2016年11月30日

11/30閉店に遅刻して、腹いせに古本屋さんをハシゴする。

下北沢の「July Books」(2011/11/28)が十一月一杯で実店舗を閉店するので、その様子を最後に駆け付けるようにして見に行く。…だが、緩やかでお洒落な商店街の坂を上がってたどり着いたお店は、すでに閉店してしまった後の祭であった…大大大遅刻か。それでもお店のエントランスにまだ残っていた、丸い手作り感溢れる『本』の看板を見られたことに、ひとまず心和ませる。
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最後に本を買えなかったことを、多少負い目に感じながらも、その後は近辺の古本屋さんを、巡り&歩き倒して行こうと、自らの両足にハッパを掛けて、闇雲に歩を進める。「古書ビビビ」(2009/10/15参照)では朝日ソノラマ「責任鑑定-霊の実体に迫る!心霊写真/ルネ・ヴァンダール編」を200円で購入し、「ほん吉」(2008/06/01参照)では新潮文庫「フレップ・トリップ/北原白秋」を400円で購入する。下北沢を離脱して三宿方面にテクリテクリ向かい、「山陽書店」(2014/02/18参照)では平凡新書「書店の近代/小田光雄」ともだち文庫「アルハンブラ宮殿の秘密/アーヴィング」東光出版社「花物語/西條八十」を計2000円で購入。そして最後は夕闇の中の渋谷に出て、人波に揉まれながら宮益坂を懸命に上がって、「中村書店」(2008/07/24参照)で潮出版社「さみしいネコ/早川良一郎」(献呈署名入り)を100円で購入し、その先の「巽堂書店」(2008/07/04参照)では筑摩書房「いまやアクションあるのみ!/赤瀬川原平」(献呈署名入り。どひゃっほう!)角川ホラー文庫「うろこの家/皆川博子」を計300円で購入。あ〜、買った買った。
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写真は本日の嬉しい収穫。プチ古本屋ツアーの最後に畳み掛けるように登場した、署名本を手に入れたことで、ひとつのアイデアが頭の中にピコンと閃く。来る12/10の古本市には、棚一列くらいの、自然に手元に集まった署名本を並べ、販売したいと思います!よ〜し、家中から、署名本を掻き集めてやる!

夜は「盛林堂書房」小野氏と、金曜日のトークについて、酔っぱらいながらじっくりと打ち合わせる。どうやらお互いの古本屋観を派手にぶつけ合うことになりそうな予感…12/2(金)は、どうか神保町の古本屋さんにディープな古本屋さん話を聞きに来て下さい!お席はまだ余っているらしいので、当日飛び入り参加も可能だと思われます。
■12月2日(金)
■ブックカフェ二十世紀(@ワンダー2階) 東京都千代田区神田神保町2-5-4
■19:00〜20:30
■会費:1,500円(1ドリンク付) 懇親会1,500円(軽飲食20:30〜21:30 ※自由参加です)
■予約申込はブックカフェ二十世紀(jimbo20seiki@gmail.com)までメールにてお願い致します。お名前と参加人数をお知らせください。詳細はブックカフェ二十世紀サイト「EVENT」よりご確認いただけます。→http://jimbo20seiki.wix.com/jimbocho20c
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2016年11月29日

11/29海老名で空振りして小田急下り方面を彷徨う

早くから動き始め、ラッシュアワーの中央線を経由して、小田急線で神奈川県入りする。海老名駅で下車し、すでに午前九時から営業し始めているはずの、移転した(とは言っても元のお店の対面である)「えびな平和書房」(2010/08/06参照)へと向かう。たまにはバスで行ってみるかと、東口ロータリーで幅を利かせている相鉄バスに勇躍乗り込む。駅前を離れた途端に急坂をぐんぐん上がり、広大な広場の相模国分寺跡や間近に迫る丹沢山系を車窓に眺め、丘の上の住宅街を下って、目的の『国分寺台ショッピングロード』に到着し、お店をすぐに探り当てる…だが無情にも、お店はぴしゃんと閉じていたのである…もう正午過ぎなのに。定休日でもないのに…。しばし現役感に満ち、社会闘士としてパワーアップした店頭をボンヤリ眺め、バスで来た道を徒歩でトボトボ引き返して行く。途中「さがみ国分辻書房」(2015/12/09参照)前を通りかかるも、こちらもまだお店は開いていなかった。こうなったら、近くのご無沙汰しているお店をハシゴしていくかと、駅に戻ってまずは相武台駅へ。

北口の商店街から少し離れたところにある「青木書店」(2009/12/12参照)は、小公園前でしっかりと営業中…あの紫色の日除けを見るのも、本当に久しぶりだ。こんな永谷園『ごはんですよ』的色合いの古本屋さんは、もしかしたら唯一無二…。
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よく滑るサッシ扉から店内に入り、大衆+文化+技術書+人文+戦争の空間に目を凝らして行く。高知発行の涙香資料本には盛大に心惹かれるが、四千円だったのであっさりと諦める。その代わりに映画棚で、あまり見かけぬ本を発見。新書サイズのケイブンシャ「決定版キング・コング/ゴードナー ターナー ウォーレス クーパー」は、ケイブンシャにしては珍しくそれほど粗い作りではなく、1933年版映画「キング・コング」のメイキングエピソード集と翻訳小説で構成されている。写真もスチールやメイキングやイメージボードが盛りだくさんなのが嬉しい。これが400円だったので迷わず購入する。

続いて小田急相模原に移動し、まずは「ツヅキ堂書店相模原ビデオ店」(2011/03/09参照)の様子を見に行くと、閉店のタレコミ通りに、看板はまだそのままだが、やはりシャッターがガッチリ下ろされてしまっている。
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合掌してすぐさま「二の橋書店」(2015/08/30参照)に足を向けると、ありゃりゃ、定休日でもないのにお休みか。潔く諦めて駅に引き返し、最後は町田駅で下車。北口から出て、そのまま『まほろ通り』を伝って古本ビル「高原書店」(2009/05/03参照)に到着すると、ほほぅ!いつの間にか、階段を上がった所から横に広がる小さな前庭に、古本が並ぶようになっているじゃないか。100均文庫棚・100均単行本棚・線引きアリ100均単行本棚(五所平之助の本、惜しいなぁ。本当に物凄く青のボールペンで、線引きが…)、それに長テーブルに展開された学術系全集群である。
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そしてビル内に進むと、床置きされた横積み本タワーの、各通路&各部屋の侵食具合がじわっと過激で、だいぶ倉庫感が増した状況に驚くと同時にニヤリ。全方位に注意を奪われながら、主だった部屋を観察して行く。やはりここに入ると、自然と…いや強制的に長居することになるなぁ。というわけでのめり込むとたくさん買ってしまいそうなので、古本心にセーブを掛けに掛けて、大同書房 犯罪實話新年號附録「世界犯罪隠語大辭典/西山光・黒沼健編」文藝春秋「壺中庵異聞/富岡多恵子」を計1188円で購入する。
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2016年11月27日

11/27東京・吉祥寺・西荻窪・上石神井 古本・古書 松田書店

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次号で終刊となるリトルプレス『BOOK5』を出していたトマソン社の社主・松田友泉氏が、小さいながらもついに古本屋をオープンさせたことを知る。出版社でありながら、同名で無店舗古本屋さんとしても活動し、催事や貸し棚で古本を販売していたが、これでついに一国一城の主になったわけか…。一刻も早く冷やかし祝うために駆け付けようと住所を確認すると、何だか鉄道路線から隔絶したような、都市の孤島のような場所である。上石神井駅・吉祥寺駅・西荻窪駅のちょうど中間…あれ?これ、家からは『早稲田通り』をまっすぐ西に歩いて行けば、距離はなかなかあるがたどり着けるのかも…と言うわけで酔狂にも、『阿佐谷北六丁目交差点』から西にテクテク歩き始める。環八を越えると、見知った風景から次第に離れて行き、武蔵野のしっとりとした面影が散見され始める。だが、都市の住宅街的色合いも、決して色褪せずに連続しているので、奥まり落ち着いた空間として仲良く融合し、人の生活を支えているかのようである。かなり歩き詰め、銀杏並木が美しく色づいた『青梅街道』に到達。道路の向かい側には、『井草八幡宮』の鎮守の杜が、樹冠の高い偉容を見せている。道路を渡り、水気の多い社の塀沿いに、まだまだ西へ歩いて行く。やがて道がぐんと谷底に落ち込むと、そこは『善福寺公園』の『上の池』と『下の池』を分つ、くびれの部分。そこから抜け出すように坂を上がって歩き続けると、『立野境バス停』手前の、一階が化粧レンガで覆われた建物右側に、小さな古本屋さんがひっそりとオープンしていた。店名看板は見当たらないが、壁には『古本』の文字があり、室外機の上にも小さな『古本』立看板が置かれている。ガラスウィンドウには、『本、買取します。』や、邦画チラシやイベントポスターが貼り出されている。中に入ると、本棚が押し迫る小さな空間。正面には小さな帳場があり、セット本を包みながらプリティーな女子店員さんが「いらっしゃいませ」と微笑む。すると奥から、マスク姿の松田友泉氏と切貼豆子嬢がいそいそと登場。帳場でギュウギュウになる彼らと挨拶を交わす。カーテンで仕切られた奥は、本棚の並ぶバックヤードのようだ。店舗部分は、五本の本棚で構成されており、右に大判ビジュアル本・映画・演劇・テレビ・カルチャーの並ぶ二本があり、左に最近刊文庫・児童文学・劇画・最近刊コミック・料理・サブカル・植草甚一・日本文学文庫・永島慎二・セレクトコミック・日本文学が並ぶ三本の棚がある。棚上にはコミックセットがドカドカ並んでいる。帳場前には自社出版物の「名画座手帳」などがディスプレイ。足元には永島慎二のイラスト集やCD箱・雑誌箱・機関車トーマスグッズ、それに開店祝いの振る舞い蜜柑カゴなども置かれている。このお店の型式は、倉庫&バックヤード部分がメインを占め、その一部を店舗とした「水たま書店」(2016/05/26参照)や「大村書店」(2013/02/04参照)と同じである。当然店舗部分の蔵書量はそう多くはなく、昭和的な漫画や映画や文学や癖のある本が特徴的に潜んでいるが、わりと雑本的な構成を採っている。値段はちょい安〜普通。二人とお話ししながら棚を見ていると、「暢気文庫」さんがお嬢さんとともに自転車で颯爽とご来店。途端に店内の密度が大幅に上昇したと思ったら、そこにさらに一人のお客さんが躊躇いながら入って来た。これはイカン。大人三人+小人一人で、たちまち店舗は飽和状態を迎え、みな本棚を見ることもままならなくなりそうだ。慌てて工作舎「稲垣足穂さん/松岡正剛」を購入し、蜜柑をひとついただいて辞去する。いやぁ、愉快なところに古本屋さんが誕生したものだ。さすがに帰りはバスに乗るつもりだったが、テクテク東に歩き始めると、上手く帰り着ける路線のバスに巡り会うことが出来ず、結局バカみたいに延々と歩き続けてしまう…往復合計九キロほどの、小さな、武蔵野の旅であった。お店は不定期営業なので、twitterなどで開店情報を確認しての来店が望ましい。

そして12/2(金)のトークに引き続き、12/10(土)の岡崎武志氏とのタッグによる、古本市&夜のトークも、何とぞよろしくお願いいたします!西荻ブックマークでの告知と予約がスタートしましたので、どうか、十二月はみなさんに、古本まみれになっていただきたいのです!

■「オカタケ&古ツア ガレージ古本市&トークイベント」
今年も性懲りもなく開催させていただきます。年末の古本的棹尾を華麗に飾ります。こちらはただひたすら能天気に楽しい古本市&トークイベントとなっておりますので、みなさま頭を空っぽにして、師走の一日をごゆるりとお過ごしください!
■12月10日(土)11:00〜17:00
■西荻窪 銀盛会館1階(JR西荻窪駅南口徒歩五分 杉並区西荻南2-18-4)
そして夜はトークイベント
■「2016年古本・古本屋総決算」
■同日18:00〜20:00
■西荻窪 銀盛会館2階
■1000円 定員25名
■予約・お問い合わせは西荻ブックマーク http://nishiogi-bookmark.org/
■古本市のお問い合わせは盛林堂書房 seirindou_syobou-1949@yahoo.co.jp 03-3333-6582
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2016年11月26日

11/26「小宮山書店」の包装紙

急な仕事で身動きが取れなくなり、予定をちゃぶ台返しにして家に閉じこもる。だが近所で古本を買うのは良いだろうと、己自身に甘く許可を下し、タッタカ急ぎ足で高円寺へ向かう。午前十時半の「西部古書会館」(2008/07/27参照)に息を切らして到着し、「中央線古書展」(2014/01/25参照)に突入する。ガレージ部分がいつもと異なり、右側にスチール棚で作られた二本の通路があるのだが、結構狭いので大混雑中!…これはやはり長机平台型式の方が見易いなぁ…。カバンを預けて中へ進むと、いつもより混み合う雰囲気に圧倒される。そして棚には、ガレージ部分から引き続き、外国文学&語学関連が多い模様。心が家に戻りたくないのか、今日は何だか細かく小冊子や紙物にまでチェックを入れてしまう。途中、左奥の「かぴぱら堂」棚に熱中していると、いつの間にか隣りにいたのは北原尚彦氏。挨拶を交わし、氏が私の手元を見た途端「あ、その本、さっき見た時に、小山さん向きだなぁって思ってたんですよ」とにっかり笑う。春陽堂少年文庫「ロビンソン漂流記 後編/デフォー」…いや、後編だけなんですけど、いつの日かまたこんな風に安値で、前編を手に入れられたらと思って…。結局一時間近く粘ってしまい、他には小学館「女学生の友」昭和38年1月号付録「長編小説 白いあざみ/三木澄子」東成社「へのへのもへじ/林二九太」新潮社「ジャングル放浪記《アフリカの幽鬼と幻想》/A・デュテュオーラ」日本評論社「満洲國読本」三一書房「竜二・ちょうちん/金子正次」日本精神醫學會「惑溺と禁慾/寺田精一」(函ナシ。大正十年刊。人間のあらゆる行動や反応を、精神科学で独善的に解き明かして行く妙な本。その対象は、宗教・恋愛・性・カニバリズム・空腹・排泄・犯罪・祭・銭湯・刺青・幽霊・綽名などなど多岐に渡る)「小宮山書店」包装紙を計1650円で購入する。みな300円以下のものばかりであった。

本日のささやかな収穫は、中央通路の地べたに置かれた「秋桜書店」の紙物箱から掘り出した、古い「小宮山書店」(2014/05/31参照)の包装紙(100円でした)。電話番号の市内局番が二桁なので、恐らく1960年以前のものであろう。現在のアート&写真に力を入れたお店とは異なる、銅鏡をモチーフにした古代史的デザインが、アカデミックな趣きを見せている。だがこういう包装紙は、継承して現在でも使っているかも…と思い、家に戻って自家製古本屋関連ファイルを調べてみると、あっ!100円文庫を数冊買った時に巻いてもらったのり巻き包装紙が、同じモチーフではないか。だがこちらは白色で、鏡と店名文字をピッタリ重ね合わそうとしても、結構大きなズレが生まれてしまう。市内局番が三桁そして四桁と変わった時に、刷り直している可能性はあるので、その時に多少の変更を施したのかもしれない。
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写真は白と茶の包装紙を重ね合わせたところ。驚いたのは、紙の横幅がピッタリ同じなのである。両方とも片側がザクザクと粗く切られているので、長き時を経てお店で受け継がれている裁断サイズがあるのではと、勝手に妄想してしまう。
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2016年11月25日

11/25「ふるほん横丁」はひっそりと五階に

中央線の人となり、まだ雪を被る屋根並を眩しく眺めながら新宿へ向かい、午前八時と、驚異的に早い時間からスタートする「第二十九回 新宿西口古本まつり」(2008/11/28参照)の初日に駆け付ける。地下改札を抜けると、日影の寒さが服をなんなく通り抜け、沁み入って来る始末。会場であるドーナツ形の『東京都交通広場』は、所々にガラスウィンドウと柱があるとは言え、ほぼ吹き曝しの通路状態である。広場前を足早に歩き去る多くの勤め人の向こうには、多数の古本ワゴンとそこに早速取り憑いている、頼もしき古本修羅の姿がチラホラ…たった数メートルの距離なのに、あちらとこちらでは完全に、次元と時間の流れが異なっているようだ。
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早速私も人の流れから抜け出し、古本の世界に身を投じる。このまつりは会場が円形なので、本に夢中になり過ぎ、ワゴンからワゴンへ懸命に飛び移って行くと、確実に自分の位置を見失い、ぐるぐると永遠に回り続ける『古本轆轤地獄』に陥ることが稀にある。なので私はそれを防ぐために、円を分かり易く四つのゾーンに分け、一辺ずつクリアして行くのを常としている。二重に並ぶワゴンを、外側から片面ずつ攻略して行く。途中、出勤前の工作舎I氏と、超久しぶりの「中島古書店」さん(2015/04/05参照)に声をかけられる(両方とも無様にしゃがみ込み、ワゴン下を必死に覗いている時であった…)。そんな風にして、寒さに震えながら一辺を見終わり、良し、では底辺の方へと向かうと、あれ?途中から厳然と仕切られ、バッグ売場に変貌…中途半端な長さの辺を見終わり、反対の天辺方面に駆け付けると、そちらも途中からバッグ売場になっているではないか。ということは、まつりは以前の円形ではなく、半分の半円になってしまっているのか。現在地を見失わなくなったことに、少しだけホッとしつつも、古本の量が減ってしまったのは、やはり何だか寂しいものである。國際文献刊行會 世界奇書異聞類聚第十一巻「女天下/エドアルド・フックス 村山知義譯」(鉄鋲付の函に入っており、本文は削除された部分に改めて原文が貼り込まれている…)少年少女講談社文庫「トンネル脱走作戦/ウィリアムズ」アルス「危險信號/大木惇夫」(函ナシ)を計1944円で購入する。このまつりは30日まで。

再び人波に飲み込まれ、山手線に乗って高田馬場へ。実はこの二三日、当ブログの検索ワードに『ふるほん横丁閉店』『ふるほん横丁撤退』などの不穏な語句が紛れ込んでいたため、気になって見に来たのである。東口駅前の雑居ビルにある『芳林堂書店』四階には、早稲田の古本屋さんを中心として古本を並べた「ふるほん横丁」(2010/04/14参照)が居候しているはずなのである。雑居ビルのエスカレーターを上がり、二階からは階段で上へ…むっ?四階が大幅な改装を施されており、書店スペースが半分になってしまっているではないか。確かに横丁は、影も形も見当たらない…。情報は正しかったのか?だが念のため五階のコミック売場にも足を運んでみる。すると華やかな明るい色味の世界の中で、入ってすぐの右奥の方に目をやると、煤けた古本を並べたコーナーが、ちんまりと存在しているではないか!おぉ!「ふるほん横丁」は、五階に移転し縮小しながらも健在だった!
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一応閉店のお知らせなどを探してみるが、何処にも見当たらない。あるのは「ふるほん横丁」は外税であることを訴える貼紙ばかりである。現横丁は、短い三本の通路が、四十本の棚と二台のワゴンで作られている。以前と違うのは、「藤井書店」(2009/07/23参照)の古書、「アート文庫」のミステリ&児童文学、「畸人堂」(2012/09/14参照)のミステリ関連が増えているところだろうか。何はともあれ、古本売場がちゃんとあったのは、嬉しいことである。「虹書店」(2010/08/24参照)の棚から琉球文庫「琉球の平等所 捕物控/石川文一」を540円で購入する。この本、舞台の脚本をノベライズしたものらしいのだが、中を見ると『双生児奇談』『巫女(ユタ)の殺人予言』『空手殺人事件』などのタイトルが、探偵小説的興味をグラグラと湧き上げてくれる!

そしていよいよ一週間後に迫ってしまった、「盛林堂書房」小野氏と古本屋と言う不思議な職業について語り合う、神保町「@ワンダー」でのトークイベント。お席がまだまだございますので、楽しい古本屋世界への入口を、どうか覗きに来ていただければ!
『連続講座 古本屋的!!』第4回「古本屋の光と影」
七月の同講座のトークに引き続き、その時の立場を逆転し、盛林堂・小野氏が聞き役を務め、大好きな古本屋さんについて、様々に縦横無尽に語り尽くします。ほぼ、何処が終点か分からないフリートークとなりそうですが、意外に真面目に話すことの方が、多いかもしれません。およそ半月後に迫っていますが、スケジュールをやりくりしていただき、ぜひともお越しいただければ。もちろん「古本屋ツアー・イン・京阪神」の苦労話なども!
■12月2日(金)
■ブックカフェ二十世紀(@ワンダー2階) 東京都千代田区神田神保町2-5-4
■19:00〜20:30
■会費:1,500円(1ドリンク付) 懇親会1,500円(軽飲食20:30〜21:30 ※自由参加です)
■予約申込はブックカフェ二十世紀(jimbo20seiki@gmail.com)までメールにてお願い致します。お名前と参加人数をお知らせください。詳細はブックカフェ二十世紀サイト「EVENT」よりご確認いただけます。→http://jimbo20seiki.wix.com/jimbocho20c
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2016年11月24日

11/24店主からレア本を示唆されどひゃっほうと成す。

雪の中を、傘を開いてテクテク出かけ、開いていれば新規開店のお店に行こうかと企んでいると、途上で今日は開店しないことを知り、がっかりする。仕方なく手をかじかませながら、『いつもお世話になってます』の「ささま書店」(2008/08/23参照)に到達…もはや五日と空けずに訪れている気が…。この寒さと雪のためか、珍しい誰もいない店頭の景色である。そこではまるで復刻版のように新品同様で、手の切れそうなほど紙がピンとした昭和二十年代の時刻表を見つけ、表紙絵の愛らしさやグラビアページの『つばめ号』のスチームさに惹かれ、門外漢なのだが抱え込んでしまう。さらに店内に引き込まれた文庫&新書店頭棚から一冊選び取り、静かなレジで精算する。日本交通公社「主要驛 時刻表 第23巻 第六號」「日本國有鉄道編集 時刻表 第二十六巻 第十號 大改正號」徳間書店「アニーメジュ」昭和56年11月号ふろく「スタジオぬえのデザイン・ノート」を計315円で購入する。お店を出た後は、寒さに敗れて電車に一駅乗って、西荻窪で降りて「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にたどり着き「フォニャルフ」に補充する。ちょうど「黒死館殺人事件」徹底研究家の素天堂氏が納本に見えており、早速新刊の黒死館附属幻稚園「生者の埋葬/フランツ・ハルトマン」を購入する。生き埋め…というよりは、埋葬前後(もしくは火葬寸前)に生命活動を終えているはずの死者が、現世に生者として蘇生する事象を多数蒐集し、紹介研究(科学的&オカルト的に)している楽しい本である。…ここで話は飛ぶが、明治期の探偵小説を読んでいると、良く人が簡単に死ぬ。そして驚くほどすぐに生き返るので、大いに面食らうことが多い(本当に嫌になるほど多い)。例えば、頭を鉄棒で絶息するほど殴られ昏倒し、以降『息も絶えしに』『死骸』と表現されるのだが、活を入れると、さもそれが当然と言わんばかりに息を吹き返すのである。恐らく死んだのではなく、『気絶』もしくは『仮死』状態ということなのだろうか、それにしても…。

その後は高架下を北に抜けて「音羽館」(2009/06/04参照)へ。ちくま文庫「大東亞科學綺譚/荒俣宏」創元社科學の泉10「磁石/三橋鐵太郎」を計200円で購入し、店主・広瀬氏と四方山古本屋話。その最中に、氏が帳場前に立つ私の背後に注意を促す。振り返ってみるが、知り合いがいるわけでもない。「えっ?」と訝し気に問い返すと、もう一度「ほら後に本が…」と言われる。振り返ると、本の山の上に一冊の本が立て掛けられていた。ユニコンブックス「推理 名探偵40人に挑戦/加納一朗」(カバーに補修、本体に記名あり)…私向きの本と喝破し、思いっきり示唆してくれていたのだ。インチキ臭い名探偵風外国人の写真が、パチ物感を呼び起こす一冊である。加納一朗は多くのミステリ系児童入門書を手掛けてはいるが、これは見たのは初めて。千円と比較的安値だったので、迷わず購入を決める。お土産に高知の蜜柑をいただき、家へとスゴスゴ舞い戻る。早速蜜柑を食べながら「名探偵40人に挑戦」について調べてみると、これが予想以上のレア本らしく、思わずどひゃっほうとつぶやいてしまう。音羽館に感謝を捧げながらページを繰り、五十前のオッサンが児童書の名探偵推理に挑戦開始!
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と言うわけで本日の収穫二冊です。
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2016年11月23日

11/23話を聞く古本屋、話しをする古本屋。

午後に古本を買いに東へ。久々に行きたくなった大好きな二店を、コンボ急襲するつもりなのである。今日が祝日なので、多少開いているかどうかの不安はあるのだが、構わず東へグングン進み、やがて千葉県へ。まずは京成大久保駅で下車して、本来は装飾であるはずの地面タイルの割れが、もはや荒廃した状態にしか見えない商店街『ゆうろーど』を北に突き進んで行く。道沿いにあったブックオフは、建物老朽化のために閉店してしまった。だが、道の遥か先の「キー・ラーゴ」(2009/11/25参照)は、営業中の勇姿をしっかりと商店街に晒していた…実に九ヶ月ぶりの再会か。
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今日はいったいどんなめくるめく古本世界を見せてくれるのだろうか。抑えられれぬ笑みを顔に浮かべながら、先客のある100均店頭棚に取り憑くと、くっ!早速新装版2刷の「光車よまわれ!」を見つけてしまい、やはりここは素晴らしいお店だったと、恒例行事のように認識する。他にも一冊抜き取り店内に進むと、前室ゾーンに、以前は奥にあったミステリ&ポケミス・吸血鬼・黒澤明・美術四面棚が移動して来ている。すべての棚をチェックしつつ、左壁手前棚の古書ゾーンに神経を集中する。それにしても、先客のオヤジさんが白髪の武満徹風店主を相手に、際限なく喋り続けているようだ。声高にする“俺は大物”話を、店主は柳に風と聞き流し、時々「ふぅん」と綿埃のような相槌を打っている。奥の映画ゾーンに入ると、こちらもその話を間近で強制的に聞かされながら、本を見ることとなる…やはり古本屋さんは、色んな人を惹き付けて止まない、謎のパワーを秘めているのだな…。大物のため常に警察にマークされている話を聞きながら、古い邦画パンフやプレス類の入った箱を静かに漁る。筑摩書房「光車よまわれ!/天沢退二郎」講談社「美徳のよろめき/三島由紀夫」東方社「浅草のマノン/菊田一夫」春陽堂復刻版「屋根裏の散歩者/江戸川乱歩」大映ヂャーナル社「大映ヂャーナル No.14」を計2200円で購入する。精算から袋入れまでの間、ここだけはオヤジさんは静かに口を閉じていた…。
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これが粗悪な紙に刷られた「大映ヂャーナル」(昭和二十二年十二月発行)。横溝正史原作の映画、「三本指の男(原作「本陣殺人事件」)」「蝶々失踪事件(原作「蝶々殺人事件)」が掲載されていたので、思わず購入してしまった。

続いて八千代台駅で下車し、最近は午後三時あたりに開店すると言う、千葉の名店「雄気堂」(2009/05/30参照)へ。ワハハハハ、硝子ウィンドウに『定休日 水曜日』とあるのに、思いっきり開いてるじゃないか。こいつは嬉しい誤算である。早速店内通路に跪き、棚の下までじっくり観察。先客の奥さまが店主と話しているのを漏れ聞くと、どうやらこの夏にはちょっと体調を崩されていたらしい…そして、さらに女性のお客さんが飛び込んで来て、赤ちゃんの写真を見せ始めた…おぉ!このお店にも、ちゃんと女性ファンがいるなんて!驚き面食らいながら、実に一年六ヶ月ぶりの挨拶を店主と交わし、春陽文庫「人生の阿呆/木々高太郎」桃源社「歌手の視力/戸板康二」を計1300円で購入しながら、果てしのない話をいつものように拝聴し始める。古本屋の嘆きと矜持、若手古本屋へのエールと苦言、出版文化への敬愛と意見、デジタル機器の即時性と弊害、伝統文化の継承と形骸化、憲法改正への大いなる怒りなどなどなどなど、パイプから良い香りの紫煙を上げながら、四方山話は留まるところを知らず、走り続ける…取りあえずは、文化的怪気炎を上げる元気そうな様子に安心し、キリの良い所で辞去して表に出れば、いつの間にか真っ暗で、厳しい寒さが服の隙間から忍び入ってくる始末。さて、そろそろ重い古本を抱えて帰るとしようか。
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2016年11月21日

11/21思い直して古本を買いに行く。

今日はゆっくり目に過ごそうと思っていたのだが、朝から雑事をこなしているとエンジンがかかってしまい、郵便物を出しに行くついでに、正午前の荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)に足を延ばしてしまう。雨は降っていないが雨仕様の店頭で、早速古本修羅の群れに混じって三冊を抜き出し、そのままヌラリと店内へ。ちょと店頭文庫棚に妙な文庫が紛れていたので、店内の文庫棚にも変化がありそうと予測して、入口近くの壁棚を、作家五十音順の終りから注視して行く。あまり変化がないようだが…ちょっと気負い過ぎたか…むっ?なんだこの古い文庫は?と、乱歩のゾーンで一冊の古く煤けた文庫本が目に引っ掛かり、ソッと抜き出してみる。河出書房市民文庫の「心理試験」である。さして珍しいものではないが、何かがおかしい…こんな装幀だったか…?市民文庫は確か、表紙が黄色と白のツートンカラーが普通だが、これは利休鼠色の地に菊の花がパターンのように連続プリントされ、小豆色の文字でタイトルや作家名が刷られている。そして裏表紙を見ると、そこには『学生サーヴィス版 定価¥40』とあるではないか。
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あ、これ、袖は糊付されているが、カバー装なんだ。カバーをちょっと捲ると、下にはお馴染みの黄色と白のツートン表紙が隠れていた。どうやら通常版に、特別の安売用カバーを掛けて、販売していたものらしい。最終ページには『宣傳特売売上カード』というものが貼り付いており、『定価と特売価を較べて下さい。驚くほど安くなっております』『特賣価四拾円』と書かれている。奥付の定価は『定價九十圓』となっている…なんと半額以下の安さ!それにしても本当にこれは、学生だけが買える文庫だったのだろうか…う〜む、面白いものを見つけたぞ。桃蹊書房「をさない記憶/徳永直」筑摩叢書「聴耳草紙/佐々木喜善」早川書房「来訪者/ロアルド・ダール」と共に計840円で購入する。

家に戻って色々済ませた後に、二週間前から気になっていた本を、やはり買いに行くことにする。南北線で本郷台地下を疾走して、本駒込駅下車。地上に出ると、ちょうど雨が降り始めたところだが、構わず坂を駆け下りて、白山下の「誠文堂書店」(2011/08/19参照)に飛び込む。そして脇目も振らずに奥の壁棚に向かい、目的の本を探し求める。………あった!日本出版協同株式会社の異色探偵小説選集10「青列車殺人事件/アガサ・クリスチイ 松本恵子訳」(セロハン・帯ナシ)である。値段は1100円。あの時は迷ったが、今回は躊躇なくレジに差し出し購入する。何故こんなに必死になってこの本を買いに来たかと言うと、実は訳者・松本恵子の献呈署名入りなのである(良く見ると「あとがき」の誤植に、署名と同じブルーブラックのインクで、直しが入れてある。もしかしたら筆蹟が似ているので、訳者本人が入れたものかもしれない…)
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何故前回これを買わなかったのか、自分でもよく分からないのだが(情けないことに手元不如意だったかも…)、とにかく本がまだ残っており、結局は手に入ったので、めでたしめでたしとする。松本恵子は探偵小説家&翻訳家・松本泰の妻であり、また自身も同一の肩書きを持っている。心に棘のように刺さっていた獲物を首尾良く手に入れて、とんぼがえりで帰宅する。夜は大市のために上京して来た「舒文堂河島書店」さん(2008/12/22参照)を囲む会に参加するため、夜の雨の高円寺へ歩いて向かう。
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2016年11月20日

11/20「第35回 鬼子母神通り みちくさ市」に便乗した態になる。

走り続けて色んなカタチで古本屋さんに関わって来た、十一月半ばの一週間の最後の締めは、ポカポカ陽気の雑司が谷にて「みちくさ市」に参戦。朝から重い本を引き摺り、すでに体力が限界を迎える中、会場の活気漲る『鬼子母神商店街』に到着。出店場所に案内されると、そこは都電の踏切北側の、通りより少し離れた場所…こ、これはお客さんが来るのだろうか?振り向いてくれるのだろうか?あまりにも離れ小島感があるので、まるで「みちくさ市」に便乗して、勝手に古本を並べて売っているオッサンに見えなくもない恐れが…。そして確かに目の前に人通りはあるのだが、五メートルの距離が無関心さとめんどくささを引き起こし、もしや売り上げナシなんてことに…。こんなに不安と怯えに包まれながらスタートした「みちくさ市」は初めて。だが眦を“キッ”と音がするほど決し、素早くシャッターの閉まった店舗前の二段のステップに、古本をディスプレイして行く。
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(右の古本市幟は、売り上げを心配した退屈男君が途中立ててくれたもの)
最初は順調に顔見知りの方や古本仲間が訪れ、ホットな古本屋バイト話に花を咲かせたりしていたが、やはり一般のお客さんはこちらまで寄って来ない。昼食時の凪ぎタイムを経た後、このままではジリ貧だ!と覚悟を決めて、ついに通りを歩く人々の列に向かって、声を出すことにする。「いらっしゃいませ〜。古本売ってまぁ〜す」。都電が五分に一本訪れ、踏切音がその声を無惨にもかき消す。だが、遮断器が上がり、新たな人の流れが生まれる瞬間に、めげずに声を投げ掛け続ける。すると、少しは効果があるのか、時々前を見て歩いていた人が、ふいと顔をこちらに向けて近付いて来てくれることがあるのだ。もちろん来てくれた人が必ず本を買ってくれるわけではないのだが、それでもなにもしないで手をこまねいているよりは百倍マシだ!と声を出し続ける。途中、古本神・塩山芳明氏の実家にあるエロ本蔵(仕事で作ったり献本されたエロ本をたっぷりと溜め込んでいるのだ)の話に笑い、ずっと岡崎武志氏の話をする方と丁々発止のやり取りで岡崎氏に関する蘊蓄をぶつけ合い、駄々猫舎さんからはつい最近神戸に出来た古本と駄菓子のお店についてタレ込まれ、何故か「推理・名探偵クイズ」を「こっちの方が難しそうだ」と真剣に悩みながら買ってくれたうら若き女性に胸を打たれ、その後に一足違いでそのクイズ本を買いそびれたテストが間近に迫る古本中学生ケンタロウ君を慰めたりして、五時間の時は過ぎて行った。結果、声を涸らした甲斐があったのか、四十八冊を売り、「古本屋ツアー・イン・京阪神」も無事に三冊を旅立たせるのに成功する。本を買って下さったみなさま、声をかけて下さったみなさま、そして“わめぞ”のみなさま、楽しい時間をありがとうございました。達成感はあるのだが、さすがにかなり消耗してしまったので、打ち上げはパスして、売れ残った本を引き摺って、夕闇迫る目白台地から撤収する。ゼエゼエ帰り着いた、すっかり暗くなった地元阿佐ヶ谷では、ついつい「銀星舎」(2008/10/19参照)に立ち寄り、河出文庫「黄夫人の手/大泉黒石」(この文庫のプロフィールで、大泉滉が黒石の息子であることを初めて知る。顔が、顔がそっくりだ!)筑摩書房「グリコのおまけ」を計400円で購入し、ここでも古本屋バイト話に花が咲く。それにしても古本屋さんたちは、この古本屋バイト話をことのほか喜んでくれる。だからそれだけでも、やっぱりやって良かったと、切に感じ入る。よし、受け入れてくれる所があれば、また何処かのお店で働いてみようか。これはもしかしたら、新しい別角度の古本屋ツアーとなって行くのかもしれないという予感が、少しだけピリッと背中を走る。
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2016年11月19日

11/19古本屋バイト・イン・J町 最終日

いよいよ今日がバイト最終日。ところがJ町は、シトシト雨に降られている。なので店頭が雨仕様となり、入口下にワゴンをひとつと、表に看板とシートを被せた店頭棚を一本出しただけで、営業スタート。土曜日は、どうやら一番賑わう曜日らしいのだが、寒い雨のためか、客足は鈍目である。というわけでレジ対応をしながら、外の雨の様子をチェックしつつ、昨日の続きのややこし過ぎる横溝文庫整理に従事する。さらに値段札貼りや棚チェック、それに本のクリーニング+ビニカバ掛け…四日間で覚えて来たすべてをなぞるように吐き出すように、手を一生懸命動かして行く。そんな中で自分でも驚いたのが、初めてなのに箱にキレイにビニールを掛けられたこと。
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この不器用な俺が、こんなにも物質感を上昇させる保護&飾りを、古本に施せるなんて!と大げさに感動しながら、先輩店員に値付をしてもらい、ソッと売場の棚に収めておく。午後からは雨も上がり、お店は次第に混雑を極めるようになる。特に二階で行われた読書会前後は、すべての通路に人が立ち、ちょっとしたラッシュ状態に…店内が人いきれに満ちている!と驚いていると、笑顔の古本神・北原尚彦氏にふいに声をかけられる。何と本日の二階の読書会はホームズ本なので、参加しに来たとのことであった…やっぱりすげぇな、この人は。今日は他にも二三のお客さんに声をかけていただき、しっかり古本屋バイトをしているところをチラ見していただく。そのままずっと走り続けて手を動かし続けて、気づけば午後六時半となり、最終日にここから仕事を抱えると、終わらずに明日も出勤することになりそうなので、残り三十分をレジ待機だけに専念する。…ふぅ、このお店に働きに来て、勤務時間中に、初めてノンビリと過ごしている気がする。いや、五日間で合計37時間30分、基本的な仕事ばかりだったが、古本屋さんの基礎の部分って、本当に地味で大変で終りがないと痛感する。でもこの無限基礎仕事が、店に来るお客さんが棚から抜き出す、喜びの古本獲得体験へと化学変化して行くのである。本当に古本屋ツーリストとして、貴重な体験をさせてもらいました。バイトしたお店は、神保町の「@ワンダー」(2009/01/21&2014/05/22参照。ただし二階は紆余曲折を経て、半分は移転して来た「ブックカフェ二十世紀」に)。突然「古本屋バイト体験させてください!」のリクエストを快く受け入れてくれた店主の鈴木氏、それに『靖国通り』側の1レジで、忙しいのにこのポンコツオヤジを何くれなく面倒を見ていただき、間断なく仕事を作り出して与えてくれた、先輩店員の藤田氏と伊藤氏には、とにもかくにも大感謝である。奥の2レジの皆さんと、二階のレジ&カフェの皆さんにも、本当にお世話になりました。最後にこのバイトの思い出に、思い切って古本を一冊購入する。初日から1レジの左前方で存在感デカく目立っており、ずっと売れ残っていた東光出版社「最新探偵小説全集10 笑う肉仮面/山田風太郎・江戸川乱歩監修」(函ナシ)を五千円で購入する。途端にレジの周りに集まっていた先輩たちから「函が…」「函があればねぇ〜」と声が上がる。…あぁこんな風にして、いつの間にか裸本が増えて行くのである…本意ではないのだが、私はいつのまにか裸本コレクターと化しているのではないだろうか…。
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今回のバイト体験は、12/2のトークイベントに充分反映させるつもりなので、みなさま12/2(金)開催『古本屋の光と影』(詳しくは2016/11/16参照)を、よろしくお願いいたします。そして古本屋雑用レベル1くらいには達していると思うので、ぜひウチでバイトしてくれと言う奇特な古本屋さんがあれば、ご連絡ください。地球の裏側からでも駆け付けて働きます!

先週土日の大阪&京都行脚からノンストップで動き続けてきて、明日は今年最後の「みちくさ市」に参戦。相変わらず妙な古本たちとともに、己の人生と魂を分譲した新刊「古本屋ツアー・イン・京阪神」携えて行きますので、首をニョロニョロニョロニョロ長くして、午前十一時から午後四時まで、秋の雑司が谷でお待ちしております!
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2016年11月18日

11/18古本屋バイト・イン・J町 その4

ちょっと早めにJ町に入るが、意気込んでいたわりには何も買えずにお店にたどり着いてしまい、そのまま古本屋バイトを開始する。レジ近辺にシンナー臭が漂っているのだが、昨日強力なシール剥がし液が飛び散る大惨事が発生してしまったとのこと。刺激的な匂いを始終嗅ぎながら、今日はただひたすら催事用古本作成に邁進する。もちろんその間にレジ打ちをこなすのだが、金曜日はなんだかお客さんが多く、時々てんてこ舞いになってしまう。『砂の惑星デューン』の日本語版を探しに来たフランス人カップルが、先輩店員が取り出したアメコミの『デューン』に大感動し、「ワァオ!」を連発。二人で表紙を見つめてずっとうっとりしながら、ハヤカワ文庫セットとともに購入する一幕も。そしてちょっとレジ打ちに慣れて来たのが、逆に心の油断を生んだのか、ちょこちょこ打ち間違いや誤動作を引き起こしてしまい、凹みがちになる…。昼休みに『白山通り』の和本と書のお店「誠信堂書店」(2008/07/25参照)前を通りかかると、奥の上がり框に犬がスックと立っており、お店をロケに使った映画『珈琲時光』そのままの風景が展開されていた。おかげで心が少し暖かくなる。
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「原書房」(2014/05/15参照)にて、國民書院「まじない秘密奥伝傳/石邑雲齊」(非常にインチキ臭いおまじない&薬のオンパレード!)靈響山房「んざん抄 心霊と人生雜想/宇佐美景堂編著」(分厚い文庫サイズの心霊&超能力体験や奇蹟・奇病などの体験談を集めたもの)を計700円で購入する。お店に戻って引き続き値段札貼り、貼り、貼り!結局催事用文庫を、夕暮れまでにダンボール四箱分作り出す。その後は棚出しするための本を準備するため、まずは新入荷本が棚とダブっていないか確認。大量の横溝文庫が大きな壁となって立ちはだかる。装幀・表紙絵違い、帯ありorなし…ややこしいこと甚だしい…いかん、「幽霊座」と「幽霊男」を同一視してしまいそうに…。こうして四日目は、一日中文庫本との格闘に終始したのである。

閑話休題。今読んでいるのは、相変わらず敗北気味のヤフオクにて何故か比較的安値で手に入れられた、春陽堂「探偵小説四集 五人の生命」。明治二十六年刊のA5版の100ページ強の本で、当時の定価は一冊七銭。活字も大きく、船・汽車・馬車内で暇つぶしに読まれることを想定し(だから表3&4は時刻表になっている)、尚且つ読了したなら家に持ち帰らずに、捨てることを勧めている。同シリーズに泉鏡花の探偵小説「活人形」があるはずだが、当時はやはり読み捨てられていたのだろうか…も、もったいない…。いやそんなことより、読み進めていると、あまりに驚愕のシーンにぶち当たってしまったので、ここで少し紹介しておきたい。全体的な話は端折るが、注目のシーンは、腕力知力変装力に長けた名探偵・瀬尾が、敵側の情勢を探るために老婆の物売りに変装して、アジトを偵察するところ。敵方の小娘と面談中に、今まで心安く話していたのが突然「お前は何者なんだえ?」と詰問して来たので、探偵はとぼけようとするのだが、「隠し立てしたってだめだよ」と手鏡を突きつけられる。するとなんと、探偵の変装カツラが、ずれてしまっていたのだ…「こはこは如何に…頭につけし鬘の工合の惡しかりけん、小鬢のあたりの黒髪が手拭の下より見え透くに、こはしなしたりしくじったり…」。こんな愉快な探偵小説、ありなのか?この文章を読むや否や、本当にプフッと吹き出してしまった。探偵、絶対にすれてちゃダメじゃん!
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2016年11月17日

11/17準備でせっかくの休日を台無しにする

今日はバイトはお休み。たった三日勤めただけで、疲労を極度に溜めまくった身体には、やすらぎの二十四時間…だが、そうは言ってられないのである。土曜のバイト勤め終了後の日曜は、「みちくさ市」に参戦することが決まっているのだ。古本を、古本を準備しなければ!と朝から結局バイトと酷似した作業に奔走する…俺はいったい何をやっているんだ…古本と戯れるにも、ほどがあり過ぎ、秋の日々…。新ネタを家中の山からガサゴソ掻き集め、全体の構成を微調整した後、本のクリーニングに入る。
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そして昼食後、BSプレミアム放送の映画『悪魔の手鞠唄』に集中力を奪われながら値付に入る。だが途中で息抜きに外出。テクテク歩いて「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に入り、徳間書店「みなとまち・異人館/原田伴彦監修」ハタリ「座頭市映画手帖」文藝春秋「斉藤栄のミステリー作法/斉藤栄」を計721円で購入し、そのままカウンターでECD闘病応援のためにカンパし、『ガーンECD』ステッカーを一枚いただく。お店を出たらいつもの通り道をたどり、いつもの荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)。春陽文庫「東京暗黒街/島田一男」(昭和三十七年四刷)新潮文庫「終編金色夜叉/小栗風葉」三省堂「新版SFの世界/福島正美」桃源社「地獄横丁/渡辺啓助」を計840円で購入する。続いていつもとルートを変えて吉祥寺に電車で向かい、久々の「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。すると店頭棚から、岩谷書店が出していたB6サイズの『天狗文庫』という本分三段組みの仙花紙本を見つけ出し、こんなの見たことなかったぞ!と喜び頭上に掲げる。岩谷書店天狗文庫「胡堂捕物傑作選/野村胡堂」講談社「単線の駅/尾崎一雄」を計400円で購入する。その後は西荻窪までトボトボ歩き、「盛林堂書店」(2012/01/06参照)で「フォニャルフ」棚にちょちょいと補充しつつ、店主・小野氏と意外に近くに迫っている、十二月の二つのトークイベントについて軽く打ち合わせる。そして古本屋バイトを大いに冷やかされてしまう。

家に帰って再び準備作業に取りかかり、夕食前には無事完了。よし、これで日曜の準備は万端だ。ふぅ、と背筋を伸ばして、今日の嬉しい収穫二冊を愛玩する。
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天狗文庫の最終ページと表3は岩谷書店の広告で、かたや『岩谷選書』十九冊の広告、かたや「獄門島」「眼中の惡魔」「木乃伊の戀」となっている。選書の広告では「赤痣の女/大坪砂男」「眞福寺事件/久生十蘭」「鬼火/横溝正史」「緑衣の女/高木彬光」「J・ハリス/幻妖夢」「文學少女/木々高太郎」「人形佐七捕物傑作集」などもラインナップされているが、タイトルが変更になったり出版されなかったり…。
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2016年11月16日

11/16古本屋バイト・イン・J町 その3

今日も真面目にバイトします。だが出勤前に、開いた早々の「田村書店」(2010/12/21参照)店頭に齧り付き、中公文庫「西條八十/筒井清忠」岩波文庫「芥川竜之介書簡集」現代書館「異端の笑国【小人プロレスの世界】/高部雨市」講談社「枯草の根/陳舜臣」文園社「吉行エイスケ作品集」非凡閣「晩夏楼/上林暁」(カバーナシ)を計800円で購入し、いきなり六冊の古本を抱えたカタチで古本屋に出勤する。最初は奥の事務所兼倉庫にて、催事用の小ネタ文庫群作りに励む。本の山を値段ごとに分けてもらい、後はそれにひたすら値段札を貼付けて行く地味な作業である。
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その後はレジに戻ってレジを打ちつつセット本の梱包をしたり、ダンボール三箱分の映画スチールの袋開け、均一本の値段付けなどを行っていると、あっという間に夜になる…一日が経つのが、なんだかとても早い…。そしてはたと気付いたのは、今現在古本屋さんに臨時に勤めているのだが、その仕事は古本を売ることより、商品である古本を製造して行く作業の方が、遥かに遥かに多いのである。常に古本の商品化を目指し、手を忙しなく動かし続けている。だから、需要(小)と供給(大)の関係が、見事なまでのアンバランスとなって行く。つまり供給物を生み出す作業は、速攻売れる本より、遅効性のじっくり売れたり寝かしたりする本の方が(つまりは在庫である)、遥かに多いと言うことなのであろう。今さらそんな単純なことに気づいた、バイト三日目の夜であった。

時間をキュキュッと巻き戻し、正午前。ひとり催事用値札貼りをしていると、突然事務所のドアが開き「小山さん」と声がかかる。振り向くとそこに立っていたのは、古本神・森英俊氏であった。「店長に聞いたら、ここだとうかがったので」「えっ!森さん、どうして分かったんですか!」と嬉し恥ずかし色めきたつと、「なぁに、簡単な推理ですよ」とホームズみたいなセリフを口にして、ニヤリ…この人は、これを言うために、ここにやって来たに違いない、とその瞬間に確信する。名探偵的陣中見舞い、ありがとうございました!

※お知らせいくつか
ウカウカしていたら、押し迫って来る気配の年末!そんな忙しい時期に、三つほど催し物に参加したり企画したりする予定です!

1. 今年最後の「みちくさ市」に、面白&奇妙&真面目&ミステリな古本と新刊「古本屋ツアー・イン・京阪神」を携え参加いたします。どうか、なまった体でどうにかやりおおせた古本屋バイトの話や、関西のお店の話など、古本を買いがてら聞きに来ていただければ!もちろん識語署名捺印何でもござれ!
■第35回 鬼子母神通り みちくさ市
■11月20日(日)11:00〜16:00(雨天中止。当日8:00に天候による開催の有無を決定します)
http://kmstreet.exblog.jp/
■雑司が谷・鬼子母神通り 東京都豊島区雑司が谷2丁目・鬼子母神通り周辺 東京メトロ副都心線・雑司が谷駅1番出口または3番出口すぐ
■michikusaichi●gmail.com(●をアットマークに変えて送信してください)
みちくさ市本部 携帯電話:090−8720−4241

2. 『連続講座 古本屋的!!』第4回「古本屋の光と影」
七月の同講座のトークに引き続き、その時の立場を逆転し、盛林堂・小野氏が聞き役を務め、大好きな古本屋さんについて、様々に縦横無尽に語り尽くします。ほぼ、何処が終点か分からないフリートークとなりそうですが、意外に真面目に話すことの方が、多いかもしれません。およそ半月後に迫っていますが、スケジュールをやりくりしていただき、ぜひともお越しいただければ。もちろん「古本屋ツアー・イン・京阪神」の苦労話なども!
■12月2日(金)
■ブックカフェ二十世紀(@ワンダー2階) 東京都千代田区神田神保町2-5-4
■19:00〜20:30
■会費:1,500円(1ドリンク付) 懇親会1,500円(軽飲食20:30〜21:30 ※自由参加です)
■予約申込はブックカフェ二十世紀(jimbo20seiki@gmail.com)までメールにてお願い致します。お名前と参加人数をお知らせください。詳細はブックカフェ二十世紀サイト「EVENT」よりご確認いただけます。→http://jimbo20seiki.wix.com/jimbocho20c

3. 「オカタケ&古ツア ガレージ古本市&トークイベント」
今年も性懲りもなく開催させていただきます。年末の古本的棹尾を華麗に飾ります。こちらはただひたすら能天気に楽しい古本市&トークイベントとなっておりますので、みなさま頭を空っぽにして、師走の一日をごゆるりとお過ごしください!
■12月10日(土)11:00〜17:00
■西荻窪 銀盛会館1階(JR西荻窪駅南口徒歩五分 杉並区西荻南2-18-4)
そして夜はトークイベント
■「2016年古本・古本屋総決算」
■同日18:00〜20:00
■西荻窪 銀盛会館2階
■1000円 定員25名
■予約・お問い合わせは西荻ブックマーク http://nishiogi-bookmark.org/
■古本市のお問い合わせは盛林堂書房 seirindou_syobou-1949@yahoo.co.jp 03-3333-6582
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岡崎武志氏によるイラストモチーフは、映画『明日に向かって撃て』のラストシーン。身に余るほど格好良いのですが、恐らくこの後全身に古本弾を雨霰と浴びまくり、琴切れる予感がヒシヒシと…。
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2016年11月15日

11/15古本屋バイト・イン・J町 その2

規則正しく起床して行動開始し、古本屋バイト二日目に向かう。途中開いたばかりの「日本書房」店頭ワゴンに足を留め、六藝社「風流記/石黒敬七」(裸本)河出新書「外國拝見/門田勲」などを計400円でいそいそ購入していると、いつの間にか出勤時間が迫ってしまっている。本を受け取り慌てて駆け出し、J町某店に滑り込む…遅刻しなくて、良かった…。本日は昨日より店員さんの人数が少なく、ひとりでレジ担当をする時間が生まれるらしいので、すでに私の心臓は、早鐘のようにドキドキドキドキ…。だが当然の如く時間は容赦なく進むのでそのまま開店に雪崩れ込み、まず最初の仕事となる、大量の秋元文庫の状態チェック&クリーニング&ビニールカバー掛けに突入する。本を様々な角度から眺め、カバーを外し、本文をチェック…あぁ、ほとんどの本に値段ラベルが貼り付いているじゃないか。これはなかなか手間がかかるぞ。レジを打ちながら、黄色い本との格闘にただただ没頭して行く。それにしても、根無し草のフリーランス稼業の私が、このように体験バイトとは言え、まともな社会人として労働している奇跡的状況は、奇妙な清々しい感覚を、身の内に湧き上げている。ちゃんとした会社員デザイナーとして勤めていたのは、もう二十年以上前のことなのか…。まぁたかが二日目で、労働などと偉そうに宣ってはみたが、所詮は働いているお店のシステムや全体像も見えておらず、自分で自分がするべき仕事を作り出せない、指示待ち状態なのである。だがそれでも、働きに行く場所があるということを、なんだか新鮮な喜びとして感じてしまっているのだ。まるで映画『男はつらいよ』シリーズで、主人公の寅さんが時々、恋愛事情やええ格好しいや気まぐれから、フリーランス・テキ屋稼業を辞めて正業に就いたような感じと言えば、何となくその奇妙な喜びが伝わるであろうか。もちろんあの考えは甘々なのだが、何はともあれちゃんとした仕事をしてるんだぞ!形だけでも変わったんだぞ!と言う、子供的高揚感と清々しさが、春一番のように私の胸にも吹き荒れてしまっているのである。そんなことを考えながらも、手は動かしている…くぅ、強敵の秋元文庫が、全然終わらないぞ…。

途中妙齢のファッショナブルな女性とイタリア人のカップルがお店を訪れ「江戸川乱歩ってありますか?」と笑顔で質問される。取りあえず文庫コーナーや単行本コーナーを教えるが、私の手には余りそうなので、先輩店員さんにすかさずバトンタッチする。女性がイタリア訛の英語を通訳するには、「「江戸川乱歩の古い日本語の本が欲しい」と彼が言っている」とのことである。とにかく古いヤツを、イラストが入っているものをというリクエストが続くので、昭和初期の全集や少年探偵もの(中の挿絵を見たら「オゥ、チープ!と叫んだ)を見せて行くのだが、どうも反応が芳しくない。そして合間合間に「アランポウ」という言葉が頻出する。あれ?もしや?と思っていたら先輩もとっくに気づいていたらしく「あの、もしかしたら、江戸川乱歩じゃなくて、エドガー・アラン・ポーをお探しなのでは?」とまずは女性に日本語で聞き、さらにイタリア人に英語で質問。すると探していたのは、やっぱりエドガー・アラン・ポーであったことが判明する。途端に女性が「江戸川乱歩じゃなかったの〜!」と大笑い。彼から『エドガー・アラン・ポー』の名を聞き、ポーを知らぬ彼女はすぐさま『江戸川乱歩』と脳内変換したために起こった。お茶目な微笑ましい事件であった。先輩が江戸川乱歩はポーの名をもじった作家名であることを丁寧に説明し、一同納得してその場が優しい笑顔に包まれる。うむ、なんだか面白いものを目撃したぞ。乱歩先生、あなたの名は今日もこの地上で、たくさん囁かれていますよ!

そしてようやく秋元文庫作業にケリを着けたのは、午後三時前。
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その後は、市場で新たに仕入れた本と棚の在庫を照らし合わせ、不足分を補充して行く作業を繰り返して行く。これは棚質の恒常的な維持に関わる、地味で大事な作業である。そんな風に、バイト二日目は、本に触れまくった一日として、ジリジリと過ぎ行くのであった。
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2016年11月14日

11/14古本屋バイト・イン・J町 その1

関西での新刊キャンペーンを終え、ようやくふぅと一息…と行きたいところだが、根が貧乏性なためか、ここで立ち止まったら、刀折れ矢尽き、がっくり膝を突いてしまう恐れに囚われる。なので、取りあえずはまだまだ前に向かって歩いて行こうと、今週から六日間を新しく奇異でいて真っ当と言えなくもないチャレンジに、人生の一部を費やすことにする。そのチャレンジとは、“古本屋さんで真剣にバイトする”ということ! 日本全国の古本屋さんを、すでにおよそ三千軒近く見て回っているといえども、それはあくまでも客として体験して来た、片面…いや多面性を持つ古本屋さんの一面だけなのである。そこでもう少し、違った角度から大好きな古本屋さんを捉えてみたい、お店側に踏み込んでみたいと考えた結果、一番最初に思い浮かんだのが、古本屋さんの一部に同化してみるということだったのである。今までにも色々なお店にお願いし、店番をしたり買取に同行させていただいたりと、ほんのちょっぴり“古本屋さんのお仕事”に触れて来てはいたのだが、それはかなり優遇された客分としての、特異な一瞬の職業体験に留まっていた。それはそれで、貴重で稀有な機会ではあるのだが、そんな風に甘えていては、恐らく肝心な古本屋さんの本質と真実には、一切触れずにただのうのうと過ごすことになってしまうのであろう。もちろんたどり着きたい本質&真実に対する解答も予測も皆無なのだが、とにかく古本屋さんの中に飛び込み、身を粉にして働いてみれば、何かが掴めるかもしれない、触れられるのかもしれないという闇雲さが、今回の齢五十近くにしてのおかしな行動の出発点なのである…。と言うわけで既知のお店に無理を承知でお願いし、大きな大きなご好意により、本日からJ町に短期通勤することに相成ったわけである。

午前十時半前にお店に飛び込み、ミーティング時に先輩方にガチガチになりながらご挨拶する。すると、たちまち外に飛び出し開店準備に取りかかる彼らの素早さに圧倒されながら、手渡されたエプロンを着用するのに愚かなほど一苦労し、己の無能さと、完全なる月とスッポンレベルの社会人格差に、今更ながら愕然としてしまう…。そんなまごまごあたふたしまくりテンパリ続けているド新人の今日のメインのお仕事は、レジ兼作業場に陣取り、本の状態チェック&クリーニング&ビニールカバー掛け、それにほんのちょっとの接客とレジ打ちと棚への補充である。すべてのことに緊張しながら、懇切丁寧に教えていただいた仕事の仕方やお店についての知識で頭の中をショート寸前にパンパンにしながら、ゆっくり不器用に仕事する。だがそんな中でも、ビニールカバー掛けが次第に上達しいく小さな小さな進歩に、まずは喜びを覚えてしまう…。本に掛けるビニールは、片側がポケット状になっており、中間から少し過ぎた所にベルト状の帯があり、反対側に留めるシールが付いているもの。まずはポケットに本の袖を差し込み、ベルトに反対側の袖を通し、シールで留めるというのが一連の作業となっている。だが、ソフトカバーの本は、ぐいんと表紙をたわめられ、ベルトに袖を通すのも楽勝なのだが、ハードカバーはそうも行かぬ。その名の通り表紙が板の如き硬度を誇っているので、たわめることはまず不可能。本を思いっきり反り返し、ギリギリの危険な力技で無理な角度を作り出し、素早く巧妙にベルトに通さねばならぬのだが、これが不器用者にとっては、千メートル級の山を越える以上に難事なのである。不覚にも何枚かのビニールカバーを駄目にして落ち込んでいると、先輩が魔法のようなカバーの掛け方を教えてくれた、まずはベルトに反対側の袖を通し、こちらの袖は本体からカバーだけを外し、それだけをポケットに差し込む。そしてそのカバーに改めて本体表紙を多少反り返しながら誘うように差し込むと、嘘のようにツルンと美しく収まり掛けられた状態になるのである。なので後半戦はこの魔法の手順を次第に己のものとし、古本をキレイな商品に仕上げることに快感を覚え始める。…ここまで書いて来て、あまりのミニマムさとマニアックさと伝わらなさ(恐らく)に恐縮しながらも、明日はどんな地道な仕事を割り当てていただけるのか、恐がりながらも楽しみに感じられた、一日をどうにか過ごす。
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これはまだビニールをダメにするレベルの掛け方。この後、徐々に徐々に上達して行くのだが、次第にそのテクニックや知識が体に染み付いて来るに従い、暖簾分けしたお店が、本家のやり方(様々な業務上システム)を自然に継承して行くことについて、大いに納得してしまう。長年勤めて様々なテクが身に付いた時には、それが一番やり易いやり方になっているのだから、当然のことなのである。
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11/13「古本屋ツアー・イン・京阪神」発売記念 大阪→京都ミニミニキャンペーン!

新刊「古本屋ツアー・イン・京阪神」は、関西の古本屋さんを集めた本である。だから、無事に発売になったからと言って、東京で「ふぅ、出来た出来た。終わった終わった」と、のうのうとしているわけにはいかない。取材でお世話になりまくった西に、お礼と本の普及を兼ねて再び乗り込まなければ、義理が立たぬし何だか寂しい!と、本の雑誌社さんにお願いし、大阪と京都で小さなキャンペーンを決行する。12日(土)は「梅田蔦屋書店」にて、『著者と話そう 古本屋ツアー・イン・ジャパン 小山力也さん×古書コンシェルジュ』というトークを貸し会議室にて。翌13日(日)は「古書 善行堂」(2012/01/16参照)にて五時間店番イベント『古本屋ツアー・イン・善行堂』を連続開催。

まずは12日、こだま号にて東京を離れ、四時間後に大阪着。旅行パックの宿泊先である『ホテルニューオータニ大阪』に」チェックインすると、これが無駄に豪華で、客室一面硝子窓の向こうには、大阪城と大阪城ホールがドドン!
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優雅で壮大な景色に、気分だけは大作家になったつもりになるが、実は編集さんと相部屋なのである…。ちょっと休んでこだま号移動の疲れを癒し、午後五時に大阪駅駅ビルのひとつ『ルクア イーレ』9Fの「蔦屋書店」入りし、まずは店内をツアーする。迷いまくるというか、己の現在位置を見失うこと必至の、楕円形のトラック型通路に沿って作られた、だだっ広くお客が驚くほどあふれる店内。通路は『マガジンストリート』と名付けられており、その外側のひとつである写真集コーナーには、洋書・和書ともに古本が紛れ込んでいる。特に日本作家のコーナーは、1900年から始まる、古い時代から写真の歴史をなぞるように作られた棚が、絞り込んだ輝きを見せている。夏に古書市も開かれた古書コーナーは、非常に分かり難い場所にあり、『4thラウンジ』という名のカフェスペースの壁面に、ひっそりと設置されている。十一本の天井まである棚には、左から文学・カラーブックス・「宝島」・「洋酒天国」・「あまカラ」・アート・デザイン・写真集、そして販売継続中の恥ずかしながらの古ツア棚・「ジグソーハウス」(2016/06/11参照)棚・「古書鎌田」棚・「口笛文庫」(京阪神p164)棚・「メンズクラブ」・「VOGUE」などが続き、右下には木箱が並び、雑誌やビジュアル本、それに「トンカ書店」(京阪神p170)出品の本も少々並んでいる。貸し棚以外は、アート系ビジュアル本が多い。値段はしっかり目だが、かっちりきっちり知識と教養が込められた芯のはっきりした並びは、眺めていて清々しさあり。ローヤルホテル「随筆集 大阪讃歌」を手にして、集中レジまでテクテク歩いて精算する。
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これはその時に書いたメモ。トーク時に配られる予定だったが、手違いにより温存されてしまった。当日トークに参加された方や、以降「京阪神」お買い上げの方々に配布予定である。詳細は古書コンシェルジュにお問い合わせを。

トークは午後七時からスタートし、狭い会議室に二十名弱を集め、一時間強を必死に完走。驚いたのは滑り込みセーフで、神戸の「トンカ書店」さんと大阪・北新地の「本は人生のおやつです!!」さん(京阪神p72。この奇天烈な店名の略称は、大阪では『本おや』さん、東京では『おやつ』さんであることを知る。マクドナルドが『マクド』と『マック』に分かれるようなものか…)が駆け付けてくれたこと!紹介されつつ、お互いにうわうわキャーキャー叫んでしまう。何はともあれ、当日集まって下さったみなさま、ありがとうございました!招いて下さった蔦屋書店コンシェルジュのみなさまにも感謝し、もはやどうやってたどりついたのかも判然としない、梅田の路地裏の中華料理屋にて打ち上げをする。

明けて13日。午前のうちに京都に移動し、ちょっと早めのお昼ゴハンを食べてから、出町柳西の吉田山ふもとの「古書 善行堂」へ。するとまだ正午前なのにお店はしっかり開店しており、第一号のお客さんとともに、ちょっといつもよりシックにお粧しした善行氏が笑顔で迎えてくれた。おっ、店内も通路が片付き椅子が出され、お客さんが腰掛け寛げるようになっている。だが、今日こそは五時間店員の特権を利用し、二階の倉庫を見せてもらおうと意気込んでいたのだが、店内を片付けた故、二階への階段は積み重なった荷物に阻まれてしまっていた…しょんぼりして諦め、帳場向かいの極細通路に作っていただいた席に腰を下ろし、嬉しくなるほどひっきりなしに訪れるお客さんたちと、会話を交わし識語署名捺印し、善行氏を交えディープな古本話を楽しく繰り返す。神保町のオタどんさん・マサキングさん・強力ミステリコレクターさん・青山光二コレクターさん・オーディオ雑誌コレクターさん・昨日に引き続きの「キンモクセイ文庫」さん、それに恐縮の大大先輩・高橋輝次氏に世田谷ピンポンズさん・「ヨゾラ舎」さん(2016/04/22参照)などなど、善行堂オールスターが押し寄せた感じに圧倒される。中でも、京都市内の若手古本屋の立地を調査し、大学の卒論に仕立て上げようと奮闘中の女子大生には、そのテーマの意外性とマイナーさと真面目さとのめり込みっぷりに、大いに感心&感激する。
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※善行堂入口近くの古本屋ツアーシリーズゾーン。特別フリーペーパー『私が京都へ行く理由』は、まだ残部がありますので、ご希望の方はぜひ善行堂へ。

あぁ、こんな風に、今回たくさんの古本好きの方々と接し、関西の本を作り、そして再び関西に来られて良かったと、切に思える二日間であった。これで本当に、去年から続けて来た長い旅が、ようやく終りを告げた気がする。だがまたいつか、『まだまだあるぞ古本屋』に掲載したお店は、詳しくツアーしなければならないと分かっているので、いずれは新たな気持ちで調査に赴くつもりである。とにかくありがとう!京都大阪神戸阪神間奈良滋賀!そして善行堂でちゃんと本を買うつもりだったのだが、店員バイト代の換わりとして、過分な古本をいただいてしまう。白黒書房「トレント最後の事件/E・C・ベントリイ」(本体背にテープ補修あり)新潮文庫「相思樹/牧逸馬」春陽堂探偵小説全集「血染の鍵・叛逆者の門/エドガア・ウオレス著 松本泰譯」「XYZ 他十七編/横溝正史譯」…ありがとうございます!善行さん!
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本当に嬉しい二冊。トレントの松野一夫装釘はモダンでバタ臭くてビリビリ痺れる。そして、横溝譯の「地下鐵サム」が読める日が来るなんて、幸せ以外のなにものでもない!
posted by tokusan at 01:59| Comment(4) | TrackBack(0) | 近畿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月11日

11/11ツヅキ堂チェーンの終焉を目にした後、古本屋ツアー再び西へ!

コメントタレコミにて、ついに「ツヅキ堂書店」の全店が閉店したことを知る。思えば小田急線沿いに、ちょっと深めな棚のリサイクル系店舗を何店も展開し、東京〜神奈川の古本屋文化の一端を支えてくれていたのだが…唯一仙川のお店だけが「石本書店」(2009/08/20参照)として生き残り、梅ヶ丘(2008/10/08参照)・祖師ケ谷大蔵(2010/07/15参照)・登戸(2010/04/05参照)・鶴川(2009/09/16参照)・小田急相模原(2011/03/09参照)のお店は、無念にも消滅してしまったのである。天気予報通りには降り止まなかった霧雨を浴び、取りあえず登戸店だけでも、現在どうなっているか確認してみようと、小田急線でガタゴト。高架駅を飛び出て、下がって行く高架線路沿いに西に歩いて行くと、あぁ!無惨にも登戸店はすでに何もかもが撤去され、広い壁棚があったとは信じられぬほどの、大きな硝子ウィンドウが、爽やかに露出してしまっていた…。
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すっかり現状復帰されたがらんどうの店内では、中田翔似のお兄ちゃんが、至極真面目に壁を塗り直していた…はぁ、せめてはもう一度、あの『古書キャビネット』(2015/06/03参照)を慎重に漁ってみたかった…。

小田急相模原のお店はまた後日看取ることにして、メガネを細かい水滴で濡らしながら早足で駅に引き返し、古本を買って閉店したお店を勝手に弔うために、経堂駅で下車。「大河堂書店」(2009/03/26参照)に雨宿りし、入ってすぐの右壁棚新入荷コーナーから新潮社「二青年図ー乱歩と岩田準一/岩田準子」(署名入り)を抜き出して900円で購入する。再び小田急線に乗り込んで豪徳寺駅で下車し、「靖文堂書店」(2011/09/06参照)にさりげなく入店。粗相のないよう、だがしつこく棚に食らいつき、広済堂出版「現代任侠道入門/栗原裕 滝川和巳」婦人公論昭和46年11月号特別付録「あなたとどこかへ/永六輔」小峰書店 少年少女のための世界文學選(6)「キイゲスと魔法の指輪/ヘッベル 中谷博・著」(昭和26年刊のカバーナシ文庫サイズ本。巻末の広告を見ると「ガリヴァ旅行記」を書いているのは小沼丹!これ欲しい!読みたい!)を計600円で購入する。時刻は午後四時になろうとしているが、お昼過ぎに止むはずだった雨は、まだシトシト東京に降り続いている。

そして明日から、新刊「古本屋ツアー・イン・京阪神」発売ミニミニキャンペーンのために、再び関西へ!12日(土)は午後七時から大阪「梅田蔦屋書店」にてトークイベント(満員御礼になりました。ありがとうございます!)。13日(日)は京都の「古書善行堂」(2012/01/16参照)にて、正午〜午後五時まで滞店し、一日店員として労働予定!当日、善行氏の仕事を間近で見られる上に、今は夢広がり様々な方にお会い出来るのも本当に楽しみなのだが、結局一番楽しみにしているのは、店員として一番に飛び込んだ善行堂で、どんな本が買えるのかドキドキしている、愚かで哀れな私なのです…。ではみなさま、関西にてお会いいたしましょう!
posted by tokusan at 18:57| Comment(4) | TrackBack(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月10日

11/10謎の魚雷芸に頭を悩ませる

遅めの朝食を摂り、午前九時半に外出。腹ごなしにと高円寺までスタスタ歩き、以前から「アバッキオ」(2008/10/14参照)の看板が外されているのを気にしながら(店内には物が残っている気配がある)、「西部古書会館」(2008/07/27参照)に到着し「BOOK&A」開催五分前のオープンガレージに突入する。昨日に続き、来るべき古本市に備えての、個人的古本補給活動の一環である。すでに二十人ほどの古本修羅が、サッシ扉が開けられるのを、今か今かと待ちかねている。その列にはつかずに、長テーブルと平台と壁棚の、それほどカオス感も量感もないスッキリした古本の列に集中して行く。均一と言うわけではなく、大体500円以下の本たちである。扉が開き、修羅の群れが中に流れ込み、手早く本を見終わった私も、一冊だけ掴んでそれに続く。三本の幅広な通路をほどほどの修羅ラッシュに揉まれながらしげしげ眺めて行くと、歴史・郷土・民俗学関連が多い模様。丁寧に棚に目を凝らして行くが、なかなか心に滑り込んで来る古本と出会えないので、焦燥感と失望感を、徐々に胸の内に溜め込んで行く。だが最後に右端通路で「天心堂書店」の棚から、建築史家・長谷川尭が大阪で出していた雑誌群を見つけ、興奮。一緒に並んでいた、十九世紀末〜二十世紀初頭のロンドン街頭の写真を集めた古い洋書にも痺れまくるが、三千円の値が付いていたので今回は断念する。そして最後の帳場脇の棚下に集まる、A5サイズの雑誌&ムック列に惹き付けられて、しゃがみ込んで気になる本を確認して行く。そこに一冊、版型は同じだが、不思議なパンフレットが紛れ込んでいた。1938年のベルリンで発行された、劇場型老舗キャバレーの50周年記念冊子である。表紙に『日劇ステージショウ』のハンコが捺されているので、文芸部などが資料として架蔵していたものであろうか。中を見ると写真が満載で、その上150円の激安値!喜んで家に持ち帰るべき一冊とし、帳場で精算に入る。ベストブック社「血染めの怨霊/中島河太郎編」コスモ・テン・パブリケーション「妖精物語/A・コナン・ドイル」博文館少年少女譚海昭和四年六月號別冊「孝子美談哀話集」日本板硝子株式会社「SPACE MODULATOR48 特集:北の港町から」Winter Garten「FESTSCHRIFT BERLIN1938 NOVEMBER-MAGAZIN Winter Garten 1888-1938」を計1650円で購入する。
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本日の収穫「Winter Gareden」50周年記念パンフ。表紙は美しいカラーで、踊り子・空中ブランコ・道化師・猛獣使い・楽師・曲芸師などが描かれている。本文はアート紙でモノクロ印刷(中ほどに四色の歴代ポスター観音開きグラビアあり)の全114ページ。写真やイラストが豊富で、ドイツ語が読めなくても十分昭和十三年のドイツの一端に触れることが出来る。驚いたのが、祝辞を一番最初に述べているのが、プロパガンダの天才ゲッペルス。他にもナチ親衛隊のヒンケル(SSの稲妻型活字があるのにもビックリ)や、後半にはキャバレーを訪れたヒトラーの写真も掲載されている。そんな風に、悲惨な戦争に向かいつつある時代のきな臭さも、とっぷりと封じ込まれているのだが、やはり曲芸師や踊り子や動物使いたちの写真は、能天気で奇怪で楽しい。特に、砲弾を使う曲芸師たちのコーナーがあるのだが、大きな魚雷を携えている男の一枚が、とても気になってしまう。いったいこの大きな弾薬を使い、どんな芸をステージで披露したのだろうか?
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一旦家に戻り、夕方には「古書ますく堂」(2014/07/20参照)の広島カープ背番号籤割引セールに行こうと思っていたのだが、仕事をこじらせて出かけられず、仕方なく「Winter Garden」のモノクロ写真の世界に耽溺する。頭の中では、この本を市で見た時から、NHK『映像の20世紀』のオープニングテーマが、エンドレスで流れてしまっている…。
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2016年11月09日

11/9古本を一層求め、風太郎貸本漫画をデザインで言祝ぐ。

朝から大量の古本を大阪に向けて送り出す。「梅田蔦屋書店」で十二月に開催予定のフェアに照準を合わせた行動である。他にも今月は20日の「みちくさ市」にも参戦するし、来月は岡崎武志氏との合同古本市もある。少し、手元に古本を集めておかなければ、危うい枯渇状態に陥りそうな予感…ふぅ、いったい私は何をしているのか…。だが、古本不足の焦燥感には抗えず、午後に外出して東村山の「なごやか文庫」(2012/01/10参照)に飛び込む。受付で計算機を叩く音だけが響く店内をじっくり観察し、福音館書店かがくのとも85号「おおきいちょうちん ちいさいちょうちん」かがくのとも30号「ごむのじっけん」共に加古里子、学研「三人のおまわりさん/ウィリアム・ペン=デュボア作」現代企画室「白球は見た!/近藤唯之」講談社現代文庫「ファンタジーの世界/佐藤さとる」徳間文庫「人間臨終絵巻T/山田風太郎」旺文社文庫「にっぽん快人物烈伝/紀田順一郎」ちくま文庫「生きるかなしみ/山田太一編」を計420円で購入する。

少し満足して一旦家に戻って荷を下ろし、寒風が一向に治まらない夕方に再び外出。まぶしい夕陽に向かって歩いて荻窪「ささま書店」(2008/08/23参照)にたどり着き、予想以上の低温に震えながら店頭棚を捜索。角川文庫「乱菊物語/谷崎潤一郎」(通常帯の上に映画化帯が巻き付けてある)芸術生活社「幼児に聞かす日本怪談集/西本鶏介」(基本コンセプトが惨い気が…)潮出版社「男と土曜日と水平線 開高健全対話集成2」晶文社「ある手品師の話 小熊秀雄童話集」青土社「失楽園測量地図 種村季弘のラビリントス」淡交社「伊藤大輔シナリオ集W 別巻戯曲集」を計840円で購入する。そんなお決まりのルートをたどりつつ、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の「フォニャルフ」棚に別口で用意して来た古本を補充する。するとそこに、A5判の新刊が搬入され始めた。アップルBOXクリエートが出す、山田風太郎原作の貸本漫画「甲賀忍法帖」の復刻本である。実は今回盛林堂ミステリアス文庫チームが制作をお手伝いしており、その流れから表紙のデザインを担当させていただいたのである。この俺が、山田風太郎のデザインが出来るなんて!と、一も二もなく承諾した次第。イメージはもちろん、甲賀対伊賀!…いや、思いっきりといえば思いきりですが、良い感じに仕上がりました。それにしても、「バジリスク」の遥か先駆者として、全三巻(復刻本では一冊に合本)のこんな貸本漫画が存在していたとは…。本を手にしてニヤニヤしてしまい、あまりの嬉しさに「フォニャルフ」棚にあった原作本と、ナイアガラ棚「我刊我書房」に挿さっていた貸本漫画「甲賀忍法帖1」(カバーはカラーコピー)とともに、奇蹟のスリーショット。
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よし、今夜は一気読みするぞ!と意気込み盛林堂を後にして、そのままフラフラと夜の「音羽館」(2009/06/04参照)へ。店頭で裸本で後見返しが切り取られている「珍客名簿/上林暁」を500円で購入し、寒風に首を竦めてトボトボ家へ引き返す。
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2016年11月08日

11/8今日もフライング気味に閉店予定のお店に向かう。

ex「猫額洞」さん(2014/05/10参照)よりいただいた、悲しいコメントタレコミ…十二月をもって、孤高の「プリシラ古書店」(2012/02/14参照)が閉店してまうというのである。「伊呂波文庫」(2016/09/30参照)が店を潜めた今、この辺りの孤塁の古本屋さんとして、今後の孤軍奮闘を期待していたのだが、まさかほぼ同時期にお店を閉めてしまうなんて…来年には、丸ノ内線の中野坂上〜新中野近辺は、ついに古本屋さんが皆無となってしまうわけか…。というわけで閉店にはまだ早いのだが、気が急いてしまい、ついつい偵察に向かってしまう。東高円寺〜新中野のほぼ中間に位置する、『女子美術大学』近くの坂の上のお店にたどり着く。一応生活道路沿いではあるのだが、ほとんど住宅街と言っても過言ではない立地である。しかし、今日も立派に営業をしている。そしてやはり早過ぎたためか、閉店のアナウンスは店外にも店内にも見受けられない。どうせまた十二月に見に来るのだが、もしかしたら色々事情が変わり、このまま来年も何事もなく営業し続けてるかもしれない…そんな不確実な妄想に囚われながら、主に右側の文学棚に集中する。朝日新聞社「紀信快談 篠山紀信対談集」を500円で購入する。
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裏道を伝って東高円寺方面に向かっていると、先日訪れたばかりの「「女と本のあるふうけい」1day bookstore」(2016/10/30参照。実はその後も小さな古本市は継続中らしい)の開かれていた『喫茶店[ε]』前を通過し『青梅街道』が近付いてくると、右手にビル建築の『新中野キリスト教会』が現れ、その入口前で手作り雑貨類とともに、絵本や児童文学のチャリティー販売が行われていた。
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三箱ほどに、絵本・「こどものとも」・新書サイズ児童文学が並んでいる。だがそのほとんどが九十年代以降の新しいものだったので、食指動かず、何も買わずにおとなしく離脱する。

思わぬところで古本と出会ったせいか、ちょっと古本が買いたくなってきた。そのまま新高円寺まで歩き、さらに商店街を遡上して「アニマル洋子」(2014/03/14参照)に到達。店長さんと挨拶を交わしつつ新潮社「随筆集 苺酒/尾崎一雄」を100円で購入する。さらに遡上して「大石書店」(2010/03/08参照)の屋根付き店頭ワゴンから、映画秘宝コレクションの初期の名作のひとつである、洋泉社「幻の怪談映画を追って/山田誠一」を300円で購入する。よし、それなりに満足だ。家に帰って原稿の続きを書くことにしよう。
posted by tokusan at 18:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする