2020年10月31日

10/31戦前の翻訳探偵小説研究本!

引き続き太宰治の「水仙」を継続読書しているのだが、『ダス・ゲマイネ』にこんなシーンが出て来て感動を余儀なくされる。ラスト近く、主人公が自分の存在に疑念を抱き、夜の雨の本郷を唐突に疾走する。『齒醫者。小鳥屋。甘栗屋。ベエカリイ。花屋。街路樹。古本屋。洋館。』…なんと鮮烈な情景描写。そこに愛してやまない古本屋さんが紛れ込んでいたので、魂を震えるほど突つかれてしまったのである…。

そして本日は世田谷の上馬に流れ着いてしまったので、北にちょっと向かい、午後一時前の若林の「十二月文庫」(2017/11/04参照)を偵察…あぁっ、まだ開いてないや。なんだかもうすぐ開店しそうな気配は漂っているのだが、不確実なものを待ちわびてフラフラしているわけにもいくまい。そう決めて、『環七通り』→『淡島通り』→『茶沢通り』と歩き詰め、下北沢に出る。「ほん吉」(2008/06/01参照)にて、学研「6年の学習(昭和46年4月号) 進級お祝い号 第3学習教材 一週間ドロン旅行/文=里丘茂 絵=西島武郎」を300円で購入する。東京から九州まで一人旅する小学六年生の男の子を付け狙う、謎の黒い影…ちょっとミステリ風味なお話らしい。その後は京王井の頭線とすぎ丸で阿佐ヶ谷に戻り、いつものように「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄る。すると中央通路の『探偵小説狂想曲』コーナーのミステリ評論&研究書部門に、未知の一冊を見つけてしまう。育生社「探偵小説の歴史と技巧/フランソア・フオスカ 長崎八郎譯」…なんと昭和十三年の探偵小説研究翻訳本だ。冒頭を江戸川乱歩の『感想』という一文が飾っており、乱歩が校正刷りで面白く本書を読んだことなどに続き、探偵小説の鬼ならではのマニアックな考察が迸っている(乱歩が本書の類書として挙げているのは、春秋社「探偵作家論」田内長太郎「古典犯罪探偵小説史」田中早苗「ポオ以降現代まで」大田黒元雄「英米探偵小説案内」などである)。また譯者は、『アテネフランセ』の書籍部の棚に原書を見付け、これが探偵小説愛好家の道標になるのではないかと、同じ愛好家として翻訳を決心したそうである。うぅむ、熱い!探偵小説バンザイ!目次を見ると『E・A・ポオとシュヴァリエ・デュパン』『デュパンとシャーロック・ホームズ、ルコック氏とカッフ探偵及びニック・カーターに就て』『コナン・ドイルとシャーロック・ホームズ』『モーリス・ルブランとアルセーヌ・ルパン、ガストン・ルルーとルレタビーユ、ジョルジュ・シメノンと現代フランス探偵小説』とか、食指がビクビク動きまくりの時代を感じさせる章タイトルが連続している。カバーナシで少し値は張るが、ここであったが百年目と、観念して3300円で購入する。
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ちなみにこの本、後見返しに記名があるのだが、『三十一、九、十三、』に神保町「一誠堂書店」(2010/03/27参照9で買い求めたと記されている。31は昭和三十一年であろう、さらには早稲田「照文堂書店」(2011/01/31参照)の古書店ラベルも貼付けられている。おぉ、これぞまさに生々流転な古本に歴史あり!…いや、それにしてもイレギュラーに散財してしまった…。
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2020年10月30日

10/30坂を下って署名本を。

昨日はお昼に荻窪に流れ着いたので、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)でお買い物。店頭に山渓新書が十冊近く出されていたので、見慣れぬ面白そうな一冊をピックアップする。「アルペン・ドライブ/堀仁」である。110円で購入。フォグランプ以外は標準装備のセダンタイプ乗用車で、無謀にも林道や山道を、外灯など一つも無かろうが、未舗装だろうが、雪が積もっていようが、氷結していようが、泥濘化していようが、雑草や灌木が立ちはだかろうが、ひたすら走破するアナーキーなアドベンチャー・ドライブの記録である。この作者があまりにも自然道が好き過ぎて、はじまりの章のほとんどを、高速や国道など決められた道しか走れないドライバーたちを罵倒するのに費やしているのが、激しく素敵にクレイジーである。
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本文内には“大自然VS乗用車”と言った写真が満載なのだが、氷漬けのトンネル内を走るカバー写真もかなり衝撃的。

そして本日は朝から三十冊ほどの渾身のセレクト古本を箱詰めし、大阪に発送する。愉快な見慣れぬ本が安値で紛れ込ませてあるので(もちろん探偵小説関連も)、大阪「梅田蔦屋書店」古書棚に、しばらくしたらご注目下さい。よし、今月も真面目に楽しく補充したぞ!午後は昼食後に連載取材のため外出。無事に終わらせてから、目白崖線から下落合方面に坂を下り、高田馬場の谷に出て「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に立ち寄る。奥の古書棚に狩人の視線を走らせていると、白水社「私説史コメディアン史/澤田隆治」を見つける。『てなもんや三度笠』のディレクターによる、現場から見た日本のコメディ史である。帯付きで210円だが、扉に識語献呈署名が入っている!『喜劇復活の祈りをこめて』にグッと来ながら即購入する。そう言えば取材でも署名本を購入したんだった。今日はそういう運命の日かもしれない…。
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2020年10月28日

10/28「別冊宝石」の東芝の広告が粋なのに気付く。

本日は千歳烏山と成城の間に流れ着いてしまったので、千歳烏山駅に向かい、線路の下を潜って北側の商店街にある無人特殊古本屋「イカシェ天国」(2008/09/23参照)に足を向ける。だが、残念ながら閉まっていた。ベタベタと色々人を遠ざけるような貼紙が隙間なく貼られた扉が、ピタリと閉ざされているのだ。無人古本屋なのに、開いていないのはこれ如何に?と首を捻りながら、仕方がないので京王線とすぎ丸で阿佐ヶ谷に戻る。帰り道の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄ると、おっ、店内にあった「別冊宝石」が押し出されて店頭に出ているじゃないか。と喜び三冊を掴む。宝石社「別冊宝石79号 世界探偵小説全集31巻 米英仏独加傑作15人集/水谷準編集」「別冊宝石85号 世界探偵小説全集34巻 エラリー・クイン&傑作6人集」「別冊宝石89号 世界探偵小説全集36巻 クロフツ&傑作6人集」を新芸術社「荘子の知恵/日影丈吉」(日影丈吉がこんな本を出していたとは…)とともに計440円で購入する。そして「別冊宝石」をたくさん買ったことにより、ひとつ気付いたことがある。昭和三十三〜四年の表紙全面が永田力の油絵風景画が覆うシリーズがあるのだが、表2は必ず東芝の広告になっている。この広告が、すべてなんとな〜くミステリーと搦めた「宝石」仕様の特殊なものになっているのだ。例えば電気釜の性能を端的に表すキャッチは『三重の密室』、テレビは『現場に近づく』や『音のミステリー』、フォノラジオは『求む助手!』など。東芝よ、何という粋な出広をしているのだ!こういう余裕のある遊びは全く持って痛快である。それにしてもテレビが大体六〜七万円している…大卒の初任給が一万三千五百円くらいの時代である。今なら八十万円くらいということか…。
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2020年10月27日

10/27「大河堂書店」で最後の掘り出し物を!

先日「江口書店」(2010/03/29参照)で買った太宰治の「水仙」を読んでいると、収録作の一編に『東京八景』があった。読むのは初めてで、惰性のように共産主義地下活動を務めながら、生活の目標を見出せない太宰と思われる主人公が、生を苦しみながらもダラダラと暮らしつつ、それでもよすがのひとつとして創作活動に打ち込み、東京内を転々と引っ越す私小説である。その中で、天沼の最下等の下宿に移ったところで、こんな描写が出て来た。無頼漢として誰にも相手にされなくなり、世間から『廢人の待遇を受けている』と感じるようになった主人公が、やがて下宿から一歩も出なくなり、『酒のない夜は鹽せんべいをかじりながら、探偵小説を讀むのが幽かに樂しかった』と。…夢も希望もなく、探偵小説を読むことで、孤独の夜から現実逃避していたのだろう。昭和十一年のことである。本格謎解きか、通俗猟奇的なものか、いったい、どんな探偵小説(恐らくは阿佐ヶ谷か荻窪の古本屋で求めたであろう)を太宰が読んでいたというのか…。

そんな八十四年前の、天沼の片隅の誰かのやさぐれた暗い夜と、それをかろうじて慰める一冊の古い探偵小説を想像しながら、午後に外出。先週火曜日の行動をなぞるように、これが恐らく最後の訪問となることを予感しながら、経堂の「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ向かう。およそ四十分ほどで経堂に着き、賑やかな商店街の人の流れに乗って、坂の下の小さな十字路を過ぎた「大河堂」。店頭にも店内もお客さんがチラホラ。そしてみなしっかりと古本を購入して行く。なのに棚にはブランクがほとんど目立たないので(奥の農業&自然系くらい)、やはりまだまだ補充をこまめに行っているのだろう。そして店内の閉店お知らせの貼紙には、新たに『閉店セールはやりません』と追記されている。よほど閉店セールについて聞かれたのだろうか…。今日も精査に本の背を追いかけて行く。途中、一箱の猛者・M&M書店さんに会ったりしながら、左奥の壁棚へ。上段に古めの時代小説が固まっているのだが、そのうちの一冊に心臓が跳ね上がる!元泉社「神變呉越草紙/白井喬二」の、は、は、は、箱付きだっ!ついこの間「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で箱ナシ本を発見して喜んでいたのだが(2020/10/10参照)、よもやその僅か十七日後に、まだ読み終わってもいないのに箱付き完品を発見してしまうとは!大正十二年七月に三上於菟吉や直木三十五が興した出版社から出された、白井の初長編伝奇小説なのだが、二ヶ月後の関東大震災により、そのほとんどが灰燼と化し、後編が出せなかった悲劇の本である。ついこの間「盛林堂書房」小野氏にこの本について聞いてみると、やはり幻本の類いであることを教えられた。棚から取り出し箱から取り出し、後見返しを見てみると値段は千円。やはりここは奇蹟に出会えるお店であったな、と改めて実感し、ダブるのなんか構うものかと、腕に優しく抱え込む。さらに右端通路の海外文学文庫棚から、少し汚れているが新潮文庫「奇跡のお茶事件/チャータリス 黒沼健訳」を見出し、喜びを倍加させる。ビニールカーテン越しに計1900円で購入。「大河堂書店」、最後の最後まで驚くほど楽しませてくれた、“おもしろ文庫”の名に相応しい、素晴らしいお店であった。本当に本当に今までありがとうございました。閉店の十月末日…つまり十月三十一日まで後四日…。
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2020年10月26日

10/26昨日と今日の古本買い。

昨日は「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で買物。店頭棚から、文春文庫「ホシは誰だ?/文藝春秋編」角川文庫「狂人は笑う/夢野久作」畝傍書房「藥化学夜話/寺田文次郎」を計330円で購入する。「藥化学夜話」は藥と文学の関わりや、珈琲・酒・煙草・毒・阿片の小話や『大陸藥話』などで構成された、昭和十七年の本。夜は『クラシック・ミステリの再発見』を標榜する同人グループ『Re-Clam』の首脳陣と懇親会。ミステリと古本(海外オークションで闘う原書の話など、とにかくワールイドワイドで刺激的)などの話に打ち興じ、時を忘れる。次の日の朝、起きたら声の掠れている自分に気付く…いや、久しぶりに人とたくさんお話ししたもので…。そしてその掠れも早々と薄れて来た午前中に外出し、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)を定点観測する。ひとつひとつの棚を丁寧に見て行くと、何だか古書率が上がって来ているのを把握する。お店中央辺りの通路棚から、早川書房「探偵物語/S・キングスレー」を550円で購入する。昭和二十九年刊のウイリアム・ワイラアが映画化した舞台の脚本である。装幀は野口久光。なんだか同時代の白水社の戯曲本のようにシンプルで洒落たデザインである。阿佐ヶ谷に戻ると「千章堂書店」(2009/12/29参照)に立ち寄り、新潮社「小説新潮 昭和二十九年九月大増號」を100円で購入する。尾崎一雄『横丁巡り』(挿絵は脇田和で、『なめくぢ横丁』『もぐら横丁』『ぼうふら横丁』の舞台を取材で巡るお話)や橘外男『グリュックスブルグ王室異聞』や目次絵の茂田井武の可愛さや表4の三船敏郎が美し過ぎる『丹頂ヘヤートニック』広告が素敵。
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「探偵物語」と「小説新潮の」折り込み目次ページ。

おや、昨日古本を買った「古書コンコ堂」がシャッターを下ろしてしまっている。貼紙を見ると臨時休業で、明日の定休日に替わりにお店を開けるとのことである。一旦家に戻って昼食を摂った後、再び外出。バスと西武池袋線を乗り継ぎ、保谷の「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)へ。店頭&店内入口裏大量横積みゾーンをエッチラオッチラ静かにそっと掘り起こし、前田干城堂「圖解 作戰要務の研究/兵學研究會編」(昭和十六年の粗末な本なのだが、本文の戦闘作戦図が赤・青・黒の色刷りになっていて何か編者の執念を感じる)荒地出版社「真説・日本剣豪列伝」インパルス「古賀忠道写真集 野生動物と自然保護 アフリカの動物と世界の動物園」春秋社「洲之内徹の風景/「回想の現代画廊」刊行会編」を計440円で購入する。
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2020年10月24日

10/24久方ぶりの「江口書店」。

本日は世田谷の奥深くの深沢の住宅街に流れ着く。時刻はすでに午後五時前である…せっかくこんなところに来たのならば、やはり池尻大橋の「江口書店」(2010/03/29参照)に寄って行くべきだろうな。そう決心して、暮れなずんで行く見慣れぬ街をトボトボ歩き始める。『駒沢公園通り』から『玉川通り』に出て渋谷方面へ。オレンジの光を落とす外灯と、詰まり気味の車列のライトが、夜の寂しさを多少なりとも軽減してくれている。そんなに時間はかからないだろうと思っていたら、一時間弱かかってしまった…だが、交差点の向こうには、古書を棚にたっぷりと湛えた「江口書店」の柔らかな姿が見えて来たではないか!
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下手をすればおよそ二年ぶりの訪問である。横断歩道を渡り、早速店頭の小さな木製ワゴンを、店内の灯りで必死に透かし見る。すぐさま気になる二冊を確保して店内に滑り込む。相変わらず本当に茶色い古書で満たされた空間である。棚よりその手前に積み上がる古本たちを見ると、ちゃんと古本屋さんとして動いている息吹が伝わって来る。しばらく熱心に眺めていると、本に囲まれた帳場には誰もいなかったのだが、やがて階段から老婦人が姿を現し着席した。お元気そうでなによりです。角川文庫「皇帝のかぎ煙草入れ/ディクスン・カー」文藝春秋社「文藝春秋選書4 水仙/太宰治」晋北政府「大同雲崗石佛寫真帖」を計500円で購入する。老婦人からはアルコールによる本の消毒を勧められるが、「いや、大丈夫です。ありがとうございます」と丁重にお断りする。
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「江口書店」、やっぱり面白い古書が売っていますな。本日の収穫もとてもとてもいい眺め。「皇帝のかぎ煙草入れ」の訳者は守屋陽一。創元推理文庫のレア本、旧訳「幽霊の2/3」の訳者でもある。「雲崗石佛寫真帖」は、大同陸軍特務機関検閲済で昭和十四年に京城(日本占領下のソウル特別市)で印刷されたものである。外地の出版物が現代の日本にある、この不思議さよ。
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2020年10月23日

10/23す、すまない「ますく堂」さん!

昨晩、Eテレの漫画家超絶技巧研究番組『漫勉neo』を観ていると、浦沢直樹とゲストの星野之宣の対談収録場所が、北海道札幌の「BOOK LAB.」という未知の古本屋さんであった。今時の洒落た店構えの壁棚も立派な広めなお店。いつか訪れてみたいものだ…。

本日は午前のうちに外出して、雨の降る中荻窪へ。「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)で、大正十一年四版の新潮社「タンホイゼル〔附〕ロオエングリン/ワグネル作 中島清譯」を550円で購入する。ちなみに後見返しに貼付けられている「古書ワルツ」の値段札は、「ささま書店」(2020/04/05参照)と同タイプの物を使用しているのだが、小さく入っているキャッチが「ささま」は『広くて楽しい古本屋』だったのが、「ワルツ」では『広い!楽しい! 早い!』になっている。『早い!』ってなんだろう?…精算?棚の回転?その後トボトボ阿佐ヶ谷に戻ると、今日明日と新型コロナ感染拡大予防対策を施した『阿佐谷ジャズストリート』が開催されるので、駅北口アーケード街の「千章堂書店」(2009/12/29参照)は、恒例のジャズ棚二本を店頭に出現させていた。この時期だけ出現する人気の期間限定棚である(ジャズストリート終了後も、二〜三日は残っている)。
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ところで本日は、大阪の「古書ますく堂」さんが上京して一箱古本市に参加するので、どうにかして駆け付けたかったのだが、本日締め切りの仕事が片付かず、どうにも身動きが取れない…す、すまない「ますく堂」さん。本日駒込のカフェ『ミドルガーデンコーヒースタンド』で、午後六時半〜九時と一箱古本市が開かれますので、お時間ある方はぜひ感染予防対策を施して、夜の一箱を楽しんで来て下さい!
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2020年10月22日

10/22三鷹〜吉祥寺ルートで百円以下の本を。

昨日、チラッと「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、あすなろ書房「私の子ども文化論/かこさとし」を110円で購入する。これは初めて見た本なので嬉しい。かこさとしの絵本と兄弟のような、子どもやその遊びに関する論考は、愛と示唆に満ちていて、いつだって面白く興味深いのだ。そして本日は午後に三鷹の北に流れ着いたので、フラフラと「りんてん舎」(2019/03/30参照)に接近する。リブロポート「大正幻滅/堀切直人」改造社「朝霧/永井龍男」(『第二回横光賞』受賞の帯付き)を計220円で購入する。さらに駅寄りの「水中書店」(2014/01/18参照)にフラフラと接近。店頭木箱からリッカー美術館「黒と白の歌 谷中安規版画展」を見つけてギョッとし、100円で購入する。昭和五十一年刊の、図版199点を収録した図録である。この時点で本日の一番嬉しい収穫…ここ最近「水中書店」では、外木箱との相性がスコブルいい感じ。
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さて、件の足の調子だが、わりと快方には向かっているのだが、無理をするとすぐに祟り、軽い痛みが走ったりする…本来ならこのまま吉祥寺までテクテクのして行きたいところだが、足は耐えてくれるだろうか…ええぃ!やっぱり古本屋さんが呼んでいるみたいだから、このまま行ってしまえ!とテクテク東に歩き始める。その途中、岡崎武志氏より電話アリ。武蔵小金井の新「中央書房」(2020/10/08参照)に見参した後に、「古本はてな倶楽部」(2013/12/18参照)に自転車で向かっているところだと言う。その途中何と氏は、開店準備中の古本屋さんを発見したと、ホットなネタをタレ込んで来てくれたのである。さらに氏は「最近ちょっと落込んでたんやけど、やっぱり持ってるなぁ」と自画自賛。何言ってんですか。身体の隅々に染みついた古本運、いつだってビシバシ発揮してるじゃないですか!いや、ありがとうございます。十一月開店予定らしいので、楽しみに待つことにしよう。中央線沿線に、また新しい星がひとつ生まれる…。そして吉祥寺では、「バサラブックス」(2015/03/28参照)でよみうりのPB「タイムレス・クルーズ/長尾みのる」を100円で購入。「古本センター」(2013/07/01参照)では、処分棚でちょっと疲れていて裸本だが、昭和五年八十六版の大日本雄辯會講談社「ああ玉杯に花うけて/佐藤紅緑」を見つけたので80円で購入する。百円以下の本を買いたどった、三鷹〜吉祥寺古本屋ルートであった。
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2020年10月20日

10/20愛しの「大河堂書店」の様子を見に行ってきた。

昨日から引き続き嬉しい大乱歩の「幻影の城主」であるが、詳しく調べてみたく、「落穂舎」の目録「落穂拾ひ通信」に当たってみると、「二〇一六年朝霧號」の巻頭カラーページに載っているのにたどり着く。ふぅむ、外装が無いと思っていたが、あの状態で完品なのか。手に入れたのは灰色の特製版で、他に普及版と思える白色表紙の値段(定價参拾圓)が入っているものが存在している。より嬉しさがアップする結果となる。
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白版もいつか手に入れたい…当然ガメつく安値で……。

そして本日は閉店情報が悲し過ぎた、愛しの経堂「大河堂書店」(2009/03/26参照)へ午後に出かけてみる。駅から出て、商店街の坂を下りて店前に付くと、店頭はいつもと変わらぬ感じである。ところが店内に進むと、所々の棚に『十月末日閉店』の貼紙が翻っていた…うぐぅ、やはり本当だったのか…。唇を噛み締めながら店内を徘徊すると、すでに閉店へのカウントダウンは始まっているらしく、棚にちょっとブランクが生まれていたり、棚下がもぬけの殻になっていたり、レジ周りがキレイに片付いていたりと、すでに片付けが始まっている模様である。この店内を楽しめるのも、もはや残り数回か…と激しく悲しみながら、朝日新聞社「木々高太郎全集 月報」の綴りを400円で購入する。特に閉店セールはしていないが、時々まだまだ補充が行われているようなので、また時間を作って見に来ることにしよう。

帰りに高円寺で途中下車し、「DORAMA高円寺庚申通り店」で河出書房新社「地図を作った人びと/ジョン・ノーブル・ウィフォード」を100円で購入。さらにその先の「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)では、芙蓉書房「心霊現象の科学/小池虎之助」を200円で購入し、『早稲田通り』で大量の警察官が軽自動車を囲んでいるのを目撃しながら家路をたどる。
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2020年10月19日

10/19「古書ワルツ荻窪店」で嬉しい大物を!

昨日は足の調子が良くなりつつあり、吉祥寺に流れ着く。当然駅に向かいながら古本屋さんを覗いて行く。「一日」(2017/08/11参照)では奇想天外社「魔法のお店/荒俣宏訳」を300円で。「バサラブックス」(2015/03/28参照)で草思社「名探偵ポオ氏/ジョン・ウォルシュ」を100円で購入し、サッサと帰宅する。ところで、「文學時代 世界獵奇讀物全集号」をチビリチビリ、とっておきのお菓子を少しずつ食べ進めるように読んでいるのだが、巻頭特集の『現代文學獵奇選集』の一編、橋本五郎の『貸家ノート』が面白かった。金欠の失業者が、暇つぶしに借りもしない貸家を内覧し、次々と記録して行くお話なのだが、これがもう“獵奇”というよりは、完全に今和次郎の“考現学”的アプローチなのである。つまりは『考現学小説』!まぁ考現学自体、その調査対象が雑踏を歩く人々だったり、生活している部屋だったり、夜店の一覧だったり、尾行して浮かび上がる行動だったりと、広義の“獵奇”好奇心を満たすような、現代風俗の表層を大真面目に研究する学問である(昭和初期にブームになり、展覧会も開かれた)。この非常に新しい学問が、当時の世相と深くリンクしてたのは当然のことであろう。

そして本日は、足の調子を確かめるように、お昼前に荻窪へ。「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に飛び込むと、入口手前右脇に大判本棚が出現していたり、店内に上林曉群があったり、中央奥の棚に古書が多めに入っていたりと、ジワリと変化が巻き起こっている。色々眺めた後、中央手前壁棚の新書ゾーンから左にスライドして行き、今やミステリゾーンになりつつあるポケミス中心棚を注視する。平凡社の乱歩全集の裸本が550円か。などとちょっと食指を動かしながら下へ下へと視線を移す。すると本と棚板の隙間に横向きに突っ込まれた背文字の読み難い一冊にたどり着く。取り出してみると、かもめ書房「幻影の城主 随筆集/江戸川亂歩」であった。外装は無いが文字が色箔押しされた灰色の粗雑なクロス装で、安かったら買って行こうと思い、後見返しの値段札を見ると1100円である。いや、ところがなによりそれより、そこに『著者署名』と書かれているではないか。慌てて表の見返しを見ると、青のペンで筆圧強く、『著者』名での献呈署名が本当に入っているではないか!くぅおぉぉぉぉ、これが、大乱歩の直筆!それが、せ、せ、1100円!これを買わずして何とする!と頭に血を急激に上らせ、探偵小説の鬼を心中でを思うがままに踊らせ、即座に購入する。あ、あ、あ、ありがとう、「古書ワルツ荻窪店」!大乱歩の書いたものが、ふいっと手に入るなんて驚天動地の古本屋出来事!やはりこのお店は、引き続き定点観測せねばならぬ重要店であることを、物凄く再確認してしまう。
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2020年10月16日

10/16『探偵小説狂想曲』ダブルアンコール!

足の調子が少しずつ良くなっている気はするが、油断は禁物。今日も外出は午後イチに阿佐ヶ谷に出ただけで終わり。その帰り道、日射しは明るいが風は冷たい『旧中杉通り』をガックリガックリ歩いていると、当然「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の前で立ち止まる。店頭棚に古い本が出ているな…四六書院「古今いかもの通/河原萬吉」と紫書房「黒ミサ異聞 淫夢女精の記/J・K・ユイスマン」を抜き出したところで天板上の隅に置かれた本にも視線を移すと、一番端にポプラ社「推理小説の読み方/中島河太郎」が潜んでいるのを発見する。箱ナシで線引きアリで後見返しの遊び紙が一枚無いが、これが110円なら安いものである。そしてこんな本が店頭に出ているのならば、店内にも異変が起こっているはず!そう確信して、まずは気持ちを落ち着け、手指消毒をしっかりしてから店内に進む。そして中央通路の目指す探偵小説棚前に立つと、並びに変化が生まれているのを即座に察知する。ついに『探偵小説狂想曲ダブルアンコール』(2020/08/19&09/06&09/19参照)の開幕である。香山滋「魔境原人」は売れちゃったのか…東方社の函入り横溝正史本が何冊か出現している。『由利・三津木探偵小説選』は食指がピクピクするなぁ…新潮社新作探偵小説全集「鐵鎖殺人事件/濱尾四郎」は函の天が欠損しているのが大変に惜しい!その代わり非常な安値となっている。おっつ、このちょっと背が傷んだ古い雑誌は…と引き出してみると、新潮社 昭和五年「文學時代11月 世界獵奇讀物全集号」であった。これは探偵小説魂が燃え上がる一冊である。「文學時代」は時々探偵小説関連を特集してくれたニクい文芸誌。それはこの時代に、探偵小説というジャンルが、勢いを持っていたことをも意味している。よもや『探偵小説狂想曲ダブルアンコール』で出会えるとは。これは『世界獵奇讀物全集号』となっているが、甲賀三郎『勇猛果敢の脱獄』横溝正史『ある女装冒険者の話』橋本五郎『貸家ノート』水谷準『白猫ユラ』佐左木俊郎『黒馬綺譚』などが掲載されており、かなり探偵小説的色合いが濃い。そして当然、世界の猟奇尖端風俗犯罪記事のオンパレード…エログロモダンナンセンスの颶風が顔にブワッと吹き当たり、しばし恍惚とする。先ほどの店頭本と合わせて計1910円で購入する。うぅ、幸せだ。お店の近所に住んでいるという地の利を生かし、こんなにも欲しい本を手に入れることが出来るなんて…。いずれトリプルアンコールもあったら、嬉しいなぁ。
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雑誌の後半には、短篇の翻訳探偵小説『バーネマウス事件/エドマンド・ビーアソン』と『アリバイ/トリスタン・ベルナール』が収録されているが、挿絵は両方とも竹中英太郎が担当し、豪勢にも六枚が掲載されている。
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2020年10月15日

10/15「一日」営業再開!

今日も安静にしていたいのだが、所用あって吉祥寺に出る。というわけでせっかく出たのなら、古本屋さんを見て行くに限る。と、まずはここしばらく休業していた「一日」(2017/08/11参照)へ。やった!予告通り営業再開している。だがガレージのパイプシャッターは相変わらず閉ざされているので、正式な入口から入店し、ギャラリーがホンマタカシ関連で埋められているのを横目に、ビニールカーテンを潜ってほぼ300均のガレージへ。新たな本たちが挿入されているのを肌で感じながら、奥の木箱をガサゴソ漁る。すると昭和十二年刊の大日本雄辯會講談社「少年倶楽部 第八號」附録の「痛快冒險事實物語 豪勇荒鷲艦長」という結構分厚い付録本を発見したので、さすが「一日」!と久々の買物を喜び、330円で購入する。
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この付録本、第一次大戦時に連合国から『海の魔王』と恐れられたドイツの伯爵フェリクス・フォン・ルックネル海軍大佐の冒険事實物語ではあるが、文・南洋一郎、画・松野一夫なのである。

その後は「よみた屋」(2014/08/29参照)にも立ち寄り、お馴染みの店頭百均棚から、初版の綺譚社「おともだち/高野文子」と小学館こども文庫 創作童話1「はさみが あるいた はなし/文・佐藤さとる 絵・村上勉」を抜き出し、計220円で購入する。黄金コンビの「はさみが あるいた はなし」は中綴じのペーパーバック。ハードカバーの絵本より残り難いこのタイプは、見つけたら確保しておくのが賢明である。
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2020年10月14日

10/14『グレイシイ・アレン』と東天鬼について調べる。

基本的には安静にしているのだが、やはり古本は買いたくなり、足の痛みをこらえながら、ガックリガックリ近所の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)へ。店頭棚に、店内にいた「別冊宝石」が五冊ほど押し出されているではないか。フムフムと吟味して、岩谷書店「別冊宝石41号 世界探偵小説全集 ヴァン・ダイン篇」「イギリス本格派三人篇」「本格派傑作8人集」の三冊を計330円で購入する。「ヴァン・ダイン篇」には『誘拐殺人事件』『グレイシイ・アレン』『巨龍殺人事件』が収録されているが、『グレイシイ・アレン』は植草甚一訳である。植草訳の『グレイシイ・アレン』、つまり『グレイシイ・アレン殺人事件』は、二〇一五年に盛林堂ミステリアス文庫から、“植草甚一翻訳コレクション”として『真冬の殺人事件』とともに覆刻されている。だがそちらの底本は一九三九年の雑誌「スタア」である。こちらは戦後の一九四九年刊行。つまり「スタア」の掲載された原稿を、ほぼそのまま流用したのだろう。中ページに載っている江戸川乱歩の『ヴァン・ダイン小傳』に目を通すと、文末に戦前戦後の邦訳作品がリストアップされている。『★「グレイシイ・アレン殺人事件」(植草甚一)「スタア」昭和十四年二月一日より四月十五日号まで。★同題(同氏補訳)本誌掲載。』とあるので、訳にはいくらか変動があるのかもしれない。
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ところで先日記事にした謎の探偵小説作家・東天鬼であるが(2020/09/15参照)、当方所蔵の大盛堂書店「探偵秘録 修羅の巷」(昭和二年)と盛林堂書房所蔵の香蘭社書店「淫魔捕物帳」(昭和十一年)を引き合わせて比べてみると、収録作はまったく同じ作品で、しかも同じ紙型(ノンブルや肩に手を加えられているが、本文の書体や字組は同一であった)を使用し、十年の時を経て出版していることが判明した。この二冊の他にも「蠢く処女」という新潮社の新作探偵小説全集のデザインをパクった一冊があるのだが、これもまったく同じ本と推察される。「淫魔捕物帳」の目次で、『淫魔捕物帳』が『蠢く処女』になっているのだ。どうやら東天鬼は、同じ作品をタイトルを変えて変えて出版していた作家らしいことがわかって来た。そしてさる情報では、北原尚彦氏が大正時代の東天鬼本を所蔵しているらしいので、何か新たな事実が判明することを期待して、いつの日か二冊と引き合わせてみたいものである。
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2020年10月13日

10/13家に色々届く。

気付かぬうちに右足の脛を痛めてしまったようだ。歩く度に痛みが走る。ここはちょっと安静にしておこうと思いつつ、古本を携えて西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。「フォニャルフ」を補充入替しつつ、岡山文庫「岡山の洋風近代建築/中力昭」荒地出版社「第四次元の小説/クリフトン・ファディマン編」を計200円で購入し、早々に帰宅する。すると家のポストに様々なモノが該達されていた。おぉ!大阪に引っ越した「古書ますく堂」(2020/02/18参照)さんからのハガキ!何何?10/23(金)に駒込の『ミドルガーデンコーヒースタンド』でヒトハコ古本市に参加するだと。よし、時間があったら冷やかしに行こう。続いて北海道新聞さんから、10/10(土)の夕刊が届いている。カルチャーページで本の雑誌社「本の雑誌」巻頭企画『本棚が見たい!』が特集され、何故か私が指名され、コメント協力しているのである。紙面を開くと吃驚仰天!なんと見開きで大特集されている。…てっきり近刊の「絶景本棚2」の書評に絡んだコメントくらいに思っていたのに…恥ずかしいほどの大特集じゃないか。浜本編集長やカメラマン中村規氏のコメントとともに、本棚の写真がドカン!だが一枚は日下三蔵氏の魔窟書庫、一枚は私の横積みノー本棚仕事部屋(分類は“雑然”である)、装幀家&小村雪岱研究家の真田幸治氏の階段横積み本群、さらには会社員・大島健一氏の背を上にして床置き本群…と、まともで美しい本棚の写真は、文芸評論家・細谷正充氏の一枚だけなのであった…。
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そしてさらに届いていたのは「本の雑誌 栗ごはん点火号」。今号の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、意外に本屋さんの多い町・中村橋の「古書クマゴロウ」に突撃。ここの店頭新書棚は、時代の流れに捨てられたマイナー新書の墓場のような、素敵なところなのであります!
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2020年10月11日

10/11「竹中書店」で大物を!

本日は午後に天沼に流れ着いたので、荻窪駅で線路の下を潜り南側に出て、いそいそと最近出物がある「竹中書店」(2009/01/13参照)へ。今日も店頭は二台とも二百均台である。居並ぶ単行本の中から、見慣れぬ気になる一冊の分厚い函入り本を手にしてみる。大阪フォルム画廊「PHILOBIBLON フィロビブロン 書物への愛/リチャード・ド・ペリー 古田曉訳」特別版(限定50部)…総革張りの豪華本である。ページをペラペラ捲ると、おぉ!挿絵が浜田知明!日本を代表するエッチング版画家の一人である…ええっ!?ということは、この巻頭に添付されているオリジナル版画も、浜田知明の作品なのだろうか?こういうなんだかわからない物は、とにもかくにも買っておくに限る。何たって二百円なのだ!と店内に駆け込み、帳場で幸せそうにうたた寝をしていた奥さまを「…すいませ〜ん」とソッと叩き起こし購入する。後で調べてみたら、「PHILOBIBLON」特別版限定50部は、やはりとても稀少な本であった…勘を信じて、買って良かった!それにしても最近の「竹中書店」は、ホームラン級の打球が続き、すこぶる快感である。後は「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に回り、ダンボールの外装外函は無いが、復刻函はちゃんと付いている沖積社の覆刻版「黒死館殺人事件」を見つけたので440円で購入する。さらにその後は阿佐ヶ谷にたどり着き、新「中央書房」(2020/10/08参照)の開店に祝花を出していた優しい「千章堂書店」(2009/12/29参照)に立ち寄り、クリタ舎「さよなら!セブンティーズ/サエキけんぞう」を100円で購入して、意気揚々と帰宅する。
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新たに家にやって来た、分厚い函入り本二冊。あぁぁ、「黒死館殺人事件」が、本物だったらなぁ…。
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2020年10月10日

10/10白井喬二の初長編(ただし前編のみ)!

十月の台風である。だから雨である。なので、家でジッとしていたいのはやまやまだが、生憎とそう言うわけにはいかず、午後四時に武蔵境に流れ着いてしまう。三日間降り続いている雨にゲンナリし、これじゃあ古本屋さんの店頭も、引きこもりがちだろうな、とサッサと色々諦めてしまい、何処にも寄らずに阿佐ヶ谷に戻ってしまう。まだ午後五時だって言うのに、この寂しさを唆すような薄暗さはどうだ。そんなことを感じながら、ペシャペシャ裏通りの化粧タイルを踏みしめて帰り道をたどっていると、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の電飾立看板の白い灯りが殊更目にしみた。実は昨日読了本を買い取ってもらい、福音館書店 「かがくのとも114号 ことば/五味太郎」(人々が発する言葉の意味と勢いを、形や色で表した斬新な絵本)を110円で購入したばかりなのだが、ここは古本に寂しさの穴を埋めてもらおうと、スルリと入店する。入口に掲げられた本日の閉店時間は18時…。探偵小説系の結束本はまだ未整理状態なので、左端通路に入り、文学棚をじっくり眺める…谷崎潤一郎の新潮社「AとBの話」は、函ナシで書き込みアリだが、破格の530円。水島爾保布の装幀がたまらんなぁ。これにしようかな…と思った時、棚と棚の間の薄い出っ張りスペースに置かれた、一冊の古いクロス装本に気付いてしまう。手に取ってみると、大正十二年刊の元泉社「神変變呉越草紙/白井喬二」である。これは、白井喬二の古い古い初の長編伝奇小説!と色めき立ち、即座に購入を決意する。1050円で購入すると、店主・天野氏が「がんばりま〜す」とボソリ。どうやら“探偵小説狂想曲ダブルアンコール”のプレッシャーを感じての発言らしい。日々、大いに期待しております!
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この元泉社の「神變呉越草紙」は、実は前編本(大正十二年七月刊で、発行者は何と三上於菟吉である)。後編も出るはずだったのが、関東大震災のせいで未刊に終わった悲劇の本なのである(その後、大正十五年に別の出版社でまとめて刊行)。所々に折り込まれている伊藤幾久造の挿絵が素晴らしい!
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2020年10月08日

10/8「中央書房」が駅近に!

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午後に中央線で西へ。目的駅で下車し、高架ホームから地上の駅コンコースに降り立つ。そのまま西側のショッピングモールに直結している『nonowa口改札』を通り抜け、北口側の戸外へ。突然の気温急降下が身に沁みる、武蔵小金井の十月である。そこから空の広い西に進路を採り、高架に沿うように歩き始める。すぐの信号を越えると、『MUSAKO GARDEN』という高架下&前を利用した、新しいショッピングモールが現れるので(それにしても、こんなに似たようなショッピングモールばかり作って、JR東日本がどうしようというのだろうか…)、それを横目にさらに西へ歩を進める。そして二つ目の信号を越えると、道沿いの建物は途端に庶民的に古くなって行く。そこをちょちょっと進むと、食堂の隣りに、もらい火の被害に遭いながらもすぐさま行動を開始して(2020/09/03参照)、本日新店舗の開店を無事に迎えた、ニュー「中央書房」の輝かしい姿があった…すげぇ、昔からここにあるお店みたいだ。軒上には巨大な木枠の紺色店名看板が架かり、緑のテント日除けの下には、紺色枠のガラス引戸がある。今日は雨なので、店頭台などはナシ。入口ではいぶし銀老店主が、結束本の小山と格闘している。お仕事中であるが、せっかく来たのだ、入れてもらおう。「すみません、見せてもらってもいいですか?」「どうぞぞうぞ。いらっしゃいませ。狭いですが、どぅぞ〜」と迎え入れていただく。店内は正方形気味の、通路は広めだがこじんまりとした空間で、木棚で縦に三本の通路が造られている(造作は古本屋建築界の安藤忠雄・中村敦夫氏である)。右手前隅と右奥隅が、棚ではなくラックになっており、面陳スペースを確保している。両壁も当然本棚が設えられ、奥にはシンプルな帳場がある。今日が開店日なので、棚にはまだ開いているところもあったり、そこに入るべき本が床に低く積み重なったりしている。だが、大まかなカタチは整えているようだ。左通路は入口近くに絵本箱があり、まだ空っぽの低めの店頭台も置かれている。壁棚には、実用・一般文庫・ちくま文庫・岩波文庫・ケイブンシャ大百科・ドストエフスキー(充実)・宗教。通路棚には社会・風俗・文学・世界など。中央通路は、左に映画・美術・陶器・文学古書・辞典類…ほぉ、最上段には書肆ユリイカの「稲垣足穂全集」が揃いで紐で括られている…四万八千円か…。右側には音楽・思想・資料類.歴史など。入口左横には文学・エッセイ類・文化・東京などが集まり、角の絵本ラックを挟んで、左壁に大判の美術本がドバドバと並んで行く。奥のラックはまだ完全にディスプレイされていないが、古書・和本・古地図・古雑誌、それに牧野富太郎関連書籍が集まっている。通路棚には、戦争・自然・食関連など。旧中央書房が、そのまま駅近にスライドした、わりと硬めのお店である。あぁ、本当に昔からこの場所でこの建物で、営業してたかのようである。函ナシの改造社「河童昇天/火野葦平」を850円で購入する。武蔵小金井ではこれからは、「中央書房」に寄ってから、ズンズン歩いて「古本はてな倶楽部」(2013/12/18参照)に向かうのが、楽しい散策コースとなるであろう。
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2020年10月07日

10/7テレビアニメと日本近代文学。

昨日は仕事の合間に中村橋まで遠い散歩に出て、「古書クマゴロウ」(2018/03/21参照)の店頭新書棚に取り憑く。そこで見つけたのは全日本婦人団体連合会「麦はふまれても 砂川の母と子らの文集」という昭和31年間の粗末なペーパーバックであった。立川基地(在日米軍立川飛行場)拡張に反対する住民運動を、そこに住んでいた母や子供の視点から捉えた文集である。110円で購入。そして夜、録画しておいたテレビアニメ『ゴールデンカムイ』の第三期・第一話を観る。主人公たちが樺太に上陸するので、非常に楽しみに待っていたのだ。樺太南部の行政を司る町『大泊』から新たな旅路が始まるのだが、ある情報を求めて聞き込みをしている中で、一軒の商店がふいに登場した。『フレップ本舗』という、樺太特産のコケモモで作るフレップワイン(樺太葡萄酒)を扱うお店である。最初は『なかなか美味そうだな』と思って観ていたのだが、突然ジジビッと頭の中に火花が散った。慌てて振り向き、古書の山に手を突っ込む。取り出したのは、函ナシで口絵写真一部欠けのアルス「フレップ・トリップ/北原白秋」である。北原白秋の樺太旅行記であるが、タイトルの『フレップ・トリップ』つまり『フレップの旅』は『コケモモの旅』ということだったのを初めて理解する。そしてこの本に施された恩地孝四郎の装幀は、赤い色と小さな赤い丸がふんだんに使われ、まさにその『コケモモ』をモチーフにしていたのか、と改めて気付かされてしまう。うぅ、二〇二〇年のテレビアニメと、日本近代文学が奇妙に融合した、恍惚の瞬間である。
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そして本日は夕方に「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)を経由して西荻窪へ向かう。「ワルツ」では店頭で眞善美社「暗い繪/野間宏」を掴み、店内新書サイズ棚からは、ミリオン・ブックス「白い人・黄色い人/遠藤周作」(初版。背の欠けた帯が挟み込まれていた)を見つけたので計330円で購入する。「白い人・黄色い人」は格安のめっけもの。「暗い繪」の装幀は高橋錦吉…この人は、もしや埴谷雄高「死靈」の装幀者ではないかと思っている人なのだが(2020/05/01参照)、同じ眞善美社の装幀をやっているんだから、もうやはり「死靈」の装幀者はほぼこの人で確実だろう。などと油を売りながら、やがて西荻窪の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。おぉ、ちょうど出来上がったばかりの盛林堂ミステリアス文庫新刊が、店内に運び込まれるところではないか。『フォニャルフ』に素早く補充した後、すかさず重く梱包された本束を受け取り、搬入をお手伝いする。茶紙の中から出て来たのは、「本の探偵2 戦後探偵小説資料集 I 飛鳥高・大河内常平・楠田匡介・栗田信/森英俊・野村宏平」である。探偵小説のエキスパートである古本神コンビが、「本の探偵1 偕成社ジュニア探偵小説資料集」に続く、稀少な書影と詳細なストーリー紹介も含めたマニアック・データ集である。この、蒐集難易度の高い探偵小説作家の単行本やノベルスや文庫本を、すべて掲載!……相変わらずクレイジーな構成だ。しかしこれは、羨まし過ぎて涎が止まらなくなりつつも、探偵小説的に勉強になる一冊である。現在盛林堂通販サイトで予約受付中で、10月10日より店頭&ネット販売が開始されるので、いつ何時も探偵小説養分を必要とされている方は、何はともあれお楽しみに。
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2020年10月05日

10/5折口信夫の探偵小説コレクションはいずこへ?

最近テレビを観たり本を読んだりしていて、驚いたことをいくつか。1. 山口百恵の歌う『I CAME FROM横須賀』が、ほぼ京浜急行の歌であることを初めて知る。百恵ちゃんが、よもや『汐入』『追浜』『金沢八景』『金沢文庫』『日ノ出町』なんて歌ってるなんて。京浜急行電鉄の社歌にすればいいのに、と思うほどのレベルである。2. 先日購入した「推理小説への招待/荒正人・中島河太郎編」を読んでいて、村岡花子が松村みね子(片山廣子)に「ディテクティヴ・ストーリィ・マガジン」を紹介され探偵小説への興味を加速させたことや、尚且つ片山の形見分けに『探偵小説を』と所望し、クリスティの原書を多く持ち帰ったこと。3. 同じく「推理小説への招待」から。戸板康二が折口信夫の弟子で、実は折口は大の探偵小説ファンで、書庫の一角に探偵小説がズラッと並び、最後に読んだのはクロフツの「マギル卿最後の旅」だったこと。その書庫、民俗学と短歌と探偵小説が肩を並べた書庫…見てみたかった。ちょっと調べてみると、折口の蔵書は記念文庫として國学院大学の図書館に収蔵されているらしい。だが蔵書のすべてが収蔵されたわけではなく、一部は没後に消却されたり、行方不明になったりしているとのこと。果たして折口探偵小説コレクションの行方は……。世の中には、まだまだ知らないことがたくさんたくさんあるんですなぁ…。

さて、そんな戯言たちは置いといて、今日は早朝暗いうちから連載原稿に腐心。どうにか形を造り上げるのに成功し、ホッとして午後に外出。阿佐ヶ谷「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)で店頭補充に出て来た店主・天野氏と挨拶を交わしつつ、雄山閣BOOKS9「関東大震災/中島陽一郎」を110円で購入する。その後は中央線と山手線を乗り継ぎ高田馬場で所用をこなし、仕事待ちのウーバーイーツ配達員が多数屯する裏道の坂道を谷底に滑り降りて「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)へ。奥の奥の古書ゾーンに食らいつき、ロマン・ブックス「人魚鬼 若さま侍捕物手帖の内/城昌幸」を550円で購入する。
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昭和32年2刷りの袖が折り込み形式のペーパーバックスタイル。装幀がなかなか民芸風にポップである。
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2020年10月03日

10/3「藍書店」の小さな変化。

本日は千歳烏山の北の給田という街に流れ着く。さて、どうやって帰ろうか。千歳烏山駅までトボトボ歩き続けて、久しぶりの無人古本屋「イカシェ天国」(2008/09/23参照)を見に行くのもいいな…などと考えていたら、目の前に関東バスが停まる。おっ、高井戸駅経由の荻窪駅南口行きだ。ならばこれに乗ってしまえ!と、あっさり「イカシェ天国」計画を捨て去り、バスのシートにお尻を埋める。三十分弱で荻窪着。フェンスが続く線路際を離れ、商店街に入って昨日来たばかりの「竹中書店」(2009/01/13参照)へ。思潮社「ボードレールからシュールレアリスムまで/マルセル・レイモン」六法出版社「琥珀貴公子/塚本邦雄」を計400円で購入する。賑わう商店街から横道に入り、ちょっと久しぶりの「藍書店」(2018/12/24参照)へ。店内の様子が、なんだか少し変化している。入口横の安売棚は、文庫と新本が増えたようだ。そして奥へ進んで行くと、帳場前の小スペースから、新たにL字型に奥へと延びる、行き止まり通路が出現しているではないか。天井が一部少し低く、九本の棚が壁際に並んでいる。詩集や文学系が多いのが特徴か。そのゾーンの棚上に横向きに置かれていた、未来工房「歳月 結城昌治句集」を550円で購入する。この本、昭和二十四年の句から始まるのだが、この年、結城は清瀬の療養所に肺結核で入院しており、同時期の入院患者に石田波郷と福永武彦がいたとある(結城は五番室、石田は六番室、福永は八番室)。
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