2015年12月31日

12/31栃木・東武宇都宮 第65回東武古書の市

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青春18きっぷを使い、北に向かう。ついに2015年の大晦日である。大宮を過ぎると、途端に車内の底冷えが厳しくなる湘南新宿ライン。東側の窓から飛び込む透明な午前の光が、手すりの銀に反射して、冷気に煌めきを与えている。二時間でJR宇都宮駅に到着する。西口に出て、西に真っ直ぐ延びて行く『大通り』を進む。大きな地方都市は、すでに大半のお店がお正月休みに突入しており、賑やか過ぎる東京では最近それほど感じられない、年越し特有の静けさと寂しさに包まれている。1.5キロを早足で歩き抜き、東武宇都宮駅をその胎内に内臓する『東武宇都宮百貨店』にたどり着く…JR駅からはかなり遠い。暖かく大きな百貨店内に滑り込み、エスカレーターで五階へ向かい、さらにイベントスペースを目指して進行する。すると賑わいの奥の、ちょっと大きめの通路的な場所に、古本ワゴンが縦列して集まっていた。天井からは市の看板や、参加十二店の看板が下がっている。その下におよそ七十のワゴンが整然と並び、三本の長い通路を造り出している。各ワゴンには上部と下部共に木箱が積み上がり、立体的に古本を蔓延らせている。日光栃木関連や歴史戦争人文が目につくが、もちろんそれ以外の雑誌・絵本・漫画・美術・文学も幅を利かせている。古い紙物や和本の「フロスト堂」はなかなか刺激的。しかし結局は「利根川古書店」(2015/08/28参照)と「かぴぱら堂」の古書類にハートを掴まれる。向かいで行われている『プラレールフェスティバル』のBGM、鉄道アイドルソングに延々攻撃されたり、奥の通路では生魚の割烹的匂いが漂って来るのはご愛嬌。イベントスペースの、壁の薄さ故の宿命なのである。講談社「花嫁人形/蕗谷虹兒」(裸本)東京文藝社「電光石火の男/城戸禮」双葉社「怪奇探偵小説集/鮎川哲也編」小学館入門百科シリーズ「名探偵入門/加納一朗」学研美しい十代新年号付録(昭和36年)「長編推理小説 灰色の長い影/唐沢道隆」を計2600円で購入する。市は明日元日はお休みで、五日まで。
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今日の心の収穫はこの二冊。「花嫁人形」は蕗谷の署名落款入り。雑誌付録のナゾの推理小説は、とにかく読んでみないと分からない未知さが、火の点いた古本魂に油をビシャビシャ注ぐのです!

今年も一年を、古本屋さんと古本にまみれて駆け抜けて来ました。そして「野呂邦暢古本屋写真集」「古本屋ツアー・イン・首都圏沿線」「古本屋ツアー・イン・ジャパン それから」の三冊を、様々な方の助力を得て出せたのは、一介の古本修羅にしては、上出来だったのではないかと、しんみり回顧しております。しかしすぐにも、もはや明日には来年がやって参ります。その瞬間から、似たような古本屋&古本まみれの一年を暮らすことになるのですが、それは必ずや今年とはまた違った一年となることでしょう。みなさま、また来年もよろしくお願いいたします。それでは良いお年を!良い古本屋を!良い古本を!
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2015年12月29日

12/29ブックサーカス藤沢店は閉店50%オフセール中!

新宿から小田急線快速急行に乗って、快適に藤沢駅へ。北口に出てまずは「太虚堂書店 藤沢駅北口支店」(2015/08/29参照)を攻めると、店内斜めフロア棚裏側で、講談社文芸文庫「草のつるぎ 一滴の夏/野呂邦暢」を発見し、432円で購入して幸先の良い第一歩を踏み出す。そのまま師走の勢いで賑わう『藤沢銀座』を進み、「ブックサーカス藤沢店」(2011/11/03参照)に到着する。そこには、派手なゲームやアニメ系のポスターに埋没するようにして、『ブックサーカス藤沢店閉店のお知らせ』『平成28年1月17日閉店』『さよならセール』『全品50%OFF』などのポスターや立看板が存在していた…あぁ、これで藤沢も、かなり寂しくなってしまうな…。
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だが、ポスターの隅っこには『ブックサーカス戸塚店は営業いたしております。引き続きご愛顧のほどよろしくお願いいたします。』とあったので、少しだけホッとする。中に入るといきなり本棚が立て込むのは相変わらずだが、ジャンルの位置がだいぶ変わっているようだ。入ってすぐの二本の通路に、一般書&専門書と古書がまとめられている。50%オフを念頭に入れ、棚に熱視線を注いで行く。当然古書にずいぶんと引き寄せられ、棚から引き出して何冊ものタイトルを確認して行くが、結局買ったのはハヤカワポケミス「疑惑の影/ディクスン・カー」TOKYO BOOKS悪女シリーズ「魔女の暦/横溝正史」朝日出版社アサヒのまんが「怪人ムーンスター博士」(名古屋の玩具屋が出版。銀座の地下に潜むマッドサイエンティストと、彼によって改造されてしまった少年の、銀座市街での闘いを描く、作者不詳全16ページの駄菓子漫画)を計1026円で購入する。二階から三階への階段にも、壁棚に文庫棚古書棚が設置されているので、精算した後に眺め回す。こちらでは何も買わずに、階段を上がって下りて来ただけとなる。…来年も、どうにかまた見に来たいものである。

『藤沢銀座』をさらに奥に進み「光書房」(2012/04/22参照)へ。入って右側通路を六歩進んだ右上にある、探偵小説群に心を奪い去られてしまう。…あぁ、こんなに探偵小説に血眼になる日々を送っていて、良いものだろうか…。と思いつつも、その中から一冊を手にしてしまう。河出書房新社「追悼特集 山田風太郎」博文館名作探偵「夜の冒險/ドウーゼ 小酒井不木譯」(昭和十四年刊の『不朽の名著戦時普及版』)を計2600円で購入する。

トボトボと駅方面に戻り、せっかくだから気まぐれに「聖智文庫」(2013/05/16参照)に気まぐれに挨拶に行ってみようと思い立つ。シャッターにツチノコの絵が描かれた「葉山古本店」(2011/02/06参照)の前を通り、一本東の道にあるビルの中へ…だがやはり、事務所は真っ暗であった…うん、そうだよな。もう、こんな年の瀬だもんな。また来年、来ることにしよう。藤沢の古本屋さん、みなさん良いお年を!
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2015年12月28日

12/28古本与太話 探偵小説編

年の瀬も押し迫り、なんだか気抜けしてしまっているので、ツアーにも行かず、家でブスブスくすぶる。そこで今読んでいる本で、気になったことを二つほど綴ってみようと思う。

1. ポプラ社「大金塊の謎/海野十三」を読んで気づいたこと
つい先日手に入れた大物で、正確には探偵小説ではなく、少年探偵小説である。海野の生み出した名探偵・帆村荘六(シャーロック・ホームズをもじっている)が、銀座で起こったショウウィンドウ金塊強奪事件の謎に迫るというストーリーなのだが、敵は怪盗などではなく、ただのギャング……いや、ヤ◯ザ。そんな悪知恵のやたら働く凶悪犯人グループを、帆村の聞き込みと張り込みと警察の協力とちょっとの推理が、ジリジリジワジワと追い詰めて行く!…地味だ。こんなの俺の知ってる帆村荘六じゃない!こんなの『次々と怪事件の謎を解く無類の面白さ!』と謳われている少年探偵小説じゃない!もっと異様な怪事件に巻込まれて、超人的推理と超人的活躍で事件を解決してくれるんじゃないのか!…などと『なんだこれは』感に囚われ続け、何処までも読み進めてしまった。だからこそ、逆にひねくれて面白い作品として楽しみ、珍品として良い買物をしたなとほくそ笑む。そして昭和三十年代の、銀座・渋谷(道玄坂・富ヶ谷)・田無・横浜(駅・港)・鎌倉を舞台に、目まぐるしく登場人物たちが駆け巡るストーリー進行は、見たこともない過去の都市風俗を存分に味わわせてくれる。
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刑事とヤ◯ザの小競り合いが、見開き挿絵でドーン!

2. 岩波文庫「摘録 断腸亭日乗(上)/永井荷風」をパラパラ見て気づいたこと
ある必要に迫られ、パラパラとページをめくっていると、予想外の言葉が文中に浮かび上がった。それは、麗しい『探偵小説』の四文字。荷風が、探偵小説に、いったいどんな関わりを!と興奮しながらむさぼり読むと、時は昭和九年の八月二十五日。荷風の偏奇館を紹介状を持った物集芳子という婦人が訪ねてくる。彼女は女流探偵作家の大倉Y子(断腸亭日乗では高倉Y子と誤記されている)で、出版する探偵小説の序文を頼みたいというのである。まったく気の乗らない荷風だったが、頑強に懇願され結局は序文を書くのだが、これが本当に驚くべきムゴさを誇る文章であった。内容などには一切触れずに『何故自分が見知らぬ著者の読んだこともない書物の序文を書かなければならないのか』『辞退したのに著者はそれを許さない』『こんなことを書いた無用の文を、果たして序文として載せるのか、わたくしはそれを知らない』などと、とにかくいかに困窮したかのみを書き連ね、文章を終えているのである(全文は「断腸亭日乗」に掲載されている)。…ヒドい、ヒド過ぎる!こんな序文を渡されたら、もう泣くしかない!だが、大倉Y子は果たしてこれを単行本に載せたのだろうか?これだけヒドいと、逆に載せたい気も出て来るような気がするが…。だが、激高値でとても手の出ぬ単行本たちを見る術は、私にはない(図書館がある…か)。しかし、この序文は荷風らしくて、笑ってしまうほどとても面白いものだが、真面目に対応した探偵小説の序文もぜひ読んでみたかったものである。

そんなことを書いていたら、やっぱり古本屋さんに行きたくなってしまった。寒い表に着込んで飛び出し、テクテク住宅街の中を歩いて、久しぶりの「ブックマート都立家政店」(2011/12/13参照)へ。忙しく働くテンチョーと挨拶を交わし、奥の古書コーナーにこもる。絵本館「変なお茶会/佐々木マキ」小学館小学四年生増刊夏休み読み物号「発明発見 人間のちえとくふう」講談社文庫「世界SFパロディ傑作選/風見潤・安田均編」を計860円で購入すると、何とレジ前で「古本屋ツアー・イン・首都圏沿線」が新刊で署名入りで販売されているではないか!聞けばテンチョーが直接本の雑誌社に出向き、仕入れて来たそうである。何故か勢いで「古本屋ツアー・イン・神保町」も一冊だけ仕入れてしまっているのがおかしかった。テンチョー、ありがとうございます!そして、首都圏の古本屋さんで「古本屋ツアー・イン・首都圏沿線」を扱いたいという奇特なお店のみなさま、ぜひとも本の雑誌社を仕入れでお訪ね下さいませ!
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2015年12月27日

12/27神奈川・白楽 ランドリー

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昨夜はわめぞの忘年会にお呼ばれし、様々な方と語り合い、飲む(ただし私はすぐ限界を迎えるのであった…)。その中で、遅れて登場し対面に座った落語・笑い・芸能界関連古本屋の「ドジブックス」さんに、ふと思い出したことを聞いてみる。「そういえばドジさん、白楽の猫企画跡(2014/11/21参照)のお店に、古本箱を置いてましたよね?」「ええ、置いてます置いてます」「結局何のお店になったんでしたっけ」「古本屋です」「えっ!」「ランドリーっていう、二階でマッサージもやってる古本屋さんです」「…それってまるで猫企画じゃないですか…何日までやってます?近々見に行きます」「あ…でも…30日で閉店しちゃうんですよ」「げっ!」「じゃあ28か29日にでも…」「あ…開いてないかもしれません…」「だって30日に閉店なんでしょ?」「でも、もしよかったら…ボクが店を開けますよ」「そんなこと出来るんですか?」「大丈夫です!」ということで本日、白楽の『六角橋商店街』の坂道を、約束の時間である午後三時過ぎに下っているのである。お店に近付くと、それは確かに古本屋さんで、店舗の周りを100〜200均ダンボール文庫箱(質高し)が取り巻いている。中に進み、帳場に身体を折って座り、有馬記念のラジオ放送に耳をそばだてるドジさんにご挨拶。久々に踏み付けた床の色タイルを美しく思い、三方の棚を見ると、ほぼ昔のままである。ただし今は四軒の古本屋さんが同居している状態なのだが、全体にサブカル色が強めとなっている。足元にもダンボール箱がひとつふたつ…。お店が年末で閉店すると勘違いしていたが、実はお店はまだまだ続くとのこと。四人でお店を回しているため、営業は不定期になることが多いようだが、この「猫企画」(2010/12/17参照)→「Tweed Books」(2014/12/11参照)そして「ランドリー」と続いて来た場所が、まだまだ古本屋として続いてくれることは、大変ありがたいことである。集英社文庫「カスバの男/大竹伸郎」創元推理文庫「キング・コング/ウォーレス&クーパー」小学館コロタン文庫「推理クイズ大百科/緑川良」赤々舎「昭和40年会の東京案内」を購入する。さらに昨日深夜のわめぞ忘年会二次会で手に入れたという、大量の『うまい棒』の一部をお裾分けされる。本当に寒く忙しい年の瀬なのに、わざわざお店を開けていただきありがとうございました。

この後は坂道を上がり、駅前を通り過ぎて移転開店日以来の「Tweed Books」(2015/07/10参照)へ。くぅ…ファッション関連に強いお店なのだが、そのファッション度がアップし、元々和風のお店を居抜きで使うという奇妙な捩じれが、ある意味新しい空間を生み出している。奥の和室帳場も、壁に店主のトラディショナルなワードローブが下がり、本がドッサリ積み上がる畳の上では、山高帽を被った店主・細川氏が椅子に座って本の査定をしている…これも奇妙ないい光景だ。岩波文庫「断腸亭日乗 上下/永井荷風」ミリオン・ブックス「少年/神西清」を計900円で購入する。ここに移転しての五ヶ月について話を伺いつつ、持参したこのお店にあるのが相応しいファッション関連本二冊を買い取っていただく。
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2015年12月26日

12/26東京・阿佐ヶ谷 帰って来たJ-ハウス朝市

京都での疲労が、じっとりと身体を覆っている。なので今日はツアーをするつもりもなく、ただ西荻窪のフェア棚に気楽に補充に行くつもりで、家を出る。フラフラと『中杉通り』西側歩道を南下して行くと、人だかりのする店先がある(ベンチに座り項垂れた着ぐるみパンダまでいるが…)…こんな所にお店はなかったはずだが…そうか、そう言えば何日か前から、土日にここで古道具の朝市をするとかいう看板が出ていたな…。駅からは『中杉通り』をひたすら北上して500m弱。一旦谷に下り、また上がった『第九小学校バス停』手前にある、小さな雑居ビルの一階である。好奇心をガリガリ引っ掻かれて近付くと、路上と殺風景なコンクリ剥き出しの店内に、古道具や額装絵画や骨董品らしい物や生活雑貨までが、箱に入ったり台に飾られたりして並んでいる。CDとゲームの箱があったので、古本が一冊でもないものかと視線を素早く走らせると、店内右端に三冊の古本が飾られていた。途端にドキリとして吸い寄せられる。おぉ、それは古い児童文学!しかも一冊は、海野十三じゃないか!と慌てふためき取り上げる。貸本屋のハンコが捺されているが、タコ糸補強やカバー貼付はされていない。カバーの背の一部が欠損しパラフィンで補強されているが、貸本にしてはなかなか状態が良い。興奮を高めつつ値段を探すが、この本には付いていない。後の二冊は両方とも5000円だが…。店内中央に座る平野啓一郎風青年に聞いてみると、本はすべて一律5000円とのことである…5000円均一か…でもこの海野は、5000円でも十分お釣りが来るはずだ!これを買わなければ男が廃る!そう信じてすぐさま購入の意志をがっちり固める。お店について青年に聞いてみると、しばらくはここで土日の朝市を続け、来年の早いうちには内装をちゃんとして、店舗としてスタートさせるとのことであった。まさか家の近所で、こんな風に古本と出会ってしまうとは。ツアーを休もうと思っていた俺を、もう古本の方が放っておいてくれないようだ…ウフフフフ。ここは明日もチラリと見に来てみよう。ポプラ社日本名探偵文庫「大金塊の謎/海野十三」(名探偵・帆村荘六シリーズである)を購入。その後は夢ごこちで西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい、棚に補充を行う。あっ!『どひゃっほう本祭り』から安部公房「壁」が旅立っているじゃないか。引き取っていただいた方、ありがとうございます。どうか大切に可愛がって上げて下さい。
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朝市なので、もはや店仕舞い中のお店の前で記念撮影。
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2015年12月25日

12/25京都・京都市役所前 100000t アローントコ

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中心地からちょっと外れた四条大宮に一泊。窓の下に小さな墓場と、スピードを落として曲がり込む嵐山電鉄が見下ろせる、斜め四十五度に典雅な大衆的に古いホテルであった。京都二日目は、午後一時前に京都市役所前。巨大な『御池通』から、わりと繁華な市役所西側沿いの『寺町通』に入ると、二軒目のレンガ化粧ビルには一階から三階まで様々なお店が入っている。左のビルエントランスに進むと、こじんまりとした吹き抜けのロビーがあり、頭上には一応シャンデリアも下がっている。ちょっと急な半螺旋階段を上がると、左は美容室なので右へ進む。すると短い空中歩廊には、大小二本の本棚が並んでいる。収まっているのは文庫・絵本・単行本・雑誌などの100均本である。その奥では、お洒落なお店が入口を開けて待っている。右を見るとスリット窓の下には、出られないであろう半円のバルコニー…。ここは中古レコード&CDと古本を扱うお店なのである。その昔「ありの文庫」さん(2014/02/02参照。現在はネット書店に移行)を訪れた時、「ここは面白いですよ」と同店のショップカードまで渡して紹介してくれたのだが、二年近く放置していたのである…すみません…。厚い床板の店内に踏み込むと、古着屋さん的に洗練された店内。広く横長で、左に現代思想棚を脇に置いた帳場があり、通り側の窓の向こうには、モダンな市役所が見えている。入口右横からは日本純文学・海外文学・文庫・女子・女性・ビジュアルムック・児童文学・絵本が壁棚に並ぶ。右の壁棚には幻想文学・幻想文学文庫・建築・デザインが収まり、残り半分をCDが棚を占領している。フロアはレコードラックの海となっており、そこを泳ぎ切って左壁にたどり着くと、音楽・映画・サブカル・コミックなどが並んでいる。古本が案外多いのが嬉しく、その並びには店主のこだわりがほんのり込められている。本は古くても七十年代で、値段はちょい安〜ちょい高と様々。ミュージシャンも兼ねている雰囲気のちょっと無愛想な店主から、出帆社「天狗 大坪砂男全集2」を購入する。

続いて『御池通』に舞い戻り、『御幸町通』を南下して、ロゴが素敵な『ジュエリーマンション』の二階に上がり、店主逝去による閉店危機も二年間の閉店セールも中断して乗り越えて、見事なまでに復活した「アスタルテ書房」(2009/01/12参照)を訪れる。洋館書斎的意匠は不変で、ツヤツヤの床も、以前と同じく暗い幻想の光を湛えている。四方の壁棚はそのままだが、フロアは広々としてだいぶすっきりしている。それでも本は見応えがあり、得意の幻想文学だけではなく、こんなにも日本近代文学が集まっていたのかと、改めて瞠目させられる。やはりこういうお店では、読みたい本を宝物として、スパッとちょっとだけ迷って買うべきなのだが、いつもの癖でどうにか隙を見出す方式で三冊を棚から抜き出す。春陽堂書店新作ユーモア全集「髯と口紅/北村小松」「重役子守唄/辰野九紫」清泉社「ほととぎす/白井喬二」(裸本)を計2000円で購入する。お店を継がれた奥様の包装は、淀みなく手慣れていた。
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ユーモア全集の二冊は昭和十二年刊で、ちゃんとカバー帯付きである。「アスタルテ」でまさかこんな本が買えるとは思ってもみなかった。古本屋さんって、やっぱり面白い!共に800円でどひゃっほう!
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12/24京都・今出川 澤田書店

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所用で新幹線にて、快適に猛スピードで京都へ向かう。…だが用事を済ませる前に、まずは未知の古本屋を目指そう…。十二月なのに小春日和な古都の地下を、市営地下鉄烏丸線で北上して今出川駅。『4番出口』から地上に出ると、目の前で京都御所と同志社大学が、共に広大な敷地を控えて向かい合っている。『烏丸通』をちょっとだけ北上すると、現代的な白いお店に挟まれた、暗く深い時間の淀みを湛えたお店が一軒…古本屋さんだ。かなり古めかしい木造商店建築である。白い看板が乗った軒の瓦屋根の下には、木枠硝子のウィンドウと同型式の硝子戸が連続している。ウィンドウには全集が飾られ、硝子戸の向こうには、色褪せた古本の並ぶ空間が見えている。『学術書 法・経済書 全集 一般書 高価買入』の金文字がある、入口として指示された一枚の戸を開けて、過去へ一気にタイムスリップする。静寂に支配された、古い家と古本の匂いが充満した店内。元々は大学前の古本屋さんとして賑わったのだろうが、今は超俗した余生を送っているような気配。壁際には造り付けの木製本棚、店内中央には空間を二分する天井までの棚があり、右と左の空間それぞれに背の低い背中合わせの棚が縦に配置され、狭い通路を生み出している。床はコンクリ土間。壁棚下部の平台下は、白いタイルで化粧されている。奥には居心地の良さげなカウンター帳場があり、真っ黒のサングラスを掛けた藤子不二雄A的店主が、欠伸を噛み殺して店番中である。左壁には、経済・ビジネス・労働・法律関連が、時を停めつつズラリと収まっている。その向かいには、ビジネス経済関連の山と少量の児童文学。棚には日本文学・大衆文学・海外文学・時代小説が、昭和四十〜五十年代を中心にして並んでいる。店内二分棚には、コミック・ノベルス・日本文学・海外文学。帳場前まで進んで、カウンター下の左右文庫棚を屈んで眺め、右側ゾーンへ入り込む。棚脇のミステリ系文庫やノベルスを眺めてから、極狭通路に身を差し入れる。帳場から見て右には、歴史・文化・映画・音楽・演劇・美術・実用多種・短歌・文学が集まる。左は壁棚も含め、心理学・思想・古典文学・一般文庫・語学・外国文学研究・宗教・新書・洋書がみっちり収まっている。専門書が多く、棚にはあまり風が吹いていないようだが、そのおかげで文学周辺に妙な本が見受けられ、ワクワクドキドキ。値段はちょい安である。あまとりあ社SM選書第一集「死の島作戦/岡鬼一」(全ページ上段に挿絵が入る、C級エロ007モドキスパイ小説。絵は落合竜二こと椋陽児である)永岡書店「新婚旅行ガイド 全国特選モデルコース」を購入する。本は丁寧に、コロッケを包むような包装紙で、フウフウ言いながら包んでいただく。

この後は『今出川通』をひたすら東進し、吉田山ふもとの「古書 善行堂」(2012/01/16参照)に到着。入った瞬間に、相変わらず本好きを見事に搦めとる、新鮮な古書の風が吹き抜けていることを、棚を見て実感する。むっ、右壁上部に、新たな文庫壁棚が出現しているじゃないか。棚と真剣勝負をしつつ、何を買おうか盛大に迷いつつ、改造社「地球訪問記(ミクロメガス)/ヴォルテール」(不可思議な哲学的SF?)春陽堂「科學探偵/小酒井不木」(裸本だが嬉しい!)を計2000円で購入し、店主・山本善行氏に無沙汰を詫びつつご挨拶する。後はひたすら古本屋話に花を咲かせまくりつつ笑い合い、来年の秘密の相談を色々とさせていただく。来年の話をすると鬼が笑うと言いますが、そんな話ばかりしていたら、すでに夜の闇に包まれ気温を大幅に下げた吉田山から、微かに鬼の笑い声が聞こえてきたような…。
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2015年12月23日

12/23愛知・西尾 古本の中央

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青春18きっぷを使い、まだ暗く鋭い寒さの早朝から東海道線を乗り継ぎ、六時間で蒲郡に到着。ここからは、一旦懐に青春18きっぷを仕舞い、赤く丸っこいローカル線然とした名鉄の蒲郡線と西尾線で、さらに一時間弱。墨色の瓦が乗った家並みの向こうには、鉛色の穏やかな海が、つかず離れず見え隠れする。曇り空の下の沿線のそこかしこで、実ったはっさくや蒲郡みかんが、古い町に明るい黄色とオレンジ色を、けなげに添えている。そんな景色を見ながら降り立った西尾駅は、わりと大きく広がる郊外の平坦な街であった。高架島式ホームから階段を下り、西出口へ。昨日の天気予報で言っていた雨は、まだ降り始めない。だだっ広いロータリーには『三河の小京都・西尾』とある案内板があり、ここが城下町で栄えていたことを初めて知る。そこからナナメに北に向かうと、すぐに『花ノ木3丁目交差点』なので、大きな『中央通り』を北西に向かって進む。現代的な街中で、小京都らしさはまだ何処にも見られない。やがて小さな川を『三條橋』で渡って交差点に到ると、その北東際で現代建築的住宅兼店舗の大きな古本屋さんが、一風変わった店名の看板文字を金色に光らせ、整備された通りを見下ろしていた。表には何も出ていないので即座に店内に入ると、天井が高く見通しの良い広々とした空間である。入口右横にはコミックの入ったカラーボックスがあり、ウィンドウ下には右壁までビジュアルムックの並んだ長いラックが伸びている。下にはたくさんのレコード箱も並ぶ。左右の壁には本棚が設置され、左奥には飾り棚とガラスケースが置かれ、右奥にはソファーも置かれた横向きの行き止まり通路が一本。フロアには縦に背の低い背中合わせの棚が三本置かれている。中央奥の広い帳場にはご婦人がひとり。左側奥にバックヤードがあるらしく、パソコンの操作音と、時折男性の咳払いが聞こえてくる。深呼吸して、棚脇の児童書絵本ラックに視線を走らせてから、右端の通路へしずしず進む。足元には、児童文学&絵本・「銀花」・全集本・天理教本・横溝正史文庫&歴史などの箱が存在。壁棚にはカオス気味に、文学・社会・思想・宗教・歴史・技術・学術などが、古書(ここは値段お安め)も多く交えて並び、そのまま奥の棚に辞書・大判豪華本・書・骨董などが続く。フロア棚には時代劇文庫とカラーブックスが収まり、第二通路には少し色褪せた日本文学文庫と海外文学文庫が集合している。第三通路の右側には教養&雑学系文庫・カラーブックス・ノベルス・新書が並び、左側には雑本・文学復刻本・句集が並ぶ。その下には古いレコードを収めた書類ケースがズラズラと整列している。左端通路は右にコミックがのぺっと並び、左にはビジネス・社会・ノンフィクション・文学復刻本・日本文学・戦争がカオス気味にクロスしながら収まり、奥の飾り棚に古書・俳句関連・郷土関連・古雑誌・紙物・尾崎士郎が続いている。ガラスケースにも尾崎士郎が恭しく連続し、付録漫画・短冊なども飾られている。右奥の行き止まり通路には、松本清張・江戸・美術・古書(多め)・郷土史・日本純文学・小川国夫が並び、ソファーの上には古書箱も置かれている。ちょっと掴みどころの無い並びの棚が目につくが、本の量も古書の割合も多めで、なかなかに魅力的である。しかしその傾向は概して硬めと言えよう。値段はちょい安〜普通で、古書にはプレミア値が付いたものも多かった。金園社「標準人体解剖図/草間悟監修」道成寺護持会「三ツの御話 道成寺読本」ワニマークのツイン・ブックス「日本の怪談/安田孝明」「西洋の怪談/中岡俊哉」蒼樹社「續日本の貞操/五島勉編」(恐らくこれが今日一番の良い買物か。1500円!)を購入する。結局この街の小京都らしさを味わうことなく駅へ引き返し、逆の道のりで東京へ帰り始める。途中、蒲郡で乗り換えの間隙を突き、駅近くの「花木堂書店」(2011/02/12参照)を急襲するも、暗い店内をバックに、ドアにだらりと札の下がった定休日。残念がる間もなく、額に雨粒が落ちて来て、いよいよ今夜の東京の雨に追いつかれたことを知る。
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2015年12月22日

12/22東京・志村坂上 ¥100BOOKS 志村坂上店

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ボ〜ッとしながら駅への道のりをたどっていると、高円寺の高架際の二階の酒場『ペリカン時代』のお二人に声をかけられる。久しくお店に行っていないのに、擦れ違いざまに気付いていただき、感謝恐縮する。これは今度飲みに行かなければ…。そして電車を乗り継ぎ、2015/01/27に入れなかったお店に向かう。新たなタレコミで、このお店が最近ちゃんと営業していると知ったのである。『A4出口』から地上に出ると『志村坂上交差点』。『中山道』に背を向けて、商店街でもある『城山通り』を西に向かう。100m弱ほど歩いてたどり着く信号で南側を見ると、赤い雑居ビルの一階に、立食い蕎麦屋と洋服屋が並んでいる。しかしその間には、仄暗い、ビルの奥へと延びる通路が存在している。さほど大きくはない、人間サイズのその通路に、好奇心と多少の勇気を持って入り込んでみる…そこは、昭和で時間をピッタリ停めた、小さなマーケットであった。肉屋・洋服屋・シャッター店を横目にズンズン進むと、新たな扉が現れ、さらに奥に続くマーケットに誘われる。電器屋・靴屋・総菜屋を目にしながら最奥に到ると、左手で、アイドルソングが店内からあふれ出している古本屋さんが、営業中であった。通路である店頭にはCDを詰めたプラ箱が多数積み上がり、右端の台車の上にゴロンと置かれた人間大の二宮金次郎像に、思わず目を瞠る…仕入れたのだろうか?店内は横長で本棚が立て込んでいる。左側奥にバックヤードがあり、第一通路にはコミックとコミック文庫、中央通路はゲームと攻略本とコミック。そして右側帳場前の通路に、CD・文庫本・新書・辞書類・映画パンフ・絵本が集まっている。入口右横には狭くあまり入れない通路があり、料理・ビジュアルムック・児童文学が並ぶ。小さなリサイクル店で最近の本がメインだが(漫画には絶版あり)、値段は基本108円均一なのである。フィギュア箱が積み上がる帳場で精算すると、メンバーズカードをわざわざ作ってくれた。それには『志村坂上店』とあるのだが、系列チェーン店が存在するのだろうか…?日本標準 月刊中学1年はつらつ「はつらつ文庫」福音館書店「月刊たくさんのふしぎ 写真の国のアリス/文・飯沢耕太郎」を購入する。奥側から外に抜け出ると、そこはほとんど裏口で、この場所の名が、古い駐輪場の看板により『第一マーケット』であることを知る。その裏口の建物壁面では、やきとりやさんが夕方に向けて開店準備中。おぉ、都会の隙間には、今日も様々なお店が息づいている。
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2015年12月21日

12/21京王線沿線ミニパトロール

先日の「古書いろどり」移転&店舗開店オープニングパーティーで同席した古本神のひとりに、「そうたいしたものじゃないと思うけど」とタレ込まれる。ちょっと日が空いてしまったが、本日そのお店のあるつつじヶ丘を訪れてみると、タイミング悪く閉まっていた。街はもはや暮れなずもうとしている。では、近場の古本屋さんをちょっと見て回るかと、まずは仙川駅へ向かうことにする。

賑わう商店街を抜け、裏路地の「ツヅキ堂書店仙川店」(2009/08/20参照)へ。相変わらずキレイで広い店内。所々に散見される良い本が、今日の気分と値段がいまいち折り合わない。しかし右奥の棚前平台から、弘文堂「カポネを捕らえろ ギャング紳士録/J・H・ライル」を見つけ、300円で購入する。そのまま「文紀堂書店」(2015/03/13参照)に向かうと、店内はウッディでキレイなままだが、ちょっと古書率が上がっているじゃないか!と少し興奮する。あの茶色く古いヤツらが混ざり込むだけで、こうも惹き付ける力が変わるものか!とテンションを上げつつ見て回る。左壁棚奥のミステリ&探偵小説系に馬鹿みたいに囚われ、散々悩んだ末に偕成社少年少女世界の名作「恐怖の人造人間/原作シェリー 高木彬光」を2000円で購入する。やはりここは、時々見に来た方がよさそうだな。あっ!帳場背後の棚最上段に、木々高太郎の「眠り人形」があるじゃないか!うわぁ〜。

千歳烏山駅に移動して、無人古本屋「イカシェ天国」(2008/09/23参照)にも一応行ってみることにする。だが個性的な音楽がエンドレスでかかり続ける店内に入った瞬間、もはやここに新しい本は仕入れられず、棚に並ぶ本はただ朽ちてゆくのを待つのみなのだと、確信する。残念ながら今回は、何も買わずに退散…。

最後は新松原駅にたどり着き、駅至近の「古書 瀧堂」(2014/05/01参照)へ。あっという間に夜となった通りに、古本屋さんが明るい光を投げ掛けている。早速中に入って棚を見続けていると、非常にこなれたリズムのある棚造りに、良いお店になりつつあるなと感心することしきり。しかし自動ドアのモーターが、数回に一回恐ろしい唸りを上げ続けるのが妙におかしい。そのまま唸り続けたら、爆発するんじゃないかと思うくらい唸るのである。教養文庫「いろはにぽえむ/田中小実昌」を300円で購入する。

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今日の獲物たち+昨日某編集者さんに進呈していただいたのに酔っ払って忘れてカバンの中に入れっ放しだった里艸「昭和科學空想科学館/會津信吾」(右下。1998年発行の平田晋策・蘭郁二郎・那珂良二・雑誌「機械化」・原爆小説の論考集。大変面白い!)である。
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2015年12月20日

12/20野良猫よ、安らかに!

目白駅から暖かい日射しの中を、まっ黄色の銀杏並木を、落ち葉を踏み付けたどりながら、鬼子母神方面へ。ケヤキ並木入口で定期的に開かれている「ミニ古本市」(2015/01/18参照)を訪れる。帳場にドデンと座る「古書現世」(2009/04/04参照)向井氏と「JUNGLE BOOKS」(2010/08/20参照)さんに挨拶をし、二つの大きな平台を眺めて行く。古本と映画DVDと雑誌と雑貨類がひしめく、混沌とした情景である。しばし古本に夢中になっていると、背後で尋常ではない猫の悲鳴がしたので、振り返ると、一匹の白黒野良猫が、叫びながらくるくるとアスファルトの上で回転している…轢かれたんだ!ジャングルさんと共に猫に近寄ると、可哀想に、すでに虫の息じゃないか。このままだとまた車に轢かれてしまう恐れがあるので、そっと持ち上げて歩道まで移動させる。苦しんでいるが、何も出来ることはない。仕方ないので頭を撫でてやっていると、やがて動きが止まり、目がガラス玉のようになってしまった…うぅ、息を引き取ったようだ。とても切なくやるせない気持ちに襲われる…安らかに眠るんだよ。新しいところで、お魚たくさん食べるんだよ。そこに近所のおじさんが声をかけてくれて、しかるべき場所に連絡を取ってもらったり、亡骸を入れる箱を用意していただいたりする。箱に収めようと猫を持ち上げると、ぐんなりとしてまだとても温かかった。親切なおじさんに後のことをお願いして、気分を重くしながらも、放置していた古本の前に戻り精算する。鱒書房「親馬鹿読本/吉川英治・獅子文六他」角川文庫「蟲のいろいろ/尾崎一雄」河出新書「われ深きふちより/島尾敏雄」中公文庫「ぼくの伯父さんの休暇/J=C・カリエール」を計1200円で購入する。

鬼子母神のトイレの冷たい水で、先ほどの暖かさを流し去るように手を洗う。そのまま「旅猫雑貨店」(2008/07/19参照)に赴き、『元祖ふとねこ堂個展 猫国目出鯛屋』を鑑賞する。今、とてもハードでささくれた気分なのだが、それでも絵の中の楽し気な猫たちに、少し心癒される。店主・金子さんと言葉を交わしながら「招猫招福 猫国注連飾り」と、年の初めの日に枕の下に入れて眠ると、お菓子と猫に囲まれた夢が見られるという「豆大福 招猫招福 目出鯛焼」を購入する。さらに商店街の先端に向かい「JUNGLE BOOKS」へ。ドアを開けて半地下の店内に入り込むと、あっ!ジャングル・ユキさんは占い中。邪魔をせぬように本棚に素早く視線を走らせ、光風会「復刻 光風會第壹回出品目録」(明治四十五年に上野で開かれた洋画展覧会の目録である。杉浦非水の図案屏風がエキゾチックモダン!)を700円で購入し、「失礼しました」とそそくさ脱出。夕方からは、忘年会兼打ち合わせ兼下調べがあるので、一旦家に戻ることにする。
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猫国注連飾り。正月は、これを飾るぞっ!
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2015年12月19日

12/19神奈川・海老名 さがみ国分辻書房

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東口に出て、カーブするダイナミックな空中歩廊を東に進み、巨大原色商業施設『ビナウォーク』ビルの谷間の、日陰だが女子と子供で賑わう長細い広場に下り、さらに東に進んで行く。道路に突き当たったら南に曲がり、『中央公園口交差点』から再び東へ歩き続ける。『国分坂下交差点』を過ぎ、上り坂にちょっと足を掛けた所で、すぐに北に進路を採る。美しい斜度とカーブの坂をぐんぐん上がり、薄緑の『海老名歩道橋』を潜ると、古い大木や民家が現れ始め、時代をぐっと遡った雰囲気が漂い始める。さらに道なりに坂を上がり、右手に白い鉄骨の火の見櫓が見えてくると、左手が見晴らしよく開け始める。遠くに『相模国分寺跡』の史蹟らしい広い原っぱが清々しく臨める。坂をどうにか上がり切ると、そこは歪な形の丘の上の交差点になっており、その際に緑色の学習塾兼住宅が建っている。ところが窓には『古本 古書 珈琲』の文字が…ここは古本好き&ダジャレ好きの塾長が、その好きが高じて今年の十月に始めた古本屋さんなのである。聞けば教室をひとつ潰してお店にし、古本と共に珈琲も提供しているとのこと。横断歩道を渡って玄関に近付くと、まずは無料のリサイクル除籍本箱が展開。中に進むと、左におススメ絵本や三島由紀夫・原節子関連・単独行登山家加藤文太郎を飾ったラックがあり、右側に古本屋フロアが広がっている。ウッディな明るい空間で、古本屋というよりは、児童館などの図書室のようである。入口右横のカウンター内にいたご婦人に「靴のままどうぞ」とニッコリ招き入れられる。カウンター横にちょっとぐらつく本棚が一本あり、その奥に大きなテーブル席。フロアには、右に長い背中合わせの棚が一本、左に短めの背中合わせの棚が一本。左奥には木のベンチが置かれ、そこを壁棚が見守っている。カウンター横の棚には、日本文学の古書や絶版文庫が多く集まるが、中には非売品もある模様。長いフロア棚右側には、セレクト詩集・野坂昭如・永井荷風・絵本・随筆類・女流作家文庫・日本文学文庫・日本文学・日本近代文学・海外文学・文学評論・幻想文学・詩歌句。左側には絵本・宗教・精神・新書・江戸・古本・海外都市・旅・登山・歴史・近現代史が収まって行く。短い棚には、役者・テレビ・落語・児童文学・映画・音楽・コミック・美術・食が両面に集まっている。左壁にはミステリ・時代小説・海外ミステリ文庫が並び、下には横積みのダブり本やLPレコードあり。奥には日本純文学文庫を並べた棚が一本あり、映画パンフを飾った壁ラックと肩を並べている。これでフロアの棚は全部だが、実は入口正面奥の廊下にも、古本棚が設置されている。誰もいない薄暗い教室の前を過ぎ、本棚があるために狭くなった廊下に身を寄せる。村上春樹・吉行淳之介・開高健・北杜夫・井上ひさし・芥川賞&直木賞・小林信彦・宮脇俊三・中上健次・本関連・司馬遼太郎・松本清張・川本三郎・南方熊楠・藤沢周平・山形関連がビッシリ。各ジャンルには単行本と文庫本が入り交じり、塾長が己の眼と脚で集めた古本たちが、質実に堅実にその奮闘を形作っている。値段は普通で、良い本にはしっかりとプレミア値が付けられている。ぐるぐると二周して、講談社「拳銃を磨く男/島田一男」ウェッジ文庫「荷風のいた街/橋本敏男」を購入する。あぁ、この塾に通う子供たちは、必ず古本屋を通って教室に入り、また古本屋を通って、帰路に着くのだな。勉強はいつでも大変だが、それはそれで羨ましい…。

帰りに気まぐれに相鉄線に乗り込み、ツアーしてからまだ一週間も経っていない鶴ヶ峰の「往栄堂書店」(2015/12/13参照)をテクテク訪ねる。いや、前回とお店の棚は寸分変わっていないのだが、何となく来てみたかったのだ。山口書店「虹の花びら/火野葦平」を帳場に差し出すと、ご婦人は私の顔を見て「アラっ!」と小さな声を上げ、どうやら覚えてくれていた模様。続いて差し出した本を見て「渋いわね」とポツリ。500円で購入し、そういえば今日は外に100均棚が出ていたなと気付きつつ、駅へテクテク引き返す。
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2015年12月18日

12/18一日古本と共に過ごしたあげく古本屋で酔っ払う

突然冬らしく冷たくなった風に頬の温度を下げられながら、正午に高円寺にテクテク向かい、『座・高円寺』で今日から始まった「本の楽市」(2010/07/18参照)を楽しむ。薄暗いエントランスに二列縦隊に並んだ古本島は、すでに主婦と古本修羅に愛おしく蹂躙されている。絵本&児童文学と読書人的マニアックさがせめぎ合う並びをたっぷりと眺めながら、国書刊行会「犯罪列車/国枝史郎」朝日ソノラマ「アニメ実力クイズ/朝日ソノラマ編」潮出版社「黒鳥の旅もしくは幻想庭園/中井英夫」小学館小学二年生昭和32年5月号ふろく「トムのぼうけん/笹山しげる」女学生の友・女学生新書「菫もばらも/三木澄子」を計2700円で購入する。市は24日(木)のクリスマスイブまで。

古本を携え家に戻り、夕方に再び外出。西荻窪に赴き、己のフェア棚に十冊強補充する。「どひゃっほう本祭り」と共に、引き続きマニアックなフェアをよろしくお願いいたします。

そのまま池袋に向かい、テクテク椎名町方面に歩いて、夜の「古書ますく堂」(2014/07/20参照)にたどり着く。お店はしっかり営業中だが、本日は特別にお隣の画廊(玉川重機展開催中)も巻込んで、古本&古本屋大好きの一箱古本系姉妹ユニット『ひな菊の古本』(2015/08/22参照)さんが、「ひな菊ナイト」と称し、お酒をドバドバ饗しているのである!古本屋で熱燗!と喜び駆け付け、ますく堂に飛び込むや否や「熱燗一合!」と叫んで、元小料理屋の店内に蔓延る古本の山に挑んで行く。やがて給仕されたぬる燗に舌鼓を打ちつつ、雑然と積み上げられた古本に目を光らせて行く。その間にも、ひな菊さんとパワフル&ミステリアスな古本マダムと店主・増田嬢と古本屋話に花を咲かせ、誰もが興奮して喋りまくるエキサイトした時を過ごしてしまう。Randome House「Great Big Mystery Book/Richard Scarry's」未来工房「作家以前の吉川英治/城塚朋和」(豆本で著者家蔵本)朝日新聞社「にっぽん製/三島由紀夫」(後で調べると結構レアな本であることが判明。でも帯はない…)を計1400円で購入する。この後さらに一合を追加し、すっかり気持ち良く酔っぱらい、古本屋さんでの飲酒を大いに喜び楽しみまくる。
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買った大判の洋書絵本と豆本と、ひな菊さんが作った新聞と熱燗セットを、ますく堂小上がりにて写真撮影。ウィ〜、ヒック!
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2015年12月17日

12/17「なぎさ書房」にさよならは早過ぎる

昨晩「ささま書店」(2008/08/23参照)店頭の315均棚で、キレイな神奈川古書籍商業協同組合「神奈川古書組合三十五年史」を見つけて喜び、少しずつ読み始めているのだが、メールタレコミによりその神奈川のお店のひとつが、閉店準備に入っていることを知らされる。例によって、泡を食って本日駆け付けてみると、『イセザキモール』五丁目にある「なぎさ書房」(2010/04/21参照)の店頭が、派手派手に『店じまいセール 20%OFF』のポスターで、気合いを入れて飾り立てられてしまっていた。…あぁ、ここはオデオンビルにあった「先生堂書店」と共に、伊勢佐木町で古本屋の楽しさを教えてくれた、思い出のお店なのに…。例によって悲嘆に暮れながらも、階段脇の隠れた安売棚に張り付き、早速三冊。店内に入ってからは、いつもより念入りに、隅から隅まで本棚を睨め付ける。やはり思いっきり囚われたのは、帳場奥の右端通路のフロア棚に集まる、古書&仙花紙本&小型本!読めない背に顔を近付け、気になったら取り出しタイトルを確認…これを何冊も何冊も繰り返して行く。この何が出て来るのか分からぬ感じは、とてもスリリングで燃えるひと時である。だが結局そこからは一冊だけ。あまとりあ終刊号付録「翻訳文芸発禁考/齋藤昌三編」西日本新聞社「必携工場鉱山 圖解救護/松井新」講談社「江戸忍法帖/山田風太郎」興亞文化協會「男の敵/鹿島孝二」を二割引の計1680円で購入する。そして閉店日について帳場のお兄さんに聞いてみると、「う〜ん、二月半ばから三月くらいには恐らく閉店します」。なんだ、まだわりと間があるじゃないか。「何処かに移転するんですか?」「いや、もう完全閉店です」「寂しくなります。また買いに来ます」「ウハハハ、ぜひまた来て下さい」。ということで、悲しいのだが、まださよならを言うには早過ぎる気がする。まだまだ古本を買いにくることにしよう。それにしても、十一月に続き十二月も、閉店が相次いでいるなぁ……。
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この後は、同タレコミで知った新しい古本屋さんを目指して、街をグルグル歩き回る。ところが愚かなことに散々迷い、ようやくたどり着いたら、営業日で営業時間内なのに、お店はカーテンをソサッと下ろしていた…また来るとするか。

入れると思っていたお店に入れなかったのは、とても気持ちを中途半端にさせる。なのですでに宵闇の『イセザキモール』に舞い戻り、横道にある「活刻堂」(2009/10/12参照)に飛び込む。あれ?店内がすっきり整頓されており、色々見易くなっている。右側通路では、以前のようにフィギュア棚が復活。フロア棚の100均ゾーンをじっくり眺めてから、左側通路の麗しき古書ゾーンへ。宝石社「1957年版探偵小説年鑑 探偵小説傑作選/探偵作家クラブ編」東都書房「青い遠景/南部きみ子」(貸本仕様)を計1100円で購入し、伊勢佐木町を後にする。
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2015年12月15日

12/15蒐堂に小旗を買ってお別れする

昨日の失敗を取り戻すために、二日連続で神保町へ。山田ビル脇道に入ると、今日は箱に入った100均おもしろ雑貨が出されている。よし、「蒐堂」(2012/03/02参照)は営業中だ。ちゃんと反応する三階のボタンを押し、エレベーターにて上へ。扉が開くと、床に置かれた大きなカゴ一杯に古い面子が山盛りになり、まとめて9000円で売られている。壁面を見ると閉店のお知らせがあり、昭和四十年から古書業界に入り、浮世絵とレトロ商品を扱ってきた歴史と、お客への感謝の言葉が綴られている。だがどうやら11月28日にすでにお店は閉店しており、今は片付けながらのオープンとなっているようだ(完全閉店は12月19日(土))。店内に進むと、ナイスミドルの先客が三人おり、店主と高峰秀子話に花を咲かせている。そして棚もラックも平台も、すでに物品がだいぶ少なくなった情景。古道具・団扇・駄玩具・絵葉書・地図・浮世絵・引き札・文房具などがかろうじて残っている。付いている値札はどれも激安で、しかも閉店セールのおかげで全品二割引である。おっさんたちの話と店主の掘り出し物話を聞きながら店内をグルグル廻り、牧逸馬の小説「美魔」掲載の東京日日新聞社「東日マガジン 第一年第八號」と『キャプテンスカーレット』の絵が描かれた小旗を、計640円で購入する。五十年間、本当にお疲れさまでした。また、一軒の灯が消える神保町…少し寂しくなります…。
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昨日と同じように『靖国通り』を西進。すると、今まであまり立ち止まったことのない「@ワンダー」(2009/01/21&2014/05/22参照)の、表通り側の店頭安売本棚に引っ掛かる。その最下段で傾いている、葡萄色の本…掴むとザラッとした独特な布の感触…これは!と引き出すと、やはり書肆ユリイカ「歩行者の祈りの唄/山本太郎」であった。当然函はないのだが、216円ならまずどひゃっほう!店内で小銭で精算し、ニンマリしてざらついた表紙を撫でさする。さらに西に向かい、こちらでも珍しく古典籍の「松雲堂書店」(2012/08/07参照)に引っ掛かる。何気なく店頭の和本箱を探っていると、まずは300円の東京百華書房十銭文庫2「當世娘節用」(巻末広告の涙香著譯「魔術奇談 銀行の賊」がとにかく気になる…)を掴む。続いて通りに張り出した低い平台を見ると、裸本で背表紙の取れた朋文社「雲と草原/尾崎喜八」が置かれている。扉を開くと、ぎゃお!岸田國士への献呈署名が入っている!これが1000円だったので、慌てて店内に駆け込み購入する。今日も神保町に来て、よかった。
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左が扉前の遊び紙に入った献呈署名。右が葡萄色の「歩行者の祈りの唄」である。

そのまま九段下から早稲田に向かい、コメントタレコミのあった「ブックス・アルト」(2010/11/17参照)の閉店の様子を見に行くと、閉店自体は十二月末日なのだが、灯りの付いた店内は、棚を分解しているような撤収模様…おまけに『本日休みます』の貼紙が…また後日改めて来ることにするか。
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2015年12月14日

12/14猫本に隠れた濃厚なミステリの薫りを見つけ出す

神保町の、懐かし物や紙物の「蒐堂」(2012/03/02参照)が閉店してしまうので、新たな悲しみを胸に偵察に行くことにする。水道橋駅で下車し、まずは「日本書房」(2011/08/24参照)店頭台で、オリジナル手作り函に入った東京堂明治文學名著全集1「當世書生気質 全/春のやおぼろ戯著」を500円で購入する。再現されたボール紙本体表紙が好ましい一冊である。南へズンズン進んで「神田書房」(2012/02/16参照)でちくま文庫「ふるさとは貧民窟なりき/小板橋二郎」岩波文庫「苦の世界/宇野浩二」を計100円で購入し、ちょっと進んで「アムールショップ」(2011/08/12参照)では集英社文庫「夕陽ホテル/黒岩重吾」新潮文庫「新サラリーマン読本/源氏鶏太」角川文庫「七つの人形の物語/ポール・ギャリコ」寮歌集編集発行所「寮歌集(抜粋)」を計200円で購入。

このように古本を安値で買いながら、ジワジワと「蒐堂」に接近して行く。『神保町交差点』を渡り、目的の山田ビルに近付くと、脇道の壁面に一枚の紙が貼り出されている。『3F蒐堂閉店のため 1.電子レンジ美品 2.1ドア冷蔵庫美品 右二点無料です』とあり、電子レンジは黒線で消され、すでに譲渡先が見つかっている模様。閉店は本当のようだ。ビル奥のエレベーターで三階を目指そうとするが、三階のボタンが反応しない!何故だ!と焦っていると、箱は勝手に上昇を始めてしまった。…ハッ!日月が定休でした…外に看板が放置されているため、すっかり騙されてしまった…。上階で乗り込んで来た「山田書店」(2010/03/10参照)の店員さんとともに、恥ずかしくそのまま下降。早めの再訪を心に刻み、神保町パトロールに復帰する。

「小宮山書店」(2014/05/31参照)では出版ニュース社「日本の文庫案内 ふみくら/朝日新聞学芸部編」を100円で。「慶文堂書店」(2012/01/14参照)では葦書房「福岡犯罪50年 戦前編/夕刊フクニチ新聞社編」を200円で。「八木書店」(2013/07/24参照)では青い店頭プラ箱の中で全集本を吟味し、春陽堂明治大正文學全集15「江見水蔭 村井弦斎」を200円で購入する。『靖国通り』をグイグイ西に戻って、本の街の西端近い「波多野書店」(2011/06/02参照)で女の子たちがしゃがみ込む店頭に割り込み、薄い100均ダンボール箱を見下ろす。気になるのは、見たこともない猫大大大スキ!の乾信一郎が書いた猫飼育本。乾信一郎は好きだが、これは買わなくとも…と思いつつ手を伸ばす。そしてページを開く。ぎょっ!献呈署名が入ってるじゃないか。しかも献呈相手は、推理小説作家の西東登!神保町にはやはり様々な夢が転がっているなと再確認しつつ、すっかり気を良くして店内も探索。すると壁棚から、藤田嗣治の描いた巴里の街角表紙絵が鮮やかな、石黒敬七の「蚤の市」が並んでいる。引き出すとぎゃお!860円。喜んでいただくことにして、二冊を帳場にニコニコ差し出す。主婦と生活社タウンブックス「ネコの育児書/乾信一郎」岡倉書房「ユーモア随筆 蚤の市/石黒敬七」を計960円で購入する。合わせ技どひゃっほう!…すみません、古本を買うのが楽しくて、悲しみが何処かへ行ってしまいました…。
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これが本扉に書かれた献呈署名。『一九七二年初冬』とある。西東先生、猫でも買い始めるつもりだったのだろうか…。
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2015年12月13日

12/13神奈川・鶴ヶ峰 往栄堂書店

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コメントタレコミにて、今までまったく存在を感知出来なかった古本屋さんがあることを知る。なので、焦り慌てて横浜駅で乗り込んだ相鉄線で現地へ急行。橋上駅舎から北口に出ると、踏切と地元的商店街が迫り来る駅前。細かな商店街を北西に突破し、突如視界が開ける『鶴ヶ峰バスターミナル』に入り込む。寒空の下でバスを待つ人たちを尻目に、北東方面へテクテク進む。すると奥には、折れ曲がり下る階段があるので、トントン谷に下り、予想外に大きく勇壮に流れる帷子川を越えて北へ。大きな集合住宅脇の急な坂道を上り詰め、『国道16号線』を『鶴ヶ峰地下横断歩道』で潜ると、『白根交差点』をすでに越えた『白根通り』の入口である。後はこの丘陵地の谷にウネウネと走る大きな道を、北に向かって進んで行けばよいのである。車通りは激しく、街は昭和と平成が溶け合った新興住宅地となっている。ちょっと上がり、谷に下り、左右にうねる道を歩いて行く。途中、高圧電線の下で小さな川を越え、大きなスーパーを二つやり過ごせば、駅から一キロ強で『白根小入口交差点』に到達する。だがそのちょっと手前の時差式信号交差点で、西に目を移す。すると、丘に広がる住宅地のための商店街が、まるで門前町のように、十店ほどのお店を道の左右に集め、歩道に屋根を架けて密やかに佇んでいた。左手のアーケード歩道を進んで行くと、三軒目に確かに、本当に未知の古本屋さんがあるじゃないか!軒には『古書 古本』と書かれた店名看板があり、左には白いカーテンが引かれ、芹沢_介全集を飾った古風なショウウィンドウがある。店舗前面は古い商店という感じだが、店内は明るく白く清潔でカーペットも敷かれ、古さは何処にも滲み出ていない。棚は白く頑丈なスチール棚ばかりで、左右の壁と入口左側に張り付き、奥の帳場左脇にも一本。フロアには背中合わせの同型スチール棚が二本置かれ、通路には雨のためか、100均文庫&廉価コミックワゴン・100均文庫棚・100均雑誌ラック・三冊100円箱(カバー無しの単行本が多い)・300均箱などが所々に配置されている。本が積み上がる奥の帳場には、パーマ頭のご婦人が隠れるように存在し、「いらっしゃいませ」と言いつつも、屈み込んで本のクリーニングに集中している。ただ本を紙鑢が削る音が、規則的に響く店内。右壁には料理・暮らし・女性実用・児童文学・絵本・コミック。向かいには女流作家文庫が並ぶ。真ん中通路は右に日本文学文庫、左にミステリ&エンタメ・エッセイ類・A5判コミック・新書のラインナップ。入口左横には、植物・自然・旅・海外都市・東京・鉄道・戦争・横浜・骨董が集まる。左端の通路棚には、時代劇文庫・ちくま文庫・中公文庫・日本純文学系文庫が収まり、左壁に政治・社会・全集類・映画・民俗学・辞書・文学評論・哲学・宗教・歴史・幻想文学・古書・俳句・絶版漫画が続く。奥壁には文学復刻本・児童書・美術など。とてもしっかりとした街の古本屋さんである。棚に淀んだ所がなく、構成もしゃんとしている。80年代以降の新しい本がメインだが、古い本が少しでもあるのは、個人的にとても嬉しい。値段はちょい安〜普通で、プレミア値もあるが相場より安めな印象。東都書房「恐怖博物誌/日影丈吉」安田信託銀行「昭和の横顔 あの時この時・思い出の40年」を購入する。どうやらレジがないようなので、素早く準備された領収書をレシート代わりに受け取る。表に出て、こんな所にこんなお店が潜んでいた喜びを、ガリッと噛み締める。巡り尽くしたと思っていた首都圏内で、未知の古本屋さんに出会えた喜びも、一緒にガキッと噛み締める。
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2015年12月12日

12/12 50円の「吼える密林」に吠える!

昨日の「古書いろどり」オープニングパーティーで、古本神のひとり森英俊氏から千葉・飯倉の「クルクル」(2011/01/10参照)で大物が出たこと、しかしそのホットニュース後にお店を訪れても、何も買えなかったことを教えられる。…くぅっ…しばらく足が遠退いていたら、そんなスゴいことが起こっていたとは…。森氏がお店を訪れたのは、ほんの二週間前のことらしい。だがあのお店は、いつ訪れても何かしら買えるお店なのだ。神に買う物はなくとも、古本修羅クラスならばあるはずだ!と楽観的に考え、青春18きっぷを使ってただ古本を買いに行くことにする。総武本線にガタゴト揺られ、かなり久しぶりの飯倉駅で下車すると、今までは無人駅だったのに、今日は駅員さんが二人いるじゃないか。きっぷを見せて改札を通過し、緩い坂を上がってお店を目指す。心配はしていなっかたが、開いているのを見てホッとする。ドアを開き、いつもは見ない大判本が集まる入口空間で一冊掴み、店内に進む。そして早速帳場前の50均ワゴンに派手に引っ掛かってしまう。あっという間に三冊を手にし、しかもそのうちの一冊が、カバー無しだが講談社の「吼える密林」!何故だっ?本があまりにもキレイなので、復刻版か?と一瞬疑うが、奥付を見ると昭和十一年の百版(!!!!!!!!)であった。おぉ!来た甲斐が早速あったぞ!と心の中で咆哮する。さらに広い店内をあちこち精査し、およそ四十五分で計八冊を帳場に差し出してしまう。大日本雄辯會講談社「猛獣征服 吼える密林/南洋一郎」カバヤ児童文庫「名探偵トルレ危し!!」(ルパンの児童翻案物)偕成社「大平原の名犬/バレンタイン」三寶書院「暹羅・老檛・安南 三國探検實記/岩本千鋼」(裸本)東京文藝社「蜘蛛の巣屋敷/横溝正史」旺文社「宇宙戦争/ウエルズ作 白木茂訳」早川書房「ミステリマップ/桜井一」角川文庫「田村俊子/瀬戸内晴美」を計3350円で購入する。ふぅ、とても有意義な古本耽溺タイムであった。

駅で電車を一時間待ち、ようやくガタゴトやって来た総武本線で千葉方面に引き返す。途中都賀駅で途中下車し、こちらも久しぶりの「トルパ堂書店」(2012/02/19参照)へ。整頓の行き届いたヒッピー的店内を静かに一周し、扶桑社文庫「真珠郎/横溝正史」を370円で購入する。

再び電車に飛び乗って、千葉駅で総武線に乗り換えて、すぐに西千葉駅で下車。トコトコ歩いてアウトロー古本屋さん「鈴木書店」(2009/07/26参照)着。ハヤカワポケミス「九尾の猫/エラリー・クイーン」(表紙の具象画の五匹の猫がとてもプリティー!)中央公論社ともだち文庫「大と小/黒田孝郎」集英社「悪魔物語/ミハイル・ブルガーコフ」を計450円で購入し、今日の古本買いにピリオドを打つ。うむ、今日の余は、ひとまず満足じゃ。
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posted by tokusan at 19:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

12/11東京・九段下 古書いろどり店舗オープン!

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『神保町交差点』近くの雑居ビル内にあった事務所店の「古書いろどり」(2012/12/22参照)が、九段下近くの「燎原書店」(2014/04/22参照)が入るビルの三階に移転し、新たに事務所兼店舗として華々しくオープンすることになった。本日夜七時半からの、そんなお店のプレオープンに招待していただき、すっかり夜の街の千代田区入り。『5番出口』の老朽化したエスカレータと階段で地上に出ると、東側には重々しい『首都高速5号池袋線』の影。『靖国通り』を進んでその下に入り込み、日本橋川を渡ると、左手には『九段下ビル』の跡地が、フェンスに囲まれた更地として、未だに放置されている。その先の信号で敷地沿いに北に回り込み、一本目の裏町への道を再び東へ。ビルの二階窓に大書された「燎原書店」の文字を目印にそのビルに入り込み、エレベーターで三階へ。すると降りて右側に扉があり、そこを勇気を持って開けば、ミステリ&探偵小説&SFの世界が待ち構えてくれている。入口で靴を脱ぎ、右の下駄箱に収めながら左の文庫&ノベルス100均棚に鋭い視線を走らせる。スリッパを履いてフロアに進めば、左は奥に事務所&大量の古本が横積みになった倉庫スペースで、それを塞き止めるように六列×七段の本棚が立っている。真ん中には腰高で背中合わせの棚が長く延び、右壁には十四列×七段の壁棚が置かれている。左の塞き止め棚には、復刻昭和漫画・歌集・テレビドラマ・UFO・オカルト・新書・選書などが集まり、その横にはサイン本が集まる一角あり。フロア棚には、海外ミステリ文庫・日本ミステリ&推理小説&探偵小説文庫・SF文庫・ノベルス・ハヤカワポケミスが集合。そしてお店のメインとも言える右壁棚には。最上段に映画・アニメ・ミステリ関連の大判本が洋書も含めて並んでおり、その下には映画DVD・探偵小説・推理小説・怪談・ミステリ&SF雑誌・海外文学文庫・戯曲・幻想文学などがマニアックに収められている。値段はちょい安〜普通(プレミア値も当然あり)。岡書院「植物妖異考/白井光太郎」(裸本)三一書房「殿山泰司の無責任放言録 タイチャンの静かなる随筆/殿山泰司」大和書房「夜ごとの円盤/実相寺昭雄」を計3500円で購入する。
古本を買って憑き物を落とした後は、集まった錚々たる古本神が紹介する『人の知らない本』の公開に、ひたすら驚愕しまくる。付録本の山本周五郎シャーロック・ホームズ、城昌幸のジュニア小説、新潮社昭和初期探偵小説叢書のパチ物…あぁ、世の中には知らぬ古本がまだまだ存在しまくっているのだ。己の井の中の蛙的な卑小さを思い知りつつ、古本神の響宴が続く『古本紫微宮』の末席に連ねられたことを大いに感謝し、明日の正式オープン(12/12 12:00〜)の成功をとにかく願う。…それにしても、古本屋さんで飲む酒は、何故これほどうまいのかっ!何はともあれ彩古さん、店舗開店おめでとうございます!
posted by tokusan at 01:22| Comment(4) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月10日

12/10静岡・沼津 FULL HOUSE

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久々の青春18きっぷで肩ならし…と言うより尻ならしに、白く靄った太平洋を眺めながら二時間半かけて沼津へ。ホーム西端の跨線橋から、初めての北口へ出る。キレイで大きなロータリーから離脱して西に向かうと、非常識に巨大な白いゲートが入口に建つ『リコー通り』が現れる。最初は普通の商店街的だが、北に進んで行くと大型商業施設や郊外型飲食店が増えていく、人影の絶えぬ長く直線な通りである。そこをひたすらタッタカ進み続けると、1.5キロほどで『国道1号線』と交わるので、すかさず西に折れ曲がる。そしてすぐの、南西にナナメに町中に切り込んでいく道に入り、終りまでぐんぐん下っていくと、南側に大きな敷地が広がり、駐車場奥に入口周りが雑然とした巨大倉庫の偉容を見せるリサイクル店があった。ズンズン敷地に入り込み、自転車や家具や物品やシングルCDの脇を擦り抜けて入口へ。中はちょっと薄暗く、左に帳場と事務所があり、右にコの字に棚が組まれたスペースが連続。そこにはアクセサリー・ゲーム(十本900円のファミコンカセットの中に、伝説のクソゲー「いっき」を見つけて興奮)・DVDなどを集めている。そこを抜けると、視界と頭上が一気に広がり、玩具から車椅子までを揃えたリサイクルワールド!そして物品の向こうの左壁に、二十七本の古本棚が張り付いているのを発見する。楽器とシングルレコード&LPレコードゾーンを通って棚に接近する。日本文学文庫・海外文学文庫・実用・エッセイ・文学・ゲーム攻略本・全集・児童文学・映画パンフが並び、棚の半分はコミックに占められている。量は多いが90年代以降の本がほとんど。値段は50円からと激安である。春陽文庫「極楽夫婦/中野実」角川ホラー文庫「妖怪博士ジョン・サイレンス/アルジャノン・ブラックウッド」「幽霊狩人カーナッキ/ウィリアム・ホープ・ホジスン」を購入する。表の駐車場に出ると、町の向こうに見える黒い山と白い雲の間に、雪を冠った富士山の頭が、ひょっこりとのぞいていた。

駅まで取って返し、今度は南口に出る。古い商店街にある「十字堂書店」(2010/11/21参照)が今月限りで閉店してしまうので、お別れの古本買い納めに向かっているのである。アーケード下にある、新刊書店も兼ねていたお店を象徴する白いモダンな看板に、まずは目礼。おもむろに古い木製什器で構築された、昔ながらの空間に身を浸し、埃っぽい古い本を愛でつつ、目で追いかけていく。平台に空いている部分があったり、通路に本が積み上がったりしているが、棚にはまだまだ本がちゃんと並んでいる。丁寧にハイエナのように見て行くと、別にセールも何もしていないのに、腕の中には十一冊が集まっていた…。同光社「人形佐七 花嫁殺人魔/横溝正史」(裸本)優文社「変幻八丁堀/穂積驚」(裸本)社會教育協會「欧米を描く/川上嘉市」(裸本。献呈署名入り)駿河台書房奇想ユーモア文学全集「鹿島孝二集」「宮崎博史集」東京ライフ社「白線の女/中村三郎編」桃源社「若さま侍捕物帳 艶福寺ばなし/城昌幸」春陽堂少年少女文庫「怪盗ルパン3 ユダヤランプの秘密/ルブラン」小学館「けん玉シリーズ3 きみも有段者!」藝術学院出版部「漫画技法/須山計一」出版社不明「空想科学推理小説 黒い鳥/松丘有悟」を計3350円で購入する。これだけ買ったせいか、オヤジさんは満面の笑みであった。ありがとうございました。
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駅へ戻る途中に「平松書店」(2009/10/18参照)に向かうが、お店の前が道路工事中で、しかもお休みであった。むぅ、残念。
posted by tokusan at 19:22| Comment(6) | TrackBack(0) | 中部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする