2018年11月29日

11/29『デコる』は現代の言葉ではなかった。

下高井戸に午後三時前に漂着する…この時間!これななら三宿の金曜日は午後三時開店の、「江口書店」(2010/03/29参照)にタイミング良く行けるではないか!すかさず東急世田谷線に乗り込んで、住宅街の中に敷設されたレールをツルツル三軒茶屋までたどる。殺風景な『玉川通り』えお渋谷方面にトボトボ進み、『三宿交差点』で「江口書店」を遠望する…おぉ、やっている。横断歩道を二度渡り、ようやくお店の前。小さな木製店頭台から、腰を屈めるようにして武士道文庫「佐分利左内/凝香園」と集英社文庫「阿佐田哲也の怪しい交友録/阿佐田哲也」を掴んで店内へ進む。ホッ…やはりひどく落ちつく。そして茶色い古本たちから、沈殿した時間の澱がピリピリ伝わって来る…さぁ、何かを見つけるぞ!じっくりあまり動かぬ棚を見た後は、動きのある山となった横積み本を丁寧に動かし、気になる本や気になる場所を確認して行く。ユニバース出版社「UFOと宇宙 16.17」角川小説新書「外燈/永井龍男」ポプラ社「子どもの伝記物語 ゲーリッグ/千葉寿夫」(カバーナシ)などを探し出し、続いて帳場向かいのセロハン袋に入った本たちを、パリパリパリパリ音を立てながら確かめて行く。おぉっ!面白いのがあった!中央公論社 昭和七年「婦人公論」新年號附録「婦人必修モダン語辞典」!珍しいものが転がってるじゃぁないか!蛇腹式の全148頁およそ千五百の新造語を収録している。よし、これで今日の俺の仕事は終わった!と計900円で購入する。
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車中読み進めて行くと、やはりスコブル楽しい本であった。新しいテクノロジーや映画関連・野球関連・ボクシング関連・藝術関連・ファッション関連・風俗関連・アメリカ関連・ドイツ&フランス関連、それに社会主義関連の言葉が多く、昭和初期の時代の息吹が、活字からドッと吹き付けて来るようである。『「アパッシュ」パリの不良團です』『「ウィンク」片眼をつぶって誘ひかける舶来の色目です』『「クリヤランス・セール」藏拂ひです』『「スリル、スリリング」主に映画で思はずぞっとするようなやまを言ひます。探偵小説の形容にも使はれます』『「ソドミー」男色です』『「だあー」まけた、まいった、やられた。おどろいたね…の意味ですかしら』『「タイツ」肉襦袢といふなやましいものです』『「デテクティヴ・ストーリー」探偵小説です』『「ドア・エンジン」自動扉開閉機です』『「の手」山の手です。但し都會地の』『「ボオイッシュ・バッブ」男の子のやうな髪の格好をした女子の断髪です』『「マイクロフォン」微温擴大電送機』『「モデルノロジー」考現学と譯されます。現在の文明社會のすべての行為、事物の流行、變遷状態を研究するものです。早大の今和次郎教授吉田謙吉氏等が開拓者です』などなどなどなど、どこを読んでもモダンでシビレまくりなのだが、驚いたのが『デコる』という一語。えっ!?と一瞬目を疑ったが、昭和七年には現代と同じような意味で誕生していた言葉なのであった。『「デコる」デコレーションから来て、娘さんなどがゴテゴテ飾りたてることです』…はぁ驚いた。
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2018年11月28日

11/28気になって良かった!

連載原稿にどうにか決着を着けてから外出し、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で「フォニャルフ」棚にババンと補充する。その後は暖かさに誘われ、西荻の街を気ままにブラブラする。そうだ、以前「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)さんにタレ込まれた、不確定なお店の様子を見に行ってみるかと、『神明通り』に足を踏み入れる。すると気になってしまったのが、通りから少し奥まった所にある「信愛書店en=gawa」(2012/12/04参照)の店頭古書ワゴンである。ツツツと近付き覗き込む。すると特に注意を惹き付けたのは、並んでいる本たちではなく、ワゴン後方でナナメに立て掛けられ重ねられた、冊子群であった。写真関連が目立つ中、六十年代の二冊、日本ジャーナリスト会議「主権者の怒り 安保斗争の記録」日本写真家協会「写真100年 日本人による写真表現の歴史展」を選び、計400円で購入する。お店のご婦人が「この二冊、実際に中の写真を撮っている方から引き取ったんですよ」とのこと。誰なんだろう?その名を聞いておけばよかった。粗末な造りの「主権者の怒り」はサブタイトル通り、『安保闘争』の記録写真集であるが、撮っている人たちがスゴい。濱谷浩・渡部雄吉(「張り込み日記」の人)・東松照明・長野重一・木村伊兵衛などなどが、高度な構図の粗いモノクロ写真で、緊迫感ある現場の様子を活写している。これが二百円で買えるとはっ!「写真100年」は1968年に『池袋西武百貨店』で開催された、初めて日本写真史を江戸末期から第二次大戦後まで大系的に俯瞰した展覧会のパンフレットである。見たことのない写真が多く大変に興味深い…うぅっ、シビれる!やはり古本屋さんに毎日必死に足を運ぶと、チャンスに巡り会うものだなぁ。この後結局タレコミの影は見当たらなかったのだが、その途上で手に入れた獲物の良質さに高揚し、気分良く鼻歌まじりに帰宅する。
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2018年11月27日

11/27久方ぶりの『たけうま会』!

ゆるゆると下北沢に流れ着くが、生憎と古本屋さんは火曜日定休がほとんどなので、小田急線を少しだけ駆って祖師ケ谷大蔵駅へ。駅から長距離をテクテク歩いて「祖師谷書房」(2009/03/05参照)にたどり着くと、あぁっ!ちょうどオヤジさんがカーテンを締め切って出かけるところだ!タイミングの悪さを軽く呪いながら、仕方なく踵を返して駅へと戻る。再び小田急線を二駅だけ駆り、経堂駅下車。「大河堂書店」(2009/03/26参照)をじっくりと楽しむ。フフフフ、カバーナシだが小壺天書房「秘境の女/香山滋」が1080円。文春文庫「諫早菖蒲日記/野呂邦暢」とともに計1530円でいただくことにする。秘境探検家・人見十吉の、恐らく何度も呼んでいる活躍を改めて楽しみながら家へと戻る。
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無地の表紙の写真では素っ気ないので、扉の写真をどうぞご覧ください!

午後五時過ぎに再び外出し、吉祥寺へ。「バサラブックス」(2015/03/28参照)で「たけうま書房」さんと待ち合わせ(バサラは狭過ぎるので完全に待ち合わせに適さないお店である…)、今年最後の『たけうま会』を行う。本日のスペシャルゲスト古本屋さんは、「松田書店」(2016/11/27参照。ちょうど二年前の本日に開店。だが現在店舗は閉鎖し事務所店となっているとのこと)の友泉君と豆ちゃん。たけうまさんと友泉君の、“草食系古本屋さん”の、悩みと良さと引っ込み思案具合とマイペースっぷりと苦しさを分かち合う対話を慈愛の目で眺めながら、楽しくお酒に酔い痴れる。ちなみに友泉君に『お店の倉庫をツアーさせて下さい』とお願いしたら、即答で却下されてしまう。くそぅ、だが諦めんぞ、いつの日か必ず、倉庫に潜入して古本を買ってみせるぞ!と小さく気づかれぬように怪気炎を上げながら、古本宴がお開きになった後に、帰り道の午後十時閉店間際の「千章堂書店」(2009/12/29参照)で新潮文庫「発掘狂騒史/上原善広」を200円で購入し、よろめく足に喝を入れ、どうにか家に帰り着く。
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2018年11月26日

11/26枯葉色の詩集

昨日夜、NHKEテレの『日曜美術館』再放送『松本竣介のアトリエが物語る戦争中の闘い』を見ていたら、桐生の『大川美術館』で竣介の子息・莞の指導により、竣介のアトリエを再現する様子が登場した。画具画材絵画家具などとともに、しっかり保管された蔵書が、本棚に端正に美しく収まっていたので、思わず身を乗り出し、画面を食い入るように見てしまう。量はそれほどではないが、新刊がいつのまにか古書に変じてしまった長い長い年月を、液晶の画面からうっすらと感じ取る。多くは美術書・作品集・美術雑誌のようだが……おぉっ!文圃堂の「宮澤賢治全集」が函入りで三巻とも揃っているじゃないか!なんというレアな光景!ううぅうぅぅ、もっと詳しく見てみたい!と、大いに気になってきたので、これは是が非でも足を運ばねばならないようだ。だが第一期の展示は12/2までとなっており、とても時間が作れそうにない。こうなったらちょっと先だが、年明けの第二次展示に賭けるとするか…。

本日は月曜定例の「ささま書店」(2018/08/20参照)定点観測に向かう。ケヤキ並木から優しく舞い散る落葉を、暖かな日射しの中で楽しみながら、ノソノソ歩いて荻窪へ。集英社文庫「壺中庵異聞/富岡多恵子」徳間書店「東急ハンズに凝る」をつかみ、最後に第一書房「詩集 貧時交/菊岡久利」を見つけ出す。函ナシだが、紛う事なき昭和十一年の第一書房オリジナル本である(菊岡は横光利一門下の作家である。この時代はアナキスト運動にも傾倒していた)。巻末の掠れたインクで刷られた広告が、決して戻れぬ昭和初期に、思いだけを引き戻してくれる…「象牙海岸/竹中郁」「帆・ランプ・鴎/丸山薫」、そして萩原朔太郎の「氷島」「青猫」…。計324円で購入する。
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柔い枯れ葉色の詩集である。状態はすこぶる良好で、ページの間には古本屋さんの抽選札が挟まっていた。
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2018年11月25日

11/25「一握の砂」・「悲しき玩具」合冊!

夕方前に田無の南に流れ着いたので、駅にツラツラ向かいながら、保谷の「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)にでも行こうかと考える。駅の北口に出れば、恐らくバスが出ているだろうと当たりを付け、ロータリーをウロウロする。すると6番のバス停から、一時間に二本保谷方面に出ていることが判明する。十分ほど日向のベンチで惚けて待ち、見知らぬバスで見知らぬ街を走り抜けながら、午後二時五十分に保谷駅南口に到着する。狭い歩道で激しい車の行き来にヒヤヒヤしながら「アカシヤ書店」前。本日も古書が多めに混ざる百均棚は健在である。古本眼を存分に光らせ、上から下まで焼き尽くすように見て行く。まずは桃源社ポピュラー・ブックス「紋蝶四郎欲望帖 六本木ろまん/松浦健郎」(エロクション長編!)を手にして、下まで行き着いてしまうが、念のため上へと視線を戻して行く。すると古めかしい石川啄木の歌集がようやく目に留まる。引き出してみると、カバーは無いが大正三年四版の東雲堂書店「啄木歌集 一握の砂 悲しき玩具 合冊」ではないか!縮刷版じゃないぞ!足を延ばして見に来た甲斐がありまくりだ!これはスゴい、嬉しいぞ!と、早々と我が物にするために店内に飛び込み、計216円で購入する。
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思わぬ獲物に興奮し、中村橋までの短い車中でも存分に「啄木歌集」を愛でる。巻末の土岐哀果による、病床の啄木との最後の時間が涙を誘う…。中村橋では「古書クマゴロウ」(2018/03/21)に立ち寄ると、安売ワゴンが新たに登場している上、店内は地元民で大変賑わっている。ふぅむ、こりゃ素晴らしい。街の古本屋さんとして、すっかり機能しているじゃないか!と大いに感心する。徳間文庫「柳原良平 船の本3 船図鑑」実業之日本社「心配御無用/えのきどいちろう」偕成社 少年少女世界のノンフィクション20「国際スパイ物語/福島正美編著」(箱ナシ)を計800円で購入する。うむ、わざわざ遠回りして帰路に着いて、大正解であったな。
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2018年11月24日

11/24黒蜥蜴?

忙しくて古本的行動は出来なかったので、最近のヤフオク落札品を紹介してお茶を濁すことにする。モノは江戸川乱歩・原作/三島由紀夫・作の「黒蜥蜴」昭和三十七年初演パンフレットである。残念ながら表紙周りが無く、ボール紙で代替されているため。激安の千円であった。『黒蜥蜴』と言えば、私にとっては大映の乱歩・原作/新藤兼人・脚本/井上梅次・監督/高尚で低俗な主題歌作詞・三島由紀夫の、狂ったミュージカル映画がベストオブベストなのだが、常々この映画公開と同時期に上演された舞台の方も大いに気になっていたのだ。全46ページの正方形薄型パンフを開くと、水谷八重子の黒蜥蜴(意表を突かれまくる何と大年増な女賊!でも美しい!)と芥川比呂志の明智が睨み合う、燃えるモノクロ写真から始まり、久保田万太郎・木々高太郎・松本清張・三島由紀夫・江戸川乱歩・川口松太郎・福田恆存・長沼弘毅・浅利慶太などの文章が連続する。ほほぉ、予想以上に素晴らしいじゃあないか。おっ、桃源社の『江戸川乱歩全集』の広告も掲載されており、そこには『劇化・映画化の原作 最新刊「黒蜥蜴」』と書かれている。これぞ昭和三十七年のメディアミックス!などと興奮しながらページを繰っていると、古めかしい広告ペ―ジの中のある一社が、グンと目玉を惹き付ける。高級本革草履の広告なのだが、何故かコモドオオトカゲの剥製の写真がドンと配置され、そこに『黒蜥蜴』とキャプションされているのだ。商品の写真にも『クロトカゲ・ハンドバッグ・草履セット』とキャプションされている…物凄く微妙な便乗商売だ…いや、むしろこれは、単なる茶目っ気なのかもしれない…。まぁそんなことはさておき、これで後は、昭和三十二年上演の東宝ミュージカル『パノラマ島奇譚』のパンフが手に入れば、万々歳なのだが…いったいいつの日になることやら。
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何度見直しても『黒蜥蜴』じゃない!

そして発売から一か月が経とうとしている「青春18きっぷ古本屋への旅」ですが、この期に及んで取扱店がじわっと増えました!まだ未見の方々、未購入の方々、どうかお店で現物を手にして、可愛がってやって下さい!明日の『文学フリマ』の盛林堂ブースにもひっそり並んでいますので、話題の大阪圭吉新刊「花嫁と仮髪」と共に、引き続きよろしくお願いいたします!
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■「青春18きっぷ古本屋への旅」岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン著
■B6版オールカラー全128ページ
■1500円(税込)
■盛林堂書房発行

一ヶ月強の期間内に、五回だけJR全線乗り放題(特急・新幹線・急行列車・JRバスを除く)となるお得な切符「青春18きっぷ」を駆使し、古本屋を目指す旅に出る。酷暑の夏を乗り越えて生まれたのは、六十一才と五十一才の青春の尻尾をぶら下げた二人のポンコツ男が、優雅さとはかけ離れた、気ままで緩い旅路をたどる、奇妙でマニアックな古本屋紀行文集。一人旅あるいは二人旅で、古本を求め、車内読書を求め、古い建物を求め、トンカツを求め、立食いそばを求め、ボックスシートを求め、旅情を求め…。
●常磐線の旅(岡崎・古ツア編)、総武線の旅(岡崎編)、常磐線の旅2(古ツア編)、神奈川の旅(岡崎編)、真岡鐡道の旅(古ツア編)、中央本線の旅(岡崎編)、東海道線の旅(古ツア編)に加え、『高崎線の旅+61才と51才の青春18対談』を収録。

■通販→書肆盛林堂 http://seirindousyobou.cart.fc2.com/
■店頭販売→西荻窪「盛林堂書房」「古書音羽館」、八王子「古書むしくい堂」、椎名町「古書ますく堂」、京都「古書善行堂」、阿佐ヶ谷「古書コンコ堂」、明大前「七月堂書店古書部」、三鷹「水中書店」、大阪「梅田蔦谷書店」、神保町「喇嘛舎」、11/25文フリ盛林堂ブース

※またこの本を、たくさんの場所でたくさんの方にお届けしたいと思っていますので、お取り扱いいただける古本屋さん&新刊書店さんを引き続き大募集しております。一点からでも構いません。お店に並べていただければ大変に幸いです!どうか、どうか、どうか、どうか、盛林堂までご連絡下さい。
◆問い合わせ先:盛林堂書房
メール:seirindou_syobou-1949@yahoo.co.jp
電話:03-3333-6582
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2018年11月23日

11/23タダで古本を手に入れる。

『早稲田大学坪内博士記念演劇博物館』で、ダブりの映画演劇関連書やパンフレットや台本やポスターなどを、無料で一人十点まで持ち帰られる青空市が開かれるというので、ワクワクしながら向かうことにする。阿佐ヶ谷駅に向かう道すがら、閉店した子供服店の店頭に、無料古本箱が置かれているのが目に留まる。浅ましく漁り、竢o版社「クリちゃんのアフリカ動物旅行/根本進」をいただくことにする…タダで古本を貰いに行く途中で、早速タダで古本を手に入れてしまった…。東西線・早稲田駅に到着すると、祝日なのにたくさんの学生が降車し、学校へと行進して行く。みな、燃え上がる学習意欲を、抑えられないのか…そんなことを勝手に思いながら、正門から『早稲田大学』内に突入し、大隈重信像手前の道を北に曲がり込むと、行く手に両翼を備えた近代建築の美しい博物館が見えている。そしてその正面広場には、すでに人垣が出来ているではないか!
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慌てて近付き状況を確認すると、長テーブルが並列して据えられ、その上に洋書・中文書・和書・映画・演劇と分けられ、二十個ほどのダンボールが置かれている。その量は思ったほどではない。そこを二十人ほどの列が三重四重に取り巻いている…こりゃぁ、人に対してブツが完全に足りないんじゃないか?現在午前十時五十分。スタッフが青空市についての説明を始める。「多くの人にお集りいただきましたので、五分前の午前十時五十五分にスタートします。最初は前二列の方々から。そして五分ごとに二列ずつ新たに参加していただくようになります」…なにかアバウトな感じがするが、大丈夫だろうか?そんなことを考えている間にも人は集まり続け、列の数は増して行く。程なくして開始時間となり、前二列の人たちが、ダンボール箱に襲いかかる。一部では喧嘩に発展しそうな、激しい競り合いが勃発している。そしてそれを見て血が騒いでしまったのか、順番を待つべき三列四列目の人たちの一部が、なし崩しに参戦して行く。スタッフが叫ぶ「あ、お待ち下さい。最初の二列だけです。まだあと五分…お待ちください…お待ち…おま……」叫びも虚しく、一度ダンボール前に吸収された人は、もはや戻ろうとしない。そしてちゃんと待っている人もいるのだが、気付かないフリをして列を抜かし、箱に取り憑く者も出始める始末…あぁ、嘆かわしい。きっと坪内逍遥博士も草葉の陰で嘆いているに違いない…。礼儀正しく十分後に参戦するが、一列のテーブルで、しかも箱の中に入っているものを、そうそう見られるものではない。とにかく人の隙間から腕を伸ばして本を引っ掴み、人塊から離れて掴んだ本を確認する作業を繰り返す…まるで地獄だ…。結果、丹生都比売神社「丹生都比売神社史」1916年のニューヨーク演劇雑誌「THE THEATRE」合本(写真満載で素晴らしいのだが、演劇とは別にカラーの広告ページやファッションページがとにかく素晴らしい!だが、尋常じゃなく重い…)日本アート・シアター・ギルド「アートシアター18・62(こちらは岡本喜八特集)」をいただくことにする。寄付金400円を募金箱に投入し、恐ろしい戦場を離脱する…ふぅ、疲れた。

重い本を携え高田馬場駅に向かいながら「平野書店」(2010/01/12参照)店頭に足を留めると、ひょいひょいたちまち三冊掴んでしまう。文雅堂書店「少年少女小説 源吾旅日記/赤川武助」大陸書房「図説・海の怪獣/ジェイムズ・B・スィーニ」至誠堂「旅から旅/加藤咄堂」を計300円で購入する。良い買物でした。さらに歩を進め、坂を下って「ブックオフ高田馬場北店」(2018/10/19参照)へ。ほほぅ、今日から三日間、本は20%オフなのか。これは何か買って行かなければ…当然奥の古書売場に赴き、まずは東京創元社 世界恐怖小説全集5「怪物/A・ビアース」を手にする。続いて何気なく講談社「女の踏絵/梶山季之」を手にすると、嬉しいことに献呈署名入りだったので、これもいただくことにする。合計で1336円。さらに古本で荷物を重たくし、西武新宿線で家路に着く。
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2018年11月21日

11/21「文祥堂」でイリオモテヤマネコについて知る。

西武新宿線〜西武池袋線と乗り継いで、小春日和の静かで穏やかな街・飯能に降り立つ。都心より少し下がった気温に頬を晒しながら、今月一杯で店売りを辞めてしまう「古書の店 文祥堂」(2009/12/28参照)を目指し、閑散とした街路を歩いて行く。ほどなくしてお店にたどり着くと、道路際に立看板が追いやられるように置かれ、店頭にはバンが横付けされてしまっている。その後を回り込むようにしてお店に近付くと、うぉっ!店頭にはいつにも増して百均プラ箱が増殖している。恐らくネット書店に移行するにあたって、もはや必要の無い本たちをドシドシ積み上げているのだろう。入口付近で『暴れん坊将軍』について店主に力説しているご婦人の声を受け流しながら、二重三重に積み上がる本の山と少し闘う。二冊を手にして、『暴れん坊将軍』の話を終えたご婦人と入れ替わる形で店内に進むと、すでに撤収作業がだいぶ進んでいる模様。横積み本の山が多数築かれ、歩くのが困難だったり据え付けの棚が見えなかったりした頃を思うと、寂しいくらいに作業が進んでしまっている。棚はかなり空けられ、一部の文庫以外は選別を終えた横積み本が置かれているくらいである。おかげで以前は見られなかったところに目が届くようになったが、ちょっと来るのが遅過ぎたか…。店主は長年のホコリに嚔を連発しながら、手にした本たちを帳場前に積み上げたり、開け放しのバンの中に放り込んだり、店頭に出したりしている。…それにしてもよくもまぁ、お一人でここまで片付けられたものだ…。そんな店内を行き来して、顔を横にして本のタイトルを読み取ったり、積まれた本を動かして見えない本を確認したりして、二冊を手にする。店主に近付き、精算をお願いする。ダイヤモンド社「ブラウン管の映画館/和田誠」シンコーミュージック「ロンドン セルフ・ポートレート/中村直也」自由国民社「イリオモテヤマネコ/戸川幸夫」教養文庫「バットマンの冒険1」の四冊で五百円にしてくれた。店主は「イリオモテヤマネコ」を手にして、「いやぁ、この本ず〜っと倉庫に置きっ放しだったんだよ。二十年くらい。それが倉庫の片付けしてたら目についたんで、持って来たんだ。ちゃんと値段付けて並べようと思ったんだけど、でも結局面倒だから表に出しちゃった」と教えてくれた。おかげでこの本が印象深く記憶に刻まれたので、帰りの車中で気になって読み始めてしまう…ええっ!イリオモテヤマネコって、戸川幸夫が発見したのか!スゴい偉業…ま、まったく、し、知らなかった…!と重い古本でで殴られたような衝撃を受け、ぐいぐい読み進めてしまう。あぁ、最後のお店での買物で、良い本に出会わせてくれて、本当にありがとう「文祥堂」!
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2018年11月20日

11/20タヌキ・ブックス「西郷札」と初対面!

今日は冬を予感させる曇天の下、吉祥寺の北に流れ着いたので、帰宅するため駅の方に向かいながら、古本屋に立ち寄って行く。最初に訪れたのは「バサラブックス」(2015/03/28参照)。平日日中に開いてくれていてありがとうございます!と感謝しながら、福音館書店「ゆかいな かえる/ジュリエット・キープス いしいももこ やく」桃源社「地獄横丁/渡辺啓助」至文堂[国文学解釈と鑑賞]別冊「江戸川乱歩と大衆の二十世紀」を計千円で購入する。そしてさらに古本屋を巡りながら結局何も買えずに「よみた屋」(2014/08/29参照)に行き着いてしまう。店頭百均単行本棚に、俺の気に入る出物はナシ…続いて入口前の新書百均棚前に移動すると、古い岩波新書に混じって、同じく新書サイズの見慣れぬ本を発見する。ほぉっ!経年劣化しているが、高山書院タヌキ・ブックスの「西郷札/松本清張」じゃないか!存在は朧げに知っていたが、現物を見るのは初めてである。しかもこんな店頭でファーストインプレッションを得るとはっ!と幸せを充分に感じながら、さらに新書棚から、もはや今となっては虐待&パワハラの極みとも言えそうな昭和四十年代のベストセラー、光文社カッパ・ホームズ「スパルタ教育/石原慎太郎」を抜き出し、さらに店内入口横文庫棚から祥伝社ノン・ポシェット「殺意の軽井沢・冬/皆川博子」光文社文庫「麺'sミステリー倶楽部」を見出し、計300円で購入する。
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「西郷札」は昭和三十年刊。表題作『西郷札』の他に『啾啾吟』『恋情』『梟示抄』『贋札つくり』を収録。このシンプルな古さが、カッパ・ノベルスより断然良いぞ!
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2018年11月19日

11/19昨日の「みちくさ市」と移転店偵察。

昨日は結局雨も降らずに、安心して古本を売り続けられる幸せな五時間を、雑司が谷で過ごす。隣りには高田純次化をグングン加速させる力強い助っ人・岡崎武志氏。おかげで古本三十八冊とともに、持参した「青春18きっぷ古本屋への旅」十五冊を、ダブルサインを入れまくって無事に売り切る。新刊を楽しみして来た方・探偵小説を安く買いに来た方・並べた本の筋がいつも掴めないと笑顔でぼやく方・古本屋情報をせがむ方・『本棚が見たい!』の感想を教えてくれた方・「星の歳時記」三種目を手に入れた方・ありがたい差し入れをくれた方々…たくさんの方と古本を媒介に交錯できた一日となった。「みちくさ市」は今年はこれで最後…だが恐らく、十二月により高田純次化が進んでいるはずの岡崎氏と、年末恒例の古本市を開催する予定なので、引き続き古本に溺れるのを楽しみにしていただければ幸いである。本を買って下さったみなさま、声をかけて下さったみなさま、参加者のみなさま、わめぞのみなさま、ありがとうございました!
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販売風景。歯科医の前だったので『サトちゃん』人形などがディスプレイされており、異様な光景となっている。
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「青春18」販売箱には、少しずつ岡崎氏が手を加え、情報量が多くなるとともに訴求効果もアップ!右は完売記念にわざわざ書き込み撮影。

そして本日、日常に戻り「ささま書店」(2018/08/20参照)パトロールへ向かう。浅原六朗句集刊行会「定本浅原六朗句集」を300円で購入した後、今月中に高円寺の高架下から移転するという「藍書店」(2014/01/14参照)の新店を偵察に行く。情報を手に入れてから、まだ高架下店の様子すら見ていないのでどうなっているかまったく分からないのだが、とにかく近くまで来たんだからと当該住所に足を運ぶ。すると横丁に入った雑居ビルの一階に、すでに本棚に本を少し並べた新店の姿があった。まだまだ移転途中の雰囲気だが、本当にあの薄暗く猥雑な高架下から撤退してしまうのか…「都丸書店支店」(2010/09/21参照)から引き継いだ、あの壮大な外壁棚が喪失することを考えると、どうにも寂しい気分に襲われてしまう。大きく変わる高円寺のひとつの景色に、万感の思いを抱きながらも、移転新店の開店を、大いに楽しみにしておこう。
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2018年11月17日

11/17低レベルなPOPに涙する。

朝起きてからすぐに古本モードを発動させ、部屋のあちこちにこまめに準備していた、明日の「みちくさ市」用の古本を集め寄せる。一度背を上にして並べてみて、最終的な取捨選択を行った後、クリーニング&値付を行う。というわけで午前のうちに準備完了!ふぅ、めんどうなことを早く終えるというのは、まったく気持ちが良いもんだ。
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興が乗って来たので、「青春18きっぷ古本屋への旅」販売用ダンボール箱もちまちま作成する…手書きPOPの低レベルさに涙が溢れそうになるが、これもまた一興。ご購入の方には、「岡崎武志素描集 風の穏やかな日を選んで種をまく」を持参して同席する岡崎武志氏とダブルサイン入れまくり予定!明日の天気もどうにか持ちそうだし、後はみなさまとのご対面を待ち望むだけである。それでは日曜日秋の空の下、雑司が谷でお会いいたしましょう。
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■「第44回 鬼子母神通り みちくさ市」
■11月18日(日)11:00〜16:00 雨天中止(当 日午前八時に天候による開催の
有無を決定)
■東京都豊島区雑司が谷二丁目・鬼子母神通り周辺
https://kmstreet.exblog.jp/
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2018年11月16日

11/16坂の上の古本屋さんと家の古本の惨状と夜の古本会合。

中央線・武蔵野線.西武多摩川線・京王線に囲まれた天神町という街に、夕方前に流れ着いたので、バスに乗って武蔵小金井駅に出ることにする。だが駅に着く直前、『前原坂』にて途中下車。まるでスキーのジャンプ台のように雄大なこの坂の始まりにある「古本ジャンゴ」(2008/12/13参照)に立ち寄るためである。
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ジャズの流れる店内でゆっくりとすべての棚に目を通し、平凡社「光の街 影の街/海野弘」を千円で購入する。全国各地に残る1920年代の知られざるモダン建築を巡る、センチメンタルな旅に蕩けながら帰宅すると、「本の雑誌 カレー蕎麦ダブル号」が届いていた。恐る恐る巻頭カラーの『本棚が見たい!』を開いてみる……だいぶ良く写していただいた、私の部屋が四ページに渡り晒されていた…うぅ、恥ずかしい。だがちょっぴり嬉しい!積み上がる本より、床に置かれたセロハンテープ台だったり、トランシーバーだったり、微かに見切れたスーパーファミコンだったり、古いパソコンだったり、軍人将棋だったり、宇宙人のソフビだったりが妙に気になってしまう。

そして午後六時半前に外出し、地球の影に切り取られた白い半月の下をテクリテクリ歩いて高円寺に向かう。熊本の「舒文堂河島書店」(2008/12/22/参照)さんの若旦那が七月に続き上京され(2018/07/06参照)、祝いの酒宴が「コクテイル書房」(2016/04/10参照)で開かれるためである。遠回りの道すがらで「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に寄り道し、姉妹社「サザエさん うちあけ話/長谷川町子」南柯書局「マルセル・シュオブ小説全集第四巻 小児十字軍」を計2600円で購入すると、店主の粟生田さんに「なんでサザエさんなんて買うんですかぁ〜?どこでも売ってるじゃないですかぁ〜」と言われつつ、さらにシュオブについては「買ってくれてありがとうございますぅ〜。長らく棚にあったんで、誰もいらないのかと思ってましたよぉ〜」と、色々畳み掛けられる。やっぱりここは楽しく面白い古本屋さんだ。

「コクテイル」では、河島氏+書物蔵氏&博覧強記の友人+盛林堂小野氏+岡崎武志氏と古本話にただひたすら打ち興じる(まだまだまだまだ知らないこと多し!)。あぁ、古本に関わる人生を送って来て、本当に良かったと思える、濃厚マニアックなひと時であった。
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2018年11月14日

11/14良い感触の神保町パトロール。

午前のうちに家を出て、日曜「みちくさ市」のための釣り銭を作り、そのまま久々の神保町パトロールに向かう。「神田古本まつり」はあっという間に半月前のことになっているのか…。水道橋駅から神保町入りするコースで、まずは「丸沼書店」(2009/12/17参照)にて戎光祥出版「忍法相伝73/山田風太郎」ちくま文庫「百鬼園戦後日記/内田百閨v「戦中派虫けら日記/山田風太郎」を計400円で購入する。なかなか素晴らしい滑り出しだ!と足を早めて本の街の中に分け入って行く。続いて「明倫館書店」(2012/04/04参照)の脇道地べた直置き古本並びから、大日本雄辯会講談社昭和二十五年「少年クラブ」四月号付録「はりこみ式世界動物アルバム」を見つけ出し、200円で購入する。さらには「田村書店」(2010/12/21参照)で百均ダンボールを漁り、講談社「アルキメデスは手を汚さない/小峰元」新潮社「作家の秘密 14人の作家とのインタビュー」養徳社「私の先生/内田百閨vを計300円で購入する。ここからちょっと裏通りに入り、「羊頭書房」(2014/05/02参照)店内で探偵小説棚を愛でた後、秋元文庫「短篇推理小説集 あまい死のにおい/加納一朗」を千円で購入。最後に「八木書店」(2013/07/24参照)の店頭プラ箱を覗くと、久々に面白そうな古書がたくさん並んでいるではないか。日本蓄音機商會「日蓄(コロムビア)三十年史」(昭和十五年刊。函ナシ)学風書院「蛙の旅 一興行者の欧米見聞記/吉岡定美」(カバーナシ)私家限定本「異国遍路 死面列伝・旅芸人始末書/宮岡謙二」(日本人海外旅行文献蒐集家が著した、客死人・留学者・外交官・旅行者・冒険者・旅芸人の記録。昭和三十四年刊)大日本雄辯會講談社昭和六年「富士」新年號附録「芝居映画 名流花形大寫眞帖」を計500円で購入する。おぉ、今日は何だか、『さすがは本の街・神保町』という感じだったぞ。帰りに中野「古本案内処」(2015/02/06参照)にも立ち寄り、創元推理文庫「夜鳥/モーリス・ルヴェル」を200円で購入する。
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収穫の写真…あっ!「丸沼書店」の三冊を入れ忘れた…。

家に戻って色々片付けてから再び外出し西荻窪。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の帳場脇で、「青春18きっぷ古本屋への旅」に新たにサインを入れる。嬉しいことに取扱店が増えました!やったぁ!各店にお立ち寄りの際は、ぜひお手に取ってご覧ください。
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■「青春18きっぷ古本屋への旅」岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン著
■B6版オールカラー全128ページ
■1500円(税込)
■盛林堂書房発行

一ヶ月強の期間内に、五回だけJR全線乗り放題(特急・新幹線・急行列車・JRバスを除く)となるお得な切符「青春18きっぷ」を駆使し、古本屋を目指す旅に出る。酷暑の夏を乗り越えて生まれたのは、六十一才と五十一才の青春の尻尾をぶら下げた二人のポンコツ男が、優雅さとはかけ離れた、気ままで緩い旅路をたどる、奇妙でマニアックな古本屋紀行文集。一人旅あるいは二人旅で、古本を求め、車内読書を求め、古い建物を求め、トンカツを求め、立食いそばを求め、ボックスシートを求め、旅情を求め…。
●常磐線の旅(岡崎・古ツア編)、総武線の旅(岡崎編)、常磐線の旅2(古ツア編)、神奈川の旅(岡崎編)、真岡鐡道の旅(古ツア編)、中央本線の旅(岡崎編)、東海道線の旅(古ツア編)に加え、『高崎線の旅+61才と51才の青春18対談』を収録。

■通販→書肆盛林堂 http://seirindousyobou.cart.fc2.com/
■店頭販売→西荻窪「盛林堂書房」、八王子「古書むしくい堂」、椎名町「古書ますく堂」、京都「古書善行堂」、阿佐ヶ谷「古書コンコ堂」、明大前「七月堂書店古書部」、三鷹「水中書店」、大阪「梅田蔦谷書店」、11/18「みちくさ市」古ツアブース

※またこの本を、たくさんの場所でたくさんの方にお届けしたいと思っていますので、お取り扱いいただける古本屋さん&新刊書店さんを引き続き大募集しております。一点からでも構いません。お店に並べていただければ大変に幸いです!どうか、どうか、どうか、どうか、盛林堂までご連絡下さい。
◆問い合わせ先:盛林堂書房
メール:seirindou_syobou-1949@yahoo.co.jp
電話:03-3333-6582
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2018年11月13日

11/13北九州からの手紙

午後に浜田山からすぎ丸で帰って来る途中、「あきら書房」(2016/03/28参照)のことを思い出し、『青梅街道前停留所』で下車し、しばらく歩いて脇道の先にある民家兼お店にたどり着く。実はここ最近、開いているところを見ていないのである。いつ来ても、風雨に晒された物品が門前に積み上がり、お店である部屋の雨戸は閉ざされているのだ。残念ながら今日も同じ状態であった。
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お店を引き継いだ奥さまも、ご高齢だったので、ちょっと気になってしまうのである…また見に来ることにしよう。テクテク歩いて阿佐ヶ谷駅まで出て、「千章堂書店」(2009/12/29参照)に立ち寄る。中公文庫「探偵夜話/岡本綺堂」を200円で購入する。そして家に帰ると、身に覚えのない小包が届いているではないか。ビリビリと開けてみると、北九州を拠点に古本活動に猪突猛進している古本乙女のカラサキ・アユミさんから届いた、ニューヨーク旅行土産であった。おぉ、洋行!中身は、一口チョコレートの袋詰め合わせと、NYの古本屋さんで見つけたという本バッジである。…うぅ、ありがとうございます!来週末の南陀楼綾繁氏とのトークツアーのご成功を、遠い東の地で古本を手にしてお祈りしています!
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そして大阪の「梅田蔦屋書店」に新たな四十冊ほどの古本を送り出す。もうしばらくすれば、店内カフェ「4thラウンジ」の古書壁棚に収まるはずである。緩く気合いの入った新刊「青春18きっぷ古本屋への旅」もそろそろ並び始めるはずなので、西の皆さま、可愛いフレッシュな古本たちとともに、愛して止まない新刊を何とぞよろしくお願いいたします!
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2018年11月12日

11/12そして本日の古本的行動。

昨日買った楠田匡介の雑誌復刻版「都会の怪獣」を読み進めて行くと、先日大枚はたいて手に入れた同じ楠田の少女探偵小説「赤いカナリヤ」と、登場する主人公姉弟一家と警部が、同一人であることを知る。突然知り合いに出会ったようで、こういうのはなんか嬉しくなってくる。そんな小さな喜びを胸に抱き、午前十時の『早稲田大学』大隈重信像裏にある大テントに忍び込む。今日から十七日(土)まで続く「早稲田青空古本祭」(2017/11/13参照)である。
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すでに各通路では古本修羅が精力的な活動を始めており、目ざとく見つけたお目当ての古本を抱え込んでいる。こちらは主に「古書現世」(2009/04/04参照)が出している、安値の米&世界旅行関連に注目する。色々ある中悩んだ末に、函はないがカバー付きの大阪毎日新聞社「あめりか寫真紀行/北尾鐡之助」(大正時代のアメリカの写真が満載!)をチョイス、さらに北町一郎が載っているので毎日新聞社「サンデー毎日十人集」を抜き出し、「丸三文庫」(2010/05/31参照)の安売絵本箱から見つけた福音館書店「こどものとも だむのおじさんたち/加古里子」(加古の絵本デビュー作復刻版)と合わせて、計2150円で購入する。その後は東西線で荻窪まで向かい、月曜午前十一時半の「ささま書店」定点観測に余裕で駆け付ける。店頭で「土曜に見た本、もう売れちゃったかな?」と探し回る悪い奴ほどよくWる氏と久々の邂逅を果たしながら、かもめ新書「不連続殺人事件/坂口安吾」創元推理文庫「綺譚集/津原泰水」を計216円で購入する。
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1920年代のアメリカが、良い眺めでページに残されている。

18日・日曜日の「みちくさ市」ですが、当ブースにスペシャルゲストとして岡崎武志氏が登場することになりました。「岡崎武志素描集」を携え見参するそうなので、二人の共著である「青春18きっぷ古本屋への旅」とともに、お目に留めていただければ幸いです。購入していただければ、さらに幸せであります!素敵な秋の日曜日に、どうか雨なぞ降りませんように!
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11/11古本を買いながら『岡崎武志素描展』の最終日に駆けつける。

すべて昨日の穏やかな日曜日のお話である。昼食後に外出し駅に向かっていると、久々に古道具屋「J-house」(2015/12/26参照)の店頭に本が並んでいる。美術やお茶関係の大判の本ばかりだが、台の下に積み上がった本も良く見て行くと、輸送箱入りの美術出版社「独歩 魯山人芸術論集」を発見する。箱を開けると、お弁当箱のような函入りの本が出て来る物質感に満ち満ちた本である。これを「魯山人の勉強でもされるんですか?」とお店の人に問われながら108円で購入する。…嬉しいが、早速古本で重くなってしまった…そのまま西荻窪に向かい「盛林堂書房」(2012/01/06参照)着。湘南探偵倶楽部叢書 臨増版2号「都会の怪獣/楠田匡介」(雑誌掲載時そのままの復刻。ちなみに同臨増版の1号は橘外男の「獄門台の屋敷」である)を2800円で購入し、早く読みたくてたまらないのだが、ここからは盛林堂小野氏が同道し、今日が最終日の「岡崎武志素描展」を観に向かうことになる。中央線に乗って様々な古本話に花を咲かせながら、まずは八王子で途中下車。小野氏がまだ訪れたことのない+「青春18きっぷ古本屋への旅」取扱店の「古書むしくい堂」(2018/01/03参照)へ。大泉書店「大阪五人娘/藤沢桓夫」を500円で購入し、店内の様子を観察すると、お客さんが程よく滞留し、皆ちゃんと本を買って行くのに感心する。帳場では小野氏とむしくい堂さんが深い古本屋話を展開している…すっかり古本屋さんらしくなっちゃって…と偉そうに感動した後、お店を後にする。その後は電車の遅れにスムーズな行程を阻まれながらも、どうにか高尾駅着。ビル内名店街にある「高尾文雅堂」(2009/11/18参照。残念ながら二階のメガネ屋前の古本売場はお休みであった…)を覗き、丹頂書房「崩壊感覚/野間宏」を500円で購入する。そんな軽い古本屋巡りを経て、すっかり暗くなった住宅街で迷いながら、豪華な民家の一部を改装した「ギャラリー白い扉」に到着する。
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玄関を入る早速「岡崎武志堂」の小棚二本が出迎えてくれたので、芳名帳に記帳するのも飾られた絵もそっちのけで、古本に集中。平凡社ライブラリー「変身綺譚集成 谷崎潤一郎怪異小品集」を650円で購入する。気付けば会場内は既知・未知の方々で賑わいを見せている。ギャラリー主のロックンローラーの雰囲気をスマートに放つ高橋氏に、「岡崎武志素描集」編集&デザイン担当として挨拶をすると、素描集の作品ナンバーの入れ方を激賞される…ふ、不思議な褒められ方もあったものだ。なんだかくすぐったくなりながら、居合わせた方々と居間での楽しい宴会に突入する。日本酒をしこたま飲み、あっという間に酔っ払いつつ、岡崎氏・小野氏と今回の迅速な仕事を褒め合ったり、高橋氏が岡崎氏の詩に曲を付けた歌をギター&ハーモニカで披露したり、吉田拓郎の話に打ち興じる。「そう言えば岡崎さん、今「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に、ちょっと古めの写真が満載の拓郎のギターブックみたいのが売ってるんですけど…」と報告すると、即答で「買っといてくれ」ということになる。指令が下されたのなら、命を賭しても買わなければならない。すっかり日本酒で酔っ払ってしまった身体に鞭を入れ、一足早く小野氏とともにみなさんとお別れする。暗い夜道をたどり、中央線に乗って東へ…高尾は遠いなぁ。阿佐ヶ谷に着いて、まだ灯りを点している「コンコ堂」に滑り込み、音楽コーナーの平積み陳列部分を漁ると、あったあった。自由国民社「よしだ・たくろうの世界」、昭和46年発行の新譜ジャーナル別冊である。これを1030円で購入しつつ、店主・天野氏に「青春18きっぷ古本屋への旅」の取扱を厚かましくお願いする。すると置いていただけることになったので「これからも古本買います!古本売りに来ます!」と大喜びで変なお礼を言ってしまう。とにかくありがとうございます!というわけで無事に指令も完遂し、長々と同道して来た小野氏に「神田古本まつり」で気になっていた本を売れ残っていたら買うことを約束し、一段と酔いを深めて帰宅する。
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日曜日の収穫たち。
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2018年11月09日

11/9帳場前で頭を抱える。

デザイン仕事を入稿したり、大阪へまたもや送り出す古本をまとめたりして、ホッと一息。気分良く古本を買いに行くことにする。ちょうど雨が上がっているお昼過ぎ、何処に行こうかと思案しながら駅に向かい、ホームで目の前に滑り込んで来た東西線に乗り込む。よし、「古書現世」(2009/04/04参照)の棚にアタックすることにしよう!と一直線に早稲田に向かい地上に出ると、雨が降り始めてしまった。小さなビニール傘を開いて『早稲田通り』を足早に進む。途中「飯島書店」(2010/04/14参照)で金の星社「怪獣の出る村/角田光男」(ヒバゴン騒動の童話)を200円で購入し、次第に強くなる雨に急かされるように「古書現世」にたどり着く。店内は来週月曜から始まる「青空古本祭」(2017/11/13参照)の準備のために、出番を待つ本たちが片側に寄せられて積み上がっている。ここでは棚の本を見ていても、奥に座る店主・向井氏に気付かれることはまずない。帳場に近付き本を差し出した時点で「あっ、古ツアさん」と言われるのが大概である。今回も、右側の古書多めの壁棚を眺めつつ奥に進んで行っても、気付かれていない。それにしても、古書が多くなってとても良い景色だ。特に戦前のアメリカの旅行&冒険ものがズラッと並び、思わず目移りしてしまう。見たことない本ばかりだ…その中の一冊、石川飛行士事務所「米大陸横断自動車冒険旅行/坂本正雄」(昭和二年に型フォードで、サンフランシスコからニューヨークまでを駆け抜ける冒険旅行記)が無闇に面白そうなので、これを買うことにする。帳場に差し出すと案の定「あ、古ツアさん」ということになる。4500円也を支払い、この戦前アメリカ旅行関連の本が、外交について研究していた方から買い取ったものだと教えられる。公式外交から、個人の渡航や冒険旅行の分野まで蒐集していたらしいのだ。スゲェレンジの広さだ。すると向井氏がさらに恐ろしいことを言い始めた。「あ、もっと面白いのがあったんですよ。ツイッタ―に上げたら直ぐ売れちゃったんですけど。押川春浪の仲間で、世界を自転車で旅行する…」「も、もしかしたら、中村春吉ですか!」「あ、そう。確かそんな名前だった…」「幾らつけてたんですか?」「一万ぐらいだったかな…」「ぐわわわわぁぁぁぁ〜!」と帳場前で本気で頭を抱え、項垂れてしまう…ほ、ほ、ほ、ほ、欲しかった。だが、もう売れてしまったのは仕方ない。俺は、この自動車冒険記で、ひとまず我慢することにしよう。しばらくそのまま向井氏といつものように無駄話し、強くなった雨の中を帰宅する。大阪に古本を送るのは後日にするか。
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これも嬉しいのだが、それにつけても中村春吉………あぁっ!

さて、もうすぐ来週の月曜辺りに本屋さんに並び始める「本の雑誌 カレー蕎麦ダブル号 No.426」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、東村山の「なごやか文庫」を取材。激安福祉系の棚に溺れています。だがそれより何より、今号では巻頭の『本棚が見たい!』に、家に本棚がないのに登場しております。以前にもこのコーナーへの取材オファーがあったのですが、「本棚がない」と伝えると流れてしまった前例がありながらの掲載なのです。だが取材されるからには、多少なりとも写真を撮り易く工夫する必要があり、横積み本だらけの仕事部屋を必死に整理整頓したり、横積み本を詰め込んでいた棚に手を加え、一部久しぶりに正式に本を立てて並べたり工夫しました。ご笑覧いただければ幸いです。ちなみに現時点で、私もどんな写真が掲載されるのか、一切知らないのです!…あぁ、コワいコワい…。

さらに11/18(日)の「鬼子母神通り みちくさ市」に参加いたします。いつものように変な古書から探偵小説類まで持って行く上に、新刊「青春18きっぷ古本屋への旅」も持って行きます。秋の空の下の古本市でお会いいたしましょう!
■「第44回 鬼子母神通り みちくさ市」
■11月18日(日)11:00〜16:00 雨天中止(当 日午前八時に天候による開催の
有無を決定)
■東京都豊島区雑司が谷二丁目・鬼子母神通り周辺
https://kmstreet.exblog.jp/
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2018年11月08日

11/8東京・国立 古道具ニコニコ堂

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今日は国立北口の丘の上、日吉町に流れ着くが、その結果面白いものを発見する。場所は『国立駅北口』を出て真っ直ぐ北に向かい、『光町1交差点』を東へ。やがて北東にぐいんと曲がりながら蹴上がる急坂を丘の上まで登り詰め、直線道を三百メートルほど進む。すると右手白い雑居ビル一階の美容院の隣りに、いつの間にか恋ケ窪にあった古道具屋「ニコニコ堂」(2018/05/26参照)が引っ越して来ているではないか!店頭は恋ケ窪にあった時より、遥かにスッキリしており、木椅子や火鉢や少々の古雑貨類が出されているだけである。だが中に入れば、そこは以前と同じ古道具・古雑貨・アンティークが、圧縮陳列ながら秩序だって飾られた小宇宙である。古時計の音がコチコチ聞こえる、以前より狭くなった店内に、前回見覚えのあるものたちが、距離を縮めて並んでいる形である。奥にはこれもコンパクトになったガラス越しの帳場があり、老店主が文庫本に読み耽る横顔を見せている。紙物類は、レコード箱の上に乗ってプロマイド・切り抜き・切符ファイル・マッチラベルファイル。それに右側通路下の古パッケージ・小冊子・ハーモニカ教本・ノート類、さらに左側通路の絵葉書.手帳サイズ紙物・観光パンフ小箱。それにブルボン小林の「マンガホニャララ」サイン本。〆は帳場前の洋書三冊くらいであろうか。主に右側通路の紙物箱を漁り、昭和二十五年刊の教会系絵物語雑誌「はこぶね 1.2月合併号」を持ち出し、帳場の店主に差し出す。すると老店主は、読みさしの文庫本に何か栞の代わりになるものはないかと焦り探し、しばらく手と目を四方に泳がせまくる。…落ちついて下さい。いつまでも待ちますよ…と無事に紙を挟んだところで精算を済ませる。「ありがとうございます。これ、名刺」と、ハンコで作った名刺をいただく。無事の引っ越し、おめでとうございます。

すっかり暗くなり始めた阿佐ヶ谷の帰り道を歩いていると、「1960年代専門店 甘辛劇場 懐かし屋」(2017/02/22参照)の柔らかい光に誘われ、ドアを開けてしまう。たくさんのレアな玩具や駄玩具が飾られた店内に、古時計の音が重なり合い響いている。中央の二台のガラスケースに挟まれた部分に、見事に古本が横積みされ集められている。玩具関連本・「轟先生」・長谷川町子・テレビガイド雑誌・貸本漫画・西村賢太…おっ、晶文社「杉浦茂のモヒカン族の最後」が500円じゃないか。これを買おう。と、意気揚々と精算する。
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2018年11月06日

11/6欲望のままに、あかしや乱歩と楠田匡介を!

少々の古本を携え、雨が降り始める前に西荻窪に向かう。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)前に立つと、いまだ開店準備中。だが挨拶をして暗い通路に入り込み、「フォニャルフ」に補充を始めると、パッと頭上で灯りが点った。その途端に、右上の棚の、還暦イベント真っ盛りの本棚探偵・喜国雅彦氏の「ひとたな書房」が目に入る。うわわわっ!また江戸川乱歩の漫画本が並んでいるじゃないかっ!今回は『あかしや書房版』なのかっ!「5 天空の魔人」「7 灰色の巨人」「8 海底の魔術師」の三冊が、それぞれ一万五千円で並んでいる。もっと並べていたのだろうか…震えながら本を開いていると、帳場から店主の小野氏が近付き「ギャラ支払うから、それで三冊とも買っちゃえばいいじゃん」と、バカなことだが、思わずやってしまいそうな言葉を投げ掛けて来る。そう、今日は補充と同時に、二週間ですべてを怒濤の働きで仕上げた「青春18きっぷ古本屋への旅」と「岡崎武志素描集」のギャラをいただきに参上したのである。即座に帳場にて事務的な作業を終え、懐がボワッと暖かくなる。すると当然『あかしや乱歩』が欲しくなって来る!再び「ひとたな書房」に接近し、もはや一冊は買うことを決めながら、三冊を吟味する…よし、一番状態の良い「灰色の巨人」にしよう。そっと両手で恭しく捧げ持ち、ひとまず帳場に預けておく。これだけの行為で、古本買い気分が大いに盛り上がってしまったので、さらに盛林堂さんでも何か買って行くか!と、にわか仕込みの太っ腹状態に突入してしまう…もはや古本ゾーン状態…。普段手が出ない感じで、読みたかったもの読みたかったもの……高い物を買う時と言うのは、欲しい一冊について悩みに悩んで決めるのがほとんどなので、普通に二三千円の本を買うように、万クラスの本に目移りしている状態は、どうにも顔が上気し心が上滑りしてしまい落ちつかない。その間に、少しだけ冷静に考える…あんなに心血を注いで本を作り、その報酬としていただいたお金を、瞬時に蒸発させて良いものであろうか…あの魂を込めた時間が、たちまち古本にすり替わって良いものであろうか…いや、俺は古本好きの古本屋ツーリスト!何を畏れることがある!何を恥じることがある!と冷静だったはずの思考実験は、さらに古本心を焚き付ける結果に終わる。よし、これにする!新書サイズの附録本、楠田匡介の「赤いカナリヤ」だ!もうこんな風に心を決めなければ、一生手に入ることはないだろう!そう決めつけて、小野氏に力強く手渡す。あかしや書房「江戸川乱歩全集7 少年探偵 灰色の巨人/田中ちかお画」(カバーナシ)集英社昭和三十一年「少女ブック十月号」ふろく すずらん文庫2「長編少女探偵小説 赤いカナリヤ/楠田匡介」を計四万円で購入する…あ〜ぁ、買っちゃった。でも気持ちいいなぁ。店内で記念写真を撮ろうとすると、小野氏がショウウィンドウのくらり人形(東京創元社のマスコット猫。兎の頭巾を被っている。可愛い)の前で撮ってくれとリクエストされる。カシャリ。
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く、くらりの視線が何だか冷たい…。それにしてもこの贅沢過ぎる二冊、直ぐ読み終わってしまう漫画と付録本…後に映り込んでいる、永瀬三吾の「白眼鬼」を買った方が、良かったかなぁ。などと思いつつも、嬉しくて顔は完全にニヤニヤしてしまっているのだった。
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そしてこれは『あかしや乱歩』のポップな見返しイラスト。鈴木慶一とムーンラーダースのアルバム『火の玉ボーイ』のジャケットは、これを使用しているのだ。

とこのように、早速ギャラを散財しているので、本をやはりもっと売らねばなりません。みなさま、引き続き新刊の「青春18きっぷ古本屋への旅」をよろしくお願いいたします。購入をお迷いの方、めくるめく楽しい古本屋旅の世界が待っていますよ!また来年も岡崎武志氏と、楽しい古本屋本を出したいので、応援よろしくお願いいたします!
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■「青春18きっぷ古本屋への旅」岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン著
■B6版オールカラー全128ページ
■1500円(税込)
■盛林堂書房発行

一ヶ月強の期間内に、五回だけJR全線乗り放題(特急・新幹線・急行列車・JRバスを除く)となるお得な切符「青春18きっぷ」を駆使し、古本屋を目指す旅に出る。酷暑の夏を乗り越えて生まれたのは、六十一才と五十一才の青春の尻尾をぶら下げた二人のポンコツ男が、優雅さとはかけ離れた、気ままで緩い旅路をたどる、奇妙でマニアックな古本屋紀行文集。一人旅あるいは二人旅で、古本を求め、車内読書を求め、古い建物を求め、トンカツを求め、立食いそばを求め、ボックスシートを求め、旅情を求め…。
●常磐線の旅(岡崎・古ツア編)、総武線の旅(岡崎編)、常磐線の旅2(古ツア編)、神奈川の旅(岡崎編)、真岡鐡道の旅(古ツア編)、中央本線の旅(岡崎編)、東海道線の旅(古ツア編)に加え、『高崎線の旅+61才と51才の青春18対談』を収録。

■通販→書肆盛林堂 http://seirindousyobou.cart.fc2.com/
■店頭販売→西荻窪「盛林堂書房」、八王子「古書むしくい堂」、椎名
町「古書ますく堂」、京都「古書善行堂」、神保町「神田古本まつり」盛林堂ブース(一誠堂書店前。11/4(日)まで)

※またこの本を、たくさんの場所でたくさんの方にお届けしたいと思っていますので、お取り扱いいただける古本屋さん&新刊書店さんを引き続き大募集しております。一点からでも構いません。お店に並べていただければ大変に幸いです!どうか、どうか、どうか、どうか、盛林堂までご連絡下さい。
◆問い合わせ先:盛林堂書房
メール:seirindou_syobou-1949@yahoo.co.jp
電話:03-3333-6582
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2018年11月05日

11/5ウララとちき

昨日は八幡山に流れ着いたので、京王線での帰路、明大前駅で途中下車し、「七月堂古書部」(2018/01/18参照)に立ち寄る。ハヤカワ文庫「猫舌男爵/皆川博子」講談社大衆文学館「深夜の市長/海野十三」を計200円で購入しつつ、店奥右側壁棚の上段に設えられた「出張 市場の古本屋ウララ」(2013/10/21参照)に注目する。店主の新刊やオススメ本などが並び、このために作られたのか、お店の様子を封じ込めたとてもプリティーな版画が飾られている。古本屋グッズも収集している古本屋ツーリストとしては、手に入れたくなる作品だが、今日のところはお店の栞をいただいただけで退散する。

明けて本日、原稿を書いたりデザインした後に、雨が降ったり晴れたりを繰り返すおかしな空模様の下、荻窪「ささま書店」(2018/08/20参照)へ向かう。蝸牛社「必携 ミステリー手帖 日本編」ハヤカワ文庫「遊星よりの昆虫軍団X/ジョン・スラデック」を計216円で購入し、阿佐ヶ谷に引き返す。すると「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の前を通りかかると、入口右側の均一棚に、三原順の『はみだしっ子シリーズ』が並んでいるのが目に留まる…全巻揃っているのか…と巻数をたどっていると、中に大矢ちきのリボンマスコットコミックス「キャンディとチョコボンボン 大矢ちき傑作集」が一冊混ざっているのを発見する。これは!と抜き出してお店の中に駆け込み、103円で購入。ある意味物語は王道だが、絵の上手さや描き込みや画面構成がハイレベルな作家の少女漫画。うへへへ、読みたかったんだ。
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ウララの栞と大矢ちきである。
posted by tokusan at 13:52| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする