2016年05月31日

5/31 5月35日までは後四日!

ひとつ懸案の仕事が片付いたようなので(かと言ってまだ油断は出来ない…)、午後に今日が最終日の「所沢古本まつり」(2010/06/02参照)に気楽に向かう。平日火曜の、あの見るのに時間が掛かり過ぎる巨大古本市の最終日は、いったいどんな有様なのだろうか?北口の会場に近付くと、陽光飛び込む一階ロビーは、女性客と壮年客がパラパラと台に張り付き、五月最後の午後をアンニュイに演出している。ダラ〜っと眺めてからエレベーターで八階へ。…相変わらずデカ過ぎる会場だ…そして過剰過ぎる陳列台の連続だ…。ぬるいラウンジミュージックが流れる通路では、ちゃんとお客さんが本を探し求めているが、さすがにこの会場に対してその数は少ないようで、まるで凪いだ古本の海のとっぷりした波間に、のんびり身体を浮かべているかのようである。そして本はどの台にも、しっかりビッチリ載っている。もちろん本は売れた後、すぐさま補充されているのだが、それでも最終日にまだこれだけの本が厳然と存在していることが、恐ろしくてならない。だからこそ、今この瞬間も古本ハンティングを楽しめているのだが…。ブラブラとさほどガツガツせずに、本の背に目を凝らして行く。ちゃんと欲しい本読みたい本は、結構見つかる。だが何故だろう、最終日ということで『これは売れ残った本で、それほど価値がないのでは?』などと、雑念が入ってしまうのは。迷わず遠慮なく買えばよいのに、何故だか手が萎縮してしまい、古本心はクールなまま。そんな風に心の購買ラインハードルを、捻くれて上げてしまっているので、このままだと、何も買わずに会場を去ることになりそうだ。そんな恐れを抱きながら、次々と台をクリアして行く。だが中ほどの「隆文書店」ゾーンで、突然紙物箱に惹き付けられ漁っていると、底の方に心の琴線に引っ掛かるジャケットのブックソノシートを発見する。朝日ソノラマ世界名作童話 木馬座ファミリー劇場「こどもSF 5月35日」である。原作はケストナーで、それを藤城清治が率いた着ぐるみ人形劇の舞台を、写真絵本&ソノシート化したもの(ちゃんと四曲入りの赤いソノシート付き)。美術はもちろん藤城清治で、他のシリーズは名作昔話ばかりなのに、これだけは『こどもSF』なのである。おぉ!藤城清治がSFを!物語は、タンスの中の通路を経由して、『なまけものの国』『昔の国』『電気の町』『南洋』に行くというもの。『電気の町』の無線そうじゅうドリーム・カーが、在りし日の未来を体現しており素敵である。いやぁ、こんなのと出会えて嬉しいです。残り物にもちゃんと福があるもんだ。この突然の一冊に大いに満足したところで、すでに一時間が経過し、時刻は午後四時。すると場内放送が流れ、今日は最終日のため撤収作業があり、午後五時には閉店することや、Aゾーンのお店はバックヤードに集合して下さいなどの業務連絡が告げられた。早足で台だけ見終わり、壁際の超ロング文庫ゾーンを自主的に割愛して、中央レジで精算する。するとひとりの古本屋さんが差し出した本を見て、「こどもSF 5月35日だって。35日だよ」と何故か大喜び。…そうか、今日は5月31日だから、その35日までは、後四日ということか…。540円を支払い、エレベーターを待つ。するとすでに撤収作業は開始されており、大きなビロビロのパネルやフレーム類が、ガチャガチャとドア横に積まれ始めていた。
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これがある世代はズキュンと胸を撃ち抜かれる写真ジャケット。着ぐるみの目は、しっかりとあの藤城清治作品の目に!
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2016年05月30日

5/30霧雨の中無駄足を踏む

午後四時過ぎに家を出ると、しつこかった雨がちょうど上がっていた。バスで中村橋まで出て、後はのんびり散歩気分で西武池袋線高架沿いに東へトボトボ。ところが、途中で霧雨が復活し、しつこく強弱をつけながら降り続く。生憎と傘は持って出なかった。細かい水滴が眼鏡の視界を悪くし、服を次第に重くする。通り沿いの桜並木の下を歩いても、細かい雨はしつこく襲い掛かってくる。やがて桜台に到着し、北口側裏通り…つい二週間ほど前、遅い時間に開いていたという「島書店」(2016/05/27参照)前に到着する。だが、開いていない…まだ時間が早過ぎるのだろうか?それとも、雨降りだからだろうか…。なんだか諦め切れないので、さらに歩いて江古田まで到達。「銀のさじ書店」(2015/08/04参照)跡地が串カツ屋になっているのを目撃し、「根元書房 日芸前店」(2008/10/07参照)へ。雨のため店頭棚はグリーンシートに覆われている。
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店内は…わわっ!こりゃ凄まじいことになってるな。各通路棚前には結束した本が高く薄く聳え立ち、かなりの割合で棚を覆い隠してしまっている。ただでさえ狭い通路はより狭くなり、右端の通路は途中が本の山で塞き止められているのだった。蟹歩きで見られるところだけを見て、学研 昭和四十三年中学一年コース10月号第2付録「冷凍死体、出動せよ!/GO!GO!ニキビ大作戦」を300円で購入する。外に出ると、まだまだ霧雨なのだが何だか水量が増えている気がする。肩をすぼめて、額の水滴を拭いながら、元来た道を逆戻りして行く。これが、倫敦辺りの霧雨だったら、異国情緒を噛み締め踏み締め有り難く享受するのだろうが、なんたってここは江古田と桜台の中間なので、何処からどう見てもオッサンが濡れ鼠で、住宅街を歩いているだけなのである…。時刻は午後六時前。件の古本屋さんの前を通りかかると、先ほどと同じくシャッターを下ろしたままであった。しつこく後日また偵察に来ることにして、風邪をひく前に家に戻ることにする。
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2016年05月29日

5/29当てが外れまくった末に紙面に若いドクター中松を発見する

所用で新宿に出ていたので、ついでに花園神社の骨董市を覗いてみるかと、ビルの谷間の参道にウキウキ足を踏み入れる。だがそこは、食べ物の露店ばかりが並ぶお祭りに浮かれた空間!人ごみを掻き分け本殿前に進んでも、見渡す限りお祭り露店ばかりなのであった…大祭が開かれているのか。仕方ないな。当てが外れて眉間に皺を寄せながら、裏通りを伝って一番近い古本屋さんの「昭友社書店」(2008/07/10参照)へ向かう。はぅっ!日曜は定休日なのか…お店とは二十五年ほどの付き合いであるが、今更そんなことに気付いた己を情けなく思い、ブルーシートやブリキ板でガードされた外棚をぼやっと眺める。そしてお祭りの喧噪を尻目に、地下鉄への階段を下り、最近とみに骨董市にはまり始めたきっかけの『富岡八幡宮』の骨董市(2016/04/24)に向かうことにする。今はとにかく、古本が買いたいのだ。この気持ちを、あのオヤジさんの店が出ているならば、ガシッと受け止めてくれるはずだ。東京の暗い地下を疾走しながら、そんなことを祈り、やがて門前仲町に到着。時刻は午後二時十分である。未だ大掛かりな工事中の正面参道を迂回して、骨董市会場に駆け込むと、その大半がもはや撤収中であった。遅かったか…。目的のお店を発見するも、ここも残念ながら撤収中。すでに蓋を閉じ積み上がったプラ箱を恨めしく透視しながら、『今日はなんて日なんだ』と、タイミングの悪さを大いに嘆く。だがそれでも諦め悪く、まだ物品を広げているお店を、焦りながら丁寧に覗いて行く。やがて階段を上がった左奥に、駄玩具や紙物を箱やショウケースに詰めて展開しているお店を発見。ちょっとずつ片付けに入っているようだが、まだ取り付く島はある!と箱をガサゴソし、長テーブルの上に並んだ小冊子群を引っ掻き回し、たちまち四冊を選んで値段を聞いてみると、全部で千円。いや、大遅刻の滑り込みなのに、これは嬉しいぞ!と、小學館 昭和二十四年小学四年生七月号附録「密林の魔王/南洋一郎」学研 昭和三十三年三年の学習8月号だい1ふろく「スーパーマンになる近道」全日本觀光聯盟「外人観光客の接遇 特に日本旅館での心がけ」住吉書店「住吉だより 第二号」(平山蘆江と読者をつなぐ瀟洒なリトルプレス)を無事に購入する。
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「密林の魔王」は嬉しいし、「外人観光客の接遇」も戦後のドタバタな逞しさを伝えていて面白いのだが(なんたってレーション(米軍携行食料)の料理の仕方まで載っているのだ)、驚いたのは「スーパーマンになる近道」。これは社会の様々な場所で輝き働く偉人たちをスーパーマンとし、その人達のようになるための方法が書かれているのだが(まぁ努力と勉強をせよ!とのことである…)、若乃花・金田正一・藤田西湖(忍者)などに並び、『日本のエジソン』という人が紹介されている。中松義郎29歳…ド、ドクター中松じゃないか!こんな若い頃からちゃんと注目されていたのか…。発明品としては、画面が大きくなったり小さくなったり、伸び縮み自由の映画『ナカマスコープ』や、足もプロペラも引っ込め三十分飛び続ける模型飛行機(これは小学生の時発明)、テレビ・ラジオ・電蓄がひとつになった機械などが紹介されている。いよっ、発明王!
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2016年05月28日

5/28埼玉・本川越 川越成田不動尊蚤の市

西武新宿線に揺られながら、昨晩チャンネルNECOで観た映画「顔役暁に死す」(1961年東宝映画。監督:岡本喜八 主演:加山雄三)についてアレコレ考える。未見の喜八映画ということで、冒頭パレード中の市長が暗殺されるシーンから、続いて加山(若過ぎて、なんだか満島ひかりに見えてしまう…)が車に乗って街にやってくるオープニングに、容易く引きずり込まれて行く。こういう昭和三十〜四十年代のアクションorスリラー映画で気になるのは、その原作や原案である。忘れられた探偵小説作家作品が案外映画化されているので、クレジットにそんな名を見つけた時は、まるで古本屋で探していた本に出会ったような、似た喜びを味わえるのだ。というわけで暗い画面の上に浮き立っては消えて行く、白い文字を注意深く見つめる。すると原作は、浪速書房「火制地帯/大藪春彦」!うひゃぁ。出版当時に盗作騒ぎになり、封印された小説が原作だったのか!知らなかった!それにしても、問題になったこの作品(出版は1960年。古本は高値である)が、岡本喜八により映画化されていたとは、と驚きながらほぼ原作通りに進む画面に集中する。雰囲気は大藪的ハードボイルドではなく、才気あふれるテンポが快感なアクション映画となっている。だがそれも、後の「独立愚連隊」などには遠く及ばない、佳作と言ったところであろうか。

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そんなことを偉そうに考えながら、終点で電車を降りる。駅前に出て、拡張工事中の『中央通り』を北上し、『連雀町交差点』で東へ。400mも歩けば『成田山別院』の脇にたどり着き、塀沿いと境内に百店ほどのお店が広がった、骨董市とご対面する。まだ午前十時なのに大量のお客が押し寄せ(外国人多し)、ただでさえ狭い通路を、牛歩戦術で埋め尽くしている。見たところ、今回は見慣れぬお店ばかりなので、古本心が激しくトキメキを開始。古本を探して、紙物の箱を漁り、各店舗の奥にも目を配り、市内では珍しいとも言える本の形を探し求める。「少年」付録の鉄人28号リモコンセット(6000円)やジャコメッティの細長〜い猫彫刻(複製。40000円)にもトキメキつつ、スークの如き狭い通路を行ったり来たり。まずは表の塀沿いに紙物箱を大量に並べたお店から、手製の保護表紙が付けられた春江堂書店「殺鬼太郎/寺谷大波」をつかみ出し、店主と値段交渉。すると「800円…と言いたいところだけど、500円でいいよ!」と積極的に値下げしていただく。この本、書き出しがクレイジーで『昔、有名なオーサー王の時代に、英吉利のコールンウォールと云う土地の、海際に近い所に太郎と云う名の子供を持って居る、正直な百姓が一人居りました』と、初っ端から大胆な和洋折衷が行われている。内容は…殺鬼太郎がその名の通り、イギリス中の鬼を殺りまくってます…。続いて境内のブルーシートの上に物品を並べただけのお店が、しっかりとした物質感を持つ古本を詰めた箱を置いているのに目を留める。そこから電光石火の早業で、牧陽社「冒險科學小説 化石の森/ジュール・ベェルヌ」フタバ書院成光館「童謡集 太陽と木銃/北原白秋」(函ナシ。戦中の出版なので国威発揚啓蒙詩も多く含まれるが、それでも都市や土木や鉄道に関する詩は、今読んでも一級品である。また頻出する独特な擬音に口あんぐり。ホラ、ラツルラルラ、ソラ、ラツルラルラ!)を取り出し、シートの上でくつろぐオヤジさんに差し出すと「おっ、いいところを…両方とも500円は欲しいところですが…」と言われたので即座に承諾し、千円札をビシッと渡す。他にも古書箱文庫箱などを見かけるが、そちらでは何も買えず。ちょっと古書に出会う確率が高かったので、満足出来る一時間となった。この市は毎月28日に開かれている。収穫を携え意気揚々と来た道を戻って行く。途中寄り道して「Agosto」(2013/04/14参照)を見に行くが、残念ながら今は閉店し、別な黒いレコードカフェに成り代わっていた…。
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本日の収穫。ベルヌの「化石の森」は実は全三冊の中巻。他に「怪鯨艇」「大渦巻」がある。どうにかして揃えたいものだ…。
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2016年05月27日

5/27島書店の消息と古本屋の歌(ただしメタル)

雨が止み始めたので、表に出て丁度やって来たバスに飛び乗り、練馬へと向かう。後は西武池袋線の高架沿いにテクテク歩き、桜台へ。駅北側にある「島書店」(2009/06/30参照)が、どうも開いていないようなのである。ここ最近入れたためしがなく、『何時行っても閉まっている』とのタレコミまで入っているのだ。それでも少しだけ期待しながらお店の前に着くと、やはり残念ながら閉まっていた。下ろされたシャッターには、旧店舗そのままの「高田書房 桜台店」の文字。脇には空っぽの、錆び付いたラックとスチール本棚が、寂し気に寄り添いながら佇んでいる。
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…あぁ、もう一度どうにかして、あの店頭に大量の本や物品をジャンクに溢れさせ、店内もまたカオスな空間を、蚊に刺されながら探索してみたいものだ…可能性は薄いような気もするが、その時を夢見て、またしばらくしたら偵察に来てみることにしよう。

トボトボ練馬まで戻り、「一信堂書店」(2008/07/08参照)の店頭壁棚に縋り付く。創元推理文庫「思考機械の事件簿 T・U」共にフットレルを計200円で購入し、さらに豊玉地区をブラブラ彷徨いながら、最終的に都立家政に漂着し、久しぶりの「ブックマート都立家政店」(2011/12/13参照)へ。雨モードの店頭を早々にクリアし、店内左奥の古書コーナーに潜入しつつ、テンチョーさんと挨拶を交わす。実務教育出版「絵の特技を生かそう/河原淳」を五百円で購入すると、テンチョーさんが奇天烈なことを言い出した。「お店の歌とPVを作ったんです。お時間あったら、見て行って下さい」と。お言葉に甘え、外のモニター前にスタンバイし、試聴スタート! メタル大好きなテンチョーさんなので、当然店歌もメタルである。歌もPVもなかなか出来は良い。だが三分後、強烈に印象に残ったのは、自動小銃のモデルガンを装備し、ティアドロップのサングラスを掛けたテンションバカ高なアメリカ人…。他に人差し指と小指を立てるメロイック・サインや、『買取』『都立家政』『イングウェイ』などの言葉が頭蓋に刻み込まれてしまう。このお店、ちょっと目を離すとおかしなことを始める傾向にあるので、これからはもっと頻繁に監視しなければならないようだ。このPVは土日限定で店頭で流されているようなので、上記のキーワードにビビッと来た方は、騙されたと思って都立家政を訪ねてみてください。何か魂を吸い取られたような感じに陥りながら、さらにトボトボと帰宅する。

※お知らせ
つい先日「みちくさ市」に参戦したばかりですが、6/4の「西荻一箱古本市」にも懲りずに参戦いたします。ただし今回はいつもと趣向を変えて、大正〜戦後あたりまでのい古臭い茶色い古書に焦点をビカビカ当てて、ゆるやかに箱造りをする所存です。この辺りは大好きで恋い焦がれている時代なので、どんなことになるのやら、自分でも想像がつきません。何だかあまり売れなさそうですが、趣味を同じにする古本修羅のみなさん、どうかフラリと見に来ていただければ幸いです!
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2016年05月26日

5/26東京・下板橋 水たま書店

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二日前の古本屋バイトの代償は、予想通り筋肉痛として、両ふくらはぎを噛むように襲い続けている。特に階段の上り下りに困難を覚えながら、メールタレコミに基づきヨタヨタと外出。池袋で東武東上線に乗り換え、二駅目の湾曲したホームに降り立つ。北口から出てすぐに南に踏切を渡り、後は東武電車の電車溜まりに沿って『谷端川北緑道』を、西に向かってひたすら歩いて行く。目指すお店はどうやら買取専門&事務所のようなので、ほとんど期待はしておらず、表に安売ワゴンが一台でも出ていればラッキー、とあきらめムードで歩き続ける。やがて豊橋という名の橋の名残が現れ、この緑道が暗渠であることに気付きながら、まだまだ西へ。行く手の高速高架が二重に重なった『山手通り』手前の道を南へ。すると左手小さな細長いビルの一階に、本の絵が描かれたサッシ戸と立看板、それに本棚のある空間…ここか。かなり事務所っぽいが、戸が開け放たれているので、オープンな雰囲気が漂っている。えいっ!と中に入り絨毯を踏み締めると、入口近く以外は、本の集まる倉庫事務所的空間である。そこでは、漫画『クローズ』の武装戦線の一員のような青年が黙々と働き、境目のレジ的机では眼鏡のお嬢さんがパソコンとにらめっこをしている。彼女に「ここは古本屋さんなんですか?」と聞いてみると、入口近くの左右壁際棚を指し示し「こちらとこちらは販売しております」とのこと。やったぁ!予想を大幅に覆す、案外しっかりとした古本屋さんじゃないか!右壁には漫画文庫・コミック・アート・村上春樹・ミステリ・児童文学、左壁には海外文学文庫・絶版文庫・ミステリ&エンタメ・人文・古書・雑誌・手塚治虫漫画全集などが並ぶ。本棚五本分程度だが、値段は100〜500円ほどと、とにかく安いのが魅力的。講談社漫画文庫「腹話術師」二見書房「おばけ煙突」共につげ義春、ウスヰ書房「随筆 京都」を計500円で購入する。どの棚も雜本的になかなか良い景色なので、ちょっと定点観測したくなる、小さな店舗部分である。

帰りに高円寺で途中下車し、「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に寄り道すると、よっ!店頭棚で講談社「さいごの番長/吉岡道夫」(ちゃんと函付きだが20刷。「少年マガジン」連載のオールドタイプ不良青春小説。後にソノラマ文庫にも入る)を発見し、100円で購入する。
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嬉しくて購入後に店頭で記念撮影。装画&挿絵は依光隆。番長、シャツ結んじゃってます。
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2016年05月24日

5/24バイトとして古本屋さんの買取に同行する

午前十時二十分の西荻窪。毎度お馴染みお世話になりまくりの「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かうと、お店の方一同で開店準備中。挨拶を交わしながら「フォニャルフ」棚にドバッと補充し、フリペ「私的迷い込み考」を入口を入ってすぐの棚脇に置かさせてもらう。普段ならこれだけで用事は済み、後は帳場周辺で迷惑至極な無駄話を展開してダベるだけなのだが、今日は少し違う…いや、思いっきり違う。何たってお店はまだ開店前なのだ。実はこれから、左手に腱鞘炎を発症し重いものを持てない店主・小野氏に同行し、その手の代わりとなって買取をサポートする予定なのである。…まぁつまりは、重い本を運ぶバイトである。ということですぐに西荻窪を出発し、一時間ほど盛林堂カーで下道高速混ぜ合わせて走り続け、到着した場所は埼玉東部の、とある巨大団地…車窓に流れるのは、築五十年近く経つ古い五階建ての団地群…おぉぅ!恐れていたことが、ズバリ的中してしまった!つまりこの団地には、エレベーターが無い、昔ながらの建物ばかりなのである。うかがうお宅は、見事なまでに五階なのだが…。まず最初は下見がてら、階段をクルクル上がって最上階のお宅を訪ねる。階段も鉄扉も室内も、すべてがなんだか旧日本人サイズで、キュッとしていて居心地が良い。爽やかな風が吹き抜ける玄関に入り、待ちかねていた依頼主と対面すると、買い取るべき本たちは、すでに玄関付近に横積みされ、丁寧にまとめられていた。即座に小野氏は大体の量や質を目算し、今日の作業工程を組み立て、予定スケジュールを告げる。そして一旦買取宅から引き揚げ昼食を摂りながら、さらに綿密な作戦会議を行う。買取査定をするには、全体を把握した後、どんな本があるのかをはっきりさせねばならない。そこで最初は本の山を大まかにジャンル分けして、さらに買取可能本と不能本を選別して行くことに。三十分ほどで依頼主宅まで戻り、早速仕分けに入る。私は主に漫画や雑誌を担当。それにしても、初見で素人の私でも筋が良いのが分かったが、細かく見て行くとさらに面白いものが紛れていることに俄然興奮する。古いサンコミックの帯付き本や、横尾忠則と大伴昌司コラボ時代の「少年マガジン」、石川球太の乱歩作品コミカライズ掲載の「少年キング」、昭和三十年代後半の力道山関連プロレス誌などを発見し、まるで我が物になったかのようにニヤニヤしながら、仕分け続ける。小野氏は玄関に広がった古本群を早速まとめながら結束に入り、効率よく積上げて行く。全仕分けの後査定に入り、依頼主に金額を告げつつ、値付けの理由&内容を詳細にレクチャー。値付に納得していただいた後は、スピード結束に取りかかり、いよいよここからが本格的な私の出番となる…待ってました!つまりは頭も何も使わずに、肉体を駆使して本の山を階下に移動させるのである。大体二十冊前後で一本にまとまった束を両手にぶら下げ、エッチラオッチラ一階まで。それを、ただひたすら機械のように繰り返す。たちまち汗が滝のように流れ始め、紐が食い込む指と酷使された膝が、悲鳴を上げ始める。
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途中冷たい麦茶をいただいたりしながら、結局四十本強の束の山を、計二十五往復して一階へ運び終わる。掛かった時間はおよそ四十分。上がり下りた階段数はおよそ3150段で、団地125階分に相当…膝が、膝が、ケタケタと大笑いしている!…古本屋さんって、なんて大変なお仕事なんだ。素人には驚くべきハードな作業だったが、辛さ的には『中の下』くらいらしい。…お、恐ろしい…。さて、精算を済ませた後は、本の山を車に積み込まなければならない。
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一階階段脇に、結構凶悪な量の古本の山が出来ているが、これを難解なパズルのよう車内各所で組み合わせ、収納しなければならないのだ。だが小野氏の美麗なテクにより、凶悪な山は、たちまち凪いだ海のように美しく、車内に収納されてしまった。
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たった三時間の作業だったが、五十前のオッサンが力の限りを尽くしたので、だらしなくシートに沈み込みながら、西荻窪へ帰還する。到着すると、素早く倉庫に獲物を下ろして、ようやく本日の買取作業行程が終了。肉体面から、改めて古本屋さんの偉大さを知った一日となる。本当にとても良い勉強をさせていただきました。よし、これでバイト任務は終了したが、帰っていい加減自分の仕事もしなければと、バイト代をいただいて、ヨロヨロヨボヨボと家路に着く。本当に疲れたけど、楽しかった。明日はどのくらいの筋肉痛が、この身体を襲うのであろうか…。
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2016年05月23日

5/23野次馬根性で古本屋さんを見に行く

例の都知事政治資金問題で、渦中の一部に巻込まれた古本屋さんを、ちょっと野次馬根性で偵察に行くことにする。小田急線でガタゴト南西に下りながら、光文社「スリラー小説 海の非常線/戸川幸夫」(昭和三十四年刊の海上保安部を舞台にした短篇小説集。保安部員たちが、陸に海に刑事のように活躍して事件を解決して行く)を読み込む。一編の「濡れた男」に、×国のスパイが情報をやり取りする場所として、本郷赤門前の「紙魚荘書舖」という古本屋が登場。『かなり古い、ペンキのはげちょろけたような看板がかかげられていた』などと書かれていて、ついついその外観を思い浮かべうっとりしてしまう。そんなことにうつつを抜かしていたら電車はグングン進み、祖師ケ谷大蔵。まずは本丸を攻める前に、近場の古本屋さんを偵察するつもりなのである。駅から北に商店街を歩いて歩いて「祖師谷書房」(2009/03/05参照)へ。狭い店内を逆U字にウロウロし、作品社「乳房喪失/中城ふみ子」桃園書房「秘録 戦国忍者伝 付・忍術小事典/宮崎惇」を計700円で購入する。節操のない組み合わせだが、初っ端に良い買物が出来た。特に忍者伝は拾い物である。
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駅までスタコラ引き返し、経堂の「大河堂書店」(2009/03/26参照)。店内の手頃でスパイスの効いた文庫をついつい何冊も買いそうになるが、昨日古本を売って少し減らしたのに、早速増やしまくってどうするんだ!と己を少々叱りつけ、リーダーズダイジェスト「世紀の悪党ども/佐賀潜編」角川文庫「謎の冷凍人間/アンガス・マクヴァイガー」を計200円で購入するに留める。この辺りは急行が停まらないので、各駅停車待ちをしてようやく豪徳寺にたどり着き、南側に坂道を上がって「靖文堂書店」(2011/09/06参照)前。今や都知事が月イチで買物するお店として一部に有名である。もしやマスコミが殺到し、オヤジさんが「コラぁ〜!」と撃退しているのでは?などと勝手に妄想が暴走するが、お店は至って静かなもの。オヤジさんも帳場に座ってお仕事中。帳場脇のテレビでは「相棒」が、時折途切れ途切れになり放映中。いつも通りの靖文堂なのである。私もいつも通りお店に入り、いつものように店内をしつこく礼儀正しく一周し、精華書院「佛蘭西印象記/吉江狐雁」(函ナシ)三省堂理科文庫4「生物のふえ方/稲荷山資生」を計200円で購入する。多少拍子抜けしながら家に帰り着くと午後六時。テレビをカチッと点ける。すると驚いたことに、6チャンネルのニュースに、ついさっき仏頂面で精算してくれたオヤジさんが堂々映っているではないか!あぁ、と思わずリモコンを持ったまま仰け反ってしまう。画面には、帳場に座ったまま大写しのオヤジさん…ガッツリ取材を受けている…モザイクや音声変換などの小細工は一切ナシ。そしてしっかりと、都知事の古本買いについて、大いに語っている……どっからどう見てもザ・古本屋のオヤジ。格好良いぜ。
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2016年05月22日

5/22どうにか半年ぶりの「みちくさ市」を駆け抜ける

ちょっといつもより多めかな?と感じる量の本を、引き摺り背負って午前十一時前の雑司が谷。出店料を支払ってから、わたわたと古本を並べ、傘を被ってサングラスメガネをかけて日光対策を施し、準備万端出発進行。おかげさまで五時間を何事もなく駆け抜け、五十四冊の本を売ることに成功。古本を買って下さったみなさま、「古本屋写真集」を買って下さったみなさま、声をかけて下さったみなさま、出店者のみなさま、みちくさ市スタッフのみなさま、お疲れさまでした&ありがとうございました。始終ボヤ〜っとしながらも、楽しく有意義な時間を、行き交う人々を眺めながら、ゆっくりたっぷりと過ごす。お客さんがいない間は、昨日買ったばかりの「明治大正昭和 大事件怪事件誌」を読書して、近代日本のエグく愚かな面を仮想サーフィン。さらに今日は、色々な方に色々な物を差し入れていただいた一日となる。「野呂邦暢古本屋写真集」&「古本屋写真集」にサイン所望の青年からは缶ビールを(隣りの岡崎氏とすぐに飲み干してしまう)。古本中学生ケンタロウ君からは、お茶とサラダせんべいと塩小梅を(中学生なのに気をつかうなよ!)。お隣のますく堂の仲間のひとりから、ひと月に三冊も出している性急なフリペ「民謡人」を。駄々猫さんからは「猫ノフルホン市」のフリーペーパー第参號を受け取ると、「かまねこ文庫」さんと「駄々猫舎」さんが、いつも不忍の一箱で賞品として出している招き猫について書いていたので、恐縮しながらもついつい笑ってしまう。このフリペ、「旅猫雑貨店」さん(2008/07/19参照)に置いてあるはずなので、可愛い古ツア賞・賞品黒猫招き猫について知りたい方は、ぜひ手に入れることをおススメします。
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さらに謎の古本紳士(元古本屋ツーリスト&佐藤さとるマニア)こと、もはや私の“古本あしながおじさん”からは、講談社「だれも知らない小さな国/佐藤暁」の、後期活字タイトルver.装幀違いの一冊をプレゼントされる。あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜っ!これを手に出来ただけで、今日ここに座っていた甲斐がありました。次は同シリーズの「豆つぼほどの小さな犬」をぜひ…などと浅まし過ぎることを考えつつ、盛大に感謝する。という感じで、本当に一日楽しく古本と、古本好きな方達と戯れて過ごす。奇天烈フリペ「私的迷い込み考」は、残念ながら後一歩なのに完配とはならなかったので、せっかく作ったので残部+追加コピーを合わせて二十部弱を「フォニャルフ」棚にでも近々挿し込んでおきます。まだまだご興味ある方はぜひ西荻窪へ。さて、今回庇を借りて本を並べていた岡崎武志氏はと言えば、フラリと現れあっという間に新刊二種を完売してしまったので、後はちょっとしか持って来なかった古本(重いのが嫌だったのである)を「もう帰ろうかな〜」「これで役目は果たしたな〜」とつぶやきつつ、販売継続。その少ない古本の横に座り込む様は、まるでつげ義春『無能の人』の、河原の石を販売しているような、浮世離れした無常感がにょわ〜んと漂っていたのでした…。
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2016年05月21日

5/21東京・渋谷 青山マーケット

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さすがに土曜は、仕事の弾幕が手薄になったので、午前のうちにサッサと外に出てしまう。渋谷の人が蠢く谷底から、『宮益坂』を早足で上がって行く。すると左手に、表に金属製回転文庫ラックも出した完全体の「中村書店」(2008/07/24参照)。午前の日光を浴びる、まだ誰も手を付けていない均一箱を漁り、五月書房「焔と氷 明治密偵風雲録/岩下俊作」(函ナシ)立風書房「厨子家の悪霊/山田風太郎」を計200円で購入。続いて「巽堂書店」(2008/07/24参照)にも食らいつき、東都書房捕物シリーズ6「若さま侍捕物帳/城昌幸」河出書房新社「モンマルトルのメグレ/ジョルジュ・シムノン」を計200円で購入し、多少の古本的満足を得る。だが足は止まらず、そのまま『国道246』を北東にテクテク歩き続ける。やがて閉城した『こどもの城』前を通過すると、丹下健三建築の校舎が聳える『国連大学』に到着する。今日はここで骨董市…いや、アンティーク市が開かれているはずなのだが、場所が場所だけに、いつもの怪しさは発揮されていないのでは?そして古本なんてものは売られていないのでは?と危惧しながらも、やって来てしまったわけである。前庭には、恐ろしい数の爽やかな白テントが林立している。そして多くの幸せそうな人々で賑わいを見せている。中に踏み込むと、そこはいわゆる“マルシェ”のようで、ナナメにそし立体的に野菜や果物、それにたくさんの総菜や菓子が販売されている。どちらかというと、このイベントはマルシェの方がメインのようで、アンティークゾーンは左端に二十店弱が集まるのみ。…そしてとても爽やかでキュートでお洒落である…これは失敗だったか。それでも洋手紙や洋書、昭和三十年代週刊誌&洋裁雑誌、ムーミンのコミックブックなどをが所々に置かれていた。だがイカン!これは、俺は完全に場違いだ!と、何も買えずに場内を彷徨っていると、中庭の方も騒がしく、色々出店が出ている様子。一応見ておこうと、食べ物を手に&スマホを手にノロノロ牛歩する人ごみを、何かのトレーニングでもしているかのように素早く縫いながら前進。途中で、お菓子と切手関連やキノコ関連や珈琲関連や絵本の古本を扱うお店に出くわしたので、吸い寄せられる。本を注視した後、顔を上げると、そこには「SUNNY BOY BOOKS」さん(2013/06/03参照)の柔和で曖昧な笑顔があった。「先週の蚤の市で疲れてるんですが、呼ばれたから、出てみました」とニッコリ。少しだけお話しし、戻って来ることを約束してさらに中庭に進むと、そこはDJブースもまる巨大フードコートであった。だが片隅では「BOOK TRUCK」(2012/05/26参照)が洒落た古本を並べて孤軍奮闘。特定のお店に行列まで出来ているフェス感に恐れをなし、SUNNYさんで秋田書店「たのしい切手」を650円で購入して、早々に退散する。このハッピーな市は、明日も開かれる模様。スタコラ駅へと戻り、まだ時間があるので武蔵小山の「九曜書房」(2009/03/26参照)に急行する。店頭に出ていた「かがくのとも」&「こどものとも」100均箱に丁寧に目を凝らしてから、店内の500均棚にベッタリ。實業之日本社「明治大正昭和 大事件怪事件誌/植原路郎編著」(函ナシ)昭星社「へそくり譚/川原久仁於」福音館書店「かがくのとも」「てじな/アダチ龍一案」「こんなこえがきこえてきました/佐藤雅彦+ユーフラテス」「だんめんず/加古里子」「こどものとも まじょのすいぞくかん/佐々木マキ」を計1400円で購入する。

いよいよ明日は「みちくさ市」。すでに昨日馬力をかけて、その準備はすっかり完了済。おかしな本や古い本、珍しい本やバカな本など共に、岡崎武志氏が新刊二冊を携えいたりいなかったり、「古本屋写真集」も手ぐすね引いて待っていたり、フリペ「私的迷い込み考」が風に舞っていたり、隣りに「ますく堂」(2014/07/20参照)がべったり張り付いていますので、ぜひとも雑司が谷までおいで下さい。午前十一時〜午後四時、待ってます!待ってます!待ってます!
http://kmstreet.exblog.jp/
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2016年05月19日

5/19期せずしてペーパーが完成してしまう

家の前の大きな銀杏の木で、一日中烏が鳴いている。朝から晩まで鳴いている…それを知っているということは、今日も机に齧りつきっ放しだったわけである。確かに仕事は大事だが、古本屋ツーリストとしては、誠に不甲斐ない事態に陥ってしまっている気が…いや、今はひたすら我慢の時…この悔しさをバネにして、六月に飛び出そうではないか。恐らく梅雨で雨が降っているはずだが、構わず飛び出そうじゃないか!などと手を動かしながら懊悩し身悶えしていたら、いつのまにか今度の「みちくさ市」で配るフリーペーパーが完成してしまった。「私的迷い込み考〜古本屋さんから妄想する別世界への侵入〜」と名付けた、モノクロB5一枚の怪文書的ビジュアルな、戯れ言論考モドキである。『迷い込む』という行為の、楽しさの源泉や意味について、足りない頭で仕事の合間に考え続けたら、意外なほどの長文が完成。思えばフリーペーパーを作るのは、「古本修羅十戒」(2014/12/16参照)以来である。なのでブランクのある今回は、ちょっと難解というか、文章自体が隘路に迷い込んでしまったような妙なペーパーなのだが、まぁいつものように結局は古本屋さんに着地しているので、ご興味持たれた方は、5/22(日)に雑司が谷まで、ぜひとも取りに来て下さい!五十枚ほど用意しましたので、よろしくお願いいたします!…あぁ、まだ暗がりで、烏がガァガァ鳴いている。
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2016年05月18日

5/18机から距離を取れぬ日々2

残念ながら今日も机に齧りついている。なかなか進展せぬ状況に、もういっそのこと今から古本屋を巡り倒してしまおうかという不謹慎な思いが頭の中を駆け巡るが、我慢我慢…。だが午後、重要な打ち合わせのために外出し、駅前の喫茶店で、これから初秋にかけて、共にキツい激戦を繰り返すはずの仲間たちと密談。まずは六月の正念場に向けて気を引き締める。二時間弱の白熱した打ち合わせを終え、強い日射しの下を、再び机に齧り付くために、トボトボと家路をたどる。だが少しだけ抵抗を試みて、「穂高書房」(2009/02/15参照)の店頭台を覗き込んでみるが、残念ながら収穫ナシ。こうなると何だかどうしても古本を手に入れたくなってくる。『旧中杉通り』まで戻ってテクテク北へ歩いていると、いつもはそれほど気にかけない「ネオ書房」(2010/02/09参照)が気になってしまったので、年季の入った店頭棚に目を光らせてみる。すると早速、正面左端に挿さった、一冊の薄い簡素な本に違和を感じ取る。仙花紙本みたいだが、背に『仁木悦子』の文字が…おかしいな。時代が合わないじゃないか…引き出してみると、1980年に北京で出版された「猫は知っていた/仁木悦子」の中文書であった。なぜこんなものがこんなところに!ワハハハ!北京語だと「猫知道」になるのか。表紙の猫が、稚拙でとても可愛いじゃないか。それにしても、1980年の本とは思えないチャチさで、まるっきり昭和二十年代の仙花紙本そのものである。奥付を見ると初版で十五万冊刷られたとあるが、定価が0.48元とは言え、にわかには信じられない部数である。あとがきは筑波大学教授の大内茂男なる人物が担当しており、江戸川乱歩賞の歴史や、仁木悦子の来歴&著作についての説明らしきものが掲載されている。もちろん読めないのだが色々楽しいので、喜んで50円で購入する。おぉ、一冊の妙な古本のおかげで、何だかくさくさした気分が吹っ飛んだぞ!
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珍本との出会いが嬉しかったので、表に出るなり袋から本を取り出し記念撮影。
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2016年05月17日

5/17机から距離を取れぬ日々

机に齧りつく日々が続いている。本業の仕事をタイトなスケジュール通りにこなすために、外に飛び出したい気持ちをグッと押し殺して、締め切りがすぐそこのデータを仕上げては、返事待ちの繰り返し…返事が来たらすぐに新たなデータを仕上げねばならぬので、まったく身動きが取れないのである…。おかげで今日も電車に乗れそうにないが、後でちょっとだけ古本を買いに行くことにしよう。ところでここ二日ばかり、豪徳寺の「靖文堂書店」(2011/09/06参照)の検索率が異常にアップしている。いったい何事が起こったのか?もしやお店に何かあったのだろうか?と訝しがりながら調べてみると、どうやら渦中の都知事が月一回訪ねるお店として話題になっているようだ。ほへぇ〜。本当だとしたら渋過ぎるな、都知事。これはもしや、今「靖文堂」には取材陣が殺到し、物見遊山のお客が増えているのではないだろうか…近々古本買いがてら、偵察に行ってみることにしよう。そして朝ご飯のパンを齧りながらテレビ朝日の『じゅん散歩』を見ていると、今日の散歩地は大泉学園で、見事に「ポラン書房」(2009/05/08参照)が登場。平野甲賀のリトグラフに惹き付けられる高田純次と、店内にいた古本屋志望の若者を、液晶の中に眺めながらモシャモシャ咀嚼し続ける。

午後隙を捻出し、傘を差してすぐ近くの「銀星舎」(2008/10/19参照)へブラリ。勝手にパソコンのOSが10にアップされ、てんてこ舞いの旦那さん店主に気付かれることなく店内を探索。途中現れた奥さま店主と挨拶を交わし、OSを勝手にグレードアップする“環境型権力”の非道さについて意見を交換する。そして大変お取り込み中のところを精算していただき、小学館文庫「大正野郎/山田芳裕」(何度読んでも傑作!)集英社文庫「天使の復讐 風太郎傑作ミステリー/山田風太郎」河出文庫「恐怖通信U/スプレイグ・デ・キャンプ他」講談社現代新書「人形作家/四谷シモン」を計700円で購入する。

そんなことをしながら、まだまだ続く待ち時間の合間に、5/22日曜の「みちくさ市」で配るフリーペーパーについて構想を重ねる。一応テーマは、古本屋に迷い込むことに端を発する『迷い込み考』となる予定。うまく着地出来るかどうか不安だが、いつものように思いつくままに書き連ねるしかないので、最終的にはなるようになるはずである。そんな考え込み、作業する仕事場に行くのにも、実はちょっとだけ、常に古本の山に迷い込まなければならない…下の写真は、仕事場の真ん中に通る短い鍵型の迷い込み通路を、机側から俯瞰したものである。改めて見ると、これはヒドい。ヒド過ぎる…。
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2016年05月15日

5/15東京・高幡不動 高幡不動ござれ市

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今日もパンを一枚齧って、午前の早いうちに家を出る。一時間弱かけて目的駅の南口に出ると、ロータリー右手には『高幡不動尊参道』とある赤く高いゲートが、ビルの間に挟まっている。現代的な門前商店街の参道を抜け切り『川崎街道』に出ると、目の前には大きな不動門と、『国宝 高幡不動尊』とある簡素な総門が立ちはだかっていた。すでに周辺は多くの壮年&老年客でにぎわっている。不動門脇には、古着物や和装の露店が出ており、たくさんのご婦人がしゃがみ込んで、しゃかりきに吟味している。左の総門から奥へ入って行くと、土産物屋ゾーンを過ぎてから、境内の様々な場所に骨董&古道具の露店が広がっているのに気付く。左の山上に向かう小道や、正面の山門までの参道。それに不動堂や奥殿を囲むように露店が続き、およそ百店近くが立体的に出店(建物の裏側や狭い場所にも!)しているのだ。それが境内やお堂の雰囲気と相俟って 、なんだか時代劇で見かける江戸の泥棒市にでも迷い込んでしまったような、奇妙な錯覚を覚えてしまう。しかし古本を求めて彷徨い始め、和式ナイフの『肥後の守』を扱うお店が多いなと思っていると(ということは肥後の守は売れ線なんだ)、ぎゃぎゃっ!昨日護国寺で見たばかりのお店が!うわっ、こっちには武蔵五日市で見たお店が!と、ここ最近骨董市に通い詰めている弊害を、まだまだ骨董市初心者なのに早速発揮してしまう。…いや、これはアグレッシブに攻めた結果で、仕方のないことだ。それにお店側も古本を補充したり入れ替えたりするはずじゃないか。そんな風に気持ちを入れ替え、物品の溢れた迷路のような境内を散策続行。洋書箱・美術本・新聞紙箱・ミニチュア本・地図箱・古雑誌箱・反古箱・観光葉書箱・パンフ箱・マッチ箱箱などと出会い、手と顔を突っ込んで回るが、今日は巡り合わせが悪いのか欲しい物に行き当たらない。まぁこういうこともあるかと、半ばあきらめムードで二周目に入ったところ、女性向古雑貨店で目に留まったのが昭和三十三年たのしい二年生5月号付録「りかずかん はるの花」である。巻表紙の中に虫と植物のカードが入った他愛ない付録なのだが、表紙周りの絵は若菜珪が担当しているではないか!よし、これなら欲しいぞ。と500円で購入する。続いて別のお店で、昭和三十一年幼年クラブ10月号ふろく「がくようひんとおもちゃ」を発見し、こちらは300円で購入する。お店が多くて雰囲気も抜群だったが、古本的にはいまいちであったなと、多少しょげつつ都心へ引き返す。この市は毎月第三日曜に開催。
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これは「はるの花」裏表紙のプリティーな男子。

古本的満足を身体が欲しているので、高円寺で途中下車して「西部古書会館」の「杉並書友会」二日目に立ち寄る。牧神社「味覚幻想/日影丈吉」雄山閣出版「秘密探偵局捜査メモU/高木彬光」(箱ナシ)を計500円で購入しながら帳場脇で、一週間ぶりの今日も元気な「古書 赤いドリル」さんと立ち話。

閑話休題。先週の月曜〜金曜にWOWOWシネマで夜に放送された『名匠たちのフィルム・ノワール』は、どの映画も血湧き肉踊り、毎日大変興奮してしまった。「ジョニー・オクロック」(「ハスラー」のロッセン初監督作品)「狙撃者」(「ワーロック」のドミトリク監督。男女が仲良くしているのを見ると、イライラが頂点に達してしまう社会不適合者の若者が、ライフル片手に街に暗躍)「殺人者はバッチをつけていた」(キム・ノヴァク出演。同年公開のヒチコック「裏窓」と似たようなシチュエーションで展開する張り込みサスペンス。「裏窓」よりさらに様々な建物内擦れ違いアクションが採用されているが、面白いのはやはり、奇しくもその次の日にNHKプレミアムで放送された「裏窓」であった。ヒチコックってやっぱりスゴい!)「クリムゾン・キモノ」(サミュエル・フラー監督の刑事相棒物に三角関係が加わりそこにさらに人種差別(日系人に対する)が加わり唐突に絡み合う異常な作品。テーマ曲は『赤とんぼ』)「殺人地帯USA」(同じくサミュエル・フラー監督のド執念の頭脳的復讐物だが、こちらは間違いなく傑作!テーマ曲は『蛍の光』)の、1950年代周辺の五作品。すべてコロンビア映画製作のモノクロ作品で、通底する暗黒街的世界観は初期の創元推理文庫(拳銃or黒猫マーク)やハヤカワポケミスを彷彿とさせ、あのちょっと硬めで分かり難いが、極めてスタイリッシュな文体の世界を、映像で垣間見させてくれたのである。また、若松孝二・大和屋竺・足立正生などの硬派奇天烈ノワールピンク映画と似たような匂いもプンプン。それは、血と硝煙と犯罪とブロンド女の匂いに酔い痴れる、有意義で幸福な毎夜の一時間半であった。映画はやっぱりこのくらいの長さが、一番じゃあないだろうか。
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2016年05月14日

5/14東京・護国寺 護国寺骨董市

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パンを一枚齧って午前八時過ぎに家を出る。長い階段を上がって『1番出口』から地上に顔を出すと、そこはもう護国寺の敷地内。踵を返して石畳の参道を進む。仁王門を潜り、上がり易く工夫された階段を上がって不老門も潜ると、まずは長芋や絵画を売る出店が現れ、さらに数段上がると、五十店ほどの骨董&古道具店が、本堂正面と右手奥に向かって、怪しく古い物品と共に広がっていた。人影はまだ疎らだが、みな熱心に店主と話し込み、掘出し物を求め、さらには交渉を繰り返している。おぉ!軍服姿の店主はたまに見かけるが、紋付袴の侍姿は初めて見るぞ。などと、まだまだ骨董市初心者っぷりを発揮しながらも、私の目は相変わらず古本のみを求めて止まないのである。50均文庫箱・100均古書通信・昭和三十年代婦人雑誌・ビジュアル本箱・反古箱などを各所で見つけるが、一番面白かったのは、右奥の本部前に出ていた映画関連紙物箱二つ。薄っぺらい大正〜戦後辺りまでのチラシや映画館ニュースや映画プレスに混ざり、カストリ雑誌・少年雑誌・小型本などが紛れ込んでおり、値段はわりとしっかりめ。散々ガサゴソかき回し、日本出版配給株式會社「實話と讀物 昭和二十二年八月 初秋讀切特選號」(裏に『PRINTED IN OCCUPIED JAPAN』の印刷あり。海野十三の短篇探偵小説『二重錠』が掲載されていたのが決め手。だがこの二十五枚ほどの作品、なかなかにヒドい!特殊な日本家屋で起こる密室事件物だが、現場が密室なのではなく、容疑者のいた場所が密室だったという変わり種。途中までは本格っぽく確かに面白いのだが、最後の最後で日本家屋でそれをやっちゃダメだろ!というオチが着くのである。海野先生、まさかカストリ雑誌だからって、書き飛ばしたのであろうか…。でも、こういう瑕疵のある作品って憎めない。というか大好物!調べてみると三一書房の全集には収録されていない模様)を千円で購入する。
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そして不老門近くの一店で紙箱を漁っていると、あれ?この本見たことがあるな?これも…あっ、このお店、先日の「靖国神社青空骨董市」(2016/05/08参照)に出ていたお店じゃないか。…新しい扉を開いたはずなのに、通い詰めて行くと早速こんなことが起こってしまった。こういう経験を重ね、人間は段々新鮮味を失い、擦れて行くのであろう。だが負けてなるものか。まだまだ骨董市の世界は、恐ろしく深く、広いはずなのだから。この市は毎月第二土曜日に開催される。

さて、午前中にツアーを済ませたので、優雅な午後は、「フォニャルフ」棚の補充に向かうとするか。というわけで午後二時半に家を出て、テクテク歩いて西荻窪を目指す途中、当然の如く「ささま書店」に立ち寄り、青樹社「ペトロフ事件/鮎川哲也」ケルン新書「単独登攀/瓜生卓造」を計210円で購入。さらに先を目指すべく、NTT脇で信号待ちをしていると、ふと駐車場のフェンスに取付けられた、ブリキの町内地図が目に入る。普段は気にも留めないのに、何故だか惹き付けられて目を凝らすと、今立ち寄ったばかりの「ささま書店」が「さきたま書店」となっていた…“き”と“た”はいったい何処からやって来たのか…そして「ささま」のみなさんは、この余りにも至近に存在する間違いを、ご存知なのだろうか…。
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2016年05月13日

5/13東京・末広町 レオナルドLG

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『2番出口』から、五月とは思えない日射しがギラつく地上に出て『蔵前橋通り』を東へ。四本目の脇道をスッと北へ入ると、わりと殺風景なビル街の裏通り。ツイツイ北に滑って行くと、右手に『プラモデル』と書かれた幟がはためくのが嫌でも目に入ってくる。中古プラモデル屋さんなのだが、どうやらプラモに関連する古本も販売しているようなのだ。ちなみに不器用な私にとって、プラモデルは大の苦手分野。幼き頃、器用な兄が塗装し組み立てた、飛行機・車・戦車・ロボット・怪獣などに憧れ、弟の本分としてそれらに猿真似的に追随し手を出したのだが、その出来は無惨なものばかりで、最終的には爆竹の餌食になったり、花火で溶かされたり、岩で叩き潰されたりと、哀れな末路をたどって行ったものだ…。箱ナシ袋詰めのプラモが安売される店頭を抜けると、店内には深めのスチール棚が林立し、組み立てられるのを眠り姫のように待ち続けるプラモたちが、天然色的な絵が印刷されたボール箱に収納され、静かに大量に陳列されている。午前十一時だというのに、お客さんの姿が多い。箱の側面にも印刷された懐かしい絵に特殊な郷愁を覚えながら、ボール箱&プラスチックの森を彷徨い、古本の影を追い求める。すると倉庫のような空間の右奥に、結構見事な古本通路を二本発見する。洋書の車&兵器写真集・100均洋書・100均和書・車雑誌・戦争ペーパーバック・「タミヤニュース」などのプラモ会社PR誌・軍隊&自衛隊・兵器&戦闘機&艦船雑誌・模型&プラモデル雑誌など。すべてはプラモデル関連と、プラモデルを作るための資料と、プラモデルにさらに歴史的な命を与えるための本ばかりが集まっている。中にはプラスチック成型の本なども。雑誌はよほど古いものでなければ、500円以下とリーズナブルである。何を買おうか散々迷うが、奥の棚の最上段に忘れ去られたような小型の中綴じ本を一冊発見。手にしてみると、まったく場違いな三菱ふそう自動車株式会社「相撲のきまり手/監修 秀の山勝一」…何故ここにこんなものが。相撲のプラモなんてあったっけ?だが、プラスチックと鋼鉄の文献に紛れ込んだ、生身の肉体文献に面白さを見出し、お店にしてはちょっとおかしな本なのにレジのお姉さんに何事もなく精算していただく。

表に出たら、近くに支店もあるようなので、そこも訪ねてみることにする。『外神田五丁目交差点』際の雑居ビル四階には2号店があるが、ここに古本はナシ。この辺り、どうも来たことがあると思ったら、隣りのビル二階がゲーム関連の古本も扱う「フレンズ」(2011/06/09参照)であった。続けざまに『蔵前橋通り』を西に向かい、『妻恋坂交差点』手前の細道を南下すると、またもや『プラモデル』の幟が目に入る。鍵の手の道に入り込むと、そこが3号店。
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ドアを開けるとすぐ左手が古本通路になっている。一般書も混ざる100均棚・軍事兵器関連雑誌・プラモデルフィギュア雑誌・戦争関連、それにプラモデルの説明書がファイリングされ販売されている。奥には乗物&戦争関連洋書がドッサリ集まり、足元には100〜200円の文庫箱も。ハヤカワ・ミステリ文庫「飛行士たちの話/ロアルド・ダール」を購入する。秋葉原には、専門的なニーズに応える古本売場が、まだまだ潜むのを改めて認識し、午前中からメイドが出没する裏通りを、早足で駅へと急ぐ。
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2016年05月11日

5/11さよなら閑古堂半額セール

鶴見の「閑古堂」さん(2009/04/05参照)から久しぶりに連絡が来たと思ったら、何と五月二十六日にお店を畳んでしまうという。ついては半額セールを始めるので、ぜひ一度ご来店下さいとのメールなのであった。あぁあぁ!ちょっと怪しくくだけた鶴見の東口で大衆文化を支え続けた古本屋さんが閉店とは!とまずは大いに嘆きまくるが、実はそのメールには、凄まじい驚くべき写真が添付されていた。うわわわわっ!ななな、なんだこれはっ?それは、この一月にお店の看板が、無惨にも外壁と共に落下している写真であった。
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※閑古堂撮影の衝撃の古本屋事故写真。大きなプラ看板が外壁もろとも…。現在夜間は店頭が真っ暗になってしまうので、工事現場で使うような投光器を煌煌と輝かせているそうである…。
あまりにも不意打ちに突然に、地震のような大音響と共に、落下してしまったとのこと。幸い怪我人はいなかったのだが、この看板落下は事故扱いとなり、警察・消防車・レスキュー隊・救急車も駆け付ける大騒ぎに。写真を見れば分かる通り、完全にお店の入口が塞がれてしまっている。そこでレスキュー隊の出動となり、店主の鈴木氏は救出されるという形になり、何処も怪我していないのだが、救急車に収容されてしまったのである。…この事故がきっかけのひとつとなり、店舗を閉める決意を固めて行ったらしいのだが…。

京急鶴見駅の東側に出て、雑居ビルの裏通りをたどると、すっかり化粧直しされた「閑古堂」前。
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ずいぶん印象が変わったことを感じつつ、雑然とした店頭を通過して店内に入り、鈴木氏に挨拶する。本を見る前にしばらくお話しし、この地で二十三年続いたお店についての万感の思いを聞かせていただく。だが、長年相棒だったお店と別れるのは寂しいが、逆にこれからは、店舗に縛られない生活を楽しみにしているとのこと(今後の古本屋としての活動は即売展とネット販売が中心)。何より大好きな古本屋巡りを再開できるという意気込みは、まるでウブな少年のように血気盛んなものであった…これはウカウカしていられない…。閉店セールは明日十二日からなのだが、ご好意で特別に前倒しでセール適用していただくことになり、店内をジロジロウロウロ。河出文庫「かぶりつき人生/田中小実昌」角川文庫「人民は弱し 官吏は強し/星新一」池田書店「盆栽入門/加藤照吉」潮出版社「黒鳥の旅もしくは幻想庭園/中井英夫」芸術生活社「芸術生活'74 8月号 さしえの黄金時代」を計700円で購入する。最盛期は十二店のお店が鶴見にはあったそうだが、「閑古堂」の閉店後は、西口の「ブックオフ」と「西田書店」(2009/04/05参照)の二店だけになってしまう。なんという寂しい状況だろうか。その辺りの裏道に、ひっそりと知られざる大衆店が、潜んでいたりしないものだろうか…。

機会があれば閉店までにまた来ようと思いつつ、大森で途中下車して「松村書店」(2009/09/25参照)にたどり着き、壁棚に挟まれた通路だけの小さなお店に心癒され、角川文庫「人外魔境/小栗虫太郎」ゆまに書房 天人社復刻版「現代映画藝術論/岩崎昶・武田忠哉・飯島正・袋一平」を計700円で購入する。
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2016年05月10日

5/9場末で二人の古本屋さんと飲む

午後遅くに、雨が本降りになりかけてから外出。目指すは京浜急行の日ノ出町駅なのだが、その前に川崎で途中下車し、古本屋さんを偵察。老舗の「近代書房」(2008/09/07参照)では誰も店内にいないと思いきや、中央通路のアダルトに群がるオッサンたちに圧倒されつつ、左側通路奥でハシゴに縋り付き文庫棚最上段を丁寧にチェック。朝日文芸文庫「魔都/久生十蘭」を抜き出し300円で購入する。続いて傘を差して東に歩き、今日は比較的静かな「朋翔堂」(2008/09/07参照)をじっくりゆっくりたっぷりと調査。いつ見ても魅力的な左端通路手前側の105均棚から、当然の如く本をたくさん抱え込んでしまう。ほるぷ出版「海底軍艦/押川春浪」日本佛教新聞社「神秘と迷信の研究/牧田彌禎」さんいちぶっくす「他人の城/河野典生」上方芸能出版センター「関西のテレビドラマ史/土居原作郎」早川書房「S・Fマガジン 1961 4 クラシック特集・特大号」を計1025円で購入する。

こんなに買うつもりじゃなかったのにと思いつつ、日ノ出町駅改札外で、「たけうま書房」さんと「古書 赤いドリル」さんと合流。テクテク歩いて野毛の飲屋街を目指す。最近ひょんなことからたけうまさんと連絡を取り合い、ぜひ近々一献!と約束したら、市で買い過ぎてほぼオケラのドリルさんも駆け付けてくれたのである。場末の街の片隅の、建物内飲み屋横丁アジア料理&鉄板焼き屋に腰を据え、食べるのそっちのけで、ワイワイ話しながらビールやハイボールをぐびりぐびり。お店撤退の話、黄金町の話、伊勢佐木モール古本屋街について、三人の年齢が49(私)〜48(ドリル)〜47(たけうま)とキレイに順序よく並んでいること(この年代は普通に会社に勤めていたら、もはや課長クラス。それに比べて我々は…と三人ともが一瞬頭を抱えたりする一幕あり)市場で古本を買うこと売ること、買取について、目録について(ドリルさんがいよいよ自家目録を出すという話も…)、東京と神奈川の関係性、古本屋はガリンペイロだ!、映画本&音楽本の未来について、お金を稼ぐことなどなどについて、ほぼ聞き役に回りながら、目の前に座るハイテンション&ローテンションコンビの古本屋的掛け合いを、酔っ払いながら楽しく拝聴し続ける。
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と言うか出会ってから数年、いつの間にか、二人とも立派な古本屋さんとなっているのに、しばしあっけにとられる。その数年の短い間には色々あった。本当に色々あった。共に店舗経営からスタートし、紆余曲折あって共に店舗を畳み、ドリルさんは現在は即売展に精力的に参加し、たけうまさんはネット販売を主力にしている。それでも、出会った当時の古本が好きというのが大前提で、そこから色々始め広めたいという気持ちが、今でもまったく変節することなく、二人の心の中に居座っていることに、密かに感動してしまう。おかげで、とても気持ち良く酔っ払ってしまった。黄金週間明けの楽しい三時間余。表に出ると、雨はさらに激しさを増している。月曜だというのに、酔客が溢れる街をビシャビシャ歩き、三人ともちょっと早めの、それぞれの家路をたどる。
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2016年05月08日

5/8チャリティセールと三たびの骨董市

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昼飯を終えてから、また風の強い五月の阿佐ヶ谷をブラブラ。「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、店頭で昨日今日と開かれている『熊本義援金チャリティーセール』(店頭均一の売り上げはすべて義援金に)を覗く。本の他にもCDやLP、それにベビー服などが並んでいる。右側の文庫棚から二冊抜き取り、棚上に積み重なっていたタワーの下部からさらに本を抜き出そうとすると、上の本を棚の裏に無様に落としてしまう。ダダダラン!と派手な音が響き、しまったと隙間を覗き込むと、遥か下に本の哀れな姿が…これではとても手は届かない…。とそこへ、異音を聞き付けたのか店内から若奥さまが出て来たので、慌てて状況を説明し、謝罪。すると「大丈夫ですよ〜。いいんですよ〜」と菩薩のような笑顔を見せて許していただく…まるで悪戯を見つけられた小学生が慌てているようで、とても恥ずかしい…いや、とにかくご迷惑おかけしました。しかしそれでも古本は買う。ハヤカワ・SF・シリーズ「宇宙大作戦No.1/ジェイムズ・ブリッシュ」ちくま文庫「食物漫遊記/種村季弘」ミリオン・ブックス「パリの石甃/田付たつ子」新潮文庫「日本の喜劇人/小林信彦」を計566円で購入する。本当にすみませんでした!

古本がどうにか救出されることを祈りつつ、初夏の風に誘われてフラフラと市ヶ谷へ。昨日手に入れた雑誌「MEN」は、まだパラパラと気になるところを読んだだけだが、なかなか面白い。宇多仁一という未知の作家の作品に「珍理試験 自信がありすぎた男」(タイトルは誤植で「珍理心験」になっている…)というのがあり、タイトルから容易に察せられる通り、乱歩の「心理試験」のリスペクト&パロディー小説だったりする。さすがカストリ雑誌。こんな埋もれた作品に出会えるとは!と大いに身悶えし、予想の斜め上を行く作品と出会わせてくれた骨董市にも感謝してしまう。だから今、私は市ヶ谷に向かっているのである。何故なら靖国神社で「靖国神社青空骨董市」が開かれているので、骨董の海から古本を掬い出す感動に三たび身を浸すために、性懲りもなく向かっているのである。長い塀の横を歩き、境内に入って高みから見下ろす双眼鏡を持った大村益次郎像に挨拶し、参道横の長細い林の中に八十店近くが広がる会場着。
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すでに時刻は午後三時なので、撤収に入っているお店も多い。ちょっと焦りながら早足で各店をチェックして行く。場所が場所だけに、日本軍関連の古道具&骨董が良く目に入る。古本は、映画関連本をシートにばらまいたお店、しっかりした古書にしっかりした値段を付けたお店、満州関連本を集めたお店、洋裁&婦人雑誌を平積みしたお店、古新聞を高値で売るお店などを見かけるが、それらでは何も買えず終い。だが、一番奥の売店に近い所に反古を詰めたダンボールをたくさん並べているお店が出現。くしゃくしゃの和紙や新聞紙を掘り返すと、古本がちょこちょこと姿を現すではないか。一生懸命柔らかな紙にまみれ、大日本雄辯會講談社「父と子/池田宣政」(カバーナシ)を見つけ、300円で購入する。さらにその脇にあった紙物+手帳箱を出しているお店で、手帳の山に手を潜らせまくっていると店主に「そこのはね、200円とか300円。みんな安いよ。古本屋にあったら高い本も、安く売ってるよ」と煽られ、さらに必死に手を動かす。実業之日本社「ポケット菜根譚/五島慶太」を200円で購入する。それにしても、この骨董市にどんな古本が紛れているか分からないトキメキは、なんなんだろうか。またよほどの本でなければ、かなり安くしてくれるのも、そのトキメキをアップさせている。あぁ、この黄金週間に、何だか新しい扉が開いてしまった気がする。俺の古本冥府魔道は、いったいどこに向かっているのやら…。

※おしらせ
5/22(日)に参戦する「みちくさ市」ですが、「フォニャルフ」ブースのゲストに「岡崎武志堂」が来てくれそうです。私のおかしな古本群に加え、少しの古本販売+岡崎氏の二冊の新刊「ここが私の東京」「読書で見つけた こころに効く「名言・名セリフ」」も発売予定。もちろん「古本屋写真集」も!そしてさらに店主も来店予定ですので、ぜひこの日はフラフラ〜っと雑司が谷においで下さい。ちなみに私はまだなにひとつ準備しておりませんので、追々頑張ります!
posted by tokusan at 18:26| Comment(6) | TrackBack(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月07日

5/7千葉・木下 木下駅南骨董市

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今日も懲りずに(というか味を占めて)骨董市を目指す。たまたまひと月前にテレビで目にしてから、毎月七日の開催が巡って来るのを、ちょっとだけ心待ちにしていたのである。強い風が吹き荒れる早朝のJR成田線は、田植えが完了した水面に細かなさざ波が立ち続けて止まない田園風景の中を、軽やかに滑って行く。『きのした』ではなく『きおろし』と読む駅に着いたのは、午前八時四十二分。南口に出ると人気のない寂れたロータリー。だが、そこから東に向かって三十メートルも歩くと、南に延びるシャッターを下ろした『木下駅南口商店街』に、およそ七十の骨董店が、かりそめのお店を広げていた。すでに多くのお客さんの姿があり、あらゆる古物に鷹のような蛇のような鋭い視線を照射している。一見すると、誰が店主で誰が客なのかよく分からない…。並ぶ品物は、定番の古雑貨に加え、ジャンク品・古布・古銭・大物骨董品(人間大の仏像までも!)・民具・絵画などがよく目につく。だが商店街を入ってすぐの所に、ダンボールに古本を詰めたお店が広がっていたので、早速古本心は有頂天に!エロ小説・エロ雑誌・獅子文六・書道和本・大型美術本・医学書・絵葉書…うぅぅん、古本があったのは素晴らしいが、完全に食指は動かない…。仕方なく百メートル弱の通りを南下しながら、両側に並んだお店をチェックして行く。300均歌本箱・カラーブックス箱・鴎外全集箱・図録箱などを見かけるが、やはりめぼしいものはナシ。中頃のお店の和本タワーを探索し、俳優座のガリ版刷り台本「未必の故意/安部公房作」「門 わが愛/夏目漱石作・早坂暁脚色」を計200円で購入出来ただけで終わりそうな雰囲気に、すっかり意気消沈し始める。途中、仮面ライダー&円谷系のソフビを山にして出していたお店があったので、古い2号・V3・アマゾンの値段を聞いてみると、1500円〜2000円。どうしよう?と一瞬悩むが、いや、俺は古本を買いに来たんだ!そう残り少ない闘志を燃やし、それなりの値段がするソフビの誘惑をすっぱりと断ち切る。意を決して最初のお店へ戻り、もう一度箱内をチェックしたり、絵葉書箱を漁って東京検事局肩書きの古い名刺を買おうかどうか迷ったりしていると、箱が寄せ集まる島の中央の大型美術本が置かれた隙間から、さっきは気付かなかった、なんだか雰囲気のある古雑誌の一部が覗いているではないか。慎重に上になった本を退かしてみると、A5サイズの64〜66ページと薄手の雑誌、スタア社「MEN 男だけの雑誌」が五冊キレイに重なっていた(昭和二十三年 新年號・二月號・3月號・五月號・七月號)。手にしてみると、聖林映画情報を中心に、翻訳探偵小説・風俗小説・スポーツ・ファッション・米仏風俗&世相などを掲載した男性誌である。おっ、辰野九紫の小説が!保篠訳「古城の秘密」はルパン対ヘルロック・ショルムスだ。野口久光・前谷惟光・横山隆一・小野佐世男・花森安治が挿絵を描いているが、長澤節と岡本太郎なんてのも!そんな風に驚き喜び店主のご婦人に値をうかがう。「それは…一冊400円」「ということは五冊で二千円…」「でも…一冊200円でいいよ。400円で売りたいんだけど200円でいいよ」「ということは五冊で1000円。ありがとうございます!」とめでたく購入。早起きして来た甲斐がありまくりとなりました。骨董市、門外漢でも楽しいな。だが、これで古道具&骨董にのめり込んだら、大変なことになりそうだと、軽く己を戒めて、当分は古本だけを追い求めようと心にそっと誓っておく。
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素敵にバタ臭い表紙絵は塚本茂。五冊とも経年劣化以外はなかなかの美本である。
posted by tokusan at 13:52| Comment(4) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする