2020年08月30日

8/30どうして松本泰が好きなのか!?

午後一時前に青梅街道沿いの梅里に流れ着いたので、しばらく『梅里中央公園』で、木漏れ日の下に座りボ〜っと涼んでから、どっこいしょと阿佐ヶ谷に足を向ける。それで迷わず「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)へ。今日も探偵小説ゾーンに動きはナシ。なので、昨日も手にして悩んだ、ここしばらく買おうと思っていた本を買うことにする。奎運社「或る年の記念/松本泰」(函ナシ)である。お安めの2100円で購入する。棚出しされた時から目を付けていたのだが、『なぁに、松本泰だ。まぁしばらくは売れないだろう』と高を括っていたのである。だが最近、このゾーンが秘かに人気になっているらしく、何かと売れ方が慌ただしいので、松本泰とは言えいつ消えるかわからない!とついに買う決心をしたのである。クロス張りで瀟酒な本の装幀は初山滋で、大正十三年刊の創作短篇集である。
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ちょっと読んでみなければ、ミステリがあるかどうかは不明。それにしても松本泰は、日本探偵小説黎明〜勃興期から創作や翻訳に活躍した小説家であるが、何故かいまいち影が薄い。自らが起こした出版社・奎運社で『探偵文藝』という雑誌を出すほど、探偵小説に入れ込んでいたのだが、やはりこれと言った代表作がないためだろうか。どちらかと言うと、創作より翻訳や犯罪実録物の方で名を馳せた感に、その像が落ち着いてしまうのだ…。この本には嬉しいことに、その入れ込んでいた探偵小説関連の自社広告がある。その名も『黒猫探偵叢書』!
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1「赤い腦髄/オッペンハイム」2「ソマビル大探偵捕物帳/松本泰編」3「幽靈船/マーシュ」などが並び、すでに五版・六版と増刷を重ねているのが宣伝されている。う〜む、こんな面白そうな本たちは、まったく知らないぞ(『日本の古本屋』で『黒猫探偵叢書』で検索しても、何もヒットしない…)!やはり世の中は広く深く、まだまだ未知の本が、ひっそりと何処かに存在しているのである。このように、関わった出版物が多いにも関わらず、すっかり歴史の中に埋没してしまっているのが、私にとっては全貌が掴めぬ松本泰の、大いなる魅力となっているのかもしれない。
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試しに一作目を読み始めたら、松本の倫敦生活時代の自伝的小説らしい。いきなり『ズボン』が『ズボボン』になっており、秀逸な誤植に心をザバッと洗われる。
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2020年08月29日

8/29「おへそ書房」は明日から開店予定!

凶悪に気温が上がり始めた午後に、武蔵境の南に流れ着く。砂漠を歩くような心持ちでアスファルトの上をズリズリ進み、中央線高架を潜って久々の「浩仁堂」(2011/02/15参照)へ。激安本の並ぶ店頭&小さな店内を一巡し、中央公論社「悪魔のいる天国/星新一」を買おうとすると、少し傷んでいるので、200円を100円にしていただく。ありがとうございます!外に出て、さらに気温が上がったのを実感しながら、「おへそ書房」(2019/07/28参照)にも足を延ばしてみる…あれ、閉まってるぞ。シャッターの貼紙を見てみると、何と店主が怪我をされたそうで、しばらく休業中だったらしい。だが、その貼紙の下に新たな貼紙が出現しており、明日8/30(日)から営業を再開する予定らしい。お店には入れなかったが、何はともあれよかったよかった。そして阿佐ヶ谷に戻り。「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)を偵察。元々社のSF全集が新たに出現しているな…ややっ!「虚無への供物」が売れてしまっているな…安かったもんなぁ…買っとくべきだったかなぁ…まぁいいや。まだ狙っている本は売れずに残っている。まだまだ売れそうにないが、そろそろ買っておいた方がいいかな…などと探偵小説棚の前で腕組みして思案する。…まるっきりの阿呆ですが、こんなこともまた、楽しいものなのです。

そういえばここで買った春秋社「山峡の夜/ジヨルヂユ・シメノン」を早々に読了。表題作の『山峡の夜』はアルザスのホテルで起こる盗難事件をきっかけに、宿泊客・地元民・警察・ホテル&旅館経営者&従業員が、国際的詐欺師の影に苛まされるお話。何と主要登場人物全員が、なんやかんやと片がつくのだが、決して◯◯にはならない、激シブで切な過ぎるな終わり方。思わず『ハチミツとクローバー』か!と突っ込んでしまったが、シメノンの素晴らしさを改めて認識する。併録の『北氷洋逃避行』ハンブルクから出航し、ノルウェーの淋しい港を伝って行く船の中で殺人事件が起こるお話。唇が紫になりそうなほどの、極寒旅情が全編に吹き荒れている…。
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これはデザイン的に素晴らし過ぎる扉。いよっ、探偵小説デザイン千両役者、吉田貫三郎!
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2020年08月28日

8/28お帰りなさい「アカシヤ書店」!

午後にテクテク歩いて取材を一本。そのままの足で西武池袋線に乗り込み、「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)の消息を尋ねてみることにする。前回訪問時は、まだ休業中の様子だったので(2020/06/29参照)、その行く末がとても気になって気になってしょうがないのだ(お店のツイッターも休業宣言のまま更新されていないのだ)。なのであまり期待せずに、保谷駅南口に出て歩道の極狭な交通量の激しい道路を伝い、お店のあるビルへ…あぁ、やってる!やった!…と思わず本当に叫んでしまう。
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しかし恥ずかしさより嬉しさが断然強く、早足で店頭棚に向かう。店頭台は大量の「サザエさん」と中国の孫悟空漫画で埋め尽くされている。期待の店頭百均棚は、ちゃんと入替補充が行われているようで、何が出て来るかワクワクしながら、一冊一冊の背に視線を注ぐ。六列見終わった時点で、腕の中には五冊の本が抱かれていた。店内に進み、一応入口前の大量横積み古書ゾーンもチェックする。ガサゴソガサゴソ嬉しいな!楽しいな!久しぶりだな!名曲堂「アメリカ映画/双葉十三郎」太平社「隨筆 この一球/福田雅之助」(大正時代にアメリカにテニス留学した選手のテニス随筆集である)毎日新聞社「マンガ亡国/藤島宇策」(カバーナシ)大日本雄弁會講談社 日本小説新書「小泉八雲/岡戸武平」ダヴィッド社「ぶっつけ本番 ニュース映画の男たち/水野肇・小笠原基生」を計550円で購入する。「アカシヤ書店」よ、お帰りなさい!また以前のように定期的に通うことを、ここに誓います!
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小酒井不木の弟子岡戸武平と、映画にもなったニュースカメラマンの縦横微塵な活動を活写した「ぶっつけ本番」が嬉しい。
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2020年08月27日

8/27旅窓新書のルパン!

本日は午後に高井戸に流れ着いたので、よし!このまま荻窪に出てやろうと、環八を黙々と北上する。およそ三十分後、ゼエハァしながら荻窪着。最初は「竹陽書房」(2008/08/23参照)に立ち寄り、ほてった身体を冷却しながら祥伝社新書「近代建築で読み解く日本/祝田秀全」を200円で購入する。そのままテクテク線路沿いに東に進み、ちょっと商店街に入り込んで「竹中書店」(2009/01/23参照)へ。店頭二冊百均台の方に、五十〜七十年代の古い雑誌「高雅な趣味・健全な娯楽 奇術研究」(力書房)がドバッと出されていたので、特集『サロンマジック』『メンタルマジック』『欧米舞台奇術』『欧米代表奇術』などを選び、計六冊を三百円で購入する。阿部主計の集中連載『インド魔術の演芸化』が面白い。そしてさらに東に進んで「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)へ。まずは店頭でバラエティ豊かな短篇集「銀座やぶしらず/戸川幸夫」(最後の一篇『宇宙の賃貸』は何とSFだ!戸川幸夫のSFかぁ…)を見つけて満足を得る。店内では日本出版協同株式会社サスペンス・ノベル選集6「宇宙戦争/H・G・ウェルズ」(カバーナシ)を確保し、現時点でこのお店で一番気に入っている、店内中ほどの右に曲がり込んだ新書棚の前に立つ。古い昭和三十〜四十年代の、あまり見たことのない新書サイズ本がいつも安値で並び、補充もモリモリ行われているので、立ち寄る度に楽しんでいるのである。今日は朋文堂・旅窓新書「パルネ探偵局ー怪盗ルパンー/モーリス・ルブラン 保篠龍緒訳」を見つけ、旅窓新書(キャッチコピーは『汽車に、電車に、旅宿の窓に』である)もルパンを出していたのかと感心しながら、先述の本らとともに計770円で購入する。
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そして昨日、酷暑の大阪に古本を発送したところ、古書コンシェルジュさんから『ちょうど補充が欲しかったんです!』と連絡をいただく。こういう息の合った連携プレイが生まれるのは、とても嬉しいことである。というわけで、探偵小説・奇妙な本・役に立たない本・恐い本・忘れ去られた本・映画の本など三十冊弱を旅立たせましたので、西のみなさま、大阪「梅田蔦屋書店」の特異な古書棚を、引き続きよろしくお願いいたします!
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2020年08月25日

8/25宮野村子の新刊!

朝のうちに指月社「鳥居昌三詩集」を読み終わり、感じたことがある。この世界観の感覚が何かに似ていると。それは、同族である北園克衛や黒田維理を読んだ時には、決して浮かび上がらなかった感覚である。硬質な詩を読み続けて連想したのは、大和屋竺のピンク映画監督作品『荒野のダッチワイフ』と『毛の生えた拳銃』である。ただし二作ともピンク映画の名を借りた、白く乾いたハードボイルドタッチだが、その表現が突き詰められ過ぎてメルヘンチックでもある、風変わりで難解な作品である。詩的とも言える殺し屋たちが活躍し、時間感覚が平気で飛んだり、軽妙で難解なシーンが積み重ねられることから、ゴダールの影響などが囁かれているのだが、犯罪や事件や犯人やピストルが多く登場する鳥居昌三のプラスチックポエムが近似ではないかと、ふと感じてしまったのである。まぁ似ているというか、鳥居昌三の世界を映像化すると、『荒野のダッチワイフ』や『毛の生えた拳銃』になるというのが、正しい言い方であろうか。実際鳥居の詩には、『毛の生えた椅子』なんて言葉が出て来るので、確信なんてものはないのだが、そんな妄想をより抱いてしまうのだ。…とまぁそんな朝を乗り越えて、午前の早いうちに外出して神保町をパトロールする。ところが散々『白山通り』&『靖国通り』を歩き回るが、購入したのは「丸沼書店」(2009/12/17参照)の教養文庫「紅毛傾城/小栗虫太郎」百円のみ。長く通っていれば、こういう時もあるわいなと、多少しょげながら帰宅する。

夕方に再び外出して、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ顔を出す。講談社「のらくろ一代記/田河水泡・高見澤潤子」(MAVO時代についても章を裂いており、口絵グラビアにはMAVO展覧会の準備をする田河の貴重な写真が!)を百円で購入しつつ、カバー&表紙デザインを担当した、盛林堂ミステリアス文庫新刊「探偵心理 無邪気な殺人鬼/宮野村子」を献本していただく。単行本未収録作八篇&未発表作一篇を収録した、四百ページ越えの探偵小説集である。評判高く古書価も高く、埋もれていた文学派の探偵小説が、令和の時代にたくさん読めるのだ!と大いに喜ぶ。読みたくて仕方なくなってしまった方は、盛林堂通販サイトご予約&8/29から店頭発売開始でご入手を。探偵小説狂いが、稀少な探偵小説の出版に多少でも関われて、私はとても幸せであります。
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2020年08月24日

8/24高円寺で魚雷さんとバッタリ!

昨日は仙川駅北側の中原と言う激しい高低差のある住宅街に流れ着いたので、テクテク歩いて南側に出て「文紀堂書店」(2015/03/31参照)を訪う。店頭棚にあったコーティングされた冨山房「新學生訓/大町桂月」を100円で購入し、京王線とすぎ丸を乗り継いで阿佐ヶ谷にたどり着く。さらに帰路の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)を偵察すると、講談社「虚無への供物/塔晶夫」が新たに出現している…値段は破格の5150円!…くむぅぅぅぅぅぅぅ、欲しいがさすがにおいそれと手を出しかねる…などと思い悩みながら、この日は何も買わずに帰宅する。

そして本日は、いやにディティールのはっきりした雲に畏れを抱きながら、午後にテクテク歩いて高円寺へ。ありゃ、「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)は午後一時半の開店予定で、まだシャッターが下りている。仕方なく四半刻、街をぶらついてからお店に戻ると、店主の粟生田さんが木箱などを出しており、まさに開店の真っ最中であった。早速棚に熱い視線を注ぎ始めると、隣りにいた先客が、「あっ!」と小さく叫び、こちらに注目を向ける。釣られてそっちに首を向けると、あぁっ!そこにいたのは、ハット&マスク姿で人なつこく微笑む、荻原魚雷氏であった。魚雷さん!あぁ、高円寺の古本屋さんの店先で、魚雷さんにお会い出来る幸せよ…と、しばし突然の出会いの喜びに打ち震える。平凡社「擬態 自然も嘘をつく/W・ヴィックラー」を200円で購入し、店頭で魚雷さんとソーシャルディスタンスを保ちながら立ち話する。高円寺の古本屋さん事情や、WEB本の雑誌で連載中の『街道文学館』について。街道は歩いているそうだが、さすがにこのご時世ではあまり遠出が出来ないので、ご近所を中心に歩き回っているとのこと。おかげでとても近所に詳しくなったそうである。何はともあれ、お元気で何よりであった。

氏と店頭で別れ、住宅街の細路地を縫い縫い阿佐ヶ谷へ。「古書コンコ堂」に立ち寄り、新時代社「SFの本 1982 VOL.1」湊書房「煩悩秘文書/林不忘」(カバーナシ)を計640円で購入する。
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「煩悩秘文書」は志村立美装釘挿画。あぁ、美しいから、カラーのカバーが見たい!
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2020年08月22日

8/22やはり日参「コンコ堂」!

午後三時前に、都市の周縁に積乱雲がニョキニョキ湧き上がっているのを遠望しながら、南荻窪に流れ着く。徒歩で家路をたどりつつ、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に立ち寄る。どの通路にも棚前にも人が立つような、かなりの賑わいを見せている。店内BGMは何故か北野武監督の映画『ソナチネ』のサントラがエンドレスでかけられている。なので当然沖縄気分…もはや「古書ソナチネ」と言った感じである。そんな下らぬ思いに囚われながら、宝石社「別冊宝石 日本推理小説自選代表作集 1962.2」を330円で購入する。大乱歩の紫綬褒章受章記念号で、小説以外にも乱歩に関するエッセイや座談会が収められている。大河内常平の『うつし世は夢』は、飲み会をハシゴしながら、様々な人に乱歩が色紙を求められる話。大河内自身も、所持する愛刀に『うつし世はゆめ 夜の夢こそまこと』と鞘書き(白鞘の側面に書かれる)と書いてもらい、大河内家の重要文化財に指定したとのこと…おぉ、紡ぎ出す物語と同じく素敵にクレイジー!植草甚一の『ミアンダリング』は、乱歩を相談役として田村隆一とともにハヤカワポケミスを始動させる話。そのポケミスの元となる原書を漁る古本屋として、六本木「誠志堂」と福吉町(赤坂)「河野」が挙げられている。

そして阿佐ヶ谷に帰り着き、今日も当然「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)を覗き込む。店頭では民友社「外交奇譚/蘆花生講演」という明治本を発見。当時の外交に関する面白話を集めた本を小説的に翻訳したものらしい。怪談なども入っているので、これは面白そうだ!と出会いを喜ぶ。店内では、もちろん探偵小説棚前に馬鹿みたいに屹立し、『おんどりみすてりい』や『ぶらっく選書』に混ざって、汎書房「Gストリング殺人事件/ジプシー・ローズ・リー 黒沼健訳」(裏表紙に紙テープ補修アリ。ジプシー・ローズは有名なストリッパー。そんな彼女が書いたこのバーレスク界を舞台にした探偵小説は、ベストセラーに。あとがきに二作目「お母さんが死骸を発見する」を執筆中とある。口絵にはタイプライターを叩いて執筆中の写真も。ただし代作説あり)が並んでいるのに気付いたので、先ほどの一冊とともに計640円で購入する。あまり毎日来て買って行くので、店主の天野氏が「なるべく品出しがんばります」とポツリ。いや、もうこうなったら、徹底的に買いますよ。全然読むのが間に合ってないけど、買いますよ!
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2020年08月21日

8/21今週二冊目の春秋社戦前探偵小説訳本!

今日は基本的に家に釘付け。だが炎熱の午後一時に外出し、買物やら些事やらをこなして、素早くバテて帰路に着く。「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)店頭棚に、探偵小説の兆しは見られない…だが、やはり確認せねばならない!手指消毒して涼しい店内へ。ふむ、少し棚が詰められたりSF小物が移動していたりと、先日より手が入っているのは認められるが…。探偵小説群も少し上段に詰められている。並びに変化は…ああっ!雄鶏社の本が詰められているところに、一冊戦前春秋社が混ざっているじゃないか!春秋社「山峡の夜/ジヨルヂユ・シメノン作 伊東鋭太郎訳」(函ナシ印アリ)である。吉田貫三郎の力強い装幀が、胸を打って止まない。早速2100円にて購入する。裸本とは言え、春秋社の戦前探偵小説訳本を、二冊も買えるなんて、なんて素敵な八月の第三週!今すぐ読みたい本がどんどん溜まって行くぞ!と盛大に浮かれながら帰宅する。探偵小説狂想曲は、まだまだまだまだ続く…。
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そして家に帰ると、八月二十四日頃より発売になる本の雑誌社の新刊「絶景本棚2」が届いていた。ありがとうございます。以前取材していただいた、本棚のない私の愚かな部屋も取り上げてもらっているからなのだが……ヂュワァ〜〜〜〜〜、これは恥ずかしい。否応なく赤面してしまう。雑誌掲載時は単体だったから、まだ見られたのだが、こうしてお歴々の世間や常識を超越した書斎や本棚と並んでしまうと、あまりの貧相&矮小っぷりに、穴があったら一生入っていたい気分となる。大好きなフラットウッドの宇宙人のソフビを、格好良く掲載してもらっているのだけが救いである。それに誌面に目を近付けて良く見ると、取材は一年半前のことなので、買ったり売ったりし続け、もうずいぶんと本の様子が変わって来ていることが、正確に理解出来る。これはこれで、撮っておいてもらって良かったと言えるのかもしれない。書店にてご笑覧あれ…。
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2020年08月19日

8/19『探偵小説狂想曲』は継続中。

今日も炎天と無闇に闘いながら西荻北に流れ着いたので、フラフラと「古書音羽館」(2009/06/04参照)に向かう。店頭で二冊を抜き取り、薄暗い店内で床を軋ませながらしばし涼んだ後に帳場へ。東宝(株)「星よりひそかに/大森一樹」(巻末のフィルモグラフィで、何作も医学専門映画を撮っていることを知る…ぜひ観てみたいが、チンプンカンプンなのだろうな…)読売新聞社「マイ・ミステリー 新西洋推理小説事情/小鷹信光」を計400円で購入しつつ、店主・広瀬氏と奥さまと先輩店員さんたちと、やはり「古書ワルツ」についての話や、某所に新しく出来たという古本屋さんの話などを取り交わす。そして広瀬氏直筆の店名のみが書かれたタレコミメモをいただく。いつか行ってみます!そして阿佐ヶ谷へ戻り「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の前を通りかかる。映画『ひまわり』と『悪魔のいけにえ』ポスターが貼られた下の店頭台に鋭く視線を走らせる。ぬぅ、不穏な本、発見…近寄って引き出してみると、東京文藝社「金田一耕助探偵小説選 蠟美人/横溝正史」であった…こういう本が店頭に出ているということは、店内にも変化が起こっているに違いない。そう確信し、素早く手指消毒して中央通路に滑り込む。おぉ、函ナシの探偵小説が数冊追加されている。嬉しや嬉しやとあからさまにニヤニヤしながら、まずは一冊だけ選び取る。春秋社「探偵小説 完全殺人事件/C・ブッシュ作 井上良夫訳」(函ナシで傷みアリ。だがこの程度なら木工用ボンドでちょちょいのちょいだ!)を「蠟美人」とともに計640円で購入する。本を受け取りつつ、新商品を品出ししてくれたお礼を伝えると「がんばりました」とのこと。まだまだ何か飛び出しそうな予感がヒシヒシである。この調子で、引き続き何とぞよろしくお願いいたします。楽しい楽しい探偵小説狂想曲は、まだまだ続く…。
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表紙のちょっと抽象的な風景画が可愛い「完全殺人事件」。
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2020年08月18日

8/18二冊の「人間豹」の使い方。

午後に西荻窪に向かい、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内の「フォニャルフ」棚に補充を行う。最近ブログに登場した本なども混ぜ込んでありますので、お近くにお立ち寄りの際はご笑覧ください。そして店主・小野氏と迫り来る仕事たちについて色々真面目に打ち合わせる。六興出版「推理SFドラマの六〇年/上野友夫」本の雑誌社「欧米推理小説翻訳史/長谷部史親」晶文社「がらくた雑貨店は夢宇宙/長谷川義太郎」を計300円で購入する。お店を出ると、とあるマンションの前でパスケースを拾ったので、駅前の交番に律儀に届け出てから帰宅する。

そして最近は、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で入手した乱歩の戦後復刊版の一号館書房「人間豹」を摘み読みして楽しんでいる。乱歩作品としては、それほど芳しくない評判の問題作だが、私はこの戦前の東京を舞台に繰り広げられる、果てしなき追っかけっことも言える、通俗スリラー小説が大好きなのである。獣人・人間豹対名探偵・明智小五郎の火花散る知略と行動力。時に明智が圧され気味になるほどの、人間豹の狂気!いつ読んでもこの小説は、スピード感を持ち、インチキ臭いアールデコ擬きの猥雑な街中を、ブンブンと目まぐるしく振り回してくれるのだ。そんな風に昔の小説に耽溺しながら、ふと思い出したのは、去年の今頃にアップルBOXクリエートから出た「怪奇探偵繪物語 人間豹/原作・江戸川乱歩 著・牛尾走兒」である(2019/08/01参照)。人間豹の世界観を、巧みに凄絶に絵物語化した名作である。だが、今回思い出して注目したのは、そのスゴい絵より、地の本文のことであった。改めて小説と比べてみると、これがただ本文を省略したり削ったりしているものではなく、しっかりと物語の芯を掴み、セリフ部分も原作の味わいをうまく残し、乱歩色を決して失わぬようリライトしていることがよく分かるのだ。そこに添えられた絵と合わせて、原作をうまく換骨奪胎して映画化された作品のような、痛快な味わいがそこには存在するのだ。もし、この繪物語をもう一歩も二歩も進めて、漫画化したら、いったいどんな作品が出来上がっていたか。勝手に想像するだけで、何だかドキドキしてしまうのだ。今日もまた、夜になったら仙花紙本の「人間豹」を読み始め、繪物語版の「人間豹」の絵を挿絵として楽しみ、暑さを忘れて眠ることにしよう。
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2020年08月17日

8/17「たくさんのふしぎ」創刊号。

連日の猛暑にかなりバテ気味だが、意を決してフラフラと荻窪に向かう。午前十一時過ぎ、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に人の姿はまだない。しばらく一人で頭を暑さでボ〜っとさせながらも棚を見て回り、サボテンブックス「恐怖のミステリーゾーン/佐藤有文」雪華社「フランスの栄光とデカダンス/松尾邦之助」を計440円で購入する。この時点でもはや体力を使い切ってしまった感あり。フラフラと阿佐ヶ谷に戻り、開店準備中の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)前で店主・天野氏と挨拶を交わす。「もう暑過ぎて、開店準備するだけで、体力半分使っちゃいますよ」と、酷暑に嘆いておられる。みな、この暑さには辟易しているんですなぁ。山と渓谷社「定本 黒部の山賊 アルプスの怪/伊藤正一」を110円で購入しつつ、そろそろ新顔の探偵小説群の品出しを切にお願いしておく。そして昼食後、炎天下をものともしながらフラフラと高円寺に向かい、「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)で店頭に、すぐさま蒸発してしまいそうな残り少ない全神経を集中する。するとその甲斐あってか、木箱の中から福音館書店「月刊たくさんのふしぎ 1985年創刊号 いっぽんの鉛筆のむこうに/谷川俊太郎文 坂井信彦ほか写真 堀内誠一絵」を掴み出し、百円で購入する。目眩を催すほどの暑さに挫けずに、古本に惹かれ、足を運んで良かった……。「かがくのとも」の小学生版として発刊された、中綴じペーパーバック・ボール紙冊子。普段何気なく手にしている一本の鉛筆が、世界中のたくさんの人の仕事がつながり作られているという、それぞれの現地にしっかりと取材したワールドワイドな、採算度外視の写真絵本である。こういう贅沢の仕方は、本当に意義のある素晴らしい行動だと思う。英語タイトルは『Beyond A Pencil』となっている。次号の特集は『はてなし世界の入口』と予告されており、絵はタイガー立石となっている…こ、これはぜひとも読んでみたいな…。
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2020年08月14日

8/14学級文庫第一号。

午後イチに三鷹に向かい、「水中書店」(2014/01/18参照)へ。店内で古本神・岡崎武志氏と打ち合わせのための待ち合わせをしているのだが、岡崎氏が店頭に姿を現しつつ、店頭棚を眺めている男性に話しかけ始めた。あっ、男性はライターの北條一浩氏であった。これはなかなかの偶然。ご無沙汰しております、とお辞儀する。しばしお客で賑わう店内を楽しみ、立風書房「埋葬の土曜日/アラン・ホワイト」を500円で購入する。その後、近所の『フレッシュネスバーガー』で、とある計画について岡崎氏と打ち合わせた後、連れ立って「りんてん舎」(2019/03/30参照)へ。こちらもずいぶんと賑わっているなぁと感心し、「江戸川乱歩と大衆の20世紀展」実行委員会「江戸川乱歩と大衆の20世紀展・図録」を880円で購入する。『井の頭通り』と『三鷹通り』の十字路で氏と別れ、そのまま東にテクテク歩いて吉祥寺へ。当然のように古本屋さんを経巡るのだが、残念ながらこの日は珍しく収穫ナシ。猛暑にすっかりバテてしまったので、阿佐ヶ谷に慌てて引き返す。そして最後に気まぐれに、『中杉通り』の坂の上の古い物店「懐し屋」(2017/02/22参照)の扉を久々に開けて、たくさんの時計のセコンドが重層的に重なり合う店内に滑り込む。目指すは中央の二台のガラスケースに挟まれた横積み古本ゾーン。丁寧に一冊ずつ繰り、結果、大日本雄弁会講談社「少年クラブ」昭和二十四年五月号付録「漫画遊戯ブック 12の3ちゃん名探偵/センバ太郎」を500円で購入する。探偵助手と志願の少年3ちゃんが、怪盗赤マスクと追跡劇を繰り広げる漫画なのだが、要所要所にクイズやパズルや双六的要素が散りばめられ、アクロバチックな展開を見せまくる。最後のドンデン返しもなかなかふるっていたので、少し感心する。
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それにしてもこの「遊戯ブック」、どうやら中学一年生の男子用学級文庫だったらしく、『学級文庫第一号』と表紙に書かれているのだが、これが第一号って、なかなかさばけた学級文庫…この後も付録本が続いたのであろうか…。
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2020年08月13日

8/13「千章堂書店」が営業再開していた。

昨日は午後に井草に流れ着いたので、ちょっと線路伝いに西に歩いて「井草ワニ園」(2019/01/05参照)へ。あかね書房「けんはへっちゃら/谷川俊太郎・和田誠」を900円で購入する。店主と「外は雨降ってますか?」「まだです。でも恐ろしく黒い雲が近付いて、雷が鳴り始めています」などと話したそばから表に出ると、あっという間に土砂降りに。仕方なくマンションの軒先で、激しい水しぶきを呆然と眺めながら、三十分ほど雨宿りする…。「けんはへっちゃら」は六十年代出版の新装版だが、中身はそのままアーリー和田誠なので、すこぶる尖ってグラフィック的に洗練された絵本なのである。団地に住む少年の、現代的わらしべ長者物語なのだが、その過程で登場する拳銃『コルト・スナブノーズ・リボルバー。三二こうけい・六れんぱつ、ながさ一七センチ、おもさ五九五グラム』に目を奪われる。独特な機能美を、存分に顕在化させている、グラフィカルなイラストなのである。手元にある同時代の拳銃本、大藪春彦「世界拳銃百科」矢野庄介「拳銃図鑑」に当たってみると、スペックの詳細や図柄からして、どうやら宝石社の「拳銃図鑑」を参考にしている節がある。当時のGUNブームは絵本にも及んでいたのか。
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そして本日は所用を片付けて阿佐ヶ谷に戻ると、「千章堂書店」(2009/12/29参照)が豪雨ダメージから復活し、しれっと営業再開中であった。店内は巧みに修復され、何がどう変わったのかまったく見当がつかない…何はともあれ、阿佐ヶ谷古本屋事情がこれで安定した。そう喜んで、河出文庫「薔薇の供物/中井英夫」を150円で購入する。お店を出たところで、今日は定休日の「ネオ書房」(2019/08/11参照)の切通ご夫妻とバッタリ遭遇したので、慌ててご挨拶する。
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2020年08月11日

8/11ハイレッドセンターの絵本!

昨日は午後に入ったら阿佐ヶ谷「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に赴き、読了&不要本を買い取ってもらう。そうしていくばくかの軍資金を得て、体温のような気候の中を荻窪に向かう。「古書ワルツ 荻窪店」(2020/07/30参照)は、8/10〜16の間、店頭百均棚で開店セールを行っている。店頭本100円+税を十冊買うと、500円+税に割り引かれるというセールである。十冊ドババッと買いたいところだが、一冊だけつかみ、手指消毒して店内へ進む。うわわ、何だか通路の末端に結束本の山が築かれている…相当市場で買った感じ…これは、この山が店内から消えた後が楽しみだな…そう考えつつ、店内では一冊。河出新書「微笑/小島信夫」作品社「乱歩東京地図/冨田均」を計660円で購入する。さらに「竹陽書房」(2008/08/23参照)で講談社の幼児絵本「いそっぷどうわ」を100円で購入し、猛暑日のパトロールを終了する。

本日は小学生のように午前のまだ涼しいうちに仕事をテキパキ済ませる。そして正午前に世田谷方面に出たついでに、愛しの「大河堂書店」(2009/03/26参照)をパトロールして行く。やはりこのカバーナシの風太郎「落日殺人事件」は買っておこう。そして左奥の絶版漫画棚に昭和三十年代の捕物漫画があったので、ラッキーだなと抱え込む。最後に右端通路で棚下平台の「こどものとも」などのペーパーバック絵本列を漁っていると、一瞬ギョッとしてしまうほどの恐ろしき一冊を発見してしまう。高松次郎・赤瀬川原平・中西夏之の三名による前衛美術家グループ『ハイレッドセンター』(三人の名字の最初の一字を英語化して並べている)が作った絵本っ!三冊のうちの一冊、赤瀬川原平が絵を担当した「A Tale of Six Talented Men」である!値段は激安の520円!ぬぅおおおおっ、これだから俺は、この古本屋さんを愛して止まないんだ!憧れのハイレッドセンターのグッズを手に入れることが出来るなんて、とても暑いが幸せな夏になったぞ!そう思いながら、桃源社「落日殺人事件/山田風太郎」(カバーナシ)ひばり書房「水魔の足跡/鹿野はるお」(カバーナシ)LABO-TEACHING INFORMATION CENTER「A Tale of Six Talented Men from Grimm's Fairy Tales/Genpei Akasegawa Clive W.Nicol」(1976年刊で、本文の英文はc・w・ニコルが担当している。ちなみにハイレッドセンター制作の絵本は後二冊存在)を計1820円で購入する。
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あぁ、大変良い眺めだ…。

そしてそろそろ書店に並び始める「本の雑誌 いわし雲寝過ごし号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、連日お世話になっている阿佐ヶ谷「古書コンコ堂」が登場。突然棚に出現し始めた、古い探偵小説群に色めき立つ日々をレポートしております。しかもこの『探偵小説狂想曲』は現在も継続中!ある方からのパトロール指令も下っているため、まだまだ毎日覗く日が続きそうなのであります。
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2020年08月09日

8/9元・幻の探偵小説作家のブロマイド!

本日は午後に上北沢に流れ着いたので、暑さに蕩けそうになりながら北上し、なけなしの体力を振り絞って浜田山に到達する。そして京王線に乗り込んで久我山に移動し、住宅街を喘ぎ喘ぎ伝い、ようやっと西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にたどり着く。手指をハイテクな自動の消毒器で消毒してから帳場に向かい、ある本を受け取る。
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カバーデザインを担当した、綺想社「綺想紙漿雑誌 暴譯叢書参 ハワードマガジン ソロモン・ケイン シリーズ1 星のなかの骸骨/ロバート・E・ハワード」(長い!)である。既に発売されている、クラーク・アシュトン・スミスの「響尾蛇の復活」「妖蛆の王国」に続く、コナンシリーズのパルプ小説作家、ロバート・E・ハワードの作品集である。ピューリタンであるソロモン・ケインを主人公にしたヒロイック・ファンタジーと、心霊探偵スティーブ・ハリソンが活躍するB級オカルト・ミステリを収録。このシリーズ、物凄い作品を物凄い早いペースで刊行しているのが、何とも痛快で、こういう偉業に少しでも関われるのは、とても栄誉なことである。もうすぐ盛林堂の店頭や通販や、中野「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)で買えるようになるでしょう。そしてさらに、盛林堂・小野氏から創元推理文庫新刊「死の快走船/大阪圭吉」と盛林堂ミステリアス文庫「勤王捕物 丸を書く女/大阪圭吉」を献本していただく。
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8/12に発売になる「死の快走船」は、なんと小野氏が解説を担当!大阪圭吉が好き過ぎて突っ走っていたら、こんな素晴らしいご褒美が待っていた!という感じである。その刊行に合わせて出された「勤王捕物 丸を書く女」は「夏芝居四谷怪談」に続く二冊目の弓太郎捕物帖ミニブックである。まるで2020年の夏に、大阪圭吉が小さな旋風を巻き起こしているようなのが、愉快愉快。そしてさらにその旋風に力を加えようと、盛林堂では『※盛林堂予約特典※創元推理文庫「死の快走船」と盛林堂ミステリアス文庫新刊「勤王捕物 丸を書く女」を一緒に注文された方には予約特典として「大阪圭吉 ブロマイド」をお付けします。』という、大阪圭吉愛が迸るクレイジーなキャンペーンが催されているのだ。だ、誰が欲しがるというのか!前代未聞の、幻の探偵小説作家のモノクロ・ブロマイドを!しかもブロマイドは、何と五種類と作り過ぎっ!もはやブロマイドなんて出来たら、幻の探偵小説作家は卒業だ!…選択不可の、どれか一枚が、同時注文の方に届くとのことであるが、まぁいつの日か、また大阪圭吉旋風が巻き起こった時に、物凄いプレミアが付いている可能性も、無きにしも非ず…。そうだ!今度から盛林堂ミステリアス文庫、新刊を出す度に、その作家のブロマイドを作成してくれると、前代未聞が継続し、面白いんだがなぁ…。
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2020年08月08日

8/8東京・代田橋 flotsam books

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本日は午後イチに代田橋の南、大原に流れ着く。ここからだと明大前が至近なので、「七月堂古書部」(2018/01/13参照)に足を向けたいところだが、残念ながら今日から夏休みに入ってしまったらしい…ならば、あの新しいお店を偵察に行ってみるか。そう決めて代田橋駅方面へ。雑居ビルの谷間で出来ている駅前を抜け、まずは『甲州街道』に出る。歩道橋で街道を超え、北側の歩道をちょっと東へ。するとすぐに『和泉明店街』という小さな商店街が出現するので、北に下るように入り込んで行く。この商店街は、沖縄系の物産店や飲み屋が集まっており『沖縄タウン』との異名を持つほど、リトル沖縄化が進んでいる。商店街の途中にある小さなアーケード市場『大都市場』は、特に沖縄化が顕著である。道はやがてT字路となるので、東に進路を採り、古い靴屋の前を再び北に曲がり込む。もはや商店街の端っこであるが、歩いて行くとやがて右手にサッシウィンドウ&ドアの開放的なお店が姿を現す。表には縁台がひとつ。ウィンドウの上部には、紙で作られた店名看板が大きく飾られている。中に入ると、何だかビンテージレコード屋さんの雰囲気…だが、並んでいるのはそのほとんどが洋書の写真集である。店主のアンテナに引っ掛かった新刊&古本を集めているようで、気鋭のカメラマンたちが渾身のシャッターを切ったそれぞれの重要な場面が。小さな空間を支配している。右側には壁面にラックと平台が設置され、簡易な雜紙系の写真集が多く並んでいる。フロア中央には簀子や木箱で造られた平台があり、写真集が平積みになっている。ヴィム・ヴェンダースの写真集や、名作ラリー・クラークの「TULSA」などが目立っている。おぉ、台の脇には文庫棚が一列と(新しいものが中心)、写真関連単行本棚が一列あるではないか。勢いで入ってはみたが、今は写真集を買うつもりはなかったので、助かった…よし、ここらから何か買って行こう。下にはカルチャー雑誌箱あり。そして左壁は上が飾り棚で、下が大判本棚のメイン写真集ゾーンとなっている。このように写真集に特化したお店を他に思い浮かべてみると、吉祥寺「book obscura」(2018/01/12参照)や代々木八幡「SO BOOKS」(2010/10/06参照)などが好敵手店にあたるだろうか。というわけで申し訳ないながらも、心の中の予告通り文庫を抜き出し、カウンター帳場に座るシアター・ブルックの若かりし佐藤タイジ風店主に、丁寧に精算していただく。ありがとうございます。新潮文庫「周五郎少年文庫 殺人仮装行列/山本周五郎」を購入する。写真専門店にこのような文庫が売っていて、本当に良かった…。
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2020年08月07日

8/7レジャー!買いもの!男!

午後にちょいちょい用事をこなしながら、中野〜阿佐ヶ谷間を徒歩で移動。その途中で、ちょいちょい古本屋さんに立ち寄る。「ブックオフ中野早稲田通店」(2012/11/15参照)では古書コーナーから大和書房「傷だらけの天使/市川森一」を210円で購入。続いて「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)では通路の安売棚に張り付き、講談社「おしゃれの絵本/大橋歩」を110円で購入する。次の高円寺では「DORAMA高円寺庚申通店」の店頭ワゴンで、角川書店「夏の方舟/海猫沢めろん」が献呈署名入りなのに気付いて喜び、さらに住友ビジネスコンサルティング株式会社「チャーミングなあなたに 絵で見るオフィス・レディーのマナー」という、およそ百ページの絵解きガイドブックを引き当て、計220円で購入する。「チャーミングなあなたに」はバブル前夜辺りの昭和59年の再版で、女性社員の身だしなみや姿勢や動作などについてから始まり、後は会社を訪れる客への対応・お茶汲み・電話応対について、事細かにイラストで説明が為されている(特にお茶の出し方が茶道並に微細過ぎて、見ていると気が滅入って来るほど。配膳の順番・角度・方向…)。まるで山田太一がえぐり込み曝け出した、古の価値観に基づいた不条理なOLの世界そのままである。そんなものを歩きながらパラパラ見ていたら、暑さがヒドさを増して来たので、一刻も早く家に帰ることにする。
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これは電話応対の一コマ。悪い例の無邪気さに苦笑する。私用電話の内容…レジャー!買いもの!男!
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2020年08月06日

8/6クリスティの『情婦』についてちょっと考える。

昨日は地元である阿佐谷北に午後一時過ぎに流れ着く。その過程で、路上の隅で長く寝そべっている野良猫を発見する。『かあいいな』と思いつつ、近付きつつチチチと口を鳴らす…だが、反応ナシ。まったく、逃げずに足元に寝そべっている。人に慣れているからか。と判断し、ちょっとかがんで人差し指を伸ばして、口の横を愛情を込めて撫でる…反応ナシ…と思ったら、突然大慌てで身を起こし、爪を立てて地面を掻きむしりながら「ヤァンシャッニキュ〜ィッ!!!」と聞いたことのないわめき声を上げ、一目散に逃げてしまった。単に熟睡していたのか。悪いことしたな。そんな経験をしつつ、酷暑から逃げるように「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に縋り付く。店頭棚で角川小説新書「情婦/アガサ・クリスティ 松本恵子訳」を発見。クリスティの短篇集で、同名の文庫が角川文庫にある。新書は昭和三十三年が初版なので、これが元版ということか。ところで、短篇集のタイトルになっている『情婦』は、実は『検察側の証人(原題:Witness for the prosecution)』が本当のタイトルである。これは『検察側の証人』を映画化したビリー・ワイルダー監督作品が、『情婦』という題名で昭和三十三年に日本公開されたことと、関係があるのではないだろうか。…つまりは便乗と言うか、映画会社の付けたタイトルに合わせたノベライズと言うか…それにしてもこの短篇を、あれだけ面白い映画にするビリー・ワイルダーは、やはり名監督だと思う。手指消毒して中に進むと、中央通路探偵小説ゾーンの乱歩本がほとんど消え失せているのに気付く。誰かまとめて買ったんだな。こんなにスペースが空いたのなら、そろそろ新顔を補充していただかねばイカンな。そんな風に不遜に考え、新書つながりでロマン・ブックス「鮮血洋燈/渡辺啓助」をスッと抜き出し、計640円で購入する。
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本日は上石神井に流れ着いてしまったので、頑張って南に歩き詰め、吉祥寺に出る。「一日」(2017/08/11参照)はやはり自粛休業中か…。「バサラブックス」(2015/03/28参照)で草思社「ハードボイルド以前/小鷹信光」を100円で購入した後、「よみた屋」(2014/08/29参照)へ。むぐぅ、ちゃんと函付きで、パラパラ見ても書き込みや落丁などの瑕疵の見当たらない、東京創元社「影絵/藤城清治作品集」が店頭棚に挿さっているなんて…色々疑いながらも、結局はガッチリホールドし、青銅社「村の少年期/国分一太郎」とともに計220円で購入する。
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「影絵」がやはり嬉しい。ホールドしておいて良かった。冒頭の花森安治の寄稿で、花森の提案で藤城が影絵を始めたことを知る。け、慧眼というヤツですな…。そして帰りの車窓で、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)のテント看板に、デカデカと店名が出現しているのを目撃する。
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2020年08月04日

8/4快飛行家の本を薦められる!

本日は暑さとゲラと格闘しながら過ごし、夕方に準備した古本や読了した古本を携え西荻窪に向かう。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内「フォニャルフ」棚に、新鮮さを加味するためにピリッと補充。その後は帳場にて、大量の買取本を捌く店主・小野氏と、ちょこちょこお仕事について打ち合わせ、雑誌のコピーを見せたり、古い古本屋地図を託したりと、色々やり取りする。そしてこの間の買物で(2020/07/21参照)、小野氏にセレクトしてもらったポプラ社「君は花のごとく/龍膽寺雄」が、戦前とはまた違った龍膽寺流な少女趣味キラキラに満ち、思いの外楽しめたので『今日もまた何か面白い本を買わせて下さい。俺が読みたいと思う本を買わせて下さい』とお願いする。すると散々悩みに悩んで「これは見せたっけ?」と出て来た本は、大正五年刊の日本飛行研究會「快飛行家スミス/野副重正」という、見た瞬間にシビビビと来た、まさに好みの未知の古書であった。サンフランシスコ上空を、カーチス複葉機(羽より前の胴体に座り、操縦桿は丸のハンドル型…)で昼夜を問わず、宙返り飛行を敢行する、冒険飛行家アート・スミスの観察記と伝記らしい。ライト兄弟とほぼ時を同じくして、飛行機の開発と操縦と発展に情熱と命を傾けた、黎明期の貴重な記録である。二千円で購入。知らなかったが、見た瞬間に読みたくなる、時代の間に埋もれていた、104年前の本と出会える幸せよ。
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表紙は飛行機ではなく、勇壮な鷲の絵で飾られている。上部の四角は、色褪せてしまっているが、主人公である飛行機の写真なのである。
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2020年08月03日

8/3久方ぶりの「十五時の犬」!

本日はのんびりと起き出し、午前十一時前に家を出る。突然訪れた強力な夏の日射しの下、テクテク歩いて荻窪へ向かい、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)を定点観測する。店内は週末の嵐を乗り越えた感があり、棚に所々ブランクが生まれているので、しめやかに補充が行われている。ライトに店内を一巡し、第一書房「僕の初旅 世界一周/ジヤン・コクトオ 堀口大学譯」(函ナシ)を330円で購入する。この、コクトオがヴェルヌの「八十日間世界一周」に憧れ、冒険的ポエジイを獲得するために始めた旅の記録!欲しかったんだ!読みたかったんだ!サンキュー、「古書ワルツ荻窪店」!冒頭のモノクログラビアにある、甲板で別れを惜しむコクトオと堀口大学が熱く抱擁する写真が、早速涙を誘う。そんな嬉しい収穫を得た後は、午後に高円寺へテクテク。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)でフィルムアート社「ムービー・マジックSFX物語/ジョン・ブロスナン」を200円で購入し、さらに「DORAMA高円寺庚申通り店」でワニブックス社「因果鉄道の旅/根本敬」を110円で購入し、久々に東側の『あづま通り』にも足を踏み入れてみる。こちらでは、「中央書籍」(2011/11/15参照)「十五時の犬」(2011/11/22参照)「越後屋書店」(2009/05/16参照)が開いているところを、久しく見ないのだが……おおぉっ!「十五時の犬」が開いているぞっ!時刻はちょうど午後三時過ぎ。これは素晴らしい光景に出くわしたっ!と、お店との久方ぶりの再会に古本心を高揚させ、手指消毒して店内に飛び込む。相変わらずの細かく不規則に本棚が立て込む迷宮的空間が魅力的である。SFパニック小説のダブり本が並ぶ棚は、なかなかに壮絶だな。そんなことを思いながら、マスク越しに息をひそめつつ、店内通路を一周。新潮文庫「ブラウン神父の純智/G.K.チェスタトン」を100円で購入する。
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あぁあぁ、「十五時の犬」が、開いている。ただし「中央書籍」と、斜向いの「越後屋」は開いていなかった…。
posted by tokusan at 16:44| Comment(2) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする