2017年02月12日

2/12必死に計三十六本の本束を縛り上げる。

今日は誠心誠意古本に一日を捧げることを決め、早朝午前七過ぎに家を出る。向かったのは門前仲町『富岡八幡宮』の骨董市である。『骨董市には開始時間の早朝から訪れるべし!』というのが猛者の定説であるが、時々当てはまらないことも起こり得る。それは!ゆっくり目に準備するお店がちょこちょこ見受けられるので、あまり早く着き過ぎると、目指すお店がまだ開いていないという悲惨な状況に陥ることがあるのだ。今日が案の定そんな日で、楽しみにしていた古本屋さんは、ダンボール箱すら開けていない悲しい状況であった開店を待ち望みつつ、冷た過ぎる早朝の空気を吸い込みながら、しばし境内フラフラ散策する。美術系古本のお店に、萩原朔太郎の「定本 青猫」が並べられているのに驚き、ある店では、家庭内ゴミ箱のような円筒ケースの中にソフビや人形消しゴムが詰め込まれているのを発見し、ガサゴソ漁ると、触角は折れて塗装も所々剥げているが、常に悲哀を誘う仲間外れライダー・ライダーマンをつかみ出すのに成功する。こんな状態だ、五百円くらいだったら喜んで買おうと思い、ちょっと高台にいる店主にソフビをグッと掲げ「これお幾らですか?」と聞くと「1500円」と苦虫を噛み潰したような顔で即答される。すまん、ライダーマン!と心の中で詫びながら、そっと円筒の中に人形を戻す。そんな風に楽しみながら時間を潰し、件のお店を再訪してみると、ダンボールは置かれているが、店主は他の店主と話し込んでしまっていた。主に雑誌付録や古い漫画が売れなくなって来たことを嘆いている。開いている箱の中を覗くが、紙物ばかりで収穫ナシ。早々にお店を離脱し、脇参道の開店中だったお店に行ってみる。すると先ほどより品物が増えており、見応えあり。古い郷土ガイド本の中から出版社も出版年月日も不明の「大東京百景寫眞帖」を千円で購入する。恐らく昭和十年代の、東京の名所や戦争記念物や街の様子を掲載した粗悪な写真集である。百景と謳っているが、実際に掲載されている写真は百六枚である。
tokyo_hyakkei.jpg
これはビルディングのページである。紙はわりと上質であるが、表裏で質感が異なっている。そこに戦争の影をユラユラと感じ取る…。

一旦家に戻って、再び外出。荻窪「ささま書店」を経由して、海文堂「帆船への招待/荒川博」朝日新聞社「ファディッシュ考現学/田中康夫」新潮文庫「昨日のツヅキです/都筑道夫」を計315円で震えながら購入してから、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。古本市の準備もそうだが、「フォニャルフ」を放置するわけにはいくまいと、ほとほとと補充する。後は店主・小野氏と市の打ち合わせや「中央線古本屋地図(仮)」の話や、市場で仕入れた垂涎の新入荷などを見せていただいたりする。だが、ここでいつまでもウカウカと楽しく話しているわけにはいかないので、早々にお店を離脱して帰宅する。そこから馬力をかけて、ひたすら古本の準備に没頭する。結局昼過ぎから夜九時まで休み休み続け、計三十六本(およそ千冊)の古本の束を作成する。
17_0212jyunbi.jpg
…つ、疲れた…手の油が、すべて紙に吸い取られてしまって、カサカサだ…縛って積上げた本は、家にあるにはなかなか凶悪な量となったが、まだまだ本の山は減りそうにないな…根性で後千冊は用意しなければ…後半戦は残りの500均本とちゃんと値付する本の作成に傾注だな…疲れた身体と頭でそんなこと思いながら、本日の発掘した一冊を紹介。集英社の学習漫画「シートン動物記4 裏町の野良ネコ」。2015/02/07に牛久の「高島書店」(2009/04/23参照)で入手した、急逝した谷口ジローの超初期単行本なのである(名義は『谷口治郎』)。私にとっての谷口ジローは、「事件屋稼業」と「LIVE!オデッセイ」と「飢狼伝」と「坊ちゃんの時代」に尽きる。そして恥ずかしながら、本当は「事件屋稼業」の主人公・深町丈太郎のような大人になりたかったんだが、やっぱり、なれず終いだったなぁ。それでも諦められずに、せめてあんな高潔な精神で格好良く無様に生きられたらとは、今でもまだ思っているのだが…。
jiro_taniguchi.jpg
posted by tokusan at 22:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする