2008年09月20日

9/20千葉・市川 初上陸三店!

ツアー初の千葉県は、永井荷風終焉の地・市川で古本屋巡り。最近、川越・大森と空振り続きのため、戦々恐々として街をさまよう…。


aoyama.jpg●市川「春花堂」
市川真間駅から通りを南下、するとまず目に入って来たのは大きな丈夫そうな板。通り過ぎながら目をやると、何と裏側には本がビッシリ!そしてその奥に、本に囲まれた細長〜い通路のようなお店…何と言う古本屋か!この入口にある板のような本棚は、どうやら扉でもあるようだ。閉店時はこれをこのままバタンと閉めるのだろう。…閉店したところを中から見てみたい…出口のない、出口であるべき場所が本棚の古本屋…脱け出すには本を抜き取って、体当たりするしかないのだっ……とまぁ色々面白いことが考えられる店内へ。扉の棚には安売りの単行本。左には文庫や雑誌・ビデオ・ちょっと古めの少女漫画。右にも大量の少女漫画。本のトンネルを奥に進むと、青年・少年コミックが連なる。左には絶版コミックも多く並ぶ。さらに歩を進めると、右側にはずららっと文庫が奥まで続いている。さまざまなジャンルごとに50音順、新しいものから70年代くらいまでがメインのようだ。左はレジを挟み、映画・写真集・実用・趣味・山岳など多ジャンルの単行本が奥まで続く。その行き止まりに、半開きの古めかしい扉が見える。『どうぞ奥もご覧ください』の貼紙。では遠慮なく、とドアに体を滑り込ませて中へ入ると、そこは表とは別空間!アンティーク感溢れる古本屋が、忽然と出現しているのだ!これはスゴイ!表は仮のお店で、裏にホンモノのお店…何だかスパイの基地のカモフラージュのよう…と、しばし感動に打ち震える。木の床・抑えられた照明・壁を取り巻く木製の棚…。二本の背中合わせの棚と、平台代わりの大きなテーブルも確認。手前の平台には児童書がワンサカ積み上げられている。右の棚からグルリと見て行くと、岩波の絶版文庫・世界の文学・評論、角を曲がり政治・社会・選書などが並ぶ。奥には『立入禁止』と大書された扉が半開き。閉めといた方がいいと思います。二本の背中合わせの棚は、一本目の表が歴史・戦記で、裏が海外文学・ポケミス。二本目の表が新書、裏には数種類の日本文学全集が収まっている。その向かいの奥の壁には、個人全集・浮世絵関連・文学復刻本などが、足元に宝塚パンフや浜省のLPを見下ろし並んでいる。そしてこのお店のメインとも思える左の棚には、大量の日本文学が威圧的にドドドッと並んでいる。…まさか店の奥にこんな秘密が隠されているとは…とひたっていると、店の人たちが置いてあるテレビで競馬中継を見始め、楽しく愉快に喋りっ放し…何だか人の家にいる気分に…。またこのお店で特徴的なのは、貼紙や本に巻かれている手製の帯。すべて独特でクセと味のある、だが読みやすい文字で書かれているのだ。この統一性は『青山堂フォント』とか出せば売れるのでは、と思わせるほど。面白いお店だなぁ。とにかくお店の構造に心を射抜かれました。想像するに細長い部分は恐らく廊下で、奥の部屋部分が喫茶店か何かだったのだろう。廊下を店舗にしてしまうとは、下北や原宿の洋服屋のような空間の使い方!時代を先取りした本のトンネルに拍手!……それにしても店名はどこに書いてあるんだ…。(※以前はお店の名前を「青山堂」と書いていましたが、後日「春花堂」であることが判明。訂正いたしました。青山堂は以前のお店の名前だそうです)


chishin.jpg●市川「智新堂書店」
市川真間駅から西へ。京成線線路沿いに建つ、江戸時代イラスト入り看板のあるお店。広い店頭には50円均一のカバー無し文庫、文庫・ハードカバー・箱入り本の並んだラックが置かれている。右にはショウウィンドウが広がり、巨大なこけし達と共に、古書がディスプレイされている。気持ちのいい風が吹き抜ける、店内のコンクリ土間に足を踏み入れる。右にレジ、そしてショウウィンドウ裏。三方の壁は奥の住居入口以外は本棚。店内には三本の背中合わせの棚。真ん中の棚はレジまで伸ばされ、奥でしか行き来は出来ない。本を眺めると基本的にはインテリジェンス高めな雰囲気。左の壁から雑本とは呼べない多ジャンルの本が、雑本のように並べられ、風俗・文化などの本が品を落とさず続いていく。向かいは文学評論や幻想文学が並ぶ。澁澤龍彦の名前を見つけてホッとするなんて…。住居入口部分には暖簾が掛かり、風が吹くたびフワッと浮き上がる。さっきから奥に誰かいるような『カリッカリッザザッ』というような音が聞こえてくる。何気なく暖簾の奥を見ていると、そこには丸まった一匹の柴犬!自分の足を舐めている音が聞こえていたようだ。視線に気付き、こちらを見上げる漆黒の瞳…おぉ、かわいいね…が少し警戒しているようなので、あまり深入りせず次の棚へ。一本目の棚の裏は日本文学と下段のアイドル写真集。土地柄か永井荷風の本が多く並ぶ。向かいは講談社学術文庫や少量のアダルト。ここの通路は何だか安心するなぁ。その裏は新書や日本の美術関連。向かいにも浮世絵や刀剣などの美術・工芸本が収まる。その裏には考古学の学術本。壁際はもうガチガチに硬い本で、古典・郷土史・歴史・戦史など箱入りの本が棚を埋め尽くしている。店内を行きつ戻りつ犬を覗き込みつつ、何か買えないかと思い慌てたが(本を買って犬の名前を聞こうと画策)、こう言うときは無理をしてもしょうがない!何も買えずにあえなく退散!『智』を新しくすることが出来ず無念…。


souko.jpg●市川「草古堂」
市川駅南口、ゆうゆうロード沿いにある。店名から勝手に想像した古色泰然としたお店とは正反対で、その姿は店のロゴ以外、まるでリサイクル古書店。ドアに下がるフィギュア、店頭で売られているのは景品グッズ…ウィンドウ内にも古道具らしきものが。せっかく来たんだから取りあえず見てみるか、と不埒な心がけで店内へ。左に多く見える古本のコーナーに進もうとすると、家族連れのお客に阻まれ進むことが出来ない。仕方なく右側から見ることに。雑誌ラックや廉価コミックの棚を越えて右奥へ。ここには古道具が集められている。その中には古い「女性自身」が収められたラックも。壁際にはカメラの入ったガラスケースが置かれ、その上に兵器や拳銃の本が置かれている。さしずめ『男の夢』コーナーだろうか。この右奥の通路は、残りはコミックで埋め尽くされている。通路中ほどの棚の脇には『名作文庫』と銘打ったコーナー(多くは新潮文庫)と児童文学が少量並ぶ。他の店内本棚の脇にはガチャポンフィギュアが多数ぶら下がっている。二本目の通路は文庫の通路。レジ近くの右側がマニアックな品揃えで、細かくジャンル分けされ絶版文庫も多く並ぶ。さしずめミニ古本屋・文庫バージョンと言った趣き。レジ下にはビニールで包まれた絶版コミックが収められ、永井豪や水木しげるが目立っている。三本目の通路は、ゲーム・CD・サブカル本が並ぶ。レジ横には、行き止まりの小部屋状アダルトコーナー。先ほどの『男の夢』コーナーと対角線上…あちらが夢ならこちらもまた『夢』。と言うわけで、左奥の四番目の通路がスゴイ!今までのお店の印象を大きく覆す棚作り。右には数学・哲学・思想、奥は実用・紀行・辞書。左の壁際は、文化・歴史・宗教・風俗・戦記・日本文学が古い本も含め堂々と並ぶ。そして最奥に幻想・異端文学のコーナーが。量はそれほど多くはないが、ツボを押さえた充実ぶり。幻想文学別冊の「日本幻想作家名鑑」も売っている。うーん、このお店は一体どこに一番力を入れているのか…。それをまったく感じさせない店内ジャンル勢力図。削ぎ落とさずに、全部を生かすこの構成!やはり古本屋は奥が深い!深過ぎる!東京図書「青春のガロア/A・ダルマス」話しの特集「昭和悪友伝/加藤武」を購入。

風の強い市川の街は、どうやら古本屋漂流者を優しく受け入れてくれました。何だか懐かしく、潮の匂いのする街に感謝!
posted by tokusan at 23:16| Comment(2) | TrackBack(0) | 関東 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本日三件巡って参りましたが、残念ながら智新堂はお休みでした・・・。

春花堂の奥の空間は本当に凄いですね!
多分古ツアさんが訪問された時より混沌度がアップしてるのかな?洗濯物がおいてあったり熟睡中のかわいい猫がいたりで本当に人の家にいるようでした(笑)
あの独特のフォントと薄暗い照明と混沌とした店内で、異次元にトリップしたようななんとも不思議な時間を過ごしました。

草古堂は私には幕張店のほうが好みでした、今度は検見川店にも訪れたいと思います。
Posted by k at 2011年10月13日 17:07
k様。「春花堂」のフォントの秘密を、実は私はみたことがあります。びんの修正液のフタなどに付いている、小さな筆で書いているのです。もはや職人芸の域ですよね!
Posted by tokusan at 2011年10月13日 22:30
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