2021年05月31日

5/31明日から『海外ミステリー宣言!』フェアスタート!

朝からしばらく頭の中であれこれ組み立てていた、古本屋さん関連の秘密のデザイン仕事を、一気呵成に手を動かして押し進める。そんな風に集中して午前の大半を過ごし、『古本を買いに行かなければ』とハッと気付いて荻窪に定点観測に向かう。「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)では婦人之友社「こどものおやつ百種」を330円で購入する。昭和二十九年刊の、こどものお腹と健やかな成長に必要な栄養を満たすためのレシピ本である。百種と言いながらそれ以上の和洋お菓子の作り方が載っており(うどんやサンドイッチやおむすびさえも!)、素朴なシンプルさと完成例のモノクロ写真が、とにかく無闇矢鱈と美味しそうなのである。
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お辯當箱でつくる『おべんとうカステラ』。これはこどもは喜びそう。ぜひとも食べてみたい!

さらに「藍書店」(2018/12/24参照)で新潮社「私の現代芸術/岡本太郎」同朋社「イタリアの魔力 怪奇と幻想の「イタリア紀行」/島村菜津」を計220円で購入する。そしてさらに午後には高円寺にもテクテク足を運び、「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)で河出書房 世界探検紀行全集14「エベレスト登頂記/藤木九三」を100円で購入し、「ドラマ高円寺庚申通店」では「ケルト神話/プロインシァス・マッカーナ」を110円で購入する。

さてさて、緊急事態宣言はまだまだ続きますが、一部規制が緩和されたことにより、明日から時短営業ですが、大阪梅田の『ルクアイーレ』9Fの「梅田蔦屋書店」が営業再開することになりました。それに合わせて、古書棚も無事営業再開!と同時に書店では『海外ミステリー宣言!』の名のもとに、ミステリ翻訳家や編集者らによる選書フェアがスタート。それに便乗して、古書ゾーンでも特設平台を設置し、ミステリの古書を並べる予定(こういう時に「ジグソーハウス」さん(2016/06/11参照)が一緒だと、大変に心強いのであります。あぁ、ジグソーさんの並べる本を、買いに行きたい…)。このフェアに合わせて、以前からミステリ多めに補充していましたが、明日辺りにまた補充本を発送予定ですので、西の皆さま、感染症対策を十分に施し、フェアにひっそりと駆け付けていただければ幸いです。
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2021年05月30日

5/30半分はSF小説!

午後一時に新代田に流れ着いたので、そのまま東に住宅街を縫い、谷に落込むように下北沢へ。昨日の渋谷同様に、この街も若者たちの若さと賑わいが、五月の陽光の下、弾けまくっている。スルスルと散策者の間を巧みにすり抜け、裏路地の「ほん吉」(2008/06/01参照)へ。女子児童二人が、店頭に出された大量の昔話小型絵本を使い、無邪気に題名神経衰弱を催している。答えに興奮して喜び騒ぐので、店頭棚を見つめるこちらに、その度にドカッとぶつかり「すいまっせん」と小さな声で謝るのであった…可愛らしいのう。そんな店頭から一冊掴み、高い位置に据えられたアルコールボトルで手指を消毒して店内へ進み、左端通路の児童文学ゾーンに密やかに腰を据える。「オバケちゃん」の箱付きが二千円はかなり安いな…山元護久・文の小型絵本「おふろ」がかなり気になるが、いつもの山元作と違ってちょっと日常系過ぎるな…アーリー和田誠が挿絵の大判本は、函ナシだが五千円か…などと行き止まり通路の隅に跪き、上半身を捻りながら本を探り続け、最後に霞ヶ関書房「中学生の科学 宇宙旅行の科学と夢/瀬川昌男」を手にする。昭和36年当時、米ソの宇宙開発競争で耳目を集めることが多くなった、夢の宇宙旅行についての啓蒙本である。ところが真面目な科学本かと思ったら、前半は宇宙・ロケット・人工衛星などについての当時最新の知識が書かれているのだが、後半はそれらを元にした、宇宙ステーション・月・火星・太陽系・銀河外への宇宙旅行を詳細に描いたSF小説になっているのである。これは素敵、素敵だぞ!と、光文社 學藝選書3「鏡花・藤村・龍之介そのほか/日夏耿之介」とともに計1760円で購入する。さぁ、楽しい古本も買ったことだし、家に素早く帰るとするか。
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家に帰り着き、ひと休みしてから、まだどうなるかは分からぬが、6/1からの緊急事態宣言休業要請緩和を見越し、大阪に送る古本の準備を進める。
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2021年05月29日

5/29獅子文六×小磯良平!

午後三時のおやつの時間に、若者の街・渋谷に流れ着くと、表通りも裏通りも、緊急事態宣言なぞなんのその!な感じの祝祭的な大賑わい…有効な対策ナシの毎度お馴染み的メッセージ発信だけじゃ、そりゃこうなるよ。そんな風に毒づきながら、詩獣の聖地「中村書店」(2008/07/24参照)前に立つと、シャッターには『当分の間休業いたします』の貼紙が…仕方ない。このまま谷に下りて、新生『PARCO』まで坂を上がって、再び『東急ハンズ』前の坂を下って、「まんだらけ渋谷店」(2011/04/08参照)に行くことにしよう。そうと決まったら若者の間を擦り抜け擦り抜け、お店への地下への鏡張り階段を下る。チカチカ明滅するフラッシュに遅れを取ることなく、途中の踊り場の安売棚から一冊抜き取り、地下深い店内へ。細長い空間を奥へ奥へと進み、マニアック古書の並ぶこじんまりとした海馬ゾーンに到達する。しばらくあれやこれやと楽しみ、一冊の児童文学に目を付ける。講談社「幼年童話 ほおじろあっちゃん/獅子文六」…昭和三十四年刊の、獅子文六のファンタジー児童文学である。「悦ちゃん」は有名だが、これはなかなか見ない本。装画&挿絵は洋画家の小磯良平で、なんと贅沢にも全見開きに神経の行き届いた彼の絵が掲載されているのだ!函の端と背が傷んでいるが、800円の安値が付けられていたので、福音館書店「かがくのとも5 くらべてみよう/安野光雅」とともに計990円で購入する。
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う〜む、この挿画、まさに小磯良平である。もはや美術作品と言っても過言ではない美しさ。中には時代物の兎の栞が挟まっており、裏を見ると空欄の時間割とともに、『実業之日本社の学年別児童図書』と書かれていた。
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2021年05月28日

5/28神保町偵察後に「探偵獵竒實話集」!

午前十一時前に御茶ノ水駅に着き、神保町に接近して行く。三度目の緊急事態宣言下の本の街は、どうなっているのだろうか?『明大通り』を『駿河台下交差点』まで下ると、神保町一丁目一番地の「光和書房」(2021/02/19参照)と「三茶書房」(2010/10/26参照)がシャッターを下ろしている姿が目に飛び込んで来た。あぁ、やはり臨時休業中か。そこから『靖国通り』と『白山通り』沿いのお店をエッチラオッチラ経巡るが、開いている古本屋さんは十二店のみで、人出もいつもより遥かに少ないようだ。
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目下のところ気になるのは、この臨時休業状況が、六月一日からの緊急事態宣言延長に伴う規制の緩和により、変化があるのかと言うことだ。プチ・禁古本屋時代に、少しは解放の亀裂が入ってくれればよいのだが…そんなことを考えながら、「@ワンダー」(2014/05/22参照)の外壁棚にただ独りで張り付いていると、後から声をかけられた。おぉ、古本猛者で盛林堂ミステリアス文庫のブレーンでもあるPICOROCO氏の姿がそこにあった。偶然の再会を喜び、久闊を叙しつつ、お互いにちょこちょこと近況報告する。やはり実店舗は、本がちゃんと目の前にあるし、こういう風に偶然知り合いにも会えたりするし、人生に必要な場所なのである。あぁ、早くまた「みちくさ市」で、PICOROCOさんが大量に並べている付録本をせっせと漁りたいものだ。ほるぷ「詩集 檢温器と花/北川冬彦」を432円で購入する。さらにその後は「日本書房」(2011/08/24参照)で岩波書店「沙漠の國 ペルシア アラビア トルコ遍歴/笠間杲雄」を300円で購入し、帰宅する。

昼食後にレターパック520が届く。ヤフオク落札品、博潮社「探偵獵竒實話集」である。ライバルありの2220円で落札。大阪の怪しい出版社“博潮社”(博文館+新潮社?)が昭和九年に出した、探偵・犯罪・政治・怪奇・怪談・戀愛・陰謀・奇蹟など、和洋問わずに猟奇的な出来事を蒐集した一冊である。怪しく興味本位なお話が幅を利かせ、装幀が何となく新潮社の『新作探偵小説全集』っぽく、装画は竹中英太郎っぽいのが、低俗で魅力的。函がちょっと壊れていたが、チャチャッとボンドで修理して、遠慮なく愛でられる状態に仕上げる。よし、読むぞ!
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2021年05月27日

5/27シュールなモドキ年賀状!

段々と本降りになる寒い雨の中を、午後に仙川と千歳烏山に挟まれた給田に流れ着く。…さて、古本を買うには、いったいどうしたらいいだろうか…そうだ!調布に出て、「本の楽市at調布」(2015/09/26参照)を見に行けばいいんだ!と千歳烏山から準特急に飛び乗り、あっという間に調布駅着。ガメラや大魔神のシルエットが壁に浮かび上がる地下コンコースを抜け、地上に出て『調布パルコ』へ。エスカレーターでスイスイ五階に上がると、そのエスカレーター脇の十メートル弱のスペースに、細長く古本が陳列されていた。うむうむと見て行くが、今回何だか凄いのは、スペースの三分の一ほどを占める、古玩具や骨董のお店「ベビヰドヲル」が並べている、多種大量の駄玩具である。ほとんどがデッドストックなので新品同様!人形も紙物もキャラもの(本物もあるにはあるが、ほとんどがパチ物のモドキ…)が多く、まるで昭和時代の祭りの夜店や駄菓子屋の店先を見ているようで、子どもの頃の高揚感が胸にズンズン迫り上がり、本当に楽しいのだ。そして衝撃の年賀状に、簡単に魂を引っこ抜かれてしまう。ウルトラセブン(モドキ)とゴドラ星人(モドキ)が組み合う、目出度さと宇宙人がチグハグに同居する、シュールなシュールな年賀状!ゴドラ星人の目が、ちょっと困ってる感じがまた堪らないのだ!…あぁ、子どもの頃、ぜひともこれで年賀状を出したかった…。透土社「フランス幻想短篇精華集/P・G・カステックス」とともに計1329円で購入すると、『パルコブックセンター』のお姉さんに、「年賀状、本の函に挟んでおきましょうか?」と気遣われてしまう。「いえ、大丈夫です」と丁重にお断りし、精算後に売場前で素早く取り出し、記念撮影する。
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他にもウルトラ関連ではギャンゴ(モドキ)絵柄もあり。今回この市は6/26までとロングラン開催なので、補充もされるだろうから、また面白い駄玩具に会いに来てみよう。
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2021年05月25日

5/25「おんな牢秘抄」の面白さ。

昨晩、東都書房「おんな牢秘抄/山田風太郎」を読了するが、無類に面白いA級+B級時代ミステリであった。大岡越前守の娘・霞(驚くような童顔の美人だが、桁外れに強く、頭の回転も超高速)が、意中の腕利き同心・巨摩主水介との身分違いの結婚を実現させるために、越前守が見落とした犯罪の真相を探ることになり、自らが女囚の新入りとなって、小伝馬町の女牢に潜入する。そこで目的の女囚たちと接触し情報をつかんだならば、口笛を一吹き。「武州無宿お竜(捜査時の仮の姿である)、早々穿鑿所へ罷り出ませい!」と取り調べを装い件の同心が迎えに来て、娑婆に出て事件を解決してくるのである。この牢にいる人物が、自由に出入りし、役人に『取り調べてもらう』という名目で外に出るシステムは、テレビドラマ『必殺仕置人』の、小伝馬町の牢名主で実は江戸アンダーグラウンドの大親分・天神の小六(大物である自分の身を守るため、わざと牢に入っている)も使う、この世界は目にしたものばかりが真実ではないという、力関係の隠された逆転が、とにかく粋なのである(漫画「バキ」のビスケット・オリバも同様か)。そしてすべての謎が解けた後、最後のクライマックスは、唖然仰天愕然放心の衝撃展開。霞自ら◯◯するなんて…山田風太郎って、常識のリミッターを引きちぎる天才だ。遅ればせながら、山風の魅力に目覚めてしまいそうで、そうなったらあの巨大な小説山脈に登らざるを得なくなるのが、恐ろしい…。この作品は1990年代にVシネ系エロ時代劇として映像化されているようだが、ぜひとも三隅研次監督に、クールで容赦ない血しぶく映画を撮って欲しかった。
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サイズは菊判でちょっと大きめ。カバーも表紙も扉も目次もひたすら和な装幀は、中島靖侃の粋な仕事である。

午後に外に出て古本を買いに行く。まるで夏のような暑さの『早稲田通り』。プラプラ歩いて「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)。白揚社「子どもの絵/ローエンフェルド」を100円で購入し、さらにその先の「ドラマ高円寺庚申通店」で東京法令出版「逐条解説 犯罪捜査規範/警察庁刑事局編」を110円で購入し帰宅する。それにしても、緊急事態宣言が延長される方向らしい。なので次回の連載の取材をどうしようか、秘かに懊悩中なのであった。
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2021年05月24日

5/24お帰りなさい。

今朝方見た夢は、茨城から都心を目指し、あてずっぽうに自転車を走らせていると、やはり道に迷ったのか、海岸線の砂浜に出てしまう。砂鉄が多く混じるの黒い砂浜は、波による侵食が激しいのか、波打ち際にはポールが打ち込まれ、立入禁止になっている。一瞬そのまま進もうとするが、タイヤがすぐさま砂にめり込み始め、上手く走れそうにない。そこで山に向かう細道に自転車を向ける。だが途中から、ほぼ登山道のような崖になってしまい、目の前に現れた大きな岩を越すには、岩と岩の間の上部に設置されている伸縮ハシゴを下ろさなければならないようだ。必死に飛びつき、ハシゴをガララと下まで届かせ、それを上る。すると両側の岩棚に、本がズラッと並んでいる。ほとんどがコミックスと文庫本で、書皮のついたままのもある。どうせ地元の貸出文庫的なもので、売ってはいないだろうなと決めつけつつ、一冊に手を伸ばしてみる。すると、後見返しに値段札が付いているではないか!あぁ、売ってる!古本だ、立派な古本屋さんだ!これは、ぜひともブログに書かなければ!…とまぁこのような人の夢の話って、見た本人は嬉々として語ったりしますが、聞かされる方はたいがい面白くないものですよね……。そんな夢の残滓を引き摺りながら、一生懸命に仕事する。そして午前十時半に外出。阿佐ヶ谷駅近くの釣り堀が、いやに繁盛しているのを横目に荻窪へ。「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)で、あかね書房 少年少女長編創作選8「絵にかくとへんな家/さとうまきこ作 小林与志画」を110円で購入する。児童文学であるが、力のある文学的文章で綴られた、街頭で反戦運動が繰り広げられる時代を背景にする、やせぎすの少女が巻込まれるサスペンス調ダーク寄りビルドゥングスロマンである。大江健三郎の「飼育」をなんとなく連想させる。ずっしりとした箱入り児童文学をリュックに満足げに収め、次は「藍書店」(2018/12/24参照)へ。こぐま社「きつね森の山男/馬場のぼる」(カバーナシ。1974年第1刷)イングリッシュヘリテイジガイドブック「ストーンヘンジ」を計220円で購入する。本来ならいつも(緊急事態宣言下)はここで阿佐ヶ谷に引き返すところなのだが、何か虫の知らせでもあったのか、フラフラと駅南口の商店街の方に足をむけてしまう。するとなんと、意表を突いて「竹中書店」(2009/01/23参照)が開いているではないか!恐らく緊急事態宣言延長時に、臨時休業をやめたのであろう。これは荻窪の古本選択肢が一段回復した、嬉しい出来事である。高山書院「平賀源内/進藤義明」(単なるボール紙表紙の仙花紙本風だが、実は児童用の偉人伝)を200円で購入する。
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お帰りなさい。
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2021年05月23日

5/23今日も西荻で良い古本を買う。

ちょうど正午に西荻窪駅西南の松庵三丁目に漂着したので、当然の如く意気揚々と「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に向かう。そして注目の土曜日店頭新入荷古書均一大盤振る舞いの名残を存分に楽しむ。ほっ!文庫台では徳間文庫和製ハードボイルド・ミステリ「シャワールームの女/荒木一郎」が残ってるじゃないか!と喜んで抜き出し、さらにラックから今はも作れないと思しき、なめ猫形式で生きた猫をモデルに擬人化した桃園書房「いたずらトッポのおはなし・その2 お母さんにプレゼントの巻」を、少し迷った末に小脇に抱える。そして左側の本棚からは、実業之日本社 新しい住宅写真双書14「太陽がいっぱいの家/鈴木恂」を見つけ出す。昭和45年刊の、当時の採光を工夫した建築を集めた写真集である。東孝光『塔の家』や象設計集団『百窓の家』(ウルトラセブン欠番の第12話『遊星より愛をこめて』でスペル星人のアジトや『チビラくん』の家で有名)などが載っていて、楽しい楽しい。著者が設計した写真家・石亀泰郎(代表的な写真集「ふたりっ子バンザイ」は夏葉社から2017年に復刊されている)邸の写真を、写真家自身が撮影しているのも、なかなか貴重である。他に新詩壇社「ヨネ・ノグチ代表詩/野口米次郎」を加え、計400円で購入する。
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うむ、猫の擬人化写真集は置いといて、なかなかの収穫である。

その後、店主の小野氏に昼食を誘われ、近所でカレーを食しながら、あるお仕事について打ち合わせする。さらにその後は「忘日舎」に立ち寄り、線引きのある裸本の行地社「日本及日本人の道/大川周明」を100円で購入しつつ、店主さんと新型コロナ禍の様々を憂いつつ、現政府や都政に対して、呪いの言葉をぶつぶつと呟き合う。何はともあれ、今日も古本屋さんに寄れて、面白い古本が買えて、ひとまず幸せである。
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2021年05月22日

5/22「チョコレート戦争」と言えばエクレール(もしくはシュークリーム)!

予報とは違い、あまり気温の上がらぬ午後に吉祥寺東町に流れ着いたので、エッチラオッチラ相変わらず大賑わいの駅周辺まで移動して、古本屋さんを見て回る。最初は最近ご無沙汰していた二階の古本屋さん「百年」(2008/09/25参照)へ。入口には、寝ている古本の神を起こさぬよう、マスク着用で、話すときは小声でとの注意書きあり。アンティークな扉を潜って店内に進み、直ぐに右側に注意を惹かれる。古い児童文学が集められているなぁ。児童SFがチラホラ混ざるので(でも値段はしっかりなのだ)、思わず目が血走ってしまう。だがカバーナシの理論社・童話プレゼントシリーズが並んでいるのも良い景色だ。和田誠が挿絵の「ノコ星ノコくん/寺村輝夫」は8800円とさすがにランクが数段上…おやっ!「チョコレート戦争/大石真」の同シリーズ・オリジナル本もあるじゃないか。カバーナシで1966年6月二刷りで、後ろ見返しには図書カードポケットが貼りついたままだが、欲しかったし660円なので迷うことなくニコニコ購入する。
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写真はプロローグの一ページ目。北田卓史のイラストは完全無欠だね。そして「チョコレート戦争」を読むとエクレール(エクレア)が食べたくなるのは、決して抗うことの出来ぬ、世界の理なのである。古本を手に入れたら、まだ読んでいないのに食べたくなってきたぞ。駅前のケーキ屋で買って帰るか…。

その後は「バサラブックス」(2015/03/28参照)で新選名著復刻全集近代文学館「注文の多い料理店/宮澤賢治」を300円で購入し、さらに「よみた屋」で学研mu BOOKS「深層心理シミュレーション・ゲーム・ブック ムー帝国の興亡/秋沢ゆう+高橋豪」(造本・装幀が羽良多平吉なので、紙面のすべてに神経が行き届いており、ゲーム・ブックらしからぬ上品さを醸し出している)を百円で購入して帰宅する。
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2021年05月21日

5/21ブックオフで老舗古本屋の本を。

強風が吹き荒れる午前中、雨も断続的に降る中を出かけ、新宿で所用をこなす。ついでだからと山手線で高田馬場に出て、神田川方面に流れ落ちて「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)へ。入口でペダルを踏んで手指消毒して、ずいずいと一散に奥に向かう。古書コーナーにたどり着くと、初っ端に目についたのは、棚下平台に大量に積み上がった古い「キネマ旬報」である。戦後すぐの薄い冊子がNo.2からドドドと連続しており、110円で売られているのだ。恐らくひとりのコレクターが手放したのであろう。揃えている方は、欠号埋めに高田馬場に走るべし!こちらはじっくりゆっくり、棚を隅から隅まで見回し、二冊をレジへ持ち込む。新評社「噂を集め過ぎた男/石沢英太郎」井上書店「井上書店の記 井上喜多郎小伝/井上昭直」(輸送箱入り)を計1320円で購入する。「井上書店の記」は本郷の老舗古本屋さん「井上書店」(2010/06/16参照)が平成九年に出した、初代や二代目の古本屋稼業を描いた一冊である。「井上書店」は自然科学や歴史に強い学術本を扱う硬いお店であるが、古本屋好きとしては、どんな古本屋さんの話しでも興味がフツフツと湧くものだ。初代が残していた、大正時代の古本屋日記(大正九年〜十二年)が貴重で秀逸。牧野富太郎が出て来たり、ヒイっ!高村光雲から行李一杯の古本を買ったりしている。口絵には昭和初期の旧店舗の勇姿や、その前の菊坂にあった店舗の写真が載っている。菊坂のお店は場所柄か、本郷のお店より一般店っぽいのがいいなぁ。
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口絵写真。左側が本郷の昭和初期の店舗で、右側が大正時代の菊坂の店舗。右上のスケッチは著者による菊坂店を裏から見たところである。

そして午後は仕事を進めながら、合間合間に昨日手に入れた小さめの百科事典のような大著「月下の一群」を存分に愛でる。ページが多く割かれたギイヨオム・アポリネエルの、短いながらも多彩な動物詩が、やけに心に食い入って来る…。
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2021年05月20日

5/20やけっぱちの「月下の一群」!

長らく取りかかっていた、謎の“古本屋分布図”制作作業が、ついに終わりを迎える。入稿データを作成し、翼を取り付けて、ええぃ!と解き放つ。これで後は一応、ある本に掲載されるのを待つばかり…七つの分布図で、計二十三ページ。情報公開が始まり次第、詳細お知らせいたします。そして本日は宮前の外れに流れ着いてしまったので、古本を買いにタッタカ歩いて、ビニールカーテンを店頭に巡らせた雨仕様の「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に駆け付ける。カーテンと店頭棚に挟まるようにして古本を見ていると、やたらとアグレッシブな女性が古本に魂を魅了されたようにグイグイ入り込んで来るので、一冊抜き取り場所を譲る。講談社「ミステリイ・カクテル/渡辺剣次」を100円で購入しつつ、店主の小野氏にそろそろ私向きの訳あり安売本が溜まっているんじゃないかと、毎度鉄面皮に厚かましく聞いてみると、苦笑しながら番台の周りを見回す。すると即座に「よし、これどう?第一書房の「月下の一群」。再版でちょっと傷んでるけど、中は大丈夫だよ。普及版じゃないよ。みんなが欲しがる元版だよ」と、やけのやんぱち的に函ナシの大判の分厚い古い本を手渡してくれた。うわわわわ、背の革と金の箔押しが眩しい、大正十五年四月再版の限定六百五十部本である。
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これは細緻な背文字の箔押し。

「市場で買った束の中に挟まってたんだ。いつも色々お世話になってるんで、千円でいいよ」ど、ど、どっひゃぁ〜っ!「かかかかかか、買います買います買います!」と即座に購入する。…あぁ、俺は果報者です……番台の横に積み上がっていたと言うことは、これからどう商品化し、値付して棚に並べるか、ネットで販売するか、それとも催事用にストックしておくか、考える前段階だったのだろう。それがたまたま目につき、えいや!と大ラッキーにもこちらに回って来たと推測する。つまりは素晴らしいたいみんぐだったのだ。今日この時間に「盛林堂書房」に足を運んで、本当に良かった。「大事にしてよ。大阪に送って、売ったりしたらダメだよ」「しますします、大事にします!」と袋に入れてもらう。するとその姿はまるで、ドカ弁(ご飯のたっぷり詰まった大きな弁当箱のこと。水島新司の野球漫画の名作「ドカベン」は、主人公の山田太郎がそのような巨大な弁当箱を使っていたことに因む。また、小林まことの学園&スポーツ名作ギャグ漫画「1・2の三四郎」では、主人公・東三四郎もドカ弁を愛用しているが、転校生の北条志乃がそれを遥かに上回るドカ弁を披露し、周囲を圧倒するシーンがある)のような偉大なる存在感に!その大きさを慈しみながら、阿佐ヶ谷へと舞い戻る。
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そして家に帰ってから、ハードコアな剣と魔法の名作漫画「ベルセルク」の三浦建太郎が死去したことを知り、衝撃を受ける。どうにかベヘリットで転生し、「ベルセルク」の続きを描いて欲しい…ご冥福をお祈りいたします。
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2021年05月18日

5/18お酒対お菓子!

もはや梅雨のような怪しい空模様の火曜日。今日は基本的に家に閉じこもって仕事する。そして午後に一瞬の隙を突いて高円寺までササッと歩き、古本を買いに行く。ご存知のように東京都は緊急事態宣言延長発出中なので、行ける古本屋さんは限られている。まるで判で捺したように、吉祥寺・西荻窪・荻窪・高円寺を、順番に繰り返し訪れているのだが、古本者にとって本能の迸りと言える古本買いは、どうしてもしなくてはならぬものなのだ。それに同じ古本屋さんでも、店主さんがまめに手を入れてくれることにより、店頭&店内に小さな変化が生じているのに気付くのは、ことのほか楽しいものだ。数日前に古本神・岡崎武志氏と古本屋さんから出て、さらに古本屋さんへの道を歩いている時に、氏が「古本が、古本屋がなかったら、さみしい人生やったで。もうホント、毎日古本屋のこと考えてるもんなぁ」としみじみ呟いた。この意見には、双手を挙げて賛成してしまう。私も同様に、毎日古本屋さんのことを考え、古本屋さんに足を向けているのだ。古本屋ツアーを始めて早十三年。だいたい一日三十分、古本屋さんで古本を選んでいたとすると、人生の中のおよそ百日を、すでに古本屋さんの中で過ごしていることになるのだ。百日通い詰めても、まだ飽きないとは、恐るべし古本屋。ここに足を運べば運ぶほど、俺の人生は楽しく有意義になるのだ。そんなことをツラツラ考えながら、「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)の店頭に立つ。みずうみ書房「ユーモア仕掛けの遊生活/福田繁雄」虎屋文庫「錦絵 太平喜餅酒多多買(たいへいきみちさけたたかい)「お菓子とお酒の大合戦」展」を計200円で購入する。「「お菓子とお酒の大合戦」展」は二〇〇二年に『虎屋ギャラリー』で開かれた、歌川広重の擬人化したお酒軍とお菓子軍が対決(辛党vs甘党!続編の錦絵に肴軍vsお茶軍もアリ!)する錦絵を核にした展覧会のパンフレットである。錦絵自体も異様で可愛くて素敵だが、パンフ内のお菓子の兵士を図解したページが、往年の児童図鑑ぽくて魅力的。今日も古本屋に足を運び、見知らぬ興味深い本に出会えたことを喜ぶ。「サンカクヤマ」よ、ありがとう。
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上は折込の錦絵。ちゃんとバックに広重ブルーが使われている。下はお菓子兵士の図解である。身体の部分が何で出来ているか明記してある。
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2021年05月17日

5/17午前中の古本買と光瀬龍の破壊力。

強い風が吹き荒れるが、妙に生暖かい月曜日の午前。プラプらと歩いて荻窪へ向かい、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に飛び込む。店頭百均に豊かな変化あり。古めの文学本や、六十〜七十年代の「現代詩手帖」がズラ〜り。これだけあれば、目当ての号が見つかるかもしれない…と薄い背に注意を払い続けると、あったあった『特集=滝口修造』が。さらに二冊を掴んで、店内をじっくり巡回。店頭の変化から店内の変化も期待していたのだが、こちらにはまだそれほど動きがない模様…じっくり待ってまた見に来ることにするか。思潮社「現代詩手帖 68/10 特集=滝口修造」廣島図書株式会社 銀の鈴文庫「新吉君のあたらしさ/細田民樹」宝石社「ある状況/佐野洋」を計330円で購入する。続いて前回訪問時は閉まっていた「藍書店」(2018/12/24参照)へ。店頭プラ箱の中に、光文社「英国ミステリ道中ひざくりげ/若竹七海 執事小山正」を200円で見つけてニンマリ。冒頭の小山正氏の序文が古本と古本屋中心主義なので、我が意を得たり!と心の膝を打つ。店内では安売棚に箱入り児童文学がズラリと出現しているのに興奮し、偕成社 世界の幼年どうわ9「トリーア森の三人どろぼう/カリンケ作 植田敏郎訳」(大量の池田龍雄の丁寧なデフォルメ挿絵が物語をガッチリ補強!)を抜き出し、計330円で購入する。一向に治まる気配のない強風の中を、またもやプラプラ歩いて家まで戻る。
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というわけでこの三冊が嬉しい今日の収穫。

ところでみなさま、盛林堂ミステリアス文庫の新刊「光瀬龍ジュヴナイルSF未収録作品集」は、もうお読みになりましたか?冒頭の、幻の夕映え作戦第2部『指令B−3を追え』から続く『ダッシュ9.9』『花冠作戦』は、登場人物は異なれど、ほとんど物語の構造が同じ…主人公の中学生が偶然タイムマシンを手に入れ、それが作動することにより、過去の世界から同年齢の女の子忍者が現世に降臨してしまう。女の子忍者は主人公に仕えることになり、発達文化ギャグを随所に挟みつつ、超絶的な身体能力と忍法を駆使して、現代の悪と対峙して行く……とこのように簡単に書き出してしまうと、ただご都合主義的なストーリーをただ使い回しているように思われるかもしれない。だが、三作とも、SFを越えた恐ろしい予想外の破壊力を秘めていることは、間違いのない事実なのである。どの作品も、とにかく過去から突然やって来た女の子忍者が、とてつもなく愛おしくプリティーなのだ。中学生の時にこんなものを読んだら、心を鷲掴まれちゃうに決まってる!光瀬センセイっ、なんてものを学習誌に連載してたんだ!勉強が手につかなくなるだろっ!と悶絶すること必至なのである。まったくジュヴナイルの世界は、無邪気でオブラートに包まれてる感じだけど、正体のわからぬ爆発寸前のリビドーを誘発するように、点火装置が巧妙に仕掛けられているので、大人になって読むと、また愉快愉快。
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2021年05月16日

5/16「大けが小けが」!

五月半ばの曇り空の下、夕方前に祖師ケ谷大蔵に流れ着く…だがやはり、愛しの「祖師谷書房」(2009/03/05参照)も臨時休業中であった。スパッと諦めて小田急線の各駅停車に飛び乗り、ガタゴト下北沢へ。街に集まる若者たちの間を巧みにすり抜け、まずは「ほん吉」(2008/06/01参照)へ。雨仕様の店頭と、お客さんが多く滞留する店内で一冊ずつ選び出す。新潮社「隨筆 酒に呑まれた頭/吉田健一」平凡社 世界探偵小説全集5「或るグロテスク/ドイル作・東健而譯」を計550円で購入する。「或るグロテスク」は家に帰ってから、同じ平凡社の「シャーロック・ホームズ5 或るグロテスク」と照らし合わせてみると、表紙・見返し・本扉・目次・奥付などは異なっているが、本文はまったく同じ仕様であった。『世界探偵小説全集』は昭和五年刊、『シャーロック・ホームズ』は昭和十年刊。つまり『世界探偵小説全集』を流用して、五年後に『シャーロック・ホームズ』シリーズは作られたのである。続いて『茶沢通り』を横断して「古書ビビビ」(2009/10/15参照)へ。店頭の本箱から、箱の背が少し傷んでいるが、あかね書房 たのしい幼年童話7「ぼうけんの童話集/前川康男著・北田卓史絵」(1965年刊初版。全ページに北田卓史の絵が!)を見つけて悦に入る。そしてさらに店内では、帳場横の棚をじっくり観察していると、東光出版社「子どもの安全 大けが小けが/絵と文 榎本真砂夫」という、昭和三十七年刊の見たことも聞いたこともない児童本を見つける。
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カバーか箱が無く、何だか清水次郎長の『大政小政』を連想せざるを得ないタイトルだが、中を開くと子どもの日常生活や遊びの中でふいに訪れてしまう“デッドコースター”満載の、凄まじい本であることが判明。子ども自身が怪我を防ぐための知恵を手に入れる啓蒙書なのだが、次々と登場するアクシデントの事例が、まるで死と怪我の容赦のない紙上品評会なのである。計1300円で購入する。「大けが小けが」も家に帰って調べてみるが、ほとんど情報が皆無。中を読み続けると、あぁ、日本中のおともだちが、あまりにささいなことで次々と命を落として行く……。
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これは汽車で巻き起こる事故のイメージイラスト。窓から木刀を突き出しては、絶対にいけません!
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2021年05月15日

5/15凄絶、乱歩Tシャツ!

意外に暑くなった午後に久我山に流れ着いたので、テクテク北に歩いて西荻窪に到達し、今日も「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。店頭には賑やかに新放出本が唸っていたので、素早く動いてたちまち五冊を腕の中へ。古本を右手左手と上手く受け渡しながら手指をしっかり消毒し、奥に進んで帳場に本をドカリと出す。すると帳場脇に立つ古本紳士が二人…「ほら、彼は迷わずたくさん買うんだよ。俺たちと違って」などと話している。あぁっ!古本神士どころか古本神の、本棚探偵・喜国雅彦氏とホームズ研究家・北原尚彦氏じゃないですか!と面食らいながら、至誠堂「西遊スケッチ/和田垣謙三」(函ナシ)出版芸術社 山田風太郎コレクション3「十三の階段/山田風太郎・他」東京文藝社「白浪五人帖/山田風太郎」(昭和38年ハードカバー版)河出書房 探偵小説名作全集7「小栗虫太郎集」新潮社「美貌の皇后/亀井勝一郎」(見返しに華麗な筆跡の献呈書名入り!)を計500円で購入する。
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そんな風に古本欲が満たされると同時に、喜国氏の着ているTシャツの素敵さにギョッとし、「喜国さん、なんですか!そのTシャツ!」と腹が痛くなるほど大笑いしてしまう。江戸川乱歩Tシャツなのだが、乱歩の肖像写真がドド〜ンとプリントされ、今、世界で一番江戸川乱歩をフュチャーしている空間が、目の前に出現してしまっているのである!…嗚呼、なんと凄絶なTシャツ…と笑いながらほとほと感心していると、喜国氏が「いや、、このTシャツは表じゃないんだ。裏がいいんだよ」と宣い、徐に背中を向けてバックプリントを見せてくれた。うぉぉぉぉぉぉぉっぉ!江戸川乱歩作品の、単行本・雑誌・広告・文庫本・映画などからセレクトしたロゴタイトルが、またしても別な乱歩の肖像写真とともに、背中一面にレイアウトされている!迸る乱歩愛が、疎ましいほど凄まじい…。
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そしてしばらくお二人と、古本屋などについて楽しくお話しする。喜国氏からは、「味の素スタジアムが上にある『甲州街道』から、南に二本ぐらい入った道に古本屋が…」「どこですか?じゃあ飛田給の辺りですか?名前は?」「いや、渋滞避けようと入った道で、全然詳しく覚えてないんだよね」などとかなりあやふやなタレコミをいただき、北原氏からは「吉祥寺の『中通り』で「防破堤」(2020/01/22参照)のかなり手前に絵本と雑貨のお店が…」「「あぷりこっとつりー」(2021/03/21参照)ですね」「あぁっ1やっぱりご存知でしたか」などとやり取りする。あぁ、楽しかった。

※お知らせ 
昨日お知らせした東都我刊我書房「龕の中 谷口喜作文撰」ですが、諸処の事情により発売が少し延期になった模様。新たな発売日が決まり次第、当ブログでもお知らせしますので、しばしお待ち下されば幸いです。
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2021年05月14日

5/14寂しがり屋の武志と「龕の中」。

昨日、岡崎武志氏よりTELあり。「さびしいのよ。古本屋の話がしたいのよ」……ということで、急遽本日昼過ぎに、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)で待ち合わせる。氏が貸し棚への補充など済ませている間に、勁文社ジーンズブックス「ヒッチコック・スリラーシリーズ 死霊の館」を800円で購入する。ともにお店を出て「よし、音羽館いこかぁ〜」と駅北側に足を向ける。ややっ!「古書音羽館」(2009/06/04参照)が閉まってる!? …そうか、12日からここもついに臨時休業に入ってしまったのか…だが入口にかかった、『中にいるので御用の方は声をおかけください』の札を見た岡崎氏が、ぐいとドアを開け、休業中の店内に突入したので、私も追従して中へ。左側店舗は、電燈が消されており真っ暗である。右側入口入ってすぐの、普段は新刊系古本が並ぶ平台では、そこを作業机代わりにして店員さんがネット作業中。帳場で相変わらずの本の山に囲まれた店主・広瀬氏&奥さまと挨拶を交わし、少しお話しする。その間にも、真剣に見られる範囲の棚をガン見してしまい、欲しい本を何冊か見つけてしまう。よし、臨時休業明けに買いに来よう。岡崎氏は「音羽館」をロケ地に使った映画の話をしている。お店を出た後は、近所の喫茶店『物豆奇』のテーブル席で対角に積に陣取り、アイスコーヒーとダージリンティーを互いに啜りながら、古本屋さん・謎の古本屋分布図・小説・テレビ・鉄道・バス・団地の商店街・土地土地の特性・アンソロジスト・書庫・猫・仕事などなどについて、ピーチクパーチク非常に楽しくさえずり合う。そういえば氏が絶賛編集中のちくま文庫「愛についてのデッサン/野呂邦暢」は来月発売らしい(氏にとっては、みすず書房「夕暮の緑の光」書肆盛林堂「野呂邦暢古本屋写真集」に続く三冊目の野呂邦暢作品編著である)。古本屋愛の強い一冊になっているらしいので、手にするのがとても楽しみ。およそ四十分ほど濃密に話し、また近いうちにと、今日のところは解散する。

そして夕方、駅頭にて待ち遠しかったカバーデザインを手掛けた新刊を受け取る。東都我刊我書房「龕の中 谷口喜作文撰」である。上野の老舗和菓子屋『うさぎや』の二代目であると同時に、翻訳家&幻想文学家・平井呈一の双子の兄である、谷口喜作の著作集なのである。文壇とも深い関わりを持っていた喜作の散文が、丹念に蒐集され、ニ段組およそ270Pにビッシリと収められている。表題作の『龕の中』は、全三回の小穴隆一と芥川龍之介とのお話…くふぅ、たまらんなぁ。献本を大事に抱えて飛ぶように家に帰り、昨日周到に買っておいた阿佐ヶ谷『うさぎや』のどら焼きと記念撮影する。
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本来なら上野のお店で買って来るべきなのだが、時間もないしこのご時勢である。それにせっかく近所に暖簾分けのお店があるのだ。これに便乗しない手はない!というわけで撮影後にどら焼きはおいしくいただく。ちなみに阿佐ヶ谷店の包装紙の揮毫は平井呈一である。「龕の中」は5/16の文学フリマで頒布されると同時に、「盛林堂書房」店頭&通販サイトや「まんだらけ海馬」で販売開始されるので、日本近代文学の知られざる一端にそっと触れたい方は、ぜひとも手にしてみてください、なんとな〜くおいしそうなカバーが目印です!
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2021年05月13日

5/13“箙“の読み方がわからなかった。

午後二時過ぎに宮前の『春日神社』前に流れ着いたので、そのままトボトボピシャピシャと、荻窪まで歩いて出ることにする。もちろん古本を買うためである。まずは裏町の「藍書店」(2018/12/24参照)に寄ってみると、扉に小さな貼紙が…『16時に戻ります』か…さすがに一時間以上も待つことは出来ないので、バス通りに出て、今日もお世話になりますと「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)へ向かう。店頭は雨仕様で、お客さんの数も少なく、いつもより、ゆっくりしっとりした時間が店内に流れている。手指消毒を済ませてから、各通路に落ち着いて目を光らせて行く。およそ二十分滞店し、ソノラマ文庫「死を歌う天狗/風見潤」太白社「抒情譯詞集 キユピドの箙/堀口大學」(再版函付)を計1100円で購入する。どちらもお買い得過ぎたので、ウヒウヒと喜ぶ。ちなみに私には「キユピドの箙」の“箙”が読めずに、大いに苦しむ。“キユピド”(キューピッド=天使)から連想して、“鏃”的な矢に関わる言葉だろうかと想像するのが関の山。調べてみると“えびら”と読むそうで、意味は『矢を入れる箱型の武具』とのこと。…勉強になりました。
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天使と天狗か。

高架下を伝って阿佐ヶ谷に帰り着き、明日のために老舗和菓子店に立ち寄り、まだ残っていた或る和菓子を購入する。金土が定休日なので、是が非でも今日買っておかなければならなかったのだ。これで明日、あの本が無事に出来上がり、すぐに受け取ることが出来たなら…ウフフフフフ。
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2021年05月12日

5/12プチ・禁古本屋時代。

午後に東小金井と武蔵境の間に流れ着く…本来なら南にグッと足を延ばして「尾花屋」(2017/06/15参照)を襲撃したいところだが、緊急事態宣言の延長により、臨時休業も延長となってしまったのである。臨時休業していたお店は、大概が再延長に入ってしまったようだ。うぅ、プチ・禁酒法時代に突入したのも悲しいが、プチ・禁古本屋時代に突入したのがもっと悲しい。相変わらずろくな対策をしない政府と都を呪いつつ、ワクチン接種が進むことを祈りつつ、感染者が減少に向かうことを願いつつ、5/31が過ぎるのを待つとしよう…だが、だが、古本は買いたいのだ!というわけで吉祥寺駅で途中下車し、駅近くの開いている古本屋さんを素早く見て回る。「バサラブックス」(2015/03/28参照)ではpro arte 0/66「ZEIT PUNKTE」(1967年の西ドイツ西ベルリンで刊行された前衛美術の中綴じパンフレット。1905〜1966をフォローしている模様…読めないし知らない作家ばかりだが、掲載の絵画・スケッチ・彫刻・都市計画・現代美術は鋭くて刺激的)光風社「殺人群集/河野典生」(造本は小林泰彦のグッドデザイン!)。を計500円で購入する。そして「よみた屋」(2014/08/29参照)では、入口脇の五十均文庫棚から新潮文庫「メイン・ディッシュはミステリー」を抜き出した後、久々に店内通路に入り込み、文学棚の隅にパラフィンの掛かった講談社「紅駱駝の秘密/小栗虫太郎」(昭和二十三年刊の、表紙がボール紙のハードカバー風仙花紙本)を見付け、表紙絵のいかがわしさに惹かれ、計2850円で購入する。吉祥寺の古本屋さんたちよ、今日もありがとう。これからも頼りにしています!
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2021年05月11日

5/11「光瀬龍ジュヴナイルSF未収録作品集」!

今日も朝から謎の“古本屋分布図”に関わる原稿と格闘。息抜きに「おんな牢秘抄/山田風太郎」と「ふしぎな虫たちの国/シーラ・ムーン」を交互に読んだりしていると、やがて早々と夕方。数冊の古本を携えて西荻窪を訪れ、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)の「フォニャルフ」棚に少し補充する。早川書房「SF・ミステリおもろ大百科/石川喬司」河出書房 探偵小説名作全集「大下宇陀児集」「角田喜久雄集」を計300円で購入しつつ、盛林堂ミステリアス文庫新刊「光瀬龍ジュヴナイルSF未収録作品集」を受け取る。編者の大橋博之氏が、学研や旺文社の学習雑誌に掲載された光瀬の埋もれていたSF短篇を、掘り起こし蒐集し編み上げた分厚い二段組みの作品集である。嬉しいことにカバーデザインを担当させていただく。カバーイラストは風魔忍者の姫・風祭陽子で、2008年に『夕ばえ作戦』をコミカライズした漫画家・大野ツトム氏によるもの。5/16の『文学フリマ』や、同じく5/16に盛林堂の店頭&通販サイトで販売が開始されるので、学習雑誌に載っていたSF小説を読む青春の喜びをフラッシュバックさせたいならば、ぜひともその手で黄色い重い本を、躊躇せずに開いてみてください!
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2021年05月10日

5/10東京・高円寺 ホワイトハウスのクリーニングまるや店

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朝から謎の“古本屋分布図”に関わる原稿書きを、ゆるゆると進める。〆切がまだまだ先なので、焦らずそれほど身が入らずと言った感じで、あっという間に午後になる(合間合間に読み進めてしまった、山田風太郎の「おんな秘牢抄」があまりにも面白いため…というのもある)。午後になってブラリと高円寺へ。「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)で同時代社「金庫破り かぎの開け方教えます/杉山章象」を100円で購入し、「ドラマ高円寺庚申通店」で原書房「仔犬のローヴァーの冒険/J・R・R・トールキン」を110円で購入し、初夏の暑さで気怠さが漂う高円寺パトロールを終えたつもりで、『庚申通り』を南下して『中通り商店街』を西に進む。するとあぁっ!駅北口から150mほど来た場所にある、ファミリーマート手前のクリーニング屋さんが、シャッターを右側半分だけ上げているではないか。「古書コンコ堂」さんにタレ込まれた、古本を置いていると言うクリーニング屋さんである。だがこれは、置いていると言うレベルではない。明らかに小さめの古本屋さんほどの規模で、古本をドバドバ並べているではないか!入口付近には50均&100均の文庫&新書ダンボールがたくさん。純文系や時代小説がメインである。100均ペーパーバック棚(ペンギンブックス多し)もあり。通路状の店内には、両壁際に様々な種類の本棚やダンボール箱が続き、歴史・経済・社会&世界情勢・歴史小説&時代小説・海外文学研究・隆慶一郎箱・曾野綾子箱・野坂昭如箱・藤沢周平箱・山本夏彦箱・池波正太郎ゾーン・佐藤優ゾーンなどを確認する。単行本は一冊二百円、三冊五百円となっており、紐で縛られたシリーズ物セット販売も。タレコミでは古本濃度薄しと言うことだったが、硬めではあるが蔵書量も多くて、なかなかどうしてイケる感じじゃないですか。と必死に本の背に視線を注いでいると、奥の方に座った白髪頭の引退した黒田総裁風オヤジさんが「これ、全部俺の本なんだよ」と話しかけて来た。その後、、とつとつと続く語りによると、学生の頃から大量に買い集めて来た本が溜まりに溜まり、去年クリーニング屋の取次ぎを辞めたことをきっかけとして、通りから二階への通路であるこの場所に、蔵書を並べて販売し始めたそうである。「もう、家族からどうにかしてくれって、毎日言われててね」「この先もうどうなるかわからないし、だから少しでも減らすためにここに並べたの。でも、まだまだあるんだ。まだまだたくさん。読まないのに買っちゃうんだよね。病気だけど楽しいんだよ。これが」とのことである。うむうむ、古本好きとしてわかりますよ、その気持ち。「学生時代は英文学専攻だったから、だからそこにペーパーバックが並んでるの。これはちゃんと全部読んでる。一応百円つけてるけど、英文学を勉強してる学生が来たら、ただで譲ろうと思ってる。でも、まだ来ないねぇ〜」などと、まだまだ本に囲まれた人生を存分に謳歌している模様。南雲堂「アメリカ一周バス旅行/石一郎」毎日新聞社「秘境ブータン/中尾佐助」「チベット潜行十年/木村肥佐生」の三冊を選んで差し出すと、「うわっ、古いの掘り出して来たね。昭和33年…オレが高校生の頃に買った本だよ。よし四百円でいいよ。買ってくれてありがとう」とおまけしていただく。

本日あたりから本屋さんに並び始める「本の雑誌 アメンボ張り込み号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、店頭木製ワゴンに目を瞠る本が頻繁に大盤振る舞いに並ぶ、荻窪「竹中書店」を取材。毎日見張らないと気が済まない、老舗のお店なのです。現在コロナ禍休業要請のため臨時休業中ですが、早く、一刻も早く開かないかと、日々願っております。
posted by tokusan at 16:28| Comment(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする