2015年08月30日

8/30神奈川・小田急相模原 移転開店!二の橋書店

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机の前に座り続け色々煎じ詰めていたら、作業に飽きが来てしまい、我慢出来ずに外出。結局即座に昨日偶然移転を知った「二の橋書店」に駆け付けることにする。八月らしからぬ曇り空の下、混ざる白石が光を帯びるアスファルトの上を滑り、南口ロータリーから大通りへ。東に向かうと、閉塞感のある巨大で黄色の『イトーヨーカ堂』が現れる。その向かいに、テナント募集中の旧店舗と、お洒落シックな新店舗が、冗談のように隣り合っていた。庇の下には西洋的に瀟洒な雰囲気の扉と縦長窓。入口横には存在感ある縦書き看板文字。窓下には小棚やプラケースが集まり、三冊100均文庫・100均単行本&雑誌を並べている。大きなガラスの嵌った木製扉を引き開け、小さな店内に上がり込むと、迫り来るのは本棚と珈琲の良い薫り。そして、まるでロッジのような内装である。左壁は本棚、その前にナナメに置かれた背中合わせの棚が一本。入口右横から、細い棚・カウンター平台・壁棚と続き、途中から奥はカウンター式のカフェ…というよりは懐かしい山小屋風喫茶店となっている。すでに三人の女性客が珈琲を楽しんでおり、一段低くなったカウンターの内側には、ツバ広ハットを被った島田洋七風オヤジさんが、店主として、そしてマスターとして働いている。左壁は海外文学・古典文学・日本文学・戦争・近現代史・禅・仏教。向かいにはちくま文庫・食関連文庫・岩波文庫・中公文庫・講談社文芸文庫・新書が、背を上に見せる特殊な並び。この通路は奥がすぼまっているので、圧迫感あり。棚裏には時代劇文庫とミステリ文庫が並び、カウンター客の背中を見守っている。入口右横には自然関連が集まり、台の上には美術図録や作品集など。お客さんにぶつからぬよう気をつかい、カウンター台の向こう側へ入り込む。壁棚に美術・幻想文学・文明・古書数冊・辞書・山岳などが並んで行く。以前の広く深いお店から一変、硬質に小さく知識が結晶する空間に変貌。カフェ度の高さが少し古本心を惑わせるが、入ってすぐがとにかく古本屋部分なので、一安心である。値段はちょい安〜普通。ちくま文庫「怪奇探偵小説傑作選4 城昌幸集」を400円でカウンター越しに購入すると、「コーヒーいかがですか?」とお誘いを受けるが「また今度」と、ただ古本買いに終始して本を受け取る。本には集英社文庫創刊三年記念の、エッシャーのブックカバーを巻いていただく。丈夫な織布製で、年月を経て来た色合いが、なかなか古本的であるな…。「お店、以前は隣りでしたよね?」と聞くと、オヤジさんは照れたように帽子の下で顔をほころばせ「エヘへ。移転しました。またよろしくお願いします」と答えてくれた。
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2015年08月29日

8/29神奈川・藤沢 太虚堂書店 藤沢駅北口支店一階バージョン

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元々は一・二階だったのが(2011/07/22参照)、いつしか一階のみに棚を凝縮させ、二階には上がれなくなってしまった。自然と一階の様相も大きく変わったので、再ツアーの仕儀となったわけである。店頭には右端に108均文庫棚があり、続く三台のワゴンは、右の二台が大体1000円以下単行本(古書含有率高し)で、残りの一台がまたもや108均文庫となっている。またその横には小さなシリーズ本棚がある。背後のガラスウィンドウには、古書絵本や明治本が良い値段でズラリと飾られている(江見水蔭が目立つ)。入口の左横には雑誌ラックと雑誌箱が据えられている。店内に進むと、右奥が延びて鋭角になった、直角三角形的フロア。手前右側奥に漫画揃いが集まる上がれない階段と、窓際に時代劇文庫棚、そしてプレミア本を飾るガラスケースが組み込まれた帳場スペースがある。そこ以外は、入口左横から壁棚がぐるっと覆い、真ん中には大胆にナナメに胸高の長めの棚が置かれ、歪なフロアの特異さを引き立てている。壁棚には入口左横から。辞書・古書絵本&児童雑誌・児童文学・絵本と続き、ナナメの壁に美術図録・書・版画・日本美術・現代美術・写真・工芸・骨董・新書・古観光地図類・函入学術資料本などが、なかなかに厳めしく続く。鋭角に折り返して、仏教・郷土・神奈川・横浜・藤沢、そして鉄道でフィニッシュ。フロア棚には、奥側に出版社別文庫・新書・CDが並び、上には「それいゆ」などの雑誌も置かれている。通路が狭くて見難い入口側には、出版社別文庫・探偵小説文庫・日本近代文学・幻想文学・児童冒険&探偵&SF&時代劇&伝記仙花紙本・海外文学が収まる。また奥の棚脇には、細めで高い本棚が一本あり、古い本をサブカル的にまとめた奇妙な並びを見せている。何処にでも紛れ込んでいる古い本に大いなる魅力あり。値段は普通だが、良い本珍しい本にはちゃんとプレミア値がプラスされている。東方社「写真記者物語/中山善三郎」(函ナシ)を324円で購入。

帰りにちょこっと乗り換えて、東海大相模の夏の甲子園優勝で未だに賑わう小田急相模原駅で途中下車。「イーストウッド」(2010/11/01参照)はシャッターを下ろしっ放しの状態がが久しい雰囲気。合掌しながら「ツヅキ堂書店」(2011/03/09参照)に向かうと、こちらはしっかりと路地に根を下ろして営業中。…あぁ、ということは、ここの古本屋さんは、この一軒だけになってしまったのか…よし、せめてはすでに閉店してしまったが、「二の橋書店」(2009/11/30参照)の跡地だけでも確認しに行くとするか。…ふむ…当然だが、すでにテナント募集の貼紙があり、看板もすべて取り払われている。む?横に『閉店のお知らせ』の紙が、打ち捨てられているな。なになに「7月19日(日)に開店…」あれ?閉店じゃない。えっ?開店?…これは、開店のお知らせじゃないか!と驚き顔を上げると、ぬはっ!隣りに新しい「二の橋書店」が出来ているじゃないかっ!そうか、移転復活していたのか!これはめでたいめでたい!と大いに喜ぶが、今日は古本市参加のために、お店はお休み…仕方ない、近日中に、ツアーしに来ることにしよう。いやぁ、諦めずに、足を運んでみると、こんな嬉しいこともあるのだな。
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2015年08月28日

8/28浦和と蕨の消息確認を行い香山滋と桑田次郎赤本を手に入れる

昨日果たせなかった消息確認を実行するために、湘南新宿ラインでまずは浦和へ。西口から出て細道を駆け抜け、『旧中山道』沿いにひっそりとある「浦和古書センター」(2010/08/07参照)に接近。…あぁ、シャッターが下りてしまっている。そこには古本市のポスターが貼られているが……あれ?ワゴンに100均本が少し出ているぞ?お店にたどり着くと、シャッターが下りているのは半分だけで、左側は開けられていたのである。そしてそこに見えるのは、結束された本が頭を越すほど積み上げられ、極狭となった通路であった。これはスゴいことになっている…。開いているのは分かったが、一体中は…試しに100均本を一冊掴み、ドアを開いて店内へ踏み込む。すると奥から店主が「すいませーん」と言いながら、極狭通路を身体を横にして小走りに迫って来た。本を買いながら「お店、見られますか?」と聞いてみると、「いやぁ、ちょっとね。今はほとんど倉庫みたいになってるんだ。だから、表に貼ってあるけど、古本市に出してるから、それを見に来て下さい」とのことである。未来社「八丈島の民話/浅沼良次編」を100円で購入する。

駅方面に大回りで戻り、「武蔵野書店 ヨーカ堂前店」(2009/10/31参照)に立ち寄ると、講談社「銀色の鈴/小沼丹」(ちゃんと函帯付き!)が100均棚に挿さっていたので、感謝しながら喜んで買わせていただく。さらに東口『浦和PARCO』の常設モドキ古本市(2012/05/10参照)を見に行くが、すでに消滅済みであった。

二駅南に下って蕨で下車する。ここから一気に北に南に駆け抜け消息を確認して行く。「春日書店」(2010/06/19参照)はシャッターアウト。ここ最近開いているとこを見ていないので、ちょっと不安になって来る…しかし保留にしておくか。続いて近くの「池宮書店」(2011/07/08参照)に行ってみる、おっ、シャッターが右半分開いている。すかさず中を覗き込むと、壁棚に本は収まっているが、店内は自転車と洗濯物の嵐で、一般客の踏み入る余地はゼロ…どうやらほとんど倉庫&買取店と化してしまっているようだ。時の流れとお店の変化に軽く衝撃を受けながら、後は楽しく古本を買うだけにするかと、麗しの「なごみ堂」(2010/02/12参照)に早足で向かう。しかし、お休み!(その後入った情報によると、九月終りくらいまで店売りをお休みするとのことである)期待が一気に萎み、思わず靴先に視線を落としてしまう。いや、だが、まだ西口に「旭書房」(2010/03/30参照)があるじゃないか。目の前の長い跨線橋を渡って、即座に急行する。ところで「森のしずく」(2010/03/30参照)はリサイクル系のお店なのに、最近ほとんど開いていない…これは、閉店したと判断しても良いだろう。そして「旭書房」の店内で、久々のぎっしりした棚を、一冊も見逃さぬよう、検品するように眺めて行く。すると中央通路で、東都書房「魔女のいる街/香山滋」を発見。値段を見ると2000円じゃないか!と驚き喜び、フランス装ソフトカバーの本を抱え込む。帳場で一万円札を出して精算すると、お釣りがないのでしばし両替待ちとなる。フラフラと、さっきも見たはずの、右端の古書&紙もの通路に入ると、香山滋を見つけて舞い上がっていたためか見逃していた、壁に貼られたビニールパック入りの、四冊の駄菓子漫画本が目に留まった。榎本書店の戦後あたりの赤本漫画である。すべて文庫サイズの60ページほどの中編漫画が収録され、当時の値段は20円。それが四冊まとめて2000円で売られている。これは買いだ!と壁から剥ぎ取り、お釣りを2000円減らして受け取ることとなる。榎本書店ゴールドマンガ「百万両の茶壺」(「ガリバー旅行記」を時代物に翻案したような、点描が冴える侍ファンタジー)「一念寺の怪像/そのだせんぺい」(ほのぼのとした捕物帖)「ぜんざい騒動」(ぜんざい屋開店騒動を古臭く描くギャグ漫画)「仮面の怪盗/J.K」(手塚治虫タッチの冒険探偵漫画。ところが調べてみると、これが桑田次郎の作品であることが判明。やった!)をさらに購入。
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四千円も使うつもりじゃなかったのに…と思いつつも嬉しくて獲物を店前で記念撮影。
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2015年08月27日

8/27消息を確かめつつ「地獄のドンファン」にあっけなく溺れる

 埼玉の京浜東北線沿線の調査に向かおうとしたら、ケーブル火災により山手線・埼京線・湘南新宿ラインが止まっていることを知る。仕方なく予定を変更し、吉祥寺に出て「午睡舎」(2009/09/10参照)の消息を探りに行く。あらゆる曜日に見に行ったが開いていることはなく、今回の消息確認をひとつの区切りとするつもりである。駅から北にヒタヒタ歩いて『古着×古本』の看板が見えて来た。しかしやはりシャッターは閉まっている。側壁の電気メーターを見ると、微動だにしていない。シャッターの縁にはずいぶんと砂利が溜まっている…よし、ここはもう恐らく、開くことはないのだろう。そう決心するように判断して、一度しか入れなかったお店に、お別れを告げる。

ヒタヒタ南に歩いて、三鷹方面へ。ついでにあの「無人古本屋」(2013/04/17参照)の消息も確認しておこう。何となくの方向感覚で、お店を目指していると、見覚えのある『三谷通り』に出た。たどりついたお店は、やはり無人だが健在。しかしガラス越しに棚の様子をうかがうと、ずいぶん本が少なくなり何だか寂しい光景。本がしっかり補充されることを願いつつ、今度は「水中書店」(2014/01/18参照)に足を向ける。

店頭棚に熱視線を注いでいると、本の補充に出て来た店主にただちに発見され、慌てて挨拶をする。そして開店からもう一年半、棚もすっかり埋まり、店主の思いに満ちた熟成した棚を、ぐるっと一回りして、じんわりと楽しむ。月曜社「新編 燈火節/片山廣子」を1000円で購入し、店主と色々お話ししていると、十月開催の水中書店さんも参加する「independent bookstore's BOOK FES 2015」が話題となる。やはり外売り初参加の「十五時の犬」(2011/11/22参照)は要注目ということらしい。今から出品の並びを勝手に想像して、ひとりニヤニヤする。
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写真は、その今秋注目の「BOOK FES 2015」パンフと本日の獲物である。

夕方に西荻窪におもむき、「フォニャルフ」に補充。そして買おうかどうか躊躇していた、盛林堂ミステリアス文庫「地獄のドンファン/谷弘兒」を結局は手に入れる。淫媚で怪しい漫画である。クトゥルー神話+諸星大二郎+バイオレンス伝奇小説を足して三で割り化学反応させたような、不可思議で低俗な味わいが、抗い難い魅力を紙面から放っている。一気に読破し、続刊予定の「薔薇と拳銃」も、暗い意識で大いに楽しみにし始める。
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2015年08月25日

8/25読みたかった作家の本を読み始める

お昼過ぎに神保町に向かい、お仕事モドキや打ち合わせに従事。すべてを済ませてひとりになって、神保町を改めてテクテク。しかし空は雨模様なので、あちこちの店頭はすっかり雨仕様。やるせなく箱やワゴンを覗き込んだ挙げ句『三省堂書店』に吸い込まれ、五階の「三省堂古書館」(2012/11/21参照)に流れ着く。その中の「あやかしや」の棚で目についたのは、裸本で貸本仕様の同光社「長編新作 魔笛若衆/宮下幻一郎」である。これは、恐らくいつかの八階の古本市で、ためらい買い逃したものではなかろうか…値段も同じ500円なので、今回はチャンスを逃さずにとにかく買うことにする。

宮下幻一郎…三橋一夫、宮本幹也と並び、三人の頭文字を合わせて“3M”などと称されることもある、貸本小説作家である。昭和三十年代前後の貸本小説や探偵小説は、一部で異様な人気を博しているが、その作品を読むことは極めて困難。最近は日下三蔵氏の大活躍や、同人復刻などのおかげで、時代の谷底に流れ落ちた作家の作品が、いくらかは読める素晴らしい時代となったのだが、それでもまだまだ手の届かない作品は多い。当時の本が見つかったとしても、相当な高値が付いているので、とても手が出せないのが現状である。そうなると、何だかとても読みたくなって来る。どんなものでも良いから読みたくなって来る。読めないからこそ、膨らんでたくましくなった想像を、満足させてやらなければ!だからその手の届かない小説が、500円で読めるのなら、裸本でも御の字ではないか!読んでみたいんだ、宮下幻一郎!例え、大抵の時代物はつまらないという情報を知っていたとしても、試したいのが古本人情!と水道橋駅ホームで、早速経年劣化したページを開き、読み始める…番頭と丁稚の身分違いの恋、謎の若衆辻斬り、元海賊の超悪番頭、お色気満点女盗賊、袈裟懸けにバッサリ同心…ふむふむふむ、結構エロを書き込んだ、バイオレンス伝奇小説的な展開…ふむふむふむ…こんなもの、楽しく読んでいる場合じゃないんだけどなぁ…車内に古本の匂いを漂わせ、渇望した文章にのめり込み始めながら、黄色いラインの総武線は、湿っぽく肌寒い東京を、ためらいなく疾走して行く…。
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2015年08月24日

8/24神奈川・古淵 ニトリモール古本市

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町田で横浜線下りに乗り換え、ひとつ先の駅で降りる。ホームは薄暗いコンクリの谷底。明るい地上に出ると、周囲に見えるのは巨大建築物ばかりの街。特に巨大な『イオン』の足元を伝い、南西の『国道16号』に抜け出る。するとすでに道沿い北西に、目指す『ニトリモール』の看板が見えている。歩いて行く。向かって歩いて行く…しかし看板はなかなか近付いて来ない。このバカでかいショッピングモールの何処かで、今日が最終日の古本市が開かれているのである。ようやくたどり着いた、四階建てのはずなのに背がやけに高い建築を見上げ、中へ。がらんと大きく高く広い通路に面して、似たような感じでお店が続いて行く…確か二階のエスカレーター近くで開かれているはず…取りあえず目についた、通路にあるエスカレーターで二階に上がると、そこに古本の姿はナシ。振り返って下り側の通路のどん詰まり方向を眺める。するとそこには、赤い『古書まつり』の幟が翻り、確かに十二のワゴンが集まっていた。ミステリ系文庫・古書・コミック・ビジュアルムック・紙物・児童文学・人文・文学・詩集・鉄道・戦争・歴史と、なかなかバラエティ豊かな展開。出店はすべて神奈川のお店である。この神奈川古本屋さんの、小回りの利いた神出鬼没具合はとても素敵である。「文雅新泉堂」から現代評論社「犯罪・海を渡る/平岡正明」を500円で購入する。そのまま帰ろうとするが、ふとワゴンに貼られた『古本市』のポスターが目に留まる。そこには会場が『2・3偕』とある。まさかと思い、エスカレーターで三階に上がると、ぬぉっ!二階とまったく同じ、古本ワゴン集合の光景!何だ、この立体的セパレート古本市は!と驚き面白がりながらワゴンを見ていると、帳場には文雅新泉堂さんの姿があった。挨拶を交わし「よくこんなところまで…」の言葉を受け、「りら書店」(2013/11/14参照)から河出文庫「文豪ナンセンス小説」を200円で購入。飲み物をご馳走になりながら、文雅さんとしばし古本屋雑談に耽る。ここで古本市が開かれるのは今回が初めてで、ワゴンを覗き込んで行くのは、家族連れが多いそうである。そう言えばさっき二階で、お母さんが子供に、古本の定義を優しく噛み砕いて説明してたっけ(「古本って言うのはね、人が一度読んだ本を、もう読まないから安く売っているのよ」)。楽しくお話しして二階に下りると、あっ!「中島古書店」さんだ!店番に来ていたのか。馴れ馴れしく近付き、現在の事務所店の営業日を問い詰める…あぁ、早く押し掛けなければ…。
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2015年08月23日

8/23東京・中野 古本案内処

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いよいよ完全体になったと判断したお店を再ツアーするために、蒸し暑いが風が吹き抜けると、その時だけは心地良い『早稲田通り』を、ペタペタと東に歩いて行く。辛抱強く三十分ほど歩いて『中野ブロードウェイ』北側出口前を通過すると、歩道の上に商店街的なミニアーケード。そこに突入すると、すぐに『本お売り下さい』の看板が目に入る。2015/06/13の開店当初に訪れたお店であるが、当時は嵐のような慌ただしさの真っただ中であった。あれから二ヶ月…すっかり落ち着いた現在は、ある程度違う姿で営業中なのである。通りに元気よく張り出したオレンジ色の日除けの下には、白いフレームとアコーディオンドアの店頭が浮かび上がり、左に小さな100均新書棚、右に200〜500円洋書棚が置かれている。上がり込むような感じで、薄い市松模様床の店内に進むと、誰もが入り易い雰囲気。しかしいきなり細かな通路が迫って来る。フロアは手前が狭く、奥が右に広がり、中央右側帳場前の広い空間で、二つのゾーンに分けられている。手前側は壁棚とフロア棚で狭い三本の通路が生み出され、まずは入口左横に小さな100均文庫棚。右には棚裏に安売り函入り本コーナーが設けられている。左端通路は壁棚に、100均文庫・100均単行本棚が豪勢に(客側にとって)続く。特に単行本棚が良い。向かいは新しめの本が並び、エッセイ・現代サブカル・セレクトコミック・ミステリ&エンタメなど。真ん中通路は、社会・現代戦争問題・ビジネス・旅・暮らし・食・女性などが集まり、ジャンルごとに小さな手書きのポップが貼り込まれている。右端の鍵型通路には、作家50音順日本文学文庫・海外文学文庫・絶版文庫・雑学系文庫が、充実の品揃えで収まっている。帳場前を横断し、奥へ。右壁棚には、日本語・言葉・古典文学・中国・歴史・大判本と続き、そのまま曲がり込んで奥壁棚に戦争・「丸」・音楽となって行く。通路棚には落語・歌舞伎・伝統芸能・日本風俗・書・日本美術・美術・宗教が並ぶ。中央通路は、左に海外文学・映画・演劇・サブカル、右に日本文学・詩集・文学評論・写真・漫画評論(大いに充実!)・手塚治虫となっている。右端通路は、左に思想・政治・社会学・西洋文明・オカルト・博物学・トイレ文化。右に民俗学&歴史文庫・哲学&思想系文庫を丁寧に集め、硬くまとめている。何時行っても、何かしら満足出来るレベルの高いお店である。各ジャンルがそれぞれに奥深く、古い本も時折混ざるので感心することしきり。そして、値段が安い!いつまでもいつまでもこのレベルを保ち、突き進んで欲しい。店内を彷徨う多くのお客さんたちも、間違いなくそう思っているはずだ!第一書房「夜月集/山口誓子」(函ナシだが何故か帯が本体に巻かれており、見返しには著者献呈札・昭和十四年の誓子コラムが掲載された新聞の切り抜き二種・吉田絃二郎全紀行集二色刷栞が挟み込まれて100円!)新潮文庫「天國の記録・街のルンペン/下村千秋」を計432円で購入する。
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今日も古本屋に行ってよかった!と思える収穫。こちらもかなり嬉しい新潮文庫は、終りの方のページにすでに剥がされているのだが、「巌松堂」の書店ラベルが貼られていた形跡がくっきりと残っている。これもまたひとつの古本屋遺跡……。
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2015年08月22日

8/22古本屋さんでかき氷を二杯たいらげる

強い日射しに負けぬ強い心で、お昼過ぎから外出して、今話題の北干住駅(北千住駅)に到着。ホームの立食い蕎麦で栄養補給をして、西口空中広場でのカポイエラの演舞にしばし見とれてから、長い距離を歩き始める。目指すは駅から遠い遠い「おたけちゃん書店」(2011/01/12参照)である。さる筋から、いくら電話しても連絡が取れないという情報が入り、気になり消息確認をしに来たわけである。しかしお店は、予想通りにシャッターを下ろしていた。シャッターには足吹きマットが立てかけられ、自転車が一台停まっている。今日は土曜日で、時刻は午後二時…非常に望み薄な展開であるが、もしかして開いているとしたら、夜なのだろうか…しかしこれはもう…。

90%閉店を覚悟して、駅までテクテク戻る。それだけで、すっかり体力を消耗し、常磐線で移動して日暮里駅下車。谷中・夕やけだんだん上の「信天翁」(2010/06/27参照)に半死半生で逃げ込む。ご無沙汰しているのに覚えてくれていた帳場のお二人に感激し、店内でほてった身体をクールダウンしながら総合科学出版「80年代マイコン大百科/佐々木潤」を864円で購入する。

階段下に下り、へび道をクネクネたどっていると、当然の如く「bango books」(2011/07/28参照)の」前に出る。ぐらつくベンチに腰掛けて、店頭300均棚を漁って店内に進むと、一段と古書度がアップした、黒く茶色い店内。棚の片隅に龍胆寺雄「アパアトの女たちと僕と」(改造社)の裸本を発見し、テンションを大いにアップさせるが、値段が15000円だったので、薄笑いを浮かべてそっと丁寧に棚へと戻す。圭文館「ああ満州/岡本功司」(満映社員によるノンフィクション。なかなかの拾い物!)を300円で購入。

そのまま根津駅裏まで歩き続け、ようやく本日のゴールである「タナカホンヤ」(2012/05/29参照)に到着。ここでは夏の間だけ、新米一箱店主の「ひな菊の古本」さんが、かき氷屋をオープンしているのである。古本屋がかき氷を販売…もはやこれだけでも、古本屋ツーリストとしては、駆け付けねばならぬイベント。たどり着くと同時に、かき氷を一杯所望。注文はオススメのスペシャルな宇治金時。
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懐かしい琺瑯お椀に入った甘い氷をジャクジャク食べながら、古本を眺めるのは、今までに味わったことのない至福の時である。色々お話ししながら、あっという間に完食。琺瑯お椀に残った冷たさが、あまりにも名残惜しい上、喉の渇きも癒し切れていないので、恥ずかしながら二杯目を注文する。すかさずタナカホンヤさんから「お腹壊さないで下さいね」の一言が。二杯目はちょっと氷少なめにしてもらい、シンプルなカルピスを選択。これぞ初恋の味!とたちまち完食する。あぁ、何だか早く夏の日が終わってしまったようで、少し切なくなる。実はかき氷販売も、今日が最終日とのこと。また来年、ここでかき氷を食べられることを、楽しみにしております!

冷たいものを食べて元気が出たので、千代田線で新御茶ノ水に出て神保町に流れる。あっ!「ブックブラザー源喜堂」のビル上巨大看板が塗り潰され、広告募集の札が掲げられている(お店自体は健在)。ひとつの景色が消えたことに軽い衝撃を受けながら、西日が強く射す本の街をウロウロ。古本マニアより、一般の人の方が多い気がする。そんなことを緩く感じ取りながら、「ブンケン・ロック・サイド」(2014/08/28参照)店頭215円ワゴンから春陽堂現代大衆文学全集「子は誰のもの・時代の霧/竹田敏彦」(ちゃんと函付き!)を掘り当てて喜び、さりげなく長くなった一日に終止符を打つ。
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2015年08月21日

8/21下連雀に消息を尋ねる

色々差し迫るものたちのために、時間と心に余裕があまりないので、近場である三鷹の気になる一軒の消息を尋ねることにする。長い距離を歩くことを覚悟して、駅南口の商店街大通りを南に歩いていると、空模様がたちまち怪しくなり、ついに雨が降り始めた。通り雨っぽいので、すぐ止むだろうと、花屋の店先で雨宿りをするも、全然通り過ぎる気配がない。しかたないので、雨足が少し弱くなったのを見極め、小走りにさらに南に移動して、かなり久しぶりの「上々堂」(2008/07/17参照)に飛び込み、雨宿りを楽しく継続させる作戦を採る。ずいぶん領土が広がった「岡崎武志堂」や、中央に置かれていたラックが無くなり、行き来が楽になった中側の通路をズンズン楽しんで行く。何処の棚も上の二段ほどが、ビニールに包まれた本を並べ、ネットと兼売になっている。というわけでネット兼棚から一冊を抜き出し、ものすごく丁寧なお兄さんに精算していただく。芳賀書店「アメリカ地獄めぐり/寺山修司」を950円で購入する。

結構長時間過ごしたつもりで表に出るが、まだ弱い雨は降り続けている。またもやしかたなく、あきらめて歩き出し、下連雀の地をペタペタと進む。記憶をたどりながら、おぼろげに見覚えのある道をたどって行く。『三鷹市立図書館』に差し掛かったところで、この道で本当に良いのだろうか?と不安を覚えるが、そこから数十メートル進んだ所に、「フォスフォレッセンス」(2008/08/01参照)は元気に存在していた。すかさず自動ドアから中に入ると、先客さんが珈琲と読書を楽しんでいる、相変わらず小さな空間。すべての邪魔をせぬよう、通路をジリジリと一周し、愛が爆発している太宰棚に目を細め、第三文明社「芥川龍之介と太宰治/福田恆存」を600円で購入し、素早く辞去する。

今日の小さな旅の収穫は、「上々堂」で購入した「アメリカ地獄めぐり」。蛍光ピンクも鮮やかな物凄くキレイな本だったので、最初は950円という値段に『復刻版だろうか?』と疑ってしまったほど。しかし復刻版は出ていないはずだし、良く見ると函の天に古本らしき汚れが見られる。ならば!と購入すると、ちゃんと初版で、ビニカバも健在。おまけに中にはスリップまで残っていた。お店によって値段にバラツキのある本ではあるが、950円はとにかく安い!やった!
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2015年08月19日

8/19「麗文堂書店」の偵察に行く

豪徳寺で一仕事済ませてから、「靖文堂書店」(2011/09/06参照)に立ち寄り、通路の奥で歯磨きをする店主を尻目に本棚を眺め、東都書房現代長篇推理小説全集9「鮎川哲也集」桃源社「紅殻駱駝の秘密/小栗虫太郎」を計400円で購入し、市ヶ谷駅に急行する。あの管理人室の奥の古本屋さん、「麗文堂書店」(2012/09/06参照)が八月一杯で移転してしまうのである。何故?果たして何処へ?あぁ!と大いに嘆きながら、表の歩道に細長い看板が出ているのを確認し、そこに用意された目録「市ヶ谷通信」の終刊号を掴んでから、ビルの中に突入する。重いガラス扉を開けて、さらに磨りガラスの管理人室扉を開けると、閻魔大王のように管理人さんが、テーブルの前にドカンと座っていた。会釈して麗文堂の開け放たれた扉を潜ると、あっ!もう片付けの真っ最中ではないか!驚き慌てて、ダンボール箱の前に屈む店主に声をかける。「移転されるって…」「そうなんですよ。新潟の方にね。だから場所が場所だから、通販専門になると思います。ぜひこれからは、ネットで訪ねて来て下さい。ここは、まだ26〜27日くらいまではやってますので…」とのことであった。すっかりフロアの棚は撤去され、今あるのは壁棚のみ。ある程度は箱詰めされ、それでもお店を訪れた人のためか、フロア棚に並んでいた文庫が壁棚に並んでいたりする。取りあえず棚を見させていただき、しばらく店内をウロウロ…目録には別れの挨拶と共に、1982年に都立大学で10坪のお店からスタートし、2005年にこの特異な管理人室店に移って来たことが書かれている。…あぁ、ここは本当に、不思議でおかしく凶悪に入り難いお店だったな。大きな思い出は、中井英夫署名入りの文庫を買えたことであろうか。この狂ったロケーションの古本屋さんが無くなることを、心底残念がりながら、ハヤカワ文庫「夢の棲む街/山尾悠子」を千円で購入する…だがまだ、これを最後の買物にはしたくない。このお店とお別れする、心の準備がまだできていない!やはりもう一度くらいは、管理人室経由で、お店を覗きに行くことにするか。古本を買いに行くことにするか!
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2015年08月18日

8/18「風光書房」の偵察に行く

浅草橋からある取材を始め、テクテク西に歩いて御茶ノ水に到達。心地良い疲労をふくらはぎに溜めながら、蝉がジワジワやかましく鳴く大聖堂の脇を掠めて『池田坂』を下り、「風光書房」(2009/12/17参照)の入る雑居ビルの前。実は秋口辺りに、お店が閉店するとの悲しむべきタレコミが入ったのである。このかなり入り難い、ヨーロッパ文学に精通した、四階のお店がである。表に出ている看板を見ると、閉店などのアナウンスは何処にも出ていない。いつものように階段を忍び足で上がって四階。入口横の安売りブロックを一通り眺めて、背後の踊り場を見ると、あっ!そこに床と窓際と階段と消火設備のボックスを利用した『半額コーナー』が出来ていた。…これはやはり…と思いながら、澁澤龍彦サド箱・ドイツ文学&美術・クラシック音楽・近代劇・西洋文学評論・詩関連・海外近代文学文庫などを、じっくり吟味。一冊手にして店内に進み、一通り棚を眺める。だがお店にも閉店のアナウンスなどは、まだ見当たらない。本をオヤジさんに差し出し、探りを入れるために「半額セールなんて珍しいですね」と言葉をかけると「ウへへへへ。これからまだまだ出しますんで。また見に来て下さい」と何だか前向きな返答が。う〜む、これはまだもうちょっと先ということか…しかし油断はならない。今後も気をつけて経過観察していくことにする。それに面白い本が店頭に出るかもしれないし…。現代思潮社「ぬうべるとらじっく/マルキ・ド・サド著 澁澤龍彦訳」を400円で購入する。
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そのまま神保町をブラリブラリ。色々覗き込んでは行くが、結局何にもぶつからずに、いつの間にやら『白山通り』。ところが「日本書房」(2011/08/24参照)店頭にて、中央公論社「遍路行/下村千秋」を函ナシだが300円で発見して小躍り。昭和六年出版で、表題の長編一編+短篇五編+戯曲二編を収録している。半年前に同じ中央公論社から出した「天國の記録」は竹中英太郎装幀だったのに、こちらは何故か著者自装。…こっちも英太郎に頼んでおけばよかったのに!
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2015年08月17日

8/17東京・代官山 nostos books 代官山店

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雨の代官山でちょっと道を見失い、しぶくような強い雨に難渋している…渋谷から歩いて来たのが、まずかったか…。しかしどうにか、目的の場所にはたどり着く。代官山駅からは西側の『八幡通り』に出て、北に坂を下って行く。300mほどで現れる『NTT前信号』を過ぎ、次の脇道を東に流れ落ちれば、そこには緑に包まれた分かり難い『Sodocco』ビル。二階への外階段を上がると、大きなバルコニー的空間が広がり、奥には『Bird』というお洒落で自然派なカフェがあった。傘を畳んで入口から入ると、そこにはテーブル席が並んでいる。大きく太い敷居を跨いで奥に進むと、室内なのに芝のある妙な空間。左に厨房レジカウンターがあり、右にはガランとした空間がある。そして奥にテーブル席やカウンター席のある部屋が続き、その左壁一面に大きな本棚が設置されていた。これが松陰神社前「nostos books」(2013/08/10参照)の、代官山店ということか。カウンター前を、飛石を伝い、店員さんたちに訝しがられながらも難なく通過出来たので、そのまま代官山店に張り付くことにする。写真関連・食・博物学・自然・絵本・セレクト文学・巴里・夏葉社新刊・幻想文学・暮らし・女子・児童文学・大判美術本などで、端正に構成され、この不思議なカフェの一翼を担っている。値段はだいたい600円からとしっかりめ。中公新書「戦う動物園/小菅正夫・岩野俊郎・島泰三」を購入し、服の乾く間もなく、再び雨の代官山へ。

そのまま渋谷まで戻り『246号』を歩道橋で渡っていると、渦巻く黒雲をバックに浮かび上がる、白い駅デパートの壁面に、大きな「第24回東急東横店渋谷大古本市」の文字。そうか、明日までなのかと雑踏の中で気付き、ビシャビシャ会場に駆け付ける。平日の雨降りなのに、古本群の前には賑やかな人影。あまり時間がないので、さほど拘らず、流れるように台の前を移動して行くことにする。すると未だ入店叶わぬ大森「アート文庫」の台で、氷川瓏が書いた牧野富太郎の伝記を見出し、これは読まなければ!とウキウキしてレジへ。巻頭の『著者について』に、ちゃんと「代表作に「睡蓮夫人」」とあるのが素敵だ!ポプラ社子どもの伝記全集「牧野富太郎/氷川瓏」を1080円で購入する。
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2015年08月15日

8/15東京・中野 まんだらけ海馬 夏の付録祭り!

朝のまだ涼しいと思えるうちにひとつ仕事を終わらせて、お昼過ぎに西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に出向き「フォニャルフ」棚にダバダバと補充する。ところが帳場に若旦那の姿が見えないので、代わりに腰掛けている若女将に聞いてみると、なんでも「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)で学習雑誌付録の放出が行われているので、偵察に向かったとのこと。話を聞いた私も色めきたち、この先の予定を変更して、押っ取り刀で中野へと駆け付けることにした。しかし表に飛び出した瞬間、均一箱に石黒敬七が固めて出されているのを発見してしまい、ベースボール・マガジン社スポーツ新書「柔道世界武者修行記/石黒敬七」を抜き出し、店内に戻って100円で購入する。

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商店街もブロードウェイ内も、お盆だというのに、まるでアメ横のように大混雑している…ここは本当に観光地と化しているのだな…。三階まで長いエスカレータを上がり、四階までは階段を駆け上がる。西寄りの廊下を突き進み、右側の「海馬」をチェックして行くと、最奥の通路側棚脇棚でその祭りは、静かに二色刷りの花火を上げていた。昭和三十〜四十年代の学研と旺文社の学習雑誌付録である、文庫型の小冊子が各段に二冊ずつ面陳され、所々に十冊弱がまとめて棚挿しされている、上部がSF中心で、下部がミステリ中心。全部で五十冊ほどで、祭りと呼ぶには小規模だが、一応一棚をこのタイプの付録冊子で固めたことに、拍手を贈りたい。と思っていると、この棚の首謀者であるまんだらけの三次氏に声をかけられた。お話によると、この全貌がまったく分からず、未だ誰も手を付けていない付録本の世界を、少しずつ切り開いて行こうという、無謀な野望がこの祭りの発端らしい。翻案・抄訳・極端過ぎる抄訳・半創作・未単行本化作品が頻出し、時に原作者が明記されていても出自の不明な物語があふれる世界を、どうにか少しずつ解明して、データとしてまとめたいきたいとのことなのである。それはまるで、楊枝一本で、象に闘いを挑むようなもの!しかしプロジェクトは動き出し、その一部はネットで公開され、そして販売され始めたのである。
http://order.mandarake.co.jp/order/listPage/serchKeyWord?target=00&keyword=kb付録小説&shop=01
応援の意味も込めて、学研中学三年コース1964年11月号第3付録「ポージーと魔法の世界/シオドア・コグスウエル」中学二年コース1963年6月号第3付録「推理小説 ニセ札殺人事件/レイモンド・チャンドラー」を計540円で購入する。

その後は二階の「古書うつつ」(2008/06/18参照)に立ち寄り、ハヤカワ文庫「さもなくば喪服を/D・ラピエール&L・コリンズ」を250円で購入。

そしてブロードウェイを突き抜けて『早稲田通り』に出て、開店以来の「古本案内処」(2015/06/13参照)にも立ち寄る。おぉ、お客さんが途切れず入って来る。あぁ、奥の右側に新たな通路が開通している。むむ、ちゃんとしたジャンル分けの棚造りが行われている。…やはりこれは、再ツアーが必要だな。そう心に決めて、開店時に楽しんだ棚のクオリティがそのままキープされているのに驚き、角川文庫「空を飛ぶパラソル/夢野久作」実業之日本社「随筆 のぞき眼鏡/田辺貞之助」を計324円で購入する。
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2015年08月14日

8/14土浦で古本の間を駆けずり回る

午前十一時の土浦には、まだ少し雨が残っており、そのためか土地の水気がいっそう増しているような印象。ちょっと潮臭い霞ヶ浦の気配を感じながら、ある取材のために「つちうら古書倶楽部」(2013/03/31参照)に向かう。帳場で作業中の店主・佐々木氏に挨拶をし、およそ三時間を古本の中に過ごし、駆けずり回る。すっかり疲弊しながらも、どうにかして本は買っておきたいのだが、懸命な取材調査と古本欲は、なかなか両立させるのが難しいことに気付く。いつもの二倍の集中力を駆使出来ればなんてことはないのだが、そんな都合の良い能力は備わっていないので、結局半分の集中力で本を探すこととなる。四ヶ月前に買い逃した雄山閣「仮面紳士/日影丈吉」(800円)が残っていたら御の字なのだが、そんなに世の中は甘くない。すでに誰かに嫁いだ模様…。しかしそれでも、櫻井書店「ありし日の妻の手紙/村山籌子・村山知義編」(恐らく函ナシ)白水社「讀物随筆 舶来雜貨店/獅子文六」(表紙絵・口絵のモダンさにノックアウトされる)を見つけて喜び計864円で購入する。
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帰りの車中で「ありし日の妻の手紙」を読み始める。村山知義が1930年以降に収監された時に、獄舎に届いた妻・村山籌子からの手紙をまとめたものである。よく古本と古本屋の話が出て来るのが面白く、特に『そのうちお金がどうにもならなくなったら、クラシック類を売るつもりです。それから宗教、哲学類。明日売る本でも二十圓ぐらいになりますから…』と書いていあるのが、次の手紙の冒頭で『古本売りましたら、四圓五十銭にしかなりませんでしたから、もう売らぬことにしました』となるので、その即断っぷりが痛快で、思わず笑ってしまう。
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2015年08月13日

8/12古本屋漬けの日々

毎日地味に古本屋さんに関わっている。それは直接ではなく、人の書いた文章上であったり、己の書いた文であったり、これから書き連ねる文であったり…。まさに浴びるほど、脳内では古本屋を巡っているのだが、やはりリアルな古本屋さんに行けないのは、古本屋ツーリストとして非常に辛いのである。というわけで、渋谷での夜の外仕事の前に無理矢理時間を捻出し、古本を買いに行ったり、消息を確認しに行くことにする。

最初はもはや古本を扱っているかどうか分からぬ、富ヶ谷の「SHIBUYA BOOKSELLERS」(2010/06/17参照)を訪れてみる。するとこれが見事なまでのセレクト新刊書店に変貌を遂げていた。目を皿のようにして各棚を見て行くが、発見できた古本はたった一冊。そうであったか、そうであったかと寂しさを感じつつ東急本店方面に戻りつつ、坂を上がって道玄坂に出る。あぁっ!元「文紀堂書店」が入っていた看板建築群(2010/03/02参照)が消滅してしまい、駐車場に成り果てている!…渋谷の大事な昭和遺産を、ついに消してしまいやがった!と大いに嘆きながら宮益坂を上がって、「中村書店」(2008/07/24参照)で傷心を癒す。北辰堂「よこはま白話/長谷川伸」(裸本)を500円で購入し、すぐさま道の先の「巽堂書店」(2008/07/24参照)へ。先ほど雨が降ったためか、店頭棚の布陣が普段と異なっている。いつもは店頭奥に出ているのだが店内に入れられた安売り棚を、面倒くさがらずに中までわざわざ見に行ってみると、その甲斐あって面白い本と出会ってしまう。念写協会「現代の念写とその実験的証明/宮内力」という、非常に怪し気な大判の本である。昭和四十七年発行の非売品である。ページを開くと、そこには様々な超能力者の念写写真が掲載され、学術的に研究されていたのだ。う〜ん、怪しい…いかがわしい…面白い…。その大半が抽象的な写真であり、まるでデカルマコニーのようなのだが、心を捉えて離さぬ魅力を秘めているのだ。500円で、これは面白い本が買えたぞ。そんな風に喜びを噛み締め、仕事を終わらせてから、荒れた宇田川交番の裏手で、念写写真集の写真ページを一枚実写する。あぁ、予想外の、いや予想以上の本と出会わせてくれた「巽堂書店」に、ありがとう!古本屋って、やっぱり最高だ!
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2015年08月10日

8/10東京・三鷹台 絵本&アート 獏の店

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またもや古本神・森英俊氏の教えにより、三鷹台にあった絵本専門古本屋「B-RABBITS」(2008/08/27参照)跡地が、新たなお店となっていることを知る。驚き飛び乗ったのは、コミュニティバス『すぎ丸』。これならば、阿佐ヶ谷から京王井の頭線までの接続を、縦に安くつなぐことが出来るのだ!と、高層新築に無惨に生まれ変わり中の『阿佐ヶ谷住宅』を抜け、狭い住宅街をトコトコ縫って進んで浜田山駅。四駅西に進んで、踏切際の南口に出ると、頭上を不穏な黒雲が覆い始めているが、見上げた高圧電線鉄塔とのコラボレーションに、夏の心を優しく掴まれる。そのまま線路沿いを意識して東に進み、100m強。左手に二店が並ぶ店舗住宅が現れ、その右側が「B-RABBITS」だったお店である。以前は中の様子がまったくうかがえなかったお店は、すっかり明るくなり、青い日除けの下のガラスサッシが、店内の様子をよく見せている。店頭には小さな安売り台に、安売り箱&カゴが出されている。中に入ると、中央の大きな白いテーブルについた、黒髪ボブのご婦人が「いらっしゃいませ。雨、降りそうですか?」と迎えてくれた。実に健やかでスマートな店内である。「B-RABBITS」の圧縮陳列が懐かしい…。右側の版画やリトグラフが飾られた下に低い棚があり、岩波書店の函入り児童文学を皮切りに、わりと出版社ごとに新しめの児童文学が集まる。さらに岩波少年少女文庫に海外ファンタジー系。しかし最下段隅に、茶色い古書も少し固まっている。奥は狭いが洋書絵本棚が続き、中央のカウンター右側ラックにもそれは続く。右には動物のぬいぐるみが数体。左は一面の白いボックス棚で、洋絵本・和絵本・自然科学系絵本・「かがくのとも」・「こどものとも」・児童文学・ポプラ社二十面相&ルパン・新刊・アートがびっちり収まっている。値段はちょい安。聞けばこの中には「B-RABBIT」の蔵書も含まれており、これからはもっと本を増やしたいとのことであった。ちなみにご婦人は店主ではなく、お店を手伝う元「B-RABBIT」のお客さんだそうである。…あのお店の遺伝子は、同じ場所で微かに、こんな風に息づいていたのか!よし、まだ奥にあるという古い「こどものとも」が店先に並ぶのを期待して、またすぎ丸に乗って、遊びに来るとしよう。日本基督教団出版局「人生おもしろ説法/田河水泡」を購入する。
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2015年08月09日

8/9神奈川・新逗子 勿忘草

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昨日は一日中、ある先達の古本屋巡りの旅の記録の中を彷徨い続ける、不思議な仕事に従事する。読むほどにうらやましさが募り、ただただ未知のお店に行きたくなってしまう…。明けて本日、そう遠くへは行けないので、京浜急行で補助いすに硬く腰掛け、南へ一時間。以前、逗子駅近くの『亀ヶ岡八幡宮』の骨董市で(2014/09/13参照)、古本を扱っていたアンティークショップを目指す。京急逗子線の最果てである南口から表に出てすぐ、東に足を向け、田越川を仲町橋で越えて川沿いに南へ。東から迫る山と、川に挟まれたこの一帯は、うねる道沿いに古い家も並び、車さえ頻繁に通らなければ、静かにささやかな旅情を味わえるだろう。通りを南に進んで行くと、山裾から大きな寺の敷地が山肌に広がるのが目に入り、その向かいの二階建てアパート先端を改造し、青い日除けの下の白い出窓を草花で飾り立てたお店を発見する。無料の貝殻類を眺めて、左横のなだらかなアパート敷地内へのスロープを上がり、ガラス器が多数置かれたドア前から通路に入ると、細かな陶器・ガラス器・小さな人形類・植物の実・小アンティーク類が、どっさり載った棚が壁際に続く。土足のまま奥に進むと、縦に二部屋が振り分けで並んでおり、そこに大小様々な棚や台や机やラックやガラスケースを設え、陶器人形やボタンや西洋アンティーク小物を中心にギュギュギュッと飾り、住居感と店舗感がせめぎ合う、濃密だが整頓された空間が組み上がっていた。電気が点いておらず、左の部屋の奥のテーブル前に、二人の男女が後ろ向きに腰掛けている…「すみません、見せてもらってもいいですか?」と声をかけると、「あぁっ!いらっしゃいませ」と二人は慌てて立ち上がり、「今、電気点けますね」「どうぞ、ゆっくり見て行って下さい」とにこやかに迎え入れてくれた。優しくフレンドリーな壮年のご夫婦である。まず右の部屋に入ると、ちょっと大きめの家具類と共に、人形や飾り物がひしめいている。左奥に絵葉書箱を見つけたので、肩ならしに『軍事郵便』『建築』『少年倶楽部』などに分けられた紙片を繰っていると、奥様がひょこっと顔を出され「どんなものを探されてます?紙物お好きなんですか?」と柔らかく探りを入れて来る。「紙物はそれほどではなくて、どちらかというと古本が…」と言うと、「古本はこっちの部屋にありますよ」と、心が大いにときめく殺し文句が出る。大喜びで左の部屋に赴き、たくさんの小さな陶器人形が、こちらを見詰める通路を擦り抜け、奥のテーブル前へ。おぉ!確かに片隅に、古本棚が一本存在している!しかも古い本ばかりだ!まずはテーブルで、激安の紙物箱をソワソワと浮き足立って吟味。目的の古本にとにかくむしゃぶりつきたくて、ソワソワは続く。面白そうなマッチ箱やイラスト紙片を取り分け、いよいよ本棚の前へ。本は薄手のものが多く、そのほとんどがセロファン袋に入っている。明治本・教科書・婦人洋裁本・児童雑誌・学習雑誌・絵本・附録が四段に茶色く収まっている。一番多いのは教科書だが、辛抱して漁って行くと、時に面白いものが飛び出して来る。それにしても、安いな。四桁いっているのは1200円の「赤い鳥」くらいのものだ。というわけで棚の前に跪き手に入れた収穫は、杉山書店「人形佐七捕物帳百話 日蝕御殿・他七編」文人社「物語小説 人間魔/野村胡堂」(表紙画は志村立美!)富士屋書店「幽霊船の怪宝/たかのてつじ」(落丁あり)婦人之友社「子供之友 昭和八年九月」、それに空マッチ箱六つ・象とライオンのイラスト紙片・少年倶楽部附録はがき二枚(あぶら蝉とインディアン酋長)・1924年蒲田映画「黄金地獄」カラー広告(雑誌の裏表紙)を計2000円で購入。あぁ、興奮した。楽しかった。この中で一番嬉しかったのは「子供之友」が350円で買えたことだが、一番気になる物は神戸の食堂『みかど』のマッチ箱。『みかど』は調べると神戸駅構内にあった、食堂車と同じメニューを提供していたレストランらしい。それにしてもこの粗雑な造りのマッチは、恐らく戦中〜戦後すぐのものだろうが、何が書かれているのかよく分からない(椅子?)表と、裏の神戸港の絵が、妙に心を捉えるのだ。誰か名のある絵描きが描いたものだろうか…。
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※写真は合成の展開図です。

帰りに近くの古本屋さんの消息を確認すると、「ととら堂」(2012/05/02参照)は店内の本の森加減が進行し、元気一杯に営業中。だが『逗子銀座通り』を抜けた交差点脇にある「古本よみま専科」(2010/02/27参照)は、夏の暑さに融けてしまったかのように、消滅していた。ひとつの古本屋が消えたことなどに、誰も心を砕くことなく、銀座通りは、ビーチへ向かう半裸の男女の陽気さに、満ちあふれている。
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2015年08月07日

8/7硝子の向こうの骸骨のような棚に項垂れる

今日も古本屋の消息を尋ねて地道な調査に出動すると、段々自分が、地取り捜査をしている刑事に思えて来てしまう。たったひとりの調査ながらも、歯車の一端のような、なかなか全体像の掴めぬ捜査に従事することは、この酷暑の中では、心が挫けそうになる。しかし、一歩一歩、一店一店、確実に前進しているはずだ!と今日も信じて、東武東上線で埼玉県入り。

最初の調査案件は、みずほ台の「古本とカフェ すずらん」(2010/10/08参照)。近隣住民に定食を多数提供しつつも、古本を求めて来た変わり者を、優しく受け止めてくれたお店である。だがしかし、日影のないみずほ団地の脇を歩き詰めて、お店にたどり着くと、そこは様々な装飾がひっぺがされ、寂しい空きテナントと化していた…。板が荒れて跳ね上がったウッドデッキに上がり込み、元お店の暗い窓の向こうを透かし見ると、あぁ…白木の壁棚が、まるで骸骨のように、キレイに残されたままではないか…。そこはかとない寂寞を覚え、うなだれて駅まで引き返す。
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続いて志木駅で下車し、マンション一階の奥まった古本屋さん「ブックス友」(2009/03/24参照)に到着。ちゃんと立看板が出ている!通路の奥のお店にも電気が灯っている!これで今日も古本が買える!と自動ドアに近付く。しかしドアは開かない。目の前には通路に積み上がった古本の山と共に、半分電気の消えた店内が見えている。そして間近な帳場前で、中折れソフト帽をあみだに被った、ランニング姿のオヤジさんが、視線を下に落として、黙々とコミックの梱包に従事している。…こちらにまったく気付く様子はない…。しばらく自動ドア感知マットを、ギュギュッと踏み締めてみたりするが、決してドアが開くことはない。ダンディさとだらしなさを兼ね備えたオヤジさんは、シュールな無声映画のように、音も立てずに作業を続けている…と、とにかく営業中で、よかった、よかった…。

そして古本を買うために下赤塚駅で下車し、「司書房」(2009/06/07参照)に向かう。なんだか不思議な古道具の増えた店内を一周して、旺文社文庫「ロマンSF傑作選 夢の中の女/石川喬司・伊藤典夫編」ワニ文庫「殺人トリック劇場/新保博久」を計450円で購入する。ついでに地下鉄駅近くの「ブックオフ下赤塚南口店」もパトロールすると、108均文庫棚で講談社文庫「危険な関係/新章文子」を見つけられたので、迷わず購入する。たまにはこんな風に、文庫しか買わない日があってもいいのではないか。
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2015年08月06日

8/6本の海賊は八月十九日に帆を畳む

コメントタレコミで「Book Pirates 亀戸」(2011/08/26参照)が閉店間近なのを知る。実は最近、某古本屋さんとお話ししていたところ「建物が古くて建て替えになり、閉店するかもしれない」と聞いてはいたのだが、よもやこんなに早く動きがあるとは!と、太陽がまるで二つに増えてしまったように、暑く日射しの強い都市を、あえぎあえぎ進んで亀戸へ。南口からペタペタ歩いて、海賊古本屋さんが一階真ん中に入る、四角い三階建てビルをちょっと見上げると、確かに古いタイプのものである。
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お隣の薬局は、シャッターを下ろしている。お店に近付くと、日光を激しく反射しているドア付近に多数の貼紙。『閉店致します 10年間、有り難うございました。』『8月19日 閉店日決定 お買い求めはお早めに!!』『110円コミック書籍類が20円』『本日は活字系10%引』などとペタペタ。中に入ると大通りの喧噪と暑さは遠退き、相変わらず人文系が充実した左端通路に吸い寄せられる。…う〜ん、棚上の専門書に挟まっていたミミズの生態本が気になるが、1700円か…。北海道大学出版会「日本探偵小説を読む」も面白そうだが、1100円か…。などとそれなりにセコく迷いながら、結局至文堂「作家と狂気 創作の秘密をさぐる」を10%引きの270円で購入する。

歩道橋を渡ったり、ガード下を通ったりして北口に出て、『蔵前橋通り』まで出る。かつてこの通り沿いに「あづま書店」という古本屋さんがあったようで、今でも商店街のHPにその情報が残っている。東陽町にあった「あづま書店」(2009/04/01参照。現在は閉店)と関係がありそうだなと考えつつ、当該住所のビル前に立つが、当然お店の姿は何処にも見当たらなかった。予測していたことなので、それほど気落ちすることなく来た道を引き返し、「時代屋ぶんめい」(2014/05/06参照)に飛び込んで、奥側通路の1000均『昭和の雑誌』を熱心に漁る。そしてボロい二本のタワーの一番下から、小学館の育児絵本28「しょうぼうじどうしゃとぱとかあ」(ハイウェイパトカーは車体がゴツくて優雅なセドリックスペシャルだ!)を見つけ出し、堂々購入する。

情けなくもそろそろ体力に限界が…だがあと一軒くらい回って行くか。そう決心して二駅進んで新小岩駅下車。スクランブル交差点を駆け足で渡り、静かな裏通りの「オールドブックゼウス」(2015/01/23参照)にそっと入店。息を潜めて棚から棚へ飛び回り、弘文堂フロンティアブックス「名探偵は死なず その誕生と歴史/W・ゲルタイス」を700円で購入。よし、今日はこのくらいにしておこう…ゼイゼイ…。
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2015年08月05日

8/5「俺も見たいです!」と古本屋で答える

瞬発力というものが、すべてこの暑さに融かされてしまったようなので、己を甘やかして、復活した「宇佐美書店」(2009/08/18参照)を西川口に見に行くことにする。というわけで荒川を越えて、立ち飲み屋がもう営業している駅横の裏通りを抜けて、午後三時前の灼熱の線路沿いを歩くと、線路側の入れぬ入口がちゃんとシャッターを上げ、古書の壁を見せている。そして異様に言葉遣いの丁寧な営業時間や定休日の貼紙が一枚。表側に回ると、今まさにご婦人が、暗い店中の狭い通路から、次々と古本を満載した台車を引き出し、店頭を形作っている真っ最中であった。強い日射しをカッと浴びながら店頭棚を眺めていると、「そこにあるのはね、ホラ、色が薄くなってたり、破れてたり、ちょっと傷んでる本が多いでしょ。だからそういうのは、書いてある値段より安くするからね」と、話しかけられる。さらに「もうね、赤い色がもうすぐ日にやられちゃうのよ」「青く薄くなっちゃいますよね」「青くじゃなくて、もう白よ。白になっちゃうのよ。消えちゃうの。ホホホホ」と、本の劣化に、心を砕いている模様。段々と通路が空いて来たので「中も見させてもらっていいですか?」と、ようやく入店する。
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うぉぉぉ、胸辺りまで本が積み重なり、棚の上部しか見えず、ひとりがやっと通れる通路は、ほとんど以前と変わっていない。意外に硬めな棚構成も、やはり変化しておらず、ただ積み上がった本だけが、ささくれ立って擦り切れて、劣化の一途をたどっているようだ。帳場ももはや消滅し、左側入口横が、荷物置場兼帳場のようである。出来る限り様々な場所に目を凝らし、学研の新・創作シリーズ「お父さんのバックドロップ/中島らも作・山口みねやす画」実業之日本社「きまぐれ読書メモ/星新一」を計550円で購入すると、ご婦人が汗を拭き拭き、思いの丈を吐露し始めた。「もうね、この積み上がっているのをどうにかしないとね。奥にもっと本が隠れてるのよ。それを出したいんだけど出せなくて、表の本だけがどんどんボロボロになっていくの。思い切って片付けなきゃいけないんだけど。物凄い時間がかかるでしょ。大変なのよ。お客さんから、ここにある本を退かして、棚の下を見たい!って言われるの」「あ、それ、俺も見たいです」「そうなのよね〜。でもまだ無理なのよ、大変なのよ」と、この店内の状況に、大いなるジレンマを抱えているのであった。ガンバレ、おかみさん!今はまだ酷暑なので、秋くらいには、少しずつ棚の下部が見られる状況に微速前進して行きましょう。とにかく、古本屋さんを継ぎ、再開していただいたことに感謝いたします!

続いて東口に出て、先日雨宿りでお世話になった(2015/06/18参照)「葵書店 駅前店」(2009/04/12参照)へ。いやに絶版漫画の多い巨大店頭壁棚を眺めてから店内に突入し、真ん中通路奥の二段の古書棚に食らいつく。池田書店「ピストル/長谷川公之 芦川良一 共著」を700円で購入し、雨宿りのお礼をしたつもりになる。

こんなちょっとの行動でもすっかり疲れ果て、地元阿佐ヶ谷にヒィハァ帰り着き、二十回に一回くらい面白い本に出会える「穂高書房」(2009/02/15参照)店頭箱に、その一回を求めてたどり着くと、厚いカーテンを小さなお店に下ろし、お休み中。良く見ると『八月十三日まで休ませて戴きます』の札が、カーテンの襞に半ば隠れて下がっていた。そうか、夏休みか、店主は久々に古本の軛から抜け出し、青空の下の本物の穂高連峰を、縦走でもしているのだろうか…。
posted by tokusan at 18:19| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする