2021年11月30日

11/30それでも古本は買った月曜日と火曜日。

昨日は午前九時に郵便局が開くとともに、無事に大阪に古本を送り出す。その後は一日中家に詰めて仕事をこなしまくったので、古本屋さんに行けなかった腹いせに、ヤフオクで安い文庫本を一冊即決で落札する。そして今日はひと雨来て、何だか昼間より暖かくなった夕暮れに、所用で高田馬場に外出。帰りに、暗い街路に眩しく浮かび上がる「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に立ち寄り、相変わらず店内を席巻している八十年代洋楽ポップスを楽しみながら、集英社「塵世無頼/小堺昭三」講談社X文庫「水木しげるの妖怪図鑑 下」を計660円で購入し、仕事帰りの人々で混み始めた西武新宿線に乗って帰宅する。味気ないが、しっかりと古本は買った、月曜日と火曜日である。
botk21.jpg
ところでこのところ寝る前に、日下三蔵氏よりいただいた昭和十六年刊の今日の問題社「ちりめん蜘蛛/城昌幸」を楽しく読み進めているのだが、どうもこの話の主人公“村垣邦之介”に既視感を覚えてしまうのだ。顎にほくろのある清々しい侍……確か同じ城の同光社「謎うた百万両」もこんな主人公だった気が…それに読み進めるほどに、歌にまつわる秘密が物語の核心になり始めている…もしや同光社「謎うた百万両」は、この「ちりめん蜘蛛」を改題して戦後に出版したものかもしれない(そう言えば先日の日下邸片付けで、焼肉屋に向かう車中で「城は改題出版が多いからなぁ。特に『若さま侍』は」と日下氏が呟いていた)。などと思いつくが、「謎うた百万両」はすでに手放してしまい、それを確かめる術がない。だが、日下邸書庫には確かあったはずだ。次の訪問時に、ぜひとも確認することにしよう。
posted by tokusan at 19:19| Comment(2) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月28日

11/28取材に難儀した午後。

朝から古本と真剣に戯れ、どうにか大阪行きのダンボール一箱を作り上げる。明日の朝発送予定なので、十二月初めには「梅田蔦屋書店」の古書棚にソロッと並び始めるはずである。いつものようにミステリ含有量多めで、ここでしか買えない一点もの忍び込ませてあるので、引き続き西の古ツア古書棚を、古本好きのみなさま、何とぞよろしくお願いいたします!そして午後に連載の取材のために外出。ところが目当てのお店がお休みで、ならばあのお店に!と向かったお店もお休みで、こうなったらあのお店に!と向かったお店もさらにお休みで、かなり手こずってしまう。だが、どうにか工夫して取材を完遂し(このように行き当たりばったりで動いていたら、今回の取材は少し毛色の変わったキビシくスリリングなものに相成りました。詳しくは祝!連載五年目に突入の「本の雑誌」『毎日でも通いたい古本屋さん』第四十九回の掲載をお待ち下さい)、板橋にたどり着いたので『中山道』沿いの「木本書店」(2010/05/10参照。ちなみに駅踏切近くのお店は(2009/06/15参照)はなくなってしまったようだ)に立ち寄る。表裏の戸が開け放たれた、風通しが良過ぎて冷える三角形状の店内を回遊し、ポプラ文庫「私の大好きな探偵 仁木兄妹の事件簿/仁木悦子」を280円で購入し、最近急に話題の新型コロナウィルスの変異株『オミクロン』の名を聞くと、どうも『ネクロノミコン』を連想してしまうのは私だけだろうか…などと愚考しつつ、寒さに震えながら帰宅する。
kimoto21.jpg
posted by tokusan at 17:08| Comment(2) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月27日

11/27コンコ堂で二冊目の「日本女地図」を。

午後一時過ぎに強い風の桜上水に流れ着いたので、風に抗いながらトボトボ『甲州街道』沿いを歩いて下高井戸まで出て、「豊川堂」(2019/01/26参照)の様子を見に行く。やった、今日は営業中だ。サッシを開けて中に入り、棚を隅から隅までじっくり眺め回す。左側ゾーンの壁棚下に、新たな低めの文庫平台が出現しているのを確認しつつ、キネマ旬報社「映画に乾杯 歓談・和田誠と11人のゲスト」を800円で購入する。その買ったばかりの和田誠映画関連対談集を読み耽りながら、京王線とすぎ丸を乗り次いで阿佐ヶ谷に帰還する。すると風がいつの間にか恐ろしく冷たくなっており、一気に冬の到来を感じさせる陽気の激変に戦きつつ、帰り道の「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に一時避難。ふぅむ、入口入ってすぐの右壁棚中段に、面白気でマニアック気味な七十年代周辺の新書サイズ本が並んでいる…うややっ、カバーが傷んでいるが、光文社カッパ・ブックス「日本女地図/殿山泰司」が激安の320円で混ざっているじゃないか。ついこの間コンコ堂店頭から、カバーナシの「日本女地図」を買ったばかりだが、これも買わずにおられるかっ!と、TOKUMA NOVELS「咬まれた手/日影丈吉」とともに計640円で購入する。帳場では恐らく新バイトの女の子が、店主・天野氏よりレジ打ちのレクチャ真っ最中であった。よし、昨日散財したんだから自制して、今日はこんなもんだろ。
nippon_onna_chizu.jpg
posted by tokusan at 17:01| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月26日

11/26結局二か所で盛林堂の古本を買う。

暖かな正午過ぎの西荻南に流れ着いたので、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)に直行する。店頭木箱で勁文社マルチウェーヴ・コレクションvol.1「樹液すする、私は虫の女/戸川純」拾い出して顔を輝かせ、新樹社ぶらっく選書「第四の郵便屋」「怒りの審判」ともにグレーグ・ライスと一緒に計300円で購入する。
jyueki_togawajyun.jpg
そして表紙デザインを担当した「Re-ClaM vol.7 特集:書物狂森英俊の生活と意見」「Re-ClaM eX vol.3/F・W・クロフツ」を受け取る。ついに偉大な古本神・森英俊氏の特集が組まれる日が訪れるとは!世の中まだまだ捨てたもんじゃない。などと歩きながらちょっとパラパラ目を通して、そのまま吉祥寺方面へ進路を採る。住宅街を抜けて『井の頭通り』まで出て、後は吉祥寺駅方面へ真っ直ぐテクテク。およそ二十分でギャラリー『shell 102』にたどり着く。今日からここでイラストレーター&装幀家のYOUCHANさんの個展『本を巡る冒険2 古本タワー再び』が始まっているのである。個展らしからぬサブタイトル『古本タワー再び』の意味は、ギャラリー内に「盛林堂書房」が持ち込んだ日本近代文学・探偵小説・ミステリ・幻想文学の詰まった多数の木箱が、まるでタワーのように四面に濃厚な古本を晒しながら、フロア中央に屹立することから発している。『井の頭通り』側から小階段を下り、ガラス扉を開いてギャラリー内へ。すぐに古本タワーに取り憑きたい気持ちを『待て待て、これはYOUCHANさんの個展なのだ。決して盛林堂の古本販売催事ではないのだ。いきなり古本を見始めるのは無礼な行為にあたる。まず、まず絵をちゃんと見ようじゃないか!』とグッと抑えて、壁際に意識を集中する。あぁ、渡辺温の『影』が、まるで映画『カリガリ博士』のように表現主義的で、眩惑されるなぁ…やっぱり中井英夫「虚無への供物」の奈々村久生は凛としてプリティだな…などと眼の保養をした後に、ターンして古本タワーと対峙する。すでに十人弱の先客がおり、帳場には古本の山を抱えた精算待ちの人たちが列をなしている。そしてギャラリーの主人は値札の計算にてんてこ舞いである。なので、タワーにはすでにブランクが所々発生している。だがそれでも良さげな本たちが、まだまだ気持ち悪いほどの安値で並んでいるのだ。昭和三十年代の安部公房が軒並み千円以下…講談社「虚無への供物」が三千五百円!?函ナシの新潮社新作探偵小説全集「鐵鎖殺人事件」が千円!?春陽堂書店函ナシの甲賀三郎「琥珀のパイプ」が三千円!?…あぁクラクラして来た…。そしてタワーの最上段にはポプラ社の日本名作探偵文庫がズラッと並んでるじゃないか。…い、いつかは買って読みたいと思っていた「魔の宝石/水谷準」があるじゃあないか…幾らだろう……はっ、八千円だっ!た、た、た、高いけど安い!貸本仕様だけど、ちゃんとカバーが付いていて本の状態も悪くないので、この値段は完全に超お買い得と言えよう…どうする?買うか?買うのか?買っていいのか?買っていいんだよ!買うよ!買いますよ!と結局神経を鈍麻させ、列の最後尾に並んでおとなしく順番を待って購入する。この個展は12/7(火)まで。
ma_no_houseki.jpg
あぁぁ〜ぁあ、散財しちまった。しばらく昼食は食パンで凌ぐしかないな。
posted by tokusan at 17:12| Comment(2) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月25日

11/25東京・神保町 弐拾dB 東京出張所

というわけで、昨日のタンスと本棚の呪いに罹りながら、重い身体を引き摺って神保町へ。まずは「羊頭書房」(2014/05/02参照)に立ち寄り、緊張しながら色々物色する。創元推理文庫「義眼殺人事件/E・S・ガードナー」(四版の松田正久カバーver。カバーの背に傷みと、所蔵印あり)を450円で購入する。
gigan_satsujinjiken.jpg
このジャケverが喜びの安さで!

そしてそのまま裏路地を進み、「BIBLIO」(2013/10/02参照)二階で今日一日だけ開店している「古本屋 弐拾dB 東京出張所」に向かう。尾道の深夜営業古本屋さんが、本の雑誌社から新刊を出すので、上京の真っ最中なのである。「BIBLIO」が一階に入ったビルの階段を見ると、ちゃんと「古本屋 弐拾dB」と紙看板が貼り出してある。
20db_tokyo.jpg
階段を上がり折り返して二階に至ると、開け放しのドアにも同様の紙看板が。中に入ると、そこは「BIBLIO」の倉庫の半分に大テーブルを置き、バッグやオリジナルの紙物や薬袋に入った詩片を並べている、小さなお店であった。だが、店番をしていたのは店主ではなく、本の雑誌社の編集さんではないか。何と店主はただ今東京の雑踏に疲れ果て、「ぶらじる」に珈琲を飲みに行っているとのことであった…ところで肝心の古本は?と辺りを見回すと、開かれた革トランクに何冊かの詩集などの文学本が置かれ、テーブルにお色気トランプカードが飾られているのみであった。むぅぅ、これはやはりいつの日か、尾道を訪れ深夜のお店に古本を買いに行くしかないということなのだな。と決意し、ショップカードをいただき、本の雑誌社「頁をめくる音で息をする/藤井基二」を購入する。そうして再び路上に流れ出て、「東京堂書店」前を通りかかると、今週は「野呂邦暢 古本屋写真集」は三位に着けていた。どうか、長く確実に売れてくれますようにとお願いし、帰路に着く。そして家に戻ると、皓星社「古本マニア採集帖/南陀楼綾繁」が届いていた。ありがとうございます!『日本の古本屋メールマガジン』で連載していた、市井の古本を集める人(つまりは“リテレート(在野の研者)”たちだ!)三十六人の生態を詳しく調査した一冊である。実は南陀楼さんがこの連載を始める前、飲み屋で驕ってもらいながら、古本収集者たちのリストアップに協力したことがあったのだが、この本はその時のリストを遥かに超越した、小さな声を幅広く拾い上げたものになっているようだ。武藤良子さんの装画がまた『サイボーグ009』的でグッド!それにしても、ちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集」と春陽堂書店「ハムレットを暗誦するドク・ホリデイ/岡崎武志」、本の雑誌社の古本屋関連三連発出版(「東京の古本屋/橋本倫史」「古本屋的!/中山信如」「頁をめくる音で息をする/藤井基二」)に加え、この「古本マニア採集帖」と、この初冬は古本屋関連本が活気を呈しているのが、なんとも嬉しい事態である。
posted by tokusan at 16:31| Comment(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

11/25古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸【第十一章】

すでに昨日のことである。盛林堂・イレギュラーズとなり、「盛林堂書房」(2012/01/06参照)小野氏がハンドルを握る盛林堂号で、午前七時過ぎに東京を発ち、神奈川県某所にある日下三蔵邸を目指す。継続して続けている書庫片付けの続きである(詳しい経緯は、当ブログの『古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸』記事、もしくは「本の雑誌」連載中の『断捨離血風録/日下三蔵』をご参照下さい)。都内で早めの渋滞に巻込まれながらも、車中でTVアニメ『超時空要塞マクロス』の『板野サーカス』についての考察を互いに発表し合っていたら、あっという間に現場着。午前十時前に作業を開始する。本日のミッションは、日下本邸一階奥の納戸部屋の本の整理を進めつつ、不要となる洋服ダンス一棹・タンス一棹、大型スライド本棚を屋外に搬出するという、もはや古本屋の作業を越えた、ほぼ引っ越し的作業なのである。すでに先日、私が不参加の片付け作業時に、小野氏と日下氏が力を合わせ、床の上に堆く散乱していた本や紙類は、美しく摩天楼のように積み上げられ、部屋の半分ほどが作業スペースとして使用できるよう確保されている。
1124-1.jpg
そして一部発掘されて棚に収められた仙花紙本群が欲望を刺激する景色を見せたりしている…。
1124-2.jpg
ただし問題は、巨大な洋服ダンスと大型本棚が、ちゃんと出てくれるかどうか…。というわけで、まずは部屋入口横に積み上がる六つのカラーボックスを本の上や作業スペースの奥に避難させ、さらにはタンスの上にあるカラーボックスや何が入っているかわからぬ箱類も下ろすことにする。洋服ダンスの上にある大きな箱に手を掛けると、これが物凄く重い。ゆっくりと下ろし蓋を開けてみると、「うわっ!特撮・アニメのカード類がワンサカと!」「こっちはゲーム音楽のCDがギッシリと」「わわ、これ、漫画の切り抜きがっ!」と、日下氏自身もすっかり忘れていた過去のコレクションが、白日の下に晒される。
1124-4.jpg
これは大量の漫画の切り抜き。左端の一番上は、青山剛昌のデビュー作とのこと。

うぅむ、これはスゴいと驚き喜ぶことしきり。だがこういうことで引っ掛かっていたら、タンス搬出作業と言う難事はなかなか進まぬのである。そっと蓋を戻して端に寄せ、まずは小さいタンスの引き出しを抜き、外に出すことにする…のはずが、突然ダブり本が見つかり、即座にカバーや背や奥付を確認し合う日下氏と小野氏…こうしてダブり本と認定されれば、キレイな方を日下氏が確保し、もう一冊が盛林堂の買取に回されるのである…って、今はそんなことしてる場合じゃないでしょう!
1124-3.jpg
というわけで、タンスは無事に部屋を出て、トイレ前を通過して廊下に曲がり込み、玄関を経由して無事に庭に出すことが出来た。続いて洋服ダンスである…これ、出るのか?いや、入ったから出るんだろう。良く見ると上下が分かれるようになっているので、これならどうにかなりそうだ。ところが上の大きな方が、トイレ〜廊下クランクのところで引っ掛かってしまった。「もうちょと上に上げましょう」「今だ、そっち捻って」「こっち角度ないよ」などと苦心しながら、どうにかこうにか搬出に成功する。するとその騒ぎを聞き付け、日下氏のご両親が姿を見せ、懸念材料だった不要家具類の搬出成功に、身に余るほどの感謝の言葉を浴びせかけてくれた。どうやら、もう一生出せないものかと、諦めていたらしい…そりゃあ本が部屋一杯の誰も踏み込めぬ状況を見ていたら、そう思いますよね。
1124-5.jpg
午前のうちに洋服ダンスとタンスの搬出に成功!

重度の肉体労働後、部屋に戻って次は事務作業に突入する。タンスの消えた壁際に避けておいたカラーボックスを積み上げ、そこに多種の探偵小説雑誌を並べて行くのである。元々この部屋にあった物や、本邸書庫のものを合わせ、年代順に揃え、欠号を後から埋めることも考慮し、棚に挿して行く。小野氏が雑誌を掻き集め揃え、日下氏がそれを棚に入れて行くのだが、私は揃った雑誌を日下氏作成のチェック表に照らし合わせて、欠号を炙り出す作業に従事する。
1124-6.jpg
「宝石(増刊別冊含む)」「探偵倶楽部」「探偵実話」「LOCK」「密室」「推理ストーリー」「推理文学」「黒猫」「奇想天外」「獅子王」「宇宙塵」「幻影城」etcetc…その果てしなく地味な作業を、午後二時まで行う。そして昼食のために外出した帰りに、マンション書庫に立ち寄り、「妖奇」「探偵倶楽部」「奇想天外」「宇宙塵」を引き上げて本邸に戻り、ダブりや欠号を確認しつつ棚に収めていく、次第に出来上がって行く棚は、やはり壮観である。進めば進めるほど、日本最高峰の探偵雑誌棚に近づいて行くのである。だが、今日はまだ後ひとつ、やらねばならぬ難事が残っている。そpれは本の山の向こうに隠れた大型本棚を出すこと!ならばもうその準備にかからねばならぬのだ。というわけで、すでに大量に発生しているダブり雑誌を和室に逃がし、小野氏が窓際に本の山を移動させつつ、さらに雑誌確認作業を進めて行くことにする…そしておよそ一時間半、本棚の端が見えて来たが、本棚と奥の棚の間に、本を満載したガラスキャビネットが発掘されてしまう。ここに入っているのは日下氏のお父様の本なので、ババッと取り出し要不要を確認してもらうとともに(日下氏が「これはいる?」と横のお父様に聞くと「いらない…あっ、その『雨』は必要」「これは大事」などとやり取りし、しっかり吟味していく…むぅ、この親にしてこの子あり!と言ったところか)、キャビネットを庭に運び出し、さらなる作業スペースを確保する。そしてついに、本棚の偉容がチラリと見えた。
1124-7.jpg
ふわぁ、たくさん古い探偵小説系の文庫本がズラズラズラリ!俄然他も見たい意欲が湧き上がり、三人力を合わせて山の移動に取りかかる。…さらに三十分後、端の大量の紙物山を退かし、全貌を出すことに成功する。スライド本棚なんだ…と手前側をスライドさせると、奥には大下宇陀兒や木々高太郎や角田喜久雄が収まっているではないか。
1124-8.jpg
グむむむむむむ。急いでそれらを慈しみながら取り出し、本棚を空にする。棚板を取り出し、スライド棚部分も外し、重量の軽量化を図った後に、決死の搬出作業に入る。これも上下が分かれてくれたので、とても重いが洋服ダンスほど難儀はしなかったの救いであった。全員肩で息をしながら、日下氏と小野氏は美しく開けた壁にメジャーを当てて、カラーボックスが幾つ積み上げられるか検討する。
1124-9.jpg
その間に盛林堂号に不要本やダブり本を積み込み、本日作業終了…おつかれさまでした。日下氏から作業の労いとして、城昌幸時代小説セットをいただく。同光社の函入り『若さま侍捕物手帖』が嬉しいが、特に嬉しいのは今日の問題社「ちりめん蜘蛛」と違う「宝石」に挟まっていた雑誌付録、岩谷書店「獄門島 完結篇/横溝正史」である。おかげで疲れがぶっ飛びました。
1124-10.jpg

「いやぁ、本当にありがとうございます。おつかれさまです。スゴく進みました」と喜ぶ日下氏とともに、焼肉夕食を摂りに行こうとお家を出ると、二階ベランダからも「本当にご苦労さまでした」と声がかかった。部屋の灯りで暗闇に浮かび上がるのは、日下さんのお母様である…なんだか『一本刀土俵入り』みたいじゃないか…とホンワカ思いつつ頭を下げ、焼肉を食べに行く。そして午後十時半、東京に帰投する。
posted by tokusan at 09:33| Comment(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月23日

11/23小さいのにLPだった。

今日も夕方に高田馬場に出て、その帰りに西武新宿線・都立家政駅で途中下車し、相変わらず店の歌がジャカジャカ流れている「ブックマート都立家政店」(2011/12/13参照)に立ち寄る。すると店頭棚最下段にたくさんの300均EPレコード(70〜80年代)が出されていたので、ついついしゃがみこんでペラペラと眺めてしまう。そして見つけたのがこれ!CBS SONY「SONY INTERGRATE GOLDEN DISK」。非売品のレコードで、ソニーが出していた高性能ステレオ装置『インテグレートシリーズ』のために作ったレコードらしい。そして実はこのレコードの回転数は33・1/3であり、コンパクトサイズのLPレコードという位置づけなのである。だがそんな事柄は私にはどうでも良くて、ジャケットのイラストが明らかに和田誠なので、心がキュピーン!と戦慄いた次第。というわけで店内に突入し330円で購入すると、久々にお会いしたテンチョーさんが「そっちにもたくさんレコード入荷しているんで見てってくださいよ」と、前のめりに話しかけて来た。「いや、今日はいいですよ。見始めるとキリがなくなるんで」「そんなこと言わずに」「いや、今日は…」とビシッと断ると「ううっ、拒否られた…」としおらしく凹んでしまった…本当にゴメンナサイ!でも必ずまた見に来ますよ!とお店を後にする。
golden_disk.jpg
キラキラジャカジャカ派手な店頭をバックに。

その後はテクテク歩いて高円寺に出て、ちょっと『庚申通り』に入り込んで「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)へ。店頭の木箱から、FABBRISTAMPA「This is LONDON/W・H・ALLEN」(1964年のリプリント版で背イタミ)を見つけたので300円で購入する。ロンドン案内絵本の名著である。
this_is_london.jpg
この線路に吸い込まれそうになるピカデリーサーカス地下鉄駅の洒落たイラスト!
posted by tokusan at 19:25| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月22日

11/22馬場のぼると柳原良平の素晴らしさ。

昨日は沼袋に用事で出たので「天野書店」(2008/11/14参照)にちょっと立ち寄る。…以前見つけて買おうどうか迷った本を、こうなったら買ってしまうか!と目当ての本棚の前に立つと、その本があった場所だけがポッカリと空いてしまっていた…ウカウカしていたら、う、売れてしまったか。まぁもう四ヶ月以上も前のことだから致し方ないが、それにしても古本屋さんを細かく周り、目ざとく本を見つける猛者がいるものだ、と感心することしきり。だが、そんな風にして気持ちが宙ぶらりんになってしまったので、テクテク野方まで西武新宿線の線路沿いを歩き始める。空はどんよりと曇り、ここも立派な大都会東京の一角だと言うのに、恐ろしく静かで、人っ子一人見かけぬのはどういうわけだ…だがそれも駅が近づいて来ると終わったので、線路の南側に出て、新しい古本屋さんが出現しているかもしれない『野方文化マーケット』を覗いてみるが、故買屋さんと飲み屋さんが幅を利かせており、ちょっとおいそれと中に進めない状況なのである。おじけづいて諦めて、いっそのこと電車に飛び乗り、上井草の「井草ワニ園」(2019/01/05参照)に助けを求めることにする。ほどなくしてお店にたどり着き、店内の狭い通路をあちこち行き来して、こぐま社「馬場のぼる 猫と漫画と故郷と」を900円で購入する。いやぁ、馬場のぼるがスケッチした猫が、果てしなく可愛い!身悶えしてしまうほど可愛い!この可愛さは、安泰や森やすじに肉迫する可愛さだっ!このように正確に猫の可愛さを捉えられるからこそ、漫画タッチの絵本『11ぴきのねこ』シリーズが、あれほどに輝くのだな!とまたも感心することしきり。
baba_noboru_neko.jpg

そして今日は雨降りの夕方に高田馬場に出たついでに、いつものように「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に潜り込む。天井から降り掛かる八十年代洋楽ポップスを聞きながら古書を漁り、大泉書店「パンとぶどう酒と太陽と/神原くにこ」ほるぷ出版「動物詩集/室生犀星」フジ・インターナショナル・コンサルタント出版部 企業の現代史41「サントリーのすべて サントリー」を計660円で購入する。「サントリーのすべて」はカバー表紙がちょっと擦れてしまっているが、昭和四十年刊の新書サイズの企業史本で、執筆陣が大宅壮一・山口瞳・開高健・北杜夫・越路吹雪・吉田健一などと豪華な上、カバーデザインや挿画は当然柳原良平が担当している。柳原の仕事は細かく、たくさんのイラストプラス、『企業案内』のグラフや表まで手描きで仕上げているのには、ただただ感服するしかない。
yanagihara_nihonchizu.jpg
見よ、この一目で柳原良平の仕事とわかる、特徴ある日本地図を!
posted by tokusan at 20:03| Comment(4) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月20日

11/20ロボットの科学*大特集!

午後三時のおやつの時間に吉祥寺に流れ着いたので、いつものように古本屋さんを巡りつつ帰ることにする。最初に古本を買ったのは、今日は女の子が店番の「バサラブックス」(2015/03/28参照)。信濃毎日新聞社「復刻 製糸女工虐待史/佐倉啄二」を300円で購入する。藤森成吉が「女工哀史」の姉妹編として激賞したと言う希書の、昭和五十六年復刻版である。続いて「古本センター」(2013/07/01参照)に入り込み、店頭処分棚から小学館入門百科シリーズ「工作入門 おもちゃの作り方」とアスペクト「表参道のヤッコさん/高橋靖子」を選り抜き店内に進むと、帳場前の棚下に、光文社のカッパ・コミクス「鉄腕アトム」がたくさん積み上がっているのに、気持ちを惹き付けられてしまう。そう珍しくはないシリーズ本なのに、何故惹き付けられたかと言うと、一番上になっている一冊がちょっと変わっていたのである。普通は手塚治虫の一枚絵が表紙になっているのに、それは電子計算機の写真に、アトムとお茶の水博士の絵が合成されているのだ。
atom1.jpg
一応このコミクスは『アルプスの決闘の巻』となっているが、『ロボットの科学*大特集 夏休み臨時増刊号』とも書かれている…かなり気になったので手に取ってみると、主役であるはずのアトム漫画は三分の一しか載っておらず、他は巻頭から福島正美をメインライターとしたロボットや電子計算機の記事で埋められているのである。これはぜひとも入手しておこうと、先述の二冊と合わせて計1950円で購入する。
atom2.jpg
見よ!この魅惑的な挿絵を!

阿佐ヶ谷に帰り着き、「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)の店頭棚前で立ち止まると、光文社カッパ・ブックス「日本女地図/殿山泰司」のカバーナシ本を発見してしまった…見つけたからには救っておこうと、立風書房「悪霊 きつね屋敷/古賀新一」とともに計220円で購入する。「悪霊 きつね屋敷」は表題作より、併録の『モンキー彦一』の方が奇抜で斬新な漫画である。猿にそっくりな少年が、村を襲う猿軍団と人間の仲立ちになろうと、猿の着ぐるみを着込み、彼らと交流し知恵を授けることにより、猿軍団の信頼を勝ち得て行くのだが…(時には火の着け方まで教えたりする)。まるで早過ぎた『猿の惑星 創世記』……。そして家に帰って今日の朝日新聞朝刊を捲って行くと、おぉぅ!筑摩書房の広告に「野呂邦暢 古本屋写真集」の書名が!いやぁ、まったく予備知識の無い人が見たら、どう思うんだろうかと、そこはかとなく気になってしまう、愛すべき文庫本なのである。
chikuma_ad.jpg
posted by tokusan at 18:08| Comment(5) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月19日

11/19一位と展示。

冬が近づいているような午前の寒さを感じながら、水道橋に出る。すぐに『白山通り』を南下して「日本書房」(2011/08/24参照)へ。今日はパラフィンを巻いた古書が多く出されているな…と思いながら右側の安売台の下に屈み込み、収納された箱を探る。見つけたのは昭和二年刊の精華堂「おもしろいおとぎばなし? さるのへんぽう/みやましげる」。創作おとぎばなし23編が収められた短篇集だが、『魔の窟』『不思議の女』『化物屋敷』『玉子の願望』など、冒険譚や怪談や現代怪談や玉子が戸棚の中で人間になりたがる話など、一筋縄ではゆかぬおはなしが集められているので、千円で購入する。続いて『靖国通り』に入って「原書房」(2014/05/15参照)へ。店頭ワゴンの霊や占い本の中に、創元社「猫と庄造と二人のおんな」(昭和十四年刊の普及版で函ナシ)が挟まり喘いでいたので、救出し五百円で購入する。安井曽太郎の猫の絵が可愛い。さらに『靖国通り』を東に進みつつ、一旦裏の『すずらん通り』に足を向け、『東京堂書店』のガラスウィンドウ前。こじんまりと展示されている「野呂邦暢 古本屋写真集」のパネルを眺め、文庫売り上げ一位を大いに喜ぶ。
noro1.jpg
ちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集」編者署名入り本は、まだまだ販売中ですので、神保町にお立ち寄りの際にお手に取っていただければ幸いです!そして『靖国通り』に戻り、半ば戦場と化している「田村書店」(2010/12/21参照)店頭に身をねじ込む。良さげな文学系の古書の山に手を突っ込み、掴み出したのは亞細亞ヘラルド社「英國社會劇 腕環 附・萬里の長橋」である。当時帝国劇場で上演され、評判になった劇の脚本である。二百円で購入する。次に「玉英堂書店」(2010/10/31参照)の店頭小説単行本箱を何気なく覗くと、すぐに異様な一冊が目に留まった。講談社「けものたちは故郷をめざす/安部公房」昭和三十二年初版のオリジナル版である。後見返しには道玄坂時代の「文紀堂書店」(2010/03/02参照)の古書ラベルアリ。何故これが店頭に出されている!と驚きながら取り上げ、値段を見ると激安の八百円なので即座に購入してしまう。…神保町…やはり恐るべし…。そして最後に「東京古書会館」(2010/03/10参照)に立ち寄り、今日から二階の展示場でスタートした『東京古書組合百年史展』を観覧する。入口に飾られた四代目古書会館の看板文字の立体感と存在感に度肝を抜かれ(何故こんなものがちゃんと保存してあったんだ)、茶色い多種多様な古書目録の嵐に眩惑させられ、古い支部報や古書店地図に涎を流す。ちなみに『古本屋分布図』もパネル展示されており、その元となった手書きの地図もケース内に飾られていたので、ただただ感謝である。展示は12/7までで、なんとその後北海道小樽にて巡回展示がされるとのことである。
kemono_udewa.jpg
嬉しい本日の収穫。下が「英國社會劇 腕環」である。
posted by tokusan at 14:04| Comment(4) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月18日

11/18カバーデザインあれこれ。

本日は暗くなる前に中野と高円寺の中間に流れ着いたので、高円寺を経由してテクテク歩いて帰ることにする。当然その過程で「古書サンカクヤマ」(2015/02/02参照)に立ち寄り、朝日新聞社「図像観光 近代西洋版画を読む/荒俣宏」を百円で購入。充分なる満足を得て、改めて家路をたどる。ところがその途中に編集さんより電話が入り、阿佐ヶ谷駅頭で待ち合わせることにする。足を早めて家にたどり着き、ちょっと用事を片付けてから、すぐさま外出。改札前に白い大きな犬が横たわり、行き交う人の耳目を集めている駅頭にて、カバーデザインを手掛けた新刊を受け取る。
invisible_host.jpg
綺想社「姿なき祭主 そして誰もいなくなる/グェン・ブリストウ&ブルース・マニング」。クリスティ「そして誰もいなくなった」に先駆け刊行された、二十二階建て高層ビルのペントハウスで繰り広げられる連続殺人を描く、1930年刊の、クローズド・サークル・ミステリーである。というわけでカバーでは、何処にも逃げられぬ絶望の果てに見上げた美しい青空をイメージしてみました。11/23の『文学フリマ』より発売が始まるようで、同時に「盛林堂書房」(2012/01/06参照)や「まんだらけ海馬」(2015/02/06参照)でも店頭でもお目見えすると思うので、お楽しみに。早く読み始めたくてウズウズしながら編集さんと別れ、本を小脇に抱えて再びの帰路。当然「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)に立ち寄り、講談社文庫「お噺の卵/武井武雄」エイプリル出版 artback「ルック・アット・ザ・ウィンドウ/ウイルヘルム・クローナ作」春陽堂日本探偵小説全集「不連続殺人事件/坂口安吾」(カバー付き)を計750円で購入しつつ、店主の天野氏に、ちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集」販売取扱のお礼を伝えると、入口横のウィンドウ前に飾られた文庫を指し示し「これ、表紙本当に格好いいですよ!」と本気で言われ、かなり照れてしまう。だが、そんな風に言っていただけて、とにかく嬉しかったのである!ありがたやありがたや。そして家に帰ってからは、大阪に送る古本の準備をジワジワ開始する。
posted by tokusan at 18:29| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月17日

11/17本の中から帯が出る。

古本を携え午前十一時前の西荻窪に到着。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)前に到着すると、大型トラックが横付けされており、結束した廃棄本の山を運び去るところであった。日々大量の古本を購入する古本屋さん。その中には、当然店にも百均にも催事にも回せぬ、売れる見込みのない古本も含まれているのだ。…古本を捨てるのも、またひとつの古本屋さんの大事なお仕事なのである。トラックが走り去るとともに店内に滑り込み「フォニャルフ」にトトトと補充する。そして帳場に向かい、店主・小野氏と前回イレギュラーズとして参加出来なかった日下三蔵邸片付けの進行具合と次回作業の確認、十二月刊行予定の盛林堂ミステリアス文庫新刊・宮野村子三冊目の打ち合わせ、リレー連載『ミステリ懐旧三面鏡』について、盛林堂仕入れ分のちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集」が瞬時に売り切れたこと、などなどについてお話しする。その過程で小野氏に手を動かしていただき、持参したぷろふいる叢書1「ホテル紅館★赤い蝙蝠/大下宇陀兒」にパラフィンを掛けてもらう。「この本、ウィンドウに入ってるよ」と言われて見に行くと、未アンカットのかなりの美本であった(ちなみに私の本はすでにカットされているので読めるようになっている)…す、すげぇ…。
hotel_kurenai_parafin.jpg
おかげさまで丈夫な見易い子になりました。

そしてついでに、小栗虫太郎の「倶利加羅信號」(ぷろふいる叢書)と「倫敦塔奇譚」(河出書房記録文学叢書)について聞いてみると、やはり出版されていないだろうとのことであった。ウゥム残念。やはり広告だけなのか。だが、もしかしたら、まだ見知らぬ本が現れる広大な古書の海からならば、いつか、ふいと見つかる時があるのかもしれない…。そんなことを夢想し始め、お店をおいとました後、荻窪に移動して「藍書店」(2018/12/24参照)で新潮文庫「愛のゆくえ/ブローディガン」を110円で購入し、「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)で光文社「黒地の絵/松本清張」(初版)を330円で購入する。この「黒地の絵」は、カバーを取り外すと表紙に鮮やかなオレンジの帯が巻かれ隠されていた。ラッキー!とカバー上に巻き直し、家に帰ってから同じ光文社「点と線/松本清張」(第四刷。旧「ささま書店」百均で購入したのだが、これも中に帯が挟まっており喜んだ覚えが。2019/11/10参照)と記念撮影する。
kuroji_no_e.jpg
うふふふ、なんだか快い眺めだ。しかし「点と線」は昭和三十三年の二月が初版で、「黒地の絵」は同年の六月が初版である。この二冊の間には「眼の壁」も出されているので、昭和三十三年の二月〜六月の五ヶ月間に光文社は清張の単行本を三冊も出版しているのか。全く持って凄まじいな。
posted by tokusan at 14:37| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月15日

11/15色々届いて喜ぶ。

一日を閉じ篭って過ごしたので古本屋さんには行けず終い。だがその代わりに、なんだか素晴らしいものがたくさん届いたので、ご紹介しておこう。まずはヤフオク落札品の、末廣書房 ぷろふいる叢書1「ホテル紅館★赤い蝙蝠/大下宇陀兒」である。ライバルナシの2810円で落札。
1115-1.jpg
実はこの本、以前落札した同じ宇陀兒の「宇宙線の情熱」とともに同じところからほぼ同時に出品されていたのだが(2021/10/09参照)、五千円スタートだったので『これはすぐにとても手の届かない値になるだろう』と、さっさと諦めて手堅く「宇宙線の情熱」に入札したのである。ところが!昭和十一年刊のぷろふいる叢書の1巻で、傷んでいるがカバーまで付いているのに、誰も入札しないのだ!そしてみるみる値段が落ちて行くのだ!こ、これはほっとくわけにはいかないぞ!だ、だが、もうちょっと安くなるまで我慢して静観(と言いつつも、心の中ではハラハラドキドキ)していようと『ウオッチリスト』に加えておいたのである。そして、2810円でついに我慢出来なくなり落札!本日無事に手元に届いたわけである。確かにカバーの背の上下や、本体の背にも欠けがあるのだが、全体的にはしっかりしており、品質の良さが保たれているのが嬉しい。紙は上質で、フランス綴りで、天と小口がアンカットなのである。それに、なんと素晴らしい高井貞二のデザインワーク!現代でも充分通じるこのセンスの良い軽やかさに、昭和初期の懐かしさを超えるモダンさを感じ取って、ただただ痺れるばかりである。巻末の自社広に、ぷろふいる叢書の六巻目として小栗虫太郎の「倶利加羅信號」が予告されているが、これは出版されたのだろうか?…あぁ、先日の「倫敦塔奇譚」に続き(2021/11/08参照)、また出版されたか定かではない謎の小栗本の広告に出会ってしまった。うぅん、楽しい。
1115-2.jpg
そして他には岡崎武志氏の新刊!春陽堂書店「ドク・ホリデイが暗誦するハムレット」と、古本乙女のカラサキ・アユミさんから、四六版サイズの古本屋写真私製ハガキが届く。カラサキさんのハガキは「野呂邦暢 古本屋写真集」献本の礼状なのだが、結局は今すぐに古本屋に駆け込みたい熱過ぎる気持ちと、子育て中の我が子に『古本英才教育』を施し立派な『古本戦士』に育てる宣言が、雄々しく表明されているのであった。息子さん、将来、あまりの英才教育の辛さに古本に憎しみを抱くようになり、山岡士郎みたいに(グータラ社員なのに、時折恐ろしいほどの古本の知識を垣間見せるのだ!)なっちゃうんじゃ…。
1115-3.jpg
posted by tokusan at 19:14| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月14日

11/14久々の高円寺『あづま通り』にて。

ワクチン接種後暫く苦しめられた倦怠感が、ようやく立ち去ってくれたので、その喜びを噛み締めるように、ブラブラ午後の散歩に出かける。するといつの間にか高円寺『中通り』にたどり着き、駅に向かって歩き続けている。ややっ、店舗営業を終了した「都丸書店」のシャッターに、デザインさせて貰った東京古書組合のポスターが貼り出されているではないか。浅生ハルミンさんの展覧会チラシと併せ、何だか素敵なアンバランスレイアウト感に喜ぶ。
tomaru_poster.jpg
そしてそのまま駅北口を横切り、東の『あづま通り』に入り込んで行く。…おっ!「中央書籍」(2011/11/15参照)が開いているのに、久々に出くわしたぞ。お祭りの縁台のように古本を並べた店頭を眺めてから、暖房が効き過ぎている店内へ。昔と変わらず人文や思想が幅を利かせる棚を眺めた後、ペヨトル工房「銀星倶楽部5 ★特集★幻獣・機械」を200円で購入する。丸尾末広の『日本人の惑星』と杉浦茂の『砂の星DUNE』がぶっ飛び過ぎていて凄まじい破壊力…。お店を出たら通りを北に遡上し、「越後屋書店」(2009/05/16参照)の様子をうかがいながら(残念ながらシャッターアウト…もしかしたらもう開くことはないかもしれない…)「十五時の犬」(2011/11/22参照)前で立ち止まる。店頭棚を一通り眺めてから、手指を消毒して店内に進む。相変わらず棚が複雑に高く立て込んだ、濃縮迷宮的な空間…それにしても海外文学幻想ミステリ系に、ものすごくデッドストック的ダブり本が多いことに、改めて気付いてしまう…何故?右側通路に身体を横にして進み、大量の本の背と至近距離で闘い続ける…なんと、梶龍雄のハードカバー単行本が一冊あるぞ!講談社「ぼくの好色天使たち」の帯付きである。そっと引き出し値段を見ると、思わずほくそ笑んでしまう1500円だった!すぐさま帳場に差し出し購入し、今日たまたま散歩気分で久々に『あづま通り』に足を向けた己に、『でかしたっ!』と精一杯の馬鹿みたいな謝辞を捧げる。
kousyoku_kaji.jpg
posted by tokusan at 16:12| Comment(0) | 古本屋消息 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月13日

11/13夢Qと乱歩。

未だ抜け切らぬ倦怠感につきまとわれたまま、昼過ぎに三鷹北口駅前に流れ着く。…古本を買って魂を鼓舞し、どうにか乗り切ろう。そう決めてまずは「水中書店」(2014/01/18参照)へ。桃源社「酔いどれひとり街を行く 都筑道夫〈新作〉コレクション4」新潮社「極地に逝ける人々/ド・ラ・クロワ」話の特集「怪しい来客簿/色川武大」を計300円で購入し、本日の古本屋巡りに先鞭をつける。続いて「りんてん舎」(2019/03/30参照)に向かい、店頭が木箱が店沿いに積み重なる形態になったのを確認し、奇想天外社「別冊・奇想天外 SF再入門大全集」河出書房「一分間に一万語 リングの死闘と新実存主義/:ノーマン・メイラー」(ビニカバは付いてないが拾い物!)桃源社「霊魂は訴える/香山滋」を確保して店内に進む。ややっ!中央通路のミステリ関連棚に、春陽堂日本小説文庫「瓶詰地獄/夢野久作」があるじゃないかっ!昭和十一年の十二版で値段は……せ、千五百円!これは“買う”以外の選択肢はありえないでしょう。と計1960円で購入する。
bindume_jigoku.jpg
おぉ、おぉ、久作よ夢Qよ…。

さらに身体は疲れて行くが、精神的には甚だ高揚してしまったので、そのまま吉祥寺まで徒歩で移動し、まずは「一日」(2017/08/11参照)の安売ガレージへ。東京創元社クライム・クラブ「藁の女/カトリーヌ・アルレェ」教育出版江戸東京ライブラリー「快絶壮遊〔天狗倶楽部〕/横田順彌」を計440円で購入する。さらに「バサラブックス」で宝石社「再婚旅行/佐野洋」を100円で購入し、「古本センター」(2013/07/01参照)ではハギパゲコミックス「BASTARD!! 未使用・改訂版/萩原一至」を250円で購入し、最後に「よみた屋」(2014/08/29参照)で毎日新聞社「土手の見物人/伊馬春部」を110円で購入し、段々と背中で重くなる古本にも体力を奪われながら西荻窪へ移動。「盛林堂書房」(2012/01/06参照)にて、北原尚彦氏よりの『古本トレード』の獲物を受け取る。あぁ、古本を買ったり受け取ったりして、溺れた溺れた。北原氏との古本トレードは、集英社おもしろ漫画文庫「名探偵ホームズ」JNコミックス「名探偵ホームズ 4人のサイン/望月三起也」「空想科学推理小説 黒い鳥」を差し出し、鎌倉文庫「鏡地獄」一聯社「魔術師」ふじ書房「幽鬼の塔」の江戸川乱歩戦後仙花紙本セットを受け取る。いやぁ、喜びがにじみ出てしまう。この三冊、仙花紙本なのにとても綺麗なのである。特にそのうちの二冊はデッドストックと言わんばかりのピンピン状態。実はこの本を氏が盛林堂さんに預ける時に中身を見せたら、「めちゃくちゃ綺麗な状態ですね」「こんな状態の乱歩邸ぐらいでしか見られませんよ」と褒められ、北原氏が「しまった、一度に出すんじゃなかったか(笑)」と後悔する一幕が。しかしすでに後の祭りである。ありがたくニヤつきながら拝受いたします!
rampo_senkashi.jpg

そしてそろそろ発売になる「日本古書通信 2021年11月号」の、盛林堂書房・小野氏と北原尚彦氏と私の三人でお送りするリレー連載『ミステリ懐旧三面鏡』第二回は、私が担当し『探偵小説の皮を被った陰鬱な狼』のタイトルで、スピッツの2ndアルバム『名前をつけてやる』と埴谷雄高『死靈』を私的に関連づけた小話を執筆しております。何のことやら見当もつかないと思いますので、どうか誌面に当たって真相を確かめていただければ幸いです。
posted by tokusan at 18:26| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月12日

11/12本日が発売日です!

ワクチンの副反応か、とてつもない倦怠感に襲われている。何をするにも「よいしょっ!」と気合いのかけ声をかけないと、重い身体が動いてくれない…あぁあ、早く治らないかな。ということで今日は家で静かに過ごすことにしたので、まずは昨晩のお話を。すでに暗くなった阿佐ヶ谷駅駅頭で編集さんと待ち合わせ、二冊のカバーデザインを担当した本を受け取る。綺想社「シルヴィアは誰?/シンシア・アスキス」は、先に発売された英國幻想奇譚集「願わくは彼女の眠り続けんことを」から漏れてしまった一編を、一冊にまとめた補遺文庫である。非常に可愛らしいですな。同じく綺想社 綺想紙漿雑誌暴譯叢書玖「パルプ地獄變/フランク・グルーバー」は、「コルト拳銃の謎」や「海軍拳銃」で有名なアメリカの作家の、ニューヨークのビル街に根を下ろす、一九三〇年代の“パルプ雑誌”界という弱肉強食のジャングルを、栄誉と金を手にするために、飢えながら這いずり回る自伝物語である。それはまさに、原稿採用の仕組みや各雑誌のギャラまでが細密に書き込まれた、パルプ作家残酷物語!訳は直訳的な個所が散見されるが、それを差し引いても、手に汗握る面白さなのである!恐ろしいまでの連続ボツ!そして栄光の光射す、一語幾らの採用!いやぁ〜、売文業のキビしい世界、コワいなぁ〜…。どちらも西荻窪「盛林堂書房」や中野「まんだらけ海馬」でお求めになれますので、ご興味持たれた方はぜひ!
silvia_pulp.jpg

そして本日は、ついにちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集/岡崎武志&古本屋ツアー・イン・ジャパン編」の正式発売!この古本屋愛の籠った前代未聞の素人写真・写真集を、何とぞよろしくお願いいたします!
norotei_okazaki.jpg
写真は巻末近くに載っている、旧野呂邸門前に立つ、十一年前の岡崎武志氏。ゲラで初めて見て驚きました。そしてやはり嫉妬していしまいました。編者署名本は、我が地元阿佐ヶ谷「古書コンコ堂」(2011/06/20参照)でも販売しておりますので、重ねて何とぞよろしくお願いいたします!
posted by tokusan at 17:23| Comment(6) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月11日

11/11東京・新宿 TOKYO BOOK PARK×東急ハンズ

bookpark_hands.jpg
朝起きたら、左上腕の痛みとぬるま湯的倦怠感に身体を重く包まれ、残念ながらイマイチの体調。だがやるべきことはサッサと済ますかと外出して、新宿に姿を現わす。駅の宙空の『新南口』改札を抜けると、柱の多い上下にサンドイッチされたような空間が広がる。『高島屋』脇の空中デッキに出て、スタスタと南に進む。そしてどん詰まりの、午前十時を少し回ったところの『東急ハンズ新宿店』二階に入り込むと、目の前のイベントスペースで古本市初日がスタートしていた。二十一世紀世代の古本屋さんが集まり、各地「PARCO」で開催されている古本市「TOKYO BOOK PARK」が、東急ハンズと手を組み、新宿に進出したのである。参加店は「古本うさぎ書林」(2009/07/07参照)「にわとり文庫」(2009/07/25参照)「ハナメガネ商会」(2014/04/26参照)「徒然舎」(2012/05/24参照。ただし旧店舗)「folklore」(2018/03/09参照)「クラリスブックス」(2013/12/01参照)「東京くりから堂」(2009/10/29参照)「一角文庫」「リズム&ブックス」(2011/08/10参照)である。クロスなどで洒落た装飾を施された、テーブルや木箱や木棚が組み合わされ重ね合わされ、六つの島を造り出している。それにしても、ハンズは今開いたばかりなのだが、すでに島には数人の籠を持った女性が取り憑き、大量の洋書絵本を積み重ねている…すげぇな。くるくると島の間を満遍なく動き回る。「一角文庫」さんの建築本が良い味を醸し出している。また「くりから堂」さんの旅行系古書もたまらんなぁ…などと楽しむ。文化出版局「ミステリーは私の香水/小泉喜美子」を500円で購入し、「徒然舎」さんの開店十周年記念ポストカードをいただいて、フラフラと帰路に着く。この市は11/24(木)まで。
posted by tokusan at 12:56| Comment(0) | 東京 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月10日

11/10副反応に備えてコミックを。

午後二時に、二度目の新型コロナワクチン接種を受けるために、阿佐ヶ谷駅近くのマンションモデルルームを改造した接種会場へ。二十分後にはすべてを終え、身体が変わった実感のないまま、雑踏に吐き出される。そのままテクテク歩いて荻窪へ。「古書ワルツ荻窪店」(2020/07/30参照)で河出新書「まいまいつぶろ/高峰秀子」若木書房 TEEN COMICS DELUXE「こうもり男爵/飛鳥幸子」(タコ糸補強がされた貸本仕様)を計660円で購入する。さらに古本屋をたどりつつ、「竹陽書房」(2008/08/23参照)へ。新潮コミック「漱石事件簿/古山寛・原作 ほんまりう・画」を200円で購入する。文豪・夏目漱石が探偵役(あるいは狂言回し)を務めるミステリーコミック。南方熊楠・平井太郎(江戸川乱歩。二話目は『団子坂殺人事件』。昨日に続き縁があるなぁ)・岩田準一・永井荷風・伊藤晴雨・小泉八雲・森鴎外・宮武外骨・野村胡堂・宇野浩二・柳田国男・折口信夫などがゾロゾロ登場するので、楽しい楽しい。谷口ジロー&関川夏央「坊ちゃんの時代」の肌触りに近い構成と作風である(実際あとがきの対談では「坊ちゃんの時代」からの影響が語られている)。そして倫敦篇では、アーサー・コナン・ドイルどころか、ホームズも奇抜な登場の仕方をするので、完全な案件なのであります。
souseki_koumori.jpg
副反応で熱が上がったら、ボケラ〜ッと漫画を読んで過ごすことにしよう。

そしてそろそろ発売になっている「本の雑誌 にしんそば夜回り号」の連載『毎日でも通いたい古本屋さん』では、赤塚の「司書房」に突撃!いやぁ、スパスパ安めの気になる本を買い集め、満足満足。また巻末の『今月書いた人』では、私も岡崎武志氏も、ちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集」のことを書いちゃってます。その小さな写真集ですが、早いところではそろそろ発売されたりしているので(盛林堂書房さんでは、店頭でも通販でも署名本を販売中!)、見かけたら、気にしてください!手に取ってください!中を見てみてください!お買い上げください!よろしくお願いいたします!
posted by tokusan at 18:18| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月09日

11/9『Y坂の殺人事件』!

今日も夕方にお仕事で、かろうじて雨の上がった高田馬場に出没。帰宅する間際に「ブックオフ高田馬場北店」(2012/11/15参照)に滑り込む。最奥の古書コーナーを一巡し、東大學生文化指導會「現代文學人名辭典」宝文館「マイクと言葉/篠田英之介」を計440円で購入し、電車が激しく混み合う前に帰宅する。「現代文學人名辭典」は昭和二十三年刊の厚さ1.7ミリの仙花紙本辞典。
toudai_bungakujinmei.jpg
内外の有名文学者が、『日本篇』と『西洋篇』に分かれて載っているのだが、パラパラ見ると、何と少ないながらも肩書きが純粋な“探偵小説家”として、三人が収録されているのを発見したのである。その栄誉に輝いているのは、江戸川乱歩・甲賀三郎・小酒井不木(木々高太郎は『林躁 小説家』として載っていた。また他にも探偵小説を書いた黒岩涙香・江見水蔭・押川春浪や大衆小説作家などの名も並んでいるが、他ジャンルも多く手掛けているので、肩書きは“小説家”や“翻訳家”となっている)。甲賀は『科学畑出身の緻密な頭脳を以て複雑な筋を主とした探偵小説を發表した』、小酒井は『「戀愛曲線」は、戀愛とは縁遠い筈の科学者が、戀愛の原動力である心臓をめぐって、探偵小説的ストオリイを展開するのだが、法醫学的知識が充分に活用されている』などと紹介されている。そして大乱歩だが、『従来の探偵小説の質を高めて推理小説とした點に意義がある。後次第に頽廃的な雰囲気を扱うようになった』との説明が為されている。代表作として、『二銭銅貨』『一枚の切符』『心理試験』『Y坂の殺人事件』等…わ、“Y坂”!?…ということは、ゆ、“幽霊坂”…?恐らくクイーンの「Yの悲劇」と混同してしまったのではないだろうか?…きっと探偵小説に興味のない人が書いたのだろうな。財團法人東大學生文化指導會、しっかりしておくれよ!
toudai_rampo.jpg
posted by tokusan at 20:52| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月08日

11/8直接献本。

夕方にお仕事で高田馬場に出たので、『早稲田通り』を東に向かい、坂を駆け下りて「古書現世」(2009/04/04参照)に滑り込む。通路を狭める買取本の壁やダンボールに抗い、棚を舐めるように眺めて行く。昭和十二年刊の河出書房 記録文學叢書2「ゴールド・ラッシュ かりふおるにや繁昌記/木村毅」を1300円で購入しつつ、町田で開かれている『浅生ハルミン ブック・パラダイス展』の特色刷り大判ポスターをバックに掲げ、黒いオーバーオールに黒マスクの店主・向井氏に、ちくま文庫「野呂邦暢 古本屋写真集」を献本させていただく。すると「ついに古ツアさんもちくま文庫入りを果たしたわけですね。おめでとうございます」と言祝いでいただく。そして、早稲田のページをパラリパラリ。「文献堂書店の写真は貴重ですよ。本当に残ってないんですよ。早稲田の本書く時に色々調べたんですけど、一枚も出てこなかった」「この脇道にあるお店は寅書房で
すね(元版はp47、文庫版はp53参照。これが古本屋さんだったとは、気付かなかった…)。めったに開かないお店だったんです」「BIGBOXの古書感謝市のポスターだ」などと早速小さな文庫本のページの中にグングン入り込んでくれたので、思わず目を細めてその光景を慈しんでしまう。その他に、買取の話や好調だった先月の売り上げの話や、贅沢にもハルミンさん本人を連れて観賞した『ブック・パラダイス展』の話など。あぁ、古本心が暖まる。
gold_rush.jpg
お店の前で「ゴールド・ラッシュ」を記念撮影。この本もとても面白いのだが、同じ記録文學叢書の巻末広告に掲載されている「ガスパー・ハウゼル/森下雨村」「マルキ・ド・サード/木木高太郎」「倫敦塔奇譚/小栗虫太郎」の三冊に度肝を抜かれる。特に小栗の「倫敦塔奇譚」!こんな本、本当に出ているのか?とアワアワしながら調べてみると、ネットでは情報が何も浮かび上がって来ない…出版されなかったのだろうか?
kirokubungaku_ad.jpg
posted by tokusan at 20:28| Comment(0) | 追記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする