2018年05月30日

5/30テント看板が青かった。

雨が降り始める前に新小金井に流れ着いたので、「尾花屋」(2017/06/15参照)に早速駆け付ける。新潮社「モンローもいる暗い部屋/和田誠編」政界往来社「香港喜劇大序説/平岡正明」芳賀書店「映画宝庫 ドラキュラ雑学写真事典」を店頭棚から選び、中へ入ろうとすると、ガチリ…おや、開いてない。良く見ると昼休み中の貼紙がしてあり、午後二時には再開する旨が書かれている。現在午後一時五十八分…後二分、待とうではないか。三冊の本を抱えながら、暇つぶしにもう一度棚に視線を走らせて行く。…結局視線が二往復した午後二時二分、営業が再開したので、前述の本を計400円で購入する。スクエアな街路をたどって東小金井駅方面に向かいつつ、「BOOK ノーム」(2009/02/13参照)を偵察する。あっ!ボロくて文字がおどろどろしく剥がれかかっていたテント看板が、ビシッと新調されている。
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新しい青色が鮮やかで、思わず背筋が伸びてしまう、気持ちの良い光景である。ということは、古本屋さんとしてまだまだやる気満々なのだな。そう確信し、店頭台を覗き込むと、単行本の方に妙な黒い本が紛れ込んでいる…ぬぬぬぬぅ、レアなオカルト系奇書、創栄出版「七次元よりの使者 第0巻(大霊感)/五井野正」である。全四巻が揃うと、とんでもない額になってしまう、SF&オカルトチックな小説の形を採り昭和五十年代に書かれた、日本の未来予言書である。こんな武蔵野の新古書雑本的古本屋さんで出会えたのは誠に意外で嬉しいが、続きが読みたくなったらいったいどうすればいいんだ?と贅沢な悩みを抱え込み、100円で購入する。
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その後は武蔵境まで歩いて「浩仁堂」(2011/02/15参照)を覗きに行ってみるが、店頭什器がすべて店内に収納され、事務所としては開いているが店舗としてはお休み状態なので、今日のところは諦めて帰宅する。

どうにか雨が酷くなる前に家に帰り着くと、「股旅堂」さんより新刊目録「MATATABIDO 19 june,2018」が届いていた。何もかも放り出し、文字と数字だらけのページに、たっぷりと一時間没入してしまう。モダニズムや都市や昭和初期や犯罪関連などで、欲しい本が十冊ほど見つかってしまう…ど、どうしよう…。
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2018年05月29日

5/29ボーナスは幽靈!

いつも大量の古本を運ぶバイト“盛林堂イレギュラーズ”としての声がかかったので、午前十時半に西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に到着する。やがてお店のシャッターが上がり、開店準備の店頭棚&台の素早い設置を感心して眺めながら、店主・小野氏の登場を待つ。程なくして店前に停まった車は、いつもの自家用車・盛林堂号ではなく、レンタカーのワンボックスカーであった。つまり今日はそれほどの量の古本を運ばねばならないのである。一時間後には神奈川県某所にたどり着き、大量のペーパーバックや洋書を大きな台車に満載し、計八回を高層階からエレベーターで地上に下ろして、車に積み込みまくる。
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筋肉を酷使し、汗を流し、高い車内温度と格闘していると、あっという間に五時間余が経過してしまった。スライドドアを開ければ、そこには独特な美しさを見せるペーパーバックの地層が誕生していた…。
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その後は神保町に向かい、「東京古書会館」一階の荷捌き所で、運んで来たばかりの本をほとんど下ろし、新たに150本ほどの本束を積み込む。一時間ほどの間に、小野氏は出会う古本屋さんたちと挨拶がてら言葉を交わして行く。なるほど、ここでの何気ないやり取りが、実は大事な情報交換となっているのだなと、門外漢ながらプロフェッショナルの仕事を盗み見た思い。その間に私も、「日本書房」(2011/08/24参照)のユキオ氏に「そういう風に手伝ってたくさんの本を見ていれば、良い本が見つかる目になりますよ」と声をかけられたり(いつもいつも恥ずかしながら、店頭台のみでお世話になっております!)、「三楽書房」(2012/07/19参照)アキヒロ氏に「そんなに本を運んでいると、本が嫌いになっちゃうんじゃないですか?ウヒャヒャヒャヒャ」と茶化されたり、時々お世話になっている古書組合広報部の方と挨拶を交わしたりする。搭載古本入れ替えの所要時間は一時間を要し、渋滞気味の夕暮れの東京をノロノロ進んだ後、西荻窪へ午後七時に帰還する。だがイレギュラーズとしての仕事はまだ終わらない!運んで来た本を、お店裏手の倉庫に搬入しなければならぬのだ。イレギュラーズ・小野氏・小野氏の奥さん&お母さんの四人が力を合わせ、バケツリレーならぬ結束本リレーで素早く本を移動させて行く。近頃は組合の経営委員としても活躍していた奥さんが、単行本束を、四本・五本と抱え上げるのに舌を巻く。そしてようやく午後七時半にすべてを終えた時には、当然の如くクタクタになっていた…だが、なんて心地良い疲労なんだ。そんな風なくたびれ具合を見兼ねたのか、特別ボーナスとして、二冊の古本をいただく恩恵に与る。一冊はカバーのない東光出版社「恐怖探偵 幽靈鐡仮面/横溝正史」(カラーコピーのカバー付きだったので、後でボンドで接着)、もう一冊はSidgwick&Jackson「GHOSTS The Illustration History/Peter Haining」(洋書の幽霊写真集。コナン・ドイルが妖精と共に写っている写真や、ドイル自身が心霊として写り込んでいる写真が掲載されている!もしや、かの有名な北原案件なのか?)である。溜まった疲れを多少吹き飛ばしながら、筋肉の軋みを実感して帰宅する。
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ふと気付けば、両方共“幽霊”に関わる本であった…。
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2018年05月28日

5/28世界探偵傑作叢書

今日は基本的に家に閉じこもって仕事と原稿書き。だが午前十一時に一度だけ抜け出し、「ささま書店」(2008/08/23参照)店頭棚を探りに行く。やけにヤクザ任侠関連の本が出されているなぁ…と思いつつ、その中から異色の一冊を見つける。いや、これもヤクザ関連ではあるのだが、出しているのは、いかがわしい本を数多く手掛けた出版社・第二書房。三島剛の表紙イラストが強烈な「男の紋章/大門武」である。鈴木清順監督の映画に同名作品があるが関連はなく、こちらは目次ページに『長編ホモ・ロマン』とある、新宿を根城にする命知らずの十三人の舎弟を従えた親分(四十歳童貞アパート住まい。女嫌い。超強い。舎弟全員と絆を強くするための肉体関係アリ)の、独り語りである(ですます調で、物凄く丁寧に色も暴力も平等に語るので、奇妙なおかし味がある)。…まさかこんな本を「ささま」店頭で見つけてしまうとは…世の中には、本当に色んな本が出されているのだな…。まぁ読む読まないは別として、このような珍書が100円ならば、迷わず手に入れておくべきである。淡交新社「木喰の境涯 微笑佛/五来重」とともに計216円で購入する。

夕方、ポストにヤフオク落札品が届く。河野成光館 世界探偵傑作叢書6「英海峡の怪奇/F・W・クロフツ作 甲賀三郎譯」である。送料含め1180円で落札。元々黒白書房から出ていた全十八巻を、昭和十三年に成光館が表紙や本文レイアウトもそのままに再版したうちの一冊である。この二種類のシリーズは、持っただけで簡単に違いが分かる。黒白版は表紙も本文もベストな硬さで手に良く馴染むが、成光館版は紙が薄く柔らか過ぎて本が簡単に丸まってしまうほどヘニャヘニャしているのだ。黒白版の方が圧倒的に良いのは、言わずもがなである。だが例え再版であっても、山下謙一の装幀の良さが決して揺らいでいないのは、とにかく嬉しい。シリーズなのに各巻バラバラの装幀で、独特なイラストや文字の入れ方は、現代でも充分通用する素晴らしさである。いつか全巻を手に入れて、ズラッと並べてみたいものだ。だが、まだたったの四冊か。しかも安く集めようとすると、その道のりはより長くなってしまうのである。湘南探偵倶楽部の復刻版も素晴らしいのだが、やはり本物が良い。さらに黒白書房版で集めようとすると、さらにさらに……。
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2018年05月26日

5/26東京・恋ヶ窪 ニコニコ堂

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いつかのように、疲れ切って土曜日の恋ケ窪に流れ着く。これを回復するには古本が一番なのだが、もはや隣駅の『鷹の台』に行って古本屋を巡るのも、『国分寺』に出て古本屋を巡るのも、エネルギー切れで面倒くさい!と、先ほど偶然見かけた古道具屋に、ツアー運命を賭けることにする。駅からは改札を出たら、南に横たわる『市役所通り』を西南へ向かう。この辺り的に繁華とも言える駅付近を離れ、緩やかにうねる通りを一キロ弱進む。左手に特養老人ホームが現れたら、そこを越せばお店にようやっとたどり着く。平屋のお店で、軒に架かる大きな看板は、もはや色褪せて判読するのはなかなか難しい。古びた格子窓が古道具屋的な店頭には、『古道具』の立看板と共に、牛の金属作品やシャベルや刺又やら壺やらブリキのバケツやら木材ブロックやら陶器やらが置かれている。赤い郵便受けには「ニコニコ堂」の店名と共に、『長嶋』と大きく書かれている…「ニコニコ堂」…『長嶋』………ハァッ!そうか!ここが作家・長嶋有氏のお父さんがやっている古道具屋なのか!えぇい、もう古本が売ってなくてもいいや。入っちゃえ!とサッシ扉に手を掛けると、扉がゆるゆると開いて行く。店内は古道具屋と言うよりは、アンティークショップの様相が強い。“山”の字型に通路が走る小さな店内には、標本・民具・古ハギレ・絵画・アクセサリー・楽器・人形・玩具・掛軸・ノベルティー類・レコード・古家電…戦中の風俗を伝える物が、割と目立ち異彩を放っている。そんな中に、絵葉書類・楽譜・ノート・和本・パンフレット・古雑誌・小冊子などもしっかりと点在している。そして目指す古本も、数少ないが所々に無造作に置かれている。一冊を手にして、旧式扇風機が健気に風を送っている、奥のプライベート感の漂う帳場的空間に声を掛けると、赤いズボンを履き長身で髭もじゃの、加藤嘉風老人が立ち上がって来た。精算をお願いすると、言葉は端折って不明瞭ながらも、しっかりと応対してくれて本を袋に入れてくれた。野球界社「ラグビー通になるまで/本領信治郎」を購入する。昭和六年三版の、熱の籠ったラグビー競技解説書である。作者は早稲田ラグビー部の主将を務めた人物で、己を『俄文士』とけなしつつも、解説はラグビー狂いの社長が、秘書と社員に熱く語る形を採っており、なかなかに読ませてくれる。これが嬉しい破格の300円であった。
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2018年05月25日

5/25東京・豪徳寺 絵本と育児用品の店Maar

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午後一時に梅ヶ丘に漂着したので、経堂に足を延ばして「大河堂書店」(2009/03/26参照)を楽しく探る。単行本にめぼしいものが見当たらないので、文庫本に狙いを定め、中央通路に腰を据える。春陽文庫「能面殺人事件/高木彬光」文春文庫「草のつるぎ/野呂邦暢」を計255円で購入する。続いて豪徳寺まで歩いて「靖文堂書店」(2011/09/06参照)も急襲して行くか!とテクテク東に歩き(この辺りの駅間はわりと歩き易い距離なのだ)、世田谷線の踏切を渡って『豪徳寺商店街』に、南の尻尾から入り込んで行く。すると右手に偶然古本棚を出しているお店を発見する。絵本と児童文学と一般文庫か…他には籐製の乳母車や子供服が店頭に置かれ、立看板には『絵本と育児用品の店』と書かれている…育児用品には縁も所縁も無いのでハードルが激高だが、絵本があるのならどうにかなるだろう…ままよ!と店内に滑り込む。中央のテーブル平台脇では、落ち着いた感のある女性店主がお客さんとお喋りの真っ最中である。よし、不審がられる前に、素早く見てしまおう。入口右横には平台+棚が置かれ、本&古本関連・SF関連が、文庫本単行本織り交ぜ並べられている。また、新刊と古本が混ざっているディスプレイで、通常のスリップが挟まっているのは新刊。お店オリジナルの茶色いスリップが挟まっているのが古本となっており、そこに値段が書かれている…ざっと見た感じでは、新刊の方が多そうである。右壁には児童文学と絵本が並び、かこさとしコーナーも作られている。その奥には育児・親子・教育などの本が一棚分集められている。左壁の飾り棚には、主に新刊オススメ絵本が飾られている。うむむむとちょっと悩むが、結局新刊の文春文庫「未来のだるまちゃんへ/かこさとし」に決めて精算をお願いする。すると本を見るや否や「かこさん、亡くなっちゃいましたね」としみじみした嘆きの言葉を投げ掛けて来る。「そうですねぇ。残念ですよね。最後までバリバリ描いてましたもんねぇ」「そう。だからいつまでもお元気だと、勝手に思っちゃってたんですが…」「お年でしたもんねぇ」…二人の間を、何だか温かいものが、仄かに流れて行く…。お店を出て商店街をそのまま北に遡り、予定通り「靖文堂書店」へ。中公文庫「肌色の月/久生十蘭」を200円で購入する。
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2018年05月24日

5/24くものすおやぶん!

ちょっと仕事の中休みに外へ抜け出し、中野へ向かう。途中、ビルが塗装養生中の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、店頭箱から地味に探していた福音館書店こどものとも533号「くものすおやぶんとりものちょう/秋山あゆ子」を見つけ出し、喜ぶ。ハードカバー版は持っているのだが、元本は未入手だったのだ。十手持ちのおにぐもの“あみぞう”と、子分のはえとり“ぴょんきち”が、謎の怪盗“かくればね”から蔵のお菓子を守る、興奮必至のお話(実際知り合いの子供にこの絵本をプレゼントしたら、景色の中に巧妙に隠れる“かくればね”の姿に「ふぉ〜〜〜っ!」と興奮し過ぎてしまい、嘔吐してしまったことがあった…)。楽しい虫漫画の第一人者による子供用絵本だが、ちゃんと捕物帖としても秀逸に成立しているのである。2003年に「くものすおやぶん とりものちょう」2007年に「くものすおやぶん ほとけのさばき」が出版されている。ちなみに福音館書店の絵本には必ず題名の英訳が付いているのだが、「くものすおやぶん とりものちょう」は「THE SPIDER POLICE STORY」となっている。結束本がそこかしこに積み上がる、ちょっといつもの「コンコ堂」らしくない店内で、同じ福音館書店「ぴかくんめをまわす /松居直さく・長新太え」と一緒に計206円で購入する。
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「とりものちょう」と「ほとけのさばき」元本。三作目をいつかは出して欲しいのだが。「くものすおやぶん くわがたとうのさくりゃく」とか「くものすおやぶん みっしつのみのむし」とか…。

中野では『ブロードウェイ』に直行し、二階のギャラリーで『マカロニほうれん荘展』を見学する。かつて秋田書店「週刊少年チャンピオン」で連載されていた鴨川つばめのギャグ漫画『マカロニほうれん荘』の初の原画展である。入場無料なのだが、先週の土日は整理券が配られるほどの大混雑だったらしい。今日も平日木曜なのに、小さな会場には若者がたくさん詰めかけている…へぇ、今の人にも『マカロニほうれん荘』は読み継がれてるんだ…。右壁には主に扉絵やカットが飾られ、左壁には漫画原稿が飾られている。ビッシリと懐かしい絵が壁を埋め尽くしているので、とても見応えがある。キンドーさん!トシちゃん!そうじくん!それにしても、線が太くて、何て絵が綺麗なんだ!小学生当時、団地の商店街にあった本屋さんに、毎週金曜日に楽しみに立ち読みに行ったのを、今でもありありと思い出すことが出来る。同時期に集英社「週刊少年ジャンプ」で連載していた江口寿史の野球(一応)ギャグ漫画『すすめ!!パイレーツ』があり、まるで『マカロニほうれん荘』と双子のような作品で、どちらも映画ネタ・音楽ネタ・サブカルネタ・特撮ネタ・お色気ネタ・可愛い女の子をスマートに取り入れ、センスの良いギャグを競い合うように毎週炸裂させていた。思えば、そんなエポックメイキングな二作をリアルタイムで味わっていたとは、幸せな子供時代であったなぁ…などと大いに懐かしむ。原画以外にも、連載当時の関連商品や、アパート『ほうれん荘』のモデルとなったアパートの写真群、クレヨンで描かれた最近の直筆色紙、会場内で流れるBGMの直筆リストなども飾られている。登場人物の一人、クマ先生の『ノォ〜〜〜ッ!』は今でも充分面白いことを認識し、賑わう会場を後にする。そのままブロードウェイから北に抜け出て「古本案内処」(2015/08/23参照)へ。フロア奥の照明が白熱電球に代わり、ちょっとだけシックな雰囲気になっている。新潮文庫「3人がいっぱい1/和田誠」ちくま文庫「YASUJI東京/杉浦日向子」扶桑社文庫「初稿・刺青殺人事件/高木彬光」を計756円で購入し、『早稲田通り』をテクテク歩いて帰宅する。
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2018年05月23日

5/23探偵文藝叢書第3巻

古本と古本屋さんには大敵である雨が降り出す前にと、神保町へパトロールに出かける。すっかり2・3番線線路の上が鉄骨で覆われてしまった、薄暗い御茶ノ水駅から飛び出し、『明大前通り』の坂を下って午前十時半の神保町に入る。「慶文堂書店」(2012/01/14参照)では、傘を差してしゃがみ込み電話中のご婦人が探る店頭箱に横合いから手を出して、講談社文芸文庫「金沢|酒宴/吉田健一」を200円で購入する。珍しく店頭に人影の皆無な「田村書店」(2010/12/21参照)では龍星閣「我が詩篇/川上澄生」を600円で購入する(夫婦函の中には、龍星閣の小冊子「げらずりぐさ 復刊第3号」が混入していた…)。足を早めながら「アムール」(2011/08/12参照)で東京創元社「創元推理文庫解説目録1978・5」カッパ・ノベルス「地獄の辰・無残捕物控/笹沢佐保」を計200円で買ったところで、ついに雨がポツポツ落ちて来たので、さらに足を早めて水道橋駅から電車に乗り込む。帰りにある展覧会を見ようと思っていたのだが、水曜が定休日なのを知り早々に帰宅する。

そして夕方、嬉しいヤフオク落札古本が、家のポストに滑り込む。大正十二年刊の東京小西書店探偵文藝叢書3「怪教の秘密/ウヰリヤム・ル・キユー」である。裸本で経年のイタミがあり、3111円であった。まったく未知の叢書であるが、調べてみると全五冊が刊行されており、1「赤い線/サックス・ローマー」2「恐怖の仮面/アーサー・リーヴ」4「戦慄の都/フレッチャー」5「空中よりの声/ウヰリヤム・ル・キユー」という布陣らしい。ル・キューはイギリスの作家で、スパイ小説創始者の一人と目されている。ちょっと先走って「怪教の秘密」を読み始めてみると、倫敦に極秘潜入した死んだはずの怪僧ラスプーチンが、出自に暗い秘密を持つ牧師に邪秘教の秘技を授け、その牧師が早速高笑いしながら、倫敦を支配しようとし始めている!…むぅ、何だかヒドい感じで面白そうだ。それにしても明治大正の翻訳&翻案探偵小説群は、現在では再版の機会に恵まれることは少ないので(名作以外は、その古臭さ故…ということであろうか)、読むためには百年前の古本か、奇特な復刻同人誌にでも当たるしか無いのが現状である。だが、おいそれと読めないからこそ、闘志が湧いて読みたくなり、古臭いからこそ百年前の息吹を吸い込みながら読みたくなってしまうのである。もはや読まなくとも良いが故に消え去った、だからこそ読むべき探偵小説を探し求めて、今日も血走った眼が、古本屋さんの店頭とネットの海を彷徨うのである…。
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2018年05月22日

5/22東京・立飛 リサイクルショップ花音

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立川北部の栄町という郊外の住宅街に午後三時過ぎに流れ着き、『こんな所に古本の影はないだろうなぁ…』と高を括っていると、福祉系ショップに古本が並んでいるのを偶然発見し、世の中も立川も捨てたもんじゃないと、古本の神に感謝を捧げる。多摩都市モノレールの立飛駅(『立川飛行場』ということですな)から東側の地上に降り立ち、南東にグングン進み『芋窪街道』に突き抜ける。そのまま南にしばらく下って行けば、『栄町4丁目交差点』の東側に大きな『栄四丁目商店街』の現れるので、そこを潜る。すると信号と緑道を越えた『南部公園』の裏手のリサイクルショップに、どうにかたどり着けるであろう。店内はほぼ古着と雑貨で、おば様たちがショッピングを存分に楽しんでいるが、入口の両脇に小さな本棚も置かれ、新し目の時代劇文庫やミステリ&エンタメ文庫がしっかりと並んでいる。左壁棚には、少量の実用本や児童文学もあり。おば様たちに混じり、文庫本を二冊釣り上げ、奥の帳場で精算する。レジのご婦人は「えっと…本は定価の一割…一冊四十円で…二冊で八十円です!」…端数は切り下げてくれました、ありがとうございます!新潮文庫「釣師・釣場/井伏鱒二」文春文庫「三陸海岸大津波/吉村昭」を購入する。だがやはり、何となく物足りないので『芋窪街道』で見かけた「ブックオフ立川栄店」にも突入し、光文社文庫「現代詩殺人事件/齋藤愼爾編」河出文庫「怪異な話 本朝不思議物語/志村有弘編」を計216円で購入し、モノレールでスイスイ玉川上水まで出て、西武線を乗り継ぎ帰宅する。
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2018年05月20日

5/20東京・吉祥寺 引っ越していた「すうさい堂」

美しく雲が浮かぶ五月の空の下を、テクテク歩いて荻窪に向かい、「ささま書店」(2008/08/23参照)店頭を覗き込む。講談社愛蔵復刻版少年倶楽部名作全集「新戰艦高千穗/平田晋策」レディメイド・インターナショナル「ECDIARY/ECD」を計216円で購入した後、吉祥寺に出る。人ごみを擦り抜けて幾つかの古本屋さんを偵察し、「バサラブックス」(2015/03/28参照)で再版だが角川文庫「冬の神話/小林信彦」が1500円とお得値だったので、思わず購入してしまう。強い風によりいつの間にか雲は一掃され、頭上には深い青空が広がっている。

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そして午後一時。駅北口から東に進み、横断歩道を渡って高架下飲食街『Atre』が尽きる所まで進み続け、北に進路を採る。ラブホテルと雑居ビルと集合住宅が向かい合う一角を進み続けると、左手に煉瓦で化粧されたわりと陰鬱なマンションが現れる。その雑然としたエントランス入口に、『古本屋すうさい堂引っ越しました。このマンションの2階です。』と書かれたミニアンプが置かれていた。薄暗い小さな中庭のようなエントランスに入り込むと、旧来のお店で使っていた立看板とともに、トーテムポールが置かれている。その奥の鉄階段をカンコン上がると、左手ドアがお店となっており、ノブには『OPEN』の札がかけられ、リリー・フランキーの色紙や、『ノックせずに土足でお入り下さい』などが貼り出されている。かなり入り難いのだが、勇気を奮ってノブを捻ると、そこはワンルームマンションそのままの店舗であった。床には玄関からミニマットが連なり置かれ、各所の段差を微妙にフォローした疑似バリアフリー構造となっている。右にはユニットバスへの扉があり、左がキッチンで、奥がメインフロアとなっている。玄関横から台所のシンクもそのまま利用して、100均コミック・100均単行本・100均文庫が並べられている。そこをクリアして奥に進むと…おぉ!床で大柄なクロネコがドベッと寝ている!可愛いじゃあないか!と近寄ろうとすると、気配を察知したクロネコは慌てて起き上がり、右横の帳場机に飛び上がった後、店主の膝に丸まって収まってしまった…くぅ、以前は思う存分撫でさせてもらったのだが、残念。左壁には幻冬舎アウトロー文庫・セレクトコミック・セットコミック・ちくま文庫・セレクト文庫・映画・音楽・サブカル・アウトロー・アングラ・裏街道などが集まり、正面にはカルトコミックがズラリと不穏な並びを見せている。その不穏さは、右横の映画DVDコーナーまで連続し、引っ越してもカルト的偏執傾向を決して失わぬ意志が込められている。景気良くかかり続けるサディスティック・ミカバンドの音楽に乗り、洋泉社「鮮烈!アナーキー日本映画史1959-1979」を700円で購入する。精算時に店主は膝のクロネコを床に下ろすが、クロネコはおとなしく従い、床に座ったままこっちをチラとも見ようとしない…全く持って可愛いヤツだなぁ。
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2018年05月19日

5/19東京・東陽町 古本と肴 マーブル

夕方前にどうにか国立に流れ着くが、今日は様々な方からタレコミされた、「みちくさ市」で頻繁にご一緒した錆猫さんが、お店をオープンする日なのである。疲弊しているのだが、どうにかして駆け付けなければ!と目から炎を出し、「ブックステーション門」(2009/12/18参照。だが今日気付いたのだが、すでにお店は「飛葉堂」と名を変えている模様…)で朋文堂旅装新書「映画界拝見」を324円で購入し、車中の友とする。昭和三十年代の日本映画界事情に溺れながら、一気に東京の西から東へ。
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『一番出口』から、地下への浸水を防ぐために高くなった入口階段を踏み締めて地上に出ると、夕陽がビルを染めている。『四つ目通り』を北に向かい、最初の信号で東に曲り、直ぐに北への脇道に入り込む…ほぼ都営住宅の間を進むような形だが、ここに果たしてお店などあるのだろうか。そう心配しながら道を進むと、奥は小さな飲食店が向かい合う形になっており、ほどなくして右手に新たにオープンしたお店が現れた。小さな三階建てビルの一階店頭に、開店祝いの花と大きな100均文庫木箱が並んでいる。そこを覗き込んでいると、お客さんを送り出して来た錆猫さんに早速発見されてしまう。とにかくどうにか、本日の開店に駆け込みで漕ぎ着けたことを告げられるが、なかなかどうして小さく細いながらも、古本屋さんであり飲み屋さんでもあるお店は、すでに立派な佇まいである。入口からチラと奥をうかがうと、カウンターではアルコールを摂取しながら楽しく語らう男女が、東陽町にすっかり馴染みながらキラキラと輝いている。入口脇には200均単行本棚があり、スッと店内に入り込むと、左に民間伝承関連・児童文学・絵本が棚に収まり、さらにカウンター前に並ぶ北海道豆本や文学と連なって行く。古本屋的メインは右壁棚で、本関連・民俗学・博物学・幻想文学・アイヌ・埴谷雄高・猫・海外文学・詩集・言葉・日本文学・セレクト文庫と、意外に硬めで偏執的な並びを見せている。所々に猫の置物やアイヌの彫り物や木村荘八絵葉書などが飾られ、最奥にさらなる猫や狐の小物に加え、辻邦生や司馬遼太郎が収まっている。本は安値で確固たるセレクトが小気味良いのだが、開店祝いを兼ねて盛り上がる店内は、古本屋さんと言うよりほぼ飲み屋の態である。福音館書店「かず/西内久典ぶん・安野光雅え」日本猫愛好会「ねこ文庫」第21集「猫を訪ねて/福田忠次」を計500円で購入しつつ、せっかくなのでカウンターに神輿を据えて、サッポロ赤星を一本注文して喉を潤す。う〜〜〜〜〜ん、幸せ。ちょっと仙台の古本立ち飲み屋「鉄塔文庫」(2012/06/23参照)に似た雰囲気である。錆猫さんは懸命に働きつつも、お店の形をいかにして行くのか、現在進行形で絶賛悩み中の模様。しかしとにかく、お店を形にして開店させたことは、紛う事なき立派なことである。開店おめでとうございます!また落ち着いた頃に、古本買いつつ飲みに来ますので、皆様も東京の東端に足を延ばし、古本とお酒を楽しんでみて下さい。定休日は日曜、月・木が19時〜23時、金・土が11時〜23時の営業時間となっております。
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本日の嬉しい収穫は「猫を訪ねて」。昭和49年刊の、猫好きのオッサンが猫好きが高じ過ぎて、全国の『猫塚』『猫山』『猫寺』や“猫”が付く地名を訪ねたりする、マニアックなフィールドワーク本。躍動する猫が店頭に大胆に描かれたお店で、こういう本が買えたのが単純に嬉しかったりする。
posted by tokusan at 20:21| Comment(4) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月18日

5/18嗚呼、まつりちゃん!

連載の取材にて少し遠出。燕の群舞する蒸し暑苦しい北関東で古本屋さんを追い求める。その後、足利に立ち寄り、久しぶりに店内にワンコがいる「古書 尚古堂」(2009/06/14参照)を訪ねる。『石だたみの道』の奥にはお壕に囲まれた『足利学校』が見えており、なかなかに旅情を満たしてくれるロケーションである。
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店頭に出された安売棚(100均ではない)には、『開店十五周年記念セール』の札が貼られている。そこから一冊抜き取り、細長い店内に進み、茶色い古書群に目を凝らして行く…時代小説本や日本近代文学本に目欲しいものが見つかるが、結局折り合いがつかずに、店頭の一冊を奥のご婦人に差し出す。その向かいの椅子には、九年前も出会ったシーズー犬“ジョン”が丸まっている。やはりもうだいぶ年を取ったようで、目も見えないようだ。頭をそっと撫でると、反応して首をもたげて来る。そしてカウンター奥の床には、以前の雑種犬“まつり”ちゃんの姿は無く、代わりに巨大なハスキー犬が横たわり、“まつり”ちゃん同様の怯えた目でこちらを注視しているのであった。講談社「夜の装置/多岐川恭」を450円で購入する。足利市駅から帰途に着こうと渡良瀬川方面に向かうと、歩行者信号青の横断歩道で、スピードに乗って曲がり込んで来た奥様の運転する車に轢き殺されそうになる…あ、あ、危なかった。急停車した奥さまは、ウィンドウ越しにぽかんとした表情を浮かべ、謝ろうともしない。釈然としない思いと、姿の見えなかった“まつり”ちゃんへの想いと、古本を抱えながら、長い鉄製の三連アーチ橋を渡り駅へと向かう。
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2018年05月17日

5/17『まち歩きマップ』と私的児童探偵小説考察。

あまりの蒸し暑さに閉口しながら、夕方前の上連雀に流れ着くが、住宅街の小さな草原公園『水源の森』にポツンと停められた移動図書館『ひまわり号』を偶然目撃し、緑の草と児童本が多く並ぶ本棚の、不思議なコントラストが引き金になり、心の中にだけ涼風が吹き渡って行く…。そのまま良い気分で三鷹駅にたどり着き、北口側に出て「水中書店」(2014/01/18参照)にかぶりつく。ちくま文庫「聴雨・螢 織田作之助短篇集」リトルモア「ぼくは漁師になった/千松信也」彩図社「売春島「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ/高木瑞穂」を計千円で購入する。そして帳場に置かれた「水中書店」オリジナルフリーペーパーに気付いたので、レジのお姉さんに声を掛けいただくことにする。青いインクで刷られた『水中書店から出かける三鷹まち歩きマップ』。全四ページが、イラストと言うか漫画で構成され、素敵にキャラクター化した店主の今野氏が、お気に入りのお店を訪れ紹介する形を採っている。クオリティが恐ろしく高いので、瞬時に脱帽する。まったく今時の古本屋さんは、何と言う物を作り、配布しているのか!とニヤニヤして家に帰る。
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さて、先日裸本故安値で購入出来たポプラ社のジュニア探偵小説「恐怖の口笛/海野十三」だが、熱で学校を休んだ子供のように速攻で読了してしまう。その題名と、謎の口笛とともに何かで首を絞められ、血を吸われて殺された金持ち夫人から始まる物語に、『もしやこれはコナン・ドイルの『まだらの紐』のいただきか?』などと浅薄に思いついてしまうが、事実はそうではなく、名探偵・帆村荘六×怪盗・あざがに仙斎(顔に蟹の痣があるから“あざがに”…)×恐怖の吸血鬼×覆面探偵・青竜の四つ巴の知能戦&生死を賭けた宝物争奪バトルであった。たった独りのあざがに仙斎が、オランダで特注した素晴らしい軽機関銃で警官隊と激しい銃撃戦を行い敗色濃厚にしたり、帆村荘六が様々な事情からミュージカルの舞台でスポットライトを浴びてタップを踏んだり、途中一度だけ“あざがにが“ざりがに”になっていたり(間違える気持ちは分かる、編集さん。でも、『ざりがに』にしちゃぁ、ダメでしょう!)、筆が滑ったのか物語の途中で覆面探偵の正体がさらっと書かれていたりして、とにかく突っ込みどころ満載なのだが、やはり買って良かったと満足して読了したのである。それにしても私は何故、これらの昭和初期〜昭和三十年代にかけての、児童用探偵小説に魅了されているのだろうか。ひとつは子供時代に、バカの一つ覚えみたいに、江戸川乱歩の『少年探偵シリーズ』と偕成社版『名探偵ホームズシリーズ』しか読んでいなかったことであろう(しかも繰り返して)。大人になって知った、他の著名な探偵小説作家にも(横溝正史・高木彬光・大下宇陀兒・甲賀三郎・島田一男・西條八十などなど)にも同様の児童向け作品があることを知った時の衝撃!子供時代に読むべきだった、さらなる名探偵と名悪党の知られざる世界!その、失われた時と物語を渇望して(今では読むことのできないクレージーな作品も多く潜んでいる)、五十を越えた今になっても、ジワジワと児童用の本を追いかけざるを得ないのである。そしてさらなる理由を挙げるなら、物語の舞台となる都市、特に親しい東京のかつての姿を垣間見たいためとも言えよう。都市と言う、無数の建物と無関係の人間が犇めき、欲望と負の心が渦巻く場が生まれたことにより、スリリングに成立するようになった探偵小説。際限ない発展や再興を続ける都市の中で煌めく、名探偵対悪党の華麗なる活躍。そこには見たことのない、思いもよらぬ東京が、まだまだ隠されている気がしてならないのだ。この「恐怖の口笛」でも、銀座・京橋・青山・玉川などが生き生きと登場している。あぁ、願わくば、この本の中の東京に、いつかはたどり着きたい…そんな風に夢想しながら、脳内の憧れの都市像を強固なものにするために、これからも児童探偵小説を、懐を気にしながら買い込んで行くことであろう。子供の時にしか味わえぬ感覚は確実に存在し、それはすでに失われているのだが、年齢を重ねた今だからこそ読み取れるものも、確実に存在しているはずなのである。
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おぉ、あざがに仙斎がアドバルーンで、東京・銀座の空高く逃げ出して行く…。
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2018年05月16日

5/16「女食人族」と「疑問の三」!

五月はもはや夏なのか?と激しく疑問に思いながら、照り付ける夏の日射し浴びて、午前十一時半の「ささま書店」詣でへ。散歩中の幼児の集団が、店前に停まっていた、ルートトラックのコンテナに描かれた大阪府古書籍商業協同組合のゆるキャラ『メ〜探偵コショタン』を見て「メェ〜!」と叫ぶのを耳にしながら、河出新書「片棒かつぎ/井伏鱒二」虎書房「恐るべき広告/永田久光」(カバーナシ)昭森社「美學奥義 小村定吉詩集」新潮文庫「聖ヨハネ病院にて/上林暁」講談社「殊能将之未発表短篇小説集」を計1080円で購入する。

家にテクテク帰り着くと、一通の奇妙なタレコミメールが届いていた。ついこの間もタレ込んでいただいた、古ツア単行本編集者さんからのもので、本棚探偵・喜国雅彦氏が「ひとたな書房」に本日昼間に補充する旨が書かれていた。元々はtwitter情報で、どうやらtwitterをやっていない私に配慮して、わざわざタレ込んでくれたらしい。確かに「ひとたな書房」に目がなく、心酔し切っている身としては、ありがたい情報である。元々今日は補充に赴くはずだったのだ。欲しい本が見つかれば、迷わず力強く買ってやろうと、昼食を摂ってから銀行強盗事件発生で大騒ぎの西荻窪へ向かう。件の銀行脇の道は、すでに規制線が解除されていたが、マスコミのカメラがまだべったりと張り付いている。肩に掛けた大量の古本が入ったバッグを不審に思われ、職務質問でもされやしないかと、いらぬ愚かな心配をしながら「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に到着する。「フォニャルフ」をドバドバ補充入替しながら、チラチラと斜め右上の本棚探偵の「ひとたな書房」に視線を走らせる。あぁ!香山滋があるじゃないか!異常に茶色い本が蔓延ってしまった補充をサッサと済ませ、黒く安っぽい折り返し付きペーパーバック、東西文明社 傑作怪奇探偵小説選集「女食人族/香山滋」を、陶然としながら取り出す。C級感が溢れまくるのを止めようともしない『女食人族』『爬虫邸奇譚』『蜥蜴夫人』の三編を収録している。いつものように、後見返しの札に赤いダーマトで書かれた値段を見ると、六〇〇〇円…ぬはぁ〜、買います買いますもちろん買いますよ!と帳場に持ち込む。あぁ嬉しい。
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これでいったい何冊目の「ひとたな書房」からの購入本だろうか…。

良い古本を買って落ち着きを取り戻した後は、店主の小野氏と懲りずに古本四方山話。すると、入荷仕立てホヤホヤのダンボール箱を持ち出して来て、自由に中を見せてくれるではないか。ある探偵小説作家の、み、見たことのない翻訳本や時代小説が出てくるわ出てくるわ。取り戻したばかりの落ち着きを速攻でなくしながら、古本を手にして感嘆のため息をつきまくる。すると、新潮社 新作探偵小説全集「疑問の三/橋本五郎」昭和七年初版の函ナシ本も出て来たので、ありがたいことに千円で譲っていただく。だが本を渡す段になって、小野氏が「ちょっと待って。間にまさか附録挟まってないよね。「探偵クラブ」」と慌ててページをパララと捲る。幸か不幸か、挟まっていませんでした…まぁ何はともあれ、これで「疑問の三」が読めるんだ!と大いに喜び、ついでにエニグマティカ叢書「ルヴェル新発見傑作集 仮面」も購入し、すっかり散在してしまったことに気付かないフリをして家へと戻る。
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2018年05月15日

5/15十年経っていました。

今日は真夏のような代田橋の住宅街に流れ着いたので、阿佐ヶ谷駅行きのバスに乗り込み、新高円寺駅で途中下車。いつかのように、いつどんな時でも賑わいを見せている『ルック商店街』を遡上して行く。「アニマル洋子」(2914/03/14参照)では、集英社ジュニア版・世界のSF「滅びゆく銀河帝国/アシモフ・作 野田昌宏・訳」河出文庫「ローリング・サンダー航海日誌/S・シェパード」を計400円で購入しながら店主さんにご挨拶。続いて駅にたどり着き、高架下の「藍書店」(2014/01/14参照)では外壁棚から河出書房「ジェームス・ディーン/小森和子」を100円で購入する。高架下から車止めを縫って『庚申通り』に入って行くと、途中の「DORAMA高円寺ブック販売店」がもぬけの殻になってしまっている。すわ閉店か?と一瞬色めき立つが、どうやら移転ということらしく、ここは古着売場となり、古本部門は道の先の『レンタル店』に吸収される模様…古本売場が大幅に縮小されそうな予感が、背中をニュルリと走る。リニューアル休みは明日までなので、またこの通りを通った時に、この目で確かめることにしよう。さらにテクテク歩いて「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)着。店頭で一冊、店内で一冊つかみ、店主の粟生田さんが買取客と『キャンディキャンディ』関連の希少性について語り合うのを小耳に挟んだりする。荒地出版社「続推理試験/A・リプレイ」栄光出版社「カツドウ屋一代/マキノ雅弘」を計900円で購入する。
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本日の収穫。計1400円としては、まぁまぁな並びである。

ところで、気付いたら今年の五月十日で、このブログを始めてからついに十年が経過していました。一番最初の記事は、音楽の仕事で日帰りで訪れた、宇都宮の「山崎書店」。仕事先を抜け出し、住宅街にある古本屋を探り当て、息を切らし、色々焦りながら通路を行き来したことを、今でもちゃんと覚えています。古本屋好き&古本好きとして、そこそこ長い十年と言う日々を、飽きずに楽しく書き連ねられて来たことを、嬉しく、また誇りに思います。なのでこれからも同様に、古本屋さんと大好きな古本について、駄文を量産して行くつもりです。そしていつも読んで下さる皆様、本当にありがとうございます。これからも、心の古本濃度が不足していると感じた時は、急遽古本屋さんに向かうか、応急手当として当ブログを読んでいただければ、もっけの幸いであります!
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2018年05月14日

5/14イレギュラーズとしておでこを強打する。

本日は午前の早い時間から、“盛林堂イレギュラーズ”としての活動を開始し、盛林堂・小野氏とともに、暑過ぎる陽射しにブーたれながら、都内某所の研究所に買取に赴く。主に重く大きな学術系箱入り本の整理に従事。仕事場所として与えられたのは薄暗い台所で、薄暗闇と埃に塗れながら、午前と午後の四時間を労働に費やす。途中重い本を両腕に抱えながら、換気扇のフードにおでこを痛打し、『ぐわっ!』と怪獣のような叫び声を上げ、目の前に星を散らしてしまう…。だが作業は順調に進み、取りあえず午後三時には、一部まとめた本を西荻窪に運び込み、イレギュラーズとしての活動を早々と終える。
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※月曜定休日の静かなる盛林堂店内。帳場周りには新たに入荷したレア明治&大正本が積み上がり、ちょっとの間一人にされた瞬間、思わず悪の道に走ってしまいそうな悪魔の誘惑と、心の中で真剣勝負のド突き合いを展開してしまう…も、もちろん清き正しい心が勝利しましたよ。

この買取さえ終わってしまえば完全休業日となる小野氏と歩調を合わせ、「古書音羽館」(2009/06/04参照)を覗きに行く。新潮社「私の少女マンガ講義/萩尾望都」を900円で購入しつつ、店主の広瀬氏と居合わせた里山社さんにご挨拶する。続いて突然「中野ブロードウェイに久しぶりに行きたい!」と宣い始めた小野氏と中野に向かい、ブロードウェイを一階から四階までじっくりと経巡る。古本屋ではすっかりセドリモードになる商売人の小野氏に怯えながら、四階の「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)で、カバーナシのポプラ社 日本名探偵「恐怖の口笛/海野十三」(名探偵帆村荘六vs怪盗あざがに仙斎…“あざがに仙斎”って…なんと燃えないライバルの名前…)を見出し、喜んで二千円で購入する。
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その後は夕方なのに小道の居酒屋に繰り出し、ひたすらレア古本の話に終始しながらビールを飲み干して行く…あぁ、今日もそんな風に、見事に古本に塗れまくった、楽しい一日でした。でも家に帰って、ズキンと痛むおでこを鏡で見たら、たんこぶ&その上に付いた傷が付いている!いい大人なのに、みっともないなぁ。
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2018年05月12日

5/12本をトレードする。

夕方前にどうにか武蔵境の南西に流れ着いたので、西武多摩川線の踏切を越え、「尾花屋」(2017/06/15参照)を訪れる。店頭で岡本太郎二冊を掴んで店内に進むと、相変わらず冬の雰囲気を纏った店主が、地元のオバちゃんに食いつかれ、とても良い話相手になっている…。新潮社「私の現代芸術」朝日新聞社「岡本太郎の眼」共に岡本太郎を計300円で購入する。

その後は武蔵境まで出て、中央線→総武線と乗り継いで西荻窪途中下車。週末の賑わいを見せる「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に立ち寄り、作家&ホームズ研究家・北原尚彦氏より贈られた本を受け取る。常に雑食古本買い足る私は、時にその見境なく面白そうな古本をとにかく買ってしまう性質から、SF的奇書を日々求めている北原氏の探書を発見してしまう光栄に浴することに、まま見舞われるのである。そう言う時はすかさず氏から連絡が入り、『これこれこういう事情から探していた本なので、良ければ譲ってもらえないか』と懇切丁寧に説明されるのである。そうなれば、ただのぼけっとした古本好きが所蔵しているよりは、研究者の手に渡った方が、遥かに世の中のためになるので、遠慮なくお渡しすることに決めているのである。ただし、こちらも少額とは言えお金を出して買った物なので、氏の蔵書とトレードしてもらうのが、定例となっている。その受け渡し場所が、二人の一番頻繁な接点となる「盛林堂書房」なのである…「盛林堂」さん、スパイが木の樹洞を介して機密文書をやり取りするようなことを、いつもしてしまって、大変申し訳ございません…。というわけで今回は、京都で見つけて来た日本書房「アメリカ民話 ジャングルのターザン/中正夫・文 花山信吉・画」(2018/04/06参照)とトレード!帳場で袋を受け取り、楽しみにしながら家に持ち帰る。その袋の表には、『第四章ごらん下さい。』と書かれている…何だろう?ちなみにこれまでも何度かトレードは行ったのだが、贈られる本は、いつも予想の斜め上や下を行く、奇怪な変化球本ばかりなのである。「九鬼紫郎がお好きなようですから、「怪奇探偵小説集」を用意しました」とか、「ダブっていたので「社会進化 世界未来記」をどうぞ」なんてことは決してないのである。氏は、完全に無邪気なイタズラ好きの、怪人二十面相側の人間なのである。そんなことを改めて思いながら、袋から本を取り出すと、文雅堂書店「改版増補 胃腸之一年/醫學博士 湯川玄洋講話」なる、明治本を大正七年に改版して出した消化器官医学一般啓蒙書であった。…やはり、物凄い変化球で来たか…それにしても何故?と訝しがりながら、衛生志向向上のための本を繙いて行く。本当に胃腸の仕組みと役割と効用の話ばかりだ。そのうち懸案の第四章に差し掛かると、ここにも『こちらの四章が白眉となります。お楽しみ下さい』と書かれた紙が挟み込まれていた。
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その第四章に熱い視線を注ぐ。『(四)胃腸兩國の探検』!あぁ。これは『ミクロの決死圏』的に人体を探検し、その構造を紹介するSF的アプローチ!早速読み込んで行くと、『人体國聯邦』の一部である『胃の國』と『腸の國』の王二人が(それぞれ“胃王”“腸王”)、自分たちの治める國と、関係のある他の聯邦國の模様を視察するというストーリーである。いやぁ、くだらないけど、これは嬉しいなぁ。『口唇國』から始まる、人体の消化器官という管的宇宙への旅!他の章が、ひたすら真面目な胃腸とそれに関する消化と食物の話なので、この章だけが、とんでもなく異彩を放っているのである。それにしても、良くこんな硬そうな本から、面白い章を見つけられるものだ。そう感心しながら。己の修業の足りなさを、大いに痛感したトレードであった。そして実はまだ、北原氏が本気で欲しがっている本が温存してあるので、これをトレードに出した時、いったいどんな本が贈られて来るのか、今から楽しみでしょうがなかったりしているのである。

そしてさらに巻末の広告を見ていると、國枝史郎の「黒い外套の男」という劇脚本の傑作選集が出されているのを知る。…うわぁ、こんな本知らなかった。欲しいなぁ、読みたいなぁ…。
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2018年05月11日

5/11神奈川・追浜 おっぱま ぼちぼち書店

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メールタレコミを基に行動を開始して、品川駅から京浜急行快特に激しく運ばれ、午前十一時の追浜駅駅頭に立つ。東口に出て、小さな空中駅前広場を、北側階段で地上に下りる。そのまま『追浜駅交差点』を東に突っ切り、『夏島貝塚通り』という名の、屋根の架かる駅前商店街の北側歩道を、グングン歩いて行く。すると一つ目の信号脇に、情報通りに古本屋さんが出来ているではないか!シンプルな店頭には三台の小百均ワゴンが並び、小説・コミック・文庫を主に並べている。右端には電気立看板があり、ガラス窓には買取表やお店のお休みカレンダーなどが貼り出されている。『12:30〜13:30』は休憩時間になるのか…。横長な店内に進むと、左右の壁には本棚が据え付けられ、奥は帳場兼作業場となっている。フロアの左右ではそれぞれ四本の本棚が組合わさり、細かな通路を造り出している。左は時代劇文庫で固められ、右は教養系文庫・海外文学文庫・日本文学文庫で固められている。左側入口脇にはラックが置かれ、古雑誌・グラビア誌・ムックなどが面出しで並ぶ。左壁には歴史・近現代史・ドイツ・ナチ・ヒトラーなどが、古書も交えて集合している。奥にはアイドル系写真集が並び、最奥にはアダルト小部屋へ続く暖簾がユラリ。帳場右側にはミステリ&エンタメ・文学評論・社会・現代思想・文化・世相が並び、右壁には実用・旅・大判本・映画DVD・コミックセットが収まっている。新しい本が多めのリサイクル系古書店であるが、左奥のドイツ関連や、所々に紛れ込む茶色い古書に特徴がある。値段は定価の半額〜半額よりちょい高と言ったところ。本を帳場に出し出すと、少し年を食った嵐の大野智風男性が、ハキハキと応対してくれる。平凡社ライブラリー「細野晴臣インタビュー THE ENDLESS TALKING/北中正和編」を購入する。扉から外に出ようとすると、入口脇に置かれた、八千円で売りに出されている『ガチャガチャマシーン』に初めて気付く。この機械、値段は間違いなくこの倍以上するものなので、お買い得と言えばお買い得である。

お店を出て駅方面に戻り、『横須賀街道』を北にちょっと進んで、まるで歩道橋の下にあるような『北原のパン』(2014/07/21参照)で昼食を購う。ハムカツパン・サラダパン・カレーパン・ラスクを頼むと、おまけにロールケーキの切れ端を付けてくれた。京急車内でお行儀悪くモグモグ食べながら(ハムカツパン&カレーパンはかなりのレベルの高さである)、川崎駅で下車して軽く古本屋パトロール。「朋翔堂」(2008/09/07参照)では葦書房「夢野久作著作集4 梅津只圓翁伝」教養文庫「氷の涯」「爆弾太平記」ともに夢野久作を計700円で購入する。ビルの間を歩いていると、商店街放送で『古本を買うならマッキー。古本を売るならマッキー』と流れていたので、「Books McQee」(2008/09/07参照)に飛び込み、朝日新聞社の文庫型昭和十三年三コマ漫画本「家庭報國 思ひつき夫人/平井房人」を432円で購入する。思ひつき夫人の異名を持つ奥さんが、家庭内で節約と廃物利用の知恵を余すところ無く発揮して行く漫画である。それにしても、古いカンカン帽を縦につなぎ合わせて屑篭を作ると言うのは、何か鬼気すら感じさせる節約術である…。
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2018年05月10日

5/10古本屋さんでメモ帳を貰う。

午前中から正午辺りにかけて、冬のような気温から雨が降り始めたと思ったら、土砂降りになり雷鳴が轟き、雨が小止みになって上がったと思ったら、強力な日射しが照り付け始め、まるで高速スピードで季節が変わったような錯覚に捉われながら、明大前に流れ着く。いつから日本は、こんなに忙しなく國枝史郎の小説の様に季節が巡るようになったのだろうか。そんなことを思いながら、まだ雨仕様の「七月堂古書部』(2018/01/13参照)に飛び込んで、徳間書店「都筑道夫ドラマ・ランド」(この間見た映画『100発100中』の脚本も『パリから来た男』として掲載されている。あとがきによると『予算も上映時間も頭におかずに自由に書いた脚本を岡本喜八が整理』とある)メディアファクトリー「売れるマンガ、記憶に残るマンガ/米沢嘉博」を計1300円で購入すると、レジのお姉さんが「メモ帳、差し上げましたっけ?」と聞いて来たので「いえ」と返すと「開店二周年記念のメモ帳です。よろしかったらどうぞ」と、古本とともに袋に入れてくれた。おぉ、右隅にイラスト&店名が入ったオリジナルメモ!二周年、おめでとうございます!そんなものを貰ってちょっとウキウキして来たので、そのまま線路沿いを歩いて東松原まで出向き「古書瀧堂」(2014/05/01参照)に入る。久々に来ると、欲しい本がたくさん見つかるのは、良い古本屋の証拠である。講談社文庫「世界五大探偵戸籍簿/イームズ」集英社「宇宙創世記ロボットの旅/スタニワフ・レム」を計1000円で購入する。
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そろそろ書店に並び始める「本の雑誌6 手長エビ混線号」では、いつもの連載『毎日でも通いたい古本屋さん』で超硬の本郷古書店街の「第一書房」を紹介するとともに、『特集:本を動かす』にも『『神曲』もびっくりの本地獄はここから始まった!』という記事を寄稿しております。昨年末から今年始めにかけて関わった、新保博久教授の蔵書整理&引越顛末記濃縮版!さらに特集では、新保教授本人による手記+引越先の京都に教授を訪ねた『おじさん四人組、シンポ教授の引越を手伝う!』も掲載されているので、三つの記事が合わさることにより、教授のとんでもない引越のすべてが判明する仕掛けとなっています。私は『おじさん四人組〜』にも面白おかしく登場していますので、ご覧になっていただければ幸いです!
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2018年05月08日

5/8イレギュラーズとかこさとし。

午前十一時過ぎに「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に赴き、そそくさと盛林堂号に乗り込み、“盛林堂イレギュラーズ”として活動を始める。本日の主な役割は、洋書&洋書ペーパーバックの大量仕分けである。慣れない英語に四苦八苦し、表紙のイラストや作家名を参考にして、どうにか見当をつけてミステリー・ホラー・SF・ファンタジーなどに分けて行く。夢中になって小野氏とともにたくさんの山を仕分けたら、あっという間に午後四時…ヒィィィィっ!脳味噌の普段使わぬ部分を駆使していたら、明らかに時間感覚が狂ってしまった!と大いにおののく。そして外は雨が降り始めてしまったので、メインの運び出しは次回行うことにして、妙な頭脳的疲れを背負いながら午後六時半に西荻窪に帰還する。いつものように小野氏とお互いの健闘を讃え合った後に、新刊の盛林堂ミステリアス文庫「夏芝居四谷怪談―弓太郎捕物帖―/大阪圭吉」を御恵贈いただき、新刊の黒死館付属幻稚園 噴飯文庫「阿部徳蔵魔術小説集 未亡人の妖術」を千円で購入する。「未亡人の妖術」に収録された最後の作品『謎の人 フーデニ』に激しく既視感を覚える。えっと…何で見たんだっけ、何で読んだんだっけ…えっと、えっと、えっと……あっ!そうかこの間、森下雨村の小説が載っていたから買った、裏表紙のない「少年倶楽部(2018/03/20参照)」だ!慌てて雑誌を繙くと、目次には『魔術物語』の冠が付けられ(本編では『大魔術物語』となっている)、阿部徳藏の名もしっかりと…き、気付かなかった…。

そして敬愛するかこさとしが5/2に亡くなってしまった。子供の頃から今に至るまで親しみまくった、大好きな絵本作家である。科学絵本シリーズなど名作は数あれど、私にとってのフェイバリットは、「はははのはなし」と「だるまちゃんとてんぐちゃん」に尽きるのである。そう言えばその昔、代々木の『プーク人形劇場』二階にあるかこさとし本やグッズを扱うショップ『だるまちゃん』に行くと、壁に直筆でA5大の『だるまちゃんとてんぐちゃん』の絵が掛かっていた。売り物らしいので値段を聞いてみると、何と二十万円(確かこのくらいの値を告げられたはず)と教えられ、泣く泣く諦めたことを、これを書いていて思い出した。だが今の私は、そんな悲しい思い出を軽微ながらも補填する本を持っている。五年ほど前、妹から突然「私いらないからあげる」と二冊の絵本、偕成社の『かこさとし おはなしのえほん』「からすのパンやさん」と「にんじんばたけのパピプペポ」を手渡されたのだ。どうやら二冊とも貰い物らしく、その出自も良く覚えていないとのこと。カバーは無く、読み込まれた感じが色濃く残っている。だが、この二冊ともが献呈署名本なのである!「からすのパンやさん」は初版で、『一九七三・九・一一』の日付けがあり、署名は漢字で書かれている。「にんじんばたけのパピプペポ」は1978年の13刷で、『一九七九・七』の日付けがあり、署名は平仮名で書かれている。今改めて言おう、妹よ!こんな素晴らしいものをありがとう!いずれは人の手に渡る日が来るのだろうが、それまで誠心誠意大切にします。そして、細かく親しみ易い絵でと平易な文章で、世界の様々なことを分かり易く丁寧に教えてくれた加古里子氏にありったけの感謝を。心よりご冥福をお祈りいたします。
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2018年05月07日

5/7シモキタで水谷準に出くわす。

お昼過ぎに永福町に流れ着くが、まだ雨は降って来ない。体力にも余裕があるので、京王線で下北沢へ出る。するといつの間にか駅『南口』が封鎖されており、『南西口』という新しい改札から吐き出される…旧南口から西に百メートルほどの場所である。これなら、『本多劇場』方面に向かうのは、『北口』の方が遥かに近いようだ。ブツブツ言いながら歩いて「ほん吉」(2008/06/01)前。木箱に古書がたくさん出されているではないか。新潮社 新潮文庫第八編「マルコポーロ旅行記 下/生方敏郎譯」(大正三年刊の小型本。この年にすでに『新潮文庫』が存在していたとは…)筑摩書房「日本文学手帳」(「筑摩現代文学体系」全97巻の特別付録。文学便覧+手帳)ネスコ「TOKYO事件・芸能マップ」近代ジャーナル「パッション 女優蜂/池俊行」を計400円で購入する。路地から飛び出し『茶沢通り』を渡り、そのまま「古書ビビビ」(2009/10/15参照)に雪崩れ込む。右奥道路側のSF&ミステリゾーンに張り付くと、即座に一冊の薄い仙花紙本が目に留まった。共和出版社「傑作探偵小説選集 最後に笑ふもの/水谷準譯」である。未見の本である。なので、ここで会ったら百年目なのである。『裏角欠け』…たいしたことないぞ。『蔵書印』…気にならないぞ。『背切れ』…この程度なら直せるぞ。『¥3000』…安い気がするぞ。というわけで、いそいそと買うことにする。昭和二十一年刊の全九十四ページで、『二重自殺事件/ピエール・ボアロオ』『最後に笑ふもの/オーエン・オリヴァ』『奇妙な遺産/レスリー・チャーテリス』の三編が収録されている。本扉には『傑作探偵小説選集 第一輯』とあるのだが、続編は出版されたのだろうか?
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家に帰り、大阪に「古本屋探検術」の追加三十部を送る。前回同様、表4にとち狂った古本屋関連識語署名がしてありますので、『梅田蔦屋書店』の特設古本本コーナーで、どうかお手に取ってお楽しみ下さい。
posted by tokusan at 16:54| Comment(2) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする