2016年07月31日

7/31東京・田端 ぐぅふぃ〜

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都知事選の投票を済ませて、高円寺まで歩いてまずは「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に飛び込み、棚の最上段に並んでいた『雨の日文庫』の箱内をすべてチェックするも、お目当ての冊子が見つからなかったので、調べまくった箱を何食わぬ顔して棚に戻し、何も買わずにお店と高円寺を離脱して、メールタレコミのあった古本も売る玩具屋さんを目指すことにする。北口の改札を抜けると『新田端大橋』の上。青空にモクモクと成長する積乱雲の、あまりにはっきり見えるディティールに戦きながら、橋を東北に渡り切る。そして北西に横断歩道を渡り、道路ではなく脇の階段+歩道の坂を下って道路下を潜ると、目の前には『田端駅下仲通り』の侘しい商店街の入口がある。そこに素直に入り込み、道なりに北西に曲がり込むと、左手ビル一階にタミヤマークを掲げた玩具屋さんが姿を現す。おっ、確かに店頭に古本が並んでいるようだ。店頭左にはガチャガチャ群と自販機があるが、妙に映画ポスターやチラシなどが飾られているのが気になるところ。右側に三台のワゴンが並び、左は「キネマ旬報」と昭和四十〜五十年代映画パンフ、真ん中が一般文庫+実用で、右が、柴田錬三郎・「歴史読本」・昭和四十〜五十年代推理小説となっている。本はすべてビニール袋に包まれ、ほぼ百均である。SFやB級映画の多い映画パンフに食いつき、一冊抜き取る。『手動』と書かれた元自動ドアを開けて中へ入ると、プラモ系のお店かと思いきや、ゲーム機も店内に置いた、わりと純然たる玩具屋さんで、プラモデルやカード以外にも、何やらデッドストックの玩具やゲームが取り残されている楽しい気配。真ん中にガラスケースに囲まれた帳場があり、そこで石川球太自画像のようなオヤジさんが、はしゃぐ子供たちと楽し気にキャッチボール的会話を交わしている。入口左横にも本の山があり、「美味しんぼ」群の下に昭和五十年代推理ノベルスを確認。さらにカードを必死に選ぶ巨漢客の向こうには、さらに二台の古本ワゴンがあるではないか。古い玩具に目を奪われながらもたどり着くと、ひとつは歴史&時代劇ワゴンで、もうひとつはコミックワゴンとなっていた。結局そのまま表から持ち込んだ映画パンフをオヤジさんに差し出すと「お決まりですか。おっ、これは確か文芸坐の。この大会面白かったぁ〜。通ってたくさん見たんだよ」「えっ?これ、自分のなんですか?」「そう。映画が好きで好きでねぇ〜。売ってる本は仕入れてるんじゃなくて、全部俺のなのよ。あ、100円ね」というわけで、映画大好き(特にSF映画)のオヤジさんが、私物を安値で売っている、ちょっと愉快な玩具屋さんのようです。文芸坐「スーパーSF 世界特撮映画大会PARTU」を購入する。

そのまま町をちょっと南東に下り、頼もしく健在の「古本屋の中村」(2010/02/26参照)に飛び込む。いい感じに本の多い店内を探索し、ちくま文庫「快楽亭ブラック集 明治探偵冒険小説集2」を680円で購入する。

駅に戻って再び山手線に飛び乗り上野駅下車。不忍池の畔で開かれている骨董市の古本露店(2015/07/23参照)を目指し、人を掻き分け掻き分けペタペタ進む。露店は、夕方の強力な直射日光に晒されながら開店中。道行く人が「大丈夫ななの?古い本なんでしょ?大事な本なんでしょ?こんなに日に当たってて平気なの?」と心配して囁くほど、日光に直撃されている…まるで古紙の劣化する音が、聞こえて来るような過酷さである…。こちらも肌を炙られながら、必死に本を求め続ける。平凡社「従軍作家より國民へ捧ぐ/白井喬二」濱松藥草研究園「藥草昆蟲 趣味と實験」(後半の昆虫類を薬として服用する説明が常識を軽快に飛び越えており、実に実に刺激的である!)を計1600円で購入する。
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池に恐いくらいに繁茂する蓮をバックに記念撮影。白井本の表紙には、何と作家本人の写真が。右腰に目を凝らすと拳銃を提げているようだが、従軍作家も拳銃を携帯したのであろうか…。
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2016年07月30日

7/30均一祭で樺太と横溝を掘り当てる

容赦ない日射しに攻撃されている午前の町を、真っ黒な影を落としながら、ペタペタ歩んで行く。瞳孔の反応が遅れるほどの強いコントラストに眩惑され、まるで雪が積もった時のように、見慣れた街路が別世界の光景に変わっている。フラフラしながら午前十時に「帰って来たJ-ハウス」(2015/12/26参照)前。すでに店頭100円祭は、プロの方々に蹂躙されている真っ最中…とても手を伸ばす余地はない…。本棚下部に並んだ、革装の洋書を手に取ってみるが、すべて歴史書ばかりである。早々に見切りをつけ、高円寺に向かって歩き始める。目的地は、今日明日と「大均一祭」が開かれている「西部古書会館」である。今日は200均の日だが、午前十時半に会場にたどり着くと、すでに会館内には古本修羅が発する熱気が、外気以上に渦巻いてる恐るべき状態であった。遅ればせながら、そこに身を滑り込ませ、目を皿のようにして、縦に横に視線を移動させ、修羅と譲り合いぶつかり合い、古本を求め戦闘前進して行く。自然科学系の本が目につくなと思いつつ、すぐに二冊三冊。創元社 科學の泉(13)「みみずの観察/小川文代」は拾い物。さらにさらに、ちゃんとカバー付きの弘文堂書房「樺太博物誌/玉貫光一」は超拾い物のどひゃっほう本!遅れて来たのに、こんな本が残っているなんて!と大いに浮かれてしまう。滞在時間三十分、最後の左端通路で、棚に張り付きっ放しの修羅の背後で粘っていると、一冊の本が目に留まる。函入りの内外社「綜合ヂャーナリズム講座10」(昭和六年刊)である。何かは思い出せないが、記憶の何処かがピコンピコンと信号を発している。確かめる為に出し難い函から取り出し、まずは目次を繰ってみる。そして信号の発信源を見事発見する。『雑誌ヂャーナリズム』部門の記事篇で、横溝正史が『探偵・猟奇・ナンセンス』を題材に、講師として記事を書いているのだった。おぉ、やった。そういうことであったか。残っていてくれてありがとうと抱え込み、すぐさま帳場で精算する。他に創元社「茂木草介放送ドラマ集」(函ナシ)日本工業クロス株式会社「BOOK CLOTH 布見本帳」明治書院「それは迷信だ」岩波書店「類人猿の智慧試験/ケーレル」宝石社「宝石臨時増刊 本格推理17人集」(島久平「硝子の家」収録)を合わせ、計1600円で購入する。
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右の民藝調装幀の本が本日一番の収穫「樺太博物誌」である。昭和十九年発行の本の為、紙類は粗悪だが、樺太の発見から始まり、地学・地理・気候・生物・民族を網羅する素敵な博物学本である。後見返しには『横浜 伊勢佐木町・本牧 一味堂本店 書籍売買』の緑の古書店ラベルが貼付けられている。
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こちらは「綜合ヂャーナリズム講座」の巻末『講師略伝』に載っていた横溝のプロフィールと写真。あまり見ない写真だな…。多分人力車に乗って颯爽と博文館に出勤していた頃ではないだろうか。ちなみに同じ『雑誌ヂャーナリズム講座』には、新潮社社員で探偵小説家の佐左木俊郎の熱い編集者魂が炸裂する『原稿の依頼から整理まで』も収録されている。
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2016年07月28日

7/28東京・森下 古書しいのき堂

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「古書ドリス」さん(2012/12/03参照)が『ポケモンGO』をプレイ中に発見したとの噂のあるお店である。調べても何も分からなかったのだが、タレコミにより場所が判明したので、慌てて駆け付けることに。『A7出口』から地上に出ると、大きな『清澄通り』。通りを南にスタスタ進み、二本目の信号のある脇道を西へ。すると次の十字路の西南際ビル一階に、地味で目立たぬ静謐な古本屋さんを発見する。だが、角が面取りされた部分にある入口は、十字路に向かって充分な吸引力を発揮している。店頭地面に集まってしまった、歩行者&自転車用の停止表示が賑やかだが、それを踏み付けドアを開いて店内へ。おぉ、外見は素っ気なかったが、中には本がたっぷりと集まり、シックに美しくまとまっている。床も棚も木の風合いを生かした空間造りが為されている。右壁沿いにボックス棚と背の高い棚が一本。至近の奥壁にはラックがひとつ置かれている。フロアには胸高の背中合わせの棚が三本並ぶため、店内の見通しがすこぶる良くなっている。入口左横には同じく胸高の棚が張り付き、左壁には高い棚がピタリと並び、奥の帳場兼作業場まで続いて行く。帳場に座り静かに作業しているのは、丸眼鏡を掛けた柔らかな早川義夫風男性である。入口近くに集まる、これもシックな100均文庫箱&安売美術図録箱に目を通してから、右端通路へ。そこには絵本が多く並び、古書も混ざる児童文学ゾーンが二ヶ所ほど出現。奥壁のラックにも絵本が飾られている。向かいには思想系文庫と丁寧な並びの海外文学文庫(古典文学+純文学)がびっしりと。第二通路は歴史&文学系文庫+日本純文学文庫と、心理学・精神科学・哲学・思想・美術が、真面目な顔をして向かい合っている。第三通路は、右に宗教・民族&民俗学・社会、左に海外文学となっている。入口左横には、まずは美術図録棚(実験工房展の図録も!)があり、その後は幻想文学を核とした海外文学棚となっている。左端通路は、右にまだまだ続く海外文学と日本人詩集が並び、壁棚にはレア本も含む日本近代文学・セレクト日本文学・詩集が誇らしく大事そうに集められている。上質なお店である。大人の古本屋さんである。特に海外文学の幅広さと深さは、在りし日の「風光書房」(2009/12/17参照。現在は閉店)を思い起こさせるほどである。古書もちょこちょこ顔を出すのが、また良い。値段はちょい安〜普通(文庫は特に比較的安めである)。良い本にはプレミア値付けあり。ぎこちなく初々しい接客で、教文館「童謡童話集 春の海のうた/山村暮鳥」(函ナシ蔵印アリ)を購入する。異国の良い薫りを胸一杯に吸い込みながら、再び真夏の東京下町の路上へ。

夜は西荻窪で、岡崎武志氏と盛林堂・小野氏と額を寄せ合い酔っぱらい、鬼の笑い声が微かに聞こえる来年の古本屋本の打ち合わせ。すでにうすらぼんやりとアイデアは出現しているのだが、これが実際どのように転がって行くのか、これからじっくりと楽しみながら制作して行くつもりである。
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2016年07月27日

7/27神保町パトロールで二店の店じまいを確認してしまう

午前のうちに家を飛び出し、正午前の御茶ノ水駅。『明大通り』を下って裏道に入り、今月閉店してしまったという「KEIZO BOOKS」(2013/09/04参照)跡地を見に行く。すでに日除けは取り去られ、まだ営業時間などが書かれている半開きシャッターの向こうには、もぬけの殻の真っ白くなった店内が広がっている。
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扉脇には店名も何もない閉店のお知らせが貼り出されている。それには「突然ですが当店は7月13日を持ちまして移転の為、閉店させていただきます」とあるではないか…また何処かで店売りを再開するのだろうか。だが、移転先などは書かれていないので、今のところやきもきして情報が伝わるのを待つしかないようだ。そのまま通りを下り『錦華通り』をちょっと西に進んで、ビル一階奥に潜む「とかち書房」(2010/04/20参照)の様子もうかがいに行く。先日「伊呂波文庫」さん(2016/07/06参照)を訪れた折り、神保町のお店は閉店したと聞き込んでいたのである。あっ、入口横の店名が消されている。奥に進んでガラス越しに薄暗い店内をうかがうと、結束された本や、カーゴに満載した本が見えている。どうやら本の倉庫と成り果てているようだ。
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棚は見当たらず、お店としての面影ももはや消え去っている…本当だったのか。この至近の二店の撤退により、盤石感満点の『本の街』神保町も少しずつ変化し続け、古本屋地図が書き換わっているのを実感する。

ふぅ、と路上で閉店確認のため息をついてから、『靖国通り』に戻って恒例のパトロールを開始する。「三茶書房」(2010/10/26参照)で角川文庫「ボロ家の春秋/梅崎春生」をまずは300円で。「東陽堂書店」(2012/06/14参照)の大型木製ワゴンからは、長岡目黒書店「越後の國 雪の傳説/鈴木直」(戦中出版の雪にまつわる怪異話集)を500円で。「田村書店」(2010/12/21参照)店頭では河出文庫「十蘭ビブリオマーヌ/久生十蘭」ちくま学芸文庫「ナンセンス詩人の肖像/種村季弘」を計500円で。「明倫館書店」(2012/04/04参照)では同じくパトロール中の森英俊氏とバッタリ出会いながら発明協会「あなたの科学技術No.32 現代を創る 発明の歴史」を200円で。最後に「日本特価書籍」(2013/11/07参照)で平凡社カラー新書「香りへの旅/中井英夫」を200円で購入し、閉店で出来た心の穴に、買った本をドサドサ放り込んで行く。

午後自宅に戻り、ひとりの訪問者をソワソワと待ち受ける。家に古本が異常に集まり始めて七年ほど。思えばそれ以降、消防設備点検や水道管の手入れなどでしか、人を家に上げることはなくなっていた…古本第一主義が、自宅と言う居住空間で、もはや人を招いたりもてなしたりすることを、拒絶してしまっていたからである。しかしその禁を破り、午後三時に作家&ホームズ研究家の北原尚彦氏が登場! 果たして彼の目的とは!? あくまでにこやだが、眼鏡の奥に光るつぶらな瞳は、部屋のそこかしこに集まる古本の山を、冷静に精査して行く…。この不可解な氏の来訪についての詳細は、いずれお知らせいたします…それにしても、古本に圧迫された家の中を見られるのは、なんと恥ずかしいことなのか!
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2016年07月25日

7/25東京・自由が丘 東京書房 リニューアル四階店

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高架ホームから階下のホームを経由して、南口改札から外へ出ると『マリクレール通り』である。すまして西に歩き始めると、すぐ左手に「東京書房」(2015/07/26参照)が一階にあった小さなビルが…あぁ、ついに新しくなっている。去年からリニューアルのための改装が、ずっと行われていたのだが、ついにこの7/15の新装オープンにこぎ着けたのである。だが一階は、歯のクリーニング店になっているぞ。右側の小さなビル入口に近付くと、柱に紙の「東京書房」看板があり『4TH FLOOR』と書かれているではないか…四階に移ったのか。路面店から、ビル内店へ…これは営業形態や取扱ジャンルに、大きな変化が生まれているのでは…。目の前の長い急な直線階段を三階途中まで上がり、後は折り返し階段で四階に至ると、扉は開け放たれ、シックだが細長く明るい空間が、大きな窓に向かって続いていた。エプロン姿の女性店員さんが二人おり、一人は右側カウンター内に、一人はその前で本の結束中。「いらっしゃいませ」と声を合わせてしとやかに出迎えてくれた。左壁にはシンプルで様々な本棚が張り付き、写真関連・アート・デザイン・茶道・工芸・映画・音楽・都市・鉄道・建築・ちくま文庫・岩波文庫・講談社学術文庫が、ワンボックスごとという感じで細かく並び、美術図録や大判の写真集ゾーンへつながって行く。右壁奥には絵本が集まり、そこからカウンターとの間にはベンチが置かれ、天井からはだらんとしたハンモックが吊るされている。中央の大きなテーブルは、アラーキー写真集が多数飾られた専門台となっている。天井から足元まで大きなガラスが嵌る窓際には、室内に背を向けた二本のラック棚が置かれている。窓とラックの間に身を滑り込ませると、デッサン集・イラスト集・ビジュアルムック・写真集などが飾られている…これは、何処に向かって飾られているのだろうか。本たちが向いているのは大きな窓で、そこは地上十メートルほどの空中なのだ。きっと楽しめるとしたら鳥ぐらいだろう。そう簡単に結論付けて、窓からゆっくりと離れる。以前の女子寄りではあるが、深く多ジャンルを掘り下げた古本屋さん的店舗形態は消失し、写真集・アート・絵本に強いセレクトショップスタイルのお店に変身。プレミア写真集や署名入写真集も取り扱っている。値段は普通〜ちょい高。カウンター前に下がる巨大な電球の、白熱するフィラメントを見つめながら集英社新書「ロスト・モダン・トウキョウ/生田誠」を770円で購入する。

リニューアルオープンしたのはめでたいが、街の古本屋色が薄れたことに、一抹の寂しさを感じる。足を踏み外さぬよう階段を下り、そのまま高架下を潜り踏切を越えて「西村文生堂」(2013/09/10参照)に向かうと、店頭で文庫&新書が200均のミニ古本まつりが開催中。一冊抜き取り店内に進み、一部に残る探偵小説棚からも一冊。双葉文庫「恐怖推理小説集/鮎川哲也編」(あっ!これ、野呂邦暢の一編「剃刀」が収録されているのか。巻末掲載の鮎川哲也解説には、野呂は九州在住推理作家の夏樹静子や石沢英太郎と交流があったことが書かれている。知らなかった…)オリエント書房「現代歐米探偵小説傑作選集 遺書の誓ひ/カルロ・アンダーゼン 吉良運平譯」(デンマークの探偵小説。この選集は全三十巻が出版される予定だったが、驚くことに第1巻の出版だけで力尽きてしまったらしい。いったい何が…)を計1200円で購入する。
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2016年07月24日

7/24都市化した武蔵野をのんびり移動する

最近マニアックな古本世界に浸り過ぎている気がするので、今日はのんびりとフラットな古本世界にソフトタッチする心持ちで、午後に外出。テクテク歩いて荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)にたどり着き、賑わう店頭で人の背越しに本を抜き取り、昭森社「葉の桜 安西均詩集」群馬県警察本部教養課「上毛むかし話」(群馬の警察官が警察機関誌に発表した、職業柄集まった伝説・民話・史実などを一冊にまとめたもの)古今書院「武蔵野の集落/矢嶋仁吉」(函ナシ)を計315円で購入し、さらにテクテク足を延ばし、鼻歌まじりに西荻窪に乗り込む。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内「フォニャルフ」棚にドドババッと補充して、店主・小野氏と情報交換しつつ、主に古本話を一時間半。途中、西荻窪古本屋散策中のとても礼儀正しい「ベランダ本棚」さんが現れ、直立不動後にペコッとお辞儀。先日主催された「縁側一箱古本市」(2016/07/17参照)の盛況を労いつつ、帳場前でケタケタ笑いながら色々お話しさせていただく。何と今週末「ひな菊の古本」さんが鳥取の古本屋さん「汽水空港」で行う、かき氷イベントに駆け付けるとのこと(何と、ひな菊×ベランダトークあり!)。まったくこの、最近メキメキと頭角を現す新世代古本好き女子の行動力には、ただただ恐れ入るしかない。優しい笑顔を見せているが、新しい扉をバンバン蹴っ飛ばして開けている、そんな感じの思い立ったら吉日感が、半端なくスピーディーなのである。古本界的に、何と頼もしい娘たちであろうか!まだまだ絶賛発売中の「古本屋写真集」もお買い上げいただき、ますますそんな思いを強くする。

その後は吉祥寺に移動し、「古本センター」(2013/07/01参照)を覗こうとするも、なんと厳重に封鎖され、店内に殺虫剤散布の真っ最中。突然十数匹の蠅に侵入され、止む負えず戦闘状態に突入したらしい。仕方なくお店に入るのは諦め、「バサラブックス」(2015/03/28参照)に向かうと、店内で野呂邦暢の文庫が何冊か並んでいるのを発見、一番安値の集英社文庫「一滴の夏/野呂邦暢」を500円で購入する。その足で高架下を北に抜け、『PARCO吉祥寺店』七階で8/7まで開かれている「大鉄道マーケット」を覗きに行く。わりと小規模な市だが、プラレールに熱中し翻弄される、幼児たちの姿が微笑ましい。鉄道関連古本&雑誌・時刻表・鉄道地図&鳥瞰図類・切符などの紙物を確認、地図や鳥瞰図に心ときめくが、値段がかなりしっかりめなので、何も購入せずにパルコから脱出。人ごみを掻き分け電車に乗り、先ほどささまで購入した「武蔵野の集落」を紐解き、戦前のこの辺りの田舎過ぎる光景に思いを馳せる。それは、雷が落ちると必ず都会の人々の口に上った「大きな雷が落ちたぞ、荻窪の方だ」という都市の埒外であり、乱歩描く悪党が秘密の隠れ家を持つ農村の風景であった、在りし日の武蔵野なのである。
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口絵に写真が豊富だったので、車窓に流れる都会風景と成り果てた、かつての武蔵野とともにパチリ。
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2016年07月23日

7/23埼玉・みずほ台 岡本書店

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今回は久々に古本神のひとり、ミステリー評論家&翻訳家の森英俊氏に誘われ、未踏の古本屋さんを訪ねることにする。神保町駅ホームで待ち合わせ、有楽町線に乗り込み埼玉方面へ。その車中で本日訪問するお店について質問を重ねて行くと、なんと山梨県都留市にあった「岡本書店」が移転して来たものであることを知る。「岡本書店」…行ったことある!確か広い塗装屋さんの敷地内に、二棟の倉庫らしきものがあったお店だった記憶が…断然入れなかった記憶が…(2010/11/12参照)。森氏は目録でお店の移転と店舗営業していることを知り、一度苦労して訪れたとのことであった。その時はまだ大量のダンボール箱が山積みされている状態で、明らかに営業準備段階だったので、改めて本日、思いっきり探索するための二度目の訪問となったわけである。駅西口に出て、ロータリー端にあるライフバス乗り場から、ICカードの使えぬ小さなバスに乗車する。駅から『すずかけ通り』を南西にニキロほど進んだ四つ目のバス停『大日本印刷工場前』で下車。通りを少し戻り、横断歩道を渡って大日本印刷の広大な敷地沿いに北西へ工場街の裏道を歩いて行く。最初の脇道を東北方面に折れ、さらに工場と倉庫の殺風景な裏通りを歩き続ける。すると森氏が左に現れた、大きな運送会社の倉庫を眩しそうに見上げている。「ここです」「ええっ!倉庫じゃないですか。お店なんて何処にも」「ここの二階なんです。ほら、この前来た時はありませんでしたが、ここにお店のポストが」指差された人気のない一階倉庫柱下部に目をやると、確かにそこには「岡本書店」と書かれた札が…。倉庫脇の水色の鉄階段を、半信半疑で上がって行く。段々と、大きく開かれた倉庫の扉の中が見えてくる…ぐおぉっ!本棚!確かにそこには、周囲の工場街的ロケーションからはほど遠い、本棚が並んでいるではないか。緑の床の空間にそっと足を踏み入れると、凄まじく広大な体育館のようなお店で、左側には本棚が少し並んでいるが、後はナンバーを書かれた小さなダンボールの山が果てしなく続く、とても古本屋さんの店舗とは思えぬ光景が、ただただ圧倒的に広がっていた。森氏はすでに端の事務所スペースに半身をねじ込ませ、何やら交渉に入っている。まったく相変わらずの剛腕だなと苦笑しつつ、アクの抜け切った殿山泰司壮年時代的店主にご挨拶する。そして「森さん、これ店舗じゃないじゃないですか。完全に倉庫ですよ」「でも、この前来時、ここはお店だって言ってたんだよ」とヒソヒソ…いや、それでもこの状況は、どう見ても絶賛整理中の大倉庫なのである。三人で少し噛み合ぬ会話を交わしつつ、森氏が前回探していると伝えていた児童系の本の束を、まずは見せていただく。すべて裸本であるが、中には興味ある本も含まれている。ところが値段の話になると、バラでは売らぬ、束で買ってくれ、と言うことになる。その額が意外にちゃんとした値段だったので、私は取りあえず辞退。だが結局、森氏が値下げ交渉をいいところまで進め「じゃあ二人で半分ずつ出そうか」ということに、突然決まる。何だか巻込まれた感があるが、これはまずとにかく本を買い、相手に購入意志のあることを伝え、その後の探索&交渉を有利に進めるための、テクニックのひとつなのである…もちろん私ひとりではとても使えぬ技…。その後はリリースしていただき、広い店内(倉庫内)をウロウロ…いやこれが本当に凄い。ジャッキー・チェンが乗り込む敵のアジトを想像してもらえれば、恐らくそれが一番近いイメージである。私はただポカンとしながら、長い通路を行ったり来たり。その間にも森氏は、倉庫のあちこちから目欲しい本や束を集め、すぐさま店主と交渉に入っている。そのバイタリティに感心しながら接近すると、熱心にヒートアップしているのは児童学習雑誌付録本の束について。これもまたバラ売り不可とのことなので、八十冊余の小型本を一冊幾らにするかでのせめぎ合いが始まっている。結局全部で一万五千円で落ち着いたのだが、その瞬間森氏が、こちらに向かってニッカリと微笑み「よし、後で分け合いましょう」と宣告する。あぁ!知らないうちに、俺もその束を買っていたんですね。……今日俺は、ありえないほど自動的に、大量の古本を買ってしまったのだ。森氏がひとまず代金を支払い、大量の本を袋に入れて、恐るべき倉庫店を辞去する。これからもっと片付いたら、さらに様々な興味津々食指が動く本が現れそうな、そんな気配が濃厚な倉庫であった…。午後三時台はバスが皆無なので、駅まで古本を抱えて戻り、電車の中で本を仕分ける。まるでボスが差配する銀行強盗後の分け前を待つように、まずは森氏が欲しい本を抜き、余りがこちらに回ってくるカタチであるが、買った束は恐ろしいほどの有望株で、かなり良い本がポンポンと積み重なって行く。森氏は、賭けに勝ったのである。結局今日は連れて来てもらって良かったと、心の底からウットリしながら観念して、全代金の三分の一を支払う。いや、やっぱりこの人には適いません。また来週、ぜひとも面白いところに行きましょう。
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結局こちらに回って来たのは五十六冊。そのうちの素敵な収穫は上記の写真で、特に学研「6年の学習」付録の加納一朗のジュブナイル怪奇ミステリ「悪夢の追せき」「こうもり男」「影が歩く」「きょうふの人形」には歓喜の嗚咽が!
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2016年07月22日

7/22日ノ出町の夜を古本屋さんと過ごし楠田匡介を手に入れる

昨夜は止みそうで止まない雨の中を横浜・日ノ出町に出向き、2016/05/10の続きとも言える、「たけうま書房」さんとの飲みを決行する。もはや『たけうま会』と名付けても良いような、私が『古本屋さんと飲みたい!』というだけのリクエスト(これはもちろんたけうまさん一人でも可なのである)に応えてもらっているこの緩い飲み会の今回の参加者は、「雲雀洞」さん(この二月に神奈川古書組合に加盟した一箱系ルーキー。即売展とネットにて活動中。何処かで確実に擦れ違っているはずだが、私にとってはほぼ初対面である)「リネン堂」さん(即売展で紙物&古書を中心に丁寧な仕事と安値で面白い良品を提供。私はいつも何か買わざるを得ないほどのファンである)である。たけうまさんの意外なほどのコーディネート力に感心し、多少緊張しながらも、駅近くの満州焼きで有名な焼き鳥屋『庄兵衛本店』に腰を落ち着け、この愛すべき古本屋さんたちの話を聞く。構えず、自然に、神奈川の古本屋という立場で、先輩・後輩と言う立場も鑑み、さまざまな会話が目の前を飛び交って行く。そこに伝説や剛腕などは存在せず、ただあるのは、今の時代の市井の古本屋さんの、生き方と考え方である。市での闘いがあり、組合の仕事があり、即売展参加の駆け引きがあり、買取があり、孤独な作業があり、会館前での駐車違反との闘いがあり、恋もあり、野望もあり、未来も絶望もある。そして底の底の方には、みな勝手気ままのようだが、薄い昆虫の羽のようなものでつながる仲間意識が見え隠れし、それが何だか少し、羨ましくなる。そんな風に一介の古本屋好きとして、魂が酔いとともに充足するような時間を過ごす。途中、一足先に帰る雲雀洞さんと交代するように、「Tweed Books」さんが、お店での仕事を終えて駆け付けてくれる。二軒目のジャズバーに河岸を代え、ボソボソと古本屋稼業について話し続け、日ノ出町の夜は更けて行く。現在唯一の店舗持ちのTweedさんが、六月の売り上げについて呻吟していると、突然「そういえば、買取で妙な探偵小説があったんですよ。それ一冊だけで、でも気になったんで避けておいたんですけど…」と言い出し、写真に撮っておいたので取りあえず見せてくれると言う。その時点でかなり酔っ払っていたのだが、心はドキンと跳ね上がる。スマホ内画像を大捜索して見せてくれたのは、おぉ!楠田匡介の「完全犯罪」じゃないか!「これ、高いですよ」と言うと、たけうまさんとリネンさんも「何何?」と興味を示すが、写真を見せると一切知らないと言う…この瞬間に、己が、いかにマニアックな世界に身を浸しているかを再認識する…。「でもウチの店向きの商品じゃないし、どうしようか考えてるんですよ。「聖智文庫」さんに相談してみようかな…」…むっ、それだと確実に買い取られしまうではないか。そう思ったら、どうしてもこの本が読みたくなってしまう。「多分売値で二〜三万くらいじゃないでしょうか。もし良かったら、俺、買いますよ。一万でどうですか」と売値を提示しないところがセコくはあるが、酔いにも任せて、買取額より少しは高いだろうと思える値を提示し先手を打つと、なんと交渉成立!無事に譲っていただけることになった。聖智さんすみません、Tweedさんありがとう。と言うわけで古本屋さんの話を聞きまくり、最終的に酔っぱらい、古本を買った夜となる。カウンターで精算をしているたけうまさんが、知り合いのマスターに今日の会合を懸命に説明している声が聞こえてくる…「古本屋の集まりで、いえ、一人は古本屋じゃないんですけど。ボクも入れて三人は古本屋なんですけど、後一人は古本屋を回っている人と言うか…」。
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左から「雲雀洞」さん「リネン堂」さん「たけうま書房」さん「Tweed Books」さん。お付き合いいただきありがとうございました。

そして本日、昼食を摂ってから家を飛び出し、早速雨上がりの白楽「Tweed Books」」(2015/07/10参照)にて、同光社「完全犯罪/楠田匡介」(ヨコハマ・六角橋「篠原書店」の古書ラベルあり。'67年の「古書店地図帖」で調べてみると、六角橋商店街にあった、短歌・近代文学・国文関係に強かったお店であることが判明)「相模原の民話伝説/座間美都治」(函ナシ。相模原の聞き書きお化け話が盛りだくさん)日本電設工業会「建築と電気の百年史」(電気の普及の歴史とともに、時代時代の全国の重要建築がモノクロ写真で紹介されている)を計10600円で購入する。そして気付けばTweedさんもこの真店を構えて一周年。色々あるでしょうが、これからもより一層街に古本屋の風を、よろしくお願いいたします!
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2016年07月20日

7/20仁木悦子旧蔵書を手に入れる

阿佐ヶ谷「ネオ書房」(2010/02/09参照)店頭の100均棚は、相変わらずその五分の一ほどを、仁木悦子の単行本や文庫本に占領されている。そのほとんどに動きは見られないが、よく前を通りかかり観察しているおかげで、今までだいぶ面白い本を手に入れることが出来た(2016/05/18 & 2016/06/04参照)。本にはスリップや出版案内が挟まったままで、経年劣化はあるが読んだ形跡は見られない。また昭和四十年代以降のものばかりなので、「水曜日のクルト」と「消えたおじさん」以外に、それほど希少価値は認められないが、台湾版や中国版は多少珍しいと言えるのではないだろうか。しかしこれらの本は、やはり関係者から出たとしか思えない、量とキレイさとラインナップである。そんなある日「ネオ書房」前で、顔見知りのひとりの古本修羅と遭遇する。聞けば、もしや「消えたおじさん」と「クルト」が買えるのではとお店を訪れると、偶然にも「クルト」を無事に百円で入手出来たとのことであった(ちなみに何故か店内では、「おじさん」「クルト」共にプレミア値で販売されているのだ)。当然「おじさん」も手に入れたく、店主に聞き込みを行うと、何とこれらの本が仁木悦子関係者から出たことを偶然にも突き止めてしまう。ということは、あの店頭本は、仁木悦子の蔵書であったのか。いや、まぁ蔵書の一部と言えるかもしれないが、出版社から著者への献本分というのが真実であろう。だから蔵書とは言っても、買い集めたものとは意味合いの違う、あくまで自著の予備蔵書なのである。う〜ん、そう知ってしまうと、あの店頭本たちの価値が心の中でググンと上がってしまうが、もはや店頭に並んでいる時点で、それはただの百均本なのである。何だかもったいない気もするが、これもまた本の運命か…。そんな話を聞き、瞬時にそう思いながらも、ここであるひとつの妄想が、胸にこつ然と黒雲のように湧き上がってしまう。もしかしたら、本当の蔵書が、紛れ込んでいやしないか?何か、サインや、蔵書印が捺されている本が、あるんじゃないか?そう思ったらいてもたってもいられなくなり、次の日からお店の前を通りかかる度、単行本文庫本ともにチェックを入れる日々がスタートした。今まで並んでいなかった本が出る度、パラパラと捲り、何かの痕跡が残っていないか見返しや本扉や目次に目を凝らす…何も見つからない…かなり不毛な作業である。だが、諦めてはならぬ。こういうことは、己の勘を信じることも大事なのだ。そう自分に言い聞かせて日々可能な限り店頭に足を停めるようにしていると、ついにその時が訪れたのである。講談社 推理小説特別書下ろし「灯らない窓/仁木悦子」。今までと同じように100円のシールが貼られたその函入り本を手にし、本体を引き出す。そしてまずは見返しを開いてみると、そこに赤く『仁木悦子』の印がくっきりと捺されていた!うぉぉぉ!これは、間違いなく蔵書だ。仁木悦子の蔵書だ!勘を元に見込みを付けたことが、現実化したのに大いに驚く。こんなブックハンティング体験もあり得るのかと、興奮しながら何食わぬ顔をして100円玉と交換で購入。…だが、もしかしたらこの印は印刷かもしれない(冷静に考えればそんなバカなことがあるわけがない)。この後家にすぐさま戻り、偶然所持していた同じ本と照らし合わせてみると、見返しにもちろん印などなく、まっさらなただの白紙であった。めでたしめでたし。あれから一ヶ月余……だから今でも、店頭の仁木本をチェックする癖が、未だに抜けないのである。
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2016年07月19日

7/19東京・王子 コ本や

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ホーム上で、まだ慎ましい蝉の鳴き声が聞こえる飛鳥山を背にすると、目の前には新幹線高架と都電のボディと石神井川が立体的に錯綜している。『中央口』から駅下に出て、都電の銀色に磨かれたレールを跨ぎ、大通りを東北に進んで行く。東側の歩道をジリジリ歩き続けると、『国立印刷局王子工場』の鉄門が現れ、さらに先には『お札と切手の博物館』。その前を通り過ぎると、行く手に首都高高架がドッシリと見えて来るので、そのひとつ手前の信号で立ち止まり、近くのビル一階に誕生した真新しい古本屋さんに熱い視線を注ぐ。大きなガラスウィンドウの店頭には、100均文庫箱・大体300均単行本列・200〜300円絵本棚などが並んでいる。ガラス扉を引いて中に入ると、ホッ、涼しい。右壁沿いには背の低めな棚+平台と、その奥に女子の座る帳場カウンターがある。窓際には雑誌箱や台が連なり、左壁にはオリジナルな白木のボックス棚が堂々設置され、奥は棚の一部が飛び出して“コ”の字型の小空間を造り出している。この棚には結構迫り出した平台が付属しており、そのため下の二段を見る時は、かなり腰を曲げて覗き込むか、しゃがまなければならない。奥は明るいバックヤード兼事務所になっており、薄着カジュアルな青年が出入りし、何くれなく作業している。お洒落だが、センスある手作り感がにじむ空間である。入って正面には詩集・リトルプレス・ジン・アートブック。窓際にはカルチャー雑誌と一緒に、大体300円単行本列があり、薄い壁ラックにはお薦めのアート系本が飾られている。そのまま左壁には、アート・デザイン・写真・哲学・詩集・現代思想・前衛美術・フィールドワーク・都市・セレクトコミック・児童文学・絵本などが収まる。棚は二重に本が並ぶ部分が多く、見逃さぬよう注意が必要。奥の空間には、建築・日本文学・文学評論・映画・文化論・文庫・新書・中国詩・食・地学・風土などが続く。チラシ類が多く集まる帳場周りにも、文庫や思想や文化論の本が集まっている。それほど広くはない空間であるが、美術・写真・建築・児童文学・現代思想を中心に、知的な棚造りが行われている。つまりはなかなかに真面目なのである。値段はちょい安〜普通。そんな中、窓際のテーブルの上で目にしたのは、ばらまかれたシンプルな激ムズという神経衰弱カード(売り物)。非常に気になるが、手を出したらきっとイライラの連続となることが目に見えているので、あえて触れずに我慢する。千趣会「駅弁パノラマ旅行」を購入する。
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2016年07月17日

7/17東京・鷺ノ宮 縁側一箱古本市

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曇り空の蒸し暑い日曜日。ビーサンを引っかけ近所にブラブラ。駅からは南口に出て、護岸され過ぎた水路と化した妙正川沿いに南へ向かう。一段高くなった小学校の高台手前で住宅街に入り込んで行くと、道の角に『古民家asagoro』の貼紙を発見する。坂を上ると左手に『縁側一箱古本市』の幟が、蒸し暑い風にへこたれず翻っている。引き寄せられるように、もはや敷地内のコンクリ坂を下ると、再び幟が立つ緑濃い小道の奥に、静かな古民家が見えていた。道に分け入り入口に近付くと、「縁側一箱古本市」と書かれたホワイトボードがあり、矢印が右方向を指し示している。そうか、この民家の裏側の庭と縁側で、楽し気に古本市が開かれているのだな。そう信じて、民家に沿ってカクカクと奥へ無造作に入り込んで行く。開けた!と思ったら、そこは人気もなく話し声ひとつ聞こえて来ない砂利敷きの駐車場…間違えたか。慌てて引き返し、今度は素直に民家の戸を引き開ける。すると土間があり、そこにたくさんの靴が並び、左の二間の畳部屋と奥の部屋で、すでに和気あいあいと十六箱+かき氷の古本市はスタートしていた。こんなひっそりとした場所なのに、すでにお客さんが詰めかけている状況に驚く。見知った顔や常連さんも多く、室内でピクニックでもしているような長閑な優しい市である。微笑ましく穏健で健全な箱が多いので、オリジナルカバーイラストを展開する「よたか堂」が突き抜け、ミステリー中心の「幻影文庫」さんがいつもよりは抑えめなのだが、妙に過激に見えてしまう。学研4年の学習夏休み特別号第2学習教材「夏休みから始められるコレクション事典」(切手を筆頭に、コイン・マッチ・王冠・貝殻・石・絵葉書・きっぷなどの集め方&保存方法を指南。残念ながら古本は掲載されていない)教養文庫「幻島の謎/近野不二男」手塚治虫ファンクラブ・京都資料室 復刻シリーズ4「火星から来た男/手塚治虫」福音館書店「たぐぼーとの いちにち/小海永二作 柳原良平絵」(2004年特製版)集英社文庫「野蛮な読書/平松洋子」をそこかしこで購入し、最後に「ひな菊のかき氷」で宇治金時かき氷をアルマイト食器からかき込んでペロリ。和室で食べるかき氷、たまりません。これで夕方は縁側の窓を開けて、花火でも出来たら愉快なのだが。市は午後四時までで本日限り。土間でシールアンケートに答えて表に出ると、一箱古本市の王・南陀楼綾繁氏のおなり!相変わらず忙しく精力的に、各地を飛び回っておられるようです。そして王の旅はまだまだ続き、今週末は石巻一箱古本市におなりとのこと。

氏と別れた後は、住宅街をとぼとぼ歩き、途中『おわらいげいにんになりたい』と願いの書かれた赤い短冊を拾ったりして、高円寺・大和町方面へ。ちょっと気まぐれに、香山滋旧住居『海鰻荘』の跡地を見学しに来たのである。『早稲田通り』から一本北に入った、池のある『蓮華寺』の表門までたどり着き。右から大きな寺の敷地をぐるっと回り込むようにして、裏側の墓場を目指す。北に進みつつ、西に西にと入って行くと、道は次第に細くなり、昔の地図そのままの寺の敷地を感じ取り、最終的に寺北端墓場向かいの跡地に立つことが出来た。ここが…しかしそこに戦前の面影や香山の痕跡などは一切なく、ただ塀の向こうに佇む苔蒸した墓石や、繁茂した蘇鉄や、緑に覆い尽くされた廃屋などに、勝手に妖しい古代生物の息吹を想像し、己の頭の中だけでスライドした異空間に、しばしうっとりと立ち尽くす。目をゆっくり閉じれば、細い爬虫類の縦長の虹彩が、ジメジメした冥い寺の裏に、鋭く光っている。
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左がが蓮華寺墓場。右が「海鰻荘」跡地。
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2016年07月16日

7/16「青空書房」の色濃い面影

六月に訪れた時はパワフルに聡明に永遠に続くように営業中だった「青空書房」(2016/06/08参照)。だが、店主坂本健一氏が、古本屋人生を全うされたことにより、店舗も自ずと閉店となってしまった。つい先日の大阪で、弔意を胸に抱きながらお店の跡地を訪ねてみることにした。

『天満橋5交差点』。南側を見ると、裏路地の入口に立看板は見当たらず、角のハンコ屋さんの壁に貼りまくられていた「青空書房」道案内もすべて取り払われている。一抹の寂しさを感じながら、路地に足を踏み入れると、元店舗兼住居の扉も、ぴっちりと閉じられてしまっている。さらに募る寂しさと、あっけなさ。だが、扉が開いている時には気付かなかった、異様な物が視界に入る。路地を奥へと進む。こんな物があったとは……営業時は開けっ放しだった扉裏の死角、窓下壁面に設置されていたのは、商店街旧店舗に架けられていた、大きな軒看板であった。この小さな路地には不釣り合いな、また位置も低過ぎるメタリックな店名看板。『青』の字が少し欠けてはいるが、わざわざここまで移動したのは、ここに必ず架けなければならない物だったからだろう。ここが、古本屋さんであることの、証しだったのだろう。窓の向こうの部屋に見える、まだ残る本の列を見て、ぼんやりそんなことを考える…。
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昨日は夜行バスでその大阪から東京に戻り、午後遅くに西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かい、一週間以上放置しなければならなかった「フォニャルフ」棚に、関西のでの収穫もちょいと含めて補充する。そして本日午後七時から神保町「@ワンダー」二階に於いて、「盛林堂」小野氏のトークのお相手を務めさせていただきます。お時間とご興味ある方は、ぜひとも夜の神保町へおいで下さい。古本屋や盛林堂ミステリアス文庫やミステリについて、ピーチクパーチクお話すると思います。ついでに関西での収穫も、ちょっと公開鑑定してもらうか…。

■7月16日(土)
【連続講座 古本屋的!! 第3回「出版する古本屋」】
出演:盛林堂書房 小野純一
古本屋業の傍ら始め、早4年目を迎えた同人誌作り。なぜ、本を「売る」だけではなく、「作る」のか。本作りの魅力と大変さ、古本屋業との意外な関係を、今までの古本屋としての経験を踏まえ、お話しします。
会場:ブックカフェ二十世紀(@ワンダー2階) 東京都千代田区神田神保町2-5-4
時間:19:00〜20:30
会費:1,500円(1ドリンク付) 懇親会1,500円(軽飲食20:30〜21:30 ※自由参加です)
■予約申込はブックカフェ二十世紀(jimbo20seiki@gmail.com)までメールにてお願い致します。お名前と参加人数をお知らせください。詳細はブックカフェ二十世紀サイト「EVENT」よりご確認いただけます。→http://jimbo20seiki.wix.com/jimbocho20c
残席ありなので、飛び込みでも恐らく大丈夫です!
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2016年07月15日

7/15大阪・南森町 メガネヤ

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昨日木曜の、午前中の大阪でのことである。『6番出口』から地上に出ると、『天神橋筋』の大通り。ここから北に真っ直ぐ進んで50mほどのマンションの一室に古本屋さんがあるはずなのだが、看板も目印も何処にも何も見当たらず、狐につままれたように途方に暮れる。仕方なく苦手な電話をしてみると、ぼやっとした男性の声が聞こえ、丁寧に道案内をしてくれた。美容院のあるマンション『ハイマート南森町』に入り、208号室を訪ねよと言う。駐車場の入口みたいなエントランスを経由して、人気の無いマンション内に入り、二階で208号室を探すと、そこは長い廊下の突き当たりであった…やはり店名などは何処にもない。チャイムを鳴らすとほどなくして鉄扉が開き、ジュディマリ・TAKUYA似のぞろっとした青年が、にこやかに優しく迎え入れてくれた。玄関横にコミック棚はあるが、古本屋さんと言う感じではなく、完全に人の住まいである。「いやぁ、運がいいですよ。木曜日は午前中だけ、ちゃんと開けることに決めてるんです。他の日は、気まぐれに開けるんで…」それはグッドタイミングであった。靴を脱いで廊下に上がると、入口横のフローリング四畳半に案内され、「ここが一番本が多い部屋なんです。値段はほとんど付けてないので、まぁボクに聞いて下さい。そんなに高いことはいいませんよ」とニヤリ。彼は奥の部屋に集まる先客の相手に向かったので、ゆっくりと本を眺めることにする。入口から見て左上には児童文学棚が一列並び、正面は一面が児童文学&絵本棚となっている。フロアには机と棚が置かれ、そこにも児童文学と児童書が集まり、他に村上春樹・世界各国地図&ガイド袋・書き込み激しい教科書などが並んでいる。正面の右奥には、おぉ!探偵小説・ジュブナイルSF・ジュニアミステリ・大判児童書・オカルトが並んでいるではないか。右壁には怪獣カードブック・UCCエヴァ缶・アートブックなど。入口右横の壁棚には、日本文学・ジュニアミステリ・児童入門書・乙女・アート・またもやの児童文学…むっ、カロリーヌの「せかいのたび」と「つきりょこう」があるじゃないか。児童文学&児童書が充実したお店である。だがこれは聞いてみると、店主の好みというわけではなく、たまたま買取で仕入れた本がそうだっただけで、これは今後の仕入れによっては変わる可能性があるとのこと。何だかアバウトだが、棚造りはキチッとしているので、そうは見えないのが面白い。お店がこのような営業形態なので、古本屋さんとして訪れる客は稀なそうである。奥の料理本や文庫やカルチャー雑誌が置かれた部屋では、イベントやパーティが開かれているそうなので、そちら目的で来る人が、時々本を眺めたりたまに買ったり、人にお店のことを伝えたりしているそうである。さて、本を選ばなければ。大判の児童書怪獣モノの『なぜなに』シリーズの値を問うと「それは美味しい高級料理が食べられる値段です」と言われたので即座に諦め、棚の上にあったポプラ社「新ターザン物語 密林の孤児/南洋一郎」(結構キレイなカバー付き)光文社「塔上の奇術師/江戸川乱歩」(こちらは貸本上がり)にすると、「一冊千円くらいで。その辺は、誰も触りませんよ」とのことなので、有り難く買わさせていただくことにする。う、嬉しい!
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2016年07月13日

7/13大阪・阪急淡路 ブックランド本の森+アジアサロン

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西改札口を出ると、奥行きのない駅前。左にアーケード商店街を見ながら、線路沿いに北東に歩いて行く。歩道が無いのに、車が結構なスピードで行き交う、ちょっと危険な道である。ずんずん進んで地下道を跨ぐ小さな橋を越え、見晴らしの良くなった線路脇を、さらに先へ進んで行く。行く手に陸橋や踏切が見えてくると、その手前左側に、西洋朝顔に壁面を覆われながらも『古本まつり』の幟を立てた、不穏なアパートのような建物が見えてくる。ここは『アジア図書館』という一種の文化センターなのだが、その建物脇の掘建て小屋の如きスペースで古本を販売しているのである。早速建物の右脇にある異様な空間に首を突っ込むと、奥に延びる乱雑な通路と、棚に並び続ける古本とともに、『入店出店時に必ず事務所に声をかけて下さい』と書かれた貼紙に気付く(あらゆる場所に貼られている)。なので隣の図書館に向かい、近藤春菜似のご婦人に古本を見たい旨告げると、「暑いですよ〜」と言われつつ「蚊がいるかもしれないんで」と、虫除けスプレーをアバウトに腕に噴射される。いざ準備は整ったので、古本掘建て小屋に突入! 全長は十五メートルほどで、両壁に本棚が連続して行く。壁はトタンで作られており、天井には簾も掛けられている…まるで海の家だな…。本は雑本のオンパレードと言っても過言ではない。右壁側は、単行本・文庫・出版社別文庫・新書と一応つながって行くが、それでも雑本的であることに変わりはない。それに奥に行くほど積み上がった箱や本で通路が狭くなり、左壁棚は途中から完全に見えなくなってしまうのだ。ただ、気持ちの良い風が吹き抜けて行くのが、救いである。本には意外にしっかりした値段が付けられていたので、どうにか100円の文庫を一冊掴み、西洋朝顔の中から顔を出し、事務所に戻って精算。すると件のご婦人が「もう倉庫みたいで本当にすみません〜。商店街の方のお店は行きましたか?新しく出来たんですよ。そっちはキレイで本も見易いですよ」と教えてくれた。新潮文庫「甲虫殺人事件/ヴァン・ダイン」を購入し、駅まで戻る。
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西改札口前から『淡路商店街』のアーケードに飛び込み、西へ。こちらもずんずん進んで行き、四本目の脇道を北に曲がり込むと、『アジアサロン』の看板を掲げたお店に到着する。店頭には右に100均文庫、左に100均コミック&児童文学。中に入ると妙なる風鈴の音が響き渡る、本棚が林立した複雑な空間。中央に雑貨類を集めたテーブルがあり、その周囲を実用一般書・心理学・歴史小説・日本文学文庫が巡っている。右側には一本の通路があり、ノベルス・新書・岩波文庫・女流作家文庫で構成。奥に鳥越俊太郎風男性のいる帳場があり、その左奥に海外文学・政治・社会・アジア・韓国・朝鮮・新書・日本文学・藤原新也・黒岩重吾などが行き止まりのスペースを作りながら続いて行く。こちらは確かに立派でキレイな古本屋さんで、何故か値段もかなりお安め。鱒書房「聞助捕物帖/櫻田門夫」(何とペンネーム丸出しな名前!)を購入すると、「線路際のお店は行かれましたか」と聞かれる。「先ほど行って来ました」と告げると「月曜はお休みですからね。これサービス券。お友達にたくさん宣伝して下さい」と真顔でお願いされる。色んな意味で面白い二店だったので、前向きに、善処いたしましょう。

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写真は昼飯を食べに寄った今日の鶴橋。近鉄ホーム下東側に入り込むと、何と道路のように外灯が立っているではないか! こんな奇態な側面も持っているのかと、今日も高架下世界に感動してしまう。
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2016年07月12日

7/12大阪・森小路 KEATS AND COMPANY

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西出口から駅前通りを北西に進む。すると右手には『良書専門』『民主的社会科学書・教育書』とある、ちょっと気になる新刊書店『風の本屋』が現れる。だがそこを通り過ぎると、信号の無い小さな交差点があり、北に向かって小さなお店が建て込んだ、何だか可愛らしい『京街道商店街』が延びている。ゆっくり足を踏み入れて行くと、右側角から九軒目に目指す古本屋さんがあり、今まさに開店の真っ最中であった。「暑い〜暑い〜」とつぶやきながら、白髪の渋い壮年男性が、店頭に物や本を陳列し始めている。それを待ちながら、ちょっと三歩ほど離れて、改めてお店を眺めてみる。それは三軒が並ぶ、商店長屋建築の一軒なのだが、二階を見ると全体がレンガタイル張りで、ずいぶんとモダンなスタイルであるのが見て取れる。軒は瓦屋根だが、件のお店はそこに一頭のシーサーを乗せ、濃緑の日除けを張り出し、さらにその下に木枠のガラス窓と扉が並び、実にニクいスタイリッシュな店構えを完成させている。そんなこんなしているうちに、店頭が完成し、打ち水がされ、営業が開始された。店頭本のミステリやSFの多い並びとともに、扇風機・足漕ぎスクーター・椅子を眺めて店内へ。オイルびきの木床とマッチした木製本棚に、古本が並び、壁棚はかなりの高さを誇っている。そして基本は当然古本屋さんなのだが、所々にアンティークや骨董の類いがアクセントのように置かれ、店内を渋いながらも華やかなものに仕上げている…センス良いなぁ。お菓子や薬の缶・人形・瀬戸もの・自転車・前掛け・玩具…おぉ!入口上の壁を見上げると、『タンタン』の洋書絵本がたくさん飾られているではないか。左壁の始まりはちょっと雑本っぽいが、古書や演劇関連を含みながら文学・芸能・文化が広がり、パリ・旅・ミステリ・幻想文学・澁澤龍彦・唐十郎・都筑道夫・横田順彌(他ではあまり見かけぬ、しっかりとしたラインナップ!)・SF・村上春樹・日本セレクト文学と続き、ガラスケースやペーパーバック回転ラックに守られた帳場横まで雪崩れ込んで行く。足元には壁とつながりある本が積み上がり、奥には雑誌類が続いて行く。フロア中央にはアンティークな机がどっしり置かれ、骨董・女性エッセイ・文庫・ポプラ社乱歩などを集めている。入口横には食関連とともに大橋歩や児童文学。右壁には音楽・落語・映画・漫画関連(何故か、すがやみつるの手掛けた作品を多く見かける)・美術・建築・写真などが並ぶ。フロアはさらに右奥にカクカク続き、右壁小空間には陶器などとともに横山光輝・付録漫画・文庫・画集が収まっている。その裏のさらに奥に進むと、語学や英米文学の原書や研究本が、わりと厳めしくドッサリ集合している。棚造りはしっかりしているが、自由奔放な部分が多く、振り回されつつ楽しめる感じである。値段は安め〜普通。つまりは良いお店なのである。一瞬すがやみつるの「真田十勇士」を買ってしまいそうになるが、イカンイカンと首を振り、さらに棚に目を凝らした結果、學風書院「おばけの歴史/江馬務」(昭和廿六年刊の、幽霊や妖怪を文献や絵画の中に追いかける研究書。嬉しくなるほど挿画もたくさん)を見つけ出し、値段を見ると600円!間違いなくどひゃっほうです!
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掲載幽霊のひとつ、斬新過ぎるコペルニクス的展開の『二本足の幽霊』。作者は山東京伝とのこと。上半身が何だかとても表現主義的です。
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2016年07月11日

7/11大阪・鶴橋 楽人館

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暗闇が混ざる駅西口に出ると。そこは高架下ではなく、JR鶴橋駅のホーム下。目前に古い新刊書店があるのに目を瞠り、そのまま南に歩き始めると、頭上で低めにクロスする近鉄線のホームを潜ることになる。そんな場所に蝟集する、暗い通路と小さな店舗たち…素晴らしきホーム下&高架下世界の独特な都市風景に心震えながら、洞穴のような近鉄線ホームを抜けると、再び高く壮大なJRホーム下。そこを抜け出し陽光の下に飛び出し、高架沿いに南へ歩いて行く。すると100mほど先の高架下に「古本」の文字を発見。おぉ、高架下店舗・ナンバー87だ。緑の日除けの下にはスダレが垂れ下がり。労働運動関連や学術資料本の多い100均ワゴンを守っている。入口横には雑誌や漫画のラックがあり、中に入るとセンサーで『ピイッ』と小鳥風の鳴き声が瞬間聞こえる。本がみっちり並んだ棚が三本並列し、合計四本の通路を造り出している。各通路の足元には、小さな本の山が連続している。奥に大きめの帳場があり、帽子を被った内田朝雄風のオヤジさんが、今は少しうたた寝中…。静かに左端通路から棚を見て行く。壁棚は実用や自然から始まり、教養&文化系文庫が多く並び、足元にはムック類や写真集が集められている。古く高値な紙物が下がる柱前を抜けると、奥の帳場横には薫り高い古書棚。だが向かいの通路棚は、ちょっと味気ない時代劇文庫・日本文学文庫・海外文学文庫がピカピカの背を見せている。第二通路に入り込むと、その味気なさはたちまち吹き飛び、かなりカオスな古書混じりの景色が広がって行く。左に文学・旅・ガイド・探偵小説・思想・政治・世相・風俗・鉄道が絡み合いながら並び続ける。ただし二本目の棚のみは、しっかりと性愛(古書あり)や官能文庫で固められている。向かいには宗教+美術や自然を織り交ぜた再び続くカオス棚。第三通路は、左に日本古代史・アジア・南方・中国・満州の様々な本が当然古書も含めて集められ、向かいはさらなる濃さで韓国&朝鮮関連が充実の輝きを見せている。入口側の美術&大判歴史本棚をスルーして右端通路に向かうと、左にはスポーツ・東洋&西洋医術・東洋占・江戸風俗・囲碁将棋が並び、右の壁際には岩波文庫と改造文庫棚。そして奥に趣味本棚と、ちょっと小空間になった世界文明風俗棚が置かれている。そのさらに奥はちょっと大きめの小空間があり、経済・法律・アダルト・紙物の奇妙な大人の組み合わせが実現している。紙物はさらに、棚脇や通路下の箱など、様々な所に置かれたり貼り出されたりしている。韓国や日本を含めたアジアの、歴史・風俗・地理・紀行・政治・ダークサイドなど、古書を中心に多ジャンルを集めたお店である。しかし心を捉えて離さぬのは第二通路で、ここは本当に油断ならないほど、気になる本が本の間に挟まり続けているのだ。何処にでも顔を出す文学や風俗関連の古書たち…恐ろしい。おかげで、たくさんの本を引き出し、見たことのない本を見続ける快感を味わい続ける。値段はしっかりめではあるが、それでも相場より少し安めで、懸命に探せば安値のものもちゃんと見つかるのが嬉しい。富文館「寫真圖解 世界奇風俗大観/石川成一」(函ナシ)を、いつの間にか起きていたオヤジさんから購入する。ここもまた駅から続く、素晴らしき高架下世界なのであった!
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鶴橋駅西口から南を臨む。写真のように、低めで丸見えの近鉄線ホームの下に通路が通り、ホームの上はさらにJRホームとなっている。そのホームが幅広に駅周辺を覆い、ちょっとした地下都市のような、見事な高架下空間を造り出している。
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またJR鶴橋駅構内も複雑怪奇な構造をしており、二階にはブックオフが入っているのだが、直結の自動改札が店奥に設置されているのだ。これは岡崎武志氏からも山本善行氏からも、ぜひ見に行けと言われた、古本者のみが喜ぶ奇景なのである。駅ビルデパートに直結するミニ改札はよくあるが、確かにこれは変だ。写真は店舗側からの風景。
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2016年07月10日

7/10奈良・近鉄奈良 朝倉文庫再び!

今日は古都奈良に出没し、あちこち見て回る。その中で、以前もツアーしたことのある「朝倉文庫」(2009/09/05参照)が昔とずいぶん変わっていた上に妙な買物をしてしまったので、再ツアー分をご報告。

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地上に出たら、すぐ目の前のアーケード商店街『東向通り』を南に下り、途中クランクしつつ、さらに続くアーケードの『餅飯殿センター街』を南に下る。賑やかな道は微かに上下にうねり、続いて行く。そしてアーケードがさらに『下御門商店街』にすり替わる手前右手に、一軒のちょっと奇妙な古本屋さんがある。店頭が、何だか無闇に白いのだ。左右の入口には温度調節のためか、白いビニールカーテンが下がっている。そして店頭に並ぶ本の半分には(古代史系多し)、タイトルと作者名が書かれた、手製の白い帯が巻かれているのだ。カーテンをそっと捲って中に入ると、奥の帳場前のみで左右の通路が行き来出来るようになっている、シンプルUの字型通路。そしてやはり、店内も何だか白い…主だった本には例の白いカバーが掛けられており、裏表紙に鉛筆で値段が書かれている。それがどんな本かは、タイトルがしっかりと読めるので分かるのだが、背文字の書体やデザイン、それに本の風合いなどが見て取れないので、頭の中に蓄積してある古本データが、まったく使い物にならないのだ。つまりサッと棚に視線を流し、覚えている本の色合いや古びた風合いで、気になる本を捉える手法は、完全に無力化されてしまっているのだ。これはまるで、写真データのない目録を見ているよう…。右壁棚には、落語・芸能・美術が並び、途中から帳場横まで日本文学(幻想文学&七十年代文学充実)が並び続ける。左の通路棚には、映画・カルチャー系文庫・SF文庫が並び、足元には映画パンフや安売の単行本が置かれている。帳場前の棚脇には、山田風太郎・城昌幸・角田喜久雄・仁木悦子・ポプラ社乱歩が集結。左側通路に入り込むと、壁棚には海外文学・ポケミス・SF・歴史・鮎川哲也・推理小説が奥に向かって続き、帳場横の台湾や戦争につながって行く。通路棚は入口側から、新書・日本文学文庫・探偵小説・ジュニアミステリ・探偵小説&推理小説文庫と並び、奥に向かうほどマニアックになって行く。下の平台には推理小説とミステリが、ちょっと古めのノベルスと絡み合って並び続け、奥の端っこには忘れ去られたような貸本漫画が十冊ほど肩を寄せ合っている。文学・映画・SF・ミステリに強いお店である。品揃えは潤沢で、値段はかなりしっかりめ。だから、迷っている…あの貸本漫画を買おうかどうか…。通路を行ったり来たりして悩みに悩み、帳場のしょぼくれていない左卜全といったオヤジさんに、店内に入ってずいぶん経つのに「いらっしゃいませ」と言われてしまう。貸本漫画はどれも高値なのだが、その一冊だけは比較的安値…どうしようどうしよう…ええぃ!買っちゃえ!と意を決して本の列から抜き出し、オヤジさんに超丁寧に精算していただく。巴出版「巴スリラー特撰2 闇 キチガイ館の妖鬼/望月信次」を購入する。もうこのタイトルに、どうにも我慢出来ませんでした。読みたい!きっと阿呆らしいのは分かり切ったことなのだが、とても読みたいのだ! 外に出てパラパラと捲ってみると、タイトル作は『大月五郎探偵日記』のサブタイトルが付いている中編で、他にそれぞれ別の作者による「探偵活劇篇 深夜の戦慄」と「大都会の恐怖」の二小編が収録されている。冒頭で主人公がタクシーに乗り『私の名は私立探偵大月五郎だ』とキメた後すぐに『いやだなあ……まだなの?キチガイ館とか……』と運転手に問いかけるのに、早速脱力する。
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下が貸本漫画の常として、別人が描いたカバー。上は見返し部分で、ここはずいぶん洒落ている。右側の鳥打帽を被りパイプを燻らす髑髏は、まるで喜国雅彦氏の本棚探偵のようではないか。左の紳士の上には貸本屋「浜田 エス書房」のスタンプあり。
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2016年07月09日

7/9京都・二条 町家古本はんのき

雨降る滋賀の近江八幡で、古本屋ツアーをしつつも、町に散らばるヴォーリズ建築をしばし楽しみ、午後に京都に到着。レンタサイクルを早速借りて、観光客で溢れる週末の古都を、ガチャギチャ疾走…。

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駅を出たらとにかく『千本通』を北進する。『丸太町通』を越え、さらに北へ。そして『千本中立売交差点』手前の、信号機も横断歩道もない細い脇道とクロスする交差点で、名前が物凄く立派な『仁和寺街道』に入り込み、西へグングン進んで行く。町家や寺は入り交じるが、ここいらはもう立派な住宅街である。ワンブロック踏破して信号のある『七本松通』を越え、さらに西へ。途中左手に『安養寺』のベージュの壁が見えたら、その手前を南に曲がり込み、すぐさま西の小路地に入り込む。行き当たった所で南に曲がると、町家長屋が建て込む車の入れない路地。右手北から四軒目が、今出川から移転して来た新「はんのき」なのである…それにしても場所が分かりづらい!超絶分かりづらい! これはご近所の「マヤルカ古書店」と双璧を成す分かり難さだ。それに入口上に看板は架かっているが、外見は住宅的町家そのものなので、さらに発見しづらいのである…たどり着けて良かった…。矢印の方向に引戸をスライドし、敷居を跨いで中に入る。そこは奇麗に掃き清められた土間で、右の畳敷きの部屋と奥の板敷きの部屋が古本屋として…ひえっ!なんだ?お、女の人が畳の上に横臥している。いったいどうしたんだ?古本屋に入ると女の人が倒れている…これはまるで乱歩『D坂の殺人事件』!…だが良く見ると、女性は本を何冊か身体の上に乗せ、クークーと寝ているだけなのであった…そんな不思議な状況に、一旦外へ出て頭を冷やす。あの娘は、お店の人なのだろうか?それにしても、良く寝ている。このまま帰っても良いのだが、必死に迷ってようやくたどり着いたお店なのだ。俺は、古本を買わねばならぬ。そう心を鬼にして、再び敷居を跨ぎ、子供のように眠りこける女性に「すいません」と、何度か声をかける。三回目くらいに「ヒィヤァ〜っ」と叫び声を上げ、本を身体から落としながら、彼女がガバと起き上がった。何と素晴らしき漫画的光景。さすがにこちらも狼狽えながら「お店やってますか?」と聞くと、彼女は両手で顔を覆い、ガクンガクンとうなずいた…ふぅ、良かった。縦長の土間には、立派な100均・300均・500均の棚がある。靴を脱いでかなり高い四畳半+板の間に上がり込むと、右側には酒・食・料理・ファッション・絵本などが幾つかの小さな棚に集まっている。真ん中には古雑誌・小冊子・女流作家の木箱があり。左のガラス障子の前には絶版漫画・少女漫画・カルト漫画の棚が置かれている。奥は一面の壁棚になっており、郷土・京都・音楽・映画・動物・児童文学・絵本・雑誌がズラリ。左の板の間に移動すると、ガラス障子裏の階段には、串田孫一が集められ飾られている。奥壁側には、海外文学文庫・海外ミステリ&SF文庫・海外文学(充実しており詩集多し)・日本文学・歴史・宗教・政治と続く。真ん中には平台があり、おススメ本がディスプレイされ、探偵小説文庫・幻想文学文庫・日本純文学文庫が集められている。左奥には美術・哲学・思想の棚があり、奥の帳場では完全起床した古本眠り姫が、今はお仕事中である。本は見易く、良書が所々に安値で紛れ込み、しっとりと良いお店である。お値段もお手頃価格が多いので、場所の分かり難さを差し引いても、楽しめるお店である。入れて良かった。ソノラマ文庫海外シリーズ「ウィッチクラフト・リーダー/フリッツ・ライバーほか」を購入し、迷宮の古本屋さんを後にする。

さらに自転車を駆り、出町柳のいつ何時でも定点観測したい「上海ラジオ」(2016/04/19参照)に立ち寄り、早川書房「続・幻影城/江戸川乱歩」を300円で購入し、「古書 善行堂」(2012/01/16参照)に馳せ参じる。春陽堂文庫「大金塊/黒岩涙香」福田書店「ラ・フォンティーヌ童話集 お猿の裁判官/平野威馬雄譯」を計1500円で購入しつつ、情報交換+古本屋&古本の楽しい楽しい無駄話。京都に溢れる古本心を受け止めてくれるこのお店があって、本当に良かった。
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2016年07月08日

7/8滋賀・膳所 古書クロックワーク

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北口に出ると小さなロータリーで、左奥を見ると京阪電車の駅もあり、街は何だか賑やかである。そのまま北に進んで踏切を越えると、道はたくさんの人と車が行き交う『ときめき坂』となる。人波に揉まれながらゆっくり下り、最初の東への脇道にひょいと入り込むと、そこも坂道で行き着く先は『大津高等学校』の校門である。だがその手前、ベージュの洒落たビルの一階に、白い美容院と隣り合い、小さな古本屋さんが存在していた。二つのウィンドウから見えるのは、ソフビ人形や駄玩具や古道具ばかりで、何だかあまり古本屋さんらしくない。窓には『BOOKS ANTIQUES MUSIC TOYS EPHEMERAS』とあるが、最後の言葉はあまり馴染みがないな…なので慌てて調べてみると、どうやら紙物類(いわゆる消え物)を指す言葉らしい…知らなかった。タイガーマスクの異様なソフビ群に注目されながら中に入ると、そこは紙物・セル画・付録・玩具・ソフビ・パッケージなどが氾濫する、小さな懐かしき世界。古本と様々な物品と、壁棚と机と細々した棚や箱とガラスケースと帳場で出来ている。入ってすぐ右には復刻ソフビが大量に下がり、左の足元には児童文学・旅・本&古本・などが臨める。続いてまたもやソフビや古道具や陶器が現れ、奥の窓際棚に探偵&幻想文庫・SF文庫・ミステリ文庫が収まっている。中央の机回りには、猫・実用・「とと姉ちゃん特集」・児童文学・絵葉書・5円引きブロマイドなどが集まる。奥壁には、ちくま文庫・カラーブックス・一般文庫・名探偵入門児童書・付録類・柳原良平関連・アニメ&特撮・探偵小説・澁澤龍彦・映画・性愛・風俗・古い漫画がドバッと並び、右の帳場横にはCDと共にジャズ&音楽が集められている。ガラスケースを覗き込むと、そこには羨望の高木彬光「オペラの怪人」旧版や、新作探偵小説全集が飾られていて、心臓がドキリ! そして入口右横の棚には古書が集められ、貸本漫画・探偵小説・仙花紙本・資料本・スクラップ・小型本・ジュブナイルなどが古色蒼然マックスにオーラを放っている。いや、良いお店である。絶対的に良いお店である。本当に小さなお店なのに、よくこれだけ丁寧にそして深く詰め込んでいるものだ。その完璧とも言える世界観に陶然と酔い痴れながらも、値段は普通〜しっかり値の中から目を血走らせて隙を探し出す。すると、机の下の児童文学箱で、理論社「手のひら島はどこにある/佐藤暁」を発見し、値段を見ると500円。この本、函じゃなくてカバーだったんだと、心中で万歳三唱しながら抱え込む。続いて壁棚にあった秋田書店「怪獣ウルトラ図鑑/大伴昌司」を手に取る。値段は1800円で函ナシで記名あり。だが念のため奥付を見ると12版であることが判明…版が若いぞ…ということは…焦りながら『ウルトラセブン怪人怪兵器大百科』のページを繰って行く。やった!あった!スペル星人だ! この本は、やはり禁断のスペル星人掲載バージョンだったのだ! ひとつのお店で、こんなに欲しかった本二冊と出会えたなんて、ダブル・どひゃっほう! ウキウキしながら店番のプリティーな女の子に精算していただき、そそくさと表へ出る。そして校門の前で、「ウルトラ図鑑」と「手のひら島」を交互に撫でさする。俺は、俺は本当に嬉しいぞ!
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スペル星人は被爆問題でタブーとされ、今でも完全封印された宇宙人である。最近出たこの本の復刻版にも、当然掲載はされなかった。特徴のひとつに『目から強力な溶解熱線スペル光線をだす。この目に、にらまれただけで一万人が死ぬ』とある。嗚呼、全開過ぎるぜ大伴節!
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2016年07月06日

7/6「伊呂波文庫」の二十周年記念セールは十日まで!

午後に期日前投票を済ませて、丸ノ内線で新中野へ。地上に出て『青梅街道』を東に進んで行くと、雲が流れて太陽が顔を出し、気温が急上昇し始める。こちらからでは閑散とした『中新ショッピングロード』を、ダラダラ南下して行く。やがて坂道になった所で「伊呂波文庫」(2008/07/11参照)に到着。創業二十周年を記念して、二割引セールを実施しているとのタレコミコメントがあったので、おっとり刀で駆け付けたのである。確かに扉には貼紙があり、『御来店・五百円以上お買上の方に限り』店内商品を二割引で販売する旨が書かれている。
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二十周年か…この少し風の凪いだ坂の途中で、踏ん張り続け、店内に良書を並べ続けた長い日々に敬意を表して店内へ。雑誌類が低く平積みされた中央通路は、相変わらず広めで気分が良い。その静けさに多少緊張しながら、左側の棚に古書や古雑誌が多いのに、大いに注目してのめり込んで行く。左側通路に入り込んでも、所々に出現する古書に釘付けになってしまう。途中、常連らしい二人組が入店し、店主と親し気に言葉を交わしている。そして平山蘆江ゾーンで、一冊の仙花紙本に魅入られてしまう。値段はちょっと張るが、これは、見たことがない。悩んだ末に帳場に差し出すと、精算の途中でオヤジさんがぐいっとこちらに身を延ばし、内緒話でもするように「あの、もしかしたら古本屋ツアーの…」げぇッ!何故バレたんだ!と狼狽えたところに、右側通路から先ほどの常連客二人がヒョコッと顔を出し「こんにちは。「猫額洞」(2014/05/10参照)です」と挨拶されてしまう。わわわっ!「猫額洞」さん!「入った時から、あっ!いるっ!って気付いてましたよ」とニッコリ。さらに狼狽えながら恐縮しつつ夫妻にご挨拶。「猫額洞」さんはその昔、この「伊呂波文庫」に立ち寄るようになったのがきっかけで、古本屋を始められたのだが(現在店舗は閉店)、まさかその話のような現場を、実地で目にすることになるとは!と妙なところで感動してしまう。非常に混乱した状況で、幸福も感じながらアワアワし続け、みなさんとしばらくお話しさせていただく。「伊呂波」さんは、実は「文雅堂書店」さんの一派で、師匠は「とかち書房」さんで「湧書館」さんとは兄弟弟子…くふぅ、いきなりなんてマニアックな会話をしているんだ…。来る度に何だか様子が変わるお店の秘密についてや、若手古本屋の台頭に目を大いに細め、これからの彼らの活躍に期待していることなどなど。話の節目節目に右側通路の奥から「猫額洞」さんの「ウフフフフ」という笑い声が響いてくる。あぁ、まさか私の人生に「伊呂波」さんに正体がバレるというコースはなかったはずなのだが、こうなったら仕方ない。これからはこの楽しいオヤジさんと腰を据えて話す覚悟で、お店に来ることにしよう。とにかく二十周年、おめでとうございます。次は三十周年記念で、三割引セールをぜひともお願いいたします。利根屋書店「妖怪カフェ/平山蘆江」を二割引の2800円で購入する。ふぅ、驚いた上に楽しかった。セールは7/10(日)までである。

この「妖怪カフェ」は、同じ出版社から「春雨日記及び妖怪カフェ」がタイトルで、昭和二十二年に出された上品な意匠のバージョンが存在する。昭和二十三年刊のこちらもページを繰ると「春雨日記」がメインで、目次では『装幀及び挿画ー著者』となっている。だが裏表紙に目を凝らすと『KIMATA KIYOSHI』のサインが入っているのだ。恐らく中の紙型をそのままに、表紙回りだけ扇情的な「妖怪カフェ」バージョンにすり替えたのだろう。奥付は昭和二十三年の初版扱いで、扉は鮫肌な厚紙に印刷絵の紙が貼付けてある、仙花紙本にしては妙に凝った造りなのも面白い。
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左がジャケ買いに値する表紙で、右が凝った扉である。
posted by tokusan at 18:10| Comment(6) | TrackBack(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする