浮かべながら「手を洗ってただけなんですよ。トイレに入ってたんじゃないんですよ。手を洗ってたんです」と花のように明るく釈明する。ハイ、信じます。そして中に入ると、短い通路の終り壁際に三段の小さな木の本棚が据えられ、さらに奥のレジカウンター前にも木製ラックがひとつ。壁には棚が巡らされ、そこに手ぬぐい・文房具・アクセサリー・絵葉書などの和雑貨がひしめいている。中腰になって本棚を覗き込む。エロス・風俗・性愛関連・裸・アート書院本、そして最下段のエロ(清水正二郎など)グロ(雑誌「グロテスク」など)ナンセンス(テディ片岡など)の三拍子を見事に備えた「ハナメガネ商会」(2014/04/26参照)の棚に感心していると、「あの〜もしかして…本の人じゃないですか?」と大変大雑把に正体を見破られる。聞けば昨年末の岡崎武志氏とのトークを聞きに来ていただいたとのこと。さらに古本棚について聞いてみると、昔からお店で本を扱いたかったのだが、どうしたらよいのか分からずにいたところ、ある日夏葉社の存在を知り連絡を取ると、喜んで本を置かさせてくれることになったのである。するとそこから、もれなく古本者につながって行き、目出度く店内に古本棚が出現してしまったという楽しいストーリー。麗しき哉、古本世界!ラックの方には写真集・雑誌がやはりエログロナンセンスを基調に並んでいるが、岩合徳光の写真集「交尾」に苦笑する。平凡社カラー新書「回想のジャン・ギャバン/池波正太郎」を購入する。

雨の神楽坂に再び飛び出して、去年も開かれた『temame』の小さな古本市(2014/02/17参照)へ。壁際に並ぶ箱に視線を落とし、一番古書率の高い「暢気文庫」から講談社「あちら話こちら話/獅子文六」を500円で購入。神楽坂から脱出して、お壕端をシトシト歩いて市ヶ谷「麗文堂書店」(2012/09/06参照)。管理人さんが惰眠を貪る管理室を忍び足で通り抜けて入店。朝日文芸文庫「十字街/久生十蘭」角川ホラー文庫「ラヴクラフト恐怖の宇宙史/ラヴクラフト+C・ウィルソン」を計900円で購入し、再び忍び足で外に出る。
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重たい磨りガラスのドアを開け、殺風景なビル管理室を通らなければ、お店にはたどり着けない。これは何度体験してもスリリング!
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2015年02月24日

2/24埼玉・南与野 アワーズ

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先日の「孫悟空」(2015/02/09参照)に続き、コメントタレコミを基にちょっとだけ春めいた曇天の下、外出。埼京線で久々に降り立った駅西口に出て、うろ覚えの街と目前の街を同期させながら、北の『埼大通り』に出て、ただただ西へ。『新大宮バイパス』の下を潜って、およそ駅から一キロ弱。左手三階建て低層住宅の一階に、赤い看板と白ヌキ文字に取り囲まれた一軒のお店…アダルトの気配が濃厚に路上に流れ出ている…。通行人の視線を気にしながら、薄暗く退廃的な店内に入り込むと、そこは小さなセレクトコミックゾーンである。カルトコミックを主として、石森章太郎などの重鎮までを並べ、意外なほどピリッとした品揃えを見せている。そこから右を見ると、むっ!古本棚が気怠く眠るように、だが品良く、その勢力を伸ばしているじゃないか。しかも本にはパラフィンがしっかりと掛けられ、このお店がただの雑本店やリサイクル店ではないことを、如実に表している。入口から右側に歩を進めると、壁際にはラックがあり、写真集やイラスト集と共に杉浦茂。次に手塚プレミア漫画の飾られたガラスケースが続き、殿山泰司・田中小実昌・野坂昭如・大西巨人などが並んで行く。右壁にはまず猫本が飾られ、下には寺山修司なども。壁棚には映画・VHS・現代美術・竹中労・平岡正明・現代思想・社会問題・文学評論・性愛&官能・金井美恵子・笙野頼子が収まる。フロアに立つ背中合わせの棚には、水木しげる・カルトコミック・ホラー・殺人・平山夢明・澁澤龍彦・海外幻想文学・みうらじゅん・糸井重里・サブカル・江戸・杉浦日向子・山田風太郎・プロレス・大山倍逹・野球などが濃厚に並ぶ。奥は、左が広大なアダルト迷路、右奥が小ぶりのハードコアパンク空間となっており、ちなみに店全体にはハードコアパンクのBGMが流されっ放しなのである。その左側にも本棚があり、漫画評論&研究・音楽がコアに固まる。アダルト店に、物凄くしっかりしたサブカルの背骨を持つ古本屋さんが寄生している、そんなイメージを抱く。値付は高くもなく低くもなく見事にジャストで、店主が古本に対してしっかりした知識を持つことを裏付けている。しかもそれは様々なジャンルに渡って。殿山も小実昌も杉浦茂も漫画類も、ましてや後藤明生さえも的確な値付がされているのだ。なので闘いを挑むように、堅固なダムのヒビを探すように、お得な本を探し求めてしまう。そして相場より安値の、ちくま文庫「ヴィクトリア朝空想科学小説/風間賢二編」をどうにか見付け、黒ずくめのお兄さんから購入する。

帰りに北赤羽で途中下車し、丘の上のボロ本王国「桐北書店」(2014/09/16参照)を五ヶ月ぶりに訪れる。狭い通路に巧みにしゃがみ込み、タトル「老人と海/ヘミングウェイ 福田恆存訳」(裸本)春陽堂文庫「源義朝/田山花袋」ミリオンブックス「白い人・黄色い人/遠藤周作」(三版)美術出版社「大発明物語/中原祐介」を計700円で購入する。
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2015年02月23日

2/22制作と古本に挟まっていたもの

日曜の朝から、最近気合いを入れて関わっている仕事を、本格的に始動させる。私が入れ込むからには、当然それは古本屋さん絡みなのだが、関われたことが未だに信じられないくらい、驚きと憧れと畏れと尊敬がないまぜになった時間を、喜び過ごしている。詳細は今週中に発表の予定。古本屋好きは、刮目してお待ちいただきたい!

そんな風にある物の制作に時間を費やし、夕方からは中野での超長丁場音楽ライブ鑑賞のために外出。しかしその前に古本屋さんにアタックして行こうと、都立家政までトコトコ歩き、元日に絶大にお世話になった「ブックマート都立家政店」(2011/12/13参照)に神妙にうかがう。テンチョーさんにお礼の挨拶をと思っていたのだが、ありゃ、今日はバイトさんの日なのか。それでも奥の古本棚にしっかり取り憑き、表紙裏表紙が剥離しているが、大正四年刊の日本近世文学〜近代文学に横たわる巨人作家たちの紀行文を集めた光世館書店「大家傑作紀行文集 山と川」を400円で購入する。そのまま駅にたどり着き、西武新宿線で新井薬師前まで移動して、駅前の「文林堂書店」(2008/08/04参照)に飛び込む。久々の毒々しい店内に優しく包まれて、ぶらっく選書「僧正殺人事件/S.S.ヴァンダイン」ちくま文庫「怪奇探偵書小説名作選10 香山滋全集」を計1200円で購入する。

そして昨日買った鹿島孝二の「理想の新婚」には、ある気になる物が挟まっていた。それは栞代わりに使われていた、小さなフィルムのコンタクトプリントである。三枚連なったセピア調の写真で、ちょっと中華的な石造りの建物の入口、夜の商店街を歩く人々の姿、夜店の出ている外灯の連なる賑わいの通りが写し出されている。本は昭和十八年のものなので、同時代の写真だろうか。戦中の風景にしては、華やかで賑やかな感じが漂っているのだが…。こんな物がポロリと出て来るのも、古本の深遠で偉大な醍醐味なのである!
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※クリックすると少し大きくなります。
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2015年02月21日

2/21千葉・布佐 利根文庫

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2015/02/07の意趣返しである。とうに営業を辞めているお店なのだが、どうにかコンタクトを取ることに成功し、目出度く店内を見られることになったのである。我孫子駅から成田線に乗り換え、四駅進んで下車。前回と同じく古本神・森英俊氏が同道しているが、今回は何と中古レコード&貸本神の渡辺俊文氏も一緒なのである!それにしても、田舎道をテクテク歩きながら、後ろから森氏と渡辺氏の丁々発止のやり取りを見ていると、それはまるで映画『スターウォーズ』のC-3POとR2-D2コンビのようで……おぉ、これではまるで古本スターウォーズ!などと愚かな妄想をしてしまう。東口に出ると小さな郊外の町の小さなロータリー。東北方面に駅前通りをテクテク進む。商店がチラホラ点在するが、基本的にはかなり寂し気である。『布佐駅入口交差点』で北に曲がり、およそ90度のカーブをクリアすると、道は次第に上り坂になって行く。それは土手下の街道と家々の上に差し掛かり、やがて行く手の利根川を越える『栄橋』となるのだが、土手上の信号手前で足下の街道への袖階段を下る。すると街道を挟んだ目の前に、凛々しく利根川の水気と街道の粉塵を被り続けて乗り越えて来た、THE・しもた家な古民家が建っていた。しかし訪問を連絡してあるのに、通りに面したカーテンは、前日のように閉じられていた。さらに人影も見えぬので不安になるが、しばらくすると横手のドアがカチャッと開き、鳥打ち帽を被り、袖の無い毛織ダブルのジャケットを着込んだ、老紳士が笑顔と共に丁重に迎え入れてくれた。太い梁が天井を支える横長な店内。窓際には背の低い本棚が横長く続き、その正面に背中合わせの長く立派な本棚が立ちはだかる。壁際には本棚が連なり、中央にはテーブルと応接セット。ドアの左横は少し奥まっており、店主の指定席とさらなる本棚が据えられている。店内は手入れも行き届き、現役感充分…だが!とても硬い!どこもかしこも重厚に教養深く硬い!すでに店内に散った二人の神も、この状況に少なからず戸惑っているようだ。街道側の通路には、海外文学文庫・原発関連・旅・中国・ヨーロッパ・創価学会関連・新潮文庫・講談社文庫・講談社文芸&学術文庫・政治学・マルクス関連・資本論・社会科学系スクラップ…ちなみに文庫も見事なまでに硬めなのである。棚の裏側には、経済学・新書・音楽が並び、壁棚には社会科学・映画・世界旅行写真アルバム(大量)・さらに新書などが、ガチガチガチガチ連続する。森氏はこの厳しい状況の中、どこから見つけ出したのかと呆れてしまう、創元推理文庫を一冊手にしている。渡辺氏は棚の隅っこに固められたシングルレコード、点在するLPレコードを目ざとく発見し、集中力を最大限に発揮して選別中。こちらもどうにか二冊を見出し、後は応接セットで珈琲をご馳走になりながら、実は元大学の学長である店主の、社会経済学講義を神妙に拝聴する。百年以上経った古建築の屋根の下で、アベノミクスやピケティやアメリカ経済が一刀両断されて行く…。止まらぬ弁舌を三十分近く受け止めるが、森氏の「電車の時間が…」と腕時計を指し示す機転により、こちらが値付けする精算タイムに移る。ケイブンシャの大百科「カメラ入門教室大百科」新潮社「帰りたい風景/洲之内徹」を計千円で購入させていただく。わざわざお店を開けていただき、ありがとうございました。

帰路はまずは柏で途中下車し、「太平書林」(2010/06/03参照)にて、ちくま文庫「虫類図譜(全)/辻まこと」ソノラマ文庫「怪人摩天郎/飯野文彦」を計500円で購入し、この寒いのにモナカアイスを頬張る二神に挟まれてさらに電車移動。「鷹山堂」(2009/05/17参照)に突入し、意外な三人の組み合わせに、いつも以上に大きな目玉を眼鏡越しにギョロつかせる店主・沖田氏に挨拶。三人でそれぞれの目指す場所をそれぞれのやり方で精査し、とても嬉しいボーイズサスペンスライブラリー「恐怖を買う男/山下輸一」を森氏に薦められるまま握り締め、大都書房「理想の新婚/鹿島孝二」と合わせて計2500円で購入する。最後は駅外階段下でそれぞれタイヤキを買い、ホームにて三人とも早速かぶりつき、上総の小さな古本旅に幕を下ろす。
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「理想の新婚」の巻末広告を見ると、ふわっ!大坂圭吉「ほがらか夫人」の広告が!一円六十銭か…。
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2015年02月20日

2/20古本屋さんの巨人たちと呑む!

昨日の夕方は神保町に赴き、「小宮山書店」(2014/05/31参照)店脇100均文庫列で角川文庫「人民は弱し官吏は強し/星新一」を。「八木書店」(2013/07/24参照)店頭の安売り箱からは、創元社「酔眼竹生島/田邊茂一」集英社「不作法紳士/吉行淳之介」を計600円で購入し、『三省堂書店』にて古本屋さんと待ち合わせ。混み合う店内に姿を現したのは、「古書 赤いドリル」さん(2013/08/13参照)と「月の輪書林」さん(2012/03/19参照)である。三年前にドリルさんと二人で月の輪さんのお店を訪れた時に始動した、月の輪さんの最新古書目録「ぼくの青山光二」(2014/11/28参照)の上梓を、遅ればせながら祝う会を開催しようと目論んだのである。『靖国通り』を歩いていると、色んな古本屋さんが月の輪さんの久々神保町出現に驚き、声を掛けて行く。おぉ、いつもとはひと味違う神保町が、扉を開いている。そのまま近所の居酒屋に流れ、後はひたすら五時間に渡り古本屋話!途中嬉しいサプライズで「石神井書林」さんも同席!そこに飛び交った言葉を書き連ねて行くと、「お店を始めた当時は、どの店の棚も自分の店の棚より面白かった」「目録は活路ではないけど、ワクワクする道!」「一回の目録でやれることなんかたかがしれてるから、それを続けて行け!」「古本屋さんは“場所”じゃなくて“時間”なんだ!」「紙の弾丸を見せて、撃て!」「毎日市場に来なさい!」「心はみんなハイエナだ!」「記録したい!残したい!」などの実践的&哲学的な話の他に、その昔に石神井さんと月の輪さんが札幌にセドリ旅行をした話、赤いドリルさんがついに目録を製作!という楽しみな話、「なないろ文庫」田村さんの話、「中野書店」の話、「万歩書店」の話、阪神タイガースキャンプ中継の話など、あっちこっち飛び回りながらの刺激的な会話を、楽しくしたたかに酔っ払いながら拝聴する。わははは、愉快愉快。古本屋さんでないと分からない話も多かったが、巨人たちの思想や覚悟やハングリーさに触れられたのは、とても貴重な体験であった。というわけで未だに酔っ払いながら、これを書いているわけですが、この不思議な会は、これからも不定期に存続することが決定。気が付けばすっかり夜の更けた神保町。酔いと不思議な熱に浮かされた頭を揺らめかせ、古本街の暗闇に、それぞれが散らばり帰宅する。みなさまありがとうございました!
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左から「古書 赤いドリル」那須氏、「石神井書林」内堀氏、「月の輪書林」高橋氏。

※お知らせ
2/20発売の『週刊読書人』のワンコーナー『著者から読者へ』に「古本屋ツアー・イン・神保町」についての記事を寄稿しました。改めてこの本について書くのに苦労しましたが、我ながら不思議な文章に仕上がったと思うので、一読いただければ幸いです。
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2015年02月18日

2/18東京・西小山 ハイカラ横丁まるや

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用事をつなぎ合わせて、午後遅くに冷たい雨の中へ。地下を走る目蒲線でたどり着いた駅前も、凍りそうな雨に降られっ放しである。目指すは駅至近の、古本神・森英俊氏よりタレコミのあった紙物天国!ロータリーを囲む屋根の下をたどるように、雨に濡れずに南に進んで東に回り込んで行けば、屋根がそのままアーケードとなる、短い『西小山商店街』に突入することになる。するとすぐ左手二軒目に、昭和感漲る店舗が現れ、古いディズニー物とスヌーピー関連おもちゃとブリキ玩具の並ぶショーケース・特殊古着・古銭の盛られたお皿三枚・綿菓子製造機が並ぶ光景に少し戸惑う。店内の様子をそっとうかがうと、壁に昭和スターのサイン色紙・映画スピードポスター・ホーロー看板が飾られた、コンクリ土間の古めかしい空間。両の壁際には縦型ガラスケースが連続し、中央には木製の陳列棚が置かれている。お店は奥の狭い通路から、さらに奥の小部屋に続き、陳列棚とガラスケースが置かれた帳場となっている。そこからヌッと出て来たのは、法被を着込んだムーミンのヘムレンさん似の長身店主。アーケードに流れる映画音楽をフンフンハミングしながら、柔らかな声で「いらっしゃいませ」。それにしても視界に入る物はすべて、かつては時の流れと共に捨てられ忘れ去られた、懐かしい昭和の物体ばかりである。右側のガラスケースには特撮&アニメのソノシートや絵本やソフビ・ダイキャスト玩具・カルタ・付録漫画(藤子不二雄の「怪人二十面相」が!)・お菓子パッケージ類・ビン類・観光地図・鉄道切符が飾られ、左側のガラスケースにはおまけ類・スポーツ(主に野球と相撲)グッズ・文房具が飾られている。中央の陳列棚には、キャラ物弁当箱・絵葉書・歌本・漫画&スポーツ雑誌・アニメムック・スタンプブック・アニメ映画パンフ・古雑誌・企業宣伝雑誌・メンコ・マッチ・シール・消しゴム・カード・ブロマイド・団扇・講談雑誌・大衆雑誌・カストリ雑誌・駄玩具・紙物…あああああああああ、スゴい!昭和世界観のクオリティー高し!奥の壁際にはレコードと昭和時代和洋映画パンフが集まる。ケースに入った明治時代の新聞を覗き込み、壁にダランと下がった日活映画スターのサインが染め抜かれた『日活浴衣』をニヤニヤ眺めて奥に進むと、古人形・映画スターブロマイド・チラシ・ロビーカード・貸本漫画・雑誌附録・陶磁器が待ってくれていた。昭和三十〜四十年代を玩具・文房具・雑貨などで甦らせた、素敵なお店である。値段も財布に優しめなのが、また良い!散々時代の狭間と記憶の奥底に引きずり込まれながら、封印東宝映画「ノストラダムスの大予言」パンフ、108円の古マッチを三つ購入する。

そのマッチのうちのひとつは、かなり嬉しい日本最古の仏蘭西料理屋と言われる『龍土軒』のマッチであった。国木田独歩・島崎藤村・柳田國男・岩野泡鳴・田山花袋・小山内薫らが『龍土会』なる会合を開いたり、二・二六事件の反乱軍将校たちが頻繁に会合を開いていたお店として有名である。現在は別の場所で営業中だが、このマッチ裏の簡素な地図は旧店舗のものである。近くの『歩兵第三連隊』(現在跡地は国立新美術館に)に“元”が付けられているので、戦後すぐの仮設店舗時代のものではないだろうか。
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2015年02月17日

2/17東京・新宿 disk union シネマ館

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先日の中野でのトークショーが終わった後、広島から上京していた「古書あやかしや」さんに声を掛けられる。そしてタレ込まれる。「今だけかもしれませんが、ディスクユニオンのシネマ館が、大量のSF文庫を仕入れてます」と。ということで東口地上に出て、ロータリー南端から『新宿中央通り』を東に進む。小雨が降り始める中、ひとつ目の十字路を過ぎると、左手に黒いビルがすぐに現れ、ビル脇の地下階段から、昭和歌謡曲がデロデロ吹き出して来ている。その脇を掠め、奥のエレベーターで三階へ上がると、すぐにシネマ館の自動ドアである。入ると目の前には新刊棚が迫り、特撮関連が妙に目立っている。その裏側の中央通路に回り込むと、そこが四×四ボックス棚+膝下平台の古本ゾーン。SF映画系ビジュアル本・ハヤカワポケSF・映画原作本・映画一般・ゾンビ・特撮・SF漫画が堂々と並び、平台にはハヤカワSF文庫・創元推理SF文庫・サンリオSF文庫・乱歩少々がびっちりと。値段は普通を基本とし、良い本にはしっかり値が付けられている。ハヤカワ・SF・シリーズ「東京2065/生島治郎」を購入する。

ちょっと強くなり始めた雨に濡れながら『新宿通り』まで出て、「bookunion SHINJYUKU」(2011/11/10参照)にも足を運ぶ。棚にらしからぬ妙な本が紛れ込んでいるという噂を耳にしたのである。入って直ぐのカルチャー系ゾーンに目を凝らすと、確かに古い「夫婦生活読本」・絶版漫画・七十年代アニメ特撮絵本ソノシートなどが浮き上がっている。存在感薄く桜井文庫が並んでいるのを発見したので、「呪われた村/水木しげる」(江戸時代の山村を舞台にした「盗まれた街」の翻案作品である)を926円で購入。この本、最後に読者コーナーが付いており、その最後の最後にお便りのあて先として水木しげるの住所が載っており、さらに『原画ほしい人は二十円切手封入の上申込むこと。但し二・三ヶ月またされます』とある。…ほ、欲しいっ!
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2015年02月15日

2/15フェアと市をハシゴする

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●神奈川・センター南「有隣堂センター南駅店・古書フェア」
東横線日吉駅から乗り換えた横浜市営地下鉄グリーンラインは、小さく短い四両編成で、関東ローム層下の闇を疾駆する。センター北で、丘陵が都市に侵食されつつある地上に出て、至近の次駅で下車。ホームからさらに上の駅舎に上がり、改札を抜けて前進する。四角く延びる構内通路は、やがて明るく人工物だらけの広場に出るが、その手前右側の『有隣堂』前で、柱やウィンドウ前に細長く地味に広がる古本を満載した26のワゴンが、開始間もないのに多くの人を捕らえていた。雑本・横浜・歴史・絵本・児童書・ビジュアル洋書・文庫・新書・映画・宝塚・戦争・文学復刻本・雑誌・紙物・古書・全集・料理などが、お店ごとの様々な値で並んでいる。もちろん私は安い本狙いでかぶりつき、「ほづみ書店」「古書リネン」「橘書房」に魅入られる。通路を吹き抜ける冷たい風に震えながら、ひのまる出版社「探偵たん子」実業之日本社「忍法小説 怪異二挺根銃/山田風太郎」自由国民文庫「近世名勝負物語2 細菌の猟人・黄金街の覇者/村松梢風」新潮文庫「音楽少年漂流記/細野晴臣」を購入。市は今月24日まで。

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●東京・自由が丘「みかも一箱古本市」
来たコースを逆戻りし、自由が丘で下車。南口からお洒落な雑踏に吐き出され、『マリクレール通り』を東に進み、『自由通り』を南に進み、『奥沢教会』前で東に折れると、たちまち高級住宅街の中。その真っ直ぐな道の先に、こんもりとした緑が見えている。近付いて行くと、杉の生垣に囲まれた立木と小ぶりで瀟洒な洋館の屋根が見えている。まるっきり児童文学的ロケーションなのだが、ここは『読書空間みかも』というスペースで、今日は一箱古本市が開かれているのである。小さな門に近付くと「いらっしゃいませ」と、市の主催者である「まりら書房」さん(2009/03/23&2013/09/10参照)に声を掛けられる。いつぞやは何も買わずに失礼しましたと平身低頭しながら、ずーっと気になっていたことを聞いてみる。「あの、まりら書房の“まりら”は、やっぱり『赤毛のアン』から…」「そう。マリラとマシュウ。カスバートよ」とズバリ返って来た。やはりそうだったんですか。これが聞けただけでも来た甲斐がありましたと、八面六臂の活躍をするレインボーブックスさんにも挨拶し、いよいよ門内へ。踏み込んだ途端に、もう市は始まっていた。曲がりくねって玄関まで続く飛石の両脇に、古本や雑貨の入った箱が連続する。ひとつひとつ覗き込んで前進し、靴を脱いで邸内にお邪魔すると、玄関から廊下、それに応接間にかけて出店が続いて行く。出店は十五ほどで、本とも人とも距離が近く、しかも結構賑わっているので、誰が店主なのか客なのか微妙に分からぬほどに渾然!しかしそれが何やら人の間に親しみを生み出し、皆この古本修羅にも無垢な笑顔を投げ掛けてくれたりする。応接間に入り込む陽光と、人の優しさが胸にグサリ。それでもしっかりと古本は吟味し、やけに水木しげるの本が多いことを感じつつ、鶴書房「すばらしい超能力時代/北川幸比古」光文社古典新訳文庫「秘書綺譚/ブラックウッド」岩波書店「ききみみずきん/文・木下順二 絵・初山滋」味の素本舗鈴木商店「四季の支那料理」(以下、この本を買ったとき代金を預かってくれた隣りのご婦人との会話。「これは何の本?」「昔の支那料理の作り方の本です」「まぁ。お料理なさるの?」「いいえ、ただ読むんです」「えっ…」「あっ、こういう昔の本って、その当時の風俗や様子が分かって面白いんですよ」「まぁ…そうなの。でも料理はなさらないんでしょ」「えぇ、そうなんですけど。でも、ほら絵も載ってますし、あまり見ない料理も載ってますし、読むだけでも楽しめるんですよ」「そうなの…でも料理しないのに…不思議…」)を購入する。市はこれからも偶数月の第三日曜日に開かれるとのこと。
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2015年02月14日

2/14『かんだ冒険』の端緒に大谷光瑞を掘り出す

季刊誌『かんだ』連載ページの取材のために神保町へ。総武線に乗り、町にどんどん近付く間に、連載の冠タイトルを『神田を小さく冒険する』に決める。水道橋駅に着き、取材対象に向かいながら、店頭棚を覗き込み、古本をせせこまと買い込んで行く。そして取材後も、ちょこちょこ買い込み続ける。…うぅ、いかんぞ、止まらない…などとやっていたら、「原書房」(2014/05/15参照)の右側地べた木箱群の中から、大谷光瑞猊下記念會「大谷光瑞師の生涯/徳富蘇峯」を200円で掘り出すのに成功する。今日もやりましたよ、どひゃっほう!ペラペラとページを繰ると、美少年を集め世界各国をモチーフとした部屋があったという別荘『二樂荘』や、アジアを三蔵法師の如く冒険した『大谷探検隊』についても詳しく書かれている。また別行動探検中に、何度も消息が断絶する橘瑞超にもページが割かれ、彼の帰国後の大正元年の講演が『東京神田キリスト教青年會館』において行われたとの記述も。本講演の筆記を本にしたのが、2015/01/09の「万歩書店ツアー」で手に入れた、民友社「新疆探險記/橘瑞超師著」なのである!おぉ、ちゃんと本の出版についても書かれているぞ!別々な場所で入手した古本が、時空を超えてつながる瞬間を、ビリビリと味わう。改めて、「万歩書店」と神保町に、ありがとう!と言っておこう。

幸せを持続させて家に戻ったのがいけなかったのか、すぐに色々やらなければならぬのに、どうもいまいちエンジンがかからない。仕方がないので気分転換に創元推理文庫を家内から掻き集め、先日手に入れた宣伝プラ板に乗せてみたりしてみる。すると、素敵な光景が古本だらけの部屋の中に出現してしまった!…あぁ、これは幸せだ。俺は愚かな果報者だ。創元推理バンザイっ!もうこれを眺めながら、ビールでも飲み始めてしまおうか…。こんな風に何も手につかないまま、堕落した土曜日の夜が、ぐんぐん更けて行くのであった。
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※この宣伝プラ板は、しばらく「古ツアフェア@盛林堂再び!」にでも飾っておこうと思います。ただし非売品となります。
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2015年02月13日

2/13東京・牛込柳町 十二月書店

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一箱店主・脳天松家氏からのメールタレコミをきっかけにして表へ。最近タレコミツアー率が急上昇しているが、まさかこんな風にして、古本屋情報が集まる日が来るとは、思ってもみなかった…。東口地上へくるくると上がり切ると、そこは短い横丁。谷底のような『牛込柳町交差点』に出て、南東側に信号を渡る。そこから一本東側の裏通りに入れば、小さなお店が少しだけ並んでいる。雑然とした『わさびめし』屋の隣りに、申し訳なさそうに四冊百円の文庫箱&ミニ棚並べた、小さなお店がひっそりと、活字文化の花を咲かせていた。透かし彫りのようなロゴマークがあるサッシに手を掛けると、びくともしない。取っ手の上に『スグ戻ります』と書いた紙片が貼られている。仕方なく、気温が急降下する中、そこらをひと回り。すると路上に小さな『古本』の立看板が出現しており、戸も半開きになっている。スルリと古い洋館の通路のような店内に入ると、奥の帳場に座るボーイッシュなお姉さんが「いらっしゃいませ」。落ち着いた濃緑の壁紙が貼られた両の壁際に、様々な棚やテーブルなどが連続し、そこに各々古本が収められたり置かれたりしている。左側には入口横から、心理学・精神科学・オカルト・ビジュアルムック・日本現代文学・コミック・海外ファンタジー・さらに心理学・ペーパーバック・文庫・文学全集と奥まで続く。右には児童文学・新書・文学・心理学・文房具販売・実用・語学・古書入りトランク(大衆小説・学術書・囲碁・風俗・少女漫画・海外文学など)・絵本・児童文学と並び、足下には料理本箱なども置かれている。心理学・児童関連が目立ち、古書もしっかり存在感。値段は普通で、プレミア本や珍しい本には隙の見当たらぬしっかり値が付けられている。床に積み上がった未整理の児童文学が大いに気になってしまったので、店主に声を掛けると、今この場で値付けしてくれるとのこと。す、すみません。この二冊をお願いします。すると彼女はネット検索をして値札をペタリ。一冊は高額な絶版本だったので、あかね書房「金のゆりのひみつ/A・ゴレモス」だけをいただくことにする。都会の谷の底の、洋館の一室の如き小さな古本屋さんであった。
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2015年02月12日

2/12東京・成城学園前 成城堂書店

一抱えの古本と共に、毎度お馴染みの西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい、執念深く続く「古ツアフェア@盛林堂再び!」に最近の獲物も交えて補充する。そして先日手に入れた集団形星「風光る丘/小沼丹」(2015/02/09参照)の価値について、店主・小野氏に聞いてみると、嬉しいことに小沼丹一番のキキメ本とのことであった。3000円で買ったとしても、充分セドリが成立するほどの稀少な本!今、三日遅れで改めて宣言しよう。どひゃっほうであると!(『機動戦士ガンダム』ギレン・ザビ演説風)

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ランランと身も心も軽く、いつしか小田急線の人となり、成城学園前駅で下車。コメントタレコミで知った、絶版文庫を扱う新刊書店をツアーするためである。中央口から北口に出ると、アスファルトから並木が生え出す独特な街の景色。高級住宅街を意識してか、レンガで化粧された店舗が目立つ商店街を東に抜けると、細長くとも広大な敷地を誇る『成城大学』の端に触れるので、続いてその西側をなぞるように北に進む。するとすぐに正門前に至り、その正門から西に延びる並木道の初っ端の小さな十字路に、オレンジ色の日除けが巡らされた学校前の書店を発見する。その日除けに書かれた取扱ジャンルは、『法律・経済・民俗学』!何と硬派な!雑誌ラック三台の中に埋もれたような、サッシ扉を引き開けて中に入ると、早速左にムック棚、右に雑誌棚があるが、奥に広がるのはほとんど作業場&問屋的様相。しかも古い。左に一段高くなった大きな帳場があるがそこには誰もおらず、通路前の空間で老夫婦とその息子さんらしき方が、本の束と格闘している。通路らしきものは三本確認出来るが、左端はバックヤード化しているようで、右側は造り付けの壁棚に囲まれ、下は大きな平台を持っている。さらに真ん中には平台付きの背中合わせの棚が置かれている。通路には梱包された本の塊が積み上がるが、どうやらこちらの二本には入れるようだ。みなさんが作業している横を会釈して擦り抜け、真ん中の通路に遠慮しいしい進む。最初は岩波新書と中公新書の白い背の波が続くが、奥は壁棚一面に大量の岩波文庫が収まっている。学術的な薫りが物凄いが、下の平台には昭和五十〜六十年代の新潮文庫が、背を上に見せてズラ〜っと並ぶ。…確かに時が停まっている…。さらに入り難い右側の通路に移ると、ちくま文庫・創元推理文庫・中公文庫・海外文学文庫・講談社文庫・ハヤカワ文庫少々が、放置されたようにたっぷりと取り残されている。こちらも昭和五十〜六十年代のものが多く、絶版品切れも含まれる。しかしかなり古本的ではあるが、これらはすべて定価販売なのである。ふむふむと、背の並びと古い書店の雰囲気を楽しみ、二冊を手にする。しかしこの時、私の心は本よりも、あるひとつの物体に射止められてしまっていた…。通路の出口にいた老店主が本を受け取ると、いつの間にか帳場に移った若店主にリレーする。書皮の有無を聞かれ「古い本ですみません」と言われつつ精算。ドキドキしながらタイミングを見計らい、勇気を出して言葉を発する。「あの〜、非常にバカなお願いなんですが、もしよろしければ、あの文庫棚の『創元推理文庫』の宣伝札を、譲ってはいただけないでしょうか…」「え?そんなものありましたっけ?」と若店主は飛鳥のように通路に向かい、スパッと件の札を抜き出し舞い戻る。「これですか?いいですよ。お父さん、いいよね」「ああ」とあっけなくスムーズに、予想外の嬉しい物を手に入れてしまう。「こういうの、プラスチックなんで、みんな割れちゃうんですよ」「あのお代は?」「結構ですよ。お持ち下さい」とニッコリ。うぉ、成城堂さん、本当にありがとうございます!創元推理文庫「ミニ・ミステリ傑作選/エラリー・クイーン編」角川文庫「人喰い猫/バートン・ルーシェ」(共に一応新刊)を購入する。書皮は清水崑のプリティーな河童絵である。帰り道に「キヌタ文庫」(2009/10/25参照)にも寄ってみるが、残念ながら定休日であった。
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縦10センチ×横30センチ、ロゴマークがプリントしてある部分は2センチ。これを並ぶ文庫の下に差し込み、『創元推理文庫』のゾーンであることをアピールするのだ。昔は良く見かけていたのかもしれないが、記憶には残っていない。そんなものが、まさか書店に現存しているなんて…。あぁ、このロゴマークとジャンルマークが並んでいる幸福!またもや高らかに叫ぼう、どひゃっほうであると!
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2015年02月11日

2/11「なごやか文庫」初売り大古本市推参!

今年もこの日がやって来たかと、早起きしていそいそと身支度を整え、午前九時過ぎの西武新宿線。東村山駅西口からほぼ線路沿いに北に進み、まだ開場三十分前の『東村山社会福祉センター』内『「なごやか文庫」大古本市』(2014/02/09参照)に到着すると、駐車場は露店などで賑々しいが、センター内は静かでまだ人もほとんどいない。というわけで古本市会場入口には、前から四番目の好位置に陣取ることが出来た。良し、今年も入って直ぐ右の古書棚狙いだ!と三十分をジリジリソワソワハラハラと、壁の時計とにらめっこして過ごし、午前十時に迅速に、だが静かに会場に突入する。しかし!うぉ、古書棚がたったの一本半になってるじゃないか!しかも学術書多めだぁ…と大いに落胆しながらも、めげずに気になる本を抜き出して行く。するとあっという間に見終わってしまったので、ちょっと不完全燃焼気味になりながら、さらに獲物を求めて会場内を血眼回遊。…何だか今回は新しい本が多いなぁ…。結果、隣りの児童文学・CD・コミックゾーンも合わせ、十四冊を計2760円の一冊200円平均で購入する。二階のレコード・雑貨市も一応覗いてみるが、心の琴線に触れるものは特になし。ただ、壁際に並ぶレコード箱に張り付き、高速でレコードをチェックしまくる、“レコード修羅”の後姿が、雄々しく頼もしいだけであった。市は15日の日曜日まで。
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早速読み始めて面白いのは、白鳳社「岩波文庫物語/山崎安男」。昭和初期の円本ブームに乗り遅れたことから、ブームに背を向け、さらに逆手に取り出発する、清く正しく高尚な岩波文庫の歴史物語である。様々な作家と編集者が入り乱れて素敵な展開を見せてくれている。さらにボロボロの昭和七年十一月号「改造」を買ったわけは、夢野久作の『キチガヒ地獄(怪奇小説)』(はぁ〜、なんとストレートで麗しきタイトル!ちなみに角川文庫では『キチガイ地獄』となっている)が収録されていたため!タイトルカットは恐らく煙草の吸い殻であろうか。サインが『K・YOSIDA』とあるので、恐らく吉田謙吉ではないかと予想する。
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2015年02月09日

2/9神奈川 反町 孫悟空

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コメントタレコミに導かれ、東急東横線で横浜一歩手前まで進む。地下深くにあるホームから、長い時間をかけて地上に出ると、小さな駅前広場の向こうには『国道1号』がのさばっている。そのまま西に向かい、独特な片流れの屋根が途切れ途切れに架かる古い商店の前を掠めて行くと、すぐに『反町駅前交差点』。さらに先へ進んで、巨大三叉路『泉町交差点』に到達。対岸には、後で寄ろうと決めている「ひだ文庫」(2009/04/19参照)営業中の姿が、頼もしく輝いている。坂には上がらず道なりに国道を進めば、100mほどでいかがわしい装飾のお店が目に入り出す。一見は毒々しいアダルト店で、看板には店名由来の如意棒や筋斗雲らしきイラストが散りばめられている。賑々しい自動ドアから中に入れば、フィギュアや雑貨プラケースが出迎えてくれる。ごちゃごちゃと棚が迫って見通しは利かぬが、恐らく左側に三本の通路が潜み、右側の棚裏に帳場、そして正面最奥通路の向こうにアダルトゾーンが控えている模様。右には雑本の棚が見えているが、まずは真ん中通路に歩を進めると、コミック・グラビア雑誌・廉価コミック・VHSが棚の両側に蔓延っているが、下半分に文庫や単行本が、立体的に、そして二重にどっしりと詰まっているのが目に入る。こ、これは侮っていたな、と屈服するようにしゃがみ込み視線を走らせて行くと、おっ!買える、買えるぞ!とたちまち数冊を掴み出し、さらに目を血走らせて行く。通り側の通路は袋小路になっており、コミック・ノベルス・ソノラマ文庫(SF)・ラノベ・雑貨・ビジュアルムック・児童書などが集まっている。通路を引き返して最奥通路にに入り込む。ここで右側にようやく帳場が見え、どっしりした青年が作業中。ここにも文庫棚があり、それ以降は資格・ビジネス・文学中心雑本50音順・アダルトゾーン入口(人気)・新書・海外文学・辞書・映画DVD・絶版VHSが揃って行く。非常に雑本的であるが、アダルト店的外見に反して本の量は意外に多く、所々から面白い本がひょこっと見つかる。何たって本が安いのがいい。大体216円〜315円平均!ウハウハと小さな喜びを味わい、ちくま文庫「尾崎翠集成 上・下」「テロルの系譜/かわぐちかいじ」講談社大衆文学館「髑髏検校/横溝正史」CQ出版社「コミック版ハム問題集/すがやみつる」を購入する。二重の奥をしっかり掘り返せば、まだまだ買えそうだな…。

ビルの陰の寒さは厳しいが、足取り軽く「ひだ文庫」に向かい、店頭と狭い通路の店内をじっくりと見て行く。すると奥の通路でキラッと光ったのは、集団形星「風光る丘/小沼丹」である。昭和43年刊のユーモア小説だが、これは確か珍しいのでは…恐る恐る値段を見ると、3000円である。普通に考えると値は張るが、この本にしては安いのでは…か、確信が持てない…ぐっ、買うべきか、買わざるべきか…本を手にしたまま、凍ったように動きを停めて、かなり悩む。…あっ、そうか。この話は確か未知谷から再刊されたはずだが、定価は3000円以上したはずだ。ならば、こっちの方がお得じゃないか。何たってオリジナルだし、と己の説得に成功し、ようやく心を決める。帳場でオヤジさんに本を手渡すと、「オッ」と声を上げ、一瞬色めき立つ。他に学研「クトゥルー怪異録」角川書店「喘ぎ泣く死美人/横溝正史」と合わせ、計3500円で購入してしまう。
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小沼本の価値については、追跡調査しなければ…。
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2015年02月07日

2/7茨城を彷徨い谷口ジローの超初期単行本を手に入れる

昨日のトーク打ち合わせ時に、野村宏平氏から魅力的なタレコミをひとついただく。良し、早速明日行くぞ!と決心したら、同席していた森英俊氏も嬉しそうに同行すると言う。古本神からのタレコミに、古本神が同行…。ということで本日、午前中から神保町を経由して、これから遠くの古本屋さんを目指すというのに結構古本を買ってしまい、森氏との待ち合わせ場所に到着。一時間ほどかけて千葉と茨城の県境にあったお店へと急行する…だが、閉まっている!営業感無く、閉まっている!神と共にあっけなく敗走…しかし夜になって、森氏の執念により、お店の関係者とコンタクトが取れ、実はもう閉店しているのだが、本はちゃんと残っているらしいので、どうやら再訪に漕ぎ着けられそうな感触。というわけで近日中に再訪予定なので、めげずにツアーして参ります!

敗走後に我孫子駅で神と別れ、こちらは常磐線で北上し、久々の牛久に降り立つ。駅から北に二キロほど歩いて「尚文堂」(2009/04/23参照)にたどり着くが、シャッターが下りてしまっている…本日二度目の敗走である。駅までテクテクとすぐに戻り、そのまま南に一キロほどさらにトボトボ歩いて「高島書店」(2009/04/23参照)に到達。
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おぉ!開いている!と乱雑の極みな店内に飛び込み、もはや各通路が放置された本の山のリアス式海岸状態に、波のように寄せては返し懸命に挑み、ついに一冊の埃にまみれた素晴らしい本を掘り出すのに成功する。それは集英社「学習漫画 シートン動物記4 裏町の野良ネコ/漫画 谷口治郎」である!察しの良い方はすでにピンと来ているだろうが、漫画家の名は谷口ジローの本名!1974年刊行のこの学習漫画シリーズは、恐らく谷口ジローの初単行本なのではないだろうか。他にも同シリーズで「狼王ロボ」「白いトナカイの伝説」「少年とオオヤマネコ」を担当しているので、いつの日かコンプリートしたいという野望が、ムラムラと湧き起こる。本は100円で購入する。
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この後は陽がグングン落ち始め、夕闇が濃くなって行く田園地帯を歩き詰め、佐貫の「藤代書房」も見に行ってみるが、いつもの如く開いていなかった…本日三度目の敗走である。すっかり疲れた足を引き摺り、外灯の無い暗闇の中を、遠い駅の灯を目指して、仕方なく歩き続ける…。

追伸:「シートン動物記」に比肩する本日の収穫は、神保町「丸沼書店」(2009/12/17参照)店頭にて500円で手に入れた、桃源社「書物の楽園/庄司浅水」である。函から本を取り出し見返しを開くと、そこには先日閉店した「中野書店」(2015/01/21参照)行の未使用ハガキが挟まっていた。何と『神田古書センター5F』時代のものである!さらに扉裏には『本のない人生ほど寂しいものはない』の識語署名が!よっしゃ、本もハガキも大事にするぞ。
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目的のお店には袖にされたが、古本には恵まれた一日となる。
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2015年02月06日

2/6東京・中野 まんだらけ海馬リニューアル!

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平日の正午直前に『中野ブロードウェイ』の長いエスカレーターを上がっている。三階で裏にぐるっと回り込んで階段を上がり、西寄りのレッドカーペット風模様の廊下を北に向かって進んで行くと、そこに拡張リニューアルした「まんだらけ海馬」(2014/0215参照)の姿があった。まだオープンはしておらず、各通路にはプラスチックの黄色い鎖が渡され、すでに十人ほどの列が静かに礼儀正しく開店を待ち構えている。しかしすぐに、店員さんが慌ただしく行き来する中、正午となりリニューアルオープン。細い通路に全員がたちまち吸い込まれて行く。以前と大きく変わった部分はやはり増床部分で、今までの海馬に接続するように、以前は通路に面してガラスケースの並んでいた東側南部分が、赤と鉄で出来た大きな売場となっていた。壁際はほぼガラスケースで囲まれ、ジュニアミステリ&SF・詩集(田村隆一「四千の日と夜」が!欲しい!)・武道・オカルト・タレント・アングラ・写真集・日本文学のプレミア本が、ギラギラと底無しの物欲を刺激して飾られている。フロアには、左側に縦向きに可動棚が三本、右にも可動棚が横向きに二本置かれている。そしてその周囲には古本が挿されたカゴが無数に置かれている。右側手前には児童文学と絵本。第二通路には「こどものとも」・古絵本・少年少女古雑誌・雑誌附録・地図や紙物・日本文学が集まる。最奥には芥川&直木賞・文芸古書・本関連・詩集が並び、壁棚には寺山修司・唐十郎・暗黒舞踏・海外文学・海外幻想文学。左側には真ん中から順番に、写真集・写真関連・デザイン・アート・建築・ファッション・少女と続いて行く。他に大幅に変わったのは北奥のフロアで、壁際がジュブナイルで新たに埋め尽くされ、講談・伝記・名作・少女・SF・探偵などをびっしりと揃えている。端っこにはオカルト棚も出現している。また中央通路がが探偵・ミステリ・SF通路となり、ガラスケース前はオカルト通路に姿を変えている。写真集・アート関連とジュブナイルが棚を大いに増やし、充実した展開を見せている。質ももちろん良いのだが、やはりおいそれと手は出せない値段が多いのでので、安めの本ばかりを手中に収めてしまう。学習研究社「うつくしいこころ おはなしのくに」(表紙絵が茂田井武)同和春秋社「羊かいの少女/大木惇夫」「少年スパイ/A・ドーデー」を計1800円で購入する。それにしても、次々とガラスケースが開く様は、なかなか壮観である。皆、買う気満々で来ているのだな。素晴らしい!

などと感心した後、別室で日曜のトークについて打ち合わせをする。その際に恥ずかしながら、古本神の森英俊氏と野村宏平氏に「偕成社ジュニア探偵小説資料集」へのサインをお願いする。それも、あえて小学生風な平仮名記名サインを!そしたら気付かぬうちにサインが掠れ、さらにそれっぽくなってしまった…あぁ!
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昨年末に盛林堂ミステリアス文庫より発売された「本の探偵1 偕成社ジュニア探偵小説資料集」のトークショーが「まんだらけ中野店 海馬」で開かれることが決定しました。そこに何故かゲストとして登壇する羽目に陥りましたので、ニコニコしながら二人の古本神の神々しいトークを、間近で楽しもうと思っております。
■「本の探偵1 偕成社ジュニア探偵小説資料集」発売記念サイン会&トークショー
■日時:2015年2月8日(日) 14時〜
■出演者:森英俊、野村宏平
 ゲスト:小野純一(盛林堂書房)、小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■参加方法:偕成社ジュニア探偵小説資料集を所有(購入)されていて、まんだらけ中野店の「海馬」までご予約のご連絡された方
詳しくは下記サイトをご覧ください。
http://www.mandarake.co.jp/information/sale/junior_tantei/
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2015年02月04日

2/4勢いで「火制地帯」を買ってユマニテへ。

お昼過ぎに西荻窪で、一段減った「古ツアフェア@盛林堂再び!」棚に補充し、さらに三ヶ月動かなかった本たちを抜き取り、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に買い取ってもらう。そして先月の売り上げを受け取り、調子に乗って読みたかった盗作騒動絶版書、浪速書房「火制地帯/大藪春彦」(函ナシ。読むだけでいいんだからと、強く己に言い聞かせ、高い完品は唇を噛んでスルー…)を4000円で購入する。半月前にどひゃっほう!と手に入れた「殺意という名の家畜」を読了したばかりなので、間髪入れず和製ハードボイルド読書タイムをつなぐ日々を、送ることにしよう。
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函ナシの本体の絵柄は寂しいので、二色刷り扉の写真をどうぞ。

続いて駅北側に抜けて「音羽館」(2009/06/04参照)へ。広瀬氏から耳寄りな古本屋情報を入手しながら、芙蓉書房「失われた兵士たち/野呂邦暢」を800円で購入する。さらに何処かに行きたいのだが、今日はそれほど余裕無くタイムリミットがあるので、近場の消息が気になっているお店を見に行くことにする。

国立駅で下車して、南東に『旭通り』をズカズカ歩き続け、元「谷川書店」(2009/06/22参照)がまだ空きテナントなのを横目に、国立の奥へ分け入って行くと、おぉ!フクロウのイラストが目印の「ユマニテ書店」(2009/06/22参照)はしっかりと健在!お店の中もそのままに健在!
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古い本が多めの、外気温そのままの店内を静かに探り、五年前の目と違う目で、虎視眈々と掘り出し物を求めてしまう。結局、ゆまに書房「黄金孔雀/島田一男」角川文庫「呪いの館/ホーソン」を計1250円で購入し、さしたる掘り出し物も見つけられずに、消息確認を無事に終える。ひっそりとでも営業を続けてくれていて、本当に良かった。さぁ早く、「火制地帯」を早速読みながら、帰らなければ…。
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2015年02月03日

2/3神奈川・鶴見 道具屋C,1

閉まっているのを覚悟して、京浜東北線に乗って古本屋さんの幻影を追い求める。東口に出て、京浜急行の高架を潜り『第一京浜』に出る。中央分離帯に生い茂る緑を見上げ、南にスタスタ進めば、やがて『本町通入口交差点』。東に向かって行く手がパァッと開けると共に、潮の香りが鼻をくすぐる。幅が100mほどと雄大になった鶴見川を、湾曲した潮見橋で渡る。橋の上には何故だか警官が五人も集まっている。橋を渡り切ると、ごちゃついた裏町的な鶴見から、川を隔てたうらぶれた下町へと変化する。真っ直ぐ進めば、歩道に屋根の架かる『本町通商店街』で、半分ほど開いているのは、ほとんどが昔ながらの個人商店である。そのひとつに、目指して来た古本屋さんを見出すが、残念ながらシャッターは下ろされたまま。
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看板やテント日除けはしっかりしているが、予想通り長らく営業していない雰囲気が漂う。はぁ…この長細いお店には、どんな棚と古本が並んでいたのだろうか…。古本修羅の習慣として、いたずらに想像を逞しくして、来た道を引き返す。残念な結果であるが、実はそう落胆はしていない。何故なら途中の古道具屋さんの奥に、古本棚があるのを目撃していたからである!

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潮見橋からは100mほどの右手、店頭歩道に古着や古雑貨を並べたお店がある。中に入ると、昭和的に古く横長で、右側ガラスケースの奥に、大小の棚を寄せ集めた古本ゾーンが見えている。棚の上にはダンボール製の『BOOK』看板が乗り、古本が決してないがしろにされていないのが伝わって来る。単行本・文庫本・ムックが200冊ほど並ぶが、妙に高尚で文芸的で、出版や本関連が目立っている。つまりは街のような大衆性があまり認められないのだ。単行本は500円で文庫は200円。ちくま文庫「たましいの場所/早川義夫」を購入する。

橋の向こうに戻って、裏町にある「閑古堂書店」(2009/04/05参照)に立ち寄る。店主と言葉を交わし、右奥の通路に入れるようになったことを讃え、カッパ・ノベルス「虹の舞台/陳舜臣」集英社文庫「恐怖省/堀晃」双葉社「別冊実話特報 歴史の蔭に踊った世界の海賊・群盗」を計700円で購入。陽が落ち始めて気温の段々下がる中、続いて西口の「西田書店」(2010/01/07参照)。ぬぉ!今日は店頭棚との相性が、物凄くグッドな気配だと、たちまち七冊を手にしてしまう。第二書房「女探偵/中山保江」(序文江戸川乱歩)角川書店「愚連隊/獅子文六」駿河台書房「冗談十年(上)/三木鶏郎」(裸本)アロー出版社「森村誠一氏推理小説の間違い探し/秋庭俊孝」とここまではまぁまぁ。しかしその後は見事なまでのどひゃっほう三連発に!小山書店「乗合馬車/中里恒子」(函ナシ。奥付の印影は何故か横光利一作!)新潮社「反少女の灰皿/矢川澄子」(わりと珍しく、奇麗な本でパラフィンも掛かっているのに何故100円?)譚奇會「不適応者の群れ(下)/珠州九」(千草忠夫別名儀のSFSM小説。さし絵は椋陽児!)を、やった!とガサガサ抱え込み、店頭の木の下で興奮。もう一度漏れがないかすべての棚をチェックして店内に駆け込み、計700円で購入する。ありがとう鶴見。ありがとう西田書店!
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左から「乗合馬車」「不定応者の群れ(下)」「反少女の灰皿」。
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2015年02月02日

2/2東京・高円寺 古書サンカクヤマ

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陽の当たらぬ、北風の吹き抜ける『早稲田通り』を、あまりの寒さに戦きながら東へ。先ほど暖かい部屋で昼食を摂っていた身体は、あっという間に凍えてしまった。向かうのは昨日オープンしたばかりの、出来立てホヤホヤの古本屋さんである。駅からは北口に出て、西寄りの『高円寺純情商店街』を北に突破。突き当たったら西に曲がり、『庚申通り商店街』をさらに北へ向かう。通りのシンボルである『庚申塔』に挨拶をし、段々『早稲田通り』が近付いて来ると、右手大きな赤い日除けのやきとり屋の向かいに、立花の飾られた新しいお店が出現していた。大きなガラスウィンドウには、無機質なスチール本棚の裏側が見えており、その前に小さな単行本100均台と雑誌箱が置かれている。左の入口から店内へ。空間と通路はゆったり目でわりと広く、しっかりとしたスチール棚が壁を覆っている。フロア右寄りに背中合わせの棚が横向きに三本置かれ、左側に帳場が造られている。そこに立ち、忙しく働くのは、キノコ頭のうら若き女性店主である。店内をぐるっと見回すと、昨日のオープンラッシュのせいか、はたまた品不足か、棚にブランクがあったり、面陳して飾り棚として使っている部分が多いようだ。なので棚の様子は、今後も変化発展する可能性が大いにある。入ってすぐ左には50均文庫と100均ポケミスで一本棚が造られ、田辺聖子・エッセイ・政治・文学などが把握し難く続く。帳場下にはコミックが主に集まる。右の窓際にはグラビア雑誌やファッション誌やムックが集まり、「Rolling Stone」誌も置かれている。向かいは大体300~500円の安安単行本棚である。高い右壁棚には絵本・児童文学・洋書絵本・音楽・映画・美術が並び飾られ、奥に民俗学・宗教が続く(フーディーニの本、欲しいが三千円かぁ)。第二通路は少しの文芸本とセレクトコミックが収まり、第三通路は文庫で埋められている。そして最奥では、布を掛けられた未整理本が塊を成し、周囲の棚は飾り棚として使われている。まだ、古本坩堝然としてあまり形の定まっていない、船出したばかりのお店である。これから日々を古本屋さんとして過ごすことにより、少しずつ棚と志向を固め、無二の楽しいお店を高円寺の古本屋さんとして、築き上げていただきたい。その変化と奮闘っぷりがとても楽しみだが、まずは高円寺古本屋散策ルートに、新たなアクセントが加わったことが何よりも嬉しいのである。値段は安め〜普通。評論社「夜中 出あるくものたち/ジョン・メイスフィールド」を購入。開店おめでとうございます!

お店を出て住宅街を長く横切り『あづま通り』へ出る。閉店した「サンダル文庫」(2010/08/18参照)を寂しく思い出しながら、「越後家書店」(2009/05/16参照)店頭と隙間の壁棚で、凍ったような本を漁る。講談社「妖都/津原泰水」学研中学生傑作文庫「なぞの紙片/ルブラン」旺文社高二グリーン文庫「青春の詩/山本太郎編」(山本太郎の感性が尖った詩アンソロジー。村山槐多・山之口獏・草野心平・小熊秀雄・安西均・田村隆一など、通り一遍なセレクトとは一線を画す、詩界への扉である。果たしてこれを読み、何人がその扉に手を掛けたのだろうか…)「世界の青春 男女交際お国ぶり」を計200円で購入する。
posted by tokusan at 18:43| Comment(0) | TrackBack(1) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする