2020年12月31日

12/31 2020年の古本納め。

午前中にお風呂場を力の限りに掃除し、大晦日なのに古本神・塩山芳明氏から仕事が届いたりして、仰け反りながら心地良い疲労を抱え込む。午後に古本を買い納めるぞ!と意気込んで外出し、まずは荻窪「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)へ。店頭に普段より質の高い、買いでのある古本ばかりが並ぶ棚が一本出ていると思ったら、半額にある水色値札が貼付けられた、特別セール棚であった。均一じゃないのか。そりゃそうだよな、と思いつつも一冊セレクト。さらに均一棚から一冊掴み帳場へ。お店が出来てから五ヶ月で、お世話になりまくった感謝の念を込めまくり、リブロポート「ハリウッド・バビロンI/ケネス・アンガー著 海野弘・監修」角川書店「黒壁/水上勉」を計360円で購入する。来年も通い詰めますので、良き古本を安値でよろしくお願いいたします。続いて電車で西荻窪に移動し、年がら年中お世話になりまくっている「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に顔を出す。幻影城「日本探偵作家論/権田萬治」新読書社&プログレス出版〈ソビエトこどもの本シリーズ〉「いいてどんなこと?わるいってどんなこと?/マヤコフスキー作 キリロフ・ヴェ絵」を200円で購入すると、店主・小野氏は「今日ヒマだ〜スゴくヒマだ〜。大晦日ってこんなにヒマだったっけ?」と旗本退屈男のようにヒマを嘆いている。まぁいつも小野さんは、大晦日はコミケ出店で大忙しでしたからねぇ…。あまりにヒマ過ぎたのか、「何、今日は?また何か面白い本を安く売ってくれって来たの?」と向こうから嬉しい呼び水をドバリと注ぎ込んでくれた。これに便乗する手はないと「売って下さい売って下さい。喜んで買いますよ!」と受けて立つ。すると小野氏は、まるで良い暇つぶしが出来たかのようにバックヤードをゴソゴソし、様々な本を持ち出して来てくれた。ニヤニヤとそれらを吟味し、結果、あかね書房 少年少女世界推理文学全集NO.15「X線カメラのなぞ マルタの鷹/〈ガードナー〉〈ハメット〉」(箱ナシ)フレーベル館「トッパンの人形絵本しんでれら/構成・文 飯沢匡」「トッパンのカメラえほん せかいのおにんぎょう/文・まどみちお」トッパン「トッパンのお話えほん 六人のごうけつ」鈴木出版株式会社「チロリン村とクルミの木 よいこのゆうえんちの巻」舞台脚本「小林多喜二日記」を計千円で購入する。
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特に嬉しいのはこの二冊である。

するとすっかり満足したところに、「やぁやぁ」と陽気に北原尚彦氏が登場。しばらく氏が、お店が手ぐすね引いて用意していた小型本の束を前に懊悩するところを眺めたり(結局まとめ買いしていた…)、店頭に出ていた古雑誌「推理ストーリー」に長沼弘毅のホームズエッセイが掲載されているのを発見したりするのを眺め(二冊とも買った…)、楽しく過ごす。さらに次々と様々な人が現れ始め、お店は大忙しに。すっかり長居してしまったので、それを潮に、みなさんに年末の挨拶をして辞去する。その後高円寺に移動し、「都丸書店」の様子を偵察するが、閉店日の今日も開いてはおらず、ただ閉店案内の貼紙は消え、『謹賀新年』の縦長ポスターが『◯日から営業』の部分が横線で消された状態で貼り出されていた。何はともあれ、長年高円寺の顔として、ランドマークとして(高架ホームのすぐ脇にあった屋根の上の店名看板は、間違いなく高円寺のシンボルであった…)活躍して下さり、本当にありがとうございました。あっさりと寂しい別れをしてから、『庚申通り』を北上し、「DORAMA高円寺庚申通り店」に立ち寄る。秋書房「うみをあげるよ/やましたはるお さく●むらかみつとむ え」を110円で購入し、2020年の古本納めとする。今年は新型コロナのパンデミックのおかげで、大変な年になってしまいましたが、どうにかごまかし切り抜けて、大好きな古本屋さんと古本と戯れ、乗り切ることが出来ました。来年もどうにかして切り抜けて、野を越え山を越えウィルスを越えて、古本を買って暮らして行きたいと思いますので、引き続き当ブログをよろしくお願いいたします。それではみなさま、どうかどうかどうかどうか、よいお年を!
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2020年12月30日

12/30石神井公園駅で三店ハシゴする。

何故もういつの間にか12月30日で、2020年が終わろうとしているのか…そう愕然としながら、日が沈みかけた石神井町に流れ着く。駅西側の、以前は踏切だった西武池袋線の高架を南側から潜り(うぉっ!保健所前の高架下にPCRセンターが出来ているではないか!)、暫く歩くと、黄昏時のアスファルト道に仄かな光を投げ掛ける「久保書店」(2009/05/08参照)の姿を発見する…失礼ながら、まだちゃんと営業しててくれてたんだ!街の小さな昔ながらの古本屋さんが、店内の半分は倉庫と化しつつも、営業してくれているのは、本当にありがたいことである!と喜びつつ、店頭の百均文庫をを一冊掴んで極狭通路の小さな店内に身体を滑り込ませる。各古本に丁寧に掛けられた手書きの書名&値段帯を手掛かりに、顔の至近に迫らざるを得ない棚を彷徨う。集英社文庫「ハサウェイ殺人事件/平岩弓枝」細川書店「現代日本文學選集 第六巻」を、身体を横にして奥までズズッと入り込み、計600円で精算していただく。そのままバックして通路を引き返し、表まで出る。
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続いて高架南側に出て「草思堂書店」(2008/07/28参照9へ。荒地出版社「エンジンが唸る時/ジム・クラーク編」(1968年当時の世界一流のレーサーやモータースポーツジャーナリストによるレース随筆集。本文は横書きである)を300円で購入する。それなりに満足しつつバスも通る商店街を駅方面に向かうと、突然強い北風が吹き荒れ始め、街を凍りつかせるほどに、気温が急降下し始める。ブルブル震えながら駅ロータリー近くの横丁に視線を投げると、おっ、「きさらぎ文庫」(2009/01/21参照)もちゃんと営業中ではないか。ニヤリとしながらツツツとお店に近づき、店頭壁棚から講談社「非・文化人類学入門/豊田有恒」を200円で購入する。おぉ、これで見事に石神井公園駅の古本屋さん三店を、ちゃんとハシゴ出来たことになるな。うむ、良い年末だ!と納得しつつ、ロータリーで震えながらバスを待ち、夜の阿佐ヶ谷に帰宅する。
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2020年12月29日

12/29「こどものとも」の懐の深さに感心する。

本日はゆっくりと動き出し、午後に荻窪に姿を現す。駅から西に『青梅街道』を伝い、『四面道交差点』を越えて、本屋さん『Title』へ。12/26から「Title 2Fの古本市 Vol.5」が開かれているのである。1F店内に進むと、結構お客さんが入っている。2Fは小さな空間なので、似たような状態だったらちょっと様子を見なければなるまいな…手指消毒しながらそんなことを考え、2Fへの急階段をミシミシガタガタ上がる。幸いお客さんは一人だけだったので、早速古本に集中する。絵本・児童文学・手芸・女の子カルチャー・文芸・カルト新書などが先鋭的にセレクトされ、各店並んでいる。ついこの間高円寺の「本の楽市」の並びが引き続き登場しているお店もあり。真剣に古本を選び続ける女性客と、お互いに距離を意識しながら、「古本一角文庫」の「こどものとも」箱を漁る。そして福音館書店「こどものとも226号 つつみがみっつ/土屋耕一さく たざわしげるえ」を見つける。土屋耕一がお得意の回文能力を発揮し、こんな絵本を出していたとは知らなかった。しかも1975年1月1日発行とは、おめでたい絵本だ。絵を担当している『たざわしげる』という作家は未知だが、ちょっとサイケチックなパースが歪んだお洒落なイラストで、かなり魅力的!と惚れ込みつつ、「こどものとも」の偉大で膨大な、底知れぬ懐の深さに感心しながら、300円で購入する。この市は年内は30日までで、年明けは1/7から1/11まで開かれる。お店を出た後は、今年最後の取材をどうにかこなし、ホッと一息。陽は薄いが、わりと暖かなので、テクテク歩いて家まで戻る。
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2020年12月28日

12/28年が静かに押し迫る。

年がいよいよ静かに押し迫って来た十二月最後の月曜日。外れた雨の天気予報にホッとしながら、上祖師谷に流れ着く。ブラブラ歩いて仙川方面に出て、「文紀堂書店」(2015/03/31参照)を訪れる。ここに来るのも今年はこれが最後だなと思いつつ、潮文社新書「漂泊の俳人 山頭火の手記/大山澄太編」警視庁総務部広報課「●都民のまもり けいしちょう'76」を計300円で購入する。「けいしちょう」は子供ものでもないのに、何故かタイトルが漢字からひらかれている、多方面に渡る警察活動の写真豊富な広報冊子。表紙の赤煉瓦『旧警視庁』は、やはりインパクト大。最後に面白いものが買えてよかった。
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その足で次は「石本書店」(2017/07/02参照)に突入し、ベースボール・マガジン社「雪男探険記/レーフ・イサード」ペヨトル工房「血のアラベスク 吸血鬼読本/須永朝彦」至光社「こどものせかい ぼくはなんでもつくっちゃう/北田卓史・絵 佐久間彪・文」「こどものせかい のみのうた/北田卓史・絵 藤田圭雄・文」「こどものせかい ぼくたちのせかい/柿本幸造・絵 佐久間彪・文」を計800円で購入する。「こどものせかい」が激安なのだとにかく嬉しい。まだ籠の中にたくさんあったので、目立っていた柿本幸造の『どんくまさん』シリーズも、いずれ買い集めたいところだ。二店とも、どうか来年もよろしくお願いいたします。そんな風に程よい満足感を抱えて阿佐ヶ谷に帰り着くと、当然「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の前で足を停める。窓には年末年始の営業予定が貼り出されている…12/29〜1/5までがお休みか…ということは今日が2020年の営業最終日!ならば、何かを買って、今年は大変にお世話になった(もちろん『探偵小説狂想曲』で探偵小説古本を買いまくったことである)お店にお礼を兼ねて、買い納めをしなければ…と店内にフラリと入り込む。そして選んだのは、秋田書店 世界怪奇スリラー全集3「世界のウルトラ怪事件/中岡俊哉」(1973年18版の、ただひたすらに、子供を恐がらせ、不安に陥れる、最低で最高な一冊。『地球はねらわれている』『世界の奇石・怪石』『人間蒸発』『恐怖の動物襲来』『襲いくる異次元人』『世界の怪人』などなど…いやぁ、ヒドい、素敵にヒドいなぁ…ウフフフ)で、1580円で購入する。店主・天野氏と年末の挨拶を交わすと、「今年は帰省しないんです。だからもしかしたら、早くお店を開けることもあるかもしれません」とのこと。わかりました。年始は毎日お店の前を通り、チェックいたします!と約束しておく。
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2020年12月27日

12/27「井草ワニ園」は年末年始も通常運転予定!

昨日はもはや西東京市の柳沢に夕方に流れ着いてしまうが、ここからなら何とか三鷹に徒歩でもたどり着けるだろうと信じて、テクテクテクテク歩き通し、どうにか「りんてん舎」(2019/03/30参照)に参上する。京都芸術大学「楽」編集室「楽叢書第三冊 表層は深層の皮膚」NTT出版「大阪モダン 通天閣と新世界/橋爪紳也」勉誠出版「ミステリーセレクション 罠の怪/志村有弘編」を計330円で購入するが、すでに体力ゲージが赤く点滅してしまっていたので、吉祥寺まで伸すのはあきらめて、おとなしく帰宅する。そして本日は井草の街に流れ着いてしまう。井荻駅北側の井草に丁目北部には、立派な教会があり、人影の皆無な静かな街に、彌撒の美しく厳粛で荘厳な賛美歌が響き渡っているのに、心をビシバシ打たれてしまう。…コロナウィルスが猛威を奮うこの瞬間に、まるで感染の終息を祈るかのような合唱……ついつい、東宝映画「ゴジラ」(1954年版)で女学生たちが祈り歌い、焦土に響き渡る『平和への祈り』のシーンのようではないか!などと妄想を逞しくしてしまう。そして賛美歌が終わると同時に、鐘楼の鐘が結構な大音量で、リンゴンリリンゴゴンと街中に長々と響き渡るのであった……すげぇな、井草二丁目。そしてここからなら上石神井の「井草ワニ園」(2019/01/05参照)に寄らぬ手はあるまいと、陽が既に傾き始め、青空にぽっかりと白い月が浮かぶ空の下をトボトボ歩き、無事にお店に到着。入口の左右に展開する100〜200円店頭本に食らいつき、まずは200円のニコンサロンブックス32「写真に帰れ 伊奈信男写真論集」を掴み取り、続いて絵本ゾーンに突入する。薄手の背を一冊一冊丁寧に追って行くと、古そうな絵本の背に『大石真』の文字を見つける。焦りながら引き出すと、小学館の創作童話シリーズ4「アーコのおみまい/大石真 安野光雅・画」であった。カバーナシだが、これは長年探していた絵本なのである!まさか、古本屋さんではないが、とても古本屋さんらしい「井草ワニ園」で出会えるとは!と大いに感動し、計300円で購入する。精算時に店主に「年末はいつまでですか?」と聞くと、「いや、もういつも通り開けてると思います」「えっ?じゃぁお正月は?」「そこも普通に開けてると思います」とのことであった。お正月に暇を持て余し、すぐにでも古本を買いたくなってしまった古本修羅は、ぜひとも感染対策を充分に施し、絵本の古本と「一角文庫」の古本が横溢するグラノーラ店「井草ワニ園」に向かうべきである!
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大石真×安野光雅、バンザ〜イ!
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2020年12月25日

12/25「都丸書店」閉店まで後六日。

暖かな日射しと冬の青空に誘われるようにして、午前十一時の荻窪へ。「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に一番乗りして、久々に時間をかけて各棚を念入りに見て回る。所々ジャンルが何となく固まりかけているゾーンが出現しているのを感じ取る。山岳・ミステリ・海外文学・コミック・風俗・音楽・宗教・詩集などなど。が、それでも完全ではなく、依然として挙げたジャンルの本が店内のあちこちに点在しているのも事実である。東京創元社「現代映画講座1製作・歴史篇 3シナリオ篇」思索社「鼻行類/ハラルト・シュテンプケ」ペヨトル工房「クラッシュ/J・G・バラード」を計880円で購入する。続いて「藍書店」(2018/12/24参照)へ。岩波写真文庫「東京都―新風土記―」ほるぷ出版「愛の薔薇伝説 サン・ジョルディ物語/舟崎克彦+宇野亜喜良」(これはちょっとした拾い物である)を計220円で購入する。一旦家に戻って昼食を摂り、午後も暖かな日射しと青空に誘われて高円寺へ。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)で、クリスマスに相応しいサンタが表紙で中身もクリスマスネタが連続するチャイルド本社「チャイルドブック 第20巻第12号」と国書刊行会「日本幻想文学集成3 夢野久作 怪夢/堀切直人編」を計200円で購入する。お店を出て『庚申通り』をひたすら南に下って『中通り』に入り、年末での閉店を宣言した「都丸書店」(2019/04/04&2010/09/21参照)参照)の様子を見に行く。あぁ、やっぱりシャッターが下りっ放しだ…ここ最近開いているのを見ないのだが、果たしてこれから開くことはあるのだろうか?そんな風に心配しながら、シャッターに貼られた閉店のお知らせに注目する。
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高円寺で88年間営業して来たことへの感謝と、12月31日をもって閉店することが書かれている…とその時、隣りに立つスーツ姿の男性がフレンドリーに声を掛けて来た。「今日、開かないんですかね?」…あぁ、この方も閉店を知りお店を訪ねて来たのか…「いや、最近開いてるのを見ないんですよ」「そうですかぁ〜。これから開くことありますかねぇ?」「う〜ん、31日閉店ですからね。それまでに何度かは開くんじゃないでしょうか」「じゃぁもう一回来てみるか…実は閉店を知って遠くから来たんですよ」「何処からですか?」「横浜からです。年末までに、もう一度来てみることにします。ありがとうございました」と笑顔で彼は去って行った。閉店まで後六日…こちらもめげずにチャレンジしてみなければ…そう決心しつつ、横断歩道を渡って駅前を通過し、劇場『座・高円寺』で開催されている「本の楽市」(2010/07/18参照)に滑り込む。先ほどサンカクヤマにイベントのカードが置かれていたのに気付き、今日が最終日であるのを知ったのである。手指消毒してエントランスへ進む。段々、絵本と児童文学と映画と演劇に特化した古本市に変化して来ている。今回児童文学本が多いのが嬉しいなぁと感じつつ、手に取ったのはその児童文学。函ナシの理論社日本の創作童話「ちびっこカムのぼうけん/神沢利子」である。1961年の初版で、何と児童文学作家への献呈署名入りで、600円!この本に出会うために、今日俺はここに来たのだ!と確信して即座に購入する。
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2020年12月23日

12/23「謎の透明世界」

本日は東伏見に流れ着いてしまったので、坂を上がって駅方面へ向かっていると、古本も売っていた元スポーツ用品店のリサイクルショップ「それいゆ」(2015/05/07参照)が消滅しているのを確認し、古本と出会えずに西武新宿線の人となる。鷺ノ宮駅で下車し、無精して「うつぎ書房」(2008/08/06参照)にも寄らずに家に帰り着いてしまったので、『今日は古本はナシか…』と考えていると、ポストに小さめの封筒が届いていた。これは、きっと久々のヤフオク落札品!脇に挟んで家のドアを開け、手洗いうがいを済ませて、さらにある緊急のお仕事を一本超スピードで済ませてから、ようやく封筒とじっくり対峙する。中から出て来たのは、東光出版社「冒險探偵小説 謎の透明世界(四次元漂流)/海野十三」(昭和二十二年刊)である。昭和二十一年の「子供の科学」に掲載された『四次元漂流』をまとめた仙花紙本である。ライバルナシの660円で落札す。背に補修の紙が貼付けられ、尚且つその後に傷んだ状態であるが、それほど酷いことにはなっておらず、本としてちゃんとまとまっている。青色一色口絵八枚もちゃんとあるし、落丁もないようだ。『うんの』の平仮名文字がプリティーな検印紙も残っている。ただし所蔵していた学校印が、貸本屋の印のように色んな場所に捺されている。まぁ、読み通せるなら、そんなことは大した問題ではない。何よりこの安さだ。素直に手に入ったことが嬉しいのである。ちらっと読み始めてしまうと、冒頭『はじめに』の「大きなおどろきと、すばらしい魅力とが、科學眞理の車體に諸君を乗せ、科學推理の車輪をつけて、まっしぐらに神秘の世界へ向かって走っているのに氣ずかれるであろう」の一節に、荒廃した戦後の日本の街を吹き抜ける、希望に満ちた科學の風を感じてしまう。
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2020年12月22日

12/22大阪に今年最後の古本を送る。

本日大阪に古本箱を発送する。いつもよりちょっと多めの五十冊弱…いつものように、面白い本・くだらない本・探偵小説・動物本・サブカル本・忘れ去られた本・博物学本・懐かし本・ブログに登場した本・アート本などなど、色々取り混ぜご用意しておきましたので、感染対策に留意しつつ、数日後からの大阪『梅田蔦屋書店』の古書棚にご注目いただければ幸いです!というわけで、郵便局に重過ぎるはた迷惑な古本箱を預けた後、雲のない青空の下をテクテク歩いて高円寺まで出て、「ドラマ高円寺庚申通り店」の百均ワゴンを覗き込む。装幀が素敵にアホ過ぎる白泉社「ガラスの仮面殺人事件/辻真先」が即座に目に留まったので110円で購入する。
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こういう丁寧な仕事、大好き。コミックスとは異なり、実はハードカバーなのである。

さて、話は変わるが、先日の岡崎武志邸書庫片付けの際頂戴した一冊の中に、平凡社「真鍋博の線の画集」という1979年刊の大判本がある。丸ペンで引かれた、細密な線の集合体を楽しんでいると『創元推理文庫』のページが登場した。そう言えば真鍋も、多くの創元推理文庫のカバー装幀を手掛けているのである。ページのタイトルは『DUST JACKET 創元推理文庫1978』で、カバーに使われた線画がオリジナルの状態で掲載されている。全22点あり、エラリー・クイーン作品が「オランダ靴の謎」「ローマ帽子の謎」「エジプト十字架の謎」「アメリカ銃の謎」「ニッポン樫鳥の謎」「フランス白粉の謎」「ギリシア棺の謎」「シャム双子の謎」「スペイン岬の謎」「チャイナ橙の謎」の十点、ヴァン・ダイン作品が「グレイシー・アレン殺人事件」「ベンスン殺人事件」「ガーデン殺人事件」「カブト虫殺人事件」「ケンネル殺人事件」「グリーン殺人事件」「カジノ殺人事件」「ドラゴン殺人事件」「カナリア殺人事件」「誘拐殺人事件」「ウインター殺人事件」「僧正殺人事件」の十二点となっている。“1978”で括られてはいるが、クイーンの装画は、60代年後半から70年代にかけての仕事。ヴァン・ダインのものとは少し時代が離れているので、タッチが異なっている。それにしても、見慣れた装幀の絵が、生の剥き出しな形で表れているのが、とても新鮮である。決してやってはいけないが、切り離して額装したいほど美しい…。
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これはヴァン・ダインの見開きページ。
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2020年12月21日

12/21慌てて綺堂讀物集を買い求める。

午後一時半に下北沢と池ノ上の間の丘に流れ着いたので、『茶沢通り』に流れ落ちて「古書ビビビ」(2009/10/15参照)へ。店頭箱から、東宝製作配給「次郎長意外伝 第三部・第四部 灰神楽道中 灰神楽荒神山 準備稿」という古い脚本を見つけ出し、250円で購入する。1957年公開の東宝映画『次郎長意外伝 大暴れ次郎長一家』の準備稿らしいが、まだこの段階では監督がマキノ雅弘になっている(実際は日高繁明が監督)。原案は正岡容で、主人公の“灰神楽の三太郎”を演じるのは三木のり平である。脚本を読み進めると、だいぶ軽妙で調子がいい感じなので、三木のり平が嬉々として演じているのが脳裏に浮かんでしまう。続いて「ほん吉」(2008/06/01参照)では小学館入門百科シリーズ96「決定版ウルトラ兄弟/監修・円谷プロ 構成指導・竹内博」を330円で購入する。両見返しに以前の持ち主の色鉛筆による悪戯描きが残っているのだが、それが何故かイマイのプラモデル『ロボダッチ』シリーズ(♪人間だったらトモダチだけど〜ロボットだから〜ロボダッチ♪のCMソングで人気だった)の絵なのである。何故ウルトラの本に、ロボダッチの絵を描いてしまったのか…この子の中では、ウルトラよりロボダッチが勝っていたということか…。
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なかなか味のあるタッチである。

そして阿佐ヶ谷に帰り、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄る。店頭文庫棚に朝雲新聞社「自衛隊 隊内生活体験のしおり」という、隊内生活体験者が支給されるガイドブックを見つけたので、購入しようと手指消毒して店内へ。当然の如く古書探偵小説ゾーンに足を向ける。ぬぉっ、春秋社「Yの悲劇」や春陽堂『綺堂讀物集』が売れてしまっている!『綺堂讀物集』は『どうせまだまだ売れないだろ』と高を括っていたので、欲しいのにちょっと放置していたのだ。噫々、すっかり油断してしまった。だがまだ、綺堂讀物集五「今古探偵十話」(函ナシ。昭和三年再版)が残っているではないか。せめてはこれを購い、家にいる「青蛙堂鬼談」と並べ、慈しんで行くことにしよう…。
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2020年12月20日

12/20ちょっと久々の「りんてん舎」へ。

午後にゆっくり動き出し、スタスタ歩いて「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)へ。真剣に棚とにらめっこしていると、入口方面から「こ〜や〜ま〜くん」と小学生の呼びかけのような声がかかる。屈んで棚の下の方を見ていた顔を上げると、マスク越しに微笑む岡崎武志氏の姿があった。「いやぁ〜、先日はありがとう。通路が一本空いただけで、仕事がはかどるはかどる…」と言いながら氏は、すでに三冊四冊と古本を手にして行く…また通路が埋まったら、再びお呼び下さいませ。そして他の通路も開通させて、より快適な書庫にいたしましょう!色々ちょこちょこお話ししつつも、目ざとく欲しい本を見つけて購入する。啓松堂「傳説と歴史/藤澤衛彦」を550円で。昭和八年刊の、世界と日本の伝説&伝承の論考集である。『怪異見世物譚』『生雛人形説話推移考』『蜘蛛伝説とアナンシ物語』『狐の嫁入考』などなど。氏に挨拶をしてお店を出る。面白い本に出会えたが、まだ何かもの足りぬ。そうだ、ここのところ少し足が遠退いている、三鷹の「りんてん舎」(2019/03/30参照)を見に行くことにしょう。中央線に乗って、休日運転のために西荻窪を石のように黙殺し(by・横光利一)、すぐに三鷹駅着。黄色い銀杏の葉が敷き詰めたように散らばる『三鷹通り』を北上し、これもたちまち「りんてん舎」着。店頭箱や棚を渡り歩くや否や、あっという間に五冊を手にしてしまう。ふぅふぅ、調子が良いな。そしてお客さんの多い店内に進み、いつの間にか動きまくり新鮮さ漂う棚を注視する。ふむ、三一書房「ドグラ・マグラの夢 覚醒する夢野久作/狩々博士」が二千円か…お買い得だ。そう言えばこの本、以前一箱猛者の「とみきち屋」さんが、どこかのブックオフで300円で抜いて来たのを見せられて、大変に羨ましかった思い出が…えぇぃ、買っちゃえ!と帳場に店頭本とともに突き出してしまう。あまとりあ社「名作鑑賞 風流艶色寄席/正岡容」東邦出版株式會社「結婚廣告/丸木砂土」誠信書房「箱庭療法/河合隼雄編」(カバーナシ)角川文庫「瓶詰の地獄/夢野久作」伊勢丹美術館「マッキントッシュとグラスゴー・スタイル展」を、「ドグラ・マグラの夢」とともに計2750円で購入する。ふぅ、やはりここは、店頭店内楽しめる良いお店ですなぁ。
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「ドグラマグラの夢」冒頭の序を読むと、新京極の玩具屋で「ドグラ・マグラ」のポケットブックと出会う話が載っていた。『それは店仕舞することもなく売れ残りの古本の上に土産物をつるし、人形を並べて玩具屋に変貌した新京極のもと古本屋なのである』…くぅ、そんな古本が店内遺跡化しているお店、訪れてみたかった!
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2020年12月18日

12/18東京・駒込 こまごめ珈琲ヒトハコ古本市

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本日は午後三時過ぎに代沢辺りに流れ着いたので、坂をエッチラオッチラ上がって池ノ上駅方面に向かい、途中の「古書 由縁堂」(2008/09/02参照)に立ち寄る。久々に訪れたが、小さな店内では、結束本山がわりと幅を利かせていた。カッパノベルス「SFミステリー傑作選 四次元の殺人/石川喬司編」を100円で購入する。その時「すみません、五十円玉二枚で」と申告すると、店番のおば様に「ウハハハ」と豪快に笑われる。一旦家に戻り、午後五時半に再び外出。ほぼラッシュ時間の中央線と山手線を乗り継ぎ、すっかり夜になってしまった駒込駅に降り立つ。北口に出ると、目の前には車のライトが眩しく流れる『本郷通り』。西側の歩道に渡り、ビルが連なる通りを北上して行くと、道は下りとなり、この辺りが『駒込妙義坂』。真っ暗な『妙義神社』がビルの裏に潜み、対岸には『駒込妙義坂子育地蔵尊』の赤提灯が浮かび上がる。さらに先に進んで行くと、住所が駒込から北区の西ヶ原に変わる。その途端にふいと脇道を覗き込むと、明るく輝く『ミドルガーデンコーヒースタンド』があり、どうやら二月に一度開催されている夜の古本市、「こまごめ珈琲 ヒトハコ古本市」が開かれているようだ。近づくと、すでに店内は古本を求める人…と言うか、知り合いとの再会を楽しむ光景が広がっていた。私も早速駄々猫ざんに「あらっ!」声をかけられ、さらにひな菊の古本さんや雨の実・妹さんにもお会いする。うぅっ、久しぶりでこれは嬉しい!嬉し過ぎるので話がびょんびょん弾んでしまうが、現状を鑑みすぐさま自重して、古本選びに取りかかる。店外入口脇では、山藤章二コレクションを放出する方に猛プッシュされるが、まだ山藤に興味が持てないお子ちゃまなので、恐縮しつつ辞退する。店内では鉄製フレーム棚が一本置かれ、四段の一列ずつを一店主が使形である。つまりは極々小規模な、アットホーム的古本市なのである。最下段に並ぶ、今や大阪の古本屋さんである「古書ますく堂」の棚から、麥書房「立原道造手書き本文覆刻 ゆふすげびとの歌 普及版」を見付け、千円の安値だったのでこれに決める。「ますく堂」さんに挨拶し、さらにひな菊の古本さんの手づくり本「ひな菊のJIN」と合わせて1500円で購入する。「ひな菊のJIN」は、今年三月にこれもまた手づくりで出された「ひな菊のスクラップブック」(2020/04/11参照。古本屋が好き過ぎて巡り巡った全国の古本屋さんをショップカードなどで紹介するビジュアルブック)の続編…いや、補遺本と言うべきか。ひな菊さん自身の、本や古本や古本屋との関わりが克明に刻み込まれ、それらがやがてスクラップブックの製作に真剣に打ち込むことになる過程が、いつもより丁寧な字で書き連ねてある一冊である。とても熱血である!いいぞひな菊、もっとやれ!そして昨日に引き続き「ますく堂」さんと立ち話。コロナが落ち着いたら大阪に行きますよと約束し、「明日帰るんですか?」と聞くと「今夜の夜行バスで帰ります」とのこと。夜行バスか、懐かしいなぁ。「古本屋ツアー京阪神」取材の時に、使いまくったなぁ…と過去の感慨に浸りながら、みなさんに素早く挨拶して、夜の駒込を後にする。
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「ZINE」と大書してあるが、ZINEと言うよりは、名実ともにTHE手記。事件後に犯人が書き残した手記みたいな、妙な告白感が文章に漲っているのが面白い。
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2020年12月17日

12/17今年最後のイレギュラーズは岡崎武志邸!

本日は今年最後の“盛林堂・イレギュラーズ”としての出動要請に応え、正午目標で西荻窪を目指す。だがその前に荻窪「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に素早く立ち寄り、素早く古書漁りを決行する。その結果、宝石社「大下宇陀児読本」「久生十蘭・夢野久作読本」を計550円で購入する。さて西荻窪へ!と入口へ足を向けると、店頭棚の間から「古ツアさん」と声を掛けられる。あっ!「古書ますく堂」さんじゃないですか!そうか、明日また駒込のカフェ『ミドルガーデンコーヒースタンド』で夜から古本市が開催されるので、それに合わせての前乗り上京らしい。久々の再会を喜び、しばし大阪でのお店と暮らしの様子など聞き出したりする。だがあまり時間がないので、明日の再々会を約束し、お店を後にする。西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)には正午ちょうどに到着し、店頭棚に出ていた、あかね書房「真夏の旗/三木卓作・篠原勝之絵」を100円で購入し、すぐさま店主・小野氏と準備を整えお店を出て、駐車場で盛林堂号に乗り込み、いざ出発。目指すは都内某所の岡崎武志邸(2012/10/19参照)である。古い街道を走り、武蔵野の面影が残る街を車窓に流しながら、およそ一時間で岡崎邸に到着。ドアをあけて出迎えてくれたのは、すっかり鬚を剃り落とした岡崎氏と、飼い猫の灰虎猫である。「岡崎さん、鬚!」「あぁ、マスクするから、どうの邪魔くさくてなぁ」…何となく若返っております。そして本日の作業は、地下書庫への階段にすでに積み上がっている文庫群を運び出し、さらに階段を下り切った正面にある、古本で埋まった通路を一本開通すること。このぐらいのミッションなら、皆の力を合わせればすぐ終わる!と早速作業に取りかかる。まずは階段で小野氏が文庫本を結束し続け、それを私が玄関に積み上げて行く。だだし縛る方が当然のごとく時間が掛かるので、その間は岡崎氏と古本的世間話を展開。だが途中何故か北九州の話になると、徐に氏がテレビを点けてレコーダーを作動させ、東映映画『新仁義なき戦い』を流し始めた。「北九州が舞台や。『仁義なき戦い』も面白いけど、これも面白いでぇ〜」。そんなことをしながらも、作業は順調に進み、およそ一時間で玄関に三十本ほどの文庫束を積み上げる。そしてそれらを盛林堂号に積み込んだ後、次は通路の開通に取りかかる。「もう基本的に目ぇつぶってるから、どんどん運び出して」とのこと。小野氏が通路に突撃し、重ね上げて行く本を岡崎氏が軽くチェックし、それを私が階段途中に運び上げ、版型ごとに仕分けて行く行程をまずは採る。
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本当に氏にとって重要な本や資料や、『これは必要だろう』とこりらが思う物は、ズンズン氏に手渡して行くことにする。「気になる本があったら抜いていいでぇ」と素晴らしいことを言われたので、遠慮なく作業の過程で三冊ほど目を付け、いただくことにする。階段に本が溜まると、場所を入れ替えて小野氏が階段で結束に入り、多少通路の空いた部分に岡崎氏が突入し、不要と決めた本をドカドカ棚から下ろしたりする。私はそれを床に積み上げたり、結束の終わった本を再び玄関に積み上げたりと、上へ下への大忙し。こちらの作業も一時間ほどで終了し、玄関におよそ二十本の束を積み上げる。図録類や日本文学・ユーモア小説・児童文学が多く、非常に良い景色。さすが古本神の棚から旅立つ物たちである。それらも素早く盛林堂号に積み込み、およそ二時間強で本日の作業は終了する。お疲れさまでした!
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いただいたうちの一冊、CBS/SONY artback「A LONG VACATION/EIICHI“LEO,AB”OHTAKI AND HIROSHI“PENGUIN”NAGAI」が嬉し過ぎる!デザイナー&イラストレーター永井博のピクチャーブックである。もうすぐ『A LONG VACATION』発売40周年記念VOXに特典として復刻本が同梱されるらしいが、やはりオリジナル本には敵わないのだ!岡崎氏に「これ、物凄く嬉しいです!」と言うと「ハハハハハ、持ってたのも忘れとったは」と、未練ナシの返答。ありがとうございます。大事にします。

岡崎邸を出発したのは午後三時半前。道が混み始める前に、往きと同程度の一時間強で西荻窪に無事に到着する。一気に倉庫に五十本を下ろしまくり、「盛林堂書房」に帰還して一息ついたところで、カバーデザインを担当した新刊二冊を受け取る。Re-Clam編集部「別冊re-Clam血文字の警告/サミュエル・ロジャース」と、綺想社「原子間諜 【原子の城】/嘉密斉・史密斯」である。「原子間諜」は、何と『人類補完機構』で有名なSF作家コードウエイナー・スミスの別名儀によるスパイ・ミステリ!共に12/19より盛林堂通販サイトや店頭で販売開始予定である。早く読みたい読みたい読みたい……。
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最後に阿佐ヶ谷で「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、創元文庫「宮澤賢治童話劇集/宮澤賢治」を110円で購入すると、店主・天野氏から「先日は高い本をお買い上げありがとうございました」と、例の「蜘蛛男」&「真珠郎」のお礼を言われる。聞けば完全なる狙い撃ちだったそうで、まんまと乗せられてしまったわけなのであった…いや、こんな狙い撃ち&乗せられ方なら、ほ、ほ、ほ、ほ、本望であります!
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2020年12月16日

12/16小村雪岱装画の綺堂本。

夕方に吉祥寺の西北に流れ着いたので、駅方面に向かって行くと、やがて『中道通り』に出る。普段より少し人が少なめな感じがするが、やはりコロナ禍の影響だろうか。そんなちょっと寂し気な感じなのだが、通り沿いのお店が店頭にキャンドルをたくさん灯しており、幻想的な色味と暖かみが、行き交う人の心を和ませているかのようである。あっ!井の頭公園の入口近くにあった、店頭に山岳系古本箱を出している中古登山用品店「mounga」(2019/10/23参照)は、突然お店がもぬけの殻になったと思っていたら、こんなところに移転して来ていたのか。
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大体パルコ前から『中道通り』に入って、200mほどの場所だろうか。登山&山岳古本箱はしっかりと健在で、今は遭難記や登山ガイドブックなどを多く並べている。ひょんなことから、古本箱の無事を確認出来て、良かった良かった。そう思い何も買わずに、「古本センター」(2013/07/01参照)にたどり着き、店頭処分品棚に集中する。創藝社「赤裸の心・覚書/ボオドレエル」新生堂「ダンテ神曲画集/中山昌樹編」(函ナシ)を計330円で購入する。「ダンテ神曲画集」はギュスタヴ・ドレエの挿画百三十五枚を収録した昭和十七年第四版の大判本である。続いて「よみた屋」(2014/08/29参照)では、入口前の300〜500円棚から文藝春秋デラックス「宇宙SFの時代」を550円で購入する。だがいまいち物足りないので、総武線に乗り込んで荻窪駅下車。「竹中書店」(2009/01/23参照)に立ち寄ると、店頭木製二百均ワゴンに変化アリ!すぐさま春陽堂書店 綺堂讀物集「両國の秋」「ものがたり十八夜」の二冊を掴み出し、計四百円で購入する。共に昭和十四年刊の、小村雪岱装画(「ものがたり十八夜」は装幀も雪岱が担当している)の分厚い紙装本。うむ、これにて大満足!と見事憑き物を落とし、ようやく家に帰ることにする。
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2020年12月15日

12/15「蜘蛛男」と分離派

昨日購った大亂歩の「評判小説 蜘蛛男」を早速読み始めてしまっている。ポプラ社の少年探偵シリーズや、角川文庫や春陽文庫や創元推理文庫などと、様々なカタチで何度も読んだ昭和初期のエログロ大衆娯楽通俗スリラー小説であるが、全く持って素晴らしく面白い作品である。画家・田中比佐良の漫画的な口絵や挿絵も時代感たっぷりで、良いお仕事(ちなみに春陽堂の日本小説文庫版「蜘蛛男」には、これらの挿絵がそのまま使われている)!
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これは巻頭口絵ページの田中作品である。

もう話も仕掛けもすべてわかっているのに、それでも文章の中をスルスル軽快にイメージが滑り渡って行くのである。多少贔屓目かもしれないが、こんな一級品の低俗な娯楽小説が書ける人は、そうはいないはずである。亂歩自身は、このような通俗作品を書かざるを得ない自身を卑下していたが(ちなみに亂歩のスクラップ記録帳「貼雜年譜」の「講談倶楽部」連載『蜘蛛男』新聞広告の切り抜き脇には『オ世辞ト稿料ニコロビシ也』と書かれている。さらに単行本の新聞広告切り抜き脇には『単行本ノ形ノ私ノ著書ノ内デハ最モ大部数印刷サレタモノデアル』とも)、決してそんなことはありません!と声を大にして、どうにか冥界の大亂歩に伝えたいものである。いや、それほどの面白さなのだ…などと昭和初期の探偵小説にうつつを抜かしていると、今日が新橋にある『パナソニック汐留美術館』で開催されている『分離派建築会100年 建築は芸術か?』が最終日であることに気付く。慌てて身支度を整えて家を飛び出し、わりと混み合う車内に冷たい換気の風が吹き荒ぶ中央線で東に向かい、『旧新橋駅舎』横に建つガラス張りの高層ビル四階に訪れる。時刻はちょうど開館時間の午前十時。平日だし早い時間だし、もしかしたら一番乗りであろうか…と思ったら、すでに開館を待っていた建築業界風の人々が、まさに入館するところであった。さすが最終日…甘かったか。こちらも最新型の計測器で体温を測定し、800円のチケットを買って館内へ。観覧客同士の密集を避けながら、展示をひとつひとつ楽しんで行く。大正時代に、それまでの日本建築界の流れから離れるように、革新的で独特な前衛芸術的意匠を武器にして敢然と立ち上がった、若手建築研究グループ『分離派研究会』の展覧会である。八年ほどの闘いの歴史を、設計図・スケッチ・建築模型・建築写真・設計家具・出版物などで、小規模ながらもつぶさにたどる、満足の行く展示である。建築界のエポックメイキングとも言われる『分離派』だが、これほど明確に光を当てて、大系立てて見られるのは、初めてのことではないだろうか。それにしても、所々に恭しく展示してある貴重な古書が、どんな展示物よりも激しく気になり、とてつもなく物欲をフツフツと沸き立ててしまう(完全なる古本病ですな)…『分離派』関連で、当時これほどの数の書籍が出されていたとは驚きである。堀口捨巳著作や、分離派の作品集に特に心を掻き立てられるが、これらはどれも恐ろしく高いんだよなぁ(作品集は、ゆまに書房から出された合本覆刻本がミュージアムショップで販売されていたが、それですら二万円越え…)…いつか何処かで安値で見つけられることもあるだろうか…そんな都合の良い野望&夢想に耽りながら、最後に図録(デザイン的に激しく凝っている。だが、リバーシブルの帯はいらないから、その分安くして欲しいぞ)を買って、早々と美術館を後にする。この展覧会は来年一月京都に巡回する。
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家に帰ってからは、色々片付けながら大阪に送る古本の準備をコツコツ進める。
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2020年12月14日

12/14蘇る“探偵小説狂想曲”(最強)!

午後に溺れかけていた仕事の海から浮上し、息抜きにブラッと阿佐ヶ谷に出る。冬の晴れ間はいつの間にか姿を消し、いやらしい灰色の雲が空を覆い始め、天気予報にはなかった雨粒まで落ちて来る始末。まだお客は誰もいない「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に手指消毒して入店。お店に来る度に入念にチェックしてしまう、中央通路左側の古書探偵小説ゾーンに習慣として目を通す。もはや良い本がバンバン安値で並ぶ、狂喜の“探偵小説狂想曲”がフィナーレを迎え、ダブルアンコールさえも終えてから、ずいぶんと時間が経つ。いつしか棚並びは不動となり(それでも時々はポツリポツリと売れて行くようだ)、新鮮さは当然のごとく消え去ってしまった…だが、それでも油断は禁物である。いつ何時、確率は低いにしても、ひょんなことから新入荷があるかもしれないのだ。店主・天野氏も、探偵小説買取の束はほぼ出し切ったと言っていた…だが、この『ほぼ』が問題なのだ。これはまだ、その同じ買取の本が少しは残っていることを示唆している。なので、探偵小説が欲しければ、決して油断してはならぬのだ!辛抱強く、新たな探偵小説が並ぶ、その時を執念深く待つのだ!…などと常日頃から己に言い聞かせ、阿佐ヶ谷界隈をウロウロしているのである。今日もそんな単なる執念の日課の続きだったのだが、驚くべきことに、棚に変化が生じているのを感じ取ってしまう。うぉ、大正時代の春陽堂『綺堂讀物集』が四冊並んでいるじゃないか!三冊は裸本だが、一冊は函付きで、しかもそれも安い!おぉっ、その上の段の端には春秋社「Yの悲劇/バーナビイ・ロス」のテーブ補修アリの裸本が、これも激安で並んでいる!と続けざまに興奮する。だが、もっとスゴいのが、その段の右寄り真ん中辺に挿されていたのである!大日本雄瓣會講談社「評判小説 蜘蛛男/江戸川亂歩」(昭和五年刊)と六人社「眞珠郎/横溝正史」(昭和十二年刊)!!!!!!ともに函ナシ裸本で経年劣化の傷みはあるが、これは、これはスゴい!亂歩・大関級本&横溝・横綱級本の、夢の組み合わせだ!見た瞬間に『オレは、これを買わねばならない!』と確信した、憧れの分厚い本二冊なのである。だが、値段は…焦りながら手に取り、後見返しに鉛筆で書かれた数字を確認する…「眞珠郎」が5250円…「蜘蛛男」が5150円…………か、か、か、か、か、買うぞっ!ま、ま、ま、ま、まとめて、買うぞっ!そう即座に決心して、二冊の異なるクロス装の本を鷲掴んで帳場へ。計一万四百円で購入する…結果、「コンコ堂」での今までで一番高い買物になってしまった。だが、後悔はしていない。裸本とは言え、この二冊が手に入ることなんて、考えたこともなかったのだ。こんなに嬉しいことはない!よっしゃ、昔の話を、当時の本で時代の雰囲気に浸りながら、存分に楽しむぞ!そんな風に大興奮しながら、宝物の古本二冊を胸に抱えて、小走りに家路をたどる。
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2020年12月12日

12/12“ウルトラ”の夕焼け。

本日も何の因果か祖師ケ谷大蔵の南に分布する、砧の街に流れ着く。折しも時は夕刻。小さな仙川が流れる谷を臨む高台から西南を眺めると、そこにはまさに“ウルトラ”の夕焼けが見事に広がっていた。
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今ではマンションが建っている土地に、かつては円谷プロダクションがあり、数々の子供の心を鷲掴みにしまくった特撮番組を製作していた。そして『ウルトラセブン』のラストシーンに時折出て来る美しく赤い夕焼けの景色は、この辺りで撮影されたものも含まれているのだ。だから、“ウルトラ”の夕焼け!しばしそんな、テレビ画面で見た覚えのある美しい光景に身を浸しながら、うっとりとする…あぁ、『キヌタ・ラボラトリー』……。そして駅へツラツラと向かい、『ウルトラマンの歌』のホームメロディに送られて(ちなみに下りのメロディは『ウルトラセブンの歌』である)、小田急線に乗り込んで、今日も下北沢の「ほん吉」(2008/06/01参照)店頭に縋り付くことにする。三一書房「忍者アメリカを行く/中田耕二」現代新書57「海のない町/芝木好子」美術出版社「錯視と視覚美術/カラハー&サーストン」国際情報社「幼児ブック ことり」昭和37年9&11月号を計880円で購入する。「ことり」11月号は『未来の世界特集号』で全体的にSF感あり(武井武雄の『ほしのくにへいったら』が、懐かしい昭和の未来感に満ちていてたまりません!)。だが一番感動したのは、9月号に載っていた、『ちかてつ』という市川髓jの絵。これは、神田川上で、地下鉄丸ノ内線と中央総武線が立体的に交錯するのを、聖橋から見た風景!昭和三十年代とほとんど変わらぬ風景が残っているのは、実に実に喜ばしいことである。
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2020年12月11日

12/11古本市と疑似古本市。

午後にブラリと家を出て高円寺へ。「西部古書会館」(2008/07/27参照)で開催二日目の「赤札古本市」を覗く。ガレージに一通り目を通してから、手指を消毒し、荷物を預け、体温をピピッと計測してもらって、いざ館内へ。二日目の平日とあって、混み合うほどではないのでまずは一安心する。「新日本書籍」と「水平書館」(2014/05/23参照)が茶色い古書だらけでかなり楽しい。「新日本書籍」は貸本らしき時代小説がずいぶん並んでいるな…山手樹一郎と長谷川伸ばかりだけど…。樺太叢書「樺太の鳥」を見つけるが、裏表紙が欠けて840円か…。ゆるゆると一周し、結局掴んだのは一冊のみに留まる。地平社「不斷の花/上林曉」を500円で購入する。昭和十九年刊の、上林初の随筆集である(阿佐ヶ谷駅北口に『支那料理屋ピノチオ』という店があり、文士の溜り場だったとのこと…知らなかった…。この本には居住していた杉並天沼辺りのことが『天沼雑記』として多く掲載されている。こういう土地鑑のある場所の話を読むのは、殊更楽しい。自分の経験や体感と作家の文章が絡み合い、親しみの深い、ある種ちょっと滋味のある読書体験を齎してくれるのだ)。この市は日曜13日まで。
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そしてもうちょっと古本が見たくなったので駅に向かい、電車に乗って荻窪駅で下車し、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)を訪れる。店内で雑多な棚を見ていると、まさに古本市の続きを体験している気分に陥る。なので、古本の背に全神経を長時間集中し続けるのは止め、流し気味に棚を味わって行く。雄鶏社「海象に舌なきや/小栗虫太郎」を550円で購入する。連続古本市を疑似体験した、冬の午後のひと時であった。
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2020年12月10日

12/10野村胡堂旧居。

本日は午後三時過ぎに祖師ケ谷大蔵駅西南の砧に流れ着き、もはや隣り街が成城学園前なので、街並もすっかり成城的な高級住宅が整然と集う住宅街の中に、『野村胡堂旧居地』を偶然発見してしまう。
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古めかしい日本家屋門前に立つ看板によれば、息子の通学のために昭和七年〜十四年まで住んでいたとのこと。今にも“あらえびす”がガラリと出てきそうな玄関をしばらく楽しんだ後、駅北側に出て、北にずっと歩いて「祖師谷書房」(2009/03/05参照)へ。TVドラマ再放送『七人の秘書』に続き『相棒』を楽しんでいる店主夫妻を尻目に、小さな店内をじっくり探索。偕成社 幼年/創作えどうわ5「かいぞくオネション/山下明生さく 長新太え」(昭和47年刊。函付き)を500円で購入する。うひゃっ、もう午後四時をだいぶ回ってしまっている。慌てて駅に戻り、小田急線で新宿に出て、続いて中央線に乗り込み西荻窪にたどり着き、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ駆け付ける。アスペクト「表参道のヤッコさん/高橋靖子」を100円で購入し、その場にちょうど到着した盛林堂ミステリアス文庫新刊の搬入を手伝う。興奮しながらカバーデザインを担当した「今日泊亜蘭怪奇探偵小説集 怪奇探偵十一号室の怪」である。文庫サイズで五百ページ越えの、SF色を抜きにした、今日泊の知られざる幻想&探偵&怪奇&ホラー系の小説集である…ふぅ、『関われて幸せ!』の一言に尽きる。盛林堂の通販サイトでは、注文が殺到し現在予約停止中であるが、12/12からの店頭販売分は確保されているとのこと。
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そして何故か日本古典SF研究会のメンバー数人が集う帳場前で、北原尚彦氏と落ち合い、岩崎書店『ドイル冒険・探偵名作全集』の交換を執り行う。こちらは先日この盛林堂店頭で購入した「ホームズ最後の活躍」+二〇〇円。片や北原氏も盛林堂で購入した「赤い糸のなぞ」「恐怖の谷」「四つのサインのなぞ」である。話すと長くなるのだが、この『ドイル冒険・探偵名作全集』貸本仕様が、ある日大量に盛林堂店頭に出されていたので、私は一冊だけ買い、こういう古いホームズ関連を見つけたら、即北原氏に報告せねば!と脳髄に刻み込まれているので連絡すると、氏はすべてをダブっても構わないから!と神速で鮮やかに買い占めたのであった…結果、ホームズ物は三冊ダブりで、こちらの「最後の活
躍」が未所持本だったので、トレードと相成ったわけである(ちゃんと読了しております)。盛林堂で買った百均本を、その店内で恭しく交換する阿呆らしさよ!あぁ、今日も古本でたくさん遊べた一日であった。

ところでそろそろ発売になる「本の雑誌 狛犬ひと踊り号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、目白の裏路地の瀟洒なお店「貝の小鳥」を訪問。嬉しいある絵本作家のサイン本を手に入れておりますので、連載四年目に突入した個人的な喜びとともに、楽しんでいただければ幸いです!
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2020年12月09日

12/9本物の「アルペン行」!

本日は午後三時過ぎに吉祥寺の北部に流れ着いたので、駅方面に出て、ワクワクしながら古本屋さんを経巡るが、何故か相性悪く一冊も買えず仕舞いに終わる…こ、こ、こ、こんなこともたまにはあるわな…。仕方なく駅に戻って電車に乗りつつも、古本を買いたい気持ちが、棚からこれぞ!という本を見つけ出したい気持ちが、フツフツと湧き上がって来る。というわけで、フツフツを抑え切れずに荻窪駅で下車。「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)にすべてを託す。店頭棚で早速一冊掴んでから、ジェル消毒液で手指を消毒して店内へ。今回はわりと丁寧に、一棚一棚辛抱強く覗き込んで行く…つい先日の春陽堂「青蛙堂鬼談」を買えたような嬉しさを再び味わいたくて、もはや血眼なのである。だが、そんなに上手い話がそうそうあるわけはなく、面白そうな本はちょいちょい見つかるが、『掘り出した!』という感覚には到らないので、贅沢にパスして行く…そんなことをしていたら、ほぼすべての棚を見尽くしてしまった。まぁ、しょっちゅうお店に来てるもんなぁ。仕方ない、あれを買って行くことにするか…などと思いつつ、普段余りそれほど気に掛けない山岳登山関連古書ゾーンにも視線を注ぐ…伝説関係の古い本でもあれば…そんなことを希望しつつ、古書ゾーンの中でも古い一冊が気になり手を伸ばす。政教社「アルペン行/鹿子木員信」である。大正三年刊の山岳本の名著として知られる一冊で(著者は日露戦争に従軍し、その後渡米。そこからさらに独逸に留学した哲学者である。本書は、著者がイェーナ大学で哲学を学んでいた明治四十四年、夏休みに出かけたスイス旅行とヨーロッパアルペン単独踏破の紀行文なのである)覆刻版も出されている。なので覆刻版かな?と一瞬思うが、それにしても古めかし過ぎる。急いで奥付を確認すると、何と大正三年の初版であった。しかも値段が220円!ほぉぉぅ!よし、これだ!今日も素晴らしい本に安値で出会えたぞ!と、めげずにじっくり店内を回覧した甲斐を喜び、鱒書房「流行の裏窓/もんぺからマグネットラインまで/うらべ・まこと」とともに計330円で購入する。「古書ワルツ荻窪店」さま、今日も大変お世話になりました。また直ぐ来ると思いますが、その時も何とぞよろしくお願いいたします!
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2020年12月08日

12/8師走の神保町パトロール

朝ご飯を食べながら優雅に朝刊を開くと、画家・池田龍雄の訃報が載っていた。岡本太郎らと活動を共にしたこともある、アヴァンギャルドな芸術家として知られるが、絵本や児童文学の挿絵を多く手掛ける職人的才人でもあった。私はこの人の描く猫が好きで、偕成社幼年創作どうわ「のらねこたいしょうブー/神宮輝夫」が物語共々(野良猫+少女のお化け+蝙蝠 VS 幼年男児+十匹の飼い猫!)常々名作だと思っている。簡略化&デザイン化を施しつつも、決して猫の可愛さ&しなやかさ&野性味を手放さぬ確固たる筆致!作者の神宮輝夫の『はじめに』によると、『えは、いけだたつおさんが、ねこたちにインタビューしながら、かいてださいました』とのことである。あぁ……安らかにお眠りください。
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「のらねこたいしょうブー」作戦会議の場面。右端の上半身が白で下半身が黒のデビルマン(原作版)みたいな猫は、ズボンを履いているみたいなので、そのままずばり“ズボン”と言う素敵な名前。

本日は午前十時半に水道橋駅に降り立ち、朝の陽光で黄色い銀杏の葉が色彩を増している『白山通り』えお南下して行く。「日本書房」(2011/08/24参照)では金泉堂「繪本 鼠小僧實記全」を800円で購入。明治十九年刊のボール紙表紙本である。それからさらに通りをを南下して、少し人影の少ない気がする『靖国通り』に入り、西に行った後、東へ。「澤口書店 巌松堂ビル店」(2014/04/12参照)店頭棚に大量のポケミスが大体二百円で並んでいるが、端っこの方に五冊ほどの元パラ白帯創元推理文庫が並んでいるのを目に留める。共に初版の「誘拐殺人事件/ヴァン・ダイン」「技師は数字を愛しすぎた/ポワロ&ナルスジャック」を計400円で購入する。最後に「慶文堂書店」(2012/01/14参照)の店頭ワゴンをガサリゴソリ。古い映画館のニュースパンフが出されているな…おっ!光文社「少年 昭和二十四年十月号」発見!乱歩の「青銅の魔人」が連載されている頃のものだ。そう喜びつつ、さらにほるぷ名著覆刻詩歌文学館〈山茶花セット〉「現代の藝術と批評叢書2 詩集 軍艦茉莉/安西冬衛」(保護箱付)を掴み出し、計800円で購入する。
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「少年」連載の『青銅の魔人』はクライマックス直前の回。ちなみに同じ光文社版の単行本と山川惣治の挿絵を見比べてみると、右の雑誌の方が遥かにキレイに印刷されているのが良くわかる。なんたってあの酷い戦争が終わって、まだ四年。「少年」もまだ全部で78ページしかないし、色々ゴタゴタが続いているのが、容易に想像される。
posted by tokusan at 14:27| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする