2020年04月30日

4/30二十三日目。

午後イチに吉祥寺の北に流れ着く。それにしてもこう暑くなると、マスクは結構しんどい。顔の下半分を覆っているだけなのに、まるで、夏に長袖の上着を着ている苦しさである。だがそれでも、めげずに、コロナ禍が収束するまでは、ちゃんと着け続けないとイカンのだなぁ…などと思いつつ、南口に出て古本屋さんを伝う。昨日訪れたばかりの「古本センター」(2013/07/01参照)では処分品棚から、文藝春秋「テレビの黄金時代/小林信彦」鹿島出版会「絵で見る建築様式史/オズバート・ランカスター」を計130円で購入する…130円って、素晴らしい安さだ!続いて午後一時より開店の「バサラブックス」(2015/03/28参照)では、他のお客さんがいないのを幸いと狭い店内に飛び込み、次のお客さんが訪れぬ前に買物を済ませ脱出し、“密”空間の形成を未然に防がねば!と、素早く棚に視線を疾走させる。四畳半書房 海野十三セレクション1「人間灰/海野十三」を500円で購入し、無事に店外へ。ふぅ、多少慌ただしかったが、古本が買えて、良かった良かった。その後は阿佐ヶ谷へと舞い戻り、駅頭で待人と、要急の受け渡しと少し打ち合わせをする。やはり、人と面と向かい合い、色々お話しするのは、とても楽しいことであるな。帰り道の「千章堂書店」では、店頭百均ワゴンから、美術出版社「改訂 図案文字のかき方/高橋錦吉」をピックアップして購入する。1960年刊のアナログ・レタリング指南の技術書であるが、作例のビジュアルが豊富で、街の中に踊る看板や暖簾まで採集しているのが刺激的。うぅむ、時代を感じさせる良い古本である。
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「図案のかき方」巻頭グラビアのカラー写真である。駅のプラットホームに設置された、映画館の看板の作例である。『新宿武蔵野館』や『下北沢オデオン座』の広告であるところから、小田急線の何処かの駅(恐らく下北沢であろうか)であることがうかがえる。それにしても素晴らしい写真だ。まるで佐伯祐三の『ガス灯と広告』のようではないか。
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2020年04月29日

4/29二十二日目。

本日も仕方なく下連雀に正午過ぎに流れ着いてしまったので、テクテク歩いて、緩やかに人々で賑わう『井の頭公園』を横目に吉祥寺に出る。雑居ビル奥の「古本センター」(2013/07/01参照)に忍び入ると、処分品棚の前に杖を頼みにしたおじいさんがしゃがみ込み、超スローモーに古本を吟味している。お邪魔せぬように気をつけて、店内に滑り込む。すると右端の文庫棚で、河出書房市民文庫「すみだ川/永井荷風」学生サーヴィス版を発見する。黄色と白のツートンデザインの文庫本に在庫処分販売安売用のカバーが掛けられているのだ。以前「ささま書店」(2020/04/05参照)で手に入れた乱歩の「心理試験」以来(2016/11/21参照)のご対面である。これはぜひとも手に入れておかなければと、110円で購入する。
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「心理試験」と並べて記念撮影。「心理試験」は定價九拾圓が特賣價四拾圓、「すみだ川」は定價六拾圓が特賣價四拾圓に…どっちも四拾圓だ!

文庫を受け取り入口に向かおうと、レジから身体を左に向ける。すると当然の如く壁棚のビジュアル本の列が目に飛び込んで来るのだが、その瞬間最下段の一冊にシビビビと古本アンテナが反応してしまう。宝石社「拳銃図鑑/矢野庄介」があるじゃないか。「ヒチコック・マガジン」のほぼ拳銃関連担当者が編んだ一冊である。だから発行人は稲並昌幸(城昌幸)で、造本は小林泰彦、執筆の叱咤激励は中原弓彦と、「ヒチコック・マガジン」色の強い一冊なのである。表紙の値札がシールに500円とあったので、本を持ったまま即座にレジに引き返し、「すみません、これもください」と550円で購入する。普段は見ないところも、たまには見てみるもんだ。買う物買ったらサッサと帰宅し、もはや習慣となった手洗いうがい。
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2020年04月28日

4/28二十一日目。

朝、昨日アマビエに扮したことを多少後悔しながら、起き抜けにカーテンの隙間から飛び込んで来る陽の光を頼りにして、東都我刊我書房「半七捕物帳参」を摘み読みし、『廣重の繪』を読了する。浮世絵師・歌川広重の、鷹が大胆に大きく絵の上部にグラフィックに舞う浮世絵『深川洲崎十万坪』をモチーフにした捕物小説であるが、ラストが『その廣重は大コロリでその年の秋に死にました』となっていた。そうか、歌川広重はコレラで死んだのか…とここで思い出したのが、一ノ関圭の名作漫画『茶箱広重』。ミステリアスな存在である二代広重の創作と苦悩とその行く末を、きめ細やかに脂の乗りまくった画力で描き切った連作集である(ちなみに小学館文庫の巻末に収録されている高橋克彦のエッセイ『一読驚愕』もまた名作である。友人の新聞記者と飲んでいる席で「茶箱広重って知ってるか?」と質される始まりが秀逸!そして作品の参考資料として挙げられている小島烏水の「浮世絵と風景画」が気になり読みたくなるが、調べてみると五千〜三万円する本であることが判明。がっくりと諦める)。その第一話は、初代広重が亡くなったところから始まるのだ。おかみさんは広重はコロリではないと否定しているのだが、通夜の席の様々な噂話や疫病退散の神輿などが担ぎ出される様子に、大流行した伝染病の恐ろしさがしっかりと表されている。今の状況と重なるなぁ…そんなことを寝床の中でウダウダ思った後、連載の原稿に取りかかる。午後、少し外に出ようかと考えたが、雷鳴とともに強い雨が降り始めたので、心をくじかれる。まぁ、家でじっとしているか。おかげで原稿にメドがつく。家内読書は「青銅のメダル」を継続中。世界中に散らばる七人のメダルを持つ人物が登場し始め、ようやく物語にドライブがかかり始めた。なんだか伝奇小説めいて来たぞ。
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2020年04月27日

4/27二十日目。

本日は雨の降り始めた午後に上連雀に流れ着いてしまったので、誰もいない跨線橋を、ビニール傘を激しく叩く雨粒の音を聞きながら渡って「水中書店」(2014/01/18参照)に向かう。店頭は当然雨仕様で、しっかりと新型コロナ感染対策を施しながら営業中である。店内に引き込まれた安売木箱を漁ってみると、感じの良い二冊のビジュアル洋書を発見する。F.BRUCKMANN MUNICH「MODERN ARCHITECTURE IN GERMANY/BRUNO WERNER」(1952年刊)THE BRITISH TRAVEL AND HOLIDAYS ASSOCIATION「New Architecture of London」(1963年刊)である。
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二冊ともビルや大型建築を中心としたビジュアルガイドブックで、見たこともないロンドンとドイツのドメスティックな建物(インターナショナル〜ポストモダンスタイル)のモノクロ写真が盛りだくさん。ビニールカーテンの下がる帳場で計200円で購入する。今日も無事に面白い古本が買えました。そして今日の朝、起き抜けにはたと気付いたことがある。もしや、俺はなれるのではないか…と信じて少し軽い工作をして、写真撮影。
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うぅむ、まぁ見えなくもないか。というわけで、恥ずかしながら思い切って妖怪“アマビエ”になってみました。…いや、もう、こんなことでもしなければ、やってられんのですよ。もう疫病を退ける妖怪になっちゃえば、罹らない気が…(当然気のせいである)。みなさま、この哀れな姿をどうぞ描き写し、人に見せてあげて下さい。少しでも失笑していただければ本望です!
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2020年04月26日

4/26十九日目。

本日の朝日新聞の東京版ページに、見慣れぬ古本屋さんの広告が出ているのに気付く。長野県・上田のブックカフェ「まるさんかくしかく堂」の古本出張買取広告である。早稲田の「安藤書店」(2011/08/15参照)は、いつでも三行広告に古本買取広告を出稿しており馴染み深いが、このお店の広告を新聞で見るのは初めて。三角形の棚が印象的な店内写真も掲載されており、提携に長野市の「山崎書店」(2008/05/26参照)の名が入っている…うぅむ、興味深い。コロナ禍が収まったら、折りを見て訪ねることにしよう。家でおとなしくしつつ、横溝正史の戦前少年探偵小説「渦巻く濃霧」を読み続けている。だが午後に気晴らしに外出し、暖かな強風に吹かれながら高円寺へ。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)のシャッターがしっかり閉まった店頭無人セルフサービス古本販売から、福音館書店「きこりとおおかみ/山口智子再話・堀内誠一画」「しんりんてつどう/みねむらかつこ さく・え」を計200円で購入し、帰宅する。読書を継続しつつ、午後四時からBSで放送された、隠れた名作と名高いマカロニ・ブイヨン・ウェスタン『殺しが静かにやって来る』を観賞する。ほとんどヨーロッパの雪山であろう土地で展開する(しかも全編イタリア語)、厚着ファッション全開の異色西部劇であった。噂に違わぬ、ラストの衝撃的な映画の常識を超えまくった苦さに、心を激しく暗くする。主人公の操る大型拳銃モーゼルが魅力的。だが本当の主役は、悪役の冷酷だが礼儀正しい賞金稼ぎクラウス・キンスキーなのであった…。午後七時に「渦巻く濃霧」を読了する。表題作より、『外二篇』とされた、引退していた怪盗“赤い梟”と大陸帰りの元馬賊の偽男爵が火花を散らす『怪人魔人』と、神出鬼没の怪盗“幽靈盗賊”と伯爵令息の秀才美少年が火花を散らす『變幻幽靈盗賊』の方が面白かった。『變幻幽靈盗賊』の最後の対決の場、警視廳にあるという『兇器陳列所』をぜひとも見学してみたいものだ。
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「渦巻く濃霧」の装幀は山六郎。背の箔押し文字とともに表紙の秘密結社的イラストに少年心をかき立てられる。
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2020年04月25日

4/25十八日目。

本日は午後に西調布に流れ着いてしまったので、駅北側に出て『西調布一番街』に入り込む。…やはり閑散としているが、「喫茶侘介」(2019/02/26参照)は営業中らしく、表に安売古本箱が出されている。今回は文庫中心で、ミステリアンソロジーに新田次郎に時代劇文庫か…と一通り眺め、平凡社新書「金田一京助と日本語の近代/安田敏朗」を50円で購入し、京王線とすぎ丸を乗り継いで、素早く阿佐ヶ谷に帰り着く。そして家路をたどっていると、休業中の「ネオ書房」(2019/08/11参照)のサッシ扉に、素晴らしいミニポスターが貼り出されているのを目にする。「ネオ書房」のマスコットキャラの柴犬的ワンコと、その姿を描き写せば疫病が退散するという妖怪“アマビエ”が、恐らく新型コロナに立ち向かっているであろう、コラボイラストである。
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アマビエが、少しガッツ星人に見えなくもないところが、なんとも「ネオ書房」らしくていいなぁ。イラストの効果か、ニヤニヤして家に帰って手洗いうがいを済ませ、ポストに届いていた、待ち遠しかったヤフオク落札品を開封する。箱ナシの平凡社 少年冒険小説全集12「渦巻く濃霧 他二篇/横溝正史」である。少し傷んでいたので安めの三千円で落札。すぐさま修繕を施し、安心して読書出来るように仕立て上げる。表題の『渦巻く濃霧』の他に『怪人魔人』『變幻幽靈盗賊』を収録。『渦巻く濃霧』はてっきり、エドガー・ウォーレスの翻訳かと思っていたら、日本が舞台のオリジナル作品ではないですか…いや、もしかしたら翻案なのかもしれない。色々ほっぽり出して、まずは読み始めちゃうことにしよう!
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2020年04月24日

4/24十七日目。

午後に息をひそめていた家から飛び出し、マスクの息苦しさに多少慣れ、暖かくなって眼鏡が漏れる吐息で曇らぬようになったのを喜びながら(このコロナ禍が収束を迎えた時、もしかしたら人々の肺活量は少し上昇しているのではないだろうか…)西荻窪へ。休業中の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にシャッターを上げていただき、するっと店内に滑り込む…薄暗いお休み中の古本屋さんの店内…普段あまり見られぬ姿も、また良いものだ。戦時中に店を閉めている洋食屋の裏からこっそり入れてもらい、食料不足なのに、コーンポタージュやビフテキをボヤきながらも贅沢に独り食していた、古川緑波の気分である。とは言っても古本を買いに来たのではない、何たってお店は休業中なのだ。表紙デザインを担当しているクラシックミステリ研究誌「Re-Clam vol.4」が無事に刷り上がったので、受け取りに来たのである。今回の特集はF・W・クロフツ!全長編解題や短篇の翻訳や「樽」のミスについての論考などがひしめき、読み応え抜群である。そして店主・小野氏からさらに、分厚く豪華な一冊を渡される。盛林堂ミステリアス文庫の最新刊「大阪圭吉自筆資料集成/小野純一編」である。探偵小説家・大阪圭吉をこよなく愛する小野氏が、『大阪圭吉 単行本未収録作品集』(現在三巻まで発売)を編む過程で、圭吉の親族と交流を密にしたことから目にすることになった、貴重な創作メモ帳や原稿や作品目録や、あまつさえ自著の装幀案などを細密に複写した、渾身の一冊なのである。もうこれは、圭吉版の『貼雜年譜』と言っても良い代物である!右上がりの特徴ある文字が踊りまくり、探偵小説のプロットやタイトル案などがざわめきまくっている!すげぇ!「ほがらか夫人」は五回も増刷しているのか…合計二万五千部!『百万人の正宗』…どんな小説かまったく想像出来ない…。「探偵文学」の表紙に殴り書きされたメモ群…これが圭吉の書いたものなのだから、雑誌の価値が超アップしてしまっている。『人形の中に隠くす』ってでっかく書いてあるけど、何だろう?『怪力電波』か『愛情電波』か…どっちもヒドいタイトルだな。「海底諜報局」の装幀案が、ひたすら船や海草や潜水夫や操舵をモチーフに考えられている…昆布案がいいんじゃないかな……などと色々想像解読して、じっくりたっぷり楽しめそうだ。表紙下に隠れている、圭吉のプライベートショット群も貴重である。現在盛林堂の通販サイトで発売中なので、大阪圭吉狂いの方々はお早めに!
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マニアックすぎる盛林堂の通販サイトはこちら⇒http://seirindousyobou.cart.fc2.com/
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2020年04月23日

4/23十六日目。

本日は正午過ぎに下連雀に流れ着いたので、そのまま素早く吉祥寺に顔を出す。おぅ、「古本センター」(2013/07/01参照)は、レジ周りに防護用のビニールシートを巡らせて営業中である。入口の処分品棚にゆっくり目を凝らして行く、すると最下段に、朝日新聞社「世界の民芸/浜田庄司・芹沢_介・外村吉之介・写真菅野喜勝」を発見する。これはスゴい!素朴だがピカリと光り、即座に欲しくなる世界中から集めた民芸品(パッと見では用途の不明な物多数)を民芸品マスター三人が紹介するレアな一冊である。表紙に貼られた値段シールを見ると『¥80』とある…少し傷んではいるが、それを鑑みても相場の百分の一の値段と言っても過言ではない。大変に幸せであります!と、ウハウハ購入する。その後は「よみた屋」(2014/08/29参照)も休業中なのを確認してから、素早く高円寺まで足を延ばす。『庚申通り』に出て「DORAMA高円寺庚申通り店」で徳間書店「最強の名のもとに/高田延彦」を110円で購入し、秘かに狙いを定めていた「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)のセルフサービス無人販売を今日も覗き込む。あっ!やっぱりあった!木箱の中に、毎日新聞社の『マイニチの人形絵本』が、まだ残っていたのだ!「ねむりひめ」と「ジャックと豆の木」の二冊である。やはり気になってしつこく見に来て良かった…そう自分を褒めつつ、料金缶に百円玉を二枚投入し、二冊の写真絵本を我が物とする。ウキウキ歩いて素早く阿佐ヶ谷の自宅に戻り、手洗いうがいを励行する。
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本日の嬉しい嬉しい獲物たちである。
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2020年04月22日

4/22十五日目。

本日はおとなしく家に留まり、GW進行+コロナ禍でスケジュールの歪んだ仕事をどうにか片付ける。宅内読書は地道に「青銅のメダル」を読み進めているのだが、古書読書の息抜きにと、東都我刊我書房「ハルピンお龍行状記 姿なき脅迫者/城崎龍子」に手を出してしまう。昭和二十年代の「探偵実話」に連載された、幻の探偵小説家・潮寒二の別名儀作品で、主に浅草を舞台に美貌の女掏摸が活躍する軽快なピカレスクお色気ハードボイルド風連作物語である。二人の個性的な子分を『ヤッターマン』のドロンジョのように引き連れ、頭は切れるし度胸はあるが、毎回必ず裸にされて、下卑た男たちの毒牙にかかりそうになるのがご愛嬌。いやぁ、頭を空っぽにして、戦後復興期の猥雑な雰囲気を楽しめるのが嬉しい。九鬼紫郎同様、当時最先端のファッション描写に筆を割くのも好ましい。ところでこの物語、ハルピンお龍の一人称で書かれているので、潮寒二がこれを書いているのかと思うと、背中が少しこそばゆくなって来る。とここでふと思い出したのが、吉田戦車の名作ゲームほぼ四コマ漫画「はまり道」である。23ページの漫画が『ドラゴンクエスト4』を夢中でプレイしている吉田戦車の4コマなのだが、女の子のキャラでプレイしていると、脳内でパーティの仲間との会話を“女ことば”で思考してしまうという、カミングアウトネタなのである。『姉さん、ここはいったんひきかえしましょう』『だめよミネア。まだMPが残っているわ!』などなど…まぁこういうこと、やるっちゃやりますな…。男の考える“女ことば”は、無理繰りそれっぽく変換するせいか、かなり戯画的に分かり易くなるので、その辺がこそばゆく感じる一因なのかもしれない。あぁ、そんな下らぬことを考えながら、四月の春の大事な一日が、暮れて行く…。
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2020年04月21日

4/21十四日目。

家でじっくりコロナ禍に翻弄されまくっているスケジュールの仕事を辛抱強く進めつつ、午後にBSで映画『スケアクロウ』を鑑賞。名付けることの出来ない感情が、心に何度も何度も込み上げ、身悶えする…な、なんだ、この切なくもホンワカする気持ちは。アル・パチーノにもジーン・ハックマンにも、この作品でアカデミー賞をやれ!などと尊大に思ってしまう。そして名作テレビドラマ『傷だらけの天使』が、この映画の強い影響下に作られたことに、はたと気づく。うむ、有意義な午後の映画鑑賞であった。夕方に買物に出たついでに、阿佐ヶ谷「千章堂書店」(2009/12/29参照)を覗く。新潮文庫「クラシックホテルが語る昭和史/山口由美」を150円で購入する。そして人気の少ない裏道をたどって高円寺まで出ると、ほほぅ。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)のシャッターが下ろされた店頭に、少量の古本箱が出されているではないか。どうやら休業中の苦肉の策の古本無人販売らしい。値段はだいたい100〜300円の、いつもの店頭販売本の一部と言ったところ。端に置かれた料金缶の横には、ちゃんと消毒液も用意されている。こういう小さな工夫は、いわゆる人が密接する状況も生み出さないし、休業中のお店が居並ぶ殺伐とした風景を和ませる効果もあるだろうし、秘かに賛成したいところである。応援するためにも古本を買っておこう!としゃがみ込むと、即座に目についたのは、木箱の横に積み重なった、固いボール紙の絵本群であった。おぉ、これは実物の人形とジオラマで撮影した写真を絵本仕立てにした、『マイニチの人形絵本』シリーズじゃないか!こんなものが百円で放出されているなんて、バババババ、バンザ〜イ!と一気に八冊を抱え込む。毎日新聞社「あかずきんちゃん」「みにくいあひる」「ヘンゼルとグレーテル」「ピノキオ」「ちいさなインディアン」「きつねのわるだくみ」「くまさんのおうち」「こいぬの一にち」著者・飯沢匡 デザイン・土方重巳 人形・内藤久美子・紙谷元子・与勇輝を計800円で購入する。缶に百円玉を八枚チャリンチャリン。
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素晴らしい光景だ。表紙には昔懐かしい厚手の立体写真が貼付けられている。
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2020年04月20日

4/20十三日目。

本日は雨の江古田に流れ着き、予想外の寒さに悪態を吐きながら「ブックオフ江古田店」(2012/05/15参照)にひとまず逃げ込む、奥の古書コーナーを眼鏡を曇らせながらも堪能し、330均棚から新書館For ladies26「時には母のない子のように/寺山修司」を抜き出し購入する。駅北側の「根元書房 日芸前店」(2008/10/07参照)を見に行ってみると、やはり休業中であった。半開きのシャッターから覗く、本がギュウギュウの店内の様子が相変わらず凄まじい。また、休業のお知らせが、年季の入った色紙に書かれていたのが、何とも愉快であった。
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中村橋まで移動し、さらにバスで帰宅する。途中「ドラゴンブック」(2014/06/17参照)が営業中なのを車窓で確認。家に帰り着き、手洗いうがいを済ませ、暖かい餡饅などにうつつを抜かしながら、昨日買ったばかりの「原始林の野獣と共に」を読了する(200ページほどの中編なのである)。中国から北海道の炭坑に強制徴用された農夫が、過酷な労働を強いる強制収容所の如き現場から決死の脱走をし、大自然の中を十三年間逃走潜伏するのだが(日本の敗戦も、中華人民共和国の建国も知らずにだ)、その偉大なる生命力と常識を遥かに超えた年月と暮らしっぷりに、ただひたすら脱帽するしかない一冊である。襲いかかる羆と病気と猟師。雪のない時期はほぼ全裸で山野を放浪し、雪が積もったら縦穴を掘り、ほとんど冬眠のように外に出ず、穴の中に横臥して暮らすのだ。そしてもはやファンタジーの域に突入する、怪我をした野兎や、年を跨いで何度も再会する鹿、放浪後期に行動を共にする猿たちとの、種を超えたコミュニケーション!そんなある意味、逃げ出してきた炭鉱よりも過酷な生活を、正気と狂気の境と、人間とけだものの境を行ったり来たりしつつ、気が完全に遠くなるしかない十三年も続けるのである。ううううううううう、本当に本当におつかれさまでした。
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2020年04月19日

4/19十二日目。

本日は世田谷線沿線の若林に流れ着いてしまったので、「十二月文庫」(2017/11/04参照)が休業中なのを確認してから、テクテクトボトボ歩いて下北沢に向かう。もちろんこの街の古本屋さんも軒並み休業中なのだが、もしかしたらあのお店だけは営業しているかもしれない…と期待に胸を膨らませ、『茶沢通り』から『タウンホール』の脇道に入り込む。くぅ、店頭に本が出ているではないか。「ほん吉」(2008/06/01参照)は営業中だ。店頭に近付くと、常時は目にしない、新型コロナ感染予防のための手順貼紙が存在感を発揮している。まずは、こんなところにこんなものがあったのか!と驚いた、店頭右端にある流しの前に『ここで手を洗う。』と美しい習字的な筆文字で貼り出されている…て、寺山修司的にシュールだ。
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本に飛沫などかけぬよう手を洗い、入口に進む。するとキッチンペーパーのロールと消毒液があるので、ペーパーに消毒液を吹きかけ、それで手を拭う。もちろんマスク着用でないと、お店には入れないのだ。そんな手間をかけた後に、無事古本とご対面。未来社 未来藝術學院9「詩はいかにつくるべきか/マヤコフスキー」穂高書房「原始林の野獣と共に/上田廣」を計660円で購入する。「原始林の野獣と共に」は、第二次大戦中に中国から北海道の炭坑に労働工として強制徴用されてきた男性が、極悪な労働環境の苦しさに耐えかね、炭坑から脱走。その後の十二年間を、北海道の原野で縦穴を住処として逃亡潜伏する、ハードなサバイバル・ノンフィクションである。ふぅ、今日も面白そうな古本が買えて、よかった。京王線とすぎ丸を乗り継ぎ家に戻り、手洗いうがい。家でのメイン読書は、以前書庫整理をお手伝いした時に、新保博久教授から「こういう古いのは、小山さんの好みじゃないですか」と微笑みとともにいただいた、白水社「青銅のメダル/ウージェーヌ・シュウ」を読み始めることにする。謎の青銅のメダルや秘密文書に隠されたユダヤの財宝争奪戦を描いた物語らしい。何たって上下巻の二冊で、合計934ページもあるのだ。こういう時に取りかからねば、いつ読むのだ!と気合いを入れる。あ、でもさっき車中で「原始林の野獣と共に」をずいぶん読み進めてしまったので、まずはこっちを片付けることにするか。
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2020年04月18日

4/18十一日目。

段々激しくなる雨の音を聞きながら、午前七時より読書する。まずは残り一章となっていた成光館「世界各國犯罪實録/松本泰編」をやっつける。丈夫な古い紙に、活字で強く押し付けられた凶悪犯罪エピソードたちは、馨しく強烈であった。間髪入れず、続いて手にしたのは、かつて日下三蔵氏からダブり本としていただいた新潮社 少国民の科学3「海・陸・空のなぞ/渡辺啓助」である。コートされたボール紙の函から、丸背ハードカバーの児童科学本をスルッと抜き出し、一心不乱に読み始める。探偵小説家の渡辺が、少年少女のために海陸空を、時に詳しいデータを使い、時にSF&推理小説を持ち出しフックにし、時に作家らしい詩情を滲ませて、分かり易く詳細に解説解明して行く一冊である。途中、大林宣彦追悼で放映されていた青春ファンタジーアイドル角川映画『時をかける少女』を、本を閉じて観入ってしまうが(主題歌のかかるエンディングがばっさりカットされていて、思わず激怒する。この映画は、あのエンディングに向かって作られているのに!あの現実と虚構の境を溶かす魔法のようなカタルシスを、無視するなんて!ヒドい!)、午後四時五十五分に読了する。ふぅ、少し頭が良くなった気がするぞ。ちなみにこの『小国民の科学』シリーズは、他に星新一の書いた「生命のふしぎ」(そう言えば先日読了したばかりの論創社「推理・SFドラマの六〇年/川野京輔」には、ラジオドラマの作家として若き星新一が登場し、まさにその「生命のふしぎ」の原稿を持ち歩いているエピソードが登場する)や矢野徹の書いた「雷からテレビまで」がラインナップされている。どちらもいつの日か、古本屋さんで出会いたいものだ。気付けば外は、雨も風も止み、陽の光さえさし始めている。さぁ、次は何を読み始めようか。
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巻末のシリーズ広告である。上記の二冊は、後に発売された単行本とは異なるタイトルになっている。
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2020年04月17日

4/17十日目。

本日は午後二時過ぎに、やむにやまれず西荻窪と荻窪の間に流れ着く。なのでツラツラ歩いて荻窪まで出るが、古本屋さんたちは軒並み休業中である。仕方のないこととは言え、一抹のさみしさを胸に募らせ、裏町にフラフラ入り込んで行く。ほっほぅ、「藍書店」(2018/12/29参照)が営業中ではないか。こりゃぁ嬉しい。ありがたやありがたや。古本を買って、この興奮と感謝の気持ちを表すことにしよう…と接近し、店頭&店内を飢えた獣のように舐めるように見つめる。河出新書「あまから隨筆/谷崎潤一郎他」早川書房「スペース・オペラの書き方/野田昌宏」ロマン・ブックス「黒い窓/今井達夫」(献呈署名入り。未知の小説家であるが、目次を見ると『奇怪な迷路』『見えざる敵』『新しい事件』『トリック、トリック』『火、煙、ピストル』などのタイトルが並び、アクションミステリっぽいのが気に入る)を計1220円で購入する。トコトコ家に帰って手洗いうがい。明日はどうやら物凄い雨になりそうなので、これ幸いと閉じ篭り、本をたくさん読むことにしよう。
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本日のささやかな収穫。そこはかとなくバラバラですな。
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2020年04月16日

4/16九日目。

覚悟はしていたが、本日から大好きな幾つかの古本屋さんが自粛休業に入ってしまった。ひとまずは5/6までの、つらいお別れである。『自粛協力要請による“休業”。確かにこれはヤバイ!! 古本屋は俺のエネルギー源!! ガソリンのようなもの!! それが封じられたら元気そのものを出せなくなる!!』などと漫画「HUNTER×HUNTER」に出て来る幻影旅団のウボォーギン風に、茶化して気持ちを吐露してみても、やは気分は重く沈みがちになってしまう。しかし今が我慢のしどころなのである。別にお店がなくなるわけじゃないんだ。と気持ちを切り換えて、流れ着いた正午過ぎの浜田山から、「ブックオフ浜田山駅前店」で河出文庫「戦前のこわい話 近代怪奇実話集/志村有弘編」を110円で購入してから、すぎ丸で阿佐ヶ谷に帰還する。おっ、駅北口の「千章堂書店」(2009/12/29参照)は開いている。教養文庫「東京近郊 一日の行楽/田山花袋」を250円で購入し、帰宅する。念入りに手洗いうがいし、読み続けている松崎天民「戀と名と金と」を、ページが残り少なくなったので、ラストスパートをかけ読了する。やはり面白かったので、もっと天民の本が読みたくなって来る。だが、現在簡単に読めるのは中公文庫&ちくま学芸文庫の「銀座」くらいで、他は高値のオリジナル本なのである。それでも確か「古書現世」(2009/04/04参照)に、まだ他の本が比較的手頃な値段で並んでいたはず…確か「同棲三十年」か「四十男の悩み」だったような…。まぁそれは置いといて、次は何を読み始めることにしようか。いくつか途中で止まっている本があるので、それを気持ち良く片付けて行くことにするか。そんなメインに読み耽る本とは別に、気まぐれに開き、少しだけ読むという本が、実は存在している。河合総合研究所「殺人紳士録」と、昨日新たにそんな不憫な読書対象に加わった奇想天外社「地球のための紳士録」である。二冊とも百科事典方式で本文が編まれており、これがちょこちょこ読むのにちょうど良いので、息抜き読書に重宝しているのだ。「殺人紳士録」は150年間の欧米の著名殺人事件を、細やかなリファレンスとともに項目化した一冊。それこそ同じ人間が行った恐怖とおぞましさの連続であるが、どうにも時々読みたくなってしまうのだ。「地球のための紳士録」は作者・石上三登志が興味持つ人物を、連想ゲームのように数珠繋ぎに記載した一冊である。映画監督・俳優・SF&ミステリ作家が多いのがとにかく楽しい。これらはいったいいつ読み終えるのか不明だが、寝る前やトイレの中や仕事の合間に、すぐには役立たない知識の潤いを与えてもらっているのだ。
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上の本文横組みが「殺人紳士録」。下の本文縦組みが「地球のための紳士録」である。
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2020年04月15日

4/15八日目。

松崎天民の「戀と名と金と」を読み続けている。前半は『探訪ロマンス』であったが、後半は天民が十五年続けた新聞記者を辞めた後の隨筆群となっている。文章に力があり、都市風俗の生々しい描写が好ましい。
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本は買った時のままで、裸本の為「古書現世」(2009/04/04参照)向井氏の手書き帯が付いている…あぁ「古書現世」に行きたい…。

午後、用事で外に出たついでに、西荻窪まで足を延ばして「盛林堂書房」(2012/01/06参照)「フォニャルフ」棚に、気分転換に補充する。東京都では一部の古本屋さんにも営業自粛協力要請が出てしまった(1000平米以下。100平米以下は適切な感染防止対策を施したうえで営業)。自粛して閉めるお店もあるが、感染拡大に最大の注意を払いつつ(マスク着用・頻繁換気・酒精消毒・営業時間短縮・入店制限などなど)続けているお店もある。どちらのケースもそれぞれの事情を抱えての、熟慮の結果の選択のはずである。閉めたお店にはコロナ禍収束後の再営業での再会を願い、営業継続のお店には何かのついでがあればマスクをしっかりと装着してひっそりと素早く風のように訪ねることにしよう。真夜中に稲垣足穂の家に現れ、風のように去って行った辻潤のように。ひとりの古本買いとして、私はどこまでもいつまでもどうにかして、古本屋さんの味方でありたい…と言うわけで、北冬書房 風景とくらし叢書「宿場行/高野禎三」エイプリル出版「おすぎとピーコのこんなアタシでよかったら」(イラスト&デザインは河村要助である)を計200円で購入する。阿佐ヶ谷に素早く戻り、「ネオ書房」(2019/08/11参照)に立ち寄る。徳間ノベルス「支笏湖殺人事件/草野唯雄」奇想天外社「地球のための紳士録/石上三登志」「大友克洋自選作品集・1 ショート・ピース」角川書店「角川文庫ランド'89」を計1150円で購入する…あぁ、またポイントカードを忘れてしまった…。家に帰って手洗いうがい。
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2020年04月14日

4/14七日目。

買ったばかりの「火 上巻/北村小松」をあっという間に読了してしまう。やはりとてもいいところで、バツンと中断してしまった…続きが気になる…月を六つに見せる不知火の正体は?海の底に潜む黒い影の正体は?山道に出現する大入道や狐の正体は?伊豆の山中に佇む西洋館の正体は?なぞの外国人の後を追った、主人公保男の父の行方は?…あぁ、気になる。悶々とする。まだ何一つ解決されていないのだから…と、そのように感じて、ふと改めて気付いたことがある。私は前編のみで宙ぶらりんとなっている。古いSF本を何冊か持っていることになるな、と。
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大正十五年刊の未来世界小説「四百年後 地球滅亡の巻」(本文の最後に(續く)と記されているが、続編の存在は不明)大正十三年刊の冒険科学小説「T3團」(扉には『前編』とあり、冒頭の序に『北郊にて後編の筆を採りつつ』ともあり、本文最後に『後篇に於いて、目醒しい活躍舞臺や、悲痛な苦辛、物凄いTTTの科学力の場面を現出します』とあるが、後篇の存在は不明)、それに今回の「火 上巻」である。前日の記事で書いているように、「火」の下巻はどうにか復刻本で読むことが出来るが、「四百年後」と「T3團」は続編の存在すら定かではない宙ぶらりん…死ぬまでに続きを読むことは出来るだろうか…この二つの小説について、何か情報をお持ちの方は、ぜひともお知らせくださいませ。

本日は、新型コロナウィルス対策を万全に施し、盛林堂・イレギュラーズとして某所に赴き、某方の書庫整理を六時間ほど行う。その過程で、大切に飼われている白黒雑種猫“コアラ”ちゃんと仲良しになり、撫でさせ擦らせてもらい、心癒されながら任務をまっとうする。
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これはコアラちゃんが横向きに足をピィ〜ンと伸ばしたところである。左に見える黒い菱形が、“コアラ”の名の由来となった、鼻の上の柄である。

家では大正四年刊の弘學館「戀と名と金と/松崎天民」を読み始める。大正時代のトップ屋と言える“探訪記者”の、冷静さと冷酷さと公平さを格好良くかなぐり捨て、ゲスい切り込み方で事件の裏で泣いている弱者の味方に回る、魂震えるルポ記事集である。すいすい滑り書きなぐったような文章を、とても面白く興味深く、野次馬的に読み続けてしまう。しかしその途中に、CSのアニマックスで、日下三蔵氏と盛林堂・小野氏が「クオリティが極めて高く、物凄く面白いから」と太鼓判を捺しまくったアニメ作品「鬼滅の刃」が放送されていることに気付き、しばし本を閉じて画面に見入ってしまう。確かに面白い!確かにスゴいクオリティだ!と大いに感心すると同時に、これがさっきまで読み耽っていた、松崎天民が切り込みまくる大正時代と同じ時代の話なのか!と愕然としてしまう。色々な人の描く、様々な大正時代が、パラレルワールドのように、この世界には存在しているのである。
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2020年04月13日

4/13六日目。

春なのに冬のような冷たい嵐である。そこで今日は、郵便局に行っただけで、後は真面目に巣ごもりすることに決める。なので本日は、古本屋さんには行かないので、久しぶりの嬉しいヤフオク落札品を紹介することにしよう。昨日届いたばかりの、東京日日新聞社・大阪毎日新聞社 少國民文庫「少年科學小説 火 上巻/北村小松」(函ナシ。昭和十七年刊。装幀・挿絵は飯塚羚兒)である。ライバルの姿なく千円にて落札。…いや、上巻だけでは物語が完結しないのは重々承知である。だが、この安さで「火」のオリジナル本が手に入るのなら、何の迷いもいらないはずである。まぁ下巻は、これから手に入るかどうか、その可能性は限り無く薄いのだが、お話の続きは日本初期SF顕彰会の復刻本で読めるはずなので(こちらもちゃんと上下巻で復刊されている)、ひとまず古本心がそこまで宙ぶらりんになることはないであろう。それにしても、この『少國民文庫 少年科學小説』シリーズは、他にも海野十三の「火星兵団」が出ているが、そちらも何故か上下巻なのである。ともに「少國民新聞」に連載されていたものをまとめたものなので、似たボリュームになっているのかもしれない。中身は戦時中なので、少年の国威発揚要素を多分に含んだ、科学防諜小説となっている。ちょっと読み始めると、伊豆沖で起こる“不知火”に似た現象から物語は動き始めるのだが、この“不知火”の説明と解明が、微に入り細に入り科学的に結構しつこく続いている…まぁタイトルが“火”だもんな。おかげで“不知火”について、ちょっと詳しくなってしまった。…ウィルス禍から身を守るために家に閉じ篭り、激しい雨の音を聞きながら、遥か昔の少年科學小説を読み耽る月曜日である。
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2020年04月12日

4/12五日目。

せっかくカバーカラーコピーを入手し、偽りではあるが立派な見かけになったので、嬉しくて小壺天書房「登山者/伊藤人譽」を昨日から今日にかけて読了する。『死人の意志』『氷雪』『青の湖』『雪仏』『穴の底』『ヴァイオリン協奏曲』を収録した短篇集である。書名通りに『ヴァイオリン協奏曲』以外は、登山に関わる話を集めて編まれているが、実はそのほとんどが、純文学と幻想文学のあわいに立っているような物語ばかりなのである。遭難・滑落・迷走に遭った人間たちが、極限状態に追い込まれた挙げ句体験する、発狂とも幻覚ともつかぬ、奇怪な出来事の数々。すべての物語は、ドライブ感というよりは、重々しい重低音なグルーブ感に貫かれ、地の底から響いて来たような丁寧に選択された言葉を、鎖のように強固に美しく繋ぎ、人間の気持ちの詳細なうつろいと、雄大な大自然を本文に刻んでいる。息を詰めてそれらを読み続けると、やがて訪れる救いのない暗い結末に、奇妙にも低調なカタルシスを覚えるのである。序文で、伊藤の師匠である室生犀星が書いているように、『やはりすくいがほしかったのだ』の意見には大いに賛同するのだが、この潔い“救いのなさ”が、伊藤が執拗に鎖の繋がりの如き言葉で紡ぐ、物語の魅力であることは、疑いのない事実であろう。…などと静かな日曜の午前に、重苦しい物語からの解放感を味わいながら、浅はかに思考する。

午後、高円寺に買物に出る。街に相変わらず人は出ているが、古着屋など主だったお店が、シャッターを下ろしてしまっているので、何処か閑散としてしまっている。あっ!「えほんやるすばんばんするかいしゃ」(2019/06/20参照。そう言えばこの一階に移転したお店も、そろそろちゃんとツアーしなければなぁ)が『4月中は、お店をお休みしようと思います。』と小さな貼紙を掲げ、厚いカーテンをガラス戸の向こうで閉ざしてしまっている…くぅ、寂しいなぁ。こんなの嫌だなぁ。
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そんな風に感じながら、駅北側の『庚申通り』に出て、「DORAMA高円寺庚申通り店」で角川文庫「能面の秘密 安吾傑作推理小説選」を110円で購入し、さらに「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)で講談社「ショートショートランド 1984 NOV. DEC.」双葉社「「ウルトラQ」の誕生/白石雅彦」を計1050円で購入し、今にも雨が降り出しそうな交通量はいつも通りの『早稲田通り』を伝って帰宅する。
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2020年04月11日

4/11四日目。

本日は阿佐ヶ谷の南、成田東にひっそり赴くと、『五日市街道』沿いの『成田東バス停』近くに、元は小さな電器屋が、雑多なリサイクルショップと化しているのを発見する。小さなプラカゴが多数置かれ、様々な物品が溢れ返る中に、文庫本が十冊ほどあるではないか。ほとんどが山本一力を中心とした時代小説だが、扶桑社文庫昭和ミステリ秘宝館「どぶどろ/半村良」が混ざっているのを見つけたので、生活空間とつながる店内で50円で購入し、そそくさと帰宅する。

家に帰って手洗いうがいを済ませ、届いていた郵便物をチェックする。おぉ、ひとつのレターパックから滑り出て来たのは、超手作り製本の「ひな菊のスクラップブック」というA5サイズの冊子であった。“ひな菊”というのは、“ひな菊の古本”さんのことで、谷根千の一箱古本市出店がきっかけで、古本&古本屋愛にボボボゥッと激しく火が点き、全国の古本屋さんを訪ね回るは、時には古本屋さんでかき氷やお酒やクラフトビールを振る舞うイベント(2015/08/22&2015/12/18&2016/06/12参照)参照)を開くはと、いつでも古本屋さんに対する愛が迸っている方なのである。この冊子は、その彼女がことあるごとに訪ね歩いた古本屋さんを、お店のショップカードやチラシや栞やフリーペーパーとともに紹介している。表紙はすべて違った一点物らしく、送っていただいたのも、赤面必至のオリジナル『古本屋ツアー・イン・ジャパン』表紙であった。ありがとうございます。とても良く出来た『夏休みの自由研究ノート』感に溢れているので、『たいへんよくできました』の花丸を上げたいくらいである。ひな菊さんとは、見ている方向も、古本屋さんに抱く思いも、はっきりと異なっているのだが、ただ『古本屋さんが好き!』という大きな一点でつながっているので、いつでも楽しく止まらぬお喋りを続けることが出来るのである。本当だったら、この冊子をサカナにして、あれやこれやと大いに古本屋さんについて語り合いたいところなのだが、今はまだ我慢して、再び会える時を待つことにしよう。この冊子は現在、大阪に移転した「ますく堂」と長野「大福屋」で販売中。そのうちに拡大版を作成する野望も持っているそうなので、色々騒ぎが収束したら、イベントやら通販やらで、目にする機会が増えることになるのだろう。ファイト、ひな菊!
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そしてもう発売になっている「本の雑誌 虫めがね探検号」の連載「毎日でも通いたい古本屋さん」では、吉祥寺「一日」を取り上げております。最近あのほぼ300均ガレージで、面白い本を買いまくっているのですが、取材時にはさらなる珍妙な逸品を入手しております。ぜひとも「本の雑誌」を繙き、その目でご確認くださいませ!
posted by tokusan at 15:45| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする