●熊本「舒文堂河島書店」繁華街のアーケード・上通りを北上し、アーケードが終わり並木坂通りに入ると、すぐ右手にある。入口は奥まっており、その手前には大量の特価ラックや本棚がひしめいている。右側には金メタリックの厳しい店名プレート。左側の壁にあるライトを見上げると、そばに何かがへばりついている。おぉ!ヤモリの彫刻。身をS字にくねらせ、明かりに接近中のその姿は、まるでつげ義春の『やもり』(高松で買った本にその場面が掲載されていた。シンクロニシティ!?)。屋根の下に入ると特価本・100円文庫・新書・雑誌・美術書。文庫には、これが100円?と言うものがさりげなく並んでいる。このスペースだけで、もうちょっとした古本屋。ショウウィンドウの中には宮本武蔵の画幅まで!入口横には巨大な木彫りのフクロウと、『29日まで20%OFF』の貼紙が!やった!胸を躍らせながら店内へ。右側にレジがあり、二人の女性が「いらっしゃいませ」。店内は静かで天井が高く、背の高い本棚が山脈のようにそびえている。壁はすべて本棚で覆われ、真ん中に背中合わせの棚が三列、真ん中以外は手前と奥に一本ずつ置かれ、中央に通り抜け出来る通路が確保されている。三列それぞれ入口側の脇に、細長い棚が設置されている。真ん中の奥には、畳敷きの台が置かれ、その奥には薄暗い部屋が見えている。レジ前、左の棚から見てみると、『趣味』と言う大枠で括られた棚で、映画・相撲・落語・料理・写真・お茶・山岳・自然科学などが詰まっている。とても面白く目が離せない。手を伸ばすことも多くなり、非常に時間を食べられてしまう恐るべき棚なのだ。レジ側には全集と海外文学が並ぶ。床にも全集の島があり、その上に文庫などが重ねられている。通路棚の脇には三本の文庫棚がそびえる。右から日本文学、海外文学&エッセイ、学術文庫というラインナップ。ここも全部に目を通さないと気が済まない棚作り。さっきから奥とレジを店主と若者が行き来している。全員何だか知識の泉な会話…そして色んなことがしっかりしていて働き者。朝10時からちゃんと開いてるのもスゴイ!全体的に自然な規則正しさと、規律が感じられるお店なのです。一番左端の通路には、伝記・美術・宗教・哲学・教育・社会科学・民俗学が並び、多くは箱に収まった厳格な姿である。二番目の通路は、古代史・詩歌・俳句が並ぶ。三番目の通路はすべて郷土の本。左には長崎・福岡など九州各地方、右には熊本郷土誌がドッサリ並ぶ。当然地方出版社のものが多く、出版社名を見てるだけでも結構楽しめる。店の最奥は薄暗く、ショウケースがぐるりと巡らされ、古典籍や掛け軸などが美術館のように収められている。傍らでは先ほどの若者が、たくさんのフクロウの置物に囲まれパソコン操作。そして一番右の通路は文学スペース。通路棚は中国文学と古典、そして壁際の、近代文学評論・近代文学・郷土文学の充実っぷりに目を瞠る。地元に所縁のある作家には特に力が入れられている。夏目漱石・小泉八雲・寺田寅彦・徳永直・上林嘵…正にこれはその地方ならではの醍醐味。通路の終わりにはガラスケースが設置され、日本文学のプレミア本が古色泰然とした姿で収められている。古い本がとにかく多い。そして全体的には硬めなのだが、硬めながらも優しく微笑みかけてくれる本が混ざっているのが、棚をいい感じに緩めてくれている。そのせいか、むやみな敷居の高さはなく、ちょっと居心地がよかったりする。店内のそこかしこには、扁額や絵画・版画などが飾られ、知の空間に彩りを添えている。ここは何度来ても新しい発見があり、踏み込めば踏み込むほど奥が広がって行く、懐の深〜いお店なのでした。新潮文庫「コンビニエンス物語/泉麻人・いとうせいこう」ちくま文庫「犯罪百話 昭和篇/小沢信男編」を購入。
●熊本「古書籍 天野屋書店」並木坂通りをさらに進むと左手に発見出来る。雨のため店頭ワゴンにはブルーシートが掛けられている。店の横には『二割引三十日まで』の貼紙…おぉここもか!と喜び勇んで店内へ。目の前には先客が一人。文庫棚の前にしゃがみ込み、何やら難しい顔で棚を物色中。その脇にはすでに数冊の本の山…真剣勝負なのですね。その文庫棚から見始める。並びはバラバラな所もあるが、目を惹く本がチラホラ。先ほどのオジサンは三番目の棚前から、テコでも動きそうにないので、取りあえず右の棚に移動。掛け軸の掛かったショウウィンドウ横に、300円・200円・100円均一の単行本。後ろの通路棚には海外文学。その裏には新書が詰まっている。お、オジサンが移動した。すかさず再び文庫棚前に立つ。岩波文庫の隣りには多ジャンルな棚。映画・芝居・音楽・世相・山岳などの本が並び、その横には辞書類が。ここからそのまま半島のように棚が飛び出し、弧を描いてレジ横へとつながって行く。右側の壁は均一棚の後ろに行き止まり通路的空間があり、海外文学評論・日本文学評論・俳句・詩歌と並び、その横のレジ正面には、小説と郷土文学が並ぶ。オジサンは今度はこの棚の前に陣取り、動く気配ナシ。仕方なく次へ進むと、そこは郷土史・九州地方の本。さらに横は思想・経済・教育・歴史・美術と続く。奥の壁際には図録と画集。その横には二階へのエレベーターと全集類の山。レジ横には二階への階段があり、見上げると階上は真っ暗。断れば見せてくれるのだろうが、今日は時間がないのでスルー。ちなみにこの階段には、カゴに入れられた写真や絵葉書が多数段々に並んでいる。先ほどのお店より規模は小さいが、その分シェイプされた棚はシンプルでも重みがある。しっかりとお店の特色が滲み出しているので、侮るわけにはまったくいかない。そしてこのお店、店名に何故か見覚えが…と記憶の引き出しを引っかきまわしてみると、以前ネットでここから本を購入したのを思い出した。う〜ん、全国巡っているとこんなことも。知らないのに知っている…文通の相手と対面したような微妙で不思議なニュアンス。でも何だか密やかな嬉しさがこみ上げてくる。ちくま文庫「東京百話 地の巻/種村季弘編」を購入。
二軒とも営業開始時間は午前10時。土砂降りでもキッチリ開店しているのには感動!そして二軒とも嬉しい二割引!そして二軒とも本を買うと、通常の書皮の半分くらいの紙を、のり巻きみたいに巻いて包装してくれる!ビバ・熊本!

