2020年05月31日

5/31「股旅堂」最新目録。

ともに昨日のお話。荻窪辺りで車窓に流れる、閉店した「ささま書店」旧店舗。しばらく変化がなかったのだが、久々にシャッターが全開になっており、内部がさびしいさびしいスケルトンになっているのを目撃する…『広くて楽しい古本屋』の黄色い日除けが撤去される日も、いよいよ近付いているようだ…。家では感銘を受け続けながら「第三の情事/園田てる子」を読了する。いやぁ、夢中になって読んでしまった。ラストが少しアレな感じであったが、それを差し引いても傑作と言える面白さであった。最終ページに『つねに読者と共に!』という編集部からの言葉があり、『お読みになって、感銘なさったら、知人にお勧めください。御意見、お叱りなどどしどしお寄せ下さい』とある。みなさま、機会がありましたら「第三の情事」を読んで見て下さい…良し!六十五年前の東京ライフ社編集部・岡村氏の言葉に従い、ちゃんと勧めたぞ!

そして本日は西武柳沢に正午に流れ着いてしまったので、「エーワンブック保谷店」(2011/03/03参照)の様子を見に行く。おぉ、入口に消毒液を置いたりして、感染予防に努めながら営業中であった。静かな店内にそっと滑り込み、本棚より、主に床から積み上がる本に意識を集中し、岩波文庫「新編百花譜百選/木下杢太郎画」を100円で購入する。わりと空いている西武新宿線で家に帰ると、待ってくれていたのは「股旅堂」さん(2018/10/01参照)の新目録「MATATABIDO23 june,2020」であった。ありがとうございます。相変わらず人間の純粋で黒い欲望が、238ページのペーパーバックにグルグルヌラヌラと、粘度高く渦巻いている。今回の巻頭特集は『戦後日本ストリップ黎明期〜浅草/新宿/池袋/銀座/渋谷/日劇ミュージックホール/その他』となっている。うぅむ、濃厚にノスタルジックにセクシーだ…そう思いつつページを捲りまくり、「愛慾行進曲/浅原六朗」「心霊の現象/福来友吉」「実話奇談 謎の竹笛/原賢之助」「戯曲 逮捕術/中川淳」「亡命の街 隠しカメラとペンで綴る密航路・魔窟の踏査記録/曽我部道太郎」(鈴木清順監督の映画『密航0ライン』の原作である!)などが気になってしまう。
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2020年05月30日

5/30今日も吉祥寺で古本を買う。

「第三の情事/園田てる子」を宣言通りに読み進めているのだが。予想以上に面白いので驚いている。心の襞まで丁寧に描く確かな筆力で展開される、ピカレスク青春少女スリラー小説!火のような激しい意志を白熱させる、主人公の少女がとにかく常軌を逸しており、何かことを起こすシーンが訪れる度に、グンと文章内に引きずり込まれ、本当にハラハラドキドキしてしまうのだ。身体の動きと連動する心の動きの細やかな描写は、野溝七生子や木地雅映子に匹敵すると言っても過言ではない…いや、決して伊達や酔狂で言っているのではないのだ。私は本気だ。昭和三十年代の探偵スリラー小説に、ガガンと感銘を受けてしまったのだ。本当に園田てる子がこんなに面白いなんて、思ってもみなかったのだ。本は、読んでみないとわからぬものだ…。

そして本日は吉祥寺と仙川の中間辺りとも言える新川に午後イチに流れ着いてしまったので、バスに飛び乗り、すでに大勢の人の賑わいを取り戻した吉祥寺まで出る。まずは「よみた屋」(2014/08/29参照)に駆け寄り、金の星社「少女・世界推理名作選集10 のろわれた屋敷/ラインバード作」ゼネラルプロダクツ「トップをねらえ!絵コンテ集 第六巻」学研「6年の学習 読み物特集号」「5年の学習 読み物特集号」を計440円で購入する。6年には加納一朗の推理物『百万に四つ』が、5年には大好きな須知徳平のユーモア推理『めい探偵出動』が載っている。こちらは表紙絵が湯村輝彦なのもスゴい。
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さらに「古本センター」(2013/07/01参照)にも立ち寄り、大塚巧藝社「ジュサブロー展」を150円で購入する。1992年に開かれた人形師・辻村ジュサブロー展の図録である。人形劇『新八犬伝』の伏姫・八房・犬山道節・犬阪毛野・犬村角太郎が載っているのが嬉しい。
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2020年05月29日

5/29古本屋さんを陣中見舞いする。

午前のうちに「犯罪の足音/岡田鯱彦」を読了する。伊豆の小村に療養に来ていた、何の役にも立たない、病み上がりのひ弱な学生素人探偵の、事件の出来に心も体も振り回されまくる、微妙な狂言回し的活躍を描いた、読みやす〜い長編探偵小説であった。他にも短篇が三編収録されており、最後の『雪の夜語り』が特に面白かった。ちょっと夢野久作を思わせる、子供時代の小さな犯罪から巻き起こる、悲劇と幸福かもしれない結末がリリカルに展開する。そしてすぐさま「第三の情事/園田てる子」に手を出してしまう。序文が江戸川乱歩で、『ラナ・ターナー事件(女優ラナの愛人を娘が殺害)を思わせる』とのこと。では読んでみましょう…。
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本日は午後に外出し、西荻窪に出たついでに営業開始準備中の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)を陣中見舞い。電気の流れていない自動ドアを開けて、奥の帳場に座る店主・小野氏に声をかけてから、薄暗い通路を通って入り込んで行く。おっ、番台周りにはすでに感染予防のビニールシートが張り巡らされており、いつでもお店を開けられるようになっている。この休業の間、日々の些事を淡々とこなしながら、棚にも随分手を入れたとのこと。色々お互いの近況を報告し合い(何たって会うのは一ヶ月ぶり)、古本屋さんについてもあれこれ話し合う。さらにすっかり整理の進んだ裏の倉庫も見せてもらい、見慣れぬ在庫用の棚を堪能する。帰りはぐるっと迂回して「古書音羽館」(2009/06/04参照)を経由し、『お好きな本一冊お持ち下さい』木箱の中から、ほるぷ出版「海島冒険綺譚 海底軍艦/押川春浪」をいただくことにする。ありがとうございます。『女子大通り』を駅に向かっていると、「森田書店」の片方のシャッターが少し上げられている現場に出くわす。おぉっ!店内には、まだ古本がこんなに犇めいているのか…一度でいいから、店内に入って買物がしてみたかったなぁ…。
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2020年05月28日

5/28高円寺の戦前のお店。

本日は三鷹市役所にほど近い下連雀の果てに流れ着く。マスクで息を荒らげながら吉祥寺駅にたどり着き、まずは「古本センター」(2013/07/01参照)で朝日新聞社「明石原人の発見 聞き書き・直良信夫伝/高橋徹」を80円で購入する。さらに「よみた屋」(2014/08/29参照)に足を延ばすと、おぉ!今日は店頭に古書がバラバラ出されているな、と気付く。おかげで古本心をトキメカせながら、二冊を選ぶ。伸展社「嶮しき快癒/ジヤン・ポオラン 堀口大學譯」(函ナシ。限定700部の563番)東都三笠書房「百鬼園隨筆/内田百闕」(函ナシ。昭和十年の改装初版)を計660円で購入する。「百鬼園隨筆」は、後見返しに古い古書店ラベルが貼り付いているのだが、「紙魚屋書店」というイカした名のお店である。『目黒区自由ケ丘本通り』と『杉並高円寺元町(通信学校)通』とあるので、どうやら二店あったようだ。『元町(通信学校)通』は、調べてみると、これは今の駅北口の『中通り』のことであった。戦前に陸軍の学校が『馬橋小学校』の辺りにあったからなのだが、昭和十四年には移転し、さらに戦後に『通信学校通り』は『馬橋中通り』に改められたと言う…ということは、この古書店ラベルは戦前のものの可能性が。どうりで「中央線古本屋合算地図」(昭和三十年〜平成二十九年の間に存在した古本屋さんを集めている)に載っていないわけだ。
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そして家に帰ると、物質感たっぷりのヤフオク落札品が届いていた。手洗いうがいを済ませ、中身を取り出す。光風社「犯罪の足音/岡田鯱彦」(カバーナシ。貸本仕様。傷みアリ)東京ライフ社「第三の情事/園田てる子」の二冊である。計4120円にて落札。魅力あふれる佇まいに、思わず笑顔がこぼれてしまう。元々両方とも落札出来るとは思わず、『まぁこのくらいまで入れておいて、どちらかが落ちればラッキーだろ』くらいに思っていたのだが、何の因果か二冊とも多少の競り合いの後、落札出来てしまったのであった…嬉しいのだが、なんだか予想外の結果である。ともに本の地・天・小口に貸本屋の印があり、「犯罪の足音」は背が取れかけているが、これはどうにか補修出来るだろう。「第三の情事」の状態は、それほど悪くない。さぁ、どちらから読もうかな…ここはやはり「犯罪の足音」からか…これでしばらくは、昭和三十年代のスリラー小説世界に、溺れることになりそうだ。ブクブクブク。
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2020年05月27日

5/27東京・国立 移転、みちくさ書店!

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本日は国立の光町に流れ着き、広大な敷地を持つ研究施設『鉄道総合技術研究所』の、七十年代的に古いままの研究棟や、フェンスの向こうに見え隠れする所内路線に心奪われる。そして駅南口に出ると、ロータリー前に建つ『旧国立駅舎』の裏側。そのままロータリーの東側をなぞるように南に進む。雑居ビル一階の通路にあった「みちくさ書店」(2009/05/06参照)はすでに姿を消し、本棚がすっかり取り去られているので、ビルとビルの隙間から外光が落ちて来ている…とてもここに古本屋さんがあったとは思えない光景だ。そんなことを思いながらさらに南に進み、『旭通り』に一瞬入るや否や、鋭角に東に折れ曲がる。すると行く手左手に緑色の『国立デパート』の看板が直ぐに見える。近付いて行くと、集合住宅の一階が『国立デパート』という回廊式のミニ商店街になっている。広いエントランスには『本』の立看板が出されており、『みちくさ書店 すぐここ奥→』と書かれている。そう、先ほどのビル通路の「みちくさ書店」が『国立デパート』内に移転し、すでに営業を始めているのである。奥の壁に架かっている『デパート案内』にも、すでに「みちくさ書店」の名が加えられている。左側の小さな通路にそそくさと進むと、洋服屋さんの隣りに、すぐに古本棚が見えて来た。通路の壁には、手前に絵本ラックと横長のLPレコード箱、そして入口を挟んで奥に時代劇文庫と日本文学文庫棚が五本連なっている。中に進むと長方形のシンプルな空間。壁際をぐるっと十九本の本棚が取り囲み、入口向かい辺りにビニールカーテンを巡らせた帳場が据えられている。入口左横から、日本純文学文庫・岩波文庫・講談社学術&文芸文庫・ちくま文庫・新書・海外文学文庫・海外文学・詩集・サブカル&アングラ・アート・現代思想・社会・哲学・民俗学・風俗・宗教・アジア・歴史とぐるっと続き、帳場を挟んで絵本・実用・教育・CD・映画・漫画研究・音楽・句歌・落語と並ぶ。足元には大判用の棚も巡らされ、その上部は平台となっている。とてもオーソドックスな、幅広い街の古本屋さんと言った感じである。値段は普通。このロケーションは大いに好みである。すでにお客さんが常に流れて来るような状態なので、常連さんには定着し始めているようだ。これからも国立の駅前を、古本でお守り下さい!創元ライブラリ「物語の迷宮 ミステリーの詩学/山路龍天・松島征・原田邦夫」を250円で購入する。
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2020年05月26日

5/26二か月ぶりに大阪に古本を送る。

国の緊急事態宣言は解除され、都の休業要請も次第に緩くなって行くので、古本屋さんも徐々に営業再開するお店が、増え始めて行くのだろう。元々休業要請が5/31までになっていたので、何故か前倒しになった緊急事態宣言解除に、急遽対応出来るわけもないので、古本屋さん巡りが自由に出来るのは、まだちょっと先のことになりそうだ。それに何だか疑似科学のようなデータを基にして、様々な事柄が強制スクロールされているので、どうも油断ならない感じが、常に暗雲のように身の周りに立ちこめている。…まぁ変わらず手洗いうがいを励行し、マスクを着用して、感染予防に努め続けるしかないか…。宣言が出されてから、やはり様々に行動が制限されたので、その記録も兼ねて、宣言が終了するまで毎日ブログを書き続けようと決心し、無事に一日も欠かす事無くアタフタと四十八日を駆け抜けられたのは、幸いであった。文章が長かろうが短かろうが、意味があろうがなかろうが、様々なことを書き連ねることにより、奇妙で緊張感のある非日常の中で生きるためのバランスを、保っていたのかもしれない。古本屋さんだけに限らず、読んだ本や観た映画について書くのは、なかなか楽しい行動であった。これからは、このコロナ禍のせいで、生活様式の変化を強いられるだろうが、ずっと持ち続けて来た、古本屋さんと古本と戯れたい気持ちは決して変わりはしないので、これからもそんな気持ちを偽らずに、なんやかんや書いて行くつもりである。

大阪ではすでに21日に緊急事態宣言が解除されていたので、古本販売をさせてもらっている「梅田蔦屋書店」も、すでに営業を再開した。だが駅ビル内では閉まっているテナントもまだ多く、客足も当然鈍いので、すぐに二ヶ月前の状態に復するというわけにはいかないようだ。だが、担当の古書コンシェルジュさんから、早速『起爆剤としての補充本を!』とご依頼いただいたので、五十冊ほどを厳選し、箱詰めして大阪に送り出す。良書・珍本がたくさん溜まっていたので、濃厚なラインナップとなる。署名入りもアリ。明日には到着し、近日中に古書棚に並び始めると思うので、西のみなさま、感染予防をしっかりと施し、おっとり刀で駆け付けてやって下さい!
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2020年05月25日

5/25四十八日目。

「聊齋志異」をチビリチビリ読み進めながらも、気分を変えたくてCBSソニー出版「イラストレーターは現代の絵描きだ/小林泰彦」(1979年)に手を出してしまい、読みやすいペーパーバックなので一気に読了してしまう。カット&挿絵描きや漫画家とは異なる、“イラストレーター”という新しい職業について、心構えやなり方や作品スタイルに加え、道具の選定や取材方法や仕事の取り方やギャラ交渉までを、独特の語り口で綿密に熱く語りまくっている。「MEN'S CLUB」「ヒッチコック・マガジン」「山と渓谷」「skier」などの仕事がたくさん掲載され(ヘビーデューティな半ズボンアウトドアスタイルで、アウトドア取材に勤しむ小林泰彦のモノクログラビアも多数…やっぱり似ているなぁ、小林信彦に)、それらを見ているだけでも結構楽しい。そして、雑誌類で一番最初に、自分の仕事に“イラストレーション”と付けたのは、小林泰彦らしいということを初めて知る。1961年の「ヒッチコック・マガジン」の目次クレジットを見てみると、確かにもう“イラストレーション”になっている。
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本日は午後に所用で中野へ。あっ!「古本案内処」(2015/06/13参照)の前を通りかかると、月曜定休日なのに営業しているじゃないか。そう喜んで、店頭棚にあった早川書房日本SFシリーズ「48億の妄想」「馬の首風雲録」ともに筒井康隆を計220円で購入する。そのままテクテク『早稲田通り』を伝って高円寺に出て、こちらも店頭にアルコールを常備し、感染拡大予防に努めながら営業している「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)へ。TBSブリタニカ「雑踏の社会学/川本三郎」を100円で購入する。家に戻ると、ポストにようやく厚生労働省からの布マスクが届いていた…緊急事態宣言が出てから四十八日目…そしてもうすぐその宣言は解除される予定………。
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2020年05月24日

5/24四十七日目。

さて、これからは、家で何をメインに読み耽ろうか…と、枕頭の古本山から抜き出したのは、読みかけのまましばらく放置していた、大正十三年刊の玄文社「世界怪奇叢書1 聊齋志異/柴田天馬」。古い古い支那を舞台にした、人と鬼(ゆうれい)が、理を超えて共存し情交する、妙に心温まる怪異譚を集めた一冊である。様々な怪談の元ネタであり、その面白さは無類である。この本では、訳文に漢文のような単語や故事が多く混じり、それぞれに言葉や故事の訳とも言える意味のルビが振られているのだ。
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なので多少は読み難いのだが(半分はルビを読んで読み進めているようなものだ)、それがまた当時の国と時代の風景を想起させ、貧弱な知識をフォローしてくれるので、大変に美味しい味が沁み出ているのである。…それにしても鬼(ゆうれい)にはやたら魅力的な美人が多いなぁ…。

そして本日は阿佐ヶ谷と高円寺の中間に流れ着いてしまったので、わざわざ高円寺方面に出て、もはや通常の人波が溢れる『庚申通り』の「DORAMA高円寺庚申通り店」を訪れる。おっ、今日は古本が20%オフなのか。そう喜んで、店内棚脇のちょっと古い文学本棚から、中央公論社「ミシンと蝙蝠傘/稲垣足穂」を選んで352円で購入する。
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2020年05月23日

5/23四十六日目。

またも「夜歩く/横溝正史」の話で申し訳ないが、昨晩無事に読了し、驚愕する。金庫の中に封印された妖刀村正を兇器として使用したトリックの種明かしに虚を盛大に突かれると同時に、こ、こ、この全体のトリックは、◯リ◯テ◯の「ア◯ロ◯ド◯し」ではないですか…横溝センセイ!と夜の曇り空に咆哮する。あぁ、面白かった。ちなみに読み進めていると、“鬼首村”の由来についての記述が出現し、『四道街道の事跡に由来しているのであろうといわれている。当時、将軍にはむかった賊はすべて鬼と目されていたところから、この地方でも、賊の首魁かなにかが首をはねられ、どこかに埋められたのだろうと伝えられている』とあった。映画『悪魔の手毬唄』で語られた鬼首村の由来とは異なっているようだ(都から来た呪言師が惨殺されて首をはねられ、その首が災いをもたらし、村を焼き尽くした…というようなお話だった気が…)。

本日はお昼過ぎに南阿佐ヶ谷に流れ着いてしまったので、もはやたくさんのマスク姿の人で賑わってしまっている『パール商店街』に入り込み、昨日の行動をなぞるようにして「ブックオフ南阿佐ヶ谷店」へ。光文社文庫「神津恭介セレクション2 神津恭介、犯罪の蔭に女あり/高木彬光」を110円で購入する。さらに駅前に出て、北口の、ここ最近お世話になりまくっている「千章堂書店」(2009/12/29参照)へ。店頭では何も見つからなかったので、店内を諦め悪くウロウロし、左壁棚奥の古書の多い文学本ゾーンで、六合書院「大江戸捕物秘帖/阪東逸平」という見知らぬ作家の戦中の捕物帳仙花紙本を見つけたので、千円で購入する。本文肩が右ページはタイトル通りの『大江戸捕物秘帖』になっているが、左ページには『捕物日本晴れ』と入っている。そんなタイトルなぞ、何処にも出て来やしないのに。
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果たして面白いのだろうか…。
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2020年05月22日

5/22四十五日目。

「夜歩く/横溝正史」を読み進めている。物語も後半に差し掛かり、舞台は突然東京・小金井から、岡山の山奥に移動することになった。突然横溝らしさが増した感あり。狂言回しの三流探偵小説家が汽車で移動中に出会う形で、金田一耕助がようやく登場する。そして目的地へと向かう駅前で、金田一がこんなことを言うのだ。「ひょっとするとあなたがたは、鬼首村の古神さんのところへおいでになるのではありませんか」…ありゃりゃりゃ、“鬼首村”だって!? 鬼首村って言ったら、「悪魔の手鞠唄」の舞台になる村じゃないか。ということは、由良家と仁礼家に加え、呪われた血統を持つ古神家もそこで勢力を奮っていたのだろうか?…あぁ恐ろしい三つ巴だ…そんなばかな!と、慌てて角川文庫「悪魔の手鞠唄」を引き出し、鬼首村について確認してみる。すると冒頭の『鬼首村手鞠唄考』にこう書かれていた。『そこは兵庫県と岡山県の県境にあたっており、瀬戸内海の海岸線からわずか七里たらずの距離だけれど、四方を山にかこまれて、あらゆる重要交通網から見はなされた、文字どおりの山間の盆地である』とあるではないか。「夜歩く」の鬼首村は、旧領主の古神家が岡山県と鳥取県の境にある山間部落などを所領地とし、姫路から伯備線の新見に出る姫新線(北寄りの山岳地帯を縫って県下を横断)のK駅から、さらに三里離れた山奥となっている。…これは、もはや全然違う村ではないか。同名異村というこか…。「夜歩く」が昭和28〜29年、「悪魔の手鞠唄」が昭和32〜34年の連載なので、「夜歩く」の鬼首村が先輩でということになる。横溝センセイが鬼首村を気に入って、名前だけ再登場させたのだろうか。ちなみに鬼首村は『おにこべむら』と発音するが、正確には『おにこうべむら』と読むのが本当だそうである(角川映画『悪魔の手鞠唄』で、湯に入っていた金田一が郷土史家のお庄屋さんに声をかけられ「鬼の首と書いて『おにこべむら』と呼ぶんだそうですね」「『お・に・こ・う・べ・む・ら』が正しい」とやり取りするのだが、私は一人でこの一連のやり取りを真似するほど、このシーンが大好きである)。
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そんなことに朝から思考をムダに巡らせながら、午後に郵便を出すついでに「千章堂書店」(2009/12/29参照)へ。偕成社「小さな町の風景/杉みき子」新潮社「アルプスの谷 アルプスの村/新田次郎」を計200円で購入する。「アルプスの谷〜」の後見返しには、熊本「舒文堂河島書店」(2008/12/21参照)の古書店ラベルあり。阿佐ヶ谷の小さなアーケード街の片隅で、ハロー熊本!
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さらに『パール商店街』をタッタカ南下して、珍しく「ブックオフ阿佐ヶ谷南店」に飛び込む。講談社文芸文庫「白兎 苦いお茶 無門庵/木山捷平」鹿島出版会「明治の夜明け クルト・ネットーのスケッチより/鹿島卯女編」を計630円で購入する。
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2020年05月21日

5/21四十四日目。

さて、昨日届いた、大元はドイル『六つのナポレオン像』である大下宇陀児『六人の眠人形』パチ物コミカライズ「なぞのねむり人形」について、早速ホームズ研究家・北原尚彦氏に報告すると、偶然にも最近入手したとの報告アリ…や、やはり、氏の案件アンテナの精度と確度、恐るべし!と心底恐れ入ってしまう。氏もやはり『タイトルで「まさか「六人の眠人形」が原作では……まさかね……」と買ったら、そうだったのです』ということであった。……この世界には、「なぞのねむり人形」というタイトルを見て、「六人の眠人形」を連想する人間が、少なくとも二人いることが判明したわけであります。ちなみに北原氏は、次号の東京創元社「ミステリーズ!」の『ホームズ書録』で、「なぞのねむり人形」+もうひとつの「六つのナポレオン像」を元にした新発見漫画について執筆されているそうである。これは、次号を刮目して待たなければ!それにしても『六つのナポレオン像』は、もしかしたら『赤毛連盟』に次いで、元ネタに使用されることが多いのではないだろうか…。

本日は吉祥寺の北に流れ着いたので、いつものように駅方面に出て、まずは「古本センター」(2013/07/01参照)に潜入する。いつものように処分品棚から二冊を掴み、素早く精算。エディター叢書「絵本の与え方/渡辺茂男」早川書房「アントニイ・バージェス選集2 時計じかけのオレンジ」を計160円で購入する。続いてさらにいつものように「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。店頭棚に結構人が食らいついているなぁ…と言うわけで人との距離に気を遣いつつ、本の背を精査して行く…ほっほぅ、函はないが新作社の小型本「四季旅行小曲詩集 水を歩みて/佐藤惣之助」なんていう大正時代の詩集が!…おぉ、300均棚に初版の筑摩書房「ちくま少年文学感館4 光車よ、まわれ!」が!といつものようにウホウホし、入口で手指をアルコール消毒してからカッパノベルス「雪の炎/新田次郎」とともに計550円で購入する。
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さあ皆さんご一緒に。光車よ、まわれぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
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2020年05月20日

5/20四十三日目。

いつも『何か面白い古本はないか?』『誰も気づいていなくて、スタートが安値の逸品・珍品はないか?』と、浅ましくヤフオクをパトロールしている。だがまぁ、例えそんなものを見つけたとしても、九割の確率で、たいがいは、終了間際にド強力なライバルがワンサカ出現し、あっという間に指の間から擦り抜けて行ってしまうのだ。だが、楽しい古本を求める心は、常に暗い頭蓋の中で、常夜灯のように輝いているので、そう簡単にめげたり、最初からニヒルに諦めたりするわけにはいかないのだ。今日もポストに、そんな愚かな苦労と闘いを経た落札品が届いていた。小学館昭和33年「小学四年生12月号ふろく たんていまんが なぞのねむり人形/斉藤あきら」である。
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斉藤あきらは杉浦茂のお弟子さんの漫画家である(なんと86歳の現在も現役で「まんだらけZENBU」に『漫画仕事人参上!』を連載している)。だが、そんなことはどうでもよい。問題はこのタイトルだ。「なぞのねむり人形」…これはもしかしたら、大下宇陀児の短編少女探偵小説『六人の眠人形』のコミカライズなのではないだろうか?そんなことを想像し、ライバルナシの1600円で落札する。表紙は主人公の女の子が、友達が襲われている場面の絵を支え持つという、シュールな構成。表2には登場人物紹介とともに『四つのねむり人形をめぐってつぎつぎにおこるかいじけん。人形にかくされたひみつとはいったいなにか??』と書かれている。ちょっと人形の数が少なくなっているが、付録漫画のページ数に合わせて削減したのかもしれない。杉浦茂タッチと劇画風タッチが入り交じる不思議な絵柄で、物語は古いギャグを挟んで進行…四人の少女が友情の記念にお揃いで買ったねむり人形が、次々と怪人に盗まれ奪われ壊されてゆく…少女たちが主人公だし、狙われる対象が何たって“ねむり人形(起こしている時は目が開いているが、寝かすと目瞼が閉じる、プチからくり人形)”だ。こりゃやっぱり『六つの眠人形』が元だろうな。ということは、ドイルのホームズ物『六つのナポレオン像』が、さらにその元ということになる。大下宇陀児のコミカライズ(まぁパチ物なのですが)というのも珍しいが、つまりは完全な北原案件ではないか。というわけで、ホームズ研究家・北原氏はこの付録漫画をご存知であろうか?早速御注進してみることにしよう。その結果やいかに!?
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壊されてますな…悲しんでますな…。
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2020年05月19日

5/19四十二日目。

早朝からの一仕事を終え、ことあるごとに摘み読みしていた東都我刊我書房「ハルピンお龍行状記/城崎龍子(潮寒二)」を読了する。短篇連作は、最終的に満州の秘宝や赤化戦略が絡んで来たりと、女掏摸もののスケールを超える怒濤の展開を見せる。それに続く外伝の三作は、お色気抜きの純粋な掏摸ものコントであった。そう言えば、“地下鉄サム”“エンコの六”“地下鉄伸公”以外にも、久山秀子の“隼お秀”という掏摸ヒロインがいたことを、ようやく思い出す。さて、次は何を読み始めようかと古本の山を漁っていると、昨日買った『人形佐七捕物帳シリーズ』の4巻が出て来た…うわ、奥付があるけど、これは『T蔵書』だったか…とそっと古本の山に戻す。すると、その山の下の方にあったボロボロの本に目が行く。ウンコラセと引き出してみると、貸本仕様の貼付けカバーの背が欠落してしまっている、東方社「夜歩く/横溝正史」であった。よし、ここで会ったが百年目だ。ちょっと手を出してみるか…小金井の和洋折衷の巨大な“みどり御殿”で巻き起こる、古神一族の大惨劇!美男の傴僂画家!迫り来る近親婚!夢遊病!妖刀村正!妖女!明かずの窓!…うひゃぁ、次から次へと軽快に怪奇趣味が、劣化した茶色い紙の上を疾走して行く…こんなのばっかり読んでいて、私は大丈夫なのだろうか…。
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本当にボロボロなのだが、イカしたカバー絵がしっかりと遺跡のように残っている。

細かな雨が降り続ける夕方に外出し、駅頭で受け取り&打ち合わせ。ビジュアルをお手伝いした、出来上がったばかりの怪しい妖しい本、念黝之神根院書局「Kの書/クラーク・アシュトン・スミス」を受け取る。名前の通り、黒く鱗が浮かび上がる意匠。アメリカの怪奇ファンタジー小説パルプマガジン「ウィアード・テールズ」で活躍した、怪奇幻想作家の創作ノートの初翻訳である。小説の梗概に濃厚に漂う、ファンタジーRPG&ダンジョンの薫りに興奮必至!クトゥルー方面にも近しいので、そちらが好きな方も楽しめること請け合い。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)通販サイトや、中野「まんだらけ海馬」(2014/02/15参照)でお求めいただけます!
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2020年05月18日

5/18四十一日目。

午前のうちに「就眠儀式」を読了する。心理学・医学・解剖学の知識が散りばめられた、木々高太郎らしい、純文学と探偵小説の融合を目指した短篇小説集であった(ちなみに「眠り人形」に続く二冊目の著書である)。医学生が単位を落としそうになり、解剖用の首を下宿に持ち帰ってまで研究することから巻き起こる事件を描いた『醫学生と首』が、登場キャラクターも(未亡人の糸子さん、素敵!)、物語の運びも、小さな風呂敷の畳み方も秀逸で、とてもバランスの良い佳品であった。巻末に自社広告『改造社版好評探偵小説書目』があり、その筆頭は江戸川亂歩の「孤島の鬼」。
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これは出てくれば、必ず恐ろしいほどのド高値を呼ぶ、垂涎のレア本である…。あぁっ!改造文庫「血染めのパイプ/甲賀三郎」が「血染めのパイム」になっちゃってる!この「血染めのパイプ」は、随分前に一度「盛林堂書房」さん(2012/01/06参照)で見せてもらったことがあるが、ちゃんと改造文庫特有の布装幀の文庫本であった…と、ここまで書いて思い出す…確か、あまりに珍しいので撮らせてもらった写真が、ケータイの中に入っているかも…と考え、しばらく写真データを検索しまくる。あったあった。見せてもらったのは、今から三年も前なのか。それにしても文庫本の分際で、この書目に入ってるのが、何とも不思議な扱いである。
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午後、五月雨の中を阿佐ヶ谷まで買物。そのついでに「千章堂書店」(2009/12/29参照)を覗く。講談社「人形佐七捕物帳シリーズ=2 くらやみ婿/横溝正史」を550円で購入し、とっとと帰宅する。
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2020年05月17日

5/17四十日目。

雨上がりの蒸し暑い霧の街を行き、お昼過ぎに荻窪に流れ着く。駅方面に向かい、裏町の「藍書店」(2018/12/29参照)へ顔を出す。扉が閉まっていると灯ったら、ご主人が昼食を買って戻り、鍵を開けて扉を開け放った。幻冬舎「色について語ってはいけない/im product 構成デザイン・原研哉 文・原田宗典」を110円で購入する。家にスタコラ戻り、手洗いうがいを済ませて、昨日買ってちょっと一ページ目を開いたら、『參謀本部編簒の地圖を又繰り開いて見るでもなかろう、と思ったけれども餘りの道じゃから…』という一行目にたちまち本の中に投げ込まれてしまった「高野聖/鏡花」の続きを読み耽る。またしても寄り道読書であるが、面白いので致し方ない…。物語の語り手が、鉄道車中で偶然出会った上人と旅の道連れとなり、宿を共にした時、何故かうつ伏せでしか寝られぬという上人から聞く、飛騨の山中での奇妙な一夜…幻想文学の名作として譽れ高いが、恥ずかしながら読むのは初めてである。誌面復刻本なので、明治の雰囲気は抜群。鏡花の深山と山水の描写が、玄妙で透き通った清水のように冴えに冴えまくっているのが素晴らしい。いつものように時々何を語っているのか見失う鏡花特有の文体に振り回されながらも、本道だけは見失わずに夕方に読了する。ぐむむむむ、本当に素晴らしい、異常な幻想譚である。血を吸われまくる蛭の森と長虫(蛇)が蔓延る道を抜けて出会う、マヨイガのような深山の一軒家の美女。その周囲に潜む多数の謎めいた畜生たち。驚くべき美女の能力と異類との交流。蔦や小動物や獣が編み込まれた飾り縁越し、怪奇な物語がゆるゆるとにこれはまるで、鏡花版『モロー博士の島』ではないか(ウェルズ『モロー博士の島』は1896年、『高野聖』は1900年の発表)!あぁ、この畜生の女王に、清水で身体を洗ってもらいたい誘惑には、どうにも抗いかねる…。ちなみに蛭に吸われまくった身体を、衣を纏ったまま清水で洗おうとする上人が、美女にたちまち衣を脱がされてしまい『然も婦人の前、蝸牛(まいまいつぶろ)が城を明け渡したようで』と表現するのが、物凄く微笑ましい。
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口絵は鏑木清方。実はこの馬は……う、売らないで!も、戻してあげて!
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2020年05月16日

5/16三十九日目。

本日は次第に激しくなる五月の雨の中を彷徨い、吉祥寺の北に流れ着く。絶対に風邪をひかぬよう気をつけなければ…そう思いつつ駅方面に出て、素早く古本屋さんを見て回る。そうか、「バサラブックス」(2015/03/28参照)は、今は土日を休みにしているのか。そう気付いてさらに駅に接近し、「古本センター」(2013/07/01参照)の処分棚に齧り付く。おぉ、2010年の『東京都写真美術館』の図録「メモワール/古屋誠一」が150円!イタダキマス!と即座にビニールカーテン越しに購入する。そのまま駅を通過して「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。店頭棚にはビニールシートが雨除けに掛けられている。雨がドシャバシャと酷くなって来たので、本を濡らさぬよう注意を払いながら三冊の本を手にする。ハヤカワポケミス「殺人狂想曲/J・H・チェイス 田中小実昌訳」福音館書店「おしゃべりなたまごやき/寺村輝夫作・長新太画」ほるぷ名著複刻全集「高野聖/鏡花著」を、フェイスガード&手袋で完全防備の店員さんから計330円で購入する。そして家に震えて帰ると、何か見たこともないスゴいお酒が届いていた。桐の箱に入った『奥の松』という福島・二本松の大吟醸である。送り主はミステリ評論家&少年小説研究家の故・二上洋一氏のご家族からで、今年の二月に盛林堂ミステリアス文庫として出版された「銀の宝珠 二上洋一童話集」の、蔵書整理時の元となったノート発見と、カバーデザインのお礼としてお送りいただいたのである。こここここここここ、これは大変に美味しそうだ。大事にチビリチビリと、『銀の宝珠』をパラパラ繙きながら(「少年小説大系」シリーズでもいいな…)いただきます。ありがとうございます!ちなみに「銀の宝珠」のマイフェイバリットは、『銀座のネオンと少年』と『戦争ごっこ』&『終戦の日』です。
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2020年05月15日

5/15三十八日目。

家では木々高太郎「就眠儀式」を読み続けている。もはや後半の一篇『愁雲』を読んでいると、『判らぬが、小説にだってある。龍膽寺雄や、水谷準の、小説にだってあるではないか。』という一節が出て来て、ニンマリする。生々しい当時の時代性と言うか、完全に過ぎ去った時間が、文章の中に密封されているイメージが匂い立つのだ。時代を超えた普遍性もよいものだが、過去に留まる時代性もまたよいものだ。今日はお昼過ぎに所用で外出。ちくま文庫「紙の罠/都筑道夫」を車中読書しながら高田馬場に出る(読み始めた途端に、都筑特有のドライブ感に満ちた文章に引き込まれ、あっという間に高田馬場に着いてしまった…)。所用をこなしてから西口に出て、ビル横の、ウーバーイーツの配達員さんがたくさん屯している裏坂道を下って行く。神田川を渡り「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)へ。奥の奥の古書売場にズンズカ進むと、しばらく来ていなかったせいか、棚が少し入れ替わっており新鮮である。い、井上靖が大量に…。均一コーナーもプレミアコーナーも丁寧に一冊ずつ眺め、二冊を手にする。河出書房新社「エッセイ集 暗中模索中/横尾忠則」CBSソニー出版「イラストレーターは現代の絵描きだ/小林泰彦」を計2090円で購入する。
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ともにプレミアコーナーから抜き出したが、この二冊がこの値段なら割安と言えよう。小林泰彦の方はペーパーバックスタイルのイラストレーター指南書で、『兄と二人で作った『ヒッチコック・マガジン』』の章が嬉しい。分厚い「暗中模索中」はカバーの背に奥付がある、横尾特有のデザインに凝った本。後見返しに『篠原書店 ヨコハマ・六角橋』の古書ラベルが貼り付いている。昭和五十三年の「全国古本屋地図」で調べてみると、白楽の『六角橋商店街』にあった、近代文学に強いこじんまりとしたお店と書かれていた。ちょうど「鐡塔書院」(2008/08/15参照)の向かい辺りか。
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2020年05月14日

5/14三十七日目。

昨晩はCSでうっかりサム・ペキンパーの映画『ワイルドバンチ』を観始めたら、止められなくなり、魂をブルンブルン震わせてたっぷりと三時間鑑賞してしまう。一歩踏み外したら崖下へ転落してしまう男たちの、銃撃が銃撃を呼ぶ残酷な血の乱戦カーニバル。もはや西部劇の範疇を、暴力的に激しく超えてしまっているのに、何故こんなにも画面が、涙腺が緩むほど美しいのか…。そんな昨日の火薬の匂いを、妄想して嗅ぎながら、お昼過ぎの西荻窪に流れ着く。強い日射しに目を眩ませながら、フラフラと歩いて「古書音羽館」(2009/06/04参照)の前を通りかかる。シャッターは上がっているが、扉は閉ざされ店内は暗く、休業中の貼紙が出されている。だがしかし、店頭には左側に雑誌箱がひとつ、中央に一列の文庫&新書箱を組み合わせた単行本箱が出されているではないか。どちらも『お好きな本一冊お持ちください』とあるので、どうやら休業期間中の、お店からの粋なサービスのようだ。では…と本の背に視線を走らせ、PIE BOOKS「サルビア東京案内/図案 セキユリヲ・文 木村衣有子」をいただくことにする。「音羽館」さん、ありがとうごぜぇやす。お店が再開したら、お礼に古本を買いに来ることにしよう。
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2020年05月13日

5/13三十六日目。

昨晩、戯れに昭和50年刊の小学館「小学六年生4月進級お祝い特大号付録 きみに挑戦…!推理探偵上級クイズ/構成・梶龍雄」に挑戦する。六年生になったつもりで、計五十の難問奇問と真剣に組み合うこと、およそ一時間…結果は三十問正解…つまりは解答率60%ということである…低いなぁ。これじゃぁとても探偵にはなれないなぁ。もちろん中には、色々端折り過ぎて展開が強引なアクロバット的珍問も散見されるのだが、とはいえ情けない結果である。よし、次の昭和49年刊の「推理探偵クイズ」で解答率を上げ、汚名を雪ぐことにしよう。
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これは表2の六田登描くコロンボ風名刑事。

本日は昼過ぎに高井戸に流れ着いたので、吉祥寺まで引き返し、古本屋さんを素早く訪ねる。そうだ、念のため「よみた屋」を見て行こう…と足を運んだら、おぉっ、営業再開している!こいつは目出度いぞ!前は入口近くに、置かれていた新書ラックが歩道側に移動し、入口は換気のために大きく開け放たれ、手指消毒用アルコールと、入店用マスクが常備されている。そして帳場周りには飛沫避けのビニールシートが巡らされ、お金を置くトレイが代金用とお釣り用に分けられている。そんな予防体勢を確認してから、久しぶりの均一店頭棚に熱い視線をジャバジャバ注ぐ。理論社「海のコウモリ/山下明生作・宇野亜喜良絵」冨山房「まよなかのパーティー/フィリッパ・ピアス」東京美術院「海紅●なよたけ集●感情装飾集/篠田英之介」を計330円で購入する。普通に古本が買えるって、やはり素晴らしいことだな。

本日の朝日新聞朝刊の耕論『新型コロナ それぞれの「要と急」』に、沖縄の「市場の古本屋 ウララ」さん(2013/10/21参照)が聞き書きで登場している。古本屋さんは、お客さんによって“不要”が“要”に変化し買われるまで、本を棚にじっくり蔵する“不急”な商売……だから店内や本には、待ちぼうけた時間が時にロマンチックに、時に懐かしく黴臭く降り積もっているのだろうか。色んな古本屋さんに自由に行けて、好きな古本を存分に買える日が、一刻も早く戻って来ますように。
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2020年05月12日

5/12三十五日目。

今日もおとなしく巣ごもりを続け、まずは昨日から横道に逸れて手を出してしまった、戦前のハリウッドで東洋人役(日本人を除く)を演じまくった性格俳優・上山草人の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』とも言える「素顔のハリウッド」を読了する。ダグラス・フェアバンクスに見出され、華やかなハリウッドの住人となり、映画界の内幕やそこに蠢く己と人々を活写した一冊。『支那の鸚鵡』では、探偵チャアリイ・チャンを演じていたのか…ずいぶんとやせぎすなチャアリイ・チャンだ。また、当時製作された探偵映画の半分くらいには、謎の東洋人として出演していたとのこと…『ノックスの十戒』に抵触していますな…。
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本文モノクログラビア『草人扮装・表情集』…みんな素敵に同じじゃないか!草人は総入れ歯で、役柄により入れ歯を替え、顔の形を変化させていたとのこと…でもどう見てもどれもやはり容貌魁偉な草人!だがその分かりやすさが、人気の秘密でもあるのだ。ちなみに左ページ左上の一枚がチャアリイ・チャンである。

そして昼食を摂った後、ついついNHKBSの映画『新幹線大爆破』を鑑賞してしまう。本当に画面から目が離せない、二時間半のノンストップ・クライム・アクション。新幹線に80km以下にスピードが落ちると起動する爆弾を仕掛け、乗客を人質に身代金を奪おうとするのが背骨のお話。東京から博多に到達するまでに、爆弾を解除して新幹線を停めたい国鉄&警察の思惑と、捕まらずに身代金を手に入れたい犯人グループの思惑が、激しく様々なエピソードを積み重ねて交錯し、一瞬たりとも目が離せないのである。ほぼ主役の宇津井健の大熱演とか、高倉健がバイクのヘルメットを被ったまま電話したりとか(相手の声が聴こえないでしょ!)乗客のひとりが爆破のプレッシャーに耐えかねて狂ったように『♪ビュワ〜ンビュワ〜ンはっしるぅ〜、あおいひかりのちょうとっきゅう〜♪』と歌い出すところとか、見どころたくさん。それにしても、千葉真一と小林稔侍が運転士の新幹線には、決して乗りたくないものだ。ちなみに所々出来の良い特撮パートは、成田亨が務めている。

そしてそろそろ発売の「本の雑誌 積読くずし留守番号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、西武多摩川線に乗って新小金井の「尾花屋」を訪問。ここで安値の絵本や児童文学を漁るのは、いつ何時でも無上の喜びであります。今はコロナ禍で残念ながら協力休業中だが、営業再開後は、またすぐにでも漁りに行きたい!行きたい!行きたい!
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