●「黒猫」川崎の武蔵白石、『国道一号』を越えた住宅街の中にある。見つけた時は『開いている!』と思ったが、近付いてよく見てみると、すでにお店ではない。看板・日除けは健在だが、お店の前面が壁で埋められている…。かつてはガラス戸の入口だったのだろうが、その枠にピッタリはまるカタチで、新たな壁が設置されているのだ。出入口は無く窓のみの、まさに壁なのである。さながら古本屋を隠すために、壁を埋めてしまったかのよう!おぉ、これではまるでポーの「黒猫」!壁の向こうからドサドサと古本の落ちる音が…。元のお店は「すずらん古書店」。側壁の店名看板は、住宅街にあるまじきドデカさです。
●「将棋愛」足立区の大師前にある。去年の夏に見付けた物件であるが、再訪してみたら変わらぬ姿で佇んでいた。麗しい名のお店「愛書房」が、ただ閉店しているだけのように見えるが、シャッターにグッと近寄ると、『棋道館西新井道場』の文字が!恐らく現在は将棋道場なのであろう。一度開いているところを見てみたいのだが、その夢は未だ叶わず。頭の中では。ガラス窓の向こうで熱心な棋士たちが、盤上で静かに愛ある棋道を突き進んでいるのだが…。
●「気配ゼロ」十条から東に下ると東十条。すでに先ほど見付けた古本屋は、日除けがボロボロで営業している気配はゼロ。もう一軒を求めて夜の街をウロつくが、影も形も見当たらない。住所の場所を行ったり来たりして、万策尽きて天を仰ぐと…そこに『本』の文字!雑居ビルの壁看板の頂点である。『本』とあるからには、何処かで本を商っていなければならない!元のビルをじっくり眺め、郵便受も見てみるが、古本屋さんの気配はゼロ…「宋文堂書店」は忍者のように気配を絶っている…私の能力ではもはや追跡出来ず。ただポカンと口を開け、暗闇で夜空にうっすら浮かぶ『本』を眺めている。
●「武田信玄」千葉の妙典にある物件。元の名、「風林火山」に相応しく勇ましい幟が林立する店頭だが、現在はマンガ喫茶と化している。お店の名残りは軒に残る看板のみで、そのほとんどが白く塗り潰されているが、左端に『本』の文字が雄々しく残っている。十中八九リサイクル古書店だったのであろう。


整理したいが追いつかない在庫感と、だけど頑張ってみたよ的な微妙な区分けを楽しむ空間でした。
ハスキーでどこかしばたはつみ似の、古本より酒が似合う女性店主が仕切っておられました。
この地を去ってから時々思い出してはいましたが、やめられたんですね。残念。今は三宿の江口書店の近くに住んでおり、自分としてはお宝本が信じられない価格で手に入るし、十二月文庫もあるし、両店はこちらでも高評価だし、で、それなりに幸せです。長くなってすみません。