2017年02月14日

2/14「神楽坂サイクル」は健在であった。

珍しく雑誌対談の仕事が入ったので(もちろん古本屋についてである)午後に神楽坂へ向かう。『1番出口』から地上に出ると、対談場所に指定されたブックカフェ『神楽坂モノガタリ』はすでに目の前なのだが、まだそちらには足を向けずに、逆側の西へテクテク。するとすぐに古びた自転車屋「神楽坂サイクル」(2012/07/10参照)が見えると同時に、うほっ!店頭には未だ頼もしく継続している、小さな古本販売箱が視界に飛び込んでくる。近付き見下ろすと、相変わらず硬めと言うか、融通の利かなさそうな函入本のラインナップ。
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だがせっかく足を留めたのだ。何か買っておきたいと、潮出版「透明な時の中で/島尾敏雄」を200円で買おうとすると、料金缶に放り込むべき小銭がないことに気づく。慌てて先のコンビニまで足を延ばし、チョコを買ってお金を崩す。そして自転車屋まで戻り、百円玉二枚を缶に落とし込む。そうこうしいるうちに、対談の時間が近付いて来てしまったので、さらに慌てながら『モノガタリ』へ。古本屋や書店について、ペラペラと熱く楽しく語り合ってしまう。当対談については後日詳細をお知らせしますので、どうか発売日に書店に駆け付けていただければ幸いです。

帰りは『神楽坂』を東に下り、飯田橋より帰路に着く。家に帰ってからは、仕事をしながら再びの古本束作り。だが、500均〜自由値付けゾーンに入ってからは、本の選択に時間がかかり、あまり山を切り崩せない状況が続く。仕方ないので、再び均一本候補をある程度掘り出しつつ、そのスピードと勢いでアンコになりそうな古本をジワジワッと選び続ける。結局二本の束を作ったところで、あっという間に疲労してしまったので、本日の作業を終了とする。今日の再読したかった発掘本は、ちょっと手こずっている、なかなか高さの減らない仕事部屋左側の山から出て来た二冊を紹介しよう。一冊目は港雄一の「犯し屋ブルース」。最低のタイトルだが(“犯し屋”は港の男優としての異名でもある)、ポルノ映画男優・港の駆け抜けて来たマイナー映画世界の貴重な記録であり、抜群な面白さを誇っている。大和屋竺の名作『荒野のダッチワイフ』主演時のエピソードが載っているのも高得点。二冊目は薄手の自費出版本で、有名切手マニアが、切手を題材にした珍しい小説と言うことだけで昭和六十三年に復刻した「探偵小説 切手の奇遇」である。昭和三年に講談社「キング」に掲載された、ゆったりとした二段組み十ページの短篇で、大阪と東京を舞台に『キ半銭』という稀少なエラー切手を巡るストーリー。作者の此木久山は切手マニア界重鎮のペンネームで(他に『洒落録保留無寿』という筆名も)、挿絵は松野一夫。解説は基本的に、コレクターとしての作者と切手のことばかりなのが、ただただ素敵である。
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posted by tokusan at 22:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする