2015年05月30日

5/30横須賀で消息を尋ねた後に鎌倉でも古本を買う

ずいぶんご無沙汰していたので、気になってしょうがなかった横須賀中央駅近辺の古本屋さんの消息をうかがいに行く。京浜急行で、初夏の如き陽性な車窓を眺めて、緑生い茂る山と墓と、谷戸に逞しく建てられた住宅群と、時々チラリと見える海を楽しみ、漆黒のトンネルを幾つも突き抜けて品川から一時間。最初に降り立ったのは、低山の中腹にある県立大学駅。国道に出てテクテク歩き、まだ正午を過ぎたばかりなので、開いているか不安に思いながら「港文堂書店」(2010/05/08参照)前。おぉ、堂々と開店中だ!と喜び店頭ワゴンを眺めていると、周囲に何だか生き物の気配…何故こんなに鳩が集まって来るのだ?路上や軒上に数羽が出没し、お店の様子をうかがうように動き回っている…鳩が店内に入りたがるお店と言えば、高輪台の「石黒書店」(2009/01/14参照)が思い浮かぶが…。
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※見よ!このお店に接近する鳩たちを!
カラリとお店の中に入ると、サッシの向こうに鳩が近寄り、お店の中を覗き込んでいる…ハッ!もしや、古本を買いに来たのでは…そんな不気味な彼らの動きをありえない冗談に転換し、本棚に集中して行く。あれ?帳場に座るのは、いつもの元気な奥様店主ではなく、ショートカットのうら若き女性。しばらく来ない間に、色々変化があるものだ。静かで古くて雑然とした店内に、素早く目玉を転がして行く。細かい通路に入るごとに、一冊二冊と、手にする本が増えて行く。そして奥の通路に回った時に、裏から奥様店主が登場し「おっ、久しぶりじゃん」と声をかけていただく。小峰書店「星と星座の伝説 冬/瀬川昌男」春陽文庫「若狭湾の惨劇/水上勉」「死人に口なし/城昌幸」新潮文庫「真鍋博のプラネタリウム」少年画報社昭和三十二年二月号少年画報ふろく「道明寺探偵/橋本よしはる」を計1600円で購入しながら、いつものようにお話しタイムがスタートする。横須賀古本屋事情と東京の話。ところがこれらの話に、予想外なほどショートカットの女性がアグレッシブに参加し、お互いの話に次の話を畳み掛ける状態が連続。しかも彼女ら二人は舌鋒鋭く、しばしタジタジタジとなる。ハーレーや自転車で駆け付けた常連さんの入店を機に、スウッとフェードアウトする。いやぁ、なんだかパワーアップしたな、港文堂!

スキップ出来るほどの元気を貰い、歩いて横須賀中央駅まで移動して、『若松マーケット』にある畳二畳ほどの「市川書店」(2009/08/08参照)。ここも元気に営業中で、ホッと一安心。岩波文庫「日本児童文学名作集(上)/桑原三郎・千葉俊二編」を200円で購入して、続いて坂の上を目指す。すると奥行きのない「沙羅書店」(2009/06/02参照)も頼もしく営業中。三月の「新橋古本まつり」で見た、未使用のキャラカルタ群が、片隅でタワーを作っている(実は古本まつりで『仮面ライダー』のカルタを手にした時、オヤジさんに「それは貴重だよ。珍しいよ」と言われたが、三千円の値段を見て思わず「うわ〜高いな〜」と口にしたら、「何言ってんだ、高くないよ」とたしなめられた思い出が…)。そんな記憶を引き出しながら青柿社「美女狩秘話/下村悦夫」が500円で買えたのは嬉しかった。

元気な古本屋さんたちの姿を見て安心し、『ヨコスカベーカリー』で甘食をたんまり買ってから、海岸沿いを歩き続けてJR横須賀駅。ここから横須賀線に乗り、一路鎌倉を目指す。本日は「カマクラブックカーニバル」(2013/06/09参照)が開かれているので、少し見て行こうとの目論見なのである。そして会場に出没している南陀楼綾繁氏と合流し、一杯飲るつもりなのである。しかし大混雑の観光地に到達し、「ウサギノフクシュウ」(2014/06/20参照。以前と店内の様子が変わり、中央に背中合わせの棚が出現。エッセイ類・100均文庫・文庫を収めている)「游古洞」(2012/01/28参照)「藝文荘」(2013/02/17参照)と回り、古本を買い込んでしまうと、早くもタイムアップ。目黒書店「聖書とアドルム/上林暁」(1500円)講談社「死者だけが血を流す/生島治郎」(献呈署名入りが500円!)などの獲物を愛でつつ、ここも大混雑の「ヒグラシ文庫」(2011/09/11参照)で南陀楼氏と合流し、グビグビ飲みながら様々にお話しする。古本の話、地方行脚の話、雑誌の話、イベントの話、生き方の話。同世代の人と忌憚なく話せるのは、楽しく何だか勇気が湧いて来る。したたかに酔っ払うが、南陀楼氏とは駅近くでお別れし、最後に「公文堂書店」(2010/03/28参照)にユラユラと突入。東方社「大江戸黄金狂/野村胡堂」(裸本)を1050円で購入し、ちょっと買い過ぎてしまった感のある、楽しい古本屋ツアーに終止符を打つ。ふぅ、今日も俺は何をしているんだ…。
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2015年05月29日

5/29幽霊船の果てにどひゃっほう!

いつの間にやら五月最後の週末に突入していたので、無駄な焦りを募らせながら西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の「フォニャルフ」棚に補充。そして最近表紙デザインをちょこちょこ担当させてもらっている、盛林堂ミステリアス文庫最新刊の「幽霊船 今日泊亜蘭翻訳怪奇小説コレクション」の出来立てホヤホヤを手にする。うぅむ、文庫サイズってやっぱり、独特な愛らしさがあるじゃないか。とニヤニヤしながらその出来映えを堪能する。そして、一昨日探索したばかりの新中野「古本なべや」(2014/08/03参照)が、実はすでに閉店していたことを教えていただき、ショックを受ける。何という短い店舗人生…あぁ、店生か。これで「中野古本屋サイドライン」は、あまりにあっけなく、瓦解してしまったわけか…。

雨が降ったり止んだりの表に出て、本日の調査先に向かおうとするが、雨が突然冗談のようにドジャーと激しくなり、心を折り身体を濡らす。黄昏の水気の多い街は、なんだか古本屋に行く気持ちをサクサク削ぎ落として行く…もう今日は帰ろう。そんな風に日和って阿佐ヶ谷駅。せめて地元で古本に触れて行くか。というわけでピチャピチャと、古本屋をたどりながら帰って行く。「銀星舎」(2008/10/19参照)にフラリと入り、しばらく見ないうちに新鮮になっていた棚に視線を注ぎつつ、店主の奥様と長話。古本の話も楽しいが、やはり猫の話が一番燃えるな。ちくま文庫明治探偵冒険小説集4「傑作短篇集/伊藤秀雄編」を500円で購入する。

そのまま坂をゆるゆると上がり『中杉通り』を渡って、ガラス水槽の中の隠花植物的な「ゆたか書房。」(2008/10/19参照)へ。店主と微かに挨拶を交わし、狭く短い三本の通路を冒険。ちくま学芸文庫「アイヌの昔話/稲田浩二編」を帳場に差し出すと共に、中央通路本棚下部に横積みされていた一番上の気になる一冊を手にし、「すいません、これをください。後こちらはいくらでしょうか?」と勇気を出して聞いてみる。すると「状態がちょっと悪いんで、300円で」と言わたので、興奮を抑えながら喜んで買わさせていただく。その一冊は、六興出版部 ROCCO CANDLE MYSTERIES 101「殺人鬼登場/N・マーシュ」である!どひゃっほう。私はこれからも「ゆたか書房。」を愛することをここに誓います!
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写真を撮ってみると、二冊とも表紙に紙(かたや貼紙、かたや巻紙)が配されていることに気付く。
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2015年05月28日

5/28埼玉・南鳩ヶ谷 山遊堂

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大きな古本屋さんだった「ブックセンター山遊堂」(2010/09/07参照)が姿を消し、隣接している同系列のレンタルDVD屋に、古本棚がギュウッと押し込まれているとのタレコミあり。埼玉高速鉄道で慌てて現場に駆け付ける。駅から『岩槻街道』を北上し、新芝川を越えると、橋のたもと右手の大きなレンタルDVD屋『will』に、新たに「山遊堂」の看板が架けられている。。旧店舗は、ダーツなどが遊べる遊戯場に成り果てていた…。高圧電流鉄塔を仰ぎ見て、自動ドアから大きな倉庫的店内に進むと、そこは廉価コミック棚とレジ&作業場の脇で、右手に高い棚が整然と林立している。通路の多くをセルDVDとコミックが占領しているが、手前から二番目の通路奥に100均文庫&単行本棚があり、右奥のアダルトゾーン仕切り壁にミステリ&エンタメ単行本が並ぶ。五番目の通路右奥に文庫とノベルスが集まり、最奥通路のレジ側に暮らし・女性実用・住宅・映画・音楽・スポーツ・歴史・カルチャー雑誌・コンピュータ・資格・辞書・新書・ビジネス・文明が集まる。以前のような古書の影はなく、新しめの本で作り上げられた少数リサイクル店的構成。何とも味気ない気分を噛み締めつつ、扶桑社文庫「横溝正史翻訳コレクション 鍾乳洞殺人事件/二輪馬車の秘密」ちくま文庫「定本 二笑亭綺譚/式場隆三郎・藤森照信・赤瀬川原平・岸武臣・式場隆成」(また見つけてしまった…)を計950円で購入する。

せっかくなので近くの古本屋さんの消息確認に参ろうではないかと、芙蓉の花が咲き乱れ、ついでにオートレースのマークシートが舞い散るサイクリングロードを、長閑に歩いて歩いて「しん理書房」(2010/11/14参照)へ。くぅ、シャッターが下ろされ、そこに「所沢古本まつり」のポスターが貼り出され、さらにその上に一枚の白い紙が貼られている。『出店の為5/25〜6/2休業』…そうか。タイミングが悪かったな。しかし“休業”とあるからには、それはお店が開いている証でもあるわけだ。

そこから鳩ヶ谷駅方面に長々と歩き、「あゆみ堂」(2010/03/03参照)も見に行くが、看板がようやっと見えて来ると同時に“木曜定休”のショッキングな文字が飛び込んで来た。…連続でやってしまったか…。

そんなこんなで阿佐ヶ谷まで帰り着き、北口の「千章堂書店」(2009/12/29参照)店頭で100均単行本に視線を落としていると、アーケード通路の方から「こんにちは」と穏やかな挨拶が降り注ぐ。顔を上げると、そこにはTシャツ姿の夏葉社・島田氏が!二冊同時発売の新刊(黒田三郎と田村隆一夫人の本!)の営業で「コンコ堂」(2012/06/20参照)に行った帰りとのこと。二人して少し顔を赤らめながら少し立ち話。「野呂邦暢古本屋写真集」を褒めていただき歓喜する。うぅ、見ていてくれて、ありがとうございます!なんだか分からぬが、無闇に勇気を分けていだいた心持ち。よし、引き続き色々がんばろう!
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2015年05月27日

5/27中野古本屋サイドラインをたどる

笹塚の地下で仕事を終え、階段を上がると真夏のような炎天下の地上。べたつきそうな濃い影をアスファルトに落とし、都市の毛細血管のような小道を、北にヒタヒタと歩いて行く。今日は「古本なべや」(2014/08/03参照)が出来たことによりかろうじてつながった感のある、『中野古本屋サイドライン』をたどることにする。中野とは言っても、丸ノ内線の南側で東西に薄く延びる、三軒の古本屋さんが作り出すか細いつながりである。

まずは中野坂上に近い、坂の途中の「伊呂波文庫」(2008/07/11参照)にたどり着く。「古書 猫額洞」さん(2014/05/10参照)閉店時に、店主より、実は「伊呂波文庫」さんがお店を始めるきっかけだったことを聞き、さらにお店を閉めることを「伊呂波」さんに告げた時、「えっ、辞めちゃうの?じゃあ俺も辞めようかな…」などと不穏な発言をしていたらしいのだが、お店は今日も静かだが頼もしく健在!中に入ると、帳場の向こうには誰もいなかったが、ムクリと何かがミイラ男のように起き上がった!うぉ、店主だ!どうやら横になっていたらしい。それに気付かないフリをしながら、棚をゆっくりと見て行く。…以前より古書や雑誌類が増えた気がする…これは、いいぞ!と穏やかに興奮しながら、すべての棚をキラキラギラギラと楽しむ。欲しい本は多く見つかるが、今日は懐が気候とは真逆に寒いので、唇を噛んで新潮社「処刑された被害者/L・ケネディ」300円のみを買うのにとどめておく。…ここは近々また来よう。

続いて西に裏通りの生活道路をヒタヒタ歩き、期待の新生「古本なべや」前。…がぁん、閉まっているじゃないか…まぁこういうこともあるか…あっさりあきらめ、隣りの大変なことになっている『レコードえるえる』に熱い視線を注ぐ。
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ここも昔はお店っぽくと言うか、『おもちゃの博物館』的に入れたはずなのだが、今はもう物品が山のように満ち、表にまで溢れ、ここがいったい何なのか分からなくなってしまっている。その表に雪崩れ出した物品には、大きなシートが掛けられて、そこには原発反対のメッセージが掲げられているのだ。いつか勇気を奮って、あの端っこに座るおじさんに入れるかどうか聞いてみよう。そんなことを夢想して、さらに西へ歩き続ける。

『中野通り』を越えてたどりついた「プリシラ古書店」(2012/02/14参照)は、本当に住宅街の片隅で、慌てず騒がず変わらず営業中である。開店当初からしっかりした水準を保ち、乱れることなく、この繁華とはかけ離れた場所で、古本屋さんを営業し続けていることは尊敬に値する。そう言えば前回ここで買わせてもらったのは、金子國義サイン本の「エロティシズム十二幻想/監修・津原泰水」700円であった。今日は青林工藝舎杉浦茂傑作選集「怪星ガイガー・八百八狸/杉浦茂」を900円で購入する。

この後もヒタヒタ歩き続け『中野古本屋サイドライン』からはちょっと外れるが、東高円寺の「イココチ」(2009/12/10参照)が、外に安売り文庫箱まで出すほど、古本屋さん的に成長しているのを見届け、さらにヒタヒタ進んで、結局歩いて家まで帰り着く。夕日も、まだまだ暑い五月の終り。
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2015年05月25日

5/25八坂に一店の消息を尋ねる

午後に突然の予想以上の揺れにシェイクされるが、室内の本の山は上部を崩したのみにとどまる。茨城・土浦が震度5弱か…「つちうら古書倶楽部」(2013/03/31参照)は無事であろうか…。ちょっと片付け、心を落ち着かせてから外出。西武新宿線を山口線に乗り換え、八坂駅で下車。ここは五年前に一度来たきりなのだが、歩を進めて行くと、なんとなく見覚えのある景色が流れて行く。きっと頭の何処かに仕舞ってあったものが、現地に来たことにより刺激され、ロードされているらしい。今まで似たような街並を、何百何千と見て来ているはずなのに、ちゃんと記憶を引き出せるとは、脳って機関は本当に偉大だ。と、何故だか脳に感謝しながら一キロ強歩き「古書・ゲーム ドラゴン2」(2010/06/30参照)の前のはず…ところが看板も日除けも撤去された、店舗営業を終えてしまった姿が、そこにあった。老マダムのいる、売っているものは今時の、意外に古い造りのお店は、まるで幻の如く消え去っていた。いったいいつ閉店したのだろうか。トボトボと駅まで戻りながら、この古本屋の消息確認はなかなか厳しく切ない作業であることを、改めて認識する。たとえお店と関わりは薄くとも、それは『古本屋レクイエム』とは違った、遅刻してしまった、申し訳なさと切なさである。

それでも古本は手にしたく、鷺ノ宮駅で「うつぎ書房」(2008/08/06参照)にフラリと立ち寄り、コンクリ土間に立ち尽くし、暗い壁棚上段に視線をさまよわせる。すると講談社「ガン病棟/野口赫宙」がピカリと光ったので、1000円で購入。嬉しい。

そして家に帰り、仕事場の机に座ると、横の本の山に違和感を覚える…なにかこう、ひしゃげている気がする…いや、元はどうだったか良く思い出せないのだが、なにかこう傾いでいる気が…。
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2015年05月24日

5/24御用聞きのように武蔵野を歩き回り消息を尋ねる

動き出しは午後からと決めていたのだが、何故か高円寺『西部古書会館』の「中央線古書展」に向かってしまう…すべては「BOOK5 vol.17」の取材のせいだ…あぁ、古本市は、危険地帯なのに…。午前中のうちに到着するが、結構混み合っている。現代新書「堕落論/坂口安吾」星文館「南方随筆/南方熊楠」偕成社「名探偵ホームズ 謎の人間猿/原作ドイル 福島正美」(乱歩の「青銅の魔人」に続き、小学生時代に読書感想文を書いてしまった本である。この運命的出会いを見逃すわけにはいかなかった。ただし内容は荒唐無稽。なのに何故俺は感想文を…恐らく、切羽詰まっていたのだろうな…)天然社「海獣/松浦義雄」(昭和十八年刊のカバー無しだが、クジラからラッコまで海獣の図版がたくさん。フフフ、楽しいな…)を計450円で購入。

そんな風に古本市を楽しんでしまい、一旦家に戻って昼食を摂ってから、再び外出。西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の「フォニャルフ」棚にちょっとだけ補充する。すると帳場脇では、日本推理作家協会賞漫画家の喜国雅彦氏が自著やら色紙やらにサイン中。その眩しさに目を細めながらご挨拶させていただく。喜国氏が座って作業しているので、その目線に合わせるつもりで、腰をグッと屈めてお辞儀すると、妙に卑屈なポーズになってしまい、少し恥ずかしくなる。そして取り置きしてもらい楽しみにしていた、本の雑誌社「ミステリ編集道/新保博久」(新刊で識語署名入り)を購入する。早く読みたいのを我慢しながら、駅反対側の「音羽館」(2009/06/04参照)にも足を運び、北宋社「両翼の騎士 笠井潔の研究読本」晴南社「基地 /北村小松」を計600円で購入。そこからさらに北西にグングン進み、「かんばら書房」(2014/09/26参照)の今日も無事に置かれていた100均店頭箱店を覗き込む。福音館「ファンタジーの世界/J・R・R・トールキン」八雲書店「随筆 田園四季/結城哀草果」を計200円で購入。

ここから本腰を入れてテクリテクリ歩き、吉祥寺に至り、消息の気になる「午睡舎」(2009/09/10参照)を見に行くが、今日もシャッターがガッチリと下りている…これはもう、店舗営業はしていないのだろうか。まぁ後一回くらいは見に来て判断することにしよう。と再び歩き出し、南に下って『井の頭公園』の縁を下って三鷹方面へ。駅からだいぶ離れた街中にある「REGINA」(2010/01/17参照)の消息確認に向かう。…テクテク長く、今はすっかり都会の武蔵野の大地を歩きながら、なんとなく考える。江戸時代の御用聞きは、こんな風にして、ペタペタと草履で、遠くまで歩いていたのだろうな。当然健脚とは言っても、二本の足で広い江戸を飛び回るのは、さぞかし骨が折れたであろう。電車やバスや自転車に乗り馴れたこの身は、まぁ足弱の部類と言える。そんな身を情けなく感じながらも、二駅三駅とは言え少しは追体験していることを、勝手に誇らしく思ったりもする。しかし、肝心の「REGINA」が見つからない。近くに来れば分かると思って、大して調べずに暢気に出て来てしまったのが、思いっきり裏目にでてしまった。これでは完全に、御用聞き失格である。しばらく見たことのあるような街角を彷徨うが、結局たどり着けず、今日はあきらめることにする。…あぁ、足を棒にした挙げ句、半七親分に叱られる…。
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本日のささやかな収穫である。
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2015年05月23日

5/23群馬・高崎 珈琲と古本 ギンガム

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わりと遅く起き出したが、少しは遠くの古本屋さんを見に行きたくてしょうがなくて、一週間前に乗ったはずの湘南新宿ラインで午後一時の高崎駅。立喰いそばで昼食を摂り、西口駐輪場で無料のレンタサイクルを借り受け、街に解き放たれる。すでに初夏の爽やかさ溢れる高崎市街を、エンジ色の自転車が快調に滑って行く。やがて、西側の住宅街に滑り降りるが、目標には近付いているのに、盛大に迷ってしまう。走って来た道を見失うほどに、盛大に迷ってしまう。そこで後ほど判明した、分かり易いルートをここに記すことにする。駅からは西に進み、『渋川街道』をぐんぐん北へ。もはや繁華街の外れとなる『本町1丁目交差点』で西に入る。『旧中山道』であり『赤坂通り』でもある道は、店舗営業を辞めた「赤坂堂書店」(2009/10/04参照)前から下り坂となり、南西に下って行く。古い商家や醤油醸造所の並ぶ景色を楽しみ、下り切った『常盤町交差点』で、今度は北西へ。しばらく行くと右手に大きな『パークレーン高崎』が現れるので、正面を通過して敷地沿いに北東へ。すると左手に、小さな駐車場があり、店頭に大きな瓶と目立たぬ看板を置いた、シックなお店を発見する。日光の加減か、大きな前面の窓はピカピカとこちらの景色を映し込んでおり、店内の本棚がなかなか見え難い。それにしても、横に大きなボーリング場&スポーツジムがあるとはいえ、こんな所に古本喫茶…たどり着けた喜びと、ロケーションの意外さを心の中で捻り絡ませ、自転車を停めて店内へ進む。左に仕切られた厨房と、窓際にカウンター。そこに座っていた、ゆず・岩沢風青年が慌てふためき「いらっしゃいませ」と立ち上がる。「本を見せていただいてもいいですか?」と断りを入れ、右に広がる古本屋的スペースへ。焦げ茶を基調にしたシンプルシックで抑制が効き、整った空間である。奥壁と右壁に大きな本棚が据えられ、中央のテーブル席を囲むように、低めの本棚が展開。入口から奥に向かう狭い通路には、幻想文学・澁澤龍彦・種村季弘・海外幻想文学・バラード・バロウズ・中上健次・野坂昭如・赤瀬川原平・諸星大二郎・植草甚一・伊丹十三・安部公房・開高健・吉田健一・山口瞳・セレクトライター本などと共に、回転式音楽CDラックが置かれている。奥の壁棚には、コバルト文庫もおさえた片岡義男・小林信彦・田中小実昌・後藤明生・函入り日本純文学・平岡正明・現代思想・文芸評論・ちくま文庫・河出文庫・講談社文芸文庫・セレクト女流作家・暮らしや雑貨類のビジュアルムック・雑誌が並ぶ。向かいには写真・アート・建築・犯罪・サブカル・カルチャー雑誌。右壁棚には、中公・新潮・集英社・旺文社・講談社などの出版社別セレクト文庫の他、ロマン文庫・探偵小説系文庫と共に、下段に映画・音楽・CDが固まっている。端正でよく練られた徹底的な棚である。好みを突き詰め集めて、そこに立ち止まらずに、ちょっとだけはみ出すような一冊にも手を伸ばしているため、棚に滋味が滲んでいる。古い本はあまりなく、値段は普通〜ちょい高。これからさらにもっと突き詰め、さらに徹底的に集め、さらなる高みに上がって欲しいお店である。河出文庫「ドラキュラ ドラキュラ/種村季弘編」ちくま文庫「定本 二笑亭綺譚/式場隆三郎・藤森照信・赤瀬川原平・岸武臣・式場隆成」を購入すると、店主に古本屋ツアーであることを看破される。ひいっ、恐れ入りました。そこからこの場所での経営の厳しさや、実は本業があり、今はそちらに支えられた土日営業であることを知る。店主は「いやぁ、いつまで保つのか…」と笑いながら言っているが、いつ何時化けることがあるか分からないのだ。棚の気配が素敵なので、ふんばって化ける準備を、これからも続けていただきたい。まずは店頭がシック過ぎてアピール性5%ほどなので、『珈琲と古本』をもっと目立たせて行きましょう!

しまった、珈琲を飲めばよかった、と後悔しつつ、自転車に跨がり市街へ戻る。「文京堂」(2014/05/25参照)にキキッと乗り付け、表紙写真の中村梅之助がナイスな巨朋社「伝七捕物帳 美女夜叉/陣出達郎」とボナンザ「本の本 1976年6月号ミステリーと名探偵特集」を計300円で購入。さらに「みやま書店」(2009/02/08参照)と久しぶりの「うさぎの本棚」(2011/01/29参照)を見に行ってみるが、残念ながら共にお休みであった。
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2015年05月22日

5/22外から消息を確認し「西村屋書店」の変貌に項垂れる

ここ二三日、あまり身動きの取れぬ状況が続いている。ようやく隙を見出して、近場の消息確認に急行する。沼袋駅から北へ歩いて、またもやの「天野書店」(2008/11/14参照)へ。おっ、今日はシャッターが開いている。しかし安売り台が店内に引き込まれており、明かりは点いているが明らかに『ちょっと出かけています』モード。
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最近のこのお店との巡り合わせの悪さに、少し気が遠くなる。しかしよく考えたらお店は営業中なのだ。取りあえず消息確認は出来たのだ。別に、中に入って古本を買わずともいいわけではないか…と思いつつも、何かこう居心地の悪さを感じながら、坂道を下って駅方面へ。

本当は早く戻らなければいけないのだ。「天野書店」に入れていたら、もう帰り道のはずであった。しかし駅前を通り過ぎて、踏切を渡り、南の街中に分け入ってしまう。テクテク歩いて、古本を買いに行こう。そうしなければ、この外出に区切りがつかない!中野近くの『早稲田通り』に出て、さらにテクテク高円寺まで。『あづま通り』に入って「越後屋書店」(2009/05/16参照)の裏口壁棚に取り憑き、講談社世界少女小説全集6「探偵少女ナンシー/キーン」(裸本)を100円で購入。こんなんじゃ、まだまだ満足にはほど遠い。

さらに南に下って駅を通過し『ルック商店街』をズンズン進む。やがて小坂の上の、看板建築の古本屋さん「西村屋書店」(2010/04/11参照)……しかし店舗部分はもはや見る影なく、元店内はサッシ戸の向こうに新たな壁や窓が出現する不思議な造作となっている。
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あぁ、高円寺からまたひとつ、古い街の古本屋さんが、流れ星のように輝き消えた。項垂れながら「アニマル洋子」(2014/03/14参照)に入ると、「TIGER BOOKS」さん(2011/12/05参照)と鉢合わせ。また今年も開催するという「independent bookstore's BOOK FES」(2014/10/12参照)の早過ぎる情報をいただく。ここでは宝文社「武蔵野/上林暁編」文芸出版社「ビーグル号の博物学者-ダーウィン-/内山賢次」を計400円で購入。昭和二十八年のビーグル号児童本は思わぬ拾い物。ここまで遥々馬鹿みたいに歩いて来た甲斐があるというものだ。これでようやく、家に戻れるというわけか。
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2015年05月20日

5/20「水野書店」の消息を尋ねる

昼ご飯を食べてから西荻窪に出て、『フォニャルフ』にガツガツと古本を補充する。その後、西荻窪駅北口からバスに乗り、西武池袋線の大泉学園駅。「ポラン書房」(2009/05/08参照)に寄るべきなのだが、時間がないので断腸の思いで振り切り、練馬駅に直行する。駅北口からテクテク歩いて豊島園駅。坂を下ったところにある、ほぼ映画チラシ専門の古本屋さん「水野書店」(2009/01/07参照)へ。重心を後ろに心がけながら、結構な急坂を下り、青い日除けの突き出たお店の前…その日除けが、もはやボロボロになり、抜けてしまっている。横のドアにも二階にもシャッターにも、営業感と生活感は感じられない。これは、やはり、店仕舞いしたと考えるのが妥当であろう。風に、シャッターに架かった蜘蛛の巣が揺れている。日除けの下に入ると、透けた鏡文字の店名と青い空。オヤジさんが耳元で連呼した『決して映画は無くならない!』の、強く滑稽でもあったキャッチフレーズが、脳裏に響き渡る。あの時、怖じ気を振り払って、このお店に入って本当に良かった。買わさせてもらった「ウエスタン」のチラシ、大事にします。もはや私に出来ることは、それくらいしかないのです。
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再びテクテク歩いて桜台に向かい、「島書店」(2009/06/30参照)を訪ねようとすると、あっ!今日は定休日か。というわけでシャッターが下りてしまっている。しかしそのために、面白いものを見ることが出来た。シャッターに大書されていたのは『高田書房 桜台店』の文字。その下にはお店の電話番号と『自宅』と書かれた電話番号がある。なんかスゴいぞ!そうか、お店の前身は、高田書房の支店だったのか。

仕方がないのでそのまま練馬まで歩き、「一信堂書店」(2008/07/08参照)で古本に触れる。店頭安売り壁棚から抜き出した児童文学の研究雑誌は、山中峯太郎・池田宣政・高垣眸・江戸川乱歩・吉屋信子・村岡花子が自作の少年少女ものについて書き、さらに樺島勝一・宮尾しげを・阪本牙城の挿絵&漫画論、「譚海」「日本少年」「少年倶楽部」編集者の回顧録と、燃える豪華さ。さらに店内では栗田信の映画本を800円で発見。これなら安値だ!と即購入決定する。日本児童文芸家協会「児童文芸 1964年第三号」文芸評論社スワン新書「映画スキャンダル50年史/クリタ・信 小野好唯」を計1180円で購入する。
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今日の収穫と大事にしている六年前に買った「ウエスタン」二色刷りチラシ。

※お知らせ
5/21頃から発売になるトマソン社「BOOK5 vol.17」に『古本市ツアー・イン・関東』という記事を寄稿しました。一ヶ月ほどかけて、関東一円の古本市に行きまくった、なかなか過酷な記録となっております。おかげで古本市がなんだか好きになってしまいました。連載中の『古本屋ツアー・イン・ドリーム』(今回は小山清『落穂拾ひ』の「緑陰書房」を妄想訪問!)と併せてお楽しみ下さい!
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2015年05月19日

5/19昭島〜東大和市と閉店の匂いを嗅ぎ付ける

中央線〜青梅線で一路西へ。車両ドア開閉ボタンを押して、昭島駅の島式ホームに降り立つ。すぐさま南口から線路際へ。『古今東西の英知の缶詰 価値ある途中下車』と濃淡ある青文字で書かれた看板は、普段通りである。その下の屹立した断崖の如き店頭壁棚も、普段通りに安値の古本をギッシリと並べている。
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だが、この「さわやか文庫」(2009/08/29参照)は、残念なことに五月一杯で閉店してしまうのである。悲しみを胸に込み上げながら、古本を見て行く。すると棚下の新書箱の中から、上野英信のメジャーデビュー単行本である炭坑労働者のえばなしを発見し、悲しいのに喜んでしまう。二段のステップを上がって店内に入ると、通り側の様子はいつも通りだが、奥側の通路が本が積み上がったり括られたりしている、何だか騒がしい状況。本の壁に囲まれていた帳場も、左半分がゴソッと無くなり、閉店の予感を思いっきり伝えている。文庫通路に入り込むと、奥から出て来た好々爺を全力で演技中の仲代達矢のようなオヤジさんが、こちらをジッと見つめ始める…あれ?この人は店主じゃないよな…。すると「五月一杯で閉店します。気に入った本があったら、遠慮なくどうぞ」と、口ごもるように教えてくれた…お店の人なのか?「ハ、ハイ」と答えて、奥の三本の通路を攻めて行く。漫画はセール中らしいのだが、文庫や単行本はどうなのだろうか?と考えつつ十五分ほど滞在。帳場に向かうと、そこにはいつものオヤジさんが座っていた。柏林書房「せんぷりせんじが笑った!/上野英信著・千田梅二絵」カッパブックス「愉し わがパリ/美川徳之助」現代評論社「ああ、荒野/寺山修司」(残念ながら森山大道の写真附録はナシ)を計1050円で購入。単行本は普通値でした。表に出て、来た時と同じようにプラ日除け看板を見上げる。価値ある途中下車が出来るのも、後十日余りか…。

再び青梅線に乗って、拝島で西武新宿線に乗り換え、東大和市駅。北にテクテクテクテク直線道を歩いて歩いて「ブックセンターいとう東大和店」(2013/01/09参照)へ。こちらも五月一杯で閉店となり、現在30%OFFセール中なのである。
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長い通路を行ったり来たりして、閉店のアナウンスと『テッテレレレルル、レルレ〜♪』のいとうの店内ミュージックを繰り返し聞きながら、大量の文庫に目を凝らして行くが、調子が悪いのか棚との相性が悪いのか、あまり手が伸びない。結局中公文庫「珍品堂主人/井伏鱒二」福音館書店「ちのはなし/ぶんとえ 堀内誠一」を計245円で購入し、お店に別れを告げる。この巨大な店舗は、次はどんな姿に変わるのだろうか…。
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2015年05月17日

5/17千葉南西部の気になる三店の消息を尋ねつつ古本買いを

昨日の疲れを引き摺っていたので、家でウダウダしていようかと思っていたが『そんなことではイカンぞ!』と鞭打ち立ち上がり、『それに昨日は古本を買っていないじゃないか』と古本禁断症状に震えながら、総武線各駅停車で千葉県へ進入する。気になる古いお店たちの消息を尋ねた後に、お気に入りの古本屋さんに足を向け、古本を買い漁ろうという魂胆なのである。

最初は午後二時の本八幡駅に降り立ち、高架と雑居ビルの谷間に沈んだような細道にある「川井書店」(2010/04/17参照)を目指す。目印の鉄製回転絵本ラックは健在!端正な文庫台とノベルス台も見事に健在!狭く凝縮され整頓され尽くした店内では、左端通路の壁棚に集中し、一部に集まる古書を物色する。東成社「顎髭物語/源氏鶏太」を500円で購入し、楽しい日曜の午後がスタート。

東に進み、船橋駅で東武線に乗り換えて馬込沢駅。ドキドキしながら、タイムカプセル古本屋の「福原書店」(2011/06/01参照)に向かって歩く。狭い歩道で地元住民と道を譲り合いたどり着くと、お店は見事に閉まっていた。…う、これはお休みなだけなのだろうか…並びの商店四軒共がシャッターを下ろしている寂しい光景は、不吉な連想を引き起こす。
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…いや、早まっちゃいけない。ここは、あきらめずにまた来ようじゃないか。そう簡単に、あの混沌とした黒い店内を見捨てるわけにはいかない。要再調査だ!

船橋駅まで戻り、ちょっとだけのつもりで調査対象ではない「BOOK POWER」(2009/04/27参照)も見てみることに。するとそこには『閉店セール』の幟が立つ、やるせない光景!
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なんと5/31に店仕舞いするため、半額セールを実施中であった。バルコニー的二階売場が無くなってパワーダウンしたが、これで最後のパワーも尽きてしまうのか…。リサイクル系のお店だが、おかしな店内構造と、時折混ざる中途半端に古く安い本が、ちょっと魅力的なお店であった。極細の文庫通路を精査し、ちくま文庫「人とこの世界/開高健」光文社文庫「江戸川乱歩の推理教室」を計330円で購入する。

思わぬところでお店を看取りながら、南口に出て海老川方面へ。おぉ、老舗の川沿いの古本屋さん「三栄堂書店」(2009/11/10参照)は、今日も堂々営業中。天井の高い店内で、帳場でゆったりと喋るおじいさんおばあさんを風景にして、本棚を上から下までじっくりと眺めて行く。幻冬舎アウトロー文庫「金子正次遺作シナリオ集」徳間書店・大藪春彦活劇選集「凶銃ルガー08」白揚社「原始探検のトムキンス/G・ガモフ」を計900円で購入する。

そのまま大明神下駅まで歩き、後は消息確認から解放されて、京成線でまずは大久保へ。駅から北口のロング商店街をテクテク歩いて、千葉がもっともっ誇るべき名店「キー・ラーゴ」(2009/11/25参照)。すると早速店頭棚で、背表紙が取れかかっているが、春陽堂書店「山窩綺談 瀬降と山刃/三角寛」が100円で放り込まれているのを発見!この程度なら、この俺にも直せるぞ。やった!と興奮して店内へ。奥が少しスッキリとして、帳場の位置も柱の裏に変更となっていた。しかし棚の濃厚さだけは、クオリティ高く変わらない。先ほどの三角本にプラスして、ゆまに書房「返らぬ日」「三つの花」「紅雀」すべて吉屋信子を、計1000円で購入する。

ずいぶんずっしりして来たなと、買った本の量で本日の行動の充実を鑑みる。そして最後にだめ押しで、こちらも千葉がもっと声高に叫んでいい名店「雄気堂」(2009/05/30参照)。文庫棚前に跪いて祈るように棚を見続ける。単行本も何冊か欲しい本がが見つかるが、今日は我慢して文庫中心にする。旺文社文庫「アンクル・トリス交友録/柳原良平」講談社漫画文庫「蛸の八ちゃん/田河水泡」ソノラマ文庫「蜃気楼博士/都筑道夫」新潮社「沈黙の家/新章文子」芸生新書「8ミリカメラ特撮のタネ本/円谷一」を計2000円で購入する。すると店主に初めて正体を見破られ、大いに恐縮する。そして「あんまり褒めてもらっちゃ困るよ」と店主ははにかみ謙遜するが、やはりここは今日もいいお店で、ぐっと目を惹く変化が、棚のそこここに潜んでいるのだ。ふぅ、これで昨日買えなかった分も、お釣りが来るくらい取り戻せた気が。
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※お知らせ
明日5/18発売の「新潮45」の古本特集に、6ページ分の記事を寄稿いたしました。いつもの『古本屋』についてというよりは、自身の活動である『古本屋ツアー』に付いて書き連ねたものとなります。とにかく何が己をそこまで駆り立てるのかという、個人的な謎を探る奇妙な文となっております。豪華な畏れ多い執筆メンバーに紛れ込み、穴があったら入りたい状況ではありますが、爽やかな月曜日から熱い古本屋ツアーの息吹を感じても良い方は、是非とも本屋さんでページを紐解いてみて下さい。
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5/16群馬・前橋 「敷島。本の森」ブックマルシェ

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午前六時過ぎに、古本ではち切れそうになった衣装ケースをキャリーカートに括り付け、雨の中をゴロゴロと駅へ。湘南新宿ラインと両毛線で午前九時過ぎの前橋駅に、時間通りに降り立つ。まだ移動しているだけなのに、すでに疲れが見え始めている…。しかしここからさらに二十分ほどバスに乗り、なかなか雨の上がらぬ敷島公園にたどり着く。公園バスターミナルから、さらにゴロゴロと広大な敷地内を彷徨い、本来の会場である松林に進入…誰もいない…当然だ。雨がまだポツポツ残っているのだから。雨天時は近くの『フリッツ・アートセンター』で開催だったな。林の白砂の道に、深い轍を残しながら、さらに彷徨いを継続する。センターは公園西側の外れに建つ現代建築である。すでに様々な準備が着々と進む入口前に、よろぼいながら到着すると、中から元気一杯の「suiran」さん(2014/05/25参照)が飛び出して来て、長旅の労をねぎらってくれた。すぐさま館内奥の小ホールに案内されると、吉祥寺「百年」さん(2008/09/25参照)「青と夜ノ空」さん(2014/10/13参照)、長野「ch.books」さん(くぅ、未踏!)が売場設営の佳境を迎えていた。みなディスプレイを工夫し、それぞれの個性をセンス良く発揮している。それは外にテントを立てて準備を進める、群馬新勢力古本屋軍団も同様である。しかし特にスゴいのは「百年」さんで、台車で古本をこれでもかと運び込み、もはやバックヤード的な状況を呈している。…いったいどうするつもりなんだ?しかしそんな人の心配をしている場合ではないので、急いで長テーブルをナナメに並べ、苦労して運び込んだ古本を面陳とブックエンド陳列に分け、いつものようにシンプル過ぎる剥き出しのディスプレイを準備万端整える。開始時間の午前十一時を迎えると、お客さんが早速館内にも流れ込んで来る。唯一外の様子がうかがえる高窓を見上げると、雨はすでに上がったようだ。お客さんは途切れることなく入って来るが、全体の雰囲気は明らかにオシャレ寄りなので、異端側の「フォニャルフ」は大いに苦戦する。目の前の「青と夜ノ空」さんでのリトルプレスと新刊への食いつき、「百年」さんのゾーン分け宝探し的激安均一祭(これも思えば会場内では異端である)の混雑っぷりに、とにかく圧倒される。それでも時折、天使のように現れるブログの読者たちに勇気を貰い(みな群馬でのそれぞれの古本屋&古本エピソードを披露され、古本屋ツーリストとして愛おしさを覚えてしまう)、おかしな本を笑いながら手にしてくれるお客さんに感謝する。中でも、ポケミス「気ちがい(サイコ)/ロバート・ブロック」を鋭い目をしながら素早く買って行った奥様、ヒチコック映画『鳥』原作のポケミスと日本野鳥の会「山野の鳥」の二冊を喜びながら買ってくれた小鳥好きのお嬢さんに、素敵な手応えを覚える。古本って、やはり偉大で奥深い!文庫はほとんど動かなかったが、絵本と古書、それにアート系が主力で売れていった。そんなこんなで午後五時半までに、計四十冊を販売。古本を買っていただいた方々、声をかけていただいた方々、本当にありがとうございました!少しだけ軽くなった荷物をまとめ、出店者のみなさんに別れの挨拶。「ch.books」さんには「お店に必ず行きます!」と取りあえず宣言しておく。一日飛び回りっ放しだった「suiran」さんに送り出され、いつの間にか夕暮れの公園内へ。するとそこには撤収作業に入っていた「kiji books」さん(2011/05/14参照)の姿が!慌てて改めてご挨拶し、もう四年前にもなる、あの苦しかった冒険と、その報酬として野呂邦暢文庫群を与えていただいたお礼を告げる。あぁ、今日は本当にここに来てよかった!そう素直に思える一日を過ごし、疲れた身体と売れ残った古本を引き摺り、帰路に着く。帰りは奮発して湘南新宿ラインのグリーン車。差し入れでいただいたキッシュと串揚げを肴に、ビールでひとり乾杯。…ハッ!そう言えば、今日は古本を一冊も買っていないじゃないか………。このイベントは明日、日曜日も開催される。
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2015年05月15日

5/15前橋出動準備完了!

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本日は一日家に閉じこもり、結局古本屋に行くことも叶わず、ひたすら様々に作業する。そして当然、明日の群馬・前橋『敷島公園』でのブックマルシェ参加の準備も進める。本の選定と値付を素早く全力で行い、結構消耗する。久々の衣装ケースに古本を詰め込む行商スタイルで出動するのだが、早朝からの長時間電車移動を想像すると、少しだけブルーになる。しかしどうにか会場にたどり着けば、そんな憂鬱は吹っ飛んでしまうだろう。天候がちょっと怪し気だが、公園内の松林かどこかの軒下を借りて、のんびり変な古本を錚々たるメンバーに埋もれて販売していますので、お時間ある方はどうぞ森の中に冷やかしに来て下さい。午前十一時スタートで、大体日没まで。夜にはジョナサン・デミの『ストップ・メイキング・センス』が野外上映!とても観たいが帰れなくなるのであきらめます…。それでは萩原朔太郎の故郷、前橋の利根川の畔でお会いいたしましょう。

http://suiranbook.exblog.jp/22947858/
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2015年05月14日

5/14東京・荻窪 6次元夜の古本市

外仕事のためバスで笹塚に向かっていると、『青梅街道』がありえないほどの大渋滞。これじゃあ仕事場に遅刻確実だと、あきらめムードで車窓を眺めている。するとこの大渋滞の原因は、萩原流行事故現場の大掛かりな現場検証であることが判明する。警察官がわんさかと集まり、いったいなんなんだ、この物々しさは。その現場を通り抜けると、車の流れはたちまちスムーズになる。

そんなわけで遅刻して仕事をこなし、歩いて新中野駅まで移動し、丸ノ内線で荻窪駅。古本カフェの「6次元」(2010/03/26参照)で一夜限りの古本市が開かれているのである。しかしお店の位置を間違え、最初は南口の商店街をテクテク。途中でお店が北口線路際だったことを思い出す。するとそこで我が目に飛び込んで来たのは、すでに午後七時四十五分なのに、未だ営業中の「竹中書店」(2009/01/23参照)。こんなに遅くまでやっているのかと感心し、何だか嬉しくなって300円均一台を覗き込んでみる。小粒だがピリリとした本が並んでいるじゃないか。荒地出版社「鮎川信夫全詩集'45〜'67」毎日新聞社「風に毒舌/唐十郎」を計600円で購入する。

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気分を良くして北口に出て、ようやく「6次元」にたどり着く。狭い階段を上がって木の扉を開けると、小さな店内にはすでにたくさんのお客さんがおり、汗ばむほどに温度が高くなっている。左側の、谷川俊太郎・寺山修司・稲垣足穂などが並ぶ常設本棚は、値の半額で販売されているはずなのだが、値段の付いてる本があまり見当たらない…うーむ、うーむと本を次々手にしてみるが、やはりよく分からない。続いてテーブルに横並びに並んだ、出店部門へ。するとそこには頼もしいというべきか、もはや見慣れた一箱の猛者たちが、ニヤリと笑みを浮かべて古本と共に並んでいた。…あぁ、どんなフレッシュな古本市だろう!と胸をときめかせてきたのに、この盤石さはいったい!と心の中で複雑な感情を渦巻かせながら、もはや今週土曜に葉山で開かれる「海辺の古本市」のことしか頭にない「レインボーブックス」さんから講談社「ぼくの裏町ふらふら日記/滝田ゆう」を500円で。続いて「M&M書店」+「モンガ堂」で、モンガさんと新潟の話をしながら平凡社ライブラリー「荷風文学/日夏耿之介」を500円で購入する。滞在時間短く表に出て、涼しい風を服の中に入れながら歩き出す。あぁ、荻窪の的外れで意外な展開の夜。
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2015年05月13日

5/13消息確認のつもりがただの古本屋巡りに

今日は長く机に齧り付いていなければならぬ状況なので、ちょっとだけのつもりで、近場の気になっている古本屋さんの様子を見に行くことにする。西武新宿線で沼袋駅下車。北口から坂を上がってたどり着いた「天野書店」(2008/11/14参照)は、鉄製ポールのシャッターを下ろしてしまっている…ハッ!水曜は定休日なのか。俺はいったい、何をしているんだ!慌てて踵を返し、斜向いの「BOOK LIFE」(2012/02/23参照)に飛び込み、集英社新書「荒木飛呂彦の漫画術」を550円で購入して、落ち着きを取り戻す。仕方ない、消息確認はあきらめて、近場の古本屋さんを回り、古本を買って行くことにしよう。そんな風に、使命的行動から欲望的行動にシフトチェンジして、テクテク線路沿いを歩いて新井薬師前駅へ。

「文林堂書店」(2008/08/04参照)が踏切の向こうに見えて来ると、オヤジさんが店頭を形作っている開店準備の真っ最中。出来上がるまで、しばらく駅の周りをブラブラする。すると駅北側大通りを50メートルほど進んだ場所にある、大繁盛している駄菓子屋「ぎふ屋」が目に留まる。
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引き込まれるように、足を子供だらけの店内に踏み入れると、薄暗くノスタルジックな内装で密封された空間には、多様な毒々しい駄菓子が陳列されていた。そして、おっ!上部の棚には、古本やプレミア玩具類が陳列されているではないか。サンデーコミックス・「サザエさん」・附録「鉄人28号」・野球入門書・漫画雑誌・カルタ類・レコード…これらは売り物なのだろうか?奥には閲覧用の漫画棚も設置されている。ココアシガレットとキャラメルを買うついでに「上の本とかは売り物なんですか?」と、煙草カウンターの奥様に聞いてみる。すると「あれは夫の物なので、売ってないんですよ」と即答。しかし「でも、値段の付いているのは売ってますよ。バカ高いけど」と、奥の壁に貼られた駄玩具セットやブロマイドの売り物を教えてもらう。う〜ん、目をつけた「探偵カルタ」には値段ナシか。スゴスゴと子供の世界から、眩しく暑い現実世界へ帰還して、開店準備の終わった「文林堂」へ。早川書房「世界傑作探偵小説シリーズNo.2 白昼の惡魔/アガサ・クリスティー」中公文庫「大阪自叙伝/藤沢桓夫」を計400円で購入する。

最後は下り電車に乗って都立家政の「ブックマート都立家政店」(2011/12/13参照)へ。店頭棚をチェックしてから奥の古書コーナーに目を光らせ、實業之日本社「少女文学教室/神崎清」(装幀・松本かつぢ、裸本)を1000円で購入する。いつも意外な本をありがとうございます。
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そして机の前に戻って「少女文学教室」を開くと、そこには素敵な贈り物が挟まっていた。毒々しい印刷が粗悪な袋にされた姫金魚草の種と、長野市権堂町『中央映画劇場』の「市営劇場ニュースNo.6」である。次週の上映は『フランケンシュタイン復活』だ!
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2015年05月11日

5/11西八王子で古本屋トライアングルの消息をさぐる

今日も地道に古本屋消息調査。駅からわりと遠い所で三店がトライアングルを形作る、西八王子駅へ向かう。最初は南口に出て、西一キロ弱にある「散田書房」(2012/12/14参照)…ここ最近タイミングが悪いのか、訪れる度にシャッターが下がっており、入れないお店のひとつとなってしまっているのだ。おぉぅ、今日もシャッターに、バイ〜ンと弾き返されてしまった…。営業案内の貼紙には『水・日・祝祭日・旧盆・年末年始』が定休日とある…今日は月曜日なのに。あきらめずにまた見に来るとするか。

駅まで早足で戻り、北口に出る。八王子市役所の方に向かい『陣馬街道』を越える。…確かこの辺りに「一歩堂」(2010/02/23参照)が。実は今回、一番その存続を勝手に危ぶんでいたお店なのである。しかし!そんな失礼な予想を裏切り、お店は堂々営業中であった!た、大変申し訳ありませんでした!店頭でちゃんちゃんこを羽織った恰幅の良い店主と鉢合わせる。でも、以前は店主は鈴木清順風の老店主だったはず…代替わりしたのだろうか?店内は整理整頓が行き届き、以前とは異なる印象。右壁棚も、以前はコミックばかりだったのが、単行本棚に様変わりしている。所々マニアックで見応えあり。絶版漫画&貸本漫画コーナーもあり。足下はアダルト雑誌面陳に変化。左側のフロアは、ジャンルの配置は変わらぬが、こちらもやはり端正に見易くなっている。結構欲しい本が見つかってしまい、じっくりと楽しみ苦しみ吟味。博文社「新青年 昭和二十一年七月号」(薄い64pのA5版時代)横山プロ「少女ミステリー編 こわーいプレゼント/どやたかし」(貸本仕様)原始社「猿から貰った柿の種/北村小松」(函ナシ)思索社「影の獄にて/L・ヴァン・デル・ポスト」を計1600円で購入する。ここはこれからも時々見に来ることにしよう。そうしよう。

『陣馬街道』まで戻って、後はひたすら北西にテクリテクリ。遠くに見える山々に向かって歩き続けた果てに、「さわやか記念文庫」(2010/12/10参照)にたどり着く。だが、さびしくさびしく閉まっている。これは…いやでも、シャッターに何か貼ってあるぞ。『当分のあいだ 月と水を定休日とさせていただきます』…見事に定休日にぶつかったのは残念だが、その消息はバッチリ確認出来たので、良しとしておこう。とにかくここは、営業中なのだ。これでとりあえず、古本屋トライアングルの二星の健在を確認し、意気揚々と遠い駅に向かって引き揚げる。
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本日の収穫。500円の「新青年」は宮崎博史「幽霊オルガン」横溝正史「明治の殺人」共に短篇読切が掲載!
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2015年05月10日

5/10所沢付近に消息を尋ねてみる

初夏のような爽やかな日曜日だが、私の求めるものはあくまでも古本屋さんである…。西武新宿線で所沢まで出て、賑やかな『プロペ通り』を突破して「貴龍堂」(2011/04/01参照)を目指す。住宅街と商店が混在する『中央通り』を進むが、お店はいつまで経っても現れない…おかしい。そう思って引き返し、通り沿いに並ぶ建物を注意深く眺めて行く。すると、あ!この二階木枠の意匠に庇の瓦…ここだ。でも完全に古本屋さんじゃない!木製竹製商品の、荒物屋臨時店になってしまっている!そうだ、あの変な奥の上がり框も覚えているぞ。だが、古本は何処に、「貴龍堂」はいったい何処に消えたのか。どなたかご存知でしたら、ぜひともお知らせください。

続いて一駅東の秋津に移動して、さらにテクテク歩いて武蔵野線の新秋津駅へ。間延びし、凪いだ商店街の奥にある「古本らんだむ」(2010/10/18参照)は、五年前と同じく古商家を装い力強く営業中であった。以前はなかった、ビニールのかかった店頭100均文庫棚と控え目な店頭台が、お店の成長と努力を滲ませている。店内は以前とほとんど変わらない構成。角川文庫「人間腸詰/夢野久作」を100円で購入する。

何だか西東京の強い日光に炙られて体力を消耗してしまったので、一息入れるためにひばりヶ丘まで移動し、消息を尋ねるのではなく、ただ古本を買うために「近藤書店」(2014/09/22参照)を訪れる。おぉ、店内にお客さんが二人もいるぞ!と驚きつつ、彼ら同様に純粋に棚に集中してゆく。すると右端通路上段で掴み出した、新芸術社「幻夢展示館/山村正夫」が、献呈署名識語入本で500円!喜んでいただくことにする。昭和三十〜四十年代の奇想小説を集めた平成元年出版の本。『作家生活四十年を記念して』の識語の偉大さに、畏敬の念を深くする。
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この後はさらに富士見台に移動して「新井書店」(2010/08/30参照)の様子も見に行くが、右側シャッターが半分だけ開いた、中途半端な状況。チラと覗き込むと、床近くの本がしっかりと確認出来る。元々開いているのか開いていないのか、さらには営業しているのかいないのか、非常に分かり難いお店であるが、この様子だとまだ営業中のようだ。また壁棚上段の児童文学を、今の目でしっかりと確認してみたいので、近々しつこく消息を尋ねに来ることにしよう。
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2015年05月09日

5/9東武スカイツリーライン沿線の消息を尋ねて

今日も気になる古本屋さんの消息を尋ね、駆け回る。浅草橋から、北に向かって電車を乗り換え乗り換え、西新井駅。せっかくここまで来たからには、まずは盲腸線の東武大師線で西新井大師にお参りに行ってみる。すると参道奥の仁王門前では、『清水屋』と『中田屋』という草だんご屋が向かい合い、お互いの売場から精一杯身を乗り出し声を涸らして試食のだんごを懸命に突き出し、参道を行く人々を己の方に惹き付けようと、恐ろしくなるほどの凄絶なバトルを繰り広げていた。その間を堂々と通ればいいのに、思わず顔を伏せて足早に通り過ぎてしまう…。今にあれは、黒澤明『用心棒』や、ハメット『血の収穫』みたいな、血で血を洗う争いに発展してしまうのでは…。

帰りも顔を伏せて参道を抜け、歩いて西新井駅まで戻って、一駅北の竹ノ塚へ。西口の細道にある「永瀬書店」(2010/04/01参照)へ向かうと、五年前と変わらぬ開店三十分前の午後二時半。しかたなく斜向いの喫茶店に飛び込み、古本屋探偵よろしく、だらしなくビールを飲みながら張り込みに入る。グラスを傾けながら、ガラス越しに店をチラチラと観察。すると午後三時きっかりに、見事にお店が開いてくれた。喫茶店から飛び出し、赤い顔でお店に入ると、これも五年前と見事に変わらぬ店内。大東出版社「支那の男と女/後藤朝太郎」を200円で購入する。

続いて三駅南の五反野に移動して、まずは東口裏通りの「四季書房」(2009/07/30参照)。おおぅ、ここもちゃんと元気に営業中。そう喜び勇んでコンクリ土間の店内へ。相変わらずいい感じで深く古めの本を並べている。どの棚にも流れる現役感に感心し、丁寧に視線を注がざるを得ない棚造りに集中。しかしガラスケース上に並んだ本を。肘に引っかけ落としてしまい、店主に舌打ちされてしまう。「すみません」と謝りながら、少しへこむ。しかし注ぐ視線の熱さは決して冷めずに、新潮社「私は見た/藤沢桓夫」宝石社「殺意という名の家畜/河野典生」を計1600円で購入する。これは、かなりいいセンいってる気が。

さらに西口に住宅街奥に入り込み、ちゃんと営業中の「秀画堂」(2011/02/03参照)に無事にたどり着く。棚の様子は以前とだいぶ変化し、特にどの棚も下半分が布で隠されてしまい、倉庫&未整理本スペースと化してしまっている。しかし右端通路手前の古い児童文学ゾーンは見ているだけでちょっとゾクゾク。東都書房「お嬢さんと出張社員/鳴山草平」大日本雄弁会講談社「小川未明童話全集5」(函ナシ)を計700円で購入する。

珍しく、消息を尋ねたお店がパーフェクトに営業中。ホッと胸を撫で下ろす。
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※お知らせ
5月16日(土)に群馬県前橋市で開かれる『「敷島。本の森」ブックマルシェ』に血迷って参加いたします。面白い本バカな本あの本この本など持って行き販売いたします。もしかしたらあの写真集も…お近くの方、また遠くの方でも大歓迎。ぜひとも覗きに来て下さい!
■「敷島。本の森」ブックマルシェ
■5月16日(土)・17日(日)
■11:00am〜日没
■敷島公園 黒松林(上毛新聞 敷島球場北側)
■参加店
青と夜ノ空(東京 / 吉祥寺)【16日】
キジブックス(群馬 / 北軽井沢)
栞日としてきなしごと(長野 / 松本)
SNOW SHOVELING(東京 / 駒沢)
ch.books(長野 / 長野)【16日】
二代目 野村熊八商店(群馬 / 前橋)【絵本作家・野村たかあきさんによる、読み聞かせ、絵本販売など】
ぱらり書房(群馬 / 前橋)
OLD/NEW SELECT BOOKSHOP 百年(東京 / 吉祥寺)
ふやふや堂(群馬 / 桐生)
古本屋ツアー・イン・ジャパン(全国)【16日】
前橋文学館(群馬 / 前橋)【前橋文学館による、萩原朔太郎や群馬の文人にゆかりある本の販売】
ロバの本屋(群馬 / 前橋)
suiran(群馬 / 高崎)
book pick orchestra【17日】 *ワークショップ

詳しくはhttp://suiranbook.exblog.jp/i12/を!
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2015年05月08日

5/8分倍河原〜府中本町〜北府中三店の消息を尋ねて

せっかく京王線沿線に来たので、さらに西に向かい、最近足を運んでいない古本屋さんの消息をたどって行くことにする。

まずは分倍河原で降り、初夏のような『旧甲州街道』を歩いて「本の越後屋」(2009/05/28参照)へ。ところが看板は見事に残っているが、奥のお店は電気は点いているが本棚は見事に空っぽなのである。古本屋としての営業の気配は…ナシ。『ツイてる古本』のキャッチコピーがまだ看板に残っているが、その効力はついに切れてしまったのだろうか。

続いて南武線で南に一駅下って府中本町。駅前の空中ロータリーから西に下って「落兵衛図書園」(2009/03/20参照)。シャッターが下りてしまっている。『古本買い〼』と書かれた店頭台が無くなっている。…うぅむ、判断に苦しむところだ。なおかつこのお店は農家兼業なので、農繁期は長期に休んでいる可能性があるのだ。正面に取付けられた電気メーターを借金取りのように盗み見ると、動いている。経過観察ということで、ここはまた来ることにしよう。

駅に戻って武蔵野線に乗り、一駅北の北府中。広大な刑務所の敷地に沿って歩き、『国分寺街道』へ出る。おっ、特殊新刊書店の「メリル」(2011/08/04参照)はまだ健在か、と感心しながらその先の「BOOK-1府中店」(2011/08/04参照)へ。ほほぅ、ここもちゃんと営業中であったか。喜びながら店頭の乱雑な安売り単行本を見てみると、逆に何かに睨みつけられている…あの本に!と驚き手にすると、ノーベル書房「サヨナラだけが人生だ 映画監督川島雄三の生涯 今村昌平編」であった。変わらぬ店内を一応眺めて精算すると、超ド安値の40円。やった!
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というわけで、『国分寺街道』を川島雄三に睨め付けられ、歩いています。
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5/8東京・芦花公園 三歩屋

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午前から早々と腰を上げ『世田谷文学館』に向かう。『植草甚一スクラップ・ブック』展が7/5まで開かれているのだが、展示のひとつとして、植草が晩年の病床で下北沢に開くことを夢想した古本屋「三歩屋」が、実体化されているのである。展示とはいえ古本屋ならツアーが出来る!以前の「古書 一角獣」(2014/01/30参照)と同様に!カーペット敷きの階段をトストス上がり、展示順路に迷い込んで行く。右を見ても左を見ても、ガラスケース内を覗き込んでも、すべては植草の原稿やメモやノートやスクラップやコラージュ!展示されているのは氷山の一角なのだろうが、それでも目眩がするほど凶悪な量で、植草甚一紙物専門の古本屋さんが作れるほどの勢いなのである。J・J、メモし過ぎ!スゴい!ひたすら古色を帯びた紙と直筆の文字&飾り文字に圧倒され、時にメモの中に「誠志堂」「渋谷古本屋」などの文字を見つけてニヤリ。展示終盤のガラスケースには『ぶらり書房』や『UEJIN LIBRARY』の看板ラフ画が飾られており、多少の古本屋ネタを紹介したところで、最後の最後にセットのようなお店が、偽物の黄昏の紛い物の街角に佇んでいた。嬉しいことにここだけは撮影OKなので、写真を何枚か。上部には『A LITTLE WALK BOOKSTORE』の金文字があり、お店の前面はテラコッタタイルで化粧された壁、入口、カーテンのある窓で構成。窓には店名と共に『NOVEL・MYSTERY・CRITICISM・ART・PHOTOGRAPHY』の取扱品目が書かれている。『OPEN』の札を見ると、営業時間は午前十時〜午後六時で、月曜が定休日となっている。店内は十畳ほどの余裕のある空間で、BGMにジャズが流れている。入口右側にガラスケースの帳場があり、中には自著とオブジェ類、上には緑のダイヤル電話とアンティークレジスター、それに側壁窓にはマンハッタンの地図が貼られている。左壁は新入荷本リスト台と大きな飾りラックを備え、様々な著書から抽出された書評POPと共に、海外文学・ミステリが飾られている。下に未整理を装った文庫の山があるが、屈んでみると普通の創元推理文庫ばかりで、それほど魅力はない。フロア中央にはカーペットが敷かれ、テーブルが置かれている。右壁沿いには小さな棚とアンティーク机が置かれ、アート・デザイン・アラビアンナイト・海外ミステリー・編集雑誌が飾られている。奥は一段高くなった作業場風になっており、ジャズレコード・ステレオセット・ジミヘンポスター・未整理ペーパーバック・洋雑誌・コラージュ作成中の文机が配置されている。古本屋の体裁は採っているが、あくまでこれはセレクトブックショップ風の展示である。お店がキレイ過ぎ&今時過ぎ、本が少な過ぎるのがやはり古本屋さんらしくないのだ。「三歩屋」はもっと物量と情報に満ち満ちた、探し掘り出す楽しみにあふれた古本屋さんなのではないだろうか。それはここまでに至る、あの異常とも言える展示物を目にしてしまえば、誰しもが思うことではないだろうか…そこにあるのは、お洒落なJ・Jの面影だけ。そして、もっともっとミステリーを!と、色々な制約がある中での人々の努力をすっ飛ばして思い、会場を後にする。世田谷文学館「世田谷文学館収蔵資料目録3 植草甚一関連資料」を購入する。

この植草甚一絡みで、実は最近素敵なことがあった。「野呂邦暢古本屋写真展」(2015/04/11参照)の時に、四年前に作ったフリーペーパー「植草甚一の足跡をたどって」を、ぜひとも読みたいという方と知り合い、後日郵送したのである。するとさらにその後日、返信と共に数枚の雑誌コピーが届いた。その手紙によると、横浜古本屋探訪レポートの元にした、1975年に「古書通信」に連載されたはずの植草のエッセイは、実は代々誤植が受け継がれており、本当は1955年のエッセイであったこと。そしてその当時の神保町&横浜古本屋事情などを詳細に教えていただいたのである。そうか、私は六十年前のJ・Jの足跡を追っていたのか。どうりで痕跡が薄かったはずだ。さらに同封の雑誌コピーは、1956年6月の「スクリーン」に掲載された記事で、植草甚一の日常を追いかけたものである。そこに載っていたのは、神保町「進省堂」&お店の犬「小宮山書店」「池田屋」渋谷「玄誠堂書店」などの、在りし日の古本屋さんの姿であった。おぉ、これは血が騒ぐ誌面だ!
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posted by tokusan at 19:26| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする