2021年08月31日

8/31約束通りに「古書現世」に。

夕方にまたもや高田馬場に出たので、月の初めに約束した通り、間をあけずに「古書現世」(2009/04/04参照)を訪れることにする。人の流れに逆らって駅から離れ、丘をひとつ越えて「現世」のある緩やかな谷間に入り込む。店頭台には夕方に降った雨のためか、ビニールシートがすでに掛けられている。半分開いているような、短いサッシ扉を引き開けて店内に入り込む。入口側から棚をジワジワ眺めて行くと、右壁棚の中段に面陳された「日本小説文庫 春陽堂文庫 内容目録」が目に留まる。二色刷りの紙を折り畳んだ薄い目録だが、完全に戦前の目録だ。これは入手しておかなければ!と八百円で購入する。すると店主・向井氏に「なんか来るの早いですね」と笑われる。そして話は当然「東京古書組合百年史」へと流れて行く。「古ツアさんのやった分布図、ほんと大変でしたでしょ」「そりゃあもう、何度も言ってる通りに、地獄でしたよ。そう言えば向井さんも新宿支部について書いてましたね」「実はあれ、二年前の原稿なんですよ」「ええっ!?」「当時の〆切守ったのがオレだけで、他の人は書き方がわからないって言って、だいぶ遅れたらしいんですよ。本当は百年史、もっと早く出すはずだったんですよ」「でも私が分布図を依頼されたのは去年でしたよ…」「まぁ〆切が色々延びる度に、色々新しいのがくっ付いていったんじゃないかと…いやぁ、ホント作った人たちスゴいですよ」などとお話しする。
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「日本小説文庫 春陽堂文庫 内容目録」は中を開いてみると、純文学系の『春陽堂文庫』と大衆小説系の『日本文学文庫』に分かれ、中にはさらに追加目録のペラ一枚が挿入されている。『夏来る→海に山に→樂しい旅には携行至便の日本小説文庫』『安い・面白い・大衆讀本!!一冊たった十銭から三十五銭』の惹句が昭和初期を偲ばせる…恐らく昭和七〜九年辺りのものだろう。当然お楽しみの探偵小説もたくさんラインナップされている。甲賀三郎の「荒野の秘密」は珍しいなぁ…うぅっ!國枝史郎「神州纐纈城」が『前後』で近刊となっているではないか!結局物語自体が未完に終わったから、前編しか出ていないんだよな…光明優婆塞も纐纈城城主も、いったいどうなるはずだったんだろう…物語の行方が今でも気になる…。
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あぁ、文字だけでも興奮出来るぞ。
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2021年08月30日

8/30「東京古書組合百年史」、ついに届く!

夕暮れ時に高田馬場に出たので、「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)でお買い物。当然最奥の古書コーナー…というか、今回はそこに近い少しだけは慣れた通路棚の古書コーナーから、新潮社「殺意の構成/有馬頼義」を220円で購入し、とっとと家へ帰る。すると家には、表に『東京古書組合百年史』と刷られた、四角く物質感に満ちた輸送箱が、ドデンと届いていた。届いた!待ちに待った東京都古書籍商業協同組合「東京古書組合百年史」が届いたんだ!慌ててテープを引き剥がし、中から組合理事長の挨拶状とともに、端整でシンプルなカバー装幀の分厚い本を取り出す。無事に、古本と百年に渡り格闘を続けて来た集団の歴史が、形を成したわけである。記念と言うよりは、各ページに踊る文字はすでに祝祭なのである!いやぁ、めでたいめでたい。私も小物ながら、巻末資料の『古本屋分布図』でこの大書に関われたことを嬉しく思います。しかし中をパラパラ見ると、恐ろしくマニアックな古本業界専門書であることが、ビリビリと伝わって来る…心して読まないと、読了までに遥かな時間がかかりそう……。それにしても、この本の感じ、大きさや厚みが何かに似ている…おっ、そうか。カバーにも載っている第一書房「月下の一群/堀口大學」みたいじゃないか!と気付き、当該本を引き出して比べてみると、これが本当に厚さも大きさも(ちょっとだけ「月下の一群」の方が天地が大きい)、手に持った感じも、物質としての佇まいも、実に良く似ているのだ。そしてカバーを外してみると、背が革装風になっているではないか。これは増々似ている。まるで「月下の一群」の孫のようだ!と喜び、その状態で記念撮影する。
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2021年08月29日

8/29下板橋から池袋へ。

珍しく日曜日の雰囲気に乗せられ、昼過ぎまでウダウダゴロゴロと過ごしてしまい、もう明日でいいか…と一瞬思うが、いや、やはり動かねばっ!と気合いを入れて起き上がり、連載の取材へと出かける。およそ二時間後、良い本が買えたのでやはり取材に来て良かった!と現金に思いつつ、その帰りに下板橋の、事務所の一部をお店として開放している「水たま書店」(2016/05/26参照)に立ち寄る。
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下町的住宅街の中にあるお店は、しっかりと営業中であった。サッシを引いて中に入り、小さなお店を素早く堪能する。そして左壁下の絵本ゾーンに狙いを定め、岩波の子どもの本「ちびくろ・さんぼ/ぶん へれん・ばんなーまん え ふらんく・どびあす」(さんぼに双子の弟が出来る『ちびくろ・さんぼ2』も収録されており、そちらの絵は岡部冬彦が完璧に担当している)福音館の科学シリーズ31「星座を見つけよう/H・A・レイ」を計200円で購入する。お店を出て、東武東上線の下板橋駅まテクテク歩くが、電車には乗らずに、そのまま歩き続けて見知らぬ街の商店街を伝い、池袋にたどり着くことに決める。この辺りは古い木造住宅が多いようで、懐かしい風景が連続するが、どんどんそれらが取り壊され、新しい小規模の集合住宅が幅を効かせ始めている。もうしばらくしたら、昭和を感じさせる建物は絶滅してしまうのかもしれない…そんなことを感じながらやがて『へいわ通り』に入ると、脇道にある「平和堂書店」(2008/10/30参照)の様相が変わっているのに気付く。以前は外装が赤色がメインのリサイクル古書店的だったのが、看板は青色となり、メインの表示は「光芳書店」(2008/12/01参照)になっているではないか。元々系列店であることはわかっていたが、ちょっと来ない間に、何か色々あったのかな。その店内をこの眼で確かめたかったのだが、お店は休憩中で営業再開するのは一時間後となっていた…また来ることにしよう。
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2021年08月28日

8/28三茶から下北へ。

正午に三軒茶屋のビル街に流れ着く。その過程で、裏路地に「新学堂」という、ビデオやファミコンや古書を商う未知のお店を発見する。表には店頭棚らしきもの(『どれでも一品¥50』と書かれている)もあるが、この荒れ具合からみると、もはや営業していないかも…あまり期待せずに、また何かの機会に覗きに来てみよう…。
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というわけで三軒茶屋駅方面にトボトボ向かい、人通りの多い『茶沢通り』の坂を下って行くと、かなり久方ぶりの「SOMETIME」(2008/12/03参照)に出会う。おぉ!『次の百年のために』ポスターが、通りに向かって堂々貼り出されている!嬉しくなって手指消毒して狭い店内に入り込み、ボロボロの文友館「みをつくし/上田敏」を千円で購入する。ビニールカーテンに守られた帳場に立つご婦人は、本を手渡されると「いやぁ、壊れそう!」と畏れ戦きながら、丁寧に袋に入れてくれた。
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お店を出たら炎天下を下北沢までトボトボ進み、「古書明日」(2017/01/31参照)へ。読売新書「今日の美術 明日の美術/滝口修造」が棚で待ってくれていたので、800円で購入する。

※お知らせ
今秋、盛林堂書房より、もはや商業出版としか思えぬミステリ評論が発売になります。その名も『二人がかりで死体をどうぞ -瀬戸川・松坂ミステリ時評集-』! 詳細は以下をご覧下さい。私も光栄にも装幀デザインで参加させていただいてます。 あまりの豪華さに、だ、大丈夫なのか!?盛林堂っ!!!!と叫びたくなってしまいますが、 どうかみなさま、予約するなり、頭の片隅に留めておくなりして、楽しみにしておいてください!
ご予約は→http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca1/781/p-r-s/

■『二人がかりで死体をどうぞ -瀬戸川・松坂ミステリ時評集-』著者:瀬戸川猛資・松坂健
■表紙デザイン:小山力也(乾坤グラフィック)■判型:B6版・上製本■頁数:528頁■価格:3,500円■販売開始:2021年11月中旬予定■予約開始:2021年9月1日正午〜

多くの出版社からいろいろなミステリが刊行された1970年代。どのようなミステリが刊行され、読者の心を掴んでいたのか。1970年代にミステリマガジンに掲載された瀬戸川猛資氏・松坂健氏の連載ミステリ時評から、多種多様な当時のミステリ出版を読み解く一冊。松坂氏の呼びかけに応じ、ゲスト執筆陣のコラムも多数収録。【特別寄稿】山口雅也・三橋曉・温水ゆかり・嵩平何・三門優祐・小山正・新保博久 ※収録順

《目次より》
●『五十年間の不思議』――松坂健との五十年の縁起(山口雅也)
●企画者からひとこと(三橋 曉)
●瀬戸川猛資 編
 二人で殺人を(海外ミステリ時評)
 警戒信号(日本ミステリ時評)
 ミステリ診察室(海外ミステリ原書紹介)
●回想・コラム(温水ゆかり・嵩平何・三門優祐)
●松坂健 編
 ミステリ診察室A(海外ミステリ原書紹介)
 死体をどうぞ(海外ミステリ時評)
●回想・コラム(小山 正・松坂健)
●逢うときにはいつも他人(新保博久)
●死体は無事に消えてくれたか? ――あとがきにかえて(松坂健)
●索引
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2021年08月27日

8/27吉祥寺でチャチャっと。

午後に用事で吉祥寺に出たついでに、チャチャッと古本屋さん巡り。暑いから南側半ルートにしておこうと日和り、まずは「バサラブックス」(2015/03/28参照)で沖積社「復刻 紅殻駱駝の秘密/小栗虫太郎」(覆刻版とはいえ、吉田貫三郎の装幀は鮮烈でたまらんね)光文社コミックス「鉄人28号DELUXE/横山光輝」を計1200円で購入する。続いて「よみた屋」(2014/08/29参照)で強烈な日射しと闘いながら店頭棚を眺めていると、まずは角川写真文庫「永井荷風」が目に入る。資料的写真の他にも、この本のために同行取材で撮り下ろした写真が素晴らしい一冊である。続いて掴んだ箱ナシの関西煙趣会「日本記念煙草図鑑 戦後編」は、昭和二十三〜三十九年に発売された『いこい』『Peace』『光』の記念パッケージを集めた図鑑である。川西英・仲條正義・宇野亜喜良・横山隆一などのデザインも含まれており、パラパラみているだけで楽しい。
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これは宇野亜喜良の一作。他にも四作ほど掲載されている。『Peace』の元々のデザインはレーモンド・ローウィ(「口紅から機関車まで」が有名なデザイナー)だから、宇野とローウィのコラボということになるのか。

そしてさらに店内50均文庫棚に、教養文庫アドベンチャーゲームブック「火吹山の魔法使い/S・ジャクソン I・リビングストン」(帯付きで、しおり&サイコロ型紙付)を見つけてほくそ笑み、計275円で購入する。吉祥寺の古本屋さんよ、今日も購買欲を満たしてくれてありがとう!
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2021年08月26日

8/26鷲尾弐巻目はハードボイルド・スリラー!

太陽の輝きと蒸し暑さに殺されそうになりながら、かろうじて生き延びて西荻南に漂着する。冷たい清涼飲料水をがぶ飲みしながら体力ゲージを回復し、フラフラと「盛林堂書房」(2012/01/06参照)へ。預かっておいてもらった東都我刊我書房の新刊「鷲尾三郎傑作撰弐 葬られた女」を受け取る。前巻の“壹”に続き、カバーデザインを担当させてもらったのである。今回は長編&短篇のハードボイルド・スリラー所収なので、そのイメージに合わせた都会のエアポケットをあしらい散りばめたデザイン。使った写真は、私がその昔に東京を彷徨い、ビデオ撮影したものを古の機器であるビデオプリンターでプリントアウトし、それをさらにスキャンして、ハードボイルド的異世界の雰囲気を抽出。『三信ビル』の地下入口や、『華僑会館』の裏の非常階段や、『博物館動物園駅』の構内や、首相官邸裏にあった官舎や、横浜の『新港埠頭』にかつてあった貨物駅などなど。三十年前の都会彷徨が、こんな風に役立つとは思ってもみなかった。なんでもやっておくものです。と言うわけで昭和三十年代探偵小説マニア垂涎の「葬られた女」は、8/28(土)より盛林堂店頭&通販サイトで発売開始なので、お見逃しなく!
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前巻の「Q夫人と猫」とともに記念撮影。我ながら素晴らしいシリーズ装幀だ!と己を甘やかしつつ、実はすでに迫っている三巻目のデザインに頭を悩ませる日々である…。

その後は「古書音羽館」(2009/06/04参照)に立ち寄ると、右側店舗の扉には、デザインさせてもらった古書組合のポスターが燦然と貼り出されているではないか。
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広瀬さん、ありがとうございます!と感謝しながら、時事通信社「名探偵銀幕登場/児玉数夫」を300円で購入する。モンスター映画に造詣の深い著者であるが、名探偵バージョンでこんな本も出していたとは…『まえがき』がヒッチコック来日のシーンから始まるのだが、その歓迎パーティで著者は江戸川乱歩にこう話しかけられている。「ヒッチコックの顔が見られるンならって、来るのはいるはずだよ。映画人ばかりでなく、作家にも通知をだして貰いたかったねェ。作家じゃ、どうやら、僕と木々君、香山君ぐらいしか、知った顔がいないパーティてのは弱るね」…大乱歩と木々高太郎と香山滋は、ヒッチコックに会っているのか、と無闇に感心する。
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2021年08月25日

8/25運命のように署名本を引き当てる。

昨日は午後六時前に高円寺に姿を現し、暗くなるのがいつの間にか早くなって来たなと思いつつ、その通りに薄暗くなって来た「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)の店頭を眺め、河出書房新社アート・テクニック・ナウ11「福田繁雄の立体造形」を200円で購入する。そして本日は昼食後に外出。強い日射しにクラクラしながら「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に到達すると、シャッターが閉まっており、本日も休業するとの貼紙あり…“探偵小説狂想曲・残党狩り”はまたお預けか…そう思い、素早くお店から離脱して、あっという間に荻窪着。「竹中書店」(2009/01/23参照)店頭台に狙いを定めると、本は補充されているが、あまり食指の動かぬエンタメ系小説や専門書や全集などが幅を利かせている。う〜むと唸りながら、何故か講談社「敦煌/井上靖」(昭和三十五年刊第六刷)に手をかけてしまう。最近届いた「玉英堂書店」(2010/10/31参照)の目録に、ズラリと署名本が載っていたせいだろうか…そんな影響を秘かに感じながら、函から取り出しパラリと開いてみると、何とこれが見事に毛筆署名本!うむ。これはちょっとした運命だな!と帳場に持ち込み200円で購入する。
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続いて「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に向かい、ちょっと時間をかけて店内を一周。だが結局ミステリ棚にググッと吸い寄せられ、講談社「賭けられた船/高橋泰邦」河出書房新社「黒い木の葉/多岐川恭」を見つけて計880円で購入する。昭和三十年代の推理小説二冊が、ちょうど“残党狩り”の代わりになってくれたカタチである。時間が進むごとに、ますます暑く蒸して来た街路を歩き、阿佐ヶ谷までヒイフウ戻る。
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2021年08月23日

8/23坂を上がって「貝の小鳥」へ。

夕方に小滝橋に顔を出す羽目になったので、そのままテクテク北東に歩き続け、急な相馬坂に足を掛け、『おとめ山公園』の脇を伝い、夕暮れの目白に到達する。目指すは裏路地の「貝の小鳥」(2009/06/14参照)である。うむ、ちゃんと営業してくれているではないか。表の様々な小さな籠に並んだ絵本や児童書を眺めてから、手指を消毒して薄暗い店内に進む。典雅な音楽とともに、奥の帳場から「いらっしゃいませ」と囁くような声が届く。右壁の絵本&児童文学棚を、目を凝らして丁寧に薄い背を連続して確認して行く。児童文学棚近くの、中綴じ絵本が集まる棚から、A4版の一冊を引き出す。昭和47年刊の学研おはなしえほん「とおい ほしから/作・佐藤さとる 絵・村上勉」。全22ページの、幼い少年とペンシル型ロケットで地球に飛来した、ミニミニ宇宙人との交流を描いたSF童話である。…また知らない佐藤&村上コンビの絵本と出会ってしまった。この二人で、いったいどれだけの絵本を作ったのだろうか…まるで出口の見えない深く豊かな森に迷い込んでしまったような感慨を覚えながら、550円で購入する。もちろん森の奥へは、まだまだズンズン入り込んで行くつもりである。
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その後は阿佐ヶ谷に戻り「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)前を通りかかると、おやおや閉まってる。シャッターの貼紙に目をやると、今日は臨時休業で、明日は定休日とのこと。すっかり『探偵小説狂想曲・残党狩り』をする気分満々だったのに…まぁこの燃え上がる気持ちは、水曜日までとっておくことにしよう。そして気付けば8/23と言ったら、もはや八月の末に突入しているわけで、『八月の末』と言ったら、そろそろ待望の「東京古書組合百年史」が出来上がる頃なのである。…一刻も早く家に届くといいのだが……。
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2021年08月22日

8/22どうぶつしんぶん!

午後に用足しで吉祥寺に出たついでに、古本屋さんを素早く回る。「古本のんき」(2021/03/31参照)では店頭棚から講談社「のらくろ探檢隊/田河水泡」を300円で購入する。この本、どうやら子供が大事にしていた本らしいのだが、本扉前のトレーシングペーパーに、鉛筆で何か写し込まれている。ビル街をバックに男が男をパンチして、マンホールに落としている絵…待てよ、何処かで見覚えが……ハッ!初期のファミコンソフト『アーバンチャンピオン』じゃないか。
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ハハハハハ。そのパッケージを、衝動に駆られて、丁寧に丁寧に写したのであろう。大事な本に何故こんなことを…まぁこの時代、トレペ自体が子どもにとって珍しいものだったからな。まったく子供とは、不思議な生き物である。続いて「よみた屋」(2014/08/29参照)に移り、まずは店頭棚で未来社「綾の鼓/三島由紀夫」を見つけた後に、エントランスに大量の「こどものとも」や「かがくのとも」を収めた箱が二つ置かれているのに気付く。中には薄いながらも古そうな一群が含まれているのを確認出来たので、即座にしゃがみ込み捜索態勢に入る。店内を出入りする方々の邪魔にならぬよう、なるべく箱に身を寄せて、素早く一冊ずつタイトルや作者名を確認して行く。その結果、福音館書店かがくのとも 「はははのはなし/加古里子ぶん・え」「じゃんけん ぽん/森達夫ぶん 佐伯俊夫男え」「ぼくは ぞうだ/五味太郎さく」こどものとも「どうぶつしんぶん/ぶん岸田衿子・谷川俊太郎・松竹いね子 え堀内誠一」を抜き出し、計990円で購入する。1983年刊の「どうぶつしんぶん」(英題は『The Animals News』である)は紙製のポートフォリオに、折り込まれた『はる・なつ・あき・ふゆ』の四枚の新聞が折り込まれて封入されている、新聞感&物質感満点の好企画である。細かく無邪気で楽しくどうでもよい動物界のゴシップもさることながら(S.F.サルモフによる新聞連載SF小説もあり)、とにかく堀内誠一の詳細なイラスト仕事が秀逸で可愛らしいのだ。
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2021年08月21日

8/21探偵小説狂想曲・残党狩り!

午後四時前に用賀の街に流れ着いたので、『玉川通り』まで出て、東急バスに飛び乗り、それなりの渋滞の中をゆるゆると北東に進み、三宿で下車する。高速下を横断歩道で潜り、土曜日ならこの時間にはもう開いているはずだと、久しぶりの「江口書店」(2010/03/29参照)である。店頭台を見て店内に入ると、帳場には誰もいない。だがしばらく古本の山を丁寧に漁っていると、二階からコトコトと老婦人が下りてこられた。と同時に反対側の通路に別のお客さんが現れ、本を買うとともに老婦人と楽し気に話し始める…どうやら懇意の常連さんらしいな。その常連さんが去った矢継ぎ早に、こちらも精算していただく。創文社「ユングフラウの月/庄野英二」大阪美術倶楽部「美術工藝品展覧會 欧米最新考案」を計600円で購入する。「美術工藝品展覧會」は昭和三年刊の、欧米の彫刻・絵画・磁器・陶器・調度品・煙草入・灰皿・ティーセット・バッグ・写真立てなどの展覧会カタログである。残念ながら切り抜きが二ヶ所あるが(何故か両方とも品物ではなく、人物の肖像写真)、そのおかげで百円ポッキリに!昭和初期の高級風俗を伝える貴重な資料である。
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その後、必死に阿佐ヶ谷まで戻り、すでにトワイライトの帰り道を歩む。すると「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)店頭棚に、探偵小説関連が出されているのを目ざとく見つける。世文社「探偵実話増刊 探偵恐怖怪奇小説名作二十四人集 夏の探偵小説祭り」(今の季節にピッタリだな)博文館「新青年 春期増刊号 昭和五年二月」(表紙・目次欠け)平凡社 現代大衆文学全集15「松本泰集 斯くべからざる外五篇」(特製函で本体も異装の非売品)の三冊を引っ掴み店内へ。店主・天野氏に精算していただき330円で購入するとともに「これ、あれの残りなんですよ」と告白される。“あれ”とは、去年の梅雨時から晩夏にかけて、コンコ堂の棚を騒がせた探偵小説群のことである。どうも最近店頭に素晴らしい古本が出がちだと感付いていたが、よもや“探偵小説狂想曲”の残党だったとは!よし、いつまで続くかはわからぬが、今後も店頭に店内に、残党狩りに精一杯励むこととしよう!
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2021年08月20日

8/20“Le KATSUE”!

国書刊行会「エラリー・クイーン創作の秘密」を読み進めているのだが、あまりにスリリングでヒリヒリするのと、プロット作成者が小説化する人物に、物語の舞台やキャラクター付けの意味などについて事細かに説明していく過程は、まるで今まで読んだことのない読み物のようで、一行ごとに興奮の度合いを深めてしまっている。それにしても、なんと真面目に真摯に仕事に打ち込む人たちなのだ…。そしてその読書の副産物として、高木彬光「白魔の歌」(2021/04/15参照)は、クイーンの「十日間の不思議」を元ネタとしていることを知ってしまう…。

本日は午後になったら外出し、阿佐ヶ谷駅近辺で所用を済ませた後、北口ロータリーのバスに飛び乗り、西武池袋線「中村橋駅」まで足を延ば
す。「古書クマゴロウ」(2018/08/22参照)に行ってみると、おや?シャッターが閉まっている。外に置かれた立看板に貼紙があり、8/16〜20までお盆休みとしたためられていた。そうか。後今日一日、ゆっくりとお休みください。素早く駅に戻って各駅停車で保谷駅まで移動する。駅南口の儚い横断歩道を渡り、「アカシヤ書店」(2008/12/17参照)へ。店頭百均台で一冊掴み、店内に滑り込んで入口脇の百均本ストック平積み山脈にも探りを入れる。すると下の方から、金星堂「新文學研究 第二輯 AVRIL 1931」を発見する。昭和六年刊の尖鋭的な文学研究雑誌である。菊判で416ページを誇る大著。横光利一・龍膽寺雄・上林曉・久野豊彦・井伏鱒二・北川冬彦・北園克衛などが執筆しており、左川ちか譯のヴアジニア・ウルフのエッセイも掲載されている。それに!北園克衛のカットが…パラパラパラパラ…と見たところ、三点掲載されている!
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これはその中の一点。…車…かな……。サインは“Le KATSUE”となっている。うぉぉ、戦前の北園克衛っ!

大喜びでアルス「全貌 第参輯 白秋年簒」(函ナシ)とともに計220円で購入する。相変わらず掘り出せるぜ、「アカシヤ書店」!続いて石神井公園に移動し、「草思堂書店」(2008/07/28参照)で雄鶏社「俘囚 其の他/海野十三」を500円で購入してから、またもやバスに乗って阿佐ヶ谷に舞い戻る。
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2021年08月19日

8/19大正時代の本二冊!

暑さが突然戻って来た八月半ばの正午に、西荻窪の北にある桃井に流れ着く。すぐさま『青梅街道』沿いの「古書西荻 モンガ堂」(2012/09/15参照)を見に行ってみるが、そとに均一本は出ておらず、どうやら開いていない模様…おや?でも中に電気が点いているぞ…よし、入ってみよう。とノブに手をかけ店内へ。通路は店頭箱などで多くがゴチャゴチャしているが、右のレジ方向を覗き込むと、キャップにマスクでTシャツ姿のモンガさんが座っていた。「モンガさん、こんにちは。入ってもいいですか?」と声をかけると、一瞬こちらを凝視した後、おぉっ!と呻きつつのけぞり、立ち上がって笑顔を見せてくれた。最近のしつこかった雨と、緊急事態宣言下ということで、しばらくはほぼ開店休業状態だったとのこと。「もう大変ですよ〜」とボヤきつつも、今後の展示の予定や買取展望について、ボソボソと語り始める。それを聞きながら、店頭本の山を越え、店内を散策。途中、他にも物好きの古本紳士が乱入して来たと思ったら、レジにいたモンガさんと融合し、たちまち一箱古本市の雄である「M&M書店」さんに早変わり。ワクチンもバッチリ二回打たれたそうで、お元気そうでなによりです。そんな出会いがありながら、学研 少年少女・新しい世界の文学「銀のうでのオットー/ハワード・バイル作画」「リリパット漂流記/ヘンリー・ウィンターフェルド作」枯野社「欧米漫遊の俳句と日誌 矢車/神野渓石」(函ナシ。献呈署名入り)を計500円で購入する。「矢車」は大正十四年刊の、七ヶ月間の欧州&米国旅行を日誌と俳句と写真と絵画で著した一冊である。期せずしてモダンな俳句が連続しているのが興味深い。そんな買物をして阿佐ヶ谷に帰り、帰り道途中の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)にブラリ。すると中央通路のミステリゾーンに、見慣れぬ古い本が挿さっているのが目に留まる、スッと抜き出すと、大正十二年刊の東京小西書店「探偵文藝叢書3 怪教の秘密/ウヰリアムルキユー」であった。傷んではいるが値段は破格の1580円なので、大正時代の翻訳探偵小説を見逃すわけには決していかない!と購入する。ラスプーチンの妖術を受け継いだ男が、その妖眼で虜にした女性側からロンドンを支配しようとする怪奇探偵小説である。家に帰ったら悪い部分は直してあげよう。
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令和の夏の青空に渋く輝く、大正時代の本二冊!およそ百年後の世界へようこそ!
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2021年08月18日

8/18古典的探偵小説と明治古典SF!

朝から大阪へ送る古本のまとめに取りかかる。今回、『ミステリとエンタメ』と言った感じで、王道からクセ球&隠し球まで混ぜ込んでおきました。昼過ぎにそれを送るダンボールを確保するために外出。ついでに「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に遠回りして立ち寄り、東都ミステリー43「黒潮の偽証/高橋泰邦」角川スニーカー文庫「幽霊鉄仮面/横溝正史」三一新書「私は魔術師/レナルド・キオ」(カバーナシ)を計330円で購入して帰宅する。そして再び外出し、郵便局から古本箱を送り出す。しばらくしたら古書コンシェルジェさんの商品化行程を経て、「梅田蔦屋書店」の古書ゾーンに並ぶと思いますので、感染対策に十分留意しながら、こっそり素早く覗きに行ってみてください。

夕方にさらに外出し、西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に顔を出す。店頭文庫台を覗き込んでいると、今日は何だかウマの合うラインナップ!と喜び、創作元推理文庫「月長石/ウィルキー・コリンズ」「貧乏くじはきみが引く/ハドリー・チェイス」「暗いトンネル/ロス・マクドナルド」の計三冊を購入する。すると店主の小野氏が何だかとてもくさっている。どうしたのかと尋ねてみると、何と昼間のスコールで不覚にも店頭均一本が濡れてしまったとのこと…、そ、それは御愁傷様です。確かのあの雨は、不意打ち過ぎたよなぁ…などと弔意を表している間に、印刷所さんが姿を現わし、新刊を運び込んで来てくれた。おぉ!カバーデザインを担当した、別冊Re-ClaM「ジャスミンの毒/クライド・B・クレイスン」である。歴史学者探偵が活躍する、カリフォルニアを舞台にした1940年の長編古典的探偵小説。ついに束が18mmとなってしまった分厚さに、強敵である手応えをずっしりと感じる。デザインモチーフはカロライナジャスミンと、それに含まれる毒・ゲルセミンの化学式であります。8/21土曜日から盛林堂の通販サイトや店頭サイトで販売されるので、いつものように売り切れてしまう前に入手することをおススメします!それと同時に、盛林堂ミステリアス文庫の新刊「冒険怪話 空中旅行/増本河南」を拝受する。明治時代の、題名は“空中旅行”だが、実は“宇宙旅行”しまくる古典SFである。火星人の宇宙船で、様々な星々の文明を訪ね回るスタイルは、まるで明治時代の『銀河鉄道999』のようである。YOUCAHNさんのイラスト装幀も冴え渡り(長新太の「ごろごろにゃーん」みたいで素敵!)、北原尚彦氏の解説も長く深く古典SFの世界に斬り込んでいて痛快。こちらも8/21(土)から販売開始なので、努々お忘れなく!
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2021年08月16日

8/16ミステリに関する図書カードでミステリに関する本を買う。

夕方に高田馬場に出たので、駅前から坂を下り、ここ数日の雨で水量の増えた神田川を渡り、「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)へ。最奥の古書ゾーンに直行し、講談社ロマン・ブックス「おえん殿始末 若さま侍捕物手帖/城昌幸」を330円で購入する。そしてある小さな野望を胸に、今下って来たばかりの坂を上がり、駅ビルに入ってエスカレーターに飛び乗り、『芳林堂書店高田馬場店』三階を目指す。つい先日、いつも色々デザインさせてもらっている、クラシック・ミステリ研究誌『Re-ClaM』特製の図書カードを、これもデザインさせてもらった縁で、出来上がって来た一枚をフライングで受け取っていたのであるが、せっかく素敵で不穏なカードに仕上がったのだから、これを使うなら何かクラシック・ミステリに関わる本を買いたいものだ…ならば、ならばあれにするか!と思考し、只今エスカレーターで上階へ運ばれているところなのである。三階フロアに足を踏み入れると、すぐ脇では今回の直木賞受賞作家が製作している乱歩Tシャツが陳列されている…こ、これも図書カードで買えるのだろうか…?などと一瞬激しく惑わされるが、誘惑を振り切り文芸単行本の本棚を探す。売っていれば良いのだが…と心配しながら、海外文学の棚前にたどり着くと、あっという間に目指す本が目に飛び込んで来た。良し、買うぞ!国書刊行会「エラリー・クイーン創作の秘密 往復書簡1947-1950/ジョゼフ・グッドリッチ編飯城勇三訳」である。大探偵小説作家エラリー・クイーンを構成する二人の男(プロット担当&小説化担当)の、心配になるほどの激しい議論を交わす書簡集である。…もう手にした瞬間からドキドキドキドキ…。レジでカードといくばくかの現金を出し、購入する。図書カードの中身は瞬時に空になったが、もちろん返してもらう。
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筋の通った、正しいカードの使い方をした気がいたします!
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2021年08月15日

8/15びしょ濡れになって走る。

降り続く雨の音をすっかり聞き飽きながら、午後に傘を開いてブラッと外出。高円寺の「西部古書会館」(2008/07/27参照)に赴き『好書会』二日目を覗く。傘を傘立てに入れ、ガレージの本を検分してから、帳場横で荷物を預けて手指消毒&体温測定して会場内に進もうとすると、帳場にいた「立石書店」岡島氏が笑顔で「久しぶりですね」と声をかけてくれた。挨拶を交わして、もはや通い慣れた感のある会場内をウロウロ。今日はお客さんの姿が疎らなので、距離をしっかり保てば比較的安心である。三十分ほど滞在し、裸本を三冊。株式會社松坂屋「下谷上野」東京堂「死刑前の六日間/森田思軒譯」大同館書店「思潮文献 日本自殺情死紀/山名正太郎」を計1100円で購入すると、本を手渡してくれたのが「浩仁堂」さんで、「実は今、店売りを再開しようと準備中です。もうしばらくお待ち下さい」と告げられる。それは朗報だ!突然店売りを辞められてしまったので(2021/01/13参照)、悲しくてしょうがなかったのだが、お店を再開していただけるのなら、そんな悲しみはなかったに等しい!再開の曉には、スキップで駆け付ける所存です!と、心中で勝手に約束しながら会場を出ると、うぁっ!傘立てに俺の傘がない!前列左から二番目枠に入れたはずの傘が、こつ然と姿を消してしまっているでないか。一応他の傘をざっと眺めてみるが、どれも俺のさして来た傘ではない…や、やられた。俺の傘が見当たらないからと言って、まさか他の傘を手に取るわけにも行かないではないか…というわけで、決して買った古本は濡らさぬようビニールに厳重に包み、泣きながら『早稲田通り』をびしょ濡れになって、走って帰宅する。八月なのに、やけに冷たい雨であった…。
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三冊の本は濡れずに無事に家にたどり着くことが出来ました…。
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2021年08月14日

8/14「半七捕物」の謎、一歩前進!

八月のしつこい雨に祟られつつも、どうにか切り抜けて、午後に荻窪に流れ着く。おや、「藍書店」(2018/12/24参照)は17日までお盆休みに突入してしまったか。そしてこの時間ならもう開いているだろうと、線路際の「竹陽書房」(2008/08/23参照)へ。古本に囲まれ心落ち着けながら、弘文堂「迷宮と神話/カール・ケレーニイ 種村季弘・藤川芳朗訳」(こんな茶色いボール紙箱入りのゴリゴリの学術専門書を種村が共訳していたとは…)有文社「大特撮 日本特撮映画史/コロッサス編 監修・本多猪四郎」(藤子不二雄がコピーを書いた青い帯付き)を計1300円で購入する。

そして昨日購入した「半七捕物 人形使ひ」の謎がひとつあっけなく解明された。ふと思いつき、所蔵していた新作社「半七捕物帳 第壹輯」(大正十二年再版)を取り出し、ページを繰ってみる…確かこれに『勘平の死』が載っていたはずだが……あぁ!この扉は!この本文ページの肩は!本文の組は!…まったく昭和十六年刊の金竜堂の「半七捕物 人形使ひ」と同じじゃないか!これぞ“灯台下暗し”!つまり奥付に『五十六版』とあるのは、この大正時代の新作社版から、別の出版社を渡り歩き、版を重ねて来たということなのか。紙型も長年使って来たせいか、この昭和版はだいぶ劣化している。なんてこった。昭和十六年当時は、春陽堂が文庫で『半七捕物帳』を出していた時代である。大正時代の本を、短篇をシャッフルして出していたとは。いったい著作権はどうなっていたのであろうか?まぁだが、何はともあれひとつ謎が解明されたのは、喜ばしいことである。こんなことで喜んでいるのは私だけかもしれないが…。
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『勘平の死』扉ページ二種。左が「半七捕物 人形使ひ」で右が「半七捕物帳 第壹輯」。
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2021年08月13日

8/13謎の昭和十六年の「半七捕物」。

朝から原稿を読んだりレイアウトをしたりと色々お仕事。その合間に大阪へ送る本の準備も進めるが、外は雨なので薬屋さんからダンボールを調達するのは難しそう(外にあるダンボール置場から、いつもお願いしていただいているのだ)…まぁそれでも、いつでも送り出せるようにしておこう…。そして昼食後に外出し、阿佐ヶ谷駅近辺で所用をこなす。新型コロナの感染拡大が著しいので、すぐさま家へ戻るべきなのだが、だがいつものように古本は買いたい。移動を小さくして素早く購買に走ろう…というわけで駅から電車で二駅移動して中野駅で下車。『中野ブロードウェイ』に突入し、四階の「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)右奥の探偵小説コーナーやジュブナイルコーナーに目を血走らせる。キッチリ隅から隅まで目を通し、最終的に気になったのは、『ジュブナイル時代もの』棚にあった一冊。金竜堂書店「半七捕物 人形使ひ/岡本綺堂」である。まさか、半七のジュブナイルなんて…ちょっと表装がそれっぽいだけで、中は普通の『半七捕物帳』だろう。半七は数限り無く様々な出版社から本が出されているので、その全貌を把握するのはかなりの難行であろう。だから見たことのない『半七本』など、驚くべきではないのだが、これは1941年出版の太平洋戦争開始六ヶ月前に出された本…いちおう戦前の部類に入るので、大いに気になってしまったのである。というわけで二千円で購入する。ちょっと不思議な本が買えたぞ!と心躍らせて『早稲田通り』に出て、徒歩で帰宅を開始する。途中の高円寺では「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に当然立ち寄り、大日本雄辯會講談社「婦人倶樂部三月號附録 婦人ポケット經濟讀本 知っておくと得になること全集」(昭和十年のB7横版小型付録。生活のための豆知識が、全272ページに渡り、詳細でレベルの高い説明挿絵とともに掲載されている。電燈の明るさを増すために、傘の内側にバット(煙草)の銀紙張れ!とか)小学館「百年前の日本 モース・コレクション写真編」を計600円で購入し、店主の粟生田さんと外の天気の様子について会話し、「お気をつけて」と送り出されて、再び『早稲田通り』を歩いて帰宅する。そして件の「半七捕物 人形使ひ」を取り出し、パラパラ見てみると、色々気になることが見えて来た。まずやっぱりジュブナイルではなく、通常の『半七捕物帳』であった。カバーや表紙のタイトルは「半七捕物 人形使ひ」だが、扉は「半七捕物帳」となっており、なんと奥付の『発行所 金竜堂書店』に至っては、肩が『半七捕物帳第一輯』となっているではないか(それまでは第四輯である)…出版社名の異同から考え、大京堂の紙型をそのまま使って出したのだろうか?だが奥付には、初版が『大正十四年』で、この本は『昭和十六年』の第五十六版となっている…超ロングセラーですな。とにかく色々謎な本なのである。ネットで色々調べてみると、同じシリーズらしきチープなカバー絵の「半七捕物 春の雪解」がヒット…しまった。何だか全部集めたくなってきたぞ…。
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上がカバーで下が表紙。表紙は『半七捕物帳』や『岡本綺堂』の文字と象形文字が飾りで使われており、なかなかお洒落である。
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2021年08月12日

8/12川本喜八郎の【そうてい・さしえ】!

本日は午前十時半に西荻窪の片隅に流れ着く。さて、古本屋さんに行きたいのはやまやまだが、この時間では、まだほとんどの古本屋さんが開いていない…というわけで荻窪までテクテク歩き、まずは「藍書店」(2018/12/24参照)で朝日ソノラマ「手づくりカメラハンドブック/手づくりカメラの会編」を110円で購入して、古本景気をつけてから、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)へ。店頭で晶文社「夢みる人々 七つのゴシック物語1/アイザック・ディネーセン」を掴んでから店内を経巡ると、中央右奥壁棚の児童文学の並びに変化を認める。昭和44年刊の理論社「二年2組はヒヨコのクラス/山下夕美子」は【そうてい/さしえ】が長新太だ。続いて隣りに並んでいた、昭和四十三年刊のあかね書房「じんじろべえ/筒井敬介」に手を伸ばす。箱から取り出し、和物らしいからそこまで食指が動かないんだよなぁ…などと思いつつ本を開くと、ぬぉぉぉっ!こちらの【そうてい・さしえ】は世界的に有名な人形アニメーション作家・川本喜八郎が仕事しているではないか!食指が動かないなんて思って、大変申し訳ありませんでした。盛大に動いております!!こりゃぁ珍しい!と抱え込み、計三冊を550円で購入する。
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やはり「じんじろべえ」が殊更嬉しい。ほぼ二ページに一枚の挿絵たちも、やがて『道成寺』や『死者の書』に結実して行くのかと思うと、魂が無闇矢鱈に燃え上がるっ!

そして夕方、再び西荻窪に赴き「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内「フォニャルフ」棚にがっつりと補充する。文庫本の「考えろ丹太!/木島始」がダブっていたので並べときました!さぁ、次は大阪へ送る古本の準備を進めなければ。
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2021年08月11日

8/11神保町で建築関連本に恵まれる。

昨日は夕方に「ブックオフ高田馬場北店」に立ち寄り、ほるぷ出版「日本児童文学大系4 幸田露伴・尾崎紅葉・江見水蔭・泉鏡花」を210円で購入する。そして本日は午前のうちに家を発ち。午前十一時に水道橋駅に降り立つ。『白山通り』を南下して、八月最初の神保町パトロール。路上に人影は少なく、ただビルや街路樹や己の影が、黒々とアスファルトの上に投影されている。「タクト」(2011/11/11参照)にてカバーナシの日本出版協同株式会社「背番号への愛着/竹中半平」を220円で購入する。日射しが殊更強く降り注ぐ『神保町交差点』を決死の覚悟で渡り、「南海堂書店」(2012/05/08参照)の左側ワゴンに食らいつくと、長崎書店「ブルーノ・タウトの回想/浦野芳雄」を見つける。五百円なので「ほほぅ、これは拾い物」と思いつつ箱から取り出しパラパラ見ていると、後見返し部分に『川添登』の記名アリ(しかも同書体で三つも)。都市文明評論家の旧蔵書というわけか。左上隅の青い古書店ラベル『石黒書店 滝野川・西ヶ原』もまたいい!と左手で掴み、続いて右側ワゴンに取り憑くと、ポンと本の上に、相模書房「建築新書5 ブルーノ・タウト/藏田周忠」が放り出してある!カバーナシだが、戦時中にシリーズ百冊以上の刊行予告(「新しい建築材料/吉阪隆正」「建築と庭園/堀口捨巳」「風と建築/谷口吉郎」とか面白そうなのが…)を出し、結局八冊しか出なかった新書シリーズの一冊。表現主義時代のタウト作品が精一杯詰め込まれた良書である。堀口捨巳所蔵の喫茶店の写真が、カリガリ博士のセットみたいで、スゴイスゴイ!こちらも五百円なので素早く右手で掴んで、あまり入り慣れぬ店内に突入し、計千円で購入する。ところで気付けば、お盆休みに入っている古本屋さんがチラホラチラホラ…そして最後は二店続きの「一心堂書店」(2013/09/25参照)のワゴンから、彰国社「建築写真文庫 せともの・ガラス器具店」を300円で購入する。柳宗理設計の『白木屋ゴールデンデザインルーム』が、シンプルモダンなミッドセンチュリースタイルで、宗理デザインの食器類がたくさん飾られているようなので、今すぐ飛んで行きたくて仕方がなくなる。
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2021年08月09日

8/9フォーク・ミュージシャンの本。

しつこい雨が上がり、日射しが射し始めるとともに風がヒドく強くなり始めた、久我山の街に午後に流れ着く。というわけで、古本を買うために井の頭撰で吉祥寺に出る。最初は「バサラブックス」(2015/03/28参照)で、立風書房「現代怪奇小説集1/中島河太郎・紀田順一郎編」フェリシモ出版 おはなしのたからばこ18「しいちゃん/文・友部正人 絵・沢野ひとし」を計200円で購入。「しいちゃん」は文と絵がなかなかベストマッチな組み合わせの32pの小型絵本。こんなの出てるの知らなかった。次は「古本のんき」(2021/03/31参照)で店内BGMの矢野顕子に心を解きほぐされて、古本選び。箱版で1970年七版の福音館書店「きつねものがたり/ヨゼフ・ラダ作 うちだりさこ訳」を700円で購入する。チェコの児童文学イラストは、チャペックなどもそうだが、独特な太い線の力強さが魅力である。そしてそろそろ発売になる「本の雑誌 イカ焼き騒然号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、吉祥寺の新星「古本のんき」を取材。今や大好きなこの古本屋さんを、そうなって行く過程や、古本屋さんとして成長して行く過程を、観察日記風にまとめ上げておりますので、フムフムとご一読いただければ幸いです。そう言えば、先客のご婦人が、嬉しそうに開店当初からのお店のファンであることを店主に告げている場面に遭遇。何だかいいもの見たぞ……。そんな風に吉祥寺古本屋巡りを済ませ、阿佐ヶ谷に戻ると、今日も「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)店頭棚に見事に引っ掛かる。KKベストセラーズ「我が良き友よ 人生は愉快じゃないか/かまやつひろし」を110円で購入する。井上陽水・遠藤賢司・吉田拓郎・高田渡・三上寛・泉谷しげる・赤木圭一郎・萩原健一などなどがの完全レジェンドたちがその友として登場する、興味深い本。今日も良い古本を安値で、ありがとうございます!
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と言うわけで、フォークミュージシャンが共通項となるこも二冊を記念撮影。「我が良き友よ」には偶然にも『古本屋を一軒一軒ひやかしながら考えること』という植草甚一風タイトルの一節あり。ムッシュの真っ当で鋭い『古本観』が丁寧に書き出されており、至極感心する。
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