2015年03月31日

3/31東京・仙川 文紀堂書店

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3/10に池ノ上のお店(2008/09/02参照)が閉店したと思ったら、息つく間もなく新店舗が始動してしまっていた。素晴らしい計画性に恐れ入りながら、京王線を乗り捨てて地上の南ロータリーに出ると、満開の桜が覆い被さるように枝を広げ、何とも言えぬ幻想的な駅前と化している。花吹雪を浴びながら南へ。二つ目の交差点を東に入ると、小さな商店街となり、その先に小洒落た低層ビルが向かい合う交差点。その間をさらに東に進み、幼稚園を越えた左手マンション一階に、三日月のイラストをあしらった古本屋さんの看板が見えて来た。緑の日除けの下は、旧店舗のような賑々しさは鳴りを潜め、100均単行本&文庫ワゴンが一台と、ガラスウィンドウの角に児童文学と絵本の小さな飾り棚があるのみ。ちょっと力のいるドアを開けて中に入ると、内装の木の薫りがまだ鮮やかな、洒落た今時の空間。壁棚に囲まれたフロアには、左に長い背中合わせの棚が一本、右に短い背中合わせの棚が一本置かれ、都合三本の通路を造り出している。奥に木製カウンターの帳場があり、文紀堂の若店主が、キュッキュッと本を磨いている。密やかな違う場所での再会を祝しながら、木床を踏み締めて左端の通路へ。壁棚に郷土・民俗学・歴史・自然科学・哲学・海外文学・日本文学・映画・音楽・演劇・伝統芸能と並び、帳場脇棚の本関連・ミステリ・幻想文学・古書につながる。向かいには教養系文庫・新書・講談社学術&文芸文庫・ちくま文庫など。真ん中通路には、児童文学・子供用本・辞書・日本文学文庫・海外文学文庫・絶版漫画・詩集が集まる。ウィンドウ前の絵本は右壁棚にも領土を広げており、その奥にビジュアルムック・美術・作品集・大判の写真集を下段に備える自然・建築・写真・昭和風俗が帳場脇まで続く。向かいの小さな通路棚には食&料理が収まる。旧店舗の店頭、そして左側通路が大きく広がり、雑然さゼロのキレイなお店になった。蛹が蝶に羽化したかのように、旧態依然の古本屋臭さを脱ぎ捨てたのである。なので古書が少なく、掘り出し感が薄くなったのは大変残念である。しかし街に寄り添う古本屋さんを選択した意志は、大いに尊重したい。値段はちょい安〜普通。集英社コバルト文庫「万葉姉妹/川端康成」を500円で購入。移転開店、おめでとうございます!

駅へと戻る途中で、細路地の「ツヅキ堂書店 仙川店」(2009/08/20参照)に立ち寄り、神奈川県古書会館の講演で何度もお世話になった、店長の石本氏と久々に対面。お店自体もずいぶん久しぶりだったが、改めて新鮮に楽しみ、講談社文芸文庫「大陸の細道/木山捷平」河出文庫「男の旅行カバン/くろすとしゆき」思潮社現代詩文庫「尾形亀之助詩集」毎日新聞社「春来る鬼/須知徳平」を計700円で購入する。

※お知らせ
いよいよ「野呂邦暢 古本屋写真集」の発売までおよそ一週間と迫りましたが、写真集の発売にあわせ、写真展&ミニ古本市&トークを4/11(土)に開催いたします。予約受付終了した写真集も、当日は会場で販売。おそらくこの日は、野呂邦暢まみれの一日となることでしょう。まさか写真集が発売され、こんなイベントが開かれることになるなんて、恐らく草葉の陰で野呂さんは、苦笑いしているのではないでしょうか。東京でのひと月早い『菖蒲忌』ということで、奮ってご参加ください!

■『野呂邦暢古本屋写真集』刊行記念イベント<野呂邦暢古本屋写真展&ミニ古本市>
日時:2015年4月11日(土)
時間:11時〜17時
場所:銀盛会館1階
概要:写真集刊行にあたって、写真集掲載写真及び使用しなかった写真の展示を行います。併設して岡崎武志さん、小山力也さんによるミニ古本市を開催いたします。

■野呂邦暢古本屋写真集刊行記念トークイベント
<野呂邦暢古本屋写真集制作の裏話>
日時:2015年4月11日(土) 17:00開場/17:30開演
終演:20時(予定)
場所:銀盛会館 2階  (西荻窪駅南口から徒歩8分 杉並区西荻南2-18-4)
参加費:1,000円
定員:25名
出演:岡崎武志(書評家、古本ライター)・小山力也(「古本屋ツアー・イン・ジャパン」管理人)
写真集編者のお二人に写真集刊行までの経緯、裏話等をしていただきます。
予約は『西荻ブックマーク』まで→http://nishiogi-bookmark.org/2015/
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2015年03月29日

3/29東京・神保町 春の古本まつり

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つい二日前にちらと覗き込み、春陽堂少年文庫「アラビヤンナイト/日夏耿之介」を掘り出した、『靖国通り』沿いに78のワゴンが並んだ、三日間の屋外古本市の最終日である。秋の「神田古本まつり」(2008/10/28参照)から比べれば、ワゴン数は半分以下だが、プラスチックの桜が飾られたり、甘酒が配られたり、花見客が流れ込んで来たりと、なかなかの華やかさと賑わいを見せている。もはや掘り出し物も手にしているし、それに継続中の秘密取材の一環なので、それほどがっつくことなく、各ワゴンを落ち着いた優雅な気持ちでこなして行く。そう言えば今日は日曜日で定休日のお店が多いはずなのに、どこもしっかりとシャッターを上げている。賑わう日曜の古本屋街は、ハレの日を謳歌して、目の前でキラキラと輝いている。だからワゴンに負けじと、店頭に安売り台や箱をいつも以上に並べているお店にもグイグイと引き寄せられ、結構散財してしまう。特に良かったのは「八木書店」(2013/07/24参照)の店頭プラ箱で、つい先日は無味乾燥な文学全集がギチギチに詰められていたのに、今日は300均絶版文庫がびっしりと放り込まれている。良質の絶版文庫棚がそのまま外に出てしまったような光景にヨダレが止まらなくなる。ちくま文庫の質が高く、際限なく手を出してしまいそうになるが、ここはぐっと我慢して講談社少年倶楽部文庫「金色の魔術師」「地底の都」共に横溝正史と春陽堂日本探偵小説全集「不連続殺人事件/坂口安吾」を計900円で購入。まつりを充分に堪能しながら、斜向い出店の100均文庫ワゴンを覗き込む。おぉ!最前列で、角川文庫「八つ墓村/横溝正史」(再販白背)が待ってくれていたので、ブルルと震えて買わさせていただく。やがてゴールの『駿河台下交差点』。密かに上昇した文庫運を身の内に感じ、まつり会場を鼻歌混じりに後にする。
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2015年03月28日

3/28東京・吉祥寺 バサラブックス

今日もわりと早起きして西東京方面へ。毎年楽しみにしている小平図書館友の会主催「第17回チャリティ古本市」に参戦する。開場までまだ三十分あるのに、廊下にはすでに長蛇の列が出来上がっていた状態なので、午前十時の会場内は怒濤の大混雑。このままだと、全員が身動きとれなくなり、古本と人の雪隠詰めが完成してしまうのでは、と危惧してしまう。しかしどうにか擦り抜けこじ入れ古本タワーを両腕の中に築き上げ、二十一冊を計890円で購入する。その中でも素晴らしき収穫は、あかね書房少年少女世界推理文学全集NO.3「赤い家の秘密 黄色いへやのなぞ/ミルン ルルー」小学館入門百科シリーズ「世界ミステリーゾーン/和巻耿介」であろうか。
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もう一度会場内に突入したかったのだが、人波は増えることはあれ引かず、混雑は増すばかり。仕方なく再突入をあきらめ、西武国分寺線→中央線と乗り継ぎ、お花見客で街全体が古本市会場のように混み合う吉祥寺へ。

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『公園口』から出て『パークロード』を西へ向かい、昨日新装開店した古本屋さんの前に立つ。長い長い、ほとんど一年に渡るリニューアル休眠期間を経ての開店である(2014/12/13参照)。三角形敷地の打ちっ放しコンクリ小ビル一階。店頭には以前から使われている鉄製の立看板・小さな安売り単行本棚・100均文庫箱・200均雑誌単行本&100均文庫棚。ちょっと不思議なものも並んでいるなと二冊をつかんで店内へ。奥にすぼまる形で、左壁には本棚一本+五本の壁棚が続き、セレクトカルトコミック・セレクト日本文学・海外文学・本関連・サブカル・現代思想。右にはオススメ本&文庫や絵本に彩られた帳場があり、テイ・トウワのような若者が働いている。死角になった右奥には、映画・音楽・アート・講談社学術&文芸文庫・セレクト日本文学文庫・幻想文学・幻想文学文庫・海外文学文庫・絶版文庫・サンリオSF文庫が並んで行く。小さな店内の構成はとてもすっきりとしたが、あの特徴あったおかしないかがわしさは消滅し、至極真っ当な古本屋さんに生まれ変わったようだ。とっても優等生な「BASARA BOOKS」…これからどんな古本道を歩んで行くのだろうか…。値段は普通〜高め。講談社漫画文庫「八つ墓村1・2/横溝正史 影丸譲也」を計200円で購入する。
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2015年03月27日

3/27アラビヤンナイトでどひゃっほう!

早くから動き出し、未だ継続中の秘密の取材で「五反田遊古会」(2013/01/19参照)から神保町の「和洋会」へとハシゴして、嬉しい収穫を得ると同時に激しく消耗する。普段お店ばかりを巡っている身には、古本市での力配分や肉弾戦&神経戦が、身体と精神をガシガシ蝕むのだ。…しかし、楽しいな!古本市!その楽しみ方や買い方に、何だか覚醒しつつあるのだが、同時に畏れも少しずつ芽生え始めている…それはたくさん古本を購入してしまう恐怖…これは気をつけなければと気付きながらも、覚醒し始めた古本修羅の心に歯止めを掛けるのは至難の技…。

そんなことをツラツラ考えながら、神保町の『靖国通り』を歩いていると、すでに「春の古本まつり」のワゴンが並んでしまっている。これらも秘密裏に取材しなければならないのだが、今日はちょっと見るだけに留めておこうと、背を見せて並ぶ海のような古本の群れを、視野に流し続けて行く。『三省堂書店』近くの鈍い曲がり角に、「古書かんたんむ」(2011/12/31参照)の文庫ワゴンが連なっている。右に行くほど時代が古くなり、茶色度が増して行く。その一番端のワゴンの上の列で、古本アラートランプを点灯させる異質な文庫本が一冊、オーラを纏って抜き出されるのを待ってくれていた。おぉぉぅ!春陽堂少年文庫「アラビヤンナイト5/日夏耿之介」!まさか出会える日が来るなんて!しかも神保町で!興奮を隠しながら手にすると100円なので、正々堂々“どひゃっほう”と喜悦する。長らく探している本であるが、六冊シリーズのうちの一冊が、ついに我が手に!そして後五冊を求める長い旅路が、今この時からスタートしたのである。

文庫を我が物として後ろを振り返ると、そこはかつて野呂邦暢が激写していた、今は亡き「大屋書房洋書部」の跡地である。もうすぐ発売の写真集に収まる過去の光景と現在が、二重焼きのようにシンクロする。おぉ、古本を買う喜び、今日も神保町にあり。
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2015年03月26日

3/26東京・吉祥寺 Main Tent

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今日は脳天松家氏のタレコミにより、吉祥寺の雑踏に紛れ込む。北口に出て駅前の『平和通り』を西に進み、続いて『吉祥寺通り』を北北東へ。巨大な東急を過ぎた所で、『大正通り』を西へ。角を曲がるごとに人影は減り、二本目の脇道を北北東に進んで行けば、さらにその思いは強くなって行く。かなり奥まで入り込み、行く手に『五日市街道』が見えて来ると、右手にウッドデッキを備えたコンクリ打ちっ放しのマンション。一階右側の店舗前の屋外デッキに、ライオンの大きなぬいぐるみが寝そべり、安売り絵本が散らばっていた。丸太の店名看板と、小さな児童文学箱を覗いてから、陽の光が飛び込む店内へ。打ちっ放しコンクリと木材が混在し、動物人形・ぬいぐるみ・アンティーク鍵・小さな椅子・瓶詰めの金貨などが所々に置かれ、正統派なメルヘン&子供用世界を演出している。奥のカウンターでは、インテリアと符合する洒落た衣装を身に着けた、サッカー長友風お兄さんが花粉症に苦しみながらも笑顔を振りまいている。左壁にまずは壁ラックが設置され、オススメ児童文学や絵本がディスプレイされている。その奥の棚には、大量の洋絵本が集まり、下段は自然・昆虫・動物・おばけなどの楽しいジャンル分けゾーンが展開。さらに奥に洋絵本&洋書絵本棚もあり。右側には低い棚が連なり、知的玩具類と共に幼児絵本・日本作家絵本が続き、奥に児童文学棚がスッと立ち上がる。正統派な絵本古書専門店である。子供が清く正しく健やかに育つための、様々な事柄の扉を集めたお店である。新しめの本が中心で、値段はちょい安〜普通。途中店主に切り株の椅子を勧められたり、精算時に松ぼっくりをプレゼントされたりと、こんなオッサンにも容赦無くメルヘン世界への扉を開いてくれる。誠にありがたいことである。福音館書店「くいしんぼうのあおむしくん/槇ひろし・作 前川欣三・画」(名作!)を購入する。
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2015年03月25日

3/25東京・小川町 手文庫

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情報屋「やまがら文庫」からの有力なタレコミにより、小川町へ急行。『小川町』『淡路町』『新御茶ノ水』の三駅が複雑に融合した地下から、『A6出口』を駆け上がる。『靖国通り』を西に進み、地図の『神谷書店』手前の路地にスッと曲がり込む。南に進んで小さな十字路を過ぎると、右手黄色いリサイクルショップの隣りに、小さな袖看板が下がるだけの、地味で目立たぬお店があった。外には何も出ていないので、ガラス扉を開いて中に入ると、簡素で長細いワンルーム的空間。左壁に五本の飾り気ゼロのスチール棚が並び、入口右横には二段のボックス棚。フロア真ん中には、使われていないアンティーク風折り畳み机と未整理文庫の山があり、右壁下には二段の低い棚が置かれている。そして奥の帳場には、ちょっと予想外の奥様風店主が座っており、文庫の山に挑みながら「いらっしゃいませ」。そして店内は、想像以上に古本屋さんである。左に並ぶのはすべて文庫本で、奥に一列に文庫が並び、手前に文庫揃い梱包ブロックが飾られている。なので奥の列がちょっと見難かったりする。教養文庫・講談社学術文庫・中公文庫・ミステリ&エンタメ・旺文社文庫・日本純文学系文庫・海外文学文庫・大量の岩波文庫と続く。ちょっと古めの70〜80年代品切れ絶版がよく目立つ。入口横には絵本が集まり、右側の棚には少量の雑貨と共に、暮しや骨董などのビジュアルムック&単行本が並ぶ。ほとんど文庫本のお店と言っても、過言ではない。しかし店内に祝花が飾られ、まだそれほど開店から日が経っていないようなので、今後の大きな変化も充分にあり得るであろう。とは言え、周囲は小さな飲食店が多いだけの路地裏。もう始まっている荒波の日々に、楽しく立ち向かわれることを祈りつつ、角川文庫「野鳥とともに/中西悟堂」を購入する。

そしていよいよ本日3/25(水)午後六時頃より、4/7(火)に盛林堂書房より発売の「野呂邦暢 古本屋写真集」の予約受付がスタートします。4/7から盛林堂の店頭でも発売されますが、確実に手に入れたい方は、お手数ですがどうかご予約ください。詳しくは盛林堂書房の通販サイト『書肆盛林堂』をご覧ください。予約は販売サイトかファックスのみですので、電話での受付はしておりません。ご注意下さい。
古本ファンの皆様、古本修羅の皆様、野呂ファンの皆様、どうかこの画期的な古本屋のみの写真集を、よろしくお願いいたします!
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2015年03月24日

3/24東京・新橋 路上古本販売

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まだまだ続く秘密の取材で、お昼過ぎの「新橋古本まつり」(2010/09/29参照)へ。『SL広場』に広がる、青と白のシマシマのテント群に突入して、一時間半を過ごしてしまう。最後に『日比谷口』近くのワゴンを食い入るように見ていると、視野の隅に違和感が…。くるりと、レンガ造りの高架を覆う工事フェンスパネルの方を振り返ると、うぉ!まるで古本まつりの一員のような路上古本販売が存在していた。しかもこれはかなりアナーキーだ。ビールケースを土台にしたマットレス寝床の上に、本が丁寧に並べられている。壁を利用して面陳された鬼平を核にした時代劇漫画雑誌、マットの上に面陳された時代劇文庫・「文藝春秋」・「雪国/川端康成」、そしてディスクのみのアダルトDVDが十枚ほど…寝床が店舗の、なかなか凄絶なディスプレイを興味深く眺めていると、隣りにサラリーマンが肩を並べ、素早くアダルトDVDに視線を走らせ始めた。そして脇に漫画を読みながら座る魔王のような白髯のオッチャンに「新しいの入ってないの?」と気安く声をかける。「あぁ、もう売れちゃったよ」「え〜!売れちゃったの〜」とどうやらこの路上販売のご常連らしいやりとり。売る方も買う方も、たくましいもんだ。私はそれほどたくましくないので、そそくさとその場を離れる。

山手線に乗って東京駅へ。『八重洲地下街』に潜り込んで、今月限りで閉店してしまう「R.S.BOOKS」(2008/07/03参照)を見に行く。閉店のアナウンスは何処にもないが、通路面店の方では200均文庫新書ワゴンセールが行われている。普段通りに小さな短い店内を通り、隣りの古書ルームに、ドアをグッと力強く押し込み入る。椅子に座って絵葉書を入念に選ぶ老人と共に、入口付近に巡らされた棚に注目。本の間から見つけた年数不明の冒険王四月号ふろく「少年事件記者 東京パトロール/武内つなよし」を1000円で購入し、もうすぐ東京駅から消えてしまう古本屋さんの思い出とする。
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2015年03月22日

3/22京都でTHE・お隣さんな二店!

急用で朝から京都に赴き、祇園の街をウロウロキョトキョト。己の身の丈に合わぬ、白昼に晒された夜の街から解放された後は、北上して古本屋さんに急行する。急げ。残り時間は、後一時間!

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●京阪三条「中井書房」
『11号階段』から、春の陽光降り注ぐ京都盆地に姿を現すと、横で鴨川がきらめく『川端通り』。躊躇することなくそこを北上して行き、『川端二条交差点』で『二条通り』に入って東へ。京都らしさはそこここに見受けられるが、わりと平凡な郊外の趣きを見せる通り。南側の歩道を進み、鈍いカーブをクリアすると、行く手に『本』の文字を掲げ、黄色い日除けを張り出した、二階建ての小ビルが見えて来た。近付くと一階に三店が入居しており、右端に『古書・古典籍』の「水明洞」、真ん中に『蔵書一代』の「中井書房」、そして左端にまたもや「水明洞」…これは一体…。しかし右端の「水明洞」に人影は見えない。なのでまずは真ん中の「中井書房」に、順当に突入する。端正で整頓が行き届き、右奥が通路のように延伸し、高校野球の中継が流れ、見事なまでに古本屋然としたオヤジさんが、帳場からチラリと頭を覗かせている。入口右横には安売り単行本ワゴンがあり、左横には美術図録&作品集棚が一本あり、本棚でフロアに生み出された通路は三本。右端には、壁際に食・料理・京都・文学評論・日本近代文学・文学古書&仙花紙本・詩集・本関連・言葉・動植物・自然科学・建築と、なかなか踏み込み難いバックヤード的な通路の奥まで棚は続く。向かいには海外文学・音楽・映画・辞書類。真ん中には性愛・幻想文学・岩波文庫・中公文庫・一般文庫・新書・宗教・民俗学・日本刀・文明が集まる。左端には、壁棚に美術・短歌・中国・韓国・歴史・郷土史・大型美術本が続き、帳場背後のプレミア大型本ガラスケースにつながる。向かいの通路棚には思想・社会科学・哲学・心理学・ちくま学芸文庫・講談社学術文庫・カメラ写真関連が収まる。折目正しく背筋正しく、硬めで幅広く知を司った古本屋さんである。むぅ、真面目だ。値段は普通。結構通路をうろつき悩み、真ん中通路から函入りのラジオ新書「伊能忠敬の測量日記/藤田元春」を取り出し、古道具も飾られた帳場で精算する。「おおきに」と本を手渡され、一万ドルくらいの優し気な古本屋さんスマイル。気持ち良くお店を後にする。

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●京阪三条「水明洞」
そしてすぐさま隣店店頭に視線をボトボト落とし始める。ビジュアル本が並ぶラックがひとつ、単行本の入った箱が三つ、和本や反古や古書の入った箱&カゴが八つほど。下赤塚「司書房」(2009/06/07参照)に雰囲気が似ていると感じて店内へ。そこは雑然とした古書と紙物の世界。床には箱や横積み本が並び、その箱内を高速でチェックする紙物修羅の出現に魂消てしまう。入口右横に古道具・紙物・駄玩具類の並ぶショウケースがあり、右壁沿いの紙物軍団・掛軸・扇・絵葉書などにつながって行く。右奥が少し広くなっており、左壁から奥壁までがカクカクと壁棚に覆われ、フロアに通路は三本。奥の広くなったスペースに、雑然さを孕んだ机がふたつあり、そのひとつにご婦人が腰掛け店番をしている。左壁は作家五十音順文庫から始まり、古書を混ぜ込んだ文学&一般本棚・大型美術本棚となる。向かいには古典文学・仏教・神道。真ん中通路は大型本がメインで、図録類・書・郷土・自然科学も揃える。右端通路は、戦争・日本刀・文学・建築・都市・美術などが交錯する。全体的に何となく掴み難さが漂っている。しかし見所は奥の壁棚スペースで、古書を中心として、歴史・文学・思想・社会・趣味・風俗が入り交じり、奥に少し固まった探偵小説&児童文学に魅せられてしまう。しかし本棚の前には大量の物が積み重なり、おいそれと手を伸ばし難い状況。そこでご婦人に「あの〜、ちょっと頑張って取ってみますんで、奥の本を見せてもらってもいいでしょうか?」と聞くと「あら、すみません。じゃあ…」と多少積み重なる物を退かし「ここに足を突っ込んで入ってみてください」とニコリ。喜び勇んで左足をガサガサと物品の山の隙間に差し入れて、棚に少し近付き、古本を吟味する。少女小説・甲賀三郎・「紅ばら團」(二冊!)などに興奮。どれもわりとしっかりした値段が…と、おかしな体勢のまま思い悩んでいると、棚の隅にあった榎本書店キング叢書「凄惨実談 ピストルの響/作者不明」を見つける。昭和二年発行、文庫サイズの分厚い本で、『実談』とあるからには猟奇事件実話物かと思っていたら、中をめくるとこれが何と怪盗ジゴマのパスティーシュ!フランスで死んだはずのジゴマが蘇生し、満州・朝鮮・日本と暴れ回る愉快な展開!ぐむむむと興奮し、値段もお手頃だったので帳場に差し出す。すると「探偵小説ね」と言われて精算。
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この表紙を見ただけでは、ジゴマ物とは到底分からない。そしてこの本について調べてみても、何の情報も浮かび上がらない。いわゆる『日本ジゴマ』とは別物のようだし…。ちなみにジゴマは日本では、警視庁の鬼探偵・島田刑事に追っかけられます。

あっという間の京都滞在を終え、素早く帰京。あぁ、一度でいいから、心置きなく京都の古本屋さんを巡り倒してみたいものだ。ただ古本を買うために。しかも何日も何日も。
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2015年03月21日

3/21古本屋の片隅で

「野呂邦暢 古本屋写真集」の校正をするため、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。古本屋の片隅で縮こまり、簡易校正紙に目玉をシュンシュン走らせて行く。じっくりと二度三度、古本屋の棚を見るが如くしつこく読み込んで行くと、あぁっ!間違いが!くぅ、ここにも!と何ヶ所か誤植が見つかってしまう。人間とはなかなか完璧になれぬものなのだな…。しかし、これで多分大丈夫なはずだ…いや、大丈夫なんだ!とついに私の手を離れ、すべての編集作業が無事に終了。後はドシドシ刷り上がり、本になるのを待つだけとなった。というわけでみなさま、この可愛い古本屋写真集を、どうぞよろしくお願いいたします!
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校正作業場は未整理本に囲まれた盛林堂の帳場横。写真は表紙と中ページの、ダブル野呂邦暢!

肩の荷をドバッと下ろし、背中に羽根でも生えたかのように足取り軽く荻窪まで歩き、「竹陽書房」(2008/08/23参照)で晶文社「素晴らしきなか映画/野口久光」を300円で購入して、そのままの足で「ささま書店」(2008/08/23参照)へ。小学館「幻景の街/前田愛」河出新書写真編「想い出のフランス映画/飯島正監修」白鳥社「星の伝説★神話/野尻抱影」を計725円で購入する。よし、明日は遠くに行くぞ!
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2015年03月19日

3/19「野呂邦暢 古本屋写真集」発売日決定!

全力で編集制作に携わって来た「野呂邦暢 古本屋写真集」が、どうにかデータの完成にこぎつけ、いよいよ印刷段階へと移行。一月に企画が動き出してから、岡崎氏に見せられた写真群に魅入られ、憑かれたかのように作業に没頭した二ヶ月間。印画紙に定着し残されていた四十年前の古本屋に、まさかこれほどの力があろうとは!そんな奇跡の古本屋三昧な写真集の発売日がついに決定!

■「野呂邦暢 古本屋写真集」
■編集:岡崎武志・小山力也
■夭折の芥川賞作家・野呂邦暢が、密かに撮りためていた古本屋写真が存在していた。
神保町・早稲田・渋谷・池袋と、拙く清冽で執拗なカメラアイが、七十年代の都市と古本屋を駆け巡っていた。
岡崎武志氏が遺族から託された、貴重なそれらの写真を一冊にまとめたのが『野呂邦暢 古本屋写真集』である。
■野呂邦暢古本屋エッセイ「澄んだ日」収録。
神保町・早稲田・渋谷・池袋・広島・荻窪の古本屋写真に加え、多数の店頭写真や野呂邦暢自宅本棚写真掲載。
さらに、野呂の写真に懸ける思いとその足跡を考察した「野呂邦暢の視線を追跡して」に加え、万感の思い溢れる岡崎武志氏の「あとがき」を収録。
■四月七日(火)に盛林堂書房より発売。
■通販予約開始は三月二十五日(水)夕方ごろより盛林堂書房の通販サイト『書肆盛林堂』にて
■定価2500円でB6版オールカラー並製全112ページ限定500部。盛林堂書房店頭にて販売。
■写真集発売に合わせ、四月十一日(土)に西荻窪『銀盛会館』でミニ写真展&ミニ古本市&トークショーを開催予定。こちらの詳細はまた後日お知らせいたします。
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2015年03月18日

3/18郡山に「てんとうふ」移転30%OFFセールを見に行く

今日は遠出しても大丈夫だろうと無理矢理思い込み、青春18きっぷを使って、接続悪く五時間かかって郡山。曇ってはいるが、東京同様汗ばむような陽気の白っぽい街を、独りズンズン歩いて行く。坂の途中の「古書てんとうふ 池ノ台本店」(2010/05/30参照)が見えて来ると、お店の駐車場に軽トラックが停まり、本棚を運び出そうとしている。どうやら店舗二階のものらしく、移転準備は着々と進んでしまっているようだ。入口階段下に立つと、ドアの横には『移転セール開催中 四月末頃迄』と大書された、捜査本部のような貼紙。そして奥に開かれた扉には『全品30%オフ』とある。
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中に入ると、古道具類の片付けに奔走するご婦人連が、キャアキャア楽しそうな声を上げている。背の高い本棚で造られた、通常通りの店内である古本ジャングルに、早速没入する。主に張り付いたのは、入口右横の児童文学関連と、奥から二番目の通路に固まる仙花紙本棚、そして奥壁一面の日本文学棚である。わりと粘って一時間弱…何か見つかりそうで見つからない焦りと、欲張りな心が、目を曇らせ決断力を鈍らせる。筑摩選書「偏奇館吟草/永井荷風」鱒書房「夕刊小僧/辻本芳雄」三省堂「ふるさとの繪/石森延男」(裸本、反り)を計1814円で購入する。セールは4/20まで。精算時に最新目録(何だ、この2ページ目に載っている大蔵出版少年少女よみもの全集「科学と冒険/香山滋」という本は!)と移転先の手作りコピー地図をいただく。「柴宮なんです」と、地元民にしか見当のつかぬ地名で説明され、チンプンカンプン…しかし、営業再開時には必ずツアーしに行かなければ!

坂道を下り、これで郡山は古本屋的にずいぶん寂しくなってしまうな、と切に感じてしまう。そして、このお店がもしかしたら、郡山の古本屋最後の砦になるのか?と面食らいながら、ギター・CD・古本の「徳本堂」(2010/05/30参照)への階段を駆け上がる。同居するスタジオでのバンド練習の切ない音をBGMに、相変わらずの激安雑本棚を素早くスキャン。講談社X文庫「ふたりと美少年とエトセトラ/津原やすみ」明治図書中学生文庫「消えたボーイフレンド/若松旺」学研オカルトノベルス「人形の呪い/スパージャー」蒼洋社「夕日と拳銃/檀一雄」を計650円で、共産圏平田満風オヤジさんに精算していただく。郡山の音楽と古本を、これからもよろしくお願いいたします!
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2015年03月17日

3/17田園調布一店の消息

相鉄線沿線にあった一店が、いつの間にかお店を畳んで事務所店化していたかと思っていたら、元住吉駅近くに移転していた。これはもしかしたら店舗として営業しているかも!とある程度期待して駆け付けるが、小さな古い商店街に、古本屋の姿など何処にも見当たらなかった。うぅむと腕組みをし、すっかり春の陽気の『綱島街道』をトボトボ北上して行く。かなりバカみたいに歩いて新丸子駅に着いたので「甘露書房」(2009/03/12参照)を覗いてみるが、シャッターがガッチリと下ろされていた。定休日か?残念。そこから東横線に飛び乗って、多摩川を越える。田園調布駅で東口の高級住宅街の中の坂を下り、下り切ったところで五年ぶりに出会った「田園りぶらりあ」(2010/03/31参照)は、しっかりと営業中であった。ほっと胸を撫で下ろしながら、角の入口から店内に入る。濁声のおやじさんは、帳場にすっぽりと収まり元気である。五本の、幅も長さも違う通路を行き来して、不変な硬さを保つ品揃えに敬意を払い、五年の歳月を取り戻すように棚に視線を巡らせて行く。ベースボール・マガジン社「謎の山 アムネ・マチン/レナード・クラーク 水谷準訳」(裸本)講談社「お菓子の家の魔女/宇野鴻一郎」第三書房「ポオ詩抄/日夏耿之介編著」を計900円で購入する。

高級住宅街の古本屋さんの麗しい現役営業にエールを送り、坂を上がって渋沢栄一が作った放射状の街路が美しい西口へ。日活映画『風速四十米』の1シーンを頭蓋内に上映しながら、ド金持ちの街に分け入って行く。どうしても見ておきたいお店があるのだと、奥へ奥へ。アミダくじのように複雑な道を進み、しばしば迷いながら、放射街路から外れると、その素晴らしいお店がこつ然と現れた。田園調布住宅街の真っただ中の新刊書店「玉泉堂書店」である。その店舗の姿は、昭和三十年代から一切変わっていないかのように、素っ気なく古い。途端にズルリと時間の襞に落ち込み、遥か後ろに消え去ったはずの昭和を、この身でたっぷりと味わう。しかし感心するのは、木製棚にもラックにも平台にも並ぶのは、見事なまでの新刊ばかりで、淀みなど一切ない、バリバリの新刊書店棚造りなのであった。だから古本など一冊も見当たらず、返品し忘れた古い本なども残っていない。新潮文庫「「死の棘」日記/島尾敏雄」を購入し、しばしの時間の旅から帰還する。
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2015年03月15日

3/15栃木・佐野 レトロ和家

午前八時過ぎに駅に向かい、みどりの窓口で青春18きっぷを購入し、群馬・前橋へと向かう。そして秘密の取材で「上州・大古本まつり」(2014/03/02参照)に潜入する。だがそこで8000円の新正堂「熱線博士/蘭郁二郎」と出会ってしまう。ビニール袋に入った本を手にしたまま、ピキッと派手に硬直…。背が補修してあり、裏表紙の細い袖がなく、広告ページに記名が入っている…それ以外はちゃんとしている。8000円は普通なら激高だが、蘭郁二郎が、蘭様が8000円なんてありえない!と取材そっちのけで頭に血を上らせてしまい、『今お前が買わなくてどうするんだ!』と己を叱咤して勢いで購入。財布に入っていたお札が、みんな羽根を生やして飛んで行ってしまった…た、足りてよかった。こんなはずじゃなかったのに…こんな高い本を買いに来たんじゃなかったのにと、多少後悔しながらも蘭様を家にお招きする喜びが迸り、市会場の県庁前で記念撮影。
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旅先で小銭しか持たぬ心もとない状況のまま、「煥乎堂 ふるほん書店」(2011/10/08参照)に古本修羅の習性から吸い込まれてしまうと、オレンジの函はないが昭和三十五年初版の理論社「とべたら本こ/山中恒 さしえ・岩崎ちひろ」を発見し、胸を一杯にする。素晴らしいことに100円だったのでどうにか購入。

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ATMで無事にお金を下ろし、両毛線に乗って東へガタンガタン向かう。一時間ほどで着いた佐野駅。南口に出ると、噴水広場から『駅前通り』が始まり、ここら辺一帯はゆるキャラの『さのまる』に支配されてしまっていた。静かな通りを南に下り、『佐野駅入口交差点』で『あいさつ通り』を西へ。途端にさのまるの支配感は消え去り、代わりに古く歴史ある商家が街並を支配する。三つ目の信号『本町交差点』から『昭和通り』を南に進んで行くと、これまた三つ目の信号際に商家をアレンジした古民具・古雑貨のお店が建っていた。二階に飾られたホーロー看板や、駐車場に集められた赤ポストや古家具を眺め、ナマコ壁のお店の中へ。横長な店内はガラスケースと帳場を中央にして、両側に行き止まりの通路を延ばしている。左側は古い食器(キャラ物あり)・陶器・古布・ガラス器が並び、ガラスケースには小物・人形・玩具類が飾られている。右側には古ボタン・古家具・ホーロー看板・古道具・デッドストック文房具・お菓子パッケージ・缶&壜・小家電などが集まり、立派な古道具&アンティーク屋さんなのだが、わりと女子寄りな品揃えとなっている。そしてガラスケース右側の裏に、二十冊ほどの古本が固まっていた。服飾関連を中心に、絵本・人形とこちらも女子寄り。棚の中に『ハリスの旋風』や漫画本が横積みになっているが…よし、いっちょう聞いてみるか。帳場に座るご婦人に「あのぅ、古い本はこれだけですか?」「あぁ〜、本はね、主にネットで売ってるんですよ。だから店にはこれしか置いてなくて。多分倉庫にまとめてあるのよ」というお答え。くぅ、残念。蘭様ショックから未だに抜け出せずに、財布の紐をガッチリ硬くしてしまっているので、何も買わずにお礼を言って退却する。

両毛線で小山まで出て、宇都宮線。後は真っ直ぐ帰ればいいのに、古河で途中下車して「古河書店」(2011/11/12参照)へ。しかし自転車が店内に置かれてしまうほど店が閉まっていたので、急いで西口の「たわしや」(2010/06/06参照)へ。通路がダンボール箱と古本山で、酸鼻を極めた状態になっているが、一応通行は可能。身体を横に縦にし、箱と本を大いに跨ぎ、指先を黒くしながら、春陽文庫「無法松の一生/岩下俊作」文藝春秋「笑い地獄/後藤明生」日本文芸社「物まね鳥の飼い方仕込み方/実吉達郎」を計700円で購入する。北関東一回りの、小さな旅であった。
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2015年03月14日

3/14東京・西荻窪 中野書店(古本倶楽部)

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改札で古本神・森英俊氏と待ち合わせ、肩を並べて『北銀座通り』を北上。谷に下り、善福寺川を越えると上り坂。その坂が終わりかけたところに、外壁をメッシュパネルで化粧した小ビルがあり、朱色の扉を半開きにした、土曜日のみ開くお店があった。「中野書店」(2015/01/21参照)が神保町から西荻窪に本拠を移し、先週から本格的に営業を始めたのである。ただし営業形態は閉架式なので、希望する本を書庫から取り出してもらい見せてもらうことになる。森氏と共に中に滑り込むと、トンガリ屋根のショウケース(神保町でも使われていた)があり、カウンターがあり、ベンチが置かれた小さな店舗スペース。しかしカウンターの向こうには、八×五の壁のような可動式書架が立ち上がり、脇を透かし見ると、深い奥行きの中にそれが十五本連続している…恐るべき重厚感!見える部分に並んでいるのは、セロファン袋に入った海外文学や、幻想文学・日本文学・児童本の未整理エリアである。恐縮するほど丁寧な女性店主と挨拶を交わし、買う本をまったく決めて来なかったので、最新目録を手渡されて古本選びがなし崩しにスタートする。すぐ横に大量の古本が並んでいるのに、本の背ではなく目録の字面に視線を走らせる不思議さ…これは一体なんなんだ!などとちょっと悩みながら、ショウケースの極美「おもしろブック」や山川惣治・小松崎茂の原画をうっとり眺めていると、森氏が本を選択し終わり、そのリストを手渡した。しかしそれらはすべて売却済みだったので、新たに残った本のリストを打ち出してもらい、再びそれに目を通し始める。同時にこちらもそれを見せていただき、どうにか一冊を選ぶ。閲覧をお願いすると、およそ一分ほどで奥から本が登場。大人買いに走る森氏に引け目を感じながら、講談社コミック名探偵ホームズ全集2「バスカービル家の魔犬/旭丘光志」を購入する。半額セール中なので安値であった。たった一冊なのに超丁寧に梱包してもらい、オリジナル文庫カバーまでいただき、四月からの土曜開店に合わせてガレージセール開催の情報をも手に入れる。よし、次はガレージセールに来て、本を自由に選ぶぞ!

お店を出たら「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にちょっと顔を出し、古本神とはここでお別れ。続いて高円寺へと向かい、秘密の取材で「西部古書会館」で開催二日目の「杉並古書展」に潜入する。

その後は久々に開店に出くわした感のある「中央書籍」(2011/11/15参照)の薄暗い通路に佇み、光文社「少年」昭和三十五年新年号ふろく「太陽仮面1/川内康範・堀江卓」平凡社「紅色ダイヤ/小酒井不木」(昭和二十一年再版だが、まるで復刻版のようにキレイ!)を計2200円で購入。
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2015年03月13日

3/13東京・神保町 夢野書店

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少し早起き気味に午前十時半に神保町に着き、『神保町交差点』。ちょっと西にある『神田古書センター』は、いつもと変わらぬ姿で、スックと佇んでいる。しかし今日、二階の『靖国通り』側のフロアに、新たなお店が産声を上げたのである。歩道から見上げると、ビル案内看板は「中野書店」(2015/01/21参照)のままだが、左側入口上部のウィンドウにあった「中野」のロゴは消え、新店が本日午前十時からオープンするお知らせが貼り出されている。カクカク螺旋階段を上がって二階に至ると、防火扉の店名も昔のままだが、ピカピカに磨かれた自動ドアの向こうには、立花の飾られたキレイな店舗が見えている。中に入ると、手塚治虫のプレミア漫画が飾られたガラスケースに迎えられ、右にゆったりとしたフロアが広がる。「中野書店から『漫画部』が独立した、漫画古書専門店である。右横にガラスケースで出来た帳場があり、壁際は左右と奥が本棚。フロアには右から背中合わせの本棚、真ん中にガラスケース島、そして左に背中合わせの棚が一本の構成。十人ほどの先客は、ほとんどが前店からの常連客さんのようで、店員さと親し気に言葉を交わしている。ガラスケースには、アニメ・漫画の玩具や紙もの雑貨、それにプレミア漫画、藤子不二雄に少女漫画、さらに西洋剣のレプリカも飾られている。中央ケースの上には怪獣ブロマイドやメンコもあり。右端通路は、壁棚にアニメ漫画ムック・LPレコード・キャラ雑貨・手塚治虫が並び、手塚本は『ボンディ』通路入口の奥壁棚にも続く。向かいは横山光輝・赤塚不二夫・永井豪などの大御所漫画家本。中央通路はガラスケースを挟み、右に作家五十音順漫画が歴史の重みを見せて並び、左に付録漫画・アニメ漫画評論・昭和懐かし本が続き、下に映画ポスターも。左端の通路には、通路棚に付録漫画の続きと貸本漫画・復刻漫画。壁棚には多種の古い漫画雑誌が揃い、奥壁棚のシングルレコード・漫画スクラップ・柱の直筆漫画原稿へと流れて行く。以前は右側フロアだけにあったお店が、ブワッとゆるやかにふくらんだ感じである。そして慌ただしさも緊張感もそれほどなく、もう何年もお店をやっているような安心感…いや、実際そう言えばそうなのだが…。値段は普通〜プレミア値。全日本漫画ファン連合資料室「まんが 丹下左膳/手塚治虫」を購入。開店おめでとうございます。これからも古書センタービルの隆盛に、一役買っていただければ!

ビルを離れて東に向かうと、「小宮山書店」(2014/05/31参照)脇の100均文庫台に、ミカサノベルス「600万ドルの男」が三冊出ているのを見つけて、ほくそ笑みながら素早く購入。その後は秘密の取材で、古書会館地下で開催中の「東京愛書会」に潜入する。

帰りに高円寺で途中下車し、「都丸書店」(2010/09/21参照)の『中通り』側安売り外棚を覗き込むと、シャーロキアンが手放したものか、ホームズ関連文庫と『日本シャーロック・ホームズ・クラブ』の一九九〇年前後の会報がたくさん並んでいる。その中から、変わり種の、早川書房「ミステリー・マガジン」(と見返しに書かれている)に連載されていた『シャーロック・ホームズ・スクラップブック』をまとめたコピー製本「THE SHERLOCK HOLMES SCRAPBOOK/Ed.by Peter Haining Tr.by Mariko Fukamachi」をパシフィカ「名探偵読本1 シャーロック・ホームズ」と共に計400円で購入する。
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2015年03月11日

3/11高輪台一店の消息とBDバッジ

首っ引きだった「野呂邦暢 古本屋写真集」の編集作業をひとまずまとめ上げることに成功し、意気揚々と外出。風は冷たいが、時々降り掛かる暖かな陽光に、まるで祝福されているようだ!などと開放的になりながら、暗めの都営浅草線で高輪台駅。坂をちょっと上がって、広く大きな交差点に面している、消息が気になっていた「石黒書店」(2009/01/14参照)を遠目に臨んでみると、ややや!ちゃんとカーテンが開いて扉も開いて営業中!ホッと胸を撫で下ろしながらお店に近付くと、店名看板に盛大に錆が浮いており、もはや滲んでしまった黒文字に、五年ぶりの訪問であることを強く意識する。太陽に照らされた明るい店頭台に視線を走らせ、100均文庫を二冊手にして店内へ。すると老店主が、まるでお客のように、店内の棚を見回している。何か本でも探しているのだろうか。文学評論&研究・江戸東京・山岳に強いのは変わらないが、通路の横積み古本が幅を利かせるようになった気がする。左奥の古い日本文学本棚に目玉を固定し、新太陽社「心理探偵小説集 新月/木々高太郎」を引っ張り出し、新潮文庫「町でいちばんの美女/C・ブコウスキー」文春文庫「銀座界隈ドキドキの日々/和田誠」と共に計1700円で購入する。
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長い坂を下って五反田駅まで戻り、さて何処に古本を買いに行こうかと考えつつ、実は最初から決めていた名店「九曜書房」(2009/03/26参照)へと向かう。豊潤な入口脇の500均棚から、大いに迷いながら二冊を抜き出し、左側通路の文庫棚に食らいつく。おっ、いつの間にか棚構成が変化しているじゃないか。通路棚の文庫が一本分になり、鉄道関連の古書などが収まる。そして壁棚の上段に、古本&出版関連・社会運動関連・映画&音楽関連と、下の古書ジャンルに則して文庫が並べられている。大いに惹き付けられながらも、やはり通路棚の文学古書に魂を奪われ、買おうかどうしようかしばらく迷うべき本を、何冊も見つけてしまう。結局今日は結論を先延ばしにして、500均の二冊を精算する。冬樹社「旅のいざない/山田稔」光文社「少年探偵 塔上の奇術師/江戸川乱歩」(裸本)を購入。この「塔上の奇術師」を開いて驚いたのは、本扉ページに『BDバッジ引換券』が綴じ込まれていること。ミシン目が美しく、まるで切手か印紙のような小紙片が存在感たっぷりにきらめく!裏面に『この券が3枚たまったら、8円切手を同封し東京都小石川局区内・光文社・BDバッジ係に送って下さい。江戸川先生の本で大活躍する少年探偵団員がつけているBDバッジをあげます!』とある。普通は絶対に切り取って、絶対に送っちゃうはず。よくぞキレイに残っていてくれました。あぁ、これでカバーがあったらなぁ…。
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2015年03月10日

3/10東武練馬二店の消息

写真集の原稿書きに艱難辛苦し、思わず強風吹き荒れる街に逃げ出してしまう。息抜きに、気になる古本屋さんの消息調査に向かうことにして、池袋から東武東上線に乗車。まずは肩ならしにときわ台で下車して、駅北側にある「高田書店 常盤台店」(2009/05/27参照)へ。おぉ、健在!店頭のカバー無し文庫箱に、くまなく目を通してからごちゃついた店内に進み、奥壁際の文庫棚を見てから、中央通路のちょっとだけ古書も混ざる古本棚に取り憑く。東都書房「バンのみやげ話/石森延男」は、魂が洗われるほどの児童への識語署名入り本(2013/09/12参照)を所持しているが、300円だったので迷わず購入する。

再び各駅停車に乗り込んで、意外に小さな東武練馬駅。まずは駅南側に、ときわ台と同チェーンの「高田書房 東武練馬店」(2008/11/07参照)の姿を探し求めるが、影も形も見当たらず、代わりに「エコブック」がお店を開いてしまっていた。古本の遺伝子はどうにか引き継がれているわけだが、それにしてもやはりその味気なさにしゅんとしてしまう。駅まで戻って踏切を北側に渡り、谷底の『不動通り』を歩いて行くと、「和光書店 本店」が雄々しくたくましく営業を続けていた。左側の店舗に入ると、コミックだらけなのは相変わらずだが、古着販売はなりを潜めている。と、足下を駆け抜けるひとつの小さな影。何だろうと棚の向こうを覗き込んでみると、まだ生後一ヶ月ほどの小さ過ぎるニャンコが、けなげに広いトイレで用を足していた。衝撃的にプリティーである。隙があったらアプローチしようと思いつつ、一旦外に出てから右側の店舗へ。棚は一応見られるようだが、ほとんど倉庫と化してしまっている。中央はもはやバックヤードとなり、入口周辺部分と右奥の通路一本だけに文庫が並ぶ。それでも二冊を掴み取り、再び右側店舗へ。ちくま文庫「血染めの部屋/アンジェラ・カーター」講談社X文庫「グレムリン/辻真先」を計300円で購入。気付くと足下に二匹の子猫が集合。屈み込んで、指を一本鼻面に突き出す。興味と怯えの狭間に揺れる子猫は、仰向けに柔らかに転倒!やはり衝撃的にプリティーだ。

谷底から駅まで戻り、ここまで来たなら下赤塚の「司書房」(2009/06/07参照)に古本を買いにいかなければ、とお店に急行。静かな暖房の効き過ぎた店内を周回して見つけたのは、好学社のポップえほん「そんごくうのぼうけん/ぶん・なすたみのる え・わかなけい」。イラストが若菜珪だっ!と喜びつつ、妙に分厚いその絵本を開くと、これがビックリの飛び出す絵本で、しかもほぼ完璧にキレイに飛び出す美しさ。工作の細密さと、若菜珪のイラストが疑似立体化しているのに悶絶し、講談社文庫「ビアス怪談集」と共に計400円で購入する。ノスタルジック・ペーパーテクノロジー、バンザイ!ついつい何度も開いては閉じ開いては閉じ、喜びを動作に変換してしまう。私が壊してしまわぬよう、気をつけなければ…。
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※お知らせ
そろそろ発売の本の雑誌社「2015年4月 花吹雪ままかり号 No.382」に、『万歩書店の秘密を探る』という、万歩書店が何故あそこまで巨大になったのかの謎を解く文章を寄稿しました。さらに『おじさん三人組が行く!』のコーナーでは、プラスもうひとりのおじさんとしてメンバーに加わり、万歩書店制覇の旅に同行しております。まだ文章を読んでいないので、どのように書かれているのか、ドキドキです。書店でお見かけの際は、ぜひともお手に取ってご覧下さい!
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2015年03月08日

3/8神奈川・日ノ出町 昭和堂

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今日は純粋にツアーに行きたくなって、古本神・森英俊氏より情報を授かっていたのに放置していた、懐かしおもちゃ屋さんに向かってみる。京浜急行を横浜で各駅停車に乗り換え、ホームが弧を描く日ノ出町駅。改札から街へ、JRAに向かうオッチャンたちと共に吐き出されると、今は亡き「文昇堂」(2012/02/26参照)跡地一帯にどデカイビルが完成している嫌な光景。月日と時代の流れを目撃して、北に『野毛坂』を上がって行く。大きな坂の両側には建物がひしめいているが、左は上下に立体的な重なりを見せているので、かなりの斜面がビル群の下に隠されているようだ。坂の角度がちょっとずつ上がり始めたところで、『日ノ出町1丁目バス停』前の脇道を西へ。小さな坂の行く手には、建物がごちゃついて立ちはだかっており、上がり切ったら北へ。すると左手マンション一階右側にひっそりと、だが物欲を焚き付けるようなお店が姿を現す。巨大ケロヨン・百恵ちゃんポスター・東芝高速エスパー看板・アイドルうちわ・ドラえもんグッズ・月光仮面ぬいぐるみなどが視界に入るが、おっ!二つのプラケースに古本が!とそこに一直線。安売り絶版漫画セットと100均絶版漫画&児童文学が入っている。一冊掴んで店内に進むと、センサーに反応して「こんにちは。ぼくドラえもんです」とドラえもん(大山のぶ代)の声が響き渡る。店内はゆったりとしており、壁際にガラスケースが連続し、真ん中にコの字のレコードラックと音楽グッズガラスケースがある構造。右には小物キャラグッズ・シンプソンズ・ディズニー類・ペコちゃん・企業ものが集まり、左に仮面ライダー・ウルトラ系・アニメキャラグッズが集まる。古い物が中心だが、意外に新しいところまで手を伸ばしている。また、アニメ映画パンフ・メンコ・附録類などの紙物も混ざり込んでいる。値段は全体的に安めな印象。突然背後で「こんにちは」とドラえもんの声がするが、そこには誰もいない…こ、恐いじゃないか!気を落ち着けて、ふむふむと宝でも愛でるように、目線をあちこちに走らせて古本のありかを探して行く。奥の帳場ガラスケースに、カルタやアルバム類と共にプレミアアニメムックが飾られ、横の小さな本棚に、アニメ特撮系ムック一列と漫画が並んでいた。…これだけか。まぁ表から一冊手にしているので形にはなるのだが、それよりもすでに私の心は、左側ガラスケース下段の一体のソフビ人形に、盗まれてしまっているのだ。ドリルとキャタピラをモチーフにした、独特過ぎるフォルムの侵略ロボット兵器『モゲラ』(ブルマァク製)にである。値札には4000円とあるが、この人形は確か恐ろしく高値のはずでは…復刻なのだろうか?盗まれた心は、興奮に興奮を重ねつつ、買うべきか買わざるべきかの葛藤を深刻に深めて行く…何だかどうしようもなくなってきたので、帳場に座る東野栄治郎似のオヤジさんに「すみません、これは昔の物ですか?それとも復刻ですか?」と問い掛けてみると、「あぁ、それはね、本物なんだけど、ジャンク品。鼻のドリルがないでしょ。すぐ無くなっちゃうんだよね。だから4000円。ちゃんとしてたら、それ何十万もするから」。ああぁっ!ホントだ!鼻のドリルがない!ちょっと欲に目が眩んで、そんなことにも気付けなかったなんて(ちなみに強者はドリルを自作したりするとのこと)。大いに反省しながら講談社「名犬ラッシー/ナイト作 久米元一訳」と謎の円谷怪獣ミニカルタシートを購入する。

坂を上がって東に下って「天保堂 苅部書店」(2009/07/20参照)に立ち寄る。坂の途中にある、棚も床も坂道的に微妙に傾く古い店内を満喫し、改造社「巴里の秘密/シュー 武林夢想庵訳」を500円で購入。続いて関内に突入し、3/15で移転してしまう「中島古書店」(2012/08/14参照)へ。一階の店頭文庫棚から二冊を手にして急階段を上がると、残念なことに店は暗く閉ざされてしまっていた…あぁ、このお店に最後の挨拶をしたかったのに。上階の『ビルさよならパーティー』のざわめきを耳にしながら、落胆して階段を下りて行くと、無様に最後の一段を踏み外し、すってんころりん!降り口にまとめられた様々な物を巻込み、すってんころりん!ガラガラドシャン!と漫画のような盛大な音に、通りかかった女性が血相を変えて近寄り「大丈夫ですか?」と不安そうに一言。「大丈夫です」とすぐさま立ち上がって猛スピードで散らかった物を片付け、平気さをアピール。あぁ恥ずかしい。そして最後に手にしていた文庫を、そっと棚に戻した。何とも冴えない現店舗との別れを苦く噛み締め、痛むお尻をさすりながら帰路に着く。
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2015年03月07日

3/7「野呂邦暢 古本屋写真集」取材で街へ2

お昼ごはんを食べてから、まずは西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい、フェア棚に軽く補充してから小さく打ち合わせ、昨日仕入れたばかりのヨダレが止めどなく流れてしまうレア児童文学本束を見せてもらい、決して買えないのは分かっていても、血が無闇にグツグツと滾ってしまう。…あぁ、まだまだ探すべき本が、この空の下の何処かで眠っているんだ!そんな風に熱い血液を全身に巡らせたまま、ちょうどホームに滑り込んで来た東西線に飛び乗って、早稲田古本街へ。高田馬場駅から歩いて、『馬場口交差点』から古本街に入り込んで行く。昨日に引き続き、写真集取材で野呂邦暢の足跡をたどるためである。雨がまたポツポツと落ち始め、傘を開きながら写真と現地を見比べ、写真を撮りメモを取って行く。こうしてみると、わりと当時の面影を残す神保町と違い、四十年前と、街の景色も古本屋さんも激変していることがよく分かる。しかし土曜日に来たのは、閉まっているお店もあったので失敗であった。来週また追加調査に来ることにしよう。どうにか取材を終え、雨でも意外に外に出ていた店頭台や気になるお店を覗き込む『古本買いモード』に移行して、古本を買いつつ最終的に「古書現世」(2009/04/04参照)に雪崩れ込む。向井氏との久々の長話を思う存分楽しみながらも、とても嬉しい春陽堂少年文庫「影繪 ソログーブ童話集/前田晁」見つけて、口元を盛大に綻ばせる。平凡社「ホラー・ドラコニア少女小説集成【弐】菊燈台/澁澤龍彦」と共に計千円で購入。
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今日の嬉しい収穫二点。「飯島書店」(2010/04/14参照)で、店内奥の袖棚から見つけた「男の首」は三版だが100円なら万々歳である。牛歩戦術で安値収集を進めている『春陽堂少年文庫』(2013/03/30参照)は、家にあるものを数えてみると、これでようやく十三冊目。うわっ!でも「鐵の靴 後編/山村暮鳥」がダブっていることに今気付いた!そしていつかは、カバー付きの文庫に出会うことを願いつつ、これからも地道に辛抱強く、収集に励む所存であります。
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2015年03月06日

3/6「野呂邦暢 古本屋写真集」取材で街へ

本日は日中を「野呂邦暢 古本屋写真集」の取材に充て、彼の視線を追うようにして神保町と渋谷を駆け巡る。真剣に、警察犬のように、四十年前の野呂の足跡を嗅ぎ回ると同時に、古本をドシドシ買って行こうと企んでいたが、取材に集中しているとなかなか古本買いにエンジンがかからぬことに気付いてしまう。無理に買おうとすると、やたらに焦ってしまい、古本市でただ気負っているだけの、情けない状態にズブズブと陥って行く。そうと分かったら気持ちを切り換え、取材に全力投球した後に、改めて店頭を覗いて行くことに潔く決める。結果、神保町でも渋谷でも色々買い込んでしまうが、本日一番の収穫は渋谷の「中村書店」(2008/07/24参照)店頭100均箱から掴み出した、昭和三十五年刊の東方社「私の東京地図/佐多稲子」である。この東京中を転々としながら描かれる、波瀾万丈な生活と珠玉の都市風俗が、まさか東方社からも出されていたとは!あぁ、何度読んでも、丸善の化粧品売場に勤めていた稲子が、勤務中に関東大震災に遭い、可憐な香水瓶が小鳥の群れのように視野を横切るという描写は、胸にグイグイ迫って来るな。
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夕方には、写真集共同編集者の岡崎武志氏と阿佐ヶ谷で落ち合い、軽い編集会議を行う。明日も引き続き写真集の取材で、街に飛び出す予定なので、それで編集制作作業はいよいよ終盤へ突入。引き続き良い本が出来るよう、がんばります。
posted by tokusan at 21:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする