2018年07月05日

7/5古本屋さんのレエン・コオト

何の因果か、一昨日に来たばかりの経堂に流れ着いてしまう。だが、同じ行動をを採る訳にはいかぬ、何故なら今日は雨降り、そして愛しの「大河堂書店」(2009/03/26参照)は定休日…では『すずらん通り』の「遠藤書店」(2008/10/17参照)に向かうことにしようか。店頭にたどり着くと、店頭は均一長テーブルのない雨仕様。だが、このお店前面にふわりと掛けられた、ビニールの素晴らしいこと!入口部分はそのままの形に縫製され、ビニールを通してもちゃんと棚の本が確認出来る状態。これはまるで、古本屋さんのレエン・コオト!
endou_rain_coat.jpg
と言うわけで、外側から本を一通り眺めて涼しい店内に入ると、各通路でお客さんが本を吟味する賑わいの状況である。譲り合いながら店内を一周し、ワイズ出版映画文庫6「特技監督 中野昭慶/中野昭慶・染谷勝樹」を735円で購入する。すると『すずらん通り』のスピードクジを三枚いただく。ペロッと剥がしてみると、二枚は外れだが、一枚は五等の五十円商品券であった。期限は7/12まで…それまでに、経堂にまた来るかなぁ…。

そして帰り道をたどりつつも、これだけでは古本心が物足りないので、雨がいつの間にかあがった下北沢で途中下車し、愛して止まない「ほん吉」(2008/06/01)へ。すると中央の日本近代文学ゾーンに、一冊の文庫が挟まっているのを発見!昭和八年初版の春陽堂 日本小説文庫「地下の合唱/下村千秋」が二千円なのである。地味に欲しかった本なので、ここで会ったが十年目くらいの勢いで、ニヤニヤしながら購入する。
chikanogassyou.jpg
posted by tokusan at 20:23| Comment(4) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月04日

7/4サビイロネコから「幽靈旅館」まで。

月曜日。NHKのBSプレミアムで『ワイルドライフ』の猫特集を見ていると、インド&スリランカに生息するサビイロネコという、成猫なのに子猫にしか見えないネコに衝撃を受ける。フワフワ猫・マヌルネコに続く大ショック!世の中に、まだ知らない可愛い過ぎる猫がいるなんて!生きているうちに一度は見てみたい!触ってみたい!
火曜日。午後三時過ぎに経堂に流れ着く。よろよろと南口の商店街を下り、「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ。すると左奥の絶版漫画や特殊ビジュアル本が集まる棚下に、昭和三十年代の雑誌が積み重なっているのを発見。「週刊スリラー」など、多くは実話系エログロ雑誌だが、その中にパトリア書店「土門拳写真集 筑豊のこどもたち」が二千円で混ざっているのを発見。名写真集と誉れ高いのに読んだことがない上、お手頃価格なので購入を決める。尚購入時に、千円以上お買い上げの特典として、いつもの『気まぐれプレゼント 謎の文庫本』を、もはや選ばせてくれることもなく、勝手に袋に入れられてしまう。後で確認すると「ビブリア古書堂の事件手帖2」であった…。「筑豊のこどもたち」はソフトカバー中綴じの簡素で安価なモノクロ写真集である。土門によると、ザラ紙で写真集を作ったのは、定価を100円に抑えたかったから。言わば写真集の『どん底版』。写真集にもいろんな形式があっていいはずだ。とのことである。レイアウトは亀倉雄策。被写体として登場する少女・るみえちゃん姉妹が気に入ったのか、土門は後年写真集の続編として「るみえちゃんはお父さんが死んだ」をほぼ同じ体裁で出版している。
chikuhou.jpg
水曜日。お昼前に「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内「フォニャルフ」に補充した後、小野氏と色々打ち合わせる。そして先月分の「フォニャルフ」の売り上げを、入口から見て帳場の左側で受け取ると、運の悪いことに目の前に押川春浪棚があった……う、う、う、う…前から気になっていた本郷書院の「冒險怪譚 幽靈旅館」が「今日こそは買え〜買え〜買え〜〜〜」と訴えかけて来ている気がする。訴えを無視すると呪われそうな気がするので、観念して買うことにする。ちょっと傷んでいるので、五千円。小野氏に丁寧にパラフィンを掛けてもらう。
yurei_ryokan.jpg
明治四十三年十一版。“はしがき”は『三月二十日幽靈の出そうな時刻』に記されている。中編の『幽靈旅館』以外に、『甲板快話 磊落士官』『冒險奇譚 巌窟の海賊』『冒險奇譚 競馬少年』『美少女冒險談』『流星奇談 黄金の腕輪』『冒險小説 雪子嬢』『獅子物語』『孤島の王女』が収録されている。全九作…ほとんど春浪短篇集…。
yurei_ryokan2.jpg
これは大変趣のある「幽靈旅館」口絵。ロシアに留学している日本人画家が、スケッチ旅行で辺境の地を旅していると、道に迷ったので森の中で見かけた女性に道を聞こうとするが、女性はシカトし続け、先へ先へと歩いて行ってしまう。ムッとした画家は、健脚を奮いその後を意地になって追跡する。ところが女の足は恐ろしく早く、どんなに急いでも追いつけないのだ。結局十キロ以上も山野で追っかけっこをして日が暮れて、ついには見失ったあげくたどり着いたのが『永夢旅館』というボロ旅館。そこに泊まることになり、黒パンと冷肉で晩餐を済ませ、昼間の疲れからいつの間にか就寝。ところが真夜中の二時、閉めたはずの窓が開いており、寝台の脇にこつ然と現れた幽霊から、部屋の退去を求められてしまう。…明治時代の娯楽小説らしい、真っ直ぐで一本道なストーリー展開…。口絵はその場面なのである。幽霊が何だか、観音様みたいだ。
posted by tokusan at 15:36| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月02日

7/2七月のお知らせひとつ。

あまりの暑さに午前六時前に目が覚めてしまい、二度寝を諦めて覚悟を決めて、ちまちまと原稿書きに専念。午前十時半に家を出て、銀行や郵便局やコンビニで所用をこなしながら荻窪方面に接近。午前十一時半の「ささま書店」(2008/08/23参照)観測を開始する。店頭もすでに灼熱であるが、熱心なライバルの姿がたちまち現れ、ものともせずに古本を抱え込んでいる…。ここでは、ともに緑のポケミス「野獣死すべし/ニコラス・ブレイク」「恐怖の背景/E・アンブラー」と、角川文庫「一米七〇糎のブルース/横尾忠則」をつかんでから、ちょっと涼しい店内へ。文庫棚をポケ〜ッと見ていると、見慣れぬ岸田衿子のハードカバー文庫サイズの詩集を発見する。こんなの出てたんだ。岸田衿子の詩集はどれも高値で、読みたくともなかなか手に入らない。この本は一九九五年に初版が出され、二〇一五年の時点で十三刷を数えている。タイトルが癒し系な感じで俗物的だが、とにかくこんな詩集を出してくれていたことと出会えたことに感謝しながら掌中に収める。童話屋「いそがなくてもいいんだよ/岸田衿子」を前述の三冊とともに計824円で購入する。この後は家に真っ直ぐ戻り、原稿書きの続きに従事する。

※お知らせ
来る7/20(金)より、「古本乙女の日々是口実」(皓星社)を出したカラサキ・アユミさんの、すべてを惜しみなく曝け出すような展示『古本乙女の日々是コレクション展』が、東京古書会館二階の情報コーナーで開催されます。イベント開催を記念して行われるトークイベントのお相手1に指名されましたので、その光栄に浴しながら、お相手を務めさせていただければと思います!女性の古本コレクターで筋金がビキビキに入った方と言えば、私は生涯に二人しか会ったことがありませんでした。一人は書肆ユリイカの収集で有名な豆本作家・田中栞さん、もう一人は喜国雅彦氏の本棚探偵シリーズに頻繁に登場するミステリー本コレクター・石井女王様です。もう一言二言言葉を交わすだけで、古本にとち狂っている素晴らしき仲間であることが理解出来るのですが、カラサキさんとも少々言葉を交わしただけで、間違いなく三人目となる『筋金がビキビキに入った女性古本コレクター』であることを確信しました。買った古本や一点物の紙物古物類、古本屋さんとその店主、古本屋に至る旅情、強制的に大量の古本と暮すことになっている相方さんなどなど、古本に関わるすべての思いや喜びや苦しみが、常にカラサキさんの頭の中にぐるんぐるんと渦巻いているようです。…話したくて、話したくてしょうがないに決まっています。みなさま、ぜひとも古本乙女の古本に対する思いの丈を、たっぷりと受け止めて上げて下さい!心よりお待ちしております!なお展示最終日8/4(土)には、カラサワさん×書物蔵さんとのトーク『古本乙女解体新書』も開催されますので、合わせてお楽しみいただければ幸いです!

■「そうだ、古本屋へ行こう!2018古本乙女の古本行脚レポート」
カラサキ・アユミ×小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
2018年上半期の古本乙女による古本行脚レポートを中心としたトークイベントです。カラサキさんが撮ってきた写真のスライドをお見せしながら、戦利品(同展示会でお披露目予定)自慢から、古本行脚アルアル、展示しきれない珍道中の裏話まで、古本屋探訪の楽しみを、お2人に熱く語り合っていただきます。
■日時:7/21(土)開場13:30 開演14:00〜16:00
■場所:東京古書会館七階
■参加費:1000円(当日現金支払い)
■定員:80名(先着順)
※お申し込みは東京古書組合のHPよりの予定ですが、受付は7/10からとなっていますので、いましばらくお待ち下さい。
otome_event.jpg
posted by tokusan at 14:32| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月01日

7/1東京の大山参り!

いよいよ2018年後半戦の七月の始まり。池袋に出たついでに、久々の東武東上線大山参りに向かうことにする。まずは商店街の「銀装堂書店」(2014/07/09参照)…あれ?行き過ぎたか?商店街がもう終わっちゃう?あれおかしいな?古本の気配をまったく感知出来ず、お店自体も見当たらない?…いったいこれは…商店街を右往左往すること数度。だが、元々店舗だった場所は、テナント募集になってしまっているようだ。う〜む、移転してしまったのだろうか?それとも己の濁った眼に、見つけられないだけだろうか?要追跡調査の案件が、ここにひとつ誕生してしまった。

「銀装堂」の行方を思い、多少ブルーになりながら線路下を地下道で潜り、続いて良店の「古本ぶっくめいと」(2009/08/05参照)へ。美味しそうな黄色いカステラ型“古本”看板は健在。
bookmate_kanban.jpg
だが店頭棚を見ていると、足下の鉄板が異様な輻射熱を放射しているのに気付いてしまう。や、焼ける!このままではこんがりキツネ色にになってしまう!と慌てて店内に飛び込むと、すでに数人のお客さんが極狭通路に潜伏し、なかなかの繁盛っぷりを見せている。鉄板に炙られていたことを即座に忘れ、こちらも早速良い棚並びに乗せられ、軽快に背文字を読み取り続けていく。すると、奥の帳場向かいの棚脇棚で、付録文庫ゾーンを発見したので、細かくチェックを開始する。むっ?一回り小さい薄手の文庫が混ざっていたので取り出してみる…おぉっ!これが瀟酒の極み、山本文庫であった。チョコレート色の市松模様が表紙の「戀する人/リルケ作 茅野蕭々譯」(昭和十一年三刷)が1500円。ここで会ったが百年目と、正進社名作文庫「黄金虫 外国短篇文学集」とともに計1650円で購入する。精算中、帳場下の棚に集まる古書文庫が非常に気になり、背文字が読み取れないので何冊か手にしてみるが、良いものが紛れていそうな予感…また来よう!「戀する人」は全59ページなので、帰りの車中であっという間に読了し、ふぅ、と古典文学に触れた高尚なため息を一つつく。
posted by tokusan at 17:07| Comment(4) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする