
駅北口・6番商店街にある。目的の古本屋が跡形もなく消え去っており、茫然自失で『どこかに古本屋はないものか…』とさまよっていたら発見。喜びとともに店に近付くと、徐々に判明する異様な雰囲気…。『正札に付いている値段より全品さらに半額』『川西杏のお店』『川西杏のCD発売中!』『川西杏は若者ともライブをしたい!』……川西杏って誰だろう?たくさんの疑問と、一抹どころか多大なる不安を抱えて店内へ。打ちっ放しコンクリの内装、壁際に置かれた様々なタイプの本棚、棚代わりのスチール机、足元には本が詰まったダンボール、あちらこちらにたくさんの貼紙、そして誰もいない……。左の棚に目をやると、文庫・新書・多ジャンルの単行本が並ぶ。本は汚れたり背が焼けていたり、あまり状態は良くないようだ。本を出し入れする度に、棚が『ニッチニッチ…』と前後に揺れる。その棚に軟らかい本から硬い本まで統一性なく並んでいるのだ。特徴を言えば児童文学が多いところだろうか。本棚には『万引きは人生をダメにする』と言う貼紙が垂れ下がり、それを捲らないと本が見えないところも。足元のダンボールにはハングル文字の雑誌や、これも状態の良くない岩波文庫が入っている。最奥の壁際にはスチール机。その上に箱入りの学術書類が縦に並べられている。壁にはまたもや大量の貼紙。ほとんどは川西杏氏の活躍についてのもの。川西氏は在日二世の歌手で、先ほどから店内に流れる歌も、彼の歌のようだ。とここで恐ろしい貼紙を発見!何とここで本を買う時は、その本と代金を持って外に出て、斜向かいの不動産屋へ来るようにとの旨が地図入りで明記されているのだ!何と言う古本屋だ…。豪気にもほどがる…。『店員がいなくてもご自由にご覧下さい』とも書いてある。あぁ…この店に店員はいないんじゃないだろうか…。ただし『最新の防犯カメラ』が稼働中らしいので、不埒な行為は当然慎まねばならない!右側の壁際は心理学やコミックがほとんど。しかし奥の棚は見所あり!古書と呼べる古い本が(相変わらず状態はあまり良くないが…)上から下まで収まっている。文学や風俗関係の本が多く、中には大宅壮一の古いエッセイや城左門の訳詩なども。全体には何だか閉店する古本屋のいらない本を、そのまま棚に並べた感じである。と言うわけで、いよいよ本を手に取り代金を握り締め、いざ不動産屋へ!こちらにも『川西杏の店』と書いてあったので、迷うことはなかった。戸を開けると白髪の恰幅のいいおじさんが女の子と商談中。本を手にした闖入者の姿を見て一瞬の間…。そして「あ、本?」。ハイと答えて本を差し出す。何故か受け取らないのでテーブルに置くと、女の子が「何?コイツ?」と言った感じでこちらを見上げる。ようやくおじさんが本を手に取り、値段を見ると「50円」。えっえぇ〜〜〜!!!『1000円』の正札が付いてて半額だから『500』円……じゃなくて『50円』!?1/20じゃないすかっ!何だか感謝と言うよりは、ひたすら驚き!100円を渡すとおもむろに立ち上がり、入口脇のナゾの箱に手を突っ込む。ジャラジャラと中から取り出したのは、鷲掴みの小銭。その中から10円玉をより分け「ハイ、ありがとう」と言い手渡してくれる。う〜んう〜ん、何もかも既存の価値観や常識が通用しないスゴイお店だ。後で駅前にある、この不動産屋の展示場と言うのを眺めると、たくさんの「川西杏プレミアビデオ」が。その中に「因果境界線」と言うビデオがあり、よく見ると「根本敬のべったらべたらVIDEO」と言うシリーズ。やはりその世界では有名な方のようです。新建築社「宮脇檀対談集」を購入。
posted by tokusan at 21:18|
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あと、店を出て烏山駅に戻る途中、体に張り紙を付けて松葉杖を持って歩く川西杏氏を見かけました。店外でも自己主張の活動は盛んに行っているようです…。