2021年09月30日

9/29古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第八章】

さて、今月初めから怒濤のように進める日下三蔵邸古本大移動の第二回目である(作業理由の詳細は2021?09/02参照)。午前七時前に家の近くで「盛林堂書房」店主・小野氏の運転する盛林堂号にピックアップしてもらい、盛林堂・イレギュラーズに身も心も変身しつつ、いつものようにおよそ一時間半で、神奈川県某所の日下邸に到着する。やあやあと日下氏が出迎えてくれ、美しさがキープされた廊下にまずは感心し、さらに整理収納の進んだ仕事部屋に感心し(仕事机として使用しているラックの上に、山田風太郎の文庫&新書が、屋根の上に一夜で降り積もった新雪のようにどっかりと積み重なる凄まじい光景などもあるが…)、さらに小野氏は禁断のメイン書庫に実を無理矢理滑り込ませ、レア本の嵐に大興奮したりする。そしてまず本日の第一ミッションは、空けるべき本邸和室の文庫・コミック・単行本を、半年限定倉庫のアパートに運び込むこと。この部屋も素晴らしく整理が進んでおり、すでに出入り自由となっているので、作業はいたってスムーズである。部屋内で日下氏が本の山を切り崩し、残す本を仕分けてから窓の外に待機している私に渡し、それを玄関ポーチで待つ小野氏にせっせと渡し、箱詰めして車に詰め込むという流れ作業の布陣を採る。もはや十月になろうとするのに、夏のような強力な日射しに耐えながら、大量の本の移動に腐心する。作業は単純で肉体労働であるが、やはり時々見つかるレア本たちに鼓舞され、気合いで乗り切る。
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これは宮敏彦付録推理小説本の麗しい山。

途中、日下氏が、「うわっ、ここにあったのか!やった!これで仕事が進む!…あぁ!「ガールフレンド」も出て来たぞ!」と小躍りせんばかりに喜んでいる。仕事に必要なため長らく探していた柴田錬三郎「盲目殺人事件」と、ここ十年ばかり『いったちどこにあるんだろう?』と見かけていなかった伊藤人譽「ガールフレンド」を発見したのである。
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まだ作業して二時間も経っていないのに「これが今日一番の収穫です」と満足げ。釣られてこちらも嬉しくなる。おかげで和室も畳が見えたりスペースがもっと空いたりと、ある程度スッキリ状態に。そして力を合わせて生まれた三十ほどのダンボール箱を、盛林堂号と日下号に積み込み、アパート倉庫に出発。到着するや否やすぐにリレー方式で、窓からバンバンダンボールを運び込む。うひゃぁ、アパートの中もだいぶ本で埋まって来ているぞ。
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午前中後半戦は持って来た箱を開いて仕分けし、分かり易いように各所にひたすら積み上げて行く…こんなことをしていたら、いつの間にか午後二時前。ここで駅近くに出て美味しいお寿司をご馳走になり、満腹後は近くのホームセンターでカラーボックスやプラケースを購入し、久々に訪問するマンション書庫の方に向かう。こちらにはもう一年以上盛林堂組は足を踏み入れていなかったので、いったいどんなカオスな状態に…と心配するが、中に入ると意外や意外、本は確実に増えているのだが、各部屋に向かう通路はまだしっかりと確保され、どうにか破綻を免れていたので、ホッと一息。さて、続いてこちらでのミッションは、中央のフローリング間にある本をある程度運び出し、その中に埋もれている二本のカラーボックスを救出することである。こちらでも本を日下氏が仕分けし、それを私が玄関まで運び、小野氏がダンボール詰めするという布陣で作業に臨む。細く危うい古本獣道を、本束を抱えて身を横に細くして、六十回ほど往復する……ぜぇぜぇ。
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その過程で、本邸仕事部屋に集めた岩谷選書のダブり具合を確認するため、マンション書庫で岩谷選書グループを見つけ出し、持ち帰ることにする…すでにすげぇダブってるんですけど…。そんなこんなで午後四時半過ぎに作業は終了し、ここで生まれたダンボールおよそ二十箱を、またまたアパート書庫に運び込む。今回は仕分けはせず、運び込むだけで作業終了。不要本となって引き取られる三百冊ほどを小野氏が結束し、それを車に運び込み、ここでの作業は終了。
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窓際で作業する日下氏。なんかつげ義春の漫画的な良い情景。

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こちらは作業過程で発見されたレア本推理小悦「水の鎧」。三冊あるなんてありえない!

そして続いて本邸に移動し、カラーボックスを仕事部屋に運び込み、本日のお仕事無事に終了となる。いやぁ〜〜〜〜、おつかれさまでした。ここで日下氏から、「キミはもっと山田風太郎を勉強するように」と厳命され、ダブり本の山田風太郎忍法全集「外道忍法帖」と山田風太郎妖異小説「首」を下賜される…ま、まずは前回いただいた「誰にも出来る殺人」を早く読まなければ…。そしてさらに労いとして、双葉社「生島治郎の誘導尋問 反逆の心を取り戻せ」(生島の対談集。野坂昭如・戸川昌子・田中小実昌.吉行淳之介・森村誠一・井上ひさし・佐野洋)を手渡される。その後は焼肉を焼きに焼きまくり、消耗し切ったエネルギーの回復に努める。すっかり満腹し、「ごちそうさまです!」とお礼を言い、さて駐車場で別れる段になって、日下氏が「ちょっとマンション書庫に戻りませんか?岩谷選書がまだ合える場所を思い出しました」と言うので、再びすっかり夜のマンション書庫へ。三人で本のミニ山を乗り越えて台所付近に当たると、確かに二冊の選書を発見…おぉ、やはり見事にダブってますなと満足し、再び山を乗り越える。だが、日下氏が山を乗り越えようとした時、「だめだ、崩れる」と一部の山を崩してしまい、足の下には風太郎の「韋駄天百里」が。「あぁ、これは申し訳ない」と慌てて拾い上げ、山の上に積み上げる。あれ?その下にあるのは東京文藝社「悪霊の群/山田風太郎・高木彬光」!すかさず「「悪霊の群」ダブってますよ。ほらここに」と手近にあったもう一冊の「悪霊の群」を手渡すと、その馬鹿らしさに大笑い。「ワハハ、本当だ。ではこちら差し上げますよ。これで、風太郎をさらに勉強してください」。やった!“棚から牡丹餅”ならぬ“足元に「悪霊の群」”!ありがたく頂戴いたします。
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というわけで嬉しい今日の労いトップ2。

その後、『環八』で酷い工事渋滞に巻き込まれながらも、午後十時前にどうにか西荻窪に帰還する。本日も大変にお疲れ様でした。そして十月もまた二回ほど、こんな過酷な作業の様子をお伝えする予定なのです。
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2021年09月28日

9/28「梶原書店」に悔いを残す。

すでに日の落ち始めた夕方、青がどんどん深くなって行く秋の空を見上げながら、『学習院下』停留所から都電荒川線に乗り込む。都電のボディの中で、東京の特徴ある高低差を味わいながら向かうのは、三度目の、いや、これが最後のチャレンジとなる9/30でお店を閉じてしまう「梶原書店」(2008/08/31参照)である。三度目の正直でお店が開いていることを祈りながら、およそ三十分の乗車時間を創元推理文庫「月長石」を読み進めながら過ごし、すっかり暗くなった『梶原』停留所に到着する。三ノ輪橋行き方面行きのホームに降り立ち、踏切を渡って横断歩道を渡って、早稲田行き方面のホームを目指す…あぁ、暗いな。自動販売機の灯りが煌々と目立つばかりだな。そんな風にすでに失望しながら、停留所のスロープを上がると、やはり停留所に近接するお店は、暗く冷たくシャッターを下ろしていた。非常に残念だが、入れずじまいの、古本買えずじまいでお別れとなる。ここに最後に来たのは、とみさわ昭仁氏・柳下毅一郎氏・安田理央氏の「せんべろ古本ツアー」に同道した時となってしまった(2017/06/29参照)。東京にかろうじて残る貴重な都電網の名残である停留所に近接した、大変にロケーションのユニークな、昭和を引き摺りまくっていた大衆的な下町の古本屋さん。店内の足元に見えていた、排水溝を思い出しながら、さようなら。
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寂しく虚しく帰りの都電に乗り込み、『学習院下』で下車。高田馬場駅にトコトコ向かいつつ、それでもやっぱり古本は買いたしと「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に立ち寄る。すると、古本女神が哀れに思ったのか、嬉しい一冊を安値でこの手に掴ませてくれた。栄光出版社「愛よよみがえれ 大量後遺症 この悲劇に生きる妻の叫び/田原総一朗・清水邦夫」である。昭和42年刊のテレビドキュメンタリーから生まれた、三池炭坑の炭塵爆発に巻込まれ、CO中毒に冒され、記憶や人間としての生き方を失ってしまった、数百人の炭坑夫たちの物語である。これはなかなかお目にかかれない一冊で、すげぇ、帯が付いている。新潮社「雪のひとひら/ポール・ギャリコ 矢川澄子訳」とともに計440円で購入する。
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2021年09月27日

9/27ちょっとだけ「古書現世」に。

夕方に仕事で高田馬場へ。すでに時刻は午後五時二十分で、辺りは薄暗くなり始めているが、まだ間に合うはずだ!と「古書現世」(2009/04/04参照)へ急ぎ足で向かう。学生の波に逆らい、『早稲田松竹』前を通過し、『高田馬場口交差点』の丘から下ってお店に到着。店頭ワゴンに三木鮎郎の「ゴルフちょっといい話」が並んでいたので手を伸ばすが、残念ながら裸本…そっと元に戻し、手指を消毒して店内に進む。グリグリドロドロ棚を楽しみ、函ナシの交蘭社「詩壇人國記/澁谷榮一」を1300円で購入しつつ、二度のワクチン接種を無事に済ませたが、副反応が何も起こらなかったので不満げな(熱を出してお店を休みたかったらしい…)店主・向井氏とあれこれお話しさせていただく。まずは本の雑誌社から出た、久々の古本屋本「東京の古本屋/橋本倫史」からスタートし、そこから町田で開催される浅生ハルミンさんの展覧会に飛び、さらにハルミンさんと村崎百郎が同僚だったことを知り、さらにさらに村崎百郎が「みちくさ市」に来ていたことも教えられ、はたまた実はブルース・リーの映画を一度も観たことがなくて、最近一気に鑑賞したこと(「どうでした、初めてのブルース・リー?」「ブルース・リーは格好良いんだけど、話がね…古いよ…」とのこと。む、ムゴい!)と、デビッド・フィンチャー監督作品も一気観して、『ゾディアック』を早朝から観てしまってゲンナリしたり、やはり最高傑作は『セブン』だなと再認識したり……などなどいつものように楽しく話している間に、いつの間にか閉店時刻の午後六時を少々オーバー。「また来ます!」と挨拶してお店を後にする。購入した「詩壇人國記」は、昭和八年刊の、都道府県(+植民地)ごとに、活躍する出身詩人を詩作や風土とともに駆け足で紹介して行く一冊。昭和初期の時代性に溢れ、知らない詩人が盛りだくさんなのが面白い。また、新進詩人として宮澤賢治(文中では“宮澤健治”となっている)が紹介されており、『詩集「春と修羅」(文中では「春と羅漢」となっている)を出版して相黨の評判をとったがその後活躍していない』と書かれている。賢治は生前はほぼ無名であったと言われているが、このように書かれているということは、注目した人・注目された時期は多少なりともあったのだろう。また三重縣の項では、北園克衛が最初に紹介されているのだが、他に活躍する詩人として橋本健吉の名が挙げられている。だが橋本健吉は、北園克衛の本名…。こんなことに気づくのも、また楽しい。ちなみに後見返しには、京都「大學堂書店」(「古本屋ツアー・イン・京阪神」P24参照。古い店構えで、家庭で録画された相撲のVHSビデオが店頭に並んでいたのを思い出す)の古書ラベルアリ。
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2021年09月26日

9/26最下段から探偵小説カストリ雑誌を。

早朝から気合いを入れてデザイン仕事。机の前に座り続けて、懸命に手を動かし頭を働かせていると、どうにか満足のいくものが出来上がる。だがその代わり、すっかり消耗してしまったので、関係各位にラフを送付し、遅めの昼食後に所用で外出するとともに、吉祥寺で古本屋をウキウキ一巡する。その結果、「古本のんき」(2021/03/31参照)で左側壁棚二列目の最下段に、文芸雑誌とは別な週刊誌などの古雑誌が出現しているのが目に留まる。スッと床にしゃがみ込み、セロファン袋に入った、昭和二十年代辺りの薄手の雑誌を検分して行く。ほとんどが「週刊朝日」だが、端の方にカストリ雑誌もチラホラ……粗悪な神に刷られた、百ページにも満たないペラペラの雑誌である。丁寧に探っているうちに、喜ぶべき一冊に突き当たる。トップ社「探偵・犯罪・実話 トップ 第五號 昭和二十二年五月」である。小さなページ下の目次に目を通すと、『蔦のある家/角田喜久雄』『残された指紋/三谷祥介』『惡戯/甲賀三郎』『盗まれた糸巻/大倉Y子』『甲賀三郎の思ひ出/江戸川乱歩』『實話片々/大下宇陀兒』などなど、探偵小説好きの血が騒ぐ文字がザラ紙上に踊っている。このようなモロい雑誌のこの内容にしては千五百円とお手頃価格な上に状態も良いので、迷いなくスパッと購入する。ぬぅ、予告ページに『若き探偵小説愛読者に贈る思い出多き傑作探偵小説集』のコピーとともに『トップ探偵小説傑作特集號』なんてのが載っている。虫太郎・不木・甲賀・濱尾・久作の諸作とともに、それらの作家を懐古する探偵小説家の一文が付随する構成らしい…欲しい…読みたい……。そして編集後記にある一文、『前號は大へんな賣れゆきであった。用紙が自由になるものなら、第二版を出したいところだが、残念!』は、陰惨な戦禍からようやく抜け出した終戦後二年弱の、自由を謳歌しつつも、まだまだ連合軍占領下で、様々な統制があったことを示している。また、『現在、探偵小説を専門にあつかつている雑誌が十誌ほどある』とも書かれており、戦中に迫害され沈黙していた探偵小説が、終戦後に一気に世間に迸った、いかがわしくおどろおどろしくも、人気ジャンルであることを表している。
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2021年09月25日

9/25『子供の時間・放送劇 黄金虫』!

どんよりした秋の土曜日、午後三時前に下馬に流れ着く…この時間なら、もう『三宿交差点』際の「江口書店」(2010/03/29参照)が開くはずだ!というわけで急いで『三宿通り』に出て、ズンズカ北上する。そして遠目に、小さな店頭台が店先に出されているのを確認し、すでに開店済みであることを確信する。その店頭台から、光文社文庫「暗闇の殺意/中町信」を抜き出し、右側の半開きサッシ戸から店内へ。帳場に店主婦人はおられないが、しばらくガサゴソしていれば、上から下りて来るだろう。まずはじっくりと棚前の大判ビジュアル本をチェック。続いて古い文学本、そして壁棚に目をやったその時、ご婦人が二階からひっそりと下りて来られた。姿を現わしたところで目が合ったので「こんにちは」と元気よく挨拶する。その後も店内のあちこちをガサゴソ…そして右側通路壁棚下の低層本タワーに、妙な層があるのを発見する。上の本を退かして掘り出してみると、ポリ袋に入った、現代演劇&舞踏の60〜70年代パンフなど…たくさん詰まって百円。さらに舞台の台本が三冊三百円…全冊北林谷栄の署名入り…スゴいブツであるが、私には必要の無いもの。誰か他の必要とする人が手にれることを願う。そしてさらにガリ版刷りの冊子が十冊ほど詰まったポリ袋…これもまた百円なのだが、一番上にあった冊子に目が釘付けになる。〔昭和三十年十一月十日(木)、午后六・〇五〜六・二五、第一放送『子供の時間・放送劇 黄金虫(1)』原作:エドガア・アラン・ポオ 翻訳:佐々木直次郎 脚色:寺田次郎 NHK放送台本〕とあるではないか!ぬぉぉぉぉぉぉ、こりゃあ恐らく、ラジオドラマの台本だ!慌てて袋から取り出してみると、すぐその下から『黄金虫(2)』も出て来た!どうやらこの二話で完結しているようだ。2の方にはキャストについても書かれており、語り手&ポオ:池田忠夫、ウィリアム・ルグラン:恩田清次郎、ジュピタア:黒木憲三、音楽:冨田勲(!!!)とある。う〜む、これは面白い珍しいものを発掘してしまったぞ。他にも村上元三原作の『風雲はやぶさ隊』や小出正吾編著の『七つ星』などもあり。文庫本と一緒に帳場に差し出しつつ、一応「これ、全部で百円なんですか?それとも一冊百円ということですか?」と聞いてみる。すると「あら、なにそれ?」「どうやらラジオの脚本みたいです」「あぁ〜。それ全部で百円。古いものだけど、捨てるなんて貴重でもったいないでしょ。だからその値段で持ってって」とニッコリ。ということで計200円で購入する。見たことも聞いたこともない「黄金虫」が突然我が手に!「江口書店」よ、ありがとう!これ、NHKに残っているのだろうか?路上でバッと全冊に目を通してみると、すべて寺田次郎という方が関わっているものなので、この人の蔵書だったことが想像出来る。
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2021年09月24日

9/24チャンスは後一回!

午前九時半、ゲラを発送した勢いを駆り、中央線→山手線→都電荒川線と乗り継ぎ、午前十時半に梶原駅下車。道路を渡って反対側停留所ホームに直結した古本屋さん、「梶原書店」(2008/08/31参照)を見に行く。今月末に閉店を予定しており、現在半額セール中なのである…だが、開いていない。シャッターが下りてしまっている。実は今月にここを偵察に来るのは二度目で、その時は夕方だったのだが、見事シャッターアウトの憂き目に遭い、入店叶わなかったのだ。ここは古本以外にも、煙草や新聞や週刊誌も扱っており、駅のスタンド的役割も果たしているので、この時間なら開いていると思ったのだが、当てが外れてしまった。九月が終わるまで後六日…まだもう一回ぐらいはチャレンジして、どうにかお店の最後を見届けたいものである。しばらく駅前の商店街などをウロウロして時間を潰すが、まったく開く気配はなし。潰しついでに、もう随分前から開かなくなっていた「ろここ書店」(2008/08/31参照)にも足を向けると、店舗はたくさんの蔦に絡まれ、古本屋遺跡と化し現存していたが、フェンスが立てられ完全封鎖状態なってしまっていた。シャッター前に野放図に生い茂る夏草が寂しい。
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仕方なく再び都電に乗り込み、帰ることにする。だが往きとはルートを換え、終点ひとつ前の面影橋まで行き、そこからは神田川沿いに歩いて高田馬場へ。ついでに頼りになる「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に寄り道し、ロマン・ブックス「七姫伝奇 若さま侍捕物手帖/城昌幸」を550円で購入し(ここの古書コーナーに出て来る「若さま侍」は全部俺が買っているのではないだろうか…)、昼間は空いている西武新宿線急行に乗って帰宅する。昼食後、郵便を出すためにちょっと外に出るが、いつものように「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)にまで足を延ばし、講談社 傑作長編全集14「女王蜂/横溝正史」を530円で購入する。
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2021年09月23日

9/23過去からの小さな贈物。

『秋分の日』なのにすっかり夏に戻ってしまった午後一時に、丸ノ内線東高円寺の北側に流れ着く。『環七』を渡り、未だ緊急事態宣言発出中なのに、祝日の賑わいを見せるJR高円寺駅に出て、『庚申通り』を北進する。「DORAMA高円寺庚申通り店」で、店頭ワゴンから新潮社「新サラリーマン読本/源氏鶏太」グラフィック社「夢二抄◉絵と文芸 山の巻・川の巻/品川洋子編」をレジに差し出すと、三冊まとめ買い割引で、10%値引の297円となる。ありがとうございます。昭和三十三年一月刊の源氏鶏太「新サラリーマン読本」(香月泰男の装幀が軽やかである!)は、お得意のサラリーマン明朗小説ではなく、自分の経験を元にしたサラリーマン・エッセイ集である。そしてこの本には素晴らしい過去からの贈物が挟み込まれていた。昭和三十三年一月三十一日発券の、東急急行電鉄『元住吉から 東急線→10円区間ゆき』の、グリーン模様の硬券である。栞代わりに『入社試験』の章に挟まっていたのだ。
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恐らくこの頃はまだ郊外然とした東横線沿線にマイホームを建てた、名車両“青ガエル”で都心に通うサラリーマンが、サラリーマンとして大成するために、仕事の行き帰りに読んでいたのかもしれない。思わぬ小さな収穫を手にしながら、その先の「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)へ。筑摩書房「スロー・ラーナー/T・ピンチョン」ハヤカワポケミス「ナポレオン・ソロ2 最終作戦/H・ホイッテングトン」を計200円で購入しつつ、ようやくワクチン接種一回目の予約が取れたことを、店主の粟生田さんに報告する。「え?二回目の予約は出来なかったんですか?ヒドい〜〜…でもとにかく、まずは良かったですね」とニッコリ。いったい二回目は、いつ打てることやら……。
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2021年09月22日

9/22東と西に補充する。

朝から古本をセレクトしながらゲラに目を通す。午後に古本をカバンに詰め込み外出。西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)内「フォニャルフ」棚をガッツリ入替補充する。三笠書房「世界怪奇物語/エリック・フランク・ラッセル」河出書房「横溝正史集」を計200円で購入し、二回目のワクチンの副反応に、さっきまで苦しんでいたという店主の小野氏とあれこれお話しする。帰り道には「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)に立ち寄り、講談社「猫は知っていた/仁木悦子」(惜しい!第2刷)東京ポスト「あの人この人50年 もいちの縦横交友録/田辺茂一」を計660円で購入する。「あの人この人50年」には江戸川乱歩の項あり。晩年は乱歩の病気であまり会えなかったことや、銀座に乱歩・城・風太郎・黒沼・角田と飲みに行く話や、熱海旅行に美人秘書を帯同させ、乱歩に睨まれる話など。家に帰り、再び古本とハッシハッシと切り結び、ダンボール箱に詰めて、無事に大阪に送り出す。明日には大阪「梅田蔦屋書店」に到着し、古書コンシェルジュさんの手に渡ることでしょう。あれやこれやとお得で面白いものをギュッと詰めて送りましたので、古書売場に並ぶまで、今暫くお待ち下さい。一日の内に東と西に古本補充を済ませ、やり切った感が身の内を駆け抜ける。
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暑さが戻って来た夕方、エッチラオッチラダンボールを運ぶの図。
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2021年09月21日

9/21『サブナード』を突っ走るのは誰だ!?

今日も夕方に仕事で高田馬場に出る。昨日の今日なので、さすがに「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に立ち寄るのは気が引ける…ここはまた来週に探りを入れることにしよう…そうだ!これからこのまま西武新宿線上りに乗って、新宿で開催されている「古本浪漫洲」(2010/03/04参照)に行くことにするか。今日から23日まで『Part5』ということで、全品300均になっているのだ。というわけで、高田馬場の端っこのホームから、もはや空き空きの電車に乗り込み(上り電車はほとんどが高田馬場で下車してしまうのだ)一駅移動し、終点の西武新宿駅。ホームを南に向かってテクテク歩き、改札を抜けて駅ビル内をさらにテクテク歩き、端っこで階段を下って深い地下に入り込み、さらに「テクテク歩いて、やがて巨大地下商店街『新宿サブナード』に至る。『新宿サブナード』と言えば、大沢在昌のニューハードボイルド小説「新宿鮫」で、その主人公・鮫島警部(新宿警察署防犯課勤務。通称“新宿鮫”)が新宿駅にいる時に、歌舞伎町のライブハウスで凶行が起こることを予見。一刻も早く急行するために制服警官とともに走り出すのだが、新宿に土地鑑のある鮫島は、人でごった返す地上ルートを選ばずに、思い切って地下に入って、人出の少ない『サブナード』を突っ走るのを選択するのだ…などということを思い出していると、あっという間に「古本浪漫洲」の会場に到着。時刻は午後五時半過ぎであるが、すでに多くの人がワゴンや棚に群がっている。この後、人はさらに増えるに違いないので、巧みにソーシャル・ディスタンスを保ちながら、素早い動きで見て行こう!と早速動き出す。結構欲しい本はたくさん見つかるが、300均ではたくさん買うと意外に値段が跳ね上がる怖れがあるので、我慢して二冊に絞る。講談社「殿山泰司のしゃべくり105日」山形謄写印刷資料館「H丸伝奇/井上修吉(小池滋)」を計300円で購入する。
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そして今日も見事に美しく丸い月が出てくれたので、そんな晩に読むに相応しい本をまた一冊紹介しよう。工作舎「月と幻想科学 荒俣宏×松岡正剛」は、博覧強記の二人が、月に関する知識と妄想をぶつけ合いまくる、月に関するあらゆる事柄に黄色く酔っ払うこと請け合いの、眩学的な対談ムック。若い頃の荒俣宏、怪人物で最高だな。
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2021年09月20日

9/20こんな夜は「つきへいったら」を。

せっかくの祝日なのに余裕なくバタバタ過ごしてしまい、祝日なのに夕方に仕事で高田馬場へ出る。そしてせっかくなので「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)へ立ち寄り、入口でペダルを踏んでアルコールジェルを手に受け、ズンズン奥の古書売場へ。一週間前に見たばかりだが、丁寧に見て行けば。きっと動きがあって何か見つかるはずだ!と信じて、棚をジロジロギロリといつも以上に丁寧に眺めて行く。すると、宝石社「死の内幕/天藤真」筑摩書房「わが人生観/坂口安吾」を手にすることが出来たので、計330円で購入する。そら見ろ、ちゃんと買えたじゃないか。普段から「ブックオフ」に馴染めぬ私にとっては、ここは本当に稀に見る相性の良い「ブックオフ」であることを改めて認識する。祝日なので午後六時前でもわりと空いていた西武新宿線急行列車に乗り込み、一気に鷺ノ宮へと戻る。そしてちょっと気まぐれに妙正寺川沿いの「うつぎ書房」(2008/08/06参照)に足を向けてみるが、ありゃりゃ、シャッターが下りている。今日はお休みかとすぐさま諦め、すっかり暗くなってしまった街を、虫の声と乾いた涼しさに秋の気配を感じ取りながら、テクテク歩いて帰宅する。
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そう言えば明日は中秋の名月と満月を同時に迎える珍しいタイミングらしいが、今日の月も充分白く明るく大きく美しい。ベランダから8×24倍率の双眼鏡で覗いてみると、巨大な天体が驚くほどクリアに間近に出現し、戦慄を覚えてしまう。こういう良い月が出ている夜は、存分に感化されてイナガキタルホや石野重道やたむらしげるを読むのも素敵だが、やはり一番のおススメは、福音館のかがくの本「つきへいったら/クロウディア・ルイス文 レオナード・ワイスガード」(2020/03/13参照)であろう。月に科学者たちとともに降り立った少年が、クレーターの観察は科学者に任せ、独りで月世界をほっつき回り、地球を眺め観察し、絶対的な孤独と青い静寂の中で、地球に思いを巡らすお話。見てるだけで、その寂しさにゾッとして、泣けて来るのです。なのでほぼ全編、月の様々な場所から地球を眺める絵ばかりなのだが、四枚だけ地球から月を見ている通常パターンも含まれている。ちなみに、この絵本は女子大学図書館の廃棄本で、残っている貸出カードを見ると、借りたのはただ一人だけである。この人も今夜は月を見上げ、遥か昔に読んだ絵本のことを、思い出したりしているのであろうか。
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これはその数少ない、地球から月を見る一枚。
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2021年09月19日

9/19二冊合わせて161人!

早朝から気張ってデザイン仕事に没頭…構想はすっかり練り上げてあったので、一気呵成にカタチにするだけ…うむ、良い出来だ!といつものように自画自賛する。その後、ワクチン予約戦争に参戦し、ようやくようやく第一回目接種の予約に漕ぎ着ける。だが二回目はワクチン供給量不明のために先送りに…まったく何だってこんな『チケットぴあ』みたいな、不毛な争奪戦を行わなければならないんだ…プンプン。ただ、電話で応対してくれた女性は、忍耐強く丁寧だった。こういう非常時は、いつだって上の不手際のしわ寄せが現場に行くものだ。誠に理不尽な世の中である。そして午後に、吉祥寺に出るために外出。その途上、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に引っ掛かり、ウィンドウの向こうで品出しをしていた店主・天野氏と目が合い、笑顔で挨拶を交わしながら、徳間書店「桂枝雀と61人の仲間/桂枝雀」を110円で購入する。見返しにマジックのサインあり。カバー絵とは裏腹な、ストイックで真面目な落語の本である。桂枝雀と言えば、怪作映画『ドグラ・マグラ』の正木博士を見事に演じた切っていた。だが何故かそのライバル若林博士役は、博士が最も似合わない室田日出男であった…。そして吉祥寺に出ると、そこはもはや日常の祝祭的賑わい。所用に取りかかる前に素早く「よみた屋」(2014/08/29参照)に立ち寄り、入口前の安売大体500円棚から、第三書館「暴走族100人の疾走 付・暴走族年表1969-1978/編・中部博」(カバー傷み、本文グラビアページ外れ…だが、どちらもこの手で修繕出来る!)を550円で購入する。16ページのモノクログラビアと、暴走族に走った男女100人の証言集。スペクター・ピエロ・ブラックエンペラー・ジョーカーズ・エルザ・極悪などなどなどなど、数多の恐怖の対象であった族のメンバーが、赤裸々に一人二ページ語りまくっている。黒い見返しに、ホワイトペンで書かれた『百鬼夜行』の文字アリ。前所有者は、『百鬼夜行』の一員か。もしくは、自分たちが、夜の世界で輝く“人外”であることを自認する(もしくは人間社会から弾き出され白眼視されていることからの)、証明サインか。そんなものたちを買って、家に戻ってからは、大阪に送る古本の準備を進める。
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台風一過の青空をバックに記念撮影。二冊のタイトルを合わせれば、161人だ!
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2021年09月18日

9/18雨の高円寺にて。

朝から不安定な天気に散々弄ばれて濡れそぼり、午後一時半に高円寺の遥か南にある堀ノ内に流れ着く。犬のようにブルンと胴震いしてから、『環七』と『青梅街道』を伝ってJR高円寺駅方面に向かう。嬉しいことに、雨はいったん上がってくれている。途中、『ルック商店街』を歩いていると、「アニマル洋子」の入っていた建物が既に解体され(2021/06/08参照)、更地になっているのを目撃する。
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一体化していた隣りの寿司屋は残されているが、切り離された部分がまるで包帯のようで、とても痛々しい…噫々、高円寺文化を体現していたような「アニマル洋子」よ、いざさらば。商店街をそのまま歩き続けて「大石書店」(2010/03/08参照)に至る。台風接近のためか、表に安売ワゴンは出ていないが、お店はちゃんと開いている。普段はワゴン専門なのだが、今日は中を覗くとしよう。そう決めてパラフィンの巻かれた古本だらけの店内に入ると、右壁棚最下段にポツンとあった、パラフィンの掛かっていない古書が、古本心をググンと惹き付ける。しゃがんで手を伸ばしてみると、大正十一年六版の冨山房「新譯 西遊記/中島孤島譯」であった。函ナシだが本は天金も輝くほど残っており美しく、背の箔押し孫悟空もハッキリ見える!装画と挿画は岡本帰一と水島爾保布!それが、千円!これは予想外の嬉しい出会いである!と喜び購入する。お店を出た後は、駅を越えて『庚申通り』に入って「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)へ。新潮社「私の現代芸術/岡本太郎」福音館書店「たくさんのふしぎ 御殿場線ものがたり/宮脇俊三文・黒岩保美」(この絵本、「宮脇俊三、こんなお仕事もしてたのか」と興味本位で買ったのだが、家に帰って『日本の古本屋』で調べてみてビックリ!結構な値段が付けられているじゃないですか…何故だかわからんが、買って良かった!)を計200円で購入し、今回も店主の粟生田さんとワクチン話に花を咲かせる。
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と言うわけで、これが今日の収穫二大巨頭。高円寺よ、古本心を、優しく抱きとめてくれてありがとう。
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2021年09月17日

9/17思わぬところに案件が。

午前十時過ぎ、ゲラを発送してから、雨が降り出す前にと荻窪へ向かう。その途中、『青梅街道』から北に一本裏手の住宅街に、日大相撲部の練習場があるのだが、その前を通りかかると、裸足で廻し姿の巨漢学生力士たちが、道路に溢れ返っているではないか。突然のもはや幻想的とも言える光景に、大いに面食らう。どうやら練習場を出る大物を、見送りに出て来たらしい。それにしても力士には、常識を超えた存在感があるなと感心しつつ、やがて荻窪へ。「藍書店」(2018/12/24参照)では、朝日新聞社「コンパクトカメラの冒険/草森紳一」晶文社「クラゲの正体/坂田明」(ミュージシャン・坂田明がクラゲについて真面目に調査研究する一冊。チチ松村の「私はクラゲになりたい」「松村クラゲくんの日常」と合わせて、“クラゲ本オールナイト”が実現可能に!)Collins「Hollywood DOGS/Suares」を計550円で購入する。「Hollywood DOGS」はハリウッド映画にスターとともに出演した、犬の写真を集めた写真集である。古い映画が多くて可愛く楽しいのだが、その中に1939年の『The Hound of the Baskervillese』という一枚が…これはホームズ映画『バスカヴィルの犬』!北原さん、案件です!
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続いて「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)では、店内BGMの初期大貫妙子を楽しみながら、世田谷文学館「時代小説のヒーローたち展」を330円で購入する。これで雨が降り出す前に家に帰れる!と家に戻って昼食を摂る。しばらくのんべんだらりとして、まだ雨が降り出さないのを幸いとし、読了&不要本となった大量の児童文学を抱えて「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に売りに行く。売ると同時に、改造社「谷崎潤一郎戯曲集 愛すればこそ」を515円で購入する。お店の外に出ると、南風のせいで何だか生暖かいのだが、まだ雨は降りそうにない。重く垂れ込めた曇り空の下を、テクテクと家に戻る。
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2021年09月16日

9/16凄腕怪奇小説アンソロジストの怪談集!

本日はアレコレ忙しく過ごしてしまうが、一瞬駅前に出て「千章堂書店」(2009/12/29参照)に今日の古本運のすべてを賭ける。創元推理文庫が店頭台や店内文庫ゾーンに並んでいるが、どれもカバーが貼付けられ、奥付がない状態…前所蔵者の意向なのだろうが。まったくこの世界には色んな人がいるんだな…と思いつつ、角川文庫「シァーロク・ホウムズの生還/コナン・ドイル 鈴木幸夫訳」「押絵の奇蹟/夢野久作」を計300円で購入する。「シァーロク・ホウムズの生還」は見たことのない可愛いカバーだったのでつい…それにしても“シァーロク・ホウムズ”の表記は、“ァ”といい“ロク”といい“ウ”といい、なかなかな斬新さである。
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そして夕暮れ、駅頭にてカバーデザインを手掛けた綺想社新刊「英國幻想奇譚集 願わくは彼女の眠り続けんことを/シンシア・アスキス」を受け取る。古の英国上流階級の社交家でありながら、凄腕怪奇小説アンソロジストの怪談集である。作品の面白さは、平井呈一が保証済み!デザインについては、編集さんから『シックにしてくれ!』との厳命を受けていたので、三十年以上前に撮り溜めておいた、廃墟時代の旧根岸競馬場スタンドのモノクロ写真をモチーフに、収録されたお話の品位を損なわぬようにデザイン。そして怪談と言えば赤や黒が常套色(造語です)だが、ここはあえてヴァイオレットを基調に!おかげさまでゴシック風で格調高い一冊となりました。本日夜より西荻窪「盛林堂書房」(2012/01/06参照)通販サイトや店頭(こちらは明日から)、それに中野「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)で発売開始。恐らく怪奇小説ファンによる過酷な争奪戦が予想されますので、落手はお早めに!…あぁ、台風が週末に通過してしまえば、これから確実に読書の秋。現在読んでいる数冊の本をひとまず棚上げし、震えながら読み始めることにしようか…。
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怪談集を歩道橋の階段をバックに記念撮影。あぁ、こういう何気なくて下らないことが、楽しくてしょうがないのです。
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2021年09月15日

9/15「推理小説ノート」のカバーイラスト。

午前十一時半に神保町に姿を現わし、用事を片付けつつちょこっとあることの確認をしたりしながら、古本屋も駆け足でパトロールする。「光和書房」(2021/02/19参照)では、かもめ新書「不連続殺人事件」(イヴニング・スター社の元本に似せたカバーデザイン)を300円で購入する。続いて「澤口書店 東京古書店」(2014/12/17参照)へ。店頭右半分は古めのみすず書房本祭である。もしかしてもしかしたらもしかすると、「心理戦争/ポール・ラインバーガー(コードウェイナー・スミス)」がありはしないかと目を凝らすが、当然そんなゴージャスな話はナシ。替わりに、端っこの棚に同じくみすず書房の『原色版美術ライブラリー』がずらっと並んでいたので、気になるテーマを引き出して行くと、あったあった。21番の「シュールレアリスム」がお目当ての滝口修造著であった。300円で購入する。早速パラパラ路上で楽しんでいると、激しく見覚えのある絵が目に留まる。こりゃぁ、教養文庫「推理小説ノート/中島河太郎」のカバーに使われている絵だ!ルネ・マグリットの『夏の階段』(1937年作)という油彩画である。
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マグリットだったのか。誰かがそれっぽく作ったコラージュかと……。後で家で確認したところ(写真はその時に記念撮影)、文庫にはカバーにも本文にもクレジットはナシ。ひょんなことから出典が判明し、ちょっと嬉しくなる。そして最後に「日本書房」(2011/08/24参照)を訪れ、プラトン社「代表的五大名家 戯曲傑作集」を800円で購入する。精算時、日本書房さんと「東京古書組合百年史」の古本屋分布図について、ちょっとお話しする。色々な方が目を通してくれていて、感謝感謝である。
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2021年09月14日

9/14ブックオフで小気味よい収穫を。

夕方に小滝橋に流れ着くが、まだ午後五時なのにすでに辺りは薄暗くなり始め、おまけに雨も強くなって来た。足を早めて高田馬場方面に向かうが、通る道は、『早稲田通り』から」坂を下った、神田川沿いの細々としたいい感じの住宅街である。やがて駅付近に出て、松本竣介の大作『立てる像』の舞台となった『東京富士大』沿いの道を走り抜けて、西武新宿線の小さな踏切を渡って『新目白通り』から回り込んで「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)へ。雨のためか今日はお客が少なめだなと思いつつ、奥の古書コーナーに突撃する。すると甘ロリファッションの女の子が、古書を引き出す度にスマホを取り出し何やら調べている、ちょっと珍しい光景にぶつかる…セドリなのだろうか?と一瞬、興味本位で思考を奪われるが、ブルンと頭を振ってすぐさま立ち直り、本棚に集中する。すると最初に意識を強力に惹き付けたのは、埼玉県立近代美術館「光の化石 瑛九とフォトグラムの世界」であった。1997年の瑛九を軸とした、フォトグラム・フォトデッサン・レイヨグラフ・シャートグラフなどのシュールで幻想的な作品を集めた展覧会の、A5版で純白の図録である。これが330円とは何たる予想外な恩恵!と大いに喜び、その調子を持続させるようにして、さらに棚から冬樹社「猫は夜中に散歩する/田中小実昌」春陽文庫「すばらしい女/宮本幹也」を見出して、三冊合計1490円で購入する。とこのように小気味よく収穫を得てすっかり満足していまい、さらに行こうとしていた新宿で開催中の「古本浪漫洲 Part2」(2010/03/04参照)を放擲してしまい、ウキウキ帰宅する。
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2021年09月12日

9/12期待に応える「ぶっくめいと」!

朝起きたら、なんだか無性にミステリー(古本)が買いたくなっていた。しかも安く!というわけで、重苦しく多少暑苦しくもある九月の曇天の下を、大山に急行する。「ぶっくめいと」(2009/08/05参照)なら、この贅沢な希望に充分応えてくれるはずだ!と盲信し、外棚のシャッターが閉められ、ビニールカーテンが入口付近を覆う、雨仕様のお店前。店頭棚に軽く視線を這わせてから、手指消毒して狭い通路に突入する。すると、店内には四人の先客がおり、みな文庫ハンターらしく、じっくりと整然と大量に並ぶ文庫を吟味している…なので、奥の帳場横にあるミステリコーナーには近付けない…ならば!と中央通路に突入し、ひとりのお客の後を「すいません」と擦り抜けさせてもらい、帳場前を経由して左側通路に戻り、奥のミステリコーナーに到達。うむ、文庫と新書サイズ本を中心に、目を惹く品揃えが、やはり期待を裏切らない。右側帳場横棚の春陽文庫&新潮文庫探偵小説群も気になるが、ここらはわりとちゃんとした値が付けられているのだ。あくまで今日狙うのは、安値のお得な古本である。カバーナシの文藝圖書出版社「恐怖王/江戸川乱歩」はカバーナシなので500円。まずはこれを確保。続いて新書サイズに真剣な眼差しを注いでいると、文華新書「リラ荘殺人事件/鮎川哲也」を見つける。昭和41年刊の、初出版の単行本である。後見返しに前所有者の購入日付けが書かれているが、お値段は嬉しいトキメキの300円!というわけで二冊を800円で購入し、欲望を見事に昇華する。やはりここは、良いお店だ。
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そして「恐怖王」巻末の『乱歩長編選書』の自社広が、なかなか大仰で楽しい。『日本探偵小説界の大御所』『日本探偵小説空前の金字塔』『大乱歩が嘗ての黄金篇に加えて最新作を選出した、これは日本探偵小説の代表作である』などなど。ちなみに最新作というのは翻案小説の「三角館の恐怖」のことである。
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2021年09月11日

9/11松本かつぢの「ふしぎの国のアリス」!

本日は午後二時前に高井戸西に流れ着いたので、『環八』を冷たいトマトジュースを飲みながらツラツラ北上し、荻窪に至る。最初に「中央線書店」(2021/04/08参照)うぇお見に行くと、シャッター半開き状態で、表に棚は出ていない…なかなか開いているところに出会えないな…と落胆しつつ、線路の下のトンネルを潜って「竹陽書房」(2008/08/23参照)へ。ミュージック・マガジンの本「私の愛した音楽・映画・舞台/野口久光」を千円で購入する。お店を出て東にジリジリ移動しながら古本屋さんを伝い、最終的に「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)へ。ぬぉ!店頭棚にお客さんが鈴なりだな!と驚きつつ、店頭にあまり拘泥せずに手指消毒して店内に進むと、店内もお客さんがたくさん!…なんだ、今日はどうしたんだ。とてつもない古本日和なのか?と訝しみつつ、店内でもミステリ棚と児童文学棚を見るだけにとどめ、すみませんすみませんと手刀を切ってお客さんの間を擦り抜け、1976年刊のサンリオ・ギフト文庫「空に小鳥がいなくなった日/詩=谷川俊太郎・絵=司修」を330円で購入する。さて、帰るかと帳場の前を離れ、入口へ向かう。店頭棚で出来た中央通路は、安売古本をハントする中腰軍団に阻まれているので、左側の大判本棚がある通路に入り込む、その時、大判棚の上に十冊強の古くてボロめの『講談社の絵本ゴールド版』が積んであるのが、目に飛び込んで来た。当然皆110円なので、何かあるかなと眼を光らせてしまう。ほとんどが昔話もの…と上から順繰りに見て行く。すると素晴らしい一冊が、ボロめなのに燦然と光を放った!講談社の絵本ゴールド版「ふしぎの国のアリス/絵・松本かつぢ 文・川崎大治」である(他に武井武雄の「ピノキオ」もあり)。昭和の叙情画家・松本かつぢの「不思議の国アリス」!慌ててページを開くと、かつぢ独特のお餅のように滑らかで愛くるしいアリスが、半分ディズニーと融合したような物語世界を、蕩かすように活躍しまくっている!これは度肝を抜かれる良いお仕事だ!と喜び、さらに大正六年刊の天弦堂書房「和歌講話/若山牧水」(函ナシ)を見つけてしまったので掴み出し、再び店内に突入して計220円で購入する。
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こまごま描かれたアリスも可愛いが、見よ!このページ大のアリスの卓越したバストアップを!あぁ、絵が上手い。かつぢ先生、オリジナルなアリスを残してくれて、ありがとうございます!
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2021年09月10日

9/10大井町で閉店作業を目撃する。

朝から大きいゲラとくんづほぐれつ…色々な資料を引っ張り出して突き合わせたり、必死に赤字を入れたりしていると、ついさっきまで秋だったのが、夏が突然笑って振り向いたような陽気になり、あっという間にお昼に。そうだ、あのお店に行かなければ!と思い出し、昼食後に身支度を整え外出する。中央線で神田駅まで出て、京浜東北線に乗り換えて南へ。途中、初めて停まった『高輪ゲートウェイ駅』と『品川駅』の馬鹿らしいまでの近さに愕然としながら、大井町駅で下車する。駅前の通りに広がる歩道屋根付きの商店街を進み、横断歩道を渡って9/12(日)に閉店してしまうという「海老原書店」(2008/08/26参照)へ。お店に近づいて行くと、何か様子が変だ。シャッターが2/3下ろされ、青いビニール紐で結束された本束が、店頭台の上や路上に置かれている…こ、これはもしや……はぁぁっ!シャッターの下に一部覗いた店内の様子をうかがうと、もはや閉店後の撤収作業中の光景が展開してるではないか。通路では三人ほどが働いており、結束本を次々と造り出していく…これはもはや入れる状態ではない。つまりは間に合わなかったということか。だが、その閉店の様子を見られただけでも、有り難く思っておこう。古本は買えなかったが、今結束されている本たちは、やがて市場に出され、それを何処かの古本屋さんが落札し、その店先でいずれ出会うことになるのかもしれない…。しかしこれで大井町からは古本屋さんがなくなってしまった。この街から、映画館も古本屋さんも消える時が来るなんて、思ってもみなかった事態である。
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そんなお店の最後の姿を眼に焼き付けて、電車に乗ってトンボ帰り。だがそのまま真っ直ぐ帰らず、高円寺で途中下車して「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)でJICC出版局「人生万才/寺山修司編集」工作舎「PSIサイ・パワー 意識科学の最前線/チャールズ・T・スタート」を計400円で購入した後、店主の粟生田さんとワクチン接種についてあれこれお話しする。
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2021年09月09日

9/9コンコ堂で松本から来た古本を。

外が雨降りなので、机の前に陣取り、大きなゲラと小さなゲラに挑み続ける。午後に雨が上がりそうになったところで、ちょっとだけ外出。いつも頼りにしている地元古本屋さん「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に駆け付け、店頭棚を一心不乱にチェックする。TBSブリタニカ「部屋の宇宙誌 インテリアの旅」(献呈署名入り)駸々堂「アンドロイド眼ざめよ」ともに海野弘をまずは掴むと、朝日新聞社「落首九十九/谷川俊太郎」に目が釘付けになる。背の上下が欠けているが、谷川俊太郎本の中でも、軽くレアな単行本である。装幀・本文レイアウトは真鍋博。
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谷川が『週刊朝日』に1962〜63年に連載した、時事や世相に刺激を受けた詩やエピグラムをまとめた一冊である。よっしゃ!今日もコンコ堂に来た甲斐がありまくりだ!と三冊を小脇に抱えながら手指を消毒して店内に進み、入口左横のだいたい500均棚から、背の焼けたみすず書房「僕の描き文字/平野甲賀」を抜き出し、計860円で購入する。ちなみに「落首九十九」の後見返しには、松本の松本城を模した古本屋さん「青翰堂書店」(2010/10/11参照)の古書ラベルの一部が、何だか引き裂かれた宝の地図の断片のように、残存している。
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この本は、遥々松本からやって来たんですねぇ。
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