2020年07月30日

7/30「古書ワルツ荻窪店」は明日から通常営業らしい。

今日も何故か武蔵小金井に流れ着いてしまうが、随分南の国分寺崖線の谷底だったので、てくてく地道に東に向かい、西武多摩川線沿いに谷から脱出し、新小金井に姿を現す。「尾花屋」(2017/06/15参照)を楽しんで行こうと思ったら、残念ながら今日はお休みの模様。がっかりしながら北に歩き始め、閉店してしまった「BOOK・ノーム」(2020/03/24参照)跡地を寂しく眺めて東小金井に出て、中央線で帰路に着く。やがて荻窪駅を出てから、いつものように「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/19参照)の開店進捗状況を確認しようと、首を捻って車窓を熱心に眺めていると、あっ!店頭に本棚が出ている。開いているじゃないか!と驚き、阿佐ヶ谷駅に着くや否やダッシュでホームを移り総武線下りに乗り換えて、荻窪に逆戻りする。ハァハァしながら店頭に立つと、端には開店祝いの立花が置かれている。ほぉ、送り主は『ささま書店一同』…くぅ、何だか泣かせるなぁ。そして店内通路側は以前と同じだが、帳場奥の結束本の海だったスペースも今や開放され、三間円の壁棚と四本の低めの通路棚が新たに出現している。そのすべては基本的に古本市的ジャンル超越カオス安値棚である(ただし大判本ゾーンやCDゾーンあり)。何が潜んでいるかわからぬ棚を丁寧に丁寧に見て行く。棚の下方は蹲踞の姿勢でしゃがみ込み、どんな本でも見逃さぬよう…そんなことをしていると、あっという間に時間が経過してしまうのであった…た、楽しいが、真剣になればなるほど疲労が…だが、やめられぬ…そんな風に店内に四十分ほど滞留し、文藝春秋社「指と眼と鍵/樫原一郎」(カバーナシ)大東亞社「無敵潜水艦/海軍中佐古橋才次郎監修」(カバーナシ)青土社「猫の国ったら猫だらけ/吉行理絵編 滑川公一画」(猫好き吉行が集めた猫の詩アンソロジー。タイトルは収録の一作、岸田衿子の『あさっておいで』から採られている)を計1430円で購入する。途中一人のお客さんがお店の人に「書道の本はありませんか?」と聞くと「まだ、そういう専門的な棚を作っていないんですよ。すみません」…ということは、一部は今の状態と異なる、専門ジャンル棚をいずれは設置するということだろうか?そして調べてみると、「古書ワルツ荻窪店」の通常営業は、明日からということらしい。いよいよお試し不定期営業期間を乗り越え、火曜定休の本格営業に突入…早速馬鹿みたいに定点観測しに行くことにしよう。
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そして阿佐ヶ谷では、閉店してしまった「ゆたか。書房」(2020/06/18参照)の、シャッターに貼られていた『閉店のお知らせ』の貼紙が消えてしまった。この慣れ親しんだ看板も、消える日がいよいよ近付いているということか…。
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2020年07月29日

7/29計830円也!

昨日は精選した二十冊強の古本を大阪に向けて送る。探偵小説のエッセンス強めですが、いつものように役に立たないような奇妙な面白い本も潜ませてあります。それにしてもふと思えば、西のミステリ&探偵小説の雄である「ジグソーハウス」さん(2016/06/11参照)と肩を並べて古本を販売出来るというのは、何とも光栄なことである。こちらの棚の貧弱さは、力不足以外の何ものでもないが、何故か「梅田蔦屋書店」の中に生まれてしまった、謎のマニアックなミステリ&探偵小説古本ゾーンを、以後もよろしくお願いいたします。補充本はしばらくしたら、棚に並び始めることだろう。

本日は武蔵小金井に流れ着いてしまうが、坂の途中の「古本ジャンゴ」(2008/12/23参照)はお休みでシャッターを閉ざしている。というわけで、あっさりこの地を諦めて吉祥寺に飛び、ショートに古本パトロールする。「古本センター」(2013/07/01参照)では処分品棚から二玄社「世界の自動車28 フィアット/高島鎮雄」を80円で購入する。続いて「よみた屋」(2014/08/29参照)では店内50均文庫棚から、二葉玩具「ラッキーまんが ほがらかリップ/遠藤まさを」創元推理文庫「木曜の男/GKチェスタトン 吉田健一訳」を計110円で購入する。「ほがらかリップ」は昭和二十四年発行の駄玩具漫画本で、当時の値段は10円である。五倍に値上がりしていると言うわけだが、こういうものが五十円で買えるとは…。「木曜の男」は白帯がないが一応初版なので、こちらも嬉しい。そんな風に素早くパトロールを終えて阿佐ヶ谷に戻る車窓で、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/19参照)の、まだ何も書かれていない緑のテント看板が、ついに張られているのを目撃する。本格オープンが、いよいよ近付いているのだろうか…。阿佐ヶ谷では「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に迷いなく突入。萬朝報社「天人論/黒岩周六」日本文化社「江戸川乱歩 大下宇陀児 海野十三 探偵小説傑作集」を計640円で購入する。「探偵小説傑作集」は、乱歩は『鬼』、宇陀児は『烙印』、海野は何故か『痣のある女』『恐怖の廊下事件』の二篇を収録している。大体一人六十ページ強の割合なので、ほどい長さの作品が無く、揃えるために短篇二篇を収録と言う形になったのかもしれない。
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これが本日の収穫で、総額なんと830円!とっても嬉しい安さでござる!
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2020年07月27日

7/27今日も探偵小説を!

昨晩、遅ればせながら録画しておいた映画『ジョーカー』を観賞する。アメコミDC原作の映画という枠を超越した、一分の隙もない素晴らしい名画であった。すべての出来事が、ホアキン・フェニックス演じるコメディアン志望のアーサーが追いつめられる方向にベクトルを向け、ジョーカーとして暴力の才能を開花させて行く過程を克明に描いたのが、本当に見事であった。先行のシリーズ映画『ダークナイト』のヒース・レジャー演じる狂気のジョーカーと、見事な同一化を果たしていたのも、拍手喝采に値する(年齢に齟齬がある気はするが…)。ホアキンはこの作品でアカデミー主演男優賞を受賞したが、重要な脇役を務めたロバート・デ・ニーロのおいしい演技にも、ぜひとも助演男優賞を与えて欲しかった。

そんなことを考えながら、本日は午後に外出してブラブラ高円寺へ。最初に「大石書店」(2010/03/08参照)のワゴンを覗き込むと、ミリオン・ブックス初版の「小説家の休暇/三島由紀夫」が200円で売られているのを雨除けビニール越しに見つけ、ウフフフと購入する。冒頭が神田の古本屋歩きをするところから始まる、日記形式のエッセイ集である。「アニマル洋子」(2014/03/14参照)が開いていないのを悲しく確認してから、そのままズズイッと駅北側に抜け、『庚申通り』の人波をかき分ける。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)で、向かいの焼き鳥屋さんの馨しい匂いを楽しみながら店頭本を眺める。うぁっ!裸本だが、濃紫の偽革表紙に白の箔押し文字が鮮明に浮かび上がっている、三笠書房「黒いハンカチ/小沼丹」があるじゃないかっ!見返しに購入記念の記入があるが、これはとても嬉しい!まるで、バイブルか豪華な秘密出版本のようであるな、としっかりした造本に感心しながら、河出書房「あやとり続/野口広」とともに計200円で購入する。おぉ、こんなにも探偵小説(「黒いハンカチ」は推理小説と言うべきだが)づいた毎日が、何とも愛おしく素晴らしい!
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2020年07月26日

7/26探偵小説を買って九周年記念グッズを入手する。

今日も気狂い天気に存分に翻弄された後、三鷹に漂着する。すっかり濡れそぼった心と身体を慰めて貰おうと、「りんてん舎」(2019/03/30参照)に直行する。雨のために店内に引き込まれた木箱を覗き込みながら、棚にも油断なく目を配って行く…結果、右端通路の詩の棚から指月社「鳥居昌三詩集」を見つけたので、1980円で購入する。伝説の詩誌「VOU」で活躍したプラスチック・ポエム系詩人の硬質で乾いた作品集である。北園克衛のカットも収録されている。2013年にこんな本が出ていたとは…。続いてツラツラ吉祥寺に向かい、「よみた屋」(2014/08/29参照)で文化服装学院出版局「新宿散歩道/江崎誠致」(献呈署名入り)建設社「ノイエ・ザハリヒカイト文學論/武田忠哉」(函ナシ)を計220円で購入する。「ノイエ・ザハリヒカイト文學論」が110円で買えるとは、大きな拾い物である。ドイツ表現主義から現実主義へと飛躍する、文学・映画・芸術・建設などの、昭和六年刊の論考集である。そんな風に古本に癒されながら阿佐ヶ谷に帰り着き、もはや日課の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)パトロールを行う。おぉっ!茶色の探偵小説ゾーンに、江戸川乱歩・黒岩涙香・野村胡堂が新たに出現している!これこれ、これを待っていたんだ!と、胸の中に探偵小説のリズムをドロドロドンドコ轟かせながら、腕を組んで茶色い背群を目移りしながらも注視する。そして選んだのは、一号館書房「人間豹/江戸川乱歩」(表紙絵の木の枝に寝そべる豹がアンニュイで可愛いんですよ)扶桑堂「縮刷 探偵小説 死美人/黒岩涙香譯」(函ナシ)の二冊である。計2100円で購入すると、コロナ禍のせいで一月遅れになってしまったが、ようやく出来上がって来たコンコ堂九周年記念エコバッグを、二千円以上お買い上げなのでいただけることに。「ようやく出来て来たんですね!」と、探偵小説を買って古本屋グッズを手に入れた喜びに、しばしレジ前で打ち震える。
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それにしても、毎日毎日探偵小説に一喜一憂して、すみません……。
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2020年07月25日

7/25慌てて愛しの「大河堂」に駆けつける。

本日も異常なめまぐるしく変化する気候に巻込まれ、すっかり疲弊して成田東の住宅街に流れ着く。もう、このまますぐにでも家に帰りたい気分だが、今日は是が非でも経堂に行かねばならぬのだ。何故なら昨日、ミステリ評論家&翻訳家の古本神・森英俊氏より業務連絡に加え、『愛しの大河堂、先週の土曜日にのぞいてみたところ、入って右側のいちばん帳場よりのところに、昭和20〜30年代の探偵小説が何冊か入っていました』とタレコミがあったのだ。当然森氏も購入されているのだが、まだ何冊かは残っているとのこと。一週間経過しているので、望みは薄いのかもしれないが。それでも駆け付けねばならぬ!と探偵小説の血が盛大に騒ぐのだ。探偵小説の鬼が、心中で踊りまくっているのだ!というわけで、丸ノ内線で新宿まで出て、小田急線急行で経堂へ。そして木曜に入り損ねた、愛しの「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ。店頭は狂った雨模様に合わせ、シンプルな棚だけの状態になっている。オッサンがひとり中腰で微動だにせず均一を熱心に注視しているので、ここはすっ飛ばして店内へ。右側通路に入り込み、奥の壁棚中段に注目する……おぉぉぉぉ、やった。少し残っている。なるほど、確かにこれは安いな…とニヤつきながら、鱒書房「推理小説集1/江戸川乱歩・他」東都書房「道化の方舟/山田風太郎」をスパッと選び、ビニールカーテンが巡らされた帳場に持ち込む。計1130円也。わざわざやって来た甲斐がある、疲れた身体も癒される、堅実な収穫である。森さん、ありがとうございます!
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2020年07月24日

7/24スミセイ児童文庫!

昨日は午後に経堂に流れ着くが、愛しの「大河堂書店」(2009/03/26参照)は木曜は定休日。そこで豪徳寺まで歩いて「靖文堂書店」(2011/09/06参照)を見に行く。かなり久々である。本棚を見ている間に蚊に五ヶ所ほど刺されつつ、小山書店 日本探偵小説代表作集6「湖泥 他四篇/横溝正史」(函ナシ)を200円で購入する。

本日は朝から家でじっくりお仕事。そして正午前、待望のヤフオク落札品の行方を追跡すると、すでにポストに投函されているのが判明する。いそいそとポストに向かい、部屋に持ち帰る。スミセイ児童文庫「消えたおじさん/仁木悦子」である。2500円にて落札。実はこの本、去年開催された『世田谷文学館』のコレクション展『仁木悦子の肖像』(2019/07/24参照)で、ショウケースの中に見かけて以来、ずっと恋い焦がれていたのだ。どうやらノベルティ販促物らしいので、入手は困難だろうなと、基本的には諦め気味だったのが、ついに執念実りヤフオクで見つけてしまったのである。…う、嬉しい!そして実物を手にしてわかったことがある。これは、講談社『青い鳥文庫』の「消えたおじさん」を、ほぼそのまま流用している本なのだ!違う部分と言えば、カバーナシのオリジナル表紙で、扉もスミセイ児童文庫オリジナル。目次・本文・杉みき子の解説・著者&画家紹介は、青い鳥文庫とまったく同じもの。その後に感想文を書くページが二ページ、スミセイオリジナル奥付、北杜夫と立原えりかの『スミセイ児童文庫によせて』と続く。『スミセイ児童文庫』はその名からわかる通り、『住友生命保険相互会社』が出していた非売品の新書サイズの文庫シリーズである。『スミセイ児童文庫によせて』の最後には、『お届けしたのは』と名前を記入する枠があるので、外交員が子供のいる顧客にプレゼントしていたのであろう。さらにその上には、講談社が編集を担当している旨が記述されているので、青い鳥文庫からセレクトして出版していたことがわかる。うふふふふ、些細なことではあるが、やはり実物を手にすると色々わかることが、本当に楽しいな。買って良かった。
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午後、一瞬の雨が上がった後にちょっとだけ外出。「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)前を通りかかると、ぬぉっ!店頭均一棚に東京文藝社「爆風圏/海渡英祐」(カバーナシ)が挿さってるじゃないか。すぐさま確保し、これは店内の棚にこの手の本が補充されている印だなと、手指を消毒して潜入する。案の定古い探偵小説系文庫が数冊登場している。だが、どれも読んだことがあるものや持っているものなので、ここからは何も選ばず。三冊分ほどのスペースが空いているので、すでに売れてしまったものがあるようだ…やはりチェックはこまめに油断せず行わねば…。「爆風圏」とともに早川書房「探偵たちの食卓/前島純子」を計220円で購入する。
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2020年07月22日

7/22古本を買ってプレッシャーをかける。

今日はネコの目のようにクルクルクルクル変わる狂った気候に追い立てられ、練馬の関町に流れ着いてしまったので、トボトボ歩いて吉祥寺まで出る覚悟でいたら、吉祥寺駅行きのバスが通りかかったので、飛び乗りたちまち吉祥寺へ。まず「一日」(2017/08/11参照)に赴いてみると、あれれ?今日も閉まってるじゃないか…と不思議に思いつつ入口ドアに近付き、アコーディオンシャッター越しにドアに貼られた小さな貼紙に視線を注ぐ。「7/15〜から自粛休業中。姉妹店の「百年」(2008/09/25参照)は営業中」と書かれているではないか。うぉ〜、そうか。仕方ないけど、さびしいなぁ…。だが気を取り直して吉祥寺パトロールを継続し、「古本センター」では六興出版「探偵小説談林/長谷川史親」を80円で購入し、「よみた屋」では店内の50均文庫棚から角川文庫「SFジュブナイル 星の彼方のアトランティス/クリスチャン・グルニエ」を55円で購入し、阿佐ヶ谷に帰る。一旦家に戻り、豪雨が通り過ぎるのを窓越しに眺めてから再び外出。駅頭で少し打ち合わせをし、その帰りに「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄る…探偵小説ゾーンに動き無し!と思っていると店主・天野氏がひょっこり姿を現し「こんにちは。増えてないでしょ」と笑顔で棚出しスローペースを自己申告。プレッシャーをかけるため、浪速書房「くちなし鬼語/大下宇陀児」(カバーナシ)を1050円で購入する。あぁ、早く続きが見たい……。
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表紙は何となく佐野繁次郎風な怪奇小説「くちなし鬼語」。
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2020年07月21日

7/21濱谷浩と龍膽寺雄を西荻窪で。

昨日寝る前に、「呪ひの塔/横溝正史」の登場人物の一人“白井三郎”が、江戸川乱歩の本名“平井太郎”を捩ったものであることに、ようやく思い当たる。“大江黒潮”つまり乱歩の分身として“白井三郎”が存在するならば、必然的に“白井三郎”もまた乱歩であることが想像出来るのだ。“ひらいたろう”→“しらいさぶろう”と語感も似通っている。うむ、なんだかとてもスッキリしたぞ。

午後にセレクトした古本を携え、西荻窪に外出。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内の「フォニャルフ」棚に心を込めて補充する。店主・小野氏と打ち合わせたかったのだが、所用にて外出中とのこと。それはと一旦お店を出て、こちらも少々の所用を済ませ、三十分ほど後にお店に舞い戻ると、店頭で本を抱えて出て来た奥さまが「すでに戻っています」と教えてくれた。中央公論社「写真集■詩のふるさと/濱谷浩」を100円で購入しつつ、色々と無駄話を折り込みながら打ち合わせする。そして久々に『裸本などの半端本でいいから、好みの本を安く売ってくれ』と図々しくお願いする。すると小野氏が散々悩んだ末に出してくれたのは、ポプラ社「君は花のごとく/龍膽寺雄」であった。「もうずっと売れ残ってるんだよ」ということで千五百円で購入する。ありがたや〜〜〜。おぉ!龍膽寺の昭和二十四年の少女小説!心を洗い立てのハンカチーフのように清らかにして、読むことにしよう。
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というわけで本日の収穫。「君は花のごとく」は仙花紙本で、装幀・口絵は蕗谷虹兒。「詩のふるさと」は、名作「裏日本」の写真家・濱谷浩が、昭和三十三年に雑誌『婦人公論』に連載したのをまとめたもの。十二人の詩人にインスパイアされた詩情あふれる日本の風景が、丁寧に静かに封じ込められている。
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2020年07月20日

7/20「呪ひの塔」を読んでいて気づいたこと。

「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で百円で買った東方社「呪ひの塔/横溝正史」(作品発表は昭和七年)をチビチビ読み進めているのだが、その途中で、登場人物の一人、探偵小説作家の“大江黒潮”は江戸川乱歩をモデルにしていることに気付く。『探偵小説を書き始める前は、支那蕎麦の屋台を曳いたこともある』そんな描写があったので、これはもはや言わずもがなである(乱歩「陰獣」の探偵作家“大江春泥”もイメージのうちか)。ということは、狂言回し的な探偵小説雑誌編集者兼作家の由比耕作は、横溝正史自身がモデルと言うわけか。そう気付いたら、もうこの大江と由利の脳内ビジョンが、たちまち若き日の乱歩と正史にすり替わってしまった(それにしてもこの二人は、舞台のひとつ軽井沢で『恋愛合戦』なる、多人数の恋の鞘当てに巻込まれているのだが、乱歩と正史が女優さんや映画業界人に混ざって嫉妬の炎を燃やしたり、ドギマギしているのを想像すると、微笑を禁じえない)。ちなみに作中には、他の探偵小説作家として、“堀下氏”“大賀氏”“堂下氏”などの名が挙るのだが“堀下氏”は森下雨村、“大賀氏”は甲賀三郎、“堂下氏”は大下宇陀児であることが想像出来る。後ひとり、“白井三郎”という、大江の作風にに影響を与えた書かざる探偵小説作家が出て来るのだが(谷崎潤一郎『秘密』の主人公の部屋のような、浅草の四畳半に住み、猟奇的生活に耽溺している。いわば、乱歩の悪趣味的分身とも言えるキャラ)、これには誰かモデルがいるのだろうか…?

そんなことを思いあぐねながら、暇つぶしに読み進め、仕事の連絡待ちをしているのだが、何も音沙汰がない。仕方ないので蒸した戸外に出て、テクテク気晴らしに高円寺へ。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)でハヤカワポケミス「殺人混成曲/マリオン・マナリング」を100円で購入し、踵を返してスタスタと家に帰る。
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これが現在呼んでいる、背がセロテープで補修され裸本の「呪ひの塔」。表紙絵は作中で軽井沢に建つ五色に塗られた遊戯施設『バベルの塔』をモチーフにしている模様。
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2020年07月19日

7/19「古書ワルツ荻窪店」がお試しオープン中だった。

本日は予想外の夏の陽光にジリッと焼かれ、南荻窪の住宅街に流れ着く。テレテレ歩いて荻窪駅前に出て「岩森書店」(2008/08/23参照)の前を通りかかる。すると、路上に出された百均木箱の隅に目黒書店「剃刀日記/石川桂郎」を発見したので、しっかり手指消毒をして店内に突入し、110円で購入する。そして意気揚々と東に進み、横断歩道を渡って地下道入口横を通り過ぎ、駐車場前を通って、元「ささま書店」(2018/08/20参照)のあった巨大集合住宅一階の店舗が視界に入ると、ああっ!新しい古本屋さんが開いている!ついにオープンしたのか!青梅の「古書ワルツ」(2010/09/18参照)が「ささま」跡地(2020?04/05参照)に堂々開いた新店である。
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いつの間にか、昨日まであった軒上の「ささま」のテント看板は取り去られ、今は骨組みだけの状態になっている。店頭には100均棚が四本、昔日の「ささま」のように出されている。そのうち二本は旧「ささま」の棚をそのまま再利用しているが、歩道側の二本は新しい低めで横長の木棚である。人文・音楽・詩集が目立ち、少し硬めであるが、古書もたくさん挟まり、見ていてとてもワクワクする。旧「ささま」三百均棚には、揃いの安値本が収まっている。手指を消毒して店内に進むと、壁は新しい頑丈な木棚で覆い尽くされている。折しも、内装を手掛けた古本屋界の安藤忠雄こと中村敦夫氏が、まだ忙しく立ち働いている。どうやらお店は、取りあえずのお試しオープン期間中らしい。その証拠に、壁棚も(右壁棚は文庫棚で、ここはわりと正規の値付が施されている)、店内手前に四本並ぶ低めの棚も、奥の帳場前に三本並ぶ棚にも、大体200〜800円の本(主に300円か500円である!)が、ドバドバとジャンルを飛び越え並べられているのだ。そのクォリティは極めて高く、面白い本がそこかしこで『買ってくれぇ〜』と話しかけて来る。何となく武蔵小山の「九曜書房」(2009/03/26参照)の店内五百均棚に似ている…と言えば、わかる人にはわかるだろうか。ちなみに中央の帳場より奥は、結束本の海となっている…。うむ、これが今後のお店の営業形態となるかどうかは不明だが、今現在の掘り出し市的状態が、楽しく愉快でたまらない。欲しい本がそこかしこで見つかるが、取りあえず何とかセーブしながら本を慎重に抜き取って行く。春秋社「鬼の言葉 感想集/江戸川乱歩」ホビージャパン「ファンタジーRPGガイドブック/安田均とグループSNE」表現社「ストーカー 吸血鬼ドラキュラ/川崎淳之助・師岡尚・水口志計夫」(訳者献呈署名入り)講談社世界名作全集73「名探偵ルコック/原作・ガボリオ 江戸川乱歩」改造社 新鋭文學叢書「研究會挿話/窪川いね子」を計2090円で購入する。これから激しく定点観測しなければいけない予感が、背骨をシビビビと走り抜ける。お店の正式な営業形態は、落ち着いたら再度ツアーすることにしよう。ひとまずのお試しオープン、おまでとううございます!

嬉しかったのは「研究會挿話」。見返しに窪川いね子の献呈署名入りなのである。だが、奥付が欠けているので、550円という安さなのであった。帯に短し襷に長しという感じだが、それでもこれは嬉しい。
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この『新鋭文學叢書』は扉に署名が印刷されてるので、同じ書体がどうか比較出来るのが、何とも素敵である。
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2020年07月18日

7/18吉祥寺でおあずけを食う。

午後にまたもや宮前に流れ着いてしまうが、先日のように西荻窪に足を向けるのも能がないので、向かいたい気持ちをグッと抑えて、『井の頭通り』をズ〜ッと伝って吉祥寺に出る…「一日」(2017/08/11参照)で、やはりこの間見かけたあの本を買って行こうと決心したためである。それにしても雨が一旦上がったためか、物凄い人出である。まず最初のお買い物は「古本センター」(2013/07/01参照)で。店内の棚の所々に、『コロナとの本格的な戦いはこれからです』『コロナとは永い戦いになります』などのテープラベル表示が出現し、入店時の手指の消毒を促している。入口の処分品棚で、住いの図書館出版局「軽井沢別荘史 避暑地百年の歩み/宍戸實」を見つけてほくそ笑む。著者は東京建築探偵団の一員で、藤森照信らと共著で「近代建築ガイドブック 関東編」や「建築探偵術入門」をものしている方である。激安の80円で購入。続いて「バサラブックス」(2015/03/28参照)の百均ラックでダヴィッド社「ちょっとピンぼけ/ロバート・キャパ」を見つける。1956年の初版で帯付きで、あまり見かけたことがない。これが百円なら安いもの!と迷わず購入する。
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キャパの肖像写真と言えば、テーブルに肘をついて顔を支え、流し目でキザにニヤついているルス・オーキンの写真が有名だが、このカバー写真は、アンリ・カルチェ・ブレッソンなのである!

そして最後に本日の目的である「一日」にたどり着くと…ガ〜ン、なんとお休みではないか。せっかく意気込んで来たのに…ひとまずはおあずけというところか。

阿佐ヶ谷では「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、マドラ出版「片岡敏郎スモカ広告全集」(別冊欠け)を530円で購入しつつ、店主・天野氏とそろそろオープンするのではないかという新店について、情報交換する。
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2020年07月17日

7/17神保町と阿佐ヶ谷で古本屋的異変を察知する。

昨日は下石神井の街に流れ着いたので、上井草の駅前に出て「井草ワニ園」(2019/01/05参照)の顔を出す。雨が上がっていたので、店頭には華やかに100〜300均本が咲き誇っている。ちくま文庫&河出文庫コーナーもあり…いつもながら、すっかり古本屋さんの光景だなと思いつつ、偕成社「あかいふうせん/ラモリスさく ぶん・きしだえりこ え・いわさきちひろ」を300円で購入する。相変わらずトボけた味わいの店主さんに「最近どうですか」と聞いてみると、「古本の方は、近所のお客さんに支えられています。ありがたいです!」との答えが。というわけで、古本屋さんとして地元に定着している「井草ワニ園」なのであった…。

本日は午前中にちょっと外に出たついでに、ついつい電車に飛び乗って神保町に向かってしまう。雨は小雨が降ったり止んだりだが、古本の街の店頭は、当然軒並み雨仕様となっている。店頭に意識を集中するものとしては、なかなかツライ状況である。それでもビニールシートを捲ったり、店内に取り込まれたワゴンを覗いたりして、しっかりとパトロールして行く。あぁっ!怖れていた通り、「神田書房」(2012/01/26参照)のシャッターに空きテナントの貼紙が出現してしまった!…やはり閉店していたのか。
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旧態依然の神保町の面影を留めた小さなエロ本屋さんであったが、ここの二台の店頭激安文庫ワゴンには、本当にお世話になりました…。結局今回のパトロールでは「三茶書房」(2010/10/26参照)で新潮文庫「ワイルド詩集/日夏耿之介譯」を300円で買うに留まる。わかってはいたが、雨の日は店頭派には不利ですな…。阿佐ヶ谷に戻ると、駅北口の「千章堂書店」(2009/12/29参照)の様子が何来かおかしい。もう正午を過ぎているのに、シャッターは上がっているが店内は暗めで、通路でバタバタ何か作業しているのだ。ふと、軒に下がる、新たに出現した貼紙に目を留める。!!!!なんと、つい先日の大雨でお店が被害に遭い、修理する間の二〜三週間、休業に入るというのだ、再開目処は八月予定…ぬぅぅぅぅぅぅ、それは大変な災難でした。この二〇二〇年梅雨の異常な長雨が、まさかこんなところにも被害を及ぼすとは…。
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最後に「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、博文館「少年百科叢書第五篇 天界の観察/澤田順次郎」向陵社「美術叢書 埃及建築史/ベル」(函ナシ)を計640円で購入する。良き買い物である。
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2020年07月15日

7/15梅雨寒の西荻窪。

昨日は一日中原稿書きで家に巣ごもり。本日はしつこい雨と肌寒さに祟られながら、午後に宮前の住宅街に流れ着く。だが、その、ある一角で見つけた、素晴らしい景色!住宅街の中にある、二三軒のうらぶれた店舗が連なる所に、『古本』の看板が出ていたのだ。残念ながら良く見ると事務所店なので、中に入って古本を買うことは出来ないのだが、この雨に濡れた路地と看板の創り出す昭和的世界に、しばしうっとりする。
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その後、西荻窪までテクテク足を延ばし、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に顔を出す。「フォニャルフ」の本が結構動いているな。補充しなければ。おぉっ!久々に本棚探偵の「ひとたな書房」が補充されているではないか!一度棚出ししたことのある本を中心に、値段を下げて再棚出ししているのか。それに古い探偵小説の扉絵原画なんて、鬼レアなブツも並んでいる!…むぅぅぅぅぅぅぅぅ、あれ、買っちゃおうかなぁ。どうしようかなぁ。…まぁちょっと悩むことにしよう。その後は中央総武線高架を潜って北に出て、「古書音羽館」(2009/06/04参照)へ。みすず書房「現代科学叢書A6 映画言語/マルセル・マルタン」(昭和32年初版帯付き)平凡社「悪夢の骨牌/中井英夫」を計200円で購入し、あっという間に本が増えまくった帳場で、ビニールカーテン越しに店主の広瀬氏とセンパイ店員さんと、買取動向や市場の動きや期待の新店などについてお話しする。…それにしても今日は寒かった。早く家に帰って、熱いお茶でも啜ることにしよう。
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2020年07月13日

7/13曇りのち雨の月曜日。

先月号の「本の雑誌 水しぶきヘチマ号」の鏡明氏の連載『連続的SF話434 自粛と旅行記』で、氏がコロナ自粛中に旅行記の山を漁り、氏の思う旅に一番近いものを提供してくれた一冊として「古本屋ツアー・イン・ジャパン」が挙げられているのに、ひと月遅れで気付く。うぅぅぅ、大変に有り難い限りである。どうにかして、いつか続きを出せるよう、今後も古本屋さんをツアーして、精進して参ります…。

そして本日は、ある古本屋さんが開店したとの情報に接したので、午後に見に行ってみるが、残念ながらシャッターアウト。定休日と言うことだろうか?真相の究明は後日に回し、三鷹に出て「りんてん舎」(2019/03/30参照)に駆け付ける。思えばここも、すでに開店して一年以上が経過したわけであるか…時の経つのは早いものである。桃源社「戸板康二推理小説集 歌手の視力」双葉文庫「推理小説展望/中島河太郎」を計200円で購入する。本を抱えて表に出ると、雨がポツポツ落ち始めて来てしまった。だが、まだこのくらいなら、吉祥寺まで歩いて行くのに支障はないだろう。そう信じて『井の頭通り』をテクテク二十分弱東に進む。「一日」(2017/08/11参照)はギャラリー部分で児童文学&絵本を大きく展開している。そこで見たこともない、山元護久&佐々木マキという魅惑のコンビ本「雨はまちかどをまがります」を見つけるが、図書館本なのに値段がしっかりなので購入を断念(…一旦はあきらめたけど、やっぱり欲しいなぁ…どうしよう?)。ガレージでは千円以上お買い上げ50%オフセール中だが、こちらでも何も見つけられず、単に手指の消毒をしただけでお店を後にする。続いて「古本センター」(2013/07/01参照)に忍び入り、創林社「フェノメナ【幻象博物館】/J・ミッチェル+R・リカード」を80円で購入する。すると雨が次第に激しさを増して来たので、素早く阿佐ヶ谷へ戻ることにする。

あぁ、写真を撮るのを忘れて来てしまった。何も載っけないのは味気ないので、最近心をざわつかせてくれている本を取り上げることにする。ちょいちょい訳本のカバーデザインを手掛けさせてもらっている、怪奇幻想詩人作家、クラーク・アシュトン・スミスの詩とスケッチと彫刻の洋書作品集である。実はこの本、ギャラの代わりとして現物支給されたものだが、ページ間に溢れる、隣り合わせの不気味な異世界の雰囲気が、シュールながらリアルで、見た瞬間にどうしても我が物にしたくなってしまったのである。以来暇があればアート紙大判本のページを開き、異郷&異教の世界をゾワゾワしながら堪能しているのだ。そしてこれを見る度思い出すのが、イタリア人の悪魔像コレクションまとめた写真集「VELNIAI」。民間に、キャラクターとして膾炙したような朴訥とした素朴な悪魔像たちと、スミスが生み出す異世界生物たちの造形に、何となく共通点が感じられるのだ。恐怖や畏怖の念とともにある、そこはかとない親しみ。うぅむ、不気味なものたちは、何故こんなにも魅力的なのだろうか…。
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2020年07月12日

7/12京王線沿いの古本屋さんが繁盛していた。

録画していた映画『ニノチカ』(エルンスト・ルビッチ監督。1939年製作)を観たら、あまりの面白さに悶絶してしまう。巴里が舞台の共産主義ギャグ満載の物語の妙も捨て難いが、まず何においても、主演のグレタ・ガルボ演じる、ソ連邦から難航する宝石売却の任務を遂行するためにやって来た、元軍曹の鉄の女“ヤクショーバ・ニノチカ”が、ツンデレの元祖的で(感情を表さず、観察&分析家で、口はいつも“へ”の字。でもとても好奇心旺盛で、結果的にハードルがちょっと低めなところが本当に本当にたまらないのだ)、クールビューティーなのにプリティー&キュートさ全開!というところに、たちまち虜になってしまう。これが戦前の八十年前の映画なのか!?と疑ってしまうほど、新鮮なラブコメディで、現在でも創り続けられている。異文化交流&貴種流離譚パターン映画の、源流のひとつなのではないだろうか。そんな風にして一日頭の中を“ニノチカ”で一杯にしながら、夕方に松原に流れ着く。東松原駅近くに出て「古書瀧堂」(2014/05/01参照)に立ち寄る。おぉ、なんだかお店には各通路にお客さんが立ち、繁盛している様子。店頭棚を眺めると、忠臣蔵関連の本が大量に並んでいるのが妙におかしい。久々のお店との再会を祝って、その動きの鈍そうな忠臣蔵関連の中から一冊を選ぶ。桃源社「侠客忠臣蔵.長谷川幸延」を110円で購入。

そして本日は仙川に流れ着いたので、駅南側の古本屋さんを見て回る。「文紀堂書店」(2015/03/31参照)では。ジェル消毒液で手指をスゥ〜っとさせて店内へ。お客さんが入れ替わり立ち替わり現れる中、通路を懸命に回遊。岩波書店「どうぶつのこどもたち/おはなし サムエル・マルシャーク」を200円で購入する。続いて路地裏の「石本書店」(2017/07/02参照)に向かうと、こちらも店頭店内ともに大繁盛。何か昨日から、京王線沿いの古本屋さんの盛り上がりを目撃している気がする…。ポケミス装幀擬きのフリースタイル「都筑道夫ポケミス全解説/小森収編」を1000円で購入する。ずっしり重くて分厚いなぁ、小さなお弁当箱みたいだ。
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2020年07月10日

7/10早くも二冊目のクラーク・アシュトン・スミス短篇集が!

雨→曇り→晴れ→雨→曇りと、天気のサイクルを短時間に阿呆のように繰り返す木曜日に、堀之内に流れ着く。環七に出てバスに乗れば阿佐ヶ谷駅にたどり着けるが、高円寺で古本を買って行くことにしよう。そう決めてトボトボ地道に歩を進める。『青梅街道』沿いの「ブックオフ新高円寺駅前店」を気まぐれに覗いてみる。入口前に、古い文庫がプラケースにごっそり入って安売されている。なかなか良い景色なので、真剣に漁ってみるが、結局心ときめく出物は見つからずじまい。ブルーシープ「ディック・ブルーナ ミッフィーと歩いた60年/森本俊司」を210円で購入して、そそくさと脱出する。そして、今日は開いているだろうか?と少し期待していた「アニマル洋子」(2014/03/14参照)は、残念ながらシャッターを下ろしている。最近まったくお店に入れていないので、とても心配なのである。もしかしたら、梅雨が開けて、晴れたら開くのかもしれない…。駅北側に出て「DORAMA高円寺庚申通り店」の店頭ワゴン前で立ち止まる。雨除けの分厚いビニール越しに、歪んだ本の背に目を凝らし、ちくまプリマーブックス86「百年前の二十世紀 明治・大正の未来予測/横田順彌」を110円で購入する。結果として、リサイクル店で古本を買った形になったが、古本が買えるのなら重畳である。そんなこんなで家に帰ると、そろそろ発売になる「本の雑誌」最新号『砂浜足あと競争号』が届いていた。というわけで今月の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、新型コロナ禍下の古本屋回りについて考察し、結局その間に一番訪れていたのは、阿佐ヶ谷「千章堂書店」ということが判明。まさに『ほぼ毎日通っていた古本屋さん』ということから、「千章堂」を取り上げております。やはり私はどんな状況下でも、古本屋がないと生きて行けない模様…。

本日は朝から古本の山と格闘し、読了本や不要本を一気にまとめ、お昼ご飯を食べてから「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に持ち込む。おっ、古い探偵小説ゾーンに、新顔のロマン・ブックスなどの新書サイズ本が並んでいる。よし、古本を売った金で何か買って行こう!店主・天野氏に挨拶して、カバン二つ分の古本を渡して、店内で査定を待つ。およそ十分ほどで交渉成立。書類に色々書き込んでいる時に、ひょんなことからお店のテント看板の話題になり、とってもとってもお金が掛かるものであることを初めて知る。そして新潮社 小説文庫「母子像」河出新書「愛情会議」共に久生十蘭を計1060円で購入する。新書サイズ本は「ちゃんと新しく何か出しておかないとマズいなと、プレッシャーを感じて、急いで並べておきました」とのこと。引き続きプレッシャーに背中をドヤされて、新顔を次々品出ししてくれるのを、心から期待しております。帰り道、「銀星舎」(2008/10/19参照)のダンナさん店主にバッタリお会いする。お元気そうで何よりです。お店の方もほぼ通常営業に戻ったようで、こちらも何よりです。

夕方、駅頭にてカバーデザインを手掛けた新刊、綺想社「妖蛆の王国/クラーク・アシュトン・スミス」を受け取る。アメリカのパルプマガジン「ウィアード・テールズ」などで活躍した怪奇SF幻想詩人作家の短篇集第二弾である。うぅっ、「妖蛆の王国」なんて、絶対に入り込みたくな〜い!などと思いつつも、恐いもの見たさ&気持ち悪い生物見たさで(ちょっと飴村行のエグさなどを連想してしまう)、やっぱり迷い入りそうな予感。同人出版なので、作品によって訳が拙い部分もあるが、それでもパルプマガジンの颶風は充分に感じ取れる面白さ。それに今巻は何と、かつて同人誌「リトル・ウィアード」に掲載された、荒俣宏訳の四作が収録されているのだ。うぉぉぉぉぉぉぉ、アリャマタ・コリャマタ先生、降臨!いつもの如く、西荻窪「盛林堂書房」の店頭や通販サイト、中野「まんだらけ海馬」で取扱が始まると思いますので、覚悟が決まったら存分にお楽しみ下さい!
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前巻と一緒に記念撮影。実は地の黒は、微妙に変えてあったりする。うむ、いかがわしいシリーズ物になっているのが誇らしいぞ!
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2020年07月08日

7/8未来派と「呪ひの塔」とカネゴン。

すでに昨日のことである。早朝に田山花袋「生」を読み終える。花袋の自伝的な、母の死に際にまつわる出来事を、巧みに詳細にドロリと描いた物語であった。死と生に正面と側面から向き合う暮らしとともに、舞台である早稲田・戸塚・目白などの、明治の様子が活写されるのが、心にジンワリと暖かで静かな感動を呼び起こす仕掛けが、素晴らしかった。午後に所用で中野へ外出。『中野ブロードウェイ』四階の「まんだらけ海馬」(2014/02/15参照)で文研出版「新訳シャーロック・ホームズの冒険/ドイル作 飯島淳秀」を110円で購入する。昭和45年刊の児童用ホームズ。収録阪は『赤毛連盟』『口のねじれた男』『青いルビー』『まだらのひも』『黄色い顔』『六つのナポレオン』となっている。最初の四作は「〜冒険」の収録作だが、『黄色い顔』は「シャーロック・ホームズの思い出」、『六つのナポレオン』は「シャーロック・ホームズの帰還」収録作である。背文字の“シャーロック”の入れ方が、なかなかアナーキー。
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さらに二階の「BOOKSロンド社」(2008/08/28参照)にて、大和書房ヤングアダルトブックス「怪獣ゴジラ/香山滋」を400円で購入する。北から表に飛び出し『早稲田通り』を歩いていると、よく「みちくさ市」出店時に古本を買ってくれる常連さんに偶然お会いする。今回のコロナ禍で家に閉じこもると、大量の古本と改めて対峙することになり、これは整理しなければ!とハタと気付いたそうである。読了本や雑本整理処分の真っ最中で、「いやぁ、もうそんなに本を買ってられないですよ。先行きのことも考えなきゃね」「これから何処行かれるんですか?」「あっ、盛林堂に行って、新刊のミステリアス文庫がまだ店頭にあるかどうか、見に行くんですよ」「か、買う気満々じゃないですか…」などとやり取りする。夜、ソニー・マガジンズ「モービー・ディック航海記/たむらしげる」をゆっくり楽しむ。漫画屋絵本ではなく、小説に寄った絵物語。72歳の“Q”が、伯父の遺産である機械生物とも言えるクジラの潜水艦(オタマジャクシのような大きさから、段々成長してようやく乗れるようになる。可愛い)に乗り、宇宙を旅するお話。たむら版「星の王子さま」ではないだろうか。

そして本日は祖師ケ谷大蔵の果てに流れ着いたので、エッチラオッチラ表通りに出て、久々の「祖師谷書房」(2009/03/05参照)の様子を伺う。シャッターは上がっているが、カーテンが閉まってしまっている…お昼休み中か。残念也。楽しみにしていたので落胆しながら駅に向かっていると、「DORAMA」が消滅しているのに気付いてしまう。店頭百均ワゴン、時々面白いのが拾えて好きだったのに。残念也。そんな落胆たちを家まで引き摺らぬように、下北沢で途中下車して「ほん吉」(2008/06/01参照)に立ち寄る。今日の店頭は何だか三百円本が豊かだ。双葉社「本棚探偵の冒険/喜国雅彦」(二刷。帯・月報付き)河出書房新社「ごっこ/山田稔」扶桑社「未来派2009/坂本龍一+細川周平編集」を計990円で購入する。「未来派2009」は1986年刊で、一見すると当時出された坂本龍一のアルバム『未来派野郎』の副読本のようだが、中を開くと正統なイタリア“未来派”のガイドブックなので吃驚。機械的ビジュアルが全ページに炸裂し、見応えあり。と言うわけですっかり現金に元気になり、阿佐ヶ谷「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)前を通りかかると、東方社「長編探偵小説 呪ひの塔/横溝正史」(貸本仕様。カバーナシ。背にテープ補修あり)が店頭にてギラリと輝いたので、即座に110円で購入する。

おまけ:祖師ケ谷大蔵の商店街は、駅から広がる様々な商店街が力を合わせ、『ウルトラマン商店街』と名乗り、幟や外灯やゲートで、ウルトラ的雰囲気を共有している。駅北口に出て、西に商店街を伝って行くと、かなり奥の方の『祖師谷ふれあいセンター』のエントランス部分に、実物大のカネゴンが座っているのを、本日初めて発見する。おぉ、これはまるで『ウルトラQ』の『カネゴンの繭』で、銀行前で女子行員の運ぶ小銭を狙うシーンか、腹が減って胸のカウンター数がドンドン下がって行くシーンのようではないか。こんな素晴らしいものが、いつの間にか建っていたんだ!と、いつまでもウルトラを卒業出来ない人間として、大いに感動する。
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2020年07月06日

7/6地道に二店を見て回る。

朝からある原稿のため、今年の己のブログを流すように読み返していたのだが、やはりコロナ禍による四月〜五月の緊急事態宣言下の四十八日間は、何だか微妙に息苦しくなって来る。少し東日本大震災の時と、肌触りがなんとなく似通っている。繰り返す読書も、開けてくれている古本屋さんを訪れることも楽しいことなのだが、やはり潜伏する感染の恐怖と、自由を奪われた生活には、緊張感が漂ってしまっているのか…とは言っても、今もまだそのコロナ禍の真っ最中なのである。何だか雨風の強い初夏であるが、まだまだマスクを装着し、手指消毒に務め、手洗いうがいを励行して行こう。

午後に外出し、営業を六月から再開していた東村山の「なごやか文庫」(2020/04/07参照)の様子を見に行く。店先に置かれた三つの無料本箱を覗き込み、手指消毒してから、すっかりキレイになった店内へ。新し目の単行本や漫画や文庫を漫然と眺め、結局右壁棚下の一列の古書ゾーンに注目する。それしても真面目な本ばかりだ…と浅ましいため息をつきながら、新潮社「画家のことば/香月泰男」NHK出版「テレビ作家たちの50年/日本作家協会編」を計400円で購入する。帳場には誰もおらず、小さな立て札が置かれている。『この時間は事務所窓口で』と古本の精算を促している。そうか、もはや無人販売は無くなったのか。古本屋さんゾーンから出て、ちょっと奥に入って事務所で精算する。帰りの車中で本を見ていて気付いたのだが、「画家のことば」は表見返しに『y・kazuki』のサイン入りであった…うぅぅぅぅぅぅ、嬉しぃっ!
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鷺ノ宮に戻り、テクテク『中杉通り』を南へ。そうだ、『早稲田通り』沿いの「古本ブック流通センター」(2008/08/09参照)もハシゴして行くか。東京都の休業要請中は、ちゃんと休業していたので、その後ちゃんと開いているかどうか気になっていたのである。おっ、店頭にガチャガチャの機械が出されている。営業再開しているようだな。店内に滑り込むと、前入った時と相変わらず変化のない状況。それでもブランクが所々に生まれている棚を念入りに検分し、岩波文庫「日本渡航記(フレガート「パルラダ」號より)/ゴンチャロフ」(昭和十六年第二刷)を100円で購入する。本は朽ちて行くばかりだが、お店が健在なので、何はともあれよかったよかった。
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2020年07月05日

7/5太宰と小酒井。

古本屋とは何の関わりもないが、昨日午後八時に家のベランダから見た夜景。まるで夕方のような明るさが、空に垂れ込める雨雲と地表の間に出現しており、魂消てしまった。夏至も過ぎたと言うのに、まるで白夜を思わせる明るさではないか…。
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色々バタバタしてあまり動けず、今日ようやく西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に顔を出し、「フォニャルフ」売り上げを受け取りつつ、木馬社「太宰治の手紙/小山清編」を100円で購入する。河出新書の「太宰治の手紙」は、これが元本なのか。店主・小野氏は注文が殺到している盛林堂ミステリアス文庫新刊「孤島の花/香山滋」の発送作業に勤しんでいる。ちょっとだけ先の仕事の話をして、すぐさま阿佐ヶ谷に逆戻り。「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で文藝春秋社「日本の黒い霧/松本清張」岩谷書店「別冊宝石31 世界探偵小説全集 L・J・ビーストン G・K・チェスタートン篇」を計640円で購入すると、奥から店主の天野氏が姿を現し(この時のレジ対応は奥さまだった)、今まさに棚に出そうとしていた最近とっても気になっている、古い探偵小説の一群を見せてくれた。今回は小酒井不木中心か…。全集・探偵小説関連・犯罪関連・医学関連と、不木の得意分野が過不足なくまとまった感じである。再版だが、ちゃんと函付きの京文社「殺人論/小酒井不木」が素敵なので、1050円で購入する。あぁ、家の至近で古い探偵小説関連が安値で買える幸福、ここにあり!
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というわけで、ちょっとの外出で嬉しい収穫二冊。「太宰治の手紙」の題字は井伏鱒二によるもの。「殺人論」には、冒頭の序文に森下雨村への謝辞あり。そして少しボロいが、函があるのはやっぱり嬉しい!
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2020年07月03日

7/3古本を買って送ってまた買って。

昨日は古本神・岡崎武志氏に埼玉・東松山周遊に誘われていたのだが、所用があり断念。ささやかに吉祥寺に出たついでに古本屋さんを巡るに留まる。「よみた屋」(2014/08/29参照)でグラフ社「ミステリー美食紀行/菊池直子」を110円で購入し、「バサラブックス」(2015/03/28参照)では読売新聞社「推理小説読本/木々高太郎」を500円で購入し、「一日」(2017/08/11参照)では復刊ドットコム「藤子不二雄Aランド 怪人二十面相1・2」を計440円で購入する。…もはや吉祥寺は、古本の狩猟場として欠かせぬ街になったな。

そして本日は午前のうちに神保町へ。今回は午前十一時開店のお店に合わせるように、午前十時半過ぎに水道橋駅に降り立つ。『白山通り』をスルスルと下り(ひとつ気になることが。シャッターの下りた「神田書房」(2012/02/16参照)の店脇の柱に、管理会社の貼紙が貼り出されているのだ。ということは、もしや空き物件になってしまったのか?久しく開いているところを見かけないので、とても心配しているのである)、「アムール」(2011/08/12参照)で岩波文庫「註文帳/泉鏡花」講談社文庫「死の報酬/結城昌治」を計100円で購入する。『靖国通り』に入って午前十一時を過ぎると、「田村書店」(2010/12/21参照)ももう販売を開始している。すぐさま木製ワゴンに魅了されたひとりとなり、第一書房「詩法/マックス・ジャコブ」芝書店「Xへの手紙/小林秀雄」日進堂「趣味の動物/飯塚啓」を計700円で購入する。「詩法」には後見返しに、蔵書票を模した古い古書店ラベルあり。『峰元文雅堂 省線神田駅前』と書かれている。“省線”とあるからには、かなり古いものであることがわかる。店名から察するに、月島「文雅堂書店」(2008/07/14参照。森下移転後は2012/06/14参照)の一派だろうか?
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お昼過ぎに帰宅し、昼食を摂った後、大阪に三十冊ほどの古本を送り出す。駄本・珍本・探偵小説関連など、いつものように悩みに悩んで詰め込んだので、ルクアイーレ9Fの「梅田蔦屋書店」古書棚を、七月も引き続きよろしくお願いいたします。そして郵便局に出た足がそのまま高円寺に向き、「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)でNEKO MOOK2420「レッツ・プレイ・フォルクスワーゲンvol.49特別付録 Kdfワーゲンカタログ」を100円で購入する。…フォルクスワーゲン専門の雑誌があるなんて、今の今まで知りませんでした。そしてこの購入冊子は別冊付録で、1938年発行のドイツの、ナチスが国民車として開発したワーゲンカタログの復刻版である。ポルシェも開発者の一人として登場している。
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