2008年10月11日

10/10北海道・札幌 趣味の古書 北海堂


hokkaidou.jpg北の大歓楽街・すすき野にあり、場所柄のせいか夜遅くまで営業している珍しいお店。しかし煌びやかなネオンに目もくれず古本屋に直行…野暮の極みですな…。すっかり暗くなった夜の街に浮かび上がる古本屋…見れば見るほど不思議な気分。そして店の名前が、ど真ん中直球ストライクだけどいい。異を唱える余地はゼロ!店頭には安売りラックが二つ。ビニールがかけられているが、中の本は瀕死の本ばかり…ちょっと嫌な予感が背中を走る。しかし店内に足を踏み入れた瞬間、そんな予感は払拭!意外なほど奥行きのある店内。キレイに揃えられた本棚が、ズワッと続いている。古めかしい本が多く、全体を見ただけで気持ちが逸り、止められない。壁は左右とも天井までの本棚。真ん中には背中合わせの棚が一本……さて、ここからいつもだったら店内のジャンル配置の説明に入るのだが、後ほど起こるある事情のため、詳しい位置が脳内から飛んでしまったのである…。そこで取りあえずはジャンルを羅列。文庫(所々手製のカバーが掛かった不思議な本あり!)・絶版文庫・全集本・自然科学・北海道本・日本文学・探偵&幻想小説・戦記・辞書・海外文学・アダルト・新書・映画・演劇・脚本・歴史・建築・美術・実用・医学・料理・LPレコード・児童文学・etc...。古い本が多く掘り出し物感満載の棚が続く。夜更けの宝探しはことさら楽しい。奥のレジには中年の女性が一人。途中で店主らしき初老の男性に交代したところから事件は始まる!私はすでに右通路は見終わり、左通路も2/3を過ぎていた。ここでこちらを伺っていた店主が「何かお探しですか?」と声をかけてきた。特に目的もなく楽しく棚を見させて貰っている旨を伝えると、店主は突然ブレーキの壊れたダンプカーへと変貌したのだ!株価下落の話からスタートし、競馬・ロト6・政治・北海道の政治・文学・商店会・ノーベル賞・火事・バンド・女優・古本屋・東京・地上げとの戦いの歴史・死刑制度……もうありとあらゆる話題をマシンガントーク!最初は棚を見ながら話していたのだが、途中からまったく棚に集中出来ず、『えいやっ』と腹を決めレジ前へ。差し向かいで小話を30以上聞きました…。その小話の落ちは半分がダジャレで、しかも何だか落語風。あぁスゴイ話術を持った古本屋さんだ…なんて楽しそうなんだ。途中で常連さんらしき人が入って来たが、棚を見ながら店主の話を聞いて笑い声をあげる。どうやらこの店ではこの棚の見方が正しいスタイルのようだ…未熟者でした。私はこの時、選んだ本をすでにレジに置いているのだが、まったく精算する気配はない…。すでに30分以上話し続けている。もうこうなったら『蛇に睨まれた蛙』『まな板の上の鯉』、拝聴し続けてやろうじゃないか!…さらに30分経過。東京で田辺茂一に会った話・大宅壮一の笑い顔を見た話・大江健三郎にあしらわれた話・ゆずの話…もうどうにでもしてくれぃ!と思ったところで質問。北海道と言うことで「佐藤泰志の本は無いですか?」と聞くと「誰?それ?…知らないなぁ〜横山やすしなら知ってるけど。俺、知ったかぶりはしないよ、正直に言うよ」…いやごもっとも。そして余計な一言にも感謝!この後、永井荷風・谷崎潤一郎・三島由紀夫へと話は流れ、いつのまにやら一時間半。すっかりタイムリミットなので、暇を告げるとようやく精算状態に。そこで「本二冊を買うのに、こんなに時間がかかったのは初めてです」と真意を伝えると「スマン!」と即座に笑いながら謝罪。何とも憎めない店主です。ここで気付いた店主に似てる人…オシムです!オシムに似ている、和風オシム!…四角い感じも似ている。そして最後の最後に、本に書皮(紙のカバー)を付けているところで、この店のオリジナル書皮が川上澄生の作品だと教えられる。昭和四十五年に直接お願いして作ってもらい、版木もしっかり保存してあるそうだ。とここから話は棟方志功と浅虫温泉の話へ流れ、またもや10分経過。長いような短いような強烈な一時間四十分でした。もしここを訪ねる機会があったら、お酒を持って行き飲みながら話すことをオススメします。あぁぁぁぁぁぁぁ…。朝日文庫「私の三面鏡/沢村貞子」中公新書「未来の思想/小松左京」を購入。
posted by tokusan at 09:09| Comment(6) | TrackBack(0) | 北海道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
先日、札幌に行った折に「北海堂」に行きました。この店の雰囲気を取り上げているブログを探してみたら、貴兄の記事に行き着きました。改めて、面白く、変な店であることを実感しました。私もアップしたした。
Posted by ヴェラソワ at 2012年05月11日 10:56
コメント&たどり着いていただきありがとうございます。このお店のオヤジさん、まったく変わっていないようですね。長時間おつかれさまでした!ブログの写真を拝見すると、看板が少し新しくなっているよう。しかし文中にあった、昆虫本を集めたお店が気になってしょうがありません。次回札幌に行く時は、ぜひとも訪ねてみなければ…。
Posted by tokusan at 2012年05月11日 21:06
すすきので仕事をしている者ですが(水商売ではありません)、いつも入ってみたいと思っていたこの店に初めて入ってみました。上に書いてある通り店主から「何かお探しですか?」と聞かれ、ただふらっと立ち寄ったのだと話すと、そこから1時間店主のお話が続きました。主にすすきのの歴史を教えてもらいました。また時間のある時に行きたいと思っています。
Posted by at 2013年05月07日 21:43
すすきの勤め様。ワハハハ、店主さん相変わらずなようですね。しかも授業をたっぷりと。もはやみなさん、あの怒濤のトークを楽しむ余裕のモード!これもまた、古本屋さんの楽しみ方の、ひとつと言えるのでしょう。
Posted by tokusan at 2013年05月08日 21:25
北海堂さん、閉店されたようです。今年の春ころには看板もなくなっていました。3年ほど前に入ったときは店主のマシンガントークも健在でした。
Posted by 札幌民 at 2020年10月17日 16:10
札幌民様。コメント&情報ありがとうございます。そうですか、閉店されましたか。そうなると、聞いているときは大変でしたが、改めて心に大幅に余裕を持って、店主の汲めども尽きぬお話の数々を、聞きたい気にもなってきます。すすきのも少しさびしくなってしまいますね。
Posted by 古ツア at 2020年10月19日 20:40
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