2015年04月30日

4/30東京・早稲田 ひとえブックストア

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古本神・森英俊氏が、たまたま前を通りかかり見つけたお店である。都電荒川線の早稲田駅を出て、『新目白通り』を東へ。行く手は、都電の架線と線路がプッツリと途切れた、だだっ広い道路である。交差点をひとつふたつ過ぎ、『早稲田バス停』を過ぎて三つ目の交差点で細道を南へ。右に巨大で古臭い都営住宅、左には早稲田の森がこんもりとあり、まるで峻険な谷間に迷い込んだ気分。道がぐわっと曲がるその右手のビル一階に、爽やかなお店が確かに存在していた。スコッチテリアのマークがある水色と白の立看板、絵本と児童文学の飾られたウィンドウ。その向こうを透かし見てから店内へ。ウィンドウ横には小さな細長い棚、左壁は大きくシンプルな飾りラック、左奥に本棚。右には様々な白い棚、フロア真ん中には白く下部が棚になった平台。奥にカウンター帳場があり、お店に負けぬ爽やかさを持った中間管理職風男性が、さらなる爽やかな白い歯を見せ「いらっしゃいませ」。入口左横には「風の谷のナウシカ」も含めた大判のアートコミックが集まり、左の飾りラックには新しめのオススメ絵本がディスプレイ。その影に隠れた「仮面の忍者 赤影」を発見し、奥壁には子供でも背伸びすれば読める若めの日本文学が並んでいる。平台には絵本と共に少量の古書や講談社ミステリーランド。右側には洋書絵本・ものづくり・児童文学・SF・あかね書房SFシリーズ(すべて裸本)・ウルトラ関連・ますむらひろしなど。完全に子供のためのお店であるが、所々に成長をおかしな方面に促すジャンルが紛れているのが、何とも好ましい。値段は普通〜ちょい高。それにしても最近、絵本古本を核にしたお店が増えて来ている気がする。確かにこれも古本屋さんなのだが、ちょっと前までは異色な少数派だったと思う。しかしこの増え方からすると、これからは古本屋さんのスタンダードタイプのひとつとして、大いに認知され定着していくのではないだろうか。ポプラ社「修理/足立紀尚」を購入。
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2015年04月29日

4/29群馬・前橋 澤口書店プロデュース大古本市

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このまるで、音楽アーティストか一流シェフの如き冠サブタイトルに惹かれ、高崎線で北関東を目指してしまっている。かつて、こんな斬新なタイトルの古本市が、あったであろうか…。午前十時前の駅頭に、室生犀星よろしく降り立ち、派手な背広の萩原朔太郎を幻視しながら、北口の自転車置場でレンタサイクルを借り出し、北へ。駅からおよそ500mほどの、白昼の閑散とした繁華街からヌッと白い身体を突き出した『スズラン百貨店』の本館へ。新しくとも、古い昭和の匂いを拭い切れない地方デパートの店内を、コツコツ歩く。エスカレーターで懸命に八階まで上がると、降り口右手に大量の古本ワゴンの気配。会場である催事場は、わりと細長く、壁に沿いながらおよそ七十台のワゴンがカクカクと連なっていく。すでにゆるゆるとお客も散らばっている。文庫多し。女性実用ムック多し。コミック多し。新しめのミステリ&エンタメ多し。美術ビジュアル本多し。というちょっと変わった古本市。古書はあまり見かけず、プレミアコミック&玩具・和本・浮世絵・プレミア古書のガラスケースあり。変わり種は除籍本のコーナーで、ワゴン五台ほどにラベルの貼られた研究学術本がドッサリと並ぶ。これもちゃんとした売り物で、値段はわりとしっかり付けられている。そして会場の様子を端的に伝えるなら、神保町の「澤口書店」(2014/04/12参照)がそのまま前橋にやって来た!という感じなのである。ちくま文庫怪奇探偵小説傑作選「城昌幸集」「横溝正史集」を計千円で購入する。市は5/5まで。

結構あっさりと見終わってしまったので、前橋の古本屋さんを少し再訪していくことにする。「煥乎堂 ふるほん書店」(2011/10/08参照)は、やはり何度訪れても何かを掴ませてくれる良いお店。講談社文芸文庫「草のつるぎ・一滴の夏/野呂邦暢」河出文庫「吸血鬼幻想/種村季弘」国書刊行会ドラキュラ叢書「黒魔団/デニス・ホイートリ」「星を駆ける者/ジャック・ロンドン」「スカル・フェイス/R・E・ハワード」徳間書店「SF未来戦記 全艦発進せよ!/光瀬龍・福島正美・高橋泰邦・今日泊亜蘭・眉村卓」を計1850円で購入する。続いて店の外も中も風化が進みつつあるがしっかりと営業中の「大成堂書店」(2010/04/04参照)内を旅人の如く彷徨い、みやま文庫「群馬の昭和の詩人」を500円で購入。
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※以前はあった、逆さまでかろうじて付いていた『堂』の文字も、ついに無くなってしまった…。
最後に駅南側の「かっぱ文庫」(2010/04/04参照)に行ってみると、正面サッシ扉の向こうはカーテンが引かれ、扉前にはプランターが置かれてしまっている。しかし脇道側の入口は生きており、ガラスの向こうにブランクのある本棚と平台が見えている。サッシに手をかけるも…開かない。う〜む、これはお店としてやっているのだろうか?ちょっと気にかかる状態だな…。
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2015年04月27日

4/27東京・恵比寿 復活!トップ書房

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コメントタレコミに基づいて、線路際の急坂を上がっている…。西口ロータリーに出て、南に進んですぐにフェンスの続く線路際へ入り込む。上がり始めると、鼓動がトクトク早くなるほどの坂道を、南に上がる。するともうすぐ頂上という所で、左手に船の舳先のような白い低層ビルが出現する。その一階に、見事に復活を遂げた「トップ書房」(2014/07/01参照)の凛々しい姿!立ち退きと同時にお店を畳んでしまう事例も多いなか、よくぞしぶとく移転再開してくれました!それにしても、坂の途中の古本屋さんは、錆びたフェンスが終わる所に現れ、その唐突さが何だか格好良い。惹き寄せられるように近付くと、お店の前を掃き掃除していた若者が「いらっしゃいませ」と小さくつぶやき店内へ。店の前面はサッシ戸だが、左右のガラスの向こうには、三本の100均棚が据えられ、文庫・単行本・コミックを並べている。…取り出すときは戸を動かすのだな。店内は黒灰色な空間で、左に帳場があり、壁はほとんどが棚で覆われている。フロアには小さな平台付きの背中合わせの棚が縦に二本。まだ出来たばかりなので、以前のお店の十倍はスッキリとし、整頓が行き届いている。入口右横には、古書・幻想文学・雑本・サブカル・コミック・新書が並び、右奥通路には時代劇文庫・一般文庫・日本文学文庫・海外文学文庫・日本刀・趣味・三島由紀夫・落語・映画・文学などが集まり、単行本の並びはちょっとカオス気味。平台には特撮系ソノシートや古雑誌が置かれている、そして棚脇に、プレミア漫画絵本・絵本・歴史ムックの並ぶ棚と、まだ空きの多い大衆文学棚がある。真ん中通路には宗教・民俗学・自然・ビジネス・文学・歴史・文化が集まり、古書もチラホラ。左の帳場前はアダルト一辺倒になり、棚脇に講談社少年倶楽部文庫・岩波文庫棚あり。奥壁にはビジュアルムック・アート・大判本・作品集の類いが大量に並ぶ。以前のお店そのままに、見易く小さくなった感じ。単行本はカオス気味だが、埋もれていたらしい本たちが、あちらこちらに顔を出しているのは嬉しい光景である。値段はちょい安〜しっかり値まで様々。入口右横最下段から抜き出した、寿書房「漫画入門/前谷惟光」は刊行年がまったく不明なのだが、これが500円は絶対に安い!と、どひゃっほう(仮)ということで購入。…しかし家に戻ってこの本についていくら調べても、情報は何処にも浮かび上がらず、一切が謎のまま…。
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※お知らせ
毎日新聞出版「エコノミスト 2015年5/5・12号」の古本屋特集に、二ページの記事を寄稿しております。エコノミストにとっては異色過ぎる特集!本屋でお見かけの際は、よろしくお願いいたします。
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2015年04月26日

4/26蒲生〜押上〜蔵前と消息を尋ねて

実は三ヶ月ほど前に、『プラハ書房(2010/12/22参照)は閉店しているのでは?』という恐怖のタレコミが入って来た。あの黄金の古本屋が閉店?もしそんなことになっていたら、「堀川書店」(2012/06/27参照)もすでに失った今、何を楽しみに生きて行けば良いのだ!と、まだ真相は判明しないのだが、妙な喪失感に囚われてしまう。すぐに確かめに行かねばならなかったが、相変わらず様々な些事に巻込まれる毎日を過ごしていたら、もう四月も終わろうとしている…これはイカン!とついに重い腰を上げ、真相の究明に蒲生へと向かう。閑散とした商店街を抜け、ポカンとだだっ広い自動車教習所脇を、早足で進む。行く手に『本 プラハ書房』の看板が見えて来た。「やっていてくれ〜〜〜〜〜!」と強く願いながらガレージの奥を見ると、ちゃんと営業中じゃないか!どデカイ『営業中』の札があるじゃないですか!と喜び安堵し、胸を撫で下ろす。
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もはや我慢が出来ずにすぐにお店に飛び込む。すると前側の通路には、買取なのか仕入れなのか、大量のダンボール箱が積み上がった、ちょっといつもと違った光景。こんなプラハは初めて見たぞ。というわけで奥側の通路を大いに活用して、店内を精査。双葉社文庫「本棚探偵の生還/喜国雅彦」(日本推理作家協会賞受賞、おめでとうございます!)旺文社中三文庫「花ひらくとき/富島健夫」実業之日本社「少女の友 昭和二十八年二月号」(表紙と背がボロボロで紙で補強)を計600円で購入する。おぉ、この「少女の友」はあの悪名高き橘外男「双面の舞姫」と西條八十「魔境の二少女」が掲載中だ。「プラハ書房」よ、ありがとう!
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あぁ、少女雑誌にこんな下衆な小説が、本当に連載されている!

黄金の古本屋はやはり健在であった!と胸躍らせながら東武スカイツリーラインで南に下り、押上駅で下車。ちゃんと今日も営業日にかち合えた「イセ屋」(2014.07/13参照)にて、現代思潮社「幻妖のメルヘン/澁澤龍彦編」を300円で購入する。そのままテクテク歩いて隅田川を西に渡り、さらにテクテク蔵前まで歩いて「御蔵前書房」(2008/11/08参照)の前。店頭100均箱で光文社の創作童話「二十四の瞳/壷井栄」を見つけてニヤリとし、店内でちくま文庫「唄えば天国ジャズソング/色川武大」+改造社「初旅 初うそ/アルフォンス・ドーデー」を見出し、計540円で購入する。何か昨日の続きのように、古本を買い漁ってしまった…。
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「プラハ」と「イセ屋」(「イセ屋」に関しては、以前訪れた時に店主が『移転するかも』という話を常連さんにしていたので、こちらも実は心配だったのである)の健在を確認出来たことは、非常に喜ばしい。それにしても「御蔵前書房」の安定感は、実に頼もしい限りである。
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2015年04月25日

4/25西那須野で思う存分古本を。

どうにか色々切り抜けられた開放感から、何も考えずに思う存分古本を買ってみたいものだ、などと贅沢なことを思う。だがちょうど、二年前に訪れたことのある栃木県・西那須野「アジア学院」(2013/06/16参照)の古本市が、先週土曜日から開かれていることを察知し、早起きして急行することにする。東京から普通列車を乗り継いで、三時間弱で西那須野。会場は駅から三キロほど離れており、以前はバカみたいに歩き通してしまったが、今日は東口の自転車置場で無料のレンタサイクルを借りて出発。もはや初夏の装いの、水気と緑が迸る田園風景のただ中を、オンボロ自転車で気持ち良く走って行く。徒歩では五十分もかかったが、およそ十五分ほどで、雑木林のちょっと高台にある会場に到着する。
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時刻は午前十時半。大きな玄関から会場のセミナーハウス内へ。まずは最奥の木造りホールに、巨大平台二つと壁際に並ぶ机や低い棚に古本がドッサリ並ぶ第一会場。文庫は100円、単行本は200円。ライヴァルの姿なしっ!そして第二会場は、玄関ホール横の階段を下りた地下室。絨毯の敷かれた書庫である。こちらは文庫本中心で、奥にはペーパーバックも大量に集められている。もちろんライヴァルの姿なしっ!結局一時間ほど吟味滞在し、文庫九冊単行本五冊計十四冊の計千九百円を抱え込む。小学館「世界の童話23 カロリーヌのせかいのたび」は絵本ということで100円に。パシフィカ「シャイニング 上・下/スティーヴン・キング」は共に初版で下巻は帯付き。嬉しや嬉しや。さらに嬉しかったのは、少しボロめだが、科學主義工業社「ホルンベルングの滑空教室/W・ヒルト」である。昭和十八年出版の、グライダー操縦技術&滑空体験が詰まった一冊である。見返しを見ると『大日本飛行協會』と『富山縣立野ヶ原滑空訓練所長之印』のハンコが捺されている。読んでも面白いのだが、戦時中に教科書として使われていた本の重みを、ずっしりと感じ取る。この市は明日までである。
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またもや田園風景を切り裂いていると、雨がポツポツと落ち始めてしまう。一旦駅に戻って荷物を預け、昼食にしようと計画していたが、予定変更してすべてを一気にこなすことにする。東北本線を踏切で横切り、駅西側の「古本丸高」(2013/11/24参照)へ。おぉ!この異端の昭和ドライブイン店は、健在!
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と再会を喜びながら、不思議な構造の店内へ。左側のコミックゾーンには目もくれず、右側の薄暗い古本ゾーンに進むと、店主がパチッと明かりを点けてくれた。ありがとうございます。引き続き、古本に溺れること三十分。さすがに疲れ果てながら、王国社「少年十字軍/マルセル・シュウォップ」徳間文庫「散歩する死者」「榛名湖殺人事件」「田沢湖殺人事件」三冊とも中町信を計800円で購入する。

外に出るとまだ午後一時前、しっかり予定通りに古本を思う存分見て買うことが出来たので、爽やかな達成感に包まれる。それにしても、西那須野でまさかこんなに古本にまみれることが、可能な時期があるとは…。次回の『西那須野古本グランドクロス』も、決して逃していけない気がして来た。
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2015年04月24日

4/24東京・早稲田 極薄!渥美書房!

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色々な物事にケリをつけたつもりでも、結局はゴタゴタしたまま、コメントタレコミに基づき早稲田古本街へ。いつの間にか新しくなった、モザイク状の敷石を踏み付け、『馬場口交差点』から北側歩道を東へ。谷底へ下って「渥美書房」(2010/09/28参照)前に立つと、シャッターが下りて『移転のお知らせ』が貼り出されていた。黄色い地図付きの紙を眺め、シャッターの向こうにかつてあった、移動式書架を思い出したりする。踵を返して南側歩道に渡り、坂を上がって東へ向かい、移転先のお店を目指す。いったい何処に…と思っていたら、「喜楽書房」(2014/12/02参照)跡地に収まっていることが判明!そうか、ここだったのか。メタリックな店頭の右ガラス窓に、縦書き筆文字の紙看板が貼られ、背の低い棚が二つと小さな均一台に、日本文学研究・古典文学研究などの硬め文学100均本が並ぶ。一冊抜き取り店内へ入ると、いきなり棚が立ちはだかる!そこは右壁に本棚二本、正面に本棚三本、左横に帳場が置かれた、極薄古本屋さんなのであった。この薄さと狭さは「大村書店」(2013/02/04参照)に匹敵するな…。右壁には日本語・言語学・民俗学・神道と並び、ほとんどが簡素な函入りの学術本である。正面には、万葉関連・古典文学・日本文学研究・プロレタリア文学、そして一本分のちょっと中途半端な日本近代文学&日本文学作家五十音順棚。正面棚中央はブランクになっており、そこには分厚い目録が置かれている。奥は恐らくバックヤードなのだろうが、これは予想外の移転新店である。これだけ店頭に並ぶ本が少ないということは、ある程度の閉架式営業なのか、それとも店売りにそれほど期待しないことの表れなのか…。蝸牛社「最後の浮世絵師 小林清親」を100円で購入する。それにしても今日はなんだか、早稲田の古本屋さんに多くのお客の姿があり、賑やかな光景。
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2015年04月22日

4/22読書感想文再び!&GW新潟のお知らせ

GW前なので色々と立て込み、とても古本屋さんには行けそうもない…くやしい…ブログも更新出来ない…。そんな鬱憤を晴らすため、先日実家で掘り出して来た己の読書感想文には、まだ面白いものが残されているのを思い出し、古本屋さんとはまったく関係無いのだが、それを発表することに決める。発表時は字の感じからして、先日発表済みの「青銅の魔人」より以前の、小学二年生以前と思われる。すべては原文ママ。おかしなところは誤植ではない。ちなみに先生の評価は両方共“C”である。

●「子どものころのファーブル」自分とくらべて
 ファーブルが、ぼくだったらそのまま家に帰っていました。けれどファーブルは家に帰らないで草原のほうへ行ってしまいました。ぼくだったらそのまま家に入って何かをしていたでしょう。それにつかれてるから帰ったほうがいいと思います。
先生の感想→それほど虫がすきではないということかな。

●「ピノッキオ」を読んで
 ぼくは国語の本のピノッキオと言うのを読みました。おもしろいところは、ゼペットをしたでからかったり、両手でゼペットのかみの毛をぴっぱったりするとこがおもしろい。
先生の感想→ほかに考えたことはないのかな。

…これはヒドい…我ながらヒドい…先生も何だかヒドいぞ!
と、ここでお知らせ。こんなヒドい感想文を書いていた男が、すっかり中年となり、新潟と長岡で岡崎武志氏と共にトークをします。
『岡崎武志&小山力也トークライブ』
1. 5月4日(月・祝)新潟・北書店 18:30〜(18:00開場)1,000円
http://www.kitashoten.blogspot.jp/
2. 5月5日(火・祝)長岡市・アオーレ長岡3F『第1協働ルーム』 17:30〜(17:00開場) 入場無料
http://nagaokabook.seesaa.net/

両日共、すでに方々で売り切れてしまった「野呂邦暢古本屋写真集」の販売あり(販売数に限りがあります)。またトーク後には有料の懇親会もあり。5月5日の『長岡一箱古本市』には岡崎氏と共同一箱を出店。様々な古本&古本屋の四方山話と野呂邦暢の話で、大いに盛り上がりましょう。新潟のみなさま、よろしくお願いいたします!
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2015年04月21日

4/21千葉・西千葉 二代目MOON LIGHT BOOK STORE

初動は西荻窪に向かい、「フォニャルフ」&実はまだ続いている「古ツアフェア再び!@盛林堂」に補充。店内の『野呂邦暢古本屋写真展』を眺め、やはりこの写真は異常で素晴らしい!と再認識する。

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続いて総武線に乗り込み東を目指す。途中を快速でショートカットし、一時間強で西千葉駅。テクテクと目指すのは、最近店主が若い二代目に交代し、店内も改装したとの情報がある「MOON LIGHT BOOK STORE」(2011/04/06参照)である。記事タイトルが、何だかヤンキー系アーティストグループのようになってしまったが、他意はない。たどりついた店先は以前よりすっきりした感じで、100均文庫箱が二つだけ並び、あとは古道具の箱も置かれている。…改装で出た不要物だろうか…。中に入ると、先客と早速二代目が立っており「いらっしゃいませ」とぎこちない笑顔を見せる。入口右横のスペースに飛び込むと、海外文学文庫と日本文学文庫とノンフィクション系文庫、それに日本文学などが続いているが、以前とあまり変わらぬ印象…ただしとてもすっきりしている。入口左横は、ちくま文庫と講談社学術文庫棚になっており、ここはちょっと変わった模様。だがメインの左壁棚は、旅・紀行・児童文学食・酒・ノンフィクション・歴史・随筆&エッセイ・日本文学・文学評論・海外文学・詩集・出版・古本・SF・推理小説…って、これはまったく変わっていない気が。ただフロアはスッキリとしており、今は木箱をテーブルの上に載せた棚がひとつあるのみ…。本が変わっていないということは、値段はしっかり値なのである。一冊掴んで、カウンターの向こうに移動した、次長課長・河本がメガネをかけた風二代目店主に精算をお願いする。するとそこで自然と会話が交わされ、代官山「蔦屋書店」(2012/03/05参照)の元店員さんであったこと、今年の一月にお店を引き継いだこと、今はまだ棚の構築中で、これから若者向けの棚造りをして行くことなどを教えていただく。この新たなスタート地点から、何処まで個性的に変化して行くのか、また来た時に己の目でしっかと確かめることにしよう。東京文藝社「喧嘩渡り鳥/千樹大平」を500円で購入する。

さて、せっかくの西千葉だと、半地下の駅コンコースを南に抜けて、眠ったような繁華街の外れをスタスタ歩いて「鈴木書房」(2009/07/26参照)へ。すると店頭の三十均文庫でヒートアップしてしまい、粒ぞろいなヤツを九冊スパッと抜き出して店内へ。各通路をすべて通過すると、ズッシリとした一束が腕の中に!双葉文庫「怪奇探偵小説集3/鮎川哲也編」「怪談ミステリー集/中島河太郎編」創元推理文庫「ビッグ・ヒート/W・P・マッギヴァーン」「最悪のとき/W・P・マッギヴァーン」「グリーン家殺人事件/ヴァン・ダイン」(すべて白帯元パラ)「恐怖の愉しみ 上/レ・ファニュ他」「毒薬ミステリ傑作選/レイモンド・T・ボンド編」文春文庫「なんだか・おかしな・人たち」中公文庫「大阪自叙伝/藤沢桓夫」コバルト文庫「トワイライト・レディ/菊地秀行」近代社「歓楽の想い出/J・クリーランド」にれ双書「地名アイヌ語小辞典/知里真志保」(札幌「南陽堂書店」のラベルが貼られたままだ!)サンコミックス「かんぱりソーダ/いしかわじゅん」を計600円で購入し、古本買い満足感を大いに得る。
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2015年04月19日

4/19吉祥寺を一回り

トマソン社『BOOK5』連載の取材で、どこもかしこも人が溢れる吉祥寺へ。かきわけかきわけどうにか目的を果たしつつ、ついでに吉祥寺の主だった古本屋さんを一回りして行くことにする。すると驚くことに、訪ねるお店訪ねるお店、みな店内にも人が溢れていたのだ!なんだ、私の気付かぬ間に、古本屋ブームでも到来しているのか?

南口の「古本センター」(2013/07/01参照)ではソノラマ文庫「幽霊鉄仮面/横溝正史」を200円で買い、順調なスタートを切る。しかし次に向かった新生「バサラブックス」(2015/03/28参照)は、店内にまったく踏み込めないほど、人間が狭い店内に詰まっていた!…喜ぶべきことだが、恐ろしい光景だ…しばらく店頭で待っていたが、誰も出て来る気配がないので、まぁこの前来たばかりだからいいかと、先を急ぐ。「百年」(2008/09/25参照)は、いつでもまったくブレずに、お洒落で良書を集める古本屋道を貫き続けている。そのせいなのか、二階なのにひっきりなしに若いお客さんが飛び込んで来るのだが、困るのはわりと好きなドア横の安売り棚をしゃがんで見ていると、出入りの邪魔になってしまうことである。しかしめげずに負けずに素早く全段を眺めて一冊抜き出し、學燈社「知っ得 幻想文学の劇場」学研M文庫「後方見聞録/加藤郁乎」を計648円で購入。続いて街の北側までトコトコ歩いて、気になって時々見に来ている「古本×古着 午睡舎」(2009/09/10参照)の前。やはりシャッターは下りたままか…看板などはしっかり残っているのだが、最近どうも営業している気配が皆無なのだ。だが、まだ閉店したと判断するには早過ぎる。後二〜三回は、辛抱強く観察に来てみよう…。続いての安定したポテンシャルを発揮している「藤井書店」(2009/07/23参照)では、店頭台と文庫棚のみを掠め、講談社文芸文庫「やわらかい話/吉行淳之介」ポケット文春「占い推理帖手相篇/高木彬光」を計450円で購入。偏ったサブカルに溺れまくっている「すうさい堂」(2009/05/02参照)では文藝春秋「日本の路地を旅する/上原善広」を400円で購入すると、奥棚前にドデカイ黒猫が寝そべっているのに気付き、驚きながら撫でまくる。こんな子、いたっけ?「外口書店」(2010/02/22参照)では、蛍光灯で明るく照らされた店内を一周するにとどまり、そのまま「よみた屋」(2014/08/29参照)へと駆け付ける。店頭で一冊抜き出し、お客も店員さんも忙し気な店内に突入すると、店主・澄田氏の奥様にあっけなく発見される。そして精算時に澄田氏にもご挨拶。話題はやはり、このお店から巣立ち相次いで開店した「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)と「古本バル 月よみ堂」(2015/04/10参照)となるが、実は澄田氏横の壁に貼られた、よみた屋宛の小沢健二の色紙がとても気になってしまう。…来たのか、よみた屋に!春陽堂少年文庫「面白い植物の知識」ポプラ社「母呼鳥/円地文子」(裸本)を計1100円で購入する。日曜日の吉祥寺の古本屋さんは、どこもとても活気に溢れていた。
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2015年04月18日

4/18日本推理作家協会で「青銅の魔人」の読書感想文を朗読す!

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本日は畏れ多くもミステリ評論家の新保博久氏に依頼され、日本推理作家協会の『土曜サロン』にて講演。あぁ、なんたることです。恐ろしいことです。素晴らしいことです。まさか、江戸川乱歩大先生所縁の会合で、己が話せる日が来るなんて…。去年の十二月に講演を打診されてから、なかなかその内容が詰められないでいたのだが、半月ほど前に高円寺の即売会で偶然新保氏と出くわし、膝付き合わせて一気呵成に決めた講演内容は『古本屋ツアーと高額ミステリ本を安く見つける方法』というエグい内容。というわけでたくさんの過去“どひゃっほう本”を抱え、都内某マンションにある、元・生島治郎&小泉喜美子宅の協会事務所に、感動しながら足を踏み入れる。本棚に囲まれた部屋で、大きなテーブルを囲んで二時間余りを、必死にペラペラと命を賭けて喋りまくる。するといつの間にか場は皆の雑談に移行し、どうにか大役を果たし終えた時には、すっかり精も根も尽き果てていた。それにしても今日の会合に参加されたお歴々の、まるで読み札と取り札のないミステリカルタを遊戯しているような攻防には、恐れ入るしかなかった。目の前をミステリに関する言葉が、果てしなく飛び交う光景は、呆れるほどに深遠で魅力的。講演の後半、そんな空恐ろしい彼らの心を捉え、色めき立てたどひゃっほう本は、銀河文庫「ホウムズ探偵 署名事件/コナン・ドイル」ひばり書房「ぼくらは少年探偵団/村島一郎」早川書房のエラリイ・クイーンのジュニアミステリシリーズと意外なラインナップ。みなさま、ご静聴ありがとうございました。それにしても講演中盤に、己のミステリ好き遍歴を伝える一環として、昨日実家で掘り出して来た、小学校三年の時に書いた「青銅の魔人/江戸川乱歩」の読書感想文を朗読したのは、恥ずかしくも光栄であった。四十年前の俺、やったぞ!やっちまったぞ!以下、乱歩先生に届けとばかり読み上げた全文である。

青銅の魔人
●あらすじ
 二十面相は、つかまったのに、またとくいのろうやぶりでにげてしまった。もう二、三回も悪いことをしているのにまだこりないのです。そしてにげたりつかまったりしているのです。
●しょうかいした理由
 いろいろなおもしろいトリックをつかったりするからしょうかいしたのです。
※以下は同じ原稿用紙に、消しゴムで消されていた推敲文
 自分そっくりの人形を作ってそれをどこかにかくしておいて、いざというときにそれをふくらましてけいかんたちがおいかけてきたら、そのゴム人形を出して、けいかんたちがゴム人形に気をとられているうちににげたりするのです。こうゆうトリックをいっぱいつかっているのです。

八歳の俺、バカ丸出しだけど、良く書いてくれていた。ありがとう!
…あぁ、古本屋ツアーをやっていて良かったと思える夢のような時間であった。
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2015年04月17日

4/17天袋ツアー・イン・ジャパン!

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急ぎ実家に戻り、かつて兄と共同で使用していた部屋の、天袋内を捜索する。実は明日、あるところである話をスゴい人たちの前でしなければならないのだが、それにはどうしても小学生時代に書いた読書感想文が必要なのである。どうにかして探し出さなければ!強い意志を持って、埃だらけの四十年前の遺物に挑み続ける。教科書・ノート・モデルガン・ガンプラ・プリント・ボードゲーム・スケッチブック・何らかの工作物・「スターログ」・「宇宙船」・「メンズノンノ」・「ポパイ」・ポケコンの取扱説明書…あぁぁぁぁっ!これは、長年兄と共にその行方を気にしていた、カルビースナック野球カードのコンプリートアルバム(当時)!この小空間で一番高額なのは間違いなく、子供の血と汗と涙とお小遣いの結晶である、この小紙片群である。しかしこれは兄の物なので、私が持って帰るわけにはいかないのだ。分かり易いように取り分けておき、さらに奥へと突き進む。すると中央奥部で、ついに原稿用紙をファイリングした手製文集を発見する。パラパラとページを繰ると、目的の読書感想文も発見。やった。これで明日、バカな発表が出来るぞ。大切にこんなものを保存してくれていた両親に感謝し、大急ぎで現状復帰する。帰り道、パラパラ読んでいるとあまりにも面白いものがいくつかあるので、明日の発表が終わり次第、当ブログにも掲載するつもりである。

東京に戻って銀座で地上へ。すでに工事中のシネパトスの上を渡って、横道にあるビル六階のギャラリー『AKIO NAGASAWA』へ向かう。もうすぐ終わってしまうのだが、寡作な写真家・猪瀬光の写真展が開かれているのである。路上に案内も何も出ていない硬質なギャラリーで、横長な写真と次々対峙して行く。そこに写し撮られているのは、完全なる世界である。何らかの方法で閉じ込められた、世界である。じっと眺めていると、暗い宇宙を見上げているような、無限への畏れが身体と心を硬直させる。ここには何かが写ってるのだが、それが何なのか分からないのだ。もはや出来ることは、畏れおののき、あぁあぁ、と叫ぶことのみ。現在展示されているのは、後期の『PHANTASMAGORIA』であるが、オリジナルプリントではなくポートフォリオの部屋もあり、そこには前期で展示されていた『DOGRA MAGRA』も飾られている。夢野久作の「ドグラマグラ」からインスパイアされて作られた作品は数あれど、私はこれほど小説を凌駕するほどの完成度を誇る作品は見たことがない。魂にガリガリ傷を付けられたようになり、“敬虔”という言葉をポカッと思い浮かべて、写真の前でしばらく放心。月曜社「猪瀬光 全作品」をエイヤッ!と買ってしまうと、見返しに銀ペンでサインが入っていた。…物凄く嬉しい。
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2015年04月16日

4/16東京・学芸大学 BOOK AND SONS

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東口に出て商店街に分け入り、二つ目の十字路を北へ。信号のある交差点をそのまま突っ切り、さらに北に進んで、ひとつ目の脇道を東へ。すると行く手には「SUNNY BOY BOOKS」(2013/06/13参照)の店頭が見えて来るが、手前の角に押しつぶされそうなピロティ駐車場のある細道を北へ。すると左手に、白い小ビルの一階、さらに白くシンプルに洒落たお店が、澄まし込んで開店していた。純白の壁の中に、窓と電灯と看板と出入口が浮かび上がる。ガラス鉄フレーム扉を開けて中に入る。右が階段で左が広めの開放的なフロア。薄い玄関ステップからフロアに下りると、珍妙な椅子と平台ガラスケースが置かれ、入口左横から二段の腰高大型ボックス棚がぐるっと左壁まで連続。左壁の棚上には、さらに五×八のボックス棚が載る。右奥に立派なカウンターがあり、女性が本の壁を目の前に作り上げ、一生懸命作業中。奥のガラスで仕切られた空間は、額装されたポスターがひとつ置かれているだけだが、どうやらギャラリーとなるようだ。棚に並ぶのは、大型の本が多く、和洋含めそのすべてが、文字・タイポグラフィー・フォント・漢字・英字・グラフィックデザインに関するものばかりである。大量である。文字フェチが思う存分身悶え出来る世界である。値段はかなりしっかり付けられているが、ソフトカバー単行本や新書・文庫(もちろん文字やデザインに関するもの)には買い易いものもある。ネヴィル・ブロディ、デヴッド・カーソン、ソール・バス、ブルーノ・ムナーリ・杉浦康平などのデザイン・スターに乙女のようにトキメキ、ついつい自分が持っているデザイン本の値を卑しく確認したりしてみる…くくっ、いいぞ、高いぞ!などとデザイン精神ゼロの喜び。しかし残念なことに、今日からしばらくはまだプレオープン期間中なので、本の購入は不可となっている。なんてこった。販売は四月末日からスタートするとのこと。うらめしそうに棚を見上げていると、横合いから若者に「こんにちは」と挨拶される。おぉ!「SUNNY BOY BOOKS」さんじゃないですか。とこちらもペコリ。ド近所なので偵察に来たらしいのだが、カウンターの女性に「SUNNY BOY BOOKSさんですよね?」と声をかけられ、古本屋さん同士が挨拶を交わす事態に。「今後ともよろしくお願いします。一緒に何かしたりして行きましょう」などと、アグレッシブな提案が交わされている。麗しき哉、ご近所古本屋さん愛!

ということで何も買えずに外に出て、そのままの足で「SUNNY BOY BOOKS」へ。先ほどとは正反対の、小さくキュッとした店内をじんわりと楽しむ。帳場がいつの間にか横向きになり、左側にコンパクトに収まる形に。聞けば、ここにお店を開いて、六月でもう二年になるとのこと。この静かな街の一角で、小さなお店を二年。決して楽ではなかったはずだが、店主は緩やかに古本屋を楽しみ、様々に活動し続けている。こちらも、これからも緩やかに応援いたします。河出書房新社「道の手帖 谷川雁」を750円で購入する。

※お詫びとお知らせ
盛林堂書房「野呂邦暢 古本屋写真集」をお買い上げのみなさま、誠にありがとうございます。
野呂氏のお兄様、納所祥明様の名前の読みに間違いがありましたので、ここにお詫びして訂正させていただきます。
(誤)のうしょさちあき→(正)のうしょよしあき
大変申し訳ございませんでした。

そして今日から、写真集発行元の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にて、野呂邦暢古本屋オリジナル写真の展示が始まりました。写真展に足を運べなかった方や、もう一度古本屋の光景を目に焼き付けておきたい方は、ぜひとも西荻窪まで足をお運び下さい。展示は四月末日まで。
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2015年04月14日

4/14立川で閉店と消息

なんだか非常に立て込んでしまっている。息苦しいほど、様々なものが集中し、迫り来ている。息抜きに、弱い雨の中を立川へと遁走する。混雑する駅頭に立ち、まずは南口に出て、もうすぐ閉店してしまうとコメントタレコミのあった「明誠書房」(2008/08/30参照)を目指す。すると、『ウィンズ通り』をズンズン進んだ先に見えて来たものは、うわぁ!シャッターをほとんど下ろし、店内はまさに撤収作業の真っ最中である、閉店したお店の姿であった。
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去年の「明誠書房ツアー」(2014/10/01参照)の時は元気だったのに、それから半年でこんなことになってしまうとは…。店頭台に何故か残されたコミック束を虚しく眺め、はぁとため息をひとつ。長い間、古本屋の激減した立川を支えていただき、誠にありがとうございました!

そのまま北口に出て『立川通り』を北進し、恐らく立川の最後の一軒の古本屋さんになってしまった、「地球堂書店」(2008/08/30参照)の消息を確かめに行く。やがて左手に見えて来た、地味目な看板建築のお店は、以前と寸分変わらぬ姿でそこに建っていた。そして、奇妙な平台も、パラフィンが巻かれた本が並ぶ店内も、全集の山も、七年前とまったく変わらぬような、端正な姿を保っていた。相変わらず真面目な、七三分けのようなお店である。キレイに掃き清められた店内をジリジリと歩き、劣化し始めているパラフィン越しに、読み難い背文字を読み取りながら、店内を一周。毎日新聞社「閉ざされた旅/南部未樹子」を750円で購入する。歳月を飛び越えた、このお店のあまりの超然さに、大いに感心すると同時に、畏怖を覚えてしまう。
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2015年04月12日

4/12神保町の文省堂にお別れを

起き抜けに日本映画専門チャンネルで、1961年のニュー東映映画『悪魔の手鞠唄(主演:高倉健)』を見始めてしまう。『動く標的』のリュウ・アーチャーばりに、スポーツカーに乗って田舎道を走る都会派金田一耕助に目眩を覚えるが、その颯爽とした姿とは裏腹に、原作から改変された物語は、映画としてのギリギリの均衡を保ち、ノロノロと進行する。しかし物語後半、突如として東京からやって来る、金田一のメガネエロ美人秘書(ヒロインよりも確実に可愛い)が、物語と画面をあっさり崩壊させてしまう。ここからはもう推理などどうでもよくなり、ひたすら秘書の一挙手一投足に釘付け。事件解決後、沼の畔でその余韻に浸る関係者をよそに、「先生、この後は直接九州に向かわれますか?それとも一度東京にお戻りになられますか?」と、忙しい金田一の秘書業務に徹する姿に、大いに笑い萌える。

そんなわけで映画を最後まで見てしまい、泡を食って日曜日の神保町。今日で閉店してしまう「文省堂書店」(2010/09/17参照)にお別れするためである。早稲田の「文省堂」に続き(2013/05/30参照)神保町までも…。時刻は午前十一時四十分。しかし横道の奥にある店前を遠目に見ると、まだ看板などは出されておらず、どうやら開店していない模様。店が開くのは正午なのだろう。それまでの時間つぶしにと、暗く大きな口を開けている「小宮山書店ガレージセール」(2013/07/12参照)に身を任せてみる。すると右端の平台を覗き込んだところで、くぅおお!早川書房のジュニアミステリシリーズを一冊発見!興奮しながら引き出し身を震わせる。ぬぅお!あそこにも一冊あるじゃないか!ぎゃわ!あそこにも!きゃあ!さらにもう一冊!とBDバッジをたどるように離ればなれになっていた四冊を掻き集める。さらに身震い。その興奮を持続させながら、他にも色々買い込む。もちろんこれらはすべて、三冊500円の本である。そして精算を終え、ガレージセール正面の細道から、早川書房ジュニアミステリ「赤いリスの秘密」「緑色の亀の秘密」「金色の鷲の秘密」「黒い犬の秘密」(すべて著者はエラリイ・クイーンでカバーバージョン)を掲げ、どひゃっほう!の凱歌をあげながら記念撮影。
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そんな風に我を忘れていたら、「文省堂書店」はいつの間にか開店していた。いつもと変わらぬお店に近付き、いつもと変わらぬ感じで100均棚に熱視線を注いで行く。それにしても閉店のアナウンスがどこにもないな?と思っていると、正面右側、外壁柱の看板下部に、ちょっと素っ気なくもある『閉店のお知らせ』を発見する…やはり本当なのか。
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店頭から一冊抜き出して、店内へ。さらに左壁の縮小した100均棚に張り付く。ここでもいつものように良い本がないものか、目を凝らす。すると一冊の裸本、相模書房「告示録/吉阪隆正」を発見し引き出してみる。見返しを開くと、これが嬉しい署名本。お店からの最後の贈り物として、新潮社「諷詠詩人/上林暁」と共に計200円で購入する。袋は辞退して、いつものようにお店を出る。今まで、良い本・面白い本・掘り出し物本・クズ本・勢いだけで買った本などなど、たくさん買わさせていただき、大いに楽しみました。長い間、ありがとうございました!そんなことを、お店自体がまるで人格でも持っているように、心の中でたくさんお礼を言いながら、振り返ることなく『靖国通り』。これからは、神保町の歩き方が少し変わることを自覚し、日曜日の本の街を後にする。
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2015年04月11日

4/11東京・西荻窪 中野書店(古本倶楽部)ガレージセール

いよいよ『野呂邦暢 古本屋写真集』写真展&ミニ古本市当日。開始と同時に古本神&古本修羅の蹂躙を受けた後は、比較的のんびりムード。
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午後になってどうにか雨が上がり、陽も射して来たところで、盛林堂の自転車を駆り、まだ冷たい空気を切り裂いて北へ。高いガード下を通過し、『北銀座通り』の坂道をノンブレーキで下り、善福寺川を越えて上り坂。「中野書店(古本倶楽部)」(2015/03/14参照)にたどり着くと、開いたオレンジ色のドアと飾り付けられた風船。建物脇奥の小スペースを覗き込むと、そこに古本の群れが蔓延り、ガレージセールが開かれていた。
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まずは長テーブルの帳場があり、女性スタッフ二人が働いている。さらに奥に平台が続き、乱歩賞・直木賞・芥川賞作家を中心に単行本・ミステリ系多めの文庫・絶版漫画・アニメ特撮本&ムックがズラズラと続いて行く。足下には二十ほどのプラ箱が置かれ、ミステリ・日本文学・幻想文学・日本近代文学などが収められている。小ぶりな、漫画と文学中心の古本市である。サイン本が混ざり込み、漫画には良いものが散見される。値段は1000円以下が中心なので、なかなかリーズナブルな印象を受ける。オハヨー出版「えかきうた 仮面ライダー」春陽文庫「清風荘事件/松本泰」(復刻)を購入する。本を入れてもらった袋には、『神田 本の街』とあった。このセールは月に一〜二回開かれ、次回開催は5/2となっている。

風のように会場に舞い戻り、後半戦をどうにか駆け抜ける。そして夕方からは二階でトークし、古本屋+野呂邦暢+古本屋+古本屋的に話を進める。本日会場にお越しいただき、古本をお買い上げのみなさま、写真集お買い上げのみなさま、写真展を堪能して下さったみなさま、ありがとうございました!おかげさまで楽しい一日となりました。これで野呂写真集騒動は一段落着いた感じですが、実はまだ来月ゴールデンウィークに、新潟と長岡に写真集関連で、岡崎氏とトークに行く予定なのです。詳細は後日お伝えしますので、越後のみなさま、どうかこの古本凸凹コンビを、よろしくお願いいたします!
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2015年04月10日

4/10東京・西荻窪 古本バル 月よみ堂

朝から駆け込みで明日の古本市の準備を進め、午後に意外に多くなった荷物を西荻窪『銀盛会館』に運び込む。それからは、古本市の準備と写真展の準備をワチャワチャと進める。半開きのシャッターを潜って現れた岡崎武志氏と、数々の備品を準備するため「盛林堂書房」(2012/01/06参照)と会館を行き来する小野氏と、力を合わせて飾り付け。そして完成したのは、いぶし銀な文化祭の研究発表的な手作り展示!明日も天気はぐずつきそうですが、みなさまのご来場を、切実にお待ちしております。

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どうにか一応の形を造ってから、三人で珈琲を飲みに行くことにする。向かうはつい一週間ほど前に開店した、古本屋+喫茶+酒場なお店である。駅からは南口に出て、目の前のアーケード商店街に踏み入ってそのまま南に進み、空の下に出ても『西荻窪南通り(通称:乙女ロード)』を迷いなく南進。結構歩いて通りの終りが見えてくると、左手に小さなビル一階にはまり込んだ白いお店が目に入る。大きなガラス扉をスライドして中に進むと、手前に古本屋空間、奥にカウンター席を据えた飲食空間が広がり、べっぴんさんな店主が笑顔で出迎えてくれる。席に腰を据えた二人をほったらかし、早速店内をギロギロと見て回る。左壁の始まりは、映画パンフ(『さらば宇宙戦艦ヤマト』など)を大胆に利用した飲食メニューと食関連文庫の並ぶ低い棚。その奥には酒と食でキリッとまとまった棚が二本。その隣りはビジュアルムックの棚が続く。中央には100均棚+背中合わせ本棚があり、左翼に村上春樹・江國香織・角田光代・川上弘美・さらに酒・菓子・海外文学、右翼には向田邦子・音楽・映画パンフ・サブカル・華道・絶版少女少年漫画・歴史などが収まる。右壁棚は、雨のためか足下に50均箱を並べながら、鳥・猫・犬・動物・天体・詩集・美術図録・アート・古本関連・吉田健一・開高健・文学全集が並ぶ。古本屋と喫茶の境目には文庫棚が一本。古本カフェというよりは、『古本屋+カフェ』である。しっかりと区分されたスペースが、古本屋をしっかりと、喫茶酒場をしっかりと、という一店内二足のわらじ的意志を強く表している。ジャンルはかなり絞り込まれており、店主の見据える方向が垣間見える。値段は普通〜ちょい高で、適価な隙の無い値付が全ジャンルに及ぶ。珈琲をズルズルと啜り、次回はお酒を飲みに来ようと決心する。みなさま、明日の古本市+写真展にお越しの後は、西荻窪の深部まで入り込み、こちらのお店で一休みを。集英社コバルト文庫「ロマンチックSF傑作選/豊田有恒編」白泉社「絵本好きが集まる絵本屋さん100」を購入する。
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2015年04月09日

4/9古本天城越え

ひょんなことから、何だか妙に立て込んでいる時期なのに、西荻窪「音羽館」(2009/06/04参照)の買取に同道することとなる。きっかけは「音羽館」に届いた、伊豆半島の南端に住む読書家からの一通の手紙で、岡崎武志氏の「蔵書の苦しみ」を読み、蔵書の処分を決心したとしたためられていた。それを「音羽館」店主・広瀬氏が岡崎氏に伝えたところ、それは面白そうだ行ってみようと即座に決まり、何故か私にもお鉢が回って来たのである。午前九時半に西荻窪を、軽自動車バンの『音羽館号』で出発。途中で岡崎氏を拾ってから高速をひた走り、どうにか伊豆半島の北端にたどり着く。この時点で、『伊豆半島』『修善寺』と連想してしまった私の頭の中では、そう言えば乱歩の「怪人二十面相」で、修善寺の南に通称『美術城』と呼ばれるお屋敷があり、二十面相に狙われてヒドい目に遭っていたな、などいう役にも立たない情報が浮かび上がる。そんな阿呆を乗せた車は伊豆半島の山の中に分け入って行く。『伊豆縦貫道』は、かなり険しい山の中をうねり走るワインディングロード!いつ果てるとも知れぬ峠道を、上へ下へ、時に三重のループ橋を走り抜けながら、一時間半をかけて太平洋に出る。そのエメラルドグリーンから群青色グラデーションの海が視界に飛び込んで来た瞬間、車内のオッサン三人は、柄にもなく「うわぁ〜!」と歓喜の声を上げてしまう。この時だけは、恐らく三人とも古本を忘れる…そのはずである。そんなこんなをしながら、三代続く農家の、読書家の屋敷に到着する。車外に飛び出た岡崎氏が「東京の音羽館から参りました〜」と、屋敷に向かって声をかけると、即座に依頼人が飛び出して来た。その玄関前と階段では、古本をぎっちりと詰めた28箱の段ボールが、我々の到着を今か今かと待ち構えていた。
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箱の中身はしっかりと分類され、几帳面に内容のリストまでが添付されていた。硬めの本、比較的新しい本が多め。今回は量が多いこともあって、東京に持ち帰ってからの査定となる。蔵書処分のきっかけとなった、岡崎氏の登場に驚き喜ぶ依頼人を尻目に、箱を手際よく自動車内に詰め込んで行くと、あっという間に作業終了。前庭に用意された、まるで野点の如きゴザの上でお茶のもてなしを受け、伊豆半島南端での読書文化について大いに語り合う。だが、ここでモタモタしているとすぐに日が暮れてしまう。暗くなってあの峠道を、古本を満載した軽バンで走り抜けるのは大いに危険!とすぐさま辞去し、来た道を引き返して行く。すると、急角度の上り坂の連続に、音羽館号がまたたくまに悲鳴を上げる。天城峠に、古本を満載した車の、高回転のエキゾーストノイズが響き渡る。ふと後ろを見ると、そこには煽るように近付いた車の列…がんばれ、音羽館号!そんな車の中で、本日のバイト代として箱を苦心して開き、月刊ペン社「牧神の祝福/ロード・ダンセイニ」をいただくことにする。結局、西荻窪に戻って来たのは、午後九時半。買取って大変だ!と身に染みた、長い長い半日の出来事であった。
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2015年04月07日

4/7土浦と発売とお知らせ

早起きして最後の青春18きっぷを使い、土浦「つちうら古書倶楽部」(2013/03/31参照)の「大古本まつり」に、秘密の取材の一環で駆け付ける。まだ結構咲き残る桜に、東京からの距離を漠然と感じ取り、ビル入口の巨大な『古本市』の横断幕に魂消ながら入店。闘いの幕を切って落とす。ガラガラのだだっ広い常設モール&奥の古本市会場を細かく精査するのに二時間…やはり恐ろしいところだ。ただでさえ人生を古本屋と古本で激しく浪費しているのに、その上にさらに重ね上げてしまったではないか…。しかし泰流社「新宿ふらふら族/田中小実昌」が300円なのは嬉しいぞ!と疲れながらもしっかりと市を楽しむ。レジでれんが堂店主と再会を喜んだ後、駅で立食い蕎麦を啜り込んで、東京へとんぼがえり。

家に戻って息つく暇もなく小雨降る表に飛び出し、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。おぉおぉぉ!「野呂邦暢 古本屋写真集」が、店頭にて販売されている!店内各所に置かれた黄色く、懐かしい男の写真を掲げた表紙に目を細めまくる。
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古本屋の中に、古本屋と古本ライターと古本屋ツーリストの作った古本屋写真集が!そんな『古本屋尽くし』な本の旅立ちを、意味不明に大いに喜ぶ。その後、店主・小野氏と写真展についての打ち合わせ。掲載写真からセレクトしたものに加え、未公開写真も二十枚ほどセレクトしたものを手渡す。どうせなら11日の写真展後も、盛林堂のショウウィンドウで継続して一週間ほど写真を飾ろうか、などのアイデアも出る。それなら写真展に来られなかった方にも、オリジナルが見られるチャンスが生まれることになる。

ということでお知らせです。
■『野呂邦暢古本屋写真集』刊行記念イベント<野呂邦暢古本屋写真展&ミニ古本市>
日時:2015年4月11日(土)
時間:11時〜17時
場所:銀盛会館1階

■野呂邦暢古本屋写真集刊行記念トークイベント
<野呂邦暢古本屋写真集制作の裏話>
日時:2015年4月11日(土) 17:00開場/17:30開演
終演:20時(予定)
場所:銀盛会館 2階  (西荻窪駅南口から徒歩8分 杉並区西荻南2-18-4)
参加費:1,000円
定員:25名
出演:岡崎武志(書評家、古本ライター)・小山力也(「古本屋ツアー・イン・ジャパン」管理人)
予約は『西荻ブックマーク』まで→http://nishiogi-bookmark.org/2015/

さらに盛林堂書房の通販サイト『書肆盛林堂』にて、若干数の写真集の販売が再スタート。西荻窪まで買いに来られない方は、ぜひごこちらのご利用を!

さらにさらに、古本神・池谷伊佐夫氏編集のタウン誌「かんだ 春218号」から、『神田を小さく冒険する』という名の連載エッセイがスタート。第一回は「神田古書センター」を、上から下まで上り下りして小冒険。神保町でお見かけの際は、ぜひとも手に取ってご笑覧あれ。
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2015年04月06日

4/5狸穴でサンリオSF文庫と猫に会う

今日は夕方から、ただの野原からいつの間にか作り上げられた新都市、さいたま新都心でお仕事。たっぷりと地べたに這いつくばり奮闘し、仕事場裏口の扉から表に出ると、午後八時の地方ビル街の底。早速帰って、またまた仕事に取りかからねばならぬのだが、古本に触れずに帰宅するのはとてもしゃくに触るので、ちょっとだけ近くの古本屋さんの消息をたどることに決める。目標は北浦和の「古本屋 喫茶 酒場 狸穴」(2012/01/22参照)と、夜しか営業していない浦和の「んぐう堂」(2013/01/16参照)である。ということで、北浦和西口の薄暗い商店街を突き進み、三年ぶりの狸穴前。営業中の扉の前には、奇異なお店をこっそり激写するカップルの姿。彼らが満足して立ち去ったところで店内に突入し、店主・川上氏に挨拶。洋泉社「本屋は面白い!」で取り上げさせていただいたお礼も伝える。ちょっとだけということで、中央のテーブル前に腰を落ち着け、ビールを一杯。このちょっと寂しい完全地元的商店街で、しっかりとお店が継続していることを大いに喜び、ぐるりと囲んだ壁棚に熱い視線を注ぎながら、三年の間にお店で巻き起こった、様々なエピソードを拝聴する。今や浦和〜与野間の地元に地道に根付き始めていることと、古本を通じての活字文化の楽しさと奥深さの伝達稼業。サロンやコミュニティに似てはいるが、それよりももうちょっと緩やかでいい加減で雑然として、いかがわしくも意外に真面目な場作り。七十年代王道漫画から開かれる様々な扉。寄る辺なき埼玉のSF者が、誘蛾灯に惹き付けられたように集まり始めたこと。とにかく、俄然儲かっているというわけではないのだが、この場所でお店を開いた意味があったと思えることや、そのおかげで関われる人たちとの楽しい日々について、愉快なエピソードが流れ続ける。これらの経験が原動力となり、新たにやりたいことや、これからの営業をまだまだ支えていくことになりそうな気配である。うむ、いい話だ。この「古本屋」さんとも「ブックカフェ」とも異なる、妙な営業形態。将来似たようなお店をやりたい方や、興味を持たれた方は、実際に目にして店主の話を聞けば、何か第一歩を踏み出せるきっかけが掴めるかもしれない。確かにここには、何かオルタナティブな生き方のヒントが、潜んでいる気がするのである。そんなこんな長話していると、足元や壁の向こうから、いつの間にか生き物の微かな気配が漂って来る…あぁっ!猫だ。猫が二匹いる!と気付いたら、虎猫のアンジーと、白黒猫の古狸古狸(こりこり)が姿を現し、グルーミングし始めたり、外に出してくれと鳴き始めたりする。あまりにも可愛いので、お願いして古狸古狸を抱かさせてもらうと、人懐っこく喉をすでにフグルフグル鳴らしている!はぁ〜、古本!ビール!猫!最上級に幸せだ!と腕の中の猫に目を細めていると、いつの間にか一時間半が経過してしまっていた。これはイカンと、席を立ち、一冊の文庫を棚から抜き出し精算する。サンリオSF文庫「枯草熱/スタニスワフ・レム」を500円で購入する。すっかり長居してしまったので、「んぐう堂」行きはあきらめ、急いで京浜東北線で東京へと戻る。
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こちらが従業員のひとり、古狸古狸ちゃんである。
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2015年04月05日

4/4中島古書店の今後を知る

横浜中華街での仕事のため、お昼過ぎに家を出る。しかしこのまま、古本に触れずに過ごすのは我慢ならないので、途中の反町で下車し、神奈川県古書会館の「古書まつり」(2011/10/29参照)に飛び込む。静かなガレージ会場の通路を行ったり来たりして、迫り来る仕事時間に焦りながらも、すべての棚に目を通す。だが素敵な本を見つけたのは、棚からではなく、足下に並び置かれた「文雅新泉堂」さんの紙物箱からであった。函が無く、本も少しひしゃげ、ビニールカバーも劣化しているが、みすず書房「余白に書く/滝口修造」(1966)が何と400円!焦燥の中での贅沢な出会いに歓喜しつつ、帳場の文雅さんに挨拶をして精算。すると脇からぴょこんと立ち上がったのは「中島古書店」さん(2012/08/14参照)。「うちの階段から、落ちたそうですね」(2015/03/08参照)とのっけに言われ、照れる。そこで切り返すように、気になっていた「中島古書店」の行く末について聞きただしてみると、実は新店舗はすでに見つかっており、引越しも取りあえずは終えているとのこと。しかし些事が重なり合い、開店はどうやら早くとも五月後半になりそうとのことであった。場所は同じ関内。次のお店がどんな風になるのか、今からとても楽しみである。開店の暁には早速ツアーすることを伝え、会場を後にする。さぁ、仕事するか。
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中華街の片隅で本日の収穫を撮影。「余白に書く」はまるで短冊のような縦長変型本である。ひしゃげているが、それでもうっとり。
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