2015年06月30日

6/30東京・京急蒲田 ディーン蒲田店

午前中に野暮用で沼袋に行くと、早くから「天野書店」(2008/11/14参照)が開いていたので、店内にすかさず飛び込み、久々に対面する硬い棚を渋面を作って眺め、結局表の台にあった世田谷美術館「パラオ ふたつの人生 鬼才・中島敦と日本のゴーギャン・土方久功」を1200円で購入…2007年にこんな素晴らしい展示をやっていたのか…。幻想文学作家として知られる中島敦だが、戦時中に南洋に派遣された経験を題材にした「南洋譚」は、瑞々しい南洋の光と空気と砂と水と島を、読んだ者の脳内で疑似体験させてくれる名作である。土方久功は南洋の民俗と人々に魅せられた“日本のゴーギャン”と呼ばれる彫刻家で、この人に関して私は未知だったのだが、去年の「神田古本まつり」(2014/10/30参照)で「青蜥蜴の夢(お砂糖のように甘い南島の……)」という詩集に出会い、そのサブタイトルに魂を鷲掴まれてしまったのである。この二人が知り合いだったとは、迂闊であった。己の無知を曝け出しながら、文字の多い大判の図録に、路上に立ち尽くして顔を埋める…。

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午後に再び外出し、四層の京急蒲田駅から抜け出し、駅前再開発真っ盛りの西口。空中歩廊を建設中の工事現場をぐるんと迂回して、本来は西口から真っ直ぐ西に延びているはずのアーケード商店街『京急蒲田あすと』に入り込む。うらぶれると同時に賑わう、完全な地元商店街である。その中ほど、北側の脇に『柳通り』が延びる角地に、ちょっと開けた中古DVD・CD屋がある(この一帯には、VHSビデオ店も含め、こういったお店が多い)。つい先日、この辺りを取材で訪れた岡崎武志氏から、ここで古本が売られているとのタレコミをいただいたのである。未知のお店ではないのだが、以前は古本と言えば、右側外壁棚一面に並ぶ廉価コミックだけであった。ところが店内にもいつの間にか、古本棚が生まれていたのである。店頭に広がるCD・DVD、それに洋服ワゴンゾーンを突破して店内に足を踏み入れると、確かに古本棚が幅を利かせている!多少の興奮を覚え、まずは縦に三本並ぶ文庫棚に注目。雑本的で規則性のない並びで、海外文学・日本文学・雑学・ラノベが現代的に混ざり合う。その奥を四列分の本棚が塞き止め、こちらも雑本的にミステリ&エンタメ・タレント・実用・ビジネス・自己啓発・資格・新書・ノベルスが並ぶ。左壁棚の七本にも同様の流れが続き、奥のスペースは以前通りのアダルトDVD空間になっている。古い本はほとんどないリサイクル系雑本の集合体である。しかし文庫単行本共に、何でも一冊100円というのは実に素晴らしい。なので真剣に対峙して、国書刊行会「七つの蕾/松田瓊子」ダゲレオ出版「答える!/大島渚」の二冊を購入する。

蒲田まで来たならひとつ消息確認しておこうと、JR蒲田駅を突き抜けて、西側に広がる住宅街に深く深く入り込み、自宅庭に建てられたミニ・バンガロー風古本屋さん「石狩書房」(2014/05/17参照)を訪れる。外に出された棚の本は、かなり蒼ざめ傷んで荒廃してるが、ドア下には脱ぎ捨てられたサンダルがあり、店内からはクラシック音楽が漏れ聞こえて来る。ドアをノックすると店主が「ハイハイ」と現れたので、「よろしいですか」と中へ。お金持ちの家の子が庭に建ててもらった、離れの勉強部屋のような空間に身を沈め、朝日ソノラマ「大特撮/本多猪四郎監修」を1250円で購入。お店が健在であることを密かに喜ぶ。
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2015年06月28日

6/28東京・茗荷谷 小石川図書館リサイクル市

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レアなタレコミに基づき、茗荷谷駅の地下ホームから、いやに現代的なビルの谷間を走る『春日通り』に顔を出す。かつては通り沿いにあった近代建築の名品ビル『大塚女子アパートメント』を、埃を被った記憶で偲びながら、南東に歩き始める。100mほど進んで北東に曲がり込み、一本裏の道で『竹早公園』を目指す。公園とは言っても、テニスコートとその練習場にほとんどを奪われてしまっている。『団平坂』を下って、公園北東端の角地に建つ、昭和の薫り満点の『小石川図書館』に到着。天候が晴れならば、ここの入口付近で一日限りのリサイクル市が開催されているはずなのだが…開かれていない。時刻は午前十時なので、もしかしたら早過ぎたのかもしれない。そう都合の良い思考に縋りつつ、取りあえず館内へと進むが、やはりリサイクル市の気配はなく、普通の図書館風景が淡々と繰り広げられている。それにしてもこの図書館は、ちょっと変わっている。四方に分かれるさほど大きくない部屋部屋に書架を並べ、さらには天井の低い文庫部屋の上に『第二階層』『第三階層』という名の、増床されたような中二・三階が存在するのだ。ひとつのビルの中に、細かく立体的に本の部屋が多数…自然と「高原書店」(2009/05/03参照)を連想してしまう。せっかくなので小一時間ほど真面目に調べものをして過ごす。午前十一時過ぎになって入口付近を確認するが、やはり市の気配は感じられない。痺れを切らし、返却カウンターの館員さんに「あのポスターにあるリサイクル市はどこでやってるんですか?」と問いかけると「あ、やってますよ。そこの入口で」「いえ、何もやってないですよ」「あら、まだ…。これから準備します!」と照れ笑いを見せながら、数人の館員さんが動き出し、ようやく市の気配が濃厚となる。しばらくして、もはや夏の日射しがカッと照り付ける入口のアプローチに、長テーブルがひとつ置かれ、文庫・絵本・小説・児童文学・人文・ビジュアル本・ガイドなどが、『ご自由にお持ち下さい』とドシドシ並べられて行く。ほとんどはラベルの貼られた廃棄本であるが、中にはラベルもコーティングもされていない本も少々。そんな本である、岩波書店「幽霊を見た10の話/フィリパ・ピアス」「からすが池の魔女/E・G・スピア」「サーカス物語/M・エンデ」「シーペリル号の冒険/フィリップ・ターナー」を手にする。

ズッシリした函入り本の存在感を肩に感じ、図書館を離脱する。至近にある「土屋書店」を見に行くが、埃っぽいシャッターはガッチリと下ろされ、恐らく未だに店内に満載されているであろう本の山を、堅く堅く鎧っていた。
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2015年06月27日

6/27東京・芦花公園 セタブンマーケット

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今日も早めに行動を開始し、新宿から京王線各駅停車に乗り込み、午前十時半の芦花公園駅橋上駅舎。細い一人分エスカレーターの昇りと降りで「古書ますく堂」さん(2014/07/20参照)とドラマチックに擦れ違い、挨拶を交わす。駅前通りを南下して、水気が多く緑が美しい『世田谷文学館入口』。今日明日と館内で開かれる、雑貨・家具・古本・フードの蚤の市の横断幕が、鯉の泳ぐ水路前に飾られている。カタカナで書かれた“セタ”の二字は、何だか“七夕”に見えなくもない…。エントランスに入るとスタッフに「蚤の市は奥のフロアになります。申し訳ありませんがムットーニさんの整理券は終わりました」と告げられる。JJの立看板が立つ階段前を通って奥に進むと、フロアはむせ返るほどの熱気にあふれていた…す、すごい人出だ。フードも古本も雑貨も、平等に人に群がられている。中央に進むと、植草甚一が下北沢に開店を夢想していた古本屋をイメージした、上階の展示がそのまま下りて来たような「三歩屋」(20150508参照)ブースが目に入る。アンティーク本棚とアンティーク机を組み合わせ、100均本・スパイ・創元推理文庫・ミステリ・SF少々・日本近代文学・海外文学・アメリカンカルチャーなどが並んでいる。わりと古い本が混ざり、値段はしっかりめ。しかしただの展示より売っている方が遥かに良いなと感じつつ、講談社「小説 巨人の星/梶原一騎」集英社文庫「女流/小島信夫」を、中央のレジ列に並んで購入する。

その後は、左の大ウィンドウ際と奥壁際に続く本業古本屋さんゾーンへ。新しめのお洒落系雑本を安めに販売する「百年」さん(2008/09/25参照)に挨拶し、隣りの古書中心主義の「ほん吉」(2008/06/01参照)でハヤカワポケSF「吸血鬼/リチャード・マティスン」を購入。「magnif」(2012/07/24参照)の海外古雑誌攻勢に気圧され、「Los Papelotes」(2008/07/14参照)のJJ・NY棚造りに群がる女子に跳ね飛ばされ、高崎から上京して来た「suiran」さん(2014/05/25参照。ただし今の活動拠点は前橋に)の笑顔にホッとしてカッパブックス「飛行機の本/佐貫亦男」を購入する。またクリエイター陣営で100均本店を出していた、さまよえる元BRUTUS副編集長・鈴木芳雄氏に挨拶をする。

とこんな風に一回りしたところで、中央レジ脇外側の白い棚に、万国旗のように、十字とフクロウをあしらった黄色い小さな国旗が飾られたブースに注目する。これは、北杜夫が建国した『マブゼ共和国』の国旗!氏の著作を疎らに棚に並べ、古本として販売中のようだ。むぅ〜と眺めて行くと、最下段に隠れるようにしていた、とても気になる本を発見する。旺文社「ぼくのおじさん/北杜夫・作 和田誠・絵」!帯も付いてる!屈んで手に取り値段を見ると200円!函から引き出しかバー袖を見ると、しっかり初版!と大いに喜ぶ。再びレジの列に並びながら考える…この本、マブゼ共和国が出しているのなら、著者分の献呈本の一部だった可能性が、大いにあるな…と古本修羅的妄想を暴走させ、不思議な喜びが、ホワッと膨れ上がる。これは間違いなく、今日一番の収穫である。
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2015年06月26日

6/26東京・池袋 サンシャイン古本まつり

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池袋に着いてもすぐに地上に上がることなく、地下通路を伝ってサンシャイン方面へ。『明治通り』下を潜り地上に出ると、そこは『サンシャイン60通り』の入口。午前中はまだ少し閑散としており、通りに面する様々なショップが路上に向かって放つ音楽が、賑やかに空中で混ざり合い、行き交う人を無差別に包み込んでいる。『東急ハンズ』脇から再び地下に潜り、カクカク曲がって『サンシャインシティ』地下一階。奥の奥に入り込み、エスカレーターで四階まで上がり、屋上広場を経由して『ワールドインポートマートビル』へ歩を進める。広いロビーに入ると、右手に大きな展示室が広がっている。手前が仰々しくガードマンも立つ『いけぶくろ質屋まつり』の入口。そして奥側に看板も案内も何もなく、素っ気ない『古本まつり』の会場入口があった。白い会場内に進むと、簡単に仕切られた右側に、紅白幕で飾り付けられブランド製品に群がるご婦人で大賑わいの『質屋まつり』。そして左が、十四の古本島(五台のワゴンと棚で構成)に古本修羅が結構群がった、愛すべき『古本まつり』となっている。歴史・風俗・民俗・戦争・文学・映画・和美術・社会が目立ち、文庫・絶版漫画も多い。それ以外にも古書小冊子類・東洋文庫棚・古雑誌群・70〜90年代推理小説文庫群・レコード・ビデオが目を惹き付ける。台の下にも丁寧に目を凝らして行く。「がらんどう」「げんせん館」が古い面白いものを並べているが、私は「青聲社」(2011/10/17参照)の雑本的安値ワールドを好みに思う。しばらくお店に顔を出していないので、今度久しぶりに見に行ってみよう。都市出版社「農夫ジャイルズの冒険/J.R.R.トーキン」講談社文芸文庫「神戸 続神戸 俳愚伝/西東三鬼」を計700円で購入する。久々に復活したこの市は6/28まで。
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2015年06月25日

6/25下北沢をブラブラして古本を買う

夕方からの打ち合わせに合わせて下北沢へ。その前にご無沙汰の古本屋を少し巡って、様子を探って行こうと企む。最初に訪れたのは「CLARIS BOOKS」(2013/12/01参照)。通りから二階を見上げると、ずいぶんゴチャゴチャした光景が見え、古本屋さんとして頼もしい感じ。
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脇道に小さな古本安売りカゴが出され、二階への誘導を促している。狭い階段をテクテク上がると、踊り場に以前より立派なL字の古本棚。均一というわけではないが、千円以下の安めの本が並んでいる。店内に進むと、初っ端の通路的空間は左壁棚の几帳面な文庫と新書は以前の通り。奥のフロアに入り込んで行くと、以前は無かった中央の古本棚。デザイン・建築・スターウォーズ・SF・映画・音楽・現代思想、それに古い雑誌(おぉ!シティーロードが!)が面陳されている。時の流れと古本屋的充実度を感じ取りながら、集英社「アナイスのために/ジョルジュ・シムノン」法政大学出版「暗黒星雲/ホイル」を計800円で購入する。

商店街の緩い坂道を下って行くと、当然目に入るのは下北沢老舗の「白樺書院」(2008/06/01参照)。店頭の捨値で出された古い文学本に惹き付けられ、岩波書店「鳩の話/中勘助」昭森社「巴里の藝術家たち/ハドルストン」池田書店「ピストル/小橋良夫」を計500円で購入したところでタイムリミット。帳場後ろの相変わらず元気な小鳥たちに挨拶して表へ。小粒な収穫をカバンに詰め込み、若者だらけの雑踏に違和感を覚えながら、夜の街の奥へと入り込んで行く。
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2015年06月23日

6/23テンチョーにようやく元日のお礼を伝え、近場の消息確認をする

一日をPCモニターとにらめっこして過ごす。果てしなく続く入力作業に辟易し、午後六時前、空模様がだいぶ怪しくなって来た夕闇の戸外に、ぶらっと逃れ出る。涼しい風に嬲られペタペタ歩いて、妙正寺川を越え、都立家政の商店街の南の尻尾にたどり着く。ここまで来たならば、愛する「ブックマート都立家政店」(2011/12/13参照)に立ち寄り、テンチョーさんに元日のビッグな獲物(2015/01/01参照)のお礼を、是が非でも伝えねばならぬだろう。通りから店内中央通路奥に見えている帳場を盗み見、金髪を後ろでまとめた白シャツ姿のテンチョーがいるのを確認。今日は店頭モニターでTHE ALFEEが流れているのを不思議に思いながら、ススッと奥へ入り込んで行く。すると帳場回りに流れているのは、やはりいつものように激しいヘヴィイメタル。こちらもいつものように左奥の古書ゾーンにビタッと張り付く。相変わらずの古い本たちは、今はわりと真面目な品揃え。数学関連哲学関連囲碁関連海外文学関連が多い。めぼしい物は見つからなかったが、400円の理工図書株式会社「奇術種あかし/柴田直光」を手に取り、いざ帳場へ。ドキドキしながら、今まで買った素晴らしい古本の姿が、心の中にクルクルと去来する…佐野昌一(海野十三)・尾崎一雄、そして井伏鱒二…あぁ、良い本を安値で見つけて買い、そのお礼をお店に伝えるとは、何とも不可思議で倒錯的な状況である。どうも申し訳なく、後ろめたくもある。しかし、今回ばかりは、しっかりと言うのだ!本を差し出しながら名乗りを上げ、挨拶方々、熱いお礼の気持ちを、五ヶ月遅れで伝えまくる。そしてあの献呈署名本の出自、署名があったのは気付いていたが献本先の宛名まで見ていなかったので本のボロさでまぁいいかと店頭に出したこと、お店に古書棚があるわけ、その古書の買取話、少ないながらも存在する愛すべき古書棚常連たちの話などなど、帳場のあちらとこちらで話し込み、楽しく過ごす。さらに実は店内各所に密かに散らばるミニ古書ゾーン(主に棚の上)を案内されるうちに、あかね書房「ぼくたち緑の時間/大石真」を発見し、これも500円で購入する。これからも定点観測させていただきますので、末永くよろしくお願いいたします!
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これは今日初めて貰ったメンバーズカード。そのシステムより何より、趣味に走ったハードロック&メタル系のロゴに、脱帽する。

ふう、これで長らく抱えていた胸のつかえが、サックリと取れた。またもやペタペタ歩き出して、商店街から北に抜け出て、『新青梅街道』を東に進む。この先に、夜から店を開けるアダルト寄りのマイナーチェーン「エーワンブック中野店」(2011/10/18参照)があったはずなのだが…お店は行けども行けども現れない。あの眩しかった看板の黄色い光は、幻のように消え去り、ただ普通のおとなしい街並が、地味に何処までも続いて行く…。気付けばエーワンチェーンはだいぶ姿を消してしまっている。もしかしたらもう、一店も残っていないのかもしれない。これは調査してみなければ…。
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2015年06月22日

6/22スーパー源氏神保町店は六月一杯

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打ち合わせ前に、二ヶ月ぶりの神保町を歩く。「文省堂書店」にお別れした日(2014/04/12参照)以来の、世界一の古本屋街である。ワクワクして店頭台を次々覗き込んで行くが、どうも感触がギクシャクしている。この街での泳ぎ方を忘れてしまったように、何か妙に焦り、ひとつの台に時間をやたらと掛けてしまうのだ…。それでもギクシャクアタフタと懸命に巡り続けるも、情けないことに古本を掴むことは出来ず、そのうちに「スーパー源氏神保町店」(2013/06/20参照)が六月で閉店してしまうことを思い出したので、お別れに行くことにする。『三省堂書店』裏の『第二アネックスビル』前には、いつものように立看板が立っているが、そこに閉店のアナウンスはない。中に進んでエレベーターに乗り込むと、ボックス内の四階「スーパー源氏」をアピールする文字群の中に、『感謝申し上げます』と書かれた閉店のお知らせを発見する。四階で降りると、ドアにも同じ貼紙がされていた。中に入ると、静かな絨毯敷きの、誰もいない広い店内。奥の事務所から「いらっしゃいませ」と声が掛かる。六本の通路を歩いて行くと、二年前の開業時とは、だいぶお店が入れ替わっているのに気付く。それに100均文庫棚や50均文庫棚が幅を利かせていたりする。やけに多いブランクの部分は、すでに撤収したところなのだろうか。それでも目を惹く本は所々に残り、自主的に閉店セールを敢行してる棚もある。短い間の実店舗古書モールであったが、開店当初は各方面に刺激を与え、五階の「かんたんむ」(2011/12/31参照)や三省堂の「三省堂古書館」(2012/11/21参照)とは鎬を削った、熱い二年間だったのではないだろうか。「三省堂古書館」→「古書かんたんむ」→「スーパー源氏神保町店」と変遷し、またもや空くことになってしまったこの空間。果たして次はいったい何が入るのか…。「古書あやかしや」の棚より、創元推理文庫「コルト拳銃/フランク・グルーバー」を500円で購入する。

『靖国通り』沿いの店頭には、所々に七夕飾りが立てられている。笹に下がる色とりどりの短冊には何も書かれていないが、欲しい古本の名でも書き込めば、もしかしたら願いが叶うのかもしれない。そんな愚かなことを考えながら歩き続けていると、『神保町交差点』近くで、古本神・塩山芳明氏と遭遇。この街での氏との遭遇率は何故か非常に高いが、今日はいつも見つけられている私が、逆に声を掛けた珍しいパターン。二人でベラベラとやくたいもないことを喋りながら、神保町の端っこまで肩を並べて歩いてしまう。おかげでちょっと、神保町の感触が、フワリと戻って来た気がする。
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2015年06月21日

6/21千葉西部を縦断して二店の消息を尋ねる

船橋から東武アーバンパークラインに乗り換え、アーバン感ゼロでローカル感大の緑の大地を、北へ向かって走り抜けて行く。柏にほど近い増尾駅で下車し、住宅街の中をトボトボ歩いて行く。見覚えのある底面がひび割れた貯水池を過ぎたら古本屋さんがあるはずなのだが、何処にも見当たらない。しばらく先へズンズン歩いてみるが、お店が現れる気配はない。引き返して、シャッターを下ろした福祉法人の事務所前で立ち止まる。シャッターの中央が、ぞんざいに黒く塗り潰されているのが、どうも気になる。ジッと見つめる…目を凝らす…うぉ、そこに“古本”の二文字が、うっすらと浮かび上がって見えて来た…そうか、ここが五年ぶりに目指して来た、元「ますお文庫」(2010/03/07参照)であったか。黄色い日除けも撤去され、古本屋の微かな面影を、塗り潰されたシャッターの文字だけに残したお店に、遅ればせながら労いと別れを告げる。
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集中して写真を見て下さい。黒い部分に“古本”の文字が見えるはず!

悲しいので柏に出て「太平書林」(2010/06/03参照)に懸命に向かう。懸命に本棚に齧り付き、沖積舎「かなしき女王/フィオナ・マクラオド」新人社「幻想物語/ホフマン」ハヤカワポケミス「幻想と怪奇1」春陽文庫「若い娘たち/壷井栄」(十一人のハイティーンの人生航路を壷井栄が描く短篇集。密かにこれが今日一番の収穫!)を計1400円で購入する。駅への帰り道で、ビルの地下駐車場前を通りかかるとサイレンが鳴り響き、自動音声が通行人に喋りかけて来た。「車が嫉妬します。車が嫉妬します。ご注意下さい」…一瞬ドキリとしてしまったが、落ち着いて聞いてみると、ちょっと不明瞭に「車が出庫します」と言っているだけであった。ジョン・カーペンターの映画『クリスティーン』をちょっとだけ連想する。

さらに一駅上って南柏駅。しかし「書斎」(2010/02/07参照)はガッチリとシャッターを下ろしていた。…荒れたところはなし…周囲の自動販売機は健在…元々看板などは皆無なので、閉まっているとお店を畳んだのかどうかの判断はつきかねる…ちょっと建物脇の郵便ポストを見ると、ネームプレートには「書斎」とまだちゃんとあり、ポスト自体も荒れていない…これは、たまたまお休みなだけなのだろうか?…仕方ない、いずれまた消息を尋ねに来ることとしよう。
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2015年06月20日

6/20十周年と四周年を古本を買って祝う

ノロノロと動き出し、少々の古本を携えて西荻窪。店頭100均に群がる人を掻き分け、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内「フォニャルフ」に補充を行う。そこで様々な人たちと出会いつつ、店主・小野氏に白のガムテで補修された無惨な姿の古本修復を依頼する。ガムテを剥がし、露になった紙魚に喰われまくった背を補修し、和紙で表紙を接続させ、最終的にパラフィンを掛けていただく。簡単に書いていはいるが、大胆&繊細な作業はおよそ一時間に及んだ。中央公論社「台所太平記/谷崎潤一郎」を500円で購い、次第に古本修羅たちで混沌として来た帳場前から、スッと姿を消すようにお店の外へ出る。

そのまま駅南口の『平和通り』に入って行って、創業十周年を迎えている「にわとり文庫」(2009/07/25参照)へ。心の中でこっそり『おめでとうございます』と唱えながら、瀟酒で狭く短い通路をゴトゴト進む。保育社の学習絵文庫「のりものしらべ」を500円で購入。すると、カウンターの上に下げられた笊がグイッと引き下げられ、500円以上お買い上げの方にプレゼントされる、創業十周年記念缶バッチを選ばせてくれた。本当は『悪いデコポン(デコポンは隣りの八百屋の白黒猫。狂暴でよく「にわとり文庫」店頭で何かを見張っている)』が欲しかったのだが、人気のため品切れ。もうすぐ補充されるとのことだが、待っているわけにはいかないので『よいデコポン』をいただくことにする。

阿佐ヶ谷に戻って『旧中杉通り』の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)へ。こちらは今日でちょうど創業四周年。『おめでとうございます』と心の中で連呼しながら、店頭の100均棚の妙に古い本や仙花紙本の並びに注意を向ける。…これはもしかしたら、店内にも並んでいるのでは…と焦ってコンクリの床を踏み付け左端通路へ。すると通路棚の最初に、三段分ほどの仙花紙本が!大いに喜び、薄く粗雑な本を漁って行く。ほとんどがプロレタリア小説・大衆小説・文芸小説だが、一冊だけ探偵小説を発見し、店頭からここまでに至る己の行動に拍手する。土曜の午後に賑わう店内を足取り軽く制覇して、一聯社「探偵小説 狂楽師/大下宇陀児」平和新書「二十世紀の怪奇/渡辺啓助」新評論社「雨雀自伝/秋田雨雀」ほるぷ出版「海戦の余波/泉鏡花」を計2266円で購入。そして二千円以上お買い上げ時にプレゼントされる「コンコ堂」の店頭がグラフィカルに描かれた日本手ぬぐいを手に入れる(プレゼントは数量に限りがあり、また650円で販売もされている)。青いインクの匂いが何とも清々しい。

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嬉しい手ぬぐいの上に嬉しい「狂楽師」。その素敵な表紙の上に乗っているのがデコポンの缶バッチである。二店とも創業◯周年、おめでとうございます!
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2015年06月19日

6/19ツヅキ堂書店祖師ケ谷店閉店!

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予報では午後遅くになって止み始める雨が、いつまでも弱まる気配を見せないので、あきらめて白い煙雨の下に潜り込んで行く。コメントで知った「ツヅキ堂書店 祖師谷店」(2010/07/15参照)の閉店を見届けるためである。商店街から脇道に入る所に、『閉店全商品5割引(マンガ以外)』『本日夜12時をもって閉店』などの貼紙が貼られた電飾看板が立ち、大きな外壁棚のある店舗にも『閉店』の二文字がかなり踊っている。だが白っぽい店内は、いつもと変わらぬ落ち着きを見せている。いつの間にか消えた円谷ウルトラ関連棚を大いに惜しみ、手前ゾーン左奥の古物コーナーや、一段上がった奥ゾーンの壁棚を攻めて行く。ここが閉まると近くのお店は「文成堂書店」(2012/09/11参照)と「祖師谷書房」(2009/03/05参照)だけになるのか…それにしても、さっき通りかかったその文成堂の日除けが消失しているのが、とても気になるのだが…。そんな雑念に囚われつつ、このお店で最後の買物。扶桑社文庫「真夜中に唄う島/朝山蜻一」集英社昭和三十八年少年ブック夏休み増刊号ふろく「009号特捜ノート ドクターX/ダン・テツヤ作」を計565円で購入。シブい「ありがとうございましたぁ〜」の声に送られ、黄色く横長な日除けに別れを告げる。

雨の中を豪徳寺まで移動して「靖文堂書店」(2011/09/06参照)に飛び込むと、うひゃぁ、今日の帳場はオヤジさん担当か。怒られないようにしないと、と借りて来た猫のようにお行儀よく、ワット数の低めな白熱電球に照らし出された棚を眺めて行く。第二書房「魔の十三号室/下川儀太郎」(裸本)を100円で購入する。

最後は高円寺で途中下車し、「都丸書店」(2010/09/21参照)のガード下側外棚に食らいつき、叢文閣「秋刀魚先生/長谷川如是閑」を500円で発見し、まだ降り続けている雨への憂さを吹き飛ばす。

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そんな本日の収穫は、小粒ながら面白い物が集まった。「ドクターX」は決して失敗しない女医師の話などではなく、れっきとしたスパイ漫画。ちょっと読み始めると、冒頭に三人の盲目の物乞いが、街を縦列で歩くシーンから始まる…あれ?これ、何処かで見たことが…と読み進めて行くと、話はまんま『007ドクター・ノオ』!あまりの大胆さに電車内で思わずニヤニヤしてしまった。主人公が日本人(国際警察の特別捜査官009号・本名は土方)で、ボンドガールの役割が少年に代わっているだけ。スゴいぞ!集英社!裸本の「魔の十三号室」は、元国会議員の書いた珍品推理小説である。意外にレアな本なので、裸本でもひゃっほう!と歓喜。「靖文堂」で買えたのも妙に嬉しい。そして「秋刀魚先生」は大正十四年の如是閑創作集である。発行者は有島武郎の友人足助素一。こういう本を店頭棚で安値で買えることは、とにかく幸せではあるまいか。
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2015年06月18日

6/18定休日の古本屋の軒先で雨宿りする

傘を持たずに出かけたことが裏目となり、川口駅東口から歩き始めた途端、ソフトッタッチな雨粒が全身をくまなく濡らして行く。色とりどりの傘の花を、低い視点に咲かせた小学生の下校の列に紛れ、額に小手をかざして歩き続け、「ひまわり書房」(2009/11/24参照)の前に立つ。定休日でもないのにシャッターが下りている。看板や日除けに荒れた感じはないが、シャッターの前に何やら物が置かれてしまっている。どうも不穏な兆候である…しかしこのキレイさが引っ掛かるので、もう一度見に来ることにしよう。再び優しい雨に叩かれながら駅へ戻り、一駅進んで西川口駅。

こっちは雨なんてまったく降っていないじゃないか。しっとり濡れた服を歩くスピードで乾かしながら、最初は西口の「創文堂書店」(2009/08/18参照)。小さな店頭台に雨除けのビニールがしっかり掛けられた、営業中の凛々しい姿である。ちょっと雑然とした店内を、室温でさらに服を乾かすことに腐心しながら、帳場近くの紙物棚に注目してしまう。その中からつまみ出したのは、今は亡き遊園地『二子玉川園』の『ウルトラ怪獣大会入園券』である。大人用(200円)と子供用(100円)の二枚あり、900円。一色刷りのしょぼいチケットである。イラストの妙に皺の多いウルトラマンは、よくよく見ると『帰ってきたウルトラマン』なので、昭和四十六年以降のものなのだろう。
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バカなものを買ってしまった、と線路際に出る。最近開いているところを見たことがない「宇佐美書店」(2009/08/18参照)は、今日もガッチリシャッターを下ろしている。しかしそのシャッターには、そんなに古びた様子のない『木曜定休日でございます』と、非常に丁寧な言葉遣いの短冊形貼紙があった。よし、信じてまた尋ねに来よう。そのまま東口に出てロータリーから東に進み、「葵書店 駅前店」(2009/04/12参照)に到達。だが、シャッターが下りている。ちぃ、木曜定休であったか。壁に備えられた案内チラシを手にすると、そこには道の先にある「葵書店 上青木本店」の情報が書かれていた。水木定休で午後六時からの営業か…。“木曜日に西川口に来てはいけない”という言葉を、しっかと心に刻み込む。しかしこちらの両店は無事の消息を確認出来たわけだ。そうホッとした瞬間、こちらにもサバサバと雨が降り始める。幸いこの身は、古本屋から張り出したトタン屋根の下にある。たちまち水煙を上げる舗道を見下ろし、所在なく定休日の古本屋前で、雨宿り。
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2015年06月17日

6/17偉大なる祖母の消息を確認し世田谷を歩く

午後にうまく雨に祟られることなく笹塚に到達し、しばらくお仕事。手早く色々済ませてから、まだまだ空模様の怪しさを警戒しつつ、京王線で八幡山駅まで移動する。このわりとひっそりした駅前の横道で、四年前にご婦人が開業した、ちょっと地味なお店「ふるほんと雑貨 グランマーズ」(2011/12/23参照)の消息を尋ねに来たのである。レースな雑貨や絵本、それに新しめの一般本を並べていた、マニアックさのない清廉なお店であった。果たしてそんな正直そうなお店が、四年の風雪をこの土地で、古本屋さんとして耐ええたのであろうか?そんな素朴な疑問を抱え、角を曲がり横道に入る。すると、あっ!古本屋さんがある!そう驚き、迷いなく納得出来る頼もしく予想外な店頭が、四年ぶりの無沙汰な来訪を、優しく出迎えてくれたのである。
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店名は「古本と雑貨 グランマーズ」と、“ふるほん”が“古本”に変わっていた。そして大きな100均文庫ワゴンに100均文庫棚が、一番のふてぶてしい成長を感じさせてくれる。店内は右壁に絵本・児童文学・海外文学文庫・日本文学文庫・ミステリ&エンタメ・日本文学・新書がたっぷりと並び、以前とは違った蔵書の多さが瞠目に値する。真ん中にも大きな平台が出来、海外ファンタジー・古本・カフェ・お店・趣味・実用・ビジュアルムック・絵本などが集まり、他にも床に50均箱などがいくつか。おっ、コミック棚まであるのか。相変わらず本はキレイな新しいものがメインだが、これは立派なお店の方向性なのであろう。とにかく、四年間しっかりと営業が継続していることに尊敬の念を抱き、ちくま文庫「快楽としてのミステリー/丸谷才一」を350円で購入する。するとご婦人がにこやかに「ミントキャンディーをどうぞ」と、茶に白の縞が入ったキャンディーをお釣りと共に渡してくれた。ありがたく頂戴して表に出る。

キャンディーを口に放り込み、高原のような清涼感を口中に味わいながら、けたたましい環八を南に下って行く。行く手に黒雲が広がっているが、まだ雨は落ちては来ない。途中、喧噪を避けるようにして『盧花恒春園』の薄暗い樹下に潜り込み、一瞬の静けさと初夏の自然を堪能する。東京ガスの巨大なガスタンク群を間近で眺め、世田谷の住宅街に入り込んで行く。住宅街とは言ってもここいらは、農家や昔ながらのお屋敷が多い、田舎的な世田谷の風景である。屋敷林の緑を見上げながらズンズン南に歩き詰め、ビーサン履きの足がかなり疲れて来たところで、いつの間にか「祖師谷書房」(2009/03/05参照)の前。足を休めるように店内に自然に吸い込まれ、狭く短い二本の通路に、心と身体を落ち着かせる。そのせいで、牧神社「オトラント城綺譚/ホーレス・ウォルポール 平井呈一訳」を、2800円で購入してしまう。束の間の休息を終え表に出ると、いつ降るのかと訝しんでいた雨が、ようやくポツリポツリ。商店街の通りが、雨が降ることにより、ザワザワと活気を増している。段々と強くなる雨足で、眼鏡越しの視界を歪めながら、本を決して濡らさぬように庇い、小田急線の駅へと急ぐ。
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2015年06月16日

6/16東京・早稲田大学文学部生協古本市

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たくさんの人が谷底に集まって来る『馬場下町交差点』。鮮やかな穴八幡鳥居の朱色を右にして『諏訪通り』を少しだけ西に進むと、あっという間に広大な『早稲田大学文学部』のキャンパスが左手に現れる。偏差値の高い学府に緊張しながら、すでに学生たちの倍以上生きていることに戦きながら、敷地内に足を踏み入れる。左に長大なスロープがあり、正面は体育館前に広がる、ツギハギのアスファルト広場。新旧建物が混在し、古いんだか現代的なんだか分からぬキャンパスである。そして広場の遥か遠くに、目標である『生協戸山店』の入口らしきものが見えている。テクテク辛抱強く歩いて近付き、無菌的な白い店内に入ると、そこはまずは本屋ゾーンであった。この清浄な空間の何処かに、愛しき古本たちが肩身狭く集まっているはずなのだが…店内を見回して行くと、右奥のレジ近くの壁際に『古書市開催!!』と大書された、四本の古本棚が目に留まる。文学・歴史・郷土・風俗・社会・文明・カルチャー雑誌・資料・学術・全集・新書が安値で並び、出品しているのは早稲田の古本屋さん「現世」(2009/04/04参照)「英二」(2012/06/15参照)「立石」(2009/12/11参照)などである。本屋に人影も少ないが、果たして古本に注目する人はいるのだろうか?そんな風に思っていると、ひとりの男性が本棚に張り付き始め、二往復吟味して古本をしっかりと買って行った。うむ、ちょっと見くびっていたな、大学を。新潮新書「文豪たちの大陸横断鉄道/小島英俊」を購入する。市は7/1まで。
posted by tokusan at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月15日

6/15千葉・妙典 古書肆スクラム

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外れた当てを取り戻すため、昨日の行動をそのままなぞるようにして、高架ホームの妙典駅。扇形に近い改札から南口に出て、西南に進んで白い砂の公園をナナメに横切り、『マリン通り』をヒタヒタと南東へ。低層ビルや住宅が、直線道の間に規則正しく収まる光景が、どこまでも続いて行く。500m進んで『新浜通り』に入って西南へ。そして次の交差点で再び南東に進み、さらに次の信号で西南へ。静かな完全なる住宅街である。行く手の右側に『下道公園』の緑が見え始め、その向かいの低層マンション一階に、昨日はなかった『古本』と大きくプリントされた二本の幟が翻っている…これは、確実にやっているな!近付くと、大きなガレージを改装した店舗である。軒に簀子風板製の看板があり、店頭には100均文庫棚・100均文庫プラ箱四つ・地図&ムック箱がひとつずつ置かれている。ちょっとスロープになっている店内に進むと、右壁に三本のスチール棚があり、比較的新しめのミステリ&エンタメ系単行本が安値で収まっているそしてメインフロアとなるのは、左にガッポリと設えられた柵付きの大きなウッドデッキで、左壁に大きくシックな本棚を備えている。真ん中には丸テーブルが置かれ、奥にはカウンター平台と本棚が一本。その本棚を整理しているのは、「東京ベンチ」(2014/07/02参照)の砂金氏である。あちらのお店をしばらく休業とし、この古本販売をベースとする就労支援事業所に全力投球中なのである。相変わらずの行動力と目線の高さに、気高さを感じながらも、心と視線はたちまち古本棚に釘付けとなる。絶版漫画・児童文学・ミステリ少々・古雑誌・歴史・戦争・日本近代文学・日本文学・実用・古書新書・仙花紙本…古書が意外に目立ち、それがとても心地良い。カウンターにはビニール袋入りの古雑誌が置かれ、棚には全集・文学・歴史などが集まっている。とにかく古書が多めなのが魅力である。こちらも基本は安値だが、古書にはプレミア値が付いているものも。笑顔の砂金氏とは、古本売買を源にした、社会の妙な垣根を緩くブレイクスルーする話など。いや、話だけに終わらず、実際に行動に移すところが氏のスゴいところである。その間に、働くみんながあっちこっちと入り交じり、店頭箱を公園に遊びに来た子供が覗き込み、近所のオジさんも古本を買うついでに買取の話などをして行く。こんな風に何気なく、地元にお店の存在がジワリジワリ浸透して行くのか…などと殊勝に感じつつも、ちくま文庫「兎とよばれた女/矢川澄子」秋田書店「悪魔の手鞠唄/横溝正史原作 つのだじろう画」、そして偕成社ジュニア探偵小説3「怪獣男爵/横溝正史」(カバーなしで値段がなかったが、なんと300円!…う〜ん、氏がこの本の価値に気づきながらも安値にしてくれた節が…だがそれでも、どひゃっほう!)を見つけ、掘り出し物を見つける快感に酔い痴れる。あぁ、今日も古本修羅で、すみません。このように良い本を安値で見付けたお店は、記憶に強く刻まれ、すぐさま再訪したくなってくる。というわけで、また即物的な夢を求めて、買いに来ます!スクラム〜、ファイト!
posted by tokusan at 20:30| Comment(4) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月14日

6/14新店の当てが外れて京成線三店の消息を尋ねる

地下鉄東西線車内。盛林堂ミステリアス文庫新刊「印度の奇術師/甲賀三郎」(新聞記者・獅子内シリーズ)を、表紙の茂田井武にシビれつつ、ズルズルと読み込みながら、怪奇な事件の起こった七十三年後の東京の地下を疾走し、千葉の地上に顔を出す。妙典駅からテクテク歩いてたどりついた住宅街の中の新店は、シャッターを下ろしてグッスリとお休み中であった。微かに、遠くの見えない海の気配を感じ取りながら、考える…私ももう長年古本屋ツーリストとして過ごして来ているのだ。動じずに、次へ進もうではないか!と駅へ急いで戻り、西船橋まで行き着いて、ちょっと歩いてここらではローカル感満点の京成線のシートに腰を落ち着ける。東京の端っこで静かに古本屋を営んでいた京成線沿線三店の消息調査に、計画を変更したのである。

まずは京成高砂駅で降り、北口に出て駅前通りを心細く歩いて行く。最初だが、これが本日のクライマックス。一番存続が危ういと思われる「小野本書店」(2011/06/22参照)を目指している。あの、建物の隙間に存在するような、巻き上がったシャッターが無惨に剥き出しで、通行人が一瞥も加えない、か細いお店。棚の本は完全に時間が停まり、奥の帳場で店主が横になって、死人のように昼寝していたお店。いやぁ、あんなお店はさすがにもう…ふぉう!ある!ちゃんとあるぞ!細いけどあるぞ!と大喜びし、すぐさま薄暗い店内に身を滑り込ませる。
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※四年前と寸分変わらぬ写真のようだが、間違いなく本日撮影したものである。
うひゃぁ、相変わらず日に焼け埃を被った本のオンパレード…でも、ちゃんと開いている。おぉ、以前は左側にあった帳場が、正面奥に移動している。そこで店主が、かなり明度の低い中、文庫本を読みふけっている…おそらく、電気代を節約しているのだろうな…。こうなったら、2020年の東京オリンピック時にも、変わらず営業してくれていることを念じつつ、新書館「もののたはむれ/松浦寿輝」集英社文庫「タカラヅカグラフィティ/橋倉正信・武田武彦編」春陽文庫「社員武士道/竹森一男」を計300円で購入する。

続いて青砥駅に移動し、青砥銀座の奥にある「竹内書店」(2009/08/25参照)を求めて歩く。うむ、元気に現役感一杯に営業中だ。これは、消息を心配したのが失礼になるほどの、以前と変わらぬ立派な古本屋さんである。激安というわけではないが、東京の中心より安値の良書が目につく端正な店内をうろつき、日本古書通信社「探偵作家追跡/若狭邦男」を900円で購入。

さらに一駅移動して、今や呑み助の聖地と化した感のある京成立石。昼間から開いている飲み屋の罠を切り抜け切り抜け、たどり着いたのは「岡島書店」(2010/02/02参照)。今でも古本市では時々お店の本を見かけるが、店舗に来たのは本当に久しぶりである。しかし確固たる姿勢を保ち、自然科学や武道、江戸東京落語を充実させ立派に営業中なのであった。尋ねたお店がすべて営業していた、今回の落胆のない小さな旅は、清々しい達成感と、小さな古本屋さんがまだまだがんばり粘る麗しい姿を、見事に味わわせてくれた。大いに感謝しつつ光文社文庫「海外ミステリー作家事典/森英俊編著」を500円で購入する。
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2015年06月13日

6/13東京・中野 古本案内処・プロトタイプ!

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以前から中央線古本屋界隈で噂になっていた「ささま書店」(2008/08/23参照)出身の若者が、本日中野にお店を開店する。なので日射しが強く蒸し暑い『早稲田街道』をテクテク歩いて、朝の散歩がてら東へ向かう。中野駅からは北口から『中野ブロードウェイ』を突き抜け『早稲田通り』に出て、南側歩道を東に50メートル。『あいロード』の入口が見える信号手前に、お店が優しく扉を開いている。見事に午前十時ぴったりに着くと、あれ?もう開いている。そして中には十人ほどのお客が流れ込んでいる…おぉ、その中には古本神・二神の姿も紛れ込んでいるではないか。神の姿を見た途端、無闇にドバッと焦りが生じて来る。三階建て雑居ビル一階のお店は、黄色い鮮やかな日除けを張り出し、右側で巻き上がる外階段の下に立看板と小さな均一棚を置き、左にも均一文庫棚がが展開…しかしこちらはまだ文庫が少ししか入っていない。店内は細長くわりと奥深く、右奥にさらにカクリと広がっている模様。中央右側に帳場があり、香港の俳優チャップマン・トウ風青年が忙しく働いている。おぉ、まだ開店して十分ほどなのに、すでに買取のお客さんが!と驚きつつ店内を観察。入口側に三本の通路があり、左端は現在開店祝の均一ゾーンとされている。中央通路は新しめの本が集まり、カルトコミック・漫画研究・ミステリ&エンタメ・エッセイ・ビジュアルムックなどの新刊書店的ゾーン。入口が鍵型になった右端通路は文庫+新書ゾーンで、棚のすべては埋まっていないが、出版社を越えた並びを見せており丁寧。「ささま書店」入口右壁棚の雰囲気を感じ取る。中央小広場スペースを経由して、奥には三本の通路が続く。だが、右端とそのさらに奥のゾーンは、カーテンが下げられ仕切られており、まだお披露目されていない。そして右側の二本の通路と対峙する。そこには、文学・現代思想・歴史・漫画評論・宗教・映画・民俗学・歴史・児童書・映画などが、脈絡ありそうに、だが無秩序に集まり合い肩を並べ合い、続いて行く。…これは、取りあえず本を並べただけなのだろうか?それとも、この雑本並べ方式で棚造りを続けて行くのだろうか…、いやこれは、どうにか今日の開店に漕ぎ着けた、試作機状態なのであろう。これから精度を高め進化する前の、プロトタイプなのだ。しかし並ぶ本の質は高い、そして値段は安い。こんなものを日々見せつけてくれるなら、頻度高く通うことになるだろうと、本を抱えて行く。途中奥の柱にお店の見取り図のような紙が貼付けられていたので注視すると、なんと剥がし忘れの、棚寸法の入った店内設計図であった…。文藝春秋「海辺の広い庭」「鳥たちの河口」(持ってないのでやった!)共に野呂邦暢、立風書房ジャガーバックス「ドッキリ知識 へんな学校/間羊太郎」(500円は嬉しい!)徳間書店「丹沢の山窩/三角寛」ちくま文庫「三文役者のニッポンひとり旅/殿山泰司」中公文庫「イザベラね/田中小実昌」を購入。ニヤニヤしてしまうすべて500円以下の値段であった。ここはプロトタイプ状態を脱した時に、また正式にツアーしなければならないだろう。まずは開店お目出度うございます!今日中野に、新しい古本屋さんの風が、吹き始めた…。これから高円寺の均一祭に行くという元気な古本神たちとお別れし、テクテク歩いて家へと戻る。
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2015年06月12日

6/12貨物列車を見送り二店の消息を尋ねる

京浜急行の各駅停車を八丁畷駅で乗り捨て、線路上でクロスする南武線の小さなホームに上がる。南武線とは言っても、この路線は尻手から浜川崎までの支線で、二両編成で本数も極端に少ない。木のベンチに座り、浜川崎行きを待つ。線路の向こうには、工場と集合住宅と民家の屋根が混在した景色。それを遮るように、時折長い貨物列車がキシュンキシュンと通過して行く。やり過ごすこと四本…ようやく普通の列車が来て十分弱移動し、工場地帯の縁に位置する浜川崎駅に到着する。入り組む線路群の中には、錆と草に覆われた電気機関車が取り残されている。そこから川崎市街地方面に向かい、『市電通り』をトボトボ歩く。前に来た時にも、本当にこんなロケーションの中に古本屋が存在するのだろうか?そう思って歩いた覚えがある。現在、あると分かっていても、いや、だからこそいい加減無くなっているのかもしれない…と不安になりつつ、また同じ道をたどっているのである。凶悪なダンプたちに肉体を脅かされながら、先へ。見覚えのある、色褪せた『古本 CD ビデオ』などとある看板が見えて来た…おぉぉ!やってる!100均壁棚が輝いている!よくぞ、よくぞ、「若木屋」(2009/04/29参照)よ!と喜びながら店内に飛び込む。奥から出て来たオヤジさんと擦れ違い様に挨拶を交わし、奥の三本の古本通路に精神を集中する。古い本が意外に多く、値段はしっかり付けられているが、隙もちゃんとあるのでワクワクと楽しめる。奥の壁棚でドキッとしたのは、にっぽん新書「うん・どん・こん 血と涙で綴る三冠王までの道/野村克也」。1965年発行の南海ホークス時代のノムさん初著書である。値段は800円なので、堂々と、どひゃっほうの凱歌を上げる。250円の角川文庫「私の夢日記/横尾忠則」と共に購入。

お店もちゃんと営業してたし、素晴らしい獲物も手に入ったし、本当に消息確認に来て良かったなぁと喜びを軽やかな足取りに変換しつつ、広い道路を歩き続けて、一キロほど北に位置する追分町方面に分け入って行く。続いて目指すのは「大島書店」(2011/02/02参照)。大通り沿いに点々と商店が現れ始め、あれは見覚えのあるトタンの歩道アーケード。あの下に古本屋さんが…ほぉ、あった。何事もないように、堂々と現存している。今回は二店とも、川崎の片隅に健在であったか。それにしても以前はドアにペタペタと貼られていた貼紙が消え、スッキリしている。『徒党を組んでの入店お断り』とか、スパイスがかなり効いていたが…。店内は四年前とまったく変わらず、アダルト・時代劇文庫・廉価コミックのキッパリした構成。トクマノベルス「老神温泉殺人事件/中町信」を100円で購入する。

こうなれば後はテクテクテクテク歩いて川崎駅に向かうのみ。途中の「朋翔堂」(2008/09/07参照)で六興出版「わが百鬼園先生/平山三郎」を200円で、さらに「Books McQee」(2008/09/07参照)で日本文芸社「トリック・ゲーム/山村正夫」(数多の世界中の推理小説から引っ張り出したトリックについての問題集だが、記念すべき第一問が大河内常平の刀トリックでいいんですか?山村センセイ!ちなみに挿画イラストは渡辺東である)を432円で購入する。

そして阿佐ヶ谷に戻っての帰り道、惹き付けられて『少年探偵』ガチャガチャをやってしまうと、転がり出て来たのは「夜光人間」…シークレットまでの道のりは、まだまだ遠いようだ。
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2015年06月10日

6/10西品川に二店の消息を尋ねる

五反田から東急池上線に乗り換え、すぐに戸越銀座駅で下車。平日昼までも賑やかな、大きく長い『戸越ぎんざ』をズンズカ進み、途中で南の『宮前商店街』に折れる。坂を上がって、住宅街を貫く人影もなく開いているお店も少ない、森閑とした商店街を奥に入り込んで行く。すると小学校前に群青色の日除けを張り出した「いづみ書店」(2008/11/24参照)。しかし開いていない。下ろされたシャッターの郵便受けはガムテープで塞がれ、見上げた二階の窓も雨戸がピッチリ閉じられている。以前は店頭の段差に被せられていた、スロープ鉄板も無くなっている…濃厚な閉店の雰囲気…少し傷んだ日除けを見上げながら考える。『もしかしたら、夕方に開くのかもしれない。今は先に進んで、帰り道にまた覗いてみよう』。

そう決めてさらに南に下って、こちらは賑やかな『とごし公園通り』。戸越公園駅辺りで東に折れて、下神明方面に足を向ける。通りには何となく商店が続き、また小さな工業系の事務所や小工場が多い。やがて目的の寂しい商店街にたどり着き、記憶をたどって「星野書店」(2009/06/11参照)前。あれ?良く見たら日除けが新しく鮮やかになっているじゃないか。と言うことは、ここはまだまだやる気満々ということだな。そう確信し、店頭の三十均文庫と五十均単行本を漁ってから、いつ来ても変わらぬ昔通りの店内へ。…あぁ、落ち着く。街の古本屋さんの古本ハーモニーを楽しみ、指先を黒くして河出書房新社「うずまき/耕治人」東都書房「悪靈の城/角田喜久雄」を計400円で購入。いつまでもここで、このままで、大衆の味方でいて下さいよ!と強く願いつつ、馬鹿みたいに長く歩いて来た道のりを、引き返して行く。

途中にある『日本電球会館』が何をするところなのか漠然と考えながら、東海道線の線路を越え、東急大井町線の線路を越え、再び「いづみ書店」の前…だが変化ナシ。よし、ここはさっき見つけた漫画系古本屋さんをツアーする時に、もう一度見に来てからその消息を判断しよう。『戸越ぎんざ』まで戻り、今度は商店街を西に踏破して、終りにある「小川書店 平塚店」(2010/03/18参照)にも飛び込む。戦争関連の古書に圧倒されつつ、ちくま文庫「田中小実昌エッセイ・コレクション5」を400円で購入。そこから、いつ何時でも大賑わいのロングロング大商店街『武蔵小山PALM』の、腸のようなアーケードの下を歩んで行く。こうなったら歩き詰めて、大好きな「九曜書房」(2009/03/26参照)で今日の旅を締めくくってやる。そう決心しつつ、商店街の「ブックオフ武蔵小山店」にも立ち寄ってみると、三笠書房「異郷の道化師/小島信夫」を200円で見つけ、ニヤリ。

「九曜書房」では、何だか最近さらに凄みが増した気がする、と思いながらも500均棚ばかりをマークし、講談社「伯林-一八八八年/海渡英祐」桃源社「海底結婚式/渡辺啓助」池田書店「大山カラテもし戦わば/大山倍達」晶文社「スタンダップコメディの勉強/高平哲郎」偕成社「天体と宇宙/野尻抱影」を計1800円で購入してしまい、ここで荷物を派手に重くする。

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一番嬉しいのは野尻抱影。この図説文庫シリーズで、カバーがちゃんと掛かっていることに拍手!
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2015年06月09日

6/9継続フェアと真珠島とマグネット

重い古い本の束を手に持ち、背に抱え、最近日参している感のある西荻窪へ。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)では二日間の「街角ミニミニ古本市」は終わったのだが、私の「古ツアフェア@盛林堂再び!」は、実はまだしぶとく続いているのである。しかし以前より一段減り、今日からは合計三段のフェアとなる。探偵小説・推理小説・大衆小説・純文学・児童文学・児童入門書・仙花本・風俗・博物学・詩集・ノベルス・署名本・幻想文学・読む用の本・少女小説・文庫本などごちゃまぜに、古書多めにおかしな本を多数取り揃えておりますので、西荻窪にお出での際はぜひとも冷やかしてみてください。一仕事終え、若旦那とお話ししつつ、古本市の売り上げを受け取る。そして日頃お世話になっている感謝を込めて、恐怖のガレージマーケットで売れ残った集英社「少女ブック」昭和三十二年三月号ふろく「すずらん文庫4 長編探偵小説 真珠島/青木義久」を4000円で購入する。このポケミスを意識した新書サイズのペーパーバック型がとても愛しく(全98ページとちょっと薄いが)、伊勢田邦彦さしえの少女たちは、どれも輝くほどに美しい。実に質の高いふろくである。

そんな佳品を懐に収め、ウキウキと帰り道をたどっていると、家の近くでガチャガチャ群に目を奪われる。その中に、ひとつの異質なガチャガチャを発見したのである。それは『江戸川乱歩 少年探偵シリーズ マグネット』!ポプラ社の少年探偵シリーズの表紙を、ただマグネットにしただけのものであるが、これは見てしまったからには、やらざるを得まい。財布を見ると百円玉は二枚だけ。一回こっきりの勝負と小銭を投入し、レバーをガチリガチリと一回転させる。すると出て来たのは『少年探偵団』バージョンであった。全七種類で、ひとつはシークレットとなっているが、そのぼかされた写真は、明らかに江◯川◯歩先生である。…う〜ん、全部集めるべきなのだろうか…しかし、この“マグネット”という、平凡なグッズに乗り切れない自分がいる。どうせなら、明智や二十面相や青銅の魔人や電人Mや夜光人間や人間豹や仏像に化けた小林少年やポケット小僧やフランス製一人乗りヘリコプターのフィギュアでも出してくれればいいのに。もしくは探偵七つ道具のフィギュアとか…。
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2015年06月08日

6/8東京・国分寺 「古書 まどそら堂」移転拡大!

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「まどそら堂」(2013/05/13参照)がバス停前の三角形の小さなお店から脱皮し、坂の途中の『国分寺マンション』の半地下に移動したので、見に行くことにする。巨大な南口を出て、トウカエデの並木道を東へ。右手には『殿ヶ谷戸庭園』の猛々しい緑が萌え盛り、左手には巨大マンションが断崖のように連なる。やがて道が下り坂になると現れるのは、昭和な高層住宅『国分寺マンション』。グレーの巨体を通り過ぎるように坂道をさらに下り、切り返してマンション足元の半地下ミニ商店街『アンティークアベニュー』に入り込むと、新しい「まどそら堂」がすぐ目に飛び込んで来た。陽気な立看板や100均文庫台はそのままに、奥にシックな店内を湛えている。細長く奥深い空間は、左右に飾り壁棚を有し、中間では左に本棚が現れ、右にはガラスケース。そのさらに奥は、左壁には本棚が奥の奥まで続き、右壁沿いにはトランクやテーブルや未整理本の島が集まり、最後は帳場となっている。左側には洋書絵本・古書児童文学・絵本・少年少女絶版漫画。そして中央の仕切り的本棚にジュブナイル・児童入門書・児童文学が揃う。その奥は文学中心の古書群から始まり、後は揃いの本棚に函入文学本・出版社別文庫・日本文学・ハヤカワSF文庫・SF・探偵小説文庫などが美しく収まって行く。帳場の背後には古めの漫画雑誌棚あり。右側は旅・食からスタートし、アート・音楽・映画などが続くが、昭和な雑誌類や絵本類も飾られ、レアな山田風太郎「忍法相伝'73」が突然現れたりする。ガラスケースにはソノラマ文庫と秋元文庫がSFを中心に仲良く大量に飾られ、ちょっと愉快な景色を生み出している。その奥は青林堂本の詰まったトランクや文庫箱や、オススメ本台が続く。相変わらずSF・ジュブナイルSFが充実している。そこに絵本軸が強力にテコ入れ。値段は見事なまでにスキ無しのジャスト値である。移転祝いにと、ちょっと奮発して集英社ジュニア版・世界のSF「なぞの宇宙物体X/キャンベル」を2000円で購入すると、正体が露見したので、しばし店主とお話しタイム。移転の意気込みや、これからの活動予定に耳を傾けていると、カバー無しのガッケン・ブックス「ガラスの檻/飛鳥高」をテーブルの上に発見してしまったので、500円で購入。移転開店おめでとうございます!

お店を出たら北側に回り込み「古本 雲波」(2014/09/05参照)まで移動。ちょっと遠い斜向いの「才谷屋書店」(2012/05/07参照)を注視するが、残念ながらシャッターが下りている…あの時入れたのは奇跡だったのか…。そんな思いを心に引っかけながら、変わらず濁りなく質の良い棚をキープする店内に進み、創元推理文庫SF「ロシア・ソビエトSF傑作集 上/オドエフスキー他」角川文庫「東京の中の江戸/長谷章久」みずのわ出版「神戸の古本力」を計800円で購入すると、こちらでも見事なまでに正体を見破られる。すっかり観念してご挨拶すると、店主は珈琲とワッフルでもてなしてくれた。ありがとうございます!何故か「祖師谷書房」(2009/03/05参照)の話で盛り上がり、思わぬ楽しいひと時を過ごす。
posted by tokusan at 19:39| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする