2017年02月16日

2/16またもや夕暮れの最中の古本屋

国立近辺で野暮用をこなしていると、いつものように夕暮れを迎えてしまう。家路をたどる途中に、『旭通り』の東南端から駅へ向かっていると、都合の良いことに夕暮れの中の「ユマニテ書店」(2009/06/22参照)前を通りかかる。最近、夕暮れの古本屋に行き着くことが多くなっているが、どのお店もなんだかホッとする、昼間のお店とは微妙に異なる、美しい店頭光景になっていると感じてしまうのは、古本屋好き故の贔屓な視点のせいであろうか…。
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歩道が狭いために100均ラックしか出ていない侘しい店頭。だが中に進むと、古書多めの棚がふわりと古本心を気前よく受け止めてくれるのだ。帳場付近に近付くと初めて「いらっしゃいませ」と小さく声をかけるご婦人に、ぺこりとお辞儀しながら静かな静かな二本の通路を行き来する。ここは値段はしっかり目だが、所々鉛筆で値段が書き換えられた値下げが敢行されているので、そこに望みを賭けて、面白そうな本を手に取って行く。十分ほど滞店した結果、千円から五百円に値下げされた弘文堂世界文庫「樺太島紀行(上)/チエホフ」(ちなみにこの文庫、(上)とあるが(下)は未刊行である)を購入する。ご婦人は帳場下をガサゴソしながら、「すいません、ウチの袋じゃないんですが…」と照れながら、『国際交流海外視察団派遣計画』という袋に文庫を収めていただく。帰りの電車でボヤボヤしながらも、18ページまで読み込む。まだ樺太に着いてもおらず、『樺太は島ではなく半島説』という過去の誤りを列挙している段階で阿佐ヶ谷駅に着いてしまう。

家では色々やりつつ、相変わらず古本市用古本束の作成に勤しむ。ようやく四十本を越えたところだが、どうせ盛林堂さんには「全然まだまだ足りないよぉ〜」と怒られるに違いない…。そんな風に打ちひしがれながらの今日の発掘本はこちら。私のバイブルでもある「ミステリーファンのための古書店ガイド」作者である野村宏平氏の異色推理小説、エニックス文庫「ピースランド殺人事件」である。動物たちの楽園で、大富豪であるキタキツネが殺され、真相解明のため動物たちが珍騒動を繰り広げる…と折り返しの解説にはある…すみません、まだ読んでいません。だが『あとがき』だけチラッと見てみると『それにしても動物の世界を舞台にした推理小説というのはむずかしい。だって、動物の世界には、人間の世界とは違ったルールがあるでしょ。そこをちゃんと説明しておかないと、推理小説のフェアプレー精神に反することになっちゃうもんね』と、とてもファンシーな設定なのに、ミステリマニアとしての筋を通そうとしているところが、真面目で何かおかしい。実はこの本、ちょっとしたレア本なのであるが、近々野村氏にお会いする予定があるので、さらなるレア本にしてもらおうといやらしく画策中なのである。
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posted by tokusan at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2/15中央線重鎮の話に耳を傾ける。

午後に「中央線古本屋地図(仮)」の取材があり、そこに照準を合わせて始動する。テクテク歩き始めて「古書 コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、店頭棚から角川文庫「黄色い犬/ジョルジュ・シムノン」「箱舟時代/長田弘」新潮新書「SF魂/小松左京」を計315円で購入し、先日BSの番組『TOKYOディープ』に「コンコ堂」が出て来た感想をひとしきり伝える。そのまま荻窪までさらに進軍し、「ささま書店」(2008/08/23参照)でTRIAL Books「東京路線バスの旅」日本地歴企画調査会「わたしたちの文京区」(学校で配布された、郷土教材的副読本。本郷古本屋街の記述があり)を計210円で購入し、駅近くの喫茶店で岡崎武志氏と合流し、一時間半ほどたっぷり取材。紐解かれる中央線古本屋さんの歴史話に、うっとりと聞き惚れてしまう。…これは早くどうにかまとめて、みなさんにお伝えしなければ…というわけで鋭意編集作業中なので、どうかお楽しみに!

夜はある会合のために三宿に向かい、そのついでに「江口書店」(2010/03/29参照)に突入する。創元推理文庫「思考機械の事件簿V/ジャック・フットレル」ベースボール・マガジン社秘境探検双書「謎の山 アムネ・マチン/レナード・クラーク 水谷準訳」支那文献刊行會「迷樓記 外十一種/田村初」を計700円で購入する。嬉しかったのは大正十四年刊の「迷樓記」で、中国の珍談奇談怪談を集めたアンソロジー集。帳場前の本の山の底から背文字に惹かれて取り出すと、見事大好物な本だったのでニンマリ喜ぶ。
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posted by tokusan at 00:27| Comment(4) | TrackBack(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする