2009年02月02日

2/1岩手・盛岡で凍結雪上行軍三店!

空は晴れ渡っているが、凍った路面は容赦無く牙を剥き、予想以上に疲労を招く。そして寒さも本当に厳しい!タクシーに乗りたい誘惑に駆られながら、おかしなスタイルの自己流雪道走法で移動して行く…。


asanuma.jpg●盛岡「浅沼古書店」
上盛岡駅の南、盛岡税務署近くの交差点脇にある。時刻は午前十一時、果たして開いているのか…と近付いて行くと、店前の雪を蹴っているおじさんが一人。店主だろうか…。店に近付き覗き込むと、明かりは点けられているようだ。思い切って店脇に立っているそのおじさんに「よろしいですか?」と声をかけると「あっ、どうぞ」と即返答。やはり店主だったか、と引き戸を開けて中へ。おおおぉっ!これはすごい!視界はすべて本と本棚で埋められ、天井も低く中々の圧迫感…薄暗くそして、さ、寒い…室内なのに吐く息は真っ白…開店したばかりらしいから仕方ないか。壁際はすべて本棚、奥は少し狭くなっているようだ。手前には背中合わせの棚が二本置かれ、一番右の通路は袋小路になっている。奥には右に帳場と、狭いスペースに背中合わせの棚が一本。棚は本の重みのせいだろうか、所々歪み傾いでいる。奥は天井もナナメになっており、期せずして表現主義的な古本屋になっているのが楽しくもある。何だか諸星大二郎の漫画にでも出てきそうだ…。店主は私を放置して開店準備に余念が無い。いつの間にかエプロンを着け、店頭棚を出し、今現在は雪かき中。手前真ん中の通路右側の棚は、ムックの横にセレクト文庫棚。質のいい本が作家ごと・ジャンルごと・出版社ごとにまとめられている。絶版文庫も多数。向かいには棚を歪ませながらの映画・音楽本。一番右の通路には、通路棚に海外文学文庫、向かいの壁際には、哲学・思想・科学・生物・数学・化学・戦争、通路入口横に原敬を中心とした近代史が。左端の通路には、入口横に詩歌・俳句、そのまま壁際に同ジャンルでつながり、文学評論・日本文学・海外文学と続いている。向かいには雑本や最近の日本文学、その横には図録や美術雑誌が並ぶ。その脇には小さな棚があり、石川啄木・宮澤賢治を中心とした岩手棚。その向かいにも小さな棚があり、柳田国男・原敬を中心とした岩手本が収まる。奥の狭い左側通路には、ここも岩手本・地方史・郷土史・岩手資料本が並んでいる。向かいには歴史や江戸がズラリ。帳場のある右側の通路もまた極細で、通路棚には東洋文庫・辞書・全集本などが。向かいの棚には、洋書・見所たっぷりの戦前&戦中の紀行・随筆・文学本。この棚を見ている時に、ラジオから流れてきた古い昭和歌謡…今は一体何年だ?などと思いつつも、その時代だったら目の前の本は新しくなきゃ駄目だろ、と多少興奮しながらこんがらがる思い。ちなみに各通路には横積みされた本が大量に唸ってます。古い本多し!質のよい本多し!欲しい本多し!そして本が安い!息は白く手はかじかむが、今ここにいることがとにかく嬉しい!地元本の豊富さも土地ならではで喜ばしい!何とか三冊をセレクトするが、店主は未だ外で雪かき中。戸を引き開けて半身を乗り出し、三冊の本を誇らしく上に掲げ「すいませ〜ん」と大声を出す。駐車場の店主は、ハッと振り向き「あっ、すいません」と駆け寄り本を受け取る。素早く値段を計算しながら、別々のルートで帳場へたどり着いた。精算を済ませて外に出ると、さっきは無かった店頭棚が。そこは先ほど店主が雪を蹴飛ばしていたあたり。北国の古本屋さんも大変である。駸々堂「喰へる雑草/織田一磨」新潮社「古都ひとり/岡部伊都子」盛岡観光協会「賢治と歩く盛岡」を購入。


tumi.jpg●盛岡「TUMI」
上盛岡から上の橋に向かう途中、本町通一丁目で見つけたお店。生憎開店はしていなかったが、喫茶店と古本屋の複合店舗らしい。決して流行の古本カフェではあらず。ガラス戸から中を覗き込むと、カウンター席の背後に本棚が設置され、ムックや最近の小説などが並んでいる。看板を見ると、レコード・ビデオ・古銭・切手・古物なども扱っているらしい。しかし店の外壁には『売家・1680万円』の貼紙が…かと言って閉店してるわけでもなさそうだが……。


toko.jpg●盛岡「東光書店」
駅東方面、中津川に架かる上の橋のたもとにある。長屋風の店舗だが、佇まいが歴史を感じさせる。年季の入った木材、二階の飾り窓の格好良さ、本をモチーフにした黄色と水色の看板。そして扉の上に掛けられた表札から、店名の由来が店主の名前からだと言うことが判明する。右側に、田中冬二が中津川について書いた直筆の文章が飾られたショウウィンドウとスコップ。下の黄色い看板には『最新中古書籍』と言う何だか矛盾したキャッチフレーズ。渋い引き戸の両側に、安売り本棚と文庫の入ったミニダンボール。中に入ると暖かさが優しく出迎えてくれる。外観にも劣らない古めかしい内装。高い天井の板張り木目が美しい。壁は天井までの棚、奥には帳場があり今は女性が座っている。右には平台と小さな箱が組み合わされて通路棚が作られている。左はしっかりとした背中合わせの棚。店内のあちらこちらに、小さな手作り箱や棚が置かれ、さながら店内は一箱古本市状態!右の平台には文庫本が並び、その後ろの棚に江戸川乱歩がメインの推理・探偵とポケミスが収まる。後半部分には美術と工芸の本が。右の壁棚には、入口横のウィンドウ裏に純文学文庫、高い壁棚には時代小説・文庫・日本文学・詩歌が並び、文学と詩歌は古さと量で充実の棚。奥には古典と石川啄木・宮澤賢治の棚。浅沼古書店と同じく、啄木本の方が種類も豊富。その下には「アララギ」が綺麗に積まれている。帳場横と下には美術&啄木本。あれ?いつの間にか座ってる人が店主らしきご老人に代わっている。真ん中通路の左側は歴史棚。下には真紅の山手樹一郎全集。細かい箱が重ねられ、狭くなった入口横をすり抜けて左通路へ。箱には文庫や新書が収まっており、そのまま壁際は戦争・近代史へ。ここにも原敬の本が多く見られる。下には岩波の赤&青が少量並ぶ。その奥は岩手本がドッサリ。向かいには、新書・将棋・囲碁・哲学・心理学・語学が並ぶ。本はすごく安いと言うわけではないが、普通ならもっと高値でもいい本が、高くなり過ぎず(と言うか安い…)売られているのが非常に嬉しい。精算する時に、千円札と五千円札を知らずに間違えて渡すと、「あ、これ五千円」と優しく返して頂きました。恐縮です。蜘蛛出版社「永田助太郎詩集」を購入。

お店には大満足だったが、仕事前に疲れきってしまったことに反省…。やはり北国をなめてはイカンですな。つれづれ書房が開いていれば、長距離移動することもなかったのだが…。いや、もはや言うまい。おかげでいい古本に出会えたのだから!
posted by tokusan at 01:18| Comment(4) | TrackBack(0) | 東北 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
浅沼古書店

40年前、学生時代、唯一の居場所でした。

Posted by さすらいの道産子 at 2020年12月12日 16:56
コメントありがとうございます。寒さをこらえれば、ここは一日中確実にいられますね。古書店が唯一の居場所で、そして今がある!素敵です!
Posted by 古ツア at 2020年12月15日 15:48
浅沼古書店を3月10日に訪れたところ、3月末閉店のため50%引きということでした。
Posted by at 2023年03月13日 13:09
情報ありがとうございます。へ、閉店…盛岡は大事な場所を失うことになりますね。寒さに耐えながら、さらに平衡感覚を少し狂わせながら、もう一度古本を探したかった…。
Posted by at 2023年03月13日 18:03
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