2016年03月31日

3/31何事もなく「小松屋書店」は健在であった

もしかしたら三月中に閉店してしまうかもしれないとの情報があった「小松屋書店」(2009/08/15参照)。気が付けばその三月も今日で終わりなのである。時すでに遅しかもしれない…そんな風に半ば覚悟を決め、田園都市線に揺られて高津駅下車。高架下に飛び出し、駅至近の裏通りにズンズン分け入ると、あぁ!お店が開いてるじゃないか!
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ここ最近、あれだけ入れなかったお店が、あっけなく開店営業中だったのである。相変わらず白骨のような骨組みワゴンが外に放置され、脚立も新たに置かれている。入口に近寄ると、そこには何か作業中の男性の姿が…もしや、閉店撤収中なのか?一瞬そんなマイナスな疑念が頭をよぎるが、ただ単に玄関マットを交換しているだけであった…ホッ。店主と楽し気に話しながら外に出て来たので、交代するように店内に入り込む。店主は「いらっしゃいませ」と帳場に戻る。床に結束された本がやけに積み上がっているが、棚にブランクはなく、いつもの乱雑さと営業感を湛えており、別に閉店の様子は見当たらない。もちろん貼紙等も皆無なのである。ということは、取りあえずはまだまだ動きはないということだろう。ようやくお店の消息を確認出来たことに満足し、三本の通路をゆっくり堂々と静かに回遊する。角川文庫「怪奇と幻想 第二巻 超自然と怪物/ブラム・ストーカー他 矢野浩三郎」を500円で購入し、丁寧に書皮を巻いていただく。この時にも何も言われず、さらに一安心する。しかし予断は許されないので、また来ます!

南武線で登戸まで出て、高架が地上へと下る小田急線路の横をトボトボ歩き、「ツヅキ堂書店 登戸店」(2010/04/05参照)へ。右側通路の『古書キャビネット』をガサガサ漁り、日童社「やさしくできる おりがみときりぬき/上田三郎編」(カバーナシ)を300円で購入する。駅に戻り小田急線に揺られて都心へ引き返す。もはや新宿が近くなり、南新宿駅手前のミニ鉄橋を渡る段になったので、読んでいた本から視線を上げ、車窓に流れるはずの古本屋遺跡「白紙堂書店」(2012/06/07参照)を慈しもうとすると、もう何年も扉を開けずに同じ姿で佇んでいたお店が、跡形もなく消えていた…あ、ぁ、ぁ…ない…更地と新しい建物になっていた気が…ポカンと口を開け、あっけにとられている間に、電車は容赦なく新宿駅のホームへと滑り込むのであった。

●お知らせ
来る4/17(日)に、現在全力改装中の高円寺「コクテイル」(酒場より古本屋側にメーターを傾ける予定らしい…)にて、頼れる古本神・岡崎武志氏と「古本屋写真集」発売を祝し、トークイベントを行います。古本屋好きのみなさま(もちろんこれから好きになる方も大歓迎!)にお集りいただき、古本屋の中で古本屋についてしゃべくり倒します!まだまだ有り余るたくさんの古本屋写真も、スライドショーの如く大公開!様々な種類の古本屋さんを眺めつつ、妄想に近い古本屋さん考察が炸裂いたします。どうぞお誘い合わせの上、ご予約&お越しくださいませ!

『岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン 古本屋写真集』刊行記念トークイベント
■出演:岡崎武志・小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
■開催日時:4月17日(日)17時からスタート(16時30分開場)
■場所:コクテイル書房(杉並区高円寺北3-8-13)
■入場料:1,500円
■定員:20名(完全予約制)
■主催:コクテイル書房、盛林堂書房
■協力:西荻ブックマーク、古書 音羽館
■予約:盛林堂書房にメール又はFAXにて(電話は不可)
Eメール:seirindou_syobou-1949@yahoo.co.jp
FAX:03-6765-6581

また肝心要の前代未聞の「古本屋写真集」も絶賛発売中ですので、引き続きよろしくお願いいたします。
「書肆盛林堂」→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca6/193/p-r-s/
■取扱店:「徳尾書店」「ハーフノートブックス」「聖智文庫」「喇嘛舎」「古書 善行堂」「古書ますく堂」「モンガ堂」「古書いろどり」「オヨヨ書林」「古書一路」「北書店」「市場の古本屋ウララ」「古書ビビビ」「古本案内処」「音羽館」「トマソン社」「本の雑誌社」「古書ドリス」「徒然舎」
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2016年03月30日

3/30グスコー・ブドリとの出会いに感激する

急遽「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に急行し、「古書 善行堂」(2012/01/16参照)より追加注文の入った「古本屋写真集」にサインする。『売れろ〜』と、一文字一文字に呪いのような念を込め、これを手にした人がさらに古本屋好きになるよう切に願いながら、書き上げる。そして店頭から改造社「大凶の籤/武田麟太郎」を100円で購入。函ナシだがキレイな本で、後見返しには、見慣れぬ店名の緑鮮やかな古書店ラベルが貼付けられていた。
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『京・三條河原町 そろばんや』…まるで「なずな屋」(2014/09/24参照)の石丸澄子さんが図版作成したような、優しくしとやかな本の姿が可愛らしい。気になったのでちょっと調べてみると、京都三条には新刊書店「そろばん屋書店」がかつて存在し、織田作之助の「それでも私は行く」(昭和二十一年)作中に登場しているらしい。昔は恐らく古本も扱っていたということか。こういう風に、一冊の古本から妙な出会いが生まれるのは、何とも嬉しく楽しいものである。よし、今度読んでみよう…。

西荻窪から荻窪まで歩き、「ささま書店」(2008/08/23参照)店頭に少し捕まり、晶文社「秘法十七番/アンドレ・ブルトン」を105円で購入。さらに荻窪から阿佐ヶ谷まで歩き、スターロードから少し外れたところにある和菓子屋で、桜餅と焼き団子を購入。ウキウキと、包装紙の懐かしく美味しい匂いを指先に移しながら、さらに歩いて「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に到着。店頭で二冊つかみ、店内300円棚でさらに一冊。すでに満足して入口近くの日本文学棚を流していると、『グスコー・ブドリ』!と、ちょっと背や角が傷んだ古い本の背に踊る、丸太フォントのタイトルが目に止まる。これは!と抜き出すと、羽田書店の昭和二十年三刷「グスコー・ブドリの傳記/宮澤賢治」であった。すかさず値段を見ると、前述通り傷み気味とは言え、515円は安いじゃないか!と慌てて優しく抱え込む。朝日新聞社「思い違いの科学史」講談社の学習図鑑「日本の気候/高橋浩一郎」(装幀・恩地孝四郎)William Walker「Our Boys' Tales」(洋書の少年冒険短篇小説集)を計1030円で購入する。グスコー・ブドリ、嬉しい!やった!
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表紙には鹿踊り(ししおどり)のイラスト。本の後見返しには『20.11.30 人形町.至誠堂』の記述あり。新刊書店で購った最初の所有者が記録したものであろう。戦争が終わって三ヶ月か…。

そしてどうやら四月の半ばに、「岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン 古本屋写真集」の発売を祝し、トークイベントが行われることになりそうです。詳しくは近日中にお知らせいたしますので、「古本屋写真集」共々、何とぞよろしくお願いいたします!
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2016年03月29日

3/29ハードボイルドの重鎮を密やかに偲ぶ

夕方に新宿での用事を終え、テクテク東に向かって歩き出し、途中「昭友社書店」(2008/07/10参照)の外棚に気軽に張り付くが、残念ながら収穫ナシ。手持ち無沙汰に再び歩き出し、信濃町駅。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏と待ち合わせ、肩を並べて『明治記念館』を目指し足を早める。ミステリ評論家・新保博久氏の特別な計らいにより、去年の十二月に逝去した日本ハードボイルド界の重鎮『小鷹信光(中島信也)さんを偲ぶ会』に、突如参列することになったのである。クロークに荷物を預け、会費を支払って記念品を受け取り、まずは献花台のあるフロアに進む。白いカーネーションを一輪捧げて、三方に展示された貴重な私物を、手に取って眺めて行く。小鷹氏の大量の著作・海外旅行に使用したマップ類・西部劇映画関連切り抜きスクラップ・アメリカ街並絵葉書ファイルなど、ド貴重な一級品の資料に次々と直に接し、心を蕩かさせられてから、奥のメイン会場に進む。そこは、日本ミステリ界の過去と未来が交錯し、全員が早口にミステリについて口角泡を飛ばす、重厚で濃厚な未知の世界であった。こちらは薄口のハードボイルドよろしく、ウィスキーの水割りを傾けながら、話の長い粋な老人たちの日本ハードボイルド黎明期や「ヒチコックマガジン」「マンハント」「ミステリマガジン」などの話とともに、翻訳の苦しさや考えや微妙なニュアンスの貴重な話題に、直立不動で厳粛に耳を傾ける。そこに天井から突然降り掛かる『ローハイド』のテーマや『探偵物語』の「BAD CITY」に笑い、胸を躍らせる。ただただ目の前で、夢のような光景が展開する二時間余。引っ込み思案の私は(会合は、やはり苦手である…)、会場の片隅でニコニコと杯を傾け惚けながら過ごしていた。そんな中でも、神戸のミステリ古本屋さん「うみねこ堂書林」さんにご挨拶出来たのは、僥倖であった。ほんのひと時であったが、日本ミステリ史の一端に触れたことを大いに喜び、暖かな春の陽気の三月終りの夜の中、トボトボと帰宅する。人々とアルコールにすっかり酩酊しながら、この家の中に小鷹信光の古本はあっただろうかと、四方に目を光らせると、リーダースダイジェスト「プレイボーイ帝国の内幕/スティーヴン・バイヤー 小鷹信光訳」を発見し、ホッと胸を撫で下ろす。
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その著書と、記念品袋の中に入っていた、宵闇の町(会場で配られていた栞にプリントされた「日本のハードボイルドの夜明けはいつ来るんでしょうかね、小鷹信光さん」(by工藤俊作)にかけて夜明けの町なのかもしれない。しかしそれにしては、窓に灯りが多く点っているのだ)をバックにした小鷹氏遺影を写した写真とともに、今夜の記念に写真を一枚。BOIL UP HARD!
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2016年03月28日

3/28「あきら書房」は粛々蔵書整理中

先日「七七舎」さん(2016/02/06参照)とお話ししているとき、「そういえば、阿佐ヶ谷の、あの青梅街道からちょっと入った住宅街の古本屋…」「あ、なんでしたっけ?…ええと、「ゆたか書房」!」「いや…」「あ、「まこと書房」だ!」「ん、そうそう!」と二人で納得しかけると「七七舎」さんの奥さんが「「あきら書房」ですよ」「ハッ、そうだ!」とすっかり記憶力の衰えた一幕を展開してしまう。その「あきら書房」(2010/03/06参照)が、四〜五ヶ月前に訪れたときに、蔵書整理の投げ売り的販売をしていたのとのことであった。それは由々しき事態である!と危機感を覚え、南阿佐ヶ谷の『すずらん通り』出入口から、『青梅街道』を東に向かって歩いている。やがて通りに面した材木屋の一角に取付けられた、お店の看板を無事に目にする。路地を北に入ると左手前方に、ブロック塀に囲まれた一軒家のお店が見えて来た。
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門扉は開け放たれ、前庭には春が爽やかに訪れ、奥の一室が古本屋として開店していた。庭を通り抜け、土足のままスチール棚で作られた極細通路にニュルッと入り込む。文庫棚脇に『全品50円 益子焼は半額』の文字があるが…。店内に荒れた様子はなく、本も比較的キレイにぴっちりと収まっている。至近に迫らざるをえない本の背文字を必死で追いかけながら、奥の棚前に張り付くと、背後のガラス障子がガラリと開き「いらっしゃいませ」とおばあちゃんが顔を出す。「こんにちは。お邪魔しています」と挨拶し、さらに背文字を追いかける。奥の空間には踏み台と、奥から出され、棚に入り切らなかったような本が横積みされている。一冊をつかみ、障子の向こうに「すいませ〜ん」と声をかける。すると「ハイハイ」とおばあちゃんが再び登場し、渡した本をちょっとだけ調べて「50円」と一言。「えっ、50円なんですか?…他のもですか?」「まぁたいていは。100円のもあるけど」と言われる。それならもっと買っておこうと、床の横積み本から二冊追加する。おばあちゃんはそれを見て「三冊なら150円だな」。「どうしてこんなに安いんですか?もしかしたらお店閉めちゃうんですか?」「そういうわけじゃなくて、主人が亡くなってね。その蔵書を処分して行こうと思って、安くしてるの」とのことであった。取りあえずは、まだまだお店は続くようなので、一安心する。矢口書店「赤露二年の獄中生活/久保田榮吉」新潮社「沖の稲妻/内田百閨v(函ナシ)新潮社「大陸の細道/木山捷平」をありがたく購入する。庭の松の木の根本には、小さな花が低く咲き乱れ、たった150円の幸せを噛み締め、庭の礫を踏み付け歩く。ところがこの後に、恐るべき更なる幸せが待ち受けていた。木山の「大陸の細道」が、なんと献呈署名本だったのである。どひゃっほうである。いや、もう、遠慮なくありがたくいただきます!雲の上のあきらさん、ありがとうございます!そして「あきら書房」よ、永遠に。
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2016年03月27日

3/27東京・三鷹 藤子文庫

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北口ロータリーは、西側から突破するのが望ましい。そして、まだ葉の生えぬ墓標の如き銀杏並木の『駅前中央通り』→『三鷹通り』と北進して行く。道の両側には、何処までも飲食店が連なり、繁華である。やがて、今は大きな魚居酒屋になってしまった元「ブックステーション武蔵野」(2009/09/23参照)前を通り過ぎ、『五日市街道』とクロスする、南北道がズレた『武蔵野中央交差点』。ここまでは駅からおよそ一キロ。後は北側歩道に渡り、街道を西に200mほど進む。信号をひとつ越えると、軒上の木板看板は無記名の、渋めな元飲食店風店舗が出現する。ここまで駅から確かに遠くはあるが、南側の「上々堂」(2008/07/17参照)よりは近いかもしれない…。ここが3/15に出来たばかりの古本屋さんなのである。まったく古本屋さんらしくない。しかし、左側窓際には文庫本や単行本がほぼ背の順に並び、さらに喫茶メニューが貼り出されている。それにしても、この窓下の建物の隙間から伸び伸びしている植物が、とてもいじらしいではないか…。開け放しの扉の上には、短い純白の暖簾がはためき、そこに店名が黒くハンコのように浮き出している。暖簾を潜ると、小さくささやかな店舗で、右が古本屋スペース、左がカフェスペース+カウンター帳場になっている。黙々と直立不動で古本と格闘していた長身の男性が、「いらっしゃいませ」と硬く微笑む。古本屋ゾーンは天井までの右壁棚+奥壁棚、それに短めのフロア棚で出来ている。右壁棚は、藤子不二雄・荒俣宏・色川武大・赤瀬川原平・田中小実昌・殿山泰司・野坂昭如・山口瞳・伊丹十三など単行本と文庫本を交えつつ、七十年代周辺の文学・アングラ・カウンターカルチャーでゴトゴト煮込んだようなジャンルからスタートし、食・絵本・海外文学・映画・音楽・コミックが並んで行く。奥壁には徹底的に日本歴史系文庫が揃い、近現代史・西洋史・戦争につながって行く。さらに中国歴史もクロスするように収まる。フロア棚右側には岩波文庫・中公文庫・落語・伝統芸能。左側のカウンター前が時代劇文庫・宗教となっている。本の数は少なく、値段は普通。だが、七十年代周辺カルチャーと歴史に熱く偏り、鋭い煌めきをその箱庭的並びに発現している。奥壁棚の一部がまだ空いているので、そこに果たして何を選んで箱庭的並びを補強するのか、気になるところである。ハヤカワ文庫「恋のサイケデリック/鈴木いづみ」(ちょっと背が擦れているが、これが600円は拾い物)を購入する。開店おめでとうございます!

テクテク駅方面に戻り、すっかり店前道路の様相が激変してしまった「古本 水中書店」(2014/01/18参照)に立ち寄る。「古本屋写真集」取り扱いのお礼を店主・今野氏に伝えつつ、古本屋話。晶文社「野溝七生子/矢川澄子」講談社X文庫「キングコング2/シャセット&プレスフィールド」草風社「情/マキノ雅裕」を計700円で購入。
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激変した店前の道路。立派になったが、まだ現在は封鎖されている。
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2016年03月26日

3/26「古本屋写真集」発売開始!そして裸の楠田と北町を入手する。

今日は早起きして、午前九時半には西武国分寺線・青梅街道駅に到着し、早足で線路沿いの空の広い直線道を進み『第18回チャリティ古本市』(2011/07/10参照)会場に到着する。すでになんとなく列が出来ているので、その最後尾らしき場所に立ち止まると、隣りの人が「これ、並んでないですよ。整理券を配ってるんですよ」と親切に教えていただく。今年からシステムが変わったのか。そこで市会場入口のスタッフさんから、黄色い券を一枚いただく。
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番号は“44”……ふ、不吉だ…いや、そんなことはないはずだ。がんばるぞ!と思慮なく己を鼓舞し、やがて開始十分前。あっという間に入口から長い列が出来始める。互いに番号を確認して、列の中に滑り込む。そして午前十時、『小平市中央図書館』の小ホールに、小さく平和的な、安値古本を掴んで確保する戦場が出現した。四十分ほど古本の銃火の下を潜り抜け、調子悪く計十二冊・540円分を手にする。今回は新しい本が多かったような気がする…。それでもポプラ社「牧野富太郎/氷川瓏」玄光社「8m/m特撮大作戦」樺戸行刑資料刊行會「樺戸集治監獄話/寺本界雄」(厳しい極寒北海道の監獄話を集めた一冊。五寸釘寅吉エピソードも掲載。ダンボール製函入りと裸本の二種あり。同じ本が何冊もあったのだが、刊行元が小平市にあったようなので、恐らくそこから放出されたのではないだろうか)などはささやかな収穫である。闘いの後は、岡崎武志氏や「七七舎」さん(2016/02/06)らと歓談。何と「七七舎」さんに国分寺まで送っていただく。ありがとうございました。この市は明日3/27も開かれる。

そのまま西荻窪に上陸し、ついに「古本屋写真集」が発売されている「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。軽い打ち合わせをひとつして、写真集の取り扱い店に「音羽館」「トマソン社」「本の雑誌社」が増えたことを教えていただく。みなさま、取扱店でも、ジワジワ販売が始まっていますので、どうぞこのドマイナーで渋く可愛い素敵な「古本屋写真集」を、末永くよろしくお願いいたします。手に入れたみなさま、どうか今夜は写真集を見ながら、一献傾けて下さい。きっと夢幻の古本屋の彼方に迷い込めるはずです。目の前で旅立って行く子供たちを目を細めて眺めながら、こちらは盛林堂さんが普段は店に出さないスペシャルな裸本(基本的にはキレイな本を扱っているので、カバーや函の欠けた裸本は、ほとんど棚には並ばないのである)を売っていただくことにする。東方社「新婚特急便/北町一郎」(裸本)和同出版社「べらんめぇ大名/楠田匡介」(函ナシ)を計5000円で。裸本でもいい、読めればいいのだ!そんな風に今のところはやせ我慢をして、未知の話を読めることに喜びを抱く。
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店内に平積みされた写真集と、裸本の悲しみと読める喜びがせめぎ合う収穫二冊を記念撮影。
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2016年03月25日

3/24「古本屋写真集」出来!出来!出来!

遅くから動き出して、夕方の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)。どっさり出来上がった「古本屋写真集」をついに手にする。やはり本のカタチになると、より愛おしさが湧き上がってしまう!ウヒョウヒョニタニタと喜び、ギュッと詰め込まれた多様な古本屋さんの貌の世界に、グイグイと引き込まれる。発売は3/26(土)から。盛林堂での販売分には、スペシャルポストカード付き。ご予約の方は、下記へアクセスよろしくお願いいたします。
「書肆盛林堂」→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca6/193/p-r-s/

さらに全国での取扱店は、今のところ以下のお店が名乗りを上げてくれております。
「徳尾書店」「ハーフノートブックス」「聖智文庫」「喇嘛舎」「古書 善行堂」「古書ますく堂」「モンガ堂」「古書いろどり」「オヨヨ書林」「古書一路」「北書店」「市場の古本屋ウララ」「古書ビビビ」「古本案内処」
上記店舗での発売は3/27よりちょっと遅れそうですが、すべて二人のサイン入りとなる予定です。
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帳場横でそのサイン本を、馬力を掛けて消化している岡崎武志氏を尻目に、夜の『不忍ブックストリーム』出演のために根津へと向かう。その前にちょっと寄り道して、夕暮れの中の不忍池端の『春の骨董市』に立ち寄り、夜店の古本屋さん(2015/08/01参照)と久しぶりに再会する。やはり非の打ち所のない、エクセレントな昭和的情況だ。
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早速薄灯りの中で、古本の山に飛びつく。ちょっと夏の時と似たような感じだが、それでもちょこちょこ変わっている部分があるので、そういうところを懸命に攻めて行く。日本出版協同株式会社「撃墜王 大サーカス/P・クロステルマン」(初版で帯付き)双葉社別冊実話特報「秘境に消えた探検家」を計1800円で購入する。あっという間に夜になってしまったので、急いで根津にタッタカ向かい、南陀楼綾繁氏と某編集さんと合流し、焼鳥をつつきつつ情報交換&与太話。アルコールでエンジンを始動させ、本日のスタジオである冬仕様の「タナカホンヤ」(2012/05/29参照)に到着。入るなりまずは古本に食らいつき、改造文庫「佛蘭西家庭童話集 第二巻(ドルノア夫人)第三巻(シヤアル・ペロー)」光文社日本文学選「踏繪・幻の華/柳原白蓮」を計600円で購入する。その後は必死に放送を終え、午後十一時半に帰宅する。ふぅ〜。
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2016年03月23日

3/23東京・信濃町 本の雑誌商店街

第一回「本のフェス」内に出現する「本の雑誌商店街」に参加するため、ゆうパック特大箱容積の2/3ほどに古本を詰め、ゴロゴロと徒歩と電車で会場である『京都造形芸術大学外苑キャンパス』へ。駅前の地図には載っていない、小ぶりで現代的キャンパスに到着し、教室に荷物とともに雪崩れ込んだ時には、貴重な病み上がりの体力が、ほぼ尽きかけていた…ハァハァハァ…いかん、このままでは風邪がぶり返すような予感がする。そんな風に弱気になりながら、運んで来たダンボールを開き、販売の準備を進める。二十弱の店舗は、ほとんど開店準備を終えており、私の位置は左壁際の、荻原魚雷氏〜岡崎武志氏〜私〜北原尚彦氏となる、何だかとっても『古本グラデーション』ゾーンである。
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写真は岡崎氏〜北原氏までのグラデーションの一部である。

どうにか荷を解き終えて着席すると、午後一時となり、何の合図もあるわけではなく、なし崩しに販売はスタートした。それにしても人が多い。ひっきりなしに平日昼間の教室内に、人々が流れ込んで来る。客層はいまいち掴めない。どうも、カッチリした姿や、お洒落な人が多いようだ。もちろんたくさんの古本好き常連さんたちも訪れ、場を和ませてくれるのだが、どうも奇妙な雰囲気である。外の中庭では、本と飲食の販売が行われ、連続するミニライブの歌声も流れ込んで来る。二〜三の教室では様々なイベントも行われ、盛り上がりを見せている。「本のフェス」と銘打つからには、いわゆる音楽の『フェス』が念頭にあるのだろう。この初開催は、試運転のお披露目パイロット版的な意味合いもあるのだろうが、これだけの集客があり、その上本がちゃんと売れるのだから、なかなか良い具合である。だからこそ、あまり売れないだろうと高を括っていた古本が、ちゃんと売れて行くのに大いに驚いてしまう。途中、魚雷氏に噂のミュージシャン・世田谷ピンポンズさんを紹介され、歌より何よりまずはその藤田嗣治的風貌に、キュッと唇を噛み締めるほどの尊敬の念を抱く。また、今春で放送が終了する『宮崎美子のすずらん本屋堂』の声ナビゲート担当“すずらん”さんがわざわざ挨拶に訪れ、貴重な番組栞を二枚いただいてしまう。さらに歌人の石川美南さんにも久々にお会いし、感激の涙を流す。そんな風にして、愚かにも釣り銭を忘れたので、隣りの北原氏に時々両替してもらいながら、かなりボ〜ッとしながら、どうにか三十二冊を売り、ようやく午後五時。ついに体力どころか集中力さえも枯渇してしまったので、外で売っているビールを飲みながら、どうにかして後二時間をやり過ごし、無事に家に帰り着くことを企む。顔を酒精で赤らめながら二時間。途中、午後五時で一足先に姿を消した岡崎氏の席に、本の雑誌社編集M氏と世田谷ピンポンズさんが座ったのだが、共に岡崎氏に間違われる愉快なアクシデントあり。古本は北原氏から学研昭和37年中一コース新年特大号第4付録「なぞの物体X/L・チャータリス(と誤植されている、本当はジョン・W・キャンベル・ジュニアである)」と、「マニタ書房」(2012/10/27参照)から青春出版社「世界の殺人兵器/小橋良夫」を購入する。なにはともあれ、本日来て下さったみなさま、本を買って下さったみなさま、声をかけて下さったみなさま、ありがとうございました。お客さんでことさら印象に残ったのは、古本&本を売る教室だとは知らず迷い込んだ挙げ句、藤澤桓夫「辻馬車時代」を買う羽目になった古本無垢なお嬢さんと、見た瞬間に「これは買わなければいかん。いつの間にこんな本が出ていたんだ」と呟き「クトルゥー神話事典」を掴み出した老婦人のお二人です。少しは軽くなった荷物を引き摺り駅にたどり着くと、先に出たはずの魚雷氏&ピンポンズ氏と遭遇。三人ちょっとモジモジしながらも言葉を交わし、しばし車中同道する。新宿駅で席が空いたので、三人で並んで座ろうとするが、意思疎通叶わず三人バラバラの席に座ってしまう。呼吸の合わなささが物凄い!と、三人遠く離れて忍び笑い。

というわけで、明日は午後九時より久々に『不忍ブックストリーム』に出演いたします。
http://www.ustream.tv/channel/shinobazubookstream
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2016年03月22日

3/22パラレル「古書 コンコ堂」と明日の準備

二日間を寝込んだおかげで、本復とまではいかないがどうにか回復しつつある。だから調子に乗って、つい一週間前に出来た古本屋さんをツアーしに行くが、残念ながらお休みらしい。…病み上がりの、空振りか…。あっという間に体力を使い果たしたので、本日も引き続きよろぼい、フラフラ阿佐ヶ谷へと戻ると、今日は定休日のはずの「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)が、なんだか騒がしい。どうやら映画かTVドラマの撮影に使われているようだ。「コンコ堂」はよく撮影の舞台となっており、そんなに珍しい光景ではないのだが、今日は少し様子が違う。撮影が大掛かりなのか、外観がちょっと古く懐かしい感じにカスタムされているのだ。
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すでに下ろされているが、大きなブリキ看板は「コンコ堂」ロゴを参考に作られている。ドアは開け放しの自動ドアの場所に、汚しが施された濃緑の扉が取り付けられ、藍染めの暖簾が下げられている。左の窓際には、筆で書かれた『本買います 家で寝ている本が…』のチラシが貼付けられている。70%「コンコ堂」なのに、もうこれだけでだいぶ雰囲気は異なっている。これが、大道具さんや美術さんの力なのか!そんな「コンコ堂」なのに「コンコ堂」でない、パラレルワールド的光景をしばし楽しみ、あまり熱心に見ていたので、中から出て来たスタッフに怪訝そうに会釈される。おそらく撮影の野次馬と思われたのだろう。だが違います!私は古本屋の野次馬なのです!と心の中で堂々宣言し、ヨロヨロ家に帰り着く。そしてひたすら明日の「本のフェス」内「本の雑誌商店街」に参加するための、古本の準備をジワジワ進める。並べるのは相変わらずおかしな本ばかりですが、ぜひとも気晴らしに覗きに来てみてください。病み上がりで、お待ちしております!
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●「本のフェス」
■日時:3月23 日(水)13時〜20時
■場所:京都造形芸術大学外苑キャンパス 107-0061 東京都港区北青山 1-17-5  TEL:03-5412-6101
■ JR 総武線「信濃町駅」より徒歩約 5 分
■東京メトロ半蔵門線・銀座線・都営地下鉄大江戸線「青山一丁目駅」より徒歩約 10 分
主催:本のフェス実行委員会/読売新聞社
●「本の雑誌商店街」
外苑キャンパス「104 教室」を使い、「本の雑誌」に所縁ある人々が約20店の一机本屋さんをオープン。
http://www.cpfine.com/honnofes.html
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2016年03月21日

3/21紙物で風邪心を無聊する

昨日から無様に風邪をひき、床から離れなくなる。今日朝起きると、だいぶマシにはなったが、熱はまだ下がっていなかった。集中力のない頭で色々考える…どうにかして古本を買いに行きたいものだ、と。だが、無理は禁物で、この災難をあまり長引かせるわけにはいかないのだ。ええぃ、妥協して超近所のあの古道具屋さん「帰って来たJ-ハウス」(2015/12/26参照)を見に行くことにするか。ノロノロと身支度を整え、おぼつかない足取りで、よろぼいよろぼいお店の前へ。古本は、ずっと売れ残っている少年少女小説二冊や、特撮物ムックしかないが、幸い表に『ひとつかみ100円』のプチ豪気な絵葉書類箱が出されている。そこを熱に潤んだ目で懸命に漁ると、おぉ!1960年代辺りの、航空会社パンフをいくつか発見!AIR FRANCEのローマ地図&ガイド、ロンドンのガイドブック二冊、OLYMPIC AIRWAYSの会社パンフ(飛行ルート・航空機絵葉書・料金表などが入っている)、オランダ航空会社の北極空路ガイドブック、宮島鳥瞰図などを選び出し、これだけではひとつかみには足りないくらいだが、100円で購入する。そんな必死の収穫を抱えて家に戻り、すぐさま布団の中に滑り込む。ガタガタ震えながら、早速一番気になっていた『KLM北極空路』に目を通す。レイアウト・写真・挿画、すべてが好ましい。最後のページにくっ付いていた紙ファイルを開けると、未使用のKLMステッカーが二枚滑り出し、胸元にはらりと落ちた。本来は、これをトランクなどに貼り付け、北極圏の上空を通過するのであろう。こんな日本の、風邪っぴきの布団の上に滑り落として、なにか…すまん…。
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すでに発売になっているトマソン社「BOOK5 vol.20」の『古本屋ツアー・イン・ドリーム』では、永井荷風の「墨東綺譚」や「断腸亭日乗」に出て来る、吉原門前の古本屋さんを、妄想逞しくツアーして参りました。現地で見た、木村荘八の挿絵とまったく同じ光景!ぜひともお読みいただき、同じ夢の中を彷徨っていただければ幸いです!
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2016年03月19日

3/19東京・神保町 第1回ほんのまち古本市

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午前中の雨の中をフラフラと外出。澱のように残る旅の疲れが、水たまりを越えるはずの足を、重くしている。『神保町交差点』から「神田古書センター」へ。昨日から七階の『貸切イベントスペース ほんのまち』で、初めての古本市が開かれているのである。この七階(2014/08/28参照)は、古本屋さんが撤退して以来、長らく空き物件になっていたが、いつの間にか『靖国通り』側はイベントスペースになっていたのである。一時的とは言え、またそこに古本が並んでいることを祝福しながら、展望エレベーターで偉そうに雨の神保町を見下ろしながら、七階へ。チンと扉が開くと、簡素な白い空間に二十四台のワゴンが並び、木箱や小さな棚が上に下にと組み合わさる。左には長テーブルの帳場。こじんまりとしているが、どんなものかと三本の通路を行き来する。そしてまずは「けやき書房」(2013/02/07参照)の日本近代文学ワゴンに、あっさりと降伏する。函ナシワケアリの安売本や、署名本が茶色くワサドサ(荷風の「地獄の花」函ナシが二千円!)。さらに「やすだ文庫」の建築本一本槍に感服し、「古書赤いドリル」の性風俗関連を混ぜ込んだ危険なワゴンにのけぞる。楽しく悩みながらグルグルして、小山書店「雪の話/武田麟太郎」あまとりあ社「倒錯の夜 異色風俗作品集/鳥羽瑛子」(ドリルワゴンから。ちゃんと帯付きで500円とは、ちょっとした拾い物!)を購入する。この市は明日3/20まで。『第1回』とあるので、これからもこの市は定期的に開かれる模様。

一旦家に戻り、昼食を摂ってから西荻窪に向かう。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)のなしくずしに増殖した感のある、もはやフェア棚か「フォニャルフ」棚か分からないゾーンに、久々にドカドカと古本を補充する。そして店主・小野氏と「古本屋写真集」などについてちょっと打ち合わせ。その写真集ですが、いよいよ明日17時から予約がスタート。みなさまの熱い古本魂を、ドババンと爆発させていただければ!ご予約、お待ちしております!

●「岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン 古本屋写真集」
B6版 118ページ オールカラー 定価1500円(税込)
2016年3月26日(土)盛林堂書房より発売
3月20日(日)午後五時より予約開始
書肆盛林堂→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca6/193/p-r-s/

古ツア ちょっと変態的かもしれないけど、古本屋さんて非常にフォトジェニックだと思うんですよ。
岡崎 絵になるよな。そう思うのは僕たちだけか(笑)。

「野呂邦暢古本屋写真集」に続く、前代未聞の古本屋オンリー写真集第二弾。
二人の古本屋ウォッチャーが悩み選び抜いた、古本屋好き必見の全国119軒を掲載。
ただの店舗写真であるはずなのに、そこには昭和と異界と懐かしさと過剰な知性とだらしなさと人生とカオスと掠れ行く光景が、間違いなく写り込んでいる!
写真集解説となる充実の語り下ろし「古本屋写真対談」も収録。
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※なおこの「古本屋写真集」ですが、様々な方に見ていただきたいお届けしたいと思い、お取り扱いいただけるお店を募集しております。新刊書店さん古本屋さん問わず、一部からでも構いません。ぜひとも盛林堂までご連絡を下さいませ!

盛林堂書房
〒167−0053東京都杉並区西荻南2−23−12
電話:03−3333−6582
FAX:03−6765−6581
mail:seirindou_syobou-1949●yahoo.co.jp
(●を半角@にして下さい。)
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2016年03月18日

3/17京都・出町柳 井上書店

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昨日の京都三日目。鴨川を背にして、喧噪の『今出川通』を東へ500m。巨大な『百万遍交差点』を越え、さらに200m強前進する。『知恩寺』の門前を過ぎれば、そのお店は地味に平面的に姿を現す。道路際に『ふるほん』の立看板は出ているが、店頭には小さな100〜200円棚があるのみ。少し店から離れてみると、日除けの上にはシンプルな半円と直線の意匠があり、看板建築であることが見て取れる。その下には風雨に掠れた看板文字の痕が、うっすら浮かび上がっている。店内に入ると、そこが早速メインストリート。奥行きはそれほどなく、中央に広い通路があり、正面の帳場には、野趣ななかにし礼風店主が座っている。左右の通路はそれぞれ帳場側からのみ入れる、行き止まり通路となっている。その他にも通路と言えるのかどうか、いや入って良いのかどうかも分からぬ、サッシ戸に棚が迫り来る極細空間が、入口右横に存在している。表からガラスを通して本の背を見られぬこともないが、いかんせん微妙な距離があり、多くの本にはパラフィンが掛けられているので、見難いことこの上ない。ここは意を決して棚と近接にらめっこをするつもりで、蟹のように這い込むべきなのである。海外翻訳文学・日本文学・鉄道が並び、ここは他のゾーンより安めな値付がされている。横這いで中央通路に戻ると、右側には日本文学を核に、ひょこひょこ古書が顔を出し、奥は映画・音楽となっている。何気なく黒岩涙香や雪岱装釘の鏡花袖珍本が紛れていたりするので、油断ならない棚である。おっ、小山書店の稲垣足穂「弥勒」が3000円か…。左側は文庫がびっしりで、入口側は一般文庫が主になっているが、奥に行くほど古い文庫や謎の小型本が飛び出して来る仕組み。棚の上にはミステリ雑誌&古書も固まっていたりする。中国関連本が集まる帳場前を通り、左側へ。奥側には自然科学本の短い通路があるが、引き込まれて入り過ぎると、いつの間にかバックヤードに変わるので注意が必要である。通路に戻って、壁棚には教科書や学術書が並び、行き止まり棚には民俗学や歴史、通路棚に岩波文庫と新書が収まっている。足元には古い文庫の直積みと箱あり。右側通路は心理学・大量の「現代思想」・哲学・洋書などで出来上がっている。足元には結束された、棚には並ばぬはずのコミックあり。基本的には硬めなお店であるが、中央メインストリートの左右には、いつも珍しい本が含まれている。値段は相場よりちょい安い感じの、購買意欲を刺激するジャスト値。買おうかどうか、ちょっと迷う値段なのだが、たいてい欲しくなった本は思い切って買うこととなる。今回は昨日「古書 善行堂」(2012/01/16参照)で買ったものと同シリーズの騒人社書局『名作落語全集 第四巻 滑稽怪談篇』を見付け、喜び勇んで購入する。しかもこれは安かった!精算ついでに机上に置かれた名刺(『京大前で65年』の標語あり)を断りいただき、立ち去ろうと入口に向かうと、「持っていきます?」とオヤジさんが動いた気配。思わず振り向くと、帳場上に積み重なっていた本を持ち上げ、下敷きになっていた『春の古書大即売会』のちらしを視線で指し示していた。いや、多分必要ないのだが、オヤジさんの心意気に敬意を表し、一枚いただくことにする。
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2016年03月16日

3/16京都・嵐電嵯峨 London Books

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京都二日目。四条大宮からフランス人と学生だらけの嵐山電鉄に乗り、だかんだかん結構なスピードで嵐山方面へ。洛中の繁華街とは違った、ちょっと生活感のあるくすんだ京都の貌を車窓に流し、道路上も走り、映画村や金閣寺や龍安寺など観光地を、一両きりで健気につなぎ、嵐電は走って行く。二十分で簡素な無人駅に到着。ホームから下り、すぐの踏切を北に渡って商店街に踏み込んだと思ったら、すぐに古本屋さんが姿を見せてくれた。白い建物から濃い青の日除けを張り出し、大きなウィンドウと緑の木枠ドアがお洒落な、カフェ的外観である。黒い立看板には『Secondhand book seller』の文字。しかし臆することはない。何故なら店頭には、100均単行本50均文庫二段ワゴンが出されているからだ!ここは『¥100コーナー』『¥50コーナー』と名付けられており、それぞれに『こちらの本は書き込み・痛み等ある場合があります』と親切に明記されている。早速そこに張り付き、しゃがんで文庫を一冊掴み取り、カチャリと店内へ進む。広く見通しの良い、木を存分に素材として使用した、シックで上品な空間である。雰囲気は「上々堂」(2008/07/17参照)に似ている。三方の壁を棚が覆い、フロア左には横向きの背中合わせの棚が一本と、奥に縦置きの背中合わせの棚が一本。フロア右側には丸テーブルの後に、縦置きの棚が二本連続している。入口左右両側のウィンドウは出窓になっており、アート・ファッション・カルチャー・暮らしのムックや雑誌が、敷き詰められたように積み上がっている。左奥に帳場があり、奨励会に合格していそうな、棋士の雰囲気を持つ男性が静かに座っている。まずは右端通路へズンズン進むと、壁棚は300均本から始まり、自然・宗教・民俗学・哲学・思想・社会・映画・建築・写真・文明・音楽・サブカル・コミックと端正に連なって行く。各棚の下には低い平台があり、お薦め本が静かに美しく面陳されている。向かいは、海外文学文庫・コミック文庫・時代劇文庫となっている。ゴトリゴトリと中央通路へ。右には日本文学文庫と、奥に日本純文学文庫・中公文庫岩波文庫。左は横向き棚に暮らし・京都・旅・鉄道・食が並び、奥にはちくま文庫と新書が揃っている。左端通路は、壁棚に海外文学&幻想文学・エッセイ・セレクト日本文学・函入り本・文学覆刻本・澁澤龍彦・日本幻想文学・特殊雑誌。奥の通路棚には、洋書・イラスト・手芸など。奥壁棚には、絵本・ビジュアルブック・アートがドッサリ集まり、帳場背後まで続いた所には、プレミア古書類と、ガラスケースの中に「タンタン」原書や横尾アート本などが飾られている。気高いお洒落さと趣味と町の古本屋が美しく混ざり合った、静謐で上品なお店である。古い本は遡っても六十年代くらい。値段は普通。春陽文庫「社長の娘/源氏鶏太」角川小説新書「機械の中の青春/佐多稲子」を購入する。店主は「ありがとうございます」の言葉を、『が』と『ござい』の部分にアクセントの頂点を持って来る雅な喋り方。「おおきに」は何度も聞いているが、このパターンは初めてな気がする…。

そして夕方、色々終わらせて吉田山の麓の「古書 善行堂」(2012/01/16参照)に挨拶に向かう。店内の古本と山本善行氏の笑顔を見て、ホッと一息。いつもの通り色々と古本屋についてお話しし、情報収集。そして関西方面での「古本屋写真集」の販売を、切にお願いしておく。ここしばらく片付けを進めて、ようやく最近顔を出したという、店内中央ガラスケースの中を興味深く見せてもらい、気になった一冊、騒人社書局「名作落語全集 第三巻 探偵白浪篇」(犯罪や探偵小説チックな落語を集めたアンソロジー)を千円で購入する。最後に今度額装して店に飾ると言う絵を見せていただく。作者は漫画家のうらたじゅん氏で、昭和三十年代と思しき『今出川通り』に、すべてが本で出来た入店出来ない「善行堂」が建ち、風景の中に「sumus」同人メンバーが紛れ込んでいるというもの。善行氏、この絵の完成がとても嬉しいらしく、絵を見ながら始終デレデレしている。これでこのお店には、林哲夫氏の描いたフランス風「善行堂」と併せて、紙の上に数種のパラレルな店舗が出現していることになる。
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というわけで、その絵をお店に飾られる前に先行大公開。右端手前が入口のない「善行堂」である。クリックして目を凝らせば、どこに誰がいるか、分かるかも。
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2016年03月15日

3/15京都・西京極 ふみ書房

仕事にて京都に出張。初めが肝心なので、行ったことのない古本屋さんにまずは行っておこうと、西院駅から阪急京都線に乗って大阪方面へ一駅。土手の上に出来た駅は、すぐ横に『西京極運動公園』があるためか、ジャージ姿の男子女子の姿が誠に多い。改札を出てホーム沿いに西に向かい、ガード下を突き抜けて来た『天神川通り』を南へ進んで信号をひとつ越えると、住宅にくっついた小ぶりなお店が姿を見せる…だがまだ開いていない。時刻は午前十時過ぎなのだが、甘かったか…。仕方なくガードを潜って、三つの競技場が集まる公園に向かい、ベンチに腰を落ち着け日光浴をしながら開店を待つことにする…ちゃんと開いてくれるだろうか?十分ごとに高台に立ち、お店の動きをチェックする…早く開いてくれ!…結果から言うと、午前十時半になっても開いてくれなかった。ここは一旦諦めて、ひとまず電車に乗って、待ち時間稼ぎに長岡天神の「ヨドニカ文庫」(2010/09/12参照)を見に行くことにする。十分ほどで、いつか見たことのある駅に降り、いつかみたこのとあるお店の前。むぅ、もうお店の前に数々のダンボール箱が、流れ出しているじゃないか。だが今回は外箱にはあまり食指が動かず、逆に店内の棚に興奮。光風社「細い赤い糸/飛鳥高」(帯ナシ)日本書房「月とあざらし/小川未明」圖書新聞社「古書店地図帖 全国版(一九七三年)」カラーブックス「珍本古書/高橋啓介」を計900円で購入する。幸先の良い手応えを感じ、西京極にトンボ返り。
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再びお店の前に立つと、おぉ、カーテンが上がり『営業中 扉が重いので強くお引き下さい』の札が下がっている。だが、強く引かずとも扉はすでに開き放たれており、店内の床スレスレに、ご婦人の後頭が浮かんでいた。思わずギョッとするが、どうやら壁棚最下段のストックを整理していた模様である。そこに「見せてもらっても良いですか」と声をかけると、低い位置のまま訝し気な表情を見せたが、こちらの手に下がった古本入りの『古本まつり』袋に視線を走らせ、すべてを察してにこやかに「いらっしゃいませ」と立ち上がる。ちゃんちゃんこを着てショートカットなので、似ていないのだが自然と鬼太郎を連想してしまう…す、すみません。一段高くなった店内に入ると、何だこの薄さは!何だこの横に長い三角形は!素晴らしき哉、ヒューマンサイズ!と、こんなことになったお店の運命を楽しく妄想しながら、棚の観察を開始する。入口左横には、距離なく重なるように100均文庫棚が二本。その横には大型本ラックがある。その奥には言葉関連の本が集まる棚がひとつ。左の三角形の極狭頂点には、換気扇の下に郷土本棚が置かれている。右に向かってナナメに奥まる壁棚には、映画・演劇・古典芸能&文学・日本文学・仏教・禅・歴史・東洋文庫・戦争・近代史が並んで行く。入口右横には重々しく回すのに一苦労する開店棚があり、性愛やルポ本を多く集めている。窓際には疎らに文庫が並び、右奥には文庫棚が置かれ、その横が極狭の帳場になっている。素敵な狭小変型店舗で、硬い棚造りが実に渋い。値段は結構しっかり目である。浅ましく必死に手頃な本を探し、旺文社文庫「枯野の宿/つげ義春」を購入すると、「おおきに」とお釣りを渡してくれた。関東人が関西に来たことを、グッと実感出来る一言である。
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2016年03月13日

3/13高円寺で梶原金八の末端に触れる

午前中から確定申告の書類と大格闘する。昼飯休憩を挟んで再び格闘し、決着のつかぬまま一息つくために高円寺へ逃げ出す。「西部古書会館」(2008/07/27参照)の『古書即売展開催中』とあるド派手な赤い垂幕の下を潜り、三日目の「古書愛好会展」に飛び込む。
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なかなかの人出であるが、帳場の古本屋さん密度が、いつにも増してスゴいことになっている。それに普段の即売展と、少しだけ雰囲気が違っている。表の均一ゾーンに本棚通路が出現していたし、参加店も「かんばら書房」(2014/09/26参照)や「清水書店」(2009/06/04参照)など、ちょっと珍しいお店が目につくのだ。第一の通路で年配古本修羅陣と静かに平和的に争っていると、「古書 赤いドリル」那須氏(声が恐ろしくガサガサであった。早く治りますように)がスススと近寄り、「シルバーゼラチン」さん(とても陽気な大男である!)を紹介してくれた。言葉を交わすと、今は即売展中心の活動だが、かつては様々な場所で露店の古本屋さんを開いていたとのことである。そのいくつかは、私も出会いツアー(2009/10/17&2009/11/18&2011/04/21参照)したことがあるのだ!ようやく、ようやくお話が出来た!と喜び那須氏に感謝し、再び古本を買い続ける。息抜きと言いつつ、ハヤカワ・ミステリ文庫「メグレと老婦人/ジョルジュ・シムノン」読売新聞社「ふるさとの味」博文館「最近解説 たまつき術/小和田嘉一」岩谷書店「別冊宝石 新人競作二十五篇集」「別冊宝石 本格長編傑作集」ペヨトル工房「夜想10 特集/怪物・畸型」良故堂書店&文錦堂書店「明治新お伽噺 四ツ目入道 下の巻」東宝シナリオ選集「裸足の青春」朝日新聞社 映画と演藝昭和十一年一月號附録「映画小説集」を計2700円で購入してしまう。さぁ、戻ってまた、数字と格闘するか。
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今日の収穫で嬉しかったのはこの三冊。「四ツ目入道」はその名の通り、四つの目を持つ大入道退治の話。上の巻もどこかに売っていないだろうか…。「映画小説集」は、邦画洋画取り混ぜ、作家やライターが昭和十一年当時に、これから公開される映画をノベライズしたものだが、伝説の脚本家グループ『梶原金八』の「怪盗白頭巾」も収録されている。しかもこれは山中貞雄監督作品!ノベライズしたのは、梶原金八の一員でもある脚本家・三村伸太郎である。
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2016年03月12日

3/12東京・日暮里 古書 鮫の歯

JRの都区内パスを買って、まずは京浜東北線沿線の準定点観測店を見に行くことにする。まずは鶴見まで追加料金を払って足を延ばし、「西田書店」(2010/01/07参照)。店頭で、こちらに続いて棚に取り憑いたおじいさんのプレッシャーに圧されながら、講談社文庫「工場日記/シモーヌ・ヴェイユ」白水社「ボクの学校は山と川/矢口高雄」を計162円で購入する。大森に移動して、楽しみにしていた「松村書店」(2009/09/25参照)を訪ねると、残念ながら小さな一枚切りのシャッターが下ろされていた。タイミングが悪かったか…。ふとアーケードの屋根裏に目をやると、商店街の共通看板が、すべて液晶モニターに一新されているのに気付く。そこには「松村書店」の店名と、『創業五十年、当代三十年 山王のお客様のために古書を提供し続けています』のシビレる説明が、交互に表示されていた。駅にあっさりと引き返し、続いてさして期待もせずに日暮里に向かう。

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橋上の南口改札を抜け、陸橋を西に渡り、急で狭く短い『紅葉坂』に足をかける。石屋さんの前を通り、空が広く、多くの人が長閑に散策する『谷中霊園』に入る。『さくら通り』を南に進み、今は小公園になっている『五重塔跡』前で『ぎんなん通り』を西に曲がり込む。そのまま霊園を脱出して突き進めば長安寺前に出る。後は南に100m強進めば、左手に石塀に囲まれ、小ぶりだが立派な門を構えた古風で和風なお店が現れる。おぉ、今日は開いているではないか。最近やたらと目指していた谷中の新しいお店とは、ここのことだったのである。母体は『初音』という名の骨董屋さんなのだが、その店内に古本棚を増設し、ついに改装オープンに漕ぎ着けたのである。門を潜ると、そこは小さな庭のようになっており、石灯籠や瓶などが置かれている。素直に真っ直ぐ飛石を伝って行くと、行き止まりなので、すぐに右へ進むべし。そこには店内が見える木枠のガラス戸。ちょっと高級そうな雰囲気なので、怖々中に入ると、天井から様々な骨董が垂れ下がり、程よく物品に囲まれた小さな店内である。そして古本が確かに並んでいる。右壁棚には骨董を交えながら、カルチャー・東京・帝都・村上春樹・日本文学文庫・洋書・全集・生き方・思想・骨董&アンティーク・ことば・雑誌が並ぶ。文庫は深い棚の下段に隠れているので、屈まぬと発見は難しい。左奥にガラスケース帳場があり、先ほどからモジャモジャとしていないパパイヤ鈴木風男性が、大きな身体をソワソワさせている。そのガラスケースと互い違いになるようにして、さらに左側に棚が置かれ、時代劇文庫・海外ミステリ&SF文庫・日本文学・杉浦日向子・サブカル・スポーツ・時代小説などを並べている。本体の骨董類に比べて、古本は比較的新しく、並びもなんだか若さが滲み出ている。値段は定価の半額前後。角川書店「隅っこの昭和/出久根達郎」を購入する。それにしても三度目の正直で入れて、本当によかった。このお店、水・日定休で、営業時間が『昼頃から夕暮れ時まで』と曲者なので、訪れる時は注意が必要である。
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2016年03月11日

3/11古本屋さんで三角籤を引く

午後二時からの武蔵小山での打ち合わせをこれ幸いに、一足先に現地に駆け付け「九曜書房」(2009/03/26参照)に飛び込む。店内500均棚に素早く視線を走らせて、紅玉堂書店「口語歌集 旅鴉/炭光任」(函ナシ。昭和二年刊の日本画家の歌集である。一首が五行でページの上部に連続し、続けて読んでいると、歌というより連作の現代詩のような錯覚を覚える)を購入して、慌てて駅へと戻る。そして待ち人顔で改札の前に佇んでいると、右方向から不穏な視線が厳しく突き刺さるのを意識してしまう…視線の元は二人の警察官で、スススと近寄りたちまち職務質問タイム。何度も職質の憂き目に遭っている私は、そのめんどくささから、荷物をたちまち放擲するように手渡し、ポケットの中の物を警官の差し出した帽子の中にぶちまけ、後は惚けた顔をして、警官のおべっか+無意味な質問に無機質に応え続ける。その手際よさと諦めの雰囲気を察したひとりが「もしかしたら良く職質されます?」といらぬ質問。「その通りです、なんででしょうね〜」と逆に問いかけながら、己がいつの間にか剣呑な雰囲気を放っていたのかと気付き、少し落ち込む。さすがに身体検査はなかったが、免許証で身元照会され、ようやく解放…。

遅れて来た相手と合流し、昼間なのに立ち飲み焼鳥屋→大衆酒場→碑文谷スーパー内の回転寿司屋と、仕事の話をしながらもやけ酒はしご酒。まだ明るいうちに話を終えて、顔を赤く染めながらテクテクと学芸大学駅に向かう。職質ショックからむしゃくしゃして、どうにも古本が買いたくてしょうがない。だが、東口の「飯島書店」(2009/04/10参照)は金曜が定休日。即座に西口に抜けて「古本遊戯 流浪堂」(2009/01/16参照)へ。鱒書房「世界怪奇船物語/志摩達夫」を500円で購入し、多少心の平安を得る。そのまま高架沿いにテクテク歩き続けて、祐天寺の「北上書房」(2009/02/21参照)。古書の積み上がる店内の薫りに段々と癒されながら、昭文堂「夜の工場町/ゴルキー」(函なし)ハヤカワ文庫「モナリザ・オーヴァドライヴ/ウィリアム・ギブスン」を計600円で購入すると、今まで目録原稿書きに集中していたオヤジさんが「籤引きますか?」と、このお店に似つかわしくない派手な箱を取り出し、三角籤を二枚引かさせてくれた。スクラッチなので、オヤジさん自らコインでコリコリ削ると、残念賞のティッシュ一箱と、当たりの商店街500円商品券をいただくことに。…まさか古本屋さんで籤を引き、こんなものがいただけるとは。ちょっと奇妙な体験にすっかり心洗われ、手に入れた古本と物品を、お店の前で記念撮影する。
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2016年03月10日

3/10東京・千駄木 古物骨董ジャングル

今日開店予定のお店を谷中に見に行くが、門は静かに閉ざされたままなのである…心中に小さな悲しみが湧き出すと同時に、『予定はあくまでも予定か』と己に言い聞かせ、丘から谷に漠然と下って行く。途中「古書OLD SCHOOL」(2016/01/24参照)に立ち寄ると、表には絵本ワゴンが出現しており、店内右側通路ではオープン記念の100均セール開催中。プレオープン時より、きっちり棚に本が収まっており、左壁棚奥には東京本コーナーが誕生している。荒地出版社「続 わが最大の事件/クルト・ジンガー」丸ノ内出版「明治の東京 覆刻版/馬場孤蝶」を計800円で購入する。

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あてどもなくブラブラ歩き続けて、いつの間にやら『よみせ通り』。平日でも観光客でにぎわう道を南へ進む。すると脇道の奥に置かれた、妙に目立つ赤い小さな看板灯に、気を惹き付けられる。好奇心に任せてその灯りに近付くと、派手で怪し気な古物骨董屋の前であった。駅からは『出口1』から地上に出て、『団子坂下交差点』から『三崎坂』を東に進み、ひとつめの信号で北の『よみせ通り』に入り込む。曲がったとば口を過ぎ、二本目の脇道を東に入ると、道の先に件の赤い灯りが輝いているはずである。入口からはマネキンの首や額装絵画・ブリキ看板などが見えているが、さらに接近すると、床にレコード束が置かれているのが目に入った。もしや古本も…そんな期待を胸に抱き、何故か足音を忍ばせて店内に入り込む。一段上がった場所は細長い空間で、左右壁際に古道具・古雑貨・紙物・アンティーク物が集まっている。そしてやった!両壁棚には古本の列!右には長い二段があり、左はハンドバッグ列の下に一段設けられている。美術・骨董・陶芸・茶道・図録・ジープ・ナイフ・「サザエさん」・戦争など、ずいぶん偏った並びだが、それでも古本に変わりはない!と浅ましく高揚する。ジープの本を手にしていると、奥の高級骨董類別室から「なにそれ?ヒトラーの本?」と野太い声がかかった。商店街会長のようなオヤジさんが、電話の受話器を耳に押し付けたまま話しかけて来たのである。「これはジープの本です」と応えると「あぁ、ジープ。いやね、ヒトラーの本だったら、こっちに五十冊くらい入ってるから、見てもらおうと思って。ジープは昔乗ってたんだよ。今みたいなやわなヤツじゃなくて、MPとかが使ってたヤツ。あ、はい。コントロールキーを押してます…」こちらとの会話と電話の会話が、混線中…大丈夫なのだろうか?その後もそんな風にして、混線しながら話しかけられ、このお店の商品がすべて委託販売であることを知る。それにしても、相当な話し好きである。だからこそ、電話中で良かったと、ちょっとホッとしてしまう。まともに相対していたら、恐らく怒濤のような話しかけに、飲み込まれてしまったことだろう。まだまだ電話中の隙を突いて小学館中学生の友昭和三十一年9月号付録「密林探検実話 マレーの密林に生きる/伊勢三郎」(『実話』ってあるのに、最後にプロントサウルスと激闘!何故だっ?)を購入。偶然飛び込んだにしては、上出来な収穫である。
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2016年03月08日

3/8東京・南阿佐ヶ谷 松文堂

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阿佐ヶ谷駅近くの喫茶店で、今年最大の仕事の打ち合わせ。不安だらけだが、眦を決し、臍を固める。およそ一時間の会合を終えて日常に仮帰還し、コメントタレコミのあったお店を目指して、ひとりテクテク南に歩き始める。『中杉通り』終点の『青梅街道』から住宅街に分け入り、ちょうど南阿佐ヶ谷駅の南にあたる『五日市街道』に顔を出すと、そこは『成田東三丁目交差点』である。四方の鉄道駅からはずいぶんと距離のある所(南阿佐ヶ谷駅が一番至近)で、交通量の多い街道的二車線道路の両側には、緩やかに地元商店がつながって行く。南側歩道に渡り、西に歩き始めると、二軒長屋の商店建築から歩道上に、緑と黄のだんだら日除けがキッチリ張り出している。その下に入ると、左が街の本屋さん(れっきとした新刊書店である)で右がクリーニング屋さん。本屋さんの日除け下には、年季の入った重厚な看板文字があり、店舗前面はサッシ戸で、右端に水を満々と湛えた大きな瓶が置かれている。お店オリジナルマットを踏み付けて中に入ると、合板木床の昔の匂いが漂う店内。古い木製什器が現役で置かれ、全体的に懐かしいお店ではあるが、照明は明るく、棚やラックに並ぶ本はピカピカで新しい。だが、入口左横部分の壁棚は時間が停まっており、そこには古い紙文房具が集まっている。そこから緩い面陳が続く壁棚に視線を走らせて行くと、奥の上四段に、完全に新刊の流通から忘れ去られて取り残された、もはや古本と化した昭和四十〜五十年代の本が、煤けて並んでいた。時代小説・大衆小説・ベストセラー小説・ノベルスなど。他にも同類はいないかと、左奥の帳場でくずおれるように座る、老境の横山やすし風店主の前を通って右側通路へ。通り側に水槽が置かれているのを気にしながら、奥へ。すると奥壁と右壁棚の一段ずつに、煤けたガイドブックや新書サイズ本を発見する。…さて、これらの古い本は、買った時にどう扱われるのだろうか?結局ピカピカの新刊には目もくれず、古本と化した新刊のみに目を光らせ、三冊も手にしてしまう。それを店主に差し出すと、埃をパンパン落とし、劣化したスリップを引きちぎり抜き出しながら「これはね、一冊200円。だから600円だね」と嬉しい古本値段を告げられる。桃源社「完全版 ふしぎな国のプッチャー/横井福次郎」浪書房「男天国ひとり旅」「旅の穴場めぐり」共に伊能孝を購入する。店主は「週刊新潮」のミニカレンダーを、何故か七枚もプレゼントしてくれた。

この後は阿佐ヶ谷駅までテクテク引き返し。電車に乗って西荻窪へ。苦心惨憺仕上げた「古本屋写真集」のデータを入稿する。バンザイ!取りあえず終わった!後は、本の形になるのみだ!
posted by tokusan at 20:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月07日

3/7三月のお知らせ

春への力強い変化を促すような雨が、シトシト降り続けている朝。土の中からノロノロと、ちょっと遅れて這い出して来た虫のように、なんだか活発な三月の活動についてお知らせいたします。

1. 「古本屋写真集」発売日決定!
去年の暮れから動き出し、ようやくまとまった岡崎武志氏との共著「岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン 古本屋写真集」。古本屋への愛と驚きが詰まった、稀有な一冊に仕上がりました。発売日まで、ぜひとも頭の大事な部分に、ぎりっと刻み込んでおいていただければ!

●「岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン 古本屋写真集」
B6版 118ページ オールカラー 定価1500円(税込)
2016年3月26日(土)盛林堂書房より発売

古ツア ちょっと変態的かもしれないけど、古本屋さんて非常にフォトジェニックだと思うんですよ。
岡崎 絵になるよな。そう思うのは僕たちだけか(笑)。

「野呂邦暢古本屋写真集」に続く、前代未聞の古本屋オンリー写真集第二弾。
二人の古本屋ウォッチャーが悩み選び抜いた、古本屋好き必見の全国119軒を掲載。
ただの店舗写真であるはずなのに、そこには昭和と異界と懐かしさと過剰な知性とだらしなさと人生とカオスと掠れ行く光景が、間違いなく写り込んでいる!
写真集解説となる充実の語り下ろし「古本屋写真対談」も収録。
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※「盛林堂書房」の通販(予約開始は3/20予定)や店頭でまずは発売が始まりますが、その他いくつかのお店にもお取り扱いいただく予定です。詳細は決まり次第、追ってお知らせいたします。

2. 「本のフェス」の「本の雑誌社」ブースに古本販売で参戦!
●「本のフェス」
■日時:3月23 日(水)13時〜20時
■場所:京都造形芸術大学外苑キャンパス 107-0061 東京都港区北青山 1-17-5  TEL:03-5412-6101
■ JR 総武線「信濃町駅」より徒歩約 5 分
■東京メトロ半蔵門線・銀座線・都営地下鉄大江戸線「青山一丁目駅」より徒歩約 10 分
主催:本のフェス実行委員会/読売新聞社
●「本の雑誌商店街」
外苑キャンパス「104 教室」を使い、「本の雑誌」に所縁ある人々が約20店の一机本屋さんをオープン。
http://www.cpfine.com/honnofes.html

という本だらけのイベントに古本販売で駆け付けます。恐らく最初から最後まで辛抱強く在室しておりますので、平日水曜ですが、どうにかして覗きに来て下さい!古本を、買いに来て下さい!

3. 『不忍ブックストリーム』出演
3/24(木)のUstream『不忍ブックストリーム』に、南陀楼綾繁氏にお呼びいただき出演いたします。
午後九時から、氏と共に古本と古本屋話に大いに花を咲かせる予定ですので、ぜひともご覧いただければ!
http://www.ustream.tv/channel/shinobazubookstream
posted by tokusan at 09:29| Comment(2) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする